第121回 – 2011年4月
TBS『さしこのくせに』制作担当者との意見交換
視聴者意見について …など
第121回青少年委員会は4月26日に開催された。東日本大震災のため3月委員会を中止したことから延期となった、TBSの深夜バラエティーの番組担当者との制作プロセス等についての意見交換を行った。また、2月15日から4月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、4月度の新中高生モニターのレポートについて審議した。
議事の詳細
- 日時
- 2011年4月26日(火) 午後4時30分~7時30分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
-
TBS『さしこのくせに』制作担当者との意見交換
視聴者意見について
中高生モニターについて
調査・研究について - 出席者
- 汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員
TBS『さしこのくせに』制作担当者との意見交換
当該番組について視聴者からの「スポンサーの運営する有料サイトに誘導する内容になっており、ファン心理に付け込んだ悪質なやり方」などの批判意見を受け、2月委員会で審議し、番組の企画意図や制作プロセス等について、委員会と番組担当者との意見交換を行うこととなった。
【TBS提出の経緯書】
深夜番組「さしこのくせに」投票企画に関するトラブルについて
このたび弊社の番組「さしこのくせに」(深夜1時25分~放送)の2月8日放送回における視聴者参加の方法をめぐり、視聴者の方々より厳しいご批判をいただきました。
私どもは、今回の件が放送に対する視聴者の皆様の信頼を揺るがしかねない結果になったことを重く受け止め、経緯の検証を行うとともに、番組の制作工程や体制の見直しをはかるなど再発防止に真摯に取り組む所存です。以下に事案の概要と経緯、今後に向けた私どもの見解を述べさせていただきます。
1.番組内容と今回の経緯
この番組はAKB48のメンバーの一人が毎回様々なチャレンジをし、視聴者がモバイルを使ってそれを評価する、という、いわばファンとの双方向性をコンセプトとしたバラエティ番組です。提供はモバイルコンテンツ事業会社で、制作は外部制作会社が請け負っています。
2月8日に放送された「番組存続をかけた投票」と言う企画は、スポンサーの代表者自らが出演し、主役のタレントに対し、「携帯サイトでファン投票を実施し、3月いっぱいで3万票が集まらなければ番組打ち切りを考える」と告げるものでした。
代理店を通し事前にこの企画を提案された弊社編成担当は、TBS運営の無料の携帯サイトで毎週行っている通常のファン投票の延長と理解いたしました。またスポンサーが番組に登場するという点についても、スポンサーが、番組内でタレントの活躍を審議するメンバーの一員に従来から加わっていることもあり、演出の範囲内であろう、と判断しました。
しかしながら、実際にはこの投票の場がスポンサーの運営する有料携帯サイト上であったため、投票しようとした視聴者にはサイト登録料などが必要となっておりました。
弊社側としましては、結果として、オンエア後に投票が有料であったことを知ることになりますが、投票のやりかたやシステムについて、局側の担当として代理店その他関係者と事前にすべき精査を怠っていたことは否定できず、大いに反省するところであります。
2.放送後の反響と対応
放送後、「番組と連動した投票でお金がかかるのはおかしいのではないか」、「お金がかかる旨を番組で知らせていないのはおかしい」といったご批判が電話およびメールで数十件寄せられました。
実際投票する際には、携帯サイト上に「有料」となることが明示され、それを了解された方のみが投票する形とはなっていたものの、番組と連動した企画が「有料」となることに強い違和感を覚えた、とのご批判でした。
こうした批判を受け、スポンサー側では放送後2日後までに投票受付を打ち切り、サイト上において登録料と同額相当のポイントを還元する、といった救済措置について告知しました。
一方、弊社には一部視聴者から、投票のため登録したものの退会の仕方がわからない、という苦情も寄せられたため、弊社からスポンサーに対しサイト上に退会の手引きを明確に表示するように依頼、次週の2月15日放送回の番組エンディングにおいて、その旨をテロップにて告知いたしました。
3.今回の反省と今後について
私どもとしましては、放送される番組そのものの存続に関し、視聴者からの有料の投票で決定するという方法は不適切であると考えております。今回の投票が有料を条件とするものと事前に通知されていれば、企画として成立していなかったものと考えます。
一方で、今回の投票が有料でなかったとしても、「番組の存続をかけた投票」という内容そのものに問題があったのでは、というご批判もいただきました。
そもそも番組の継続、打ち切り、などの決定は純粋に局の編成権によっておこなうものです。にもかかわらず、「存続をかける」としたことで、必要以上にファン心理を煽ってしまったことも否定できず、深夜の企画開発枠とはいえ演出にやや行き過ぎた部分があった、といわざるを得ません。
今回の番組のようにインターネット、モバイルなどと地上波とが連動した企画が最近とみにふえており、そうした場合、編成、営業、制作会社、スポンサー、デジタルコンテンツ担当セクション、などが錯綜した連絡網の中で進行することになり、重要な情報が共有できない危険性も出てまいります。当然ながら局の担当としての編成の役割がますます重要となっており、企画立案、決定などのプロセスにこれまで以上に編成のチェックが求められると考えます。
私どもは今回の事態を深く反省するとともに、こうした複雑な構造の番組にはチェック機能を二重に設けることにいたしました。今後あらためて社外制作番組のチェックのあり方全体についても見直し、同様のトラブルの再発防止に真摯に取り組む所存です。
【意見交換概要】
◆番組の企画・放送の経緯
モバイルビジネスを展開するスポンサーから広告代理店を通じて、若者にも人気のあるAKB48のメンバーをフィーチャーしたサイト連動型の番組企画が営業を通じて持ち込まれ、担当部署である編成が精査した結果、将来的にも期待できると判断し成立に至った。問題とされた点については、広告代理店から放送側への連絡ミスがあり、事前チェックが不十分なままオンエアしたことが原因だった。
◆反省点と事後の対応
ネット・モバイル連動型については放送の外で、放送事業者が知りえない事象が起こることについての危機意識を持ち、番組の細部にわたって留意することが求められており、事後、スポンサー、代理店、営業、制作会社、編成等関係者による数度の会議が設けられ、意識とコミュニケーションの共有化を図るとともに、今回の事案の経緯をまとめ、他の類似番組についても再発を防止すべく体制を整えた。
◆ネット系メディアと放送の現状
各放送事業者は放送波と各メディアとを連動することにより、放送事業収入以外の何らかの利益を上げることを考えている。TBSも有料、無料のサイトを立ち上げ、各権利所有者等と協議しながら、責任の持てる範囲で一つずつ立ち上げている。テレビは大きなメディアなので各企業から様々な要望が寄せられるが、特に放送内容と関係することについては、情報の行く先が詳らかには見えず、100%責任が持てないことから、外部へのリンク等に関してはガイドラインを設け、基本的には禁止し危険を回避するよう努めている。
【意見交換を受けての青少年委員会としての所感】
各放送事業者は放送収入の停滞、低迷という現在の経済状況と、インターネットなど新たなメディア環境の急激な発達の中、その必然として(ビジネスの一形態として)各メディア連動型の番組が制作、放送される状況にある。今回の事案は、オンエアされた番組の放送表現については特段の問題は見えにくかったが、番組の情報がその先のモバイルサイトに行ったときに初めて表面化したというケースであった。
番組制作者も、ネット系連動番組はまだ緒についたばかりで模索段階にあることが推察され、放送された情報がネット連動により、伝達先でどういうことが起りうるのかということについての認識も十分とはいえない。また、放送倫理上の問題認識については放送事業者とスポンサー、代理店等関係者とで同一であるとは限らない。
当委員会としては、今後、ネット連動型の新たな分野の番組制作にあたっては、放送事業者が以上の点について十分に留意を払い、関係者相互のコミュニケーションと共通認識を図ること、そのための社内システムの検討とともに、関係各社と認識を共有する努力を期待したいと考える。
視聴者意見について
担当委員及び事務局より、視聴者意見の概要等について報告を受けた上で、番組の視聴及び審議の対象となる番組はなかった。
○東日本大震災に関する報道について
仙台に在住し被災した委員から、「被災者が欲する情報は生活関連情報だが、地元の地域密着型のミニFM放送が最も役に立ち、キー局が発信するテレビ報道には限界がありほとんど伝えられなかった」等の報告があった。また、被災地に赴いた委員からは、現地の詳細な状況等について報告があり、一連の報道について一委員会ではなくBPOとしてしかるべき時期に何らかの検証をする場を設けるべきだという方向が示された。
中高生モニターについて
4月のモニター報告は、当初「バラエティー番組」のジャンルを取り上げる予定だったが、3月11日に起きた「東日本大震災」が現在の国民の最大の関心事であり、新モニターには大震災関連の「報道・情報番組」について率直な意見や感想を求め、メンバー34人全員から報告が届いた。
【モニターの主な意見】
モニター報告では、まず、初めて大震災を体験したときの驚きの様子が報告されている。
- 「3月11日は私にとってたぶん生涯忘れることのない日になると思います。地震直後から大津波で家屋等がいっぺんに流される映像が繰り返し報道され、現地に入ったリポーターの方が伝える被害の状況が日を追うごとに悲惨さを極めていく様子…。大自然の前では、人間に力がいかにちっぽけなものであるかをまざまざと見せつけられ、本当にやるせない気持ちになりました」。
- 「まるで戦場のようで、これは映画の宣伝なのか、新しいCMなんじゃないか、そう感じずにはいられないぐらいに衝撃的で信じ難い映像でした。大地震、津波、原発事故と続けざまに大変なことが起こり、本当に日本はどうなってしまうのだろうか?と不安になりました。
- 「今回の東日本大震災で、テレビの映像がどれだけ大きいものか分かりました。テレビやラジオなどの報道メディアは1秒も休む事なく緊急放送。僕はさまざまなテレビ局やラジオ局の緊急放送番組を見たり聴いたりしている中で、ただ一つ思うのは、1日も早い災害の復旧と復興、そして被災者の皆さんの安全、それを願っています」。
また、計画停電が始まる中で、ラジオが大切な情報源だったという報告も寄せられた。
- 「私は3.11の翌日、毎週放送されるTOKYO FMの番組にチャンネルを合わせると、予想通りその番組はやっていませんでした。でも聞き覚えのある声がラジオから聞こえてきたんです。それはDREAMS COME TRUEの中村正人さんでした。中村さんは、つらいことも音楽で僕らと繋がっているから、みんなで頑張ろう!と伝えたかったんだと思います。私は素晴らしいと思いました。この放送を聴いて私は元気と勇気をもらいました」。
- 「地震からちょうど1週間後、宮城県出身のサンドウィッチマンというお笑いコンビが『オールナイトニッポン』をやっていて、全国のリスナーに募金を呼びかけていました。サンドウィッチマンのお二人は被災者の皆さんに少しでも元気を取り戻してもらおうと一生懸命ラジオを通じて漫才をやっていました。被災者の皆さんからは、『元気を取り戻しました』『涙がでました』などと数々の感想が送られてきていて、僕は東北の皆さんが少しずつ元気を取り戻してきているんだなと感じ、日本はいま一つになっているんだなと思いました」。
次に、連日の震災報道が続く中で、取材方法などに疑問を抱くようになったという報告も多数寄せられた。
- 「今回の震災報道について特に感じたことは、過剰な報道です。特にヘリコプターによる空撮および、被災者の方へのインタビューです。確かに、各局の『この事実を伝えたい』という気持ちは伝わってきます。しかし、ヘリコプターの騒音は救助の妨げになるというのは事実ではないのでしょうか。また、被災者の方へのインタビューは、被災者の方がどんな思いで、どんな苦しみで、どんな願いがあるのかなど、被災していない者には分からない『真実』が見えてくるので、いいことだと思います。しかし、それが果たして被災された方へのフォローとなるのかが分かりません」。
- 「大地震が発生してから、その日のうちに被害にあった場所の映像が報道され、私はどんなにひどいものだったのか知ることができました。いつ余震がくるのか分からないなかで、危険をかえりみず現場に行った記者のみなさんのおかげだと思います。しかし、そのなかで少しやめてほしいと思ったことがあります。『今、家族を探している』と泣きながらもインタビューに答えていた人に対して、『今、一番願っていることはなんですか?』と聞いたことが、イヤだなと思いました。家族を必死に探している人に対して、その質問をしたらかなりの確率で家族の無事を祈ると答えるのではないのでしょうか?」。
- 「次の日の朝、テレビをつけると家が流されていたり、病院の屋上でSOSを出していたり、発炎筒を振って救助を待っていたり…とにかく衝撃を受けました。そして、それらの映像がすべて上空のヘリコプターから撮影されていて、『あそこにSOSの文字が見えますね!!!』など、救助を待つたくさんの人が映されるたびに、私はさっき映っていた人はちゃんと救助されたのかな、とすごく心配に思いました。救助を待っている映像が映されて、その後のことが映されないと報道を見たり聴いたりいている側としてはとても不安になりました」。
- 「こういう時なのでいつものようなCMは控えようと、すべてのスポンサーがAC JAPANのCMにしたため、何度も放送されていました。派手なCMを控えることは良いことだと思うので、災害時のCMを作っておくことが必要であるということも分かったことの一つだと思います。ですが、ACのCMを流す時間に被災者の安否確認の映像などを流すということはできないのでしょうか(=CMを流さない)」。
- 「自分がマスコミに一番配慮してほしいと感じるのは風評被害への対策だと思います。農作物に出荷制限・摂取制限が発表され、消費者が買い控えるという事態が発生し、被災された農家の方も含め産地で大変な被害や損失が発生しているということが、またテレビで放送されています。確かに、テレビは真実を伝えなければならないというのは大前提ですが、視聴者の誤解を招かないような正確な情報を伝えるのも仕事だと思います」。
- 「私は大地震が起きた夜、学校に泊まりました。教室にあるTVで報道を見ましたが、アナウンサーやディレクターの方々が慌てている様子が明らかに伝わってきました。罵声が飛び交っている場面もあり、私はもう少し落ち着いて報道ができないものか…と思いました。また民放は協力し合い、同じ内容を同時に流さないように調整したり、バラエティーやアニメ番組を放送したりして、人々の気持ちを明るくする必要も感じられます」。
- 「私は地震直後、テレビが被災地の様子ばかり放送していてとても怖く感じました。そんなとき、TOKYO MXテレビが『探偵!ナイトスクープ』(制作:朝日放送)を放送していて、とても安心しました。被災された方は、『こんな時に何てのんきなことを』と怒っておられたかもしれませんが、私にとっては救いでした」。
◆ 被災地在住のモニターからの報告(抜粋)
【宮城・高校2年男子】
「東北地方太平洋沖地震」から1ヶ月が経過した。テレビやラジオ番組は、音楽、バラエティー、ドラマなどが大半を占めるようになり、徐々に被災地の情報が減少している。また報道番組においても、東京電力福島原子力発電所に関する問題が中心となり、地方選挙や相撲の賭博問題など、幅広い分野を扱う本来の放送に戻りつつある。
私たち被災者の中には、テレビの枠部分にテロップとして流れる情報を基に活動する機会が多くなったと感じる人もいることだろう。しかしながら「被災者向け」でないのは仕方ないことだろう。地方の番組ならともかく、全国には被災地情報を必要としない人もいるため、全国放送の番組にとって被災地の様子をもっと取り上げてくれという要求に応えることは、非常に難しい。何を放送すべきなのか、視聴者は何を必要としているのか、私たち放送をする立場の人間には何ができるのか。改めて放送の原点に戻り、考えながら情報を伝えてほしいものである。
現在被災者である私は情報に対してとても敏感になっている。その状態でテレビを視聴していると、指摘したい問題がいくつも出てきたため、被災者代表として伝えたいと思う。4月9日土曜日の夕方テレビを見ていると、ある報道番組が福島原子力発電所の半径20キロ付近で取材をしていた。線量計を用いて避難区域は放射性物質の濃度が高いということを説明し、住民に避難することを促したり、現地の静寂とした様子をカメラに収めたりしており、とても興味深い内容であった。その中でこういう場面があった。車を運転していると、犬を発見した。その犬は近づいてきて、ここでナレーションが入る。「餌を求めてこちらへやってきたのだろうか」。そこですぐにまた原発の話に戻すのである。このとき、「この犬はどうなるのだろうか」と私は思った。実はこのような犬たちは、NPOの組織によって保護され、現在少人数で活動しているために協力してくれる人が欲しいとラジオで主張していたのを知っていたのだが、まるで原発しか目に入っていないような、説明の足りない場面であった。”問題”は原発だけではないのだ。
また、被災者たちは津波からの復旧がなされていないことに苛立ちを感じている。なぜ復旧が進まないのか…。それは、テレビやラジオで放送されてないからだという。具体的に、宮城県の気仙沼、石巻、岩手県の大船渡はよくテレビに映るが、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)という地域は放送されない。福島県いわき市は原発の問題だけ主に取り上げられ、津波の被害は”ついで”という感じである。もう少し全体的に取材するべきではないだろうか。津波は「三陸」だけではないのだ。
さらに、福島県や茨城県などは放射性物質に関する食品の問題がある。風評被害が心配だと連日されているが、人々は政府のあいまいな発言に戸惑いを抱き、テレビの解説を頼っている。そのテレビが人々を安心させる立場にあるのに、「福島県産の食品は心配だ」などというインタビューを取材してばかりだ。安全だと声を上げて主張する八百屋さんを取材したり、実際にスタジオで食べて安全を証明する活動を行ったりするなど、具体的な数値を使った説明だけでは足りないのではないだろうか。
テレビやラジオは人々を助けるための重要な存在なのだ。そして人々に大きな影響力を与えるそれらメディアは、日本の混乱を収束させる力を持っている。チェーンメールの具体的な内容を説明し、その内容は嘘だと伝えれば、人々がチェーンメールを流さなくなる可能性もある。CMで「チェーンメールに気をつけろ」などといっても、論理性のあるチェーンメールの内容には通用しない。知っている内容を何度も放送されれば、不満を抱くのも当たり前だろう。
【茨城・中学2年女子】
私は、今回の「東日本大震災」の被災者でもあります。そこで、私は一番強く関心を持ったのは「被災者の気持ち」です。特に、勢力をあげて報道をしているのがNHKだと思いました。NHKの報道は他局の民放局に比べ、多く被災者の”安否情報の掲載”、避難所へ行き”被災者の今訴えたいこと”等の報道を多く放送していました。また、NHKはいちはやく正確な情報を私たち被災者に報道してくれて、嬉しかったです。地震情報もすぐに出て、家族たちも安心をしました。
それに比べ、民放局は誤報が多く、人を惑わせていたりしているような気がします。放射能汚染問題でも同じです。「そこまで、報道するべきなの??」と私は思います。神経質すぎる報道が多すぎるのではないのか、と思います。
すべての報道でよかった事は、何日か前まで各放送局がテレビの左側などに出ていたテロップがすごく役立ちました。ですが、生活情報・放射能対策…等を出すならば、それぞれ放送局ごとにわけて情報を出してほしかったです。それぞれ見ていると、一緒のような情報が何回も見せられているような気がします。ですから、このような形だったら見やすいかもしれません。→A局が生活情報を出す。B局が放射能対策を出すなど…。
私は、この東日本大震災を体験した者として、報道はすごく頼りになりました。なので、私たち被災者にとっても、被災者になっていない人にとっても、報道はちゃんとやるべきだと思います。人を不安から安心へと導くことも大切です。テレビに出演する立場にもこの震災を報道きちんと報道すべき言動や行動をテレビで映してほしいです。
【委員の所感】
- 今回、初めての慣れないモニターリポートにもかかわらず、真摯に取り組んでくれました。特に、震災報道で被災した子どもたちへのストレートなインタビューに対し、不快な印象をもったとの意見が多くありました。これは、世代が近く、年齢がそう離れていないため、小さいときの状態に想像が及びやすいからだと思います。子どもへの実感に近い共感と、優しさを感じました。あらためてこの世代のモニターが必要であることを痛感しました。
- 皆さんのリポートを読んでいると、「津波の映像で特に引き波の恐ろしさがわかった」「テレビが被災者の伝言板となっていた」といった評価する声が届いている一方、「被災地に向けて報道しているのか、被災地の外に向けて報道しているのかわからない」「どのチャンネルを回しても同じ場面の繰り返し」「避難所での取材・インタビューの仕方があまりにも失礼で見るに耐えないシーンもあった」「原発事故では、どの専門家の話しを信用していいのかわからなかった」などマスメディアへの批判も目立ちました。それぞれ感じるところがあったと思いますが、私自身はテレビなどマスメディアの報道は、あくまでも第二次情報に過ぎないと考えています。
- 中高生の感性で震災報道と向き合い、さまざまなことを感じていた様子がよく分かりました。被災された方と、被災されなかった方の感じ方の違いも分かり、興味深く読みました。また、被災して避難生活を送っている皆さんには最初の頃テレビがありませんでしたので、東京のキー局の発する震災報道は被災者に届いていません。実際に被災した体験者としては、避難生活を送っている人にとって必要な生活情報が少なかった、メディアもテレビよりラジオの方が貴重な役割を果たしていたと思います。
- 被災されたお二人のモニターの方を除いて、他のモニターの皆さんは直接的に被災されていないので、大震災に対して”ピンときていない”と思いました。モニターの皆さんは、ぜひ、時間を作って被災地の様子を、皆さんの目で実際に見てください。特に宮城県や岩手県の海岸部の被災地をご覧になることをお勧めします。人生観が変わると思います。
- 何人かのモニターから、各局が同じような内容の放送をするのではなく、分担制にしたらという提案がありました。震災直後からどの局も緊急報道態勢をとって同じような情報を競って伝えようとしていましたが、確かに非常事態においては、競争するよりも、各局が協力して役割分担をする必要があります。またラジオの効用を指摘する意見もありましたが、被災者が必要とするような情報は、テレビでは伝えにくく、むしろ地元に密着したラジオが重要な役割を果たすということも再確認できました。
- 何人かのモニターの方が、各放送局がそれぞれのジャンルを決めて放送し、同じような内容にならないようにすべきだという提案がありましたが同感です。また、放送されてない地域があったり、外国からの援助に関する報道が少なかったりするので、もっと多様な切り口から幅広く伝えてほしいという報告がありましたが、この意見ももっともだと思いました。
調査・研究について
本年度予定されている番組制作者を対象とした調査の実施にあたり、ワーキンググループで協議を続けてきた調査票案が担当委員から提出・報告され、委員会として了承した。