第198回 放送と人権等権利に関する委員会

第198回 – 2013年6月

大阪市長選関連報道事案のヒアリングと審理
大津いじめ事件報道事案の審理…など

「大阪市長選関連報道への申立て」事案のヒアリングが行われ、申立人、被申立人から詳しく事情を聞いた。「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の審理を行い、「委員会決定」案について検討した。

議事の詳細

日時
2013年6月18日(火)午後3時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、曽我部委員、田中委員(林委員は欠席)

1.「大阪市長選関連報道への申立て」事案のヒアリングと審理

本事案は、朝日放送が2012年2月の『ABCニュース』(午前11時台)において、「大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で現職市長の支援に協力しなければ、不利益があると職員を脅すように指示していた疑いが、独自の取材で明らかになりました」との前説で伝えたニュースについて、交通労組と組合員が事実と異なる報道によって名誉や信用を毀損されたとして謝罪等を求めて申し立てたもの。内部告発者から大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれたリストに基づくスクープ報道だったが、その後リストは内部告発者によるねつ造だったことが分かった。
今月の委員会ではヒアリングを行い、申立人側は労組役員と組合員、被申立人の朝日放送は報道責任者ら3人が出席し、個別に話を聞いた。
労組側は「組織の社会的信用を貶められ、組合員個人の名誉が傷つけられ、実質的にも精神的にも大きな損害を被った。朝日放送の報道の3日前に、ある局がリストが本物かどうか取材に来たが、労組が作成したものでない旨伝えると、報道しなかった。朝日放送はリストをねつ造した内部告発者の情報を盲信し、私たちに一切確認することなくスクープとしてねつ造者のインタビューを放送し、『やくざといってもいいくらいの団体』と表現した。報道の役割、影響力を理解せず、報道される関係者へのフェアネスを考えない杜撰な報道をしたと言わざるをえない」等述べた。
朝日放送は「リストが真実と決め付けていなかったが、選挙の公平、公正に関わる重要な問題であり、疑惑が明らかになった段階で報道するのが責務と考える。報道は市議がリストを入手し本物かどうか市の幹部に問い質した動きを伝えたもので、真実である。労組への取材努力はしたが、時間的に間に合わず、午後改めて委員長を取材して夕方のニュースで伝えた。『やくざ』の発言は、あくまで内部告発者が証言した印象の比喩的表現を引用して使った。経緯を逐一取材報道し最終的にリストがねつ造だったこともきちんと報道しているので、訂正、謝罪の必要はないと考える」等述べた。
ヒアリング後審理を続行し、担当委員が決定文の起草作業に入ることになった。

2.「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の審理

本事案は、フジテレビが2012年7月5日と6日の『スーパーニュース』において、大津市でいじめを受けて自殺した中学生の両親が起した民事訴訟の口頭弁論を前に、原告側準備書面の内容を報道した際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理の施されていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画像がインターネット上に流出したとして、少年と母親が放送によるプライバシーの侵害を訴え、申し立てたもの。
この日の委員会では、「委員会決定」案の検討に入った。決定文のポイントについて起草委員が説明した後、各委員が意見を述べた。次回委員会でさらに審理を重ねることになった。

3.「宗教団体会員からの申立て」事案の審理

本事案は、テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組「あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~」において、番組で紹介された男性が、個人情報を公表されたうえ、何の断りもなく公道で盗撮された容姿・姿態が放送されるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てたもの。
申立人から「答弁書」に対する「反論書」が、被申立人から「反論書」に対する「再答弁書」が提出され、双方の書面が出そろった。
この日の委員会では、事務局が双方の主張を整理して説明、それを受けて主な論点について議論を交わした。次回委員会では論点の整理とヒアリングに向けた質問項目の検討をすることとなった。

4.その他

次回委員会は7月16日(火)に開かれることとなった。

以上

第72回 放送倫理検証委員会

第72回 – 2013年6月

映像の偽装が発覚した関西テレビの
『スーパーニュースアンカー』、意見書原案を審議

第72回放送倫理検証委員会は6月14日に開催された。
関西テレビの報道番組で情報提供者の映像の偽装が明らかになり、審議入りした事案は、担当委員から意見書の原案が提出された。当該局への聴き取りとこれまでの委員会での議論を踏まえて問題点を整理したもので、長時間にわたる意見交換が行われた。次回委員会までに担当委員が修正案を作成、意見の集約をめざす。

議事の詳細

日時
2013年6月14日(金)午後5時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、水島委員長代行、香山委員、小出委員、是枝委員、斎藤委員、渋谷委員、升味委員、森委員

映像の偽装が発覚した関西テレビの『スーパーニュースアンカー』、意見書原案を審議

関西テレビのローカル報道番組『スーパーニュースアンカー』の特集企画で、大阪市職員の兼業について証言した情報提供者の映像を取材スタッフを使って偽装し、新聞報道で発覚するまで3か月余りも視聴者に説明していなかったとして、審議入りした事案。
当該局の担当記者・カメラマン・撮影助手や、対応策を協議した報道局幹部などあわせて14人を対象に実施した聴き取りと、前回までの委員会の議論を踏まえて、担当委員から「意見書原案」が提出された。
原案では、「なぜ問題の映像が撮影されたのか?」「なぜ社内のチェックが機能せず放送されてしまったのか?」「なぜ視聴者に対する速やかな説明がされなかったのか?」の3つのステージごとに課題や問題点が整理され、委員による質疑や意見交換は2時間近くに及んだ。
その結果、次回委員会までに担当委員が委員会での議論を踏まえた修正案を作成し、次回委員会の場でさらに議論を深めて、意見の集約をめざすことになった。

以上

2013年5月に視聴者から寄せられた意見

2013年5月に視聴者から寄せられた意見

慰安婦発言に対し、賛否両論とも様々な意見を紹介するべきだといった声や
バラエティー番組のドッキリ企画に対して、子どもたちの「いじめ」につながるとの批判意見など。

2013年5月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,279件で、先月と比較して8件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール69、電話27%、FAX2%、手紙ほか2%。
男女別は男性68%、女性29%、不明3%で、世代別では30歳代29%、40歳代28%、20歳代15%、50歳代15%、60歳以上10%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。5月の通知数は428件【35局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、21件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

5月の視聴者意見は1,279件と先月より8件増えた。
ロシア・中東を歴訪した安倍総理のトップセールスが耳目を集めたが、相変わらずアベノミクスに対して様々な意見が寄せられた。
憲法96条の先行改正など、憲法改正論議がかまびすしいが、反対意見だけではなく、賛成意見も紹介するべきだといった意見も寄せられた。
慰安婦発言に対し、波紋が国内外でひろく広がったが、これについても賛否両論、様々な意見を紹介するべきだといった声が寄せられた。
バラエティー番組のドッキリ企画に対して、子どもたちに「いじめ」の格好のネタを提供するものだといった批判が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は14件、CMについては80件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は113件で、前月より7件減少した。
今月は「いじめ・虐待に関する意見」が21件、次いで「性的表現に関する意見」が14件、「低俗、モラルに反する意見」と「暴力・殺人・残虐シーンに関する意見」が13件と続いた。
「いじめ・虐待に関する意見」では、バラエティー番組での芸能人への"ドッキリ企画"について、長期間にわたってしつこく行う嫌がらせがいじめに繋がるのではないか、との意見が寄せられている。
「暴力・殺人・残虐シーンに関する意見」ではアニメの殺人・残虐シーンに関する意見があり、特に休日の午前中に放送している番組について、内容がグロテスクだとの意見が複数あった。
また、ホラー映画のCMについて、突然目にするので子どもが怖がってしまう、との意見が多数寄せられている。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 閣僚の靖国神社参拝問題について、コメンテーターの殆どが参拝反対の観点からコメントを述べており、参拝賛成からの意見が全く示されなかった。国連の核不使用共同声明に日本が賛成しなかったことに関しても、コメンテーターが日本政府の姿勢を批判していた。一方的過ぎるのではないのか。

  • 大学の教授が「円安で損をしている人たちの話をあえて取り上げて不安感を煽る報道は問題」と発言した。これは多くの国民が思っていることだ。「円安は日本に有利だ」と海外では報道している。日本のテレビは円安のデメリットばかり強調する。円高放置で日本を苦しめた民主党の経済政策は非難せず、対策を講じた安倍政権に対しては、「これは失敗するだろう」「効果がでない」などマイナス報道が先行している。夏の選挙へ向けての誘導報道のように思う。

  • 円安になり始めた頃、マスコミはこぞって「アベノミクスで暮らしが大変になる」「円安でガソリンの値上がりが起きている」と騒いでいた。しかし、ここしばらくのガソリン価格を見ていると、円安傾向にもかかわらず、価格が安くなっている。この理由をマスコミはきちんと説明する義務がある。経済の知識がないにもかかわらず、適当なことを言っていただけだろうか。経済は為替だけでなりたっているとでも思い込んでいるのだろうか。

  • 「小田原の学校荒らし事件」のニュースで、コメンテーターの一人が「カッコいい」「ロックを感じる」「尾崎豊みたいでカッコいい」と、中学生の破壊行為を称賛するような発言をした。これでは英雄扱いだ。小田原市では学校荒らしが頻発し、まだ検挙されていない事件もある。子ども達がそんな発言を聞いたら、大人が破壊行為を理解してくれたと誤解してしまう。学校を破壊する行為はあってはならないし、称賛すべきではない。

  • テレビの報道は脱原発、反原発一色です。国民の世論が割れていることや経済を無視して、脱原発・反原発を正義のように謳っています。しかし、少し前までは「原子力は安全でクリーンなエネルギー」というテレビCMをやっていました。無責任にCMを流し、そこから莫大な料金を取っていたテレビ局が、反省もなしに「脱原発、反原発は正義」というのは厚顔無恥です。もし政治を責めるのなら、テレビ局は自分たちも責めるべきです。

  • 憲法改正が悪だと取れる一方的な報道姿勢に呆れている。護憲派ばかりのコメンテーターを座らせ、憲法改正の反対のインタビューばかり集めている。このような議論の時は改憲派の意見も求めないといけない。改憲派のインタビューも流さないといけない。報道とは、中立であり、どちらかに偏った意見ばかり伝えるものではない。両方の意見をぶつけ合い、議論してほしい。

  • 憲法問題を伝えるニュースで、国会の議決で草案の提出が認められ、簡単に憲法改正ができるかのような話が取り上げられています。しかし本来国会で議決されたあとに、国民投票があることを伝えないことは、護憲派のイメージ操作に加担しているようにも感じます。憲法問題を取り使う際には、改正に必要な手続きを視聴者に丁寧に説明しなければ、公平で正しいニュースにはならないのではないでしょうか。

  • 従軍慰安婦の問題についての報道があったが、放送局は中立の立場で放送すべきなのに、批判の意見ばかり放送していた。現在はあってはならないが、過去の歴史のなかで各国の軍隊がそういうことを行っていたかも知れない。日本のメディアならば、日本だけがなぜ批判されるのか、検証してほしい。

  • 政治家の発言が問題になることが多いが、質問の部分をカットして、発言の一部のみをクローズアップして放送するから問題になる。今回の日本維新の会共同代表の発言も、質問と前置きした部分がカットされたために、多くの誤解が生じたようだ。今後は質問と答えをカットせず放送してほしい。悪意を持った意図的な編集は、国際問題をも引き起こす恐れがある。

  • 内閣官房参与の訪朝のコーナーで、「独占舞台裏」という特集をしていましたが、内容に具体的なものは一切なく、情報もこれまで報じられていることでした。たとえば司会者は「電撃訪朝に至る人脈がわかってきました。独占取材です」といって、独占を強調したものの、登場したのはレギュラーコメンテーターでした。「独占」や「舞台裏」という言葉を使うならそれなりに、当事者に取材するとか、具体的なことがあってしかるべきです。

  • 憲法96条を先行して改正することについて、反対意見の特集をしていたが、最後にゲストが「憲法改正の要件を3分の2から2分の1にすることが、他の法律より下(簡単)になる」と説明していた。憲法96条の改正については、「発議」だけで憲法改正が成立するのもではないにもかかわらず、「すばらしいご意見を伺いました」と言って締めていた。このような場合、キャスターが補足説明をしないことは、番組としていかがなものなのか。正確な情報ではなく、公正・中立な番組とは言えない。96条の改正については、他番組でも紛らわしい情報が多く、テレビ報道の偏りを感じている。今後の放送で同じようなことが起こらないようにしてほしい。

  • 政治関係の事柄を報道するときに、賛成と反対の意見を平等な比率で扱っていないが、如何なものか。調査結果がどうであれ、インタビューなどの意見は平等に扱うべきだ。また、発言などの一部内容を執拗以上に繰り返したり、文字スーパーで強調することも、誘導や扇動に思える。

  • 昨年から「振り込め詐欺」の被害が増加している。警察などが注意を呼び掛けているが、民放局は振り込め詐欺の「撲滅CM」をもっと流してほしい。以前あるドラマで振り込め詐欺の対策を流していたが、大いに参考になったので、また放送してほしい。

  • 子どもを連れた女性が、元夫に路上で刺されたというニュースで、女性が刺されて流れた血が路面に広がっている様子が映された。何ヵ所も映し、リポーターが垂れた血の跡を追っていたが、そこまでやる必要はない。この番組に限らず、生々しい血の現場を平気で映すことがあるが、報道の本質とは関係ない。子どもには見せたくない場面だ。実際の血の場面を映さないことは、視聴者にとってもまた被害に遭われた方への配慮としても必要かと思う。

  • 女性が元夫に刺された事件について、パネルを用いて詳しく伝えていた。この元夫は暴力を振るういわゆる「DV夫」で、女性はシェルターを利用し、子どもにも偽名を使わせるほどの生活を送っていたようだ。番組では、元夫が女性の居場所を突き止めた方法として「探偵を雇って調べさせる」などの例を挙げていたが、これでは「相手の居場所を突き止める方法」を教えているようなものだ。シェルターに入ってからの生活についても実に詳しく伝えており、「こんなに詳しく報道されたら、安心してシェルターにいられない」と感じた。事実を報道しなければならないのは理解できるが、あまりにもDV被害者への配慮に欠ける内容だ。

  • 福島のテレビ局はつまらない。以前からバラエティー番組に及び腰だったが、カラオケ番組など少しはバラエティーと呼べる番組はあった。しかし、震災後はバラエティーを作る気がないようで、福島のどの局も真面目なドキュメンタリーが増えた。それはそれで重要だと思うが、テンションが下がる。全国の人に震災を忘れてほしくないという制作側の思いと、震災を忘れたこともなく、常に震災をテレビでも見させられる福島県民。この不一致が歯がゆく、気分が落ちる。「もっと、県民が笑える番組も作ってください!」と福島のテレビ局に伝えてほしい。

【番組全般・その他】

  • GWが終わり通常に戻った。GWに限らず、夏休みや年末年始は、帰省やレジャーの話題ばかり取り上げている。しかしそうした時期にも、働かなくてはいけない人や、就職活動に明け暮れる人たちもいる。放送はそうした人たちの存在を忘れるべきではない。

  • 各局で番組改編期等に放送されている大家族物の番組にはウンザリする。下劣な言葉遣いを駆使する子どもや、幼少の頃で感性が止まっていそうな人の夫婦喧嘩を見て、なにが楽しいのだろうか。最近は放送枠を拡大し、子どもを育てる気もない親の家庭を、古きよき日本の風景などと伝えているが、うっとうしく感じる。

  • アラフォー女だけをターゲットにした嫌がらせのような番組だった。人の価値に値段をつける、とても横暴で世間の偏見を助長する内容だった。こうやって一方的にカテゴライズして笑い者にするから、今の社会の「いじめ」がなくならない。アラフォー女はテレビの視聴率のために笑いながら遊ばれる玩具ではない。

  • 最近のモノマネ芸人は、本人が困惑していても、似ているからという理由でどんどん出てきている。また本人が言ったことのないことも言ったかのようにすることは、もはやモノマネとは言えないのではないか。本人の迷惑も考えず、最近人気があるからといって、番組に呼んだりすることは、やめるべきではないか。

  • あるタレントにドッキリを仕掛けていた。実は本人も事前に内容を知っていたのかも知れないが、靴に水を入れておき、履くと足が濡れるという内容で、スタジオのタレントたちのリアクションを見て笑うという低俗極まりない番組だった。一般社会で言えば「いじめ」そのものだ。このような番組を放送していいのか。

  • いじめでの自殺のニュースが増加しているなか、ドラマなどで「いじめ」を題材にした番組がよく見受けられる。次第に過激なものになっていき、自殺のシーンもあるドラマも少なくはない。「いじめをなくす」ということが世間でいわれる中、頻繁にいじめを題材にしたものをドラマ化させることはいかがなものか。

  • 回転寿司で、自分の食べた皿を隣の人の食べた皿の上に、隣の人がわかるように置いて、その人がどんな反応をするかを見ていた。皿を突っ返す人、そのまま他人の皿を受け入れて代金を払おうとする人などが放送されていた。その光景を出演者の芸能人が笑いながら見ていた。中には激怒してトラブルになったことも予想できるが、そのような映像はなかった。気の弱い人につけ込む、卑劣な行為を助長する内容だった。

  • アメリカで実際に起った殺人事件をもとに事件を解決する過程を追っていく内容だった。出演者が殺人の方法などを推理するコーナーがあるのだが、回答者はバラエティー番組のように笑いながら答えていた。実際に人が亡くなっているのに、クイズのような構成になっていて、人の命をどう考えているのかと、気分が悪くなった。殺人事件を笑いながら放送するということについて、根本的に考え直していただきたい。

  • 最近の民放の番組は、お笑い芸人を使ったバラエティー番組ばかりが多く、面白い番組がない。そのため、韓国の番組を見る機会が多くなっている。コストを安くするためと推測するが、放送局としての使命感がうかがえない。

  • 情報番組とバラエティーでの「ワイプ」が邪魔だ。「出演者の表情」を何故見せられなくてはならないのか。旅番組では綺麗な映像がワイプで邪魔をされることがよくある。テレビの情報は「映像」と「音声」だ。「映像」に邪魔なワイプが入り込むことは、視聴者に完全な情報を届けていないことになる。映像に無関係のタレントや司会者が映り込む理由は何なのか。出演者が映像を見ている顔も必要な情報だとでも言うのだろうか。制作者はどれだけ勘違いをしているのだろうか。

  • アナウンサーやナレーターの単語のアクセントが平板というか語尾上げに近い感じになっていることに疑問を感じる。言葉は生き物なので発音が変化することは仕方ないと思うが、最近のなんでも平板に発音する風潮には違和感を覚える。英語のアクセント通りに発音するほうが、英語が苦手な日本人にとっても合理的だ。

  • スポーツコーナーで始球式の放送があった。子役タレントが出ていたが、字幕で名前とスリーサイズが出ていた。まだ小学生のスリーサイズを、あえて流す必要がどこにあるのか。デリカシーのない放送に疑問を覚えた。報道に携わる人たちはもう少し考えてほしい。

  • この番組ほど、個人のプライバシーを考えていないものはない。確かに、番組スタッフと“ビッグダディ”と称される男はいいかもしれないが、その家族はずっと振り回され続けている。最近では元妻がマスコミに取り上げられ、写真を披露する始末だ。さらには、曝露本まで出版されるという。家族の人の今後10年、20年の人生を考えると、誹謗中傷やイジメを受ける危険があるのではないのか。

  • 偶然見てしまったが、あまりに卑猥な内容に驚いた。スポーツ新聞のいやらしい記事やAVの話を生々しく紹介していたのだ。出演者も、夕方のテレビ番組とは思えないほど卑猥な言葉を吐いていた。こんな番組を放送しても良いのか。

  • どこの局も、サスペンスや推理作家ドラマ等が活況のようだが、日に何回、殺人事件のドラマが放送されているのだろうか。「人を殺す」「殺人」ということがテレビを通してあまりにも簡単に放送されている現状を憂えている。人殺し事件を取り扱う番組を、どの放送局も減らしていくということに向かわなければならない。殺人事件をドラマにするよりも、人間の生命の尊厳という題材を探し、番組にしてほしい。

  • 女性芸能人や政治家、中には長年の不妊治療の末にやっと念願の子を授かった方が、誇らしげにテレビに出ている。さぞかし嬉しいのだろうが、高額な治療費が払えず、子を諦めざるを得なかった者もいる。女性芸能人にも、出産ギリギリまで大きなお腹を抱えてテレビに出演している人がいるが、ずっと不妊治療をしている方、子供を授からなかった者がどんな気持ちで見ているのか、分かっているのだろうか。少しは人の気持ちも考えてほしい。

  • 番組へのツイッター募集は本当に必要なのか。見ていると、思いつきや的外れ、くだらないものが多い。もっと内容を吟味して載せてほしい。リモコンで消せるので、最近はすぐ画面を消す。ついでにワイプの芸能人のくだらないリアクションも消せるようにならないだろうか。

  • 以前から気になっていたのだが、アニメやドラマの方言の扱いがひどい。変なアクセントや、イントネーションなど、関西弁を知らない人(子ども等)に間違った印象を植えつけてしまっているのではないか。関西人をバカにしているのではないかと思うことも度々ある。制作側の無知と怠慢ではないのか。他の方言も似たようなものだと思う。

  • 30歳代前半の女性に向けて「子供が欲しいなら人生設計をしなさい」「35歳が女性のタイムリミット」と言っていた。妊娠をしない人は甘えているかのような言い方だった。「晩婚化は恐ろしい」と30歳代の人に向け「35歳までに」などと言っていたが、当然35歳以上の人もテレビを見る。テレビを見て傷つき、泣いたのは初めてだ。人は衰えていく。色々な事情の人がテレビを見ていることを忘れないでほしい。

  • 改編期ではないのにもかかわらず、レギュラー番組の拡大版が目立つ。経費削減が目的なのだろうか。またある局は、ほぼ毎週のように合体スペシャルを放送しているが、録画予約をするときに、大変困る。放送局側に改善をお願いしたい。

  • 「日本観光中」」というテロップが書かれていた人物は、日本でタレント活動をしている。彼は日本語も上手だが、番組の中では笑っているだけで、言葉を発することはなかった。しかし彼を知っている人には、観光客という紹介は明らかな嘘ということが分かる。知らない人には、観光客に見えてしまう演出だった。どこからどこまでが嘘で、どれが本当のことなのか。バラエティー番組とはいえ、ドキュメントタッチの企画だったため、視聴者が混乱する嘘を混ぜ込むことは止めてほしい。

  • ゴールデンタイムに見ることが出来るアニメが少ない。ほぼ毎日放送しているのは1局のみだ。芸人やタレントがからかわれたりするような番組を子どもたちに見せるよりも、アニメを見せた方が良いと思う。私は地方に住んでいるのだが、子どもに見せる気が起きない番組ばかり放送している。視聴率や制作費などを考えると、バラエティー番組のほうが番組を作る側としては良いのかもしれないが、ゴールデンタイムにテレビを見ている人は大人だけではないということも分ってもらいたい。

  • 某都市銀行の協力で、現金の在りかや金庫の開け方、コンビニのATMに入っている金額や店舗のATMに貯蓄されている金額を放送していた。防犯を意識せずに、銀行強盗に「どうぞ我が銀行を狙って下さい」と言わんばかりの内容で、あそこまで放送して良いものなのかと思った。

  • ランニングマシンを使う場面で、あまり経験のない他のメンバーのスピードをどんどん上げて行き、「大丈夫~、まだいける~」と楽しそうにしていた。やられた方はとても速いスピードで苦しそうに走っており、「スピードを下げて」と懇願していた。一歩間違えば大怪我をする。子どもたちにも人気あるグループの番組なので、録画で見ている子も多いのではないのか。いじめのようにも見える行為を面白おかしく放送するスタッフは感覚が鈍いのではないのか。

【ラジオ】

  • 知人を車に乗せた際、ある番組を聞きたいと言うのでラジオをつけた。すると、県内のFM局のパーソナリティーを罵倒する旨の発言をしていた。以前この番組を聞いた時も、麺類を大きな音を立てて食べたり、放送禁止用語を口に出したりと、聞くに堪えなかった。このような放送局がある事自体、県民として恥ずかしい。

  • ラジオの生放送中にレイヴという、突然の体を張った無茶ぶりがあった。この手のものは、最初は軽いイタズラで笑えるものが多かったのだが、放送回数を重ねるごとに内容が過激になり、聞いていられなくなった。いつか司会に支障が出るほどの大きな怪我や事故につながるのではないかと、ひやひやして聞いている。なにが面白いのかまったくわからない。

【CM】

  • ホラー映画のCMを何か分らずに見てしまい、突然アップで不気味な女性の顔が映り、心臓が凍った。番組ならばチャンネルを避ければいいが、CMだといつ目にはいるか分らず、CMに入るたびにびくびくしている。ホラー映画のCMはやめてほしい。

  • 国民保護サイレンの音に極めて似ている音を使っているCMがある。北朝鮮の攻撃予告もあって、初めて聞いたときは驚いた。しかしそのCMの放送回数が多いので、最近では国民保護サイレンに慣れてしまった。国民保護サイレンは、注目を集め、不安と緊張感を刺激するように制作されていると思うが、CMに応用することは、モラルがない

青少年に関する意見

【いじめ・虐待に関する意見】

  • タレントに対して行なっていた"ドッキリ"と称した、しつこい嫌がらせ行為を見た。大変不快で、ドッキリさせるというよりも個人に対する嫌がらせ行為だと感じた。他人を"いじる"という行為と嫌がらせは、紙一重なのではないのか。こういった行為からエスカレートして始まる、苛烈なイジメや暴力が存在することを覚えておくべきだ。

【暴力・殺人・残虐行為に関する意見】

  • 休日の午前中に放送されるアニメということで、小学生の子どもが見ていたが、内容があまりにグロテスクなものなので驚いた。大人でも目を背けたくなる映像だった。その時間帯に放送するアニメとしては、相応しくない。

  • 残酷描写がひどい。たとえ深夜であっても、それをアニメで克明に見せることは、あまりにもひどすぎはしないか。見ている若い人の感想の多くが「すげえ」と「やばい」しかない。これは、人の死を軽んじる結果に繋がらないだろうか。こんなものにカタルシスを感じているような、まだ精神の幼い子どもに見せるべきものではない。

【要望・提言】

  • 最近「○ヵ月で○kgダイエットに成功した」等、若者の痩せ願望を煽る番組が多く、どうかと思う。どの番組も「痩せている人は美しい」という内容ばかりで、私の高校生の娘が最近テレビの真似をして「周りの皆もこうしている」と無理なダイエットをして体を壊した。痩せ願望を煽る番組だけではなく、外見にコンプレックスを持つ人が整形するといった内容も見ていて不愉快である。コンプレックスを見せ物にする番組よりも、もっと個人の良さを尊重する番組作りを行ってほしい。

  • 最近、ゴールデンタイムに見ることが出来るアニメが少ない。ほぼ毎日放送しているのは1局のみ、しかも地方では見ることができない放送局で放映している。芸人やタレントがからかわれたりするような番組を子ども達に見せるよりも、アニメを見せた方が良いと思う。子どもに見せる気が起きない番組ばかり放送している曜日もある。視聴率や制作費などを考えるとバラエティー番組の方が番組を作る側としては良いのかもしれないが、ゴールデンタイムにテレビを見ている人は大人だけではないということもわかってもらいたい。

【CMに関する意見】

  • ホラー映画等のCMは、子ども向け番組のすぐ後や朝の情報番組等、子どもが目にしてしまう時間帯に放送することを避けてもらうことはできないのか。スポンサーの関係等があることは承知しているが、幼稚園児の子どもが泣き出してしまった。それからは、いつそのCMが入っても良いように、リモコンを片手に家事をしたり、なるべくテレビをつけないようにしている。せめて時間帯を限定してもらいたい。

第145回 放送と青少年に関する委員会

第145回–2013年5月

北海道・暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビュー
NHKとキー局に取材時の留意事項など確認し、討論。

第145回青少年委員会は、5月28日に7人の全委員が出席して開催されました。北海道の暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビューについて、NHKと在京キー局に取材時の留意事項などを確認し、討論しました。また、4月16日から5月15日までに寄せられた視聴者意見の中から、バラエティー番組で一ヶ月に渡って水を使った嫌がらせを続けた"ドッキリ企画"について、いじめのシーンが過激なドラマについて、ホラー映画のコマーシャルについて、それぞれ討論が行われました。5月に寄せられた中高生モニター報告について話し合われました。その他、調査研究、名古屋での意見交換会、北海道での意見交換会、ラジオに関する勉強会について話し合われました。

議事の詳細

日時
2013年5月28日(火) 午後4時30分~7時30分
場所
「放送倫理番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 前回の委員会で、北海道の暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビューについて、取材時の少女への配慮について確認をしたいとの意見があり、NHKと在京キー局に取材時の留意事項や、取材マニュアルについて尋ね、その回答を基に討論が行われました。この件に関しては、討論の感想を掲載することで、審議入りしないことになりました。委員会の感想は以下の通りです。
    各社には子どもに対する取材マニュアルが確立されていて、今回の少女に関しても、配慮がなされた上で取材していると受け止めました。しかし、充分な配慮がなされたとしても、子どもの場合どういう影響が今後現れてくるのか分からないところがあります。今後現れてくるかもしれないPTSDに対してどれだけの想像力を持って取材がなされたのかという点で依然問いが残りました。また、時間差取材によるメディアスクラム的な影響について、どう考えた上での取材だったのか、さらに、二番目、三番目に取材した後発局は、新しいことをやらなければという意識が働いた可能性はなかったのか、など、今後のことを考えたとき、検討しなければならない課題が残されているというのが委員会の感想です。
    今回のような、事件・事故に遭遇した当事者の心理に関しては、学術上も議論のわかれるところであり、またデリケートな問題をはらんでいるため、今後も深い考察と議論を続けてほしいと思います。
    青少年委員会では、今後、表現の自由を大事にし、担保しながら、そのことが子どもたちの人権を守ることや、健全な育成を阻むことにならないようにするため、メディアの取材による子どもへの影響について、さらに研究していく事が必要であると考えています。

  • バラエティー番組とドラマのいじめに関して討論しました。
    バラエティー番組で一ヶ月に渡って水を使った嫌がらせを続けた"ドッキリ企画"については、「他のドッキリは乾いた企画で笑いに毒があり面白いのだが、一ヶ月に渡るドッキリは粘着質でいじめに繋がってしまう」「見る側と作る側の距離が離れてしまっている。作り手が考える笑いと、視聴者とのギャップを感じる」「ドッキリの仕掛け人がADで、タレントが怒ることが出来る立場であることから、いじめという陰湿さは感じない」などの意見が出ました。
    また、いじめのシーンが過激との視聴者意見が多かったドラマについては、「テーマを考えると、ドラマの中では無くてはならないシーンだろう。やりすぎとは思わない」「作品として志は高いと思うが、あのいじめのシーンを見て心を痛める人がいるなら配慮が必要だろう」「いじめがこれだけ社会問題化している時に、いじめのシーンを放送するのなら、事前テロップを表示するなどの工夫が必要なのかもしれない」などの意見が出ました。
    上記のバラエティー番組とドラマに関しては、今後も継続的に注意していくこととし、いずれも審議入りしないことになりました。また、いじめと番組について番組制作者と青少年委員が、お互いに考える糸口とするための話し合いの機会を持つことを検討することになりました。

  • ホラー映画のコマーシャルについて「子どもが起きてテレビを見ている時間にも頻繁に、しかも突然流れるので、避けることができない。子どもが怖がっている」などの視聴者意見があり、二つのパターンを視聴した上で討論が行われました。「テレビでは暴力や性に関しての規制は幾つかあるが、ホラーに関しては、民放連の『放送基準』に "視聴者に不快な感情を与える表現は避ける"とある程度だ。放送局側が対応しやすいように議論を喚起してほしい」「映画はお金を払って"意思を持って"見るが、テレビはタダで"日常生活の中"で見るということを考えているのだろうか。メディアの違いを放送局が押さえておかなければならない」「震災で被害を受けた人が見たらどう感じるだろうか。配慮が必要だ」などの意見が出ました。コマーシャルに関しては、複雑な問題はあるものの今後も他の機関とも連携しながら検討を重ねることで、今回の件に関しては審議入りしないことになりました。

中高生モニターについて

5月の中高生モニターは、最近見た「ドラマ・アニメ番組」で、良かった番組や、面白くなかった番組の感想を報告してもらい、27人から報告が届きました。
ドラマは9番組、アニメは8番組の、合わせて17番組について意見が寄せられました。一番意見が多かったのは『ガリレオ』(フジテレビ)で、8人から「部活も塾も無い月曜日のドラマがどれほど楽しみか」「推理ものにも関わらず笑って見られるので大好きです」「毎回どのような"科学"で謎を解いていくのかわくわくしながら見ています」などの好意的な報告が届いています。次に多かったのは、いずれも学校でのいじめを取り上げた『家族ゲーム』(フジテレビ)、『35歳の高校生』(日本テレビ)に対するそれぞれ3人からの報告でした。『家族ゲーム』には「見ていていやになるほどの過激ないじめのシーンをどうやって決めたのか」詳しく知りたい、「中学生の話なので共感したり、ドキドキしながら見ている」など、また『35歳の高校生』には「いじめの描写が過激だ」「いじめをしてはいけないというメッセージがしっかり視聴者に伝わってくる」など賛否両論の意見がありました。
アニメは『名探偵コナン』(読売テレビ)に「最後に必ず驚く結末が待っている」など3人から、『ワンピース』(フジテレビ)に「主人公の生き方に共感できる」など2人から、報告がありました。
全体には好感を持ったという意見が多く、面白くなかった、問題があるという意見は少数でした。

自由記述欄は、最近気になったラジオ番組について自由に書いてもらい、16の番組について意見が寄せられました。FM局の番組に多くの意見が寄せられ、FM東京の『SCHOOL OF LOCK!』には「学生達の心のよりどころ」など3人から意見がありました。民放AM局の番組は2本で、ラジオは聴かないという意見は4人からありました。

【中高生モニターリポートの主な意見と委員の感想】

●【委員の感想】『ガリレオ』(フジテレビ)『名探偵コナン』(読売テレビ)など良く練られたミステリーが中高生に支持されているようです。また、今の中高生の「理科離れ」から日本の将来を憂いている意見に興味を持ちました。

  • (東京・中学2年女子)私が気に入っている番組は『ガリレオ』です。この番組の好きなところは二つあります。一つ目は、不思議な殺人事件の犯人を予想することです。まだ当てられてないのですが、そういうわくわく感が私はとても好きです。二つ目は、誰でも見やすいよう、あまり血が出ないようになっているので、血が苦手な人も、安心して見られるところです。私も、あまりにも怖い殺人事件を題材とした話は好きではなかったので、安心してみることができます。たくさんの人に楽しんでもらえるように…という気遣いがこの番組を素敵なものにしているのだと思います。

  • (千葉・中学2年男子)『名探偵コナン』の好きな点は、最後に必ず驚く結末が待っている点です。毎回にように犯人が誰なのか予測しながら見ていますが、なかなか犯人を当てる事ができません。意外な人物が犯人であることが多いので最後に「そんな手があったのか」とコナン君の推理に感心しています。それにストーリーの設定が面白いと思います。博士の発明する探偵グッズも実際にあったら、世の中の役に立つだろうと思います。毎回色々な事件を解決していく、こんなに色々な事件を思いつく作者は、どうやって、ストーリーを考えているのか不思議だし、すごいと思います。

  • (福岡・高校2年男子)今年見たドラマの中で一番面白いと思ったのは『ガリレオ』だ。学校では物理を勉強しているが、知っている理論や法則が出てきたら嬉しくなる。日本に限った話でもないが「理科離れ」が進んでいる。この事により次世代の科学者や技術者が育たなくなる可能性がある。その結果、日本の産業が危うくなるのは目に見えている。僕は今の子供たちに理科の楽しさを教えてあげることが大切だと思う。その入り口として『ガリレオ』はとてもいい材料だと思う。これからも、『ガリレオ』のように理科や数学を取り上げた面白い番組を制作していただきたいと思っている。

●【委員の感想】「月曜日のドラマがどれほど楽しみか・・」という勉強、部活にいそしむ高校生の意見は心に刺さりました。陽だまりのような"ひとコマ"をテレビが与えていると思うと幸せな気分になりました。

  • (岐阜・高校1年男子)『ガリレオ』(フジテレビ)を家族みんなで見ています。まず、福山さん演じる物理学者の湯川さんが事件を解決するときに、数式を黒板に書いていくところがいいです。これが、見ていてスカッとします。高校生になって1ヶ月。もう少し、楽しい高校生活かと思っていましたが、毎日の予習、復習、そして、部活、日曜日は、塾の生活です。この部活も塾もない月曜日のドラマがどれほど楽しみか・・それが、数式をとくかのように事件を解決していく。これがたまりません。こんなふうに、ぼくも、数学の問題が解けたらいいな・・と思っています。もやもや感がなく、見終わった後には、何か心地いいものがあり、ストレス発散ができます。

【委員の感想】『35歳の高校生』(日本テレビ)『家族ゲーム』(フジテレビ)など学校での"いじめ"を取り上げている番組に対する意見が目立ちました。中高生の生活に近いところの出来事に興味を持っているのでしょうか。しかし、きつい"いじめ"のシーンについて、同じものを見ていても正反対の意見がある事に注目したいと思いました。

  • (岐阜・中学1年女子)私が面白いと思うドラマは、『35歳の高校生』(日本テレビ)です。どういうところが面白いのかと言うと、いじめをしてはいけないというメッセージがしっかりと視聴者に伝わってくるからです。私には、具体的にどういうものがいじめというのかなど、分からないことが沢山ありました。しかし、『35歳の高校生』では、いじめというのはどういうものなのかをわかりやすく伝えてくれています。このドラマを見て、少しでも世の中のいじめが減ったらいいなと思います。

  • (秋田・中学2年女子)私が見た番組は『35歳の高校生』です。この番組はストーリー的には面白いのですが、いじめの描写が過激だと思います。いじめの恐ろしさを教えると同時に、いじめを知らない子供にいじめを教えているようにも見えてしまいます。それに、高校が舞台なのでこのようなことがあると思うと、高校に進学するのが怖くなってしまいます。放送する曜日や時間帯は小学生も見る可能性が高いので、もう少し時間帯を遅くするなどの工夫が必要だと思いました。

  • (神奈川・中学1年女子)『家族ゲーム』(フジテレビ)は、父や母が小さかった頃にやっていたドラマだと聞きました。しかしなぜ今、こんなに残酷なドラマを放送しなくてはいけないのでしょうか。自分なりに考えて導き出せた答えは、いじめが多発しているいま、私たちの世代に、いじめられている子の辛さを伝えたかったのではないか、ということです。このドラマを放送しようと決めた方の考えもぜひ聞いてみたいです。しかし私たちに伝えたいことがあったとしても、あまりにも過激ないじめで、見ていて嫌だなと思うときが多々あります。ドラマに出てくるいじめは、どうやって決めたのでしょうか。アンケートなどをとり、ありのままを映像化したのでしょうか。それともこんないじめがあるのではないか、という大人の推測でしょうか。もし本当の子どもの声であるならば、その子を傷つけないやり方でどうやって聞き出したのでしょうか。聞きたいことがたくさんあります。『家族ゲーム』が出来上がるまでのことを詳しく知りたいです。

【委員の感想】『宇宙戦艦ヤマト2199』(毎日放送)や『ひみつのアッコちゃん』(東京メトロポリタンテレビジョン)を親子で楽しんでいる報告を読んで、アニメ世代が親になって子どもと一緒に見ているのだなと、嬉しく楽しく思いました。

  • (東京・中学3年男子)今回、私が選んだのは『宇宙戦艦ヤマト2199』です。まだ、始まったばかりですが、なんだか懐かしい感じがします。というのも、この番組はリメイクで、最初のものは父が子供の時に好きだったということで、私が幼い頃、よくドライブの時に父が主題歌を流していたのを聞いていたからです。『宇宙戦艦ヤマト2199』は、よく父と一緒に見ているので、頼まなくても旧作の解説付きです(笑)。旧作と比べると画面が綺麗で、動きも滑らかになった、細部にこだわりがある、美人も増えた(笑)と父は誉めています。私が好きなのはやはりメカのかっこ良さで、実物を基にしたリアルさに良さがあると思います。今後のストーリー展開がどうなるのか、とても楽しみです。

  • (埼玉・高校1年女子)私が最近見たアニメは『ひみつのアッコちゃん』です。このアニメは小学生の女の子がコンパクトを用いて、いろいろなものや人に変身するという物語で、以前、実写化され綾瀬はるかさんが主演をつとめていました。そのため、わたしは以前からこのアニメを見てみたいと思っていました。私が気に入った点は絵がかわいいところです。また、母が幼いころ放送されていたのを見ていた世代なので親子で楽しめました。

委員の感想】自由記述欄で、気になったラジオ番組について報告してもらいましたが『SCHOOL OF LOCK!』(FM東京)は、中高生にとっての心のよりどころとして共感できる作りになっているようです。果たして今のテレビ番組に、中高生か共感できるような番組はあるのでしょうか疑問に思えてきました。

  • (愛知・中学3年女子)私が好きなラジオ番組は、『SCOOL OF LOCK!』という番組です。この番組のなかには、今悩みを抱えている学生に電話をかけて、パーソナリティやラジオを聴いている人達と一緒に解決するコーナーがあります。そのコーナーを聴いていると、「私と同じ悩みを抱えている人がいるのだな」と感じることがあり、私は1人ではないのだなと、すごく勇気づけられます。学生が気軽に相談できるこのような番組はほとんどないので、学生たちの心のよりどころとして、これからも続いてほしい番組です。

  • (島根・高校2年男子)『SCHOOL OF LOCK!』という番組は、中高生のニーズにマッチしている番組だと思う。人気のアーティストが日替わりで出演したり、毎日日替わりで様々な企画を実施したりするなど、聴取者の心をつかむ企画がたくさんあり、毎日聴いていても飽きることがない。これからも聴き続けていこうと思う。

今年度の青少年委員会活動について

  • 調査研究についての現状報告がありました。

  • 9月に名古屋で行なう意見交換会について、進捗状況が報告され、内容についての話し合いが行なわれました。

  • 10月に北海道で意見交換会を行なうことが承認されました。

  • 次回の委員会で、専門家を招いてラジオについてのレクチャーを行なうことが承認されました。

その他

  • 今年1月22日に大阪で開催した意見交換会の報告書がまとまったので、会員各社に配布しました。