第161回–2014年9月9日
深夜帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマについて討論…など
第161回青少年委員会を、9月9日に7人の委員全員が出席してNHK仙台放送局第1会議室で開催しました。まず、7月16日から8月15日までに寄せられた視聴者意見から、1案件について討論しました。その他、8月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、11月25日に行う予定の在京放送局との意見交換会・勉強会の内容などについて話し合いました。
次回は9月30日に定例委員会を開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2014年9月9日(火) 正午~午後2時10分
- 場所
- NHK仙台放送局 第1会議室
- 議題
- 視聴者意見について
中高生モニター報告について
調査・研究について
青少年委員会活動について
- 出席者
- 汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員
視聴者意見について
深夜の時間帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマについて、「深夜の時間帯の放送だが、放送するには下品な内容で卑わいな話題や単語が出てくる。わいせつな行為の再現VTRはポルノさながらの映像だ」という視聴者意見があった。第1話から第3話を全委員が視聴した上で討論しました。
委員からは、「深夜ではあるが、ここまでの性的描写は良いのだろうか」「以前審議入りし委員長談話を公表した『幸せの時間』よりラジカルな性的描写だと思った」などの意見とともに、「この番組は、男性視聴者を意識したものではなく、女性が深夜に気楽に見られるように作ったのだろう。それほど嫌らしい感じはしなかった」などの意見が出ました。
討論の結果、第1話の性的描写には問題を感じるが、今回は審議まで進むことはしないことにしました。しかし、「たとえ深夜の時間帯の放送でもテレビ・ラジオの持つ公共性から考えてどこまで許されるのか、改めて自局で検討してほしい」として、引き続きこの番組について関心を持って注目していくことを確認しました。
中高生モニター報告について
■中高生モニター報告 概要
8月の中高生モニターは、「『青少年へのおすすめ番組』視聴の感想」というテーマで書いてもらい、29人から報告がありました。
いくつかの番組に意見が集中しました。『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)については、6人のモニターが強く支持する報告を寄せてくれました。「障害者に対する配慮、地域への貢献となる内容、わかりやすい構成など、アイドルと言われるTOKIO自身が料理や収穫などさまざまなことをしていることも含め、この番組は模範的な番組だと思った」(愛媛・高校2年女子)。「この番組は考えるきっかけをくれることが多い。なんだかいつも熱い!一生懸命っていいな、気持ちいいな、と思わせてくれる。こういう番組はずっと続いてほしい、というか続くべきだと思う」(東京・中学2年男子)。
『カスぺ!「8.12日航機墜落 30回目の夏 生存者が今明かす"32分間の闘い" ボイスレコーダーの"新たな声"」』(フジテレビ)については、4人のモニターから強い感銘を受けたという報告がありました。「墜落までの32分間のドキュメンタリードラマは、犠牲者、遺族の悲しみが痛烈に感じられ涙が止まりませんでした。これからは一日を大切にし、後悔しないよう生きていきたいと思いました」(愛知・高校2年女子)。「この番組を見て、本当に人生何が起こるかわからない、運命なのだと思いました。これからは、それをしっかり考えながら生きたいと思います」(宮崎・高校2年女子)。
『林修の今でしょ! 講座 夏休み2時間SP』(テレビ朝日)に関しては、4人がとてもいい番組だというリポートを書いています。「中学生、高校生はもちろん、小学生や大人が見てもためになると思います。とても分かりやすいし楽しく学ぶことができます」(東京・高校1年女子)。「この番組は、たくさんの新しい知識を得ることができ、見て得をしたと思える番組でした。中身がつまっていて、とても見ごたえがあり、しかも家族みんなで楽しく見ることができました」(東京・中学2年女子)。
自由記述欄は、「テレビ・ラジオについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。「私はよくデータ放送を使います。いろいろと充実はしていますが、さらに、私は是非、ドラマの裏側を見せてほしいなと思います。出演者のインタビューが読めたり、撮影の様子などもわかると、一層、ドラマを見る楽しみが広がると思います」(東京・中学2年女子)。「最近、キー局の夕方ニュースで4時台にも進出したところがあるが、これはどうかと思う。3時間もニュース情報を見ると、同じニュースを繰り返すため、飽きてうっとうしくなってしまう」(埼玉・中学3年男子)。「最近の企画は、昔のドラマのリメイクとかアニメや漫画で売れたものの実写化とか、新しいものを作ろうとする意欲がない。視聴率がとれなくなったことを時代と視聴者の変化のためとしているが、視聴者をおいてきぼりにし、内輪でしか盛り上がれない番組の内容自体が悪いことを直視すべきだ」(宮城・高校1年女子)。
■中高生モニターの意見と委員の感想
●【委員の感想】今回は自由記述欄におもしろい意見が散見された。他のモニターの意見に対して自分の異なった見方をしっかり述べたり、番組内容への手厳しい批判など読み応えがあり、益々今後の報告に期待したい。
- (青森・中学1年女子)私は先月の報告書でみなさんのCMへの意見を見て思ったのですが、確かにCMがいいところで入りイライラすることもありますが、違う見方をするとそのバラエティーやドラマ番組の次の展開への期待やワクワク感を倍増できるのではないでしょうか。また、CMはいろんな番組や商品情報を知るよい機会を与えてくれます。
- (神奈川・高校1年女子)『27時間テレビ』(フジテレビ)を見ていたら、何十曲も連続で歌い続けるという企画がありました。見ていて、ひどいなと思いました。あそこまでやらせるのが、果たしていい企画なのでしょうか。歌い続けた後、本社まで歩かせていましたが、見ていて気持ちのいいものではありませんでした。
●【委員の感想】『熱闘甲子園』(朝日放送)には女子のモニターから意見が集まっていたが、賛否両論だった。
- (秋田・中学2年女子)一人の球児を密着取材してインタビューも充分にしており、一本の物語のように構成されていて、感動しました。
- (大阪・中学3年女子)この番組を見てあまり良い印象を受けなかった。対戦校の紹介が偏っているし、生放送でする意味もない。また、画面の前に出演者が立っていることは見ていて気持ちのよいものではない。
●【委員の感想】もう少し地方局制作の番組に意見が集まるかと思ったが、キー局制作の人気番組に報告が集中したのは残念に思う。ただし、この【おすすめ番組】を設定しないと見ないような上質なドキュメンタリーを見てくれたモニターがいたのは大変良いことだと思う。
- (埼玉・中学3年男子)『カスぺ!「8.12日航機墜落30回目の夏 生存者が今明かす"32分間の闘い"ボイスレコーダーの"新たな声"」』(フジテレビ)を視聴したが、とても内容が良く、充実した2時間半だった。再現ドラマCGの質もすごく、衝撃を与えてくれた。最近はバラエティー番組が多いが、この番組は新鮮だった。
●【委員の感想】中高生の子どもたちは、生きる手ごたえはどこにあるのか、漠然と考えているものだが、それに関して番組が発信しているメッセージをしっかり受け止めていることを知り、嬉しく思った。
- (神奈川・中学1年男子)『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)。僕はこの番組が好きです。1つ目の理由は野菜の性質、特性、育て方などを知ることができて実際に役立つからです。2つ目は「ふれあい」です。地域の方の家や仕事場などを訪問することで、人の優しさ、ぬくもりを改めて感じられます。
●【委員の感想】これからは日本人もどんどん世界に出ていく時代となるが、世界に出る、ということはおもしろく素晴らしいが大変なことだということが分かった、と書いていたモニターが数名いた。
- (滋賀・中学1年女子)『グローバルな人~世界で生きる"処方箋"』(NHK)を見ました。無計画のままパン屋を中国で起業した人の話です。初めは自由人だなと思いましたが、すぐ行動できることは凄いと思いました。「軽い気持ちで中国に行き、成功よりも失敗のほうが多いけど、その経験が教えてくれました」という言葉は今の中学生にも聞いてほしいと思いました。
●【委員の感想】熱心かつ丁寧に番組を見て素晴らしい文章で報告を書いてくれたモニターには感心した。番組のナレーションにまで、言及していた。
- (東京・高校2年女子)『素晴らしき和食の世界~箸から溢れる日本人の心~』(日本BS放送)。和食というテーマだけでこんなにもさまざまな考察が深められるのか、と感心した。テーマごとに区切られた映像は、割烹のカウンターを模したスタジオでの進行→映像→出演者による考察、という順序で放送され、まとまりとリズム感のある飽きの来ない番組に仕上がっていた。ナレーション(湯浅真由美さん)も素晴らしかった。
●【委員の感想】最近の中高生はドキュメンタリーはほとんど見ないようだが、今回は骨太のドキュメンタリーを見て、しっかりその企画意図を受け止めてくれた報告内容に心強い思いがした。
- (広島・中学2年女子)『野球が好きなんじゃ~広島復興とカープ誕生~』(中国放送)。私はカープの大好きな祖父と5年間一緒に住んでいました。戦後何も無くなった広島の街で祖父は様々な仕事をしながらカープの「樽預金」に参加しており、自分たちの育てた球団という意識を強く持っていました。カープが広島の復興と共に歩んできたことをもっとみんなにも知ってほしいなと思わせてくれる番組でした。
調査・研究について
- 「中高生の生活とテレビに関する調査(仮)」について、現在3,000人を超える中高生へのアンケート調査を実施し、今年度中の調査結果の公表をめざして作業が進んでいるとの報告がありました。
青少年委員会活動について
- 11月25日に開催予定の「在京局との意見交換・勉強会」について、"報道における青少年の扱い"を中心テーマに話し合うことが決まりました。
- 2015年1月に意見交換会を地方都市で開催することが確認されました。
■意見交換会(仙台)について
委員会終了後、NHK仙台放送局第1スタジオ内で、仙台地区のNHKを含むテレビ・ラジオ6局の報道・制作・編成関係者36人が参加し、本年度2回目の意見交換会を開催しました。青少年委員会からは、7人の委員全員と、飽戸理事長が参加しました。
意見交換会では、第1部で、BPO青少年委員会の活動について事務局から説明しました。第2部では、「震災後3年半を迎えた震災報道」を中心テーマに、"取材時の子どもへの影響や人権への配慮"などについて、3時間半にわたり、委員と各局の参加者が活発に意見交換しました。
詳しい内容は後日報告します。