第121回 放送と青少年に関する委員会

第121回 – 2011年4月

TBS『さしこのくせに』制作担当者との意見交換

視聴者意見について …など

第121回青少年委員会は4月26日に開催された。東日本大震災のため3月委員会を中止したことから延期となった、TBSの深夜バラエティーの番組担当者との制作プロセス等についての意見交換を行った。また、2月15日から4月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、4月度の新中高生モニターのレポートについて審議した。

議事の詳細

日時
2011年4月26日(火) 午後4時30分~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

TBS『さしこのくせに』制作担当者との意見交換

当該番組について視聴者からの「スポンサーの運営する有料サイトに誘導する内容になっており、ファン心理に付け込んだ悪質なやり方」などの批判意見を受け、2月委員会で審議し、番組の企画意図や制作プロセス等について、委員会と番組担当者との意見交換を行うこととなった。

【TBS提出の経緯書】

深夜番組「さしこのくせに」投票企画に関するトラブルについて

このたび弊社の番組「さしこのくせに」(深夜1時25分~放送)の2月8日放送回における視聴者参加の方法をめぐり、視聴者の方々より厳しいご批判をいただきました。
私どもは、今回の件が放送に対する視聴者の皆様の信頼を揺るがしかねない結果になったことを重く受け止め、経緯の検証を行うとともに、番組の制作工程や体制の見直しをはかるなど再発防止に真摯に取り組む所存です。以下に事案の概要と経緯、今後に向けた私どもの見解を述べさせていただきます。

1.番組内容と今回の経緯
この番組はAKB48のメンバーの一人が毎回様々なチャレンジをし、視聴者がモバイルを使ってそれを評価する、という、いわばファンとの双方向性をコンセプトとしたバラエティ番組です。提供はモバイルコンテンツ事業会社で、制作は外部制作会社が請け負っています。
2月8日に放送された「番組存続をかけた投票」と言う企画は、スポンサーの代表者自らが出演し、主役のタレントに対し、「携帯サイトでファン投票を実施し、3月いっぱいで3万票が集まらなければ番組打ち切りを考える」と告げるものでした。
代理店を通し事前にこの企画を提案された弊社編成担当は、TBS運営の無料の携帯サイトで毎週行っている通常のファン投票の延長と理解いたしました。またスポンサーが番組に登場するという点についても、スポンサーが、番組内でタレントの活躍を審議するメンバーの一員に従来から加わっていることもあり、演出の範囲内であろう、と判断しました。
しかしながら、実際にはこの投票の場がスポンサーの運営する有料携帯サイト上であったため、投票しようとした視聴者にはサイト登録料などが必要となっておりました。
弊社側としましては、結果として、オンエア後に投票が有料であったことを知ることになりますが、投票のやりかたやシステムについて、局側の担当として代理店その他関係者と事前にすべき精査を怠っていたことは否定できず、大いに反省するところであります。

2.放送後の反響と対応
放送後、「番組と連動した投票でお金がかかるのはおかしいのではないか」、「お金がかかる旨を番組で知らせていないのはおかしい」といったご批判が電話およびメールで数十件寄せられました。 
実際投票する際には、携帯サイト上に「有料」となることが明示され、それを了解された方のみが投票する形とはなっていたものの、番組と連動した企画が「有料」となることに強い違和感を覚えた、とのご批判でした。
こうした批判を受け、スポンサー側では放送後2日後までに投票受付を打ち切り、サイト上において登録料と同額相当のポイントを還元する、といった救済措置について告知しました。
一方、弊社には一部視聴者から、投票のため登録したものの退会の仕方がわからない、という苦情も寄せられたため、弊社からスポンサーに対しサイト上に退会の手引きを明確に表示するように依頼、次週の2月15日放送回の番組エンディングにおいて、その旨をテロップにて告知いたしました。

3.今回の反省と今後について
私どもとしましては、放送される番組そのものの存続に関し、視聴者からの有料の投票で決定するという方法は不適切であると考えております。今回の投票が有料を条件とするものと事前に通知されていれば、企画として成立していなかったものと考えます。
一方で、今回の投票が有料でなかったとしても、「番組の存続をかけた投票」という内容そのものに問題があったのでは、というご批判もいただきました。
そもそも番組の継続、打ち切り、などの決定は純粋に局の編成権によっておこなうものです。にもかかわらず、「存続をかける」としたことで、必要以上にファン心理を煽ってしまったことも否定できず、深夜の企画開発枠とはいえ演出にやや行き過ぎた部分があった、といわざるを得ません。
今回の番組のようにインターネット、モバイルなどと地上波とが連動した企画が最近とみにふえており、そうした場合、編成、営業、制作会社、スポンサー、デジタルコンテンツ担当セクション、などが錯綜した連絡網の中で進行することになり、重要な情報が共有できない危険性も出てまいります。当然ながら局の担当としての編成の役割がますます重要となっており、企画立案、決定などのプロセスにこれまで以上に編成のチェックが求められると考えます。
私どもは今回の事態を深く反省するとともに、こうした複雑な構造の番組にはチェック機能を二重に設けることにいたしました。今後あらためて社外制作番組のチェックのあり方全体についても見直し、同様のトラブルの再発防止に真摯に取り組む所存です。

【意見交換概要】

◆番組の企画・放送の経緯
モバイルビジネスを展開するスポンサーから広告代理店を通じて、若者にも人気のあるAKB48のメンバーをフィーチャーしたサイト連動型の番組企画が営業を通じて持ち込まれ、担当部署である編成が精査した結果、将来的にも期待できると判断し成立に至った。問題とされた点については、広告代理店から放送側への連絡ミスがあり、事前チェックが不十分なままオンエアしたことが原因だった。

◆反省点と事後の対応
ネット・モバイル連動型については放送の外で、放送事業者が知りえない事象が起こることについての危機意識を持ち、番組の細部にわたって留意することが求められており、事後、スポンサー、代理店、営業、制作会社、編成等関係者による数度の会議が設けられ、意識とコミュニケーションの共有化を図るとともに、今回の事案の経緯をまとめ、他の類似番組についても再発を防止すべく体制を整えた。

◆ネット系メディアと放送の現状
各放送事業者は放送波と各メディアとを連動することにより、放送事業収入以外の何らかの利益を上げることを考えている。TBSも有料、無料のサイトを立ち上げ、各権利所有者等と協議しながら、責任の持てる範囲で一つずつ立ち上げている。テレビは大きなメディアなので各企業から様々な要望が寄せられるが、特に放送内容と関係することについては、情報の行く先が詳らかには見えず、100%責任が持てないことから、外部へのリンク等に関してはガイドラインを設け、基本的には禁止し危険を回避するよう努めている。

【意見交換を受けての青少年委員会としての所感】

各放送事業者は放送収入の停滞、低迷という現在の経済状況と、インターネットなど新たなメディア環境の急激な発達の中、その必然として(ビジネスの一形態として)各メディア連動型の番組が制作、放送される状況にある。今回の事案は、オンエアされた番組の放送表現については特段の問題は見えにくかったが、番組の情報がその先のモバイルサイトに行ったときに初めて表面化したというケースであった。
番組制作者も、ネット系連動番組はまだ緒についたばかりで模索段階にあることが推察され、放送された情報がネット連動により、伝達先でどういうことが起りうるのかということについての認識も十分とはいえない。また、放送倫理上の問題認識については放送事業者とスポンサー、代理店等関係者とで同一であるとは限らない。
当委員会としては、今後、ネット連動型の新たな分野の番組制作にあたっては、放送事業者が以上の点について十分に留意を払い、関係者相互のコミュニケーションと共通認識を図ること、そのための社内システムの検討とともに、関係各社と認識を共有する努力を期待したいと考える。

視聴者意見について

担当委員及び事務局より、視聴者意見の概要等について報告を受けた上で、番組の視聴及び審議の対象となる番組はなかった。

○東日本大震災に関する報道について

仙台に在住し被災した委員から、「被災者が欲する情報は生活関連情報だが、地元の地域密着型のミニFM放送が最も役に立ち、キー局が発信するテレビ報道には限界がありほとんど伝えられなかった」等の報告があった。また、被災地に赴いた委員からは、現地の詳細な状況等について報告があり、一連の報道について一委員会ではなくBPOとしてしかるべき時期に何らかの検証をする場を設けるべきだという方向が示された。

中高生モニターについて

4月のモニター報告は、当初「バラエティー番組」のジャンルを取り上げる予定だったが、3月11日に起きた「東日本大震災」が現在の国民の最大の関心事であり、新モニターには大震災関連の「報道・情報番組」について率直な意見や感想を求め、メンバー34人全員から報告が届いた。

【モニターの主な意見】

モニター報告では、まず、初めて大震災を体験したときの驚きの様子が報告されている。

  • 「3月11日は私にとってたぶん生涯忘れることのない日になると思います。地震直後から大津波で家屋等がいっぺんに流される映像が繰り返し報道され、現地に入ったリポーターの方が伝える被害の状況が日を追うごとに悲惨さを極めていく様子…。大自然の前では、人間に力がいかにちっぽけなものであるかをまざまざと見せつけられ、本当にやるせない気持ちになりました」。
  • 「まるで戦場のようで、これは映画の宣伝なのか、新しいCMなんじゃないか、そう感じずにはいられないぐらいに衝撃的で信じ難い映像でした。大地震、津波、原発事故と続けざまに大変なことが起こり、本当に日本はどうなってしまうのだろうか?と不安になりました。
  • 「今回の東日本大震災で、テレビの映像がどれだけ大きいものか分かりました。テレビやラジオなどの報道メディアは1秒も休む事なく緊急放送。僕はさまざまなテレビ局やラジオ局の緊急放送番組を見たり聴いたりしている中で、ただ一つ思うのは、1日も早い災害の復旧と復興、そして被災者の皆さんの安全、それを願っています」。

また、計画停電が始まる中で、ラジオが大切な情報源だったという報告も寄せられた。

  • 「私は3.11の翌日、毎週放送されるTOKYO FMの番組にチャンネルを合わせると、予想通りその番組はやっていませんでした。でも聞き覚えのある声がラジオから聞こえてきたんです。それはDREAMS COME TRUEの中村正人さんでした。中村さんは、つらいことも音楽で僕らと繋がっているから、みんなで頑張ろう!と伝えたかったんだと思います。私は素晴らしいと思いました。この放送を聴いて私は元気と勇気をもらいました」。
  • 「地震からちょうど1週間後、宮城県出身のサンドウィッチマンというお笑いコンビが『オールナイトニッポン』をやっていて、全国のリスナーに募金を呼びかけていました。サンドウィッチマンのお二人は被災者の皆さんに少しでも元気を取り戻してもらおうと一生懸命ラジオを通じて漫才をやっていました。被災者の皆さんからは、『元気を取り戻しました』『涙がでました』などと数々の感想が送られてきていて、僕は東北の皆さんが少しずつ元気を取り戻してきているんだなと感じ、日本はいま一つになっているんだなと思いました」。

次に、連日の震災報道が続く中で、取材方法などに疑問を抱くようになったという報告も多数寄せられた。

  • 「今回の震災報道について特に感じたことは、過剰な報道です。特にヘリコプターによる空撮および、被災者の方へのインタビューです。確かに、各局の『この事実を伝えたい』という気持ちは伝わってきます。しかし、ヘリコプターの騒音は救助の妨げになるというのは事実ではないのでしょうか。また、被災者の方へのインタビューは、被災者の方がどんな思いで、どんな苦しみで、どんな願いがあるのかなど、被災していない者には分からない『真実』が見えてくるので、いいことだと思います。しかし、それが果たして被災された方へのフォローとなるのかが分かりません」。
  • 「大地震が発生してから、その日のうちに被害にあった場所の映像が報道され、私はどんなにひどいものだったのか知ることができました。いつ余震がくるのか分からないなかで、危険をかえりみず現場に行った記者のみなさんのおかげだと思います。しかし、そのなかで少しやめてほしいと思ったことがあります。『今、家族を探している』と泣きながらもインタビューに答えていた人に対して、『今、一番願っていることはなんですか?』と聞いたことが、イヤだなと思いました。家族を必死に探している人に対して、その質問をしたらかなりの確率で家族の無事を祈ると答えるのではないのでしょうか?」。
  • 「次の日の朝、テレビをつけると家が流されていたり、病院の屋上でSOSを出していたり、発炎筒を振って救助を待っていたり…とにかく衝撃を受けました。そして、それらの映像がすべて上空のヘリコプターから撮影されていて、『あそこにSOSの文字が見えますね!!!』など、救助を待つたくさんの人が映されるたびに、私はさっき映っていた人はちゃんと救助されたのかな、とすごく心配に思いました。救助を待っている映像が映されて、その後のことが映されないと報道を見たり聴いたりいている側としてはとても不安になりました」。
  • 「こういう時なのでいつものようなCMは控えようと、すべてのスポンサーがAC JAPANのCMにしたため、何度も放送されていました。派手なCMを控えることは良いことだと思うので、災害時のCMを作っておくことが必要であるということも分かったことの一つだと思います。ですが、ACのCMを流す時間に被災者の安否確認の映像などを流すということはできないのでしょうか(=CMを流さない)」。
  • 「自分がマスコミに一番配慮してほしいと感じるのは風評被害への対策だと思います。農作物に出荷制限・摂取制限が発表され、消費者が買い控えるという事態が発生し、被災された農家の方も含め産地で大変な被害や損失が発生しているということが、またテレビで放送されています。確かに、テレビは真実を伝えなければならないというのは大前提ですが、視聴者の誤解を招かないような正確な情報を伝えるのも仕事だと思います」。
  • 「私は大地震が起きた夜、学校に泊まりました。教室にあるTVで報道を見ましたが、アナウンサーやディレクターの方々が慌てている様子が明らかに伝わってきました。罵声が飛び交っている場面もあり、私はもう少し落ち着いて報道ができないものか…と思いました。また民放は協力し合い、同じ内容を同時に流さないように調整したり、バラエティーやアニメ番組を放送したりして、人々の気持ちを明るくする必要も感じられます」。
  • 「私は地震直後、テレビが被災地の様子ばかり放送していてとても怖く感じました。そんなとき、TOKYO  MXテレビが『探偵!ナイトスクープ』(制作:朝日放送)を放送していて、とても安心しました。被災された方は、『こんな時に何てのんきなことを』と怒っておられたかもしれませんが、私にとっては救いでした」。

◆ 被災地在住のモニターからの報告(抜粋)
【宮城・高校2年男子】

「東北地方太平洋沖地震」から1ヶ月が経過した。テレビやラジオ番組は、音楽、バラエティー、ドラマなどが大半を占めるようになり、徐々に被災地の情報が減少している。また報道番組においても、東京電力福島原子力発電所に関する問題が中心となり、地方選挙や相撲の賭博問題など、幅広い分野を扱う本来の放送に戻りつつある。
私たち被災者の中には、テレビの枠部分にテロップとして流れる情報を基に活動する機会が多くなったと感じる人もいることだろう。しかしながら「被災者向け」でないのは仕方ないことだろう。地方の番組ならともかく、全国には被災地情報を必要としない人もいるため、全国放送の番組にとって被災地の様子をもっと取り上げてくれという要求に応えることは、非常に難しい。何を放送すべきなのか、視聴者は何を必要としているのか、私たち放送をする立場の人間には何ができるのか。改めて放送の原点に戻り、考えながら情報を伝えてほしいものである。
現在被災者である私は情報に対してとても敏感になっている。その状態でテレビを視聴していると、指摘したい問題がいくつも出てきたため、被災者代表として伝えたいと思う。4月9日土曜日の夕方テレビを見ていると、ある報道番組が福島原子力発電所の半径20キロ付近で取材をしていた。線量計を用いて避難区域は放射性物質の濃度が高いということを説明し、住民に避難することを促したり、現地の静寂とした様子をカメラに収めたりしており、とても興味深い内容であった。その中でこういう場面があった。車を運転していると、犬を発見した。その犬は近づいてきて、ここでナレーションが入る。「餌を求めてこちらへやってきたのだろうか」。そこですぐにまた原発の話に戻すのである。このとき、「この犬はどうなるのだろうか」と私は思った。実はこのような犬たちは、NPOの組織によって保護され、現在少人数で活動しているために協力してくれる人が欲しいとラジオで主張していたのを知っていたのだが、まるで原発しか目に入っていないような、説明の足りない場面であった。”問題”は原発だけではないのだ。
また、被災者たちは津波からの復旧がなされていないことに苛立ちを感じている。なぜ復旧が進まないのか…。それは、テレビやラジオで放送されてないからだという。具体的に、宮城県の気仙沼、石巻、岩手県の大船渡はよくテレビに映るが、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)という地域は放送されない。福島県いわき市は原発の問題だけ主に取り上げられ、津波の被害は”ついで”という感じである。もう少し全体的に取材するべきではないだろうか。津波は「三陸」だけではないのだ。
さらに、福島県や茨城県などは放射性物質に関する食品の問題がある。風評被害が心配だと連日されているが、人々は政府のあいまいな発言に戸惑いを抱き、テレビの解説を頼っている。そのテレビが人々を安心させる立場にあるのに、「福島県産の食品は心配だ」などというインタビューを取材してばかりだ。安全だと声を上げて主張する八百屋さんを取材したり、実際にスタジオで食べて安全を証明する活動を行ったりするなど、具体的な数値を使った説明だけでは足りないのではないだろうか。
テレビやラジオは人々を助けるための重要な存在なのだ。そして人々に大きな影響力を与えるそれらメディアは、日本の混乱を収束させる力を持っている。チェーンメールの具体的な内容を説明し、その内容は嘘だと伝えれば、人々がチェーンメールを流さなくなる可能性もある。CMで「チェーンメールに気をつけろ」などといっても、論理性のあるチェーンメールの内容には通用しない。知っている内容を何度も放送されれば、不満を抱くのも当たり前だろう。

【茨城・中学2年女子】

私は、今回の「東日本大震災」の被災者でもあります。そこで、私は一番強く関心を持ったのは「被災者の気持ち」です。特に、勢力をあげて報道をしているのがNHKだと思いました。NHKの報道は他局の民放局に比べ、多く被災者の”安否情報の掲載”、避難所へ行き”被災者の今訴えたいこと”等の報道を多く放送していました。また、NHKはいちはやく正確な情報を私たち被災者に報道してくれて、嬉しかったです。地震情報もすぐに出て、家族たちも安心をしました。
それに比べ、民放局は誤報が多く、人を惑わせていたりしているような気がします。放射能汚染問題でも同じです。「そこまで、報道するべきなの??」と私は思います。神経質すぎる報道が多すぎるのではないのか、と思います。
すべての報道でよかった事は、何日か前まで各放送局がテレビの左側などに出ていたテロップがすごく役立ちました。ですが、生活情報・放射能対策…等を出すならば、それぞれ放送局ごとにわけて情報を出してほしかったです。それぞれ見ていると、一緒のような情報が何回も見せられているような気がします。ですから、このような形だったら見やすいかもしれません。→A局が生活情報を出す。B局が放射能対策を出すなど…。
私は、この東日本大震災を体験した者として、報道はすごく頼りになりました。なので、私たち被災者にとっても、被災者になっていない人にとっても、報道はちゃんとやるべきだと思います。人を不安から安心へと導くことも大切です。テレビに出演する立場にもこの震災を報道きちんと報道すべき言動や行動をテレビで映してほしいです。

【委員の所感】

  • 今回、初めての慣れないモニターリポートにもかかわらず、真摯に取り組んでくれました。特に、震災報道で被災した子どもたちへのストレートなインタビューに対し、不快な印象をもったとの意見が多くありました。これは、世代が近く、年齢がそう離れていないため、小さいときの状態に想像が及びやすいからだと思います。子どもへの実感に近い共感と、優しさを感じました。あらためてこの世代のモニターが必要であることを痛感しました。
  • 皆さんのリポートを読んでいると、「津波の映像で特に引き波の恐ろしさがわかった」「テレビが被災者の伝言板となっていた」といった評価する声が届いている一方、「被災地に向けて報道しているのか、被災地の外に向けて報道しているのかわからない」「どのチャンネルを回しても同じ場面の繰り返し」「避難所での取材・インタビューの仕方があまりにも失礼で見るに耐えないシーンもあった」「原発事故では、どの専門家の話しを信用していいのかわからなかった」などマスメディアへの批判も目立ちました。それぞれ感じるところがあったと思いますが、私自身はテレビなどマスメディアの報道は、あくまでも第二次情報に過ぎないと考えています。
  • 中高生の感性で震災報道と向き合い、さまざまなことを感じていた様子がよく分かりました。被災された方と、被災されなかった方の感じ方の違いも分かり、興味深く読みました。また、被災して避難生活を送っている皆さんには最初の頃テレビがありませんでしたので、東京のキー局の発する震災報道は被災者に届いていません。実際に被災した体験者としては、避難生活を送っている人にとって必要な生活情報が少なかった、メディアもテレビよりラジオの方が貴重な役割を果たしていたと思います。
  • 被災されたお二人のモニターの方を除いて、他のモニターの皆さんは直接的に被災されていないので、大震災に対して”ピンときていない”と思いました。モニターの皆さんは、ぜひ、時間を作って被災地の様子を、皆さんの目で実際に見てください。特に宮城県や岩手県の海岸部の被災地をご覧になることをお勧めします。人生観が変わると思います。
  • 何人かのモニターから、各局が同じような内容の放送をするのではなく、分担制にしたらという提案がありました。震災直後からどの局も緊急報道態勢をとって同じような情報を競って伝えようとしていましたが、確かに非常事態においては、競争するよりも、各局が協力して役割分担をする必要があります。またラジオの効用を指摘する意見もありましたが、被災者が必要とするような情報は、テレビでは伝えにくく、むしろ地元に密着したラジオが重要な役割を果たすということも再確認できました。
  • 何人かのモニターの方が、各放送局がそれぞれのジャンルを決めて放送し、同じような内容にならないようにすべきだという提案がありましたが同感です。また、放送されてない地域があったり、外国からの援助に関する報道が少なかったりするので、もっと多様な切り口から幅広く伝えてほしいという報告がありましたが、この意見ももっともだと思いました。

調査・研究について

本年度予定されている番組制作者を対象とした調査の実施にあたり、ワーキンググループで協議を続けてきた調査票案が担当委員から提出・報告され、委員会として了承した。

2011年3月に視聴者から寄せられた意見

2011年3月に視聴者から寄せられた意見

東日本大震災についての意見が大半を占めた。放送各社は地震発生直後から厳しい状況下、取材に取り組み被災情報を伝えた。視聴者からは、騒音を出すヘリコプター取材を抑制しろ、生存者の救出の妨害になる、被災者に心ないインタビューをするのは許せない、津波映像の繰り返しばかりでなく安否情報が欲しいなどの批判が多数寄せられた。

3月にEメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は3,655件で、2月と比較して1,848件増加した。これにより2010年度の意見総数は20,419件となった。意見のアクセス方法の割合は、Eメール79%、電話18%、FAX2%、手紙ほか1%。
男女別では男性69%、女性29%、不明2%。
世代別では30歳代32%、40歳代23%、20歳代22%、50歳代10%、60歳以上8%、10歳代5%。

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。3月の通知数は1,172件〔42局〕であった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、74件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・ 7件
    (個人又は直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

3月の視聴者意見は東日本大震災についての意見が大半を占めた。2月より倍増の、3,655件だった。
地震による津波は太平洋岸の複数の街、地域をのみこみ、東京電力福島第一原発の放射性物質漏洩事故を引き起こした。死者・不明者が、およそ3万人にのぼる未曾有の大災害となった。放送各社は地震発生直後から厳しい状況下、取材に取り組み被災情報を伝えた。視聴者からは、騒音を出すヘリコプター取材を抑制しろ、生存者の救出の妨害になる。被災者に心ないインタビューをするのは許せない、津波映像の繰り返しばかりでなく安否情報が欲しいなどの批判が多数寄せられた。
首相記者会見時の中継音声や、スタジオと現地中継の切り替え時に不適切な声が紛れ込んだことなど、放送事故に対しても不謹慎であるという批判があった。
16年前の阪神・淡路大震災時の反省が生かされていないという意見もあり、災害時の報道・取材のあり方をあらためて問う声が多かった。また、CMの差し替えとして使用されたACジャパンの公共広告についても、放送頻度の高さや内容について、多数のクレームがあった。
時間の経過とともに意見数は収束したが、11日の地震発生以来の震災報道に関する意見は2,088件にのぼった。
なお、地震の影響でBPOのオフィスも被災し、システム障害により視聴者意見対応の機能を一時休止せざるを得なかった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は126件で、前月より25件減少した。
今月は、報道に関する意見が23件、視聴者意見への反論・同意が21件、低俗・モラルに反するとの意見および性的表現に関する意見が19件ずつとなった。
報道に関する意見については、東日本大震災の報道と、大学入試問題のネット流出事件の報道への批判がほぼ同数寄せられた。視聴者意見への反論・同意については、深夜アニメに対する批判への反論が多数寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • ヘリコプターでの被災地の中継をやめてほしい。倒壊した建物の下敷きになっている人の声が、かき消されて聞こえなくなる。これは阪神大震災の時、実際に起こった。
  • 警察のヘリコプターが被災者を救助する状況を、テレビ局のヘリコプターから実況中継していた。ヘリから発せられる風や騒音は、救助の邪魔になる。人命が関わる現場を、邪魔をしてまで報道する必要はあるのか。
  • 孤立した橋の上で助けを求めている人を映すだけで、「報道ヘリなので助けることは出来ません」などと自己弁護していた。被災者をぬか喜びさせ、手を振ったり叫ばせたりで体力を奪うような行為はどうかと思う。
  • 津波や、建物の被害状況などの映像が多く、被災地でこれを見ている人には、心理的負担が大きすぎる。視聴者が欲しい情報は、現地の食料、水等がどうなっているかや安否の確認などだ。通信手段も現地にはないので、避難所の様子を放送し、少しでも全国の人が安否不明者を発見できればと思う。
  • 菅首相の記者会見を放送していたが、男性の声で「ふざけんなよ。どうせまた、原発の話だろ」という声が入った。その後、女性の声で、微かな笑い声が聞こえ、「笑えてきた」というような会話があった。被災した方々は、家や家族を失い、情報が乏しい中で、知り合いの安否を心配し、つらい思いをしている。この不謹慎なテレビ局スタッフの発言は何事か。
  • 東京電力の、計画停電や原発事故などに関する会見で、記者の態度、言動がひどい。確かに説明がわかりづらかったり、情報が不足していたりするが、だからといって、記者がため口、暴言で攻め立てたりしてよいことにはならない。もはや東京電力の発表よりも、記者が不愉快で仕方ない。しかも記者が聞くことと言ったら、「今回の資料で初めてお詫びの言葉が入った」というような、重箱の隅のどうでもいいような事。マスコミは、情報を伝えるという本来の使命を忘れ、いじめる対象を見つけ、ここぞとばかり、叩くことを仕事としている。
  • 被災者に無理なインタビューをするのは傷つけるだけだ。「今どんな気持ちですか」とは、どういう神経なのか。家族を探している被災者に向かって「誰を探していますか」とは。あなたは考える頭はないのですか。嫌な顔をしているじゃないですか。
  • 衝撃的な津波映像が一日に何十回も繰り返し流されているが、そろそろ、こうした映像は自粛すべきではないか。ほとんどの日本人は、今回の災害の凄まじさを十分に理解したはずだ。避難所でもテレビが見られるところが増えているようだが、恐怖の津波体験から命からがら逃げてきた被災者の方に、こうした映像は「恐怖」を思い出させるだけで、トラウマになる。
  • 各局リポーターは競って被災地や避難所へ赴き、現状を伝え、人々にインタビューをしている。たしかに、我々一般視聴者からすると悲惨な状況をタイムリーに知ることができる。しかし、被災者の中には両親とはぐれた子供や家族の行方がわからない老人が多数いる。そのような方々からすれば、肉親や知人へ現在の自分の避難場所等を報告したいはずだ。どうして、もっと被災者の為に安否確認用のVTRを撮り、放送しないのか。
  • 被災者に対して「家がなくなってどうですか」「家族が亡くなってどういう気持ちですか」、また中学生くらいの被災者に対し「被災したときはどう思いましたか」など、被災者の気持ちや感情を無視した興味本位の質問をするのはやめてほしい。つらい経験をしている方々に、思い出させるような質問は見ていて不愉快だ。
  • 今一番必要なのは安否の確認情報だ。しかし残念ながらテレビはどこの局も同じようなドキュメントを流したり、悲しみを増幅するような報道ばかりで、必要な情報を十分に流していない。各局がばらばらに伝えるのではなく、それぞれが協力して無駄のない報道をするようBPOから促すことはできないか。
  • 民放各局がバラエティー番組を放送しはじめた。各家庭では計画停電や節電などで不自由をしている。テレビ局は節電などの取り組みはしないのか。せめて深夜放送の自粛などするべきではないか。
  • 母親を探す少年と、その祖父と叔母らを映していた。倒れた車の中で母親を発見したところでCMに入った。そしてCMをまたいで「残念ながら死亡していました」と言っていた。クイズやバラエティー番組のように、このような演出をすることは許せない。とても不愉快になった。
  • 家族を失い泣き叫ぶ人々を執拗にカメラで追いかけ、幼い子ども達の悲鳴を間近で撮影し、しまいには遺体安置所にまで足を踏み入れていた。番組制作スタッフの人間性を疑う。神戸の震災で報道による2次被害が多かったので、「子どもにマイクを向けないで」と、医療関係の団体が先日発表しているにもかかわらず、あの内容だ。大切な誰かを失った人々の、気持ちを踏みにじらないでほしい。
  • 昨日救出された16歳と80歳の方の報道についてだが、低体温症との報道があった。翌日にもうすでにカメラが、病室に入るというのは如何なものか。再会の場面を映してお涙頂戴だろうか。もっとそっとしてあげるべきだ。
  • 被災者の方々の大変さがテレビを通して伝わり、心を痛めている。何もできない自分に憤慨しているが、その中で、テレビの情報を大変貴重に感じる。テレビの情報の中に、子供を亡くされた方への取材が放送されていたが、遺族の心痛を思うと、そのこと自体を放送する意味があるのか疑問に感じる。情報とワイドショーの境界がつかず、何でも放送すれば良いという姿勢について、TV局にも倫理が求められるのではないか。
  • 福島第一原発で命懸けの作業にあたっている作業員をもっと応援してほしい。現場の方々は必死で事態を収拾させようと頑張っている。彼らにも家族がいて、逃げ出したい気持ちもあるはずだ。しかし報道されるのは現場での対応に対する批判ばかりで、実際に身をささげて作業している方が報われない。今出来ることは「国全体で現場の作業員を信じて応援すること」だと思う。
  • ACのCMがあまりにも多い。内容はいいとして、ニュースを見ている限り、どこの番組でも何度も何度も連発で「えーしー」「えーしー」と耳障りだ。中越地震の被災者だが、当時はこういう嫌がらせのような何度も何度も連発しての不快なCMはなかった。
  • ACジャパンのCMが「しつこい」「不快」などのクレームが発生していることを知った。私もこれらのCMをよく目にしたが、不適切な内容とは思わなかった。これが営利企業のCMなら自粛したらと思うが、内容はマナー向上や病気予防を訴えるものだ。クレームは大人げない人による八つ当たりだ。
  • 私の住む地域はどんどん停電時間が長くなっている。電車も満足に通っておらず、通勤がとても辛い。普段やっていることをかなり制限して、停電時間外も薄暗い中生活している。これだけ苦労しているのにテレビ局は明かりを煌々とつけ、薄着のアナウンサーが「節電を」と言っているのを見ると腹が立つ。
  • 食料品やガソリン不足が深刻になっているが、その原因を作っているのはマスコミではないのか。被災地や東京都内のスーパーやガソリンスタンドに行列している様子を繰り返し放送し、物不足を煽っているようにしか見えない。牛乳や野菜から放射性物質が検出されたという報道も、過去に起きたダイオキシンに汚染された、ほうれん草のことを思い出させる。真実を報道するどころか、国民を煽って不安にさせているだけだ。
  • 放射線の影響説明は、医師にさせるべきだ。原発事故での放射線の人体への影響説明を、工業系大学の方がよくしているが、人体の影響は医師がすべきではないか。医学的知識が充分とは言えない方が、「人体に影響が無い」と発言するのは、原発推進側の発言ととられても仕方がない。
  • 原発事故から発生した放射線騒動を煽っているのは、報道だ。昨日東京都が「乳児に水道水を与えないで」と言っていたが、これをかなりセンセーショナルに伝え、国民の不安を煽っていた。専門知識がないのに難しいことを伝えなければならないのだから、多少混乱することはわかる。マスコミの本当の役割は国から出た情報を、国民に分かりやすく伝え不安を取り除くべきなのに、国を批判し、不安を煽るばかりだ。
  • 報道に携わる者には、一般人以上のモラルと常識が求められる。記者会見場でのリポーターの発言や、被災地からの中継での発言を見ていると、呆れるばかりだ。大手マスコミは特権を持っているかのような立ち居振る舞いを改めるべきだ。また、東京電力管内では計画停電が実施されているのに、在京キー局が電波を出し続けていることにもいら立ちを感じる。停電によって操業できない企業があることを考えると不公平だ。
  • 地震に関する報道番組で、不謹慎な発言をするアナウンサーや、報道フロア内での不適切な発言が目立っている状況は、テレビ報道における資質の低下ではないだろうか。地震発生直後から各種番組を見ていたが、ほとんどのアナウンサーが被災に遭われた方に対し、「今のお気持ちは」などと不適切極まりない質問しかしておらず、腹ただしく思える。
  • 報道機関の役目は事実を報道することが当然だが、その報道によって視聴者に与える影響も考慮されたものでなくてはならない。常に自己反省を忘れず、報道機関こそが高潔な良識の府としての役割を果たされるよう期待する。

青少年に関する意見

【報道に関する意見】

  • 入試問題のネット流出事件に関する報道について、いくら何でもここまで大ごとにすることなのか。未成年に対してこれほどの仕打ちはひどい。カンニングが悪であることは事実だが、このような未成年を正しく導くようにするのが社会のありようだ。良識ある報道を期待する。
  • 入試問題のネットへの投稿は犯罪としては軽微だ。また、当該受験者が未成年であるにもかかわらず、各社が過剰に報道し、個人の特定が可能な情報を電波に乗せることは、当該受験者の人権を侵害し、未来ある若者の可能性を奪うものである。報道機関として望ましくないのではないか。このような瑣末な問題より、報道すべき重要な問題があると思う。
  • 大震災発足から始まった民放各局の報道に憤りを感じる。パニック状態の中の被災者にマイクを向けて感情を煽ることは、人を人とも思わぬ非情な行いだ。いま必要な報道は、被災者の利益になる客観的な情報ではないか?子どもにマイクを向けることのリスクや、心理的に被災者がどれほど不安定なのかを知るべきだ。
  • 今回の震災報道は、報道番組での不謹慎な態度や発言、子どもへの不用意なインタビューなど目に余る。阪神大震災の教訓が全く活かされていない。子どもや未成年者に「恐かった?友達は無事?」などと聞くことは、不要な恐怖心を煽る恐れがある。「報道の自由」を盾にした傍若無人ぶりに視聴者は怒っている。

【性的表現に関する意見】

  • 人気アイドルグループ主演のドラマだが、「高校生が妊娠」「高校生らしからぬ性的な会話」など、非常に過激な内容である。今人気のアイドルが、ドラマとはいえ低俗な発言をすることはいかがなものか。子どもにも認知度が高いため、子どもが録画して見る可能性がある。いくら深夜でも、多くの人を不快にしたり誤った知識を植え付けてしまう恐れがあるように思える。
  • アニメで、襖が開いた瞬間、和服の女性が着物を脱いで裸で男性の上に覆いかぶさっているシーンがあった。明らかに性行為を連想させるシーンだった。幼稚園児の子どもと見ていたので急いでチャンネルを変えたが、子どもも見ている時間帯にこんな映像は相応しくない。制作者はもっと常識を持つべきだ。
  • 夕刊紙の記事紹介コーナーで、AV嬢がどうのこうのなどと紹介していた。小学生の子どもと見ていて、慌ててテレビを消した。日頃は仕事でこの時間帯は一緒にテレビを見ることが稀なので、非常に考えさせられた。真面目な内容ばかりを求めるわけではないが、学校から帰った子どもが普通に見る時間にわざわざ放送する内容ではないと思う。

【低俗、モラルに反する】

  • 子が見る時間帯に、殺人事件を題材にしたドラマなど倫理上最低な番組を放送してほしくない。申し訳程度のテロップを表示しただけでは解決しない問題だ。CMも最近は借金問題がどうのなどと話にならない。子どもが良くない言葉ばかり覚えてしまい、教育上問題なのでもう少し考えて放送してほしい。
  • 若者の間に無精ひげが流行っているが、非常に見苦しい。これはテレビなどの芸能人に影響されたものではないか。若者はテレビに影響されやすいのだから、芸能人には良い意味での手本であってもらわなければ困る。

【要望・提案】

  • 裸で意味のないことを言ったり、人をバカにしたり、肉体的欠陥を笑いにするような番組は青少年に悪影響だ。もっと道徳的な番組を放送してほしい。道徳的といっても、ドラマやバラエティーでもいい。他人を敬い家族を大切にするよう教えるものを作ってほしい。
  • 地震の映像を何度も繰り返し流し放題ではないか。子どもの心に与える影響を考えてほしい。不安を煽る様な放送はやめてほしい。

【いじめに関する意見】

  • 私は薄毛で、小学生の息子も薄毛で悩んでいる。バラエティー番組で、カツラの毛を飛ばされないようにスピードを競うレースを息子と一緒に見た。息子は黙り込んでしまった。今までも髪のことでいじめがあったようだが、放送で更にエスカレートしないか心配だ。子どもに人気の番組で、いじめを助長するような、肉体的欠陥を笑う放送は問題だ。
  • 子ども向けのバラエティー番組で、大人のあだ名を子どもの出演者が当てるコーナーがある。ところが、デブやブスなど、人の特徴をバカにするようなあだ名ばかり言っていた。こういう番組が子どものいじめを助長しているのではないのか。

【言葉に関する意見】

  • テレビの影響で若い人は日本語が乱れている。「すげぇ」「うめぇ」「マジ」など、粗雑な言葉が氾濫している。テレビの持つ大きな影響力を正しく使えば青少年の育成に役立つのに、負の力ばかり行使している現状は「もったいない」の一言に尽きる。教育上テレビの担う役割について、放送業界には今一度考えていただきたい。

【危険行為推奨番組に関する意見】

  • バラエティー番組の宣伝で放送されているアイドルへのいたずらについて。椅子に座るとその椅子が壊れて尻餅をつくという内容だが、問題だ。危険性が高いし、子どもでもできるため、このいたずらを真似してしまう危険がある。このような内容は放送されるべきではないと思う。

【犯罪助長に関する意見】

  • 最近の事件報道は詳細を伝えすぎだ。かつては淡々と事件の概要だけを伝えていたが、最近では犯罪の手口から凶器の販売先、容疑者の逃走経路までこと細かに伝えている。これらの報道を見て育つ青少年は、いとも簡単に犯罪手口を学んでしまうだろう。このような報道のあり方をBPOでなんとかできないのか。このままでは青少年の犯罪が増えるのではないかと危惧している。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 深夜でもアニメは子どものものと思っている親が多いようだ。深夜アニメに対し「不健全」などの意見があるが、アニメの暴力描写や性的描写に対して苦情を寄せることには疑問だ。アニメにも伝えたいことがあるからこそ過激な表現をしているのであり、無意味ではないはずだ。その点を理解し、子どもに見せたくないのであればしっかりと説明したうえで、意見をしてもらいたい。

【CMに関する意見】

  • ローカル放送でパチンコCMがきわめて多い。昼夜を問わずパチンコ店のCMばかりだ。子どもも見る時間帯にも当たり前のように放送されるので、放送局にはもう少し考えてもらいたい。

第171回 放送と人権等権利に関する委員会

第171回 – 2011年4月

審理要請案件「ブランドバッグ販売をめぐる輸入業者からの訴え」~審理入り決定

2月および3月の苦情概要 ……など

3月の定例委員会が東日本大震災の影響により中止となったため、2か月ぶりの開催となった。この日の委員会では、偽造ブランドバッグを販売したとの放送によって名誉と信用を毀損されたと申し立てられた審理要請案件について審議し、審理入りが決まった。

議事の詳細

日時
2011年 4 月19 日(火) 午後4時 ~5時45分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

審理要請案件「ブランドバッグ販売をめぐる輸入業者からの訴え」~審理入り決定

偽造ブランドバッグを販売したとの放送によって名誉と信用を毀損されたと申し立てられた審理要請案件について審議し、審理入りが決まった。
番組はTBSテレビが2010年4月9日に放送した『芸人記者VS超犯罪現場体当たりスクープSP』。申立ての対象となったのは、「若い女性に人気があるアメリカのブランドの偽造バッグ販売店を取材し、ブランド品の模倣品販売の実態を視聴者に知ってもらう」という企画。予め店でバッグを購入しアメリカの本部に鑑定を依頼、偽物との鑑定結果を得てレポーター役の女性お笑い芸人らが駅ビル内にある販売店を直撃取材し、その模様等をVTR映像で流した。またゲスト出演した弁護士らが、当該バッグの販売は「法に抵触する恐れがある」等とコメントした。
この放送に対し申立人は「バッグは偽物ではなく違法性もないのに『悪徳ショップ』『違法ショップ』等の罵詈雑言をあびせ、偽物と断定し、販売に違法性があると決め付け、申立人の名誉と信用を毀損した。放送により店員が誹謗中傷を受けて退職し、放送された店が閉鎖に追い込まれるなど営業的にも多大な影響を受けた」等と主張、TBSに謝罪等を求めて交渉を続けてきた。
これに対しTBSは「番組の目的はブランド品の模倣品販売の実態を視聴者に知ってもらうことであり、具体的な店舗名や関係者の特定や告発ではない。したがって、店員の姿、ビル概観や店舗内の映像はモザイク処理等を施し、音声も加工するなど慎重に配慮した。申立人はアメリカの本社がバッグを本物と認めたという証明をしていないし、偽物と判定したことへの反証もしておらず、一般の人々が受け入れられる主張ではない」等と反論。
双方の話し合いは進まず、申立人は今年3月、申立人が代表取締役を務める会社名で委員会に申立書を提出した。
この日の委員会では、申立人から提出された「申立書」および「関連資料」、TBSから提出された「交渉の経緯と局の見解」「関連資料」「番組同録DVD」等をもとに審理入りするかどうかを審議した。この結果、本件申立ては委員会運営規則に定められた審理の対象となる苦情に該当し、且つ団体としての申立て要件も充たしているとして審理入りを決めた。
次回委員会から実質審理が行われる。

2月および3月の苦情概要

2月および3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・22件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・102件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 事務局より以下について報告した。
    今年2月に通知・公表が行われた「大学病院教授からの訴え」事案の当該局であるテレビ朝日が4月12日、堀野委員長と本事案の起草主査を務めた小山委員の2人を講師に招き、局内研修会を開催した。同局報道局員ら約50人が出席し、決定の概要について説明を聞いた後、委員との間で意見を交換した。率直で活発なやり取りが続き、研修会は予定の2時間を越えて行われた。
  • 次回委員会は5 月17 日(火)に開かれることになった。

以上

第48回 放送倫理検証委員会

第48回 – 2011年4月

事実確認に問題があったテレビ東京の情報バラエティー番組『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』及び毎日放送のバラエティー番組『イチハチ』2事案

ペットショップの取材対象者が不適切だった日本テレビの報道番組『news every.サタデー』 ……など

第48回放送倫理検証委員会は、定例の第2金曜日を第3金曜日に変更して、4月15日に開催された。
一括審議となったテレビ東京『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』事案、毎日放送『イチハチ』のホテル買収事案及びニューヨーク不動産事案の3つについては、担当委員が作成した意見書の原案について審議した。
同じく審議中の日本テレビのニュース番組『news every.サタデー』についても、担当委員から意見書の原案が提出された。今回の問題が起きた背景を、担当ディレクター個人と報道局という組織の両面から検証したもので、次回に委員会の議論を踏まえた改定案に基づく審議をすることになった。
政治的公平性に問題があるのではないかということで前回審議入りしたBS11の『”自”論対論 参議院発』については、意見書の骨子が担当委員から提示され、主に表現の自由と放送法との兼ね合いをどう考えるかという点で議論が行われた。

議事の詳細

日時
2011年 4月15日(金) 午後5時30分~8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷代行、吉岡代行、石井委員、香山委員、重松委員、服部委員、水島委員

事実確認に問題があったテレビ東京の情報バラエティー番組『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』及び毎日放送のバラエティー番組『イチハチ』2事案

  • 番組で酵素飲料を飲みダイエットに成功したと紹介した女性が、その飲料を販売する会社の社長だったことがわかったテレビ東京の『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』(2010年11月8日放送)
  • ホテルを購入しようとした女性に密着した取材が、ホテルの宣伝のための作り話ではないかと視聴者から指摘された毎日放送の『イチハチ』(2010年11月17、24日放送)
  • 同じ『イチハチ』で、出演した女性がニューヨークに23件もの不動産物件を持っていると紹介し、その後、毎日放送が「女性の所有だったとは証明できず、(中略)事実と異なる放送をした可能性が極めて高いと言わざるを得ない」と公表した事案(2011年1月12日放送)

上記2番組3事案は、いずれも出演者からもたらされた情報に対する事実確認の杜撰さから起こった問題であることから、委員会は前回から3つの事案をまとめて審議している。今回は担当委員から意見書の原案が提出され、各委員の間でさまざまな意見が交わされた。委員会の考えていることを、どうしたら放送局の上層部だけでなく、実際に現場で番組を作っているスタッフに伝えることが出来るかという問題に多くの時間が割かれた。今回の議論を踏まえ、次回の委員会までに担当委員が意見書の改定案を作成することになった。

ペットショップの取材対象者が不適切だった日本テレビの報道番組『news every.サタデー』

番組の中で紹介されたペットサロンとペット保険の2人の女性客が、実は一般の利用者ではなく、ペットビジネスを展開する運営会社の社員だったという事案。審議入りしたあとの議論を踏まえて、担当委員から意見書の原案が提出された。 今回の問題が起きた背景を、担当ディレクター個人と報道局(経済部)という組織の両面から検証したもので、委員の間でさまざまな議論が交わされた。 一方、当該局からは、審議入り後に報道局の社員やスタッフが、各部ごと番組ごとに議論を重ねてまとめた総括的な社内文書「なぜニュース番組で『不適切手法』が放送されてしまったのか?」が委員会に自主的に提出され、議論の参考とされた。 次回の委員会には、意見書の改定案が提出され、審議が続けられる。

政治的公平性が問題になったBS11の討論番組『”自”論対論 参議院発』

司会者もゲストも、全ての出演者がひとつの政党所属の議員だけで構成されていて、政治的公平性に問題があるのではないかと前回審議入りした事案。『”自”論対論 参議院発』全11回の放送を視聴しての審議が行われた。 表現の自由と放送法との兼ね合いをどう考えるか、また、番組のスポンサー表示がなされていないことが問題ではないか等の議論が行われた。次回の委員会までにBS11からヒアリングを行い、問題点を整理して原案作成に入ることにした。

以上