第156回 放送と青少年に関する委員会

第156回–2014年3月16日

『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』を審議「委員会の考え」を公表

子どもが主役になった話題のドラマについて。最終回まで視聴の上討論し、「審議対象とせず」。判断した経緯、今回の論点などについて、「委員長コメント」を公表

第156回青少年委員会を、3月16日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回、審議の対象となったのは1事案で、審議の経緯と「委員会の考え」を公表して審議を終えることにしました。討論の対象になったのは1案件で審議入りしないことにしました。その他、2月16日から3月10日までに寄せられた視聴者意見を中心に話し合いました。また、3月の中高生モニター報告、来年度の中高生モニター32人の承認、6月開催予定の地方での意見交換会の現状報告、中部日本放送とmmbiへの講師派遣の報告などが行われました。
なお、委員会に先立ち、18人の中高生モニターと7人の委員全員が参加した「中高生モニター会議」をNHKで開催しました。
次回は4月22日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年3月16日(日) 午後4時20分~午後6時45分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

【審議事案】

  • 2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)の、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"について、日本テレビからの回答書や意見交換を基に、審議を行い、「委員会の考え」をまとめ審議を終了することにしました。その後、「委員会の考え」が承認されましたので、以下に経緯を含めて公表します。

<青少年委員会からの質問>

2014年2月12日

青少年委員会から日本テレビへの質問

    1. 下半身を露出するなどの3つの場面(肛門に粉を入れ顔に吹きかける、股間でロケット花火を受け止める、赤ちゃん姿の男性のおむつを交換する)の演出意図についてお聞かせください。

    2. 上記の演出について制作者の間でどのような議論が行われたのか、また、出演者(特に女性)に対する配慮はどのようになされていたのかについてお聞かせください。

    3. 老若男女の幅広い視聴者が見る大晦日の22時から23時台の時間帯に上記場面を放送するに至った経緯についてお聞かせください。

    4. 上記の演出について現場や社内でどこまで情報が共有されていたかについてお教えください。その際、考査部門の判断はどうであったかについてもお聞かせください。

    5. 放送の公共性についての貴社の考えをお聞かせください。なお、青少年委員会では2013年10月22日に以下のような「委員会の考え」を公表しておりますが、これについてのお考えもお聞かせください。

      ≪視聴者目線と電波が公共財であることを忘れると、テレビへの信頼は薄れていきます。お笑いも例外ではありません。テレビをもっと魅力的なメディアにしていくために、また多くの視聴者が心地よく笑えるために、バラエティー番組も<人間の尊厳><公共の善>を意識して作られるべきでしょう。≫

<日本テレビからの回答>  2014年2月20日 PDFファイル pdf

<意見交換の概要>  2014年3月6日 PDFファイル pdf

<委員会の考え>

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2014年4月4日

日本テレビ放送網『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』に関する
「委員会の考え」

放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会

BPO青少年委員会は、多くの視聴者意見が寄せられた日本テレビ放送網(以下、日本テレビ)『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(2013年12月31日放送)について、日本テレビに番組の制作意図などの報告書の提出を求めるとともに、制作およびコンプライアンス担当者を招いて意見交換を行いました。日本テレビにはまず、貴重な時間を割き、率直に意見を交換して対応していただいたことに感謝申し上げます。
今後各放送局にも考えていただきたい論点が含まれることから、審議の結果、下記のとおり「委員会の考え」を公表することとしました。

■日本テレビとの意見交換を受けての、BPO青少年委員会の考え方

日本テレビは1989年より、レギュラー番組として『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』の放送を開始し、お笑いの限界に挑戦するユニークな企画を次々と編み出して多くの視聴者に支持されてきました。『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』は2006年に始まったそのスペシャル版で、8回目となる今回は2013年12月31日18時30分から24時30分の6時間にわたり放送されました。
その一部のシーンに対して、表現の過激さや卑わいであることへの不快感や嫌悪感、また、子どもが真似をするのではないかと危惧する視聴者意見がBPOに多数寄せられました。とくに(1)「芸人が肛門に粉を注入してパンツを脱ぎ、別の芸人の顔面におならとともに噴きつける」、(2)「ふんどし姿の芸人の股間に向けてロケット花火を噴射する」、(3)「産着姿の中年男性のおむつ交換(局部のみ映像処理)」の3つのシーンへの意見が多くありました。
日本テレビの回答では、(1)と(3)のシーンは「過去も放送」したことがあり、また、(2)のロケット花火については「安全性を高める改良を施した」上での演出であり、「『マネをしないでください』とスーパーを計2回入れた」こと、制作担当者からはいずれも「不快だった人もいるかもしれないが」「笑ってもらえると腹をくくって制作した」との説明がありました。
以上を踏まえて、青少年委員会が何を問題と考えたのか、以下に2つの論点を挙げます。

まず第1に、「表現上の配慮」です。
バラエティー番組は時に放送の限界に挑戦し、新たな笑いの文化を生み、視聴者の心を解放し活力を与えるという大きな働きがあります。それは同時に視聴者の喜怒哀楽や感受性を直接刺激し、日常生活の価値志向にも影響を与えることを意味します。このため作り手は常に社会の動きにアンテナを張りめぐらせ、視聴者の動向をも見据える必要があります。つまり、表現の内容が視聴者に与える影響は時代の価値観や社会のあり方に規定されると考えられ、過去に放送したから今回もよいという考え方は放送の一般原則となるわけではないことになります。
とくに、(1)「顔面におならとともに肛門から粉を吹き付けるシーン」と(3)「中年男性のおむつ交換のシーン」に対しては、視聴者から「えげつない内容で放送するに値しない」「不快極まりなくチャンネルを替えた」などの意見が多数届きました。それまで楽しんで見ていたのに、その特定の場面によって視聴を打ち切り、番組を不愉快と受け止めた視聴者がほかにも多くいたことが予測される意見でした。日本テレビからは、(1)については「芸人の持ちネタであり、粉を吹き付けられる側もレギュラーの芸人を起用」、(3)については「ベテラン制作スタッフのキャラクターで恒例の企画」と、いずれもプロフェッショナルの芸で、すべて演出の範囲内との説明がありました。しかし視聴者がここで問題にしたのは出演者がプロか否か、演出かどうかということではなく、行為の下品さや卑わいさ、人間に対する否定的な扱いへの違和感であり、バラエティー番組のボーダーラインを超えているという不快感だったと考えます。
青少年委員会は2007年10月23日に「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を公表し、そのなかで中高生モニターが「出演者をいたぶる暴力シーンや人間に対する否定的な扱い」に対して不快感を表明しています。中高生の認識は多くの一般視聴者の認識と通ずるものと考えてよく、今回は直接的な暴力とはいえないものの、逃げないよう頭を押さえ付けられた状態で顔に肛門から粉を吹き付けられたり、中年男性がおむつ交換されたりする行為を素直に笑い飛ばすことができない視聴者が多数いたことに留意していただきたいと思います。
また、(2)「芸人の股間にロケット花火を噴射するシーン」については、安全性を充分に配慮した上で真似をしないようスーパーで注意喚起したということ、その配慮は多としたいと思いますが、子どもの視聴者を想定すると、視聴者意見のなかにあった「子どもはなんでも真似をする可能性があり、真似をしないでくださいとあれば余計に真似したくなるもの」という声は無視できないものと考えます。安全への配慮がないまま真似する子どもが出てくる可能性は否定できないのです。当委員会が発表した「バラエティー系番組に対する見解」(2000年11月29日)にあるように、青少年はテレビに多大な影響を受け、放送されたものを社会的に肯定されたものと考えて行動の基準とする傾向があります。安全性に配慮するのは当然のこととして、視聴者、とくに青少年がどう見るかという点には細やかに想像力を働かせていただきたいと考えます。
(3)「赤ちゃんに扮した中年男性出演者のおむつ交換のシーン」についてはもう一点、おむつ交換を行っている同じ部屋に看護師役の女性出演者がいたことについて、とくに女性の視聴者から「あってはならない光景だ」「(局部を画面処理で)隠していればいいというわけではない」などの意見が寄せられました。これに対しては制作担当者から、この女性は「出演料をお支払いしているプロフェッショナルの出演者」で、女性も内容を了解した上での出演であるとの回答がありました。しかし、双方了解の上であったとしても、視聴者は女性が下半身を顕わにした男性の前に立たされて目線をはずさざるをえない状態に置かれている構図と捉え、セクハラまがいの演出と受け取っている事実があることを真摯に受け止めていただきたいと思います。番組が男性目線で制作されており、女性の視聴者がどのように見るかという配慮と想像力が十分でなかったのではないかと考えます。

第2に、「放送基準と放送の公共性」についてです。
青少年委員会は、現代の日本でバラエティー番組がもつ意味の大きさ、その重要性についてはよく理解しているつもりです。日々笑いを提供し続けることの苦労についても十分想像できますし、新たな笑いの創出のために快や不快、上品下品の境目で仕事をするということも分かっているつもりです。「下ネタ」も時と場合によっては見る者を開放的にし、豊かな笑いをもたらすでしょう。社会を風刺する毒のある表現が、視聴者の憂さ晴らしになることもあると思います。こうした番組づくりのために民放連の放送基準等を杓子定規にあてはめるつもりはありません。それは本来「なんでもあり」のバラエティー番組の萎縮につながりかねません。
とはいえ、いつでもどこでも誰もが無料で視聴できる公共の地上波放送と、入場料が必要な映画や舞台、CS放送などの有料チャンネルとではメディアの特性が異なり、表現上の制約にも違いがあるということについては、制作側としてけじめをつけていていただきたいということは改めて願わざるを得ません。社会のグローバル化が進む中、幼児からお年寄り、外国人まで多様な視聴者が見る公共性の高い地上波放送においては、課金システムのメディア以上の配慮が必要であることはいうまでもありません。もちろんそのような制約があるからこそ、ギリギリの境界線上のせめぎあいの中で新しい笑いも生まれるのでしょうし、また視聴者からの批判や反発が新たな企画を生む原動力となることもあるとは思います。
しかし、上記の3つのシーンに関しては、視聴者からの意見の届き方から見ても、また私どもが視聴し審議した結果からも、少なからぬ視聴者がおもしろいと感じることができなかったことは事実といわざるを得ません。「おもしろければなんでもいいというのは傲慢」「ネタ切れならやめればいい」といった厳しい意見も届いています。バラエティー番組づくりが、過去のネタの自己模倣やセクハラまがいの演出で笑いをとらざるをえなくなっている方向に向かっているのではないかという危惧も抱かされます。批判し落胆を表明した視聴者には、番組が放送時間の最後に発信した「笑顔でいたい 笑って生きたい」(替え歌) "今年も笑いが溢れる一年になりますように…"(スーパー)という重要なメッセージが残念ながら届かなかったのです。
日本テレビからは繰り返し、「個別のシーンではなく番組の全体を見て判断してほしい」との要望がありました。本件の担当委員は事前に全体を視聴した上で意見交換に臨んでおります。しかし、青少年委員会は番組全体のメッセージが正しければ個別のシーンに逸脱があってもその評価が緩和されるわけではないと考えます。また、民放連放送基準は放送局が自主的に定めた番組づくりの基準なのですから、常にそこに立ち返って番組を制作していただきたいとお願いしているものです。委員会から基準に照らして問題であるとの指摘があれば、日頃からこうした基準を大事にして番組をつくってほしいという促しのためと、ご理解いただきたいと思います。ちなみに青少年委員会は独自に番組全体の評価は行いませんし、行うことができるとも考えておりません。あくまでも視聴者の意見をきっかけに判断をすることが仕事だと考えています。
つまり、番組全体のメッセージがいかに優れたものであったとしても、細部において社会通念を逸脱したものがあれば、表現の自由を最大限に考慮した上で、その是非を問うことが必要だと考えているということです。逆にいえば、個々のシーンに配慮が足りなかったがゆえに番組全体のメッセージが視聴者に理解されないようなことを無くすべく、視聴者と放送局の間に立って放送局と議論を重ね、番組の向上を目指すことが青少年委員会の務めと思っています。

青少年委員会は、青少年に番組が与える影響をできるだけポジティブなものとするために、局側が気づかない視点を提示したり、安易に番組を作成したため結果として逆の効果を生んでいる等の問題を指摘したりして、それを克服するための方策を探ってもらうこと、青少年たちがよい番組として認知しているものや理由を伝え参考にしてもらうこと等、結果として青少年によい影響を与え得る番組の制作、番組向上への気運を高めることを大事なミッションとしています。そのため、番組内容、制作過程等について局側と率直な意見交換をすることが重要な手法となると考えています。
すぐに意見の一致が得られるわけではないということは承知しています。しかし、意見交換を行うことは決して無駄ではなく双方への理解を深める貴重な機会となるはずです。今後もよりよい番組作りのために各放送局と意見交換を行い、ともに考え続けることができればと願っております。

以上

【討論案件】

  • 子どもが主人公のドラマについて、全委員が最終回まで視聴した上で引き続き討論しました。委員からは「子どもがどれだけ傷つきトラウマを感じるかなど、社会的な影響をどこまで考え、リサーチしたのだろうか」「フィクションといえども弱者への一定の配慮や取材による丁寧さや慎重さが必要だ」などの意見もありましたが、「フィクションドラマだという前提で、あだ名についてもドラマの演出として必要なので使ったのだろう」「審議に入ると、社会に問題を投げかけるようなドラマが作られなくなることを危惧する」などの意見があり、審議入りしないことにしました。ただし、討論の結果、この案件について以下のような「委員長コメント」を公表することにしました。

<委員長コメント>

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2014年4月8日

"子どもが主人公のドラマ"に関する
「委員長コメント」

 放送と青少年に関する委員会・委員長 汐見 稔幸

I.審議対象とするかの考え方

テレビ番組の中でもドラマについて、青少年委員会が評価することには種々の難しさが伴う。とくにフィクションドラマの場合、作家と放送局側が主題を選び、その内容を効果的なストーリーに仕立てていくドラマツルギーの手法の選択の判断は、表現の自由としてもっぱら制作側に与えられている。その手法の斬新な創造にこそドラマの生命があり、作品の評価はその手法にも及ばねばならないからである。
もちろん、ドラマの中で青少年のメンタルヘルスが明らかに阻害される場面があったり、年齢にふさわしくない性的行為の場面や登場人物の人権が明らかに損なわれる暴力的・差別的な場面が、ストーリーの展開上必ずしも必要ないと思われるのにある場合には、たとえフィクションであったとしても青少年委員会として問題とし、放送局側と自由に意見交換して納得のいく説明を求めることは行う。その上で、必要ならば視聴者や関係者に対する配慮を放送局側に求めることもあるだろう。しかし、フィクションの場合、例えば差別用語を使用する場面があったとしても、ストーリー展開上、その場面が必要であるということはありうる。登場人物に差別的な呼称を使用するような場合や不必要に暴力的な扱いをするような場合もそうで、ドラマの効果上あってよい(あったほうがよい)場合と、ドラマであっても必要があるとは思えない場合があり、そこに公共の放送であること、放送時間帯などの問題が付け加わる。それらを含めて、いい悪いの境目をどう引くかということは、実際には微妙であり慎重さが要求される。
私たちとしては、青少年の視聴を念頭に、それ以外の手法でも十分ドラマとしてのリアリティ、アクチュアリティが保ちうるのに、あえて問題となるような展開に仕立てたときに、審議対象として取り上げるというのが基本スタンスになる。

II.何が"論点"となったのか

番組への視聴者の関心度を高めようとしたためと思うが、今回のドラマでは、とくに1話目、2話目で、登場人物の非人格的なあだ名呼称と施設長の差別的・暴力的な発言と行為が気になる点であった。これらは、子どもの人格を無視し、想像力を欠いたと思われるものが多く、施設で実際に生活している子どもが視聴した場合に心の傷が深まったり再発しないかということが懸念された。
青少年委員会で討論する中で、制作側としては、こうした設定もその後のドラマ展開の中で生きてくるという発想で行ったのかもしれないが、たとえそうだとしても、このあだ名呼称と施設長の差別的・暴力的な発言は当事者をあまりに無視しているという点で問題となりうるという意見があった。
しかし同時に、こうした世界が実際にあり、恵まれない条件でも必死に生きている子どもたちがいるということをこのドラマで初めて詳しく知ったという意見もあり、その後の展開を見た上で委員会として判断することになった。
私個人としては、主人公の子どものあだ名が実在の施設の固有名詞に近いものになっていて、フィクションであるにもかかわらずこの部分だけがフィクションを超えている可能性があり、事前にこの施設にあだ名呼称を使用することについての相談をすべきであったのではないかという点、そして、児童養護施設のあり方を改善してきた施設関係者の最近の努力を逆なでするような施設長の発言と態度に不快感を抱く関係者は多いだろうと想像できたのではないかという点が論点だと感じた。そして、今回のように現代社会の事象に対して問題提起する番組内容の場合、その引き起こす社会的波紋に対する事前の配慮は、通常にも増して行う必要があったのではないかと考えた。
しかしその後、番組の展開は当初のような批判を浴びるトーンから少しずつ変わっていき、好意的な感想が増えるような内容になっていった。実際にBPOに寄せられる批判的意見は大きく減じ、共感的意見も寄せられるようになっていった。

III.放送局と視聴者に求められるもの

今回のドラマはこのように、当初視聴者から厳しい批判を受ける問題点をいくつか抱えていたが、その後、あだ名呼称など当初浮かび出ながら解決されない問題を残したものの、全体としては次第に視聴者に受容される内容になっていったといえる。差別され親の愛に囲まれて育てられるという当然の機会と権利を奪われた子どもたちの生き様の問題に焦点を当てたことの意義も、視聴者から認められたと思う。
そうした総合評価の上にたって、青少年委員会はこの番組を審議対象としないという選択をした。ただし、II.で述べた論点は、このドラマを最後まで見ても、ドラマの効果上必要性のある設定であったが故に解決されたと認めたわけでないということも述べておかねばならない。このドラマによって、心の傷を深めたり再発した可能性のある子どもがいるということが示されている以上、そのことを問題にした視聴者と関係者に対して、放送局側は、番組が終わった段階で、あらためて誠意ある態度を示すことが求められていると思う。そのことを示すために、異例ではあるが、今回のドラマを審議対象にはしないが、コメントを委員長名で出すことにした。その含意を汲み取ってほしいと思う。
あわせてコメントしておきたいことは、今回の番組をめぐって多くの視聴者が、番組が始まる以前から積極的に発言したため、途中から提供スポンサーにも影響を及ぼしたという点である。これは異例のことであった。
私たちは番組の内容をめぐって、番組を作る側が表現の自由を持っているように、視聴する側が自由に意見を言うことは視聴者の権利と考えている。しかし、視聴者からの批判が、提供スポンサーにまで影響を及ぼすということが安易に行われると、番組制作自体が次第に成り立たなくなっていく可能性が生じる。批判は大いに歓迎したいが、それが放送局と視聴者双方の表現の自由を制限する方向に向かわないようにすることが、今回のことが社会に投げかけた教訓といえよう。

以上

中高生モニター報告

■中高生モニター報告 概要

3月の中高生モニターは、「この1年間の感想」というテーマで書いてもらいました。今回は21人から報告がありました。たくさんのモニターが、毎月リポートを書くことで、テレビ番組をより深く考えながら見ることができたし、自分の世界も広がってとても有意義な1年だった、機会があればまた参加したい、と書いています。また、これからも革新的でますます面白いテレビ番組ができることを期待している、という声も多く寄せられました。
「見てみたいテレビ番組の企画」を書いた経験が1年の中でも特に強く印象に残った、制作者の苦労がわかった、と書いたモニターもいました。
震災関連の番組をとぎれず制作し、現在の被災地の実態を報道し続けてほしいと書いた宮城県のモニターや、地方テレビ局の作った面白いドラマを例に挙げてローカル色の強い番組を応援したいという意見も寄せられました。

■中高生モニターと委員の主な意見

●【委員の感想】中高生モニターの重要性をしっかりと理解し、自分の見方を持っているモニターが多い。来年度もリポートを読むのが楽しみだ。

  • (島根・中学3年男子)たまにニュース番組でBPO関連のことを耳にするのですが、BPOはテレビ番組への影響力が強いことを知り、モニターになることは責任があることだなと思いました。
  • (秋田・中学2年女子)自分の意見や感想が、実際の番組づくりに活かされているのはとても嬉しいことなので、中高生モニターをやって良かったと思います。

●【委員の感想】メディアリテラシーの功罪を論じたり、情報の受け取り方の重要性を述べたり、今回の報告は、とても清々しい気持ちで読め、メディアの存在意義に関して高い意識を持っていてくれて嬉しく思った。

  • (北海道 高1年男子)批判的に番組を見聞きするメディアリテラシーは大切です。しかし、それが過剰になって番組づくりをおさえつけるようになってしまうと、テレビ・ラジオが成長しなくなってしまいます。長い目で見ると「適度」というのが大切なのかなと思います。
  • (埼玉・高1年女子)多くの人に影響を及ぼすテレビ番組、特に報道番組について情報の伝え方はもちろん、情報の受け取り方も私たち青少年が考えていくべきだと思いました。
  • ●【委員の感想】1年間モニターを務めてみて、テレビの見方が変化した、あるいは自分以外の人たちの意見を読んで、多様な考え方があることに気づいたなど、中高生の成長にとって大きな意味のある制度になっていると思った。

    • (愛知・高校2年女子)モニターになってテレビの見方が少し変わった気がします。今まではただ何となく画面を眺めていましたが、この1年はテレビの内容について家族や友達と話し合う機会が増えて、メディアの便利な点、気をつけなければいけない点が見つかりました。
    • (神奈川・中学3年女子)この1年間で、同じ番組を見ていても人それぞれ感じ方が違うのだと改めて思いました。他のモニターの意見が自分の考えと真逆だったこともあり、とても驚きました。こんなにも考え方が違うのだとわかったので、これから物事を考えるときに活かしていきたいです。

    ●【委員の感想】 モニターたちのメディアリテラシーが明らかに高くなっているのがよくわかった。この方法は、学校の授業でも使えるのではと思った。テレビ番組に対する評価の目も曇りなくまっすぐな基準を持っている。

    • (神奈川・中学1年男子)どの番組でも似たような顔ぶれだとテレビを消すことが多々ありました。2014年は新しいスターが生まれるようなアイディアあふれる番組がたくさん出てきたらいいなと思います。
    • (神奈川・中学3年女子)私がこのモニターに応募した理由はテレビが好きだからでなく、今のテレビ番組のほとんどがつまらないと感じていて、どうしてつまらないのか、伝えられたらいいなと思ったからです。この1年で、その目的を自分なりに達成できました。

    ●【委員の感想】地方発の番組への応援の意見や、自分も参加できる番組に対する報告が印象に残った。

    • (佐賀・高校1年女子)わが家は『めんたいぴりり』(テレビ西日本)ブームでした。福岡のテレビ局の十周年記念ドラマでしたが、本当にはまりました。地方でもやれるんだぞ!という制作者の心意気を感じました。
    • (岐阜・高校2年女子)『テラスハウス』(フジテレビ/東海テレビ放送)は、一度普通に放送を見て、それから副音声も加えてもう一度見、さらにTwitterやYou Tubeで、もっと楽しんでいます。放送中にオンエア鑑賞中のテラスハウスのメンバーのつぶやきをTwitterで見ることができたり、未公開シーンをYou Tubeで見ることができたりするのが、今までにない番組の作り方だと思います。

    ●【委員の感想】多くのモニターが、今テレビに求められているものを的確に表現していることにも感心した。

    • (愛媛・中学1年女子)『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ/南海放送)は、欠かさず見ていました。家族で見て、楽しめて、飽きることなく、下品でなく、夢中にさせてくれる数少ない番組です。
    • (新潟・中学3年男子)テレビ番組はこのごろ類似番組が多すぎたり、コンセプトがしっかりしておらず、半年後には全く違う内容になっていたりするので、出演者に頼らない、オリジナリティーのある企画の番組が増えてほしいです。

    ●【委員の感想】リポートを教育の機会と捉えるのではなく、中高生には感じたことを自信を持って、感性のおもむくままに書いてほしい。

    • (宮城・中学2年男子)普段はリポートを書く習慣がないので、文章力がついたような気がします。

    その他

    • 3月4日に中部日本放送で加藤副委員長が講師として、3月11日にmmbiで小田桐委員が講師として、それぞれ参加した「意見交換会」の報告がありました。
    • 2014年度の中高生モニター32人が承認されました。
    • 6月6日に沖縄で意見交換会を開くことが報告されました。

    中高生モニター会議

    3月16日(日)午前11時半から午後3時半まで、NHK放送センター本館4階474会議室で、「2013年度中高生モニター会議」を開催しました。出席者は中高生モニター18人(中学生9、高校生9)と7人の青少年委員全員、そして今回はNHK制作局青少年・教育番組部マネージング・プロデューサー 滝沢 昌弘氏にも参加してもらいました。
    滝沢氏は『中学生日記』『Rの法則』など様々な青少年番組の企画開発にかかわってきた経験があり、今は『Let’s天才てれびくん』の監修をされています。番組を企画する上での苦労や、時代に即した或いは先取りした番組開発をする上での視点の置き方、番組の組み立て方など、具体的な番組制作について話をしてもらいました。その後、委員とモニターは、『Let’s天才てれびくん』のスタジオや、ニュースセンターを案内してもらいました。
    後半はモニターが4つのグループに分かれ、委員と一緒に、「こんな青少年向け番組が見てみたい、作りたい」というテーマに沿って、番組企画をまとめ、発表しました。"中高生のリアルな姿"を見ることができる番組というコンセプトで、もしも今の中高生が縄文時代にタイムスリップしたら?という番組企画を立てたグループや、"中高生が参加するチャレンジ系の旅番組"というテーマで、『伊能忠敬くん』という、Twitterと連動する形で参加者を募り、視聴者からお題をもらって旅の目標を設定する内容の番組企画を発表するグループもありました。発表の後、滝沢氏に専門の立場からそれぞれの企画を講評してもらいました。この会議の模様は、後日、冊子としてまとめることにしています。

    第155回 放送と青少年に関する委員会

    第155回–2014年3月6日

    『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』について日本テレビと意見交換

    アニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京メトロポリタンテレビ、サンテレビ)を審議し、「委員会の考え」公表

    第155回青少年委員会(臨時)を3月6日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回は、審議入りしている事案について当該局との意見交換と、前回委員会で審議した事案の「委員会の考え」について検討し承認しました。
    次回は3月16日に定例委員会と中高生モニター会議を開催します。

    議事の詳細

    日時
    2014年3月6日(木) 午後4時30分~午後8時50分
    場所
    放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    【審議事案】

    ■日本テレビ制作関係者などと意見交換

    • 2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)の、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"について、第153回委員会で審議入り事案とし審議を続けてきました。青少年委員会は2月12日付で日本テレビに回答要請を行い、日本テレビから2月20日付で提出された回答書を基に日本テレビ制作関係者などと意見交換を行いました。概要等については、後日報告します。

    ■『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』について審議

    • 1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)に対し、2月14日付で両局に回答要請を行い、両局から2月24日付で提出された回答書を基に、2月25日開催の前回委員会で審議した結果、「委員会の考え」を公表することで審議を終了することにしました。今回の委員会で「委員会の考え」が承認されましたので、当該2局に「委員会の考え」を送付するとともに、以下のとおり経緯を公表します。

    青少年委員会から東京MXテレビ、サンテレビへの質問

    2014年2月14日

      1. 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。
      2. 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。
      3. 2.で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどの点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。
      4. 放送時間を問題にする意見は社内で出なかったのか否かについてお答えください。
      5. 4.で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。
      6. 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。
      7. 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。
      8. 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

    (サンテレビへの質問は、7.第5話以降は26時から放送されていますが~に変更)

    東京MXテレビの回答

    2014年2月24日

    質問状に対するご回答

    • Q1 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。

    • A1 2013年7月23日に第1回目の考査を致しました。その後、9月25日に第2話の絵コンテ、10月30日に第1話アフレコ用動画と台本、12月24日に第1話のDVD、12月26日第2話のDVD、1月7日に第2話の修正版のDVDとそれぞれ考査依頼が来ており、最終的な考査の結果、放送可能と判断しました。編成部としましては、若干浅い時間ではあるものの、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、放送時間が午後10時台と、午後9時を過ぎていることから、放送を決定いたしました。

    • Q2 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。

    • A2 上記第1話の考査依頼の際に、異論もあり性的描写を抑えることを考査部門より営業担当を通じて制作者側へ伝えていました。また、第2話に関しても、一部の性的描写シーンについて再考・是正するよう伝えていました。

    • Q3 2で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどのような点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。

    • A3 編成局編成部の考査担当者が、第1話、第2話の絵コンテ、アフレコ用の動画のそれぞれの段階において、種々異論はありましたが、協議の上、過激な性的描写に再考・是正することなどの意見を出しています。当社としての最終判断は、「作品のテーマに沿って必要な範囲であり、アニメ固有の表現の域内である」と考え、放送時間も考慮したうえで放送可能と判断を致しました。

    • Q4 放送時間を問題にする意見は出なかったのか否かについてお答えください。

    • A4 放送時間移動についての強い意見はありませんでした。

    • Q5 4で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。

    • A5 当社では、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、22時台の放送に至りました。

    • Q6 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。

    • A6 22時台という時間帯に関し、多くの青少年が視聴しているという事実に対する認識に不足があった点は否めず、特にアニメというジャンルでのアクセスが容易に行われるという観点から、より青少年に対し配慮を行うべき時間帯であったと反省しております。

    • Q7 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。

    • A7 第1話並びに第2話放送後からBPOへ苦情のメールが寄せられていることが判明し、当該番組を放送する時間帯としてはふさわしくないという判断に至り、すみやかに放送時間変更を決定致しました。

    • Q8 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

    • A8 当社が制作に関与したか否かを問わず、当社で放送する番組の放送責任は当社にあると考えております。特に、22時台は、生活習慣の変化から多くの青少年が視聴可能であり、チャンネル選択権を当該青少年が持っていることも多いという事実に対する認識が甘かったと考えております。当該番組を視聴し、嫌悪を感じた視聴者の皆様には深くお詫びを申し上げます。

    以上

    サンテレビの回答

    2014年2月24日

    <サンテレビ回答>

    (1)について
    当該番組の放送枠は、在京局との同時同枠編成によるレギュラー・アニメ番組枠として展開したいという、代理店からの要請により、当社東京支社営業部を窓口に、持ち込み番組という形で昨年の10月編成時に設定しました。
    昨年10月21日、東京支社営業部は、本社編成部に他の枠を含めた1~3月クールのアニメ番組の予定表を出し、当該番組の「タイトル」を示しました。この時点では、放送枠としては昨年4月から、当該枠と同様に2局同枠編成している土曜日22:00~22:30での放送予定でした。分かっていたのはタイトルのみで、内容及びこの時間帯の放送で問題ないのかなどの点は、東京支社営業部も把握していませんでした。
    11月22日、東京支社営業部より当該番組を土曜日22:30~23:00の放送枠に変更したいとの要請がありました。この時点で、編成担当者は当該アニメの公式ページを確認し、放送時間からみて内容に問題があるのではと思い、考査担当者にも相談の上、東京支社営業部の担当者に番組内容の確認を急ぐよう促しました。編成局長からも東京支社営業部長に注意喚起し、代理店との交渉状況についても問い合せました。東京支社営業部は、在京局から「考査チェックしている」との回答をもらっており、問題ないとの判断でした。
    12月に入り、東京支社営業部長より編成局長に再度、在京局が引き続き当該番組を考査している旨の連絡があり、1月4日から毎週土曜日22:30~23:00の時間枠で放送することとしました。当社としての考査確認作業が必要という認識はありましたが、昨年4月期からの22時台の2局同枠編成による展開の経緯もあり、それ以上の論議にはなりませんでした。
    12月25日(水)に当該番組の第1話が、26日(木)に第2話の放送素材が搬入され、それぞれ翌日に放送運営センター(放送素材スタンバイ部門)担当者がプレビューしました。しかし、その際、当該番組の放送時間帯の認識が薄く、性的表現の含まれたシーンに関する指摘は行わず、年末年始の休日をはさんだこともありそのまま1月4日(土)の放送に至りました。
    アニメ番組においては通常、幹事局が代表して考査チェックするケースと、個別に考査依頼があり絵コンテやコメント台本、サンプルDVDなどが搬入されるケースがあります。今回の在京局は幹事局ではありませんが、「考査している」との情報に寄りかかり、考査材料の提出要求や問題点の指摘を怠ったことも、結果的に視聴者の厳しい意見をいただく事態を招くこととなった一因と考えています。

    (2)について
    問題ありとの指摘はありました。

    (3)について
    プロセスの中にありますように、編成担当者、考査担当者が事前に当該アニメの公式ページや原作本の紹介ページなどを閲覧し、過激な性的描写が危惧されることを営業担当者に伝えました。編成局長は東京支社営業部長および営業事業局長に指摘し、テレビアニメ化した際の表現内容について確認するとともに、放送時間に配慮した内容で対応するように依頼しました。以降の判断は、プロセスで記載したとおりです。

    (4)について
    放送時間を問題視する意見はありました。

    (5)について
    内容に対する懸念と同様の経緯です。

    (6)について
    民放連放送基準第3章の「児童および青少年への配慮」は、アニメにおいてはより留意する必要があるものと考えます。当然のことながら、低年齢層が視聴可能な時間に、刺激的な性的描写が含まれるアニメの編成は控えるべきものであると考えます。

    (7)について
    前述のとおり、当該アニメはその放送時間に適さないものだったと判断し、2月放送分から深夜帯(26時台)に移行しました。また、放送開始後、当社や貴委員会に寄せられた視聴者からの厳しい意見を踏まえ、代理店を通じて深夜といえども内容に配慮するよう申し入れました。

    (8)について
    制作に関与してないとはいえ、4週にわたり放送時間帯に相応しくない性的描写を含むアニメを放送してしまった責任は重く受け止めております。事前に問題意識を持ちながら自局での考査チェックを行わず、視聴者ならびに貴委員会からのご指摘を受ける事態を招いたことを深く反省しております。
    番組づくりの手法が多様化する中で、放送局として判断、責任は今まで以上に厳格であるべきと考えます。今回のご指摘を受けて、社内の番組チェック体制を見直すとともに、アニメ番組の持ち込み基準を早急に策定します。
    放送基準ならびに放送倫理を念頭に、特に低年齢層の視聴に十分に配慮した健全な編成
    を心がけていく所存です。

    以上

    委員会の考え

    2014年3月10日

    【委員会の考え】

    当該放送局からの回答を得て、第154回青少年委員会で審議した結果、サンテレビは26時から、東京MXテレビは25時30分からと、それぞれ放送時間を変更したことも踏まえて、放送局側とのさらなる意見交換の場は設けずに、文書による回答に基づいて、「委員会の考え」を以下に提示することにしました。

    東京メトロポリタンテレビジョン(以下、「東京MXテレビ」)とサンテレビジョン(以下、「サンテレビ」)で、毎週土曜日22時30分から放送していたアニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』は、青少年の性愛が主たるテーマになっており、児童および青少年の視聴に適さない刺激の強い性的表現が複数含まれ、それが番組の特徴になっています。
    東京MXテレビの回答では、『民放連・放送基準審議会「青少年と放送」問題への対応について』(1999年6月17日)を参考に、22時台の放送に至ったとの回答がありますが、同『対応』においては、"17時~21時に放送する番組については、児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分、配慮する"としていますが、その前提として、"放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する"(民放連・放送基準第18条)を順守徹底することが求められています。
    これは、各時間帯に応じて段階的に児童および青少年の視聴に十分な配慮が必要であることを意味し、21時を過ぎれば、児童および青少年の視聴に配慮する必要がなくなるわけではないことを十分に認識していただきたいと思います。
    東京MXテレビ、サンテレビとも、多数の視聴者意見を受けて第5話以降の放送時間を変更したということは、事前に視聴者の意見を予想できなかったか、予想しながらも敢えて放送したとも考えられますが、いずれにしても、放送開始の段階では、視聴者の反応を十分に予想し、配慮した上での決定とは言い難かったのではないでしょうか。程度の差はあるにせよ、児童および青少年の視聴に対する配慮は時間帯を超えて常に必要であることに留意してほしいと思います。
    東京MXテレビは、考査をしながら、そこでの意見が十分に反映されないまま放送に至った危険性が読み取れ、考査の過程が形骸化し、十全に機能していないのではないかと危惧しています。
    サンテレビは、他局の考査セクションがチェックしているという点に安易に依拠し、局独自の考査を十分しないまま放送したもので、放送局としての放送責任を改めて考え直してほしいと思います。各放送局が、独自の放送責任を負っている点を深く自覚していただきたいのです。
    いわゆる製作委員会方式においては、番組制作にあたり、放送局が全く関与しないか、関与が限定的なものとなっていることもあるようですが、最終的な番組編成や放送時間の決定は放送局に委ねられているのであり、その放送責任は免れません。したがって、放送にあたっては、自社制作番組と同様の丁寧なチェックが求められることを指摘したいと思います。
    なお、青少年委員会は、児童および青少年の視聴に十分配慮する時間帯について、今後研究すべき課題であると認識していることを、BPO加盟の全放送局にお伝えしておきます。

    以上

    第154回 放送と青少年に関する委員会

    第154回–2014年2月

    『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』
    日本テレビ2013年12月31日放送
    局からの回答書を基に審議

    アニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』
    東京メトロポリタンテレビ、サンテレビ
    局からの回答書を基に審議

    第154回青少年委員会を2月25日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回、審議の対象となったのは2事案で、そのうち1事案については、「委員会の考え」を公表して審議を終えることにしました。討論の対象になったのは2案件でした。その他、1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に話し合いました。また、2月の中高生モニター報告、3月開催予定の中高生モニター会議、調査研究、来年度の活動計画、名古屋テレビ放送へ講師派遣の報告、などについて話し合いました。
    青少年委員会では「討論」という委員の自由な議論の場を設け、該当番組やテーマが「審議」の対象になるかどうかを判断しています。「討論」の対象になった番組やテーマが、すべて問題があると判断されるわけではありません。
    次回は3月6日に臨時の委員会を、3月16日に定例委員会を開催します。

    議事の詳細

    日時
    2014年2月25日(火) 午後4時30分~午後7時50分
    場所
    放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    視聴者意見について

    【審議事案】

    • 2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)の、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"について、青少年委員会が2月12日付で日本テレビに回答要請を行い、日本テレビからの2月20日付で提出された回答書を基に審議を行いました。
      委員の主な意見は、以下のとおりです。

      • 日本テレビの回答は、質問に対して充分な回答となっていない。もう少し具体的な"骨格の部分"を聞いてみたい。

      • 意見交換は、放送局に"お白洲"と受け取られているのではないか。自由な議論の場として考えたい。

      • BPOの役割は、今後の放送に役立てるため事例を積み上げることにある。概要を公表する意見交換は必要だ。

      審議の結果、日本テレビに番組制作関係者らとの意見交換への出席を依頼し、さらに審議を深めて行くことにしました。

    • 1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)に対し、2月14日付で両局に回答要請を行い、両局からの2月24日付の回答書を基に、審議を行いました。この番組は、放送局が参加しない製作委員会による制作で、両放送局とも、第5話からは午前1時以降の深夜帯に放送時間を変更しています。
      委員の主な意見は、以下のとおりです。

      • 時間帯の認識が甘い放送局があるが、説明の内容は理解できたので、これ以上の意見交換は必要ないと思う。

      • 番組の内容に問題はあるが、両放送局とも第5話から放送時間を深夜に変更するなど自主的な対応をとったことを踏まえ、回答をもって了としてもよいのではないか。

      • もう少し詳しい回答がほしかった。時間帯をずらせば良いという問題ではない。

      • 放送局が参加しない製作委員会方式の番組の取り扱いについては、今後も丁寧なチェックが必要だと思う。

      審議の結果、これまでの回答書などを基に「委員会の考え」を公表することにより、審議を終了することにしました。

    【討論案件】

    • 子どもが主人公のドラマについて、前回の委員会に引き続き討論しました。青少年委員会では、今後のドラマの展開も含めてさらに注視しながら、引き続き討論を続けて行くことにしました。

    • 「実在する施設をモデルにした建物内で少女に水着姿で客の接待をするシーンがあった。あまりに実態とかけ離れた描写に愕然とした」などの視聴者意見があった、地方都市を舞台にしたアニメ番組について、全委員が番組を視聴した上で討論しました。「あのシーンを見て不愉快と思った地元市民はいるだろう」という意見もありましたが、「このアニメを見て励まされたという中高生モニターもいた」「程度問題だが、アニメやドラマのストーリーにあまり過敏すぎるのは如何なものか」などの意見があり、審議入りしないことにしました。

    中高生モニター報告

    2月の中高生モニター報告は、「この1ヶ月程の間に見た番組(バラエティー・クイズ・音楽)について」というテーマで書いてもらいました。
    今回は22人から報告がありました。長い間続いている人気のバラエティー・クイズ番組を支持する意見が多数寄せられました。『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ)、『世界ふしぎ発見』(TBSテレビ)、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ)などの番組です。音楽番組に関しても、『SONGS』(NHK)や『ミュージックステーション』(テレビ朝日)、『ベストヒットUSA』(BS朝日)など、長寿番組を毎週楽しみにしているという意見が寄せられました。
    自由記述欄は、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。
    今回はラジオに関しての意見が6件ありました。また、話題になっている番組、『明日、ママがいない』(日本テレビ)に関しても、「視聴者に非難されるとわかっていながら、話題となることをねらって放送したのではないか」「児童養護施設をテーマにして問題をなげかけること自体は悪くないが、ショッキングなせりふは問題だ」「是非最後までしっかり放送してほしい」など、多様な意見が寄せられました。中高生ならではの意見としては、テレビの存在意義に関してインターネットやその他のメディアとの比較で、いろいろな視点からの考えが寄せられました。BPOの活動に関して、「最近BPO関連のニュースが多い。テレビの在り方について考える時間が増えるとともに、しっかりした規制があると示すことで、テレビがより良いものになると思う」と書いたモニターもいました。

    ◆中高生モニターと委員の主な意見

    ●【委員の感想】今回は自由記述欄の記載に興味をひかれるものが多かった。天気予報やニュースに関して、テレビよりインターネットなどのメディアの方が早く情報が手に入る、速報性を求める情報にテレビが対応できなくなっている、と記述しているのが印象に残った。また、友達との話題は、テレビ番組ではなく、ニコニコ動画やYou Tubeに投稿された動画の話題の方が多い、とも書いている。

    • (千葉・中学2年男子)雪の情報などは、テレビよりもTwitterやLINEの方が早くて正確で、だとするとテレビを見ている必要性がなくなってくると思います。

    • (島根・中学3年男子)天気・交通・全国のニュースなどインターネットの方が早くて、深く詳しいことまで知ることができ効率が良いと思います。時代の流れがテレビからインターネットへ移る移行期へ入ったかなと感じました。

    • (神奈川・中学3年男子)以前の友達との話題は、テレビ番組についてのものが多かったですが、最近の自分の周りの会話はYou Tubeやニコニコ動画などのインターネット動画共有サービスに投稿された動画の話題や、Twitter、LINEなどのSNS、パズル&ドラゴンズなどのスマートフォン対応ゲームの話題が中心になっているような気がします。

    ●【委員の感想】大人がテレビに対して過剰に反応し過ぎているのでは、と疑問を投げかける一方、制作サイドも、番組に対する意見を尊重しつつも受け入れるかどうかよく考えるべきと、大変いい意見を書いたモニターがいた。

    • (島根・高校2年男子)最近、大人が暴力表現やいじめシーンについて「子どもに悪影響があるからやめろ!」などと世論に訴えるなど、過剰に反応し過ぎているように思います。制作サイドは、番組に関する多様な意見を尊重しつつも、その意見を本当に受け入れるべきか否か、様々な世代の立場に立って考える必要があると思います。

    ●【委員の感想】自由記述欄がとても面白かった。番組内容を規制し過ぎる弊害を書いたものもあった。

    • (愛知・中学3年女子)過激で良くない番組作りを推奨するわけではありませんが、制作側がもっと自由にのびのびと番組作りができる環境が整ってくると、テレビ番組はもっと面白くなると思います。

    • (島根県・高校2年男子)過激なシーンには、良い面、悪い面の両方があります。そうであるにもかかわらず、あたかも悪い面しかないように主張し、その結果、過激なシーンが制限されることは、逆に子ども達の心の豊かさをなくしてしまうことにもつながるのではないでしょうか。

    ●【委員の感想】一つの番組批判を集中してやるのはいじめではないか、という意見もあった。

    • (宮城・中学2年男子)何かが悪いとなると、寄ってたかってみんなで非難し合うのは、いじめと同じだと思います。

    ●【委員の感想】外国の局制作の番組も人気があるようだ。英語が話せればどんなに良いだろう、と書いたモニターもいて、やはり、時代が変わってきているという感じがした。

    • (東京・中学3年女子)iPhoneの「RadiON」というアプリで「KKEA」(ハワイ、ホノルルのラジオ局)というラジオを、毎日時間があれば聞いています。日本のラジオも好きですが、アメリカなどのラジオが一番好きです。

    • (福岡・高校1年女子)『グラミー賞授賞式&ノミネーションコンサート』(WOWOW)を録画して家族でじっくり見ました。日本の歌番組でここまで考えさせてくれる番組は無い気がします。私は英語がすらすらと聞き取れないので本当にはがゆかったです。受賞者の英語を生で感じ取れたらどんなにいいだろう、と心からじれったく思いました。

    ●【委員の感想】バラエティー番組の企画力をしっかり見ている、という気がした。様々な番組の魅力をきちんと指摘している意見がたくさんあった。

    • (鳥取・中学2年男子)僕が最近はまっているテレビ番組は、『テラスハウス』(フジテレビ/山陰中央テレビ)です。今までの番組とは一風変わった番組で、そのアイディアは素晴らしいと思います。青春まっただ中の中高生には人気が高く、見ていて胸がときめきます。アイディアでテレビの未来は大きく変わると思います。

    • (千葉・中学2年男子)『世界ふしぎ発見!』(TBSテレビ)この番組の良さは、その国に行ってみたくなるということに尽きると思います。制作担当の人達が面白いネタを探しているのが伝わってきて、ついついその国の魅力にハマっていきます。

    ●【委員の感想】長く続いている番組の意義をしっかり受け止め理解している。人気のある最近始まった番組も含め、細かい分析をしながら、よく番組を見ているな、と思った。

    • (島根・中学3年男子)『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ/日本海テレビ)この番組は制作スタッフがすごく頑張っておられると思います。日曜日の20時枠でマンネリ化せず、つまらないと思った回がないからです。

    • (新潟・中学3年男子)『月曜から夜ふかし』(日本テレビ/テレビ新潟)一見未完成であったり、支離滅裂な内容のVTRに出演者が突っ込みを入れるなどして、トークが広がり、そのトークがあることによってVTRが完成するのです。この双方がうまくマッチしているため、この番組が面白くなっています。

    今年度の青少年委員会活動について

    • 3月16日に開催予定の中高生モニター会議の詳細と、来年度の中高生モニター募集が終了し、これから選考に入るとの報告がありました。

    • 来年度実施予定の調査研究について、2月8日、9日に仙台で予備調査を行った報告がありました。

    その他

    • 2月14日に汐見委員長と最相委員が参加し開催された、名古屋テレビ放送での「意見交換会」についての報告がありました。

    • 3月4日に中部日本放送で加藤副委員長が講師として、3月11日にmmbiで小田桐委員が講師として、それぞれ参加する「意見交換会」が予定されています。

    第153回 放送と青少年に関する委員会

    第153回–2014年1月

    『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』審議入り
    日本テレビ2013年12月31日放送

    アニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』
    審議入り 東京メトロポリタンテレビ、サンテレビ

    第153回青少年委員会を1月28日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回、討論の対象となったのは5番組で、そのうち2番組について審議に入ることにしました。その他、12月9日から1月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に話し合いました。
    青少年委員会では「討論」という委員の自由な議論の場を設け、該当番組やテーマが「審議」の対象になるかどうかを判断しています。「討論」の対象になった番組やテーマが、すべて問題があると判断されるわけではありません
    この他、1月の中高生モニター報告、また、3月開催予定の中高生モニター会議、調査・研究、来年度の活動計画などについて話し合いました。
    次回委員会は2月25日に開催します。

    議事の詳細

    日時
    2014年1月28日(火) 午後4時30分~午後7時25分
    場所
    放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    視聴者意見について

      2番組が審議入り

    • 1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)に対し、「女子高生に貞操帯をつけたり自慰のシーンを放送するなど、午後10時台に放送するような内容ではない」「未成年の女性がお漏らしをしたり、女性同士のみだらな場面や、あえぎ声など、性表現が過激すぎて、青少年に悪影響を及ぼしかねない」などの視聴者意見があり、委員全員が第1話、第2話を視聴した上で討論しました。委員の主な意見は以下のとおりです。

      • この漫画は以前から知っていたが、この内容をアニメで表現するのは問題があると思う。内容と放送時間帯が問題だ。

      • この内容でわざわざ放送したのは何故だろうか。放送責任に関わってくる。

      • テレビは公共の放送であることを考える必要がある。

      • アニメは、誰でも見られる時間帯に放送されるものと、限られた人たちが見る深夜の時間帯に放送されるものとがある。深夜帯の放送であれば、この番組は黒に近いグレーゾーンだが、この時間ではアウトだと思う。

      • この時間帯で放送したのはなぜなのだろうか。社内でどういう議論がなされたのか聞いてみたい。

      討論の結果、審議に入ることを決めました。なお審議の対象は、"視聴者意見があり""放送時間が午後10時30分から"の東京MXテレビとサンテレビの2局です。

    • 2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)に対し、「お尻に白い粉を浣腸したあとほかの人の顔におならをかけるなど、品の無い内容で、子どもに悪影響を与える」「男性芸人らしき人がオムツ換えのシーンで局部を丸出しにしていた。局部は映らないようにしていたが、あってはならない光景だ」「股間で改良型のロケット花火を受け止めるというシーンがあった。"改良した花火で安全に配慮し行っています。マネをしないでください"とテロップを出していたが、書けばなんでも許されるわけではない」などの視聴者意見があり、委員全員がそれぞれのシーンを視聴した上で討論しました。委員の主な意見は以下のとおりです。

      • お尻の穴から白い粉を出し顔で受けるのはテレビで放送するにはふさわしくない内容だ。

      • 外国では、放送でお尻の穴に言及することには大変厳しく対処している。全体に下品で気持ち悪い。

      • ネタが無くなってきたのか。日本人はこんなことで笑うのかと外国人は思ってしまう。

      • おしめを換えるという赤ちゃんプレーは風俗を連想させる。下品で不快な表現だ。

      • 白い粉をお尻から出したタレントさんは納得の上だろうが、人間の尊厳を剥奪された芸が当たり前のように放送されるのは良くない。

      • あまりに下品だ。下半身を笑いのネタにするのは止めてほしい。制作者はなんとも思わないのだろうか。

      • 女性の視聴者が男性の裸を見せつけられるというのは、逆セクハラでしかない。

      討論の結果、審議に入ることを決めました。対象は、視聴者意見があった中で、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"です。

    • その他討論した3番組について

    • 「女性タレントに番組内で離婚届を書かせる内容があった。離婚を軽く扱うことにより子どもへの影響は考えなかったのか」などの視聴者意見があったバラエティー番組について、全委員が番組を視聴した上で討論しました。「放送局側に、タレントの私的な問題を安易に題材として取り上げる傾向があり、タレントの人権を考えた時に問題がある」という意見も出ましたが、「スポーツ紙で噂が取り上げられていた。演出だとわかるので問題にする必要はない」などの意見があり、審議入りしないことにしました。

    • 「背中の刺青を消したいと、女性タレントが子どもの見る時間帯にテレビで刺青を入れた体を公開していた。普通の人はあれほどの刺青は反社会的な組織を連想する」「未就学児童のいるタレントが背中の刺青を見せていた。子ども達がいじめの対象になるのではないかと心配だ」などの視聴者意見があったバラエティー番組について、全委員が番組を視聴した上で討論しました。「親が刺青を入れていることを公表した子どもへの影響を想像して番組を制作したのだろうか」という意見も出ましたが、「刺青を入れたことによる生きていく上での困難さを表現していた」「コメンテーターも含めて、不寛容な心が日本を悪くしてしまうのではないか」などの意見があり、審議入りしないことにしました。

    • 1月15日以降に数多く視聴者意見が寄せられた番組についても討論しました。「子ども達を過激なあだ名で呼んだり、ペットショップの犬に例えて表現したりするのはおかしい。ドラマとはいえ放送内容はやりすぎだ」「社会的な擁護を必要とする子ども達の心の傷や精神的な苦痛を無視する内容だ。子ども達が救われない」「私は施設の職員だ。あまりにひどい内容に絶句した。ドラマだから誇張されているのだろうが、子ども達や私たち職員の気持ち、人権をあまりにも考えていない」などの視聴者意見があった、子どもが主人公のドラマについて、全委員が第1話、第2話を視聴した上で討論しました。青少年委員会では、今後のドラマの展開も含めて注視しながら引き続き討論を続けていくことにしました。

    中高生モニター報告

    1月の中高生モニターは、「年末年始で印象に残った番組」というテーマで書いてもらいました。今回は24人から報告がありました。
    10人のモニターが『紅白歌合戦』(NHK)を見たと書いています。ほとんどが肯定的な意見で、「年末久しぶりにみんなでこたつを囲んでテレビ番組を見ました。この番組はみんなで楽しく見ることができました。私も将来の子どもと一緒に楽しく見たいです」「あまり若者受けしない演歌などの曲の時は、アイドルグループなどとのコラボレーションが見られるなど、知らない曲でも楽しんで見ることができました」「構成が工夫されていてとても引き付けられました」「内容が盛りだくさんで本当に充実していました」などの意見が寄せられました。一方、「綾瀬さんの司会がたどたどしくてひやひやしました」「今の時代、いろんな世代・ジャンルの歌手が一堂に会して歌番組を放送することに無理があると思います」など批判の声もありました。
    バラエティーの人気番組にも好意的な意見が寄せられました。『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)には、「マンネリ化しているかなとは思うけどやはり面白いです」「この番組は、勉強からのストレスを発散してくれます。笑いを我慢するという設定がかえって楽しいと思います」。『めちゃ×2イケてるッ!600回記念』(フジテレビジョン)に関しては「僕は、岡村さんがとても好きです。笑いにこだわるその姿勢が好きです。タカッシーのダンスやビッグダディのパロディーもよく似ています」という意見がありました。『探偵!ナイトスクープ 年末スペシャル!!』には、「涙を流してまで大笑いする時もあれば、少し感動する場面もあるので、そういうのを見ていると、温かく優しい気持ちになります。このように、視聴者に目を向け、何かを一緒にするという体験型の番組がもう少し増えるといいのかなと個人的には思います」など、バラエティーの人気番組を根強く支持する意見もありました。
    自由記述欄は、「1日何時間くらいソ―シャルメディアやインターネットに接していますか。その良い面(こんなところが便利あるいは面白いとか)と悪い面を含めて記述してください」というテーマを設定しました。
    多くのモニターが「1日30分から1時間くらいに時間を限って使っている」と自己規制しつつ使用しているようでしたが、なかには1日2時間とか、5時間使っているという人もいました。使用しているツールとしてはipad、携帯電話、スマートフォン、インターネット、SNS、ラインなどが挙げられました。良い面としては「非常に便利な道具。いろんな情報をタイムリーに知ることができる」「インターネットでゲーム、買い物ができて、生活に必須のものになっている」「趣味が同じ友人・知人を介してすぐに知りたい情報を手にいれることができる」「アプリなどを使い、自分の好きな音楽などを、すぐに聞くことができる」が挙げられました。悪い面としては「家族との会話が減る」「時間が経つのが早く、勉強時間が削られる」「あふれている情報の真偽が見分けにくい」「個人情報が流出しやすい」「友達に勉強よりもラインやゲームにはまってしまって、学校も休みがちになっている人がいる」「携帯でのラインのやめ時がわからない。やり取りが続くとあまりにしつこくうっとうしくなることがある」「ソーシャルメディアが犯罪やいじめの温床になる可能性がある」などいろいろな欠点が挙げられました。
    「インターネットやソーシャルメディアには良い面、悪い面の両方がありますが、これらのメディアをいいものにするか悪いものにするかは、使い手のマナー次第だと思います。インターネットの問題では、"メディアリテラシー"、ソーシャルメディアの問題では"ネチケット"がカギになるのではないでしょうか」という冷静な意見を書いてくれたモニターもいました。

    ◆中高生モニターと委員の主な意見

    ●【委員の感想】『紅白歌合戦』に関する意見が多く見られた。いろんな世代で一緒に見るという想定の番組というのは今の時代は無理ではないかという意見があったり、逆に、親子で楽しく見ることができた、という意見があった。やはり視聴者の意見に何らかの共通項を見出すことが難しくなっているということなのかと感じた。また、年末年始の番組に同じタレントばかりが出ていてつまらないという意見には同感した。

    • (徳島・中学1年女子)『紅白歌合戦』には、おじいちゃん、お父さんの知っている歌手、今年の話題番組からの歌などいろいろな年代の歌手が出ていて、みんなで楽しく見ることができました。衣装が豪華だったり、その年の話題が取り上げられたり、家族で見ながら会話がはずみました。

    • (福岡・高校1年女子)『紅白歌合戦』について。みんな書くでしょうが、今の時代、いろんな世代・ジャンルの歌が一堂に会して歌番組を放送することに無理があると思います。

    • (千葉・中学2年男子)お正月はどの番組を見ても、同じタレントが出ていてはっきり言って、つまらないです。

    ●【委員の感想】『紅白歌合戦』は、家族一緒に楽しく見ることができてとても良い番組だった、という肯定的な意見が多いのが目立った。ただ、『あまちゃん』コーナーが長かったことに関して、『あまちゃん』を見ていないモニターが不満をもらしていた。また、綾瀬はるかの司会に関しても賛否両論の意見があった。同じ番組でも中学生、高校生など年代によって受け止め方が大いに違うのだなと思った。

    • (愛媛・中学1年女子)『紅白歌合戦』は、今年初めて家族で最後まで見ました。嵐の司会が気になったし、好きな歌手も出ていたし、毎年、父、特に母がよく見ていたので、何がそんなに魅力なのか気になっていたからです。司会の綾瀬さんが、「花は咲く」を歌われた時に泣いたのにはびっくりしました。紅白という番組が国民的番組で大女優の綾瀬さんをここまで緊張させるのかと感じました。

    • (徳島・中学1年女子)『紅白歌合戦』は、衣装が豪華だったり、その年の話題がとりあげられたり、家族で見ながら会話がはずみました。

    • (秋田・中学2年女子)『紅白歌合戦』では「あまちゃん」のオリジナルストーリーが展開されたのですが、私は見ていないので、話の内容があまりわからず、長いな、と思いました。「あまちゃん」を見ていない人の立場も考えて、内容を作ってほしいです。

    • (埼玉・高校1年女子)『紅白歌合戦』は、私の祖父母も楽しんで視聴しているようでした。小学生の従弟たちはあまり面白そうではありませんでしたが、ゆるキャラたちが登場したときはとても楽しそうでした。

    ●【委員の感想】 『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』が面白いという肯定的な意見も来ていた。大人とこどもの感じ方は違うのだと思った。また、いくつかのドキュメンタリーを含む番組に関しては、何人か、番組を見て希望や夢を持てた、と書いている。中高生はこういうテレビ番組に素直に感動するのだなと思った。SNSなどのツールを5時間以上使うという人が何人かいた。かなり長い時間、インターネットやソーシャルメディアに接しているのだと思う。

    • (福岡・高校1年女子)『世界に誇る50人の日本人 成功の遺伝子』(日本テレビ/福岡放送)すっごくすっごく感動しました。私たち若い学生が見て、頑張ろう!やってみよう!と思える希望の持てる番組だと思います。父は、きれいな部分ばかりを見せているきらいもあると言っていましたが、それでも、すごくいい番組だと思います。日本人にはたくさんの尊敬すべき人物がいるのだなあと再確認させられました。

    • (岐阜・高校2年女子)ソーシャルメディアとの接触は、学校の時間を省けば、ほぼ1日中だと思います。〈先生が生徒に関心のない授業をしているときは、授業中も携帯を見ています〉

    • (愛媛・中学1年女子/東京・中学3年男子)平日は1日2時間、休日は4~5時間しています。

    ●【委員の感想】 ソーシャルメディアへの接触が大変多く、もはやテレビの時代ではないのだろうかと感じた。中学1年生でも最先端のソーシャルメディアを抵抗なく使っている。こういう状況の中で、中高生のテレビ離れをどう防ぐかは、放送界全体の課題だ。ドキュメンタリーを見て熱く感動した気持ちを書いてくれた人もいる。バラエティーだけでなく、若者の心に火をつけるような番組を制作していくことも重要なことであろう。地方で放送されているアニメで非常に素晴らしい制作意図を感じるものに関して書いてくれたモニターもいた。また、ソーシャルメディアの長所短所について、「メディアリテラシー」や「ネチケット」などの用語を使って、大変優れた意見を書いてくれた人もいた。

    • (宮城県・高校2年男子)『Wake Up Girls!』(テレビ東京/仙台放送)は仙台を舞台にしたアニメ番組です。主人公の中高生7人がそれぞれ悩みや苦しみを抱えてそれでも前へ進んで行こうという姿がアニメから伝わってきて、その姿が今復興へ向け進んでいる被災地の姿と重なると感じさせられました。

    • (島根県・高校2年男子)良い面の1点は、遠方の友人と会話を少ないタイムラグでできることです。2点目は膨大な量の情報にアクセスできることです。悪い点は、インターネット上の信頼性の低い情報を信用してしまい、間違った知識を得てしまう可能性があることです。

    今年度の青少年委員会活動について

    • 3月16日に開催予定の中高生モニター会議の詳細と、来年度の中高生モニター募集が始まったことの報告がありました。

    • 来年度実施予定の調査・研究について、2月に予備調査に入ることを決めました。

    その他

    • 2013年12月19日に行われた、在京BPO連絡責任者との意見交換会の報告がありました。

    第152回 放送と青少年に関する委員会

    第152回–2013年12月

    今回は、討論対象の番組なし

    中高生モニター報告は、日本民間放送連盟賞特別表彰部門(青少年向け番組)最優秀番組の『ありがとう いのち~みんなきみが大事~』(北海道テレビ放送制作)について

    第152回青少年委員会を12月16日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回は、討論の対象番組はありませんでした。その他、11月16日から12月8日までに寄せられた視聴者意見と、12月の中高生モニター報告、また、2014年3月開催予定の中高生モニター会議、調査・研究、来年度の活動計画などについて話し合いました。
    次回委員会は1月28日に開催します。

    議事の詳細

    日時
    2013年12月16日(月) 午後4時30分~午後6時50分
    場所
    放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    視聴者意見について

    • 視聴者からの意見を基に委員間で話し合いましたが、今回は特に取り上げるべき番組はありませんでした。

    中高生モニター報告

    12月の中高生モニターは、「日本民間放送連盟賞 特別表彰部門(青少年向け番組)で今年、最優秀となった番組の感想」というテーマでリポートを書いてもらいました。番組は、北海道テレビ放送制作のHTBノンフィクション『ありがとう いのち~みんな きみが大事~』(放送2013年5月5日16時30分~17時25分)で、5月の「青少年へのおすすめ番組」でした。小学校を回り"誕生学"という授業をする札幌の主婦達の活動を通じて"いのち"が危うい学校現場の現状を描くと同時に、今の"こころ"の教育のあり方を考える内容となっています。
    今回は27人から報告がありました。たくさんのモニターから、大変影響を受け考えさせられたという報告が寄せられました。「いのちについてじっくり考える時間を持てました。誰の悲しい顔も見たくないので、学校でもこのDVDを見たいな、友達と一緒に考えたいなと思いました」「最近は期末テスト、塾でのテスト、外部のテストのことで頭が一杯ではっきり言ってこういう命の学習について考える余裕はありませんでした。でもこれを見て、まず、元気のない子やしょんぼりした子がいたら、自ら声をかけてみようという気持ちになりました」「この番組を見て、自分について深く考えさせられました。さらに自己肯定感があれば、いじめや不登校が減るのではないかとも思いました」。
    また、自らの学校で行われているいじめについての取り組みを書いてくれたモニターもいました。「岐阜県では、各学校で『ひびきあいの日』という人権の取り組みをしています。各学校が『いじめについての話し合い』や『人権集会』などを行い、人権について考えています。僕はこのビデオを見て、今の小学校の低学年からこうした『命の教育』を行っていかなくてはいけないと思いました」「私には、学校でいじめについての『授業』が何回もあったくらいで、特別に『いのち』の授業を受けた記憶はあまりない。私たちもこの誕生学を小学生の時受けたかった」。
    一方、タイトルがちょっと硬い感じがするという意見もありました。「もしこの題だったら、自主的に選んで見ていなかったと思います。学校の保健の授業で見た番組のようだと思うからです」「番組テーマが『いのち』ということで視聴する前はすごく硬そうな番組かなと思っていたのですが、結構見やすい番組構成で、あっという間に1時間が過ぎました」。
    また、「このビデオを母と一緒に見ました」というモニターも2名おり、親子でいのちの尊さについて話し合うきっかけになったという報告が寄せられました。
    <自由記述欄>では、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」と依頼しました。『国会討論会』(NHK)の特別秘密保護法案をめぐる論議について4件の意見が寄せられました。「なんだかみんな、自分の利権を守ろうとして必死に見えるし、耳元で大きな声でがなっているし、見るに耐えません」「どのマスコミ報道も激しい反対ばかりで、中立的な冷静な報道というより、単に、利害関係者としての自己主張のような気がしました」。テレビ番組に対する要望では、「私たち青少年向けのドキュメンタリー番組をシリーズで放送してくれるといいな。私たち世代に近づいた感じの放送。期待しています」「夜7時以降の番組がほぼバラエティーで埋め尽くされている。一つ改革を起こすような感じで、違うジャンルの番組で見たくなるような番組を取り入れてほしい」。
    また「どの番組も同じような内容・取材の仕方でそれぞれの番組の独自性がない」「いじめをした側の情報が報道されないなら、いじめを受けた側の情報も報道されてはいけないはずです。この報道の不平等さに、少し悲しいかなと思うことがあります」「アナウンサー自身が洋服を選ぶわけではないのでしょうが、あまりにスカートが短いなど肌の露出が多く、職業に対してふさわしくないのでは」など、モニターからのテレビ番組に対する厳しい批判が目立ちました。

    ◆中高生モニターと委員の主な意見

    ●【委員の感想】主役の女性のことを批判的に見たり、放送されることによる娘さんへの影響を心配する報告があったり、いろんな視点で見る人がいるなと思った。

    • (兵庫・高校2年女子)授業を行う主役の女性の人があまり好きになれませんでした。無理して頑張っているように見えました。

    • (愛媛・中学2年女子)放送されたことで娘さんがさらに傷つかないか心配になりました。

    ●【委員の感想】番組に肯定的な感想が多かったが、普通に放送されていて自主的に中高生が見たかは疑問。内容的にはいい番組でも、タイトルを見て子どもたちが進んで見るだろうか。しかし、なかには、番組内容に関連して、「ナルシ」という言葉を出して、はっとさせられる中高生の実態を書いてくれたモニターもいた。また、「自己肯定感」という言葉に強い印象を受けたと書いた人が目立った。

    • (千葉・中学1年男子)友達の間では自分を好きになることをナルシ(ナルシストの略)と呼んでいて、自分のいいところを口に出すと陰で何か言われそうな気がするので、口に出せないし、あえて言わない。

    • (愛知・中学3年女子)この番組の中で「自己肯定感」という言葉がたくさん出てきました。自分を肯定する気持ちがあれば、自分を否定する気持ちが芽生えにくくなるのではないかと思います。

    【委員の感想】授業などで、こういういのちの尊さについて話をする時の大学生の感想ととても似ていて、中高生と大学生の感覚の相違はそんなに大きくはないと思った。ほとんどのモニターが肯定的な意見だが、親から否定され憎まれていた経験を持つ子どもたちは、全く違う感想を持つのではないか。また、番組の後半が重く感じたという意見があったが、全くそのとおりだと思った。

    • (愛媛・中学1年女子)命の誕生を取り上げながら、いじめ、自殺問題などを言っていましたが、ちょっと欲張りすぎたかなとも感じました。あまり色々番組に入れると重く感じます。

    ●【委員の感想】我々の世代と違って、今の中高生にとって"いのち"の重みを考えることが「いじめ」とつながり、日常的な関心とつながっているのがわかった。「自己肯定感」という言葉に対して両極端の感想があったのは興味深かった。

    • (愛知・中学3年女子)この番組を見て、自分というものをもっと認めてもいいのではないかと思いました。さらに、自己肯定感があれば、いじめや不登校が減るのではないかとも思いました。

    • (埼玉・高校2年女子)「自己肯定感」、私はこの言葉を初めて耳にしました。自己を肯定するのは、良いことばかりではないと思います。その理由は、自己肯定感を過剰に持つことが、いじめの原因になることもあると思うからです。

    【委員の感想】「自己肯定感」に関連して、親を鋭く批判した意見は、そのとおりだと思った。また、自由記述欄に特定秘密保護法案についての記述が多く見られ、テレビが反対派に偏った報道をしていたのではないか、という指摘もあった。

    • (東京・中学3年男子)ありのままの自分を受け入れて自分を大切に思える気持ち「自己肯定感」について、生まれてくる時は「元気で生まれてくればそれだけで良い」とどの親も思うようですが、成長するに伴ってあれもこれもと要求が増えて、達成できないと「どうしてできないの!」と言われてしまうので、「ありのままの自分でいる」というのは結構難しいのだと思います。

    • (神奈川・中学3年男子)法案について反対派の意見や、集会などはたくさん報道していましたが、賛成派の意見などはあまり報道されなかったような印象を持ちました。メディアは、賛成派にも反対派にも納得できるような平等な報道をすべきだと思います。

    ●【委員の感想】 両親と一緒に見た、という人もいれば、番組内容に対して批判する姿勢をとった人もいた。また、口を閉ざしたモニターもいるわけで、そういう人たちはどういう感想を持ったのか聞いてみたい気もした。

    • (埼玉・高校2年女子)いのちの授業に関してはやはり小学校高学年の子どもにするのが一番であると私も感じました。しかし、中学生にやるのははっきり言って意味があまりないのでは?と思います。それは彼らの中には自立心が少しずつ芽生えてきているので、大人になんと言われようと知るか!と思われてしまったら、そこまでだからです。

    今年度の青少年委員会活動について

    • 3月16日に開催予定の中高生モニター会議と、来年度の中高生モニター募集について話し合いました。

    • 来年度実施予定の調査・研究について、現状報告がありました。

    第151回 放送と青少年に関する委員会

    第151回–2013年11月

    「暗闇で下着姿の芸人が女性タレントを驚かした」「人間縄跳びが、いじめに繋がる」などの視聴者意見があり、番組視聴の上討論したが、両番組とも「特に問題があると思えない」と、審議入りせず。

    委員会後、在京局バラエティー制作者との勉強会を開催した。

    第151回青少年委員会を11月26日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回は、二つの討論案件について話し合いましたが、いずれも審議入りしないことにしました。その他、10月8日から11月15日までに寄せられた視聴者意見と、11月の中高生モニター報告、また、3月に行う予定の中高生モニター会議など今年度の委員会活動について話し合いました。そのあと引き続き、NHKと在京キー局のバラエティー番組制作者を中心とした27人と委員による勉強会を開催しました。
    次回委員会は12月16日に開催します。

    議事の詳細

    日時
    2013年11月26日(火) 午後2時00分~午後3時10分
    場所
    放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    視聴者意見について

    • 「暗闇で下着姿の芸人が女性タレントを驚かすのは青少年に悪影響を与える」「子どもが見ている時間帯に食べ物をタレントの前で爆発させるのは、常識を欠いている」などの視聴者意見があり、全委員が番組を視聴した上で討論しました。委員からは「自分では見たいとは思わないが、深く追及するほどではない」「食べ物を粗末にしている点が気になるが、審議するほどの問題は無い」という意見が出て、審議入りしないことにしました。

    • 「人間縄跳びをしていた。子ども達がまねをしたら危ない。いじめに繋がる」という多くの視聴者意見があり、全委員が番組を視聴した上で討論しました。委員からは「多くの意見が来たことを考慮しても、特に問題があるとは思えない」という意見が大部分で、審議入りしないことにしました。

    中高生モニター報告

    11月の中高生モニターは、「最近見た番組の感想(ドラマ・アニメ)」というテーマでリポートを書いてもらい、25人から報告がありました。ジャンル別では、ドラマのみ11人、アニメのみ11人、両方に関する意見が3人から寄せられました。
    『リーガルハイ』(フジテレビ)は7人から、「半沢直樹と違う堺雅人さんの演技がとても好き」「訴訟を通じて思いもよらない考えや意見がたくさん出てきて、私もその意見に納得したり違和感を覚えたりしながら楽しんでいる」「毎週登場人物のキャラクターが面白くて欠かさず見ている」「見終わると気持ちがすっきりする大好きなドラマだ」などの熱い意見が寄せられました。アニメに関しては、「子どもも安心して見られる中身なので、深夜の放送時間帯ではなく見やすい時間帯で放送してほしい」とか、逆に「性的シーンの多いアニメが日曜日の夕方5時から放送されている」など、放送時間帯と中身に関する厳しい意見や要望が見られました。一方、『名探偵コナン』(読売テレビ)には「話が理解しやすく、1話完結で見やすい」、『京騒戯画』(BS朝日)には「ミステリーの要素とヒーロー物の要素の両方が備わっているので、子どもから大人まで楽しめる」、『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)には「まる子ちゃんのおじいさんの俳句がとても笑えて家族で楽しめた」など、数多くの好意的な意見が寄せられました。
    放送局では、フジテレビが9番組、NHKが5番組、テレビ朝日が3番組、TBSテレビが3番組、テレビ愛知が1番組、読売テレビが2番組、BS朝日が1番組、BS11が1番組となっています。
    <自由記述欄>では、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」と依頼しました。バラエティー番組に関して、「内容をもっと充実させてほしい」「最近は視聴者をひきつけるようなものが無い。面白くないものは時間をずらすとか終了するとかしないと番組が進歩しない」「やらせが発覚した番組があったが、今やらせを行っている番組があるとしたら、一刻も早く止めてほしい」「あまりに残念なやらせに、番組制作者側で誰かチェックする人がいなかったのか、不思議に思う」など、たくさんの辛口のコメントが寄せられました。ベテラン司会者の次男による不祥事については「成人した大人の不祥事なのだから、父親が活動を自粛する必要はない」という意見がありました。また、ラジオ番組に関して、「個性的な番組が多くてとても面白いと思う。小説を紹介する番組やジャズをひたすら流す番組など、マニアックな番組から新しい発見をよくもらう」など称賛する意見がありました。

    ◆中高生モニターと委員の主な意見

    ●【委員の感想] 子どもから大人まで見られる番組がいい、という意見がいくつか寄せられた。家族みんなで見て楽しめる番組が良いようだ。また、いろいろな仕事の現場を描いたドラマが将来の進路を決める参考になる、という意見も印象に残った。

    • (宮城・高校2年男子)『京騒戯画』(BS朝日)。この番組を見て僕は最近のアニメやドラマに感じなかった「子どもから大人まで楽しめる」ということを感じました。実際に僕は弟と毎週欠かさず一緒に見ています。

    • (山形・中学2年女子)『真夜中のパン屋さん』(NHK)。単身赴任中の父も見ていて、面白いよと言っていたので、今度このドラマの話をしてみようと思います。

    • (宮城・中学2年男子)『ミスパイロット』(フジテレビ/仙台放送)。私たち中高生は、実際になりたい職業の職場を知ることはできません。たとえドラマで誇張してある内容でも、将来の夢を考えるきっかけになると思います。

    ●【委員の感想】 自由記述欄に『ほこ×たて』(フジテレビ)に失望した旨を書いたモニターがたくさんいた。テレビ界全体への失望につながったようだ。

    • (愛媛・中学1年女子)『ほこ×たて』(フジテレビ/テレビ愛媛)のやらせにはとてもショックを受けました。家族とどちらが勝つかいつも楽しく予想していたので、衝撃も大きかったです。このやらせは、視聴者や出演者をばかにしていると思います。

    • (神奈川・中学3年男子)たとえバラエティーでも、真実を伝えるのがテレビなどのメディアであり、ねつ造ややらせなどは絶対にあってはならないことだと思います。実際に僕も番組の内容を信じて鵜呑みにしていたので、今回の件は裏切られた感じが強かったです。もうテレビなどのメディアを100%信じることなんてできないかもしれません。

    • (兵庫・高校2年女子)『ほこ×たて』(フジテレビ/関西テレビ)の打ち切りは、家族みんなで見ていたのでショックでした。真剣に見ていた分だけ、なんだかだまされた気持ちです。一度失った信頼を取り戻すのは大変です。テレビの向こうに私たちがいることを忘れないでほしいです。

    ●【委員の感想】 『リーガルハイ』(フジテレビ)に対する意見が多く寄せられた。幅広い年代で楽しめるとか、固定観念がくつがえされる、など、モニターによってさまざまな評価があった。

    • (神奈川・中学1年女子)このドラマは、小学生から大学生、お仕事をしている人、お年寄りまで幅広い世代が親しみやすいドラマだと思います。これからも、幅広い年代の人が楽しめるようなドラマを作っていただきたいです。

    • (新潟・中学3年男子)私は『リーガルハイ』(フジテレビ/新潟総合テレビ)がとても好きで一話一話何度も見ています。このドラマの魅力は、コメディーをベースに我々の固定概念をくつがえすような議論をしているところにあります。風刺コメディーとしてとても上質なこのようなドラマが、たくさん作られてほしいです。

    ●【委員の感想】 自由記述欄に番組に対する厳しく鋭い指摘が見られた。

    • (島根・中学3年男子)最近のバラエティー番組は、視聴者をひきつけるようなパッとしたものが無いです。長寿番組はちやほやされる傾向にありますが、番組も競争なんだから面白くないものは時間をずらすとか終了しないと番組が進歩しないです。

    • (福岡・高校2年男子)最近はテレビの自主規制が過剰であると感じる。規制が過剰であれば表現の自由や独創性が失われる。もう少し視聴者を交えた開かれた議論が必要ではないか。

    ●【委員の感想】 テレビを見ている時間帯が本当に幅広くなり、中高生の生活時間帯の変化を感じる。

    • (岐阜・中学1年女子)『境界の彼方』(テレビ愛知)の放送時間は夜中の1時です。11時、12時などもう少し時間を早めたらいいのにと思います。

    • (岐阜・高校1年男子)テレビは、もっぱらビデオにとり、夜中に見ています。毎日、塾があり、帰ってくると11時です。このビデオを見るのがストレス発散です。

    ●【委員の感想】 アニメに対して熱心に報告を書いてくれたモニターがいた。アニメの国際化について触れたり、内容と放送時間帯のミスマッチに言及したモニターもいた。

    • (千葉・中学2年男子)アニメの国際化に興味があります。他の国の作品をもっと見てみたいです。また、日本のアニメ番組が海外の言葉で放送されているらしいのですが、異なった言語で吹き替えられた作品を見てみたいなとも思いました。

    • (岐阜・中学2年女子)『マギ』(毎日放送/中部日本放送)は日曜日の夕方5時から放送していますが、私はこの放送時間と放送曜日が適格でないと思います。なぜなら、このアニメはグロテスクなシーンはありませんが、その代わりに性的なシーンがあります。なので、日曜日というみんなが休みで、子どもが起きている時間に放送するのはやめてほしいと思います。

    今年度の青少年委員会活動について

    • 3月16日に開催予定の中高生モニター会議について現状報告がありました。

    • BPO10周年記念事業についての説明がありました。

    在京局バラエティー制作者との勉強会 概要

    青少年委員会は11月26日に、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビのバラエティー番組を中心としたプロデューサー、ディレクターなど27人と、汐見委員長ら7人の委員が参加して、「いじり」や「いじめ」問題を中心とした勉強会を、千代田放送会館で開催しました。
    小田桐委員が司会役を務め、最初に、最近の青少年委員会で話し合われている「いじり」や「いじめ」に関する問題について、意見交換が行われました。視聴者から寄せられた意見も踏まえながら、論議が交わされました。
    次に、バラエティー番組を制作する上での基本的な考え方や方針について話し合われました。委員から、罰ゲームとはどのようなものと考えているか、子どもが真似するという視聴者の指摘についてどう認識しているか、などの質問が出されました。制作者側からは、バラエティー番組の「フィクション」と「ノンフィクション」のすみ分けなど、番組企画の理念の具体的な説明がありました。
    また、番組の制作過程についても話し合われ、制作者側からは、現場では「制作者の意図と、番組を見る視聴者の受け止め方にギャップがないか」など、論議を重ねて作っている現状が述べられました。さらに、委員に対する質問や、委員会に対する意見・要望も出されました。
    「勉強会」は、青少年委員会の活動の理解促進と、制作現場の生の意見を聞くことを目的に開催しています。汐見委員長は、「こういう忌憚のない意見を述べ合える勉強会をずっと開催したかった。もっと制作現場の話を聞きたい」「テレビを見て笑うことは、国民共通の富であり、国民の笑いはその国の力を表す」「楽しく見て笑えるバラエティー番組を躊躇せず、臆せず作っていってほしい」「テレビ番組制作者は、文化を"作る"一方で、"広める"という重要な二役をやっている。笑いの質が多様化していることを認識しつつ、視聴者に広く受け入れられ愛される21世紀の笑いのスタイルを作っていってほしい」と、2時間にわたる勉強会をまとめました。

    第150回 放送と青少年に関する委員会

    第150回–2013年10月

    フジテレビ「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」について、「委員会の考え」公表で審議終了。

    夕方の情報ワイド番組と、深夜帯の特撮番組について討論、審議入りせず。

    第150回青少年委員会は10月15日、7人の委員全員が出席してBPO第2会議室で開催されました。今回は、一つの審議事案と二つの討論案件について話し合いました。まず、『生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!』(フジテレビ)について審議が行われ、「委員会の考え」を公表し審議を終了することにしました。また、関東圏の独立局で夕方放送されている情報ワイド番組と、在京テレビ局の深夜帯で始まった特撮番組について討論しましたが、いずれも審議入りしないことにしました。その他、10月の中高生モニター報告、10月4日に札幌で開かれた意見交換会の報告、11月26日開催予定の在京局との勉強会の現状報告がありました。
    次回委員会は11月26日に開催します。

    議事の詳細

    日時
    2013年10月15日(火) 午後4時30分~午後6時50分
    場所
    放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    『生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!』(フジテレビ)について審議

    ・「爆烈お父さん」のコーナーについて引き続き審議を行い、「委員会の考え」を公表することにより、審議を終了することにしました。

    2013年10月22日

    フジテレビ「生爆烈お父さん 27時間テレビスペシャル!!」に関する
    委 員 会 の 考 え

    放送倫理・番組向上機構[BPO]
    放送と青少年に関する委員会

    BPO青少年委員会は、多くの視聴者意見が寄せられたフジテレビ『FNS27時間テレビ女子力全開2013』の「生爆烈お父さん 27時間テレビスペシャル!!」コーナー(2013年8月3日放送)について、フジテレビへ番組の制作意図などの報告書の提出を求めるとともに、番組制作者などを招いて意見交換を行い、さらに追加質問しました。
    まずフジテレビには、真摯に対応をしていただいたことに感謝します。これらを受けて審議を行いましたが、下記の「委員会の考え」を公表することになりました。
    これは、今後各放送局にも考えていただきたいと委員会が願っている諸点です。

    *    *    *    *    *

    論点は、以下の3点です。

    第1に「出演者の身体に加えられる暴力や危険行為について」です。
    フジテレビは「安全面に十分配慮している」「出演者同士が役割を理解している」と説明しましたが、視聴者から、人の頭を踏みつけるシーンや顔に向け足を上げるシーン、顔をいじるシーンなどに対して、多くのクレームがBPOに届きました。
    フジテレビは、「爆烈お父さんはドキュメンタリーではありません。お茶の間プロレスコントです」と説明していますが、ある行為の意味は、その文脈・シチュエーションによって変わっていきます。プロレスというスポーツでは相手の顔を踏む行為は技の一種ですし、漫才師がボケとツッコミの役割の中で頭を叩くのはお決まり芸です。
    ところが視聴者の多くは、今回のジャイアントスイング前後のシーンに、これが当然でおもしろいと感じる文脈を見つけられませんでした。多くの人が違和感を持ち、「不快だった」「危険すぎる」といったクレームを寄せました。爆烈お父さん、女性芸人、女性アイドルグループの三つ巴の面白さになっていないと受け止めたのです。しかも人間の顔を足で踏むことは人間の尊厳に関わる行為で、さらに不快感を増大させたと思われます。
    視聴者の多くは「人間の尊厳に背くような行為をあえてして、それで笑いを取るという形でしかバラエティー番組を作ることができなくなっているのか」という落胆とさげすみのような感情を抱いたことに、局は想像力を働かせてほしいと願います。
    青少年委員会は2007年10月に「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を公表していますが、この中には、中高生モニターが「出演者をいたぶる暴力シーンや人間に対する否定的な扱い」に対して不快感を表明していることが述べられています。中高生のこの認識が、多くの一般視聴者の認識と考えてよいのではないでしょうか。

    第2に「女性アイドルや女性芸人に対する性的な際どい演出について」です。
    フジテレビは「でん部の露出は女性芸人の持ち芸であり、笑いの表現方法としてバラエティー的に許容範囲であると認識していました」としています。ジャイアントスイングをされている間に宣伝したいビデオや楽曲が流れるとなれば、女性芸人も女性アイドルも、身体を張って挑むことは容易に予測できます。
    しかしここでも、女性芸人のお尻が丸見えになる、女性アイドルがパンツも露わに寝転んだり爆烈お父さんに股を開閉されたりするシーンがお茶の間で家族みんなが視聴する時間に流されれば、不快に感じる視聴者もいるだろうことに思いが至っていなかったのではないかと考えます。
    放送局が自主的に定めた民放連放送基準には、「性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する」(73条)、「全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する」(78条)、「出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する」(79条)といった条文がありますが、これに抵触するものではないかという認識が欠けていたのではないでしょうか。
    お色気ネタが笑いのジャンルの一つであることは間違いありません。そこには快・不快、上品・下品の微妙な境界線が存在しますが、番組が男性の視点で作られていて、制作者に女性や子ども視聴者の視点が欠けていることが、今回のような視聴者とのミスマッチを生じさせたとも考えられます。生放送の特性の一つは、視聴者と出演者が同じ空気を共有出来ることです。それがなぜ視聴者に大きな違和感を残してしまったのか。制作者はこの点をもう一度深く考えてほしいと思います。

    第3に「地上波の公共性に対する認識について」です。
    フジテレビは、委員会の追加質問に対する回答の中で、「様々な年齢性別、多様な生活習慣と趣味嗜好を持つ全ての視聴者の方々に番組をお届けするのが地上波放送」であると強調しています。しかし、委員会に寄せられた視聴者意見をみる限り、放送時に視聴者が食事中かもしれない、老若男女が集まり家族団らんの中で視聴しているかもしれない、あるいは、このコーナーの内容や演出手法は不快感を与えていないだろうかなどと、さまざまな想像力を具体的に働かせながら制作したものとは残念ながら考えられませんでした。
    地上波の公共性は、番組を作る側が最も重視しなければならない視点と考えています。このことはすでに本委員会が強調してきたことですので繰り返しませんが、視聴者には赤ちゃんから高齢者、外国人など様々な価値観を持っている人がいるということを前提に、可能な限り多くの人々が納得のいく番組を作るということ、そして番組の内容が何に笑い、何に悲しみ、何に喜び、何に怒るかという国民の教養の形成に与り、多大な貢献をしているという自覚を持つことの大切さだけはもう一度強調しておきます。

    フジテレビは2010年、「私たちのフジテレビバラエティ宣言」を公表しました。そこには、「愛がなければテレビじゃない! 安心できなきゃテレビじゃない! やっぱり楽しくなければテレビじゃない!」とあります。これについて、フジテレビからは、「視聴者に愛され、安心して見ていただけるおもしろい番組」を目指すという決意が込められた宣言であるとの説明がありました。しかし、今回は、上記の3点を鑑みても、視聴者に対する想像力が十分でなかったといわざるをえません。
    視聴者目線と電波が公共財であることを忘れると、テレビへの信頼は薄れていきます。お笑いも例外ではありません。テレビをもっと魅力的なメディアにしていくために、また多くの視聴者が心地よく笑えるために、バラエティー番組も「人間の尊厳」「公共の善」を意識して作られるべきでしょう。
    参考のために申し添えますと、2009年11月17日に、BPO放送倫理検証委員会が「最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見」を公表しています。その中で"バラエティーが「嫌われる」5つの瞬間"が挙げられています。下ネタ、イジメや差別、内輪話や仲間内のバカ騒ぎ、制作の手の内がバレバレのもの、生きることの基本を粗末に扱うこと―― の5つです。制作に当たっては、これらのことも常に心のどこかで意識していただきたいと願います。

    以上

    視聴者意見について

    • 関東圏の独立局で放送されている夕方の情報ワイド番組について「子どもが見ている夕方の時間帯で男性性器のことを口にしたり、下品な話をする」などの視聴者意見があり、全委員が番組を視聴した上で討論しました。委員からは「子どもが見る時間帯に放送されていて問題だ」「地上デジタル放送となり、リモコン操作でキー局と同じように簡単に見ることが出来るようになっている。また、ほかの地区でも放送されている現状を考えると制作者に話を聞いてみたい」という意見が出ました。今回は審議入りしないものの「民放連が定める『放送基準 第3章(18)の解説にある"午後5時から9時に放送する番組について、とりわけ児童の視聴に十分配慮する"』を意識した番組作りが望まれる」という強い意見があったことを明記し、今後も厳しく注視してゆくことにしました。

    • 「深夜帯とはいえ女性の乳首が放送された」という視聴者意見があり、在京テレビ局の深夜帯で始まった特撮番組について、全委員が番組を視聴した上で討論しました。委員からは「深夜帯とはいえ、いかがわしさを感じる。今後の展開を注視したい」「あまりにも隠さないのでCGかと思った。深夜帯でもあるので問題ないと思う」「戦隊モノのような特撮番組で子どもが見る番組を装っているが、実は対象は子どもではないのだろう。深く追及するほどではない」などの意見があり、今回は審議入りしないものの、番組はまだ始まったばかりなので、今後の展開を注視してゆくことにしました。

    中高生モニターについて

    10月の中高生モニターは、番組ジャンルを報道・情報・ドキュメンタリーに限定し、この3つのジャンルに関する番組感想を自由に書いてくださいとお願いしました。
    今回は23人から報告がありました。ジャンル別では、ドキュメンタリー番組13件、情報番組3件、報道番組7件でした。
    『情熱大陸』(毎日放送)は3人から、「人選が巧みで、様々な人を取り上げている」「取り上げた人の生き方が分かり、自分の生き方についても考えさせられる」「この番組は、自分応援番組だと思う。見終わった後が心地良く、日曜の夜、明日からまた頑張ろうと思える番組だ」などの好意的な意見が寄せられました。番組テーマはそれぞれ異なりますが『NHKスペシャル』に関する意見が4件あり、「巨大イカが映し出された瞬間の驚きは今でもはっきり覚えている」「緒方貞子さんのように、なんでも全力で取り組めるような人になりたい。番組にたくさんのエネルギーをもらった」「より多くの人に見てもらって放射線の恐ろしさを知ってもらい、これからの原子力問題、日本の今後について深く考えてほしい」「日本の海底に貴重な資源があることを知って驚いた。こういう夢のある番組はとてもいいと思う」などの感想が寄せられました。『ZIP!』(日本テレビ)には2件、「朝から明るい気持ちになれるので、毎朝、家族皆で見ている」という意見がある一方で、「スイーツ特集とかファッションとかバラエティー番組のようで、最新の知りたい情報は伝えられていない」という批判もありました。
    放送局では、NHKが8番組、日本テレビが4番組、TBSテレビ、テレビ朝日、毎日放送が3番組、フジテレビ、東海テレビが1番組となっています。
    <自由記述欄>では、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」と依頼しました。「秋の特番が多いが、つまらない番組が多くなった。視聴者を馬鹿にしているような内容のものも多い」「お笑い番組などで、あからさまに人物を特定できるような会話は、人を傷つけることもあることを考えて欲しい」「19時-22時頃のゴールデンタイムで芸能人が下ネタを言うのは小さい子どもも見る時間帯なのでやめてほしい」などの、厳しい意見が数多く寄せられました。一方、「この頃は、面白い連ドラが多い。主役だけでなく、出演する人全員に個性があり、見ると必ず笑ってしまう」などの好意的な意見もありました。また、ラジオの放送に関して、J-WAVEで放送している子ども向けの本を朗読する番組や、民放ラジオ局が連動して取り組んだ『首都圏ラジオ7局スーパープッシュ』(TBSラジオ/文化放送/ニッポン放送/RFラジオ日本/横浜エフエム放送/FM NACK5/ベイエフエム)などを称賛する意見も寄せられました。

    ◆中高生モニターと委員の主な意見

    ●【委員の感想] 人間に対する興味が強くあらわれたリポートが多い。自分と同じ人は1人もいないのだと認識させられたという感想がいくつか見られた。番組を見て、深くいろいろなことを考えて書いてくれているのがよくわかった。

    • (神奈川・中学1年女子)『NHKスペシャル 緒方貞子 戦争が終わらないこの世界で』この番組は私にとって、遠くに住む自分にもできることはないかを考えるきっかけになりました。同じ日本人として活躍している人たちの仕事を、今の自分の世代が大人になった時も引き継いでいけるような社会を作りたい!!と思いました。緒方貞子さんのように、なんでも全力で取り組めるような人になりたいです。
    • (千葉・中学2年男子)『日本!食紀行 カレーに込めた雲上のもてなし』(テレビ朝日)舞台は富士山の御来光山荘で、登場人物は御来光山荘を営む赤池啓司さん・眞奈美さん御夫妻とその家族です。赤池眞奈美さんのやさしい笑顔や思いやりあふれる言葉が番組全体に流れていて、番組制作者の人たちは、時間をかけて、何日間も辛抱強くカメラをまわして、赤池眞奈美さんを取材したのだなぁと思いました。

    ●【委員の感想】ビートたけしさんなどベテラン出演者に関する辛口評論が多く、若い人は、新鮮な出演者を待ち望んでいるのかなという感じがした。

    • (東京・中学3年男子)『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)。冒頭のビートたけしの注目グッズ紹介の仕方が汚いなと思った。そんなものを流すくらいなら、もうちょっと短くして、もっとニュースを増やしてほしかった。またビートたけしの滑舌が悪くて聴きにくかったので、もうちょっと練習するか、構成を変えてほしいと思った。
    • (神奈川・中学3年女子)『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)。番組全体として気になったことがあります。一つはビートたけしさんの最初のトークです。ウケ狙いで話しているのか分かりませんが、不快になるような話があり、コーナー全体の内容がくだらないなと感じました。もう一つは、ある品物が紹介されてもすぐに別の話題に移ってしまうことです。紹介された品物はとても丁寧に細かく作ってあり、きっと職人が一生懸命作ったのだと思います。それなのに一瞬出てきてビートたけしさんが何秒かそれについて話して終わるので、もったいないと思います。

    ●【委員の感想】ドキュメンタリーに対する関心は高いようだが、生放送のニュースに関するストレートな感想はほとんどなく、今の若者の関心の焦点はそこではないのかと感じた。また、自由記述欄に書かれていた、報道担当者が危険な現場に入ってリポートすることへの懸念が気になった。

    • (秋田・中学2年男子)『NNNドキュメント 「人工ボディー~新たな体に魂を吹き込む~」』(日本テレビ/秋田放送)この番組を見て、「人工ボディー」とは何なのか、そしてその力を知りました。人工ボディーに運動機能はありません。見た目を重視したものです。しかし、人工ボディーをつけた方は、動かなくても、「精神的に楽だ」と言っていました。健常者は、障害がある方を、避けてしまいがちです。しかし、このような番組で、そのような差別をなくしていければいいと思いました。
    • (神奈川・中学3年女子)最近テレビのニュースを見ていて気になったことがあります。それは台風や大雨などの天候が悪い時にアナウンサーが現地の状況を伝える中継の仕方についてです。足がつかるほどの大雨の時に実際にその場に行って、こんなに危険です!!と呼びかけていますが、危険な場所にカメラを持って取材に行くこと自体とても危険だと思うし、逆に見ていてハラハラするので止めてほしいです。それに、その映像を見て実際に行ってみたくなる人もいるような気がして、説得性もないと思います。

    ●【委員の感想】今回は自由記述欄の表記の方が面白かったように思う。テレビ局が視聴者を馬鹿にしているのでは、という厳しい批判の感想が何通か見られた。

    • (愛媛・中学1年女子)秋の特番が多いテレビですが、なんかつまらない番組が多くなったと思います。出演者が食べてわいわいとお互いを"いじり"あって、出演者は楽しいかもしれないけど、「ぴー」ってテレビで流してはいけないことを言ったりとか、視聴者に聞こえないよう出演者が耳打ちしたり、これらは演出だって最近は分かるようになってきたけど、何か視聴者を馬鹿にしているようでつまらないです。制作している人は良いと思っているのでしょうか?
    • (仙台・中学2年男子)お笑い番組によくある、イニシャルトークのような企画には疑問を感じます。あからさまに人物を特定できるような会話は、人を傷つけることもあるということを考えてほしいです。スペシャル番組をやるとき、どの放送局もスペシャル番組を同じ時間にやっています。
    • (秋田・中学2年男子)他局に対抗することも必要かもしれないけれど、スペシャル番組より、普段やっている番組のほうが面白いということがよくあります。そうすると、面白い番組をどの局でもやっていなく、結局テレビを見ないということがあるので、あまりかぶせないでほしいです。

    ●【委員の感想】報道番組に関して批判的な意見はなかった。ドキュメンタリー番組を見て一生懸命、感じたことを書いてくれたモニターが多かった。自分で視聴後、深く考えて内的世界を作っていくという意味でドキュメンタリー番組への期待が高いように思った。

    • (宮城・中学2年男子)『池上彰が伝える2020五輪開催地決定SP 完全生中継!東京に運命の瞬間」(テレビ朝日/東日本放送)を見ました。五輪開催地発表の瞬間をリアルタイムに視聴者に伝える番組でした。池上さんはとても尊敬できる方で、開催地に東京が決まり、他局がお祭りムードの中、淡々と開催にあたっての問題点なども誠実に取り上げ、好感が持てました。この手の特別番組は、どのチャンネルを合わせても、お祭りムードだったり、似たような内容だったりして、ぱっとしない番組が多いですが、池上さんの番組は素晴らしかったです。
    • (神奈川・中学3年男子)『NHKスペシャル 被曝治療83日間の記録~東海村臨界事故~』この番組は、2001年に放送された、東海村の臨界事故で犠牲になった大内久さんの治療記録をテーマに制作された番組です。NHKオンデマンドで無料配信されたので視聴しました。僕がこの番組を見て最初に思ったのが「放射線がこれほどにまで人体に影響を与えるのか」ということです。CGや実際の顕微鏡写真、写真などを映像の中に入れ、視聴者側にわかりやすく放射線障害のメカニズムを説明していたことがとても良かったと思います。また、この番組では治療をした医師の人たちや、看護師の人たちにインタビューをしたり、当時の治療や面会した人と患者の会話などを記録した紙を使ったりして、当時の治療の様子、医師や患者の気持ち、面会した人の様子などを取り上げ、「命」の意味について考えさせられるような内容になっていたのも良かったと思います。この番組は放射線の恐ろしさをとてもよく伝えることができるものだと思います。より多くの人にこの番組を見てもらい、放射線の恐ろしさを知ってもらい、これからの原子力問題、これからの日本について深く考えてほしいと思います。

    ●【委員の感想】モニターは内容の優れたドキュメンタリーを選んで見ているようだ。テレビ番組が、ただ楽しいから見るだけでなく、番組を見る意味はどこにあるか、考える上でモニターの意見は参考になった。

    • (千葉・中学2年男子)多くの人が「お笑い番組やバラエティー番組が一番面白い」と思い込んでいるのだと思う。たしかにお笑い番組やバラエティー番組は笑える。でも笑えるだけで番組を見ているのではないと思います。『半沢直樹』(TBSテレビ)だって『あまちゃん』(NHK)だって、どちらも見たことがないけれど、見ていた大人の話を聞くと、笑えるから見ていたのではないと思います。すべてのテレビ局が週に2回か3回ドキュメンタリー番組をゴールデンタイムに流す協定を結んだらいいと思います。

    ●【委員の感想】今回は自由記述欄が面白かった。『あまちゃん』の話題ばかりでうるさい、とか、Yahoo!のトップニュースと報道番組のトップニュースの違いとか、中高生の視点ならではの意見があった。

    • (千葉・中学2年男子)『あまちゃん』ばかりがNHKや民放でも騒がれていてうるさく感じた。学校に通っている小学生から高校生は、普通は見られない時間帯の番組だ。大人が勝手に騒いでいる変な感じがしている。Yahoo! のトップページに並ぶニュースとテレビやラジオで流れるニュースと新聞で伝えられるニュースが必ずしも一致していないので、取り上げ方の違いに関心を最近持つようになった。テレビは何でもかんでも「芸能」に結びつけている感じがします。

    ●【委員の感想】報道番組やドキュメンタリーはあまり面白くないと思われているようだ。やはり若い人に興味を持てる番組作りを目指すべき。モニターの中には、中高生ながらマスコミの報道姿勢に関する明確な批判を含めた独自の考えを示している報告もあり、感心した。

    • (東京・中学3年男子)『報道7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)バネの製造現場の技術力などのいろんな日本の良い所を報道していて、日本の悪いことばかり報道する番組とは違って、「これから頑張ろう」というような気持ちになれた。マスコミは「日本はダメ」と決めつけずに、この番組のように「まだ日本は頑張れる」と国民(特に自分のような若い人)に発信して国民の心を明るくするべきだと思います。また、外国(特に隣国)と仲良くするために日本がもっと努力すべきという報道があるが、真の友好関係を築こうというなら、やはり相手国の真実も報道するべきだと思います。

    今年度の青少年委員会活動について

    • 10月4日に札幌で行った意見交換会の報告がありました。
    • 11月26日に開催予定の、在京局とのバラエティー番組の"いじめ"や"いじり"に関する勉強会について概要が報告されました。

    第149回 放送と青少年に関する委員会

    第149回–2013年9月

    フジテレビ「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」で局の制作責任者らと意見交換

    第149回青少年委員会は9月24日、7人の委員全員が出席してBPO会議室で開催されました。今回は、一つの審議事案と二つの討論案件について話し合いました。まず、前回審議入りした『生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!』(フジテレビ)について、フジテレビの制作関係者との意見交換を行いました。その後審議が行われ、フジテレビに対して、追加質問に対する回答と、補足説明を求めることにしました。また、地方局で放送されている深夜のお色気番組と、最近の自殺報道について討論し、いずれも審議入りしないことにしました。その他、9月の中高生モニター報告、10月4日に札幌で開く意見交換会、11月26日開催予定の在京局との勉強会について報告しました。
    次回委員会は10月15日に開催します。

    議事の詳細

    日時
    2013年9月24日(火)午後4時00分~午後7時00分
    場所
    放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    フジテレビ制作関係者との意見交換

    『FNS27時間テレビ女子力全開2013』(フジテレビ)の「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」のコーナー(8月3日放送)に視聴者意見が多数寄せられたため、9月3日の第148回青少年委員会で審議入りすることを決めました。
    青少年委員会では9月9日に、フジテレビに対し9月24日に意見交換を行いたい旨を伝え、以下の5点について、青少年の視聴に関する留意点を中心に報告をお願いしました。

    • 番組の制作意図について
    • 放送時間帯への配慮について
    • 危険行為に対する認識について
    • 女性タレントや女性芸人へのきわどい演出について
    • フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」(2010年)を意識した番組作りがなされているかどうかについて

    フジテレビからの報告書は以下のとおりです。

    『FNS27時間テレビ』の「爆烈お父さん」に関する報告書

    フジテレビジョン

    (1) 番組の制作意図について

    • 『FNS27時間テレビ』の「爆烈お父さん」は、『めちゃ×2イケてるッ!』の制作チームが演出のすべてを担当しました。

      1. まずは『27時間テレビ』のパーソナリティである女性芸人を輝かせたい

      2. そのためには女性芸人と対極の国民的アイドルAKB48と向き合わせる

      3. 両者が対峙する場として「爆烈お父さん」が最適と考えて、今回は「爆烈お父さん」を制作・放送することになりました。

    • 爆烈お父さん」とは、極楽とんぼ加藤浩次氏演じる一家のお父さんが本来あるべき父親像、つまり、怖いけれども尊敬できる絶対的存在として一家の主導権をにぎる物語で、理不尽な説教や乱暴な振る舞いも今の威厳を失くした父親像とのギャップとして面白がる"コント"です。
      具体的には、ゲストがお父さんの逆鱗にふれてジャイアントスイングで回されるシーンが見所の"お茶の間プロレスコント"で、回されている間ゲストが宣伝したいVTRや曲が流れます。
      今回は、『27時間テレビのパーソナリティとして各コーナーの見所VTRを流したい女性芸人』と『アイドルとして新曲を流したいAKB48』の対比になっていました。

    • 今回我々は、放送中のサイドテロップ『爆烈お父さんvs女芸人vs AKB48』のとおり三つ巴の対決を目指しました。

      • 『AKB48』は国民的アイドルであるはずなのに、お父さんや女性芸人相手に生放送で必死に体をはって頑張る

      • 『女性芸人』はアイドルに「見せ場」(ジャイアントスイング)を横取りされて、お父さんやAKB48相手に必死で挽回しようとする

      • 『お父さん』は女性芸人vs AKB48の触媒としてAKB48を贔屓し続ける

    当然のことながら、我々はAKB48と女性芸人に対して危険な行為や性的にきわどい行為をしたかったわけでは一切ありません。

    (2) 放送時間帯への配慮について

    • 『めちゃイケ』は毎週土曜日夜8時からゴールデン帯で放送している番組ですので、イジメ問題をはじめとする青少年への影響は常に意識して制作しています。また、「爆烈お父さん」は番組スタート時(1996年)から続く長寿コーナーで、演出スタイルが当時から変わっていないことも含めて、『27時間テレビ』における放送時間帯に関しては特に問題視していませんでした。
      今回視聴者からたくさんの苦情をいただいたことで、『27時間テレビ』は普段の『めちゃイケ』ファン以外の方、お笑いファン以外の方も見る番組であることをより深く認識する必要があったと改めて感じました。

    (3) 危険行為に対する認識について

    • 「爆烈お父さん」は前述の通り、バラエティ番組の"コント"です。
      ドキュメンタリーではありません。
      テレビタレントの加藤氏は、設定として「爆烈お父さん」という乱暴なキャラクターを演じています。
      もちろんゲストも、設定として「爆烈お父さん」にジャイアントスイングをされたり転かされたり蹴られたりする役を理解し、受け入れます。
      つまり、出演者全員が互いに信頼しながら、プロフェッショナルとしてカメラの前で"お茶の間プロレスコント"を繰り広げるのです。
      しかも、加藤浩次氏は『どの程度にとどめておけば相手は怪我をしないか』を十分に理解しており、我々スタッフも信頼しております。
      実際、問題視されている"渡辺麻友さんの顔を蹴ったとされるシーン"も、加藤氏は自分の足を一旦彼女の顔に付けてから押し出すようにすることで、相手が怪我をしないようにしています。

    • 放送当日は、入念なリハーサルやセットの養生など安全対策を万全にした上で本番に臨んでおり、「爆烈お父さん」は我々の想定を越えた危険なことが起こるコーナーだとは思っておりませんでした。
      しかし、想定した演出から逸れていく可能性がある生放送で、『一見暴力的に見えるキャラクターで笑いを作る』という決して簡単ではない演出方法を採用したことは、今思えばリスキーだったのかもしれません。
      また、「"お茶の間プロレスコント"とはいえ、モラル的に女性に対してする行為ではない」というご指摘に関しては、我々はもっと慎重に演出する必要があったのかもしれません。
      以上"生放送における演出"に関しては、今後の番組作りの課題として十分に検討していきたいと思います。

    (4) 女性タレントや女性芸人へのきわどい演出について

    • 我々は、AKB48や女性芸人を使って性的にきわどい表現をすることを 極力排除しようとしました。
      例えば、AKB48メンバーが当日着けていたアンダースコートは、事前に事務所と相談して決めた衣装です。
      一方、森三中大島さんのでん部の露出に関しても、あくまで女性芸人である彼女達の持ち芸であり、笑いの表現方法としてバラエティ的に許容範囲であると認識していました。

    (5) フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」(2010年)を意識した番組作りになっていたかについて

    • 『愛がなければテレビじゃない!安心できなきゃテレビじゃない!やっぱり楽しくなければテレビじゃない!』の『愛』と『楽しく』は、バラエティ宣言通り達成できたと考えております。視聴者の皆さんに愛される番組をつくるために、番組を愛し、出演者を愛する気持ちは十分にありました。楽しくなければテレビじゃないという熱い信念を持って生放送に臨みました。
      しかし、『安心』に関しては、十分に配慮したつもりであった我々制作陣と視聴者との間に大きな溝があったと認識しております。今回、我々の番組をご覧になった視聴者から数多くの苦情があったことは事実であり、スタッフ一同真摯に受け止める所存です。
      これを機に、『安心』という意味で制作陣と視聴者との溝をいかにして埋めていくか十分に議論して、今後の番組作りに活かしていきたいと思っております。

    フジテレビからの報告書を基に、フジテレビの番組の制作責任者など6人と委員との間で意見交換を行いました。

    [意見交換概要]

    〔Q:青少年委員 A:フジテレビ〕

    論点1.コーナーの企画意図について

    Q.   コーナーの企画意図を説明してください。
    A.   ゲストの女性芸人とAKB48の魅力を引き出す目的で、「爆烈お父さん」を企画・制作しました。また、女子限定のゲストがジャイアントスイングで回されている間に宣伝したい曲やVTRが流れるなど、基本的にはタレントさんのプロモーションを兼ねたコント、つまり、ドキュメンタリーではなく「プロレスコント」として作っています。

    論点2.放送時間帯への配慮について

    Q.   民放連の放送基準で定める「17時~21時までは児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分配慮する」への配慮はありましたか。
    A.   レギュラー枠の放送でも、青少年に見てもらいたいと思っているので、そのことは充分意識をして制作しています。今回の特番に関しても、通常の番組と同じスタンスで作れば大丈夫だという意識はありました。今回の特番では、ふだん『めちゃイケ』を見ていない方たちもかなり見ていたのだと後から気づかされました。
    Q.   『めちゃイケ』ファン以外の視聴者についてどうお考えですか。『めちゃイケ』ファンなら理解してくれたのに、と思っていませんか。
    A.   番組は、見終わったあとの感想「読後感」が大切だと思っています。全ての視聴者に楽しんでもらうために色々工夫しています。ただ、どういう線引きをしつつ表現したら表現者としての思いが『めちゃイケ』ファン以外の視聴者にも伝わるのかを、検討していますが、現状では答えは出ていません。

    論点3.危険行為に対する認識について

    Q.   これまでこのコーナーで予定外のハプニングとか出演者の怪我につながるようなことは無かったのですか。
    A.   今まではありませんでした。全部の角を怪我をしないように細工したりして、我々があのお茶の間のセットで怪我を防止できることは100%やっています。
    Q.   子どもがジャイアントスイングを真似することについてどう思いますか。子どもは周りを怪我をしないように細工することはしないですよね。
    A.   真似をする子どもはいるかもしれませんが、かといって「危険なのでまねしないで下さい」とテロップを入れれば済む問題とも思っていません。そこは表現の仕方の問題で、我々がつかみきれていないところです。
    Q.   「お茶の間プロレスコント」という表現を使っていますが、単にプロレスごっこにしか見えないのですが。
    A.   お決まりの流れがあるので、「プロレスコント」だと思っています。
    Q.   2007年10月に青少年委員会は「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を出し、その中で暴力シーンは「人間に対する否定的な扱い」であると不快感を示していますが、頭や顔を踏んだり蹴ったりする行為は、人間の尊厳にかかわる基本的なことだと思います。スタッフの皆さんにその辺の認識が乏しいのかなと思い、危惧を感じます。大事なのは人間の尊厳を守った中で笑いを作っていくことだと思います。
    A.   例えば、漫才でボケた芸人の頭を相方がはたく行為も人間の尊厳を冒すことになるのでしょうか?どの線からは人の尊厳を冒していることになるのかをお聞きかせください。
    Q.   漫才で頭をはたくことは、今や文化的な伝統として定着していると思います。線引きで、これはOK、これはダメとなればテレビは作れなくなるのではないですか。そうではなく、人間を大切にすることだと思います。そしてそれを常に考えてゆくことだと思います。
    A.   やっぱり顔を踏む行為が線を越えているという印象ですか?
    Q.   そうですね。人間をいたずらにもてあそぶような映像が横行すると、子ども達の深層に忍び込んで、人間観、価値観の形成において、問題になってくると思います。
    A.   複数の女性アイドルに同じことをしているのですが、映像から受ける印象はそれぞれ異なりますか?
    Q.   同じです。どの場合も厳しく問われるべきだと思います。
    Q.   過去に、頭を蹴ることはやっていたのですか。
    A.   定番ではないが、やっていました。
    Q.   クレームはありましたか。
    A.   ありました。
    Q.   そのクレームについて局ではどういう受け止めをしていましたか。
    A.   数が少なかったこともあり、コーナーの内容を変えるまでには至っていません。
    Q.   数が少ないことを軽視するのは問題があると思います。一つのクレームでも本質をつくことがあります。皆さんがちゃんとチェックしていてOKと思われたこと自体に、一般の人の感覚と放送局の人の感覚がかなりずれてきているのではと危惧します。
    A.   数が少ないからそれを重要視しないという考えでは決してありません。

    論点4.きわどい演出について

    Q.   女性タレントがお尻を出した時に、その場に子役がいたのですが、そのようなシチュエーションについて内部で議論は無かったのですか。
    A.   あれは女性芸人の持ちネタの一つで、想定内の出来事です。ただ、キワドイ部分で楽しみたいという意識はありませんでした。
    Q.   "見ていて不快"という視聴者意見が多かったのですが、それは性的なイメージを喚起したり、男性がやって女性がやられるという男女の位置関係などに関係していると思うのです。公共性の高い地上波の生放送で、"これ以上やってはいけない"という現場スタッフ、出演者との申し合わせや基準はあったのですか。
    A.   性的な表現を強調して視聴者を楽しませようという意識は全くありませんでした。エロくならない工夫をしています。でん部を出す行為に関しては、それを隠したり注意する周りの芸人達の面白さを引き出そうとしました。また、女性芸人の性(サガ)的なところを面白がろうとしていました。
    Q.   お尻を出すことに関して、この時間帯は子どもが見ている時間帯であることを注意していなかったのですか。
    A.   特にしていませんでした。というのもスタッフも私も、この場面のでん部の露出に関して性的な表現だとは全く思っていなかったからです。
    Q   家族で見ている時などに、見る側が戸惑ったり不快に感じたりするということは考えなかったのですか。
    A.   笑いが勝つと思っていました。ただ、不快だと思った視聴者がたくさんいたことは、反省すべきことだと思っています。
    Q.   女性アイドルの足の開閉はエロティックだと感じましたが、あれはハプニングだったのですか。
    A.   はい、現場のノリでやったことです。我々は正面から撮らないようにしたのですが、そう受け取る方がいたことに関しては率直に受け止める気持ちです。

    論点5.フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」について

    Q.   フジテレビの「バラエティ宣言」に"愛がなければテレビじゃない"とありますが、これは人間すべてに対する「愛」があると思うのです。この「バラエティ宣言」の中身をみんなで議論して作っていただければ、いい番組が出来るのになと思います。ぜひ、いいバラエティーを作ってください。
    A.   我々が、かつてバラエティーとして許容していたものが、今は通用しなくなってきていることを感じます。我々は世の中にどこまでアジャストしていけばいいのか、どこまで清廉潔白さを追求しなければならないのか、特にバラエティーに関しては常識とのギャップを笑いの表現として使うことが多いので、毎回自問自答しながらやっています。

    その他の質問

    Q.   今回の「爆烈お父さん」のコーナーは長くなかったですか? すごくしつこい感じがしましたが。
    A.   普通は30分程度ですが、今回は1時間半放送しています。
    Q.   同じことをやっても、社会情勢や時代、時間帯によって見ている人が変わったり、受け止め方が変わるということを、作り手が意識しておかなければならないのではないでしょうか。また男性が女性を振り回すという構図は、一方的な男性から女性への加害に見えてしまいました。
    Q.   制作体制とチェック機構について確認させてください。
    A.   『めちゃイケ』はフジテレビの社員が作っている番組です。実際に放送する内容は、私どもで必ずチェックしています。今回の『27時間テレビ』は生放送ですので、どういう内容をやるかについて事前に内容を共有しています。ただ、女性の頭を踏むという行為が人間の尊厳にかかわるというところまで考えが及んでいませんでした。今後しっかり検討していかなければと思っています。今回、頭を踏まれた女性アイドルは、グループの中でも正統派アイドルだったので、ファンの方に刺激的であったと思います。今回クレームが多かったのは、熱狂的なファンの方々からなのかどうか、我々の中で噛み砕いて理解する必要があると感じました。
    Q.   今回、AKBが被害者だったからクレームが多かったと考えるのであれば、今後制作するにあたって本質を見誤るのではないかと危惧します。
     
    Q.   今回は、皆さんに文句を言うために集まってもらったのではなく、日本の国民に、本当にいい笑いをたくさんもたらしていただきたい、そういう番組を作っていただきたいという願いがありまして、それで集まってもらったのです。今回、見ている人が大きな違和感を持ったとしたら、あれは作り手が「プロレスコント」と設定したけど、実は受け取るほうは、そうは受け取っていなかったということが一番の原因だったと思います。良い面白い番組を作ろうとして努力されていることはよく分かるのですが、受け取る側の受け止め方は一番大きな問題なので、もうちょっと詰めて議論したいなと思いました。

    この後、委員会で審議した結果、フジテレビに対し、次の2点について追加質問し、またフジテレビ側として付け加えたいことや、新たな意見があれば伺うことにしました。
    (1) 放送、特に地上波放送の公共性についてどうお考えでしょうか
    (2) 貴社の番組のチェック体制について、あらためてお伺いいたします
    フジテレビからの回答は以下のとおりです。

    『FNS27時間テレビ』の「爆烈お父さん」に関する追加質問へのご回答

    フジテレビジョン

    (1)地上放送の公共性について
    フジテレビは、その行動宣言において「高い公共性への使命感と放送倫理に対する社会的責任を強く認識し、社会からの共感や信頼を得ることが重要と考えている」とうたっております。様々な年齢性別、多様な生活習慣と趣味嗜好を持つ全ての視聴者の方々に番組をお届けするのが地上波放送であり、番組の種別に関わらず常に公共性を意識した番組制作を心掛けています。
    今回『FNS27時間テレビ』においても、地上波の公共性と社会的責任への意識を強く持ちながら制作にあたりましたが、「爆烈お父さん」に関して我々が伝えたかったことと多くの視聴者の方々の受け止め方との間に乖離が生じてしまったことは事実です。
    我々はこの結果を真摯に受け止め、改めて地上波放送の公共性の重要度を認識し、今後の番組制作に活かしていく所存です。

    (2)番組制作におけるチェック体制について
    フジテレビでは民放連放送基準を順守して各番組の企画制作にあたっており、バラエティ制作部では更に以下のチェック体制で放送番組内容の事前確認を行っています。
    日頃より番組内容に関する問題事例が発生する度に、プロデューサー会議等で具体的な問題点の検証・情報共有を行い、各制作現場へ浸透を図っています。その上で、制作の過程で表現内容に疑問が生じた場合、番組プロデューサーはバラエティ制作部の上長や編成部の担当者に確認し、更に法律的な問題は法務室、コンプライアンス的な問題は考査・放送倫理部、権利問題は著作権契約部に個別に相談・確認しています。
    また、放送の数日前、荒編集または白完(スーパーテロップやナレーションを入れる前のテープ)の段階でバラエティ制作部の部長・担当部長がそれぞれの担当番組の番組プレビューを行っています。ここで行き過ぎた表現がないか実際の映像をチェックし、問題があった場合は再度編集を行います。この荒編集・白完段階でのチェック作業は編成部の担当者も並行して行っており、バラエティ制作部内のチェックと共に二重に確認する体制をとっております。
    最終的な放送用完成テープ(所謂完パケテープ)につきましては、MA戻し(整音した音声を完成テープに戻す作業)にプロデューサーが立ち会うなどの形で、最終チェックを行い、放送前に配布される完成テープのDVDコピーを、バラエティ制作部の上長が適宜内容確認する体制を取っております。

    この回答も参考に、次回の委員会で再び審議することにしました。

    視聴者意見について

    • 「女性が裸になって男性に色々なことをされたり、オススメAVを流したりしている。深夜とはいえ、"性"をバカにしている」などの視聴者意見があり、地方局で放送されている深夜のお色気番組について、全委員が番組を視聴した上で討論しました。委員からは「見ていて痛々しい」「90年代のままの内容で今の時代では許容されないと思う」という意見が出ましたが、「深夜帯での放送の多様性を考えた時、ただちに審議する必要はない」との結論に至り、審議入りはしないものの、今後とも、こうした深夜番組を注視していくことにしました。

    • 女性歌手の自殺報道について、視聴者から『WHO自殺予防 メディアのためのガイドライン』に反しているのではないかとの指摘があったことについて討論しましたが、審議入りはしないことにしました。

    中高生モニターについて

    9月は「見たい、作りたい番組」とはどんな内容なのか、ジャンルを問わず、番組の企画書を作ってもらいました。
    中高生ならではの視点でみなが熱心に企画を考えてくれました。中にはタイトル、放送時間帯、視聴対象、キャスターのほか、ナレーター、ゲスト、番組内容、企画意図など、詳細にわたって4ページもの企画書を書いてくれた方もいました。みな、中高生にも分りやすい番組作りを目指し、好感度の高いタレントを起用したり、現在の中高生に関心の高い「いじめ」などのテーマを取り上げるなど、工夫を凝らしています。
    「動物」をテーマに設定している企画書が3本ありました。また、現在放送されている、或いは、最近放送されたテレビ番組からヒントを得た企画が数本見受けられた一方、まったく、違う視点でお年寄り向けの企画を考えてくれたモニターもいました。
    「ドキュメンタリー」には、これまでのような日本人目線の作り方ではなく「世界からの視点で」考えることを提案したり、これからの自身の将来を見据えた「職業」について、中高生が実体験したり、また、中高生に人気のタレントさん、お笑い芸人、俳優、歌手が疑似体験するなどの企画書がありました。
    野球などのスポーツや、趣味の「読書」を扱った企画もありました。
    <自由記述欄>はコマーシャルや番組宣伝スポットに関して内容及び放送される時間帯について感じることを書いてもらいました。「面白いCMがとても多い」と書いているモニターもいましたが、批判の声も多く寄せられました。「ひとつの番組の中で同じCMを何度も流すのはやめてほしい」とか「何のコマーシャルか分からないCMが多くなった」など、内容そのものに関する批判が多くありました。時間帯に関しては「食事の時間帯に、トイレ用洗剤のCMが流れると不快になる」「深夜に通信販売やパチンコ店のCMが集中し、不快に感じることがある」などの意見が寄せられました。

    【委員の主な意見】

    • なかなかユニークな発想が多い。オリジナリティがある。動物から見た人間の姿を描く企画があったり、高齢化社会を反映して、おじいちゃん、おばあちゃんを視聴対象者とした提案などがあった。

    • どれもおもしろくて楽しく読んだ。今の中高生は「ためになるもの」を求めているようだ。発想も豊か。また、世代をつなげていこうというような企画も良い。

    • 視聴者参加という形式がキーワードになっているものが多い。隔絶してなく身近なところを求めている。稀有壮大なものはない。また、ゲームと番組をつなげるなど、今の若い人の考え方の特徴が出ている。

    • 将来選択が豊富になりすぎた社会においてどういう職業をどう選ぶかが自分たちの夢の描き方につながるようで、そういう内容の番組企画が多かった。

    • 働くことへの関心が番組企画に反映されているものが多い。自分がどう生きていくか、考えていくに役立つような企画を書いてくれている。ユニークだし、創造性に富んでいる。

    • 動物関連の企画が3つあった。柴犬が主人公の企画もおもしろいし、動物の映像に芸人がコントをアドリブでつけるという発想も大変良い。芸人を鍛える企画になるかなと思った。一時動物番組に人気が出た後、最近は下火になっていたが、また、生き物に関する関心が高くなってきたのかと思った。

    • 身近で実用的な企画が多かった。バラエティであっと驚くような企画は寄せられてない。視聴者参加型の番組人気が根強いようだ。

    ◆モニターの企画書に対する在京局の現場の方から届いたコメント

    ◎企画1.『檻の中からごくろうさん』(新潟・中学3年男子)

    【ねらい】舞台は動物園。何台ものカメラを7種類の動物の檻に設置し撮影。その映像を1分に編集し、その動物たちに超豪華演技派俳優がアドリブを交えながらセリフをつけていきます。動物たちの会話は「動物から見た人間の姿」「今、人間の間で話題の出来事」など。例えば「スマホに興味を示すゾウ」や「パンダ人気が気に入らない上野動物園のサル」「滝川クリステルのプレゼンに感動したカバ」など。どれもシュールで「クスッ」と笑ってしまいそうな会話で、明日会社や学校へ行くのが憂鬱なすべての人々へのパワーとなることを目指します。

    【日本テレビ 編成局 編成部担当部長の感想 『エンタの神様』『仮面ティーチャー』など担当】

    我々にとっても、目からウロコの、沢山の企画のタネがありました。その中で幾つかあったのが、企画者の「伝えたい想い」を紹介する番組。ただ、想いを伝えるだけでは、企画とは呼べません。視聴者サイドがどう楽しめるのか、感じるのか、徹底的にこだわって考え抜いて工夫して初めて、「紹介番組」でなく、真の「番組企画」となるのではないでしょうか。そして、そういった工夫が見られる企画も数多くありました。また、『檻の中からごくろうさん』は、動物が喋るという発想がユニークで、ショートコンテンツとしては「アリ」だと思いました。

    ◎企画2.『免許皆伝!』(岐阜・高校2年女子)

    (1)分野別に免許(資格)職業を仕分け、世の中にどんな免許(資格)があるのかまず知る(2)その後人気のあるもの、一部の人しか知らないもの、取るのが難しいもの、年齢制限のないもの、高収入につながるもの、収入にはつながらないかもしれないけれど自分の生活が豊かになるもの、などなど紹介[免許(資格)をとるまでのステップ→生かし方などは図や動画を使って、わかりやすく説明] (3)実際にその免許(資格)を活用している方の生活を紹介。仕事や、企業の裏側を紹介する番組はありますが、免許(資格)に絞って紹介する番組をみてみたいです。(今の自分に知りたい情報なので)免許(資格)をとることがゴールではありませんが、小中高生の将来の進路の手助けになるといいと思います。

    ◎企画3.『ザ・マネジメント』(島根・中学3年男子)

    【ねらい】小学生高学年~中学生の人が会社(大手企業やガソリンスタンドなど)に数日間入社体験をするという企画です。他の大人と同じような仕事をして、どういう風に思ったのかをインタビューしたりします。仕事内容に応じてお給料を渡され、社会人の大変さを勉強する番組です。家族みんなで見ることができる番組なので、19時以降がいいと思います。出演者もお笑いとは違い、コメントがしっかりしている人がいいですが、それだけではかたくなってしまうので、フットボールアワーの2人がいればよいと思います。

    ◎企画4.『なりきりお仕事体験!!』(愛知・高校2年女子)

    中高生は、将来の進路を決める大切な時期です。でも、学校によっては職場体験がなかったり、希望するところがなかったりします。自分が将来何になりたいのかわからないまま進路を決めるのは大変なことだし、自分がイメージする仕事の内容と現実は大きく違っていたりします。だから、普段は見ることができない仕事の内容を中高生が実際に1週間程度体験して、その仕事に対する見方や思いが変わったかなどを聞き、視聴者は新たに職業を知ったり、一つの仕事を多方向から見たりできるようになったらいいと思いました。

    【テレビ朝日 編成制作局制作1部 統括担当部長の感想】

    皆さんからの企画案を見て「斬新だなぁ!」と思われたのは、"子供の職業体験"に関する企画です。みんなが「次は…?」と考えて同時に思いつくということはある種の予言で、近い将来放送される予感があります。60年の歴史がある日本のテレビで"まだだれも見たことがない"という企画は何らかの問題があるから放送されなかったものです。しかし、中高生のみなさんには自由な発想で思いついた斬新な企画が"なにをクリアすれば実際かたちになるか?"を考えてほしいと思います。

    【フジテレビジョン 編成制作局バラエティ制作部 『ネプリーグ』プロデューサーの感想】

    今回、皆さんの企画を見て、テレビ番組から「学びたい!」「知りたい!」という気持ちが強いということを改めて実感しました。特に、『免許皆伝!』『なりきりお仕事体験!』『ザ・マネジメント』のように、仕事・職業・企業の事を扱う番組企画に目がとまりました。テレビ番組だからこそ潜入できる企業・職業・現場の裏側ってたくさんありますよね。普段は見られない世界をテレビ番組から吸収し、将来を夢見る。という構造は素晴らしいと思います。ただ、その切り口を新しく・面白く・解りやすく演出することが番組作りには必要です。学生の皆さんのニーズを今回垣間見ましたが、テレビはコアなものであってはいけません。幅広い年代、カテゴリーの方々が楽しめるもの、その仕組みを発明することが日々、私たちの課題です。

    ◎企画5.『いじめ 徹底討論』 (仙台 高校2年男子)

    放送時間帯:20時から 視聴対象:小学生・中学生・高校生
    キャスターほか:今でしょ先生(林 修さん/東進ハイスクール)

    『僕はなぜ止められなかったのか?~いじめ自殺・元同級生の告白~』(NHK)を偶然見て衝撃を受けました。14歳のとき、"相棒"と呼び合った友だちから、「今までありがとう。さようなら。」というメールを受け取った少年の話です。彼は、相棒がいじめに遭っているのを知りながら、傍観してしまったことに、とても激しく悔いていました。月命日には必ず、線香をあげに相棒のご両親の元を訪れるのですが、とても苦しそうでした。なくならない「いじめ」。そこで、いじめられている人・いじめている人・傍観者になってしまっている人50人をスタジオに呼んで、顔を隠して徹底討論して欲しいのです。なぜいじめは起こるのか。いじめられるとどういう気持ちになるのか。いじめるとどういう気持ちになるのか。なぜ傍観してしまうのか。このあたりに、焦点を置いた番組が見てみたいです。

    ◎企画6.『楽しく学ぼう!好きになれる勉強!』(山形 中学2年女子)

    放送時間帯:19-21頃まで 視聴対象:小学校高学年、中学生
    キャスターほか:頭の良い人 芸人さんなどが先生になり、楽しく勉強できる方法を伝授するというような番組が見たいです。歴史の暗記法や各教科、好きになれる勉強法を教えてほしいです。データ放送も使い、視聴者参加型だったら、もっと楽しめると思います。(この企画のイメージはアメトークの勉強大好き芸人です。)

    ◎企画7.『ビルドアップ!』 (東京 中学3年男子)

    放送時間帯:夜8・9時台
    視聴対象:10代 キャスターほか:ジャニーズ等の若手(イケメンが汗臭いことを爽やかにこなす)

    コンセプト 出演者たちが力を合わせ、毎回のテーマに沿って一つのことを成し遂げる。未開の星の住民である出演者たちが地球に勉強しに来たという設定で、番組内でのクエストをクリアしていくとそれに関係した分野の文明レベルが上がって、さらに高いクエストに挑むことができる(最初は飲料水の確保や狩りといったことから、農業、工業、商業の各職業経験、時に起きる災害への対応といった形で身近な日常生活や職業体験から災害時まで役立つ情報を楽しく提供する。つまり鉄腕DASHや世界の果てまでイッテQにRPGゲーム感覚を合わせたような番組。

    【NHK 制作局 青少年・教育番組部 チーフ・プロデューサーの感想 『Rの法則』などを担当】

    Nスぺを視聴して思いついた"いじめる人・いじめられる人・傍観者の覆面討論"、アメトークの勉強大好き芸人からイメージした『好きになれる勉強』、鉄腕DASHやイッテQにRPG感覚を加えた『ビルドアップ!』が興味深かったです。全くの新企画はなかなか見当たらない今のテレビ業界では、既存の番組をいかに自分なりにアレンジできるかが、新しいものを生み出す1つのコツでもあります。若い人たちの"番組リテラシー"をもっと聞いてみたいと思いました。

    ◎企画8.『Book Review』(神奈川・中学1年女子)

    放送時間帯:土曜日もしくは日曜日の夜(20時から21時)
    視聴対象:小学校高学年からお年寄りまで幅広い世代が対象者
    キャスターほか:視聴者参加型(本好きな芸能人と一般人)

    この番組は、本好きな視聴者と本好きな有名人(芸能人)で作り上げていく、「本好きあつまれ!」的な番組です。この番組を通して、本好きな人が増えてほしいという願いを込めています。番組は、書いたとおり、視聴者参加型です。本を読むのが好き、音読が得意という中学生以上の視聴者の応募を募って毎月オーディション。音読する本は、その人が好きな本でぜひ他の人にも紹介したいというものや、いま話題沸騰中の本。本のイメージが伝わりやすいように、かわいいアニメーションに合わせて放送したいです。

    ◎企画9.『Rode to Japan~日本のこれからを担う世代へ~』(宮城・高校2年男子)

    放送時間帯:週1または月1の金、土、日のいずれかの夜10時~12時ごろ、ラジオやインターネット配信でも可。
    視聴対象:10代から20代の人たち、その父母や祖父母などの世代の方。

    キャスターほか:若者(中高生~20代)とその父母世代(40~50代)さらにその祖父母世代(60代~)から、それぞれ毎回違う方に出てもらい、池上さんか田原さんのようなジャーナリストを司会として、様々なジャンル(政治、経済、戦争、領土や憲法だのといわゆる「堅いもの」からアキバ、原宿文化か、エンターティンメント、スマホ、などの若者中心のカルチャーまでと多岐にわたる)の専門家を呼び話を聞いた後、僕たち若者の率直な意見をツイッタ―やFacebooKなどで集めるいわゆる視聴者参加型にし、専門家にこたえてもらったり、父母世代か祖父母世代との考え方のちがいを理解し話し合い「日本のこれからについてしっかり僕たちの世代で考えて、発信していこう」というような内容です。

    【テレビ東京 制作局 局次長の感想】

    全体的には、役に立って楽しめる視聴者参加型の企画が多く寄せられました。将来の不安を解消したり、学ぶ欲求に応える企画もあり、若くてピュアな感覚を番組化することは大切なことだと思いました。我々は今まで見たことのないような新鮮味のある企画を開発したいと考えています。皆さんも10代の今だから発想できる企画をこれからも考えてみてください。深く考えることで今まで気付かなかった新しいモノが見えてくるかもしれませんよ。

    ◎企画10.『いつまでも元気!』(兵庫・高校2年女子)

    視聴対象者:おじいちゃん、おばあちゃん
    出演者:氷川きよしなど 内容:おじいちゃん、おばあちゃんのためのバラエティ番組

    体の体操コーナー=これできるかな?かんたんな体操など。頭の体操コーナー=クロスワードパズルなど。お笑いコーナー=笑いは元気の素!漫才コーナーなど。これだけできればひと安心。まだまだいけるよ!と自信がもてるテレビ。本人も周りも元気の目安がわかるテレビがいいと思った。

    【TBSテレビ 制作局 バラエティ制作部プロデューサーの感想】

    世界のこと、世間のこと、大人のこと、人間のこと、自然科学のことなどなど、興味はあるけど、今の自分には実行できる術はないので、誰か代わりに やってくれているところを見てみたい!…僕が中高生のころ、確かにそんなふうなことをテレビに期待してましたし、そんな番組を見て興奮していました。今回、中高生の皆さんの企画アイデアを拝読させていただき、そんなことを思い出しました。世帯視聴率を金科玉条の指標として、効率と実現性の 追求に明け暮れるばかりに、結局、最大公約数的な番組を作ってしまいがちな"テレビ屋"になってから、すっかり忘れてしまった感覚、とても新鮮でした。

    今年度の青少年委員会活動について

    • 10月4日に札幌で行う意見交換会について、進捗状況の報告がありました。
    • 11月26日に開催予定の、在京局とのバラエティー番組に関する勉強会について概要が報告されました。

    第148回 放送と青少年に関する委員会

    第148回–2013年8月

    「27時間テレビ」で男性タレントが女性アイドルグループのメンバーに対し、頭を蹴るなどの行為があった企画について、審議入りを決定

    第148回青少年委員会は、9月3日に7人の委員全員が出席して名古屋の中部日本放送の会議室で開催しました。まず、7月16日から8月15日までに寄せられた視聴者意見の中から、『生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!』(フジテレビ)に対して「爆烈お父さんのコーナーは、いくら演出とはいえ、暴力的過ぎる」など、多数の意見があった件について討論し、審議入りすることを決めました。また、「子ども向けアニメ番組で男女の恋愛描写が必要なのか」という意見があった女児向けアニメ番組と、地方の銭湯を取り上げたドキュメンタリー番組の中で男児の性器が映った件について、討論の結果、いずれも審議入りしないことを決めました。また、地方局で放送されている深夜のお色気番組については、次回の委員会で討論することになりました。その他、8月の中高生モニター報告、調査・研究企画、10月4日に札幌で開く意見交換会について話し合われました。
    委員会終了後、名古屋地区のテレビ6局の番組制作者・編成関係者と、青少年委員との意見交換会が行われました。内容については後日報告します。
    次回委員会は9月24日に開催する予定です。

    議事の詳細

    日時
    2013年9月3日(火)正午~午後2時00分
    場所
    中部日本放送(名古屋)第三集会室D
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    視聴者意見について

    ・『FNS27時間テレビ女子力全開2013』(フジテレビ)の「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」のコーナー(8月3日放送)に対し、「男性タレントがAKB48のメンバーに対し蹴ったり、叩いたり、ジャイアントスイングしたり、抱え上げて投げ落としたりしていた。いくら演出とはいえ、暴力的過ぎる」「女性アイドルにプロレス技を掛け、両足を開閉したり顔を蹴ったりしていた。制作サイドはまともな判断力を失ったのか」など多数の視聴者意見があり、委員全員が番組のコーナーを視聴した上で討論し、審議入りしました。委員の主な意見は次の通りです。

    • たとえ相手が了解していても、見ている側を不愉快にさせる。生放送だが台本があったのかどうか、現場でディレクターが監督し止めることは出来なかったのか。フジテレビの現場がどうなっているのか知りたい
    • バラエティーには意外性の面白さがあることは理解しているが、頭を蹴る・踏みつけるという行為は許容しがたい。このようなシーンを外国人が見た時に、日本人はこんなことをやっているのか、日本の文化水準はこんなものかと思ってしまう。最低限のモラルを逸脱している
    • いくら下着の上に見えても良いウエアーをはいているとはいえ、きわどい姿をカメラにさらすのは問題だ。どういう意図で局側がやったのか聞いてみたい
    • 足を持って振り回す行為は、力の弱い子どもたちが真似をすれば危険性が高い。しかし力を誇示して嫌がらせや、いじめをするようには見えなかった
    • 27時間テレビでは、他にも芸人が下着で出てきたり、"ヌーブラ"をしている女性を当てるクイズ等、視聴者も含めた女性に対する扱いがひどい
    • 今どきのバラエティー番組のモラルは、行き着くところまで行ってしまったのか。現在のバラエティー番組の制作現場の状況を聞いてみたい

    討論の結果、審議入りを決め、次回の委員会で、当該放送局の制作責任者等を招いて制作意図などについて意見交換を行うことにしました。

    ・「幼児向けアニメ番組で男女の恋愛描写が必要なのか」「あまり男女の関係が目立つ番組にしてほしくない」という視聴者意見があった日曜日朝の女児向けアニメ番組について、委員全員が視聴した上で討論しました。委員からは「アニメで表現されたものに対しての子どもの反応は大人の反応と全く異なるものであるので、アニメによる表現の場合、子どもを意識した十分な配慮が必要」との意見も出ましたが、「大人が少し過敏になりすぎているのかも知れない」という趣旨の発言もあり、審議入りしないと決めました。

    ・「男児の全裸を公共の電波で流すのは人権的配慮に欠ける。一度放送された映像はインターネットで世界に拡散して消すことができない」という視聴者意見があった、地方の銭湯を取り上げたドキュメンタリー番組について、委員全員が視聴した上で討論しました。委員からは、「男児の裸の映像を流すことについて、最近は批判的見方が強まっている。この10年でスタンダードが変わった事を考えてほしい」「子どもの裸に関して、そんなに窮屈に考える必要があるのだろうか。男児の性器が映りこむのはいけないが、入浴シーン程度は良いのではないか」などの意見が出ました。青少年委員会は、2008年4月11日に「児童の裸、特に男児の性器を写すことについて」という注意喚起※を行っています。各放送局がこの注意喚起の内容を再度確認して、それぞれで時代と意識の変化を考えてほしい旨をBPO報告等に付記することとしました。そのうえで、今回は当該放送局が事後の対応を速やかにしたこともあり、審議入りはしないことになりました。
    ※注意喚起「児童の裸、特に男児の性器を写すことについて」は、こちらに掲載しています。

    中高生モニターについて

    8月の中高生モニターは、BPO青少年委員会の「青少年へのおすすめ番組」を視聴して、その番組の良かった点や、こうしたら良いのに、など率直な意見を書いてもらいました。
    23人から報告が寄せられました。なるべくそれぞれの地域の番組を視聴してくださいという依頼をしたせいか、地方テレビ局の制作番組に関する報告も多く集まりました。仙台放送が制作した『東日本大震災特別企画「ともに」』に関しては、地元の宮城県のモニター2人から、「被災地域に対しもっと真剣に考えねばと考えさせられた」とか「自分ももっと頑張らねば。これからもこういう番組を作ってほしい」という意見が寄せられました。山形放送の『笑顔かがやくカンボジア』と名古屋テレビ放送の『どまつりLIVE2013』などについても地元のモニターが大変好意的な意見を書いてくれました。
    全国放送番組の中では、NHKEテレの『考えるカラス』に3件の意見が寄せられ、「小・中学生向けの番組だが、高校生の私が見ても面白いと感じた」とか、「初めて見たが、とても面白いし、科学の興味深さを再確認できる番組でもある」などの意見が寄せられました。
    戦争に関係する番組の中ではテレビ朝日の『二十四の瞳』に3件、テレビ東京の『池上彰の戦争を考えるスペシャル第4弾』に1件、NHK-BSプレミアムの『零戦~搭乗員たちが見つめた太平洋戦争~』に1件報告が寄せられました。「ドラマで戦争を描くことはデリケートな部分があるとは思うが、当時の人たちの戦争に対するいろいろな想いを効果的に取り入れると、自分たち若者に戦争の悲惨さがより伝わると思った」「番組を見て日本人の視点のみでなく異なる国、異なる立場の人の見かたを知ることができて良かった」「戦争の事実を後世にもしっかり伝えるためにもこのような番組は必要不可欠だと思う」などの意見が寄せられました。
    <自由記述欄>では、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」と依頼しました。日本テレビ放送網の『24時間テレビ「愛は地球を救う」』について「24時間マラソンをしているが毎年、本当に必要なのか疑問に思う」というような意見が2名から寄せられました。また、「最近、二匹目のドジョウを狙うような、似たような番組が多い」とか、「視聴者を不愉快にさせる下品な番組など誰も望んでいない。今すぐにでもやめてほしい」など、テレビ番組に対する批判の意見も寄せられました。

    【中高生モニターリポートの主な意見と委員の感想】

    ●【委員の感想]中高生モニターが「おすすめ番組」をきっちり見ているという印象を受けた。番組制作者の思いが届いていると思った。

    ●【委員の感想】番組内容に刺激を受けた、というモニターの声が多く寄せられた。

    • (山形・中学2年女子)『笑顔かがやくカンボジア』(山形放送)はじめは、高校生の旅行気分の番組かなと思ってみました。でも、実際は、日本赤十字山形県支部の一生懸命な活動の様子を紹介したもので、高校生の真剣な表情や目つきを見ていてカッコイイ大人だなと思いました。

    • (埼玉・高校1年女子)私は『ヤマザキマリのアジアで花咲け!なでしこたち「タイでコスプレを広めたい!~雑誌編集長滋野真琴~」』(NHK-BS1)を視聴しました。この番組を視聴して、取材されていた「なでしこ」の滋野さんの「自分らしく生きても問題ない」ということを教えてくれたタイの地で、今度は自分が若者たちにそのことを伝えていきたい、という考え方がとても素敵だと思いました。

    ●【委員の感想】自由記述欄を見ると、「同じような番組が多い」、「オリジナリティがない」など、中高生も番組のマンネリ化を厳しく見ているようである。

    • (東京・中学3年男子)最近、二匹目のドジョウを狙うような、似たような番組が多いのが目につきます。

    • (北海道・高校1年男子)このところ、テレビ番組がどれも同じような企画を取り上げているように感じる。特に問題に感じるのが、「世界にいる日本人を訪ねる」というコンセプトの番組で、3つの放送局で3番組が放送されている。しかも、そのうち2番組の放送曜日が同じなのだ。各局、オリジナリティのある番組を創ろうとする気はないのだろうか?

    ●【委員の感想】『24時間テレビ』(日本テレビ放送網)に関して意見がいくつか寄せられた。マラソンに関して批判的な声がある。

    • (兵庫・高校2年女子)24時間マラソンはほんとうにずっと走っているの?24時間にこだわらなくてもいいと思います。

    • (埼玉・高校1年女子)毎年、『24時間テレビ』で24時間マラソンをしていますが、私は24時間も走っている姿に感動したことがないので本当に必要なのか毎年、疑問に思います。

    ●【委員の感想】地方の中高生がその地方局制作の番組を見て、とてもよい感想を送ってくれている。こういう地方発の番組が他の地方でも視聴できる仕組みができるとよいのですが。

    • (愛知・中学3年女子)今回、私が見たのは、『どまつりLIVE2013』(名古屋テレビ放送)です。私は"どまつり"を見たことがないのですが、この番組を見ていて、"どまつり"の勢いに引き込まれていきました。この番組から"どまつり"の良さがすごく伝わってきました。来年の"どまつり"はぜひ行きたいと思いました。

    • (仙台・中学2年女子)『東日本大震災特別企画「ともに」第29回』(仙台放送)を見ました。頑張っている姿を見ると、自分ももっと頑張らなければという思いと、自分が無力であるふがいなさを考えてしまいます。番組内で、被災した仮設住宅に住む子供たち30人を集めて野外サマーキャンプを催したNPO法人の方々がいました。これを企画したNPO法人の方々も、それを番組にした仙台放送の方も素晴らしいです。

    ●【委員の感想】Eテレ=幼稚というイメージがあった、という報告があったので、驚いた。しかし、科学を解析する番組を評価していたのが印象に残った。

    • (鳥取・中学2年男子)『考えるカラス』(NHKEテレ)僕はこの番組を初めてみました。Eテレ=幼稚というイメージがあったので、あまり期待していなかったのですが、とても面白くて次回も見たくなりました。また科学の興味深さを再確認できる番組でもあるので、そんな番組を増やしていってほしい、と感じました。

    • (岐阜・中学1年女子)『考えるカラス』(NHKEテレ)を見て、初めて知ることが沢山ありました。ナレーションで「ここからは自分で考えましょう」と、視聴者にも考えさせるという構成があり、とてもよいと思いました。この番組は10分間なのに、この短時間でこんなにも初めて知ることがあったり、頭を使えたりして、とても良い番組だと思います。

    ●委員の感想】8月だったので、戦争に関する番組への感想も多かった。「アカ」という言葉を知らないとか、沖縄戦についてほとんど知らないという中高生もいる実態を知った。

    • (千葉・中学2年男子)『二十四の瞳』(テレビ朝日)この中でたびたび「アカ」ということばを耳にしました。しかし僕たち中学生には「アカ」の意味が分かる人は少ないと思います。戦争をしていた時代に使われていた言葉で、今の小中学生が分かりにくそうな言葉は物語の中で説明したり、字幕を使って説明をした方が良いと思います。

    • (島根・中学3年男子)『テレビ未来遺産終戦特別企画報道ドラマ「生きろ」~戦場に残した伝言~』(TBSテレビ/山陰放送)。広島の原爆については、多く放送されているので見ていますが、沖縄戦は知らないことも多かったので、ドラマと実体験を交えた番組構成になっていて、分かりやすかったです。

    ●【委員の感想】スポーツ関連の番組についてより多く放送してほしいという意見があった。甲子園大会の放送に関しては、CMのことまで褒めているモニターがいて、丁寧に制作、放送すれば、ちゃんと見てくれるのだな、と思った。

    • (千葉・中学2年男子)甲子園の野球大会で盛り上がっていますが、中学生や高校生がいろいろな競技で最後の闘いに頑張る時期なので、できれば野球だけでなく他の競技も、決勝戦だけでなく、地方大会や予選大会もテレビで放送してくれたらと思います。

    • (岐阜・高校2年女子)私が良かったと思う番組は、『熱闘甲子園』(朝日放送・テレビ朝日/名古屋テレビ放送)です。単に一つの高校の試合というだけでなく、その県の代表として勝ち抜いてきたドラマがあることが見ていて感動させられます。また、選手の笑顔や汗、涙、スタンドのどよめきがストレートに伝わってくる放送の仕方には、毎回感動です。最後にCMが入りましたが、番組の雰囲気を壊すことなく素晴らしいCMだったと、私は思います。75歳のおばあさんが、目標を持ってあきらめずに水泳に挑戦する姿は、甲子園を超えるくらい感動しました。熱闘甲子園にぴったりのCMだと思いました。

    今年度の青少年委員会活動について

    • 調査・研究の内容に関する議論が行われ、「子どもの視聴実態と子どもの言動へのテレビの影響について(仮)」について、質的、量的な調査を、2015年1月の完成を目指して行うことになりました。

    • 10月4日に札幌で行う意見交換会について、進捗状況の報告がありました。

    • 8月1日の事例研究会、8月16日のJAROとの意見交換についての報告がありました。

    第147回 放送と青少年に関する委員会

    第147回–2013年7月

    「何度も落とし穴に落とすいたずらの"いじめ"への影響懸念」などと指摘があったバラエティー番組などを討論、審議入りせず。

    第147回青少年委員会は、7月23日に7人の委員全員が出席して開催されました。まず、6月16日から7月15日までに寄せられた視聴者意見の中から、「何度も落とし穴に落とすいたずらは、子ども達への影響が気になる」などと指摘があったバラエティー番組と、「不倫を肯定するようなCMは若者に悪影響を与える」という意見があったCMについて、それぞれ討論が行われました。その他、7月の中高生モニター報告や、調査・研究企画、名古屋と札幌で予定されている意見交換会、事例研究会、などについて話し合われました。
    次回委員会は9月3日に名古屋で開催する予定です。

    議事の詳細

    日時
    2013年7月23日(火) 午後4時30分~7時00分
    場所
    「放送倫理番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    視聴者意見について

    • 「タレントが何度も落とし穴に落とされる度を越えたいたずらは、"いじめ"につながり子ども達への影響が気になる」という視聴者意見のあった夜9時台のバラエティー番組について討論しましたが、今回の放送は特に際立った問題はないとして、審議入りしないことになりました。

    • 「不倫を肯定するようなゲームのCMは、若者に悪影響を与える」という視聴者意見のあったCMについて討論しました。時間帯への配慮をしてほしいという意見が出ましたが、特段問題はないとして、審議入りしないことになりました。

    • 「逮捕・補導された少年の防犯カメラの映像をニュースで流したのは問題がある」という視聴者意見について、「少年犯罪を扱っている弁護士の立場としては、逃走中ならやむを得ないが、すでに身柄を確保された後であり、"少年の更生"と"知る権利"のバランスを考えたときには"少年の更生"を最大限尊重してほしい」という意見がありました。

    • その他、「特定の人物をいじめている」という意見のあった男性アイドルグループの番組、「新人女性アイドルに対する企画が不愉快だ」という意見の深夜番組について話し合われ、今後深夜番組に注目してゆく必要があるという意見が出ましたが、いずれも現時点では問題としないことになりました。

    中高生モニターについて

    7月の中高生モニターは、最近見た「バラエティー・クイズ・音楽番組」のうち「良かった」あるいは「面白くなかった」と感じた番組をどちらか一つだけ取り上げ、その理由を具体的に深く掘り下げ報告してもらい、26人から報告がありました。ジャンル別では、バラエティー番組15件、クイズ番組4件、音楽番組7件でした。
    『ミュージックステーション』(テレビ朝日)は3人から、「家族みんなで楽しめる」「好きな歌手がたくさん出演する」「タモリさんの司会がとてもよい」などの意見が寄せられました。音楽番組全般に関して好意的な意見が多かった半面、バラエティー番組に関しては、「寝起きどっきりを面白がるのはいかがなものか。限度を考えてほしい」とか「もっとテレビを見る側を意識して作ってほしい」など、批判的な意見がありました。クイズ番組に関しては『世界ふしぎ発見!』(TBSテレビ)や『ネプリーグ』(フジテレビ)など、「こういう番組はこれからもずっと続けてほしい」「とてもいい番組だと思う」など、好意的なリポートが届いています。
    放送局では、日本テレビが6番組、TBSテレビが5番組、フジテレビが3番組、朝日放送が2番組、NHK、テレビ朝日、テレビ東京がそれぞれ1番組となっています。
    <自由記述欄>では、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください。特になければ、アニメにおける残酷なシーンや、性的なシーンについての感想を書いてください」と依頼しました。アニメに関しては「『名探偵コナン』(読売テレビ)が大好き」という好意的な意見がありました。しかし、アニメの中の残酷なシーン、性的なシーンに関して「真似したりショックを受けたりすることもあるだろうから、放送する側として、何らかの工夫をしてほしい」「幼い子が暴力的なシーンの言葉づかいを真似たりしているようだ」という批判的な意見がありました。その一方、「放送時間帯を選べば問題ない」「ある程度必要だと思う。バランスを考えて作ってほしい」など、擁護する意見もありました。ラジオに関しては3件の意見が寄せられ、スマートフォンを利用して聴取者がラジオに参加できるシステムやWebサイト上に番組の感想を書き込んだりする仕組みなど、新しいラジオの姿を楽しんでいる意見が寄せられました。

    【中高生モニターリポートの主な意見と委員の感想】

    ●【委員の感想】「インタビューしていたアナウンサーの語りかけるような話術が素晴らしい」とか「出演者が街の魅力を引き出す力がある」といったように、出演者の個人的な力に好意を持ったという感想が印象に残った。

    • (宮城・中学2年男子)先日『報道ステーション』(テレビ朝日)で、女子フィギュアスケートの安藤美姫さんにインタビューした、テレビ朝日の宮嶋泰子アナウンサーに惹かれました。語りかけるような自然な話術は素晴らしいと思いました。最近は、若い女子アナと呼ばれる人たちをよく見ますが、こういう素敵なアナウンサーが現役で頑張っていらっしゃることに感銘を受けました。

    • (新潟・中学3年男子)最近見て良かったと思った番組は『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京)です。この番組はさまぁ~ずのお二人と、テレビ東京女性アナウンサーが街歩きをして、その街の人々とふれあう番組です。この番組では出演者がその街の魅力を引き出して「行ってみたい!」と思わせる力があります。

    ●【委員の感想】長時間の生放送の音楽番組を批判する声が多かったが、実際見たので、実にまっとうな意見だと同感した。

    • (愛知・中学3年女子)私が最近見たバラエティー番組のうち「面白くなかった」と感じた番組は、『音楽の日』(TBSテレビ)です。この番組は、前回は、約4時間だったのですが、今回は13時間半と、前回の3倍も長くなっています。果たして、音楽番組を13時間半も放送する意味があるのでしょうか。見る人のほとんどは好きなアーティスト目当てで見ているのに、あまりにも放送時間が長いと、待っている間は退屈だし、見逃してしまうかもしれません。もっとテレビを見る側を意識して作っても良かったのではないかと思います。

    • (福岡・高校2年男子)私が最近見た番組は、『音楽の力』(日本テレビ)です。この番組は、昼の10時30分から12時間生放送の音楽番組でした。総勢50名を超える様々なアーティストが出演していました。まるで芸能人のカラオケ大会を見ているようで、盛り上がっている当事者たちは楽しそうでしたが、一視聴者からしたら、「おいてけぼり」をくらったような印象でした。音楽番組として見ていたため、なんとも言えない印象でした。

    ●【委員の感想】今は、テレビは個別に見る機会が多くなっているように言われているが、モニター報告を読むと、家族で歌番組を一緒に見て歌ったり、クイズ番組で回答を推察しあったりと、家族で共に番組を楽しんでいるので、これは大変良いことだと思う。

    • (徳島・中学1年女子)私は『ミュージックステーション』(テレビ朝日)が好きです。私の生まれた時に大ヒットした曲や、父や母の小さかった頃にヒットした曲を聴くことができるからです。家族みんなで楽しむことができる『ミュージックステーション』は貴重だと思います。

    • (山形・中学2年女子)『ミュージックステーション』(テレビ朝日)の良い点は、「バースデーイヤーソングス」というコーナーです。何年も前に流行した歌が流れ、小中高生がコメントをします。私がまだ生まれる前の歌や両親が若かった時の歌がたくさん流れます。家族で見ていて会話も広がるし、実際に聴いたことがない曲でもなぜか懐かしい気持ちになるので、この番組のコーナーは毎回、とても楽しみです。

    • (千葉・中学2年男子)わが家ではクイズ番組をよく見ます。僕は、中でも『世界ふしぎ発見』(TBSテレビ)が好きです。自分もいつの間にか回答者になっていて、家族とあれこれ話しながらみることも楽しいです。こういう番組はこれからもずっと続けてほしいと思います。

    ●【委員の感想】アニメから暴力的・性的なシーンを完全に取り除くことは不可能では、と書いているモニターもいた。また、アニメや漫画を議論の対象とするならば、映画やドラマ番組や小説も一緒に論ずるべきでは、と論理展開をしたモニターもいた。
    ●【委員の感想】中高生としては非常にきちんとアニメ番組の内容を捉え、問題点の指摘をしている。

    • (埼玉・高校1年女子)アニメの中に言葉づかいが悪いキャラクターがいるのは確かだと思います。しかし、暴力的・性的なシーンを完全に取り除くことは不可能だと思います。幼い子に見せる勧善懲悪的なアニメには征伐のシーンは不可欠ですし、性教育の観点からも間違った情報をインターネットや雑誌で得るよりも正しい情報をテレビで得るほうがいいと思います。

    • (福岡・高校2年男子)私はアニメにおける残虐なシーンや性的なシーンは放送時間帯を選べば問題ないと思う。そもそも、なぜアニメや漫画のみを頻繁に議論の槍玉に挙げるのかが理解できない。残虐なシーンや性的なシーンを論ずるならば映画やドラマなどの番組や小説も一緒に論ずるべきだ。

    ●【委員の感想】クイズ番組に対しては、難解な問題をスラスラ回答するのは見ていて楽しい、という一方、出演者がおバカキャラを演ずることへの批判が挙げられた。また、ドッキリ番組は面白いが、俳優などの寝起きを襲うことまでするのはやりすぎではないか、限度を考えるべきという意見があった。また、旅番組で、タレントでなく番組のディレクターがリポートすると、親近感があって、番組を素直に受け止められるという高校生もいた。

    • (福岡・高校2年男子)私が一番好きなクイズ番組は『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日)だ。「東大生・東大出身者」や「京大生・京大出身者」などが解答者として出演し、難解な問題をスラスラと解答していくのは見ていて気持ちがいい。自分も勉強しなくてはという気にさせてくれ、教養にもなる。

    • (東京・中学3年女子)一番クイズ番組で気に食わないのが「おバカタレント」と言う人達だ。見ていて面白くないし、うるさいだけ。

    • (鳥取・中学2年男子)どっきり番組自体は、大好きなのですが、その中の「寝起きどっきり」というのは全く面白くありません。モデルさんや女優さんの寝起きを見たって何も得るものはないし、仕事で疲れているのに安らかな睡眠を邪魔されて、とてもかわいそうです。最近、テレビでは、常識を超えた面白さを求める芸人さんがいますが、そんな面白さは必要ありません。きちんと限度を考えてほしいです。

    • (岐阜・高校2年女子)私が見て良かったと感じた番組は7月3日に放送された『世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?』(フジテレビ)のスペシャルです。この番組の大きな特徴は、世界各国へとリポートしに行くのがタレントや芸人さんではなく、番組のディレクターがリポートをするところです。TV慣れしていないディレクターがリポートをしているため、変に飾ることもなく、よりリアリティーのあるリアクションが見られます。より、私達視聴者に近いディレクターのリポートは見ていても、気楽に見ることができます。新しい旅番組の形としてこのような少し変わった設定も面白いと感じました。

    ●【委員の感想】モニター報告をとても面白く読んだ。良識ある子が多く、内容に納得できる。歌を耳だけで聴いていたのがテレビ映像でその歌手の歌っている姿を見ると改めて違った感動があるというフレッシュな意見を寄せた中学生もいた。テレビ番組を視聴年齢規制するのは、よくないというモニターもいた。

    • (神奈川・中学1年女子)歌が大好きな私が最近特に感動したのは、5月24日に『ミュージックステーション』(テレビ朝日)で放送された、ファンキー・モンキー・ベイビーズ(ファンモン)のライブです。ファンモンは前から好きな歌手でしたが、改めて感動しました。なぜか。それは、いつも耳からしか聴いていなかった歌を、テレビを通して実際にファンモンが懸命に歌っている姿を見ることができたからです。
    • (千葉・中学2年男子)アニメで好きなのは、『名探偵コナン』(読売テレビ)です。毎回、事件をコナンが推理して解決していくという設定のため、殺人事件を扱うことも多いです。そのため、見方によっては残酷なシーンやストーリーで小学生が見るにはふさわしくないと思うこともあります。僕も、小学校低学年の頃、怖くなって部屋を明るくして寝たり、なかなか眠れなかったりしたこともありました。だけど、事件が解決していく過程がとても面白いので、小さいころから見ています。映画のように年齢を規制することも必要かもしれませんが、それよりも、それぞれの家でルールを決めてテレビを見るというのがいいと思います。なんでもかんでも、これはダメとか禁止とか大人が決めるのは、よくないと僕は思う。

    ●【委員の感想】アニメの残虐なシーンや性的なシーンに関して反発する意見があると同時に放送時間帯を選べば問題ないとし、その根拠として大変論理的な文章を寄せてくれたモニターがいる。
    ●【委員の感想】日本のアニメは世界中で人気がある。しかし、その中には『HUNTER×
    HUNTER』(日本テレビ)や『進撃の巨人』(東京メトロポリタンテレビジョン)などの中に散見されるように、人間が食べられるなどの残酷なシーンがたくさんある。二律背反の日本のアニメに対してしっかりした評価と同時に批判をしている意見も数通あった。

    • (福岡・高校2年男子)最近は録画機器が発達しており子どもが寝ている時に録画して、起床時に視聴する可能性があるという懸念もあると思う。しかし、「子どもが視聴する可能性がある、だから、放送を中止すべきだ」というのは誤った二分法だ。保護者がテレビの視聴を監視・監督するという選択肢がすっぽりと抜け落ちてしまっている。深夜帯の放送については保護者の教育に委ねるべきだ。現代は情報化社会だ。一家に一台はパソコンがある。子どもにも携帯やスマートフォンが普及していて、私の高校では持っていない人を探すのが難しいくらいだ。ネット上ではワンクリックでテレビよりも残虐な情報や性的な情報が溢れかえっていてなおかつ簡単にアクセスできる。そんな状況の中で、たとえテレビで流す番組の中身だけを規制しても、重箱の隅をつつくようなものだ。

    ●【委員の感想】iPodを通じて好きな音楽を聴いて元気が出、勇気づけられたという文章には感動した。ハードの多機能化が中高生と音楽との接し方をどんどん変えている。テレビ・ラジオ視聴に関してもいろんな可能性が出てくるのではないか。

    • (宮城・中学2年男子)震災のとき、音楽は私に大いなる力をくれました。何度もくじけたり、あきらめそうになりましたが、わずかに充電が残っていたiPodで、好きな音楽を聴けたときは涙が出ました。私は、解散したファンキー・モンキー・ベイビーズのファンなのですが、一曲一曲の歌詞の意味を噛みしめ、何度も助けられました。前に進もうと思い、4月の新学期が過ぎても学校に行くことは出来ませんでしたが、家の手伝いや弟や妹の世話を積極的に行うようにしました。音楽には素晴らしい力があります。両親が、昔より音楽番組が少ないと言っていましたが、手軽に音楽がダウンロード出来る時代ではありますが、このまま音楽番組を続けてほしいと思います。

    • (神奈川・中学3年男子)ラジオ番組は、映像で伝えることができないので、テレビ番組以上にいろいろ工夫していて、じっくり聴いてみるととても面白いです。また、J-WAVEでは、最近J-meというリスナーズコミュニティを、以前のリスナー向けサービスからリニューアルし、Webサイト上に番組の感想を書き込んだりすると、ポイントがもらえイベント参加の応募やプレゼントなどと交換できるような仕組みを導入しました。このような工夫によりラジオに関心を持ってくれる人が増えることを願っています。

    今年度の青少年委員会活動について

    • 調査・研究の内容に関する議論が行われ、次回委員会で企画を確定することになりました。

    • 9月に名古屋で、10月に札幌で行う意見交換会について、進捗状況が報告され、内容についての検討が行われました。

    • 8月の事例研究会に向けた現状報告がありました。

    第146回 放送と青少年に関する委員会

    第146回-2013年6月

    「人間が怪物に食べられるシーンが残酷だ」などの
    休日午前帯のアニメについて討論、審議入りせず。

    第146回青少年委員会は、6月25日に6人の委員が出席して開催されました。まず、ラジオ局勤務の経験があるメディア・プロデューサー入江たのし氏による、ラジオに関するレクチャーがありました。次いで5月16日から6月15日までに寄せられた視聴者意見の中から、「グロテスクなシーンがある」と指摘のあった休日の午前中に放送されているアニメ番組について討論がおこなわれました。6月に寄せられた中高生モニター報告について、また、調査研究、名古屋と北海道での意見交換会、事例研究会、などについて話し合われました。

    議事の詳細

    日時
    2013年6月25日(火) 午後4時30分~7時30分
    場所
    「放送倫理番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
     汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員
     (川端委員は所用により欠席)

    ラジオについてのレクチャー

    ラジオ局勤務を経て、現在も番組制作に携わり、総務省「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」委員としての経験もあるメディア・プロデューサーの入江たのし氏による「ラジオの歴史、現状と課題、将来について」と題した以下のレクチャーおよび質疑応答がありました。
    「ラジオはテレビの10分の1程度の人数と安い制作費で作られていて、長時間のワイド番組が主流になっています。聴取者は高齢者が多く、特に若年層に向けた対策が必要です。地方局が配信を受けた番組については、生放送が多い為、各局での内容チェックが難しくなっています。ラジオのデジタル化(V-low)は総務省や各局でも検討されていますがロードマップは決まっていません。しかし、ぬくもりや、時には毒もある懐の深さ及び、1対1で寄り添ってくれる点はラジオの大きな特徴です。ラジオは今が一番暗い時代です。東日本大震災以後、ラジオはテレビとは違うメディアだということを示してきましたが、それがまだ形になっていないようです。将来きっと回復するという期待を持っています」

    視聴者意見について

    • 「休日午前中の子どもが見ている時間帯のアニメで、殺人シーンや人間を食べたりするシーンがありグロテスクだ」という意見があったアニメ番組について、委員が視聴した上で討論しました。「奥行きのあるアニメで、生き物とは何だろうと考えさせられた」「よく出来ているが、少女が殺されて足が動くシーンなど、細部の表現に残酷なものがある」などの意見とともに、「放送時間や見たくない人への配慮が必要だ。民放連放送基準審議会が定めた『「青少年と放送」問題への対応について』(1999年6月17日)の中にある、"Ⅲ.1.アニメ番組は、未就学児童を含む児童が多く視聴していることを、とくに意識して制作していただきたい"という記述を、時間帯への配慮も含めて、制作者には改めて思い出していただきたい」という意見が出ましたが、審議入りはしないことになりました。

    • バラエティー番組の下ネタの扱い、深夜アニメ番組における性的表現、性的シーンのあるドラマの番組宣伝スポットの放送時間帯への配慮、などについて話し合われましたが、いずれも現時点で問題にすることとはなりませんでした。

    • 中高生モニター報告

      6月の中高生モニターは、最近見た「報道・情報・ドキュメンタリー番組」で、"良かった"あるいは"面白くなかった"番組をどちらか一つだけ取り上げ、その理由を具体的に深く掘り下げ報告してもらいました。25人から22の番組についての報告があり、ほとんどが"良かった"番組を取り上げていました。はっきりと分けるのは難しいのですが、大きく分けて情報系12番組、ドキュメンタリーを含む報道系9番組、その他1番組となっています。
      報告が一番多かったのは『ZIP!』(日本テレビ)で、4人から「堅苦しくなく、バラエティー番組のような感覚で見ることができる」などの意見が寄せられました。『NHKスペシャル』は、3人から「未解決事件」「巨大津波 その時ひとはどう動いたか」「密着エネルギー争奪戦~日本の逆襲~」の各テーマの放送について報告がありました。次いで『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)には「面白いだけではなく、しっかりとニュースも伝えている」、『プロフェッショナル仕事の流儀』(NHK)には「仕事の内容や素晴らしさを伝えているところが良い」など、それぞれ2人からリポートが届いています。
      放送局では、NHKが7番組、TBSテレビが5番組、日本テレビ、フジテレビがそれぞれ3番組となっています。
      <自由記述欄>では、テレビを見ていて感じる"いじめ"について書いてもらいました。「後輩芸人を"いじめ"たりするのは、見ていて少しも面白くない」という一方で、「お笑い番組では、芸人を"いじって"いても、それぞれ役割があるので"いじめ"とは思わない」などの意見がありました。"いじめ"の実態を放送する事による悪い影響を心配する意見や、実態を知ってもらうために放送する必要があるなど、様々な意見が寄せられています。

      【中高生モニターと委員の主な意見】

      【委員の感想】インパクトを求めているのだろうが、テレビは、実際は複雑な現実を単純化して放送していると感じていた。中高生も、複眼的な視点での放送を求めていて、同じような事を感じているのだなと思った。

      • (東京・中学3年男子)『未来世紀ジパング SP』(テレビ東京)6月10日放送について。
        私が報道情報番組を見ていて、いつも疑問に感じていることは、本当は複雑な問題なのに、それを説明しないで、簡単に単純化して、誰かを悪者にするのはどうしてかということです。悪役(国や企業)側を一方的に責めて、正義(弱者)側の都合の悪い事実を報道しなかったりして、悪い奴のせいで終わりにしていては問題の正しい理解や解決につながらないと思います。その点、池上さんの番組は、善悪で単純化しないで、問題を良い面、悪い面の両方をしっかり説明してくれることや、なぜこのようなことになったのかということを様々な視点から分かりやすく紹介してくれるところが、公平だし、自分で考えさせてくれるので良いと思います。「アラブの春」も、すごく良いことだと報道していたのに、実際はその後、経済や安全がうまく行っていないので、前の方が良かったという国民の声があったのはびっくりしました。逆に怖いイメージのイスラム原理主義が、実は地方で良いこともしていたから支持されることも初めて知りました。今ま"良い""悪い"のイメージしか持っていなかった国に対しても理解が深まっていって、世界の人々が本当の意味でお互いを理解しあえれば世界も平和になるのかなと思います。逆に、報道側が特定の方向性を持って情報に善悪をつけて単純化することは、結果として誰のためにもなっていないと思うのです。

      • (新潟・中学3年男子)私が最近見た番組で良かったと思ったのは、『Mr.サンデー』(フジテレビ/新潟総合テレビ)という情報番組です。この番組は「多角的」な視点で特集が組まれていることと、私たちの世代でも見やすいテーマを取り上げているところが良いと思いました。まずこの番組は、「賛成派と反対派」・「経験者と未経験者」など一定の視点で特集が組まれているのではなく、様々な視点で特集が組まれています。ですので、より立体的に現状や課題が伝わってきます。また今まで平面的にしか考えていなかったものを「こういう立場の人もいるのかぁ」と考えさせられます。また、この番組は私たちに、身近なテーマであったり、他の番組では取り上げていない目を引く話題が取り上げられているので、興味がわいてきます。私たちの世代は、なかなか情報番組を見ないと思います。しかし、このようなオリジナリティある番組なら、チャンネルを合わせると思います。

      ●【委員の感想】日本のマスコミは、大きな事件や出来事をその時だけ取り上げて大騒ぎし、時とともに風化させてしまう傾向があるが、常に風化させないような努力をすることは重要な事だ。

      ●【委員の感想】日本はあまりに社会変化が早くて、歴史認識を丁寧に伝えることが下手な民族になってしまっている。歴史を丁寧に伝えてゆかないと本当の事が分らなくなってしまうし、歴史を知っておくことが教養だと思う。もう少し番組で取り上げ伝えていく事が必要だと思う。

      • (福岡・高校2年男子)僕が面白いと思ったドキュメンタリー番組は NHKが放送している『NHKスペシャル 未解決事件』だ。今までグリコ・森永事件やオウム真理教を取り上げてきた。今月に入り新しく尼崎殺人死体遺棄事件も取り上げた。このシリーズの中で一番興味深かったのはオウム真理教を取り上げた回だ。誤解を恐れずに言えば一番面白かった回でもある。オウム真理教が起こした地下鉄サリン事件は今年で18年目になる。1995年に発生したこの事件は日本国民を震撼させ、強く生々しく記憶に刻まれた。そして一年後、僕は 1996年に生まれた。地下鉄サリン事件が起こったのは生まれる前。丁度、事件を「知らない世代」だ。オウム真理教が起こした事件は小学生の時に知った。インターネットやニュース番組は欠かさずに見ていたがどれも淡々と証言者の話や当時の資料を映すのみだった。しかし、この『未解決事件』は一味違った。所々に再現ドラマを交えていた。そして、その全ての再現ドラマは驚異の迫真性を誇っていた。まるで、事件現場に臨場しているかの様なリアリティーがあった。断片的だった記憶が一筋に繋がっていくような感覚を覚えた。これからも事件を「知らない世代」が増えてゆく。このままではだめだ。事件が風化するとまた同じように事件が繰り返される。歴史を見れば明らかな事実だ。我々は絶対にこの事件を風化させてはならない。過去から学び取らなければならない。この国の未来のために。家族や友人のために。そして、何より自分自身のために。

      • (宮城・中学2年男子)私は、今年3月にNHKで放送された、『NHKスペシャル 巨大津波 その時ひとはどう動いたか』という番組を見て、災害について、改めて考えさせられました。この宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区は、私の家のすぐそばです。当時、私は小学五年生でした。体育の時間、グラウンドでサッカーをしていた時、ものすごい揺れに襲われ、私も同級生たちも立っていられなくなりました。みんな恐怖で泣いていました。幸い、友達のお母さんが迎えに来てくれ、安全な場所に避難させてくれました。津波は、自宅から500m手前で止まり、いつも遊んでいた、閖上(ゆりあげ)地区が壊滅的な状況であると知ったのは、翌日でした。この番組を見て、自分の無知や軽率さを再度反省させられました。災害時、人はどういう罠に陥るのか?番組では、集めた膨大な住民の証言や、津波襲来まで街中を撮影した数百枚の写真、さらに災害心理学の専門家の分析を交えながら、「被災マップ」を徹底的に読み込んでいました。そしてこれまで防災対策からも抜け落ちてきた、災害時に陥りがちな心理面にスポットをあてた、「ソフト面」を織り込んだ新たな防災のあり方を提唱しており、大変参考になりました。正直、もうあの日のことは思い出したくないし、この手の番組ももう見たくないです。でも目を反らしてはいけないと思いました。

      【委員の感想】『ZIP!』が良く見られているようだが、堅すぎず、くだけすぎず、朝、学校に行く前にチェックするのにちょうど良いのだろう。一方で、夜は広く浅くではなく、狭く深い情報を求めているようだ。

      【委員の感想】今の中高生は、くだけたネタを面白く分りやすく、報道よりも情報重視になってきているのかなと思った。柔らかい物ばかり食べていたら、口や胃が鍛えられるのか心配になってきた。

      情報番組と報道番組の境目が曖昧になっているといわれるが、今や情報番組とバラエティー番組の境目が分りづらくなっている。報道が問題を掘り下げて、その結果、社会が変わっていくという醍醐味を感じてほしい。

      • (山形・中学2年女子)なんでもインターネットでチェックできますが、やっぱりテレビは一番気軽に見ることが出来ていいなと思っています。好きなアーティストの新曲や新作の映画、ファッションの流行などは、朝の『ZIP!』(日本テレビ/山形放送)でチェックしています。枡アナウンサーは、爽やかで信頼できる雰囲気で好きです。朝からガチャガチャしていたり、女子アナがキャーキャー騒いでいるのは見たくないので、その点『ZIP!』は堅すぎず、くだけすぎず、ちょうど良いと思います。

      • (神奈川・中学3年女子)私が良かったと感じる番組は、日本テレビの『ZIP!』です。理由は2つあります。1つは、朝の忙しい時間帯にその日の主なニュースを分かりやすく短い時間で知ることができる事です。詳しく知らなくてもいいけれど、ニュースの見出しくらいは知っておきたいと思うので『ZIP!』のニュースは量も内容もちょうどいいと思います。もう1つは「MOKO´Sキッチン」や「5秒英会話」などの普段使えそうな情報が得られる事です。

      • (神奈川・中学3年男子)『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)は、経済、ビジネスのニュースを中心に取り上げる番組です。僕が特に気に入っているのは「トレンドたまご」というコーナーです。ニュースも、経済関係が中心で、一つのニュースについて、詳しく解説しています。報道番組は、いろいろなニュースを紹介する番組もいいですが、その場合「広く浅く」になってしまい、ニュースをほとんど理解できずに終わってしまうことがあります。しかし、こういうテーマを絞って「狭く深く」解説するような番組は、「より深くニュースを理解し実生活に結び付ける」ことができるので、より「生活のためになる」と思います。このような番組がもっと増えることを期待しています。

      • (埼玉・高校1年女子)わたしは6月16日の『新報道2001』(フジテレビ)を見て、雇用の流動化や限定社員の是非について問題になっていることを初めて知りました。最近、新聞を読んでいない私も悪いと思いますが毎日、朝の情報番組を見ているのに関わらず知らないというのは多少、情報番組にも非があるのではないかと思いました。朝の情報番組は「エンタメ情報」に割く時間が少し長いのではないかと思います。自分の意見を持つための考え方を育ててくれる番組があったらいいなと思いました。

      【委員の感想】<自由記述>でいじめについて感想を求めたが、同じ番組を見ても受けとめ方は、千差万別であると思った。報告の中で、いじめられた経験のある人と、そうでない人の温度差を感じた。どの意見も、中高生の思いが伝わってくると感じた。

      • (愛媛・中学1年女子)テレビで先輩芸人が面白がって後輩芸人をいじめたりするのは、見ていて少しも面白くないです。「テレビの演出よ」と言う人もいるけど、いじめている芸人さんには子供さんがいないのでしょうか?

      • (千葉・中学2年男子)お笑い番組を見ていて、一人の芸人をみんなでいじったりする場面がありますが、ぼくはそれがいじめだとは思わないし、一つの番組の中でそれぞれ役割があるのだと思っています。だから、見ている者が番組をまねて、それがいじめにつながるとは思えません。

      • (秋田・中学2年女子)テレビでいじめについて放送することには、良い面と悪い面があるのではないかと思いました。良い面は、いじめの恐ろしさや、辛さを伝えられるということだと思います。悪い面は、テレビを見た子供が真似してしまう恐れがあるということだと思います。テレビというのは人々に喜びや感動を与えたりするものではないのでしょうか。テレビの真似をしたことでいじめが始まるということは、本来のテレビの有り方とは違うと思います。この番組は放送するべきものなのか、考えてから放送してほしいです。

      • (東京・中学3年男子)私は、最近のニュースの中などで安易に「いじめ」という言葉を使うのが良くないと思います。ちょっとしたいたずらならともかく、殴ったり、お金を奪ったり、自殺にまで追い込むようなことはれっきとした犯罪なのに、「いじめ」と表現することで大したことでないように(窃盗を「万引」というように)思わせるのはどういう意味があるのでしょう。逆に、「いじめはいけない」といって学校でも注意されるようになっていますが、ちょっとしたことでも「いじめ」扱いにされて、問題視されることになったら、学校で他人の身体に触れることだって怖くなります。人間関係を学ぶ上での一定の摩擦は必要なことだと思うのですが。「いじめ」と「犯罪」をきちんと分けて報道してほしいです。

      • (島根・高校2年男子)いじめをテレビでとりあげることについて、私は良いと思う。今と昔ではいじめの体質が異なっているので、いじめをなくす社会的な取り組みができる大人が、今、学校ではどんないじめが起きているのかを知ってもらえるからだ。しかし、いじめをうけている本人が、いじめをテーマに扱ったテレビ番組を見てショックを受け、立ち直りがおそくなってしまうということもあると思う。テレビには表現の自由という権利があり、いじめにしても何にしても、伝えるのが使命だというのはよくわかるが、それによって傷つく人もいるということを忘れてほしくない。いじめを扱った番組を作るときには、その残忍さをただ単に表現するだけではなく、いじめを「される側」の立場である人がどのような反応をするのかについても考えて番組を作ってほしい。 

      今年度の青少年委員会活動について

      • 調査・研究についての現状報告がありました。

      • 9月に名古屋で、10月に札幌で行なう意見交換会について、進捗状況が報告され、内容についての検討が行なわれました。

      • 8月の事例研究会への参加が承認されました。

      • BPOホームページにある「青少年へのおすすめ番組」のページには、毎月約50局からの推薦番組を掲載していますが、アクセスを解析したところ、このページへのアクセスがBPO全体の中でも上位にあることがわかった、との報告がありました。

    第145回 放送と青少年に関する委員会

    第145回–2013年5月

    北海道・暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビュー
    NHKとキー局に取材時の留意事項など確認し、討論。

    第145回青少年委員会は、5月28日に7人の全委員が出席して開催されました。北海道の暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビューについて、NHKと在京キー局に取材時の留意事項などを確認し、討論しました。また、4月16日から5月15日までに寄せられた視聴者意見の中から、バラエティー番組で一ヶ月に渡って水を使った嫌がらせを続けた"ドッキリ企画"について、いじめのシーンが過激なドラマについて、ホラー映画のコマーシャルについて、それぞれ討論が行われました。5月に寄せられた中高生モニター報告について話し合われました。その他、調査研究、名古屋での意見交換会、北海道での意見交換会、ラジオに関する勉強会について話し合われました。

    議事の詳細

    日時
    2013年5月28日(火) 午後4時30分~7時30分
    場所
    「放送倫理番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    視聴者意見について

    • 前回の委員会で、北海道の暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビューについて、取材時の少女への配慮について確認をしたいとの意見があり、NHKと在京キー局に取材時の留意事項や、取材マニュアルについて尋ね、その回答を基に討論が行われました。この件に関しては、討論の感想を掲載することで、審議入りしないことになりました。委員会の感想は以下の通りです。
      各社には子どもに対する取材マニュアルが確立されていて、今回の少女に関しても、配慮がなされた上で取材していると受け止めました。しかし、充分な配慮がなされたとしても、子どもの場合どういう影響が今後現れてくるのか分からないところがあります。今後現れてくるかもしれないPTSDに対してどれだけの想像力を持って取材がなされたのかという点で依然問いが残りました。また、時間差取材によるメディアスクラム的な影響について、どう考えた上での取材だったのか、さらに、二番目、三番目に取材した後発局は、新しいことをやらなければという意識が働いた可能性はなかったのか、など、今後のことを考えたとき、検討しなければならない課題が残されているというのが委員会の感想です。
      今回のような、事件・事故に遭遇した当事者の心理に関しては、学術上も議論のわかれるところであり、またデリケートな問題をはらんでいるため、今後も深い考察と議論を続けてほしいと思います。
      青少年委員会では、今後、表現の自由を大事にし、担保しながら、そのことが子どもたちの人権を守ることや、健全な育成を阻むことにならないようにするため、メディアの取材による子どもへの影響について、さらに研究していく事が必要であると考えています。

    • バラエティー番組とドラマのいじめに関して討論しました。
      バラエティー番組で一ヶ月に渡って水を使った嫌がらせを続けた"ドッキリ企画"については、「他のドッキリは乾いた企画で笑いに毒があり面白いのだが、一ヶ月に渡るドッキリは粘着質でいじめに繋がってしまう」「見る側と作る側の距離が離れてしまっている。作り手が考える笑いと、視聴者とのギャップを感じる」「ドッキリの仕掛け人がADで、タレントが怒ることが出来る立場であることから、いじめという陰湿さは感じない」などの意見が出ました。
      また、いじめのシーンが過激との視聴者意見が多かったドラマについては、「テーマを考えると、ドラマの中では無くてはならないシーンだろう。やりすぎとは思わない」「作品として志は高いと思うが、あのいじめのシーンを見て心を痛める人がいるなら配慮が必要だろう」「いじめがこれだけ社会問題化している時に、いじめのシーンを放送するのなら、事前テロップを表示するなどの工夫が必要なのかもしれない」などの意見が出ました。
      上記のバラエティー番組とドラマに関しては、今後も継続的に注意していくこととし、いずれも審議入りしないことになりました。また、いじめと番組について番組制作者と青少年委員が、お互いに考える糸口とするための話し合いの機会を持つことを検討することになりました。

    • ホラー映画のコマーシャルについて「子どもが起きてテレビを見ている時間にも頻繁に、しかも突然流れるので、避けることができない。子どもが怖がっている」などの視聴者意見があり、二つのパターンを視聴した上で討論が行われました。「テレビでは暴力や性に関しての規制は幾つかあるが、ホラーに関しては、民放連の『放送基準』に "視聴者に不快な感情を与える表現は避ける"とある程度だ。放送局側が対応しやすいように議論を喚起してほしい」「映画はお金を払って"意思を持って"見るが、テレビはタダで"日常生活の中"で見るということを考えているのだろうか。メディアの違いを放送局が押さえておかなければならない」「震災で被害を受けた人が見たらどう感じるだろうか。配慮が必要だ」などの意見が出ました。コマーシャルに関しては、複雑な問題はあるものの今後も他の機関とも連携しながら検討を重ねることで、今回の件に関しては審議入りしないことになりました。

    中高生モニターについて

    5月の中高生モニターは、最近見た「ドラマ・アニメ番組」で、良かった番組や、面白くなかった番組の感想を報告してもらい、27人から報告が届きました。
    ドラマは9番組、アニメは8番組の、合わせて17番組について意見が寄せられました。一番意見が多かったのは『ガリレオ』(フジテレビ)で、8人から「部活も塾も無い月曜日のドラマがどれほど楽しみか」「推理ものにも関わらず笑って見られるので大好きです」「毎回どのような"科学"で謎を解いていくのかわくわくしながら見ています」などの好意的な報告が届いています。次に多かったのは、いずれも学校でのいじめを取り上げた『家族ゲーム』(フジテレビ)、『35歳の高校生』(日本テレビ)に対するそれぞれ3人からの報告でした。『家族ゲーム』には「見ていていやになるほどの過激ないじめのシーンをどうやって決めたのか」詳しく知りたい、「中学生の話なので共感したり、ドキドキしながら見ている」など、また『35歳の高校生』には「いじめの描写が過激だ」「いじめをしてはいけないというメッセージがしっかり視聴者に伝わってくる」など賛否両論の意見がありました。
    アニメは『名探偵コナン』(読売テレビ)に「最後に必ず驚く結末が待っている」など3人から、『ワンピース』(フジテレビ)に「主人公の生き方に共感できる」など2人から、報告がありました。
    全体には好感を持ったという意見が多く、面白くなかった、問題があるという意見は少数でした。

    自由記述欄は、最近気になったラジオ番組について自由に書いてもらい、16の番組について意見が寄せられました。FM局の番組に多くの意見が寄せられ、FM東京の『SCHOOL OF LOCK!』には「学生達の心のよりどころ」など3人から意見がありました。民放AM局の番組は2本で、ラジオは聴かないという意見は4人からありました。

    【中高生モニターリポートの主な意見と委員の感想】

    ●【委員の感想】『ガリレオ』(フジテレビ)『名探偵コナン』(読売テレビ)など良く練られたミステリーが中高生に支持されているようです。また、今の中高生の「理科離れ」から日本の将来を憂いている意見に興味を持ちました。

    • (東京・中学2年女子)私が気に入っている番組は『ガリレオ』です。この番組の好きなところは二つあります。一つ目は、不思議な殺人事件の犯人を予想することです。まだ当てられてないのですが、そういうわくわく感が私はとても好きです。二つ目は、誰でも見やすいよう、あまり血が出ないようになっているので、血が苦手な人も、安心して見られるところです。私も、あまりにも怖い殺人事件を題材とした話は好きではなかったので、安心してみることができます。たくさんの人に楽しんでもらえるように…という気遣いがこの番組を素敵なものにしているのだと思います。

    • (千葉・中学2年男子)『名探偵コナン』の好きな点は、最後に必ず驚く結末が待っている点です。毎回にように犯人が誰なのか予測しながら見ていますが、なかなか犯人を当てる事ができません。意外な人物が犯人であることが多いので最後に「そんな手があったのか」とコナン君の推理に感心しています。それにストーリーの設定が面白いと思います。博士の発明する探偵グッズも実際にあったら、世の中の役に立つだろうと思います。毎回色々な事件を解決していく、こんなに色々な事件を思いつく作者は、どうやって、ストーリーを考えているのか不思議だし、すごいと思います。

    • (福岡・高校2年男子)今年見たドラマの中で一番面白いと思ったのは『ガリレオ』だ。学校では物理を勉強しているが、知っている理論や法則が出てきたら嬉しくなる。日本に限った話でもないが「理科離れ」が進んでいる。この事により次世代の科学者や技術者が育たなくなる可能性がある。その結果、日本の産業が危うくなるのは目に見えている。僕は今の子供たちに理科の楽しさを教えてあげることが大切だと思う。その入り口として『ガリレオ』はとてもいい材料だと思う。これからも、『ガリレオ』のように理科や数学を取り上げた面白い番組を制作していただきたいと思っている。

    ●【委員の感想】「月曜日のドラマがどれほど楽しみか・・」という勉強、部活にいそしむ高校生の意見は心に刺さりました。陽だまりのような"ひとコマ"をテレビが与えていると思うと幸せな気分になりました。

    • (岐阜・高校1年男子)『ガリレオ』(フジテレビ)を家族みんなで見ています。まず、福山さん演じる物理学者の湯川さんが事件を解決するときに、数式を黒板に書いていくところがいいです。これが、見ていてスカッとします。高校生になって1ヶ月。もう少し、楽しい高校生活かと思っていましたが、毎日の予習、復習、そして、部活、日曜日は、塾の生活です。この部活も塾もない月曜日のドラマがどれほど楽しみか・・それが、数式をとくかのように事件を解決していく。これがたまりません。こんなふうに、ぼくも、数学の問題が解けたらいいな・・と思っています。もやもや感がなく、見終わった後には、何か心地いいものがあり、ストレス発散ができます。

    【委員の感想】『35歳の高校生』(日本テレビ)『家族ゲーム』(フジテレビ)など学校での"いじめ"を取り上げている番組に対する意見が目立ちました。中高生の生活に近いところの出来事に興味を持っているのでしょうか。しかし、きつい"いじめ"のシーンについて、同じものを見ていても正反対の意見がある事に注目したいと思いました。

    • (岐阜・中学1年女子)私が面白いと思うドラマは、『35歳の高校生』(日本テレビ)です。どういうところが面白いのかと言うと、いじめをしてはいけないというメッセージがしっかりと視聴者に伝わってくるからです。私には、具体的にどういうものがいじめというのかなど、分からないことが沢山ありました。しかし、『35歳の高校生』では、いじめというのはどういうものなのかをわかりやすく伝えてくれています。このドラマを見て、少しでも世の中のいじめが減ったらいいなと思います。

    • (秋田・中学2年女子)私が見た番組は『35歳の高校生』です。この番組はストーリー的には面白いのですが、いじめの描写が過激だと思います。いじめの恐ろしさを教えると同時に、いじめを知らない子供にいじめを教えているようにも見えてしまいます。それに、高校が舞台なのでこのようなことがあると思うと、高校に進学するのが怖くなってしまいます。放送する曜日や時間帯は小学生も見る可能性が高いので、もう少し時間帯を遅くするなどの工夫が必要だと思いました。

    • (神奈川・中学1年女子)『家族ゲーム』(フジテレビ)は、父や母が小さかった頃にやっていたドラマだと聞きました。しかしなぜ今、こんなに残酷なドラマを放送しなくてはいけないのでしょうか。自分なりに考えて導き出せた答えは、いじめが多発しているいま、私たちの世代に、いじめられている子の辛さを伝えたかったのではないか、ということです。このドラマを放送しようと決めた方の考えもぜひ聞いてみたいです。しかし私たちに伝えたいことがあったとしても、あまりにも過激ないじめで、見ていて嫌だなと思うときが多々あります。ドラマに出てくるいじめは、どうやって決めたのでしょうか。アンケートなどをとり、ありのままを映像化したのでしょうか。それともこんないじめがあるのではないか、という大人の推測でしょうか。もし本当の子どもの声であるならば、その子を傷つけないやり方でどうやって聞き出したのでしょうか。聞きたいことがたくさんあります。『家族ゲーム』が出来上がるまでのことを詳しく知りたいです。

    【委員の感想】『宇宙戦艦ヤマト2199』(毎日放送)や『ひみつのアッコちゃん』(東京メトロポリタンテレビジョン)を親子で楽しんでいる報告を読んで、アニメ世代が親になって子どもと一緒に見ているのだなと、嬉しく楽しく思いました。

    • (東京・中学3年男子)今回、私が選んだのは『宇宙戦艦ヤマト2199』です。まだ、始まったばかりですが、なんだか懐かしい感じがします。というのも、この番組はリメイクで、最初のものは父が子供の時に好きだったということで、私が幼い頃、よくドライブの時に父が主題歌を流していたのを聞いていたからです。『宇宙戦艦ヤマト2199』は、よく父と一緒に見ているので、頼まなくても旧作の解説付きです(笑)。旧作と比べると画面が綺麗で、動きも滑らかになった、細部にこだわりがある、美人も増えた(笑)と父は誉めています。私が好きなのはやはりメカのかっこ良さで、実物を基にしたリアルさに良さがあると思います。今後のストーリー展開がどうなるのか、とても楽しみです。

    • (埼玉・高校1年女子)私が最近見たアニメは『ひみつのアッコちゃん』です。このアニメは小学生の女の子がコンパクトを用いて、いろいろなものや人に変身するという物語で、以前、実写化され綾瀬はるかさんが主演をつとめていました。そのため、わたしは以前からこのアニメを見てみたいと思っていました。私が気に入った点は絵がかわいいところです。また、母が幼いころ放送されていたのを見ていた世代なので親子で楽しめました。

    委員の感想】自由記述欄で、気になったラジオ番組について報告してもらいましたが『SCHOOL OF LOCK!』(FM東京)は、中高生にとっての心のよりどころとして共感できる作りになっているようです。果たして今のテレビ番組に、中高生か共感できるような番組はあるのでしょうか疑問に思えてきました。

    • (愛知・中学3年女子)私が好きなラジオ番組は、『SCOOL OF LOCK!』という番組です。この番組のなかには、今悩みを抱えている学生に電話をかけて、パーソナリティやラジオを聴いている人達と一緒に解決するコーナーがあります。そのコーナーを聴いていると、「私と同じ悩みを抱えている人がいるのだな」と感じることがあり、私は1人ではないのだなと、すごく勇気づけられます。学生が気軽に相談できるこのような番組はほとんどないので、学生たちの心のよりどころとして、これからも続いてほしい番組です。

    • (島根・高校2年男子)『SCHOOL OF LOCK!』という番組は、中高生のニーズにマッチしている番組だと思う。人気のアーティストが日替わりで出演したり、毎日日替わりで様々な企画を実施したりするなど、聴取者の心をつかむ企画がたくさんあり、毎日聴いていても飽きることがない。これからも聴き続けていこうと思う。

    今年度の青少年委員会活動について

    • 調査研究についての現状報告がありました。

    • 9月に名古屋で行なう意見交換会について、進捗状況が報告され、内容についての話し合いが行なわれました。

    • 10月に北海道で意見交換会を行なうことが承認されました。

    • 次回の委員会で、専門家を招いてラジオについてのレクチャーを行なうことが承認されました。

    その他

    • 今年1月22日に大阪で開催した意見交換会の報告書がまとまったので、会員各社に配布しました。

    第144回 放送と青少年に関する委員会

    第144回–2013年4月

    視聴者意見について
    中高生モニターについて
    今年度の青少年委員会活動について

    第144回青少年委員会は、4月23日(火)に委員全員が出席し開催されました。第143回の委員会からの継続事案のバラエティー番組についてと、3月11日から4月15日までに寄せられた視聴者意見について討論しました。中高生モニター報告については、意見の取りまとめ方法など運用面の変更と、4月の報告について話し合いました。また、2013年度の活動として、調査研究や、地方での意見交換会の準備進捗状況が報告されました。

    議事の詳細

    日時
    2013年4月23日(火) 午後4時30分~7時30分
    場所
    「放送倫理番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
    議題
    出席者
    汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

    視聴者意見について

    次の4点について討論しました。

    • 「外車を無理やり買わせた」「女子アナがゲストを無視していた。いじめを助長する」「女子アナのゲストに対する罵声が不愉快」などの視聴者意見があった21時台のバラエティー番組について討論しました。委員からは「最近のバラエティーは、"ボケて""突っ込んで"そこで終わってしまい、そこから救いのある"フォロー"が無いため、いじめのような印象を与える雑な作りになってしまっている」という意見がありました。また、「目に余るほど悪質とは思わない」という意見の一方、「芸人だからまだ許されることを、視聴者と同じ立ち位置にいるべきアナウンサーがやることによって、子どもたちは一般の人たちもやって良いという感覚になり、悪いことでも一般化されてしまう恐れがある」「ニュースで子どものいじめに関して伝えることもあるアナウンサーが、出演者を無視して結果的にいじめている。報道する場合の立ち位置が難しくなるのではないか」などの意見も出ました。討論の結果、審議入りはしないが、局として女性アナウンサーをどう位置づけるのかなどについて、引き続き関心を持って対応することにしました。

    • 血液型を扱う22時台の4月からの新番組について、今回は審議入りしないものの、2004年12月に青少年委員会が出した『「血液型を扱う番組」に対する要望』に照らして、いじめに繋がるなどの社会的影響を与えないか継続的に注視してゆくことにしました。

    • 結婚を目指すアラフォー女性が主人公の22時台のドラマで「性的表現が過激だ」「余りにも不道徳な内容だ」という視聴者意見を基に討論しましたが、今回は問題視する程の内容ではないと判断し、審議入りはしないことにしました。

    • 深夜時間帯の放送で、子役がタレントを「キレ」させる為に暴言を吐いた番組について、討論しました。委員からは「録画とはいえ深夜の番組に子役を使うことは、一度考えてみる必要があるのではないか」「"キレる"ことを推奨することが不愉快」という意見が出ましたが、今後の様子を見ることにして、今回は審議入りしないことにしました。

    その他次の点について話し合いました。

    • ラジオ放送の下ネタに関する意見が継続的に寄せられているため、今後注視してゆくことにしました。

    • 北海道の暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビューを放送した番組について、取材時の少女への留意事項などを放送局に確認し、次回の委員会で討論することにしました。

    中高生モニターについて

    4月は、新しく決まった18都道府県31人(中学生18人高校生13人)のモニターに、好きなテレビラジオ番組を選んで、「好きなところ」「良いと思うところ」を具体的に書いてもらい29人から報告が届きました。
    ラジオ番組3本を含む26本の番組について報告があり、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)に4人、『ネプ&イモトの世界番付』(日本テレビ)に2人から意見が集まった他は、別々の番組についての報告でした。NHKが7番組、日本テレビが5番組、フジテレビテレビ朝日が3番組などとなっています。ほとんどがバラエティー番組を選び、情報系が2番組、ドキュメンタリーは1番組、アニメも1番組で、ドラマはありませんでした。
    好きな理由として「下品ではないのでご飯の時も安心して見られる」「家族そろって見ることができる」「中高生の本音を取り入れていてとても共感できる」「にぎやかなので見ている自分も楽しくなってくる」「笑いと感動のバランスが素晴らしい」「視聴者参加型の番組なので良い」などの意見が報告されています。
    <自由記述欄>は、放送について日ごろ思っていることを自由に書いてもらいました。「食べ物を粗末に扱う番組をまだやっているのは信じられない」「バラエティーでの罰ゲーム的なキスはやめてほしい」「ドラマで、不倫、離婚、犯罪などをまるでカッコイイことのように取り上げているのは不愉快だ」「新聞のテレビ欄に異様に"!"が多く目障り」などの意見が寄せられています。
    同時に中高生モニターを対象に「テレビラジオ視聴状況アンケート」を行ないました。それによれば、一日に2時間以上テレビを視聴する人が7割を超え、ジャンルは報道情報番組に次いでバラエティー番組が多く、一人より家族で視聴する傾向にあり、録画視聴が多く、7割を超える人がテレビ視聴時に不快な経験があり、7割の人がラジオを聴くことがあると答えています。
    なお「今月のキラ★報告」選考は、できるだけ多くのモニターの視点を取り上げるため、当面取りやめることにしました。

    【中高生モニターリポートの主な意見と委員の感想】

    ●【委員の感想】今の中高生は、出演者とスタッフの仲が良かったり、フリマでの買い物など、ホンワカとした日常生活の雰囲気が感じられる番組を好んで見ているように感じました。

    • (北海道・高校1年男子)僕の好きなテレビ番組は、『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京)です。芸人とアナウンサーが街を歩き、街の細かな面白い部分を見つけたり、気になった店を覗いてみたり、買ったおもちゃを公園や喫茶店で試してみたりするというシンプルな番組内容なのですが、ときに腹を抱えて笑うほど面白く、よく見ています。どこに面白さがあるのかを考えてみたところ、一番は「出演者スタッフの仲の良さ」だと思います。テレビで見ていても仲の良さが伝わってきて、見ていて気持ちがいいです。最近、視聴者でさえ「安さ」を感じてしまう番組や、「演出」がうるさい番組が多くあるように感じますが、この番組を見て、番組は予算や演出が全てではなく、作りようによっては予算や演出が少なくても面白い番組はできるのだなと思いました。

    • (佐賀・高校1年女子)私が好きな番組は『Rの法則』(NHK)です。この番組は中高生の本音を取り入れていて、私たちの世代にとって、とても共感できることやためになることを放送しているので好きです。話題の芸能人をゲストに呼んで(たとえばゴールデンボンバーなど)その芸能人に関することを深く教えてくれていたので面白いなあと思いました。モデルの女の子がフリマで買い物をしている回も意外な一面で面白かったし、フリマにもかわいい服があることや出品者とのやりとりも知ることができました。

    ●【委員の感想】「大人の頑張り」や「挨拶」など、テレビのこういうところを見ているんだと指摘した意見は、実はこれこそ中高生の思いであると感じました。

    • (神奈川・中学1年女子)私が好きな番組は『アイアンシェフ』(フジテレビ)です。一つの食材がシェフの手によって色鮮やかな料理へと変わります。鉄人にひるまず、一生懸命戦う挑戦者「ノミニー」たちの姿は勇ましく、勇気がわきます。大人が何か一つのことに対して全力で頑張る姿を取り上げ、放送しているテレビを見かけたことはあまりありません。私たち子どもにとって、このような番組はとても新鮮です。ほかのバラエティー番組やアニメでは得ることのできない面白さや感動があり、何度も見たくなります。

    • (東京・高校1年女子)私が好きなテレビ番組は『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)です。この番組の好きな点は、構えずに気軽に楽しめる点です。深夜に放送しているということもあり演出などがうるさくなく、かといってつまらないわけでもない。寝る前のちょっとした時間に疲れることなく見られるところが好きです。番組の最後に必ず「おやすみなさい」という言葉が出て終わるということも好きな点の一つです。家族に対して寝る前にこういった挨拶をするのは当たり前のことですが、テレビの画面上で見ることは、よく考えてみるとあまりないのではないかと思います。このように、些細なことにまで気を配れているからこそ、見ていて楽しい番組を制作することが出来るのではないかと思います。

    ●【委員の感想】リポートを読んでいて二つのキーワードを見つけました。一つは旺盛な「知識欲」。「世界のさまざまな文化」や「めったに入れない工場の実態」などへの興味関心です。もう一つは「ひるまず挑戦する」です。テレビは時間空間を越えていろいろな世界に連れて行ってくれます。番組が何かを始めるきっかけになったり、何かを満たしてくれると素晴らしいですね。

    • (愛媛・中学1年女子)私が好きな番組は『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)です。理由は二つあります。一つ目は、身近な所で役に立つことを楽しく、詳しく知ることができるからです。TOKIOの皆さんが畑で作物を育てたりしている時に説明が入るので「なるほどー」といつも思って見ています。二つ目は、いろんなことに挑戦している所です。雪玉はどこまで大きくなるかに挑戦している時は、クレーンまで出して「スケールが大きいな」と思いました。私も挑戦するのが大好きなので「どうなるのかな?」という気持ちは共感できます。

    • (鳥取・中学2年男子)僕は『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)を小学校の頃から見ています。いつも日曜午後8時には家中に笑い声が響き渡っています。この番組の魅力は、何といっても世界を舞台にしているところです。世界の祭りや、珍獣ハンター、温泉同好会などの芸人さんが体当たりで挑む企画の中で、ナレーションの面白いツッコミが炸裂し、思わず笑ってしまいます。中でも、鳥取県民のイモトアヤコさんが担当している、珍獣ハンターイモトが僕は大好きです。同じ鳥取県民なので応援しているということもありますが、ジャングルに出かけて行って苦手なヘビに触り、虫を食べ、動物に出合う。このように、いつも全力で諦めずに頑張っているイモトさんを見て感心させられます

    • (東京・中学3年男子)私は『シルシルミシルさんデー』(テレビ朝日)が好きです。良いと思うのはナレーターの毒舌です。毒舌といっても、悪意のあるものや暴力的なものではなく、ツッコミができる、笑える内容なので、くりぃむしちゅーの上田さんをネタにしながらも、出演者たちの楽しい会話で番組が盛り上がり、見ていてとても楽しくなります。次に、何と言っても、普通ではめったに入れない工場に潜入し、見たこともない機械を紹介したり、企業秘密のギリギリのところまで迫ったりするところが、見ていてワクワクします。

    ●【委員の感想】自分は全くそう思わないのですが、中高生がここまでポジティブに見ていて、違う感じ方をしていることに関して、厳粛に受け止めなければいけないと思いました。

    • (島根・中学3年男子)『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)は、長く続いている番組ですが、新鮮なアイディアや企画の多さ等、とにかく中身が濃い番組なので好きです。さらに、近年のバラエティー番組は体で笑いをとるものが多い中、単純に口で笑いをとろうとしているし、毎回違う内容のため 飽きません。好きなコーナーは「男気ジャンケン」「とんねるずを泊めよう」「買うシリーズ」で、それぞれの各コーナーが番組化できるのではないかと思うほど中身が濃く、日々進化しているような感じです。僕は勉強などで忙しくても、この番組だけは欠かさず見るほど好きな番組になりました。

    ●【委員の感想】番組は企画がとても大切で、「見ている側は企画の面白さを見ているんだ」という意見は鋭い指摘だと思いました。

    • (新潟・中学3年男子)私の好きなテレビ番組は『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)です。今年3月で放送開始25年を迎えた長寿番組です。この番組が何故これほど長く人気なのか、考えてみるとそれは「企画力」にあると思います。今のテレビ番組は出演者に頼りすぎるが故に企画が陳腐化していると思います。しかし『探偵!ナイトスクープ』は出演者頼りではなく、企画で勝負していることが分ります。また、この番組は「笑い」と「感動」のバランスが素晴らしいと思います。

    ●【委員の感想】自由記述欄の意見を読んでいて、「中高生はこんなことは面白いとは思っていないんだよ」ということを制作者にもっと伝えたいと思いました。

    • (秋田・中学2年女子)バラエティーでの罰ゲーム的なキスは止めてほしいと思います。男同士でのキスや、空気やノリでのキスは、見ていて不愉快です。

    • (山形・中学2年女子)夜の番組は、お笑いの中年男性がいやらしすぎるなと思うことを平気でいうので、不愉快になる時があります。

    • (東京・中学3年男子)テレビ番組で私が不愉快に思うことは、ドラマで、殺人事件のような人の死をネタにするものが多いことと、不倫、離婚、犯罪などをまるでカッコイイことのように取り上げていることです。

    • (岐阜・高校1年男子)テレビをつければ、マツコさんや有吉さんがよく出ていますが、言葉遣いが汚いです。『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)なども、人権無視のところがあります。言葉遣いについては、もっと厳しくしていくほうがいいと思います。

    今年度の青少年委員会活動について

    2013年度の活動として、調査研究や、地方での意見交換会の準備進捗状況が報告されました。