第229回 放送と青少年に関する委員会

第229回-2020年12月

視聴者からの意見について…など

2020年12月14日、第229回青少年委員会をBPO第2会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、2つの番組について「討論」しました。
夜のバラエティー番組で、LGBTを扱ったドラマのパロディーとして、男性芸人が控室に挨拶に来た男性後輩芸人に対して、上半身裸になって肩や胸をマッサージして言い寄るというドッキリ企画について「放送時間帯として子どもが見る時間帯であり、LGBT当事者の子ども達への影響は大きい」などの視聴者意見が寄せられた件について、全委員が番組を視聴したうえで議論しました。その結果、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって「討論」を終了することになりました。
深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクを自称するお笑い芸人が、幼いアイドルを応援している、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話したことに対して、「GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」などの意見が寄せられた件について、全委員が番組を視聴したうえで議論しました。その結果、次回の委員会でさらに「討論」を継続することになりました。
12月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たニュース・報道番組について」でした。23人から報告がありました。
あるモニターからは、土日の6つの番組を比較し、朝の報道番組について「このコロナ禍で女性のうつが前年同月比でプラス82.6%増加とのことで、イギリスでは『孤独担当大臣』というのが存在することも報道されていました。番組内で『最も悲惨な貧困は孤独であり、愛されていないと感じることだ』というマザーテレサの言葉も紹介されていて、とても印象に残りました」さらに朝の情報・報道番組について「他の番組と切り口が異なっていたのが、マスク着用になり高齢者の音の聞こえについて触れていた点です。ただでさえ、高齢者は聴力が下がるところを更にマスクを通して聞こえる声は、高齢者にとっては高音が聞き取りにくい状況になるとのことでした。そして、『拍手→握手』『佐藤→加藤』に聞こえるなど不明瞭で聞き間違いも起きやすくなる傾向があり、マスクを着用している話す側が、今まで以上ゆっくり丁寧に繰り返して話すようにしなくてはと感じました」というリポートが寄せられした。また、別のモニターからは、コロナのニュース全般について「視聴者の不安をあおるものが多いと感じます。悪い面という一つの面の報道より、うまくいっている事例も入れた多面的な報道のほうが、視聴者にとってわかりやすいものになると思いました。例えば、異なる意見や主張があるときは、それぞれの言い分を丁寧に説明してほしいです。新型コロナの報道の場合、地方ニュースは全国ニュースよりも自分の生活に関わりの深いことを教えてくれるので参考になります。報道番組は、私たちの生活に必要な意思決定をするための材料を多角的に偏りなく伝えるものであってほしい」などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は1月26日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2020年12月14日(月)午後4時30分~午後7時
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]第2会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

前回委員会を受け、2件の番組について「討論」しました。
芸人自らが考えた動画の面白さを競うバラエティー番組において、LGBTを扱ったドラマのパロディーとして、男性芸人が控室に挨拶に来た男性後輩芸人に対して、上半身裸になって後輩の肩をマッサージしたり、胸をもんだりして言い寄るというドッキリ企画について、「放送時間帯としても子どもが見る時間帯であり、LGBT当事者の子ども達への影響は大きい」「子ども達が見るかもしれない時間帯に放送しているため、性的少数者、性犯罪被害者に対する差別や偏見を招きかねない」「LGBTを侮辱している。子どもには見せたくない」などの意見が寄せられた件に関して、委員全員が番組を視聴し、「討論」しました。当該局からは参考資料として報告メモも出されました。
委員からは、
「当該局の報告によれば、不適切だという視聴者意見が多数来たことをスルーしないできちんと受け止めて、それを現場や局全体で共有して、一旦立ち止まって対策をしていることがわかった。このことは評価できると思う」
「番組全体を見れば性的少数者をバカにしているわけではないのは分かるが、不適切と言われればそういうことになるのだろうと思う」
「報告メモを見ると、局としても真剣に検討したのが分かる。有名なタレントが持ち込んだ企画は、手が入れにくいのだろうかとも感じた」
「当該局の報告では、何が問題なのかはかなり明確で、それをきちんと分析している。これが今後に生かされるだろうから、審議に進む必要はないと思う」
「ドッキリ企画をもっと面白くすることは不可能なのか。差別、パワハラやセクハラ以外で、もっと面白いことの可能性というのを自分たちは思いつかなかったのか、制作者としてそこは省みてほしい」
といった意見が出されました。
この件については、「審議」には進まず、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって、「討論」を終了することとなりました。

深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクでロリコンを自称するお笑い芸人が、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話をしたことに対して、「海外の仲間は体内にGPSを埋め込まれていると話していた。GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」「芸人の発言が犯罪を肯定的に扱っていた印象を受けた」といった意見が寄せられた件に関して、委員全員が番組を視聴し、「討論」しました。当該局からは、参考資料として報告メモも出されました。
委員からは、
「GPSの性犯罪を笑いにしようと思っていたわけではなく、幼いアイドルのファンで、それが本業のお笑いに影響が出ているという趣旨で放送したかったことは分かった。しかし、その中でアメリカの仲間はGPSをつけているという発言が出てきたときに、それをそのまま放送してしまうということの問題性は、よく考えたほうがいいと思う」
「局側が性的な意味合いではないと言っていても、GPSを埋め込まれているのが仲間にいると言ったことで、性的な意味合いに文脈として構成されてしまったことを番組制作者たちが理解できていないのではないか」
「GPS発言をわざわざテロップでフォローし強調している。テロップを作ったのはスタッフで、芸人の話はここがポイントだとスタッフが取り上げてやったのではないか。そこはきちんと考えてほしい」
「発言した芸人は、笑いの差別化のためにあのようなことを言ったほうが受けると思ってやったのだろうが、それは編集の時点でカットしてあげないと芸人自身にもマイナスになってしまうのではないか」
「システム的にどういうチェック体制ができているのか、放送前に誰が最終的に判断するのか知りたい」
「テロップまで出ているので誰かが気がついているはずだが、最終チェックでスルーされていたとしたら、チェックする人にそのセンサーが欠けていたという気もする」
といった意見が出されました。
この件については、次回委員会で「討論」を継続することになりました。

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした12月のテーマは、「最近見たニュース・報道番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で23人から報告がありました。
「最近見たニュース・報道番組について」では、1人で複数の番組について取り上げたモニターもいて、全部で24番組について感想が寄せられました。その中で複数のモニターが取り上げたのは4番組で、『NHK NEWS おはよう日本』と『NHKニュース7』(いずれもNHK総合)をそれぞれ3人が、『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)と『ZIP!』『NEWS every.』(いずれも日本テレビ)をそれぞれ2人が取り上げていました。
「自由記述」では、12月のテーマに関連して、「情報番組は局による個性が出ている。面白いと思った」という感想や、「(Go Toキャンペーンを取り上げた番組を見て)放送局は政府批判をあおることが使命ではない。コロナをみんながどう乗り切るか、前向きに考える番組を作ってほしい」という要望がありました。また、芸能人の不倫報道やアメリカ大統領選に関する報道について考えたことを記述したモニターもいました。
「青少年へのおすすめ番組」では、11月のおすすめ番組についても多くの感想が寄せられました。複数のモニターが取り上げた番組は3番組あり、『Best Artist 2020』(日本テレビ)を4人が、『ボクらの時代』(フジテレビ)を3人が、『ストロングポイントクロス』(BS日本)を2人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • テーマは「ニュース・報道番組」だったが、情報番組を取り上げて記述しているモニターが多く、「報道番組」「ニュース」「情報番組」のすみ分けが曖昧だということが伺えた。

    • ストレートニュースはどう解釈したら良いか伝わりづらいのに対し、ワイドショー的なニュースは説明やコメントが入るので面白いと若い世代に受け入れられているようだ。ニュース番組でもコメンテーターがいて、さまざまな意見を言うことで理解が進むことがある。放送局は今後、どういうふうにニュースを放送していくのか。番組のカラーを出しながら伝える方向にだんだん変わっていくのかもしれないという印象を受けた。

    • コロナ報道に関して、不満や不安を抱えているモニターが少なくないことが分かった。例えば、「視聴者の不安をあおっている」「多角的に偏りなく伝えてほしい」などという意見があった。放送局としては、ある程度配慮していろいろな見方を取り上げているのだと思うが、それでも放送内容にバランスが欠けていると感じている若い視聴者がいるということは制作者に伝える必要がある。

    • ローカルの番組について、数人が、自分に身近な情報を伝えてくれていると評価していた。うれしいと思った。

    • 情報量が多く慌ただしいと感じた番組について報告してくれたモニターがいた。番組の方針や、個々の視聴者の感じ方によって違うのかもしれないが、いろいろな人の意見に耳を傾けていくことが大事だと思うので、こういう意見も参考になると思った。

    • 『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)朝の時間は長時間見ている視聴者は少ないので、天気予報は30分に1回ほどとこまめに放送しているが、あるモニターがこの天気予報について記述していた。「キャスターの服装を真似てファッションコーデを組むというのはよくある話だ」ということだが、屋外から中継する場合に厚手のマフラーを巻いているのを見て寒さが分かるなど非常に役立つのだろう。気象キャスターの役割は重要なのだと感じた。

    • 「ニュースを視聴する時間が少なくなった。新鮮味がないと感じるからだ」というモニターがいた。「ウェブメディアや新聞など、短い時間でさまざまな情報を幅広く扱う情報媒体のほうにシフトしている」という記述がとても寂しく、気になった。

    • 『英太郎のかたらんね』(テレビ熊本)ローカルのニュース番組で、地元のダム問題について取り上げ、知事の所信表明をそのまま中継していたのだという。モニターが「生の声をそのまま放送するのがテレビらしく良かった」と評価していた。キー局の番組を見ていると、肝腎な人が説明しようとするときに途中で遮って、解説者などが勝手にまとめてしまうことがあって、いつも腹立たしいと思っていた自分としては、この番組のように朝からきちんと知事の説明をありのままに中継するというのは立派だと感じた。為政者が大事なことをどういうふうに、どういう言葉で説明するかということは、きちんと中継する必要がある。

    • 若い視聴者の中には、メジャーな放送局が視聴者を誘導しようとしているのではないか、ごまかそうとしているのではないか、と疑いの目で見ている人も少なくない。テレビ局はもっと意識をして神経を使いながら番組制作を行わなければならないと感じた。

  • 【自由記述】

    • ニュース番組内の特集について、テーマのマンネリ化を感じているという声が届いた。「地元の商店街」や「人情食堂」のようなものが多く、見飽きてしまったという。もっとシリアスな内容を見たいという。中高生の中には、「社会派」のもの、シリアスな問題に切り込むようなものを求めている人もいるということを制作者に伝えたい。

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 音楽番組で「男性が選んだ〇〇」「女性が選んだ〇〇」というテロップが画面の上のほうに出ていたが、若い人たちの感覚と合わない文言だったという意見があった。興味深い指摘だと思った。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • 『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)ほかの番組と切り口が異なっていたのが、マスク着用になり高齢者の音の聞こえについて触れていた点です。ただでさえ、高齢者は聴力が下がるところを更にマスクを通して聞こえる声は、高齢者にとっては高音が聞き取りにくい状況になるとのことでした。そして、「拍手→握手」「佐藤→加藤」に聞こえるなど不明瞭で聞き間違いも起きやすくなる傾向があり、マスクを着用している話す側が、今まで以上にゆっくりと丁寧に、繰り返して話すようにしなくてはと感じました。(長崎・中学1年・女子)

    • 『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)朝の時間は食パンをくわえて走りたくなるほどに忙しい時間帯なので、欲しい情報が簡潔にまとまっていて助かっています。視聴者が短い時間で見ることに配慮して、一つ一つのコーナーが短くなっていて、どんどん変わっていくので広い分野のニュースを知ることができます。天気予報では、外にいるお天気キャスターが気象の情報だけでなく体感の天気も教えてくれます。キャスターの服装を真似てファッションコーデを組むというのもよくある話です。「おはBiz」では最近の新規事業やチャレンジを伝えていて、ビジネスに今の状況が反映されているのを見るのが面白いです。政治に経済も一緒に結びつけて考えるようになるので良いと思います。ちなみに、公民のテストがあったときの時事問題対策には『おはよう日本』がもってこいだと私の友達が言っていました。(千葉・高校1年・女子)

    • 『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)などの複数番組。私は朝にNHKの全国ニュース、夕方にNHKや民放の地方ニュースを見ています。NHKでは新型コロナウイルスの情報をグラフや数値を使って分かりやすく報道してくれます。しかし、各局とも、視聴者の不安をあおるものが多いと感じます。悪い面という1つの報道より、うまくいっている事例なども入れた多面的な報道のほうが、視聴者にとって分かりやすいものになると思いました。例えば、異なる意見や主張があるときは、それぞれ言い分を丁寧に説明してほしいです。新型コロナの報道の場合、地方ニュースは全国ニュースよりも自分の生活に関わりの深いことを教えてくれるので参考になります。報道番組は、私たちの生活に必要な意思決定するための材料を多角的に偏りなく伝えるものであってほしい。(岡山・中学2年・女子)

    • 『NHKニュース7』(NHK総合)この日は「カプセル日本に到着 はやぶさ2の試料分析へ」「医療ひっ迫 旭川市に自衛隊看護師派遣へ」「手袋が足りない!医療・介護現場で悲鳴」「英国でワクチン接種開始」などが放送された。専門家の取材が放送されていたが、なんとなく無機質なものに見えた。その原因はスタジオに呼ばれた専門家の生の声ではなく、あらかじめ録音し、編集もされていた映像を放送したことにあったような気がする。専門家の意見を聞く場面も生放送のほうが専門家の意見が伝わりやすいし、編集が加えられていないプレーンなものだと視聴者にも伝わるため視聴者の安心にもつながるのではないだろうか。(千葉・中学1年・男子)

    • 『NHKニュース7』(NHK総合)アナウンサーが、コロナのような重いニュースのときは深刻さが伝わるように、はやぶさ2のように明るいニュースのときは楽しそうに報道していて、雰囲気が伝わってきた。(長野・中学2年・男子)

    • 『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)検索ランキングを使っているのがすごくいいと思った。中でもみんなが気になりそうな「鬼滅の刃」や「謝罪会見」の話など、ピックアップする話題が絶妙で、すごくいいなと感じた。また、司会のビートたけしさんがズバズバ自分の意見を言うのも面白くていいなと思った。ニュース以外の部分も面白く長い放送時間が短く感じた。コロナの感染者数もグラフを上手く使っていて分かりやすく、専門家の意見も重要性を感じるものだった。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『ZIP!』(日本テレビ)鉄道会社、消防署の方々の感染対策について特集していたが、こんなにも私たちのためにつり革などのアルコール消毒など、感染対策をしてくださっていることを知り、とても安心した。これからも、公共の建物などの感染対策についてテレビで取り上げてもらえればうれしいと思った。しかし、会社の宣伝のようにも見えてしまい、いやらしく感じてしまう自分もいた。(宮城・中学1年・女子)

    • 『NEWS every.』(日本テレビ)特集は、私が見たときには3兄妹の経営する店に取材したものを放送していました。テロップを多く出しており、見やすく情報も伝わりやすい映像になっていると思いました。特集自体は面白いものだったのですが、コーナー終了後もニュースが多く、番組後半は慌ただしいなという印象を受けました。ニュースの取り上げ量は多く、さまざまな情報が得られるのでいいと思うのですが、もう少し各情報をゆっくりと丁寧に取り上げてもいいのではないかと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『あさイチ』(NHK総合)番組のいちばん最初に、新型コロナウイルス対策の換気をするタイミングについての話がありました。学校での席が窓際だから換気をすることになっています。タイミングなど困っていたので助かりました。料理のコーナーでは、ためになる情報がたくさんあって勉強になります。(山形・中学1年・女子)

    • 『JNNニュース』(TBSテレビ)今回は、視聴したことのない報道番組を選びました。この放送を見終わったあと、これはほかの報道番組とは違うなと感じました。短い放送時間ながら主要な報道番組が報じない海外のニュースなどを幅広く取り扱っていたからです。最近では、特に「Go To」や「鬼滅の刃」などに関連した放送が多く、ほかにも知る必要のあるニュースがたくさんあるにもかかわらず、ほかの問題に触れる回数があまりにも少ない。ある意味でニュースに新鮮味がないと感じました。そのため、ニュースを視聴する時間も少なくなり、それよりもウェブメディアや新聞など短い時間でさまざまな情報を幅広く扱う情報媒体のほうへとシフトしています。(高知・高校3年・男子)

    • 『ウェークアップ!ぷらす』(日本テレビ)コロナ禍で女性のうつが前年同月比でプラス82.6%増加とのことで、イギリスでは「孤独担当大臣」というのが存在することも報道されていました。番組内で「最も悲惨な貧困は孤独であり、愛されていないと感じることだ」というマザーテレサの言葉も紹介されていて、とても印象に残りました。(長崎・中学1年・女子)

    • 『グッド!モーニング』(テレビ朝日)「今日一日が明るくなるニュース」が良いコーナーだと思った。もともと、ニュースは暗い話題、物騒な話題が多くなりがちなため視聴者の心に負担をかけてしまうと思っていた。それをケアしてくれるこのコーナーはとても良いと思う。ぜひとも続けてほしい。(千葉・中学1年・男子)

    • 『報道ステーション』(テレビ朝日)この日の放送で、中国でのコロナウイルスの現状と、コロナウイルスの農業への影響の2点が気になりました。中国の現状という点は、しばらく感染者が確認されていない中国でコロナがどう扱われているかや臨時病棟の現在の様子を取材し、ウイルス終息後にも考えを向けられるようになっていると感じました。農業についてでは、外食のための農業生産に焦点が当てられていました。外食産業や旅行業者、観光地の損害は頻繁に報道されてきましたが、外食のための農業生産に焦点が当てられることは少なかったと思います。今回のように、できるだけたくさんの人が抱えているコロナウイルス関連の悩みを伝えてほしいです。(宮城・高校3年・女子)

    • 『めざましテレビ』(フジテレビ)国のコロナ対策の1つである「Go Toトラベル」について言及していました。経済を回すための政策ということでしたが、感染が拡大している今、その政策により人の動きが生まれ、かえって感染者を増やす原因になっているとのことで、札幌や大阪の利用を控える呼び掛けがなされていました。また医療面においても触れられており、分科会会長の「個人の努力のステージは過ぎた」「一般の医療との両立が困難」との談話もあり、政府と医療との認識の違いが露呈されるような報道の仕方でした。視聴者にとっては、危機感を持てる番組構成になっていて良かったと思います。(長崎・中学1年・女子)

    • 『ドデスカ!』(名古屋テレビ)この番組はずっと前から毎日視聴しているのですが、見ている理由はローカルの番組だからです。例えばコロナの話題でも、ほかのチャンネルは主に東京の感染状況を伝えていることが多いですが、この番組は名古屋の情報が多く、時には愛知県の知事が出演することもあり、地域の情報を知ることができるからです。また、お店を紹介する際にも、近所のお店が出てきたりと、番組に対して親近感を抱いています。(愛知・中学2年・女子)

    • 『英太郎のかたらんね』と『TKUライブニュース』(いずれもテレビ熊本)熊本にとって長年の課題だった「川辺川ダム問題」。朝の特別番組では、夕方ニュースのキャスター・コメンテーターの方が出演され、まずダム計画の概要がVTRにまとめられたものを放送し、その後県議会の中継、スタジオでの解説という構成でした。印象的だったのは、約40分間の放送のうち半分以上の約25分間にわたり県議会での県知事の発言が中継されたところでした。発言を後から要約して伝えるのではなく、生の声をそのまま放送する形は、生中継という特性をしっかり生かしたとても良い方法だったのではないかと思います。ただ、私のような当該地域住民以外の人とか、生中継中にチャンネルを合わせて視聴し始めた人などダム問題のことをあまり知らない視聴者からすると、長々と中継を見させられても内容がよく分からなかったので、中継中に別画面(ワイプ)で問題を要約した文字情報などを一緒に放送しても良かったのではと思いました。夕方ニュースでは、県知事の発言を要約・発言後の会見の情報や、県知事の発言を受けて地域住民・県議の受け止めのインタビューを中心に放送されました。ダム問題関連のニュースは10分程度の放送でしたが、コンパクトにまとめられていて分かりやすかったです。(熊本・高校2年・男子)

  • 【自由記述】

    • コロナの影響で、いろいろなテレビ局が番組制作において自粛している中、私が毎年楽しみにしている大みそかに放送される『絶対に笑ってはいけない24時』が撮影時期をずらして、撮影を完了したとのニュースが流れました。わが家の年末は、これを見ないと締めくくれないという程の恒例番組だったので、今年も放送されると知り、とってもうれしかったです。いつもの撮影時期に撮影がされなかったため、今年は無理かと諦めていたところだったので、びっくりすると同時に、テレビ局のスタッフの皆さんがとっても頑張ってくれているのだなと感じました。同日同時間に放送されるNHK紅白歌合戦も、今年は無観客で行うとのことで、コロナの影響がさまざまな所に出ていながらも、コロナ対策をしながらできるだけいつものように放送するという各放送局の意気込みがすごいなと思いました。(長崎・中学1年・女子)

    • 感染者が増加傾向の今、Go Toキャンペーンの在り方に反対意見の世論が多い中、ワイドショーでは、こぞって飲食店への打撃、悲壮感を取り上げていることに不安を感じる。政府批判をあおることが使命ではなく、コロナ禍をどうみんなで乗り切るかを前向きに考える番組を作ってほしい。(群馬・中学3年・男子)

    • コロナの第三波のニュースやワクチンなどのニュースが飛び交い日々恐怖にかられながらも、自分でできる対策はきちんとしなければという意識を引き締めなおして受験期間を過ごしています。幸い自分の学校では感染者が出ていないため自分が学校初の感染者などにならぬよう気を一層引き締めながら残り少ない学校生活を送っていこうと思いました。(茨城・高校3年・男子)

    • 地元のニュース番組の特集を毎日見ていますが、なんだかテーマが似たり寄ったりだなといつも感じています。「人情食堂」「地元の商店街」など、毎回同じように見えて飽きてしまいます。毎日特集を制作するのは大変かもしれませんが、もうちょっとテーマがあってもいいのではないかと思います。私が以前見て、興味を持ったのはハロワークの特集で、シリアスな物語が新鮮だと感じたからです。このように、たまには明るすぎない特集も見たいです。(愛知・中学2年・女子)

    • 私は前まで朝の報道番組は『ZIP!』(日本テレビ)を見ていたのですが、最近は『おはよう日本』(NHK総合)を見るようになりました。以前はニュースよりもエンタメやおいしい食べ物の話に魅力を感じていましたが、今は世の中の出来事に関心が移ったことや、シンプルな情報を好むようになったからだと思います。局によって情報番組は特に個性があり、自分の求めるものの変化も感じ、面白いなと思いました。(千葉・高校1年・女子)

    • 芸能人の不倫とか好きな人は好きなのかもしれないが私はあまり興味がなかった。今の時代に合わないかもしれないが私はただただ純潔な芸人さんだけではなくて破天荒な人がいたらもっといろんなバリエーションのある番組が見られるのかなと思った。不倫関係は当事者どうしの問題だし、それによって広告の違約金などの問題が発生するならまたそこで話し合えばいいだけだし、ここまで連日大きく取り上げる必要が分からない。不倫は法に触れないけど、それよりも法に触れるような「薬物」関連の芸能人のほうが早く復帰できて不倫ほどたたかれてもいないのは不思議だ。(東京・高校1年・女子)

    • 「鬼滅の刃」のキャラクターを知っている体で話が進んでいく番組があったのですが、「鬼滅の刃」を見ていない人もたくさんいると思うので画面のどこかに注釈などを付けてほしいなと感じました。また、情報番組でほぼ毎日「鬼滅の刃」の話をしていて、毎日似たようなことを言うなら時間帯をずらしたほうがより多くの人に情報が渡るし、聞き飽きたなんて状況にならずに済むと思います。(神奈川・高校2年・女子)

    • トランプ氏とバイデン氏、それぞれが当選したときの日本やアメリカ、世界に与える影響をまとめたものがあった。2人の発言や行動は抜きにして、どういう考えを持っていて、どんな政策を行っていくのかが分かるこの番組は貴重だと思った。(東京・高校1年・女子)

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)毎回放送を楽しみにしています。イモトさんのワールドツアーでは、毎回全力で何ごとにも立ち向かう姿に感心しています。47都道府県制覇の企画は、山形県にもイモトさんが来てくれるということだから、とても楽しみです。(山形・中学1年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『Best Artist 2020』(日本テレビ)新曲発表だけでなく人気曲のスペシャルメドレーなど内容が盛りだくさんで4時間があっという間だった。昔と違って最近は、今日のような特番以外で、生放送での音楽番組は殆どないので、私のような若い人にとっては“生放送”という点も特に番組の魅力の1つになっている気がした。(千葉・高校2年・女子)

    • 『Best Artist 2020』(日本テレビ)自分の好きなアーティストも出ていて、年末の音楽番組はその年を振り返る機会にもなるので、楽しみにしていました。しかし正直な感想を言うと少し演出がダサい、と感じてしまいました。画面の右上に出るタイトルが、「輝け!○○」や「女性/男性が選んだ」など今っぽくないなぁと思うもので、なんだか引っかかってしまいました。私が気にしすぎなところもあるのかもしれませんが、「女性/男性」など大きなくくりを付けるときはよく考えてほしいです。また、アーティストの紹介に魅力が引き出しきれていないようにも感じました。もっとファンでない人でも新たに関心を持ってもらえて、ファンも盛り上がれるような紹介を期待しています。(千葉・高校1年・女子)

    • 『ボクらの時代』(フジテレビ)収録の裏話などが多く聞けてとても面白かった。声優さんのいわゆる顔面偏差値がどんどん高くなっている気がする。最近はアイドル的な立ち位置の声優さんも増えてきているしそれなら確かにそうだと思う。親が昔は裏方側に近かった声優がライブをして歌ってイベントをやってと俳優さんのようになってきているのは不思議だと言っていた。(東京・高校1年・女子)

    • 『ボクらの時代』(フジテレビ)今いちばんお話を聞きたい方々をキャスティングされていて、とても興味をそそられました。話題を振ったりする司会の方がいないおかげで声優の方々の素に近いような姿、テンション感が見られてうれしかったです。トーク番組ということでいろいろな話が聞けた濃い30分間でしたが、話題が切り替わったときに切り替わったことをもっと強調するような演出があればより分かりやすくなると思いました。(愛知・高校1年・女子)

    • 『ストロングポイントクロス』(BS日本)今週のパラアスリートということでパラカヌー選手の瀬立モニカ選手が取り上げられていました。自分はあまりパラリンピックなどの知識がなくパラリンピックにもカヌーが競技としてあるのかと驚いたと同時に車いす生活を送っていると知りとても衝撃を受けました。モニカ選手を支え、1年ほぼ毎日共に過ごす女性コーチもついて、練習に励むモニカ選手の映像を見て自分も何事も一生懸命に練習や勉強をすれば結果につながると思い、いろいろなことへのやる気や自分の背中を押される感じがしました。これからはオリンピックだけではなくパラリンピックも注目し、モニカ選手のカヌーでの活躍を個人的に応援していこうと思いました。(茨城・高校3年・男子)

    • 『土佐のむかし話』(高知放送)この番組は幼いころに見たことがあり、およそ10年来の視聴となります。地元に伝わる郷土の歴史を分かりやすく映像化し、口頭や文字では理解しにくいところを可視化してくれているため、より一層郷土の歴史を楽しく視聴することができた。(高知・高校3年・男子)

    • 『NEXSTARS☆』(沖縄テレビ放送)サッカースクールの手伝いということで、子どもたちの将来の夢に触れていた。しかも、イベントの告知にもなるので、多くの人に興味を持ってもらえていいと思った。また、番組後半のマサマジックのマジックはすごくて、見入ってしまった。マサは、知名度があり、県内でも人気があるので視聴者の数を集められるのでいい人選だと感じた。(沖縄・中学3年・男子)

調査研究について

担当の中橋雄委員より、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、進捗状況の報告がありました。

以上

2020年12月22日

2020年12月22日

年末年始のBPO業務について

BPOでは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年度年末年始の業務対応を次のとおりといたしますので、お知らせいたします。

  • 通常業務は、年内は12月25日(金)まで、新年は1月12日(火)から、となります。
  • 12月26日(土)~1月11日(月)は、視聴者応対電話、放送人権委員会の相談電話を含め、業務を休止します。
  • 業務休止期間中、郵便物の受領と、メール、ファクスの受信は行いますが、対応は原則として業務再開後となります。

第155回 放送倫理検証委員会

第155回–2020年12月

フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』を審議
1月にも委員会決定を通知・公表へ

第155回放送倫理検証委員会は12月11日に開催された。
委員会が4月8日に通知・公表した北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
委員会が6月30日に通知・公表した琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
委員会が9月2日に通知・公表したテレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
出場者の人数が不足した場合、解答権のないエキストラを番組に参加させて欠員補填したとして審議入りした、フジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、担当委員から意見書の修正案が再度示された。意見交換の結果、大筋で了解が得られたため、1月にも当該放送局への通知と公表を行うことになった。
データの一部が架空入力された世論調査結果を基にした放送が18回にわたり行われたとして審議入りしたフジテレビのニュース番組について、担当委員から意見書の修正案が示され、意見交換を行った。

1. 北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見への対応報告を了承

4月8日に通知・公表した北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見(委員会決定第35号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
対応報告は、通常、通知・公表後3か月をめどに提出されるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で当該局研修の日程が大幅に延期されたため、この時期の提出となった。
報告書には、委員会決定を受けて、全社員・スタッフにその内容を周知したほか、報道制作現場に対してアンケートを実施し、意見書の内容に関する受け止め方を確認したこと、委員会からの問題指摘後すぐに「選挙報道マニュアルの策定」を行うとともに、「報道ゼミナールの定期開催」「編集主幹を新設、メンター制導入などの組織の改善」などの再発防止への取り組みを決め実践していることなどが記されている。
委員からは、「事前に現場アンケートや社内に設けられた検証委員会の報告書に目を通して勉強会に臨んだ。出席者の感想を見ると委員会の思いが伝わっていると感じた」「簡潔にまとめられた報告書ではあるが、局内で十分に議論され、率直な意見交換も行われて再発防止に向けた取り組みを深めている様子がうかがわれる」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
北海道放送の対応報告書は、こちら。

2. 北日本放送「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」への対応報告を了承

6月30日に通知・公表した「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」(委員会決定第36号)への対応報告が当該放送局である北日本放送から書面で提出された。
報告書には、問題が指摘された後、直ちに番組検証チームを立ち上げて関係者から聞き取った内容を検証し報告書にまとめ、営業活動における放送倫理研修会を自主開催したこと、関係部局が協議して営業系番組の取り扱いルールを明文化したことなどが記されている。また、委員会決定を受けて、機構改革を行い編成業務局内に考査部を新設したこと、検証委員会委員を招いて研修会を開催したことなどが記されている。
委員からは、「何が問題であり、なぜそうなったのかという観点からしっかりと検証した上で、今後の対応策についても極めて明確な方針を出しており、高く評価できる報告書である」「意見書の趣旨をきちんと受け止めている。放送倫理に対する意識の希薄さがあったことを率直に受け止め、再発防止に努める決意がうかがわれる」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
北日本放送の対応報告書は、こちら。

3. テレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見への対応報告を了承

9月2日に通知・公表したテレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見(委員会決定第38号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の内容を社内に周知徹底した上で、社内横断的な「放送倫理関連会議」で議論を行い、報道局以外の番組でも同種の事案の発生がないよう問題意識の全社的な浸透を図ったこと、再発防止勉強会や検証委員会の委員を招いて研修会を開催したことが記されている。また再発防止への取り組みとして、スタッフへの指導と環境づくりを行う「放送倫理を遵守するための対策」と、放送前に問題点を洗い出し修正する「放送倫理違反を防ぐための水際対策」を行ってきたことなどが報告されている。
委員からは、「研修会では活発な議論ができた。また再発防止策も大事なポイントを具体的に押さえている」「再発防止策がこの形で実施されるならば、今後は同様の問題が起きないことが期待できる」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
テレビ朝日の対応報告書は、こちら。

4. 解答権のないエキストラで欠員補填していたフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について審議

フジテレビは4月3日、クイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラで欠員補填して番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」と、番組ホームページ上で公表した。
5月の委員会において、レギュラー番組として放送された第1回(2018年10月20日放送)から第25回(2019年10月26日放送)までについて、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
前回までの議論を受けて担当委員から再度示された意見書の修正案について意見交換が行われ、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、1月にも当該放送局へ通知して公表することになった。

5. データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について審議

フジテレビは、6月19日、昨年5月から今年5月まで14回にわたり行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったため、調査結果と関連する合計18回の放送を取り消し、世論調査は確実な調査方法が確認できるまで休止すると発表した。
フジテレビの報告書によれば、電話調査を委託した会社の再委託先の会社の社員が、全サンプルの12.9%に当たる1886サンプルについて、実際には電話をしていないにもかかわらず、架電済のサンプルの属性と回答内容の一部を変えた架空データを作成したとしている。フジテレビは架空のデータを含む誤った世論調査結果を放送していた。
8月の委員会において、誤った世論調査の結果が合計18回にわたり放送されたことや、フジテレビが架空データの作成が行われた調査会社への再委託の経緯自体を把握していなかったなどのチェック体制の不備を踏まえ、上記の合計18回の放送について放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
委員会には、前回の委員会に諮られた意見書の原案に対する議論を踏まえて担当委員が作成した修正案が提出され、それに基づいて意見交換を行った。次回は再度修正案が示される予定である。

以上

第287回放送と人権等権利に関する委員会

第287回 – 2020年12月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」ヒアリングを実施…など

議事の詳細

日時
2020年12月15日(火)午後3時~9時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」ヒアリングと審理

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019 - 2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、社内調査によって「人権侵害は認められない」と反論している。
今委員会ではヒアリングを実施した。通常のヒアリングは、申立人、被申立人に対して行われるが、今回は、女性が亡くなっているため番組制作当時や放送前後の様子を知る女性の知人らからも事情を聴いた。また被申立人側も、フジテレビの担当者に加え制作会社関係者からもヒアリングを行った。ヒアリングは全体で5時間に及び、母親は、SNS上で誹謗中傷が集中したあと女性が自傷行為を行ったことは、「SOSを出していたのであり、フジテレビが適切に対応していれば娘が命を落とすことはなかった」などと訴えた。また、女性の知人は当時の様子について、女性とのやり取りから制作スタッフに不信を抱いていたようだと感じたなどと述べた。一方フジテレビ側は、番組に過剰な演出はなく女性を暴力的に描いたことはないとして「人権侵害も放送倫理に反することもない」などと改めて主張した。
委員会は、ヒアリング後に審理を行い決定の方向性について意見を交わし、その議論を基に担当委員が起草に入ることを決めた。

以上

2020年11月に視聴者から寄せられた意見

2020年11月に視聴者から寄せられた意見

感染が拡大した新型コロナウイルスについて報じた番組への意見や、コロナ禍における番組収録、取材のあり方への意見が多く寄せられた。

2020年11月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,454件で、先月と比較して1,196件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール80%、電話18%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性53%、女性26%で、世代別では50歳代25%、40歳代24%、30歳代21%、20歳14%、60歳以上14%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。11月の通知数は延べ801件【50局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、24件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

感染が拡大した新型コロナウイルスについて報じた番組への意見、また、コロナ禍における番組収録、取材のあり方への意見が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は90件、CMについては16件あった。

青少年に関する意見

11月中に青少年委員会に寄せられた意見は81件で、前月から29件減少した。
今月は「表現・演出」が27件、「いじめ・虐待」が11件、「暴力・殺人・残虐シーン」と「報道・情報」がそれぞれ7件、「低俗、モラル」が6件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 新型コロナについての報道で、予防のためのマスク着用を推奨している一方で、スタジオではマスクは着用せず、取材などではマウスシールドはしているが、マスクはしていない。報道と番組のあり方が違うので、視聴者としては、マスクをするのが適切なのか、マスクをしなくてもよい状況なのか、判断に迷ってしまう。番組出演や取材におけるマスク着用のスタンスを統一してほしい。

  • 新型コロナについて、「感染者急増」「過去最大」など、不安をあおる報道を繰り返し、結果的に罹患した方や関係者への偏見、差別につながり、社会全体を不安に陥れている。公的機関が発表している検査陽性者は、感染者と報じられ、視聴者に誤解を与えている。また、インフルエンザの流行については淡々と報じる一方で、新型コロナでは、「クラスター発生」「医療崩壊の危機」などと危機感をあおっている。感染抑制や罹患者の重症化防止のための情報を視聴者に伝えることが放送局の役割だと思うが、ワイドショーなどは、ただ騒いでいるだけにしか思えない。過信は禁物だが、過剰な報道はやめ、正しい情報を視聴者に伝え、感染抑制と罹患者への偏見防止につなげてもらいたい。

【番組全般・その他】

  • コロナ禍の中、少しでも感染拡大を防ごう、マスクをして三密を避けようとテレビで報じているが、土曜昼の番組は、それを自ら破るような放送をしている。ロケ中にマスクなどの感染対策をせず、大声で騒いでいる。マウスシールドはほとんど意味がないと言われているが、それすらもしていない。コロナ前の再放送かと思ったほどである。世の中、気が緩んでいるのではないかと言われているが、一番緩んでいるのはテレビ業界ではないだろうか。最大限の感染対策をしてロケをしてほしい。

  • 朝の番組は、新型コロナについて、「医療崩壊」「GoToトラベルの中止」「緊急事態宣言」などと、大げさにあおっている。その裏で若者などの自殺者数が増加傾向にある事実。今の状態からさらに経済を停止させるようなことを行えば、自殺者がさらに増加する可能性には触れない。テレビ局の意図するあおりに賛同しているかのような一部の医療関係者の出演コメント。それに真っ向から反対意見がある医療関係者も多数いるなかで、そういった人たちの出演は皆無。結局、テレビ局に都合の言いことだけを並べている。このような放送をして得をするのはテレビ局関係者だけで、国民は誰も得しない。国民を混乱させるのはやめてほしい。

  • 情報番組で新型コロナの感染状況を伝えている。感染者数・重症者数・ベッド数の状況などを逐一アナウンサーが深刻な表情で伝えるが、その直後、一変して笑顔で「おいしい飲食店情報」などを披露する。飲食店での会食が最大のクラスター発生源である現在、コロナのニュースの直後に飲食店情報とは矛盾している。

  • 羽田空港でGoToトラベルについて昼の番組の取材を受けた。私たちは男2人の70歳代。インタビューに対し、私は「札幌には行かないし、経由もしないのでこのツアーに参加した」という旨を答えた。しかし放送では、話の内容はすべてカットされ、「札幌観光に行ってきたという男性、GoToのチャンスを逃したくなかったから…」とのナレーションが流された。顔はモザイクで隠されていた。このように、番組の企画の方向性に合わせてインタビュー内容を改ざんすることはよくあるのだろうか。映像を都合よく利用されてしまった。改ざんを前提に処理をしたとしか思えない。テレビ局とはこのようなものなのか。

  • 食べられもしない量の料理を出し、無駄な食べ残しをし、食べられもしないほどの激辛にして食べ残しをするのは、あまりにも常識を超えている。新型コロナの影響もあり、出演者の食べ残しをスタッフが食べて処理するはずもない。世の中には何事にも限度と常識がある。食べられもしない量を分かっていながら出し、食べられもしない辛さにして食料を無駄にするのは非常識だ。限度ある常識的な番組作りをしてほしい。

  • 大ヒットしている人気アニメの過剰報道と、それに興味のない人たちに対する配慮のなさについて。いくら人気があるとはいえ、知っていて当たり前のように報じるのはどうなのか。それを知らない人、興味のない人、嫌う人たちからすれば、不快で腹立たしい。多様性の時代というのなら、はやりものを安易に取り入れ、過剰に報道するばかりでなく、別方向の意見をもっと取り上げたほうがいい。

  • 人気アニメの劇場版が連日取り上げられているが、テレビが騒げば騒ぐほど、劇場に人が殺到する。コロナに感染しそうで怖い。GoToトラベルも同様で、テレビであおると人は出かけたくなり、結果として感染拡大につながってしまう。私は宅配業者の配送員。仕事上、感染防止には万全な対策をとっている。いくら私たち現場が努力しても、テレビで人々をあおるような放送をされてしまうと何もならない。このことを放送関係者は忘れないでもらいたい。

  • 新型コロナと年齢(83歳)のため、最近はテレビを見て過ごす時間が長くなった。いつも思うのだが、ほとんどの番組は若い視聴者向けに作られている。たとえば歌番組は歌そのものを楽しみたいのに、踊りやトークなどの演出が過剰で疲れてしまう。ドラマでは出演俳優の名前が思い出せずイライラすることもある。できればその俳優のセリフの際、時々でも役名と俳優名を字幕表示してくれたら助かる。私も以前は問題なくテレビを楽しめたのだが、80歳を超えたころから少し難しくなってきた。若い人はテレビ以外の活動があるが、老人にとっては日々の生活でテレビの占める割合は年々大きくなる。是非、高齢視聴者の要望を生かしてほしい。

青少年に関する意見

【「報道・情報」に関する意見】

  • 子どもの通っている熊本県内の高校で新型コロナのクラスターが発生し、地元のテレビ局は学校名を公表して報道していた。公表されたことにより学校を貶める嘘の情報が広まり、風評被害が起こっている。学校は不特定多数の人が来るわけではないし、子どもたちにも影響が大きい。学校名の報道は慎重にすべきだ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • ドッキリ番組や実験番組は、最初は子どもの興味を引く軽いイタズラや実験だったが、最近は怪我をさせたり人を痛めつけるような内容に変わってきている気がする。子どもがマネをしたりイジメにつながってしまうのではないか。見ていてそうならないようなイタズラや実験にするべきだ。

  • バラエティー番組で「人気俳優が起こしたひき逃げ事件」のテロップを流し、延々このニュースについて放送し、非常に不快な内容だった。現段階では、起訴不起訴処分は決定しておらず、日本の司法では「推定無罪」であることを認知するべきだ。目を引くようなテロップやボードを使い、週刊誌の不確かな記事を鵜呑みにした内容を出演者の無責任なコメントと共に流し続けた。子どもも見る時間帯、いじめにも似た番組だ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 『SHIROBAKO』(NHK Eテレ)は、アニメ制作の舞台裏を題材にした作品で、制作の苦労が分かり、仕事の勉強になる。暴力シーンなどなく安心して見ていられた。アニメ業界で働きたい若者に見せたい番組だと思った。

第228回 放送と青少年に関する委員会

第228回-2020年11月

視聴者からの意見について…など

2020年11月24日、第228回青少年委員会をBPO第2会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、1件の「討論」案件がありました。
夜のバラエティー番組で、控室に置かれた手指消毒ボトルから50℃に熱せられたゴマ油が出てくるという芸人相手のドッキリ企画について、「子どもがマネをしたら危ない」「中高生が身近な消毒液を他のものに入れかえたらどうする」などの意見が寄せられた件について討論しました。これについて委員からは、「“専門家の指導”とは、視聴者はやけどの専門家がいて大丈夫だろうと思ったはずだが、実は爆発に関する火薬の専門家だとわかり、視聴者側の安心を作っている期待とは違うところが気になった」「普通のドッキリ番組だと思ったが、消毒ボトルという“新しい生活様式”を題材に使ってやるのは不適切だと感じる」などの意見が出されました。この件については、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって、「討論」を終了することになりました。
11月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近聴いたラジオ番組について」でした。29人から報告がありました。
モニターからは、中高生をターゲットとした学校形式の番組について「中高生、受験生にエールを送ることもあり、聞いて少し背中を押されたような気がした。ラジオは音だけしか情報がないので、DJはどんな人なのか、質問を送った人、コメントした人がいったいどんな人なのだろうと想像力がずっと働いた」、やさしい英語で書かれたニュースを通して、世界で実際に使われている現代英語を学んでいく番組について「普段学校で扱う英語の長文の内容は1年以内のニュースはなかなか出てこないので、ラジオという形で触れることができてよい機会になったと思います。さらに、ラジオは完全に音声のみであるので、余計な情報が入ってこなく、普段テレビやスマホなど視覚を中心に情報を取り入れていた私にとってはとても新鮮で、ラジオを聞くことで集中力を鍛えられたように思いました」、若い世代に人気のモデル、藤田ニコルさんによるトーク番組について「ラジオではパーソナリティーが話す時間が多いので、テレビだけではわからない人柄が見えて、友達一人増えたような気分になります。私は藤田ニコルさんが話すときに素直で気を張っていない感じが好きです。ラジオでは全員の声が聞こえるからちょっとしたところが面白かったり、普段の会話を聞いているみたいで、普段他人の会話を傍聴するのが好きな私にはピッタリかもしれません」などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は12月14日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2020年11月24日(火)午後4時30分~午後7時
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]第2会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、10月後半から11月前半までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
夜のバラエティー番組で、LGBTを扱ったドラマのパロディーとして、男性芸人が控室に挨拶に来た男性後輩芸人に対して、上半身裸になって肩や胸をマッサージして言い寄るというドッキリ企画について、「放送時間帯として子どもが見る時間帯であり、LGBT当事者の子ども達への影響は大きい」「子ども達が見るかもしれない時間帯に放送しているため、性的少数者、性犯罪被害者に対する差別や偏見を招きかねない」「LGBTを侮辱している」などの視聴者意見が寄せられました。
これに対して委員からは、
「片方が女性だったら、この企画はできないだろう。男と女の登場人物を替えたら成立しないと思うものを社会に出す相当性を十分に注意しなければいけない時代になっている」
「上下関係が厳しい芸人の間で、相手が断り切れない状況でこういう仕掛けをしている。セクハラ、LGBTに対する考えだけでなく、パワハラを笑いのネタにしてしまうことの問題性は考えないといけない」
「LGBTを題材としたドラマが人気を博したり、LGBTを知ってもらえるということでは良いのかもしれないが、妙な取り扱い方をされることによって、逆にLGBTというのはちょっと変な感じなのかという捉え方をされてしまうのではないかと気にかかる」
「演出に言いたいことはあるが、これを青少年の問題として取り上げるのが適切なのか、考えるところはある」
といった意見が出されました。
この件については、次回委員会で全委員が番組を視聴し、「討論」することになりました。

深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクを自称するお笑い芸人が、幼いアイドルを応援している、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話したことに対して、「GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」「芸人の発言が犯罪を肯定的に扱っていた印象を受けた」などと言った視聴者意見が寄せられました。
これに対して委員からは、
「日本はチャイルドポルノに緩い風潮が感じられる。アメリカの仲間はGPSが体内に埋め込まれているという発言を地上波のテレビで放送してしまったのは、生放送ではないのにどうしてだろうか。犯罪行為を肯定的に笑いにしてしまっているのではないか。コンプライアンスの観点からも子どもに対して悪い影響を与える」
「個人の趣味趣向は自由だが、GPS装着は子どもに対して性犯罪をした人たちだ。センシティブにならねばいけないことに意識がなかったのが問題だと思う」
「アメリカにそんな仲間が本当にいるのかどうか分からないが、これは制作側がもう少し配慮すべきだったと思う」
「アイドルが好きという話なのか、性的に何か問題があるという話なのか、ここが大きな分かれ目だと思う。性的に好きだとあからさまには言っていないようなので許容されたという考え方なのではないか」
「芸人のキャラクター付けで、他とどれだけ差別化するか、どうやったら際立たせられるというところで、一線を越えてしまったのではないか」
といった意見が出されました。
この件については、次回委員会で全委員が番組を視聴し、「討論」することになりました。

次に前回委員会の決定を受けて、一件の番組について「討論」しました。
夜のバラエティー番組で、新型コロナ対策の手指消毒用ボトルに50℃以上に熱した油を入れ、それを知らずに使用したタレントが熱さに驚き、さらにそのボトルが爆発しタレントが油まみれになるというドッキリ企画に対して、「子どもが見て消毒液は怖いと思うかもしれない。“新しい生活様式”をこのような危険な企画に使うのは問題だ」「中高生などが身近にある消毒液を他の物に入れ替え、違った被害が出たらどうする」「専門家の指導のもと行っているとテロップが出たが、あまりに危険。子どもがマネをしたりイジメに使おうと思ったら怖ろしい」などの意見が寄せられた件に関して、委員全員が番組を視聴し「討論」しました。
委員からは、
「“専門家の指導”とは、視聴者はやけどの専門家がいて大丈夫なんだろうと思ったはずだが、当該局からの報告によれば、実は爆発に関する火薬の専門家だということで、視聴側の安心を作っている期待とは違うところが気になった。具体的にどのような専門家なのか表示するべきではないか」
「危険なことをする際、専門家が良いと言っていますと出せば済むという雰囲気があるのではないか」
「普通のドッキリ番組だと思った。いま問題になっているような演出はこれまでもずっと取り上げられたことだから。しかし、新型ウイルス感染問題が収束していない状況において、消毒ボトルという“新しい生活様式”を題材に使ってやるというのは、不適切だったと感じる」
「顔に向かって熱した油を爆発させるのは、プロの芸人が阿吽の呼吸でやっている演出だが、身近な消毒ボトルに熱いものを入れておいて驚かせて笑うというのは、子どもが簡単にまねができてしまう気がする」
「当該局からの報告では、コロナ禍の中、消毒液をネタにしたことは配慮が足りなく、反省しているとのことであった。今後の番組制作では注意喚起されると思う」
といった意見が出されました。
この件については、「審議」には進まず、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって、「討論」を終了することとなりました。

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした11月のテーマは、「最近聴いたラジオ番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で29人から報告がありました。
「最近聴いたラジオ番組について」では、全部で22番組への報告がありました。複数のモニターが記述したのは3番組で、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)に4人(「自由記述」と合わせると5人)が、『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)に4人が、『高校生からはじめる「現代英語」』(NHKラジオ第2)に2人が感想を寄せています。英語の語学番組に関するものも多く、番組は異なりますが6人が報告を寄せました。聴取方法は、リアルタイムが13人、フリータイムアプリなどの利用が15人で、両方を利用したと答えたモニターが1人いました。
これまであまりラジオを聴いたことがなかったというモニターの中には、自分で情景を想像しながら聴くこと、出演者とリスナーの距離が近いこと、などラジオの特性に魅力を感じたという人が少なくありませんでした。また、モニターの記述からは、最初に出会う番組がその後の聴取習慣を左右する可能性も伺えました。
「自由記述」でもラジオ番組に関するものが目立ちました。「若い世代にもっとラジオを身近に感じてもらうような宣伝ができないのか」という提案や、「自分たちのような世代に向けた番組を増やしてほしい」という要望がありました。
また、新型コロナウイルス感染者数が再び増加していることについての意見も多く寄せられました。「東京など感染者の多い地域から地方に取材に来ることに抵抗を感じている。地元局と協力して番組制作を行ってほしい」「第1波のときより感染者数が増えているのに、以前よりニュースが少なくい。対策の仕方をもう一度取り上げてほしい」などの声がある一方で、「コロナ感染者数の増加に慣れてしまった。無観客やリモート出演も日常となった」という人もいました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)を10人が、『歴史秘話ヒストリア「あらためて知りたい!明智光秀」』(NHK総合)と『浦沢直樹の漫勉neo』(NHK Eテレ)をそれぞれ4人が、『林修の今でしょ!講座 2時間スペシャル』(テレビ朝日)を2人取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】

    • 「ラジオといえば大人が聴いているイメージがある」というモニターからの意見に、若い人たちはそう感じているのかという発見があった。このモニターが寄せた「若い人向けのラジオ番組をもっと増やしてほしい」というリクエストはぜひとも制作者に伝えたい。

    • 去年まではあまり見られなかった感想がいくつかあった。あるモニターは「ふだんテレビばかり見ていると視覚的な情報が伝わりますが、ラジオは音声だけで集中して聴かないと内容が分からなくなってしまうと実感しました」と書いていた。若い人たちはあまりラジオを聴かなくなってしまっていて、距離ができているのだろうか、と心配になる記述も散見された。

    • 若いパーソナリティーがいることで、若い世代に需要があるのだと感じたというモニターがいた。若い人たちに聴いてもらうためには、若いパーソナリティーを出演させるということも重要だと感じた。

    • 初めてラジオ番組を聴いた人から、「ラジオに興味が沸き、また聴こうと思った」という感想があった。良い出会いで良かったと思う。最初にラジオは面白くないと思ってしまうと、もう二度と聴いてくれないかもしれない。最初に出会う番組がとても大事なのだと思う。

    • ラジオで情報を聴くという「文化」は、とても重要。制作者にはぜひ頑張ってもらいたい。

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)「番組を聴くと元気をもらえる」という記述があった。「特に、人間関係や家族のことで悩んだ時、あるいは勉強を頑張らなければいけない時に支えになった」と書かれていて、ラジオ番組が、生きていく上で力になっていると感じ取れる内容だった。制作者に、応援メッセージとしてぜひ伝えたいと思う。

    • 『基礎英語1』(NHKラジオ第2)月曜日から金曜日まで放送があり、金曜日にまとめがあったり、英語の曲の紹介が入ったり、という企画的なものが良いという評価をしているモニターがいた。英語圏の文化、生きた英語に触れられるように工夫されている部分が受け入れられているのだと感じた。

    • 『基礎英語2』(NHKラジオ第2)3年間続けて聴いているというモニターが、この番組のストーリーをとても楽しんでいるということを書いていた。やはり、ストーリー性があるという構成が、リスナーが継続して聞いてくれるポイントなのだろう。

  • 【自由記述】

    • 「自粛期間でラジオを聴く機会が増えました。運動に散歩に出ていたときに聴くことが多かったです」という記述について、コロナで生活が随分変わったことで、ラジオが見直された部分もあるのではないかと思う。

    • 「結末はCMの後で」ということが多いのが嫌いだし苦手だ、と書いたモニターが、一方で、クイズの場合には「この問題の答えはCMの後で」というのが良いのだという。問題について考える時間が与えられるからだそうだが、この指摘は新鮮だった。

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)コロナ禍で学校行事などがなくなっておりモチベーションが下がっている中で、番組で、生徒たちがみんなで協力して楽しそうにしている姿を見て、元気が出たというモニターがとても多く印象的だった。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】

    • 『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)夜遅い時間に放送される番組なので勉強のお供や夜更かししたい時に聴いているのですが、この番組はまさにそんな時にぴったりです。くだらないことで笑うことで勉強や深夜の時間を楽しくしてくれます。最大の魅力はなんといってもトークの面白さです。パーソナリティーであるオードリーのお二人のトークのテンポが良く、すごく面白いです。次から次へと新しい話題に切り替わっていくので全く飽きずに聴けます。また、お二人の仲むつまじい様子も聴いていてほっこりします。テレビで見る姿とはまた違ったラフな感じが聴いているほうにも伝わってきて、ラフな気持ちで聴くことができます。(愛知・高校1年・女子)

    • 『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)一つ一つの話は長いのに、(オードリーの)お二人の話のテンポがいいので全く長く感じず、リスナーともすごく良い関係を築いているラジオなんだなと毎週思っています。芸人さんなので、厳しい言葉で突っ込んだり、ふざける事もありますが、ベテランの芸人さんなので生放送でもしっかりと発言を考えられているように感じます。(東京・高校2年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)もともと私は音楽が好きで、アーティストのみなさんがコーナーを担当する「ARTIST LOCKS!」が豪華だったので小4から聴いています。人間関係や家族のことで悩んでいた時、すごく支えになった番組です。(宮城・中学1年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)ラジオといえば大人が聴いているイメージがあるが、大人ではない、私たち向けの番組があるのはいいと思う。『SCHOOL OF LOCK!』では中高生の抱える悩みや関心のあるニュースなどをテーマにしてくれて、楽しく聴きながらいろいろなことを考えることができる。(岡山・中学2年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)中高生、受験生にエールを送ることもあり、聴いて少し背中を押されたような気がした。ラジオは音だけしか情報がないので、DJはどんな人なのかや、質問を送った人、コメントをした人はいったいどんな人なのだろうと想像力がずっと働いた。あまり聴いてこなかったが、ラジオに興味が沸き、また聴こうと思った。(東京・高校1年・男子)

    • 『高校生からはじめる「現代英語」』(NHKラジオ第2)ふだんあまりラジオを聴かないのですが、今回この番組を聴いてみて、勉強になる情報が多くて、聴き終わった後は満足感でいっぱいになりました。学校で扱う英語の長文の内容は1年以内のニュースはなかなか出てこないので、ラジオという形で触れることができて良い機会になったと思います。さらに、ラジオは完全に音声のみであるので、余計な情報が入ってこなく、普段テレビやスマホなど視覚を中心に情報を取り入れていた私にとってはとても新鮮で、ラジオを聴くことで集中力を鍛えられたように思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『基礎英語1』(NHKラジオ第2)金曜日には月曜から木曜までの復習と発音練習、「Friday SPecial」という週替わりのコーナーがある。そこで行われる英語の曲の紹介が気に入っている。楽しみながら英語が学べるのでいいと思う。(千葉・中学1年・男子)

    • 『基礎英語2』(NHKラジオ第2)『基礎英語1』から聴いていますが、毎日楽しく聴いています。番組にはストーリーがあり、その内容は1年ごとに変わっていくけど、毎回とてもクオリティが高いのでストーリーが変わる時がとても楽しみです。(秋田・中学2年・男子)

    • 『ボキャブライダー』(NHKラジオ第2)単語だけでなく、例文や語源も教えてくれるので、単語を文章の流れの中で覚えられ、英語の勉強に役立っている。(東京・中学3年・女子)

    • 『子ども科学電話相談』(NHKラジオ第1)初めて聴いたラジオ番組でしたが、とっても面白かったです。特に印象に残っている質問は「つばめは死なないの?」という質問でした。小学生の子が「なぜなら、つばめが死んでいるところを見たことがない」というもので、それに対して、専門家の先生が分かりやすく答えているのです。素朴な質問に専門家が丁寧に答えて解決するのがこの番組の面白さだと感じました。質問しているのがみんな小学生以下だったのですが、中学生も質問していいのなら、私も質問してみたいと思いました。せっかく、いい番組を知ったので、また来週も聴きたいと思います。(長崎・中学1年・女子)

    • 『サンドウィッチマンの天使のつくり笑い』(NHKラジオ第1)毎回爆笑してしまう番組で自然に笑顔になれるのでとても好きです。「天使の二択」のコーナーは、毎回日常にあることを「あなたならAとBのどっちを選ぶのか」を全員が納得するまで討論し合うコーナーで、それぞれの意見を聞きながら、自分の意見と比べて、共感しながら楽しんでいます。(山形・中学1年・女子)

    • 『アットホームpresents 藤田ニコルのあしたはにちようび』(TBSラジオ)テレビでのトークが面白いのでもっと話が聞きたいと思って聴くようになりました。ラジオではパーソナリティーが話す時間が多いので、テレビだけでは分からない人柄が見えて、友だちが一人増えたような気分になります。私は、にこるんが話す時に素直で気を張ってない感じが好きです。ラジオでは全員の声が聞こえるからちょっとしたところが面白かったり、普段の会話聴いてるみたいで、普段他人の会話を傍聴するのが好きな私にはぴったりかもしれません。(千葉・高校1年・女子)

    • 『井上芳雄 by MYSELF』(TBSラジオ)よくこのラジオを聴いていますが、「今日はどんな曲が歌われるんだろう?」と楽しみにしています。今週はカーペンターズの「雨の日と日曜日は」でしたが、まるでコンサートホールの最前列にいるような極上の音楽、臨場感でした。(東京・高校2年・女子)

    • 『内山昂輝の1クール!ポッドキャスト』(文化放送)パーソナリティー本人の話、例えばハマっている漫画であったり、学生時代の話であったりが聴けるというのはとても面白いと思った。今回の話で特に印象に残っているのが最後のコーナーで、違う職業やライフスタイルを知ることができた。このコーナーでお便りを送ったリスナーさんたちの1日を知る中で、同じ時間を過ごしているはずなのにこんなにも自分とは違った生活をしている人が世の中にはたくさんいるのだと改めて実感して不思議に感じた。(東京・高校1年・女子)

    • 『中居正広のON&ON AIR』(ニッポン放送)普段、テレビばかり見ていると、視覚的な情報が伝わりますが、ラジオは音声だけで、集中して聴かないと内容が分からなくなってしまうのだなと改めて実感しました。しかし、中居さんの声は特徴的で、顔も容易に想像できるため、あまりラジオを聴いているという感覚はありませんでした。夜の番組だからか、ダラダラ喋るような感じで、1日の終わりに疲れが取れそうだと感じました。また、テレビよりもラジオのほうが質問コーナーなどで出演者とリスナーのやり取りや連携が多く、リスナー目線で物事を語ってくださって、親しみを感じました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『杉咲花のFlower TOKYO』(エフエム東京)日曜日の朝にぴったりな、優しくて温かいラジオでとても心地よい1日を迎えられそうだなあと感じました。ラジオはテレビとは違い、耳だけで楽しめるのでなにかをしながら楽しむことができ、また、1人でいる時に誰かの声が流れているとなんだか安心できるので3月のステイホームの期間にたくさん聴きました。早起きできたらまた聞こうと思います。(神奈川・高校2年・女子)

    • 『今夜はLucky Night~マシコ・フライデー~』(茨城放送)茨城県の人ならではのディープな話題や他県の人なら気づかないような話題もあり、これぞ県ならでは というものがたくさん発見できる番組でした。今回、自分もこの番組にお便りを送ったところ読み上げてもらい、(パーソナリティーに)「自分の番組にも若者が来るのか」と冗談交じりに面白く紹介していただきました。これからも定期的にこのようなラジオも聴いていくのもいいなと思わせてくれるいいラジオ番組でした。(茨城・高校3年・男子)

    • 『MAGICAL SNOWLAND』(FM NACK5)全体的に明るく活気のある番組だと思います。リスナー参加コーナーが多く、リスナーがいるからこそラジオは成り立つのだとこの番組を聴いていて改めて感じました。パーソナリティーは、まだ10代であるのにも関わらず、落ち着いていて番組を引っ張っていて、若いのにしっかりしているんだなと感心する部分も非常に多いです。若い出演者がいるということでラジオは若い世代にも需要があるのだなと感じました。

    • 『GWEEENとはばたけHEROES!!』(熊本放送)県内の高校生が頑張っている取り組みを、MC陣が高校生のもとに出向いて取材・伝える番組。この日は、高校生が「DJポリス」として交通安全を呼びかける県内初の取り組みが取り上げられた。高校生たちの思いなどは、テレビではなかなか知ることはできないので、このラジオで聴けたのがとても良かったです。こういった深い情報まで知れるのがラジオの良さだと思います。実際に僕自身がやっていることも取材してもらいたいと思いましたが、ホームページを見てもどこにその旨を送ればいいのか分からなかったので、もっと多くの中高生たちに聴いてもらえる・情報提供してもらえるように、TwitterやInstagramなどのSNSを活用していくと番組もより良くなるのかなと思いました。(熊本・高校2年・男子)

  • 【自由記述】

    • 私はほとんどラジオを聴く機会がないので声だけ、音だけでというのが少し新鮮だった。動画で人が動いてというのを見るのも面白いが、話を聴いてその情景を想像しながら聴くというのも面白く感じた。ラジオはテレビよりも視聴者参加型で、だからこそリスナーからのお便りあってのコンテンツなのかなと感じた。(東京・高校1年・女子)

    • 私は自粛期間でラジオを聴く機会が増えました。運動に散歩に出ていた時に聴くことも多かったです。自粛期間、私は精神的に大変な時もあったので、ラジオを聴くといつも音楽も流れてきて心が軽くなった覚えがあります。しかし、ラジオはとても面白いのに、若い人にはあまり浸透していないように思います。もっと目につくところで、どんなことをやっているかを宣伝してほしいです。私はよくRadikoで聴くのですが、新しい番組を聴きたいけどどんな番組か分からないことが多く、分かりやすいところに番組の内容や、こんな時に聴く、こんな年齢層に向けて作っている、など判断材料を書いてくれると聴く幅も広がっていいのになあと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • 若い人向けのラジオ番組をもっと増やしてほしい。(岡山・中学2年・女子)

    • ラジオのCMはとても耳に残るものが多く、友だちとラジオの話をする時は番組の内容だけでなく、CMで流れていた曲や表現されていたことも話題になります。(宮城・高校3年・女子)

    • テレビでは時間表示されている番組も多いが、ラジオでは時刻のお知らせのようなものが少ないような気がします。時計がない場所では時刻が気になるのでもう少し番組内でも時刻のお知らせをしてほしいと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 最近、コロナが再拡大している中で、報道番組について思うことがあります。
      私は毎日同じ番組を見ていますが、同じアナウンサーがきのうは東京、きょうは茨城…など、様々な場所で取材をしていることです。私の住む所に、ふだん東京で生活・仕事をしている方が来られたら、ちょっと嫌だなと思ってしまいます。ぜひ、地方局と協力して取材してほしいと思います。(愛知・中学2年・女子)

    • 食べ歩きや旅関連の番組の企画がまた多くなってきたように感じるが、数か月前まではフェイスシールドやマスクをした上で出演していたのにそれもなくなってきている気がして、感染対策について少し引っかかってしまった。(千葉・高校2年・女子)

    • 第1波の時より感染者数が増えているのに、以前よりコロナウイルスのニュースを見かけなくなった気がします。気温も下がり、風邪をひきやすい季節になったのでより一層、電波を使って対策の仕方などをもう一度取り上げてほしいなあと感じています。(神奈川・高校2年・女子)

    • 最近は、番組内で新型コロナウイルスに感染しないためのアクリル板やマスクが気にならなくなってきました。(宮城・中学1年・女子)

    • 新規感染者数が多い日でも、私はそれほど驚かなくなってきました。無観客やリモート出演も日常となり、4月に感じていたような違和感をなくなってきて、いろんな番組にパーテーションが人と人との間に立てられていても受け入れられるようになってきました。(東京・高校2年・女子)

    • ワイドショー的な番組の進行役にキャスターやアナウンサーを本来の職業としていないタレントが就くことが増えている。とても勉強されていろいろな知識を持っている方もいる一方、「公務員は」「教員は」「医師は」「学生は」「留学生は」と「○○は~であるべき」といった偏った意見を平然と述べることがとても気になる。(群馬・中学3年・男子)

    • テレビ番組の放送開始時間が7時56分などのように、分刻みでスタートすることが多いことに疑問を感じています。視聴率を稼ぐためだとしても、全部の番組で同じように56分や57分に開始したら差はつかないのではないかと考えます。(東京・高校1年・女子)

    • テレビにおいて、「結末はCMの後で」というものは多くあると思うのですが、私はそれが苦手です。CMの間悶々とした思いが続いて少し嫌な気持ちになります。それに比べて、クイズ番組の「この問題の答えはCMの後で」というのは問題について考えられる時間が与えられているようで嫌な気持ちにはなりません。番組の演出ひとつでCMが嫌なものにも良いものにもなるので、こういう細かい演出の部分にもこだわってほしいです。(愛知・高校1年・女子)

    • 民放にも社会的責任がある以上、何らかの形でとっつきにくい問題にも長い時間をかけて議論するように働きかけをしてほしいと感じました。(高知・高校3年・男子)

    • 『姉ちゃんの恋人』(関西テレビ放送)物語の舞台が「コロナ渦中の現代」というまさに今の世の中のような設定だというのが出演者の発言などで伺えるのですが、手洗い・消毒はしているのにマスクはしておらず、中途半端な演出で違和感を覚えました。(熊本・高校2年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)「先生に感謝の気持ちを伝えたい‼校内全員が仕掛け人となり、サプライズ大作戦 ‼」がとても素敵な企画だと思った。ドキドキしながら先生にバレないようにサプライズ撮影をしていく生徒さんたちの姿は、とても生き生きしていた。同級生の僕にとってとても身近なことであるのに、僕にはできないことだと思い、羨ましくなったからだと思う。最後の先生がこっちこそありがとうだよ」といった言葉が忘れられない。(群馬・中学3年・男子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)毎年とても楽しみにしています。今年は、先生にバレずにV6とサプライズをするコーナーがいちばん面白かったです。この番組はいつも愛を感じることができて好きです。(山形・中学1年・女子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)先生に感謝の気持ちを伝えるべく、校内全員が仕掛け人となり、気づかれぬよう動画を作成していくサプライズ企画では、仕掛けを行っている人もそうですが、見るほうの私たちまで絶妙なスリルを感じることができて面白かったです。文化祭などのイベントができずとも、自分たちの知恵で思い出を作っていこうとする姿に同じ学生である自分にとってもすごく勇気をもらえた番組でした。(高知・高校3年・男子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)コロナ禍でさまざまな大会や行事、イベントがなくなり、モチベ―ジョンが下がっている中、このような感じで一緒に部活をやったり、人々に披露したりなど、見ている人々に元気を与えてくれる番組でした。特に、校内全体でピタゴラをやっていたのが印象的でした。生徒たちがみんなで協力をするシーンや楽しそうにギミックを作っている時など、コロナ禍なのに楽しそうにやっているのを見て、見ている側まで心が温まりました。このような、元気をあたえてくれるような番組が増えて欲しいです。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)ピタゴラが本当に面白かった。工業高校という部分をいかし、大きい装置や工夫された仕掛けなど、圧倒されるものを自分と変わらない年の人が作っていてびっくりした。そして、高校生たちの笑顔が本当に無邪気で純粋な笑顔だった。(東京・高校1年・男子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)未成年の主張は私も好きなコーナーで、毎回ユニークな主張が聞けて楽しい。(東京・高校1年・女子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)いつもは見ないジャンルの番組だったのですが今回おすすめということもあり見てみることにしました。番組を見てみるとコロナなどで大会や発表会ができなかった学生たちに発表の場を設けてみんなで思い出にしようという企画があり。自分も吹奏楽部でやりきれなかった思いがあるのでこのような番組でのサポートが広く普及すれば学生たちも未練なく、またテレビで放送されるという思い出とともに忘れられない経験となるのではないかと思わせてくれる良い番組でした。(茨城・高校3年・男子)

    • 『歴史秘話ヒストリア「あらためて知りたい!明智光秀」』(NHK総合)小学生の時に、「明智光秀は、織田信長を裏切って“本能寺の変”を起こした人物」ということを習いましたが、それ以外のことは、何も知りませんでした。この番組では、明智光秀の人物像に迫っていて、意外な点がいくつもあり、とても興味深かったです。(長崎・中学1年・女子)

    • 『歴史秘話ヒストリア「あらためて知りたい!明智光秀」』(NHK総合)明智光秀といえば、本能寺の変で織田信長を殺害したけれど、教科書には詳しく載っておらず、私の中ではイマイチよく分からない人物でした。この番組はとても丁寧に光秀のことを紹介しており、歴史の勉強に直結しないけど、趣味として興味深い内容でした。やや小難しいさもあったものの、徐々に光秀への興味が湧いてきて、「もっと知りたい!」と思えました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『浦沢直樹の漫勉neo』(NHK Eテレ)いつもは漫画を読むだけだったし、漫画を見て楽しんでいたけど、この番組を見て、読んだり絵を見て楽しむだけでなく、これからは、自分も少し漫画を描いてみたいと思いました。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『浦沢直樹の漫勉neo』(NHK Eテレ)漫画家さんの絵の描き方などが(同じ人でもどの時代に描いたかによって)だんだん変化していくものだと知りました。その時でしか描けないものがあるのだろうなと思いました。(長崎・高校2年・男子)

    • 『林修の今でしょ!講座2時間SP』(テレビ朝日)私は学校でオーケストラに所属しているので音楽家ベートーヴェンについての番組内容には興味があったので、視聴することにしました。ベートーヴェンの色々なエピソードを知れて面白かったのはもちろんのことですが、ヴァイオリニスト葉加瀬太郎さんのスタジオ生演奏が番組の所々に織り交ぜてあり、その度に美しい音で聞き入ってしまいました。テレビからヴァイオリンの音が流れてくると心が和むので、改めて音楽の力を感じることができました。(東京・高校2年・女子)

調査研究について

担当の中橋雄委員より、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、放送局を対象としたアンケート調査の質問項目案が提示され、委員会で検討しました。

以上

委員会決定等について

question
取材対象者や一般人の出演者が実は関係者だったというケースについて、委員会で取り上げたことがありますか?
answer
放送倫理検証委員会は、委員会発足の翌年の2008年から2015年にかけてほぼ毎年のように、取材対象者や一般人の出演者が実は関係者だったというケースについて、委員会決定を出して放送局に注意を促してきました。その後、2020年に入り、NHK国際放送のドキュメンタリー番組で、仮の家族や恋人などをレンタルするサービスを描いた番組で、利用客として出演した男性らがサービスを提供する会社のスタッフだった事案や、テレビ朝日がニュース番組の特集で取り上げたスーパーの買い物客が取材ディレクターの知人だった事案について、委員会は相次いで放送倫理違反があったと判断しました。
取材対象者や一般人の出演者が実は関係者だったという事案に関する委員会決定は、以下のとおり。

  • ▼テレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見はこちらから
    第38号 2020年9月2日 放送局:テレビ朝日
    テレビ朝日は2019年3月15日、ニュース番組『スーパーJチャンネル』で、スーパーの買い物客に密着する特集を放送しましたが、この特集に登場した主要な客4人が取材ディレクターの知人だったとして、記者会見を開き謝罪しました。委員会は、同年11月の委員会で、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯などを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決め、議論を続けてきました。
    日本民間放送連盟とNHKが1996年に定めた放送倫理基本綱領は「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」とし、「取材・制作の過程を適正に保つことにつとめる」と定めています。また、民放連の放送基準では、前文で「正確で迅速な報道」を求め、第32条では報道の責任として「事実に基づいて報道し、公正でなければならない」と掲げています。本件特集は、その取材の過程が適正とは言い難く、内容においても、本来ならその場に現れるはずのない「客」を偶然を装って登場させたという点で正確ではなく、公正さを欠いていた。
    したがって、委員会は、本件特集には放送倫理違反があったと判断しました。
  • ▼NHK国際放送『Inside Lens』「レンタル家族」企画に関する意見はこちらから
    第34号 2020年3月31日 放送局:NHK
    2018年11月に放送されたNHK国際放送のドキュメンタリー番組『Inside Lens』で、仮の家族や恋人などをレンタルするサービスを描いた番組「HAPPIER THAN REAL」について、NHKは2019年5月29日、利用客として出演した男性ら3人がサービスを提供する会社のスタッフだったと発表しました。委員会は9月、利用客が会社関係者でないこと等の確認が適切に行われるべきであったところ、十分な確認をしなかった可能性がうかがわれるため、放送に至るまでの経緯や原因を検証する必要があるとして審議入りを決め、議論を続けてきました。
    委員会は、放送倫理基本綱領の「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」、NHK「放送ガイドライン」の「NHKのニュースや番組は正確でなければならない」との規定に照らすと、出演者が本物の利用客ではなかった点、また、出演者が会社関係者だったのにその関係を明らかにしていなかった点において、放送の内容は正確ではなく、したがって、NHKが適正な考査を行わなかったことを含め、本件番組を放送したことについて、放送倫理違反があったと判断しました。
  • ▼『クローズアップ現代』”出家詐欺”報道に関する意見はこちらから
    第23号 2015年11月6日 放送局:NHK
    NHK総合テレビ『クローズアップ現代』(2014年5月14日放送)と、その基になった『かんさい熱視線』(同年4月25日放送 関西ローカル)は、寺院で「得度」の儀式を受けると戸籍の名を変更できることを悪用した”出家詐欺”が広がっていると紹介。番組で「ブローカー」とされた人物が、演技指導によるやらせ取材だったと告発したのに対して、NHKは「過剰な演出」などはあったが「事実のねつ造につながるいわゆるやらせは行っていない」との報告書を公表しました。委員会は、NHK関係者のみならず、番組で紹介された「ブローカー」「多重債務者」に対しても聴き取り調査を行いました。その結果、2つの番組は「情報提供者に依存した安易な取材」や「報道番組で許容される範囲を逸脱した表現」により、著しく正確性に欠ける情報を伝えたとして、「重大な放送倫理違反があった」と判断しました。
  • ▼日本テレビ『スッキリ!!』「弁護士の”ニセ被害者”紹介」に関する意見はこちらから
    第19号 2014年3月5日 放送局:日本テレビ
    日本テレビは、朝の情報番組『スッキリ!!』で2012年2月29日と6月1日の2回、インターネット詐欺の特集を放送しましたが、ネット詐欺専門の弁護士から被害者として紹介され出演した男女2人が、実は被害者ではなく弁護士の当時の所属事務所の職員だったことが判明し、裏付け取材が不十分だったとして審議入りした事案。委員会は、日本テレビが十分な裏付け取材を行わず「ニセ被害者」の証言を放送し視聴者の信頼を損なったと指摘しましたが、一方、放送時点において「ニセ被害者」が実際の被害者であると信じるに足る相応の理由や根拠は存在したとして、「放送倫理違反とまでは言えない」と判断しました。そのうえで、今回の事例を踏まえ放送界全体で共有してほしい事柄として、「専門家」に対する過度の依存を考えなおしてほしい、など3点の問題提起を行いました。
  • ▼日本テレビ『news every.』の「飲み水の安全性」報道に関する意見はこちらから
    第14号 2012年7月31日 放送局:日本テレビ
    福島第一原発の事故の影響で懸念されている水道水の安全性の問題を特集企画で検証した際、最近「宅配の水」として利用者が急増しているボトルドウォーターについても取り上げました。この中で、利用者として紹介され、子どものためにも宅配の水のほうを選ぶとコメントした女性が、一般の利用客ではなく、宅配水メーカーの経営者の親族で、同社の大株主でもあったことが判明した事案。委員会は、約1年前に同じ放送局の同じ番組の「ペットビジネス」報道でも、類似の問題が繰り返されたことを重視して比較検討しました。その結果、取材・制作スタッフが実績のあるベテランだったため内部チェックが空洞化したこと、1年前の教訓をもとに策定された「企業・ユーザー取材ガイドライン」が現場で血肉化されておらず機能しなかったことなどを指摘しました。
  • ▼情報バラエティー2番組3事案に関する意見はこちらから
    第12号 2011年7月6日 放送局:テレビ東京、毎日放送
    1.番組で酸素飲料を飲み、ダイエットに成功したと紹介した女性が、その飲料を販売する会社の社長だった事が分かったテレビ東京の『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』(2010年11月8日放送)
    2.ホテルを購入しようとしたセレブな女性に密着した取材が、ホテルの宣伝のための作り話ではないかと視聴者から指摘された毎日放送の『イチハチ』(2010年11月17,24日放送)
    3.同じ『イチハチ』で、出演した女性がニューヨークに23件もの不動産物権を持っていると紹介し、その後、毎日放送が女性の所有とは証明できず、事実と異なる情報を放送した可能性が極めて高いと言わざるを得ないと公表した事案(2011年1月12日放送)
    委員会は、情報や事実の正確さを前提に制作されている以上、その正確性や公正性に対する確認や裏づけ取材は、バラエティーといえどもあやふやであってはならないと指摘しました。そのうえで、若い制作者たちへの手紙という「別冊」で、委員会への思いを表明しました。
  • ▼日本テレビ 「ペットビジネス最前線」報道に関する意見はこちらから
    第10号 2011年5月31日 放送局:日本テレビ
    番組の中で紹介されたペットサロンとペット保険の2人の女性客が、実は一般の利用者でなく、ペットビジネスを展開する運営会社の社員だったという事案。担当ディレクターは、そのことを知りながら、一般客として放送していました。委員会は事実を正確に伝えておらず、公正性も損なわれていると指摘しました。
  • ▼テレビ朝日『報道ステーション』マクドナルド元従業員制服証言報道に関する意見はこちらから
    第3号 2008年2月4日 放送局:テレビ朝日
    「マクドナルド製造日偽装問題」のニュースの中で、店の制服とバッジをつけた女性が「直営店でも商品の調理日改ざんをしていた」との内部告発の証言を放送しましたが、女性は現職ではなく、番組は、店員の制服を着て店長代理のバッジをつけた元店員が内部告発の証言をするという演出をしたことについて謝罪放送をし、また、証言者が番組関係者であることも明らかにした事案。委員会は、こうした安易な演出は、報道にあたっての慎重さに欠けるものであったなどと指摘しました。

委員会決定等について

question
委員会決定等に、当該放送局に対して措置を求める強制力はあるのか?
answer
3委員会から指摘された放送倫理上の問題点について、改善策を含めた取り組み状況を委員会に報告することになっています。いわゆる「3か月報告」と呼ばれるものです。日本民間放送連盟の申し合わせ2「委員会決定の尊重と改善等の報告」の中で、「加盟各社は、機構の各委員会からの『勧告』『見解』『提言』『声明』その他決定により指摘された放送倫理上の問題点について真摯に受け止め改善に努める。また、指摘を受けた当該加盟社は、決定内容をニュース等で速やかに視聴者に伝えるとともに、具体的な改善策を含めた取り組み状況を 3か月以内に委員会に報告する」となっています。つまり、委員会決定の内容をニュース等で伝えるとともに、当該放送局の対応と取り組みをまとめた報告書を3か月以内に提出することになっています。また、NHK、民放連との「基本合意」3で、「NHKと民放連加盟各社は、3 委員会の独立性を妨げることなく円滑な委員会運営に協力し、その活動内容を視聴者に広く周知するとともに、 3 委員会から指摘された放送倫理上の問題点については、当該放送局が改善策を含めた取り組み状況を委員会に報告し、放送倫理の向上を図る」となっていて、NHKもこれまでの委員会決定で問題点を指摘された際は、3か月以内に報告書を提出しています。