第327回

第327回 – 2024年5月

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2024年5月21日(火)午後4時~午後6時
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26日と27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
今回の委員会では、被申立人のサンテレビから提出された書面の概要、ポイント等を事務局から説明した。さらに、この審理案件の今後の大まかなスケジュールについても説明を行った。

2.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

3.その他

事務局から今夏以降、テレビ局見学を予定していることを報告した。

以上

第195回

第195回–2024年5月

4月の視聴者・聴取者意見を報告

第195回放送倫理検証委員会は、5月10日に千代田放送会館で開催され、4月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論を行った。

議事の詳細

日時
2024年5月10日(金)午後5時~午後6時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 4月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

4月に寄せられた視聴者・聴取者の意見は1,877件で、通常ベースの数値となった。衆議院東京15区の補欠選挙を伝えた報道番組について、候補者の紹介が公平ではないという意見があったことなどが事務局から報告された。

以上

第267回

第267回-2024年4月23日

視聴者からの意見について… など

2024年4月23日、第267回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ、新たに加わった池田雅子委員を含む8人の委員全員が出席しました。
委員会の冒頭、委員長の指名により、吉永みち子委員が新副委員長に選任されました。
次に3月後半から4月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
4月の中高生モニター報告のテーマは「最近見たバラエティー番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年4月23日(火) 午後4時00分~午後6時30分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
委員長の指名による新副委員長の選任
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、
佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

委員長の指名による新副委員長の選任

緑川由香副委員長の退任に伴い、会議の冒頭、榊原委員長がBPO規約第35条第2項に基づき、吉永みち子委員を新しい副委員長に指名し、同委員が副委員長に選任されました。また、緑川氏の後任の池田雅子新委員が事務局から紹介されました。

視聴者からの意見について

3月後半から4月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
大阪の放送局制作のバラエティー番組で、ある女子大学生とバス通学の女子児童との交流を描く内容が放送された際、その児童の氏名、小学校名、学年、通学に利用するバス会社と路線などの個人情報が明示されたことに対して、視聴者から「保護者や学校の許可を得ていたとしても、小学校名やフルネームを明かす必要性は感じられず、この女子児童に対する制作者の配慮が欠けた放送だった」などの意見がありました。
担当委員は「女子大学生と女の子とのヒューマンなストーリーはよかったと思うが、ここまで細かく個人情報を出す内容でもなかった。女の子の顔の表情を見せるだけで十分で、名前は口頭で『○○ちゃん』と呼ぶ程度がよかったのではないか」と報告しました。
これに対し大阪在住の委員は「関西制作の番組では『どこどこの学校を訪問しました!クラブ活動で頑張った〇〇くんです!』という趣旨の番組はたくさんある。これをやめるとなると、(関西の)テレビ局はすごく困るのではないか」と述べました。
別の委員は「番組制作の現場では、『学校がよいと言った、保護者も本人も了解した』となって、単純に『手続きは踏みましたよ』となる傾向がある。しかし、手続きを踏んだうえで時代状況を慎重に見極めながら、どこまでが必要(な情報)で、どこはなくても大丈夫かを、想像力の問題として判断することが制作側に求められるだろう」と指摘し、ほかにも「最低限の法的な条件は満たされたとしても、プラスアルファでもう少し大きな視点からの配慮が制作側にあってもよかったのではないかと思う」という意見が出されました。
このほかに大きな議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

今年度の新しい中高生モニターは30人(中学生15人・高校生15人)で、4月のテーマは「最近見たバラエティー番組について」でした。30人全員から合わせて27番組への報告があり、さまざまな感想や意見が寄せられました。
複数のモニターが取り上げたのは『それSnow Manにやらせて下さい』(TBSテレビ)、『逃走中 ~ハンターと浅草の相棒~』(フジテレビ)、『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)でした。視聴の仕方はリアルタイムが17人、録画が9人、そのほか(見逃し配信などを利用)が3人でした。
モニターには毎月のテーマのほか、放送に関する「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の感想をお願いしています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『新プロジェクトX ~挑戦者たち~「東京スカイツリー 天空の大仕事」』(NHK総合)、『理想的本箱 君だけのブックガイド』(NHK Eテレ)、『はるかなる古代文明』(NHK BS)、『さよなら大好きな場所』(テレビ朝日)、『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)にそれぞれ複数のモニターが感想を寄せています。

◆モニター報告より◆

【最近見たバラエティー番組について】

  • 『有吉の壁』(日本テレビ)
    たくさんのお笑い芸人がいろんなネタで笑わせてくれるところが良い。裏話(「実は〇〇でネタを思いついた」「振り返り感想戦」など)をやるのも面白いと思う。番組タイトルに“壁”とあるので「〇人の壁(一つのネタで何人笑わせられるか)」といったチャレンジなどもしてほしい。(中学1年・男子・山形)
  • 『逃走中 ~ハンターと浅草の相棒~』(フジテレビ)
    ハンターに捕まりそうな時のBGMが緊迫した感じでとてもシーンに合っている。ミッションにもほどよく縛りがあって、難易度設定がうまいと感じた。推している芸能人が出ていてとても嬉しかった。(中学3年・男子・東京)
  • 『#バズ英語 ~SNSで世界をみよう~』(NHK Eテレ)
    SNSでいつも見ているインフルエンサーのジョルディ・コアリティックとアモーリ・ギションが紹介されていて親近感を持てた。CRAZYCOCOの英語レッスンは勉強しているように感じなくて楽しかった。ゲストとしてまた登場してほしい。(中学1年・女子・鹿児島)
  • 『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)
    出演者の率直な意見を聞くことができて分かりやすく面白かった。他の番組でもいえることだが、株の話題が出ると「やっていない人は損をする」といった意見が見られるので、自分自身に明確な意見がないとメディアの言いなりになりそうで若干怖いと感じる。また軍事の話題を出すのであれば隣国との関係についても知りたかった。(中学2年・男子・東京)
  • 『新プロジェクトX ~挑戦者たち~』(NHK総合)
    放送時間が1時間半と長く途中で飽きてしまったが、録画で何度も見ると中身が入ってきて、最後にスカイツリーが完成したシーンでは感動して鳥肌が立った。現場の人たちの使命感が一番伝わってきたのは、東日本大震災のときに命懸けでゲイン塔を固定しに行ったシーンだ。全員が「行きます」と答えるのを見たときは心に来るものがあった。(中学2年・男子・東京)
  • 『超ド級!世界のありえない映像大賞』(フジテレビ)
    「まばたき禁止!ハッと息をのむ部門」「思わずにっこり!かわいすぎる部門」などといった部門に分けられていて、内容に期待しながら楽しむことができました。大賞となった映像は父と娘の23年間の記録映像で「この記録は今日までの長い予行練習」という言葉に感動しました。映像に出ていた人のその後も紹介してほしいです。(中学2年・女子・秋田)
  • 『それSnow Manにやらせて下さい』(TBSテレビ)
    • USJへの潜入企画は、立ち入り禁止エリアなど普段知ることのできない裏側を見ることができてとても良かったです。出演者が変装してお忍びでパーク内を回る企画は高揚感やスリルを味わうことができましたが、「〇〇さんですか?」とファンが声をかけると1時間の強制休憩になってしまうルールなので、視聴者もモヤモヤするし、ネット上でも「声をかけるな」「自分勝手だ」と放送終了後に毎回もめるので、そこを改善してほしいです。(中学2年・女子・埼玉)
    • 毎週金曜日のこの時間をいつも楽しみにしています。地元の人々と交流する企画をたくさんやってほしいです。(高校3年・女子・栃木)
  • 『生たまごJOY!』(山陰放送)
    「はじめましてプチ情報」の企画がおもしろかったです。初回の放送は自己紹介があればよかったです。マンスリーゲストへの質問時間ももう少し長いといいなと思いました。またBGMが全体的に少し大きいと思いました。(中学2年・女子・鳥取)
  • 『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日)
    自分が知っている曲やオーケストラ楽団ばかりでとてもひきつけられました。世界的に有名な指揮者であるグスターボ・ドゥダメルさんが取り上げられていましたが、彼を生んだ社会音楽活動「エル・システマ」をこの番組で知ることができました。音楽は平和をもたらすねと家族で話しました。(中学2年・女子・東京)
  • 『キントレ』(日本テレビ)
    特殊メイクをした俳優をドラマ等で見たことはあったけれど、実際にメイクをする姿は見たことがないので興味が持てました。メイクをする映像が少なかったのでもう少し詳しく見たいと思いました。また学校の友だちに番組の話をしたら「録画まではしないけれど、テレビをつけたときに放送していたら見たな」と言われたので、学生でもリアルタイムで視聴しやすい午後6~10時の時間帯で放送してほしいです。(中学3年・女子・神奈川)
  • 『THE突破ファイル』(日本テレビ)
    実話の突破劇がたくさん紹介されていて番組の中の世界がリアルに感じられます。視聴者から寄せられる“身近な突破劇”は明日からでも実践できるようなものもありとても親近感が湧きました。空港の税関職員や市役所職員の努力や技術が紹介されていて勉強になったし、さまざまな仕事に思いを馳せることができる番組がもっと増えればいいなと思います。(中学3年・女子・長崎)
  • 『プレバト!!』(毎日放送)
    「丸太アート」ではチェーンソーアーティストがお手本を作ることで製作者に悪い印象を持たなかった。また製作者のミスを笑いのネタにしていたところがよかった。(高校1年・男子・長崎)
  • 『マツコ会議』(日本テレビ)
    マツコ・デラックスが高校生の最新トレンドに必死に追いつこうとしている姿に心を打たれた。選ばれた高校生と対話していたのが面白く、同じ高校生として気づかされることが多かった。またマツコ・デラックスとディレクター陣が自分たちの世代の話をすることでジェネレーションギャップを強調し、全世代に共感を呼ぶ内容となっていておもしろかった。トレンドに関してはスタジオで出演者が体験するものがあるとより良かったと思う。(高校1年・男子・兵庫)
  • 『芸能人格付けチェックBASIC』(朝日放送テレビ)
    「音楽」など視聴者も参加できるチェックでは視聴者も一緒に考えさせ、「味覚」「嗅覚」といった視聴者が参加できないチェックでは視聴者には早い段階で正解を発表するなど、視聴者を楽しませようとする工夫が常にありました。番組内で使用した食材や楽器を詳しく紹介する動画を番組公式SNSに載せれば、より番組を楽しむことができると思います。(高校1年・女子・愛知)
  • 『相席食堂』(朝日放送テレビ)
    熊田曜子がロケをした北海道の然別湖を今まで知らなかったので、然別湖の絶景や氷で作られた建物やワイングラスなど、私にとって驚きの連続でした。観光客に話を聞くよりも、もっとその町の住民に話を聞くなどして交流するほうがいいと思いました。(高校2年・男子・山口)
  • 『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)
    • 白羽忍者の企画で、最初に「白羽の矢が立つ」のことわざの成り立ちについて説明していて勉強になった。ターゲットであるお笑い芸人ではなく白羽忍者が主役であるかのような演出がおもしろかった。(高校2年・女子・東京)
    • 一番面白かったのは「白羽の矢が立つ」ドッキリだ。気持ち悪さもなくものすごく痛そうでもなく、夜7時という時間にちょうど良い、家族で楽しめるドッキリだった。「無限牛乳」ドッキリは着色した水がどんどん出てきて口から吐き出してしまうから食事中に見るのは不快だし、「配膳ロボットの逆襲」ドッキリではひたすら水を浴びせられるのが痛そうで仕方がない。放送時間と視聴者の生活時間を考えて制作してほしい。(高校2年・女子・東京)
  • 『世界まる見え!テレビ特捜部』(日本テレビ)
    一番興味深かったのは、子どもたちだけで不動産屋を経営する話です。学校の授業の“職業体験”では大人が働いているところを少しのぞき見するだけですが、番組では子どもが家の売却や購入の接客などをしていて、子どもだけでもこれだけできるのかと驚いたし、子どもに全てを任せる海外のおおらかさを感じました。この番組では前半で芸人がドッキリにかけられて汚れてしまうことが多く、毎回ドッキリがあるのはあまりいい気持ちになりません。(高校2年・女子・愛媛)
  • 『ラヴィット!』(TBSテレビ)
    クロストークでクスっと笑えるので、前番組の『THE TIME,』(TBSテレビ)の後も引き続き見ようという気持ちになる。マイナーな記念日や出来事からオープニングトークテーマが決められるので学びになる。これまでゲーム対決のときにゲーム内のプレーヤーと出演者を一致させるのが難しかったが、今回の「パワプロホームラン王」企画では一人ずつ映していて見やすかった。(高校2年・女子・青森)
  • 『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)
    毎週月曜が楽しみになるくらいおもしろい番組だと思う。北海道出身の人がゴキブリをカブトムシだと勘違いした話など、出身地ならではの事件が自分の中でお気に入り。昔は遅い時間に放送されていたが、その時のほうがより人間味あふれた話題が多くておもしろかった。(高校3年・男子・埼玉)
  • 『せっかち勉強~知らないとヤバい事~』(日本テレビ)
    「えー」と驚いてもっと詳しく知りたいと思っている間にどんどん番組が進行するため、自分で調べたり人と話したりしてしまう。MCのカズレーザーがひたすらまいていたし放送中もタイマーの音がしていて、ゆっくり紹介してほしいとも思ったが、ダラダラ紹介するより新しい感じの番組でよいと思った。(高校3年・男子・東京)
  • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)
    番組後半の宮川大輔さんのパートではお祭りに参加していましたが、今回は危険な場面や見ていて苦しい場面はありませんでした。解説がついていてルールがわかりやすく、種目が終わるごとにランキングの表示があって、家族みんなで盛り上がることができました。宮川さんがチームメイトを全力で応援しているシーンがこの日の放送の中で最も好印象でした。(高校3年・女子・奈良)
  • 『EIGHT-JAM』(テレビ朝日)
    普段はステージ上でキラキラ歌うミュージシャンが淡々と話す姿は新鮮だし、「こういう考えを大切にしている人なのか」という気づきもあり、歌からだけでなくそういうところからそのミュージシャンを好きになれるのでたくさんの発見がある。この番組のおかげで好きなミュージシャンが増えたのでこれからも視聴を続けたい。(高校3年・女子・熊本)

【自由記述】

  • 『Nスタ』(TBSテレビ)のニュース原稿を紙からタブレットに変更したことがテレビで紹介されていて、SDGs達成のための良いアイデアだと思った。全国の放送局で取り入れるといいと思う。(中学2年・女子・鳥取)
  • 日頃からニュースをよく見ますが、各社で報道の仕方や専門家・有識者の見解が少しずつ違うことに最近気づきました。人が変われば意見も変わるのは当たり前だからこそ、ニュースの“専門家の意見”を安易に鵜呑みにしてはいけないと思います。これはネットなどにも通じることなので、どんな情報もまずは一度疑ってかかり、調べ、自分で考えることが大事だと思いました。(中学3年・男子・千葉)
  • テレビはまだ一大メディアとして機能しているが、ラジオへの関心の低下は著しいと思う。学校に手作りラジオを送っている会社と協働するなどして、その魅力を継続的に伝える努力をするべきだと思う。(高校1年・男子・兵庫)
  • 番組の途中で選挙結果や政治家の発言について速報テロップが表示されることがありますが、災害や交通情報など多くの人に関係があり緊急性があるもの以外は気が散ってしまうので、表示するべきではないと思います。(高校1年・女子・愛知)
  • 恋愛ドラマを見ることが多いのですが、話の展開が似ているものが多いと感じるので、コメディー要素やミステリー要素などを取り入れてほしいです。また“二番手”の人がハッピーになる展開も見たいです。(高校1年・女子・岐阜)
  • 新年度は音楽番組が増えた印象ですが、様々な世代が一緒に楽しめるような番組があまりない気がします。私はライブ感にこだわった番組作りが大切だと思います。アーティストの生ステージの迫力は、ジャンルを超えてどの世代にも感動を与えることができるのではないでしょうか。(高校2年・女子・愛媛)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『さよなら大好きな場所』(テレビ朝日)
    • 普段見ている番組ではナレーターは画面に映らないので、番組ナレーターの山時聡真と清原果耶の横顔が映っていて面白いと思った。“さよならカメラ”は一般人が撮影するので映像のブレや乱れもあったが、食事をする人の笑顔やボリュームのある料理の映像に、お店に対する愛を感じた。(中学1年・男子・山梨)
    • 番組冒頭の「あなたの大好きな場所は、今もそこにありますか」という問いかけで一気に番組に引き込まれ、そのまま食い入るように見ました。(中学3年・男子・千葉)
    • その場所を愛する地域の人が撮影者になるので、人の温かみや切なさ、名残惜しさをより感じることができました。一方で大半の視聴者はその場所を全く知らないので「こういう事に苦労したけれど地域の人と乗り越えてきた」など具体的なエピソードをもっと詳しく説明したほうが、その場所をより身近に感じて共感できるのではないかと思いました。(中学3年・女子・東京)
  • 『新プロジェクトX ~挑戦者たち~「東京スカイツリー 天空の大仕事」』(NHK総合)
    視聴し終わって最初に頭に浮かんだ感想は「勉強になった」です。ハードルの高い挑戦を乗り越えたからこそ得られた経験や考えなどを、番組を通して知ることができました。(中学2年・女子・東京)
  • 『理想的本箱 君だけのブックガイド』(NHK Eテレ)
    • 「コジコジに聞いてみた。モヤモヤ問答集」(さくらももこ著)が一番心に残った。コジコジの何気ない一言がすっと心に入ってくる感じがした。(中学1年・女子・神奈川)
    • ピンポイントに対象を絞ることで、より深く的確な本に出会うことができたと思う。3冊という紹介数もちょうどよく素晴らしい番組だった。最後に紹介されていた「コジコジに聞いてみた。モヤモヤ問答集」を紹介する“映像の帯”がとてもコミカルで記憶に残った。(高校1年・男子・兵庫)
  • 『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)
    • クイズ形式で知識がスッと入ってきました。郵便局への潜入は、ふくらPとやす子の対話形式でテンポよく楽しく学ぶことができました。またこの2人のロケが見たいです。(中学3年・女子・神奈川)
    • ところどころ胸が詰まるようなボケとツッコミが繰り広げられることもあるが、それ以外の笑いのシーンは面白いと思う。(高校2年・女子・東京)
  • 『スポ魂★ながさき』(長崎文化放送)
    バスケットボールチームの長崎ヴェルカの取材だったが、長崎のチーム目線でとても見やすく応援することができた。(高校1年・男子・長崎)

◆委員のコメント◆

【最近見たバラエティー番組について】

  • 昨年度までの中高生モニターも含めて「裏話のような企画を見たい」という意見が比較的多く見られる。
  • 『#バズ英語 ~SNSで世界をみよう~』(NHK Eテレ)の番組紹介文に「SNSで今の世界を「今」をキャッチアップ」とあった。中学1年生のモニターが録画視聴したと報告したが、若年層が何を見ようか悩んだときに「SNS」「世界」「今」などは惹句(じゃっく)として有効だと思う。
  • 中学の義務教育の中に職業体験に関連する授業があるが、株式投資や宇宙開発について学ぶ機会はとても少ないと感じる。アメリカではティーンエイジャーが株式投資を学び、実際に株取引をすることもあると聞く。『世界まる見え!テレビ特捜部』(日本テレビ)は大変良い刺激になったのだと思う。

【自由記述について】

  • 高校3年生のモニターから、ウクライナ侵攻に関する報道量を減らして欲しくないとの感想とともに「発信する側で役割をわけることが有効かもしれない」「バランスの取れたニュース番組を見たい」と報告があった。テレビ業界全体でバランスを取るべきだという提案かもしれないが、放送局同士でネタを振り分けることは、放送局の独自性・独立性がなくなるので難しい。モニターの気持ちは受け止めつつ“バランスを取る”ことがいかに難しいかはしっかりと伝えたい。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)に多くのモニターから報告があったが、この番組だけでなく今月の報告全体を通して“学びへの意欲が高い”“実践的な情報を求めている”と感じられた。

今後の予定について

次回は5月28日に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。

以上

2024年4月に視聴者から寄せられた意見

2024年4月に視聴者から寄せられた意見

動物が登場するバラエティー番組で、犬が別の犬に対して攻撃しようと飛びかかった場面を放送したことに対して意見が寄せられました。

4月にBPOに寄せられた意見数は1,877件で、先月から109件増加しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 86.6% 電話 12.3% 郵便・FAX計 1.0%
男女別は、男性 54.1% 女性 29.1% 無回答 16.8%で、世代別では10代 0.9% 20代 10.9% 30代 21.0% 40代 23.0% 50代 23.0% 60代 10.0% 70歳以上 3.7%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは各局に送付、4月の送付件数は799件、47局でした。
それ以外の放送全般への意見の中から12件を選び、会員社すべてに送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

動物が登場するバラエティー番組で、犬が別の犬に対して攻撃しようと飛びかかった場面を放送したことに対して批判の声が寄せられました。引き続き二刀流メジャーリーガーの話題についても意見が寄せられています。
ラジオに関する意見は32件、CMについては10件でした。

青少年に関する意見

4月中に青少年委員会に寄せられた意見は68件で、前月から4件減少しました。今月は「要望・提言」が27件と最も多く、次いで「表現・演出」が14件、「報道・情報」が8件、「言葉」が6件と続きました。

意見抜粋

番組全般

  • 政治資金パーティーをめぐる報道で、〇千万円が処分のボーダーラインとか、〇百万円以下ならおとがめなしなどという解説を何度も聞いた。庶民感覚からするとサラリと口にできるような額ではないと思う。そういう感覚を代弁してくれる解説者やコメンテーターがいてくれればいいのにと感じた。

  • ニュース番組で、事故や爆発など目を引く映像がよく使われるが、「~が〇〇しました」、と見た目をアナウンスするだけで、ひどいときには現場が日本なのか海外なのかさえ分からないこともある。「いつ」「どこで」くらいは最低限文字スーパーででも伝えるべきだろう。

  • 取材や中継のためにヘリコプターを飛ばし、ホバリングなどで長時間同じ場所に滞空することは、地域住民に対する騒音加害だということを認識してほしい。各社で一定のルールは作れないのだろうか。

  • 元通訳の単独犯行だったということがはっきりした。二刀流メジャーリーガー本人にも追及の手が伸びるかのようにコメントしていた出演者や番組はどうするのだろうか。ジャーナリズムは根拠に基づいて事実を伝えることが大前提だ。テレビは週刊誌とは違うということを改めて認識してほしい。

  • 2つの番組を合体して1つのスペシャル番組として放送することがよくある。しかし、合体した2つの番組のうちの片方は毎週見ているが、もう一方の番組には興味が無く見たくない、ということもあるだろう。合体することによって放送局側にはメリットがあるのかもしれないが、なんとなく釈然としない。

  • 芸能事務所創業者による性加害問題のその後を追ったBBCの番組に感銘を受けた。翻って、日本のメディアは何をしているのだろうか。BBCの取材結果をそのまま放送するだけで、自分たちはあの問題の取材を継続しないのだろうか。

  • 動物を登場させるバラエティー番組、特に保護犬や保護猫との生活や交流を描く番組の中で、相性がよくないと見られていた犬2頭を同時にドッグランに放ち、一方がもう一方に、攻撃しようと飛びかかった場面の映像を流していた。ショックを受けた人もいると思う。

  • いわゆる“トー横キッズ”の問題を扱うニュースの中で「800万円稼いだ」などとうそぶく未成年のインタビューを流していた。その言葉が事実かどうか確認を取ったとは思えない。また、やすやすと大金を手にすることが出来るかのような錯覚を子どもたちに植えつける恐れがあるということに思いが至らないのかと思う。

  • 全国ネットの番組なのに、番組のはじめの部分数分間や終わりの部分数分間が、地方では見られないということがよくある。その場合、オープニングタイトルやエンドロールも地方では見られない。関東の人はいいかもしれないが地方の視聴者を軽視していることにならないか。

  • TVerなど見逃し配信でテレビ番組を見られるようになった。地上波で番組を見る理由が薄くなってきていると感じる。生放送である必要がないのではと感じる番組もある。リアルタイムで視聴したい、視聴するメリットがあると思わせる番組を増やしてほしい。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • バラエティー番組で、競馬に賭け続けて約2億円当てた人を紹介。子どもも見る番組であり、ギャンブルに興味のない人に興味を持たせてしまうことには慎重であるべきだ。まして、普通ではない賭け方がたまたま大当たりした事例だ。生活に支障のない範囲で楽しむべきことを言い添えてほしかった。

  • バラエティー番組に限らず、ドラマやアニメにおいても、障害や難病を持つ人への理解を深めるための配慮を願いたい。ごくふつうに出演者や番組の演出に採用して、その存在が当たり前のことであると認識できるようにしてほしい。

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、ボウリングのレーンの途中にピンを横に並べ、それらのピンを越えるようにボールを投げて競技させた。高いところからボールが落ちて、レーンを激しく傷める。子どもには決して真似してほしくない行為だった。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 朝の報道・情報番組で、男女の遺体が焼かれて見つかった事件について、遺体の状況を詳細に伝えた。幼稚園児や低学年の小学生も見ている時間帯だ。必要以上に詳細な報道は不要だと思った。

【「言葉」に関する意見】

  • 情報バラエティー番組で、芸人の司会者が現職の総理大臣を2回も「やつ」呼ばわりした。一国の総理に対してひどすぎるのではないか。年長者を「やつ」呼ばわりしてもよいとの印象を子どもが持ってしまうだろう。

【「喫煙・飲酒」に関する意見】

  • 1990年代の社会状況をテーマにしたドラマで、高校生の喫煙シーンが多すぎた。女子高生の喫煙シーンもあったので、いまの高校生に悪影響を与えかねないと思った。

第326回

第326回 – 2024年4月

審理要請案件「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」…など

議事の詳細

日時
2024年4月16日(火) 午後4時 ~ 午後6時半
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.2024年度新任委員あいさつ

2024年度の新任委員として、大谷奈緒子・東洋大学教授と松尾剛行弁護士がそれぞれ就任の挨拶をした。

2.委員長代行指名

曽我部委員長が、退任した二関辰郎委員長代行に代わり、新たに廣田智子委員を委員長代行に指名した。

3.審理要請案件「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26日と27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
双方による交渉が不調に終わり、今回委員会で審理入りするか否かを検討した。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

4.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

5.運営規則改正について

前回3月の委員会で決議された運営規則改正案の内容を事務局からあらためて説明し、5月の理事会で諮られることを再確認した。

以上

第194回

第194回–2024年4月

TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見への対応報告を了承

第194回放送倫理検証委員会は、4月12日に千代田放送会館で開催された。
委員会が2024年1月11日に通知・公表したTBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
ローカルワイド番組でホームレス男性を取材した特集コーナーについて当該放送局から提出された報告書を基に議論した。
3月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見が報告された。

議事の詳細

日時
2024年4月12日(金)午後5時~午後6時35分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見への対応報告を了承

1月11日に通知公表したTBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見(委員会決定第45号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の公表後、TBSテレビ報道局の全員にBPO意見の全文を周知し、報道の基本倫理の再確認と再発防止に向けた職場での議論を求めたとあり、問題の発覚後、編集主幹と所管するセンター長が各出稿部と6つの報道番組とを個別に回って再発防止ミーティングを開催し、計7回約180人と意見交換を行ったことが記されてある。
そして、新たな教育研修として、報道番組と情報番組でニュースを扱うディレクターとアシスタントディレクター向けの、制作会社のスタッフまで広く対象にした「報道基礎講座」を計8回のべ600人を対象に開催し、新年度以降も、新たに配属されたスタッフに同様の取り組みを実施することや、中堅記者やデスクについては取材や出稿を指揮する立場で必要なことは何かを学ぶ研修を充実させていくと述べられている。
また、今年夏をめどに、調査報道など問題提起型の独自取材に取り組む部署を、取材や危機管理態勢を一層強化する形で新設する予定だとしている。
その上で、現行の「TBS報道倫理ガイドライン」の「情報源の明示と秘匿」の項目を改訂し、取材源の秘匿が必要な取材に際しては、撮影開始前に取材協力者と面会して取材目的や放送のリスクなどを丁寧に説明し信頼関係を構築することや、取材対象者の置かれた立場などについて詳しく情報を収集し、どのような措置を講ずれば取材源の秘匿を守りぬくことができるのか、局側の責任で慎重に判断すると共に、場合によっては取材や放送の断念もいとわないこと、放送後に周辺でどのような反応があったのか、取材対象者に聞き取りを継続的に行い、取材対象者が苦しい立場に追い込まれることのないよう留意することとしている。
これを受けて委員からは、改定された「TBS報道倫理ガイドライン」は具体性に富んでおり充実した内容だといった意見や、改革していこうという熱量が感じられ、オープンでフランクな意見交換がなされているという雰囲気が伝わってくるといった意見、研修が拡充され制作会社のスタッフも対象とされている点や、調査報道ユニットを再編して、今後も社会に問題提起する報道を一層進めていくと結ばれている点など、今回意見書で伝えようとしたことをきちんと受け止めた内容だといった意見が出され、報告を了承して公表することにした。
TBSテレビの対応報告は、こちら(PDFファイル)

2. ローカルワイド番組内の特集コーナーについて議論

ローカルワイド番組の特集コーナーで、公園で暮らすホームレス男性を取り上げたところ、ホームレス支援団体などから「男性のプライバシー権や名誉権を侵害している。ホームレスの人々への暴力を助長する」などの抗議があったと当該放送局から報告があり、委員会で議論した。映像には、公園で男性が放尿するシーンや大量のスーツケースを並べている映像を使用。当該放送局は「男性にモザイクをかける配慮をし、プライバシーや名誉権の侵害にはあたらない」としているが、委員からは「ホームレスの社会的問題を取り上げるのに放尿シーンが必要だったのか」「モザイクをかけたとしても、公園には男性以外にホームレスがいないようであり特定されるはずだ」「プライバシーへの理解、SNSへの影響に対する配慮がない」「社会的弱者やマイノリティの人々への配慮が足りないという放送基準の問題はあるのではないか」「取材に応じないから勝手に放送していいのか。もっと丁寧なアクセスが必要」とする意見が出た。一方、「どのシーンを使うかは放送局に判断の余地はある」「排除が全面に出された番組とは一線を画し、インクルージョンの視点は維持されているのではないか」などとする放送の自由への配慮に触れた意見も出て、議論を終えた。

3. 3月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

3月に寄せられた視聴者・聴取者の意見総数は1,768件(前月2,308件)で、意見数は減少している。芸能事務所における性加害問題や特定のお笑いタレント関連の意見が落ち着いてきたのが主な要因。一方で増えているのが米・ドジャースの大谷翔平選手に関する意見で、“過熱報道”への批判や元通訳の違法賭博疑惑に関連して、大谷選手を擁護する声が目立ったことなどが事務局から報告され、議論した。

以上

2024年4月16日

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理入り決定

 BPO放送人権委員会は、4月16日の第326回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

 申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26日と27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
 9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
 申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
 被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
 双方による交渉が不調に終わり、今回委員会で審理入りするか否かを検討した。

 4月16日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

第266回

第266回-2024年3月26日

中高生モニター会議の開催… など

2024年3月26日、第266回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
当日は中高生モニター18人によるTBSテレビオンライン見学会と中高生モニター会議に引き続いて通常の委員会が開催されました。
委員会では、2月後半から3月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
3月の中高生モニターリポートのテーマは「この1年間で最も印象に残った番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年3月26日(火) 午後4時00分~午後7時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
中高生モニター会議(オンライン) 詳細はこちら
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

2月後半から3月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
バラエティー番組でゲームに負けた罰として、司会の男性芸人の指を瞬間接着剤で接着させて番組を進行させたことに視聴者から「身体に危険な行為で、悪質ないじめのように感じた」などの意見がありました。
担当委員は「周囲の出演者が笑うことで(子どもに)模倣される可能性が高くなるし、使用目的外の使い方なので、商品の注意書きを無視した印象がある」と報告しました。
ある委員は「子どもが模倣する可能性はある。番組を仕切る司会者がやられたことだとしても、それでよいということではない。(委員会として)繰り返しメッセージを出していくことに尽きるだろう」と述べました。
平日昼の情報バラエティー番組の中継コーナーで、赤ちゃんに餅を背負わせる神事を模した「背負い肉」という企画を放送。視聴者から「1歳の赤ちゃんが泣き続け、背負わされた牛肉の重みで仰向けに倒れる場面もあった。ひどい企画だ」などの批判的な意見が寄せられました。
担当委員は「伝統的な神事では、子どもの健康や成長を願うという文脈があって(赤ちゃんが泣き出しても)許されるのだろうが、この場合は本人ではなく、大人の母親が『お肉がほしい』という文脈なので、批判されたのだろう」と指摘しました。
一方、別の委員は「私は虐待とは思えなかった。本人は(中継が始まった周囲の様子に)びっくりして、しかも重いので泣き叫んでしまったが、終わった後に母親が抱きしめていて、(親子の)関係性が悪いようには見えなかった。おそらくリハーサルではうまくできたのだろうが、(番組が)あまりに幼い子を選んでしまったのが失敗だったのだろうと思う」と述べました。
この2番組を含め、これ以上の議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

現モニターが最後となる3月のテーマは「この1年間で最も印象に残った番組について」で、27人のモニターからあわせて25番組への報告が寄せられました。
複数のモニターが挙げたのは『2023ワールドベースボールクラシック 決勝』(テレビ朝日)と『金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」』(TBSテレビ)の2番組で、そのほかにも多岐にわたるジャンルの番組に関する報告が集まりました。また「自由記述」では、1年間のモニター活動で感じた“これからの放送に求めること”に関する記述が目立ちました。
「青少年へのおすすめ番組」では『アイ・アム・冒険少年 3時間スペシャル』(TBSテレビ)に9人から、『発進!ミライクリエイター「第8弾~AIはここまで来てるぞスペシャル~」』(テレビ朝日)と『日曜ビッグバラエティ「密着!JR24時」』(テレビ東京)にそれぞれ3人から、『生中継!第96回アカデミー賞授賞式』(WOWOW)に2人から報告がありました。

◆モニター報告より◆

【この1年で最も印象に残った番組について】

  • 『金曜ロードショー「かがみの孤城」』(日本テレビ)
    いろいろな理由で学校に行くことができない子は身近にも多くいるけれど、理由や心情などは詳しく知らないので、知ることができて良かったです。小説をアニメ化したり映画化したりすると、一部がカットされることが多く情報量が減るので、そのようなことはなくしてほしいです。(中学1年・女子・千葉)
  • 『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)
    3月10日の放送では、ゲストの森永卓郎さんが今の経済のことを教えてくれてとても勉強になったし、今の時期は高校受験の志望校を決めなくてはいけないので、どんな会社があるのかがたくさん分かって参考になりました。(中学1年・女子・島根)
  • 『ワイドナショー』(フジテレビ)
    1月14日の放送では、週刊誌が報じた有名お笑いタレントの性的スキャンダルについて触れていた。時代が違えば今のような状況にならなかったと思うし、また最初は“単なるスキャンダル”と軽く見られていたものの時間の経過とともに対応が変わっていった点も興味深かった。時代とともに世論は変わることを痛感した騒動だった。出演者のコメントで印象に残ったのは「結局この件で一番利益を得るのは週刊誌であり、被害を訴えている女性も、有名お笑いタレントも大きなダメージを受けるだけだ」という趣旨のもの。芸能スキャンダルは何のためにあるんだろう。そしてこの番組を見ている私もこのスキャンダルに加担しているのではないか。ウクライナの戦争や地球規模の大きな環境変化といったさし迫った課題があるのに対し、芸能スキャンダルは何の役に立つのだろう。ただ私自身もこのような文章を書くくらい興味を持っているということも、まぎれもない事実だと思った。(中学1年・女子・福岡)
  • 『女王の教室 第6話』(日本テレビ・2005年制作)
    とても学びのある作品だった。現代でこのドラマと同じようなことが起こったら、教育委員会が会見を開いて謝罪したり保護者に頭を下げたりして、世間は学校や教育委員会の事を叩くだろう。そう考えると昔の環境に憧れる。今の方がもちろん安全だとは思うが、少し過保護すぎる気もする。どちらが良いか悪いかはさておき、教育制度が移り変わっていると実感した。(中学2年・男子・埼玉)
  • 『NHKスペシャル「アナウンサーたちの戦争」』(NHK総合)
    毎年8月になると太平洋戦争関連の番組が放送されるが、日本がどのように海外侵略を進めたのか、またどのように軍部の政権が成立したのかについて注目した番組はほぼない。私たち世代は、戦争は“武力による衝突”といういわば表層だけの存在だと認識しがちなので、この番組のように戦争を新しい視点から描いている番組は非常に重要だと思う。(中学2年・男子・東京)
  • 『あなたはこの衝撃に耐えられる?ワールドドキドキビデオ』(日本テレビ)
    この番組が大好きで、放送されるときは必ず見る。世界の衝撃動画やおもしろ動画を、いかにリアクションせずに見ることができるかに挑戦する番組だが、動画がとても面白く楽しい気分になる。衝撃動画は“間一髪で難を逃れた”ものが多くて安心して見ることができるし、自分も出演者と同じチャレンジをする楽しみ方もできる。もっと放送頻度を増やしてほしい。(中学2年・女子・愛知)
  • 『いちばんすきな花』(フジテレビ)
    プロデューサーの村瀬健さんが手がけたドラマ『silent』がとても好きだったのでこのドラマも視聴していた。映像がとても綺麗で儚い印象だったが、それがストーリーととてもマッチしていた。また主人公4人の境遇や言動は、自分が学校などで体験したことがあるものが多くてとても共感した。主題歌を担当した藤井風さんが最終回のラストシーンに出演する演出も、そのシーンを放送当日に撮影したこともとても驚いた。村瀬さんがこの仕事が好きだからこそこんな素晴らしいシーンが生まれたのだと思い感動した。(中学2年・女子・東京)
  • 『ラヴィット!』(TBSテレビ)
    夏休みや冬休みの朝に番組を見て、それまでひまだった朝がとても楽しくなった。オープニングが一時間にもなっているのに、飽きずに楽しく見ることができるのはすごい。でももう少し本編が長くなってほしいなと思う。(中学2年・女子・栃木)
  • 『厨房のありす』(日本テレビ)
    私はずっと優秀な姉と比べられるのが嫌だったので、自閉症だからといろいろな人から色眼鏡で見られ傷つきながら生きてきた主人公の女の子にとても共感した。このドラマはただのハートフルストーリーではなく、主人公の過去をめぐるミステリー要素や、初めての恋愛要素など、ワクワクドキドキする展開も多くあったところが大きな魅力だと思った。(中学2年・女子・福井)
  • 『有吉弘行の故郷に帰らせていただきます。~地元でもっと驚いちゃったよ~』(中国放送)
    今年で3回目の放送ですが、毎回違う場所に行っているので飽きずに見ることができて毎年の楽しみになっています。広島にゆかりのある人だけが出演するし、有名になって忙しくなった人が毎年広島に帰ってきて番組に出演してくれるのは嬉しいです。(中学3年・男子・広島)
  • 『テレビ朝日ドラマプレミアム 友情 ~平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』~』(テレビ朝日)
    BPOの「テレビ局が薦める青少年へのおすすめ番組」でこの番組を知りましたが、それぞれ道は違えども強い目標を持っている二人が、お互いに理解し尊敬し合う姿に心を動かされました。分野が違う二人がなぜ親友なのか、どんな一年だったのか、番組名からもドラマに興味がわきました。本人のインタビューで当時の感情や考えていたことを聞いてみたかったです。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『VIVANT』(TBSテレビ)
    劇中に伏線がたくさんあって理解しやすく、とても面白くて毎週日曜日が楽しみだった。豪華な出演者とモンゴルでの撮影がよりリアルさを出していたと思う。また最終的に問題は解決していなくて、ドラマの続編がありそうだと感じた。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『裸のアスリートⅡ「髙橋藍」』(BS-TBS)
    この一年はスポーツ番組をよく見ていました。アスリートというと雲の上の存在のように感じる人も多いと思いますが、ドキュメンタリーで生活の一部分を見ると身近に感じられ「応援しよう!」という気持ちになります。この番組で出会ったたくさんのアスリートの活躍を祈っています。(中学3年・女子・滋賀)
  • 『100カメ「ミュージカル 帝国劇場でSPY×FAMILY」』(NHK総合)
    ミュージカルの裏側を知ることができてとても興味深かった。「評判がいい」と言われるのは、それを裏から支える人がいてこそだと感じた。またミュージカルには子どもが出演していたが、子どものために大人がかけ回る姿はかっこいいと思った。(中学3年・女子・広島)
  • 『★SAPPORO新春スポーツスペシャル 第100回東京箱根間往復大学駅伝競走』(日本テレビ)
    監督や仲間のために選手たちが力を振り絞って走る様子が印象的で、監督の声かけや走り終わった選手のコメントを聞いて、選手について興味が湧きました。ちょうど受験期間で復路は塾の冬期講習中でしたが、頑張っている選手に元気をもらいました。(中学3年・女子・福岡)
  • 『NHKスペシャル「世界に響く歌 日韓POPS新時代」』(NHK総合)
    日韓のポップスがいかにして世界で快進撃を続けているか多角的な視点から描いていて、なぜ世界を熱狂させるのか、どこまで飛躍するのかについて学ぶことができた。NHKスペシャルらしい多くの学びを得ることができた。(高校1年・男子・群馬)
  • 『King&Princeる。』(日本テレビ)
    始まった頃から面白くてずっと見ていて「English Cooking」「どっちが海人でSHOW!」の企画が好きです。出演者同士の思いやりのある会話に感動するし、お互いへのツッコミも面白くて、私が一番好きな番組です!後継番組の『キントレ』(日本テレビ)も、劇団ひとりさんと永瀬廉さんの会話がとても面白く、大好きな企画も復活すると知って楽しみにしています!(高校1年・女子・京都)
  • 『金曜ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」』(TBSテレビ)
    人間が生きていくうえで必要な「サバイバル知識」「人と協力することの大切さ」「普段の日常の大切さ」を学ぶことができ、とても勉強になった。またこのドラマには「他にはない独創性」がある。“タイムスリップする”という世界観をテレビドラマで初めて見たし、未来の地球が“隕石が落ちて人類が滅亡した世界”という設定も自分の想像と大きく違っていて興味を引いた。“新しい”ということはすごいパワーを持っている。これからも見たことなのいような新しい世界観のドラマがたくさん見られたらいいなと思う。(高校1年・女子・北海道)
  • 『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』(TBSテレビ)
    オーディション番組の最終回で、動画配信サービス「Lemino」で前話まで一緒に見ていた友だちと通話しながら番組を見て、とても盛り上がりました。また最終回がテレビ放送だったので、今まで見ていなかった別の友だちも番組を見ていて嬉しかったです。最近あまりオーディション番組を見ない気がしますが、毎週の楽しみになるので、またあったら嬉しいです。(高校1年・女子・茨城)
  • 『2023ワールドベースボールクラシック 決勝』(テレビ朝日)
    • 試合後も各放送局が様々な番組で取り上げていて、特に9回大谷翔平選手がマイク・トラウト選手を空振り三振にとるシーンは何十回とみてきたので印象深い。侍ジャパンの活躍は他のスポーツの日本勢にも刺激を与え盛り上げたと思う。(高校2年・男子・山形)
    • 阪神の優勝よりWBCの印象が強烈で、WBCはリアルタイムですべて見ました。もうこれ以上のスポーツ番組はないのではないかと思えるくらい、毎試合興奮して応援していました。(高校3年・女子・京都)
  • 『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)
    これまで全シリーズ全話を見てきましたが、シリーズが変わるにつれて内容がグレードアップされ非常に面白かったです。ゴールデンタイムということであえて放送に配慮している部分を公開することにより、より安心して見ることができるうえに笑いもとれ、今の時代ならではのやり方だなと思いました。(高校2年・男子・山形)
  • 『金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」』(TBSテレビ)
    • 最近のテレビ業界やコンプラ意識について世間をうまく風刺している素晴らしい作品だと思いました。あまりに窮屈なコンプラ意識に主人公の小川(阿部サダヲ)が違和感をもつという流れは、その多くに思わず共感しました。特に第8話で、不倫したアナウンサーが世論や誹謗中傷によって辞職に追い込まれそうになる流れはさすがに同情しました。不倫はだめだし職業としてのイメージは大事ですが、なぜ世間は自分とは全く無関係な人の人生を左右したがるのだろうと思いました。(高校3年・男子・神奈川)
    • これまで阪神淡路大震災の起きた日すら知らず関心がなかったが、ドラマ内で出演者が震災で亡くなるエピソードを見て関心を持つようになった。(高校2年・女子・東京)
  • 『それSnow Manにやらせて下さいSP』(TBSテレビ)
    2月23日の放送は「ダンスノ完コピレボリューション」第3弾。学校の授業で創作ダンスを行っていたので、腕の使い方によってしなやかに見えたりあるいはキレのあるダンスに見えたりと、授業内でも取り入れることのできそうな発見ができた。また待機している間の出演者のトークでも、全員が話せるように振るなどしてそれぞれの面白さが伝わる会話だったので、話し合いの場だけでなく日常会話でも今後の参考にしたいなと思った。(高校2年・女子・東京)
  • 『ザ!世界仰天ニュース~福知山線脱線事故はなぜ起こったのか~』(日本テレビ)
    私は2006年生まれだが、そのたった1年前にこんな凄まじい事故が起こっていたことを知らなかった。JR線は毎日通学で利用しているが、身近な会社がこのような事故を起こしていたことが衝撃だった。事故当時の社員の厳しい管理教育体制や、事故当日の様子のCGやニュース映像はとてもインパクトがあった。重大な事故を何年かに一度改めて放送で取り上げることは、同じことを繰り返さないためにも、また事故を経て会社がどう変化しているのかを知るためにも、とても意義のあるものだと思った。(高校2年・女子・愛知)
  • 『ゴールデンラヴィット!』(TBSテレビ)
    番組開始当初から『ラヴィット!』が大好きで、どれも似たり寄ったりでつまらなかった年末に、地上波で面白い放送を見ることができました。“お笑い”だけでなくサンボマスターの歌にも感動しました。またイス取りゲームの時には大勢のスタッフの動きがそのまま映されていて、番組をつくるすべての人の努力を見ることができて感激しました。(高校3年・女子・北海道)

【自由記述】

  • “テレビ離れ”と近年よく言われていますが、テレビという大きなメディアだからこそできる企画や特集(例えば「鉄道密着」など)をどんどん放送してほしいです。コンプライアンスが厳しくなって自由なテレビ制作が難しいのかもしれませんが、なにか一つ“とがった”番組を見てみたいです!(中学3年・男子・神奈川)
  • 最近は「多様性」や「性」についての番組が増えていると感じています。例えば月経に関することなど、今までタブー視されていた話題も取り上げられてきて良い流れだと思います。影響力のあるテレビやラジオで放送することは重要だし、これからも期待しています。また視聴率が低くさまざまなことを言われている番組がありますが、人それぞれ好みがある中で全員に向けた番組を作ることは難しいと感じています。動画配信サービスとも互いに住み分けをして共存できたらいいなと思いました。「どうしたらよくなるのか」「なぜそうなのか」など、さまざまなことを常に考えた一年でした。(高校1年・男子・群馬)
  • 朝の情報番組を毎日見ているが、ここ数年で「Z世代の流行」を取り上げる企画が増えたように感じる。しかし朝はニュースを一切見ない友だちも少なくないし、Z世代である高校生・大学生はその情報をSNSでもっと早く得ている。番組に対して親近感は感じるが、Z世代にとって需要はないのではないか。好きなアイドルが出る番組は絶対に見る!という人も多いので、アイドルに関する話題の方がZ世代を強く惹きつけると思う。(高校2年・女子・愛知)
  • いま一番好きなお笑い芸人は爆笑問題です。今の時代にそぐわないかもしれないけれど、番組の流れを破壊しそうなヒヤヒヤするお笑いが爆笑問題だけになっている気がするからです。もちろん見ていて不快な番組は世間的にいいものではありませんが、そうやって番組の幅を狭めていけばテレビ番組は単調になって、スリルを求める若者はテレビからより離れていきます。万人受けするものなんて多くはつまらないと思います。最近の番組は「懐かしの○○」ばっかりですが、この流れは止まらないのでしょうか。自分は悲しくてしょうがありません。(高校3年・男子・神奈川)
  • 旧大手芸能事務所の問題を受けて、どの放送局も番組編成が変わり、視聴者が求める楽しさがどんどん失われている気がします。スポンサーの顔色をうかがうだけでなく、本当に人気のある番組は続けていくための努力をするべきではないでしょうか。まずは特番からでも復活させるべきです。(高校3年・女子・北海道)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『高校生のじかん』(九州朝日放送)
    よく知っている近隣の高校がクローズアップされていて、本当に地元密着の番組だと感じました。高校生の活躍は素晴らしく、例えばニュースで取り上げられたならばもっと堅苦しい内容に仕上がっていたと思うけれど、サブ司会は現役高校生で終始ほのぼのとしたゆるい感じにまとまっていました。番組のスタイルが違うだけで伝わり方が変化するので面白いです。(中学1年・女子・福岡)
  • 『女性の明日が楽になる!あしたのラク子さん』(朝日放送テレビ)
    女性の体は複雑で自分でもわからないことが多いけれど、大切な体だからこそ、正しいのか分からないインターネットの情報よりテレビの情報のほうが安心できます。映像があると想像しながら見ることができるし、ホームページの情報も便利だと思いました。(中学3年・女子・滋賀)
  • 『生中継!第96回アカデミー賞授賞式』(WOWOW)
    映画が受賞した時に、他の人たちもみんなで拍手してお祝いしている様子がとてもいいなと思った。世界では紛争が起こったりしているけれど、ここでは世界の一体感がみえて世界平和ってこういうことかと思った。(高校1年・女子・北海道)

◆委員のコメント◆

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『アイ・アム・冒険少年 3時間スペシャル』(TBSテレビ)に多くのモニターから報告があったが、サバイバル知識を有名タレントが披露する番組は、例えば災害時の困難を乗り越えるノウハウを学習できる機会になると実感した。
  • 1年間を通して多くのモニターがBPOウェブサイトに掲載された全国の『青少年へのおすすめ番組』のリストを見て、番組ホームページや見逃し配信サービスなども活用しながら、住んでいる地域とは別の地域の番組を視聴し意見を寄せてくれた。それぞれの地域を知る機会にもなったと思う。

【自由記述について】

  • 高校3年生のモニターの報告に「テレビ番組などで『視聴者から頂いた意見等を…』というフレーズを聞くが、どうやってテレビ局に番組への意見を伝えるのかが分からなかったし『わざわざ電話などでテレビ局に意見をいう人はクレーマーだろう』としか思っていなかった。しかし中高生モニター制度に参加して、視聴者からの意見の“聞き方”が分かった気がする。さまざまな意見がBPOを通じてテレビ局などに伝えられていることもわかった」とあった。視聴者の意見はネガティブなものだけではないし、放送局やBPOがそういった多くの意見をどう収集しているのかを、より多くの人に分かりやすく伝える仕組みを構築できると良いだろうと思う。

【その他】

  • 複数のモニターが「今の時代」というキーワードを報告に盛り込んでいたが、“今の時代のテレビ観”は中高生モニターの間でも全然違うと感じた。普段の生活の中でどのような情報に触れているかによってテレビ観は変わるので、今の若い人のテレビ観には相当振れ幅があるのだろうと感じた。

委員の退任について

緑川由香副委員長が3月末で任期満了となり、退任することになりました。3期9年務められました。

今後の予定について

次回は4月23日に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。

以上

2024年3月26日

2023年度「中高生モニター会議」

◆TBSテレビオンライン見学会概要◆

BPO中高生モニター18人がTBSテレビオンライン見学会に参加しました。TBSからの生放送スタイルで、スタジオのセットや水素中継車の説明があり、報道局、コンテンツ制作局の仕事や、番組がどのように作られているかについて学びました。

①スタジオ見学と報道局の仕事について

TBSの赤荻歩アナウンサーが、「ラヴィット!」や全国に向けてのニュース番組を放送するNスタジオに参加者を(オンラインで)案内し、セットの裏側やサブ(副調整室)の説明、画像を切り取るクロマキーの実演などを披露してくれました。

次にニュースを担当するTBS報道局員2名から報道局の仕事についての説明がありました。能登半島地震を体験した福井県の中高生モニターとのやりとりでは、その時の様子を語ってもらう場面があり、「(テレビがみんな)報道特番に切り替わったことが嬉しかった」との感想がありました。これに対して報道局員の2人からは「一番大切なのはニュースへの信頼です」「地震などの情報をきちんと正確に早く伝えていく役割をこれからもテレビが果たしていかれるように頑張りたい」との返答がありました。

②水素中継車について

新人のTBS南後杏子アナウンサーがTBS放送センター駐車場から、SDGs活動に貢献する世界初の水素で動く放送中継車「HR-ZERO」を車内の隅々まで紹介してくれました。

この中継車は水素ガスを燃料にしており、燃料電池との化学反応により生み出された電気を使って、車自体と放送機器の両方を動かしているため、排気ガスはゼロであること。また、駅伝中継で活躍するこの中継車は、①走っているランナーにやさしい②低騒音・低振動でとても静か③青色の車体がランナーのいやしになる。そして、水素燃料満タンで走行可能距離は380kmであることなどの説明がありました。

③バラエティー番組作りの舞台裏について

再び赤荻歩アナウンサーがTBSテレビで多くの人気バラエティー番組を手掛ける現役のプロデューサー2人と座談会形式で中高生モニターにバラエティー番組作りの舞台裏について説明があった後、質疑応答の時間がありました。

(中高生モニターからの主な質問とその回答)

Q.「レギュラー番組はどれくらいの準備期間をかけて作られるのですか?」
A.「情報番組は1~2か月掛けて作っているものが多いです」

Q.「ドラマは放送開始のどれくらい前から準備しているのですか?」
A.「早いと1年以上前から作業をして撮り始めているものもあります」
     「海外ロケの大型ドラマは2~3年前から準備します」

Q.「グルメ紹介のバラエティー番組で訪れる地域はどうやって決めますか?」
A.「季節的に視聴者が行きたくなるような場所を放送時期に合わせて逆算して決めます」

Q.「番組の企画はどういうきっかけで思いつくのですか?」
     「面白い番組を作るコツを教えてください」
A.「好きな事や興味のあることを自分の中にストックして(寝かせて)いくと”発酵”して、
        ある時にアイデアとして立ちあがるのではないかと思っています。自分が面白いと思った
        ことを素直に感じることが大事だと思います」
     「自分で見たいやりたい行きたいことを頭をひねって考えて実現させます」

反対にTBS側から「どういうタレントさんを番組で起用しやすいと思うか?」と聞かれた中高生モニターは「自分が見ている番組はお笑い芸人さんが出演していることが多く、お笑い芸人さんが起用しやすいのではないか思っています」と返答しました。

最後に赤荻アナウンサーから「皆さんの想像を超える多くの人たちがたった数秒のために、そして一つの番組のために日々全力でこだわっております。どうしたら難しいニュースを少しでも分かりやすくお伝えできるか、どうしたらワクワク楽しんでもらえるか日々考えております。みなさん、是非ともテレビをたくさん楽しんでいただきたいと思います。これからもテレビをよろしくお願いします」と締めくくりました。

活発な質疑応答があり、あっという間に1時間のオンライン見学会は終了しました。この日の見学会は、参加した中高生モニターたちがテレビ局のプロの仕事に触れる貴重な機会となったと同時に、1年間のモニター活動の最後を飾る素敵な思い出になったことだと思います。

◆中高生モニター会議(意見交換会)概要◆

3月26日にオンラインで中高生モニター会議を開催しました。中高生モニターと委員が交流を深め、この1年間のモニター活動を振り返る意義のある会となりました。会議には全国の中高生モニター18人と、青少年委員会からは榊原洋一委員長以下、8人の委員全員が出席しました。

各自の自己紹介のあと、この1年間をBPOモニターとして活動した中高生からの質問を中心に委員との意見交換がありました。

まず、中高生モニターから「この1年間にさまざまなニュースや報道がありましたが、その中でもいちばん印象的だったものは何ですか」との質問があり、山縣委員から「戦争でいろいろなものを奪われていくウクライナの子どもたちの映像です。これを世界がどう支援していくのか、またその映像を見て間接的に心を痛めている世界の子どもたちへの影響や今後について考え続けたいと思います」と、また髙橋委員からは「私は東日本大震災を仙台で経験しているので、1月に起きた能登のような地震がいつどこで起きるかわからないと強く感じていて、あらためて報道の在り方を考えたところでした」との回答がありました。

また「委員の皆さんが興味を持って見ている番組、好きな番組は何ですか」との質問に対して、吉永委員から「ドラマが面白いと思います。ドラマは昔と比べて撮り方もテーマも変わってきています。毎クール、ドラマの初回放送を全部録画して見ます。2話目まで見るのは半分くらいです。どのドラマが最後まで残るのかなと楽しんでいます。今クールのドラマでは、昭和世代としてあの時代は何だったのだろうという思いも含めて『不適切にもほどがある!』が一番面白いです」との返答が、佐々木委員からは「妻と元気に幸せに暮らせるような番組を録画して一緒に見ながら、コメントが入った時にはそこでいったん止めて喧嘩せずに番組を見ています。それから外国のスパイが日本の状況を知りたいときに真っ先に見るのは昼のバラエティー番組だということを聞いたことがあり、私は毎週、『ひるおび』を録画して全部見ています。若者の考え方もわかるし、今流行っていることもわかるし、とても役に立っています」との回答がありました。この質問をしたモニターからは「世代の違うみなさんの違った視点を知ることができて、とても興味深かったです」との感想がありました。

「委員の皆さんが最近、テレビやラジオを視聴して感じているマスメディアの課題は何だと思いますか?」との質問に、沢井委員は「私は子供向け番組を作っていますが、伝えたい真実にどれだけ正直になれるかだと思います。今起きているマスメディアの問題は、ウソついちゃいましたとか、大げさに言ってしまいました、ということがたくさん起きています。視聴者に嘘だと見透かされやすいテレビというメディアでは、正直に誠実に報道する、真実を見せていくことが大事だと思います」との回答が、また飯田委員からは「今月のモニターレポートに、“視聴者の意見が放送局に届くというのはクレーマーのイメージしかなかったが、モニターをやってみて、それとは違うあり方に気づくことができた一方で、SNSのつぶやきも視聴者の意見ではないのか”、“そのほうが圧倒的に多くて、モニターの意見はすごく少ないというのはどう考えればよいのか”と書いていた方がいました。たしかに、ネットの声をどう評価するか、どう受け止めるかがマスメディアの課題のひとつとして非常に大きいと思います。放送局が大事なニュースだと思っていてもネットではほとんど話題にならなかったり、その逆の場合もあったりします。何をニュースとして取り上げるかの判断基準はSNSの出現によってずいぶん揺らいできていると思います。BPOにも多数、SNSで #BPO案件 として拡散された意見が送られてきます。BPOのあり方も、こうした変化をしっかりフィードバックしながら考えていかねばならないと考えています」との回答があり、質問したモニターからは「第一人者の意見には重みがあるなと感じました」との感想がありました。

続いて「テレビ・ラジオで伝えるニュースと、ネット・週刊誌で伝えるニュースはどう違うのか?」との質問には、BPO事務局から「ネットのニュースは一般的にテレビ局や新聞社が取材したニュースをネット向けにわかりやすく並べ直しているケースが多いと思います。自分でネットのニュースとテレビのニュースを見比べてみてください」との説明がありました。

最後に「テレビと週刊誌は棲み分けをしているのでしょうか?」との質問には吉永委員が「結果的に棲み分けになっている面はあるのかもしれませんね。テレビや新聞ではできないことを週刊誌でやっている。テレビや新聞と週刊誌を合わせて見ることで、表と裏で何が起きているのかがわかると思います。信憑性ということで言うと、ネットや週刊誌はテレビや新聞よりも緩いというか自由というか、許されてしまう幅があるのかなと思います」との説明があり、榊原委員長からは「テレビや新聞の記事にはたくさんの人の手が入っています。それに対してSNSは個人でも自由に書けます。たくさんの人の手が入ることで、良くも悪くも全体的に平準化しますが、比較的安定化するのではないかと個人的に思います。メディア・リテラシーがきっちりしていれば、報道する側が好きなことを言っても聞く側で取捨選択できます。最終的には一人ひとりが判断していくことだと思います」と述べて質疑応答が終わりました。

会議の最後に、榊原委員長と緑川副委員長から以下の一言がありました。

(榊原委員長)
これからの長い人生、間口を広くしてたくさんの情報を取り入れ、生きていっていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

(緑川副委員長)
本日は長時間にわたってモニター会議に参加していただき、お疲れさまでした。私たちもいろいろと勉強になり刺激を受けて、大変良い時間が持てたことに感謝しています。BPOはテレビとラジオに対する第三者機関として活動しています。みなさんはこれから大人になっていきますが、その時にどういう社会になっていくのかは重要なことです。憲法では表現の自由が保障されています。これは私たちがどういう社会を作っていくかについて、みんなで意見を出し合って考えていくために重要な権利として保障されているものです。テレビやラジオは、社会について考えたり、自分の意見をまとめるときに、今、社会がどうなっているのかを伝えてくれる役割を果たすものです。そういう意味でテレビやラジオは私たちが社会について考えていくために必要な情報を得るための大切な基盤であり、信頼できる情報源のひとつです。テレビ離れと言われていますが、ネットやSNSだけでなく、テレビや新聞など様々なチャンネルから、自分に興味がないと思えるようなものでも見てみることを心にとどめて、これからもたくさんテレビを見ていただきたいと思います。

以上

2024年1月31日

福岡・大分の放送局と意見交換

放送人権委員会の「福岡・大分意見交換会」が2024年1月31日に福岡市で開催された。2県の合同開催となったのは、2020年3月に大分市で開催予定だった意見交換会が直前に大分県内でコロナ患者が確認され急遽中止となり、今回の福岡開催に併せて大分の各局にも参加を呼び掛けたためである。福岡での開催は8年ぶりで、委員会から曽我部真裕委員長をはじめ9人の委員全員に加え、大日向雅美理事長と渡辺昌己専務理事が参加した。出席したラジオ、テレビ局は福岡が9局、大分が5局で計14局、人数は45人にのぼり、3時間を超える意見交換が行われた。

●大日向理事長「ジャニーズ問題、なぜ、理事長見解を出したのか」

会議の冒頭あいさつに立ったBPOの大日向理事長はジャニーズ問題に触れて「黒子役である理事長、事務局がなぜ見解を出したか。それは、この問題が、一芸能事務所や放送界だけの問題ではなく日本の社会・文化をどういう方向に持っていくかの試金石だと思ったからだ」とした上で「放送局とBPOが忌憚のない意見交換を行って、新しい日本社会の文化の向上に寄与していきたい」と語った。

●曽我部委員長「BPOは、放送局の規制機関ではない」

続いてあいさつした曽我部委員長は「ネットの存在感が大きくなっても、公共の電波を預かる放送局は特別の使命を持っている。偽情報のあふれる中で、信頼性のある情報を届ける使命だ」と述べました。さらに「こうした使命を果たすために重要なのは、放送局の意識や努力だ。BPOは放送局の規制機関ではない。放送局の自主自律的な努力をサポートする組織だと認識している」と語った。

意見交換会は三部構成で行われた。
第一部は委員会決定第78号「ペットサロン経営者からの申立て」を取り上げ、論点を「直接取材」に絞って議論を進めた。第二部は「コロナ禍の取材、共有と教訓」、第三部は「災害報道と人権」をテーマに意見交換を行った。

<第一部 第78号「ペットサロン経営者からの申立て」>

「直接取材なしでもOA可能なケース」だったのか?

第78号「ペットサロン経営者からの申立て」に関して

申立ての対象は、日本テレビが2021年1月28日に放送した情報番組『スッキリ』で、同月12日に北九州市内のペットサロンでシェパード犬がシャンプーを受けた後に死亡した件を取り上げ、「愛犬急死“押さえつけシャンプー”ペットサロン従業員ら証言」「愛犬急死 経営者“虐待”シャンプー?」などと、サイドスーパーを出しながら放送した。これに対してペットサロンの経営者である申立人が、「字幕付きの放送をしたことで、申立人が預かっていた犬を虐待死させたかのように印象付け、事実に反する放送をすることで申立人の名誉を侵害した」として申立てを行った。

この決定の最大のポイントは「当事者への直接取材」である。日本テレビ『スッキリ』は関係者の証言を軸にペットサロン経営者を追及したが、経営者本人への直接取材はなされないままであった。決定文では「放送倫理上の問題があるとまではいえない」と結論付けたが「直接取材の重要性をあらためて認識」するよう要望が加えられた。
決定文には、直接取材が免除されうる例外ケースについての記述があり(下記カッコ内参照)、事前のアンケートではこの部分の読み取り方に多くの質問が寄せられていた。
本編VTRの短縮版(日本テレビ作成)の上映に続いて、決定文の起草を担当した野村委員が解説を行った。野村委員は「申立人への直接取材がないまま放送したことの是非に絞って議論したい」とした上で以下のように解説した。

<野村委員>

●例外が許されないとは言えない

前提として、真実性・相当性の議論の中でどのような取材をしていたのかが直接取材の要否に関わってくる。日本テレビが行った取材を踏まえると、決定では「放送で示された各事実があると日本テレビが信じたことについて、少なくとも相当の理由があった」という表現で、結論としては名誉権の侵害を否定した。
そして、放送倫理上の問題「重大な問題点を指摘する放送内容でありながら、申立人への直接取材をせずに放送に至ったことに問題はないのか」という論点が今日の本題となる。
この点について本決定では、総論として「取材・放送に当たっては、対象となる人物に番組意図を明らかにしてその弁明を聞くことが原則であるが、例外が許されないものとは言えない」としている。そのうえで、例外についてこう記している。

<人権委員会決定第78号16P11行目~>
例えば、真摯な申入れをしたが接触できない、応じてもらえない場合、適切な代替措置が講じられた場合(当事者が当該対象事実について公表したプレスリリース等の掲載や、その他の方法による本人主張・反論の十分な紹介)、緊急性がある場合、本人に対する取材が実現せずとも確度の高い取材ができている場合などは、これら内容を含めた諸事情を総合考慮して、本人取材を不要とする余地があると解される

●例外ケースの記述は限定列挙ではない

このように要素をいくつか挙げた上で、限定した列挙ではないことを示す「など」を付けた。これら以外にも考慮すべき事情がある場合もあるだろう。そして「総合考慮」としているので、列挙したうちのどれかを一つを満たせば良いという意味ではないし、逆に全てを満たさなければいけないという意味でもない。

●取材の経緯が重要になる

担当ディレクターは1月26日にSNS投稿を見て事案を把握し、その日のうちに飼い主を取材し、飼い主が聴き取った学生2名の音声テープを入手した。翌27日にペットサロン店長を取材し、さらに申立人本人への取材も専門学校へ申し入れたが、不在で連絡が取れないという回答を受けたので、折返しの連絡を依頼した。しかし、放送までに折返しの連絡はなく、別途、27日の午後に、申立人の携帯電話にも2回電話したが出なかった。そうした中、27日深夜から28日未明にかけて、専門学校のホームページに謝罪コメントが掲載された。日本テレビは以上の状況のもと、申立人が「取材を拒否した」と判断し、また、ホームページの謝罪コメントを放送することで、申立人への直接取材はしなくても放送に問題はないと判断した。26日にSNSを見てから28日の朝に放送と、ごく短期間のうちに放送に至った事案で、決定では申立人が取材に応じる意思がないと客観的に判断できる状況には至っていなかったと整理した。

●5つの判断要素で「総合考慮」

①民事紛争の対立当事者である飼い主の言い分がベース
②直接取材の申し入れ+本人に2度電話をかけた
③ペットサロン店長、従業員、学生2名に取材済+音声データ。詳細で迫真的な告白を含む確度の高い取材
④謝罪コメントの全文紹介には一定の意義あり。ただし、直接取材を全面的に代替とまでは評価できず
⑤「『しつけ』のための事故死」との申立人の主張も紹介
これらの事情を総合考慮すると、本件において申立人に対する直接取材が実現しなかったことをもって放送倫理上の問題があるとまでは言えない、というのが委員会決定となった。そのうえで、本事案が、直接取材を実現すべくもう一歩の努力がなされることが望ましい事案であったことを踏まえて、委員会は日本テレビに対し、対象者に対する直接取材の重要性を改めて認識して今後の番組制作に当たることを要望するとした。

少数意見「本件は例外に該当しない」

続いて少数意見を書いた3人の委員を代表して二関委員長代行が概要を説明した。

<二関委員長代行>

●どんな人物に描いたかも判断要素

少数意見は「本件は放送倫理上の問題がある」と考えた。
本人取材(=直接取材)の原則に対して例外があるという枠組み自体には反対していないが、「本件はその例外に該当しない」というのが少数意見の立場だ。例外に該当するかを考える際には、<本人をどのように描いたか>という点も考慮すべきだ。こんなに悪い人物だという内容で社会的評価を下げる程度が強いほどそれに応じて本人取材の要請は強くなる。ペットがぐったりして本来心配すべきような場面で「やっと諦めたか。観念したか」と申立人が言ったと番組は伝えている。スタジオシーンでは「こういったペットサロンが世に存在してはいけないんだ」、「事故じゃなくて事件でしょ」とする指摘があった。さらに刑法犯たる動物愛護法の適用可能性にも触れている。ペットのしつけに関する申立人の信念についても公正に紹介しているとは言えない。19分間にわたって申立人を一方的に批判する番組になっている。

●従業員は「虚偽供述の動機」を有していた可能性も

対立当事者間の争いを報じる際には、双方から話を聞くというのがBPOの以前からの判断だ。今回のように、本人取材を省略したうえで、もう片方からの取材結果に確度があると言ってしまって良いか?現場にいた従業員は、犬が死んだのは自分たちのせいではないと言いたい動機、「虚偽供述の動機」を有していた可能性もある。
さらに情報源の問題を指摘しておきたい。複数の取材をしているが、飼い主側、あるいはその紹介の従業員ルートでたどった人だけが取材対象であり、一つの情報源から派生した取材先だけとなっている。

●HPに「事実と異なるコメント拡散」 なぜそこを取材しないのか

ホームページの謝罪コメントは取材に対応して出したものではなく、申立人によると、たまたまその日に弁護士と相談したタイミングで載せただけという。さらにコメントの内容に「事実と異なる内容が一部のSNSで拡散されて(いる)」という言い回しもあって、申立人に事実関係で異なる言い分があることが分かる。そのコメントを見たら、いかなる言い分かを具体的に取材するのが基本ではないか。

<質問>例外項目の記述をどう理解すれば?

続いて参加者からの質問を受け付けた。

<参加者>
直接取材がマストと分かっていても、本人に接触できないケースで放送するか悩む場合もある。そうした時の指標になるかもしれないという意味で、<代替措置><緊急性><確度の高い取材>と、いくつか例外ケースを例示してもらって非常に参考になった。直接取材が免じられる例外項目を記述した意図は?

●明確な例外基準を示したのではない。判断の要素を示した

<曽我部委員長>
あくまで事案に即した判断になる。本決定文の書きぶりも、判断要素について「例えば」と付いている。事前の質問でも「ここに挙がっている要素のどれかがあればOKなのか?」という質問もあったが、そうではない。明確な基準を示したというよりは、今回の事案と関わるような判断の要素を示して、それを総合的に判断したのが今回の決定だ。

●1件1件について、向き合って、考えるしかない

<野村委員>
皆さんに「ここをこうすれば大丈夫です」と言えると安心すると思うが、やはりそれはできない。1件1件について一生懸命考えるしかない。直接取材が実現していない段階で放送する場合には、そのハードルに向き合って、これを乗り越えられるケースであると必ず判断してから放送しないと、こうした申立て事案となってしまう。

●「これさえあれば大丈夫」と思ってはいけない

<二関委員長代行>
多数意見は、「どのようなケースが例外か」に一切触れないと手がかりがないので、「例えば」と例外項目をいくつか挙げたのだと思う。ただし、それが独り歩きして「これさえあれば大丈夫」と思ってはいけない。例外にあたるかどうかの考え方として「自分が似たようなことをされたらどうか?」を考えることが大事。テレビ業界に長くいると放送される側の気持ちから乖離してしまうことがあるのではないか。

<質問>HP全文紹介は直接取材に相当しないのか?

例外ケースの「代替措置」で、HP紹介について質問が出た。

<参加者>
他局に先行される前に放送したいとなったときに、公式のホームページの文言を全文出すということで直接取材に代えることはできないのか?

●番組内容に対応しない、一方通行のコメントだった

<野村委員>
もしも、番組内容に対応して、公式ホームページで取材対象者の考えが全面的に表現されていれば、直接取材に代替しうる場合もあるかもしれない。しかし、本件の放送番組は、①申立人が犬を虐待死させたとの内容に加え、②犬のしつけに関する申立人の日頃からの考え・ポリシーに対する批判に当たる内容も含んでいるところ、ホームページに出たコメントは、①の虐待死と言われた部分に対する申立人のコメントが一方通行で載っているだけであって、②の部分には対応していない。そのため、番組全体に対する申立人のコメントとしては十分ではなく、直接取材に代えることはできないという考え方だ。

●取材意図を明らかにしていない

<二関委員長代行>
取材意図を明らかにしたうえで取材するのが原則だ。ウェブに出ているコメントは、そういったプロセスなしに出ているものなので、直接取材に代わるものではない。

<第二部 コロナ禍取材の問題点 共有と教訓>

コロナ禍、各局の苦悩

第二部は「コロナ禍の取材、共有と教訓」と題して、様々な制約を課されたコロナ禍での取材の問題点を共有して将来につなげようという視点で議論された。前半部分は、アンケートで各局が答えた内容を司会が読み上げ、回答局が説明するスタイルで進んだ。

▲「夜討ち朝駆け自粛で新人記者育成に苦慮」

<参加者>
器用な若手記者はオンライン等の新しい取材ツールを利用していた。夜回り取材を最初の段階で教えてあげられなかったことがどう影響していくのか?将来どういう記者に育っているのか見ていく必要がある。

▲「代表取材」「素材共有」が一気に進んだ

<参加者>
会見等の取材現場が密にならないように安全配慮する必要に迫られ、さらに取材相手からも「代表取材でお願いします」というケースが増えた。各局が同じ取材をするところは代表カメラとなり、5類に下がった現在も、競う必要がない取材は同じ映像で構わないと割り切っている。他局と違いを出したいところに力を入れるという流れだ。

この報告を受けて、曽我部委員長と鈴木委員長代行が次のようにコメントした。

●これからのキーワードは「競争と協調」

<曽我部委員長>
代表取材等が増えたのは直接的にはコロナがきっかけだが、社会の変化や生活様式の変化といった大きなトレンドがコロナ禍で一気に動いたという印象を受けている。夜討ち朝駆けなど「これが取材の王道」とずっと続けてきたが、コロナ禍はそれを立ち止まって考え直すきっかけとなったとも捉えられる。
総務省など放送関係の会議で出てくるキーワードに「競争領域と協調領域」というものがある。何でも競争するのではなく、協力できるところは協力して、それによって余裕が出た部分を独自の取材に充てるというメリハリが今後大事になってくる。

●状況が大変でも、一番大事なところは掴める

<鈴木委員長代行>
「ここは(他局と)違いを出さなきゃ」と皆さんが思われるところがあるはずなので、そこに力を入れていけば、人出不足など大変な状況の中でも、一番大事なところをちゃんと掴んでいける。

ラジオ局の苦悩も報告された。

▲「65歳以上と妊婦はスタジオ入り禁止」もラジオ出演者は高齢者多くて・・
▲ミュージシャン関係者のスタジオ入りも規制したが「大物」は例外となって・・

<参加者>
ラジオはテレビと比べてスタジオが小さく密になりやすいのでいろいろな制限を行った。レギュラーの65歳以上の方もリモート出演にしたり、マイクを引っ張って別室出演にしたりした。アイドルグループが来ればスタジオ入りは代表1人だけ、お付きの人もプロモーター1人だけと制限していたが、映画のキャンペーンで主役の方が来た時には、マネージャー、映画会社の方、スタイリスト等々がぞろぞろ入られて制止できなかった。

リモート取材については「効率的だ」と評価する意見が多かったが、以下のような「現場重視」の声もあった。

▲リモート取材は効率的だが、感染対策を安易な盾にせず、現場に足を運び続ける
▲現場に足を運ぶことが真実性の見極めになる

<参加者>
直接足を運んで、その人がいる生活環境に触れることで得られる情報もある。フェイク画像等があふれる中で、真実性を見極めるためには現場に足を運ぶことは大事な要素だ。

後半は、コロナ禍当時に参加者が疑問に思ったことを報告し委員が意見を述べる形で進行した。

「同調圧力」…我々はちゃんと「ノー」と言えるのだろうか?

<参加者>
マスクにしてもワクチンにしても、科学的に何かしら解明ができている訳ではないが、最大公約数的に打った方がいいであろうと我々も報道してきた。「ワクチンを打ちたくない」という方もいたが、打っていないといろんなところに支障が出てくる。政府が言ったことを国民に伝えていくところの怖さ。戦前にあれだけ「報道機関は右に倣え」だったと言われているのに、このあと我々はちゃんと「ノー」と言えるのだろうか? 他が何と言おうと「これはこうだ」と言えるのか一抹の不安を感じた。

<松田委員>
皆さんはどこでそういう同調圧力を感じたのか知りたい。視聴者の側はテレビを見て「ああ、こんなことが求められているんだ」と感じる。皆さんは、一体どこでそういう雰囲気を察知して何を番組に落とし込んだのか?

<参加者>
私が迷ったのは「コロナが落ち着いた後でもマスクを着けてリポートさせるべきなのか?」という点。状況としてはそんなに密集しておらず、他者との距離も保てている。普通ならマスクは不要と判断するところだが、SNSでクレームが付いたらどう転がっていくか分からないので、まだ形にすらなっていない視聴者感情に判断を左右されたことが多々あった。

●少数意見も紹介して同調圧力を助長しない心掛けを

<曽我部委員長>
日本社会に同調圧力があること自体は、放送局にはどうしようもできないと思う。私が思うのは、1つは「放送局が同調圧力を助長していないか?」ということ。SNSで見つけた一部の意見を番組で取り上げることで本当に火がついてしまうようなことがあった。もう1つは「少数意見をきちんと伝えていく必要がある」ということ。ワクチンについても、打たない自由もあると、しっかり伝えていく。マスクについても、安全な場面では必ずしも着用しなくてもいいんじゃないかと。そういう意見を誰かに言わせることを意識的にやらないといけないと思う。放送法4条では「意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」とある。ワクチンも意見が分かれているテーマなので、少数意見もしっかり伝えていく。そういう形で同調圧力を助長しないことを放送局として心掛けていく問題だ。
SNS上の意見は非常に偏っていることがいろんな調査で明らかになっている。まず、そのことを認識することが大事だ。SNSで言われていることは一部の声に過ぎない。
放送局としては、SNSで指摘されたからといって忖度するのでなく、筋を通していくべきで、必要に応じて説明していけばサイレントマジョリティーは納得する。一時的には炎上しても基本的には理解してもらえる。

●少数派の偏った意見、メディアが扱うことで広がっていく

<松田委員>
メディアの皆さんはSNSをよく見ていると思うが、例えば40代、50代では半数以下しか利用していないし、多くは書き込まない。SNSに日常的によく書き込む人はすごく少数派だ。それをメディアが取り上げることで拡散していく。ツイッター改めXなどはいろんな素材や情報が転がっていて使いやすい部分があるとは思うが、偏っている。少数の人が書いたものをどういう形で扱うのか、メディアの皆さんが扱うことで広げてしまうことに関心を持ってほしい。

感染者のプライバシー、あそこまで報じる必要があったのか?

<参加者>
感染し始めた頃は、県や保健所が感染者の行動履歴を詳しく発表して、我々もその発表に基づいて放送していた。今となって考えれば、果たしてそこまで感染者のプライバシーを放送する必要があったのだろうか?

●この経験を風化させてはいけない

<曽我部委員長>
これは難しい問題だ。初期の頃はコロナがどんな病気か分からず恐怖感も強かったので、当時としてベストな報道がいかなるものかを考えるのが非常に難しかった。今からすれば、ちょっとやり過ぎだったんだろうと思うが、当時はやむを得ない部分もあったかもしれない。ただ、この経験は今後に活かしていくことが非常に大事なので、次に感染症が問題になった時には今回の反省も踏まえて考えていくことになる。メディアの方々はそれぞれ経験値を得たと思うので、風化させることなく、きちんと総括して次の機会の糧にしてほしい。

<事務局からの報告>

第三部に先立って、BPOに寄せられる苦情・意見を踏まえて植村統括調査役が参加局に注意喚起した。

●取材時の「映り込み」に注意

<植村統括調査役>
申立ての前段階としてBPOの人権相談に苦情が寄せられることがあるが、この1年半で3件ほど「映り込み」について苦情が来た。
▲「クマの出没で子どもたちが集団登下校」というニュースで自分の子どもの顔が映った
▲「新学期に登校してきた児童」という映像に自分の子供の服装が映った。特定できる
▲取材対象者の移動の様子を撮影したら、背後を自転車で通り過ぎる女性が映り込んだ。
3件とも共通しているのは「夫からのDVで居場所を知られたくない」というものだ。デジタル化が進んで画像の精度が上がったことに加えて、民生用の小型カメラでも撮影できるので、撮影していること自体分からないケースも増えている。今後もこうしたケースは十二分にあり得るので注意してほしい。

<第三部 災害報道と人権>

このテーマは2023年7月の九州北部豪雨で各局が災害特番を放送したことから設定したものだったが、2024年は元日に能登半島地震が発生し、意見交換会開催の1月31日まで連日災害報道が続くことになってしまった。
災害報道という緊急性に紛れて気付かずに人権を侵害しているケースはないか、災害を報じる当事者として疑問に思うことはないかという角度から議論を進めた。

犠牲者氏名、なぜ非公表なのか?

まず、災害犠牲者名の非公表問題が取り上げられ、4人の委員がいずれも「公表すべき」という立場から意見を述べた。

<参加者>
犠牲者もそうだが、(九州北部豪雨の際に)大分県は安否不明者の氏名を「救助活動等に資する場合のみ公表する」とした。「救助活動に資する、とは何を指すのか?」というやりとりをしたが平行線のままだった。広く氏名が分かっていれば一般の方からの通報にもつながると思うのだが。

●見たことのないおばけを怖がっている

<水野委員>
個人的には、災害であれ事件であれ名前を知りたい。京アニ事件での実名・匿名問題をゼミで議論すると、学生の8~9割は「遺族が望むなら」と匿名を支持する。しかし、「なぜそう思うのか?」と問い詰めていくと、あまり根拠がない。実名を公表することで実態以上に甚大なダメージを受けると過剰に恐れている節がある。見たことがないからこそ余計におばけを怖がるようなものだ。報道機関の方には、実名の意味・意義を踏まえて行政と対峙してほしい。

●民主主義の基本情報。踏ん張らなきゃいけないところだ

<廣田委員>
京アニの話が出たので、事件報道についてであるが、弁護士会の中で、犯罪被害者の支援をしている委員会からは「実名にする意味がない」という厳しい意見がある。実名が出た後の二次被害がひどい、特にインターネットでいろいろ書かれると消すことが難しいという。報道機関の方々には、なぜ実名にするのかをきちんと説明してほしい。内部では議論しているだろうが外に伝わってこない。
報道の現場の方々と話し、いろいろ考え、私の考えは変わっていった。私の個人的考えだが、今は、原則実名だ。ネットが発達して真偽不明の情報が出回るときに、訓練を受けた報道機関がきちんと裏を取って5W1Hを固有名詞を入れて報じて記録することは非常に重要になってきている。「面倒だからやめておこう」「実名を言わなければ言わないで済んでしまう」とやっていったら、後で何が何か分からなくなって事件の検証もできなくなる。5W1Hを正確に報じて記録したものは、民主主義の基本情報だ。踏ん張らなきゃいけないところだ。

●防災の手掛かりとなる情報は共有されるべき

<野村委員>
東日本大震災後、3年間、弁護士として石巻市役所に赴任・常勤して復興事業に従事した。その経験から思うのは、犠牲者の情報は家族がコントロールするものだ、では済まないということだ。家族と一緒に亡くなったのか独りで亡くなったのか、津波の時にどういう避難行動を取っていたのか、といったことは将来の防災につながる話だ。個人にモザイクをかけると具体的な考察がぼやけてしまう。手掛かりになる情報は共有されるべきだ。石川県は家族の了解を公表の条件にしているが、全員の承諾は得られないので一部だけの公表になってしまう。そうなると全体像を掴むという意味では中途半端になって、逆に意味がなくなってしまう。個人的意見としては、実名の公表可否を家族の意思に委ねることはよろしくないと考えている。

●公権力が情報をコントロールしてはいけない

<國森委員>
国とか自治体とか警察とか、そういった公権力が情報をコントロールしてはいけないと思っている。メディアが情報を全部引き出した上で、それをどこまで報道するかをメディア自らが、指針・信念・説明責任を持って判断していかないととても危険な社会になる。遺族はメディアスクラムを含めた取材そのものによる被害、その後のネットパッシングなどによる被害の恐れがあるが、そうした被害を食い止める努力をメディアがすることで当局あるいは社会に対して「ここまでやっているので情報を出して」と言えるようになれば良いと思う。

「土砂災害特別警戒区域」、どう伝えれば?

<参加者>
土砂災害が起きた地域が「土砂災害特別警戒区域」だったケースが多い。視聴者から「そういう区域に住んでいるからダメなんだ」という反応が来るし、災害の専門家もマイクを外すと「本当はここに人が住んじゃダメなんだ」と言う。大雨や台風の場合は被害が予測されるので早期避難を呼びかける事前報道に力を入れているが、犠牲となった方に非難の声がいかないように伝え方に非常に神経を使う。

●悩むことが大切。それは視聴者に伝わる

<斉藤委員>
報道する方たちは本当に悩まれると思う。この問題には正解はないと思う。
同じ言葉で伝えても、AIのニュースでは伝わらないが、リポーター本人が「どう伝えるべきなのか」と悩みながら語った場合、その思いは視聴者に伝わるのではないだろうか。伝える人間が、どう伝えるか悩んでいること自体がすごく大事なことだと思う。テレビは「どういう思いで伝えようとしているのか」ということも伝えてくれる。

●リスクあることを、地域の住民も社会も共有しないといけない

<國森委員>
とても難しい問題だ。東日本大震災の津波でも、どこまで津波が来たのかを皆が強く意識しないといけないし、メディアも伝えていかなければならない。それも踏まえて「ここにはリスクがある」ということは、住んでいる人も含めて社会で共有していかなくてはならないと思う。

●背景にも触れると伝わり方も違うのではないか

<廣田委員>
ずっと昔から住んでいて後から警戒区域の概念ができて指定されたのと、危険だと分かって住み始めたのでは違うのではないか。法律上は、分かって行くと非があるとされることもある。昔から住んでいる場合だったら、背景も踏まえて伝えると伝わり方も違うのでは。「古くからある集落で」というような一言があれば住民への非難の声は出ないのではないか。

●自己責任論、バッシングが起こらない伝え方を

<曽我部委員長>
法律的には警戒区域指定の前か後かで変わるが報道はフェーズが違うと思う。全国の土砂災害警戒特別区域に住んでいる人に危険性を伝える意味で、そういう地域で大きな被害が出ていることを伝えることは非常に重要だ。被害を伝えることに躊躇する必要はないが、他方で実際に住んでいる個々人と結び付けて報道すると自己責任論が出てバッシングにもなりうる。結局は伝え方の問題で先ほど紹介してくれたように住民に配慮しながら伝える方法は大変適切だ。

被災者映像 発災直後は使用可能でも時間経過すればどうなのか?

<参加者>
メディア取材に対する被災者の心情は、発災直後と時間が経過してからでは大きく変わる可能性がある。発災直後に取材に応じてもらった映像を時間が経ってから使う場合はかなり留意が必要なのではないか。

●「肖像権ガイドライン」が参考になる

<曽我部委員長>
以前大阪の朝日放送(ABC)から、阪神大震災のアーカイブをネット上で公開したいという相談を受けた。肖像権問題を含めどういう考え方で臨んでいいのか基準が分からない、ということだったので「デジタルアーカイブ学会」の「肖像権ガイドライン」が参考になるだろうと思い紹介した。
肖像の使用権が許されるかどうかは通常は総合判断で決めるが、このガイドラインでは<被撮影者の社会的地位><被撮影者の活動内容><撮影の場所><撮影の対応>といった要素を点数化する。例えば、公人・政治家であれば許容される方向に働くし、一般人であれば許容されない方向に働く。活動内容も、歴史的な公式行事なら許容の方向で、プライベートな行事なら逆になる。点数を全部足し合わせて、何点ならいけるいけないというガイドラインを作成された。ABCはそれで判断して公開に至った。今後、災害に限らず時間が経った映像を利用する際には参考になるだろう。ABCのサイトは「阪神淡路大震災 激震の記録1995」で検索すればすぐ出てくる。「肖像権ガイドライン」は政府の知財本部などでも資料で出てくるくらいに広まった。参考になると思う。

以上

2024年3月に視聴者から寄せられた意見

2024年3月に視聴者から寄せられた意見

“二刀流”メジャーリーガーの一挙手一投足に注目が集まり、結婚や元通訳の賭博をめぐる報道に多くの意見が寄せられました。

3月にBPOに寄せられた意見数は1,768 件で先月から 540 件減少しました。
意見のアクセス方法は、 ウェブ 87.6% 電話 11.4% 郵便・FAX計 1.0%
男女別(任意回答)は、男性 56.2% 女性 26.1% で、世代別では40歳代 24.2% 50歳代 20.1% 30歳代 23.0% 20歳代 11.5% 60歳代 10.4% 70歳以上 3.7% 10歳代 0.7%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各局に送付、3月の送付件数は669件、47事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から16件を選び、会員社すべてに送りました。。

意見概要

番組全般にわたる意見

“二刀流”メジャーリーガーの活躍と、結婚、元通訳の賭博問題などを報道する各社番組に対して多くの意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は37件、CMについては20件でした。

青少年に関する意見

3月中に青少年委員会に寄せられた意見は72件で、前月から31件減少しました。
今月は「表現・演出」が29件と最も多く、次いで「要望・提言」が26件、「言葉」が5件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • “二刀流”メジャーリーガーの活躍は素晴らしいし、多くの人が関心を持っていることも分かる。しかし、どのチャンネルでも繰り返し時間を割いて報道しているのを見ると、それ以外の伝えるべきニュースが報道されていないのではないかと心配になってくる。

  • “二刀流”メジャーリーガーの元通訳の賭博問題について、情報番組の司会やコメンテーターが、確かな情報が少ないのに憶測による発言を続けていて、無責任ではないかと思った。

  • 元通訳の親の自宅に取材に行きインタビューを試みたのは行き過ぎた取材ではないかと感じた。

  • ニュースなどで、「政府関係者」や「〇〇党関係者」などというクレジットでコメントが紹介される。本当にそのような発言があったかのどうか、フェイクかもしれないのに真偽を検証する手段が無い。匿名性を守る必要があるのも分かるが、こうした表現方法には検討の余地があるのではないだろうか。

  • ニュースの冒頭でアナウンサーが「今起きていることをすべてお伝えします」と言っていた。それは無理だろう。報道番組で誇張はよくないと感じた。

  • 犯罪の悪質さや重大性にかかわらず、容疑者が画像付き、実名で報道されることに違和感がある。政治家の汚職や大企業の不正、殺人など重大な事件ではそれも妥当だと考えるが、執行猶予や罰金刑が確実視されるケースまで、画像付き実名で報道する必要があるのだろうか。いわゆるデジタルタトゥーを消せない時代の報道のあり方を議論すべきかと思う。

  • 放火事件や窃盗事件、器物損壊事件などの報道で、防犯カメラ映像がよく使われるが、必ずモザイクがかけられていることにいら立ちを覚える。

  • 大物お笑いタレントの性加害疑惑をめぐり、ネット等には週刊誌記事の内容に疑問を投げかける証言が出ているにもかかわらず、テレビの情報番組などでの扱い方が小さいと感じる。

  • 「日本人のガザ地域への関心は薄れている」と、あるコメンテーターが話していたが、それは日本のニュース番組での報道が少ないからではないか。

  • 情報番組のコメンテーターは自分の専門外のことについては発言を慎重にした方がいいと思う。テレビでの発言は、「~だとしたら、」というような仮定を付け加えたとしても、どうしても断定的に聞こえるし、確かな事実として受け止められてしまうこともあるだろう。SNS等で個人の見解を発信するのとは重みが違うということを認識してほしい。

【バラエティー・ドラマ】

  • 薬剤師の業務や責任を軽視して、笑いのネタにしている場面を見た。編集で当該場面をカットしなかった放送局にも責任があると感じる。

  • 牛乳の早飲み競争を装って、チューブをつなぎ途切れることなく牛乳や水を飲ませるドッキリ。吐き出す場面が汚らしく不快だし、食品・飲料を粗末に扱うことに抵抗を感じないのか。制作者の良識を疑う。

  • 激辛チャレンジや大食い競争の参加者を見ていると、さまざまな事情により望まないのに参加させられているのではないかと心配になってくる。パワハラのように見えて素直に笑えない。

  • 2週にわたって同じ内容を放送したバラエティー。申し訳程度に数か所の変更を加えて、“間違い探し”してほしいと呼びかけていたが、毎週番組の視聴を楽しみにしている視聴者を軽く見ているのではないかと腹が立った。

  • 紫式部の人生を描いた歴史ドラマ。登場人物のほとんどが同じ姓なので見ていて混乱する。登場する場面ごとに名前のスーパーを入れていただけないものか。

【その他全般】

  • 午後の国会中継だが、国会の審議が終わらないうちに、あとの番組(ニュースなど)に切り替わってしまい、少数政党の質疑が放送されないことがある。深夜に再放送があるというが起きているのは大変だし、何とかならないものだろうか。

  • 旅番組グルメ番組などで上半身裸の男性の入浴シーンが放送される。気にしすぎだという声があるかもしれないが、番組制作者はジェンダー問題に対して敏感であってほしいと思う。

  • NHKでは手話通訳を付けているニュースをよく見るが民放ではまだまだ少ない。少しずつ拡充してほしいと思う。

  • 放送局が視聴者意見をどのように受け止めて活用しているか、もう少し見えるようになるといいと思う。番組や放送がよりよくなるようにと意見を送っているので、放送局側からフィードバックする機会が少しでも増えればいいと思う。

  • CMの入れ方について。昔はだいたい15分に1回くらいで節度があった。今は番組をチラッと見せたらまたCM。番組を切り刻みすぎだと感じる。なんとかならないものだろうか。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 情報バラエティー番組の中継コーナーで「背負い餅」を模した「背負い肉」という赤ちゃん企画があった。番組では赤ちゃんが泣き続け、背負った牛肉の重さで仰向けに倒れる場面もあった。児童虐待にしか見えず、危険で不適切な放送だった。

  • バラエティー番組の「昭和の常識・令和の非常識」というコーナーで、昭和時代の団地の浴室によく装備された「バランス釜」を特集。令和の若者の視点で「古いし今は見ない」「(浴槽が小さくて)風呂に入る意味がない」と音声が流れた。今でも住まいで使用している人がいるのに、ばかにされたような気分で最悪だった。

【「要望・提言」】

  • 車を運転中、路線バスを使った旅番組の撮影に遭遇した。田舎の狭い道を何列にもなって歩いている。車で横を走り抜けようとすると、急に飛び出したり、マイクの付いた長い棒が飛び出たりする。ロケの際には社会的なモラルを守った行動をしてほしい。

【「言葉」に関する意見】

  • 午前の情報バラエティー番組で、若い女性タレントが居酒屋で、酎ハイなどを続けて3杯飲むシーンがあった。朝の番組で流す映像としてはいかがなものか。20歳未満の者の飲酒を誘発したり、アルコール依存症の人などを刺激したりする内容だと思う。

【「食べ物」に関する意見】

  • バラエティー番組のグルメコーナーに出演するタレントたちの食べ方が下手で汚い。そばやうどんをきちんとすすれないし、逆にすすってはいけないパスタをすする人がいる。子どもが模倣するので、出演者にはテーブルマナーを教え込んでほしい。

2024年1月16日

全国の放送局とオンラインで意見交換

放送人権委員会は、加盟放送局との意見交換会を1月16日に東京都内で開催し、ウェビナー参加者を含めて全国から110社、約230人が参加した。委員会からは曽我部真裕委員長をはじめ委員9人全員が会場で出席した。曽我部真裕委員長のあいさつに続き、鈴木秀美委員長代行は「みなさんの意見をうかがえる貴重な機会、率直な意見や質問をいただきたい」と参加者に呼びかけた。廣田智子委員は「人権意識が高まるなかテレビの笑いはどうあるべきか問われている。きょうは一緒に考えたい」、斉藤とも子委員は「(意見交換会で取り上げる)今回の案件は今でも心の中に蓋がのしかかっているような苦しい決定だった」、野村裕委員は「年々いろいろな基準が変化している。前回は大丈夫という判断をしたけれども本当に大丈夫なのかということが、問われているのだと思う」と、各委員からあいさつがあった。

意見交換会は二部形式で行われた。第一部は曽我部委員長が第79号「ローカル深夜番組女性出演者からの申立て」に関する委員会決定を説明し、起草を担当した二関辰郎委員長代行と松田美佐委員が説明を補足した。続いて補足意見を委員長と水野剛也委員が解説した。委員会決定とは結論が異なる少数意見について、國森康弘委員が理由を述べた。また決定通知後の取り組みについて、あいテレビから報告があった。第二部は東京大学理事・副学長で東京大学大学院情報学環教授の林香里氏が「日本の『お笑い』誰に奪われてしまったのか」を演題に講演し社会構造の側面から「ジェンダーと放送業界」について問題点を指摘した。

◆第一部
◎委員会決定第79号「ローカル深夜番組女性出演者からの申立て」の解説

<事案の概要>
申立ての対象はあいテレビ(愛媛県)が2022年3月まで放送していた深夜のローカルバラエティー番組『鶴ツル』。番組はコメディアン・俳優である男性タレント、愛媛県在住の住職、愛媛県出身で県外在住の女性フリーアナウンサーである申立人の3人を出演者として、2016年4月に放送を開始した。申立人は、番組内で他の出演者の下ネタや性的な言動で羞恥心を抱かされ、放送を通じて申立人のイメージが損なわれ、人権侵害と放送倫理上の問題が生じたとして委員会に申し立てた。

●曽我部真裕委員長
新年早々、さまざまなことが起こり、とりわけ、被災地の放送局のみなさま方には大変な苦労をなさっていると拝察しております。しかしながら、放送の公共性が、あるいは存在意義が発揮される場面でもあり、ぜひともご尽力を期待したいと思っております。
本件は、人権侵害や放送倫理上の問題があったとまでは言えないという結論です。これは事案の特殊性によるものです。実際には全国の放送局において、考えていただくべきジェンダーの問題が含まれています。委員会決定でも、みなさまに考えいただく材料として、かなり詳しく付言をしました。
きょうの第二部では、このテーマについて、さらに理解を深めるために、ジェンダー平等の問題に詳しい、この委員会の元委員でもある林香里先生にお話しいただきます。ジェンダー、あるいはその他のマイノリティのテレビでの描き方、あるいは、その制作現場での構造問題については、昨年7月に、まさにこの場で開催いたしましたBPO20周年の記念セッションでも、取り上げたわけです。本日重ねてこのテーマを取り上げるのは、その重要性を踏まえてのことです。
本日の議論を、ぜひ各局にお持ち帰りいただいて、議論を各社で深めていただき、さらにこれを実践につなげていただきたいと思っています。前置きが長くなりましたが、本日はよろしくお願いいたします。

論点ですけれども、人権委員会は、人権侵害の有無、それにまつわる放送倫理上の問題の有無というものを判断するというのが任務ですので、本件でもこれらの観点から審理を行いました。
具体的には、申立人が意に反する旨を申告したにもかかわらず、性的な言動を継続したといった事情はあったか、本件放送に許容範囲を超える性的な言動、あるいは申立人の人格の尊厳を否定するような言動があったかという観点で判断したのが一つ目の人権侵害に関してです。倫理上の問題に関しては、性的な表現がどうだったか。そして出演者の健康状態の配慮に欠けた面があったかどうかを検討しました。

本件の特徴として、通常のセクハラとは違うだろうというのが出発点としてありました。つまり、一般の社内、企業内での社員に対するセクハラのようなものとは判断の基準が違うだろうということです。番組内での視聴者に見られるやり取り、意識したやり取りであったということですので、判断基準は異なるのではないかと考えたわけです。
具体的には、判断基準として設定したのは、放送局が、申立人の意に反していたことに気づいていたか、あるいは気づいていなかったとしても、通常の注意を払えば、気づこうと思えば気づくことができたかどうかということ。それから、別な観点ですけれども、深夜バラエティー番組として、社会通念上許容される範囲を超える言動があったかどうか、ということが基準としてあります。

まず一つ目、気づいていたかどうかということですが、結論としては、当時、気づくことは困難であったという認定です。委員会としては、申立人の方が、非常に内心悩み苦しんでおられたということは否定するわけではありませんし、被害者がハラスメント申告するということが難しいということを否定するものではまったくないわけです。
けれども、局の観点からすれば、それに気づくことが困難であったということです。ご本人もそれがわからないように努めていたと言われていたこともあって、こういう認定をしました。

次に人格の尊厳を否定するような言動があったかというところです。
ここは委員の意見も分かれたところです。非常に悪質であったという意見も複数ありましたが、全体として、人格の尊厳を否定するような言動があったとまでは言えないということになりました。

次に、ある時期に、ご本人がプロデューサーとじっくり話しをする機会があって、何年かずっと悩んでいたことを告白するということがありました。そのあとの対応がどうだったかということを、ここでは問題にしております。プロデューサーは、そのご本人から告白があって、ようやく問題の深刻さを認識しました。そのあとは、かなりできることはやったということです。例えば、最終的には番組も終了になったとか、あるいはその終了前の数回、収録もかなり配慮をするという約束をしたということがありました。悩みの告白後の対応については問題があったとまで言えないということです。
以上が、人権侵害に関しての判断です。

次に、放送倫理上の問題です。結論としては、放送倫理上の問題があるとまで言えないとなりました。
まず一番目には、眉をひそめるような内容もあるけれども、深夜バラエティー番組であって、視聴者からの苦情も特に無かったというところで、表現のみを取り上げて放送倫理上問題だということは妥当ではなかろうということです。
二番目は、申立人自身も、外部から悩みが決してわからないようにしていたということです。これは先ほど申し上げた点ですけれども、そういった点を踏まえると、あとから気づけたはずだと評価するのは酷であろうということです。
三番目としては、出演者の身体的精神的な健康状態に配慮すべきことは、放送倫理上求められるわけですけれども、悩みの告白後の対応については、配慮が欠けていたとまでは言えない。結論としては、問題があるとまでは言えない、そういう判断です。

以上、人権侵害も放送倫理上の問題もあったとまで言えないというのが全体の結論です。

最後に、ここが付言、あるいは要望というところですけれども、かなり長めに書いています。
まず一つ目ですけれども、冗談としてでも、言動がくり返されることによって、言われた側が、そういうことを言ってもいい人物だというふうに役割が位置づけられてしまって、そういった立場を背負わされることになります。それが、放送を通じて公開されるということは、非常に酷な立場に追い込むおそれがあるということです。放送局としては、そういった状況を招かないようにする環境整備が望まれます。

二番目は、本件番組で問題となった言動は、一般的な性的話題にとどまらず、申立人自身が性的なことを好むかのように決めつける。つまり、「あなたが」こういうことが好きなんでしょう、「あなたが」という言い方です。一般的な下ネタと、「あなたが」こうなんでしょうというのは、やはり本人に対する影響の度合いが違う。そういう趣旨です。
そういう意味において、本件は非常に悪質な場面を含んでいるという指摘が複数委員から出ています。放送局には、こういった表現を放送することが、今日において果たして適当か否か、よくよくお考えいただきたいという意見が複数ありました。

あいテレビは、申立人は自分に意見があれば、物怖じせずに言う人だと主張しています。これは、申立人の普段の様子を見ていると、言いたいことをオープンに言える人だという、そういう印象を与えると。そういう人なのに言ってこないということは、特に不満がないのだろう。そういうことをおっしゃっているのだと思います。
確かに、普段はそういう面があったとしても、やはり立場の違いがあって、放送局とフリーアナウンサーというのは、構造的に立場が違うことを踏まえて物事を考えるべきではないか、そういうことをこちらで指摘しました。

それから、環境、職場におけるジェンダーバランスの問題です。本件スタッフ、番組のスタッフ、あるいは考査の担当者は、ほぼほぼ男性であったというところで、「行き過ぎなんじゃないか」ということが、なかなか内部から出てこない。そういうことが、あったのではないかというところです。これはいわゆるダイバーシティ、多様性の問題とつながる指摘かと思っております。

本件番組は、二カ月間の放送で用いる番組の収録を一度にまとめて、八回分の放送を一回で撮ることで、かなりタイトなスケジュールでやっていた。そういう中で、出演者間あるいは出演者と制作側のコミュニケーションの機会が非常に限られていたのではないかというところです。もちろん、そういうスケジュール自体を見直すということは必要でしょうし、仮に、ある程度はやむを得ないにしても、そうした場合には、なおさら出演者の思いを積極的にすくい上げるような必要性があるのではないかというところです。
それから、本件の事案、教訓として、降板する覚悟はなくても、悩みを気軽に相談できるような環境や体制を整備していくということが求められるのではないかという要望をしております。

最後ですけれども、これは本件の当事者である局だけではなくて、放送界全体の問題でもあるだろうということです。各局におかれましては、本事案を単に他社の事例と位置づけるのではなくて、自社のことを見直すきっかけにしていただければと思います。

●二関辰郎委員長代行
二つのルートで主に検討しました。一つ目は、人権侵害の判断基準で、申立人の内心がどうだったか、それに、放送局の立場から気づくことができたか、あるいは気づけなかったことに過失はあったか、というルート。もう一つは、表現それ自体の問題の検討。大きく分けるとその二つです。

一つ目のルートについては、(その場で表示したスライドに)「本件の難しさ」と書きました。申立人の主張でも、セクハラ的なことがあったのは収録の場に限られると言っていましたので、映像に映っている部分が問題になる。その意味では判断材料は客観的に残ってはいるのです。ところが、その映像からは分からないわけです。申立人本人も、内心で嫌がっていたことは外から分からないようにしていたと、おっしゃっていました。

しかも、本件の特殊性ということでは、ショーとして見られることを意識したやり取りでのセクハラ等が問題になっている点を指摘できます。たとえば、職場でそういうこと言われたら、それは当然、本人が嫌がるだろうというような言葉が、ショーの中でやり取りされています。こういうこと言われたら普通、嫌ですよねという判断もできない、そういう難しさがありました。

申立人の内心を外から気づけたか。放送局に責任があったか否かを問う委員会の判断においては、放送局の認識というものを、やはりベースにし、認識していたか、あるいは認識できたかという観点から検討することになるだろうということです。申立人が内心では悩んでいたということと、でも、外からは気づけなかったということは両立し得るわけです。その点は果たしてどうだったのかを判断しなければならない難しさがあります。

映像以外の背景事情とか経緯とか、いろいろなところで、申立人側とテレビ局側の主張は、対立していました。双方の主張、あるいはヒアリングで、それぞれ聞いたのですけれども、どちらも特にうそを言っている感じには受けとめられませんでした。その意味で判断が難しく、客観的な証拠とか、あるいは争いがない事実といったものを中心に、多数意見は判断しました。客観的証拠というのは、例えば、映像そのもの、あるいは申立人が当時送信していたメールだったり、ブログだったり、そういうものを中心に判断しています。

委員長の先ほどの説明にもあったとおり、自分の本心を本人が伝えにくかったということは、われわれも配慮したつもりです。言い出さなかったことが悪いなどと、ストレートな結論は出していません。本件では、言い出さなかっただけでなく、むしろ積極的に本人が番組を好意的に評価していたように見える。そういったものが客観的な証拠として残っています。それは、放送局の人とのやり取りにおける多数のメールやライン、あるいは本人のブログといったものです。

決定の中では、少しだけしか紹介してないのですけど、これが相当数あります。それだけ見ると、本人は番組を好意的に評価していたのかなと受けとめられる。放送局の認識をベースにしたときには、そういうふうに受けとめたのも仕方ないかなという状況があります。そうすると、何らかの、そういった好意的評価を打ち消すようなメッセージが、外に何か出されていないことには、放送局の責任を認めるのは難しいのではないかということです。それが、一つ目のルートです。

二つ目。表現それ自体の問題です。先ほども申し上げたとおり、ショーの中のやり取りですから、この表現はちょっと言われたら傷つくだろうという、直ちにストレートな判断はできない難しさがありました。二つ目のルートを、本人の内心を踏まえた一つ目のルートとは別問題として取り上げたので、本人が内心どう思ったかは抜きに、表現そのものの評価ということで検討しました。その際に、BPOが、この表現は「○」、この表現は「×」というふうに評価すること自体、コンテンツに関わることを言うこと自体、そもそも謙抑的であるべきではないかという発想が背景にありました。

いろいろと検討し、本件事案そのものでは、問題ありとはできなかった。「できなかった」と言うと変ですけれども、申立人を救済するという観点から、いろいろ考え、議論をしたのですけれども、このような結論になりました。ただし、申立人と同じような立場に置かれている人はいっぱいいるだろうということから、今回、通常の決定にはないぐらい要望を詳しいものとして、かつ当該局に限らず、放送局全般の問題として詳細に述べたという、そういう取り扱いにしました。

●松田美佐委員
わたくしは起草担当委員の一人として、この委員会決定に同意しております。ただし、個人的には、本件で申立人に向けられ、そして、放送された性的言動は悪質であって、放送を控えるべきだったと考えています。ただ、表現内容だけを取り上げて問題にすることは、表現の自由に対する制約につながり得るために、謙抑的であるべきと考えるがゆえに、委員会決定には賛成するという形です。
これを前提とした上で申し上げたいのは、表現の自由を行使することについて、誰かを傷つけていないのかを、もう少し考えてみるべきであろうと。今回のことで言うならば、あいテレビは、申立人を害している可能性に気がつかなかったと主張されており、委員会も、気づけなかったのだろうというところを認めております。
とはいえ、被申立人、あいテレビ側は、自らの表現で誰かを、今回の件に限らず誰かを傷つける可能性について、どの程度意識をしながら放送をされていたのか。今回の件、傷ついている可能性に気がつかなかった、気にしないでいられたということに疑問を持ちます。さらには、申立人が外部からは悩みが決してわからないように振る舞わなければならなかったことに、そもそも強く疑問を持つというか、そこに問題があると思います。

社会学者のケイン樹里安さんが、「マジョリティというのは、なにかしんどい状況とか差別が目の前にあるときに、それに気づかずにいられる人とか、気にしないでいられる人とか、その場からサッと立ち去れる人たち」と定義しています。別のところでは、マジョリティ特権というのは、「気づかず・知らず・みずからは傷つかずにすませられること」とも言っています。
今回、読み上げるにはあまりにも不快で、私自身が経験してきた嫌なことを思い出すので行いませんが、委員会決定には、具体的にどんな言動があったか書かれております。こういった言動が、個人の人格に対して繰り返し向けられることが、いかにしんどいことであるか、気づくことができず、気がつこうともせず、番組制作が行われている。放送業界が、それが当たり前であると、もし、みなさんが理解しているというのであれば強い憤りを感じます。
放送は、すべての方のためにあると思っています。ならば、マジョリティ特権である、「気づかず・知らず・みずからは傷つかずにすませられること」を常に問い直しながら、番組を制作放送してほしいというふうに思います。そのための体制づくりに取り組んでいただきたいです。

今回の決定には三人の委員から、補足意見と少数意見が出た。補足意見とは、委員会決定と結論は同じで、決定理由を補足する。少数意見は、委員会決定と結論が異なる。

●曽我部委員長
わたくしも補足意見を書きました。放送業界全体の問題として考えていただきたいことを書きました。「放送とジェンダー」に関する近年の状況について情報提供をする趣旨です。内容は第二部の林先生のお話と重なるところもあると思うので、ごく簡単に紹介します。
まず一つ目、番組の内容。テーマ選びや内容に、そのテレビ局の組織体制が影響すると言われています。ジェンダー・ステレオタイプな表現の背景には、「メディアの送り手に女性が少ない」といったことが指摘されています。
二番目です。放送の画面に登場する人物の多様性の問題です。一つ目は、制作者の多様性の問題ですけれども、二つ目は出演者の多様性の話です。これも調査があり、六割が男性、女性四割です。女性は四割なのですが、若い女性に偏っています。
それから、肩書きのある登場人物、たとえば、社長とか、教授とか、そういう人は男性が多くて、街頭インタビューは女性が多い。六割四割というと、そんなに不均等ではないという印象を与えますが、中身も見てみると、かなりバイアスがあることが指摘されています。決定文の22ページに参考文献を書いています。ぜひ、参考文献も含めてご覧いただければと思います。

●水野剛也委員
人の心の内は、外からうかがい知ることはできない。このことを肝に銘じておかない。いくら素晴らしい要望、そして対策がなされても同じような悲劇が起きるのではないか。そう思い、補足意見を書きました。

申立人の精神的な苦痛は極めて深刻です。放送局は、他方でそのことにまったく気付いてなかった。両者のギャップ、乖離、溝の深さ、距離の遠さには戸惑うばかりでした。とくに、局側の驚きようが印象的で、文字どおり、虚を衝かれた、見えてないところから大きな問題が投げつけられたような様子でした。
放送局には、このような誤解があったのではないでしょうか。申立人とは、互いに何でも言い合える深い仲だったと。そう誤解してしまう理由もなくはないのです。申立人は明るくて、前向きで、心から番組を楽しんでいるようにしか見えません。番組内ばかりか、普段やり取りするメール、番組についての宣伝を兼ねた情報発信においても、心の葛藤や辛苦の影さえ見ることができない。プロとして仕事を完遂したい。そう思うがゆえに隠し通してしまった、通せてしまったように見えます。
だからこそ、本件の教訓は、問題などあるわけがないと思ってしまったら、問題が見えるわけがないということではないでしょうか。いくら積極的に組織、環境を改善し、風通しのいい組織にしたとしても、やはり言いにくいことは言いにくいし、言い出せないことは言い出せない。ましてや、本人が、絶対に内心を隠してしまおうと思ってしまったら、どうしようもない。
ならば、常日頃から、このように意識する必要があるのではないでしょうか。
「問題などあるわけがない、わけがない」と。ご静聴ありがとうございました。

●國森康弘委員
委員会ではマイノリティになってしまいましたが、私は人権侵害と判断しました。
同じことが繰り返されないように、その願いも込めて意見を書いています。ジャニーズとか吉本とか、宝塚も含めて、いろんな問題が今、浮き彫りになっています。きょうを機会に、1人でも多くの人といろんなものを共有できればと思っています。

まず、ハラスメントは、自分に悪気がなくても、気づけなくても関係なく、自分の言動が、相手に苦痛や不利益を与えること、尊厳を傷つけることであり、これは人権侵害にあたります。ハラスメントになる要因としては、コミュニケーション不足、無意識の偏見、性別役割の分担意識、不適切な業務量、そして倫理観の欠如というものが広く指摘されています。今回の現場では、そのすべてが満たされてしまったのではないかと見受けられます。
いくつか、申立人に対する表現を挙げるとすると、「世渡り上手、床上手」、「1日中欲しがってる」、「アッチイッテエッチシヨ」などの数々がありました。これら共演者からの言動に加えて、さらに、制作陣によるテロップやイラストが追加されています。特に、ひどかったイラストと思うのは、申立人の顔写真を貼ったその体には、黒色のレオタード、網タイツ、それからSMのムチという、そういうイラストに顔写真が貼ってあるということもありました。
こうしたものがハラスメントに該当すると思っています。私たち委員会の審理の対象期間は、申立てから遡って1年以内ですが、その期間から1カ月外れたところで放送されたものでは、申立人に対して、共演者が、スタッフが用意したハンディカメラを持って、AV女優の名前を呼びながら、脇毛を見せてと言って脇を接写し、それが放送されることもありました。
別の放送では、共演者が申立人のファスナーを下ろして背中を露出させて、それを接写し放送するという場面もありました。ハラスメントどころか、性暴力的な状態だったと思っています。それらを含めて、共演者やスタッフに対する不信が高まり、視聴者からの中傷なりバッシングも増えてきたと、申立人は話していました。

表現の自由というものは、もちろん確かに大切ではあります。しかし、たとえ深夜番組のバラエティーであっても、許されない表現や演出はあると思います。今回の場合だと、申立人が性を売りに世を渡るような人であるみたいに、性的な要素を過度に結びつけて、アナウンサーである申立人のイメージを損なうなど、悪質でした。ましてや、本人の同意や承諾、納得や信頼がない中では、それは一層深刻な被害をもたらしたと言えます。

時代は変化しています。昔は1回の放送で終わっていたものが、今では、放送内容や、出演者への中傷を含む番組への評価が、ネット上を含めて、広く、長く、半永久的に公開されます。そういった点では、一般社会や職場よりもさらに深刻な損害、被害を与えると考えるべきではないでしょうか。

多数意見でも指摘されたとおり、制作現場には、ジェンダーバランスやパワーバランスの不均衡、業務量の多さ、それから意思疎通の不足などがありました。下ネタ、お色気を前提にしながらも、出演契約書も交わすことなく、出演者へのフォローもケアも不十分に見受けられました。そういった意味では、安全配慮の欠如もあったのではないでしょうか。
深刻な悩みや苦痛を申立人が告白したあと、それから申立て後の放送局の姿勢には、気づきや反省や改善の姿勢が見当たりませんでした。このままでは同じことが起きるのではないかと危惧しました。

申立人は、平穏な生活、信用、仕事、収入、多くを失い、多くを諦めながら、申立てに至っています。私は申立人の被害を認識するとともに、人権侵害があったと判断し、同様の被害を生まないことを願って、少数意見を書きました。

今回の事案をきっかけに組織的に改善策をとった、あいテレビから報告があった。

●あいテレビ
弊社は委員会決定の中で、制作現場における数々の問題点について要望を受けました。大きくは、出演者が本当に自分の心を吐露できる、悩みを相談できる環境整備、制作現場のジェンダーバランス、そういったものを指摘いただきました。審理に入った状態のところから、これらのことについて検討、改善を進めました。その中から大きなものを三つ、説明します。

一つ目です。社内体制についてです。23年7月の委員会決定から遡りまして、4月に、従来、編成報道局としていた部署をコンテンツ局に変更いたしました。それまでは1局2部で、局長、編成制作部長、報道部長、管理職3名が男性でしたが、今回1局3部に分けまして、私が女性のコンテンツ局長として着任、制作部長も女性が就任しました。報道部長と編成部長は男性が就任しております。自社制作番組については、私であったり、制作部長であったり、必ず制作部の女性の確認を経て放送に至るという体制になりました。
6月には、開局以来初の女性執行役員として私が就任しております。ただし、こういった幹部への女性登用は、以前から取り組み始めていたことです。去年の秋には、社内のプロジェクトで女性躍進や子育て支援を考えようと、部署を横断するプロジェクトチームが発足しました。これは女性が長く働き続けられる環境を整備し、幹部への女性登用を働きかけるということなど、いろいろな議論をしようというものです。

二つ目です。番組出演者の保護についてです。従来、番組出演者の相談窓口は番組のディレクター、プロデューサーとしていました。23年の4月から、総務部を窓口に加えています。担当者として、男性の部長と、女性の専任部長がおります。ハラスメントが発生した場合は、番組制作のスタッフを通すことなく、そちらの窓口を利用できることを契約書に明記をしております。

三つ目です。これがBPO講演会です。社内体制の見直しや環境整備を進める中で、現場のスタッフにも直接、BPO講師と顔を合わせて、さまざまな意見交換をする場を設けたいということで、昨年10月に、BPOの講師派遣制度を利用しました。
講演会当日は、コンテンツ局のスタッフを中心に30名余りが参加し、曽我部委員長から決定通知のポイントなど、さまざまなことを解説していただきました。そのあと、ジェンダーを意識した番組制作のあり方など、さまざまな意見交換を行いました。
作り手側の一方的な価値観を出演者等に押しつけることはいけない、さまざまな配慮が必要など、たくさん確認事項がありました。たくさんの気づきがありました。

この三点が取り組んでいる大きなものです。完全なものとは思っていません。
引き続き、時代に即した番組制作のあり方ですとか、制作現場のあり方、そういったものを考えていきたいと思っています。みなさまからも引き続き、ご指導をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

■主な質疑応答

Q:申立人がフリーアナウンサーという弱い立場にあり、ジェンダーの問題、男性中心社会であるということはもちろんですが、出演者が芸人やグラビアタレント、さらには男性の局アナなどであっても配慮が必要だと思います。その点いかがですか?

A:これはおっしゃるとおりで、マイノリティだから配慮が要るということではなく、すべての人に配慮が要るわけです。そういう意味では、誰に対しても配慮は必要であるけれども、ただ、とりわけマイノリティの場合、先ほど、松田委員がおっしゃったように、マジョリティが気づきにくいことがあるので、そういうアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)があることを踏まえながら対応しないといけないわけです。
基本的な考え方としては、すべての出演者、あるいは制作スタッフに対して、要するに個人として見るというか、人として見るということが当然、必要だと思います。
(曽我部委員長)

A:民放連が放送基準を改正し今年の4月から施行します。その中では、「出演者の精神的な健康状態にも配慮する」ということで、出演者をとくに属性やら性別、役割とかで区別せず、「出演者」一般に配慮が必要だということを前提にしています。(二関委員長代行)

Q:決定では、深夜時間帯の放送で、放送倫理上問題があると判断するのは控えるのが妥当と指摘されていますけれど、子どもや青少年が視聴する時間帯の放送だった場合は、放送倫理上問題があるという判断になったのでしょうか?

A:こちらはなかなか難しい問題で、いくつかの観点があると思います。ひとつは、今の民放連の基準なども、性的な制限について微妙な書き方をしています。もちろん、子どもや青少年が見ている時間帯に特に配慮が必要なのは当然だけれども、深夜に関しては一定程度、許容されるかのような書きぶりになっています。ですから、時間帯によって、当然、判断基準は変わり得るということはあると思います。というのが一点目です。

他方でということで二点、申し上げます。一つ目は、時間によって切り分けるのは、かなり昔の考え方で、今はいつでもどこでも見られるということです。深夜だからいいということが、昔のような形でストレートに通用するわけではないということです。
もう一つは、きょうのテーマですけれども、そもそも、その性的な内容というものがどこまで今の時代、許されるのかというところです。要するに、通常は女性だと思いますけど、極端に言えば、女性をある種の“物”として見るということに、つながるような内容です。全ての人に配慮が必要で、全ての人を尊重することが求められるという、今の世の中で、そういったものがそもそもどこまで許容されるのか、ということは考えていただ
く必要があると思います。
ただ、他方でさらに言うと、だからと言っても、一切そういうものがダメなのだと一足飛びに私は申し上げるつもりはないのです。けれども、やはり、そこはいろいろ考えていただくことで、従来の延長線上で何も考えずに漫然とやっていくことが許される時代ではないと思っています。(曽我部委員長)

Q:時間帯の話が出ました。そこまで何時に、どの時間帯かって関係なくなっているということですが、プッシュ型メディアのテレビの放送と、プル型メディアの動画配信ではいくらか異なるのではないでしょうか。放送基準42条の放送時間に応じた生活時間という言葉は、その辺りも含んでいるものと理解しています。まったく無視すべきではないにせよ、同列に語れないところがあると思いますが、いかがでしょうか。

A:おっしゃるとおりだと思います。(曽我部委員長)

Q:これはあいテレビさんへの質問です。番組は、先ほども委員から出ましたが、「床上手」、「欲しがっている」など、女性の人格を損ね、性に淫らという印象を与えるものだったと思います。社内で、このような発言は人権侵害に発展しかねないと、個人ベースでも議論するスタッフはいなかったのでしょうか?

A:当時は、番組全体として、いわゆるバーのママと常連との掛け合いということで、大人の会話として、時間帯等々を含めて視聴者に届けても大丈夫という判断のもと、放送していました。もちろん、こうして、「床上手」とか「欲しがっている」とか、言葉を切り取れば、もちろん不愉快で、いろんな思いを持たれる、出演者もそうなのですけれど、視聴者もそう思われるでしょう。
ただ、当時は番組全体を通して、娯楽として番組が成立すると考え、現場のスタッフも「この言葉は」って一言一言に立ち止まること、そういう立ち止まれるチャンスとして気づけなかったということです。今になって、こうして切り取っていろいろ考えてみると、気づけたかもしれないという立場に、今、私どもあいテレビはおります。(あいテレビ)

Q:申立人の女性がプロデューサーに心の内を明かしたのが11月で、BPOに申立てたのが2月。この期間に放送における対処というのは、意見書を読めば伝わるのですけれども、申立人に対して、あいテレビさんはどのような手立てをしていたのか。なぜ、申立てに至ってしまったのかということも含めて、差し支えない範囲で教えていただけたらと思います。

A:私どもが認知したのが2021年11月です。翌年の2022年3月で番組を終了しました。2021年11月以降、私どもから話をしようとしても、代理人を通してほしいと先方から回答がありました。ご指摘にあった私どものフォローは非常に難しかったのが事実です。(あいテレビ)

◆第二部
『日本の「お笑い」――誰に奪われてしまったのか』
(東京大学理事・副学長 東京大学大学院情報学環教授 
林香里氏)

●曽我部委員長
林香里先生は東京大学大学院情報学環の教授で、専門はジャーナリズムとマスメディアです。早くから男性中心のジャーナリズムの構造に対する問題提起をなさっています。私の補足意見でも、先生が最近出された共編著『ジェンダーに学ぶメディア論』を紹介しています。

現在は、東京大学の理事、副学長として、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでおられます。また、2012年度から15年度まで、BPO放送人権委員会の委員をおつとめになり、私もご一緒させていただきました。今回のテーマは、放送業界全体で考えていただく問題だと認識しています。本日、林先生の講演をうかがって、この問題をみなさんに考えていただく機会を持てたというのは大変うれしく思っております。
本日、『日本の「お笑い」――誰に奪われてしまったのか』というタイトルにて、講演をいただきます。

●林香里教授
紹介にあずかりました林香里です。研究分野はメディアジャーナリズム研究で、メディアシステムの国際比較をし、日本のメディアの下部構造、すなわち産業の成り立ちや構造、そして、そこから生まれるコンテンツを研究してきました。
その中で、日本のメディアの最も深刻な問題として挙げられるのが、ダイバーシティの欠如だと考えます。そこには女性の権利の問題も含まれます。また、私自身も、女性としていろいろな苦い経験があります。女性にとってメディアという職場、そしてメディアが生み出すコンテンツ、それぞれに厳しい現実があります。しかし、それは「女性の問題」ではなく、メディア産業全体の問題です。
この被害者の方がこうした形で名乗り出てきてくださったことについて、これをきっかけに将来に向けて、日本の放送産業全体をいかによくしていくかという観点から問題を考えていきたいと思います。

BPO放送人権委員会のみなさまからは、本日本件事案の取り扱いやご判断について、いろいろ説明いただきました。ご説明をうかがっていると、なぜ人権侵害あり、あるいは放送倫理上問題あり
しなかったのかということへの弁解を述べられているように、聞こえました。結局、結論として「問題なしとしたけれども、問題はあった」というのがBPO人権委員会の結論かと思います。

私もBPO人権委員会の委員を務めていました。私が委員だったら、おそらく少数意見を書いて、少なくとも倫理上問題ありと考えていたと思います。ですけれども、その部分は結論であって、今回の場合は、おそらくは、結論はそこまで重要ではなくて、その先の問題をもっと議論したいというのが放送人権委員会のご意思だろうと、解釈します。だから私などをこの場にご招待くださった。それはたいへんありがたいことです。

ただ、そのような見方は、なかなか難しい。やはり結論は結論なのです。放送人権委員会としては、性的嫌がらせの問題や女性の人権よりも、ひたすら、広義の「表現の自由」を抑制しないように、人権委員会の存立意義であるところの「言論・表現の自由」の部分を犠牲にしたくないから、このような結論が出ていると推察します。しかし、それをすることによって、結果的には、世の中のたくさんのマイノリティの人たちを落胆させて、そして結果的には社会の人権感覚を鈍らせてしまっていると感じます。

ただ、それは放送人権委員会の問題もさることながら、日本の放送業界全体の問題でもあります。放送産業は、放送の自由とか表現の自由によって手厚く守られているからこそ、かろうじて、こんなひどいことをしても、「問題なし」という甘い結論になったことを、非常に謙虚に受けとめていただく必要があると思っています。
例えば、今回、放送倫理上の問題があったという結論が出たとしたら、それで放送局や業界が、「ほら、放送人権委員会はまた表現の自由を制限しているじゃないか」という話になったとしたら、それは本当に放送業界、終わっていると私は思うのです。
BPOと放送局の信頼関係もゼロということです。これはそういう話じゃないですよね。やっぱり、いい放送を作るために何をすべきかということを議論しなくてはいけないと思うのです。そういう建設的なマインドセットを、この問題を軸にして考えていただきたいと、まず大枠のところで私は思います。
もし、私が本日、この場で倫理上、何かここはおかしいと言ったとしても、それが放送局への表現の自由への制限ということではないです。ぜひ、そのところを誤解のないようにお願いしたいと思います。

もう一つ言いたかったのは、松田委員が「自分の経験が走馬灯のように思い出される」とおっしゃいましたけど、私もそうです。たくさんの人がそう思っています。声に出ないけれども、こういうことで本当に嫌な気持ちになる人が、たくさんいるわけです。そこも表現の自由とはまた別の意味で、「言論・表現の責任」という観点から問題を考えていただきたいです。

この話をしたのは、放送局はヒアリングのとき、ほとんど反省がないような、「いや、何でも言える子だった」とか、「もうちょっと有名になりたかったんじゃないですか」とか、そんなことを言ったようなことが委員会決定に書いてありました。私は状況を知りませんから、コンテクスト(文脈)はわかりませんけれども、そういう記録が残っているわけです。世間的には「なーんだ。こういう受け答えをするテレビ局でも倫理上問題なし」となってしまう。局はそこを真摯に受けとめてほしいです。そして、次にどういう発信をしてくださるか、期待しています。

また、もう一つ付け加えると、いわゆる「下ネタ」が、いまだに笑いの一つの重要なコンテンツになっていることにも、驚きを禁じえません。ぜひ、いつか、テレビ局が今、どういうふうにバラエティーのコンテンツの在り方を考えているかを知りたいです。
お示ししている毎日新聞の記事にもありますように、「下ネタ=笑い」という非常識な業界の常識があるようですが、女性の芸人だと、必ずこうした下ネタを振られるという現実があるようです。

今回の、委員会決定に書いてある「エッチな話に罪はなし」というテロップや、「下ネタがいいじゃない、やっぱり罪ないよ」と、有名な芸人さんが、おっしゃっているわけです。それはどういうことかというと、下ネタがメインストリーム化しているわけです。2021年の話です。昭和の話じゃないわけです。こういう状況の中で、申立人が名乗り出たというわけです。

先ほど委員長から、日本のテレビ番組を作っている側の人の男女比と、テレビのスクリーン上に出てくる男女比という説明がありましたが、番組ジャンル別でオンスクリーンでの男女比をみると、バラエティーとお笑いでは圧倒的に男性出演者が多い。このデータは、『放送研究と調査』の2022年5月号からのものですが、現状の番組制作現場はこういう状況なわけです。
また、ツイッターで写真が出回っていたのですけれども、お笑いコンテストの審査のとき、審査員は男性で、後ろの観客のほぼ全員が女性でした。こういうイメージがお笑いに定着していることは、記憶しておくべきと思います。

では、画面に出てこない制作者たちはどうか。民放労連の統計では、例えばキー局では女性がやっぱり圧倒的にマイノリティ。地方でも女性役員ゼロの局がたくさんあります。あいテレビさんは、執行役員に女性を入れたと先ほどおっしゃっていましたが、こういうことでもないと変わらないのだとすると、非常に残念です。

実は一つ難しいと思うところもあります。BPOの見解で、先ほど委員長がおっしゃいましたように、ジェンダーバランスが悪く、圧倒的に男性ばかりの職場環境が、こうした番組を生み出す一つの原因じゃないかと、BPOも書いているわけです。
では、放送業界での「女性の視点」って何ですか。女性だったら誰でもいいですか、ということになると思います。男性中心社会で、女性がマイノリティになれば、テレビ局の常勤の女性は、「男性と変わらないような」価値観を身に着けて出世していくわけです。これは私が調査した『テレビ報道職のワーク・ライフ・アンバランス』という本の一部ですけれども、やはり女性が男性と同じように対当に頑張るためには、男性と同じような価値観で仕事をしていかざるを得ない。
例えば、きょうもBPO放送人権委員会の見解がありまして、放送倫理上問題なしとなっていますけれども、補足意見と少数意見は、いずれも男性委員のみでした。ということは、女性委員がどういうふうにここに関わっているかは見えないわけですね。

では、いったい「女性」が意味するところの内実は何のかと言うと、今回の場合は、女性というだけでなく、女性であって、さらに非正規雇用者だったということが、かなり大きなポイントだと思います。この弱さの重なり、二重の負荷を背負っている現実、これを「インターセクショナリティ」と私たち研究者は呼びます。これはもともとは、黒人の女性が、白人の女性に比べてより過酷な差別を受けているという問題提起から始まった言葉です。例えば日本の場合、女性の非正規雇用者というのは、女性の正規雇用者よりもさらに社会的な待遇が低くて、声を上げる力も機会もない人が多い。この点がやはり大きく問題になっていると思います。

翻って、放送局の主張、意見書によれば、例えば「不快な感じも見受けられなかった」、「編集で全部カットしました」、「本心を隠してきたとは信じがたい」そして、「これまでも良好な関係を築いていたのです。クレームは一件もないです」というふうに、記載されています。
また、BPO人権委員会の結論は、申立人のほうが、そういう素振りを見せていなかったから局には過失はないとして、倫理上問題なしとして、最終的に、「制作現場における構造上の問題としてとらえるのが妥当である」と結論を出しています。

では、ここで言う「構造上の問題」とは何か。きょうのこの会議では、この部分を言語化、共有化して、その後、みなさんがそれぞれの部署に戻って、制作現場の方々に伝え、話し合っていただければと思います。ということで、制作現場の構造上の問題とは何かを考えます。以下、三点あります。

第一に、「マジョリティ側の特権」を考えてほしいと思います。例えば現場で、日本人で、男性で、健常者で、正規雇用で高学歴、これが重なれば重なるほど、特権が増していきます。よく自動ドアの例えというのが言われているのですけども、前に進んでいくときに、こうした特権があればある人ほど、全く気付かずに、真っすぐドアがどんどん開いて、先に進めるのです。
ところが、こうした特権がない人、例えば体に障害がある方は、どこかでドアが自然に開かないとかですね。女性だったら、そこでまた開かないということで、マイノリティ性がある人ほど、先に進まなく、マジョリティにとっては当たり前のことができなくなる。こうした状況が、このマジョリティ特権を持つ人たちと、特権を持たない人たちとの分水嶺だと思います。

では、マジョリティの方々は誰かと言うと、大体、ここにいる人は、みんなマジョリティだと思えばいいです。男性、女性、関係ないと思います。集団の中で発言しても、内容に違和感を持たれづらく、自身も安心感がある。何か言っても、「あの人ちょっとなんかずれているよね」とか、「変わった人だね」とか、「言葉が聞き取りにくいね」とか言われない。つまり、文化や社会背景を共有する人たちが、周りにたくさんいれば、それがマジョリティです。だから、安心して何か発言もできる。

自分の属性を隠さなくてもいい人もマジョリティです。例えば、女性だと経験あると思うのですけど、やっぱり女を出しちゃいけないと思って、とにかく男性と同じように仕事をする。「女を隠す。女を捨てる」と、よく俗語で言うのですけども、それも一つの、このマジョリティの特権を持ってない側がやることです。
さらには、LGBTQの方は、自分の真のジェンダーやセクシュアリティを隠すとかですね。あるいは障害がある人も、「自分はちょっと迷惑になるから」と参加を遠慮するとか、そういうことをするわけです。自分の考えや属性を隠さなくていい人が、マジョリティ側にいることだと思ってください。

このほか、今の職場環境を自然に受けとめることができる人もマジョリティです。テレビ局の職場は労働時間が長いですよね。本当に大変な仕事だと思います。おつかれさまです。
ただ、その職場環境が、どちらかと言うと、自分たちに都合のいい職場のレイアウトだったり、働き方慣行がまかり通ったりしていませんか。最もわかりやすい話ですと、トイレの数です。男性と女性のトイレの数はどうでしょうか。あるいは、ジェンダー中立のトイレはあるでしょうか。
さらに、出勤や勤務時間、例えば小さな子どものお迎えの時間を心配しなければならない人や、介護のために長く休まないといけない人もいると思います。こうした人たちは、労働環境、労働条件をつねに負担に思い、肩身の狭い思いをしているのではないでしょうか。それは、日本のマジョリティの男性たちが、こうしたケアの義務を免除されているから、職場環境や労働条件がそこに合わせてつくられているからなのです。

最後に、マジョリティ側は、正規社員で会社にいる時間も長く、社内にネットワークがあり、いろんな情報アクセスできる。どこの部署の何さんが、あの問題には詳しいとか、あるいは、あの人は以前、こういうこと言っていたよというような情報を持っている。これもマジョリティの強みで、とても重要なことです。なぜならば、いろいろな状況で正確な判断をするためにはたくさんの情報が必要です。情報がないと不安になるし、怖いから何も言えなくなる。自分がいろんなことを知っていると思えば、意見が言えるのです。マジョリティとマイノリティの差というのは、この情報量の差が大きいのです。

本日先ほど、あいテレビの方が、本件の申立てを受けて、三つのことをしたとおっしゃっておられました。女性の執行役員を増やした、相談窓口を作った、そして、BPOの先生方をお招きしたとのこと。でも、それでは足りないです。それ以上に、こうした、自分たちはマジョリティ側にいるという意識のトレーニングをして、私たちがあたりまえに前提としているものは何か。私たちの世界観はどう規定されているかを自覚してほしいです。自分たちがどのように自分たちに有利な環境をつくり、いかにそこにどっぷりとつかっているのかを、もっともっと自覚する必要があると思います。

私は、勤め先がマジョリティの大本山の東京大学ですので、大いに反省するところがあります。そうした意味でも、大学全体でこうしたマジョリティのトレーニングを今年から始めまして、全員に研修を義務づけています。その一つとして、例えば幹部には、全員に演習を通して、自分たちのマジョリティ性を意識してもらっています。
ただし、マジョリティにいること自体がダメだと言っているわけではありません。実際、それは変えられないのです。しかも、それはありがたいことでもあるわけです。だから、そうしたポジションから、マイノリティの人へ何ができるかということを考える。それがマジョリティの責任で、それにはトレーニングが必要です。当たり前にみんながわかることではないのです。
あいテレビにも、ぜひ、こういう研修をやっていただくと良いと思います。いろんな企業がやっています。こちらにいらっしゃる局の中にはすでに実施している局もあるかもしれません。もしやっていたら、このような場でも、のちほど情報共有すればいいかなと思います。どうか考えてみてください。

第二点目として、マジョリティの意識を持つことと同時に、私たちには皆、無意識のバイアスがあるということも自覚すべきだと思います。例えばステレオタイプ、先入観で、「こういう学歴の人はああいう人だ」とか。
あるいは、正常化バイアス。「このぐらいなら大丈夫じゃないか?そんな大きな問題じゃないよ」というようなこと。
このほか、権威バイアス。偉い人の意見は全て正しいと考えがちです。売れている芸人さんが言ったんだから、あれでいいのだとなったりする。
外見バイアス。女性で、優しい感じの人だと、あのくらいなら許してくれるのじゃないかとか。これも無意識のバイアスです。
今回の案件では、男性たちがアナウンサーにこれぐらいなら許してくれるだろうと思っていたら、本人には心ない言葉が胸の奥底に溜まっていて、最終的に非常に傷ついていたということです。こういう状況を作り出した罪も考えてみる必要があると思いました。

最後に、マイクロ・アグレッションという言葉についても言及しておきたいです。
さまざまな偏見の中で、日常的に小さな人権侵害、マイクロ・アグレッションというものが近年脚光を浴びています。「女性だから喜ぶんじゃないか」とか、「いつも明るく振舞っているよ」とかを前提に、立場の弱い人に日常的に言葉を、投げていると、とくに女性などのマイノリティ側は、そのようなステレオタイプの檻に閉じ込められ、閉塞感を抱いて、傷ついたまま放置されがちです。長年にわたってそのような状況に追い詰められた側は、日常の連続性の中で異議申し立てをするチャンスも失い、絶望に追いやられていくことになります。
マイクロ・アグレッションは日常に埋め込まれているだけに、意識をしないと、どんどん組織の中で蓄積していき、集団として差別に鈍感となり、やがて集団的な差別やヘイトスピーチといった大きな問題にもつながっていきます。組織そのものが鈍感になると、誰もあえて異論も唱えなくなる。同調同化作用がますます加速して、成長や軌道修正のチャンスも失われてしまう。クリエイティブが命のテレビ局には、まさに命とりになりかねません。

きょうの話で何をすればいいのかというのを、とても迷いました。ここで、放送人権委員会の判断そのものについて、それが正しかったのかとか、何が足りなかったのかとか、そういうことも細々と指摘することもできたのかと思います。
ただ、そのような話だけでなく、私たち全員で共有したいのは、テレビ局というのは表現で勝負をしている職業だということをまずは念頭に置く。そのうえで、勇気をもってこの案件を申し立ててくれた申立人の勇気と苦労を無駄にすることなく、今後、よりよい表現、おもしろい番組をつくっていくためには、何をしなくてはいけないかということを、BPOとテレビ業界すべてが考える必要があると思います。

何度も申し上げますように、この事案は、女性の問題でもなければ、法学的な表現の自由の問題でもない。これは、テレビ業界が抱える、圧倒的なマジョリティ特権が生む、現状再生産が永遠に続き、先細る日本社会の問題の一端で、人間の想像力や創造力(クリエイティビティ)を削ぐ組織構造や人材育成の問題だということです。
そして、ここにこそ、先程の人権委員会の話に関わってくるのです。つまり、制作現場における構造上の問題。それは単に女性の頭数が少ないというだけではなくて、テレビ業界の歪んだジェンダー構造に象徴される現状維持と再生産、そして業界全体の地盤沈下につながるのです。
本日、この後に、マジョリティの特権が全く意識されていないから、この申立てのような案件が起こったという私の指摘を、ぜひ一度、考えてみてくださればと思います。「林さんはあんなことを言っているけど、うちの局は違うわ」とか、「もうそんなことはとっくの昔からわかっている」ということでもいいです。きょうの話と感想を、帰ったら各社で口に出してまわりの皆さんにお話してみてください。きっと、まわりには黙って我慢しているマイノリティの人がいるはずです。みなさんから、そういう話題を提供すれば、その方たちも思うことがあって、対話が始まるかもしれません。以上が私のきょうの発表です。ありがとうございました。

■主な質疑応答

Q:当事者にとって、こだわらざるを得ない部分、例えばLGBTQ以外にも多様な性があるという主張などでも、ニュースや番組尺の関係、また、あまりに複雑になると、視聴者の理解が追いつかないなどの理由で、簡略化や類型化しなければならない場合があります。全ての表現を取材先が納得するまでやり取りすることは、現実的でないとも思えます。どのような対応が好ましいのか日々悩んでいます。

A:そういうふうに悩んでいらっしゃるのが素晴らしいと思います。そういう方がいることが本当に希望だと思うのです。尺が短い。とくにテレビの場合は、尺が短いから紋切り型にならざるを得ない。それは確かに悩みですけれども、まず、それを意識することが第一歩です。
そして、第二歩目には、一回の放送で全部が解決できないではと思います。少し長いスパンで何ができるかということを考えて番組制作をしていただければと思います。
そして三つ目に、最後ですけども、その人だけでは解決できないと思うんです。例えば、自分はニュース制作していて、紋切り型やっちゃったよな。また、桜の映像とともに若い女性入れちゃったみたいな、そういうのがあると思うんです。でも、それはそれであったとしても、今度は別の番組、例えばドラマの人と話をして、対抗軸をつくってみるとか。これは一つの番組だけで解決することでは到底ありませんから、局内のネットワーク、あるいは番組制作会社同士のネットワークを作って、何らかの体系的取り組みを少しずつでもしていただければと思います。頑張ってください。応援しています。(林教授)

Q:メインターゲットが女性の商品を扱うときに、意図的に「女性のみなさん」と限定した呼びかけをすることはよくやっています。ユニセックスの財布を紹介する際に、女性のみなさんと呼びかけましたが、女性用の商品ではないので、ジェンダーの観点から、呼びかけは、ご覧のみなさまなどにしたほうがいいのでしょうか。

A:たくさん売れるために、みなさまって言ったほうがいいんじゃないですか。女性に限定する必要がある物だったらそうですけども、そうじゃないなら、みなさん使ってくださいと言ったほういいのではないですかね。男性、女性をそこまで意識する必要がどこまであるのでしょうか。性にも多様性があるわけだし、女性だからどうっていう紋切り型を崩すのが面白いところだと思います。お財布、いろんな人が使ってもらったほうがいいと思ったら、「みなさん」と言ったほうがいいと思います。(笑い)
(林教授)

Q:スタッフの制作現場に女性を登用することが問題解決の一つのポイントということは、もっともだと思います。ただ、いろんな問題でそれが適わない場合、どう対処すべきでしょう。女性を配置したら、それで事足りるということでもないと思いますが。

A:例えば、この度、あいテレビに、執行役員に女性の方が就任されて、私、ほんとうに大変だなと思って見ていました。女性にこの案件の反省全部を背負わせますかって。
私も東京大学で管理職をやっていますからよくわかりますけど、女性差別の問題を全部私が担いで、世界の女性のために、解放のためになんてできないです。むしろ男性側が気づいて、開かれた職場とか、開かれたテレビ番組を作ってもらわなくては。さらには、視聴者も巻き込みましょうということは、全員でやらない限りは、こうした女性差別、マイノリティ差別の問題は解決できない。
もちろん、気づきを多くするために女性を増やすのはいいことだと思いますし、私は女性が多くいることが、職場も番組も豊かにすると思います。
けれども、女性を増やすことだけで、そして、その少ない女性たちに、問題を背負わせること。それも気の毒だと思うし、そんな簡単な問題じゃないと思います。
(林教授)

Q:ストーリー性のあるドラマやアニメの中で、LGBTQに関する内容を主題にする場合、「おかま」という名称を使用する是非について、意見をうかがいたい。最終的に、LGBTQの当事者を否定しない内容で、ストーリー上必要なセリフとして、「おかま」というワードを使用することは問題があるのかどうか。また、LGBTQを主題に物語を作る場合、気にしたことがあれば教えてほしいです。

A:全部、私の意見ですからね、みなさんが考えて、そうじゃないと思われれば、みなさんで、話していただければと思いますけれども、「おかま」という言葉は過去に使われてきた言葉で、それで傷ついてきた人がたくさんいると思います。傷ついてしまうから、さっき言ったように、自分の属性を隠す。LGBTQはそのような典型的な社会グループの一つだったと思うんです。
その言葉をもし何かの形で使わなければいけないシチュエーションがあるとしたら、何らかの形で使わざるを得ないっていうことを、しっかりと留保をつけて、限定しない限り、私は使えないと思います。使うと大きな責任が発生するわけです。緊張感と覚悟をもって、どうしても使わなくてはいけない理由を説明すべきです。説明する責任は使う側にあります。
特にテレビは、公益性、公共性がとても重要な価値なわけですから。ぜひ緊張感をもって考えていただければと思います。(林教授)

Q:数年前に、イギリスのBBCで、番組に出演する人たち全員の男女比をなるべく半々にしようという取り組みが始まったときに、批判の声が上がったと聞いたことがあります。例えば専門家のインタビューだったら、その道に一番通じる人に話を聞くべきだと。その以外の人たちにも、適材適所、もっともその道に優れている人を据えるべきで、男女比を均等にすることを目指そうとして、よりよい番組作りが阻害される恐れがあるのではないかという批判があったらしく、調べた限り、人権の立場から明確にそれに反論するインタビューにまだ出合えていなくて、どう思われるか、うかがいます。

A:そういう話もよくありますね。テレビに出演するコメンテーターは、もちろん、うまく解説のできる人、その分野の一番よく問題に精通している専門家が出ることがいいわけです。しかし、現実は、必ずしもそういう判断基準でコメンテーターが選ばれているとは限らないと思います。私も研究者ですから、そういうふうに思います。
どう選ばれているかというと、テレビ局の方が一番よくわかると思うのですが、あそこであの人は前も出ていたとか、時間がないから電話番号が携帯に入っているからとか、惰性や効率で決まっていくわけです。つまり、専門家の選定基準が、現状再生産の、ジェンダーバランスを全く気にしない方法がまずいのです。
惰性で選ぶのではなく、まさに優秀な専門性を基準に、これまであまり声を出していない女性の専門家を意図的に入れることも考えていただきたいと思います。

さらに付け加えるとすれば、声を与えることによって、専門家も伸びていくわけです。
今まで機会がなかったから、女性の専門家もメディアの中で育っていかなかったところがあると思います。
みなさんの公共的な使命の一つに、よい専門家を育てるという観点をお持ちいただければありがたいです。男女含めたいろいろな専門家を育てていただければ、女性の視点とか、マイノリティの視点とか、多様な視点が自然に増えていくわけですから、三方良しで、ぜひそうした形で専門家の選定も考えいただければと私は思います。(林教授)

●曽我部委員長
(講演で使った)放送業界での女性の視点とは、というスライドに、人権委員会の意見がいずれも男性委員によるものだとあります。この趣旨が、わからなかったのですけど。補足いただいてよろしいでしょうか。

●林教授
放送業界に女性が少ないことが問題だという委員会の意見は、女性こそがこうした問題に敏感だというご意見だと受け止めました。翻って、BPO放送人権委員会には女性の委員もおられるのですが、少数意見や補足意見は全員男性で、こうした部分に敏感な女性の意見があってもいいわけですけども、それがない。あるいは、BPOという組織でも女性が声を抑制している(抑圧されている)のかもしれない。そういう意味では、男性、女性ということを組織内の数で考えることが、どこまで適切かなと思います。
ただ、内情が私にはわからないので間違っているのかもしれません。

●曽我部委員長
委員が個別に意見を書くかどうかは完全に個人の自由なので、たまたまこうなったということではあります。女性の視点か、男性の視点かは関係ないということであれば、それはおっしゃるとおりだと思います。

●林教授
はい。組織の中ですと関係のないこともよくある、と申し上げました。

●曽我部委員長
そういう趣旨であれば、了解しました。ありがとうございます。

●林教授
委員会の要望では、放送産業の女性の少なさを強調されてきていると思うのです。そういうことなら、委員会の中でも男性と女性がいるので、女性としての何らか観点がもう少しあってもいいのかなと思ったので指摘しました。
この指摘が適切かどうかは、議論のプロセスはわかりませんので委員会に委ねます。書くか書かないかは、もちろん自由だと思います。けれども、書くこともできるわけなので、そういう意味では、委員会がご指摘されているような「女性の視点」は可視化されていませんでした。

●曽我部委員長
個別意見には出ていないけれども、男女を問わず、全員の意見を自由に出し合って、意見をまとめたということです。

■オンライン意見交換会のまとめ(曽我部委員長)
長時間、みなさまにお付き合いいただきましてありがとうございます。登壇いただきました林先生、それから説明いただいた、あいテレビの方々もどうもありがとうございました。人権委員会は、構造というよりは個別の行為、個別の事案を判断するのがミッションだと認識しております。構造問題を正面から扱うのは難しいという認識がありました。
したがって、今回取り上げた委員会決定の本体では、個別の問題を取り上げ、構造問題は付言のところで扱うにとどまりました。
他方、本日この場で議論すべきは、やはり構造問題だろうということで、本日はそちらになるべくフォーカスするスタンスで、私どもは説明もさせていただいたということです。ただ、その点について、わたくしども特段専門家でもありませんので、林先生には、こういった構造問題をご説明いただきました。
マジョリティが作る特権ですとか、無意識のバイアス(アンコンシャスバイアス)の温存ですとか、マイクロ・アグレッションの問題というようなところにまとめていただいて、われわれが漠然と申し上げていた構造問題というのが可視化されたと思っています。

これは林先生からもありましたし、私も冒頭申し上げたのですけれども、こういう意見交換会の場ですと、その場で話を聞いて「ああ、そうか」とか、「いや、違うんじゃないか」とか、感想はおありかと思います。けれども、大体それで終わってしまうことがあります。あいテレビさんにお邪魔したときも申し上げたのですけれども、講師を呼んで話を聞いて終わりでは、何も生み出さないと思います。
したがって、きょう話をお聞きになった方々はそれぞれ各社にお持ち帰りいただいて、さらに議論をしていただく。議論するだけではなくて、何らかのアクションにつなげていただく。そういうことが大事だと思います。アクションする中で、さらにアドバイスが必要であれば、それぞれ、専門家がいますので、そこに相談するとか、そういう形で今後につなげていっていただきたいと思っております。
本日がその一歩になれば、大変ありがたいと思います。どうもありがとうございました。

以上

第325回

第325回 – 2024年3月

2023年度申立て状況を報告…など

議事の詳細

日時
2024年3月19日(火) 午後4時 ~ 午後6時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室 (千代田放送会館7階)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

2.2023年度申立て状況報告

年度末にあたり、2023年度の申立て状況全般について事務局から報告した。

3.運営規則改正について

現行運営規則に、主にヒアリングなどの実状に合わせた小さな修正を施した事務局案が提案され、議論の結果承認の決議がなされた。この後、5月の理事会で諮られることになる。

4.その他

今年度で退任する委員から挨拶があった。

以上

第193回

第193回–2024年3月

NHK『ニュースウオッチ9』新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族を巡る放送についての意見への対応報告を了承

第193回放送倫理検証委員会は、3月8日に千代田放送会館で開催された。
委員会が2023年12月5日に通知・公表したNHK『ニュースウオッチ9』新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族を巡る放送についての意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
関西テレビが2023年11月3日に放送した『ちまたのジョーシキちゃん』の外食チェーン店のランキングを訂正した事案を討議したが、審議入りはせず議事概要に意見を掲載することで終了した。
2月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見が報告された。

議事の詳細

日時
2024年3月8日(金)午後5時~午後7時35分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』新型コロナウイルス接種後に亡くなった人の遺族を巡る放送についての意見への対応報告を了承

昨年12月5日に通知・公表したNHK『ニュースウオッチ9』新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族を巡る放送についての意見(委員会決定第44号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の公表後すぐに、NHKの全役職員にBPO意見の全文を周知し、全国の放送現場で取材・制作に携わる一人ひとりが、再発防止の取り組みを自分事として真摯に受け止め、互いに納得がいくまで議論を尽くす組織へと改善し、視聴者の信頼に応えていくことや、役員・本部部局長などからなる放送倫理委員会を開催し、出席者からは「視聴者の信頼はNHKにとって必要不可欠で、『公共放送人』としての心構えをしっかり浸透させる必要がある」という意見が出たことなどが記されている。また今回の問題では、上司のCL(チーフリード)や編集責任者(編責)がみずからの役割を果たしていなかったことから、上司や編責の権限を明確に定義した。例えば編責は、企画提案の採否やニュースのオーダー、時間配分を決定するだけでなく、すべての項目の取材・制作における品質管理・リスク管理を行うことを明記した。さらにBPOから「ジャーナリズムに関わる感度の底上げが焦眉の課題」と指摘されたことを受け、「公共メディア職員としての使命感、責任感の向上」「新人層から基幹職まで一気通貫した研修カリキュラムの構築」など、成果が一朝一夕に出るものではないという認識の上で「新たなジャーナリズム教育」に取り組むことなどが記されている。
委員からは、これまでと同じような内容が繰り返されている、制作した者と管理する者が1対1で責任を持てば問題は起こっていなかったはずで縦の管理を強化するなどの取組みにどれだけ効果があるのか疑問だという意見もあったが、委員会決定の公表後に取られた措置に対するフィードバックの意見が載っている点を評価する、新しいジャーナリズム教育の実行に注目したい、NHKのニュース報道の質の高さを踏まえれば問題を組織全体の評価につなげることは慎重であるべきだなどの意見が出され、報告を了承して公表することにした。
NHKの対応報告は、こちら(PDFファイル)

2. 関西テレビ『ちまたのジョーシキちゃん』について討議

関西テレビは、ローカルバラエティー番組『ちまたのジョーシキちゃん』(毎週金曜午後7:00~8:00)を制作。2023年11月3日放送のコーナー企画「関西人1万人が選ぶぎょうざがおいしいチェーン店ランキング ベスト10」の中で、大手外食チェーンA社を除外したランキングを放送した。放送後、A社からの指摘を受けて11月24日の番組でお詫びした。
番組は関西での話題や人気施設、有名飲食チェーン店などを取り上げ、ゲストを交えて展開するトークバラエティー番組。おりおりインターネットアンケートの結果をもとにランキングを採用していた。
本放送ではアンケート結果で2位だったA社が除外され、3位以下のチェーン店が繰り上げられ、本来はランク外だった外食チェーンが10位で紹介されていた。
ランキングを捏造したことについて関西テレビは報告書の中で、A社とライバル関係にあった別の大手外食チェーンB社が1位になったことから「同じ番組の同一放送回では同時に取り扱うことができないのではないか」と懸念し、「2位のA社を外すことを、プロデューサーを含む番組全体会議で決定した」旨の説明をしている。
放送後の11月6日、A社からの指摘で社内協議。ランキングのお詫びと訂正をすることを決めたが、A社、B社ともにSNS等による風評被害が出る恐れを懸念しているとして、お詫びは11月24日の番組エンディングロールに直結させた15秒枠で放送。前回放送されたランキングと、A社を2位とした新たなランキングをCGでそれぞれ表示。ナレーションで「ここで関西テレビからお詫びと訂正です。11月3日に放送した『餃子ランキング』の順位に誤りがありました。正しくはこちらです。視聴者ならびに関係者の皆様に訂正し、お詫びいたします」と伝え、ランキングを捏造したことや経緯は一切触れていなかった。(WEBでもお詫び)
関西テレビでは12月8日、第三者委員会である「オンブズ・カンテレ委員会」(2007年の「発掘!あるある大事典Ⅱ」の食品データ改ざん問題を機に設置)を臨時開催。また2024年1月に番組審議会を開いて報告。それぞれの委員からアンケート結果の改ざんについて厳しい意見が寄せられた。

放送倫理検証委員会では2月9日に討議入りを決定。3月8日の討議では、弁護士の委員が委員会規約などを照らして問題点を整理。「本放送が虚偽の疑いがある放送であることは確実」「スポンサーの意向に忖度してアンケートを捏造した行為は放送の自主・自律の根幹を揺るがすという議論になる」との考察を報告した。これまでの委員会では以下のような厳しく指摘する意見が相次いだ。

  • B社に忖度してA社を外したことが問題であるのに、お詫び放送の中でもA社、B社に忖度して経緯を説明しないのは視聴者をばかにしている。
  • 虚偽放送はあきらかで、審議入りか審理入りかのレベルの話だ。悪質性は相当高い。
  • うそのランキングについて視聴者からあまり意見が寄せられていないのは、テレビはこんなもんだと思われているのではないか。
  • 外食産業という消費者、ファミリー層に影響のあることを取り上げているのだから、餃子のランキングにすぎないという問題ではないはずだ。
  • 仮に番組制作に営業がかんでいるとするならば、大きな問題ではないか。
  • 関西テレビはオンブズ・カンテレの存在に甘えている。番組としての自主・自律がない。

ただ一方で、アンケート捏造が構造的、恒常的に行われていた事案とは見受けられないことや、オンブズ・カンテレや番組審議会での厳しい意見を受けて、関西テレビが再発防止に向けた取り組みをしていることから、討議を終了し審議入りは見送った。

3. 2月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

報道番組で芸能事務所創業者から性加害を受けたことを実名告白し、翌月自殺した男性の妻に対するインタビューが放送され、男性が「SNS上で誹謗中傷されたことを苦にしていた」という内容が含まれていたが、誹謗中傷が芸能事務所に所属していたタレントのファンによるものだとは断定されていなかった。ところがテレビ局が同ファンを犯罪者のように扱っているという意見が多数寄せられた。またバラエティー番組が「関西人がイライラする瞬間」というテーマを取り上げ、出演者が「病院から処方箋をもらって薬局に行くと、薬剤師から医師と同じ質問を何度も繰り返しきかれる」「薬剤師には医者への憧れのようなものがある」と発言したことについて、「職業差別だ」「薬剤師を侮辱している」「収録番組であるのにテレビ局はチェックせずに放送した」などと批判する意見が多数届いたことなどが事務局から報告され、議論した。

以上

2024年2月に視聴者から寄せられた意見

2024年2月に視聴者から寄せられた意見

ドラマ原作者が急死した件の調査は第三者機関が行うべき、裏金のことを自民党の発表通り「還付金」と報道するのはよくない、などの意見が寄せられました。

2月にBPOに寄せられた意見数は2,308 件で先月から 102 件減少しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 88.8% 電話 9.9% 郵便・FAX計 1.3%
男女別(任意回答)は、男性37.1% 女性25.7 % で、世代別では40歳代 29.7% 50歳代 21.5% 30歳代 21.1% 20歳代 11.7% 60歳代 7.6% 70歳以上 3.0% 10歳代 1.2%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、2月の送付件数は1,186件、43事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から12件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

テレビドラマの原作者が急死した件の調査は第三者機関が行うべき、ニュースで裏金のことを自民党の発表通り「還付金」と表現するのはよくない、などの意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は19件、CMについては14件でした。

青少年に関する意見

2月中に青少年委員会に寄せられた意見は103件で、前月から26件増加しました。
今月は「表現・演出」が40件と最も多く、次いで「要望・提言」が25件、「いじめ・虐待」が10件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 4歳児が薬物中毒で死亡した事件のニュースで、薬剤の名前、致死量、錠剤の場合の個数などを医師が詳細に説明していた。服用中の患者などに自殺の方法を教えることにならないだろうか。

  • ニュースで自民党議員による裏金・キックバックのことを、自民党の発表どおり「還付金」と表現している。自民党側の言い分だけを垂れ流すべきではない。

  • タレントが性的行為を強要した疑惑について、コメンテーターが「(相手が)怖い思いをしたと言っているんだったらシンプルに謝ればいいのではないか」などとコメントしたが、これから裁判で争う内容であって現段階では真偽は不明ではないのか。

  • 火災のニュースで私の父親の名前が「行方不明者」として報じられた。テレビ局に対して実名を伏せるよう要請したところ「報道には火災の被害を防ぐ啓蒙の意味合いも込めている」との回答だったが、家族感情を超越するほどの理由なのだろうか。

  • 多くの男性が締め込み姿で参加する伝統的な祭を生中継した際、スタジオの出演者が「ポロリの可能性ありますね」などと祭りを茶化すような発言をしていた。祭りの関係者や地元の人々を貶めているように感じた。

  • ニュース番組で人が亡くなっている事件の冒頭部分を伝え、「何があったのか」と内容を伏せることでCMを見せるやり方は不謹慎だと思う。

【教養・バラエティー】

  • トークバラエティーの「イライラする時間」ランキングで、出演タレントが調剤薬局で薬剤師に話しかけられる時間を挙げ、「薬剤師に症状を説明しても薬は変わらない」「医師への憧れがあるのではないか」などと発言して笑っていた。患者とのコミュニケーションは薬剤師の重要な業務。放送による影響を考えてほしい。

  • 「小6図工時間いたずら」と題し、ゲームで負けたタレントの親指と人差し指を瞬間接着剤で接着していた。相撲界の暴力問題で「暴行内容」に挙げられている行為だ。夕方、子どもと見たが、悪質な行為でまったく笑えないし、子どもの視聴への配慮も感じられなかった。

  • いわゆる「レアハンバーグ」を出す店を紹介し、赤い部分が残っている状態で食するシーンを放送していた。(病原体は主に肉の表面に付着していて、ひき肉にすると全体にまぶされるため)厚労省も「ひき肉を使った製品は中心部までの加熱が必要です」と呼びかけている。肉の生食を取り上げる場合は注意してほしい。

  • 男性に水に溶ける水着を着せ、性器を露出させて笑いものにする、あるいは男性が大浴場に入浴中にロッカーを改造して開かなくし、全裸のまま動揺する様子を笑うなどの企画。学校では男女を問わず「プライベートゾーンを大切にする」と教育しているのに、テレビは男性を差別している。

  • タレントが自然の中で調理する企画。「山」としか明らかにされていないが、クマの生息が確認されていないエリアなのか説明してほしい。クマがおびき寄せられ、人里に降りてくる原因になったりしないのか。

  • 番組プレゼントの応募方法が、番組指定のキーワード「#(タレント名)干そう」をSNSで拡散するというもので、結果、特定の個人を排除するような言葉がトレンドワードになった。番組の関係者や視聴者以外のSNS利用者から見れば中傷だと思う。

  • 20トンクラスのパワーショベルを用いてワイングラスを積み重ねるという企画で、挑戦するタレントの「特別教育修了証」が紹介されたが、この資格で操縦できるのは3トン未満の機械。誤解が生じるおそれがある。

  • 私たちのイベントの開催間近にテレビ局から生中継したいと要請があった。イベントスタッフの担務など多方面の調整をして対応したが、直前に中止すると連絡があり、放送を見たら別のイベントを生中継していた。

  • 出演者が路線バスで温泉に向かう道中を撮影している車両に偶然乗り合わせた。機材が私の荷物に倒れかかったり、ケーブルが乗客の頭に引っ掛かったりしたが、スタッフからは謝罪がなくマナーが悪いと感じた。

  • 番組の最後の10分間を出演者への予告なしに生放送に切り替え、出演者が自宅に隠された100万円を探す固定カメラの映像を放送。斬新だし、生放送の特性を活かしていてすごいと思った。

  • 「吃音も個性としてがんばりたい」という芸人の思いと「差別を助長する」と危惧する吃音協会の危惧のいずれも否定せず、バラエティーとして笑いもあるすばらしい番組だったが、「お笑いはハンディも武器にできる素晴らしい職業だ」という出演者の意見を多くの人に理解してもらうのは難しいのではないか。

  • 男性として生まれ、現在の自己紹介は「性別はない」。モデルやタレントとして活躍するこの人物をドキュメンタリーで取り上げていた。ジェンダーレスについて差別やヘイトがある中、いい番組だったと思う。

  • 出演者たちが「BPO “ハゲ漫才”について議論」というニュースを受けて議論していた。プロ芸人は自身の身体的特徴を武器に闘っている。「当事者が傷つく」という指摘は的外れではないのか。

  • テレビでいわゆる「ハゲネタ」を見るたびに、嫌な気分になる。番組制作者にはさまざま理由で薄毛になった人がいることを知ってほしい。

  • 私は現在、薄毛の進行にコンプレックスを感じ治療中だが、いわゆる「ハゲ」を「触れてはいけないこと」とされると窮屈に感じると思う。「笑い」を生み出すために「ハゲ」を活用していることは自分のふるまい方の参考にもできると考えている。

【ドラマ】

  • フラット35は投資目的での利用が禁じられているが、不正に利益を得る方法をドラマ内で「裏技」としてかなり詳細に説明していた。まねをする人が出てくるのではないか。

【その他】

  • ドラマの原作者である漫画家が急死した件は、原作者に対する権利侵害やドラマ化による過剰な負担がなかったのかなど、第三者の目で検証してほしい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組の400m競走のコーナーで、負けて脱落した芸人が別の芸人に向かって、短距離走用のスパイクシューズの突起がある側を押し付けた。けがをさせるし、それだけでは済まない。子どもがやっていいことだと誤解する。

  • バラエティー番組の罰ゲームとして、出演者の手の指を瞬間接着剤で接着するのを放送した。いたずらの域を超えて暴行だ。青少年による同様の行為を助長するおそれがある。

【「要望・提言」】

  • 情報番組で結婚を話題にするとき、女性出演者が男性側に厳しい条件を付けることがよくある。今の若者は繊細だから「俺には結婚は無理」となる。テレビ出演者らは、若者、とくに男性の夢を壊さないように気を付けるべきだ。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • バラエティー番組で、芸人8人に「鼻フック」をかけて500mlのペットボトルの負荷に何本まで耐えられるかを競わせた。苦悶の表情を見せる芸人たちを見て笑っている司会の芸人らが、いじめをしているようで不快だった。

【「言葉」に関する意見】

  • バラエティー番組で、頭髪の薄い芸人を茶化して「ハゲ」と何度も言う場面があった。子どもが脱毛症で悩んでいて、親子で傷ついた。小学生もよく見る番組で、容姿をおとしめるハゲという言葉はやめてほしかった。

第265回

第265回-2024年2月27日

視聴者からの意見について… など

2024年2月27日、第265回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会では、1月後半から2月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
2月の中高生モニターリポートのテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」でした。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年2月27日(火) 午後4時00分~午後6時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

1月後半から2月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
報道ドキュメンタリー番組で、一家3人を殺傷し、特定少年として逮捕・起訴された被告に死刑判決が下された裁判を特集。判決主文がテレビ画面に速報されたとき、被告の母親に密着取材していたが、部屋には10歳前後とみられる被告の弟あるいは妹が同席していて、その子の反応も放送された(母親と子どもにはぼかしが入り、子どもの音声は加工)ことについて批判的な視聴者意見が寄せられました。
担当委員は「本件を取り上げる重要性は理解するし、きちんと取材もされていたが、あの瞬間に子どもを同席させる必要があっただろうか。仮に、母親が『(子どもと)一緒ならば撮影に応じる』といったとしても、『では、そうしましょう』では、この子を犠牲にして撮影したことにならないか」と指摘しました。
ある委員は「性的な虐待や両親の離婚など、小児期に『逆境体験』を受けると記憶として一生残り、トラウマになるといわれる。アメリカでは、両親や家族が犯罪に関わったり収監されたりすることも逆境体験だとされる。本件の場合、あの子の記憶に残るだろうし、トラウマになりPTSDが起きる可能性がある。あの子には残酷な時間だったと思う」と説明しました。
また別の委員は「犯罪加害者家族の支援活動にも関与しているが、(世論の)加害者批判が高まるので、報道は難しい。(加害者側の)子どもを放送に出すとなると、(その子に対する)二次被害も想定する必要がある。本件では、あの子の将来が心配される」と述べました。
最後に担当委員は「番組が母親を取り上げた意義は大きかったと思うが、そのアプローチの仕方が非常に甘かったと思う」と締めくくり、「討論」に進むことはありませんでした。
頭髪の薄いことを漫才のネタにすることについて、1月の青少年委員会で意見が交わされ、議事概要として公表したことを受けて、当該の漫才コンビを含む出演者らが意見を出し合った情報バラエティー番組について視聴者からさまざまな意見が寄せられました。
担当委員は「バランスのとれたまじめな議論を展開していた。聞いていて『なるほどな』と思えるところもあった」と報告しました。
委員からは「(議事概要を)よく読み込んでもらっている」や「このことを認識してもらっただけでも、(委員会で)取り上げた意味があった」などの声が上がり、「討論」には至りませんでした。

中高生モニター報告について

2月のテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、課題とした番組は2023年度日本民間放送連盟賞[青少年向け番組]最優秀『ザ・ドキュメント ウクライナ、9×9の歌 明日をつくる子どもたちへ』(関西テレビ放送)でした。戦禍を逃れて日本で避難生活を送るウクライナ人の母子を取り上げた番組で、小学生の姉弟が言葉や文化の違いに戸惑う様子や母親の思いを伝えています。また、小学校関係者や学習支援プロジェクトを立ち上げた大学教授、翻訳作業を手助けするウクライナ人留学生など、多くの支援者の思いや葛藤を丁寧に描いています。25人のモニターから報告がありました。
「青少年へのおすすめ番組」では『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)と『「東大王」2時間特別編 学べる世界の映像SP』(TBSテレビ)に4人から、『お別れホスピタル』(NHK総合)と『日曜ビッグバラエティ 必撮仕事人!緊迫カウントダウン』(テレビ東京)に3人から、『アラスカ・大自然の話をしよう~秋冬編~』(NHK Eテレ)と『有吉弘行の故郷に帰らせていただきます。~地元でもっと驚いちゃったよ~』(中国放送)、『なんでだろう?山形深ボリ 幕末の米沢で義をたどる』(山形テレビ)にそれぞれ2人から、報告がありました。

◆モニター報告より◆

【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

  • ウクライナと日本は距離が遠く、日本語は他国からも難しいと思われがちなのに、なぜウクライナからの避難民が日本に来たのか疑問に思いました。日本にも誰かのために行動してくれる人がいて、とてもありがたいなと思いました。自分から行動するには勇気が必要なので「避難民の力になりたい」「助けたい」と先陣を切って行動する人たちをとても尊敬します。(中学1年・女子・千葉)
  • ウクライナの戦争をテレビでよく見るけれど実感はありませんでした。でもウクライナと日本の数字が同じだと知って、戦争は同じ世界で起きていて、私のような子どもも巻き込まれていることを実感しました。この番組や戦争の番組を、戦争をしようとしている人に見せてあげたいです。やっぱり戦争はダメだし、ヤン君たちが安心して生活できたらいいなと思います。またカテリーナさんのお父さんが無事でいるといいなと心から思います。(中学1年・女子・島根)
  • 言語の壁という不安の中で家族を心配するのはとてもつらいです。ウクライナ人が心から休める空間がないと、精神的限界に達してしまうと思いました。(中学2年・男子・埼玉)
  • この番組を視聴して自分の視野の狭さを痛感した。これまでウクライナ戦争に関する情報に積極的に接しているつもりだったが、ほとんどが「国」単位の話であって「人」単位の情報に触れていなかったことに気づいた。言葉の壁以外に教育のレベルまで違うことに驚いたし、避難している子どもが思うように教育を受けられていないことは、将来復興を目指すウクライナにとって大きな問題だと感じた。今日本に避難しているウクライナの子どもたちが、番組のタイトル通りウクライナの明日をつくる。私たちも自分にできることを見つけて彼らを助けることが、ウクライナへの支援になると思った。(中学2年・男子・東京)
  • 「スマホじゃ気持ちは翻訳出来ない」「学校は勉強だけする所ではない」という言葉を聞いて、言語が分からないなかで接することの難しさを感じるとともに、改めて学校とはなんなのかを考えた。ウクライナ人の男の子が「日本の子にもウクライナの言葉を知って欲しい」と言いながら学んだばかりの九九をウクライナ語でまとめていたシーンでは、言葉が通じなくても通じるものはあると感じた。わたしも今後、海外の方と関わる機会があればこの番組を思い出したい。(中学2年・女子・東京)
  • 「戦争から逃げられたからもう安心だ」と思っていたけれど、知らない土地で知らない言葉を話す人たちに囲まれて生活するのはとても大変で、避難してきた人にとっての戦争や戦いは終わっていないのだと感じました。心から戦争がなくなってほしいです。(中学2年・女子・栃木)
  • 番組を視聴して悲しくなったが、ウクライナから避難してきた子の現状を知ることができてとても良かった。また番組で紹介されていた家族はマシな方で、いまだにウクライナ国内にいて逃げることができない人々や、最前線で国のために戦っている人が本当にいるということも改めて実感できた。スーパーなどにあるウクライナへの募金活動に参加したり、今回知ったことを友達に話したりすることも、とても大切な活動の一つなのだと思った。(中学2年・女子・福井)
  • 自分から進んでこのようなテーマの番組を見ようとは思わないので、今回は良い経験になった。ウクライナの人々の日本に来てからの苦労について、この番組を見て初めて知ることができたが、テレビは影響があるのだからもっと大きく取り上げるべきだと思うし、そうすることで苦労している人が暮らしやすくなると思う。(中学3年・男子・広島)
  • 学習を止めないために支援するすべての方々がカッコよく思え、自分もなにかできないかと思うとともに、私もさまざまな人に支えられて学ぶことができているのだと改めて感じました。ウクライナ問題が長期化しているからこそ情報をしっかりキャッチしていきたいし、テレビなどのメディアも情報発信をやめないでほしいと強く感じました。(中学3年・男子・神奈川)
  • ウクライナ戦争によって子どもたちが教育を受けられないことにとても心が痛んだ。教育を受けることは子どもの権利なので、それを奪う戦争はとても恐ろしいものだとあらためて感じた。日本の教育レベルの高さを世界に発信すればいいのではないかと思った。特に九九は日本にしかないことが分かって「これはもったいない!」と思ったので、さらに多言語化すればいいと思う。(中学3年・女子・広島)
  • 私の印象に残ったのはシングルマザーのエフゲニアさんです。子どもと一緒に勉強をするシーンでは、自分も日本語はよくわからないのに子どもを支えようと頑張る様子が印象的でした。またスーパーで買い物をする場面では牛乳の場所を店員に聞いていて、比較的分かりやすい場所に置いてある牛乳の場所すらわからないのは相当不便だろうなと思いました。スーパーでは英語表示がないので、公共交通機関のように英語や有名な言語の表示を取り入れて欲しいと思いました。(中学3年・女子・福岡)
  • 戦争で親子が離れて暮らすのは大変だなと思いました。ウクライナ語と日本語を両方話せる人がいるのはとても心強いだろうなとも思います。一日もはやく戦争が終わってほしいです。(高校1年・女子・京都)
  • 自分の国で戦争がおきてつらい思いも沢山してきているはずなのに、日本で笑って過ごしているウクライナの人々は強くてすごいなと思った。一方で言語が違うだけで思っていることがこんなにも伝わらないのだと分かり、つらい気持ちになった。グローバル化が進んでいる今、英語だけでなくどの言語にも通訳が必要になっているのだなと感じた。日本で話せる人が少なそうな言語にも挑戦してみたいと思った。(高校1年・女子・北海道)
  • ウクライナで戦争が起こっていることはニュースでよく放送されていたので知っていましたが、それによる子どもたちへの影響については見たことも聞いたこともなかったので新鮮でした。今までは翻訳機があるのになぜ他言語を学ぶ必要があるのだろうと疑問に思っていましたが、翻訳機では気持ちが伝わりにくいし心も開きづらいと知り、学ぶことの必要性に気づきました。(高校1年・女子・茨城)
  • 将来教育系の職業を希望する私にとって考えさせられる部分が多かった。子どもたちの学校での様子を見て、自分が先生という立場だったらどう振る舞うのがベストなのか考えた。またスマホの翻訳機能を使っても心のカベを乗り越えることはできないという現状を見て、私も多言語を学び日本に住む他国の子に対して少しでも力になりたいと強く思った。このようなドキュメンタリーを多くの人が見るべきだし、ゴールデンタイムに放送してほしい。(高校2年・男子・山形)
  • 男の子がひとりぼっちでいるシーンがあり、いじめられて仲間外れになっているのではないかと、見る人によっては印象が変わるシーンがありました。テロップ表示などを活用して環境になじめていないことを説明すると良いと思いました。(高校2年・男子・山形)
  • ウクライナ人同士で就活を励まし合うのは、なんだか虚しくなってしまった。また日本の教育とウクライナの教育について考えさせられた。(高校2年・女子・東京)
  • 一番印象に残っているのは、教室に掲示された児童たちの「自分の目標」の欄に「ウクライナ語を話せる自分になりたい」「ヤンくんとしゃべれるようになりたい」と書いてあるのを映したカットだ。先生だけでなく周りの子どもたちもなんとか仲良くなろうと一生懸命に考えているのに、ウクライナの子どもたちがなかなか馴染めないのがこのシーンから伝わってとてももどかしく感じた。その問題を解決するために、教育関係者たちはウクライナ語の九九の歌を作る計画を立てていたが、私は「どうして日本の学習方式にこだわるのだろうか」と疑問に思った。しかし数年、数十年日本で暮らしていく以上、あえて日本流のやり方でなるべく早くまわりの児童と馴染めるようにしてあげたかったのだろう。この歌を作ることがウクライナの子どもたちにとって最善の行動なのかは計画段階では分からないが、迷いなく計画から実行まで迅速に行動していてとても素敵だった。(高校2年・女子・愛知)
  • ウクライナ侵攻・戦争がドキュメンタリー番組をつくれるほどに続いてしまっているということが悲しいです。まずヤンくんと必死にコミュニケーションをとろうとしている大人たちを見て胸が苦しくなりました。こころを伝えられないつらさ、知ることのできないつらさがどれほどのものなのか、自分ではとても想像できないと思いました。また、もし自分がカテリーナさんの立場だったら同郷の子どもたちのためにあそこまで献身できるだろうか、遠い家族が生きていると希望をもつことができるだろうかと、自分と向き合うことができました。たった48分のこの番組で自分は心を動かされました。今後もこのような心に響く番組が増えていったらいいなと思います。(高校3年・男子・神奈川)
  • ウクライナ語の九九動画をみて学習している子の姿を見た母がうれしそうにしていた場面では「本当によかった」と思いました。知らない国にきて子どもが頑張っている姿は親にとって一番の励みになるのだろうと思いました。これは日本の私たちも同じで、私が頑張っていることで親は安心し喜んでいるのだろうと改めて思いました。ただ、日本の学校に通うウクライナ人に支援をしたいと思っても、プライバシー保護の関係からどこに通っているのかさえ言えないのはお粗末な感じがしました。支援したい人や会社とマッチングできないのは何とかすべきです。また、今回紹介されたウクライナ人の家族はその後どうなったのかは気になるところです。(高校3年・女子・京都)

【自由記述】

  • 普段のテレビニュースではウクライナについてよく知ることができないし、どちらかというと戦場の状況についての情報が多いので、今回のような番組を学校などで視聴する機会をつくり、若い世代にくわしく知ってもらえるようにした方が良いと思います。(中学1年・女子・千葉)
  • 『サッカーで紡ぐ“友情”~FCシャフタール・ドネツク対アビスパ福岡~』(BSテレビ東京)で、日本に住んでいるウクライナの子どもたちを試合に招待しているのを見て、スポーツで日本とウクライナがつながることができると分かった。また横浜FCの下部組織にウクライナから来た少年(ゴールキーパー)が加入したことも放送されており、言葉の壁を乗り越えてプロサッカー選手になろうとしている姿を見て感動した。(中学3年・男子・神奈川)
  • ウクライナからの避難民に関する番組は多いが、他の紛争地域の人たちに関する番組が少ないと感じています。また多くの番組が表面的なので、もっとリアルな声を届けてほしいです。避難民だけでなくすべての人も含めて「みえない声」にも光を当て、根底にある問題にも目を向けて、視聴した人の意識を変えて社会を動かす番組が増えてほしいです。(高校1年・男子・群馬)
  • ドキュメンタリー番組を見ると、人それぞれの人生があると深く感じます。また感化されて自分も頑張ろうと思えることもあります。もっとみんながドキュメンタリー番組を見れば、他人の人生に口を出すこともなく互いを尊重できるようになるのかな~と思います。(中学3年・女子・滋賀)
  • テレビで映画を放送しているが、頻繁に放送される作品がある気がする。私は映画館に行く機会があまりないため、人気の映画を何回も放送するのではなく、さまざまなジャンルの映画を放送してくれると嬉しい。(中学2年・女子・愛知)
  • 人気のアニメは夜遅い時間に放送されているため、22時に寝る私は23時からのアニメを見ることができません。もう少し早い時間に放送したら見る人が増えるのではないかと思いました。(中学3年・女子・福岡)
  • 最近テレビドラマの原作者が亡くなった件について、しっかりとした対策が必要だと感じました。例えばBPOなど第三者が調査したり、今後どうしていくべきかを考えたりすることが大切だと思います。作者も視聴者ももっと安心して見ることができるテレビになればいいなと思います。(中学3年・男子・神奈川)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『お別れホスピタル』(NHK総合)
    • 看護師や病院というと、わりと明るいドラマを見ることが多かったので、今回のような現実的な話は内容としては少し重く暗い印象でした。でも病院のリアルな面を垣間見ることができ、また看護師たちも悩みを抱えながら働いているといった臨場感があり、ドラマではあるけれど自分の生活にもつながっているような感覚になりました。(中学1年・女子・福岡)
    • 病院は必ずしも病気を治すためだけに行く場所ではないのだなと思いました。音楽が少ないのもこのドラマの魅力だと思います。(中学3年・女子・滋賀)
  • 『「東大王」2時間特別編 学べる世界の映像SP』(TBSテレビ)
    • 「東大生」というと天才で雲の上の存在みたいなイメージだったけれど、意外と私と同じようなことに興味を持っていることにびっくりしました。(中学1年・女子・島根)
    • 個人的には好きな番組だが東大ブランドの価値を少し下げていると思った。「東大は簡単に入れる」と勘違いする人もいるかもしれない。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)
    • いつも夕食を食べながら見ています。母が小さい頃から放送している番組なのもよいです。昔の風習やアイドルが出てきて面白いと思います。ずっと放送して欲しいアニメです。(中学1年・女子・千葉)
    • 久しぶりに見たが、絵柄や話の雰囲気、主題歌などがあまり変わっておらず、ほほえましい気分になった。まる子とおじいちゃんのやりとりや、日常のささいな出来事を物語にしているところに癒された。(中学2年・女子・愛知)
  • 『日曜ビッグバラエティ 必撮仕事人!緊迫カウントダウン』(テレビ東京)
    タイマーが表示されていることで時間の動きがより伝わってきて、見ている方もヒヤヒヤする番組でとても楽しく見ることができました。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『偉人・敗北からの教訓「第32回」』(BS11イレブン)
    現代に通じる教訓を得ようとする番組でとても貴重で興味深かった。戦国時代の身分社会を現代の縦割り構造に例えているところが見事だった。(中学2年・男子・東京)
  • 『全国ボロいい宿~仰天!人気のワケを聞いてみた~』(北海道放送)
    日本の自然をうまく活用している宿がたくさん出てきて面白かった。よく家族と山にドライブに行くが、営業しているのか分からないような店や建物があるので「実は営業していたりするのかな」と考えるとわくわくした。(高校1年・女子・北海道)
  • 『なんでだろう?山形深ボリ 幕末の米沢で義をたどる』(山形テレビ)
    近藤勇と米沢の人が親戚関係にあり、斬首された頭を買い取って米沢に持ち帰ったこと、みんなの前にさらされた首は実は近藤勇ではないということは初耳だった。まさか山形県にそんなお墓があるとは思わず驚きだった。(高校2年・男子・山形)
  • 『有吉弘行の故郷に帰らせていただきます。~地元でもっと驚いちゃったよ~』(中国放送)
    有名な芸能人が故郷に帰って地元の物を味わっている姿は、何も考えずにずっと見ていられると思いました。アンガールズと有吉弘行のやり取りが面白かったです。(中学3年・男子・広島)
  • 『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)で司会をした有吉弘行さんが地元広島に帰ってきてくれたのは純粋にとても嬉しかった。広島のいろいろな名所が出て「ここ知ってる~!」となったので見ていて楽しかった。(中学3年・女子・広島)

◆委員のコメント◆

【指定するドキュメンタリー番組を見た感想について】

  • モニターたちの感想を読むと、番組を視聴した中高生のほとんどが「情報を知る(認知・気づき)→心を動かされる(感動)→自分が何をすればいいか考える(行動)」というステップを踏んでいることが分かる。中高生たちの素直な感情と行動を促すよい番組だった。
  • 高校1年生のモニターから「ウクライナの戦争は知っていたが、子どもたちへの影響については見たことも聞いたこともなかったので新鮮だった」と報告があった。避難してきた子どもたちの生活の様子を番組で視聴することによって、その先にある戦争にまで思いが至ってくれたことに安心する一方で、番組で紹介したのはあくまで日本に避難している子どもたちの姿で、実際にウクライナにいる子どもたちはもっと大変な状況にあっていることは想像できていないように感じた。
  • 日本は国際化を目指すといいながら、多くの日本の子どもたちは周りに外国人がいない環境で過ごしている。「外国人が日本に来て暮らすのは大変だ」「日本語が話せないと苦労が大きい」ということに改めて気づいた中高生も多かったようだが、こういった現状を教育の中でも学ぶ機会が増えるべきだと思う。

【自由記述について】

  • 中学3年生のモニターから「放送時間が2~3時間ある番組は、見たい内容ならば嬉しいけれど心惹かれない内容だと部屋にこもってスマホを触ることが多い。1時間くらいの番組を増やして欲しい」という意見が届いた。タイムパフォーマンスの考え方が若い世代に浸透しているのを実感している。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『日曜ビッグバラエティ 必撮仕事人!緊迫カウントダウン』(テレビ東京)を視聴した中学2年生から「将来私が何の職業につくのかはわからないが、その時はその仕事に責任と誇りを持って一生懸命向き合っていこうと思った」と報告があった。働く現場やそこで働く人の思いを紹介する番組は、中高生にとってインパクトが強く「青少年へのおすすめ番組」としてふさわしいと思う。
  • 『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)を視聴した高校2年生から「以前よりも過激ではなくなっているように思いますが、飲み物や食べ物を使ったドッキリで、物を粗末にしたり一口飲んだだけで床にこぼしたりするなど、食品ロスが多いと感じました」という感想が寄せられた。今の中高生にとって、SDGsに関わる教育を踏まえた身近な社会問題に関する感想だと思う。

今後の予定について

次回は3月26日に千代田放送会館BPO第一会議室で、定例委員会を開催します。
当日は、「中高生モニター会議」を開催し、在京テレビ局オンライン見学会と青少年委員会委員とのオンライン意見交換会を行なう予定です。

以上

第324回

第324回 – 2024年2月

「判断ガイド2024」について…など

議事の詳細

日時
2024年2月20日(火) 午後4時 ~ 午後6時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室 (千代田放送会館7階)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

2.委員会における審理の進め方について

放送人権委員会の審理の進め方について、運営規則などに改善すべき点がないか検討した。

3.「判断ガイド2024」について

事務局から完成した「判断ガイド2024」について説明した。今回の改訂からBPOウェブサイト上で公開されることも報告した。
「判断ガイド2024」はこちら

4.その他

2024年度の委員会開催日程を確認した。

以上

2023年11月

青少年委員会 金沢地区放送局との意見交換会 概要

青少年委員会は毎年、全国各地でさまざまな形で意見交換会を開催しています。今回は金沢地区の放送局とBPOとの親交を深め、番組向上に役立てることを目的に2023年11月22日午後2時から5時まで、金沢市で意見交換をしました。
BPOからは青少年委員会の榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、吉永みち子委員の6人が参加しました。放送局からはNHK(金沢放送局)、MRO北陸放送、石川テレビ放送、テレビ金沢、北陸朝日放送、エフエム石川の各BPO連絡責任者、編成、制作、報道番組担当者など計15人が参加しました。

《「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解の解説》

BPO青少年委員会が2022年4月に公表した「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解について榊原委員長が解説しました。

〇榊原委員長
痛みを伴うことを笑いの対象とすること、キーワードとしては「痛み」と「笑い」です。
嘲笑は笑いではありません。嘲笑というのは例えば人が痛い目に遭っているときにワッと笑うことですが、笑いの質として違いがあります。本当に楽しく笑うと頭の中に幸せホルモンが出て、ストレスを解消する働きがあるといいます。しかし、他人が苦しんでいるのを見て、あるいは痛がっているのを見て笑うのは、本当の笑いなのだろうかという観点から考えています。
人は、例えば「苦しんでいる人を何とかしたいな」という気持ちや共感的な力、共感性というのを持っています。医学的に言いますと、その共感性というのは脳の中で他人が苦しんでいるときに何とかしてあげたいという気持ちが自然に湧いてくる能力です。その能力が生まれたばかりの赤ちゃんにはどうもないらしい。(赤ちゃんが)経験を通じて他人に対して共感するのだろうということが脳科学で分かってきています。そのときのキーワードに「ミラーニューロン」があります。ミラーニューロン、鏡の神経ということですが、他人が苦しんでいるのを見ていると、自分も、自分が苦しんだときや、自分がそういう目に遭ったときに感じるのと同じ神経がそれで活性化するということが分かっています。
赤ちゃんの模倣、赤ちゃんがまねをするというのは今から30年ぐらい前に見つかった現象ですが、赤ちゃんが他人の顔を見ていると自分がそれと同じ顔をしたと思われるところが、たとえ経験がなくても、活性化する脳の部分があるということが分かったのです。これがミラーニューロンです。
人間の場合、赤ちゃんでも大人でもそうですが、他人が泣いているところを見ると自分が泣いたときに活動する脳の部分が活動します。それを何度も繰り返して、今度は他人が困っている人を助ける、痛がっている人を助けるのを見ていると、自分も誰かが泣きやむとほっとします。このような他人の行動を鏡に映してやるようなことを繰り返す。その経験を繰り返すことで共感性が出てくると言われています。
これにはきちんとした科学的論文があります。他人の感情をミラーリングする。つまり他人の感情や行動を見ることによって、自分自身がそれと同じ体験をすることができる。このことが、人間が社会性や共感性を持つための一番根本にあるのだということが分かってきました。そのときに脳のどの部分が活性化するか、どこがミラーニューロンか、ということが明らかになってきて、研究が進んでいます。
テレビの場面では、かなりリアリティーを感じる演出になっていますから、本当に痛い場合があって、痛そうにしているのをスタジオで司会者らがそれを笑っているというのを見ることになります。辛い目に遭っている人がいるのに、何か笑っているではないか、ということを1回や2回ではなく何度も繰り返し見ることは、子どもが共感性を発達させることによくないのではないかという事実があったのです。それを基にこの見解を出しました。
他人の苦痛の表情を見ると、自分のミラーニューロン系が、自分が苦痛を感じたときと同じような活動をします。そして苦痛を感じている人を誰かが助けるのを見ると、自分の苦痛のミラーニューロン系が収まり、助ける行動で自分がいい気持ちになります。すると、教えなくても、助けた方がよいのだということがわかり、子どもがそういう場面を見ることで、共感性が育ってくると言われています。
この回路が反対に、他人が苦痛を感じているときに、それを嘲笑する、笑うというのを見ていると、働かないわけです。自分は苦痛を感じているけれど、スタジオの司会者らが結構笑っている、楽しそうにしているというのを見ると、その回路がうまく働かないことが起こるのではないかということです。
私たちはテレビを制作する方に、特に小さい子どもには、このような形で共感性を獲得していく過程があるということを知ってもらって、その知識を番組づくりに活用していただきたいと願って、この見解を出しました。
最後に、笑いにはいろいろな種類があります。「smile」や「laugh」などとてもポジティブな笑いや、嘲笑という英語だと「ridicule」とか「scorn」という言い方をしますが、これは似たような笑いと言いながら意味は違います。(番組制作者は)「みんなに笑いを届けているから」といいますが、ちょっと待ってくださいと。大人はある程度違いが分かりますが、笑いの種類によっては、特に小さい子どもや青少年の立場をじっくりと考えてほしいという気持ちでこの見解を出した次第です。

〇参加者
分かりやすいご説明をありがとうございます。僕らも「smile」と嘲笑の違いというのがなかなか分からないというところがあります。いま聞きながら笑いが定型化している、どこかそこに今の嘲笑と笑いの違いがあるのかなということに気づきました。
委員長が解説されたように(笑いが)パターン化されて、ばらまかれ、それを子どもが何回も見るというところに、テレビの持つ責任というものが出てくるのだろうと思いながら聞かせてもらいました。

《【テーマ1】子ども(小中学生)の『いじめ・自殺』報道について》

まず、地元局の代表社による、ニュース映像を用いた問題提起がありました。それを受けて髙橋委員から「いじめ、自殺報道について」説明があったのち、意見交換しました。

〇代表社の問題提起
石川県内の事例で、2年前にいじめの自殺がありました。金沢の近隣都市で、当時中学1年生の女子生徒がいじめによって自殺したケースです。各局とも、ニュースとして放送しています。弊社の初報のニュース、夕方のオンエアをご覧ください。<映像上映①>

〇髙橋委員
「子どものいじめと自殺の報道について」ということでお話させていただきます。私は全国で子どもたちのSOSの出し方教室や自殺で親を亡くした子どもたちを中心としたグリーフケアをしています。
いじめの認知率の推移について、2022年度のデータが先月(2023年10月)出されました。1,000人当たりの子どもに対してどれぐらいの認知率があるかという推移ですが、上昇しています。初めはいじめという認識がなかったものが、いじめと認識されるようになったことで増えているということもありますが、いずれにしても減ってはいないという状況です。
いじめの認知件数は低年齢ほど多いのですが、自殺の数は年齢が上がるほど多くて、これは逆相関の状況にあります。いじめが多いから自殺が多いというわけではないという状況です。子どもの自殺というのは全然減っておらず横ばい状態です。
問題は自殺の動機についてです。実は子どもの自殺は半数以上が原因不詳となっています。これは遺書が残っていないので分からないということです。遺書が残っているもので警察庁が分析した資料によると、小学校の男女とも原因の1位は家族のしつけ・叱責です。中学生は、男子が学業不振、家族のしつけ・叱責で、女子は親子関係の不和が1位になっており、本当は家庭の中の問題というのが中学生・小学生の自殺の原因の上位を占めています。いじめ問題は社会的な問題ですが、家庭内の問題というのは社会的な問題とは捉えられず、報道されにくいということがあります。子どもの自殺、イコールいじめ案件だけというイメージは、間違ったイメージであることは確かです。
ここで用語の使い分けをしておきます。自殺という言葉と自死という言葉をよく使われると思いますが、自殺対策基本法の中で、自殺対策は自殺対策ですが、遺族支援に関しては自死遺族という言葉を使っています。自殺遺族という言葉ではなくて自死遺族という言葉を使います。
自殺の報道の影響というのがあって、大きく報道されればされるほど自殺率が上がる。そして、その記事が手に入りやすい地域ほど自殺率が上がるということが分かっています。その影響は若年者層ほど大きく出ます。そして後追い自殺、その人のことを思って後を追って亡くなる自殺だけではなくて、いわゆる群発自殺と言われるような誘発、もともといろいろとメンタルに問題を抱えていたり悩み事があったりした子どもたちが、それに触発されて自殺することが起きます。これを「ウェルテル効果」と呼んでいます。

WHO(世界保健機関)は自殺報道でしてはならないことを提言という形で提示しています。提言のため拘束力がないので、あとは「報道の自由」と「報道する側の倫理観」みたいなものとの折り合いになると思います。
具体的には… ▼遺体や遺書の写真を掲載したり、自殺の方法を詳しく紹介したり、原因を単純化したりする報道はやめること。例えば、いじめで自殺した、先生に叱られて自殺したということです。▼自殺を美化したりセンセーショナルに報道したり、宗教的・文化的な固定概念を当てはめたりすることはやめる。例えば日本人は自殺が多いとか、キリスト教徒はどうだとか、そういう報道はやめるということ。▼自殺そのものを非難してはならない。これは自殺に対する偏見を助長するからであって、すごく難しいことですが、自死で亡くなった方に対する尊厳は保ちつつ、そしてその自死に対して批判はしない。でも自殺を美化しないということです。
これらがなかなか守られていない国が日本と韓国です。韓国も若いアイドルの自殺が多いのですが、やはりその後に若者が影響を受けることがあって、ここのところはしっかりと報道機関がその都度、考えていかなければならないところだと思います。

逆にやるべきことは何かというと、どこに支援を求めるか正しい情報を提供することをWHOがまず言っています。最近はニュースの最後に相談窓口の電話番号を紹介し、「困った人はこちらに連絡しましょう」と報道されるようになっていますが、私が懸念しているのは「最後にあれをつけたら中身はいいだろう」という感じがすることです。免罪符的に最後に相談窓口を紹介する傾向が見られるかなと、すごく懸念しています。
本当は身近な人に相談してほしいのです。いのちの電話やチャイルドラインは知らない人が応対するので、できれば身近な人に相談を、と考えています。
あとは自殺したことの報道だけではなく、自殺と自殺対策に対しての啓発報道をより多くしてほしいのと、日常生活のストレス対処法や、自殺の希死念慮【事務局注:「消えてなくなりたい」「楽になりたい」などの思考や観念を指す】の対処法などを報道してもらえるとよいと思います。自殺から救われるような報道をしてもらえると、幾らか生きづらい人たちが死なずに済むような道を選べるのかなと、思います。地域に根差したマスコミがいかに地域の資源を紹介するかということが非常に大事だと思っていますので、テレビ・ラジオ含めてそういう報道をしてもらえるとありがたいです。
著名人の自殺を報道する際は特に注意してほしいことがあります。改善されてきていますが、自殺の手段を報道することがあったり、「自宅で亡くなりました」や「クローゼットで見つかりました」という報道をしたりしているので、そこは気をつけてもらいたいところです。また自殺によって遺された家族や友人にインタビューするときには、非常に慎重にしなければなりません。意外と抜け落ちがちですが、メディアの関係者自身がその報道をすることや取材をすることによって、すごく心理的な影響を受けて傷つく体験をしているという観点も忘れてはならないと思います。報道する側にもケアが必要です。

子どもの自殺の原因をいじめだと、一つに絞りがちですが、実際は八方塞がりになってしまった子どもが自殺しています。部活動でうまくいかない子どもが、自宅でも家族関係がうまくいかない、勉強もうまくいかない、友達にもいじめられる、こういう八方塞がりになってしまったときに自殺のリスクが上がります。だから、いじめがあったとしても親に話せるとか、それでも何か夢があるなど、少し逃げ道があるといいのですが、それがなくて幾つか自殺の要因が重なると、リスクが上がってしまいます。
いじめの場合だと、自殺の原因を作った側の子どもに、今度は自殺のリスクが上がってしまうという観点も持っておかなければいけません。いじめ自殺の場合、ずっと裁判が続くことがありますので、加害者とされた子どもや、その加害に少し加担したと思われる子どもたち、それを傍観していた子どもたちも含めて、長い間、傷つく体験を何度も何度もしているという感じがしています。
子どもがいて、学校や地域があって、そこで私は子どもに対して自殺予防教育やSOSの出し方教室というのをやっています。教えているのは「本当に身近な大人に相談してちょうだい」ということです。「あなたたちのことを守りたいと思っている大人がいるから」と伝えています。受け止めてくれる人がいて、社会や地域にどんな資源があるかということを子どもたちがきちんと知っていることが大事だなと思います。
そういう意味では、これをきちんと地元のマスメディアが報じることがすごく大事です。この地域ではどういうことがあって、こういう子どもたちが救われているとか、こういうふうに生きづらさからリカバリーした子どもがいるなど、そういう報道がたくさんあるといいなと思っています。

<意見交換>

〇参加者
自殺の原因について、テレビだといじめということがクローズアップされてしまうのですが、家族(関係による原因)のほうが多いとの話がありましたので、「なるほどな」と思いながら聞いていました。
いじめがあった場合に私たちもいのちの電話という表示をします。いろいろ事情があって、例えば身近な人に相談してくださいといっても自殺の場合はなかなか遺族に取材するというわけにもいかなくて、教育委員会や警察など情報が限られる中で、なかなか詳しい情報は分からないところがあります。放送を通じてできることとできないことがどうしてもあるので、放送でできることはどういうことなのかなと思いながら聞いておりました。

〇髙橋委員
ありがとうございます。

〇代表社の参加者
さきほど見ていただいた映像は、いじめによって教育委員会が動いたということが主なニュースで、自殺といじめ、どちらの社会性が大きいと考えたかというと、いじめの社会性が大きいだろうということで取り上げたものです。たぶん各社のローカルニュースでも、去年1年間で1回も自殺単体でニュースにはしていないのではないかと思います。社会問題化して教育委員会が動いたとか、いじめが原因ということで捜査があったとか、そういう形ではあり得ますが、自殺単体をニュースに取り上げるということはローカルではまずないと思います。

〇吉永委員
子どもの自殺というのは私にしてみると本来驚愕の事件です。小学生・中学生が命を絶つということ自体が、何か社会に対する大きな警鐘を鳴らす一つの行動であって、これを誘発をするからという理由で報じないというのはどうなんだろうと疑問に思います。では、そのときにどう報じたらいいのかというと、特にいじめの場合はやはり学校側や教育委員会の側が隠蔽するという傾向が強いわけで、そこを時間が経ってからではなく、うまく取材をしていくことが大事で、取材しなければならない事案だと思います。ただそれをどのタイミングで出していくのかということには、すごく頭を使わなければいけないところかなと思います。
髙橋委員に質問があって、今の子どもの自殺の数がどんどん増えていることにびっくりしたのですが、これは既遂ですね。その背後に未遂の子どもがどれだけいるだろうかと思うと、社会問題としてもすごく迫ってくる重大な案件かなと思ったのですが。

〇髙橋委員
未遂に関しては推定値ですけれども、既遂の10倍はいると言われています。「死にたい、死にたい」と言っている子どもが増えているのが現実で、チャイルドラインやいのちの電話でも増えています。国はLINE相談窓口などを拡充させていますが、スクールカウンセラーの配置の増員というのをなかなか実行してくれません。目の前にいる人に相談できるような人の配置というのを早くしなければならないと思います。私が「スクールカウンセラーの配置を」と言っているのは、精神科(のカウンセリング)につなげてほしいと思うお子さんほど親御さん(保護者)にその理解がなかったり、お金や時間がなくて精神科に連れていけなかったり、自分が虐待しているからカウンセリングにはつなげたくないという親御さんがいたりするからです。

〇代表社の参加者
さきほど上映したVTRの中でも、「自宅で」という表現を使いました。今思えばそれが自宅であろうがどこであろうが、伝えるべき情報なのかということは、お話を聞いていて反省しました。
私たち報道の立場として、格好いい言葉で言えば真実を突き止めたいという、そういう思いが一方にあって、子どものいじめに関する自殺に関しては、割とぼかすところはぼかして報道しなければいけない。知っている情報もこれは精査して出さなければいけないという、そんなことを今、改めて思ったところです。
さきほども、地元に根差した身近な相談窓口など、そういったものを積極的に報道してほしいというお話がありましたし、それは大変勉強になりました。大きな公の全国レベルのところを紹介して、取りあえずアリバイづくりではありませんが、それをつけ加えればいいだろうと、そんな思いもあったように思いました。そこは地域のローカル放送局だからこそできる、そういう紹介や報道の仕方というのは改めて考えなければいけないと思いました。
この問題に関しては、例えば警察が絡む事件報道などとはまた違うスタンスで報道に臨まなければいけないということを感じました。
全国各地の自殺報道を見ていて、最初から学校名が出るケースもありますが、今回の場合は市の教育委員会は学校名を公表しませんでした。人口は5万人を超える自治体ですが、中学校は2つしかありません。市の教育委員会が学校名を伏せている中で、出すべきなのか、出さないほうがいいのか、迷いがありました。(メディア各社でも校名を)出している社と出していない社が分かれていて、弊社は途中から出すことになりました。自治体によって、教育委員会側の最初の公表の仕方がばらばらなので、いざこういう問題に自分たちが直面すると、どう対応すべきなのかという判断は、なかなかつかないのが現状です。

〇参加者
今の件で弊社は逆の対応、あくまで中学校名は出さないという対応を取りました。いまだにその報道の方針です。理由としては、遺族側には出してほしいという話がありますが、それは遺族側の思いであって、報道のデスクの間で話し合ったのは、同じ中学校の同級生たちが、もしここで名前が急に出てきて報道されたらどう思うかということです。そして、弊社は出さないという結論になりましたが、難しいですね。どこかの局は出していない、どこかの局は出している。新聞もおそらく、出している、出していないという対応が分かれた事例です。均一に線を引いてやれるものではないので難しいな、という感じをずっと持っています。

〇参加者
このニュースに関して私は当時、現場の記者をしていて、映像上映した局がやられた放送の内容と全く同じような形で放送しました。あのときは教育委員会から情報がどんどん出てきて、それを積み重ねてニュースにすると、まさに全く同じ形になりました。私たちも「自宅で」という形で方法について報道しましたが、今改めてそれを見ると、これはやったら駄目だったのではないかということを痛感しました。
当時の私には自殺を誘発するという意識が多少ありましたが、積み重なる情報を出していいかどうか、現場の記者としては事実が取れたというので(原稿に)書きました。それを一歩引いた目線で出すべきかどうかというのを本当に慎重に判断すべきだったと改めて思います。

〇榊原委員長
ありがとうございます。これを金太郎あめのように同じようにやるというのもまた変な話で、報道の自由と、(視聴者の)知る権利、それとそのことが及ぼす影響のバランスの中で、局によって(判断に)差があることは、決して悪いことではないと思います。みんなが悩んでいらっしゃることは、日本の放送をやっている方の良識がいろいろな判断の中に反映しているということだと思います。ほかにはどうでしょうか。

〇参加者
何でこのいじめ問題について報道するかというと、いじめそのものは問題ですが、その中で学校がどう対応したかという大人の問題があったと思っています。このいじめ問題について今年(2023年)、第三者委員会が入っていろいろと調べましたが、第三者委員会と学校側との認識不足というのが結構ありました。大人はどう対応したのか、学校はきちんと認識してしっかり対応したのかというところを検証するのが報道なのかなと思いました。

〇飯田委員
さきほど学校名を出す、出さないという議論になりましたが、今やテレビが報じなかったら子どもたちが知り得ないということでは必ずしもないと思います。自殺の状況次第ではSNSを介して子どもたちの目に触れたり、学校名も公になったりすることもあるでしょう。場合によっては、ネットでどれだけ情報が流通しているのかということも加味しながら、必要に応じて青少年に呼びかけていくということも、公共的ないし公益的なテレビ・ラジオの役割なのではないかと思っています。メディアの環境全体でWHO提言のうち、何を報じて何を報じないでおくべきか、というバランスを取っていくという視点が、これからますます重要になってくると考えます。

〇榊原委員長
髙橋委員の意見を聞きたいのですが、今テレビでやらなくても、SNSなどで、地元の人が「この子がいじめっ子だ」みたいに出たりするようです。そういう世の中になっていますが、何かございますか。

〇髙橋委員
問題は幾つかあります。まず子どもの自殺が起きたときに原因追求にフォーカスが当てられがちですが、原因となった人たちのケアというのも実は必要なのです。それは、いじめがあれば、(いじめた側の)子どもたちがそうですし、それに気づけなかった、あるいは対処できなかった教師たちもそうです。本当に教師人生が覆るほど傷ついているし、深い悲しみの中にいます。まず、そういう人たちをケアすることも大事なのですが、そこのケアはポンと飛ばされて、原因追求になるわけですね。
原因探しや犯人捜しを突き詰めると、再発防止になるかというと、再発防止に直結しないことも結構あります。再発防止というのは、やはりいじめがなくなるようなことを、長期的に考えていかねばなりませんが、「誰々さんがいじめをした」ことを追求するのが再発防止になるわけではありません。その仕組み自体を考えていかなければならないのであって、それ以上もう誰も傷つかないというのが本来の遺族支援というか、自殺が起きた後に私たちがやるべきことなのです。しかし、報道によって傷つく人がたくさんいる、それでまた自殺が相次ぐということになれば、これは自殺予防や、自殺が起きた後の報道としてあるべき姿ではないと私は思っています。
もう一つ。SNSでデマが回るということがあり、さまざまなうわさ話というのがSNSで回りやすい。その中で、テレビやラジオの報道がファクトであるということが大事だと思います。テレビとラジオはきちんとファクトを検証して、報道しているということです。
そこに軸足を持っていないと、例えば周辺の人にインタビューして、「そうらしいですよ」のような声を放送してしまうと、ただのうわさを流すことにしかなりません。何を共有すべきなのか、何のためにこの情報が必要なのかを考えて、ファクトを流していくことを軸足にしてほしい。
私自身、今皆さんとこうやって意見交換して、ここにジレンマを感じるとか、悩むとか、そこを一緒に考えながら、よりよい報道をしていただくことだと思います。みんなが悩む、そして今までの当たり前だったことに対して、疑問を持つということが大事なのかなと改めて思いました。

〇参加者
髙橋委員が話したネット(SNS)ということには、危機感を持っています。例えば、我々はWHOのガイドラインを見ていますし、それに沿って各社やっていると思いますし、沿っていなくても念頭にはあるわけです。
ただ、報道の配慮はできるけれども、なかなかそのケアを考えるところは、我々の仕事ではなくなってしまうのかなと思います。我々は伝えるのが仕事かなと思います。
我々はWHOのガイドラインに沿って名前も出しませんし、中学校の名前も配慮して出さないこともあります。でも一方でネットでは子どもの顔の写真が出ます、名前も出ます、どんないじめ、どんな死に方ということが出るときもあります。実際、加害者側も出てくるという中で、ネットでは「テレビ、ラジオ、新聞というのは、事実を隠しているのではないか」と言われていることもよくあるのです。
こちらがガイドラインに沿っていることで、「テレビは何か隠している」というように思われて、要するに、テレビは選択した事実しか流していないと言われてしまう。別に隠しているわけではないのですが、その辺の怖さというのを今、現場として感じています。
我々はまだ実名報道というのを守っていて、それは事実を担保するために、実名というのは必要だろうということをやっていますが、ネット時代では本当にテレビ報道は真実を伝えているのかと言われてしまう。伝えられているのですが、ネットを経験した人たちから見ると、信頼されないのではないかという、そういう思いがあります。

〇榊原委員長
この辺は、ネット情報に対するリテラシーを国民がどう持つかというところで、かなり変わってくるわけです。例えばSNSで炎上する場合、それのインフルエンサーになっている人というのは、1~2%しかいなくて、ほかの人がそれに雷同しているだけだという事実があるわけですね。それに対して、皆さんが悩みながら報道しているというのは、少なくとも複数の目が入って、どうしようか悩んだ上で出しているのです。だから、ファクトの度合いといいますか、その辺について、国民がだんだん気づくということが今後進めば、SNSの情報と、こういう複数の目が入った放送の間の差みたいなものを、みんなが分かってくると思います。
局によって対応が多少違うというあたりで悩みながらいくというのが、私が聞いていると、むしろ健全といいますか、もう絶対これだというよりは、いろいろ考えて悩んで、多少その差が出るということが重要なのかなと思いました。

《【テーマ2】子どもを対象とするカメラ取材の状況と問題について》

別の代表社によって、カメラ取材映像の紹介を交えながらの問題提起があり、その後、意見交換に移りました。

〇代表社の問題提起
5~6年ぐらい前からでしょうか、学校内で、子どもをテレビのニュースで撮影しようとする際、以前より撮影がしづらくなっています。学校側の要望で、主に子どもの顔の撮影ができませんと言われます。もともとは保護者にそういう要望があって、撮影しづらくなっています。もう一つは、制服や体操服の胸元の名札に名字があって、それが映像に映り込むのを避けるよう学校側から要望されるケースが出てきています。
実際に映像を見ていただきます。<映像上映②>

まずは、2学期の小学校のスタートのニュースです。金沢市の近隣の小学校で取材をしましたが、学校側から顔撮影がNGとありました。しかし、虐待を受けていて、親から逃げているような子どもではなく、親(保護者)の意向でNGですと。広いカットで登校風景を撮影して放送するのはいいですよと学校側から言われました。登校のときは後ろ打ち(子どもたちの背後から撮影)にしたり、広い映像にしたりしました。要は子どもの表情がない(撮影できない)のです。20数年前には、普通に登校して来る風景の中で、子ども同士が楽しく一緒に「久しぶりに会ったね」というような表情をアップで撮って、ごく普通に放送していました。社会的な条件がいろいろと重なって、撮影や放送しづらくなったなと、感じます。
もう一つ紹介します。こちらは対策編に近いところがあります。学校の中でのカメラ取材のとき、胸元にある名札の映り込みについて、感覚としては5~6年前から結構言われるようになりました。子どもの顔と胸元の名札が同じサイズの中に、例えばワンショットの中にあって、顔と名前が一致する映像を見た学校側や保護者から、「何々小学校の○○さんが付きまといに遭うのではないか」という指摘です。住宅地図でも使えば、校区内の○○という名字は、探そうと思えば探せるわけです。こういうことを懸念する学校があります。これは石川県に限らず、隣の福井県でも同じようなことを言われました。
教育委員会から指示があるわけではなく、校長や教頭クラスの管理職の判断でそういう懸念が出されているようです。いつもはうまく名札が見えないような角度にするなどして、かわしていますが、場合によっては学校側と話し合って「(名札部分に)白いテープを貼りましょうか」という提案も、それは少し行き過ぎかなと思いますが、提案することもあります。

ローカル番組に、6年前から始まった子どものクラブ活動を紹介するコーナーがあって、そこである対策をしました。よく見ると子どもたちの胸元に、番組のマスコットをマークにした缶バッジがあります。クラブ活動でかなり動きが激しいところで、もし胸元に名札があると、映像として隠したり、角度を変えて見えなくしたりは相当難しいのですが、胸元に缶バッチをつけることで、名札が隠れて見えません。このコーナーを始めたころから、名札が見えないような対策をしてきましたが、ちょうど2年前から、この缶バッチを作って、つけてもらうことを対策にしています。番組に親しみを持ってもらえるというのも併せて、いわば一石二鳥でやっています。
いずれの場合も、学校側の奥には保護者がいます。保護者と学校側の要望について映像面でどう配慮するのか、先方との話し合いはもちろん、局内でのさまざまな対策、やり方を考えないと、子どもたちの元気のよい姿が放送しづらくなっているという報告でした。

<意見交換>

〇榊原委員長
名札が映されると、何が困るのでしょうか。個人が同定されると困るということだと思いますが、どうして学校の校長らは、そういう判断をするのかという疑問です。

〇参加者
私は小学校で保護者会(の役員)をやっていたので、よく聞いた話ですが、保護者の中に子どもがテレビに映ることをよくないと思っている人は結構います。毎年、春になると多くの学校では、「テレビに映っていいですか」や「校内で作る広報誌にお子さんの顔が写ってもいいですか」という回答用紙がきて、保護者がそれにオーケーかどうかを書きこみます。広報誌にも写りたくないという保護者がいます。広報誌(の印刷)を、白黒だったのをカラー化しようとしたら、「カラーだとよりリアルになるので白黒のままであってほしい。その広報誌がどこかに回ったときに、自分の子どもが誘拐されるかもしれない。不審者につけられるかもしれない」と本気で思っている保護者が多くいます。そういう保護者の声を受けて、すごく慎重になっている学校があります。まったくおおらかな学校ももちろんありますが、厳しい保護者がいるところは、学校側も厳しくなっているなという印象があります。
もう一つ。学校取材のとき、うちの子は映してほしくないという保護者が言う子どもを、その場から外して、大丈夫な子どもだけで撮影できるようにしたことがありました。外された子どもはそんな事情を理解していないので、なぜ自分だけがその場にいられないのかと半泣きになってしまいました。みんなと一緒にインタビューに答えたいのに、先生から「あなたは駄目よ」と言われ半泣きになっている。こんな現状はよろしくないなと実感した記憶があります。
子どもを狙った事件などが増えれば増えるほど、保護者は昔と比べてものすごくデリケートになっているなというのを実感します。だから、その懸念も無視できず、なるべく大丈夫な範囲内で撮影することと、あとは本当に子どもの顔が分からないと駄目なのか、必要性も考えるようにしています。子どもが映らなくてもいいものもあれば、入学式や卒業式に子どもたちの顔は映さないでくれと言われたら、何のために取材に行っているのか分からなくなることもあって、大丈夫な学校に相談を持ちかけたことはあります。

〇榊原委員長
このような状況を薄々は想像していたのですが、校長としては、なるべく問題を起こしたくないし、別に取材に来てくれなくてもいいと考えれば、そうなると思います。どうでしょう、法律的には何かあるのですか。肖像権というのはどうなるのですか、ここに弁護士の先生(緑川副委員長)もいらっしゃいますが。

〇緑川副委員長
(取材対象が)子どもだから、(親権を持つ)保護者の意見があるという話で、そこで難しくなっていることはありますが、基本的には子どもだけの問題ではなく、例えば大人だったとしても、インタビューをしたときに顔を映していいですか、名前を出していいですか、嫌ですと言われたときに出せるかどうかということと、同じようなことなのかなと思って聞いていました。
例えばプライバシーの問題になったときには、そこはプライバシーの利益と、報道する利益の利益衡量ということで、最終的には判断されていくわけです。そうすると、そこで子どもの顔や名前を出すと、それは嫌だと言われても、出して報道するだけの利益があるのかどうかは、その都度考えながら進めることが必要になっていると思います。
特に子どもの誘拐というと、あまり一般的ではないのではないかと思いますが、絶対ないかというと、そうではないことではあります。より問題とされるのは、DVや虐待で支援措置を受けている、それで通っている学校を伏せたい、そのことすら言えないけれども、伏せたいということしか言えない事情がある子どもも今は、結構いると思います。学校側が、確認できない状況のまま映してしまうという可能性があることを気にするというのも、現実問題としてあるでしょう。報道する側は、そういう可能性があるかもしれないということを考えながら、どこまで報道するか検討していくということだと思います。
私が子どもの頃はテレビに出るということは特別なことで、そこで出たくないとか、名前を隠すというのはあまり考えられない時代でしたが、今は個人情報保護法も浸透してきて、どちらかというと「匿名社会を私たちは選んできている」、そういう方向に社会全体が向かっていて、私自身もそういう状況を受け入れていると思えるようになってきています。やはり昔とは違う社会状況というのを前提にしながら、個別、具体的に判断していかなければいけないと思います。
はじめに申し上げた利益衡量というのは、そのときの社会状況を前提にしたところでの利益衡量になりますから、「昔はこうだったのに」と言っても、そこは利益衡量の衡量材料にはなりません。今すこし行き過ぎているのではないか、そこまででなくてもよいのではないかというところで、さらにもう一歩進めて、どうしていくのがよいのかを提案しながら報道を考えていくといいのかなと思いました。
個人的には、入学式の放送では、後ろから映したとしても、別にもうよいのではないかな、前から映さなくても、後ろから入学式の状況を映しても、そのときの様子は報道できるかもしれないと思います。名札の問題をうまく調整していた放送局のやり方は、今の社会状況や、そのときの学校の状況を考えたときには、一つの方法かなと思いました。

〇参加者
僕の取材経験も全く同じで、学校側に「後ろから絶対撮ってくれ」や、インタビューもひどいのは「顔を切ってくれ(顔を映さないでくれ)」みたいな話になって、それは校長や教頭の判断ですから、おおらかな学校もいくつかあるので、そちらにお願いしていくようになります。
小学校の入学式の様子を後ろから撮ってもニュースは成立するのではないかと、お話がありましたが、成立はするでしょうけれども、そこに何のニュース価値があるのかなと思っています。ニュースにしたときは、やはり子どもの喜んでいる顔こそが、僕らはニュースの価値であって、入学式があったということ自体がニュースではないと思っています。もしどこの学校も(子どもの顔を)撮れないのであれば、たぶん取材に行かないのではないか。だからどうしても子どもの笑顔が撮りたい、そこにニュース価値があると、僕は思います。

〇参加者
さきほどDV被害から保護された子どもたちという話がありましたが、僕が聞いたところでは、たとえ顔が映らなくても、その子の持っている持ち物が映るだけでも、その子が特定されるということで、危ない事例があったようです。弊社では、顔を映さないだけではなく、その子の持ち物なども映らないように気をつけることがカメラマンの申し合わせにあるようです。だから、単純に「プライバシーで」というだけではなく、DVや虐待から逃げている母親の息子や娘という状況が、最近すごく多いということを感じています。

《関連の問題提起「子どもが映った放送番組素材のネット配信について」》

〇榊原委員長
次は、関連する事例として、子どもが映った放送番組や素材のネット配信についての問題提起があります。どうぞお願いいたします。

〇参加者から問題提起
古い話ですが2012年に、石川県内の都市にある公園で、屋外のスポーツテストをしていた高校生が、集団で熱中症の症状が出て病院に搬送されました。その一報を受けて記者とカメラマンが取材に行き、当時の状況を女子生徒にインタビューをして放送しました。
その取材内容が東京キー局にも送られ、全国向け放送ではなく、関東ローカルで放送されました。当時はまだネット配信という概念はあまりなかったのですが、放送した内容が、第三者に切り取られて、インターネットにアップされてしまいました。それをきっかけにして、その女子生徒の容姿に対する誹謗中傷が発生して、その生徒がすごく精神的な負担を受けてしまいました。
取材時の状況としては、未成年者のインタビューの際は、できるだけ保護者の同意を得るということでしたので、そこに迎えに来ていた保護者の了解を得た上でのインタビューでした。しかし、保護者としては石川県内だけの放送という認識だったので、そういう事態を受けてお怒りになってしまい、弊社としてはあちこちに削除を依頼する事態になりました。それで大部分は消えたということも含めて、納得してもらいましたが、その当時から弊社では、ネット上のいわゆるニュース映像として子どもの映像が配信されることについて、かなりシビアな対応になりました。つい最近までですが、18歳未満の子どもについては、インタビューも含めて、基本的に配信していませんでした。
だから、さきほどの入学式のニュースなども基本的には配信しないという流れで、2~3年前まではやっていましたが、最近の状況を踏まえて、「明るいニュースで承諾が取れればアップしましょう」となりました。明るいニュース以外の、事件・事故関係の子どもの映像が載ったものについては「ネット配信はなるべく控えましょう」という内規で動いているという状況です。
ただ、それも弊社だけの話であって、同じ系列の他局は全く意識していないというところですし、東京キー局ももちろんそういう意識をしていないということです。子どもが映った映像の場合、地上波だけでなく、ネットにも出されたときの対応について、特に削除が厳しいネットの状況については、頭を悩ませているところがあります。

<意見交換>

〇榊原委員長
確かに放送局のほうからネットに使えるような形で出すと、そこに責任が生じると思いますが、今はそうではなく、ただ普通に放送したものをまた録画してネットに、何の許可もなしで拡散されるという状況になっていると思います。ほかの放送局、あるいは委員から、今の問題についていかがでしょうか。

〇参加者
配信を前提とした報道というよりも、ややPRも兼ねた取材というときに、保護者全員の許諾、何なら誓約書みたいなものを取ったケースがありました。
とくに今、気をつけているのはプールの取材です。プールは女子児童であれば水着、男子児童であれば上半身は裸の場合が多いと思います。キー局から「男子であっても、胸元が見えるようなものは映さないでほしい。今はデジタルタトゥーなどという事例もあって、気をつけてほしい」と言われましたが、プールに入ると子どもは、はしゃいでジャンプしたりするのです。結果的にどうしても胸元が映ってしまう。男子なので気にしない人のほうが多いのですが、大人になったときにこれを見たらどうかとか、これを見て今いろいろな方がいますので、(性加害などの)標的になるというケースも考えられなくないということで、20~30人はいましたが、全員の保護者に、許可を取ってくれということになりました。配信前提のものでしたので、要は全世界に見えるような状態になります。プール教室にお願いして、保護者全員に一筆書いていただきました。これは数年前ですが、今年(2023年)も似たようなことがありました。そこまで苦労して撮るべきなのかな、というぐらいになっているのが実感です。そこまでやっています。

〇代表社の参加者
今、配信の話でありましたが、弊社もローカル番組の配信を始めました。取材先には放送もデジタル配信もありますよと、言うようにはしていますが、どこまで言えるかという問題があります。承諾書の話になってくると、さきほどのお話のように、20人の承諾書を取ることを前例にすると、取材よりも承諾にかかる手間のほうが多くなって、取材するほうが音を上げてしまいます。非常にバランスが難しいし、どこまでそれをやっていくのか、それをルールにすると現場取材が難しくなってしまうと思います。
さきほど参加者が、やはり子どもの表情が一番のニュースだとおっしゃり、確かにそのとおりで、我々も後ろから映すことがいいとは全然思っていません。けれども、学校の外での行動であれば映像取材は構いませんが、学校の児童・生徒が映るとなると学校の意向を聞かざるを得ない。そこが今のネックなのかなと思います。
あと、水着の話が出ていましたが、若い女性記者と話していたら、海開きかな、海で若いお子さんが楽しそうにはしゃいでいる映像を撮ろうと思ったのだそうです。しかし、こういう昨今の問題があって、それは問題かなという自主規制のような形で取材する側が遠慮してしまったということで、それはあまりよくないなと思いながら今お話を聞いておりました。

《【テーマ3】フリートーク》

参加者に、日常の取材活動などを通じて関心を持っているテーマについて、自由に問題提起してもらいました。

(1)「性的少数者である青少年の取材の留意点などについて」

〇参加者の問題提起
実はまだ取材できていないのですが、取材を試みているのは、LGBTQ(性的少数者)の高校生の男子で、学校で男女共用の服装を作ろうという運動をしています。本人は取材にオーケーで、両親もオーケーという状態ですが、ディレクターは取材をして放送するときに、本人と両親は了解しているけれども、実名を出していいのか、仮名みたいな感じで出せばいいのかと結構悩んでいます。LGBTQに関することが、この2~3年で急に話題になってきたので、僕らも過去にあまり事例がありません。ディレクターに対してどう指導していいのか、なかなか思い悩むところがあります。未成年のLGBTQの方に対して取材するときの留意点とか、どうしたらいいのかという事例があれば教えてほしいというところです。

〇髙橋委員
匿名にすることで偏見を助長する可能性もあるのではないでしょうか。偏見とのバランスはすごく難しいなと思っていて、LGBTQだから仮名にしなければならないのか、名前を伏せなければならないのかという議論にもなるので、基本的には本人の同意(に従うべき)なのかなと思います。

〇榊原委員長
私たちは、こうすべきだとか、これが正しいということを言う委員会ではなく、このようにしたらいいのかなと一緒に考えていこうという委員会です。さて、どうしたらいいのかなということですが。

〇吉永委員
ディレクターの方が悩んでいるポイントはどこですか。

〇参加者
悩んでいるというより、もし実名を出したときに、本人はいいと言うけれども、予期せずに(SNSなどが)炎上したらどうしようということです。過剰(な懸念)といえば過剰なのですが、そういう懸念をしているようです。

〇吉永委員
確かにLGBTQの状況は今すごく変わってきていて、日本では過渡期にあるのではないかと思います。この高校生は、匿名の社会の中で実名を出していいと言っているわけで、彼は孤独な戦いをしているわけではなくて、彼の周辺には理解者がいるでしょうし、そこで一緒にやろうという友人が何人かいるのですよね。その姿勢を尊重していかないと世の中が変わっていかないような気がします。
それでも、「何かがあったら」と考えていくと、もう結局やらないほうがいいという話にどうしてもなってしまう。学校がどのくらいの理解を示しているのか、学内的にもどのぐらいの理解がされているのか、どのくらい一緒にやろうという人がいるのか、という校内の雰囲気などをしっかりと総合的に判断した上で、本人の希望に沿うのか、本人を説得して匿名にさせるのか仮名にさせるのかという話になると思います。本人が(実名でと)言っているときに、逆に仮名にしろというのはなかなか難しいことではないか、という気がします。

〇参加者
LGBTQの方の取材の難しさということでは、弊社のディレクターも少し迷っているところがあります。取材しているのはLGBTQの小学生の子どもですが、その子は、小学校低学年で自分の性別に違和感を覚えているようです。本人は何となくそれを自覚しているという状況で、取材を申し込んで話を聞くことができました。本人は何となく取材に前向き、ただ保護者が「成長過程で心が変わるかもしれないので」ということで、取材に少し戸惑っていらっしゃいます。ディレクターとしては保護者が戸惑っている状況なので、さらに踏み込んだ取材をしていいのか、というところで足踏みしている状況です。
性的マイノリティーの人は成人したあと、小さい頃からすごく違和感を覚えていたと語る人が多いと思います。メディアとして、現時点でそういうふうに感じている子どもがいることを報道するのは重要なことだろうと思う反面、保護者の思いとそこを報道するかどうかで葛藤するという部分があります。子どもは成長とともにいろいろと学んで心は変わっていくと思いますが、そういう中で、この性的マイノリティーと自覚している子どもにどこまで接近して取材をしていいのか、また、取材のときにどんなことを配慮するべきなのかというところをすごく迷っている状況が、弊社にもあります。

〇榊原委員長
今のは、一番最先端の問題です。いろいろ摩擦があるようなことについては、ある程度勇気を持って出していく、きちんとした見識を自分たちでまとめて出していく、ということが世の中を変えていくのでしょう。SNSがある、あるいはネットがあると言いながら、こういう放送がとても大きな社会的な影響力を持っているというのも事実だと思います。換言すると、世論を意図的に操作するわけではありませんが、出していくということはある程度勇気を伴います。勇気が要りますが、(社会的に)必要なことだと思っています。

〇沢井委員
ネガティブなことは駄目なのかというと決してそうではなくて、むしろネガティブと思われる事柄に今後社会、環境を変えていくために大事な、今つらいけれどもこれをどうにかしたいという子どもなり保護者なりの意見があると思います。
私が子ども番組を監修するときにいつも考えるのは、国連の「子どもの権利条約」と、その条約の内容を日本の法律として初めて取り入れて、今年(2023年)4月に施行された「こども基本法」です。有名なのが子どもの意見表明権です。子どもにも意見を表明する権利があることと、子どもも社会的な活動に参加することができる、意見を言うだけではなくて、大人と一緒でもいいから、何か社会的活動に参加することができるということです。だからLGBTQの子どもの場合でも、社会をもっと住みやすく、生きづらくないように変えたいという願いを保護者と共に持っているでしょうし、その仲間にもあるでしょう。そういう潮流をメディアは誇張することもなく、「でも、そういう人たちがいますよ」ということは出すべきだと思います。
保護者が戸惑っていらっしゃるのは確かでして、例えば4歳とか5歳、6歳の子どもでは、そこで発達の過程で変化して、あれに顔出ししなければよかったと後で悔やむことがあってはいけないという心配だと思います。ただ、メディアというのは現在の出来事だけではなく、今がどのように積み重なって変わり、歴史となっていったかということを、映像として残すというミッションもあると思います。そうすると縦断的にずっと追っていく場合は、最初は顔出しではなく5歳の何とかちゃんはLGBTQの傾向があって、こういうことを悩んでいますということをずっと追っていく。私の感覚だと10歳を超えたぐらいのときにはもう本気で、そこである程度その子の人生を決めることがもう起きているように思います。10歳か11歳ぐらいのとき、小学校高学年ぐらいのときに、自分はもう意見をきちんと言いたい、顔を出して言いたい、私ではなく僕でいたいというようなことも言いますので、もちろん保護者とも話し合って、私は(放送に)出してもよいのではないかと思います。縦断的に追っていって、ある程度伏せていたことをだんだん開示して、最終的にそれは長編ドキュメンタリーになるかもしれない。それはそれで意味のあることだし、歴史的な映像になると思います。
所詮子どもなのだから、と保護し過ぎてもいけないし、隠すということも一つの偏見を生むことになるので、本当に小さいときは少し保護的であるけれども、それを撮った上で、その子どもの人生ということでドキュメンタリーにする。本当によい番組になるのではないかと思いますし、そういうことがあっていいのではないかと感じます。私は子どもの意見表明というのは顔を出すもので、表情が大事、映像のテレビですから、それはぜひできるだけ顔は撮ってほしいと思います。

(2)「ルッキズムへの配慮について」

〇参加者の問題提起
ルッキズムという言葉ですが、最近その言葉が社会問題として注目されているので取り上げさせてもらいました。見た目で人を判断したり、容姿を理由に差別したりするという意味ですが、実際に放送の中でも少しずつ関わってきます。人を見栄えで評価するのはすごくよくないことで、例えば言葉にすると不細工など、そういった言葉を使ったら駄目なのはもう当たり前の話ですが、逆にイケメンや美女など、人がよい意味で表現してきたものが青少年にとってどんな影響を及ぼすのかとか、成長に対して問題になったりするのかというのが、気になっています。放送の中で今後さらに厳しくなっていくのかなと思います。今後どうやって向き合っていくべきなのかということを、聞いてみたいです。

〇榊原委員長
本当に難しい問題、なかなか言葉というのは、非常にいろいろな意味合いがあるので、ネガティブなことだけじゃなくポジティブなことでもやっぱり言えないと。 
とても難しくなってきている時期なのでしょうが、その辺について何かご意見ございますか。

〇吉永委員
今は「美人アナ」と言っても駄目なんですよね。だからそういうのはちょっと過激な反応。20年近く前、2005年に「人は見た目が9割」(竹内一郎 著 新潮社刊)という本が出ました。そのことで何も問題もなく、みんな結構読んでいたような気がします。見た目が9割と言われたら、それこそ究極のルッキズムだよね。でも当時は、それを笑って違うんじゃないのという人と、そうだよなという人がいて成り立っていた世の中でした。今はものすごく変わったんだなという気がします。
かつてのおおらかさというか、それが全くなくなってしまって、ただネットで容姿をバッシングするというのは、本当に卑劣なやり方だよね。私たちがそれを避けるために、全部やめていってしまうと、逆にそれを認めたことになりはしないかという、非常に複雑な屈服感というか、そういうのがありますね。

〇髙橋委員
ルッキズムの問題は、例えば肥満の人がいたときにそれをいじるなど、そっちだと思います。日本はそういうことに関して、いじる文化は結構あって、それはおおらかといったらおおらかなのかもしれないけれども、アメリカだと、そういうことをやったら結構批判されますね。体型のことをいじるという、そこなのかなと。いいのよりも悪いほうです。

〇吉永委員
それは人によってだから。私は別にデブと言われても、全然傷つかないですけれども、やっぱり傷つく人だっているし、そういう人には言ってはいけないというように、人を見てそう判断をしていくとか、関係性の中で発する言葉を選んでいくというようなことが全くなくなってきているのかなと思います。

〇榊原委員長
関係性の中でというか、文脈の中でどういう意味で言ったかというのはもちろん重要で、「アホとちゃう」と言われたって、大阪の人は何もそれは普通の言葉で言っているわけです。それは「おまえはアホだ」「ばかですね」というのと違うので、その辺の文脈のこともきっちり捉えて、言葉狩りで萎縮することではないだろうと思っています。言葉狩りというのはやる気になれば幾らでもやれますので、文脈としてそういう意味ではないことを、矜持を持って伝えるということが必要になるのかなと思います。

(2)「ラジオ局(FM放送)の立場から」

〇榊原委員長
青少年委員会が委嘱している中高生モニター制度の中高生に、ラジオ番組について尋ねたところ、いろいろな意見があって、とても好評でした。好評というのは2つあって、そういうお題を出すと、「ラジオをほとんど聴いたことがない。初めて聴いた」という人が多い。これは今のラジオの状況かもしれませんが、逆に結構多くの中高生モニターが、「ラジオだとしゃべっている言葉がすごくそばにいて、言葉の持つ雰囲気や、その人の気持ちが身近に感じられる」ということをとてもよかったと言っていました。それから、ラジオを聴くようになったという人もいます。ラジオの持つ意味はいろいろあると思いますが、さきほどから議論にしている、例えば顔を出さないとか、視覚的な情報に対するNGに対して、逆にラジオは乗り越えられる可能性があるということも、今思いました。

〇ラジオ局からの参加者
委員長がお話しいただいた中で、若者がラジオを初めて聴いたというお話がありましたが、私は数年前にあるキャンペーンのため、局の前で鉛筆を配ったのです。そのときに小学校2年生の女の子が学校帰りに赤いランドセルを背負って、「私にもちょうだい」と言うので、「もちろんどうぞ」とあげるとき、聴かないだろうなと思いながら、「ラジオって聴く?」って聞いたのです。そうしたら、「ラジオって何?」と逆に返されました。これは思った以上のショックでした。それくらい家にラジオがないということになるのだと思います。あるのは車の中や、あるいは防災のラジオは持っていても、逃げるときのかばんの中に入れておくのが日常の風景ということなのでしょう。
それから、(中高生モニターが)ラジオを身近に感じるというお話もありましたが、私は前から言っているのは、例えばテレビだと今はあまり言いませんけれども、「お茶の間の皆さん」という言い方がよくありますが、ラジオの場合は「ラジオの前のあなた」なのです。つまり1対1として放送するということが多いのです。そういうこともあって、身近に感じてもらえるのかなと思っています。そういう意味では心に届くこともあるのかなというように思います。
一番初めに委員長から嘲笑は笑いではないというお話がありました。では、いじるということと、いじめ、嘲笑みたいなものの違いの境はどこなのだろうと思っていましたが、それは、地域によっても違うだろうし、人によっても違うだろうし、文脈によっても違うだろうというお話があったので、「なるほどな」と思いました。境というものはここだと区切れないものだと思いました。私も「はげ」と言われても何とも思いません。むしろおいしいと思います。もう自分で言っているのですが。ただ、テレビで、若い女の人に結婚相手についてインタビューをしたときに、はげとデブは嫌だと、全然知らない女性が言ったのです。それに関してはちょっとショック、そういうところですね。
それからテレビの方々は、映像に対しての大変なご苦労とご配慮をされているんだなと思いました。児童の胸にキャラクターの缶バッジをつけることは、ラジオにはとてもないジレンマです。
ネットの話も多くありましたが、放送で倫理を保つことはもちろん必要です。ただこれがネットのニュースの波にのまれるということも最近はあるなと思っています。委員長からファクトの度合いが国民的に広まることが望ましいというお話がありましたし、ペンは剣より強しという言葉があるというお話もされました。このペンをもう全国民が既に持っているんじゃないかと思ったりもしました。
そんなところから最近は、メディアたたきとか、むしろメディアのほうが遅いし薄いしなどの批判で、メディアが弱くなっていく倫理を保っていることが、結局メディアは駄目だという風潮がネットの中ではあるように感じています。ありがとうございました。

〇榊原委員長
時間がちょうど来ましたので、ここで意見交換会を終わりたいと思います。

事後アンケート 概要

意見交換会終了後、参加者全員にアンケートの協力を依頼し、9割以上に当たる14人から回答を得ました。その概要を紹介します。

  • ▼「『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』に関する見解の解説」について
    • 「見解」が発表された時に一度読んではいたが、改めて「苦しんでいる人を助けずに嘲笑する」ことが「子どもの中に芽生えた共感性の発達を阻害する可能性があることは否めない」ことをテレビ局側は肝に銘じる必要があると感じた。
    • ローカル局では該当するようなコンテンツを制作する機会は少ないものの、番組編成という点では当事者であるため、見解の意図や番組制作のこれからについて関心があった。直接解説をお聞きし、専門的な見解について理解することができた。一方で、地上波放送のふり幅が小さくなる懸念も感じられ、低年齢層の接触率が高まっているネット上やゲーム等の激しいコンテンツに加速度的に意識が向き、なんらかの影響があるのではないかとも思った。
    • 「他人の心身の痛みを嘲笑する」演出は、それを視聴する青少年の共感性の発達、人間観に影響を与えるという科学的な指摘はとても腑に落ちる部分がありました。弊社の番組でも、出演者どうしの信頼関係の中で「いじる」という展開も過去にありましたが、テレビで放送する際は「関係性」などまったくない状態ですので、常に「他人の心身の痛みを嘲笑する」という表現がないか、しっかり意識しておくことが重要だと感じました。
  • ▼ (テーマ1)「子ども(小中学生)の『いじめ・自殺』報道」の意見交換について
    • 学校や教育委員会の一方的な説明に基づく報道は避けなければならないと思いますが、なかなか家族の声にまでたどりつけず、学校側の言い分を批評するにとどまっているように思います。自殺に関する報道について、詳細を伝えることが周囲に影響を与えることにつながるということを再認識しました。何を伝えるのかを常に考えながら報道していくことが大事なのだと実感しました。
    • とかく自殺の件数に目を奪われがちだが、その陰では未遂者が10倍にも上るという数字の多さに驚いた。いじめに関する自殺については、1つの原因だけではなく家庭内の事情などいくつかの要素が重なることで、最終的に死を選んでしまうという複雑な状況も学びになった。また、相談を受け付ける支援団体のニュース内での告知に関しても、全国規模の団体を紹介するよりも、より地域に身近なところで活動する団体を紹介することが、ローカル局として意義があることも学んだ。今後はこうした地域の支援団体を、映像を通して企画などで広く周知する取材も必要だと感じた。
    • 「被害者やその家族の保護」という観点はもちろんですが、「加害の子どもの保護も必要」という委員の意見に同意します。更に加えるなら無関係でありながら「同じ学校」や「同学年」というだけで疑いの目が向けられる被害もあり得ると感じます。SNSが発達した現代では報道の一部が切り取られて拡散することもありますが、表現の自由や報道の自由を外部から不当に制限されることのないよう自主・自律で配慮する必要があると思いました。
  • ▼ (テーマ2) 「子どもを対象とするカメラ取材の状況と問題」の意見交換について
    • 時代や環境の変化に伴って、子どもの取材は大変、難しくなっているのは事実です。ただ、子どもたちの主張も大事にしてあげたい、とも思います。何を取材して、どう報道したいのか、学校や保護者に伝わるような工夫をし続けるしかないのかな、と思います。
    • テレビが与える影響は大きいので、それにより青少年が傷ついてしまうことはあってはならないことだと思います。ただ、後方からの取材、顔を映さない取材が必要な部分ももちろんありますが、そういった撮影方法が増えていくことで、あれもこれも「子どもの取材は顔を映さない」が当たり前になっても、せっかくの表情やその場の空気が伝わらないように思います。私たち報道する側は、すべてにおいて引いてしまうのではなく、その都度、学校等に何を報道したいか説明し、お互い理解した上で臨んでいきたいと感じました。
    • 実名報道を原則に長年報道でカメラマンとして働いてきたので、個人情報保護法で「匿名社会を選択した」という委員の発言は重く受け止めた。ただ、そんな状況でも実名による将来への記録、実名報道による災害時の安否情報発信もあるという委員の発言もあり現場を指揮する身としては励みになった。各社とも実名匿名の判断をかなり悩みながら取材している状況も聞くことが出来て有益な意見交換になった。
  • ▼ (テーマ3) 「フリートーク」での意見交換について
    • LGBTQやルッキズムなど新たな社会のうねりにどの社も直面していることがよく理解できた。
    • LGBTQの青少年の取材については、本人・両親が了解しているのなら実名で報道しても問題ないという委員からの意見が参考になった。「本人・両親は、LGBTQのことをよく思わない人もいると分かった上で、取材や実名報道を了承している。もし周りからの摩擦があったとしても彼らは覚悟の上で意見を表明しようとしている」と委員が意見を述べていた。私もその意見はその通りと感じ、今後の報道にも参考にさせていただきます。
    • 青少年のLGBTQについての意見交換の中で、子どもの意見表明権についてご意見をいただきました。今後の成長に影響を与えるのではないかと悩むことも大事かもしれませんが、その年齢にしか感じられないことがあり、本人の意思があれば、そこに耳を傾けることも大事なのかもしれないと感じました。
  • ▼ そのほかの意見・感想、BPOや青少年委員会への要望など
    • 対面式での意見交換会が有意義であることはもちろんだが、web形式での意見交換会との併用にすれば、もっと大勢が参加できて良いのではないかと思った。
    • 学校での子どもの匿名取材について、委員には意外だったという印象を受けました。匿名性が進み過ぎたと感じることもあり、今後同じような機会があれば匿名の是非を考えることも意見交換のテーマとして取り上げていただければと思います。
    • 各局同じような悩みを抱えていることを実感し、勉強もさせてもらった大変有意義な意見交換会でした。報道する側には当たり前のことであっても、視聴者の考えや思いと離れていることもあるかと思います。こうした機会に、改めて「何のための報道なのか」を考えることができ、大変良かったです。

以上

2024年1月26日

関西ラジオ局意見交換会を開催

放送倫理検証委員会は2024年1月26日、関西に拠点を置くラジオ局との意見交換会をMBS本社で開催、12局31人が参加した。委員会からは小町谷育子委員長、岸本葉子委員長代行、井桁大介委員、大石裕委員、長嶋甲兵委員、毛利透委員の6人が出席した。ラジオ局との意見交換会は2023年3月の東海地区に続く2回目。

開会にあたり小町谷委員長は、近年、ラジオの放送内容を問題視する聴取者意見が連続していることに触れ「現場で起きている問題を共有し、放送倫理を一緒に考えていきたい」と話した。自由で寛容なメディアであるラジオで今、何が起きているのか。委員会が抱いた危機感を共有し、ラジオ現場の声に耳をかたむけていきたいという意見交換会の目的を説明した。

ゲストの問題発言の対応「過激トークとの向き合い方」

まずは、ゲストから問題発言が出た時にどう対応していくのか。実際の放送事例をもとに問題点の整理や質疑へ。報告者はMBSラジオ。ニュース解説の中で、北朝鮮ミサイル実験に対する日本の対応について、ゲスト評論家が朝鮮学校の存在をからめた発言をし、関西の人権団体から抗議をうけた。その後、番組内で「朝鮮学校の児童、生徒に対して、配慮の足りない表現がありました」というお詫びコメントを放送。加えて、朝鮮学校の授業を見学するなどして理解を深めていったことを報告した。MBSラジオの番組審議会からは「マスメディアはいったんマイノリティの側にたって考える姿勢が重要」との指摘をうけ、報告者は「現在の朝鮮学校や民族教育に関する知見や知識について、在阪メディアとして決定的に不足していた」との認識を示し「スタッフ、出演者それぞれが感度を高めていくことを一歩ずつ積み重ねるしかない」と総括した。
委員から放送時のアナウンサーの対応への疑問が呈されたところ、参加者から「問題発言があっても、大物ゲストだとアナウンサーの立場は弱い。(発言を)いさめたあと関係がギスギスする。番組の今後のことを考えてしまう」といった現場からの悩みも伝えられた。岸本委員長代行は「年長の人、感度のいい人をつけておいて、アナウンサー任せにしない」といった組織的な対応についての提案がなされた。

あらためて政治的公平性を問いかける「ラジオの現場から」

続いての報告はラジオ大阪で、2023年1月に放送された番組「大阪を前へ!」「兵庫を前へ!」について。内容は特定の政党の議員や立候補予定者をゲストに招き、本人のプロフィールや活動の紹介、友人や支援者による人柄紹介といったもので、一定のフォーマットに沿った15分と30分の番組が計15本放送され、特定政党の議員、関係者計18人が出演した。会場では初回1月12日の放送(6分)が流された。放送後にBPOに視聴者意見として「特定政党のPR番組を一般の番組と同じ扱いで放送することは問題だ」といった内容が寄せられ、BPOは「政治的公平性についての認識に問題がある」として討議入りを決めた。
このテーマについて弁護士の井桁委員が個人的な意見も交えて、法的・放送倫理的な問題点をレクチャー。冒頭「(この放送が)車の中で流れたらちょっとびっくりするだろうなと思った」と最初に放送を聞いた時の衝撃を語り、「政治的公平性」と「事前運動」の二つの側面からの問題点を指摘していった。まず事前運動については公職選挙法の規律をもとにし、「公示日(告示日)から〇日/〇ヵ月前ならセーフ」といった限定はない」との前提を示し、公示日(告示日)が近づくほど事前運動の可能性が高まっていくと話した。ただし、「選挙に関して放送設備を使うのは、政見放送と経歴放送以外は禁止」として、公選法が放送局に対して「選挙と距離をおくよう厳しく規制している」と言明。こうしたことを踏まえたうえで今回の放送は「事前運動の対象となるような放送だった」と指摘した。
一方、政治的公平性については「量的公平性」ではなく「質的公平性」の重要性を強調。少数意見の尊重、潜在する社会問題の発掘やアジェンダの提示があれば質的公平性は担保されると説明した。加えて「選挙報道で決して委縮してほしくない。みなさまにはアジェンダ設定という重要な役割がある」ことを強調した。

参加者からは、議員がDJの番組や立候補予定者になり得るゲスト出演についての報告があり、小町谷委員長は「いろんな視点を提示しているかどうかが重要になる」と答えた。一方、大石委員はラジオでは「セグメント化(集団)したターゲットを絞った、ある種の甘えがある」と指摘。「特定の視聴者が聴いてくれればいい」という姿勢とは一線を画して「信頼性を獲得し続けてほしい」と話した。

これからも、ともに悩み考える機会を

最後にBPO神田真介事務局長が「BPOではいろんな角度から議論し、悩みながら模索している。これからも現場のみなさんとこういう形で悩みを共有しながら、何ができるだろうか、どうすればいいだろうってことを考える機会を設けていきたい」と結んだ。

以上

第192回

第192回–2024年2月

関西テレビ『ちまたのジョーシキちゃん』を討議

第192回放送倫理検証委員会は、2月9日に千代田放送会館で開催された。
1月に大阪市で実施した関西地区ラジオ局意見交換会の模様などが、参加した委員から報告された。
次に1月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見が報告された。
最後に自主報告された関西テレビのバラエティー番組の内容について議論され、討議入りして引き続き対応を検討することになった。

議事の詳細

日時
2024年2月9日(金)午後5時~午後7時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 関西地区ラジオ局との意見交換会の報告

1月26日に大阪市北区のMBSを会場に意見交換会を開催し、関西地区(大阪、兵庫、京都、滋賀、和歌山)のラジオ局12局から31人が参加した。
出席した委員からは「和やかな雰囲気の中で率直な意見が聞けた」「実際に放送素材を聴いて、みんなで話そうという機運が盛り上がった」という感想や「クライアントが強く出てきた時に、具体的にどうしようかという悩みを抱えている放送局がいくつかあることを知った」といった報告などがあった。
意見交換会の詳細はこちら

2. 1月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

ドラマの脚本をめぐり制作側と見解の違いが生じていたことを明かしたあと自殺したことを受けて、視聴者からさまざまな意見が多数寄せられたことが報告され、議論した。この他、バラエティー番組で沖縄出身のタレントに対して模擬記者会見を行い、方言を使ったら負けというゲームをしたことについて、視聴者からかつて沖縄で行われた、方言を禁止し標準語を話すように教育した同化政策を想起させる、という意見が寄せられたことなどが報告された。

3. 関西テレビ『ちまたのジョーシキちゃん』を討議

関西テレビが2023年11月3日に放送したバラエティー番組『ちまたのジョーシキちゃん』の中で、関西人1万人が選ぶ(ある食品の)おいしい外食チェーン店のランキングを発表した際に、外食チェーン店1店の名前を除外していたことが分かり、11月24日の同番組内で訂正をした。当該放送局からはアンケート結果の順位を変えた経緯や再発防止への取り組みなどについての報告書や、番組審議会で厳しい意見を受けた議事録などが提出された。これを受けて委員会では「根本的なところで視聴者に向き合う、もしくは放送倫理に向き合うことから逃げているのでは」などの当該放送局の対応に疑念を抱く意見が出され、討議入りして問題点を整理した上、議論を継続していくことを決めた。

以上

2024年1月に視聴者から寄せられた意見

2024年1月に視聴者から寄せられた意見

テレビドラマの原作者が指摘した制作上のトラブルについて放送局は説明すべきではないのか、沖縄出身のタレントに方言を禁じる企画は不幸な歴史を想起させるのでよくない、といった意見が寄せられました。

2024年1月にBPOに寄せられた意見数は2,410 件で先月から 576 件増加しました。
意見のアクセス方法は、メール 88.8% 電話 10.2% 郵便・FAX計 1.0%
男女別(任意回答)は、男性35.2% 女性20.9 % で、世代別では 30歳代 25.5% 40歳代 25.0% 50歳代 21.0% 20歳代 12.9% 60歳代 8.6% 70歳以上 3.3% 10歳代 1.7%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、1月の送付件数は1,308件、54事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から21件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

テレビドラマの原作者が指摘した制作上のトラブルについて放送局は説明すべきではないのか、沖縄出身のタレントに方言を禁じる企画は不幸な歴史を想起させるのでよくない、といった意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は30件、CMについては11件でした。

青少年に関する意見

1月中に青少年委員会に寄せられた意見は77件で、前月から3件増加しました。
今月は「表現・演出」が28件と最も多く、次いで「要望・提言」が26件、「言葉」が6件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 能登半島地震の際に強い口調で避難を呼びかけたアナウンスは切羽詰まった緊迫感が伝わった(富山県で視聴)。

  • 強い口調で避難を呼びかけたアナウンスによって命を守る重要さが強く伝わったが、80歳代の母親は「呼びかけで怖くなり、動けなくなってしまうのではないか」と感じたという。世代による受け止め方の違いも考えてほしい(被災地以外で視聴)。

  • 能登半島地震後に起きた輪島市の大規模火災について、火元が1か所であったことを示した上で、延焼を招いたさまざまな要因を検証していた。その際、火元周辺の精細な衛星写真が示されたが、関係者への誹謗中傷などを生む恐れがあるのではないか。

  • 女性に性的行為を強要したと週刊誌で報じられた男性芸能人が所属する事務所は、主要株主が在京、在阪の民放キー局だ。この事案は客観的かつ第三者的な観点から報道されているのだろうか。

  • ドラマの原作者である漫画家が急死した件のニュース。放送局がトラブルの一方当事者であることがうかがわれる状況で、自社の見解のみを報じることは公平性を欠いていないか。
    (以下、上記の件について)

     情報番組で扱っていたが、漫画家サイドの出演者がおらず、テレビ局の事情を
     くむような発言が目立ち、一方的だと感じた。

     複数の漫画家から「原作と乖離した改変が嫌だと思いつつも、多くの人に
     届けたいので受け入れざるを得ない」という声が聞かれる。原作の重要な部分の
     改変がテレビ局側の論理において正当化されることがまかり通っているのなら
     是正すべきだ。

     テレビ局はドラマの原作者の「許諾をいただけた」というが、原作者は局側に
     示した条件が守られなかったと発信している。局側には視聴者に説明する責任が
     あるのではないだろうか。

  • 特定少年に対する死刑判決のニュース速報をテレビで見た瞬間の、母親と未成年の兄弟の様子をモザイク入りで報道していた。家族への死刑判決というセンシティブな状況で、未成年者を撮影するのは児童の人権への配慮が足りないと思った。

  • 横断中の歩行者がトラックにひかれて死亡した事故のニュース。過失運転致死の疑いで逮捕された運転手の顔を鮮明に捉えた映像が放送された。「原因を調べる」という段階で、運転手の将来を考えると残念。

  • 飲酒運転取り締まりの特集で、飲食店から出てきてフラフラしている男性を警察がマークし、乗車後しばらく運転させてから検挙していた。もしこの男性が事故などを起こしたらどうするのか。警察の手法に不信感を禁じ得ない。テレビ局は何も疑問を持たなかったのか。

  • 改造車の取り締まりで警察から注意を受けた。その際に撮影され、警察の記録用かと思っていたが、放送を見てテレビ番組の取材だったと知った。私の顔やナンバーはボカされていたが、車の特徴からネット上で特定され、脅迫的な不穏な書き込みなどがある。物理的な被害こそないが不安だ。

  • 朝の情報番組で地元出身のお笑い芸人がまじめに現役高校生の相談に乗るコーナーがすばらしい。学校教育でも、個人個人に向き合う時間を少しずつでも増やして、さまざまな問題の解決につなげてほしいと感じる。

  • 朝の情報番組で「速報」として、ハリウッドに手形足形が刻まれることが決まっていた日本人ミュージシャンが、その完成お披露目のセレモニーに出席したという情報が伝えられた。緊急性がなく本来の速報という意味や言葉の重みが薄らいでしまうと思う。

  • 全国で唯一、女性議員が半数を占める地方議会のエピソードとして、子育て支援の制度変更が取り上げられた。ある住民が新人女性議員に要望を伝えたところ、2週間後には区議会で女性区長が実施を表明、1か月後には新制度が施行されたと紹介されていたが、実際には複数の議員が何年も活動して実現したこと。事実と違う。

  • プロ野球選手の移籍に関して、地元ローカル局が結論だけではなく経緯について取材した内容も併せて報じた結果、ルールをまげた球団の動きが明らかになった。賞賛に値する報道だと思う。

【教養・バラエティー】

  • 漫才で人力車引きが客に対して「重い」と不平を言う場面で「デブ」「兄ちゃん、糖尿病か?」。(糖尿病を理解せず)患者を著しくおとしめる発言だ。

  • バラエティー番組で「最先端の虫歯治療」というテーマでレーザーを紹介した際、出演した歯科医が「健康保険は使えない」と説明していたが、実際には保険治療が認められている。視聴者に誤解を与える。

  • お笑い芸人が商店街を訪ね歩く企画で、1人が「光を浴びて健康になる」という43万円の装置をその場で現金で購入する様子をビデオで紹介し、スタジオにもその装置を出してトークしていた。視聴者に迷信への入り口を与えかねないと思う。

  • 「世界のまぬけな犯罪」として、店に入ってきて机の飲み物を勝手に飲んで出て行く男性の様子を捉えた監視カメラ映像が紹介された。「めちゃめちゃキモい」などと笑っていたが、飲みたいという衝動をすぐに行動に移す、勝手に「問題がない」と判断する、うつむき加減などの傾向が見られる。自閉症など障害がある可能性も考慮してほしい。

  • 沖縄出身の俳優に沖縄の方言で話しかけ、つられて方言で答えたら「アウト」という企画。皇民化政策や「方言札」を思い起こさせ、沖縄の歴史を踏まえると安易に笑いにしてはならない内容だと思う。

  • 3年ほど前、70歳代の母親がゴールデン帯の番組で紹介された体操を試し、翌朝、背骨に痛みを感じた。受診したところ背骨の損傷が見つかり、現在も身体的な不自由さが残っている。

  • ノンフィクション番組で、食費を節約するために20時以降に半額になるのを待ってスーパーで買い物をしている家族を取材。半額シールがまだ貼られていない商品を手にした取材対象者が店員に「(シールを)貼ってください」という要請し、店員が応じていた。近所の店なので私も同様に店員に頼んだところ「一度かごに入れた商品には貼れない。テレビ局には番組の演出であることが分かるようにテロップなどで説明するよう要請していたが、実行されなかった」とのこと。やらせにならないのか。

  • 「テレビ局の警備員に聞いた感じの悪い芸能人」だというタレントのエピソードを紹介した上で、スタジオ出演者にその名前を示して驚く様子を放送し、視聴者には「清楚(せいそ)系女性タレント」というテロップだけが表示された。無用の憶測を呼び、無関係のタレントへの誹謗中傷につながらないか。

  • 地震の被災者のことを思えば、この時期に大食い対決を見せられることには抵抗がある。被災地が落ち着きを取り戻してから再開してはどうか。

  • タレントが街中の飲食店の外観などから「過去にテレビの取材を受けたことがあるか」推測してから店主に確認、「取材なし」が連続して見つかるまで続けるという企画。タレントが店頭で「取材なし」を大声で喜んだりしていたが、店側がどう思うか考えてほしい。テレビなら構わないというおごりがないか。

【その他】

  • 自然災害の時に全局が同じ内容の報道になってしまうのは仕方がないのだろうか。視聴者が選択して見られるよう、サブチャンネルを活用するなど方法がないだろうか。

  • 大きな災害に直面している状況でバラエティー番組を放送する意味はあるのか。各局の報道姿勢に疑問を感じる。

  • タレントがさまざまな街を歩く番組を視聴したが、放送時間の半分以上が番組表の記載内容とは異なる通販番組だった。

【ラジオ】

  • 「男性だけのコスプレ撮影会」の特集。これまでコスプレに対して持っていた「性的」などあまり良くないイメージが変わった。コスプレイヤーたちが持ち込むエアガンの安全対策を担当する専門家への取材などもあり、リサーチや構成、取材したパーソナリティーの質問などもよかった。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 平日昼のバラエティー番組で、ゲストの男性芸人が笑いを取るため、司会の芸人や着ぐるみマスコットに飛び掛かって倒し暴行した。子どもが真似したら困るので、こうした演出には配慮がほしい。

  • ローカル情報番組のバイク・ツーリング企画で、出演者らが道の駅でじゃんけんをして、負けたら軽食の代金を払わせ、負けた当人は食べられなかった。少額とはいえ、公共の放送で賭け事を堂々とやることが理解できない。

【「要望・提言」】

  • 宗教問題を正面から取り上げた教養番組で、進行役のタレントが、大手芸能事務所のアイドルグループのファンをカルト宗教の信者になぞらえるコメントをした。大好きなグループを楽しそうに応援する私の娘も信者扱いなのか。こうした見解には閉口してしまう。

  • 能登半島地震が発生して津波情報を放送してくれたのはよいが、画面を子どもや外国人にもわかりやすく、ユニバーサルデザインにして表現してほしいと思った。

【「言葉」に関する意見】

  • 報道番組のニュースでアナウンサーが、原稿にある「YouTuber(ユーチューバー)」という単語をそのまま読んでいたが、これは正式な職業名とは言えない。わかりやすく「動画配信者」と報じるべきではないだろうか。

【「マナー・服装」に関する意見】

  • バラエティー番組の出演者に、食べ方が汚い芸能人が目立つ。とくに、スパゲティを食べるときに音を立てる芸人がいる。マナーに反する行為だし、子どもが真似するおそれがある。

第264回

第264回-2024年1月23日

中高生モニターからのリポートについて… など

2024年1月23日、第264回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会では、12月後半から1月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
1月の中高生モニターリポートのテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」でした。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年1月23日(火) 午後4時00分~午後6時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

12月後半から1月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
若手漫才師が出場するコンテスト番組で、あるコンビが頭髪の薄い人を揶揄する言葉を連発したことについて批判的な視聴者意見が寄せられました。担当委員は「ルッキズム批判という形での意見がしばしば集まってくる。特定の番組を対象としなくても、(青少年委員会で)何らかの話し合いが必要になる可能性が出てくるかもしれない」と指摘しました。
宗教に関する問題を正面から取り上げた教養番組のなかで、進行役のタレントが芸能事務所所属のアイドルグループのファンをカルト宗教の信者になぞらえる発言をしたことを批判する意見がありました。別の委員は「意図的にカルト集団だと決めつけたわけではないだろう」という見方を示しました。
このほかに議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

1月のテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」で、モニターからは合わせて14番組への報告がありました。複数のモニターが挙げたのは『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)と『芸能人格付けチェック!2024お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)でした。そのほかにも年末年始の番組は長尺のものが多くありましたが、リアルタイム視聴をしているモニターが数多くいたのが特徴的でした。
「青少年へのおすすめ番組」では『大河ドラマ「光る君へ」』(NHK総合)に10人から、『サザエさん』(フジテレビ)に4人から、『クイズ!国民一斉調査』(日本テレビ)に3人から、『歴史デリバリー「源氏物語はなぜ1000年も読み継がれたのか?」』(NHK Eテレ)に2人から、それぞれ報告がありました。

◆モニター報告より◆

【年末年始に見たスペシャル番組について】

  • 『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)
    • 母や祖母は、ブラックビスケッツとポケットビスケッツの約20年ぶりの特別出演を懐かしそうに見ていて、私と姉にとっても今はあまりない新鮮さがとても面白かったです。司会の浜辺美波さんと橋本環奈さんが、番組の展開に合わせて衣装を替えていてとても可愛かったです!また口パクで歌っているアイドルが多いと感じました。(中学1年・女子・千葉)
    • 毎年さまざまなジャンルのアーティストが出演していて偏りがなく、いろいろな世代が楽しめるのはとても良いと思った。二次元のアイドルがCGで登場していて、しっかり最近の流行に合わせてきているのは新鮮で面白かった。(中学2年・女子・愛知)
    • ディズニー100周年メドレーでは、たくさんの出演者が全員で「小さな世界」を歌っていてとても感動した。最近はウクライナでの戦争などあまり良いニュースがなかったけれど、こんな風にみんなが仲良くなれたらいいなと思った。(中学2年・女子・福井)
    • クラスメートの多くが見ていて様々なアーティストが出演しているので、お互いの好きなアーティストについて知り、話す機会になりました。他では見られないアイドルグループのダンスコラボやアーティストのコラボが見られて、とても嬉しかったです。(高校1年・女子・茨城)
    • 紅白は毎年見ていて、旧大手芸能事務所のタレント好きの私としては「一組も出場しないのでつまらないのでは?」と思っていたが、いざ見てみると若者中心の最新曲が多かったので、あっという間に番組が終わってしまうくらい楽しくのめりこみました。(高校2年・男子・山形)
    • 今年は一部のアーティストの出場が取りやめになり、K-POPやドミノ、けん玉などの演出が増えたように感じました。あまりの多さに「この人は誰」「このアーティストはじめて見た」など家族で話題となり、若者向けに偏りすぎだと思いました。(高校2年・男子・山形)
    • 出場アーティストが発表されるだけで色んな声が飛び交う、唯一無二の番組だと思います。今回の視聴率は、例によって過去最低を更新したらしいのですが、個人的には、もう視聴率という尺度で測るのにはどの番組に対しても違うのではないのかと思います。(高校3年・男子・神奈川)
  • 『逃走中~お台場リベンジャーズ~』(フジテレビ)
    今回の放送に限らず、生存者の表示が「女性はピンク、男性は青」なのはジェンダーの視点から「どうかな?」と思いました。また、芸人同士で侮辱するような悪口を言う人がいて、そういう芸風があるのはわかるけれど、人を傷つけない笑いが見たいと思いました。一年に数回しかやらない特番なので毎回見ています。今年も年越しの“生”逃走中を放送してほしいです。(中学1年・女子・島根)
  • 『豪華お年玉満載!金バク!新春SP 2024』(岡山放送)
    視聴者はお年玉企画として楽しみ、芸人は痛めつけられず、取り上げられた店にとってもPRになるという、まさにWin×Winが成立した番組だと思う。香川や岡山に行く予定がない配信視聴者もお菓子の抽選に応募できて、本来あるべきバラエティー番組を見ることができてとても良かった。一方で店によって放送される尺がバラバラ過ぎて公平性に欠けていたと思う。(中学2年・男子・埼玉)
  • 『NHKスペシャル「2024私たちの選択 -AI×専門家による“6つの選択”-」』(NHK総合)
    おおよその年代だけでなく年や月までとても詳細に未来が予測されていること、また最近になって身近になってきたAIが未来まで計算してしまうことに、とても驚いた。しかしAIが学習する情報には人間の意図が混じりやすく、AIが予測する「必然」では考えられない判断が生じたときには予測の方向性が大きく変わることも視聴者に説明しなければ、結論だけを押し付けていることになると思う。(中学2年・男子・東京)
  • 『月曜から夜ふかし元日SP』(日本テレビ)
    全体を通してすごくおもしろい番組だった。インタビューをうけている人たちも面白いのだが、スタッフさんの淡々としたインタビューや返し、ナレーションやMCの突っ込みなども含めて、色々な要素が掛け合わさって面白くなっているのだと思った。(中学2年・女子・東京)
  • 『ゴールデンラヴィット!』(TBSテレビ)
    (月)~(金)のメンバーが全員出ていて、わちゃわちゃ感がすごく増して楽しかったです。「もっとも忘れられないラヴィット!」のコーナーでは、家族で「なつかしいね」「これおもしろかったね」など話してすごく盛り上がりました。(中学2年・女子・栃木)
  • 『ドリーム東西ネタ合戦2024』(TBSテレビ)
    毎年放送していて、私や家族はこの番組を見ると「正月が来たな」と感じるし、普段お笑いやバラエティー番組を見ないので、時間のある正月にスペシャル番組として見ることができるのは良いことだと思った。(中学3年・女子・滋賀)
  • 『はじめてのおつかい 新春小さな大冒険3時間スペシャル』(日本テレビ)
    全国各地の子どもたちが挑戦する姿はとてもほほえましく、新春から心が温かくなった。子どもが5歳前後でひやひやする場面が多かったが、画面の中でも番組スタッフがかけ回っていて万全の対策をとっているのが分かるので、その体制を崩さないでほしい。一発撮りでスタッフの労力は計り知れないが、とても良い番組なのでこれからも放送し続けてほしい。(中学3年・女子・広島)
  • 『芸能人格付けチェック!2024お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)
    • リアルタイムで視聴することが多く、視聴者としてスマホで参加できたり、家族や親せきと一緒に見ながら予想できたりするのが楽しいです。いつもテレビで見ている芸能人が成功するとすごいと思うし、外すと親近感がわきます。(中学3年・女子・福岡)
    • 視聴者に答えを先に知らせてから芸能人のチェックの様子を見られるものや、芸能人のチェックを見終わってから一緒にドキドキしながら結果発表を見るものがあり、ずっと同じ流れではないため飽きずに見ることができた。(高校1年・女子・北海道)
  • 『ウルトラマンDASH 2024冬SP』(日本テレビ)
    毎年楽しみにしている番組で、トップアスリートがさまざまなミッションに挑戦し「こんなこともできるのか」と驚かせてくれます。アスリートの底力が見られて、時間内に達成できるのかというドキドキ感もあって楽しめます。(高校1年・男子・群馬)
  • 『輝く!日本レコード大賞』(TBSテレビ)
    予想していたアーティストが大賞を獲って嬉しかったです。新人賞は、知っている人が誰もいなくてびっくりしました。(高校1年・女子・京都)
  • 『映画「Dr.コトー診療所」』(フジテレビ)
    ストーリーの中に災害の話も含まれていたが、つい2日前に能登半島で大きな地震が起こったこともあり他人ごとには思えなかった。実際に映画を見終えた後、震災が起こった際にどのように対応するか家族で話し合いをした。テレビやラジオを見聞きすることで楽しむと同時に対策のきっかけになるのかもしれないと感じた。(高校2年・女子・東京)
  • 『WBC2023 ザ・ファイナル』(TBSテレビ)
    有名なプレーを見せるだけでなく、なぜそれが行われたのか、裏で何が起こっていたのかなどを掘り下げて特集していたのでとても興味を引かれた。また、音楽番組やお笑い番組だとどうしても家族の好きなジャンルにばらつきがあるが、野球は選手や球団のファンじゃなかったとしても試合を見るだけで惹き付けられるので、家族全員で盛り上がりながらテレビを見ることが出来た。(高校2年・女子・愛知)
  • 『笑って年越し!THE笑晦日』(日本テレビ)
    昔のドラマやバラエティー番組の映像を振り返るコーナーでは、当時を知る母は楽しんでいましたが、私にはおもしろさが分からなかったです。『エンタの神様』(日本テレビ)は数年前に見ていた時はおもしろかったのですが、時代も変わり、番組の構成が地味でネタ以前につまらない印象でした。もっと明るく芸人のネタで笑うことができたらよかったと思います。(高校3年・女子・北海道)
  • 『夢対決2024 とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』(テレビ朝日)
    長く放送されてきたので、出演するアスリートは「この番組に出たかった」と言っていて楽しんでいることが伝わり、視聴者側も楽しくみることができます。毎回実施される「リアル野球盤」が一番おもしろく、球種を決めているときに見せる現役野球選手の楽しそうな顔は、こんな一面もあるんだと思わせてくれます。(高校3年・女子・京都)

【自由記述】

  • 年末年始の特番で「これは見たい!」と思わせる番組が少なかったと感じます。もっとはじけた、テレビにしかできない特別な番組が見たいです。(高校1年・男子・群馬)
  • 最近は二次元アイドルがはやっていて、私の周りにも好きな人が多くいる。二次元アイドルの特集番組がもっと見たい。(中学2年・女子・愛知)
  • わたしの周りには漫画原作のアニメを視聴している人が多いが、アニメ化で画風が少し変わったり、実写化で自分のイメージと異なったりするのがいやだという意見が多い。漫画が人気だからといって、必ずしもアニメや実写版も人気になるとは限らないなと思った。(中学2年・女子・東京)
  • 1月1日に起きた能登半島の地震で、アナウンサー(特にNHK)が人を不安にさせるような声量や声色で放送していたので、さすがプロだなと思った。(中学3年・女子・広島)
  • 元日に起きた地震で、福井県の自宅で被災した。テレビをつけるとどの番組でも一心に危険を伝えてくれていて、怖かったけれど少し安心した。お正月で制作に長い時間を費やした番組もあっただろうに、地震のことを伝えるために全て延期や中止にして、ずっと「逃げてください」と繰り返してくれていたことが何よりうれしかった。命よりも大切なものはないと全員が思うことで、今回の地震のときの放送は成り立っていたと思う。日本はとてもいい国だと思った。(中学2年・女子・福井)
  • 「見逃し配信があるので、テレビをリアルで見ることができなくてもいいのでは」と主張してきましたが、能登半島で大きな地震が起こったあと、被害状況をリアルタイムで伝えるのをみて、テレビは必要だと改めて思いました。緊急ニュースとして国民すべてに知ってもらうには、映像で流されるとすごく伝わります。テレビの威力はすごいと思わざるを得ませんでした。(高校3年・女子・京都)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『大河ドラマ「光る君へ」』(NHK総合)
    • 平安時代が歴史で一番好きなので放送を楽しみにしていました。紫式部が勉強を楽しんでいたので、私も楽しめるようにしたいと思いました。お母さんが藤原家に殺されてとても悲しかったです。平安時代にある理不尽は今の時代も残っているので無くなって欲しいです。(中学3年・女子・福岡)
    • 日本史が好きなので、昔の京都の街並みや貴族の暮らしを学べてとても面白かった。貴族はみんな広い寝殿造りの家で暮らしているのかと思っていたが、庶民と似たような暮らしをしている貴族がいたことをこのドラマで知り驚いた。大河ドラマでは当時の暮らしや歴史の流れを学ぶことができるため、歴史の勉強の一環として見ている。(高校1年・女子・北海道)
    • 平安時代らしい優美な曲調と映像が使われたオープニングで、話が始まる前からすごくワクワクさせられた。ストーリーも、主人公の父がなかなか官職に就けない原因を、父が大納言に宛てて書いた賢ぶって他の人をけなす稚拙な文章によって察させるところなど、登場人物の特徴を動作や振る舞いでしっかり表されているのがいいなと思った。ただ新しい登場人物が登場したときナレーションでさらっと名前を言っているだけだったので聞き逃してしまい人の名前がうまく把握しきれなかった。一瞬名前を文字で出すだけでも充分記憶に残りやすいと思うので初登場のひとには映像に名前を書き出して欲しいと感じた。(高校2年・女子・愛知)
  • 『歴史デリバリー「源氏物語はなぜ1000年も読み継がれたのか?」』(NHK Eテレ)
    • 劇や絵を使用して解説していたので、分かりやすかった。今年放送される大河ドラマにも関連しているので関心を持てた。(中学2年・女子・愛知)
    • 江戸時代では庶民に読み継がれたように説明がありましたが、平安時代から日本語が変化をしているなら各時代で源氏物語が本当に読めたのか、読めたとしてもほんの一握りの者だけだったのではないかと疑問に思いました。(高校3年・女子・京都)
  • 『サザエさん』(フジテレビ)
    • 「カツオとワカメとタラちゃんの中で誰が一番好きか」と家族で話題になりました。父はワカメちゃんだと言っていて、今回の放送でもお父さん思いで優しい一面が見えて人気があるのだと思います。(中学1年・女子・千葉)
    • 保育園に通っていた頃によく見ていて、久しぶりに見てとても面白かったです。私が一番好きなのは、カツオが他人の家にボールを入れてしまい、その家の人に怒られているシーンです。(高校1年・女子・京都)
  • 『クイズ!国民一斉調査』(日本テレビ)
    • 家族と予想しながら見て、とても楽しかったし面白かったです。クイズの内容が身近で誰でも楽しく見られると思いました。(高校1年・女子・茨城)
    • 自分の感覚がどれだけ世間とずれているのかを知ることができました。%でクイズを答える問題があったりして、とてもユニークで面白いなと思いました。(高校3年・男子・神奈川)
  • 『第57回HBC少年少女合唱団定期演奏会』(北海道放送)
    同世代が演奏している姿を見て、自分も一つ秀でたものを見つけて育んでいきたいと改めて思いました。朝の時間帯に「音楽」や「芸術」などの教養を身につけるきっかけとなる番組があることは、学生にも大人にも良い影響を与えると思います。(高校3年・女子・北海道)

◆委員のコメント◆

【年末年始に見たスペシャル番組について】

  • 『芸能人格付けチェック!2024お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)を視聴した高校1年生から「ドラマ番組にスピンオフ作品があるように、バラエティー番組でも撮影の裏側やアフタートークなどのコーナーを作って放送やYouTubeなどで見られるようにしたら、そこから番組を知って見てもらえるかもしれない」と提案があった。スタッフや制作体制、番組制作の舞台裏を知りたいという欲求は、若い視聴者の間では強いと実感している。
  • 今月報告があった22人のうち、17人がリアルタイム視聴をしていたことは、今まであまりなかったように思う。正月休みだったことも、家族で一緒に番組を視聴したり番組に関する話をしたりするきっかけになったのだろう。

【自由記述について】

  • 『輝く!日本レコード大賞』(TBSテレビ)を視聴した高校2年生の報告に「毎年見ていますが私の知らないアーティストが多数いるので、選曲基準が知りたいです。また一般人投票で決めれば老若男女の意見が反映されるのではないかと思います」という一文があったが、若年層がこう感じるのは自然かなと思う。昨今のアイドルのオーディション番組などは審査基準が明確で視聴者が投票できたり、『M-1グランプリ』(朝日放送テレビ)では審査員はいるものの点数が可視化されているなど、評価基準がはっきりしているのが一般的。そういった番組と比較すると、『輝く!日本レコード大賞』の選曲基準の分からなさは奇妙に映るのだろう。アワードとオーディションの違いではあるが、若年層にはぴんとこないのだろうと思う。

今後の予定について

次回は2月27日(火)に定例委員会を開催します。 

以上

2024年1月11日

TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は1月11日午後2時からBPOで行われた。委員会からは小町谷委員長、西土委員、高田委員長代行の3人が出席。TBSテレビからは報道局担当取締役ら4人が出席した。委員からは、内部告発者に寄りかかった安易な取材が行われていたこと、内部告発者が使わないでほしいと頼んだ映像を放送してしまったこと、編集作業の場に担当ディレクター以外の第三者がおらず放送前のプレビューも有効に機能していなかったこと、経験が浅くチームで唯一番組制作会社の所属だった担当ディレクターには細やかな指示や気遣いが必要だったのではないか、といった指摘があった。これを受けてTBSテレビの報道局担当取締役から「今回の事態は痛恨の失敗だと真摯に受け止めている。再発防止策を精査し更にアップデートして取り組んでいきたい。今後、強く正確な調査報道をしていくことで失われた視聴者の信頼を取り戻したい」という発言があった。

その後、午後3時から記者会見を開き委員会決定を公表した。会見には30社から47人が参加した。はじめに小町谷委員長が意見書のポイントを説明した。その中で、内部告発者の保護は放送局の責任において行われるべきもので、十分な時間をとって内部告発者の置かれた状況を把握し、身元がばれないよう対策を講じなければならないが、今回の場合、内部告発者の同意に依存して映像の見た目を優先した形で取材が進められており、内部告発者に寄りかかった安易な取材姿勢だったと考えていると述べた。次に、内部告発者が使用を控えてほしいと頼んだ映像を、約束を失念して放送してしまっており、情報源の秘匿を第一に考えていれば起こりえない失策を犯していたと指摘した。さらに、取材を担当したディレクターがひとりで映像編集を行ったため、事前の映像チェックが十分ではなく、放送前の最後の砦としてのプレビューも十分機能していなかったことを問題視した。最後に、担当ディレクターが報道での取材経験がほとんどなく、また、チームで唯一番組制作会社所属のメンバーだったことについて、引け目を感じなくて済むように細やかな指示や気遣いをしていれば、今回のような、結果にこだわり焦るあまり配慮を欠くような事態を避けることができたのではないかと述べた。

続いて西土委員が「内部告発者の言質に寄りかかる取材は、放送局の責任の所在を曖昧にする点で大きな問題をはらんでいる」と指摘した。そして「場合によっては、放送局が内部告発者に責任を転嫁するようなことになりかねない。この点において、今回の放送は、放送全般に対する国民の信頼を危うくする危険性があったのではないか」と述べた。高田委員長代行は「内部告発しようと思っていた人たちに、二の足を踏ませてしまったのではないかという点で、放送局にとって痛恨の失敗だった。不正や不祥事が噴出している今ほど調査報道が必要とされている時代はない。当該局のみならず放送業界全体で、今回の失敗から教訓を得てより素晴らしい報道を続けてもらいたい」と述べた。

このあとの質疑応答では、「内部告発者の身元がばれたことを問題としたのではなく、身元がばれたと強く疑われる状況を招いたことを問題視しているのか」という質問が出た。これに対して「公共の電波に乗せて伝える以上、身元がばれてしまった極めて高い可能性が生じた時点で、放送倫理上の問題が生じると考える」と答えた。「当該番組を放送した後、内部告発者から身元がばれそうだと連絡があった際、担当ディレクターの様子はどうだったのか」という質問に対しては、「担当ディレクターは、放送後も内部告発者とはコンタクトが取れていたので、とんでもないことが起きてしまったという程の重要性を感じていなかったようだ」と答えた。

以上

第191回

第191回–2024年1月

TBSテレビ『news23』委員会決定の通知・公表について報告

第191回放送倫理検証委員会は、1月12日に千代田放送会館で開催された。
委員会が1月11日に公表した、委員会決定第45号TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見について、担当委員から当日の様子などが報告された。
12月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見が報告された。
関西地区ラジオ局との意見交換会開催の進捗状況が報告された。

議事の詳細

日時
2024年1月12日(金)午後5時~午後6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見の通知・公表について報告

TBSテレビは、2023年1月『news23』の中の「調査報道23時」において、農業協同組合(JA)で、共済営業の過大なノルマ達成の為に、職員やその家族が不必要な契約を結ぶいわゆる“自爆営業”が横行していると、顔をぼかし声を変えた職員の証言をベースに報じた。放送後BPOに、この職員と会ったことがあるという視聴者から、放送を見て取材に応じているのが誰であるかをすぐ特定できたという声が寄せられた。委員会は、取材源の秘匿という報道の原則が損なわれた疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして、同年8月に審議入りを決めた。
委員会で関係者へのヒアリングや資料の精査を進めた結果、以下の点が明らかになった。まず、本放送の取材は、内部告発者の同意に依存して映像の見た目を優先した形で進められており、内部告発者の状況や真意をくみ取った取材とは言い難く、情報源の秘匿すなわち内部告発者とは十分な時間を取って信頼関係を築き、彼らが置かれた状況を正確に把握したうえで、身元が特定されないための対策を講じるという本来放送局が負うべき責任を軽んじた対応であったことが判明した。また、内部告発者が使用を控えてほしいと頼んだ映像を、約束を失念して放送してしまっており、情報源の秘匿を第一に考えていれば起こりえない失策を犯していたことも分かった。更に、取材を担当したディレクターがひとりで映像編集も行ったため、事前の映像チェックが十分ではなく、最後の砦としてのプレビューが機能していなかったことも明らかになった。
委員会はこれらの点などが問題であると指摘し、取材源の秘匿が厳守できていなかったとして、本放送は日本民間放送連盟報道指針の「2 報道姿勢」の(4)「情報の提供者を保護するなどの目的で情報源を秘匿しなければならない場合、これを貫くことは放送人の基本的倫理である」に反するものであり、放送倫理違反があったと判断した。2024年1月11日、委員会は当該放送局に委員会決定を通知し、引き続き記者会見を開いて意見書を公表した。
この日の委員会では、委員会決定を伝えたTBSテレビ『news23』の録画を視聴し、委員長と担当委員が通知・公表時の様子について報告した。
通知と公表の概要は、こちら

2. 12月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

12月に寄せられた視聴者・聴取者意見は1834件で通常ベースの数値となった。そのうち、性加害問題のあった芸能事務所に所属していたアイドルグループが出演した音楽番組での扱いについて批判が集中したことなどが事務局から報告された。

3. 関西地区ラジオ局との意見交換会の開催について

「関西地区ラジオ局意見交換会」に関して、事務局から事前アンケートの集計結果が報告され、当日の進行などについて話し合われた。

以上

第323回

第323回 – 2024年1月

委員会における審理の進め方について…など

議事の詳細

日時
2024年1月16日(火) 午後4時 ~ 午後6時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室 (千代田放送会館7階)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.意見交換会について

委員会に先立って行われたオンライン意見交換会について、全国の放送局110社から約230人が参加したことなどが報告され、委員から感想が述べられた。

2.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

3.委員会における審理の進め方について

放送人権委員会の審理の進め方について、改善すべき点がないか議論した。

4.その他

昨年12月に出された日本弁護士連合会の犯罪被害者等に関する意見書および日本民間放送連盟の「人権に関する基本姿勢」等を事務局から紹介し意見交換した。

以上

第45号

TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見

2024年1月11日 放送局:TBSテレビ

TBSテレビは、2023年1月『news23』の中の「調査報道23時」において、農業協同組合(JA)で、共済営業の過大なノルマ達成の為に、職員やその家族が不必要な契約を結ぶいわゆる“自爆営業”が横行していると、顔をぼかし声を変えた職員の証言をベースに報じた。放送後BPOに、この職員と会ったことがあるという視聴者から、放送を見て取材に応じているのが誰であるかをすぐ特定できたという声が寄せられた。委員会は、取材源の秘匿という報道の原則が損なわれた疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして、同年8月に審議入りを決めた。
委員会で関係者へのヒアリングや資料の精査を進めた結果、以下の点が明らかになった。まず、本放送の取材は、内部告発者の同意に依存して映像の見た目を優先した形で進められており、内部告発者の状況や真意をくみ取った取材とは言い難く、情報源の秘匿という本来放送局が負うべき責任を軽んじた対応であったことが判明した。また、内部告発者が使用を控えてほしいと頼んだ映像を、約束を失念して放送してしまっており、情報源の秘匿を第一に考えていれば起こりえない失策を犯していたことも分かった。更に、取材を担当したディレクターがひとりで映像編集も行ったため、事前の映像チェックが十分ではなく、最後の砦としてのプレビューが機能していなかったことも明らかになった。
委員会は、これらの点などを問題点として認定し、取材源の秘匿が厳守できていなかったとして、本放送は、日本民間放送連盟報道指針の「2 報道姿勢」の(4)に反するものであり、放送倫理違反があったと判断した。

2024年1月11日 第45号委員会決定

全文はこちら(PDF)pdf

目 次

2024年1月11日 決定の通知と公表

通知は、2024年1月11日午後2時から、BPO第1会議室で行われ、
午後3時から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。
記者会見には30社47人が出席した。詳細はこちら。

2024年4月12日【委員会決定に対するTBSテレビの対応と取り組み】

委員会決定 第45号に対して、当該のTBSテレビから対応と取り組みをまとめた報告書が2024年4月3日付で提出され、委員会はこれを了承した。

TBSの対応

全文pdf

目 次

  • 1) 委員会決定についての放送
  • 2) 報道現場への周知
  • 3) 放送倫理委員会、番組審議会、「放送と人権」特別委員会での取り組み
  • 4) BPO 委員を招いての勉強会
  • 5) 再発防止に向けて
  • 6) 終わりに


2023年12月に視聴者から寄せられた意見

2023年12月に視聴者から寄せられた意見

音楽番組で特定の出演者だけ紹介時間が短く残念、政党支持率が拮抗している2党のうち1党しか表示しないのは公平ではない、などの意見が寄せられました。

2023年12月にBPOに寄せられた意見数は1,834 件で先月から 668 件減少しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 90.2% 電話 8.7% 郵便・FAX計 1.1%
男女別(任意回答)は、男性32.6% 女性23.8 % で、世代別では 50歳代 26% 
40歳代 25% 30歳代 21% 20歳代 10% 60歳代 10% 70歳以上 3% 10歳代 2%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、12月の送付件数は824件、50事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から13件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

音楽番組で特定の出演者だけ紹介時間が短くがっかりした、政党支持率の表で拮抗している2党のうち1党しか表示しないのは公平ではない、などの意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は31件、CMについては12件でした。

青少年に関する意見

12月中に青少年委員会に寄せられた意見は74件で、前月から28件減少しました。
今月は「表現・演出」が32件と最も多く、次いで「要望・提言」が30件、「報道・情報」が4件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • アニメ制作に生成AIを活用する企業をニュースで紹介していたが、画像を無断で使用されたイラストレーターたちの訴訟など、生成AIの負の側面をまったく報じなかったのは不適切ではないか。

  • テレビの放送内容がネット上にデジタルタトゥーとして残ってしまう時代。誤報は訂正しても取り返しがつかない。また、微罪の容疑者の顔写真や実名を報道すると、社会的に受ける罰はかつてより大きいと思うし、逮捕後に不起訴となり匿名報道に切り替わっても検索したら以前報道された内容がすぐに出てくる。報道の仕方を考えるべきではないか。

  • ニュースで政党支持率を伝えていたが、一覧表に示されたのは「国民民主党 2.1%」までで「れいわ新選組 2.0%」は省略されていた。ウェブサイトでは各政党の支持率が掲載されている。テレビで省略するのは不公平ではないのか。

【教養・バラエティー】

  • タレントが大量の「激辛」料理の完食にチャレンジする企画。辛みの取り過ぎは消化器官にダメージを与えるリスクがあることを説明すべきではないか。

  • DIYのコーナーで、高速で刃物が動く切断工具をタレントが保護メガネなしで扱っていた。ケガをしたらどうするのか。出演者の安全対策が徹底されないのは不安。

  • 「がん治療の新しい選択肢」という特集で、水素治療、温熱療法、抗がん剤の低用量使用といった内容が、標準治療ではない旨の説明もないまま紹介されていた。わらにもすがる思いの患者もいる。この番組を見て標準治療へのアクセスを失ったりしないか心配だ。

  • アメ横特集で飲食店などが店の前の歩道部分にまでテーブルを出して営業していた。違法ではないのだろうか。報道機関でもあるテレビがそうした店にランキングをつけて好意的に紹介することに疑問を覚える。

  • 原始人のような衣装で町を歩いている一般の人にインタビュー取材。その人物は問いかけには一切応じず無言で去って行った。本人の了承を得ているようには見えなかったが放送していいのか。

  • 「100万円払えば人気バラエティー番組に出演できる」と無名のタレントをだます企画。番組中で「この企画は注意喚起になる」という趣旨のコメントがあったが、(人の弱みにつけ込む)模倣犯を誘発しかねず危険だと思う。

  • お年寄りを解答者にしたクイズ番組で彼らの意味不明な解答を笑いにしている。同じ世代として見るに堪えない。

  • 生活情報番組の年末大掃除特集で「達人」が水回りの掃除方法を説明していたが、ある洗剤の効果を実演で見せた直後、番組自体がその商品の通販番組に切り替わった。情報番組として見ていたのにだまされたと感じた。

  • 近く公開される米大手アニメ制作会社の新作の日本語版で主役の声を担当するタレントが、アメリカのスタジオを訪問し取材。随所で新作の内容や音楽が紹介されるなど、広告としての目的・機能が強いと感じた。公共放送としてよくないと思う。

  • ある男性アイドルグループが音楽番組に「出演」すると予告があったが、実際の放送は1分足らずだった上、前半部分には司会者たちのトークがかぶっていた。ほかの出演者たちのパフォーマンスはきちんと放送されていたのに意味が分からない。楽しみにしていたのに裏切られたと感じた。

  • 番組名に「国民1万人が投票」とあるが、「アンケート調査」はいつ、どのような方法でしたのか、番組内や番組サイトでは説明がない。「人気」と紹介された各商品の得票数なども不明。本当に「1万人が投票」したのか。

  • 「文明が開けていない」という意味を持つ「未開」という言葉を番組名に使っていて、番組で取り上げる国や土地が野蛮であるかのような印象を受ける。世界中の人たちへの敬意が伝わるような言葉選びをしてほしい。

  • 番組のクリスマスプレゼントの応募方法が「各プレゼントに割り当てられた番号に電話をかける」「当選者には後日スタッフから連絡」というものだった。私には聴覚障がいがあり、電話以外の応募方法を探したが見当たらなかった。障害者差別解消法の趣旨を尊重してほしい。

  • 過去の放送回について「誤った内容を特定の研究者の見解として放送してしまった」という「お詫び」があったが、放送された内容は研究者の見解とはまったく異なっている。「誤った理解」がどのような経緯で発生したのか、なぜそのまま放送に至ってしまったのかを説明してほしい。

【ラジオ】

  • 「軽自動車の購入を考えてみたい」という投稿に対してパーソナリティが「(燃料が)軽油なのでおサイフに優しい」とコメントしていた。ガソリンエンジンの車に軽油を入れると正常に動かなくなる。危険。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、出演者が男性芸人の遺影のような写真を使ってネタを出しながら歌を歌っていた。かつて問題になった「葬式ごっこ」を連想させるもので不快。子どもが見たら真似しかねないだろう。

  • 勝ち抜きの漫才番組で、あるコンビが頭髪が薄かったりなくなったりしたことを貶めるようなネタで笑いを取っていた。生まれつきや本人の体質上仕方のないことで笑いを取るのをよしとするのは道徳上、非常に問題がある。

【「要望・提言」】

  • 長時間の音楽番組に若手アイドルグループが出演すると事前告知されていたが、番組内では1分程度の枠で本人たちが映ったのは30秒程度。番組がアーティストと音楽を大切にしていないことに驚いた。これでは子どもたちのテレビ離れは止められないだろう。

  • バラエティー番組で「愛する母校の自慢集め」との企画。いくつかの学校の生徒が自転車通学時にノーヘルだった。2023年4月から自転車乗車時にはヘルメット着用が努力義務になった。番組のロケ収録が4月以降なら、生徒たちに着用を促すべきだったと思う。

【「報道・情報」に関する意見】

  • トーク・バラエティー番組で、ある歌劇団の団員が自殺した問題をめぐる団員ヒアリングについて、出演者が「(対象者が)60人以上いて誰もうそをつかないわけがない。私ならうそをつく」と発言したが、いかがなものか。影響力のある出演者が言うことでも、テレビで放送していいわけではない。

2023年12月19日

ドイツのテレビ自主規制機関FSFと交流

放送人権委員会は12月19日に開催された第322回委員会のなかでドイツの放送番組自主規制機関であるFSFとのオンライン交流を行った。
交流は、曽我部委員長とFSFミカット所長の間であいさつを交わして始まった。そしてまずミカット所長がFSFについて、ドイツの法律が定めるテレビ番組の青少年保護のための自主規制機関で番組内容によって放送時間を定めたランク付けを行っている。ドイツの民間放送37社が会員となって出資して運営されていることなどを説明した。FSFでは、全国から放送と利害関係のない教師や科学者、ジャーナリストら100人を委員として選び、一年間のうち4週間ほどベルリンに招いて1番組3から5人で審査を行っている。最近の課題として「リポーティング・プリビレッジ」(報道の権利)を挙げ、ニュース番組において“報道の自由”に基づいて放送されるコンテンツと青少年保護の在り方について議論が活発化していることを紹介した。これは世界各地の戦争や紛争における衝撃的なシーンが報道される機会が急増していることが背景にあるという。このほかFSFがランク付けの補助的作業にAI技術の導入を試みていることを紹介した。
これを受けて曽我部委員長が委員会を代表する形で、まずドイツがとる時間帯ごとの年齢別規制について録画機やインターネットの普及による変化はないかということや、日本でも議論のある性的表現の有害性に関するドイツの議論や、過激な政治的発言の扱いをどうしているかなどについて質問した。
これに対してミカット所長は「録画やネットへの対応はできない。しかし放送は、法律によって時間的規制を守る義務がある。録画等については親の責任ということになるだろう」と応じた。また性表現については「性的な表現だけで判断するわけではなく、暴力や賞賛といった要素が加わることで有害になることに注意している。ただ詳細な性描写は、理解できない幼い子供達には害になる」とドイツ国内の議論を紹介した。そして過激な政治的言動については「分類項目ではなく禁止事項としてリストアップされている」として、旧ナチスドイツのハーケンクロイツ(鉤十字)の例を紹介した。それによると鉤十字を放送で扱うことは基本的に禁じられているが、当時の歴史を振り返るといった文脈での使用は認められる。しかしそのプロパガンダを流布することは禁じられていると説明した。そして「過激な政治的発言について系統的に分類するならば“人権”ということになるのだろう」と応じた。
委員からは、FSFが試みる番組判定に関するAI補助の導入について具体的な内容を質問したのに対してミカット所長は「まずはシーンごとにタグ付けし、それぞれのリスクを判定、委員の意見を加味することを想定しているが、AIには問題シーンが出てくる文脈まで判断することはできないので、そこは人間が判断することになる」と述べ、AI導入はまだ試みの段階であることを強調した。
一方、人権委側からも活動内容を説明し、例として「リアリティー番組出演者遺族からの申立て」に対する委員会決定の概略を紹介した。これに対してFSF側からは「この番組を知っていた。委員会決定にも注目した」としたうえで、委員会決定について「表現の自由と出演者保護、どのようにバランスをはかったのか」と質問した。これに対して曽我部委員長は視聴者からは批判があるが「人権侵害は認定しない一方で放送倫理上の問題ありという決定にバランスの考慮が表れている」と応じた。

BPOとFSFとの交流は2021年には大日向理事長、2022年には青少年委員会と行い、今回の人権委との交流で3回目となった。青少年保護のための番組のランク付けを行うFSFとBPO人権委員会とでは目的も制度も違うため議論がかみ合うか心配もあったが、委員からは「直接話を聞けたことはよかった。放送事情も違い工夫がいるが、具体的な事案を通じて理解を深められると思う」という声が聞かれた。またFSF側からも「事案をめぐる議論は具体性があり、双方の考え方の違いも理解できて大変興味深かった」とのメールが届いた。
今回の交流、放送番組をめぐる問題意識や委員の姿勢など同じように取り組んでいることや、各国でも問題が起きているリアリティー番組について、BPOの委員会決定にも世界の目が注がれていることを知る機会となるなど、実りのある交流となったといえる。

第263回

第263回-2023年12月18日

中高生モニターからのリポートについて… など

2023年12月18日、第263回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました(うち1名はオンライン参加)。
委員会では、11月後半から12月前半までの約1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
12月の中高生モニターリポートのテーマは「最近見たドラマについて②」でした。
BPO理事長見解の公表について事務局から説明があり、最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2023年12月18日(月) 午後4時00分~午後5時30分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
BPO理事長見解の公表について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

11月後半から12月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
平日朝の子ども向けバラエティー番組の司会者である男性芸人が、番組出演者で出演当時中学生だった十代の女性タレントと今年に入って結婚前提の交際をスタートし、結婚したことをめぐって「番組が男性芸人と未成年少女との出会いの場になっているのではないか」などの視聴者意見が寄せられました。担当委員は「その後結婚していて、『児童虐待だ』などの指摘は当たらないが、近年の状況を鑑みれば、テレビ局は未成年の出演者についてはこれまで以上の注意が必要になってくるだろう」と述べました。
4時間近くにおよんだ音楽番組で、性加害問題が起きた芸能事務所から別の事務所に移籍した若手音楽グループの出演時間がきわめて短時間だったことについて、テレビ局側の元の事務所に対する忖度ではないかなどの視聴者意見がありました。担当委員は「きちんと出演させていないと感じたのはわかるが、青少年にどのような影響があるかという視点では、この場で議論する案件ではないと考える」と説明しました。
このほかに議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

12月のテーマは「最近見たドラマについて②」で、モニターからは合わせて14番組への報告がありました。複数のモニターが挙げたのは『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)、『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ)、『フェルマーの料理』(TBSテレビ)、『下剋上球児』(TBSテレビ)、『おいしい給食』(テレビ神奈川、サンテレビ他)でした。
「青少年へのおすすめ番組」では、『謎解き!伝説のミステリー』(テレビ朝日)に6人から、『密着26年!大家族石田さんチに新たな命が誕生!~人生は続くよ、どこまでもSP~』(日本テレビ)と『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)、『BS世界のドキュメンタリー「あの日アメリカで何が 映像記録・ケネディ暗殺60年」』(NHK BS1)にそれぞれ2人から報告がありました。

◆モニター報告より◆

【最近見たドラマについて②】

  • 『ゆりあ先生の赤い糸「これまでの1~7話 特別ダイジェスト」』(テレビ朝日)
    登場人物にそれぞれ大切な人がいるからこそ意見の違いが生まれているので、恋って難しいと学びました。誰かに向ける優しさのせいで大切な人が傷ついてしまうことは身近にもあって、複雑だと思いました。特別ダイジェストだけでも興味を持てて「最終話を見たい!」と思えたので、このような特集をもっと放送してほしいです。(中学1年・女子・千葉)
  • 『おいしい給食 Season3』(テレビ神奈川、サンテレビ他)
    • Season1からずっと見ています。給食が大好きな甘利田先生(市原隼人)がさらに暴走していて“給食愛”がより伝わってきます。牛乳ビンやアルミホイルなど、飛ばしたあとに最後に拾うシーンなどがあると、ちょっとかわいいしいいなと思いました。最近では甘利田先生の真似をして給食をアレンジして食べています。今まで給食を減らしていたけれど、できるだけ残さないようにするようになりました。(中学1年・女子・島根)
    • 私たちの世代にも残る“給食”文化をもとに話が作られていて、とてもおもしろく見やすいです。家族で見ていると親から「昔はこんな感じだった!!」と言われ、世代による違いも知ることができて家族で見るのにぴったりだと思いました。全国的に放送してほしいです!(中学3年・男子・神奈川)
  • 『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ)
    このドラマは1回で話が完結するので途中参加でも見やすく、キャラクターが個性的なので非常にテンポよく見ることができる。パラリーガルという言葉は聞き慣れなかったのですぐに検索した。若い女性弁護士(平手友梨奈)を“おじさん”のパラリーガル(ムロツヨシ)が献身的に支えるという構図でそのギャップが心地よいし、“おじさん”側の振り回されっぷりもよい。年齢差のある二人が、恋愛感情でも友情でも家族愛でもなく、仕事のパートナーとして強い信頼で結ばれている関係はすごいと思う。(中学1年・女子・福岡)
  • 『トリリオンゲーム』(TBSテレビ)
    ビジネスに対するさまざまな考え方や用語・知識が詰まっている作品で非常に面白いと思いました。「どのような方法で他人に協力させるのか」「人の本質をどう見抜くのか」というノウハウも番組に詰まっています。一方で、専門的なビジネス用語が多く含まれていて分からない場合があるので、専門用語は番組内に注釈があるとなお良いと思いました。(中学2年・男子・埼玉)
  • 『憲法はまだか』(NHK総合・1996年制作)
    私たち中学生高校生は、近代史を実感的に捉えることができる機会がほとんどないため、このドラマを見て、歴史の裏側や人々の葛藤や思惑、実は戦後すぐは「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重」に賛同する人が決して多くなかったことなど、日本の政治の転換期について深く学びなおすことができた。(中学2年・男子・東京)
  • 『大河ドラマ「どうする家康」』(NHK総合)
    主演の松本潤さんはアイドルとしての姿しか知らなかったので、演技が上手で迫力があり驚いた。セットや衣装が細かく作られていて江戸時代の雰囲気が分かりやすかったが、全体的に画面が暗くて見づらく感じた。(中学2年・女子・愛知)
  • 『フェルマーの料理』(TBSテレビ)
    • 主人公の朝倉海(志尊淳)の過去が描かれていたが、現在と過去のシーンを行ったり来たりしていたため、“いま”がいつなのか少しわかりにくかった。また「目標があるうちは成長し続けられるが、その目標がなくなると人は孤独になる」というセリフにすごく共感した。(中学2年・女子・東京)
    • 主人公の北田岳(高橋文哉)の、料理に数学を応用する力がすごくて尊敬しています。それだけ日常に活かせたら楽しいだろうなと思って、私も勉強を頑張ろうと思いました。(中学3年・女子・福岡)
  • 『下剋上球児』(TBSテレビ)
    • 弱小だった学校が強くなっていく中での高校生たちの心情の変化がたくさん見られておもしろかったです。(中学2年・女子・栃木)
    • 途中で実写映像がアニメーションに変わる部分があるが、重要なシーンがきたなということが分かるし、選手たちの熱い心や試合会場の迫力が伝わってきて、とても良い効果をもたらしていると思った。(高校1年・女子・北海道)
  • 『コタツがない家』(日本テレビ)
    深堀家の人たち(小池栄子、吉岡秀隆、作間龍斗、小林薫)はみんな自己中心的なようで、ちゃんと家族のことを考えている言葉の優しさが感じられます。よく5~6話で飽きてしまい途中から見なくなってしまう私でも、このドラマは飽きずに見られました。感動するし笑えるし、恋愛ものでなくても視聴者に“愛”を届けられるこのドラマはとてもおもしろいと思います。(中学3年・女子・滋賀)
  • 『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ)
    なぜ税金を払わなければならないのか、納められた税金はどうなるのかがよく分かった。出演者に芸人やアーティストがいることで「この人にこんな一面があったんだ!」と話題にもなるので、これからも多種多様な人に出演してほしい。主演(菊池風磨、山田杏奈)のアドリブが多くて面白く“税”という堅苦しい内容でも気軽に視聴できたので、このようなお仕事ドラマが増えてほしい。(中学3年・女子・広島)
  • 『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)
    • ほかにない独特なストーリーに引き込まれます。最後に予想できない展開が待っていて、途中で飽きてスマホを見ることもありません。笑いもあり学びもあり、毎回もっと見たいと思わせてくれます。(高校1年・男子・群馬)
    • シリーズ1から見ていて毎週この時間が楽しみでした。これまでは深夜帯の放送で大人向けの話や内容で難しかったですが、いまは笑いの要素が含まれるようになり見やすくなりました。視聴する対象者をしぼった内容にすると今後見やすくなると思います。(高校2年・男子・山形)
    • 家政夫ミタゾノ(松岡昌宏)が家庭内に堂々と入り込み、外からは見えないことを知ることができるのが、このドラマの魅力の一つです。鋭い洞察力で相手のちょっとした仕草からウラを読み取る能力があるなど、現実ではあり得ないドラマ上の設定がおもしろく、飽きることなく見てしまいます。(高校3年・女子・京都)
  • 『今日からヒットマン』(テレビ朝日)
    “殺し屋になる”という設定が気になって見始めました。ただのサラリーマンだったはずの稲葉十吉(相葉雅紀)が、強いはずの敵をたくさん銃で倒していくのがとても気持ちよいです。(高校1年・女子・茨城)
  • 『いちばんすきな花』(フジテレビ)
    他人に気をつかいがちなおとなしい人たちのストーリーなので、いままで山場らしい山場はありませんでしたが、徐々に仲良くなっていく4人を見るととても癒されます。毎週楽しく家族で見ていますが、妹はこのドラマを見ると気分が下がってしまいます。妹は学校に友達がいないのが悩みで、主人公たち(多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠)に自分を重ねて悲しい気持ちになるそうです。(高校2年・男子・山形)
  • 『パリピ孔明』(フジテレビ)
    小中学生の頃に三国志にハマっていた時期があったので「あの孔明がなんてことだ!」と思いながら見ました。ここまで面白くスカッとするドラマは初めてだったので、本当に見応えがありました。それに出演者の上白石萌歌さんの歌声がとてもすてきだと思いました。ドラマ『義母と娘のブルース』(TBSテレビ・2018年制作)に出演していた上白石さんの自然体な演技がとても好きだったので、またみることができて嬉しかったです。最近はマンガ原作のドラマが多く、今年だけでも80作以上が実写化作品であることが分かって驚きました。実写化は日本の一大文化なのだと気づかされました。(高校3年・男子・神奈川)

【自由記述】

  • 『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日)主演の菅野美穂さんは、『イグアナの娘』(テレビ朝日・1996年制作)で高校生だからこそできる演技を見たことがあったので、大人になった凛々しい姿とのギャップととても情熱のある演技に「さすが名女優」と魅了されました。(中学1年・女子・千葉)
  • わたしの毎朝の定番番組『めざましテレビ』(フジテレビ)のメインキャスターの井上清華アナウンサーが急遽番組をお休みした。『めざましテレビ』の“顔”という責任も大事だが、体を壊してしまっては意味がない。無理のないずっと続けられる仕事量でこれからも頑張ってほしいと思う。(中学1年・女子・福岡)
  • 年末が近づくにつれ、特別番組やドラマの再放送、続編等のスペシャルドラマが多く放送されるのがすごく楽しみだ。また関連作品がサブスクなどで配信されているため、冬休みにはそれも合わせてより楽しんで作品を見ることができると思う。(中学2年・女子・東京)
  • 情報番組などで「ふるさと納税」について取り上げているのを見ますが、返礼品のことなどが多く、肝心な仕組みについて取り上げられているのを見たことがありません。“税金が控除されていろいろなものがもらえるものだ”ということだけではなく仕組みや問題点についてもっと取り上げて、ふるさと納税の意味についてもっと考えさせるような放送が必要だと思います。(高校1年・男子・群馬)
  • 最近のドラマはマンガなどを原作とした作品が多いように思う。それはそれで面白いけれど、テレビオリジナルのドラマも見てみたい。(中学3年・女子・広島)
  • 今回視聴した番組内で、歴史人物のお墓を見た出演者のコメントが「すごい!」という一言だけだった。お墓がどのような感じなのかを、テレビで見ている私たちにもわかるような具体的なコメントが欲しいなと思った。食リポは具体的に味をコメントしているイメージがあるため、建築物などに対するコメントの際ももう少し具体的にコメントしてほしいと思った。(高校1年・女子・北海道)
  • インターネットなどの動画や配信は、私も友だちも切り抜き動画で知ってハマることが多いです。権利の問題などで難しいとは思いますが、テレビやラジオに“切り抜きOK”な回があったら、そこから新しい番組を知ることができるのでいいと思います。(高校1年・女子・茨城)
  • 『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に旧大手芸能事務所のタレントが一組も出場しないことについては放送局の考えも理解できるが、なぜ個々のドラマ出演などは減らないのだろうか。グループの活動はダメで個々ならOKという感じに見えて、メディア業界もあいまいなところがあると思った。
  • 年末年始にかけて特番が増えてきますが、若者や高齢者など、それぞれバランスよく視聴できるように工夫してほしいです。また他局の番組でもやっているようなことをくり返し放送しないように内容も見直してほしいです。(高校2年・男子・山形)
  • 自分が受験生ということもあり、この時期(10月~12月期)にモチベーションの上がる“受験ドラマ”があると良いと思った。(高校3年・女子・北海道)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『謎解き!伝説のミステリー「徳川家の謎が分かる12の寺社仏閣SP」』(テレビ朝日)
    • 謎を1つ解明するごとに、最終問題のヒントが一文字ずつ明かされていく演出は、答えが気になって最後まで見たいと思えた。(中学2年・女子・東京)
    • 歴史に興味がない人にもわかりやすいように、多様なジャンルの出演者、明るいイラストアニメなどがあって面白かった。(高校3年・女子・北海道)
    • 学校の教科書には事実が簡潔に書かれているだけだが、この番組ではなぜその事実が起こったのかや、その時の人々の心情など、実際の歴史の資料を分析しなければわからないような情報まで学ぶことができた。このような日本史に関する番組をもっと放送してほしい。(高校1年・女子・北海道)
  • 『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)
    宇治の特産品を使って駅弁を一から作ろうという企画で、生産農家・弁当屋・特産品の宣伝、駅弁の知識、地域の歴史文化をいっぺんに学べる有意義な時間でした。(高校3年・男子・神奈川)
  • 『ティーンズビデオ2023~第70回NHK杯全国高校放送コンテスト~』(NHK Eテレ)
    同級生が全国大会に出場していたので見ました。普段どんな活動をしているのか知りませんでしたが、とてもおもしろく、言葉で表現する放送部の良さを知りました。(高校2年・男子・山形)
  • 『BS世界のドキュメンタリー「あの日アメリカで何が 映像記録・ケネディ暗殺60年」』(NHK BS1)
    ドキュメンタリーになっていたので、臨場感があった。これからも学校の授業であまり学ばないような放送をしてほしい。(中学3年・女子・広島)
  • 『パネルクイズ アタック25 Next』(BSJapanext)
    解答者が全員一般人であるところが新鮮でよいと思った。出題されるクイズのジャンルがバラバラで、クイズが得意な人にとっては楽しめるものの、私はそうではないので難しく感じた。(中学2年・女子・愛知)

◆委員のコメント◆

【最近見たドラマについて】

  • 『コタツがない家』(日本テレビ)を視聴したモニターから「世の中にはいろんな家庭があるのだなと思った」と報告があったが、子どもは自分の身近にあるものしか見ていないので、ドラマを視聴していろんな家庭を知ることは多様性を感じ取るという意味で良いことだと思う。
  • 『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)を視聴した高校1年生の報告の中に「途中で飽きてスマートフォンを見ることもありません」とあったが、例えば大学の講義の感想でも「〇〇先生の授業は飽きて途中でスマートフォンを見ることがない」といった書き方をするなど、この世代に共通する独特の考え方のようだ。飽きさせないのは重要で、「役に立つ」という要素が飽きないで番組を見る一つの理由になるようだ。
  • 『大河ドラマ「どうする家康」』(NHK総合)には感動的なストーリーといった“情動”の要素がある一方で、“認知”的な歴史の知識といったコンテンツも含まれている。いまの中高生たちは「楽しくないと覚えない」という側面があるので、「面白いけれど見終わったときに勉強しちゃった」といった情動と認知が一緒になった番組が増えると、ドラマに限らずさまざまなジャンルを視聴していくのだろうと思う。
  • 最近は税金や税務署をテーマにしたドラマが増えるなど“お仕事ドラマ”の幅が広がり、中高生にとってはインターン制度のような形になっていると感じる。実社会ではありえない設定もあるだろうが、職業に関する情報は正確にしてほしい。

【自由記述について】

  • 『TVerで学ぶ!最強の時間割』(TVer)を視聴した中学2年生から「Z世代に向けて産婦人科医が生理痛について詳しくトークしていて、私自身も悩んでいる話題があったのでとても役に立った。テレビでは見かけない番組内容だったが、こういう番組も地上波で放送したほうが良いと思った」と報告があった。こういった情報は教育現場でも詳しく出てこない場合もあるので、こういった番組が地上波でもあるととても便利だと思う。
  • 「最近では政治などでさまざまなニュースが取り上げられていてとても勉強になる一方で、どうしても偏った報道がたまにみうけられる。テレビの中立的な報道がより広がると、メディアに触れる私たちもより安心できるのではないか」という意見があった。具体的な記述はないが、たとえば最近の政治の裏金問題などを追及し討議する番組を「偏っている」と感じてしまうのかもしれない。具体的にどのような部分を「偏っている」と感じるのか気になるところだ。

BPO理事長見解の公表について

芸能事務所の創業者(故人)による性加害問題をめぐってBPOは12月4日に理事長見解を公表しました。
これについて事務局から、見解公表は9月26日開催の第260回青少年委員会での議論などが発端になったこと、公表の理由は放送界とBPOがこれまで以上にしっかりと連携していく必要があると考えたこと、そしてこの見解公表で終わりではなく、今後さまざまな形で放送界との議論の場を設けていくことなどが説明されました。

今後の予定について

次回は1月23日(火)に定例委員会を開催します。 

以上

2023年12月25日

2023年 12月25日

年末年始のBPO業務について

BPOでは、2023年度年末年始の業務対応を次のとおりといたしますので、お知らせいたします。

  • 通常業務は、年内は12月27日(水)まで、新年は1月5日(金)からといたします。
  • 12月28日(木)~1月4日(木)は、視聴者応対電話、放送人権委員会の相談電話を含め、
    業務を休止します。
  • 業務休止期間中、郵便物の受領と、メール、ファクスの受信は行いますが、対応は原則として業務再開後となります。

第322回

第322回 – 2023年12月

ドイツFSFとのオンライン交流…など

議事の詳細

日時
2023年12月19日(火) 午後4時 ~ 午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室 (千代田放送会館7階)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

2.ドイツFSFとのオンライン交流

放送人権委員会とドイツの放送番組に関する自主規制機関FSFとの交流会が約1時間、現地ベルリンとオンラインで結んで行われ、意見交換した。
詳細はこちら

3.意見交換会について

来年1月開催の二つの意見交換会についての細かな段取りなどを事務局から報告した。

4.その他

12月4日に大日向理事長名で公表した「芸能事務所における性加害問題について」について事務局から報告した。曽我部委員長から「そして放送がこれからも視聴者の信頼の上に公共的な役割を果たしていくため、適時、さまざまな形で放送局と議論する場を設けて、意見をたたかわせていきたいと考えております。」という見解の結語が重要だとする補足があった。

以上

2024年度「中高生モニター」募集のお知らせ

2024年度「中高生モニター」募集のお知らせ

募集は締切ました。

BPO・放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、2024年度「中高生モニター」を下記の要領で募集します。モニターには、毎月1回、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組をテーマに、率直な意見や感想を送ってもらいます。報告は、青少年委員会の議論の参考となり、各放送局にも送られます。任期は1年です。

 応募要領

  • 【任期】 2024年4月~2025年3月

  • 【応募条件】

    • (1) 上記の任期中、中学1年生から、高校3年生までであること

    • (2) 保護者の同意を得ていること

    • (3) テレビやラジオに関心があり、月1回放送に関する意見を報告できること
      ※上記に加えて、青少年委員会が実施するアンケート調査等に協力していただく場合があります

  • 【募集人員】 30人程度

  • 【応募方法】
    • 専用の応募用紙に氏名・住所・年齢・学校名・電話番号・メールアドレス(ある方)・「モニター応募の理由」など必要事項をお書きいただき、必ず保護者が署名および押印を行ったうえで、以下の宛先までご郵送ください。
      応募用紙(PDF形式)は、ここをクリックしてプリントアウトしてください。

    • ※いただいた個人情報は、モニター申し込みに関する受付確認やモニター運営業務のために利用いたします。ご本人の同意なく目的外で利用したり、第三者に開示したりすることはありません。

  • 【応募締切】 2024年1月24日(水)※当日消印有効

  • 【あて先】

    〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1-1 千代田放送会館7階
    BPO・青少年委員会 中高生モニター係

  • 【採用決定】
    採否については、2023年3月下旬までにご連絡します。

  • 【報告への謝礼】
    月々のリポート提出者には、毎月図書カード1000円分をお送りします。

  • 【報告の公表】
    毎月送っていただくモニター報告は、BPO会員の各放送局に送られるとともに、BPOウェブサイト等に概要を公表します。


以上

「中高生モニター制度」について

このたび、2024年度「中高生モニター」を募集するにあたり、制度のご説明をさせていただきます。

放送倫理・番組向上機構[BPO]の放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、青少年の育成に資する放送の在り方について、一般視聴者から寄せられる意見などをもとに話し合いをしています。しかし、一般視聴者から寄せられる意見を年代別に分類すると、青少年からの意見が大変少ないのが現状です。そこで、青少年のテレビ・ラジオに関する考え方や、番組に対する意見を知り、より良い番組作りにつなげるため、2006年4月「中高生モニター制度」を設けました。
毎年、全国の中高生30人前後をモニターに選出し、月に一度、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組について、率直な意見や感想を報告してもらっています。中高生モニターのみなさんの「声」は、概要をBPOウェブサイト等に掲載するほか、当該放送局にもお送りし、制作現場に伝えられ、番組作りの参考にしていただいています。

つきましては、上記趣旨をご理解の上、ご協力をお願いいたします。

2023年12月5日

NHK『ニュースウオッチ9』 新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族を巡る放送についての意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は、12月5日午後2時から千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。委員会からは小町谷委員長、米倉委員、大村委員の3人が出席し、NHKからは報道局長ら3人が出席した。
まず小町谷委員長から委員会決定について説明し、本件放送には放送倫理違反があると判断したことを伝えた。続いて担当委員から、インタビューで話しているのがワクチン接種後に亡くなった人の遺族なのに、コロナ感染で亡くなった人の遺族であるように受け取られる放送だったことや、取材相手に意図を明確に説明し十分な了解をもらい、そのうえで取材するという当たり前のことができていなかったこと等について指摘があった。これに対してNHKの報道局長が「ご指摘いただいたことを、報道局長として非常に重く受け止めている。取材・制作のあらゆる段階で真実に迫ろうとする基本的な姿勢を再確認し、ジャーナリズム教育の徹底など現在進めている再発防止策を着実に実行したい」と述べた。

その後、午後3時から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には28社42人が参加した。
はじめに小町谷委員長が、意見書のポイントとして4つの問題を挙げた。1番目は、取材のやり方に基本的な問題があり、その具体例として、遺族への説明が不十分で、ワクチンの問題を取り上げないという考えが遺族に対して事前に説明されることがなかったこと。2番目は、VTR制作の担当者が、コロナを巡る取材経験が必ずしも十分ではないのに、周囲からの十分なサポートを受けていなかったこと。3番目は、内部のチェック機能が働かず、提案票に「ワクチン」という言葉が書いてあったにもかかわらず、これを認識していたスタッフがほとんどいなかったこと。4番目は、大切な家族を亡くした遺族3人の声を短く切り取って合計24秒で伝えるという編集の仕方が、「人の死」を巡る情報の扱い方としてあまりに「軽かった」のではないかという指摘だった。
続いて米倉委員が「結果論になるかもしれないが、ご遺族の方々をいわば、だますような形で放送が出てしまった」と指摘した。そのうえで、NHKの中で「徹底して議論し考えるという雰囲気のようなものが、もしかしたら欠如してはいなかったか」などと述べた。大村委員からは、小町谷委員長と米倉委員の発言を補足する形で、ジャーナリズムを担う者として備えるべき現実社会への知識、関心、そして問題意識の低下という事態が進行してはいないだろうかという危惧が述べられた。このあと、以下のような質疑応答があった。

〇質問・委員会は、NHK内のサポートに関することを最も重要な問題であると
    考えているのか。
 回答・取材者の経験が必ずしも十分でなかったのであれば、そのサポートが
    十分だったかを調べることになる。それも不十分だったとなれば、
    かなり重要視することになる。

〇質問・VTR制作の担当者と遺族の間で認識が食い違っていることを、委員会は
    どのように捉えたのか。
 回答・放送倫理の観点からすれば、やはり取材者側に十分な説明責任がある
    ということになる。

記者会見は約1時間15分で終了した。

以上

第190回

第190回–2023年12月

NHK『ニュースウオッチ9』委員会決定の通知・公表について報告

第190回放送倫理検証委員会は、12月8日に千代田放送会館で開催された。
委員会が12月5日に公表した、委員会決定第44号NHK『ニュースウオッチ9』新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族を巡る放送についての意見に関して、担当委員から当日の様子などが報告された。
TBSテレビが11月5日に放送した『サンデーモーニング』の生成AIの特集コーナーについて、当該放送局から提出された報告書を基に討議したが、審議入りはせず議事概要に意見を掲載することで終了した。
11月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見等が報告された。
関西地区ラジオ局との意見交換会開催の進捗状況が報告された。

議事の詳細

日時
2023年12月8日(金)午後5時~午後7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族を巡る放送についての意見の通知・公表について報告

NHKは2023年5月、『ニュースウオッチ9』の中で「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常 それぞれの思い」という1分5秒のVTRを放送した。3人の遺族のインタビューが含まれており、そこには「父を亡くした〇〇さん」などのテロップが付けられていた。前後の脈絡などから3人は、家族が新型コロナウイルスに感染して亡くなった遺族であると受け取るのが自然な映像だったが、実際には、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族であった。委員会は、ワクチン接種による被害を訴える遺族を、新型コロナウイルス感染によって亡くなった人の遺族と誤認させるような放送が、なぜ、どのようにしてなされたのか検証する必要があるとして、同年6月の委員会で審議入りを決めた。審議を経て、次のような事実を認めた。①VTR制作担当者は、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族であると認識しながら、その旨を明示せずに放送に臨んだことについて、コロナウイルスに感染して亡くなった人と、ワクチン接種後に亡くなった人を、広い意味でのコロナ禍で亡くなった人に変わりないと考えたと述べ、直属の上司も同様の認識を示した。②制作担当者はインタビュー取材の相手である遺族に対し、ワクチンの問題を放送で扱わないという自分の意図を明確に説明せず、取材者としての基本を実践していなかった。③この担当者が取材経験などの面で十分ではないにもかかわらず、組織内で十分なサポートを受けることがなかった。④放送前に行われた試写においても適切なチェックがなされなかった。以上のことから委員会は、放送が放送倫理基本綱領やNHKの放送ガイドラインに反しているとし、放送倫理違反があったと判断した。
委員会は12月5日、当該放送局に委員会決定を通知し、引き続き記者会見を開いて意見書を公表した。この日の委員会では、委員会決定を伝えたNHKの『ニュースウオッチ9』の録画を視聴し、委員長と担当委員が通知・公表時の様子について報告した。
通知と公表の概要は、こちら

2. TBSテレビ『サンデーモーニング』について討議

TBSテレビは2023年11月5日に、報道番組『サンデーモーニング』内で「生成AI」をテーマにしたコーナーを放送した。その中でイスラエル・ハマス戦争に関係する画像計5枚について、「生成AIでつくられたフェイク画像」と断定できる根拠がないにもかかわらず、断定して放送した。その後、番組ホームページや翌週の当該番組でおわびと訂正をした。
委員会は当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求め、討議を行った。報告書によれば、ハマス幹部に関する4枚の画像については、インターネット上に画像が出回った時期からして、実際にあったシーンを撮影した本物の画像である可能性が高いことが分かったという。そもそもこのコーナーは、まん延する生成AIによる創作物やフェイク画像の扱いについて警鐘を鳴らす目的で制作されており、まさにその中で、生成AIに関する誤った情報を放送し、視聴者の信頼を損ねてしまったことを重く受け止めているという。
ミスを起こした大きな原因は、放送内容をチェックする立場にあるプロデューサー陣の管理態勢に問題があり、また担当ディレクターも放送内容の事実確認に関する基本認識に欠けた部分があったほか、プロデューサー陣、担当ディレクターともに、生成AIやフェイク画像に関する認識が不十分だったからだという。当該番組の再発防止策として、事前プレビュー・チェックの強化や画像ファクトチェックの強化等をする。また報道局全体の再発防止策として、フェイク情報共有システムを新設し、ニュースに関連するフェイク情報や画像を発見した場合、系列各局で即座に情報を共有できるようにする等が打ち出されている。さらに当該放送局の放送倫理委員会で議論をして、全社的にも問題点の周知・徹底を図ることが報告書に記載されている。
委員会は、誤った情報を放送するにあたって事実確認が不十分であった点で放送倫理違反の疑いはあるものの、当該放送局の調査が詳細になされており、さらに踏み込んだ調査の必要性に乏しいこと、生成AIやフェイク画像を含むファクトチェックに関する再発防止策が速やかに取られており、経過を見守ることが望ましいと考え、討議を終了し、審議入りはしないこととした。もっとも、生成AI画像の問題は、他局にも同様の課題を突き付けていると考えられ、警鐘を鳴らすという意味において、委員からの意見を議事概要に掲載することとした。

【委員の主な意見】

  • 基本的なチェックが行われずに事実と違うことを放送した点で、放送倫理違反があったと言える。
  • 放送では、プロパガンダと生成AIの話が交錯しているが、おわび放送で生成AIのフェイク画像が誤りであることについては触れているものの、写真自体がフェイクであったのかについては説明がない。プロパガンダという面からみると、視聴者に対しては写真自体がフェイクかどうかについても説明すべきだったのではないか。
  • VTRが非常に分かりにくい。生成AIのフェイク画像であることを専門家が説明しているが、この画像がどのような状況で使われたか、なぜ取り上げているのかについての説明がない。
  • 単に事実確認の基本を怠っているだけであり、生成AIのような新しいものが出てきたから事実確認のハードルが上がった、というような事案ではないのではないか。
  • ローマ法王がトランプ(前米大統領)を支持しているというフェイクニュースを例に取れば分かるとおり、フェイクニュースは、それを作った人の意図と流通させている人の意図がまったく違う可能性が多い。当該放送局がどこまでこれを認識していたかは分からないが、フェイクニュースの問題は単純に捉えない方が良い。
  • 現実のニュース報道においても、生成AIによるフェイク画像が潜んでいる可能性がないとは言えない。これを全て検証する術があるのだろうか。SNSをリソースとしてはならない、という厳しい規制になりかねない。
  • 生成AI画像問題を取り上げるコーナーにおいて、フェイク画像にだまされたのではなく、本物である可能性が高い画像をフェイク画像と断定したのは、事実確認が甘すぎる。
  • 放送前に、画像分析ツールや複数の分析会社を利用すれば防げたのではないか。
  • 生成AIの技術はどんどん進化していくので、放送局に対してしっかりと確認するように伝えたとしても、現在の技術状況では確認に限界があり、一罰百戒にならないか。今後放送局が「これはフェイク画像だ」と言えなくなってしまう恐れがあると思う。
  • フェイク情報共有システムの構築などは、他の放送局にとっても参考になると思う。

3. 11月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

11月に寄せられた視聴者・聴取者の意見の総数は約2500件で10月から半減した。主な要因は芸能事務所関連の意見が大幅に減少したこと。一方で、BPOに対する意見が90件と急増。「検証番組が不十分」「第三者に調査させよ」といった内容で、事務局からは「NHK、民放キー局の検証番組が出そろったことで検証内容についての意見がBPOに寄せられている」などの報告があった。

4. 関西地区ラジオ局との意見交換会の開催について報告

2024年1月26日に開催予定の「関西地区ラジオ局意見交換会」に関して、日程、会場および議題となるテーマ「政治的公平性」「パーソナリティー発言への対応」などの報告が事務局からあった。

以上

第262回

第262回-2023年11月28日

中高生モニターからのリポートについて… など

2023年11月28日、第262回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会では、10月後半から11月前半までの約1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
11月の中高生モニターリポートのテーマは「最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について」でした。
芸能事務所創業者による性加害問題について、前回、前々回に引き続き3回目の意見交換をしました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2023年11月28日(火) 午後4時00分~午後6時30分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
芸能事務所創業者による性加害問題について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

10月後半から11月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
多数の芸人が運動会に参加する形式のバラエティー番組で、「人間体重計」と称して男性芸人が、指名された女性芸人を抱きかかえて体ごと上下させて自らの下腹部に当てる動きを見せたことに対して批判的な視聴者意見が寄せられました。担当委員は「女性芸人に対するパワハラやセクハラではないかとの意見があった。この番組が特段問題とは言えないが、暴力的ないし性的な表現について、視聴者の理解を得るのが難しくなっていると思う」と述べました。
指名された女性芸人が一瞬躊躇する表情を見せたことについて別の委員は「『えっ』という感じだった。『いや』と言えない雰囲気はよくないと感じた」と指摘し、さらに別の委員も「いやでも『ノー』と言えないこと(が問題だ)。(性加害を受けそうになった)子どもの安全という点では『いやです。ノーです』と言えることが最も重要。そういう自由度がない番組はつくってほしくない」と強調しました。
性にまつわる世界の話題や悩みについて出演者が語り合う教養バラエティー番組に対し、視聴者から批判的な意見が寄せられたことについて担当委員は、「番組の中で『これから性的な映像や音声が流れます』と字幕で示すなど、事前に慎重な検討を重ねて制作されたことがうかがえる内容だった」と報告しました。
性的違和の感情をかかえる中学生とその保護者の問題を正面から取り上げた番組についても、視聴者から批判的な意見がありましたが、担当委員は「みずからの性別に違和感があるという未成年者の悩みから出発して、番組では体の性別と心の性をはっきり区別して展開していた」として、問題ないとの見方を示しました。
このほかに議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

11月のテーマは「最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について」で、モニターからは合わせて21番組への報告がありました。“教育番組”を幅広く捉え、学校の教科に関連する番組だけではなく、報道番組や情報バラエティー番組、環境ドキュメンタリー番組、クイズ番組や歴史ドラマなど、さまざまな“学び”があった番組への報告も多くありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)に8人から、『ティーンズビデオ2023~第70回NHK杯全国高校放送コンテスト~』(NHK Eテレ)と『テレビ朝日ドラマプレミアム 友情 ~平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』~』(テレビ朝日)、『第102回全国高校サッカー選手権 北海道大会 決勝』(札幌テレビ放送)にそれぞれ2人から、報告がありました。

◆モニター報告より◆

【最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について】

  • 『笑わない数学』(NHK総合)
    • 「1+1=2」はとても簡単だと思ってきましたが、「なぜ」と問われると分からなくなります。視聴者の疑問をパンサー尾形さんがなくしていってくれるので理解しやすく、難しくて堅苦しい雰囲気ではなくバラエティーの一つとして見ることができました。(中学3年・男子・神奈川)
    • 「超越数」は中学生でギリギリ分かるような内容だったので、もっと分かりやすくかみくだいた内容にしてほしい。普段私たちが見ている数学はほんの一部でしかなく、そのほとんどがまだ解明されていないということが分かったので、さらに数学に興味を持つきっかけになった。(中学3年・女子・広島)
  • 『地球ドラマチック「渡り鳥を守れ!大移動1万キロの危機」』(NHK Eテレ)
    この番組を見るまでに、こんなにも渡り鳥が激減しているという事実を知らなかった。このようなショッキングな事実を知らず、また地球の大変化のさなかにいるわたしは、どうしてこんなに何も考えず生きていられるんだろうかと心から思った。(中学1年・女子・福岡)
  • 『いじめをノックアウト「“スクールカースト”って・・・」』(NHK Eテレ)
    10分尺で見やすく、ナレーションの2人が非常に優しい声をしていて、いろいろな人に見てもらいやすいのではないかと思った。ただ番組の終わり方が非常に残念だった。「出演者の高橋みなみさんの意見を聞いてみたいな」と思わせて終わらせるのではなく「尺がそこまでだからそこで終了!」という感じで終わらせているように思えた。(中学2年・男子・埼玉)
  • 『NHKスペシャル「ハマスとイスラエル 対立激化どこまで」』(NHK総合)
    今回の紛争はテレビやネットニュースで連日報道され、SNSでもさまざまな情報が発信されている。一方で、この番組のように一連の経緯を根拠とともに示してくれるメディアはほとんどなく、ニュースについてあまり調べる時間がない僕たち中高生にはとても貴重で価値があると感じた。(中学2年・男子・東京)
  • 『英会話フィーリングリッシュ ~データで選んだ推しフレーズ~』(NHK Eテレ)
    小学校高学年の頃からこの枠で放送されている英語番組を親子で毎回見ています。ミニドラマと解説の組み合わせなので見やすく、解説が丁寧でわかりやすいです。発音や視聴者の作文コーナーも、とても勉強になります。今年の番組は文法的な解説が少ないので、中学生の私にとっては難しい部分があります。この枠は1年ごとに番組内容が変わるため毎年新鮮です。自分の好きなタレントが出演していたらもっと英語の勉強を頑張れると思います。(中学2年・女子・愛知)
  • 『日立 世界ふしぎ発見!』(TBSテレビ)
    「信長の首を探せ」というテーマでの放送だった。結局、信長の首がどこに行ったのかは分からなかったが、いろいろな資料を見て話を聞くことでより謎が深まり、面白かった。途中でクイズが出たが、VTRで出されたクイズに対して出演者の誰が正解するのかを当てる問題で、正直、必要性を感じなかった。VTRで出されている問題を視聴者も一緒に考えるほうがよいのではと感じた。(中学2年・女子・東京)
  • 『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)
    すぐに難しい解説になるのではなく、イスラム教や宗派やコーランの解説が先にあったので、その後の複雑な中東の問題もすぐに理解することができました。イスラエルとハマスの問題は、第3次世界大戦にもなりかねない状況だと番組で知って、すごくびっくりしています。(中学2年・女子・栃木)
  • 『世界の何だコレ!?ミステリー』(フジテレビ)
    学校では習わないような雑学が増えてとても面白かった。地元福井の恐竜博物館が出てきてうれしかった。バラエティー番組としても面白いので、家族全員で笑ったり驚いたりしながら見た。1つの動画につき時間が結構短くテンポが良かった。世界中の不思議な映像を紹介する番組はいくつかあるが、そういう映像をどこから仕入れてくるのか不思議に思う。(中学2年・女子・福井)
  • 『出川哲朗のクイズほぉ~スクール』(NHK Eテレ)
    この番組を見ていないと一生知ることの無かった知識もあったと思う。覚える知識ではなく、はじめて知ることのできる知識だったので、他とは違う楽しさがあった。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『大河ドラマ「どうする家康」』(NHK総合)
    私が昔漫画で見たものは茶々が主人公で、徳川家康はとても嫌な感じで描かれていました。このドラマは家康が主人公で、また違う視点から関ヶ原やその後が見られて面白かったです。(中学3年・女子・福岡)
  • 『クローズアップ現代「卵も肉もまるで本物!“フードテック食品”で食卓は変わる?』(NHK総合)
    私の身近にもフードテックは活用されていて、大豆ミートは私も食べたことがあります。食品の安全性や廃棄食材の問題がフードテックで解決されたり、食品ロスにつながったりなど、知らない情報が多くありとてもためになりました。(中学3年・女子・山梨)
  • 『漫画家イエナガの複雑世界を超定義』(NHK総合)
    この番組の特徴は圧倒的なスピード感ですが、とにかくわかりやすく、CGや漫画を用いて一人語りのプレゼン形式で15分間にギュッと凝縮されています。また集中してみないと取り残されるので、より内容が入ってきます。ホームページで放送内容を記事化されていて、見返してより内容が深まるのでいいと思いました。(高校1年・男子・群馬)
  • 『バリューの真実』(NHK Eテレ)
    出演者の実際の経験にとても共感しました。教授や心理士の方の説明もわかりやすかったです。また、番組中にさまざまな流行りの曲や人気な曲が流れていて「〇〇の曲だ!」とより楽しく聞けると感じました。(高校1年・女子・茨城)
  • 『カズレーザーと学ぶ。』(日本テレビ)
    テーマで挙げられていた話題の単語は全然聞いたことがなかったが、説明の際は普段耳にするような表現に言い換えたり、図やグラフで視覚的に説明したりと工夫されていた。最先端の研究で分かってきたことが、なんの負担もなく納得できてとてもおもしろかった。出演者から大学教授への質問が、私の疑問点を代弁してくれたように的確だったのもとても良かった。(高校2年・女子・愛知)
  • 『はなしちゃお! ~性と生の学問~「2023年夏号②」』(NHK Eテレ)
    出演者のサーヤさんの「学生時代、生理の話を女子にだけ話されて違和感を覚えた」というエピソードに共感しました。自分も中学生のときに男女別で性の話をされたことがあり、そうやって分けてしまうから理解の隔たりが生まれていってしまうのではないのかと感じました。サーヤさんがフラットな雰囲気を作っていて、まっきぃ(マキタスポーツ)とのコンビも見ていて楽しく、普通に見ていて面白い番組でした。(高校3年・男子・神奈川)
  • 『林修の今知りたいでしょ!』(テレビ朝日)
    テレビ欄で“年金”のテーマを見つけて、見てみようと思いました。「40年支払い、元を取れるのか」という問いは愚問だと思いました。高齢になったら生活できる程度の支給をもらえばいいのであって“元がとれたのかどうか”は長生きした結果で考えればいいはずだと思います。また私たちが65歳になったとき、年金制度は継続されているのでしょうか。(高校3年・女子・京都)

【自由記述】

  • 季節の変わり目は特番が多いので、たくさん見られてうれしいです。(中学1年・女子・島根)
  • 同じ時間に同じようなジャンルの番組を放送するのは、減らしてほしいです。そのジャンルに興味がなくて、見る番組がないと思うことがよくあります。(中学3年・男子・広島)
  • 「NHK for school」のホームページは、学校にいけない子どもや家で復習したい人、大人で学びなおしたい人がテレビで勉強できて、素晴らしいと思います。(中学3年・女子・滋賀)
  • 祖母に聞いた話ですが、テレビ局や番組によって音声のボリュームが異なるらしいです。私も、ある番組を見た後に別のテレビ局の番組を見ると、とてもうるさく感じてしまうことがあります。(高校1年・女子・京都)
  • 今年の『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に旧大手芸能事務所のタレントを一組も起用しないことが発表されたが、タレントが不祥事を起こしたわけでもないのにそのような判断になったことにとても違和感を覚えた。独占状態が崩れた今こそ、他のグループと同様の視点で比べたうえで出演するか検討する、という本来あるべき状態に戻すべきではないか。(高校2年・女子・愛知)
  • 今年の『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)の出演者について、K-POPのグループが目立つのが気になった。K-POPが流行っているのはわかるが、日本の伝統的な番組の出演者に日本アーティストが少ないのはおかしいのではないかと思った。(中学2年・女子・東京)
  • パレスチナとイスラエルの軍事衝突が連日大きく報道されています。しかし、いまだにロシアによるウクライナ侵攻は終わっていません。これらを一種のエンタメとしてトピックを扱っているから、流行りのように話題が移り変わってしまうのではないでしょうか。ウクライナ情勢についても引き続き報道する必要があると思います。(高校3年・女子・北海道)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『アイ・アム・冒険少年「脱出島SP☆千原ジュニア最強助っ人とリベンジ参戦VSジョンソンメンバー」』(TBSテレビ)
    • ゲストが毎回違うので、同時進行で放送されるのが面白い。特にナレーターのつっこみに笑ってしまう。(中学1年・女子・千葉)
    • 昔のドラマの再現や、昔の曲が出てくるシーンがあったが、見たことも聞いたこともないものばかりで例えがピンとこず、楽しむことができなかった。(中学2年・女子・東京)
  • 『世界一の九州が始まる!「反わびさび!とがってアップデート」』(RKB毎日放送)
    番組が15分で見やすく、内容が凝縮されていた。九州ならではの情報に触れられる良い機会となった。(中学1年・女子・福岡)
  • 『ティーンズビデオ2023~第70回NHK杯全国高校放送コンテスト~』(NHK Eテレ)
    同級生が全国大会に出場していたので見ました。普段どんな活動をしているのか知りませんでしたが、とてもおもしろく、言葉で表現する放送部の良さを知りました。(高校2年・男子・山形)
  • 『FIFA U-17 ワールドカップ インドネシア 2023』(J SPORT)
    年齢制限のある試合は中継されるイメージがほとんどないので、とても良い番組でした。大人のプレーを見るのも楽しいし勉強にもなるけれど、自分と同世代のプレーを見たほうが、自分もこれくらいになれるかもなど、良いイメージを持てる人が増えると思います。(中学3年・男子・広島)
  • 『テレビ朝日ドラマプレミアム 友情 ~平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』~』(テレビ朝日)
    英語の教科書に平尾さんが出てきたが、生徒は誰も平尾さんのことを知らなかった。でもドラマを見て、何事にも頭を働かせて考えている、とてもステキな人だと感じた。山中さんとの友情にもじんときた。(高校2年・男子・山形)
  • 『おはよう朝日です』(朝日放送テレビ)
    朝の情報番組の中で、他の番組では“オススメ”が東京にあることが多くて行くのをあきらめがちですが、京都や大阪にある!と思うととてもワクワクするし、親近感を持ちながら見ています。(高校1年・女子・京都)
  • 『第102回全国高校サッカー選手権 北海道大会 決勝』(札幌テレビ放送)
    札幌ドームではプロの試合しか見たことがなかったため、高校サッカーが行われているのを見て、とても不思議な感じがした。同じ年代の人たちが一致団結して頑張っている姿を見て、自分もいろいろなことをあきらめないで頑張らなくてはいけないなと思った。(高校1年・女子・北海道)

◆委員のコメント◆

【最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について】

  • 『地球ドラマチック「渡り鳥を守れ!大移動1万キロの危機」』(NHK Eテレ)を視聴した中学生モニターは、地球環境の大変化やその事実を知らない自分に、とても深く感じるところがあったようだ。最近の中高生はSDGs教育の中で様々な知識を得ていると思っていたが、違う切り口だと新しい発見があるのだと分かった。
  • 『いじめをノックアウト』(NHK Eテレ)について、金曜日の午前9時40分から放送しているのが難点だという意見があったが、不登校の子がテレビを見ることもあるので、平日午前中という時間帯で放送する意味はあると思う。
  • 『笑わない数学』(NHK総合)について「NHK for school」などで視聴できればより多くの人が学ぶことができるという提案があった。中高生モニターに大変人気な番組なので、放送時間(午後11時から)ももったいないと感じる。
  • 中高生にとっての「教育番組」は「自分が知らなかったことを知ることができる」「学校で習わない雑学の知識が増える」番組のようだ。情報番組・報道番組・教養番組など、とてもバラエティーに富んでいて面白い。

【自由記述について】

  • 「元大手芸能事務所のタレントが毎年出演していた、大みそかのカウントダウン番組がなくなり残念だ。ただ世界の目があるので、企業やテレビ業界もそのタレントを使いにくいと思う」という意見があった。外圧のようにとらえているところが興味深い。
  • 「考える時間を与えてくれるクイズ番組のほうが、ゆっくりクイズを楽しむことができるので好きだ。出演者と一緒に考えることができて楽しい」という意見があった。インターネット上の動画は総じて慌ただしく、まくし立てるような話し方が多いため、最近のテレビ番組も、若い人の心をつかもうとして似たような編集になっているものも増えているように思うが、逆にゆっくりした時間が流れるのが貴重で新鮮だと受け止める中高生もいるようだ。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『テレビ朝日ドラマプレミアム 友情 ~平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』~』(テレビ朝日)を視聴した高校2年生から報告があったが、若い世代は平尾誠二さんを知らないという事実に驚いた。
  • 『密着26年!大家族石田さんチに新たな命が誕生!~人生は続くよ、どこまでもSP~』(日本テレビ)を視聴した中学生から「思春期の子をそのまま放送している切り抜き動画を見た。人には誰にもプライバシーがあるので、番組の放映する部分を確認する必要があると思った」と報告があった。番宣の切り抜きではなく、おそらく別の視聴者がSNSなどに切り抜き動画を投稿し問題提起したのに同意したのだろう。

芸能事務所創業者による性加害問題について

芸能事務所の創業者(故人)が、所属する多数の未成年のタレントに性加害を繰り返していた問題について、BPO、あるいは青少年委員会としてできることはないかとの観点から、前回、前々回に引き続いて意見交換しました。
はじめに事務局から、本件に関してBPO理事長の見解を近く公表する(2023年12月4日公表「芸能事務所における性加害問題について」参照)方向であることが示されました。
委員のひとりが「事態がさらに動くかもしれないが、いまの時点で見解を出しても大丈夫か」と懸念を示しました。ほかの委員は、理事長見解の中で「『(BPOが)放送局と議論する場を設けて、意見をたたかわせていく』という文言があれば対応は可能である」と指摘しました。
こうした議論を経て、委員会としての意見交換を終えました。

今後の予定について

次回は12月18日(月)に定例委員会を開催します。 

以上

2023年11月に視聴者から寄せられた意見

2023年11月に視聴者から寄せられた意見

性加害問題をめぐる各局の検証番組や所属タレント起用の是非などへの意見、「フェイク画像」という紹介が誤っていたことなどへの意見が寄せられました。

2023年11月にBPOに寄せられた意見数はほぼ平常ペースの2,502件で先月からほぼ半減、 2,648 件減少しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 90.2% 電話 8.7% 郵便・FAX計 1.1%
男女別(任意回答)は、男性25% 女性24 % で、世代別では 30歳代 24% 40歳代 22% 
50歳代 20% 20歳代 18% 60歳代 8% 70歳以上 3% 10歳代 3%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、11月の送付件数は697件、56事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から15件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

芸能事務所創業者の性加害問題をめぐる各局の検証番組、当該事務所の所属タレント起用の是非などについて意見が寄せられました。また、イスラエルが主張の根拠としている画像を番組が「フェイク」と説明したことなどへの意見もありました。
ラジオに関する意見は25件、CMについては18件でした。

青少年に関する意見

11月中に青少年委員会に寄せられた意見は102件で、前月から86件減少しました。
今月は「要望・提言」が54件と最も多く、次いで「表現・演出」が21件、「編成」が7件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 「生成AIによるフェイク」の危険性を考える企画で、イスラエル側が主張の根拠としている画像を「フェイク」と説明していたが、実際は本物の写真だった。ネット上の情報に惑わされる人が多い中で、テレビまでこういうことをすると収拾がつかなくなる。

  • 死体遺棄事件の容疑者として無関係の人の顔写真を何度も放送した。テレビで放送してしまった以上、ネット上の画像を完全に消し去ることはできない。まったくの濡れ衣(ぬれぎぬ)で人生が変わる可能性があることを考えると市民として恐ろしい。

【教養・バラエティー】

  • 昆布だし500mlを2週間飲み続ける味覚改善法や「昆布・ワカメを毎日たくさん食べている」というタレントのコメントを紹介していたが、昆布は食べ過ぎによる甲状腺機能低下などのデメリットも知られている。番組で注意を呼びかけるべきだったと思う。

  • 「豆腐を食べ続けるとやせるのか太るのか」、タレントに実際に食べさせて「検証」というが、わずか3日間で検証などできるはずがない。また3,000kcalすべてを豆腐で取るためにタレントが無理して大量に食べていて心配になった。

  • タレントがチェーンソーでの立木伐採を体験するシーン。指導者が立ち会っていたが、かかり木の元玉切りなど厚生労働省が注意を呼びかけている危険な行為があった。切断された瞬間は編集でカットされていたが現場ではヒヤっとしたのではないか。出演者を危険にさらしただけでなく、視聴者にも死傷する可能性のある危険な方法を拡散していた。

  • クイズで負けたら40メートル上に飛ばされる罰ゲーム。もし金具がはずれたら、と考えると怖い。落とし穴に落ちたタレントがケガをしたこともある。危険な罰ゲームはやめてほしい。

  • 性加害問題のあった事務所所属のタレントが年末恒例の音楽番組に1組も選ばれなかった。「出演者の人権を尊重する」とのことだが、所属タレントたちが人権侵害をしているわけではなく、理不尽だと感じる。

  • 問題の深刻さと照らし合わせれば、当該事務所所属のタレントを選ばなかったのは当然のことだと思う。

  • 人気アイドルが街中で市民を撮った写真に短いタイトルをつけて楽しむコーナー。大変面白く、撮影者の感性にひかれる場面が多かったが、昨今、SNSで肖像権を無視して人を笑い者にするような風潮もあり、ストリートスナップについての注意喚起をしたほうがいいと感じた。

  • 家庭のシンクに取り付けるディスポーザー(生ごみ粉砕処理機)を紹介していたが、水道局に照会したところ、設置に法的な規制はないものの、集合住宅の場合は敷地内に下水処理設備がないと下水道に負荷がかかり、耐久性を損なうなどの問題があるとのこと。こうした点も明確に示すべきだったと思う。

  • 過積載が疑われる解体業者のトラックを芸人たちが追跡するという企画だった。面白くするためか出演者たちはトラック置き場を「アジト」呼ばわり。過積載か否かの判定は「見た目」。確定もできないのに「逃げた」「まかれた」。VTRを見たスタジオでも「悪いことしているという意識はありますよね」など犯罪者扱い。本当に犯罪なのか確認した上で放送してほしい。

  • 緊張するとトイレに行きたくなるのはなぜか、あるタレントを被験者にして検証。偽の番組収録に呼び出し、被験者が「恐れている」という先輩が対談相手であることを告知。到着した先輩が「いつにもまして不機嫌」という演技…。楽屋で被験者が動揺していく様子はとても気の毒だった。

  • ショッピング番組で価格を示した後に「それを半額で」などと大幅に値引きしたように表示しているが、最初から実際の販売価格を示すべきではないのか。

  • 若いころ保育の仕事がきっかけで部落差別問題を知り、気に留めてきた。このドキュメンタリー番組はできるだけ多くの人に見てもらいたいと思う内容だった。

【その他】

  • 子どもへの性加害がなぜ数十年にもわたって放置され続けたのか、各局の検証番組は到底その構造的な問題を明らかにできるものではなかった。このままでは新たな人権侵害や虐待が起こったときに、各局が適切に報道できないのではないかと懸念する。視聴率や利益のために人権侵害を見て見ぬふりをする報道機関では意味がない。第三者機関による網羅的な調査によって二度と被害者が生まれないようにしてほしい。

  • 各局の検証番組は「男性への性加害について認識が薄かった」というが、何百人もの児童が芸能事務所やテレビ局の金儲けのために性加害を受ける環境に置かれてきたという重大性が正しく認識されているのか疑問だ。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 芸能事務所創業者による性加害問題をめぐるテレビ各局の検証番組は、男性同士の性加害を軽くみてしまったというだけで、問題の本質をまったく検証しない不十分なものだった。この問題の本質に迫るためには、テレビ局自身に任せて調査することには限界があると実感した。

  • 性加害の被害者はトラウマを抱えながら命がけで告白している。影響力を持つ放送局は被害者に寄り添い、しかるべき対応を早めに取るべきだった。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 紀行バラエティー番組の女性リポーターが取材先の外国で、番組スタッフと、楽器代わりのビーチサンダルで頭をはたき合う演出があった。子どもが真似して友だちの頭をたたく原因にもなるので、はたき合いで笑いを取ることはやめてほしい。

  • バラエティー番組で、芸能人をジップラインで滑らせて、池の上でロープを切るというドッキリ企画が放送されたが、とても笑えない。仕事とはいえ、一歩間違えれば重傷を負うかもしれない。なぜスタジオのMCたちが笑っているのか、子どもに説明できない。

【「編成」に関する意見】

  • サスペンスドラマの再放送を平日の日中に放送しているが、殺人などの凶悪シーンもある。夜の時間帯に放送すべき内容だ。子どもが見られる時間に放送するのはとんでもないことだ。

【「性的・表現」に関する意見】

  • 深夜のバラエティー番組で、番組MCの芸人らがひとりの若手芸人をつるし上げて、下着を脱ぐよう強要する演出があった。「早く脱げ!」と迫り、下着を下ろすと股間をのぞき込んで「脱毛しているのか!」と笑い転げた。子どもたちがいじめで真似するおそれがある。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 大麻グミ問題のニュース。報道の中で成分を含め「現在も購入可能」などと紹介していたが、その存在を知らなかった人も興味を持って、インターネット購入する可能性がある。中高生がとくに興味を持つだろう。報道の仕方を再考してほしい。

第44号

NHK『ニュースウオッチ9』新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族を巡る放送についての意見

2023年12月5日 放送局:NHK

NHKは2023年5月、『ニュースウオッチ9』の中で「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常 それぞれの思い」という1分5秒のVTRを放送した。3人の遺族のインタビューが含まれており、そこには「父を亡くした〇〇さん」などのテロップがつけられていた。前後の脈絡などから3人は、家族が新型コロナウイルスに感染して亡くなった遺族であると受け取るのが自然な映像だった。しかし実際には、3人は、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族であった。
委員会は、ワクチン接種による被害を訴える遺族を、新型コロナウイルス感染によって亡くなった人の遺族と誤認させるような放送が、なぜ、どのようにしてなされたのか検証する必要があるとして、同年6月の委員会で審議入りを決めた。関係者のヒアリングや議論を重ね、次のような事実を認めた。①VTR制作担当者と直属の上司は、コロナウイルスに感染して亡くなった人と、ワクチン接種後に亡くなった人を、広い意味で、コロナ禍で亡くなった人にかわりないという不適切な認識をして放送に臨んだ。②この担当者はインタビュー取材の相手である遺族に対し、ワクチンの問題を放送で扱わないという自分の意図を明確に説明せず、取材者としての基本を実践していなかった。③この担当者が取材経験などの面で十分とはいえないにもかかわらず、組織内で十分なサポートを受けていなかった。④放送前に行われた試写において、適切なチェックがなされなかった。
以上のことから委員会は、放送が放送倫理基本綱領やNHKの放送ガイドラインに反しているとし、放送倫理違反があったと判断した。

2023年12月5日 第44号委員会決定

全文はこちら(PDF)pdf

目 次

2023年12月5日 決定の通知と公表

通知は、2023年12月5日午後2時から、BPO第1会議室で行われ、
午後3時から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。
記者会見には28社42人が出席した。詳細はこちら。

2024年3月8日【委員会決定に対するNHKの対応と取り組み】

委員会決定 第44号に対して、当該のNHKから対応と取り組みをまとめた報告書が2024年3月4日付で提出され、委員会はこれを了承した。

NHKの対応

全文pdf

目 次

  • 1) 委員会決定の放送対応
  • 2) 放送現場への周知
  • 3) 経営委員会・放送番組審議会への報告
  • 4) 放送倫理委員会の開催
  • 5) コンテンツ品質管理連絡会の実施
  • 6) BPO 放送倫理検証委員会との研修会
  • 7) 再発防止に向けて

2023年度

芸能事務所における性加害問題について

2023年12月4日
BPO [放送倫理・番組向上機構]
理事長 大日向雅美

芸能事務所における性加害の問題につきましては、今年3月にBBCの報道を一つの契機として日本社会において重大問題とする認識が高まり、その後、9月以降、当該事務所の会見および具体的対策への動き等が認められております。未だ解決の道筋は見えず、むしろ緒についたところとも言える本問題ですが、社会的関心は言うまでもなく非常に高く、BPOにも視聴者からの意見が数多く寄せられています。

これまでいただいている視聴者意見は、概ね本問題に対する驚愕と許しがたい思いをベースとしていることで一貫していますが、当初の加害者や当該事務所の責任をもっぱら追及するもの、所属タレントの人権を擁護するものから、やがてそれを放置してきた放送界やマスメディア、さらには企業や社会全体のあり方を問うものへと、時間と共に様相を変えつつあります。

そうした中、本問題に対しBPOの各委員会が速やかに審議入りをして、放送局を諫めるべく動きをとることを期待する声も多数いただいております。

BPOは、放送界が市民社会に果たす公共的使命を自覚し、自ら第三者の意見を聴く仕組みを設けて放送内容の向上を図ることを目指して設立された機関です。具体的には「放送倫理検証委員会」「放送と人権等権利に関する委員会」「放送と青少年に関する委員会」の3つの委員会が、放送された番組について、その制作過程や取材方法、内容等に関して、倫理上、人権上、さらには青少年に及ぼす影響上の問題の有無の判断を行い、解決に向けて「勧告」「見解」「意見」等の決定の形で放送界に要請を行うものです。

BPOの設立趣旨から、これまで視聴者意見に真摯に向き合ってきたことは言うまでもなく、本問題に関しても3つの委員会の委員は、それぞれに当初から関心を寄せ、各委員会の中でも放送番組とのかかわりをめぐり議論を重ねております。

他方、各放送局は本問題について検証番組を放送し、あるいは番組審議会において議論を行っています。
放送局の自主・自律に寄与することがBPО設立の本来の目的であり、各放送局の動向に非常に注目しているところです。

放送局の自主・自律は、放送内容の向上はもちろんのこと、この社会に生き、暮らしているすべての人の人権と自由を尊重することに貢献し、ひいては日本社会の文化の質の向上につながるものです。
本問題は、特定の芸能事務所のことにとどまらず、それを取り巻くさまざまな媒体、さらには社会を構成する私たちが、一人ひとりの自由と人権をいかに守り、尊重することができるのか、換言すれば成熟した市民社会のあり方につながる問題でもあります。

こうした観点から放送局は、本問題の精査と反省を通して、自らの果たす使命をさらに認識し、今後も起こりうる諸問題に対しても真摯に検証し、改善を行うことが求められます。
視聴者と放送局を繋ぐ第三者機関の役割をもつBPОは、各放送局の今後の取り組みをたゆまず注視してまいります。そして放送がこれからも視聴者の信頼の上に公共的な役割を果たしていくため、適時、さまざまな形で放送局と議論する場を設けて、意見をたたかわせていきたいと考えております。

第321回

第321回 – 2023年11月

「判断ガイド2023」について…など

議事の詳細

日時
2023年11月21日(火) 午後4時 ~ 午後7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室 (千代田放送会館7階)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

2.「判断ガイド2023」について

「判断ガイド2023」の作業進捗状況と、ウェブサイトでの画面イメージや活用の仕方などについて、事務局から報告した。

3.意見交換会について

来年1月開催の二つの意見交換会について、概要や進行案を事務局から報告した。

4.その他

ドイツFSF(テレビ自主規制機関)とオンラインでの意見交換を近く実施予定であることを事務局から報告した。

以上

第189回

第189回–2023年11月

NHK『ニュースウオッチ9』とTBSテレビ『news23』
委員会決定を通知・公表へ

第189回放送倫理検証委員会は、11月10日に千代田放送会館で開催された。
6月の委員会で審議入りしたNHKの『ニュースウオッチ9』について、担当委員から意見書の再修正案が報告され意見交換した結果、合意が得られたため、今後当該放送局へ通知して公表することになった。
8月の委員会で審議入りしたTBSテレビの報道番組『news23』について、担当委員から意見書の修正案が提出された。意見交換の結果、合意が得られたため、今後当該放送局へ通知して公表することになった。
10月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見等が報告された。
関西地区ラジオ局との意見交換会を開催することを決めた。

議事の詳細

日時
2023年11月10日(金)午後5時~午後7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

ワクチン接種後に亡くなった人の遺族を、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をし、放送倫理違反の疑いがあるとして6月の委員会で審議入りしたNHK『ニュースウオッチ9』(5月15日放送)について引き続き審議が行われた。
今回の委員会では、意見書の再修正案が担当委員から報告された。これについて意見が交わされた結果、合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、今後しかるべき時期に当該放送局に対して通知し、記者会見を開いて公表することになった。

2.TBSテレビ『news23』について審議

TBSテレビは1月12日、報道番組『news 23』の調査報道23時のコーナーにおいて、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、ノルマ達成の為に職員やその家族が不必要な契約を結ぶ、いわゆる“自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、A地方のJAに勤める男性は職場で身元がばれて居づらくなり、退職に追い込まれたとの週刊誌報道があった。また、取材を受けた職員とは3回程度会話をしたことがあるという人から「放送を見て誰であるかを私ですら特定できた。彼は農協の問題を告発し多くの職員の声を代弁してくれた。退職になりとても残念だ。テレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢を問題にしてもらいたい」といった声がBPOへ寄せられた。委員会は、報道の取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして8月の委員会で審議入りを決め、9月の委員会で担当委員から当該放送局の関係者に行ったヒアリングの結果を基に議論し、10月の委員会では担当委員から提出された意見書案について議論した。
今回の委員会においては、担当委員から示された意見書の修正案について意見交換した結果、合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、当該放送局へ通知して公表することになった。

3.10月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

10月に寄せられた視聴者・聴取者の意見総数は5千件を上回り、月間の意見数としては記録が残っている中で最も多かった。そのうち芸能事務所創業者による性加害問題について、東京キー局が相次いで検証番組を放送したことに関する意見が数多く寄せられたことや、芸能事務所側が記者会見を開いた際に、個々の記者に関する「NGリスト」が存在していたという報道に関する意見が多数寄せられたことなどが事務局から報告され、議論した。

4.関西地区ラジオ局との意見交換会の企画について

2024年1月26日(金)に放送倫理検証委員会と関西地区のラジオ13局との「意見交換会」を開催することを決めた。テーマは「政治的公平性」や「パーソナリティの発言対応」など。現場からの報告のほか、各局が日々直面している課題や悩みを共有していく場とする。

以上

2023年10月に視聴者から寄せられた意見

2023年10月に視聴者から寄せられた意見

性加害問題についての芸能事務所記者会見の報道や在京キー局の自己検証番組への意見、放送事業者のあり方に関する意見などが寄せられました。

2023年10月にBPOに寄せられた意見は 5,150件で、先月からほぼ倍増、2,647件増加しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 92.9% 電話 6.6% 郵便・FAX計 0.5%
男女別(任意回答)は、男性18% 女性34 % で、世代別では 30歳代 25% 
40歳代 24% 50歳代 24% 20歳代 14% 60歳代 8% 70歳以上 2% 10歳代 2%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、10月の送付件数は2,971件、41事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から19件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

創業者(故人)による性加害問題をめぐって芸能事務所が2回目の記者会見を行うなどの動きがあり、10月も多くの番組でこの問題が取り上げられました。また、前月のNHKに続いて民放各局がこの問題に関する自己検証番組を放送しました。こうした報道や検証番組などへの意見、放送事業者のあり方に関する意見などが寄せられました。
ラジオに関する意見は25件、CMについては15件でした。

青少年に関する意見

10月中に青少年委員会に寄せられた意見は188件で、前月から102件増加しました。
今月は「要望・提言」が102件と最も多く、次いで「報道・情報」が28件、「表現・演出」が27件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • アメリカ連邦議会議事堂でユダヤ人団体がイスラエルに抗議している映像を流し、「パレスチナ人が座り込み」「生活に不満」などと説明していた。在米ユダヤ人の中にも反イスラエルの動きがあることを示す映像を使って真逆のことを報じており、パレスチナ人に対する偏見をあおっていると受け取られかねない。

  • パレスチナとイスラエルに関する報道で、日本赤軍の元最高幹部の娘を単なる「ジャーナリスト」として出演させたことは妥当だったのか。母親の罪とは無関係だとしても、彼女の立場・背景について番組内で全く触れないのは問題があるように思う。

  • (日本赤軍の元最高幹部の娘かどうかとは関係なく)彼女の出演によってパレスチナとイスラエルの問題を双方の見方から知ることができた。今回のできごとについて彼女の話で初めて知った一面もあるなど、とても興味深く参考になった。

  • ニュースで、不祥事を起こした企業のトップがパニック障害を理由に記者会見を欠席したことについて関係者が「そんな甘えた話があるか」と発言したビデオが放送された。これをカットせず放送したということはそのテレビ局も同じ認識だということ。パニック障害や他のメンタルの疾患の人への差別や偏見を助長すると思う。

  • メディアは性加害問題に関して連日、芸能事務所を批判しているが、メディア自身を批判しないことが理解できない。さまざまな場面で沈黙、忖度(そんたく)することをなぜ改めないのか。日本のメディアがどう変わるか、視聴者はいつも見ている。

  • 男が女性のスカートの中を盗撮しようとした現場に記者が居合わせたとして、容疑者が追跡・逮捕される様子をその顔、実名とともに伝えていた。容疑者は否認、スマホには写真・動画がひとつも残っていなかったという。顔と実名をテレビで全国に拡散された人の人生に責任を負えるのか。

  • 番組スタッフからX上で「商業施設でのライトアップの画像を使わせてほしい」と連絡があり、快くOKしたが、実際の放送では「ハロウィーンでマナー違反」とマイナスのイメージで使われていた。

  • 立てこもり現場の報道ヘリの騒音で、昼間は警戒を呼びかける市の防災無線が聞き取れず、夜は22時を過ぎても飛んでいて眠れないほど。協定などで制限すべきではないのか。

【教養・バラエティー】

  • ゲスト出演した京都大学准教授の「オミクロン株は何者かが人工的に改変し、ばらまいたもの」といった主張を紹介。番組内でそれを否定したり、注意を呼びかけたりすることもなかった。公衆衛生・医療に関する情報は人命に関わる。慎重に扱ってほしい。

  • 「安いスーパー」を特集、業者が開店前に商品に「半額」のシールを貼り、販売する様子を紹介していた。これでは「半額」は値引きの結果ではなく、最初に設定した価格であり、景品表示法にふれるのではないのか。

  • 地元の食堂が紹介されたが、この店には駐車場が4台分しかなく、放送後は路上駐車で渋滞が発生し、住民はとても困っている。駐車場の小さい店を紹介する時は臨時駐車場を用意するなど放送後のことまで考えてほしい。

  • ドッキリを仕掛けられたタレントが痛がる様子を笑う。テレビでは「仕事」だが、実社会ではいじめの構図だ。テレビ局はこうした番組を放送する一方、報道番組ではいじめを厳しく批判していておかしい。

  • 男性芸人が「人間体重計」と称して女性芸人の全身を持ち上げ、性行為を思わせる動きをして笑いにしていた。女性芸人が後輩であること、番組収録中であることなど断りづらい状況がある。芸人自身はもちろん、“面白いシーン”としてそのまま放送したテレビ局も感覚を改めてほしい。

  • レギュラー出演者が交代したが、後任は同じ芸能事務所の後輩だ。こういった「○○(事務所名)枠」の継続は忖度につながらないか。他事務所のタレントには平等なチャンスを与えず、特定の事務所のタレントの露出を増やしてスターを作り上げていく。このようなことが繰り返されてきたことが性加害の黙認という結果にまでつながったのではないか。

  • 先日亡くなったタレントのパートナーが対談番組に出演。故人の人となり、偏見・誹謗中傷との闘い、多様性についての考え方などを深く掘り下げていて良かった。普段の放送でもディープな内容を増やしてほしい。

  • 「性について真面目に語る」とうたいながら、アダルトグッズを紹介したりポルノを肯定する発言を取り上げたりしていた。未成年者に誤解させる危険がある。

  • 性に関する情報、世界の性教育事情などを明るく楽しく知ることができた。人間は生きる上で性の問題と無縁ではいられない。10代の頃にこの番組を見たかったと心底思った。教育現場にも生かしてほしい。

【ドラマ】

  • 自衛隊の「陰の組織」とテロ組織との闘いを描いたドラマ。ダイナミックな演出が毎週楽しみだった。このような大規模な番組が、ドラマに限らずバラエティーからも出てくるといいなと思う。

【スポーツ】

  • バレーボールの国際試合の中継中に、天井に張ったカメラ用のワイヤーが切れて試合が中断。ボールがどこに飛ぶか分からない競技で、必須ではない天井カメラを使うという選択はどうだったのか。

  • ラグビーW杯日本戦の中継当日の報道番組で画面右上に「決戦まであと○分」と表示されていたが、実際には「試合直前スペシャル」という特別番組が始まるまでの時間だった。「決戦まで」と表示されれば試合開始までの時間だと思ってしまう。問題ではないか。

【その他】

  • 性加害問題に関する放送局の自己検証番組では「芸能事務所側の圧力はなくテレビ局側が忖度した」というが、テレビ局は過去、同様の説明をした政権・政府を厳しく批判しており、矛盾を感じる。また今回のようにメディアが「忖度=報道しない」選択をした場合、視聴者側には打つ手がない。メディアを監視する仕組みが必要ではないか。

  • 芸能事務所との関係についてテレビ局が「社内調査の結果」を伝えていたが、自身による調査では信ぴょう性に欠ける。調査は芸能事務所と同様、第三者に委ねるべきではないか。

  • 性被害に対する補償は当該芸能事務所だけではなく、創業者の行為を結果的に容認してきたマスコミ各社も行う必要があるのではないか。

  • 人気男性アイドルグループの「公開謝罪」は所属事務所によるパワハラであった可能性はないのか。タレント本人の人権を軽視する事務所とテレビ局の姿勢が、性被害拡大の背景にもあるのではないか。また性加害問題を皆が「うわさ」と受け流したことが被害拡大の大きな要因になったことを考えれば、多くの人が違和感を持った「公開謝罪」問題を何の検証もなく終わらせるべきではないと思う。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 芸能事務所の創業者(故人)の性加害が本当であれば許されることではないが、事務所は被害者への補償を進め、新事務所を立ち上げると前向きだ。これにテレビで毎日のように批判を繰り返すのはただのいじめにしか見えない。

  • 問題の芸能事務所の若いタレントが出演する番組の観覧募集に当選していたが、4日前に突然、収録中止のメールが来た。新幹線やホテルをキャンセルしなければならない。もう少し早めの連絡がほしかったし、なにより才能ある若者たちの活躍の場を奪わないでほしい。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 情報番組やバラエティー番組の中で、週刊誌が報じた芸能事務所の性加害問題の記事をなぞるだけの報道が多い。(番組自身で)検証した内容でなかったり、記事の一部だけを切り取ったりしたものだ。人権侵害にならないのだろうか。

  • 大学運動部の大麻事件報道で、逮捕された特定の容疑者の扱いが大きい。氏名はもちろん、顔写真も毎回大きく映される。他大学でも類似の事件が報じられるが顔写真は出ない。なぜ特定の容疑者だけが「標的」になるのか。まだ21歳だ。メディアによる制裁はもう十分ではないか。

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、回転寿司チェーン店の寿司をアレンジしての食べ方を紹介。お茶の中に海苔で巻かれた寿司を入れ、かき混ぜて食べていたが、見ていて不快になった。子どもが真似してほしくない。

  • バラエティー番組で、男性芸人が「人間体重計」と称して、女性芸人を抱きかかえて体ごと上下させた。性行為の体位を連想させるもので、子どもも視聴する番組でやるべきではなかった。

【「言葉」に関する意見】

  • ニュースの中で、特定の政治家を「増税メガネ」と表現していた。見た目を揶揄(やゆ)する表現は侮辱だと感じる。私の子どもも視力が弱くてメガネをかけているが、「〇〇メガネ」とあだ名を付けられる可能性があって、教育的によくない。報道番組ではなおさら問題だろう。

第261回

第261回-2023年10月

視聴者からの意見について… など

2023年10月24日、第261回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会では、9月後半から10月前半までの約1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
10月の中高生モニターリポートのテーマは「最近見たバラエティー番組について」でした。
また芸能事務所創業者の性加害問題について、前回に引き続き意見交換しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2023年10月24日(火) 午後4時00分~午後6時30分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
芸能事務所創業者の性加害問題について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

9月後半から10月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から、「この間の意見は、芸能事務所創業者(故人)の性加害問題に関するものが大半だった。9月後半は、同事務所所属のタレントを番組に出演させることや、性加害を連想させるような番組タイトルを続けることへの批判が多かった。10月前半は、『所属タレントは加害者ではない』として、これを擁護する意見も増えてきていた」と報告がありました。
性加害問題に関連して昼のバラエティー番組で、「芸能事務所経営者がハワイで豪遊」との週刊誌報道をそのまま紹介したところ、「偏向報道だ」とする視聴者意見が寄せられたことについて担当委員は、「番組がみずから取材して『豪遊』としたのではなく、週刊誌の記事や見出しを持ってきただけだった」として、番組側の事実のとらえ方が問題だったという見方を示しました。
しかし、これ以上の議論になる番組はなく、「討論」に進むことはありませんでした。

中高生モニター報告について

10月のテーマは「最近見たバラエティー番組について②」で、モニターからは合わせて22番組への報告がありました。トークバラエティーをはじめ、教養バラエティーやドキュメントバラエティー、ゲームやクイズ、旅企画など、多彩な番組に関する報告が集まりました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『笑わない数学』(NHK総合)に7人から、『日曜日の初耳学』(毎日放送)に4人から、『サスティな!』(フジテレビ)と『朝メシまで。』(テレビ朝日)にそれぞれ3人から、報告がありました。

◆モニター報告より◆

【最近見たバラエティー番組について】

  • 『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京)
    家庭や個人の病気、深刻な家族状況などはあまり知る経験がないので、様々な人生について、この番組を通して知ることができました。悪性リンパ腫になったという23歳の女性は、たとえ病気でも深く思いこまずに明るく笑顔でいて、とても尊敬できる人だと思いました。(中学1年・女子・千葉)
  • 『バナナサンド』(TBSテレビ)
    「歌詞イス取りゲーム」は、少し大変そうだけど自分のペースでゲームができるし、ふつうのイス取りゲームより頭に良さそうで楽しそうだし、学校でもできそうです。子どもがすぐにマネできるあそびがたくさんあっていいなと思いました。(中学1年・女子・島根)
  • 『プレバト』(毎日放送)
    私は特に俳句コーナーが好きです。俳人の夏井いつき先生が、出演者の俳句の添削で、バッサリと、ずばっと言うところが痛快でおもしろいです。当たり障りない発言を意識してしまう時代ですが、夏井先生のユーモアと愛に満ちた辛口な添削は、見ていて心地よいです。(中学1年・女子・福岡)
  • 『わが家の給料広げてみた』(テレビ朝日)
    金額が多いか少ないかを語るのではなく、どんな思いが詰まっているかに注目しているところが魅力的だと思った。僕自身は、普段わからない親の姿に触れることができ、純粋に「親に感謝するべきなんだな」と思った。(中学2年・男子・東京)
  • 『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)
    「0円食堂」の企画は、食品ロスの改善や地産地消をしていて、面白いだけでなくSDGsの勉強になります。様々な地域を盛り上げていくという考え方は素敵だと思います。ただ、毎回おなじ人が出演していて新鮮さに欠けるので、いろいろなジャンルのゲストに出てほしいです。(中学2年・女子・愛知)
  • 『オールスター感謝祭』(TBSテレビ)
    はじめから盛りだくさんのクイズや企画があり、おもしろかった。100人分の焼肉弁当をかけて戦うコーナーでは、解答者だけでなくドラマスタッフも団扇などを持って一緒に応援している様子から、それぞれの作品のスタッフの仲の良さが感じられて、ドラマを見るのが一層楽しみになった。(中学2年・女子・東京)
  • 『火曜は全力!華大さんと千鳥くん』(フジテレビ)
    ランキングを予想しての投票は新鮮だったので、自分も盛り上がって楽しかったです。画面のイラストやスタジオのセットが、すごく可愛くて好きです。(中学2年・女子・栃木)
  • 『小泉孝太郎&ムロツヨシ 自由気ままに2人旅』(フジテレビ)
    バラエティー番組は、人を“いじる”ことで笑いをとることがよくあるしそれも面白いが、それをせずに視聴者を笑わせることができる出演者の2人は、本当にすごいと思う。(中学3年・女子・滋賀県)
  • 『所さん!事件ですよ』(NHK総合)
    今まで観光地には人が来れば来るほどいいと思っていたけれど、オーバーツーリズムで混み合う富士山の山頂や、世界遺産に登録されているがゆえに汚れているベネチアを見て、これが日本と世界の実情なのだと思った。問題提起するような番組をこれからも作ってほしい。(中学3年・女子・広島)
  • 『超無敵クラス』(日本テレビ)
    若者の視点で社会が見られて面白いし、未来を切り開く行動をもっと自分もしていかなければならないと感じます。それは簡単なことではないので、好きを極めている人はすごいと思いました。(高校1年・男子・群馬)
  • 『アメトーーク!』(テレビ朝日)
    「ビビリ1グランプリ」を見た。「ビビリロード選手権」では様々な人のビビリを次々に見ることができて、全く飽きなかった。また、映像に対するスタジオからのツッコミをしっかり放送しているところも、面白くていいなと思った。(高校1年・女子・北海道)
  • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)
    ニワトリの鳴き声など、誰もが楽しめる祭りの話題でした。外国の良さや人情を知ることができるとても良い企画だと思います。昔は、危険な祭りの話題で、体を張って体力と根性で笑いを届けていましたが、これからは見るほうも安心して楽しめる祭りを放送してほしいです。(高校2年・男子・山形)
  • 『世界一受けたい授業』(日本テレビ)
    今年の都道府県魅力度ランキングの結果を発表していたが、県が生み出した、全く聞いたことない新しい取り組みが多く紹介されていて面白かった。ただ、下位の県の紹介が多くなくて、違和感が残った。ランキング40位台だと紹介することは、その県のイメージを大きく下げることになるので、「この結果ではあるがこんなに魅力がある」と紹介して、イメージを引き上げてほしいと思った。(高校2年・女子・愛知)
  • 『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)
    水ダウは、現行のテレビ番組の中でも、ひときわ目立つ異質な番組で、それは恐らく視聴者が良い意味で置いて行かれる番組だからだと思います。どんな内容なのかいつもワクワクするし、どの企画も今まで見たことのない斬新で面白い素晴らしいものだと思います。構成作家を調べたところ、若手の作家さんがいたり数人でやっていたりして、興味深いと思いました。(高校3年・男子・神奈川)
  • 『クレイジージャーニー』(TBSテレビ)
    自分から好んで見る内容ではないからこそ、テレビでこのような知らない世界を見ることができて、とても興味深かったです。現実とは思えない異国の現状を知ることができる、教育的な良い番組だと思います。(高校3年・女子・北海道)
  • 『ジャンクSPORT』(フジテレビ)
    ゲストの恥ずかしい一面を晒すことになっても本人がそれを嫌がることなく、ゲストへの「いじめ」とならないような“笑い”になっているので、楽しく見ることができます。アスリートは引退が早く、ゲストが途切れることはないと思うので、長く続いてほしいです。(高校3年・女子・京都)

【自由記述】

  • 「確実に“優しい”人」「確実に“ノリだと分かる悪口”を言える人」は安心してみていられる。そういう人をもっと増やしてほしい。また、芸能人とはいえ、人としての気持ちもあるし限界もあるから、笑いの対象として見るだけではなく、ひとりの人間だと考えてほしい。(中学2年・女子・福井)
  • 番組でよく「特別に許可を得て〇〇しております」と小さく書いてあるが、そのシーンの冒頭のみで、途中から消えている。途中から番組を見た人は勘違いすることがあるのではと思うが、注意書きがずっと書いてあるのも気になる。(高校2年・男子・山形)
  • 朝のワイドショー番組のエンタメコーナーを見ていると、いくつかの局で、エンタメコーナーがかぶっている。なぜ同じコーナーの時間をそろえているのか、不思議に思う。(高校1年・女子・茨城)
  • 最近は見逃し配信の視聴者が増えてきて、深夜番組の視聴者獲得チャンスも増えてきた。クオリティの保証をしていかなければならないと思う。(中学2年・男子・埼玉)
  • テレビはリアルタイム視聴が基本ですが、帰宅時間が遅くてもどうしても見たい番組は、見逃し配信サービスを利用しています。働いている人もリアルタイム視聴は難しいので「テレビのリアル放送は必要ないかも」「テレビがなくても困らないのではないか」と疑問が生じました。ただ「災害時にはテレビはあった方がいいのかも」と、なかなか難しい問題だと思います。(高校3年・女子・京都)
  • 芸能事務所の性加害問題の報道について、子どもが見ている昼・夜の番組で(特に土日の昼)、生々しい証言をそのままの表現で報道するのは適切ではないと思う。(高校3年・女子・北海道)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『笑わない数学』(NHK総合)
    • 数学には興味があまりわかないのですが、今回の説明で、少しわかったような気になりました。視聴後にネットで「非ユークリッド幾何学」を検索したり、「非ユークリッド幾何学」が成り立つ異世界が世の中には存在するのではないかと想像したりして、無色だった数学のイメージに少し色が加わりました。(中学1年・女子・福岡)
    • パンサー尾形さんの、問いかけるような話し方がわかりやすく、話が入ってきやすかった。(中学2年・女子・東京)
  • 『日曜日の初耳学』(毎日放送)
    インタビュアーの林修さんがゲストと1対1で話すところが、他のバラエティーとは違って、面白いけれど深い感じがして、とても好きです。(高校1年・女子・京都)
  • 『サスティな!』(フジテレビ)
    SDGsをバラエティー感覚で楽しく学べました。17の目標のアイコンを一緒に出すといいと思いました。(中学1年・女子・島根)
  • 『朝メシまで。』(テレビ朝日)
    高級列車の整備員や農家など、自分の身の回りの生活の中に、そうやって支えてくださる方がいるおかげで生きられるという、当たり前だけど忘れがちなことを改めて確認できてよかったです。また、大人の弁当を見たとき、意外と小食だなと思いました。(高校3年・男子・神奈川)
  • 『ラグビーワールドカップ2023 フランス大会 プールD 日本×アルゼンチン』(J SPORT)
    父が高校までラグビーをやっていて、その影響で私も試合を見るようになり、一緒に応援しています。ラグビーはマイナーな競技かと思ったので、友達に「面白いから見たほうがいい」と紹介したところ、見てくれた友だちもいて盛り上がりました。(中学3年・女子・福岡)

◆委員のコメント◆

【最近見たバラエティー番組について】

  • 『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)の企画について、出演者の人権や体調を心配しているという意見があったが、“優しい笑い”に慣れた若年層の見方だと思う。
  • 『世界一受けたい授業』(日本テレビ)について「原因不明の事件や現象の解決策として、諸説ではなく、最も有力な説を1つだけ説明していたので満足できた」という感想があった。物事を多角的に紹介する番組が多いと思うが、一つだけだから満足したという視点は独特だと感じた。

【自由記述について】

  • 『火曜は全力!華大さんと千鳥くん』(フジテレビ)について「最近見つけて面白かった番組」だとモニターが報告していた。この番組は放送3年目を迎え、お笑い界でトップクラスの芸人2組が出演しているにもかかわらず、番組の存在自体が今まで中学2年生に届いていなかったという事実は、もったいなくもあるし深刻でもある。少し前までは、新聞やネットのテレビ欄を眺めながら何となく番組を認識していた可能性もあったろうが、もう今の中学生はそのような状況にないのだということに、改めて気づかされた。
  • 「平日の夜に長時間テレビを見る時間はとれないので、2~3時間スペシャルのバラエティー番組は、学生は視聴しにくいのでは」という意見があったが、今はこういった考え方が主流なのだと思う。
  • 芸能事務所の性加害問題について「所属タレントの仕事にまで影響が及ぶのは違う気がするし、とても残念だ」という感想があったが、若年層の間ではわりとメジャーな受け止め方だと思う。テレビで報道されているトーンとは一線を画して、社会の分断を感じるところではある。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『笑わない数学』(NHK総合)を取り上げたモニターが多く、このような番組が興味を集めることに驚いた。
  • 『もやもやパラダイム』(NHK Eテレ)をはじめ、『わが家の給料広げてみた』(テレビ朝日)など、給料の話題に興味を持つモニターが多かった。

芸能事務所創業者の性加害問題について

芸能事務所の創業者(故人)が、所属する多数の未成年のタレントに性加害を繰り返していた問題について、BPO、あるいは青少年委員会としてできることはないかとの観点から、前回に引き続いて意見交換しました。
ある委員は、「この問題が長い期間かけて起きてきたことを考えると、(BPOが)きちんとした企画を長いスパンで考えることも必要だろう。子どもの人権、とりわけ男の子を性加害からどうしたら守れたのかを考えなければならない」と述べました。複数の在京テレビ局が検証番組を放送したことを受けて別の委員は、「報道してこなかったのは『当時(1980~90年代)は、男性の性被害について意識が弱かったから』としているものが多く見られたが、当時の児童福祉法でも18歳未満の子どもに性的なことをすれば処罰の対象だった。そこに焦点を当てた検証はあまり見られなかった。児童虐待の観点で真剣に考えるべきだということを言うべきだ」としました。
またほかの委員は、「この巨大な性加害が何十年も放置されてきた背景には、放送局がビジネスをやるうえで、ここ(当該の芸能事務所)とことを構えるのは損だという構造的な問題があった。忖度が生まれた背景まで切り込まないと、また同じ轍(てつ)を踏むことになるが、具体的に何をやるべきなのか」と指摘しました。
こうした議論を経て、ひきつづき次回も本件の議論を続けることになりました。

今後の予定について

11月22日(水)に石川県金沢市で開催する地元放送局との意見交換会で議論するテーマなどを確認しました。
次回は11月28日(火)に定例委員会を開催します。 

以上

第320回

第320回 – 2023年10月

「判断ガイド2023」について…など

議事の詳細

日時
2023年10月17日(火) 午後4時 ~ 午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室 (千代田放送会館7階)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

2.「判断ガイド2023」について

現行の「判断ガイド2018」に新規委員会決定などを書き加える形で作業が進行し、鈴木・二関両委員長代行による監修を受けて改訂している。また、今回の判断ガイドからウェブサイト上にも公開していくことも報告された。本文表現などについて議論した。

3.意見交換会について

来年1月開催の二つの意見交換会について、テーマなどを事務局から報告した。

4.その他

最近の視聴者意見の状況などにつき事務局から報告した。

以上

第188回

第188回–2023年10月

TBSテレビ『news23』について審議

第188回放送倫理検証委員会は、10月13日に千代田放送会館で開催された。
ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪し、6月の委員会で審議入りしたNHKの『ニュースウオッチ9』について、今回の委員会では、担当委員から意見書の修正案が報告され議論した結果、次回の委員会までに再修正案を作成することになった。
1月12日放送のTBSテレビの報道番組『news23』において、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、職員やその家族が不必要な契約を結ぶ“自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、内部告発した職員が退職に追い込まれたとの週刊誌報道やテレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢が問題だという視聴者の声がBPOへ寄せられ、委員会は、取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、8月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では、担当委員から意見書の原案が提出され議論した結果、次回の委員会までに修正案を作成することになった。
統一地方選挙を前に公認立候補予定者が出演したラジオ大阪の番組『大阪を前へ!』等について、政治的な公平性の観点から問題はないか等を判断するために7月の委員会で討議入りした。今回の委員会では、当該放送局から番組審議会の指摘を受けて作成された報告書が提出され議論したが、一連の取り組みについて自律的な自浄作用が機能していることを評価して、討議を終了した。
9月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見等が報告された。

議事の詳細

日時
2023年10月13日(金)午後5時~午後8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

ワクチン接種後に亡くなった人の遺族を、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をし、放送倫理違反の疑いがあるとして6月の委員会で審議入りしたNHK『ニュースウオッチ9』(5月15日放送)について引き続き審議が行われた。
前回の委員会では、担当委員から提出された意見書の原案に対し、詳細な指摘と意見が出された。今回の委員会では、それ以降に実施された関係者数名のヒアリングの内容等を総合的に検討して反映された意見書の修正案が報告された。これに対し、委員からはさらなる指摘と意見が出され、意見書の修正作業を続けることになった。

2.TBSテレビ『news23』について審議

TBSテレビは1月12日、報道番組『news 23』の調査報道23時のコーナーにおいて、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、ノルマ達成の為に職員やその家族が不必要な契約を結ぶ、いわゆる“自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、A地方のJAに勤める男性は職場で身元がばれて居づらくなり、退職に追い込まれたとの週刊誌報道があった。また、取材を受けた職員とは3回程度会話をしたことがあるという人から「放送を見て誰であるかを私ですら特定できた。彼は農協の問題を告発し多くの職員の声を代弁してくれた。退職になりとても残念だ。テレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢を問題にしてもらいたい」といった声がBPOへ寄せられた。委員会は、報道の取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして8月の委員会で審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員から意見書の原案についての報告があった。委員からは「身元を隠す措置についてどこまで対応する必要があるのか、この意見書でルールを示す必要があるのではないか」、「取材相手との対話などの事実関係によって放送倫理違反が左右される可能性はないのか」という意見が出た。一方で、「放送局の自主・自律を侵さないように、委員会として明確な基準を示すことは謙抑的であるべきだ」といった意見や「身元を隠す措置がもっと良くできたはずなのに、できなかった点を丁寧に挙げることで、放送現場の人が自ら法則を読み取って活かせるような意見書にすべきだ」といった意見が出され、次回の委員会までに意見書の修正案を作成することになった。

3.ラジオ大阪『大阪を前へ!』等について討議

大阪放送(ラジオ大阪)が2023年1月12日~29日の間、15回にわたって、特定の政党に所属する地方議員らをゲストに招いた番組『大阪を前へ!』『兵庫を前へ!』を放送したことについて、政治的な公平性に抵触しているのではないか等の観点から7月の委員会で討議入りした。
今回の委員会では、当該放送局から番組審議会での厳しい指摘を受けて作成された2回目の報告書を基に討議した。委員からは「最初の報告書のことが言及されていないが、当該放送局は当初は問題性はないとしていたのであり、番組審議会の指摘で初めて意識が変わったといえ、同じことを繰り返してしまうのではという問題意識はある」、「今回の報告書を読んでも事実関係は明らかとはいえず、危機感なく企画を安易に通している」、「審議入りすることによって初めて問題が放送界に共有され現場に届くのではないか」等の厳しい意見もあったが、「政治的公平性」について、社長をリーダーとした組織横断チームを作って幹部社員間で意識を共有し、全社員を対象とした研修会を実施していくなどの再発防止への取り組み等を一定程度評価し、討議を終了した。

4.9月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

9月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、芸能事務所創業者による性加害問題について、街頭インタビューを紹介する際、事務所を擁護する声しか放送しないのは偏っているといった意見や、事務所に所属するタレントがMCを務めていた週末の情報番組で、その週にあった事務所の会見を全く伝えないのはおかしいといった意見、大手酒造メーカーが事務所に所属するタレントとの広告契約を更新しないと報じた際、タレントの名前や顔写真を放送したことについて、当該タレントが不祥事を起こしたように受け取られかねず問題だといった意見などが事務局から報告され、議論した。

以上

2023年9月に視聴者から寄せられた意見

2023年9月に視聴者から寄せられた意見

芸能事務所創業者による性加害問題をめぐって、報道内容、放送事業者の責任など
さまざまな観点から意見が寄せられました。

2023年9月にBPOに寄せられた意見は 2,503件で、先月から 388件増加しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 87% 電話 12% 郵便・FAX 1%
男女別(任意回答)は、男性31% 女性26 % で、世代別では 40歳代 24% 30歳代 23%
50歳代 22% 20歳代 12% 60歳代 11% 70歳以上 3% 10歳代 2%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、9月の送付件数は1,175件、49事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から18件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

9月も芸能事務所創業者による性加害問題をめぐって、報道内容、出演者の起用、放送事業者と芸能事務所との関係、放送事業者自身の責任などさまざまな観点から意見が寄せられました。ラジオに関する意見は30件、CMについては17件でした。

青少年に関する意見

9月中に青少年委員会に寄せられた意見は86件で、前月から38件減少しました。
今月は「要望・提言」が39件と最も多く、次いで「表現・演出」が23件、「報道・情報」が14件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 電動キックボードによるひき逃げの疑いで20代の女が逮捕されたニュースで、警察車両内の容疑者の顔を何度も繰り返して放送していた。一般人でもあり、事案からみてもやり過ぎではないか。

  • 芸能事務所での性被害問題で、情報番組の出演者が、当該事務所の所属タレントのテレビ出演について「今までのように見られない人もいると思う」などと発言。彼らが世間の好奇の目にさらされることを助長しないか。

  • 芸能事務所の性加害問題に関する当該事務所の会見について、その所属タレントがMCを務める情報番組はその直後の放送回で一切触れなかった。放送すべき責任があるのではないのか。

【教養・バラエティー】

  • カセットガスコンロにホットサンドメーカーを乗せて調理、さらに上からガストーチであぶっていた。両面を加熱することで時間短縮を図ったようだ。出演者は安全に配慮していたようだが、危険が潜む行為を放送する際はテロップで注意喚起するなど、より一層慎重であってほしい。

  • 取材対象の家族が、軽トラックの荷台に子どもらを乗せて走行していたシーンは道路交通法違反ではないか。事故につながりかねない。

  • 番組で発表されるキーワードをX(旧twitter)でつぶやくとプレゼントが当たるという企画のキーワードが「#○○(タレント名)逮捕」だったため、番組を視聴していないXユーザーは「○○が逮捕されたのか」と惑わされた。フェイクニュースが問題視されるなか、不適切だ。

  • イタリアで13歳の少女が殺害された事件の顛末(てんまつ)を描きながら、いくつかのポイントをクイズにしていた。人が死んでいる事件の内容をクイズにし、出演者がふざけて笑ったりしているのは不適切だ。

  • 最近、バラエティー番組やワイドショーで、特定のスーパーや量販店の商品ランキング、オススメ商品紹介といった内容がとても多いと感じる。番組そのものがCMのような放送はいかがなものか。

  • 素朴な疑問を、その道のプロの協力を得て本気で実験・検証する番組。「こうしたら?ああしたら?」と思考が自然に番組に向かい夢中で見た。大人から子どもまで楽しく見られ、とてもいい番組だと思う。世の中、まだまだやってみないとわからないことが沢山あると思えた。「四角い花火」など今後もいろんな実験にチャレンジしてほしい。

  • タレントの人権を尊重すべきなのはもちろんだが、性加害問題に揺れる事務所のタレントをモヤモヤしながら見続けるのは苦痛。大好きだった番組も楽しく見られない。

【その他】

  • 芸能事務所創業者による性加害問題について、日本の報道機関はなぜ取材・調査しなかったのかなど、具体的に説明してほしい。海外の報道機関が調査できたのに国内の報道機関がなぜ真摯(しんし)に取り組まなかったのか疑問に思う。

  • 調査した再発防止特別チームは被害拡大の一因として「マスメディアの沈黙」を指摘している。報道機関はCM契約など他企業の動向を伝えるだけでなく、一当事者として経緯を検証し、明らかにしていく責務があるのではないか。

  • タレントの起用を継続すれば児童虐待や人権侵害をした組織への金銭の支払いが発生することになる。放送局はそうした組織をサポートすると理解されてもいいのか。

  • 視聴者プレゼント当選の連絡の電話が番号非通知で発信されるため、それを受けられる設定をするよう求める番組があるが、私たち高齢者世帯には詐欺被害等を防ぐため番号非通知の電話を受けない設定が推奨されている。ほかの連絡方法にしてほしい。

【ラジオ】

  • 紹介したリスナーからのメールが「スズメの巣をカラスが狙っているのでエアガンで追い払っている」という内容だった。鳥獣保護法でそのような行為はできないはず。リスナーの法律違反はともかく、それを公共の電波で放送し、アドバイスまでしている。スタッフ、出演者、誰もおかしいとは思わなかったのか。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 性加害の問題を起こした芸能事務所所属のタレントが出演する番組を止めてほしい。海外でこの問題は報道され続け、日本社会全体が未成年者への性加害に寛容だと思われている。

  • 芸能事務所の性加害問題をめぐって、各企業がCM契約の終了や番組スポンサーの降板などを表明しているが、故人の犯罪から矛先が事務所批判になり、現に活躍するタレントたちが仕事を失う事態になっている。これはタレント個人に対する権利侵害になるのではないかと感じる。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 出演者が捕まらないように逃げ回るバラエティー番組で、横浜中華街での逃走が放送されたが、通行する車両や一般人が映りこんでいた。飲食店街での全力疾走であり、それをカメラマンが追いかける。出演者の安全以上に、通行人らが負傷する危険が伴うだろう。

  • 路線バスを利用した旅番組で、出演者が出くわした女子生徒に「マスク、取れる?」「お小遣い、いる?」などとしつこく話しかけていた。もし自分の娘がそんな言葉をかけられたら、警察に通報するレベルだ。その出演者や番組の神経を疑う。

【「報道・情報」に関する意見】

  • プロ野球セ・リーグの優勝報道で、大阪・道頓堀を映すのをやめてほしい。熱狂したファンによる迷惑行為がなくならないのは、メディア報道のせいだと思う。

【「喫煙・飲酒」に関する意見】

  • 評判の飲食店を紹介するバラエティー番組で、従業員が店内で喫煙している飲食店に、20歳未満の客が入るシーンが映ることがある。喫煙可能な飲食店には、20歳未満は立ち入れないはずだ。こうした店を番組で取り上げることに問題があるだろう。


第260回

第260回-2023年9月

視聴者からの意見について… など

2023年9月26日、第260回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会では、7月後半から9月前半までの約2カ月の間に寄せられた視聴者意見の中から、子ども向けミニ枠番組で流れた体操の歌の歌詞に不適切な表現があるとされた問題などについて議論しましたが、「討論」に進むことはありませんでした。
9月の中高生モニターリポートのテーマは、「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。
その他、新しい調査研究のテーマ、11月22日の金沢地区放送局との意見交換会のテーマ、芸能事務所創業者の性加害問題について意見が交わされました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2023年9月26日(火) 午後4時00分~午後7時00分
放送倫理・番組向上機構[BPO]第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
芸能事務所創業者の性加害問題について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

7月後半から9月前半までの約2カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
古代文明の展覧会の紹介を兼ねた子ども向けミニ枠番組で流れた体操の歌に、「集団生け贄200人」「心臓どくどく捧げよう」などの歌詞があり、視聴者から「非常にグロテスクな表現だ」「子どもに歌わせてどんな影響があるかわからない」などの意見が寄せられました。
担当委員は「歴史教育的な内容を子どもたちに楽しく伝える視点はいいが、大人の受け手の解釈まで番組制作者が予測できなかったのではないか」と報告しました。各委員からは「子どもがショックを受ける映像を見せるわけではないので、あまり問題ないだろう」とする一方で、「今回は滅びた文明のことで当事者がいないが、『文化の尊重』という点では配慮が足りないだろう」との見方も示されました。
バラエティー番組で、長いゴムのベルトの上で演技するスポーツの「スラックライン」を実演した際、選手の高校生に制服姿で演技させたところ、「スカートから太ももやお尻が見えそうでかわいそう」「女性へのセクハラになる」などの視聴者意見がありました。
委員からは「(スカートの制服を着せる)演出の視点がどうかと思う。今のジェンダー感覚からずれているのではないか」「(番組制作者の)男性目線が透けてみえる」などの声が上りました。
別のバラエティー番組では、ロケ中にミスした番組スタッフが男女とも、罰として丸刈りを命じられる演出がありました。委員からは「子どもが真似して勝手に(友だちの)髪を切ったら、大人の暴行罪と同じこと」「スタッフ本人は(髪を切られて)うれしくはないが、『それが仕事につながるのなら』ということでやっているとしたら構造的問題があるだろう」などの意見が出されました。
しかし、これ以上の議論になる番組はなく、いずれも「討論」に進むことはありませんでした。

中高生モニター報告について

9月のテーマは「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」で、合わせて11番組への報告がありました。複数のモニターが取り上げたのは4番組で、『NHKスペシャル Z世代と“戦争”』(NHK総合)に5人、『僕たちは戦争を知らない~戦禍を生きた女性たち~』(テレビ朝日)に4人、『NHK特集「夏服の少女たち~ヒロシマ・昭和20年8月6日~」』(NHK総合)と『ETV特集「“玉砕”の島を生きて(2)~サイパン島 語られなかった真実~」』(NHK Eテレ)にはそれぞれ2人が感想を寄せています。一方で、「戦争関連の映像を見るのが苦手で視聴できなかった」というモニターもいました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ハートネットTV「#8月31日の夜が来るまえに。」』(NHK Eテレ)と『「東大王」3時間SP』(TBSテレビ)をそれぞれ3人が、『加藤浩次&中居正広の歴代日本代表256人が選ぶこの日本代表がすごい!ベスト20』(日本テレビ)、『アイ・アム・冒険少年 2時間スペシャル』(TBSテレビ)、『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)を、それぞれ2人が取り上げています。

◆モニター報告より◆

【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

  • 『NHKスペシャル Z世代と“戦争”』(NHK総合)
    • Z世代の人が意見を述べたり、真剣に考えているのを見て、戦争がすごく近い問題と考えることができました。私たちはただ情報を得て、知るということだけでなく、自分ごとにして、身近な存在にしていくことが大切だと分かりました。(中学2年・女子・栃木)

    • 「日本が戦争に巻き込まれる可能性はあると思うか」という問いに深く考えさせられ、私は日本では戦争は二度と起きないと思っていたから、Z世代の人や専門家の人の意見を聞いて、少し考えが変わりました。また、戦争についての番組は当時の映像や画像が流れることが多く、それが苦手な人もいると思いますが、この番組ではそういったものが少なく、討論が中心になっていたので、よかったと思います。(中学2年・女子・愛知)

    • 番組内でバーチャル映像を使い、戦争中の町の風景や音を視覚・聴覚で体験するコーナーがありましたが、より一層戦争の恐怖を知ることができ、とても分かりやすかったです。(高校2年・男子・山形)

    • この番組を見て、私はもう一度、自分達の国で起こった戦争だけでなく、現在世界で行われている戦争についても学び、あってはならないことだけれどもしまた日本で戦争が起こったときに自分は何ができるのか考えていきたいです。(高校2年・女子・東京)

    • 今も続いているウクライナ戦争について、NHKのウクライナ出身の人は「交渉が理想だけど、交渉ができない状況の時もある」と言っていて、難しい問題であると思いました。戦争の時、日本はどうすればいいのか考えたいです。(中学3年・女子・福岡)

  • 『僕たちは戦争を知らない~戦禍を生きた女性たち~』(テレビ朝日)
    • 女性にスポットライトが当てられていて、多くの番組は兵士として動員された男性をメインに紹介しているので珍しいなと感じました。また、写真だけでなくイラストを多用していたので、殺している様子や血など、過激な写真が苦手な人でも見やすいと感じました。(高校1年・女子・茨城)

    • 今回番組を視聴して、戦争はまだ続いているのだと思えた。なぜなら、実体験している方が今も生きておられ、伝えているという事実があるからだ。また、私の今、この平和な時代は過去の壮絶な歴史があったからこそ成り立っているというつながりをこの番組から痛感できた。(中学1年・女子・福岡)

    • 話をきいてとてもつらく悲しかったが、戦争を体験した本人達はもっと辛かったと思う。この思いを伝えるためにもこのような番組があって良かったと思った。(中学2年・女子・東京)

    • このような戦争に関する番組は、終戦記念日近くだけ放送するのではなく、もう少し放送回数の頻度を増やしてほしいと思う。また、若い人がよく見るネットニュースなどに、実際の戦争の体験談を一週間に一回載せたりしてもいいかなと思う。(高校1年・女子・北海道)

  • 『NHK特集「夏服の少女たち~ヒロシマ・昭和20年8月6日~」』(NHK総合)
    • 学校に入っても授業はなく、食べ物を作ったり、警報が鳴り、防空壕に逃げる生活はつらいだろうなと思いました。原爆によって娘をなくした人たちの悲しみは計り知れないし、戦争は絶対にあってはならないなと感じました。(高校1年・女子・京都)
    • 少女たちの日記が8月5日で途切れているものを見て、とても切ない気持ちになった。女学校の生徒達は、13歳。今、私は、12歳なので、1つしか歳が変わらないのに、どれだけ大変で、苦しい世界で、懸命に生きた証があり、私たちは、その少女たちが暮らすことのできなかった毎日を大切に過ごしていこうと思った。(中学1年・女子・千葉)
  • 『ETV特集「“玉砕”の島を生きて(2)~サイパン島 語られなかった真実~」』(NHK Eテレ)
    • 終戦番組の中ではこの番組のように、日本人は加害者であるという視点からの番組もあっていいと思うし、むしろさらに作っていくべきだと思う。戦争を本当の意味で知るためにも、日本が外国にしたことなどを、テレビを通じてさらに知っていきたい。(中学3年・女子・広島)
    • 生き残った人がインタビュー中に泣いていて、それだけ辛かったのだと改めて実感した。戦争の、教科書に書いてないことなどを、詳しく知ることが出来た。映像などもあり残酷で、印象に残った。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『NHKスペシャル 新・ドキュメント太平洋戦争1943 国家総力戦の真実(前・後編)』(NHK総合)

    若者特攻として、(旧制)中学生を対象に志願兵を募り、3万人が手を挙げたとのことですが、裏では国が村にノルマをかけ、あたかも志願したかのようにしていたらしい。志願兵の多い学校は新聞で報道してあおっていたとのことで、マスコミが関わっていることを知りました。国に強制されているとはいえ、マスコミの罪は重いと思います。マスコミは本当のことを、そして「おかしいことはおかしい」と報道することで、国民を味方につけていくことをすべきだったのでないか。(高校3年・女子・京都)

  • 『映像の世紀バタフライエフェクト「太平洋戦争 “言葉”で戦った男たち」』(NHK総合)

    太平洋戦争の勝敗に大きな影響を及ぼしたのが、米軍が急いで養成した日本語情報士官だったことを初めて知ることができました。最初は通訳したりするのかな?と思っていましたが、それだけでなく多くの戦後復興に携わっていたことに驚きました。(高校1年・男子・群馬)

  • 『軍港の子~よこすかクリーニング1946~』(NHK総合)

    孤児たちが一生懸命生きようとする姿を見て、国同士の戦争は終わっても、今度は生きるために人と人との間で争わなければならず、戦争は絶えないと思った。この時代に生まれなくてよかった。今、屋根のある場所で風や雨をしのぎ、ごはんを食べられていることに感謝の気持ちがあふれた。(高校2年・男子・山形)

  • 『NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争』(NHK総合)

    戦争の表面ではなく、陰に隠れてしまいがちな視点を僕たちに提供し、それらの視点を現在のウクライナ戦争などと結び付けており、様々な価値を見出すことができた。作中でも語られていた事実のジャーナリズムが感じられた。今後、このような番組が増えてほしい。(中学2年・男子・東京)

  • 『新日本風土記「鎮魂の旅」』(NHK BSプレミアム)

    授業で学ぶ戦争は、広島や長崎、東京などばかりです。ですが、私はこの番組で様々な人のお話を聞いて「どんな小さな村でも戦争が原因で血や涙を流した人がいる」ということに実感がわきました。本当に伝えるべきは地方の戦争なのではないか…と思いました。(中学3年・女子・滋賀)

  • 『徹子の部屋 スターが証言「戦争と私」』(テレビ朝日)

    特に印象に残ったのは、四人目の三代目江戸家猫八さんという方でした。自分は猫八さんが芸人ということすら知らなかったのですが、その話し方につい引き込まれてしまいました。(高校3年・男子・神奈川)

  • 『よんチャンTV「特集 学徒出陣から80年/親友は戦死…学問を手放した元京大生の残した日記」』(MBS毎日放送)

    映像の最後の部分の秀村氏の日記は、心を打つものだった。このような悲惨な戦争というものを起こしてしまったことは日本の取り除ききれない真実だと思う。20年後、戦争を経験した方々がいなくなるだろう。それまでに僕らが戦争について知り、後世に伝えていくべきではないのかと思った。(中学2年・男子・埼玉)

【自由記述】

  • 思っていたよりも、8月6日、8月9日の原爆についてのドラマやニュースが少なかった。戦争や災害でたくさんの人々が亡くなってしまっているのに、年々、その放送が減ってしまい、とても悲しく思う。(中学1年・女子・千葉)

  • 今回、いろいろな番組を見たが、大人向けの内容が多く、とても難しいように感じた。戦争の経緯や出来事を、学習番組を作って詳しく解説すると、より戦争に関しての考え方が変わり、小中学生の意識が変わるのではないかと感じた。(高校2年・男子・山形)

  • 自分たちが大人になった時、二度と戦争が起こることの無いように、核兵器や、生物兵器などはなくしたほうが良いと思った。それと同時になぜ日本は核兵器禁止条約に参加しないのか疑問に思った。(中学3年・男子・神奈川)

  • 『VIVANT』(TBSテレビ)というドラマを見ているのだが、毎週ハラハラドキドキする内容になっていてとても面白い。様々なイベントもあって、ドラマ本編以外にも楽しめて家族や友達と話す話題が増えた。(中学2年・女子・東京)

  • 先日、あるニュース番組のコーナーで、他局が半年ほど前に特集していた問題について報道していた。内容がほぼ同じだったので、他局の特集を報道するなら、もう少し違った視点で伝えてほしい。(中学3年・女子・広島)

  • 芸能事務所の問題の報道を見ていて改めて思ったのが、タブー・自主規制です。「いままで報じなかったメディアの責任」というのを何度も耳にしました。インターネットではみんなが騒いでいることも、テレビは黙っているということが前々からひっかかっていました。今の時代はもう黙っていればなんとかなる問題ではないと思います。大きな影響力をもつテレビだからこそ考えなければいけないと思います。(高校1年・男子・群馬)

  • 最近、芸能事務所のニュースがよく放送されているが、同じようなニュースばかり毎日やっていてニュースがつまらないなと感じてしまっている。そのため、アニメやバラエティーを多く見て気持ちを上げている。(高校1年・女子・北海道)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『「東大王」3時間SP』(TBSテレビ)

    女性の解答者が少なかったです。私も戦ってみたいと思いました。(中学1年・女子・千葉)

  • 『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)

    おじいちゃんやお母さん、私、弟など、どの世代も楽しめていいと思いました。花の値段は、都会といなかで違うので、とても難しかったです。(中学1年・女子・島根)

  • 『加藤浩次&中居正広の歴代日本代表256人が選ぶ この日本代表がすごい!ベスト20』(日本テレビ)

    メジャーなものが順位に入るのは当然で、逆に、メジャーな種目でなくてもすごい日本代表を紹介する方がいいのではないか。みんなが知らないところで、こんな種目ですごい代表がいることを伝える企画の方が、インパクトがあっておもしろい。紹介される方も種目を知ってもらえる機会になるので、協力が得られるはず。(高校3年・女子・京都)

  • 『ハートネットTV「#8月31日の夜が来るまえに。」』(NHK Eテレ)
    • 同年代の人達の悩みなどを知ることができました。自分も学校に行くのがいやだなと思ったこともあるので、いろんな人たちがいることが分かりました。(高校1年・男子・群馬)

    • 今年になって初めて「学校に行きたくない。行くのが怖い」と考えるようになり、この番組を選びました。率直な感想としては安心と同時に辛くなってしまいました。自分の中では言語化できていなかったことが、他の人によって言語化されることで自分に刺さってしまったためです。元気な時に同じ番組、似たような番組がまた配信されていたら聞いてみようと思いました。(高校2年・女子・東京)

  • 『アイ・アム・冒険少年 2時間スペシャル』(TBSテレビ)

    日本語が話せなくても、ちゃんとコミュニケーションをとっているのがスゴいと思いました。話せなくても楽しそうなのに、話せたらもっと楽しいだろうなと思います。(中学3年・女子・福岡)

◆委員のコメント◆

【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

  • 『NHKスペシャル Z世代と“戦争”』(NHK総合)のようなディスカッション型の番組は、他にも夏休みの期間中、「ゲームとどう付き合うか」などといったテーマで、子どもが討論する番組もあった。当事者として考えることはとても大事だと思う。

  • 『徹子の部屋 スターが証言「戦争と私」』(テレビ朝日)は、過去の放送の中から、スターたちが語る貴重な「戦争体験」を特集したもの。古い番組でも、お話がうまい芸能関係の方々の体験を聞くことは、ある種の直接的な話を聞くということであり、中高生にとってかなりインパクトがあったようだ。たとえ過去に放送されたものでも、直接的に働きかけてくれる人の映像を再放送することは、とても意義があると感じた。

  • 報告全体を通して、戦争を実体験した人たちの映像とインタビューは、中高生の印象に強く残るのだと感じた。

  • 今回のテーマはいつもより報告数が少なかった。終戦関連番組は、中高生にとって、「ちょっと重い」「面倒くさい」ものに感じているのではないか。

【自由記述について】

  • 放送に関することではないが、古くからある地域の風習について記述しているモニターがいた。毎年続く習わしに関連付けて、恐らく「年に1度であっても、戦争や平和について目を向ける機会として、終戦関連番組が続いているということが大事だ」と言いたいのだと思った。

  • ある番組に対して「面白いが、放送時間がとても遅い」と報告したモニターがいた。「午後9時~10時台に放送してほしい」という声は、中学生らしい感想だと思う。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『「東大王」3時間SP』(TBSテレビ)について、「女性の回答者が少なかった」という感想があったが、この一文は結構クリティカルかと思う。

芸能事務所創業者の性加害問題について

芸能事務所の創業者(故人)が、所属する多数の未成年のタレントに性加害を繰り返していたことが、同事務所の外部専門家による特別チームの調査結果で明らかになり、その際、放送局が本件をほとんど報道してこなかったとして、「マスメディアの沈黙」と指摘されました。
この問題について、ある委員は「あの調査結果を聞いたとき、(被害を受けた男児が)何百人もいたとされていることに驚いた。(「マスメディアの沈黙」と指摘されていることは)放送局の大きな危機ではないか。経緯を検証して、きちんと乗り越えないと、局の信頼がなくなってしまう。BPOとしても何ができるのかを考えたい」と述べました。  
別の委員からは「放送業界はいま、(加害者である)創業者が健在のうちは不問に付しながら、その事務所のタレントを起用しつづけてきた姿勢が問題にされている。まさに放送倫理や人権の問題だと思う」という意見がありました。
また、「たとえば国連の『子どもの権利とビジネス原則』についての勉強会を開いたらどうか。今回のような問題が二度と起きないようにするために放送局はどうすべきなのか議論していきたい」と提案する意見や、さらに「視聴者である青少年にとってみると、タレントに罪はないと信じているのに、その人がテレビから消えてしまう。『推し活』やファン・カルチャーが発展しているなかで、青少年の人たちにとって大きなショックだ。それに対する何の説明もないし、大人の事情でそうなったとしか言われない」とテレビ局の対応を懸念する意見もありました。
青少年委員会ではこの性加害問題について引き続き議論していくことになりました。

今後の予定について

次回は10月24日(火)に定例委員会を開催します。

以上

第319回

第319回 – 2023年9月

意見交換について…など

議事の詳細

日時
2023年9月19日(火) 午後4時 ~ 午後5時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」第1会議室(オンライン開催)
議題
出席者
曽我部委員長、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、野村委員、丹羽委員、松田委員、水野委員

1.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

2.意見交換会について

来年1月に予定されている意見交換会の概要を事務局から報告した。

3.その他

本人の申し出により今月末に退任することになった丹羽委員から挨拶があった。

以上

第187回

第187回–2023年9月

NHK『ニュースウオッチ9』について審議

第187回放送倫理検証委員会は、9月8日に千代田放送会館で開催された。
ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪し、6月の委員会で審議入りしたNHKの『ニュースウオッチ9』について、今回の委員会では、担当委員からヒアリングの内容と意見書の原案についての報告があり、次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の修正案を作成することになった。
1月12日放送のTBSテレビの報道番組『news23』において、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、職員やその家族が不必要な契約を結ぶ”自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、内部告発した職員が退職に追い込まれたとの週刊誌報道やテレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢が問題だという視聴者の声がBPOへ寄せられ、委員会は、取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要があるとして8月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から当該放送局の関係者にヒアリングした結果が報告された。今後は意見書の原案の作成を進める。
統一地方選挙を前に公認立候補予定者が出演したラジオ大阪の番組『大阪を前へ!』等について、政治的な公平性の観点から問題はないか等を判断するために7月の委員会で討議入りし、今回の委員会には当該放送局から番組審議会の議事録等が提出され議論したが、さらに討議を継続することとした。
証言の一部を誤解して放送した報道情報番組について、当該放送局から提出された報告書を基に議論した。
8月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2023年9月8日(金)午後5時~午後8時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、
大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

NHKの『ニュースウオッチ9』(5月15日放送)は、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族を、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をし、放送倫理違反の疑いがあるとして6月の委員会で審議入りとなった。
今回の委員会では、担当委員から当該番組の関係者に対して実施したヒアリングの内容と意見書の原案についての報告があった。委員から組織的な問題をより照射する方向性の意見などが出され、次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の修正案を作成することになった。

2.TBSテレビ『news23』について審議

TBSテレビは1月12日、報道番組『news 23』の調査報道23時のコーナーにおいて、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、ノルマ達成の為に職員やその家族が不必要な契約を結ぶ、いわゆる“自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、A地方のJAに勤める男性は職場で身元がばれて居づらくなり、退職に追い込まれたとの週刊誌報道があった。また、取材を受けた職員とは3回程度会話をしたことがあるという人から「放送を見て誰であるかを私ですら特定できた。彼は農協の問題を告発し多くの職員の声を代弁してくれた。退職になりとても残念だ。テレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢を問題にしてもらいたい」といった声がBPOへ寄せられた。委員会は、報道の取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして8月の委員会で審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員から当該放送局の関係者にヒアリングした結果が報告された。委員からは「内部告発者を取材する際は高いレベルの取材源の秘匿が求められる。今回は最終的にそれが徹底できなかった。なぜ徹底できなかったのかについて意見書では説明を尽くすべきだ」「今回BPOが一石を投じたことによって、調査報道に対する取り組み方を抜本的に改めようとか、調査報道の取材にもっと力を入れようとか、いい方向へ進んでいくのであれば、本事案を問題化したことが放送業界にとってプラスになると思う」といった意見が出た。これらを踏まえて今後は担当委員が意見書の原案の作成を進める。

3.ラジオ大阪『大阪を前へ!』等について討議

大阪放送(ラジオ大阪)の番組『大阪を前へ!』、『兵庫を前へ!』は、統一地方選挙前半(3月31日告示、4月9日投票)の約2カ月前の2023年1月12日~29日までの間に計15回(15分番組×13回、30分番組×2回)放送された。ゲストは各回とも同じ政党の公認立候補予定者だった。
7月の委員会で、政治的な公平性に抵触しているのではないか等の観点から討議入りした。今回の委員会には、当該放送局が8月に臨時開催した番組審議会の議事録と現状報告等が提出され議論した結果、今後の対応等をまとめた報告書の提出を待つこととし、引き続き討議を継続することにした。

4.証言の一部を誤解して放送した報道情報番組について議論

報道情報番組で販売店の元店長の証言をVTRで放送した後に、関係先の企業から事実と異なる点を指摘され、テレビ局が後日お詫びした。当該放送局から委員会に提出された報告書によると、改めて調査した結果、証言の一部を番組側が誤解していたことが判明し、また事前に関係先に対する確認取材を行っていなかったことも分かった。関係先へは当該放送局の幹部が説明とお詫びに行き、理解を得られたという。委員会では、相手先にとっての不利益な情報を放送するにあたり、報道の基本である裏付けや確認取材を怠ったことは、にわかに信じがたい事である等の非常に厳しい意見が出た一方で、事実関係を速やかに解明し関係先へも対応していることから、現時点では委員会が調査をする必要性までは認められないとし、議事概要で取り上げるにとどめ、議論を終えた。

5.8月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

8月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、芸能事務所創業者による性加害問題について、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の記者会見と、当該事務所が設置した外部の専門家による「再発防止特別チーム」の調査結果公表があり、さまざまな意見が多数寄せられたこと、その中にはBPOに対応を求めるも意見が含まれていることなどについて事務局から報告があり、BPOの審議には、規約・委員会規則による制約があることなどの議論を行った。

以上

2023年8月に視聴者から寄せられた意見

2023年8月に視聴者から寄せられた意見

芸能事務所創業者による性加害問題について、外部の専門家による調査結果の公表などがあり、さまざまな意見が多数寄せられました。

2023年8月にBPOに寄せられた意見は 2,115件で、先月から 508件増加しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 86% 電話 13% 郵便・FAX 1%
男女別(任意回答)は、男性33% 女性28 % で、世代別では 40歳代 26% 50歳代 24% 
30歳代 21% 60歳以上 15% 20歳代 11% 10歳代 1%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、8月の送付件数は1,109件、61事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から20件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

芸能事務所創業者による性加害問題について、国連ビジネスと人権の作業部会の記者会見と、当該事務所の「外部の専門家による再発防止特別チーム」の調査結果公表があり、さまざまな意見が多数寄せられました。8月の意見のうち3分の1以上がこの問題に関するものでした。ラジオに関する意見は43件、CMについては24件でした。

青少年に関する意見

8月中に青少年委員会に寄せられた意見は124件で、前月から6件増加しました。
今月は「表現・演出」と「要望・提言」が44件ずつと最も多く、「報道・情報」が10件、「性的表現」と「言葉」が7件ずつと続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 芸能事務所の再発防止特別チームが指摘した、“マスメディアの沈黙”について、当該事務所の所属タレントを起用して番組を制作するなど関係の深かったメディアは、“忖度”の有無などを検証し結果を公表してほしい。

  • 芸能事務所の性加害問題で、国連ビジネスと人権の作業部会の会見の後、メディア各社の報道やSNSの投稿が再び増えた。創業者や事務所に対する批判にとどまらず、現在事務所に所属するタレントを好奇の目で見るような投稿が存在するという。所属タレントが精神的に追いつめられないか心配だ。

  • 国連作業部会の会見後、性加害問題「当事者の会」が、テレビやネットメディアなどの報道関係者と“慰労会”を行い、その費用は報道側が負担したと、「当事者の会」幹部がSNSに投稿し、その後削除した。削除された投稿の内容が事実であるとすれば、報道内容が偏ったものになりはしないかと心配。

  • 強い風雨の中、記者がヘルメットを被っただけの姿で路上に立ち、「安全を確保してお届けしています」などと中継しているが、映像を見る限り“安全を確保している”というのは無理があるように感じる。

  • 高校野球夏の甲子園大会。決勝に進出した2校のうち1校だけをクローズアップする情報番組などが目立った。取り上げ方をすべて平等にしろというわけではないが、マスコミがこぞって一方だけを応援しているようで違和感を覚えた。

【バラエティー・教養】

  • 毎年恒例のチャリティー番組のマラソン企画。今年は特に暑さが厳しく、猛暑日や熱帯夜が続いたので、出演者やスタッフの健康が心配になった。

  • 収録中にミスをしたスタッフの頭髪を丸刈りにして謝罪させるという設定のバラエティー番組の企画。実際に丸刈りにされたスタッフ役の出演者たちは、丸刈りになることを了承した若手芸人やエキストラだと断りを入れていたが、なかには番組の要望を断りにくい立場の人もいるのではないかと気になった。笑えなかった。

  • 男性タレントの服が溶けて裸になる、ズボンを下ろして下着を見せるなどのドッキリは不適切。男性が相手ならば仕掛けていいということではない。男女を問わず、こうしたドッキリ企画はありえないと思う。

  • バラエティー番組や情報番組で、頻繁に使われている、「え~」という人工的な相づちの音声が耳ざわりだ。使い古された演出を漫然と繰り返す番組制作者が、テレビ離れを促していると思う。

  • ここ数年バラエティー番組が面白くなくなったと感じる。コンプライアンスなどを意識しすぎて個々の出演者が委縮してしまい、自由な発言や表現が出来なくなっているのではないか。もっと面白い笑いを期待したい。テレビ局に自由な番組作りを望みたい。

【その他】

  • 東京では21時00分まで番組が続いているのに、地方によっては途中の20時54分で終わってしまうことがある。楽しみにしていた番組を最後まですべて見たいので、何とか改善してほしい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、(細いベルト状のラインの上でバランスを楽しむスポーツ)スラックラインの女子高校生にスカートをはかせて競技させた。太ももやお尻が見えそうでとてもかわいそうだった。女性へのセクハラになると思う。

  • バラエティー番組の「えっちな野菜を取りたい」という企画。畑から二股や三つまたに育った大根やニンジンを引き抜いては人間に見立てて女性の下着をはかせたり、性行為のポーズをさせたりした。深夜の放送でも夏休み期間では子どもの目に簡単に触れてしまうし、そもそもテレビで放送すべきではない。

【「要望・提言」】

  • 毎年恒例のチャリティー番組に、創業者による性加害が明らかになった芸能事務所所属のアイドルグループがメインパーソナリティーとして起用されるという。海外にも知れ渡ったこの問題の当事者の名前を冠する事務所のタレントを多数出演させることは、その性加害を日本社会が認めていると思われるだろう。

  • 路線バスを利用した旅番組で、出演者が道路の左側を歩くシーンが放送された。学校では歩行者は右側通行と教えられた。道路交通法でも(歩道や路側帯のない車道では)歩行者は右側通行となっている。子どもも見る番組なので、出演者には右側通行を徹底してほしい。

【「性的表現」に関する意見】

  • 情報番組で伝統行事「赤ちゃんの土俵入り」を紹介。このなかで、男児の性器を映像処理せずに大きく映した。SNSに放送画像が投稿された場合、削除依頼ができず、画像が残り続けてしまうおそれがある。

【「言葉」に関する意見】

  • 字幕放送で、謝礼や謝罪の言葉「すみません」がしばしば「すいません」と表示される。子どもが間違えて覚えてしまうので、字幕作成の担当者は正しい表記を徹底してほしい。

第186回

第186回–2023年8月

TBSテレビ『news23』が審議入り

第186回放送倫理検証委員会は、8月4日に千代田放送会館で開催された。
ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪し、6月の委員会で審議入りしたNHKの『ニュースウオッチ9』について、今回の委員会では、担当委員から当該番組の関係者に対して実施したヒアリング内容の報告があった。これに対して、他の委員からは事実関係についての質問などが出された。次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の原案作成を目指すことになった。
1月12日放送のTBSテレビの報道番組『news23』において、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、職員やその家族が不必要な契約を結ぶ「自爆営業」が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、内部告発した職員が退職に追い込まれたとの週刊誌報道やテレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢が問題だという視聴者の声がBPOへ寄せられた。委員会は、取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
統一地方選挙を前に公認立候補予定者が出演したラジオ大阪の番組『大阪を前へ!』等について、政治的な公平性の観点から問題はないか等を判断するために前回の委員会で討議入りしたが、さらに討議を継続することとした。
7月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2023年8月4日(金)午後5時~午後7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

NHKの『ニュースウオッチ9』は、ワクチン接種後に亡くなった遺族を、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をし、放送倫理違反の疑いがあるとして6月の委員会で審議入りとなった。
同番組は5月15日に「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常」と題する1分5秒のVTRを放送した。VTRには、ワクチン被害者の遺族の会から遺族3人が出演したが、3人がワクチン接種後に亡くなった人の遺族であるとの説明は無く、テロップで「夫を亡くした」「母を亡くした」と紹介するにとどまった。
今回の委員会では、担当委員から当該番組の関係者に対して実施したヒアリングの報告があった。これに対して、他の委員からは事実関係についての質問などが出された。次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の原案作成を目指すことになった。

2.TBSテレビ『news23』について審議

TBSテレビは1月12日、報道番組『news 23』の調査報道23時のコーナーにおいて、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、ノルマ達成の為に職員やその家族が不必要な契約を結ぶ、いわゆる“自爆営業”が横行していると報じた。その中で、A地方のJAに勤める男性が、顔をぼかし声も変えてインタビューを受け、ノルマ達成のために1歳と5歳の子供に必要のない共済をかけていると語った。このインタビューには顔をぼかし声も変えた別のJAの職員も同席していた。また、JAのBに勤める男性は、顔をぼかし声も変えて、上司から給与やボーナスが支払えなくなるといわれ職員や農協の為にノルマを無くせないと述べた。
放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、A地方のJAに勤める男性は職場で身元がばれて居づらくなり、退職に追い込まれたとの週刊誌報道があった。また、取材を受けた職員とは3回程度会話をしたことがあるという人から「放送を見て誰であるかを私ですら特定できた。彼は農協の問題を告発し多くの職員の声を代弁してくれた。退職になりとても残念だ。テレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢を問題にしてもらいたい」といった声がBPOへ寄せられた。
委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDを求めて協議した。その結果、報道の取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

3.ラジオ大阪『大阪を前へ!』等について討議

大阪放送(ラジオ大阪)の番組『大阪を前へ!』、『兵庫を前へ!』は、統一地方選挙前半(3月31日告示、4月9日投票)の約2カ月前の2023年1月12日から1月29日までの間に計15回(15分番組×13回、30分番組×2回)放送された。ゲストは各回とも同じ政党の公認立候補予定者だった。
番組最終回の放送翌日、聴取者からBPOに「特定政党のキャッチフレーズをそのままタイトルにした番組で、ゲストはこの党の政治家と決まっており、内容は党の活動や今後の取り組みを紹介し宣伝することに尽きる。特定政党のPR番組を一般の番組と同じ扱いで放送することは問題だ」という趣旨の意見が寄せられた。
前回の委員会で、政治的な公平性に抵触しているのではないか等の観点から討議入りし、今回の委員会では様々な意見が出されたが、引き続き討議を継続することとした。

4.7月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

7月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、シングルマザーとして娘を育てる女性が、スリランカ出身の男性と恋に落ち、3人で家族を作るというストーリーのテレビドラマに対して、「違法滞在を美化している」「不法移民を正当化している」などの意見が寄せられたことなどについて事務局から報告があった。

以上