2023年 12月25日
年末年始のBPO業務について
BPOでは、2023年度年末年始の業務対応を次のとおりといたしますので、お知らせいたします。
- 通常業務は、年内は12月27日(水)まで、新年は1月5日(金)からといたします。
- 12月28日(木)~1月4日(木)は、視聴者応対電話、放送人権委員会の相談電話を含め、
業務を休止します。 - 業務休止期間中、郵便物の受領と、メール、ファクスの受信は行いますが、対応は原則として業務再開後となります。
2023年 12月25日
BPOでは、2023年度年末年始の業務対応を次のとおりといたしますので、お知らせいたします。
第322回 – 2023年12月
事務局から最新の申立て状況を報告した。
放送人権委員会とドイツの放送番組に関する自主規制機関FSFとの交流会が約1時間、現地ベルリンとオンラインで結んで行われ、意見交換した。
詳細はこちら
来年1月開催の二つの意見交換会についての細かな段取りなどを事務局から報告した。
12月4日に大日向理事長名で公表した「芸能事務所における性加害問題について」について事務局から報告した。曽我部委員長から「そして放送がこれからも視聴者の信頼の上に公共的な役割を果たしていくため、適時、さまざまな形で放送局と議論する場を設けて、意見をたたかわせていきたいと考えております。」という見解の結語が重要だとする補足があった。
以上
BPO・放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、2024年度「中高生モニター」を下記の要領で募集します。モニターには、毎月1回、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組をテーマに、率直な意見や感想を送ってもらいます。報告は、青少年委員会の議論の参考となり、各放送局にも送られます。任期は1年です。
【任期】 2024年4月~2025年3月
【応募条件】
(1) 上記の任期中、中学1年生から、高校3年生までであること
(2) 保護者の同意を得ていること
(3) テレビやラジオに関心があり、月1回放送に関する意見を報告できること
※上記に加えて、青少年委員会が実施するアンケート調査等に協力していただく場合があります
【募集人員】 30人程度
専用の応募用紙に氏名・住所・年齢・学校名・電話番号・メールアドレス(ある方)・「モニター応募の理由」など必要事項をお書きいただき、必ず保護者が署名および押印を行ったうえで、以下の宛先までご郵送ください。
応募用紙(PDF形式)は、ここをクリックしてプリントアウトしてください。
※いただいた個人情報は、モニター申し込みに関する受付確認やモニター運営業務のために利用いたします。ご本人の同意なく目的外で利用したり、第三者に開示したりすることはありません。
【応募締切】 2024年1月24日(水)※当日消印有効
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1-1 千代田放送会館7階
BPO・青少年委員会 中高生モニター係
【採用決定】
採否については、2023年3月下旬までにご連絡します。
【報告への謝礼】
月々のリポート提出者には、毎月図書カード1000円分をお送りします。
【報告の公表】
毎月送っていただくモニター報告は、BPO会員の各放送局に送られるとともに、BPOウェブサイト等に概要を公表します。
以上
このたび、2024年度「中高生モニター」を募集するにあたり、制度のご説明をさせていただきます。
放送倫理・番組向上機構[BPO]の放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、青少年の育成に資する放送の在り方について、一般視聴者から寄せられる意見などをもとに話し合いをしています。しかし、一般視聴者から寄せられる意見を年代別に分類すると、青少年からの意見が大変少ないのが現状です。そこで、青少年のテレビ・ラジオに関する考え方や、番組に対する意見を知り、より良い番組作りにつなげるため、2006年4月「中高生モニター制度」を設けました。
毎年、全国の中高生30人前後をモニターに選出し、月に一度、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組について、率直な意見や感想を報告してもらっています。中高生モニターのみなさんの「声」は、概要をBPOウェブサイト等に掲載するほか、当該放送局にもお送りし、制作現場に伝えられ、番組作りの参考にしていただいています。
つきましては、上記趣旨をご理解の上、ご協力をお願いいたします。
上記委員会決定の通知は、12月5日午後2時から千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。委員会からは小町谷委員長、米倉委員、大村委員の3人が出席し、NHKからは報道局長ら3人が出席した。
まず小町谷委員長から委員会決定について説明し、本件放送には放送倫理違反があると判断したことを伝えた。続いて担当委員から、インタビューで話しているのがワクチン接種後に亡くなった人の遺族なのに、コロナ感染で亡くなった人の遺族であるように受け取られる放送だったことや、取材相手に意図を明確に説明し十分な了解をもらい、そのうえで取材するという当たり前のことができていなかったこと等について指摘があった。これに対してNHKの報道局長が「ご指摘いただいたことを、報道局長として非常に重く受け止めている。取材・制作のあらゆる段階で真実に迫ろうとする基本的な姿勢を再確認し、ジャーナリズム教育の徹底など現在進めている再発防止策を着実に実行したい」と述べた。
その後、午後3時から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には28社42人が参加した。
はじめに小町谷委員長が、意見書のポイントとして4つの問題を挙げた。1番目は、取材のやり方に基本的な問題があり、その具体例として、遺族への説明が不十分で、ワクチンの問題を取り上げないという考えが遺族に対して事前に説明されることがなかったこと。2番目は、VTR制作の担当者が、コロナを巡る取材経験が必ずしも十分ではないのに、周囲からの十分なサポートを受けていなかったこと。3番目は、内部のチェック機能が働かず、提案票に「ワクチン」という言葉が書いてあったにもかかわらず、これを認識していたスタッフがほとんどいなかったこと。4番目は、大切な家族を亡くした遺族3人の声を短く切り取って合計24秒で伝えるという編集の仕方が、「人の死」を巡る情報の扱い方としてあまりに「軽かった」のではないかという指摘だった。
続いて米倉委員が「結果論になるかもしれないが、ご遺族の方々をいわば、だますような形で放送が出てしまった」と指摘した。そのうえで、NHKの中で「徹底して議論し考えるという雰囲気のようなものが、もしかしたら欠如してはいなかったか」などと述べた。大村委員からは、小町谷委員長と米倉委員の発言を補足する形で、ジャーナリズムを担う者として備えるべき現実社会への知識、関心、そして問題意識の低下という事態が進行してはいないだろうかという危惧が述べられた。このあと、以下のような質疑応答があった。
〇質問・委員会は、NHK内のサポートに関することを最も重要な問題であると
考えているのか。
回答・取材者の経験が必ずしも十分でなかったのであれば、そのサポートが
十分だったかを調べることになる。それも不十分だったとなれば、
かなり重要視することになる。
〇質問・VTR制作の担当者と遺族の間で認識が食い違っていることを、委員会は
どのように捉えたのか。
回答・放送倫理の観点からすれば、やはり取材者側に十分な説明責任がある
ということになる。
記者会見は約1時間15分で終了した。
以上
第190回–2023年12月
第190回放送倫理検証委員会は、12月8日に千代田放送会館で開催された。
委員会が12月5日に公表した、委員会決定第44号NHK『ニュースウオッチ9』新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族を巡る放送についての意見に関して、担当委員から当日の様子などが報告された。
TBSテレビが11月5日に放送した『サンデーモーニング』の生成AIの特集コーナーについて、当該放送局から提出された報告書を基に討議したが、審議入りはせず議事概要に意見を掲載することで終了した。
11月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見等が報告された。
関西地区ラジオ局との意見交換会開催の進捗状況が報告された。
小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員
NHKは2023年5月、『ニュースウオッチ9』の中で「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常 それぞれの思い」という1分5秒のVTRを放送した。3人の遺族のインタビューが含まれており、そこには「父を亡くした〇〇さん」などのテロップが付けられていた。前後の脈絡などから3人は、家族が新型コロナウイルスに感染して亡くなった遺族であると受け取るのが自然な映像だったが、実際には、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族であった。委員会は、ワクチン接種による被害を訴える遺族を、新型コロナウイルス感染によって亡くなった人の遺族と誤認させるような放送が、なぜ、どのようにしてなされたのか検証する必要があるとして、同年6月の委員会で審議入りを決めた。審議を経て、次のような事実を認めた。①VTR制作担当者は、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族であると認識しながら、その旨を明示せずに放送に臨んだことについて、コロナウイルスに感染して亡くなった人と、ワクチン接種後に亡くなった人を、広い意味でのコロナ禍で亡くなった人に変わりないと考えたと述べ、直属の上司も同様の認識を示した。②制作担当者はインタビュー取材の相手である遺族に対し、ワクチンの問題を放送で扱わないという自分の意図を明確に説明せず、取材者としての基本を実践していなかった。③この担当者が取材経験などの面で十分ではないにもかかわらず、組織内で十分なサポートを受けることがなかった。④放送前に行われた試写においても適切なチェックがなされなかった。以上のことから委員会は、放送が放送倫理基本綱領やNHKの放送ガイドラインに反しているとし、放送倫理違反があったと判断した。
委員会は12月5日、当該放送局に委員会決定を通知し、引き続き記者会見を開いて意見書を公表した。この日の委員会では、委員会決定を伝えたNHKの『ニュースウオッチ9』の録画を視聴し、委員長と担当委員が通知・公表時の様子について報告した。
通知と公表の概要は、こちら。
TBSテレビは2023年11月5日に、報道番組『サンデーモーニング』内で「生成AI」をテーマにしたコーナーを放送した。その中でイスラエル・ハマス戦争に関係する画像計5枚について、「生成AIでつくられたフェイク画像」と断定できる根拠がないにもかかわらず、断定して放送した。その後、番組ホームページや翌週の当該番組でおわびと訂正をした。
委員会は当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求め、討議を行った。報告書によれば、ハマス幹部に関する4枚の画像については、インターネット上に画像が出回った時期からして、実際にあったシーンを撮影した本物の画像である可能性が高いことが分かったという。そもそもこのコーナーは、まん延する生成AIによる創作物やフェイク画像の扱いについて警鐘を鳴らす目的で制作されており、まさにその中で、生成AIに関する誤った情報を放送し、視聴者の信頼を損ねてしまったことを重く受け止めているという。
ミスを起こした大きな原因は、放送内容をチェックする立場にあるプロデューサー陣の管理態勢に問題があり、また担当ディレクターも放送内容の事実確認に関する基本認識に欠けた部分があったほか、プロデューサー陣、担当ディレクターともに、生成AIやフェイク画像に関する認識が不十分だったからだという。当該番組の再発防止策として、事前プレビュー・チェックの強化や画像ファクトチェックの強化等をする。また報道局全体の再発防止策として、フェイク情報共有システムを新設し、ニュースに関連するフェイク情報や画像を発見した場合、系列各局で即座に情報を共有できるようにする等が打ち出されている。さらに当該放送局の放送倫理委員会で議論をして、全社的にも問題点の周知・徹底を図ることが報告書に記載されている。
委員会は、誤った情報を放送するにあたって事実確認が不十分であった点で放送倫理違反の疑いはあるものの、当該放送局の調査が詳細になされており、さらに踏み込んだ調査の必要性に乏しいこと、生成AIやフェイク画像を含むファクトチェックに関する再発防止策が速やかに取られており、経過を見守ることが望ましいと考え、討議を終了し、審議入りはしないこととした。もっとも、生成AI画像の問題は、他局にも同様の課題を突き付けていると考えられ、警鐘を鳴らすという意味において、委員からの意見を議事概要に掲載することとした。
【委員の主な意見】
11月に寄せられた視聴者・聴取者の意見の総数は約2500件で10月から半減した。主な要因は芸能事務所関連の意見が大幅に減少したこと。一方で、BPOに対する意見が90件と急増。「検証番組が不十分」「第三者に調査させよ」といった内容で、事務局からは「NHK、民放キー局の検証番組が出そろったことで検証内容についての意見がBPOに寄せられている」などの報告があった。
2024年1月26日に開催予定の「関西地区ラジオ局意見交換会」に関して、日程、会場および議題となるテーマ「政治的公平性」「パーソナリティー発言への対応」などの報告が事務局からあった。
以上
第262回-2023年11月28日
2023年11月28日、第262回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会では、10月後半から11月前半までの約1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
11月の中高生モニターリポートのテーマは「最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について」でした。
芸能事務所創業者による性加害問題について、前回、前々回に引き続き3回目の意見交換をしました。
最後に今後の予定について確認しました。
10月後半から11月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
多数の芸人が運動会に参加する形式のバラエティー番組で、「人間体重計」と称して男性芸人が、指名された女性芸人を抱きかかえて体ごと上下させて自らの下腹部に当てる動きを見せたことに対して批判的な視聴者意見が寄せられました。担当委員は「女性芸人に対するパワハラやセクハラではないかとの意見があった。この番組が特段問題とは言えないが、暴力的ないし性的な表現について、視聴者の理解を得るのが難しくなっていると思う」と述べました。
指名された女性芸人が一瞬躊躇する表情を見せたことについて別の委員は「『えっ』という感じだった。『いや』と言えない雰囲気はよくないと感じた」と指摘し、さらに別の委員も「いやでも『ノー』と言えないこと(が問題だ)。(性加害を受けそうになった)子どもの安全という点では『いやです。ノーです』と言えることが最も重要。そういう自由度がない番組はつくってほしくない」と強調しました。
性にまつわる世界の話題や悩みについて出演者が語り合う教養バラエティー番組に対し、視聴者から批判的な意見が寄せられたことについて担当委員は、「番組の中で『これから性的な映像や音声が流れます』と字幕で示すなど、事前に慎重な検討を重ねて制作されたことがうかがえる内容だった」と報告しました。
性的違和の感情をかかえる中学生とその保護者の問題を正面から取り上げた番組についても、視聴者から批判的な意見がありましたが、担当委員は「みずからの性別に違和感があるという未成年者の悩みから出発して、番組では体の性別と心の性をはっきり区別して展開していた」として、問題ないとの見方を示しました。
このほかに議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。
11月のテーマは「最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について」で、モニターからは合わせて21番組への報告がありました。“教育番組”を幅広く捉え、学校の教科に関連する番組だけではなく、報道番組や情報バラエティー番組、環境ドキュメンタリー番組、クイズ番組や歴史ドラマなど、さまざまな“学び”があった番組への報告も多くありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)に8人から、『ティーンズビデオ2023~第70回NHK杯全国高校放送コンテスト~』(NHK Eテレ)と『テレビ朝日ドラマプレミアム 友情 ~平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』~』(テレビ朝日)、『第102回全国高校サッカー選手権 北海道大会 決勝』(札幌テレビ放送)にそれぞれ2人から、報告がありました。
【最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について】
【自由記述】
【青少年へのおすすめ番組】
【最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について】
【自由記述について】
【青少年へのおすすめ番組について】
芸能事務所の創業者(故人)が、所属する多数の未成年のタレントに性加害を繰り返していた問題について、BPO、あるいは青少年委員会としてできることはないかとの観点から、前回、前々回に引き続いて意見交換しました。
はじめに事務局から、本件に関してBPO理事長の見解を近く公表する(2023年12月4日公表「芸能事務所における性加害問題について」参照)方向であることが示されました。
委員のひとりが「事態がさらに動くかもしれないが、いまの時点で見解を出しても大丈夫か」と懸念を示しました。ほかの委員は、理事長見解の中で「『(BPOが)放送局と議論する場を設けて、意見をたたかわせていく』という文言があれば対応は可能である」と指摘しました。
こうした議論を経て、委員会としての意見交換を終えました。
次回は12月18日(月)に定例委員会を開催します。
以上
性加害問題をめぐる各局の検証番組や所属タレント起用の是非などへの意見、「フェイク画像」という紹介が誤っていたことなどへの意見が寄せられました。
2023年11月にBPOに寄せられた意見数はほぼ平常ペースの2,502件で先月からほぼ半減、 2,648 件減少しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 90.2% 電話 8.7% 郵便・FAX計 1.1%
男女別(任意回答)は、男性25% 女性24 % で、世代別では 30歳代 24% 40歳代 22%
50歳代 20% 20歳代 18% 60歳代 8% 70歳以上 3% 10歳代 3%
視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、11月の送付件数は697件、56事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から15件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。
芸能事務所創業者の性加害問題をめぐる各局の検証番組、当該事務所の所属タレント起用の是非などについて意見が寄せられました。また、イスラエルが主張の根拠としている画像を番組が「フェイク」と説明したことなどへの意見もありました。
ラジオに関する意見は25件、CMについては18件でした。
11月中に青少年委員会に寄せられた意見は102件で、前月から86件減少しました。
今月は「要望・提言」が54件と最も多く、次いで「表現・演出」が21件、「編成」が7件と続きました。
「生成AIによるフェイク」の危険性を考える企画で、イスラエル側が主張の根拠としている画像を「フェイク」と説明していたが、実際は本物の写真だった。ネット上の情報に惑わされる人が多い中で、テレビまでこういうことをすると収拾がつかなくなる。
死体遺棄事件の容疑者として無関係の人の顔写真を何度も放送した。テレビで放送してしまった以上、ネット上の画像を完全に消し去ることはできない。まったくの濡れ衣(ぬれぎぬ)で人生が変わる可能性があることを考えると市民として恐ろしい。
昆布だし500mlを2週間飲み続ける味覚改善法や「昆布・ワカメを毎日たくさん食べている」というタレントのコメントを紹介していたが、昆布は食べ過ぎによる甲状腺機能低下などのデメリットも知られている。番組で注意を呼びかけるべきだったと思う。
「豆腐を食べ続けるとやせるのか太るのか」、タレントに実際に食べさせて「検証」というが、わずか3日間で検証などできるはずがない。また3,000kcalすべてを豆腐で取るためにタレントが無理して大量に食べていて心配になった。
タレントがチェーンソーでの立木伐採を体験するシーン。指導者が立ち会っていたが、かかり木の元玉切りなど厚生労働省が注意を呼びかけている危険な行為があった。切断された瞬間は編集でカットされていたが現場ではヒヤっとしたのではないか。出演者を危険にさらしただけでなく、視聴者にも死傷する可能性のある危険な方法を拡散していた。
クイズで負けたら40メートル上に飛ばされる罰ゲーム。もし金具がはずれたら、と考えると怖い。落とし穴に落ちたタレントがケガをしたこともある。危険な罰ゲームはやめてほしい。
性加害問題のあった事務所所属のタレントが年末恒例の音楽番組に1組も選ばれなかった。「出演者の人権を尊重する」とのことだが、所属タレントたちが人権侵害をしているわけではなく、理不尽だと感じる。
問題の深刻さと照らし合わせれば、当該事務所所属のタレントを選ばなかったのは当然のことだと思う。
人気アイドルが街中で市民を撮った写真に短いタイトルをつけて楽しむコーナー。大変面白く、撮影者の感性にひかれる場面が多かったが、昨今、SNSで肖像権を無視して人を笑い者にするような風潮もあり、ストリートスナップについての注意喚起をしたほうがいいと感じた。
家庭のシンクに取り付けるディスポーザー(生ごみ粉砕処理機)を紹介していたが、水道局に照会したところ、設置に法的な規制はないものの、集合住宅の場合は敷地内に下水処理設備がないと下水道に負荷がかかり、耐久性を損なうなどの問題があるとのこと。こうした点も明確に示すべきだったと思う。
過積載が疑われる解体業者のトラックを芸人たちが追跡するという企画だった。面白くするためか出演者たちはトラック置き場を「アジト」呼ばわり。過積載か否かの判定は「見た目」。確定もできないのに「逃げた」「まかれた」。VTRを見たスタジオでも「悪いことしているという意識はありますよね」など犯罪者扱い。本当に犯罪なのか確認した上で放送してほしい。
緊張するとトイレに行きたくなるのはなぜか、あるタレントを被験者にして検証。偽の番組収録に呼び出し、被験者が「恐れている」という先輩が対談相手であることを告知。到着した先輩が「いつにもまして不機嫌」という演技…。楽屋で被験者が動揺していく様子はとても気の毒だった。
ショッピング番組で価格を示した後に「それを半額で」などと大幅に値引きしたように表示しているが、最初から実際の販売価格を示すべきではないのか。
若いころ保育の仕事がきっかけで部落差別問題を知り、気に留めてきた。このドキュメンタリー番組はできるだけ多くの人に見てもらいたいと思う内容だった。
子どもへの性加害がなぜ数十年にもわたって放置され続けたのか、各局の検証番組は到底その構造的な問題を明らかにできるものではなかった。このままでは新たな人権侵害や虐待が起こったときに、各局が適切に報道できないのではないかと懸念する。視聴率や利益のために人権侵害を見て見ぬふりをする報道機関では意味がない。第三者機関による網羅的な調査によって二度と被害者が生まれないようにしてほしい。
各局の検証番組は「男性への性加害について認識が薄かった」というが、何百人もの児童が芸能事務所やテレビ局の金儲けのために性加害を受ける環境に置かれてきたという重大性が正しく認識されているのか疑問だ。
芸能事務所創業者による性加害問題をめぐるテレビ各局の検証番組は、男性同士の性加害を軽くみてしまったというだけで、問題の本質をまったく検証しない不十分なものだった。この問題の本質に迫るためには、テレビ局自身に任せて調査することには限界があると実感した。
性加害の被害者はトラウマを抱えながら命がけで告白している。影響力を持つ放送局は被害者に寄り添い、しかるべき対応を早めに取るべきだった。
紀行バラエティー番組の女性リポーターが取材先の外国で、番組スタッフと、楽器代わりのビーチサンダルで頭をはたき合う演出があった。子どもが真似して友だちの頭をたたく原因にもなるので、はたき合いで笑いを取ることはやめてほしい。
バラエティー番組で、芸能人をジップラインで滑らせて、池の上でロープを切るというドッキリ企画が放送されたが、とても笑えない。仕事とはいえ、一歩間違えれば重傷を負うかもしれない。なぜスタジオのMCたちが笑っているのか、子どもに説明できない。
サスペンスドラマの再放送を平日の日中に放送しているが、殺人などの凶悪シーンもある。夜の時間帯に放送すべき内容だ。子どもが見られる時間に放送するのはとんでもないことだ。
深夜のバラエティー番組で、番組MCの芸人らがひとりの若手芸人をつるし上げて、下着を脱ぐよう強要する演出があった。「早く脱げ!」と迫り、下着を下ろすと股間をのぞき込んで「脱毛しているのか!」と笑い転げた。子どもたちがいじめで真似するおそれがある。
大麻グミ問題のニュース。報道の中で成分を含め「現在も購入可能」などと紹介していたが、その存在を知らなかった人も興味を持って、インターネット購入する可能性がある。中高生がとくに興味を持つだろう。報道の仕方を再考してほしい。
2023年12月5日 放送局:NHK
NHKは2023年5月、『ニュースウオッチ9』の中で「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常 それぞれの思い」という1分5秒のVTRを放送した。3人の遺族のインタビューが含まれており、そこには「父を亡くした〇〇さん」などのテロップがつけられていた。前後の脈絡などから3人は、家族が新型コロナウイルスに感染して亡くなった遺族であると受け取るのが自然な映像だった。しかし実際には、3人は、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族であった。
委員会は、ワクチン接種による被害を訴える遺族を、新型コロナウイルス感染によって亡くなった人の遺族と誤認させるような放送が、なぜ、どのようにしてなされたのか検証する必要があるとして、同年6月の委員会で審議入りを決めた。関係者のヒアリングや議論を重ね、次のような事実を認めた。①VTR制作担当者と直属の上司は、コロナウイルスに感染して亡くなった人と、ワクチン接種後に亡くなった人を、広い意味で、コロナ禍で亡くなった人にかわりないという不適切な認識をして放送に臨んだ。②この担当者はインタビュー取材の相手である遺族に対し、ワクチンの問題を放送で扱わないという自分の意図を明確に説明せず、取材者としての基本を実践していなかった。③この担当者が取材経験などの面で十分とはいえないにもかかわらず、組織内で十分なサポートを受けていなかった。④放送前に行われた試写において、適切なチェックがなされなかった。
以上のことから委員会は、放送が放送倫理基本綱領やNHKの放送ガイドラインに反しているとし、放送倫理違反があったと判断した。
通知は、2023年12月5日午後2時から、BPO第1会議室で行われ、
午後3時から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。
記者会見には28社42人が出席した。詳細はこちら。
委員会決定 第44号に対して、当該のNHKから対応と取り組みをまとめた報告書が2024年3月4日付で提出され、委員会はこれを了承した。
2023年12月4日
BPO [放送倫理・番組向上機構]
理事長 大日向雅美
芸能事務所における性加害の問題につきましては、今年3月にBBCの報道を一つの契機として日本社会において重大問題とする認識が高まり、その後、9月以降、当該事務所の会見および具体的対策への動き等が認められております。未だ解決の道筋は見えず、むしろ緒についたところとも言える本問題ですが、社会的関心は言うまでもなく非常に高く、BPOにも視聴者からの意見が数多く寄せられています。
これまでいただいている視聴者意見は、概ね本問題に対する驚愕と許しがたい思いをベースとしていることで一貫していますが、当初の加害者や当該事務所の責任をもっぱら追及するもの、所属タレントの人権を擁護するものから、やがてそれを放置してきた放送界やマスメディア、さらには企業や社会全体のあり方を問うものへと、時間と共に様相を変えつつあります。
そうした中、本問題に対しBPOの各委員会が速やかに審議入りをして、放送局を諫めるべく動きをとることを期待する声も多数いただいております。
BPOは、放送界が市民社会に果たす公共的使命を自覚し、自ら第三者の意見を聴く仕組みを設けて放送内容の向上を図ることを目指して設立された機関です。具体的には「放送倫理検証委員会」「放送と人権等権利に関する委員会」「放送と青少年に関する委員会」の3つの委員会が、放送された番組について、その制作過程や取材方法、内容等に関して、倫理上、人権上、さらには青少年に及ぼす影響上の問題の有無の判断を行い、解決に向けて「勧告」「見解」「意見」等の決定の形で放送界に要請を行うものです。
BPOの設立趣旨から、これまで視聴者意見に真摯に向き合ってきたことは言うまでもなく、本問題に関しても3つの委員会の委員は、それぞれに当初から関心を寄せ、各委員会の中でも放送番組とのかかわりをめぐり議論を重ねております。
他方、各放送局は本問題について検証番組を放送し、あるいは番組審議会において議論を行っています。
放送局の自主・自律に寄与することがBPО設立の本来の目的であり、各放送局の動向に非常に注目しているところです。
放送局の自主・自律は、放送内容の向上はもちろんのこと、この社会に生き、暮らしているすべての人の人権と自由を尊重することに貢献し、ひいては日本社会の文化の質の向上につながるものです。
本問題は、特定の芸能事務所のことにとどまらず、それを取り巻くさまざまな媒体、さらには社会を構成する私たちが、一人ひとりの自由と人権をいかに守り、尊重することができるのか、換言すれば成熟した市民社会のあり方につながる問題でもあります。
こうした観点から放送局は、本問題の精査と反省を通して、自らの果たす使命をさらに認識し、今後も起こりうる諸問題に対しても真摯に検証し、改善を行うことが求められます。
視聴者と放送局を繋ぐ第三者機関の役割をもつBPОは、各放送局の今後の取り組みをたゆまず注視してまいります。そして放送がこれからも視聴者の信頼の上に公共的な役割を果たしていくため、適時、さまざまな形で放送局と議論する場を設けて、意見をたたかわせていきたいと考えております。