第242回 放送と青少年に関する委員会

第242回-2022年1月

中高生モニターとのオンライン意見交換会を開催…など

2022年1月25日、第242回青少年委員会を千代田放送会館会議室にてオンライン併用で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会後半に、中高生モニターとのオンライン意見交換会を1時間ほど開催しました。今年度の中高生モニター35名のうち18名が参加し、テーマである「バラエティー番組」について、モニターの中高生から貴重な意見を聞くことができました。
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議に関しては、原案の起草に着手したこと及び、その進捗状況についての報告がありました。
12月後半から1月前半に寄せられた視聴者意見には、宝くじ10億円が当たったとするドッキリ番組に対して、「はじめは興味本位で見ていたが、段々と自分がいじめの構図の中にいることに気づいた」などが寄せられ、委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
1月の中高生モニターリポートのテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」で、32人から報告がありました。モニターからは、大晦日の大型音楽特番について、「紅組司会、白組司会という制度が廃止され、3人の司会で番組が進んでいた。紅組と白組の勝ち負けに対する意識が薄れ、心から番組を楽しむことができたのでより良い内容になっていたと思う」などの意見が寄せられました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、調査結果をまとめた原案が示され、その内容について意見交換しました。
最後に今後の予定について話し合いました。
次回は、2月22日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2022年1月25日(火)午後4時30分~午後7時30分
場所
千代田放送会館会議室
議題
中高生モニターとのオンライン意見交換会
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について
視聴者からの意見について
中高生モニターについて
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、
髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

中高生モニターとのオンライン意見交換会

今年度の35人の中高生モニターのうち18人が参加しました。テーマは「バラエティー番組」で、「見る/見ないの基準や判断材料は?」「内容が許容できる/できないの線引きについて」「バラエティー番組の内容をまねた行為は身近にあるか?」などについてでした。モニターと青少年委員会委員7人が意見を交わしました。通常はアンケート用紙上でしか分からないモニターの生の声を聞くことができ、たいへん有意義な会となりました。モニターの意見は今後の「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議に活かしていく予定です。

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議

榊原委員長から「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について、原案の起草に着手したこと及びその進捗状況について報告があり、また、今後の審議のスケジュール等について話し合いました。

視聴者からの意見について

12月後半から1月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
ニセの当選発表を中継して宝くじ10億円が当たったとするドッキリ番組に対して、「はじめは興味本位で見ていたが、段々と自分がいじめの構図の中にいることに気づいた」という視聴者意見が寄せられました。
委員からは、「人が苦しむ姿を周りの人間が笑って見ているといういじめの構図は、現在審議中の『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』に繋がる」との意見が出されました。
その他に、委員からは「有名女優の急死に関する報道の在り方に関して、一応転落死の扱いではあったが、一方で自死のような扱いもされている。報道後すぐに「心に悩みのある方は」というテロップを流しているが、自死に関する報道は青少年に大きな影響があるので、検討が必要ではないか」という意見が出されました。
また、大学入学共通テスト当日の東京大学前での高2生徒による刺傷事件について、「同級生へのインタビューがあったが、居合わせた受験生へのインタビューはなかったのか?など、受験を控えた高校生への悪影響がないか心配だ」との意見が出されました。

中高生モニターについて

35人の中高生モニターにお願いした1月のテーマは、「年末年始に見たスペシャル番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で32人から報告がありました。
「年末年始に見たスペシャル番組について」では、全部で18番組について報告がありました。複数のモニターが取り上げたのは3番組で、『第72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に12人が、『笑って年越したい!笑う大晦日』(日本テレビ)と『芸能人格付けチェック!2022お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)にそれぞれ3人が感想を寄せました。
「自由記述」では、多くのモニターが今月のテーマに関連して記述していました。「年末年始はスペシャル番組が多く、内容も豊富で良かった」「テレビのおかげで1年が“笑い”で始まるのが良い」という感想がある一方で、「お笑い以外のスペシャル番組が少なすぎる」という意見も寄せられています。
そのほか、大阪での放火事件や東京大学前で起こった傷害事件、トンガ付近での大規模な噴火など最近のニュース・報道への意見や感想、オミクロン株が急拡大していることへの不安の声も複数ありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ニュー試~世界の入試で未来が見える!~』(NHK Eテレ)を7人が、『異言語Q脱出ゲーム』(NHK総合)を6人が、『東大王SP』(TBSテレビ)を5人が、『池上彰の関西人が知らないKANSAI』(関西テレビ)を2人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【年末年始に見たスペシャル番組について】
    • お正月番組について、家族とのんびり過ごしながら特別な時間を過ごせるところや、どの世代でも楽しめるところを評価しているモニターが複数いて興味深かった。中高生から求められているお正月番組がどういうものか分かり、番組制作のヒントになると思った。

    • 『第72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)今回、最も多くの感想が寄せられたが、モニターが注目したのはジェンダーをどう考えるか、歌の優劣をどうつけるか、ということだった。家族で視聴することが多い番組だからこその出演者の選定についての関心や、多様性の実現と長年「紅白」に分かれて「合戦」として楽しまれてきた歴史との調和の問題など、とても貴重な意見が得られたと考える。

    • 『第72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)モニターからの意見で、「幅広い人に受け入れてもらえるセットリストを作るにはそれをバランスよく組まなければならないが、全世代のニーズに合わせたリストを作ることはもはやできない。だから、NHKが決めるのではなくて、視聴者に事前にリクエストを聞くなどして選考すべきだ」というものがあった。どう選ぶかという内容についてかなり深く考えていると感心した。

    • 『第72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)「高齢者は夜遅くまで起きていられないため、早い時間は高齢者向けのアーティストをそろえるなどの配慮があっても良いのではないか」と記述したモニターがいた。今までの自分の『紅白』のイメージは、早い時間に若者を引き付け、遅い時間には高齢者に見てもらうというものだったので、この意見を新たな視点だと感じ、興味深かった。

  • 【自由記述について】
    • 自暴自棄になった犯人が善良な市民を道連れにする事件が増え、「報道によって、第2、第3の模倣が起こるのであれば報道に規制が必要ではないか」という意見がある。確かに報道にある種のルールは必要だ。しかしながら、最近立て続けに起こっている事件は我々にとって非常にショッキングであり、なぜそのようなことが起きたのかという内容をみんな知りたいと思っている。知りたいことを報じるのが報道であり、なぜ起きたか、どういう状況だったのか、もし自分がその場にいたらどういう行動が取れるのか、ということを多くの人が報道から学び、今後の対策の指標になることもあると思う。連鎖が起きるから報じないほうがいいという意見には疑問を感じてしまう。

◆モニターからの報告◆

  • 【年末年始に見たスペシャル番組について】
    • 72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)紅組司会、白組司会という制度が廃止され、3人の司会で番組が進んでいた。紅組と白組の勝ち負けに対する意識が薄れ、心から番組を楽しむことができたのでより良い内容になっていたと思う。毎年、「なぜ歌に勝敗があるのか」「勝敗の基準は何か」とずっとモヤモヤしていた。実際には、今年も事実上紅組の勝利となった。しかし司会がどちらの組も応援することで、紅組・白組の男女の壁を感じさせないきっかけになったのではないか。(中学2年・女子・千葉)

    • 『第72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)紅組・白組の司会の名称も統一された今、「紅」「白」に分かれて競う意味はどこにあるのかと疑問に思う。どうせなら男性・女性関係なくランダムにアーティストを分ける、というのはどうだろう。またNHKだけで出演者を決めるのではなく、視聴者に事前にリクエストを行ったり、もう少し選考基準を具体化したりすべきだと考える。(中学3年・男子・静岡)

    • 『第72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)いろいろな年代の人が、別の年代がよく聞く音楽と触れ合うことができるのも、老若男女楽しめるこの番組の「良さ」だと思います。これからもたくさんの家庭をこの番組で笑顔にしてほしいです。(中学2年・男子・長崎)

    • 『第72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)出演アーティストの順番はもう少し工夫があると良いかもしれない。というのも、毎年紅白を見る際に感じていることだが、出演アーティストの年代層がバラバラで、例え今回のように特定の世代にウケそうなアーティストをそろえても、間あいだに全く違う年代のアーティストが入ってくれば、どの年齢層向けに番組が作られているのかが不明確になり、結局どの層にも刺さらない曖昧な番組になってしまう。例えばだが、高齢者は夜遅くまで起きていられないため、早い時間は高齢層向けのアーティストをそろえるなどの配慮があっても良いのではないだろうか。(高校1年・男子・東京)

    • 『第72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)多様性を尊重することで今までの紅白から進化を遂げた新鮮な内容になり、見ていてとても面白かった。また、紅白という歴史ある番組の大きな変化も感じた。しかし、それと同時に多様性を過剰に意識しすぎているようにも感じた。私はこの番組の醍醐味は紅白という色にあると思うので、多様性を尊重したカラフルな要素と、紅白歌合戦の醍醐味である紅白という色の両方を偏らずにどのように取り入れていくかも考えるべきだと思った。(高校1年・女子・埼玉)

    • 『第72回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)リアルタイムで紅白を最初から最後まで見るというのはほぼ初めてに近く、新鮮でした。全体を通してアーティストが若者向けであり、フレッシュさを感じた反面、「この人が出るなら見たい」と思わせるようなトップアーティストがいなかったと感じました。実際、一緒に見ていた両親が「この人は誰?」と聞いてくることが放送中何度もありました。大みそかに紅白歌合戦を見て1年を締めくくるという家族は多くあると思います。幅広い年代が視聴する番組だからこそ、どの年代も楽しめるような番組作りが必要なのではないかと思いました。(高校2年・女子・埼玉)

    • 『笑って年越したい!笑う大晦日』(日本テレビ)豪華俳優が芸人とコラボするという今まであまり見なかった新しいお笑いがあり、とても楽しむことができました。(中学1年・男子・岩手)

    • 『芸能人格付けチェック!2022お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)私がいつも思うことは、ダンスや演奏などでプロを当てるという内容の際に間違えたとしても、そのアマチュアの人がうまいということなので、誰も嫌な思いをしないため良いなということです。(高校1年・女子・京都)

    • 『芸能人格付けチェック!2022お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)普段あまりバラエティー番組に出演しない俳優やスポーツ選手が登場し、素の一面が見られるところが魅力の一つです。MCのダウンタウン浜田雅功さんの突っ込みが鋭く、大御所芸能人に対してはヒヤヒヤする場面も時々ありますが、その鋭さが芸能人の素の一面を引き出す力となっていると感じます。(高校1年・女子・東京)

    • 『爆笑!明石家さんまのご長寿グランプリ2021』(TBSテレビ)この番組は、ご長寿の珍回答やエピソードで思わず笑ってしまい、そこからパワーをもらえるような番組だと思います。そして、ご長寿の人生を聞くことができ、これからの人生で大切なことを学べる番組でもあると思います。出演者の方々もアットホームな雰囲気で話されているので見ていて楽しかったです。(中学3年・女子・富山)

    • 『月曜から夜ふかし 元日SP』(日本テレビ)今回は通常よりも早い時間帯での放送。地元自慢というコーナーがあり、普通とは異なった視点からのインタビューがあり、各地域の特色やユニークさがよく分かった。一般人について深く特集している点も他の番組とは違い、この番組の面白いところだと思う。年の初めから、楽しく、面白いひとときを過ごすことができて良かった。(高校3年・男子・山形)

    • 『おしょうバズTV』(テレビ朝日/朝日放送テレビ)この番組は、忙しい毎日とは違う、お正月に親戚や家族が集まって、コミュニケーションを取りながら楽しめるという点で、とても興味深かったです。いつもは何かをしながらテレビやラジオを視聴することが多い私ですが、母と「これ知ってる?」などと、会話を楽しみながら視聴しました。最近の地上波の番組は、その時間に視聴できる、一部の世代をターゲットにしているように感じる番組が多いので、どの世代も楽しめる番組が家族のコミュニケーションを支える役割を担っていけると良いと思いました。(高校3年・女子・静岡)

    • 『THE グレートアンサー』(毎日放送)(この番組で出題されるような)答えのない問題は家族との意見交換の機会にもなるので、このような番組が増えたらいいなと思っています。(中学3年・女子・奈良)

  • 【自由記述】
    • 最近テレビで「多様性」という言葉をよく聞くようになりました。「多様性」をテーマに扱う番組が広まってきたことによって、このような考え方が多くの世代に広まったのは良いことだと思います。ただ、何度も聞いているうちに、逆に、「多様性」という言葉によって、人と違うということを誇張して差別しているように感じ取られる時もあります。多様であることが当たり前で自然であるようになって、「多様性」という言葉も使わなくていいようになると良いと思います。(中学1年・女子・東京)

    • テレビのおかげで毎年初めは「笑」から始まります。そして、東京五輪の影響か、スポーツ関連のことを取り入れた番組がよく放送されていると思います。アスリートの凄さを画面越しですが、肌で感じることができる機会は少ないのでとても楽しかったです。(中学3年・女子・富山)

    • 年末年始のテレビはスペシャル番組が多く、内容も豊富で面白かったです。ですが、コロナウイルスの第6波が来ているので、これからのテレビの撮影などがいろいろな場所に簡単に行けなくなり、大変そうだなと思いました。(中学2年・女子・大分)

    • 年末年始のスペシャル番組が多すぎて、子どもが楽しみにしているアニメなどが見られなくなってしまうのが残念です。(中学1年・女子・千葉)

    • お正月ならではの番組がめっきり減っている気がします。コロナのせいもあるのか、今年は番組作成が難しかったのかなあとも思いました。母が子どもの頃は、「芸能人かくし芸大会」が元日に放送され、とても面白かったと聞きました。家族全員でこたつを囲んで会話しながら見られるようなお正月感のある番組をぜひ期待したいです。(中学3年・女子・宮崎)

    • テレビの津波速報が迅速でとても良かった。たまたまテレビをつけたら、画面右下に大きく、「いますぐにげて!」と書いてあり、初めは何事か分からずとても焦った。しかし、今何が起きているのか、どこの地域の人に避難が必要なのか、どれくらいの危険度なのか、などの情報が詳しく誰にでも分かるようにテレビいっぱいに書いてあったので、すぐに状況を理解することができた。(高校1年・女子・埼玉)

    • 大阪の精神科のあるビルで、患者だった男性が放火し、多くの方が犠牲になった事件が報道されました。事件発生直後に消防や救急の方が救出活動をされている映像がいくつか流れていました。その中には、消防の方が心臓マッサージを行っている様子がありました。それを見た時に、映してしまっていいのかと驚きました。人が生死をさまよい、人命救助をしている姿を放送していいのかと疑問に思いました。(高校2年・女子・静岡)

    • 電車内での殺傷事件や大阪のクリニックでの放火殺人、そして最近では、大学入試当日の東京大学での致傷事件など、自暴自棄になった犯人が善良な市民を道連れにする事件が増えてきているように思えます。そして、それを模倣して第2、第3の事件が起こるとなれば、この手の事件の報道にあたっては、ある程度の規制をかけることも、安全な社会を維持するために必要なのではと感じました。(高校3年・男子・長崎)

  • 【青少年へのおすすめ番組】
    • 『ニュー試~世界の入試で未来が見える!~』(NHK Eテレ)その国ならではの入試を知ることができ、頭の良さだけでなく、人間性までも入試で見るところもあるのだと自分の世界が広がりました。(中学3年・女子・富山)

    • 『ニュー試~世界の入試で未来が見える!~』(NHK Eテレ)2年後の今日(この番組の放送日)、私は大学入学共通テストを受けている予定です。そんなことを考えながら見ました。世界的に求められていることは思考力だとわかりました。特にフランスでは哲学が必須科目ということに驚きました。たくさんの意見を聞くことで多方面から考える力が備わることが分かり、学びには学校という環境がいかに大切か気づかされました。(高校1年・女子・東京)

    • 『異言語Q脱出ゲーム』(NHK総合)音が聞こえない聴覚障がい者の2人と音が聞こえる2人の4人が、脱出するために協力していた姿はとてもかっこよかったです。特に脱出ゲームは、ひらめいた時や問題を解く時などは伝え合うことがとても大事になるゲームにも関わらず、解決していっていたところが凄かったです。ミッションをクリアするたびに4人全員で喜んでいて、視聴者の私までうれしくなりました。(高校2年・女子・静岡)

    • 『異言語Q脱出ゲーム』(NHK総合)謎のつくりに感心したほか、謎解きに参加した4人の姿勢も印象に残った。ジェスチャーを多用してとにかくコミュニケーションを取ろうと試みる人、または自分の普通が通用しないことに初めは戸惑う人という「私もこうなりそう」が分かりやすく示されていたと思う。知らないこと、自分とは異なるものが存在することは仕方がないが、それに直面した時にどう行動するかは経験や考えが表れるだろう。対等である、平等である、というのは目に見えず不確かなものだが、謎解きを通して各々が分かるヒントをもって協力する状態は、間違いなく1つのチームだったと言えるだろう。(高校3年・女子・東京)

    • 『東大王SP』(TBSテレビ)クイズを1問ずつためることなくテンポが良かったので気持ちよく視聴することができた。序盤から東大王と芸能人チームが僅差でハラハラしながら楽しめた。(中学2年・女子・千葉)

    • 『東大王SP』(TBSテレビ)頭が良いだけではなく、ひらめきを必要とする問題が出るのはとても面白くて良いと思います。ただ、「東大」というだけで「頭が良い」「すごい」と、学歴だけで判断されているような気がします。確かに頭が良く、解説がうまいのは面白いと思いますが、なんとなく学歴だけで人を判断しているようで不快に感じます。(高校3年・女子・福岡)

    • 『池上彰の関西人が知らないKANSAI』(関西テレビ)外国の人から見た関西は関西人が知らないことばかりで、住んでいるからこそ気づけない面があると分かった。(中学3年・女子・京都)

調査研究について

担当の中橋委員から、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、調査結果をまとめた原案が示され、その内容について意見交換しました。

以上

2022年1月18日

「宮崎放火殺人事件報道に対する申し立て」通知・公表の概要

[通知]
2022年1月18日午後1時からBPO会議室において、曽我部真裕委員長と事案を担当した鈴木秀美委員長代行、水野剛也委員、少数意見を書いた二関辰郎委員長代行が出席して、委員会決定を通知した。申立人本人と、被申立人のNHKからは宮崎放送局長ら2人が出席した。
曽我部委員長がまず、「本件放送には人権侵害も、放送倫理上の問題もないというのが結論です」と委員会の判断を示したあと、「ただし今回は、放送倫理上問題があるとする少数意見がついています」と決定の全体像を伝えた。  
申立人の「兄にも何らかの非があるかのような表現によって兄の尊厳が傷つけられ、ひいては申立人の人格的利益をも侵害した」とする主張については、委員会は敬愛追慕の情の侵害の主張と捉え、裁判所の判断基準に則って総合的に判断した結果、許容限度を超える人権侵害はなかったとの判断に至ったと説明した。
また「何らかの金銭的なトラブル」との表現を使ったことについて、被申立人であるNHKは、複数の捜査関係者に裏づけ取材を行った上で警察の認識として伝えており、さらに2人が死亡した住宅火災は放火殺人事件である可能性が高まったとするニュースには高い公共性と十分な公益性があるため、放送倫理上の問題もないと判断したと述べた。
ただし「トラブル」など、多様に受け取られる可能性のある言葉は、使用するにあたり注意が必要だろうと付け加えたこともあわせて説明した。
続いて水野委員が、申立人に対し、「トラブル」など、放送で日常的に使われる言葉について、多様な受け止め方があることを示し注意喚起できたことはこの申し立ての意義があったと受け止めてほしいと述べた。
鈴木委員長代行は、人格的利益の侵害については、裁判所の判例に基づいて一般の視聴者の普通の視聴の仕方で放送全体を見て判断するので、こういう結論になったが、委員9人中2人が、放送倫理上問題ではないかとの少数意見を示しており、私も考えさせられたと述べた。
次に委員長が、「委員会全体としての判断とは別に、委員個人が異なる意見を述べるのが少数意見です」との説明を行った上で、二関委員長代行が少数意見について説明した。
二関委員長代行は、人格的利益の侵害という法的責任に関する判断については、最高裁判所の考え方に従って一般的な視聴者の視点で捉えるのが正しいが、放送倫理上の問題を考えるにはその基準を用いない方が妥当な場合がある。次々に変化していくテレビの画面について、受動的な視聴者とは異なり、放送局は予めそれらを準備する立場なので、それがどのような受け止め方をされるかを、十分に考えた上で番組を作るべきだと思う。その上で「2人の間に何らかの金銭的なトラブルがあった」という表現を考えると、この表現によって、容疑者が何の落ち度もない被害者を一方的に殺害したわけではなさそうだな、と一部の視聴者に受け止められる可能性のある放送になっていたと言える。容疑者の過去の同種前科に触れない配慮をしたのは一つの見識だが、その配慮をするのなら、同様に被害者の人権への配慮があって然るべきだったのではないか。そういったことなどから放送倫理上の問題があったのではないかと考えたと説明を行った。
この決定を受け申立人は「長い時間と多くの労力をかけていただき感謝します」と発言したあと、NHKの報道姿勢と視聴者対応に対する強い不満を表明した上で、「裁判所の判決のような決定で、もっと放送倫理的な方向に振って欲しかった」との意見を述べた。
NHKは「放送したニュースに問題はないとの主張が認められたと受け止めています。今後も人権に充分配慮しながら報道していきたい」と述べた。

[公表]
午後2時から千代田放送会館2階ホールで記者会見し、委員会決定を公表した。放送局と新聞社、民放連合わせて19社1団体から27人が出席した。テレビカメラの取材は当該局のNHKが代表取材を行った。通知と同じく、曽我部委員長が決定の結論とそこに至る考え方を説明した上で、最後に記した注意喚起について、「トラブルという言葉は、最近意識してニュースを見るようになったが、非常によく使われている。場合によっては思わぬ受け取られ方をすることもあるので、決まり文句や常とう句のようなものとして、安易に用いないようにする必要があろう」と付言した委員会の思いを述べた。
水野委員は、今回の決定は「問題なしの見解」であり、これまでに17件の同種の見解が出ているが、その中で少数意見がついたのは初めてである。その理由は「トラブル」という言葉の幅が大変広いからで、委員のなかでも異なる意見があった。送り手側が特段の意味を込めなくても、そうではない受け取り方をする人が一定数いることを意識した方が良いと述べた。
鈴木委員長代行は、当事者2人がともに死亡し真相が分からない中で、申立人は警察や報道機関がなぜもっと調べてくれないのか不満を持ちながら、自ら調査していた。8か月後にようやく真相に迫る報道があるのかと期待していたところ、自分は聞いたことがない兄にも非があるかあるかのような報道がなされ、期待が裏切られたと感じたのではないか、と申立ての背景を紹介した。
二関委員長代行は、「何らかの金銭的なトラブル」という言葉の受け止め方について、「トラブル」はそれだけを取り出すと確かに曖昧で中立的ではあるが、「2人の間に何らかの金銭的トラブルがあった」と言う場合は、2人ともそのトラブルの存在を認識している場合を指し、どちらか一方がその存在すら認識していない場合は含まないのが一般的ではないだろうか。その結果、本件は被害者が気づかないうちに金銭がとられるなどの一方的な犯罪行為ではなく、被害者である申立人の兄がよほど恨みを買うようなことをしたのではないか、と一部の視聴者が受け止める可能性があるものになっていたと考えられる。放送局にはそこまで考慮した高度な倫理性が求められるのではないかと、放送倫理上の問題ありとした少数意見を説明した。

<質疑応答>
(質問)申立人、被申立人双方の受け止めは?
(曽我部委員長)
申立人は、BPOに対しては審理への感謝を表明した上で、判断内容については「裁判所のような判断であり、もう少し放送倫理に踏み込んだ判断をして欲しかった」と述べた。放送局に対しては、強い言葉で批判を述べた。その背景には、2人が亡くなる重大な事件であるのに長い間続報がなく、8か月たってようやく報道された内容は、警察の発表通りで期待外れなものだったということがあると思われる。
NHKは、「主張が認められ感謝すると共に、今後も人権に配慮した報道をしていきたい」と述べた。

(質問)以前はよくあったような報道内容だが、報道機関に対する社会の見方が変わってきたというような議論は審理の中であったのか?
(曽我部委員長)
その点を直接議論はしなかったが、委員の問題意識、認識としてはあったと思う。今回のケースは広く社会の耳目を集めるものではなかったが、事件報道の観点からいうと重要な問題提起をするものだと考えている。事件報道の実務に関し、今まで当たり前だと思われていたことについて、全国の放送局や新聞社に考えていただきたい題材を提供するケースだったというのが、委員の共通認識だと思う。

以上

第167回 放送倫理検証委員会

第167回–2022年1月

NHK BS1『河瀨直美が見つめた東京五輪』について討議

第167回放送倫理検証委員会は1月14日に千代田放送会館でオンラインを併用して開催された。
11月の委員会で審議入りしたテレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について、当該放送局に対して行ったヒアリング等を踏まえ、担当委員から意見書の原案が提出された。
字幕に不確かな内容があったNHK BS1のドキュメンタリー番組『河瀬直美が見つめた東京五輪』について、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論した。その結果、事実関係や放送に至った経緯等に不明な点があるため、より詳細な報告書の提出を求めるとともに、討議事案としてさらに議論を継続することとした。
手製の筏を漕いで無人島から脱出を図りその所要時間を競う企画を放送した民放テレビ局の番組について、不適切な演出が行われたと週刊誌が報じ、BPOにも視聴者意見が寄せられたことについて、委員会は番組を視聴したうえで意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2022年1月14日(金)午後5時~午後7時30分
場所
千代田放送会館会議室およびオンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. テレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について審議

テレビ朝日は情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』の2021年3月から10月にかけて放送した視聴者からの質問に答えるパートにおいて、番組側が作成した質問を視聴者からの質問であるかのように放送したケースが含まれていたとして、10月21日、番組と番組のウェブサイトで公表し謝罪した。同パートでは、番組の前半で当日のテーマを視聴者に伝え、放送中に番組ウェブサイトなどで受け付けた質問を番組終盤で紹介し、出演した専門家らが答えていた。また視聴者から受け付けた実際の質問を使用する場合も、文章に手を入れ表現を修正したケースでは、クレームを避けるためとして投稿者の属性を書き換え架空の属性で放送していたという。
11月の委員会で、視聴者の質問や意見を番組が作ることは世論誘導にもつながりかねず、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会には、当該局から提出された追加報告書やヒアリングの内容を基に前回の委員会で交わされた意見を踏まえ、担当委員が作成した意見書の原案が示され、議論が行われた。
次回の委員会では、意見書の修正案が提出される予定である。

2. NHK BS1のドキュメンタリー番組『河瀨直美が見つめた東京五輪』について討議

NHKは2021年12月26日に放送したBS1スペシャル『河瀬直美が見つめた東京五輪』の字幕の一部に不確かな内容があったとして、2022年1月9日、番組と放送局のホームページで公表し謝罪した。
番組は、東京五輪の公式記録映画監督である河瀬直美さんら映画製作チームに密着取材したもの。男性を取材した場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕を付けて伝えた。
放送後、視聴者から問い合わせがあり、NHKが男性に再度確認したところ、男性はデモに参加する意向があると話していたものの、実際に五輪反対デモに参加していた事実を確認できず、字幕の内容が不確かだったことがわかったという。
委員会は、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論を行った。委員からは、報告書に記されている内容だけでは、取材時および放送に至る過程での確認作業が適正に行われたかどうかがわからない、字幕で紹介された男性の発言内容など事実関係に不明な点が多い、などの意見が相次いだ。議論の結果、委員会は、深刻な事案である可能性があるとして討議入りを決め、当該局に対し放送に至った経緯等について質問を行うとともに、改めて詳細な報告書の提出を求め、それを踏まえて議論を継続することにした。

3. 民放局が放送したバラエティー番組について意見交換

手製の筏を漕いで無人島から脱出を図りその所要時間を競う企画を放送した民放テレビ局の番組について、船が筏をけん引するなど不適切な演出があったとする週刊誌報道があり、また、BPOにも視聴者からの意見が寄せられていたことから、委員会は番組を視聴した上で意見交換を行った。
委員からは「番組の最後に『安全に配慮して撮影しています』と小さくクレジットがしてあった。牽引はやむなくやっていることで、面白おかしくするためにやっているわけではないということだろう」「このタイプの番組で最も気を遣うのは出演者の安全確保だ。それを否定すると他の同種の番組が作れなくなるのではないか」という意見があった。
一方で、「出演回数の多いお笑いタレントを番組内のスターとして育てているのは理解できる。ただ、参加者同士の競争という体をとっておいて、3組のうち2組がリタイヤし、残った筏を船で牽引して成功させるというのはやりすぎだ」「少年少女に語り掛けるコーナーを設けるなど、この番組は子供向けの感動的な物語風の作りになっている。それだけに、今回船による牽引が行われたことは罪深いのではないか」という声もあがった。
その上で「週刊誌報道をきっかけに、番組を見る人に筏は牽引されていることがあるということがわかってしまった。今後自浄作用が働くのではないか」「そういう番組作りだとわかって楽しんでいる視聴者も沢山いると思う。幻滅する人は見なくなるだろう。この番組の扱いに関しては、そうした視聴者の判断に委ねるべきだ」として議論を終えた。

4. 12月に寄せられた視聴者意見を議論

12月にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、大阪のクリニック放火殺人事件や女優の急死の取り上げ方等に関して事務局から概要が報告されたが、さらに踏み込んだ検証が必要であるとの意見はなかった。

以上

2022年1月21日

2022年 1月21日

まん延防止等重点措置実施に伴う視聴者電話応対業務について

BPOは、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのまん延防止等重点措置が、事務局がある東京都に実施されたことを受けて、次のとおり対応いたします。

  • 期間中はテレワークを推進し、視聴者からの電話応対時間を短縮します。
    視聴者意見電話受付時間 平日 11:00~12:00 および 13:00~16:00
  • 郵便物とメール、ファクスは通常通り受け付けます。

なお、今後の感染状況によっては、電話受付を休止することがあります。

第300回放送と人権等権利に関する委員会

第300回 – 2022年1月

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」委員会決定の通知・公表を報告…など

議事の詳細

日時
2022年1月18日(火)午後4時~午後5時
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、
野村委員、丹羽委員、廣田委員、水野委員

1. 委員会決定第77号「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」通知・公表

審理入りしていた「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」について、委員会決定第77号として、申立人と被申立人双方への「通知」と「公表」記者会見を、委員会当日に行った。今回の委員会ではその様子が報告された。

2. その他

事務局から現時点での申立て状況などを報告した。

以上

2021年度 第77号

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」
に関する委員会決定

2022年1月18日 放送局:NHK

見解:問題なし(少数意見付記)
NHK宮崎放送局は2020年11月20日の『イブニング宮崎』で、男性2人が死亡した宮崎市内の住宅火災の続報として、放火殺人の可能性があり、2人の間に「何らかの金銭的なトラブル」があったかのように伝えた。これに対し、被害者の弟が、兄にも原因の一端があったとの印象を抱かせるものであり、兄の尊厳を傷つけたとしてNHKに対し謝罪を求める申立てを行った。NHKは取材を基に客観的な事実を伝えていると反論していた。
委員会は、審理の結果、人権侵害はなく、放送倫理上の問題もないと判断した。

【決定の概要】

 委員会は、以下のとおり、本件放送には人権侵害も、放送倫理上の問題もない、と判断する。
 まず、申立人は本件放送について、事件の被害者である兄にも非があるかのような「何らかの金銭的なトラブル」という表現を使ったことなどで兄の名誉を毀損し、ひいては申立人の人格的利益(敬愛追慕の情)をも侵害した、と主張している。
 しかし、「何らかの金銭的なトラブル」は、それ自体を単体でとらえれば申立人のような受けとめもできようが、兄に何らかの非があったとはっきりと伝えているわけでも、強く示唆しているわけでもなく、それ以外の部分を含め一般的な視聴者の普通の見方をすれば、本件放送が全体として社会的評価を明らかに低下させるわけではない。
 「何らかの金銭的なトラブル」に言及したこと自体も、当事者である兄と容疑者がすでに死亡しており背景がつかみにくい状況で、複数の捜査関係者への取材で一定の裏づけをとったうえで警察の見方として伝えており、また兄と容疑者の関係性や放火の動機につながる情報を警察がどう認識しているかは報道の一要素であるため、不適切とはいえない。
 そして、2人が死亡した火災が事故ではなく、放火殺人事件である可能性が強まったことを報じる本件放送には、高い公共性があり、その目的にも十分な公益性がある。
 以上の事情を総合すると、きわめて不可解、残酷な形で突然、肉親を失った申立人の大きなショックを考慮しても、本件放送は許容限度(受忍限度)を超えて申立人の敬愛追慕の情を侵害してはいない。
 申立人はまた、「何らかの金銭的なトラブル」という表現をめぐる放送倫理上の問題として、①兄にも非があると示唆すること、②遺族である申立人はまったく聞いたことがないのに、警察への取材に依拠し、申立人に確認をせず放送で使用したこと、を主張している。
 しかし、①については、すでに指摘したように本件放送を全体として見れば、兄に何らかの非があったとはっきりと伝えているわけでも、強く示唆しているわけでもなく、②についても、兄と容疑者がともにすでに死亡していること、複数の捜査関係者への取材で確かめたうえで、両者間に「何らかの金銭的なトラブル」があったという警察の認識として伝えていることなどから、放送倫理上の問題があるとはいえない。
 ただし、一般論として、「トラブル」のように、立場や文脈や視聴の仕方により多様に受け取られる可能性のある言葉は、事件報道の常とう句、決まり文句のようなものとして安易に用いることのないよう、留意する必要があろう。

全文PDFはこちらpdf

2022年1月18日 第77号委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第77号

申立人
宮崎県在住の男性(事件被害者の弟)
被申立人
日本放送協会(NHK)
苦情の対象となった番組
『イブニング宮崎』(宮崎放送局ローカルニュース)
放送日
2020年11月20日
放送時間
午後6時10分~7時のうち番組冒頭約2分間

【本決定の構成】

I.事案の内容と経緯

  • 1. 放送の概要と申立ての経緯
  • 2. 本件放送の内容
  • 3. 論点

II.委員会の判断

  • 1.申立人の人格的利益(敬愛追慕の情)の侵害
  • 2.放送倫理上の問題

III.結論

IV.放送概要

V.申立人の主張と被申立人の答弁

VI.申立ての経緯および審理経過

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2022年1月18日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2022年1月18日午後1時からBPO会議室で行われ、午後2時から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。詳細はこちら。

  • 「補足意見」、「意見」、「少数意見」について
  • 放送人権委員会の「委員会決定」における「補足意見」、「意見」、「少数意見」は、いずれも委員個人の名前で書かれるものであって、委員会としての判断を示すものではない。その違いは下のとおりとなっている。

    補足意見:
    多数意見と結論が同じで、多数意見の理由付けを補足する観点から書かれたもの
    意見 :
    多数意見と結論を同じくするものの、理由付けが異なるもの
    少数意見:
    多数意見とは結論が異なるもの

2021年12月に視聴者から寄せられた意見

2021年12月に視聴者から寄せられた意見

大阪ビル放火殺人事件について、取材や報道のあり方を問う意見が多数寄せられた。

2021年12月にBPOに寄せられた意見は1,652件で、先月と比較して702件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール84%、電話14%、郵便・FAX 各1%。
男女別は男性45%、女性26%で、世代別では40歳代25%、30歳代23%、20歳代18%、50歳以上16%、60歳代9%、10歳代5%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送事業者を特定したものは、当該事業者のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。12月の通知数は837件【51事業者】であった。
このほか、放送事業者を特定しない放送全般への意見の中から19件を抜粋し、全会員事業者に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

女優の急死や大阪のクリニック放火殺人事件について、取材・報道のあり方を問う意見が多かった。また、いわゆる「ドッキリ」でタレントに心理的な負担を与えるような企画にも多くの意見が寄せられた。
ラジオに関する意見は53件、CMについては5件あった。

青少年に関する意見

12月中に青少年委員会に寄せられた意見は84件で、前月から68件減少した。
今月は「いじめ・虐待」が26件、「表現・演出」が16件、「低俗、モラルに反する」が8件、「暴力・殺人・残虐シーン」が6件、「性的表現」「編成」が4件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 大阪ビル放火殺人事件で亡くなられた方々の名前、年齢、職業、住所の一部までも放送した。被害者の多くは心療内科の患者だ。ここまで詳しく報道しないといけない理由は何なのか。

  • 女優が急死した件の報道。お骨を抱いたままご両親が涙ながらに会見されたのは娘を荼毘に付した直後だ。そこまで追いかけなければならないのか。

  • 女優が急死した件の報道で、メディア各社が悩みの相談窓口を紹介している。私はうつ病の経験があり、ほとんど全ての相談窓口に電話をかけたことがあるが、つながらないし24時間相談を受け付けているところはない。一方で自殺衝動は24時間いつ起こるか分からない。今回の件は報道すべきでなかった。報道によって気持ちが揺らぎ相談窓口に電話をかけた人は、つながらないことでさらに絶望してしまうと思う。

  • コロナ重症患者の取材企画。長期入院することになったという患者について伝えたが、ワクチンを接種していたのか?マスクは?基礎疾患の有無は?などの要因については一切説明がなく、ひたすら「大変だった」、「後遺症が重い」と恐怖感をあおるばかり。あまりにもひどい番組だ。年老いた家族がひどくおびえ、「もう家から出ない」と言い出した。

  • 民放の在東京のキー局は関東1都6県をカバーするはずなのに、新型コロナウイルスの新規感染者数はいつも東京都の分だけを報じていて、ほかの6県の分は全く扱わない。自分のように東京都以外の関東6県に住んでいる人はインターネットやNHK、独立U局でしか新規感染者数の情報を得られず、不便で不公平だと感じる。

  • イベントのアルバイトスタッフの話。アルバイト先経由で依頼を受けて「後ろから撮影」という条件でコロナ対策のニュースの取材に応じた。カメラが正面からも撮影していたが、首から下を撮影したものと思っていた。しかしその日の夕方、知人からの連絡で、代表で撮影した局とは別の局のニュースに自分の顔が出ていたことを知った。画像はSNSでも拡散。県を通じて抗議した結果、「映像は削除した」と伝えられたが、SNSはそのまま。

  • いわゆる「撮り鉄」の迷惑行為を報じるニュースで、撮影する撮り鉄たちの映像に「ここは私有地、ここからの無許可撮影は禁止されている」というナレーションがついていた。私はその場所で撮影した経験が数回あるが、地元の方から「みなさんゴミは持ち帰ってくださいね」という呼び掛けを一度聞いた程度。その場所で撮影された写真がTwitterに載せられて鉄道事業者の「いいね」がついたこともあり、何の問題もない場所と認識していた。私もマナーの悪い撮り鉄がいることを憂えているが、せっかくの批判も正しく行われなければ説得力を失ってしまう。

  • 回転寿司店でコンベア上の小皿が何かに引っかかって止まり、後続の皿が渋滞して、数皿がレーン外に落下したという出来事を全国ニュースとして伝えていた。映像はSNSにアップロードされた動画。こんなこと、一々ニュースで取り上げるようなことなのか。マスメディアの職場放棄でしかない。

【番組全般・その他】

  • 東京五輪の公式記録映画の制作過程を追ったドキュメンタリー番組で、男性の映像とともにテロップで「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」と伝えた。テレビ局が団体名、金額、経緯など重要な情報をほとんど何も提示せずに、特定の主張を放送することが許されるならば、デマを生みかねない。

  • メインパーソナリティーが番組内で「70年以上にわたってこの国に浸透してきた、いわゆる『アカ』、共産党系の思想やら行動やらをずっと支援しているグループがこの国には何万人といる。それが皆、活動している。そいつらに巻き込まれて日本がまた悲惨な運命をたどらないように僕は祈っている。皆さんもそれは忘れないでください」と発言。"アカ"というレッテルを貼り、その人たちの人権をないがしろにしていた時代を思い起こさせるようで恐ろしい気がした。

  • 情報番組で皇族の結婚を取り上げた際、結婚相手の「身体検査」についてスタジオでトークしていた。「昔は一般の人たちの結婚でも近所への聞き合わせがあった」という話題も出て、視聴者に「皇室に限らず自分の子どもが結婚する時には『身体検査』が必要」と思わせかねないという印象を受けた。身元調査を肯定するような内容が放送されとても不愉快。差別を助長するようなことはやめてほしい。

  • 情報番組で衆院選での自民党の「裏金」問題を扱った際、コメンテーターとして出演していたお笑い芸人が「対立候補はいくら(裏金を)払ったのか知りたい」と言っていた。許される発言ではない。

  • 視聴者が投票によって出演タレントの行動を決める企画。投票の選択肢は、目上の共演者にふざけた態度で接するなど相手をさらに怒らせるものばかり。出演タレントも見ているわれわれ視聴者も、みんなが嫌な気持ちになる企画だった。

  • バラエティー番組で極端な過食をしても太らない人たちと、その体の特性などを紹介した。今、摂食障害に苦しんでいる人の行動に悪影響を及ぼしたり、健康な人が摂食障害を患うきっかけになったりする可能性がある。自分が摂食障害だった当時の辛い思い出がよみがえる内容だった。このような特集は誰にも良い影響を与えないと思う。

  • 数人の高齢者による早押しクイズ。老人の認知能力の低下、いわゆる「ボケ」を笑いの対象にしており不快。

  • 芸人が自分の実家の墓所に仲間を招き、「クリスマスパーティ」と称してプレゼント交換をしたり、全員で太鼓を叩きながら踊ったりする様子を放送していた。われわれの先祖も眠る墓地でよくもまあやってくれたと憤りを感じる。たしかに沖縄には親戚が墓所に集まって飲食する習慣があるが、それを面白おかしく笑いに変えて放送するのは不謹慎で迷惑行為だと思った。

  • 動物番組の内容が「かわいい」だけでは安易なペット購入を招き飼育放棄などにつながる。動物番組内で「飼うならきちんと面倒を見られるかよく考えてから」などと表示するというルールを作ってもいいと思う。テレビ局は社会的責任を負っている。外来種問題など、負の側面についても報道すべき。

  • 「秩父で寿司探し旅」とうたっておきながら、実際に訪れていた場所は秩父地方とは全く無縁だった。このようなやり方はよくないと思う。

  • 母親と高校生の息子の連続ドラマを毎回泣き笑いしながら見た。こんな風に子どもと向きあって子育てができていれば、もっと子どもたちを豊かにできただろうという反省や後悔もあった。家族でこのようなドラマを見る時間こそが今の時代に必要なのだと思う。若者たちが直面する課題も毎回織り込まれていた。SNSで若い方の評価も高く、「感動して号泣した」などの意見も多い。良いドラマは世代を超えて愛されるのだと安心した。愛と笑いに満ちたドラマを今後も期待する。

青少年に関する意見

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • たまたま娘がテレビを点けた時に見たのだが、アイドルが怒られるドッキリの対応を生放送中にスマホ投票で決められる企画で、まだ若い男の子たちにパワハラかモラハラか、というドッキリの内容、見ていてとても心が痛み、辛くなった。他のメンバーの顔が青ざめて行く様子は可哀想で、現在ハラスメントや倫理が重視される令和の時代にこのような企画を生放送で通してしまう番組制作者の方々に疑問を抱いた。モノの消費のように、アイドルの子たちを扱ってはいけないと思う。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 無人島でお金をかけずに自給自足の生活をするという企画といっていながら、大量の物資を持ち込んでいるのは大嘘もいいところではないか。子どもにも嘘をついてもいいと誤解を与えるのでやめてもらいたい。

【「低俗、モラルに反する」】

  • 女優が亡くなった時の両親の記者会見のニュースについて。骨壷を持ち、涙を流しながらも頭を下げる両親にフラッシュがたかれる映像は非常にショッキングであり、夕方のニュースという子どもも映像を目にする機会のある時間帯の番組で、配慮のない放送の仕方だったのではないか。心身ともに疲弊している両親への無遠慮な質問、非常に不快であった。

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • 19時台に、ナレーションで「これからショッキングな映像が流れます」と一言。すぐに女性の顔のドアップ。その女性はすでに顔に赤い血液や亀裂が入っており、その後すぐに目から下の皮膚が剥がれ落ちて中の筋組織が見えるといった映像が流れた。フェイクだとしても子ども達も見るような時間帯に流す映像ではなかった。21時より前は全年齢が見られるような映像にすべきではないか。

【「性的表現」に関する意見】

  • 頑張る子ども達に密着し、その姿を紹介してくれる素晴らしい番組なのだが、小学生が入浴しているところに入り、インタビューする映像が流れた。はたして、プライベートな空間にまで密着する必要があったのか。児童を狙った犯罪が多く発生している昨今、配慮が足りない。

【「編成」に関する意見】

  • 深夜に放送している低俗・下品な番組を日曜日の真っ昼間に関西で再放送している。内容と共に放送時間帯を考慮するべきだと思う。

第241回 放送と青少年に関する委員会

第241回-2021年12月

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議…など

2021年12月20日、第241回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、6人の委員が出席しました。
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について引き続き審議しました。
前回までの当委員会での勉強会や放送局との意見交換会を踏まえて検討を続け、次回以降は原案を起草して議論することにしました。
11月後半から12月前半に寄せられた視聴者意見には、お笑い芸人を落し穴に落としたまま長時間放置するドッキリ企画に対して、「真似をして子どもが倉庫などに鍵をかけたまま同級生を閉じ込めて帰ってしまうイジメなどに発展しないか心配」「芸人が合意していたと局側は言うだろうが、力の弱い芸人はそれに対して反論はできない」などが、また、愛犬の目の前に用意されたご馳走を我慢させるバラエティー番組に対して、「犬を猛烈に睨みつけ、強制的に餌を食べさせないように仕向けている」「怒号により制御させるのは虐待だ」などが寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
また、前回の委員会で、ある県のマスコットキャラクターが主人公のアニメ番組で、その幼い主人公が叔父と一緒に競輪場に行き、競輪の賭け方について詳細に説明される内容に対し、放送局の制作体制や考査について問い合わせることとした事案は、当該放送局からの報告を踏まえて議論しました。
12月の中高生モニターリポートのテーマは「最近見たニュース・報道・情報番組について」でした。33人から報告がありました。モニターからは、(月)~(金)ベルトの朝の情報番組について、「少し憂鬱な朝に楽しくなるような情報を提供してくれるのはありがたいです。また、暗い報道をするコーナーもありますが、その報道に対して議論をすることがないので淡々と進み、すぐ明るいコーナーに戻ります。どんよりした気分を引きずることがないので、朝の時間にぴったりだと思っています」などの意見が寄せられました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
最後に今後の予定について話し合いました。
次回は、1月25日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年12月20日(月)午後4時30分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室
議題
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について
視聴者からの意見について
中高生モニターについて
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、沢井佳子委員、
髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について引き続き審議しました。
前回までの当委員会での勉強会や放送局との意見交換会を踏まえて検討を続け、次回以降は原案を起草して議論することにしました。

視聴者からの意見について

11月後半から12月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
「お宝さがし」というニセ企画で呼んだお笑い芸人を落とし穴に落としたまま長時間放置するドッキリ企画について、「真似をして子どもが倉庫などに鍵をかけたまま同級生を閉じ込めて帰ってしまうイジメなどに発展しないか心配」「芸人が合意していたと局側は言うだろうが、力の弱い芸人はそれに対して反論はできない」などの視聴者意見が寄せられました。
委員からは、「あきらめずに繰り返し挑戦して脱出に成功するシーンも含まれており、共感や感動を感じられるような場面も見受けられる」という意見があった一方で、「出演者が納得ずくでやっていることは小学校の高学年ぐらいだと理解できるかもしれないが、幼児には困難では」「瞬間の痛みを笑うのではなくて、何度も何度も脱出に失敗する様をみんなで楽しんで見ているようなシーンは、子どもの発達において悪い影響を与える可能性があるのではないかという気がする」「単純に真似るのではなく、逆にゲーム性を分かった上で、相手はこう言えば傷つくと理解して使うこともあり得ると思われ、心配だ」などの意見が出されました。審議中の「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」中の一例として検討することとし、この番組単体で討論・審議などに進むことにはしないことにしました。
飼い犬の目の前に肉を用意し、飼い主の子どもが3分間「待て」を強要する躾もの企画や、飼い主の子どもと犬がペアになり横に様々な肉料理が並べてある直線コースに食欲を我慢してゴールする企画について、「犬を猛烈に睨みつけ、強制的に餌を食べさせないように仕向けている」「怒号により制御させるのは虐待だ」などの視聴者意見が寄せられました。
委員からは、「餌を食べてしまう犬を強制的に止めているようなことはなく、動物虐待とまではいえないように思う」「こうした視聴者意見が寄せられることも放送局は受け止めて欲しい」という意見が出され、議論は終了しました。
前回の委員会で、ある県のマスコットキャラクターが主人公のアニメ番組で、その幼い主人公が叔父と一緒に競輪場に行き、競輪の賭け方について詳細に説明される内容に対し、放送局の制作体制・考査について問い合わせることとした事案は、当該放送局からの報告を踏まえて議論され、これ以上検討する必要がないということになりました。

中高生モニターについて

35人の中高生モニターにお願いした12月のテーマは、「最近見たニュース・報道・情報番組について」でした。いつものように「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」についての欄も設けました。33人から報告がありました。
「最近見たニュース・報道・情報番組について」では、全部で21番組について報告がありましたが、中でも複数寄せられたのは6番組でした。『THE TIME,』(TBSテレビ)に6人から、『めざましテレビ』(フジテレビ)に3人から、『ZIP!』『news zero』『シューイチ』 (いずれも日本テレビ)、『WBS』(テレビ東京)の4番組にそれぞれ2人から感想が寄せられました。
「自由記述」では、今月のテーマに関連した記述が多く見られ、「朝の忙しい時間帯にいかにしてニュースをわかりやすく伝えるかという工夫、制作者の努力を知った」「グルメや施設紹介などロケコーナーが増えてきているように感じている。嬉しい」など、前向きな感想が寄せられています。また、ドラマへの意見や感想、要望も多数ありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『理想本箱~君たちのガイドブック~』(NHK Eテレ)と『サンドウィッチマンと芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日)をそれぞれ8人が、『女芸人No.1決定戦 THE W 2021』(日本テレビ)を2人が取り上げています。また、先月の「青少年へのおすすめ番組」の中から、『奇跡のレッスン「小説 重松清 きみの近くに物語はある」』(NHK-BS1)について感想を寄せたモニターが3人いました。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道・情報番組について】

    • 『THE TIME,』(TBSテレビ)ネット局と中継する朝の番組というのは久しぶりに見た気がする。「中継でさまざまな地方とつなぐことで、知らない場所について知ったり、地方局のアナウンサーに出会えたり、いろいろな新しい発見ができる」という内容を記述したモニターがいて、地方の人は、地方からの発信でその地方が注目されることをうれしく感じるのだろうと思った。

    • 『THE TIME,』(TBSテレビ)今どき全国を中継でつなぐという番組はあまりないため、この番組はちょっと斬新なのかもしれない。そういうところが今の子どもたちにウケている、評価されているというところが面白い。

    • ニュースにおいては事実がはっきりわからないまま報道されることも多い。勝手な解釈をせず、さまざまな情報を分析しながら読み取っていくことが必要だが、そういうメディア・リテラシーに関することについて記述したモニターがいて興味深かった。

  • 【自由記述について】

    • 報道について、「テレビはインターネットとは違う独自性を考えなければいけないのではないか」という問題意識を書いたモニターがいた。テレビとインターネットは同じような内容が多いと感じ、テレビの報道はインターネットの誹謗中傷や週刊誌と変わらない部分があると疑問を呈している。デジタルネイティブといわれる世代が、インターネットとテレビをどのように区別して視聴しているのか、とても興味深い。もっと深掘りして聞いてみたいと思った。

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 『理想本箱~君たちのガイドブック~』(NHK Eテレ)何人ものモニターがこの番組を挙げていた。「死にたいと思ったときに読む本」など、テーマごとにいろいろな本を紹介する番組だというが、「説教くさくない」「考えさせる」「本の続きを読んでみたいと思う」などの感想が寄せられており、面白い番組と受け入れられていた。

    • 『奇跡のレッスン「小説 重松清 きみの近くに物語はある」』(NHK-BS1)モニターの感想を読んで、「当たり前のことなどない」「今を懸命に生きることが大事」など、コロナ禍の中で死生観や人生観のようなことを考えている子どもたちが多いのだなと感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道・情報番組について】

    • 『THE TIME,』(TBSテレビ)「LIVE NEWS」として画面の左下に常時ニュースがあり、途中から番組を見始めた人にもしっかりと今知りたいニュースを報道していて良いと思いました。(中学1年・男子・岩手)

    • 『THE TIME,』(TBSテレビ)この番組はコメンテーターがいなくてニュースの内容がすっと頭に入ってきた。コメンテーターがいないからこそ一つのニュースにかける時間が短くなり、多くのニュースを取り上げることができるが、一方で、専門的な詳しい内容までは報道できないという面もある。しかし私は、コメンテーターがいなくて多くの情報を得られるほうがいい。ほとんどの番組でコメンテーターがいる中で、いない番組もあるという今の状況が、多くの人のニーズに合っていいと思う。(中学2年・男子・神奈川)

    • 『THE TIME,』(TBSテレビ)この番組の最大の見どころは全国からの中継だと思っています。朝から日本のいろいろなところを見て知ることができ、今はなかなかいろんなところに行けませんが行った気になったり、ここに行きたいという目標も見つけられたりします。(中学3年・女子・奈良)

    • 『THE TIME,』(TBSテレビ)この番組で私が好きなコーナーは「列島リアルタイム中継」です。地域の食べ物や観光スポットなどが紹介されているので、話題性もあるし、ちょっとした旅行気分にもなれるので、見ていてとても楽しく感じます。(高校2年・女子・奈良)

    • 『めざましテレビ』(フジテレビ)「今朝知りたい芸能情報」をたくさん知ることができる番組だと感じます。なんとなく寂しさを感じる朝には、このくらいあっさりとしていて、なおかつキャストさんの笑顔や楽しさを感じられるこの番組がぴったりだと思います。朝から楽しくテレビを見てご飯を食べて学校に行く日は、やはり1日が楽しかったりします。心のケアにもつながる番組ですね!(中学2年・女子・埼玉)

    • 『めざましテレビ』(フジテレビ)めざましドラマ「めぐる。」はすごく心が温まるドラマで、朝ほっこりとした気持ちになれる。2週間といわず、ずっと続けてほしいと思う。(中学3年・女子・京都)

    • 『シューイチ』(日本テレビ)オミクロン株への備え方が取り上げられていました。1人の専門家ではなく、2人の異なる医療の専門家、日本ワクチン学会の理事、アメリカ国立感染研究所の先生の意見が紹介されていました。1人の専門家に話を聞き、結論を提示している番組を見ることもあった中で、このように複数に話を聞いて、ひとつの結論を導いていたのが、説得力があると思いました。週替わりで出てくるコメンテーターは、弁護士、医師、経済ジャーナリスト、教育評論家、元スポーツ選手、タレントなど、さまざまな職種の方がいるので、自分ではわからない立場の意見を知ることもできます。(中学1年・女子・東京)

    • 『ZIP!』(日本テレビ) 少し憂鬱な朝に楽しくなるような情報を提供してくれるのはありがたいです。また、暗い報道をするコーナーもありますが、その報道に対して議論をすることがないので淡々と進み、すぐ明るいコーナーに戻ります。どんよりした気分を引きずることがないので、朝の時間にぴったりだと思っています。(高校2年・女子・神奈川)

    • 『news zero』(日本テレビ) すごいスピードでニュースが流れるので流し見ができない番組だと思った。1日の最後、ニュースのおさらいにはいいかもしれない。スタジオのコメントがほぼなかったので出演者がもったいないと思った。(高校2年・男子・愛知)

    • 『news zero』(日本テレビ) 真珠湾攻撃からちょうど80年という節目の日に近かったので特集がありました。元日本軍兵士の方が、教科書では学ぶことのできない開戦までの経緯や魚雷を発射したときの心情を初めてテレビで明かしてくださり、涙が止まりませんでした。また、取材に行った櫻井翔キャスターの踏み込んだ質問により、当時の状況を深く知ることができたと感じました。(高校3年・女子・福岡)

    • 『WBS』(テレビ東京)視聴するのは今回が初めてだった。視聴者層が時間に追われている社会人であるからか、一つ一つのニュースの要点だけがよく伝わる構成になっており、非常にテンポよく番組が進んでいった。番組開始後、いの一番に消費者物価指数を見せられたときは多少面食らったが、それほど難しいグラフや指数は用いておらず、またニュースの補足としてデータを活用するので、一つ一つのニュースに割く時間が短いにもかかわらず、得られる情報量は他番組のそれより多かった。ニュース自体も経済という観点に特化しているため、普通のニュース番組では見られないような内容のものが見られ、僕自身が政治・経済に興味があるのもあってか、とても楽しめた。(高校1年・男子・東京)

    • 『ニュースウオッチ9』(NHK総合)字幕がとても多く、若い人から高齢者まで理解しやすくなっていた。シンプルなデザインのテロップも見やすかった。(中学2年・男子・長崎)

    • 『Nスタ』(TBSテレビ)イラストやマーク、文字、テロップがシンプルで、気が散ることなくニュースに集中できるのでとても良いなと思いました。(中学3年・女子・富山)

    • 『サンデーモーニング』(TBSテレビ)「風をよむ」というコーナーでは、あまり目にしないような社会的弱者に寄り添った特集や日本で浮き彫りにならない世界の問題などが、かなりの割合で取り上げられている。現代に生きる私たちが知っておかなくてはならない内容ばかりで、若者もこういった特集を見るべきだと思った。最近の情報番組では、ネットや若者の人気に寄り添った内容があまりにも増えているように思う。もちろんそれもあっていいと思うが、ネットで自ら調べないような、テレビだからこそ知ることのできる社会問題や世界の実情を発信していくことも大切なのではないだろうか。(高校1年・女子・京都)

    • 『ニュース 地球まるわかり』(NHK総合)海外に行くこともできず、国内の経済に気を向けがちなので、インドのスラム街の子どもたちなど、海外の様子を見ることができ、少しパンデミックで閉鎖的だった自分の思考を開くことができました。このような国際情勢をわかりやすく取り上げる番組に加え、幅広い年代の視聴者が見る定時のニュースでも、今以上の一定の割合で国際ニュースを取り上げてほしいと思います。(高校3年・女子・静岡)

  • 【自由記述】

    • 朝の忙しい時間にテレビでニュースを伝えるのは難しいと思う。視聴者はいろんな事をしながらなので、テレビをずっと見ていられないからだ。だけど、いろんなテレビ局がいろんな人に情報を伝えるためにいろんなことをしているんだなと思った。テレビ局の努力が伝わってきた。現代はインターネット上のメディアでもニュースを見ることはできて便利だけど、これからもテレビ局には頑張ってほしいと思う。(高校1年・男子・群馬)

    • 最近、芸能人や話題の人のプライベートにまで踏み込んだような、ネットに寄せた内容が多いな、と感じる。ついつい見てしまうのだが、時折、コメンテーターが想像の域で本当のことのように話し、執拗な取材で傷ついているという報道を知ると「やっている事はインターネットの誹謗中傷や週刊誌と変わらないのでは?」とさえ思ってしまった。裏付けの取れた情報ならともかく、それを大きく事実のように報じることは、テレビはある程度で留めておくほうが良いのではないかと思う。(高校1年・女子・京都)

    • 最近、テレビの企画とYouTubeで見る企画が似ていると思うことがあった。私はこのことに関してネガティブな印象は抱いていない。YouTubeと似た企画をテレビでもやることで多くの人の関心を集めることができる上に、テレビの規模でYouTubeの企画をやればより面白いものが作れると思うからだ。また、最近この逆のパターンもよく目にする。テレビとYouTubeという利用者が多くて同じような需要のあるもの同士、企画が似ることは双方にとって良いことだと思う。(高校1年・女子・埼玉)

    • 番組によっては、加害者の親族のコメントや被害者の名前や写真を出しているので、その家族がとても気の毒で心配だ。(高校2年・女子・埼玉)

    • 最近地震が多いのは不安だけれど、落ち着いて話すアナウンサーやその周りのディレクター、カメラマンの作る報道で少し安心することができる。また情報番組でどのように備えることができるのかなどを知って、自分で備えていけば安心できるので、テレビの報道で安心を得られているのだなと痛感する。また一方で、『NHKスペシャル「パラレル東京」』など地震についての番組でその脅威について学ぶことができるので、テレビは災害のさまざまな面を伝えているなと感じる。(高校2年・女子・東京)

    • 今までたくさんのドラマを視聴してきましたが、その中でも恋愛ドラマについて思ったことがあります。それは、どの恋愛ドラマも女性目線のものが多いということです。視聴者は女性が多いことはわかりますが、男性目線の恋愛ドラマも新鮮で面白いのではないかと思います。(中学3年・女子・富山)

    • NHKの朝ドラ『カムカムエブリバディ』は、受験生である自分にとって英語の勉強になるかなと気楽に見始めたのですが、日本の戦前戦後の過渡期の時代、どれだけ多くの国民が犠牲になり人生を変えられたのかと思いを馳せ、自分はなんて平和な時代に生きているのだと感謝の気持ちが溢れてきます。これから三代に渡って物語が展開するとのことで、ますます目が離せません。(高校3年・男子・長崎)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『理想本箱~君たちのガイドブック~』(NHK Eテレ)私たち10代が感じている悩みや不安などに答える一冊を見つけてくれるものでした。今回のテーマが「もう死にたいと思ったときに読む本」と聞いてドキッとしました。私たち10代は死にたいと思ってしまうことがある人が多い年代であり、問題にもなっています。そんな私たちの救いになると思いました。(高校2年・女子・静岡)

    • 『理想本箱~君たちのガイドブック~』(NHK Eテレ)青少年の悩みに破天荒に答える本、スクールカーストの中でもがく主人公を通して自分自身の価値を考えさせる物語本、悲しみそのものについてのエッセイなど多様なジャンル、しかもあえて自殺をメインに取り扱ったわけでない本を選んだのは驚きだった。どの本も説教くさくなく、番組内での劇や、朗読のおかげで本の雰囲気がつかめるので、本をあまり読まない昨今の青少年でも本にとっつきやすい形になっていた。(高校1年・東京・男子)

    • 『理想本箱~君たちのガイドブック~』(NHK Eテレ)紹介方法が最も印象的だった。「映像の帯」と呼ばれる部分である。帯というと、大抵この世で本にしかついていないものだが、「映像の帯」は映像という形式をフル活用して、ある本ではドラマのように、またある本では舞台のように作中の世界が描かれていた。本という単体だとテレビには向かないメディアと、テレビの本業である映像とがうまく掛け合わせて作られていて、これは「テレビ番組にしかできないこと」なのではないかと感じた。(高校3年・女子・東京)

    • 『サンドウィッチマンと芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日)私たち世代のさまざまな博士が出てくる番組です。みんな個性的な趣味を持っていて面白いです。同じ世代なので刺激を受けるし、勉強にもなります。(中学3年・女子・奈良)

    • 『サンドウィッチマンと芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日)今回のテーマは昭和の家電。まだ生まれていないのにも関わらず、詳しすぎる人たちにたくさんのことを教えてもらった。“子どもが大人に教える”前代未聞の番組で、斬新で、毎回見たいと思わせてくれる魅力があると思う。(高校1年・女子・京都)

    • 『サンドウィッチマンと芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日)家電を通して、いかにすごいスピードで家電(おそらく日本全体も)が成長したかがわかりました。中には失敗といえるものもありましたが、昔の人の発想力の素晴らしさを感じました。(高校1年・女子・東京)

    • 『女芸人No.1決定戦 THE W 2021』(日本テレビ)ほとんど知っている芸人だが、年1回の勝負ネタがここで見られるのがうれしい。煽りVの曲もセンスがいいので見どころである。せっかく豪華な審査員がいるのでもっとネタについてのコメントを見たいと思った。(高校2年・男子・愛知)

    • 『奇跡のレッスン「小説 重松清 きみの近くに物語はある」』(NHK-BS1)当たり前だと思っていたことが実は当たり前ではないということが心に響いた。コロナウイルスが流行し始めてからよく言われていることだが、今この瞬間が当たり前ではないということを言われ、改めて自分が死ぬまでの一瞬一瞬悔いなく生きることは難しいが、気持ちだけでも楽しむ気持ちを持って生きていきたいと思った。(中学2年・男子・神奈川)


以上

2021年12月28日

2021年 12月28日

年末年始のBPO業務について

BPOでは、2021年度年末年始の業務対応を次のとおりといたしますので、お知らせいたします。

  • 通常業務は、年内は12月28日(火)まで、新年は1月4日(火)からといたします。
  • 12月29日(水)~1月3日(月)は、視聴者応対電話、放送人権委員会の相談電話を含め、
    業務を休止します。
  • 業務休止期間中、郵便物の受領と、メール、ファクスの受信は行いますが、対応は原則として
    業務再開後となります。

第299回放送と人権等権利に関する委員会

第299回 – 2021年12月

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」委員会決定を通知・公表へ…など

議事の詳細

日時
2021年12月21日(火)午後4時~午後6時
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、
斉藤委員、野村委員、丹羽委員、廣田委員、水野委員

1. 「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理

NHK宮崎放送局は、2020年11月20日午後6時10分からの『イブニング宮崎』(宮崎県内で放送)の中で、同年3月26日に宮崎市内で男性2人が死亡した住宅火災の続報を放送した。そこでは、この火災は放火殺人事件の疑いが濃くなり、容疑者がガソリンをまいて火をつけ被害者(申立人の兄)を殺害し自分も死亡した可能性があり、その原因として「何らかの金銭的なトラブル」が死亡した2人の間にあったかのように伝えられた。
この放送に対して申立人(被害者の弟)が、「2人の間に何らかの金銭的なトラブルがあった」と報じられたことで、「兄にも原因の一端があったのではないか」との印象を抱かせるものであり、事件被害者である兄の尊厳を傷つけたとして、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「事件当事者の2人が亡くなっている中でも、当時の取材で知り得た情報を基に『被害者』と『加害者』を明確に分ける形で客観的な事実を伝えており、申立人の主張する指摘は当たらない」と反論した。
委員会では、これまでの審理をもとにまとめた決定文の最終案が起草委員から示され議論し、委員会決定として了承した。その結果、1月中に通知・公表を行うことになった。

2.  その他

事務局から現時点での申立て状況などを報告した。

以上

第166回 放送倫理検証委員会

第166回–2021年12月

テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』の審議

第166回放送倫理検証委員会は12月10日に千代田放送会館で開催された。
番組スタッフが作成した質問を視聴者からの質問として放送したテレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について、11月の委員会で審議入りが決まったことを受け、今回の委員会では、担当委員から当該放送局の関係者に対して実施したヒアリングの概要が報告された。

議事の詳細

日時
2021年12月10日(金)午後5時~午後7時
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. テレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について審議

テレビ朝日は情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』の2021年3月から10月にかけて放送した視聴者からの質問に答えるコーナーにおいて、番組側が作成した質問を視聴者からの質問であるかのように放送したケースが含まれていたとして、10月21日、番組と番組のウェブサイトで公表し謝罪した。同コーナーでは、番組の前半で当日のテーマを視聴者に伝え、放送中に番組ウェブサイトなどで受け付けた質問を番組終盤で紹介し、出演した専門家らが答えていた。また視聴者から受け付けた実際の質問を使用する場合も、文章に手を入れ表現を修正したケースでは、クレームを避けるためとして属性を書き換え架空の属性で放送していたという。
11月の委員会で、視聴者の質問や意見を番組が作ることは世論誘導にもつながりかねず、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会では、11月末から12月にかけて当該放送局の関係者に対して実施したヒアリングの概要が担当委員から報告され、それを踏まえて議論が行われた。委員からは、制作体制の中のポジションによる意見表明の難しさ、企画・制作の段階における局の関与の程度、好調な視聴率を背景とした制作フロー点検の欠落の可能性、視聴者とのキャッチボールという枠組みの変更可能性、コロナ禍でのコミュニケーションの困難さなどを指摘する意見が出された。
次回の委員会では、意見書の原案が提出される見通しである。

2. 11月に寄せられた視聴者意見を議論

11月の30日間にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、多数の意見があった「バラエティー番組の企画」等について事務局から概要が報告され議論したが、さらに踏み込んだ検証が必要であるとの意見はなかった。

以上

2021年11月に視聴者から寄せられた意見

2021年11月に視聴者から寄せられた意見

バラエティー番組で芸人を巨大な落とし穴に置き去りにして「観察」する企画への批判や、電車内での事件が続いたことと報道との関係を懸念する意見などが多かった。

2021年11月にBPOに寄せられた意見は2,354件で、先月と比較して628件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール85%、電話14%、郵便・FAX1%。
男女別は男性47%、女性26%で、世代別では40歳代27%、30歳代25%、50歳代20%、20歳以上14%、60歳代9%、10歳代1%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送事業者を特定したものは、当該事業者のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。11月の通知数は1,459件【53事業者】であった。
このほか、放送事業者を特定しない放送全般への意見の中から21件を抜粋し、全会員事業者に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

自力ではほぼ脱出できない深い穴に芸人を落として6時間以上放置し、その芸人の反応を観察するバラエティー番組の企画に対して非常に多くの批判が寄せられた。また、京王線の車両内で乗客をナイフで刺した男が「過去の事件を参考にした」と供述したことを受けて、「報道のあり方を考えるべき」といった意見も目立った。
ラジオに関する意見は44件、CMについては9件あった。

青少年に関する意見

11月中に青少年委員会に寄せられた意見は152件で、前月から63件増加した。
今月は「いじめ・虐待」が74件、「表現・演出」が18件、「暴力・殺人・残虐シーン」が9件、「報道・情報」が9件、「人権」が9件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 電車内で乗客をナイフで刺し、放火した容疑者が「8月の事件を参考に、サラダ油ではなくライターオイルを使用した」と供述しているそうだ。こういう情報を伝えることが、さらに次の犯罪に加担するようで恐ろしい。国民の知る権利は大事だが犯罪の参考になるような微細な部分まで報道する必要があるのだろうか。

  • 各局の衆院選開票特番で20時に発表した議席予測と最終結果が著しく違った。番組では「自民は大幅議席減、立憲は健闘」という誤った予測に基づいて、党首インタビューやさまざまな解説がなされ、結果として誤った事実を視聴者に伝えた。各局はこの誤りを検証し、結果を放送で示すべきだ。

  • 衆院選公示直前の討論番組で、日本維新の会の幹部が「すでに幼稚園、中学、私立高校も大阪では完全に無償…」と発言したが、大阪府のウェブサイトによると「所得制限がある」とのことなので、訂正を希望する。この発言は、さまざまな番組の内容を抄録・公開するウェブサイトにも「(日本維新の会の改革が)私立高校無償化などに繋がってきた」と掲載されている。

  • 大阪狭山市で高齢者が運転する車が暴走した死傷事故について、情報番組が「運転者がナンバープレートを隠して走行していた」と憶測で報じ、ネットニュースやSNSでさも事実であるかのように拡散された。他の報道機関が築いてきた信頼を失墜させる行為だ。

  • 未成年者が集団で男性に暴行を加え現金25万円を奪った事件を、見出しテロップ、ナレーションなどで繰り返し「おやじ狩り」と表現していた。「おやじ狩り」というから敷居が下がり犯罪を誘発する。強盗傷害事件なのだから軽く表現すべきでない。

  • コロナで入国できず中断していた技能実習生の受け入れが再開されるというニュースの内容が「いちご農家の人手不足が解消できる」というものだった。実態として技能実習生を労働力として当てにしている現状をテレビが無神経に肯定している。

  • ニュースやワイドショーでカタカナ語を使いすぎ。クラスター、ブレイクスルー、オーバーシュート、ロックダウン、ソーシャルディスタンス、バブル方式、カクテル療法などなど。日本語で説明してほしい。

  • 俳優の不祥事後の復帰舞台について情報番組が「満席にならない」、「入り待ちが少ない」、「人気に陰り」などと報じていた。私は実際に見に行ったが「関係者」の張り紙のある席以外は満席。「入り待ちが少ない」のは主催者側がコロナ対策のために公式サイトなどで自粛を求めたから。取材すれば分かること。

  • いわゆる「ゴミ屋敷」の住人を責めるような特集だったが、精神障害の可能性があり、その場合はむしろ医師や行政が治療を呼びかけるべきだと思う。発達障害で片付けが苦手だったり、物へのこだわりが強かったりという人もいる。そういう面からの番組作りを期待している。

【番組全般・その他】

  • サッカーW杯アジア最終予選のアウェー戦が有料の動画配信サイトでしか視聴できないとのこと。ありえない。

  • プロ野球中日の立浪新監督が選手に対して長髪、茶髪、ひげ禁止令。少年野球チームの指導者にまねする者が間違いなく出てくるだろうが、子ども達の人権を踏みにじることに直結する危険な思想だ。それを批判せず持ち上げているメディアの姿勢に絶望している。

  • 自力ではほぼ脱出できない深さ3メートル超の穴に芸人を落とし、食料、トイレのない状況に6時間以上置いてその様子を隠しカメラで観察する企画。著しく人の尊厳を踏みにじっていると感じた。

  • 芸人を落とし穴に監禁して6時間後、ネタをばらすスタッフが芸人に「トイレは今すぐ行きたいですか?」。スタジオの出演者が、芸人の困惑ぶりを笑うような構成で倫理的に問題があるように思った。

  • 「宇宙ステーションで体が浮くのはなぜ?」という問題で、「重力と遠心力が釣り合っているから」という解答を不正解としていた。物理的にはこれで説明でき、不正解ではないはず。

  • 情報番組で「SNSで話題の激カワ動物たち」としてエキゾチックアニマルをペットとして飼っている人たちを紹介。一般の人の飼育には適さない種が多く、絶滅の危機に瀕している種もあった。ペットとして高額で取引されることが乱獲、密輸を助長する面もあることを認識すべきだ。「かわいい」だけでなく、その種が置かれている状況、ペット化による悪影響こそしっかりと放送してほしい。

  • バラエティー番組で「北海道民は焼肉のタレを飲む」。札幌に住む私の親類は「見たこともない」。こうした情報で人権が侵害されることはないだろう。しかし、誰も困らないから嘘でもいいという番組があると地域文化が誤解されたり、ひいては歴史の歪曲につながったりはしないか。

  • 「スペシャル番組」と称して過去の放送分を編集してつなげたものばかり。せめて「再放送」などと表示すべきではないか。見ている方はだまされた感じがする。

  • 番組名が大手食品メーカーの文化施設名、このメーカーの1社提供、本編ではこのメーカーをほめてばかり、視聴者プレゼントもこのメーカーの商品。番組全体が広告になっていないか。

  • 「昔のテレビは面白かった。うるさい視聴者のせいでつまらなくなった」という意見があるが、お笑いとしても興味深さでも今のテレビの方が断然面白くなっていると思う。昔の方が過激だったかもしれないが「過激=面白い」ではない。アイデア出しの方法論では制限があった方がむしろ面白いものが作れると言われている。視聴者の要望・意見によって、むしろテレビは面白いものに成長してきたのだと思う。モラル面での一層の配慮を願う。その方が面白い番組になる。

  • 「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について。度が過ぎているものを規制するのはよいと思うが、テレビ局が過剰反応してこれまで放送されていたような普通のバラエティーまで見られなくなるのではないかと心配。バラエティーの面白さをなくすような規制はやめてほしい。

青少年に関する意見

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • 落とし穴ドッキリに見せかけて、落とし穴に落とし、ほぼ水や食料も無い状況で6~7時間放置して様子を見るという企画は、ひどすぎて全く笑えないし、これを考えた番組スタッフ、テレビ局、笑いながら見ていた出演者やゲストは、あり得ないと思った。これは監禁だし、これを見て同じようなイジメが起こる可能性もあると思う。芸人の仕事だからと言う人もいるだろうが、今の時代のお笑いではない。

  • 犬は大好物のお肉を前に3分間「待て」が出来るのか?という企画だが、犬は好物や餌を前に待たされるとストレスがたまるそうだ。飼い主の子は犬を猛烈に睨みつけたり、舌打ちをしたりして、強制的に餌を食べさせないように仕向けていた。ミッション失敗の時に、飼い主に怒られたり、殴るふりをされたり、動物虐待のような番組で見ていて不快だった。

【「表現・演出」】

  • ニュース等で注射の映像を流すのを控えて頂けないか。のんびりテレビを見ている時に突然注射針を腕に突き刺す映像が流れ、とても不快。目を背ける時間もない。先端恐怖症には痛みを伴い、また子ども達の不安と恐怖を煽る。

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • 京王線の事件で、乗客の撮影した映像がテレビで放送されているが、あれを見て子どもが学校に電車に乗って行きたくないと言う。ツイッターで見るのならいざ知らず、テレビであのような恐ろしい映像を流すのは疑問。今回の事件は小田急線の事件の模倣犯だと聞いたが、何でもかんでも映像を流すことが報道の自由なのか。

【「報道・情報」に関する意見】

  • JR福島駅前殺傷事件が起きた。現場に居合わせたという女子高生に「当時の状況は?」、「どんな風に思ったか?」等、しつこくインタビューする映像が各局で流された。泣いている女子高生にさらにマイクを向けて、色々と聞くという事は配慮に欠けるのではないか?

【「人権」に関する意見】

  • 愛知県中学生刺殺事件で、まだ14歳の被害者の写真を公開して放送したことにマスコミの配慮欠如を感じた。この事件のようなイジメが関係している場合、SNS上の不特定多数の人からバッシングを受ける可能性があることを考えていない。死者や残された家族に対する配慮が足りない。

第240回 放送と青少年に関する委員会

第240回-2021年11月

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について番組担当者と意見交換…など

2021年11月24日、第240回青少年委員会を千代田放送会館2階大ホールで開催し、7人の委員全員が出席しました。
現在審議中の「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について、NHK・在京民放各局を招いて勉強会・意見交換会を開催しました。当日は榊原委員長によるレクチャー(テーマ:「共感性の発達とミラーニューロン・嘲笑は"笑い"ではない」)の後、番組制作に際しての青少年への配慮や苦慮などについて、在京各局のバラエティー番組担当者と意見交換をしました。
10月後半から11月前半までに視聴者から寄せられた意見等について議論しました。「PG12指定の刺激の強い残虐なシーンがある」として先月も議論した、土曜日21時から放送の劇場版アニメ映画について、改めて委員全員で視聴の上、議論しました。また、ある県のマスコットキャラクターが主人公のアニメで、その幼い主人公が叔父と一緒に競輪場に行き、競輪の賭け方について詳細に説明される内容には問題があるとの視聴者意見等について議論しました。
11月の中高生モニター報告のテーマは「最近聴いたラジオ番組について」でした。モニターからは、番組全体を学校に見立て“未来の鍵を握るラジオの中の学校”がコンセプトの番組について、「人生相談のようなことも積極的にしていて、生徒たちの心が楽になるような番組なので、もっとみんなが聴きやすいように、放送時間を早めるなどしてほしいです」などの報告がありました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
最後に今後の予定について話し合いました。
次回は、12月20日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年11月24日(水)午後4時00分~午後7時00分
場所
千代田放送会館2階大ホール
議題
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議・在京各局との意見交換会
視聴者からの意見について
中高生モニターについて
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、
髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての勉強会・意見交換会をNHK・在京民放各社を招いて開催

現在審議中の「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての勉強会・意見交換会がNHKおよび在京民放各社のBPO連絡責任者および制作現場の責任者を招いて開催されました。
冒頭、榊原委員長から「共感性の発達とミラーニューロン・嘲笑は"笑い"ではない」というテーマで幼児の共感性の取得・涵養に関してテレビが与える影響についてレクチャーがありました。
勉強会に続いて意見交換会が行われ、各局の出席者から、番組制作に際しての青少年への配慮や苦慮などを聞きました。
委員からも時代状況に応じた番組制作を巡る各局の努力の様子や、SNSや配信コンテンツと比較しつつ地上波テレビ局の信頼性などについて発言があり、意見交換を行いました。
今回の勉強会・意見交換会の結果も踏まえ、審議を継続することを確認しました。

視聴者からの意見について

10月後半から11月前半に寄せられた視聴者意見等について議論しました。
「PG12指定の刺激の強い残虐なシーンがある映画を放送するのはいかがなものか」「21時からの放送で、子どもにはグロテスクすぎる」という意見が寄せられ先月も議論した、土曜21時放送の劇場版アニメ映画について、改めて委員全員で視聴し、議論しました。
委員からは「血の色もさることながら、首のない身体分離の表現はいかがなものか」と懸念する意見も出ましたが、「人間のようなモンスターと捉えれば許容範囲では」「PG12指定の映画を21時台に編成しており、配慮がうかがえた」との意見が出され、議論は終了しました。
ある県のマスコットキャラクターが主人公のアニメで、その幼い主人公が叔父と一緒に競輪場に行き、競輪の賭け方について詳細に説明される内容に対し、「この番組は早朝の子ども向けだというのに、賭け方を指南するシーンがあった」「競輪のシーンを出す位はよいと思うが、深夜アニメではないのだから、もう少し考えてもらいたい。これが知事の企画というのだからビックリ」という意見が寄せられました。
委員からは、「幼児向け番組に射幸心を煽る内容はいかがなものか」「県による持ち込み企画のようだが、制作体制・考査はどうなっているのか」という意見が出されました。当該放送局に問い合わせをし、次回引き続き議論することになりました。
バンジージャンプで最下点に達した時に足が熱湯に浸かる、ストローでスムージーを飲む時に静電気で痺れるというドッキリ番組に対し、「痛がる人、熱がる人を面白おかしく放送するのは不愉快」「子どもは初め笑っていたが、途中から”かわいそう””痛そう”と言い始めた。違和感と不快な気持ちでチャンネルを変えた」などの意見が寄せられました。
これに関しては審議中の「痛みを伴うことを笑いの対象にするバラエティー」についての中で引き続き議論することにしました。
10月31日に都内で発生した京王線刺傷事件の報道に際し、「乗客の撮影した映像がテレビで放送されているが、あれを見て子どもが怖がり学校に電車に乗って行きたくないと言っている」等の意見が寄せられました。
委員からは「報道側が事実の客観的表示として視聴者提供の映像を使用することは否定しないが、逃げ惑う乗客の恐怖におののく顔などはモザイク処理をするなどの検討の余地があるのではないか」「容疑者は米コミック誌のキャラクターの衣装を模していた。劇場型犯罪の模倣犯を誘発する危険性に配慮して報道しなければならない」等の意見が出されました。
BPO青少年委員会は以前から衝撃的な映像が青少年に与える影響について見解を表明しており、今年9月にも改めて被害者の家族や友人への配慮を求める《BPO委員長コメント》を出しました。熊本の60代男性が事件を模倣した例もあり、今回のような事件報道は視聴者にとても関心のあるものとして今後も注視していくことを確認しました。

中高生モニターについて

35人の中高生モニターにお願いした11月のテーマは、「最近聴いたラジオ番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で34人から報告がありました。
「最近聴いたラジオ番組について」で複数のモニターが感想を寄せたのは6番組でした。『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)を6人が、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)と『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)、『ラジオで!カムカムエヴリバディ』(NHKラジオ第2)をそれぞれ4人が、『オールナイトニッポン0』(ニッポン放送)と『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(J-WAVE)をそれぞれ2人が取り上げていました。聴取方法は、リアルタイムが8人、フリータイムアプリなどの利用が22人、「両方とも」と答えたモニターが2人、YouTubeの配信を利用したモニターが2人でした。
「自由記述」では今月のテーマに関連させて、ラジオ番組について意見を述べたモニターが多くいました。普段はあまりラジオを聴いていなかったという複数のモニターから「ラジオを聴くと好きな芸能人の知らない一面が見える。今後も聴き続けたいし、同世代のほかの人にも聴いてほしい」という感想が寄せられています。次いで多くの意見が寄せられたのは最近のニュース報道についてでした。選挙報道に関して「若者にもっとわかりやすくすべき」、相次ぐ電車内での事件について「模倣が起こらないように報道の仕方を考えてほしい」という要望が寄せられています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『世界は教科書でできている』(NHK総合)を14人が、『アイ・アム・冒険少年 3時間スペシャル』(TBSテレビ)を7人が、『シュガー&シュガー サカナクションの音楽実験番組』(NHK Eテレ)を3人が、『有吉の世界同時中継』(テレビ東京)を2人が取り上げていました。

◆委員の感想◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】

    • これまであまりラジオを聴いたことがなかったけれど、今回のリポートをきっかけにラジオを聴き、これからも聴き続けたいと記述したモニターが多かった。ラジオはテレビよりも親近感が湧く、想像力が働く、というような点を面白さとして発見してくれたようだ。

    • 「考えごとや孤独を感じて寝つけないとき、ラジオ番組を聴くと安心感が得られる」というモニターがいた。ラジオの意義の一つを挙げた大事な感想だと思う。

    • あるモニターが、自分が送ったメールが番組内で読まれることが大変うれしくて「もはや恋愛だ」と記述しており、ラジオに対する情熱を感じた。これだけ思ってくれるリスナーがいるというのは、制作者のやる気につながるだろう。

    • タイムフリーのアプリで聴いたというモニターが今年はかなり多かった。また、昨年までは『基礎英語』を聴いているというモニターが多数いたが、今年は少なかった。一方で、朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』を題材にした番組を英語のラジオ講座的に聴いているというモニターが多かった。今年の特徴だろう。

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)悩みごとを聴いてくれる番組で、送り手と受け手の間にやり取りのある番組だと書かれていた。コロナ禍で人に直接悩みを相談することが難しい中で、子どもたちにとってこのような番組の必要性が増しているのではないかと思った。

    • 『ラジオで!カムカムエヴリバディ』(NHKラジオ第2)ドラマに基づいている点に今までにない楽しさがあるという感想を述べたモニターがいた。いろいろな模索をしていく中で、テレビとの連携のようなことで番組を工夫していくというところが評価されたという点を制作者に伝えたい。語学を身につけるための番組は昔からあるが、それと異なる新しい発想で制作されていて素晴らしいと思う。

    • 『子ども科学電話相談』(NHKラジオ第1)「アナウンサーが子どもに対して子ども扱いするような言葉遣いではなく、大人と同じように丁寧に話しているのがとても感じが良かった」という意見があった。子どもに対して質問するときには、ついつい独特の言葉遣いになってしまうが、それは子どもからしてみると嫌なのだと思い、興味深く読んだ。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)人生相談のようなことも積極的にしていて、生徒たちの心が楽になるような番組なので、もっとみんなが聴きやすいように、放送時間を早めるなどしてほしいです。(中学1年・男子・岩手)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)母に薦めてもらった番組が『SCHOOL OF LOCK!』です。初めてラジオを1本全て聴きました。この番組は私の世代に向けたラジオだったため、堅苦しくなく笑いながら聴いていました。特に小森校長とぺえ教頭のツッコミや会話がとても面白かったです。ラジオはパーソナリティーの方が世間話をしているイメージを持っていたのでこの番組を聴いてイメージが変わりました。また、リスナーを「生徒」と呼んでいることが新鮮で良かったです。これを機会に、ラジオを聴き続けてみます。(高校2年・女子・静岡)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)私の関心を引いたのは「応援部」という全国の受験生を応援するコーナーです。私自身も高3のため、2ヶ月後には受験を控えています。そんな全国の受験生がパーソナリティーの2人と直接電話で話をして、受験の悩みを解決してもらったり、アドバイスをもらったりというもので、当日は、中3の高校受験の女の子が「お世話になっている塾の先生に恩返しができるように、第一志望校に合格したい」という内容でした。それに対して、パーソナリティーがさりげなく話を掘り下げて、受験生の悩みを具体化してメッセージを送っていたのですが、勉強を頑張っていても、焦りばかりが募る受験生に対して、「誰かを幸せにするのなら自分から」とか「自由と引き換えに」とか、この女子中学生に限らず、聴いている受験生みんなに通じるアドバイスをくれました。私にも当てはまり、自分が相談者でもないのに、勇気をもらえたような気さえしました。(高校3年・男子・長崎)

    • 『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)ゆるい雰囲気やトークがとても好きだったので、改めて聴いて良さを実感した。普段音楽ユニットとして活動しているYOASOBIの2人の意外な裏話や素顔が知れて、うれしいと同時に親近感が湧く。YOASOBIの2人も心から楽しんで、素で話しているのが伝わってくるので、聴いていて自然に微笑んでしまうぐらい元気をもらえる。特に2人が学生だった頃の思い出は、昔と今のトレンドの違いを知ることができ、母とも共感しながら聴けた。番組で流す選曲もツイッターで事前にアンケートを取るなどして、リスナーの意見を聞いてくれる番組だと思う。(中学2年・女子・千葉)

    • 『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)単純にSixTONESが好きという気持ちから聞いた。他愛のないギャグが滑っている・滑ってないという話題が3分の1ほどを占めていたが、話している内容を頭の中で映像化するととても面白かった。さらに、リスナーの質問の返しにもさりげなく笑いのポイントがあって、飽きずに最後まで聞くことができた。(中学2年・男子・神奈川)

    • 『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)深夜帯に生放送されるため、大体自分が寝ようとする時間に始まる。私は、寝るときに考えごとや孤独を感じてしまい、なかなか寝つけないことがよくある。しかし、そんなときに助けてくれるのがオールナイトニッポンだ。生放送で行われている上に好きな芸能人の声を傍で聞いている気分になれるため、とても安心感が得られて良い気持ちで寝ることができる。(高校1年・女子・埼玉)

    • 『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)普段はキラキラアイドルであり、とても遠い存在のように感じるけれど、リスナーからのお便りを読むなど、まるで同じ空間にいて会話しているような雰囲気があり、つながりを強く感じます。今回もメールを通したリアルタイムでのリスナーとのやりとりやお仕事の裏話など、ここでしか聴けない貴重なお話が聴けて、あっという間の90分でした。(高校2年・女子・埼玉)

    • 『ラジオで!カムカムエヴリバディ』(NHKラジオ第2)ラジオというのは耳から入る情報がすべてなので、出演者の反応というのは声音から判断するしかない。その点、歌手であるAIさんや芸人である天野ひろゆきさんはもちろん、講師の大杉正明さんも、はっきりしていて喜怒哀楽の伝わりやすい抑揚のある語り口でとても良かった。テレビドラマの『カムカムエヴリバディ』の方では、主人公の安子が英会話をラジオで聞き、とても楽しそうにしている様子が映されていたが、令和の時代を生きる自分にもその理由が分かったような気がした。(高校1年・男子・東京)

    • 『ラジオで!カムカムエヴリバディ』(NHKラジオ第2)普段全くラジオを聴くことがなかったのだが、ついこの前始まった朝ドラに関連した番組を見つけたので斬新だと感じ聴くことにした。勉強する、といった思いがなくてもドラマを思い出しながら楽しく学べるメリットがあり、これからも続けて聴きたいと思えるような作りになっていた。ラジオは声だけで内容が伝わりにくいと思っていたが、英語を学ぶという目的を聴くだけで果たすことができるので良いと思う。『基礎英語』も聴いたことがあるが、それよりも楽な気持ちで聞くことができ、何よりもドラマに基づいているというのが今までにない楽しさがあった。(高校1年・女子・京都)

    • 『オールナイトニッポン0』(ニッポン放送)『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』には、今回も恋愛バラエティー『あいのり』の話が頻出するなど、もはやHIPHOPは関係ないのではないかという部分も多い。それでも聴いていると「この人たちはHIPHOPアーティストだ」と思うことがある。私はそれがこのラジオのいいところだと思う。『あいのり』に出るならどんな告白をしたいか、という話では「あの時代はまだラップとかイタイって時代か…」と思いを馳せてみたり、コーナーメールの「好きなバンドの初回限定盤CDが大きすぎて棚に入らない!」を「あるある!CD世代にはあるある!俺らも初回限定盤でTシャツ入ってるの出したりしたから…」と盛り上がってみたりするのである。そういうHIPHOPの片鱗と、大部分は学生のようなノリでこんなラジオができ上がっているのだろう。深夜ラジオの特性と言ってはなんだが、私にとってはたまに出るちょっと下品な話ですら、2人の会話内に完結するため普段より嫌悪感を持ちにくい。もちろん限度はあると思うが、目の前に人の顔が見える訳ではないので、言う/言われるの関係の外に自分がいることが認識しやすいのかもしれない。(高校3年・女子・東京)

    • 『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(J-WAVE) 音楽をよく聴く自分にとっては、今どんな曲が話題になっているかを知ることができるので重宝しています。アーティストに関する情報や裏話なども面白く、自分の知らない曲も知ることができるのでとてもいいです。(高校1年、男子、群馬)

    • 『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(J-WAVE) 4時間にわたる長時間番組ですが、リスナーが参加できるクイズコーナーやゲストが登場しトークを繰り広げるコーナーなど、単なるカウントダウン番組だけではない楽しさがあります。以前はあまり音楽がメジャーでない、例えばインドネシアやトルコのような国のトップ10も紹介されていました。その国の現代音楽や、国による流行の違いや、反対に万国共通の流行なども分かり面白かったので、また紹介してほしいです。この番組は、さまざまなジャンル、洋楽、邦楽の最新流行音楽を知ることができるところが好きです。(高校1年・女子・東京)

    • 『らじコン』(静岡エフエム放送)この番組は毎回トークテーマが決まっていて、コンセプトトークが展開される。今回は「カードゲーム」がテーマだった。「中国が起源かもしれない」「トランプは英語でplaying card」など、知らないことがたくさん紹介されていた。いろいろな雑学を面白いトークとともに学べるところが僕は好きだ。この番組は聴く人ほんわかさせてくれる。しかめ面もニヤケ顔に変えてくれるくらい面白い地方番組なので、他県に住む人にも聴いてほしい。(中学3年・男子・静岡)

    • 『子ども科学電話相談』(NHKラジオ第1)質問をしている子どもと専門家の先生をつないでいる女性アナウンサーがいました。その方は、質問をしている子に話しかけるときに、子どもと話すときの、あやしているようなしゃべり方で接していませんでした。専門家の先生と話されるときも質問をしている子とを話すときも、ずっと丁寧な言葉で話されていてとても印象が良く感じました。(中学2年・女子・大分)

  • 【自由記述】

    • ラジオは「ながら聞き」ができるから、忙しい生活をしている現代人にこそ聴いてほしいと強く願っている。ラジオをもっと普及させるために、ライバルみたいなテレビで宣伝したり、SNSで宣伝したりしてラジオに興味を持ってほしいと思う。(中学2年・男子・神奈川)

    • ラジオを聴き始めて3年くらい経つ。1年前くらいから自分もメールを送るようになり、月一で読まれるくらいだが、ラジオの魅力はメールを送ることも含まれると思う。自分の名前(ラジオネーム)が好きな人(パーソナリティ)に呼ばれる、こんなにうれしいことはない。もはや恋愛だろう。(高校2年・男子・愛知)

    • ラジオを聴くと好きな芸能人との距離が近づいた気分になれると思います。テレビとは違い作業中に気軽に聞けるので、ラジオを普段聴かないという友だちにもお勧めしたいと思います。(高校2年・女子・神奈川)

    • ラジオ番組なら勉強の手を休めることなく、聴きながら勉強も進められるし、時として、生き方に影響を与えてくれるような勇気も与えてもらえるし、ラジオ番組に対する考えが好意的になりました。今回をきっかけとして、今後はテレビばかりでなく、ラジオにも手を伸ばすようにしたいと思います。(高校3年・男子・長崎)

    • 衆議院選挙の日、ほとんどの局が結果を放送していた。その中で、どの局か忘れてしまったけど、議員さんの好きなものなど単に名前や政党だけを流すのではなく、工夫していて面白いなと思った。興味を持ててとても良いと思う。(中学3年・女子・京都)

    • 私は来年から投票ができるようになります。でも、1年後に誰に投票をすればいいのか分かりません。どんな党があってどんな公約を述べているのか、今の日本に何が必要なのか、私たち若い世代は分からないことが多いと思います。投票権は幅広い世代にあるため、若い人たちにも分かるような報道をすることが必要だと思います。そうすることで、若い人たちの投票率を上げることができ、若い人たちの声を届けることにつながると思います。(高校2年・女子・静岡)

    • 最近ニュースを見ていると、報道されるニュースはどういう風に優先順位が決められて報道されているのかなと疑問に思うことがあります。見る人が興味を持つであろう内容に重きが置かれ、本当に伝えなければいけないことが軽く扱われていないかが心配です。視聴率を考えると、視聴者の興味関心も大事でしょうが、報道する側は、本当に報道すべきものは何かを考えて報道してほしいと思いました。(中学3年・女子・宮崎)

    • ハロウィンに渋谷で暴れる若者の様子がメディアで報道され、メディアによる報道がむしろそうした行動を扇動してしまっているのではないかという言説をインターネットで目にした。初め、僕は少し早計ではないかと思ったが、明確に否定できる理由がすぐには思いつかなかったのも事実であり、何より、最近あった鉄道での事件に触発されて、模倣犯が事件を起こしたことを思い出した。報道によって、社会問題を世に知らしめるのはメディアの持つ役割ではあるだろうが、それによってむしろ、問題を助長させてしまう恐れがあるのではという議論は長年行われているものであり、そうした事例がもし存在しうるならばどう対処すべきかはとても悩ましいなと思った。(高校1年・男子・東京)

    • 最近は公共の場で起きる事件をスマホで撮影できる時代ということがあって、なかなかショックの強い映像などもニュースで頻繁に目にする。各局が同じような映像を同じような情報番組で取り扱っていて、見たくなくても目に入ってしまう。もちろん事実を報じることはテレビの役割であるし、教訓にもなると理解している。しかし、もう少し現場の映像を少なくするなどの調整はできないものか。(高校1年・女子・京都)

    • 小室圭さんと眞子さんのニュースがよく流れていたが、違和感を覚えることが多かった。マンションから出てくるところや散髪に行く話まで速報で流れてきた。プライベートにも介入していたし、マスコミはもう少し控えるべきだと思う。(高校2年・女子・東京)

    • 先日、謎解きのレジャー施設を、タレントが謎解きをしながら紹介していましたが、謎解きの概要だけでなく問題の答えも公開していました。また、最近公開された映画のネタバレのような情報が流れたこともありました。これから遊びに行く人や映画を見る人ががっかりすると思います。私もとてもがっかりしました。情報番組は多くの人が見るもので、そこで急にネタバレのような情報を言われてしまうと、否が応でも見ることになりとても悲しいです。(中学1年・女子・東京)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)学校の教科書に載っていることや習ったことを身の回りに生かせるようになっていて、とても良い番組だと思いました。(中学1年・男子・岩手)

    • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)教科書だけ勉強していて果たして将来役に立つのかなと思ったことがあったので、この番組を見て、教科書って役に立つんだなと思えました。自宅から家族で参加できるなど、国民参加型なのがいいですね。私は大家族なので、いつか出てみたいと思いました。いろんな豆知識や雑学も学ぶことができてとてもためにもなりました。(中学3年・女子・宮崎)

    • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)SDGsについて触れられていました。私の学校でもSDGsの取り組みや授業があります。番組の中で、2つの家族がプレゼンをしていて、気づかされたこともたくさんありました。化粧品にマイクロプラスチックが含まれていることやコーヒーかすがバイオ燃料として使えることなど知らないことばかりでした。このように番組で取り上げることで、より多くの人にSDGsについて知ってもらうことができ、目標達成にもつながると思います。(高校2年・女子・静岡)

    • 『アイ・アム・冒険少年 3時間スペシャル』(TBSテレビ)1人では進めない道を5人で協力して進んだり、飲料となる重い水をみんなで交代しながら運んだりしていました。ときには、口喧嘩のようなものもありましたが、最後にはみんなで一緒に手をつないでゴールしている姿はとてもかっこよく見えました。(中学2年・女子・大分)

    • 『アイ・アム・冒険少年 3時間スペシャル』(TBSテレビ)以前から好きでよく見ている。特に「脱出島」では、私たちのようなサバイバルとは無縁の人でも、生きる上で必要な術を楽しく知ることができて、現代人にとってとても良い、必要な番組だと思う。「面白さ」と「生きる上で必要なこと」の両面をもっとバラエティーで押し出し、毎週楽しませてほしいと思う。(高校1年・女子・京都)

    • 『シュガー&シュガー サカナクションの音楽実験番組』(NHK Eテレ)この番組は音楽の実験を行うのだが、その内容がとても新鮮で、たまにコメディー要素も含まれていて面白かった。また、その実験一つ一つが司会進行を務めているサカナクションの山口一郎さんの世界観とマッチしているように感じた。(高校1年・女子・埼玉)

    • 『有吉の世界同時中継』(テレビ東京)特に、最初のスペインの中継は、現地のスーパー、現地の家族の食卓や冷蔵庫の中身まで映し出されて、日本と全く違うスペインの食文化、物価感や現地の雰囲気を感じることができた。コロナ禍で旅行が自由にできない今、現地との中継映像を見るのは、海外旅行を疑似体験しているようで楽しかった。(高校1年・男子・東京)


以上

2021年12月1日

2021年 12月1日

BPO業務について

BPOは、新型コロナウイルスの感染対策に留意しつつ、視聴者電話の受付時間を通常に戻しました。
電話の受付時間は、平日、10時から12時までと13時から17時までです。
なお、今後の感染状況によっては、受付時間の短縮や、受け付けの休止をすることがあります。

第165回 放送倫理検証委員会

第165回–2021年11月

テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』審議入り

第165回放送倫理検証委員会は11月12日に千代田放送会館で開催された。
委員会が7月21日に通知・公表した日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見について、当該放送局から委員会に対し、具体的な再発防止策などをまとめた対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表する事にした。
番組スタッフが作成した質問を視聴者からの質問として放送していたテレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について、同局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議した結果、視聴者の質問等を番組が作ることは世論誘導につながりかねず放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯について検証する必要があるとして審議入りを決めた。

議事の詳細

日時
2021年11月12日(金)午後5時~午後7時
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. 日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見への対応報告を了承

7月21日に通知・公表した日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見(委員会決定第41号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、社内の検証チームが今回の事態に至った経緯と原因について調査
し、結果を30分番組にまとめて放送したことや、当該番組『スッキリ』において、担当以外の複数プロデューサーによるチェック体制を構築したこと、他の生放送の情報番組においても、事前に制作したVTRを可能な限り担当者以外の視点でチェックする体制を構築したことが記されている。また、再発防止への取り組みとして、コンプライアンス推進室に人権問題の相談に対し助言を行う担当を新たに設けたことや、全社員・スタッフを対象に専門家を招いてアイヌ民族差別や人権問題に関する研修会を2度にわたって実施したことが報告されている。
委員からは、「今回の問題は1994年『イヨマンテの夜』の事実上の再発だ。再発防止策が機能しているかどうか、長いスパンで確認する仕組みがあればなお良いと思う」「チェック体制の強化や研修の実施が柱になっているが、それよりも職場のコミュニケーション不足への対応の方が重要なのではないか。今後何らかのかたちで取り組んでほしい」などの意見が出され、概ね適切な対応がなされているとして報告を了承し、公表することにした。
日本テレビの対応報告書は、こちら(PDFファイル)

2. テレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について審議

テレビ朝日は情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』で、2021年3月から10月にかけて放送した視聴者からの質問に答えるコーナーで、番組側が作成した質問を視聴者からの質問であるかのように放送したケースが含まれていたとして、10月21日、番組と番組のウェブサイトで公表し謝罪した。
同コーナーでは、番組の前半で当日のテーマを視聴者に伝え、放送中に番組ホームページなどで受け付けた質問を番組終盤で紹介し、出演した専門家らが答えていた。
当該放送局によると、放送中の短い時間で採用する質問を選り分けるため、チーフディレクターが選別の基準としてコーナーの流れを想定した質問案を事前に作っていたが、今年3月から10月にかけて、この想定質問を視聴者からの質問として放送に使ったという。104問が番組側で作成され、年齢や居住地域などは架空の属性で紹介された。また視聴者から受け付けた実際の質問を使用する場合も、文章に手を入れ表現を修正したケースでは、クレームを避けるため属性を書き換えていたという。
委員会は、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議を行った。その結果、視聴者の質問や意見を番組が作ることは世論誘導にもつながりかねない深刻な事案で放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

3. その他

視聴者意見等を踏まえて、衆議院議員選挙を含む報道について議論を行った。

以上

第298回放送と人権等権利に関する委員会

第298回 – 2021年11月

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2021年11月16日(火)午後4時~午後7時30分
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、
野村委員、丹羽委員、水野委員

1. 「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理

NHK宮崎放送局は、2020年11月20日午後6時10分からの『イブニング宮崎』(宮崎県内で放送)の中で、同年3月26日に宮崎市内で男性2人が死亡した住宅火災の続報を放送した。そこでは、この火災は放火殺人事件の疑いが濃くなり、容疑者がガソリンをまいて火をつけ被害者(申立人の兄)を殺害し自分も死亡した可能性があり、その原因として「何らかの金銭的なトラブル」が死亡した2人の間にあったかのように伝えられた。
この放送に対して申立人(被害者の弟)が、「2人の間に何らかの金銭的なトラブルがあった」と報じられたことで、「兄にも原因の一端があったのではないか」との印象を抱かせるものであり、事件被害者である兄の尊厳を傷つけたとして、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「事件当事者の2人が亡くなっている中でも、当時の取材で知り得た情報を基に『被害者』と『加害者』を明確に分ける形で客観的な事実を伝えており、申立人の主張する指摘は当たらない」と反論した。
委員会は、前回委員会の審理をもとに修正した決定文の修正案が起草委員から示され議論を行った。その結果、概ね審理が尽くされ、次回委員会で最終決定に向けて議論することを確認した。

2.  その他

事務局から現時点での申立て状況などを報告した。

以上

2021年11月12日

テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』が審議入り

放送倫理検証委員会は11月12日、テレビ朝日の『大下容子ワイド!スクランブル』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、同番組内の視聴者からの質問に答えるコーナーで、今年3月からおよそ半年間にわたり、番組スタッフが用意した質問を視聴者からの質問であるかのように放送していた。
テレビ朝日は10月21日、番組や番組ホームページで概要を公表するとともに、謝罪を行った。
同局によると、放送した質問のうちおよそ2割にあたる104問が番組側で作成されていたほか、視聴者から受け付けた実際の質問の中には、質問者の居住地域や年代などが架空の属性で紹介されていたものもあった。
委員会は、テレビ朝日から報告書と番組DVDの提出を受けて協議を行った。その結果、深刻な事案であり、質問の内容等によっては世論誘導にもつながりかねないなどの意見が出され、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2021年10月に視聴者から寄せられた意見

2021年10月に視聴者から寄せられた意見

衆院選開票特番について、中継先の候補者に対する出演タレントの発言、態度が侮蔑的などの批判や、小室さんと眞子さんに関する話題の取り上げ方などへの意見が多かった。

2021年10月にBPOに寄せられた意見は1,726件で、先月と比較して860件減少した。
10月1日、電話による意見受け付けを再開した。月間を通じて電話で意見を受け付けたのは去年12月以来。
意見のアクセス方法の割合は、メール83%、電話15%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性48%、女性24%で、世代別では40歳代27%、50歳代24%、30歳代21%、60歳以上16%、20歳代10%、10歳代1%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送事業者を特定したものは、当該事業者のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。10月の通知数は851件【64事業者】であった。
このほか、放送事業者を特定しない放送全般への意見の中から23件を抜粋し、全会員事業者に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

特定の局の衆院選開票特番について、中継先の候補者に対する出演タレントの発言、態度が侮蔑的などの批判が多かった。また、小室さんと眞子さんに関する話題の取り上げ方や、取り上げること自体についての意見も多かった。
ラジオに関する意見は55件、CMについては17件あった。

青少年に関する意見

10月中に青少年委員会に寄せられた意見は89件で、前月から19件減少した。
今月は「表現・演出」が18件、「低俗・モラルに反する」が17件、「暴力・殺人・残虐シーン」が11件、「いじめ・虐待」が9件、「性的表現」と「マナー・服装」がともに5件と続いた

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 総選挙を前にテレビのキャスターやコメンテーターたちは「成長戦略が必要」としきりに言っているが、成長戦略とは何かの説明もない。選挙があるのだから改革至上主義、成長戦略ばかり主張する人だけではなく、さまざまな意見を持つコメンテーターを出演させ、国民の選択肢を広げてほしい。

  • 生放送の討論番組で与党幹部が「スマホは日本人の発明」、「消費税の使途は社会保障費のみ」などと発言。事実ではないのに番組内で訂正やフォローはされず、言いっ放しになったことは問題。

  • 週1回のラジオ番組の「DJ」はある政党の参議院議員。番組の内容はその党の衆院選の選挙公約や議員の活動報告など、党の宣伝とも受け取れる話ばかりだ。特定の政党の話だけを番組として30分間も放送することに違和感を覚える。

  • 森友・加計問題や辺野古問題などの特集は衆院選投票日の前日に取り上げる内容ではないと感じた。むしろ政治的主張を強く感じた。

  • 衆院選開票番組でお笑いタレントが、落選が濃厚になった自民党幹事長にインタビューし、笑いながら「ご愁傷様でした」。あまりに失礼ではないか。礼を欠きすぎていて不快。

  • 開票特番の出演者が候補者に「ご愁傷様」。その候補者に一票を投じた有権者をも嘲笑する態度で、芸人であれば許容される、といった類の言説ではないと思う。制作側の見識も疑わざるをえない。

  • 眞子さんは結婚して一般人なのに結婚後も追いかけられ、司法試験の結果まで放送されてかわいそう。2人の気持ちを察すると見ているこちらが心苦しくなる。

  • 眞子さまと小室氏の結婚報道で「速報です。小室氏が記者会見のために自宅を出ました」。この情報のどこに「速報」で流す必要があるのか全く理解できない。

  • 小室さんの親がしたことについて本人に責任を取らせるような風潮に疑問を感じる。子どもは親を選べないし管理できないのに、親のしたことにまで報道が過熱するというのはおかしい。

  • 小室圭さんの学費の借金問題、弁護士資格などについて正しい情報を調べて伝えてほしい。NHKも民放も良いことしか伝えないが、視聴者としては単純に正確な情報を知りたい。

  • 組閣の速報テロップがうるさい。そもそも報道番組の最中に速報テロップを出す意味が分からない。知らないと生命に関わる、など速報を出す基準を明確にしたほうがいいのではないのか。こういう速報の合間にもし地震など自然災害の速報が流れたら「またか」と見逃す人が出てくるのではないのか。それこそ命の危機だろう。

  • 「視聴者からの質問に答えるコーナー」の質問が「創作」だった。毎日楽しみに見ていたのに、だまされたという思いで力が抜ける。ほかの情報番組でもLINEなどを使って視聴者意見を集めているが、本当に意見を受け付けているか疑問に思ってしまう。ウソ偽りのない視聴者意見募集のあり方、検証可能な手法を編み出してほしい。

  • 民放各社の警察密着特番は「社会に開かれた警察」などの観点からは非常に良いと思うが、犯罪者=悪い人というステレオタイプが目立つ。研究が進み、犯罪者の中には人格障害、ADHD、幼少時の虐待などの精神医学的な背景があるような社会的弱者もいることが分かってきた。刑罰を与えるよりも精神科病院で治療した方がいいのではないかという議論もある。テレビ局も犯罪者は悪い人だと決めつける報道より、犯罪を減らすにはどうしたらいいか、議論のきっかけを与える報道をしてほしい。

  • 押収された覚せい剤のアップ映像がニュースで流れた。私は職業柄、治療中の覚せい剤中毒者と関わることがよくある。ほんのささいなことでも彼らには刺激となり、再び覚せい剤に手を出すきっかけとなる。映像を流すことは絶対に避けてほしかった。

  • 緊急事態宣言の解除にともなう飲食店での酒類提供について特集していた。報道が必要な内容であるが、ビールを美味しそうに注いだり、それを美味しそうに飲んだりするシーンがことさら強調されていて、それを見たことで非常に強いアルコールへの欲求が呼び起こされた。私は持病によりアルコールの摂取を制限されている。料理番組やバラエティー番組であれば見ないことで対応できるが、ニュース番組は社会一般の情報を入手するため視聴が必要。喫煙シーンが議論されたように飲酒シーンについても一考をお願いしたい。

  • 番組で放送される視聴者投稿の映像の中には、明らかに危険な場所で撮影されたと思われるものがある。それに対して注意をすることもない。「このような映像を撮るとテレビで放送される」と期待して危険な場所で撮影する人が増えるのではないかと危惧している。

  • ワイドショーでしばしば「コロナで一番苦しんでいるのが飲食店」などの表現が使われているが、飲食店は自治体から長期間、高額の支援を受けている。確かに一部は厳しい状況だと思うが、協力金バブルで左うちわの店もある。番組は両方の情報を発信してほしい。

  • 水泳女子100mバタフライのニュース。見出しテロップは「池江璃花子選手 2位」、ナレーションの主語も池江選手。優勝した飯塚選手はテロップ表示だけで名前も読んでもらえないのはおかしくないだろうか。正当な評価をするのが普通だと思う。私は飯塚選手の関係者ではないが、悲しい気持ちになった。

  • 民放の朝、夕のワイドショー、ニュース等を楽しく見ている。最近、番組改編時期にアナウンサーが交代や結婚、出産で番組を離れるに際して、ことさらに時間を長く取って離任を紹介したり泣いたり騒いだりと、視聴している側にとっては不快なシーンが多くなった。あいさつや告知はもちろんいいと思うが、何か身内による宴席での盛り上がりにしか見えないノリが多い。

【番組全般・その他】

  • コントのネタが統合失調症の方を揶揄した内容で不快に思った。「自我がない」など気になるセリフがあった。統合失調症の方本人、ご家族、友人が見ていたと思うと胸が痛む。

  • 大トロを食べるために野良ネコがどれくらいジャンプするか、人工の谷を徐々に広げながら試していた。失敗すればけがをしかねない危険な企画で、虐待ではないかと感じた。残酷でとてもバラエティーとして笑える内容ではなかった。

  • 私は登山経験者。バラエティー番組の冒険企画でタレントが山中で「沢下り」、「滝飛び込み」、「崖下り」。十分な装備と技術なしに行うにはあまりに危険な行為が、楽しそうに、勇気があれば誰にでもできるような演出で放送されていた。番組は事前に下調べをして安全性に問題ないことを確認してやっているのだと思うが、山の知識のない視聴者はそうした危険性には気がつかないと思う。登山は無知で臨むと死に至る可能性があることを認識した上で放送すべきだし、せめて「危険なのでマネしないで」の一言を入れるのが適切だと思う。

  • おにぎり早食い競争は危険だと思うので放送してほしくなかった。過去には死亡事故もあった。どうしてこのようなものを番組で取り上げるのかと思う。

  • 人気スポットのランキングで、13位としてある企業のショールームと商品が紹介された直後に、そのショールームとその商品のCMが流れた。流行を紹介する番組でこういうことがあると、どこまでが広告でどこからが事実なのかわからなくなる。好きな番組だっただけに非常にガッカリした。

  • ラジオ各局でサプリメントの通販番組が増えた。一番よく聴く局は早朝の番組を10分カットして通販番組に置き換えてしまった。毎日同じ内容の番組にうんざり。各放送局の「独自性」が失われつつあるように思う。

  • 90代の母親がテレビの通販番組にしばしば「引っかかり」、カタログと商品が山のように送られ溜まっている。活字媒体と違ってテレビからは映像音声が流れ、高齢者はじっくり考えずに「買わされて」しまう。何を買ったかも分からなくなったころに、督促状、回収業者、裁判と、売った側が高齢者を脅す。高齢者は「恥だから」と子どもには黙っている。こうした事態を招いていることを認識して、テレビ通販番組のあり方、モラルを考えてほしい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 20時台に「マッチングアプリで夫が浮気…マンガにもなった妻の痛快リベンジ」という内容の放送があった。小さな子どもも見ている時間であるのに、マッチングアプリの相手と会うために「おしゃれなパンツをはく」「ホテルで待ち合わせ」「私激しいかも」のような内容があり、問題を感じた。今後こういった内容を含む番組は時間を考えていただきたい。

【「低俗、モラルに反する」】

  • 県のマスコットキャラクターを主人公にしたアニメの中で、競輪で賭博するおじさんの話が出てきたが、この番組は早朝の子ども向けだというのに、賭博のやり方を指南するシーンがあった。子どもが賭け事をやりたいと言い出したら困るし、かけ方を教えるということは賭け事しろということと同等だ。競輪のシーンを出すくらいはいいと思うが、深夜アニメではないのだから、もう少し考えてもらいたい。これが知事の企画するアニメというのだからビックリ。

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • 朝の時間帯で、ラスボスによって敵の首領の首をはねるシーンは刺激が強すぎる。子ども向けの番組には相応しくない過激な残酷映写は良くないと思う。残酷な場面を規制するべきだ。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • 芸人同士の鮎取り対決の場面で、芸人Aが芸人Bを掴んで無理矢理水の中に沈めようとし、それを見ている周囲の人間が、笑っている場面があった。子ども達も見る可能性の高い日曜日のゴールデンタイムに、あのような様子を放送することは、子ども達に悪影響を及ぼすものであり不適切。

【「性的表現」に関する意見】

  • 12歳の少女の裸を連想するシーンが多かったり、それを覗くシーンがあったりした。アニメだが、対象キャラが少女だし大丈夫なのか。

【「マナー・服装」に関する意見】

  • アニメの主人公がまだ高校生のはずなのに、ピアスをしてタバコを吸い夜遊びの朝帰りをしている。いつからこの日本は高校生の喫煙を容認したのか。深夜番組とはいえ、こんな番組の放送を黙認していいのか。

第239回 放送と青少年に関する委員会

第239回-2021年10月

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議…など

2021年10月26日、第239回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議にあたり、榊原委員長と沢井委員からそれぞれ専門分野の観点からのレクチャーがあり、これをもとにバラエティー番組が青少年、とりわけ児童へ及ぼす影響について意見交換をしました。
9月後半から10月前半までに視聴者から寄せられた意見には、土曜21時から放送された劇場版アニメ映画について、「PG12指定の刺激の強い残虐なシーンがある映画を放送するのはいかがなものか」などがありました。
これを視聴した委員の中でも、殺陣や血しぶきのシーンへの配慮について意見が割れたため、全員で再度視聴して次回に改めて議論することにしました。
続いて10月の中高生モニター報告(テーマ:「最近見たドラマについて」)を検討しました。中高生モニターからは、日本の沈没という未曾有の危機を前に奮闘する人々を描く10月新ドラマに関して、「沈没による被害や犠牲者の実態など、リアルに演出してもらうことにより、視聴者は疑似体験でき、本当に巨大地震が起こった時に、このドラマが参考になり得ることもあると思います。」などの報告がありました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関しては、放送局へのアンケート結果についての経過報告がありました。
最後に今後の予定について話し合いました。
次回は、11月24日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年10月26日(火)午後4時30分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室
議題
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議
 (榊原委員長と沢井委員からのレクチャー)

視聴者からの意見について
中高生モニターについて
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、
髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議 (榊原委員長と沢井委員からのレクチャー)

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議にあたり、榊原委員長から「共感性の発達とミラーニューロン・嘲笑は"笑い"ではない」、沢井委員から「テレビの暴力的映像が青少年の情動や行動に与える影響についての科学的エビデンス」というテーマでレクチャーがあり、これをもとにバラエティー番組が青少年、とりわけ児童へ及ぼす影響について意見交換をしました。

視聴者からの意見について

9月後半から10月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
土曜21時から放送された劇場版アニメ映画について、「PG12指定の刺激の強い残虐なシーンがある映画を放送するのはいかがなものか」「21時からの放送で、子どもにはグロテスクすぎる。元々は深夜放送なのに、規制も無しに放送しないで欲しい」という意見が寄せられました。
これを視聴した委員の中でも、殺陣や血しぶきのシーンへの配慮について意見が割れたため、全員で再度視聴して次回に改めて議論することとしました。
野良猫を高台に乗せ、同じ高さの離れた高台にエサの大トロを置き、幅跳びのような形で飛び移らせるという企画に対し、「下にマットが敷いてあるとしても失敗して落ちると危険だ」「子どもが野良猫をもて遊ぶようになったらどうするのか」といった意見が寄せられました。
委員からは「動物愛護の観点から気になる」という意見が出されました。
山梨のキャンプ場から失踪した少女の12歳姉への顔出しインタビュー報道に対し、「被害者の家族・友人への配慮を求める《BPO委員長コメント》が出たにもかかわらず、必要だったのか?違和感が残る」という意見が寄せられました。
委員からは「12歳姉本人の決意と、取材を受ける理由を本人の口から説明していた」「取材を受けるまでの親子の関係も丁寧に描いており、八街の場合とは違うと受け取れた」「記者の方が、とても丁寧に対応されたから取材できたのであろうと理解した」という意見が出されました。

中高生モニターについて

35人の中高生モニターにお願いした10月のテーマは、「最近見たドラマについて」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。33人から報告がありました。
「最近見たドラマについて」では、20番組への感想が寄せられました。複数のモニターが取り上げたのは7番組で、『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ)を5人が、『日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」』(TBSテレビ)を4人が、『木曜ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」』(テレビ朝日)を3人が取り上げていました。2人ずつが記述していたのは4番組で、『真犯人フラグ』と『二月の勝者―絶対合格の教室―』(ともに日本テレビ)、『オシドラサタデー「消えた初恋」』(テレビ朝日)、『アンラッキーガール!』(読売テレビ)でした。
「自由記述」では、ドラマへの期待、意見、要望が最も多く、次に多かったのが10月7日夜に発生した最大震度5強の地震発生時の各放送局の対応についての感想でした。また、現在審議中の「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての意見もありました。
「青少年へのおすすめ番組」で複数のモニターが取り上げたのは4番組で、『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)が7人、『ゲームゲノム』(NHK総合)と『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)が5人、『BS1スペシャル「勝敗を越えた夏2021~ドキュメント日本高校ダンス部選手権~』(NHK-BS1)が2人でした。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ)このドラマを通して、視覚障がい者のことについて知り、学ぶことができたという指摘があった。ドラマの1つの役割と言えると思う。

    • 『木曜ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」』(テレビ朝日)まさにこの数年直面しているコロナの問題に関する内容を扱うなど、現実社会の問題とリンクさせて表現できることは、オリジナルのドラマだからできることかもしれない。ただ一方で、モニターの感想の中にもあったが、フィクションとはいえ、どこまで踏み込んだ内容にするのか、それで傷つく人はいないのかなど、検討するのは大変だと思う。制作者の挑戦や努力を応援したい。

  • 【自由記述について】

    • スマホやタブレットなどインターネット端末の普及でテレビ離れが進んでいるということについて、モニターが「ドラマをテレビで視聴している人は周りにいる。だからこそ、テレビはもっとドラマを頑張ると良いのではないか」という応援メッセージを寄せてくれた。ぜひ放送局に伝えたいと感じた。

    • 先日の地震時の放送について、あるモニターから「スタジオもすごく揺れていたけど、アナウンサーはそのまま情報を伝えていた。落ち着いていてさすがと思ったと同時に、机の下に入って身を守る行動をとるべきだったんじゃないかとも思った」という意見が届いた。伝える責任と自らの安全確保という難しい問題だと感じた。

    • 地震の際にヘルメットをかぶってニュース報道をしていたのを見たというモニターが、災害について改めて考え、防災グッズを自分も準備しようと思った、という感想が寄せられた。番組が子どもたちにとって、災害を自分のこととして受け止める機会になると改めて感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ)クラスメイトの紹介のシーンでは、それぞれの見え方について「全く見えてない、光を強く感じる、ぼんやりと色や光が見える」というように視覚障がいにはいろいろあるということを映像で分かりやすく説明してくれたり、芸人の濱田祐太郎さんが漫談を交えて面白く説明をしてくれたり、私たちにも分かるようにしてくれていていいと思いました。また、全くなじみのなかった白杖や拡大読書器のことも、ドラマのストーリーの中で自然に学ぶことができました。(中学1年・女子・東京)

    • 『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ)普通とは一体何なのか考えさせられ、障がい者と健常者、それぞれの生きている世界でたくさんの悩みがあって、それをお互いがカバーしていけるような世界を目指していくことが大切だと思いました。(中学3年・女子・富山)

    • 『日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」』(TBSテレビ)このドラマは原作及び旧作のドラマ『日本沈没』とは話や登場人物の設定が異なっているという。そこで、原作についても調べてみた。同じ作品であってもキャラクターや設定を変えて描きたいことを変える。これが「ドラマ化」の醍醐味なのかもしれないと感じた。国のリーダーとはどんな人であるべきか。そんなことをこのドラマは視聴者に問いたいのかもしれない。(中学3年・男子・静岡)

    • 『日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」』(TBSテレビ)今話題になっているSDGsにも関連するいい番組だと思います。このまま地球環境のことを考えずに暮らしていくと本当に沈没が起こるのかなと思います。(中学3年・女子・宮崎)

    • 『日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」』(TBSテレビ)沈没による被害や犠牲者の実態など、リアルに演出してもらうことにより、視聴者は疑似体験でき、本当に巨大地震が起こった時に、このドラマが参考になり得ることもあると思います。(高校3年・男子・長崎)

    • 『木曜ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」』(テレビ朝日)コロナ禍の病院をドラマで表現することは必ずしも良いことではないのではないか、とも考えます。制作者は、現場の最前線でコロナウイルスと戦う医療従事者、患者にとってこのドラマがどのように映るかをよく考える必要があると感じます。ドラマを見て、医療従事者や患者が愉快に感じるか不愉快に感じるかは作り手の演出次第だからです。すべての視聴者が勇気をもらえるようなドラマとなることを願って、これからの展開を楽しみにしたいです。(高校1年・女子・東京)

    • 『真犯人フラグ』(日本テレビ)1話から伏線がたくさん張られていると思われる。過去に放送された『あなたの番です』のスタッフということもありこれから面白くなりそう。(高校2年・男子・愛知)

    • 『二月の勝者―絶対合格の教室―』(日本テレビ)親が受験についてどう思っているのかということや家庭によってどんな困難があるのかということなど、親の立場で考えてドラマを見られるのが楽しみ。話を重ねていくごとに、「そういう考えもあるのか」と学習できそうだ。(中学2年・女子・埼玉)

    • 『アンラッキーガール!』(読売テレビ)ここまでのアンラッキーさを持つ人はなかなかいないと思うが、結構身近にありそうなこともあり、「ああこういうことあるよね」と共感できるアンラッキーさもあり、それも含めて楽しむことができた。(中学2年・男子・神奈川)

    • 『アンラッキーガール!』(読売テレビ)主人公の幸のようにどんなことがあっても前向きでいられるようになりたいです。(中学2年・女子・大分)

    • 『大河ドラマ「青天を衝け」』(NHK総合)挿入歌では洋風な曲が入ってきて、珍しいのであまりしっくりこなかったが、明治の新政府の情景が浮かんできて、工夫されているなと感じた。曲は作品のイメージにもつながるので、ドラマそれぞれのこだわりが見られて面白い。(高校1年・女子・京都)

    • 『よるおびドラマ「この初恋はフィクションです」』(TBSテレビ)内容よりも放送の仕方に関心を持ち、視聴を始めた。ドラマはTBSの深夜帯に放送しているが、テレビ以外に見逃し配信アプリ、更にはYouTubeで全話が見られるという大きな利点がある。見逃し配信アプリでのドラマの配信は今までもあったが、民放の見逃しYouTube配信は初めてでとても驚いた。YouTubeにはドラマの無断転載も多いのでその防止にもつながると思った。また、1話が15分程で隙間時間にも見やすい、ちょうどいい長さでいいなと感じた。ウェブドラマ(1話15分程度で構成されていて、スマホでいつでも視聴できるという点が人気)の要素も大いにあり、若者が見やすいような工夫を感じた。(高校1年・女子・埼玉)

  • 【自由記述】

    • スマホやタブレットなどのインターネット端末が普及し、テレビを見る人が少なくなってきていると感じます。友だちも「ドラマは見るがニュースやバラエティーは見ない」という人が多かったです。なので、私はとても悲しかったですが、逆に言えばドラマは視聴している人がいるということなので、若者などに人気のマンガを実写化するとか、人気の俳優を主人公にするとかすれば見る人も増えると思いました。(中学3年・女子・富山)

    • ドラマが家族の会話の種になることも多いので、ドラマを見るのを楽しみにしています。最近は、海外ドラマをケーブルテレビで視聴することも増えました。(高校1年・女子・東京)

    • 一つのテレビドラマが何かを考えるきっかけになったり、大きく得るものがあったりするということは、とても素晴らしいと感じます。私も『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ)の影響を受けて「点字ブロックで立ち止まらないようにしよう、白杖を持った方がいたら気にかけよう」と自分なりに意識するようになりました。改めて、たくさんの人に影響を与えるテレビの偉大さを痛感したし、もっとこうした番組が増えればいいなと感じました。(高校2年・女子・埼玉)

    • テレビドラマを見ていると、本編とは別にいわゆる番外編を配信しているという告知が見られる。私は、多くの番外編を「見なくても本編は楽しめるけど、見れば更に楽しめるかもしれない」くらいの内容だと認識している。しかし、まれに「番外編を見なければ本編に謎が生まれる」ものが存在する。こういった場合、その番外編は本来なら本編に組み込まれるべきものなのではないだろうか。(高校3年・女子・東京)

    • 先日、地震があった時、『報道ステーション』を見ていた。スタジオもすごく揺れていたけど、アナウンサーはそのまま情報を伝えていた。「落ち着いていてさすがだな」と思ったと同時に、机の下に入って身を守る行動をとるべきだったんじゃないかとも思った。(中学3年・女子・京都)

    • 10月7日にあった地震で、テレビをつけると、ニュース番組の出演者全員がヘルメットをかぶって放送を続けていました。テレビは災害時の重要な情報源となりますが、その出演者が即座にこのような対応をし、視聴者に注意を呼びかける体制がとられていたこと、それが実践されていたことは素晴らしかったと思います。また、今回の地震をきっかけに、多くのテレビ番組で防災グッズの紹介や、災害が起こった時にするべき行動について、特集が行われており、テレビが、私も含めたたくさんの人々に災害について改めて考える機会を与えてくれたように思います。(高校1年・女子・東京)

    • 先日地震があった時、アナウンサーが「落ち着いてください」と、繰り返し冷静な声で伝えてくれたおかげで慌てず落ち着くことができました。(高校2年・女子・神奈川)

    • 『ドリフに大挑戦スペシャル』(フジテレビ)という番組がありましたが、それについてネットニュースで「痛みを伴う笑い」というワードがありました。すべてを「痛みを伴う笑い」とひとくくりにしてしまうと何もできなくなるのではないかと思いました。今回のコントは、アクションや効果音、表情などで笑わせていると感じましたが、それすらも「痛みを伴う笑いだから子どもに悪影響だ」などと言ってしまうこと、一部分のシーンを見て、それに至る経緯や流れを見ずに「この番組は良くない」と真っ向から否定してしまうことは、少し違う気がしました。(中学1年・女子・東京)

    • テレビ番組をネットで見るのが当たり前になりつつある。自分自身、一人で見たい時に見たいものだけ見るオーダーメードな形に知らず知らずに適応してしまっていると感じることが多い。だんだんとテレビ局もネット配信との両立をするようになり、これからのテレビはどうなっていくのか疑問が出てきた。(高校2年・女子・東京)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)「そんなこと、テレビで流していいの?」と思ってしまうような際どい内容が新鮮でした。テレビではもちろん、ネットでも得られないような、ためになるディープな知識を知ることができて良かったです。(高校2年・女子・神奈川)

    • 『ゲームゲノム』(NHK総合)番組で取り上げていたゲームの評判については僕も聞いたことがあったが、孤立や分断、人と人とのつながりといった、これほどコロナ禍とリンクした内容のゲームだとは思わなかった。最近のコロナ禍において、物資の配達業者などがエッセンシャルワーカーという生活の根本に関わる大事な仕事として改めて注目されているが、それと似た内容を5年前に考えていたというのはなかなかに驚異的だった。(高校1年・男子・東京)

    • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)見るとストレスを一時的に忘れられるように心がポッと温かくなる感覚になる。例えば、いつも身近にいる家族のような番組だと思う。日曜日の6時になると何となくチャンネルを合わせてしまうし、同じような番組は他にも「サザエさん」だとか「笑点」があるように思う。どれも日曜日の夜に、夕飯を食べながら家族で楽しめる番組だ。(中学2年・男子・神奈川)

    • 『BS1スペシャル「勝敗を越えた夏2021~ドキュメント日本高校ダンス部選手権~』(NHK-BS1)中学生の妹がダンスをやっており身近に感じました。各校それぞれのダンスの色があり、力がこもっているのが伝わってきました。何においてもそうですが、完成されたものの裏にはたくさんの努力があります。同世代がこうしてカッコいい姿を見せてくれたことは自分にとっても励みになったと思います。(高校1年・女子・東京)

調査研究について

担当の中橋委員から、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、放送局へのアンケート結果についての経過報告がありました。

以上

第297回放送と人権等権利に関する委員会

第297回 – 2021年10月

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2021年10月19日(火)午後4時~午後7時
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、丹羽委員、廣田委員、水野委員

1. 「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理

NHK宮崎放送局は、2020年11月20日午後6時10分からの『イブニング宮崎』(宮崎県内で放送)の中で、同年3月26日に宮崎市内で男性2人が死亡した住宅火災の続報を放送した。そこでは、この火災は放火殺人事件の疑いが濃くなり、容疑者がガソリンをまいて火をつけ被害者(申立人の兄)を殺害し自分も死亡した可能性があり、その原因として「何らかの金銭的なトラブル」が死亡した2人の間にあったかのように伝えられた。
この放送に対して申立人(被害者の弟)が、「2人の間に何らかの金銭的なトラブルがあった」と報じられたことで、「兄にも原因の一端があったのではないか」との印象を抱かせるものであり、事件被害者である兄の尊厳を傷つけたとして、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「事件当事者の2人が亡くなっている中でも、当時の取材で知り得た情報を基に『被害者』と『加害者』を明確に分ける形で客観的な事実を伝えており、申立人の主張する指摘は当たらない」と反論した。
今回の委員会では、前回委員会での申立人・被申立人双方からのヒアリングやその後の審理を受けて、起草委員から決定文案が示された。委員の間で議論が行われたが、特に「金銭的なトラブル」という表現の評価について、各委員から意見が出された。その結果、委員会は、決定文の原案に修正を加えるとともに、決定内容について次回委員会でさらに議論することとした。

2.  その他

事務局から現時点での申立て状況などを報告した。

以上

第164回 放送倫理検証委員会

第164回–2021年10月

9月の視聴者意見を報告

第164回放送倫理検証委員会は10月8日に開催され、9月にBPOに届いた視聴者意見の概要が事務局から報告された。

議事の詳細

日時
2021年10月8日(金)午後5時~午後6時40分
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、
大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. 9月の視聴者意見の概要

9月の30日間にBPOに届いた視聴者意見のうち、批判的な意見が寄せられた「バラエティー番組の企画」および「自民党総裁選」や「皇室関連」を巡る報道について、事務局からその概要が報告され、議論を行った。

以上

2021年9月に視聴者から寄せられた意見

2021年9月に視聴者から寄せられた意見

特定政党を中傷するような情報番組コメンテーターの発言、患者が自身の判断で医師処方の薬の使用を中止した危険なケースを肯定的に取り上げた特集などへの意見が多かった。

2021年9月にBPOに寄せられた意見は2,586件で、先月と比較して656件増加した。
9月は東京都が緊急事態宣言下にあり、電話による意見の受け付けを中止した。
意見のアクセス方法の割合は、メール98%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性38%、女性28%で、世代別では40歳代27%、30歳代26%、50歳代19%、20歳代16%、60歳以上9%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送事業者を特定したものは、当該事業者のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。9月の通知数は1,343件【48事業者】であった。
このほか、放送事業者を特定しない放送全般への意見の中から23件を抜粋し、全会員事業者に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

特定政党を中傷するような情報番組コメンテーターの発言、医師が処方した薬の使用を、患者が自身の判断で中止した危険なエピソードを肯定的に取り上げた番組などへの意見が多かった。自民党総裁選や眞子さま結婚関連の報道にも意見が集まった。また、BPO会員事業者の放送番組ではないが、会員事業者が出資するネットテレビの特定の番組について多くの意見が寄せられたケースがあった。
BPO青少年委員会が「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」を審議対象としたことに対しても引き続き多くの意見が寄せられた。
ラジオに関する意見は68件、CMについては13件あった。

青少年に関する意見

9月中に青少年委員会に寄せられた意見は108件で、前月から15件減少した。
今月は「暴力・殺人・残虐シーン」が24件、「いじめ・虐待」が9件、「性的表現」が9件、「動物」が8件、「差別・偏見」が7件、と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 情報番組コメンテーターが、共産党に関する自身の誤った発言について「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものだった」と釈明した。閣議決定が事実だとしても、閣議決定自体に時の権力者にとって都合良く扱われやすいという側面がある。閣議決定だからと政府の見解を無批判に述べるようではジャーナリズムが死んだと批判されるのも無理はないと思う。視聴者の多い昼のワイドショーでもあり、制作陣に一層のジャーナリズムが求められてしかるべき。番組がこのような謝罪を容認したことがとても残念。

  • 「共産党は暴力的な…」発言について「政府見解に基づいたもの」との釈明。衆議院選挙が迫る中、公には問題とされていない、党の負の側面を伝えたことで野党共闘にどれだけダメージを与えたか。放送法「政治的に公平であること」に抵触していないか。

  • 小室さんと眞子さまの結婚についてテレビが祝福ムードに持っていこうとしているが、さまざまな疑惑について本人に問いただすのもマスコミの役割で、国民の知る権利の対象だと思う。祝福ムードは控えてほしい。

  • 小室さんと眞子さまは帰国後に記者会見を開くそうなので国民の「知る権利」を振りかざしてさらし者にする必要性は存在しない。小室さんは道を歩いただけでその様子を一方的に切り取られて放送され、「髪が長い」、「態度が悪い」などの批判にさらされてしまった。一連の放送は極めて悪質だと思う。

  • 自民党総裁選の候補者は党内のことに限らず今後の日本についても語り、テレビもそれが当然であるかのごとく放送している。他の党はテレビで取り上げられることもない。自民党だけ衆院選の選挙運動をテレビを使ってやっているようで不公平だと感じる。

  • コロナ感染症から復帰したタレントが情報番組で「もっと早く菅首相には辞めていただきたかった」、「生死の境をさまよった人間として言わせてもらう」、「(亡くなった人たちが)この政治のおかげで命を失っていることを絶対に忘れないでほしい」。この発言は公共の電波で発信されるべきものを逸脱している印象を受けた。「政府のコロナ対策がもっと厳しくてもよかった」という意見はあったとしても、自身のコロナ感染を政権批判の材料にするのは公平性に欠けると思う。

  • 「運転中にあおられた」という視聴者投稿動画によるニュース。あおられる前に投稿者側が迷惑運転をしていたことが分かる動画が広がり、ニュースはウェブサイトから削除された。迷惑運転の部分をカットして、あたかもあおり運転をした側が一方的に悪いかのように編集し放送する事は正しいことなのか。一部のみを切り取る加工はねつ造ではないのか。

  • 情報番組で「鼻出しマスク市議」を取り上げていたが、出演者が誰一人マスクを着用していないテレビ局が、どの面下げて他人のマスクのつけ方を批判できるのか。

【番組全般・その他】

  • 番組は、現在ステロイドを使用している人たち(私も含めて)にすさまじい不安や恐怖を抱かせた。番組の公式サイトを見にいくと「患者が自らの判断で薬の使用を中止すると症状が悪化することがあります。治療については、医師の指導に従ってください」。そういう大事なことは番組内など、より多くの人の目に触れるように発信していくべきではないのか。(9月10日の投稿)

  • ステロイドの件について番組内でしっかりと時間を取り、しっかり説明と謝罪をしていた。問題に真摯に向き合っていると感じた。この先も長く愛される番組であることを期待する。(9月15日の投稿)

  • 「かわいい男子大好きな男性芸人」企画の「自分が女子だったら付き合いたい男芸人ランキング」が画期的でとても良かった。自分のセクシャリティと重なる部分もあり、とても面白く見ることができた。今後もこのようなスタンスの番組が増えればいいなと思っている。

  • 「かわいい男子大好きな男性芸人」企画で出演者が「(自分の好きな男子を)恋愛対象として見てはいない」と強調。本人にネガティブな意図はないとは思うが、まるで「同性愛はおかしい」というような言い方だ。こうした発言はこの社会をさらに生きにくくしているだけだ。自分のちょっとした発言にも社会的影響力があるということを、出演者、そして制作者の間でもっと意識していく必要があると思う。

  • 私には小学生の時にいじめられていた時期があった。そんな辛い時期に少しだけ救われる思いになれたのが、おそらくBPOが審議しようとしている「バラエティー番組」だった。規制は視聴者の救いを奪う事にもなりかねないということを心に留めて審議してもらえれば幸いだ。

  • 子どもが旺盛な食欲で毎食、通常よりかなり多い量の食事をとる様子を楽しく紹介していたが、非常に危険。幼少期から必要以上のカロリー、塩分を摂取していると推測される。「子どもはいくら食べても大丈夫」というのは幻想であり、小児糖尿病患者もいることを忘れてはならない。このような放送は一種の暴走を引き起こしかねず医師として看過できない。

  • 大食いさせられたり激辛料理を食べさせられたりしているのを見ると悲しい気持ちになる。なんで悲しくなる企画をテレビで見せられなくてはいけないのか。テレビは皆がハッピーになる番組を流してほしい。

  • テレビで旅行やレストランなどの情報を放送している。放送の自由はわかるが、国民が死んでいるのは事実だ。1人でもコロナ感染を減らすために番組内容を考えるべき。私たちが店を閉めてコロナ感染を減らそうとしている中、テレビ局は感染者を増やしているとしか思えない。お店や観光地の紹介は今は控えて、映画やドラマなど家に居られる番組を放送してほしい。

  • タレントがスタジオに集まって酒を飲みながらトークする番組。みんなが感染対策をしたり飲み会を自粛したりしている中で、あのような番組を普通に流すのはどうかと思った。

  • 「何か」をするとカウンターが作動する住居のセット内で、解答者がその「何か」を見つけ、制限時間内にカウンターを100にすれば勝ち抜けという問題の正解が「金魚の入った水槽を左→右→左→右…と往復移動させ続けること」。命をないがしろにしなくても済む番組作りはできないものか。生き物の命をおもちゃにすることを禁止するガイドラインは作れないのか。

  • ペットのウサギに風船を与えて遊ばせ、それが割れて慌てふためく様子に「ぜんまい仕掛けのおもちゃ」などの字幕をつけてオモシロ動画として放送。たいへん危険な行為でウサギは音のストレスに弱く死に至る場合もある。「いいね!」欲しさに過激な動画をアップする飼い主が後を絶たない。このような動画を放送すれば、テレビに取り上げてもらおうとまねをする人間が必ず出る。

  • ドラマ番組名の一部が「白杖ガール」。啓蒙したいのかもしれないが不愉快なネーミング。原作コミックの題名ではあるが、コミックはお金を払い手に入れるもの、テレビドラマは公に発信するもの。「白杖」は障害があるゆえにそれがなくては生活がままならない、体の一部。それに「ガール」と付け加えれば、暗くなりがちな障害者の話もポップになる、とでも考えているのだろうか。普通「あなた義足ガールですよね」、「あなたのお子さん、アスペルガーキッズなんですね」などと口にするだろうか?

青少年に関する意見

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • 劇場版「映画」PG12指定のアニメが19時から放送されたが、首が生々しい効果音と飛沫の描写付きで飛ぶなど刺激の強い残虐なシーンがあるのに、事前の注意喚起もなく放送したことに怒りを覚える。民放連・放送基準の第18条にも抵触しているのでは。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • アニメ作品で、人の容姿について憎らしいから暴行を働くような内容をやっていたが、これはいじめを助長しているのではないか。

【「性的表現」に関する意見】

  • 女子高生の下着姿や全裸で入浴する描写のあるアニメ作品は、児童を性的に表現していると思う。

【「動物」に関する意見】

  • クイズ番組で、生きている金魚の入った水槽を揺らし続けて課題を解決する問いがあった。多くの生徒も見ている番組で、生き物にストレスを与えるような行為と、金魚に対してひどく可哀想と思える行為を高校生にさせて、放送したことに、とても心を痛めた。生き物は番組の道具ではないと思う。

【「差別・偏見」に関する意見】

  • 「スイカ割り」企画が事前予告され、放送された。あまり目くじらを立てることではないかもしれないが、「スイカ割り」は、健常者が目の不自由な状況をわざわざ作ってはやしたて、「成功」、「失敗」を笑う遊びだ。もしも自分や我が子、身内に目の不自由な方がおられたらどんな気持ちになるだろうか。今日はパラリンピックの最終日。全盲のマラソンランナー道下さんが金メダルを獲得し、とても感動した。毎度だが、少しくらい想像力を働かせることはできなかったのか。パラリンピックの日本開催の期間にわざわざやることについて、大勢のスタッフの誰も何も思わなかったとすれば疑問だ。

第238回 放送と青少年に関する委員会

第238回-2021年9月

千葉県八街市児童5人死傷事故報道における同級生へのインタビューについての討論で委員長コメントを公表…など

2021年9月28日、第238回青少年委員会を千代田放送会館会議室およびオンラインで開催し、7人の委員全員が出席しました。
千葉県八街市の児童5人死傷事故の取材での被害児童の同級生へのインタビューについて討論した結果、委員長コメントを公表することにしました。
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議にあたり、東海大学文化社会学部教授の水島久光氏からお話しをお聞きするとともに質疑応答を行いました。
また、8月後半から9月前半までに寄せられた視聴者意見について議論し、続いて9月の中高生モニター報告(テーマ:「オリンピック・パラリンピック関連番組について」)を検討しました。中高生モニターの「自由記述」では、「NHK以外の放送局でももっとパラリンピックの中継をしてほしいと感じた」という意見が複数のモニターからありました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
最後に今後の予定について話し合いました。
次回は、10月26日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年9月28日(火)午後4時30分~午後7時20分
場所
千代田放送会館会議室およびオンラインで開催
議題
八街市児童5人死傷事故報道における同級生へのインタビューについての討論
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議
 (水島久光東海大学文化社会学部教授からのヒアリング)

視聴者からの意見について
中高生モニターについて
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、
髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

八街市児童5人死傷事故報道における同級生へのインタビューについての討論で委員長コメントを公表

千葉県八街市の飲酒運転による児童5人死傷事故の取材で、被害者の同級生へのインタビューを放送した番組について委員会で複数の放送局に対し、取材の目的・保護者等への許諾の取り方・チェック体制・2005年の「『児童殺傷事件等の報道』についての要望」の認識状況、などを文書にて問い合わせをし、その報告メモを基に討論を進めました。
事件直後のインタビューが子どもに与える影響とともに、2005年時には顕著ではなかった問題として、放映された画像と発言が、SNSや画像メディアとして記録、加工され拡散配信されてしまう可能性が大きくなったという事が挙げられました。今回の取材では保護者と本人にインタビューの同意を得たということですが、インタビュー画像が記録加工され、長い期間にわたって拡散配信されていく可能性についてまで説明したかどうかが重要なポイントの1つとして討論されました。子どもがPTSDになる、後のいじめの対象になる、あるいは、大人になってからもその発言を引きずる等の可能性もあるので、放送局には再考をお願いしたいとの意見が出されました。
以上を踏まえて、事故の被害者周辺の未成年者への取材の在り方に関し、取材や放送時に留意すべき点について、《委員長コメント》を出すこととなりました。

委員会の議論を受け、榊原委員長から、次のような《委員長コメント》が出されました。《委員長コメント》とは、「審議」には進まないが、青少年委員会の委員長として、特に注意してもらいたい点、配慮してほしい点などを述べたものです。

2021年10月6日

通学中に起きた児童の死傷事故についての未成年者への取材のあり方に関する
《委員長コメント》

放送と青少年に関する委員会
委員長 榊原 洋一

 千葉県八街市で通学中の児童が自動車事故によって死亡した事件をめぐる複数の報道番組等において、亡くなった児童の友人に対して行われた取材の方法について、視聴者から以下の例のような意見が多数寄せられました。

  「死亡事故による深い悲しみの中で、故人についてインタビューする行為は、事故によるトラウマを想起させ二次被害に繋がることがあり、専門家でも慎重な対応が必要である。」「(事故被害者の通っていた)学校では、事故の翌日、子どもたちの心のケアのために休校にしている。(中略)あれを見た他の子どもや保護者の心は考えなかったのか。」

 特に子どもの顔を映しながらの取材の中で、犠牲になった子どもを想起させる一連の質問に加えて、亡くなった子どもへの複雑な気持ちを誘導的に引き出すような質問がなされたことに、批判が向けられていました。同級生の死という特に子どもにとって心理的ショックの大きい時期に、痛ましい記憶の想起によるPTSDなどを起こしかねない取材のあり方に大きな問題があったと考え、青少年委員会では本件について、討論を行いました。

 衝撃的な事件や事故の報道については、2002年に青少年委員会は米国での同時多発テロの映像による子どものPTSDの懸念から、「衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮」を求めた提言を行っています。さらに2005年には、「児童殺傷事件の報道」についての要望を出し、その中で「被害児童の家族・友人に対する取材」に関して「家族や友人等への執拗な取材、特に児童へのインタビューは、悲惨な事件によって打ちひしがれた心をさらに傷つけることにもなりかねず、また親しい者の死を悼む子どもの心的領域に踏み込む行為であるので、慎重を期すよう要望したい」とより踏み込んだ要望をしています。

 今回の事故によって犠牲になった子どもの友人に対して行われた取材は、まさに2005年の要望が十分に反映されていなかったことを示したものだと考えます。番組の制作者は委員会の作成した質問書への回答の中で、2002年、2005年の青少年委員会の提言や要望を知っていたこと、また冒頭の誘導的に見える質問も意図したものではなかったという回答が得られていますが、結果としてインタビューを受けた子どもの心的領域に踏み込んでしまった事は否めません。

 今回の顔を映しながらの取材には、2005年時には想定されなかったもう一つの大きな問題があります。それは放映された画像と発言が、SNSや画像メディアとして記録、加工され拡散配信されてしまう可能性がある事です。今回の取材では保護者と本人にインタビューの同意を得たという回答を得ていますが、インタビュー画像が記録加工され、長い期間に亘って拡散配信されていく可能性についてまで説明したかどうかは明らかではありません。誘導的に引き出されたとしても、事故に巻き込まれた犠牲者に対する複雑な感情を発言している映像を、インタビューを受けた子どもやその友人が繰り返し見る事による人間関係の障害や、本人の呵責の念などの深い心理的ダメージにつながる危険性は看過できません。

 特に今回の友人である子どもへのインタビューが、本来事故の報道番組の伝えるべき中核的な内容であったのかという点に照らし合わせると、今回のインタビューそのものの必要性にさえ疑問を感じます。

 報道に関わる全ての番組制作者の方々には、是非2002年、2005年の青少年委員会の提言、要望を再読し、衝撃的な事件や事故に係る子どもへのインタビューに細心の注意を払っていただくとともに、報道番組で伝えるべきコンテンツについて改めて再考をお願いしたいと思います。

以上

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議
2009年のBPO放送倫理検証委員会第7号意見書「最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見」作成の経緯等について -水島久光東海大学教授

現在進行中の「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議の参考とするために、7号意見書をとりまとめた経緯等を伺いました。
今から12年前である2009年のBPO放送倫理検証委員会第7号意見書「最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見」には、社会状況が悲痛な停滞感のある中では嘲笑的な笑いの構造がどんどん進んでいくのではないか、みんなでそれを笑わなければいけないような同調圧力が生まれ、それが暴走して一人の人間を攻撃するとか、社会がそうした風潮に染まっていく危険性が、SNS等の発展と共に進むのではないかと指摘されていました。(同意見書P.12)
当時の放送倫理検証委員として同意見書の作成に携わり、また、社会心理学の立場からコミュニケーション学を専門とする東海大学文化社会学部教授の水島久光氏から、同意見書を出した当時の経緯及び議論状況並びにその後の放送界の変化についてお話しを伺い、その後質疑応答を行いました。
水島教授の指摘された点を参考に、審議を続けていくことになりました。

視聴者からの意見について

8月後半から9月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
男性アイドルが冷水を浴びる修行を体験、水着が溶けて全裸になるという企画に対し、「いじめ・セクハラだ」「学校のプールで真似されて悲しむ生徒がいないことを願う」等の意見が寄せられました。
委員からは、「了解してのことのようには見えるが、それをいじめに繋がる印象を受ける人もいるだろう」「今回も男性だが、女性ではまずあり得ない。その辺の課題もある」との意見が出されました。
大掛かりなセットで傾斜の付いたレール上を、バーベルがゴロゴロと転がってきて、そのバーベルの棒を足のすねで受け止める、その痛みに耐える足のすね最強ナンバーワンを決めるという企画に対し、「エスカレートすれば骨折する」「苦悶している様を笑うのは余りにも酷い」という意見が寄せられました。
委員からは、「リアクション大会のようなもの」「巨大なセットを使っており、マネできないような、ある種防御線を張っている」等の意見が出されました。
大きな巨大風船をかぶって、柑橘系の液体を吹きかける銃で撃ち合って、その風船を割るという企画について、「子ども達が真似したら窒息などの重大事故に繋がりかねない」「注意喚起は小さい文字でされていたが、子どもはそんな所は読まない、見た目だけで真似をする」等の意見が寄せられました。
委員からは、「一般人にはマネできない」「安全対策もきちんと取られている」等の意見が出されました。
劇場版アニメが話題となった作品のゴールデン帯での放送について、「流血、残虐なシーンが多すぎる」「人を食べたり、腕がもげたり、ひどく暴力的でグロテスクな画が多くて大変不快」等の意見が寄せられました。
委員からは、「映画も大ヒットして、受け入れられているのでは」「注意しながら見てくださいということも、世の中的には了解されている」等の意見が出されました。
クイズ番組のルールで、部屋の中の”あるもの“を100回動かすと解答できるという設定になっており、それが「金魚の泳ぐ水槽」だったのですが、「生き物にストレスをかける行為だ」「動物虐待ではないか」等の声が寄せられました。
委員からは、「直接金魚を苦しめるものではない」等の意見が出されました。
以上は「討論」等に入ることはありませんでした。
催眠術をかけて記憶をなくさせて、トイレで爆竹を鳴らすというドッキリを何度も仕掛けてループにはめる企画に対して、「芸人に催眠術をかけて記憶を消し、何度も同じドッキリを仕掛けて皆で大笑いしていた。人の記憶を操作するなど倫理的に許されない」「いじめやパワハラは仕掛ける側が“いじめじゃないよ”と言い逃れすれば、一日中どころか一生ループが止まらない」等の意見が寄せられました。
委員からは、「民放連の放送基準 第3章 児童および青少年への配慮 (20)に催眠術を取扱う場合は、児童および青少年に安易に模倣させないよう特に注意するようにとされており、ドッキリであるとしても、催眠術をかけること自体の演出もいかがなものか」「民放連の放送基準に注意規定があることを確認しているのか」等の意見が出され、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」の審議の中で、引き続き議論することとなりました。

中高生モニター報告について

35人の中高生モニターにお願いした9月のテーマは、「オリンピック・パラリンピックの関連番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の欄も設けました。全員から報告がありました。
「オリンピック・パラリンピックの関連番組について」で複数のモニターから意見が寄せられたのは6番組でした。『東京2020オリンピック 開会式』(NHK総合)に6人から、『東京パラリンピック総集編』(日本テレビ)に4人から、『東京2020パラリンピック 閉会式』(NHK総合)と『東京2020パラリンピック あさナビ』(NHK総合)、『ハートネットTV「パラマニア」』(NHK Eテレ)、そして『ジャンクSPORTS』(フジテレビ)にそれぞれ2人から報告がありました。
「自由記述」では、今月もオリンピックに関連して記述したモニターが最も多く、複数のモニターから上がった内容は、「NHK以外の放送局でももっとパラリンピックの中継をしてほしいと感じた」「オリンピック・パラリンピックの開催とコロナ感染者数の増加は関係があったのか否か気になる」というものでした。今回は、ドラマや報道番組などについて、個別の番組名を挙げて感想を書いたモニターがいつもより多くいました。また、BPO青少年委員会で「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」が審議入りしたことについても複数の意見や感想が寄せられました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『よるドラ「古見さんは、コミュ症です」』(NHK総合)と『サザエさん』(フジテレビ)にそれぞれ9人が、『東大王 ★クイズに青春を捧げた夏・・・高校日本一決定★』(TBSテレビ)に3人が、『ロッチと子羊~迷えるあなたに哲学を~』(NHK Eテレ)と『高校生いいeeeee!STAGE:0 2021 eスポーツ甲子園』(テレビ東京)にそれぞれ2人が感想を寄せています。

◆委員の感想◆

  • 【オリンピック・パラリンピックの関連番組について】

    • パラリンピックがテレビで多く放送され、意見交換する番組も出てくるようになった。中高生モニターの報告にあったように、心のバリアフリーを進めるために、これからも考え続けていかなければいけないことだと思う。

    • オリンピックやパラリンピックの開会式、閉会式、試合といった大会自体を中継する以外の番組で、選手の素顔を知ることができるなど、オリンピックにまつわる内容について評価しているモニターが少なくなかった。そのような関連する番組もひとまとまりとして、モニターたちはオリンピックやパラリンピックに対する印象を作っているのだと感じた。

    • 「パラリンピックについて、全ての放送局でもっと放送すべきではないか」という意見が多かった。確かにそうだと思った。

    • 複数のモニターがオリンピックの開催がコロナの感染にもたらした影響をしっかりと分析し、マスコミで取り上げてほしいという意見を寄せていたのが気になった。

    • 同世代の選手の活躍がモニターに大きな感動を与えたということがよく分かった。

  • 【自由記述について】

    • 「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について、モニターの声も参考にしながらしっかりと審議していきたい。

◆モニターからの報告◆

  • 【オリンピック・パラリンピックの関連番組について】

    • 『東京2020オリンピック 開会式』(NHK総合)実況の人が全ての国の紹介をしてくれていて、それがあることで退屈せずに楽しめた。短い時間での紹介、すごいと思った。(中学3年・女子・京都)

    • 『東京2020オリンピック 開会式』(NHK総合)オリンピックの開会式の最高視聴率が56.4%というニュースを見て、「テレビ離れ」とよく言われるけれど、テレビで放送される内容が面白くないからテレビを見る人が少なくなっているのではないのかなと思いました。(高校1年・女子・大阪)

    • 『東京パラリンピック総集編』(日本テレビ)パラリンピックはあまり見ていなかったが、試合や開会式について上手にまとめていて良いと思いました。演出方法については、このような番組は障害のある人も多く見ると思うので、その人たちにももっと分かりやすい番組にするために、手話をつけたりするなどの工夫をすると良いと思いました。(中学1年・男子・岩手)

    • 『東京パラリンピック総集編』(日本テレビ)他の番組ではパラアスリートの苦労がクローズアップされている印象があったのですが、この番組ではそういう演出があまりなく、選手のお茶目な部分が見られてパラアスリートに対する見方が少し変わりました。(高校2年・女子・神奈川)

    • 『東京2020パラリンピック 閉会式』(NHK総合)閉会式にはテーマがあり、パフォーマンスを通して伝えていたのですが、少し自分には(パフォーマンスだけでは)伝わらないところもありました。ですが、アナウンサーが「これはこういったことを伝えている。こんな意味がある」と話されていたので、とても分かりやすく伝わりました。(高校1年・男子・群馬)

    • 『東京2020パラリンピック あさナビ』(NHK総合)最初は、オリンピックやパラリンピックには、あまり興味がありませんでした。ですが、今回見た番組では、『小林よしひさ』という、前に『おかあさんといっしょ』(NHK Eテレ)出ていた体操のお兄さんが『ユニバーサルリレー』の見どころやルールを説明していました。『おかあさんといっしょ』は自分も幼い頃に長い間見ていたので、小林よしひささんが説明しているというところにひかれて、見ることにしました。自分のほかにも、小林さんがテレビの情報番組に出ているということにひかれ、番組を見た人は少なくなかったのではないでしょうか。(中学2年・女子・大分)

    • 『ハートネットTV「パラマニア」』(NHK Eテレ)パラリンピック競技を見るどんな世代の人にもどんな競技なのかが分かる表現の工夫がされているなと思いました。古舘伊知郎さんがたとえの表現を使って「ゴールボール」の試合を分かりやすく説明していたからです。専門的な用語で話されても絶対に分からないと思うけど、自分でも意味の分かる言葉を使って説明されることで、「ゴールボール」について少しは分かるようになりました。そしてクイズ形式で問題が出題されるので視聴者も一緒になって考えやすいのかなと思いました。(中学3年・女子・宮崎)

    • 『ジャンクSPORTS』(フジテレビ)オリンピックの閉幕翌日にメダリストの皆さんが集合するという生放送の企画だった。MCの浜田さんがメダルを取る前から長期にわたって密着してきた選手も多くいて、ずっと応援していた選手の快挙を番組が称えるという姿勢がとても温かくて良いと思う。メダリストになってからではなく、選手の卵の時から応援しているような関係性だからこそ、本音や裏話が聞けたりして興味深く見ることができた。(高校1年・女子・京都)

    • 『東京2020オリンピック スケートボード 女子ストリート』(NHK総合)日本人歴代最年少で金メダルを取ったのはとても感動しました。数多くの競技を見ましたが、この種目がいちばん心動かされました。(中学2年・男子・東京)

    • 『東京2020オリンピック スケートボード 男子ストリート』(NHK総合)オリンピックで私がいちばん夢中になって見たのは、スケートボード男子ストリート、女子ストリートです。どちらもリアルタイムで視聴できました。まだ結果を知らない中で日本の若い選手を応援して、どちらも「金メダルを取れた!」瞬間の感動を味わうことができました。(高校2年・女子・埼玉)

    • 『NHKスペシャル「TOKYOカラフルワールド~香取慎吾のパラリンピック教室~」』(NHK総合)全てを包み込むという意味のインクルーシブを実現した社会「カラフルワールド」を目指すにはどうすれば良いかを話し合う番組でした。日常においては、水泳の選手が討論の場で話したように、まだまだ車いすに対応していない乗り物や施設が多くあり、その影響で、行動までが制限されてしまう場合があります。ゲストの中学生も話していましたが、人や社会がバリアフリーになっていないのも原因だと考えられます。障がい者のことを一方的に助けるという認識ではなく、お互いに助け合えているという認識から、心のバリアフリーも進んでいくのではないかと思います。(中学1年・女子・東京)

    • 『スポーツ×ヒューマン #私のTOKYO「陸上・新谷仁美」』(NHK-BS1)アスリートも人間であり守るべきものがあって、たくさんの葛藤に苦しんでいるということが分かり、アスリートの気持ちとなって考えることができました。(中学3年・女子・富山)

    • 『情熱大陸「阿部詩・阿部一二三」』(TBSテレビ)メダリストの私生活を取り上げていた。なかなか知ることができないことなので、貴重な機会だったと思う。このように人となりを深く知ることができる番組はとても魅力的だと思った。(高校3年・男子・東京)

  • 【自由記述】

    • パラリンピック観戦の話が、私の中学にも来て、結局はなくなってしまいましたが、テレビのニュースで、実施した学校が報道されていました。その時、参加した児童や生徒たちが競技場に入っていく姿にぼかしが入っていて、まるで悪いことをしているような演出の仕方に感じました。そもそも、入っていく途中の様子を映像にしなくてもいいのではないかと思います。もし私が参加したときにこのように報道されていたら、少し悲しく、不快に感じると思います。(中学1年・女子・東京)

    • 東京での開催ということで、オリンピックもパラリンピックもリアルタイムで競技を視聴する機会がありました。3年後のパリでも、競技の結果だけではなく、ぜひどちらも中継してほしいと願います。また、パラリンピックが終わっても、その時だけで終わらずに、継続してパラリンピック選手を応援することができるような環境を作ってほしいです。(中学3年・女子・宮崎)

    • 東京オリンピックはNHK、民放どちらも放送していたけど、パラリンピックはNHKしか放送しないんだとびっくりしました。民放で「パラリンピックは明日から」と言っていたり、ニュースなどでパラリンピックを取り上げたりしていたのに、なぜ放送しないんだろうと思いました。(高校1年・男子・群馬)

    • オリンピックの開催とコロナ問題は今回切っても切れないものだと思います。開催についての是非は各メディアで取り上げられていましたが、それに比べると開催した結果、コロナ感染の影響がどのようなものだったのかがあまり取り上げられていないように感じます。(高校1年・女子・東京)

    • オリンピック・パラリンピックでは同世代の選手の活躍も目立ち、感動しました。(高校1年・女子・東京)

    • 自分はオリンピックを開催して良かったと思った。開催前は確かに疑問のある大会であったし、国のプライドのために自国民を危険にさらすのか…とも思ったが、閉会して思ったのはスポーツの素晴らしさであり、史上最多のメダルを取ることができたなどの輝かしい成果である。確かにこの大会によって感染者数が増えたと言ってしまえばその通りで反論することもできないが、オリンピックによって励まされた人がいたことや、人に与えた影響も計り知れない。(高校1年・男子・神奈川)

    • 最近、夏休み、その後のオンライン授業で在宅ということもあって、朝ドラを見ることが多くなった。『おかえりモネ』は気象情報番組の作られる様子が描かれていて、それを垣間見るようで面白い。(中学3年・男子・静岡)

    • 高校野球や高校生クイズなど、高校生の青春である番組が変わらず今年も放送されて良かったと思う。部活も制限されて目標がなくなっている中、こういう高校生たちの目標になる番組が放送され、本人たちだけでなく視聴者も元気をもらえた。(中学3年・女子・京都)

    • 『日曜劇場「TOKYO MER」』(TBSテレビ)コロナ禍医療現場で働いている方々へのエールとみんなで協力して乗り越えることの大切さがとても伝わるドラマでした。コロナと闘う方々とそれを支援する私たちが結集することで、コロナに打ち勝つ力になると思います。このドラマを通じて多くの人にこの思いが届くことを願います。(高校2年・女子・静岡)

    • 『BPO青少年委員会は8月24日、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」を審議入りすることを決めた』という報道が広くなされました。BPOの青少年モニターの一員として、モニターが果たす役割や責任の重さを改めて感じました。(高校3年・男子・長崎)

    • 審議入りについて。面白いエンタメを失わず、さらに人をなるべく傷付けないように発展する方法がないだろうか、と思っている。(高校3年・女子・東京)

    • 今月は自宅のテレビが壊れて、画面が映る時と映らない時があり、とても困りました。その時、私たちはテレビで天気予報や地震速報、感染状況などのニュースの情報を手に入れていて、テレビは日々の娯楽というだけでなく、日常生活を支える情報源だと感じました。また、テレビはスマホなどの電子機器の普及率の差によるデジタルディバイドを埋めるほどの、幅広い世代の情報を伝える媒体という役割を果たしていることを改めて実感しました。(高校3年・女子・静岡)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『よるドラ「古見さんは、コミュ症です」』(NHK総合)学校のマドンナなのにコミュ症、金髪なのに小心者など、個性豊かなメンバーでおくる物語という設定がとても面白いと思ったし、さまざまな人の考えから物事を見ることができて良い番組作りだと思った。(中学1年・男子・岩手)

    • 『よるドラ「古見さんは、コミュ症です」』(NHK総合)「普通」って何なんだろうと考えさせられるドラマだった。(中学3年・女子・京都)

    • 『よるドラ「古見さんは、コミュ症です」』(NHK総合)フツーじゃないことで避けられたり、避けてしまったり、葛藤する描写に共感できました。出演者が実際の高校生より年齢が高いため生々しさがなく、コミカルになっていて良いと思いました。(高校2年・女子・神奈川)

    • 『サザエさん』(フジテレビ)温かいキャラクターで、見ていてとても明るくなるアニメだと思う。祖母も大好きで、いろんな年代の人に親しまれていることは他のアニメと比べてとても凄いと思った。これからも放送を続けてほしい。(中学2年・男子・長崎)

    • 『サザエさん』(フジテレビ)久しぶりに視聴してみて、ほのぼのとした独特の世界観でとても懐かしい気持ちになりました。エンディングのサザエさんとのジャンケンはいくつになってもやってしまいます。(中学3年・女子・富山)

    • 『東大王 ★クイズに青春を捧げた夏・・・高校日本一決定★』(TBSテレビ)東大王は、本当に超難問ばかりで見ていて面白い。私は、その問題に日常の雑学を取り入れてみてはどうだろうかと思う。視聴者の人たちが日常の雑学について触れることでクイズで知識を増やせるし、学校で友だちとの話のネタにもなるため、そのようなジャンルの問題を試験的に取り入れてみてはどうだろうか。(中学2年・男子・神奈川)

    • 『ロッチと子羊~迷えるあなたに哲学を~』(NHK Eテレ)学生の悩みを誰かに話すことで解決できる可能性もあるよと示し、かつ哲学という少しとっかかりにくいことも一緒に学ぶことができるという設定はとても面白かったです。また、テロップや説明のイラストがカラフルでかつ分かりやすく、大事な情報をインプットしやすかったです。しかし番組の進行のテンポ感が少しもたついているように感じ、見ていてあまり楽しめませんでした。(高校3年・女子・静岡)

    • 『高校生いいeeeee!STAGE:0 2021 eスポーツ甲子園』(テレビ東京)eスポーツの高校生大会を放送するのはとても新鮮で良かったです。高校生が頑張っていることを報道される機会が増えるといいなと感じました。(高校3年・女子・福岡)

    • 『BS1スペシャル「甲子園で輝きたい~女子高校球児の夏~」』(NHK-BS1)番組で3チームの軌跡を見て、それまで意識したこともなかった女子野球について俄然興味が湧いた。競技人口が増えない限り厳しいかもしれないが、いつか男子と同じく決勝以外でも甲子園球場の地を踏めるようになる日が来ればと願うばかりである。(高校1年・男子・東京)

以上

2021年10月1日

2021年10月1日

緊急事態宣言解除を受けたBPO事務局の対応について

新型コロナウイルス感染拡大に関する政府の緊急事態宣言が解除されたことを受け、感染対策に留意しつつ、視聴者電話の受け付けを再開しました。

第296回放送と人権等権利に関する委員会

第296回 – 2021年9月

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」ヒアリングを実施…など

議事の詳細

日時
2021年9月21日(火)午後3時~午後7時20分
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、廣田委員、水野委員

1. 「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」ヒアリング及び審理

NHK宮崎放送局は、2020年11月20日午後6時10分からの『イブニング宮崎』(宮崎県内で放送)の中で、同年3月26日に宮崎市内で男性2人が死亡した住宅火災の続報を放送した。そこでは、この火災は放火殺人事件の疑いが濃くなり、容疑者がガソリンをまいて火をつけ被害者(申立人の兄)を殺害し自分も死亡した可能性があり、その原因として「何らかの金銭的なトラブル」が死亡した2人の間にあったかのように伝えられた。
この放送に対して申立人(被害者の弟)が、「2人の間に何らかの金銭的なトラブルがあった」と報じられたことで、「兄にも原因の一端があったのではないか」との印象を抱かせるものであり、事件被害者である兄の尊厳を傷つけたとして、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「事件当事者の2人が亡くなっている中でも、当時の取材で知り得た情報を基に『被害者』と『加害者』を明確に分ける形で客観的な事実を伝えており、申立人の主張する指摘は当たらない」と反論した。
今回の委員会では、申立人・被申立人双方からのヒアリングを実施した。特に「金銭的なトラブル」という表現について、両者の意見を聞いた。その後、審理に移り決定の方向性について意見を交わし、その議論を基に担当委員が起草に入ることを決めた。

2.  その他

事務局から現時点での申立て状況を報告した。

以上

第163回 放送倫理検証委員会

第163回–2021年9月

日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見の通知・公表について報告

第163回放送倫理検証委員会は9月10日にオンライン会議形式で開催された。
今回の委員会より大村恵実委員が加わり、また委員会の冒頭、小町谷委員長が委員長代行に高田昌幸委員を指名した。
委員会が7月21日に行った日本テレビの情報番組『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見の通知・公表について、出席した委員長と担当委員から当日の様子が報告された。

議事の詳細

日時
2021年9月10日(金)午後5時~午後6時15分
場所
オンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、
大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. 日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見の通知・公表について報告

日本テレビは3月12日に放送した情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した際、出演したタレントが「この作品とかけまして、動物を見つけた時ととく。その心は、あ、犬」という謎かけのコメントをした。
委員会は、本件放送はアイヌ民族に対する明らかな差別表現を含んだもので、オンエアに至った背景には、収録動画の最終チェック体制が極めて甘く、アイヌ民族やその差別問題に関する基本的知識がスタッフ間で決定的に不足していた点があったことを指摘し、日本民間放送連盟の「放送基準」の「(5)人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別しない」「(10)人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」などに反しているとして、放送倫理違反があったと判断した。
当該局に対する通知および公表の記者会見は、7月21日、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言下であることからオンライン会議システムを使用して行った。
この日の委員会では、通知・公表に関する当該局の報道と、その後当該番組内で放送された検証コーナー、ならびに当該局の検証番組を視聴したうえで、委員長と担当委員が通知・公表の詳細について報告した。
通知と公表の概要は、こちら

以上

2021年7月21日

日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は、7月21日午後5時40分から、オンライン会議システムを使用して行われた。委員会から小町谷育子委員長、高田昌幸委員、井桁大介委員、米倉律委員の4人が出席し、日本テレビからは取締役専務執行役員ら3人が出席した。
まず、小町谷委員長から委員会決定について、本件放送にはアイヌ民族に対する明らかな差別表現が含まれており放送倫理違反があると判断したことを伝えた。その背景として「収録動画の最終チェック体制が極めて甘かったことや、紹介作品をスタッフの中で1人しか見ていないなど自らの制作番組に対するこだわりが薄かったこと、番組で取り上げたアイヌ民族やその差別問題に関する基本的知識が決定的に不足していたことが挙げられる」と説明した。そして「ヒアリングを受けた制作スタッフは口々に差別をする意図はなかったと語っているが、意図がなくても差別発言が容認されるわけではない」と指摘した。また、スタッフの1人が、当該コーナーで紹介した作品は差別される側の問題を伝える内容なので、番組で片方の意見だけを伝えることになるのではないかと考えたことについて「バランスをとって伝えるということが誤って放送現場に定着している可能性がある。研修等を通じて改める必要がある」と述べた。
続いて高田昌幸委員が「日本テレビでは、かつて、バラエティー番組内でお笑いタレントが「イヨマンテの夜」の曲を流しながら踊ってみせた際、アイヌ民族の尊厳を著しく貶め差別を助長したという問題が起きた。その教訓が全く生かされておらず継承もされていない。我々が常識だと思っていたことが、若い世代にとってはそうではなく、そこにこの問題の一筋縄ではいかない難しさがある」と述べた。そのうえで「幹部や上席の人は、現場を信頼して任せることと、任せっきりにすることは違うと自覚し、細やかな目配りや手当てをしてほしい」と指摘した。
これに対して日本テレビ側は「委員会決定を真摯に受け止め、今後の番組制作に生かし再発防止に努めたい。社員、スタッフの人権意識や感度の低さに光をあて、不断の努力を重ねて、正しい情報を視聴者に伝えていきたい」と述べた。

続いて、午後6時15分からオンラインによる記者会見を開き決定内容を公表した。小町谷育子委員長、高田昌幸委員、井桁大介委員、米倉律委員の4人が出席し、132アカウントからの参加があった。
はじめに、小町谷委員長が委員会の判断について「チェック体制が隙だらけだった。また、制作番組に対するこだわりが薄く、担当のディレクター以外誰も紹介作品を視聴していなかった。差別に関する知識に乏しく放送人としての感度にも問題があった」と説明し、差別の意図がなくても差別表現をした放送が容認されるわけではないと指摘した。
続いて高田委員が「差別をしてはいけないという当たり前のことが世代間で継承されていない。番組のチェックがきわめて簡略に行われていた背景には、当該コーナーがグループ会社の配信映画を紹介するいわば番組宣伝だとして、制作する側が軽く見てしまった側面もあるのではないか」と指摘した。
記者からは「どういうところで放送人の感度が欠けていると感じたのか」という質問があり、これに対して高田委員は「感度とは、人を動物にたとえたときに、これでいいのかなと一瞬立ち止まることができるかどうかということだ。今回、番組を制作する上で、それはできたのではないか」と説明した。
井桁委員は「現在もなお差別はさまざまな形で続いている。一般常識を持っていればそれに気づき、立ち止まって議論できたのではないか。その最初の引っかかりがなかったこと自体に感度の低さを感じている」と答えた。
米倉委員は「チェック体制が緩いという以前に、一つ一つの制作プロセスにおいて、現場のスタッフの間で本当にいいのかの一声がなかなか出ない。出たとしても十分に議論された形跡がない。その点こそが放送人の感度に関わる部分ではないか」と述べた。

以上

2021年8月に視聴者から寄せられた意見

2021年8月に視聴者から寄せられた意見

東京オリンピックに関連し、ボクシング女子選手を揶揄したような出演者のコメント、テレビ局のスタッフが打ち上げの宴会を開いてけが人を出したことなどへの意見が多かった。

2021年8月にBPOに寄せられた意見は1,930件で、先月と比較して511件増加した。
8月は東京都が緊急事態宣言下にあり、電話による意見の受け付けを中止した。
意見のアクセス方法の割合は、メール98%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性44%、女性18%で、世代別では40歳代31%、30歳代24%、50歳代19%、20歳代14%、60歳代9%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送事業者を特定したものは、当該事業者のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。8月の通知数は869件【56事業者】であった。
このほか、放送事業者を特定しない放送全般への意見の中から24件を抜粋し、全会員事業者に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

五輪に関する意見が引き続き多く寄せられた。なかでも、ボクシング女子の選手の金メダルについて出演者が「女性でも殴り合い、好きな人がいるんだね」などとコメントした番組や、五輪番組スタッフが打ち上げで未明までカラオケ店で飲酒して転落し救急搬送されたことについては多くの批判が寄せられた。ドッキリで驚かせ、催眠術で忘れさせる、これを同じ人に8回繰り返した「実験」企画には、倫理、健康両面から疑問の声が多かった。タレントが無人島を探査、木になっていたレモンをかじるなどした企画に、島の地権者の1人が「承諾した覚えがない」とツイートし、これが短時間に拡散。この地権者は翌朝「言葉足らずだった」と発信内容を事実上撤回したが、撤回の方はほとんど拡散せず、BPOにはこの番組を批判する意見が相次いだ。
また、BPO青少年委員会が「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」を審議対象としたことに対しても多くの意見が寄せられた。
ラジオに関する意見は47件、CMについては14件あった。

青少年に関する意見

8月中に青少年委員会に寄せられた意見は123件で、前月から35件増加した。
今月は「いじめ・虐待」が27件、「低俗、モラルに反する」が18件、「表現・演出」が17件、「危険行為」が12件、「差別・偏見」が8件、と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 五輪閉会式に急に台風情報が割り込んで録画できなかったのは納得いかない。臨時の台風情報をサブチャンネルで流せばよかったのでは?録画トラブルが出ているのだから、十分気をつけてほしい。

  • 五輪閉会式を中継していたメインチャンネルを途中で台風情報に切り替えた。人命重視や防災の意識を持っている放送局だと思う。賛否両論あるだろうが是非続けて欲しいと思う。

  • ボクシング女子金メダルに「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って、こんな競技、好きな人いるんだ」。謝罪は女性出演者。かつて五輪組織委・森喜朗前会長の女性蔑視発言として番組で批判していた「わきまえる女性」を、自分達がそのまま再現するとは。発言よりも、その構造の方が恐ろしかった。

  • 「ボクシングをやる女性が増えてほしいということを本当は言いたかった。言葉が足りなかった」という説明は、放送と照らし合わせれば納得できるものではなかった。大御所だから、ご意見番だからという理由で、明らかな性差別を容認する時代は、もう終わりにすべきではないだろうか。

  • 東京五輪の番組制作担当スポーツ局女性社員の飲酒と2階からの転落事故について。当該カラオケ店はHPで緊急事態宣言中の営業は夜8時までと案内している。何故その店で朝4時まで酒が提供されていたのか。さらにHPでは、このテレビ局のニュース番組で「コロナ対策をきちんと行っている店として紹介された」と宣伝していた。こういった点について視聴者に何も説明がされていない。

  • 名古屋市長が金メダルをかんだニュース。謝った市長に対して「謝り方が悪い」、「反省していない」、「辞める気はないのか」。報道は自由とはいえ、一回の失敗であれだけたたきつぶすような報道はいかがなものか。やったことは確かに悪いが、名古屋市長の職、調子に乗って金メダルをかんだくらいで失う、軽い職か。マスコミのハラスメントではないか。

【番組全般・その他】

  • 民放はパラリンピックをなぜ放送しないのか。都合のいいときだけ障がい者を利用するのはひどすぎると思う。自国開催で障がいのことをより理解できる機会をマスコミが潰している。スポンサーなどの都合もあるかもしれないが、放送することで得られるものがたくさんあると思う。

  • 恒例の大型特番は障がい者を支援しているような内容なのに、いざパラリンピックが始まると中継がほとんどないのは矛盾していないだろうか。

  • 恒例の大型特番で「医療従事者に感謝とエールを」と女性グループがマスクもせず密集して歌っていた。医療従事者である私の家族は「だったら集まって歌うな。こういう自分勝手な連中のために頑張りたくない」と憤っていた。医療従事者を都合よく利用するのはやめてもらいたい。

  • ワイドショーでコロナの切迫した状況を伝え、出演者たちから「外出を自粛すべき」の声。その同じ番組の中で司会者たちがテーマパークに遊びに行って新アトラクションを紹介している状況は理解できない。

  • バラエティーのアウトドア企画。10人くらいのキャストが、ろくに距離も取らずマスクもせず騒ぎまくっている。視聴者は芸能人のマスクなしの顔を見たいのではなく、きちんと感染対策をした上での芸能を求めている。やるべきことをやって楽しませるのがプロ。国民への影響を考えて。

  • 何人ものタレントが一室に集まってトーク。この番組は、マスクも無しでいわゆる3密。もうやめてください。お願いだからマスクして。マスクしないなら、しゃべらないで…本当にお願い。コロナに対応している私たち看護師を殺す気ですか。本当にお願いします。

  • 巨大ソフトクリーム店を紹介する際「この番組を見て来た」という他県からの来店者のコメントが積極的に取り上げられていた。私はエッセンシャルワーカー。仕事で非常に神経をすり減らす中、このような感染拡大を助長するような場面を楽しげに取り扱われるのは、非常に不愉快であり不安。健康や生活をおびやかす番組が放送されることに強い怒りを感じる。

  • 「つり革につかまらず立っていられるか」という企画は極めて危険。大けがの恐れがあり私たち乗務員も責任を問われる。決して面白半分で扱う題材ではない。明日以降、乗客が面白がってまねをして重大事故につながらないか戦々恐々。強く抗議する。

  • 「目覚めたら無人島」企画。タレントに高さ30メートルの崖を命綱なしで登らせていた。ありえない。この番組はせめているので好きだがこれはやり過ぎ。引いた。

  • 男性出演者の服が溶けて全裸になるドッキリ。LGBTの権利尊重や男女共同参画が進む中、「(女性に対しては許されないが)男性に対するセクハラや性犯罪は笑いものにしてよい」という時代錯誤の認識のもとに行われている差別的行為で極めて不適切。

  • 激辛料理の飲食を競わせる番組について。いわゆる激辛料理は、食道、消化器系の粘膜を損傷する。この損傷は避けられないもので「辛さに強い、弱い」とは無関係。粘膜の損傷は長期的にがんの発生確率を増加させる場合もある。こんなリスクを出演者に負わせて競わせる番組内容には違和感を覚える。出演者の自主的判断もあるのだろうが「仕事」として無理をする方もいると思われる。体内を損傷するという面において、暴力との違いがあまり見いだせない。また、辛がる様子を見て笑っているような状況もよくないのではないか。

  • 落とし穴、落ち舞台演出について。立ち位置が合っていても、落ちる瞬間に手を伸ばしたり前のめりになったりするだけで骨折、死亡事故につながる。大事故になる前にすぐにやめていただきたい。

  • 母親がDVに遭い、面前DVがトラウマになっている娘に対して、占い師が「今この場でお父さんに電話して、全て許しなさい」と強く勧める。DVをした父親は暴力について「覚えてないよ、そんなん」の一点張り。「全部許せてすっきりした」というような美談になっていたが、福祉の観点から見て、これは大変まずい。DVは犯罪。まして、安全確保のために別居している親子に対して、電話での連絡を勧め、さらに「許せ」というなどというのは、テレビを見ている人たちに間違ったメッセージを伝えかねない。

  • 出演者にホールケーキを5等分させ、うまくできなかったら「非常識」とばかにし嘲笑していた。しかし、うまく切れない背景に発達障がいが隠れていることがある。これは決して常識・非常識の問題ではなく、ましてやばかにされ嘲笑されるべきものでもない。「ケーキの切れない非行少年たち」という本などで社会的な認知が進んだがまだ不十分。テレビという影響力の強いメディアで「ケーキを5等分できない=常識がなくばかにされるべきこと」と放送するのは、同じような問題を抱えて苦しんでいる人をますます苦しめ、追い詰めるようなもの。

  • 盗撮犯を検挙する場面で、被疑者を「害虫」、「虫」と呼び、「虫は駆除」などと表現したナレーションが繰り返されていた。犯罪者も人間である。人権意識を欠いている。

青少年に関する意見

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • ドッキリ企画で、芸人に催眠術をかけて記憶を消し、何度も同じドッキリを仕掛けて皆で大笑いしていた。人の記憶を操作するなど倫理的に許されない。子どもに悪影響を与える。いじめやパワハラは仕掛ける側が「いじめじゃないよ」と言い逃れすれば、一日中どころか一生ループが止まらない。

【「低俗、モラルに反する」】

  • “大浴場の風呂場から脱衣所に戻った際に、男湯と女湯が切り替わる瀬戸際でコインロッカーの鍵が開かなかったら”という企画をやっていた。ドッキリをかけられて裸のまま困って慌てた男性の様子をモニターで見て、皆で笑うという光景が、いじめではないかと感じた。また、そのピンチに女性2人組が浴場を生配信するという設定も公序良俗に反するのでは。肖像権侵害かつ盗撮だ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • オリンピック報道のすべてを見ているわけではないが、映像や解説が余りにも日本中心であることに驚き、残念に思った。金銀銅の外国選手はそっちのけで、日本選手の表情、インタビューを放送し、誰が勝者なのかすぐには分からないような報道もあった。視聴する日本の子ども達に対し自国中心主義、過度のナショナリズムを植え付けてしまうのではないかと心配。東京大会の理念である多様性に反し、教育的効果を阻害し、ひいてはヘイトクライムの温床になるのではないかと懸念するのは杞憂だろうか。

【「危険行為」に関する意見】

  • バスの中で吊り革に捕まったり手すりに接触したらポイントが減点という企画は、頭はヘルメットをつけてはいるが、ぶつかったり転倒したり見ていて痛々しい場面ばかりだった。息子も見ていて「俺できるかな」と言うので「危ないからダメだよ」と諭した。健全な番組ではない。

【「差別・偏見」に関する意見】

  • ダイエット&整形番組で、ブスとか怪物とか人の容姿をばかにする事を肯定するような当番組のあり方に異を唱えたい。イジメに繋がるといった想像力は無いのか。あのように容姿を化け物などと揶揄するのは「女性は容姿のみ」とする女性差別どころか、彼女達に似た人物が同じ酷い言葉に晒され、心を傷つけられ、最悪は自殺も考えられる。心が未熟な若い世代には影響が大きい。

第237回 放送と青少年に関する委員会

第237回-2021年8月

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」の審議入り…など

2021年8月24日、第237回青少年委員会を千代田放送会館会議室およびオンラインで開催し、6人の委員が出席しました。
2件の討論案件のうち、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」については、視聴者やBPOの中高生モニターから、出演者に痛みを伴う行為を仕掛け、それをみんなで笑うような、苦痛を笑いのネタにする各番組は、「不快に思う」、「いじめを助長する」などの意見が継続的に寄せられてきていること等を踏まえ、委員会で視聴者意見が寄せられた複数の番組を視聴した上で討論しました。その結果、青少年に与える影響の重大性に鑑み、このテーマの審議入りを決めました。
一方、千葉県八街市の飲酒運転による児童5人死傷事故の取材で、被害者の同級生へのインタビューを放送した番組については、委員会で複数の放送局に対し、取材の目的・保護者等への許諾の取り方・チェック体制・2005年の「『児童殺傷事件等の報道』についての要望」の認識状況、などを文書にて問い合わせをし、その報告メモを基に討論を進めました。その結果、子どもに与える影響という観点から取材や放送時に留意すべき点について、討論を継続することになりました。
7月後半から8月前半までに視聴者から、高校生が深夜に出演した東京オリンピック開会式や、バスの中で吊革や手すりにつかまらないことにチャレンジするバラエティー、大浴場の脱衣所で男性芸人が全裸状態のままピンチを迎えるドッキリ系バラエティーなどについて、批判的な意見が寄せられました。委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
8月の中高生モニターのリポートのテーマは「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。太平洋戦争末期の米軍捕虜を実験体にした生体解剖事件を描いたドラマについて、「私たちは、ある程度自由に意見を言うことのできる時代に生きています。それは幸せなことだと感じました」などのリポートがありました。委員会ではモニターからの意見について議論しました。
最後に今後の予定について話し合いました。
次回は、9月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年8月24日(火)午後4時30分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室およびオンラインで開催
議題
討論案件2件
① 八街市児童5人死傷事故報道における同級生へのインタビューについて
②「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について
視聴者からの意見について
中高生モニターについて
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、
髙橋聡美委員、中橋雄委員

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」の審議入り

BPOに寄せられる視聴者の声や中高生モニターの自由記載に、出演者に痛みを伴う行為を仕掛け、それをみんなで笑うような「苦痛を笑いのネタにする番組」について、「不快に思う」「いじめを助長する」という意見が継続的に寄せられていること等を踏まえ、青少年委員会では視聴者意見が寄せられた複数の番組を視聴した上で討論を行ってきました。
委員会では、青少年、特に児童に与える影響を考えると放送局の制作現場に配慮を求めることを検討する必要があるとして、審議入りすることとなりました。
委員からは、概要、以下のような意見が出されました。

  • 当委員会から2000年と2007年の2回、上記について見解を出し、あるいは2009年に放送倫理検証委員会でバラエティー番組の在り方についての具体的な意見が出されたが、その後も継続的に視聴者意見が寄せられている。特に痛みを伴う…肉体的のみでなく精神的なものも含め…今まで視聴したように、ある程度作り込んだものではなくて、明らかに本人が痛がっていると思われる、苦しんでいると思われるものを放送することの意味合いについて、今回改めて検討する必要があろう。
  • 2009年に放送倫理検証委員会が出した「最近のテレビ・バラエティーに関する意見」で触れられた「バラエティーが『嫌われる』5つの瞬間」をまとめた報告書は優れたものである。これは、おおよそ大人を相手にした、大人が見るバラエティーにということを前提にバラエティー制作者に向けたものだったと理解したが、青少年委員会としては、視聴者意見や中高生モニターの意見を踏まえ、子どもの発達と認知の仕方への配慮という視点が重要であろう。
  • 映像で代理罰…「こういうことはしていけない、なぜならば、そういう悪いことをした人は映像の中でこっぴどく叱られる」ということで、罰を映像で見せることが本人の行動を抑制するのに効くかという点に関しては、これは心理学で分かっていることであるが、全くそうではない。「よい子はマネしないでね」という注意喚起を出してもマネをする。
  • 人が痛みを感じている、それもリアリティーがあるような形で痛みを感じているのを皆で見ながら嘲笑する、冷たい笑い…冷笑をするということが青少年、とりわけ子どもの内面や子どもの社会にどういう影響を与えるのかを検討する必要がある。
  • 視聴した番組の中には工夫されていると思われるものもあったと思う。中には、ネタで人を痛めているとか、意地悪しているように見えても、他のところでフォローする、尊厳までは傷つけない…というような演出に持っていくように気をつけていると受け取れる番組もあった。
  • 安全性の面などにおいて、それなりにマイルドになってきているところがあると思う。それでも、年齢の低い青少年、特に子ども(=児童)に与える影響や気をつけなければいけないポイントについて、外部の専門家の意見も参考にして反映させるべきだ。
  • 検討にあたっては、子ども達に対して、どのように、どのような心理的な影響を与えるのかについて番組制作者側と意思疎通を図り、理解を得ることが重要だと思う。

討論の結果、次回委員会から実質的な審議に入ることにしました。

八街市児童5人死傷事故報道における同級生へのインタビューを放送した番組の討論

千葉県八街市の飲酒運転による児童5人死傷事故の取材で、被害者の同級生へのインタビューがPTSD等の配慮に欠けた無神経なもので、モザイクもなく中には回答を誘導するようなものもあったとの意見が寄せられました。
委員会では、複数の放送局に対し、取材の目的・保護者等への許諾の取り方・チェック体制・2005年の「『児童殺傷事件等の報道』についての要望」の認識状況、などを文書にて問い合わせをし、その報告メモを基に討論を進めました。
委員からは、概要、以下のような意見が出されました。

  • テレビ局からの回答により、放送するにあたって協議が行われたことが分かったが、一方で内容を見ると、顔出しの意味がどれだけあったのか疑問だ。
  • 誘導かどうかの判断は難しい。放送に際しては、今の時代画像が保存・拡散され、証言をしてくれた子が周りからどのように言われるか配慮が必要と考える。
  • 取材に際して、将来フラッシュバックのような心理的リスクもあることを提示して保護者に許諾を取ったのか、すなわち、保護者がその危険性・問題点を認識できるような許諾の採り方をしていたかが気になる。
  • 児童への被害者に関する「人となり」取材は、事件・事故には欠かせない公共性・公益性が高い要素であると回答されているが、親が承諾した、この言葉が取れたから…という、やはり「画・音」が欲しいという考えが優先し、子どもに与える影響に対する検討が不十分になってしまっていなかったか懸念がある。
  • 2005年の「『児童殺傷事件等の報道』についての要望」は各局認識していると回答があったが、改めてその趣旨を確認することは重要だと思う。
  • 今回のような事件での子どもに対する取材報道では、第一に、事件直後に被害者の周辺にいてショックを受けている子ども達にこうした取材をすることによって、子どもにどういう心理的な影響を与えるものなのかを、慎重に判断してほしい。

以上のような意見を受けて、子どもの取材やインタビューの放送時に留意すべきと考える点について次回継続して討論を行い、「委員長コメント」を公表する方向で進めることになりました。

視聴者からの意見について

7月後半から8月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
オリンピックの開会式に未成年者の高校生を合唱で出演させていた件について、「労働基準法第61条に抵触するのでは」「児童福祉法第違反では」等の意見が寄せられました。
委員からは、「対価を得ての労働とは違うので、1988年に労働省(当時)が出した『芸能タレント通達』に照らし合わせても、法律違反とは言えない」との意見が出されました。
バスの中で吊革に掴まらず手すりにも接触しないことにチャレンジするバラエティー番組に対して、「ヘルメット等の着用、倒れた時用の緩衝材等の対策は取られていたが、非常に危険だ」「私はバスの運転手だが、子どもが真似をすると非常に危険。せめて絶対にマネしないでと注意喚起するテロップは流せなかったものか」という意見が寄せられました。
委員からは、「安全確認をしていれば許容されるものであろう」「マネしないように、という注意喚起は必要だろう」との意見が出されました。
大浴場の脱衣所で男性芸人のロッカーが開かなくなり全裸状態のまま男湯と女湯がチェンジする時間となり、そこへ生動画配信の女性が入って来るという「全裸ピンチ」ドッキリ番組に対して、「その様子をモニターで見て皆で笑う光景はイジメだ」「男性を犯罪者に仕立て上げ警察を呼び、それを皆で笑うのは男性蔑視で不快」との意見が寄せられました。
委員からは、「出演者も承知のシチュエーションコントとして楽しむものとは思うが、痛めつけて周りが笑うというその構図自体が不愉快なのだろう」「やはり男性の裸は女性に比べて軽々しく扱われている、男女が逆ならありえない」との意見が出されました。

中高生モニター報告について

35人の中高生モニターにお願いした8月のテーマは、「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の欄も設けました。全部で32人から報告がありました。
「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」では、複数のモニターから意見が寄せられたのは6番組でした。『NHKスペシャル「原爆初動調査 隠された真実」』(NHK総合)に6人から、『特集番組「#あちこちのすずさん2021~教えてください あなたの戦争~』(NHK総合)に5人から(「青少年へのおすすめ番組」と合わせると12人から)、『NHKスペシャル 選「原爆投下・10秒の衝撃」』(NHK総合)と『ドラマ×マンガ「特攻兵の幸福食堂」』(NHK‐BSプレミアム)、『池上彰のニュースそうだったのか‼ 戦争のこと 改めて考えてみようSP』(テレビ朝日)にそれぞれ3人から、『終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」』(NHK総合)に2人から報告がありました。それ以外のモニターは別々のものを取り上げており、全部で16番組について報告がありました。
「自由記述」では、オリンピックに関連して記述したモニターが最も多く、「東京オリンピックが無事開催できて良かった」「選手の活躍に感動した」という内容が複数件ずつ寄せられました。一方で、放送局がオリンピック選手に行うインタビューについて、「競技終了直後の息切れで苦しそうな選手に、そのタイミングでインタビューする必要が本当にあるのか」という意見も複数上がっていました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『特集番組「#あちこちのすずさん2021~教えてください あなたの戦争~』(NHK総合)と『1億人の大質問!?笑ってコラえて!2時間SP』(日本テレビ)にそれぞれ6人が、『ボクらの時代』(フジテレビ)に4人が、『サマーウォーズ』(BS12 トゥエルビ)に2人が感想を寄せました。

◆委員の感想◆

  • 【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

    • モニターリポートから、皆が一様に戦争の怖さや悲惨さ、戦争を起こしてはいけないということを強く感じ取っていることが読み取れた。番組を通して戦争の歴史を伝えることには、やはり大きな意義がある。

    • モニターの多くが終戦関連番組を見て戦争は良くないことだと考え、1年を通して戦争について知る機会がほしいと記述していた。震災なども同様のことが言えると思うが、放送局には、時期を限定して集中的に番組を放送するのではなく、年中放送するということも検討してほしいと思った。

    • 戦争関連の番組は再放送も活用して、何度でも繰り返して放送されることが望ましいと考える。

    • アニメーションを用いることで内容が分かりやすくなり良かったという評価がいくつも寄せられていた。戦争に関する番組の中でアニメを使うという手法が有効なのだと再認識した。

    • 『ドラマ×マンガ「特攻兵の幸福食堂」』(NHK‐BSプレミアム)「特攻隊について知りたい、伝えたいと思った主人公と同じように、自分も知らない人に伝える行動を起こすことが大事だと思った」と書いたモニターがいた。おそらく、制作者はそのように感じてもらいたいと思って表現を工夫したのだと思う。意図がしっかり伝わったということを制作者に伝えたい。

    • 『終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」』(NHK総合)人の感情を多く描くことで理解しやすいものになっていたという感想があった。是非制作者に伝えたいと思った。

    • 『NHKスペシャル 選「原爆の絵」』(NHK総合)もし自分がその場にいたならどうしただろうとかというような感情移入をしながら見たという。戦争に対する迫り方として原爆の絵を使いながら描いていくという切り口や表現の工夫が、ある意味、新鮮に映ったのだろうと考える。

    • 『沼にハマってきいてみた』(NHK Eテレ)ゲーム制作という方法をとることによって次の世代に語り継ぐための工夫を凝らした番組だと思った、という感想があった。過去の戦争の記憶を風化させず、また、世界を見れば現在の問題でもあるということを伝えるために、これからも放送局には時代に合った手法で戦争と平和に関する番組を制作してほしい。

  • 【自由記述について】

    • オリンピックでの選手へのインタビューのタイミングについて、「競技直後など選手が疲れているときではかわいそうだ」というコメントがあり、同感だと思った。

    • 「オリンピックがあったからか、戦争に関する番組が少ないと感じた」というモニターがいた。日本は原爆を投下されたただ1つの国だし、オリンピックは平和の祭典でもあるのだから、なおさら、オリンピックと戦争に関連する番組の数のバランスをもう少し考えて放送してほしかったという意見に共感した。

    • モニターからの意見の中に、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえて、感染対策のしっかりした番組制作が必要だというものがあった。放送局に改めて伝えたいと思う。

    • 東大、京大、有名私大出身という肩書が番組で使われることが多い気がする、という感想があった。なるほどと思うと同時に、このような肩書が受けなくなる時代が来ているのだと感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

    • 『NHKスペシャル「原爆初動調査 隠された真実」』(NHK総合)このような隠蔽は、今の世の中でも多くあると思う。中学校でも、先生に怒られたくないから、友だちに仲間外れにされたくないから、とちょっとした事件(人がケガしたとかではないです)では名乗り出ないことがあるので、通ずるものもあると思う。戦争のこととは関係がないかもしれないが、政治家もよく不祥事を問われると逆切れしたり、無視をしたりと自分の行動に責任感がない。僕は、責任感を持って、生活していきたいと思った。(中学2年・男子・神奈川)

    • 『NHKスペシャル「原爆初動調査 隠された真実」』(NHK総合)中学校の歴史では、原爆が落とされ、たくさんの被害があったことしか教えられませんでした。この番組でより深く原爆について知れて良かったと思います。(高校1年・男子・群馬)

    • 『NHKスペシャル「原爆初動調査 隠された真実」』(NHK総合)初めて自分から意識的に戦争についてのドキュメンタリー番組を視聴しました。恥ずかしい話ではありますが、私は戦争ものの番組や本などからつい逃げがちになっていました。でも、被爆者の高齢化がどんどん進んでしまっている現実があります。今回の番組でも、体験をお話ししてくださった方々は皆さんご年配でした。これから語り継いで後世に残していくためには、私たち高校生など若者が、当時のことについて知る必要があるのだと強く感じました。(高校2年・女子・埼玉)

    • 『特集番組「#あちこちのすずさん2021~教えてください あなたの戦争~』(NHK総合)長いものから短いものまで、食べ物の話や恋の話、幼いころに必死になって生き延びた話、オシャレの話など、いろいろなジャンルがあり、飽きることがありませんでした。その話がイラストとともにアニメになって話されており、とても分かりやすく、イラストもかわいかったです。(中学2年・女子・大分)

    • 『特集番組「#あちこちのすずさん2021~教えてください あなたの戦争~』(NHK総合)興味がなかったわけではないのですが、暗い気持ちになってしまうことを恐れて戦争を扱った番組をなるべく見ないようにしていました。しかしこの番組は、「#(ハッシュタグ)」を使った現代風なタイトルで、また、バラエティーでよく活躍されている人たちが出演されているということもあり、親しみやすさを感じました。戦争体験談は次世代につなげていくべきだというのを聞いて、祖父母に話を聞きたいと思いました。(高校2年・女子・神奈川)

    • 『特集番組「#あちこちのすずさん2021~教えてください あなたの戦争~』(NHK総合)ただ怖さを表すのではなく、若い世代にどのように伝えていくべきなのかを考え、情報を提供してくれた人のためにも当時の状況をネットのように偏ったものでなく、さまざまな視点で発信していくことがテレビ・ラジオにしかできない役割なのではないかと感じた。そのことを踏まえてこの番組を見ると、老若男女にとって見やすく、情報を提供してくれた人にとってもとてもいい番組だなと思った。(高校2年・女子・東京)

    • 『特集番組「#あちこちのすずさん2021~教えてください あなたの戦争~』(NHK総合)衣食住や恋愛をするという点は今と変わっていないと気づき、そのしかたの、今と昔の違いを感じながら視聴するとより感慨深かった。(高校1年・女子・埼玉)

    • 『NHKスペシャル 選「原爆投下・10秒の衝撃」』(NHK総合)原子爆弾が落ちる前は私たちと同じように家族と温かい生活をしていたのに、爆弾1つでこんなにも尊い命が失われてしまうのだなと、とても強く感じました。(中学3年・女子・奈良)

    • 『ドラマ×マンガ「特攻兵の幸福食堂」』(NHK‐BSプレミアム)特攻兵について知りたい、伝えたいと思った主人公の漫画家のように、このことを知らない人にも知ってもらうために行動を起こすということは大切なことだなと思いました。私もこのドラマで特攻隊や戦争について知ることができました。(中学1年・女子・東京)

    • 『ドラマ×マンガ「特攻兵の幸福食堂」』(NHK‐BSプレミアム)ドラマ×マンガという新しいスタイルによって抵抗なく見られるので、若者も戦争を知る1つのきっかけになり、とても良い試みだと感じた。キャラクターの表情や白黒の世界で、映像にするとあまりに残酷なシーンもカモフラージュできて新しい伝え方だと思った。「現実」とは少し離れてしまうかもしれないが、「怖い」という抵抗だけが生まれてしまうことが少なく、戦争で起こった「事実」が的確に伝わってきた。(高校1年・女子・京都)

    • 『ドラマ×マンガ「特攻兵の幸福食堂」』(NHK‐BSプレミアム)死ぬことが名誉とされ、もし生きて帰ってくれば「貴様はなんで死ななかったんだ!」とどなりつけられる。そんなシーンは想像もできませんでした。送り出すほうも送り出されるほうも苦しい思いでいたのだと知り、平和で気楽に暮らす今の私は、そういう時代があったことを忘れずに暮らさなければいけないと改めて思います。(高校1年・女子・東京)

    • 『池上彰のニュースそうだったのか‼ 戦争のこと 改めて考えてみようSP』(テレビ朝日)解説がとても分かりやすかった。番組ではまず、「戦争で生まれた身近なもの」を具体的に取り上げていた。カーディガンが軍服だったことには驚いた。ただ一方で、戦争のことは多く取り上げていたが、平和の大切さについてあまり触れていないようにも思った。そこにもう少し触れてほしかった。「平和は大切なんだよ」というメッセージを一緒に伝えてほしかった。(中学2年・男子・長崎)

    • 『終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」』(NHK総合)小学6年生の時に修学旅行で行った鹿児島の知覧の若き特攻隊兵のことも思い出してしまいました。自分の考えではないところで、戦争という時代が動いている悲しさを感じました。もしかしたら、戦争の時代の中で、自分の思いを言えずに葛藤していた人がいたのかもしれません。私たちは、ある程度自由に意見を言うことのできる時代に生きています。それは幸せなことだと感じました。偉い人や上の人が言うことがすべて正しいと思わずに、自分の考えと比べて正しいと思えば従い、違うと思えば意見を言える人になりたいと思いました。(中学3年・女子・宮崎)

    • 『終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」』(NHK総合)人の感情を多く描くことで理解のしやすいものになっていたと感じる。生体解剖事件を扱うことで、戦争というものがどれだけ恐ろしい時代を作っていたかにも触れることができた。戦争と終戦については、学校の授業で全てを知ることは難しい。先生によっては授業にプラスして知識をつけてくれる人もいるが、教科書をそのまま進めていたら知らないことだらけだろう。知らなくても生きていけるかもしれないが、知ろうとすることを大切にしたい。(高校3年・女子・東京)

    • 『NHKスペシャル 選「原爆投下・10秒の衝撃」』(NHK総合)日本とアメリカの科学者が広島に集まり、さまざまな実験のもと考えるという番組内容が面白いと思いました。深夜に放送するだけではなく、年中いつでも放送ができるようにして、戦争を知らない若者たちにも伝えていけるようにすれば、さらに良いのだと思います。(中学1年・男子・岩手)

    • 『NHKスペシャル 選「原爆投下・10秒の衝撃」』(NHK総合)原爆の破壊力がCGで再現されていて、現代の私たちも恐ろしさがよく分かる。さらに、バイオリンの音楽によって、その恐ろしい印象をより一層強めていた。原爆について知ってもらうために、みんなが起きている時間に番組を流し、知ってもらうべきだと思う。(中学2年・女子・千葉)

    • 『NHKスペシャル 選「原爆の絵」』(NHK総合)私がいちばん印象に残っているのは、がれきに挟まれて身動きが取れない男の子たちを何とか助けようとするが、最終的には焼け死んでしまうという絵です。語ってくれた人は泣きながら話していました。今考えてみれば引っ張り出す以外にも方法はもっとたくさんあったと言っていましたが、もし、私がその場にいたとしても、頭が真っ白で引っ張ることしか考えられなかったと思います。(中学1年・女子・千葉)

    • 『沼にハマってきいてみた』(NHK Eテレ)若い世代に戦争を伝えるという手段でゲームを作るということは新たな発想だと思いました。ゲームを使うということで批判があるかもしれない。でも若い世代にも伝えていきたいという熱意が伝わりました。(高校3年・福岡・女子)

    • 『にっぽん!歴史鑑定』(BS-TBS)昨今、戦争についての体験を1人称で語ることができる人が減っている状況で、このような番組はとても貴重だと思う。今回もかつての再放送だったようだが、ことあるごとに再放送すべき内容の番組だと思う。(高校3年・男子・山形)

  • 【自由記述】

    • すべてのアスリートたちがオリンピックのために努力を続けてきたことにとても感動した。世界にはたくさんの賛否両論があると思うが、私は「オリンピックが開催され、無事に終了することができて良かった(オリンピックができて良かった)」と思った。(中学2年・女子・埼玉)

    • なかなか外に出られないご時世ですが、画面越しに選手たちの熱いプレーを見て、ある意味、忘れられない夏になったように思います。開催については賛否両論ありますが、とりあえず、無事に東京オリンピックが開催できて本当に良かったなと思います。(高校2年・女子・埼玉)

    • 選手たちの活躍を見てとても元気づけられました。オリンピックが開催されて良かったと思いました。しかし、オリンピックの話題が情報番組で多く取り上げられている一方、コロナの状況や終戦関連の話題があまり取り上げられていなかったのは少し残念に思いました。(高校2年・女子・奈良)

    • 東京オリンピックを見て、どの競技も感動しました。私は卓球をやっているので卓球は全部の試合を最初から最後まで応援していました。本気で競技に挑んでいる選手の姿は輝いていてかっこ良かったです。選手が本気でプレーしている姿に何度も涙を流しました。でも、競技が終わってすぐに選手がインタビューに答えていてマスクを急いでつけているのを見て、そんなにすぐにインタビューしなきゃいけないのかと思いました。試合が終わったばかりで大変だと思います。(高校2年・女子・静岡)

    • 競技直後のインタビューは選手が苦しそう。コロナ対策もあってか、マスクをしながらで息切れが激しく、苦しそうな表情を見せることがよくあった。少し時間を空け、落ち着いて話す準備が整ってからのほうが良いと思った。また、その翌日に放送局から生中継する朝のインタビューも、競技を行った次の日の朝早くにする必要はないと思った。選手の疲労回復も大切にしてほしい。(中学2年・女子・千葉)

    • オリンピックの期間中、テレビでの放送はほとんどがオリンピックでした。私のようにオリンピックへの興味がない人もいるのではないかと思います。なので、オリンピック期間中、何か少しでもバラエティー番組などの再放送でもいいので放送して頂きたいと感じました。(中学2年・女子・大分)

    • オリンピックのメダルを取った情報が「ニュース速報」でたくさん流されていましたが、「災害情報か?」と一瞬ドキッとすることがありました。「ニュース速報」だけでなく、最初にオリンピックのニュースと分かるようにしてほしかったです。(中学1年・女子・東京)

    • オリンピックについて賛否評論があったものの、いざ始まってみると、どこの放送局も何事もなかったように、好意的に放送したことに違和感を持ちました。「平和の祭典」とも言われるオリンピックが国民を二分してしまい、その理念さえも揺らぐ中で、オリンピックの開催の意義があったのだろうかと思わず自問自答してしまうほどでした。出場することを目標に掲げ、努力を重ねてきたアスリートの存在を思えば開催に越したことはないのですが、そのせいでコロナ感染が拡大したとなれば、平和の理念からはほど遠く、本末転倒のように思えます。(高校3年・男子・長崎)

    • 今年は戦争に関する番組が少なかったように思いました。自分はオリンピックが関係していると思います。日本は原爆を落とされたたった1つの国なので、平和の祭典であるオリンピックと戦争に関する番組をバランスよく放送してほしいと思いました。(高校1年・男子・群馬)

    • 両親が小学生のころは終戦記念日にあたる8/15は登校日だったそうです。朝、全校生徒で黙とうをし、戦争に関する映画を見る。年によっては経験者の話を聞くことがあったそうです。戦争経験者が少なくなった現代こそ、こういった教育がないと戦争の恐ろしさが薄れてしまうのではないかと感じます。(高校1年・女子・東京)

    • 海外のテレビ局で、長時間にわたる焚き火や暖炉の映像の視聴率が過去最高を記録したり、YouTubeでも焚き火やソロキャンの映像が人気だったりするので、視聴していて安心するものが求められていると考えます。SNSでは芸能人のコロナウイルスの感染を心配したり、テレビ番組の撮影の感染対策の不十分さを指摘したりする声が多くあります。なので、ソロキャンプのように出演者が少なく、感染対策がしっかりされている番組を作るべきで、私自身もそのような番組がほしいと思っています。(高校3年・女子・静岡)

    • 最近、東大生、京大生、有名私大出身というような肩書きが多い気がする。確かに東大や京大は偉大な大学だが、全て完璧ではないし、ほかの大学をバカにしているように感じる。(高校3年・女子・福岡)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『特集番組「#あちこちのすずさん2021~教えてください あなたの戦争~』(NHK総合)戦争に対して、重くてマイナスなイメージを持っていたので、いつもなら見るのを躊躇していたが、アニメーションを用いることで見やすくなっており、より深く戦争について考えることができた。(中学3年・女子・富山)

    • 『特集番組「#あちこちのすずさん2021~教えてください あなたの戦争~』(NHK総合)戦争中はとても辛いことばかりだと思っていたけれど、小さな幸せが人々を支えていたのかなと思った。自分も一度、広島や長崎に行ってみたいと思った。(高校1年・男子・群馬)

    • 『特集番組「#あちこちのすずさん2021~教えてください あなたの戦争~』(NHK総合)リモートで全国各地の高校生や大学生が番組収録に参加しており、番組内で同世代の声を聞けることが良かったです。家族で視聴したのですが、今では考えられないような大恋愛の話にはみんなでリアクションしてしまいました。(高校1年・女子・東京)

    • 『1億人の大質問!?笑ってコラえて!2時間SP』(日本テレビ)毎回始めにある、ゲストを当てるクイズとスペシャルヒントは見ていて楽しい。「高そうな犬を連れている人はきっとセレブに違いないの旅」について、犬を使う企画はとても癒される。一般の人にインタビューをするのはディレクターで、質問するのが上手いと思う。「愛をこめて花束を、の旅」について、こんなにいい企画はないと思う。道行く人に花束を渡し、渡された人が渡したい人にその花束をあげるのに密着する企画。やっている側、見ている側、双方がいい気持ちになる。幸せの連鎖だと思う。(高校2年・男子・愛知)

    • 『ボクらの時代』(フジテレビ)編集がとてもシンプルで必要最低限のテロップしかないので、出演者のトークに集中できていたので良かったです。(中学3年・女子・奈良)

    • 『ボクらの時代』(フジテレビ)去年見た戦争のドラマ『太陽の子』のキャストが集う会で、なかなか見ることのできない組み合わせの3人のトークだったので面白そうで見ることにした。あえてゲスト3人だけというスタンスが、俳優さんのありのままの姿を見られて新しいと思った。よくあるバラエティーと少し違って落ち着いて見られるので、日曜の朝にぴったりだと思う。(高校1年・女子・京都)

    • 『サマーウォーズ』(BS12 トゥエルビ)昔、テレビで放映されたのを見たときに、その当時はネットで起こった問題を解決する主人公がかっこいいと感じ、楽しく視聴できました。しかし今見返すと、インターネットの怖さが身に染み、今の社会のもろさが身に染みました。(高校3年・女子・静岡)

以上

2021年8月24日

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」が審議対象に

青少年委員会は8月24日開催の第237回委員会で、上記テーマを審議対象とすることを決定した。対象となったのは在京キー局等で放送された「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についてというテーマ自体であり、個別の番組を対象とするものではない。視聴者やBPOの中高生モニターから、出演者に痛みを伴う行為を仕掛け、それをみんなで笑うような、苦痛を笑いのネタにする各番組は、「不快に思う」、「いじめを助長する」などの意見が継続的に寄せられてきていること等を踏まえ、委員会で視聴者意見が寄せられた複数の番組を視聴した上で討論した。その結果、委員会として、青少年に与える影響の重大性に鑑み、このテーマの審議入りを決めた。次回委員会から実質審議に入る予定である。

第295回放送と人権等権利に関する委員会

第295回 – 2021年8月

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」ヒアリング実施を決定…など

議事の詳細

日時
2021年8月17日(火)午後4時~午後5時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」第1会議室(オンライン開催)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
丹羽委員、野村委員、水野委員

1. 「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理

NHK宮崎放送局は、2020年11月20日午後6時10分からの『イブニング宮崎』(宮崎県内で放送)の中で、同年3月26日に宮崎市内で男性2人が死亡した民家火災の続報を放送した。そこでは、この火災は放火殺人事件の疑いが濃くなり、容疑者がガソリンをまいて火をつけ被害者(申立人の兄)を殺害し自分も死亡した可能性があり、その原因として「何らかの金銭的なトラブル」が死亡した2人の間にあったかのように伝えられた。
この放送に対して申立人(被害者の弟)が、「2人の間に何らかの金銭的なトラブルがあった」と報じられたことで、「兄にも原因の一端があったのではないか」との印象を抱かせるものであり、事件被害者である兄の尊厳を傷つけたとして、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「事件当事者の2人が亡くなっている中でも、当時の取材で知り得た情報を基に『被害者』と『加害者』を明確に分ける形で客観的な事実を伝えており、申立人の主張する指摘は当たらない」と反論した。
今回の委員会では、双方から所定の書面すべてが提出されたのを受けて、論点を整理し、ヒアリングのための質問項目を絞り込み、次回委員会でヒアリングすることを決めた。

2.  その他

事務局から現時点での申立て状況を報告した。

以上

第236回 放送と青少年に関する委員会

第236回-2021年7月

視聴者からの意見について…など

2021年7月27日、第236回青少年委員会を千代田放送会館会議室およびオンラインで開催し、7人の委員全員が出席しました。
千葉県八街市の児童5人死傷事故の取材での被害児童の同級生へのインタビューを放送した番組に対し、「同級生死亡のショックで心理的ダメージを受けている児童への配慮がなさすぎる」「PTSDの配慮に欠けたマスコミの自分勝手な取材に憤りを感じる」という意見が寄せられました。また、子ども向けアニメ番組で、「女性武闘家の戦闘シーンでタイツの股間が大映しになった、卑わいだ」「タイツ推しや下着を見せるなど子どもの性癖を歪めるような描写は止めて欲しい」との意見が寄せられました。
委員会でこれらの視聴者意見について議論した結果、八街市児童死傷事故の被害児童同級生へのインタビューを放送した番組について、次回、引き続き「討論」することになりました。
7月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たバラエティー番組について」でした。
モニターからは、芸能人自ら提唱する「説」をプレゼン&検証していくバラエティー番組で、「ケンカしているふりをしたマネージャーを仲裁しようとした芸能人がマネージャー2人からいきなりダメ出しされ、なぜか仲立ちした側だけが不快になって終わるという構図は、人の善意を踏みにじるようでただただ不快だった。」などの意見や、人生の様々な場面をオムニバスで展開するコント番組で、座ったら瞬く間に眠ってしまう国会議員の椅子を紹介するテレショップのコントについて、「私は、コントの本質はこのように世間を風刺するところにあると思います。コントはおかしいと思ったことを主張する一つの方法になっていると思います」という意見があり、同じくコント中心のお笑いバラエティー番組で、「私はお笑い番組が大好きです。(中略)毎日疲れることや辛いこともたくさんあって、そんな毎日にこういった現実をつい忘れさせてくれるような、笑って疲れを吹き飛ばしてくれるような、番組が寄り添ってくれると、明日を生きる大きなエネルギーになると思います」といった内容のリポートが寄せられました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
次回は、8月24日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年7月27日(火)午後4時30分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室およびオンラインで開催
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての討論
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、
髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、6月後半から7月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
千葉県八街市の児童5人死傷事故の取材での被害児童の同級生へのインタビューを放送した番組に対し、「同級生死亡のショックで心理的ダメージを受けている児童への配慮がなさすぎる」「PTSDの配慮に欠けたマスコミの自分勝手な取材に憤りを感じる」という意見が寄せられました。
委員からは、「2005年に青少年委員会から『被害児童の家族、友人に対する取材の注意喚起』が求められており、2012年の東日本大震災でも子どもへの配慮が要望された。現場にきちんと共有されているのか」「保護者、親権者の同意を得たとしても、子どもに与える影響とか心理的な影響を十分に考えた上での取材なのか」「もし周囲にいる大人にこのインタビューが子どもにとって心理的侵襲が大きいという知識がなかったら、PTSD 等のハイリスクに曝される可能性が高く、基本的にやってはいけないことだと思う」との意見が出され、次回も引き続き「討論」することになりました。
子ども向けアニメ番組で、「女性武闘家の戦闘シーンでタイツの股間が大映しになった、卑わいだ」「タイツ推しや下着を見せるなど子どもの性癖を歪めるような描写は止めて欲しい」との意見が寄せられました。
風呂場でシャンプーをそそぎ続けるドッキリ番組について、「びっくりして転倒して頭を打つなどしたら危険だ」との意見が寄せられました。
これについては、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての「討論」でまとめて話し合いました。

中高生モニター報告について

35人の中高生モニターにお願いした7月のテーマは、「最近見たバラエティー番組について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の欄も設けました。全員から報告がありました。
「最近見たバラエティー番組について」では、全部で29番組についてのリポートが寄せられました。中でも、複数のモニターが記述したのは4番組で、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)に4人から、『LIFE! 夏』(NHK総合)と『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)、『有吉の壁』(日本テレビ)に2人から報告がありました。
「自由記述」では、オリンピック・パラリンピックに関する記述が最も多く、「オリンピック開催には賛否両論あるが、開催されるからには大いに楽しみたい」「オリンピックだけでなくパラリンピックにも注目したい」という意見がある一方で、オリンピックによる特別な番組編成によっていつも楽しみにしている番組が見られなくなることを残念がる声がありました。その他、災害報道のあり方についての意見も複数寄せられています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『音楽の日』(TBSテレビ)を9人が、『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ)を7人が、『社会実験ドキュメント サビ抜きで。』(NHK Eテレ)と『BS1スペシャル「マイケル・サンデルの白熱教室 エリートたちよ 君の成功は努力の結果?それとも運?」』(NHK‐BS1)、『発進!ミライクリエイター』(テレビ朝日)をそれぞれ3人が、『ロコだけが知っている』(NHK総合)を2人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たバラエティー番組について】

    • 「家族で話し合いながら見ることができる番組が良い」というモニターからの意見を読んで、家族が一緒に楽しめる番組が求められていると強く感じた。

    • バラエティー番組の良さについて、テーマや内容に共感できるか、危険な行為を伴っていないか、俳優や芸人といった出演者が何をどう演じているのか、美術セットのリアリティーはどうか、などについて細かく分析的に考えているモニターがいて感心した。

    • モニターの中には、美術セットなど、番組そのものよりも、それ以外の部分に目を配りながら番組を視聴し、楽しんでいる人が多いと感じている。

    • 疲れることや辛いこともある毎日に、現実を忘れて爽やかな笑いをもたらしてくれるような良質のコントやお笑い番組を支持する声があった。爽やかな笑いを提供するのは難しいことであり、制作者は視聴者の意見に耳を傾けて番組の向上に臨んでほしい。

    • 「青少年へのおすすめ番組」も含め、SDGsについて考えたという感想が寄せられていた。今どきの子どもたちは、いかにサステーナブルな環境を整えていくかということに関心があるのだということを改めて感じた。

    • 『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)モニターが、ナレーションの解説が面白いという点を指摘していたことが興味深かった。映像と組み合わせる絶妙な言葉選びや言い方について評価してくれたことを制作者にも伝えたい。

    • 『それSnow Manにやらせて下さい』(TBSテレビ)「クイズ番組でよくある正解発表前にCMを入れず、同じ映像を繰り返して流さないという演出のおかげで、ストレスなく番組を楽しめた」という感想があった。制作者側が効果的と考えていることが必ずしも視聴者にはそのように受け取られていないという貴重な感想だと思う。是非、制作者に伝えたいと思った。

    • 『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日)「あざとい」という日常でよく耳にする言葉や現象に着目して映像で伝えるという挑戦が、今までになく新しいと評価されていた。このような評価は、制作者もうれしいのではないか。

    • 『ウワサのお客さま』(フジテレビ)大食い番組が大好きだというモニターがいた。大食いをしている姿を見ると、心が満たされ、癒やされるのだという。このような感想は初めて読んだが、「なるほど」と思い、新鮮な気持ちになった。一方で、このモニターは、違う種類の軍艦巻を一緒に食べるという場面を見て、「大食いといっても食べ物を大切に扱っていないようなときは不快である」と記述している。大食い番組を、視聴者に不快感を与えないようなものに仕上げるには工夫が必要だと思う。モニターからの指摘を大事にしてほしいし、注意しながら番組を制作してほしいと思う。

  • 【自由記述について】

    • ドラマのロケの仕方やスタジオ番組などでの出演者同士の距離の取り方など、コロナ対策が番組によって違っているのが気になるというモニターがいた。しばしばこのような意見が寄せられているが、これは、この2年間で定着した新しいテレビの見方なのだろうと思う。

    • 多くのリポーターが現場の状況を伝えるために被害の出ている場所に殺到し、中継でリポートするということに対して、モニターの中に、「本当に現場に行くことが必要か」という疑問を書いた人がいた。災害や事故現場などでの取材報道では、映像を使って状況を広く伝えることの意義という観点から、その都度、必要かどうかという難しい判断を迫られると考えている。モニターからこのような指摘があったことを報道に携わる人たちにはぜひとも伝えたいし、この問題についてしっかりと考えてほしい。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たバラエティー番組について】

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)バラエティー番組の中では一番、二番を争うくらい好きです。今のご時世、海外には行けないと思いますが、それでも楽しく見ています。ですが、やはり海外に行ってロケを行うほうが言葉の壁などあって面白おかしくなるので好きです。毎週楽しみです。(東京・中学2年・男子)

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)この番組の最大の魅力は、テロップ入れとナレーションだと思います。例えば今回だと、新しい出演者が加わったので、昔からいた出演者をあおるようなテロップやナレーションがありました。それらは私的には不快に思うようなことがほとんどなく、魅力だと感じています。また、出演者の良いところを引き出す力も持っていると思います。例えば、若い世代でも大変に思うアクティビティーを80代の人にさせて成功させることにより、その人の丈夫さや弱音をはかない真面目なところを見られました。そこは制作陣のすごいところだと思います。(奈良・中学3年・女子)

    • 『LIFE! 夏』(NHK総合)この番組は、「人生」を題材にして作られていることもあるからか、日常生活や社会の中、といったところがコントの舞台であることがまず魅力だと思う。今回のコントでは「テレビショッピング」や「回転寿司」などがネタになっていた。二つ目の魅力は、なんといっても出演している俳優・芸人さんの演技が本当に素晴らしいところだ。三つ目の魅力は、セットのリアルさである。四つ目の魅力は、誰かが体を傷つけて笑いをとるところがないことである。すべて「演技」だけで笑いをとるから、見る側がほっこりできるのだと考える。(静岡・中学3年・男子)

    • 『LIFE! 夏』(NHK総合)私が興味を持ったのは「テレビショッピング」を題材にしたコントでした。ぐっすり眠れないと話す人たちのために紹介したのは、国会議員が座っている椅子。「この椅子に座ったら瞬く間に眠ってしまうんです」とよくNHKの国会中継で見られる国会議員の居眠りをやゆするような内容でした。さらに、その椅子を購入した人には「新幹線乗り放題のバッチ型パスをプレゼントします」と議員バッチをかたどったようなものを紹介します。そこでゲストが一言。「じゃあ仕事でもプライベートでも使いまくらなきゃね!」私は、コントの本質はこのように世間を風刺するところにあると思います。コントはおかしいと思ったことを主張する一つの方法になっていると思います。ただ流して見てしまえば面白いだけかもしれませんが、面白おかしく仕立て上げられていても確実にメッセージが込められていることに驚きました。(東京・高校1年・女子)

    • 『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)ふだんバラエティーをあまり見ない自分ですらもその名を聞いたことのある超有名番組だが、放送時間が深夜なこともあり、きちんと番組を見たのは今回が初めてだった。特に問題に思われたのは1本目の企画だった。ケンカしているふりをしたマネージャーを仲裁しようとした芸能人がマネージャー2人からいきなりダメ出しされ、なぜか仲立ちした側だけが不快になって終わるという構図は、人の善意を踏みにじるようでただただ不快だった。20年間連れ添った夫が妻に対して暴言を吐くというのも、仕掛けられた当の本人がネタばらし後に笑えるようなら良かったが、実際はそうはならずに戸惑ったままだったので全く笑えず、むしろ同情する気持ちが強かった。2本目の企画は、ゲストが問題を間違えるとアジャコングさんがセット裏から登場し、一斗缶を頭に叩きつけるというシーンがあったが、クイズを間違えたうえでの罰ゲームなので、理不尽さも先の企画に比べれば少なく、またゲストが涙を流すほど痛そうだというわけでもなかったので、笑いとして消化できる範囲に収まっていたと思う。3本目の企画は、暴力的な面はなく、企画自体も面白かったので存分に楽しむことができた。(高校1年・男子・東京)

    • 『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)この番組は、ちょうど1週間の真ん中の水曜日に放送されるため、疲れがピークになりつつある水曜日の夜に、この番組でリフレッシュして、1週間の残りの日々を乗り越えるという貴重な存在です。この番組の面白い点は、ダウンタウンの2人の掛け合いはもちろんのこと、ナレーションでの解説に使われる言葉が絶妙で面白いのです。画面に映し出されている場面に対して、補足的に説明をしてくれるのですが、その説明する言葉一つを取っても、またナレーションの入るタイミングを見ても、全てにおいて視聴者目線で笑いを誘ってくれるというなかなかの影の立役者です。(高校3年・男子・長崎)

    • 『それSnow Manにやらせて下さい』(TBSテレビ)クイズ番組でよくある正解発表前にCMを入れたり、それによって同じ映像が繰り返されたりがなかったので、ストレスフリーでクイズを楽しむことができました。ナレーションやBGMも最低限に抑えられていて、邪魔な演出がないように感じました。30分で長すぎず短すぎず、ちょうどよくまとめられていて充実していました。(高校2年・女子・神奈川)

    • 『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBSテレビ)率直にとても面白かったと感じたため、印象に残っている。この番組では、顔マネや声マネ、歌マネなど、さまざまな分野のモノマネをテンポよく紹介し、披露していたのでとても楽しく、そして疲れずに見ることができた。また、トークが混ざりながらの内容だったので、トークの中でモノマネ芸人たちの良い雰囲気が感じられて、見ていて良い気持ちになった。特に良かったと思う点は、お互いを罵ったり比べたりすることがなかったところと、幅広い層が楽しめる内容だったところだ。最近のモノマネ番組は、モノマネ対決をして、どちらが上手いかを決めるような内容のものが多い。しかし、私はどのモノマネもとても面白いと感じるので、そこで出た結果に納得がいかないことがある。そんな中、この番組ではハイクオリティーなモノマネばかりを比べることなく、モノマネ芸人同士もお互い褒め合いながらモノマネを披露していたので、全部をとても楽しんで見られた。(高校1年・女子・埼玉)

    • 『有吉の壁』(日本テレビ)有吉さんの優しさがよく感じられ、とても大好きな番組である。以前から、「コロナ対策とよくバランスのとれた、度が行き過ぎていない番組だな」と感じている。さらに、あまり知名度のない芸人さんが出ているときにも、ほぼ全員が、どの位置にいても出演を手に入れられる工夫があり、そこにも温かさを感じる。(中学2年・女子・埼玉)

    • 『7つの海を楽しもう!世界さまぁ~リゾート』(TBSテレビ)新型コロナウイルスが蔓延し、気軽に外出しなくなってから旅行気分を味わうために頻繁に見るようになった。この番組は海外に住んでいるローカルの人がロケをしているため、海外での撮影も可能になっている。ローカルの人が紹介すると、ありきたりなところだけでなくいろいろなところを見られるし、標識などの意味や挨拶など海外の人の生活が垣間見えるため、日本人が旅行に行って紹介しているものよりも現地の魅力が分かる。新型コロナウイルスについての現地の情報も詳しく分かるので、今の日本の状況と比較できて嬉しい。唯一違和感を覚えた点は、MCをいじるところだ。おそらく現地のリポーターにはある程度台本が渡されていて、番組が考えた内輪のノリで、容姿や年齢をいじるのを見て、少し嫌な気持ちになった。(高校2年・女子・東京)

    • 『ニンゲン観察バラエティ「モニタリング」』(TBSテレビ)一つ一つのコーナーの入り方や、途中の視聴者が飽きないようなクイズが面白いと思った。番組自体はてきぱきと進んでいるのに、出演者の方々の和やかなトークやちょっとした裏話・素顔も知ることができて、家族全員で楽しめる内容だった。モニタリングされる人の行動や心情がそのまま放送されるので共感が得られやすく、「私だったらこうする」と自分と比較できるのも面白い。ただ、右下のずっと回っているバーがあると画面が見づらく、番組に集中できない。(中学2年・女子・千葉)

    • 『マツコの知らない世界』(TBSテレビ)私はこの番組をよく見ます。家族全員で見ることもよくあります。自分が知っていることや好きなものがでてきたときは嬉しいし、知らないことが出てきても興味を持つことができます。ふだん、知らないものが情報番組で特集されていても、興味を持ちづらいのですが、この番組だと、マツコさんが、毎回ゲストが話しやすいようコメントを引き出し、面白くトークを進めていきます。ゲストがどんな人でも、分け隔てなく、突っ込むところはとても面白いです。また、私はマツコさんと世代が違うため、「昔はこうだった」という話が出てくるのもとても興味深く、それについて家族と話をすることもよくあります。(中学1年・女子・東京)

    • 『1億3000万人のSHOWチャンネル』(日本テレビ)出演者4人の生クリーム愛を語る企画がすごく面白かったです。4人の止まらない生クリームの愛やオススメの生クリームスイーツなど、それぞれの生クリームの好みがあって、同じ趣味でもここまで好みが違うのがとても興味深かったです。(高校3年・女子・福岡)

    • 『うわっ!ダマされた大賞』(日本テレビ)テレビでしかできないような爆破ドッキリや手の込んだセットなど、派手な演出で、たくさんの人が楽しんでいたのが、SNSのコメントからわかりました。しかし、私は、このようなドッキリ番組の欠点にばかり目がいってしまいます。コロナ禍であるのにも関わらず、全国あちこちに出かけていることや子役をこのような番組に出演させていること、田舎の一般の人を巻き込んだドッキリが多くあり、見ていて疑問や不安が大きかったです。また出演していた一般人が「こんなにいい人をドッキリにかけたくないね」と言っていて、1人でも嫌な気持ちになる番組は、良くないと思いました。(高校3年・女子・静岡)

    • 『しゃべくり007』(日本テレビ)好きな番組なので時間があるときによく見ているが、俳優、アーティスト、YouTuber、芸人など、たくさんのジャンルのゲストが出演していて、あまり知らなかった人のことも楽しみながら深く知ることができるのが、この番組の良さだと思う。ゲストのことをよりよく知ってもらいたいという制作者の思いが伝わった。(中学3年・女子・富山)

    • 『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日)タブーだとされがちで普段はあまり触れられない言動を遠慮なく取り上げ、出演者たちが話し合っているのが面白い。また、エピソードをミニドラマ化することで具体的な場面が分かり、楽しい。30分間の番組であるということも、ちょうど良い時間だと思う。(高校3年・男子・山形)

    • 『テレビ千鳥』(テレビ朝日)回によって企画が全く異なり、飽きることなく視聴できます。今回の放送では、たくさんあるバイキングの料理の中から食べたい料理を選んで見栄え良く盛り付けるのは大変難しく、多くのゲストが苦戦していました。誘惑に負けて、後先考えず、バイキングの最初に並んでいる料理をたくさん取ってしまうゲストもいれば、最初は我慢してメインからデザートまで均等に選ぶゲストもいて、その人の隠れた人間性が垣間見え、面白かったです。出演者がみな楽しんで企画に挑戦している様子が伝わってきます。体を張ることで笑いを取る番組も多いですが、出演者自身が楽しんでいる姿が伝わる番組は視聴者も温かい気持ちで見ることができ、出演者と視聴者の双方が気持ち良く番組に関わることができると思います。(高校1年・女子・東京)

    • 『新しいカギ』(フジテレビ)私はお笑い番組が大好きです。その中でも、コントが好きで、わざと面白いことを言おうとしている雰囲気がなく、何気ない日常のシーンを再現して、ところどころクスっと笑いながら話が進んでいく、あの感じがとても好きです。コントをメインにする番組はあまり多くないですし、何より出演者の芸人がとても豪華で、実力のある方々ばかりなので、最初から最後までノンストップで面白かったです。毎日疲れることや辛いこともたくさんあって、そんな毎日にこういった現実をつい忘れさせてくれるような、笑って疲れを吹き飛ばしてくれるような、番組が寄り添ってくれると、明日を生きる大きなエネルギーになると思います。(高校2年・女子・埼玉)

    • 『ウワサのお客さま』(フジテレビ)大食いをしている姿を見て、いつも癒されています。「こんなに食べてみたいな」「おいしそう」「食べたくなる」と幸せな気持ちになり、見ている方までお腹いっぱいになります。食べている姿で本当に私の心が満たされます。しかし、不快に感じた場面がありました。種類の違う軍艦が乗っている3艦盛りのお寿司をひと口で食べてしまっていたところです。それを見たときに、「違う種類なのに、いっぺんに食べてしまったらせっかくの味が分からなくなってしまい、味わうことができない」と残念に思いました。(高校2年・女子・静岡))

    • 『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)僕はドッキリをかけられている人がどんな反応をするか予想しながら見ることが好きであり、また実際にその反応が面白いので、ドッキリ系の番組は好きである。この番組は、もともと好きな番組であり、ドッキリにかかったことのある芸能人が考えたドッキリなので楽しみにしていた。中でも面白かったのは、野球のドッキリで3塁ベースに向かって走っている芸能人が3塁ベースに近づいたときに3塁ベースが爆破するというものだった。僕は野球部に所属しているので身近なシチュエーションでもあり、3塁ベースを目指して一生懸命に走っている姿と、ドッキリにかけられてからの反応にギャップがあってとても面白かった。この番組は、ただドッキリを仕掛けて面白がるというだけでなく、ドッキリに行きつくまでのストーリーが面白いと思う。(中学2年・男子・神奈川)

    • 『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ)今回は、盗撮についてでしたが、今まで「盗撮」と聞いても、「特別なもの」「自分には関係のないもの」だと思っていました。しかし、盗撮は悪用されるだけではなく、親が自分の子どもが一人暮らしをするにあたって心配して設置する場合もあることが分かりました。私は、この番組を何回も見たことがありますが、芸能人がVTRで演じることで、今まで腑に落ちなかったことも理解することができます。この番組のように、ふだん生活していて知ることのできないことを知らせてくれる番組があることはいいと思います。(中学3年・女子・宮崎)

    • 『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ)女優さんや俳優さん、歌手など、さまざまな人の素顔や生い立ちを知ることができて、毎回、ワクワクドキドキ、時々ウルウルしながら見ています。芸能人の一般的なところを見たり、自分と似ていたりすると、同じ人間なんだなぁって感じます(笑)。(中学3年・女子・千葉)

    • 『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦スペシャル』(テレビ東京)自分の知っている身近な川に自分の知らない生物が生息していることを知ることができました。家で飼えなくなった外来種を近くの川に流してしまうのではなく、全国の川の近くに別に置いておける施設を設置すれば川から外来種が減ると思いました。(高校1年・男子・東京)

    • 『相席食堂』(朝日放送テレビ)ロケ地は毎回自分の知らない場所です。この番組を通して「日本にはこんな場所があるんだ。きれいだなぁ。行ってみたい」と思うことがあります。またその地域の人々とロケをする芸能人との会話など、ほっこりする場面もあります。これだけだと普通の旅番組ですが、『相席食堂』は違います。スタジオで見ている千鳥の2人のツッコミが面白いのです。毎回ツッコミが面白くて、放送時間があっという間に感じられます。(高校1年・男子・群馬)

  • 【自由記述】

    • オリンピックだけが大きく報道され、パラリンピックが結果だけの放送になるのはとてもさみしい。今回は東京での開催でもあるので、ぜひともパラリンピックも大きく取り上げてほしい。(中学3年・女子・宮崎)

    • オリンピックが世間では大きな話題となってもいいはずであるのに、思っていたよりも盛り上がりに欠けていて悲しい。オリンピックの開催に賛否両論はあるものの、ここまで来たら中止はほぼあり得ることではない。そうであるならば、いっそ国民全体としてコロナ感染の拡大が起こらないように願いつつ楽しむしかないのではないか…と思う。またその反オリンピックについてマスコミが助長しているように感じた。(高校2年・男子・神奈川)

    • なんだか、なし崩し的に開催される東京オリンピックに対して、どれだけの人が心待ちにしているのだろうか、と思ったりします。そして、そのオリンピックの様子を放送するテレビ局は、どんなスタンスで実況放送するのだろうか、とも思いをはせてしまいます。テレビだからこそ、きっと好意的に放送をするであろうことは安易に予想されますが、国民の大多数が開催に反対している中、国民一人ひとりに寄り添った放送は、難しいのだろうなとも感じたりしています。緊急事態宣言が発出されている中での東京オリンピック。こんな矛盾がまかり通ってしまうのも、やはり最終的には、お金が絡んでいるのだろうと邪推をしてしまう今日この頃です。(高校3年・男子・長崎)

    • ニュースを見て思ったことを書きます。被害が出ている場所にわざわざアナウンサーや記者の方が行って、中継でリポートをする必要はないと思います。そもそもとても危険だし、現場に行くリスクに対して伝えられることが少ないと感じたからです。(高校2年・女子・神奈川)

    • 先月長崎に行ってきた。その際に、雲仙大噴火が起きたときに多くのマスコミが避難せずに巻き込まれた地点に行った。近年起こる多くの自然災害の際、多くのリポーターが危険な目に遭ってまで、現場の状況を伝えようとすること。自分たちの利益にはつながるかもしれないが、人命を最優先と考えるべきであると思った。(高校2年・女子・東京)

    • 新型コロナウイルスの感染のリスクがまだまだある中で、番組によって対策がかなり大きく異なっていることがとても気になった。テレビに映っている人たちの距離などを「今のご時世だ」と捉えている視聴者も多いと思うので、しっかりと対策をして放送してもらいたいなと感じた。(高校1年・女子・京都)

    • 最近テレビ番組もネットが進んでいると思います。番組をTVerやAmazon Primeビデオなどで見ることも多くなったと感じます。ネットだと、いつでもどこでも見逃した番組を見られるので便利だと思います。また、関西など放送地域以外でも見ることができるので、これもまた良いなと思いました。(高校1年・男子・群馬)

    • 夏休みに入り、普段は視聴することのできない時間に放送している番組を見る機会ができました。高校生になって以前より勉強や部活動が忙しくなったこともあり、テレビを見る頻度が減っていましたが、夏休みを利用していつもは見ることのない分野の番組も積極的に視聴し、視野を広げていきたいと思います。(高校1年・女子・東京)

    • この時期は、音楽番組が多く放送されて私の好きなグループが出ると欠かさず見ています。番組によってテーマが違うため、どの音楽番組でも飽きずに楽しめます。生放送のため、画面越しでも緊張感が伝わってきます。それもまた魅力の一つです。放送された次の日は必ず友だちと感想を言い合っています。それも、楽しみです。(高校2年・女子・静岡)

    • 私たちはテレビやラジオを見る、もしくは聞くかどうかを選ぶことができる。不適切だ、教育に良くない、とエンタメを切り捨てていくことは不可能ではないが、エンタメの持つ影響力は良くも悪くもとても大きなものである。極端に言えば、人の生きる糧にもなるし、死ぬ理由にもなり得る。だからこそ、もし作り手側に番組に不快感を持つ人がいるならば、その人が意見を出せて改善につなげられる環境作りが求められる。そして視聴者側は「嫌だから見ない」も「嫌だから意見する」も自由である。ただ、もしかしたら誰かが意見しなければ悪化する一方かもしれない。または誰かの意見で誰かが一生懸命作ったもの、誰かが楽しく見ているものが壊されるかもしれない。私たちは必ずしもどちらかにいるわけではなく、人から強制されるべきでもない。(高校3年・女子・東京)

    • 『青天を衝け』(NHK総合)来週からはオリンピックの影響で放送が延期されるそうでとても残念に感じた。とはいえ、公共放送としてNHKがオリンピックを放送しなければならない立場にあるのは分っているので、『青天を衝け』に代わる新しい楽しみを見つけたい。(高校1年・男子・東京)

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)日曜日の夜はこの番組を見るためにお風呂は番組が始まるまでに入ります。そして、家族で夕食を囲みながら見るのがいつもの日曜日の夜の過ごし方です。特番などで放送がないときはとても寂しいです。(中学3年・女子・奈良)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『音楽の日』(TBSテレビ)コロナの中、音楽にたくさん触れられる番組があることはとてもうれしいです。過去の放送を振り返るコーナーもあり、多くのアーティストの映像が流れ、親しみやすかったです。(中学2年・男子・長崎)

    • 『音楽の日』(TBSテレビ)自分が好きなジャンル以外のアーティストにも出会えるのが良い。テーマが「Wa!」で今つながりが少なくなってしまっているから「輪」の大切さに気づかされるし、音楽の力で励まされた。(中学3年・女子・京都)

    • 『音楽の日』(TBSテレビ)夏になると長時間にわたる音楽番組が多く放送されるため、音楽好きの私はどの音楽番組もとても楽しみにしていた。『音楽の日』もそのうちの一つだったので、もちろんほぼ全部を視聴した!昼間から夜までいろんなジャンルに富んだ音楽を堪能できてとても良かった。また、音楽の日では各地から花火を打ち上げるという企画があり、音楽だけでなく、夏も感じることができた!(高校1年・女子・埼玉)

    • 『音楽の日』(TBSテレビ)こんなときだからこそ、やはり音楽は私たちを元気づけてくれるものだなと感じたし、家族でそれぞれの時代の曲をおススメし合ったりもして、とてもいい時間になりました。(高校2年・女子・埼玉)

    • 『音楽の日』(TBSテレビ)長い放送時間で、さまざまなアーティストのパフォーマンスや過去の映像、全国からの中継、またパフォーマンスだけでなく、なかなか見ることのできない綺麗な景色や壮大な演出などで、ストレスに感じているニュースから少し離れて、非日常感を味わうことができました。(高校3年・女子・静岡)

    • 『音楽の日』(TBSテレビ)放送後にYouTubeに『音楽の日』のチャンネルが開設されていて、見逃し配信のような形で映像が上げられていました。多くの人がスマホなどでYouTubeを使うことを考えたうえでのことだと思います。例えばTwitterなどでは、好きなアーティストの出ている部分を切り取って載せているところを見かけることがあります。そのようなことを防ぐ意図もあるのかなと思いました。(高校1年・女子・東京)

    • 『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ)新米の警察官と元エース刑事がタッグを組んで事件を解決するところがとてもかっこよかったです。また、コメディー要素もあり、笑いあり、涙あり、のとても面白いドラマでした。次回が楽しみです!!(中学3年・女子・富山)

    • 『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ)あまりドラマで見ない交番が舞台で、コメディーな部分がとても笑えて面白いドラマだった。登場人物に同情できる部分も多くあり、「言うことは言う」正直なところもリアルで、新ジャンルのドラマだと思う。(高校1年・女子・京都)

    • 『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ)とてもかわいい警察官で見ていてほっこりしました。面白いだけでなく、警察官の苦労や現状などのギャップもあり、最後まで楽しく見ることができました。2話以降も見ます。(高校2年・女子・静岡)

    • 『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ)小ネタが多いためずっと笑っていました。考察したりせず、何も考えないで楽しめるところが良かったです。水曜の夜は1週間の真ん中で疲れも出てくるところですが、このドラマを見れば少し元気になれると思います。(高校2年・女子・神奈川)

    • 『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ)私たちの知らない交番の仕事が、現実味を帯びた形で描かれていると感じた。思わず「なんで?」と言いたくなってしまう人に出会ったことはあるだろうか。人はそれぞれ異なる価値観や、生活習慣や、自分ルールや、感覚を持っている。またそれがこの世の誰かと合致することはほとんどない、と気付くのは特に難しい。主人公の一人、川合にとって交番はそんな「なんで?」な人と出会う場所だった。実際の交番をよく知っているわけではなくても、いろんな人が自分の経験に置き換えて同意しやすいのがこのドラマのいいところだと思った。(高校3年・女子・東京)

    • 『社会実験ドキュメント サビ抜きで。』(NHK Eテレ)何か物事を考えるとき、いつも追加することだけを考えていたけれど、ときには引いてみるといったことを試すことが大切だと考えた。引くことで何か新しいことが考えられそうだなと思った。(高校1年・男子・群馬)

    • 『社会実験ドキュメント サビ抜きで。』(NHK Eテレ)ツッコミあり、ツッコミなしの反応を、最新機械を使って脳波を見て科学的に分析するのは新しく、興味深い。これから漫才を見る目が変わると思う。(高校2年・男子・愛知)

    • 『BS1スペシャル「マイケル・サンデルの白熱教室 エリートたちよ 君の成功は努力の結果?それとも運?」』(NHK‐BS1)東京大学やハーバード大学、清華大学の学生が、「ワクチン接種の強制」や「仕事の価値」「難関大学に入学できたのは努力のおかげか」など、さまざまなことについて話し合っているのを見て、今の世界はどうなっているのか読み取ることができ、少し難しい番組でしたが、よく考えさせられる内容で良いと思いました。(中学1年・男子・岩手)

    • 『BS1スペシャル「マイケル・サンデルの白熱教室 エリートたちよ 君の成功は努力の結果?それとも運?」』(NHK‐BS1)ロックダウンやワクチンといった、“現在”の問題から始まり、エッセンシャルワーカーや学歴による賃金格差のような、より大きな視点から見たときの“現代”の問題へと移っていくという授業全体の流れが圧巻で、内容が頭に入りやすかった。また、日本、中国、米国の3か国の学生の意見の違いなどは見ていてとても興味深かった。特に、日本の東大生6人全員が、自分の成功は努力よりも家庭環境などの持って生まれた運の要素が大きいと答えたのは驚きだった(単に謙遜しているだけだとは思うが)。ただ、名門校の大学生の意見も参考になったとはいえ、欲を言えば、自分は、やはりマイケル・サンデル氏の自説を聞いてみたかった。この番組を見て氏の遍歴について興味を持ったので機会があれば氏の著書を読んでみようと思う。(高校1年・男子・東京)

    • 『発進!ミライクリエイター』(テレビ朝日)「こんなことを実現しようと
      しているのか」という若いクリエイターの活動を知り、今の世界を知ることができるので、興味深い番組だと思いました。SDGsの観点も入っているように感じました。(中学3年・男子・静岡)

    • 『発進!ミライクリエイター』(テレビ朝日)世界からテロをなくすことを目標としているミライクリエイターと、洋服のゴミゼロを目指すミライクリエイターが登場しました。何故そこに着目したのかということから、現在の活動を通して将来の目標が明確で、私も自分にできることは何かを考えさせられる番組でした。お二人ともゆくゆくは法の整備をしたいと話されていました。私は将来法学部に進みたいと考えているので、ますます法について学びたいと感じ刺激をもらいました。(高校1年・女子・東京)

    • 『ロコだけが知っている』(NHK総合)この番組は、地元愛にあふれる人たち(ロコ)が地元の魅力を紹介するもので、地方の文化や風習を知ることができるため、定期的に見たい番組である。今はコロナ禍で旅行ができないので、こういう番組を通して地域の文化やそこに住む人たちの熱い思いを知ることができるのは楽しいと思った。(中学2年・男子・神奈川)

    • 『ロコだけが知っている』(NHK総合)自分の中では、七夕が特別と思うことはあまりありませんでした。だからこそ、その土地その土地にいろいろな七夕の文化があるのを再確認することができ、面白かったです。(中学2年・女子・大分)

  • (参考) 「ドッキリ系」「芸人が相手の苦痛を笑いのネタにする」バラエティー番組についての中高生モニターの感想(抜粋)

    • 自分は相手にけがをさせたり、嫌な気持ちにさせてしまうドッキリは許容できないと考えています。(群馬・高校1年・男子)

    • 人を傷つけるような内容はよくないと思います。難しいのは、傷つけるつもりではなくても、とらえかたは人それぞれなので、相手のことをよくわかったうえで考える必要があると思います。(東京・中学1年・女子)

    • 身体的・精神的に追いつめるような行為を、いくら芸人という人を笑わせるのが仕事の人にも、してはいけないと思うし、人権を守ることはテレビが大切にしなければならないことの1つだと思う。ただ、ドッキリ番組の中でも心温まるものはいいと思う。(京都・高校1年・女子)

    • 実生活で番組に出てくるドッキリや苦痛を笑う行為はされたくありません。TVは影響力が強いと思うので、もう少し、みんなが笑えるような番組づくりを心がけていただきたく思っています。 (長崎・中学2年・男子)

    • とつ然大好きな芸能人があらわれたり、1000円でとても有名な歌手が歌を歌ってくれたりと得するようなドッキリは好きですが、だれかをだましたりこわがらせたりするドッキリは大きらいです。(奈良・中学3年・女子)

    • 視聴率を取るために過激なドッキリやバラエティー番組をしているようにも思えるが、それをすることはむしろ逆効果だと思う。(神奈川・中学2年・男子)

    • 何気なく見ているテレビでも、「相手が苦痛に思っているものを自分たちは楽しんで見ている」そう思うと少し嫌な気分になりました。だからといってそういったリアクションを楽しむようなものが無くなるのはさみしく、やっぱり見ている側からすると面白いし、笑ってしまうので複雑な感じです。(大分・中学2年・女子)

    • 芸人が相手の苦痛を笑いのネタにして、それを放送するのは、全く問題ない。ただ、あくまでも、これらの行為は、テレビの中の世界のみであり、実生活でそのような行為はない方がよい。(山形・高校3年・男子)

    • ドッキリにかけられた芸能人が本当にドッキリが苦痛で、嫌でたまらないと思っているのならば、もっと本気で怒ると思うのと、NGを出すと思う。私たちが勝手に「苦痛」だと決めつけるのは、あまり良くないと感じた。(千葉・中学2年・女子)

    • 自分自身は昨今のバラエティー番組において苦言を呈する点はそこまでないと考えている。問題とされている相手の苦痛を笑いのネタにするという行為も需要があるからこそ供給をしているわけであり、そのネタによって気持ちが好転するということもしばしばある。(神奈川・高校2年・男子)

    • 私が思う、バラエティーでの行為の許容範囲は、大事な私物が破損しない、その人が怪我を負わない。その2つが、許容範囲かな!と思います。ですが、これら2つをきっちり守っている番組はほとんど無いし、きっちり守ると、おもしろさが減少してしまうな。と感じました。とても難しい所です。(埼玉・中学2年・女子)

    • ドッキリ自体は悪くはないと思っていますが、その内容が問題点なのではと感じました。(奈良・高校2年・女子)

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての討論

  • 「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての討論では委員から様々な意見が出されました。その結果、引き続き「討論」を継続することになりました。

以上

2021年7月に視聴者から寄せられた意見

2021年7月に視聴者から寄せられた意見

開会式の音楽担当者の過去のいじめ問題、情報番組出演者の競技「蔑視」コメント、フェンシング中継での選手写真の取り違えなど、オリンピックに関する意見が多かった。

2021年7月にBPOに寄せられた意見は1,419件で、先月と比較して136件増加した。
7月は東京都が緊急事態宣言下にあった12日以降、電話による意見の受け付けを中止した。
意見のアクセス方法の割合は、メール93%、電話5%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性49%、女性18%で、世代別では40歳代28%、30歳代25%、50歳代20%、60歳以上13%、20歳代12%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送事業者を特定したものは、当該事業者のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。7月の通知数は642件【48事業者】であった。
このほか、放送事業者を特定しない放送全般への意見の中から24件を抜粋し、全会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

五輪開会式の音楽担当者の過去のいじめ問題、情報番組での有名タレントの「水球女子、だれが見るんでしょうか」という発言、五輪フェンシング中継番組で金メダルの日本選手の写真として韓国選手の写真を放送した事案など、五輪に関する番組、内容への意見が多かった。ラジオに関する意見は38件、CMについては12件あった。

青少年に関する意見

7月中に青少年委員会に寄せられた意見は88件で、前月から5件増加した。
今月は「報道・情報」が14件、「表現・演出」が10件、「低俗、モラルに反する」が10件、「人権」が9件、「いじめ・虐待」が9件、と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 熱海の土石流のニュースで、SNSに投稿された映像を何十回も繰り返して放送していた。重要な情報であることは分かるが、あまりにもショッキング。同じ映像を何十回も繰り返す必要はないと思う。最新の気象情報を知るためニュースは見ざるを得ないが、何度もこの映像を見なければならないのは辛い。

  • 記録的大雨で災害が発生している熱海の情報を生放送で伝えていた時、現地の人に電話でインタビューしていた女性アナウンサーが、相手から「消防から避難したほうがいいと言われた」と聞くと「すぐに避難してください」と伝えて即座にインタビューを終了させた。当然のことかもしれないが良い判断だと思った。

  • 五輪開会式の音楽担当を辞任した小山田氏の少年期の行為には、知的障害者への暴力を伴った差別の側面がうかがわれる。「やまゆり園」の犠牲者がいまだに実名フルネームでは報道されないという一事にも、わたしたちの社会にある知的障害者への差別の根深さが示されている。多くの人が関心を持ったこの一件は、ふだんは見えにくい問題をあらためて考える契機になりうるはずであり、そこにはマスメディアが果たせる役割があるはず。小山田氏の排除で「決着」となるなら極めて残念。

  • 各報道番組がオリパラ開会式作曲担当の小山田圭吾氏のいじめ問題を取り上げているが、しつこく不愉快。メディアが小山田氏を袋叩きにしていじめているようにしか感じられない。数十年前の記事の内容について、今の世の中の価値観で話をするのはいかがなものか。

  • オリンピックの要人歓迎会について、街頭でインタビューした数名とコメンテーターの全員が否定的な意見。国際的なイベントだから歓迎会も礼儀として最低限のものは必要だろうと思う。肯定的な意見はひとつもなかったのだろうか。街頭インタビューの中には歓迎会を一般人の飲み会と同レベルに考えている人もいた。歓迎会を催すに至った理由も報じない。何十人かに聞いて「〇人が否定的でした」ならまだ分かるがマイナスの部分ばかり切り取っていて気味が悪い。

  • テレビが若者の(外出理由)「政府が」、「五輪が」、「自粛慣れ」という声ばかり伝えていたら、一体誰がこのコロナ禍を心配するのか。人のせいにばかりして危機感なしの国民にテレビ局がしているのではないのか。テレビ局はコメンテーターの発言やVTRの中身を、コロナを減らすという気持ちで伝えてほしい。

  • 情報番組でお笑いタレントのコメンテーターが「感染者数が意図的に少なく発表されていると思う」という主旨の発言をしていたが、根拠がない。ワイドショーでは芸能人コメンテーターが印象操作をそれと気づかずにするおそれがある。コメンテーター制度はやめるべき。

  • Twitterを利用して視聴者の声を画面に表示しているが、放送内容と反対の立場の意見はほとんどピックアップされない。放送内容があたかも「多数意見」であるかのように報道するのはおかしい。恣意的な情報操作が可能なこうした手法は禁止する必要があると感じる。

【番組全般・その他】

  • 特定の地名から人が何をイメージするかを当てる「○○(地名)といえば ランキング」というコーナーで、問題「インドといえば」の答えの3位が「新型ウイルスの変異株」であった。インドの方々が苦しんでいる中、これを国のイメージとして放送するのは全く配慮に欠け、差別を助長しかねない。見ていて非常に不愉快だった。

  • 「夏休み特別企画 大人気テーマパーク徹底攻略SP」と題して一週間、ユニバーサルスタジオや富士急ハイランドなどを特集。緊急事態宣言中なのにメディアが外出を煽っているように思う。

  • アナウンサー、演者などマスクをしていない人が感染防止対策を呼びかけてもムダ。

  • タレントがマスクを着用すれば視聴者を啓発できる。収録や生放送でのマスク着用を望む。

  • 各局のオリンピック中継。あれだけ中止を訴えておきながら手のひらを返したような放送に辟易する。もっと一貫性をもって番組作りや放送をすべきだと思う。

  • オリンピックは自宅で観戦、不要不急の外出はしないで、というニュースの後、選手の地元や母校で人々が集まって応援している様子を報道。オリンピック観戦の為なら集まってもいいのか、外出してもいいのか、全く納得できない。

  • 「フェンシング男子エペ団体決勝」。金メダルの日本選手の写真を取り違え、放送終了直前にアナウンサーが「先ほど、スタジオで皆様にお見せした写真の一部に誤りがありました。大変失礼いたしました」と言っていたが、どこを間違えたのかきちんと言うべき。選手に失礼だ。

  • 「フェンシング男子エペ団体決勝」。日本が金メダルという歴史的快挙をなし遂げたが、表彰式、選手インタビューなどメモリアルな瞬間が放映されず大変残念。コロナ禍で会場に行けなかった選手関係者の気持ちを思うと心が痛む。

  • 有名タレントが五輪開会式について「恥ずかしくて外国に行けない」、「(ドローンは)コンピュータに入れているだけ」、競技について「女子の水球、だれが見るんでしょうか」。選手の努力や大会関係者の苦労をバカにする発言は聞くに堪えない。ドローンのコメントは無知。そのプログラミングがどれだけ難しく大変か、事前に調べて発言できない。時代についていけていない。ファンだったので残念。

  • スポーツ番組全般で画面隅の表示やアナウンサーの言葉でよく「このあと」とあるが、「このあと」が長すぎる。「すぐ」がついて「この後すぐ」なら今見ている試合の次かと思えば、ぜんぜん後だったりする。「このあと」の使い方を適切にしてほしい。

  • オリンピックの番組が番組表通りに放送されず録画ができない場合があった。NHK総合だった番組がEテレやサブチャンネルに切り替わっていた。リアルタイムで見られない人はニュースやハイライトで見るしかない。改善をお願いしたい。

  • 各局の大型音楽特番はコロナ禍の現在は不要不急の番組と言わざるを得ない。出演者も制作スタッフも多く、大人数のアーティストがスタジオでマスクをせずに歌うような長時間の特番は、人流の抑制という要請に逆行している。

  • メジャーリーグの大谷選手を取り上げる中で、アメリカのキャスターの間違った日本語や意味不明な日本語を、字幕を付けて面白おかしく扱っている放送をよく見る。悪意を感じることはないが、アメリカ人の友人はこのような放送を各社が繰り返すことに驚いていた。「オオタニサーン」というアメリカ人キャスターの発音を日本人が繰り返しまねる。世界が注目する選手の情報には世界中の人がアクセスする。放送する側に悪意がなくてもこのような放送を人種差別的と捉える人もいることを意識した方がいい。

  • 災害や貧困で食事にも困っている人がいる中、芸能人の大食い・激辛企画。フードロス削減という社会の要請に逆行している。こんな番組を放送しておいて「SDGsと向き合う」とは呆れたものだ。

  • 仕掛け人であるマネージャーがターゲットであるタレントに対して本人を侮辱する暴言を浴びせて怒らせる、というドッキリに非常に不快感を抱いた。激昂したターゲットが仕掛け人に手をあげる寸前だった。傷害事件になりかねない。制作者や放送局の常識を疑う。

  • 番組全編を通じて、占いという非科学的なものを非常に好意的に、かつ権威あるものとして扱っており、視聴者が信じ込んでしまうような演出になっている。かつてカルト教団を好意的に扱い信者の獲得に寄与してしまった過去を繰り返す萌芽になりうると考える。

青少年に関する意見

【「報道・情報」に関する意見】

  • 千葉県八街市の児童5人死傷事件の取材で、友だちが亡くなったばかりの同級生に「どう思う?」など苦しみを蒸し返すような質問ばかり浴びせており、倫理観を疑う。自分たちのネタになるなら子どもたちの心のケアは二の次か。こんな低レベルの倫理観で報道番組を名乗っているかと思うと絶望する。

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組の企画で、他のタレントに自腹で買ってやるという演出だが、実際にはテレビ局が支払いをしているとしたなら、視聴者を欺く視聴率稼ぎのための演出で問題だ。テレビのそうした小さな嘘でも子どもたちへの影響を危惧せざるを得ない。

【「低俗、モラルに反する」】

  • 川柳ネタで、女子生徒の縦笛を舐めるという性的いやかせらせをテーマとして取り上げていた。司会の芸人と女優が「男子のこのような行為は当たり前だ」といった芸人のコメントを擁護・美化するコメントがされていた。傷ついた人が多くいるのではないか。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • あるタレントが、東京オリンピックの音楽担当を辞退したアーティストの過去の障害者への虐待について「昔はこういうのを許容する価値観があった」などと発言していた。こんなのを子どもたちが見て影響を受けたら正直たまらない。間違いだったと訂正していただきたい。

【「人権」に関する意見】

  • 東京オリンピック開会式の生放送で、23時過ぎに未成年者の高校生を合唱で出演させていた。労働基準法第61条に抵触、放送法違反では?

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • ドラマやアニメ等、創作物での暴力描写への規制が最近は厳しすぎる気がする。面白半分でそういう表現を入れているのならまだしも、そういった部分をきちんと描くからこそ伝えられる事もあると思う。綺麗事で取り繕った上辺の部分だけでなく、汚い部分をしっかりと映す事も放送の役割ではないのか。子どもへの影響を危惧する声が多いが、本来教育はテレビの役割ではなく親の役割。教育を投げた人間の声にテレビが迎合しすぎて、放送できるものの枠が狭まりどんどんとテレビ番組はつまらなくなっている。放送や表現を規制するのではなく、伝えたい事をきちんと伝える事に重きを置いて、コンプライアンスが厳しいから、視聴者がうるさいからと丸投げにせず、信念を持った番組作りをお願いしたい。

第294回放送と人権等権利に関する委員会

第294回 – 2021年7月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」に対するフジテレビの対応と取り組みを了承…など

議事の詳細

日時
2021年7月20日(火)午後4時~午後5時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」第1会議室(オンライン開催)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
丹羽委員、野村委員、廣田委員、水野委員

1. 「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理

NHK宮崎放送局は、2020年11月20日午後6時10分からの『イブニング宮崎』(宮崎県内で放送)の中で、同年3月26日に宮崎市内で男性2人が死亡した民家火災の続報を放送した。そこでは、この火災は放火殺人事件の疑いが濃くなり、容疑者がガソリンをまいて火をつけ被害者(申立人の兄)を殺害し自分も死亡した可能性があり、その原因として「何らかの金銭トラブル」が死亡した2人の間にあったかのように伝えられた。
この放送に対して申立人(被害者の弟)が、「2人の間に何らかの金銭トラブルがあった」と報じられたことで、「兄にも原因の一端があったのではないか」との印象を抱かせるものであり、事件被害者である兄の尊厳を傷つけたとして、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「事件当事者の2人が亡くなっている中でも、当時の取材で知り得た情報を基に『被害者』と『加害者』を明確に分ける形で客観的な事実を伝えており、申立人の主張する指摘は当たらない」と反論した。
今回の委員会では、双方から提出された書面がすべては整わず、現時点での意見交換を行った。

2. 「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」フジテレビの対応と取り組み

今年3月30日に通知公表を行った委員会決定第76号「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」について、当該放送局のフジテレビから「対応と取り組み」をまとめた報告書を受領し、委員会での検討の結果、了承した。委員からは、「特に出演者や制作スタッフを守るための専門家の導入を期待したい」との意見があった。
フジテレビの対応報告は、こちら(PDFファイル)。

以上

第41号

日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見

2021年7月21日 放送局:日本テレビ

日本テレビは3月12日に放送した情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した際、出演したタレントが「この作品とかけまして、動物を見つけた時ととく。その心は、あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、日本テレビには視聴者から不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で「放送内容においてアイヌの方たちを傷つける不適切な表現がありました。深くお詫び申し上げるとともに今後、再発防止に努めてまいります」と謝罪し、日本テレビのウェブサイト及び番組ウェブサイトにお詫びを掲載した。翌週月曜日15日には、『スッキリ』の番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
委員会は、当該放送局に報告書と同録DVDを求め協議した結果、差別的な表現であり放送倫理違反の疑いがあるとして、4月の委員会で審議入りを決め、議論を重ねてきた。審議の結果、本件放送はアイヌ民族に対する明らかな差別表現を含んだもので、オンエアに至った背景には、収録動画の最終チェック体制が極めて甘く、アイヌ民族やその差別問題に関する基本的知識がスタッフ間で決定的に不足していた点があったことを指摘し、日本民間放送連盟の「放送基準」の「(5)人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別しない」「(10)人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」などに反しているとして、放送倫理違反があったと判断した。

2021年7月21日 第41号委員会決定

全文はこちら(PDF)pdf

目 次

2021年7月21日 決定の通知と公表

新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言発出を踏まえ、通知は7月21日午後5時40分からオンライン会議システムで行われた。また公表の記者会見は午後6時15分から同じくオンライン会議システムを使用して行われ、委員長および担当委員が委員会決定の説明と質疑応答を行った。会見には132アカウントの参加があった。
詳細はこちら。

2021年11月12日【委員会決定に対する日本テレビの対応と取り組み】

委員会決定 第41号に対して、日本テレビから対応と取り組みをまとめた報告書が2021年10月20日付で提出され、委員会はこれを了承した。

日本テレビの対応

全文pdf

目 次

  • 1、委員会決定についての放送
  • 2、検証番組の放送について
  • 3、番組審議会への報告
  • 4、BPO委員を招き研修会を実施
  • 5、再発防止に向けた取り組み
  • 6、おわりに

第162回 放送倫理検証委員会

第162回–2021年7月

日本テレビの情報番組『スッキリ』を審議
7月中に委員会決定を通知・公表

第162回放送倫理検証委員会は7月9日にオンラインで開催された。
アイヌ民族に対する差別表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について、担当委員から意見書の修正案が示された。意見交換の結果、大筋で合意が得られたため、7月中に当該放送局への通知と公表を行うことにした。

議事の詳細

日時
2021年7月9日(金)午後5時00分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室およびオンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、井桁委員、大石委員、高田委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について審議

日本テレビが3月12日に放送した情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した際、出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをしたことについて、委員会は、差別的な表現であり放送倫理違反の疑いがあるとして、4月の委員会で審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員から示された意見書の修正案について意見交換が行われ、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、7月中に当該放送局へ通知して公表することにした。

以上

2021年7月12日

2021年 7月12日

緊急事態宣言に伴うBPO視聴者電話応対業務の休止について

BPOは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための政府の緊急事態宣言が、事務局がある東京都に出されたことを受けて、次のとおり対応いたします。

  • 期間中はテレワークを徹底し、視聴者からの電話応対を休止します。
  • 郵便物とメール、ファクスは受け付けます。

2021年6月に視聴者から寄せられた意見

2021年6月に視聴者から寄せられた意見

札幌市内で人がヒグマに襲われた事案の取材手法、公園で行われたコスプレイベントを扱った際のプライバシー保護のあり方などへの意見が多かった。

2021年6月にBPOに寄せられた意見は1,283件で、先月と比較して119件増加した。
6月は1日から20日まで緊急事態宣言下にあり、この間、電話による受け付けを中止した。
意見のアクセス方法の割合は、メール91%、電話7%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性50%、女性23%で、世代別では40歳代30%、30歳代24%、50歳代22%、20歳代13%、60歳以上10%、10歳代1%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送事業者を特定したものは、当該事業者のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。6月の通知数は646件【47事業者】であった。
このほか、放送事業者を特定しない放送全般への意見の中から18件を抜粋し、全会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

札幌市内で人がヒグマに襲われた事案で、テレビの取材車両がクマを追尾しながら撮影した映像を放送した事業者に対する「この追尾取材がクマを興奮させたのではないか」という意見や、公園で行われたコスプレイベントの参加者を公道から撮影し、顔をぼかして放送した番組に対する「顔をぼかしても衣装で個人が特定されるので不安」などの意見が多かった。
ラジオに関する意見は43件、CMについては13件あった。

青少年に関する意見

6月中に青少年委員会に寄せられた意見は83件で、前月から10件増加した。
今月は「報道・情報」が20件、「マナー・服装」が13件、「表現・演出」が18件、「低俗、モラルに反する」が11件、「性的表現」が4件、と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • かつて国設鳥獣保護区管理員をしていた。札幌にヒグマが出没し4人が負傷した事件のニュース映像で、取材の記者たちがヒグマを車で追い回している様子が映っている。ヒグマは車を振り返りながら興奮して走り、自衛隊員を負傷させた。本来ヒグマは人を避けて隠れて行動するものだが、興奮させると予測できない行動を起こす。ヒグマを車であおるなど絶対にしてはいけない行動で、ましてや住宅街でやるとは言語道断。ヒグマがいたら興奮させないように遠くから静かに観察し、速やかに位置情報を警察に伝えるべき。

  • ニュースの最後のアナウンサーたちのトーク。「若い人たちがワクチンを接種したがらないようですね」「自分だけではなく、周りを守るっていう意味でも接種していただきたいですね」。ワクチン接種は任意。ワクチンハラスメントを助長するような発言をアナウンサーがしてもよいのか。個人的にはとても問題のある発言だと思う。

【番組全般・その他】

  • 若者のワクチン接種を促すような、接種を肯定する意見ばかりが報道されている。デメリットも伝えて視聴者自身の判断に委ねるべきものではないのか。厚労省が開示しているワクチン接種後の死亡例など客観的なリスクとベネフィットを報道してほしい。

  • 新型コロナワクチンについて、副反応によるものかどうか分からない死者の数を、あたかもワクチン接種によって死亡したかのように報じ、人数についても割合でいえばごく少数なのに実数しか報道しない。報道する側は責任を持って、冷静に事実のみを伝えるべき。

  • コロナワクチンに関して医療の専門家でないコメンテーターが「ワクチン格差によってウイルスの変異が進み、集団免疫の獲得はできないと思う」と述べていた。番組を見た視聴者がワクチン接種を躊躇(ちゅうちょ)する可能性があり、感染者の減少を阻害する要因となるおそれがある。公に発信する放送として正しいとは思えない。

  • 尾身会長の「パンデミックの中での五輪開催は普通ではない」という発言に対して、「自民幹部は『言葉が過ぎる』と不快感を示した」と報じられたが、この「自民幹部」は実名で報じるべきではないのか。政治と科学者の問題を考える上でも極めて重要な発言。政治報道には同様の匿名表現が少なくない。慣行になっているのだとしたら見直しを検討すべきだと思う。

  • 公園で行われたコスプレのイベントに参加しているところを撮影され、コロナ感染リバウンドを懸念するニュースの一部として情報番組で放送された。テレビ局は「モザイクを入れて参加者のプライバシーに配慮した」と説明しているが、当日そのキャラクターのコスプレをしていたのは私だけ。私はツイッターで当日の写真をあげており、顔にモザイクをかけたくらいでは少し検索をすればアカウントを特定できる。現在、誹謗中傷などを未然に防ぐためアカウントを非公開にしていて再公開のめどもたたない。コスプレはキャラクターの姿を借りる趣味だ。このような報道に無断でキャラクターや私の衣装が使われたことが本当に悲しいし悔しい。

  • 立川ホテル男女殺傷事件で、被害者の職業を「派遣型風俗店勤務」と紹介しながら氏名を公表していた。被害にあわれた女性の家族は心を痛めていると推察する。死後にまで被害者を辱めるようなやり方は報道機関として正しい姿なのか。

  • 弁当店で店員に硬貨を投げつけるなどした迷惑客の監視カメラ映像について、店側はツイッターで客の顔を公開していたため、放送を見た人がこの店の名前を検索することで客の顔が拡散される状態になっていた。客に問題があったとはいえ、店側のネット私刑に多くの報道番組が加担した形になっていた。

  • 7名の村職員の退職はすべて村長のパワハラによるものであったかのような報道があったが、7名の中には私の知り合いもおり、1人は結婚して結婚相手の居住地に引っ越すために退職、別の1人は「新しい世界に挑戦したい」と転職した。報道は不適切だと感じた。

  • 「笑わせ合いサバイバル」という企画で、男性タレントがその場で自分の肛門のインスタント写真を撮って他の出演者に見せる場面があった。写真は放送ではモザイク加工されたが、しゃがみこんで写真を取る過程が放送され、気分が悪くなった。身近な地域で性器の写真が拡散されていじめに遭った中学生が自殺する事件があったので、過剰に反応してしまったのかもしれないが、放送倫理とは何なのか考えさせられた。価値観は人それぞれであり、面白いテレビ作りは続けていただきたいが、子どもと見ていて自分が笑ってしまうと、その行為を認めたことになるのではないかと困った。

  • 占い師がゲストのタレントを占って「セックスめちゃくちゃうまい」、「キスとか舐めるのが好き」。こうした発言をテレビで放送するのはおかしいと思う。収録だから編集で放送しないことだってできたはずである。それを放送すると判断したテレビ局の考えも疑う。面白ければ何でも良いという姿勢が(視聴者としてはこれっぽっちも面白くないが)不快。占いの真偽やテレビで扱うことへの是非は問わないが、番組の中で不快にさせる発言、時代にそぐわない発言、占われるタレントをけなす発言などは厳しくチェックしてほしい。

  • 芸人夫婦の妻側が仕掛け人となって離婚を切り出すいわゆる「ドッキリ」で、夫が号泣していた。いくら「ドッキリ」でも度が過ぎる。番組スタッフに人権を尊重する意識が欠けているのではないか。

  • バラエティー番組で北軽井沢(群馬県)について「軽井沢(長野県)を堂々と名乗っている」と表現。北軽井沢を見下し、在住している者にとって非常に不愉快な番組だった。

  • 出演者が室内に大勢集まり、延々しゃべったり歩きまわったりするトーク番組。「家飲みなら安全」「新型コロナ対策は不要」というような誤ったイメージを視聴者に与えかねない。番組冒頭で「新型コロナ対策をしています」とテロップが出る割には申し訳程度のアクリル板や入室前の手指のアルコール消毒がされているだけ。視聴者としては対策のゆるさにびっくりする。家庭や職場での感染が拡大し、芸能界からも多数の陽性者がでているなか、テレビ局はこんな番組を放送しないような配慮が必要だと思う。

青少年に関する意見

【「報道・情報」に関する意見】

  • 千葉県八街市の児童5人死傷事件の取材で、事故前まで一緒に遊んでいたという子どもにインタビューをし、顔まで放送するのは非常識すぎる。配慮がなさすぎるし、視聴者は望んでいない。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 女子中学生が男性教諭に憧れてタオルに変身し、先生の家での生活を覗き見るというドラマがあった。覗きは人権侵害に値する行為であり犯罪行為を助長するような内容を放送している。テレビがその表現を肯定することにより、性犯罪を許容するメッセージを与え、性犯罪に及ぶハードルを下げる一端を担うことにならないか。

【「マナー・服装」に関する意見】

  • 子ども向けアニメ内で、オタクが喜ぶようなタイツ推しや下着を見せるような子どもの性癖を歪めるような描写は止めてほしい。

【「性的表現」に関する意見】

  • 深夜のアニメ番組において、誘拐されて拘束された女性が全裸にされて石化させられるシーンがあった。他にも緊縛された女性に対して電流を流すシーンがあり、いくらアニメとはいえども女性に対する性暴力を助長するシーンは青少年に悪影響を与える恐れがあるのではないか。

【「低俗、モラルに反する」】

  • 笑わせ合いサバイバルという企画で、男性タレントが、自分の肛門のインスタント写真を撮って見せる場面があった。写真はモザイク加工されたが、しゃがみこんで写真を取る過程が放送され、気分が悪くなった。あまりにも下品だ。

【その他】

  • 10代から20代の男の子たちがデビューに向けてレッスンを受け11人枠をかけて戦うサバイバルオーディション番組の合宿生活が盗撮盗聴され、ツイッターやLINEなどのSNSで流出している。番組に参加しているといえども彼らはまだ一般人であり、放送上には乗らない音声や動画が出回ることがあっていいのか。番組に問い合わせを送っているが対応がない。

第235回 放送と青少年に関する委員会

第235回-2021年6月

視聴者からの意見について…など

2021年6月22日、第235回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
有名人の同級生のその後を追いかけるバラエティー番組で、取り上げられる人物が名門校の優等生や成功した人物ばかりなのに対し、「経済的に教育環境が恵まれない人たちが見たら悲しい気持ちになる。格差を煽っている」という意見が寄せられました。また、幼児向けの教育番組で、登場するキャラクターの一部が男性器を想起させ、「これを見せるのは児童虐待ではないか」との意見が寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
6月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たドラマについて」でした。
モニターからは、偏差値32の高校生を東大に現役合格させるまでを描いたドラマについて、「自分は、勉強が得意ではないが、自分の成績を上げられるような勉強法などが話の中に盛り込まれていて、とても続きが気になるドラマで、心に刺さるドラマです」などの意見や、離婚を決意した女性が水面下で離婚に向けた活動を開始するドラマについて、「私は、最初は離婚の話に対して少し抵抗を感じていましたが、実際に見てみると本当に面白く、切ないストーリーで毎週楽しみにしています」という報告があり、また、3度の離婚歴がある女性と3人の元夫たちを描いたラブコメドラマについては、「このドラマの魅力は、ドラマを見ている第三者の気持ちではなくて、まるで自分もそこにいるかのような気持ちにさせてくれるリアルなところだと思う」といった内容のリポートが寄せられました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
次回は、7月27日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年6月22日(火)午後4時30分~午後7時20分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての意見交換
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、5月後半から6月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
有名人の同級生のその後を追いかけるバラエティー番組で、取り上げられる人物が名門校の優等生や成功した人物ばかりなのに対し、「経済的に教育環境が恵まれない人たちが見たら悲しい気持ちになる。格差を煽っている」という意見が寄せられました。
委員からは、「格差を助長する程とは思われない」「特に大きな問題ではないと思う」という意見が出されました。
幼児向けの教育番組で、登場するキャラクターの一部が男性器を想起させ、「これを見せるのは児童虐待ではないか」との意見が寄せられました。
委員からは「制作者が意図したものとは思えない」として、修正を要請するレベルではないとの意見でした。
視聴者意見に対する反論として、「不適切と声を荒げる前に、『見ない・見せない、事前にあらすじを読んでから判断する』などで対処できるのでは?」という意見が寄せられました。
委員からは、「予告などで内容が分かるようにして、視聴者がそれを選べるようにする努力をさらに進めていくのがよい」との意見が出されました。委員長からも「見なければいいといえるかについての論議は、放送の公共性との関連において重要。事前に判断できる表示の工夫も必要」との意見が出されました。
10~20代の男子を追いかけたオーディション番組で、「放送ではないが、デビューに向けてレッスンを受ける模様などが盗撮され、SNS上で流されていることは問題だ」とする意見が寄せられました。
委員からは、番組に関連する情報がSNS上で流れることがある場合に関して、「テレビ番組とSNSをコラボさせる番組が出てくると、制作者側にもある程度の責任が生じる場合があるのではないか」「番組の人気と繋げるような演出に利用しているとすれば問題となるのではないか」「未成年者でなくともリアリティーショーは出演者が精神的な負担を負う側面がある演出方法といえることから、制作者側には慎重な対応が求められるのではないか」との意見が出されました。
子ども向けドラマ番組で男性教諭に憧れる女子中学生がタオルに変身しその教諭の日常生活をウォッチするという内容に対し、「覗きという犯罪行為を助長する。性犯罪に及ぶハードルを下げるのでは」との意見が寄せられました。
委員からは、「実際に忍び込むという行為ではない」「ファンタジーの世界」として問題ないとの意見でした。

中高生モニター報告について

35人の中高生モニターにお願いした6月のテーマは、「最近見たドラマについて」でした。いつもと同様、「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の欄も設けました。今月も全員から報告がありました。
「最近見たドラマについて」では、1人で2つの番組について報告してくれたモニターもいて、全部で16番組への感想が寄せられました。複数のモニターが取り上げたのは12番組で、『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)を9人が、『金曜ドラマ「リコカツ」』(TBSテレビ)と『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ放送)を3人が記述していました。2人から報告があったのは、『土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」』(NHK総合、自由記述と合わせると3人)、『火曜ドラマ「着飾る恋には理由があって」』(TBSテレビ)、『恋はDeepに』と『土曜ドラマ「コントが始まる」』(いずれも日本テレビ)、『オシドラサタデー「コタローは1人暮らし」』と『特捜9 season4』(いずれもテレビ朝日)、『イチケイのカラス』(フジテレビ)、『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~SEASON5』(テレビ東京)、『カラフラブル ジェンダーレス男子に愛されています。』(読売テレビ)でした。
「自由記述」では、6月のテーマと関連づけて各放送局のドラマへの期待や要望などが多く、「お気に入りのドラマがあるから1週間頑張れる」「以前放送したドラマの続編は、その当時の流行などが知れて良い」「同じようなジャンル・内容のドラマが多すぎると思う。もっとバリエーションがほしい」などの記述がありました。また、自分の視聴習慣を省みて、「テレビではなく動画配信サイトやアプリを使って番組を視聴することが多い。テレビを見なくなったと実感」というモニターが複数人いました。新型コロナウイルスに関する番組への感想として、「ワクチン接種が進み、明るいニュースが増えてきた」という喜びの声が挙がっていました。
「青少年へのおすすめ番組」については9番組への感想が寄せられ、複数のモニターが取り上げたのは5番組でした。『バリューの真実』(NHK Eテレ)が12人、『よるドラ「いいね!光源氏くん し~ずん2」』(NHK総合)が6人、『世界イマキュン☆アカデミー』(テレビ朝日)が3人、『OSAKA LOVER 大阪人の新常識』(テレビ大阪)と『新 窓をあけて九州 魚大好き!こざかなクン』(長崎放送)が2人でした。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • ドラマのストーリー、登場人物の行動や言葉に教訓を得たというモニターが多かったように思う。人生のこと、勉強のこと、さまざまなメッセージを子どもたちに伝えるのもドラマの役目であると実感した。

    • 今回のモニター報告には、自分の生き方を考えるときに指針となったり、やる気を与えてくれたりするというドラマの良さを評価した記述が多かった。

    • 若い世代は真面目な番組から学習するというより、楽しい番組から学習することが多い。“エデュテインメント”といって“エデュケーション”と“エンターテインメント”が1つになるという発想にテレビの可能性が秘められているといつも考えている。

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)を見ていたら、子どもたちの気持ちを尊重して先生や保護者がサポートしていくという姿が描かれていた。あのようなシーンから勇気を与えられる子どもたちは多いだろうと思う。

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)「失敗してしまったとしても、この先頑張ればいいんだ」という前向きなメッセージに感動したというモニターがいた。若者の自殺がここ1年増えていて、自殺の原因第1位は進路問題や不良問題で、学校でつまずいてしまう子どもたちがとても多く存在している。そんな中、現実の世界で大人から前向きなメッセージをもらえるのが理想的だが、そうでなくても、子どもたちは『ドラゴン桜』のようなドラマを介して勇気をもらっているのだということが、モニターのコメントからよく分かった。

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)実利的に見ているモニターも多く、受験生のモニターが、勉強法も学べてモチベーションが上がるドラマだと記述していた。受験生にとって、この番組はドラマなのか、それとも学校では教えてくれない勉強法を学ぶ場なのか。そのあたりをいいとこ取りで視聴している様子が伺えた。受験生だからこその視点なのだろう。

    • 『土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」』(NHK総合)組織が腐敗しているとか、いろいろな不都合なことを隠しているとかいうことを、中高生は中高生なりに感じているのだと、感想を読んで考えさせられた。コロナ禍で大人がさまざまな矛盾したことを議論し合っている中で、子どもたちなりに、その矛盾や理不尽さを感じているということを感じた。

    • 『オシドラサタデー「コタローは1人暮らし」』(テレビ朝日)の感想の中で、「子どもは何でも自分のせいで抱え込んでしまうから、そうじゃないよと気づいてくれて、寄り添って励ましてくれる人が必要と感じた」というコメントがあった。今どきの子どもたちは、何に対しても「自分ができないから、自分のせいだ」と抱え込んでしまい、心の闇に陥っていく傾向がとても強いと感じている。このモニターの感想は、全くその通りだと共感した。「誰かに話していいんだよ」とか「寄り添う誰かがいるんだよ」というメッセージがテレビを通して伝わると、それが子どもたちの力になると思う。

    • 『イチケイのカラス』(フジテレビ)事実や真実を見抜くことは難しいこと、そしてそれが分かることは残酷なことはあるけれども、人の誇りや威厳を守るために大事だということを感じてくれたモニターがいた。メッセージをしっかりと受け止めてくれているということの分かる、ぜひ制作者に伝えたいと思う意見だった。

    • 『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~SEASON5』(テレビ東京)コメディー要素とシリアス要素のバランスが良いという評価で興味深いことが書かれていた。これら2つのバランスを取るのは本当に難しいと思うので、高校生がバランスが良いと評価していることは制作者の励みになると感じた。

    • ドラマについての報告だけでなく、リポート全体を通して感じたことがある。子どもたちは、知的好奇心をくすぐるような、そういう刺激のある番組を支持している。子どもたちは、知識を得られることをテレビに求めているのだと痛感した。

  • 【自由記述について】

    • モニターの中に、「毎週火曜日は、決まったドラマを見ることで1週間頑張れる軸となっている気がする」という人がいた。確かに、ドラマの放送は毎週何曜日の何時ということが決まっているので、その時間に見て、「よし、次の放送まで1週間頑張ろう」と思えることがある。そんな自分の生活のリズムを作ってくれるような番組があることは良いことだと思う。

    • ドラマのカテゴリーとして、「考察系と胸きゅん系が多過ぎる」という意見があったが、バリエーションを増やすためには少数派の視聴者の意見を知ることと、視聴率が悪くても打ち切られないような仕組みが必要となる。バリエーションが広がっていかない社会構造的なものがあると感じる。

    • テレビに今人気上昇中のYouTuberが出演していたときに、その番組がTwitterのトレンドに入っていたのを見たというモニターから、「やはり今の時代はYouTubeを見ている人が圧倒的に多いと感じたので、テレビでもっと、YouTuberのような話題性のある人を取り上げればいいんじゃないか。しかしながら、YouTubeに頼りすぎている部分もあると思うので、テレビならではの企画も出してほしい」という意見が寄せられ、興味深く読んだ。YouTubeとテレビのすみ分けは、今、かなりボーダーレスになっている。このモニターの意見は、本当に今どきの意見だと思った。

    • 「SDGsに関する番組が増えているが、何か一種のブームで終わらなければいいが・・・」と心配する記述があった。私も同感である。

    • 激辛の料理を食べているのを見たというモニターがいた。「サステナブルなことをやりましょう」と言いつつ、こういう大食いだったり、激辛だったり、食べ物を粗末にしたりという番組もあって、かなり矛盾したメッセージが発信されていると感じている。モニターからの指摘は鋭い。

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 番組中でのリポーターのコメントについて、「“おいしい”や“すごい”だけではなく、もっと具体的に話してほしい」という要望があった。私も感じることがある。「すごい、すごい」と言うだけでは伝わってこない、他の描写がないと分からない、ということが最近多い。テレビのコメントが非常に貧しいというこの意見は真摯に受け止めるべきだと考える。

    • 『バリューの真実』(NHK Eテレ)モニターからの感想から、自分たちと同年代の出演者が出ていたり、自分たちの意見を取り入れてくれたり、という相互関係を作れるような番組が支持されるのだと再確認した。

    • 『よるドラ「いいね!光源氏くん し~ずん2」』(NHK総合)「歴史的仮名遣いについて調べてみようと思った」「源氏物語について詳しく知りたい」「百人一首に興味を持った」などの感想が寄せられていた。学習意欲につながっているらしいことが分かる報告が多かった。

    • 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)「何かに打ち込んで努力する姿がすばらしく、モチベーションが上がる。もっと頑張ろうと思える」という記述があった。若者は、モチベーションが上がる番組を期待しているということをひしひしと感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)自分は、勉強が得意ではないが、自分の成績を上げられるような勉強法などが話の中に盛り込まれていて、とても続きが気になるドラマで、心に刺さるドラマです。最近は若者に何か大事なことを伝える手段が周りの人から伝えられるというより、ドラマやアニメが話題になり、視聴者が増え、メッセージが伝わるということのほうが多いため、この『ドラゴン桜』というメッセージ性の強いドラマが見られて良かったです。これからどうやって生徒たちを合格に桜木先生が導くかが楽しみです。これからも実践できそうな勉強法などを探しながら毎週楽しみにして過ごしていきたいと思います。(神奈川・中学2年・男子)

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)東大の模試でE判定になっていた生徒がいたのですが、桜木先生が「今をどうかではなく、この先をどうするのか」と言っていました。この言葉は、「失敗してまったとしてもこの先頑張ればいいんだ」と前向きな気持ちにさせてくれる言葉で、とても感動しました。(大分・中学2年・女子)

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)自分も今受験生です。モチベーションが上がってくるドラマで、勉強法なども学ぶことができます。『ドラゴン桜』で見た勉強法に従って勉強を進めています。(千葉・中学3年・女子)

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)ストーリーがしっかりしていて、途中に少しボケみたいなものを入れているのもいい。また、ためになることも言っているのでとてもいい。そして、出演者や音楽が昨年大ヒットした『半沢直樹』に似ていて、どこか懐かしさを感じた。(東京・中学2年・男子)

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)悩んでいる生徒がいたら天気が曇ったり、家庭の状況が良くないときは天気が雨になったり、ドラマの内容と天気が関係していることが多いと感じた。親世代の意見も入っているので、学生から親まで広い世代が見て共感できるドラマになっていると感じた。(大阪・高校1年・女子)

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)見ようと思ったきっかけは、昨年の夏に同じ時間帯で放送されていた『半沢直樹』というドラマが面白かったことと、『ドラゴン桜』も『半沢直樹』も前作が大ヒットしたという共通点があったからだ。実際に見てみるとハマる要素が満載で、私もすぐにハマった。最初に挙げられるハマる要素は、このドラマのテーマだと思う。落ちこぼれの生徒たちが東大合格を目指すという、誰もが無理と声を上げそうなテーマだが、毎話、東大専科の生徒たちがこの高い目標に向かって励む姿を見ると、社会人だけでなく私たち学生の胸にも強く刺さるものがある。また、十人十色なキャラクターたちを通して、自分らしさを失わないで、というメッセージも込められていると感じた。(埼玉・高校1年・女子)

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)東大を目指して勉強に励んでいる専科の生徒を見ると自分も頑張ろうと思えるし、勉強の知識を教えてくれるので勉強に対する意欲が湧きました。また、何か事件が起きても、桜木先生が何とかしてくれると分かっているから見ていて安心感があるし、意外性のある方法で解決してくれるので見ていてスカッとします。最近のドラマに多い恋愛要素がないのも良いと思いました。(神奈川・高校2年・女子)

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)高校3年生である自分にとって、この『ドラゴン桜』はまさにタイムリーなドラマで、偶然にも自分が受験するこの年度に放送をしてくれたTBSに感謝の気持ちでいっぱいです。私が在籍している高校は、県内で進学校とは言われていますが、実際のところ、自由な校風のため、受験に対して緩く、本人次第という自主性に任されている部分があります。そのため、ゆったりと構えている自分は、受験に対しての情報が疎く、この『ドラゴン桜』で、予備校に通わなくては知り得ない程の貴重な情報を得ることができ、ありがたい限りです。(長崎・高校3年・男子)

    • 『金曜ドラマ「リコカツ」』(TBSテレビ)私は、最初は離婚の話に対して少し抵抗を感じていましたが、実際に見てみると本当に面白く、切ないストーリーで毎週楽しみにしています。永山瑛太さん演じる緒原紘一のキャラクターがマンガらしい昔気質な人で、親近感を感じるような面白いシーンがたくさんある中で、「離婚」というシリアスな問題とバランスを取って組み合わせることで視聴者にとって見やすく、見応えのある作品だと思いました。(京都・高校1年・女子)

    • 『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ放送)このドラマを見て、出演者の間の取り方が良いと思った。冒頭の登場人物の会話のシーンでは、会話の間を詰めたり、長い間ずっと沈黙している場面もあった。しかし、その沈黙の瞬間も気まずいわけではなく、そのときの表情でお互いが何を言いたいのかが伝わって、逆に私たちが読み取ることができて面白い。また、「ストーリーを進める」という部分に焦点を当てているわけではないように見える。このドラマでは、思わずクスっと笑えるようなシーンがいくつもある。ストーリーがのんびり進んでいく中でのユーモラスなシーンが一層視聴者をリラックスさせる。(千葉・中学2年・女子)

    • 『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ放送)このドラマの魅力は、ドラマを見ている第三者の気持ちではなくて、まるで自分もそこにいるかのような気持ちにさせてくれるリアルなところだと思う。登場人物全員に個性があり、どんなに短くても印象に残る人たちばかりで、フィクションの中にいる作られたキャラクターではなく、どこにでもいる街の人という感じが、まるで自分もこの人たちと一緒に過ごしている気持ちになる。また、ナレーションが主人公の心の声を淡々と言ったり、冒頭に『サザエさん』のような話の紹介をしたりするのがとても面白くて、毎回飽きることなく見られる。このドラマは日常に溶けこんでしまうドラマらしからぬ魅力があった。(東京・高校2年・女子)

    • 『土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」』(NHK総合)私はドラマはほとんど見ないのですが、たまたまテレビをつけたらやっていたこのドラマに面白みを感じました。なぜかと言うと、内容がすごくブラックだったからです。私は4、5話しか見ていません。が、ドラマの内容と現実とが重なり合っている部分が複数見られました。具体的に言うと、「コロナ感染が広がる日本でのオリンピック開催をどうするのか」というところと「次世代博開催の有無と蚊に刺されることによる感染」。そして、ニュースでよく報じられる「政治家によるそんたくや隠蔽」と「市長や理事たちによる様々な隠蔽」が似通っていました。そして、ドラマの最後のほうのシーンで、登場人物が付けていたマスクが「あのマスク」をほうふつとさせる四角い布製で衝撃的でした。こんなブラックで皮肉を込めたものをよく放送できたなと思う反面、制作者の思いが伝わってきました。(静岡・中学3年・男子)

    • 『土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」』(NHK総合)浮上する論文改ざん疑惑や、言論の自由についてなど、現代日本にもあり得る問題が多く描かれたこの番組には、考えさせられることが多かったです。ただ正論を無視する人ではなく、様々な意見のことを考える人になりたいと思います。(東京・高校1年・女子)

    • 『火曜ドラマ「着飾る恋には理由があって」』(TBSテレビ)むずきゅんしてしまう恋模様がとてもステキに描かれていると同時に、自分のまま、本来の姿でいることのステキさや、人には人の価値観があるというのをよく感じられるドラマ。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『土曜ドラマ「コントが始まる」』(日本テレビ)(主人公の友人が)お笑い芸人でブレイクしないまま10年が経ち、お笑い芸人を辞めて(実家の)酒屋を継ぐ決心をし、酒屋の仕事をやるようになりました。しかし、長年手伝いもしなかった彼に父親は心を開きませんでした。そんなある日、父親が「酒屋を継ぐ決心が足りない」と彼を叱りました。いつもなら彼も言い返しケンカが始まるのですが、彼は「いろいろ酒屋について教えてください」と頭を下げました。お笑い芸人としてたくさんつらい思いをしてきたからこそ、人にお願いをしたり頭を下げたりする大切さを改めて知ったのだと思います。一生懸命お笑い芸人をやってきて無駄にはならなかったのだと思いました。(この番組に対する)不満は放送される時間帯です。「土曜ドラマ」の枠は夜10時~11時です。「土曜ドラマ」は小学生でも楽しめそうなドラマが多いのに、終わる時間が11時では小学生が見るには遅いと思います。(東京・中学1年・女子)

    • 『土曜ドラマ「コントが始まる」』(日本テレビ)こんなこと現実で起きるわけないじゃん…とため息をついてしまうような、キラキラした「the恋愛ドラマ」や、毎週さまざまな事件が起きるハラハラしたミステリーサスペンスなど、ありがちなテレビドラマとは一風変わった、誰でも共感できる「日常」を描いた「人間らしさ」がよく表されているこのドラマは、私が今クールでいちばんお気に入りのドラマです。夢を諦めた人、会社と合わず居場所を失った人、夢など持たずに何となく毎日を生きている人。彼らを見ていると、不思議と大きなパワーをもらえる。それぞれが暗闇でもがきながら、その先の光に向かって必死に前を向こうとする姿に心を打たれる。登場人物の会話でほぼ成り立っているこのドラマは、淡々と進んでいるように見えて、彼らのセリフにはグッと胸に刺さる言葉が混じっている。毎回、このドラマは、1本の「ショートコント」から幕を開ける。それはある売れないトリオ主人公の3人の男によるとりとめのないコントだが、実はこのコントが後に起きる53分のドラマのストーリーの前振りなのだ。私もこれから先、挫折を味わって苦しくてもつらくても、これが明るい未来への前振りなのだと、このドラマの主人公たちのように前向きにたくましく生きていきたい。(埼玉・高校2年・女子)

    • 『オシドラサタデー「コタローは1人暮らし」』(テレビ朝日)子どもは何でも「自分のせい」と抱え込んでしまうから、「そうじゃないよ」と気づかせてくれたり寄り添い、励ましてくれたりする人が必要なんだと改めて気づかされた。(京都・中学3年・女子)

    • 『オシドラサタデー「コタローは1人暮らし」』(テレビ朝日)普通のドラマの放送時間帯は夜8時から11時の少し家でも忙しい時間帯で、あまりのんびりしながら見ることができませんが、この時間帯なら落ち着いてエンタメを楽しめるのでとても好印象でした。最近のドラマはストーリーの展開や物語の終わり方が想像のつくようなものばかりで、あまりドラマそのものを楽しむことができず、好きな芸能人目当てでしか見ていませんでした。私はこのドラマは8話からしか見ていませんが、途中からでもストーリーが分かりやすかったですし、ハートフルでゆっくりと進んでいく展開で、とてもゆっくりした時間を過ごすことができました。結末が分かってしまうような展開やありきたりなドラマの盛り上がりのところがなく、コロナ禍で疲れた心がとても癒されました。(静岡・高校3年・女子)

    • 『特捜9 season4』(テレビ朝日)前シーズンは、リアルタイムで視聴していましたが、習い事の関係で最近はTVerで視聴しています。忙しくて見られないときもありますが、1話完結のドラマなので、見逃してしまっても話が途切れることなく、毎回楽しむことができます。事件の中には、8050問題やパワハラなど現代の社会問題を反映したものもあり、ドラマを通して自然と社会問題について知り、関心を持つことができると思います。また、特捜班のメンバーは個性豊かで面白く、ドラマ自体も全体的に明るい印象なので子どもでも見やすいのではないかと感じます。(東京・高校1年・女子)

    • 『特捜9 season4』(テレビ朝日)番組を見ていて、特にBGMの使い方がとても効果的だったと思った。場面ごとに雰囲気にぴったりなBGMが流れるおかげで、気がつくとすっかりドラマの世界に心が引き込まれるような気がした。全体的にBGMの使用が多かったことで、逆にBGMが流れていないシーンの内容が強調されているような気がして良いと思う。(山形・高校3年・男子)

    • 『イチケイのカラス』(フジテレビ)お堅いイメージの裁判官、裁判所がコミカルなやり取りや会話でとても楽しく描かれていることはとても嬉しいです。どんな職業でも自分の信念をもって仕事をすることがとても大切であると感じるドラマです。(宮崎・中学3年・女子)

    • 『イチケイのカラス』(フジテレビ)このドラマで描かれていたのは“正義”“誇り”“真実”であると考える。人それぞれに“正義”“誇り”があり、その結果が結びついた事実と真実であり、それを見抜くというのはドラマの一貫した面白い点であった。事実と真実を伴った判決は、ときに人の“誇り”を、“尊厳”を守る。最終話でも亡くなった被疑者の息子の証言によって隠されていた真実が明らかになった。真実が明らかになるということはときとして残酷である。それを理解したうえで判決を出す裁判官の仕事というのは、人の人生を左右するものだからこそとても難しいものだなと改めてこのドラマを視聴して感じた。(神奈川・高校2年・男子)

    • 『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~SEASON5』(テレビ東京)このドラマは2016年から毎年放送されていて、私自身も最初のころから見ているのですが、コメディー要素とシリアス要素のバランスがとても良く、見ていて飽きません。今シーズンは、犯人が事件を起こした背景がしっかり描かれており、ときには考えさせられたりします。(奈良・高校2年・女子)

    • 『カラフラブル ジェンダーレス男子に愛されています。』(読売テレビ)昨今、私たちが抱えるジェンダーレスやLGBTQのこと、男女平等、男性の育児休暇の取りにくさなどをニュースのように難しく表現するのではなく、コミカルに分かりやすく表現していて、さまざまな問題についての興味や関心を持つきっかけになったと思います。『恋はDeepに』(日本テレビ)で取り上げられていた海洋問題、『カラフラブル』のジェンダーレスと育児と仕事の両立など、今期のドラマでは手軽に見て、考えられるものが増えていてとても良かったと思います。(福岡・高校3年・女子)

    • 『土曜ドラマ「ひきこもり先生」』(NHK総合)1話目からいろんなメッセージが込められていたと思いました。この話を視聴した後には、引きこもりや児童虐待、不登校などについてたくさん考えました。とても良いドラマだと思うし、また来週も見たいなと思いました。(群馬・高校1年・男子)

    • 『木曜ミステリー「警視庁・捜査一課長season5」』(テレビ朝日)これは殺人型のサスペンスドラマですが、ほかのものとは違い、少し笑える工夫がされているのが特徴だと思い、面白いと感じたのでこのドラマを選びました。今話題になっている有名人を登場させるのもとても面白いです。今回はTikTokerの景井ひなさんが登場されました。サスペンスは若者があまり見ないジャンルとなってきていますが、このような影響でサスペンスに関心を持ってくれる若者が増えたらいいなと思いました。(奈良・中学3年・女子)

  • 【自由記述】

    • 最近、キュンキュンするドラマにはまりやすい私は、毎週火曜は、(『着飾る恋には理由があって』(TBSテレビ)を見ることで)1週間を頑張れる軸となっているような気がする。(埼玉・中学2年・女子)

    • 「明日から1週間が始まる月曜日だ」と憂鬱になりがちな日曜日の夜が、勉強のことばかりでなく、人生の生き方にも通じる含蓄のある言葉も出てくる『ドラゴン桜』のおかげで、いつの間にか日曜日の夜が楽しみとなりました。(長崎・高校3年・男子)

    • 最近、昔に放送されたドラマの続編が制作されています。僕みたいな若者は昔のドラマは知らないから、昔の流行を知ることができるから、新作のドラマだけではなく昔のドラマの続編を作ると良いと思います。(神奈川・中学2年・男子)

    • 今まであまり意識したことがなかったけれど、ドラマと音楽の関係性って実はものすごい深いものだと思いました。(埼玉・高校2年・女子)

    • 最近のドラマは考察系と胸キュン系が多すぎると思いました。どちらもSNSでバズるため人気が出やすいのかもしれませんが、同じような展開が多すぎて飽きてしまいます。もっとドラマのバリエーションを増やしてほしいと感じました。(神奈川・高校2年・女子)

    • 私は現在、あるオーディション番組を動画配信アプリで視聴しているのだが、それがとても面白く夢中になっているため、テレビを見る機会が減ったように感じる。若者のテレビ離れの話をよく聞くが、私のこのような事例が原因なのだと身をもって感じた。(埼玉・高校1年・女子)

    • 私の主な視聴方法はTVerやNetflixなどの配信サイトであることに気づきました。最近ドラマを録画することもなくなってきて、私はテレビの形が変わりつつあることを自分自身の行動で実感しました。(東京・高校2年・女子)

    • 最近いいなと思っていることは、面白いニュースが増えてきたことです。ハワイなどワクチン接種が進んでいる国や地域ではもう旅行もできるようで、現地のVTRが見られるのがとてもいいと思っています!またコロナが終わったら旅行に行きたいです!(奈良・中学3年・女子)

    • 街歩きのロケ番組などで、出演者がマスクではなくマウスシールドをしているのが気になります。マウスシールドでは感染防止に意味がないと言われているにも関わらず、街歩きの際にマウスシールドをしているのでは、その街の住人が安心できないと思います。マスクをすると芸能人の顔が見えなくなってしまうという懸念があるのかもしれませんが、テレビの世界から感染対策を示していくことで国民の意識が変わるのではないでしょうか。(東京・高校1年・女子)

    • 街頭インタビューにものすごく違和感があります。どの放送局のどの報道番組を見ても、同じリアクションだったり、同じことしか言っていなかったりと、街頭インタビューの必要性があまり感じられません。ちゃんとインタビューで自分の意見を言っても番組側の都合だったり、求めている答えが違っていたりしたら、使っていないのではと疑ってしまいます。(奈良・高校2年・女子)

    • 先日、今人気急上昇中のYouTuberが『マツコ会議』に出演していた。ツイッターのトレンドで『マツコ会議』が入っていたのを見て、やはり今の時代はYouTubeを見ている人が圧倒的に多いと感じたので、もっとYouTuberさんなど話題性のある人を取り上げればいいと思う。その反面、YouTubeに頼りすぎな部分もあると思うので、テレビならではの企画をしてほしい。(千葉・中学2年・女子)

    • SDGsが取り上げられることが多いのは結構なのですが、流行として終わってしまうような気がして、「目標到達まであと9年」なのに緊迫感が伝わってこないところに疑問を抱きました。このままだと全世代へのSDGsの普及、そして内容の理解は進まないのではないかと思います。(静岡・中学3年・男子)

    • SDGsの中でも「環境」だけが注目されすぎではないか?テレビでSDGsを取り上げて「マイクロプラスチックをなくそう!」「省エネに貢献しよう!」と話すことと同じように「人種、国籍などによる偏見をなくそう!」「ジェンダー平等を実現しよう!」と話しているのを私はあまり見たことがない。(東京・高校3年・女子)

    • 激辛を食べているのを見た。無茶ぶりはテレビ的には面白くて、撮れ高もあるかもしれないけれど、健康面に影響が出るのでは、と心配にもなる。(京都・中学3年・女子)

    • 5月の概要を読んで、番組に対して不快を感じるなら見なければいいという意見に賛成です。私は前まで不快だと思う番組があってもスルーして流し続けていましたが、嫌と思うのなら消したりすれば嫌な気持ちにならずに済むし、それがすぐにできるのもテレビの良さだと思う。(奈良・中学3年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『バリューの真実「キレイな食べ方」』(NHK Eテレ)高校生の身近な意見を取り入れながら進んでいくこの番組に好感を持った。番組の中では、アンケートやリモートで高校生が出演していて、中学生の私でも共感できるような場面が多くあった。身近な疑問だからこそ、今さら「魚のきれいな食べ方」や「フォークとナイフの使い方」などは聞けないので、この番組で知ることができて良かった。(千葉・中学2年・女子)

    • 『バリューの真実「キレイな食べ方」』(NHK Eテレ)アンケートから価値観の平均を出すような番組だと認識したので「真実」という表現は少しひっかかる部分もあるが、全体的な内容としてはそこまで決めつける雰囲気は強くない印象だった。私自身も周りの人を不快にしないように食べ方に気を配ることはあるし、見ていて食べ方がキレイな人にはいい印象を抱く。日常のちょっとしたことかもしれないが、学生が共感したり興味を持ったりしやすいテーマを設定しているように感じた。(東京・高校3年・女子)

    • 『バリューの真実「ネットトラブル対策」』(NHK Eテレ)1週間前に放送された同番組の「キレイな食べ方」も視聴したが、個人的には「ネットトラブル対策」のほうがより身近に感じる内容で、ドラマの登場人物にも共感できた。番組は母とともに視聴したが、中盤で登場したアンケート結果やドラマの中での主人公と両親の関わり方などについて母と意見を交わすことができ、親子の世代間でのスマートフォンに対する認識のギャップを知るきっかけになった。番組後半の、10代の意見を取り入れてアカウント乗っ取り防止マニュアルを新たに作成するという企画もなかなかに目新しかった。NHKの番組としてはなかなか見かけることのない、新しい演出の手法を多く取り入れた意欲的な番組だと感じたが、今回のようなテンポとクオリティーなら継続的に視聴したい。(東京・高校1年・男子)

    • 『バリューの真実』(NHK Eテレ)中高生の問題を高校生にリモートで聞くのは直で意見が聞けるのでいいと思った。SixTONESが出演するのも若者に番組を見てもらうきっかけになる。ただ、SixTONESの人気がどれほどか分からないが、放送時間が他局のバラエティーとかぶるため見る人は少し少ないと思う。(愛知・高校2年・男子)

    • 『バリューの真実』(NHK Eテレ)自分の価値観が他の人とどう違うのか、世代間や他の人との共通点やギャップの背景などが分かり、改めて自分を見直す機会になりました。(埼玉・高校2年・女子)

    • 『よるドラ「いいね!光源氏くん し~ずん2」』(NHK総合)源氏物語に出てくる光源氏も和歌を日常的に読んでいたのかなとこのドラマを見て思い、紫式部の書いた源氏物語の内容を知りたいと思いました。中学でも最近枕草子の勉強が終わり、そして光源氏くんを見て、歴史的仮名遣いについて調べてみようと思いました。(神奈川・中学2年・男子)

    • 『よるドラ「いいね!光源氏くん し~ずん2」』(NHK総合)このドラマを見て、平安貴族の優雅でみやびな生活などが分かって面白いです。そして、百人一首などに興味を持つきっかけになって良いと思いました。(大分・中学2年・女子)

    • 『よるドラ「いいね!光源氏くん し~ずん2」』(NHK総合)和歌はステキだなと思いました。平安時代の言葉が使われており、現代とは違う言葉で、昔ならではの表現がとてもステキだと思いました。また、この番組は、和歌を読んだときに現代の言葉に変換されて、字幕が出ているため理解しやすいと思いました。和歌のお題も現代のものであるため、和歌がより身近に感じられることが良いと思いました。(静岡・高校2年・女子)

    • 『よるドラ「いいね!光源氏くん し~ずん2」』(NHK総合)最近ではあまりなじみのない和歌を使って、ラップバトルならぬ和歌バトルがあって、とても面白かったです。(福岡・高校3年・女子)

    • 『世界イマキュン☆アカデミー』(テレビ朝日)コロナのため海外になかなか行けませんが、この番組を見ることで世界の様子が分かり現地に行かなくても楽しめていいなと思いました。(東京・高校1年・男子)

    • 『世界イマキュン☆アカデミー』(テレビ朝日)各国と中継をつないでコロナ禍の世界がどうなっているのか分かったのでためになった。しかし、ネットなどでも知ることができるような情報が多かったように感じたので、そこが残念だった。(神奈川・高校2年・女子)

    • 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)やはり、何かに打ち込んで努力する姿はすばらしいと思う。自分も最後の総体に向けて努力しているのでモチベーションが上がり、もっと頑張ろうと思えた。(千葉・中学3年・女子)

    • 『OSAKA LOVER 大阪人の新常識』(テレビ大阪)今回は「なぜハイハイタウンは複雑な構造をしているのか」という疑問でした。原因は上町台地の坂でした。中途半端な高さだったのでそうなったそうです。中1階があるとは知らなくてとても面白かったです。(奈良・中学3年・女子)

    • 『OSAKA LOVER 大阪人の新常識』(テレビ大阪)視聴者が「なんで?」と思える興味深い内容を、実際に足を運び考えているところが面白かったです。「坂が多い」という上本町の地形に関連していました。このように、地理や歴史とうまく絡めて2時間にわたって大阪の面白さを、名店などをテーマに飽きさせないように作られていて良かったと思います。スタジオにもっと大阪に詳しい芸能人を呼んだら、もっと盛り上がるのではないかと思いました。(京都・高校1年・女子)

    • 『新 窓をあけて九州 魚大好き!こざかなクン』(長崎放送)見て思ったことは、好きなことを守り、ずっと努力すると、生かせることが出てくるということです。番組に出ていた15才の主人公は魚が好きで、たくさんの知識をつけ、料理教室を開いていました。主人公の行動力と魚に対する愛はとても大きいものだとわかりました。僕も好きなことから挑戦したいと思います。(長崎・中学2年・男子)

    • 『NEXT TRIP~横浜 みなとみらい・中央編~』(BS12トゥエルビ)僕は県外に出たことがないのですが、番組を通して、横浜の話題の乗り物や施設などについて知りました。近未来感がありました。より良い番組にするために、コメントを「おいしい」や「すごい」だけでなく、もっと具体的にして話してほしいです。(岩手・中学1年・男子)

調査研究について

  • 担当の中橋委員から、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、アンケートの回答方法や回答率などについて進捗状況の報告がありました。

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての意見交換

  • 「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について、これまで当委員会を含めBPOから複数回「見解」が表明されたが、視聴者意見や中高生モニターから「不快を感じる」という趣旨の意見が現在も継続的に寄せられてきていること等を踏まえ、青少年委員会として自主的に“痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー”をテーマに討論を進めていくことになりました。

以上

第161回 放送倫理検証委員会

第161回–2021年6月

フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見への対応報告を了承

第161回放送倫理検証委員会は6月11日にオンラインで開催された。
委員会が2月10日に通知・公表したフジテレビの「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見について、当該放送局から委員会に対し、具体的な再発防止策やこれに基づいて再開した世論調査の実施状況など取り組みをまとめた対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について、担当委員から意見書の原案が示され、意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2021年6月11日(金)午後5時00分~午後7時30分
場所
千代田放送会館会議室およびオンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、井桁委員、大石委員、高田委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見への対応報告を了承

委員会が2月10日に通知・公表したフジテレビの「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見(委員会決定第40号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定を社内やFNN(フジニュースネットワーク)の各会議で報告・共有し内容の浸透を図ったこと、再発防止策とこれに基づいて再開した世論調査の実施状況、研究者を招いての社内勉強会やBPO委員との研修会の模様、また報道局全社員が委員会決定を読み提出した所感の抜粋などが記されている。
委員からは、「取材活動であるはずの世論調査が、契約に基づく単なる委託業務としてルーティン化していたなどの反省が示されるなど問題が的確に認識されている」「再発防止策を緻密に設定しているのは問題を深刻に受け止めた結果だと感じる」「BPOが『丸投げ』と指摘した今回の問題は、世論調査特有のものではなく制作現場全てに当てはまる教訓だ、と所感にあるが、こうした問題に制作現場全体で取り組んでもらえるとよい」「マスメディアが行う世論調査に内在する問題に対策が必要とされる中、今後どうすればよいかの課題が見えて来たという点で、委員会の調査と当該放送局の対応には意義があった」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、当該報告を了承し、公表することにした。
フジテレビの対応報告は、こちら(PDFファイル)

2. アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について審議

日本テレビが3月12日に放送した、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した際、出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをしたことについて、委員会は、差別的な表現であり放送倫理違反の疑いがあるとして、4月の委員会で審議入りを決めた。
5月委員会でのヒアリング結果の報告を経て、今回の委員会では、当該局の関係者に対して実施したヒアリングに基づき担当委員が作成した意見書の原案が示され、意見交換を行った。次回は修正案が提出される予定である。

以上

第293回放送と人権等権利に関する委員会

第293回 – 2021年6月

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理入り決定…など

議事の詳細

日時
2021年6月15日(火)午後4時~午後6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」第1会議室(オンライン開催)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
丹羽委員、野村委員、廣田委員、水野委員

1. 審理要請案件「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理入り決定

NHK宮崎放送局は、2020年11月20日午後6時10分からの『イブニング宮崎』(宮崎県内で放送)の中で、同年3月26日に宮崎市内で男性2人が死亡した民家火災の続報を放送した。そこでは、この火災は放火殺人事件の疑いが濃くなり、容疑者がガソリンをまいて火をつけ被害者(申立人の兄)を殺害し自分も死亡した可能性があり、その原因として「何らかの金銭トラブル」が死亡した2人の間にあったかのように伝えられた。
ニュースでは、この火災について、被害者の服からガソリンの成分が検出されたことや、容疑者の自宅や車などの捜索から被害者の父親名義の銀行通帳が見つかり、口座から現金が引き出されていたことを報じた上で、「こうした状況から警察では2人の間に何らかの金銭トラブルがあり、容疑者(実名)がガソリンをまいて火をつけ被害者(実名)を殺害した疑いが強まったとして、殺人や放火などの疑いで容疑者死亡のまま書類送検する方針です」と締めくくった。
この放送に対して申立人(被害者の弟)が、「2人の間に何らかの金銭トラブルがあった」と報じられたことで、「亡くなった兄にも何らかの原因があったのではないか」との印象を抱かせるものであり、事件被害者である兄の尊厳を傷つけたとして、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「事件当事者の2人が亡くなっている中でも、当時の取材で知り得た情報を基に『被害者』と『加害者』を明確に分ける形で客観的な事実を伝えており、申立人の主張する指摘は当たらない」と反論した。
今回の委員会では、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

2. 最新申立て状況報告

事務局から最新の申立て状況について報告した。

以上

2021年6月21日

2021年 6月21日

業務についてのお知らせ

新型コロナウイルス感染拡大に関する政府の緊急事態宣言が東京都で解除されたことを受け、視聴者電話の受け付けを再開しました。

2021年6月15日

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理入り決定

 BPO放送人権委員会は、6月15日の第293回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

 NHK宮崎放送局は、2020年11月20日午後6時10分からの『イブニング宮崎』(宮崎県内で放送)の中で、同年3月26日に宮崎市内で男性2人が死亡した民家火災の続報を放送した。そこでは、この火災は放火殺人事件の疑いが濃くなり、容疑者がガソリンをまいて火をつけ被害者(申立人の兄)を殺害し自分も死亡した可能性があり、その原因として「何らかの金銭トラブル」が死亡した2人の間にあったかのように伝えられた。
 ニュースでは、この火災について、被害者の服からガソリンの成分が検出されたことや、容疑者の自宅や車などの捜索から被害者の父親名義の銀行通帳が見つかり、口座から現金が引き出されていたことを報じた上で、「こうした状況から警察では2人の間に何らかの金銭トラブルがあり、容疑者(実名)がガソリンをまいて火をつけ被害者(実名)を殺害した疑いが強まったとして、殺人や放火などの疑いで容疑者死亡のまま書類送検する方針です」と締めくくった。
 この放送に対して申立人が、「2人の間に何らかの金銭トラブルがあった」と報じられたことで、「亡くなった兄にも何らかの原因があったのではないか」との印象を抱かせるものであり、事件被害者である兄の尊厳を傷つけたとして、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
 これに対してNHKは、「事件当事者の2人が亡くなっている中でも、当時の取材で知り得た情報を基に『被害者』と『加害者』を明確に分ける形で客観的な事実を伝えており、申立人の主張する指摘は当たらない」と反論した。

 15日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2021年5月に視聴者から寄せられた意見

2021年5月に視聴者から寄せられた意見

ワクチン接種の本格化に伴って「注射針を刺す映像が不快」という意見が再び増えた。取材・制作時、放送時の感染対策に対する疑問の声が依然多い。

2021年5月にBPOに寄せられた意見は1,164件で、先月と比較して184件減少した。
5月は全期間が緊急事態宣言下にあり、電話による受け付けを中止した。
意見のアクセス方法の割合は、メール98%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性49%、女性18%で、世代別では40歳代27%、30歳代24%、50歳代22%、60歳以上13%、20歳代12%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。5月の通知数は565件【53局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般への意見の中から24件を抜粋し、全会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

ワクチン接種の本格化に伴って「注射針を刺す映像が不快」という意見が再び増えた。取材・制作時、放送時の感染対策に対する疑問の声が依然多い。複数の社で、SDGsへの取り組みのアピールといわゆる「大食い」企画が近接・並存。このことへの批判の声も寄せられた。
ラジオに関する意見は37件、CMについては26件あった。

青少年に関する意見

5月中に青少年委員会に寄せられた意見は73件で、前月から1件減少した。
今月は「表現・演出」20件、「危険行為」が9件、「低俗、モラルに反する」が8件、「犯罪の助長」が7件、「編成」と「性的表現」が5件、と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • ニュース、ワイドショーでは街頭などで本人の承諾なく撮影した人物を、顔をぼかして放送しているが、服装、持ち物、体型など知人が見れば個人を特定するに十分な特徴が公開されている。これではその人物のプライバシーに対して十分な配慮がなされているとは思えない。特に、「〇〇警察」と呼ばれる風潮をまん延させたと思われる取材方法には大きな問題があるように思う。個人が特定されるリスクを冒してまで、その行動を一方的に評価して悪いと決めつけ放送する必要があるのかどうか、放送業界全体で検討してほしい。

  • 神社のさい銭泥棒を通報した勇気ある女性を紹介していたが、報道はこの女性の安全への配慮を欠いていた。実名、顔出し、自宅の場所が特定可能な映像などには恐怖しか感じない。たとえ本人が承諾したとしても報道のプロが通報者の安全を守る観点に立ち、内容に工夫をこらさなければならないのではないか。

【番組全般・その他】

  • 「地球を笑顔にするWEEK」と銘打ち局をあげてSDGsの大キャンペーン。「フードロスをなくそう」ということもいわれていた。にもかかわらずキャンペーンが終わったすぐ翌日、手のひらを返すように大食い番組を放送している。視聴者を欺く行為である。

  • ニュースでは帰省を我慢しろ、外出を控えろと散々訴えているくせに、19時からはグルメやロケ番組。これでは緊急事態宣言などといってもなんの説得力もない。私は病院勤務をしているが、ただただ不快だ。頑張って働いているのがバカみたいだ。

  • 訪問介護のコント。効果音を使ってサービスが一つ一つ細かく課金されるというイメージが作られ、見ていて非常に気分の悪くなるものだった。私自身、介護の仕事に携わっている。コントは、毎日コロナウイルスの心配やさまざまな心労のある仕事に対するリスペクトのない内容だ。介護の仕事をお金儲けの手段として演じておられたのが悲しい。このようなコントを面白いと感じる感性が許せないと思う。表現の自由だと言われればそうなのかもしれないが、見ていて不快に思う気持ちが抑えられなかった。

  • 私はダイエットがきっかけで摂食障害(過食症)を患っている。好きなバラエティー番組で投稿者たちの間違ったダイエット法や大食いを面白おかしく取り上げる回があり、放送が摂食障害の人を増やしてしまうのではないかと懸念している。摂食障害は一度かかるとドツボにはまってしまい、なかなか治らない病気だ。放送するなら過剰な表現をせず、注意書き等をしていただきたい。

  • ACジャパンの「1日1億個のおむすびが捨てられる」というCMのすぐあとの週1レギュラー番組。大盛り料理を食べることを競う企画で、毎週必ず料理が残るのをみて子供たちがなにを思うか。TV業界は面白ければよいのか。情けない。

  • ワクチンのニュースで毎回のように注射を打っている映像を流しているが、注射恐怖症の者からすると苦痛でしかない。肌に注射針を刺す場面をアップで流す必要はないはず。ニュースは「嫌なら見なければいい」で済む番組ではない。

  • 法に触れない範囲でテレビ局の好きなように番組を作って表現やメッセージを伝えてほしい。たとえそれが低俗、過激、お色気満載であっても、それはテレビという非現実的な空間で起こる表現の自由である。見た視聴者がやり過ぎであると思うならば各々で考えて学べるだろう。それがテレビの魅力ではないかと思う。昔のように元気なテレビになってほしい。それは自分がテレビのおかげで色々ことを教えてもらえたからだ。

  • ニュース全般に、容疑者が連行される時の映像をあまりにも多用し過ぎているように感じる。殺人や重大事件なら逮捕映像の公開も仕方ないが、軽い犯罪の者までが屈辱的な姿をテレビで公開されてしまうのは倫理的にどうなのか。軽い犯罪の者は名前だけの公開とした方が良いのではないか。

  • バラエティー番組でコンビニに芸人が現れ、客にネタを披露するサプライズ。「表情が見たい」と番組側が客の二人組にマスクを外させ、何ら感染防止策なし。感染防止を訴えるテレビ局が公共の電波でいったい何がしたいのか。

  • 「ランキング」を掲げるコーナーで、特定一社の商品を比べてランクをつけている。批判は一切せず、若手お笑い芸人たちが「すっごーい」とはやし立てるだけ。他社製品を含めての順位づけなら消費者にとってメリットもあるが、これでは広告と変わらない。まるで特定一社へのゴマすりランキングだ。こんなものを公共の電波に乗せていいのか。

  • ドラマで、離婚を望む人物が子を連れて家を出て、その行動について弁護士から「子と同居していたほうが離婚協議において親権取得で有利」とアドバイスされ安堵するというシーンがあった。これは昨今問題になっている「子の連れ去り」そのものではないか。ドラマはあくまでフィクションだが、問題視されている不法行為を肯定するような描写が視聴者に良い影響を与えるとは思えない。

  • 殺人事件の容疑者が親と同居する自宅の外から中継し、その外観を映していた。周囲の景観にモザイクもかけておらずプライバシーへの配慮がまったくない。そもそも現段階では容疑者であり、冤罪や無罪判決の可能性もある。放送局は何の権限があって容疑者の自宅を映し、それを全国に放送したのか。その必然性や合理的な理由が全く見当たらない。野次馬根性、あるいは視聴者の下品な興味関心への迎合といったような無責任な態度で容疑者の家族をさらし者にしてよいはずがない。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • クイズ番組で、パチンコ・パチスロの演出に似た映像を流していて、射幸心を煽る内容だった。賭け事は禁止されてはいないが、地上波では青年や子ども達が見て悪影響が出ないか心配だ。

【「危険行為」に関する意見】

  • 数年で大変身を遂げた一般人を取材する企画で、過激なダイエットをした人が好意的に取り上げられていた。炭水化物を抜いたという人がいて、番組を見た中高生が真似をしないか心配だ。

【「低俗、モラルに反する」との意見】

  • 子ども向けアニメ番組で、ウンチネタが多い。しかもウンチが口に当たりそうなシーンがとても不愉快。教育上悪い。

【「犯罪を助長する」に関する意見】

  • 深夜のアニメ番組で、家出中の女子高生をたまたま見つけたサラリーマンが自宅へ住ませるという内容で、家出少女に事情があり性的関係にならずにいればギリギリ犯罪にならないかのような表現がされている。人の温もりや優しさ、少女が家出にいたる背景、家出のリスクなどを描く作品である事は理解するが、どれだけ親切心からの行為でそれで救われる人がいようとどんな事情があろうと犯罪としてハッキリさせていない。良い話でまとめているのは犯罪教唆に当たる行為であり是正が必要だと感じた。

【「編成」に関する意見】

  • 過去の名作の再放送で、ジェンダー教育が遅れている日本において、主に女性が男性に性暴力を受けるシーンが娯楽として扱われている。女の性を男の欲望のために消費したいが故の不要なエンターテイメント、セクハラやレイプシーンなど不快そのものだ。もし表現の自由として放送するのであれば深夜にする、22時以前はカットするなどの何かしらの配慮をしてほしい。

【「性的表現」に関する意見】

  • 人形劇で、勃起した男性器のような像が使用された。前回は扇子を持っていたので、明確な意図があって変更されているように思う。幼児番組でこのような内容を放送することが信じられない。児童虐待ではないか。

第234回 放送と青少年に関する委員会

第234回-2021年5月

視聴者からの意見について…など

2021年5月25日、第234回青少年委員会をオンラインで開催し、7人の委員全員が出席しました。
先月に引き続き、深夜のアニメ番組で20代サラリーマンが家出した女子高生に声をかけ自宅に連れ帰り保護するが、女子高生は見返りに性行為を持ち掛ける…という内容に、「売春を肯定しているのではないか?」「未成年者略取という犯罪を助長しているのでは?」「あたかも良識のある大人として描かれていることが問題」との視聴者意見が寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
5月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たニュース・報道・情報番組について」でした。今月もモニター35人全員から報告がありました。
モニターからは、ニュース・報道・情報番組について、「自分が特段興味のない分野について知るのはテレビのニュースがいちばん強い。だからこそ私は、多様な意見を取り上げ、偏った報道をしないでほしいと考えている。」などの報告や、「報道番組や情報番組では、今話題に上っている情報やニュースを流すだけでなく、あの情報は正しかったのか、間違っていたのか、考えるきっかけを与えてもらいたいと思ったのと、自分自身でもそういうものの考え方を習慣づけていきたいと思った。」といったように、ニュースの公平性を重視しているという内容のリポートが複数寄せられました。
モニターリポートの「自由記述」では先月と同様、バラエティー番組についての記述で、「人にトラウマを与えるようなものはやめるべき」という人がいる一方、「不快と感じるなら見なければいいのではないか」という意見もありました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
次回は、6月22日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年5月25日(火)午後4時30分~午後7時00分
場所
オンラインで開催
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、4月後半から5月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
食べ物に関する番組で、「一定期間ずっとSDGs特集をやっていた局が、その翌週には大盛り・デカ盛り企画でフードファイトやっている、矛盾していないか」との意見が寄せられました。
再放送番組に関して、「時代劇などの再放送で、ジェンダー教育上まずいのではという番組がある。再編集するなり、時間帯を遅くするなど配慮すべきでは」という意見が寄せられました。
芸人自らが考えたドッキリ企画で面白さを競う番組で、例えば男子芸人の下着にハッカ液を塗り、もだえ苦しむ姿を面白おかしく放送する企画などに対して、継続的に「いじめ・虐待の助長」「子どもがマネをする危険行為」「低俗、モラルに反する」との意見が寄せられてきています。
委員からは「局サイドとしては芸能人が考えたという設定なので、何がしか責任転嫁、半分責任放棄になっているのではないか?」との意見が出され、これまでに複数の中高生モニターから「出演者をいたぶる暴力シーンに不快感…」という趣旨の意見が寄せられたこと等を踏まえ、青少年委員会として自主的に“痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー”をテーマに別途議論することにしました。
深夜のアニメ番組で20代サラリーマンが家出した女子高生に声をかけ自宅に連れ帰り保護するが、女子高生は見返りに性行為を持ち掛ける…という内容に、「売春を肯定しているのではないか?」「未成年者略取という犯罪を助長しているのでは?」「あたかも良識のある大人として描かれていることが問題」との視聴者意見が寄せられました。
委員からは「視聴者の指摘に“未成年略取”とか条例違反という指摘があるが、暴行・脅迫や、だまして連れてきて自己の支配下に置くというようなことはなく、また、みだりな性的交渉を肯定するようなストーリーではないので、犯罪行為には当たらないように留意して制作されていると思われる」、「未成年者を保護者の承諾を得ず同居させる行為は誤解を招く、との注意喚起もセリフでされており、犯罪を推奨するものではない」「メンタルヘルスの観点からも、一部の子たちの等身大、人に頼らざるを得ない若者がいるのも事実」「文学の自由をどこまで許容するかの問題」という意見が出されました。
一方で「未成年の性描写はゲームに比べて甘くないか」「中高生への影響を考えた時、こういう素敵な話があるのではないかと思わせてしまう危うさがある」との懸念も出ました。
通しで見ると、放送回序盤の刺激的演出から数話目で抑制のきいた展開に変わってきたように見受けられ、時々大人として諭す場面もあり、全話を通してみれば許容される内容として、討論に進む必要はないだろうとの判断になりました。

中高生モニター報告について

35人の中高生モニターにお願いした5月のテーマは、「最近見たニュース・報道・情報番組について」でした。いつものように「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」についての欄も設けました。今月も全員から報告がありました。
「最近見たニュース・報道・情報番組について」では、1人で複数の番組を取り上げたモニターもいて、全部で28番組(テレビ27、ラジオ1)について報告がありました。中でも複数寄せられたのは7番組でした。『NEWS23』(TBSテレビ)と『ZIP!』(日本テレビ)の2番組にそれぞれ3人が、『Nスタ』『新・情報7daysニュースキャスター』(いずれもTBSテレビ)と『news zero』(日本テレビ)、『報道ステーション』『池上彰のニュースそうだったのか‼』(いずれもテレビ朝日)の5番組にそれぞれ2人が感想を寄せました。
「自由記述」では、現在放送されている番組への感想が目立ちました。中でも「今期のドラマが面白い」というものが多く、特に、『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)について、「ストーリーを楽しみながら、勉強への取り組み方も分かり参考になる」という声が複数ありました。先月と同様、バラエティー番組についての記述もあり、「人にトラウマを与えるようなものはやめるべき」という人がいる一方で、「不快と感じるなら見なければいいのではないか」という意見もありました。また、コロナ禍ということで、番組で出演者がマスクを着用していないことに疑問を感じるというモニターが複数いました。「舞台裏で対策をしているのだろうと思うが、私たちがテレビで表の部分だけ見たときにも対策をしていると分かるような演出が大事だと思う」という声が挙がっていました。
「青少年へのおすすめ番組」では、12番組について感想が寄せられました。中でも、『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京)は5人、『偉人にチャレンジ 伝説の真相に迫る』(NHK-BSプレミアム)と『アイ・アム・冒険少年 あばれる山に全員集合SP』(TBSテレビ)はそれぞれ4人、『潜れ!さかなクン ギョギョギョ宮古島スペシャル』(NHK総合)と『林修の今でしょ!講座 特別編 東大生ランキング』(テレビ朝日)はそれぞれ3人、『ひろがれ!いろとりどり「応援!みんなのチャレンジ」』(NHK Eテレ)と『新 窓をあけて九州 幸せを歌にのせて』(長崎放送)はそれぞれ2人と、複数のモニターが取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道・情報番組について】

    • 今回は「コロナウイルスの報道では悲しい内容ばかりで、どの放送局も同じような内容なので、違う角度から、心温まるニュースも紹介してほしい」という意見が複数寄せられていて、共感する部分もあるので制作者に伝えたいと思った。

    • インドのコロナウイルスの話題のとき、ヒンドゥー教の祭りの取り上げられ方が誤解を生むような内容だったのではないか、と記述したモニターがいた。「インドでは祭りにこんなに人が集まっている」というニュアンスの表現だったと感じたという。インドに住んでいたことのあるこのモニターは、「宗教上、この祭りはとても重視されているので、人が集まるのも仕方がない」と解釈しており、そのことを視聴者が理解できるように表現にしないと誤解や偏見が生まれてしまうということを憂いている。報道の仕方で、誤解や勝手な思い込みが生まれるようなことが起こり得るという、この重要な指摘を真摯に受け止め、制作に生かしてほしい。

    • ニュースを、テレビではなく、You Tubeで見ることが多いというモニターがいた。時代の変化を強く感じた。

    • インターネットでは、ある程度、自分の興味による取捨選択をすることになるため、ふだん興味のない分野について知る媒体は、テレビのニュースであることがいちばん多いというモニターがいた。このモニターは、そういう事情だからこそ、テレビでは多様な意見を取り上げ、偏った報道をしないでほしいと訴えている。番組の中には、客観的な報道をしているように見せながら、映像上の表現やナレーションで方向づけをしてしまっているものもある。しっかりと考えながら番組を制作してほしい。

    • 最近は、ニュースなど日本の報道番組をテレビで視聴していないというモニターがいた。ふだんは、NHK WORLD JAPANやBBCの携帯アプリ、海外のテレビ局のYouTubeチャンネルでチェックしているという。なぜ日本のテレビを視聴しないかというと、出演者や番組を作る側に、ジェンダーやそのほか、さまざまなことの多様性への理解の欠如、固定観念に縛られたような内容に不快感を覚えるからだという。私自身、番組を視聴していてジェンダーや人権への配慮について考えさせられることがある。日本の放送局は、そのようなことについて再考する段階にあるのかもしれない。

    • 『新・情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)検索ワードをもとに、ニュースを深掘りして紹介するというコーナーで、「ほかのニュース番組では取り上げられないようなニュース、自分が見ないような情報も放送してくれるから知識が増える」と書いたモニターがいた。今はネットなどの影響で自分の好む情報にだけ囲まれているという状況に陥りやすい。だからこそ、中高生にとっては、他者から与えられる情報の中から、ふだん触れないようなものに触れ、吸収していくという経験が重要なのだろうと思った。

    • 『Mr.サンデー』(フジテレビ)を視聴したモニターが、目まぐるしく移り変わるニュースを、ときには振り返ることが大切だということに、この番組を見て気づかされたという。「あの情報は正しかったのか、それとも間違っていたのかを考えるきっかけを番組に与えてもらいたい。また、自分でもそういうものの考え方を習慣づけていきたい」ということを記述していて、これは、情報が氾濫する現代において、メディアリテラシーを視聴者が身に付けることの重要性を指摘する大事な意見だと感じた。

    • 『よんチャンTV』(毎日放送)を視聴したモニターが、新型コロナウイルスの報道で、関西で大変だった時期に病院などの深刻な状況を伝えたという点が良かったと評価していた。このようにじかに知ることができないものを多くの人に知らせ、問題意識を持ってもらうということは、ニュースや報道番組の重要な役割の1つだと考える。ただ、このモニターが指摘するように、外出をしている人、大変な状況を本当にわかってほしい人はきっと番組を見ていない。視聴者に届けることの難しさを考えさせられた。

    • これまでBPOに寄せられた中高生モニターの意見の中には、マスメディア批判というか、マスメディア不信と言ってもいいかもしれないが、ややそういう内容のものが多いと感じている。そのような問題意識を持つ中高生がたまたまモニターになったのかもしれないが、今の世代はネットが主でテレビを見なくなってきているという状況もあるため、彼らから寄せられる批判には注目しておく必要があると思う。

  • 【自由記述について】

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)中高生モニターと同世代の人たちの受験をテーマにしたドラマということで、登場人物に共感しながら視聴している様子が伺える。「英単語の覚え方や受験にまつわる豆知識が分かって勉強になる」という感想があったが、中高生ならではの視点で楽しんでくれているのだと感じた。

    • 「報道番組や情報番組、そしてバラエティー番組でもコロナ対策が以前ほどなされていないように見える。国民の自粛疲れを助長しかねず、危険だと感じる」という声が複数寄せられており、とても気になった。

    • 4月の概要に載った、「バラエティー番組の肉体的・精神的に負担を強いるような仕掛けで、制作者や出演者が面白がっているのは不快だと感じる」という複数のモニターからの意見に対する反論が、ほかのモニターから寄せられている。「肉体的・精神的に負担を強いるような仕掛けの番組が好きなので、好き嫌いは好みによると思う。放送している時点で一定の支持者がいる。もし制作者が仕掛けを不快と感じる視聴者を意識して番組作りを行ったら、そのような仕掛けを好む人たちが番組から離れていく。不快と感じるなら見なければいい」という意見で、こういう見方もあることも念頭に置いておく必要がある。

    • バラエティー番組については、テレビの公共性の観点からすると、ネットやSNSと全く同列に位置付けて、「見たくなければ見なければいい」というスタンスを取ることには慎重に考える必要があり、視聴の自由という視点とともに、「テレビの公共性」の重要性について、今後も青少年委員会でしっかりと議論していきたい。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道・情報番組について】

    • 『NEWS23』(TBSテレビ)良い印象を受けたのは、「潜在看護師」と呼ばれる女性2人へのインタビューである。潜在看護師とは資格を持ちながら、現在は看護師職に就いていない人のことを指す。ワクチン接種会場での人手として潜在看護師に協力をあおぐという動きを、正反対の考えを持つ2人へ意見を聞き、伝えていた。片方の女性は、病棟勤務から離れて6年目だそうだが、「人の力になりたい」とワクチン接種会場での協力を前向きに考えていた。もう片方の女性は、離職こそ昨年3月だが、「注射や点滴は10年ほどやっていないのでブランクがあり不安だ。接種後のケアなどで協力できれば」と考えているとのことだった。もちろん、現在看護師職に就いていない理由は人の数だけあると思うが、とにかく接種に協力したいという意見と、ブランクを不安視する意見が存在すると伝えることは非常に大切だと思う。私たち接種を受ける側の安心や医療従事者間でのあつれきを防ぐことにもつながると思うからだ。年齢層にもよるが、ニュース番組によって社会を知る人は今でもいるだろう。インターネットの記事では、ある程度、自分の興味による取捨選択をすることになるし、提供側によって徐々にパーソナライズされていくからだ。自分が特段興味のない分野について知るのはテレビのニュースがいちばん強い。だからこそ私は、多様な意見を取り上げ、偏った報道をしないでほしいと考えている。(東京・高校3年・女子)

    • 『Nスタ』(TBSテレビ)部活から帰宅して視聴することが多い。感染拡大してきている「新型コロナウイルス」報道ばかり…。夜ご飯などの時間帯というのもあり、視聴している人も多いと思う。だからか、この時間帯にコロナウイルスでの心配をあおるようなネガティブな報道、悲しいことばかりを報道しているよう。もっと、今だから、この時間だから、多くの人が視聴しているときに、心温まることを紹介してくれても良いと思う。確かに、今はコロナウイルスについて知りたい人はたくさんいる。けれど、ほかの番組と内容がかぶっていて「また同じこと?」と思う。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『Nスタ』(TBSテレビ)「インドのコロナウイルスの現状」の取り上げ方に主眼を置きながら視聴した。この話題に着目した理由は、私自身インドに住んでいた経験があるため、日ごろからこの話題について関心を持ち、さまざまなニュース番組を視聴していたからだ。また、『Nスタ』も去年の終わりごろからよく見ていたので選んだ。まず、私が良いと思った点は、インド在住の日本人にリモートでインタビューをしていたところだ。このインタビューを見たとき、思い返すと、どの番組もインドのコロナの現状について話す人は専門家などがメインで、現地に住む人の話は聞かなかったなと感じた。また、このインタビューを行ったタイミングも、インドで日本人が初めて死亡したニュースが報道された翌日だったので、現地に住む人の声をひと足早く届けようとしているように思えた。一方、気になった点は、インドで行われているお祭りなどの取り上げ方だ。『Nスタ』以外の番組でも見られたが、「コロナが感染拡大しているにも関わらずこんな盛大なお祭りをしています」という取り上げ方をしていた。だが、インドではヒンドゥー教のお祭りは大切にされているため、そう簡単には中止にできなかったのだと私は思う。インドと日本は環境も考え方も文化も異なる部分がいろいろあるので、このような取り上げ方をして、視聴者に誤解を生まないようにした方が良いと思った。(埼玉・高校1年・女子)

    • 『新・情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)自分がこの番組が好きな理由は、「今週のニュースワードランキング」というコーナー。検索ワードランキングをもとに、それを細かく放送してくれる。細かいだけでなく、ほかのニュース番組では取り上げられないようなニュースを放送してくれる。自分からは見ない情報も放送してくれるから、知識が増える。(愛知・高校2年・男子)

    • 『ZIP!』(日本テレビ)私の家では、私が中学生のころから平日の朝は『ZIP!』でスタートしています。今朝、特に関心を持ったのは、現在フィッシング詐欺の相談件数が過去最多となっているという話題。新型コロナウイルスの影響でネットショッピングが増えたことが原因なのではないかと思いました。(埼玉・高校2年・女子)

    • 『news zero』(日本テレビ)ほかの番組でも、最初はコロナウイルスの情報が多い。30分以上コロナの報道をするのは長すぎると思いました。また、毎日同じような報道をするのは、うつ病など精神症状を持っている人にはつらいと思います。一方で、アカデミー賞で話題になった映画を通して、コロナで埋もれがちな認知症について紹介するコーナーはとても良かったと思います。家にいることが多くなった今、認知症や生活習慣病のことについて、おろそかにしがちです。このような特集をすることで、人々に注目してもらえるようにすることは大事だと思いました。(福岡・高校3年・女子)

    • 『報道ステーション』(テレビ朝日)昨年5月に新型コロナウイルスに感染したアナウンサーとスタッフ、計3人の抗体が1年間残っているかという検証を行っていました。その結果、残っているかどうかには個人差がありました。ほかの放送局では決して放送することができないことをしっかりと行い、見る人をひきつけるという素晴らしい案だなと思いました。(東京・中学2年・男子)

    • 『池上彰のニュースそうだったのか‼』(テレビ朝日)池上彰さんが、パネラーに対して、適切なタイミングで適切な質問を投げかける、その進行によって、解説もすっと耳に入ってきて、納得できるものばかりです。教科書作りにも関与している池上彰さんだからこその裏話も聞けて、ほかの司会者では知り得ない、池上彰さんだからこその貴重な情報を与えてくれる番組だと感じました。また、イラストを多用して説明がされるため、大人ばかりでなく、子どもの視聴者にも分かりやすく、幅広い年齢層に支持される番組だと改めて思いました。(長崎・高校3年・男子)

    • 『週刊まるわかりニュース』(NHK総合)番組を見て、細かいところを工夫していると思いました。それは、テロップの文字が大きくて見やすかったこと、また、宇宙食の説明をしていたときにサンプルを見せてくれたことです。ほかにも、質問しているときに質問者と回答者の字幕の色を変えていました。ほかの番組と違って30分にまとめられているので、流し見にならずに集中力が持続して見ることができました。(東京・高校1年・男子)

    • 『ニュースウオッチ9』(NHK総合)私は大抵この番組を見ているのですが、今日あったニュースやスポーツの結果などが分かりやすくまとまっているので、とても見やすい番組だと思います。また、英語でも放送しているので、英語の勉強にも見ることが多いです。NHKのニュース番組は、エンタメの情報などは少ないので、ニュースだけを知りたい人にはぴったりだと思います。(群馬・高校1年・男子)

    • 『NHKニュース7』(NHK総合)数ある番組の中からニュースだけを読み上げる『ニュース7』を、あえて今回は見てみようと思いました。人々がニュースを見る中でいちばん大切にすることは、事実や真実を知るということだと思うからです。その点で『ニュース7』は、その日あった出来事を簡潔に分かりやすく伝えられていると思います。キャスターやコメンテーターの考えや意見が入ってこない分、ニュースを知って自分で考えるということが、いちばんできる番組だと感じました。(東京・高校1年・女子)

    • 『ひるおび!』(TBSテレビ)司会者が専門家に抽象的な質問をするため、専門家が長々としゃべり続け、そのままCMに入るシーンが何度かあった。CM明けは違うトピックについての話が始まるため、CM前のトピックのまとめがない状態で進んでしまっている。そのせいか、ダラダラと流れていってしまったという印象を受けた。「コロナ」とひとくくりにせず、トピックごとにまとめ、総括をしたほうが視聴者に分かりやすいだろうと思った。(山形・高校3年・男子)

    • 『news every. 』(日本テレビ)報道番組と比べて街の人々へのインタビューが多い印象があります。中にはそんな考えもあるのかと驚くものもあるので、ほかの人たちの考えを知ることができるのはいいことだと思います。(東京・中学1年・女子)

    • 『Mr.サンデー』(フジテレビ)番組の最初に、吉村大阪府知事への生質問のコーナーで、みんなが忘れかけている「ポピドンヨード」や「大阪の国産ワクチン開発」について触れていて、過去のニュースを思い出すことができた。めまぐるしく移り変わるニュースをたまには振り返ってみることの大切さを感じた。また報道番組や情報番組では、今話題に上っている情報やニュースを流すだけでなく、あの情報は正しかったのか、間違っていたのか、考えるきっかけを与えてもらいたいと思ったし、自分自身でもそういうものの考え方を習慣づけていきたいと思った。(神奈川・中学2年・男子)

    • 『めざましテレビ』(フジテレビ)良いところは、若い世代の視聴者を獲得できるような情報の内容です。朝の情報番組は似たような情報を何度も何度も繰り返します。『めざましテレビ』もそうなのですが、別の番組と違うところはエンタメ情報が多いことです。流行しそうな食べ物や、学生がほぼ毎日使う文房具のトレンド情報など、学校に着いたらすぐ、友だちにしゃべりたくなるような情報がたくさんあります。(奈良・中学3年・女子)

    • 『news every.しずおか』(静岡第一テレビ)この番組の良いところは、特集が面白いところです。最近は企業やお店のコロナ対策などがよく取り上げられていますが、旬の食材の季節なら農家の密着を行います。そのときは必ずリポーターが出向き、様子を詳しく伝え、また、密着する人へのインタビューも充実しているので興味深く見ることができます。食レポなどもあったりして非常に分かりやすいです。もう1つの良いところは、同じ企業や団体・個人を何回かに分けて密着しているところです。最近見たものだと、地元高校の吹奏楽部がコンサートを行ったという内容でしたが、見ているときに「以前クラウドファンディングで衣装を新しくしていたよな」と思い出しました。よく視聴する人は視聴を続けることによって、連続で取材された人々のことを深く知ることができるし、より身近に感じられます。(静岡・中学3年・男子)

    • 『よんチャンTV』(毎日放送)変異ウィルスと戦う最前線の医療現場のVTRが放送され、私自身、改めて恐ろしさを感じた。「命の選択」をしている状況や救急車で8時間以上待ちとなっている現状に、VTRが明けた後も出演者が黙り込んでしまうほどだった。私は、この状況を放送することはとても大切だと思った。これを見ることで、本当に不要不急の外出が必要か、などを一人ひとりが立ち止まって考える機会となるからだ。ただただ病床ひっ迫の数字を伝えられるより、よっぽど説得力があったと心から思った。しかし、実際に外出してテレビを見ていない人たちにこの現状を伝える必要があると考える。ネットで調べなくても出てくる動画などのように、多くの人が目にするところに発信していくことが、もう一つのメディアの使命ではないだろうか。(京都・高校1年・女子)

    • 『JFNニュース』(エフエム長崎)海外でのコロナ対策の事情にも触れており、いろいろな視点からコロナのことを考えることができた。5分間の番組のうち、3分間ほどニュースがあり、CMに入った。ニュースの時間は少し短かったが、少しの時間で重要な事柄を知ることができるところが魅力だと思う。(長崎・中学2年・男子)

  • 【自由記述】

    • 私は最近、ニュースなどの日本の報道番組をテレビで視聴していませんでした。いつもはNHK WORLD JAPANやBBCの携帯アプリや海外のテレビ局のYouTubeチャンネルでニュースをチェックしています。なぜテレビで視聴しないかというと、出演者や番組を作る側に、ジェンダーやさまざまな事柄の多様性への理解の欠如、固定概念に縛られたような質問などに、不快感を覚えたからです。また、テレビ離れが進んでいるという点を議論していた記事では、やはりテレビ業界のほとんどが男性で、そのようなジェンダー問題や女性への偏見についてあまり問題として捉えていないからだという意見がありました。日本の情報番組や報道番組は変わらないといけない点に来ているのになぜ変わろうとしないのでしょうか。私には不思議で仕方ありません。(静岡・高校3年・女子)

    • あるドッキリ番組で、レコーディング中の人の背後から猿が忍び寄り、その人のことを蹴るというドッキリを行っていた。これを見て、私はとても不快になった。特にひどかったのは、ドッキリをかけられた女性が、ドッキリ直後のインタビューで怒りを隠しながら答えていたところだ。この女性に精神的に負荷を与えているようにしか見えなくて、見ている方がイライラしてきた。人にトラウマを与えかねないこのようなドッキリはやめるべきだと思う。(埼玉・高校1年・女子)

    • あるバラエティー番組で、芸人同士がケンカをするというくだりになった際、1人の芸人がもう1人の芸人の顔を床に押し付けたり、水の中に入れたりする場面があり、正直見るに耐えませんでした。芸人の方たちは笑いを取ろうとしてこういったことをしていると思いますが、視聴者側からすると、いじめのように見えると感じられた方もいるのでは、と思いました。見ている人を不快にさせず、面白いと言えるような企画や演出などを制作側にも考えていただきたいです。 (奈良・高校2年・女子)

    • (BPOのウェブサイトで)4月の概要を読みました。「もっと10代向けの番組を作ってほしい」という意見に対して、僕はもう十分に10代向けの番組があると思います。例えば恋愛ドラマや歌番組などは10代の視聴が多いと思います。また、SNSで大きく反響があれば、お笑いの番組も10代向けと考えていいと思います。“10代向け”と考えるより、自分の趣味に合ってるかどうかで考えるべきだと思います。また「肉体的・精神的に負担を強いるような仕掛けで、制作者や出演者が面白がっているのが不快だと感じる」という意見に対しては、僕はそのような番組が好きなので好みによると思います。放送してる時点で一定の支持者はいるので、テレビ局側がそのような意見を持っている人を意識して番組を作ると、支持者たちが支持しなくなります。番組に対して不快を感じるなら見なければいいと思います。(愛知・高校2年・男子)

    • バラエティー番組でのコロナ対策が薄れてきていると感じる。見えないところでしているのだろう。だが、私たちがテレビで表の部分だけ見たときにも、「コロナ対策してるんだ」と思えるような演出も大事だと思う。(埼玉・中学2年・女子)

    • 新型コロナウイルスの感染対策を喚起するべき報道番組、情報番組の出演者が、アクリル板1枚のみで隔てられ、マスクもしない状態で話している姿を見ると、いくら撮影裏で感染対策を行っていても視聴者は矛盾を感じ、新型コロナウイルスの切迫した状況などがいまいち伝わらなくなってしまうのではないか。一部のバラエティー番組などではアクリル板すらないものがあり、国民の自粛疲れを助長しかねない危なっかしさを感じた。(東京・高校1年・男子)

    • ゴールデンウィーク中の各地の人出の様子が報道されているけれど、ほとんどの番組で実際にその場所に行って取材したり撮影したりしている。人の多いところに行くリポーターも感染リスクがあるため、定点カメラを設置するなど行かなくて良い方法に変えるべきだと思う。(京都・中学3年・女子)

    • グルメ番組などで、飲食店を紹介することは良いことだけど、今のご時世、紹介したら人がたくさん来て、余計に新型コロナウイルスに感染する確率が高くなってしまうと思うので、番組側も「対策や人の少ない時間帯に行くように」などの呼びかけをもっとした方が良いと思いました。(静岡・高校2年・女子)

    • コロナ感染拡大地域では、緊急事態宣言が発令され、さまざまな対策がとられているが、なかなか収束する気配が感じられません。東京五輪はどのような結末を迎えることになるのか、全く予想がつきません。(山形・高校3年・男子)

    • ワクチンをめぐっての話を長く報道しており、その中での意見が否定的なものが多く、平等と言えるかどうかという報道が多い。正直、報道する者として平等な意見を報道しないのはどうかと思う。(福岡・高校3年・女子)

    • 最近気になったのは、報道番組で聖火リレー放送時にオリンピック反対運動が消されていたということです。このニュースは、新聞やインターネットで大きく取り上げられているにもかかわらず、テレビでの報道は少なかったように思います。これは、オリンピックの利権がテレビ局各局にあるからかと疑念を持ってしまいます。(東京・高校1年・女子)

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)英単語の覚え方、その意味やいろいろな豆知識などが分かるのでとても勉強になります。そして、人と人の意見がぶつかり合って、悪いことをしていた人も良い方向へ向かっていくのがスカッとして面白いです。(大分・中学2年・女子)

    • 『日曜劇場「ドラゴン桜」』(TBSテレビ)勉強にどのように取り組むべきか、ストーリーを楽しみながら参考にでき、極意を学べ、一石二鳥だと思いました。(富山・中学3年・女子)

    • 『ZIP!』(日本テレビ)新体制の『ZIP!』ですが、1つだけまだなじみにくい点があります。番組のロゴやスタジオセット、テロップのフォントなどの新番組さながらの変容ぶりです。白を基調として見やすかったセットやテロップが、カラフルでなんだか落ち着かない印象があります。『ZIP!』などの主要な朝の情報番組の場合、新規視聴者の獲得よりも、今までの視聴者に変わらず愛される番組作りが重視されていくべきなのではないかと感じました。(埼玉・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京)自分も歌が大好きで、合唱団に入っているので、知っている曲も多く、見ていてとても楽しいです。けれど、少し不満な点があります。それは視聴者がどちらが勝つかを予想して、その予想がテレビに映し出されるところです。勝つという意見が少ない人はかわいそうだと思うし、傷つく人もいるので、少し悲しいなと思いました。(千葉・中学3年・女子)

    • 『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京)個人の好きなことを追求し、ほかの人たちと競うことで、違いを高め合うことができる。とても良い番組だと思いました。(群馬・高校1年・男子)

    • 『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京)自分自身音楽が好きであり、その中でも歌を聴く・歌うことは特に楽しいと感じる。カラオケバトルというものだけあり、もちろん勝敗は得点によって決まる。しかし、歌の世界においての「うまい」は、やはり人に何をどれだけ伝えられたかにかかっていると、この番組を見て思った。自分の友人にも得点こそ出なくてもその人の歌が好きな人もいる。そのように考えれば、自分よりも若い子が、高い得点はもちろん、人の心を動かし感動させるということが、いかにすごいかを再認識し、自分もさらに頑張らなければと思った。(神奈川・高校2年・男子)

    • 『偉人にチャレンジ 伝説の真相に迫る』(NHK-BSプレミアム)偉人の伝説に現代の人たちが挑んでいて、斬新だと思った。物語を物語で終わらせずに、現実的に実践できるかを検証していくところが、とても面白いと感じた。(神奈川・中学2年・男子)

    • 『アイ・アム・冒険少年 あばれる山に全員集合SP』(TBSテレビ)出演者のトークが面白く、なごやかな雰囲気で番組が進んでいて、見ていて心地が良かったです。しかし、題名にもある「冒険」とはかけ離れていると思いました。サバイバル術も時々織り込んではいますが、番組全体としては楽しくアウトドアな企画をしているだけに見え、冒険やサバイバルの要素が圧倒的に少ないと感じました。(千葉・中学2年・女子)

    • 『アイ・アム・冒険少年 あばれる山に全員集合SP』(TBSテレビ)今回は特別編だったのでいつもとは違う雰囲気で楽しめた。ふだんのメイン企画「脱出島」はなんとなくこちらもハラハラしてしまう。それもまた面白さだと思うが、今回はこの番組のスタジオメンバーが出演者の持つ山でログハウス作りを手伝ったり、小麦からピザを作ったりする賑やかで和やかな回だった。普段から本編中に挟まれる雑学もためになるので面白く見ているが、今回は特に出演者の1人がスマホを持って共演者の写真をたくさん撮っていたのが印象的である。スマホを持って収録するのは今までのテレビであまり見たことがなかったが、協力して何かを成し遂げる企画では、なおさら向いている方法だと思った。スタッフが持つ機材としてのカメラはもちろんなくてはならないが、出演者が持つカメラは共演者の素に近い表情を写し、雰囲気や熱気をさらに伝えてくれるような気がする。(東京・高校3年・女子)

    • 『潜れ!さかなクン ギョギョギョ宮古島スペシャル』(NHK総合)群青色のきれいな海をのびのび泳いでいる魚を見るとほっこりとした気持ちになった。さかなクンが漁礁の説明をするときに、アングルが斜めで少し見づらかったので、上から撮ってほしい。(富山・中学3年・女子)

    • 『潜れ!さかなクン ギョギョギョ宮古島スペシャル』(NHK総合)行ってみたいと思っている宮古島だったので美しい海に引き込まれました。初めは人が漁をしやすくするために作った漁礁を、使い終わったから沈めてしまうなんて、自然を壊しているのではないかと感じましたが、今もなお海底でさまざまな魚の住みかとなっていて、自然破壊ではないと分かり安心しました。サメを可愛いと言いながら、淡々とさばいていくさかなクンのギャップが面白かったです。中からカツオがまるまる出てきたのにも驚きました。(東京・高校1年・女子)

    • 『林修の今でしょ!講座 特別編 東大生ランキング』(テレビ朝日)アニメが好きな人、または歌が好きな人は日本にたくさんいると思うので、そのような人たちの目に留まるような内容で良かったと思う。私は、音楽が好きなのでこの番組で紹介された歌はほとんど知っていたが、その歌の歌詞にそんな背景があるとは知らず、「へぇ~」と思うようなことがたくさんあって、見ているだけでたくさんの知識が得られた。また、私はこれまでアニメを自発的には見てこなかったが、この番組を通して、勉強にとても役立ちそうだと感じたので見てみようと思う!(埼玉・高校1年・女子)

    • 『ひろがれ!いろとりどり「応援!みんなのチャレンジ」』(NHK Eテレ)SDGsの活動をすすめていく子どもたちの発想が面白かったです。彼らの考えにはSDGsの17の目標のうち、1つだけではなく複数の観点を含まれていることに驚かされました。自分が興味を持って関わっている分野で、少しでも持続可能な社会に向けた活動に貢献できるような考え方をしていきたいと思いました。大きな問題を小さくしていって、身の回りでできることをやっていきたいです。(東京・高校1年・女子)

    • 『新 窓をあけて九州 幸せを歌にのせて』(長崎放送)この番組は、盲目の少女をクローズアップした番組で、健常者が思う障害者への認識や福祉について、更に深く考える機会を与えてくれる番組だったように思えます。障害者が露出する番組が増えている中、視聴者にとって、日ごろ接する機会のない障害者が、懸命に取り組む姿を通して視聴者に感動を強いる「感動ポルノ」という言葉が聞かれるようになりましたが、私は純粋に素晴らしいことだと感じます。視聴者とは別世界にいる障害者の実情を伝えることは、視聴者が持つ障害者への偏見への解消や関心にもつながると思います。これからも、障害者に限らず、そのような見解を広げられるような番組が増えてくれたらと期待しています。(長崎・高校3年・男子)

    • 『MIYAZAKI SDGs ACTION~行動の10年 私たちにできること~』(宮崎放送)私が知らないこともたくさんあり、まずは「知る」ということが何より大切だということに気づかされました。SDGsという言葉は聞いたことがありますが、どこか遠い世界の話のような気がして、あまり身近なものに感じられなかったのですが、この番組を視聴したことで、ぐっと身近なものに感じられました。SDGsの目標達成まであと10年しかありませんが、私たちができることをまずは身近なことから始めていきたいと思います。この取り組みはこれからも行われるそうなので、高校生になったらぜひ私も参加して、地元宮崎が住みやすく、持続していけるような動きに貢献したいと思いました。(宮崎・中学3年・女子)

調査研究について

  • 担当の中橋委員から、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、アンケートの回答方法および締切日、回答率など進捗状況の報告がありました。

以上

第292回放送と人権等権利に関する委員会

第292回 – 2021年5月

「判断のグラデーション」表記について…など

議事の詳細

日時
2021年5月18日(火)午後4時~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」第1会議室(オンライン開催)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、丹羽委員、野村委員、廣田委員、水野委員

1.「判断のグラデーション」の表記について

2021年3月30日に通知公表を行った「委員会決定第76号 リアリティ番組出演者遺族からの申立て」の報道において、今回の委員会決定を「3番目に重い」と表現する新聞記事があった。今回は、「2番目に重い」判断であるが、「判断のグラデーション」では上から3番目に記載されていたことが上記の記事の記載につながったと考えられることから、表記の見直しを行った。
議論の結果、「人権侵害」と「放送倫理上重大な問題あり」を従来は縦列に表記していたが、横列で表記することになった。(下記参照)なお、「判断のグラデーション」の内容自体に変更はない。

委員会決定における判断のグラデーション

勧 告

人権侵害

  • 名誉毀損
  • プライバシー侵害
  • 肖像権侵害 等

放送倫理上重大な問題あり

見 解 放送倫理上問題あり
見 解 要望
問題なし

 

2.  事例研究

2021年度2回目の委員会である今回の委員会では、新任委員が委員会での議論の流れや判断基準を理解できるように、直近の委員会決定4件について担当起草委員がポイントを解説し、状況の共有に努めた。

以上

第160回 放送倫理検証委員会

第160回–2021年5月

日本テレビの情報番組『スッキリ』を審議

第160回放送倫理検証委員会は5月14日にオンラインで開催された。
委員会が1月18日に通知・公表したフジテレビの『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見について、当該放送局から委員会に対し、具体的な改善策を含めた取り組み状況など対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、当該対応を了承して公表することにした。
アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について、前回委員会で、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りが決まったことを受け、今回の委員会では、担当委員から当該放送局の関係者に対して行ったヒアリングの途中経過が報告された。

議事の詳細

日時
2021年5月14日(金)午後5時00分~午後6時45分
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]第1会議室(千代田放送会館7階)およびオンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、井桁委員、大石委員、高田委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見への対応報告を了承

委員会が1月18日に通知・公表した、フジテレビの『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見(委員会決定第39号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。 また、担当委員から、4月に当該放送局がオンライン形式で実施した研修会での委員との意見交換の様子などが報告された。委員会は、当該放送局の今後の改善状況を見守り、当該報告を了承して公表することにした。

2. アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について審議

日本テレビは3月12日、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した後、コーナーに出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、視聴者からアイヌ民族を犬とかけるのは不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で謝罪するとともに局および番組ホームページにお詫びを掲載した。また、翌週月曜日15日には、番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
前回の委員会で、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議した結果、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり、適切な編集が行われずに放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りが決まった。今回の委員会では、担当委員から当該放送局の関係者に対するヒアリングの途中経過の報告を受けて議論をした上、次回委員会において提案される予定の意見書案を踏まえてさらに検討することとした。

以上

第233回 放送と青少年に関する委員会

第233回-2021年4月

視聴者からの意見について…など

2021年4月27日、第233回青少年委員会をオンラインで開催し、7人の委員全員が出席しました。
深夜のアニメ番組で20代サラリーマンが家出した女子高生に声をかけ、自宅に連れ帰り保護する内容に対して、「売春を肯定しているのではないか?」「未成年者略取という犯罪を助長しているのでは?」「あたかも良識のある大人として描かれていることが問題」などの意見や、報道番組で韓国人元BC級戦犯の方のご遺体の顔のアップを映したことなどについて、「子どもへの影響を配慮してほしい」などの意見、芸人自らが考えたドッキリ企画で面白さを競う番組で、「いじめ・虐待の助長」「子どもがマネをする危険行為」「低俗、モラルに反する」などの意見が寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
4月の中高生モニターのリポートのテーマは「これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について」でした。モニター35人全員から熱意を感じられる報告がありました。
モニターからは、人気俳優W主演の警視庁機動捜査隊の活躍を描いたドラマについて、「毎回見終わる度に、来週もこの時間にこの番組を見るためにまた一週間頑張ろう!と思わせてくれます。(中略)今の時代に民放で堂々と社会問題を扱うこと自体に意義があると思うし、ドラマを見たあらゆる世代の人々が今の自分、今の社会と向き合うきっかけになる、そんな素敵なドラマでした!」などの報告や、古代遺跡を舞台にした宝探しクイズ・ゲームバラエティー番組について、「私はこの番組を5才、6才くらいのときに見ていました。約10年前に最終回を迎えた番組ですが、今も強く印象に残っています。初めて見たときは、少し怖かった記憶があります。ですが、大いに魅了されました。」、9年前に終了したバラエティー番組について、「生きていく上で何の役にも立たない無駄な知識、しかし人に教えたくなってしまうようなトリビアを、(中略)紹介し、品評していくという番組。今でも心の中にしっかりと記憶されています。」といったように、たとえ古い番組でもいつまでも印象に残っているという内容のリポートも寄せられました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
次回は、5月25日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年4月27日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
オンラインで開催
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、3月後半から4月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
芸人自らが考えたドッキリ企画で面白さを競う番組は「いじめ・虐待の助長」「子どもがマネをする危険行為」「低俗、モラルに反する」との意見が寄せられました。
委員からは「局サイドとしては芸能人が考えたという設定なので、何がしか責任意識が希薄になっているのではないか?」との意見がありました。中高生モニターでも「出演者をいたぶる暴力シーンに不快感…」という意見もあり、青少年委員会として“痛みを伴うことを笑うバラエティーについて”積極的に何か働きかけることも考えたいという意見がありました。
深夜のアニメ番組で20代サラリーマンが家出した女子高生に声をかけ自宅に連れ帰り保護するが、女子高生は見返りに性行為を持ち掛ける…という内容に、「売春を肯定しているのではないか?」「未成年者略取という犯罪を助長しているのでは?」「あたかも良識のある大人として描かれていることが問題」との意見が寄せられました。
委員からは「それなりに配慮されたつくり。この段階で問題にするのはちょっと難しい」との見解で、今後の展開に注目することとなりました。
報道番組で韓国人元BC級戦犯のご遺体の顔のアップをモザイクかけずに放送した件、ニュース番組でミャンマー軍が一般市民に発砲している映像やアメリカでアジア系の高齢女性が暴行を受ける映像の件など、子どもへの影響を配慮してほしいとの意見が寄せられました。
委員からは、「ドキュメンタリーや報道で戦争を描くと、必ず問題になる部分。ここにあまりにもモザイクをかけると本当の実態や悲惨な状況が伝わらない」「子どもたちがそれを見てどう受け取るかの“力“に期待したい」「ご遺体への尊厳を保つ配慮と見た人のショック…このバランスが難しい」との意見が出されました。
東北3局制作の東日本大震災特番について、「きちんと取材されたいい番組で、子どもに見せたかったが放送枠が深夜だった。ぜひ昼間に再放送してほしい。」という意見が寄せられました。
逆に、「東京キー局の大人向け番組が、日曜の昼間に放送されている。地元局に要望を出したが状況は変わらない。」という意見が寄せられました。
最後に、先月の青少年委員会議事録概要HPで紹介された中高生モニターの意見について、「『テレビ離れの要因のひとつとして、バラエティー番組などで他人を下げる、バカにする発言が挙げられる』という(中高生モニターの)意見がすばらしい、大変に感心した」との視聴者意見が紹介されました。

中高生モニター報告について

2021年度は、全国35人の中高生にモニターを依頼しました。
新しいモニターの初めての報告となる4月のテーマは「これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について」で、これまでと同様、「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けたところ、モニター全員から報告がありました。
4月のテーマでは、34人がテレビ番組について、1人がラジオ番組について記述していました。2人が、昨年放送された『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)について、その他のモニターはそれぞれ別の番組について感想を寄せており、全部で35番組が取り上げられました。
テレビ番組のジャンル別では、ドラマに11人から(内訳はNHKが1、TBSテレビが5、日本テレビが1、テレビ朝日が2、フジテレビが1、テレビ東京が1)、バラエティー番組に10人から(NHKが1、TBSテレビが3、日本テレビが2、フジテレビが3、テレビ東京が1)、ニュース・報道・情報番組に8人から(NHKが3、TBSテレビが1、日本テレビが2、テレビ朝日が1、放送局不明が1)、ドキュメンタリー番組に2人から(NHKが2)、アニメに2人から(NHKが1、テレビ朝日が1)、教育番組に1人から(NHKが1)報告がありました。
「自由記述」の内容は、大きく分けると、「番組の感想」「放送局への要望」「CMについての意見」「その他」でした。「放送局への要望」では、「もっと10代向けの番組を作ってほしい」「正しく偏りのない情報を提供してほしい」などの意見が寄せられ、「番組の感想」では、バラエティー番組について、「肉体的・精神的に負担を強いるような仕掛けで、制作者や出演者が面白がっているのが不快だと感じる」という苦情が複数ありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、全部で8番組への感想が寄せられました。中でも、『太田光のつぶやき英語』(NHK Eテレ)を9人が、『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)を5人が、『歴史探偵「関ヶ原の戦い」』(NHK総合)と『相葉マナブ』(テレビ朝日)をそれぞれ4人が、『映像の世紀プレミアム 第19集「東京 破壊と創造の150年」』(NHK-BSプレミアム)を2人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について】

    • ドラマが印象に残っているというモニターが最も多く、中には、「ドラマを見て、自分の生き方について考えさせられた」という感想があった。放送局には、今後も、中高生が楽しむと同時にポジティブに受け止められるドラマを作り続けてほしい。

    • 視聴した番組が子どもたちに生きる意味や夢を与える、それくらい強い意味を持つことがあると分かった。番組の力、放送の力はやはりすごいと思った。

    • 10年くらい前に見ていた番組が一番印象に残っているという報告が複数あった。それだけの長期間にわたって印象に残り続けるということは、なかなか興味深い。彼らが書いていたのは、家族で楽しめる内容だったということや演出が面白くてエンターテイメントの要素が多かったということだ。今後の番組制作について考えるときに以前放送されていた番組を参考にしていく、ということも大事なのではないか。

    • 「まん防」のような略語を多用することへの疑問が挙げられていた。「むやみに多用するのは控えたほうがいい」という意見だった。確かに、略語や英語をそのまま片仮名にしたような言葉が最近多く使われて分かりにくいという印象を持っている。放送局には、略語の使い方を考えてほしいと思う。

    • 『魔進戦隊キラメイジャー』(テレビ朝日/2021年)の副題で、「ありのままでいたい」という回があったという。そこで描かれていた内容が印象的だったというモニターがいた。今、子どもたちの自殺が増えており、子どもたちの多様な考え方や多様性が否定されがちな社会になっているのだと日々感じている。この「ありのまま」という言葉は、若い世代にとってはキーワードなのだろうと思った。

  • 【自由記述について】

    • バラエティー番組において、主に芸人同士のいじめ、いじりというのかもしれないが、言葉だけではなく身体的に痛めつけるようなことを行って、本当に苦しそうな様子をスタジオで笑っている。そのことが、子どもたちの世界観に悪影響を及ぼすのではないかと青少年委員会の年次報告会でも述べたが、今回のリポートでも、モニターが不快だと感想を寄せていた。このような番組は、出演者が自分たちの身内でパワハラ的なことをして楽しんでいるようにも見える。結局、誰があれを見て楽しいと思っているのか、ということをテレビ局にはしっかりと考えてほしい。

    • 昨今のニュースの中での解説の仕方に対する苦言があった。「若者がかくかくしかじか」とか「高齢者がこうである」とかいうように、年齢で十把一からげにするのはおかしい、というもの。ニュースにおける過度な一般化をいさめるようなことを記述していて、興味深いと思った。

    • テレビの緊急速報についての記述で、「毎日、大阪や東京のコロナの感染者数が出てくるのが不快で、本当に地震や災害が来たときに関心が薄れてしまわないか心配」というものがあった。これはまさしくそうだと思う。「オオカミ少年効果」と言うが、いつも火災報知器が鳴っていると、また誤作動かと思ってしまうということが起こる。放送局には、「本当に緊急速報にすべきなのか」をしっかり考えて速報を出していただきたい。

    • 「友だちとの話題などでテレビ番組についての話が出る機会が少なく、暇つぶしにチャンネルを変えては、見たい番組がなくて消すという状況が常態化しつつある」という記述があり、テレビの危機だと感じた。しかし一方で、このモニターは「自分に合った番組について知るすべがほしい」と書いていて、何かヒントになりそうだと思った。

    • 今の日本のテレビへの苦言を呈したモニターがいた。今の子どもたちは、海外の番組を手軽に視聴できる。視聴した海外の番組と比較しながら日本の番組を見ている。そのようにして批評眼を養っている若い視聴者がいることを念頭に置いて番組制作をすることが大切だろうと考えている。

    • 自己紹介で、「YouTubeを見ることが好きだ」と書いたモニターがいた。デジタルネイティブの時代になっていると感じている。YouTubeを見ている子どもたちが、テレビ番組をどう見るのか。そういう視点で書かれるモニターリポートを今後期待したいと思う。

    • 「視聴者のリクエストに応える番組枠があったら面白いんじゃないか」という提案があった。確かに、若い人たちが番組の企画をするようなメディアがあったら面白いと思った。

    • CMについて触れているモニターが複数いた。どれもCMによって番組に水を差されてしまうというような、CMに対してネガティブな内容だった。放送局には、今後の対策を考えてほしい。

  • 【青少年へのおすすめ番組】
    • 『太田光のつぶやき英語』(NHK Eテレ)を多くのモニターが視聴していた。実は、自分自身も見ているが、Twitterの英語を分析していて面白い。見ていて飽きないし、何より番組の長さが25分とちょうどいい。このような比較的短い番組が中高生には好まれるのではないかと感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について】

    • 『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ/2020年)私は大のテレビっ子であり、大好きな番組をリアルタイムで視聴しているときが何よりも幸せを感じる時間です。中でも、『MIU404』は、毎話見終わるたびに、「来週もこの時間にこれを見るためにまた1週間頑張ろう!」と思わせてくれる、そんなドラマでした。一見普通の刑事ドラマのように思えるし、綾野剛さん演じる伊吹と、星野源さん演じる志摩が事件を追う緊迫したシーンは、ハラハラしてとても見応えがありました。けれど、それだけでなく、『MIU404』は、今世界が抱えている社会問題を題材にしていて、今の時代に民放ドラマで、堂々と社会問題を扱うこと自体に意義があると思うし、ドラマを見たあらゆる世代の人々が、今の自分、今の社会と向き合うきっかけになる、そんな素敵なドラマでした!(埼玉・高校2年・女子)

    • 『体感再び 首都直下地震』(NHK総合/2021年)この番組は、実際の東京とは別の架空の東京=“パラレル東京”で「M7.3の首都直下地震が発生したら」という設定で、VFXがふんだんに駆使され描かれたドラマです。このドラマの優れているところは、単に被害に遭った人々のことを伝えているだけでなく、実際に被災から免れてやっと避難できた人々の、リアルな避難生活までも描いているところです。地震による犠牲ばかりでなく、それに随伴して起こる現象に、究極な状況にいる(であろう)我々は、どれだけの対応をなし得るのだろうか、という新たな課題も浮かび上がらせてくれた演出でした。コロナ禍の現在においても強く感じていることなのですが、報道がどれだけ真実を的確に伝えているのだろうかという疑問がいつもあります。ドラマの中でも、被害状況を詳細に伝えようとする報道局に対して、政治側がその被害よりも、政府が施策していることのほうを報道せよ、と迫ります。国民が本当に知りたいことは、一部の有力階層によってねじ伏せられ、国民の命でさえも、権力に隠れてしまっていた現状に、「実はこのコロナ禍の今も似たようなことが起こってはいないか」とつい勘繰ってしまいました。(長崎・高校3年・男子)

    • 『よるドラ ここは今から倫理です。』(NHK総合/2021年)高校生に焦点を当てたドラマで共感できるところが多々ありました。日々の生活の中では他人との交流が不可欠ですが、その中で感じる不安や悩みなどが表現されていました。特に印象に残っているのは、先生が口にする哲学の偉人の言葉です。それは、少し前の私であればきれい事で説教臭いと感じてしまっていたような言葉でした。しかし、ドラマを通したからか、心にすっと入り込んできて、一つ一つについて改めて考えさせられました。「何が正義か?」「自由とは?」「愛とは?」 多くの人たちが論じ、答えを探し続けているこうしたテーマは、思っていたよりももっと身近にあることを知りました。そして、決められた“正解”がない問いこそ、考え続けることが重要だと感じました。欲を言うならば、倫理教師にもう少しフォーカスしてほしかったです。すごくミステリアスで、先生の過去がとても気になりました。(東京・高校1年・女子)

    • 『よみがえる新日本紀行』(NHK-BSプレミアム/2021年)昭和の風景を知らない僕からすると非常に斬新な番組だった。前半と後半に分かれていて、前半では昭和40年代の映像が、後半ではその土地の今を紹介する映像が流れる。前半ではご当地のお祭りや工芸、産業が紹介される。そのときに、「この地区で代々○○を営んできた○○さんです」とナレーションが入り、「人」も紹介される。自分の知らない時代のインタビューを見ることで、その人の産業への思いなどを知ることができて非常に興味深い。後半では、前半で紹介された人の子孫や本人が登場するからびっくりだ。『新日本紀行』放送当時の風景や産業の様子だけでなく、人も現代にかけてどう変わったかが分かるのも面白い。(静岡・中学3年・男子)

    • 『NEWS23』(TBSテレビ/2021年)連日、猛威を振るう新型コロナの話題で番組がスタート。画面右側のテロップには『「まん防」全国初の適用へ』との文字。「まん防」とは「まん延防止等重点措置」の略称らしいが、ほとんどの視聴者が初めて耳にした言葉だと思う。それゆえに、「まん防」と言われて、何のことかよく分からない人がたくさんいると思うので、むやみに多用するのは控えたほうが良いと感じた。その一方で、用語(「まん防」)の解説を別途していたのは良かった。また、図やグラフも誤解することがないようなシンプルかつ、色づかいが良く、見やすくて分かりやすかった。(山形・高校3年・男子)

    • 『金曜ドラマ「俺の家の話」』(TBSテレビ/2021年)家族や周りの人を巻き込んでさまざまなことをしたり、誰かのために動いたりすることができる(主人公の)寿一のようになりたい。(京都・中学3年・女子)

    • 『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ/2021年3月)最近の子どもは家でゲームなどをしていて、あまり外へ出て自然と触れ合っていないように感じる中で、番組を通して、自然の素晴らしさやありがたさを教えているところが良いと思いました。できれば、火おこしや水のろ過などを、ライターなど現代のものを使わず、身の回りにある物で簡単にできる方法などをもっと多く知りたいです。(岩手・中学1年・男子)

    • 『火曜ドラマ「恋はつづくよどこまでも」』(TBSテレビ/2020年)毎週毎週ドラマに入り込み過ぎてしまうほどだった。ドラマ後、余韻に浸り過ぎて寝られなくて困るほど。夢のようなツンデレな恋は定番。それでも、ここまでの社会現象となるドラマになったのはすごいと思う。私はその定番な恋を、毎週疑似体験させてもらっていたような感じがする。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『マツコの知らない世界』(TBSテレビ/2020年)今回は、女子に人気なアフタヌーンティーをゲストが熱弁しました。ホテルや豪華な内装、高価なカップで楽しむお店を紹介し、執事のおもてなしをマツコ・デラックスさんが体験しました。さらに、無限大であるソーセージをゲストが熱弁しました。この番組は、そのジャンルにハマっているゲストが熱弁します。それが、新しい発見につながったり、知ることができたりするところが面白いです。私も学校での探求の授業で自分の将来について調べて発表しました。調べるうちに自分が知らなかったことと出会い、新たな知識を増やすことができ、自分の将来についてより深く考えることができました。そのため、この番組を見て、自分の興味のあることについて追及することの大切さを改めて感じました。(静岡・高校2年・女子)

    • 『有吉の壁』(日本テレビ/2021年)私は、お笑いを見ると自然と笑顔になれるので、さまざまな放送局で放送されるお笑い番組をよくチェックして見ている。その中でも、この番組が最近のお笑い番組の中で特に印象に残っている。よく放送されるお笑い番組との違いは、まず、各回ごとに新しいネタが見られるところにあると思う。最近のゴールデンのお笑い番組を見ていると、「あ!このネタ見たことある!」ということが多かったが、『有吉の壁』は各回お題があり、それに沿った芸を見られるため、毎回毎回新しくて見飽きることが全然なく、驚いている。(埼玉・高校1年・女子)

    • 『24時間テレビ「愛は地球を救う」』(日本テレビ/2020年)特に印象に残ったのはアナウンサーになりたい少年だ。「骨形成不全症」という病気で、生まれつき骨がもろく、彼の場合は、くしゃみやおむつを替えるときでさえ骨折に気をつけなくてはいけなかったそうだ。生まれてから20回以上も骨折やひびが入ったそうで、普通ならネガティブになってしまいそうだが、番組内では一切そういったそぶりは見せなかった。私はそんな彼がすごいと思った。何故なら、ネガティブに考えずに、できることに目を向けて、アナウンサーという夢を持ち、努力をしているからだ。私も彼のような考え方ができるようになりたいと思った。(番組への要望は)生放送で大変だが、タイムテーブルが細かく見られればいいと思った。(東京・中学1年・女子)

    • 『スッキリ!!特別版』(日本テレビ/2015年)ミュージカル「アニー」のオーディション映像を見て、自分も夢に向かい、どんなことでも頑張りたいと思った。同世代の子が、自分とは比べものにならないくらい努力しているのを見て、2016年のアニーのオーディションから自分もオーディションを受けることにした。朝は4時に起き、歌のレッスンに行き、夜は10時までミュージカルレッスンと忙しい日々を送っている。ときには「やめたい」と思うこともあるが、2015年のアニーのオーディション映像を見ると、「もっと頑張ろう」と思える。自分に生きる意味や夢を与えてくれたこの番組には、今でも本当に感謝している。(千葉・中学3年・女子)

    • 『宝探しアドベンチャー 謎解きバトルTORE!』(日本テレビ/2012年)私はこの番組を5才、6才くらいのときに見ていました。約10年前に最終回を迎えた番組ですが、今も強く印象に残っています。初めて見たときは、少し怖かった記憶があります。ですが、大いに魅了されました。一番印象に残っているステージは「崖の間」です。ほとんどの放送回で最終ステージだったので記憶にあるのかもしれません。崖の間は、最初は平面なのですが、クイズが出るたびにブロックが出てきて、やがて崖になり、落ちてしまうと失格というルールです。冷静に考えれば解けるひらめき問題が多かったのですが、どんどんブロックが出てくる焦りから落ちてしまう人も多かったです。家族で楽しめる内容のクイズが多くあったので、平日のゴールデンタイムをとても楽しく過ごした記憶があります。(奈良・中学3年・女子)

    • 『魔進戦隊キラメイジャー』(テレビ朝日/2021年)「エピソード41 ありのままでいたい」は、現実味のあるフィクションだと感じた。「ありのままでいたい」の「ありのまま」は、変わろうとするそのときに、自分のそれまでを否定しないでいてあげる、ということでもあるように感じたからだ。この話は「ありのまま」を大事にしながらも「ありのまま」を強要はしない。そんなところが印象的だった。(東京・高校3年・女子)

    • 『コード・ブルー』(フジテレビ/2017年)私は、日ごろの生活の中で、自分の中だけで抱えて失敗してしまったり、1回ダメだったら「もういいや」と途中で諦めてしまったりすることがたくさんありました。しかし、テレビの中の4人の登場人物は、自分が1人ではダメだと思ったら仲間と協力したり、何をしても助からない患者さんにも、亡くなる最後の最後まで助かる確率が1%でもあるならと治療して諦めなかったりと、仕事への向き合い方がすごいと思いました。だから私も、1人で抱え込まず、周りの助けを求めたり、最後まで諦めたりしないところをまねして、生活に生かしていきたいと思いました。(宮崎・中学3年・女子)

    • 『逃走中~誘惑の扉~』(フジテレビ/2015年)当時幼かった私にとって、「鬼ごっこ」というところに強く興味をひかれ、友だちと逃走中のまねをしてみたいと思っていました。特に、ミッションがあることに対して斬新さを覚え、逃走中に対しての憧れの気持ちがより一層強まりました。大人が賞金を目標にハンターから全力で逃げきる「大人の本気の鬼ごっこ」のインパクトが、当時の私には衝撃が大きかったです。(千葉・中学2年・女子)

    • 『トリビアの泉』(フジテレビ/2012年放送終了)生きていく上で何の役にも立たない無駄な知識、しかし人に教えたくなってしまうようなトリビアを、(中略)紹介し、品評していくという番組。終了した番組ですが、今でも心の中にしっかりと記憶されています。この番組を見たときに思ったことは、「とんでもないことをやっているな」ということでした。普通では思いつかない、頭に浮かんでこないようなアイデア、トリビアを1から結果を出すまで全て検証して視聴者に伝えるので、ものすごい時間とお金がかかっている。今では考えられないと思います。テレビ局の都合もあると思いますが、この番組は終わってほしくなかったと強く思います。(群馬・高校1年・男子)

    • 『水バラ ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦』(テレビ東京/2021年)最近はコロナウイルスでロケが難しいためか、(以前ほどには)全然放送されないので、コロナウイルスが落ち着いたら今まで以上にたくさん放送してほしいです。(東京・中学2年・男子)

    • 『FM長崎 オールナイト生放送』(エフエム長崎)番組名を聞いたとき、とてもインパクトが強くて聴いてみたくなりました。聴いてみると、たくさんの方への感謝のメッセージが紹介されており、毎日こんなに多くの人に支えられているのだと実感しました。自分も両親への感謝メッセージをメールで送りました。そのメールが紹介されたときはすごく胸が熱くなりました。これからもラジオならではの「生」の温度で、多くの人の心をつかんでほしいです。(長崎・中学1年・男子)

  • 【自由記述】

    • 最近の、番組のドッキリ企画で、ターゲットの人物がケガをするのではないか、と思う内容や、精神的にめいってしまうような内容があり、一視聴者として心配になった。スタジオは大爆笑だが、実際にそのようなドッキリを視聴者が本当に面白く感じるのか疑問に思う。小さい子どもが真似することも考えられるので、もっと人の夢を叶えるなど、幸せになれる笑顔になれるドッキリを考えてほしい。(京都・高校1年・女子)

    • ゴールデンのバラエティー番組で、ドッキリをよく目にします。人権を無視したようなひどいもの、受ける側の身体的・精神的負担が大きそうだと思ってしまうようなものなど、視聴していて不快感しかありません。また、テレビを作る側の大人がドッキリを面白がってやっていることで、「友だちに(同じようなことを)しても良いはずだ」と思ってしまう子どもが増えてしまうのではないか、ということが懸念されます。不特定多数の人に向かって発信するものは、視聴していて不快感の少ないものを放送すべきですし、日本のバラエティー番組は新しい時代に合わせ、変わるべきだと思います。(静岡・高校3年・女子)

    • 正直バラエティーは似たり寄ったりで人を、だますドッキリはあまり見たくないので、テレビを見る気がしません。ドラマやドキュメンタリーは大好きなのでよく見ていますが、最近のドラマは典型的で、少し見ていられないなと思ってしまう主人公の行動が多いです。本当に面白いものは1期に1つか2つくらいです。ドキュメンタリーも社会というより個人の話が多くて、感動物語として取り上げられているものはあまり面白く感じません。それに比べて、海外のドラマは巧妙で面白いし、やはりお金がかかっているだけあって安心して見ていられます。ドキュメンタリーもシンプルで分かりやすいです。ティーン向けのドラマがあるのも海外ならではだと思いました。日本にも少しはありますが、漫画原作のものばかりで原作のクオリティーが保てていないし、啓発に重きを置き過ぎて重たいものもあります。もっと笑えて身近な場所の話があったほうが10代を取り入れられるのに、と思います。(東京・高校2年・女子)

    • 毎日、テレビを見ていて、ニュース番組によって伝えている情報が違うことが多くあり、どこのどの情報を信じれば良いのか分からない。フェイクニュースを見極める力をつけたい。(神奈川・中学2年・男子)

    • 最近は、コロナ禍で世界中が深刻な状況に陥りつつあるが、日本のニュース番組を見ているとあまりにも小規模な問題ばかり取り上げていて、テレビで取り上げられるニュースだけでは世界の事象をしっかりとチェックできる気がしない。(埼玉・高校1年・女子)

    • ここ1年のニュースはやはりコロナが多くを占めている。そのニュースの中では、“若者が”“高齢者が”と分けられて話題にされている。しかし、いずれも話題になるような行動をしているのはごく一部の人間であり、それをあたかもその年齢層全体のこととしているのは間違いが過ぎるのではないかと考える。(神奈川・高校2年・男子)

    • 情報番組やワイドショーで、「若者の間で今流行している〇〇」といった特集を多く見かけます。それ自体を紹介するのはいいのですが、あたかも若者全員が知っているかの前提で紹介されると少し不快です。若者でも流行ものを知らない人はたくさんいると思うので、そういった過剰な紹介の仕方や演出を控えていただきたいです。(奈良・高校2年・女子)

    • テレビを見ていると、緊急速報が出てくるのですが、毎日、大阪や東京のコロナ感染者数が出るのが不快でした。本当に地震や災害が起こったときに、関心が薄れてしまわないか少し心配です。(福岡・高校3年・女子)

    • 友だちとの話題などでテレビ番組についての話が出る機会が少なく、暇つぶしにテレビをつけては見たい番組がなくて消す、という状況が常態化しつつある。自分に合った番組について知るすべがほしいと感じることがしばしばある。(東京・高校1年・男子)

    • 視聴者のリクエストに応える番組枠があったら面白いんじゃないかと思いました。「この人とあの人がMCをする音楽番組が見たい!」や「あのドラマのあの話を再放送してほしい!」などのリクエストを受け、単発で毎週違う番組を放送してほしいです。(神奈川・高校2年・女子)

    • クイズ番組などを見ていて思うのですが、CMが多いと感じました。CMがあることで番組が成り立っているのは知っています。同じCMを同じ番組で何度も放送すると飽きてしまうので、CMの量はそのままにしてたくさんの種類のCMを放送すると良いと思いました。(大分・中学2年・女子)

    • ドラマなどを見ていて、とてもいいところでCMが入ったりして、しかもそれが長かったりして、早く見たいと思ってイライラしてしまうので、タイミングよくCMを入れてほしいと思います。(宮崎・中学3年・女子)

    • 最近、テレビでBLドラマやBL作品を取り上げる番組などを見かけることが増えた気がする。昨年は『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』という同名漫画が原作のドラマが流行し、その人気は国内に留まらずタイやフィリピン、ベトナム、台湾などに広がっている。しかし、日本国内ではいまだにLGBTQへの正しい理解というものは得られていないように感じる。理解が足りていないがゆえに、それらを扱った作品が問題になってしまったと見聞きしたことがある。とはいえ、BL作品とLGBTQをつなげていいのか、なども含めて私も完璧に理解しているわけではない。だから、すぐにでも学んでいかなければならないと思う。自分に関係のない話だ、と知らずにいることは、自分の持つ幅を狭めるのと同じことだと感じている。(東京・高校3年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『太田光のつぶやき英語』(NHK Eテレ)TwitterなどSNSで世界の人々と意見やでき事を交換・発信し、共有し合うことで、いろいろな視点からコロナ時代を乗り切ろうとする人々の心意気が感じられた。また、解説があって理解しやすかった。(富山・中学3年・女子)

    • 『太田光のつぶやき英語』(NHK Eテレ)ニュースや事件を楽しく、分かりやすく説明していると思いました。時間が遅いので、もっと早い時間に放送してほしいと思いました。(東京・高校1年・男子)

    • 『太田光のつぶやき英語』(NHK Eテレ)国際的なニュースと英語を一緒に学ぶことができて、一石二鳥だと思いました。私は英語が苦手ですが、時事には興味があるので、ニュースを通して聞くと英語を楽しく感じることができました。(神奈川・高校2年・女子)

    • 『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)家族そろって見ました。食事の時間とも重なり、家族で楽しくクイズの答えを考えました。(長崎・中学2年・男子)

    • 『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)家族みんなで見られる番組だと思う。クイズが家族の会話のきっかけになるし、タカトシさん、くりぃむしちゅーさんが番組を面白くしているので見やすい。クイズ番組が増えている今、クイズ作家さんはとても大変だろう。(愛知・高校2年・男子)

    • 『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)さまざまな種類のクイズのナゾトキ。言葉や写真などから問題を作っており、その問題自体も身近で、問題形式もさまざまなものがあり、非常に面白かった。また、クイズ番組といってもひらめきで解くことのできるレベルの問題であり、比較的簡単でそこも面白かった。(神奈川・高校2年・男子)

    • 『歴史探偵「関ヶ原の戦い」』(NHK総合)今まで解き明かすことのできなかった歴史の謎を最新の科学技術を使って解明する、というところに魅力を感じました。これから、ほかにも新しい発見があれば、歴史が少しずつ変わっていくのかなと思いました。(奈良・高校2年・女子)

    • 『歴史探偵「関ヶ原の戦い」』(NHK総合)最新の技術を駆使して、歴史をひも解いていく演出がとても良かったと思いました。ただ、歴史がわかっている前提で話が進んでいくので、初めて見た人には少しわかりづらいかなと思いました。(福岡・高校3年・女子)

    • 『相葉マナブ』(テレビ朝日)今回の放送から、この番組は30分から1時間に枠がのびるということで、金曜日のバラエティーなどで番宣を兼ねた合同企画などが放送されていて、私自身もこの番組について放送前からよく知っておくことができた。一定の効果があり良い方法だと思う。番組では、旬のタケノコを取り上げていて、時期に合わせた内容も興味をそそり、工夫がされていて良いと思った。(京都・高校1年・女子)

    • 『相葉マナブ』(テレビ朝日)視聴者から提案された釜飯を作り、どれが一番おいしいかを決めるコーナーが面白かった。自分では思いつかない組み合わせばかりだが、身近にある食品で作れるため、見ている人も「試してみよう」と番組に参加できる気持ちになれるところが良いと思う。(東京・高校1年・女子)

    • 『映像の世紀プレミアム 第19集「東京 破壊と創造の150年」』(NHK-BSプレミアム)番組内でたびたび出てきた「復興」という言葉から、東日本大震災のことを考えずにはいられなかった。どれだけひどい災害に見舞われても、そこから再び立ち上がろうとする人間の力強さを感じる映像だった。今、東京含め、日本全体がコロナ禍という新たな形の災害に直面しているが、これまでもそうだったように、さまざまな人が復興のために協力すればきっと道は開けるのではないか、と先行き不透明な今の時代に希望を見出すことができる良い番組だった。(東京・高校1年・男子)

調査研究について

  • 担当の中橋委員から、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、進捗状況などの報告がありました。

以上

2021年4月に視聴者から寄せられた意見

2021年4月に視聴者から寄せられた意見

新型コロナウイルス感染防止対策の観点から番組の内容、形態、制作手法などが厳しい目で見られている。「大食い」企画に対しても依然、意見が多い。

2021年4月にメール・電話・郵便・FAXでBPOに寄せられた意見は1,348件で、先月と比較して60件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール83%、電話15%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性57%、女性23%で、世代別では40歳代26%、50歳代23%、30歳代21%、60歳以上15%、20歳11%、10歳代1%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。4月の通知数は延べ652件【53局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般への意見の中から抜粋し、24件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

引き続き、番組の内容、形態、制作手法などさまざまな側面が、新型コロナ感染防止対策の観点から厳しい目で見られている。また、いわゆる「大食い」企画に対して食糧問題・SDGs、コロナ、貧困、生産者感情など幅広い視点から意見が寄せられた。
ラジオに関する意見は48件、CMについては18件あった。

青少年に関する意見

4月中に青少年委員会に寄せられた意見は74件で、前月から5件減少した。
今月は「表現・演出」15件、「犯罪の助長」が9件、「危険行為」が7件、「編成」が5件、「低俗、モラル」が4件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • コロナ報道は国民にとって極めて重要な情報だが、3密防止を言葉で呼び掛けるばかりではなく、日常行動の中での飛沫の飛散・付着のし方などの映像を幼児から高齢者まで多くの人の脳裏に焼き付けて、国民が自主的に防衛行動をとるような社会にすべきではないかと思う。対面での飛沫の飛び方、相手の顔や料理への付着、飛沫がドアノブ、水栓のレバー、エスカレーター・階段の手すり、様々な押しボタン等に付着している現実、マスクの有効性と限界、フェイスシールドやアクリル板の有効性と欠点などを視覚化して報道し、国民の意識を更に高めるための報道の仕方について考えてほしい。

  • 4都府県に緊急事態宣言が発出され、テレビは東京都の知事会見や外出自粛、休業等に関する情報を繰り返し報道しているが、日本は東京だけでできているわけではなく、国民の大半は地方に住んでいる。東京のキー局スタッフにとっては身近な話題なのだろうが、東京の話ばかりで情報番組やニュースを埋められるのは良い傾向ではない。もう少しバランスの取れた内容にしてほしい。またコロナ以外の海外の情報や話題が少なすぎる。

【番組全般・その他】

  • 情報番組のコメンテーター達が横にアクリル板を立てているのみでマスクもせず感染防止を訴えているのは、あまりに無意味に見えて不快なうえ説得力がなさすぎる。見ていて大丈夫なのかと不安にもなる。政治家の会食よりもテレビの出演者達がマスクもせずに大きな声でしゃべり続ける映像の方が感染防止の妨げになる。新規感染者数を毎日速報まで使って流すより、まず画面に出る側の人々が手本を示すべきではないか。注意喚起をしたいのであれば常にマスクを付けるとかアクリル板の枚数を増やして囲むくらいの事をしてほしい。

  • ワイドショーなどは新型コロナウイルスについて伝える際、「外に出るな」と盛んに呼びかけている。しかし次のコーナーになると飲食店やテーマパーク等の紹介をしている。あまりに矛盾している。見れば行きたくなるのが自然ではないか。今の危機的状況下でなぜ店の紹介をするのか。このようなテレビの矛盾が「外へ行きたい」視聴者の気持ちを煽っているとも言える。もう少し視聴者目線で放送をするべきだ。

  • 室内でタレント6人がトーク。企画は楽しいが、狭い部屋で6人が大きな声でしゃべりながら映像を鑑賞したりゲー厶をしたりと、今の世の中の状況にまったくそぐわない番組。体温測定器などを使っていたが、アクリル板もなければマスクもなし。向かい合ってしゃべり続けている映像は大変不快。これでは視聴者にも集まって良いと思わせてしまう。

  • 新型コロナワクチンのニュースで注射の映像がそのまま流される。流れる都度に目を背ける。注射嫌いや先端恐怖症の人も見ている。せめて次に流れる映像を強制的に見なければいけない状態を避けたい。予告の手間をかけてほしい。

  • 大食い、激辛企画がたびたび放送されているが、コロナの影響で職を失ったり収入が激減したりして食費を含め切り詰めた生活を送っている方が多い中、必要以上の食べ物を無理矢理詰め込んだり大量に残したりと、画面から受ける印象は大変不快。学校で食育を広げている中、この番組で何を得れば良いのか。実際に我が子の友人でも親が職を失い、毎日の食事にさえ苦労している方が複数いる。食べたくても食べることが出来ない人達が多い今、この大食いや激辛企画は必要なのか。今一度、社会情勢などを顧みて番組を企画していただきたいと切に願っている。

  • 逮捕された容疑者があたかも犯人であるかのように決めつけて報道するのはおかしいと思う。また、テレビが勝手に人物像を作ることにも違和感がある。公平な報道を心がけて欲しい。

  • 韓国人元BC級戦犯の方が亡くなったという特集でその方の葬式のシーンがあった。何の予告もなく遺体の映像(棺の中の顔までアップ)が放送され、大変不快に感じた。必要性は否定しないが週末の食事時という時間帯は適切なのか。また、事前にそのような映像を映すという告知が必要ではないのか。

  • 下着の窃盗未遂による逮捕のニュースで押収品の下着類が映されていた。自分が被害者だったら自分の下着がテレビ放送されるのは非常に不快である。見ていて気持ちの良いものではない。事件を取り扱うこと自体は否定しないが、下着の場合は他の盗難品よりもプライバシーへの配慮が必要だ。押収品でなければ通常は使用中・使用済みの下着は映さないように配慮するだろう。なぜ押収品ならいいのか。しかも放送されるのは窃盗という被害に遭った人のもの。実物を放送することによるメリットもあまり考えられない。押収品の下着を放送するのはやめてほしい。

  • 野球中継でありながら試合を実況せず、タレントによる雑談に終始。その顔がワイプで表示され、プレーをじっくり見入ることができなかった。SNS上にはテレビの音声を消してラジオをつけたという人の声もあった。スポーツ中継の本質は競技者やチームへのフォーカスで、両チームに対しても大変失礼な放送だった。タレントの出演、プレゼントなどの企画は創意工夫であり自由だが、テレビはスポーツに対する敬意を忘れず、その魅力を最大限に伝えてほしい。

  • 番組出演者がペットや幼児に対して「いらっしゃる」などの敬語を使っている場面を見かけることが増えている。皆に対して平等にという意識が強くなっているのかもしれないが、ペットや幼児にまで敬語を使うのは行き過ぎだ。敬語の使い方を再度考えて放送してほしい。

  • タレントのアゴを長く見せるメイクを施して、MCがいつそれに気づくかを当てるというお笑いの企画があった。生まれつきアゴが長くて悩んでいる人がたくさんいる。身体的な特徴で笑いを取るのは不愉快だ。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 夕方の報道番組で、亡くなった韓国人の元BC級戦犯が補償を求め続けた過酷な人生を紹介する内容だったが、遺体の顔のアップがモザイクも無しに映された。子どもには衝撃的な映像であり、しかも夕食時である、もっと配慮すべきだ。

【「犯罪を助長する」に関する意見】

  • 深夜のアニメ番組で、20代のサラリーマンが家出少女を警察にも両親にも連絡せず自宅に匿う設定のストーリーだった。主人公が少女の安全確保を目的と考えているらしいこの行為は、未成年略取とも見て取れ犯罪とも言える。また、女子高生が泊めてもらう代償に性行為を申し出る発言は、主人公がこれを諫めたが、売春を想起させるものであり、刺激が強い。全体として美談仕立てであり、悪質ではないか。

【「低俗、モラルに反する」との意見】

  • ある男女コンビのお笑い芸人が、「女性がシャワーを浴びていると、カーテンを開けたくなる」というコントで笑いを取っていた。これは性的嫌がらせ、性暴力であり、これを笑って見過ごすことは子どもを含めた男性に誤った認識を広めることになる。

【「編成」に関する意見】

  • 在京キー局の深夜番組が地方で日曜日のお昼に放送されている。この深夜番組は大人向けなので、一部子どもには見せられない下ネタや下品な言動が目に付く。放送する時間帯を変えるよう地元のテレビ局に要望を送ったが、一向に状況は変わらない。

【「危険行為」に関する意見】

  • ”ダジャレを実現”「ブルーをかぶ~る」と称して青い液体を芸人の顔に浴びせ続けるドッキリ企画を放送していた。芸人は息もできないほど苦しんでいるのにスタッフは浴びせ続け、周りのものは笑っていた。子どもたちが真似したら大きな問題になりかねない。人を傷つけて笑いを起こそうとするのは止めて欲しい。

  • どっきり企画で、男性芸人の下着にハッカ液をぬり悶え苦しむ姿を面白おかしく放送していたが、この上もなく不愉快な気持ちになった。子どもがマネをし、いじめに繋がる可能性もある。

2021年4月26日

2021年 4月26日

緊急事態宣言に伴うBPO視聴者電話応対業務の休止について

BPOは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための政府の緊急事態宣言が、事務局がある東京都に出されたことを受けて、次のとおり対応いたします。

  • 期間中はテレワークを徹底し、視聴者からの電話応対を休止します。
  • 郵便物とメール、ファクスは受け付けます。