第315回

第315回 – 2023年4月

「ローカル深夜番組女性出演者からの申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2023年4月18日(火)  午後4時 ~ 午後7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、丹羽委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「ローカル深夜番組女性出演者からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、あいテレビ(愛媛県)が2022年3月まで放送していた深夜のローカルバラエティー番組『鶴ツル』。この番組は男性タレント、愛媛県在住の住職とフリーアナウンサーである申立人の3人を出演者として、2016年4月に放送が開始された。3人が飲酒しながらトークを行う番組だが、申立人が、番組中での他の出演者からの度重なるセクハラ発言などによって精神的な苦痛を受けたとして申し立てた。
申立書によると、番組開始当初から苦痛、改善を訴えていたにもかかわらず、放送された他の出演者のトークが、申立人自身に対するものも含めてしばしば性的な内容に関することに及んで申立人に羞恥心を抱かせることで、また、そのような内容の番組の放送によって申立人のイメージが損なわれたことで、人権侵害を受け、放送倫理上の問題が生じたと主張している。
被申立人のあいテレビは、申立人は番組の趣旨を十分に理解した上で出演しており、申立人からの苦情も2021年11月が初めてで、また、番組の内容も社会通念上相当な範囲を逸脱しておらず、人権侵害や放送倫理上の問題はない、と主張している。
今回の委員会では、起草委員作成の決定文草案について活発に議論が行われた。次回委員会でさらに文案を検討していくこととなった

2.「判断ガイド2023」進捗状況報告

事務局から今年中の完成を目指す「判断ガイド2023」について作業の進捗状況を報告した。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

以上

第182回

第182回–2023年4月

東海地区ラジオ局との意見交換会の報告

第182回放送倫理検証委員会は、新しく毛利透委員が加わり10人の委員が出席して4月14日に開催され、3月に名古屋市で行われた東海地区ラジオ局との意見交換会の模様や、3月にBPOに寄せられた視聴者意見などが報告され議論を行った。

議事の詳細

日時
2023年4月14日(金)午後5時~午後6時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 東海地区ラジオ局との意見交換会の報告

3月17日に名古屋市で、愛知・岐阜・三重の3県のラジオ局8局から約20人が参加して、委員との意見交換会が行われた。ラジオ局だけを対象にした意見交換会を開くのは、2007年の委員会発足以来、初めてのことである。
参加した委員からは「私たちはこれまでラジオにあまり目配りをしてこなかった。今回を初めの一歩として今後も続けていきたい」「議論の主たるテーマの1つだった『政治的公平性』について、放送局によって意識のばらつきがあることが分かった」「ラジオとテレビでは、同じ放送事業者とはいえ番組制作の事情がかなり異なることが分かった」といった感想や報告があった。
意見交換会の詳細はこちら

2. 3月に寄せられた視聴者・聴取者意見を議論

3月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、ニュース番組でメジャーリーグの大谷翔平選手を乗せた飛行機を撮影しようと、取材ヘリコプターが夜遅くに羽田空港付近で長時間旋回し、騒音被害を受けたという苦情が多数寄せられたことや、ゲストが差別的な発言と受け取れるコメントをした番組があったことや、情報番組で動物園から生中継をした際に、出演者がペンギンのいる池にわざと何回も落ちたことについて「ペンギンを虐待している」という意見が殺到したことなどが事務局から報告され、議論が行われた。

以上

2023年3月17日

東海地区3県のラジオ局と意見交換会を開催

愛知、岐阜、三重の3県のラジオ局と放送倫理検証委員会との意見交換会が、2023年3月17日、名古屋市で開催された。ラジオ局側の参加者はAM、FMあわせて8局20人、委員会からは小町谷育子委員長、岸本葉子委員長代行、大石裕委員、大村恵実委員、長嶋甲兵委員の5人が出席した。放送倫理検証委員会がラジオ局だけを対象にした意見交換会を開くのは、2007年の委員会発足以来、初めてのことである。

冒頭、小町谷委員長が「昨年、数は少ないものの、ラジオ局の番組について聴取者から意見が届いた。それをきっかけにラジオ局について考えはじめたところ、私たちがラジオ局の実情をあまり知らないということに気づいた。というのも委員会は過去、ラジオ局の事案を議論したことがなかったからだ。そこでまずは、ラジオ局のみなさんと意見交換をさせていただこうということになった」と述べ、開催の趣旨を説明した。
これに続いて主に、次の3つのテーマについて意見が交換された。
「パーソナリティーについて」「政治的公平性について」「番組と広告について」である。

パーソナリティーについて

司会をつとめる放送倫理検証委員会の調査役から、関西のラジオ局で起きたひとつの事案が紹介された。朝のラジオ番組で、俳優が亡くなったことを報じる新聞記事を取り上げた際、違法薬物の影響を疑うような発言をし、結果、謝罪に至ったというもの。
これについて、生放送を多く担当するラジオ局の参加者から、「パーソナリティーには年齢を重ねられた人生の大先輩が多く、若手の制作者が何かを指摘しても受け入れてもらえないことがある」という趣旨の発言があった。
「同じ放送といっても、ラジオの場合はテレビと異なり、1人のディレクターが長時間の生放送を担当するケースが多く、流れの中でパーソナリティーにおまかせ、という状態になることもある」、「パーソナリティーとはよく言ったもので、個性を打ち出すことによってリスナーを引きつけるという現実がある」、「ヒヤリ、ハットのおそれは社内で絶えず共有している。ただ、今のラジオが生放送を中心にやっている以上、このリスクを減らすのは難しい」などの意見も出された。
その一方、「放送内容で分からないことがあったら必ず確認する。まるまるパーソナリティーにおまかせして、その人の発言が、間違いを含めて出ることがないよう心がけている」という趣旨の発言もあり、局や番組によって制作環境に違いのあることが明らかになった。
これらに対し、在京ラジオ局の番組審議会委員長をつとめた経験のある大石委員からは「ラジオがもっと多くのリスナーを獲得していこうと考えるなら、保守的な感性に陥ることなく、『あっ、こういう面白い人がいる』と、冒険をすることも必要だ。可能性を信じて頑張っていただきたい」という発言があった。
放送番組の制作にたずさわる長嶋委員は「(ラジオというメディアが)personalであり、intimate(親密)であるからこそ、テレビとは違う、面白い個性が発掘される可能性は、まだまだある」と指摘した。
現役のラジオ番組出演者でもある岸本委員長代行は、コスト・コントロールとリスク管理の両立、さらにはマンパワーの問題が、ラジオ局共通の問題であることを指摘した上で、自分の体験をもとに、定年後のスタッフの活用方法が、今後の番組作りの鍵になる可能性があることを示唆した。

政治的公平性について

去年1月に放送された関西のテレビ局の番組で、ひとつの政党の関係者ばかりが出演するものがあり、これについて委員長談話(2022年6月)が出されたことが意見交換の導入になった。小町谷委員長は「ひとつの政党に関係する人だけが出演したことによって、質的公平が損なわれてはいないかという話をした」と、当時の議論を振り返った。
続いて司会者が、最近BPOに寄せられたラジオ番組のリスナーの意見から、以下の2つを紹介した。
「去年、参議院選挙の立候補予定者がディスクジョッキーをつとめる番組が放送されたのを聞いたが、実質的に候補の宣伝になってはいないか」、「国会議員が出演している番組があり、所属政党の公約や議員活動についての宣伝と、とれる話ばかりをしていた。放送倫理上の問題があるのではないか」。

ラジオ局の参加者からは、「番組のスポンサーが、自分が支持する特定政党の関係者をゲストに連れてきたりすると、なかなかNOと言いづらいことがある。しかし選挙に関して言えば、社内規則を設けており、選挙の一定期間内の出演には規制がかけられている」など、実例に即した説明があった。
別の参加者は、仮に地方議会議員が出ている番組があったとしても、例えば「介護」であるとか、その議員の専門分野に限って話をしてもらい、政党に関することは話をしないようにしてもらうよう、事前に打ち合わせをするようにしている、といった事情を紹介した。
「政治家候補と言われる人について、出演の要請があったことはある」と述べる参加者がいたが、そういう場合でも政治的な話はしないようにした、という補足をつけた。

これらに対し大石委員は、政治的に公平な番組を作っていくときに、公平さは考慮すべきものであるが、それはメディアが国家などから規制されることに対し、取材や表現の自由を確保するために持っているものだという趣旨の意見が表明された。さらに「ラジオ局がその地域に根ざし、どう貢献するかということ。問題提起型の、ジャーナリズム機能としての役割をどの程度、担っているのかについて注視している」という趣旨の発言をした。
大村委員はスイスでの居住経験をもとに、「地域のマイノリティー」としての感覚を語ったのに続けて、「ラジオにおいて、地域の特性や課題が放送されることは、そこに住む者にとっては、『あ、この社会に生きている』という実感を持つことにつながる」、「放送が民主的過程に貢献する価値をふまえ、放送に政治家が出演することや、政策を取り上げること自体については、(局側が)萎縮することがないようにと強く思っている」と述べた。
岸本委員長代行は、自分が地方取材でバスに乗った際、車内でラジオがかかり続けていた経験をもとに、「政治的な話はしなくても、バスを利用する人が、この時間はいつも同じ党の人が自己アピールみたいな話をしていると感じたら、番組についてどう思うか。一般のリスナーに番組がどう聞こえるかを想像してほしい。それがリスナーからの信頼につながると思う」と述べた。
長嶋委員は「視聴者の方が、これって(政治的に)極端な番組じゃないか?と疑問を感じ、いろんな意見を寄せるケースが増えている」と述べ、政治的公平性に関して、視聴者・リスナー側の意識が高まっていることを指摘し、よけいな政治介入を排除するためにも放送局の自主・自律が重要として、このテーマについての議論を締めくくった。

番組と広告について

委員会決定第30号、第36号、および2020年の委員長談話について、司会者から説明があったのち、「音声のみの放送」であるために、番組部分と広告部分の区別がつきにくいというメディアの特性について、ラジオ局側の参加者から発言があった。

日々の番組制作についての苦心がいくつも語られた。
「出演型の生CMなのか、それとも番組なのか。境界線が曖昧なものっていうのが、相談案件として非常に増えているという印象がある」、「この商品をというのではなくて、できる限り番組としての形を作って、リスナーへのサービス提供になるよう努力をしている」などが代表的なものである。
企業法務の経験がある大村委員は、「いろんな企業の仕事にたずさわる中で、広告ではなく、番組で取り上げてもらうために、企業がコンサルタントに対価を支払うケースがあると聞いている」と述べた上で、ラジオ局側に実情をたずねた。
ある参加者は、「(スポンサーサイドから)なるべく溶け込ませてください、広告と分からないよう告知してください、と言われることがあり、線引きが難しいことがあった」と自分の体験を明かした。
別の参加者は、「なくはないでしょう。しかし、局側としては番組を模索するスタンスを伝えるしかない」との趣旨、発言した。
長嶋委員は、「こういう問題がBPOで取り上げられることを、むしろクライアントの介入に対する盾にして、自分たちが制作したいものを作って欲しいと思います」と述べた。

以上の3つについて活発な意見交換がなされた後、「差別語・不快語・楽曲について」と題して、短時間の情報交換があった。民放連に放送音楽の取り扱いに関する内規(放送基準・61)が存在することが、司会者からラジオ局側参加者にあらためて情報共有された。

最後に参加局を代表して東海ラジオの岸田実也・制作局編成制作部専任部長が「有意義な時間を過ごさせていただいた。テーマごとに勉強になった。根底にあるのはリスナーのことを考えて、ということだと思うので、持ち帰って番組作りに役立てていきたい」と挨拶した。

以上

2022年度 中高生モニター会議

2022年度「中高生モニター会議」

◆テレビ朝日オンライン館内見学会概要◆

2023年3月28日、BPO中高生モニター15人がテレビ朝日オンライン館内見学会に参加して、スタジオのセットやテレビ局の仕事について学びました。冒頭、『大下容子ワイド!スクランブル』の出演者、大下容子、佐々木亮太両アナウンサーからBPO中高生モニターのこの1年間のモニター活動へのねぎらいのメッセ―ジが届くというサプライズがありました。

3人の案内係にガイドされて、まずテレビ朝日第3スタジオを見学しました。このスタジオから3つの生放送番組が同日朝昼夜それぞれの時間帯に放送されているため、短時間にセットチェンジができるよう効率的にセットが組まれている話や、スタジオ数には限りがあるため、週1回放送の収録番組は収録後にその都度セットを撤収していることなどについて説明を受けました。また、『報道ステーション』のセットの詳細を特別に見せていただきました。さらに報道ステーションの映像モニターに生中継スタイルで中高生モニターたちの顔を映してくれました。

次にテレビ局のスタジオで使用されているカメラについての説明が技術スタッフからありました。また、放送が各家庭に届くまでの放送の仕組みについての説明VTRを見た後、スタジオの隣にある副調整室(サブ)を見学し、技術スタッフからサブではどのようなことが行われているのかと、生放送の映像と音声の切り替えについての詳しい説明を受けました。そして、特別に制作した「歓迎!BPO中高生モニターの皆さん」というテロップを映像モニターに表示してくれました。つづいて照明の仕事について照明スタッフから、『報道ステーション』のセットの照明ライトのほとんどがLEDで従来のライトの1/10の電力で節電になっていることなどの説明や、音声スタッフからは、「音声の仕事は各マイクで拾った音声をテレビのスピーカーで聴きやすい音に音声卓で調整することです」との話がありました。

最後に質疑応答の時間が設けられ、モニターから「海外からの中継で生じる音のタイムラグへはどのように対応していますか」との質問があり、テレビ朝日の技術スタッフは「回線センターやスタジオのサブで映像と音声のズレを合わせるなどの努力をしています」との回答が、「『報道ステーション』の大きな鉄骨のセットはどうやって作るのですか」との質問には「トラックでパーツ毎に運んだ後、運搬用の大道具エレベーターでスタジオに入れ、中で溶接している。その際にはスタジオを空けて何日も掛けて作っています」との解説が、「将来、エンタメ業界で働きたいと思っているが、どこで専門知識を勉強したのですか」との問いに対しては「テレビ局で働くにはいろいろなルートがあるが、テレビ局に入って何かやりたいという強い意志があれば専門で学んでいなくても大丈夫です」、そして「電力危機に対してスタジオ照明はどのくらい節電しているのか」に対しては「通常の半分くらいに落としています」と丁寧な回答がありました。

参加した中高生モニターはテレビ局のプロの仕事に触れる機会を得ながら、まるで自分たちが実際にテレビ朝日のスタジオにいるかのようなリアリティ感に包まれる中、あっという間に1時間の見学会は終了しました。この見学会は1年間のモニター活動の最後を飾る素敵な思い出になったと思います。

◆中高生モニター会議(意見交換会)概要◆

同日にオンラインで中高生モニター会議を開催しました。中高生モニターと委員が交流を深め、この1年間のモニター活動を振り返る意義のある会となりました。会議には全国の中高生モニター13人と、元モニター3人、そして青少年委員会からは榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員の8人全員が出席しました。

高橋委員が進行役となり、中高生モニターと委員の自己紹介のあと、「モニター活動で感じたこと」「最近の放送に思うこと」などについて意見交換をしました。

中高生モニターからの「BPOはどういう活動をしているのですか」との質問に対して、事務局からBPO3委員会のそれぞれの役割について説明があり、また「BPOの意見はどのように放送局に伝わっていますか。これまでどのような意見が反映されていますか」との質問には委員長が、ウェブサイトに載る委員会議事概要のこと、「審議」して「見解」などを公表すること、放送局との意見交換会を開催していることなど複数の方法で伝わることを説明しました。

また、モニターからモニターへ「ネットフリックス、アマゾンプライムなどのサブスクリプションを利用しているか」という質問に対して、多数が利用していると回答しましたが、中には全く利用していないと答えたモニターもいました。

つづいて緑川副委員長から、「YouTubeやTikTokなどのメディアを観ていますか。テレビとはどう違って、どう区別して利用していますか」との問いには、「YouTubeはマニアックでテレビでは見られない内容が見られます」「YouTubeでは自分が好きなジャンルだけを見られるが、それでは自分の意見が偏ってしまうので、新しい考え方に出会うという面でもテレビを全く違うものとして区別して使っている」との意見がありました。同様の意見が複数のモニターからありました。

さらに緑川副委員長から、「テレビ離れということが言われていますが、テレビはこうなってほしい、こうすればよいのにと思っていることがあれば教えてください」との問いには、「SNSやYouTubeは面白いコンテンツを作らないと見られなくなっていくが、それに比べてテレビは新規参入もなく変化に乏しい。放送局はもっと新しいメディアになっていかないと難しいと思います」との意見がありました。そのほか、「テレビはSNSとの競争ではなく、テレビの発信力を生かした番組を作るべきです。SNSからの逆輸入はテレビのSNS化を招くので止めるべきです」「不登校の人たちを元気にできる昼間のバラエティー番組が増えればよいと思います」「テレビは他の媒体で見づらいのが欠点だと思います」などの意見がありました。

再びモニターからの「青少年は何か大人と異なると考えていますか。どのような面で配慮が必要であると考えていますか」という質問に対して、沢井委員からは、「例えばテレビで見たことを模倣することについて、科学的なエビデンスを見ながら検討することが大事だと思います」、佐々木委員からは、「模倣に関して子どもたちはブレーキが効きにくいです。仲間と一緒に楽しくやること優先で、たまに事件になることもあります」との意見がありました。

元モニターの3人からは、「モニターの時に感じたモヤモヤ、違和感、感動をこれからも大切にしてほしいです」「常識を知るためにテレビを活用すべきです。たまたま見た時にもいい情報を見られるのがテレビです」「今の若い人たちはSNSなどのことも踏まえて、テレビの意見ができることに感心しました。今のモニターの人たちにもこれからも様々な番組を見て知識を付けて生活に役立てていってもらいたいと思います」との感想がありました。

≪その他、中高生モニターからの感想≫

  • 「テレビを見なくなってきていたが、この一年モニターをやったことでテレビを見る機会が増えました。」
  • 「CMに字幕が付いていないものがあるがなぜか。耳の不自由な方のためにすべての番組・CMにつけるべきだと思います」
  • 「テレビは公平性があり、様々な人、年代が見ることを前提に作られていて、自分の考えや好みに偏ることなく、色々な刺激を受けながら見ることができるので、これからも見続けていきたいと思います」

会議の締めくくりとして、榊原委員長と緑川副委員長から以下の一言がありました。

≪榊原委員長≫

中高生モニターの皆さんの意見が聞けてよかったです。青少年委員会は若い人から直接、話を聞けるとても大事な立場であることがあらためてわかりました。私よりずっと深く考えている人の意見もあってとても参考になりました。ありがとうございました。

≪緑川副委員長≫

春休みで忙しい時期にもかかわらず、参加していただき、ありがとうございました。皆さんから貴重な意見を聞くことができて、このような機会を持ててよかったと思います。また、急なお願いにもかかわらず、元モニターの3人の方に参加していただいたこともありがとうございました。モニターがとても印象深い経験だったと伺えたので、よかったと思っています。本日はありがとうございました。

以上

2023年3月に視聴者から寄せられた意見

2023年3月に視聴者から寄せられた意見

恐怖を感じるか幼稚園児で試した企画、ペンギンの池に出演者が「落ちた」中継などに意見が寄せられました。

2023年3月にBPOに寄せられた意見は 1,728 件で、先月から 121 件増加しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 81% 電話 18% 郵便・FAX 計1% 
男女別(任意回答)は、男性41%、女性20%で、世代別では、40歳代27%、30歳代24%、50歳代18%、60歳以上17%、20歳代10%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、3月の送付件数は804件、47事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から15件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

ある状況に恐怖を感じるのか幼稚園児で試した企画、ペンギンの池に出演者が「落ちた」中継などに意見が寄せられました。ラジオに関する意見は46件、CMについては21件でした。

青少年に関する意見

3月中に青少年委員会に寄せられた意見は144件で、前月から71件増加しました。
今月は「表現・演出」が64件、「要望・提言」が16件、それに「動物」が12件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 自動販売機のニュースで利用客としてインタビューに答えていたのは現職の市議だった。市議選の立候補予定者であり、告示まで1か月を切っている。選挙の公平性の観点からいかがなものか。

  • 市議選の立候補予定者が報道番組の密着取材を受けた様子を、自身のSNSで番組名を明らかにして公開。放送は選挙後だそうだが、立候補予定者にたいへん有利に働くだろう。告示前ではあるが、選挙の公正さを著しく損なう行為だ。当該の局は候補者が取材を選挙に利用していることを知っておくべきだし、それを止めるべきだ。

  • 政治的公平性を「1つの番組でも判断する」のかどうかが問題になっているので情報番組でも少しは扱うかと期待していたが、連日、全編WBCの話題ばかりでがっかりしている。放送への介入にかかわる問題。バランスのある放送を望む。

  • ヘリコプターが22時前後に1時間にわたって羽田空港周辺の上空を低空飛行し、ひどい騒音だった。ニュースで大谷選手の帰国を伝えるためらしい。重大な事件や事故、災害等であれば理解できるが、これは公共性の高い内容とはとても思えず、ただただ迷惑。

  • 芸能事務所での未成年者への性加害疑惑について一切報じないのはなぜなのか。

  • 情報番組が朝からずっと自局の女性アナウンサーの結婚について伝えている。プライベートまでわざわざ伝える必要はない。

【バラエティー・教養】

  • バラエティー番組で幼稚園児を対象に、かくれんぼで隠れた友だち全員が知らない子に替わっていたら恐怖を感じるか、という実験をしていたが、幼児虐待ではないのか。精神科医の意見を聞きたい。

  • 出演者たちが斜面で雪玉を大きくしながら転がしていく企画で、推定1トン近い雪玉が制御できなくなり暴走するシーンがあった。安全を軽視していないか。

  • できるだけ少ない歩数でソウルまで旅行するという企画で、出演者が勢いをつけたスーツケースに体を預けて歩数を減らしていた。メーカーは「杖や歩行補助具代わりでの使用は大変危険」と注意を呼び掛けているし、周囲にも迷惑。やめてほしい。

  • トーク番組の出演者が「加齢で錠剤が飲み込めなくなり、砕いて飲んでいる。砕かないと胃に負担がかかる」などと話していたが、錠剤には砕いて服用してよいものとそうでないものとがある。このような発言を注意喚起などなしに放送するのはよくない。

  • 出演者が口にフォークをくわえて一輪車に乗り、投げられたりんごを受ける芸に挑戦していた。長い物をくわえて行動することは大変危険だ。この放送を見た子どもがまねをして事故を引き起こしかねない。

  • 動物園のペンギンのいる池から生中継していた出演者が、スタジオから「落ちるなよ」と繰り返し呼びかけられた後に池に落ち、スタジオ出演者たちが笑ったり拍手したりしていた。高病原性のウイルスを持ち込んだり、人間に対する恐怖から給餌ができなくなったりするなど命に関わるリスクがある。取材の際はルールを守るべきだ。

  • お笑い芸人の自室に突然“砂かけババア”が現れ、「やめて」と懇願してもて砂をまき続ける企画。これを面白いと感じる神経は、迷惑動画を見せれば人が面白がると考えるのと同じ。これを「ウケる」と笑うことは学校でのイジメにもつながる。

  • ロケ地の宿泊施設で就寝中の出演者の頭上で水を入れた風船を割り、驚かせるという企画。ベッドはびしょぬれのはずで宿泊施設にとっては迷惑行為。番組の視聴者には青少年も多いと思われ、「悪ふざけの迷惑行為」を助長しないか心配だ。

【その他】

  • 病気などで自分や身内の死を考えるような恐怖があるときにテレビで葬儀業者のCMが頻繁に流れるのは非常に精神にこたえる。もう少し配慮してほしい。

【ラジオ】

  • 「セルフ給油がオートでストップした後、あふれるギリギリまで注ぎ足した」というリスナーからのメールを紹介していた。静電気で引火する危険性があり、消防庁も禁止している行為だ。このメールは読むべきではなかったし、読むのであれば「これはダメです」と注意喚起するべき。

  • パーソナリティーが「スイカは腎臓にいいので腎臓の悪い人に食べさせようと季節外れに入手して持っていった」というエピソードを披露していたが、「腎機能が低下している人にはスイカはむしろよくない」という説明をしている医療機関もある。危険ではないのか。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、一人暮らしの男性芸人の部屋に妖怪に扮した女性が潜んでいて、部屋内に砂をまき散らすドッキリがあった。日常生活を送る自宅を砂だらけにされて、あまりにひどくて見ていられない。これは立派ないじめだ。これで笑いを取ろうとするのはひどすぎる。

  • 砂まきのドッキリは、専門の業者でも全てを吸い取り回収するのは困難だ。一歩間違えれば、家電などは壊れるし、犯罪行為に等しい。面白いといって笑っているスタジオ司会者にもドン引きした。

  • 男性アイドルグループのメンバーを対象にしたドッキリ企画で、進行役の芸人による、メンバーごとに持ち上げたり見下したりの差別感押し付けがひどかった。行きすぎた悪口もあり、ばかにされたメンバーのファンや一般の視聴者も気分を害した人が多かったようだ。

  • バラエティー番組で、幼稚園のかくれんぼの際、隠れているのが見ず知らずの子どもたちに入れ替わり、鬼役の園児を困惑させるドッキリがあったが、この園児の表情を見てひどく悲しくなった。子どもにトラウマを植え付けるかもしれないこんな企画を通したテレビ局などに失望した。

【「要望・提言」に関する意見】

  • 政治についての討論番組がもっとあればよいと思う。若者の選挙離れをいいことに、やりたい放題の高齢政治家。若者が政治について知ることができる番組がもっとほしい。

  • 飲食店内で特撮ドラマの蹴りをまねた動画がSNSで拡散している。テレビ局はそろそろ対応を考えるべきだろう。子どもたちに悪影響が出ているのだから。

【「動物」に関する意見】

  • ワイドショーの中継企画で、動物園内のペンギンの池に男性芸人が何度も落ちたが、スタジオの司会者が落ちるようあおっていたし、大笑いしているのがたいへん不快だった。春休みで子どもたちも見ていたと思う。笑いのためなら動物虐待をしてもよいのだろうか。

第255回 放送と青少年に関する委員会

第255回-2023年3月

中高生モニター会議の開催… など

2023年3月28日、第255回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。当日は中高生モニターによるテレビ朝日オンライン館内見学会と中高生モニター会議に引き続いて通常の委員会が開催されました。
委員会では、2月後半から3月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見については、バラエティー番組に関して報告されました。3月の中高生モニターリポートのテーマは「1年間で最も印象に残った番組について」でした。委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。最後に来年度の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2023年3月28日(火) 午後4時00分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
中高生モニター会議 詳細はこちら
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

2月後半から3月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
バラエティー番組で、一人暮らしの男性芸人の部屋に妖怪に扮した女性が潜んでいて、芸人が帰宅すると手にした壺から砂をまくドッキリを放送したところ、「部屋に砂をまくのはやりすぎ。企画というより弱い者いじめだ」などの意見が寄せられました。担当委員は「少しも面白くないし、やりすぎだと思うが、委員全員で視聴して議論するものでもない」と述べ、議論の結果、「討論」に進むことはありませんでした。
別のバラエティー番組で、男性芸人を四つんばいにさせてズボンを下ろし、臀部を露出させたことについて視聴者から、「『無理やりズボンを脱がす』のは、警察に相談または通報すべき19のいじめ事例として文科省より2月に通達されている」と指摘されました。担当委員は「委員会としても今後は19のいじめ事例を念頭に置きながら判断していかなければならないだろう」という意見を示したほかは大きな議論はなく「討論」に進むことはありませんでした。

中高生モニター報告について

現モニター最後となる3月のテーマは「1年間で最も印象に残った番組について」で、20人から合わせて17(テレビ15、ラジオ2)番組への報告がありました。
複数のモニターが挙げたのは3番組で、『M-1グランプリ2022』(朝日放送テレビ)には「一生懸命ものごとに立ち向かっている姿は見る人に勇気を与える」などの感想が寄せられました。また『バリューの真実』(NHK Eテレ)に「高校生の疑問にまっすぐ向き合っているところに好感がもてる」、『silent』(フジテレビ)には「見るたびに感情が揺さぶられる番組だった」といった声が届きました。
「自由記述」では、「テレビの強みは同じ空間を共有して感想を言い合えるところで、人と自分の価値観の違いに気づくきっかけにもなる」など、1年間のモニター活動で感じたことの記述が目立ちました。

◆モニター報告より◆

【1年間で最も印象に残った番組について】

  • 『バリューの真実』(NHK Eテレ)
    • この番組の面白いところは、さまざまな角度から徹底的に現役高校生たちの悩みを解決するところです。1回の放送の内容がとても濃く、高校生の疑問にまっすぐ向き合っているところに好感がもてます。大人からすると些細なことに感じられても高校生にとってはとても切実な悩みであることもあります。そんな悩みに真摯に向き合ってくれる温かさと、「自分たち高校生と同じ目線で考えて悩んでくれている」という安心感や優しさがあるように思います。(高校2年・女子・東京)
    • ドラマ(「たいせつを探して」)を見て、改めて「人生は一度で儚いもの」なんだなと思いました。そして1分1秒を大切にして、これからも家族を大切に過ごしていきたいと思いました。(高校3年・女子・神奈川)
  • 新美の巨人たち 『「不思議の国のアリス」×篠原ともえ』(テレビ東京)

    私は英語で原作を読んで古い英語の美しさを感じていたが、この番組はアートという視点からだったので、新たな角度で興味深かった。実際に日本を代表する木版作家の方がアリスの挿し絵を再現していた。このような紹介のしかたは、やはりテレビしかできないような気がする。(中学1年・女子・千葉)

  • 『世界ふれあい街歩き』(NHK総合)

    2019年の再放送としてキーウ(キエフ)の街並みを紹介していた。ロシアによる軍事侵攻が起こる前の平和な街を見ていて胸が苦しくなった。とくに博物館の前で「過去を学ばない者に未来はない」と語る男性がいた。過去を見つめてこれからの未来に生かそうとする姿に感動した。また教会で平和を祈る女性が「世界中の人々が仲良くできますように」と語っていた。番組の最後に現在のウクライナの姿、人々を紹介していた。私たち視聴者がこれを見て、自然とウクライナのことを考えて祈らずにはいられない、考えさせられる放送だった。(中学2年・女子・鹿児島)

  • 『musicる TV』(テレビ朝日)

    有名な人ではなく駆け出しの人や、これから伸びそうな人を紹介してくれるため、毎回新しい音楽と出会えてとても好きな番組になりました。もっとも良いと思うのは、“一般人で音楽の紹介をしている人を招いて意見やおすすめの曲を教えてもらえること”です。あくまでファンという位置づけの人が紹介してくれる曲から「エモい」や「良い」といった印象を受けやすいです。(中学2年・女子・東京)

  • 『マイケル・サンデルの白熱教室2023』(NHK Eテレ)

    「同性婚を認めるか」という問題を国の垣根を超えて話し合う内容で、とても斬新さを感じました。各国のトップの意見ではなく大学生の意見であることにとても興味が湧きました。印象に残ったのが、アメリカの学生の「そもそも結婚を法制度化するのはどうなのか」という意見です。もちろん人や国によって価値観や考え方は違うのですが、国に関係なく打ち解けて話し合っていて、国どうしの関係の良し悪しなどは別の問題なのだと強く思いました。とても深く考えさせられる議論でした。(中学1年・男子・山形)

  • 『エルピス -希望、あるいは災い-』(関西テレビ)

    このドラマが社会に訴えたいであろうと思われる主張を、現実社会とリンクさせる中で強く感じた。社会批判の要素があるドラマを制作したテレビ局と制作陣の勇敢さに感心したとともに、一歩やり方を間違えれば厳しい結果もあったであろうところをうまくバランスを取ったのだろうなと思った。(高校1年・男子・愛知)

  • 『it!!』(ベイエフエム)

    一番の魅力は「ほっと一息」つけることだと思う。常にメッセージテーマがフリーなのも相まって、リスナーからのメールで番組が進んでいく。「明日、卒業式です」といったメールにDJが優しく言葉を返すのが、聴いていて心地が良い。「3時になったらラジオでお茶会」という企画もあり、肩の力を抜いて楽しめる。(高校1年・男子・東京)

  • 『silent』(フジテレビ)
    • 毎週見るたびに切なくなったり感動したり、本当に感情が揺さぶられる番組だったと思います。手話にあまり興味を持ったことがなかったのですが、番組を見て興味が湧きました。自分も障がい者の方と線をひいていた感じがします。(中学2年・女子・山口)
    • 学校で感想を言い合うだけでなく、先生も授業の冒頭に感想を言っていてとても楽しかったことを覚えています。耳が聞こえない人の生活の中での工夫や苦悩を知ることができ、人としてもひとつ成長できたように思いました。(高校2年・男子・福岡)
  • 『ラジオ・チャリティー・ミュージックソン』(ニッポン放送)

    こうした活動を知ることで障がいのある人たちに自分は何ができるかを考え、積極的に行動するという自信も生まれた。番組を通して視覚障がい者の感覚の違いに気づき、ラジオを聴かなければ知ることができないことがたくさんあった。ラジオの音声でしか伝えられない特徴を生かしていると思った。(中学2年・女子・東京)

  • 『鎌倉殿の13人』(NHK総合)

    大河ドラマは難しい印象が強かったのですが、序盤のほうはコミカルなシーンも多く、現代語のようなしゃべりかたで進んでいたので見やすいなと思いました。ずっとシリアスなわけではなく、何百年も前に生きていた人ではあるけれど、どこか現代の人間にも通じるような部分があってすごく面白かったです。(中学3年・女子・群馬)

  • 『第73回紅白歌合戦』(NHK総合)

    これを見ないと私の1年は終わらない、それくらいアツい気持ちで見ている番組です。さまざまな要素で構成されているのがとても魅力的で、そんな世界観を堪能できるのは紅白ならではだと思います。欲を言えば番組全体のテンポが早い気がするのと、演奏する曲がかなり短くカットされているので、もう少し番組や1曲の時間が長くても良いのではないかなと思います。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『M-1グランプリ2022』(朝日放送テレビ)
    • 去年の王者やM-1の物語があり、漫才師たちがどれだけ努力してきたか、すごく思いが伝わってきました。今年の出場者は本当に面白い方たちばかりで、ずっと笑っていられました。ネタのことばの使い方だったりリズムの使い方だったりと、去年にはない新たな漫才を見ることができました。(中学2年・女子・山口)
    • 1年間で一番、テレビがあって良かったと思いました。一生懸命にものごとに立ち向かっている姿は見る人に勇気を与えます。審査員の方の点数は後からついてくるものだと思うので、全組に優勝をあげたい気持ちです。(高校2年・女子・千葉)
    • それぞれの漫才師さんたちが1年間磨いた漫才をぶつけ合う様子は涙なしでは見られませんでした。審査員の方の席順やメンバーも変わったため、とても新鮮でした。ほかの賞レースよりもSNSの活用がうまく、それも視聴率につながっているのではないかと思いました。(中学3年・女子・千葉)
  • 『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)

    現実にもいるような普通の女性が主人公で、存在感のあるキャラクターで印象に残っています。最終回にかけて伏線が回収されていくところが見ていてスッキリしました。最新話の考察をしたりドラマで出てくる平成の流行り物について家族で話したりする時間が楽しかったです。(高校2年・女子・岩手)

  • 『クレイジージャーニー』(TBSテレビ)

    放送が深夜から早い時間に移動して、以前のように過激な内容の放送をすることはなくなるのかな、と思っていたのですが、初回からコカインやギャングなど、攻めた内容の旅が変わらず放送されていて嬉しかったです。(高校2年・女子・広島)

【自由記述】

  • 1年間リポートを書いて改めてテレビ番組の重要性や与える影響の大きさについて感じる部分がありました。SNSが主流になってテレビ番組を見る機会が少なくなっていましたが、テレビ番組は家族や友達と感動や悲しみなど感情を共有できる大切な時間だと気づきました。同時にSNSよりも様々な年代のたくさんの人が見ていて、放送された一言によって物事の印象が変わり、多くの人に大きな影響を与えることも色々な番組を見て強く思いました。(高校2年・女子・岩手)

  • 1年間リポーターをやって家族とテレビを見てコミュニケーションをとる機会が増えたように感じます。今は動画サイトや見逃し配信アプリが発達し、テレビではなくスマートフォン1台で、一人で十分動画が楽しめる時代になりましたが、家族皆でテレビを観る時間をこれからも大切にしていこうと思います。(高校2年・女子・広島)

  • テレビの在り方や番組について、何度も深く考えた貴重な時間でした。最近はテレビ番組もネットの配信で見ることができ、大抵のことがスマホ1台で完結してしまいます。テレビにはスマホのような万能さはありません。しかしテレビの強みは、その場にいる人全員で同じものを見て、同じ空間を共有して感想を言い合えるところだと思います。それが「同じものを見ても、こんなに感想が違う」「人それぞれ、こんなに捉え方が違う」と、人と自分の価値観の違いに気づくきっかけにもなるのではないでしょうか。(高校2年・女子・東京)

  • ネット動画やネットテレビが発達してテレビの在り方が議論されていますが、各メディアの特性を生かしたコンテンツが求められるのではないかと思います。ラジオは、速報性やメッセージによる双方向性を生かした番組、音楽に特化した番組が作られています。テレビも、コンプライアンスを守ることや情報の信ぴょう性など、自分で選んで見るネットとは違い、多様な考え方に触れることができるところなどを生かした番組を作ることが求められていると思います。(中学1年・男子・山形)

  • 最近のテレビは探求型だなと思います。視聴者に疑問を与え、考えさせて答えを教えるという流れの番組が多いです。視聴者も探求しながら番組を見ることで、人間の思考力は高く、よりよいものになるのではないかと思いました。(中学2年・男子・山形)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『ニンチド調査ショー』(テレビ朝日)
    • 今では信じられない昔の常識に驚くことが多かった。TVerを使って見たが、VTRのほとんどが「権利の都合上・・」だったので、今度はリアルタイムでも見られたらいいと思う。(中学1年・千葉・女子)
    • ジェネレーションギャップを分かりあえないという解釈で終わらせるのではなく、クイズ形式でお互いの世代を知っていこうと歩み寄る雰囲気で、楽しく見ることができました。お互いを受け入れ尊重するという姿勢が感じられ、良いなと思いました。(高校2年・女子・岩手)
  • 『超無敵クラス』(日本テレビ)

    高校生目線で面白く、視聴しやすい番組でした。自分と同じくらいの年齢の人が頑張っているのを見るのはとてもいい刺激になるので、ほかの番組でもいろんな活動をしている学生を紹介してほしいと思います。「若者が抱いた疑問を自ら解決する」という感じが出ると、より魅力が生まれるかもしれません。(高校1年・男子・滋賀)

  • 『NHKスペシャル テレビとはあついものなり-TV創世記-』(NHK総合)

    今や当たり前のようにあるテレビが、始まった当時は番組を一つ作るにもトラブルがたくさんあり、本当に多くの人の努力の上に成り立っているものだったということがよく分かりました。(高校2年・女子・広島)

◆委員のコメント◆

【1年間で最も印象に残った番組について】

  • 同性婚をテーマに異なる国の学生が話し合う番組について「深く考えさせられたと」いう意見があった。今の若い人たちは多様性とか、国籍や性差を超えてということに、とてもアンテナが高いのだなと思った。

  • 戦禍前のキーウ(キエフ)の街並みを紹介した番組から戦争の悲惨さを痛感したという報告があった。戦争反対を取り上げた番組ではないが、過去の美しい街並みの映像が戦争のむごさというものを深く印象づけたのだと思う。

  • 視覚障がい者の社会参加を支援するラジオチャリティー番組を聴いて、障がいのある人に接するときに「積極的に行動する自信が生まれた」という感想があった。ラジオ放送を聴いて自分に何ができるかを考えたということで、番組が若い人たちに与えた影響は大きかったのだろうと思う。

  • M-1グランプリを挙げたモニターが複数いた。それぞれリアルタイムで見ていて、若者にとってはワールドカップやWBC以上に生中継で見ないわけにはいかない番組の一つなのだろうと思った。

【自由記述について】

  • 「テレビの強みは感動を共有できるところだ」とか「ネットと違い多様な考え方に触れることができる」といった声が多く寄せられた。モニターは‟テレビ離れ”と言われる世代だが、それぞれ自分のなかでテレビの意味をしっかりつかんでいる。単に視聴時間が短いことをもって‟テレビ離れ”と言っていいのか、考える必要があるように思う。

  • 若い人たちは動画配信やSNSと放送番組をちゃんと使い分けているようだ。視聴率では高齢者がよく見ている結果だとしても、『紅白歌合戦』を熱く語る若者もいる。制作者はこうした意見もしっかり受け止めて分析する必要があるのではないだろうか。

今後の予定について

次回は、4月25日(火)に定例委員会を開催します。

以上