第198回 放送と青少年に関する委員会

第198回-2017年12月18日

視聴者からの意見について…など

2017年12月18日、第198回青少年委員会を午後4時30分からBPO会議室で開催、7人の委員全員が出席しました。
開会に先立ち、初代の青少年委員会委員長、原寿雄氏が11月30日に逝去されたことに対し全員で黙祷を捧げ、ご冥福を祈りました。
委員会ではまず、11月16日から30日までに寄せられた視聴者意見について議論されました。「元横綱による暴行問題」の報道について、視聴者から「マスコミのいじめにしか見えない」などの意見が寄せられていることなどに対して委員からは「指摘されたような問題点はないと思う」などの見解が示され、これ以上議論しないことになりました。
11月度の中高生モニターのリポートのテーマは「テレビ・ラジオ番組や放送局への疑問・意見」で、中高生モニターから寄せられたリポートや一部の質問に対する放送局からの回答をもとに意見が交わされました。
調査研究については、「青少年のメディア利用に関する調査」について担当委員から現状と今後の流れ等について報告されました。また、1月23日に開催する調査研究に関する意見交換会の内容や進行についても説明されました。
次回は年明けの1月23日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2017年12月18日(月) 午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見稔幸委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、緑川由香委員

視聴者からの意見について

情報番組等での「元横綱による暴行問題」の報道について、「暴行によって引退に追い込まれた日馬富士を擁護していた。いじめの助長につながる」「確かに暴力はいけないが、どの番組でもしつこく取り上げ、人を追い込むような内容に嫌気がさす。マスコミのいじめにしか見えない」などの意見が寄せられました。委員からは、「この問題は、視聴者の関心が非常に高く様々な意見が寄せられているが、この報道について、指摘されたような問題点はないと思う」などの意見が出されました。この件については、これ以上、話し合う必要はないとなりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした12月のテーマは、「テレビ・ラジオ番組や放送局への疑問・意見」です。24人のモニターから報告がありました。モニターの疑問や質問の一部については、在京放送局に送付し回答を寄せていただきました。
「自由記述」では、大相撲の「元横綱による暴行問題」について意見を寄せたモニターが複数いました。また長い期間放送されていたバラエティー番組の終了が続けて発表されたことを受けて「果たして、僕が今見ているテレビ番組に20年30年と続くものがあるのだろうか」との疑問の声もありました。

◆モニターの疑問・意見と放送局からの回答(一部抜粋)◆

モニターの疑問のうち、YouTubeなどインターネット上の動画や情報の取捨選択などに関するものやスポーツ中継の延長に関するもの、また、いわゆるCMマタギに関するものなどについて在京放送局から以下のような回答が寄せられました。

  • テレビの番組で、YouTubeの動画を紹介するなど何かとインターネットの情報を流す機会が増えたように思います。しかし、インターネットの情報は不正確だったり不適切なものも存在します。インターネット上の動画や情報を放送する際に取捨選択の方法や基準はどのようになっているのか、知りたいです。
    (民放D局)
    放送するには、放送倫理基本綱領、日本民間放送連盟放送基準、児童・青少年への配慮に関する諸規定など様々な規定を順守します。そして、その情報が正しいのか、誤解を生じないかを専門家などにも確認した上で、放送しています。
    (民放B局)
    まず、映像を撮影した人と連絡を取って、放送で使っていいかどうか許可をもらいます。許可がいただけない場合は使いません。連絡が取れたら、映像を撮影した時の状況や様子についても詳しく聞きます。別の人が撮影したものだったりウソの映像だったりしたら、使いません。次に、その映像の出来事が、本当にその時間に、その場所で起きていたかどうか、警察や消防などで必ず確認します。同じような映像が他にもアップされていないか探します。映像が本物かどうか、はっきりわからなければ使いません。できる限り、記者やカメラマンがその現場に行って確かめ、事故や被害などの様子を見ていた人などを探して、直接話を聞きます。現場に行くと、映像に映っている様子が本当にその場所で起きた出来事かどうか、はっきり確認できます。撮影した人と直接会って話をきくこともあります。たとえ映像が本物であっても、見る人たちがいやな気持ちになったり、恐ろしい気持ちになったり、人を傷つけるような映像など、放送にふさわしくないと判断したら使いません。また、映像が法律違反や危ない行為を撮影した映像だった場合も放送しないことがあります。立ち入り禁止の場所で撮影したり、交通違反や危ない行為をしながら撮影している映像も同じです。映像に、人の姿や場所など個人情報が映っている場合も、そのまま放送しないことがあります。いくら「おもしろい映像」や衝撃的で目立つ映像だからといって、放送するとは限りません。
    (民放E局)
    インターネットの情報は、番組制作のヒントになることもありますが、ほとんどが不正確ですので必ず一次情報を探して裏付けなどしたうえで放送します。動画も同様で、撮影者や制作者と直接交渉しオリジナルを入手したうえで放送基準に照らして放送しています。

  • スポーツ中継で試合の延長などで番組の放送時間が繰り下がることがあります。2時間近く繰り下がると次の番組の放送終了時間が深夜になってしまいますが、放送時間の優先順位は何を基準に誰が決定しているのですか?
    (民放A局)
    中継しているその試合(の意味や価値判断)と、以降の番組(の意味や価値判断、コンテンツとしての性格、視聴対象等々)が何かによって、基準はケースバイケースです。決定自体は「編成部」という部署がしています。
    (民放C局)
    視聴者の関心度などを総合的に判断して、タイムテーブルを作成している編成部の責任者である編成部長が決定しています。
    (民放D局)
    スポーツ中継の競技や、次の番組のジャンルなどにもよりますが、視聴者のニーズ・番組スポンサー・出演者の裏局出演かぶりなどを総合的に判断して、延長時間の幅も含め、最適の放送枠を決定しています。
    (民放E局)
    試合などの展開を見つつ、その都度、スポーツ局と編成局が協議して決めています。

  • スポーツ中継が延長されることがよくありますが、なぜ民放局はサブチャンネルを活用しないのでしょうか?NHKのように中継はサブチャンネルに移行して、次の番組を予定通りに放送してほしいです。
    (民放A局)
    サブチャンネルを開けばメインチャンネルの視聴者が一部そちらへ流れることになります。NHKと違って民放はCMで成り立っているので、予定の番組を提供していただいているスポンサーへの配慮も当然必要になります。
    (民放C局)
    サブチャンネルの活用は、デジタル放送の特徴を生かした新しいサービスとして注目しています。しかしながら、2チャンネルに分割して放送した場合には、画質が低下するなど、解決しなければならない技術的な課題もあり、現在は実施していません。
    (民放E局)
    サブチャンネルとは違いますがBS放送やCS放送を使った対応はプロ野球中継などで行っています。

  • テレビの字幕(文字放送)が、日本語だけで外国語に対応していないのはなぜでしょうか?グローバル化が進み、外国からの観光客も急増し、また2020年にはオリンピックも控えているという状況のなか、英語による文字放送があればその恩恵を受けられる人は多いのではないでしょうか?また地震などの災害時にも、日本語以外を母語とする人のために文字放送が役立つことがあると思います。
    (NHK)
    字幕放送については、現在のシステムでは日本語字幕と英語字幕の双方を出すことができません。しかし、国際放送「NHK WORLD」では、海外向けのテレビ・ラジオ放送を、国内でもネット経由で視聴できます。24時間英語放送しており、毎正時に「NHK NEWSLINE」を放送し、重要な情報は英語で画面に表示しています。訪日外国人も意識してニュースを伝え、台風の際には、毎正時のニュースで台風関連の情報を厚く伝えます。大地震や津波警報が出た時などは、ニュースを拡大または特設してお伝えすることもあります。
    また「NHK WORLD・オンライン」では、英語のニュースのテキスト版を掲載しており、常に新たなニュースを出しています。
    外国の方に向けた放送として、とりわけ緊急度の高い「大津波警報・津波警報」の際は、危険が多くの人にわかりやすく伝わるよう、「にげて」とひらがなで大きく表示すると同時に、「TSUNAMI SUB CHANNEL」と表示して、テレビの副音声やラジオ第2放送で実施する「緊急多言語放送」に誘導し、英語も含め、様々な言語で情報をお伝えしています。
    また、NHKでは、1978年度から総合テレビで午後7時のニュースを副音声を用いて英語で伝えており、現在は「ニュースウオッチ9」でも実施しています。ニュース・報道番組以外では、外国人に人気の大相撲中継も一部(主に午後4・5時台)英語による2か国語放送を実施しています。今年10月から総合テレビで放送中の海外連続ドラマ「THIS IS US 36歳、これから」など、2か国語放送を随時実施しています。NHKでは、日本語以外を母語とする人にも、大事な情報が伝わるように、様々な形で工夫しています。
    (民放A局)
    外国語字幕のニーズが多少増えても、日本の放送である以上日本語字幕のそれの方が比べものにならないほど大きく、不特定多数の視聴者を対象とする「マスメディア」の役割として、まずは日本語の字幕放送をしっかり行うのが「使命」となります。あとは技術、労力、費用の各面で「物理的に」どこまでできるか。マス対象ではないネットメディアとの「役割分担」が有効な分野のような気もします。
    (民放C局)
    番組の字幕については、公共の福祉の観点から、聴覚障害者へのサービスを優先するという総務省の指針のものと、聴覚障害者向けの字幕の拡充に努めています。字幕放送は現状1種類しか放送できないことから、ご指摘の外国語字幕には現在対応しておりません。次世代のテレビである、インターネットに結線されたハイブリットキャスト対応テレビが普及すれば、将来は複数の外国語字幕に対応できる可能性があり、研究開発に努めています。
    (民放E局)
    外国語字幕に対応することで放送局の責務をより一層果たせることとなりますが、まずは日本語字幕をすべての時間帯でカバーすることが視聴者の皆さんに対して優先すべきサービスと考えています。

  • 「続きはCMの後で!」といういわゆるCMマタギがとても不愉快です。視聴率に影響するという理由かもしれませんが、視聴者は置いてきぼりにされている気がします。このような批判の声は少なくないと思いますが、なぜこの手法を続けるのですか?
    (民放A局)
    確かにかつて行き過ぎた面はありましたし、今も全くないとはもちろん言いませんが、ただ、ちゃんと見ていただければ、そういった手法が徐々にではあっても確実に減っているのを分かっていただけると思います。視聴者の支持を得られない手法や表現は、自然に淘汰されていくことになります。
    (民放B局)
    いわゆるひっぱりの表現が視聴者に反感を持たれている事はわかっていますので、そういう表現は少なくなって来ています。しかし、どうしてもそういう番組構成になってしまうのは、「ぜひ続きを見て欲しい」という作り手の強い思いの現れだと思います。今はマーケティングが発達してきていますので、視聴者のそうした意見が反映されるシステムもできてきています。CMと共にあるのが民間放送のあり方ですので、なんとか最後まで番組を見ていただく為に、色々工夫、トライをしているところです。
    (民放D局)
    番組を最後まで視聴していただくための手法の一つではありますが、逆に何も説明せずにCMに入った場合には、「唐突すぎて不親切だ」という意見も寄せられます。様々な意見を参考にしながら番組制作を行っています。
    (民放E局)
    弊社のバラエティー番組では、ご指摘のような手法は"視聴者ファースト"の観点から濫用しないよう心掛けています。また、サイドスーパーで「このあと登場」と告知しながら、長時間出演しないような手法も禁じています。

◆委員の感想◆

  • 【テレビ・ラジオ番組や放送局への疑問・意見】について

    • 大好きなバラエティー番組だが、テーマや演出によっては「あれはないのではないか?と不快な気持ちになってしまうことがある」という意見があった。好きな番組だから、なんでも受け入れるということではなく、取り上げ方によっては、批判的な視点も持っていることがわかる。

    • 「なぜ沖縄のことを内地ではあまり放送しないのか?」という疑問がある一方で、別のモニターは「自分の県でも、東京の番組を見られるようにしてほしい」という意見を寄せている。ローカリティーの裏表の問題だろうと思うが、若い世代はどのように考えているのか興味深い。

    • 「高校生向けの番組はあるのに中学生に向けた番組が少ない」という意見があったが、視聴者のターゲットをどこに向けて番組が作られているのか一度整理してみても面白いのではないか?

◆モニターからの報告◆

  • 【テレビ・ラジオ番組や放送局への疑問・意見】について

    • 『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ)は、家族みんなで大笑いしながら見ることが出来る数少ない番組の中の一つです。しかし、先日の放送で、出演者が参加した「ポルチーニ選手権」について、優勝者がズルをしているに違いないと疑いの目を向けたことをかなり強調していたことを不快に感じました。本来この番組は明るく、頑張って、満点の結果が出ずとも、前向きに笑い飛ばすようなイメージなので、優勝者がズルをしたか、していないかという黒い気持ちになるような内容で終わって欲しくありませんでした。軽くスルーしてほしかったです。(神奈川・中学1年・男子)

    • 最近は、日馬富士の暴行事件や藤井聡太さんの将棋の話題を大きな時間を割いて放送していますが、他の事件や事故に比べてそれほど意味があるとは思えません。(富山・中学1年・女子)

    • 沖縄の基地問題は、沖縄のテレビでは放送されることが多いですが、内地ではあまり放送されないのはなぜかな?と思います。(沖縄・中学2年・女子)

    • 僕が不満に思っているのは、テレビがインターネットの情報に頼り過ぎている、という点だ。例えば、YouTubeの動画を取り上げるコーナーがあったり、流行のネットスラングを紹介したりと、何かとネットの情報を流している気がするのだ。ネットの情報はすべてが正確なわけではないし、本当は不適切であるものも存在する。実際に、違法アップロードされた動画を「面白動画」として取り上げた事例があると聞いた。テレビ番組の良さとして、個人が軽い気持ちで上げたネットの情報より正確である、という点があげられる。しかし、このネットの情報に頼り過ぎることで、その正確さが損なわれてしまうと思うし、テレビ独自の面白さが失われてしまうのではないかと思う。(東京都・中学2年・男子)

    • 高校生向けの番組はあるけれど中学生が対象の番組があまりないような気がするので、もう少し考えてみてほしい。(東京都・中学2年・男子)

    • バラエティー番組で、「ハハハハハ!!」という笑い声の音を入れるのがなんだかイヤだなぁと思います。スタジオならまだわかりますが、ロケ番組でたいしておもしろくないのに笑い声がきこえると、「え?今のおもしろかった??」と気になり、声を入れているのかと思うと、しらけてしまう時があります。またバラエティー番組で特定の女性出演者だけ外で撮影しているのかな?と思うくらい周りが明るくて違和感がありました。あててますよ!!とスタッフの悪意を感じてしまいました。もう少し自然にキレイにみせてあげて欲しいです。(鹿児島・中学2年・女子)

    • 滋賀県でも関東でやっている番組が見たい。意外と見られないことが多い。ユーチューブにテレビ番組をあげるのはいけないけれど、あげている人が多い。それはテレビ局のアプリで見られる期限が限られているからだと思う。ユーチューブのように期限がなければ、そういった悪用もなくなると思う。(滋賀・中学2年・女子)

    • スポーツ中継の際に、次の番組の時間が繰り下げになる。2時間近く繰り下がると、放送終了が次の日を超えてしまう番組とかが増えるのですが、優先順位はどこにあるのか?ネットと連携するのは、リアルタイムな情報も流れるけれど不確かな情報が流れることもあるのではないか?YouTubeの動画などをそのまま流す番組が作られているけれど、僕らは見たことがあるものばかりで面白くない。(富山・中学2年・男子)

    • 報道番組に関してなのですが、事件が起こった時に、被告・被害者の方や事件の現場や状況などについて、詳細に、場合によっては何日も放送されることがありますが、裁判の結果やその後などは全く放送がないように思います。あったとしても、簡単にあっさりです。また、例えば、森友問題や加計問題について、問題が解決していないのにもかかわらず、報道がなくなりつつあるように感じます。進展がないだけなのか、それともテレビの見過ぎかもしれませんが、何かしらの圧がかかっているのか、どうなのでしょうか?政治に関する不祥事に関しては、問題が解決してないまま沈静化し、世間からその存在が薄れていくというパターンが多いのではないかと感じます。(埼玉・高校1年・女子)

    • クイズ番組などで「正解はCMの後」と結果を先延ばしにしたり、過剰なあおりでたきつけることなどが、ネットで批判されているのを多く見かけるのですが、なかなか改善されないのはなぜなのか?気になります。(青森・高校2年・女子)

  • 【自由記述】

    • 親世代が好きなバラエティー番組が続々終了になっているようですが、果たして、僕が今見ているテレビ番組が20年30年と続くものがあるのかなと思います。(神奈川・中学1年・男子)

    • 横綱の暴行事件についてのニュースが目立ちます。まだはっきりとしたことがわかっていないのに、推測で各局が取り上げているので混乱しているのではないか。(埼玉・中学2年・女子)

    • 大相撲の暴行事件について、どのテレビ局も取り上げていましたが、長すぎる印象を受けました。あまり事態も進展していないのにほとんど毎日トップニュースで扱っていて、相撲にそこまで興味がない自分は「3番目くらいのニュースでいいのではないか」と思うことがありました。暴行もあったので、真実を追及しなければいけないニュースだとは思いますが、地上波の場合どのチャンネルを見てもほぼ同じだったので、扱う長さを少し考えてほしいと思いました。(愛媛・高校2年・男子)

調査研究について

「青少年のメディア利用に関する調査」への回答に関する解析の進捗状況や結果の発表に至る今後の流れについて担当委員から報告されました。また、この調査をテーマに放送局の関係者を対象に開催する意見交換会(1月23日実施予定)の内容や進行について説明、了承されました。
調査結果を3月13日に公表することを確認するとともに、より幅広く大勢の人たちに調査研究の成果を知ってもらうための方策等についても話し合われました。

今後の予定について

今後の日程を次のとおり確認しました。上記の調査研究に関するもの以外に、来年2月24日にBPO会議室にて教師たちとの意見交換会を開催します。

第253回放送と人権等権利に関する委員会

第253回 – 2017年12月

沖縄基地反対運動特集事案の審理…など

沖縄基地反対運動特集事案を審理し、提出された「委員会決定」原案の構成、内容について意見を交わした。

議事の詳細

日時
2017年12月19日(火)午後4時~8時05分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

坂井委員長、奥委員長代行、市川委員長代行、紙谷委員、城戸委員、
白波瀬委員、曽我部委員、中島委員、二関委員、水野委員

1.「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」事案の審理

対象となった番組は、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が2017年1月2日と9日に放送した情報バラエティ―番組『ニュ―ス女子』。2日の番組では、沖縄県東村高江地区の米軍ヘリパッド建設反対運動を特集し、「軍事ジャ―ナリスト」が現地で取材したVTRを放送するとともに、スタジオで出演者によるト―クを展開、翌週9日の同番組の冒頭、この特集に対するネット上の反響等について出演者が議論した。
この放送に対し、番組内で取り上げられた人権団体「のりこえねっと」の共同代表の辛淑玉氏が申立書を委員会に提出、「本番組はヘリパッド建設に反対する人たちを誹謗中傷するものであり、その前提となる事実が、虚偽のものであることが明らか」としたうえで、申立人についてあたかも「テロリストの黒幕」等として基地反対運動に資金を供与しているかのような情報を摘示し、また、申立人が、外国人であることがことさらに強調されるなど人種差別を扇動するものであり、申立人の名誉を毀損する内容であると訴えた。
これに対しTOKYO MXは、「申立人の主張は本番組の内容を独自に解釈し、自己の名誉を毀損するものであると主張するものであり、理由がないことは明らか」との立場を示し、また、虚偽・不公正であるとの申立人の主張については、「制作会社において必要な取材を尽くしたうえでの事実ないし合理的な根拠に基づく放送であって、何ら偽造ではない。申立人が主張するその他の事項についても同様であり、本番組の放送は虚偽ではなく不公正な報道にも該当しない」と述べている。
今月の委員会では、12月初めに開かれた第1回起草委員会を踏まえた「委員会決定」の原案が提出され、担当委員の説明を受けて、全体の構成、内容等について各委員から意見が出された。次回委員会でさらに検討を重ねることになった。

2.その他

  • 12月から委員に就任した水野剛也氏(東洋大学社会学部教授)が専務理事から紹介され、経歴等の説明があった。水野委員の就任は、2017年3月のBPO理事会で委員会の委員定数を1名増員することが承認されたことを受けたもの。

  • 委員会が11月28日に仙台で開催した東北地区意見交換会について事務局が報告、その模様を伝える地元局の番組同録DVDを視聴した。

  • 委員会が2月2日に長野で開催する県単位意見交換会の進行等を事務局が説明、了承された。

以上

2017年12月14日

東京メトロポリタンテレビジョン
『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見の通知・公表

上記の委員会決定の通知は、12月14日午後1時30分から、千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。委員会から川端和治委員長、岸本葉子委員、中野剛委員、藤田真文委員の4人が出席し、当該局の東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)からは、常務取締役(編成局担当)ら4人が出席した。
まず川端委員長が「審議の対象となったのは"持ち込み番組"であるが、TOKYO MXには、放送倫理上の問題がある番組は放送しないという責任がある。委員会は、放送内容には裏付けがないか裏付けが十分でないものがあったという放送倫理上の問題を指摘したうえで、TOKYO MXは考査でその問題点を発見して、制作会社に内容の修正を求めるか、このままでは放送できないと判断すべきだったという結論に至った。TOKYO MXは、委員会の審議中にもかかわらず、2017年2月、放送倫理上の問題も放送法違反もないという自社の見解を発表した。しかし、今回の委員会決定で明らかなとおり、自社が定めた放送基準を自ら裏切るような内容の"持ち込み番組"を放送してしまった点において、TOKYO MXには非常に重大な責任があると考える。意見書で指摘されたポイントを重大に受け止め、具体的な対応策を早急に示していただきたい」と強く要請した。
藤田委員は、「委員会で独自の調査を実施し、事実関係の確認と表現について6つの問題点を指摘したが、この意見書を、TOKYO MXの社内で共有し、議論してほしい。その結果を改めてお伺いしたい」と述べた。
中野委員は、「委員会は、特別な調査をしたわけではない。審議の対象となったあと、TOKYO MXは、なぜ自律的な検証を行わなかったのか。その点が重大な問題だと思っている」と指摘した。
岸本委員は、TOKYO MXが発表した見解について、「視聴者への視点の希薄さを感じた。視聴者の支持なくして放送の未来はありえない。視聴者の視点にたった意識を持ってほしい」と述べた。
これに対してTOKYO MX側は、「委員会の審議が開始されて以降、当社は、社内の考査体制の見直しを含め、改善に着手している。改めて、今回の意見を真摯に受け止め、全社を挙げて再発防止に努めていきたい」と述べた。

その後、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には、30社72人が出席した。
はじめに川端委員長が意見書の概要を紹介し、今回の審議の過程について詳しく説明した。審議の対象とした番組は、放送局が番組制作に関与していない"持ち込み番組"であったため、放送倫理検証委員会としては、当該局の考査について審議する初のケースとなった。番組を制作した制作会社のスタッフに直接ヒアリングできず、TOKYO MXの報告書と考査関係者へのヒアリングでも当該番組が伝えた内容に裏付けがないか裏付けが不十分だと思われる放送倫理上の疑いが解消されなかった。このため、委員会として沖縄で独自に調査する必要を感じ、担当委員が沖縄に赴き意見書に記載したとおりの調査を実施した。「基地建設反対派は救急車を止めたのか」「基地建設反対派は日当をもらっていたのか」「いきなりデモ発見の場面」で伝えられた抗議活動の参加者が「1人、2人と立ち上がって」「敵意をむき出しにしてきてかなり緊迫した感じになりますんで」という内容に裏付けとなる事実があったのかなど、放送倫理上の問題があったかどうかをチェックした。その結果、委員会は、TOKYO MXには、適正な考査をしなかったために、放送倫理上の問題があり、そのままでは放送してはならないものを放送してしまったという重大な放送倫理違反があったとの結論に至ったと述べた。そして、川端委員長は、「自らの放送倫理のとらえ方について考え直していただくことを期待している」と、TOKYO MXに早急に対応するよう求めたことを明らかにした。
藤田委員は、「"持ち込み番組"と放送局の接点は考査である。本件放送を考査担当者になったつもりで初めて視聴した際、何かひっかかる場面や立ち止まる場面があるかどうかというポイントを中心に検証した。本件放送を見たときに浮かんだ疑問が解消されなかったので現地調査を行ったが、その結果、裏付けがないか不十分なまま放送されたことが確認できた」と述べた。
中野委員は、「放送に携わる人たちには、放送番組で事実を提示する場合、事実に対する畏れを抱き、このような内容で本当に大丈夫なのだろうかと自問を繰り返し、慎重に扱ってもらいたい。TOKYO MXには、放送倫理上の問題が指摘された中、放送で伝えた内容の裏付けを確認するなど真摯な検討を加えた報告書を提出してもらいたかった。しかし、早々と放送倫理上問題なかったとする見解を出したため、『放送の自律の放棄ではないか』と言った委員もいた」と述べ、当該局の審議入り直後の対応を厳しく批判した。
岸本委員は、「TOKYO MXをはじめ放送局のみなさんには意見書の『おわりに』まで読み込んでほしい。インターネットと比較した放送の情報の質について言及している。視聴者は、放送局の情報は、放送局が事前にチェックしているため不確実、不適切な情報ではないだろうと信頼を寄せている。今回のようにチェック機能が十分に機能しなければ視聴者の信頼への裏切りにつながる。放送人としての矜持をもって考査に当たってほしい」と訴えた。

記者との主な質疑応答は以下のとおりである。

Q: 独自調査は、どのような議論をして誰が行ったのか。また、委員会による調査の前例はあるか。
A: 1回目は委員1人と事務局、2回目は委員2人と事務局で沖縄に赴いた。このほか、人権団体から話を聞いた。調査したのは、放送内容に裏付けとなる事実があるのか、裏付けとして示されている事実が裏付けとして十分なのかどうかという確認であり、"ある事実"が本当に存在したのかどうかという調査ではない。また、放送倫理検証委員会の独自の調査としては4例目である。(川端委員長)
   
Q: "持ち込み番組"であり意見書は放送内容に踏み込んでいない。委員会の調査の限界と思うか。"持ち込み番組"の対応について委員会として働きかけるつもりはないのか。
A: 委員会はNHKと日本民間放送連盟(民放連)加盟局の放送倫理上の問題を「審理」「審議」するのが職責である。今後、本件放送のような完パケ"持ち込み番組"が増加するのならば、意見書を受けて民放連で検討されると思う。(川端委員長)
   
Q: 『ニュース女子』は、他の放送局でも放送している。本件放送を考査して放送を取りやめた局はあったのか。
A: 『ニュース女子』は、レギュラー編成していない放送局を含めて、TOKYO MX以外に27局で放送実績(2017年5月30日現在)がある。しかし、本件放送を放送した局はなかった。いくつかの放送局は本件放送について独自の考査をして放送しなかったと聞いているが審議対象ではないので調査していない。(川端委員長)
   
Q: 過去の審議事案で、"重大な放送倫理違反"とされたケースを教えてほしい。
A: フジテレビ『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」に関する意見(委員会決定20号)、NHK総合テレビ『クローズアップ現代』"出家詐欺"報道に関する意見(委員会決定23号)に続き、今回が3例目である。(川端委員長)

以上

第27号

東京メトロポリタンテレビジョン
『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見

2017年12月14日 放送局:東京メトロポリタンテレビジョン

放送倫理検証委員会は、「東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)『ニュース女子』が2017年1月2日に放送した沖縄基地問題の特集を審議してきたが、このたび委員会決定第27号として意見書をまとめ公表した。当該番組はTOKYO MXが制作に関与していない“持ち込み番組”のため、放送責任のあるTOKYO MXが番組を適正に考査したかどうかを中心に審議した。
委員会は、(1)抗議活動を行う側に対する取材の欠如を問題としなかった、(2)「救急車を止めた」との放送内容の裏付けを制作会社に確認しなかった、(3)「日当」という表現の裏付けの確認をしなかった、(4)「基地の外の」とのスーパーを放置した、(5)侮蔑的表現のチェックを怠った、(6)完パケでの考査を行わなかった、の6点を挙げ、TOKYO MXの考査が適正に行われたとは言えないと指摘した。そして、複数の放送倫理上の問題が含まれた番組を、適正な考査を行うことなく放送した点において、TOKYO MXには重大な放送倫理違反があったと判断した。

2017年12月14日 第27号委員会決定

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目 次

2017年12月14日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、12月14日午後1時30分から、千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。また、午後2時30分から記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には30社72人が出席した。
詳細はこちら。

2018年6月8日【委員会決定を受けてのTOKYO MXの対応】

標記事案の委員会決定(2017年12月14日)を受けて、当該の東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)は、2018年3月、対応と取り組み状況を委員会に提出した。委員会では、この対応報告では内容が不十分であるとして4月に追加の質問をし、5月、TOKYO MXから補充の報告があった。
6月8日に開催された委員会において、これらの報告書の内容が検討され、了承された。

TOKYO MXの対応

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目 次

  • 1. 委員会決定について放送した報道および情報番組
  • 2. 委員会決定の当社社内での報告と周知
  • 3. 放送番組審議会での取り扱いについて
  • 4. 考査部の取り組みについて
  • 5. 報道特別番組について
  • 6. 研修会の実施
  • 7. 終わりに

追加の質問

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TOKYO MXの補充の報告

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第121回 放送倫理検証委員会

第121回–2017年12月

2件の刑事事件で容疑者や処分内容を誤って放送したフジテレビの『とくダネ!』を審議など

フジテレビの情報番組『とくダネ!』で、刑事事件の容疑者の映像と処分内容という最もセンシティブな情報についての間違いが2件続いた事案について、担当委員から、ヒアリングの結果を踏まえ作成された意見書の原案が示され、意見交換が行われた。今回の議論を受けて、担当委員がさらに検討を加えた意見書の修正案を作成し、次回の委員会で意見の集約を目指すことになった。

議事の詳細

日時
2017年12月8日(金)午後5時00分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、神田委員、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. 2件の刑事事件で容疑者や処分内容を誤って放送したフジテレビの『とくダネ!』を審議

フジテレビの情報番組『とくダネ!』は、2017年7月、医師法違反事件で逮捕された容疑者として別の男性の映像をインタビューも含めて放送し、謝罪した。翌8月には、放送した時点では書類送検されていなかった京都府議会議員について「書類送検された」などと放送し、事実の確認がとれていない報道だったと謝罪した。委員会は10月、刑事事件の容疑者の映像と処分内容という最もセンシティブな情報について、同じ番組で間違いが続いたことは大きな問題だとして審議入りを決めた。
委員会では、担当委員から、ヒアリングで明らかになった点や先月の委員会で出された意見を踏まえた意見書の原案が示された。原案について「広く放送現場に伝わる内容の意見書にしたい」「どうしてミスが起きたのか、もう少しわかりやすくできないか」など、表現や構成についての意見交換が行われた。今回の議論を受けて、担当委員がさらに検討を加えた意見書の修正案を作成し、次回の委員会で意見の集約を目指すことになった。

以上

2017年10月24日

青少年委員会 「意見交換会」(静岡地区)の概要

◆概要◆

青少年委員会は、「視聴者と放送事業者を結ぶ回路としての機能」を果たすための活動の一環として、各地で様々な形の意見交換会を開催しています。今回は、10月24日、14時から17時、静岡地区の放送局とBPOとの相互理解を深め、番組向上に役立てることを目的に、意見交換会を開催しました。静岡地区では、初めての開催でした。
BPOからは、汐見稔幸 青少年委員会委員長、最相葉月 副委員長、稲増龍夫 委員、大平健 委員、菅原ますみ 委員、中橋雄 委員、緑川由香 委員と濱田純一 理事長が参加しました。放送局からは、NHK、静岡放送、テレビ静岡、静岡朝日テレビ、静岡第一テレビ、静岡エフエム放送の各連絡責任者、編成、制作、報道・情報番組担当者など21人が参加しました。

【BPOとは何か】

冒頭、濱田理事長が、「BPOとは何か~とりわけ、青少年委員会の役割~」というテーマで講演をしました。その内容は、以下の通りです。
(濱田理事長)
「BPOとは何かと捉えようとすると、これは『放送倫理・番組向上機構』という組織・団体であることは間違いないが、組織というイメージだけで捉えているとその意義がなかなか見えてこない。BPOは、組織であるだけでなく、システム、仕組みであり、あるいは思想、つまり社会を作っている基本的な考え方、そういうものを含んだ概念だ、と考えている。そのことを具体的に話していきたい。
BPOは、自主規制機関なのか、それとも第三者機関なのか、とよく問われる。私は、BPOは、第三者の支援を得て自律を行う仕組みだと理解している。つまり、放送事業者あるいは放送に関係している皆さんが、第三者(各委員会)の支援を得て、自らを律していく、あるいは自由を確かなものにしていく、そういう構造を取っているのがBPOだと考えている。したがって、大切なのは放送界の自律が機能することであり、BPOの各委員会が第三者として判断をすれば、それで終わりということではない。その判断について皆さんと議論することがとても大事である。各委員会の活動と放送局の自律とがお互いに絡み合いながら動いていくことが、このBPOという仕組みにとってはとても大切なことである。
委員会は、決定や見解等を出すが、それは放送局にとって、勝った負けたということではない。むしろ、決定や見解とともに示されている考え方、その中に、何を番組作りの際に心がけることが必要なのか考えていくためのきっかけとなるメッセージが含まれている。それを読み取ってもらうことが重要である。
また、これはやってはいけない、これはやってもよいというガイドラインを作ってもらったほうが実際に番組作りをする現場にとっては楽だ、という意見が出ることもあるが、そのような『べからず集』でマニュアル人間を作ることは、一番望ましくないことだと思う。マニュアル人間になることは、ジャーナリズムのあり方の基本に反することである。表現をするというのは、右から左へ情報を流す行為ではなく、自分の人格をその表現にかける行為なので、そこでマニュアルになってしまってはどうしようもない、と思う。
次に、とりわけ青少年委員会について触れておきたい。青少年委員会は、青少年に対する放送や番組のあり方に関する視聴者からの意見などを基に審議している。また、青少年が視聴する番組の向上に資する調査研究、あるいは良質な番組の視聴・講評などを行っているのも特徴である。このようにして、青少年委員会は、視聴者と放送局を結ぶ『回路』の役割を担っている。
青少年委員会のスタンスを話すと、例えばバラエティー番組については、ああいうものはとにかく俗悪だという視聴者も間違いなくいるが、青少年委員会は、『バラエティー番組は時に放送の限界に挑戦し、新たな笑いの文化を生み、視聴者の心を解放し活力を与えるという大きな働きがある』と述べている。また、『下ネタも時と場合によっては見るものを開放的にし、豊かな笑いをもたらす』、『社会を風刺する毒のある表現が、視聴者の憂さ晴らしになることもある』とも言っており、『こうした番組作りのために民放連の放送基準を杓子定規にあてはめるつもりはない。それは本来、なんでもありのバラエティー番組の委縮につながりかねない』と、バラエティー番組についての基本的なスタンスを述べている。また、青少年委員会が個々の番組について、問題がある、課題が残っていることを指摘する際の言葉にも注意してほしい。つまり、委員会がこれはだめ、あれはだめだけで切り捨てるのではなく、まずは放送現場の皆さんにきちんと考えてほしいというメッセージをつねに出している。想像力を働かせてほしい、あるいは議論の俎上に載せてほしい、どのような意図で放送することにしたのか、はっきり考えておいてほしい。そういう放送に携わる者の自覚を促すメッセージを出していることに注意してもらいたい。
青少年委員会の委員長は、次のようなことを話しておられる。『青少年委員会は、青少年に番組が与える影響をできるだけポジティブなものとするために、局側が気づかない視点を提示したり、安易に番組を作成したため結果として逆の効果を生んでいる等の問題を指摘したりして、それを克服するための方策を探ってもらうこと、青少年たちがよい番組として認知しているものや理由を伝え参考にしてもらうこと等、結果として青少年によい影響を与え得る番組の制作、番組向上への気運を高めることを大事なミッションとしています。そのため、番組内容、制作過程等について局側と率直な意見交換をすることが重要な手法となると考えています。』これがまさに今日の意見交換会の趣旨である。
こうしたBPOの仕組みがきちんと動いていくことは、これからの社会において、放送に限らず、あらゆる場面で、自由と自律がバランスよく機能していくという社会作りにもかかわっている、と私は思っている。」

【青少年が関わる事件・事故の報道について】

意見交換会第1部のテーマは、「青少年が関わる事件・事故の報道について」でした。
最初に、最相副委員長から、子どもが関係する事件・事故の報道について、これまで青少年委員会が出してきた4つの「提言」「要望」「委員長コメント」について次のような説明がありました。
(最相副委員長)
「私たちの活動の、まず一丁目一番地は、視聴者意見である。その質と量に応じて、これは議論しなくてはいけない、何らかの見解を出さなければいけないなどを討論している。今回のメーンテーマである青少年が関わる事件、事故の報道については、これまで青少年委員会は4つの見解などを出している。

まず1つ目は、『衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮についての提言』(2002年3月15日)である。これは、アメリカの同時多発テロでアメリカABCが、早い時期にビルに飛行機が激突するシーンの放送を取りやめたことが一つのきっかけであった。PTSDという言葉がクローズアップされ、悪夢を見る、感情が麻痺してしまうなどさまざまな症状が子どもたちに起きたことが背景にあった。また、日本でも、大阪の附属池田小学校での児童殺傷事件でメディアスクラムに近いことが起き、被害者のプライバシー、人権、遺族感情と報道の自由とのバランスが深刻な問題になったという背景がある。その提言の要点は、

  • (1) 子どもへの影響が大きいことに配慮し、刺激的な映像の使用に関してはいたずらに不安をあおらないように慎重に取り扱う。特に子どもが関係する事件については慎重に扱ってほしい。
  • (2) 子どもは理解が不十分なため映像からインパクトを受けやすい点に留意。特に繰り返し効果の影響に配慮してほしい。
  • (3) 日常的に子どもにもわかるニュース解説をしていただきたい。
  • (4) 子どもに配慮した特別番組作りの研究、検討、心のケアについて保護者を支援する番組を組めるよう、日頃から専門家チームと連携してほしい。

の4点であった。

2つ目の要望は、『児童殺傷事件等の報道についての要望』(2005年12月19日)である。これは、栃木で小学生が非常に残忍な殺され方をした事件を受けて、もう一度、事件報道について留意していただきたいということで要望を出したという経緯がある。ここでは、留意してほしい点として、

  • (1) 殺傷方法等の詳細な報道がどこまで許されるものなのか。例えば、衣類を身に着けていない、胸に10か所ほどの刺し傷がある、遺体が切断されていたなどの表現はどのように報道すればよいか、個別ケースにおいて検討してもらいたい。
  • (2) 被害児童の家族・友人に対する取材については配慮が必要である。
  • (3) 被害児童及び未成年の被疑者が書いた文章等をどのように出すか、慎重な扱いが必要である。

の3点を挙げている。

3つ目の要望は、『子どもへの影響を配慮した震災報道についての要望』(2012年3月2日)である。これは、東日本大震災の翌年に出たものだが、1年経った報道で、地震発生時と同じような津波の映像が出るだろうということを事前に留意して、このようなお願いを出した。そのポイントは、

  • (1) 映像がもたらすストレスへの注意喚起。
  • (2) 注意喚起は震災ストレスの知識を保護者たちが共有できるように、わかりやすく丁寧にお願いしたい。
  • (3) 特にスポットでの映像使用については十分な配慮をお願いしたい。

の3点であった。

4つ目の委員長コメントは、『ネット情報の取り扱いに関する委員長コメント』(2015年4月28日)である。これは、あるバラエティー番組で、自分の身近に起こった事件映像などを自由に投稿できるアメリカのサイトからあまり厳選せずにそのまま放送したことで、視聴者意見が大量に来たことがきっかけであった。ネットユーザーの注目を浴びたいということで過激化していく動画がたくさんネットにあふれているが、それをSNSから安易にとってきて、放送することに対してどう考えるか、という点で、3点を指摘している。

  • (1) 最前線の事実を伝えたいという発信者の想い。つまり悲惨でもそれが世界の現実だからという想いで発信者はネットに公開している。
  • (2) ネット情報の利用は増えるだろう。
  • (3) 公共的な責任を負う放送局の独自性と責任はどこにあると考えるべきか、自問自答を繰り返す必要がある。」

【静岡での具体的な事例について意見交換】

次に、参加者から、実際に青少年が絡む事件・事故での報道の際、困ったこと、悩んだこと、それにどのように対応したか、具体的な事例を報告してもらい、意見交換をしました。

まず、今年9月、静岡市の住宅で男子高校生が一緒に住んでいる父親をナイフで刺して殺害した事件の報道について各局の参加者から次のような報告がありました。
(放送局)
「警察がなかなか情報を出してくれない状況の中、加害少年の人となりを取材するため、近所の少年などいろいろな人にインタビューしたが、具体的な部活動の名前を出すと少年の特定につながってしまう。いかに特定されないようにその人となりを伝えるかに悩んだ。また、父親についても、どういう仕事をしていたかを出すと特定につながる可能性がある。同僚の人へのインタビューの内容にも注意した。」
「事件の背景に何があったのか迫りたいし、確認したいが、伝えてしまうとどんどん特定につながる。わからせないように伝えることは非常に難しいと実感した。事件現場もここだとわかってしまわないように、画面のサイズや映り込みに注意して編集したが、最初の編集後、大きな画面で確認すると電柱に特定できる情報が映っていた。編集を3回4回やり直して、映像を差し替えたり、特定につながる部分を省いて放送した。」
「疑いの少年の特定につながらない取材手法という点では、映像だけではない。学校自体は特定できたが、その学校に接触していいのかは悩んだ。学区周辺で取材している社もあったと聞いているが、取材姿勢についても、もろもろ問われた事件であった。」
「最初は、事情が全く分からなかったが、事件2日目くらいに、少年がゲームをしていたのを止められて殺したという情報が入ってきた。本当の事情は分からないが、その簡単な言葉が躍った。ゲームを止められて殺した、という安易な形で少年事件が起こるのが理解できず、もうちょっと何かないかと取材したかったが、難しかった。」
(稲増委員)
これに対し、稲増委員からは、「少年が特定されない報道がされている一方、ネットではどんどん実名などが出ている状況についてはどう思うか。」という質問が出されました。
(放送局)
これについて、参加者からは、「たとえば、誘拐事件が起こって、自分たちが報道協定を一生懸命守っても、ネット上には情報が出てしまうかもしれない。本当に悩ましい問題で、どうしたらいいのか頭を抱えている状態である」と報道現場の実情が示されました。
(大平委員)
また、大平委員からは、「ゲームで親を殺して終わり、というのが納得いかない、これはとても大事なことである。理解したい、腑に落ちないというところが取材の原動力だと思う。ゲームというのは表の理由だけで、その背景に父親と息子、あるいは周りの家族などのどろどろした事情があったと思う。しかし、知りたいことはとことん知っていいが、ニュースとして出すときは、全部は出してはいけない。それが報道のエレガントさを保つ一番重要なところだと思う」という意見が出されました。

次に、今年10月、伊東市で4歳の男の子が遊びに来て、親がバーベキューの用意をしているうちに行方不明になり、2日間、山中をさまよった末、無事発見されるという事件の報道について各局の参加者から報告がありました。
(放送局)
「警察も現に行方不明になったということで子どもの氏名も公表したので、氏名を出して報道するべきだろうと判断がついたが、顔写真を載せるかどうか、非常に悩んだ。すぐに無事見つかったとしたら、顔写真を出すことによって、後々トラウマになってしまうような悪影響が残らないか悩んだ。逆に、捜している人に子どもの顔を広く知らしめるという点では意味があると思った。結局、写真を使うことは見送った」
「顔写真を使用する、使用しないについて若干迷いがなかったわけではないが、私たちの局は使用した。その理由は、放送を見た人が、あっ、この子だとなれば、発見の助けができるということと、こんなにいたいけな少年が行方不明になっているのだ、ということはニュースとして伝えるべき要素だと思ったことである。むしろ、議論になったのは、匿名・実名の切り替えであったが、割と短い間で無事見つかったということもあり、発見後も実名のままで報道した。また、数日後、消防団の人が地元の警察から感謝状が贈られたのを伝える際、その男の子が病院を出ていくときの映像を使ってよいかどうか、議論した。地上波の放送といえどもインターネットに画像が残るかもしれない、ということに迷いは感じたが、結果的にワンショットで顔が映る映像ではなかったため使用した。以前だったらあまり心配しなくてもいいことも、日々立ち止まりながら考えなければいけないことを実感している。」
(菅原委員)
これに対し、菅原委員からは、「インターネットに残ってしまうこととクロスして本当に難しい状況だと思う。視聴者としては、何が原因でその子がいなくなってしまったのか、知りたいと思う。それが本当に大したことのない原因で迷ってしまったのであれば、本人が発見されても実名でも問題ないと思う。しかし、今回は違うが、背景に障害や虐待など複雑なものがあった場合は、それが残ってしまうことはいけないだろう。難しい判断だと思う。」という意見が出されました。
(中橋委員)
中橋委員からは、「さまざまな難しい判断があったと思うが、特に子どものその後の人生というところが、非常に重要になってくるだろう。実際、事実関係がまだよくわからない段階では、それに関わるかどうかの判断が難しいところだと思う。その段階で、実名、顔写真を出していいかどうかは、ケース・バイ・ケースで考えていく必要がある。顔写真は、出してほしい人もいるのではないかと思って出してしまうと、逆に出してほしくなかった人が出てくる。写真を入手した記者とチェックする人との関係性がとても大事だと思う。」という意見が出されました。
(緑川委員)
緑川委員からは、「警察が捜していて写真も公表しているという点が、顔写真を掲載した社の判断を後押しした部分があったのではないかと思う。警察の捜索と公表がなければ、顔写真の掲載という判断をすることは難しかったのでないか。顔写真を出しても捜したいと思っているのは誰か、親権者の意向はどうか、そのあたりの事情も踏まえて判断することも大切だと思う。また、今は、テレビで放送されたものが、ネット上に残ってしまうことが一般的に認知されている。テレビ局として顔写真を出すときには、意図しなくても、二次的にネット上で利用されていくかもしれないということを予見できる状況になってきたと思われる。このような新たな事情も踏まえて、顔写真の使用、匿名か実名かなどを判断していくことが求められるのではないか。」という意見が出されました。

次に、静岡市の夫婦が死亡した東名高速道路での追突事故で、今年10月、悪質運転をしていた男が逮捕されたニュースの報道について、参加局から次のような報告がありました。
(放送局)
「東京の局から、遺族が静岡に住んでいるようなので当たってくれないか、という依頼が来たが、車に同乗していた姉妹の取材はできなかった。それは、親族にコンタクトが取れてインタビューしたが、そこで、姉妹は精神的にまいっているので、取材を受けられる状態ではない、勘弁してほしいと言われたからである。しかし、その後、たくさんの取材陣がその姉妹のもとを訪れて、事故の前、ラインで助けてくれというやり取りをしていたことなどが明らかになるにつれて、私たちが最初の段階で、娘さんの取材を無理だとあきらめてしまった、という自分たちなりの判断はどうだったのか、考えている。」
「事件が公になる前、姉妹は取材を受けていたが、やはり放送されたことによって、精神的なダメージを非常に受けている、という話を聞いた。こちらとしても、そこは無理強いせず、その姉妹から話を聞いた親族の取材をさせてもらった。もちろん、記者としては、その姉妹の話を直接聞いてみたかったし、いい情報を取ってきたいと思ったが、それを放送するにあたって、姉妹の心の部分は気になった。」
(菅原委員)
これに対し、菅原委員からは、「今回の姉妹のような証言は、両親を亡くされて心理的にも厳しい状況にある中、記憶がゆがんでいることもあるし、いろいろな点で不確かなこともある。『こう言った』ということが残っていくのは、場合によっては後に姉妹を追いつめることになったりする。基本的に姉妹のインタビューを控えたのは、正しい判断だったと思う。」という発言がありました。

【青少年関連の事件・事故報道に対する視聴者意見について意見交換】

意見交換会第2部では、2016年~2017年にBPOに寄せられた青少年に関する事件・事故の報道に対する視聴者意見について意見交換をしました。

まず、「ある少年事件で、亡くなった被害者の顔写真が報じられた。加害者の顔写真や名前は明らかにされないのに、被害者だけのプライバシーがさらされるのはいかがなものか。被害者の情報が保護されないことはおかしい」という視聴者意見について議論しました。これに類する視聴者意見は少年事件の報道のたびに、しばしば寄せられています。
これについて、参加者からは、次のような意見が出されました。
(放送局)
「加害者が少年で、被害者も少年という事件が静岡で起こったとしたら、間違いなく、記者に対して亡くなった被害者の少年の顔写真を探せと指示を出していると思う。加害者は少年法に守られ、被害者は顔写真も出して報道されるというのは、矛盾しているとは思うが、顔が見えて、その事件の悲惨さが伝わってくる。警察の外観だけでは伝わりにくいのではないか。川崎市の河川敷で少年が、遊び仲間らに殺害された事件があったが、少年は、島根県から川崎に出てきたばかりだった。島根の頃の写真には、さわやかで屈託のない笑顔があった。顔写真を出すことによって事件の背景を伝える意味もあったと思う。一方、被害者のプライバシーをどこまで放送するかという点では、これは必要、これは必要ではないということを判断し、その事件に応じて必要最小限にするべきだということは、常に頭に入れている。」
「テレビでは、撮りきりと言って、画面全体に顔写真を出す場合と小さく画面のすみに顔写真を出すという表現の手法がある。やはり全面を使ったほうが、インパクトは強いが、私たちの社は、比較的、小さいサイズで写真を出すことが多いと思う。ケース・バイ・ケースで、誰かは満足しながら、誰かは不満を感じながらやっているという感じである。」
(最相副委員長)
これに対し、最相副委員長からは、「顔写真ではないが、先の川崎市の河川敷の事件では、視聴者としては、被害少年がどういう少年だったのか、川崎でどんな変節をとげたのか、その友達はどんな子どもで、どんな生活をしていたのか、知りたいと思う。しかし、表面的な部分だけではなく、その生い立ちをめぐって知りたいということと、そのプライバシー、個人情報に深くかかわるというところでは、現場では激しいせめぎあいがあったと聞いている。」という意見が出されました。
(緑川委員)
また、弁護士の緑川委員からは、少年法について、次のような説明がありました。
「少年加害者は少年法でプライバシーが守られるが、被害者は守られていない、それがアンバランスという議論の立て方に、個人的には違和感を持っている。成人であっても少年であっても、被疑者をどう報道するか、実名を出すのか顔写真を出すのか、また、被害者について実名を出すのか顔写真を出すのか、生い立ちなどプライベートな情報をどこまで報道をするかは、報道する側として、個別の事件ごとに個別の判断で考えてほしい。
少年法61条は、家庭裁判所の審判に付された少年、または少年の時に犯した罪により公訴を提起されたものについては、氏名、年齢、職業、住所、容貌などにより、その者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事、写真、新聞紙、その他出版物は掲載してはならない、と規定している。
少年法61条に関する判例として、いわゆる「堺市通り魔事件」がある。これは、ある雑誌が加害少年を実名で報道し、顔写真も掲載したことに対して、加害少年側が出版社側を訴えた裁判である。大阪高裁は、少年法61条は、可塑性のある少年の将来のため、プライバシーを保護して改善更生を阻害しないという公益性と、その被疑者が報道されないことが再犯防止に効果的という刑事政策的配慮によるもので、少年に対して実名で報道されない権利を付与しているとは解されないし、少年法61条違反に罰則が規定されていないことに鑑みると、表現の自由との関係において、少年法61条が当然に優先するとも解されないと判断した。そして、少年法61条は、できるだけ社会の自主規制に委ねたものであって、伝える側には、少年法61条の趣旨を尊重して、良心と良識をもった自己抑制が求められているとともに、受け手側にも、本条の趣旨に反する表現に対して厳しい批判が求められるべきという判断を示した。その上で、当該事件については、社会的に重大な犯罪であって、その報道の仕方が相当性をもっているのであれば、実名を報道したことで、直ちに違法性が認められるものではないとして、出版社側の当該表現行為に違法性は認められないとした。この事件は最高裁に上告されたが、その後取り下げられたため、この大阪高裁の判決が確定している。
このような重大事件の時に、何を、どのように報道すべきかは、少年法61条の趣旨を踏まえながら、報道の必要性、相当性について個別具体的にきっちり考えていかなければならない。プライバシー、名誉を侵害せずに、しかし重大事件では社会の正当な関心事ということになるので、謙抑的で適切な報道をどのようにしていくかを考える必要がある。」

次に、「小学生が殺害された事件のニュースで被害者の同級生にインタビューしていた。友人が殺害されるという強いストレス下にある子どもにインタビューすることはPTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症原因になるのではないか」「小学生の登校の列にトラックが突っ込んだ、というニュースで、被害者の児童にインタビューしていた。衝撃的な事件を思い出させて克明に伝えることは、人権侵害ではないか」など、子どもの「心」「将来」への配慮に関する視聴者意見について、議論しました。
これについて、参加者からは次のような意見が出されました。
(放送局)
「これは、難しい事案だと思う。ある程度情報を与えないと、余計な推測やデマの引き金を引くようなところもあるので、伝えられることをなるべく伝えるべきだと思う。地元の記者クラブ、記者会に対して、関係の家族から、友人や近所の取材を避けてもらいたいという要望が来て、それを幹事が受けた時点で、了解あるいは、ある程度了解ということで紳士的に取材対応を考慮するが、それを受け取ったのと時を同じくして、ネットワークのキー局の番組などが取材に入ってくると、お願いしたのになぜ取材したのか、という問題が起きることもある。」
「以前、学校の教員が出勤の時に小学生を車ではねて、死亡させてしまうという事故が起こった。先生の人柄はニュースとして必要と思い、生徒に話を聞きたいというところでデスクと相談した。その結果、取材は学校側に絞って、学校に来た子どもたちにはインタビューしないことに決めた。子どもたちの心のケアを考えると、なかなか取材も難しい。ケース・バイ・ケースでいろいろ悩む必要がでてくると思う。」
また、PTSDとは、実際どのようなものなのか、事件・事故は子どもの心にどのような影響をあたえるのか、精神科医である大平委員から次のような説明がありました。
(大平委員)
「PTSDは、ほとんど正しく理解されないで、独り歩きしている概念だと思う。PTSDとは、本来、神経症、ノイローゼになっている人の症状をずっと調べていると、本人が覚えていると称する小さいときの体験に原因があるかのように心の中ですべて症状が出来上がっていることをいう。したがって、その事実が実際に過去にあったからそれが原因である、ということとは違う。心の中で、あたかも子どものころに、そういう出来事があったかのように作られていて、そこから今の症状ができているということである。
事件の話で言うと、子どもたちは、皆が心配するほど大きな障害をこうむることはない。しかし、子どもは合理化が下手なので、一生懸命自分が不安でなくなろうとしていることが容易に破たんしやすいことはある。そのため、バックグラウンドにノイローゼ、依存症などになりそうな何かほかの背景がある場合に、それが加わって、その人の人生をゆがめてしまうことは大いにありうる。
一方、PTSDとは別に、報道の際、実名が報道されてかわいそうだ、と思われていることは肝に銘じてほしい。(一般の人は)取材が来たおかげで、不可解なことが明るみに出るだろうと期待を持って皆さんを歓迎しているわけではない。『かわいそうな人がプライバシーを暴かれた』としか思われなくなっている。この状況がPTSDという言葉とダブっているのだと思う。」

最後に、汐見委員長が今回の意見交換会について、次のように総括しました。
(汐見委員長)
「事件というのは、すべてそうだと思うが、その背景にどろどろしたものがたくさん蓄積されていて、それがどこかで噴火してしまったものがポコンと出てきたところが事件になる。その下にはマグマみたいな世界がある。たぶん皆さんも本当は、事実を知りたい、なぜこういうことが起こってしまったのか、もっとその事実を知りたいと思っているでしょう。しかし、最後まで、本当の事実はわからない。その中で、何を伝えていけばいいのかが、マスコミの一番悩むところではないか、と改めて感じた。
与えられた条件のもとでここまでは分かった。しかし、私たちはまだ本当のことがわかっているわけではない。どうしても伝えたいことを伝えるので、あとは視聴者の皆さん、判断してください。そういう形で伝えていくのが、マスコミの仕事だと思う。お願いしたいことは、わけがわからなくなっている日本の社会の中で、ぽつんとぽつんと出てくる事件から、そこにある事実をつかもうという飽くなき姿勢を是非捨てないで頑張ってほしい。
もう一つは、少年が関わる報道の難しさだが、これについては、ケース・バイ・ケースで、事件の背景から、責任はすべて負えないだろうし、これからの更生の可能性を考えた時にこういう報道は差し控えておこう、というようなことをその都度考えていくしかないと思う。
青少年委員会は、本当にいい番組をつくるためにはどうしたらいいのかという悩みを現場の皆さんと共有させてもらい、そういうことを議論し合えるような場を提供していきたいと考えている。そういう委員会だということを理解してほしい。」
以上のような活発な議論が行われ、3時間以上に及んだ意見交換会は終了しました。

【参加者の感想】

今回の意見交換会終了後、参加者からは、以下のような感想が寄せられました。

  • BPOの組織・役割などについては、ある程度理解していました。しかしトップの立場の方から発せられるメッセージは、やはり重みや説得力のあるもので、仕組みであり社会哲学と言うポイントは、放送現場に立つ者が同様に感じておくべきことと肝に銘じました。
  • 各社の判断基準、対応方針などについて共有する貴重な機会となった。普段、ここまで具体的かつ本音ベースで意見交換をする場を持つことはないので、そういった意味でも有意義だった。また、ともすると繁忙な業務に流されがちであるが、改めて、自分たちの報道姿勢などを立ち止まって見つめ直す、いい機会ともなった。
  • 青少年問題についてはシンプルな結論・基準を示すのがなかなか難しいです。そうした中、難しさをあらためて認識できたこと、各社とも真摯に考えようとしている姿勢を感じられたことが有意義でした。我々は、誰のため何のために報道しようとしているのか、という根本から考えることが大切だと再認識させられました。

以上

第197回 放送と青少年に関する委員会

第197回-2017年11月28日

視聴者からの意見について…など

2017年11月28日、第197回青少年委員会を午後4時30分からBPO会議室で開催しました。所用のために欠席した1名を除き、6人の委員が出席しました。
視聴者意見については、10月16日から11月15日までに寄せられた視聴者意見について議論しました。視聴者から「見ていて残虐で不快だった」などの声が寄せられた深夜放送のアニメ番組について、委員から「現実ではありえない描写からフィクションと現実世界を混同する可能性は低く、暴力を肯定している内容でもない」などの意見が出され、この番組についてはこれ以上議論する必要はないとされました。
また、神奈川県座間市のアパートから9人の遺体が見つかり、男が殺人容疑などで逮捕された「座間9人遺体事件」の報道に関し、「未成年者の被害者を特定するような報道はやめていただきたい」など、被害者の実名や顔写真の報道に対して意見が寄せられたことについて議論しました。被害者の氏名判明後の各局のニュースでの実名・顔写真の扱い状況などを踏まえ、今後の報道を注目していくことになりました。
10月度の中高生モニターのリポートのテーマは「指定するドキュメンタリー番組の感想」で、中高生モニターから寄せられたリポートを基に意見が交わされました。
委員からは、「戦争に関わるような番組上のリアルな表現について、『怖いから見たくない』や『嫌だから知りたくない』などの感想が述べられることがある。戦争をどう伝えていくか、ということの難しさを感じる」「モニターの世代は戦争そのものへの先入観があまりないように思われる。これからの若い世代は、対立する双方の言い分を公平に受け止め、対等に聞きながら戦争の是非や意味を考えていくのだろうと、そういう時代に入ったのだなということを感じた」などの意見が出されました。
調査研究については、「青少年のメディア利用に関する調査」の調査票の回収を締め切り、回収数やその内容がおおむね妥当なものであるとの文書が担当委員から提出されました。
次回は12月18日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2017年11月28日(火) 午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見稔幸委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、中橋雄委員、緑川由香委員

視聴者からの意見について

深夜のアニメ番組で、知らない家に侵入して、家族を殺害するシーンについて、「見ていて残虐で不快なシーンだった。深夜の時間帯といえども、子どもたちが見てしまうと悪影響を及ぼすのではないかと心配だ」「アニメ自体は否定しないが、有料チャンネルやインターネットで放送してほしい」などの意見が寄せられました。委員からは「この不快感・恐怖感を与える描写は、作品のストーリー上必要なものだと考えることができる」「現実ではありえないような描写であり、特に暴力を肯定しているような内容ではなかった。倫理的に問題にはならないだろう」などの意見が出されました。この番組ついては、これ以上、話し合う必要はないとなりました。
「座間9人遺体事件」の報道について、「登校前の小学生が見て、気分が悪くなった。子どもが見る時間に長時間、具体的な報道は、心理的に悪影響がある」「被害者の写真、実名を放送する必要を感じない。まして、未成年の被害者まで出すのは、放送局の倫理を疑う」などの意見が寄せられました。委員からは、「本人に自殺願望があった可能性があるということで、子どもを失ったという悲しみに加えて自責の念を親が強めていく。二重三重に遺族が苦しむということでは普通の殺人事件とは違うと思う」「社会的に大きな問題となる事件は、それを実名で報道する必要性を否定できない。しかし、報道される側の人権とのバランスの上で、実名報道でなければ本当に事件の迫真性を伝えることができないのかは、しっかり考えていかなければならない」などの意見が出されました。この事件の報道については、引き続き注目していく、ということになりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした11月のテーマは、「指定するドキュメンタリー番組の感想」で、課題番組は日本民間放送連盟賞テレビ教養番組部門最優秀賞受賞作品「NNNドキュメント’16 知られざる被爆米兵~ヒロシマの墓標は語る~」(広島テレビ放送制作)でした。
この番組は、日本でもアメリカでも知られていない「被爆米兵」の事実を、40年以上にわたり丹念に調べてきた一人の被爆者・森重昭さんを追ったドキュメンタリーです。アメリカでも森さんと被爆米兵に関する映画が制作されるなど、光が当たり始めていることを紹介する一方で、遺族が「戦勝国民」と「被害者」の狭間で複雑な思いを抱えることにも迫り、戦争や原爆の苦悩をあらためて描き出した番組です。
32人のモニターからから報告があり、普段は自分からすすんでドキュメンタリー番組を視聴することはないというモニターも複数いましたが、それぞれに感じたことや考えたことなどを、自分なりの言葉で真摯にリポートしています。
「自由記述」では、座間市で起きた殺人事件の報道やその演出などについて2人のモニターが意見を寄せました。
「青少年へのおすすめ番組」では3番組に複数の報告が寄せられました。『ビートたけしのスポーツ大将』(テレビ朝日)を4人、『ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!~』(TBSテレビ)を3人、『ETV特集 こいのぼりとしゃぼん玉~悲しみでつながる遺族たち~』(NHK Eテレ)を2人のモニターが取り上げました。

◆委員の感想◆

  • 【指定するドキュメンタリー番組の感想】について

    • 今回の課題番組でなければ、モニターの子どもたちはこのドキュメンタリーを視聴することがなかったのではないかと思う。モニターたちは、いい経験ができたのではないだろうか。

    • 戦争に関わるような番組上のリアルな表現について、「怖いから見たくない」や「嫌だから知りたくない」などの感想が述べられることがあるが、そのような率直な受け止めをどのように考えればいいのか、とずっと悩んでいる。戦争をどう伝えていくか、ということの難しさを感じる。

    • 戦争のにおいの残る時代に育った我々とは違い、モニターの世代は戦争そのものへの先入観があまりないように思われる。これからの若い世代は、対立する双方の言い分を公平に受け止め、対等に聞きながら戦争の是非や意味を考えていくのだろうと、そういう時代に入ったのだなということを感じた。

    • 「この番組を見て、また一つテレビの良さを知ることができた」というリポートで、インターネットとテレビの違いを感じたとあった。インターネットで戦争や原爆に関する情報を知ろうと思うと断片的な情報がたくさん入ってくるが、一つのテーマで深く取材された番組から情報を得ることができるということがテレビの良さだと感じてくれている。

    • 指定番組の感想を、学校で聞いた「国境なき医師団」の講話と絡めてくれているリポートがあった。モニターは最終的に「人に命があることは、人種、宗教、国籍に関わらず平等だ。そのことを忘れてはならない」と書いている。非常にきちんと書かれた、センスを感じさせるリポートだと思う。

  • 【青少年へのおすすめ番組】について

    • 宮城県のモニターが『ETV特集 こいのぼりとしゃぼん玉~悲しみでつながる遺族たち~』(NHK Eテレ)を見て感想を書いている。「震災から7年がたち、自分の家の周りも仮設住宅がなくなり復興が進んでいる。月日とともに忘れていくこともあるが、忘れてはいけないことをあらためて実感した」とあり、「地元の子どもでさえ、そうなのだ」と感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【指定するドキュメンタリー番組の感想】について

    • 2016年5月27日、当時現職アメリカ大統領バラク・オバマが、広島平和記念公園で17分という長いスピーチをしたことをよく覚えています。オバマ大統領は「私たちは、10万人を超える日本の男性、女性、そして子ども、数多くの朝鮮の人々、12人のアメリカ人捕虜を含む死者を悼むため、ここにやって来ました」と言っていました。僕はこの時初めて12人のアメリカ人の被爆者がいることを知りました。自分の国の捕虜がいることを知っていて原爆を投下したという事実に言葉が出ませんでした。式典に参列していた被爆者でもある森重昭さんがどんな人生を送ってきたのか、この番組を見てよく伝わりました。自分も遺族としての感情を重ねて、12人全員の名前を調べあげ、アメリカで「行方不明」と言われていた遺族に連絡をとってあげました。どれだけの労力がかかったか想像もつきません。また、被爆者名簿にアメリカ兵の名前を載せることもしてあげました。広島の被爆者もアメリカ兵の被爆者も戦争と核兵器の犠牲になった、家族のいる同じ人間なので、その行為は正しかったと思います。そんな森さんの心がオバマ大統領の広島訪問という歴史的出来事につながったように感じます。森さんとオバマ大統領のハグを見て、お互いの国の人を思い敬うことが平和へつながるのではないかと思いました。(神奈川・中学1年・男子)

    • 番組が始まった時の映像が怖かった。普通に見ていたら怖くて見るのをやめるかも。アメリカ人も被爆していたことを初めて知って驚いた。番組を見てあらためて戦争は起こってほしくないと思った。戦争について知ることができてよかったけれど、話が難しく、普通には見たいと思わない。(岐阜・中学2年・男子)

    • 今まで、小学校の授業やテレビなどで、様々な「第二次世界大戦」や「原爆」の映像を見たことがあったが、実際に被爆された方の関係者が現在どんな暮らしをしているのか、ということは知らなかった。また、日本で被爆した米兵の存在には驚かされた。日本は被害者、アメリカは加害者というイメージが強かったが、アメリカも原爆による被害を受けていることを知り、複雑な気持ちになった。「原爆を投下したのはアメリカですが、どう思いますか」と聞かれて、「原爆は正解だった。あれが戦争に終止符を打ったんだ」と答える人がいれば、ノーコメントと答える人もいる。様々な思いを抱える人がいるということがよく分かった。これは、平和を考えていく上でとても大切なことだと思う。(東京・中学2年・男子)

    • この番組を見て、初めて「被爆米兵」という存在を知りました。オバマ大統領が広島訪問したニュース映像の記憶はありましたが、その映像と森さんの存在がつながっていませんでした。番組を見ての感想をうまく言い表せません。事実の衝撃と国、当事者、遺族の複雑な立場、事情の重々しさ。その苦悩の中にある人間の良心についてなど、いろいろなことが頭の中をぐるぐる巡りまとめることが難しいです。それぞれの立場、思い、考えがあり、何がいいとか悪いとは簡単には判断できないです。「戦争に勝者も敗者もない」ことをあらためて感じました。ただ苦しみ、悩み続けながらも平和を願う気持ちには過去の敵も味方もないのだと思いました。自らも被爆者である森さんは、なぜ被爆米兵についてこれほど調べ、遺族への連絡に尽力したのでしょうか。彼を突き動かした思いは何なのか、考えさせられます。被爆米兵の遺族の方が「ノーコメント」としか言えない未だ続く深い悲しみには胸を締め付けられる思いがしました。
      広島への原爆投下について、私は何も知らないのだと実感しました。教科書に書いてあることとして何となく理解していた気がしていましたが、その背景や今につながっている問題については何も理解していませんでした。今月トランプ大統領が来日し、防衛装備品の購入を促し、日本政府もその意に添うととれる報道を目にしました。そんなことを頭に置きつつ、この番組を見ると現実は険しいのだと思います。オバマ大統領は歴史的な広島訪問をし、核軍縮のメッセージを世界に向け発信しました。ただ言葉だけでは核兵器はなくなりません。このメッセージや森さんの思いを忘れずに胸に留めていかなければならないのだと思います。
      私は来年修学旅行で広島に行く予定です。この番組を見ることができ良かったと思いました。(千葉・中学2年・女子)

    • 出だしがかなり暗い感じで、少し怖い感じもしたので、指定番組でなければきっと見なかったと思う。でも、とてもいい勉強になった。広島には小学校の修学旅行で行きました。その時にもいろんな資料を見て怖いと感じたことは多かったけれど、そういうことを知らないとまた戦争をしてしまうかもしれない。知ることは大切だなと思いました。(滋賀・中学2年・女子)

    • この前、トランプ大統領が日本に来た。トランプ大統領はすぐ煽るようなツイートをして、北朝鮮が核兵器を飛ばす飛ばさないという嫌なニュースが止まらない。平和な世界に生まれたと思っていた僕たちなのに、すぐそこで戦争が起きるんじゃないかと最近は怖さを感じている。そのせいか、戦争は起きてほしくないと思っていることと、もしも戦争が起きたらと思う不安感で、ドキュメンタリーを見始める気持ちになかなかならなかった。
      原爆の話というと、やっぱり日本人のことが語られるけれど、アメリカが日本を破壊しようと生み出した原爆が、自分の国の人間を傷つけていたということは知らなかったし、捕虜として被爆した米軍兵士のことを思うと心が痛かった。米軍兵士の遺族が、その人の弔われた墓の写真を見た時にカメラに向かって「日本の人たちに感謝したい」と言っていた。きちんと弔ってくれてありがとうということだった。そんなふうに思えるなんてビックリした。どうしてそんな心になれるのか、最後まで見てもあまりわからなかった。なぜなら、僕は日本がいつまでも戦争をやめなかったから原爆が落とされたと思うから、日本人が悪いんじゃないかと感じてしまったからだ。
      僕たち戦争を知らない世代は、国内だけじゃなくもっと世界の戦争の歴史について知るべきだと思った。なぜそうなったのかを知れば、戦争が起きないような考え方を出せると思う。来年修学旅行で生まれて初めて広島に行く。あの原爆公園に行ったら、僕なりの視点で世界平和や戦争について考えてきたい。(富山・中学2年・男子)

    • 戦争(原爆)による悲劇の歴史は、繰り返してはいけないし、決して忘れてはいけないと思った。番組の途中で、気持ちが重くなり、見るのもつらくなったが、戦争を知らないからこそ最後まで見て事実を知った方がよいと思って最後まで見た。その中で、原爆を落としたアメリカ兵が捕虜になっていた時に被爆し、19歳という若さで苦しみながら非業の死を遂げたという事実を初めて知り、驚いた。被爆兵の死を調べて家族に連絡した人がいるその様子に、敵国であったにも関わらず分け隔てなく対応していることに、国を超えて人間であることへの尊重やその被爆兵にも被爆兵を大事に思う家族がいるんだということを気づかされた。(東京・中学2年・男子)

    • 12名の被爆米兵がいたことは、初めて知りました。被爆米兵の妹のアメリカ人の80代の人にインタビュアーが、「原爆を作ったのはアメリカですが?」と質問すると、そのアメリカ人の妹の人は「何もコメントしません」と言ったのがちょっと残念に思いました。実は僕も、ずっと「原爆を作ったのはアメリカだ、攻撃のために作ったんだから(その結果、誰かが死ぬのは当然。自国民だけ死なない兵器などない)」と思っていました。なぜ何もコメントしないかという点を、少しでも引き出してほしかったです。それがないと、結局、和解できないという感じに思いました。(石川・中学3年・男子)

    • 民放では、このような番組を見ることがあまりありませんが、本当に放送するべき番組はこのような番組であるのだろうと思います。何かを報道する時は一方からの視点で描くこともありますが、今回は日本人、そしてアメリカ人、両方から偏りなく戦争を描いていました。この番組を見るまで、原爆により亡くなったのは日本人だけでなくアメリカ兵の方もいたのだということを知りませんでした。中高生モニターでなかったらきっとこの番組には出合えていなかったはずです。地方局の制作番組となると、そうなるのは当たり前のことなのかもしれませんが、高く評価され、多くの人に見てほしいとされるこのような番組は、評されるだけで終わりでなく、たくさんの人に届けることこそがその賞の意義であると思うし、放送界の責務だと思います。(埼玉・高校1年・女子)

    • 広島の原爆投下で被爆したアメリカ人がいたことにただただ驚きました。「アメリカは加害者である」と今まで私の持っていた概念的なものが崩れました。このドキュメンタリーでは、実際アメリカ軍兵の遺族にもインタビューを行い、彼らの辛い経験も取り上げているので、平等な描き方だと感じました。日本の悲惨な体験だけでなく「加害者」とされたアメリカの苦しみも取り上げられたドキュメンタリーを見るのはこれが初めてでした。平和とは何か。原爆は落とされて正解だったのか。答えのないこの問いに違う切り口で迫ったこのドキュメンタリーは、今まで取り上げられることのなかったアメリカ人被爆者たちの存在を伝えてくれました。(東京・高校1年・女子)

    • 被爆米兵の妹に「原爆はアメリカが開発したものだが、どう思うか?」というインタビューは不必要だったと思います。なぜあのインタビューをしたのかわかりません。どのようなコメントを期待してあの質問をしたのか、全く理解できませんでした。(岡山・高校2年・男子)

    • この番組を見て、また一つテレビの良さを知ることができました。私は広島の原爆について授業でしか触れたことがなく、今回の番組で広島について新しいことを学ぶことができました。インターネットで調べようとすると情報が膨大、しかも自分が求めていることだけを見つけるので見識が狭くなってしまうこともありますが、テレビでは要点がまとめられているので、そこがテレビの良いところだと思いました。「インターネットでも調べてみよう」と意欲をかきたてられるような好奇心を高めてくれる番組や、視聴者に問いを投げかけてくれるような能動的な行動に結びつく番組が増えてほしいと思います。(青森・高校2年・女子)

    • 面白い番組は好きだけどシリアスなドキュメンタリー番組や歴史の勉強のような番組は重苦しくってつまらないという印象が強く、自分から進んで見たことがありませんでした。ですから、今回送られてきた原爆のドキュメンタリー番組も正直指定されなければ見ないだろうと思っていましたし、あまり気が進みませんでした。しかし、この番組を見終わった後では、シリアスなドキュメンタリーはつまらないなんて考えはなくなりました。この番組にすごく引き付けられたのです。当時の映像やインタビューの様子に目が離せなかったです。インタビューを受けている人が一人ひとり真剣に偽りのない自分の気持ちを話しているのが伝わり見ているこちらがつらい気持ちになりました。英語に字幕をつけたインタビューは字幕を見ないと意味が分からなくて吹き替えの方が好きだったのですが、生の声だと話し手の声音や抑揚で言葉を超えて感情が伝わってくるのだと思いました。ドキュメンタリー番組は戦争や原爆の悲惨さを教えてくれます。しかしそれは,教科書とは全く違うものです。教科書でも悲惨さや危険を知ることはできます。でも教科書は知識として知ることしかできません。どこか他人事で教科書を読んで涙する人はまずいないでしょう。ドキュメンタリー番組は違います。戦争の辛さを、苦しさを、切なさをたくさんの思いを教えてくれるのです。私はこのドキュメントをみて何度も泣けてきました。日本人の被害者が多いから被害者の少ないアメリカが悪い。日本はかわいそうだ。そういう話ではないと思います。たった一人でも大切な人がいなくなれば苦しくて辛いのです。命は一つひとつが大切で、それを足し算したり掛け算したりして悲しみが決まるわけではないと思いました。戦争に善も悪もあるのでしょうか。この番組もたくさんのことを伝え考えさせてくれました。(愛知・高校2年・男子)

    • 私は長崎に生まれ育ったので、毎年夏になると、学校で平和学習があります。毎回平和学習で学ぶことは、原爆の悲惨さ、平和の尊さです。しかし、そこで主にテーマとなるのは、「犠牲」になった日本人の被爆者のことです。今回の番組を見て、被爆米兵の存在を初めて知りました。アメリカでこのような原爆についての教育を行う時、この事実を知るべきだと私は思います。原爆の是非の考え方を変えるというのではなく、この事実は知っておくべきことだと思いました。原爆は72年前の夏、広島と長崎に落とされましたが、核兵器によって、たくさんの命を奪うという行為は二度と起こってはならないことです。広島だけではなく、長崎にも被爆米兵はいるのだと思いました。この番組を通して、当時の日本、またアメリカの考え方の悲惨さを学びました。この前、学校の人権週間で、国境なき医師団の先生の講話を聞きました。医療の話だけではなく、派遣される国の状況についても聞くことができました。国境なき医師団はけがを負った人々なら、たとえテロリストであれ、治療を行うとおっしゃっていました。人に命があることは、人種、宗教、国にかかわらず、みんな平等です。そのことを忘れてはならないと思います。(長崎・高校2年・男子)

    • 昨年の広島の平和祈念式典のニュースで流れていた、オバマ大統領と森さんが抱き合う映像がとても強く印象に残っていました。そしてこの番組を見て初めて、森さんが長年被曝米兵のことを研究している方だと知りました。この番組は俯瞰して眺めた戦争ではなく、その中に生きた一人ひとりの人生を見つめています。個人的な物語ですが、だからこそ多くの人の心に届くのだと思います。いつの時代も戦争は起こるけれど、命の重みは変わらないし、大切な人を想う気持ちも変わらない、ということを感じました。番組の最後の方では、核兵器のなくならない現実も伝えていて、胸に刺さりました。どうすれば核なき世界が実現できるのか、本当に難しい課題だと思います。原爆の事実に心を痛め、核兵器を廃絶すべきであると感じている人が多くいる一方で、世界の現実は変わっていません。でも、決して諦めず、この番組のように“過ちは繰り返してはいけない”という声を絶やさないことが大切であると思います。(東京・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • 最近あまりテレビを観ていない。いろいろと忙しいということもあるが、自分にとってどうしても観たいと思える番組がないからというのも理由だと思う。両親が小さい頃は家族でチャンネル争いをしていたという話だが、昔の番組はそんなに面白かったのか、それともパソコンのようなものがなかったからなのか、などと思っている。(東京・中学2年・男子)

    • 座間市の事件がありましたが、それについて、ニュースの中で被害者の方々の幼少期の映像や写真、知人へのインタビューなどが、人権侵害に関わるのではないか、と学校の先生が話してくださいました。(今回の事件に関しては)私は先生からその話を聞くまではそのように思いませんでした。自分の無慈悲さを感じましたが、見方を変えれば、被害者の方のそのような情報が報道されるから、人はその被害者の方に思いを馳せることができると思うし、これから二度と同じようなことを起こさぬようにと思えるようになるのだと思います。さいたま市の高校生の方もこの事件で亡くなったそうで、新聞・テレビ記者の方がツイッターでその高校の同級生に情報提供を呼びかけているという話を同級生から聞きました。顔が分からず、本当にその被害者の方と同じ高校に通う人か確信を持てないツイッターで情報提供を呼びかけるというのは、危ないと感じました。(埼玉・高校1年・女子)

    • 最近、どの情報番組を見ても角界の暴行問題がトップで取り上げられている。関心が高い事案ではあるが、情報が錯そうしている中でほぼ同じ情報が繰り返されているだけのように感じる。このような報道の仕方は、視聴者の混乱を招きかねないのではないか。(青森・高校1年・男子)

    • お昼のワイドショーや夕方のニュースなどで、座間市の事件について過剰に取り上げているように感じました。事件の凄惨さや被害者のエピソードを繰り返し放送し、ドラマティックにしているところに違和感を覚えました。エンターテインメント化するのではなく、今後このような事件が起きないようにするための議論を重視すべきだと思います。また、他の様々な問題にも光を当てるべきだと考えます。ワイドショーや夕方のニュースは長い時間を有しているのに、みな同じような内容を繰り返し伝えているように感じます。その内容も、視聴者があまり考えずに見られる、芸能人の話や今回のような衝撃的な事件などに偏っていて、未来性がないと思います。(東京・高校3年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 『ETV特集 こいのぼりとしゃぼん玉~悲しみでつながる遺族たち~』(NHK Eテレ) 震災から7年がたち、家の周りも仮設住宅がなくなり復興はかなり進んでいます。月日とともに忘れていくこともありますが、この番組を見てあらためて忘れてはならない出来事だと実感できました。(宮城・中学3年・男子)

    • 『ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!~』(TBSテレビ) 世間で噂されていること、気になることを、そこで働く人が答えるというのは信憑性が高いし、信用できるので、この番組はいいと思います。ただ、そこで働いて、色々知っている人がいるからこそ、もっと掘り下げたことを聞きたいと思う時もあります。(埼玉・高校1年・女子)

    • 「青少年へのおすすめ番組」には、スポーツ番組やバラエティー番組は多いけれど報道番組が少ないと思った。もっと若者が興味を持てるようなニュース番組を制作してほしい。(長野・高校1年・男子)

    • 『ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!~』(TBSテレビ) 一番印象に残っているのは、国会議員が自身の仕事についてぶっちゃけていたシーンです。政治界の裏金の有無について暴露しているのがギリギリまで迫っているように感じられて面白かったです。私たち高校生は進路について考える時に見る資料には、職業の良い点について多く書かれていますが、このように裏側にまで迫る教育番組があれば将来についてもっと真剣に考えられると思いました。(青森・高校2年・女子)

    • 『ビートたけしのスポーツ大将』(テレビ朝日) 同世代の人があんなに走るのが早かったりするのを見るとすごいなと思うし刺激になる。自分の無力感を強く感じる。(東京・高校2年・男子)

調査研究について

「青少年のメディア利用に関する調査」は、11月中旬に調査票の回収を締め切りました。担当委員からは、「515件(25.7%)の回答を得た。回答数は、郵送調査の場合の一般的な回答率(20%~30%)の範疇にあり、暫定集計の結果、サンプル集団は地域分布、年齢/中高分布、性比に大きなバイアスは観測されておらず、おおむね妥当と考えられる」など、暫定集計の結果を報告する書面が提出されました。
次回委員会で、集計結果の概要やこの調査に関して行う放送局の関係者との意見交換会(1月23日実施予定)の内容等について議論することになりました。

今後の予定について

今後の日程を次のとおり確認しました。上記の調査研究に関するもの以外に、来年2月24日にBPO会議室にて教師たちと委員との意見交換会を開催します。

2017年11月に視聴者から寄せられた意見

2017年11月に視聴者から寄せられた意見

神奈川県座間市のアパートで、9人の遺体が発見された事件で、被害者の実名、顔写真などをめぐる報道のあり方への意見や、大相撲の暴行事件についてのコメンテーターや芸能リポーターの発言に対する意見など。

2017年11月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,361件で、先月と比較して404件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール71%、電話27%、FAX1%、手紙ほか1%。
男女別は男性65%、女性33%、不明2%で、世代別では40歳代29%、30歳代24%、50歳代20%、20歳代13%、60歳以上12%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。11月の通知数は575件【42局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、21件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

神奈川県座間市のアパートで、9人の遺体が発見される凄惨な事件が起こった。それに関して、被害者の実名、顔写真などを巡る報道のあり方への意見が多く寄せられた。また、大相撲の暴行事件について、各局ワイドショーのコメンテーターや芸能リポーターの発言に対する意見も多く寄せられた。
ラジオに関する意見は30件、CMについては29件あった。

青少年に関する意見

11月中に青少年委員会に寄せられた意見は88件で、前月から27件減少した。
今月は「報道・情報」が25件と最も多く、次に「表現・演出」が15件、「低俗、モラルに反する」「いじめ・虐待」がともに7件、と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 連日各局で、座間の事件を報道しているがウンザリだ。ある番組では、事件が起きたアパートの下の階の部屋を取材していた。殺人事件が起きた部屋と同じ間取りであることを強調し、「こんなに狭い風呂場で遺体を解体し…」と紹介した後、流しを映して「下の部屋だからか、ここから異臭がしたようだ」と説明していた。また、別の番組では、猫用の砂を入れた収納ボックスを用意して「このように首が入っていた」などとリアルに再現していた。これだけ残酷な事件だ。容疑者の境遇や育ち方などの背景を伝えるまでは仕方がないにしても、死体の遺棄方法をリアルに再現する必要があるのか疑問に思う。

  • 座間の事件で、被害者の卒業文集がテレビで放送された。このようなことは、どうしてなくならないのだろう。死後、自身の卒業文集などのプライベートなものが全国に報じられたら、誰だっていやだと思う。自分のことに置き換えて考えてもらいたい。視聴者としても、被害者の卒業文集を見せられ、何を訴えたいのか全く分からない。亡くなってからもいろいろとさらされ可哀想だ。どこから入手したのか分からない写真や、どの程度親しかったかも疑わしい同級生のコメントを放送するのも理解できない。被害者家族に寄り添った報道に改善されることを望みたい。

  • 大相撲の暴行事件について。推測に基づく主観的報道が目立ち、視聴者の考えを意図的に仕向ける報道は如何なものか。専門家や有識者であっても、事実や実態を知らない非当該者であり、発言や意見は推測の域を出ないものだ。それをさも事実であるかのように報じ、その推測に基づき勝手に"悪"を仕立て上げ、それを放送を通じ拡散するのは、報道機関としての良識を疑う。

  • 大相撲の暴行事件について、各局で何日にもわたり報道している。メディアが勝手に取材しコメントしているが、そもそも警察に被害届を出しているので警察に任せるべきだ。被害者側の親方が、相撲協会に対し何も話さないことをよく言っておらず、その直後にサングラスをかけた親方の映像を流し、印象を悪くしているように感じる。親方に疑問を投げかける一方で、優勝した横綱の、千秋楽での万歳三唱には触れない。横綱の行動は問題があるのに、メディアが追及しないのはなぜか。報道が公平でなく、親方を叩いているだけに見える。

  • 横綱の引退記者会見をいくつかの番組で見た。本人は「指導が行き過ぎた」と釈明し、親方は涙ながらの同席だった。まるで引退に追い込まれた悲劇の主人公みたいな振る舞いで、強い違和感を覚えた。そもそも暴力事件の加害者である。正装で記者会見を開く資格などあるのだろうか。ところが各番組では横綱を批判するどころか、彼が苦労と努力を重ねて横綱の地位に上り詰めたとして、輝かしい映像やエピソードを紹介し、引退に花を添えるような演出をしていた。日本のテレビはどこまでおめでたくできているのか。あきれてものも言えない。

  • 東京都知事をワイドショーが面白おかしく取り上げている。政治家としてそれなりの人だろうが、とても一つの政党を率いる人ではないように思える。しかし、彼女の人気を煽ったのはメディアだ。そのメディアが手のひらを返して都知事叩きをしている。つまりメディアは、持ち上げて潰すことを意図的にやっている。面白ければいいというわけだ。このような状況である限り、日本の政治は良くならない。メディアの作った人気よりも中身だ。必要以上に囃し立て、どこかで躓けば面白おかしく叩く。政治家のレベルが低くなったが、メディアのレベルはそれ以上に低下している。

  • 選挙報道について「与党に批判的だから偏向している」という意見がある。現実に政権を担い、政策を実行しているのは与党なのだから、それに対する検証や批判が多くなるのは止むを得ないだろう。最近は、コメンテーターに与党擁護派、野党擁護派の双方を起用する情報番組が増えており、一昔前よりは公平な報道になっているように感じる。

  • トランプ大統領が来日し、総理とのゴルフやランチに出されたハンバーガーなどのリポートが続いている。アメリカは世界一の大国であり、日本と同盟国であるので、報道が多くなるのも分かる。その一方、数日前にフィリピンのドゥテルテ大統領が来日したが、これについての報道はほとんどなかった。フィリピンに限らず、外国からどのような要人が訪れ、どのような会話がなされ、それにより日本との関係はどうなるのか、そういうことが知りたいのに、晩餐会のメニューとか大統領の乗る車とか、どうでもいいことばかり報じられる。私達の知りたいことと、報道の知らせたいことが離れすぎている。

  • 朝6時頃、滋賀県の有名な寺の参道へ紅葉を見に行ったところ、参道近くの道に警備員が立っており、「生放送収録のため8時半までここで待機して下さい」と言われた。私は混雑する時間帯を避け、深夜から3時間かけてせっかく来たというのに、人が多くなるであろう8時半まで待つというのは馬鹿らしいのでその場を去った。この日のために仕事も休みを取っていたので、参道を見られなかったのは残念でならない。撮影許可を取っていたとしても、何の権利があって一般人の通行を禁止にしているのか。座る場所などなく、寒い中2時間半待てというのもどうかと思った。観光地である以上、一般人の通行を邪魔せずに、人がいる様子を映せばいいのではないか。

【番組全般・その他】

  • 世界各国の奥地に住む日本人を紹介する番組で、ブラジル・サンパウロから南部のフロリアノポリスまで移動するのに、夜行バスで中継地まで行き、翌日にフロリアノポリスまで、さらにバスで行くルートをとっていた。ブラジルは航空網が発達しており、サンパウロからフロリアノポリスまでは毎日飛行機の便がある。「こんな奥地に」と思わせるためとはいえ、いくらなんでもやりすぎではないか。ブラジルという国が誤解されて伝わる懸念もある。他の国の取材でも同じようなことが行われているのではないか。ブラジルに5年間駐在したことのある人間として疑問を感じた。

  • 朝の番組でタクシーの乗客トラブルを特集していた。運転手に暴言を吐きながら暴れる客の実際の映像が流されたが、このような行為をテレビが放送すると、残念ながら模倣する人間が増える。最近、視聴率を狙ってか、各局が競うように何から何まで放送する傾向にあるが、これは非常に危険なことだ。まずは放送することで、社会に対してどのような影響があるかを考えてもらいたい。

  • 20数年ぶりに復活したスポーツバラエティー番組を見た。当時の番組や、不定期に放送された特番を知らない視聴者も当然いると思われるが、冒頭で番組の概要や説明がないまま、いきなり最初の対決コーナーに入った。「見ればわかる」つもりでやっているのであれば、視聴者はついてこないと思う。また、スタジオゲストを紹介もしないまま、コメントだけさせておいたのもひどい扱いに感じた。

  • アジアプロ野球の日本×台湾戦は、予定では中継が21時に終わり、その後映画を放送するはずだったのに、少しずつ延長し、最終的に映画の開始が23時になってしまった。ここまでズラされるのはどうか。映画の特別企画のプレゼント応募パスワードを集めていたが、明日の仕事の関係で最後まで見ることができず、パスワードが分からない。このためだけに今週の仕事を乗り越えてきた。2時間の延長はやり過ぎだと思う。

  • アジアプロ野球の日本×韓国戦は、試合終了まで中継されたが、放送時間の延長ではなく、別番組の放送枠内で対応していた。そのため、テレビや録画機に使用されている電子番組表が更新されず、試合の途中で録画が途切れてしまった。放送局からの説明表記がないため、原因を突き止めるに苦労した。放送形態については事前に明確なアナウンスを行うべきだ。

【ラジオ】

  • 昼の番組に、街角からの中継で、日替わりリポーターが様々な年代の人と会話するコーナーがある。私は毎日楽しみにしているが、昨日の司会者の発言には少し悲しい気分になった。リポーターが、親子(母親と中学生の娘)にインタビュー。母娘ならではの仲の良さそうな感じが伝わってきて、微笑ましい中継だった。ただし、お嬢さんの声が少し大きく、素直過ぎる受け答えに、(もしかすると?)と聞いていて私は思った。すると、スタジオから司会者が暴言を吐いて、そのお嬢さんの回答を揶揄。聞いていてショックだった。この番組には、新聞記事から、高齢者やLGBTなど弱者やマイノリティーに対する社会の問題点を取り上げてコメントするコーナーがあり、多様性を受け入れているはずの番組なのに、素直な少女の発言に対してまさかの暴言。せっかく放送に協力してくれた親子に失礼で、落胆したリスナーも少なくないと思う。様々な人が暮らしているからこそ成り立っている今の社会。どうかもう少し思いやりを持って、ラジオ放送に臨んでもらいたいと思う。

青少年に関する意見

【「報道・情報」に関する意見】

  • 「座間9人遺体事件」のニュースを、登校前の小学生の子どもが見ていて気分が悪くなってしまった。子どもが見ている時間帯に、長時間、あまりに具体的に報道するのは、心理的に悪影響がある。

  • 事件報道では、加害者が未成年だと名前は報道されないのに、被害者は未成年でも名前を出す。「座間9人遺体事件」は、単純に事件に巻き込まれたのではなく、被害者に自殺願望があったことが、今回の報道で多くの人に知れ渡ってしまった。仮に自分の子どもがこのようなことになったら、親としていたたまれない気持ちになる。未成年が関連した事件については、もっと配慮した報道をするべきだ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 深夜のドラマで、童貞、処女を否定するかのような内容で不愉快であった。不倫やいじめを助長するようなドラマ、低俗なテーマを扱うドラマは、子どもたちに悪影響を与える。ますますテレビ離れが進むだけだ。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • 大相撲の暴行事件の報道で、暴行によって引退に追い込まれた横綱を擁護していた。まるで加害者を被害者のように扱い、殴られるほうに問題があるかのように情報操作していた。いじめの助長にもつながる。

【視聴者意見への反論・同意】

  • アニメへの視聴者意見が、多く掲載されているが、少しばかり過剰反応していると感じる。確かに、いじめや体罰が問題になっている今日、アニメにおける暴力シーンやお色気表現が問題視されるのは仕方ないのかもしれないが、一方、こういう過激な作品はあらゆるジャンルにおいて一定数存在するものであり、アニメばかりを批判するのはおかしな話ではないか。