第270回放送と人権等権利に関する委員会

第270回 – 2019年6月

「情報公開請求に基づく報道に対する申立て」の審理…など

議事の詳細

日時
2019年6月18日(火)午後4時00分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、二関委員、廣田委員、水野委員

1. 審理事案「情報公開請求に基づく報道に対する申立て」

対象となったのは、秋田県内で放送された今年1月21日夜の『NHKニュースこまち845』。情報公開請求などによって明らかになった過去5年間の県内の国公立大学における教員のハラスメントによる処分に関するニュースを伝えた。県内の大学で起きた3年前の事案について、匿名で「男性教員は、複数の学生に侮辱的な発言をしたことなどがアカデミックハラスメントと認定され、訓告の処分をうけた」とのナレーションに、開示された文書にある「学生への侮辱的発言、威圧的な行動」と「小中学生でも出来る」という文言を接写した映像を使って報じた。
この放送に対して男性教員が、氏名は発表されていないが、関係者には直ぐに自分だと判断される内容だ、とした上で、「私が複数の学生に対して『小中学生でも出来る』などといった侮辱が理由で処分されたと報道された。不正確な情報をあたかも実際に起きたかのように、間違った報道をされた」と主張し、「誤った情報が周知され、大学で正常に勤務できない状況が作られた」として、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「情報公開請求で開示された内容を、各大学で改めて取材を行い、内容に誤りや変更がないことを確認した上で概要を説明した」と反論したうえで、「処分をされた教員は、いずれも匿名で、役職や年齢に触れていないなど、個人が特定できないよう、十分配慮している」と説明している。
前回委員会で、本件申立ては、運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
今回の委員会では、両者から提出された書面を元に委員が論点などについて意見を述べた。今後、起草委員が論点やヒアリング項目を整理し、次回委員会に提出することになった。

2. 委員会決定第69号「芸能ニュースに対する申立て」に関するTBSテレビからの「対応と取り組み」報告書の承認

委員会決定第69号に対して、TBSテレビから「対応と取り組み」をまとめた報告書が6月11日付で提出され、委員会はこれを了承した。 

3. その他

  • 申立て状況について事務局から報告が行われた。

  • 今後の意見交換会の準備について進捗状況が報告された。

以上

2019年03月11日

「芸能ニュースに対する申立て」に関する委員会決定の通知・公表の概要

[通知]
2019年3月11日午後1時からBPO第1会議室において、奥武則委員長と、起草を担当した曽我部真裕委員長代行と廣田智子委員が出席して、委員会決定の通知を行った。申立人の細川茂樹氏と代理人の弁護士が出席し、被申立人のTBSテレビからは情報制作局担当取締役ら4人が出席した。
奥委員長が冒頭、「放送倫理上問題がある」と結論を告げ、その後決定文に沿って説明した。そして、「本件仮処分決定に言及しなかった結果、当事者の主張が食い違う紛争・トラブルの事案を扱う際に特に求められる公平・公正性及び正確性を欠くことになった点。及び、やんちゃ発言VTRを使用したことは、申立人の名誉や名誉感情に対する配慮に欠ける結果となり、放送倫理上の問題がある。TBSには、本決定の趣旨を真摯に受け止め、本決定で指摘した諸問題について、言葉足らずという総括にとどまらない掘り下げた検証を自ら行い、今後の番組制作に活かしてもらいたい」と述べた。
続いて曽我部代行が補足説明し、「名誉毀損の問題として扱うのか、放送倫理上の問題として扱うのかについては、全体的な状況を踏まえて、放送倫理上の問題として扱うということになった。申立人の被害感情については踏まえたつもり」と述べた。
廣田委員は、「発生から時間をおいて番組で取り上げるということは、一度沈静化したものを再燃させる可能性を充分に持っているので、より慎重に対応して、番組を作っていただきたい」と述べた。
決定を受けた申立人の代理人からは、「TBSの放送は悪質なものであり、細川さんへの謝罪、訂正、名誉回復措置の具体的な内容を検討してほしい」とする文書が読み上げられた。
一方、TBSテレビからは、「こうした放送をしたこと自体、まず率直にお詫びをさせていただきたい。今日示された問題点については、真摯に受け止めて、再発防止に努めたい」という発言があった。

[公表]
午後2時から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、委員会決定を公表した。
25社42人が取材した。テレビカメラの取材はNHKが代表して行った。
まず、奥委員長が「放送倫理上問題あり」とする決定内容を説明し、曽我部代行と廣田委員が補足的な説明をした。
その後の質疑応答の概要は以下の通り。

(質問)
TBSが被害回復措置を取る用意のあることを表明していたとあるが、どの時点で表明していたのか。
(曽我部代行)
話し合いのかなり早い段階から、何らかの対応をする用意はあると言っていた。

(質問)
仮処分決定について伺いたい。地位保全とは具体的に何をさしているのか。
(曽我部代行)
所属事務所から債務不履行を理由に契約解除の通告があったが、細川さん側はそうした事実はなく、契約は有効で今までどおり活動できることの確認を求めた。裁判所がそれを認めたということ。ただし、判決とは違って決定なので詳細な事実認定や理由は書かれていない。

(質問)
実際に原稿を書いたり、編集をした人は、仮処分決定があったことを知っていたのか。責任者は知っていたと言うことだが、責任者はこの原稿をチェックしたのか。
(奥委員長)
細かいことは分からない。ヒアリングで明らかになったことについて言えば、責任者は、芸能デスクに細川さんの件はどうなっているのか聞いている。責任者はチェックはしたが、仮処分決定について重いものと受け止めていなかった。

(質問)
きょうの双方の反応は?
(奥委員長)
細川さんのほうは今までの主張をまとめる形で繰り返して主張していた。TBSは、言葉足らずということだけではなくて、いろいろ検討して真摯に対応しますという話。

(質問)
グラデーションの5段階の真ん中というのはTBS側からすると重いのではないか。
(奥委員長)
重い判断をしようとか、軽い判断をしようとか、そういうことで審理しているわけではない。審理の結果、出口としてこの結果になったので、それが放送局にとって重いものなのか軽いものなのかということは何とも言えない。

(質問)
長い番組であっても、短い尺であっても、その判断は一緒か?
(奥委員長)
名誉毀損の問題として取り扱わないで、放送倫理上の問題として考えた理由の一つとして、本件放送がごく短いもので、視聴者の受け止め方も考慮した。

(質問)
申立人が強く主張していたのは、名誉が毀損されたということだったと思うが、名誉毀損にあたるかどうかの判断をしなかったということは、名誉毀損はなかったということか?
(曽我部代行)
社会的評価が低下したということまでは明記しているが、法律的な意味での名誉毀損が成立したかどうかまでは判断せず、放送倫理上の問題ということで判断をしている。一般的な意味で名誉は傷付けられていることは明記した。

以上

2019年6月14日

読売テレビの報道番組『かんさい情報ネットten.』審議入り

放送倫理検証委員会は6月14日の第138回委員会で、読売テレビの『かんさい情報ネットten.』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、読売テレビが5月10日、夕方のニュース番組『かんさい情報ネットten.』で放送した企画コーナーの「迷ってナンボ!」で、一般男性の性別を執拗に確認するシーンが流れた。
番組は、お笑い芸人が大阪市内にある飲食店の店員の「性別が分からない常連客がいる」という声を取り上げ、芸人が常連客の男性に性別を確認。男性に名前や住所、恋人の有無を聞くなどしたうえで保険証の性別欄を撮影したり、胸を触ったりして、「男性」と確認できたと結論づけた。コーナーが終了しスタジオの映像に切り替わった際、番組のコメンテーターが「許しがたい人権感覚の欠如だ」などと批判。局には視聴者から多数の批判の意見が寄せられた。
読売テレビは、この男性に謝罪するとともに、番組ホームページで謝罪。番組でアナウンサーや解説デスク、報道局長が出演して人権的配慮に欠けた不適切な放送であったと謝罪したうえで、「迷ってナンボ!」のコーナーは当面の間、放送を休止すると発表した。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、当該放送局に対して報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、審議入りを決めた。
神田安積委員長は審議入りについて、「事後の対応は自主・自律的に一定程度きちんと行われていたが、多様な性のあり方が社会で共有されている中で、放送局側の意識と視聴者の意識の差、その大きな違いを否定できない。なぜ放送に至ったのか、チェックできなかったのか、放送倫理に照らしてどう評価できるか、しっかり審議すべきだと判断した」と話している。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

第214回 放送と青少年に関する委員会

第214回-2019年5月

視聴者からの意見について…など

2019年5月28日、第214回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず4月16日から5月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
バラエティー番組で、ゲストの男子フィギュアスケート選手が、女子選手の脚の好みなどを話す企画について、「未成年の女子選手を性的な目で見ているのは不適切だ」「"脚フェチ"を告白しているのは、10代の女性選手に対するセクハラ発言とも受け取れた」などの意見が寄せられました。これに対し委員からは、「バラエティー番組での遊びの一つではないか」「女性の身体について話題にすることについて、いろいろな意見がある時代だということを制作者側は企画段階で十分に意識してほしい」などの意見が出されました。
5月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たニュース・報道番組について」でした。29人から報告がありました。
改元のニュースについて「良いなと思ったのは今までの年号について振り返ったり、これからの令和の元号がどんなふうになっていくかを分かりやすく説明しているコーナーでした。自分の生まれる前のことや平成という元号がどんな思いでつけられたのかが分かって勉強になりました。どうかなと思ったのは、元号が変わるときに集まってカウントダウンをして大騒ぎする人たちは、本当に元号について考えているのか疑ってしまうし、そういう特集がどのチャンネルでもあまりに多くて、そうやって新しい元号を迎えるのが正しいのかと思いました」、夜のニュース番組について、「大津市の園児が死傷した交通事故のニュースの中で、保育園の記者会見で記者が園の過失を追及するような質問ばかりしていて、高校生の私でも、その言い方はこの場で不適切ではと思う残念なシーンがあった。たくさんの人の目に留まる重要な情報網のマスコミだからこそ、人が見て疑問を抱かないような正しい"第四の権力"としての役割を果たしてほしい」、高齢者による交通事故関連のニュースについて、「私は山間部に住んでいるため、車がないと生活がままならないので、高齢ドライバー問題は他人事には感じられません。公共交通手段のない地域での免許返納は難しい問題だと思うので、進める一方で別の手段として歩行者優先の道路作りやルールの見直し、車のアシスト機能の向上など、起こりうる可能性をつぶしていく意識と行動を早急に求めなければならないと考えます」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は6月25日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2019年5月28日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

バラエティー番組において、ゲストの男子フィギュアスケート選手が女子選手の脚の好みについて話す企画について、「未成年の女子選手を性的な目で見ているのは不適切だ」「"脚フェチ"と告白しているのは10代の女子選手に対するセクハラ発言ではないか」「好みの女子選手の脚を当てるクイズをやっていたのは不愉快だ」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは、「バラエティー番組に慣れていないスポーツ選手が司会者に乗せられてしまっている側面もあるが、それほど大げさなものではなく、バラエティー番組の遊びの一つではないか」「特段に女子選手を性的な対象と見ているような印象はない」との意見が出されました。
また一方で、「女性の身体を話題にすることについて、いろいろな意見がある時代だということをテレビ制作者の側も企画段階で十分に意識してほしい」「欧米では未成年の性的な扱いについて非常に厳しい。文化的、社会的背景は違うが、日本でも捉えられ方が変わってくる可能性があることを意識してほしい」「女子選手の脚を当てるクイズをやったことは、企画を立てた側の時代感覚に問題はないのか考えてほしい」との意見も出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした5月のテーマは、「最近見たニュース・報道番組について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で29人から報告がありました。
「ニュース・報道番組の感想」では、『ZIP!』(日本テレビ)に4人、『NEWS ZERO』(日本テレビ)に3人、『グッド!モーニング』(テレビ朝日)『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日)『めざましテレビ』(フジテレビ)にそれぞれ2人から報告がありました。番組はそれぞれ異なりますが、「改元」関連に9人、「高齢ドライバーが起こした交通事故」についてのニュースに7人のモニターが言及しています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ドリーム東西ネタ合戦』(TBSテレビ)と『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(NHK総合)を4人が、『ETV特集 傷ついた故郷と向き合う~熊本地震3年 南阿蘇村~』(NHK Eテレ)を3人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • 朝の情報番組について「エンターテインメント形式で子どもにも分かりやすく伝えてくれている。しかし、一方で女性アナウンサーが3~4人出演する曜日もあり、多過ぎるのではないかと感じる。また彼女たちがニュースを読む際に言い間違えることが多いので、立場を自覚し、正確に情報を伝えてほしい」という分析と指摘があった。中学生なりに厳しい目で見てくれているということを制作者に伝えたい。

    • 『中居正広のニュースな会』(テレビ朝日)を取り上げ、「私たちが分からない複雑なニュースを専門家が誰にでも理解できるように伝えてくれるのでありがたい」と報告したモニターがいた。この番組が、子どもにとっても分かりやすく丁寧につくられているのだろうと思った。

    • 子どもたちが様々な報道を通して日本全国で起こる重大な事件に関心を持ち、情報を得るということは、結果的に日本全体がある程度一定の情報を共有することにつながるという意味において、やはり報道番組の果たす役割は大きいのだと感じた。

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(NHK総合)を視聴したモニターが、同じNHK総合で放送されている『チコちゃんに叱られる!』と比較し「チコちゃんは出演者をいじるが、カネオくんは出演者にいじられる。その対照的なかけあいが面白い」と書いているが、番組の個性を比較して論じる視点に感心した。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • 『グッド!モーニング』(テレビ朝日)毎朝、家族で観ています。今知っておきたいニュースが子どもにでも分かるように、エンターテイメント形式で分かりやすく伝えられていると思います。ただ、この番組には女子アナウンサーが曜日によって3人から4人出演していますが、正直なところ1人か2人で充分ではないかなと感じます。またこの女子アナウンサー達がニュースを読む際に言い間違うことが多いので、ニュースを報道する立場を自覚して、正確に情報を伝えてほしいと思います。(東京・中学2年・男子)

    • 『中居正広のニュースな会』(テレビ朝日)私たちが分からないような複雑なニュースを専門家が誰にでも理解できるように伝えてくれるのでありがたい。(愛知・中学2年・女子)

    • <元号・天皇についてのニュース>テレビで元号について特集をしていたのを見て、良いなと思ったのは、今までの元号について振り返ったりこれからの令和の元号がどんなふうになっていくかというのを分かりやすく説明しているコーナーでした。自分が生まれる前のことや平成という元号がどのような思いでつけられたのかが分かってとても勉強になりました。どうかなと思ったのは、元号が変わるときに集まって大騒ぎをする人たちは、本当に元号について考えているのか疑ってしまうし、その特集がどのチャンネルでもあまりに多くて、そうやって新しい元号を迎えるのが正しいのか?と思ってしまいました。この10連休で改めてテレビは世間や私たちにとって重要なものだなと思いました。(兵庫・中学3年・女子)

    • 『ZIP!』(日本テレビ)すこし難しいと感じることがある政治のニュースや世界情勢のニュースでも、テロップや図、映像はもちろん音声でかみ砕いて説明されているので分かりやすいです。授業でニュースについて聞かれたり、勉強する際に参考になるニュースが多いので朝の短い時間で理解できます。国内・国外のニュースだけでなくエンタメに関するニュースや私たち世代での流行を扱ったコーナーもあり、街頭のアンケートで同世代の意見、大人の意見など、流行に対することもコーナー化されていて面白くて、あーそうなんだなぁ…っていう大人の意見も聞けてちょっと面白いです。夜のニュース番組を見ることもたまにあるのですが、朝見るニュース番組とはニュースの切り出し方や説明の仕方、番組の雰囲気も少し大人向けな気がします。私個人的には朝のニュース番組のほうが見やすいしニュースによっては分かりやすいこともありますが、祖母は夜のニュースのほうがいい、と言っていました。レポートを書きながら考えていると、朝起きてこのコーナーが終わったらこれをする、これが始まる前にこれを終わらせる!など、ニュース番組のコーナーで朝の時間を把握して使っていたな、と感じました。メディアが生活の一部に固定化(?)されているな、というのを改めて思いました。(福岡・中学3年・女子)

    • 『news every.』(日本テレビ)大津市の園児が死傷した事故のニュースで、園の過失を追及しているかのような質問ばかりしていて、高校生の私でも、その言い方はこの場には不適切では?と思う残念なシーンが多かったです。たくさんの目に留まる重要な情報網のマスコミだからこそ、人が見て疑問を抱かないような正しい"第4の権力"としての役割を果たしてほしいと思うと同時に、常に情報を発信し続ける大変さを強く感じました。(東京・高校1年・女子)

    • 『ニュースきょう一日』(NHK総合)私が一番関心を持ったトピックは、池袋の母子死亡事故です。遺族の気持ちになって考えると大変心苦しいですが、少子高齢化に伴いこのような事例がほかの場所でも現在進行形で起こっているかもしれない、と考えるとゾッとします。巷では高齢者に対する免許証返納義務ないし剥奪する義務を訴える声や免許証更新の期間を短くするなどの声をよく聞きます。これから医療の発展に伴い寿命が延び、高齢者が増加すると予想されるので、それに合わせた制度改革の必要性を感じます。このような事件を皮切りに我々若者と高齢者の間に隔たりが生まれないように社会の在り方を変えていくべきであると思います。(石川・高校2年・男子)

    • <交通事故関連のニュース>私は山間部に住んでいるため、生まれたときから移動は自家用車、車がないと生活がままならないので高齢ドライバー問題は他人事には感じられません。公共交通手段のない地域での免許返納はかなり難しい問題だと思うので、進める一方で別の手段として歩行者優先の道路づくりやルールの見直し、車のアシスト機能の向上など、起こり得る可能性をつぶしていく意識と行動を早急に求めなければならないと感じます。(奈良・高校3年・男子)

  • 【自由記述】

    • 僕は北海道で放送している地方ローカルの番組が好きです。出演している人は有名人ではないのですが、番組の企画がとても面白くて良い番組だと思います。しかし、キー局の番組は有名人が出演しているのに、番組の企画つまらなくてあまり面白くありません。なぜローカル番組の企画のほうが面白いのですか。(東京・中学2年・男子)

    • 番組のBGMについて気になっています。たしかに、その番組の雰囲気を作るために流すのは良いと思います。例えば、落ち着いた雰囲気を作りたいならクラシック、賑やかにしたいなら流行しているポップスを流すようなことは問題ないと思います。それらの音楽が、その番組のメッセージ性を強めてくれるためです。しかし、それらがすべて良いとは僕は思っていません。なぜなら、本当にその番組が伝えたいことに音楽を被せていたり、色々な意見を持ってほしい場面で似たようなイメージしか持てないような音楽を流したりしては本末転倒な気がするからです。(東京・高校1年・男子)

    • 最近のドラマの傾向ですが、日本人は海外と比べて「自分の意見を言いづらい文化」があります。それを代弁してくれているドラマが増えていると思います。このようにして、社会現象が起きることによって社会全体が変わっていくと良いと考えます。(広島・高校2年・男子)

    • 『FUNKY FRIDAY』(NACK5)リスナーや小林克也さんと共に番組を作ってきた原田ディレクターが脳梗塞になり、番組の9時間を「原田さんに捧げる9時間」としていた。番組も、本当に原田さんのことを思って、リスナーと一緒に番組を作っていると感じました。NACK5はパーソナリティーとディレクターとリスナーが一体だなと思った。(東京・高校2年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ETV特集 傷ついた故郷と向き合う~熊本地震3年 南阿蘇村~』(NHK Eテレ)当時小学生だった私は、そこまで深く知らなくて、今回番組を見て地震について深く考えさせられたと思う。いくら復興が進んでも以前に戻るにはあと何年、何十年もかかり、地震が一瞬で奪ったものはとてつもなく大きかったのだと思った。(北海道・中学2年・女子)

    • 『ドリーム東西ネタ合戦』(TBSテレビ)もともとお笑いを見るのが好きなのですが、今回は東軍・西軍ともに人気芸人さんが出演されており、とっても楽しみにしていました。エド・はるみさんが出演されておりとても懐かしかったです。(神奈川・高校1年・女子)

    • 『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(NHK総合)100円玉の作り方や、お札の偽造防止対策などの話が印象に残りました。元号が変わることで硬貨の印字も変わるということを聞いて、新元号の影響がここまで来ているのかと驚かされました。見ていて飽きず、ユーモアのある内容だったと思います。(東京・高校1年・男子)

    • 『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(NHK総合)キャラクターが番組の進行をしているという点は、同じNHKで放送中の『チコちゃんに叱られる!』と同じですが、チコちゃんは出演者をいじるのに対し、カネオくんは出演者にいじられるという点では真逆であり、その構図が面白いです。(愛媛・高校2年・女子)

調査研究について

担当の中橋委員より、調査研究(青少年のメディアリテラシー育成に関する放送局の取り組みについて)の進捗状況について報告がありました。

今後の予定について

  • 5月21日(火)に開催された高知県の放送局と青少年委員会委員との意見交換会について、出席した委員が感想を述べ合い、総括しました。

以上

2019年5月に視聴者から寄せられた意見

2019年5月に視聴者から寄せられた意見

滋賀県大津市で保育園児2人が死亡、数人のけが人が出た交通事故が起きた。また、神奈川県川崎市では、被害者20人の殺傷事件があった。それらを報じた番組の報道のあり方への意見や、記者会見における記者の質問内容への批判など。

2019年5月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は2,481件で、先月と比較して998件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール83%、電話16%、FAX 0.6%、郵便0.4%。
男女別は男性56%、女性43%、不明1%で、世代別では30歳代29%、40歳代25%、20歳代21%、50歳代13%、60歳以上9%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。5月の通知数は延べ1,025件【43局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、25件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

滋賀県大津市で、保育園児2人が死亡、数人のけが人が出た交通事故が起きた。また、神奈川県川崎市では、被害者20人の殺傷事件があった。それらを報じた番組の報道のあり方への意見や、記者会見における記者の質問内容へ批判が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は49件、CMについては29件あった。

青少年に関する意見

5月中に青少年委員会に寄せられた意見は151件で、前月から45件増加した。
今月は「性的表現」が55件、「表現・演出」が30件、「報道・情報」が18件、「いじめ・虐待」が15件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 大津市の事故について、遺族への執拗な取材は必要なのか。事故の原因や対策など、今後このようなことが起きないようにする注意喚起などは、メディアが担う役割だと思うが、遺族の気持ちを思いやれないインタビューをして、それを聞きたい視聴者がいったいどれだけいるだろうか。どの放送局、どの報道番組も同じようなインタビューをしている。大切な子が突然亡くなり、見知らぬ取材陣に囲まれながら、思いをわざわざ声に出して言わされる辛さを、取材している側は分からないのだろうか。

  • 大津市の事故における保育園側の記者会見は、痛ましくて見続けることができなかった。泣き崩れる園長に対し、散歩自体を責め立てるような質問や、「被害に遭った園児にどんな声をかけたいか?」といった質問。あのような事故をどう防げるというのか。保育園側を加害者のように扱い、謝罪までさせるような報道の姿勢には、大いに疑問が残った。

  • 私の家には保育園児がいる。園庭がない保育園はさほど珍しくはなく、園庭のあるところでも、園外散歩は日常的に行われている。今回の事故は、全く予測不可能な運の悪い事故だったと思う。それなのに、保育園側に会見をさせる必要があったのか?保育園側に事故責任があるということにしたいのか?一視聴者として憤りを覚えた。事故が起きた現場を検証して原因を探るほうが、よほど今後のためになるのではないか。被害者の感情を更にえぐるような今回の報道は不適切だと感じた。

  • 私は保育士。事故の報道について疑問に思うことがある。論点は、保育園に園庭があるかということなのか。私は、先月まで園庭のある保育園にいたが、季節を味わうために園児たちと散歩に行っていた。もし散歩禁止にすると、園庭に子どもが集中し、逆にけがをするおそれがある。今勤めている所は園庭がないが、国の基準に基づいた保育体制で散歩をしている。どの番組でも、園庭のないことが悪いような話で終わっているが、運転者の過失について問うべきではないか。別の園の園長に話を聞いたり、別の園の散歩の様子を検証したりするのも論点がずれている。一連の放送を見て、保育士になりたい人が減ることになれば、待機児童の問題にも影響が出てくるのではないかと危惧している。

  • 東京・池袋の死亡事故以来、高齢者の交通事故を各番組で取り上げているが、そのほとんどが「高齢者の運転は危ない」「高齢者は免許を返納すべき」といった内容である。都会の人たちはそれでいいのであろう。しかし、地方では、交通機関が十分に整備されていない地域に住む人たちや、車を運転しなければ生活必需品の購入や通院に困る人たちも多い。免許を返納した場合、タクシー券が配布される地域やシニアカーの利用を勧める地域もあるが、何年先までタクシー券がもらえるのか不安が残るし、シニアカーに乗ろうにも地方では道幅が狭く危険が伴う。そのあたりにも焦点をあてた報道をしてほしいと思う。

  • 川崎殺傷事件の報道で、視聴者提供と思われる事件直後の動画が流された。生々しい血溜まり、血痕の残る帽子やランドセル、そして心肺蘇生を受けている被害者。果たして映像で流す必要があるのか。事件の状況を伝えるのが報道だとは思うが、そこまでしなくても伝えられるはずだ。心肺蘇生を受けているということは、生死の境をさまよっている、一人の人間が生きるか死ぬかの瀬戸際だ。この映像は、そのような状況を平気で撮影する無神経な人間から提供された映像ではないか。それを使うのも撮った人間と同様、人としておかしい。

【番組全般・その他】

  • 人の命に関わる事件や事故等を報道する際、コメンテーターが笑いながら発言することが多い。人の痛みが理解できるなら、笑顔になるということはないはず。もっと被害者や遺族の感情に寄り添えるコメンテーターを出演させるべきだと思う。

  • 昼の番組で、ニューヨークに留学中の男性を取り上げていた。皇室の女性との婚約内定というだけで、彼に対するストーカー行為のような行動と放送内容があまりにひど過ぎる。勝手に付きまとい、知り合いでもないのに街中で声をかける。迷惑行為以外の何ものでもない。放送にあたり、きちんと本人の許可を取っているのだろうか。取材ディレクターの想像の話を、あたかも事実のように、テロップを入れてまで放送する番組作りにも疑問が残った。

  • 夕方の番組で、芸人が一般人に「男らしく見えない」と言い、執拗に性別を聞き出していた。それにとどまらず、体に触れ、保険証の提示を求めるなどの一連の行為には閉口した。私自身、性的少数者であるが、番組を見て非常に不快な気分になった。昨今、性的少数者に対する理解が進んでいるが、この放送は時代に逆行している。コーナー終了後にコメンテーターが疑問を呈したことで少し心が救われたが、一方で、彼以外の出演者や番組制作者たちが、何の疑問を持たなかったこともよく伝わってきた。今後、この局が番組で性的少数者の話題について取り上げる資格はないと思う。

【ラジオ】

  • 新元号に"クソ"という単語を加えたラジオネームの投稿者の作品が採用されていた。平成から令和に時代が変わることへの捉え方は、人によって様々であり、新元号をベースに笑わせることも一つの表現ではあるだろうが、あまりに配慮に欠けていないか。ラジオの深夜放送は、テレビでは使えない単語や表現でリスナーを楽しませることが、「テレビではできない」「深夜ラジオならでは」と賞賛され、採用を目指した投稿者が、過激なラジオネームや内容で勝負することに拍車をかけているが、私はやはり、クレームされないようギリギリを攻めるというようなことよりも、誰もが楽しめるような番組作りを意識して取り組んでほしいと考えている。

青少年に関する意見

【「性的表現」に関する意見】

  • バラエティー番組に出演した元オリンピック選手が、"脚フェチ"という発言をしていた。倫理観の甘さ、そこを面白いととらえたのかセクハラに気付かず放送したのは、制作側の意識が甘すぎる。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 小学生女児虐待死事件に関して、父親による性的虐待を女児が訴えていたことが分かった。本人による具体的な記述が紹介されていたが、テレビでそのまま報道する必要があったのか疑問だ。テレビで公開することで亡くなった女児の尊厳を更に損なうように思えてならない。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • 複数の女性タレントが極限のサバイバル生活を体験するバラエティー番組で、一人の女性に対して複数人で無視、陰口などいじめの典型的なことが行われていて不快だった。若者のいじめによる自殺が問題になる中、このような振る舞いをしている番組はどうなのか。子どもには見せたくない。

【「危険行為」に関する意見】

  • 子どもの医療相談をしている看護師だが、テレビをまねて綿の固まりを鼻に入れて取れなくなったと相談があった。バラエティー番組でタレントが鼻にブドウを入れる内容をまねしたそうだ。必死で面白くしようとしているのは分かるが、視聴者に悪影響を及ぼしているので内容を検討してほしい。