2016年12月21日

『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』(2016年10月9日放送)

2016年12月21日 放送局:TBSテレビ

2016年10月9日18時30分から21時54分にTBSテレビで制作・放送された『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』の内、「大声厳禁 サイレント風呂」と「心臓破りのぬるぬる坂クイズ」のコーナーについて第185回青少年委員会で審議入りを決め、TBSテレビに質問書を送り回答書の提出を求めました。TBSテレビからの回答を受け、第186回青少年委員会で、「意見交換」(TBSテレビから当該番組プロデューサーをはじめとする、制作局、編成局の関係者ら6人、BPOから7人の全委員が出席)を開催、引き続き委員による審議を行い「委員会の考え」をまとめることにしました。第187回青少年委員会で「委員会の考え」を承認し審議を終了、以下に経緯を含め公表します。

<委員会の考え>

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2016年12月21日

TBSテレビ
『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』に関する
委員会の考え

放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会

 BPO青少年委員会は、多くの視聴者意見が寄せられたTBSテレビ『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』(2016年10月9日 日曜日 18時30分から21時54分放送)について、第185回委員会で審議入りを決め、TBSテレビに番組の演出意図などについて質問書を送り回答書の提出を求めるとともに、第186回委員会で制作担当者などを招いて意見交換を行いました。TBSテレビには、真摯に対応していただいたことに感謝します。
青少年委員会は、これらを踏まえて審議を行い、各放送局にも引き続きバラエティー番組について考えていただきたいと願っている論点が含まれることから、以下のとおり、「委員会の考え」として公表することとしました。

1 「表現上の配慮」について
番組のうち、「大声厳禁 サイレント風呂」と「心臓破りのぬるぬる坂クイズ」のコーナーについて、多数の視聴者からBPOに対して、表現が下品で低俗であることに対する嫌悪感や不快感、男性の性器に触れるかのような演出で安易に笑いをとろうとした行為への違和感、また、子どもに与える影響を危惧する批判的意見などが寄せられました。
「大声厳禁 サイレント風呂」は、熱海の温泉場で、男性芸人たちが大声禁止のルールのもと様々なハプニングに対して我慢するというゲームでしたが、このなかで、三助役に扮した男性が複数の男性芸人の股間に"ヒリヒリする薬"を塗るシーンがありました。あわせて、別室でモニターを見ている女性アナウンサーの反応が映し出されました。
「心臓破りのぬるぬる坂クイズ」は、熱海の海岸にローションを塗った大型の階段セットを用意し、芸人が転倒したりもつれあって滑り落ちたりしながら階段をよじ登って頂上を目指すというものでしたが、そのなかで、複数の男性芸人と女性芸人が下半身を露出し、また男性芸人1人が全裸で階段を昇り降りするシーンが放送されました。こちらも女性アナウンサーはじめ異性がいる前での演出でした。
番組を視聴した委員からは、これらの演出について、社会的受容の範囲を逸脱しているのではないか、性に対する扱いが不適切であるなどの意見があり、青少年委員会がバラエティー番組についてこれまでに公表してきた「委員会の考え」などが十分に理解されていないと考えざるを得ませんでした。
民間放送共通の自主的な倫理基準として制定された「日本民間放送連盟・放送基準」(放送基準)の第8章「表現上の配慮」(48)には「不快な感じを与えるような下品、卑わいな表現は避ける」と規定されています。また、今回の番組は、日曜日のゴールデンタイムに放送されていますが、放送基準の第3章「児童および青少年への配慮」(18)には「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する」と規定されています。番組制作に携わる人たちは、これらの放送基準の意味を再確認していただきたいと思います。
青少年委員会は、2014年4月4日に公表した「日本テレビ放送網『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』に関する委員会の考え」でも述べているとおり、バラエティー番組には視聴者の心を解放し活力を与えるという働きがあるとともに、視聴者の喜怒哀楽や感受性を直接刺激し日常生活の価値志向にも影響を与えることから、作り手は常に社会の動きにアンテナを張りめぐらせ、視聴者の動向を見据える必要があると考えています。つまり、「表現の内容が視聴者に与える影響は時代の価値観や社会のあり方に規定される」ということです。
現代社会はジェンダーについての意識やセクシャルハラスメントに対する理解が深まり、とくに近年は性的少数者の社会的受容という性意識の変化が見られるようになりました。
テレビ局はこうした動向を鋭敏に感知する必要があり、特定の場面に嫌悪感を表し、また、子どもに悪影響を与えると懸念する視聴者に対しても謙虚に耳を傾けるべきではないかと考えます。

2 収録時の配慮について
今回の審議入りに当たって青少年委員会が最も懸念したのは、収録時の配慮が欠けていたのではないかということでした。多くの視聴者から指摘があったように、「心臓破りのぬるぬる坂クイズ」は、公共の場所である熱海の海岸で収録され、放送には、一般の人々が見学する姿が映っていました。
TBSテレビからは、収録状況について、「セット前面の『撮影エリア』は海に面しており(海辺まで20メートル)、左右は、基本セットに加えて参加者のコースアウト防止のために1.5メートルほどの壁を設置し、周囲からは独立したスペースと考えており」「『撮影エリア内』は一般の方々の立ち入り規制をしておりました」との回答がありました。ハプニングとして男性芸人のズボンが脱げる程度の露出は、制作者も予見していなかったわけではないが、ロケ中に芸人が自ら服を脱ぐなどの行為は全く想定外であったとのことです。
しかし、ゲームの特殊性や進んで笑いを取ろうとする芸人の行動がエスカレートする可能性が皆無ではないことを考えれば、撮影場所の選定やセットの独立性の確保の点で配慮に欠けていたことを指摘せざるをえません。
番組の放送内容だけではなく、特に公共の場での収録に関しては、コンプライアンスへの十分な自覚と、不適切なハプニングが起きる可能性を想定するなど、細心の注意をもって臨んでいただきたいと思います。

3 多元的な視点によるチェック
回答書によれば、TBSテレビは制作局の自社制作番組のコンプライアンスおよび考査を制作考査部が担当し、通常、コンプライアンスや放送倫理をチェックするマネジメントプロデューサー(MP)が配置されます。ところが、今回の番組は2人のベテランプロデューサーが制作に携わっていたことなどから、専任のMPが配置されず、このため、結果として、制作当事者だけのチェックとなり、考査担当者による客観的な指摘や議論のないまま企画が進行し、放送されることとなったとのことです。
老若男女から外国人まで、多様な価値観を有する様々な人たちが視聴するテレビ・ラジオについては、可能な限り多くの人々に共感を得られる番組を作ることが求められます。TBSテレビにおいては、多元的かつ客観的な視点によるチェックを経て検討を重ねることの重要性を再確認するとともに、制作スケジュールの問題など、今回、局内のチェックシステムが働かなかった原因を探り、課題を克服するための仕組み作りを再考していただきたいと思います。

4 放送局の対応について
TBSテレビは青少年委員会に対する回答書のなかで、「バラエティ番組における下ネタの大前提は、社会に受容される範囲を越えて社会通念から逸脱すれば、視聴者に不快感を与え」るとし、「社会に受容される範囲」を線引きするのは難しいものの、問題になった2つのシーンは、「社会に理解される範囲を逸脱し、多くの視聴者に受容されない内容であったと反省せざるをえません」としています。
そこでこのたび直接寄せられた批判などを受けて、TBSテレビは制作局内でこれまでに青少年委員会が公表した「委員会の考え」「委員長コメント」を配布して勉強会を開き、意見交換を行いました。また、社内横断的な組織である放送倫理小委員会でも議論と検討を進めているほか、今後、全社的な議論の場である放送倫理委員会や外部の有識者が委員をつとめる「放送と人権」特別委員会でも取り上げていく予定とのことです。
TBSテレビには、青少年委員会に対する回答書の提出や意見交換においても、問題の所在を直截に捉えて、真摯に対応していただきました。今後もより良い番組作りのために更に議論が深まることを願います。

5 終わりに
青少年委員会は、テレビ・ラジオの使命である公共性について、これまで度々意見を述べてきました。今回の問題を受けて、放送局には、公共の電波を預かるものとして、また、国民の教養形成の最重要メディアとして、"公共善"の実現への責任を自覚していただきたいことを再度お伝えしたいと思います。放送局がこの自覚を忘れ、安易な番組制作に陥れば、2015年12月9日に公表した「テレビ東京『ざっくりハイタッチ』赤ちゃん育児教室企画に関する委員会の考え」で述べているように「権力的な統制を求める世論を高める可能性があり、結果的に制作者が望まない事態になる恐れ」もあります。そして、私たちは、これは表現のみならず収録を含む番組制作過程全般に当てはまると考えています。
視聴者に豊かな笑いを提供することは、上品と下品の境界上で、時として表現の限界に挑戦するような困難な努力が求められることではありますが、多様な価値観が広まっている現代社会において、自己模倣や安易な演出に流されることなく、視聴者が心を解放して明日への活力につながる爽やかな笑いに包まれるよう、より神経を研ぎ澄まして、真にチャレンジングなバラエティー番組を作っていただくことを期待します。

以上

<青少年委員会からの質問>

2016年10月28日

ご回答のお願い

平素よりBPOの活動にご理解・ご協力をいただきありがとうございます。
さて、10月25日開催の第185回委員会では、貴局制作・放送の番組『オール芸人お笑い謝肉祭 ’16秋』(2016年10月9日18時30分から21時54分放送)の内、「大声厳禁 サイレント風呂」と「心臓破りのぬるぬる坂クイズ」のコーナーについて問題点を指摘する多くの意見が視聴者から届いたのを受けて番組を視聴し、討論した結果、「審議対象番組とする」という結論に至りました。
つきましては、以下の質問に対して貴局の回答を書面にてご報告いただきたくお願いいたします。なお、質問および回答は、「BPO報告」や「BPOウェブサイト」などで公表いたしますので、ご承知おきください。

    1. 男性が男性の股間を無理やり触ったり、全裸や下半身露出で坂を滑り落ちるなどの演出意図についてお聞かせください。

    2. 上記の演出について、制作者と、コンプライアンスや考査担当者との間でどのようなチェックや議論が行われたのか、また、社内でどこまで情報が共有されていたのかについてお聞かせください。

    3. 上記の演出について、公共の場所を利用した撮影であったことやセクシャルハラスメントの視点から、どのような配慮と議論がなされていたのかについてお聞かせください。

    4. 家族団らんで視聴することが多い日曜日夜の時間帯に上記コーナーを放送するに至った経緯についてお聞かせください。

    5. 青少年委員会では、「放送の公共性」や「表現上の配慮」について「委員会の考え」や「委員長コメント」で繰り返し意見を公表し、注意を促してきました。これらについて貴局のこれまでの対応と、「放送の公共性」や「表現上の配慮」をどのように考えているかについてお聞かせください。

ご検討いただく時間が短くて申し訳ありませんが、回答は11月14日(月)までに事務局にお送りいただきますようお願いいたします。

以上

<TBSテレビからの回答>

2016年11月14日

放送倫理・番組向上機構
放送と青少年に関する委員会
委員長    汐見 稔幸様

株式会社 TBSテレビ
制作局 制作一部長   合田隆信
制作考査部長  高田 直

 謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 貴委員会よりご質問をいただいた2016年10月9日放送「オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋」(以下、「謝肉祭」)につきまして、番組を統括する制作一部長、そして制作局でコンプライアンスや考査を担当する制作考査部長よりお答えします。

 当該番組は、TBSテレビの春・秋恒例の特別番組「オールスター感謝祭 ’16秋」(以下「感謝祭」)放送翌日の日曜日、「感謝祭」に続く2夜連続の大型番組として18時30分から21時54分まで放送された特別番組です。

 家族そろって大笑いしながら楽しめる番組を期待して企画されたもので、芸人40人が静岡県熱海市に集合。1泊2日で、熱海の風光明媚な海や山、そして温泉などを舞台にクイズやゲームに挑んだものでした。

 しかし、放送後視聴者から、この番組の2つのコーナーに関して「下品、低俗」、「子どもに見せられない」など多くの批判を受け、貴委員会からも「日曜の夜、家族に向けて放送する内容とは思えない」、「『放送の公共性』、『表現上の配慮』をどう受け止めてきたのか」などの指摘をうけました。番組内のクイズやゲームのほとんどは番組が独自に考案したもので、制作者たちは「理屈なしに笑ってもらえる」番組を目指して「笑い」を追求したつもりでしたが、どこかで、方向を見失っていた部分があったと考えております。視聴者や貴委員会からの指摘を重く受け止め、教訓としながら、今後は本当の意味でのチャレンジングなよりよい番組作りに努力してまいりたいと思っています。

 以下、貴委員会からいただいた5つの質問にお答えします。

問1について

 多くの批判を受けた演出は、「大声厳禁 サイレント風呂」と「心臓破りのぬるぬる坂クイズ」の2つのコーナー内でのことでした。
「大声厳禁 サイレント風呂」は、温泉場として知られる熱海の特性を生かし、「温泉」にちなんだ何か楽しいゲームが作れないかと発想したものでした。
温泉には、お互いに気持ちよく入浴するために「大騒ぎしない、大声を出さない」などの入浴マナーがありますが、これをもじって、大声禁止ルールのもと、入浴中の芸人に様々なハプニングを用意し、声を上げたくなるところをぐっと我慢する芸人のやせ我慢ぶりを楽しむゲームでした。
「座ると壊れる椅子」、「強い悪臭がするシャンプー」、「突然冷水を浴びせられる」などに続いて、さらなる大きなリアクションを期待して奇想天外な仕掛けのつもりで準備したのが、最後に行った「浴槽にワニを放つ」と、「股間にヒリヒリする薬を塗られる」演出でした。
背中を流してくれるはずの三助役の男性が、突然とんでもない行為に及んだら…。なんとか「笑い」に転化できるのでは、と考えてのことでした。
ところが、結果的には、稚拙な悪ふざけの印象ばかりが残る後味の悪いものになりました。「面白くない下ネタで低レベルの笑いを取りにいった」などの指摘にも抗弁することができず、制作者として恥入るばかりです。

「心臓破りのぬるぬる坂クイズ」は、弊社番組「オールスター感謝祭」でスタートした「ぬるぬる相撲」から派生したもので、「ぬるぬる」ものは弊社バラエティ番組の定番企画とも言えるものです。
今回は、「史上最大のぬるぬる坂」を謳って、熱海市の海水浴場に高さ9メートル、長さ25メートルの大型の「竜宮城」セットを用意しました。
このコーナーの狙いは、転倒したりもつれあって滑り落ちたりしながらも、ローションが塗られた階段をよじ登っててっぺんを目指す、芸人さんたちの奮闘とドタバタぶりの面白さでした。そのため、安全対策は念入りに行い、階段の素材は衝撃を吸収できるウレタンにして、参加者は全員、ヘルメット、ジャージ、ひじとひざのサポーター、ネックガードを着用していました。
過去の「ぬるぬる」企画を思えば、お互いに衣服を引っ張りあうなどして、ハプニングとして男性芸人のズボンが脱げる程度の露出は、制作者も予見していなかったわけではありません。いわば「お約束のシーン」と考えておりました。
参加した芸人たちは、なんとか「笑いがとれる」シーンを作るべく、進んで衣服を脱いだりお尻をさらして盛り上げようとしましたが、芸人たちにそうした方向でしか笑いがとれないと思わせた番組演出の力不足を恥入るとともに、本来は流れをストップし是正すべきであったと反省しております。

私たちは、いわゆる「下ネタ」がすべてダメだとは考えていません。
貴委員会も、これまでに、「下ネタ」が時と場合によっては「見るものを開放的にし、豊かな笑いをもたらす…」などの面にも言及されています。しかし一方で、バラエティ番組における下ネタの大前提は、社会に受容される範囲を越えて社会通念から逸脱すれば、視聴者に不快感を与え、楽しいはずのバラエティ番組が社会に違和感を与えるものでしかなくなってしまうことも指摘されています。
では、社会に受容される範囲とはどこまでなのでしょうか。これは難しい問題です。民放連・放送基準「不快な感じを与えるような下品、卑わいな表現は避ける」(48条)に大枠を定めているものの、その表現に至る流れ、周囲の状況、誰が演じるのか…などなど、様々なファクターで視聴者に与える印象は変わってくるのではないでしょうか。
ならば、今回ご指摘のあったシーンはどうであったか?残念ながらこのシーンはその社会に理解される範囲を逸脱し、多くの視聴者に受容されない内容であったと反省せざるをえません。視聴者の目線に立って、視聴者にどのような印象を持たれるのかについての洞察や想像力に欠けており、安易な演出に手を染めたことが見透かされ、視聴者にとっては、笑いよりも嫌悪感が先行してしまったのではないかと考えております。

問2について

制作局の番組では、制作局内におかれた制作考査部が、番組のコンプライアンス及び考査を担当しています。
バラエティの各番組には、制作当事者とは一線を画して客観的にチェックするコンプライアンス担当のマネジメントプロデューサー(MP)が配置されており、制作考査部に兼務で所属しています。MPは、番組によっては、放送前のVTRチェックだけでなく、収録に立ち会ったり企画段階からディレクターやプロデューサーの相談に乗るなどして、法令遵守や放送倫理の観点から、番組の質の向上に努めています。また、MPが出席する制作考査部会では、番組から相談をうけた個々の企画をコンプライアンスの視点から議論し、どうすれば実現可能かなどを話し合っています。
MPは、番組内容に懸念や疑問があれば番組のプロデューサーとまず直接議論しますが、解決しなかった場合、MPはさらに制作考査部長に相談。制作考査部長は、プロデューサーや番組制作現場を統括する制作一部長、二部長と話し合って問題を解決する、というシステムを作っています。
しかし、今回の番組は2人のベテランのプロデューサーが担当しており、うち1人は他番組ではMPを務めていることから、専任のMPは配置していませんでした。また番組を統括する制作一部長が、早い段階からこの企画の相談に乗りロケの一部にも立ち会っていたため、制作一部長が総合的にチェックするという形をとりました。
そのためこの番組は、結果的に制作当事者だけのチェックとなり、考査担当者による客観的な指摘や議論のないまま企画が進行することとなりました。制作考査部は、番組の安全対策には参加していたものの、上記の理由から内容面でのチェックには加わりませんでした。しかし、大型の特別番組であることを考えれば、制作考査部長などは、内容面についての確認は行うべきであったと反省しています。
VTRチェックの段階でプロデューサーは、「芸人が肌を露出している場面が目立つな」との感想は持ちつつも、「マスクやモザイクで丁寧に対応すれば、放送でカットするレベルの問題ではない」と考えました。
また制作一部長は、「下ネタを扱っているようだが、卑わいの印象はことさら強くなく、芸人が脱ぐことは、一種の『お約束』として視聴者に受け止められるのではないか」との印象を持ちそのまま編集作業を進める判断をしました。
今回の番組は「身体を張ったクイズバトル」であるとの認識が制作者側にあり、番組収録に先立って社内横断の安全対策会議を呼びかけ、編成局、コンプライアンス室、技術局、美術センターも加わって、大型セットの安全面などに重点を置いて事前チェックをしました。しかし内容面については、制作局が責任を負っており、あらためて社内の他のセクションに検討を要請することはありませんでした。
今後は、制作局が作る全ての番組について、制作考査部を中心に、客観的で複眼的なチェックを徹底してまいりたいと考えています。

問3について

「ぬるぬる坂クイズ」のロケ現場は、熱海市の海水浴場でした。セット前面の「撮影エリア」は海に面しており(海辺まで20メートル)、左右は、基本セットに加えて参加者のコースアウト防止のために1.5メートルほどの壁を設置し、周囲からは独立したスペースと考えておりました。また収録内容を放送前に公開したくないという目的や「映りこみ」を避けるため、「撮影エリア内」は一般の方々の立ち入り規制をしておりました。
しかし、どの程度撮影の様子が見えていたかはわからないものの、放送では、「撮影エリアの周辺」に一部見学の市民の方々が立つ姿が見てとれました。
先に述べたように、ロケ中に芸人が自ら服を脱ぐなどの行為自体はまったく想定外のことでしたが、ロケ地点の設定について、さらに慎重な配慮が必要であったと考えております。
また、「ぬるぬる坂」のコーナーに関しては、視聴者から、撮影現場の状況を考えれば女性アナウンサーや女性スタッフに対してのセクシャルハラスメントがあったのではないか、との指摘をうけました。
現場が想定外の状況にエスカレートしたとはいえ、このような事態を止められなかった背景には、ハプニング的な「男性芸人の肌の露出」に関しては、視聴者からも「お約束のシーン」として一定の理解を得ているという制作現場の甘い認識があったことは否定できず、「セクシャルハラスメント」に関して意識が低かったと言わざるをえません。さらに視聴者からは、「サイレント風呂」のシーンなどを含めた放送内容が男性目線であり、女性アナウンサーの反応を流すことはそれ自体が「セクハラではないか」との批判もありました。真摯に受け止めたいと思います。
今後、撮影場所の選定や、セクシャルハラスメントの問題については、あらためて重点チェック項目とし、意識改革してまいりたいと考えております。

問4について

 冒頭でも申し上げましたが、この番組はもともと弊社恒例の特別番組で、春・秋の土曜日に放送される「オールスター感謝祭」の翌日に放送される、2夜連続の大型番組として企画されたものでした。
また「謝肉祭」のHPでは、番組について「前日の感謝祭では全く目立てなかった、もしくはそもそも呼ばれてさえいない芸人たち40人が…身体を張ったクイズバトル」との紹介があり、基本的には「身体を張ったクイズバトル」を想定し、「家族そろって大笑い」できる企画として期待されていたものでした。
では制作過程において、当初目指したコンセプトがなぜ変質していったのか。
制作一部長は、それは、プロデューサーはじめ演出陣の「恐怖」と「自信のなさ」が原因ではないかと断じています。出演芸人の股間にヒリヒリする薬を塗ったり、ハプニングであったとはいえ、芸人の裸のシーンを放送してしまったのは、番組が「つまらない」ことへの恐怖から安易に逃れようとした結果に他ならない、と。
笑いの演出家である以上、誰しもが本音では「下ネタ」めいたものではなく、もっと独自のハイセンスな笑いを生み出したいはずで、そのための努力を極限まで尽くそうとはせずに、制作に臨んだ結果がこの放送であったと言えます。終わってみれば、とても「家族そろって屈託なく笑える」ものにはなっておらず、大きな悔いを残す結果となってしまいました。

問5について

 制作局では、これまでもBPOの各委員会から出された指摘を、局会や部会などで共有しつつ議論し、理解を深めるよう努めて参りました。
また近年、青少年委員会から示された意見などは、他社の事例であっても、現場で注目していたことは間違いありません。
しかしながら、今回の結果を考えますと、各事案の教訓が制作者たちの中で徹底されていたとは言えず、一定の時間を経て指摘された問題意識は風化しつつあり、今回の企画に関しても、過去の事案と比較して「あそこまでえげつないものではないだろう」との考えが、放送に至る判断を後押ししていました。
言うまでもなく貴委員会が過去に出されたメッセージは、倫理基準を機械的にあてはめるような線引きを目的としているのではなく、なぜバラエティ制作者たちは、視聴者が嫌悪し、不愉快にさせる表現で笑いをとろうとしているのか?という根源的な問いかけがあったのだと理解しています。また、メッセージの中には、「せっかくの日々の努力で、明るい笑いを届けようとしているあなたたちの番組が、ひとつの逸脱し、やり過ぎた表現で水の泡になってしまうのではないか…」と、制作者への忠告もありました。
私たちは、貴委員会の真意を受け止め切れていなかったと言わざるをえません。
このたびあらためて、制作局内の制作一部、制作二部、制作考査部の部会で、過去の事案の「委員会の考え」、「委員長コメント」の全文を配布して勉強会を開き、意見交換しました。
社内横断的な組織である放送倫理小委員会ではこの番組を取り上げ、その議論などを踏まえて、今後審査部門は、性的な表現についての具体的な指針を番組制作者に向けてまとめる予定です。さらに、今後、全社的な議論の場である放送倫理委員会や外部の有識者が委員をつとめる「放送と人権」特別委員会でも、この問題を取り上げていくことにしています。

終わりに

 「テレビ離れ」が言われる時代の中で、今なおテレビが好きで楽しみに見てくださっている方々の存在を、私たちは本当にありがたいことだと思っています。私たちは、そんな家族が集まった日曜夜の「お茶の間」に向けて、「理屈なしに笑ってもらえる」番組を作ろうとしたつもりでした。
しかし、地上波放送の中で、子どもからお年寄りまで様々な世代に同時に楽しんでいただけるような「笑い」を生み出すことは容易なことではありません。
本来は、制約があるからこそ番組制作者は壁に挑戦し、壁を越えるために十重二十重に考えをめぐらせて、ギリギリの境界線の上に視聴者に面白いと感じてもらえる新しい「笑い」が生み出されるのかもしれません。しかし今回は、視聴者に「もっと笑ってもらいたい」、「もっと笑ってもらいたい」と知恵をしぼっているうちに視野が狭くなり、放送の公共性や社会性が視野から遠ざかってしまった部分がありました。「短絡的な発想で、手っ取り早く笑いをとろうとした稚拙な演出だった」とのご批判も甘んじて受けざるをえません。
何よりテレビが大好きな視聴者の期待に応えられなかったことは、プロとして本当に残念で恥ずかしいことです。
また、私たちのせいで、他のバラエティ番組制作者の表現の幅をせばめてしまったかもしれないことにも悔いが残ります。
今回の件を教訓とし、今後ともバラエティ制作者としての果敢な気持ちを大切にしながらも、放送の社会性・公共性を肝に銘じ、真にチャレンジングな番組を作っていきたいと考えております。

<意見交換の概要>

2016年11月22日

TBSテレビ『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』
意見交換の概要

●=委員、○=TBSテレビ

(1) 表現上の配慮の問題について
● TBSテレビが細目について準用している日本民間放送連盟・放送基準(放送基準)では、第3章「児童および青少年への配慮」(15)児童および青少年の人格形成に貢献し、良い習慣、責任感、正しい勇気などの精神を尊重させるように配慮する。(18)放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する。第8章「表現上の配慮」(48)不快な感じを与えるような下品、卑わいな表現は避ける。第11章「性表現」(73)性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する。(79)出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する。とあるが、これらの基準に照らし合わせ、どのように表現上の配慮をしたのか?
○ 企画段階から番組に関わりロケにも立ち会っていた。品がない企画だとの認識はあったが、卑わいとは感じず、放送しないという判断には思い至らなかった。今になって思えば、世間の感覚とズレがあったと言わざるを得ない。放送後に社内各所からも「家族で楽しめる内容ではなかった」「下品だった」など、かなりの批判を浴びた。
● 放送における表現の「不快」や「下品」について議論することは番組の評価にも関わり、その判断基準は人や時代によって変化するものなので「この表現はいけない」などと我々BPOが押し付けることはすべきではないと考える。しかしながら、今回「なぜ、無視できないほどの視聴者意見が寄せられたのか」を考え、問題意識を共有したい。当該番組の企画・制作段階において、今回の演出は「社会的に受容される」との判断があったということか。
○ 「ある程度の意見はくるだろう」との認識はあったが、社会に受容される範囲内だろうと判断していた。放送前の試写にも立ち会っていたが、番組の面白さや出来不出来など、内容ばかりに意識が向いていた。
● ロケを行う前の台本段階でのチェックはどのようなものだったのか?
○ 当該番組は、比較的多額の予算が与えられ、理屈抜きに笑うことができる番組を目指していた。出演者も大人数、セットも大がかりだったので、担当プロデューサーとしては「安全管理」に意識が集中していた。
○ 「サイレント風呂」については、危険ではないという程度の認識だった。「ぬるぬる坂」では、出演者のズボンが脱げてしまうようなハプニングもある程度、想定していたが、生放送ではないので問題ないだろうと考えていた。
○ 「ぬるぬる坂」については、出演者が衣服を脱ぎ始めたということよりも、階段から人が滑り落ちてくることなどにより事故が起きないようにすることに多くの注意を払っていた。衣服を脱ぎ始めた出演者の行為自体の是非ではなく、その映像をどのように加工処理して放送するかという2次的な対応に思考のベクトルが向かっていた。
● 「サイレント風呂」は、どのように企画され、なぜ放送されたのか?
○ 「男性が男性の股間に薬を塗る」という行為が、あれほどたくさんの視聴者に不快感を与える行為だと思わなかった。安全性も確保してあるので、「氷水をかける」ことと同じ感覚でいた。
● 当該番組には「性的不快感」という視点が欠けていたのではないだろうか。ある調査によればLGBTを含む性的少数者に該当する人は日本人の7.6%だとも言われている。今の時代、「サイレント風呂」の企画を「“男同士だから問題がない”とは言えない」と考える人が、制作者にいなかったのか?
○ LGBTの問題については、別の番組で取材した経験もあり、勉強もしている。しかし、今回の番組においては、そこに思いが至らなかった。
● 放送では性器をマスキング処理していたが、ロケ現場のモニター画面には処理されずに映し出されていたと思う。アナウンサーをはじめとする異性の出演者も見ていたはずだが、その人たちへの配慮はあったのか?
○ 企画内容を事前に伝えていたが、セクシャルハラスメント(セクハラ)にあたりかねないとの意識は低かった。

(2) 局内におけるチェック体制と放送責任について
● 当該番組は、通常と違い放送されるまで制作担当者しか番組試写をしていないという極めて特異な状況だったとのことだが、なぜ今回に限りそのようなことが起きたのか?
○ TBSテレビでは、コンプライアンスや番組考査を担当するMP(マネジメントプロデューサー)を番組ごとに配置している。しかし当該番組は制作部長が企画し、ベテランのプロデューサーが2人担当するという体制が組まれたので、(番組改編の)繁忙期だったこともあり、制作陣だけでも自主判断できるだろうと考えてしまった。通常の番組では、判断の最終責任者ともいえる制作部長が企画から制作に入り込んでいたという意味でも、今回のチェック体制はイレギュラーだった。
● 他番組でのMP経験もあるというプロデューサーが、今回の番組を担当していたにも関わらず、どうしてこのようなことになったのか?
○ 自分がMPとして担当している番組では、今回視聴者から指摘を受けたような表現に対しての経験が乏しかった。さらに制作スケジュールが切迫していく中で、番組を完成させることだけでいっぱいいっぱいになってしまっていた。
○ 放送前に、ダブルチェック、トリプルチェックしていれば番組内容は違っていたかもしれない。今後は、必ずMPを配置させたい。
○ 編成から制作への当初のオーダーは「週末のゴールデンタイムに家族で視聴できる番組」というもので、事前には演出の細部までは把握してはいないが、企画段階では編成としても了承はしていた。しかし放送後、編成部としても「家族で視聴できる番組とは、とても言えない内容だった」と制作に伝えた。
○ 放送翌週の10月14日に局内で「放送倫理小委員会」が招集され、当該番組が取り上げられた。「なぜ放送されてしまったのか」「どこかの段階で止めることはできなかったのか」と批判を浴びた。放送直後から局内では反省と今後の対応が必要だとの自覚があった。

(3) 収録時の配慮について
● 放送では「ぬるぬる坂」収録の際、一般の人が現場に入り込んでいるように見えるが、見物人に対する配慮はなされていたのか?
○ 「撮影エリア」内は、一般の人の立ち入りを規制していた。また「撮影エリア」は海に面しており、セットの左右には出演者の安全管理のために1.5メートルほどの壁を設置していたので、スタジオ同様とまでは言えなくとも、周囲からは閉ざされたスペースだという認識だった。
● 公開された場所での撮影で、出演者が衣服を脱ぎ全裸になるということは、例えばドラマのロケなどでは考えられない行為ではないだろうか。「お笑いならば許される」という意識があったのではないか?
○ 裸になった出演者がセットを越えて、一般の人が見えるような場所に飛び出していくようなことがあれば、当然、制止する。
○ 裸になった出演者の姿を見物していた一般の人が間近で見るようなことはなかったが、遠くから見えていた可能性が100%なかったとは言い切れない。
○ 制作担当者のコンプライアンスに対する意識が低かったことについては、今後、さらなる教育の必要があると考えている。また、当該番組がセクハラを助長する可能性をはらんでいたことなども再認識した。制作部だけではなく、全社的に対応すべき問題だと考えている。

(4) 再発防止策について
○ TBSテレビでは、番組考査の専門性を重視し、制作局内に制作考査部を設置し、番組ごとに担当のMPを配置している。しかし、今回はこのシステムが有効に機能しなかった。そこで、今後は(1) MP配置の徹底、(2) 直截な「べからず事例」の作成と共有、(3) 制作現場における活発な議論を行いたい。
● 放送基準の運用については、番組ごとに熟慮し判断することが適当ではないか。「べからず事例」が作られることによって、現場が委縮し、番組が面白くなくなってしまうのではないかと懸念する。
○ 直截な「べからず事例」を提示することにより現場から立ち上がる疑問の声をもとに、議論を行うことが現実的対策だと考えている。
○ 「事例」の提示をどのような形にすべきか、今、まさに局内で議論をしているところである。
● インターネットやSNSでだれもが自由に発言できる中、「BPOがテレビを面白くなくしている」などと言われることが多い。しかし、青少年委員会は、規制したり裁判のようなことをする委員会ではない。放送現場に望むことは、出演者と何でもディスカッションできる関係を築き、アイデアを出し合い、楽しい番組を作っていただきたいということ。委縮せずにもっと面白い、新しい笑いを生み出していただきたいという思いがある。

≪委員長まとめ≫
青少年委員会は表現の自由を守ることが一番大切だと考えている。そのためには、メディアに携わる人間は、放送の公共性を理解し、国民のコモンセンス、社会的教養の創出を預かっているのだと自覚し、努力しなければならない。そうし続けないと公権力の介入を招きかねない。答えはすぐには出ないが、「国民が求める笑いの質とは何か?」と、「笑いの創出」について問い続けるきっかけになれば幸いだ。

2015年12月9日

『ざっくりハイタッチ』(2015年9月12日放送)

2015年12月9日 放送局:テレビ東京

2015年9月12日25時15分から25時45分までテレビ東京で放送された『ざっくりハイタッチ』~赤ちゃん育児教室~について第174回青少年委員会で審議入りし、回答要請を行ないました。第175回青少年委員会でテレビ東京からの回答書を基に審議を行い「委員会の考え」をまとめ審議を終了することにしました。以下に経緯を含めて公表します。

<委員会の考え>

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2015年12月9日

テレビ東京
『ざっくりハイタッチ』赤ちゃん育児教室企画に関する
「委員会の考え」

放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会

 BPO青少年委員会は、視聴者意見が寄せられたテレビ東京『ざっくりハイタッチ』~赤ちゃん育児教室~(2015年9月12日25時15分~25時45分放送)について10月27日開催の第174回青少年委員会において審議に入ることを決定し、テレビ東京に11月9日付で「ご回答のお願い」とする回答要請を行いました。そして11月24日開催の第175回青少年委員会において、テレビ東京より11月18日付で提出された「回答書」に基づき審議を行った結果、さらなる意見交換は行わずに「委員会の考え」を公表することで審議を終了することにしました。

 テレビ東京の『ざっくりハイタッチ』~赤ちゃん育児教室~は、芸人の第一子誕生をきっかけに、他の芸人たちが今後経験するであろう育児を学ぶというバラエティー企画です。画像処理はされているものの、芸人が赤ちゃん役となり下半身をあらわにしておむつを交換したり、女優がおむつ姿の芸人のボディマッサージを行い男性器を反応させたりした点について、視聴者から「下品なことを公共の電波で流すことはひどい」などの意見が寄せられました。こうした演出は日本民間放送連盟・放送基準(以下「放送基準」)に抵触する可能性を含んでいて、性的な刺激も強く、委員からも「不快で下品」「いじめのヒントを与える可能性は否定できない」「深夜とはいえ地上波の公共性をどう考えているのか」などの厳しい意見が出ました。
 放送基準 第3章 児童および青少年への配慮 (18)には「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する」と規定され、解説には「テレビでは、午後5時~9時に放送する番組について、とりわけ児童の視聴に十分配慮する」といういわゆる"5時~9時規定"があります。制作者はこれを念頭に深夜帯ならば基準を緩めてもよいと判断し、制作・放送している可能性があります。今回もテレビ東京からは、「番組審査部による考査も深夜番組であるとの認識から通常より緩み、放送するに至った」との回答がありましたが、青少年委員会は、この規定は午後5時~9時以外であれば性的表現などの基準を緩めてよいということを言っているわけではないと考えています。
 最近は中高生も録画機器を使って、深夜帯の番組を録画して見ている傾向があることも分かっています。2015年6月1日に青少年委員会が公表した「『中高生の生活とテレビ』に関する調査」では、有効回答数2993件のうち半数以上がリアルタイムより録画視聴が多いと回答しており、録画視聴者の中では、深夜帯の番組の録画率がそれ以外の時間帯より上昇していることが明らかになっています。もはや深夜帯番組だから青少年のことは考慮しなくてよいという時代ではなくなりつつあるのです。
 もちろん、青少年委員会は、放送基準 第8章 表現上の配慮 (43)に「放送内容は、放送時間に応じて視聴者の生活状態を考慮し、不快な感じを与えないようにする」とあるように、深夜帯の番組も、昼間や夕方などの時間帯とまったく同様に判断しなければならないと考えているわけではありません。また、どの時間帯であれ、性的表現などに厳密な線引きを行うことは、本来自由であるはずの創造の現場を萎縮させ、表現の自由をゆがめることにつながりかねないと考え、性的表現などについての形式的な基準設定を行うことには肯定的ではありません。しかし、2015年1月18日付「"深夜帯番組の性的表現"に関する『委員長コメント』」で指摘したように、「ときに視聴者が嫌悪するような行き過ぎた内容になっていたり、人権侵害や公序良俗にもとる内容になっているのに、そのことに番組制作者が気付かないでいるのではないか」と危惧した事態が広がると、権力的な統制を求める世論を高める可能性があり、結果的に制作者が望まない事態になる恐れもあります。番組制作に関わる人たちが、放送基準 第8章 表現上の配慮 (48)「不快な感じを与えるような下品、卑わいな表現は避ける」を心に留め番組制作にあたることを望みます。
 青少年委員会は「下ネタ」のもたらす笑いが視聴者に開放感を与えることがあることを理解していますが、幼児からお年寄り、外国人までがいつでも無料で見られる公共性の高い地上波放送においては、課金システムのメディアとは自ずと表現上の制約に違いがあることを、2014年4月4日に公表した「『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』に関する『委員会の考え』」で指摘しています。この『委員会の考え』は「中年男性のおむつ交換のシーン」にも言及しているのですが、こうした過去の類似事案についての『委員会の考え』を、制作担当者のみならず、番組審査担当者でさえも「失念していた」「議論の俎上に上らなかった」ことは、放送倫理と番組向上の視点から残念で遺憾と言わざるをえません。
 今回、私たちが懸念したのは、これだけでなく、放送局の主体性の問題もありました。出演者はいずれも著名な実力派の芸人であり、プロデューサー以外は演出担当者もディレクターも構成作家も外部の制作会社の人々でした。番組制作においては一般的な方法の一つですが、外部の企画や制作方針に対して放送局の発言力が弱まっている状況があるのではないかという疑問が強くありました。今回、青少年委員会が番組の企画・制作・放送に至るプロセスを確認したのはそのためです。
 昨今は製作委員会方式のように放送局の関与が限られているケースもあり、それが番組作りの可能性を広げる起爆剤になっているとも思われますが、どのような方法で制作されたものであっても、番組内容や放送時間帯を決めるのは放送局であり、最終的な放送責任は放送局にあることを再度、確認していただきたいというのが青少年委員会委員の共通の思いです。
 なお、今回の審議を受けて、テレビ東京ではBPOの3委員会すべての審議事案の一覧表を作成して社内への配布、周知を行い、社内外およそ150人の制作担当者を集め、VTRを見ながらの研修を行ったとの報告がありました。真摯な対応に感謝します。各局においては、深夜帯番組の表現についてさらに議論を深めていただくようお願いします。

以上

<青少年委員会からの質問>

2015年11月9日

ご回答のお願い

 日頃よりBPOの活動にご協力のほど、感謝申しあげます。
 さて今般、貴社の番組『ざっくりハイタッチ』~赤ちゃん育児教室~(2015年9月12日25時15分~25時45分放送)の中で男性芸人が行った複数の行為に対して視聴者意見があり、それを受けて委員会で番組を視聴し討論した結果、本番組を「審議対象とする」ことになりました。
 つきましては、11月17日までに以下の質問に対して貴社の考えを書面でご回答願います。
 なお、質問およびご回答は、「BPO報告」やBPOホームページ等で公表いたしますので、ご承知おきください。

    1. 『ざっくりハイタッチ』~赤ちゃん育児教室~は、どのような経緯で企画・制作・放送されたのかをくわしくお聞かせください。

    2. 男性芸人が下半身を露出する場面(おしめ交換、女優によるマッサージなど)の演出について、制作者の側でどのような議論が行われたのかについてお聞かせください。

    3. 上記の演出について社内でどこまで情報が共有されていたかについてお教えください。その際、考査部門の判断はどうであったかについてもお聞かせください。

    4. 当該番組は放送直後から11月9日現在も動画サイトでの視聴が可能になっていますが、貴社はどのように対応されているのかお聞かせください。

    5. 青少年委員会では「下ネタ」を扱うバラエティー番組と放送の公共性について、「『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』に関する委員会の考え」および「"深夜帯番組の性的表現"に関する委員長コメント」を発表しております。この「委員会の考え」「委員長コメント」について、貴社の意見、またどのように社内共有されていたのかをお聞かせください。

    6. 放送の公共性について貴社の考えをお聞かせください。

【参考】

『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』に関する「委員会の考え」2014年4月4日 (抜粋)
 青少年委員会は、現代の日本でのバラエティー番組がもつ意味の大きさ、その重要性についてはよく理解しているつもりです。日々笑いを提供し続けることの苦労についても十分想像できますし、新たな笑いの創出のために快や不快、上品下品の境目で仕事をするということも分かっているつもりです。「下ネタ」も時と場合によっては見る者を開放的にし、豊かな笑いをもたらすでしょう。社会を風刺する毒のある表現が、視聴者の憂さ晴らしになることもあると思います。こうした番組づくりのために民放連の放送基準等を杓子定規にあてはめるつもりはありません。それは本来「なんでもあり」のバラエティー番組の萎縮につながりかねません。
 とはいえ、いつでもどこでも誰もが無料で視聴できる公共の地上波放送と、入場料が必要な映画や舞台、CS放送などの有料チャンネルとではメディアの特性が異なり、表現上の制約にも違いがあるということについては、制作側としてけじめをつけていていただきたいということは改めて願わざるを得ません。社会のグローバル化が進む中、幼児からお年寄り、外国人まで多様な視聴者が見る公共性の高い地上波放送においては、課金システムのメディア以上の配慮が必要であることはいうまでもありません。

"深夜帯番組の性的表現"に関する「委員長コメント」2015年1月8日 (抜粋)
 最近の深夜帯番組の性的表現に対して視聴者からも委員会からも強い批判や懸念があることを受け止めていただくことを前提に、放送の公共的責任についての自覚を持った上で、該当局だけでなく、各局においても、深夜帯番組における性的表現のあり方について速やかに議論を行っていただくようお願いすることにした。

以上

<テレビ東京からの回答>

2015年11月18日

放送倫理・番組向上機構【BPO】
放送と青少年に関する委員会
委員長   汐見 稔幸 様

株式会社テレビ東京
制作局 CP制作チームプロデューサー
金子 優
編成局 番組審査部長
大岡 優一郎

貴質問書に対する回答書

 謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を
賜り、厚く御礼を申し上げます。
 弊社といたしましては、『ざっくりハイタッチ』(2015年9月12日放送)に対す
る今般の貴委員会からのご指摘を大変重く受け止めていることをまず、お伝えした
く存じます。社内での度重なる議論も経た今、当番組には不快な思いを抱く視聴者
がいたであろうことは否定できないと考えるに至りました。ひとえに、深夜1時過
ぎから放送する番組であったことで制作基準、審査基準を緩めてしまったからに他
なりません。我々としては同じような逸脱を起こさないよう、早急に対策を講じま
した。今月初め、社内外の制作者を集めて今回の番組を見直しながら問題点を洗い
出す研修会を開いた他、各番組制作現場に対しては放送基準の読み直し、貴機構で
過去に審議された事案についての再確認、またチェック体制の強化を図ったところ
です。これらの作業を通じ、今一度立ち止まって番組制作というものと真摯に向き
合い直さねばならないことを一同、痛感しましたが、誤解を恐れずに言えば、我々
は今回の貴委員会からのご指摘をその良い契機として捉え、今後、よりよい番組作
りに邁進していく所存です。
 貴委員会より頂きました6つのご質問につきまして、以下にお答えいたします。

1.番組の企画・制作・放送経緯
 そもそもは、番組にレギュラー出演している芸人の一人にまもなく第一子が誕
生するとの情報を受け、話題性もあり、未経験者が多いゆえに不慣れな「育児」
というものを芸人たちに実践させることで何か面白い発見があるかもしれないと
の考えから始まりました。本番組は制作会社の協力の下、弊社が局制作をしてい
るものですが、その定例会議の席上、制作会社の演出担当者と構成作家から、「赤
ちゃん育児企画」というものをやってみたらどうだろうかという提案が出されま
した。そこで、演出担当者と制作会社の番組担当ディレクターが当芸人に同様の
提案をし、相談したところ、当企画を進めていくことが決定された次第です。
あくまでも「育児教室」というテーマではあるものの、制作現場としましては、バラエティ番組である以上、そこから多くの「笑い」を生み出すような様々な演
出も必要不可欠であろうとの思いから、出演者が赤ん坊になりきり、様々なリア
クションをしやすくなるようにと考えました。
 7月14日、演出担当者、担当ディレクター、弊社プロデューサーの立会いの下
に臨んだ収録ではやや逸脱した部分もありましたが、それは編集作業でカットで
きると考えました。ゆえに、編集作業に移る前に、プロデューサーや演出担当者
が入念に収録VTRをチェックし、芸人たちが馬鹿馬鹿しさを演じることで「笑い」
を呼び起こすであろうと思われたバラエティ要素の強い部分は最大限に尊重しな
がらも、多くの人が不快に感じるであろうシーンについては、カットすることに
しました。いわゆる「画角」や「カット割り」などと呼ばれる手法で編集作業を
行うように努めたのですが、出演者たちのやりとりの上でどうしてもカットでき
ないと思われたブロック、あるいは多少「暴走気味」と思われる可能性があった
としても、ある種の「笑い」を呼ぶためにはカットするには忍びないと思われる
ブロックがありました。それらを残す際、悩んだうえにとった手法がイラストに
よって部分的な処理を行うという対応でした。番組審査部による考査も深夜番組
であるとの認識から通常よりも緩み、放送するに至った次第です。

2.制作者の間での議論
 我々、制作者の間では、「育児教室」というテーマの中、同期同士であったり、
コンビの相方であったりして照れくささを感じる関係性もあるような芸人たちに
対し、赤ん坊というものを演じさせ、完全になりきらせるところから一定の面白
さ、すなわち何らかの「笑い」が引き出せるのではないかとの前提から、様々な
演出上の議論を行いました。もちろん、芸人たちに下半身を露出させた状態で番
組を進行してもらおうというこだわりがあったはずもなく、あくまでも「笑い」
を生み出すような演出になることを想定し、芸人が赤ん坊役を演じることで様々
なリアクションをとりやすいかと考え、おしめを着けてもらった次第です。
 その際、過去に類似の番組があり、貴委員会からもそれに対する「考え」が出
されていた事実については、我々制作者一同の頭の中から抜け落ちており、議論
の俎上に上らなかったことは正直に認めざるを得ません。ただ、芸人である以上
は笑いをとろうという意識から、収録の際の振る舞いに何かしらの行き過ぎが生
じる可能性があることはある程度想定していた中でも、芸人たちの下半身が映っ
てしまっては放送できなくなると考え、我々としては「画作り」の工夫について
慎重に議論を行い、そのためのリハーサルを何度も行ったのは事実です。
 収録後、VTRのプレビューを重ね、編集の際にも色々と考慮をしたうえで
多くの部分を削除したのですが、貴委員会のご指摘の通り、十分とは言えず、視
聴者が不快と感じても仕方がないシーンを残す結果となってしまいました。また、
女優が出てきて、いきなり芸人にマッサージをするという演出については、出演
芸人へのサプライズとして企画しましたが、そこから何かの「笑い」に転化でき
ればよいとの考えから行いました。これらは、あくまでも深夜番組であるとの認
識から生じた結果ですが、現時点で冷静に考えれば、視聴者に不快感を与えてし
まったであろうことは否めず、流してはいけないシーンであったと思っています。
それは、社会常識に照らし合わせ、自ずと判断せねばならないことでした。
 また、「マネしないでください」「芸人同士が体をはった赤ちゃん教室です。マネしないでください」などの注意喚起テロップを入れることで、視聴者の印象も緩和されるのではないかとの甘えが我々の中にあったことも否定できません。

3.社内共有
 収録前の7月9日に番組担当プロデューサーから、企画意図と内容について記
したメールが編成部と番組審査部に送付されました。それに対し、番組審査部か
らは「細心の注意・配慮をしながら収録するように」との指摘をしております。
その後、編集したオフラインデータが9月9日に送られてきた際、番組審査部か
らは「前週にすでに『赤ちゃん企画』を放送していることもあり、企画そのもの
を今さら取りやめろとまでは言わないが、タレントが女性に触られて生理的な反
応を示し、そのまま全裸で自らの持ちネタを披露するシーンについては、『全裸は
放送基準に抵触する』『いじめのようで不快である』と思う」と指摘しました。
また、「絶対にマネをしないでください」などの注意喚起テロップも入れるよう
忠告をしました。
 ただ、担当した審査部員も、長年の経験から考査に精通し、過去に貴機構で指
摘された事案について知悉していたものの、昨年、類似の事案が起きた際に貴委
員会から出された厳しい指摘の詳細は失念しており、そうした観点からことさら
強い指摘をするようなことはしませんでした。また、すでに収録が済んでいたこ
とから、何とか番組として成立させたいという判断が働いてしまったのも事実で
す。何よりも、深夜1時15分から始まる深夜番組であったことが指摘を緩くすることに繋がってしまいました。今後は、深夜帯の番組においても日中の番組と同じ基準で審査することを改めて徹底します。

4.動画サイトへの対応
 弊社の公式動画配信サービスでは、当該番組は配信しておりません。現在、インターネットの各種動画サイトに掲載されているものはすべて違法アップロードされたものです。違法アップロードは重大な著作権侵害行為ですから、我々としましては当該番組に限らず、各種動画サイトに対してこれまでも違法動画の削除要請をしてきました。今回のご指摘を受けてから、当該番組の違法アップロードのチェックおよび削除要請を強化しております。
 なお、10月13日に貴委員会からのご指摘を受け、放送を予定していた地方局11局にはすぐさま要請を出し、放送を休止したことはお伝えしておきます。

5.貴委員会の意見・コメントに対する弊社の考え
 バラエティ番組というものの存在と必要性に対する一定の評価、また制作者の
置かれた立場にまでも理解を示す寛容なスタンスに貫かれる一方で、有料放送な
どとは異なる地上波放送としての当然の責務と心構えを説いた貴委員会の通達は、いずれも極めて公正かつ的確なものと認識し、社員一同、十分に納得、理解した
つもりでおりました。当然のように、「委員会の考え」も「委員長コメント」も、
当時の弊社内のBPO連絡担当者から社内メールシステムを通じ、各現場の部長
(プロデューサー)以上に迅速に伝えられ、そこから部会を通じて各部の部員へ
の周知が行われておりました。他の全ての貴機構からの連絡伝達と同様の流れによるものです。
 しかしながら、今回の結果を考えますと、その共有が弊社社員の中で十分に徹
底されていたと言うことは到底できません。
 ゆえに、今回の事案を受け、貴機構設立以来の3委員会全ての審議事案につい
ての一覧表を改めて作成し、社内への配布、周知を行いました。また、再発防止
に向け、11月5日に社内外およそ150人の制作担当者を集め、今回の番組のVT
Rも見せながら議論する研修を開催しました。これまでも、新入社員研修、異動
前後に現場の制作者を集めて行う研修など、様々な場で貴機構に関する勉強会の
時間は十分に設けてきましたが、今後はさらなる充実を図ります。

6.放送の公共性
 多くのメディアが台頭し、「テレビ離れ」などの言葉もしばしば見受けられる
今日でもなお、国民の多くがテレビを最も身近に感じるメディアとして捉えてい
るとの調査結果を知るたびに、テレビが極めて大きな社会的影響力を持つ「公共
性」の高いメディアであるとの自覚を新たにするのは言うまでもありません。
 特にあの東日本大震災の報道以来、我々はそうした「公共性」というものにつ
いて改めて強く考えさせられてきました。現地でその瞬間に何が起きているのか
を遠く離れた人々さえもリアルタイムで理解し、時に人命をも救い、あるいは被
災者への支援や様々な議論を活性化させることにもテレビの映像が少なからず
寄与したことを思えば、放送というものが常に重い社会的責任を伴うのは自明の
ことです。有料テレビなどとは異なり、地上波放送は自らにより厳しいモラルを
課し、業務にあたらねばならないのは当然とも考えます。
 視聴者の生活に一服の清涼を与えるべきバラエティ番組においても、豊かで上
質な真の笑いを提供できるような「公共性」のあるものを創造しようと、日々、
現場のスタッフ間で真剣に話し合い、アイディアをひねり出し、制作にあたって
おります。しかしながら、確かに今回の番組からはそうした観点が欠けており、
視聴者に不快感を与える番組であったと指摘されても仕方がないことと考えてい
ます。しかも、すでに昨年、貴委員会から指摘されていたような形での番組作り
を繰り返したことは、先日の放送倫理検証委員会の委員会決定でも言及されてい
たように、本来ならば自律が保障されているはずの放送局がみすみす外部からの
介入を招き入れることにつながりかねず、それこそ「公共善」を損なう結果を生
んでしまう危険性があるという認識を改めて社員全員で共有致します。
 最後に、これまでも弊社制作現場には「公共性」に鑑みて番組制作に取り組む
意志は当然のように強くあったということだけはご理解頂きたく存じます。弊社
の番組ラインナップをご覧頂ければお分かりのように、経済番組、ヒューマンド
キュメンタリー、芸術番組、情報番組、子供向け人気アニメなどを中心に編成す
る過程で、むしろ我々は視聴者に非常に近い、視聴者の利益になる番組を作るこ
とに専心してきたつもりです。もちろん、そうして作り上げた視聴者からの信頼
もあっという間に損ないかねないことを肝に銘じ、「築城三年、落城一日」の言葉
を改めて胸に刻み込みながら、今後も番組作りに邁進してまいります。その際は、
悪い形での委縮などはしたりせず、新しいことに果敢にチャレンジしながらも、
常に社会常識や放送基準に照らし合わせることを忘れずに、視聴者の期待に応え
ていけるよう努めます。

謹白

2014年4月4日

『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』

2014年4月4日 放送局:日本テレビ

2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)の、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"について、日本テレビからの回答書や意見交換を基に、審議を行い、「委員会の考え」をまとめ審議を終了することにしました。以下に経緯を含めて公表します。

<委員会の考え>

PDFファイルpdf

2014年4月4日

日本テレビ放送網『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』に関する
「委員会の考え」

放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会

BPO青少年委員会は、多くの視聴者意見が寄せられた日本テレビ放送網(以下、日本テレビ)『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(2013年12月31日放送)について、日本テレビに番組の制作意図などの報告書の提出を求めるとともに、制作およびコンプライアンス担当者を招いて意見交換を行いました。日本テレビにはまず、貴重な時間を割き、率直に意見を交換して対応していただいたことに感謝申し上げます。
今後各放送局にも考えていただきたい論点が含まれることから、審議の結果、下記のとおり「委員会の考え」を公表することとしました。

■日本テレビとの意見交換を受けての、BPO青少年委員会の考え方

日本テレビは1989年より、レギュラー番組として『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』の放送を開始し、お笑いの限界に挑戦するユニークな企画を次々と編み出して多くの視聴者に支持されてきました。『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』は2006年に始まったそのスペシャル版で、8回目となる今回は2013年12月31日18時30分から24時30分の6時間にわたり放送されました。
その一部のシーンに対して、表現の過激さや卑わいであることへの不快感や嫌悪感、また、子どもが真似をするのではないかと危惧する視聴者意見がBPOに多数寄せられました。とくに(1)「芸人が肛門に粉を注入してパンツを脱ぎ、別の芸人の顔面におならとともに噴きつける」、(2)「ふんどし姿の芸人の股間に向けてロケット花火を噴射する」、(3)「産着姿の中年男性のおむつ交換(局部のみ映像処理)」の3つのシーンへの意見が多くありました。
日本テレビの回答では、(1)と(3)のシーンは「過去も放送」したことがあり、また、(2)のロケット花火については「安全性を高める改良を施した」上での演出であり、「『マネをしないでください』とスーパーを計2回入れた」こと、制作担当者からはいずれも「不快だった人もいるかもしれないが」「笑ってもらえると腹をくくって制作した」との説明がありました。
以上を踏まえて、青少年委員会が何を問題と考えたのか、以下に2つの論点を挙げます。

まず第1に、「表現上の配慮」です。
バラエティー番組は時に放送の限界に挑戦し、新たな笑いの文化を生み、視聴者の心を解放し活力を与えるという大きな働きがあります。それは同時に視聴者の喜怒哀楽や感受性を直接刺激し、日常生活の価値志向にも影響を与えることを意味します。このため作り手は常に社会の動きにアンテナを張りめぐらせ、視聴者の動向をも見据える必要があります。つまり、表現の内容が視聴者に与える影響は時代の価値観や社会のあり方に規定されると考えられ、過去に放送したから今回もよいという考え方は放送の一般原則となるわけではないことになります。
とくに、(1)「顔面におならとともに肛門から粉を吹き付けるシーン」と(3)「中年男性のおむつ交換のシーン」に対しては、視聴者から「えげつない内容で放送するに値しない」「不快極まりなくチャンネルを替えた」などの意見が多数届きました。それまで楽しんで見ていたのに、その特定の場面によって視聴を打ち切り、番組を不愉快と受け止めた視聴者がほかにも多くいたことが予測される意見でした。日本テレビからは、(1)については「芸人の持ちネタであり、粉を吹き付けられる側もレギュラーの芸人を起用」、(3)については「ベテラン制作スタッフのキャラクターで恒例の企画」と、いずれもプロフェッショナルの芸で、すべて演出の範囲内との説明がありました。しかし視聴者がここで問題にしたのは出演者がプロか否か、演出かどうかということではなく、行為の下品さや卑わいさ、人間に対する否定的な扱いへの違和感であり、バラエティー番組のボーダーラインを超えているという不快感だったと考えます。
青少年委員会は2007年10月23日に「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を公表し、そのなかで中高生モニターが「出演者をいたぶる暴力シーンや人間に対する否定的な扱い」に対して不快感を表明しています。中高生の認識は多くの一般視聴者の認識と通ずるものと考えてよく、今回は直接的な暴力とはいえないものの、逃げないよう頭を押さえ付けられた状態で顔に肛門から粉を吹き付けられたり、中年男性がおむつ交換されたりする行為を素直に笑い飛ばすことができない視聴者が多数いたことに留意していただきたいと思います。
また、(2)「芸人の股間にロケット花火を噴射するシーン」については、安全性を充分に配慮した上で真似をしないようスーパーで注意喚起したということ、その配慮は多としたいと思いますが、子どもの視聴者を想定すると、視聴者意見のなかにあった「子どもはなんでも真似をする可能性があり、真似をしないでくださいとあれば余計に真似したくなるもの」という声は無視できないものと考えます。安全への配慮がないまま真似する子どもが出てくる可能性は否定できないのです。当委員会が発表した「バラエティー系番組に対する見解」(2000年11月29日)にあるように、青少年はテレビに多大な影響を受け、放送されたものを社会的に肯定されたものと考えて行動の基準とする傾向があります。安全性に配慮するのは当然のこととして、視聴者、とくに青少年がどう見るかという点には細やかに想像力を働かせていただきたいと考えます。
(3)「赤ちゃんに扮した中年男性出演者のおむつ交換のシーン」についてはもう一点、おむつ交換を行っている同じ部屋に看護師役の女性出演者がいたことについて、とくに女性の視聴者から「あってはならない光景だ」「(局部を画面処理で)隠していればいいというわけではない」などの意見が寄せられました。これに対しては制作担当者から、この女性は「出演料をお支払いしているプロフェッショナルの出演者」で、女性も内容を了解した上での出演であるとの回答がありました。しかし、双方了解の上であったとしても、視聴者は女性が下半身を顕わにした男性の前に立たされて目線をはずさざるをえない状態に置かれている構図と捉え、セクハラまがいの演出と受け取っている事実があることを真摯に受け止めていただきたいと思います。番組が男性目線で制作されており、女性の視聴者がどのように見るかという配慮と想像力が十分でなかったのではないかと考えます。

第2に、「放送基準と放送の公共性」についてです。
青少年委員会は、現代の日本でバラエティー番組がもつ意味の大きさ、その重要性についてはよく理解しているつもりです。日々笑いを提供し続けることの苦労についても十分想像できますし、新たな笑いの創出のために快や不快、上品下品の境目で仕事をするということも分かっているつもりです。「下ネタ」も時と場合によっては見る者を開放的にし、豊かな笑いをもたらすでしょう。社会を風刺する毒のある表現が、視聴者の憂さ晴らしになることもあると思います。こうした番組づくりのために民放連の放送基準等を杓子定規にあてはめるつもりはありません。それは本来「なんでもあり」のバラエティー番組の萎縮につながりかねません。
とはいえ、いつでもどこでも誰もが無料で視聴できる公共の地上波放送と、入場料が必要な映画や舞台、CS放送などの有料チャンネルとではメディアの特性が異なり、表現上の制約にも違いがあるということについては、制作側としてけじめをつけていていただきたいということは改めて願わざるを得ません。社会のグローバル化が進む中、幼児からお年寄り、外国人まで多様な視聴者が見る公共性の高い地上波放送においては、課金システムのメディア以上の配慮が必要であることはいうまでもありません。もちろんそのような制約があるからこそ、ギリギリの境界線上のせめぎあいの中で新しい笑いも生まれるのでしょうし、また視聴者からの批判や反発が新たな企画を生む原動力となることもあるとは思います。
しかし、上記の3つのシーンに関しては、視聴者からの意見の届き方から見ても、また私どもが視聴し審議した結果からも、少なからぬ視聴者がおもしろいと感じることができなかったことは事実といわざるを得ません。「おもしろければなんでもいいというのは傲慢」「ネタ切れならやめればいい」といった厳しい意見も届いています。バラエティー番組づくりが、過去のネタの自己模倣やセクハラまがいの演出で笑いをとらざるをえなくなっている方向に向かっているのではないかという危惧も抱かされます。批判し落胆を表明した視聴者には、番組が放送時間の最後に発信した「笑顔でいたい 笑って生きたい」(替え歌) "今年も笑いが溢れる一年になりますように…"(スーパー)という重要なメッセージが残念ながら届かなかったのです。
日本テレビからは繰り返し、「個別のシーンではなく番組の全体を見て判断してほしい」との要望がありました。本件の担当委員は事前に全体を視聴した上で意見交換に臨んでおります。しかし、青少年委員会は番組全体のメッセージが正しければ個別のシーンに逸脱があってもその評価が緩和されるわけではないと考えます。また、民放連放送基準は放送局が自主的に定めた番組づくりの基準なのですから、常にそこに立ち返って番組を制作していただきたいとお願いしているものです。委員会から基準に照らして問題であるとの指摘があれば、日頃からこうした基準を大事にして番組をつくってほしいという促しのためと、ご理解いただきたいと思います。ちなみに青少年委員会は独自に番組全体の評価は行いませんし、行うことができるとも考えておりません。あくまでも視聴者の意見をきっかけに判断をすることが仕事だと考えています。
つまり、番組全体のメッセージがいかに優れたものであったとしても、細部において社会通念を逸脱したものがあれば、表現の自由を最大限に考慮した上で、その是非を問うことが必要だと考えているということです。逆にいえば、個々のシーンに配慮が足りなかったがゆえに番組全体のメッセージが視聴者に理解されないようなことを無くすべく、視聴者と放送局の間に立って放送局と議論を重ね、番組の向上を目指すことが青少年委員会の務めと思っています。

青少年委員会は、青少年に番組が与える影響をできるだけポジティブなものとするために、局側が気づかない視点を提示したり、安易に番組を作成したため結果として逆の効果を生んでいる等の問題を指摘したりして、それを克服するための方策を探ってもらうこと、青少年たちがよい番組として認知しているものや理由を伝え参考にしてもらうこと等、結果として青少年によい影響を与え得る番組の制作、番組向上への気運を高めることを大事なミッションとしています。そのため、番組内容、制作過程等について局側と率直な意見交換をすることが重要な手法となると考えています。
すぐに意見の一致が得られるわけではないということは承知しています。しかし、意見交換を行うことは決して無駄ではなく双方への理解を深める貴重な機会となるはずです。今後もよりよい番組作りのために各放送局と意見交換を行い、ともに考え続けることができればと願っております。

以上

<青少年委員会からの質問>

2014年2月12日

青少年委員会から日本テレビへの質問

    1. 下半身を露出するなどの3つの場面(肛門に粉を入れ顔に吹きかける、股間でロケット花火を受け止める、赤ちゃん姿の男性のおむつを交換する)の演出意図についてお聞かせください。

    2. 上記の演出について制作者の間でどのような議論が行われたのか、また、出演者(特に女性)に対する配慮はどのようになされていたのかについてお聞かせください。

    3. 老若男女の幅広い視聴者が見る大晦日の22時から23時台の時間帯に上記場面を放送するに至った経緯についてお聞かせください。

    4. 上記の演出について現場や社内でどこまで情報が共有されていたかについてお教えください。その際、考査部門の判断はどうであったかについてもお聞かせください。

    5. 放送の公共性についての貴社の考えをお聞かせください。なお、青少年委員会では2013年10月22日に以下のような「委員会の考え」を公表しておりますが、これについてのお考えもお聞かせください。
      ≪視聴者目線と電波が公共財であることを忘れると、テレビへの信頼は薄れていきます。お笑いも例外ではありません。テレビをもっと魅力的なメディアにしていくために、また多くの視聴者が心地よく笑えるために、バラエティー番組も<人間の尊厳><公共の善>を意識して作られるべきでしょう。≫

<日本テレビからの回答>  2014年2月20日 PDFファイルpdf

<意見交換の概要>  2014年3月6日 PDFファイルpdf

2014年3月10日

『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』

2014年3月10日 放送局:東京MXテレビ・サンテレビ

1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)について、1月28日開催の第153回委員会で審議入りを決めました。2月14日付で両局に回答要請を行い、両局から2月24日付で提出された回答書を基に、2月25日開催の第154回委員会で審議した結果、「委員会の考え」を公表することで審議を終了することにしました。3月6日開催の第155回委員会で「委員会の考え」が承認されましたので、当該2局に「委員会の考え」を送付するとともに、以下のとおり経緯を公表します。

2014年3月10日「委員会の考え」

2014年3月10日

【委員会の考え】

当該放送局からの回答を得て、第154回青少年委員会で審議した結果、サンテレビは26時から、東京MXテレビは25時30分からと、それぞれ放送時間を変更したことも踏まえて、放送局側とのさらなる意見交換の場は設けずに、文書による回答に基づいて、「委員会の考え」を以下に提示することにしました。

東京メトロポリタンテレビジョン(以下、「東京MXテレビ」)とサンテレビジョン(以下、「サンテレビ」)で、毎週土曜日22時30分から放送していたアニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』は、青少年の性愛が主たるテーマになっており、児童および青少年の視聴に適さない刺激の強い性的表現が複数含まれ、それが番組の特徴になっています。
東京MXテレビの回答では、『民放連・放送基準審議会「青少年と放送」問題への対応について』(1999年6月17日)を参考に、22時台の放送に至ったとの回答がありますが、同『対応』においては、"17時~21時に放送する番組については、児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分、配慮する"としていますが、その前提として、"放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する"(民放連・放送基準第18条)を順守徹底することが求められています。
これは、各時間帯に応じて段階的に児童および青少年の視聴に十分な配慮が必要であることを意味し、21時を過ぎれば、児童および青少年の視聴に配慮する必要がなくなるわけではないことを十分に認識していただきたいと思います。
東京MXテレビ、サンテレビとも、多数の視聴者意見を受けて第5話以降の放送時間を変更したということは、事前に視聴者の意見を予想できなかったか、予想しながらも敢えて放送したとも考えられますが、いずれにしても、放送開始の段階では、視聴者の反応を十分に予想し、配慮した上での決定とは言い難かったのではないでしょうか。程度の差はあるにせよ、児童および青少年の視聴に対する配慮は時間帯を超えて常に必要であることに留意してほしいと思います。
東京MXテレビは、考査をしながら、そこでの意見が十分に反映されないまま放送に至った危険性が読み取れ、考査の過程が形骸化し、十全に機能していないのではないかと危惧しています。
サンテレビは、他局の考査セクションがチェックしているという点に安易に依拠し、局独自の考査を十分しないまま放送したもので、放送局としての放送責任を改めて考え直してほしいと思います。各放送局が、独自の放送責任を負っている点を深く自覚していただきたいのです。
いわゆる製作委員会方式においては、番組制作にあたり、放送局が全く関与しないか、関与が限定的なものとなっていることもあるようですが、最終的な番組編成や放送時間の決定は放送局に委ねられているのであり、その放送責任は免れません。したがって、放送にあたっては、自社制作番組と同様の丁寧なチェックが求められることを指摘したいと思います。
なお、青少年委員会は、児童および青少年の視聴に十分配慮する時間帯について、今後研究すべき課題であると認識していることを、BPO加盟の全放送局にお伝えしておきます。

以上

青少年委員会から東京MXテレビ、サンテレビへの質問

2014年2月14日

    1. 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。
    2. 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。
    3. 2.で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどの点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。
    4. 放送時間を問題にする意見は社内で出なかったのか否かについてお答えください。
    5. 4.で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。
    6. 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。
    7. 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。
    8. 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

    (サンテレビへの質問は、7.第5話以降は26時から放送されていますが~に変更)

東京MXテレビの回答

2014年2月24日

質問状に対するご回答

  • Q1 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。

  • A1 2013年7月23日に第1回目の考査を致しました。その後、9月25日に第2話の絵コンテ、10月30日に第1話アフレコ用動画と台本、12月24日に第1話のDVD、12月26日第2話のDVD、1月7日に第2話の修正版のDVDとそれぞれ考査依頼が来ており、最終的な考査の結果、放送可能と判断しました。編成部としましては、若干浅い時間ではあるものの、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、放送時間が午後10時台と、午後9時を過ぎていることから、放送を決定いたしました。

  • Q2 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。

  • A2 上記第1話の考査依頼の際に、異論もあり性的描写を抑えることを考査部門より営業担当を通じて制作者側へ伝えていました。また、第2話に関しても、一部の性的描写シーンについて再考・是正するよう伝えていました。

  • Q3 2で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどのような点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。

  • A3 編成局編成部の考査担当者が、第1話、第2話の絵コンテ、アフレコ用の動画のそれぞれの段階において、種々異論はありましたが、協議の上、過激な性的描写に再考・是正することなどの意見を出しています。当社としての最終判断は、「作品のテーマに沿って必要な範囲であり、アニメ固有の表現の域内である」と考え、放送時間も考慮したうえで放送可能と判断を致しました。

  • Q4 放送時間を問題にする意見は出なかったのか否かについてお答えください。

  • A4 放送時間移動についての強い意見はありませんでした。

  • Q5 4で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。

  • A5 当社では、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、22時台の放送に至りました。

  • Q6 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。

  • A6 22時台という時間帯に関し、多くの青少年が視聴しているという事実に対する認識に不足があった点は否めず、特にアニメというジャンルでのアクセスが容易に行われるという観点から、より青少年に対し配慮を行うべき時間帯であったと反省しております。

  • Q7 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。

  • A7 第1話並びに第2話放送後からBPOへ苦情のメールが寄せられていることが判明し、当該番組を放送する時間帯としてはふさわしくないという判断に至り、すみやかに放送時間変更を決定致しました。

  • Q8 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

  • A8 当社が制作に関与したか否かを問わず、当社で放送する番組の放送責任は当社にあると考えております。特に、22時台は、生活習慣の変化から多くの青少年が視聴可能であり、チャンネル選択権を当該青少年が持っていることも多いという事実に対する認識が甘かったと考えております。当該番組を視聴し、嫌悪を感じた視聴者の皆様には深くお詫びを申し上げます。

以上

サンテレビの回答

2014年2月24日

<サンテレビ回答>

(1)について
当該番組の放送枠は、在京局との同時同枠編成によるレギュラー・アニメ番組枠として展開したいという、代理店からの要請により、当社東京支社営業部を窓口に、持ち込み番組という形で昨年の10月編成時に設定しました。
昨年10月21日、東京支社営業部は、本社編成部に他の枠を含めた1~3月クールのアニメ番組の予定表を出し、当該番組の「タイトル」を示しました。この時点では、放送枠としては昨年4月から、当該枠と同様に2局同枠編成している土曜日22:00~22:30での放送予定でした。分かっていたのはタイトルのみで、内容及びこの時間帯の放送で問題ないのかなどの点は、東京支社営業部も把握していませんでした。
11月22日、東京支社営業部より当該番組を土曜日22:30~23:00の放送枠に変更したいとの要請がありました。この時点で、編成担当者は当該アニメの公式ページを確認し、放送時間からみて内容に問題があるのではと思い、考査担当者にも相談の上、東京支社営業部の担当者に番組内容の確認を急ぐよう促しました。編成局長からも東京支社営業部長に注意喚起し、代理店との交渉状況についても問い合せました。東京支社営業部は、在京局から「考査チェックしている」との回答をもらっており、問題ないとの判断でした。
12月に入り、東京支社営業部長より編成局長に再度、在京局が引き続き当該番組を考査している旨の連絡があり、1月4日から毎週土曜日22:30~23:00の時間枠で放送することとしました。当社としての考査確認作業が必要という認識はありましたが、昨年4月期からの22時台の2局同枠編成による展開の経緯もあり、それ以上の論議にはなりませんでした。
12月25日(水)に当該番組の第1話が、26日(木)に第2話の放送素材が搬入され、それぞれ翌日に放送運営センター(放送素材スタンバイ部門)担当者がプレビューしました。しかし、その際、当該番組の放送時間帯の認識が薄く、性的表現の含まれたシーンに関する指摘は行わず、年末年始の休日をはさんだこともありそのまま1月4日(土)の放送に至りました。
アニメ番組においては通常、幹事局が代表して考査チェックするケースと、個別に考査依頼があり絵コンテやコメント台本、サンプルDVDなどが搬入されるケースがあります。今回の在京局は幹事局ではありませんが、「考査している」との情報に寄りかかり、考査材料の提出要求や問題点の指摘を怠ったことも、結果的に視聴者の厳しい意見をいただく事態を招くこととなった一因と考えています。

(2)について
問題ありとの指摘はありました。

(3)について
プロセスの中にありますように、編成担当者、考査担当者が事前に当該アニメの公式ページや原作本の紹介ページなどを閲覧し、過激な性的描写が危惧されることを営業担当者に伝えました。編成局長は東京支社営業部長および営業事業局長に指摘し、テレビアニメ化した際の表現内容について確認するとともに、放送時間に配慮した内容で対応するように依頼しました。以降の判断は、プロセスで記載したとおりです。

(4)について
放送時間を問題視する意見はありました。

(5)について
内容に対する懸念と同様の経緯です。

(6)について
民放連放送基準第3章の「児童および青少年への配慮」は、アニメにおいてはより留意する必要があるものと考えます。当然のことながら、低年齢層が視聴可能な時間に、刺激的な性的描写が含まれるアニメの編成は控えるべきものであると考えます。

(7)について
前述のとおり、当該アニメはその放送時間に適さないものだったと判断し、2月放送分から深夜帯(26時台)に移行しました。また、放送開始後、当社や貴委員会に寄せられた視聴者からの厳しい意見を踏まえ、代理店を通じて深夜といえども内容に配慮するよう申し入れました。

(8)について
制作に関与してないとはいえ、4週にわたり放送時間帯に相応しくない性的描写を含むアニメを放送してしまった責任は重く受け止めております。事前に問題意識を持ちながら自局での考査チェックを行わず、視聴者ならびに貴委員会からのご指摘を受ける事態を招いたことを深く反省しております。
番組づくりの手法が多様化する中で、放送局として判断、責任は今まで以上に厳格であるべきと考えます。今回のご指摘を受けて、社内の番組チェック体制を見直すとともに、アニメ番組の持ち込み基準を早急に策定します。
放送基準ならびに放送倫理を念頭に、特に低年齢層の視聴に十分に配慮した健全な編成
を心がけていく所存です。

以上

2013年10月22日

フジテレビ「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」

2013年8月3日 放送局:フジテレビ

2013年8月放送のフジテレビ『27時間テレビ』のコーナーで、男性タレントが、女性アイドルグループメンバーに、両足を持って振り回すプロレス技をかけた後、頭を踏んだり蹴ったりした。
「バラエティーの度を越している」「暴力行為であり不快」などの視聴者意見が多数あり、委員会は番組を視聴した上で討論、委員からは「制作者の意図や意見を聞いてみたい」などの声もあり、審議入りを決めた。
委員会は、意見交換など3回にわたる審議の後(※審議の経過参照)、2013年10月22日「委員会の考え」を公表し、審議を終えた。

2013年10月22日「委員会の考え」

2013年10月22日

フジテレビ「生爆烈お父さん 27時間テレビスペシャル!!」に関する
委 員 会 の 考 え

放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会

BPO青少年委員会は、多くの視聴者意見が寄せられたフジテレビ『FNS27時間テレビ女子力全開2013』の「生爆烈お父さん 27時間テレビスペシャル!!」コーナー(2013年8月3日放送)について、フジテレビへ番組の制作意図などの報告書の提出を求めるとともに、番組制作者などを招いて意見交換を行い、さらに追加質問しました。
まずフジテレビには、真摯に対応をしていただいたことに感謝します。これらを受けて審議を行いましたが、下記の「委員会の考え」を公表することになりました。
これは、今後各放送局にも考えていただきたいと委員会が願っている諸点です。

*    *    *    *    *

論点は、以下の3点です。

第1に「出演者の身体に加えられる暴力や危険行為について」です。
フジテレビは「安全面に十分配慮している」「出演者同士が役割を理解している」と説明しましたが、視聴者から、人の頭を踏みつけるシーンや顔に向け足を上げるシーン、顔をいじるシーンなどに対して、多くのクレームがBPOに届きました。
フジテレビは、「爆烈お父さんはドキュメンタリーではありません。お茶の間プロレスコントです」と説明していますが、ある行為の意味は、その文脈・シチュエーションによって変わっていきます。プロレスというスポーツでは相手の顔を踏む行為は技の一種ですし、漫才師がボケとツッコミの役割の中で頭を叩くのはお決まり芸です。
ところが視聴者の多くは、今回のジャイアントスイング前後のシーンに、これが当然でおもしろいと感じる文脈を見つけられませんでした。多くの人が違和感を持ち、「不快だった」「危険すぎる」といったクレームを寄せました。爆烈お父さん、女性芸人、女性アイドルグループの三つ巴の面白さになっていないと受け止めたのです。しかも人間の顔を足で踏むことは人間の尊厳に関わる行為で、さらに不快感を増大させたと思われます。
視聴者の多くは「人間の尊厳に背くような行為をあえてして、それで笑いを取るという形でしかバラエティー番組を作ることができなくなっているのか」という落胆とさげすみのような感情を抱いたことに、局は想像力を働かせてほしいと願います。
青少年委員会は2007年10月に「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を公表していますが、この中には、中高生モニターが「出演者をいたぶる暴力シーンや人間に対する否定的な扱い」に対して不快感を表明していることが述べられています。中高生のこの認識が、多くの一般視聴者の認識と考えてよいのではないでしょうか。

第2に「女性アイドルや女性芸人に対する性的な際どい演出について」です。
フジテレビは「でん部の露出は女性芸人の持ち芸であり、笑いの表現方法としてバラエティー的に許容範囲であると認識していました」としています。ジャイアントスイングをされている間に宣伝したいビデオや楽曲が流れるとなれば、女性芸人も女性アイドルも、身体を張って挑むことは容易に予測できます。
しかしここでも、女性芸人のお尻が丸見えになる、女性アイドルがパンツも露わに寝転んだり爆烈お父さんに股を開閉されたりするシーンがお茶の間で家族みんなが視聴する時間に流されれば、不快に感じる視聴者もいるだろうことに思いが至っていなかったのではないかと考えます。
放送局が自主的に定めた民放連放送基準には、「性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する」(73条)、「全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する」(78条)、「出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する」(79条)といった条文がありますが、これに抵触するものではないかという認識が欠けていたのではないでしょうか。
お色気ネタが笑いのジャンルの一つであることは間違いありません。そこには快・不快、上品・下品の微妙な境界線が存在しますが、番組が男性の視点で作られていて、制作者に女性や子ども視聴者の視点が欠けていることが、今回のような視聴者とのミスマッチを生じさせたとも考えられます。生放送の特性の一つは、視聴者と出演者が同じ空気を共有出来ることです。それがなぜ視聴者に大きな違和感を残してしまったのか。制作者はこの点をもう一度深く考えてほしいと思います。

第3に「地上波の公共性に対する認識について」です。
フジテレビは、委員会の追加質問に対する回答の中で、「様々な年齢性別、多様な生活習慣と趣味嗜好を持つ全ての視聴者の方々に番組をお届けするのが地上波放送」であると強調しています。しかし、委員会に寄せられた視聴者意見をみる限り、放送時に視聴者が食事中かもしれない、老若男女が集まり家族団らんの中で視聴しているかもしれない、あるいは、このコーナーの内容や演出手法は不快感を与えていないだろうかなどと、さまざまな想像力を具体的に働かせながら制作したものとは残念ながら考えられませんでした。
地上波の公共性は、番組を作る側が最も重視しなければならない視点と考えています。このことはすでに本委員会が強調してきたことですので繰り返しませんが、視聴者には赤ちゃんから高齢者、外国人など様々な価値観を持っている人がいるということを前提に、可能な限り多くの人々が納得のいく番組を作るということ、そして番組の内容が何に笑い、何に悲しみ、何に喜び、何に怒るかという国民の教養の形成に与り、多大な貢献をしているという自覚を持つことの大切さだけはもう一度強調しておきます。

フジテレビは2010年、「私たちのフジテレビバラエティ宣言」を公表しました。そこには、「愛がなければテレビじゃない! 安心できなきゃテレビじゃない! やっぱり楽しくなければテレビじゃない!」とあります。これについて、フジテレビからは、「視聴者に愛され、安心して見ていただけるおもしろい番組」を目指すという決意が込められた宣言であるとの説明がありました。しかし、今回は、上記の3点を鑑みても、視聴者に対する想像力が十分でなかったといわざるをえません。
視聴者目線と電波が公共財であることを忘れると、テレビへの信頼は薄れていきます。お笑いも例外ではありません。テレビをもっと魅力的なメディアにしていくために、また多くの視聴者が心地よく笑えるために、バラエティー番組も「人間の尊厳」「公共の善」を意識して作られるべきでしょう。
参考のために申し添えますと、2009年11月17日に、BPO放送倫理検証委員会が「最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見」を公表しています。その中で"バラエティーが「嫌われる」5つの瞬間"が挙げられています。下ネタ、イジメや差別、内輪話や仲間内のバカ騒ぎ、制作の手の内がバレバレのもの、生きることの基本を粗末に扱うこと―― の5つです。制作に当たっては、これらのことも常に心のどこかで意識していただきたいと願います。

以上

 


 

審議の経過

第148回青少年委員会(9月3日)で審議入りすることを、決定。
青少年委員会は、フジテレビに対し9月24日に意見交換を行いたい旨を伝え、以下の5点について、青少年の視聴に関する留意点を中心に報告をお願いした。

  • 番組の制作意図について
  • 放送時間帯への配慮について
  • 危険行為に対する認識について
  • 女性タレントや女性芸人へのきわどい演出について
  • フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」(2010年)を意識した番組作りがなされているかどうかについて

フジテレビの報告

『FNS27時間テレビ』の「爆烈お父さん」に関する報告書

フジテレビジョン

(1) 番組の制作意図について

  • 『FNS27時間テレビ』の「爆烈お父さん」は、『めちゃ×2イケてるッ!』の制作チームが演出のすべてを担当しました。

    1. まずは『27時間テレビ』のパーソナリティである女性芸人を輝かせたい

    2. そのためには女性芸人と対極の国民的アイドルAKB48と向き合わせる

    3. 両者が対峙する場として「爆烈お父さん」が最適と考えて、今回は「爆烈お父さん」を制作・放送することになりました。

  • 爆烈お父さん」とは、極楽とんぼ加藤浩次氏演じる一家のお父さんが本来あるべき父親像、つまり、怖いけれども尊敬できる絶対的存在として一家の主導権をにぎる物語で、理不尽な説教や乱暴な振る舞いも今の威厳を失くした父親像とのギャップとして面白がる"コント"です。
    具体的には、ゲストがお父さんの逆鱗にふれてジャイアントスイングで回されるシーンが見所の"お茶の間プロレスコント"で、回されている間ゲストが宣伝したいVTRや曲が流れます。
    今回は、『27時間テレビのパーソナリティとして各コーナーの見所VTRを流したい女性芸人』と『アイドルとして新曲を流したいAKB48』の対比になっていました。

  • 今回我々は、放送中のサイドテロップ『爆烈お父さんvs女芸人vs AKB48』のとおり三つ巴の対決を目指しました。

    • 『AKB48』は国民的アイドルであるはずなのに、お父さんや女性芸人相手に生放送で必死に体をはって頑張る

    • 『女性芸人』はアイドルに「見せ場」(ジャイアントスイング)を横取りされて、お父さんやAKB48相手に必死で挽回しようとする

    • 『お父さん』は女性芸人vs AKB48の触媒としてAKB48を贔屓し続ける

当然のことながら、我々はAKB48と女性芸人に対して危険な行為や性的にきわどい行為をしたかったわけでは一切ありません。

(2) 放送時間帯への配慮について

  • 『めちゃイケ』は毎週土曜日夜8時からゴールデン帯で放送している番組ですので、イジメ問題をはじめとする青少年への影響は常に意識して制作しています。また、「爆烈お父さん」は番組スタート時(1996年)から続く長寿コーナーで、演出スタイルが当時から変わっていないことも含めて、『27時間テレビ』における放送時間帯に関しては特に問題視していませんでした。
    今回視聴者からたくさんの苦情をいただいたことで、『27時間テレビ』は普段の『めちゃイケ』ファン以外の方、お笑いファン以外の方も見る番組であることをより深く認識する必要があったと改めて感じました。

(3) 危険行為に対する認識について

  • 「爆烈お父さん」は前述の通り、バラエティ番組の"コント"です。
    ドキュメンタリーではありません。
    テレビタレントの加藤氏は、設定として「爆烈お父さん」という乱暴なキャラクターを演じています。
    もちろんゲストも、設定として「爆烈お父さん」にジャイアントスイングをされたり転かされたり蹴られたりする役を理解し、受け入れます。
    つまり、出演者全員が互いに信頼しながら、プロフェッショナルとしてカメラの前で"お茶の間プロレスコント"を繰り広げるのです。
    しかも、加藤浩次氏は『どの程度にとどめておけば相手は怪我をしないか』を十分に理解しており、我々スタッフも信頼しております。
    実際、問題視されている"渡辺麻友さんの顔を蹴ったとされるシーン"も、加藤氏は自分の足を一旦彼女の顔に付けてから押し出すようにすることで、相手が怪我をしないようにしています。

  • 放送当日は、入念なリハーサルやセットの養生など安全対策を万全にした上で本番に臨んでおり、「爆烈お父さん」は我々の想定を越えた危険なことが起こるコーナーだとは思っておりませんでした。
    しかし、想定した演出から逸れていく可能性がある生放送で、『一見暴力的に見えるキャラクターで笑いを作る』という決して簡単ではない演出方法を採用したことは、今思えばリスキーだったのかもしれません。
    また、「"お茶の間プロレスコント"とはいえ、モラル的に女性に対してする行為ではない」というご指摘に関しては、我々はもっと慎重に演出する必要があったのかもしれません。
    以上"生放送における演出"に関しては、今後の番組作りの課題として十分に検討していきたいと思います。

(4) 女性タレントや女性芸人へのきわどい演出について

  • 我々は、AKB48や女性芸人を使って性的にきわどい表現をすることを 極力排除しようとしました。
    例えば、AKB48メンバーが当日着けていたアンダースコートは、事前に事務所と相談して決めた衣装です。
    一方、森三中大島さんのでん部の露出に関しても、あくまで女性芸人である彼女達の持ち芸であり、笑いの表現方法としてバラエティ的に許容範囲であると認識していました。

(5) フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」(2010年)を意識した番組作りになっていたかについて

  • 『愛がなければテレビじゃない!安心できなきゃテレビじゃない!やっぱり楽しくなければテレビじゃない!』の『愛』と『楽しく』は、バラエティ宣言通り達成できたと考えております。視聴者の皆さんに愛される番組をつくるために、番組を愛し、出演者を愛する気持ちは十分にありました。楽しくなければテレビじゃないという熱い信念を持って生放送に臨みました。
    しかし、『安心』に関しては、十分に配慮したつもりであった我々制作陣と視聴者との間に大きな溝があったと認識しております。今回、我々の番組をご覧になった視聴者から数多くの苦情があったことは事実であり、スタッフ一同真摯に受け止める所存です。
    これを機に、『安心』という意味で制作陣と視聴者との溝をいかにして埋めていくか十分に議論して、今後の番組作りに活かしていきたいと思っております。

[意見交換概要] 第149回青少年委員会(9月24日)

〔Q:青少年委員 A:フジテレビ〕

論点1.コーナーの企画意図について

Q.コーナーの企画意図を説明してください。
A.ゲストの女性芸人とAKB48の魅力を引き出す目的で、「爆烈お父さん」を企画・制作しました。また、女子限定のゲストがジャイアントスイングで回されている間に宣伝したい曲やVTRが流れるなど、基本的にはタレントさんのプロモーションを兼ねたコント、つまり、ドキュメンタリーではなく「プロレスコント」として作っています。

論点2.放送時間帯への配慮について

Q.民放連の放送基準で定める「17時~21時までは児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分配慮する」への配慮はありましたか。
A.レギュラー枠の放送でも、青少年に見てもらいたいと思っているので、そのことは充分意識をして制作しています。今回の特番に関しても、通常の番組と同じスタンスで作れば大丈夫だという意識はありました。今回の特番では、ふだん『めちゃイケ』を見ていない方たちもかなり見ていたのだと後から気づかされました。
Q.『めちゃイケ』ファン以外の視聴者についてどうお考えですか。『めちゃイケ』ファンなら理解してくれたのに、と思っていませんか。
A.番組は、見終わったあとの感想「読後感」が大切だと思っています。全ての視聴者に楽しんでもらうために色々工夫しています。ただ、どういう線引きをしつつ表現したら表現者としての思いが『めちゃイケ』ファン以外の視聴者にも伝わるのかを、検討していますが、現状では答えは出ていません。

論点3.危険行為に対する認識について

Q.これまでこのコーナーで予定外のハプニングとか出演者の怪我につながるようなことは無かったのですか。
A.今まではありませんでした。全部の角を怪我をしないように細工したりして、我々があのお茶の間のセットで怪我を防止できることは100%やっています。
Q.子どもがジャイアントスイングを真似することについてどう思いますか。子どもは周りを怪我をしないように細工することはしないですよね。
A.真似をする子どもはいるかもしれませんが、かといって「危険なのでまねしないで下さい」とテロップを入れれば済む問題とも思っていません。そこは表現の仕方の問題で、我々がつかみきれていないところです。
Q.「お茶の間プロレスコント」という表現を使っていますが、単にプロレスごっこにしか見えないのですが。
A.お決まりの流れがあるので、「プロレスコント」だと思っています。
Q.2007年10月に青少年委員会は「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を出し、その中で暴力シーンは「人間に対する否定的な扱い」であると不快感を示していますが、頭や顔を踏んだり蹴ったりする行為は、人間の尊厳にかかわる基本的なことだと思います。スタッフの皆さんにその辺の認識が乏しいのかなと思い、危惧を感じます。大事なのは人間の尊厳を守った中で笑いを作っていくことだと思います。
A.例えば、漫才でボケた芸人の頭を相方がはたく行為も人間の尊厳を冒すことになるのでしょうか?どの線からは人の尊厳を冒していることになるのかをお聞きかせください。
Q.漫才で頭をはたくことは、今や文化的な伝統として定着していると思います。線引きで、これはOK、これはダメとなればテレビは作れなくなるのではないですか。そうではなく、人間を大切にすることだと思います。そしてそれを常に考えてゆくことだと思います。
A.やっぱり顔を踏む行為が線を越えているという印象ですか?
Q.そうですね。人間をいたずらにもてあそぶような映像が横行すると、子ども達の深層に忍び込んで、人間観、価値観の形成において、問題になってくると思います。
A.複数の女性アイドルに同じことをしているのですが、映像から受ける印象はそれぞれ異なりますか?
Q.同じです。どの場合も厳しく問われるべきだと思います。
Q.過去に、頭を蹴ることはやっていたのですか。
A.定番ではないが、やっていました。
Q.クレームはありましたか。
A.ありました。
Q.そのクレームについて局ではどういう受け止めをしていましたか。
A.数が少なかったこともあり、コーナーの内容を変えるまでには至っていません。
Q.数が少ないことを軽視するのは問題があると思います。一つのクレームでも本質をつくことがあります。皆さんがちゃんとチェックしていてOKと思われたこと自体に、一般の人の感覚と放送局の人の感覚がかなりずれてきているのではと危惧します。
A.数が少ないからそれを重要視しないという考えでは決してありません。

論点4.きわどい演出について

Q.女性タレントがお尻を出した時に、その場に子役がいたのですが、そのようなシチュエーションについて内部で議論は無かったのですか。
A.あれは女性芸人の持ちネタの一つで、想定内の出来事です。ただ、キワドイ部分で楽しみたいという意識はありませんでした。
Q."見ていて不快"という視聴者意見が多かったのですが、それは性的なイメージを喚起したり、男性がやって女性がやられるという男女の位置関係などに関係していると思うのです。公共性の高い地上波の生放送で、"これ以上やってはいけない"という現場スタッフ、出演者との申し合わせや基準はあったのですか。
A.性的な表現を強調して視聴者を楽しませようという意識は全くありませんでした。エロくならない工夫をしています。でん部を出す行為に関しては、それを隠したり注意する周りの芸人達の面白さを引き出そうとしました。また、女性芸人の性(サガ)的なところを面白がろうとしていました。
Q.お尻を出すことに関して、この時間帯は子どもが見ている時間帯であることを注意していなかったのですか。
A.特にしていませんでした。というのもスタッフも私も、この場面のでん部の露出に関して性的な表現だとは全く思っていなかったからです。
Q.家族で見ている時などに、見る側が戸惑ったり不快に感じたりするということは考えなかったのですか。
A.笑いが勝つと思っていました。ただ、不快だと思った視聴者がたくさんいたことは、反省すべきことだと思っています。
Q.女性アイドルの足の開閉はエロティックだと感じましたが、あれはハプニングだったのですか。
A.はい、現場のノリでやったことです。我々は正面から撮らないようにしたのですが、そう受け取る方がいたことに関しては率直に受け止める気持ちです。

論点5.フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」について

Q.フジテレビの「バラエティ宣言」に"愛がなければテレビじゃない"とありますが、これは人間すべてに対する「愛」があると思うのです。この「バラエティ宣言」の中身をみんなで議論して作っていただければ、いい番組が出来るのになと思います。ぜひ、いいバラエティーを作ってください。
A.我々が、かつてバラエティーとして許容していたものが、今は通用しなくなってきていることを感じます。我々は世の中にどこまでアジャストしていけばいいのか、どこまで清廉潔白さを追求しなければならないのか、特にバラエティーに関しては常識とのギャップを笑いの表現として使うことが多いので、毎回自問自答しながらやっています。

この後、委員会で審議した結果、フジテレビに対し、次の2点について追加質問した。
(1) 放送、特に地上波放送の公共性についてどうお考えでしょうか
(2) 貴社の番組のチェック体制について、あらためてお伺いいたします

フジテレビからの再報告

『FNS27時間テレビ』の「爆烈お父さん」に関する追加質問へのご回答

フジテレビジョン

(1)地上放送の公共性について
フジテレビは、その行動宣言において「高い公共性への使命感と放送倫理に対する社会的責任を強く認識し、社会からの共感や信頼を得ることが重要と考えている」とうたっております。様々な年齢性別、多様な生活習慣と趣味嗜好を持つ全ての視聴者の方々に番組をお届けするのが地上波放送であり、番組の種別に関わらず常に公共性を意識した番組制作を心掛けています。
今回『FNS27時間テレビ』においても、地上波の公共性と社会的責任への意識を強く持ちながら制作にあたりましたが、「爆烈お父さん」に関して我々が伝えたかったことと多くの視聴者の方々の受け止め方との間に乖離が生じてしまったことは事実です。
我々はこの結果を真摯に受け止め、改めて地上波放送の公共性の重要度を認識し、今後の番組制作に活かしていく所存です。

(2)番組制作におけるチェック体制について
フジテレビでは民放連放送基準を順守して各番組の企画制作にあたっており、バラエティ制作部では更に以下のチェック体制で放送番組内容の事前確認を行っています。
日頃より番組内容に関する問題事例が発生する度に、プロデューサー会議等で具体的な問題点の検証・情報共有を行い、各制作現場へ浸透を図っています。その上で、制作の過程で表現内容に疑問が生じた場合、番組プロデューサーはバラエティ制作部の上長や編成部の担当者に確認し、更に法律的な問題は法務室、コンプライアンス的な問題は考査・放送倫理部、権利問題は著作権契約部に個別に相談・確認しています。
また、放送の数日前、荒編集または白完(スーパーテロップやナレーションを入れる前のテープ)の段階でバラエティ制作部の部長・担当部長がそれぞれの担当番組の番組プレビューを行っています。ここで行き過ぎた表現がないか実際の映像をチェックし、問題があった場合は再度編集を行います。この荒編集・白完段階でのチェック作業は編成部の担当者も並行して行っており、バラエティ制作部内のチェックと共に二重に確認する体制をとっております。
最終的な放送用完成テープ(所謂完パケテープ)につきましては、MA戻し(整音した音声を完成テープに戻す作業)にプロデューサーが立ち会うなどの形で、最終チェックを行い、放送前に配布される完成テープのDVDコピーを、バラエティ制作部の上長が適宜内容確認する体制を取っております。

20130504

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審議の経過

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委員会からの再質問

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???の再報告

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2005年10月

『幸せって何だっけ』フジテレビ

『幸せって何だっけ』に関するフジテレビからの回答

○この女性占い師をメインにした番組を制作する意図

○10月7日放送のスペシャル番組で子供を対象にした企画意図

『幸せってなんだっけ・カズカズの宝話』は、徳光和夫さんを司会に、細木数子さんが視聴者からの人生相談に答えたり、レギュラー陣の時事問題への疑問に対する考え方のヒントを出したり、ゲストとのトーク、料理を楽しみ、その人の人となりを引き出すという構成内容になっています。

番組としては、細木数子さんという数多くの人生への相談の経験者にその世事に対する経験を生かしてコメントしてもらい、悩んでいるのは一人だけではなく希望と勇気をもって生きて欲しいというメッセージを伝えたいと思っております。

細木さんは占いの書籍を多く出版されており、またそのいずれもが大ベストセラーとなっていますが番組中では、あくまでも人生経験を生かして助言をしていただくという趣旨になっております。占いは話の入り口に過ぎない、この番組では人生の知恵について一緒に考えたいとはご本人の弁でもあります。

またその話題は新聞やニュースで取り上げられる身近なものが中心ですが、やはりその中心は家族や、親子に対するものが多いのは事実です。それにより親子のあり方を取り上げたものが放送回数のかなりの部分を占めております。

○局に寄せられている視聴者意見は

局には、さまざまな批判以外に、「感動した」「参考になった」など賞賛の意見も数多く寄せられています。

○青少年委員会に寄せられた意見等をどう受け止めているか。またそれについての社内議論はあったのか

視聴者からの意見は、常に賛成と批判の両論あるものと存じます。そのどちらにも真摯に耳を傾けることが大事であり、今後の番組制作においてその賛否ある意味を意識してゆくことに努めたいと考えます。

番組制作者は、日常的に番組内容について議論を重ね、且つ制作管理者とも、その都度さまざまな議論を重ねた上で番組制作に取り組んでおります。

また、社内の「メディア検討小委員会」において、議論を致します。

○占い師の発言は、「占い」を根拠としたものか否か

細木さんには、世事に対する経験を生かしてコメントをしていただくことで希望と勇気をもってもらいたい、という番組の企画意図に基づいてご出演いただいております。

○「テレビ番組以外の場での彼女の活動や収入を、放送局が結果的に支えることになるのは問題ではないか」という意見に対する局の見解

一般的に、弊社の番組出演機会によって、番組を視聴された多くの方々の認知度に影響があるといえますが、その内容について因果関係を客観的にお示しすることは困難であると存じます。

〔2005年11月10日付〕

2003年3月

『らいむいろ戦奇譚』サンテレビジョン

『らいむいろ戦奇譚』に関するサンテレビジョンからの回答

意見の要旨

2003年3月17日

(株)サンテレビジョン
青少年委員会連絡責任者 様

「アニメ らいむいろ戦奇譚」について再度のお尋ね

「アニメ らいむいろ戦奇譚」について、貴社の見解をお送りいただきありがとうございました。貴社の見解は、3月12日に開かれた「放送と青少年に関する委員会」で、ご報告しました。

多くの委員から「番組が3月で終了するにしても、他局が深夜の時間帯に放送しているのに、サンテレビジョンだけは、午後6時に放送しているが、この理由を当該放送局にぜひ聞いてほしい」という結論となりました。

お忙しいところ誠に恐縮ですが、当委員会の疑問について、次回の委員会(4月9日)までにご回答をいただきたくお願い申し上げます。

放送番組向上協議会
青少年委員会事務局

局の回答

まずは先の見解で充分なご説明ができなかったことをお詫びいたします。

あらためまして「他局が深夜放送しているのに、サンテレビジョンだけは、午後6時に放送している」経過、理由についてご報告いたします。

当該番組は、昨年秋、代理店を通じて、当社東京支社を経由し、1月から放送希望が伝えられました。企画書などの内容を勘案し、深夜帯での放送が適当であろうという判断を編成はしました。しかし、この時点では1月以降の編成作業は既に終了し、深夜に放送枠はありませんでした。一旦はスタート時期を変更するなど、深夜帯に放送枠が設定できるまで放送を見合わせるという検討もしましたが、営業から強い要請に応じるかたちで、午後6時台での放送に至ってしまいました。その結果として、貴委員会へ寄せられたご意見のような反響を呼び、視聴者に配慮を欠く結果となってしまいました。

今後は、視聴者の生活時間帯と青少年への影響を配慮し、当然のことながら番組編成にあたっては、その内容と放送時間帯について充分検討した上で決定し、二度とこのようなことがないようにしていきたいと考えています。

以上

2003年1月

『機動戦士ガンダムSEED』毎日放送

『機動戦士ガンダムSEED』に関する毎日放送からの回答

意見の要旨

  • 番組中、未成年者の性行為を思わせる描写があった。行為自体はないものの、密室で女の子が裸体にシーツをまとっているシーン。キャラクターの設定が15歳という点も問題だし、夕方の時間帯に子ども向けに放送するものとしては不適切だったのではないか。

    (男性 20歳 東京 1/20メール受)

  • 夕方6時という放送時間にもかかわらず過度な性描写があり、家族で見ていて気まずい思いをした人も多いのではないか。仮にあの描写(性行為後の様子)が物語の展開上必要なものであったとしても、ああもダイレクトな絵を見せることなくそのことをにおわせるような表現はできたはずではないか。激しい憤りと落胆を覚えた。あくまで子どもの見る番組であるということを忘れてほしくない。

    (男性 22歳 東京 1/20メール受)

  • 子どもの見る時間帯の子どもの見る番組に性行為を連想させるシーンを入れるのはどうかと思う。しかもその表現は、目的を達成するためなら愛情なき体の関係を容認しているようにとれ、子どもの援助交際を後押ししかねない。このようなシーンを放映した局の見解を聞きたい。

    (男性 32歳 茨城 1/20メール受)

局の回答

ご指摘のシーンは、敵の攻撃を受けた主人公の少年キラ・ヤマトが反撃のために戦闘態勢に入るというシーンで、キラと15歳の少女フレイ・アルスターの2人が関係を持ったことを暗示する映像になっています。放送のなかで、父親を目の前で敵に殺されたフレイは、復讐するために、戦いの無意味さに悩むキラを何とか敵との戦いに向かわせようとしますが、その過程で、フレイの中で大切なものがどんどんと壊れていくようすを描きました。このように、フレイは「戦争が人々を破壊していく極限状況のもとでは、人は如何にもろい存在なのか」ということを表現するのに必要なキャラクターであります。

今回のシリーズに制作者が込めた思いは、「戦争そのものがいけないんだ。戦うことがいかに不毛で虚しいか」ということであります。そして、番組をご覧の若い世代の人たちが登場人物に対して痛みを感じてもらうことで、「戦争は対岸の火事なんかではない」、「差別や憎しみが対立を生み出し、終いには戦争という異常な事態にまで発展してしまうことの悲惨さ」を伝えたいと思っています。

とはいえ、このような制作側の意図は別にして、今回視聴者の皆様から寄せられた「フレイの行動を表現するにあたっては、もっと映像に配慮があってしかるべきではないか」というご意見につきましては、まさにご指摘どおりであります。

今後は、低年齢の多くのこどもたちがテレビの前にいる時間帯の放送であることを十分念頭において、ご意見を、これからのストーリー展開に反映させる とともに、映像に関しての充分な配慮をする考えです。

最後に、制作意図を視聴者の皆様にきちんと汲み取っていただけるように、今後作画などに鋭意努力していく所存なので、何卒ご理解くださいますようお願いいたします。

以上

2003年2月

『らいむいろ戦奇譚』サンテレビジョン

『らいむいろ戦奇譚』に関するサンテレビジョンからの回答

意見の要旨

  • 18禁のゲームソフトを題材にした過激なアニメを放送していいのか。局の姿勢に疑問を感じる。

    (男性 22歳 大阪 1/29メール受)

  • 夕方の時間帯のアニメなのに、全裸の少女が出てきたり、キスやセックスを思わせるような行為までする。もともと18禁のゲームソフトが原作のアニメであるし、深夜ならともかく、18時からの放送にはふさわしくない。

    (男性 21歳 大阪 1/14メール受)

  • 18禁のゲームソフトが元となっているアニメ。他局では深夜枠で放送されているのに、週末の夕方に放送するのはおかしい。時間帯に配慮すべきだ。

    (男性 20歳 大阪  1/7メール受)

局の回答

この番組は、今年1月から放送しています。寄せられたご意見を真摯に受け止めるとともに、同番組の放送を3月末で終了する予定です。

今後も、視聴者の生活時間帯と青少年への影響に配慮し、番組編成にあたってはその内容と放送時間帯について充分検討していきたいと考えています。

以上

2002年12月

『とんでるワイド大田黒浩一のきょうも元気!』熊本放送

『とんでるワイド大田黒浩一のきょうも元気!』に関する熊本放送からの回答

意見の要旨

上記ラジオ番組の1コーナー“よかばいばなし”に対して、2002年12月20日に、男性視聴者から「あまりに性的過ぎる」という主旨の意見が寄せられました。委員会から特に回答を求めたわけではありませんが、その件について、熊本放送の番組担当者から見解が届きましたので掲載します。

局の回答

このご意見について、熊本放送としての見解を述べさせて頂きます。

ご指摘の件は、タレントの大田黒浩一と局の女性アナウンサー(社員)で進行している、朝の生ワイド番組で、月曜日から金曜日まで、「お笑い丼」として放送しているコーナーのうち火曜、水曜、木曜の週3回放送している「よかばいばなし」の部分です。

このコーナーは夫婦間、もしくは夫婦が若かった頃の性生活が話題の中心となっており、聴取者から寄せられたFAX、手紙、ハガキ、メールを素材としています。当然注意しなければならない内容だけに、事前に担当ディレクターが充分にチェックしています。また、相方としての局の女性アナウンサーもチェック機能の役目を充分に果たしています。また、大田黒浩一は地元で1、2位を争う名パーソナリティで、自らも劇団(肥後にわか的劇団)を主宰、話術にも長けており、さりげなく、明るく、そして品を落とさず、不快感を与えないようなしゃべりで進行しています。さらに、放送時間帯は子どもが在宅していない午前11時ごろで、春、夏、冬の各休み期間と祝日には休止、内容を変更して放送しており青少年に対しては充分に配慮しています。

番組が、当ラジオの看板番組で、その中の一番の名物コーナーでもあり、女性リスナーからも、厭味がなく面白いと評価を受けていると自負しています。

従いまして、チェックは更に厳しくしますが、このコーナーは継続してまいります。

(2003年1月20日 株式会社熊本放送)

2002年11月

『緊急指令!これマジ!世界のふしぎと戦うぞスペシャル!』テレビ朝日

『緊急指令!これマジ!世界のふしぎと戦うぞスペシャル!』(10月12日放送)に関するテレビ朝日からの回答

意見の要旨

  • 月面着陸の疑惑を放送していたが、科学的な検証がまったくなく、反論できる人が一人も出演しておらず、いたずらに誤解させるような内容だった。多角的に情報を紹介する、という放送の原則に反しているのでは。

    (男性 49歳 東京 10/15メール受)

  • 衝撃的な取り扱いは科学に疎い人間や子どもを信じさせるに十分な内容だった。文科省や大学機関のHPでは疑惑を科学的に解明しているにも関わらず、そのことに少しも触れないのはおかしい。

    (女性 39歳 静岡 10/15メール受)

  • 子どもの見る時間帯の番組なのだから、うわさはうわさ、という前提をきちんと説明しないと、混乱を招く。

    (女性 53歳 石川 10/4ファクス受)

局の回答

『これマジ!?』という番組は、世の中のありとあらゆる不思議ネタを紹介するという狙いの番組です。今回、指摘されている企画内容も、もともと、「人類は月に降り立ったのか?」というタイトルのテレビ番組がアメリカで放送され、話題になりましたものを今年1月に、『これマジ!?』が紹介したのが発端です。この話題はイギリスにも広がり、同様の番組が、「月で何が起こったのか?」というタイトルで放送されました。

『これマジ!?』では、これら「アポロ疑惑」について制作されたアメリカとイギリスのテレビ番組を翻訳・再編集し、過去3回に分けて紹介する形をとってきました。しかし、今回の放送では、私たちがこれまで抱いてきた疑問に対して、初めて、アポロ元宇宙飛行士に反論を聞きに行くと言う番組初の検証を試みました。結果的には、アポロ16号元宇宙飛行士チャールズ・デューク氏とアポロ11号元宇宙飛行士バズ・オールドリン氏の2人のインタビューがとれ、それぞれの見解を番組で放送いたしました。

過去3回の放送が、海外のテレビ局が制作した番組を紹介し「あなたはこの番組を見てどう思いますか?」という問いかけだったのに対して、今回は、元宇宙飛行士のインタビューを入れることで、一歩踏み込んだ形で、あらためて視聴者に問いかけた放送内容になっています。

このVTRを見終わった後のスタジオでは、ゲストの黒沢年雄さんは「アポロは月面着陸していないと思う」という意見。実際に元宇宙飛行士のところにインタビューに行ったデヴィ夫人は、「アポロは月面着陸に成功していると思う」という意見を述べています。そして、最後は、デヴィ夫人がMCや他のゲストたちに「月の土地」をプレゼントすることで、いつか自分の目で確かめに行ってくださいという締めくくりになっています。

以上、番組では、視聴者の方からいただきましたご意見にあるような、「アポロ月面着陸疑惑」の一方的な情報紹介をしたつもりはありません。元宇宙飛行士のインタビューを入れることで、疑惑に対する反論も盛り込んだつもりです。また、スタジオでの出演者の意見も肯定・否定の双方を取り上げると同じに、番組的な結論までは出していません。しかし、視聴者からのご意見にありましたような、文部省や大学機関のHPまで紹介しなかったのは、番組の構成上の問題です。

今後、『これマジ!?』は、レギュラーでの放送はなく、年に1~2回の特別番組として放送される可能性はあります。ただし、「アポロ疑惑」について放送するかは未定ですが、今回いただきました視聴者からのご意見を真摯に受けとめ、今後の番組制作に生かしていきたいと思います。

2003年3月

『ハロー!モーニング。』テレビ東京

『ハロー!モーニング。』に関するテレビ東京からの回答

意見の要旨

  • 普段の番組内容は子ども向けにできていて楽しく見ている。しかし、2月23日の放送で、モーニング娘。の新メンバーが、DVD撮影をしている映像が流れてびっくりした。まだ中学生の少女たちが、水着やブルマーを着て床に寝転ぶ様子が生々しく映されていたからだ。世間では水着やブルマーは“イヤらしいもの”の対象になっているし、現在学校教育の場ではブルマーは使用されていない。見ているほうも不快だし、出演している少女たちもかわいそうだ。

    (女性 東京)

  • 中学1~2年生の女の子にブルマーなどはかせてマット運動をさせるなど、露骨な性的とも取れる描写が目に余った。セクハラではないのか。ファン層や放送時間帯を考えると、幼い子どもも多く見ていると思われる。それなのに、あの放送内容はあまりに配慮が足りない。

    (女性 17歳 東京)

  • ビデオ・DVDの撮影の様子を紹介するのを見て不快に思った。文句が言えない新人のアイドルの子にブルマーや水着を着せ、マット運動などをさせる。なぜそんな必要があるのか。あのようないかがわしい映像をテレビで流さないでほしい。まるで児童ポルノのようだ。今時ブルマーなど、風俗関係の人しかはいていないではないか。

    (女性 26歳 東京)

など、主に20・30代の女性から意見が寄せられています。

局の回答

『ハロー!モーニング。』は、モーニング娘。のメンバーを中心とした若いアイドルたちが、歌・踊り・コント・ゲームなどを繰り広げ、日曜昼に若者たちを中心に楽しんでもらうバラエティー番組です。あふれる若さと、さわやかさを多くの若者に感じてもらおうというコンセプトで制作しています。

番組内のモーニング娘。新メンバーの「DVD撮影」の模様の中で、「水着姿」「ブルマー姿」のシーンがありましたが、決して興味本位なものではないと考えます。視聴者の方から「水着・ブルマー姿」に対してご批判を受けましたが、映像内容はむしろ健康的な姿を描いており、「いやらしさ」を感じさせるものではありません。

しかし、放送と青少年に関する委員会に批判が寄せられたことは真摯に受け止め、今後も番組内容、映像表現には細心の注意を払っていく所存です。

また、制作スタッフも常に議論を重ね、十代のアイドルが出演するという性格もあり、映像表現が青少年に与える影響を念頭におきながら制作しています。今回の視聴者からのご指摘を受け、制作スタッフもより一層、視聴者、特に児童・青少年とテレビ表現に関して考えて参りたいと存じます。

以上

2003年8月

『27時間テレビみんなのうた』フジテレビ

『27時間テレビみんなのうた』(6月28日・29日放送)に関するフジテレビからの回答

意見の要旨

  • タレントが酒を飲みすぎて、本番中に男性器を晒してしまうという椿事があった。彼は飲むとそのクセありと評判の人らしく、それを知っている共演者やスタッフが酒を飲ませて煽り、やらせたのではないかと思う。番組演出上の悪乗りはほどほどにすべきだ。

    (男性 20歳 東京)

  • 酔っ払ったタレントが下半身を丸出しにするというハプニングに対して、局は「お咎めなし」だという。一般人がやるとわいせつ物陳列罪で処罰の対象になるのに、テレビ番組やタレントなら許されるのはおかしいと思う。

    (男性 30歳 東京)

局の回答

番組中のご指摘の部分につきましては、予想できないハプニングでしたが、視聴者に不快な映像が流れてしまい、心からおわびします。

笑福亭鶴瓶さんは番組のテーマ「再開」を求めて、長崎県・飛島を訪れていました。当日、鶴瓶さんは島民との交流会で酒を飲んでいましたが、スタッフの予想以上に酔いがまわっていたようです。スタッフには飲ませて酔わそうという演出上の意図はありませんでした。

問題のシーンは生放送中の深夜26時18分におきました。暑いのでパンツ1枚で熟睡している鶴瓶さんにスタジオのコーナー司会者が「起きて!」と呼びかけたため、鶴瓶さんは目を覚ましたものの、寝ぼけて急に立ちあがった拍子に掛け布団と一緒にパンツがずり落ちてしまいました。

カメラマンも予想外の出来事にとっさに対応ができず、画面が切り換わるまでの約1秒間露出した映像が流れてしまいました。

このアクシデントに対し、放送直後でコーナー司会者がバラエティーコーナーの範囲内でのフォローコメントを発しましたが、さらにメインスタジオの司会進行の立場である高島彩アナから27時37分に「FNS27時間テレビ・みんなのうたでは、さきほど中継の中でお見苦しい点がありましたことをおわび申し上げます」とコメントで謝罪しました。

この件につきましては番組審議会、メディア検討委員会、メディア検討小委員会、考査会議、広報視聴者対応会議そして制作のプロデューサー会議で議題としてとりあげて深く反省すると共に、今後の生放送のやり方について、さらなる注意が必要であることを指導徹底いたしました。

2003年8月

『水10!ワンナイR&R』フジテレビ

『水10!ワンナイR&R』に関するフジテレビからの回答

意見の要旨

  • 王監督の顔を便器に見立てて、口から飛び出した水で尻を洗う商品を紹介するというコントがあったが、王監督をバカにしており非常識もはなはだしい。やっと良い事と悪い事の判断ができないような放送局は、言論の自由、表現の自由などを言うことはできない。

    (男性 41歳 北海道)

  • ジョークとは程遠く、ただ有名人を愚弄しただけの下らないコント。あまりに無節操だ。

    (男性 30歳 栃木)

  • 王監督の顔を便器に見立てたコントは、世界のホームラン王であり国民栄誉賞をもらった人に対して、あまりに失礼ではないか。視聴率をとれば良い、人の耳目を集めれば良いというテレビ業界の姿勢がこのようなことを生むのではないか。

    (男性 56歳 東京)

局の回答

問題の「ジャパネットはかた」のコーナーは、テレビ通販番組「ジャパネットたかた」をパロディ化したもので、不定期に放送しているものです。

今回のパロディは、手法・表現として行きすぎたものであり、局として、これを充分にチェックできずに放送してしまったことを深く反省しております。

この件につきましては、ただちに王貞治監督ならびに福岡ダイエーホークス球団に直接おわびするとともに、8月20日放送の番組冒頭、須田哲夫アナウンサーの顔出しで「先週のワンナイR&Rの中で、福岡ダイエーホークスの王監督ならびに球団・関係者の方々に不快の念を与え、ご迷惑をおかけしましたことを深くおわびいたします。」とコメント謝罪いたしました。

さらに8月30日放送の「週刊フジテレビ批評」で、広報部長が視聴者の皆様への事情説明を行うとともに、王監督ならびにダイエー球団・関係者の方々におわびいたしました。

今回の事態を受けて、弊社の社内組織であるテレビメディア検討委員会、テレビメディア検討小委員会、考査会議、広報視聴者対応会議、そして制作プロデューサー会議等において、番組のチェック機能のさらなる強化策について検討するとともに、スタッフの放送倫理意識について改めて自覚を促しました。

9月10日の番組審議会でも議題として取り上げます。

社内での検討の結果、今後の番組のチェック体制につきましては、企画段階での編成・制作上長による事前チェックを行い問題発生を未然に防ぐとともに、従来より番組の納品を早めることによってチェック時間を十分に取るなど、編成・制作のダブルチェック体制を更に強化することにいたしました。

2003年10月

『水10!ワンナイR&R』 フジテレビ(再回答)

『水10!ワンナイR&R』に関するフジテレビからの回答

意見の要旨

BPO第03-24号
2003年9月16日

(株)フジテレビジョン殿

『水10!ワンナイR&R』再回答のお願い

放送と青少年に関する委員会
委員長 原 寿雄

1.当委員会では、チェック体制はもちろんですが、制作現場であのような内容の番組が制作されることについても疑問を持っています。制作現場スタッフの意識については、どのようにお考えですか。
2.貴局の回答(9月5日)で述べられている社内組織の「テレビメディア検討小委員会、考査会議、広報視聴者対応会議、制作プロデューサー会議等」で「番組のチェック機能のさらなる強化策を図る」とありますが、その具体策をお知らせください。
以上の点について、10月6日(月)まで、文書で再回答されるようお願いします。

局の回答

貴委員会よりいただいた再回答のご要請について、お答え申しあげます。

  • 「制作現場のスタッフの意識」について
    フジテレビでは、番組や会社組織を活性化させるため、バラエティー番組のスタッフの若返りを図り、それが効を奏して、視聴者の皆様には好評をもって受け入れられていると考えております。若手プロデューサーやディレクターも、視聴者の反応に手ごたえを感じて、制作現場は活気にあふれるようになっています。

    こうしたスタッフの間では、どのような笑いを作っていくか、日々議論を重ねながら番組を制作しており、また、時事的なホットな笑いを取り入れるため、なるべく放送日に近いところで収録を行いたいという意欲を持って取り組んでおります。

    しかし今回の「水10!ワンナイR&R」の場合は、若手スタッフの意欲が空回りする結果となってしまいました。局として、若手スタッフの意欲をコントロールできず、番組内容を充分にチェックできなかったことを深く反省しております。

    今回の反省から、後述のようにチェック体制を強化するとともに、若手制作スタッフの意識を高めるための勉強会を随時開いて、特定個人や特定企業等の名誉を傷つけずに成立する笑いの開発を進めるよう、徹底を図ります。

    なお「水10!」は、10月からは登場キャラクターを一新するなど、番組内容を全体的に改めることにしております。

  • 「番組チェック機能の強化策」の具体案について
    まず、問題の発生を未然に防ぐため、企画段階における素案を制作・編成の上長に提出させ、収録前のチェックを強化いたします。

    一方、番組に対するチェックが充分に行き届かないことの要因として、番組の完成・納品が遅いということが挙げられます。これは先述したように、ホットな話題を番組に取り入れたいというスタッフの熱意の表れでもあるのですが、その一方で、問題の箇所が見つかっても直すための時間的な余裕がないという場合もあるのです。

    これを防ぐため、前回の回答の中でも述べました通り、まず番組の納品を早めることを実践いたします。これは、問題となった「水10!」だけに限らず、バラエティー番組全般において早期納品を徹底させていく方針です。

    さらに、完成後のチェックにつきましては、制作現場プロデューサーや制作上長のチェックはもちろんのこと、放送責任を負う編成部においても、番組担当者のみならず、編成部員全員がチェックシートを共有する体制を作りました。これにより、複数の眼で番組をチェックすることが徹底できるものと考えております。

2002年5月

『のりノリ天国』サンテレビジョン

『のりノリ天国』に関するサンテレビジョンからの回答

意見の要旨

  • 深夜番組とはいえ、23時台では未成年も起きている。アダルトビデオの紹介をし、セックスシーンも出てくるのは明らかにやりすぎ。

    (女性 30歳 兵庫 4/11電話受)

  • 下ネタばかりの話題で、女性蔑視を助長している。テレビ番組というのは、気軽に見ることができ、社会への影響も大きい。スポンサーも(ラブ)ホテルや消費者金融などで、間に入るCMものぞましくない。もっと公共の電波を使っている自覚を持ってほしい。

    (男性 50歳 兵庫 4/12電話受)

  • まったく品のない、えげつない番組だ。子どももじゅうぶん起きている時間帯。局に電話しても、聞く耳を持たない。すぐにでもやめてほしい。

    (男性 61歳 大阪 4/30電話受)

局の回答

この番組は、大人向けの深夜バラエティー番組として、その時代の社会環境に応じ、番組内容、出演者、放送時間などについて、変更や手直しをしながら、19年間放送しています。今回ご指摘の内容に関しても、過去に幾度か見直しを図っていますが、過激な作品の紹介は避ける、また、女性蔑視と誤解されるおそれがある表現手法をとらないなど、更に善処したいと考えております。

今後も、視聴者の生活時間帯と青少年への影響を配慮し、放送時間の変更も含め、番組内容や出演者について更に検討を加えていきたいと考えています。

2004年10月

『アカデミー受賞作品特集「ピアノ・レッスン」』NHK

『アカデミー受賞作品特集「ピアノ・レッスン」』(2月26日放送)に関するNHKからの回答

意見の要旨

  • ワイセツで抑制に欠けた全裸男女の性交場面が放送された。これはアカデミー受賞作品ながらR指定映画である。青少年がテレビを見ている時間帯にR指定映画を放送するNHKの青少年健全育成の姿勢に欠ける放送姿勢に強い怒りを覚える。親が子のテレビ視聴をしっかり管理するのも当然だが、それには事前に放送局なり新聞のテレビ欄などで事前に子どもが視聴するには有害である旨の情報提供が必要だと思う。スイッチひとつで簡単にお茶の間に直結してしまうテレビという情報媒体の中で青少年の保護育成をとるのか性、暴力表現を含む表現の自由や芸術性をとるのか、大きな問題だと思う。

    (男性 FAX 三重)

  • 放送番組向上協議会には以前から善処方を申し入れているが、「ピアノ・レッスン」には、セックスシーンがあり、モザイクはあったが足を広げていた場面があった。NHKにも電話したが「NHKはポルノは流していない」の一点張りであった。私が言いたいのは、せめて番組の冒頭に、セックスシーンがあり、青少年には向かない映画であることを明示すべき、ということだ。

    (男性 電話 茨城)

  • R指定映画でありながら青少年視聴時間帯に全裸男女の体位も明白で猥褻な性行為場面が放送されていた。アカデミー受賞映画であるがR指定であり、青少年にとって有害な性表現を含む映画である以上青少年に配慮した放送をするべきではないか。この問題をBPOが看過するとしたならばどこが番組の健全化を図れるのか。事前に青少年にとって有害である旨の情報提供もされておらず親として子どもの視聴管理をおこなうこともできない。

    (男性 Eメール 岐阜)

局の回答

NHK衛星第2テレビでは、2月から3月にかけてアカデミー賞を受賞した映画を70本放送しました。「ピアノ・レッスン」は、そのうちの1本として放送したものです。

この映画は、1993年オーストラリア制作で、ニュージーランドの女性監督の作品です。アカデミー主演女優賞、助演女優賞、脚本賞の3部門を受賞したのをはじめ、カンヌ国際映画祭でも女性の監督としては初めて「パルム・ドール賞(グランプリ)」を受賞し、国際的に高く評価されました。女性監督ならではの繊細さとともに、力強さに満ちており、全編に流れるピアノの旋律が見る者の心を強く揺さぶる、質の高い作品です。

映画館で一般公開される映画について、映画業界が独自の基準を設けていることは承知していますが、NHKでは自主的に定めた番組基準に照らし合わせて映画の放送を行っています。その基準では、「性に関する問題はまじめに、品位を失わないように取り扱う」としています。

今回は、作品の高い評価と芸術性、ストーリー展開のうえでのシーンの重要性等を検討したうえで、放送の判断を致しました。ご指摘のあった場面は、多くの人がご覧になる放送時間帯であることを考慮し、一部の映像を独自に加工して放送しました。

映画の放送にあたっては青少年の視聴を考え、作品の内容や放送時間帯について、視聴者の皆様のご意見を十分に踏まえ、慎重に取り扱うようにしたいと思います。ご理解をよろしくお願いいたします。

2002年5月

『とくばん』 TBS(再回答)

『とくばん』 (3月28日放送)に関するTBSからの回答

意見の要旨

(株)東京放送殿

放送と青少年に関する委員会
委員長  原 寿雄

「とくばん」再回答のお願い

「とくばん」の視聴者の意見に対する貴局の回答(4月28日)について委員会で議論しました。その結果、いくつかの点で意見や疑問が出てきました。

そこで、以下の項目を含め、貴局の見解や具体的な対応を再度回答下さるようお願いします。

なお回答は、6月7日までにいただければ幸いです。

  • 回答文では、司会者が出演者にセクハラ発言をしたことに対し、言われた側の出演者の精神的被害については、何も触れられていません。
    出演者が未成年であるだけに、発達を阻害する怖れはないでしょうか。それとも出演者はタレントだからそのような配慮は必要ないということでしょうか。
    また、こうした放送を見た子どもたちが“この程度のセクハラ発言は社会的に許される普通のこと”と受け止めることも考えられます。視聴者である子どもたちの規範意識への影響についてどのように認識されていますか。
  • 視聴者の意見が司会者にどのように伝わり、さらに司会者がどのように受け止めたかが明らかになっていません。司会者がこのような発言を繰り返さないためにも、番組責任者と司会者の話し合いは重要と考えますし、場合によっては、次の回の放送で、司会者が自分の反省点を述べるという方法もあったと思います。司会者に対する放送局の対応はどうなっているのでしょうか。
  • 回答文では、「新たな対策」を考えたいとありますが、すでに取られた対策、あるいは今後検討される対策について具体的にお知らせください。特に、収録時にこうした場面が収録されないようにする方法はないでしょうか。

以上

局の回答

「とくばん」に関するご意見について、改めてご報告いたします。

  • について
    発言を受けたZONEのメンバーの精神的な被害について、収録終了後そして放送終了後の2回にわたり、レコード会社を通じて調査いたしました。(通常、「うたばん」のキャスティングおよびアーティストの諸連絡には、レコード会社が間に入り調整します。またZONEは北海道の居住し学校に通い活動しているため、今回もレコード会社を通じての連絡となりました)

    それに対し「ZONEのメンバーは、(発言に)傷ついている様子はない」との答えをもらいました。さらに再回答に当たり5月下旬に改めて貴委員会の指摘を説明し、レコード会社を通じて、メンバーの様子を尋ねました。彼女たちの身の回りを常に取り仕切っている女性マネージャーの答えとして、今回も「本人たちもほとんど気にしていません。むしろMIZUHO(本人)も、『今後石橋さんと話しづらくなるのが心配です。』と話しています。事実、収録後に石橋さんはZONEの楽屋を訪れ、声をかけてくださいました。メンバーと番組はいい関係を続けたいと思っています。」との返事を受けています。

    しかしながら、タレントであるとはいえ彼女は15歳の少女であり、同世代の普通の少女が、同様の発言を受けた場合感じるであろう痛みに私たちの思いが至っていなかった、といわざるを得ません。また、番組の視聴者には多くの同世代の子どもたちがいます。その子どもたちがどう受け止めどう反応するか、をも勘案しなければなりません。

    テレビの影響力の大きさを考えれば、さらに細心の注意が必要なことは、言うまでもありません。スタッフ一同、これまで以上に認識を新たにしなければいけないと感じております。

  • について
    今回の問題については、「とくばん」放送後および5月中旬にプロデューサーから司会者に対し、視聴者からの意見および一連の発言がセクハラに当たるのだという点を、説明しました。司会者の二人とも、この件に関し十分に理解してもらいました。今後の収録については、同じような問題を起こすことのないよう、番組司会者と番組スタッフが協力しあう点を確認しました。

    ただ「うたばん」は、台本があるとはいえ、番組司会者とゲストのフリートークによりゲストの個性を発揮させる番組です。収録された内容に不適切な表現や問題となるような部分があった場合、番組の責任において削除または修正して放送しています。生放送ではなく編集して放送する番組の最終的な責任は、それを放送する番組およびテレビ局にある、と私たちは考えます。

  • について
    番組収録に際し、事前に必ず司会者とプロデューサー・担当ディレクターが打ち合わせを行っています。進行の流れを説明し、気を付けたい点を司会者に伝えます。この打ち合わせで、子ども達に悪い影響を与えたり、いじめやセクハラにつながるような内容や演出は避ける、という点が再確認されました。

    一つ一つの企画についても、「この企画はいじめや差別やセクハラにつながらないか?収録中にそのような流れのトークになる危険性はないか?」検討しています。

    また、セクハラなどの意識を高めるため、前回回答から一歩進め、アシスタントプロデューサーやディレクターに、新たに女性スタッフを2名増やしました。さらに女性スタッフだけの会議を開いています。そこで収録内容や企画について、男性の気付かない視点からの意見を伝えてもらい、番組づくりに反映させています。

    さらに、疑問の出た発言や部分については、スタッフだけで判断せずに社内の関係各所に相談しています。

以上

2004年10月

『発掘! あるある大事典2~春の芸能人血液型スペシャル~』関西テレビ

『発掘! あるある大事典2~春の芸能人血液型スペシャル~』(4月4日放送)に関する関西テレビからの回答

意見の要旨

  • 血液型診断について放送していたが、何も根拠がないものであると研究されているのにもかかわらず、このようなことを全国放送するのはいかがなものか。特にA型だけは良いように言って、B型は悪い人のような表現であるために、いじめにつながるのではないだろうか。

    (男性 20歳代 鹿児島)

  • 血液型と性格は関連があり、それは科学的に裏づけられた事実であるかのごとき内容の放送だった。血液型で人間の性格が決まるということが事実なら、それは特定血液型の人に対する差別やイジメにつながりかねず、許されるべきことではない。子どもがその血液型ゆえに学校でいじめられたり、ある血液型の社員が差別に近い扱いを受けている会社もあると聞く。私には、血液型と性格の関係が科学的に立証されているとは思えない。にもかかわらず、これは科学的根拠があると断定しているかのごとき演出で放送したことに大いなる疑問を感じ、抗議したい。

    (男性 40歳代 大阪)

  • ある特定の血液型を「自己中心、自分勝手」と言っていた。こんなことをテレビを通じて言うのは人権侵害だ。差別と偏見以外の何ものでもない。

    (男性 30歳代 東京)

局の回答

当社が平成16(2004)年4月4日午後9時から放送した『発掘!あるある大事典2~春の芸能人血液型スペシャル~』は、今や占いの領域にまで浸透し、日本人の日常生活や行動に対し多大な影響を及ぼしている「血液型による性格分類」が、果たしてどこまで実証できるかを番組の起点に置きました。

そこで、当番組では血液型による性格の傾向および行動パターンの俗説を検証するため、「1000人調査」「幼稚園でのウォッチング」や「あるある実験」「海外での最新研究」を放送いたしました。

視聴者の投稿では、「ある特定の血液型に対する偏見や差別を助長する」という意見ですが、あくまでも「1000人調査」から得たデータに基づいての統計学的見地に立った企画であり、各々の血液型によって類似する性格や行動の傾向があるという結果にとどめています。

血液型イコールこの性格と断定している訳ではなく、1000人の人間から得たデータから4つの血液型の特徴的な行動パターンを紹介した訳です。

もとより、人間の性格はさまざまな要因によって形成されており、未知の部分も多く、すべてが血液型によって決定されると断定できるものではありません。

当番組でも、「血液型ですべてが決まる訳ではありません。血液型による偏見や相性の決めつけはやめましょう」というスーパーテロップを番組の最後に出すことによって注意を促しています。

また、4月新番組をテーマにした4月8日の番組審議会でも同番組が多くの委員によって取り上げられました。

その中で、「血液型の話をする人とは付き合いたくない」という委員もいましたが、今回の番組内容については、身近なテーマであり、家族全員が会話をしながら楽しめるものだったと概ね好評でした。

今後も、番組で同様のテーマを扱う場合は、非科学的なものは慎重に対応するようにという当社の放送基準の精神に則った番組づくりを心掛けていきたいと考えています。

〔2004年7月30日付〕

2002年4月

『とくばん』TBS

『とくばん』(3月28日放送)に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • ZONEに対する、石橋貴明氏のあだ名付けは明らかにセクハラだ。本人の抗議にも関わらず、笑い者にしている構図を心なくも放送するTBSは社会的責任を果たしていない。もし自分の子どもがこのような扱いをされていたらという思い、また、それを放送することによる人権侵害に心及ばない放送関係者の人格を疑う。報告を求めたい

    (3/29メール受 男性 43歳 長崎)

  • 年端もゆかない少女達が、顔を「男性器そのものだ」と揶揄されている光景は痛々しくて正視できなかった。子ども達がよく見る番組なのだから、その影響というものについて、放送局は十分配慮すべきではないか。あのようなセクハラ・いじめ行為をそのまま放送するということは、放送局がその行為を認め、助長することになる。

    (4/4ファクス受 女性 53歳 石川)

局の回答

「とくばん」に関するご意見についての回答

ご指摘の、歌手グループ・ZONEのメンバーへのニックネームの件は、あきらかにセクハラにあたり、いじめにもつながりかねない行為でした。番組スタッフ一同、ZONEのメンバーおよび視聴者の皆様に対して深くおわびいたします。

以下、どうしてこの部分が放送されるに至ったか、経過をご説明します。

「とくばん」は、音楽バラエティー番組「うたばん」の2時間スペシャル版です。この「うたばん」は、アーティストの曲を紹介すると同時に、アーティストと番組司会者のトークによりそのアーティストの個性を引き出しキャラクター付けする番組として、視聴者に親しまれています。番組の恒例としてアーティストのキャラクター付けのため、番組に登場する新人アーティストには、番組の司会者が即興でニックネームを付けています。このニックネーム付けは視聴者からもご好評をいただいており、番組の目玉企画と考えています。

3月28日放送の「とくばん」には、ゲストとしてZONEの皆さんにご出演いただきました。

それまでZONEには、「うたばん」に2回出演していただいていましたが、メンバー一人一人のキャラクター付けが、番組上不十分であると考えていました。そこで番組の司会者に、番組の恒例通り、収録において即興でZONEのメンバーの一人一人にニックネームをつけてもらい、彼女たちをフィーチャーしようと、企画いたしました。

そして、収録の際メンバーの一人に対し付けられたニックネームは「××××の先」(××××は男性性器の幼児表現)というものでした。

収録後、この発言がテレビで放送されること、および発言を受けたメンバーの気持ちを考慮し、番組スタッフが対応を検討し、所属レコード会社および所属事務所とも相談の上、以下のように処置することにいたしました。

  • その後のトーク部分において、そのニックネームが出続けたため、すべてのトークを削除する事は番組上できず、かつ不自然な流れでの放送を避けるため、そのニックネームについての発言を最小限にとどめる。
  • 放送においては発言の声は消し別の音に差し替え、発言をフォローするスーパーにはイラストで加工を施す。(仏具の鉦と木魚のイラストを使い、音は鉦と木魚の出す音を使用)

しかしながら、この処置では不十分であったため、結果として、ZONEのメンバーおよび視聴者の皆様に不快感を与えてしまったわけです。これは、私ども番組スタッフのセクハラに対する状況認識不足、世間的常識の不足といわざるをえません。誠に申し訳なく思っています。

今後は、このようなことを起こすことのないよう、より一層、番組制作について考えて行きたいと思っています。そのために、以下のような対策を検討しています。

  • 「うたばん」以外の番組のプロデューサーやディレクターとも、倫理上問題がありそうな部分の放送について、積極的に意見を交換しあう。
  • 収録後の編集およびVTRチェック作業において、番組スタッフだけではなく社内の他のスタッフからの意見を取り入れる。
  • 発言および演出について女性スタッフから見た意見を集め、番組制作に反映させる。
  • 疑問の出た発言および演出については、番組スタッフだけで判断することなく、関連部署の判断をあおぐ。
  • 番組スタッフを、放送倫理問題などの勉強会に積極的に参加させる。

これからも更に会議を重ね、新たな対策を考えていきたいと思います。

2002年2月

『笑う犬の発見』フジテレビ

『笑う犬の発見』(1月13日放送)に関するフジテレビからの回答

意見の要旨

  • 原田泰造が裸で局部だけ隠し、受付だかクロークの女性の頭上で腰を揺らし、股間を触らせようとした。芸人が裸になるのは勝手だが、一般の女性にああいう嫌がらせをするのを見て、震えるほど怒りを覚えた。教師をしていて学校の性的な問題にも関わっているが、このような番組を子ども達は笑って見て、「お母さんは固い」などと言うのに接して、学校での子ども達の言動(性的ないじめなど)に合点がいった。教育レベルだけの努力ではどうにもならないという思いをもった。

    (電話 女性 55歳 北海道)

  • タレントが下半身を丸出しにして局内を回り、受付嬢に局部を触らせようとした。やめてほしい。

    (電話 男性 34歳 鹿児島)

  • 受付嬢の顔に布で隠した性器を近づけた。一般の女性に対し、卑劣な行為だ。夜8時台に放送すべき内容でない。

    (Eメール 男性 21歳 宮城)

局の回答

番組中のご指摘の部分につきましては、演出上の行き過ぎがあったと深く反省しております。特に女性(実際には受付嬢ではなく、番組のスタッフですが)に対しての行為は、放送として許される範囲を超えていると認識しております。この件につきましては、バラエティー番組を担当しているプロデューサー会議でVTRを全員に見せ問題の所在を明らかにした上で、二度とこのようなことのないよう徹底指導いたしました。

また、今後は、放送の公共性・人権への配慮・青少年への影響などを十分考慮した番組作りをするよう、指導を続けてまいる所存です。

※ 前記回答文が委員会に届いたが、内容が不十分として2月13日、委員会は再度回答を求めた。

2004年10月

『決定! これが日本のベスト100』テレビ朝日

『決定! これが日本のベスト100』(6月13日放送)に関するテレビ朝日からの回答

意見の要旨

  • 血液型診断説とそれに関連する「血液型別データ」をろくな検証もなく一方的に正しいと決めつけて放送しており、血液型による差別を助長している。血液型別での異性の好き嫌いまで示されており、これはもはや一種の人種差別とさえ言える。また番組の最後に「この番組は差別を助長するものではない」と言う趣旨の文言が表示されたが、番組の構成を見れば、実際の内容はその言葉とは明らかに逆であり、許されるものではない。検証的な態度が見られず、ただ人々に偏見を植えつけるこのような番組は厳しく非難されるべきだ。

    (男性 20歳 埼玉)

  • 特定の血液型に悪印象を与えるような演出が気になる。血液型占いを信じる・信じないに関わらず、不愉快な気分にさせられた。日曜日の19時は子どもが多くテレビを見ている時間帯。子どもは占いや迷信が好きだから、番組を見て影響された子どもがいじめを行わないとも限らない。このような差別を助長するような番組編成は即刻、やめていただきたい。

    (女性 20歳代 石川)

  • これほど醜悪で偏見に満ちた番組は久しぶりに見た。「劣っている」と決めつけられた側が、放送後に短絡的な思考しか持たない人や集団に偏見を持たれてしまうリスクを、放送局側はどこまで配慮しているのか。キャストをお笑い芸人でまとめ、おどけた雰囲気にしたつもりであろうが、青少年のみならず、社会や家庭に至るまで、こうした些細な事由を基に“差別することは大して悪いことではない”的な意識を助長していることに大変な憤りを覚える。

    (男性 30歳代 神奈川)

  • ヒット曲や人気アニメとは違い、血液型は持って生まれたものであり、順位を決めるという発想に疑問を感じる。血液型と性格は、星座占いと同じく根拠がなく、信憑性に欠ける。影響を考えれば、お笑い番組と片づけて済まされるものではない。非常に不快である。

    (女性 京都)

局の回答

今回の番組は、現在、世の中に溢れている血液型に関するさまざまな情報を集約してみようと企画いたしました。制作にあたっては、偏りによって差別や偏見を助長することがないよう、新聞、テレビ、書籍、雑誌等の情報を集め、さらに血液型研究の第一人者、血液型人間研究室代表・能美俊賢氏に監修をお願いし、血液型別の傾向を調査・研究いたしました。また、番組独自の調査・実験も行っております。

今回の番組はその結果を放送したものであり、「視聴者の皆様からの意見」で指摘のあったような特定の血液型に悪印象を与える意図は全くございません。むしろ、私どもは企画から放送に至るまで、一方的な決めつけで差別や偏見を助長しないよう留意したつもりです。スタジオでのトークでは結果を全肯定するのではなく、ゲストの方々に当てはまるかどうかという議論を展開しておりますし、番組の最後でも差別や偏見を助長しないようテロップを入れ、視聴者の皆様に注意喚起を行っております。しかし、設問項目の多くで特定の血液型の調査結果が悪かったのは事実であり、このことが視聴者のご指摘の要因となったかと反省しております。

私どもは差別や偏見を助長することがないよう制作を行ったつもりですが、結果的に視聴者の皆様から指摘をいただいたことは本意ではなく遺憾に思います。今後も、更に細心の注意を払い番組制作をする所存ですので、何卒ご理解を賜りますようお願い申しあげます。

〔2004年7月26日付〕

2002年1月

『あの人は今!?“消えたヒーロー&ヒロイン…20世紀伝説の101人”』日本テレビ

『あの人は今!?“消えたヒーロー&ヒロイン…20世紀伝説の101人”』(1月10日放送)に関する日本テレビからの回答

意見の要旨

  • 午後7時からの番組で、小さな子どもも見る時間帯にみだらな映像が放映されたことに驚き、怒りを覚えた。番組の、性的映像に対する見直しをお願いしたい。

    (Eメール 女性 16歳 東京)

  • いかがわしい映像を流した(ストリップなどで働く女性の職場の模様が生々しく放映された)。小・中・高校生が目にするのは明らかであり、不適切。局に抗議の電話をしたら担当者は「抗議は覚悟」と開き直っている様子で、謝罪もなく、おごった感じが不愉快だった。

    (Eメール 女性 22歳 神奈川)

局の回答

「あの人は今」は、かつて活躍した内外の著名人の過去と現在を紹介する番組であり、人物を通してその時代に対する懐旧と、その人が今何をしているかという興味をリンクさせた娯楽番組です。

ご指摘の部分は、漫才師および80年代セクシー女優の過去と現在の姿を紹介するものでした。漫才師のコーナーは、過去一世を風靡した漫才師が現在は街のショーパブで懸命に働いている姿を紹介するものでした。一方セクシー女優については、80年代若者に人気を博したセクシー女優の当時の出演映画映像と現在の姿を紹介して、多様な文化の一端でもある若者のサブカルチャーを担った人たちにスポットを当てようと企図するものでした。

しかしながら、ご指摘のとおりショーなどの映像は、特別に配慮すべき青少年の視聴の多い夜7~8時台という時間帯の表現としては配慮が足りなかったと言わざるを得ません。一般家庭の視聴者の方々が嫌悪感や羞恥心を抱かれたとするならば誠に遺憾であり反省しております。

今後は、放送時間、素材の取上げ方、表現方法について十分配慮し、ファミリーで視聴できる「あの人は今」を目指したいと考えております。

2004年10月

『脳力探検! ホムクル!! ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!』TBS

『脳力探検! ホムクル!! ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!』(6月5日放送)に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • 「人は血液型により性格が違う」「血液型による相性がある」「血液型により人の行動パターンは違う」などと、学者が出演して“血液型が人格を決定する”と断定するような内容の放送だった。私は教育関係者。子どもたちが占い

    や血液型診断を信じ、いかに影響を受けやすいかを知っている。事実、佐世保市の小6同級生殺害の加害者のホームページにも、血液型や占いなどに関する書き込みがあったというではないか。このような放送内容は、青少年への悪影響

    が極めて大きいと思う。放送関係者は青少年への影響という点をもっと真剣に考えて番組づくりをすべきだ。

    (女性 20歳代 福岡)

  • 血液型で性格や人との相性が決まる、そんな内容の番組だった。血液型や姓名判断などは、単純にこれを信じ、これにより欠点や短所を指摘されたために悩んだり、自分だけ差別され、仲間はずれにされたような疎外感に苦しんでい

    る人が多い。私もそのような一人で、この番組は非常に不愉快だった。視聴者に不快感を与えるような番組は放送すべきではない。

    (女性 30歳代 東京)

  • 血液型と性格が関連があるという放送があった。問題なのは、この放送によって、血液型による差別(就職差別等)や、いじめなどが起こっていることだ。心理学者は性格と血液型との関連について否定しているが、制作側の視聴率獲

    得が優先され、倫理的な問題が無視されている。

    (男性 30歳代 茨城)

局の回答

2004年6月5日(土)19:00~20:50放送の『脳力探検!ホムクル!!ABOAB血液型診断のウソ・ホント!本当の自分&相性…すべてわかるスペシャル』に関するご意見にご回答申しあげます。

貴青少年委員

会に寄せられたご意見を拝見いたしました。また、私どもTBSの番組制作担当者に対しましても、電話やメール等で数多くのご意見をいただきました。これらを総合してみますと、その多くは、①血液型と性格の関連から短所や欠点を

指摘することによって差別につながるというご意見と、②血液型性格診断は科学的根拠がないのにもかかわらず、あたかも確固たる事実のように放送するのは問題である、というご意見に大別されます。

そこで、貴委

員会に寄せられた「意見の要旨」と合わせて、この2点を中心にお答えさせていただきます。

【特定の血液型への差別について】

この問題に関してTBSに寄せられた抗議の大半はB型の人からでした。具体的には、「B型に対して何故あんなにひどいコメントや偏見ばかりの結果を出したのですか」「B型だけが悪く言われる意味がわかりません」などという内

容で、このことから差別に繋がるという懸念を示す意見もありました。こうした意見が多数寄せられる内容になってしまったことについて、私たちは深く反省いたしております。

私たちは、人格を否定するようなコメ

ントは極力排除するなどの注意はいたしましたが、残念ながらコーナー企画の一部には配慮を欠いたものが含まれてしまいました。血液型をテーマにする番組や書籍では、少数派のB型とAB型を笑いものにする傾向がありますが、今回

、“少数派だからこそ大切にする手当てが必要なのだ”という姿勢を再確認し、深く反省するとともに、検討を重ねました。
その後、放送されたTBSのレギュラー番組『脳力探検クイズ!ホムクル』の血液型コーナーでは、差別

に繋がりかねない表現をカットするとともに、どの血液型についてもその長所を強調する形で扱いました。更に、「個人差があります」というスーパーテロップをできるだけ多く挿入しました。これらの番組については、現在まで差別的

に扱われたという意見は殆どいただいておりません。

今後、血液型を扱う際には、教育関係の方から貴委員会に寄せられた「子どもたちが占いや血液型診断を信じ、いかに影響を受けやすいかを知っている」という意

見を深く受け止め、更に慎重な番組制作を行っていくつもりでおります。

【血液型性格診断の科学的側面について】

貴委員会に寄せられた「心理学者は性格と血液型との関連について否定している」という意見と同様に、TBSにも「最初から『関係がある』と決めつけて番組を作ったのではないでしょうか」という趣旨の指摘がありました。
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私たちのチームは『どうぶつ奇想天外』を11年間、『スパスパ人間学』を5年間制作し、さらに1997年からは『生命38億年スペシャル“人間とは何だ”…!?』の制作・放送を続ける中で、多数の科学者を取材してまいりました

。その中で学んだことは、科学的な仮説は常に変わり続けるということ、また説明できない現象も非常に多くあるということでした。

私たちは2001年に放送した『スパスパ人間学!貴方の知らない本当の性格・好かれる

理由・嫌われる理由スペシャル』の中では、血液型診断については「基本的に否定する」立場に立って取り扱いました。
しかし、その後、免疫学の分野を中心に、免疫力と血液型の関連、免疫と性格の関連が指摘されて始めていま

す。私たちは今回の番組では、これらの新しい研究成果をもとに幼稚園児に協力していただき、彼らの性格、行動パターンについての実験を行いました。

これらの結果を基礎にして今回の番組を構成したわけですが、番組づ

くりの編集段階で、性格づけを強調しすぎてしまい、あまりにもステレオタイプ化させてしまったという点について、反省いたしております。この反省をもとに、これ以降に放送された『脳力探検クイズ!ホムクル』では、「仮説です」

というスーパーテロップを出し、「…と言われています」「…かもしれません」など、絶対的なものという印象を与えないようにいたしました。 私たちも、性格は環境など後天的なものによって形づくられる要素が大きく、血液型のみに

よって決定されるという立場には立っておりません。特に心理学の分野では血液型と性格の関連は否定されているということは充分に認識いたしております。

今回、貴委員会に寄せられた意見、それに私どもTBSに寄せら

れた視聴者の皆様からの意見を重く受け止め、家族全員で楽しめる、より良い番組づくりを慎重に進めていく所存でおります。

〔2004年8月11日付〕

2002年1月

『衛星映画劇場』NHK

『衛星映画劇場』に関するNHKからの回答

意見の要旨

  • 「ベリー・アニー・メアリー」(1/17放送):
    予告編で「ハートフルなストーリーで賞を取った作品である」と紹介されたので、子どもと一緒に視聴したが、主人公が階段を滑り落ちるシーンで下ばきがのぞいたり、歌を練習するシーンでは、ピアノを弾く女性のスカートの中が興味本位に映されていたり、また、性交の場面もあって子どもに見せられない映画だった。番組の冒頭で保護者に注意を喚起すべきではないか。

    (Eメール 女性 39歳 愛知)

  • 「キルトに綴る愛」(1/18放送):
    全裸の女性と上半身裸の男性が性交する卑わいな場面が放送された。この時間帯は青少年が視聴する時間帯であり、青少年への健全育成上問題がある。公共放送としてのNHKの良識を疑う。見解と対策を聞きたい。

    (Eメール 男性 46歳 愛知)

その他、「ロザンナのために」(1/16放送)のベッドシーンに関する指摘など、NHK-BSの映画に対して3件の意見が届いた。

局の回答

衛星映画劇場「ベリー・アニー・メアリー」は、1999年にサンダンス国際映像作家賞ヨーロッパ部門最優秀賞を受賞した作品です。今年のサンダンス映画祭の開催期間に合わせ編成したものです。

「キルトの綴る愛」は、「キルト特集(アメリカン・キルトの世界)」に関連した映画として編成しました。

両作品とも、女性監督や女性スタッフ・キャストが、女性の視点から描いた作品であり、ご指摘のあったシーンについても、十分抑制された表現で、演出上も必要であると判断しそのまま放送しました。

放送後の視聴者からの反応も、特に女性を中心に好評で、両作品とも最近では再放送希望が一番多い映画となっています。

また、「ロザンナのために」は、不治の病にある妻のために夫が奮闘努力する心温まる夫婦愛の物語であり人気俳優ジャン・レノが主演した良心的作品で、ご指摘のような性的に問題となるシーンはありません。

衛星映画劇場は今年1月から、放送開始時間が20時に繰り上がったこともあり、内容や編成についてより一層慎重に映画ソフトの選択を行っていく所存です。

2004年10月

『はねるのトびら』フジテレビ

『はねるのトびら』(7月27日放送)に関するフジテレビからの回答

意見の要旨

  • アレルギー性の皮膚炎を持っている女の人を笑いものにしたコントがあり、酷く心を痛めた。私も元アトピー 患者で、番組で笑いものにされているような症状・状態だった。アトピーは小さい子も非常に苦しみ、大人になっても仕事上でひどい目にあったり、症状の悪化で仕事ができなくなって自殺してしまう人もいるような状況だ。このような、人が悩み苦しんでいることをネタにして笑いを取ろうという番組制作側の態度にとも腹が立ち、悲しく思った。皮膚病の子や、外見に障害を持つ人に対し、子どもの“無意識の差別て行動”を助長するような番組を公共の電波で流すのは許せない。

    (女性 24歳 大阪)

  • たびたびアトピー(アレルギー)患者に対して配慮のない番組を制作している。アレルギーは、まだまだ勘違いされやすい病気であり、子どもたちが誤解することもある。こういったことを配慮して番組制作してほしい 。

    (男性 36歳 埼玉)

  • アレルギー患者の村田さなえという人が登場するが、あのコントは、アレルギー患者、アトピー患者に対して非常に失礼だ。アレルギーやアトピーで苦しんでいる人は大勢いる。まして、食物アレルギーは小学生低学年以下の子どもに多く、みんなが給食のところ、自分だけお弁当を持って行くという子もいる。食物アレルギーはアナフラキシーショクを引き起こすこともあり、死ぬこともある。フジテレビは、そういったことを知った上でこういう番組を制作しているのだろうか。子どもが皆と違うのが嫌で、アレルゲンの食物を口にしてショ ックを起こして死んでしまったりしたら、どう責任を取るつもりか。恥ずかしくないのか。血が出るほど掻きむしらないといけない状況を本当にわかっていて、そういう言葉をセリフにしているのか。病気を笑いものにするとは、制作者の常識のなさに本当に憤り感じる。

    (女性 31歳 大阪)

  • アトピー患者であるために他に方法がない行動や言動を、過剰な表現で演出し、アトピー患者や関係者に対し不快な思いをさせるようなコントが放送された。治療に全力を尽くしながらも完治せず苦しんでいる人が、このコントでどれだけ不快な思いをしたことか。番組制作者には想像もつかなかったのか。コントの制作者は、アトピーに対する知識がありながら作ったのか、それとも何の知識もなく軽い気持ちでネタにしてしまったのか。どちらにしても許されないことをしてしまったのは間違いない。アトピーのキャラは異常な人間として見えても仕方ないように設定されており、あってはならないことだ。小学生の視聴者もいるようだが、アトピーに対する認識が浅かったり、初めて知った病気だった場合に、このコントの与える影響は計り知れないだろう。アトピーで苦しんでいる人の神経を逆なでするようなネタは許せない。

    (男性 18歳 兵庫)

  • 私も、アトピーでいじめこそなかったものの、他人の目が気になり学校を休んだこともあった。人気お笑い番組でアトピー患者を笑いものにすれば、番組を見た子が学校でアトピーの子をいじめる。大人にはある程度、理性があるが、子どもはそこまで考えない。

    (男性 18歳 滋賀)

局の回答

“村田さなえ”コントの放送について、公式HPで謝罪した理由と、その後放送していないことについての理由

7月27日に放送した『はねるのトびら』の中の“村田さなえ”コントは、楽しく盛り上がっている周囲の若者たちに水をさす人物という設定で考えたものです。

この中で、あくまでも本意ではなかったにせよ、アレルギーで悩んでいらっしゃる方々の気持ちを無視した表現をしてしまった面があり、番組プロデューサーはこれを深く受け止めるとともに、いつも番組を応援してくださっている方々を失望させてしまったことについてもお詫びしたいとの趣旨で、番組のHP上にプロデューサー名で謝罪文を掲載いたしました。

ただし、“村田さなえ”を使ったコント自体を中止したわけではなく、今回の一連の経緯と視聴者のご意見を番組に反映させるべく内容の改善準備を図っていたための休止として、放送を行っていませんでしたが、今後は再び“村田さなえ”コントを再開する予定です。

〔2004年9月29日付 〕

2005年3月

『とくダネ!』フジテレビ

『とくダネ!』(2月22日放送)に関するフジテレビからの回答

これは、鹿児島県で駅伝の応援帰りの中学生の列に車が突っ込み死傷者が出た事故報道に際し、当該番組が絶句した中学生へのインタビューを放送したことについて、視聴者から「マスコミの配慮が足りない」などの意見が寄せられたのを受け、委員会が当該局に見解を求めていたものです。

その回答は以下のとおりです。

〔フジテレビからの回答〕

【事件・事故の際に、中学生など青少年へのインタビューを行うにあたっての判断基準】

事件・事故の当事者や目撃者が青少年の場合、年齢が低ければ低いほど、PTSDなどの心理的に被る影響が深刻であることには、最大限、配慮しています。それでもなおかつ、その事件・事故が社会に与える影響が重大で、検証報道に当該青少年のインタビューが不可欠な場合に限っては、事件・事故の態様や年齢などを総合して、質問の内容など、インタビューの仕方を慎重に判断することにしています。

高校生以下の場合は、保護者ないし教師の「許可が得られたかどうか」という条件も、判断する際の重要な基準にしています。

今回の取材・編集・放送にあたって留意した点

現場取材にあたったFNN系列のKTS鹿児島テレビの取材記者は、駅伝の応援帰りの中学生の集団に軽乗用車が猛スピードで突っ込むという極めて特異な事故でありながら、運転していた女性が意識不明の重体だったこともあり、現場では原因を特定できませんでした。このため、事故の状況の取材や原因の究明には、居合わせた中学生の話を聞くしかないと判断。その報告を受けたデスクは「保護者ないし教師の許可を得られるなら」という条件をつけて中学生の心理的な動揺に最大限配慮するよう指示し、病院に移動した記者は、けがをした女子生徒に付き添っていた保護者の女性に許可を求めてインタビューしています。

『とくダネ!』では、KTSから、この女子生徒の取材テープを未編集のまま提供してもらいました。2月22日の『とくダネ!』で放送したのは、記者の「怖かった?」という質問に女子生徒がうなずく様子と、それに続いて「今、どんな気持ちですか?」という質問に、少し間があった後、「言えない」と答えている部分(合わせて20秒あまり)です。(視聴者からの意見には『途中からこの女子生徒が泣き始めた』とありましたが、取材記者によりますと、インタビューの前後も含めて泣いたという事実はないとのことですし、放送した映像・音声にも、その事実はありません)

「今、どんな気持ちですか?」の質問に対して答えに窮している部分については、放送する前に、女子生徒の心情に配慮して放送を控えるべきかどうかについて番組のスタッフが協議を重ねましたが、①突然発生した特異な事故の衝撃の大きさを視聴者に伝えるためには必要だ、②保護者の女性に許可を得て、立ち会いのもとで撮影されていることなどから、放送することを決めたものです。

同じ映像を他の番組でも使用しているか

この事故は、特異で重大な事故だったため、この女子生徒のインタビューは、地上波放送では『とくダネ!』放送までに、2月21日夕の『FNNスーパーニュース』、同日深夜の『ニュースJAPAN』、22日早朝の『めざにゅー』、続く『めざましテレビ』でそれぞれ1回ずつ、合わせて4回、放送されています。『とくダネ!』以外のどの番組も、「今、どんな気持ちですか?」以下の部分は放送していませんが、『とくダネ!』では、事故の衝撃度も含めて多角的に検証するために必要なインタビューだと考えて放送しました。

放送後の視聴者意見と、それを受けた社内議論

『とくダネ!』放送直後のスタッフの反省会では、女子生徒のインタビューを番組中のCMの前とCM後の2回放送したことについて、プロデューサーが「やや行き過ぎではないか」と、担当ディレクターに指摘しました。

フジテレビには、『とくダネ!』放送後、「事故に遭った子にインタビューをするなんて良識を疑う」「事故を思い出させてかわいそう」などの批判が、電話で16件、HPに35件、寄せられました。

これらのご批判を受けて、『とくダネ!』のスタッフの間では、「当事者とはいえ、未成年者へのインタビュー取材ならびに放送での取り扱いは、より一層、慎重にすべきだ」という意見とともに、「事件・事故の凄まじい衝撃をも伝えなければならない報道の公益性から、あえて取材・放送をしなければならない場合もある」との意見があり、今後も議論を重ねていくことにしています。

KTSには、『とくダネ!』放送後、事故に遭った中学校のPTA関係者と名乗る人から2件、電話で「子どもへの取材は、今後の心のケアを配慮してほしい」との申し入れがありました。これを受けてKTS報道部は、部内で協議した上で、フジテレビのFNN連絡部に「生徒の映像(現場映像およびインタビューとも)は顔がわからない形で使用する」という使用制限を要請しました。そしてKTS報道部では、この事故の関連取材では、当該中学校の生徒のPTSDに配慮し、直接取材は、これまでにも増して慎重にすることを申し合わせました。

今後、子どもが当事者になるなど、同様のケースが起きた場合に向けての考え

事件・事故の事実関係やその原因を徹底的に究明して報道の使命を果たしていくためには、青少年への最少限の取材が必要不可欠な場合もある、との基本的な認識に変わりはありませんが、今回の視聴者からの指摘・批判を教訓にして、今後の取材・編集・放送にあたっては、より一層、青少年の心のケアに細心の注意を払うよう、スタッフ教育を徹底していきたいと考えております。

回答を基に検討したところ、委員からは、「”保護者の同意”よりも、動揺している被害者にマイクを向けることに視聴者の批判が向けられているのではないか」「インタビューを受ける側の意思によっても違ってくる。中学生であっても積極的に話をしたい生徒もいるだろう」「視聴者としては、事故の当事者である中学生の声を聞きたいと思うのも理解できる」との意見のほか、「中学生に”今の気持ち”を聞くことに、どれほどの意味があるのかを考えて取材しているのか。インタビュー自体が陳腐化しているように思う」「子どもへのインタビューはこれまでもさまざまに議論されているが、”取材現場の対応”と”その映像を使用するか否かの編集”の二つの問題に収斂できると思う」などの意見が出されました。

議論の結果、今回の審議で出された論点を整理した上で、今後、同様のケースが起きた際に改めて議論することを確認しました。

≪注≫ 当該事故報道については、NHKを含む在京TVキー局にも、”中学生へのインタビューを放送していた場合”には質問に対する回答文を要請していました。その結果、テレビ朝日とテレビ東京からは「中学生へのインタビューは行っていない」、日本テレビ、TBS、NHKからは「中学生へのインタビューを放送した」との回答がありました。以下に、放送した3局からの回答の概要を掲載します。

〔2005年4月7日付〕

2001年11月

『笑う犬の発見』フジテレビ

『笑う犬の発見』に関するフジテレビからの回答

意見の要旨

  • 堀内健が体操のお兄さんに扮して踊るのだが、交尾のマネのようなことをしたり、卑わいな言葉を言ったりして、子ども達にもまねをさせる。不快だ。

    (電話 男性 26歳 神奈川)

  • 体操は名目で、卑わいなポーズをとらせて笑いものにしている。子ども達は意味もわからずやっていると思う。子どもにあんなことをやらせるのは絶対許せない。

    (Eメール 男性 42歳 富山)

  • 子どものいる前で堀内健が卑わいな言葉を口にする。子どもと一緒でなく、時間がもっと遅いのならまだしも、この時間にやるべきでない。

    (Eメール 男性 34歳 鹿児島)

※ホリケンサイズ:ホリケン(堀内健)がプロデュースする笑えるダイエットエクササイズ。みんなもホリケンサイズで笑いながらヤセちゃおう!Let’s ガリガリ!!(番組HPより)

局の回答

番組制作の基本姿勢としては、放送の時間帯、視聴ターゲットも考慮し、青少年に対する配慮を心掛けています。

ご指摘のコーナーは、タレントが子供たちと一緒にエクササイズを行うもので、エアロビクス的な動きに、コミカルな動作を加えたものです。

企画趣旨としては、太めの子供たちが汗をかきながら運動をする姿を、昨今のダイエットブームに対するある種のパロディとして描こうとするものであり、性的な要素を強調することは意図しておりません。

但し、ご指摘のような点が感じられるとすれば、それは私どもの本来の演出意図から外れた印象を与えていることになりますので、これまでの内容、演出方法を見直して、次回収録分より具体的な改善を図りたいと思います。

2001年11月

『弾丸!ヒーローズ』朝日放送

『弾丸!ヒーローズ』に関する朝日放送からの回答

意見の要旨

  • 「ビンタで悩みスッキリ」という“タレコミ”は余りにもひどかった。くだらない悩みを持った非常識な女性をよんで悩みを聞いた代表者(浜田)は、ビンタをする回数を決め、指名された芸人さんがビンタを受けていた。かわいそうだった。局と浜田、女性は謝罪すべきだ。

    (Eメール 男性 22歳 石川)

  • 罪のないお笑い芸人が暴力を受けていて引いてしまった。出演した女子大生も態度が悪く非常に腹が立った。制作局のコメントが聞きたい。

    (Eメール 男性 25歳 富山)

  • このコーナーはひどかった。人を殴って笑いを取るというのは問題がある。子どもにいい影響を与えない。

    (Eメール 男性 34歳 電話)

局の回答

朝日放送制作の「弾丸!ヒーローズ」の11月25日放送分の1コーナーで、様々な悩みを持った一般の方々を招き、タレントにビンタをして、ストレスを解消してもらおうという企画がありました。

放送後、弊社の視聴者センターに「ビンタとはいえ人を殴るのは暴力肯定につながらないか」「子供への影響が心配」などの声がよせられました。

貴委員会からもほぼ同様の意見が寄せられた旨のご連絡をいただきました。

こうしたご意見を頂く以前から、弊社の内部でも、同様の危惧がありました。

弊社にはこうした放送番組の内容をチェックする「放送番組検討委員会」(編成、制作、報道、考査などの部長クラスで構成)がありますが、「弾丸!ヒーローズ」は開始まもない番組でコーナーがまだ安定せず、直前の企画変更もあり、放送前のチェックが十分に機能しなかったと言わざるを得ません。

今後、企画・収録時のチェック、編集後のチェックなどを徹底する方針を確認いたしました。

なお、ビンタのコーナーはこの1回で終了する事を決定いたしました。

貴委員会にご心配をおかけした事を御詫び申し上げます。

2005年10月

『カミングダウト』日本テレビ

『カミングダウト』(2月15日放送)に関する日本テレビからの回答

これは、当該番組で未成年タレントが過去の集団窃盗を告白したことを題材に取り上げたことについて、視聴者から「犯罪行為を軽いことのように扱う局の倫理観に大きな疑問を感じる」との意見が多く寄せられたのを受け、委員会が当該局に見解を求めていたものです。

その回答は以下のとおりです。

〔日本テレビからの回答〕

はじめに

本件の最大の問題は、子どもの頃の万引きとは言え、窃盗という犯罪行為を番組の題材として取り上げた点であります。犯罪行為については、これを肯定したり面白いものとして取り扱ったりしないよう注意すべきことは、公共の電波を預かる弊社としては当然のことであり、番組づくりはバラエティーといえども社会通念から外れてはならないことも自明の理であります。
このような点に照らして、今回の放送内容は放送基準の精神にもとるとの誹りを免れないものです。

この題材を取り上げた意図、制作現場スタッフの判断

番組担当者は、企画段階では放送するにあたって大きな問題があるとは認識しておりませんでした。タレント事務所等との打ち合わせでは、事務所側から窃盗という犯罪行為を告白することについて若干の懸念の表明がありましたが、事務所側が積極的にこの題材を扱うことを拒否するまでに至らなかったことなどもあり、この題材をクイズ形式で放送することを決めました。上記に述べましたとおり、根本的な判断ミスです。

放送にあたっての社内議論と、放送上留意した点

通常の番組担当者による打ち合わせ、番組会議、収録前打ち合わせ、収録、下見を経て放送に至りました。

番組収録後の下見の際、このままでは放送上問題があると判断した番組担当者の指示により「万引きは犯罪です。絶対やめましょう」とテロップで表記し、ナレーションを加えるなどの措置がとられました。

どのような社内チェックを経て放送したのか

先述したように、打ち合わせ後の番組会議、収録、下見等で当然行われるべきであった管理職レベルのチェックや審査担当部署への事前照会など、基本的な作業が抜け落ちていたことが事後の調査で判明いたしました。

弊社といたしましては、日頃から番組制作をはじめコンプライアンスの啓発を進めていたところで、今回の事案についてはその徹底を欠いていたと申しあげるほかなく、誠に申し訳なく思っております。

放送後の視聴者意見と、それを受けた社内議論

視聴者センターに入った電話・メール等は、電話:約330件、メール:約1600件です。

主な内容は、「犯罪行為を放送する局の姿勢が理解できない」「お詫びのテロップは免罪符ではない」「若者の犯罪に対する罪悪感の欠如を増進する放送に抗議する」「タレントよりもそれを公言させた番組の責任が重い」「チェック体制以前の問題である」等。

以上の意見・指摘については、さまざまなレベルの会社横断的な会議で紹介し、意見交換するとともに教育研修の題材とさせていただきました。

なお、当該放送の1週間後の放送において、視聴者に対するお詫びを行いました。

また、その同日に開催した番組審議会において、社側より報告し、審議していただきました。

今後の対応策

事案発生後、緊急に「放送人としての倫理確立・再確認」のため、編成局の全プロデューサーを対象に教育研修を実施しました。講師は、編成局、コンプライアンス担当の幹部が務めました。

委員会で検討したところ、委員から、「犯罪を告白したタレントだけでなく、共演者がそれを揶揄するという番組の作り方にも問題を感じた」「”万引きくらいは平気”との風潮がある。企画の段階でやめるべきだった」などの指摘や、「タレントの告白内容は”住居侵入窃盗”だが、番組では”万引き”と言っており、そういう感覚にも驚いた」「人間には醜いところもあるが、それも含めて一人の人間だ、と感じられるような番組づくりはできないのか」との意見が出されました。

その一方で、「極端なことを言って本当か嘘かを当てる番組の構成そのものに危うさを感じるが、委員会が番組企画にまで踏み込んでいいのかという問題もある」「やはり一つひとつのケースに関する議論を積み重ねていくほかない」との考えも述べられました。また、当該タレントが活動を再開したことに関連して、「けじめのつけ方について局として視聴者にどう説明するのか、ルールのようなものを考える必要があるのでは」との意見もありました。

議論の結果、今回出された問題点を念頭に置きつつ、今後の審議を行っていくことを確認しました。

〔2005年4月7日付〕

2001年11月

『2時ドキッ!』関西テレビ

『2時ドキッ!』に関する関西テレビからの回答

意見の要旨

  • “裸を撮られる人妻達”。(「女の最前線」企画内)裸の胸を出したり、ストッキングや下着を脱ぐシーンを見せ、その描写をスーパーで出したりする。深夜放送よりも過激で、子どもが帰宅している時間帯にはふさわしくない。他のコーナーもいやらしいタイトルをつけたりしておかしいと思う。

    (電話 女性 40歳 大阪)

  • 火曜日の企画「家田荘子の女の最前線」コーナーは現代の女性の生きる姿をリポートするコーナーらしいが、ほとんどアダルト関係で、とても昼の番組ではない。小学生の子どもも帰ってくる時間なのでチャンネルを回していると、子どもの目にも入る。コーナーの廃止をして欲しい。

    (Eメール 女性 33歳 和歌山)

  • “奥様向けの生活応援番組”と銘打っているが、風俗情報が多い。奥様向けに風俗情報は不要。子どもも見ている時間であるし、昼日中から目に余る。

    (電話 女性 37歳 大阪)

局の回答

主婦向け生活応援番組として、昨年7月にスタートした『2時ドキッ!』の火曜日は、主にスタジオの女性出演者が、女性の生き方について視聴者にメッセージや問いかけをする事が基本にあります。

その中で、家田荘子の女の最前線コーナーは『極道の女たち』『私を抱いてそしてキスして』等で知られる異色のドキュメンタリー作家・家田荘子氏の感性で、主に女性の生き様等、心理を追求するコーナーです。

別紙に、最近放送した4ヶ月分のコーナータイトルを添付しておりますが、視聴者の方のご指摘、「ほとんどアダルト関係で・・・」「風俗情報が多い・・・」と言われる事実はないと考えております。

また、コーナー企画意図は決して興味本位ではありません。複雑化された現代社会に生きる人間、特に女性の様々な生き様から、心の葛藤、人生に迫ろうとしています。視聴者からの反響も大きく、女性の生き方についての相談や悩み、告白が多数寄せられています。

「子どもの目にも入る」「昼日中から目に余る」とのご指摘ですが、時間帯にふさわしくないと思われる刺激的な映像・音声表現は、極力避けて制作しております。また夏休みや冬休みなど、子どもの在宅率の高い期間中には、性的なテーマそのものを避けております。

10月9日放送分のカメラマンの回で一部女性の胸をはだけるようなシーンがありましたが、自分の裸を撮って欲しいと願う素人女性の心理状況を表現する為に、必要最低限の映像表現として使用いたしました事はあります。この場合でも、放送基準を逸脱することのないよう、十分配慮して制作にあたっております。

参 考

『女の最前線』ラインナップ(2001年7~11月)

  • 7/3   元ミス日本の美人女医とボディコン歯科医
    ⇒華やかな経歴をもつ2人の女医。2人の仕事ぶりと私生活に密着しました。
  • 7/10  ドラマ撮影現場で働く女
    ⇒ドラマ「ウソコイ」の撮影現場に潜入取材。女性スタッフにスポットを当て、彼女達の仕事ぶりを追いかけました。
  • 7/17  有名ホストクラブ「愛」
    ⇒人気ホストと新人ホスト。2人の生活を対比しながら、知られざるホストの世界を紹介しました。
  • 7/24  ドラァグ・クイーン
    ⇒ゲイであることをカミングアウトしながら、一般社会で仕事をするドラァグ・クイーンに密着。日本における同性愛者への偏見、彼らの立場などを考えました。
  • 7/31  温泉旅館女将(1)
    ⇒山形・銀山温泉「藤屋」の女将は、アメリカ出身。彼女の奮闘ぶりに密着しました。
  • 8/7   オークションで働く女
    ⇒古美術品から宝飾品、ブランドバッグ、服まであらゆる物が扱われ、市場価格より安く入手する事も可能なオークション。日本でもようやく一般に浸透しつつあるオークションの現状をリポート。
  • 8/14  節約の達人と懸賞の達人
    ⇒小幡玻矢子さんは、糠洗剤にマコモ風呂・玄米食等々を実践する元祖「節約のプロ」。長場典子さんは、その世界では知らない人はいない懸賞の達人。そんな二人に学ぶ、生活実践法とは・・・。
  • 8/21  (休み)
  • 8/28  万引きGメン
    ⇒現在、被害急増でどこのお店でも悩みの種である万引き。万引き犯の巧みな手口やそれを見逃さないベテラン私服保安員の目、万引き犯確保の瞬間などを完全密着取材。
  • 9/4   恋愛の科学者
    ⇒「男と女が何故恋に落ちるのか?」。この問題に真剣に取り組んでいらっしゃる医師藤田徳人さん。藤田さんいわく、なんと恋愛にも成功するための法則があるのだという。その法則とはいったい・・・。
  • 9/11  テレビショッピングの裏側
    ⇒数年前から始まったテレビショッピングブーム。今回は、名物社長高田の絶妙な商品説明で一躍有名になり、ここ10年間で年間売上高421億にまで成長した「ジャパネットたかた」の舞台裏に潜入!
  • 9/18  救命救急動物病院24時
    ⇒神奈川・川崎にあるアニマルメディアカルセンター。ここには、24時間たえず傷付いた動物や病に冒された動物が次々と運ばれてきます。そんな動物達の治療に日夜全力を尽くす熱血女性獣医さんに密着取材しました。
  • 9/25  外国人タレントを支える日本の母・稲川素子
    ⇒日本最大の外国人タレント専門芸能プロダクション「稲川素子事務所」。女社長稲川素子さんに密着取材し、外国人タレント活躍の舞台裏と稲川さんの素顔に迫りました。
  • 10/2  現在質屋さん事情~激戦!大阪質屋戦争!!~
    ⇒『高価なブランド品を安く手に入れたい!』というのは女性なら誰でも思うこと。そんな女性の願いを叶えてくれる場所、質屋さんに潜入。昔と全く異なるイメージの質屋さんと、その質屋さん同士の熱き戦いに密着。
  • 10/9  カメラマン・魚返一真
    ⇒カメラマン・魚返一真。彼のもとには「私を撮って欲しい」と女子高生から人妻まで、たくさんの素人女性からの応募が寄せられる。何故彼女たちは裸を撮られたいのか、その深層心理に迫りました。
  • 10/16 料理にかける女たち
    ⇒超人気番組だった「料理の鉄人」の審査委員として出演、的確な批評と「おいしゅうございました」の決め台詞で一躍有名になった料理記者歴46年岸朝子さん。彼女の半生に迫りました。
  • 10/23 ホラー漫画家・山咲トオル
    ⇒そのきりりとしたルックスから「ホラーマンガ界の貴公子」と呼ばれているが、実は話していると思いっきりおネエ口調。ホラー漫画とおネエキャラという異色の組み合わせで、注目を浴びている山咲さんに密着しました。
  • 10/30 おかんタクシー
    ⇒兵庫・神戸にある日本初の女性だけのタクシー会社、通称エンジェルキャブ。女性ならではのきめ細やかなサービスと心配りで「おかんタクシー」と親しみをこめて呼ばれ大人気。今回、3人の肝っ玉おかんドライバーに密着しました。
  • 11/6  温泉旅館女将(2)
    ⇒旅館の女将さんを育てる「女将塾」とその卒業生の新米女将の奮闘ぶり、現在修行中の女性たちに密着取材しました。
  • 11/13 AV監督・カンパニー松尾
    ⇒最近、AV女優志望の女性が増えているという。彼女達の目的はお金?それともAV女優をきっかけにして、スターになること?そんな素人女性たちのAVを撮影しているカンパニー松尾氏に密着し、彼の仕事を通して、AVに出たがる女性たちの人間性に迫りました。
  • 11/20 人妻風俗嬢
    ⇒昼は風俗で働き、夫が帰ってくるまでに帰宅するパート感覚の人妻風俗嬢。家庭の主婦がなぜ風俗業界に身を投じるのか?その真相、実態に迫りました。
  • 11/27 漫画家・倉田真由美
    ⇒現在話題のマンガ『だめんず・うぉ~か~』の裏側に潜入!ダメな男の見分け方を倉田さんから伝授。

2001年5月

『ガチンコ!』TBS

『ガチンコ!』に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • 「大検ハイスクール」企画。教師が生徒に殴り合いをしろと命令するのは、視聴者に何を伝えたいのか理解に苦しむ。暴力的映像で反響を呼びたかっただけなのか?自分も大検に合格したが「ガチンコ」を見ることで、大検および資格取得者を誤解するのでは、と心配になる。いいかげんな番組作りはやめて欲しい。

    (Eメール 大阪 男性)

  • 大和先生の、殴る、蹴るなどの暴力行為はどう見てもやりすぎだと思う。学校だったら親が訴えるような教育方法であり、戦時中の軍隊か、やくざの世界を思わせる。不愉快だ。

    (電話 茨城 男性)

  • 塾長が生徒に暴力を振るうシーンが出てくる。ひざ蹴りをするなど、教育とはいえない。音楽とナレーションで、暴力を感動場面として肯定した描き方になっていることが、子どもや若者に「暴力による解決」を良しとする影響を与えないか心配。即刻中止して欲しい。

    (Eメール 福井 男性)

局の回答

「ガチンコ!」は、1999年4月のスタート以来、「やればできるさ!」を合言葉に目標を持った若者達が一生懸命努力する様子をドキュメントタッチで描いてまいりました。

「大検ハイスクール」というコーナーは、何らかの理由で学校をドロップアウトしてしまった若者達が、大和龍門氏の指導のもと、今までのだらしない生活を正し、今年の8月2日、3日に行われる「大検(大学入学資格検定)」合格を目指す様子を描いております。

大和龍門氏は「禅刀道」という武道を主宰し、その武道を通じ、引きこもりの少年少女や不登校児を指導した実績もあります。私たちは、決して暴力を肯定するものではありませんが、時に、ご指摘のように、大和氏のやり方は乱暴に見える点があるかもしれません。

しかし、教育という場において、相手に正面から向き合い、そして、こちらを振り向かせるために「腕力」を使って指導していくというのは、一つの教育のやり方ではないでしょうか?「腕力」「力」が教育の場に必要な場合もあるのではないか・・・と、私たちは考えています。彼ら(学院生)は、何らかの理由で周囲の社会に対し、自らの心を閉ざしドロップアウトしてきたわけです。誰が、そして、どんな教育が、彼らをあんな風にしてしまったのか?ひょっとすると、その背景には今まで彼らを教育する側が、彼らに対して、真正面から彼らと向き合っていなかったという事実は無かったでしょうか?彼らは、自分たちの希望でこの企画に応募し、自分たちの意志で継続しています。いやなら、もうドロップアウトしているはずですが、まだ頑張っています。ひょっとすると、彼らにとっては、初めて、真正面から向き合ってくれる「教育者」が現われたのかもしれません。

大和氏のやり方を最後まで見守っていただけませんでしょうか。

(5月28日)

「ガチンコ大検ハイスクール」がスタートして1ヶ月余り・・・ 学院生の気持ちにも、徐々に変化が起こっているようです。番組では、もちろん、「暴力」を否定しておりますが、コーナースタート当初の彼らの態度に「暴力的」なイメージをお持ちになった視聴者の皆様もいらっしゃったようです。

しかし、自己表現の手段として「暴力」しか知らなかった彼らが、最近では、少しずつではありますが、「人」とのコミュニケーションを上手く取れるようになって来ております。彼らが、少しずつ「殻」を破り始めた瞬間かもしれません。

大和龍門氏、そして、学院生たちを最後まで見守って頂けませんでしょうか。

(6月22日)

2001年5月

『ぷらちなロンドンブーツ』テレビ朝日

『ぷらちなロンドンブーツ』に関するテレビ朝日からの回答

意見の要旨

  • 「たま入れ」企画。参加する方もどうかと思うが、スタジオでならまだしも、路上でやるのは問題だと思う。見ている中には子どももいるのに。外でおおっぴらにやることで「別にかまわないことだ」という認識を与えてしまう。

    (電話 東京 女性)

  • 19日放送分。路上で女性に服を脱いで籠に入れさせるゲームで、ロンドンブーツが、「パンツを脱げ」「ストッキングを脱げ」とそそのかす。また、福岡での“ガサ入れ”では「セックスをいつしたか」「やっただろう」と言ったり、オナニーのことをあれこれ話す。こんなことを高校生が見る時間にやっていていと思うのか。許せない。

    (電話 大阪 男性)

たま入れ:

女性2人が1組となり、用意された籠に持ち物を投げ入れる。入ったものによってポイントが決まっており、決められた時間内で入れた物の合計ポイント分のクオカードがもらえる。

局の回答

まず、「たま入れ」というコーナーは、私有地、あるいは撮影許可を得た公園など毎回収録の為に借り切ったスペースにて収録しております。本企画は、自分の持ち物を籠に向かって投げ込むというルールに基づいた競技であり、投げ込むものとしてはカバン・靴・上着等を想定しております。

しかし4月19日の放送分では、ご指摘のような脱衣を促す表現があったことも事実です。ご指摘の部分が貴委員会の公表された「バラエティー系番組に対する見解」の中にある「公共の場所で見せることが社会通念として許されない行為」だとの印象を視聴者に与えてしまった事実を真摯に受け止め、今後は、脱衣をあおる部分の表現を控え、視聴者に不快な感情を抱かせたり、良識に反するような印象を与えないよう番組制作を行っていくことを確認いたしました。

なお「たま入れ」コーナーはレギュラー企画ではなく、もともと6月で放送を終了する予定のコーナーでした。

もうひとつご指摘にありました、4月19日放送分の「ガサ入れ」コーナーでは、取材対象である男女の恋愛観・交際過程等をインタビューする中で、ご指摘にあるような性に関しての直接的表現がありました。 今後は取材対象の男女の交際過程にまつわる性的表現に関し直接的な表現を避け、また、ことさら繰り返し強調するようなことのないよう心掛けてまいります。

2001年3月

『ワンダフル』TBS

『ワンダフル』(3月7日放送)に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • 番組の1コーナーで更衣室に子どもを裸のまま置き去りにしていた。子どもは不安で泣いていた。保護者が了承していたとしても幼児虐待が問題とされているときに、メディア側が配慮すべきであったと考える。子どもの心に傷を残していないかと胸が痛くなった。子どもをだまして、しかも裸で放置するというのは、子どもの人権に疎い日本のメディアの現状を露呈していると思った。

    (Eメール 群馬 男性)

  • “仕込み”だとは一見して分かるし、演出とも分かるが、ブリーフ1枚の男性が飛び出してきて子どもをおびえさせ泣かせた。許せないし、制作者の良識を疑う。最近の幼児虐待の風潮に拍車をかけるのでは?と思った。

    (電話 東京 女性)

  • なぜ子どもを裸にし、しかもひとりぼっちにする必要があったか?バラエティーのために子どもに何をしてもいいのか?制作したテレビ局に非常に疑問を感じる。

    (Eメール 鹿児島 男性)

局の回答

3月7日放送「ワンダフル」内のコーナー企画「ワンギャル更衣室」で、ご指摘のような幼児の出演がありました。

番組は、シチュエーションを知らない女子タレント二人が、与えられた条件の中でどのような反応をするかを見ようというものでした。更衣室内にいた、裸で出番を待つ幼児についても、幼児の親御さんには演出の意図を説明した上、了解をいただいておりましたが、タレント二人には知らされていませんでした。

また、ブリーフ一枚の男性の出現は、二人のタレントを驚かせる、最後の「大落ち」を企図したものでしたが、幼児に恐怖感を与えてしまったことも事実です。

スタッフは、二人のタレントの反応に目を奪われ、劇団所属のタレントとはいえ、幼児の気持ちを汲み取るなど、幼児を出演させる際の配慮に欠けていた、と指摘されても致し方ありません。

ことの重大性を認識し、番組プロデューサーに厳重注意いたしました。さらに、今後について、幼児ばかりでなく、児童の出演に際しても、行き過ぎた演出をしないなど、細心の注意が必要であることを確認し、研修会で伝えてゆく所存です。

2001年2月

『めちゃ2イケてるッ!』フジテレビ

『めちゃ2イケてるッ!』(3月3日放送)に関するフジテレビからの回答

意見の要旨

  • 青少年委員会の見解を受けて“しりとり侍”を中止したことに対し「楽しませようと思ったらいじめと取られた」などと言って、反省の色はなく逆ギレしている感じだった。今の子ども達が注意されると逆に食ってかかるのと似ている。大人がこのような姿勢を示すこと自体、子どもに悪影響を与えるのではないか。また、全裸で走り回っておいて、小さな子どもが喜んだことを「笑ってるんだからいいんだ」と言い訳のようにしているのはおかしい。

    (電話 神奈川 女性)

  • 自民党や民主党の検討している規制法案には反対だが、3月3日の放送を見ると、フジテレビが見解をまじめに受けとめ、自主的にコーナーを打ち切った、というようには見えない。客が喜べば何をやってもいいと考えていると取れる。委員会を隠れ蓑としてしか捉えていないのではないか。見解を聞きたい。

    (Eメール 長野 男性Mさん)

局の回答

「めちゃ2イケてるッ!」につきましては、昨11月の青少年委員会の見解を受けて、“7人のしりとり侍”コーナーをどうするべきか、制作者を含めて社内で議論を重ねました。社内にも「中止すべき」「改善して続けるべき」などさまざまな意見がありました。委員会の見解に対する反論もいくつかありました。しかし、番組の持つ影響力の大きさと委員会見解を十分考慮した結果、ご存知のように中止を決断した訳です。この決定に至る中で制作者も青少年委員会の存在意義や見解の持つ重要性を十分認識しております。

しかし、3月3日の放送分につきましては「反省がなく逆ギレしているのでは・・」とか「見解を不服に思っているのではないか」「客が喜べば何をやってもいいと考えていると取れる」とのご指摘を真摯に受け止めるとともに、番組の表現方法に至らない部分があったと言わざるを得ません。

いうまでもなく、青少年に対する配慮は、青少年委員会まかせで達成できるものではありません。テレビ局の自律自浄があってこそ達成できるものと考えております。

「めちゃ2イケてるッ!」の制作にあたりましては、特に若い世代に人気があることを認識し、青少年に与える影響を十分に配慮して、家族で楽しめる番組作りを目指してまいりたいと存じます。

2005年3月

『月曜エンタぁテイメント~心と体の血液型大診断』テレビ東京

『月曜エンタぁテイメント~心と体の血液型大診断』(2月14日放送)に関するテレビ東京からの回答

これは、2月にテレビ東京で放送された血液型性格診断を扱う3時間のスペシャル番組について、視聴者から「昨年の青少年委員会『要望』にもかかわらず、血液型によって人間を分類しようとする従来どおりの番組と根本的な姿勢は変わらない」との意見が多く寄せられたため、委員会が当該局に見解を求めていたものです。

その回答は以下のとおりです。

〔テレビ東京からの回答〕

昨年12月の青少年委員会『要望』をどう受けとめたのか

2004年12月に青少年委員会から出された『”血液型を扱う番組”に対する要望』について、テレビ東京ではその内容を検討し、「血液型」を扱う番組を制作する際には、『要望』の中で述べられている三つの事項(①血液型によって人の性格が規定されるという見方を助長することのないようにする、②視聴者から寄せられた意見に真摯に対応する、③占い番組や霊能番組など非科学的内容の取り扱いについて青少年への配慮を一段と強める)などに配慮するよう制作セクションに徹底しました。

今回、血液型を放送で取り上げるにあたっての社内議論と局の判断

番組編成を担当する編成局および番組制作にあたる制作局で「血液型を扱う番組」について議論を重ねました。主に「視聴者の番組への期待」と「差別につながりかねないなどの問題点」についてです。

「血液型」はさまざまなメディアでも特集が組まれ、社会現象・社会的な流行の一つと言えるテーマとなっています。テレビメディアの役割の一つが、この社会現象の一側面を切り取って、番組として視聴者に伝えることと考えており、マスメディアの使命の一つであるとも考えています。ただし、視聴者から、青少年委員会や各テレビ局に対して批判的意見が寄せられていることは事実です。このため、番組を制作・放送するにあたっては、さまざまな配慮が必要であるとの考え方に至りました。

放送にあたって留意した点

  • 特定の血液型の人を差別しない……特定の血液型の特徴だけを特別視して、面白おかしく、かつ悪い印象を与えるような伝え方は避ける。
  • 科学的根拠があるように装わない……番組では、スタジオに200人(各血液型50人ずつ)を集め、リアルタイムでアンケートを実施する形式をとりました。「A型の人は○○である」などと、これまで言われてきたことを断定して伝えるのではなく、スタジオの200人のアンケート結果から、血液型に関する傾向を探りました。また、VTRで紹介する各血液型の「行動観察」の結果などについては「個人差があります」などのスーパーテロップを適宜挿入し、注意喚起しました。
  • 子どもたちの出演について配慮する……子どもたちの出演については、青少年委員会からの『要望』の中にも意見がありました。「見世物になっており、また、子どもたちをだますような実験も含まれており社会的に好ましくない」という指摘でした。「非科学的」と言われるテーマを番組で扱う際には、肯定的に取り扱わず、また常に青少年へ与える影響について注意をしてきました。当番組でも子どもたちの出演については親権者の了承を得た上で協力してもらい、取材・構成にあたっては「子どもたちのかわいらしい姿を覗いてみる」という趣旨を強く打ち出しました。さらに番組内で、子どもたちの出演部分が過度なウエートを占めないように放送時間(長さ)についても配慮しました。

放送後の視聴者意見と、それを受けた社内議論

放送後、電話やEメールなどで視聴者から51件(電話46件・Eメール5件)の意見が寄せられました。内容は「血液型」を番組で扱うことに批判的な意見が多く、その主なものは、「血液型によって人間(性格)を分類する番組はやめるべきだ」「血液型番組は差別を助長する」というものでした。

放送後に編成局および制作局で議論し、視聴者からの意見を真摯に受けとめるとともに、表現に関して事前に決めた留意点について、一定の配慮を行い放送したことを確認しました。今後、「血液型」を番組で扱うかどうかは、再度、社内での協議を深める必要があるとの認識です。

以上が回答ですが、青少年委員会から出された『要望』を2005年1月12日開催の放送番組審議会で報告しました。委員からは、「(血液型が性格を)決定しないという証拠もない、あるいは決定するとの証拠もないので、(血液型に対して)言ってはいけないというのもおかしな話ではないか」「こういう番組の制作については、よほどの注意を払ってのぞんでほしい」などの意見がありました。

委員会で検討したところ、委員からは、昨年の『要望』にもかかわらず、同じようなテーマの番組が放送されたことについて、「青少年委員会の存在意義にも関わる問題だ」など、厳しい意見が多く出されました。また、”科学的根拠があるように装わない”よう留意したとの局の回答について、「非常に中途半端な姿勢で番組が作られていると感じた。こうしたテーマを取り上げることにどれだけの意義があるか、作り手は意識すべき」「科学的根拠を装わないと言いつつ、スタジオでのアンケート結果を出すのは、ずるいと感じた。素人が見れば根拠があるように思う場合もある」などの指摘があったほか、「”社会現象の一側面を切り取って番組にするのがテレビメディアの役割”と回答にあるが、そうした流行を作り出しているのはメディアであり、責任転嫁ではないか」との意見も出されました。

さらに、「要望を出す前の番組と比べると、特定の血液型を差別化する観点は弱まっているが、番組づくりとしては安易だ」「委員会の要望と局からの回答が噛みあっていないと感じる。委員会も、制作者と接点を持つなど、もう少し投げかけ方を考えないといけないのでは」「この問題について、委員会としてどこまで踏みこみ、機能していけるのか難しい」「要望の趣旨は議論を喚起すること。いろいろな変化球を投げ続けていくことが必要」など、今後に向けた意見も述べられました。

議論の結果、今回のような血液型性格診断だけではなく、”ステレオタイプ的な見方の助長”という課題について、今後とも必要に応じて協議することを確認しました。

〔2005年4月5日付〕

2005年10月

『愛のエプロン 2005秋SP』テレビ朝日

『『愛のエプロン 2005秋SP』(10月5日放送)に関するテレビ朝日からの回答

『愛のエプロン』は、著名人に料理の腕前を披露していただく番組で、今回はスペシャル番組としてチーム対抗戦を企画しました。そこで、料理がプロ級の細木数子氏にその技を見せていただこうと、番組へのご出演をお願いしました。

しかし、チームリーダーを務めた細木氏は自らの役割に熱心のあまり、視聴者の皆様からご指摘いただいたような行動をとってしまったものと思われます。弊社にも視聴者の皆様から同趣旨のご意見が寄せられております。

なお、細木氏の発言は3時間の番組中、ほとんどが料理バラエティ番組における細木氏の料理に関する発言であり、基本的には占いに基づくものではなかったと考えております。占いをもとに発言したのは「料理占い」というコーナーのみで、その内容も細木氏の占い理論に沿って、どんな料理を食べたら運気が上がるかなどを出演したタレントに告げるというものでした。これらは公序良俗に反するものではないと判断しております。

また、細木氏の活動や収入を結果的に放送局が支えているとのご指摘ですが、タレントや文化人の方々の番組出演がご当人の収入などに一定の影響を与えているのは事実であり、今回のケースのみが特例とは考えておりません。

私どもは視聴者の皆様に不快の念を与えぬよう配慮したつもりでしたが、視聴者の皆様がご指摘の印象を抱かれたことは残念で、誠に遺憾に存じます。番組としましてはこうしたご意見ご批判等を真摯に受け止め、今後とも細心の注意を払いながら番組制作に臨む所存ですので、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

以上について委員会で検討したところ、委員からは主に次のような意見が出されました。

  • 局側の制作意図が”占いではなく人生相談の番組”であるとしても、見る側は”占い師”の発言として受け止めるのではないか。”単なる人生相談”というのは、詭弁と感じる。
  • 番組内で占い師の書籍等の宣伝をしなくても、テレビ出演することで結果的に影響力が大きくなることへの配慮は、やはり必要ではないか。
  • 占い師の”言いたいことを言っている”という物言いが、かえって視聴者に受けている面もあるのではないか。ただ、強引な発言や差別的と思える発言もあり、局には慎重な事前チェックが求められる。
  • 占い師としてのキャリアを背景に、一部の人を不安にさせるような発言も見受けられるが、やはり一定の配慮が必要ではないか。
  • 『愛のエプロン』は、誰が出演するにせよ、(食べ物の扱いなど)企画自体を考え直した方がいいのではないかとも感じる。

審議の結果、”メディアが持つ影響力を踏まえるとともに、占い師の明らかな差別的発言や問題と思われる発言については、編集の段階できちんとチェックすべきだ”との認識で一致しました。

〔2005年11月10日付〕

2001年2月

『トゥナイト2』テレビ朝日

『トゥナイト2』に関するテレビ朝日からの回答

意見の要旨

  • アダルトの話題ばかりで描写も過激になり、SEXプレイまで放送し、許しがたい状況。青少年も遅くまで起きているから、与える影響を考えないといけない。即刻中止して欲しい。

    (Eメール 愛知 男性Kさん)

  • 風俗業を奨励するような内容や、AV、ストリップ、エロ本など、性産業を中心に取り上げ、風俗店の紹介、風俗業を奨励するような内容が多く、夜の番組とはいえ、余りにひどい。視聴者センターに電話したら無責任な応対だった。国の規制を受けたくないのなら自らの手で改善して欲しい。

    (郵便 埼玉 女性Kさん)

局の回答

当番組は放送開始から20年の月日がたっております。基本コンセプトは、大人の視点に立った社会文化情報番組です。確かにご指摘のような話題も取り上げてまいりましたが、基本的には社会的関心度の高い事象・話題を取り上げ、放送してまいりました。しかしながら、最近の放送内容は、話題の捉え方が風俗文化に偏っているのではないか、映像表現が露骨で品位に欠けているのではないかと、番組OBおよび社の内外から指摘され、昨年より社内機関である「青少年問題会議」の場を設け、改善に向けて企画の変更も含む内容の検討を続けてまいりました

その結果としてこの1月22日より、〈過度な性表現を避ける〉、〈話題を広範囲に探す〉、〈社会常識に則った内容〉、これらの指針を制作スタッフ共通の認識として放送に臨んでおります。

また、新聞の番組欄における表記につきましても、いたずらに煽ることがないようにし、青少年の視聴をも配慮した、大人の視点に立った社会文化情報番組を目指してまいります。

今後とも、貴委員会および視聴者の皆様のご意見を参考にし、より一層の番組内容の向上に努めてまいります。

2000年12月

『フジリコ』YTV

『フジリコ』に関するYTVからの回答

意見の要旨

  • OLが鬱憤晴らしにコメディアンのお尻を蹴飛ばす、という企画。他人を蹴ったり殴ったりすることで、ストレスを解消させる行為を見せることは問題。

    (男性 40才 東京)

  • 男女の服をベッドの中で取り替えるコーナー。女性の胸がチラリと見えたりすることをはじめから意図しているように思える。ギャラリーの「脱げ!」「もっと見せろ!」という掛け声もどうかと思う。企画自体をやめる、やめないではなく、あり方についてもう一度離れて考えてみて欲しい。

    (男性 27才 神奈川)

局の回答

  • 見解

    「フジリコ」は、20代女性を中心に若年層にアピールする深夜のバラエティー番組として、一昨年10月にスタートしました。番組は、毎週、多様なコーナー企画を組み合わせて構成しており、ご指摘の「オシリキック」と「歌うベッドサイド」はその一部です。

    「オシリキック」は、男女雇用機会均等法が成立して以来、さまざまな職場に進出しているとはいうものの、いまだ根強い職場の男女差別感に苛立つ若い女性達にスポットを当てたものです。つまり、上司や職場環境への不満から生じるストレスを、出演タレントのお尻を蹴り上げることで解消してもらう、番組を見ている女性達にもスカッとしていただくという狙いでした。このコーナー企画は今年の5月に始まり、すでに12回放送しています。

    視聴者の方がご指摘する以前から、審査室では、企画意図は理解できるがストレス解消の表現としては、いささか安易過ぎる、暴力の肯定と取られる恐れがあると判断、改善策を現場に求めていたところです。その結果、来年1月19日の放送をもって、このコーナー企画を終了することになっていました。決定が遅れたのは、このコーナー企画を支持する視聴者も多かったためです。

    次に、「歌うベッドサイド」ですが、この企画は、表現上の問題があるとして、審査室から現場に企画変更を要望していました。現今、報道被害のひとつとして、INDECENCY(卑わい、猥褻、下品な行為や言葉)が、クローズアップされていますが、審査室としては、そのINDECENCYに近い内容と判断したものです。この企画については、12月8日の放送をもって終了したことをご報告しておきます。ちなみにこのコーナーは今年10月にスタートし、6回放送しています。

  • 青少年配慮等の改善対応策

    ご指摘があったコーナー企画は、「歌うベッドサイド」はすでに終了。「オシリキック」は来年1月19日の放送一回分で終了します。

    また、編成局長と審査室長、制作担当者が協議の上、1月以降、既存の企画を一掃し、健全な深夜のバラエティーをめざして番組のあり方を再構築することを決めました。さらに新年度からは、大幅に番組内容を変更し、青少年に配慮した番組として制作していく方針です。

2000年12月

『ガチンコ!』TBS

『ガチンコ!』に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • “最後の晩さん”というコーナーは余りいい感じがしない。毎回数組ものカップルが出てきて相手を批判し、勝敗を決める、というものだが、「浮気をした」「親友のアイツとやった」など、信じられないような言葉が飛び交う。これから恋をする人が、あれが全てだと勘違いするのでは、と心配。

    (男性 21才)

  • ヤラセかどうかわからないが、暴力シーンをアピールして面白がらせる低俗なバラエティーだ。モラルを大事にした番組作りを望む。

    (男性 38才 兵庫)

局の回答

ガチンコ晩餐会」について;

「ガチンコ晩餐会」というコーナーは、番組で公募したカップルに、番組が用意した「ガチンコレストラン」という場所で、普段は言いたくてもなかなか言い出せないことを、思う存分語り合ってもらおう、という企画です。

普段一緒にいても「本音をぶつけ合う」ということは大変なことらしく、この収録が「お互いを理解し合う良い機会になった」とおっしゃる出演者も多数おられます。

その「本音をぶつけ合う」過程で、過激な言葉が飛び交うこともありますが、それは、彼らが「本当に言いたいこと」「関心を持っていること」そして、「普通は言いにくいこと」が、そういう方面に偏っている現実だ、と私たちは受け取っています。

もちろん、そういう過激な言い合いばかりでなく、「ハートウォーミングな事」(例えば、この晩餐会でプロポーズをしたり・・・)が、このレストランで語り合われることもあるのです。やはり、それも、なかなか言い出しにくい言葉の一つだから、と思われます。

私たちは、出来る限り、出演者の言葉の本当の意味を汲み取ろうとしながら、このコーナーを制作しています。

「ガチンコファイトクラブ」について;

「ボクシング」は、選手同士が、純粋に裸でぶつかり合い、勝敗を競い合う、一つの完成された「スポーツ」だと、理解しています。

このコーナーでは、街の荒くれ者たちがボクシングを志し、元世界チャンピオン竹原慎二氏のもとに集い、ボクシングを心身ともに学んでいく様子を、同時進行ドキュメントとして、お伝えしています。彼らは、本気でボクシングというスポーツに取り組んでいる若者達なのです。

いつしか、そこには、ボクシングだけではない、人間として成長していく若者の姿が映し出されています。「強くなる」ということの本当の意味を出演者が考えていくだけでなく、視聴者の皆さんにも「頑張れば何かが出来る」というメッセージをお届けできれば・・・と考えています

ドキュメントとして彼らの様子を描く中で、ご指摘のように、一見暴力的なシーンが登場することはあります。しかし、それはあくまで、彼らが成長していく過程での「人間ドキュメント」の一部だ、と理解しておりますし、番組としては、放送の中でも申し上げておりますが、あくまで「暴力」を否定しております。

2005年10月

『ズバリ言うわよ!』TBS

『ズバリ言うわよ!』に関するTBSからの回答

○細木数子さんをメインにした番組を企画する意図

『ズバリ言うわよ!』は、心照学研究家であり、易学や算命学などにも精通した細木氏の30年に及ぶ勉強会(悩み相談)の経験を生かし、スタジオに芸能人を呼び人生相談に乗るという形を軸に、悩める女性たちに問題解決のためのひとつの選択肢を提案するために企画された番組です。

○どのような視聴者意見が寄せられていて、それをどう受け止め、社内議論はしているか

寄せられている御意見を大きく分けると、「細木先生に悩みを聞いて欲しい」「親や大人が子供に言えないことをしっかり言ってくれる」といったものがある一方で、「発言が独断的」「女性蔑視の発言が目立つ」など賛否両論に分かれています。

番組としては、視聴者の皆様方からいただいた御意見を真摯に受け止め、検討し、番組主旨が一方的にならないよう細木氏自身の発言以外にも演出面も含めて毎回、編成、審査等社内関係セクションとも協議を行い、慎重に番組制作を行っております。

○細木数子さんの発言は「占い」を根拠にしたものか

この番組は細木氏が日本各地で開いてきた勉強会(悩み相談)の経験がベースになっており、細木氏による「占い」ではなく、その勉強会で培った「人生観」が発言、番組主旨の根拠になっております。したがって、「占い」により番組を構成、進行しているものではございません。

○「テレビ番組以外での細木氏の活動や収入を放送局が結果的に支えることになる」との意見に対する見解

番組の中で細木氏の書籍や勉強会の宣伝をしたことはございませんし、氏の番組以外での活動や収入を積極的に支えているという認識もございません。その一方で、一般的に番組に出演するタレントがそれにより、間接的に収入が増えるということは度々あることだと思われます。

○9月27日放送のスペシャル番組で高校生を対象にした企画意図

当該スペシャル番組は女子高校生、男子高校生たちがスタジオに集い、それぞれが抱える様々な悩みを訴え、それに対し細木氏の「人生観」に基づいた「助言、提案」が示され、問題解決の手助けをするために企画されたものです。高校生の年齢であれば、他人の助言などから自らの問題解決への糸口を探し出せると判断しております。

○番組審議会について

この番組については今月21日開催予定の㈱東京放送の番組審議会で審議の対象にする予定です。

〔2005年11月9日付〕

2001年1月

『いけ年こい年世紀越えスペシャル』日本テレビ

『いけ年こい年世紀越えスペシャル』(12月31日放送)に関する日本テレビからの回答

意見の要旨

  • 大晦日に放送された「電波少年」スペシャルで、新年を迎えるカウントダウンをわざと2分ほどずらし、視聴者をもてあそび、バカにするという最低のヤラセが行われた。公共の電波を使用して、嘘の時間を流すという行為は、冗談とか演出うんぬんで済まされるものではない。日本テレビを処分して欲しい。

    (男性Yさん 千葉 24才)

  • 事故なら許せるが、ヤラセなら許せない。庶民のささやかなイベントをどう思っているのか。

    (男性Tさん 静岡 37才)

  • 過剰な演出。おかげで千年に一度のカウントダウンを見ることが出来ず、新年早々とても嫌な思いをした。公共の電波を使っている放送局が、2分も狂った時計で視聴者を惑わせるようなことはあってはならない。未だ謝罪しない日本テレビの態度は視聴者をなめているとしか思えない。行政処分を受けてもおかしくない。

    (男性 福井 38才)

  • 生放送を何度も強調しておきながら、画面に2分早め、時計の画像を断続的にオンエアし、「21世紀まであと○分」とテロップを示して嘘の告知をし、放送したことはいくらなんでも公共の電波でやることではない。(中略)放送基準には、「劇的効果のためニュース形式などを用いる場合は、事実と混同されやすい表現をしてはならない」という規定が51条に「表現上の配慮」として存在する。

    (男性Tさん 東京 34才)

ほか、同内容の意見が多数寄せられています。

番組内の、年末のカウントダウン企画についての意見が寄せられた。

局の回答

この番組において、年越しのカウントダウンを2分早めて行い、即座に時間が異なっていたことを伝えました。皆様に“ユニークで楽しい年越しをしていただきたい”との意図の元に全編を通して「電波少年」的手法を用いましたが、演出的な不徹底もあり、それが上手く伝わらなかった視聴者の方からクレームを頂戴しました。

「カウントダウンを意図的に早めた」ことは、娯楽番組での手法であったとはいえ、放送局としての「表現の配慮」に欠けていたことは否めません。視聴者のご指摘を待つまでもなく、日本テレビ自身このことを深く反省し、番組担当者には厳重に注意し、尚且つ関連番組内でお詫びメッセージを流すことにいたしました。

以上、ご回答申し上げます。

2000年12月

『学校へ行こう!』TBS

『学校へ行こう!』に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • ヤラセ番組である。“高校生夫婦”の出演者の彼女役が他局のバラエティー番組の再現ドラマで出演していた。俳優であるということを明記すべきだ。番組の中ではこの夫婦を実際のものとし、演技であるとは一切通知していない。父親役や彼氏役も俳優と見られ、ストーリーの進行にも脚本があると思う。テレビ局に問い合わせても「演出です」の一言で片付けられるのはおかしい。

    (男性 18歳 神奈川 Eメール受)

局の回答

この企画の出演者は、肩書き、人間関係も含め、すべて実在の人物です。従って、登場人物が俳優によって構成されているということは、ございません。

夏に放送した「高校生夫婦」の企画に出演した女子高生が、他局のバラエティー番組の再現ドラマに出演していたことは、ご指摘のとおりです。

私共の企画が始まる前に、アルバイトで出演、収録されていたとのことです。

しかし、彼女は「実際に高校に通っている、交際中の現役高校生」という、この企画の出演条件を満たしているので、シミュレーション共同生活をしてもらったのであり、問題はなかったと考えます。

2000年12月

『スキヤキ!ロンドンブーツ大作戦』テレビ東京

『スキヤキ!ロンドンブーツ大作戦』に関するテレビ東京からの回答

意見の要旨

  • わざわざ女の子同士でケンカをさせるという番組の趣旨にも開いた口がふさがらないが、司会のロンドンブーツの態度やマナーにも目に余るものがある。汚い言葉を投げかけて少女達を傷つけ、動揺させ、ケンカしたくなるようにあおっていく少女達を引きずり出してテレビの前で仲たがいさせることにどんな意義があるというのか。

    (男性 東京 Eメール受)

  • 新人タレントと称してAV女優や風俗嬢みたいな若い女の子が4人集まり、ヘッドホンで聞こえないようにした上でお互いの悪口を言い合ったり、裏話を暴露しあったりする番組。それも、若い女性の会話と思えない下品さだ。テレビで流す会話ではない。いったい誰に見せたいのか?

    (男性 34歳 埼玉 Eメール受)

「ヤミスキ」:女の子仲良しグループ内の、赤裸々なランキングを暴露する。 (番組HPより)

局の回答

『スキヤキ!ロンドンブーツ大作戦』における“ヤキスキ”のコーナーは「ほんとうの友達とは何か」をコンセプトに始めたものです。

この番組では、普段仲良しと思っている友達に「本当は注意してあげたい事」や「本当は不満に思っている事」、また「機会があるなら謝りたい事」など、いつもなら口に出さないようなことを本音で話してもらっています。

ただテレビの演出上、番組内でゲストの本音をはっきりさせるため司会者がきつく質問したりしますが、面白さを出そうと努力するあまり表現方法にご指摘のように見える部分があったかもしれません。今後の課題として、司会者を含め表現が過度に至らないよう十分に注意を払ってまいります。

また、出演者に関しましては、各所属事務所からタレントとして紹介を受けて出演していただいております。

制作者としては、番組を見た人が「本当の友達とは・・・」を見つめ直す機会としてとらえていただき、参考になればと考えております。

2005年10月

『爆笑問題のバク天!』TBS

『爆笑問題のバク天!』に関するTBSからの回答

○『爆笑問題のバク天!』にレイザーラモンHGを出演させる意図について

当該番組は従来の発想を越えて、様々な新しい「笑い」を追及することを主旨とした番組で、10代を中心に若者層に支持を頂いている番組です。

レイザーラモンHG氏については、吉本興業所属のタレントで、吉本新喜劇にも出演するなど関西地方である程度の知名度があり、その芸風が非常に斬新であると話題を呼んでいたことから上記番組の主旨に合致したタレントであると考

え出演していただくことになりました。

○どのような視聴者からの意見が寄せられているか

「子供と絡むのはよくないのではないか」「放送する時間帯がふさわしくないのではないか」「食事の時間に放送するのは不適当ではないか」といったご批判を頂戴しております。

○意見をどう受け止め、社内議論はあったのか

ご批判の声があるのは承知しておりますし、社内の審査部門からの指摘もありました。その点も踏まえ、出演の際には、レイザーラモンHG氏の持ちネタを吟味して、中でも直接的な表現をするような下品なネタに関しては排除した上で

番組で扱っております。また、腰を振る動作に関しては、あくまで彼の芸風であり、そのこと自体が、淫靡さや不健康なイメージに結びつくとは判断していないため、そのまま出演を依頼しています。さらに、レイザーラモンHG氏自身

は「HG」の意味を「ハードな」「芸風」の略であると言っており、番組の主旨と彼の芸風を合わせて「ハードなものに挑戦する」というコンセプトで、「世直し」「人助け」「巨大企業に挑む」などのコーナーを設けております。上記

のようなご批判がある一方で、レイザーラモンHG氏はTBSを含め他局においてもゴールデンタイムを中心に多数出演していて、お茶の間の人気者として定着しつつあることも事実であると認識しています。

○子供が多く見ている時間帯への配慮は

既述のように、直接的な表現をとる下品なネタについては排除することに加え、当初、子供たちに料理を教えるコーナーなども放送していましたが、視聴者の方々からのご意見も踏まえ、直接子供たちと接するという構成は中止しました

○今後に向けての考え

今後は、レイザーラモンHG氏に限らず、これまで以上のネタの吟味を重ねながら、当該番組の「従来の発想を超えた笑いを提供する」とのコンセプトに則り、新しいタレントの発掘に努め、質の高いバラエティ番組を制作していく考え

です。

○番組審議会について

この番組について㈱東京放送の番組審議会で取り上げる予定は今のところありません。

以上について委員会で検討したところ、委員からは主に次のような意見が出されました。

  • “淫靡さや性のストレートな表現には結びついていない”などの回答は、社会一般の常識とかけ離れている気がする。局の上層部がこれらの番組をどう考えているのか知りたい。
  • 回答の中に”(同タレントが)人気が出てきているから”という趣旨のくだりがあったが、人気が出ているから認める、ということでいいのだろうか。
  • 同タレントが子どもと接する構成を中止したり(TBS)、性をストレートに表現するパフォーマンスを控えるよう指導していること(日本テレビ)などは、一定の配慮の表れと言えるのではないか。

審議の結果、”同タレントのパフォーマンスは、子どもは意味もわからずに喜ぶかもしれないが、人気が出れば何をしてもいいというものではない。局なりに一定の配慮はしているようだが、テレビはお茶の間メディアであることを踏

まえ、今後とも一層の配慮を求めたい”との認識で一致しました。

〔2005年11月9日付〕

2005年10月

『ラジかる!!』日本テレビ

『ラジかる!!』に関する日本テレビからの回答

○同タレントを当番組に出演させた意図

この番組は夕方に家庭で視聴している主に若年女性層及び男女学生に訴求することを意図して企画したものです。リサーチの結果、ここ1年で大阪の劇場で若者たちに絶大な人気を得るようになった本人に出演交渉し実現に至りました。

○日本テレビに対する視聴者からの意見

スタートの10月から11月上旬までに電話とメールで総数30件余りのご意見を頂いています。主な内容は、

  • レイザーラモンは下品で卑猥だ。子どもが見ている時間帯で教育上良くない。
  • 夕方の番組には不向き。子どもも見ている時間帯なのでもっと気を付けて下さい。
  • この時間に出るのはおかしい。あのような言動は犯罪にならないのか。
  • レイザーラモンHGが気持ち悪い。
  • HGの下品さは主婦には不快以外の何ものでもないです。もう日本テレビは見ないつもりです。本当に腹立たしい番組です。作っている人の良識を疑います。

などです。

社内では視聴者からのご意見を制作現場に伝えると共に、各種会議で紹介し、意見交換しております。

○子供たちが多く見ている時間帯に放送していることへの配慮

「ハードゲイ」というキャラクターについて、本人に同性愛者への差別意識はなく、現状同性愛者からの批判的なご意見は皆無です。番組では常々「性をストレートに表現するパフォーマンスは控えるように」と演出・指導しており、本

人もいわゆる下ネタは使用せず、奇抜なファッションとパフォーマンスで視聴者を楽しませるパフォーマーに徹しております。また自身も、一線を踏み越えると視聴者の支持を失うことを知悉しており、当番組としては許容しうるパフォ

ーマンスを行っていると考えています。

○今後に向けての考え

今後一層青少年への影響を配慮した演出を行う予定です。

〔2005年11月10日付〕〕

2000年11月

『24時間テレビ』日本テレビ

『24時間テレビ』(8月19日・20日放送)に関する日本テレビからの回答

意見の要旨

  • 日本テレビは20年以上にわたって、身障者のための「24時間テレビ」と称して募金活動をしている。が、不思議なことに日テレ自身も、番組に出ているタレントたちも、ただの1円もカンパをしていないのである。ところが彼らに対しては通常よりも高額なギャラが払われているという。CMの収入が多いことによって可能なのであろうが、視聴者にはしつこいほど募金を呼びかけておきながら自らは全く金を出さないというこの図々しさにはあきれて物が言えない。知らず知らずのうちに洩れてくる、このようなうわさが子ども達の耳に入れば「大人って汚いなあ」と思うようになるだろう。それが怖いのである。

    (東京 男性)

局の回答

  • タレントの募金について

    タレントが1円もカンパをしていないとのご指摘ですが、ほとんどのタレントはご自宅より武道館へ募金をお持ちになります。その様子は当日の放送で紹介されておりますので、ご覧になられた方はお解りと思います。決して局側で用意したものではありません。

  • 日テレ自身も募金していない云々・・・について

    「24時間テレビ」の募金のほとんどは全国の視聴者から寄せられた募金ですが、協賛する企業もさまざまな形で24時間テレビに協力しています。たとえば日産自動車では「福祉車両」3台を現物寄付していますし、セブンイレブンやイエローハットでは全国のお店で、JCBではカード募金で協力していただいています。これらにかかる費用はすべてそれぞれの企業で負担しています。日本テレビでも同じように募金の回収・集計や管理・運営等にかかり事務局費用は募金からではなく、日本テレビが全額負担しています。

  • 出演して頂いているタレントのギャラについて

    24時間テレビに出演して頂いたタレントのギャラについては、基本的にボランティアでお願いしております。しかし、拘束時間の長い方など、場合によっては謝礼という形でいくらかのお支払をしております。但し、それは通常の拘束時間に対して払うものの何割かにあたる程度であり、タレントによっては謝礼を辞退される方もいらっしゃいます。「通常より高額のギャラが支払われている」というご指摘は事実無根です。

    目に見えないところで様々な人達に支えられ、成り立っているのが「24時間テレビ」なのです。

2000年10月

『ここがヘンだよ日本人』TBS

『ここがヘンだよ日本人』に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • 10月4日放送分(秋のスペシャル):ドイツやオランダでは売春が許可されているとか、オランダの喫茶店では簡単に麻薬が買えるということを放送していたが、ゴールデンタイムで取り上げるべきことだろうか。麻薬を買うためにオランダに行ったり、売春目的でドイツ、オランダに行く日本人が増えたりするのではないか。それで事件が起きたらどう責任をとるのか。

    (福岡 女性 18歳)

  • 10月25日放送分:中絶経験者の話す言葉が直接的で露骨。編集段階で配慮をすべき。視聴者は番組の意図と構成を理解している人ばかりでない。メディアの影響力について認識してもらいたい。

    (東京 男性 65歳)

10月4日スペシャル

(『外国人に告ぐ!そんな事でいいのか&ここがヘンだよ織田無道スペシャル!』): 売春が許可されているオランダやドイツの人たちは「営業には届出が必要で18歳以上であれば立派な労働として認められている」と言うが、アジアやアフリカの人たちは「売春を商売にしてはダメ」と反論。ほか世界で唯一麻薬が認可されているオランダについて討論を。

10月25日:

『女性の権利を考える!“妊娠中絶”』を。ある女性はカラオケボックスで半ば強制的に妊娠させられ、知らない人の子をどうすればいいか迷っているという。「中絶するかしないかは女性に与えられた権利なのではないか?」と中絶を擁護する意見の者もいれば「どうして子どもを殺すのか?生まれてくれば何とでもなるんだ!」とあくまで反対する者もいて・・。

局の回答

  • 〈10月4日放送分〉

    麻薬の所持や使用、売春行為は、日本では当然のことながら法律で禁止されています。しかし、一方で、同じ行為でありながら、ドイツ、オランダでは法律で禁じられているということもありません。これは紛れもない事実です。
    なぜ同じ行為でも、こんなにも常識の尺度が違うのか。

    文化の違い、考え方の違いを議論するためにテーマとして取り上げることにしたのです。

    実際には、麻薬の入手には制限がある旨、番組で放送しております。そのため、事件に発展するとは考えられません。

    さらに、売春に関しましても、文化の違い、考え方の違いを議論するための素材として、法律で認められているオランダ、ドイツの文化を取り上げました。

    番組の姿勢として、麻薬や売春を肯定的に取り上げることはしていません。

    国際化が進む日本の社会で、明らかな事実は事実として放送することにより、お互いの文化や習慣の理解が進むものと考えるのが私達の番組の本意なのです。

  • (10月25日放送分)

    放送された言葉は、出演された方の心の叫びです。差し障りのない言葉では、彼女の本心は伝わらないと、我々は考えました。

    また、普段の言葉で語ってもらうことで、視聴者の方々に「当事者としての目線」を持っていただけるとも考え、放送に至りました。

    さらに、11月4日付の読売新聞に、当日の番組を見た視聴者の方々から「多くの人が見るべきだ」「出演女性の発言に考えさせられた」といった、中絶や性について考える好機となったという投書が相次いでいることが掲載されています。

    こうした反応をみましても、今回の放送に関しまして、皆様に、中絶を真剣に考えるという番組の本意が伝わっていると考えています。

    事実を隠すことなく放送することで、広く皆様に現実の問題を考えていただくきっかけにするというのが、私たちの番組の姿勢であります。

2000年7月

『リミット~もしも、わが子が』讀賣テレビ

『リミット~もしも、わが子が』に関する讀賣テレビからの回答

意見の要旨

  • 誘拐、監禁、臓器売買に子どもを利用など、同じ年頃の子どもを持つ親として見ていられなかった。「子どもの成長過程を描く」などと言っていたが、犯罪が低年齢化している今、10代の子どもが誘拐をするというのは、マネをされそうで恐ろしい。設定がいきすぎだし、やるべきではない。1回目から変えて欲しい。

    (女性、32才)

  • 中学の教師が教え子と関係を持ち、共謀して犯罪に関わる話だが、教師に対する冒とくであり、不愉快。少年犯罪について考えなければいけない時に、笑いながら子どもを誘拐し、テニスバッグに子どもを入れて運ぶ、など実際に起こった事件を想起させる。被害者の関係者が見たらなんと思うか。ニュースだけでも毎日、明日は被害者になるかと思いながら見て暮らす時代に何がいいたくて制作しているのか理解できない。子どもたちの将来に影響するのではと心配だ。

    (女性、32才)

  • 臓器移植のために子どもを売る、性の対象にする、遊園地で遊んでいる子に睡眠薬を与えスポーツバッグに詰めて運ぶ、身代金目的で檻に入れて船で子どもを運ぶ、など幼児虐待の極みだ。幼児を対象にしたこのような犯罪をテレビで放送するのは、最近の犯罪を助長するようなもので怒りを感じる。制作した局に電話したら収録は済んでいるから放送するといわれた。何とかして欲しい。

    (男性、37才)

局の回答

  • 見解

    野沢尚の原作『リミット』に基づくこのドラマが目指すところは「母性の強さと親子の愛情の強さをベースにしたミステリードラマ」です。

    このドラマでは幼児誘拐・臓器売買・違法移植といった犯罪を扱っています。しかし、決してそれらの社会的凶悪事件自体を面白おかしく描こうとしているわけではありません。制作担当者と審査室が企画段階から、考査的倫理的問題について協議を重ね、民放連放送基準65条、66条、70条(下記添付条文参照)に鑑み、犯罪表現については特に慎重を期することを取り決め、その趣旨を制作担当者は脚本、映像構成、演出に反映させるべく努力をしてきました。

    65条 犯罪を肯定したり犯罪者を英雄扱いしたりしてはならない。
    66条 犯罪の手口を表現する時は、模倣の気持ちを起させないよう注意する。
    70条 誘かいなどを取り扱う時は、その手口を詳しく表現してはならない。

    しかしながら初回放送後、視聴者から「誘拐、子どもの臓器売買等、同じ年頃の子を持つ親として見ていられなかった」「幼児を対象にしたこのような犯罪をテレビで放送するのは、最近の犯罪傾向を助長するようなもの」等々の意見・苦情・抗議が、制作局の讀賣テレビに81件、系列の日本テレビには168件寄せられました。またそのうちの一部は当社の視聴者センターによる番組意図の説明に納得せず、「放送と青少年に関する委員会」に意見・苦情を寄せてきた旨、貴委員会よりご指摘を受けました。

    企画意図の如何に関わらず、この事態を重く受け止めた当社では、副社長の指示のもと、次項目のとおり、青少年配慮を中心に対応策を協議・具体化させております。

  • 青少年配慮等の改善対応策

    編成局長、制作局長および審査室長が善後策を協議、制作局長を通じて、「第3話以降最終話(第2話は収録済みであったが、大きな問題なしと判断)までの台本を再チェックし、細部にわたって青少年の視聴等に十分に配慮するように」と制作現場に指示しました。

    これを受けて、制作担当者は再度審査室と話し合ったうえで、下記のごとく演出配慮することを改めて確認し、視聴者の皆様のご理解を得るべく努力を続けています。
    a.青少年が模倣しないよう、犯罪表現については最大限の注意を払いつづける。
    b.具体的な犯罪手口は今度も一切表現しない。
    c.7月3日放送の第1話は、連続ドラマの初回という性質上、幼い子どもを連続して誘拐する犯罪者達の行為を中心に描いたが、2話以降は予定通り息子を救おうとする母の愛の強さを中心に描いていく。そこでも子どもに対する犯罪表現が残酷と思われる部分については、視聴者の皆様の嫌悪感をいたずらに刺激しないよう配慮演出する。
    d.犯罪者の醜悪さを描き、犯罪を犯した人間はどんなに巧妙に逃げても、必ず罰せられるという勧善懲悪的結末を迎える構成にする。

    尚、7月26日現在、すでに第4話まで放送しておりますが、2話以降は視聴者からの意見・苦情・抗議が大幅に減少していることを申し添えさせて頂きます。