第168回 放送と青少年に関する委員会

第168回–2015年3月8日

「子どもが多く視聴する時間帯にいきなり
衝撃的映像」との視聴者意見は討論終了…など

第168回青少年委員会を、3月8日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。2月16日から2月28日までに寄せられた視聴者意見について話し合い、1案件について討論しました。その他、3月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、青少年委員会の用語の統一などについて話し合いました。
次回は4月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2015年3月8日(日) 午後4時15分~午後6時20分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「日曜朝の子どもが多く視聴する時間帯に、いわゆる"イスラム国"関連のニュース速報を放送していた。番組内容変更の説明もなくいきなり衝撃的な映像を流していて子どもが怖がっていた。事前アナウンスがあっても良かったのではないか」などの視聴者意見が多数寄せられた案件について、当該局から提出された当日の状況を説明する資料を基に討論しました。委員からは「番組変更の情報がほとんど無かったのは不親切だ」「今回は、子ども向け番組が中心の時間帯に衝撃的な映像が放送されたので、意見が集中したのだろう」「この時間帯の視聴者は子どもが多いことに想像力を働かせて対応してほしかった」などの意見が出ました。また、「子どもたちは、楽しみにしていた番組の突然の変更と衝撃的な映像に驚いたのだろうが、緊急のニュースも必要なので、これ以上は放送局に求められない」などの意見もありました。青少年委員会として「今後の教訓として、急な番組変更の場合、繰り返し番組変更の情報を告知するなど丁寧な周知対応が望まれる」という意見があったことを明記し、討論を終了することにしました。

  • 「いわゆる"イスラム国"関連の報道について、衝撃的な映像の使用など各局はかなり抑制的であったと認識しているが、今回の一連の報道において各局はどのような対応をしたのかを教えてほしい」として、委員会はNHKと在京民放5局に報告をお願いし、その報告を基に意見交換しました。委員からは、「各局は、独自の映像使用基準を設け、配慮しながら放送にあたっていることがよく分かった」「どの時間に放送されるか分からない番組PRでもいたずらに衝撃的な映像を使用しないよう徹底している局もあった」「状況の変化につれて使用する画像を変えていくなど細かな工夫をしていることが理解できた」などの意見が出ました。また、「放送では配慮した映像を使っていても、ネットでは衝撃的な映像がそのまま見られてしまう。青少年への影響を考えた時、テレビの枠組みだけで考えるのは難しい時代になってきている」という意見もありました。

  • 川崎中1殺害事件の報道について、「被害少年の暴行を受けた写真や額に傷のある痛々しい写真が放送されているが、被害少年の人権や、家族の心情を考慮する必要があるのではないか」「このような写真が放送されることによって、なぜ周りの人が気付いてあげられなかったのかというメッセージになる。軽々には問題があるとは言えない」「あざや傷、着衣の状況など、どこまで、いつまで情報を公開する必要があるのか、事件の性質を考えると悩ましい問題だ」などの意見がありました。

中高生モニター報告について

3月の中高生モニターは、「1年間の感想」及び「テレビに期待すること」というテーマでした。今回は22人から報告がありました。
「民放連賞最優秀を受賞した青少年向け番組の感想を書いたことが一番心に残りました。同年代の人が被災者の方々のために何ができるのか考えて行動しているのに、自分は何もしていない気がして恥ずかしくなりました」(青森・中学1年女子)。「前からBPOのニュースを耳にしていましたが、今回初めて存在意義が分かりました。今のテレビやラジオにとっては欠かせない機関だと思いました」(静岡・中学1年女子)。「モニターを務める前とは番組の見方が大きく変わりました。以前は考えてもいなかったことも考えるようになり、スタッフさん達が、テレビを少しでも盛り上げていこうという試みをしているのだと気付くようになりました」(東京・高校2年男子)。
テレビに期待することとして、「スマホやネットと連動した番組を作ること、また視聴者参加型の番組を多くしテレビを身近にしてほしい」(愛媛・高校2年男子)。「何か大きな出来事があった時に、一過性にするのではなく大事な事柄は継続的に報道してほしい」(神奈川・高校1年女子)。「誰も想像できない新企画や新しい人材の発掘で、見る人すべてを笑顔にして日本を楽しい国にしてほしい」(福岡・高校1年男子)。「危険を冒してまで笑いをとろうとしたり、注目を集めるため誤った情報を流したりせず、この放送で何を伝えたいのかということを常に念頭に置いて番組制作をしてほしい」(大分・中学3年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】この1年間モニターを務めて、いろいろなことが学べ、テレビについて深く考えたと書いているモニターがたくさんいて、成長過程の一助になったのではないかと思った。

  • (埼玉・中学3年男子)僕はこの1年間、テレビをはじめ、メディアについて多くのことを学びそして考えました。メディア・リテラシーについての本も読んで、テレビ番組はどのようにして作られるのかもっと裏側も見せるべきではないかと思いました。

●【委員の感想】制作者側が視聴者に訴えたいことがあって番組を作っていることが分かったというモニターがいた。

  • (三重・中学3年女子)今まで余り関心のなかったドキュメンタリーも視聴し、一つ一つの番組制作者の思いを感じることができました。作る側に視聴者に対する狙いや伝えたいことがあることがわかりました。

●【委員の感想】報告を書くのは大変だったが、放送とは何だろうと真剣に考えるようになったと書いているモニターがいた。

  • (佐賀・中学1年女子)この1年放送を考える一員となり、普通につけていたテレビが前とは違うように感じます。これからのテレビは、新しいことや知らないことを分かりやすく視聴者に教えてほしいと思います。

●【委員の感想】幼少期と比べて視聴時間は大幅に減ったが、この1年で、テレビの存在意義を考え直したというモニターの意見には、はっとさせられた。

  • (神奈川・高校2年女子)リビングのテレビの前に座り、ぼーっと眺める時間を幸せに感じます。そうした時間を得るためにもやはりマンネリ化した番組ばかりでなく長寿番組と言えるような安定して面白い番組が多くあってほしいとも思います。

●【委員の感想】テレビに期待することとして、大変貴重な意見を書いてくれたモニターがいた。

  • (広島・中学2年女子)特に未成年の事件があった時に、起きた内容だけを放送するのではなく、そういう事態を防ぐ方法をみんなで考えるような番組を作っていかないと今後も悲しいニュースがなくなることはないと思います。

●【委員の感想】ネットと違う役割をテレビは担ってほしいという意見が目立った。

  • (東京・中学3年男子)テレビには正しい放送をしてもらいたいです。ネットでは文責がはっきりせず、書いた人一人の判断で書かれているものが世界中に広がったりします。テレビ番組は一人では作れないと思うので、しっかりと調べて責任のある放送をしてほしいです。

調査研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査」について、担当の萩原委員から3月16日の研究報告会に向けた現状報告と、最終報告書の取りまとめについて事務局から説明がありました。

青少年委員会における用語の統一について

  • 2014年6月の第159回委員会で話し合われ懸案になっていた、青少年委員会で使われる用語の問題について、前回に引き続き意見交換しました。『放送倫理・番組向上機構 規約』『「放送と青少年に関する委員会」運営規則』や、『青少年委員会・視聴者意見の審議プロセスに「討論」を設けることについて』(汐見稔幸委員長2012年10月31日)などを基に行われている青少年委員会の運営を分かりやすく説明した「青少年委員会 議論の流れ」を作成し、3月16日の年次報告会で汐見委員長が公表することにしました。

今後の予定について

  • 来年度の意見交換会について、6月か7月に四国地区で、9月に九州地区で開催することを決めました。

その他

  • 来年度の中高生モニター募集について、事務局から応募状況などの報告がありました。

第167回 放送と青少年に関する委員会

第167回–2015年2月24日

「子どもが多く視聴する時間帯に説明もなく
いきなり衝撃的映像」との視聴者意見を討論…など

第167回青少年委員会を、2月24日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見について話し合い、2案件について討論しました。その他、2月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、2月13日に開催した山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は3月8日に定例委員会と中高生モニター会議を開催します。

議事の詳細

日時
2015年2月24日(火) 午後4時30分~午後7時10分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「日曜朝の子どもが多く視聴する時間帯に、いわゆる"イスラム国"関連のニュース速報を放送していた。番組内容変更の説明もなくいきなり衝撃的な映像を流していて子どもが怖がっていた。事前アナウンスがあっても良かったのではないか」などの視聴者意見が多数寄せられた案件について討論入りすることを決めました。当該局がどのような対応をとったのか報告を求め、次回引き続き討論することにしました。

  • 「和歌山の小5殺人事件の報道で、同級生が顔出しでインタビューに応じていた。このような事件の時に同級生の顔を出すことはどうなのか。疑問が残ります」という視聴者意見について討論しました。「他にインタビューした大人は顔を隠していたのに、同級生だけが顔を出していた。放送のあった時点ではまだ容疑者が捕まっておらず、このような段階で青少年の顔を出して報道することには慎重であってほしい」という意見があったことを公表し討論を終えることにしました。

  • 委員から、「いわゆる"イスラム国"関連の報道について、各局はかなり抑制的であったと認識している。これまでに青少年委員会は、『「衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮」についての提言』(2002年3月15日)、『「児童殺傷事件等の報道」についての要望』(2005年12月19日)、『子どもへの影響を配慮した震災報道についての要望』(2012年3月2日)を公表し、衝撃的な映像を放送するにあたって、放送局の配慮を要請してきたが、今後の参考にしたいので今回の一連の報道について各局はどのような対応をしたのかを教えてほしい」との意見があり、NHKと在京民放5局に報告をお願いすることにしました。

中高生モニター報告について

2月の中高生モニターは、「この1ヶ月程の間に見た番組の感想(バラエティー・クイズ・音楽)」というテーマでした。今回は29人から報告がありました。
クイズ番組が楽しくて勉強になるという報告を寄せてくれたモニターが多くいました。『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日)。「この番組は"義務教育サバイバルクイズ"というもので、私たちのような中学生には本当についさっき学校や塾で習った問題が出てきてすごく勉強になるしおもしろいです」(三重・中学3年女子)。『Qさま!!3時間SP』(テレビ朝日)。「勉強の番組なのに飽きさせないのでとても好感がもてます。この番組なら親も一緒に見られます。バラエティーの一部の番組のように見ていて飽きたり芸能人だけが楽しむ番組とは違い、この番組はほんとうに視聴者も楽しめます」(秋田・中学2年女子)。『してみるテレビ!教訓のススメ』(フジテレビ)。「こんなケースではどうなのか?といった、意外に知らない法律の話など役に立つ情報を交えながら放送していて、とても勉強になるおもしろい番組です」(沖縄・中学2年男子)。
また、地域の情報を詳しく扱った番組が大変いいという報告もありました。『満天☆青空レストラン』(日本テレビ/南海放送)。「地域の料理や物品をうまく紹介していて、こういう企画は、その地域に実際に食べる人が来て観光客が増えたり、地元に農業・漁業従事者を増やすきっかけになると思います」(愛媛・高校2年男子)。『ドォーモ』(九州朝日放送)。「この番組は九州メインで放送されています。私は、特に木曜ドォーモの企画がとても好きです。普段見ている番組とは違い今まで自分の知らない世界が広がるのでいいです」(福岡・高校1年男子)。
人気のバラエティー番組にはやはり熱い支持が寄せられました。「私は『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日)を視聴した。単純明快、くだらなさこそがバラエティーである。そのくだらないことに本気で取り組む様子に自然と笑いがこみ上げる。テレビ番組はもっとエンターテインメント性を重視してもいいのではないか」(東京・高校2年女子)。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ)。「欠かさず見ているテレビです。後半に向かって本当にバカバカしくて笑ってしまった。結局は、あ~笑った笑ったで終わるこの番組はすごいと思う。芸人は遠い存在なのに、この番組ではすごく身近に感じる。司会のダウンタウンが出演者の芸人を笑っているけど、温かいものを感じるから見ていて気分がいいのかなと思った」(東京・中学2年男子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】バラエティー番組に厳しい意見を寄せたモニターがいた。

  • (福岡・中学1年女子)『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ/青森放送)。イモトさんもオーシャンズ金子さんも声がでかくて声で笑いを取ろうとしているように見えて不快でした。ただ馬鹿でかく声を張るのではなく内容を大事にしたほうがいいと思いました。

●【委員の感想】バラエティー番組への強い支持をユニークなリポートで表現した報告もあった。

  • (神奈川・高校2年女子)『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)。久しぶりにテレビを見て笑う、という体験をして心地よい時間となりました。普段、テレビは時間の無駄と思ってゆっくり見ることもないのですが、たまにはこうしていい意味でのゆったりした無駄な時間を過ごすのもいいかもしれないと思いました。
  • (東京・高校2年女子)『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日)。テレビの最大の利点を有効に使うには出演者が縦横無尽に動き回るバラエティー番組が最適で、テレビというメディアが生き残る道もここに集約されるのではないか。映像を通して視聴者にめったにできないことを疑似体験させ、「くだらない」を極めた番組が増えることを期待している。

●【委員の感想】作った言葉でなく普通のしゃべり方で話す出演者に好意を寄せているモニターの報告が印象に残った。

  • (佐賀・中学1年女子)『みんなの疑問ニュースなぜ太郎』(テレビ朝日/九州朝日放送)。
    司会の城島さんは、普通の人の感覚で質問したり話を聞いたりしているので親近感がわきます。説明する人も難しい言葉とか英単語、カタカナのような言葉を使わないので、普通の人や中学生にも分かりやすいです。偉そうな人が難しい言葉で話していると、レベルが違うから見る気がしなくなります。

●【委員の感想】中高生の間では、知識を得られる番組に対する評価が高いようだ。

  • (東京・中学3年男子)『NHKスペシャルNEXT WORLD 寿命はどこまでのびるのか』(NHK)。再生医療や3Dプリンターを使う最新の技術の紹介と近未来ドラマの組み合わせでおもしろく見た。難しい理論を専門家がタレント相手に説明する番組より楽しく知識を吸収できた。

●【委員の感想】テレビの映像やニュース内容に対する素直な感じ方を書いてくれたモニターがいた。

  • (広島・中学2年女子)イスラム国が日本人2人を人質にしたニュースをずっとやっています。身代金の期限は今度の金曜日午後です。今は生きている人が後数日に殺されてしまうかと思うと、とても怖いですしニュースも見たくありません。でもずっとこのニュースをやると思うので見てしまうと思うと本当につらいです。

調査研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査」について、担当の萩原委員から3月16日の研究報告会に向けた現状報告がありました。

青少年委員会における用語の統一について

  • 2014年6月の第159回委員会で話し合われ懸案になっていた、青少年委員会で使われる用語の問題について、担当の渡邊委員と事務局から説明があり、今年度中にまとめることを確認し、次回委員会で引き続き検討することにしました。

今後の予定について

  • 3月8日開催の「中高生モニター会議」について、内容の確認が行われました。
  • 来年度の中高生モニター募集について、事務局から応募状況などの報告がありました。

その他

  • 環境省の「エコチル調査」の報告が事務局からありました。
  • 2月5日に加藤副委員長が講師派遣でテレビ埼玉に行き講演した報告がありました。
  • 2月6日に小田桐委員が石川テレビ制作の青少年向け番組『8ッピーLive いしかわキッズ!』の視察に行った報告がありました。(報告の概要は、下記掲載)
  • 2月13日に汐見委員長、加藤副委員長、最相委員が参加して山梨県甲府市で行われた意見交換会の報告がありました。(「意見交換会・勉強会」の概要は、下記掲載)

◆石川テレビ『8ッピーLive いしかわキッズ!』に出演して◆

青少年委員会委員・小田桐誠

民放各局は「青少年に見てもらいたい番組」を公表しているが、その中に子どもたちが出演する同年代(とその保護者)を対象にしたレギュラー番組はほとんどない。そんな中、石川テレビが "子どもの子どもによる子どものための番組"を編成していると聞いた。
青少年委員会は青少年にとっての放送番組の向上を目的とした組織であり、各局に苦言を呈するだけではなく、このような番組の存在や制作ノウハウを各局に知ってもらい、その輪をひろげていくことも重要な使命のひとつである。そこで、早速視察に~打ち合わせの途中からどういうわけか出演することに~、北陸新幹線開通を控えた金沢に出かけた。
『8ッピーLive いしかわキッズ!』は毎週土曜日の午前10時30分から11時15分まで放送されている、石川県在住の小中学生「キッズリポーター」が"石川のいま"を伝える情報番組。出演の中心は"キッズ"だが、番組内容は大人が見ても十分楽しめる構成になっており、決して子どもだけをターゲットにしているものではないと感じた。
私は、番組中のミニコーナー「キニナル?ミニナル!ゼミナール」に生出演。同コーナーでは、週替わりで様々な分野の専門家が出演し、"キッズ"たちと一緒に勉強している。10分ほどの短い時間だが、「テレビのみ・か・た」と題し、テレビの歴史やテレビが役立つのはどのようなときか、どんな番組を作りたいかなどについて、MC2人とともに4人の"キッズ"たちとやりとりした。
出演に先立ち、"キッズ"にテレビに関するアンケートを実施した。「宿題をしながら」「スマホをいじりながら」など、テレビの"見方"はさまざまだが、家族と一緒に見ている子どもたちが意外に多いと実感。テレビに大きな期待をしている子どもたちもまだまだたくさんいる。各局の制作者たちは、そんな子どもたちに力強いテレビの"味方"、ときには厳しい応援団になってもらうための番組作りに邁進してほしい。
最後に同局および番組制作スタッフ、"キッズ"のみなさんの協力に感謝したい。
(小田桐誠)

◆意見交換会(山梨)概要◆

青少年委員会は2月13日の午後3時から6時にわたり、山梨県甲府市の山梨放送(山日YBS本社)で、在山梨放送局担当者との意見交換会を開催しました。
山梨地区の番組は、日本民間放送連盟賞の特別表彰部門「青少年向け番組」に多数入賞するなど、いわゆる「青少年向け番組」に関する取り組みが充実していることから、同地区放送局との意見交換を通じて相互理解を深め、放送界全体の番組向上に役立てるために企画したもので、同地区での意見交換会の開催は初めてとなります。
BPOからは汐見稔幸・青少年委員会委員長、加藤理・同副委員長、最相葉月・同委員の3名、放送局側からはNHK、山梨放送、テレビ山梨、エフエム富士の各BPO連絡責任者、制作・報道担当者など27名が参加し、論議が交わされました。
意見交換会は2部形式で実施し、第1部では、BPOや青少年委員会の役割などについて事務局から説明しました。また、委員が事前に視聴・聴取した、各局の「青少年向け番組」について感想を述べ、意見交換しました。委員からは、「視聴した後にも余韻をかみしめられるような、手間暇かけた内容の番組が多く、すがすがしい気持ちになった」「青少年だけではなく年代を越えて共感できる内容であり、作品に力がある」「新たな発見もあり、豊かな時間を過ごすことができた」などの感想が寄せられました。
第2部では、「地元密着型の番組制作」「青少年向け番組」「メディアリテラシー」のそれぞれのテーマについて、意見交換しました。
「地元密着型の番組制作」については、委員から、「家族のだんらんを大切にしている県民性や青少年を地域で育む意識が高いことなどが伝わってきた」「取材対象者との関わりかたが上手。距離をとりながら魅力的に人物を描いている」などの感想が寄せられました。放送局側からは、「山梨の人が山梨の良いところを知らないのではないかと感じている。東京に近くて大自然があり、NPO法人が調査した『ふるさと暮らし希望ランキング』で1位になるなど、潜在的な財産が多くある。メディアが発信していくことで地域に恩返ししたい」「山梨はケーブルテレビの普及率が高く、キー局の番組を受信できる環境にある視聴者も多い。そこで、キー局の番組との差別化を図るため、地元に密着した良質な番組を作り上げていこうという意識が強い」「NHKも含めてテレビ局が3局しかなく、互いに切磋琢磨している。また、番組コンクールでの受賞なども励みになっており、放送局間はもちろんのこと、同局の社員同士でも『負けたくない』との意識で一生懸命制作している」などの考えが示されました。その一方で、「狭い社会であり、少し番組に出ただけで注目されてしまうので取材が難しい。出演に際しての説得に苦慮している」など、現場ならではの苦労も披露されました。
「青少年向け番組」については、「そもそも青少年向け番組とは何か」との論議がありました。委員からは、「児童文学であれ放送であれ、素晴らしい作品ははじめから青少年向けに作られたものではない。当地区での作品も様々な年代の視聴者が共感できる内容となっている」との発言があり、放送局側からも、「青少年のみに視聴してもらうために制作している訳ではない。様々な年代の視聴者が納得できる作品を目指している」など、基本的な制作スタンスについての考えが示されました。報道や情報番組などにおける具体的な取材・制作手法については、「危険ドラッグの取り上げ方などに際しては、社内でも徹底的に議論するなど、細心の注意を払っている」「ゲームやスマートフォンを過剰に取り上げることで、子どもたちの欲求を惹起してしまうのではないかと考えると、取り扱いが悩ましい」などの発言がありました。また、メディアリテラシーについては、「視聴者によってリテラシーの差が大きく、基準をどこにあわせるかが難しい」などの悩みが寄せられました。
最後に汐見委員長から、「山梨地区における各放送局の番組作りは、足元にすばらしい自然や歴史、文化があることをメディアが広めて行く、ひとつのモデルになり得ると感じた。これからは、視聴者参加型の番組などを通じて、県民の皆さんに『私たちの番組』であるとの意識をもってもらうことが大切だと思う。キー局とは違ったアプローチでこれからも頑張ってほしい。本地区での取り組みを各局に伝えていくことを通じて、『視聴者と放送事業者を結ぶ回路』としての、青少年委員会の役割を広げていきたい」との、まとめの言葉があり、3時間にわたる会合を終了しました。

第166回 放送と青少年に関する委員会

第166回–2015年1月27日

"休日夕方のアニメで、刺激的なシーン"全委員が視聴した上で討論…など

第166回青少年委員会を、1月27日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。2014年12月1日から2015年1月15日までに寄せられた視聴者意見について話し合い、1案件について討論しました。その他、1月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、2015年2月の山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は2月24日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2015年1月27日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「休日夕方のアニメで、若い女の子が全裸になったり下着を見せたりする刺激的なシーンがあった。子どもたちに悪影響を及ぼすので自重してほしい」などの視聴者意見があったアニメ番組について、全委員が当該番組を視聴した上で討論しました。委員からは「”午後5時から9時に放送する番組について、とりわけ児童の視聴に十分配慮する”必要がある。どうしてあのようなシーンが必要なのだろうか。性的なことを簡単に入れ込んでしまう最近の風潮に抵抗を感じる。時間帯や視聴者の年齢を考えた時、制作者はもっと慎重であってほしい」「ライトノベルや漫画を、時間帯を考えずにアニメ化すると視聴者から意見が来るということだろう」などの意見が出ましたが、「視聴者からの意見ほど刺激的とは思えなかった」という意見が多数を占め、審議入りしないことにしました。

中高生モニター報告について

1月の中高生モニターは、「年末年始番組を見た感想」というテーマで書いてもらいました。今回は25人から報告がありました。
人気番組に意見が集中しました。『紅白歌合戦』(NHK)。「いつもと違い歌をどんどん歌ってくれるのが嬉しくて楽しかったです。子どもから大人まで楽しめるのがこの番組だと思うので、今年の大みそかも期待しています」(岡山・高校1年女子)。「巨大なセットや大きなバックスクリーンを使った演出は、紅白ならではのビッグスケールで歌を何十倍にも楽しめました。また、どの歌手がどのあたりに出るかがあらかじめ分かっていたのも、他の音楽番組と違った良さでした」(東京・中学2年女子)。「今年はウイスパー~アニメ『妖怪ウオッチ』(テレビ東京)のキャラクター~なども出てきてすごくおもしろかったです。小さい子どもも歌ばかりではなく飽きずに見られて良いと思います。2015年も今まで以上に笑えて年越しができるようにお願いします」(滋賀・中学1年女子)。
『絶対に笑ってはいけない大脱獄24時!』(日本テレビ)。「毎年違うテーマで飽きることはありません。とにかくおもしろいです。この番組を是非毎年やってほしいです」(神奈川・中学1年男子)。「年末はいつもこの番組を見ています。クラスの友だちも殆どがこの番組を見ていて、よく話題にします。この番組はいろんな芸能人が頑張っていておもしろいです」(広島・中学2年女子)。
大型ドキュメンタリー番組を視聴したモニターもいました。『戦後70年 ニッポンの肖像 プロローグ 私たちはどう生きてきたか』(NHK)。「戦後70年といっても、私たち中高生はまだそのうちの20年弱しか生きておらず、残りの50年は見聞し想像するしかない。私自身、平和な生活を享受する中で”戦争”“戦後”に思いを馳せることは容易ではなく日本が歩んできた道を確認したいと思っていた。この番組はその願望を見事にかなえてくれた」(東京・高校2年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】人気のバラエティー番組への熱い賛辞がある一方で正反対の厳しい意見もあり、感慨深く読んだ。

  • (福岡・高校1年男子)『絶対に笑ってはいけない大脱獄24時!』(日本テレビ/福岡放送)。この番組は私にとっては『紅白歌合戦』よりも好きであり、これを見なければ年を越せないぐらいこの番組はおもしろいです。
  • (愛媛・高校2年男子)年末年始、だらだらと放送している番組が多い。例えば『絶対に笑ってはいけない大脱獄24時!』(日本テレビ/南海放送)。年を越してまで放送する必要があるのかと思う。
  • (愛知・高校2年女子)『絶対に笑ってはいけない大脱獄24時!』(日本テレビ/中京テレビ)。BPOの審議にかけられても、年々危なく下品になっていくのは反対です。しかし、そういうことをしていかないとテレビ業界に残っていけないのかと思うと、複雑な気持ちです。危なくなく、下品にならないけれど、心から笑える番組を作ってほしいです。

●【委員の感想】最近の番組は企画の自由度が減っているのか新しいものを生み出そうという制作意欲が感じられないという報告には同感する。

  • (埼玉・中学3年男子)『相棒』(テレビ朝日)のように何度も同じものを再放送されると飽きてしまい、本放送にも影響してしまいます。「新鮮味ある番組」「見たことのない種の番組」を見てみたい。放送局のスタッフならそれに応えることができるはずです!
  • (宮城・高校1年女子)過去の番組のリメイクが多く見受けられ、それがマンネリ化や、視聴者離れを加速させている大きな要因の一つだ。過去の栄光にしがみつくよりも、新しいものを作る努力が今のテレビ局に必要とされていると思う。

●【委員の感想】自分の弱点を笑いにする芸人さんの潔さを褒めているモニターがいた。

  • (佐賀・中学1年女子)『アメトーーク!』(テレビ朝日/九州朝日放送)。”運動神経悪い芸人”のコーナーがとてもおもしろかったです。久しぶりに家族全員で笑いました。人の欠点を笑ってはいけないけれど、一生懸命だし、自分の欠点を笑いにできることがすごいなあと思いました。

●【委員の感想】地方局制作の深夜番組を熱心に視聴し、褒めている感想が印象に残った。

  • (佐賀・中学1年女子)『ナンデモ特命係 発見らくちゃく!』(福岡放送)という深夜の番組があります。「一日限りの高校生」という企画は、ひきこもりで不登校になった若い男の人が高校生にあこがれて、一日だけ高校生を体験する内容でした。普通のことが経験できなかった気持ちが伝わり泣けました。みんなに見てほしいなと思いました。

調査研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査」について、3月16日の年次報告会に先立ち、報告会を行うことなどが話し合われました。

今後の予定について

  • 2月13日に、汐見委員長、加藤副委員長、最相委員が参加して、山梨県甲府市で地元放送局と意見交換会を開催することについて事務局から報告がありました。
  • 2月6日に、小田桐委員が石川テレビ制作の青少年向け番組『8ッピーLiveいしかわキッズ!』視察に行くことに関しての報告がありました。
  • 2月5日に、加藤副委員長が講師派遣でテレビ埼玉に行くことについて報告がありました。

その他

  • 「青少年へのおすすめ番組」から、北海道テレビ制作『帰れぬ故郷』、サンテレビ制作『神戸在住』を加藤副委員長が視聴し、感想を送ったとの報告がありました。

第165回 放送と青少年に関する委員会

第165回–2014年12月16日

"深夜帯番組の性的表現"に関する「委員長コメント」を公表
…など

第165回青少年委員会を、12月16日に7人の委員全員が出席してBPO第2会議室で開催しました。11月16日から11月30日までに寄せられた視聴者意見について話し合い、前回から継続の1案件について討論しました。その他、12月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、2015年2月の山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は1月27日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年12月16日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「若手男性芸人が裸で抱き合ったりわいせつな行為を繰り返していた。深夜番組とはいえ"限度"を超えている」などの視聴者意見があった関東圏の独立局などで深夜に放送している音楽バラエティー番組について、前回の2回分に続き新たに3回分の放送を視聴した上で、前回に引き続き討論しました。委員から "ロックな入浴"のコーナーについて、「画面上で修正は入っていたが、男同士で性器への直接的な行為を行っていた。男女で同じ行為をした場合でも放送に問題はないと考えるのだろうか。男同士ならばおふざけで済むのではないかという制作者の考えは問題だ」「男同士の性的行為を笑いのネタにしている。民放連・放送基準には"性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する"となっているが、今の社会的な流れを理解しないで安易に制作しているのではないか」「別の番組で女性アイドル同士が胸を触り合うといった表現があったが、性的マイノリティーや視聴している青少年への配慮が必要だ」「別の部屋で女性二人がモニターで修正のない男性の裸の映像を見ていて、その女性の反応を見て楽しむというのはハラスメント的要素がある」「男性目線で作られていて、女性が見て嫌悪を感じる表現が多い」などの意見がありました。今回は審議入りしないものの、当該番組や、最近の深夜帯番組における過剰な性的表現に対して、汐見稔幸委員長のコメントを公表することにしました。

2015年1月8日

"深夜帯番組の性的表現"に関する
「委員長コメント」
~深夜の音楽バラエティー番組の討論をふまえて~

放送と青少年に関する委員会 委員長 汐見 稔幸

BPO青少年委員会は、関東圏の独立局などで深夜に放送された音楽バラエティー番組について、2014年11月から12月にかけて、問題とされた回を含め5回分の放送内容を視聴し討論を行った。
この番組は、放送基準に背馳すると思われる内容を含んでおり、特に性的に刺激の強いシーンが目立つものであった。委員からは厳しい批判意見も出て、深夜の放送であれば性的に多少過激な表現であっても許されるだろうという姿勢がみえるという点で意見が一致した。深夜であるからある程度の大胆な性的表現も許されるという規定は、実はない。民放連・放送基準の第18条には「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する」とあり、解説に"テレビでは、午後5時~9時に放送する番組について、とりわけ児童の視聴に十分配慮する"とあるが、これは、午後5時~9時以外は大胆な性的表現は許されるということを意味していない。要するに深夜帯の番組での性的表現については、制作者がこれまでの慣行で、それ以外の時間帯よりも基準を緩和してもよいと理解し放送していると思われる。
私自身は、そうした形で、深夜帯の番組は、それ以外の時間帯よりも性的表現の基準を緩めて適用することすべてをダメだと考えているわけではない。多くの国でそうした基準緩和が行われていることも了解している。しかし、慣行で基準を緩めているだけで積極的な基準がないため、ときに視聴者が嫌悪するような行き過ぎた内容になっていたり、人権侵害や公序良俗にもとる内容になっているのに、そのことに番組制作者が気付かないでいるのではないか、との危惧は持っている。今回の討論でもそのことが議論になった。
こうした批判や疑念が生まれるのは、深夜帯の番組における性的表現についての基準が明確な形では存在しないことが背景にある。しかし、だからといってそうした基準を多様な関係者の議論を経ることなく拙速に作成しても、それがわが国のテレビ番組の内容を向上させる方策になるとは考えにくい。そうした局面で、委員会が当該番組を審議しその内容がBPOの深夜帯番組の性的表現の基準となることには慎重でありたいと思う。
そこで、委員会は、今回は当該番組を個別に審議するのではなく、最近の深夜帯番組の性的表現に対して視聴者からも委員会からも強い批判や懸念があることを受けとめていただくことを前提に、放送の公共的責任についての自覚を持った上で、該当局だけでなく、各局においても、深夜帯番組における性的表現のあり方について速やかに議論を行っていただくようお願いすることにした。それがこうした批判や懸念をより生産的に番組内容の向上に繋げる方策になると考えるからである。

中高生モニター報告について

12月の中高生モニターは、「日本民間放送連盟賞 特別表彰部門(青少年向け番組)で最優秀とされた番組の感想」というテーマでリポートを書いてもらいました。今回は29人から報告がありました。
今回受賞した番組は、福岡放送が制作し、2014年3月10日(月)午前1:45~2:45に放送した『目撃者f 「震災のこと、忘れない~14歳のメッセージ」』です。これは、福岡放送が福岡県田川市立中央中学校の放送部員とともに制作した、東日本大震災をテーマにしたドキュメンタリーです。放送部員たちは、被災地の中学生や仮設住宅で暮らす人たちを取材し、震災や被災地とどう向き合うべきか悩み、取材や放送の難しさに気付いていきます。番組は、放送部員が撮影した映像やインタビューも使って構成されています。
今回は、熱心に長いリポートを書いてくれたモニターがたくさんいました。番組を見て、自分も被災地の復興のために、何かやらなければ、と思ったという報告が数多く寄せられました。「私は被災地に近い同じ東北に住んでいるのに、九州の福岡の人があそこまで頑張って現状を知ろうとしたり、思いを伝えたりしているのに比べて、自分が情けなくなりました。同じ14歳として負けていると思いました」(秋田・中学2年女子)。「この番組の子どもたちは私と同じ中学生なのに、ここまで違うのかと悔しく思いました。3年たった今、私に行動しなければという意志を作ってくれた番組でした」(広島・中学2年女子)。自分たちがいかに恵まれているかを認識させられ、生活を大切にしたいと思うようになった、というモニターもいました。「私はこれを見て一日一日を大切にしたいと思うと同時に、今生きていられることに感謝したい」(静岡・中学1年女子)。「この番組の視聴を機に自分には何ができるんだろう、口先だけではなく行動を伴ってできることは何だろうということを考えています。ああ、今私が生きていることって幸せなんだなと思います」(神奈川・高校2年女子)。番組の具体的な構成内容を褒める意見も寄せられました。「放送部が作った作品に私は感動しました。アニメーションにしてあって、被災者の気持ちが伝わってきて良かったです」(佐賀・中学1年女子)。「中央中学校放送部のビデオが良かった。イラストをつなげて作ったアニメも良かった。自分だけではできないけれど、力を合わせればできることってあるのだなと感じた」(東京・中学2年男子)。
放送時間の問題を指摘する意見も寄せられました。「この番組は深夜に放送していて、正直、誰も見ていないと思います。ゴールデンタイムにこのような震災関連の現実的な番組を放送してはどうでしょうか」(宮城・中学2年男子)。「昔、日本で戦争があったという事実を伝えるのと同じようにこの番組も後世に伝えるべき番組だ。こういう番組は深夜ではなく、土日の夕方に放送すべきだ」(愛媛・高校2年男子)。
"がれき撤去"という言葉のもたらす被災者の心理への影響を、しっかり感じとったモニターもいました。「がれき撤去は、私たちにとってはただ壊れたものを取り壊す作業に過ぎないが、被災地の人にとっては、自分たちの思い出を取り壊しているようなものだと知り、とても胸が痛みました」(愛知・高校2年女子)。「被災者の大切なものを"がれき"と呼び、それを"整理"ではなく、"処理"と名付けたことをはじめとして、震災に関する様々なことに当事者でない私たちは無関心すぎたと反省した」(大阪・中学3年女子)。
番組の内容に疑問を感じるという報告も寄せられました。「なぜ生徒たちが被災地を訪問することになったのかが番組中で具体的に示されず、もやもや感が残った。また、番組の作りにおいて、被災地で取材する少女たちを、放送局が取材する二重構造になっていたので、どちらが撮影した映像なのか曖昧だった。改善が必要だと思う」(宮城・高校1年女子)。「中学生が仮に被災地に行ってビデオを作ろうとしても、その費用はどこから出たのでしょうか。福岡放送が出したのでしょうか。被災地から遠く離れた福岡の中学生が被災地を取材しようと思った動機が詳しく説明されていれば良かったのに、と思いました」(広島・中学2年女子)。「『先生から震災に関するビデオ製作を依頼された』という出発点は外発的動機であり不純に感じた。また、中学生が取材した映像と放送局が取材した映像が、かわるがわる出てくる構成は、視聴者を混乱させ、どちらを見せたいのか、何を見てほしいのか、テーマがはっきりしない。私の理解力の無さに起因するのかもしれないが、伝えたいことを明確に提示してほしいと思った」(東京・高校2年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】番組を制作する側が気付かない見る側の感情がある、ということを指摘した報告が目立った。よかれと思って作っても人を傷つけることがあるということをいつも意識しておく必要があることをモニターたちも感じとったようだ。テレビ番組制作者も常に肝に銘じていてほしい。

  • (滋賀・中学1年女子)仮設住宅で『おもかげを、胸に』(福岡県田川市立中央中学校放送部制作)を上映したところ、一人のおばあさんが抜け出しました。そのおばあさんは、震災で、5人の家族を亡くしてしまっていて、放送部の人たちは、傷つけたんじゃないのか…と泣いてしまいました。私も同じ立場になったら、たぶん泣いたと思います。
  • (佐賀・中学1年女子)泣き出す人や途中席を離れる人がいて、放送で傷つく人の様子が映されていました。その後、生徒みんなで「作品を見せてよかったのかな…」と後悔していました。自分たちの作品が人を傷つけてしまったことに気付けて良かったと思います。

●【委員の感想】震災という一つの事象に関して最初は三人称の認識しかなかったモニターたちが、この番組を見ることによって、二人称の認識から一人称の認識へとだんだんと認識を深め、当事者性を身につけていった。その意味でこの番組は大変価値がある。

  • (東京・中学2年男子)大事な気持ちを思い出させてくれた番組だった。今の自分は日常に精いっぱいで震災の悲劇を忘れていないか。被災地の人にとっては終わってなく、ずっと続いていくことなんだと改めて知った気がする。自分がたった今できることは?大人になったらできることは?いろいろ考えてしまった。

●【委員の感想】同年代が主役なので、感情の移入がしやすかったという報告がいくつか
見られた。

  • (大分・中学3年女子)一人一人の言葉が心にぐっと来て、本当に考えさせられる番組だったと思います。このように、大人ではなく、中学生くらいの年代の人を主役にしているのは、私たちからしてみれば、見方・考え方が同じなので共感しやすく、見やすかったです。

●【委員の感想】テレビ番組に対する不信感があるのか、「作為的ではないか」など番組制作の裏事情を探るような報告があった。

  • (広島・中学2年女子)悪く言えば中学生の取材ビデオが良く出来過ぎており、放送局サイドの作為的な要素「ビデオを見ている老人が途中退席した」り、「中学生がお詫びの手紙を書く」なども怪しいと思います。最初に福岡放送がこの番組を作りたいために中学生サイドに話を持ってきたのではないのか?という疑問が湧いてきます。

●【委員の感想】率直な感想を述べてくれたモニターたちには、共感を覚えたし、一生懸命番組を見てくれたことに対して感動した。

  • (神奈川・高校2年女子)この番組に出会えてよかった。ありふれた言葉ですが、心からそう思いました。私よりも年下の女の子たちが、真剣に悩み、行動して、考えている姿を見て心が、ざわざわしました。焦燥感、もどかしさ、苦しさ、感動、自己嫌悪…色々な感情が渦巻いています。
  • (宮崎・高校2年女子)家に帰ってテレビをつけて私は言葉が出ませんでした。たった一日のたった一瞬のことだったけれど、今でもあの時の気持ち、あの時の映像は鮮明に残っています。私たちのように震災の被害のなかった福岡県の中学生がこんなにも深く震災のことについて調べ、考え、行動するのは本当にすごいことだと思いました。私たちの将来が被災地の方々の力になれるように、今は震災のことを忘れずに、一生懸命生きようと思いました。

調査研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査」について、発表の時期や方法についての話し合いがありました。

今後の予定について

  • 2015年2月の山梨での意見交換会の準備状況について事務局から報告がありました。
  • 石川テレビ制作の青少年向け番組『8ッピーLiveいしかわキッズ!』視察に小田桐委員が行くことに関しての報告がありました。

その他

  • 「青少年へのおすすめ番組」から、関西テレビ制作『狩猟雪姫』を加藤副委員長が視聴し、感想を送ったとの報告がありました。

第164回 放送と青少年に関する委員会

第164回–2014年11月25日

「深夜番組とは言え"限度"を超えている」と意見があった音楽バラエティー番組は継続討論に…など

第164回青少年委員会を、11月25日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。10月16日から11月15日までに寄せられた視聴者意見から、2案件について討論しました。その他、11月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、当日委員会後開催の在京放送局との意見交換会・勉強会、2015年2月の山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は12月16日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年11月25日(火) 午後2時00分~午後4時00分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「ゴキブリの交尾の模様をAV俳優に演じさせた映像を流していた。深夜の放送ではあるが下品この上ない」などの視聴者意見があった近畿圏で深夜に放送されたローカル番組について、委員が3回分の放送を視聴した上で討論しました。委員からは、「深夜枠でのチャレンジングな企画だろうが、AV俳優を使った映像など、切り口が上品さに欠けている」「下ネタ、わい談が多く品がない。制作者は自社の番組基準を意識しながらギリギリの線で作っているのだろうが、少しも面白いとは感じなかった」「番組基準ギリギリの線で作れば見てくれると誤解しているのではないか」という意見がありました。また「性的な表現については見る側の主観的要素がかなり関わってくる。判断の難しいところだ」「視聴者からの反応はそれほど多くなかった。視聴者は時間帯を考えて見ているのではないか」「意図的に裸を見せているのではないので嫌悪感はなかった」「深夜帯の性的表現については委員会のテーマとして考える必要があるが、この番組そのものを特に取り上げる必要はない」などの意見が出て、結局審議入りしないことにしました。しかし「過剰な表現によってテレビの信頼性が損なわれてしまうことを危惧する」という意見があったことを付け加えることにしました。

  • 「若手男性芸人が裸で抱き合ったりわいせつな行為を繰り返していた。深夜番組とはいえ"限度"を超えている」などの視聴者意見があった関東圏の独立局などで深夜に放送している音楽バラエティー番組について、委員が2回分の放送を視聴した上で討論しました。委員からは「男同士の悪ふざけで、特に何も感じなかった」という意見もありましたが、「こういった映像を流して何が面白いのだろうか。番組の意図が分からない」「男同士でかなり不快な行為を行っている。別の部屋では女性二人がモニターで修正のない映像を見ている。ある種のセクハラではないか。悪ふざけの範囲を超えていて許容できない」「ロックな音楽バラエティーと称していて、異色な音楽番組で面白いと思って見ていたが"ロックな入浴"はロックがなめられている気がして残念だ」「映像表現が下劣、下品だ。別の部屋で見ている女性の反応を見て楽しむというのはハラスメント的要素がある」などの意見があり、"ロックな入浴"の残り2回分とそれ以外の放送分も視聴した上で、次回も引き続き討論することにしました。

中高生モニター報告について

11月の中高生モニターは、「この1か月程の間に見た番組(ドラマ・アニメ)の感想」というテーマで書いてもらいました。今回は22人から報告がありました。
いくつかの人気のドラマ番組に対して、意見が集中して寄せられました。まず、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日)「非常に面白いドラマであるが、同時に訴えかけてくるメッセージに影響される人が多いので、視聴率が高いのだろうなと思った」(東京・中学3年男子)、「このドラマの主人公は、自ら厳しい環境で経験を積んだことによって個の力を手に入れたと思うので、僕も何事にも主体的に取り組んで経験を積んでいきたいと思います」(沖縄・中学2年男子)など、自分自身の生き方と比べて考えさせられるという意見が多く見られました。『ごめんね青春!』(TBSテレビ)については、「毎回とても元気をもらっています。面白いだけでなく、感動シーンも多くあり、自分の生活や考え方を見直すことがあります。このように、明日も頑張ろう!と思えるドラマがもっと増えたら良いのになと思います」(宮崎・高校2年女子)、「脚本の宮藤さんは三島市出身ではないのに地元でしか知らないことも、よく調べあげていて、すごいと思います。これからも、テレビは、地方を舞台にした魅力ある内容のドラマを作り、その地方について教えてほしいです」(神奈川・高校1年女子)など、中高生に強い人気があることが分かります。『相棒』(テレビ朝日)に関しては「今回のseason13は、前のseason12よりパワーアップしてさらに面白くなりました。これからも楽しい『相棒』に期待しています」(宮城・中学2年男子)、「この番組を再放送することが多いが、昔のもの、season1とかいい話ばっかりだ。最近の話でなく昔のものも再放送してほしい」(愛媛・高校2年男子)などの意見が寄せられました。
アニメ番組に関しては強く支持する意見が複数ありました。『七つの大罪』(毎日放送)「このアニメは、映像が他のアニメと違い独特な世界観を出しています。一度見ただけでとても印象に残ります。また、次週も見させる工夫をうまく考えていて、自分もその作戦にまんまと引っかかっていると思うと悔しいです」(東京・高校2年男子)。『団地ともお』(NHK)「ともおたちがやること、話すことに共感できます。視聴者がその番組に共感できることは良いと思います。また、主役のともおは、小さい命も大切にする人で、考えさせられるアニメです」(神奈川・中学1年男子)。『寄生獣 セイの格率』(日本テレビ)「原作漫画と差があるのでは、と心配でしたが、いざ見てみるとあまり違和感はなく、自分は人なのか化け物なのかといった主人公の苦悩が丹念に描かれていてとても面白いです。特に規制表現も入らず、見ていてとても引き込まれます。物語は中盤に入ったころなので、今後の展開が楽しみです」(東京・中学3年男子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】中高生は、自分の好きなコミックがテレビでどう展開され、演出されるか強く期待と興味を持っているようだ。

  • (広島・中学2年女子)『ワンピース』(フジテレビ/テレビ新広島)アニメになるとコミックより、動きや会話が分かりやすくなる。主人公が常に仲間と一緒に協力して強い敵を倒していったり、生きていくのに苦しまない人間はいないということもよく表現できていて良いと思った。
  • (岡山・高校1年女子)『きょうは会社休みます。』(日本テレビ/西日本放送)漫画ファンにとっては実写化されたドラマの内容がどれだけ原作と変わっているか、誰がどの役をしているのかは本当に大切なところだ。このドラマの人気が出るのも、キャストや演出が良いからだと思う。

●【委員の感想】テレビ番組に関して、評論家さながら、鋭い視点を持って評価している報告があった。

  • (東京・高校2年女子)『世にも奇妙な物語’14秋の特別編』(フジテレビ)今回のドラマはどれも斬新かつ印象的で、ラストまで目が離せなかった。まず、5本のオムニバスドラマ+5本の超短編という構成が良い。間延び感が全くなかった。超短編には数分ながらスパイスの効いたアイディアが光っていた。また、結末もハッピーエンドとバッドエンドが半々だったため、視聴者側に判断が委ねられ、おしつけがましくなく良かった。

●【委員の感想】本編と予告の内容の乖離に疑問を述べたモニターがいた。

  • (青森・中学1年女子)次回予告はどのドラマもうまく作られていますが、実際に番組を見ると映像や音声が異なっていることがあります。それはやって良いことなのですか?期待と異なりがっかりしてしまいます。

●【委員の感想】身構えず、のんびり楽しく安心してドラマを見たい、また学校での話題作りとしてドラマを見ている、という意見が散見した。

  • (滋賀・中学1年女子)『ごめんね青春!』(TBSテレビ/毎日放送)中学生にとっては、理想郷のような学園生活が描かれていて、いつも学校ではその話で盛り上がっています。金持ちとか、不登校の子がいない、ごくごく普通な生徒の話で気軽に見られます。閉塞感が漂うこともないので、良いと思います。
  • (東京・中学2年女子)『今日は会社休みます。』(日本テレビ)主人公が30代ということで私たちより年上ですが、多くの胸キュンシーンがあり、友達と毎回盛り上がります。『素敵な選TAXI』(関西テレビ/フジテレビ)も、1話完結で毎回スッキリして終わるので見やすいです。現実ではありえないストーリーが多いのですが、夢を見させてくれるところが良と思います。

●【委員の感想】自由記述欄を読むと、中高生はスタジオセットなど番組演出の細かい点をいろいろよく見ているなと感心した。

  • (佐賀・中学1年女子)番組でVTRが流れているときに、小さい画面で出演者の顔が出てくるのが嫌だなと思います。わざとらしく驚いたり、無理に笑ったり、映された瞬間作った顔になるので、嫌な気持になります。気になってVTRに集中できません。
  • (宮崎・高校2年女子)最近少し気になるのが、バラエティーなどのスタジオがカラフルすぎて見ていて目が疲れるということです。例えば『VS嵐』(フジテレビ/テレビ宮崎)はとても好きな番組なのですが、見続けられません。両親も目が疲れると言います。若者以外の視聴者がバラエティー離れをしないよう、是非スタジオの雰囲気について考えてほしいです。

調査・研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査(仮)」について、中高生のアンケート調査の集計作業が終了し、担当の萩原委員から鋭意分析作業を進めているとの報告がありました。

在京局担当者との「意見交換会・勉強会」について

今後の予定について

  • 2015年2月の山梨での意見交換会の準備状況が事務局から報告されました。
  • 北陸地方で放送されている青少年向け番組の視察に小田桐委員が行くことに関して、準備状況が事務局から報告されました。

その他

  • 「青少年へのおすすめ番組」から、山梨放送制作『おいでよ!あおぞら共和国』、岩手朝日テレビ制作『ある母親の決意~震災の教訓を後世に~』、新潟テレビ21制作『UX報道スペシャル 中越地震から10年 ともに未来へ』を加藤副委員長が視聴し、各局へ感想を送ったとの報告がありました。

◆在京局担当者との「意見交換会・勉強会」概要◆

青少年委員会は11月25日、「報道における青少年の扱いについて」をテーマに、在京テレビ各局(NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ、東京MXテレビ)との「意見交換会・勉強会」を千代田放送会館で開催しました。各局からは、報道・情報番組の担当者など23人、青少年委員会からは汐見委員長ら7人の委員全員が参加し、論議が交わされました。また、高木光太郎・青山学院大学社会情報学部教授をお招きし、ご講演いただきました。
司会役は渡邊委員が務め、まず、事件関係者である青少年にインタビューする際に留意している点などについて、各局から説明がありました。各局からは、「原則として、中学生以下の場合は保護者の了解を必要条件としている。それ以上の未成年者についても必要な配慮をしている」「近年、SNSが社会に浸透していることなどから、取材する側、される側の想像を超えて情報が拡散することもあり得るので、さらなる配慮をしている」「青少年が被害者や目撃者である場合は、事件の全体像などを視聴者に伝えるために必要不可欠な場合のみ行うこととしている」などの発言がありました。
続いて、高木光太郎・青山学院大学社会情報学部教授から、「子どもへのインタビューをめぐって~法心理学の視点~」と題する講演がありました。高木教授からは、刑事事件裁判での供述の信用性を心理学的に評価してきた立場から、「十分な知識がない人が子どもに話を聞いた場合、子どもの記憶が変わってしまうことがあることから、イギリスでは全警察官が子どもから適切に話を聞くための訓練を受けている」「小さい子どもは、自分の記憶、伝聞情報、空想を明確に区別していないと言われており、思い込みや大人の意見への迎合性が強いため、聴き取りに際しては一定の技法を用いることが重要である」など、子どもから話を聞くための技法や事例などについて説明がありました。また、「スピーディーかつ的確に子どもを取材する方法について、各局の現場における研究を進めてほしい」との提言がありました。
その後の意見交換では、各局から、青少年へのインタビュー取材に細心の注意を持って臨むのは当然のこととしたうえで、「青少年が事件・事故の被害にあった際、当該被害者の人物をよく知る同級生などにインタビューを行うことがあるが、具体的な事件・事故の輪郭について視聴者に関心を持ってもらうための1つの材料と考えて実施している」「青少年への取材に限らず、少しでも多くの事実を集め、客観的に判断して報道することが基本姿勢である」などの考えが示されました。そのうえで、「取材時以上に、テレビで放送する際の影響は大きいので、その段階でもあらためて、当該インタビュー映像の使用について検討する必要があろう」「記者やデスクとの意思疎通を日常的に図っておきたい」「記者などへの事前教育を行ったうえで、取材をしっかりさせたい」など、青少年への配慮についての意識をより高めていきたい旨の発言もありました。
一方、委員からは、被取材者の年齢を考慮したPTSDへのさらなる配慮や、取材後のケアの充実を求める意見がありました。
汐見委員長からは、「取材する側には視聴者に事実を伝える義務があるが、一方で取材される側にも様々な権利がある。真実の追及に取材は不可欠だが、取材される側の論理も念頭に置いて行うことが、ますます求められていることを認識してほしい。また、高木教授の講演を聞いて、取材する側には一定のスキルが必要だと実感した。今回の意見交換会・勉強会が、放送局の若い人たちへの教育を行う上でのきっかけとなってくれれば幸いだ。これからも放送局と青少年委員会が議論しながら、より良い放送のあり方を探っていきたい」との、まとめの言葉があり、2時間30分にわたる会合を終了しました。

第163回 放送と青少年に関する委員会

第163回–2014年10月28日

深夜帯に放送された4コマ漫画原作の連続ドラマについて
審議入りしないが、かかえるテーマについて議論は継続…など

第163回青少年委員会を、10月28日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。まず、9月16日から10月15日までに寄せられた視聴者意見から、新たに2案件について討論に入ることを決め、継続討論1案件についての討論も行いました。その他、10月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、11月25日開催の在京放送局との意見交換会・勉強会、2015年2月の山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は11月25日に定例委員会と在京局との意見交換会・勉強会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年10月28日(火) 午後4時30分~午後7時10分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「ゴキブリの交尾の模様をAV俳優に演じさせた映像を流していた。深夜の放送ではあるが下品この上ない」などの視聴者意見があった、近畿圏で深夜に放送されたローカル番組について、討論入りし映像を確認することにしました。

  • 「若手男性芸人が裸で抱き合ったりわいせつな行為を繰り返していた。深夜番組とはいえ"限度"を超えている」などの視聴者意見があった、関東圏の独立局などで深夜に放送している音楽バラエティー番組について、討論入りし映像を確認することにしました。

  • 前回の委員会に引き続き、深夜の時間帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマについて、新たに第10話から第12話までを全委員が視聴した上で討論しました。委員からは、「コメディータッチのお色気番組とはいえ、地上波でアダルトビデオと見間違うような内容が放送されるのは問題がある。深夜だから良いとは思わない」「2001年7月19日付の民放連・放送基準審議会の『「番組情報の事前表示」に関する考え方について』では、"午後11時以降の番組については、主として保護者が児童・青少年の視聴について責任を負う時間帯と考え、原則として事前表示は行わないこととする"となっているが、児童・青少年の視聴の可能性を考えた時に、深夜の番組とはいえ何らかの事前表示があっても良いのではないか」などの厳しい意見が出されました。一方「番組で描かれる性の主体はあくまでも女性であり"卑わい""下品"な感じを受けない」「深夜であることを考えれば、この程度の性的表現では傷ついたり被害をこうむったりする人がいないのではないか。許容される範囲だと思う」「第1話から第3話までについては、問題がある個所はあったが審議入りせず、引き続き関心を持って注目していくことにした。今回も問題個所は散見するが、審議入りせずに委員の中で"性的表現"などについて議論を深めていくのが良いのではないか」などの意見もあり、審議入りしないことにしました。しかし、今回取り上げた番組の討論の過程で提起された「深夜番組における性的表現のあり方」や「地上波における性的表現が青少年に与える影響」の問題は、青少年委員会で検討すべき大切なテーマであることを確認。当該番組も題材の一つと位置づけながら、今後、議論を続けていくことにしました。

中高生モニター報告について

10月の中高生モニターは、「最近見た番組の感想(報道・情報・ドキュメンタリー)」というテーマでリポートを書いてもらいました。今回は26人から報告がありました。
全国で放送されている毎日のニュース関連番組に対して数多く支持する報告が寄せられました。「『news every.』(日本テレビ)。この番組のいいところは2つ、一つ目は楽しい、面白いコーナーがあることです。二つ目は、「木原さ~ん、そらジロー!」の天気予報コーナーで、ちびっ子たちの笑顔が見られることです。またキャスターたちは危険な災害時でも落ち着いた表情や口調で注意を呼び掛けていて、視聴者に安全かつ冷静な行動をしてもらえるよう話しているのではないかと思います」(神奈川・中学1年男子)。「私は、朝のニュース番組はいつも『ZIP!』(日本テレビ)だ。友達との会話がはずむ。毎回芸能ニュースのコーナーがあるし、とても楽しい雰囲気と面白い企画ばかりで見ていて飽きない。一日の放送内に話題が多くつめこまれていて、毎日見たい!と思う」(東京・中学2年女子)。「『ニュース 7』(NHK)。昔からニュースといえばこの番組を見るのが我が家の習慣です。安心と信頼を寄せています。ニュースも正確で分かりやすい口調で伝えられ聞いていてとても心地よいです。客観的にニュースを伝えてくれるので耳からすんなりと頭に入るのだろうかと思います」(神奈川・高校2年女子)。
一方、地方局のニュース情報番組にも熱い賛辞が寄せられました。「『おはよう朝日です』(朝日放送)。この番組は普段から朝起きるとお父さんが見ていて私もよく見ています。浦川さんや喜多さんを中心に素晴らしい出演者が出ておられ、とてもお気に入りです」(大阪・中学3年女子)。「私が見た番組は『朝生ワイド す・またん!』(読売テレビ)です。私が見る情報番組はこれ位です。この番組は、アナウンサーも関西弁で、関西人の私には親近感が湧き、印象に残ります」(滋賀・中学1年女子)。
また丁寧に作られたドキュメンタリーに感銘を受けたという報告も目立ちました。「『カンブリア宮殿』(テレビ東京)。この番組はドキュメンタリーの中で一番いいと思う。どの回もとても深く広く出演者に話を聞いて筋立てており、こんないい話を1時間でできることはすごいと思う。DVD化したら私は買いたいです。この番組は今後の自分の人生に大きく役立つであろうと思います」(福岡・高校1年男子)。「『情熱大陸』(毎日放送)。本当に起こったことを放送するこの番組などのドキュメンタリーが私は大好きです。面白くて興味深い真実もあれば、目をそむけたくなる真実もあります。しかし、そのまま、ありのままを私たちにこれからも放送で伝えてほしいと思います」(岡山・高校1年女子)。「『特報首都圏 御嶽山噴火の衝撃』(NHK)を見た。発生からわずか1週間でこれだけ優れた番組を制作できるのはさすがだ。噴火前後の御嶽山の状況が、手に取るようにわかった」(東京・高校2年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】自由記述欄で、新聞を購読していないので番組表を見られず、どんな番組があるのかわからない、という記述がいくつかあり、テレビの見方が大きく変わってきているという気がした。

  • (秋田・中学2年女子)うちは新聞を購読していないので番組表を見るチャンスがない。口コミで番組の評判が耳に入る以外は番組の宣伝情報を知るすべがないのだ。
  • (愛知・高校2年女子)新聞をとるのをやめたらテレビ欄を見る習慣がなくなり、テレビを見る回数が減った。

●【委員の感想】青少年がどういう番組を見たいかというと、社会事象の背景や実情を知ることのできる内容を求めているようだ。

  • (青森・中学1年女子)『クローズアップ現代:防犯カメラの落とし穴~相次ぐ誤認逮捕』(NHK)世間から見れば正義の味方"警察"ですが、この誤認逮捕について知ると警察に対しての見方が少し変わるのではないかと思いました。
  • (東京・中学2年女子)『報道ステーション』(テレビ朝日)でシンクロナイズドスイミングの女子日本代表がアジア大会で銀メダルを獲得したというニュースをとても興味深く見た。というのも、番組の中で、その選手のメダル獲得に至るまでの努力の模様を描いたドキュメンタリーが放送され、結果だけを見るのでなく、その背景を見ることができたので、大変見応えがあった。

●【委員の感想】非常に厳しい番組批判があり、中高生の見方を面白く思った。

  • (秋田・中学2年女子)『情熱大陸:学習塾塾長 坪田 信貴』(毎日放送/秋田テレビ)テスト中の生徒の表情の密着は不要でした。エレベーターの中の生徒にコメントをもらうシーンも不要でした。そこまで生徒を取り上げず、先生を取り上げてほしかったです。また、塾講師の先生が塾長先生に叱られているところより褒められているところを見たかったです。テレビではやはり見ることによって元気が出るシーンを見たいからです。

●【委員の感想】CM作りを授業で取り上げている学校があるとは知らず、テレビ映像を理解させるためにもいい試みだと思った。

  • (東京・中学2年女子)私は、学校の授業で学校の良さを伝えるCM作りというのをやった。文字の大きさ、フレーム、写真など、決めることが一杯あり大変悩んだ。短時間に伝えたい情報をつめこむことは容易ではないこともよく分かった。これからは、表現の工夫などを意識してCMを見ていきたいと思った。

●【委員の感想】一人の思考で解説されるのではなく多角的な考えが聞きたいという意見はとても大事だと思った。

  • (東京・高校1年男子)『サンデーモーニング』(TBSテレビ)この番組では解説者が多くいるので1つの話題に対しても様々な意見を聞くことができ、しかもそれぞれの専門家の独自の目線で見た意見なので、とても参考になる。多数の見方を比較できるこうした取り組みを多くの番組で取り入れていってほしい。

●【委員の感想】ノーベル賞受賞の報道内容に対する意見には賛同した。

  • (東京・中学3年女子)ニュースでは肝心のノーベル賞をとった研究内容については申し訳程度の解説で、後はもっぱら受賞者の方々の昔話だとか卒業文集などでした。受賞者の過去はどうでもいいので、「他の科学者が諦めていく中、研究を続けた理由」とか「発見までの苦労」などについてもっと詳細に聞きたいと思いました。

調査・研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査(仮)」について、中高生のアンケート調査の集計作業が終了した報告がありました。

今後の予定について

  • 11月25日(火)に開催予定の「在京局との意見交換・勉強会」について、準備状況が事務局から報告されました。

  • 2015年2月に予定している山梨での意見交換会の準備状況が事務局から報告されました。

  • 北陸地方で放送されている青少年向け番組の視察に委員が行くことが決まりました。

その他

  • 民放連放送基準の改訂について事務局から説明がありました。

第162回 放送と青少年に関する委員会

第162回–2014年9月30日

深夜帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマを継続討論に…など

第162回青少年委員会を、9月30日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。まず、8月16日から9月15日までに寄せられた視聴者意見から、1案件について討論しました。その他、9月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、11月25日開催の在京放送局との意見交換会・勉強会、2015年2月に開催することになった山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は10月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年9月30日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

前回の委員会で、第1話から第3話までについて討論した深夜の時間帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマについて、新たに第9話を全委員が視聴した上で討論しました。
委員からは、「前回の委員会で第3話までについて審議入りしないことにした。しばらくおとなしい映像だったが、第9話は新たに性的に刺激の強い映像があった。審議入りしなかった影響だろうか。これは地上波で放送して良い内容か疑問を持つ」「たとえ深夜であっても、こういった性的に刺激の強い映像が含まれる番組が放送されることについて改めて考える必要がある」などの意見が出ました。一方「前回視聴した第1話から第3話までと、大きく変わった印象はない。男性視聴者を意識した"卑わい"な性的表現ではないので改めて議論する必要はない」「この番組は女性視聴者を意識した番組作りになっていると感じる。"放送基準 第8章 表現上の配慮(48)不快な感じを与えるような下品、卑わいな表現は避ける"に照らしても、女性が見て"不快"や"卑わい"を感じない描き方をしている」「これまで問題にした性的に過激な番組は、過激なシーンを特に売りにしていたように感じたが、この番組は、全体の文脈を大切にした中での個々のシーンであると感じた」などの意見もありました。結局、今後の放送内容を注視しながら、さらに議論を深めていくことを確認し、継続討論としました。

中高生モニター報告について

9月の中高生モニターは、「番組企画を考えてください」というテーマで書いてもらいました。今回は27人から報告がありました。様々な企画を中高生ならではの視点から考えてくれました。中学生からの企画で目立ったのは、人気のアイドルを中心に据えた企画です。そのアイドルたちが司会をしたり、中心に出演する番組を見たい、という点で一致していました。
「『僕、救世主になります』主人公はジャニーズ系のタレント。天才・運動神経抜群、いつも一人でいる切れ者の男子高校生。主人公の頭脳と体で、いろんな部活を助けるたびに、主人公が、友達を作り人生を深く知っていく学園ドラマです」(滋賀・中学1年女子)。「『VS嵐~ファミリー編~』特別スペシャル版とし、嵐+一般家族+それをサポートする芸人が出演。普通の家族がいつも見ている番組のゲームに参加する。私も番組内のアトラクションをやってみたいなあといつも見ていて思うので、そう思っている人は多いと思う。新鮮な番組になるのでは」(佐賀・中学1年女子)。地方在住のモニターからは、地方の発展に役立つための番組企画が寄せられました。「『広島土砂災害~被災地域を復興させよう』私の自宅の近くには日赤病院などがあり、常時ボランティアを募集していますが、登録している人は高齢の方がほとんどです。今回の広島土砂災害では体力のある中高生の力が必要になるのではと思います。やるべきことは一杯あると思うので、地元のテレビやラジオで被災された方のニーズを発信する番組を継続して作るべきだと思います」(広島・中学2年女子)。「『沖縄県 中高生 生徒会 サミット』沖縄県内の中高生による生徒会活動を取り上げる番組。各校独自の取り組みや悩みなどを発表してもらい、それに対して他校の生徒がアイディアを出したり、アドバイスをしながらより良い学校にするためにはどうすればいいか話し合う」(沖縄・中学2年男子)。また、未来を見据えた企画も複数寄せられました。「『高校生の夢を叶えまshow!』高校生の様々な夢を叶える番組です。俳優や大工の仕事をしてみたい!外国に行きたい!ボランティアをしたい!など。関東の高校生よりも地方の高校生を主役にしたいです」(愛知・高校2年女子)。「『密着!あなたの仕事』内容:若者の未来を応援する番組で、毎週何かの職業についている人に密着し、仕事内容を放送する番組。その職業をめざしている学生が実際その仕事を体験する企画も盛り込む」(愛媛・高校2年男子)。

【委員の主な意見】

  • 珍しいスポーツにスポットを当てる番組企画をおもしろく読んだ。データ放送でクイズを実施し、LINEやTwitterなどからもコメントを投稿できるようにする、というアイディアも出され、今の中高生には、ソーシャルメディアが欠かせないのだと思った。

  • 何人かのモニターが、「似たような企画がいろいろな番組で取り入れられ飽きてしまうことが多い」とか、「番組の企画は飽和状態なのでは」などと書きつつ、「いざ、実際に自分が斬新な企画を考えようと思うとなかなか大変だ」と書いており、番組制作現場の苦労が少しは分かってもらえたのかと、感じた。

  • サブカルチャー、中でも、2種類以上のメディアミックス展開がなされ二次元のもので今はやりのものに限定して紹介する番組の企画はおもしろく読んだ。「"オタク"を名乗るに恥じない教養を身に着けることができる番組」という表現に"オタク"の中高生のプライドが表れているように思った。

  • 『リケジョの好奇心』というタイトルで理系寄りの女子が、こうなったら面白いだろうなというようなことに挑戦していく番組企画には感心した。「身体測定の時体重を軽くするには」とか、「おならを我慢できないときに吸収するシートは作れるか」など具体例も挙げてあり、女子ならではの視点がうまく活かされている内容だと思った。

  • dボタン(データ放送)の存在を知って、大変興味をもち、もっとテレビ画面や企画内容の充実に使うべきだと述べているモニターが数人いたのが印象に残った。

  • 若い人に人気のあるタレントをナレーターやキャスターに採用して日本文化を英語で伝える番組を作り、中高生の見られる時間帯に放送すべきだという提案には一理あると思った。

【モニターの企画書に対する在京局の現場の方から届いたコメント】

◎企画1.『キミの夢を叶えよう!』(宮崎・高校2年女子)

出演者他:司会はお話のうまい芸人さん二人(個人的な意見ではありますが、ブラックマヨネーズのお二人のような方がいいです)。
番組内容:夢を追いかけている人の夢を番組で応援し、叶えてあげよう!という番組です。
昔は、『学校へ行こう!』など学生向けのそのような番組が多かったように思いますが、最近はどうも出演者だけが楽しんでいるように思えてしまいます。そこで、夢を叶えたいと思っている方を毎回募集し、番組に出ていただき、時にはその人の目指している方を番組にお呼びしてお話を聞いたりします。ですが、"やらせ"みたいになってはいけないと思うので、必ず夢が叶うわけではなく、叶わない時もあってよいと思います。夢にも「どんな職業に就きたい」だったり、「誰かに会いたい」だったり様々なものがあると思いますが、夢の大きい小さいに関わらず、どんな人でも出られる、視聴者が身近に思える番組が良いと思います。やはりどうしてもテレビ局側的には話題性のある人に…という思考があると思いますが、小さな夢でも叶えていくことで「夢を持とう!」と思ったり、夢を持っている人にとっても夢を叶えている人を見て、「私も頑張りたい!」と刺激になったらいいなと思います。私の周りにも「夢がない、夢が欲しい」と嘆いている人がたくさんいます。そんな人たちが少しでも夢を持ってもらえるような番組ができたら私はもっとこれからの社会が盛り上がっていくのでは…と思います。

【フジテレビ 編成制作局バラエティ制作センター プロデューサーの感想】

皆さんからの企画書を見て、テレビから"ためになる"情報を得たい、そして発信したい、という気持ちを改めて実感しました。その中で意外だったのは、『密着!あなたの仕事』『高校生の夢を叶えまshow!』『キミの夢を叶えよう!』など、将来の夢の実現に向けて、仕事・職業体験や企業への潜入を扱う企画が多いことでした。皆さんがいかに真面目にテレビのことを考え、テレビに期待を持ち、さらにテレビからまだまだ学びたいという思いがあることが伝わり、とても熱い気持ちになると同時に、夢のある企画書だなと思いました。テレビ番組だからこそ、普段は潜入できない仕事現場に赴き、それを体験し、伝えることができる。実際このような形態の番組はこれまでいくつも作られてきました。それだけ作られてきたということは、視聴者のニーズがそこにあり、それに応えている企画であることに間違いありません。その上で新しい切り口や展開を皆さんの新鮮味あふれる発想で見つけられると、素敵な新しい番組の誕生になると感じました。

【NHK 制作局 青少年・教育番組部 チーフ・プロデューサーの感想】

皆さんからの企画書を見て、話題の人や旬のタレントを起用したいという企画が多いですが、芸人さんを並べたよくあるトークバラエティーではなく、見せ方や中身が具体的に考えられており、テレビのことをよく知っているなと感心しました。また、『高校生の夢を叶えまshow!』『キミの夢を叶えよう!』や『密着!あなたの仕事』など、中高生が自分たちの将来について強い関心と興味を持っていることが分かりました。日頃の番組作りに活かしたいと思います。

◎企画2.『タモリの未知の世界』(東京・高校2年男子)

この番組は、タモリが毎回違うゲストと、あるテーマに関し、とことん議論する番組です。
テーマの選択は、そのゲストにまつわる物事(ゲストがミュージシャンだったら、楽器や音響設備、コンサート時の観客について等々・・・)。タモリは、あらゆる人とのコミュニケーションもとれ、また雑学力が抜きん出ているので、1時間の枠の中でゲストの人格からその人の背景的な話まで踏み込んで聞けるのではないかと思います。場所設定は、周りが白に統一されたスタジオ内で、スタイリッシュっぽく。二人の存在感が伝わり、引き立つと思います。

【日本テレビ 制作局 チーフ・プロデューサーの感想 『世界まる見えテレビ特捜部』『ナカイの窓』など担当】

今回は、中高生に身近な企画が多くありました。そう言えば、最近の地上波タイムテーブルは、中高生が夢中になる番組が少ないように感じられます。反対に、中高生向けのヒット番組が生まれやすい状況、とも言えます。そんな中、『密着!あなたの仕事』は、一見地味な感じがしますが、『ダーツの旅』のように、素人の使い方次第で大化けする可能性のあるいい企画です。また、『タモリの未知の世界』は、想像するだけでワクワクする、イメージしやすい番組でした。

☆自由記述欄1.(東京・高校2年女子)

『おはよう日本』(NHK)を錦織圭選手の決勝戦の際に視聴していたが、得点が左下に逐一表示されていて、何とも言えない違和感を覚えた。試合と全く関係の無いニュースの間も表示されており、まるでスマートフォンの画面を見せられているようで落ち着かなかった。

☆自由記述欄2.(東京・中学2年女子)

視聴率が悪いと打ち切りになると聞きます。最近、『信長のシェフ』(テレビ朝日)が突然終わってしまったのもそのためでしょうか。友達のすすめで見始め、放送のあった翌日は学校で友達とドラマの話で盛り上がっていました。そんな会話ができなくなり悲しいです。ドラマの終わり方もひっかかりました。特に大きな事件もなく、ハッピーエンドなのかそうではないのかが分かりませんでした。よく分からない結末であったことにもがっかりしました。せめて終わり方だけでもきれいに終わってほしいと思いました。残念でした。

☆自由記述欄3.(宮城・高校1年女子)

芸能人だけではなくて、視聴者も番組の企画に挑戦できて、企画に成功すれば視聴者も賞金をもらえることができる番組が見てみたいと思う。今のテレビ、主にバラエティー番組には、「視聴者も番組の企画に挑戦できて、成功すれば賞金をもらえることができる番組」が無いのが、ちょっと残念に思う。dボタンでクイズ番組には参加できるようにはなってきているが、その番組もワンパターンで正直つまらないと感じる。もっと参加できる種類を増やすなど、まだまだ課題は多いといえるだろう。

◎企画3.『ティーンへのおすすめ流行りもの』(大阪・中学3年女子)

中学生~高校生の世代で今流行しているものや注目の人などを教えてほしい。女子はとても流行に敏感なので、これを見れば友達の話にもついていけるし、「あの番組で〇〇が紹介されていたから、今度買いに行こう。」という話も出そうだと思う。私は流行が気になるものの、ファッション雑誌は1度読むと終わってしまうので、あまり買う気にならないし、雑誌の付録もかぶったりしてしまいそうで気がすすまない。そこで、ティーンの人々がハマるようなかわいいセットで情報を伝えてほしい。10分くらいはファッション・持ち物についての情報(女子)、また別に10分くらいで、今注目の人コーナーをやって、男子のファッションも少し扱い、後5分は映画や音楽のランキングや占いなどで、残りはCMなどが良いと思う。相談などを受け付けたり、HPからコメントや流行の情報を番組の担当者に伝えるシステムも作り、その中から次週などの話題を決めると良いと思う。おもしろければ、評判になり、みんなが見る番組になると思う。

【テレビ朝日 編成制作局制作1部 統括担当部長の感想】

全体の講評:中・高生の皆さんからの提案を見てまず思うのは、「テレビを作っている大人側の都合」についての疑問が目につくなぁ、ということです。「なんで錦織選手の全米オープンテニスは得点だけテロップで紹介されたのか?」「楽しみにしていた番組が突然終わる」「視聴者が参加できる番組が少ない」「もっとスマホで番組に参加できるような仕組みを」などなど…。テレビを作っていた大人としての言い分はそれぞれにあるのですが、ネットをはじめとする数年前にはなかったさまざまなメディアがどんどんユーザーフレンドリーな試みを打ち出す中、テレビだけが様々なルールや自主規制で縛られていては中・高生の皆さんにとって面白いものになろうはずもありません。そんな作る側は皆さんに見てもらえるように工夫をし続けています。皆さんに見ていただきたいのはその番組はどういった問題点をクリアしたのか、何がこれまでにない新しい点なのか、そういったことに注意して見てもらえればもっとテレビを面白く見てもらえると思います。

◎企画4.『ハッピー☆スクールライフ』(東京・中学2年女子)

私が企画したい番組は1話完結の学園ドラマです。流すのは週1回で30分のものです。
学園ドラマにしたいのは、やはり、中学生は学園ドラマが好きでよく話題になるからです。特に恋愛系は周りの友達も大好きで盛り上がります。最近は、映画『近距離恋愛』の話でもちきりです。その映画のようなドラマを企画してみたいです。30分というのは、中高生が見やすい手頃な時間だと考えます。部活、学校、塾などで忙しい中高生にとっては必ず見続けることができそうな時間だと思います。また、30分で1話にすることで、内容の詰まったドラマができそうです。

◎企画5.『アニメ日本の歴史・世界の歴史』(東京・中学2年男子)

日本や世界の歴史を子どもも大人も楽しめる本格的なアニメで学べる番組。内容もしっかりしたもので、あまり知られていない話も盛り込まれているとうれしい。小学生の時、マンガ日本の歴史、世界の歴史の本を読みまくった。教科書だとあんまり頭に入ってこないことでもマンガだと、どんどん入っていった。アニメだともっと頭に入るのにと思ってネットで探したけど、なかった。あったら絶対ヒットすると思う。みんなが見る時間に真面目な番組が増えた方がいいと思う。繰り返し再放送したり、DVD販売したら、もっといいと思う。

◎企画6.『週刊これだけ知っ得!』(東京・高校1年女子)

出演者他:『林修の今でしょ!講座』(テレビ朝日)に出演している先生方など
番組内容:1週間に起こった出来事を週末にまとめて、分かりやすく話題の先生方に解説してもらう番組。1週間に起こったことを簡潔にまとめて、日々のワイドショーだけでは理解できないことを教えてもらうことにより、学校での勉強にも役立ち、また社会の常識も得ることができる。

【TBSテレビ 制作局 プロデューサーの感想 『水曜日のダウンタウン』『ガンミ!!』など担当】

テレビ制作の仕事が長くなると、こんな番組がやりたい、見たい、という純粋な思いの合間に、「実現できるか」「視聴率をとれるのか」という打算めいた考え方が入り込んでくるようになります。今回読ませていただいた皆さんの企画は、「見たい」や「知りたい」「参加したい」に溢れていて、番組作りの原点とは何か、を改めて考えさせられました。また、アカデミックな視点を持ったものや、30分程度の時間を想定した企画が多数見られたことが新鮮な驚きでした。

調査・研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査(仮)」について、3,000人を超える中高生のアンケート調査が終了し集計作業に入っていると担当委員から報告がありました。

今後の予定について

  • 11月25日(火)に開催予定の「在京局との意見交換・勉強会」について、準備状況が事務局から報告されました。

  • 当初2015年1月に予定していた意見交換会を2月に山梨で開催することを確認し、準備状況が事務局から報告されました。

第161回 放送と青少年に関する委員会

第161回–2014年9月9日

深夜帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマについて討論…など

第161回青少年委員会を、9月9日に7人の委員全員が出席してNHK仙台放送局第1会議室で開催しました。まず、7月16日から8月15日までに寄せられた視聴者意見から、1案件について討論しました。その他、8月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、11月25日に行う予定の在京放送局との意見交換会・勉強会の内容などについて話し合いました。
次回は9月30日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年9月9日(火) 正午~午後2時10分
場所
NHK仙台放送局 第1会議室
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

深夜の時間帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマについて、「深夜の時間帯の放送だが、放送するには下品な内容で卑わいな話題や単語が出てくる。わいせつな行為の再現VTRはポルノさながらの映像だ」という視聴者意見があった。第1話から第3話を全委員が視聴した上で討論しました。
委員からは、「深夜ではあるが、ここまでの性的描写は良いのだろうか」「以前審議入りし委員長談話を公表した『幸せの時間』よりラジカルな性的描写だと思った」などの意見とともに、「この番組は、男性視聴者を意識したものではなく、女性が深夜に気楽に見られるように作ったのだろう。それほど嫌らしい感じはしなかった」などの意見が出ました。
討論の結果、第1話の性的描写には問題を感じるが、今回は審議まで進むことはしないことにしました。しかし、「たとえ深夜の時間帯の放送でもテレビ・ラジオの持つ公共性から考えてどこまで許されるのか、改めて自局で検討してほしい」として、引き続きこの番組について関心を持って注目していくことを確認しました。

中高生モニター報告について

■中高生モニター報告 概要

8月の中高生モニターは、「『青少年へのおすすめ番組』視聴の感想」というテーマで書いてもらい、29人から報告がありました。
いくつかの番組に意見が集中しました。『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)については、6人のモニターが強く支持する報告を寄せてくれました。「障害者に対する配慮、地域への貢献となる内容、わかりやすい構成など、アイドルと言われるTOKIO自身が料理や収穫などさまざまなことをしていることも含め、この番組は模範的な番組だと思った」(愛媛・高校2年女子)。「この番組は考えるきっかけをくれることが多い。なんだかいつも熱い!一生懸命っていいな、気持ちいいな、と思わせてくれる。こういう番組はずっと続いてほしい、というか続くべきだと思う」(東京・中学2年男子)。
『カスぺ!「8.12日航機墜落 30回目の夏 生存者が今明かす"32分間の闘い" ボイスレコーダーの"新たな声"」』(フジテレビ)については、4人のモニターから強い感銘を受けたという報告がありました。「墜落までの32分間のドキュメンタリードラマは、犠牲者、遺族の悲しみが痛烈に感じられ涙が止まりませんでした。これからは一日を大切にし、後悔しないよう生きていきたいと思いました」(愛知・高校2年女子)。「この番組を見て、本当に人生何が起こるかわからない、運命なのだと思いました。これからは、それをしっかり考えながら生きたいと思います」(宮崎・高校2年女子)。
『林修の今でしょ! 講座 夏休み2時間SP』(テレビ朝日)に関しては、4人がとてもいい番組だというリポートを書いています。「中学生、高校生はもちろん、小学生や大人が見てもためになると思います。とても分かりやすいし楽しく学ぶことができます」(東京・高校1年女子)。「この番組は、たくさんの新しい知識を得ることができ、見て得をしたと思える番組でした。中身がつまっていて、とても見ごたえがあり、しかも家族みんなで楽しく見ることができました」(東京・中学2年女子)。
自由記述欄は、「テレビ・ラジオについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。「私はよくデータ放送を使います。いろいろと充実はしていますが、さらに、私は是非、ドラマの裏側を見せてほしいなと思います。出演者のインタビューが読めたり、撮影の様子などもわかると、一層、ドラマを見る楽しみが広がると思います」(東京・中学2年女子)。「最近、キー局の夕方ニュースで4時台にも進出したところがあるが、これはどうかと思う。3時間もニュース情報を見ると、同じニュースを繰り返すため、飽きてうっとうしくなってしまう」(埼玉・中学3年男子)。「最近の企画は、昔のドラマのリメイクとかアニメや漫画で売れたものの実写化とか、新しいものを作ろうとする意欲がない。視聴率がとれなくなったことを時代と視聴者の変化のためとしているが、視聴者をおいてきぼりにし、内輪でしか盛り上がれない番組の内容自体が悪いことを直視すべきだ」(宮城・高校1年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】今回は自由記述欄におもしろい意見が散見された。他のモニターの意見に対して自分の異なった見方をしっかり述べたり、番組内容への手厳しい批判など読み応えがあり、益々今後の報告に期待したい。

  • (青森・中学1年女子)私は先月の報告書でみなさんのCMへの意見を見て思ったのですが、確かにCMがいいところで入りイライラすることもありますが、違う見方をするとそのバラエティーやドラマ番組の次の展開への期待やワクワク感を倍増できるのではないでしょうか。また、CMはいろんな番組や商品情報を知るよい機会を与えてくれます。
  • (神奈川・高校1年女子)『27時間テレビ』(フジテレビ)を見ていたら、何十曲も連続で歌い続けるという企画がありました。見ていて、ひどいなと思いました。あそこまでやらせるのが、果たしていい企画なのでしょうか。歌い続けた後、本社まで歩かせていましたが、見ていて気持ちのいいものではありませんでした。

●【委員の感想】『熱闘甲子園』(朝日放送)には女子のモニターから意見が集まっていたが、賛否両論だった。

  • (秋田・中学2年女子)一人の球児を密着取材してインタビューも充分にしており、一本の物語のように構成されていて、感動しました。
  • (大阪・中学3年女子)この番組を見てあまり良い印象を受けなかった。対戦校の紹介が偏っているし、生放送でする意味もない。また、画面の前に出演者が立っていることは見ていて気持ちのよいものではない。

●【委員の感想】もう少し地方局制作の番組に意見が集まるかと思ったが、キー局制作の人気番組に報告が集中したのは残念に思う。ただし、この【おすすめ番組】を設定しないと見ないような上質なドキュメンタリーを見てくれたモニターがいたのは大変良いことだと思う。

  • (埼玉・中学3年男子)『カスぺ!「8.12日航機墜落30回目の夏 生存者が今明かす"32分間の闘い"ボイスレコーダーの"新たな声"」』(フジテレビ)を視聴したが、とても内容が良く、充実した2時間半だった。再現ドラマCGの質もすごく、衝撃を与えてくれた。最近はバラエティー番組が多いが、この番組は新鮮だった。

●【委員の感想】中高生の子どもたちは、生きる手ごたえはどこにあるのか、漠然と考えているものだが、それに関して番組が発信しているメッセージをしっかり受け止めていることを知り、嬉しく思った。

  • (神奈川・中学1年男子)『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)。僕はこの番組が好きです。1つ目の理由は野菜の性質、特性、育て方などを知ることができて実際に役立つからです。2つ目は「ふれあい」です。地域の方の家や仕事場などを訪問することで、人の優しさ、ぬくもりを改めて感じられます。

●【委員の感想】これからは日本人もどんどん世界に出ていく時代となるが、世界に出る、ということはおもしろく素晴らしいが大変なことだということが分かった、と書いていたモニターが数名いた。

  • (滋賀・中学1年女子)『グローバルな人~世界で生きる"処方箋"』(NHK)を見ました。無計画のままパン屋を中国で起業した人の話です。初めは自由人だなと思いましたが、すぐ行動できることは凄いと思いました。「軽い気持ちで中国に行き、成功よりも失敗のほうが多いけど、その経験が教えてくれました」という言葉は今の中学生にも聞いてほしいと思いました。

●【委員の感想】熱心かつ丁寧に番組を見て素晴らしい文章で報告を書いてくれたモニターには感心した。番組のナレーションにまで、言及していた。

  • (東京・高校2年女子)『素晴らしき和食の世界~箸から溢れる日本人の心~』(日本BS放送)。和食というテーマだけでこんなにもさまざまな考察が深められるのか、と感心した。テーマごとに区切られた映像は、割烹のカウンターを模したスタジオでの進行→映像→出演者による考察、という順序で放送され、まとまりとリズム感のある飽きの来ない番組に仕上がっていた。ナレーション(湯浅真由美さん)も素晴らしかった。

●【委員の感想】最近の中高生はドキュメンタリーはほとんど見ないようだが、今回は骨太のドキュメンタリーを見て、しっかりその企画意図を受け止めてくれた報告内容に心強い思いがした。

  • (広島・中学2年女子)『野球が好きなんじゃ~広島復興とカープ誕生~』(中国放送)。私はカープの大好きな祖父と5年間一緒に住んでいました。戦後何も無くなった広島の街で祖父は様々な仕事をしながらカープの「樽預金」に参加しており、自分たちの育てた球団という意識を強く持っていました。カープが広島の復興と共に歩んできたことをもっとみんなにも知ってほしいなと思わせてくれる番組でした。

調査・研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査(仮)」について、現在3,000人を超える中高生へのアンケート調査を実施し、今年度中の調査結果の公表をめざして作業が進んでいるとの報告がありました。

青少年委員会活動について

  • 11月25日に開催予定の「在京局との意見交換・勉強会」について、"報道における青少年の扱い"を中心テーマに話し合うことが決まりました。
  • 2015年1月に意見交換会を地方都市で開催することが確認されました。

■意見交換会(仙台)について

委員会終了後、NHK仙台放送局第1スタジオ内で、仙台地区のNHKを含むテレビ・ラジオ6局の報道・制作・編成関係者36人が参加し、本年度2回目の意見交換会を開催しました。青少年委員会からは、7人の委員全員と、飽戸理事長が参加しました。
意見交換会では、第1部で、BPO青少年委員会の活動について事務局から説明しました。第2部では、「震災後3年半を迎えた震災報道」を中心テーマに、"取材時の子どもへの影響や人権への配慮"などについて、3時間半にわたり、委員と各局の参加者が活発に意見交換しました。
詳しい内容は後日報告します。

第160回 放送と青少年に関する委員会

第160回–2014年7月22日

青少年委員会の「審議プロセス」の確認…など

第160回青少年委員会を、7月22日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。まず、青少年委員会の「審議プロセス」の確認を行い、次に6月16日から7月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に、2つの案件について討論しました。その他、7月の中高生モニター報告、9月9日に仙台で行う予定の委員会及び意見交換会の現状報告、調査研究などについて話し合いました。
次回は9月9日に定例委員会を仙台で開催します。

議事の詳細

日時
2014年7月22日(火) 午後4時30分~午後6時40分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

青少年委員会の「審議プロセス」の確認

青少年委員会の活動について話し合い、改めて事務局が『放送倫理・番組向上機構 規約』『「放送と青少年に関する委員会」運営規則』(いずれもBPOホームページ「規約と運営規則」参照)の文言と意味を説明しました。また、2012年10月から、新たに「討論」という運用上のプロセスを設け、現在は以下のような「審議プロセス」になっていることを再確認しました。

    1. まず、視聴者意見を参考にしたり、委員が指摘した番組・テーマについて、担当委員が委員会で「討論」する必要が有るか否かを判断します。「討論」では、全委員が番組を視聴し、当該放送局に提出の協力をお願いした関連資料などを参考に、委員間で自由な議論を行います。
    2. 「討論」の結果、「審議」が必要と判断した番組・テーマについては、当該放送局に放送局としての考えなどの文書回答を求めたり、関係者との意見交換を行い、ケースによって"委員会の考え"を公表します。
    3. さらに委員の3分の2以上の賛成があれば「見解」などを公表し、全放送局に自主的対応を要請します。

なお、「審議プロセス」のあり方などについては、年度内をめどにさらに検討することにしました。

視聴者意見について

  • 「海外取材で、日本の女性芸人がTバックを着ておしりを突き出し、ドラム代わりに叩かれていた。いくら"お笑い"とはいえ女性芸人いじめではないか」という視聴者意見や、女性蔑視ではないかという委員の意見があり、全委員が視聴した上で討論しました。委員からは、「あのシーンを見て女性蔑視と感じる人もいるだろう。配慮が必要だ」「過去に同じ女性芸人を、裸の上半身にボディーペイントを施し走らせたことがあった。今回も、テレビが男性目線で作られていることが垣間見える」などの意見がありましたが、「実際に海外でイベントとして行われているのであれば、文化を紹介する意味でも問題はない」「過去のボディーペイントの時も今回も、アートとして受け止めた。その部分だけを見るとわいせつな感じを受けたが、事前告知していることや、女性芸人のキャラクターもあり問題はない」などの意見があり、審議入りしないことにしました。ただ、他のバラエティー番組などでも"男の大人目線での番組作り"を感じることがあり、引き続きこのテーマについて関心を持って行くことを確認しました。

  • 小学校の校長が覚せい剤所持容疑で逮捕された事件で、卒業生(中学生)の顔出しインタビューが情報系の番組で放送され、放送後、保護者から今後インタビュー映像を使用しないでほしいとの要望があった案件について、当該局に改めて報告を求め、前回に引き続き討論しました。報告では、「自社で採用している『報道・取材ガイドライン』の子どもへのインタビューについて、取材記者が"小学生へのインタビュー取材には親の同意などが必要だが、中学生以上であれば本人の同意があればいい"との誤った認識で、保護者の了解を得ていなかった。今後再発防止に向け社内の勉強会など、全社で意識の共有を図っていく」としています。委員からは、「子どもたちの取材に際しては、取材者にとってリスキーなこともあることを、特に若い記者に対して教育することが必要ではないか」「今回は、社内の調べで、原因も分かり、そのあとのフォローもするということなので、これ以上問題にすることは無い」などの意見があり、審議入りしないことにしました。

中高生モニター報告について

■中高生モニター報告 概要

7月の中高生モニターは、「この1か月程の間に見た番組の感想(バラエティー・クイズ・音楽)」というテーマで書いてもらいました。
今回は18人から報告がありました。いくつかのバラエティー番組を強く支持する意見が複数寄せられました。「私は『逃走中』(フジテレビ)が好きで、よく見ます。この番組の好きなところは、(1)ミッションのハラハラ感、(2)裏ストーリーのおもしろさ、(3)逃走者から伝わるドキドキ感、です。逃走成功者はお金をもらえる、という視聴者には何の得にもならないバラエティーですが、1度見ると、あのおもしろさのとりこになってしまいました」(東京・中学2年女子)。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)については、「私がこの番組を好きな理由は、私たちが普段の生活では得られない情報を得ることができるからです。この番組は、出ている芸能人が、私たちが見ていて疑問に思ったことをきちんと質問してくれるので、見ていて、もやもやしなくて楽しく視聴できます」(宮崎・高校2年女子)。
音楽番組では、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)など長寿番組がいくつかあげられました。「最近の音楽に関してこの番組だけ見ていれば学校の話題について行けるのでいいです。また、放送される金曜日は週の終わりで、疲れている体をリフレッシュすることができます」(大分・中学3年女子)。
クイズ番組については、「クイズ番組は自分で考えたり学ぶことができるので好きです。特に『伝えてピカッチ』(NHK)は30分の中にたくさんの種類のクイズが盛り込まれていてテンポよく進みます。土曜日午後7時半からというのも家族で見るのにちょうどよい時間帯と長さです」(東京・中学2年女子)。
自由記述欄は、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。辛口の意見が寄せられました。「W杯の中継やそれに関する番組は、いくらなんでもやり過ぎだと思います。視聴者全員が注目していると思ったら大間違いです」(埼玉・中学3年男子)。「"昨日の○○(テレビ番組)見た~?"と話題にならないのが寂しく思える。最近は長寿番組の打ち切りが相次ぎ、改善の努力は見られるが、後番組を見ていると果たして打ち切りにしたことが良かったのだろうかと、問いたくなる」(宮城・高校1年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】バラエティーにおける『笑い』のあり方を中高生モニターもしっかり理解している。やはり、誰もが違和感なく笑えることが良いと思っているようだ。

●【委員の感想】バラエティーの長寿番組の中には、一種の風格を備え、世界観を視聴者と共有できているものがあるようだ。視聴者との共通理解を作っていくことが何より、制作者側に必要なことでは。

  • (佐賀・中学1年女子)『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ/福岡放送)出演者が挑戦する姿が好きです。知らないことを知ることができて発見ができて興味が湧きます。世界中の国々の詳細を紹介しているし一生懸命だけれどおもしろく笑いもとりながら進んでいくので、あっという間の1時間です。人を悪い言葉でいじめて笑いをとったり、たたいたりして盛り上がったりしないので、とてもいいと思います。

●【委員の感想】地方在住のモニターから、もっと地域の情報を伝えてほしいという意見があった。地方をおきざりにしているのではないかという視聴者の気持ちにはテレビ局もしっかり向き合うべきだと思った。

  • (広島・中学2年女子)朝のニュース番組は全国放送でなく、地方のニュースもやってほしいと思います。地域のニュース、特に学校や防災、防犯などについてのニュースを、10分ほどでも朝7時ごろやってくれればいいかなと思います。

●【委員の感想】バラエティー番組の評価が全般に低いような印象を受けた。また、やはり録画視聴が現実的には多くなっているようだ。

  • (東京・中学2年女子)『Qさま!!』(テレビ朝日)は好きでじっくり見たいのですが、長すぎて、ずっと見ているとほかのことができなくなってしまいます。そのため、母から録画して早送りで見なさい、と言われるので、たいてい途中から録画して、後日早送りで見ています。

●【委員の感想】作為的なCMの入れ方への批判が数件寄せられた。

  • (宮城・中学2年男子)最近のテレビ番組では「その真相は!!」「この後奇跡が起きる!!」などのナレーションの後CMに入ることが多い。その日の放送のうちにやってくれればいいのだが、CMが終わるとナレーションの内容は次回予告だったということがあり、とてもイライラする。
  • (大分・中学3年女子)今から歌うゲストの紹介ビデオなど見せて、さあ歌うぞ、と思ったらCMが入ります。すごくイラッとくるし、CMのせいで見る気がしなくなるということもあると思います。

●【委員の感想】私が大好きでいつも見ている番組を熱烈に褒めているモニターの意見があり、とても嬉しく思った。

  • (宮城・高校1年女子)『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ/宮城テレビ)この番組には多数の企画が存在するが、そのすべてにおいて演者が真剣に取り組む姿勢には毎回感心する。「バカみたいなことを本気でやる」ような、少年心をくすぐる内容が憂鬱な日曜の夜にはぴったりだと思う。

●【委員の感想】深夜のアニメ番組の放送時間帯に対する意見が印象に残った。中高生の間では、アニメ番組のオンデマンド化への欲求が高いようだ。

  • (滋賀・中学1年女子)テレビでアニメなどが深夜に放送されていて嫌です。次の日に皆でワイワイとそれについて話したいのですが、録画で見るので、見た人と見てない人がいて話せません。深夜番組を減らすことはできないんですか。

青少年委員会活動について

  • 9月9日(火)に開催予定の仙台での意見交換会について準備状況が報告され、事前アンケートの内容が承認されました。

  • 調査研究について現在までの準備状況が報告され、9月に中高生に調査を行う予定であることを確認しました。

  • 在京局との意見交換会・勉強会を11月25日(火)に行う方向で調整に入ることを決めました。

第159回 放送と青少年に関する委員会

第159回–2014年6月24日

事件報道で子どもの顔出しインタビューを取材・放送した案件は継続討論に。
子どもたちに車に落書きさせたバラエティー番組や小児エイズで亡くなった赤ちゃんの映像を取り上げた番組などを視聴した上で討論、審議入りせず。…など

第159回青少年委員会を、6月24日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。5月16日から6月15日までに寄せられた視聴者意見を基に、子どもが関わる事件・事故報道における配慮など4つの案件について討論しました。その他、6月の中高生モニター報告、6月6日に沖縄で行われた意見交換会の報告、調査研究などについて話し合いました。
次回は7月22日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年6月24日(火) 午後4時30分~午後7時20分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「出演者の同意なく本人の車に子どもたちに落書きさせたうえ、車内に犬を放し汚していた。"いじめ"や"パワハラ"ではないか」という視聴者意見があったバラエティー番組について、全委員が視聴した上で討論しました。委員からは、「出演者のキャラクターを考えたときに許容範囲かとは思うが、子どもに"バカ"と書かせる演出に品のなさや不愉快さを感じる」「制作者には、視聴者との感覚のずれがあることを認識してほしい」などの意見が出ましたが、局内で議論し制作者は反省しているとの報告もあり、審議入りしないことにしました。

  • 「世界の歴史が動いた瞬間を捉えた番組でルーマニア民主革命を取り上げていたが、小児エイズで亡くなった赤ちゃんの映像は非常に鮮明で大変驚き、気分を害した。事前に説明があればよかった」という視聴者意見があった番組について、全委員が視聴した上で討論しました。委員からは「日曜日の夜という時間帯が重たい」「子どもが受けるインパクトへの配慮があってもよかった」という意見もありましたが、「見た後に複雑な余韻が残り、心がざわつく。興味本位で遺体を扱ってはいない」「制作者側がどれだけ信念を持って放送しているかが問われる。この映像により独裁者の行為の悲惨さが伝わってきた。これを見た子どもたちも受け止めることができるはずだ」「歴史の中での人間の行いの悲惨さを隠す必要はない。遺体であっても事実を伝える必要性を考えれば問題はない」などの意見があり、審議入りしないことにしました。

  • 2005年に殺害された被害児童の同級生の顔出しインタビューが情報系の番組で放送されたことについて「配慮が足りないのではないか」などの視聴者意見や、事件の説明について配慮を求める委員からの意見もあり、全委員が視聴した上で当該局からの報告を基に討論しました。委員からは、「高校生になった被害児童の同級生のインタビューを見て、これだけ月日が経過したことを視覚的に感じられた。顔出しが一概にダメだとは思わない」「事件の説明についてもリアリティーを出すための充分な検討がなされている」として審議入りしないことにしました。

  • また、小学校の校長が覚せい剤所持容疑で逮捕された事件で、卒業生(中学生)の顔出しインタビューが情報系の番組で放送された件についても、全委員が視聴した上で当該局からの報告を基に討論しました。委員からは「放送後に保護者から今後インタビュー映像を使用しないでほしいとの要望があったようだが、理由を知りたい。その理由の積み重ねで取材者が様々なリスクを考えながら次の取材に立ち向かうことができるのではないか」などの意見が出て、当該局に再度報告を求めることにし、次回も引き続き討論することにしました。

中高生モニター報告

■中高生モニター報告 概要

6月の中高生モニター報告は、「この1か月程の間に見た番組の感想(ドラマ・アニメ)」というテーマで書いてもらいました。
今回は31人から報告がありました。人気のドラマ番組に対する意見が複数寄せられました。『弱くても勝てます』(日本テレビ)に関して「青春を感じる学園もので、自分と重ね合わせながら、とても楽しんで見ることができます。特に主演の二宮さん演じる野球部監督の言葉は一言一言が胸にしみます」(岡山・高校1年女子)などと賛辞が多く見られました。『軍師官兵衛』(NHK)については、「このドラマは面白くて、なおかつ1年かけて歴史の学習ができます。番組の終わりにある官兵衛ゆかりの地を紹介するコーナーも父が大好きで、ここに行ってみたいとか、ここには行ったことがあって、とか話してくれるので会話が広がります」(大分・中学3年女子)、「映像に迫力がある。特に戦闘の場面にリアリティーがあるのが好きだ。本や教科書よりも歴史がよく分かる」(東京・中学2年女子)。『花子とアン』(NHK)に関しては「主人公が夢に向かって頑張る姿はとても素敵だ。花子の言葉に感動したり考えさせられることも多い。これからもこのドラマを見て自分の人生といろいろ向き合っていけたらなと思う」(宮崎・高校2年女子)。
アニメに関しても熱い意見がありました。『名探偵コナン』(読売テレビ) 「この番組は小学生のころから欠かさず見ています。面白い要素を分析すると (1)推理 (2)設定 (3)顔のアップを多用、という3点です。リアルな感じでハラハラします」(東京・中学2年男子)。『ピンポン(ノイタミナ)』(フジテレビ) 「とにかく面白いです。話の構成が上手なのと画面の割り方が漫画のようなところがいいです」(東京・中学3年男子)。
自由記述欄は、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。辛口の意見や要望などが寄せられました。「最近のアニメは不調になっています。本数が多すぎます。質を保つためにも減らしていいと思います。また誤解を招く表現も控えてほしいです」(埼玉・中学3年男子)、「面白くてかつ、為になる番組は今の私にとってはありません。頭を使って一緒に考える時間を共有できるような番組が有ってほしいです」(秋田・中学2年女子)、「今、テレビに必要なのは、どうなるんだろうという視聴者をワクワクさせる気持ちだと思います」(佐賀・中学1年女子)、「テレビとラジオはインターネットに喰われかけていると思います。インターネットの爆発的な普及で<1億総リポーター時代>になったうえ、娯楽がテレビやラジオだけではなくなって、つらいと思いますが頑張ってください」(東京・中学3年男子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】ドラマ・アニメのジャンルは積極的に見やすいのか、ほとんどが大変熱心に書かれたリポートで、テレビ局の参考になる意見が多かった。その中でも「番組をじっくり見る暇がないので、コンパクトにまとめられ、スピード感のある内容のものがよい」という意見が目立った。時間を埋めるために内容を引き延ばしているような番組は、飽きられるようだ。

  • (佐賀・中学1年女子)NHKの朝ドラは15分なのですぐ終わるところがいいです。短い時間で気軽に見ることができるのと、もうちょっと見たいなあと思う所が良い点だと思います。

  • (大阪・中学2年女子)『ファースト・クラス』(フジテレビ/関西テレビ) ドロドロしているところにハマりました。今までのドロドロ系のドラマにはないスリル感や展開の速さなどがあり、大変よいと思います。従来のドラマの中には、1回分の展開が少ないにもかかわらず、大きな変化を次週まで引き延ばすものが多く、視聴者としては見ていて憂鬱になります。

●【委員の感想】見方の変化として録画視聴などが一般的になっているようだ。また、BSやCSなど地上波以外の番組をマニアックな見方で見ている中高生が多い。

  • (滋賀・中学1年女子)『メカクシティアクターズ』(BS11) 小説がアニメ版になったもので、原作が好きな人にはたまりません。深夜番組ですが、録画するので見られます。すごく面白いのでいつも楽しみにしています。

  • (東京・中学2年女子)オンタイムで見るより、動画サイトや録画で見ることが多くなってきた。過去に話題になったドラマをまとめて見ることができるので嬉しい。『花より男子』(TBSテレビ)などを見た。
  • (神奈川・高校1年女子)最近BS放送が面白いなとよく思います。地上波の番組に比べると地味ですが、色々な種類の番組をやっていてよく見ています。

●【委員の感想】興味をひく番組が少なく、時代を映し出すような番組もない、というリポートには全く同感した。

  • (宮城・高校1年男子)最近はどの番組でも同じようなものをバラエティー番組で取り上げたりするので、独自の放送局の個性が失われているのではないか。自分が大人になってこの時代を振り返ったときに、代表するテレビ番組がないというのはとても悲しいことだなと思う。

●【委員の感想】アニメ番組の熱烈なファンが多いようだ。大変よく書けたリポート内容に感心すると同時に考えさせられた。

  • (東京・高校2年女子)今回はあえて往年の名作である『天才バカボン』(テレビ埼玉)を視聴してみた。日常の枠から外れすぎずなおかつドタバタとした喜劇を作り上げることができたのは、当時の制作スタッフの能力の高さとアニメへの情熱、ひいては視聴者の期待によるものだろう。近年、アニメは飽和状態にある。新アニメは季節ごとに何十本も放送を開始する。私たちがアニメを消費し続ける中、アニメーターたちは激務を重ね、アニメ会社も疲弊しきっていると聞く。『天才バカボン』がなぜ面白いか、その理由の一つに制作者側が楽しんで作っていることが見ていて伝わってくるということだ。こういう日本のアニメ文化を絶やしてはいけない。

●【委員の感想】アナウンサーが若者言葉を使うことへの批判があった。

  • (宮城・中学2年男子)何気なくNHKを見ていたらアナウンサーが「…的な」という言葉を使っていました。時代が変化するにつれて言葉が変わっていくのは分かりますが、NHKが、私たち中高生が使っている言葉を使ってしまっては、違和感があります。学校の先生からも、「バラエティーもいいけれど、NHKでニュースを見なさい」と言われている中、そのような言葉を使っては手本になれないと思います。

●【委員の感想】学校や家庭で共通の話題になりうるのは、「嵐」のメンバーが出演しているドラマか、NHKの大河ドラマ、朝ドラのようだ。

  • (佐賀・中学1年女子)NHKの朝ドラは学校でも話題になります。ドラマの内容で会話が弾むのは朝ドラが一番です。家族でも盛り上がるので年代を超えて楽しめます。また、学校では『弱くても勝てます』(日本テレビ/福岡放送)を見ている人が多いです。人気の理由は、ドラマに出ている人の人気だと思います。

●【委員の感想】好きなドラマの続編が、課金されるチャンネルでしか放送されないのは不公平だと書いているモニターがいたが、もっともだと思った。

  • (愛媛・高校2年男子)『MOZU』(TBSテレビ/あいテレビ) このドラマは、今期のドラマは面白そうなものが無いと思っていた自分が、唯一興味を持てたドラマです。しかし残念なのは、シーズン2が地上波では見られないということです。WOWOWとTBSテレビの共同制作であるために、シーズン1は全員見られて、続きのシーズン2だけ、加入している人しか見られないというのは不公平だと思います。加入しないと続きが見られないようなドラマは作ってはいけないと思います。

その他

  • 沖縄で開催した「意見交換会」の報告がありました。概略は以下のとおりです。
    2014年6月6日、琉球放送内RBC4階ホールで、汐見稔幸委員長、小田桐誠委員、川端裕人委員と、NHK・琉球放送・沖縄テレビ・ラジオ沖縄・FM沖縄・琉球朝日放送の番組関係者など36人による「意見交換会(沖縄)」を開催しました。
    川端委員の司会で、まず沖縄の抱える諸問題について話し合いました。「基地問題では沖縄と全国とのギヤップがあり、意見がかみ合わない」「基地の近くの小学校で、オスプレイを"かっこいい"という子どもと"かっこいいと言ったらダメだ"という子どもが喧嘩していた」「基地問題はイデオロギーとともに生活の問題でもある」「荒れる成人式の取材は地元の局では取材したくないがキー局からの要請がある」「地元言葉(ウチナーグチ)でのラジオ放送が沖縄の特徴だ」などの話が出ました。また、青少年委員会で最近話し合った案件として、男児性器の映像問題や、北海道暴風雪の少女の件のような顔出しインタビューについて意見交換しました。
    汐見委員長は、「沖縄における学力問題は貧困問題の克服とリンクしている。青少年委員会は、未来を担う子どもたちをどうやって励まし続けることができるかを考えている委員会だ」とまとめて意見交換会を終えました。

  • 調査研究の進行状況の報告がありました。

  • 9月9日に仙台で開催予定の「意見交換会」について、準備状況の報告がありました。

第158回 放送と青少年に関する委員会

第158回–2014年5月27日

視聴者意見などを基に、「子どもが関わる事件・事故報道における配慮」をテーマに討論…など

第158回青少年委員会を、5月27日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。4月16日から5月15日までに寄せられた視聴者意見で討論の対象になったのは、子どもが関わる事件・事故報道における配慮についてです。その他、5月の中高生モニター報告、6月6日に予定されている沖縄での意見交換会、調査研究などについて話し合いました。
次回は6月24日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年5月27日(火) 午後4時30分~午後6時50分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 情報系の番組で、被害者の同級生や学校の卒業生を顔出しでインタビューしているが、配慮が足りないのではないか、という視聴者意見や、事件の説明について配慮を求める委員からの意見もあり、子どもが関わる事件・事故報道での配慮をテーマに討論しました。事実関係の確認のため、関連する局に資料の提出を要望し、次回引き続き討論することにしました。

中高生モニター報告

■中高生モニター報告 概要

5月の中高生モニターは、「最近見た番組の感想(報道・情報・ドキュメンタリー)」というテーマでリポートを書いてもらいました。今回は31人から報告がありました。
『報道ステーション』(テレビ朝日)は5人が取り上げました。「特に良いのが特集で
す。分かりやすくCGなどを使い解説をしてくれます」(福岡・高校1年男子)、「サッカー日本代表メンバー発表は、各報道番組が工夫を凝らし解説していましたが、特にこの番組は面白く、わかりやすかったです」(兵庫・高校1年男子)などと賛辞が多く見られました。 
ドキュメンタリーでは地方を舞台にした番組に関する報告が多く寄せられました。『福島をずっと見ているTV』(NHK Eテレ)「この番組を見て涙が出そうになりました。被災地の福祉や介護について私が何かすることはできないけれど、まずは現状を知ることが大事かなと思いました」(宮崎・高校2年女子)、『NEWSチャンネル4』(南海放送)「この番組の特集で愛媛県警に自動車警ら隊ができたということを初めて知った。地元局でこういうことを取り上げるのはすごく良いと思う」(愛媛・高校2年男子)。NHKのドキュメンタリーに関する報告も多くありました。『Brakelessブレーキなき社会~JR福知山線脱線事故9年~』(NHK)「この番組の完成度の高さに圧倒された。構成の工夫や画面の演出など、何をとっても素晴らしい。ここまで心に響く番組は、久しぶりだった」(東京・高校2年女子)、『ドキュメント72時間 上野公園 満開の桜の下で』(同)「この番組には自然に人間模様が表れます。広い社会を知り、多くの人の中での自分の位置を確認できるお気に入りの番組です」(大阪・中学3年女子)。
<自由記述欄>では、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」と依頼しました。今回はラジオについて書いた報告が多数ありました。「地元のK-mix(静岡エフエム放送)の番組をたまに聞きますが、テレビのアナウンサーよりも丁寧語でないけれど、そこが親しみやすくてたまらなく好きです」(静岡・中学1年女子)、「私は日々ラジオを通して自分の好きな洋楽と出合っています。元気づけてくれる色々な曲が聞けるのは嬉しいです」(東京・高校1年女子)、『基礎英語3』(NHKラジオ第二放送)「毎朝欠かさず聞いています。リスニング力がUPしてとてもいいです!」(大分・中学3年女子)。一方、テレビ番組に対する批判も寄せられました。「最近はどの局も長時間似たようなスペシャル番組ばかり放送する。友達とテレビの会話をすることはあまりなくネットの話の方が多い」(東京・中学3年男子)、「主にドキュメンタリーで、はやりの俳優にナレーションをさせないでほしい。読むための発声をしていないので非常に耳触りだ。せっかくの番組が台無しになる」(東京・高校2年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】テレビ・ラジオ番組に関しての報告なのに、インターネットやYouTube、SNSに言及しているリポートが散見され、我々が考えている以上に中高生のテレビの見方が急激に変わってきている、という実感を持った。

  • (広島・中学2年女子)『世界を変えるテレビ』(広島テレビ/日本テレビ)この番組を見て最初に思ったことはSNSの素晴らしさです。今、私たちの学校ではSNSに悪口を書き込み、いじめの原因になることが多く問題になっています。しかし、SNSにはデメリットだけでなくその人の使い方次第で世界を変えることができる力があるということを教えてもらえた番組でした。

●【委員の感想】番組の趣旨がしっかり中高生のハートに届いていると感じた報告があった。素晴らしい内容でそれを読むことによって間接的に番組の描いた情景にほろりとさせられた。テレビ番組の力を印象づけられた気がする。

  • (宮崎・高校2年女子)『福島をずっと見ているTV』(NHK Eテレ)今回は南相馬市の老々介護についてでした。とても大変そうで、私は愛している人のために自分の人生を捧げることができるだろうか、と思いました。今自分のことで精いっぱいの日々を過ごしている私にとって、おばあちゃんたちは人生の先輩だなと思いました。

●【委員の感想】制作方法、描写の仕方など、冷静にテレビ番組を見ていると思われる優れたモニターがいた。私自身は見逃していたので残念だったが、この番組を作った制作側も素晴らしいと思った。

  • (東京・高校2年女子)『Brakeless ブレーキなき社会~JR福知山線脱線事故9年~』(NHK)多角的な視点で事故原因に迫りつつ、過去・現在・未来の日本社会を捉えていく。様々な映像素材を使いながらも展開が自然なので混乱しない。タイトルも工夫が凝らされている。BBCとの共同制作であるこの番組をもっと多くの人に見てほしい。

●【委員の感想】ドキュメンタリーとは何ぞや?と問いかけたモニターがいたのにショックを受けた。モニターに応募してきた中高生はテレビ好きと思っていたが、やはり、中高生のテレビ離れはこちらの思っている以上に急激に進んでいるようだ。

  • (東京・中学3年男子)ドキュメンタリーとはどんな番組でいつやっているのでしょうか。改めて自分がテレビ番組にあまり興味がないことに気づきました。自分から積極的にテレビをつけることはあまりないです。リアルタイムに放送されている番組を見ることは少ないですし、友達ともテレビについてよりネットの話題の方が多いです。

●【委員の感想】ドキュメンタリー番組は事実に基づいているが物語性もあることを実によく読み取っている。中高生がドキュメンタリー番組をもっと見る機会があればいいと感じた。

  • (大阪・中学3年女子)『ドキュメント72時間 上野公園 満開の桜の下で』(NHK)桜を見る人も様々だが桜を見て思うことも人によって様々だ。しかし、桜が散ればその時間も終わる。つまり、自分を見つめなおす時間はたった一瞬だ。

●【委員の感想】テレビ番組に対する姿勢が実に多様化していると感じた。のめりこむ人もいれば、醒めて見ている人もいる。

  • (秋田・中学2年女子)勉強で疲れた後は、コロコロ画面が忙しく変化するにぎやかなテレビ番組は見ていて疲れます。勉強疲れ、運動疲れ、仕事疲れを取り除いてくれるような癒しの番組があるといいですね。

●【委員の感想】テレビ番組を様々な角度から見ているモニターに感心した。自分なりの感じ方で人生の糧にしているようだ。

  • (沖縄・中学2年男子)『クローズアップ現代 急増する野生動物被害』(NHK)これは人災なのでは?と私は思いました。人には人の言い分があるように、きっと動物には動物の正しい言い分があるんだろうなと思います。果たして、どちらが被害者で、どちらが加害者なんでしょうか。

●【委員の感想】青少年は今漠然とした不安を持っていて、将来自分に何ができるのか思案している子どもも多い。テレビ番組に勇気づけられた、と書いたモニター報告が印象に残った。

  • (青森・中学1年女子)『世界を変えるテレビ』(青森放送/日本テレビ)私はこれを見て、やろうと思えばできないものはないのではないかと思いました。私よりも小さな子がこんな大きなことを思いついてやっていることは本当にすごいことだと感動しました。

●【委員の感想】テレビ番組や制作姿勢について痛烈な批判もみられた。

  • (広島・中学2年女子)私が思うに今の多くのテレビに足りないものは、YouTubeのように新しいことに挑戦してみようという気持ちです。食べ物の番組が人気を集めたら同じような番組をたくさん作る、医療系のドラマが売れたら同様の番組をたくさん作る、同じことばかり繰り返しても視聴者は何も面白くありません。

  • (広島・中学2年女子)私はバラエティーでやっている料理の値段を当てるクイズや人気の商品が何かを当てる番組内容は意味が無いと思っています。芸能人が高級な料理を食べて値段を当てることに何の意味があるのかと不思議に思うのですが、番組は続いています。

その他

  • 6月6日に沖縄で開催予定の意見交換会について準備状況が報告されました。
  • 調査研究の今後の予定が報告されました。

第157回 放送と青少年に関する委員会

第157回–2014年4月22日

2014年度中高生モニターの最初のテーマ、「好きなテレビ・ラジオ番組の、好きなところ、良いと思うところ」について、24人から報告。長年続く人気バラティー番組、海外テレビ局制作番組、情報番組など。

第157回青少年委員会を、4月22日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回は、討論の対象番組はありませんでした。その他、3月10日から4月15日までに寄せられた視聴者意見、4月の中高生モニター報告、6月6日に予定されている沖縄での意見交換会、調査研究などについて話し合いました。
次回は5月27日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年4月22日(火) 午後4時30分~午後6時00分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 視聴者からの意見を基に委員間で話し合いましたが、今回は特に取り上げる案件はありませんでした。

中高生モニター報告

■中高生モニター報告 概要

2014年度最初の中高生モニターは、「好きなテレビかラジオの番組を一つあげて、その番組の好きなところ、良いと思うところを具体的に報告してください」というテーマで書いてもらい、24人から報告がありました。
長い間続いている人気バラエティー番組を支持する意見が複数寄せられました。『笑点』(日本テレビ)、『世界の果てまでイッテQ』(同)、『世界一受けたい授業』(同)、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日)などの番組です。「見るたびに外国に関する知識が増えているようで嬉しくなる。子どもと大人が一緒になって楽しめる番組だ」(愛知・高校2年女子)、「司会者が嫌みなく、絶妙な間合いと適度なさじ加減で番組を彩り、出演者のいじり方も上手で自然体で接している様子が心地良い」(東京・高校2年女子)などの意見がありました。海外テレビ局制作の番組に関しても、『iCarly』(NHK Eテレ)や『glee』(同)などについて「日常でよくあるさりげない小笑を大笑いに替えて面白い」(神奈川・中学1年男子)、「高校生という身近な人の話なのでとても親近感がわく。ストーリー性・内容だけでなく細かい所までの配慮もいいと思う」(大分・中学2年女子)という意見が寄せられました。情報番組に関しても、『ZIP!』(日本テレビ)や『ヒルナンデス!』(同)に、「休みの日には必ず見ている、という友だちも何人かいて、おしゃれ好きな中学生には人気のある番組だと思う」(東京・中学2年女子)、「主婦だけでなく中高生でも楽しめる番組だ。これからもたくさんの最新情報に期待している」(広島・中学2年女子)など、熱い支持が寄せられました。
自由記述欄は、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。「私は"音響効果"による過剰演出がとても気になる。笑い声や驚き声などを必要以上に使用していると感じる」(兵庫・高校2年男子)、「最近のドラマは面白みが欠けていて1話見て飽きてしまうことが多い」(愛知・高校2年女子)、「番組の切り替え時期の特番の時間が長すぎる」(宮城・中学2年男子)などの批判が寄せられました。
また、「私たちの地域では、30年以内に大地震が来ると言われている。もっと防災について放送してほしい」(広島・中学2年女子)、「地方に住んでいると他の地域では見られるのに見られないという番組が多い。しかも、たとえ見られても番組によって放送時間が遅くなったり不安定で、東京よりも内容が2週間ずれたりすることが許せない」(愛媛・高校2年男子)など、地方在住者からの要望がありました。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】バラエティー番組に対する厳しい意見が目立った。これからの日本社会のコアとなる中高生の番組批評に、番組制作者は耳を傾けてほしい。

  • (神奈川・高校2年女子)最近ではバラエティー番組を見ることがめっきり少なくなりました。中身のないものをだらだら見続ける時間がもったいないと感じるようになったからです。ありきたりな演出、身内だけで盛り上がる進行、良いところで必ず挟まれるCM…。そういう演出の番組を見るたびにうんざりした気持ちになります。

  • (宮崎・高校2年女子)私が最近あまりテレビを見なくなった理由は、バラエティーが、出演している芸能人だけが楽しんでいる番組になりつつあるからです。私たちが見て得をしないというか、一緒に楽しめないなと私は思います。

●【委員の感想】「好きな番組について書いてください」というテーマだけに、もっとばらばらに意見が分かれるかと思ったら、意外と『ヒルナンデス!』(日本テレビ)、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日)、『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ)などに好意的な意見が集まった。やはり、長寿番組や、安定感のある笑いを主軸にした番組に人気があるようだ。

  • (広島・中学2年女子)『ヒルナンデス!』(日本テレビ/広島テレビ放送)この番組のことを知ったのは母が毎日録画をして見ていたからです。私が一番好きなコーナーは3色ショッピングです。広島にはないものの最新情報ばかりで、最新雑貨なども紹介されるので、私の周りでも見ている友だちは多いです。

  • (東京・中学2年女子)『ヒルナンデス!』(日本テレビ)の好きなところは、ファッションのコーナーがあるところだ。その中でも一番好きなのが、毎週木曜日にある今最も売れているファッションアイテムを探す対決だ。その理由は、流行を素早く知ることができるからだ。

●【委員の感想】自由記述欄で、父親から勧められてモニターに応募した旨を書いている人がいたが、その内容に感心した。

  • (沖縄・中学2年男子)正直、私はあまりテレビやラジオを見たり聞いたりするほうではないと思います。それなのに今回中高生モニターに応募したのは、父親からインターネット社会である現代において、ネットとテレビやラジオのあり方を考えることにより、いろんな見方・考え方ができるようになるからと強く勧められたからです。自分なりに、テレビとラジオの可能性を探る1年にしていきたいと思います。

●【委員の感想】深夜に放送されているアニメにはいろいろ問題があると思っていたが、充実した番組もあることが分かった。また、ライトノベルのアニメ化、実写化についての意見には、想像力を固定化させないという意味で誠にまっとうな内容と思った。

  • (東京・中学3年男子)僕の好きな番組は、フジテレビの『ノイタミナ』です。深夜にアニメを放送する番組で1時間に一つか二つの作品を放送しています。様々な制作会社の作品が放送され、はずれの作品が少なく、露骨な萌えとか残酷な表現が無いので安心して見ることができます。また、ライトノベルをアニメ化して、それをさらに実写化することや、無理に二次元のものを三次元にしたり、特定のタレントをごり押しするのもやめてほしい。

●【委員の感想】全般に、昨年の内容とはまた違っていて興味深く読んだ。面白いだけでなく知識を得ることもできるものを求めているようだ。放送局側にもヒントになるのではないか。また、残酷なシーンを弟と妹が一緒に見てしまった、という報告はその時は理解できなくとも後にフラッシュバックすることもあるので、やはり放送する際には留意してほしいと思う。

  • (滋賀・中学1年女子)『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ/読売テレビ)は面白いだけではなく、他国の国旗の意味や、その国ならではの面白いことや、有名なものなどを紹介してくれるので、知識が自然と身につき、良いと思う。

  • (佐賀・中学1年女子)『それでも夜は明ける』という映画がアカデミー賞の作品賞を受賞しました。『ZIP!』(日本テレビ/福岡放送)や他の番組で、長い時間、映画のVTRが流れました。作品は奴隷制度の映画で、人がムチで打たれたり、殴られたり縛られたりするシーンがありました。弟と妹は意味も分からず見ていました。小さい子どもも見ているので、人を傷つける恐い映像を放送するのはやめてほしいと思いました。

●【委員の感想】「防災情報についてもっと報道してほしい」という報告があったが、大変もっともなことだと思う。観光地などにおける避難場所への誘導看板がどこに出ているのかも報道すると良いと思う。

  • (広島・中学2年女子)時々、防災関連のニュースを見ますが、9月の防災の日か、3月の東日本大震災に近い日だけの放送のように思います。学校の友だちは避難場所を知らない子が多いです。もっと防災について放送してほしいです。

●【委員の感想】地域密着型のローカル番組を褒めている報告があった。これからも地方放送局制作の番組について、たくさん報告が上がってくると良いと思う。

  • (東京・高校1年男子)私は3月まで北海道に住んでいたので、あえて北海道の番組を取り上げます。長寿番組の『どさんこワイド179』(札幌テレビ)の良いところは、(1)わかりやすく北海道愛を感じる番組であること、(2)視聴者との関係を上手に保っているところです。夕方のローカル番組はたくさんありますが、この番組は群を抜いています。

●【委員の感想】初めて書いた報告にしては、皆とてもよく書けていると思った。なかでも英語の勉強を兼ねてテレビ番組を見ているという報告が印象に残った。

  • (大分・中学2年女子)『glee』(NHK Eテレ)はストーリー性・内容だけでなく、細かい所までの配慮も良いと思います。音声切り替えで英語のまま見ることができるのも良いし、日本語訳も直訳でなく日本語にない言い回しも分かりやすく訳しているし、英語を聞いた後に訳を見ると、きれいな訳の仕方だと感じることもあります。

その他

  • 6月6日に沖縄で開催予定の意見交換会について準備状況が報告されました。
  • 調査研究の今後の予定が報告されました。