第31回 放送倫理検証委員会

第31回 – 2009年10月

バラエティー番組の問題点について

第31回放送倫理検証委員会は10月30日に臨時に開催され、バラエティー番組の問題点に関して集中審議を行った。事前に提出された決定文案に対して議論した結果、若干の手を加えることを前提に、全委員の合意が得られたので、通知・公表の手続きに入ることにした。

議事の詳細

日時
2009年10月30日(金) 午後6時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、上滝委員長代行、小町谷委員長代行、石井委員、市川委員、里中委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

バラエティー番組の問題点について

バラエティー番組全体に見られる放送倫理上の問題点について、4回目の審議を行った。この1年の間に視聴者からBPOに寄せられたバラエティー番組に対する批判的な意見の分析を踏まえつつ、テレビ番組全体に対してバラエティーが果たしてきた役割をどう評価するか、バラエティーという表現形態と放送倫理との関係をどう考えるかなどについて、決定文案の検討と詰めの議論を行った。
「放送基準ではバラエティー番組が鬼っ子のように扱われているが、この際バラエティーの倫理基準はどうあるべきなのかをきちんと議論することが必要だ」「バラエティー番組制作者は、志と確信を持って番組を制作すべきだ」「規範にとらわれずに新しい表現方法を開拓して表現の自由の限界を拡大していくのがバラエティーの特性だから、放送基準を機械的に当てはめるには適さない」といった意見が大勢を占めた。
その結果、安易な番組作りに陥り視聴者からイエローカードが出されている今日のバラエティー番組について、当委員会が民放連に対して放送基準とは異なる実効的な指針の作成を提案すると共に、放送局の制作現場の人々の参加を前提としたシンポジウムの開催を働きかけ、ブックレットの発行を検討することにした。
なお、決定文案は若干の修正と追加を行って、11月17日に通知・公表する運びとなった。

以上

第105回 放送と青少年に関する委員会

第105回 – 2009年10月

一連の薬物問題報道について

TBS『アッコにおまかせ!』8月23日放送分の局からの回答について …など

10月27日に開催した第105回青少年委員会では、前回に引き続き、「青少年と薬物報道」について審議し、委員会として「青少年への影響を考慮した薬物問題報道についての要望」をまとめ、発表することとした。また、2番組からの回答について審議したほか、9月16日~10月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー1番組について視聴し審議した。このほか中学生モニター報告についても審議した。

議事の詳細

日時
2009年10月27日(火) 午後4時30分~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

一連の薬物問題報道について

継続審議となっていた「青少年と薬物報道」について、委員会では、薬物事件を約1000件担当した弁護士の小森榮氏による薬物と青少年の現状及びその背景等についてのレクチャーを受けるとともに、意見交換を行った。その上で審議した結果、委員会としては深刻な社会問題であるとの認識で一致し、各放送局への要望をまとめ、11月2日に発表することとした。同日行った記者会見には、汐見委員長、小田桐・加藤・軍司の各委員が出席した(詳細はこちら)。

TBS『アッコにおまかせ!』8月23日放送分の局からの回答について

審議内容については前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1) 写真パネルが無修正のまま放送に至った経緯についてご説明をお願いします。
(2) 放送素材に関しての制作スタッフの認識・チェック体制についてご説明をお願いします。
(3) 放送後、貴局内で当該放送についての対応及び今後の具体的改善策等のご議論があればその内容をお知らせください。
(4) 番組制作にあたって、とりわけ青少年の人権への配慮についてはどうお考えでしょうか。

【TBSからの回答】

(1)(2)について
該当の写真は、番組が独自に入手し、前の週(8月16日)の放送でVTRとパネルで紹介したものでした。番組のスタッフは日頃、社内の研修等を通じて、青少年の人権への配慮は十分に認識しており、当然、この時は起訴されたタレントのご家族にモザイク処理を施した上で放送をしています。そして、翌週(8月23日)の放送に於いてもこの写真をパネルで使用することになりました。
番組では、パネルを作成する際、放送前日の深夜に開かれる放送素材のチェック・確認を行う会議の中で、モザイク処理が必要かどうかについての判断、指示が行われます。今回もこの会議の場でプロデューサーがご家族の顔にモザイク処理を施すようにスタッフに指示し、実際にその主旨はパネル作成にあたる「デザイン部」にも伝えられました。
「アッコにおまかせ!」のパネルは非常に大きなもので、デザイン部でのプリントアウトに相当の時間がかかるため、発注時に写真の搬入が間に合わなかった場合などは、とりあえず仮の写真で作成、プリントアウトしておき、後に正しいものが出来上がると、仮のものの上に貼り付ける体制をとっています。このときもモザイク処理に時間がかかるため、暫定的に修正前の写真でパネルを作り、後からモザイク処理されたものを貼り付ける方法をとりました。この時点で、修正前の写真を仮のものとして使用したことがまず本件の第一の原因と考えます。
パネルの内容については、プリントアウトされるまでの待ち時間、そして完成後にそれぞれチェックを行います。その体制ですが、まずカラーコピーの縮小版を出力しプロデューサー、ディレクターのほか、「ゲートキーパー」と呼ばれる校正担当者など5人でその内容をチェックする体制になっています。
しかしながら、この日は作業量が非常に多く、追い込みの素材もあったことから、発注時間が2時間ほど遅れてしまい、さらに文字の誤りや急遽確認が必要な内容が多数見つかるなどして、全員が通常より多い作業に追われる状況となってしまいました。
また、入手した元の写真のピントが甘く不鮮明なものだったため、チェック用に作った縮小版で見た全員が、モザイク処理済だと思い込んでしまいました。またこの「思い込み」が強かったことから、実際に完成したパネルをみても、誰もモザイク処理がなされていないことに気づきませんでした。一方、パネルは5つのブロックに分かれており、修正を行う場合、そのブロックごとにプリントアウトし、張り替えるという形をとっています。今回は該当の写真と同じブロックに、文字の修正箇所もあり、放送時間が迫っていたため、担当ディレクターとチェック担当者は、修正ブロックが届く前に、その部分を手書きで修正しました。その後その修正部分(モザイク処理写真を含む)が届いたものの、写真のモザイク加工は済んでいると思い込んでいた上、文字部分の修正は手書きで済んでいると考えていたため、貼り付けの作業自体必要ないと判断してしまいました。
こうした要素が重なり、全員がパネルは完成物であると確信したまま、放送時間を迎えてしまいました。放送中、プロデューサーが修正前の写真であることに気づき、スタジオのカメラマンに写真を撮らないよう指示しましたが、引きの(アップでない)映像を含めて約13秒間、放送される結果となってしまいました。
(3)について
番組では事態を極めて重く受け止め、ご本人と起訴されたタレント夫妻、写真に一緒に写っていた方々や関係者、さらには視聴者にも広く謝罪しなければならないと考えました。起訴されたタレント夫妻については、勾留中であったことから、所属事務所(当時)には8月27日に経緯をご説明した上で、謝罪の意と翌週に「謝罪放送」を行うことをお伝えました。
一方、視聴者に対しては、翌週の放送(8月30日)で、お詫びの放送を行いました。「先週の放送で、番組側の不手際から、事件とは関係のない方々の写真についても、そのまま放送してしまいました。ご家族の皆様、関係者の皆様に大変ご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。」などのコメントを、番組を担当しているアナウンサーが読み上げました。
一方、番組の制作体制としては、従来からの5人に加えて、写真部分だけをチェックする「写真担当ゲートキーパー」を新たに配置し、チェックの強化を図りました。また、モザイク処理をすべき写真については、暫定的であっても処理前の写真を使用せず、空白とすることを確認しました。さらに、十分なチェック時間が確保できるように、パネル発注の締め切り時間を前倒し、これを厳守するようにスタッフに徹底しました。
また、プロデューサーと担当ディレクター、及び管理上の責任を持つ情報制作局情報センター長と、番組が所属する情報二部の部長に対して、情報制作局長が厳重に注意しました。
(4)について
番組制作においては人権の保護が重要であり、とりわけ青少年については厳格に守られるべきものであることは十分に認識しております。当該番組については、日曜日のお昼という放送時間から、青少年も家族と一緒に視聴していることを勘案、性や暴力、犯罪などの表現については、十分な認識を持って制作をしてきたつもりでした。
また、情報制作局では、番組制作上のルールを徹底するための「情報番組ガイドライン」を8月に作成、これを徹底するためのセミナーを実施し、人権の保護についても多くの時間を割きました。今回の問題はこうした取り組みの矢先に発生したもので、セミナーでも急遽これを取り上げて、当該番組以外の制作スタッフにも厳しく注意喚起を行いました。
今回の問題につきましては、番組、そして情報制作局全体として極めて重く受け止めており、スタッフに対して制作上のルールを再度確認し、再発防止に万全を期す所存です。

上記回答について審議した結果、委員会としては、回答にある青少年の人権ヘの配慮、放送上のチェック体制及び制作ルールを局内で充分に共有し、番組制作にあたって同じ誤りを繰り返すことのないよう局側に伝えることとした。

テレビ朝日『仮面ライダーディケイド』8月30日放送分の局からの回答について

審議内容については前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1)当該番組は、最終回でストーリーが完結したものになっていたとお考えでしょうか?
(2)上記のような視聴者からの批判について、どのようにお考えでしょうか?
(3)最終部分の内容は実質的には映画のCMとも受け取られかねないものですが、番組とCMを区別すべきとの考え方に照らして、どのようにお考えでしょうか?
(4)判断力の未熟な低年齢の児童を主たる視聴対象とした番組で、このような手法を使用することについて、どのようにお考えでしょうか?

【テレビ朝日からの回答】

(1)について
テレビシリーズとしては完結しています。
本作品は平成仮面ライダー10周年の記念企画で、2000年放送の仮面ライダークウガから、全ての仮面ライダーが順に登場します。クウガの世界、アギトの世界・・・と、主人公が歴代ライダーの世界を順に旅をして、その世界の敵を倒しては、また次の、別のライダーの世界へと旅を続けます。各エピソードは2話完結を基本とし、シリーズとしてはオムニバス形式で各話に連続性はありません。
テレビシリーズの最終回では、主人公がそれまでに出会った歴代の仮面ライダーたちと協力して、共通の敵・大ショッカーと戦い、見事倒して大団円を迎え、完結しました。
(2)について
テレビシリーズとして完結したにもかかわらず、それまでと後に続けた映画の告知部分との区別が分かりにくく、映画告知の手法として適切でなかったと考えます。
「仮面ライダーディケイド」は特別企画のため、放送期間を通常の仮面ライダーシリーズの1年間(約50話)よりも短い8カ月間弱(全31話)で予定していました。放送開始以来、視聴者の皆様からご好評をいただき、終了が近づくにつれ「終わってほしくない」というご要望を多数いただきました。一方で、次のテレビシリーズ「仮面ライダーダブル」の放送も決定しておりました。このため、急きょ「ディケイド」の映画を企画し、12月に公開することを決定したしだいです。
こうしたことから「ディケイド」テレビシリーズの最終回で、「ディケイド」映画化に関する告知と、次のテレビシリーズ「ダブル」の予告の両方を行いました。
「ディケイド」のテレビシリーズでは、最終回より前のレギュラー放送において、一つのエピソードが終了した後、番組のエンディングで唐突に次の「旅」の予告が始まるという演出手法をとっていました。最終回では、この手法を踏襲して、映画「ディケイド」の告知を放送しました。そして、CMをはさんでテレビシリーズ「ダブル」の予告を放送しました。そのため、どこまでがテレビシリーズの本編でどこからが映画の告知なのかわかりにくくなり、多くの視聴者から「テレビシリーズが完結しておらず、ストーリーの続きは映画でということなのか」というお問い合わせやご指摘をいただく結果となりました。
テレビシリーズと映画の告知との区別を、視聴者が分かるように明瞭にすべきであったと反省しております。ご意見ご指摘を真摯に受け止め、今後の番組制作および映画等の告知に反映させていただきます。
(3)について
放送法第51条の2の規定で、対価を得て行う広告放送は、視聴者が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならないと定められていることは、理解しております。ご指摘の最終回の最終部分の内容は、テレビシリーズ「仮面ライダーディケイド」の映画化についての情報であり、告知にあたるものであって、CMではありません。
今回の映画の告知は、映画化が決定し、12月に公開することの第一報であり、「ディケイド」の新たなエピソードを映画で公開するという、視聴者の皆様に向けた情報発信です。
視聴者の皆様にCMと受け取られないよう、今後とも表現方法において工夫し配慮したいと考えております。
(4)について
上述のとおり、本作品は平成仮面ライダー10周年の記念作品であり、10年前子供だったファンの皆様にもお楽しみ頂けるような番組をめざしました。シリーズ後半では、「ブラック」や「RX」、「アマゾン」といった昭和ライダーも登場させ、二十数年前に視聴していたオールドファンの皆様にもお楽しみいただけるラインナップを組みました。
通常、仮面ライダーシリーズは児童とその母親世代が主な視聴者層ですが、本作は幅広い視聴者層へ向けた、仮面ライダーシリーズの中では特殊な作品であり、大人向けの演出も心がけました。
しかし、多くの児童が番組を視聴していることに変わりはありません。テレビシリーズの結末と映画の告知の境目が低年齢層にもはっきりと伝わるよう、例えばナレーションやテロップを用いて明瞭に区別するとか、映画の告知部分を短くするとか、テレビシリーズが完結した後にCMなどをはさんで映画の告知を行うなど、演出方法や番組の組み立て方の工夫で、誤解が生じることを避けるべきであったと考えております。
今回、ご批判を受けたことを重く受け止め、今後の番組制作において十分に配慮していきたいと考えています。

上記回答について審議した結果、委員会としては、番組と告知の区別が判然としない演出手法は誤解を生み、とりわけ子ども向け番組については、子どもの信頼を裏切ることになることを充分に認識し、配慮ある番組制作を行うよう局側に伝えることとした。

視聴者意見について

  • フジテレビ『とんねるずのみなさんのおかげでした』

有名人宅を訪れる”とんねるずを泊めよう”という企画について、「へびに噛み付かせたり、バリカンで髪を切る行為を子どもが容認する」「免許証やキャッシュカードを傷付ける行為は悪ふざけにも程がある」といった意見が寄せられ、番組を視聴の上審議した。

<委員の主な意見>

  • 不快な印象を与える悪ふざけをどうして取り入れるのか。なくても十分面白い番組なのに。
  • 他人が大切にしているものを壊したり、勝手に飲んでしまったりと、大切さを理解し、共有しないことが極めて不快。
  • タレントの上下関係で、立場の弱い後輩芸人とそうでない人への対応が違うが、逆でなければ面白く見ることができない。

上記審議の結果、委員会としては、企画全体としては面白いし、ほのぼのとした場面も見られるが、社会が笑って容認できる節度ある行為にとどめるよう局側に伝えることとした。また、この企画は放送のたびに批判意見が寄せられることから今後も注視することとした。

中学生モニター報告

10月のモニター報告のテーマは、自分がディレクターになったつもりで「こんな番組が見たい」「こんな番組を作りたい」「こんな点は直してほしい」というもので、後期中学生モニター32人全員から、最初の報告が寄せられた。
まず、バラエティー番組については「過激な罰ゲームなどがなく家族みんなが楽しめるようなバラエティー番組を作りたい」、ニュース・情報番組については「ゴールデンタイムに中学生にも分かるニュース情報番組や世界のニュースを知りたい」、そのほか「もっと”ためになる”歴史番組を作りたい」「老若男女が楽しめる時代劇を増やして」などの意見もあった。

【担当委員の所感】

  • 今回のテーマは「こんな番組が見たい」という要望を尋ねたもので、これまでになかった番組の構想や、具体的な構成案を書いてくれた人、既存の番組の良い点や悪い点を指摘した人など、新たにモニターになった32人から多様でユニークな意見がたくさん寄せられ、たいへん興味深く読ませてもらった。
  • 全体的には「お笑いやバラエティー番組に癒しや楽しみを求める声」と「ニュースやドキュメンタリー番組に知識や情報を求める声」に分かれていた。また、娯楽性と情報性の両方を兼ね備えた番組への要望も少なくなかった。
  • ニュース番組の娯楽化やワイドショーとの境界が薄れていることについての批判的な意見も寄せられたが、重要なニュースを中学生たちに分かりやすく伝えてほしいという要望は、テレビ報道の最も重要な使命だと感じた。
  • また、中学生たちの世代に目を向けた視聴者参加型の番組を作ってほしいという要望がいくつか寄せられた。確かに番組を作っているのは大人なので、改めて子どもや高齢者への目配りがテレビの現状に不足しているのではないかと気づかされ、これからも中学生モニターの意見に耳を傾けていくことが重要なことだと感じさせられた。

他の委員からは以下の意見が出された。

  • 「こんな番組が見たい」という具体的なテーマを設定することで、中学生たちの本音や積極的な意見が報告されたことが良かった。
  • かつてのバラエティーにはお腹を抱えて笑う”笑い”があったが、今の番組にはないという意見には感心させられ、中学生たちが良質な笑いを求めていることがよく分かった。
  • 「モニターを始めてニュースに関心を持ったので、朝や夕方のニュース番組で端の方にその単語についての意味や説明などを書いておいてくれると助かると思う」という意見があったが、これはテレビ局ですぐ実現できるのではないかという発言があった。

【全体集計】

具体的な内容としては、ふだんの疲れを癒したり、ストレスが解消されたり、家族全員で”ゲラゲラ大笑いできる”番組、例えば『8時だョ!全員集合』や『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』、そして『志村けんのバカ殿様』が合体したような番組を作りたい、再開してほしいという声があった。
また、現在放送されているバラエティー番組の中では、『ネプリーグ』や『ペケポン』には過激な罰ゲームがなく、多少バカにするようなところも許せる範囲のやり取りで楽しめるという声があった一方、『クイズ!ヘキサゴンII』や『はねるのトびら』も好きだが、”バカにする””罰ゲームがひどい””食べ物を粗末にする””だまして感動させる”などを改善してほしいと要望も寄せられた。
次に、情報系の番組では、『ワールドビジネスサテライト』はサラリーマン向け、『週刊こどもニュース』ではちょっと物足りないと感じる中学生のために、平日の午後8時台に「分かりやすい他局とは異なったニュース番組」があれば中学生も見ることができる、『学べる!!ニュースショー!』が終わって残念という声が寄せられた。
そのほか、『ミュージックステーション』などの音楽と、流行の最先端を訪ねるような音楽紀行番組、『世界ふれあい街歩き』のように実際に旅をしている気分に浸れる番組が作りたいという意見もあった。また、歴史ブームを反映して『日本史サスペンス劇場』のような、もっと”ためになる”歴史アニメ番組や、古典文学のドラマ番組を作りたいという声も寄せられた。
新たな企画としては、”探検”(『逃走中』)と”クイズ”(『クイズ!ヘキサゴンII』)の要素を合体させた「視聴者参加型の新番組」という提案が寄せられ、細かい構成案も考えられていた。また、受験勉強の夜食の工夫や、部活後に食べるおいしい料理を紹介する「中学生向けの料理番組」、農業の現場を知ったり都会の現実を知ったりすることのできる”中学生版”『田舎に泊まろう!都会に泊まろう!』などの番組、「中学生が参加できる番組」(『学校へ行こう!』)、アニメでつづる「歴史や理科番組」などの提案が寄せられた。
また、「スポーツ」「食べ物」「文化」のドキュメンタリー、命を大事にするための「大自然ドキュメンタリー」、商品の良いことばかりでなく欠点もあわせて紹介する「商品情報番組」、中学生が興味のある身近な話題の「討論番組」、中には「格闘技の講座・解説番組」をという声も寄せられた。
一方、現状に対する批判としては、今のバラエティー番組にありがちな、汚くて危ない罰ゲームや、粉まみれになったり、骨折しかねない仕掛けをやめて、お年寄りから小さな子どもまでの幅広い世代が安心して笑えるバラエティー番組にしてほしい。また、年に一度の楽しみにしているチャリティー番組『24時間テレビ』だからこそ、無駄な(意味のない)海外取材やタレントだけで盛り上がるゲームなどをやめて、みんなが楽しめる内容にしてほしい、企画に工夫が欲しいという意見が寄せられた。さらに、芸人だけで楽しむクイズ番組や、新シリーズの番組宣伝のためのドラマの再放送をやめてほしいという声も寄せられた。
なお、後期の中学生モニター会議は、2010年1月10日正午から、千代田放送会館の7階会議室で開催予定。

2009年9月に視聴者から寄せられた意見

2009年9月に視聴者から寄せられた意見

先月と同様に、衆議院選挙関連報道についての意見と覚せい剤使用で逮捕された芸能人に関する意見が多かった。政治関連意見の内容は、選挙開票速報番組への意見から、民主党の政策の取り上げ方が自民党政権時代と違うことへの意見などがあった。

衆議院選挙関連報道についての意見と覚せい剤使用で逮捕された芸能人に関する意見が多かった。政治関連意見の内容は、選挙開票速報番組への意見から、民主党の政策の取り上げ方が自民党政権時代と違うことへの意見、政権交代した途端に民主党への批判報道が始まったことへの意見、そして「八ッ場ダム」関連報道への意見と幅広いものがあったが、キーワード検索では「選挙」で83件、「民主党」で142件、「自民党」で62件が該当した。

9月に電話・FAX・郵便・EメールでBPOに寄せられた意見は1,379件で、8月と比較して755件減少した。

【視聴者意見のアクセス内訳】

方法: Eメール58%,電話37%,FAX3%,手紙ほか2%
性別: 男性71%,女性25%,不明4%
世代: 30歳代30%,40歳代25%,20歳代15%,50歳代13%,60歳以上13%,10歳代4%

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。9月の通知数は574件(46局)であった。
またこの他に、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、51件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

9月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 人権に関する審理・斡旋の要請・・・・・・・ 0件
    (個人または直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

9月の視聴者意見は先月と同様に、衆議院選挙関連報道についての意見と覚せい剤使用で逮捕された芸能人に関する意見が多かった。政治関連意見の内容は、選挙開票速報番組への意見から、民主党の政策の取り上げ方が自民党政権時代と違うことへの意見、政権交代した途端に民主党への批判報道が始まったことへの意見、そして「八ッ場ダム」関連報道への意見と幅広いものがあったが、キーワード検索では「選挙」で83件、「民主党」で142件、「自民党」で62件が該当した。また、「偏向」というキーワードで45件、「公平」では47件該当した。一方、芸能人の薬物関連報道への意見は今月は128件あったが、ワイドショーでの過剰報道への意見、保釈されたタレントをバイク・ヘリコプターで追跡取材することへの意見が多く、「人権」というキーワード検索で43件該当した。また、芸能界復帰を応援するような放送を諌める意見、覚せい剤事件をネタにしたバラエティー番組への意見、保釈されたタレントの謝罪会見を特別番組として編成したことの是非を問う意見も多く寄せられた。具体的な報道姿勢を指摘した「不適切な報道」が、今月は110件。より広く「報道のあり方」を論じた意見が133件あった。キャスター・コメンテーターの発言への批判も多く、「不適切な発言」検索で55件、「不適格な出演者」検索で48件該当した。この他に、チャリティー番組のあり方についての意見があった。今月は久しぶりにバラエティー番組への意見が多かったが、内容がいじめであるという番組批判、あれでは芸ではなくただのケンカではないかという出演者批判の意見が多く寄せられた。放送局の視聴者・聴取者対応に関する意見は、今月は37件。ラジオに関する意見は41件。CMに関する意見は40件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は、前月より約70件減少した。今月は「低俗・モラル」に反するとの批判が多く、先月に引き続き、芸能人の麻薬・覚せい剤関連の放送に対して多数の意見が寄せられた。また、バラエティー番組で、不人気タレントを決める投票を選挙の開票速報形式で放送した企画に対し、批判的な意見が11件寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 総選挙投票終了後、番組が始まるや否や「民主300議席以上」という字幕が出た。しかも、候補者名を表示し、いつもの「当確」ではなく「当選」という表示をしたのにはあきれた。これが報道番組のやることだろうか?放送局は何のため、誰のために当確競争をしているのだろう。案の定2社では当確ミスを犯した。総務省から事前に慎重な開票報道の要請があったが、各放送局は「報道の自由」を盾に反発の姿勢を取っていた。これまでも選挙報道では多くの問題を起こしているのに、反省はないようだ。 衆議院選から1週間もたつのに、どこのテレビ局も「誰々は初当選」とか「誰々が落選した」などと騒ぎ過ぎだ。中には、落選した前議員が選挙戦の最中に土下座している映像をいまだに流している局もある。しかし、それよりも我々の日常生活にはるかに大切なのは「新しい人達による新しい政治の内容」である。国民はその変化を冷静に見て行く心の準備ができているのに、テレビ報道はお祭り騒ぎからまだ覚めず、気持ちの切り替えができていないようだ。報道する側がそのような浮ついた気持ちでは困る。
  • 今回初当選した女性新人議員を取り上げ、彼女が選挙後に地元の家々をまわり、挨拶しているところが放送された。しかし、これは選挙後に各戸をまわることを禁止した「公職選挙法178条」に違反するのではないか?その行為を制止するどころか、放送で紹介するなどもってのほかだ。
  • 今回の選挙前の報道では、「最高裁裁判官の国民審査」に関してほとんど取り上げられなかった。「政権選択」に焦点が絞られたのはしかたがないとしても、「国民審査」についての若い人たちの関心を高めるためにも、「国民審査」の意義や「裁判官らの人物や経歴の紹介」など、せめて必要最小限の情報だけでも取り扱ってほしかった。
  • 当選した議員本人が出演していたが、彼女を紹介する際、画面に「元キャバ嬢」という文字が出た。他の当選議員については、そのようなことはしていなかったと思う。テレビは職業によって人を区別するのか?私の妻は「元キャバ嬢」である。妻はその番組を見てすっかり気落ちしている。今後、差別的に前職を紹介するのは止めてほしい。
  • 刑事事件報道の際に「被告」という表現がされていますが、刑事事件の場合は「被告人」が正しい表現です。「被告」と表現するのは、あくまで民事事件です。数年前までは、ニュースでは確かに「被告人」という表現をしていたと思います。なぜ最近「被告」という表現に変わってしまったのか、なぜ放送で間違った言葉を使うのか理解できません。
  • テレビ画面の右下に「津波情報」がずっと出ている。しかも日本列島の地図上に黄色い縁取りがされ途絶えることなく点滅を繰り返しているために、見ていて頭がフラフラして気持ちが悪くなってしまった。局の視聴者センターに電話を入れたが、「重要な情報で、画面に表示する決まりがあるので仕方ありません」とだけ言われた。緊急情報ゆえの表示の必要性は理解できるが、もっと表示の仕方を工夫してほしい。
  • 首都高での事故のニュースで、事故直後の様子を撮影した視聴者提供の映像が放送されました。明らかに、トラックの運転中に携帯電話で現場を撮影したものでした。このような映像を放送するのは、いかがなものでしょうか。
  • 八ッ場ダム中止に関する報道ですが、ダム建設推進派の議員や住民の感情的な発言ばかりが報道されています。ダム建設反対派の意見が報道されず、特定の地権者や政党に偏向していると感じます。しかも「ダムの75%が完成している」と報道していましたが、この数字は「予算の75%が既に使用済」という予算消費率であって、工事進捗率は10%程度に過ぎません。「予算消化率」を「工事進捗率」と偽って報道するのは、虚偽報道に当たるのではないでしょうか。

【番組全般・その他】

  • 覚せい剤で逮捕されていたタレントが保釈されたが、謝罪会見後に病院に向かう様子をバイクで追いかけたり、ヘリコプターで中継していた。事故をおこして一般人や一般車両を巻き込んだらどうするつもりなのだろうか。また、入院先の病院前には今日も多くの報道陣がいるようだが、病院に通院する人の気持ちを考えないのだろうか。できるだけ他人の目に触れたくないと思いながら病院に行く人もいる。少しは「人権」ということを考えて報道するべきと思う。
  • タレントの保釈を伝える番組で「まもなくシャバへ」という字幕が出ました。覚せい剤に関わる事件であり、容疑者が芸能人なのでセンセーショナルに扱いたかったのかも知れませんが、この言葉遣いはどう考えても不適切です。放送人としての資質を疑います。
  • 毎日、夕方の韓流ドラマを楽しみに見ているのに、昨日は鳩山新政権誕生のために放送がなく、今日も覚せい剤タレントの保釈の中継で放送がない。政治に関することなら許せるが、たかがタレントが保釈されるくらいで特別番組が編成され、番組が変更されるのは納得できない。
  • バラエティー番組の王座決定戦の副賞として、覚せい剤事件で逮捕されたタレントが使用していた海辺の別荘の写真がモザイクつきで放送された。冗談だとしてもあまりに不謹慎ではないかと思った。視聴率のためなら、こんなことまでするのか。
  • チャリティー番組でありながら、深夜に「熱湯風呂」を放送していた。番組の趣旨にそぐわない内容なので、放送すべきではなかったと思う。この「熱湯風呂」に関しては、今年の春、東京で、ある母親がテレビで見た「熱湯風呂」を面白半分に真似て幼い我が子にやけどさせるという事件があった。この母親が悪いのは明らかだが、「視聴者の中にはとんでもなく非常識な者もいる」ということを常に忘れず、注意を徹底すべきだ。
  • 地震・津波などの緊急速報情報は、例えCM中でもテロップを流すべきだと思う。1秒の重要性というものを、もっと理解していただきたい。
  • その日は放送100回記念のお祝いを兼ねて都内のビアガーデンからの放送だったが、番組ディレクターに対し「罰ゲーム」として何度も一気飲みを強要し、周りも囃し立てていた。社会問題となっている「一気飲み」を放送番組が率先して行い、その模様を放送するとはどういうことなのか?
  • 「ドクターヘリ」について取り上げていたが、途中で開腹手術のシーンがあり、画面いっぱいに内臓が映った。医師が内臓をぐっとつかんで持ち上げ、その下に詰めたバスタオルに血液を吸わせる様子が、映像がぼかされることなく放送され、非常に衝撃的だった。もう少し視聴者に配慮してほしい。いくらドキュメンタリーとはいえ、こちらは「ドクターヘリ」について見たかったのであって、内臓を見たかったのではない。
  • 最近のテレビの報道番組や情報番組は、漢字の読み間違いや人名と写真の取り違えなど「間違い」が多すぎる。それらを訂正する際も「先ほど不適切な表現がありました」等と実に簡単に済ませているが、訂正役が女性アナウンサーに回って来ることが多いように思う。「女性が謝る方がソフトな印象を与えるから」という安易な理由なのだろう。
  • テレビのテロップに「障害者」という言葉が出てきます。しかし、「障害者」という言葉は「障がい者」と改めるべきだと思います。地方自治体でも「障がい者」と統一されているところが多く見受けられます。もっと敏感になったらどうでしょうか。
  • 地上波のテレビだが、朝からずっとテレビショッピングの番組や通販のCMが多くて、見る番組がない。今日は「コラーゲン」の紹介が延々と続き、終わったと思ったら「スチームモップ」の紹介が始まった。以前はこんなに多くはなかったが、最近特に多くなった。これではCS放送の「ショップチャンネル」と同じではないか。
  • 観光客が熊に襲われる映像が放送されていた。人が襲われている時に助けようとしないで撮影している人も倫理を問われるが、それを入手して放送する局の方もどうかと思う。
  • 元女子マラソンの選手がペーパードライバーで、慣れない運転をするという企画があった。しかし、他局のドキュメンタリー番組では、彼女が障害のある自分の子供を施設に車で送り迎えしている様子が放送されていた。「やらせ」ではないのか。
  • ペットの飼育放棄について放送していた。司会者が「最後の方にショッキングな場面がある」と前置きしていたが、それは、捨てられた犬が一ヵ所に集められ、ガス室で何十匹もが一度に処分されるシーンだった。中には有毒ガスが噴射されてもすぐに死なず、苦しそうにする犬もいた。その苦しそうな表情でその特集が終わったが、見終わった後に、そこまで放送する必要性を感じなかった。ガス室のボタンを押す指のアップがあったので、視聴者はそれで理解できたはずだ。この特集は安易に飼ったペットをポイ捨てする人への警鐘かも知れないが、あまりに残酷だった。放送倫理上問題があると思う。
  • 河川敷で石を積んで直火バーベキューをしている者に注意していたが、明らかな違法行為を放送の中で注意するだけで終わらせているのはいかがなものか。明らかに犯罪行為や違法行為であるなら、警察への通報や、取材ビデオに基づく告発がなされてしかるべきだと思う。放送で注意していたとしても、それで終わってしまうのであれば、犯罪行為を助長しているのと変わらないのではないか?
  • 女性お笑い芸人が、「一回30分バンドを巻いただけでウェストが6センチ痩せた」と放送で紹介していた。「これならば私にもできるかも知れない」と思い、番組で紹介していた「巻くだけダイエット」という本も購入し、試してみたが全く痩せない。何度巻いても痩せない。まるで詐欺にでもあったような気持ちになった。本当に彼女は6センチもウェストが減ったのだろうか?番組で紹介するならば、一人だけの実験ではなく、もっと多くの実験参加者が必要だと思う。こんな番組を信じて、本まで買って実行した自分自身が情けなくなる。本当に悔しい。
  • シルバーウィーク中のヘリコプター騒音が酷い。中央高速道路のインターそばに住んでいるが、連休の初日は深夜の12時過ぎまで騒音に悩まされた。「渋滞」するの分かっているのだから、一々、ヘリからの映像を入れなくても良いのではないか。テレビ局は周辺住民のことを考えて欲しい。
  • テレビ局の視聴者センターの対応が横柄で、視聴者の意見を聞く姿勢が全く感じられない。まず暗いトーンで電話に出て、相づちを打たない。話し始めて3分も経たないのに「充分聞いたので、それ以上長くなるなら手紙にして下さい」と言う。多くを望んでいるわけではない。せめて、突っぱねることなく、謙虚な姿勢で対応してほしい。
  • 制作費の削減によって、長寿番組の終了や出演者の降板などが目立ちます。仕方ないかも知れませんが、制作費のコスト削減を番組の質に反映させ過ぎだと思います。質が落ちれば視聴者は見ません。それこそ制作費のムダです。

【CM】

  • 発がん性物質が入っていたとして料理用オイルが販売停止されたが、そのニュースが民放で確認できない。「スポンサー」であるかどうかではなく、「情報」として放送すべきだ。
  • サプリメントのCMで、「血糖値が気になる方へ、今ならお試し1000円」と言っていたので早速電話をした。しかし、オペレーターに「お試しだけでは効果が実感できませんので、ひと月5000円分をお勧めします」と言われた。CMで言っていることと違うではないか。
  • 携帯電話の無料ゲームのCMが放送されている。娘がこのサイトにアクセスしてゲームをしているのだが、一ヵ月分の電話代が3万円もかかった。確かにゲームをすることは無料らしいが、それに伴う「パケット代」はお金がかかるとのことだ。CMでは「無料」ということを大きく放送し、「パケット代が別途かかる」ということは小さくしか放送していない。これ以上被害者を増やさないためにも、きちんとしたCMを放送していただきたい。

【BPOへの意見】

  • BPOは、各放送局に対して放送法を順守しているかをきちんとチェックし、指導して下さい。法令順守については、人権侵害以上に厳密に精査し指導するべきです。
  • 過去に寄せられた視聴者からの意見を読んでみると、政治に関する偏向報道への苦情がかなり多いことが分かります。しかし、一向に改善されないのはなぜなのでしょう。意見を寄せても放送局に取り合ってもらえないのであれば、BPOが視聴者からの意見を聞くことの意味がないのではないでしょうか。BPOの存在意義さえ分からなくなってしまいます。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • ワイドショーで、覚せい剤で逮捕されたタレントのことを放送する際、使用方法の”あぶり”を説明していた。こんなものを放送したら若者が真似したくなる。また、覚せい剤の陽性反応は何日経てば「尿」から検出されないかも解説していた。私は覚せい剤中毒でダメになった人間を何人も見ている。若者の興味をかき立てるような放送はしないで欲しい。
  • 覚せい剤で逮捕されたタレント関連の報道がしつこすぎる。弁護士が「追い回すのはやめてほしい」と言っているにも拘らず、マスコミはタレントが入院する病院まで追いかけていた。これでは、「してはいけないこと」を子どもに教えようにも教えられないではないか。また、どこの病院に入院しているかについてもマスコミが追いかけたせいでわかってしまった。これは個人情報保護の観点から非常に問題だ。
  • 覚せい剤関連事件のことを放送しすぎている。有名人が罪を犯すと、事件とは関係のない私生活のことをしつこく放送するが、番組で取り上げるのなら「**が事件を起こしました」とタレント本人について伝え、残りは麻薬や覚せい剤の怖さなどを放送し、危機感を伝えてほしいと思う。今の放送は、ただ青少年に興味を与えているだけと感じる。
  • タレントがたくさん出てゲームやクイズで遊ぶという内容のバラエティー番組が多数あるが、何のために放送されているのか理解し難い。もちろんそれが彼らの仕事であることは理解しているし、特に民放は無料なのだから低俗な内容であっても仕方ない気もする。しかし、視聴者不在の放送内容であることが多いため、あきれ果てる。タレントが遊んでギャラをもらっている様子を子どもが見たら、まじめに働こうと思わなくなるのではと心配になる。

【いじめについて】

  • 「2人の芸人のうち、どちらがより不人気か?」を決める投票の結果が放送されていた。47対0で片方の芸人が勝つという結果だったが、以前どこかの学校であった「葬式ごっこ」を思い出すようないじめそのものだった。出演者もスタッフも司会者も面白がっていたが、そのうちの誰一人として放送前に止める者がいなかったのかと思うと情けなくなった。こうした番組を放送した放送局の姿勢にあきれた。
  • あまりの内容のひどさにがく然とした。陰湿な「公開いじめ」を延々と1時間も放送していた。芸人の親まで呼んで「不人気投票」をして人をおとしめ、それを皆で笑うという神経が理解できない。未成年が好んでみる時間帯の番組で、現代の中高生を悩ませ、自殺に追い込んでいる「いじめ」のお手本をやってみせているようで、不愉快きわまりなかった。

【性的表現について】

  • バラエティー番組で男性の出演者が女性の体の匂いを嗅いだり、肩に触るなどのセクハラまがいの行為をしていた。しかも、その触られた女性は未成年である。このようなシーンを放送され不快になった。触った人は司会に注意されたにもかかわらず、司会者を挑発するかのようなポーズをとっていた。女性を馬鹿にしてるとしか思えないシーンに強い憤りを感じた。放送局には細心の注意を払ってほしい。
  • 長寿トーク番組だが、毎週この時間帯に子どもが見るようになってしまいとても困っている。義理の父母も同居している中で、子どもから番組の生々しい、きわどい内容について質問され、気まずい雰囲気になってしまう。どうして日曜日のこの時間帯にこんなにきわどい内容を放送し続けることができるのだろうか?
  • ゲストアイドルに「占いだ」と言って胸を見せるように強要するなど、内容が実に性的で不愉快だ。朝や夕方は子ども向けの良い番組が多いが、深夜になるとこの局は極端にアダルト的で稚拙な番組を放送している。女性のセクシュアリティーを安易に売り物にしているなど最悪だ。深夜だからといって何を放送してもよいと思わないでほしい。実に遺憾であり、がっかりしている。

【言葉について】

  • 各局のバラエティーについてだが、「死ね」「殺すぞ」などの発言をやめてほしい。番組を見ている子どもだけでなく青年もその「罪深さ」を理解せずこの言葉を口にし、隣人の心を傷つけている。タレント自ら律することはもちろんだが、テレビ局もこれらの発言があった場合は放送することを絶対にやめるべきだ。

【人権について】

  • 覚せい剤で逮捕されたタレントの家族の写真をモザイク処理をせずにそのまま映していたが、子どもには関係ないではないか。報道機関が最低限持っていなければいけない基本的な良心がないとしか言えない。これは完全な犯罪だ。タレントが犯したのは覚せい剤取締り法違反に過ぎず、殺人を犯した訳でもないのに、報道が過剰である。

【動物について】

  • 捨てられた犬の特集を放送していた。ガス室に入れられた犬がもがき苦しみ死んで行く姿を映していたが、一緒に見ていた子どもが大変ショックを受けた。子どもでなくともあの映像はショックだ。この映像を見ても「犬を捨てる人は捨てる、捨てない人は捨てない」と思った。はたしてこの番組は警鐘になったのだろうか。それよりなにより、放送倫理として問題があると思った。

【非科学的な事柄について】

  • この番組は根拠のないスピリチュアル番組で、毎回出演者が「あなたの前世は」と言い、誰かの生まれ変わりのように表現している。こんな風に言われると、「人間は死んでも生まれ変われる」と受け取る子どもがいる。私は僧侶だが、これは子どもの「死生観」に関わる重要なことで無視できない。放送局にも何度も電話しているが、いまだに放送は続いている。

【マナーについて】

  • 食事をする場面の放送に関して、ドラマや映画などで演出上必要な場合を除き、正しい箸の持ち方をしていない場面を公共の放送で流すのはいかがなものかと思う。箸の持ち方は正しい方法を教育するべきだ。社会的に影響力のあるテレビで芸能人が間違った箸の使い方をしていると、それを見た子ども、大人までもがそれで良いと思ってしまう。お箸の国の日本の正しい文化継承の意味も含め、是非、間違った箸の持ち方は自主規制をしていただきたいと思う。

【CMについて】

  • パチンコのCMで、若者に人気のタレントを起用したものがよくある。若者をターゲットとしてパチンコ人口を増やそうとの狙いなのだろうが、これでは18歳未満の若者にも興味を持たせてしまいかねない。パチンコのCMに人気タレントを使うなとは言わないが、「18歳未満は入場できません」という注意を画面に大きく表示すべきだと思う。
  • 携帯電話向けゲームのCMで、「このゲームは無料です」とあるが、長時間やると当然莫大な通信料がかかる。CMとして説明が不足している。子どもたちがタダだと勘違いして被害を受けている。何とか規制して欲しい。

第154回 放送と人権等権利に関する委員会

第154回 – 2009年10月

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案の審理

「派遣法・登録型導入報道」事案のヒアリングと審理 ……など

「割り箸」事案の「委員会決定」の内容が固まり、10月30日に当事者へ通知し、会見で公表することが決まった。「派遣法」事案の「委員会決定」案について審理し、大筋で了承された。「拉致被害者家族からの訴え」事案の実質的な審理が始まった。このほか、審理要請案件の審理入りが決まった。

議事の詳細

日時
2009年10 月20 日(火) 午後3時 ~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案の審理

東京在住の勤務医とその家族から申立てのあった「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案は、10月7日に開かれた2回目の起草委員会で検討された「委員会決定」案について、その内容が報告され、取りまとめに向けての意見が交わされた。その結果、若干の修正はあるものの、大筋として了承を得たのを受け、10月30日に申立人、被申立人双方に対する通知及び公表を行うことを決定した。
この申立ては、TBSのニュース情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』で2008年2月12日に放送された割り箸事故を巡る判決報道が、事実誤認及び捏造を含む内容で、医師としての社会的評価を低下させるものであり、名誉を侵害し、不公平な報道であると訴えてきたものである。

「派遣法・登録型導入報道」事案のヒアリングと審理

テレビ朝日・朝日放送の『サンデープロジェクト』の特集、「派遣法制定、登録型導入報道」(2009年2月1日および8日放送)により名誉侵害などを受けたとの訴えについて、起草委員会が策定した「委員会決定案」をめぐって、審理が行われた。 この番組は、昨年秋以降の派遣切り・雇用不安の拡大を受け、「派遣法」の問題点、特に「登録型」に焦点を当てて2回にわたって特集したもので、「登録型」を入れるに当たって主導的役割を果たしたのが、元労働次官と労働問題専門の経済学者の2人であったと、多くの関係者や本人のインタビューを積み重ねて伝えたもの。
これについて、元労働次官と経済学者、当時の労働省事務官の3人が「インタビューの質問と答えを勝手に切り貼りして、局の都合良い内容に捏造された。派遣法に登録型を『ひっそりと』盛り込んだなどの表現を多用し、派遣切りなどの雇用不安を産みだした犯人だと攻撃され、名誉を侵害された」として、局に対し訂正と謝罪の放送を求めている。
これまで4回の委員会では、双方から出された文書や放送同録、当時の資料などで審理を続け、先月には申立人・被申立人を呼んで、個々に事情を聴取するヒアリングを行った。 これら審理を通じて、この事案の判断について各委員が意見を述べ、それをもとに起草委員会が「委員会決定案」をまとめ、この日の委員会に提出した。
委員会では、この「委員会決定案」を巡り審理を続けた結果、大枠では了承されることとなった。しかし一部に文章の加筆・修正も提案されたことから、これらを踏まえた「第2次決定案」を起草委員会がまとめ、今後持ち回りの委員会で了承を得る運びとなった。
なお、持ち回り委員会で了承が得られた場合は、11月上旬にも、この「決定」の通知・公表を行う方針も決めた。

「拉致被害者家族からの訴え」事案の審理

8月の委員会で審理入りが決まっていたものの、事案が重なったことなどから実質審理が延びていた。今月の委員会から本格的な審理に入った。
申立人である「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」は、2009年4月24日深夜のテレビ朝日『朝まで生テレビ!』において、番組司会者・田原総一朗氏が拉致被害者の横田めぐみさんと有本恵子さんの名前を挙げ、「生きていないことは外務省も分かっている」と発言したことについて、「人の生死に関する安易な発言は、名誉毀損以上に最も重大な人権侵害である」とし、テレビ朝日に田原発言の撤回と謝罪などを求めている。これに対し、テレビ朝日は「社として確認できていない内容が生放送され、家族や関係者にご不快の念を抱かせ、視聴者の方々の誤解を招いた」として5月29日の上記番組内で謝罪している。
この日の委員会では、改めて本事案の主な論点について確認した後、(1)田原氏の発言内容についてどう判断するか、(2)局側の対応と責任についてはどう考えるか、の2点を中心に各委員がひとりひとり意見を述べた。
次回の委員会では、さらに突っ込んだ議論を交わすことになった。

審理要請案件

本年7月17日のフジテレビ「FNNスーパーニュース」の放送をめぐって宮城県の温泉旅館の女将が事実に反する内容だったと申し立てた。委員会は審理入りするかどうかについて審議した結果、申立ては運営規則が定める要件を充たしているとして審理に入ることを決めた。
放送は、不況下での旅館の女将さんたちの奮闘ぶりを紹介したが、申立人は売上げが伸びない旅館という負のイメージを視聴者に与え、温泉街も暗いシーンばかりが編集されるなど事実に反する内容だったとして、フジテレビに対し謝罪などを求めている。これに対してフジテレビは「当番組はニュース・報道番組であり、取材に基づく事実を伝えたものです」と主張している。
来月の委員会から審理が開始される。

仲介・斡旋解決事案

事務局より以下の件について報告し、了承された。

「インタビューの編集により誤解を招いたとの訴え」事案

在京テレビ・キー局が2009年6月、ニュース番組で放送した”地方空港の開港”をめぐるニュース特集で、取材を受けた地元企業の社長が、インタビューの肝心な部分が削除されたことにより、名誉を侵害されたとしてその回復を訴え、放送人権委員会に苦情を寄せた。
訴えの内容は、「国内線が決まっていないのは残念だ。しかし、国際線の乗り入れが決まっているので心配していない」とインタビューで答えたが、その前半部分だけ放送され、開港を期待している地元企業の仲間に対し、自分があたかも開港に悲観的な意見の持ち主のように放送され誤解を招いたというもので、当該局に対し、名誉回復措置をとるよう要望していた。
委員会では、当該局に対し、被取材者と誠意を持って話し合うよう勧めていたところ、9月末になって、報道局長名で「説明とお詫び」の文書を出すこととなり、話し合いで決着することになった。
この文書の中で当該局は、「被取材者の考えを十分に汲み取った放送をできなかったことを申し訳なく思っています」と述べている。

9月の苦情概要

9月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・0件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・ 64件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • BPO加盟各社を対象に11月26日に開かれる第1回「BPO事例研究会」のテーマが決まった。当日は、「事実確認のあり方」と「訂正放送のあり方」をテーマに2件の事案を取り上げる。事務局より報告し了承された。
  • 次回委員会は11月17日(火)に開かれることになった。

以上

第30回 放送倫理検証委員会

第30回 – 2009年10月

バラエティー番組の問題点について

虚偽証言をスクープとして放送した日本テレビの報道番組『真相報道バンキシャ!』 …など

第30回放送倫理検証委員会は10月9日に開催され、バラエティー番組の問題点に関して3回目の審議を行った。担当委員から事前に提出された決定文案に対して、いろいろな角度からの意見が出された。また、他の委員から代案が提出されたので、あわせて議論したが最終的合意に至らず、継続して審議することにした。
日本テレビから『バンキシャ』についての報告書(民放連との申し合わせにより、具体的な改善策を含めた取り組み状況の報告が求められている)が提出されたので検討した結果、委員会はこれを了承し、公表することにした。

議事の詳細

日時
2009年10月 9日(金)午後5時~8時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、上滝委員長代行、小町谷委員長代行、石井委員、里中委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

バラエティー番組の問題点について

バラエティー番組全体に見られる放送倫理上の問題点について、前回までの議論を踏まえた決定文案の改訂版と、今回、他の委員から新たに提出された代案について議論した。両案を合体させればよいだろうという意見も出されたが、構成や論調が大きく異なるので、執筆した2人の委員が話し合って、ひとつの案としてまとまった段階で、あらためて審議することにした。そのために、本事案について2度目の臨時委員会の開催を決定した。

<主な委員の意見>

  • バラエティー番組は本来、「番組の質の向上」「放送法」「倫理規定」等とは対極に位置し、アナーキーな指向アンテナをもとに動く無頼なものだと思う。だからこそ視聴者の共感とカタルシスを得ている。「無頼」こそがテレビバラエティーが精神として踏まえている「自由」と同義語だ。
  • バラエティーの無頼さやつまらなさだけを強調すべきではない。つまらないかもしれないが、健全なバラエティーが視聴者から支持されている。
  • 「バラエティーがつまらない」と言っているのは委員会ではなく視聴者だ。しかも、個別の番組についてだけではなく、多方面から数多くそのようにいわれている。これは視聴者を置き去りにしているということであり、そのこと自体が制作者の倫理問題ではないか。
  • 難しい表現の意見書だと制作現場の人たちからは、俺たちには関係ないと敬遠されるか、場合によってはいじめられていると誤解されてしまうのではないか。私たちの目的は、元気でよいバラエティー番組を作ってほしいということだ。
  • 視聴者は視聴者個人の倫理観を根拠に、この番組はけしからんと言っている。特にバラエティーについては、いらだつ視聴者が多く存在するようになってきている。そういった現象とバラエティー番組の変容とが結び付かないと「意見」を出す意味がない。
  • 番組を向上させるにはほめるしかない。これがイカンあれがイカンでは、番組は向上しない。
  • 委員会決定が「見解」「勧告」の場合はともかく、「意見」である場合には、必ずしも一本化した決定を出す必要はないと思う。まず総論を示して、それに加えて何人かが署名つきの意見を並べる方法もある。
  • あらゆる基準を超越するのがバラエティー。この精神が大切だ。
  • バラエティーだからといって放送基準のらち外にあるのではなく、当然、その範囲内にある。放送基準を無視したり違反することが良いことだと思っている制作者が放送業界に存在していることが問題だ。
  • 視聴者は相当のボリュームでバラエティー番組に文句を言い続けている。だからといって、それらの文句を受け入れ、しゃくし定規に番組基準に合致した番組作りをすると、バラエティーはつまらなくなり絶滅してしまう。どう折り合いをつけるかの問題だ。
  • 今回は委員会の「意見」を公表するだけではなく、制作者と意見交換をするシンポジウムなどをセットに考えるべきだ。シンポジウムを開くならば参加するのは偉い人ではなく、現場感覚を大切にしたカジュアルで開かれた議論にすべきだ。

10月中に臨時の委員会を開催し、決定文を作成したうえで通知・公表を急ぐことにした。

虚偽証言をスクープとして放送した日本テレビの報道番組『真相報道バンキシャ!』

日本テレビは、一連の『バンキシャ!』誤報問題に関する報告書をまとめ、10月7日に委員会に提出した。各委員には事前にこの報告書を配付し、読んでもらったうえで意見を求めた。委員会としては、日本テレビが信頼回復に努力することを期待し、この報告書を了承することにした。なお、この報告書はただちにBPOのホームページで公開することにした。

以上