2007年度 第35号

“グリーンピア南紀”再生事業の報道

委員会決定 第35号 – 2007年12月4日 放送局:読売テレビ

見解:問題なし
和歌山県にある大規模保養施設の再生事業を請け負った人物が、読売テレビの報道番組『ウェークアップ!プラス』(2007年5月と6月放送)で事実と異なる報道がされ、名誉が著しく傷つけられ、取材・放送によりプライバシーが侵害されたと申し立てた事案。

2007年12月4日 委員会決定

申立人
A
被申立人
読売テレビ
対象番組
読売テレビ 報道番組「ウェークアップ!ぷらす」
放送日時
2007年5月26日 午前8時から午前9時25分内
2007年6月2日  午前8時から午前9時25分内

申立てに至る経緯

本件放送は、旧年金福祉事業団が設置した大規模年金保養施設「グリーンピア南紀」の払い下げを受けた和歌山県那智勝浦町と、その跡地の再開発事業を請け負ったBという会社の契約を巡る不明瞭且つ不透明な経緯を指摘し、問題提起する内容となっている。
被申立人読売テレビは、毎週土曜日の「ウェークアップ!ぷらす」で、4月21日、5月26日、6月2日の3回にわたり、このグリーンピア南紀再生事業に関する追跡報道を行った。
Bのオーナーである申立人A氏は、これら番組のうち、上記 I の(1)、(2)についてプライバシーの侵害、名誉毀損があったと訴え、被申立人に謝罪・訂正を求め、話し合ったが決着がつかず、BRCに対し権利侵害を申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人らの申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年度 第34号

部落解放同盟大阪府連幹部からの訴え

委員会決定 第34号 – 2007年11月12日 放送局:毎日放送

見解:表現のあり方等について要望
毎日放送の報道番組『VOICE』は2006年11月、大阪市の“ヤミ補助金問題”を取り上げた。申立人は、報道内容に行き過ぎた演出があり名誉を毀損されたとして申し立てた。

2007年11月12日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第34号

申立人
A、B
被申立人
毎日放送
対象番組
毎日放送の報道番組「VOICE」
放送日時
2006年11月20日午後6時36分から4分40秒間

申立てに至る経緯

毎日放送は、2006年11月20日の報道番組「VOICE」(関西ローカル)の中で、「大阪市の民間社会福祉施設等に対する償還金補助」を取り上げ、「予算計上しないまま支給しているのは“ヤミ補助金”の疑いがある」と伝え、また、番組内では、当該補助金の支給を受けていた法人は約30あり、この内8法人は部落解放同盟の幹部らが理事を務めていることなどを、該当する2施設の映像などとともに放送した。
この番組に対し、部落解放同盟大阪府連のA書記長らから毎日放送に「抗議する」との申し入れがあり、12月7日A氏らが毎日放送を訪れ、口頭で抗議した。
抗議内容は、「償還金補助は大阪市の制度であり、“ヤミ”補助金ではない」「部落解放同盟関連法人だけが対象ではないのに、意図的に部落解放同盟を叩いている」「年間返済金の『2倍』の補助金が支払われていたというのは事実誤認」など。
これに対し、毎日放送は12月20日付け文書で次のように回答した。
「当該補助金は予算計上されておらず、不透明・不適切であり、“ヤミ補助金”という表現は不適切ではない」「部落解放同盟関連法人だけに限定していないことを表現したつもりだが、誤解を招いたことは本意ではない」「04年度に当該施設に2年分の補助金が入金されたのは事実。そうなったのは市側の事務手続きの遅延で2年分が同一年度に支払われたと説明しており、報道内容は事実誤認ではない」
この後、3月14日付けで部落解放同盟大阪府連のA書記長から毎日放送(山本社長宛)に「06年11月20日放送の『VOICE』についての再質問と要請」という文書が送られ、「部落解放同盟を殊更に強調していないか」「社会福祉法人側や部落解放同盟に問題があったのか」「部落解放同盟の支部長や府連書記長の肩書きを報道する必要があったのか」など8項目について質している。これに対し、毎日放送は4月3日付けでA氏宛に「再回答書」を送り、項目別に答えるとともに、「大阪市の公金支出の問題点を指摘した本件報道は、その目的の公益性からみても正当なものだ」としている。
この毎日放送の「再回答」を受けて、A氏らは「毎日放送に対し謝罪と『VOICE』の報道によって広がった誤ったイメージの是正を求めていたが、その前段階である見解に大きな違いが存在しており、このままでは私達の求めていることが理解されない」として、局側との交渉をやめ、6月11日付けでBRCに申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての要旨
  • Ⅲ. 答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年度 第33号

広島ドッグパーク関連報道

見解:問題なし
大阪の動物愛護団体の代表が、2006年11月から12月にかけて放送された朝日放送の報道番組『ムーヴ!』で、犬たちを救済する活動が、偏見や憶測によってあたかも募金目当てであるかのように放送され、名誉を毀損されたと申し立てた事案。

2007年8月3日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第33号

申立人
A(動物愛護団体B代表)
被申立人
朝日放送
対象番組
朝日放送 ニュース情報番組「ムーブ!」(ローカル)
放送日時
次の(1)から(11)までの日における午後3時49分から午後5時54分内
(1)2006年11月27日
(2)2006年11月28日
(3)2006年11月29日
(4)2006年12月4日
(5)2006年12月6日
(6)2006年12月11日
(7)2006年12月12日
(8)2006年12月18日
(9)2006年12月20日
(10)2006年12月21日
(11)2006年12月28日

申立てに至る経緯

本件番組は、毎週月曜日から金曜日までの午後3時49分から午後5時54分まで放送される、被申立人の報道局ニュース情報センター制作の「ムーブ!」において、上記(1)から(11)までの各時間帯で放送されたものである。
番組内容は、2003年4月に開園した犬のテーマパーク「ひろしまドッグぱーく」が経営不振に陥って2005年6月に閉園したところ、多数の犬が放置されていたので、2006年9月に、申立人が代表である大阪の動物愛護団体Bが放置犬の救助に乗り出したことについての一連の追跡報道である。Bは、ホームページを使って全国に放置犬の引き取り手を探し、寄付を募ったが、このことはマスコミによって全国的に大きく報道された。このため、集まった寄付金の額は、2006年10月25日のホームページ上で5400万円と公表され、また、放置犬の救出のために全国から延べ6000人以上のボランティアが参加した。
しかしその後、参加したボランティアや他の動物愛護団体から「犬の扱い方がおかしい」「寄付されたお金や物資の使い方に疑問がある」などの情報が被申立人の番組である「ムーブ!」宛に寄せられた。
「ムーブ!」では、Bにおいて多額の寄付金が残っているのに「医療費が足らない」と言って支援を呼びかけていたと判断して、申立人に対し、その収支などを明らかにするように取材・放送の過程で求めた。しかし、申立人はその内容を明らかにしないことから、被申立人の番組「ムーブ!」において、申立人が代表であるBの募金と活動実態が整合しているかを検証したものである。
これに対し、申立人は、被申立人の番組「ムーブ!」における上記(1)から(11)までの番組は、いずれも一方的な偏見報道及び憶測放送と恣意的な内容の連続的放送であるとして、2007年1月5日付で「申立書」をBRCに提出した。
これに先立ち、Bは、2006年12月7日付で、被申立人及び朝日放送番組審議会に対し、「番組に対する苦情申立書」を提出し、上記(1)から(5)までの一連の報道は、B及び申立人に対する名誉毀損その他の重大な人権侵害等権利侵害を含む内容であり、今後も同様の姿勢により継続されるならばさらに侵害されるおそれがあるので、今後の放送によりB及び申立人の人権等が侵害されることのないよう、また過去の放送による被害の回復のため謝罪と訂正放送を求めて、苦情申立てを行った。また、Bは、2006年12月11日に、被申立人報道局ニュース情報センター「ムーブ!」広島ドッグパーク問題取材班宛に「朝日放送に対する質問状」を送付し、上記(1)の放送番組に対する10項目の質問をした。
これに対し、被申立人は、上記苦情申立書は、回答を求めるものではなく、番組内容の検証など番組に対する要望であり、この要望については、報道局内で番組を検証することとして放送を続けた。また、上記質問状については、被申立人は、2006年12月15日付でBに対し、回答を送付し、対応に問題はないものと考えていることを伝えた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての要旨
  • Ⅲ. 答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年度 第32号

ラ・テ欄表記等に対する訴え

委員会決定 第32号 – 2007年6月26日 放送局:テレビ朝日

見解:適正なラ・テ欄表記を要望
2007年2月放送のテレビ朝日のバラエティー番組を紹介する新聞のラジオ・テレビ欄の表現について、外国人の女性が、家庭の事情を公表され名誉・プライバシーの侵害を受けたと訴えた事案。

2007年6月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第32号

申立人
北海道在住のセラピスト
被申立人
テレビ朝日
対象番組
テレビ朝日 バラエティー番組『銭形金太郎』
放送日時
2007年2月7日午後8時~8時54分(テレビ朝日系列で全国放送)

申立てに至る経緯

被申立人であるテレビ朝日は、2月7日放送のバラエティー番組「銭形金太郎」で、申立人であるルーマニア人女性のセラピストが、北海道の自然の中で家族と楽しく暮らしているという生活ぶりを放送した。
この放送に対し、申立人は「新聞のラジオ・テレビ欄(以下「ラ・テ欄」という)に『バツイチ子連れ美女の……』等の表現で家庭の事情を公表され、名誉・プライバシーの侵害を受け、また、放送された内容は、当初の企画意図の説明の趣旨と違っており、放送倫理に違反する」と放送局に苦情を訴えた。
これに対し被申立人は「前夫との離婚について番組で紹介することは、事前に了承を得ている。放送の企画説明と放送内容は違っておらず一貫している」と反論した。
話し合いは数回にわたって行われたが決着がつかず、2月23日申立人から本委員会に申立書が提出された。

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  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年度 第31号

エステ店医師法違反事件報道

委員会決定 第31号 – 2007年6月26日 放送局:日本テレビ

見解:放送倫理違反
エステ店経営者が医師法違反で書類送検された事件を伝えた2007年2月の日本テレビの報道について、経営者が「盗み撮りした映像が使われ、まるで極悪人のように報道された。名誉も毀損されプライバシーも侵害された」と訴えた事案。

2007年6月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第31号

申立人
東京都町田市在住のエステ店経営者
被申立人
日本テレビ
対象番組
日本テレビのニュース番組
放送日時
2007年2月7日「NNNニュースD」午前11時30分から放送(関東ローカル、45秒)
「NNN Newsリアルタイム」午後4時50分から放送(関東ローカル、2分)
「NEWS ZERO」午後10時54分から放送(全国ネット、3分)

申立てに至る経緯

申立人は、東京都町田市所在のエステ店を経営しているが、2006年10月31日町田警察署から医師法違反容疑で家宅捜索を受け、2007年2月6日同容疑で書類送検された。
日本テレビは、翌2月7日3回にわたってこの事件を「エステ店経営者が医師法違反容疑で書類送検」と放送したが、その放送内容について申立人は「盗み撮りした映像を使ってまるで極悪人のように報道された。名誉も毀損され、プライバシーも侵害された」と日本テレビ側に抗議した。
その後、申立人は「文書での回答要求も断られた。ラチが明かない」として2月15日付でBRCに「申立書」を送付し、謝罪放送、文書での謝罪等を求めている。
これに対し、被申立人の日本テレビは「本件報道は、申立人が医師法違反で摘発され、書類送検された事実を誤りなく伝えたものだ」と主張している。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年8月28日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

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