第91回 放送倫理検証委員会

第91回–2015年3月

再現映像による不適切な演出が行われていたTBSテレビのバラエティー、審議入りせず…など

第91回放送倫理検証委員会は3月13日に開催された。
3月6日に「見解」を通知・公表した"全聾の天才作曲家" 佐村河内守氏をめぐる5局7番組について、記者会見での質疑や当日の報道などが報告され、若干の意見交換を行った。
大家族に密着するTBSテレビのバラエティー番組で、再現映像による不適切な演出が行われていた問題を討議した。事実や人物にきちんと向き合おうとしない姿勢は気になるが、虚偽ねつ造とまでは言えないとして、審議の対象とはせずに議論を終えた。

議事の詳細

日時
2015年3月13日(金)午後5時~7時15分
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員

1."全聾の天才作曲家"佐村河内守氏を取り上げた5局7番組に関する見解を通知・公表

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していた事案について、5局7番組に関する見解(委員会決定第22号)の通知と公表の記者会見が、3月6日に実施された。
委員会では、TBSテレビ、テレビ新広島、テレビ朝日、NHK、日本テレビの当該5局の当日のテレビニュースなどを視聴したあと、委員長と担当委員から、記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。
テレビや新聞での報道は、「放送倫理違反とまでは言えない」という結論のみを伝えた短いものから、委員会の要望内容を詳しく伝えたものまで幅があり、「委員会の思いが十分に汲み取られていない。今後はプレゼンテーションの仕方も考えていかなければ」「委員会の要望をこれほど具体的に述べた決定はない。当該局がどのように受け止めたか、3か月報告がひとつのポイントになるだろう」などの意見が出された。

2.再現映像による不適切な演出が行われていた、TBSテレビのバラエティー『水トク!激闘大家族スペシャル』を討議

TBSテレビのバラエティー番組『水トク!激闘大家族スペシャル』(2015年1月28日放送)は、福岡市に住む3男3女、一家8人が主人公で、17歳の母親から生まれた長女が、自らも17歳で出産を体験する様子が物語の柱になっている。
不適切な演出として問題になったのは、(1)妊娠中の17歳の娘とその母親のやりとりが、実際には出産後に撮影されていたこと(2)大家族の祖父がスポンサーとなった食料品の買い出しシーンが、実際には番組側の依頼によるもので、経費も番組持ちだったこと、の2点である。放送後、ネット掲示板に母親自身が告白したことにより、発覚した。
TBSテレビは、制作会社や母親への聴き取りの結果、本人たちの再現による不適切な演出であったことが確認できたとして、同じ時間帯でお詫び放送をし、番組のホームページにも詳細なお詫びを掲載している。また、委員会に報告書を提出し、慣れによる制作会社側の安易な姿勢や、放送局側のチェック体制の不備などを、原因としてあげている。そのうえで、テロップ表記などにより「再現」であることを明らかにすべきだったとしている。
委員会では、バラエティーであっても、事実や人物にきちんと向き合わないと制作者の思いは視聴者に伝わらず、テレビはこんなものだと受け取られてしまうだろうという意見も出された。番組の中に確かに誇張はあるが、本人が記憶に基づいて再現したものであり、視聴者はシリアスなドキュメンタリーというよりもバラエティーとして楽しんでいるのだから、虚偽やねつ造として問題にするまでのことはないだろうとして、審議の対象とはしないで議論を終えることになった。

【委員の主な意見】

  • 当該局が言う「実録型バラエティー」とは何なのか。この説明自体は後付けであり、バラエティーに分類することによって、放送倫理上の許容範囲を広げようとしているのではないか。

  • 舞台設定などを番組が用意してのドキュメンタリータッチの番組であれ、このような密着型を目指すのであれ、事実や人物にはきちんと向き合ってほしい。

  • 再現の場面に、再現のテロップを入れれば良かったという当該局の説明は、いかにも表面的過ぎないだろうか。再現の手法そのものが良くないということではないので、別の演出や作り方も考えてほしかった。

  • 番組の作り方自体が稚拙すぎないか。放送倫理の問題として取り上げても、議論が深まるとは思えない。

  • 番組で取材期間○○日と強調しても、実質的にはいったい何日ロケに出ていたのか。結局、シーンが足りなくなって、再現の場面が必要になったのではないだろうか。

  • 妊娠していなかったわけではなく、なかったことを作ったわけではないから、虚偽やねつ造とまでは言えないだろうが、誇張にあたるのではないか。

  • この番組を見て、シリアスなドキュメンタリーだと思う視聴者はいないだろう。バラエティーとして、楽しめればいいのではないか。

  • あまりに、誇張や事後の再現などが増えていくと、視聴者に「テレビって所詮こんなものだよ」という、シニカルな見方がますます蔓延するのではないか。それは放送局にとっても好ましいことではないだろう。

以上

第90回 放送倫理検証委員会

第90回–2015年2月

佐村河内守氏が"別人に作曲依頼"を審理
「委員会決定」を3月上旬にも通知・公表へ…など

第90回放送倫理検証委員会は2月13日に開催された。
2月9日に意見を通知・公表したテレビ朝日の『報道ステーション』「川内原発報道」事案について、記者会見での質疑や当日の報道などが報告され、若干の意見交換を行った。
"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案については、委員会決定の修正案が担当委員から提出された。意見交換の結果、大筋で了解が得られたため、表現の一部手直しをして、3月上旬にも当該5局に通知・公表をすることになった。

議事の詳細

日時
2015年2月13日(金)午後5時~7時30分
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員

1.テレビ朝日の『報道ステーション』「川内原発報道」に関する意見を通知・公表

テレビ朝日の『報道ステーション』(2014年9月10日放送)で、原子力規制委員会が九州電力川内原発の新規制基準適合を認める審査書を正式決定したニュースを放送した際、田中委員長の記者会見の報道に事実誤認と不適切な編集があった事案。
2月9日、当該局に対して、委員会決定第21号の意見を通知し、続いて公表の記者会見を行った。当日のテレビニュースや当該番組での報道を視聴したあと、委員長や担当委員から、通知の際のやり取りや記者会見での質疑応答の内容が報告され、意見交換が行われた。

2.「全聾の作曲家」と称していた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案を審理

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案について、委員会決定(見解)の修正案が、担当委員から提出された。
△各局が佐村河内氏の虚偽を信じて放送したことに問題はなかったか
△問題発覚後の各局の対応は十分であったか
という2つの大きな論点のうち、2点目を中心に幅広く意見が交わされ、大筋で了解が得られた。このため、担当委員がこれらの意見を踏まえた手直しと表現の修正を行ったうえで委員会決定とすることになった。3月上旬にも当該5局への通知と公表の記者会見が行われる見通しである。

以上

第89回 放送倫理検証委員会

第89回–2015年1月

佐村河内守氏が"別人に作曲依頼"を審理

川内原発報道で事実誤認と不適切な編集
テレビ朝日の『報道ステーション』を審議…など

第89回放送倫理検証委員会は1月9日に開催された。
“全聾の作曲家”と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案について、担当委員から委員会決定の原案が提出された。内容や方向性をめぐってさまざまな意見が出され、次回に修正案を提出して、意見の集約をめざすことになった。
テレビ朝日の『報道ステーション』が放送した九州電力川内原子力発電所に関するニュースに、事実誤認と不適切な編集があった事案については、委員会決定の修正案が、担当委員から提出された。意見交換の結果、大筋で了解が得られたため、表現の一部手直しをして2月上旬にも当該局に通知・公表をすることとなった。

議事の詳細

日時
2015年1月9日(金)午後5時~8時20分
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員、森委員

1.「全聾の作曲家」と称していた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案を審理

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案について、委員会決定(見解)の原案が、担当委員から提出された。
原案は、
△各局が佐村河内氏の虚偽を信じて放送したことに問題はなかったか
△問題発覚後の各局の対応は十分であったか
の2つを論点に、約1年間にわたる委員会の調査活動をもとに、委員会としての判断を示すものとなっている。
意見交換では、問題発覚後の各局の自己検証作業が、実効性のある再発防止につながる土台となっているのか、ほとんどの局がその内容を公表していないのは視聴者に対する十分な説明と言えるのかなど、さまざまな議論が展開された。
その結果、委員会での議論を踏まえて担当委員が修正案を作成し、次回委員会で意見の集約をめざすことになった。

2.川内原発をめぐる原子力規制委員会の報道に事実誤認と不適切な編集があったテレビ朝日の『報道ステーション』を審議

テレビ朝日の『報道ステーション』で、原子力規制委員会が九州電力川内原発について新規制基準に適合していると正式に認めたニュースを伝えた際に、事実誤認や不適切な編集があった事案について、前回までの議論などを踏まえた委員会決定(意見)の修正案が、担当委員から提出された。
意見交換では、事実誤認や不適切な編集がなされた経緯や原因、背後に潜む問題点などについて、修正案の構成や細部の表現を含めた議論が交わされた。その結果、大筋で了解が得られたため、一部手直しをしたうえで、2月上旬にも当該局への通知と公表の記者会見が行われることになった。

以上

第88回 放送倫理検証委員会

第88回–2014年12月

佐村河内守氏が"別人に作曲依頼"を審理

川内原発報道で事実誤認と不適切な編集
テレビ朝日の『報道ステーション』を審議…など

第88回放送倫理検証委員会は12月12日に開催された。
"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案について、委員会決定の内容や方向性をめぐって意見交換が行われた。次回は、担当委員から委員会決定の原案が示される予定である。
テレビ朝日の『報道ステーション』が放送した九州電力川内原子力発電所に関するニュースに、事実誤認と不適切な編集があった事案については、担当委員から委員会決定の原案が提出された。意見交換の結果をふまえて、次回までに修正案を作成し、意見の集約をめざすこととなった。

議事の詳細

日時
2014年12月12日(金)午後5時~9時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員、森委員

1.「全聾の作曲家」と称していた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案を審理

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案について、これまでの調査をもとに、委員会決定に盛り込む内容や方向性をめぐって意見交換が行われた。
とりわけ、審理の対象となった番組のすべてが佐村河内氏を「全聾の作曲家」であると信じ、制作されたことについてどう考えるのか、ドキュメンタリーの制作手法として何が問題だったのか、番組が視聴者に与えた誤解の大きさと障害者や被災者を虚偽の放送に巻き込んだことも踏まえると、問題発覚後の各局の対応は十分であったのか、などの論点については、長時間にわたる議論が交わされた。
その結果、これらの議論を踏まえて、次回委員会までに担当委員が委員会決定(見解)の原案を作成し、さらに議論を深めることになった。

2.川内原発をめぐる原子力規制委員会の報道に事実誤認と不適切な編集があったテレビ朝日の『報道ステーション』を審議

テレビ朝日の『報道ステーション』で、原子力規制委員会が九州電力川内原発について新規制基準に適合していると正式に認めたニュースを伝えた際に、事実誤認や不適切な編集があった事案について、担当委員から、前回までの議論を踏まえた委員会決定(意見)の原案が提出された。
原案では、問題となった事実誤認や不適切な編集がなされた経緯や原因などに加えて、背後に潜む問題点などが指摘されたが、不適切な編集が行われた原因をどうとらえるべきなのかなどを含め、質疑や意見交換が行われた。
その結果、これらの意見をもとに担当委員が修正案を作成し、次回委員会で意見の集約をめざすことになった。

以上

第87回 放送倫理検証委員会

第87回–2014年11月

佐村河内守氏が"別人に作曲依頼"を審理

川内原発報道で事実誤認と不適切な編集
テレビ朝日の『報道ステーション』を審議…など

第87回放送倫理検証委員会は11月14日に開催された。
"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案について、各局の報告書をもとに、問題発覚後の対応のあり方などをめぐって意見交換した。
テレビ朝日の『報道ステーション』が放送した九州電力川内原子力発電所に関するニュースに、事実誤認と不適切な編集があったとして審議入りした事案は、担当委員から当該局へのヒアリングの概要の報告が行われた。

議事の詳細

日時
2014年11月14日(金)午後5時~8時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員

1.「全聾の作曲家」と称していた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案を審理

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案について、問題発覚後の対応のあり方などをめぐって、各局から提出された報告書をもとに意見を交換した。審理の対象になった7番組を放送した5局に対しては、

  • (1) 問題発覚直後の視聴者に向けた対応について
  • (2) その後の視聴者に向けた対応について
  • (3) 視聴者の反応について
  • (4) 番組協力者への対応について
  • (5) 番組審議会への報告について
  • (6) 番組に対する自己検証について
  • (7) 再発防止のための取り組みについて
  • (8) 上記の取り組みに対する自己評価について

の8項目について、それぞれの番組内容に応じた具体的な質問を設定し、報告を求めた。その結果、すべての局から詳細な報告書が提出され、問題発覚後の各放送局の対応については事実関係がほぼ明らかになった。これまでの調査で各番組の制作過程についても事実関係は明らかになっているが、そのすべてで誤った情報が流され、多くの視聴者に誤解を与えた事案であることを考えると、なぜそのような事態に至ったのか、視聴者への説明責任を果たし誤解を解消するために必要なことは何なのかについて、更なる検証が必要との意見も多く、委員会は、次回も審理を継続する。

2.川内原発をめぐる原子力規制委員会の報道に事実誤認と不適切な編集があったテレビ朝日の『報道ステーション』を審議

テレビ朝日の『報道ステーション』で、原子力規制委員会が九州電力川内原発について新規制基準に適合していると正式に認めたニュースを伝えた際に、事実誤認や不適切な編集があったことが明らかになり、委員会は前回、国民の関心が高いニュースで2つの間違いをしたのは小さな問題とは言えないとして、審議入りを決めた。
当該番組の担当ディレクターやプロデューサーをはじめ、取材担当記者、報道局幹部などあわせて11人を対象にしたヒアリングが10月末に実施され、担当委員からその概要が報告された。「なぜ、印象操作と疑われるような編集がされてしまったのか」「急きょ予定にない項目の放送を決めたため、放送時間が迫る中、分業で作業したことが誤った放送につながっているが、どうすれば良かったのか」「放送前のプロデューサーや記者のチェックは、どうなっていたのか」などの論点について、意見が交わされたほか、当該局で既に実施されている再発防止策の報告も行われた。
今回の審議をふまえて、次回委員会には、担当委員が意見書の原案を提出し、さらに議論を深めることになった。

以上

第86回 放送倫理検証委員会

第86回–2014年10月

"川内原発報道めぐり事実誤認と不適切な編集"
テレビ朝日『報道ステーション』審議入り…など

第86回放送倫理検証委員会は10月10日に開催された。
"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案については、審理の対象となった5局7番組のヒアリングが終了し、担当委員から報告が行われた。次回委員会までに、問題発覚後の対応についての報告書を改めて各局に求め、さらに審理を継続する。
テレビ朝日の『報道ステーション』が、九州電力川内原子力発電所の新規制基準適合に関するニュースを9月10日に放送した際、事実誤認と不適切な編集があったと原子力規制委員会から抗議を受け、2日後に同番組内でお詫び放送を行った。当該局からの報告書をもとに討議した結果、国民の関心が高いニュースでこのような間違いをしたのは小さな問題ではないとして、審議入りを決めた。

議事の詳細

日時
2014年10月10日(金)午後5時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員、森委員

1.「全聾の作曲家」と称していた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案を審理

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として公表していたことが発覚した事案について、新たに2局2番組に対するヒアリングが行われた。その結果、審理の対象になった以下の5局7番組すべてに対するヒアリングが終了した。

  • TBSテレビ『NEWS23』「音をなくした作曲家 その"闇"と"旋律"」(2008年9月15日)
  • テレビ新広島『いま、ヒロシマが聴こえる・・・』(2009年8月6日)
    <フジテレビを含む多くの系列局が日時を変更して放送>
  • テレビ朝日『ワイド!スクランブル』「被爆二世・全聾の天才作曲家」(2010年8月11日)
  • NHK総合『情報LIVE ただイマ!』「奇跡の作曲家」(2012年11月9日)
  • NHK総合『NHKスペシャル』「魂の旋律~音を失った作曲家~」(2013年3月31日)
  • TBSテレビ『中居正広の金曜日のスマたちへ』
    「音を失った作曲家 佐村河内守の音楽人生とは」(2013年4月26日)
  • 日本テレビ『news every.』「被災地への鎮魂 作曲家・佐村河内守」(2013年6月13日)

担当委員から、新たに実施された2局2番組に対するヒアリングの内容が報告されたあと、今後の審理の進め方について意見交換が行われた。その結果、問題発覚後の各局の対応は、すでに提出された報告書にも一部記載されているが、半年余りの時間が経過していることから、事後の検証の内容、視聴者への説明が十分になされたか、再発防止策がどのように実施されているかなどについて、改めて各局から文書で報告を求めることになった。

2.川内原発をめぐる原子力規制委員会の報道に事実誤認と不適切な編集があったテレビ朝日の報道番組を討議 審議入り決定

テレビ朝日の『報道ステーション』は、原子力規制委員会が九州電力川内原発について新規制基準に適合していると正式に認めたニュースを、9月10日に約8分間放送し、規制委員会の田中委員長の記者会見で、火山の審査基準に関する質疑が集中したことなどを伝えた。放送後、規制委員会からの抗議を受けて社内調査をした結果、竜巻の審査ガイドに関する記者とのやりとりを火山に関するものと取り違えて放送したことと、火山の審査基準をめぐる質疑で田中委員長の回答部分に不適切な編集があったことが判明した。当該局は規制委員会に謝罪するとともに、2日後の同番組内で約5分間訂正とお詫びを行った。
委員会は、当該局から提出された報告書をもとに討議した結果、事後の対応が迅速で的確であったにしても、国民の関心が高いニュースで、2つの間違いをしたのは小さな問題とは言えないとして、審議の対象とすることを決めた。

[委員の主な意見]

  • 時間に追われていたにしろ、なぜあのように不適切な編集がされ、きちんとチェックもされずに、放送されてしまったのだろうか。

  • 時間に追われているニュースの制作現場では、さまざまなミスや間違いが起こりうる。その際には、事後の対応がどこまで適切に行われたかが重要ではないだろうか。

  • 2日後の訂正・お詫び放送はかなり詳細なもので、評価できるのではないか。

  • 国民が非常に関心をもっている事柄について、このように誤った内容で放送をしてしまったことは、やはり小さな問題とは言えないだろう。委員会は審議の対象とするかどうかについての基準を公表しており、それに照らせば、審議して意見を述べるべき事案と言うことになる。

  • 報告書を読むと、ニュースの制作現場で、分業体制が複雑化していることに驚いた。なぜこうしたことが起きたのかをきちんと検証して、他の放送局に警鐘を鳴らすことも委員会の役割だろう。

以上

第85回 放送倫理検証委員会

第85回–2014年9月

"全聾の作曲家"佐村河内守氏を取り上げた番組について審理

福岡市の「待機児童」問題でお詫び放送したテレビ西日本の報道番組について討議、審議入りせず…など

第85回放送倫理検証委員会は9月12日に開催された。
"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案については、前回の審理入りを受けて新たに2局3番組に対するヒアリングが実施された。担当委員から詳細な報告が行われ、さらに審理を継続することにした。
福岡市の待機児童問題をめぐる特集企画で、取材不足などを認めてお詫び放送をしたテレビ西日本の報道番組について、当該局から再提出された報告書をもとに討議した結果、審議の対象としないことを決めた。

議事の詳細

日時
2014年9月12日(金)午後5時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員、森委員

1.「全聾の作曲家」と称していた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案を審理

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として公表していたことが発覚した事案について、前回の委員会で、以下の5局7番組を対象に審理することが決まった。

  • TBSテレビ『NEWS23』「音をなくした作曲家 その"闇"と"旋律"」(2008年9月15日)
  • テレビ新広島『いま、ヒロシマが聴こえる・・・』(2009年8月6日)
    <フジテレビを含む多くの系列局が日時を変更して放送>
  • テレビ朝日『ワイド!スクランブル』「被爆二世・全聾の天才作曲家」(2010年8月11日)
  • NHK総合『情報LIVE ただイマ!』「奇跡の作曲家」(2012年11月9日)
  • NHK総合『NHKスペシャル』「魂の旋律~音を失った作曲家~」(2013年3月31日)
  • TBSテレビ『中居正広の金曜日のスマたちへ』
    「音を失った作曲家 佐村河内守の音楽人生とは」(2013年4月26日)
  • 日本テレビ『news every.』「被災地への鎮魂 作曲家・佐村河内守」(2013年6月13日)

前回の委員会の後、新たに2局の3番組に対するヒアリングが実施された。その内容について、担当委員から詳細な報告が行われ、さまざまな視点から質疑や意見交換がなされた。番組で取り上げる際に、全聾や音楽性などについてどのような裏付け取材がされたのか、あるいはされなかったのかという状況の把握が進み、問題の根深さがあらためて浮き彫りになった。また、一定の社会的評価を受けている人物についてドキュメンタリーを制作する際の裏付け取材などのあり方についても、意見交換がなされた。
審理に入る前に、任意の協力を得て実施したヒアリングをあわせると、これまでに5番組のヒアリングが終了した。委員会は、次回までに残る2番組のヒアリングを終えて、番組の企画から取材・放送に至る経緯を把握する作業に区切りをつけるが、問題発覚後の各局の対応などについてさらに審理を継続する。

2.福岡市の「待機児童」問題の特集で、取材が不十分だったとお詫び放送したテレビ西日本の報道番組について討議

テレビ西日本の報道番組『土曜NEWSファイルCUBE』(2014年4月12日放送)は、福岡市の「待機児童ゼロ宣言」をめぐる問題を特集企画として伝え、保育所までの所要時間を女性キャスターがバスを乗り継いで検証して「ゼロ宣言」に疑問を投げかけた。しかし、福岡市から抗議を受け、6月の同番組内で事前取材が不十分で、公平性の観点から問題があり、結果として一方的な内容となったなどとする「お詫び放送」を行った。
前回の委員会では、「行政機関に問題提起する姿勢は評価できるが、脇の甘い取材になったのは残念」など、さまざまな意見や疑問が出されたため、委員会は質問書を作成して、当該局に詳細な報告を求めていた。
提出された再報告書をもとに意見交換が行われた結果、事前取材が十分でないことなどには問題があるものの、福岡市の抗議の対象となった所要時間の検証ドキュメント自体には虚偽や作為がないこと、局内での検証作業を踏まえて取材不足を認め、公平性に問題があったとお詫び放送をして福岡市側の了承も得られていること、待機児童の問題が依然として解消されていないのではないかという番組企画の問題意識自体は正当であること、番組スタッフの体制強化・取材連絡の強化などの改善策がすでに取られていることなどから、審議の対象としないことを決め、議論を終えた。

[委員の主な意見]

  • 事前取材の甘さは問題として残るが、前回の委員会で議論したさまざまな疑問点については、再報告書でほぼ解消されたようだ。紹介された2か所の保育所の一方だけでも通園に30分以上要すれば待機児童になる、と考えたのは問題だが、所要時間の検証自体には虚偽や作為がないので、委員会がさらに審議の対象とする必要まではないのではないか。

  • 取材する前に放送日を先に決めていたことも、事前取材の甘さを許した背景としてあるように思われる。行政機関の施策に問題提起をする今回のようなケースでは、丁寧な取材が不可欠であることを徹底してほしい。

  • お詫び放送は決して十分なものとは言えないが、福岡市側も了承しており、また、番組制作の体制についても改善策が実施されている。今回の教訓を今後に活かしてほしい。

以上

第84回 放送倫理検証委員会

第84回–2014年7月

“全聾の作曲家”佐村河内守氏の7番組審理入り…など

第84回放送倫理検証委員会は7月11日に開催された。
委員会が4月に通知・公表した、フジテレビの『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」に関する意見に対して、当該局から提出された対応報告書を了承し、公表することにした。
“全聾の作曲家”と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として発表していたことが発覚した問題について、委員会は、企画から取材・放送に至る経緯を調査しながら討議を継続してきたが、虚偽の疑いのある番組が放送されたことにより視聴者に著しい誤解を与えたのは明らかであることから、5局の7番組を審理の対象とすることを決めた。
テレビ西日本の報道番組で、福岡市の「待機児童ゼロ宣言」をめぐる特集企画を4月に放送し、保育所までの通園時間を検証して「ゼロ宣言」に疑問を投げかけたが、6月になって、取材が不十分だったとしてお詫び放送をおこなった。この事案について討議した結果、当該局からの報告には、不明確であいまいな点が多いとして、次回の委員会までに詳細な報告を求めて討議を継続することになった。

議事の詳細

日時
2014年7月11日(金)午後5時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員、森委員

1.フジテレビ『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」に関する意見への対応報告書を了承

4月1日に委員会が通知・公表した、フジテレビ『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」に関する意見(委員会決定第20号)への対応報告書が、6月下旬、当該局から委員会に提出された。
報告書によれば、問題発覚後、社内横断的に設置された「不適切演出の検証・再発防止委員会」が、あらゆるジャンルの番組について、適切・不適切の境界線上にあるような演出事例を収集し、検証する作業を行ったという。その結果、番組ジャンル別のガイドラインを作ることは難しいと結論付けたが、今後も「演出の境界線」を議論していく常設の機関を設置することになった。また、「時制の変更(操作)」「視聴者の感情の逆なで」「出演者との合意形成不全」など、留意すべき8つのポイントをあげて注意を喚起するとともに、外部プロダクションによる制作番組の対応策も具体的に明記されている。
委員会は、この報告書を了承し、公表することとした。

2.「全聾の作曲家」と称していた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として発表していたことが発覚した問題で、5局7番組を対象に審理入り

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として公表していたことが発覚した問題について、委員会は、討議を継続しつつ事実関係の把握のための調査を行ってきた。5局の7番組について、企画から取材・放送に至る経緯についての報告書が提出されたが、さらにヒアリングへの任意の協力を要請し、承諾が得られた2局2番組については既に実施した。しかし、残る3局からは、協力を得られなかったり、議論の行方を見守るため保留したいとの意向が示されたりしたため、委員会では、今後の対応策を議論・検討し、以下のとおり決定した。
もともとこの事案は、虚偽の内容の番組が放送されたことにより視聴者に著しい誤解を与えたのであるから運営規則第5条第1項にいう審理対象事案であることは明らかであったが、虚偽を見抜けなかったことについて相応の理由があるのではないかと考えられたことから、委員会は、まず任意の協力による調査を先行させて、その結果を踏まえて最終方針を決定しようと考えていた。各局がそろって誤った番組を制作して社会に大きな影響を与え、特に、番組に善意で協力した人々の心を傷つける結果になった事実を踏まえれば、委員会として何らかの形での意見表明が必要であることは疑いがない。「全聾の作曲家」と信じて番組を制作したこと自体について放送倫理違反を問うことはできなくても、視聴者に著しい誤解を与えた事実がある以上、与えた誤解を解消するために、番組のどこがどう誤っていたのか、そのような誤りをもたらした原因はなにかについて真摯な反省に基づく調査を自主的に行ない、その結果について視聴者に対して説明する責任があるだろう。その責任は果たされているのか、今後このような過ちを繰り返さないための対策はできているのかといった点も含めて、運営規則に基づく調査が必要である。従って5局7番組を審理の対象とする。
委員会は、同規則第6条第3項に基づいて、番組の企画から取材・放送に至る経緯はもちろん、放送後の対応についても詳細に把握する作業を続ける。

審理の対象となった7番組は、以下のとおりである。(放送順)

  • TBSテレビ『NEWS23』「音をなくした作曲家 その”闇”と”旋律”」(2008年9月15日)
  • テレビ新広島『いま、ヒロシマが聴こえる・・・』(2009年8月6日)
    <フジテレビを含む多くの系列局が日時を変更して放送>
  • テレビ朝日『ワイド!スクランブル』「被爆二世・全聾の天才作曲家」(2010年8月11日)
  • NHK総合『情報LIVE ただイマ!』「奇跡の作曲家」(2012年11月9日)
  • NHK総合『NHKスペシャル』「魂の旋律~音を失った作曲家~」(2013年3月31日)
  • TBSテレビ『中居正広の金曜日のスマたちへ』「音を失った作曲家 佐村河内守の音楽人生とは」(2013年4月26日)
  • 日本テレビ『news every.』「被災地への鎮魂 作曲家・佐村河内守」(2013年6月13日)

[委員の主な意見]

  • 任意でのヒアリングへの協力要請であったので、応じないと言われれば、各局の報告書の内容以外にも確認したい点がある以上、今後は運営規則に則った方法で進めるしかないのではないか。

  • 佐村河内氏が「全聾の作曲家」であることについて事実と信じるに足る相応の理由や根拠が存在した可能性もあるので、審議・審理入り等の決定をする前にヒアリングへの任意協力を求めたことが、理解してもらえなかったとすれば残念だ。

  • 各局と取り交わしている「放送倫理検証委員会に関する合意書」の第7条に、「甲(加盟各局)は、前6条に定めるほか、委員会の審議、審理等の活動に必要な最大限の協力をする」とある。この趣旨からしても協力が得られると考えたのだが。

  • この事案が本来、運営規則第5条第1項の審理の対象にぴったり当てはまることは明白である。審理入りを決定し、運営規則第6条第3項に則ってヒアリングを要請して調査活動を続けるべきである。

  • 現在に至っても、佐村河内氏が作曲していなかったと言う点について訂正とお詫びがなされただけで、各番組のどこが本当でどこが虚偽だったのか、明らかにされていない。虚偽放送をしたことは避けられなかったとしても、視聴者に著しい誤解を与えている以上、その誤解を解消するに足りるだけの説明をする責任がある。検証結果を放送した局もあるが、視聴者に対する説明責任という観点からは十分とは言えないと感じた。こうした点からしても審理は必要だろう。

3.福岡市の「待機児童」問題の特集で、取材が不十分だったとお詫び放送したテレビ西日本の報道番組について討議

テレビ西日本の報道番組『土曜NEWSファイルCUBE』(2014年4月12日放送)で、「待機児童ゼロ宣言」をしている福岡市に1000人を超える「未入所児童」がいる問題を特集企画として伝えた。
その中で、わが子が未入所児童に分類された家族を取材し、市から紹介された保育所までの所要時間を、女性キャスターが実際にバスを乗り継いで検証した。未入所児童というのは、「自宅から30分以内に入所可能な保育所があるのに、私的な理由で待機している場合」との基準があるが、市から紹介された保育所まで約1時間かかったことを指摘して、「待機児童ゼロ宣言」に疑問を投げかけた。
福岡市から抗議を受けて、当該局は社内調査を実施した結果、6月21日の同番組内で「事前取材が不十分で、結果として一方的な内容となった」、バスの検証取材についても「複数回実施するなど、より慎重な取材が求められるべきだった」などとする「お詫び放送」を行った。
委員会では、「行政機関に問題提起する姿勢は評価できるだけに、脇の甘い取材になったのはとても残念」「取材不足だけでなく、行政への対応やお詫び放送にも問題があるのではないか」など、さまざまな意見が出されたが、当該局からの報告書には不明確であいまいな点も多いとして、委員会からの質問書を作成し詳細な報告を求めたうえで、討議を継続することになった。

[委員の主な意見]

  • 特集企画の問題意識や実際に検証する姿勢は積極的に評価するが、あまりにも脇の甘い取材だったといわざるを得ない。調査報道とまではいえないにしろ、行政に疑問を投げかける内容を放送する以上、もっと脇を締めて取材に当たるべきだったのではないか。

  • 行政機関の施策に問題提起をするのはメディアの重要な役割だ。それだけに、メディア側が取材に抑制的にならないよう、支援する姿勢も必要ではないだろうか。

  • 市側への取材不足だけでなく、取材対象者への事前取材もあまりに不十分ではなかったか。行政機関に突っ込まれないよう、事実関係をきちんと押さえた、深みのある取材ができなかったのだろうか。

  • 市側から抗議がきて、お詫び放送に至るまでなぜ2か月もかかってしまったのだろうか。局側の対応に疑問が残る。

  • お詫び放送では、どのような点の取材が不十分であったかなどの説明がない。視聴者不在のまま、市側にだけお詫びしているようにも感じられる。

  • 取材不足をお詫びするだけでなく、再度の検証や別の視点からの検証も行うなどして、当初の問題意識をより深めていくようなお詫び放送も考えられたのではないだろうか。

以上

第83回 放送倫理検証委員会

第83回–2014年6月

出演者の家族と偽って別人を出演させていたバラエティー番組について討議。審議入りせず。…など

第83回放送倫理検証委員会は6月13日に開催された。
委員会が3月に通知・公表した、日本テレビ『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に関する意見に対して、当該局から提出された対応報告書を了承し、公表することにした。
"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として発表していたことが発覚した問題について、討議を継続した。委員会が討議の対象とした5局の7番組について、企画から取材・放送に至る経緯を詳細に把握するため、各局にヒアリングへの任意協力を要請したところ、2局2番組について承諾が得られ、ヒアリングが実施された。委員会はヒアリングの結果を踏まえて、次回も討議を継続する。
一般社会にうまく溶け込めない人たちが更生していく様子を紹介する関西テレビのバラエティー番組『千原ジュニアの更生労働省 元ヤン芸能人がダメ人間に喝!』(関西ローカルで2014年3月16日放送)で、出演者の家族と偽って別人を出演させていたことが判明した。討議の結果、委員会は、問題の程度が大きいとは言えず、自主的・自律的な是正措置も適切に行われているとして、審議の対象とはしないことを決めた。

議事の詳細

日時
2014年6月13日(金)午後5時~8時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員(新任)、藤田委員、升味委員、森委員

1.日本テレビ『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に関する意見への対応報告書を了承

3月5日に委員会が通知・公表した、日本テレビ『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に関する意見(委員会決定第19号)への対応報告書が、5月下旬、当該局から委員会に提出された。
報告書には、問題発覚後に策定された「取材ルールの改定」「チェックシートや出演承諾書の活用」「コンプライアンス研修の充実」などの再発防止策に加え、委員会決定後も「担当ディレクターら当事者が講師になっての研修の実施」や「専門性の高い分野の取材での放送ガイドラインの一部改訂」などに取り組んできたことが具体的に報告されている。
委員会は、この対応報告書を了承し、公表することとした。

2.「全聾の作曲家」と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として発表していたことが発覚した問題について討議

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として公表していたことが発覚した問題について、討議を継続した。
まず、各番組の企画から取材・放送に至る経緯を詳細に把握するため、討議の対象として報告書の提出を受けた5局の7番組に対して、ヒアリングへの任意の協力を求めたところ、承諾が得られた2局2番組については既に実施したことが、担当委員から報告された。審議や審理入りをしていない事案について、委員会がヒアリングを実施した前例はなく、委員会の運営規則にも定められていないが、この事案について委員会の意見をまとめるためには不可欠であると判断し、各局にあくまでも任意の協力を要請したものである。残る3局の5番組に対しても順次協力を求める予定である。
また、佐村河内氏の自伝の内容が、7番組のなかでどのように表現されているかについて比較・検討を行った別の委員から、その結果が報告された。
意見交換の中では、取材の過程で佐村河内氏の「実像」に迫ろうという努力がどの程度なされていたのか、一部の取材者が断片的に感じたという「小さな違和感」はなぜ取材に活かされなかったのか、各局は問題発覚後に「騙されてしまった」とお詫びや訂正をしているが、各局がそろって誤った番組を制作して社会に大きな影響を与えたこと、特に、それに善意で協力した人々の心を傷つける結果になったことについて、真摯な反省を踏まえた原因や背景の検証をどこまで真剣に行っているのか、それは今後このような過ちを防ぐだけの内容になっているのかなどについて、さまざまな意見が出された。
そのうえで、「各局から報告書の提出を受け、各局にヒアリングをお願いした委員会こそ、横断的な視点でものが言える状況にある」「佐村河内氏を信じて放送に協力した人々、特に多くの子供たちのためにも、こうした失敗を繰り返さないためにはどうすればいいかを提言すべきだ」などの指摘も相次いだ。
委員会は、次回も討議を継続することになった。

[委員の主な意見]

  • 佐村河内氏の過去を知る人物にアプローチしようと努力した局も、佐村河内氏本人から強く拒否されて踏み込めないまま終わってしまっている。これまでのヒアリング結果を聞く限り、全体的に、佐村河内氏の主導で取材が進行した印象は否めない。

  • 取材者の中には、小さな違和感や疑問を断片的に感じたことはあったようだが、「障がい者だから」「病気がつらそうだから」「天才だから」などの理由によって、自分で自分を納得させてしまっている。取材スタッフの間でそれが共有され、お互いに議論していたら、どこかで踏みとどまることができたかもしれない。

  • 番組の多くは自伝の記述や、あらかじめ佐村河内氏本人が提示したストーリーに映像を当てはめているだけだ。そこに新しい発見や驚きがないものは、ドキュメンタリーと言えないのではないか。

  • ドキュメンタリーの体裁を採りながら、ドラマが入り込んだり、撮れないものを無理に映像化したりしている。これはドキュメンタリーを撮る者としての倫理観の欠如ではないのだろうか。

  • 取材中に佐村河内氏の嘘に気づくのは無理だったかもしれないが、真相が判明した今なら自分たちがどこでどのように騙されたのか踏み込んだ検証ができるはずだ。各局は、きちんとそれをしたと言えるのか。委員会の議論とは別に、各局が真っ先にやるべきなのは、その検証であり解明だろう。それをやらないままでは、同じ過ちを繰り返してしまうのではないか。

3.出演者の家族と偽って別人を出演させていた関西テレビのバラエティー番組について討議

関西テレビのバラエティー番組『千原ジュニアの更生労働省 元ヤン芸能人がダメ人間に喝!』(関西ローカルで2014年3月16日放送)で、出演者の家族と偽って別人を出演させていたことが判明した。
この番組は、一般社会にうまく溶け込めない人たちが、更生した芸能人のアドバイスを受けながら、番組内の企画に参加する中で更生していく様子を紹介するものである。ダメ人間だった5人の若者がカーリングの練習に取り組むなかで、お互いを認め合いチームワークを育んで、小学生の"実力チーム"にあと一歩まで迫った奮闘ぶりを、ひとつのコーナーとして約40分間放送した。出演者の家族や恋人などが更生前と後の様子を語る場面で、ひとりの若者の家族として登場した人物が実は別人であることが放送後に発覚した。
この番組は、関西テレビから制作委託を受けた制作会社が、さらにフリーのディレクターらに業務委託して制作されていたが、関西テレビの報告によると、番組収録の直前になって、出演者の家族の予定があわなくなり、フリーのディレクターの判断で、知人に代役を依頼して出演させたという。放送後、口止めされていた制作会社のスタッフからの連絡で事態が発覚し、このディレクターは関西テレビの社内調査に対して、やってはいけないことの区別がマヒしていたなどと答えたという。
関西テレビは、5月4日に視聴者へのお詫び放送を行い、さらに5月18日の自社検証番組『カンテレ通信』でも、問題点を整理して詳しく伝えた。
委員会は、別人を家族と紹介するのは真実性を損なううえ、制作段階でチェック機能が働かなかった点などは問題であるが、芸能人も出演するバラエティー番組であり、真実の過程の忠実な記録であることを強調する性格のものではないうえ、わずかの比重しか持たない一家族の出演場面での問題であり、視聴者の信頼を揺るがすほど問題の程度が大きいとは言えないと判断した。そのうえで、事後の自主的・自律的な是正措置も適切に行われていることから、討議の経過を委員会の議事概要には掲載するが、審議の対象とはしないことを決めた。

[委員の主な意見]

  • これまでも繰り返し指摘してきたことだが、局と制作会社やスタッフの間で日常的に円滑な情報交換やコミュニケーションが行われていたとは思えない。問題の本質はそこにあるのではないか。

  • 別人を家族として出演させたのは明らかに「虚偽」の事実であり、放送倫理に違反しているが、第三者に指摘される前にきちんとした事後対応はなされていた。

  • 同じバラエティーの『ほこ×たて』の場合は、番組の中核となる対決について「ない対決をある」ことにねつ造したものだったが、今回はそこまでの悪質性は感じられない。視聴者の信頼を裏切ったとまでは言うほどのものでもないだろう。

  • 関西テレビは、去年、報道番組で審議入りが2件続いたが、今回はバラエティー番組で問題が起きた。その都度、再発防止に努めるとしてきたが、その背景にはいったい何があるのかないのか、局としてきちんと総括してもらいたい。

  • 今回の再発防止策のなかで、今後一般市民に出演を求める場合、すべての出演者の本人確認を行い、出演承諾書を取るなどの是正措置を決めている。ここまでやる必要があるかどうかは別にして、局側の決意と姿勢は感じられるのではないか。

以上

第82回 放送倫理検証委員会

第82回–2014年5月

"全聾の作曲家"と紹介されていた佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題について討議…など

第82回放送倫理検証委員会は5月9日に開催された。
委員会が2月に通知・公表した、鹿児島テレビ「他局取材音声の無断使用」に関する意見に対して、当該局から提出された対応報告書を了承し、公表することにした。
"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として発表していたことが発覚した問題について、各局から新たに提出された6本の番組の報告書を中心に討議を継続した。その結果、委員会として何らかの形で考えを示すためには、更なる検討や調査が必要であるとして、討議を継続することになった。

議事の詳細

日時
2014年5月9日(金)午後5時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、藤田委員、升味委員、森委員

1.鹿児島テレビ「他局取材音声の無断使用」に関する意見への対応報告書を了承

2月10日に委員会が通知・公表した、鹿児島テレビ「他局取材音声の無断使用」に関する意見(委員会決定第18号)に対する対応報告書が、5月初旬、当該局から委員会に提出された。
報告書には、再発防止に向けて「ディレクターとカメラマンがそれぞれの上司に異なる様式の"取材後報告書"を提出し、双方の上司が報告書を相互確認していること」「社員や社外スタッフへの教育・研修を継続的に実施する"放送人育成プロジェクト"がスタートし、多様な内容の研修会などを毎月開催していること」「再発防止策の中核を担う"番組推進室"を、3月1日付の組織改編で設置したこと」などの具体的な取り組みが盛り込まれている。
委員会は、この対応報告書を了承し、公表することにした。

2.「全聾の作曲家」と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として発表していたことが発覚した問題について討議

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として公表していたことが発覚した問題について、取材・制作過程で真相を見抜けないまま放送したことや、発覚後の対応などに問題が無かったか、どうすれば再び同じ過ちを犯さないようにできるのかなどについて、討議を継続した。各局からは、新たに6本の番組についての詳細な報告書が提出され、あわせて7本の番組を対象にして、前回までの議論を踏まえた意見交換が行われた。
その結果、自伝に安易に依存した一連の放送が佐村河内氏の創り上げた「物語」を相互に補強し増幅させてしまったこと、佐村河内氏が「全聾の天才作曲家」であるという虚像がますます動かしがたい「真実」として通用するようになり、それを信じて放送に協力した人々、特に身体障害を持った子供や被災して母を失った子供の心に傷を残す結果になったことについて、委員会として何らかの形で考えを示すべきである、という基本方針を改めて確認した。
委員会は、そのためには更なる検討や調査が必要であるとして、各委員が佐村河内氏の自伝に目をとおし、取材の進め方や番組構成とのかかわりについても検討を加えたうえで、次の委員会で討議を続けることになった。

[委員の主な意見]

  • ほとんどの放送局の報告が「だまされてしまい申し訳なかった」で終わっているのが、とても気になる。放送のプロとしてそれでいいのか。不審な点を感じて、検証してみるような機会はなかったのだろうか。視聴者への説明も、ほとんどの局ではきちんと行われていないように感じられる。

  • それぞれの番組の演出や編集内容に類似部分が多かったのは、各局とも佐村河内氏の自伝に依存して制作していたからではないのか。独自取材は、どの程度行われていたのだろうか。

  • なぜこうした事態になってしまったのかと考えたとき、各局の報告書をきちんと分析して、各局を横断する問題点を指摘し、放送局が再び「共犯者」にならないような前向きな提言をすることが、この委員会の役割なのではないだろうか。

以上

第81回 放送倫理検証委員会

第81回–2014年4月

「全聾で被爆2世の作曲家」と称していた佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題を討議。次回も討議を継続。

第81回放送倫理検証委員会は4月11日に開催された。
冒頭、BPO規約25条に従い、川端委員長が、任期を終えて退任した水島委員長代行の後任に是枝委員を指名した。
4月1日に通知・公表を行ったフジテレビの『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」に関する意見について、記者会見での質疑や当日の報道などが報告され、若干の意見交換を行った。
委員会が1月に通知・公表した「2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見」に対して、当該2局から提出された対応報告書を了承し、公表することにした。
"全聾で被爆2世の作曲家"と称していた佐村河内守氏の作品が、別人のものだったことが発覚した問題について、NHKおよび在京民放キー局から新たに提出された6本の番組を視聴したうえで討議を継続した。その結果、この6本の番組の取材・制作過程についても当該局に詳しい報告を求め、次回委員会でさらに討議することになった。

議事の詳細

日時
2014年4月11日(金)午後5時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、斎藤委員、渋谷委員、
藤田委員(新任)、升味委員、森委員

1.フジテレビの『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」に関する意見を通知・公表

フジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて 2時間スペシャル』(2013年10月20日放送)に出演していたラジコンカーの操作者が、「対決内容を偽造して編集したものが放送された」と告発したことから問題が発覚し、当該局はその事実を認めて、番組を打ち切った事案。同じように不適切な演出上の問題があったと当該局が認めた2011年10月16日と2012年10月21日放送の『ほこ×たて スペシャル』とともに審議が続けられていた。
4月1日、委員会は当該局に対して、委員会決定第20号の意見を通知し、続いて公表の記者会見を行った。当日夜のテレビニュースなどを視聴したあと、委員長や担当委員から記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。

2.「2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見」への対応報告書を了承

1月8日に委員会が通知・公表した「2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見」(委員会決定第17号)に対する対応報告書が、関西テレビとテレビ熊本から4月初旬までに委員会に提出された。
関西テレビの報告書では、再発防止に向けて「選挙報道の原則の周知徹底」や「チェック体制の見直し」などの取り組みを継続すること、意見書の趣旨を周知するために放送倫理セミナーなどを開催したことなどが報告された。
またテレビ熊本の報告書では、「全社的な意識改革」や「チェック体制の強化」のための具体的な対策をさらに推進していくこと、BPO研修会を開催して意見書の趣旨の周知徹底に努めていること、今年4月から放送部の分離移管という組織改正を実施したことなどが報告された。
委員会は、両局の対応報告書を了承し、公表することにした。

3.「全聾で被爆2世の作曲家」と称していた佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題の放送責任などについて討議

全聾で被爆2世の作曲家と称していた佐村河内守氏の作品が、別人のものだったことが発覚したことから、同氏をドキュメンタリーなどで紹介した番組の放送責任などについて、討議を継続した。
NHKおよび在京民放キー局からは、これまでに、佐村河内氏を扱った7本の番組の映像が提供され、このうちの1本については放送に至る経緯をまとめた報告書も提出されている。
各委員は事前に、これらの番組と、NHKが3月16日に自局の情報番組内で放送したこの問題に関する調査報告(約7分半)を視聴したうえで討議に臨み、委員会として、どんなことを、どんな形で言うことができるのか、あるいはできないのかについて意見を交換した。
その結果、長期間全聾の作曲家を演じ続け、虚偽の自伝まで出版していた事案なので、裏付け取材を適正に行えば嘘を見抜けたとして放送倫理違反を指摘するのは適切でないかもしれないが、一連の放送が佐村河内氏の創り上げた「物語」を相互に補強し増幅させてしまったため、それを信じて放送に協力した人々の心に傷を残す結果になったことについて、委員会として何らかの形で考えを示すべきである、という点で意見が一致した。
そこで、残る6本の番組についても、取材から放送に至る過程を中心に、各局に詳しい報告書の提出を求め、次回の委員会でさらに討議を続けることになった。

[委員の主な意見]

  • 放送局が異なっているにもかかわらず、演出や編集内容は非常に似通っているものが多かった。なぜ、ここまで似たような内容のものになったのだろうか。各局の独自取材は、どこまで行われたのだろうか。

  • 結果として番組が、巨大な音楽・出版ビジネスの構造に組み込まれ、加担した感は否めない。言い換えれば、放送が佐村河内氏の創り上げた「物語」を増幅させてしまったと言えるのではないか。

  • 美談に利用された子どもたちのことについて、これまでに提出された各局の報告の中にはほとんど言及がないが、どのように考えているのだろうか。きちんとした反省が必要ではないだろうか。

  • 委員会に付与された権限の範囲内での調査では、詳細な真実を明らかにするには限界があるのではないか。別の視点で何が言えるのかを議論するためにも、残る6本の番組の取材から放送に至る過程の報告書を求めたい。

以上