2021年4月26日

2021年 4月26日

緊急事態宣言に伴うBPO視聴者電話応対業務の休止について

BPOは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための政府の緊急事態宣言が、事務局がある東京都に出されたことを受けて、次のとおり対応いたします。

  • 期間中はテレワークを徹底し、視聴者からの電話応対を休止します。
  • 郵便物とメール、ファクスは受け付けます。

第291回放送と人権等権利に関する委員会

第291回 – 2021年4月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」通知・公表報告…など

議事の詳細

日時
2021年4月20日(火)午後4時~5時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、國森委員、斉藤委員、丹羽委員、野村委員、廣田委員、水野委員

1. 委員長選出

2021年度最初の今月の委員会は、3月末で退任した奥武則委員長、市川正司委員長代行、紙谷雅子委員、城戸真亜子委員、松田美佐委員に替わり、新任の、斉藤とも子委員、鈴木秀美委員、丹羽美之委員、野村裕委員の挨拶があった後、曽我部真裕委員長代行が委員の互選により第9代委員長に選出された。曽我部委員長は鈴木委員と二関辰郎委員を委員長代行に指名した。

2.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」通知・公表報告

3月30日に通知・公表が行われた「委員会決定第76号 リアリティ番組出演者遺族からの申立て」について、当該局フジテレビの当日のニュース番組を視聴し、新聞各紙を事務局が説明して意見交換を行った。

以上

第159回 放送倫理検証委員会

第159回–2021年4月

アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』が審議入り

第159回放送倫理検証委員会は4月9日に開催された。
委員会の冒頭、3月に退任した神田安積前委員長、中野剛委員に替わり新たに就任した小町谷育子委員、井桁大介委員が挨拶を行ったあと、委員の互選により小町谷育子委員が委員長に選出された。また、小町谷委員長は岸本葉子委員長代行及び升味佐江子委員長代行を引き続き委員長代行に指名した。
アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について同局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議した結果、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり、放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。

議事の詳細

日時
2021年4月9日金午後5時00分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、井桁委員、大石委員、高田委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』が審議入り

日本テレビは3月12日、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した後、コーナーに出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、視聴者からアイヌ民族を犬とかけるのは不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で謝罪するとともに局および番組ホームページにお詫びを掲載した。また、翌週月曜日15日には、番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDを求め、それらを踏まえて協議した。その結果、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり、適切な編集が行われずに放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

以上

2020年3月30日

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」通知・公表の概要

[通知]
2021年3月30日(火)午後1時から千代田放送会館2階ホールにおいて、奥武則委員長と事案を担当した曽我部真裕委員長代行、廣田智子委員、補足意見を書いた水野剛也委員、少数意見を書いた國森康弘委員、二関辰郎委員の6人が出席して、委員会決定を通知した。申立人本人と代理人弁護士、被申立人のフジテレビからは編成制作局コンテンツ事業センター局長補佐ら3人が出席した。
はじめに奥委員長が、放送人権委員会の判断の対象はあくまで「放送」であり、Netflixでの先行配信などは関連して取り上げることになると説明した上で、委員会の決定を伝えた。「人権侵害については3点の判断を行った」として、「①本件放送自体による、視聴者の行為を介した人権侵害」については、人権侵害があったとまでは断定できないと述べた。「②自己決定権及び人格権の侵害」については、自由な意思決定の余地が事実上奪われているような場合には当たらず、自己決定権等の侵害は認められないとした。また、申立人が主張する「③プライバシー侵害」も、木村氏は撮影されることを認識し認容していたことなどから、違法なプライバシー侵害であるとは言えないと説明した。一方、放送倫理上の問題については、「Netflixでの配信を契機に木村氏に対する誹謗中傷が起こり、自傷行為に至るという深刻な事態が生じていたところ、本件放送を行うとする決定過程で、出演者の精神的な健康状態に対する配慮に欠けていた点で、本件放送には放送倫理上の問題があった」とした。これに関連してドラマなどのフィクションとは違い、視聴者の共感や反発が生身の出演者自身に向かうことになるというリアリティ番組の特殊性についても言及した。決定文の最後に「放送界全体が本件及び本決定から教訓を汲み取り、木村花氏に起こったような悲劇が二度と起こらないよう、自主的な取り組みを進めるよう期待する」と記したことは、放送人権委員会としては異例のことであり、ぜひその真意をくみ取ってほしいと締めくくった。
続いて、曽我部委員長代行が補足説明し、「人権侵害と放送倫理上の問題では、判断の基準が違う。番組そのものに違法性がない場合、人権侵害を認めるのはハードルが高い」と発言した。
続いて、水野委員が補足意見の意図について述べ、少数意見を書いた國森委員、二関委員が自身の意見の要点を説明した。
決定を受け、申立人は「娘本人がこの場に不在のため、事実を証明することが難しく悲しい」と発言。フジテレビは「今回の委員会決定を真摯に受け止め、今後の放送と番組作りに生かしていきたい」と述べた。

[公表]
午後3時から紀尾井カンファレンス・メインルームで記者会見を行い、委員会決定を公表した。29社50人が取材した。テレビカメラの取材は、在京局を代表して当該局のフジテレビ、そのほかTOKYO MXが行った。出席委員は奥武則委員長と事案を担当した曽我部真裕委員長代行、廣田智子委員、補足意見を書いた水野剛也委員、少数意見を書いた國森康弘委員、二関辰郎委員の6人。
まず、奥委員長が判断部分を中心に、決定を説明した。続いて、曽我部委員長代行が、「決定文の最後に、放送界全体へのメッセージを織り込んだ。通常は対象となった放送局に向けて要望を述べるのだが、この案件は放送界全体で考えてもらいたいという気持ちが込められている。また、木村氏の自傷行為後のケアについて、フジテレビの責任ある役職者と現場の間で情報共有や協議がなされていなかったという問題はあるが、制作スタッフは現場としてできることを懸命にやっていたと思う。さらに判断の内容の補足となるが、いずれも花さんへのケアの問題に焦点を当てながら、人権侵害と放送倫理上の問題で異なる見解を出した理由は、判断の基準が違うということ。番組そのものに違法性がない場合、人権侵害を認めるのはハードルが高い」と説明した。廣田委員は本事案の審理の難しさについて「委員会で議論を重ね、悩んで、考えて、今回の結論に至った」と述べた。
続いて、水野委員が補足意見を書いた意図について話し、さらに、少数意見を書いた國森委員、二関委員が、委員会決定との差異を中心に自身の意見の要点を説明した。
その後行われた質疑応答の主な内容は以下のとおり。

(質問)
番組と木村花氏の死の因果関係をどう考えているのか。また、木村氏のケアに関連してコロナ禍について触れているが、コロナだったら自傷行為をした後、放っておいてよいというのか。また、この案件について放送倫理検証委員会と合同で議論する余地はなかったのか?
(奥委員長)
番組と木村花氏の自死との因果関係はわからない。テレビ局も自死を予見することはできなかったと思う。番組スタッフも木村氏を放っておいてよいとは思っていなかったはずだ。決定文ではコロナ禍との関連について、緊急事態宣言が発出されていたため木村氏のケアに物理的な制約があったことを指摘している。
BPOの3委員会はそれぞれ独立して活動しており、委員会に付与されている役割も違う。放送倫理検証委員会は、申立て制を取っている放送人権委員会とはまったく違う角度から放送番組を検証する役割だと理解している。簡単に合同委員会を開いて、ということにはならない。
(曽我部委員長代行)
番組と木村花氏の自死との因果関係については、委員会は判断していない。ただ、ケアをする責任はあるということで、それが十分だったかどうかに焦点を当てて議論した。コロナに関しては二つ影響があったと考える。一つはケアに関し制約があったということ。精神科医の受診ができなかったことや、テラスハウスに同居していれば日常的なサポートができたはずがコロナの関係で収録が中断しており出演者は自宅へ帰っていた。もう一つ、本業であるプロレスの興行ができなかったことが木村氏に与えた影響は無視できないと思う。

(質問)
今回はNetflixでの先行配信がきっかけで木村氏への誹謗中傷が起こったわけだが、番組以外の理由で木村氏への誹謗中傷が起きていた場合も、フジテレビは放送倫理上の問題を問われるのか?
(曽我部委員長代行)
今回については、先行配信があって自傷行為があり、そのケアの問題に焦点を当てたのだから、先行配信が無ければ責任は生じないというのが基本だと考える。前提として、BPOは、適法な内容の番組放送に関する第三者の誹謗中傷への責任をテレビ局が負うことについて否定的な立場を取っている。ただ、特殊な事情があれば、またその時に判断することになると思う。

(質問)
現在BPOは、放送されていない番組は扱わないという規則で運営されているが、最近は、スピンオフ作品を配信のみで流すという形が浸透している。放送局の自主自律を守っていく上で、今後、“放送はされていないが局が制作したコンテンツ”にどう対応していくか、見解をうかがいたい。
(奥委員長)
委員会は、現行の運営規則に則って審理しているが、BPOという組織そのものが新しい状況にどう対応するかという課題はあると思う。
(曽我部委員長代行)
運営規則にある委員会のミッションは、われわれ委員が決めているわけではない。BPO全体、ひいてはNHKと民放連で考えていくべき問題だと思う。

(質問)
木村氏の自死について、フジテレビから親子関係が要因の一つであったような発言があったとのことだが、具体的に教えてもらいたい。
(廣田委員)
ヒアリングではなく委員会への提出書類の中で、いろいろな背景事情の一つとして親子関係が挙げられていただけで、フジテレビが親子関係を自死の原因として主張しているわけではない。

(質問)
今回の審理を振り返って、難しさを感じた点があればうかがいたい。また、ヒアリングの規模感や難航した点があれば教えてほしい。
(奥委員長)
本来の当事者とも言うべき木村花氏が亡くなっていることに一番の難しさを感じた。
当委員会は、基本的に書面を提出してもらい、それに基づいて当事者にヒアリングするというやり方を採っている。調査対象を広げて大勢に話を聞くという仕組みにはなっていない。しかし今回は、フジテレビの社員だけでなく制作会社のスタッフにもヒアリングし、申立人側では木村氏のケアに当たったプロレス仲間の方二人にも協力していただき話を聞いた。
(曽我部委員長代行)
放送人権委員会は、普段は名誉毀損やプライバシー侵害を審理していて、申立人と放送局側の当事者の意見を聞くという意図で手続き等が定められている。そこが放送倫理検証委員会と違う点で、放送局のさまざまな立場の方に多数ヒアリングすることは想定していない。

(質問)
決定は、放送局の対応について、例えば放送を見送ることや内容を差し替えるなどの編成上の問題には踏み込んでいないが、そのような視点での議論はされなかったのか。
(奥委員長)
放送することを前提に、こうすべきだったと指摘しているわけではない。自傷行為以降、地上波放送にいたるまでの間に、ケアが十分であればもっと違う対応もあったのではないかということだ。放送するか否かは放送局が決めることであって、われわれ委員会は「放送を中止すべきだった」「内容を差し替えるべきだった」というようなことを言う立場にはない。

(質問)
制作の現場と制作責任者との間の意思疎通のあり方に問題があったと指摘しているが、制作会社とフジテレビの間で意識の違いはあったと思うか。また、放送決定にいたる過程で、現場と責任者の間に温度差があったのか知りたい。
(奥委員長)
意思疎通のあり方の問題点とは、自傷行為があった時点で、フジテレビ本体に情報を伝えて、どう対応するかを議論・検討すべきだったのではないかということを指している。また、放送決定に至る過程でどのような議論がされたか不明だ。ヒアリングで、放送するか否かの判断について温度差があったか等については浮かび上がってこなかった。

以上

2021年4月9日

アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』が審議入り

日本テレビは3月12日、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した後、コーナーに出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、視聴者からアイヌ民族を犬とかけるのは不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で謝罪するとともに局および番組ホームページにお詫びを掲載した。また、翌週月曜日15日には、番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDを求め、それらを踏まえて協議した結果、放送に至る経緯等を解明する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2021年3月に視聴者から寄せられた意見

2021年3月に視聴者から寄せられた意見

東日本大震災から10年、各局で放送された特別番組への意見が多く寄せられた。

2021年3月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,408件で、先月と比較して81件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール90%、電話8%、郵便1%、FAX1%(※電話は1日から21日まで休止)。
男女別は男性48%、女性23%で、世代別では30歳代25%、40歳代23%、50歳代20%、20歳代15%、60歳以上14%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。3月の通知数は延べ804件【57局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般への意見の中から抜粋し、26件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

東日本大震災から10年がたった。各局で放送された特別番組への意見が多く寄せられた。ラジオに関する意見は57件、CMについては21件あった。

青少年に関する意見

3月中に青少年委員会に寄せられた意見は79件で、前月から9件減少した。
今月は「表現・演出」が16件、「いじめ・虐待」が11件、「動物」が10件、「低俗、モラル」が7件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 岡山駅のホームで取材を受けた。いきなりマイクとカメラを向けられ、「地元の放送局です」と告げられた後、質問責めだった。仕事で仕方なく外に出ているのに、外出していることが悪いような質問のされ方だった。カメラやマイクを向ける前に、テレビ局名や放送番組名など事前に説明を受け、承諾した後に取材を受けるものだとの認識していたが、この時は非常に気分が悪かった。

  • 政府に対する意見について、国民に寄り添いたいという各局の気持ちは分かるとしても、後出しジャンケンばかりで、見ていて、聞いていて、各局の立場が全く分からない。局の立場としての考えをしっかり表明してほしい。今の政権が全て正しいと思わないが、ああ言ったらこう言う、こう言ったらああ言うでは、マスコミも何を言っているのか?見るのも馬鹿馬鹿しくなってしまう。

【番組全般・その他】

  • 感染対策について。感染防止そのものと、視聴者へのお手本との両方の意味で、出演者もマスクをする場面を増やした方がいい。最近、局によっては、アナウンサーがマスク着用で司会をしていて、とても良いことだと思った。金曜夜のドラマでは、現在の私たちと同じく、出演者がマスクをして歩いている場面があった。とても自然で違和感がなかった。コロナ禍なのだから、そんなドラマも良いと思う。

  • 注目度の高い映像なのだろうが、注射針を刺している映像を繰り返し映す必要はないと思う。私は注射が苦手で、刺しているところを見るだけでも寒気がするほど嫌だ。一日に繰り返し何度も見せられて気分が悪くなる。せめて、ぼかした映像を作るなどの配慮をしてもらいたい。

  • 木曜夜の番組を見た。台本通りの演出なのかもしれないが、一人の芸人に対して、司会者と出演者全員で、無視、発言の阻止や全否定、暴言を浴びせるなどしていてとても不快な気分になった。お笑い芸人だからといって何でもしていいということはない。度が過ぎたものは全く笑えない。イジリを越えてもはや集団いじめにしか映らなかった。

  • 日曜昼の番組は、以前は楽しかったが、先週から司会者と出演者が人の悪口ばかり言っている。視聴者に喧嘩を売っているようにも見える。視聴者相手にストレスを発散して楽しんでいるのだろうか。情報番組なら人の悪口ではなく、楽しめるような内容にしてほしい。

  • 朝の番組で差別表現が、人を笑わせる目的でシャレとして行われた。このことを問題視しないのであれば、それはいままで歴史的に行われてきたのと同じ、差別拡散、扇動行為であり、それがテレビという媒体を通じて行われたことは非常に大きな暴力的な意味をもつ。当該の番組及びテレビ局は形だけの謝罪で終わらせるのではなく、なぜそのようなことが起きたのかを明らかにし、いかに再発防止を行うかについて真摯に考え、実行するべきである。

  • 東日本大震災から10年となり、各局で特別番組が組まれ、同じ内容を放送していた。私は福島出身、東京育ちで、震災当時住んでいた東京で激しい揺れに見舞われ、家具や備品が落ちて割れるなどの経験をしたが、机の下にすぐ隠れたため、なんとか命を守ることはできた。しかし、津波の映像が衝撃的で、長時間に渡って「震災、津波」と言われて辛く、特番のテレビを消してしまった。アナウンサーが「今から津波の映像が流れます」と注意を呼び掛けているが、映像がトラウマなことに変わりはない。震災関連の特番は、各局一斉にやる必要があるのだろうか。来年はもうやってほしくない。

  • 11日昼の特番で津波の映像が流れたが、その恐ろしさを学べて良かった。津波に巻き込まれた人が撮った映像が特に印象的で、最初は低く来て一気に大きな津波が来る、前からも後ろからも横からも来て囲まれるとは知らず驚いた。今まで実際の津波の映像を見るのが怖くて見るのを控えていたが、10年経ち、学ぶべき事だと改めて気づかされた。これを機に防災グッズを購入した。この時期に限らず、定期的に大地震が起こる前にどうすべきか、津波の恐ろしさを学ぶ番組をやってほしい。

  • 11日の夜の特番を見た。日本は、地震に限らず各種災害のリスクが大きく、防災の知識や考えをアップデートした方が良い。また、年を追うごとに東日本大震災をはじめとした災害の教訓や悲しみが薄れていく中、この番組は「どうしたら命を守れるのか」という防災思考や意識を改めて高めてくれる良い番組だった。

  • ニュースとワイドショーの境界線を明確にし、番組表に区分を表記してほしい。ニュースは情報の精度。ワイドショーはあくまでバラエティー番組。最近はワイドショーで新型コロナ、災害情報を伝えている。専門家ではない芸人などがいかにも正しいかのようにコメントしているが、災害時に混乱をいたり被害を受けたりする危険性があると思う。テレビは視聴者に不安を与えるのではなく、冷静な判断ができるよう整然とした情報を伝えてほしい。ワイドショーで時事ネタを扱うべきではないと思う。曖昧な情報が溢れている。

  • 一人暮らしの年寄りはテレビしか楽しみがない。しかし最近はどの局も同じような内容のワイドショーや通販番組ばかりで見ていると憂鬱になってしまう。年金暮らしの年寄りは通販番組を見ても買い物ができるわけでもないし、ワイドショーはコロナ関連の気分が暗くなるような話題ばかりで辛い気持ちが募ってしまう。テレビを見ているのは一人暮らしの年寄りも多いはず。もっと気分が明るくなるような楽しい番組を放送してほしい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 1000円ガチャ検証という企画は、子どもを含め、ギャンブル依存症になる可能性が非常に高いにもかかわらず、3000円ガチャという更にギャンブル性が高い企画を放送している。子どもにも人気の芸人やアイドルを起用して射幸心を煽る放送内容はやりすぎだ。

【「いじめ、虐待」に関する意見】

  • アニメ内で、男の子が女の子の髪留めをいきなり遠くに投げてそれを取り合う競争をやっていた。二人は仲良しの設定で、女の子も仕方なく受け入れている設定だったが、いじめにも繋がりかねない行為であり、教育番組で流すのはどうかと思う。

【「動物」に関する意見】

  • バラエティー番組で、風呂上がりの濡れた犬が水気を払うため体をブルブルするのを我慢させるという企画があった。犬にとっては体温維持のための本能的な生理現象であるのに、これを強いるのは人間のエゴであり、飼い主の児童にやらせることは動物愛護の精神に反する。

【「低俗、モラル」に反するとの意見】

  • 帰宅後テレビをつけたら、口にするのも憚れるタイトルのドラマを放送していた。内容はセックスレスに悩む夫婦の物語らしいが、露骨すぎないか?深夜とは言え、万が一子どもが見てしまったらどうするのか?せめてタイトルだけでも自粛すべきだ。

第232回 放送と青少年に関する委員会

第232回-2021年3月

視聴者からの意見について…など

2021年3月23日、第232回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
バラエティー番組で出演者のグラビアアイドルがSNSで人気があると紹介した際、グラビアアイドルが胸の谷間を強調したり、セクシーな話をしたことに対して「深夜番組のような内容。子どもと見るには少し度が過ぎている」などの意見が、また男女のトイレ事情をクイズにしたことに対して「出演者、視聴者へのセクハラだ。子どもに見せられない」などの意見が寄せられました。委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
3月の中高生モニターのリポートのテーマは「1年間で最も印象に残った番組について」でした。25人から報告がありました。
モニターからは、明智光秀の生涯を描いた連続ドラマについて、「光秀や信長の『平らかな世を作りたい』という思いは周りの人に受け継がれて、江戸時代は光秀と信長の願った世になったのかなと思います。歴史ドラマを作るということは、事件や資料を基にわからない部分を想像し、違和感がないようにつなぎ合わせる必要があります。その中で視聴者が楽しめる創作した部分があるドラマがおもしろいと思います。このドラマは、どちらもいい感じで、最初から最後まで楽しく見ることができました」、去年7月の熊本豪雨関連のニュース番組について、「数か月たって録画していた各番組を見返してみて感じたのは、映像が伝えてくるものはとても凄まじいものだったということです。例えばネットのニュース記事や記録サイトに掲載されている文章の情報ではわかりづらくても、映像だと視覚ですぐ自分の頭に入るので、当時のことを思い出しやすくなりました。今後はその映像を使いながら、この災害を継続して伝えてほしいと思います」、人気ロックグループを率いる音楽家・常田大希さんに密着したドキュメンタリー番組について、「曲を作るところをここまで取材したのは初めて見たので、どんどん曲が作られていくのを見るのが面白く、作ってはやり直す、試行錯誤して突き詰める様子がよくわかりました。一人でずっと音楽に向き合って曲を作る姿はストイックそのもので、妥協せず理想を追い求める熱量が素晴らしいと思いました。作り手に熱量があるからファンも熱狂するのだと私は常々思います。(中略)この番組を見て、私も負けていられないと思いました。自分のできることを一生懸命やろうと思います」などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は、4月27日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年3月23日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、2月後半から3月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
バラエティー番組で出演者のグラビアアイドルがSNSで人気があると紹介した際、グラビアアイドルが胸の谷間を強調したり、セクシーなトークを繰り広げたことに対して、「子どもと見る時間帯の番組として相応しくない」「深夜番組のような内容。児童生徒と見るには少し度が過ぎている」といった意見が寄せられました。また同じ番組内で男女のトイレ事情をクイズにしたことに対して「出演者、視聴者へのセクハラだ。子どもに見せられない」「下品な内容を扱うならば、小中学生に人気のアイドルを出演させないでほしい」といった意見も寄せられました。
グラビアアイドルに関する視聴者意見について委員からは、「グラビアアイドルをきれいと思うか、いやらしいと思うかは人次第で、人によっては反感をもってしまうのは仕方ないだろう。しかし放送を取り止めさせるようなものではない」「子どもに見せたくない場合は見せない、という対応を取る範囲のものかと思う」「胸の谷間に物を挟んだり下ネタに近いところもあって、それが不快で子どもに見せたくないという親の気持ちは理解できる」との意見が出されました。
またトイレ事情のクイズについて委員からは、「単なるクイズという感じがした。青少年が視聴したからといって、特に何か問題があるとは感じない」「他人のトイレ事情など知りたくないと思う人はいるだろうが、それで放送を止めさせるような子どもへの悪影響があるとは思えない」「子どもに見せたくないものは見せなければいいという親としては当然のことがなかなかできていない日本の状況がある。自分でそれができていないので、そういう番組を作るなというような方向に行っているのではないか」といった意見が出されました。
この件に関しては、これ以上話し合う必要はないとなりました。

最後に、今年度の青少年委員会での論議を振り返って、榊原委員長から次のような意見が出されました。「子どもにふさわしくないとか、教育上よくない、子どもには見せたくないというのは、どこがダメなのか。青少年委員会としては、それがどういう意味で良くないのか、ということになる。過度の刺激はよくないと思うが、人間というのはいろいろな経験をする。その中で子どもにとって“教育上良くない”と言われるものが、本当に良くないかどうかを見極めるのが私たちの仕事であると思う。
また年次報告会でも言ったが、芸能人同士で演技ではない本当に痛いことをさせて、それを笑っているというのを子どもたちが見ることによって、人が本当に痛みを感じているときに笑うというのが普通になっていってしまう可能性はあると思う。お笑い芸人は子どもたちに人気があるので、悪い意味のロールモデルになってしまわないか。その辺を見ていく必要があると感じている」

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした3月のテーマは、「1年間で最も印象に残った番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で25人から報告がありました。
「1年間で最も印象に残った番組について」では、全部で22番組への報告が寄せられました。複数のモニターが取り上げたのは、『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)で、3人でした。ラジオ番組を挙げたモニターは1人でした。また、特定の番組ではなく、印象に残ったニュース・報道について記述したモニターもいました。
「自由記述」では、東日本大震災に関連した番組を見て、自分の意見をまとめたモニターが多く、今後も震災の記憶を後世に伝える番組を望む声が届きました。また、新型コロナウイルス関連の報道のあり方について取り上げたモニターも少なくありませんでした。コロナと共にあったこの1年を振り返って、「これからもさまざまな変化に伴って進化し続けるテレビであってほしい」という放送局への期待も寄せられています。
「青少年へのおすすめ番組」では、複数のモニターから感想が寄せられたのは2番組でした。『NHKスペシャル「ドラマ 星影のワルツ」』(NHK総合)を6人が、『世界10代コロナ会議』(NHK Eテレ)と『池上彰の災害サバイバル~地震・台風・水害に役立つ10カ条~』(テレビ東京)をそれぞれ2人が取り上げています。
なお、『常田大希 破壊と構築』(NHK-BSプレミアム)については、「1年間で最も印象に残った番組について」と「青少年へのおすすめ番組」合わせて2人から感想が寄せられました。

◆委員の感想◆

  • 【1年間で最も印象に残った番組について】

    • 東日本大震災関連の番組について報告したモニターが少なくなかった。震災のときに彼らは生まれていたが、ニュースをリアルタイムで見たわけではない。だからこそ、若い世代には、津波などの震災にまつわる生の映像を見てもらって、その恐ろしさを訴えるのが良いのだと、リポートを読んでいて感じた。リポートからは、当時の生の映像がいちばんの脅威であり、力を持ったということが伝わってきた。

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)について書いたモニターの記述に、「紅白が放送できたことで、1年が何とか終わったと感じられた。安心感につながった」というものがあった。視聴者に安心感を与えるという、紅白の役割を再認識した。

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)コロナ禍で制約がある中、制作されたが、それが逆に良かったというモニターがいた。出演者の長いトークや寸劇がなく、歌合戦に特化していて面白かったという。これからの制作に生かせるのではないか。

    • 『紅白歌合戦』の3人以外は、みんな挙げた番組がバラバラで、報道番組に関しては、ほとんどが東日本大震災関連のものを記述していた。ということは、今年度は、中高生に強く訴えかける、力を持った番組がなかったと言わざるを得ないと感じている。

  • 【自由記述について】

    • 今年は東日本大震災から10年で、かなりの数の関連番組があった。一区切りではあるが、「もう来年から放送はなくてもいいですよね」ということではなく、今後も放送を続けくれると願いたい。

    • 東日本大震災関連の番組は、8月に戦争の特集をするのと同様、やはり、繰り返し、忘れないように放送することが必要だ。長く続けるとマンネリ化のように思えるかもしれないが、視聴者の中には、毎回、若い世代や東日本大震災についての知識がない人たちがいる。視聴者は常に代替わりしている。番組を新鮮なまなざしで見ている人たちがいることを忘れないでほしい。

    • モニターの中には、この1年の放送局の努力を評価する人もいた。「昨年の今ごろは、新型コロナウイルスの影響で、予定通りにドラマの制作ができないなどのさまざまな試練があったが、試行錯誤しながら今までやってきた。1年たっても、コロナは依然として減らないが、放送局は可能な限り放送を続けている。人間はコロナと共存する適用力があり、番組からは順応力を感じている」という内容で、このような温かい目線で応援してくれているモニターがいることを放送局に伝えたい。

    • コロナ感染者数が、毎日、ニュース速報として、効果音とともにテロップで出るのが煩わしいという意見があった。モニターは毎日速報として流すと、オオカミ少年のように本当に重要な時に注意が散漫になってしまうことを危惧している。確かに、もう少し、制作者は配慮したほうが良いと思った。

    • どのニュース番組かは不明だが、コロナ変異種について、「死亡率が2倍」とフリップで紹介された後、キャスターが「死亡率が最高2倍」と説明した番組があったという。モニターは、「フリップでは“最高”が抜け落ちたのかな」と思ったそうだが、あまり良い気分ではなかったと書いていた。フリップが間違い、という訳ではないかもしれないが、言葉の使い方で、視聴者の不安をあおってしまう可能性があるということを制作者に伝えたい。

    • 「オタク」を自称するモニターが、「自分みたいなオタクは声優さんがテレビに出たらうれしいが、普通の人はどうなのだろうか」と記述していた。「ユーチューバーやインフルエンサーという肩書の人が出演しているときに、「この人、いったい誰?」というのと同じことが起こっているのではないかと彼女は気にしているという。これを読んで、時代が変化したのだと思った。以前は万人に知られる人やものが放送にのったが、今は最初は狭い範囲の人にしか受けないものが、やがて大きな波を作るという時代に変わった。「オタク的感性を持った若い世代の時代」になってきていると感じた。

    • 最近、ゴールデンタイムで衝撃映像といった番組が多すぎて、もう見飽きたというモニターがいた。「両親はいつも好んで見ているので、ターゲット層が自分たちより上の世代なのだろうか?」という疑問、「ゴールデンタイムは家族で見ている世帯が多いのだから家族みんなで楽しめる番組を編成してほしい」という要望を寄せている。中高生からの貴重な意見だと受け止めた。

    • あるモニターが、テレビ離れの要因の一つとして、「バラエティー番組などで見られる、他人を下げる、バカにする発言が挙げられると思う」と記述していた。このモニターは、人の容姿についてとやかく言ったり、傷つくような言葉を投げたりするのが不快で面白くないと感じ、このような番組を見なくなったという。個人差が大きいとは思うが、嫌悪感を持つ若者がいるということを制作者に伝えたい。

◆モニターからの報告◆

  • 【1年間で最も印象に残った番組について】

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)いつもの紅白歌合戦とは違う観客がいない状態での放送だったが、それぞれの曲の演出がすごかった。この番組は1年間ではやった曲が流れるので、その曲が流行したときの思い出がよみがえってきて、すごく懐かしい気持ちになった。去年1年間はたくさんのことが起こり過ぎたが、毎年行われているこの番組を見て、安心していつもと同じように年が締めくくれた。今年の紅白が行われるころには、コロナも収束していたらいいなと思う。(宮城・中学1年・女子)

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)コロナ禍で今まで通りの方法で実施はできなかったが、別々のスタジオで歌うようにしたことで、歌い終わったらすぐ次の歌、とテンポが速くなっていて、飽きさせないようにしていた。2020年を締めくくる番組にふさわしく、本当に印象に残るいい番組だった。(東京・高校1年・男子)

    • 『NHKスペシャル「津波避難 何が生死を分けたのか」』(NHK総合)番組では、津波の生の映像を見せており、視覚的に視聴者に訴えかけているため、より一層津波の脅威を感じさせることができていた。コロナウイルスのことでも同様だが、津波の脅威を知ってもらうには実際の被害映像を映すことが最も効果的だと感じた。(高知・高校3年・男子)

    • 『NHKスペシャル「2030 未来への分岐点」』(NHK総合)改めて環境問題が本当に危機的状況にあることを痛感しました。2030年までにもう9年しかないということは、今すぐに行動を起こさなければならないということだと思いました。しかし、私の周りではそれほど危機感を持った人はいない気がします。そのことも大きな課題であると感じました。その原因の一つに、挙げられた諸問題には科学的要素が多く入っていて身近に感じづらいからだと思います。特に、マイクロプラスチックについては、プラスチックの便利さや衛生的なところばかりをみて、プラスチックが海を汚し、魚たちを汚し、私たちへ回ってくることは想像しがたいと思います。知らず知らずに自分にも影響が及んでいること(空気中のマイクロプラスチックを吸ってしまうことなど)を、この番組は教えてくれたと思います。NHKの特集は、タイムリーに私たち全員が知っておくべき内容を伝えてくれている気がします。視聴した私が周りに話していくことが大切だと思うので、実行していきたいと思います。(東京・高校2年・女子)

    • 『あさイチ』(NHK総合)私はこの番組を学校がコロナウイルスの影響で休校になったときに初めて見ました。毎日見ていると、料理や掃除の方法など、企画の一つ一つが図を使ったりクイズ形式だったり、とても分かりやすく説明されていて、とても実践したくなりました。(秋田・中学2年・男子)

    • 『麒麟がくる』(NHK総合)光秀や信長の「平らかな世をつくりたい」という思いは周りの人に受け継がれて、江戸時代は光秀と信長の願った世になったのかなと思います。歴史ドラマを作るということは、事件や資料を基に分からない部分を想像し、違和感がないようにつなぎ合わせる必要があります。その中で視聴者が楽しめる創作した部分もあるドラマが面白いと思います。『麒麟がくる』は、どちらもいい感じで、最初から最後まで楽しく見ることができました。(岡山・中学2年・女子)

    • 『ざんねんないきもの事典』(NHK Eテレ)この番組は、さまざまな動物について、笑える角度から紹介していて、初めて知ることばかりで、とてもためになります。私は、「ざんねんないきもの事典」について、本から読み始めたのですが、実際のところ、文字で読むのと、このようにテレビ画面を通して動物の生態を知るのとでは、テレビの方が分かりやすく、面白く脚色されていて印象にも残りました。読書は視覚が頼りですが、テレビというのは、視覚も聴覚もフル回転するからこそ、体全身で楽しめるものなのだと改めて感じました。(長崎・中学1年・女子)

    • 『常田大希 破壊と構築』(NHK-BSプレミアム)曲を作るところをここまで取材したものは初めて見たので、どんどん曲が作られていくのを見るのが面白く、「破壊と構築」とあるように、作ってはやり直す、試行錯誤して突き詰める様子がよく分かりました。一人でずっと音楽に向き合って曲を作る姿はストイックそのもので、妥協せず理想を追い求める熱量が素晴らしいと思いました。作り手に熱量があるからファンも熱狂するのだと私は常々思います。番組の構成もわかりやすく、たまたまテレビをつけて見た人でも楽しめたと思います。どんな人なのか、どんなことをしているのか、そのルーツ、最後には完成した曲、すべてがそろっていて内容が濃いなと思いました。取材時の日時が入っていて状況も伝わりやすかったです。NHKの密着ものは、余計なものは入れずに淡々と伝えるイメージがあります。そのほうが本人の良さを引き立てる気がします。この番組を見て、私も負けていられないと思いました。自分のできることを一生懸命やろうと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • 『金曜ドラマ「俺の家の話」』(TBSテレビ)父親が死ぬ前にと家族旅行を計画するところなど、主人公はなんだかんだ家族思いで、周りのみんなもついて来てくれるのが優しい環境だと思った。幸せそうな姿がほほえましく、まぶしく、純粋にうれしくなった。家族の確かな信頼関係が伝わってきた。結局はお互いに放っておけない存在であると伝えたいのだろうか。主人公の息子のシーンは特に温かい気持ちにさせてくれた。当たり前のようにコロナ禍の世界線(前提)で物語が進むことに魅力を感じる。視聴者が今、リアルタイムに感じている空気と合わせるほうが、物語に入り込みやすく、違和感を持つこともない。しかし、もしもコロナ禍から脱出したときには、後から見る人は少し困惑するのではないかとも思った。(東京・高校1年・女子)

    • 『いざわ・ふくらの解けば解くほど賢くなるクイズ』(日本テレビ)一応、勝ち負けはつくが、それ以上に問題の面白さが重視されているように感じた。なぜこれが良いと思ったかというと、「やらせ」や「仕込み」の疑惑が出にくいからだ。まず、やらせをする意味があるのは勝ち負けや番組の展開・ストーリー性が重要視された番組が主だろう。なぜなら「やらせ」は続きが気になる展開を作ったり、番組として面白い人に勝たせたりするためのものなので、ストーリー性が重要視されていない番組でやらせをしてもあまり意味がないからだ。そのため、ストーリー性が重要視されていない番組ではやらせの疑惑が出にくい。このような勝ち負けや番組の展開が重視されない番組が増えるといいと思う。(千葉・中学1年・男子)

    • 『news every.』(日本テレビ)震災の特集を見るのは初めてだった。映像を見ると、津波はゆっくり迫ってくるように見えるが、次々と家や電柱をなぎ倒していく様子を見て、波の威力を感じた。津波の経験をした方々は辛い思いをするとは思うが、このような映像を見て、今後同じような被害を出さないようにすべきだと思った。(東京・中学3年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!「絶対に笑ってはいけない大貧民Go Toラスベガス24時」』(日本テレビ)コロナ禍の影響で、接触があまりできないため、今年は体を張る企画がかなり少なくなっていて寂しかったです。ですが、その企画の代わりなのか、過去の番組を振り返るコーナーができていて、新しい感じがあっていいなと感じました。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)イッテQがここまで幅広い年代に支持される理由は、出演者とスタッフの一体感だと思います。番組に携わっているすべての人が一丸となって作り上げているのが視聴者に伝わることが、イッテQが人気の理由なのではないかと感じます。(東京・高校1年・女子)

    • 令和2年7月豪雨関連ニュース・特番について(熊本県内の放送局)。今回このリポートを書くため、録画していた各番組を改めて見返してみました。数ヶ月たって感じたのは、映像が伝えてくるものはとてもすさまじいものだったということです。例えばネットのニュース記事や記録サイトに掲載されている文章の情報では分かりづらくても、映像だと視覚ですぐ自分の頭に入るので、当時のことを思い出しやすくなりました。今後はその映像を使いながら、この災害を継続して伝えてほしいと思います。(熊本・高校2年・男子)

  • 【自由記述】

    • 生まれて初めてのモニターでしたが、ちょうど始まった時は、コロナが流行し始めたときで、テレビも今までと随分形態も異なり、これからどうなってしまうのだろうと不安に思ったりしたことを思い出しました。あれから1年たち、コロナは相変わらず続いていますが、テレビの世界もできるだけ通常の放送を続けていて、人間ってコロナと共存する適応力があって、改めてスゴイなと思いました。これからも、様々なことがどんどん変化を遂げていくだろうけど、きっと人間はそれさえも乗り越えていくのかもと思います。そんなときに頼りになるのが、テレビであり、これからも変化に伴って進化し続けるテレビであってほしいと思います。(長崎・中学1年・女子)

    • 震災のことはほとんど覚えていません。テレビで3月11日を振り返るということはつらい記憶を思い出すことでもありますが、私たちのような震災を知らない世代に震災の怖さや恐ろしさを伝えることでもあり、いい番組がたくさんあったなと思いました。(岡山・中学2年・女子)

    • 東日本大震災から10年ということもあり、震災にまつわる番組が多かったと思います。当時の状況を再現したものや、今の復興状態、防災の知識などさまざまなものを扱っていて良かったと思います。今のコロナの時期も、震災時とはまた違う苦しみがあるなと改めて思いました。(千葉・高校1年・女子)

    • テレビ番組を通して、被災地の現状や震災遺構、3.11当時の状況をたくさん知ることができました。学校や仕事をしている人が多い時間帯以外にも、3.11を特集した番組をもっと放送してほしいと思ったし、どうしても当時の映像を見られない人もいると思うので、防災だけに焦点を当てた番組があってもいいと感じました。(宮城・高校3年・女子)

    • 毎日、テレビ画面上部にテロップとして表示されるコロナの感染者数。最近、あのニュース速報について「必要ないのでは?」と思うことがあります。感染者数が過去最高になったときや急な増加のときは、迅速に情報を得たいと思いますが、数が減ってきてからはすぐに知りたいと思わなくなり、わざわざニュース速報で知らせるまでもないと思います。以前、音楽番組中のニュース速報の音が物議をかもしましたが、たまにドラマの再放送を見ているとき、この音が邪魔に感じることもあり、検討してほしいです。毎日ニュース速報を流すと、オオカミ少年(イソップ寓話)のように、本当に重要なときに注意が散漫になってしまうことを危惧します。(愛知・中学2年・女子)

    • ニュース番組中に緊急ニュース速報が、テレビ画面上部に流れる必要はあるのだろうか?(千葉・高校2年・女子)

    • コロナ関連のニュースは毎日放送していますが、いつも同じような内容なので視聴者は少し飽きていると思いました。もっと何を伝えたいのかはっきりさせないと、コロナへの関心も薄くなっていくのではと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • あるニュース番組でコロナの変異種について死亡率が2倍とフリップで紹介されていたのですが、その後、キャスターさんは死亡率が最高2倍だと説明されました。私は「フリップでは最高が抜けたのかな」と思ったのですが、その後も訂正することはなく番組が終わってしまいました。この間違いに気が付かなかった人は無駄に不安があおられるようでいい気持ちはしないだろうなと感じました。こういった情報の訂正はしっかりとしてほしいです。(愛知・高校1年・女子)

    • 最近、声優さんがテレビに出演していたり、ナレーションをやっていたりするのを見てうれしいと感じるが、私のようなオタク以外の人からすればどうなのだろうかと気になる。最近、インフルエンサーという肩書きでバラエティーなどに出演する人をよく見かける。だがほとんど知らない人だ。ネットは頻繁に見ているはずなのだが私は知らない間に流行に乗り遅れているのだろうか。以前家庭科の先生(年配の女性)が、バラエティーでよく見るタレントという肩書の人たちがよくわからない、あの人たちは何なのか、いる意味が分からないとさえ言っていた(彼女はバラエティーの騒がしいのが苦手だそうなので仕方がないが)が、そういった人たちから見て、インフルエンサーというタレントですらなくテレビに登場する人々はどう映るものなのだろうか。(東京・高校1年・女子)

    • テレビ離れの要因の一つに、バラエティー番組などで見られる、他人を下げる、バカにする発言が挙げられると思う。私自身、人の容姿についてとやかく言ったり傷つくような言葉を投げたりしているのは見ていて不快だし全く面白くないと感じたため、このような番組は見なくなった。(神奈川・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『NHKスペシャル「ドラマ 星影のワルツ」』(NHK総合)津波の被害を受けた父と母、遠方に住む娘の物語で、決して気持ちが明るくなるわけではありませんが、家族のきずなを通じて心が温まりました。この番組のポイントはリアリティーです。地震に関する報道もNHKのリアルな映像が使用されており、目の前に津波が迫っているのかと思えるような映像でした。戦争と同じで、もっともっと語り継ぐべき出来事だと思いました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『NHKスペシャル「ドラマ 星影のワルツ」』(NHK総合)当時の状況が再現されていて、余震やテレビのニュースなど、私の薄れてきた記憶がよみがえりました。被災者の家族の視点もあって、震災時はどうしようもなくて、もどかしくつらかっただろうと身に染みて思われました。「津波の映像が流れます」というテロップからも、震災の残した傷の深さが感じられました。震災を忘れてはいけないと思いました。(千葉・高校1年・女子)

    • 『NHKスペシャル「ドラマ 星影のワルツ」』(NHK総合)こういったリアリティーのある番組こそが被災の記憶を伝えるのに必要なのだと思いました。男性が助かってドラマが終わるのではなく、亡くなった奥さまの遺品を取りに行ったりお葬式の場面が描かれたりするところ、次世代の小さな子どもに津波のことを伝える場面が描かれているのもメッセージ性が強いと思いました。自分が助かっただけでは終わらない、被災の記憶を次の世代へ伝えなければならないリアルな描写をみて、私も記憶のリレーをつなげていこうと改めて強く思いました。(愛知・高校1年・女子)

    • 『世界10代コロナ会議』(NHK Eテレ)世界の10代の意見はなかなか聞ける機会がないので、聞くことができて良かったです。(山形・中学1年・女子)

    • 『世界10代コロナ会議』(NHK Eテレ)同世代の人たちがコロナに対してどのような考えを持ち、不安を抱えているのかを知ることができて、とても役に立ちました。また、日本だけでなく、海外の学生の様子も分かり、新たな発見がありました。(東京・高校1年・女子)

    • 『池上彰の災害サバイバル~地震・台風・水害に役立つ10カ条~』(テレビ東京)私は、趣味で災害対策を調べたり実際に対策したりすることがあるので、この番組内容は興味をそそられるものでした。東日本大震災を振り返ることだけでなく、いずれ起こる首都直下型地震の対策にもなるので、有意義なものだったと思います。「そなエリア」での撮影は、本当に緊張感やリアリティーのあるもので、とても印象に残りました。エリア内で緊急地震速報の音声が流れた時には不安を感じました。地震が10年前より少なくなった今、音による緊張感・不安感を感じることは、当時の記憶をいいようにも悪いようにもよみがえらせるものだと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『常田大希 破壊と構築』(NHK-BSプレミアム)常田さんもメンバーであるKing Gnuの曲を以前吹奏楽部で演奏してからとても気になっているアーティストだったのでこの番組を見ることにしました。この番組を通して、独特のリズムや音楽の中にみられる特有の音や重なり方は常田さんの常に音楽の常識を壊していくという考えから生まれていることを知りとても感銘を受けました。また、思っていたのと印象が違ったり、知らない一面も知れた気がしました。(茨城・高校3年・男子)

    • 『Nスタスペシャル・東日本大震災10年~つなぐ・つながる~』(TBSテレビ)この地震が起きたとき、私は3歳で宮城にいましたが、とてもつらい生活が続いたのをよく覚えています。私が感じたつらさとは比べものにならないくらいのことを経験した方がたくさんいて、すごく心に刺さりました。震災から10年たちますが、このことを風化させては未来のために絶対良くないので、3月11日だけでも、毎年国民が震災のこと、防災のことを思い出す番組を作り続けてほしいです。(宮城・中学1年・女子)

    • 『にじいろのまちへ 多様性を認め合う高知市に』(テレビ高知)この番組では、当事者の心境などを伝え、差別や偏見をなくすための取り組みを紹介していました。私の地元がこの制度を導入したことはすごく誇りに思うし、この流れがほかの県に波及することを切に願っています。しかし、それと同時に性的少数者への理解を深めるためにも、この番組のようにテレビなどを通じて彼らが直面している課題を報道していく必要があると考えます。(高知・高校3年・男子)

調査研究について

  • 担当の中橋委員から、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、進捗状況などの報告がありました。

委員退任について

稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員が、3月末で任期満了となり、退任することとなりました。3委員とも、それぞれ2期6年務められました。

以上

2020年11月16日

「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」に関する委員会決定の通知・公表の概要

[通知]
(2020年)11月16日午後1時からBPO会議室において決定通知が行われた。委員会からは、奥武則委員長、担当した二関辰郎委員、國森康弘委員、及び補足意見を書いた市川正司委員長代行が出席した。
申立人側は代理人のみが出席し、申立人本人は高齢であることや体調の問題等により出席できないとの説明があった。札幌テレビからはコンプライアンス担当の取締役、局長が出席した。
奥委員長から「決定の通知は、申立人と被申立人に同じ決定を同じ席で伝えることが重要だが、今回はご本人の体調に配慮して委員会としても異例の判断をした」と申立人本人不在での決定通知開催について説明した。
次に決定の内容について奥委員長から概略次のような説明があった。
「結論としては人権侵害の問題はなく、放送倫理上の問題も認められない。
人権侵害、名誉毀損について言えば、社会的評価が低下したかどうかが入り口となる。本件放送は、国に対する損害賠償請求訴訟を起こしていた申立人が、新しくできた法律に基づいて一時金を請求したことをニュースにしたもの。一般的にこのニュースを見た人が申立人に対する社会的評価を低下させることはない。一方で、新しくできた法律に批判的であった申立人が一時金を申請したことで、申立人の従来の見解を知っていた人から見れば考え方を変えたのではないかとみられてしまう可能性があり、社会的評価を低下させるというのが申立人の主張。しかし、本件放送は一時金支給法の問題点を鋭く追及しているし、申立人が悩みながら申請したということも伝わっており、社会的評価を低下させることにはならない。
放送倫理上の問題は、申立人が申請をするにいたるまでに、記者からの働きかけがどの程度あったのかということ。ヒアリングなどを通じて取材の経過を考えると、基本的には申立人に一時金申請をするという意図があり、記者の働きかけによって申請をしたとは認められないと判断した。それ以外にも事実を歪めるなどの内容も認められない。ということから放送倫理上の問題は認められないと結論付けた。法律専門家の援助を受ける権利等についての判断などは二関委員から説明する。」
二関委員からは以下の通りの発言があった。「繰り返しになるが、人権侵害については、申立人がどういう人なのかという前提知識がなかった人と、あった人の二段構えで判断した。いずれにせよ社会的評価の低下はなかったと判断した。
法律専門家の助言を受ける機会を奪われたという主張については、放送にいたる前の事情なので、基本的には当委員会では取り上げないというルールがある。記者による働きかけについても同様だが、今回は後者を取り上げ、法律専門家に相談する機会の問題はそのことに関連するので、その際にまとめて検討した。
放送倫理上の問題も、ある意味では二段構えと言える取り上げ方にしている。本件放送を見る限り、申立人が不本意ながら申立を行っているようには見えない。ただし、我々はそこだけでは検討を終えずに、放送に至るまでの経緯も検討対象とし、その点に関する双方の対立する主張の中から、共通して認められることをさぐった上で判断している。そのような過程を経てこの結論に至った。」
続いて補足意見を書いた市川委員長代行から以下のような説明がなされた。「結論は決定通りだが、今回の議論の中には一般論としても今後の参考になる点があり、掘り下げて述べておくのが良いと考えて補足意見を書いた。
今回の取材は、過去のことではなく、現在進行中のことを取材しており、その過程で、取材対象者が自ら選択し行動することに取材者がどこまで関与するのかは検討すべきこと。申立人が自ら行うことを記者が代わって行っているが、これが取材対象者との関係で踏み込みすぎと言われかねないものであるということを指摘している。今後の糧になると考えてここに掲載した。」
これに対し、申立人の代理人からは特に発言はなく、STVからは「概ね当社の主張が認められた。今日の内容は今後の取材活動に生かしていきたい」との話があった。

[公表]
同日午後2時から千代田放送会館2階ホールで記者会見が行われ21社28人が出席した。
奥委員長、二関委員、市川代行からは概ね通知と同様の内容が公表された。國森委員からは弱者に寄り添うという同じ方向を向いている弁護団と記者が相対するのは悲しいこと。申立人を含めて三者がもっと密にコミュニケーションがはかれたらよかったと感じている。」という発言があった。

以上