2009年3月30日

2009年3月30日

評議員、放送人権委員会と青少年委員会の委員の新任について

4月1日付でそれぞれ新しい評議員と委員が就任いたしますので、お知らせします。
なお、評議員は理事会により放送事業者の役職員以外から選出され、委員は評議員会(議長=生田正輝・慶應義塾大学名誉教授)により放送事業者の役職員以外から選出されました。任期はいずれも3年間です。

1.評議員

〔新評議員〕2名(五十音順)

  • 辻井 重男 (つじい・しげお)
    情報セキュリティ大学院大学学長(3月末まで)、中央大学研究開発機構教授

    1933年生まれ。東京工業大学工学部電気工学コース卒。中央大学研究開発機構教授、東京工業大学名誉教授。工学博士。日本ペンクラブ会員。電子情報通信学会会長、総務省電波監理審議会会長、日本セキュリティ・マネジメント会長、日本学術会議会員等歴任。電子情報通信学会論文賞、業績賞、功績賞等受賞。IEEE Life Fellow, 第三千年紀記念賞受賞。総務省「電波の日」総務大臣表彰(2003年度)。日本放送協会「第55回放送文化賞」受賞(2004年)。2006年度高柳記念賞受賞。内閣官房「情報セキュリティの日」功労者表彰(2007年)。主な著書に『暗号-ポストモダンの情報セキュリティ』(講談社 メチエ選書)、『暗号と情報社会』(文藝春秋社)、『電子社会のパラダイム』(新世社)など。

  • 藤原 作弥 (ふじわら・さくや)
    ジャーナリスト、元日本銀行副総裁

    1937年生まれ。東京外国語大学外国語学部フランス学科卒。1962年時事通信社入社、その後、オタワ特派員、ワシントン特派員などを経て解説委員長を務めた。1998年~2003年日本銀行副総裁 。2003年~2007年日立総合計画研究所社長。著書の『聖母病院の友人たち』(新潮社、のち現代教養文庫)で「日本エッセイストクラブ賞」を受賞。このほか主な著書に『死を看取るこころ』(講談社)、『素顔の日銀副総裁日記』(集英社)、『この国の姿 藤原作弥のマルチ・エッセイ』(愛育社)など。

〔4月1日以降の評議員名簿〕(五十音順)

役職 名前 肩書き
評議員 篠田 正浩
映画監督、早稲田大学特命教授
評議員
辻井 重男
情報セキュリティ大学院大学学長(3月末まで)、
中央大学研究開発機構教授
評議員
半田 正夫
青山学院常務理事、元青山学院大学学長
評議員
福原 義春
株式会社資生堂名誉会長
評議員
藤原 作弥
ジャーナリスト、元日本銀行副総裁
評議員
堀部 政男
一橋大学名誉教授
評議員
三浦 朱門
作家

※生田正輝・評議員会議長、西澤潤一・評議員は3月末をもって任期満了により、退任されます。
※評議員会議長は、評議員の互選により2009年度第1回会合(日程未定)で選任される予定です。

2.放送と人権等権利に関する委員会(放送人権委員会)

〔新委員〕 5名(五十音順)

  • 大石 芳野 (おおいし・よしの)
    写真家

    1943年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。卒業と同時にフリーランスとなり40年余りになる。ドキュメンタリー写真。主な作品(写真集)は『沖縄に活きる』、『夜と霧は今』、『カンボジア苦界転生』、『ベトナム凜と』、『アフガニスタン戦禍を生きぬく』、『子ども戦世のなかで』、『黒川能の里 庄内にいだかれて』『<不発弾>と生きる 祈りを織るラオス』ほか。日本放送協会「第57回放送文化賞」(2005年)、芸術選奨、土門拳賞、日本放送協会賞、エーボン女性大賞、紫綬褒章、ほかを受賞。

  • 樺山 紘一 (かばやま・こういち)
    印刷博物館館長

    1941年生まれ。歴史家。1965年東京大学卒。東京大学文学部教授、国立西洋美術館長などを経て現職。東京大学名誉教授。NHK教育テレビ『人間大学』講師、テレビ朝日『やじうまワイド』のコメンテーターなどを務めた。現在、東京都文京区教育委員長など。主な著作に『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『旅の博物誌』など。

  • 小山 剛 (こやま・ごう)
    慶應義塾大学教授

    1960年生まれ。慶應義塾大学法学部・大学院法務研究科(法科大学院)教授。博士(法学)。専門分野は憲法学、特に基本的人権。著書に『基本権保護の法理』(成文堂、田上穣治賞)、『基本権の内容形成――立法による憲法価値の実現』(尚学社)、『「憲法上の権利」の作法』(尚学社)、『市民生活の自由と安全』(共編著、成文堂)、『論点探求憲法』(共編著、弘文堂)、『プロセス演習 憲法』(共編著、信山社)など。

  • 坂井 眞 (さかい・まこと)
    弁護士

    1957年生まれ。早稲田大学法学部卒。東京弁護士会人権擁護委員会報道と人権部会員、日弁連人権擁護委員会人権と報道に関する調査研究部会委員。2001年に報道被害救済弁護士ネットワークの設立に参加し、代表を務めた。最近の共著に『裁判員制度と知る権利』(現代書館)、『安部英医師「薬害エイズ事件」の真実』(現代人文社)、『人権を考える本⑥情報・報道と人権』(岩崎書店)など。

  • 田中 里沙 (たなか・りさ)
    株式会社宣伝会議 編集室長

    1966年生まれ。学習院大学卒。広告会社を経て、広告マーケティングの専門誌「宣伝会議」の編集部へ。企業宣伝部、メディア、広告会社などの取材を担当。1995年「宣伝会議」編集長、2002年より「環境会議」「人間会議」の編集長を兼任し、2007年取締役編集室長。テレビやCMに関するコラムを新聞に執筆。メディア・広告関連のシンポジウムなどの企画・コーディネーターを務める。行政、官公庁の広報アドバイザーとしても活動。メディア・広告関連のシンポジウムなどの企画・コーディネーター、政府広報事業評価基準等検討会、中央環境審議会委員などを務める

〔4月1日以降の委員名簿〕 (五十音順)

役職 名前 肩書き
委 員
大石 芳野
写真家
委 員
樺山 紘一
印刷博物館館長
委 員
小山  剛
慶應義塾大学教授
委 員
坂井  眞
弁護士
委 員
武田  徹
ジャーナリスト、評論家、恵泉女学園大学教授
委 員
田中 里沙 株式会社宣伝会議 編集室長
委 員
堀野  紀 弁護士
委 員
三宅  弘 弁護士
委 員
山田 健太 専修大学准教授

※竹田稔委員長、五代利矢子・委員長代行、右崎正博委員、崔洋一委員、中沢けい委員は3月末をもって任期満了により、退任されます。
※委員長は委員の互選により、委員長代行は委員長の指名により、2009年度第1回会合(4月21日開催)で選任される予定です。

3.放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)

〔新委員〕 4名(五十音順)

  • 加藤 理 (かとう・おさむ)
    東京成徳大学准教授

    1961年生まれ。早稲田大学大学院教育学専攻修了。子どもの文化と子どもに関して歴史的に研究。日本児童文学学会理事。1988年日本児童文学学会25周年記念論文賞、1997年日本児童文学学会奨励賞をそれぞれ受賞。主な著書に『「ちご」と「わらは」の生活史』(慶應義塾大学出版会)、『<めんこ>の文化史』、『「北の国から」の父と子』(久山社)、『駄菓子屋・読み物と子どもの近代』(青弓社)ほか。

  • 汐見 稔幸 (しおみ・としゆき)
    白梅学園大学学長

    1947年生まれ。東京大学教育学部卒。東京大学大学院博士課程単位取得退学。教育学者。駒澤大学文学部講師を経て1984年より東京大学教育学部勤務。東京大学大学院教授を経て2007年より白梅学園大学に勤務。現在学長。東京大学名誉教授。専門分野は教育人間学、育児学。中教審委員など。主な著書に『子どものサインが読めますか』(女子パウロ会)、『「教育」からの脱皮』(ひとなる書房)『親子ストレス』(平凡社)など。

  • 萩原 滋 (はぎわら・しげる)
    慶應義塾大学教授

    1948年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了(文学博士)。千葉大学文学部講師、助教授を経て、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所教授。専門分野は社会心理学、メディア研究。近著は『変容するメディアとニュース報道』(丸善、2001年)、『テレビと外国イメージ』(勁草書房、2004年)、『テレビニュースの世界像』(勁草書房、2007年)など。

  • 渡邊 淳子 (わたなべ・じゅんこ)
    弁護士

    1953年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。OLを経て1983年弁護士登録。東京弁護士会子どもの人権救済センター相談員。東京都児童福祉審議会委員。子どもの人権、特に児童虐待に取り組む。著書に『児童虐待〔臨床編〕』(斎藤学編、金剛出版)。

〔4月1日以降の委員名簿〕 (五十音順)

役職 名前 肩書き
委 員 小田桐 誠 ジャーナリスト
委 員 加藤  理 東京成徳大学准教授
委 員 軍司 貞則 ノンフィクション作家
委 員 境 真理子 桃山学院大学教授
委 員 汐見 稔幸 白梅学園大学学長
委 員
萩原  滋
慶應義塾大学教授
委 員 渡邊 淳子 弁護士

※大日向雅美委員長、橋元良明副委員長、是永論委員、山田由紀子委員は3月末をもって任期満了により、退任されます。
※委員長は委員の互選により、副委員長は委員長の指名により、2009年度第1回会合(4月28日)で選任される予定です。

2009年1月9日

2009年1月9日

評議員の新任について

1月1日付で堀部政男氏(一橋大学名誉教授)が評議員に就任しましたので、お知らせします。
濱田純一氏が当機構理事に就任したことに伴い、2008年10月31日付で評議員を辞任され、欠員が生じていました。

堀部氏の略歴は次のとおり。

堀部政男氏(一橋大学名誉教授)
1936年生まれ。東京大学大学院社会科学研究科基礎法学修士課程修了(東京大学法学修士)、一橋大学法学博士。東京大学助手を経て、1966年から一橋大学で専任講師、助教授、教授、法学部長・大学院法学研究科長など歴任。1997年~2007年中央大学教授。1999年~2005年まで日本放送協会経営委員会委員。

2008年10月31日

2008年10月31日

放送事業者外理事の選任について

当機構では、独立した第三者機関として運営の透明性、第三者性をよりいっそう高めるために、放送事業者の役職員以外から理事を起用する方針を5月に開催した本年度第1回理事会で決め、人選を進めてまいりました。このほど、新たに理事にご就任いただく方々が以下のように決まりましたので、お知らせいたします。
当機構の理事長は、これまでも放送事業者の役職員およびその経験者以外の者が務めていましたが、理事については放送事業者の役職員等の関係者のみが就任していました。今回、(1)放送事業者の役職員以外の理事3名を新たに理事長が選任する、(2)NHK、民放連選任の理事を各3名と定める――ことを骨子とする規約の改正を11月1日付で行いました。

  • 黒川光博氏
    (株式会社虎屋代表取締役社長)=11月1日付就任

    1943年生まれ。1966年学習院大学法学部法学科卒。株式会社富士銀行(現みずほ銀行)勤務を経て、1969年株式会社虎屋入社、1991年株式会社虎屋代表取締役社長、株式会社虎玄代表取締役社長。現在、社団法人日本専門店協会会長、東京和生菓子商工業協同組合理事長、全国和菓子協会会長、全日本菓子協会副会長、東京ロータリークラブ会長などを務める。

  • 濱田純一氏
    (東京大学大学院情報学環教授)=委嘱手続き中

    1950年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科公法専門課程博士課程修了。東京大学新聞研究所教授、同情報研究所所長、同大学院学際情報学府長などを経て、2005年現職。主な著書に『情報法』『メディアの法理』など。

  • 藤久ミネ氏
    (評論家)=11月1日付就任

    1934年生まれ。早稲田大学文学部卒。朝日放送株式会社編成局制作部ディレクターなどを経て、中部大学教授、目白大学教授(専攻-コミュニケーション論)。2005年目白大学定年退職。現在、NPO法人放送批評懇談会理事。訳書に『オンリー・イエスタディ』『シンス・イエスタディ』(いずれもF.Lアレン著)。著書に『放送文化論』(共著)、『おんなの原風景』(編著)、『美しいことばの抽きだし』(PHP研究所)など。

以 上

【参考】BPO規約の主な改正条項 

※斜体が改正点

(役 員)

第8条
本機構に、次の役員をおく。
(1) 理事長 1名
(2) 理事 9名
(3) 監事 2名

2 理事のうち1名を専務理事、1名を事務局長とする。
(役員の選任)

第9条
理事長は、構成員が推薦する放送事業者の役職員およびその経験者以外の者から、理事会で選任する。
2 理事のうち3名は、放送事業者の役職員以外の者から、理事長が選任する。
3 第2項によって選任される以外の理事は、日本放送協会および日本民間放送連盟が、それぞれ3名を選任する。
4 監事は、日本放送協会および日本民間放送連盟が、それぞれ1名を選任する。
5 
専務理事および事務局長は、理事会において選任する。

(役 員)

第8条
本機構に、次の役員をおく。
(1) 理事長 1名
(2) 理事 8名以内(偶数)
(3) 監事 2名

2 理事のうち1名を専務理事、1名を事務局長とする。
(役員の選任)

第9条
理事長は、構成員が推薦する放送事業者の役員、従業員およびその経験者以外の者から、理事会で選任する。
2 理事および監事は、日本放送協会および日本民間放送連盟が、それぞれ同数を選任する。
3 専務理事および事務局長は、理事会において選任する。

2008年7月3日

2008年7月3日

「放送と人権等権利に関する委員会」の略称の変更について

BPOの「放送と人権等権利に関する委員会」について、これまで「BRC」との略称を使用してきましたが、2008年7月1日以降、同略称の使用を取りやめ、「放送人権委員会」との略称を使用することにしましたので、お知らせします。
「BRC」の略称は、11年前に同委員会が設置されたときから通称として使用してきたものです。しかし5年前にBPOに属するひとつの委員会となってから、BPOとBRCの略称がよく似ており、混同して分かりずらいという指摘が寄せられていました。
今後、同委員会については、下記のとおり、「放送人権委員会」の略称に変更します。

<これまで>

(正式名称) 放送と人権等権利に関する委員会
(略  称) BRC

<2008年7月1日以降>

(正式名称) 放送と人権等権利に関する委員会[変更なし]
(略  称) 放送人権委員会

2008年6月15日

2008年6月15日

シンポジウム「事件報道と開かれた司法」を5月30日に開催

BPOと東京大学大学院情報学環との共催によるシンポジウム「事件報道と開かれた司法」が5月30日(金)午後2時から東京大学構内にある情報学環・福武ホールで開催された。参加者は全国の放送局や新聞・雑誌などのマスコミ関係者、最高裁・日弁連など法曹関係者、東京大学をはじめとした研究者や各大学の学生など263人に上った。会場の福武ホールに加え、別に用意したモニター室も満席となり、熱心な議論は4時間に及んだ。(新聞、放送各社からの取材は16社24名)

このシンポジウムは、放送倫理検証委員会が光市事件の裁判報道や香川県坂出市の殺害事件報道、そしてこれらの報道のあり方と裁判員制度を討議する中で企画され、委員会が発足して1年が経過したタイミングを捉えて開催されたもの。パネリストは東京大学理事・副学長の濱田純一氏、評論家で放送倫理検証委員の立花隆氏、NHK解説委員の友井秀和氏、テレビ朝日報道担当取締役の渡辺興二郎氏、毎日新聞論説委員の三木賢治氏の5人で、コーディネーターは作家で放送倫理検証委員の吉岡忍氏が務めた。まず、川端和治委員長から「それぞれの立場の方から率直な意見交換をしていただき、今後の委員会の議論に役立てたい」とあいさつがあった。

シンポジウムは、過去に報道のあり方が問われた「松本サリン事件」「和歌山カレー事件」などの映像上映から始まった。

マスコミ側のパネリストからは、メディア・スクラムについて、「VTRカメラの小型軽量化により、番組毎に取材班が組めるようになった技術的・経済的側面が原因のひとつ」としてあげられ、「最近の取材においては携帯電話が大きな役割を果たす」(渡辺氏)現状も示された。「最近の事件報道は秘密保持を理由に取材が難しくなり、警察側の記者会見が主な取材源になるので画一化し、記者の独自性が失われてしまう」(三木氏)傾向が指摘された。更に、「表現の自由を危うくしているのは、むしろテーマによって自己規制したり徹底的な取材を行おうとしないマスコミ自身の姿勢に原因があるのではないか」(立花氏)との指摘がなされた。

また、事件報道が裁判員制度下の裁判員に予断を与える問題について議論が及び、特別参加した最高裁事務総局総括参事官の平木正洋氏が意見を述べた。

平木氏からは、同氏が昨年のマスコミ倫理懇談会全国大会で行った講演において、事件報道が与える予断について「捜査機関が取得した情報をあたかも真実であるかのように報道することには問題がある」など7項目の懸念を示したことについて、「一切報道してはいけないということではなく、公正な裁判の確保に配慮が必要だというのが趣旨である」との説明がなされた。

公正な裁判の確保と報道の自由とのバランスについては、「ポイントを絞って報道すると全体が見え難くなる。縮小均衡ではなく拡大均衡が正しい方向」(友井氏)、「メディアは、できるだけ多くの判断材料になる情報を提供するしかない」(三木氏)、「情報量の不足こそが予断や偏見を生む」(渡辺氏)といった発言があり、更に「べからず集を作ったりマニュアル化すべき問題ではない。報道全体として捉えるべきで、広く深い議論が大切」(濱田氏)、「これまでの裁判、法曹界にも問題がある中で報道のあり方だけを問うのはどうか」(立花氏)との意見が出された。

後半は、光市母子殺害事件の裁判報道に関する放送倫理検証委員会の「意見」をもとに小町谷育子委員長代行よる「視聴した放送が一様に被害者対弁護団の図式に見えてしまうことの不可解さ」「訴訟指揮が裁判所にあることを忘れたようなコメント、弁護士の役割に関する法律的基礎知識の欠如」などの問題提起から始まった。

報道する側からは、「事件発生後は捜査側の情報が多くなることはやむを得ないが、新たな制度下では、公判前整理、弁護側冒頭陳述などもあるので被告・弁護側情報を厚くしバランスをとることで公正性確保をめざす」(友井氏)、「裁判員の取材まで含め、徹底的に調べるという取材のやり方は変えてはいけない」(渡辺氏)といった発言があったが、「報道の自由は、法廷侮辱罪があっても挑戦する英国のメディア界のように、時には法に背いてでも報道するという緊張関係の中で確保できるもの」(濱田氏)という指摘や「『民の声は天の声』というのが裁判員制度だが、今は法曹界もメディア界もその認識があるのか疑問。かつてロッキード裁判で元首相が涙を流した姿をどこのメディアもちゃんと伝えなかった。司法はもちろんだが、報道する側も、社会的にプロフェッショナルに徹することが今こそ求められている」(立花氏)との提言がなされた。

最後にコーディネーターの吉岡氏が「今日のテーマは答えのない問題であるが、今後は司法に関する情報公開のルール作りが必要になるだろう。メディアと法曹三者が共同でそのルールをどう作っていくかが課題である」とシンポジウムを締め括った。

閉会にあたって、東京大学の吉見情報学環長が挨拶に立ち、「このシンポジウムは大学とメディア(BPO)との新しい連携の第一歩、キックオフである」と述べた。

2008年6月10日

「高裁判決報道の公平・公正問題」事案の委員会決定を通知・公表

2008年6月10日

放送と人権等権利に関する委員会(放送人権委員会)は2008年6月10日、「高裁判決報道の公平・公正問題」事案についての委員会決定を申立人、被申立人双方に通知した後、公表しました。2007年1月に申立てを受理し、2月から審理を続けてきたものです。

この事案は、「戦争と女性への暴力」日本ネットワークの代表が、2007年1月にNHKで放送された『ニュースウオッチ9』において、「2001年放送された『ETV2001』シリーズ『戦争をどう裁くか』の第2回『問われる戦時性暴力』について東京高裁が判決を言い渡したニュースの中で、番組に政治家の介入があったかどうか等について『当事者としてのNHKの言い分』と『報道機関としての報道』を峻別せずに報道したことは、公平原則に照らして許されるものではないし、放送倫理にも違反していた」としてBRCに申立てがあったものです。BRCの決定は、27事案・36号目となります。

<委員会決定はこちら>

2008年6月5日

2008年6月5日

『BRC判断基準2008』発刊について

『BRC判断基準2008』が5月16日発行された。BRCは、1997年5月の発足以来これまで11年間に26事案35件の決定を出したが、これら決定の中で示された判断基準100余項目を、取材、編集、放送、権利侵害等のカテゴリーごとに整理した。
2年半前に発行された『BRC判断基準2005』以降、さらに10事案の決定があり、判断基準は40項目ほど追加されている。
新たに、「政治評論の自由」、「バラエティー番組における名誉毀損」、「ラ・テ欄表記と放送倫理」などの判断基準が盛り込まれたほか、「隠しカメラ・隠しマイク使用の許容範囲」や「肖像権侵害と違法性の阻却」についても、より多くの事例が示されている。
「放送倫理違反などを指摘された事案」についても整理して、その判断基準を列挙した。
また、判断基準の裏づけとなる放送法等の法規や最高裁判例なども参考資料として追記し、利用者の便を図っている。
BPO加盟各社や放送関係者に、一定部数を配布したが、別途社員教育などで多めの入手を希望される社には、実費(一冊600円)で頒布し、放送研究者や一般視聴者からの購入希望にも応じることにしている。

2008年4月7日

2008年4月7日

評議員の新任について

4月1日付で、篠田正浩氏(映画監督、早稲田大学特命教授)、福原義春氏(株式会社資生堂名誉会長)のおふたりが評議員に就任しましたので、お知らせします。

昨年10月に津村節子氏、本年2月に堤清二氏が評議員を辞任されたため、補充を行ったものです。