第103回 放送と青少年に関する委員会

第103回 – 2009年7月

フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』制作担当者との意見交換

サンテレビ『今夜もハッスル』の回答について …など

7月28日に開催した今年度第4回青少年委員会(通算103回)では、フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』担当プロデューサーと当該番組について意見交換を行ったほか、サンテレビ『今夜もハッスル』の回答について審議した。また、6月16日から7月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見及び7月度の中学生モニター報告について、担当委員からの報告及び審議が行われた。事務局からは、8月21日開催の「中学生モニター会議」及び10月9日開催の「調査発表およびシンポジウム」の概要が報告された。

議事の詳細

日時
2009年7月28日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員
議事の概要

フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』制作担当者との意見交換

前回委員会の結論を受け、当該番組プロデューサーが出席し、率直な意見交換が行われた。委員からの質問に対し、局側からは概要以下の発言があった。

【制作意図】

制作スタッフ・出演者を含め自分たちが面白いと思っていることを信じて、あえて固定のコーナーを持たずに、毎回違うものを目指し、楽しく笑ってもらえることがベストであると考えている。

【批判意見があった番組について】

当初の目指した方向と放送された番組内容が、企画力不足・演出力不足で乖離してしまったというのが率直なところで、視聴者に不快感を持たれたことについて反省している。

【青少年への配慮】

10代以下の子どもたちもたくさん見ている番組であり、その影響力も大きく、今後とも危険と見られる行為等も含め、番組内容については十分に配慮をしていく。

番組内容については4月および5月の議事概要を参照。

サンテレビ『今夜もハッスル』の回答について

サンテレビ『今夜もハッスル』に対し、前回の審議を踏まえて委員会が行った質問に対して、次の回答があった。番組内容及び回答のお願いについては前回の議事概要を参照。

【サンテレビからの回答】

貴委員会から6月25日付で「今夜もハッスル」に関する回答要請の文書をいただきましたが、すでに口頭でお伝えしましたとおり、6月24日の時点で小社の自主判断により6月27日の放送を最後に同番組を終了することを決定しておりました。
6月10日の貴委員会からのご指摘を契機に、小社内で当該番組を総合的に検証・再検討した結果、内容の一部に民間放送連盟放送基準からみて好ましくない表現や、青少年に対する配慮に欠ける演出があり、当該番組を打ち切るという結論に達しました。
当該番組の放送枠は、1983年より深夜の大人向けお色気バラエティー路線として継続してきました。その時々の社会環境・世相に応じて内容・構成・出演者を見直しながら現在に至りました。また、当初より広告代理店が企画・内容等を主導、外部プロダクションが制作を請け負う形でした。「今夜もハッスル」は昨年4月にスタートした番組ですが、同じ構図で制作されておりました。
外部制作番組とはいえ、社内のチェック体制が甘かったこと、また、番組に関わるスタッフの放送基準に対する意識不足が、結果的に番組の表現・演出をエスカレートさせ、視聴者の苦情・批判を受けることとなってしまいました。
小社といたしましては、今回の反省を踏まえ、今後とも貴委員会や視聴者からご意見をいただきつつ、放送倫理と番組放送規準を尊重し、より良い番組作りに努めていく所存です。
なお、今回の「今夜もハッスル」の打ち切りに関わる事由及び経緯につきましては、7月14日開催の小社番組審議会で各委員に説明いたしました。

上記の回答を受け意見交換を行ったが、委員会としては、番組終了をサンテレビが自主・自律的に判断したことを尊重し、審議を終了することにした。

視聴者意見について

ドラマ番組に、「殺人シーンが残虐すぎる」などの意見が5件以上寄せられたが、局内での検討に基づき対処がなされ、その後の放送回には視聴者意見がなかったことに鑑み、委員会では取り上げないこととした。

中学生モニター報告

今月は、8月の「中学生モニター会議」の題材にすることを踏まえて、日本PTA全国協議会(日本PTA)が毎年行っている「子どもとメディアに関する調査」(平成21年3月調査)のうち、中学2年生の保護者が「子どもに見せたくないと思っている番組」の上位10位の番組について感想を書いてもらった。そのうち現在放送されている番組は8本で、見せたくない1位が『ロンドンハーツ』、2位は『めちゃ2イケてるッ!』、3位『クレヨンしんちゃん』、4位『クイズ!ヘキサゴンII』、5位『はねるのトびら』、6位『ガキの使いやあらへんで!!』、7位『リンカーン』・同『エンタの神様』。
7月28日までに30人から報告が寄せられ、「保護者が見せたくない」ことに同調できるという意見が51件、「中学生が見ても構わない」という意見が44件で、2つの意見がほぼ均衡していた(複数回答による)。

【担当委員の所感】

委員会では、7月の「中学生モニター報告」担当委員が、全体的な感想を述べた。

  • 今回は「保護者が見せたくないと思っている番組」について感想を書いてもらった結果、「保護者に同感」という意見が多い番組もあれば、「私はおもしろい」が多数を占める番組もあり、中学生と保護者の考え方の差がよくあらわれていて、興味深い意見が数多く寄せられた。
  • 「保護者が見せたくないと思っている理由」についても、中学生が保護者の考えを冷静に想像・類推した上で、自分なりのスタンスで明確に番組を選んで見ている様子もうかがえた。
  • また、日本PTAのホームページを検索して、調査サンプル数が少ないことを指摘し、保護者はもっと積極的に子どもとテレビの関係について考えるべきという意見には感心させられた。

他の委員からは以下の意見が出された。

  • 親子で考え方や感じ方にずいぶんと差のあることがよく分かった。保護者は”ためになる”番組を見せたがるが、”私たちには気晴らしも必要”との意見には共感。
  • 保護者が考えている以上に番組の良し悪しを見抜いており、”下品”なものや”不愉快”なものは、排除していることがよく分かった。
  • “本音”に迫るためには、毎回異なるテーマで感想を書いてもらうのではなく、長期にわたってテーマを絞って意見を聞く必要があるのではないか?

【全体集計】

見せたくない番組の1位『ロンドンハーツ』については、保護者の意見に同感という声が最も多く、10件寄せられた。「司会者の言葉遣いが悪く出演者をバカにしている」、「隠しカメラで芸人を笑いものにしている」、「”下ネタ”を小学生には見せたくないという保護者の気持ちが分かる」などの声が大半。一方、「興味深い企画のときは楽しめる」、「そんなに悪い内容ばかりではない」という意見も4件あった。
次いで保護者の意見に同調できるという回答が多かった番組は『クレヨンしんちゃん』と『エンタの神様』で、7件ずつだった。『クレヨンしんちゃん』についての主な理由は「テーマソングの映像が下品で、幼い子どもに見せたくないという保護者の意見に賛成」というもの。一方、保護者の意見に賛同できないという声も8件あり、「小さいときからのファンで、子どもがアニメーションを見たがるのは当たり前」、「”お尻”を出したりするのは良くないが、中2が真似をするわけがないから僕らを信頼して」という意見が寄せられた。『エンタの神様』については「”下ネタ”が多すぎるし、コントもマンネリ気味」、「”エッチ”な話には笑えないので、もっといい芸を見せて」という意見が寄せられ、見せてもいいという意見は2件だった。
それに対し、保護者の意見には同調せず、「見せてもいい」という回答が多く寄せられた番組が『クイズ!ヘキサゴンII』と『はねるのトびら』である。最も多く意見が寄せられたのは『クイズ!ヘキサゴンII』で、「ためになるクイズもあって楽しめる。なぜ見せてはいけないのか分からない」、「見せたい番組ランキングの8位にも入っている。なぜ、見せたくない番組と両方に選ばれているのか疑問」など、番組を支持する意見が11件あった。それに対し否定的な意見は「純粋なクイズ番組ではなくなって、”おバカ”タレントの番組になってしまった」、「”おバカ”な解答を保護者は見せたくないのでは…」など4件だった。『はねるのトびら』については、「”100円ショップ”や”おしゃれ魔女”のコーナーは楽しいトークや笑いがあって見ている」、「疲れたときや嫌なことの後ちょっと元気になれる」という意見が8件。批判的な意見には「食べものを粗末に扱う”回転すし”のコーナーはよくない」、「中学生にはくだらない内容が多い」など4件だった。
保護者が見せたくない番組2位の『めちゃ2イケてるッ!』については意見が8件寄せられ、賛否が4件ずつだった。「下品な発言や過激な行動など、保護者が見せたくない理由は分かる」という一方、「企画が面白く親と一緒に見ている。なぜ見てはいけないのか?勉強にならないからか」という声もあった。
『リンカーン』には9件、『ガキの使いやあらへんで!!』には8件の意見が寄せられ、「保護者が見せたくない理由は理解できる」というものが多かった。『リンカーン』では「下ネタやいじめが多い」、「内輪話で盛り上がっていて不愉快」など、『ガキの使いやあらへんで!!』では「言葉遣いが悪い」が主な意見だった。
総体的な意見としては、「子どもたちに人気のある(支持されている)番組なのだから自由に見させてはどうか」、「ストレスの発散にも役立っている」、「そんなに悪い番組とは思わない。中2にもなれば自分で選択して視聴できる」、「バカな真似はしないから僕らを信頼してほしい」という声がある一方、「下品な発言や過激な行動が嫌いだ」、「保護者が見せたくない気持ちは理解できる」という意見も多かった。最後に、今回の日本PTAの番組ランキングについて、「サンプル数が実際には少ないし、データの分析にも疑問。保護者が見せたくなければ”見せないこと”が大切で、”見せたい番組”は子どもと一緒に見ればいい」という声も参考になる意見だった。

8月のモニター報告は、夏休み中に放送された番組の中から1本を選んで、できるだけ親子や兄弟もしくは友人と見てどんな感想を持ったかを話し合い、本人の意見と家族や友人の意見を交えて報告してもらうことになった。8月の青少年委員会は休会のため、9月の委員会で、8・9月のモニター意見及びモニター制度自体についてあわせて審議する。
また、8月21日に開催する「中学生モニター会議」の参加者は17人を予定しており、7月のテーマである日本PTAの調査を基に、「保護者が子どもに見せたくない番組」を中心に委員と中学生たちが意見交換を行う。

調査研究について

事務局から10月9日開催の「デジタルネイテイブはテレビをどう見ているか?」(仮)調査発表及びシンポジウムについて、データの概要及びパネリストの候補者などが報告された。

第150回 放送と人権等権利に関する委員会

第150回 – 2009年7月

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案の審理

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案の審理 ……など

「保育園」事案の審理の結果、本事案の「委員会決定」が大筋で固まった。また、「割り箸」事案の実質審理が行われたほか、「徳島・土地改良区横領事件報道」事案で、今年3月に勧告を受けたテレビ朝日のその後の対応について報告があった。「派遣法」事案の審理は、次回委員会に持ち越しとなった。

議事の詳細

日時
2009年7月21日(火) 午後3時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案の審理

6月29日のヒアリング後に発足した起草委員会での検討を経た「委員会決定」案が提案された。審理の結果、大筋で了承され、委員長と起草委員で一部修正のうえ、持ち回り委員会によって最終決定することになった。また、一部委員は決定理由などについて補足意見を書く意向を示した。
本事案は、大阪府の保育園の理事が、道路建設のため保育園の野菜畑が行政代執行によって強制収用された当日、園児たちを現場に動員して並ばせたなどと事実に反することを、2008年10月19日のTBS『サンデージャポン』で放送され、名誉を侵害されたと申し立てたもの。

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案の審理

本事案は、東京都在住の勤務医とその家族から、2008年2月13日にTBSのニュース情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』で放送された、割り箸事故を巡る判決報道の内容が、事実誤認及び捏造を含む内容で、医師としての社会的評価を低下させるものであり、名誉を侵害されたと申し立てられたもので、7月の委員会では申立人からの「反論書」「反論書補充書」、TBSからの「再答弁書」を受けて、5月の委員会に引き続き、判決報道のやり方として適切であったかどうか、公正さに欠ける点があるのかどうか、などについて実質審理を重ねた。
次回委員会では、さらに論点をまとめて審理を進めることとした。

「徳島・土地改良区横領事件報道」事案の当該局対応

上記事案で重大な放送倫理違反があったとして、今年3月30日に「勧告」を受けたテレビ朝日は、その後の対応と取り組みを取りまとめた報告書を委員会に提出した。事務局より報告し、了承された。
(テレビ朝日の報告内容は、ホームページの「放送人権委員会委員会決定第39号」にある「当該局の対応」の項をご参照下さい。)

仲介・斡旋解決事案の報告

事務局より下記案件について報告し、了承された。

「引ったくり事件の被害者が取材を拒否したのに実名報道された」と抗議

2009年5月24日、在阪の民放テレビ局が、ニュース番組の中で、引ったくり事件の被害者を実名で報道した。この放送内容について、被害にあった女性は、「事件後、取材に来た記者に対して”プライバシーに関することなので取材はお断りします”とはっきり言ったのに、ニュースで、実名、職業、年齢などのプライバシーが報道され、多大な精神的苦痛を受けた。犯人はなお、逃走中だ」と局に訴えた。 
これに対し、当該局は、「取材拒否を実名報道拒否とは受け止めなかった。事件報道では実名報道が原則」と説明したが、女性は納得せず、局側の謝罪を求めて放送人権委員会に苦情を申し立ててきた。事務局では、当該局に対し、女性に納得してもらえるよう説明するなど話し合いでの解決を勧めた。
双方で話し合った結果、7月13日に当該局担当者が女性宅を訪ね、「お詫び」の文書を提出した。これにより問題は解決を見た。「お詫び」の内容は、(1)取材を拒否した被害者の真意を汲み取り、実名報道の適否についてより慎重に対応すべきだった。(2)今後は、被害者から匿名を希望された場合には、その理由と事件の重大性などを比較考量し判断していくなどというもの。
事務局からの問い合わせに対し、女性は、「プライバシーを侵された怒りは消えませんが、改善策を含めたお詫びがあったことを前向きに受け止め、これで解決とします」と述べている。

その他

次回委員会は8月4日(火)に臨時で開かれることになった。

以上

第28回 放送倫理検証委員会

第28回 – 2009年7月

バラエティー番組の問題点について

第28回放送倫理検証委員会は7月17日に臨時委員会として開催された。今回は、「バラエティー番組に関する問題」について担当委員が示した原案を集中的に議論した。その結果、この問題について審議することが決まり、これまでの議論を踏まえて、委員会としての「意見」案を8月中に作成し、9月の委員会でまとめることにした。

議事の詳細

日時
2009年 7月17日(金)午後5時~8時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、上滝委員長代行、小町谷委員長代行、石井委員、市川委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

バラエティー番組の問題点について

バラエティー番組全体に見られる問題点を委員会としてどう扱うのかというテーマについて、担当委員から原案が提出された。問題が指摘されている具体的な番組を、あくまで事例として取り上げることと、抽象的な議論にならないようにするという点で一致した。また、「番組向上」に力点を置くべきなのか、バラエティー番組における「放送倫理」をどうとらえるのか、表現の自由を確保しながら制作現場に自覚を持ってもらうためにはどうすべきか-など、さまざまな議論が展開された。その結果、審議入りして委員会の「意見」を出すことにした。

<主な委員の意見>

  • バラエティー番組による性表現とか暴力とかから出て来るさまざまな”おでき”が、むしろ問題なのであって、バラエティー番組そのものが健全であるとか、不健全だとかというような議論は、ちょっと的外れではないか。
  • 事例として議論の対象にしている番組中、特別にひどい要素を持った番組はない。どれもその気になって見れば、それなりに楽しめる。ささいなところで叩かれているだけだと思う。
  • バラエティー番組というのは、何でもありの世界だと思う。まさに、それこそ言論表現の自由の本質そのもので、それに対してこれがいけない、これはまずいというのは違うのではないか。
  • 「テレビバラエティー」は、テレビだという免許事業の制約があり、なおかつお茶の間に直接届けられるというメディアの特性に由来する社会的責任を持っている。番組制作者は何をやっても良いというものではない。ただ委員会は規制を求めるのではなくて、あるべきところを示すべきだ。
  • テレビのバラエティー化傾向は宿命として、あるいはある種の末期現象として、もう止めようがない。そういう中で、テレビがある規範を失って行く状態に、歯止めがかけられるだろうかという問題だ。
  • バラエティー番組ということで、エクスキューズを作ってはいけない。バラエティー番組であれば何でも良いという意識が業界にあるが、現行の民放連の作った基準、あるいは各局が作った番組基準には従うべきだ。新しく基準まで作る必要はないと思う。
  • この委員会は何のためにあるのか。”第二総務省”になることは、最も避けるべきだ。だから、総務省とは違う立場に立ってものを言うべきだ。そうすると、寄って立つところは放送法の1条しかない。まさにその自律性のためにあるわけだ。
  • 本来、局が発揮すべき自律性が、実際には発揮されていないケースがたくさんあり、それがこういう問題を引き起こす。委員会は、自律性を担保するような仕組みを各局がきちんと作る必要があるというべきだが、個々の番組で、ああだこうだという議論はすべきでない。
  • 番組制作体制の無責任化、あるいは空洞化がある。今後、こういう問題が起こらないような体制を作るべきである。問題があるごとに弁解だけして取り繕うやり方はもう通用しないと指摘すべきだ。
  • 各番組の制作者たちに法規制されるのを待っているのかと、問いかけたい。こういう問題がなぜ繰り返されるのか、繰り返されると総務省が入ってくるだけじゃなくて、それこそ法規制の問題すなわち放送法の1条の放送の自由、憲法21条を自ら縛ることになるんだ、ということを自覚すべきだ。
  • 現場にも問題があるけれども、結局は放送の経営者の問題だと思う。要するに視聴率が高ければいいみたいなところがある。

以上のような委員の意見を受けて、担当委員が新たな視点と論点を盛り込んだ修正案を作成することになった。

以上

2009年6月に視聴者から寄せられた意見

2009年6月に視聴者から寄せられた意見

日本郵政の社長人事での大臣辞任から、麻生総理・鳩山代表による「党首討論」、東国原知事の国政への転身問題、民主党鳩山代表の「故人献金疑惑」問題、そして、総理の解散時期の決断と発言のブレなど、政局の動きにつれて、それぞれの報道に関する意見が多数寄せられた。

今月もニュース・報道番組・情報系番組での政治報道についての意見が多かった。日本郵政の社長人事での大臣辞任から、麻生総理・鳩山代表による「党首討論」、東国原知事の国政への転身問題、民主党鳩山代表の「故人献金疑惑」問題、そして、総理の解散時期の決断と発言のブレなど、政局の動きにつれて、それぞれの報道に関する意見が多数寄せられた。

6月に電話・FAX・郵便・EメールでBPOに寄せられた意見は1,681件で、5月と比較し256件減少した。

方法:Eメール65%,電話30%,FAX3%,手紙ほか2%
性別:男性70%,女性26%,不明4%
世代:30歳代36%,40歳代21%,20歳代20%,50歳代11%,60歳以上10%,10歳代2%
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。6月通知数は745件(31局)であった。
またこの他に、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、32件を全加盟局・局に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

6月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 人権に関する審理・斡旋の要請・・・・・・・ 1件
    (個人または直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

【意見の傾向】

6月の視聴者意見については、今月もニュース・報道番組・情報系番組での政治報道についての意見が多かった。日本郵政の社長人事での大臣辞任から、麻生総理・鳩山代表による「党首討論」、東国原知事の国政への転身問題、民主党鳩山代表の「故人献金疑惑」問題、そして、総理の解散時期の決断と発言のブレなど、政局の動きにつれて、それぞれの報道に関する意見が多数寄せられた。特に与野党の取り扱いに偏りがあるとの指摘が多く、キーワード検索の「偏向」で83件、「公平」で77件が該当した。また、同じ報道に関する意見で、今月は放送局や番組を特定しての意見よりも報道全般への意見が多く見られた。そして、報道の是非を具体的に批判した「不適切な報道」が90件あったのに比べ、広く「報道のあり方」を論評した意見は174件あった。キャスター・コメンテーターの発言に対する批判意見は今月も多く、「不適切な発言」のキーワード検索では88件が該当した。
また、報道番組・バラエティー番組も含めて出演者の言動に対する厳しい意見も相変わらず多く、「不適格な出演者」には106件が該当した。意見内容では、今月も、近代日本の歴史に焦点を当てたシリーズ企画関連意見が72件あった。
バラエティー番組に関する意見は今月も少なかったが、ドラマについては、アイドルが主役の番組で、殺人シーンがリアルで残虐過ぎるという意見が16件あり、また、自社製作の映画の宣伝をするために、主役たちが朝から晩まで番組にゲスト出演することに対する批判意見が14件あった。また、『今夜もハッスル』が突然放送打ち切りになったことに関して、BPOの対応についての意見も含め、24件の意見が寄せられた。放送局の視聴者応対に関する意見は今月も多く46件、パチンコ・消費者金融の規制など、CMについての意見は82件、また、ラジオに関する意見が今月は20件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は前月より約10件増加した。
サンテレビ制作番組『今夜もハッスル』の終了については、24件の意見が寄せられた。また、ドラマ番組について、凄惨なシーンや設定が青少年に悪影響を与えるという批判的意見が、例月に比べて多く寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • つい数日前まで、各局は「新型インフルエンザ」について過熱報道をしていたのに、感染者数の増加が少し落ち着いた途端に全く話題にしなくなった。まだ感染の危険性がなくなったわけではないのに早々にこの話題から手を引くとは、いかにも目先の新しいものを追いかけるマスコミらしい。マスコミはそれで良いかも知れないが、国民は依然としてインフルエンザ情報を求めているのだ。
  • 大阪市で娘さんが母親やその内縁の夫らに遺棄された事件で、母親と内縁の夫がまだ「犯人である」と断定できていない段階で、この二人に無遠慮にマイクを突きつけインタビューをしていた。母親はヒステリックに「やめてくださいって言ってるでしょう!!」と答えていた。報道は”結果オーライ”ではいけない。”推定無罪”の段階で、このようなインタビューの映像を使って報道してしまうのは危険だと思う。報道によって視聴者に先入観や偏見を与えてはいけない。
  • マンション火災の目撃者としてテレビのインタビューを受けた。男性リポーターに顔は出さないようお願いし、リポーターもカメラマンにそのことを伝えたと記憶している。ところが、その日の夕方のニュースで、私の顔が放送されてしまった。その後、人に合うたびに、「見たよ」「顔がバッチリ映っていたね」「写して欲しいって言ったんじゃないの」と言われ、その度に、「顔は写さないと約束したのに」と弁解しなければならなくなった。そこで、テレビ局に「顔は出さないと約束したのに、放送されて迷惑している」と苦情の電話をすると、「顔を出さないで欲しいとは理解しなかった。真実味があるので顔を出して放送した」と言われた。顔を出して放送するのなら、事前に私の承諾をとるべきだ。
  • 栃木県足利市で4歳の女の子が殺害された「足利事件」で逮捕され服役していた方が、逮捕から17年半ぶりに釈放された件が報道されている。しかし、被害者の4歳の女の子やその家族について気遣う報道が一切ない。一言「亡くなった女の子のご冥福をお祈りします」という言葉があってもよいのではないか。これでは”被害者不在”の報道である。
  • 「児童ポルノ単純所持規制」について、中立性に欠けた放送があった。「単純所持規制」における危険性や、諸外国で起きている問題などは、全く報道されなかった。一方的に「規制すべき」という主張ばかりが取り沙汰されており、これでは「世論の誘導」と受け取らざるを得ない。諸外国では、親が子の入浴中の写真を所持していただけで逮捕されたり、ジャーナリストが情報を集めていた際に、その資料を単純に所持していただけで逮捕されたりしている。それなのに、この法律の危険な側面を伝えないのは明らかに問題がある。
  • 全盲の日本人青年が国際ピアノコンクールで優勝したことを伝える際、「彼の音楽性のどの部分が評価されたのか」という最も大切なことを脇にやり、「全盲」であることばかりを強調していたのが実に残念だった。この青年は「自分では”全盲”を意識したことはなく、ピアノを演奏する上で不利だと感じたこともない」と言い切っている。正に”実力”が認められたわけであり、本人もその点が一番うれしいのだと思う。メディアはそうした「演奏家としての喜び」を伝えるべきなのにそれをせず、勝手に「ハンデを克服しての快挙」などと陳腐な美談に仕立てて視聴者の感動を誘おうとしていた。「何でも”涙”に結び付けなければ、視聴者は喜ばない」という思い込みによる報道のスタイルは、実にレベルが低く、視聴者を馬鹿にしていると思う。
  • 政府の追加経済対策である補正予算の中の「国立メディア芸術総合センターの創設」に触れていた。司会者とコメンテーターは、このメディアセンターを「税金の無駄使い」として批判していたが、根拠もないのに「無駄だ」と発言するのはおかしいと思う。また、今回の経済対策は「国立メディア芸術総合センター」に限ったことではない。「中小企業支援」や「雇用対策」「インフラ整備」「エネルギー開発」等々、実際は多岐に亘る内容なのだが、これらについてはほとんど報じていない。これでは「国立メディア芸術総合センター」をネタに、野党と一緒になって政府を批判しているとしか思えない。
  • 東京の放送局は、行政における税金の無駄の象徴として、東京以外の地域の道路や公共施設、いわゆる”箱物”についてよく取り上げている。事実を伝えてはいるのだろうが、どうして東京以外の地域のことばかりが取り上げられ、東京のことが全くといっていいほど報道されないのか疑問を持つ。東京でも、他の地域同様に無駄なものがたくさん建設されているではないか。他の地域では許されなくても、首都である東京ならば何でも許されるのだろうか。行政の仕事に無駄や誤りがないかをチェックするのは報道機関としてもちろん大事だが、東京でも他の地域と同様に行政の無駄や誤りがあることを厳しくただすべきだ。
  • 金正日総書記の後継者問題やミサイル問題など、「北朝鮮」をワイドショー的に話題にする番組が多過ぎる。北朝鮮で核実験が本当に行われたのかどうかだって誰も見たわけではないはずで、核実験の規模の大きさなど、はなはだ疑問である。テレビの情報番組などが「将軍様の元料理人」なる人物を出演させて興味本位で騒ぐのは、見ていて滑稽ですらある。
  • 鳩山民主党代表の政治団体への献金についてだが、「亡くなった人からの個人献金があった」という事実があるにもかかわらず、テレビでは一切の報道がない。次期首相となる可能性がある政治家の政治資金について不明瞭な記載があることが判明し、場合によっては迂回献金の可能性もあるというのに、それを報道しないのは民主党擁護のための偏向報道であり、不偏不党の原則を破るものである。
  • 元教え子に裸の写真を送るように強要した小学校教諭が逮捕された事件を伝えていたが、逮捕された途端に、それまでにこっそりと隠し撮りをしていたと思われる容疑者の映像を流すのはおかしいと思う。事前に警察から情報が流されていたのだろうか?子どもに挨拶する様子や、任意同行を求められた瞬間の映像などもあり、ずっと狙っていたように思われてとても怖くなった。逮捕される以前は一般人なのに、こんなふうに日常生活を隠し撮りすることに問題はないのだろうか?
  • 「足利事件」について、当時の報道のあり方が正しかったのか、誤りは全くなかったのか、きちんと真実を伝えることにのみ徹していたか、それとも、ただ単に警察や検察の情報を鵜呑みにして、犯人と結びつけるようなことが行われていなかったのか等々を検証した番組はないように思う。だが、それでよいのだろうか。今回の件は、それらを反省すべき良い機会と思っている。
  • 障害者郵便の不正利用に関する報道で、どこのテレビ局も「国会議員が関わっていた」と報道しているが、その国会議員の名前を報道しないのはどういうことか。その国会議員が野党だからなのか。もし与党の議員ならば連日のように報道するくせに、この差は一体何なのか。

【番組全般、その他】

  • テレビ局のアナウンサーらによる劇が上演され、その録画を深夜に放送していた。普段ニュースを読む姿でお馴染みのアナウンサー達が、「黒タイツ」や「ヘソ出しルック」等のあられもない姿で役を演じていた。このようなものを放送する意義があるのだろうか?かえって局アナの評価を落とすだけだと思う。
  • チビッ子の地図をたよりに、芸能人がお家に訪ねていくというコーナーがある。しかし、テレビで一般の子どもの家までの道順をあんなに克明に言ってしまって良いのかと心配になった。個人情報の大切さが叫ばれる現代において問題だと思うし、「犯罪」に結びつく可能性も捨て切れないと思う。もっと深く考えてから番組を作ってほしいと切に願う。
  • 「全裸になって公園で騒ぎ、逮捕されたアイドルタレントが復帰する」と各局のワイドショーで騒いでいる。でも、復帰は早過ぎると思う。どんな罪であるにせよ罪を犯したのだから、もっと自分の罪を考える時間を与えるべきだ。地デジのCMの復帰はまだのようだが、せめて総務省関連のCMくらいよく検討してから決めて頂きたい。
  • 焼肉店の韓国人シェフが「床に肉を叩きつけて美味しくする」として、土足で歩く地面に牛肉を叩きつけているシーンが放送されたが、衛生的に問題があるのではないか?事実なら保健所に連絡して、事件として放送するべきである。仮に番組側の演出であるならば、言語道断だ。
  • 番組の中で「アスパラガス&塩尻産赤ワイン」のプレゼントがありましたが、未成年者の応募を禁止する表示やコメントがありませんでした。飲酒の低年齢化が問題になっている今、プレゼントが赤ワインなのですから、未成年者の応募規制を明確にするべきだと思います。
  • 関西の放送局の番組は、出演者がみな関西弁で放送している。関西地方だけ放送されているなら、どんなに汚い関西弁を使ってもいいと思っているのだろうか。全国ネットの番組の司会者で、怒ると急に汚い関西弁になる人がいるが、放送は正しい日本語で伝えるべきだと思う。放送というのは、井戸端会議をしているのとは訳が違う。関西の番組といえども、標準語で放送するべきである。
  • 公共の電波を使って、一日中、異常と言える量の自局製作の映画の宣伝をする行為は問題ではないのか。自局の儲けのためだけに、ここまで公共の電波を使用することは到底許されることではない。国民の共有の財産である電波を完全に私物化している。
  • プロ野球中継を見ていると「負け越し」の数を「借金」と表現している。しかし、野球の負けのことを「借金」と表現するのは正しい日本語とは言えない。視聴者の中には借金に苦しんでいる人も見ているだろうし、「借金」と繰り返し言われては野球中継が楽しめないだろう。ちゃんと「負け越し」と表現すべきだ。
  • ホタルイカの扱い方が非常に不愉快だった。「ホタルイカの光で勉強できるか」という内容で、生きているホタルイカを机の上に放置したり乱暴に扱うなどしていたが、生きているもの、食べるものに対しての尊敬の気持ちが足りないのではないか。まったく「食べ物」としての扱いではなかったが、協力してもらった漁師さん達への配慮もなかった。バラエティー番組として全く笑うことができない、残酷な内容だった。テレビ局にも抗議の電話を入れたが、対応した方は「実験ですので」と開き直りとも取れる応対だった。専門家や科学的な根拠に基づいた実験でないことは明白なのに、よくそのような言い訳ができるものだとあきれてしまう。
  • スポーツニュースのコーナーで、司会者が「イケメンプロゴルファー」という発言をした。しかし、スポーツの報道に「イケメン」や「美人」という形容詞は必要ないと思う。番組によっては、優勝した選手よりも2位以下の「イケメン」あるいは「美人」選手を優先して扱うことがある。バラエティー番組ではないのだから、純粋に技術の高さを報道すればよいのではないか?
  • 女性のゲストが「スーパーなどで会計の前にコーラ等を飲んで、飲みかけをレジに持って行って会計する」と発言し、司会者も「母親がやっていたので、自分もたまに飲んでから会計を通したりもする」と発言していた。外国では良くあることらしい。しかし、日本では販売店の事前了解がなければ、れっきとした犯罪である。事後に料金を支払えば良いというものではない。この番組は生放送ではないのだから、この発言部分は犯罪行為を助長する恐れがあるとして編集でカットすべきであったと考える。
  • 報道機関は、政府の宣伝の片棒を担ぐかのように「エコの電気製品に買い替えるとポイントがつく」「エコカーに買い替えると税金が安くなる」などと、毎日「エコ」と叫んでいる。しかし、素人の素朴な疑問として、これらはどうも眉唾のようにも思われる。現在使っているテレビはまだ使えるのに、買い替えると古いテレビは処分することになる。自動車を買い替えると、現在使っている自動車はまだ使えるのに廃車にすることになる。エコカーやエコ家電といっても、それを生産するのにたくさんのエネルギーや石油資源を使ったりする。「電気自動車はCO2を排出しない」とは言っても、充電用の電気を発電するのに大変な化石燃料をつかうだろう。そのように考えてみると、マスコミが「エコ」と叫んでいるのは、大企業の営利活動の支援、政府の景気対策の支援でしかないのではないかという気がしてならないのだが、それを解明するような報道がなされていないのではないか。
  • 「ペーパードライバー対決」という企画で、ペーパードライバーの女性タレントが車を運転していた。無謀な急発進・急停車・停止線を越えるなど危ない場面が何度もあったが、中でも一番危なかったのが自転車の通行人を轢きそうになった場面だった。一般公道で、このような企画の撮影をするべきではないと思う。
  • 女優の豪華な結婚式について、大々的に取り上げていた。「超有名シェフ数人による最高級料理の数々」「出されたワインの銘柄」「引き出物」「ご祝儀の相場」等々、賞賛と驚嘆を交えて30分近くにわたり延々と解説していたが、「いつ次の話題に切り替わるのか?」と待ちながら見ていた私はうんざりした。不景気で日々の生活にも事欠く人達が多い世の中を尻目に芸能人が超豪華な式を挙げるのは構わないが、それを大騒ぎして伝えるテレビの無神経さには腹が立って仕方がない。伝えるなら簡潔に新郎新婦の様子を紹介して、「おめでとう」と祝福する程度で十分だと思う。
  • 番組の最後の方で「この後、〇〇!」と字幕で表示されて、CMになった。そして、CMが終わると、その出演者が「次週のゲスト」として紹介された。この番組はいつもそうだが、来週のことなのに「この後〇〇登場!」と煽るのである。実際は次回の登場であっても「この後」と書かれたら、見る側は今からそのゲストが出てくると勘違いする。このように勘違いさせる字幕を出すのは止めて欲しい。普通に「来週〇〇登場!」でいいのではとないか思う。

【CM】

  • 出勤前の夫に妻が鞄をぶつけ、そこに電気保安協会の人が仲裁に入って「漏電遮断器」の設置を呼びかけるCMがあります。恐らく、夫婦の「ピリピリ」した雰囲気と電気の「ピリピリ」をかけたものだと思いますが、鞄をぶつけられている夫の姿が哀れで、見るに忍びないのです。このような夫婦の形をCMで放送されると、子どもが父親を尊敬しなくなりはしないかと心配になりますし、鞄をぶつける行為も真似をしそうで心配です。
  • 炭酸飲料のCMで「高校生しか飲んじゃだめ」という台詞がありますが、何を理由にそんなことを言うのでしょうか。不愉快極まりないです。
  • 番組を見ていると、大変すばらしい「ハンバーグ屋さん」が感動的に紹介されている。ところが終盤になると、いきなり家族や出演者全員が「健康飲料」を飲んでいる話になり、そのままスポンサーの健康飲料のコマーシャルになるという番組である。局とスポンサーに電話をすると、「放送法上も問題がないから放送している」との回答があった。しかし、明らかに「スポンサーによる放送時間の丸抱え買取り」であり、コマーシャル基準に抵触しているのではないかと思われる。
  • 私の子どもは片耳が聞こえず、テレビ番組を通常より少し大きな音量で視聴するのが常となっている。そのとき大変困るのが、番組本編からCMに切り替わると突然音量が大きくなることです。子どもと一緒に見ていると、両耳が健常な私でも驚くことが多々ある。番組中の音量とCMの音量について調査していただき、CMの音量についてガイドラインを定めていただければありがたい。以前、画面の点滅で視聴する子どもに異変が生じたことがあったかと思うが、音についても同様な子どもがいることに配慮していただければ幸いです。

【BPOへの意見】

  • BPOは、12時から13時の間も電話の受付をしてほしい。確認をとりながら伝えたいこともあるので、メールやFAXではなくて電話で話したい。普通の会社員の場合は12時から13時までがお昼休憩になることが多く、それ以外の時間はBPOに電話できない。また、夕方は5時で電話受付が終わるが、もっと延ばせないだろうか。できれば土曜日も日曜日も電話を受け付けてほしい。

青少年に関する意見

【『今夜もハッスル』番組終了について】

  • ゴールデンタイムやプライムタイムに「お色気番組」を放送することは問題だとは思うが、深夜にやることは別に問題がないと思う。深夜は子どもは大抵寝ているので、リアルタイムで視聴することは困難だ。
  • 「子どもが見たらどうするのか」とのことだが、それは親が責任を持って子どもを監視していればいいだけのことであり、番組を打ち切るほどのことではない。
  • BPOの放送局に対する事実上の権限が大きくなり過ぎているのではないかと強く懸念する。たとえこの番組の内容が見るにたえないものであり、放送打ち切りが当然であったとしても、BPOが建前として放送局に対する強制力を持たないと言いながら、事実上、強制力を持ってしまっている事実は大きな問題だ。

【暴力的・衝撃的表現について】

  • 「返り血を浴びる殺人シーン」が予想以上にリアル過ぎだ。あそこまでリアルに殺人の仕方を映像化する必要があったのだろうか。出演者がヒーロー的な存在の役者であり、見ていた子どもも多かったと思う。我が家の場合、この日の放送を見た息子は恐怖のあまり、その夜「怖い」を連発して泣きじゃくってしまった。番組制作者の方には、子どもの心の傷になるような番組は放送しないで頂くよう配慮をお願いしたい。
  • 子どもが子どもを殺害するところからストーリーが始まったが、社会に与える影響を考慮するとそのような題材をドラマにすること自体、問題があると思う。「親子や家族の愛を描く」という目的なら、他に相応しい題材がいくらでもあると思う。
  • 暴力や殺人など過激なシーンが多く、ハラハラドキドキを通り越して恐怖感を覚える。この番組は人気アイドルを主役にしていることから、小中学生もたくさん見ていると思われる。だが、番組制作者は「子ども達に悪い影響はないか」などを考えて作っているのだろうか。いい加減に殺人や暴力の垂れ流しはやめてもらいたい。
  • 原作の展開上、猟奇的なキャラクターや過激な描写があった。アニメでは若干の変更がされていたが、見るにたえないところがある。青少年にあまり影響しないように、放送を深夜枠に変更してほしい。また18時から19時の枠には、過激なアニメに対しての規制を設けて欲しい。
  • 「衝撃映像」と題して交通事故や火災、強盗事件の映像などを何回も放送していた。人が車にひかれる瞬間をスローで繰り返したり、倒れている被害者の方の映像も多く、とても不快に感じた。20代の自分でも見るにたえない映像があったが、放送時間帯を考えれば子どもも見ていると思われるので、精神的なショックを受ける可能性はとても大きいと思う。

【言葉に対する意見】

  • 出演していた女性タレントの言葉遣いが非常に乱暴で汚かった。例えば「すごい」という言葉が若者の間で頻繁に使われているが、ただでさえ下品なこの言葉を更に汚く「スゲェ!」と発音し、放送中にそれを何度も繰り返していた。彼女の話し方には日本語の美しさなど微塵も感じられない。
  • お笑い芸人が別の出演者に「殺すぞ、こら」と言っていた。子どもも見る時間帯の放送で、そのような発言をそのまま放送するのは不愉快である。しかも、発言そのままの字幕まで付いていた。番組を作る側の配慮がなさすぎる。

【性表現について】

  • 司会者が素人の夫婦から性生活も含め赤裸々な話を引き出す番組について、「放送するな」とは言わないが、このような内容の番組を子どものいる時間に放送するのは無理がある。時間を深夜に移行するべきだと思う。
  • (アニメ番組で)女の子をくどいてラブホテルに誘うというもので、夕方の小学生が見る時間帯に放送する内容ではなかった。深夜に放送するならまだしも、登場人物が面白おかしく話す内容は、大人の性的なきわどいギャグだった。小学生の見る時間帯に、性的な内容の放送をするのは止めてほしい。

【その他の意見】

  • 東京・池袋駅前の飛び降り自殺の報道を見たが、飛び降りる瞬間をテレビで映す必要があるのだろうか?あまりに過激すぎて、もし子どもが見ていたら恐怖感にも見舞われる恐れのある映像だ。飛び降りた人にも配慮をすべきだと思う。

【CMに関する意見】

  • 最近パチンコのCMが非常に多い。特に昔のアニメを題材にしたパチンコのCMは、子どもがゲームと勘違いしてしまう。子を持つ親として、このようなCMはやめてほしい。
  • 子どもが見ている時間帯に「パチンコ」のCMが多すぎる。パチンコ以外でも、「競馬」「宝くじ」も「ギャンブル」である。「ギャンブル」を推奨するようなCMは放送すべきでない。

第27回 放送倫理検証委員会

第27回 – 2009年7月

虚偽証言をスクープとして放送した日本テレビの報道番組『真相報道バンキシャ!』

戦時性暴力を扱ったNHKの『ETV2001』 …など

第27回放送倫理検証委員会は7月10日に開催され、まず、日本テレビ『バンキシャ』について5回目の審理を行った。担当委員による委員会決定文の修正案が提出され、審理の結果、初めての「勧告」を出すこととなった。決定の具体的表現については委員長および担当委員に一任とし、速やかに当該局への通知と公表を行うこととした。
NHK『ETV2001』については、前回の委員会で発行することをきめたブックレットについて、掲載する文書等の詰めの討議が行われた。二重行政をテーマに大阪府の道路清掃を取り上げた『ニュースキャスター』事案は審議入りしないことをきめた。その理由を「委員長談話」として明文化し、委員会からの質問に対するTBSの回答とあわせて公表することにした。
バラエティー番組の問題点に関する討議は、担当委員により提出された原案について各委員の意見交換を行い、方向性を確認した。7月17日に臨時委員会を開いて集中的に議論することにした。
ホームレスの男性の生活を報道した『スーパーJチャンネル』に対して、取材を受けた男性がヤラセがあったなどと抗議している事案については、当該男性とテレビ朝日との間の話し合いを当面見守ることにした。
北朝鮮の金正日総書記の三男の写真の誤報問題は、テレビ朝日が速やかに誤りに気付き、翌日の放送でお詫びがなされたので、取り上げないこととした。

議事の詳細

日時
2009年 7月10日(金)午後5時~8時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、上滝委員長代行、小町谷委員長代行、石井委員、市川委員、里中委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

虚偽証言をスクープとして放送した日本テレビの報道番組『真相報道バンキシャ!』

岐阜県が発注した土木工事で、裏金作りが行われているという建設会社役員の証言を報じた日本テレビの報道番組『バンキシャ!』(2008年11月23日放送)について、担当委員が作成した決定文の修正案をもとに審理した。 委員会は審理の結果、検証番組の制作を求めることなど、複数の問題点について具体的な「勧告」を行うことで一致した。 なお、「再発防止計画」については、検証番組の中に盛り込むことを求めることとし、文書での提出は求めないことにした。

<主な委員の意見>

  • この事案を社会的に捉えれば、事実に反する報道であることが明白である点でも、刑事事件の手段となり実害をもたらした点からも『あるある大事典』よりも重いといえるだろう。
  • 番組を制作していく過程で、分業化は進んでいるが、それをつないでゆく司令塔の役割が機能していない。事が起こる前にコミュニケーションを深め、指示を仰ぐことが危機管理の本質だ。
  • この事案は情報提供者の異常さに原因があるが、10年に1度くらいはこういう問題が起きるので、局は対応能力を持った人物を育て、配置すべきだ。
  • 日本テレビへのヒアリングでは異口同音に、税金を不正に使うことは良くないという答えが返ってきた。会計検査院の調査とこの告発とを、「裏金」という同一の言葉を使って、同質のものとして報じた原因は、税金の不正使用を責める報道をすれば視聴者が納得してくれるだろう、という安易な考えがあったからではないか。
  • 放送法に則った訂正放送といいながら、何を訂正し、お詫びしたのか全然分からない。意味不明かつ中途半端であったことが問題だ。

日本テレビへの通知と記者発表は7月30日に行うことにした。(委員会決定本文はこちら)

戦時性暴力を扱ったNHKの『ETV2001』

前回の委員会で、この事案の委員会決定に関して、より広く、深い議論をしてもらいたいという趣旨で、ブックレットを発行することにした。ブックレットには、委員会の「意見」および添付資料(「NHKへの質問と回答」および「業務命令と制作者の自由をめぐる論点の整理」)、委員会の「意見」に対してNHKが出した見解―を収録することにした。なお、NHKが出した見解に対しては、ブックレットの前文の委員長コメントのなかで委員会の考え方を表明するとともに、この問題についての議論が行われたNHK経営委員会の議事録のURLを掲載することにした。

道路清掃をめぐる二重行政を取り上げたTBS『情報7daysニュースキャスター』

二重行政の例として、大阪府道と国道との交差点において、府の清掃車が国道を横切るときに清掃用のブラシを上げ、国道は清掃しないで通行する映像がTBSの『情報7daysニュースキャスター』(4月11日)で放送された。通常はブラシを上げていないので、TBSは、これが誤解を招く放送であったことを認め、お詫び放送を行い、更に、委員会の質問に対し、再発防止策を盛り込んだ回答書を提出した。委員会では、問題の小ささと、局が既に自主的・自律的に誤りを十分に正していることから審議入りはしないこととしたが、委員会の決定について誤解を生まないよう、その理由を「委員長談話」として明示し、「委員会が出した質問書とTBSの回答書」と共に公表することにした。
なお、「委員長談話」では、委員会がこの事案を討議中であるのに、総務省がその結果を待たずにTBSに対して「厳重注意」を行ったことについての委員会の考え方も表明することとした。(委員長談話などはこちらを参照)

バラエティー番組の問題点について

バラエティー番組全体に見られる放送倫理上の問題点を議論するために、担当委員が方向性について絞り込むメモを作成して討議を行った。前回の委員会で委員から出された提案どおり、次回の委員会で集中的に議論することとなった。

<主な委員の意見>

  • 放送法の精神、番組編集準則、番組基準の設定、これらは報道だけではなく、バラエティーにも当てはまる。性表現に関する放送基準は、報道はもちろんバラエティー番組の基準でもある。何かバラエティーだけが特殊なものとして捉えられてしまうことに、危惧をいだく。
  • テレビの中に、何でもありの、底なし沼みたいなものがある。そういうテレビが生み出したブラックホールを、どう扱っていくべきなのか。
  • バラエティーとは、論じようが論じまいが、自然発生的に出てきた分野であるし、これからも変化して行くと思う。変に、原理主義的に捉えるのは、高みからものを言っているように見える。ブラックホールもあっての宇宙だから、作る側の自由も尊重すべきだ。
  • 抽象的な議論よりも、問題点を抱えたバラエティー番組が、どんどんあふれてくるという現象は、一体どこに原因があるのかということにポイントを絞るべきだ。
  • 質が低く、世間的に守る価値がないと思われているような言論をいかに守るかというのが、アメリカの言論の自由に関する判例だ。この議論も、問題の立て方を誤ると、バラエティー番組は守る必要がないという方向に行く危険性を感じる。
  • ただ、アメリカでは、性的な表現などのテレビ放送が許容される基準は日本以上に厳しい。その理由は、地上波という有限でどこにでも届く媒体を使った放送の守るべき公共性とか、社会的責任にあり、そこが普通の出版活動とは絶対に違う。

この事案は、7月17日に臨時委員会を開いて集中的に議論することになった。

取材されたホームレスの男性から抗議があったテレビ朝日の『スーパーJチャンネル』

今年の1月20日に、札幌市のホームレスの男性を取りあげ、日常どのような生活をしているかを詳しく放送した。その男性がテレビ朝日に対して、取材の際、ヤラセなどがあったと抗議していることが週刊誌で報じられた。双方の言い分が食い違う上、テレビ朝日の対応も継続しているので、当面、両者間のやり取りを見守ることとした。

金正日総書記の三男の写真を誤報したテレビ朝日の『ワイドスクランブル』

テレビ朝日が、韓国在住の金正日総書記の「そっくりさん」として有名な男性の写真を、三男の近影として報道した事案。テレビ朝日は、6月10日昼前の『ワイドスクランブル』で「これが三男の写真だ」と放送した。しかし、夕方の報道番組で同様の放送をしたあと、その番組のエンド部分で「三男かどうかを確認中」とコメントし、新聞のラテ欄で予告していた夜の『報道ステーション』では、お断りのコメントだけで放送しなかった。そして、翌日の各番組で誤報だったことをお詫びした。誤報の原因が裏づけ取材の不足だったことを速やかに確認し、お詫び放送もくり返ししているので、委員会としては取り上げないこととした。

以上