第198回 – 2013年6月
大阪市長選関連報道事案のヒアリングと審理
大津いじめ事件報道事案の審理…など
「大阪市長選関連報道への申立て」事案のヒアリングが行われ、申立人、被申立人から詳しく事情を聞いた。「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の審理を行い、「委員会決定」案について検討した。
議事の詳細
- 日時
- 2013年6月18日(火)午後3時~7時30分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 1.大阪市長選関連報道事案のヒアリングおよび審理
2.大津いじめ事件報道事案の審理
3.宗教団体会員からの申立て事案の審理
4.その他 - 出席者
-
三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、曽我部委員、田中委員(林委員は欠席)
1.「大阪市長選関連報道への申立て」事案のヒアリングと審理
本事案は、朝日放送が2012年2月の『ABCニュース』(午前11時台)において、「大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で現職市長の支援に協力しなければ、不利益があると職員を脅すように指示していた疑いが、独自の取材で明らかになりました」との前説で伝えたニュースについて、交通労組と組合員が事実と異なる報道によって名誉や信用を毀損されたとして謝罪等を求めて申し立てたもの。内部告発者から大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれたリストに基づくスクープ報道だったが、その後リストは内部告発者によるねつ造だったことが分かった。
今月の委員会ではヒアリングを行い、申立人側は労組役員と組合員、被申立人の朝日放送は報道責任者ら3人が出席し、個別に話を聞いた。
労組側は「組織の社会的信用を貶められ、組合員個人の名誉が傷つけられ、実質的にも精神的にも大きな損害を被った。朝日放送の報道の3日前に、ある局がリストが本物かどうか取材に来たが、労組が作成したものでない旨伝えると、報道しなかった。朝日放送はリストをねつ造した内部告発者の情報を盲信し、私たちに一切確認することなくスクープとしてねつ造者のインタビューを放送し、『やくざといってもいいくらいの団体』と表現した。報道の役割、影響力を理解せず、報道される関係者へのフェアネスを考えない杜撰な報道をしたと言わざるをえない」等述べた。
朝日放送は「リストが真実と決め付けていなかったが、選挙の公平、公正に関わる重要な問題であり、疑惑が明らかになった段階で報道するのが責務と考える。報道は市議がリストを入手し本物かどうか市の幹部に問い質した動きを伝えたもので、真実である。労組への取材努力はしたが、時間的に間に合わず、午後改めて委員長を取材して夕方のニュースで伝えた。『やくざ』の発言は、あくまで内部告発者が証言した印象の比喩的表現を引用して使った。経緯を逐一取材報道し最終的にリストがねつ造だったこともきちんと報道しているので、訂正、謝罪の必要はないと考える」等述べた。
ヒアリング後審理を続行し、担当委員が決定文の起草作業に入ることになった。
2.「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の審理
本事案は、フジテレビが2012年7月5日と6日の『スーパーニュース』において、大津市でいじめを受けて自殺した中学生の両親が起した民事訴訟の口頭弁論を前に、原告側準備書面の内容を報道した際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理の施されていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画像がインターネット上に流出したとして、少年と母親が放送によるプライバシーの侵害を訴え、申し立てたもの。
この日の委員会では、「委員会決定」案の検討に入った。決定文のポイントについて起草委員が説明した後、各委員が意見を述べた。次回委員会でさらに審理を重ねることになった。
3.「宗教団体会員からの申立て」事案の審理
本事案は、テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組「あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~」において、番組で紹介された男性が、個人情報を公表されたうえ、何の断りもなく公道で盗撮された容姿・姿態が放送されるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てたもの。
申立人から「答弁書」に対する「反論書」が、被申立人から「反論書」に対する「再答弁書」が提出され、双方の書面が出そろった。
この日の委員会では、事務局が双方の主張を整理して説明、それを受けて主な論点について議論を交わした。次回委員会では論点の整理とヒアリングに向けた質問項目の検討をすることとなった。
4.その他
次回委員会は7月16日(火)に開かれることとなった。
以上