第109回 放送と青少年に関する委員会

第109回 – 2010年2月

在京2社アニメ番組制作担当者との意見交換

視聴者意見について …など

2月23日に開催した第109回青少年委員会では、在京2社のアニメ番組制作担当者が出席し、アニメ番組制作の現状と、青少年への配慮等について意見交換を行った。また、1月16日~2月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見をもとに、ドラマ1番組、バラエティー1番組を視聴し審議した。

議事の詳細

日時
2010年 2月23日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

在京2社アニメ番組制作担当者との意見交換

青少年委員会では、昨年4月の委員の交代以降、委員会と各放送局との意見交換の場を積極的に設定する方針としてきた。今委員会では、テレビ朝日およびテレビ東京のアニメ番組制作担当者が出席し、青少年の視聴が多いとされるアニメ番組の制作の現状と青少年への配慮などについて、幅広く意見交換を行い、実態に関する理解を深めた。

視聴者意見について

1.日本テレビ『左目探偵EYE』

「人気アイドルが出演し、子どもが多く見ているドラマであるのに、暴力的なシーンが多く、青少年に悪影響を与える」という意見が寄せられ、番組を視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

【委員の主な意見】

  • 劇中で歌われる「殺せ、殺せ、皆殺し」という扇情的な歌詞は、極めて視聴者へのインパクトが強く、全体的にもドラマの筋立てから断ち切られた不必要な暴力シーンや凄惨なシーンが見られ、テレビで放送すべきではない。
  • 主役や出演者が青少年に人気のあるアイドルグループのメンバーであり、主役の年齢設定も中学生で、子どもたちが視聴対象の多数をしめている。青少年への配慮がなされていない。

以上の意見を踏まえ、委員会としては番組内容に関する局の考えについて回答を求めることとなった。「局からの回答」を受けて、改めて次回委員会で審議する。

2.フジテレビ『はねるのトびら』

当該番組のコーナーの中で、罰ゲームとして大量の水を飲ませたことについて、「水を大量に飲むことは危険で、時には死に至ることもある。水中毒の知識のない小中学生に危険な影響を与える」といった意見が寄せられ、番組を視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

【委員の主な意見】

  • 水を飲ませるという安易に真似できる罰ゲームは、子どもが真似をする危険性が大きく、少しでもリスクがあるのであれば注意喚起が必要。
  • 制作スタッフに水中毒に関する知識はあったのか。どれくらいの量の水を飲むとどうなるのか、どんな危険性があるのか理解した上で、テロップなどで危険表示すべきだ。

以上の意見を踏まえ、委員会としてはリスクがある場合、放送内で何らかの注意喚起が必要であるとの意見をBPO報告およびホームページに掲載することとした。

中学生モニター報告について

2月のテーマは、「集中して見ようと思った番組」「偶然テレビをつけたら思わず引き込まれて見てしまった番組」で、その理由や感想を報告してもらい、29人からリポートが寄せられた。

【主なモニター意見】

まず「集中して見る番組」としてドラマに多くの意見が寄せられた。「”見る前から集中して見るぞ”と思って見る番組はドラマです。最近のドラマは展開が早いので、集中して見ないとストーリーが分からなくなってしまうからです」「『JIN~仁』は構成、演出、出演者の演技などすべてがとてもよく、3分前くらいから椅子に座って準備万端整えて見ます」「毎週欠かさず大河ドラマ『龍馬伝』をテレビの前に座って見ています。大河ドラマは歴史的な背景などに気をつけて見ていないとだんだん内容が分からなくなってしまうからです」「いつも『コード・ブルー~ドクターヘリ救命救急season2』を集中して見ています。前作を見た時に救命救急医療にあこがれを抱き、そのシーズン2と知り、初めから集中して見ています。人の命を救う時の緊迫感がすごく伝わり、救命救急医へのあこがれはどんどん増えていきます」。また、『泣かないと決めた日』や『相棒』など連続ドラマを毎週欠かさず見ているという意見も数多く寄せられた。
また、女子を中心に人気グループ嵐の『ひみつの嵐ちゃん』『VS嵐』、イモトアヤコの『世界の果てまでイッテQ!』を集中して見ているという意見が寄せられた。一方、男子からは『爆笑レッドシアター』『爆笑レッドカーペット』『ネプリーグ』など、笑って日常の疲れを癒やしたいという声が多く届いた。「集中して見ようと思った番組は『アメトーーク!』です。理由はとにかく毎回面白いからです。宿題をしながら見ていると、いいところを見逃したり聞き逃したりするので集中して見ています」「集中して見ている番組は『ザ!鉄腕!DASH!!』です。午後7時~8時という時間帯が見やすいし、出演者が体験していることが、まるで自分も一緒に体験しているような気分になるので面白くてよく見ています」。
次に「小さいころから見続けているから」という回答が寄せられたのはアニメだった。『ちびまる子ちゃん』『サザエさん』『ONE PIECE』『おじゃる丸』などが集中して見られていた。
そのほか、学習に役立てたいので見ている番組として『世界一受けたい授業』『熱血!平成教育学院』『歴史秘話ヒストリア』などを挙げる意見もあった。「集中して見ているのは『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』です。この番組では政治のことなどを分かりやすく説明してくれ、沖縄の基地問題についてとても勉強になりました」「最初は何となくNHK教育の『英語が伝わる!100のツボ』を見ていましたが、今ではペンとノートを用意して”集中して見る時間”になっています」。そのほか、『情熱大陸』や『NHKスペシャル』などのドキュメンタリーを集中して見ているという回答も寄せられた。
次に「偶然テレビをつけたら、思わず引き込まれて見た番組」では特集番組が多かった。『マイケル・ジャクソン~愛と悲しみの真実』や『阪神・淡路大震災から15年 神戸新聞の7日間~命と向き合った被災記者たちの闘い~』など、初めは何気なく見ていたが思わず引き込まれてしまったという意見が寄せられた。「初めは嵐の櫻井翔くんが出演しているからと軽い気持ちで見ていたのですが、被災しながらも新聞製作をあきらめない記者たちの姿に強く心を打たれました。現場で被災者にカメラを向け『すみません、すみません』と言ってシャッターを切る姿が印象的で、これまで見慣れていた写真もまったく別の写真に見えるような気がしました」。
一方、集中して見ていたが期待はずれだったという意見は特になかった。面白くなければ途中でチャンネルを変えてしまうからというのが主な理由だった。

【委員の所感】

  • レポートを読んで、バラエティー番組よりドラマや報道・教養系の番組をより集中して見ていることがよく分かった。ドラマでは、自分が興味のある職業、あるいは目指している仕事を登場人物が演じ、自分もそこにいて一緒に体験しているような気分が味わえるストーリーの展開があること、人間の生命や社会の現状を映し出すテーマで好きな役者がキャスティングされていることなどが理由として挙げられていた。
  • 報道・教養系では、政治や経済など専門的で難しい話題を分かりやすく説明してくれる、素朴な疑問が思わずひざをたたくような感じで解説されていることなどが、重要な要素になっていることが読み取れた。
  • 一方、バラエティー番組では、好きなタレントやあこがれのグループが出演していること、それぞれのキャラクターが個性的で面白く、トークの濃さやテンポの良さが欠かせないこと、一体感というかワクワク・ドキドキ感やちょっとした気分転換になることなどを理由に挙げている点が興味深かった。今見ている番組で10年後、20年後にやがて共通の話題になる”時代を象徴する”番組は何だろうかと考えながら、テレビを見るのも面白いかも知れないと感じた。

【放送局からの感想】

1月のモニター意見で最も多かった『NHK紅白歌合戦』について、番組のプロデューサーから以下のような感想が寄せられた。

  • 中学生モニター報告を拝見して感じたのは、(1)非常に細かく、冷静に番組を見ている。(2)『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日スペシャル!!』の支持が高いなど、10代の視聴傾向が分かりやすく見てとれる。(3)流行に流されないで、ある意味では大人よりも社会的意識の高い意見が多い、の3点です。特に『NHK紅白歌合戦』に関しては、流行を追うだけではなく、「本当にいいものを求めている中学生」が多いことに驚きました。私たちがふだん見ているNHK番組モニター(大人)評とは全く異なる視点からの意見も多く、今後はNHKのモニターにもこうした10代の意見を積極的に取り入れるべきと考えています。

「青少年へのおすすめ番組」について

青少年委員会では、これまで青少年の健全な育成へ寄与するため、良質なテレビ番組の情報発信について議論してきた。今委員会で2010年4月からの取り組みとして、特別番組、単発番組等を対象に、各テレビ局からの推奨による「青少年へのおすすめ番組」の一覧をホームページ上に掲載することを決定した。

2010年1月に視聴者から寄せられた意見

2010年1月に視聴者から寄せられた意見

小沢幹事長の政治資金規正法違反疑惑報道に関して、情報源を「関係者によると」と表現することへの意見、検察しか知りえない「リーク情報」を放送することの是非を問う意見などがあった。このほか、「外国人参政権」に関する報道をもっとすべきという意見などがあった。

小沢幹事長の政治資金規正法違反疑惑報道に関する意見が178件あった。

2010年1月に電話・FAX・郵便・EメールでBPOに寄せられた意見は1,747件で、12月と比較して272件増加した。 意見のアクセス方法の割合は、Eメール66%、電話29%、FAX3%、手紙ほか2%。 男女別は男性73%、女性24%、不明3%で、世代別では30歳代34%、40歳代24%、20歳代16%、50歳代12%、60歳以上11%、10歳代3%の順となっている。

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。1月の通知数は924件(39局)であった。 またこの他に、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、54件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

1月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 人権に関する審理・斡旋の要請・・・・・・・ 0件
    (個人または直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

1月の視聴者意見の傾向として、まず、前月比で報道関連意見が増加したことが挙げられる。民主党関連意見が202件、自民党関連意見が41件あったが、そのうち、小沢幹事長の政治資金規正法違反疑惑報道に関する意見が178件あった。情報源を「関係者によると」と表現することへの意見が27件、検察しか知りえない「リーク情報」を放送することの是非を問う意見が24件寄せられた。「偏向」というキーワード検索で60件、「公平」で49件該当した。 このほか、「外国人参政権」に関する報道をもっとすべきという意見が29件、偽造紙幣を使った詐欺事件の取材方法が不適切だと指摘する意見が25件、芸能関係で、母親の葬儀に参列した元アイドルの報道で「茶髪で通夜に…」とテロップ表示したことへの批判意見が23件あった。意見分類のキーワードで、具体的な報道姿勢を指摘した「不適切な報道」が107件、より広い「報道のあり方」が110件あった。 また、今月はバラエティー番組やドラマへの意見も増加した。バラエティー番組への意見は前月比166件増の382件、ドラマ関連の意見は22件増の53件あった。バラエティーでは、事前の番宣と当日の放送の中で出演を告知した人が出演しなかったことへの批判意見が234件と集中した。ドラマでは新番組への意見が多く、内容が犯罪・テロリズムを美化している、主人公の行政書士の活動が法律違反である、職場でのいじめが陰湿過ぎるなどという意見が多く寄せられた。 スポーツ関連意見は42件あったが、そのうち27件が、格闘技で相手の腕を折り、試合後に中指を立てて相手を侮辱したシーンを放送したことへの批判意見であった。キーワード検索の「人権」で30件、「いじめ」で27件該当した。番組出演者に関する意見は「不適切な発言」検索で66件、「不適格な出演者」検索で97件と、いずれも前月より減少した。ラジオに関する意見は55件あったが、その半数は「下ネタ」「卑猥な表現」を批判するものであった。放送局の視聴者・聴取者への応対に関する意見は、今月は37件。CMに関する意見は38件であった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は103件で、前月より約10件減少した。 今月は「低俗、モラルに反する」との意見が25件、性的表現に関する意見が17件に上った。前者については、年末の格闘技番組で、勝者が敗者の腕を折ったり侮辱するなどした場面を放送したことに対し、6件の批判的意見が寄せられた。後者については、特定番組への集中はみられないが、複数のラジオ番組に対し、性的な表現が不適切であるとする意見が目立っている。

意見抜粋

【取材・報道のあり方】

  • 民主党小沢幹事長の政治資金問題について連日報道されているが、「疑惑」というばかりで問題の本質が分からない。小沢氏の行為はどのように法に抵触するのか。収賄が想定されるのか、政治資金規正法違反に該当するのかなど、どの行為がどのように該当するのか冷静に報道すべきである。本質を説明せずに「疑惑」だけを煽るのは、メディアの自殺行為ではないか。
  • 各局で、民主党の小沢幹事長の資金管理団体が購入した土地をめぐる疑惑について報道している。このニュースについて、よく「関係者の話から…」と前置きしているが、この「関係者」というのは一体誰なのか。視聴者には全く分からない。テレビで放送するのであれば、責任の所在をもっと明確にして報道するべきである。
  • 民放の報道で、「ある検事によると」「ある検察幹部によると」という表現が使われている。「ある」ほどいい加減な表現はない。「ある」人たちの発言が事実でなかった場合、その責任はだれが取るのだろう。
  • 政権交代がささやかれるようになった頃、テレビの報道が全般的に民主党寄りになったと思っていた。しかし、民主党・小沢幹事長の土地取引をめぐる疑惑が報道されるようになった途端、今度は「小沢批判・民主党批判」に一斉に変わり始めたように感じる。我々国民は、知らず知らずのうちにテレビによる情報操作を受けているようで非常に怖い。何が真実なのか、正しい報道をしてほしい。
  • 今朝の民放のニュースショーは「民主党・小沢幹事長問題」に多くの時間を割いていた。しかし、小沢問題も大事かも知れないが、「バグダッドの連続爆弾テロ」「足利事件の元検事証人尋問」「押尾容疑者の起訴」など、取り上げるべき問題は山積している。もっと視聴者の知りたいニュースを放送すべきだ。
  • 外国人参政権法案についてのニュースが、ほとんど報じられていない。法案が可決された時の影響力は、郵政民営化などとは比較にならないほど大きいはずなのに、ほとんどのテレビ局で取り上げていないのは、意図的であると思わざるを得ない。非常に大事な問題なのだから、もっと事件を扱って欲しい。
  • 小沢幹事長の捜査に対する番組の姿勢や、番組内のジャーナリストの発言が納得できない。あるジャーナリストは「不可解だというだけで捜査している。不可解罪なんてものはない」と発言した。だが、不可解だから捜査して真相を調べるのだろう。疑惑を放置しろとでも言うのか?また「国権の最高機関が、検察の気まぐれで影響を受けていいのか」と発言していたが、何を根拠に「検察の気まぐれ」だと決め付けているのか?検察より、こういうジャーナリストの姿勢の方がよっぽど不可解で問題だ。
  • テレビのニュースで、ある性犯罪の被害者が「裁判員裁判で、一般人である裁判員に自分自身のことや経験を知られるくらいなら、訴えを取り下げるほうがマシだ」と発言したことを伝えていた。それももっともだと思う。被害者が心配するように、性犯罪報道においては個人情報の保全に特別な配慮が必要なのだから、メディアはこの種の事件や裁判の報道をもっと慎重に扱うべきだ。裁判員制度を日本社会に健全に根付かせるためにも、報道する側の高い人権意識が求められると思う。
  • JAL再建についての報道があったが、その内容は、支援機構とJALの再建についての会議の模様を再現ドラマ風に報道し、それぞれの発言内容があたかも真実のごとくに放送されていた。テレビ局がどのように取材したか知らないが、報道番組としては不適切だと思う。
  • 鳩山首相が私邸に戻ったというニュースの際に、庭にいる首相の様子を植え込みの隙間から撮影していた。また、菅財務相が公邸に入るところを、高所の塀と建物の隙間から撮影して、スクープであるかのように放送していた。いくら公人である首相や大臣といえども、盗撮まがいのことをするのは疑問だ。

【番組全般・その他】

  • 放送前も放送中も再三に渡って「出演する」とあおっておきながら、「時間が足りなくなったので来週に」ということで結局出演しなかった。生番組ならともかく録画番組なのだから、最初から出ないことは分かっていたはずだ。人をだますにも程がある。視聴率を取るためなら何をやってもいいのか。法律番組が詐欺を働いてもいいのか。大切な時間と楽しみにしていた気持ちを返してほしい。
  • 番組の中で「まもなく登場」と言い続けながら延々と引っ張り、結局「次週持ち越し」というのは、確信犯的な視聴率稼ぎ以外の何ものでもない。この行為に怒りを覚えた。視聴率目当ての視聴者を馬鹿にした番宣は後を絶たないが、今回の場合は卑劣を通り越して犯罪と言うべきだ。これが許されると、また同じ事が起こるのではないかと、番組が信じられなくなる。
  • 番組で、「年末派遣村の施設に入りたい」というホームレスのおばあちゃんを取り上げていた。彼女は周りの人に聞きながら、寒い中、施設へと歩いて行く。やっと施設にたどり着くが「直接施設に来ても入れない」と断られ、またトボトボと戻っていく。そんな内容だった。ひどいと思った。テレビ局は最低だと思った。マスコミの人間なら、ハローワークで予約をしなければ施設に入所できないことは百も承知のはずではないか。なぜ一言、それを教えてあげないのか。人が困っているのを助けてあげないのか。人のことより番組作りの方が大事なのか。見ていて、不快感と絶望感が残った。
  • 正月に2時間半のスペシャルドラマが放送された。年末から番組宣伝が流れていたので家族で楽しみにして見た。ところが、ドラマの導入部分は新作の内容だったが、すぐに回想シーンになり、後は延々と、以前放送されたシリーズの「総集編」が放送された。これは、あまりにずるい。あまりにひどい。視聴者をだますものだ。お正月に2時間半のスペシャルを放送すると言い、事前の番宣では新作のシーンだけを放送すれば、誰だって本当のスペシャル番組が放送されると期待する。「総集編」などとは一言も言っていない。こういうことが許されるのだろうか。
  • 成人式の報道で問題行動がある度にモザイク処理をして放送しているが、モザイク処理はいらないのではないか。モザイクなしの形で放送する事が常識になれば、問題行動も減ると思う。公的行事を妨害している行為であり、ほかの参加者の邪魔をしている行為なので、プライバシーの侵害には当たらない。ありのままの姿を放送するべきだと思う。
  • 事件報道のBGM使用については幾度も指摘・批判がなされてきたが、放送局はなぜこうした批判を無視し続けるのか。先日も、外国人窃盗団による貴金属店強盗の容疑者を撮影した防犯カメラ映像が報道されたが、その際に「ルパン三世」のテーマ曲をBGMに使用した局があった。無定見さにあきれる。
  • このドラマは新人の行政書士の活躍を描くものだが、司法書士と行政書士を混同しているのか?法律業務は一部司法書士にも認められるものもあるが、原則として弁護士が行う。行政書士ができるのは、行政書士法に定める業務だけである。そもそも彼らには「法律相談権」がない。紛争性のあるものは、その業務対象に入らないからである。弁護士法、または司法書士法違反に該当する恐れのあるものは、テレビ番組として放送すべきではない。
  • 鍵屋さんの奮闘ぶりを放送していたが、鍵が厳重なため、玄関脇の窓の桟をはずして窓から業者が入って中から開けるというケースを紹介していた。しかし、ボカシを入れるわけでもなく、「桟をはずす光景」「どうやってはずすか」をそのまま放送していた。これではまるで泥棒に侵入の方法を教えているようなものだ。番組制作者の神経を疑う。
  • 大手自動車会社がアメリカで大規模なリコールをしたとのニュースで、最後に「今後、業績悪化に繋がることが懸念されます」とコメントしていた。このコメントはニュースに必要なのか?余計な先入観を視聴者に与えてはならないと思う。
  • 「新たな取り組み~性の介護~タブー視せず始めた人」で、身障者の性の問題を扱っていた。オランダやアメリカの例をあげ、いかにも性の介護が世界的潮流だと誤解を与えるような表現がされ、「日本でもこのような取り組みの検討が必要」という取り上げ方をしていた。しかし、子どもも見ている時間帯に、いかにも身障者相手なら売春行為が認められるかのような誤解を与えかねない番組を放送するのはおかしい。また、看護や介護の職場で働いている人でセクハラに悩まされている人は多いのに、このような性欲処理の問題を安易に取り扱い放送することは、セクハラを助長することにもなる。特に訪問介護などでは女性一人で訪問することもあり、危険を増幅させることを認識すべきだ。
  • テレビは「医者」や「弁護士」などの職業的ブランドイメージを過大に作り上げ、視聴者に誤った認識を植えつけていないだろうか。バラエティー番組に出てくるタレント弁護士や健康番組の医者など、実力以上にもてはやしていないか。
  • つい先日のことだが、孫と一緒にテレビでバラエティー番組を見ていたら、若い女性が「私、床上手よ!」と発言した。孫が「おじいちゃん、床上手ってなあに?なあに?教えてよ!」というので困った。確か夜の7時台か8時台の番組だったと思う。まだ子どもが起きている時間のテレビで、この発言はおかしいと思う。
  • 番組について意見を伝えようと地元の放送局に電話したら、「その番組は東京の局が制作しているので、うちは関係ないです」と言われました。放送しておきながら、「制作していないから関係ない」というのはおかしい。放送している以上は「意見を聞く耳」を持つべきだと思います。
  • 元アイドルの母親の葬儀のニュースで、「茶髪で最愛の母の通夜に…」というテロップが流れた。葬儀での茶髪が問題なら、人の生き死にを報道するニュース番組に出るアナウンサーが茶髪やピアスをしていることは不謹慎だと思う。
  • 出演中のアナウンサーへ一言。毎晩、氷点下まで冷え込む冬の日に、半袖姿でテレビ出演をするのは見ていて寒いです。自分達はスタジオ内で暖房をガンガンつけているのでしょうが、こちらは寒い部屋で見ているのですから、もう少し常識ある長袖とかの格好で出演するべきだと思います。番組内で「地球温暖化」とか偉そうに言っていますが、真冬に半袖姿で出る人に言われても、説得力がありません。
  • 阪神大震災から15年が過ぎ各局で震災をテーマにしたドラマが放送されていた。阪神大震災を風化させない努力は必要だが、ドラマはしょせん娯楽である。阪神大震災について話題にするのならば、ドキュメンタリーにしてほしい。
  • BS放送の特に深夜の時間帯に、テレビショッピング番組が多すぎる。しかも、必ずといって良いほど「ただ今電話が集中していますのでお急ぎ下さい」とテロップが出て、有り得ないほどの数の申し込み件数が表示される。深夜にあんな件数の申し込みがあるはずがない。こんな放送を許してはいけないと思う。
  • 「ヴィーナス値切り隊!ありえな~い爆安価格!」と題して、ペットショップで子犬を100円に値切って販売するという企画を放送していた。犬は生き物なのに、こんな扱いは許せない。簡単に手に入れられる「モノ」感覚で犬を飼う人は、気に入らなければ簡単にその犬を捨てるだろう。こんな放送をされると胸が痛む。100円に値切られた犬は今日から販売されるようだ。
  • 最近、人の寿命を扱った番組がよく放送される。長寿の秘訣などを紹介するのは構わないが、DNAを検査するなどして出演者の残り寿命を試算して笑いの種にするのは不謹慎極まりない。
  • 上海万博に向け、上海市民のマナー向上が話題になっていた。その中で「地下鉄の乗車は順番を守る」という項目があり、それを聞いたキャスターが「これは大阪人に言いたい」と発言した。確かに大阪にも順番を守らない人はいるが、それは大阪人に限った事ではない。これは大阪人に対する偏見だ。
  • ドラマなどで、番組の最後に衣装や音楽・ロケ先などのエンドロールが流れるが、スピードが速過ぎる。書いてある文字も小さくてとても読めない。あれでは「とりあえず流しておけば良い」と言わんばかりである。何か工夫をして読みやすくしてほしい。
  • 東京キー局が制作している番組全般について言いたい。はっきり言って全国放送に堪える内容ではない。東京のラーメン店やスイーツ店の情報を全国放送して、日本国民の大半が喜ぶとでも思っているのだろうか。やめてほしい。

【スポーツ】

  • この格闘技番組には「嫌悪感」しか覚えなかった。平気で腕の骨を折るシーンを放送したり、その後にその腕を折った選手が相手を侮辱して中指を立てるシーンを放送した。しかし、それについてアナウンサーや解説者で直ぐに苦言を呈する人がいなかった。視聴者に対して釈明もせずにそのまま放送した放送局の倫理感を疑う。

【ラジオ】

  • ラジオショッピングで局のアナウンサーが聴取者に営業するのはいかがなものかと思います。いつもは報道を伝えるアナウンサーが、「これは最高」「お勧め」「お買い得」等と連呼することに違和感を覚えます。テレビでは通販会社が宣伝していることが多いが、ラジオも通販会社を使ったらどうか。
  • 「番組中、アナウンサーは何回『オッパイ』と言ったでしょうか?6回言っていました。では、『セックス』は何回言うでしょうか」という番宣スポットが放送された。私が聞いたのは午前6時頃でしたが、早朝に放送する番宣の内容として「オッパイ」や「セックス」は不適切だと思います。悪乗りもいい加減にして下さい。
  • 出演のAV女優たちの卑猥な表現がストレートで過激だ。もう少しオブラートに包んだ表現はできないのか。深夜放送といっても限度があると思う。

【CM】

  • パチンコ業者のCMはやめて頂きたい。報道番組で「パチンコ依存病の怖さ、人格が変わり生活破綻」という放送をした局が、相変わらずパチンコ業者のCMを放送している。テレビ局のモラルはどうなったのか。収益さえ確保できれば、パチンコ依存症者のことなんか関係ないのか。
  • 番組を見ていると、いきなりCMになる。高齢者は判断力が鈍くなっているので、番組の続きだと思って見ている場合があり、番組とCMを混同してしまう。CMには誰でもが分かるように何か特定のマークなどを入れてほしい。

【BPOへの意見】

  • でも気軽に見られ、意見が投稿できるようにして欲しい。
  • BPOの活動はどのように行われているのだろうか。私達一般視聴者には、具体的な活動の状況がよく分からない。できれば、ホームページ上に審議の結果を文面で掲載するだけでなく、実際の審議の様子を動画でアップして、もっと身近に活動の様子が見えるようにして頂きたい。
  • BPOの電話受付時間は午前10時から正午、午後1時から5時となっているが、もっと広く意見を聞くために受付時間を拡大しても良いのではないか。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • 試合を見て非常に気分が悪くなった。故意に対戦相手の腕を折り、試合終了後、相手選手を侮辱し挑発するような行為をした。これらは放送するべきではないし、青少年に対しても悪影響がある。倫理的にも問題がある。いくら格闘技といっても、相手の腕を故意に折るということはあってはならない。今後は選手にはスポーツマンシップにのっとって戦ってほしいし、そういった姿を放送してほしい。
  • この番組だけではないが、最近AV女優がゴールデンタイムに出演することが多くなっている気がする。低年齢の子どもにとって不適切であり、時間帯を考えて欲しい。アダルト業界との垣根がなくなってきていて、決していいことではないと思う。社会全体のモラル低下につながるのではないだろうか。
  • タレントが泥酔した姿が放送されていたが、あまりにも品がなく見ていて不愉快な気持ちになった。子どもも見る時間帯なので注意してもらいたい。
  • 夕方の子ども対象の番組で、恋愛をモチーフにしたコーナーや性的な問題を歌にするなど不謹慎である。人と人の純粋な恋愛を子どもに見せるものではない。お笑いタレントが出演していることもあって、発言が不謹慎すぎる。暴力的な発言や挑発するような発言もある。

【性的表現に関する意見】

  • パーソナリティーの下ネタや卑猥な発言が多過ぎる。リスナーとの電話では、エッチな話や面白い話だと周囲のスタッフに「太鼓をたたけ」と叫びながらはしゃぐ。この時間帯は子ども達がラジオを聞きながら勉強しているが、これでは気が散ってしまう。
  • タレントの入浴シーンを流したが、これではただのエロ画像にしか見えない。この後のコーナーでは子どもタレントも出演していることから、深夜帯の”アダルト特化番組”ではなさそうだ。このような節度のない放送を許していては、どこまでエスカレートしてしまうのか心配だ。笑いが込められたものならまだしも、ただのエロ放送に対しては何らかの規制をすべきではないか。
  • 素人の芸を紹介するコーナーで、4人組の女性のうちの1人がタレントの頭部をスカートの中に入れて踊るシーンがあった。この破廉恥な行為を進行役のタレントは大爆笑で傍観しており、スタッフの大きな笑い声も背後に流れていた。番組スタッフの倫理観を疑いたくなる。こんな番組は成人でも目を覆いたくなるが、まして児童には見せられない。

【報道に関する意見】

  • 成人式での新成人の迷惑行為などを放送するのはやめてほしい。毎年のように放送されては、これをおもしろがって模倣する人間も出てくる。そもそもテレビ局がこういう問題をネタにニュース番組を放送するのはどうかと思う。

【いじめに関する意見】

  • このドラマでは職場内での新人への集団いじめがテーマになっているが、あまりにもいじめの程度が陰湿すぎる。仕事よりもいじめをする方がやりがいがあるかのように見えて仕方がない。さらに、現在就職活動をしている若者達に、社会に出て仕事をすることへの恐怖心をあおり、「会社に勤めれば多少のいじめを受けるのは当たり前なのだ」という誤った認識を持たせかねない構成になっている。
  • 子どもと一緒に昔から見ていたが、最近は配慮のない演出が多く残念だ。この日のドッキリ企画は、前半の部分がイジメにしか見えず、種明かしをしても後味の悪さだけが残った。その他にも、せっかく子どもたちが頑張っているのに、企画が練られていないために視聴者がいたたまれない気持ちになる場面が多いように感じる。

【暴力・殺人シーンに関する意見】

  • 夕食時に子どもと見ていたドラマが、あまりにもひどいのですぐにチャンネルを変えた。口の中に拳銃を突っ込んだり、ひどく殴りつけたり、小さな子どもが見る時間に放送するべき内容ではない。子どもはショックを受けて泣き出してしまった。暴力的な内容で断じて許せない。

【マナーに関する意見】

  • タレントが美術館内でフリスクを食べたら注意されたというエピソードを、許せない話として語っていた。笑える話が多い番組だが、これはまったく笑えなかった。美術館には美術館のルールがあり、それを守るのは大人のマナーである。子どもが真似をしたらと思うと悲しくなる。編集の時点でカットすべきではなかったのか。

【犯罪の助長に関する意見】

  • 子どもが父親の誘拐を企てて、成功するという内容だった。昼間の時間帯にこのような映画を放送するテレビ局の神経を疑う。青少年への影響など何も考えていない。主人公は違法金融業者で、誘拐をする犯罪者を英雄視する内容であり、放送基準を明らかに逸脱している。もっとテレビ文化を大事にすべきではないか。

【推奨番組に関する意見】

  • ジャグリングの試験に落ちた小学生の男の子が、努力をしてサーカス部に復帰するというコーナーを放送していた。悪ふざけばかりのバラエティー番組が多い中、子どもたちに努力の大切さを教える良い放送だったと思う。出演しているのは一般の子ではなく劇団の子らしいのだが、子役らしくない気取らない態度に感銘を受けた。

【喫煙に関する意見】

  • アイドルが主演しているため小中学生が多く見ていると思われるが、やたらにタバコを吸っている場面が多い。役作りなのだろうが、そんな演出をしなくてもイメージは作れるはずだ。

【CMに関する意見】

  • 男性精力剤のCMが白昼のラジオで放送されているが、表現がそのものズバリで品がない。そのようなCMは深夜以外に流すべきではない。先ほども中学生の孫と一緒にいる時に流れたので本当に困惑した。
  • 朝から晩までパチンコホールとパチンコ台のCMが放送されている。朝9時45分頃には開店に合わせてたくさん放送され、その後は深夜までパチンコCMのオンパレードだ。ホールは「出します・取らせます」と誇大広告で、パチンコ台は人気キャラクターを使ったものも多い。これでは子どもに興味を持つなと言う方が難しい。テレビ局も広告収入減少で大変なのはわかるが、モラルとプライドを忘れては困る。
  • なぜアルコール飲料のCMに10代のファンが多いアイドルを使うのか。「お酒は二十歳になってから」と表示をしても説得力がない。アルコール飲料のCMは、もう少し年配の俳優やタレントを起用してほしい。
  • 何年も前からラブホテルのCMを流している。時間帯も16時頃からと早いため、青少年の活動している時間帯と重なる。放送局には何度もメールで意見をしたが何の返事もない。内容も、カップルが「ホテルへ行こうよ」などと会話をする、直接的で低俗なものだ。この土地に住んでいる者として大変恥ずかしい。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 「いじめにつながる」とする意見が多いが、テレビで良くない場面があったらそれを子どもに対して否定すればいいことだ。自分がおもしろくないと思う番組もおもしろいと思って見ている人がいる。多種多様な番組があってしかるべきではないか。それを取捨選択するのは自由だし、多数が見なければ淘汰される。何でもかんでも文句を言う人のせいでどれだけテレビがつまらなくなっているか、もう一度考えるべきだろう。
  • テレビでの多少のグロテスク表現やお色気表現をどこまでも批判し「子どもの教育に悪い」と言っているが、ひとつのテレビ番組に子どもがそこまで影響を受けるなら親や学校は必要ない。BPOもそうだ。すぐに規制し余計に子どもの世界を閉塞的にしているのではないか。もう少し視聴者もBPOもゆっくり番組も見守ったらどうか。
  • 「格闘技は暴力だ」という意見があったが、格闘技はスポーツだ。ボクシングなどはオリンピック種目にもなっており、習い事としている子どもも多くいる。彼らにとってテレビに出ている選手はあこがれであり、いつか同じリングに立とうと頑張っている子の夢を暴力行為などと言わないでほしい。

第158回 放送と人権等権利に関する委員会

第158回 – 2010年2月

「拉致被害者家族からの訴え」事案の審理

「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の審理 ……など

「拉致被害者家族からの訴え」事案の「委員会決定」修正案について審理した。「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の 審理が行われ、本事案の和解に向けた動きについて堀野委員長より報告があり了承された。「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の本格的な審理は次回以降に持ち越された。

議事の詳細

日時
2010年 2月16日(火) 午後4時~8時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「拉致被害者家族からの訴え」事案の審理

前回の委員会審理を受けて起草委員が手直しした「委員会決定」修正案が、2月11日の第2回起草委員会での検討を経てこの日の委員会に提出された。
委員会では時間をかけて詳細な検討が行われた。この結果、修正案は基本的に了承され、一部表現の手直しをしたうえで持ち回り委員会により最終了承される見通しとなった。また、委員のひとりが補足意見を書くことになった。
本事案は2009年4月24日深夜のテレビ朝日『朝まで生テレビ!』において、番組司会者でジャーナリストの田原総一朗氏が拉致被害者の横田めぐみさんと有本恵子さんの名前を挙げ「生きていないことは外務省も分っている」などと発言し、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」から「最も重大な人権侵害」との申立てがあったもの。

「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の審理

本事案は2009年7月17日のフジテレビ「FNNスーパーニュース」の放送内容をめぐって、宮城県の温泉旅館の女将が申し立てたもの。
同年11月に審理入りし本年1月までヒアリングを含め3回の審理を行ったが、堀野委員長は、本件事案は人権侵害を訴えるものでなく 放送上の表現や編集の仕方が問題になっていた事案である ことから、和解による解決が望ましいとして今月の委員会に提案し了承を得た。これによって、本件は委員会の和解斡旋で解決する運びになった。
放送は不況下での旅館の女将さんたちの奮闘ぶりを紹介したものだが、申立人は、放送内容は売り上げが伸びない旅館という負のイメージを視聴者に与え、温泉街も暗いシーンばかりが編集されるなど事実に反するものだったとして、謝罪などを求めてきた。これに対してフジテレビは、「当番組はニュース・報道番組であり、取材に基く事実を伝えたものです」と主張してきた。
(2月18日に申立人と被申立人の間で和解の手続きがとられ、本件は解決した。詳しくは仲介・斡旋解決事案の項をご参照ください)

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理

テレビ朝日が2008年12月23日の『報道ステーション』で、「特集 身近に潜む境界トラブルの悲劇・住宅地の惨劇はなぜ起きた」を放送したのに対し、被害者遺族から、放送内容が事実に反し、亡くなった両親への敬愛追慕の情を侵害され、申立人自身の名誉も毀損されたと申立てがあった。
昨年12月の委員会で審理入りを決定、今月の委員会では他の事案との関係もあって、申立人から提出された「申立書」および「反論書」、被申立人から出された「答弁書」および「再答弁書」等の書面についての説明にとどめた。
次回の委員会以降、本格的な審理を行う予定である。

1月の苦情概要

1月中に BPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・・0件
    (個人又は直接の関係人からの要請
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・・39件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 放送法の研究を目的として2007年9月にスタートしたBPO放送法研究会での討議の成果が、このほど『放送法と表現の自由~BPO放送法研究会報告書』としてまとまった。事務局より報告した。
    なお、同研究会は所期の目的を果たし既に解散している。
  • 次回委員会は3 月16 日(火)に開かれることになった。

以上

第35回 放送倫理検証委員会

第35回 – 2010年2月

「バラエティー番組」のブックレット刊行について

偽札詐欺報道で違法な取材があったTBSの『報道特集NEXT』と『イブニングワイド』 …など

「バラエティー番組」のブックレット刊行について

バラエティー番組のあり方を議論する際の資料として、委員会は昨年11月に発表した「委員会意見」を収録したブックレットを近く刊行するが、このブックレットに収録するそのほかの内容について意見を交換した。「委員会意見」についての新聞記事や「委員会意見」を受けた各局の取り組み方などを収録することとし、さらに担当委員が原案をまとめて次の委員会で報告することにした。

偽札詐欺報道で違法な取材があったTBSの『報道特集NEXT』と『イブニングワイド』

昨年、TBSの『報道特集NEXT』(12月5日)と『イブニングワイド』(12月8日)で、ブラックノートに特殊な薬品をかけると1万円札に戻ると称して薬品代をだまし取るという詐欺事件が放送された。当該局から、この事案の調査報告書が提出されたので、2回目の審議を行った。
まず、配達された郵便物をポストから抜き取って開封するという取材方法が違法なことは議論するまでもないこと、他人の車に勝手にGPSを取り付ける行為も、取材倫理上、妥当とは言い難いことが確認された。
更に、この事案が抱えている重要な要素として、主として制作会社が企画・制作したものを局が採用して放送した番組であることから、当該放送局が定めた「報道倫理ガイドライン」を制作会社といかに共有して運用すべきかという問題がある。今回のように、テレビ局が制作会社の持ち込み企画を局の番組として放送する以上、局側が制作開始時点から責任を持てるように関与することの重要性が議論された。他方、制作会社が企画・制作した番組であることが、視聴者に分かるよう番組クレジットの表記方法を見直すことも、ひとつの方法ではないかという指摘もあった。いずれにしても、放送責任を負う放送局にとって重大な問題であり、真しに検討しないと今後も同様の問題が繰り返されるとの懸念が示された。
次回までに、担当委員が委員会の「意見」をまとめることにした。

【委員の主な意見】

  • テレビ局と制作会社との関係で再発防止を考える場合、テレビ局が制作会社を一方的に締め付ける方向だとしたら問題だ。テレビ局が制作会社に対して威圧的でない、ゆとりある番組制作環境をめざすべきだ。
  • テレビ局が制作会社をどのようにコントロールできるかというのが、今後に影響する問題だ。コントロールできないということになると、テレビ局は制作会社が作った番組を、その局の番組として放送できるのかということになる。
  • テレビ局が納入された番組をするときに、具体的なシーンに疑問を持てるのかどうかだ。疑問を持てなければスルーするしかなく、当該局に過失はない。にもかかわらず、当該局が全責任を負わなければいけないというあり方はおかしい。
  • 制作会社が完パケで持ち込んできたものを、自局の番組として放送するかぎり、放送局として責任が取れなければおかしい。視聴者はその局が作ったものだと見てしまう。
  • テレビ局の名前で番組を放送する以上、制作会社に委託した段階で外形的にはテレビ局が作っていることになる。だから制作会社とのやりとりは、テレビ局内部の問題だ。体制だけを議論しても意昧がない。
  • テレビ局が今置かれている状況を如実に反映している事案だと思う。当委員会が絡んだ途端、局が制作会社に対して制裁を行う、それが今後のパターンになるとしたら、それは全く委員会の本意ではない。
  • 違法な取材が許されないのは当然のことだ。しかし、制作会社への丸投げ状態になっていることが問題を引き起こしていると、局側は自覚すべきだ。

やらせインタビューがあったCBCの『なるほどプレゼンター!花咲かタイムズ』

CBCの生情報ワイド番組『なるほどプレゼンター!花咲かタイムズ』(1月23日放送)で、ファッション関連のフリーマガジンを紹介する際、その編集に関わっている女性3人に、一般の人のように装って街頭インタビューしたことが、視聴者の指摘で発覚した事案。制作現場の安易さや、機能が働かなかったことなど、番組を制作する姿勢に対して厳しい意見が出された。しかし、当該局は視聴者へのお詫び放送など迅速に対応し、社内に調査委員会を設けて自主的に再発防止策を講じる努力を開始しているので、委員会としては取り上げないことにした。

【委員の主な意見】

  • なぜあえて「街の声」という演出方法をとったのか。単純に雑誌の編集に協力している若い女性たちへのインタビューとして紹介すれば良いではないか。街頭インタビューの意昧や必要性について、真剣な議論をしているのだろうか。
  • この手法を使えば、実際にはありもしないことでも制作者側が情報を意図的に操作できるし、ねつ造もできる。これこそが問題で、その結果、いいかげんな内容の情報番組があふれ、テレビの信用を失墜させることにつながる。
  • 安直すぎる。制作者が、テレビをなめ、視聴者をなめているとしか思えない。不快感が先にたつ。
  • この企画全体として、非常にいやな印象を受けた。取材に応じる側は、テレビはコマーシャルに使うもの、うまく利用するものと思い、制作側はそれを気にも留めていないような作りになっている。これは、情報番組なのか、広告なのか。
  • サクラを仕込めば、制作者が意図するコメントが得られるだろうし、効率的な取材ができるのは当たり前だ。制作者としてそれをしてはいけないという社内教育や指導はどうなっているのか。
  • 取材スタッフとして同行した先輩の社員たちは、彼女たちが関係者と知りながら、若いディレクターに注意さえしていない。編集段階でも何の助言もしていない。スタッフ間の相互が、機能していないのではないか。
  • 去年、同じエリアの他局の番組で、よく似た事案があったばかりなのに、その教訓や反省は生かされなかった。プロデューサーらの体制も十分とは言えず、今回は厳しい対応をすべきだ。
  • この放送によって、誰かが甚大な被害をこうむったわけではない。そこまで目くじらを立てる必要はないのではないか。

連絡事項

今年のBPO年次報告会は3月25日に開催され、川端委員長がこの1年の活動報告を行うことが報告された。また、任期満了に伴い交代する委員と新委員の紹介があった。

以上