第130回 放送と青少年に関する委員会

第130回 – 2012年2月

「子どもへの影響を配慮した震災報道についての要望」

フジテレビ『ザ・ベストハウス123』番組担当者との意見交換 …など

第130回青少年委員会は2月28日に開催され、前回に引き続き、震災報道における子どもへの配慮について審議し、「子どもへの影響を配慮した震災報道についての要望」をまとめ、発表することとした。また、前回審議したバラエティー番組の制作担当者との意見交換を行ったほか、2月に寄せられた中高生モニター報告等について審議した。

議事の詳細

日時
2012年2月28日(火)  午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

「子どもへの影響を配慮した震災報道についての要望」

東日本大震災報道と子どものPTSD等の心理的ストレスとの影響について議論を重ねた結果、上記要望をまとめ、3月2日に公表することとした。
子どもへの影響を配慮した震災報道についての要望はこちら

フジテレビ『ザ・ベストハウス123』番組担当者との意見交換

「浮気現場に突撃!男と女の修羅場最凶衝撃映像20連発」という企画について、視聴者から「20時台に卑猥な映像が放送され、子どもに不適切」等の意見が寄せられ、委員会と番組制作担当者との意見交換を行い、その概要を公表することとした。

フジテレビ意見概要

映像図鑑を作るという趣旨でスタートした。6年近くやっていく中で変遷し、海外の感動的なエピソード、衝撃映像、また、国内のドキュメンタリーを買ったり、番組で映像を撮って見せるということも含め、スタイルが確立してきた。
アメリカでは今、「リアリティーショー」というジャンルの番組が非常に人気があり、今回の「チーターズ」という番組は、これまでに250回以上放送されているアメリカでも認知されている人気シリーズ。番組として紹介できるということと、アメリカの国民性が出ており、人間は追い込まれた時に本性が出たり、滑稽だったり不思議な行動を起こすということがバラエティーの面白い要素としてあった。具体的には、言い訳のできない状況に置かれた男女がどう言い訳をするのか、どう逃げるのか、どう追い込まれるのか、そこも面白さだと思って作った。

【放送にあたっての留意点】

アメリカでこの番組がTV-14(親に強く警告。14歳未満の子どもに好ましくない番組)という指定があるという認識はあったので、スタッフ間で協議し、素材をそのまま放送するのではなく、直接的なシーンはカットし、問題があると考えられるシーンは強く大きいモザイクをかけることで、何が行われているか判らないように編集する等、放送上の配慮をし、地上波のこの時間にかけられる番組にするよう留意した。

【視聴者意見を受けて】

番組を作る基準として、自分の子どもと一緒に見られないものは作らない、ということを大前提としてやっている。子どもと一緒に見られるところまで映像等の配慮をし、処理したと思ったが、やはり抵抗を感じたり不快に感じる方が多かったということは、自分のハードルが低すぎ、世の中に対してはもっとハードルを高くしなければいけない、より注意しなければいけないということを痛感した。また性的なシーンの無い、モザイク無しでも放送できるエピソードもあったので、特に午後7時から9時までの子どもに配慮する時間帯についてはもっと精査すれば良かったと番組スタッフとも話し、認識をあらためて番組作りに臨むことにした。
この番組には面白かったというご意見もいただいており、今後は時間帯等を意識しながら、新しいソフトである「チーターズ」という番組をどうしたら視聴者に不快な感じを与えずに楽しんで見ていただけるか、工夫をすることが我々の仕事ではないかと思っている。

視聴者意見について

担当委員及び事務局より今月の視聴者意見の概要等の報告を受け、審議対象に該当する番組はなかった。

中高生モニターについて

12月~2月まで「ドラマ・アニメ番組」について報告してもらっている。2月のテーマは、ドラマ・アニメ番組の企画書作りで、23人から提案が寄せられた。
ドラマの企画は14人(重複あり)から寄せられ、大半はオリジナル作品で、原作ものは3つだった。なかでもいちばん多かった企画は「青春学園ドラマ」で、7人がさまざまな設定で構想を練ってくれた。テーマは、”絆”とか”友情もの”で、今日、中高生が抱えるさまざまな問題に気づいていることを示唆してくれる内容で、東日本大震災の経験を生かした「仮想ドラマ」の企画も寄せられた。
アニメの企画は9人(重複あり)から寄せられた。そのうち、近未来をテーマにしたオリジナル企画と、ゲームソフトのアニメ化の提案がそれぞれ2人から寄せられ、そのほか原作もの1人で、『まんが日本昔ばなし』復刻の提案も寄せられた。重複企画はドラマ・アニメの企画募集提案で、スタッフなどに参加したいという提案だった。

【委員の所感】

  • 高齢者から自分たちと同じ年代まで見てほしいという気持ちは大切だが、もっと対象を絞った方がユニークでオリジナリティー豊かな番組が企画できると思う。その点学園ドラマの企画が複数あったのは興味深かった。また日常をベースにしながらも、近未来に想像をはせた企画は面白く感じた。
  • マンガを原作にしたドラマが数多く放送されている影響もあって、マンガを原作にした作品を作りたいという提案が目についた。もっと独創性があってもいいのではないか。
  • 学園ものを作りたいという企画には、今のテレビに中高生たちの気持ちや感情が反映されていないという思いがあらわれていると思った。併せて、参加したいという思いも感じた。
  • まず、模倣から始まるのがスタートだと思う。中には具体的なストーリーを展開させていた企画もあり感心させられた。

モニターの企画書に対する在京局の制作現場の方から届いたコメント。

*企画1.『僕の人生』(大阪・中学3年男子)

【ねらい】(抜粋)
最近のドラマやアニメは、ほとんどが『ドラえもん』のような理想的なものがほとんどのように思います。理想も良いですが、それよりもほんの少し現実に近づけているようなドラマを僕なりに考えました。テーマは、僕の人生です。

【内容】

普段から安い給料でアルバイトをしている主人公がある日、とても親切にしてくれたおばあさんに出会う。でも、突然おばあさんが認知症を患ってしまい、その後老人ホームへ。

そのことを知った主人公は、助けたい、恩返しをしたいと思い、友人からのアドバイスで「ホームヘルパー」の試験に見事に合格し、それを報告するために老人ホームへ。

ところがおばあさんは、主人公のことを忘れてしまっていた。しかし主人公は自分の思いを伝えるため、たまたまそこにいた家族に自分の思いを伝える。そしておばあさんは老人ホームを離れ、自宅で療養生活を送るようになる。そして毎日、主人公はおばあさんを訪ねる。

ある日、おばあさんが主人公に「君みたいな人がたくさんいる日本がね、わたしは大好きなの。もっと君に日本を変えてほしいな」と言った。

そこで主人公は猛勉強して日本国の総理大臣になり、日本の国民にたくさんの幸福を運び、やがて生涯を閉じる。

【テレビ東京 ドラマ制作室プロデューサーの感想】
オリジナル・原作もの含め、学園、恋愛、社会派など中高生が期待するドラマの方向性がそれぞれに反映されたドラマ企画14本だった。全体的には、各々の生徒が身近に感じ、今興味のあるピンポイントの事象をテーマにしたものが多く、そこからより幅広い視聴者に広げていくための次の段階にまで具体的に踏み込めている企画はなかったが、その中でもホームヘルパーを題材にしたオリジナル企画『僕の人生』は今の社会をしっかりと捉えていて、ドラマ的なストーリー展開もあり、登場人物のひたむきな心情も好感を持てる。

*企画2.『気づいてないだけ。』(静岡・中学3年女子)

【ねらい】(抜粋)
このドラマの主人公は中学生~高校生。内容は、クラスに何人かいるおとなしくて暗い子と、それとは真逆なクラスの中心的存在の子や明るく元気な子がかかわっていく内容。いつもは地味でクラスの中では居ても居なくても同じような子が、実は知らないところで支えになっているとか、自分はいつもひどいことをしていたのに、いざとなると手を差し伸べてくれたり・・・。ふだんの状況では気づきもしなかった人の隠れている優しさや思いやりを気づかせるようなドラマ。
【内容】
ここは、あるふつうの学校。本当にどこにでもあるような、やはりこの学校にも元気組と根暗組に分かれているようだ。いつも大声ではしゃいだり、笑ったりとテンションの高い前野翼と、アニメの世界が大好きで世間でいう”ヲタク”な清川匠。何の接点もない2人が、あることをキッカケに互いの存在に気づく・・・。
クラスの中心的人物であった前野翼は、いつも上から目線でウザイという理由で、いつものグループからハブられてしまう。本人の気づかないうちにクラスの元気組からは嫌われていて、もう誰とも一緒にはいられない。
そんなとき、川口春奈さん演じる謎の少女(ナナミ)が、「あんたが気づいていないだけで、目をかけてくれる人はいる。周りをよく見ろ」と謎の発言をする。ナナミにからかわれているだけだと思っていた翼だが、一人でいる孤独に耐えられず、仕方なく根暗組に話しかけることにした。そこで何となく声を掛けられたのが清川匠だった。いつも一人で人を好まない匠だったが、落ち込んでいる翼に、自分では気づかない翼にとっては自分が変わるような発言を連発していく・・・。自分は悪くないと思い込んでいた翼と、人の良さを徐々に気づいていく匠の関係は・・・。(つづく)

【テレビ朝日 編成制作局ドラマ制作ゼネラルプロデューサーの感想】
どこにでもある学校の教室に、一人の謎の少女の存在。「気づいてないだけ。周りをよく見ろ」という謎のフレーズでクラスの崩壊しかけた人間関係を救ってゆく。テレビドラマで大切なのはまず、「主人公」の魅力です。それと「ミステリー」の要素。どんなテーマを扱っても、その二つがなければ、面白いドラマになりません。この企画はそれらを備えています。その上で、人のやさしさや思いやりを信じたいという企画者の明快な気持ちがきちんと伝わってきます。そして「気づいてないだけ。」という、思わずハッとするようなストレートなタイトルも魅力的ですね。このような10代の皆さんの率直な「願いや祈り」が、これから先のテレビの基になります。ぜひ日常の中で感じる素直な気持ちをたくさんテレビ企画にしてみてください!

〔企画総評〕

【NHK 前ドラマ番組部長の感想】
東日本大震災から1年。ドラマ・アニメで閉塞感を打ち破ろうという明るく前向きな企画が印象に残りました。今回の企画を読んで皆さんに伝えたいことは、ドラマ・アニメの企画にあたってはまず、魅力的な主人公を生み出してほしいということです。視聴者は主人公に思いを寄せてハラハラドキドキしながらドラマを見ます。主人公のキャラは、企画者自身の独自の経験から生み出される想像力の賜物です。若い皆さんはこれからも豊かな人生を経験してドラマの素敵な主人公を生み出してほしいと思います。

【日本テレビ コンテンツ事業局EPの感想】
今回、人気のキャラクターや大ヒットゲームをもとにした企画やオリジナルストーリーの提案などが多く見受けられました。すでに人気のキャラクターや原作ものについては、映像化がし易く最初から認知度が高いのですが、いろいろな会社が映像化しようと熾烈な獲得合戦をしたり制約があったりするのも実情です。そういったなかで、オリジナルストーリーは扱いやすいです。今回、脱出ものやタイムワープものなどオリジナルストーリーを考えることは非常に良いと思いました。ただ、よほど面白く作らない限り、どこかで見たことのある話になりがちなため自分にしか書けないオリジナル企画を目指してほしいものです。それでも今回のように原作、オリジナル企画問わず自分の頭で番組の企画イメージを考えることは、我々にとってもうれしいことであり刺激になります。どうもありがとうございました。

【TBSテレビ ドラマ制作部プロデューサーの感想】
自分の興味のあることや好きなこと、身近な問題から世界規模での問題意識で、さまざまな題材があり、中には、あっと驚くドラマチックな展開があったりして、それぞれに個性的なパワーを感じ、とてもおもしろく読みました。オリジナルを一から考えた人は大変だったと思いますが、それだけに「これを伝えたい」という「熱い思い」が伝わってきて、特に「学園もの」の企画は、中高生のみなさんならではの”うーむ”という説得力がありました。

【テレビ東京 アニメ制作部長の感想】
全般的に多少の既視感は否めませんが、中には我々の発想からは出てこないような視点の企画もあり、大変興味深く読ませていただきました。「アニメが好きであるか否か」以前に「何を表現したいか、人に何を伝えたいか」が明確なものは、数行の文章でも「思い」は充分伝わります。アニメはどんな夢もどんな妄想も表現しうる創造の手段。いつの日か是非、自分なりの「思い」をこの世界でぶつけてみてください。なお『日本の民話・昔話』のレギュラー化という企画がありましたが、テレビ東京系にて4月から放送開始します。

【フジテレビ 編成部ドラマアニメ企画担当者の感想】
今回頂いた中で、非常に印象的だったのは、震災という大きな出来事を経験した中で生まれる社会の「空気」を捉えたものがいくつか見られたことです。人との「絆」や「思いやり」を描いたものなどが散見され、時代を捉えた企画が集まったことが非常に素晴らしかったかなと思います。また視聴者の中にもそういった人の温かさに触れたいという欲求があるのではないかと、今回の企画を拝見させていただき思いました。

その他

  • 「中高生モニター会議」の開催について
    3月18日(日)正午から、BPOのある千代田放送会館で2011年度「中高生モニター会議」を開催する。テーマは、「私の見たいテレビ、作りたいテレビ」で、グループに分かれて番組企画を作成する。
  • 2012年度「中高生モニター」について
    2012年4月~2013年3月までの中高生モニターに、中学生64人、高校生70人、合計134人から応募があり、審査の結果、34人(中学生22人、高校生12人)に委嘱することとした。
  • 青少年委員会主催の公開シンポジウム「”新時代テレビ”いま、制作者たちへ」が2月10日(金)に全国都市会館大ホールで開催された。
    第1部はNHKと在京キー局のドラマ・バラエティ制作者666人の意識調査についての報告、第2部は調査結果を踏まえて、「ドラマ論」「バラエティ論」や今後のテレビについて、制作者や評論家らによるパネルディスカッションを行い、132人が参加した。

第57回 放送倫理検証委員会

第57回 – 2012年2月

「東海テレビ放送『ぴーかんテレビ』問題に関する提言」についての各局対応報告書のまとめ

第57回放送倫理検証委員会は2月10日に開催された。
2011年9月22日に公表した「東海テレビ放送『ぴーかんテレビ』問題に関する提言」については、本年1月末までに11局から対応報告書が寄せられた。事務局は、これを取りまとめて委員会に説明した。

議事の詳細

日時
2012年2月10日(金) 午後5時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、是枝委員、重松委員、服部委員、水島委員

「東海テレビ放送『ぴーかんテレビ』問題に関する提言」についての各局対応報告書のまとめ

「怪しいお米」「「セシウムさん」など不適切なテロップが放送された東海テレビの『ぴーかんテレビ』問題に関し委員会は、当該局をはじめとしてBPO加盟全放送局に対し、2011年9月22日、BPO規約第23条に基づき4項目にわたる初の『提言』を行った。
その内容は、

  • 全社的なレベルで、あるいは部署や制作現場ごとに、放送の使命について話し合う機会を設ける
  • 番組の制作に必要な人員と時間が確保されているか、とくに生放送番組で不測の事態に対応できるゆとりが確保されているかについての再点検
  • スタッフの間で忌憚のない意見交換や問題提起ができる職場環境の整備
  • 制作現場スタッフの研修が、所属やフリーかを問わず、十分行き渡り、納得できる方法で実施されているかの再検討と、改善及び実りある研修の継続

である。

これを受けて、各局では様々な形で点検、検討が行われ、このうち、きっかけとなった東海テレビをはじめ、在京テレビキー全局、在阪準キー2局のほか、北海道、長野の地方局など、これまでに合わせて11局から『提言』への対応や取り組み状況が委員会に報告された。
それによると、東海テレビが自ら放送した「検証番組」をHPにリンクしたことで、各社とも不適切テロップが放送されるに至った経緯を知ることが出来たこともあり、この検証番組や、委員会の『提言』をもとに、全社的レベル、あるいは部署ごと、番組ごとに討論を重ねたことが報告された。
また、「検証番組」や『提言』について外部スタッフも含めて、制作現場をはじめ各セクションからアンケートをとり、その一部を報告書の中に書き込んだり、現場の感想や意見を取りまとめて報告書に添付した放送局が多かった。
そして、不適切テロップが作成されること自体、信じ難いことだとしつつも、それが放送されるに至った過程を見た場合、今回の事案が他局で起きた稀有な事例として片付けられない、と捉えている局がほとんどであり、「他山の石」として制作・放送の各段階において再点検を行うとともに、スタッフへの周知、研修を行っている。

1. 放送の使命について

各放送局には、すでに各部局、番組単位のほか社内横断的な会議が定期的に設けられ、放送に関わる諸問題を話し合い、情報の共有化を図っているが、放送の使命、放送のあり方について、これまで以上にこうした会議で論議を深める方向性を打ち出している局が多い。
一方、東海テレビの事案がテロップの作成に起因したこともあり、日常、放送で多発する誤字・誤読が視聴者の信頼を失うきっかけにつながるとして、「ミス撲滅」の強化を図り、実際に発生した事例を集約して、なぜそうしたことが起きたのか、分析を行っている局も複数あった。
そうした過程を通じて、ミスの発生には、制作に携わるスタッフ個人によるものと、組織の問題が混在することを再確認した、とある局は述べている。

2. ゆとりの確保

『提言』後、各放送局とも制作に必要な人員、時間、予算などの環境整備について洗い出しを行っているが、その点検を通じて、不安の声があった一部現場について、さらに実情を精査し、必要に応じて具体策を講じるとした局や、実際に生情報番組について増員した局もある。
一方、何をもって「ゆとり」と言うかについて戸惑いがありつつも、単に人数を確保するだけでなく、番組への参加意識・スキル・モラルなどスタッフの質の向上という視点が必要であり、スタッフ同士が助け合える職場環境が、結果的に二重、三重のチェックを生み出し、それがゆとりにつながるのではないかと考えている現場の声を寄せた局もある。

忌憚なく意見交換できる環境

ほとんどの局では、職場のコミュニケーションについて、上下関係、社員か外部スタッフかにかかわらず、何でも言い合える風土作りに力を注いでいる。
しかし、まだ風通しがよくないと感じているスタッフの声を寄せた局もあった。
そして、いかにスタッフが有機的にまとまるかが問題で、「あれ大丈夫?」の一言が言える心的余裕が必要だという現場の声もあった。
こうしたコミュニケーションを円滑にした上で、細かなことであっても現場で起きたヒヤリ、ハッとしたことを日々の反省会で共有したり、特定の部署のミスとしてではなく全部署の参考とするべく「ヒヤリ・ハット集」の作成を行っている局もある。

4. 実りある研修

各社が行っている研修会や勉強会はさまざまな形で行われ、コンプライアンス関係部署が説明するものや、テーマによって外部講師を招くものまで、その頻度は各局とも多い。
出来るだけ多くの社員や外部スタッフに参加して欲しいとの思いから、規模が大きくなり、結果として講義的側面もでてくる研修会もあるが、一方で、少人数による勉強会を組み入れ、相乗効果を生むよう試みている局が多い。
また、現場で実際に直面した課題やトラブルについて、どうすればよかったのかなど制作スタッフ同士のディスカッション形式による勉強会を実施し、その際には法務部や著作権部など他部署からも参加して、違う立場からの意見を取り入れることに力を入れている局もある。

今回の『提言』を受けて行った点検の過程そのものが、制作現場にとって意義深いものであったとした局もあり、自分が大好きな番組を守る、自分が大好きな番組が評価されるという観点が、すべてのスタートであるというスタッフの声を紹介した局もあった。

また、この東海テレビの事案や『提言』については「対応報告書」を提出した11局以外の放送局でも、各社番組審議会で取り上げられ、放送局側から「他山の石」として放送倫理の確立に全社を挙げて取り組んでいる状況の説明がおこなわれている。

以上

第180回 放送と人権等権利に関する委員会

第180回 – 2012年2月

委員会に対する放送局からの要望~放送倫理上の判断について

1月の苦情概要 ……など

在京・在阪放送局に対する聞き取り調査で出た放送人権委員会への要望や意見について議論した。今月は「放送倫理上の問題に関する判断」を取り上げた。

議事の詳細

日時
2012年 2月21日(火) 午後4時~6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

委員会に対する放送局からの要望~放送倫理上の判断について

先月に続いて、在京・在阪放送局への聞き取り調査で出た委員会への要望や意見について議論した。今月は「放送倫理上の問題に関する判断」を取り上げた。聞き取り調査では、直接には名誉やプライバシー等人格権の侵害を扱う放送人権委員会が、人権侵害に係る放送倫理上の問題についても判断することに、「違和感はない」とする意見に対し「疑問だ」とする意見も出された。また「放送倫理違反」と「放送倫理上問題あり」という判断の違いが分かりにくいという声もあった。この日の委員会では、事務局による資料説明の後、委員のひとりが「放送倫理違反とは何か」について問題提起した。その中で、放送局が守るべき倫理を自らの手で明文化したものが「放送倫理基本綱領」(民放連及びNHKが1996年制定)等の規範であり、第三者である委員会はこうした自主ルールの遵守状況をチェックするという考え方を基に、「倫理違反」ではなく「ルール違反」と呼んではどうかと述べた。また「放送倫理」という言葉を使うとしても、法と倫理は別途存在するものであること、放送倫理やジャーナリズムの倫理が確定的なものではないこと、倫理とは自律的な規範であること等を踏まえ、「違反」ではなく「問題あり」という表現に止めてはどうかとも述べた。
問題提起を受けて各委員が意見を述べた。
堀野委員長は「申し立てられた苦情が人権侵害には当たらない場合でも、放送局側になんらかの問題点があれば、委員会として申立人の救済という観点から局の責任を問い、これを放送倫理上の問題として指摘してきた。そこに不満があるのかもしれない」と述べた。
委員からは「法律には反していないが、放送のあり方としてはひどいという意見はありうる。人権侵害にならないから軽いとは簡単に整理できない。被害を受けて救済を求めてきた人たちを救うためには、法律違反にならないけれど放送倫理上問題があるというのも第三者機関としての重要な役割ではないか。裁判所と同じである必要はない」、「報道がどうあるべきかは法規範に基づく判断だけでは済まない。やはり法と倫理の2つの軸でやっていくべきだ。法律家だけでなく一般有識者が委員として加わっている意味もそこにある」、「我々は人権侵害ではなく倫理違反に過ぎないと言ってきたわけではない。倫理という言葉が、実はことによると人権侵害よりも重大な問題を指摘しているのだということを、申立人にも局にも分かってもらう決定文にするにはどうしたらいいかということではないか」等の意見が出された。
また「委員会としてはきめ細かくきちっと類型化を考えてやってきたと思う。名誉毀損において黒ではないもののグレーだという場合、グレーが黒にかかるものと、ほとんど白いグレーとがある。その微妙な差異を出そうとしてきた。検証委員会では放送倫理に反しているものが取り上げられ黒となる。申立てによる救済機関である人権委員会とは自ずから違いがあるのではないか」という意見も出た。
議論の結果、委員会としては今後も人権侵害とそれに係る放送倫理上の判断を二本の柱としていくこと、しかし、法と倫理は別概念であり人権侵害と放送倫理上の判断の書き分けには一層神経を配る必要があること等を確認した。
次回は、決定文における具体的な書き分けや、「放送倫理違反」と「放送倫理上問題あり」という判断のカテゴリーの問題等について検討を行う。

1月の苦情概要

1月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・2件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・23件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 2月14日に行われた東京・渋谷のNHK放送センターへの訪問について、事務局より報告した後、各委員が感想を述べた。
    当日は、まず東日本大震災の報道について、テレビ報道の責任者から発災当日の対応と原発事故を含めたその後の取り組みを聞いた。2万人近い死者・不明者が出たことを教訓に、地震・津波の緊急報道の放送画面や避難を呼びかけるコメントの改善に取り組んでいること、膨大な震災映像のアーカイブス化を進めることなどの説明があった。
    このあとニュースセンターに移動し、大きな地震が発生すると直ちにアナウンサーが地震情報を伝える態勢や仕組みの説明を受け、全国に設置しているロボットカメラの運用や操作、津波の速報画面の送出を見学した。続いて、夕方のニュース情報番組『首都圏ネットワーク』のスタジオを見学し、企画ニュースの提案から取材、編集、放送までの流れや放送内容のチェック体制の説明を聞いた。そして、午後6時10分から始まった放送本番に立ち会い、送出の様子を見守った。
    委員からは、ニュースの制作・送出に大勢の職員やスタッフが携わっていることに驚いたという声が多く聞かれた。そのほか、「ニュースの取材と制作にはたいへんな人手と費用がかかっていることを、視聴者や出来上がったニュースを配信するサイト運営会社の人に理解してもらわないといけない」、「震災報道については報道現場で問題意識が共有され、きちんと取り組んでいることがよくわかった」、「ニュースを分かりやすく伝える努力をされているが、受信料で支えられているNHKだけにしかできない問題の発掘、取材にもっと力を入れて欲しい」などの感想があった。
    委員会では、来年度もテレビ局への訪問を予定している。
  • 次回委員会は3月13日(火)に開かれることになった。

以上

2012年1月に視聴者から寄せられた意見

2012年1月に視聴者から寄せられた意見

東日本大震災から約10カ月が過ぎ、原発事故や被災地からの報道の数が減ったが、継続的できめ細かな報道を求める意見が多かった。暴力団との交際で、芸能界を引退した元タレントに対し、吉本興業社長が”復帰”を望んだ件で、厳しい意見が多かった。

2012年1月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,343件で、昨年12月と比較して246件増加した。
意見のアクセス方法の割合はメール74%、電話22%、FAX2%、手紙ほか2%。性別は男性73%、女性22%、不明5%。年代は30歳代33%、40歳代25%、20歳代16%、50歳代14%、60歳以上7%、10歳代5%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。1月の通知数は608件【37局】であった。

このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、21件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

1月の視聴者意見は1,343件と昨年12月より246件増えた。
東日本大震災から約10カ月が過ぎ、テレビ・ラジオの放送からも、原発事故や被災地からの報道の数が減った。視聴者からは、継続的できめ細かな報道を求める意見や、東北3県だけでなく、茨城、千葉などの沿岸被災地のことも報道し続けてほしいなどの意見があった。暴力団との交際で、芸能界を引退した元タレントに対し、吉本興業社長が”復帰”を望んだことについては、厳しい意見が多かった。
正月の長時間の特番に対する不満も多く、特にバラエティー番組では、芸人たちが騒いで遊んでいるだけ、下品で、ばかばかしいことをいつまで続けるのかといった批判があった。出演者らの言葉の乱れや、ものを食べるときの食べ方の汚さを指摘する声もあった。
ラジオに関する意見は25件、CMに関する意見は55件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は194件で、前月より100件以上増加した。
今月は、低俗・モラルに反するとの意見が53件、次いで性的表現に関する意見が33件と続いた。
低俗・モラルに反するとの意見については、複数のバラエティー番組やアニメに対し「子どもに悪影響を与える」「未成年の描写として不適切だ」などの批判意見が寄せられた。性的表現に関する意見については、ゴールデンタイムのバラエティー番組に対し「子どもも見る時間帯なのにあからさますぎる」との意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 広島刑務所の脱走犯は52時間も逃げ続けた。この間、脱走犯についての報道機関からの警告案内が少ない。刑務所の服装だから、すぐに分かるという報道だった。しかし、似ても似つかないニット帽姿で確保された。報道の使命を再認識してもらいたい。「いつもの様子と違った感じの人を見かけたら110番通報してください」や「逃走犯が隠れる可能性のある場所を思いついたら、通報を」等の犯人逮捕に結びつく、呼びかけの報道を期待する。
  • オウム事件の平田容疑者をかくまっていた斎藤容疑者が逮捕された際の報道に関して。斎藤容疑者の自宅が捜索されている映像で「布団は一組だけあった」や「愛の逃避行」などという言葉を使った報道はあまりに品がない。主婦層が多く見る時間帯だからといってこのような番組の制作をすればいいんだと考えているとしたら、それは視聴者を馬鹿にしすぎだ。容疑者にも人権はあり、事件に関係のない、知られたくないことはある。オウム関連ならば何でもやっていいというような報道姿勢にはあきれる。
  • 暴力団幹部との親密交際が発覚し、芸能界を引退した元タレントに対して、吉本興業の社長が「戻ってきてほしい」と声明を発表した。この意見は吉本興業の”会社として”の総意だという。つまり吉本興業は「暴力団排除条例」を軽く見ているということだ。どの放送局の番組を見ても、吉本興業の芸人達がたくさん出演している。聞くところによると、吉本興業は各テレビ局が大株主らしい。”芸能界は何でも許される”という甘い風潮を切り捨てる時ではないか。
  • 津波の映像が流れていた。撮影する人のうめき声が聞こえる中、建物や船がどんどん流されていった。驚きながら見ていたら、突然悲鳴のような叫び声が聞こえた。その声はそのままロック調の曲になり、津波の映像を背景にしばらく流れていた。震災から一年も経っておらず、トラウマになっている人もいる津波の映像に、曲をのせて軽々しく流すという行為は不快だ。「震災に捧ぐ鎮魂」とあるが、どこがそうなのか理解できない。津波の映像が、非常にデリケートなものだということが分からないのだろうか。
  • “古代の秘宝を発掘”という外国の遺跡発掘の現場からの生中継だった。番組では「遺跡から馬の骨が出た」と大騒ぎしていたが、明らかに偽装とわかるものだった。「今発掘している」というのに、掘っている砂が、通常では考えられない程サラサラと柔らかかった。あれは一回掘った後に砂をかぶせ、放送中に何食わぬ顔で掘り返したに違いない。捏造は不愉快だ。検証して放送局に厳罰を処すべきだ。
  • 選抜高校野球の出場校が決まったが、あの推薦枠の高校に対するマスコミの扱いにはうんざりだ。高校生に媚を売るようなものを、なぜ大人が嬉しそうに報道するのか。批判する目が失われていないか。野球をやっている高校生はみんな甲子園に行きたいと練習している。勝負の世界だ。推薦された高校に高野連から電話が入る。校長が感謝の言葉を発し、監督が胴上げされる映像が流れる。どこかおかしくないか。全国の高校生に納得してもらう説明ができるのか。高校生をバカにしてはいけない。
  • アイドルや芸人がワイドショーのコメンテーターをしているが、知識も経験もない人にコメントされても共感できない。特に関西地区は吉本興業の芸人が多い。ベースになる知識が視聴者以下の人の発言は聞いても意味がない。10代のアイドルが何かを食べて「うまい」とほめるが、どれだけ美味しいものを食べた上の「うまい」なのか疑問だ。経験値の低い人間を重用する安価な番組作りはやめてほしい。

【番組全般・その他】

  • 後輩芸人に500万円を超える自動車を買わせていた。本人も印鑑を所持していたので、台本ありきのやらせだとは思うが、パワハラ以外の何ものでもない。不満を漏らす後輩に対し、バインダーで殴る行為など、暴力シーンやパワハラシーンを平然と放送することに疑問を感じる。それがバラエティー番組だと言うなら、なにをか言わんや。
  • 洗濯機の中に人を入れて回転させ、その中で熱いラーメンを食べさせたり、熱いものを素手で食べさせたりという馬鹿なことをやっていた。我慢勝負みたいなもので、一歩間違えれば大変危険なものだった。とても下品な言動もあった。このような番組を大晦日のゴールデンタイムにやってもよいのか?生きることそのものと言える「食べる」ことを冒涜するような番組は作ってほしくない。
  • ワザと笑わせてお尻をおもいっきり叩く。平気でお尻を見せ、アダルト要素を含むものを番組内で見せる。危険な行為を平気で放送している。叩く、汚い言葉を使う。罵る。毎年、大晦日にこんな馬鹿なことをして何故、問題にならないのか不思議で仕方がない。これは駄目な番組だ。
  • 「森三中vs女子アナ」のコーナーは、ひどかった。嫌がる「森三中大島」を皆で押さえつけ、着物の裾がはだけるほど暴れている姿を笑いものにしていた。下劣で下品極まりないものだった。お笑い芸人の女性はここまでやらなければならないのかと、見ていて情けなくなった。日本人として本当に恥ずかしい。こんな番組は二度と制作するべきではない。
  • 自分の嫌いな芸能人を公表するとして、タレントや著名人が”気に入らない人”を、実名やイニシャルで明かすという実にくだらない番組であった。タレントの好き嫌いだけをとりあげるという安易な番組づくり、数字取りだけに走り、下品でもなんでもいいといった局の姿勢も疑問だ。強力な裏番組の対策もあるだろうが、もっと練った企画の番組で勝負してほしい。ただでさえ、昨今のおしゃべりばかりのバラエティーには辟易しているのだから。
  • 汚らしい食べ方、オーバーな味の表現。アナウンサーもこのごろはだじゃれ芸人顔負けのオーバーな仕草をしている。女子アナウンサーなどは大口をあけて食べ物を口に入れる。そして無理に口を閉じて食べようとして上唇から鼻の下にかけて放射状にしわがよる。中には鶏が水を飲むように顔を上に向けて鼻の穴丸見えの状態で食べ物を入れようとする。口に入れたとたんに、例によって「うん!」が出てくる。オーバーに「うまい」を演出する。およそ日本の女性には似つかわしくない。こんな場面をいつも映していると、つくづく放送関係者というのは品がない者ばかり集まっているのだと思える。
  • 芸能ニュースを見ていると不思議なことを感じる。週刊誌などで話題になっている芸能ニュースがテレビでは全く取り上げられないことがある。たとえば最近では、キャスターの隠し子騒動。司会者なので、より倫理や道徳観が求められるが、どの局も取り上げない。ジャニーズの不祥事の時などもテレビでは取り上げない。大きな芸能ニュースがあるのに、あえて報道しないように見える。この人は取り上げるこの人は取り上げないなど、何かルールや「しがらみ」でもあるのか。
  • いまに始まったことではないが、バラエティー番組などでCM前に「この後…××!」といったような告知をし、CMがあけてみれば「次週…××!」と次回の内容であるケースが非常に多い。視聴者からすれば「この後」とあおっているので、番組内で放送されると期待してしまう。このようなあおりは視聴者に「騙された」という印象を与え、不快にさせる。

【CM】

  • 映画を放送する時に、新しく公開する映画の告知CMをいれるようになった。映画を見たくて見ているのに、他の映画の告知をするのは困る。日本人の集中力や学問の低下は、すべてテレビ局のCMのやり方がひどいからだ。若者のテレビばなれもCMが多いからだ。映画が見たいのに、CMや告知のせいで集中力が半減する。昔は、そんなにCMはなかった気がする。
  • アナログから地デジに切り替わったことと関係があるのか無いのか、とにかくCMが多くなった。せっかくドラマを見ていても、始まったと思うと「ハイ、CM」、又ほんの少し話が進むと「ハイ、CM」という具合に寸断されるので、直前のストーリーを忘れてしまう。何とかしてほしい。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • バラエティー番組にある兄弟が出てくるが不快だ。食べ物を粗末にしたり全裸で街を走り回ったりしている。いくら子どもでもやっていいことと悪いことがあります。どこが面白いのか全くわかりません。あんなものは元気でもワイルドでもありません。ただの異常な行動としか思えません。しかもそれを全国にテレビで晒して金儲けする親も許せません。
  • アニメで、修学旅行なのにナイトクラブやラブホテルを連想させる店に未成年が入店するシーンがあった。深夜の放送とはいえ、この表現はいかがなものか。常識的に考えて、未成年がこのような店に入ることは条例などにより不可能だろう。製作者や放送局の倫理観の欠如の象徴か。
  • 最近の番組は全体的に低俗なものが多い。出演者も、口の中に食べ物を入れたまま大きな口を開けて話したり、滅茶苦茶な日本語を平然と使っていたりと、モラルに欠ける人間が多すぎる。”受けること”や”視聴率”ばかりが優先された結果ではないか。テレビが青少年に与える影響を考え、視聴者の”ためになる”番組を作って頂きたい。

【性的表現に関する意見】

  • ゴールデンタイムのバラエティー番組を小・中学生の子どもと一緒に楽しく見ていた。20時過ぎ頃から、「浮気の真相を暴く」という内容が始まった。はじめは腹を抱えながら見ていたが、進むにつれて子どもに悪影響を及ぼす恐れのある性的な言葉や、モザイクはかかっていたものの、いかにも性行為を行っている映像が流れた。バラエティー番組とはいえ、この時間帯に放送することはいかがなものか。
  • ドラマの告知(番宣)の内容について。子どもに見せたくない番組は親として選択できるが、番宣は途中に入ってくるので否応なく子どもの耳に入る。性行為を連想させるセリフを次回放送のCMでわざわざセレクトして流す必要があるのだろうか。制作者らが事前にチェック出来ないのか。
  • ドラマで強姦を匂わせるシーンや女性の体を映しているシーンがあり、未成年にとってこれらのシーンは非常に好ましくない。売春や児童ポルノなどの犯罪にもつながりかねない。今後はこのようなシーンをなくして、大人も子どももみんなが楽しめるようなドラマにしてほしい。また、再放送などではこのようなシーンをできる限りカットしてほしい。

【虐待に関する意見】

  • バラエティー番組だが、再婚した夫婦の間で親の我儘に付き合わされ、親の顔色を覗いながら怯えて生活しているような子ども達の姿に、精神的な虐待を見せられたように感じた。母親の連れ子に対する父親の態度は教育ではなく虐待のように見えた。長い間家族の成長を追って撮影をしているテレビ局のスタッフは、視聴者よりもこの姿に疑問を感じているはずだ。

【危険行為に関する意見】

  • バラエティー番組などで多く見られる「危険なので決してマネをしないでください」というテロップがあるが、それなら最初から放送しないでもらいたい。子どもは好奇心旺盛なので、するなといえば余計したがる。危険行為を煽るような演出はやめてほしい。

【殺人シーンに関する意見】

  • 小さい子どもも見られる時間帯に、アニメとはいえ人が殺されるシーンを生々しく演出している。とてもではないが自分の子どもには見せたくない。とかく今のご時世に大きく叫ばれている「命の大切さ」「人の命の重さ」などをあまりにも軽視しすぎている。教育上非常に好ましくない番組を放送している局の神経が知れない。

【残虐シーンに関する意見】

  • 残虐なシーンが多いドラマだが、子どもが見た可能性があるのではと思うとゾッとした。犯罪心理学の観点から見ると、子どもの頃見た映像は大人になってからもフラッシュバックし、その行動に影響を与えるものらしい。この番組は、視聴者を将来”犯罪者”へと導く危惧さえ感じる。即刻放送中止にするべきだ。今後は、子ども達に生きる喜びを与えるような番組を作ってもらいたい。

【暴力シーンに関する意見】

  • バラエティー番組で拷問のシーンがあったが、子どもがすごく気持ちが悪いと言って今でも怯えている。常軌を逸したひどすぎる暴力、性描写、死者への侮辱行為など、ゴールデンタイムの番組とは思えない内容だった。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 最近、アニメのみならずドラマに対する視聴者意見が多いが、どれもアニメやドラマの規制に賛成する意見ばかりだ。確かに、ある程度の規制は必要かもしれないが、表現規制が行き過ぎてしまうと本来の面白さが薄れてしまう危険性もある。
  • 毎月「視聴者からの意見」を読んでいるが、どれも放送倫理、権利侵害、名誉棄損など、BPOが取り組むべき事案とは無関係な意見が多い。「暴力・性的シーンが目障り」「戦闘シーンの言葉が不快」などといったことで、これらが子どもに悪影響を与えるとは到底思えない。視聴者からの意見は吟味すべきだ。

【CMに関する意見】

  • モンスターを電子レンジなどに入れて合成するという内容のゲームのCM。大人が見れば演出と理解できるが、子どもが「電子レンジや鍋に動物を入れれば新たな生物に合成できる」と受け止めてしまったらどうするのか。他国であった「ペットを電子レンジに入れてしまった」なんてことになったらと思うと恐ろしい。ゲームであれ現実と仮想を区別できる演出にするべきだし、ましてやそれを広い年齢層が無差別に見るテレビなどで放送するべきではない。