第108回 放送と人権等権利に関する委員会

第108回 – 2006年1月

「新ビジネス”うなずき屋”報道」決定の通知・公表の報告

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理…など

「新ビジネス”うなずき屋”報道」決定の通知・公表の報告

本事案については、12月の委員会で「決定(草案)」の了承を受けた後、年明けの持ち回りの委員会で「決定(案)」についての了承を得た。

こうした過程を経て今月の委員会当日、審理に先立って「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案の「委員会決定」(見解)を申立人ならびに被申立人の双方に通知し、その後、記者発表を行なって「決定」を公表した旨、飽戸委員長、起草委員と事務局から報告された。

報告の要旨は「決定」を受けた後、申立人は「テレビ東京の当該番組が放送倫理に違反すると委員会に認めていただいた。申立てた意味があった」と述べ、一方、テレビ東京は「放送人権委員会の決定で指摘された点を真摯に受け止め、今後一層放送倫理を遵守した報道に努めてまいります」とのコメントを発表したこと。また記者発表には放送人権委員会から飽戸弘委員長、起草委員の右崎正博委員、崔洋一委員が出席したが、出席した記者から「金銭授受の場面は、まさに”やらせ”ではないか」との質問があったが、右崎委員は「”やらせ”の定義がはっきりしないので、その言葉を使わなかったが、不適切な過剰演出だったと認識している」との判断を示したことなど。

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理

この事案は、2005年6月及び7月に関西テレビで放送されたバラエティ―番組「たかじん胸いっぱい」に対し、東京都在住で出演者の元夫が「元妻の発言等によって、名誉・プライバシー権の侵害を受けた」と申し立てていたものである。

放送人権委員会は、12月の委員会で、本件事案の審理入りを決め、当該局に対し「申立書」に対する「答弁書」の提出を求めていた。今月の委員会では、その「申立書」及び「答弁書」を基に1時間以上に亘って審理を行った。 その結果、申立人に対しては「反論書」、当該局には「再答弁書」の提出を求め、2月の委員会で論点整理を行い、3月の委員会では、申立人、被申立人双方に対してヒアリングを実施することで、審理を進めることにした。

「犯罪被害者等基本計画」に関する放送人権委員会声明について

2005年12月27日に閣議決定された「犯罪被害者等基本計画」について、放送人権委員会は同日声明を発表した。この経緯を事務局が以下のように報告した。

「放送人権委員会声明の原案を渡邉眞次委員が作成、それを各委員に送り、修正要望などを加味して、当基本計画が閣議決定された後に放送人権委員会声明を総務省記者クラブや情報通信記者会などを通じて発表した。年末のお忙しいところ、声明作成にご協力いただき有難うございました」

この放送人権委員会声明の骨子は「犯罪被害者の実名開示の可否の問題は、報道関係者が被害者との信頼関係を築きながら自主的に解決すべきであって、警察に判断を委ねることで解決すべき問題ではない。今回の閣議決定は報道の死命を制しかねない重大な問題である」というもの。(第107回放送人権委員会議事録参照)

委員からは「声明を出してよかった」という意見が数多く出ていた。

「喫茶店廃業報道」決定後の毎日放送の改善報告について

2005年10月に当該事案について委員会決定を受けた毎日放送は、3か月後の2006年1月に放送人権委員会委員長宛に、「委員会決定後の当社の取り組みについて」という文書の提出があったことが事務局から報告された。毎日放送は、この改善措置の中で、再発防止の取り組みとして?決定内容を報道局内に徹底すること?デスクのチェック体制の強化?講師を招いての研修会の開催などをあげている。

委員からは、「このところ当該局の対応の仕方はよくなっている」「毎日放送も、かなり前向きに対応している」との意見が出た。

苦情対応状況[12月]

2005年12月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(18件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・5件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・13件

最後に、次回委員会は2月21日(火)午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上