第320回

第320回 – 2023年10月

「判断ガイド2023」について…など

議事の詳細

日時
2023年10月17日(火) 午後4時 ~ 午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室 (千代田放送会館7階)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

2.「判断ガイド2023」について

現行の「判断ガイド2018」に新規委員会決定などを書き加える形で作業が進行し、鈴木・二関両委員長代行による監修を受けて改訂している。また、今回の判断ガイドからウェブサイト上にも公開していくことも報告された。本文表現などについて議論した。

3.意見交換会について

来年1月開催の二つの意見交換会について、テーマなどを事務局から報告した。

4.その他

最近の視聴者意見の状況などにつき事務局から報告した。

以上

第188回

第188回–2023年10月

TBSテレビ『news23』について審議

第188回放送倫理検証委員会は、10月13日に千代田放送会館で開催された。
ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪し、6月の委員会で審議入りしたNHKの『ニュースウオッチ9』について、今回の委員会では、担当委員から意見書の修正案が報告され議論した結果、次回の委員会までに再修正案を作成することになった。
1月12日放送のTBSテレビの報道番組『news23』において、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、職員やその家族が不必要な契約を結ぶ“自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、内部告発した職員が退職に追い込まれたとの週刊誌報道やテレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢が問題だという視聴者の声がBPOへ寄せられ、委員会は、取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、8月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では、担当委員から意見書の原案が提出され議論した結果、次回の委員会までに修正案を作成することになった。
統一地方選挙を前に公認立候補予定者が出演したラジオ大阪の番組『大阪を前へ!』等について、政治的な公平性の観点から問題はないか等を判断するために7月の委員会で討議入りした。今回の委員会では、当該放送局から番組審議会の指摘を受けて作成された報告書が提出され議論したが、一連の取り組みについて自律的な自浄作用が機能していることを評価して、討議を終了した。
9月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見等が報告された。

議事の詳細

日時
2023年10月13日(金)午後5時~午後8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

ワクチン接種後に亡くなった人の遺族を、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をし、放送倫理違反の疑いがあるとして6月の委員会で審議入りしたNHK『ニュースウオッチ9』(5月15日放送)について引き続き審議が行われた。
前回の委員会では、担当委員から提出された意見書の原案に対し、詳細な指摘と意見が出された。今回の委員会では、それ以降に実施された関係者数名のヒアリングの内容等を総合的に検討して反映された意見書の修正案が報告された。これに対し、委員からはさらなる指摘と意見が出され、意見書の修正作業を続けることになった。

2.TBSテレビ『news23』について審議

TBSテレビは1月12日、報道番組『news 23』の調査報道23時のコーナーにおいて、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、ノルマ達成の為に職員やその家族が不必要な契約を結ぶ、いわゆる“自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、A地方のJAに勤める男性は職場で身元がばれて居づらくなり、退職に追い込まれたとの週刊誌報道があった。また、取材を受けた職員とは3回程度会話をしたことがあるという人から「放送を見て誰であるかを私ですら特定できた。彼は農協の問題を告発し多くの職員の声を代弁してくれた。退職になりとても残念だ。テレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢を問題にしてもらいたい」といった声がBPOへ寄せられた。委員会は、報道の取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして8月の委員会で審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員から意見書の原案についての報告があった。委員からは「身元を隠す措置についてどこまで対応する必要があるのか、この意見書でルールを示す必要があるのではないか」、「取材相手との対話などの事実関係によって放送倫理違反が左右される可能性はないのか」という意見が出た。一方で、「放送局の自主・自律を侵さないように、委員会として明確な基準を示すことは謙抑的であるべきだ」といった意見や「身元を隠す措置がもっと良くできたはずなのに、できなかった点を丁寧に挙げることで、放送現場の人が自ら法則を読み取って活かせるような意見書にすべきだ」といった意見が出され、次回の委員会までに意見書の修正案を作成することになった。

3.ラジオ大阪『大阪を前へ!』等について討議

大阪放送(ラジオ大阪)が2023年1月12日~29日の間、15回にわたって、特定の政党に所属する地方議員らをゲストに招いた番組『大阪を前へ!』『兵庫を前へ!』を放送したことについて、政治的な公平性に抵触しているのではないか等の観点から7月の委員会で討議入りした。
今回の委員会では、当該放送局から番組審議会での厳しい指摘を受けて作成された2回目の報告書を基に討議した。委員からは「最初の報告書のことが言及されていないが、当該放送局は当初は問題性はないとしていたのであり、番組審議会の指摘で初めて意識が変わったといえ、同じことを繰り返してしまうのではという問題意識はある」、「今回の報告書を読んでも事実関係は明らかとはいえず、危機感なく企画を安易に通している」、「審議入りすることによって初めて問題が放送界に共有され現場に届くのではないか」等の厳しい意見もあったが、「政治的公平性」について、社長をリーダーとした組織横断チームを作って幹部社員間で意識を共有し、全社員を対象とした研修会を実施していくなどの再発防止への取り組み等を一定程度評価し、討議を終了した。

4.9月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

9月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、芸能事務所創業者による性加害問題について、街頭インタビューを紹介する際、事務所を擁護する声しか放送しないのは偏っているといった意見や、事務所に所属するタレントがMCを務めていた週末の情報番組で、その週にあった事務所の会見を全く伝えないのはおかしいといった意見、大手酒造メーカーが事務所に所属するタレントとの広告契約を更新しないと報じた際、タレントの名前や顔写真を放送したことについて、当該タレントが不祥事を起こしたように受け取られかねず問題だといった意見などが事務局から報告され、議論した。

以上

2023年9月に視聴者から寄せられた意見

2023年9月に視聴者から寄せられた意見

芸能事務所創業者による性加害問題をめぐって、報道内容、放送事業者の責任など
さまざまな観点から意見が寄せられました。

2023年9月にBPOに寄せられた意見は 2,503件で、先月から 388件増加しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 87% 電話 12% 郵便・FAX 1%
男女別(任意回答)は、男性31% 女性26 % で、世代別では 40歳代 24% 30歳代 23%
50歳代 22% 20歳代 12% 60歳代 11% 70歳以上 3% 10歳代 2%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、9月の送付件数は1,175件、49事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から18件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

9月も芸能事務所創業者による性加害問題をめぐって、報道内容、出演者の起用、放送事業者と芸能事務所との関係、放送事業者自身の責任などさまざまな観点から意見が寄せられました。ラジオに関する意見は30件、CMについては17件でした。

青少年に関する意見

9月中に青少年委員会に寄せられた意見は86件で、前月から38件減少しました。
今月は「要望・提言」が39件と最も多く、次いで「表現・演出」が23件、「報道・情報」が14件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 電動キックボードによるひき逃げの疑いで20代の女が逮捕されたニュースで、警察車両内の容疑者の顔を何度も繰り返して放送していた。一般人でもあり、事案からみてもやり過ぎではないか。

  • 芸能事務所での性被害問題で、情報番組の出演者が、当該事務所の所属タレントのテレビ出演について「今までのように見られない人もいると思う」などと発言。彼らが世間の好奇の目にさらされることを助長しないか。

  • 芸能事務所の性加害問題に関する当該事務所の会見について、その所属タレントがMCを務める情報番組はその直後の放送回で一切触れなかった。放送すべき責任があるのではないのか。

【教養・バラエティー】

  • カセットガスコンロにホットサンドメーカーを乗せて調理、さらに上からガストーチであぶっていた。両面を加熱することで時間短縮を図ったようだ。出演者は安全に配慮していたようだが、危険が潜む行為を放送する際はテロップで注意喚起するなど、より一層慎重であってほしい。

  • 取材対象の家族が、軽トラックの荷台に子どもらを乗せて走行していたシーンは道路交通法違反ではないか。事故につながりかねない。

  • 番組で発表されるキーワードをX(旧twitter)でつぶやくとプレゼントが当たるという企画のキーワードが「#○○(タレント名)逮捕」だったため、番組を視聴していないXユーザーは「○○が逮捕されたのか」と惑わされた。フェイクニュースが問題視されるなか、不適切だ。

  • イタリアで13歳の少女が殺害された事件の顛末(てんまつ)を描きながら、いくつかのポイントをクイズにしていた。人が死んでいる事件の内容をクイズにし、出演者がふざけて笑ったりしているのは不適切だ。

  • 最近、バラエティー番組やワイドショーで、特定のスーパーや量販店の商品ランキング、オススメ商品紹介といった内容がとても多いと感じる。番組そのものがCMのような放送はいかがなものか。

  • 素朴な疑問を、その道のプロの協力を得て本気で実験・検証する番組。「こうしたら?ああしたら?」と思考が自然に番組に向かい夢中で見た。大人から子どもまで楽しく見られ、とてもいい番組だと思う。世の中、まだまだやってみないとわからないことが沢山あると思えた。「四角い花火」など今後もいろんな実験にチャレンジしてほしい。

  • タレントの人権を尊重すべきなのはもちろんだが、性加害問題に揺れる事務所のタレントをモヤモヤしながら見続けるのは苦痛。大好きだった番組も楽しく見られない。

【その他】

  • 芸能事務所創業者による性加害問題について、日本の報道機関はなぜ取材・調査しなかったのかなど、具体的に説明してほしい。海外の報道機関が調査できたのに国内の報道機関がなぜ真摯(しんし)に取り組まなかったのか疑問に思う。

  • 調査した再発防止特別チームは被害拡大の一因として「マスメディアの沈黙」を指摘している。報道機関はCM契約など他企業の動向を伝えるだけでなく、一当事者として経緯を検証し、明らかにしていく責務があるのではないか。

  • タレントの起用を継続すれば児童虐待や人権侵害をした組織への金銭の支払いが発生することになる。放送局はそうした組織をサポートすると理解されてもいいのか。

  • 視聴者プレゼント当選の連絡の電話が番号非通知で発信されるため、それを受けられる設定をするよう求める番組があるが、私たち高齢者世帯には詐欺被害等を防ぐため番号非通知の電話を受けない設定が推奨されている。ほかの連絡方法にしてほしい。

【ラジオ】

  • 紹介したリスナーからのメールが「スズメの巣をカラスが狙っているのでエアガンで追い払っている」という内容だった。鳥獣保護法でそのような行為はできないはず。リスナーの法律違反はともかく、それを公共の電波で放送し、アドバイスまでしている。スタッフ、出演者、誰もおかしいとは思わなかったのか。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 性加害の問題を起こした芸能事務所所属のタレントが出演する番組を止めてほしい。海外でこの問題は報道され続け、日本社会全体が未成年者への性加害に寛容だと思われている。

  • 芸能事務所の性加害問題をめぐって、各企業がCM契約の終了や番組スポンサーの降板などを表明しているが、故人の犯罪から矛先が事務所批判になり、現に活躍するタレントたちが仕事を失う事態になっている。これはタレント個人に対する権利侵害になるのではないかと感じる。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 出演者が捕まらないように逃げ回るバラエティー番組で、横浜中華街での逃走が放送されたが、通行する車両や一般人が映りこんでいた。飲食店街での全力疾走であり、それをカメラマンが追いかける。出演者の安全以上に、通行人らが負傷する危険が伴うだろう。

  • 路線バスを利用した旅番組で、出演者が出くわした女子生徒に「マスク、取れる?」「お小遣い、いる?」などとしつこく話しかけていた。もし自分の娘がそんな言葉をかけられたら、警察に通報するレベルだ。その出演者や番組の神経を疑う。

【「報道・情報」に関する意見】

  • プロ野球セ・リーグの優勝報道で、大阪・道頓堀を映すのをやめてほしい。熱狂したファンによる迷惑行為がなくならないのは、メディア報道のせいだと思う。

【「喫煙・飲酒」に関する意見】

  • 評判の飲食店を紹介するバラエティー番組で、従業員が店内で喫煙している飲食店に、20歳未満の客が入るシーンが映ることがある。喫煙可能な飲食店には、20歳未満は立ち入れないはずだ。こうした店を番組で取り上げることに問題があるだろう。


第260回

第260回-2023年9月

視聴者からの意見について… など

2023年9月26日、第260回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会では、7月後半から9月前半までの約2カ月の間に寄せられた視聴者意見の中から、子ども向けミニ枠番組で流れた体操の歌の歌詞に不適切な表現があるとされた問題などについて議論しましたが、「討論」に進むことはありませんでした。
9月の中高生モニターリポートのテーマは、「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。
その他、新しい調査研究のテーマ、11月22日の金沢地区放送局との意見交換会のテーマ、芸能事務所創業者の性加害問題について意見が交わされました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2023年9月26日(火) 午後4時00分~午後7時00分
放送倫理・番組向上機構[BPO]第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
芸能事務所創業者の性加害問題について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

7月後半から9月前半までの約2カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
古代文明の展覧会の紹介を兼ねた子ども向けミニ枠番組で流れた体操の歌に、「集団生け贄200人」「心臓どくどく捧げよう」などの歌詞があり、視聴者から「非常にグロテスクな表現だ」「子どもに歌わせてどんな影響があるかわからない」などの意見が寄せられました。
担当委員は「歴史教育的な内容を子どもたちに楽しく伝える視点はいいが、大人の受け手の解釈まで番組制作者が予測できなかったのではないか」と報告しました。各委員からは「子どもがショックを受ける映像を見せるわけではないので、あまり問題ないだろう」とする一方で、「今回は滅びた文明のことで当事者がいないが、『文化の尊重』という点では配慮が足りないだろう」との見方も示されました。
バラエティー番組で、長いゴムのベルトの上で演技するスポーツの「スラックライン」を実演した際、選手の高校生に制服姿で演技させたところ、「スカートから太ももやお尻が見えそうでかわいそう」「女性へのセクハラになる」などの視聴者意見がありました。
委員からは「(スカートの制服を着せる)演出の視点がどうかと思う。今のジェンダー感覚からずれているのではないか」「(番組制作者の)男性目線が透けてみえる」などの声が上りました。
別のバラエティー番組では、ロケ中にミスした番組スタッフが男女とも、罰として丸刈りを命じられる演出がありました。委員からは「子どもが真似して勝手に(友だちの)髪を切ったら、大人の暴行罪と同じこと」「スタッフ本人は(髪を切られて)うれしくはないが、『それが仕事につながるのなら』ということでやっているとしたら構造的問題があるだろう」などの意見が出されました。
しかし、これ以上の議論になる番組はなく、いずれも「討論」に進むことはありませんでした。

中高生モニター報告について

9月のテーマは「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」で、合わせて11番組への報告がありました。複数のモニターが取り上げたのは4番組で、『NHKスペシャル Z世代と“戦争”』(NHK総合)に5人、『僕たちは戦争を知らない~戦禍を生きた女性たち~』(テレビ朝日)に4人、『NHK特集「夏服の少女たち~ヒロシマ・昭和20年8月6日~」』(NHK総合)と『ETV特集「“玉砕”の島を生きて(2)~サイパン島 語られなかった真実~」』(NHK Eテレ)にはそれぞれ2人が感想を寄せています。一方で、「戦争関連の映像を見るのが苦手で視聴できなかった」というモニターもいました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ハートネットTV「#8月31日の夜が来るまえに。」』(NHK Eテレ)と『「東大王」3時間SP』(TBSテレビ)をそれぞれ3人が、『加藤浩次&中居正広の歴代日本代表256人が選ぶこの日本代表がすごい!ベスト20』(日本テレビ)、『アイ・アム・冒険少年 2時間スペシャル』(TBSテレビ)、『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)を、それぞれ2人が取り上げています。

◆モニター報告より◆

【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

  • 『NHKスペシャル Z世代と“戦争”』(NHK総合)
    • Z世代の人が意見を述べたり、真剣に考えているのを見て、戦争がすごく近い問題と考えることができました。私たちはただ情報を得て、知るということだけでなく、自分ごとにして、身近な存在にしていくことが大切だと分かりました。(中学2年・女子・栃木)

    • 「日本が戦争に巻き込まれる可能性はあると思うか」という問いに深く考えさせられ、私は日本では戦争は二度と起きないと思っていたから、Z世代の人や専門家の人の意見を聞いて、少し考えが変わりました。また、戦争についての番組は当時の映像や画像が流れることが多く、それが苦手な人もいると思いますが、この番組ではそういったものが少なく、討論が中心になっていたので、よかったと思います。(中学2年・女子・愛知)

    • 番組内でバーチャル映像を使い、戦争中の町の風景や音を視覚・聴覚で体験するコーナーがありましたが、より一層戦争の恐怖を知ることができ、とても分かりやすかったです。(高校2年・男子・山形)

    • この番組を見て、私はもう一度、自分達の国で起こった戦争だけでなく、現在世界で行われている戦争についても学び、あってはならないことだけれどもしまた日本で戦争が起こったときに自分は何ができるのか考えていきたいです。(高校2年・女子・東京)

    • 今も続いているウクライナ戦争について、NHKのウクライナ出身の人は「交渉が理想だけど、交渉ができない状況の時もある」と言っていて、難しい問題であると思いました。戦争の時、日本はどうすればいいのか考えたいです。(中学3年・女子・福岡)

  • 『僕たちは戦争を知らない~戦禍を生きた女性たち~』(テレビ朝日)
    • 女性にスポットライトが当てられていて、多くの番組は兵士として動員された男性をメインに紹介しているので珍しいなと感じました。また、写真だけでなくイラストを多用していたので、殺している様子や血など、過激な写真が苦手な人でも見やすいと感じました。(高校1年・女子・茨城)

    • 今回番組を視聴して、戦争はまだ続いているのだと思えた。なぜなら、実体験している方が今も生きておられ、伝えているという事実があるからだ。また、私の今、この平和な時代は過去の壮絶な歴史があったからこそ成り立っているというつながりをこの番組から痛感できた。(中学1年・女子・福岡)

    • 話をきいてとてもつらく悲しかったが、戦争を体験した本人達はもっと辛かったと思う。この思いを伝えるためにもこのような番組があって良かったと思った。(中学2年・女子・東京)

    • このような戦争に関する番組は、終戦記念日近くだけ放送するのではなく、もう少し放送回数の頻度を増やしてほしいと思う。また、若い人がよく見るネットニュースなどに、実際の戦争の体験談を一週間に一回載せたりしてもいいかなと思う。(高校1年・女子・北海道)

  • 『NHK特集「夏服の少女たち~ヒロシマ・昭和20年8月6日~」』(NHK総合)
    • 学校に入っても授業はなく、食べ物を作ったり、警報が鳴り、防空壕に逃げる生活はつらいだろうなと思いました。原爆によって娘をなくした人たちの悲しみは計り知れないし、戦争は絶対にあってはならないなと感じました。(高校1年・女子・京都)
    • 少女たちの日記が8月5日で途切れているものを見て、とても切ない気持ちになった。女学校の生徒達は、13歳。今、私は、12歳なので、1つしか歳が変わらないのに、どれだけ大変で、苦しい世界で、懸命に生きた証があり、私たちは、その少女たちが暮らすことのできなかった毎日を大切に過ごしていこうと思った。(中学1年・女子・千葉)
  • 『ETV特集「“玉砕”の島を生きて(2)~サイパン島 語られなかった真実~」』(NHK Eテレ)
    • 終戦番組の中ではこの番組のように、日本人は加害者であるという視点からの番組もあっていいと思うし、むしろさらに作っていくべきだと思う。戦争を本当の意味で知るためにも、日本が外国にしたことなどを、テレビを通じてさらに知っていきたい。(中学3年・女子・広島)
    • 生き残った人がインタビュー中に泣いていて、それだけ辛かったのだと改めて実感した。戦争の、教科書に書いてないことなどを、詳しく知ることが出来た。映像などもあり残酷で、印象に残った。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『NHKスペシャル 新・ドキュメント太平洋戦争1943 国家総力戦の真実(前・後編)』(NHK総合)

    若者特攻として、(旧制)中学生を対象に志願兵を募り、3万人が手を挙げたとのことですが、裏では国が村にノルマをかけ、あたかも志願したかのようにしていたらしい。志願兵の多い学校は新聞で報道してあおっていたとのことで、マスコミが関わっていることを知りました。国に強制されているとはいえ、マスコミの罪は重いと思います。マスコミは本当のことを、そして「おかしいことはおかしい」と報道することで、国民を味方につけていくことをすべきだったのでないか。(高校3年・女子・京都)

  • 『映像の世紀バタフライエフェクト「太平洋戦争 “言葉”で戦った男たち」』(NHK総合)

    太平洋戦争の勝敗に大きな影響を及ぼしたのが、米軍が急いで養成した日本語情報士官だったことを初めて知ることができました。最初は通訳したりするのかな?と思っていましたが、それだけでなく多くの戦後復興に携わっていたことに驚きました。(高校1年・男子・群馬)

  • 『軍港の子~よこすかクリーニング1946~』(NHK総合)

    孤児たちが一生懸命生きようとする姿を見て、国同士の戦争は終わっても、今度は生きるために人と人との間で争わなければならず、戦争は絶えないと思った。この時代に生まれなくてよかった。今、屋根のある場所で風や雨をしのぎ、ごはんを食べられていることに感謝の気持ちがあふれた。(高校2年・男子・山形)

  • 『NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争』(NHK総合)

    戦争の表面ではなく、陰に隠れてしまいがちな視点を僕たちに提供し、それらの視点を現在のウクライナ戦争などと結び付けており、様々な価値を見出すことができた。作中でも語られていた事実のジャーナリズムが感じられた。今後、このような番組が増えてほしい。(中学2年・男子・東京)

  • 『新日本風土記「鎮魂の旅」』(NHK BSプレミアム)

    授業で学ぶ戦争は、広島や長崎、東京などばかりです。ですが、私はこの番組で様々な人のお話を聞いて「どんな小さな村でも戦争が原因で血や涙を流した人がいる」ということに実感がわきました。本当に伝えるべきは地方の戦争なのではないか…と思いました。(中学3年・女子・滋賀)

  • 『徹子の部屋 スターが証言「戦争と私」』(テレビ朝日)

    特に印象に残ったのは、四人目の三代目江戸家猫八さんという方でした。自分は猫八さんが芸人ということすら知らなかったのですが、その話し方につい引き込まれてしまいました。(高校3年・男子・神奈川)

  • 『よんチャンTV「特集 学徒出陣から80年/親友は戦死…学問を手放した元京大生の残した日記」』(MBS毎日放送)

    映像の最後の部分の秀村氏の日記は、心を打つものだった。このような悲惨な戦争というものを起こしてしまったことは日本の取り除ききれない真実だと思う。20年後、戦争を経験した方々がいなくなるだろう。それまでに僕らが戦争について知り、後世に伝えていくべきではないのかと思った。(中学2年・男子・埼玉)

【自由記述】

  • 思っていたよりも、8月6日、8月9日の原爆についてのドラマやニュースが少なかった。戦争や災害でたくさんの人々が亡くなってしまっているのに、年々、その放送が減ってしまい、とても悲しく思う。(中学1年・女子・千葉)

  • 今回、いろいろな番組を見たが、大人向けの内容が多く、とても難しいように感じた。戦争の経緯や出来事を、学習番組を作って詳しく解説すると、より戦争に関しての考え方が変わり、小中学生の意識が変わるのではないかと感じた。(高校2年・男子・山形)

  • 自分たちが大人になった時、二度と戦争が起こることの無いように、核兵器や、生物兵器などはなくしたほうが良いと思った。それと同時になぜ日本は核兵器禁止条約に参加しないのか疑問に思った。(中学3年・男子・神奈川)

  • 『VIVANT』(TBSテレビ)というドラマを見ているのだが、毎週ハラハラドキドキする内容になっていてとても面白い。様々なイベントもあって、ドラマ本編以外にも楽しめて家族や友達と話す話題が増えた。(中学2年・女子・東京)

  • 先日、あるニュース番組のコーナーで、他局が半年ほど前に特集していた問題について報道していた。内容がほぼ同じだったので、他局の特集を報道するなら、もう少し違った視点で伝えてほしい。(中学3年・女子・広島)

  • 芸能事務所の問題の報道を見ていて改めて思ったのが、タブー・自主規制です。「いままで報じなかったメディアの責任」というのを何度も耳にしました。インターネットではみんなが騒いでいることも、テレビは黙っているということが前々からひっかかっていました。今の時代はもう黙っていればなんとかなる問題ではないと思います。大きな影響力をもつテレビだからこそ考えなければいけないと思います。(高校1年・男子・群馬)

  • 最近、芸能事務所のニュースがよく放送されているが、同じようなニュースばかり毎日やっていてニュースがつまらないなと感じてしまっている。そのため、アニメやバラエティーを多く見て気持ちを上げている。(高校1年・女子・北海道)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『「東大王」3時間SP』(TBSテレビ)

    女性の解答者が少なかったです。私も戦ってみたいと思いました。(中学1年・女子・千葉)

  • 『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)

    おじいちゃんやお母さん、私、弟など、どの世代も楽しめていいと思いました。花の値段は、都会といなかで違うので、とても難しかったです。(中学1年・女子・島根)

  • 『加藤浩次&中居正広の歴代日本代表256人が選ぶ この日本代表がすごい!ベスト20』(日本テレビ)

    メジャーなものが順位に入るのは当然で、逆に、メジャーな種目でなくてもすごい日本代表を紹介する方がいいのではないか。みんなが知らないところで、こんな種目ですごい代表がいることを伝える企画の方が、インパクトがあっておもしろい。紹介される方も種目を知ってもらえる機会になるので、協力が得られるはず。(高校3年・女子・京都)

  • 『ハートネットTV「#8月31日の夜が来るまえに。」』(NHK Eテレ)
    • 同年代の人達の悩みなどを知ることができました。自分も学校に行くのがいやだなと思ったこともあるので、いろんな人たちがいることが分かりました。(高校1年・男子・群馬)

    • 今年になって初めて「学校に行きたくない。行くのが怖い」と考えるようになり、この番組を選びました。率直な感想としては安心と同時に辛くなってしまいました。自分の中では言語化できていなかったことが、他の人によって言語化されることで自分に刺さってしまったためです。元気な時に同じ番組、似たような番組がまた配信されていたら聞いてみようと思いました。(高校2年・女子・東京)

  • 『アイ・アム・冒険少年 2時間スペシャル』(TBSテレビ)

    日本語が話せなくても、ちゃんとコミュニケーションをとっているのがスゴいと思いました。話せなくても楽しそうなのに、話せたらもっと楽しいだろうなと思います。(中学3年・女子・福岡)

◆委員のコメント◆

【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

  • 『NHKスペシャル Z世代と“戦争”』(NHK総合)のようなディスカッション型の番組は、他にも夏休みの期間中、「ゲームとどう付き合うか」などといったテーマで、子どもが討論する番組もあった。当事者として考えることはとても大事だと思う。

  • 『徹子の部屋 スターが証言「戦争と私」』(テレビ朝日)は、過去の放送の中から、スターたちが語る貴重な「戦争体験」を特集したもの。古い番組でも、お話がうまい芸能関係の方々の体験を聞くことは、ある種の直接的な話を聞くということであり、中高生にとってかなりインパクトがあったようだ。たとえ過去に放送されたものでも、直接的に働きかけてくれる人の映像を再放送することは、とても意義があると感じた。

  • 報告全体を通して、戦争を実体験した人たちの映像とインタビューは、中高生の印象に強く残るのだと感じた。

  • 今回のテーマはいつもより報告数が少なかった。終戦関連番組は、中高生にとって、「ちょっと重い」「面倒くさい」ものに感じているのではないか。

【自由記述について】

  • 放送に関することではないが、古くからある地域の風習について記述しているモニターがいた。毎年続く習わしに関連付けて、恐らく「年に1度であっても、戦争や平和について目を向ける機会として、終戦関連番組が続いているということが大事だ」と言いたいのだと思った。

  • ある番組に対して「面白いが、放送時間がとても遅い」と報告したモニターがいた。「午後9時~10時台に放送してほしい」という声は、中学生らしい感想だと思う。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『「東大王」3時間SP』(TBSテレビ)について、「女性の回答者が少なかった」という感想があったが、この一文は結構クリティカルかと思う。

芸能事務所創業者の性加害問題について

芸能事務所の創業者(故人)が、所属する多数の未成年のタレントに性加害を繰り返していたことが、同事務所の外部専門家による特別チームの調査結果で明らかになり、その際、放送局が本件をほとんど報道してこなかったとして、「マスメディアの沈黙」と指摘されました。
この問題について、ある委員は「あの調査結果を聞いたとき、(被害を受けた男児が)何百人もいたとされていることに驚いた。(「マスメディアの沈黙」と指摘されていることは)放送局の大きな危機ではないか。経緯を検証して、きちんと乗り越えないと、局の信頼がなくなってしまう。BPOとしても何ができるのかを考えたい」と述べました。  
別の委員からは「放送業界はいま、(加害者である)創業者が健在のうちは不問に付しながら、その事務所のタレントを起用しつづけてきた姿勢が問題にされている。まさに放送倫理や人権の問題だと思う」という意見がありました。
また、「たとえば国連の『子どもの権利とビジネス原則』についての勉強会を開いたらどうか。今回のような問題が二度と起きないようにするために放送局はどうすべきなのか議論していきたい」と提案する意見や、さらに「視聴者である青少年にとってみると、タレントに罪はないと信じているのに、その人がテレビから消えてしまう。『推し活』やファン・カルチャーが発展しているなかで、青少年の人たちにとって大きなショックだ。それに対する何の説明もないし、大人の事情でそうなったとしか言われない」とテレビ局の対応を懸念する意見もありました。
青少年委員会ではこの性加害問題について引き続き議論していくことになりました。

今後の予定について

次回は10月24日(火)に定例委員会を開催します。

以上