第106回 放送と青少年に関する委員会

第106回 – 2009年11月

視聴者意見について

中学生モニター報告 …など

11月24日に開催した第106回青少年委員会では、10月16日~11月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー1番組について視聴し審議した。このほか中学生モニター報告について審議し、来年1月10日に開催する「中学生モニター会議」のテーマ、進行等についても議論した。

議事の詳細

日時
2009年11月24日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 日本テレビ『行列ができる法律相談所』

司会者が女性タレントに対し「黙れ。来るな」などと発言したことについて、「いじめであり、他の女性タレントには、セクシュアルハラスメント的な発言があった」といった意見が寄せられ、番組を視聴の上、審議した。

<委員の主な意見>

  • 番組は芸風と役割分担で成り立っている。特段の悪意などは感じられず、問題にするような話ではない。
  • セクハラ的発言にテロップまでかけるという制作者の姿勢が気になる。
  • 下ネタがなくても十分面白い番組なのに、エスカレートすると、番組の品性が失われ失速していく。
  • 最近、人気芸人のやりたい放題が目に付き、視聴者の反感を買っている。制作者はどこかでコントロールすべき立場にある。

委員会としては審議の結果、上記各委員の発言をBPO報告及びBPOホームページに掲載することとした。

中学生モニター報告

11月のモニター報告のテーマは、小学生の時に見た好きな番組・嫌いな番組を思い出し、「どこが良かったか、何が印象に残ったか、あるいは何が嫌いだったか」について書いてもらい、現在の好きな番組・嫌いな番組と「どう違うのか、何が足りないのか、今も見たいか」について比べるもので、30人から報告が寄せられた。今回は、中学生モニターの個々の記憶や思い出をひもといたため、バラエティー50番組に78件、アニメ21番組に32件、ドラマ14番組に14件、教育関係9番組に11件、ニュース関連5番組に9件、音楽と映画それぞれ1番組に各2件、合計101番組に148件と、多数の番組に対しさまざまな意見や感想が寄せられた。

【担当委員の所感】

  • 今回は、今の時点だけでなく、小学生の頃と比較して番組の好みがどう変わったのかを一生懸命に思い出して書いてくれ、とても興味深い報告だった。小さかった頃、自分はどんな番組に夢中だったのだろうか、家族や友だちとどんな話をしたのだろうかなど、熱心に視聴の思い出も振り返って丁寧な報告が寄せられた。
  • 全体を読んだ印象では、各自の”好き嫌い”があまり変わっていないように感じられた。例えば、いじめが嫌いだと感じていた小学生は、中学生になってもやはり嫌いだと感じており、いっそう嫌いになったという報告もあった。
  • 『トリビアの泉』や『学校へ行こう!』を見た翌日、以前は「学校でテレビの話で会話がはずんだ、大いに盛り上がった」という報告が寄せられた一方、「現在の番組がワンパターン化してワクワクしなくなった、工夫がなくなった」という声もあった。
  • テレビを通して自分の成長について考えたメンバーもいた。例えば「ニュース番組」について、「以前は分かりにくく好きではなかったが、今は社会のことを知るのが楽しく熱心に見るようになった」など、自分の視聴体験を振り返ることから、現在の”視聴”を深く考えることにつながっている様子もうかがうことができた。
  • 現在の番組と比べ、「どう違うのか、何が足りないのか、何に引きつけられたのか」を考え、「大きくなっても何度でも見たい、あるいは今も見たくないのはなぜだろう」など、さまざまな視点から意見を寄せてくれることを今後も期待したい。

【全体集計】

今回、最も多くの意見が寄せられたバラエティー番組は、『トリビアの泉』(2002~06)と、『学校へ行こう!』(『学校へ行こう!MAX』含む、1997~2008)。それぞれ4件の好評な意見が寄せられた。『トリビアの泉』には、「うんちく話が楽しめ学校でも話題になった」「クスッと笑える豆知識などを幅広く紹介してくれた」「ムダ話なのだがきちんと検証してくれたので納得できた」などの声が寄せられた。『学校へ行こう!』『学校へ行こう!MAX』には、人気グループのV6が各地の学校を訪ねて生徒たちの様子を紹介したことから、「同世代が取り上げられ共感した」「週に1回、生放送があり身近に感じられるいい番組だった」「ぜひ復活してほしい」という声が寄せられた。
そのほか『伊東家の食卓』(1997~2007)には「さまざまな”裏ワザ”に感心したり驚かされたり家族みんなで楽しんだ」という声が、『驚きの嵐!世紀の実験』(2006~不定期)には「大人も分からないことを大人が身を持って実験してくれて良かった」「素朴な疑問に向き合ってくれたのが良かった」という声もあった。また、『どうぶつ奇想天外!』(1993~2009)や『天才!志村どうぶつ園』(2004~)には、「動物たちの知られざる生態をきちんと伝えてくれた」「保護者が薦める『どうぶつ奇想天外』がなぜ終了したのか疑問」という声も寄せられた。
現在放送されている番組の中では、『クイズ!ヘキサゴンII』(2005~)に5件、『はねるのトびら』(2005~ゴールデン)に4件、『爆笑レッドシアター』(2009~)に3件の意見が寄せられた。『クイズ!ヘキサゴンII』や『はねるのトびら』には、「小学生の頃は好きで面白く見ていたが、今はクイズがマンネリ化している印象」「出演者の暴言が目立ったり、罰ゲームも不快だ」といった声も聞かれた。また、『いきなり!黄金伝説。』(2000~)については2件の意見が寄せられ、「1ヵ月1万円節約生活のコーナーが好きだった」「スタート時は子どもが親と離れて暮らすなどハラハラ、ドキドキ感があったが、今は食べ物の話ばかりでつまらない」という意見が寄せられた。また、『笑点』(1966~)から『ちびまる子ちゃん』(1990~)『サザエさん』(1963~)などの長寿番組について、「ほのぼのとした内容で共感でき”我が家の日曜日の定番”」という感想も寄せられた。
次に意見の多かったアニメ番組では、『サザエさん』に4件、『ドラえもん』(1973~日本テレビ、1979~テレビ朝日)と『ポケットモンスター』(1997~)にそれぞれ3件の声が寄せられた。『サザエさん』を欠かさず見ているというモニターからは、「”戦闘シーン”や”残酷なところ”がなく心温まる番組で、”面白くて笑え”、季節の行事や昔の生活、思いやりの心などを教えてくれる”アニメの知識箱”」という意見が寄せられた。『ドラえもん』については長年見ているというファンから、「今でも大ファンで見ているが、昔の番組と比べると、最近の”悪役”ジャイアンのいじめがひどすぎないか」という注文も寄せられた。
また、主に男子からは『ポケットモンスター』、『ドラゴンボール』(1986~97、2009~)、『NARUTO~ナルト~』(2002~07)、『銀魂』(2006~)などの冒険活劇ものが好きだったという意見が数多く寄せられた。「小学生時代からヒーローものが大好きで今も大ファンである」「戦闘シーンに迫力があり現実にはありえないドラマを見せてくれる」「知らないことが出てくるが、調べてみようという気にさせてくれる番組」などの声が寄せられ、漫画やアニメが根強いファンに支えられている様子がうかがえた。
一方、小学生の頃に嫌いだったのは「ニュース番組」という意見が複数寄せられた。「難しい用語が理解できず内容が分からなかった」「殺人事件などの再現シーンが気味悪く嫌だった」「スポーツニュースしか見なかった」などである。しかし、中学生になると「社会的な出来事に関心が持てるようになった」「朝のNHKニュースは必ずチェックする」という声も寄せられ、成長とともにテレビ視聴に変化が現れている様子が印象的だった。また、『秘密のケンミンSHOW』(2007~)には「各地のブームや特産品などの情報で好奇心をかき立てられた」という報告が、小学生時代「旅番組」が嫌いだったというモニターからは「旅番組はつまらないと思っていたが、今は日本の知らないことを知ることができ、将来、各地を旅する楽しみができた」などの意見も寄せられた。そのほか、ワイドショーでたびたび取り上げられた芸能人のスキャンダルについては、「バッシングの量を減らして、もっと幅広くニュースを報道してほしい」という意見も寄せられた。
次に教育関連の番組では、『天才てれびくん』(1993~99)『天才てれびくんMAX』(2003~)について「出演者の一人一人がしっかりした感じがあり、現在でもこの番組を見ている」、また幼児向けの時間帯に放送されている『クインテット』(2003~)『にほんごであそぼ』(2003~)『えいごであそぼ』(1990~)などについて、「中学生になって幼児向け番組にも見るべきものがあることに気づいた」など、小学生時代とは異なった視点で番組を視聴している様子がうかがえた。

なお、2009年度後期の中学生モニター会議を、2009年1月10日正午からBPOのある千代田放送会館会議室で開催する。主なテーマは「わたしの見たいテレビ、作りたいテレビ」で、今月のテーマである「小学生時代の好きなテレビ、嫌いなテレビ」などの意見も交え、活発な議論をしたいと考えている。

その他

11月2日に公表した「青少年への影響を考慮した薬物問題報道についての要望」に対する各放送局の対応について、事務局より報告した。

2009年10月に視聴者から寄せられた意見

2009年10月に視聴者から寄せられた意見

報道では護衛艦「くらま」の衝突事故、オリンピックの東京招致失敗、八ッ場ダム、インフルエンザ等に関する報道への意見が多くあった。中川前財務相急死に関する報道への意見も多くあった。特に生番組で死去のニュース速報が入った際のアナウンサーの不適切な発言を指摘する意見があった。

護衛艦「くらま」の衝突事故、オリンピックの東京招致失敗、八ッ場ダム、インフルエンザ等に関する報道への意見が多くあった。その中で報道番組・情報番組・ワイドショーなどでの中川前財務相急死に関する報道への意見が79件と多くあった。

10月に電話・FAX・郵便・EメールでBPOに寄せられた意見は1,535件で、9月と比較して156件増加した。

【視聴者意見のアクセス内訳】

方法: Eメール61%, 電話36%, FAX2%, 手紙ほか1%
性別: 男性68%, 女性29%, 不明3%
世代: 30歳代33%,40歳代23%,20歳代19%,60歳以上12%,50歳代10%,10歳代3%

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。10月の通知数は696件(37局)であった。
またこの他に、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、42件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

10月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 人権に関する審理・斡旋の要請・・・・・・・ 5件
    (個人または直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

10月の視聴者意見の傾向として、政治報道への意見が減り、バラエティー番組に対する意見が増加したことが挙げられる。鳩山新政権がスタートし、各番組での報道のあり様に変化が見られたことによると思われるが、キーワード検索で「民主党」で87件、「自民党」で35件と、先月に比べほぼ半減している。また具体的な報道姿勢を指摘した「不適切な報道」が79件、より広く「報道のあり方」を論じた意見が83件と、これも大幅に減少している。報道では護衛艦「くらま」の衝突事故、オリンピックの東京招致失敗、八ッ場ダム、インフルエンザ等に関する報道への意見が多くあった。その中で報道番組・情報番組・ワイドショーなどでの中川前財務相急死に関する報道への意見が79件と多くあった。特に生番組で死去のニュース速報が入った際のアナウンサーの不適切な発言を指摘する意見が43件あった。また、フィギュアスケートの浅田選手の取り上げ方に対する批判意見も28件と多かった。芸能人の薬物汚染についての意見は、今月は46件と減少した。番組に対して公平・公正を求める意見は先月と変わらず、「偏向」のキーワードで42件、「公平」で47件あった。一方、バラエティー番組への意見が144件、ドラマへの意見が27件と急増している。グラビアアイドルのブログへのアクセスが目標数に達しないと芸能界を引退させるという企画への批判が43件、大物司会者の言動を諌める意見が37件、大物芸人が若手芸人の家に泊まる企画への批判が21件あった。キーワード検索の「人権」で56件、「いじめ」で62件と増加している。キャスター・コメンテーターの発言への意見も多く、「不適切な発言」検索で87件、「不適格な出演者」検索で126件該当した。放送局の視聴者・聴取者対応に関する意見は、今月は39件。ラジオに関する意見は31件。CMに関する意見は34件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は、前月より約30件増加した。
今月も「低俗・モラル」に反するとの批判が半数近くを占めた。特に、バラエティー番組で、タレントがお笑い芸人などの自宅に無理やり泊まりに行くという企画に対し、「他人の物を破損するなど、犯罪行為ではないか」「度を越した振る舞いは横暴なだけだ」など、2回の放送に対し、14件の批判的な意見が件寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • このところ連日、期末・期首特番が放送され、夜のニュース番組の開始時間が日替わりのように変わっている。事件・事故や政治的な出来事による特番での時間変更なら許せるが、くだらないバラエティーの長時間特番でニュース番組の放送時間が変わることが許せない。
  • 「若者サギ集団」の事務所を突き止め、向かいのビルから事務所内の様子を”盗撮”した映像が放送されていた。しかし、私には「取材」というより「捜査」のように見えた。テレビ局に警察のような「捜査」をする権利はあるのか。この取材方法には問題があると思う。
  • 八ッ場ダムのことを連日報道しているが、どの局も「”国全体のことを考える前原大臣”対”自分達の損得しか視野にない地元住民”」という単純な構図で描いている。私は「報道のイメージ」と「実際」のギャップに疑問を持ち、群馬県庁に尋ねてみた。すると、テレビで盛んに報道されるようになってから、「県民がゴネるので、民主党の前原大臣らが苦慮している。全く自分勝手でとんでもない県民だ」という苦情が全国から届くようになり、対応に苦慮しているという。八ッ場ダムのように、複雑な要素の絡み合った問題を報じる際には、一方に偏ることなくあらゆる角度からこれを捉え、客観的な判断材料を視聴者に提供するよう慎重な報道をしてほしい。
  • 台風報道の扱いに関して、ガイドラインを作って欲しい。わざわざ、荒れた海の近くでリポートする危険性は以前から指摘されているが、それとは逆に「実際は大して危険でもないのに、さも危険なように演出するな」ということを言いたい。九州や四国の人間からすれば、風速40m/sクラスの台風は、毎年やってくる「季節の風物詩」に過ぎず、いちいち暴風だの大型だのと大騒ぎしていません。それを、在京キー局は、さも大災害であるかのように過剰演出して全国ネットで放送するので、見ていてウンザリします。そもそも、日本は毎年台風が来るのだから、最初から台風に備えて建物から生活スタイルまで予め配慮しておくことを啓蒙するのがマスコミの役割です。台風が来たときだけ危機感を煽って報道するのはおかしいと思います。
  • 生放送中に「元財務大臣死亡」のニュース速報が流れ、各出演者が速報に注目する中、アナウンサーが「速報は注目しないでください」と言い、そのまま番組を進行した。財務大臣まで務めた政治家の急逝という重大なニュースをないがしろにし、たかが一芸人の離婚話を優先するという姿勢は厳しく追及されるべきだ。
  • 足利事件の冤罪に関する報道で、取り調べの録音テープを声優に読ませてドラマ風に仕立てたり、キャスターが裁判長を感情まかせに追及したりしていた。足利事件の冤罪を許せないと思っている私でも演出過剰だと感じた。中立性も公正さも欠き、まったく「報道」になっていなかった。
  • ひき逃げ事件のニュースで、事件の内容を読み終わったあとに、「亡くなった方は、昨日が誕生日でした」と付け加えていました。これはニュースとして適切なのでしょうか。亡くなった方に対する同情と、加害者に対する感情の悪化を視聴者に促すことを意図しているようにみえます。また、亡くなられた方の個人情報を勝手に公表したことにもなります。ニュースとして伝えることが必要な事柄であるならまだしも、まったく伝える必要のないことを放送で言うことに疑問を感じます。
  • 報道番組なのに、自局で製作した映画の宣伝を、さも話題になっているようにニュースとして報道していた。映画の宣伝なら宣伝として放送するのはいいと思うが、報道番組でこのような紛らわしいことをしないでほしい。報道番組は公平・公正・中立であるべきだと思う。
  • 教師が子供の胸倉をつかんで注意したことにより子供が自殺した件で、教師に賠償命令が下った。こんな判決が出るようでは、教師が子供に注意すらできないではないか。マスコミは、「こんな判決でいいのか」と疑問を投げかける報道をすべきだ。近頃のマスコミには、全体的に「これでいいのか」という姿勢が足りない。
  • テレビのニュースで、特定の事件について事件そのものとは関連のないタイトルをつけることがある。今日は特に酷く、「五輪決定のリオで銃撃戦」というタイトルがついていた。しかし、「五輪決定」と「銃撃戦」は全く関係がなく、この2件をつなげるべきではない。また「五輪の開催に不安を与える」というようなコメントは視聴者が判断すべき事柄である。主観的な報道はすべきでない。
  • 自民党総裁選の開票時の映像で、「麻生太郎」と書いてある票を映し、同時に開票している女性の声で「この人のせいで負けたのにねぇ」と言うカットを挿入していた。限られた放送時間の中で、敢えてこのような編集をすること自体、悪意があると思われる。
  • 都知事の掛け声もむなしく、東京はオリンピック開催地には選ばれなかった。その遠因として挙げられているのが、「五輪開催に対する都民の支持率の低さ」である。ほぼ半分の都民が五輪開催に反対していたという。しかし、そのことをはっきりと伝えていた放送局はない。どこの局も都民の「五輪反対」の声を無視し、「東京にオリンピックを!」と連呼し、自分達だけで盛り上がっていた。そのくせ、東京が落選すると、「招致活動に使った莫大な額の税金が無駄になった」などと都政を批判している。なぜ、もっと早い段階で招致活動費用の問題を含め、五輪開催を疑問視する声を伝えなかったのか?
  • 「外国人参政権」について、出場者が賛成と反対に分かれて意見を出し合うという内容だった。しかし、出場者のほぼ全員が外国人の留学生であったことから、一人の留学生を除き他の全員が「外国人参政権付与に賛成」を表明した。そのため、終始「一人の反対者を、その他全ての賛成者がやり込める」という構図になってしまい「YES/NO」に分かれて意見を闘わせる「ディベート」の体裁を全く成していなかった。もっと緻密な計画を立てた上で番組を制作してほしい。
  • 元アイドルの初公判を、朝から民放各局が取り上げている。画面で見ていて「各局、いったい何人の記者が公判の傍聴席に入っているのか」と疑問を感じるほど記者の出入りが激しい。まず始まって2~3分ですぐに記者が飛び出して来て被告の洋服について報告したかと思うと、今度は名前と職業をどのように言ったか等々、慌しいことこの上ない。重大な殺人事件でもあるまいし、たかが一タレントの覚せい剤問題である。各局こぞって、こんなに詳細に中継する必要などないと思う。

【番組全般・その他】

  • 昨日、国会で鳩山総理による所信表明演説が行われた。政権交代後、初めての演説であるので興味をもっていた。ところが、国会からの中継をしたのは一局だけであった。その時間、他の各局が何を放送していたかというと元アイドルの初公判である。それも裁判所の前から長時間にわたって中継で放送していた。これはおかしくないか。確かに「元アイドルの初公判」も話題にはなっているが、国会での総理の所信表明演説と比べて、どちらが国民にとって重要な案件であるかを考えたとき、その答えは一つだと思う。もう少し考えてほしい。
  • 「新型インフルエンザの『特効薬』と称する薬を服用して、自殺志願者が急死する」というストーリーのドラマが放送された。しかし、世界的大流行になっているインフルエンザを、オカルトドラマのネタにするのは不謹慎極まりないと思う。いくらドラマだからといっても、放送して良いストーリーと悪いストーリーがあるということを、制作者はしっかりと理解すべきだ。
  • ラジオ放送を聞いていると、「詳しい情報は番組のホームページでご覧ください」ということがよくある。だが、私の家にはパソコンがないので、そうした情報を得ることが出来ない。先日の放送でも「地震に対する備え」という話題を提供していたが、通り一遍のことを伝えた後、「詳しくは番組のホームページでご覧ください」と締めくくっていた。誰にとっても大切な「災害に対する備え」に関して、パソコンの有る・無しによる「情報格差」があってはいけないのではないか?何でもパソコンに頼るようでは、「ラジオ」は自らの役割を放棄しているとも受け取れる。 いろいろなことにランキングをつけて紹介する番組で、壮絶な闘病生活の末に亡くなられた方を紹介していました。当然この件もランキングされていました。しかし、闘病の結果亡くなられた方に順位をつける資格が誰にあるのですか。1位で紹介された方よりも、2位で紹介された方が劣っていたとでも言うのですか。遺族の方はランキングを付けられることを承知していたのでしょうか。人の死に方にランキングをつけるなんて、とても残酷なことだと思います。このような放送が許されるものなのでしょうか?
  • テレビで映画「おくりびと」を見ました。アカデミー賞を受賞した作品とのことで、想像通りの内容に涙して拝見しました。しかし、とても良い作品だとは思いましたが、この日に放送しなくても良いのではと思いました。今日は「敬老の日」です。家族で「おばあちゃん、いつまでも長生きしてね」と、お祝いした夜にこの映画です。もう少し日程を考えてほしかった。
  • 芸能人への罰ゲームとして、生きたサソリを使ったものがあった。使われたサソリは「ダイオウサソリ」という種類で、国内のペットショップでも売られている。当然サソリは毒を持っており、このサソリも例外ではない。番組内のテロップに「このサソリは毒の無いサソリです」と表示されていたが、これは間違いで、正しくは「毒性の弱いサソリ」である。弱いとはいえ刺されたら当然痛みを伴うし、体質や体調によっては危険である。「芸人達はそれを知りません」と、リアクションを面白がる趣旨のテロップが流れたのにはあきれた。もし、この番組を見た人がこのサソリを毒の無いサソリと認識し、他人にけしかけたらどうするつもりなのか?
  • よく「草食系男子」や「肉食系男子」などという言葉を聞くが、そもそも言葉の使い方として間違っている。そのような言葉の使い方で人間を分類するのはやめていただいきたい。
  • 人を豚になぞらえるという新コーナーが非常に不愉快だった。落語家が豚の格好をさせられていた。豚の鼻を付け、首にひものついた首輪のようなのを付けられて引き回されていた。本人も嫌がっていたが、一瞬、イラク戦争のアメリカ兵による捕虜の虐待写真を思い出してぞっとした。人権を無視した格好をさせ、まわりの人達が笑うという構図はとても理解できない。いくらバラエティー番組といっても、この様なことが平気でできるという神経が怖いと思った。
  • 「グラビアアイドルのブログが3ヵ月で2000万アクセス達成できなければ芸能界を強制引退させる」という内容の番組を見て、大変悲しい気持ちになった。番組と連動している彼女のブログには司会者が「豚肉そろそろ出荷されそうです」というタイトルをつけ、彼女もブログが注目されるように必死になっていた。掲載されている写真も、ひとつ間違えば人権蹂躙とも捉えられるものだ。制作者の悪趣味さに吐き気がする。公共の電波を使い、このような倫理観の欠落した番組を制作・放送するのは恥ずべきことだ。
  • コメンテーターがマイケル・ジャクソンの「This is it」という曲について、ポール・アンカとの著作権問題を取り上げ、落ちとして『「シロ」「クロ」つかず』とボードに書いて揶揄した。この番組は情報番組であるが、報道番組の側面もある。そういう番組でこのような「黒人差別」することは、人間として恥ずかしい。視聴者に失礼だ。
  • 先日自殺した音楽プロデューサーの追悼番組のような内容だった。その中で、パーソナリティーが故人のことを「生き方が格好良かった」と繰り返し賞賛していた。音楽業界で成功したことを指しているのだろうが、事故死や病死ならばともかく、自殺した者を指して「生き方が格好良かった」とは誉め方として不適切だ。「人生を全うすること」こそ「格好良い生き方」の最低条件ではないかと思う。
  • 医療ドラマで「口唇口蓋裂」を扱うシーンがあった。妊娠中のお母さんに胎児に疾患があることを伝えるために、手術前の写真や模型をアップで映していた。そして「奇形」という表現を使っていた。私は「口唇口蓋裂」の子供を持つ母だが、その場面には少なからずショックを受けた。もし、子供があの場面を見たならどう思うだろうか。決して見せたくはない。再放送が予定されているようなので、心配で胸の鼓動が止まらない。日本では500人に1人の割合で患者がいて、みな手術のことや精神面などで苦労しているのに、そのような人たちへの配慮がないと思った。
  • ラジオで「ファックスやEメールでお便りを募集します」と言うが、”お便り”が読み上げられることなんかほとんどない。採用しないのなら初めから募集しないで欲しい。 スポーツ選手を紹介するのに「イケメン」「美人」などという形容は必要ないと思う。純粋に結果で評価してほしい。他の多くの番組にも言えることだが、最近、人の容姿に関する言葉が多すぎる。「イケメンだと褒めているから良い」という問題ではない。近年、学校などでは容姿に対するいじめが多いと聞く。テレビ局もぜひ考慮願いたい。
  • 栃木県日光市の「霧降の滝」を訪れていたタレントが、滝つぼに下りる途中で、自生している”しいたけ”を摘み取っていた。「テレビ番組の中で自然界に自生している植物を摘み取る行為などとんでもない」と思い、放送局に抗議の電話をした。「環境省の了解は取ったのか」「この行為に関する局としての見解を教えてほしい」と聞いたところ、「了解を取ったかどうかは不明」「局の見解は答えられない」との回答だった。視聴者の疑問にきちんと答えられないのは、番組を制作した放送局として非常に無責任だと思う。 司会者が女性タレントに対して失礼なことを言い、それを番組のウリにしているのは分かるが、今日は「ち×こでビンタしたろか」と言い、それを笑っていた。編集された番組なのに、平気でそれを放送するということに恐ろしさすら感じる。この司会者は以前から問題行動が指摘されているが、番組を見ていると「今更、反省など必要ない」という気持ちすら感じる。番組としての自主的な取り組みを求めたい。こんな笑いはいらない。
  • ラジオの番組でベテラン女性歌手が酒席でのエピソードを話していた。彼女が同席した男性タレントに「裸になれ。チンチン見せろ」と言って追いかけ回したという話だったが、女性から男性へのセクハラである。男性が酒の席で女性に「オッパイ見せろ、性器を見せろ」などと言えば間違いなく問題になる。それを面白いエピソードとして番組で話すデリカシーのなさにあきれる。
  • ドラマの中で出演者が身につけていた洋服やアクセサリーを番組のホームページで紹介し、視聴者がすぐに買うことができるという番組が始まると新聞に出ていた。この記事は本当なのでしょうか。もし事実とすれば、放送局が公共の電波を使用して商品を販売するなど言語道断です。 お笑いコンビによる「お昼ごはん」というコントが放送された。内容は「コンビの片方が体に”低周波治療器”を装着し、体中にブルブルと震えを生じさせた状態でファストフード店に行く。そして昼食を注文するのだが、震えのせいで思うようにいかず大変な目に遭う」というものだった。しかし、何かの病気が原因で体に震えのある人は少なくない。今回のコントは”医療”そのものや、”震え”に悩む患者を愚弄するものだ。このような不適切な内容を放送した局に反省を求めたい。
  • ニュースやワイドショーでBGMを流すのは良いが、肝心のナレーションが聞こえなくなることが多い。最近ではボーカルが入っている曲を使用することが多いが、番組制作者は聞きづらいことを判っているのだろうか。
  • ワイドショーは亡くなった女優さんの老後の姿を放送するな。あんな哀れな姿は見たくないし、明らかにプライバシーの侵害だ。
  • ゴルフの試合中に選手が打ったボールをギャラリーの女性が拾って持ち帰ろうとしたアクシデントがあった。そのリポートの際、アナウンサーが「おばちゃんがボールを拾おうとしました」と、「おばちゃん」「おばちゃん」と連呼していた。これは局のベテランアナウンサーが女性を指すのに適切な言葉なのか。少なくとも私は聞いていて不愉快だった。普通に「女性」と呼べばいいと思った。
  • ドラマの中で学校の修学旅行で夜に教職員が飲酒しているシーンが放送された。昨今、そのようなことが行われて校長が処分されたり、PTAから指摘された教職員が学校を去ったなどの報道がされている。せっかく教育に真剣に取り組む良い先生や学校のドラマなのに残念だ。また、子供達に「先生達はやっぱりあんなことをしているんだ」と思われてしまう。なぜ、その配慮が出来なかったのか不思議だ。
  • 高校野球のエースピッチャーの日常生活を紹介する映像が流れた。彼は高校1年から3年の現在に至るまで日課として「学校のトイレ掃除」を自主的に行っているそうで、番組では彼が便器を清掃している姿を何度も何度もしつこく放送していた。しかし、いかに”善行”であっても、ここまで繰り返されると何だか嫌味に見えてきて、せっかくの彼の清々しいイメージが損なわれてしまう。「報道にやり過ぎは禁物」ということを、肝に銘じてほしい。
  • 長野県の町を歌手が訪ねた中で、撮影を嫌がるおばあさんを執拗に撮り続けていた。嫌がるのを面白がっているとしか思えない。無理矢理撮影し、それを放送してしまうのは人権侵害だ。画面に「おばあさんごめんなさい」とテロップを入れていたが、それで済む問題ではないと思う。
  • 「女性納棺師」の特集の中で、顔にはモザイク処理がされてはいたものの、死者の身体を放送していた。死体を放送することは、放送倫理上は問題ないのでしょうか?納棺師の仕事とはいえ、死体を見せられる視聴者としては疑問を感じました。
  • 局のエコプログラムを紹介する告知で、マイバッグを使わずにビニール袋をもらう人を「悪人」と表現していた。マイバッグを利用するのは良いことだと思うが、ビニール袋をそのまま捨てずにゴミ袋などとして再利用している私の様な人間まで「悪」とされているようで腹が立ちます。再利用している時点で、エコだと思います。
  • 番組表や番組予告の放送時間表示に「25:00」など、有り得ない時刻表現が目立つ。一日には「24:00」以上ないのだから、常識的にも変な表現である。時刻の把握がしづらい。例えば「火曜日25:59~」などと示されても「水曜日1:59~」と読み替えなければならず面倒である。私個人としては、このような表現は止めてもらいたいと思うのだが、一般的に違和感を覚える人はいないのだろうか。

【CM】

  • 携帯電話のゲームCMで、コンビニの店員に扮する芸人が、肉まんのコンセントを抜いて自分の携帯電話を充電するという内容が放送されている。もし、店長の許可なく勝手に店内のコンセントを使用して充電していたのであれば「窃盗罪」に該当すると思うし、売り物を保温する機材を稼働停止にしていれば、業務妨害になると思う。若い店員が真似をするのではないかと心配だ。犯罪を促すようなCMは放送しないでほしい。
  • 最近、宗教団体の布教アニメ映画のCMをよく見る。教祖が仏陀の生まれ変わりであるという非科学的な映画のCMをなぜ平気で放送できるのか。特定の宗教の布教活動にテレビが加担しても良いのか。

【BPOへの意見】

  • 朝の情報番組での偏向報道問題でBPOが改善の「勧告」をしたと報じられているが、BPOは勧告後の局の「改善」の検証をしているのか?視聴者から見ると、「勧告」にどの程度の効果があるのか疑問だ。「勧告」を出すことで視聴者のガス抜きをしたつもりなら大間違いだ。
  • 最近、BPOから報道番組に対する「勧告」が多いが、「報道の自由」の観点からすべきでないと思う。相対する双方の意見を対等に報道するように「指導」するに留めるべきだと思う。
  • テレビでBPOの告知スポットを度々見かけるが、視聴者意見の受付電話番号の表示時間が短く、覚え切れないうちに消えてしまう。視聴者のために、15秒間のスポットの間はずっと画面に出してもらいたい。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • タレント二人が行った「他人の髪を無断で切る」「運転免許証やクレジットカードなど、他人の持ち物を故意に破損させる」「凶暴な蛇を他人にけしかけ、噛ませて怪我をさせる」などという行動は、事前に出演者の同意があったとしても明らかな犯罪行為ではないか。気分が悪くなるばかりか、小さな子どもも見ている番組の中でこのようなことを平然と放送している放送局の倫理観に甚だ疑問を感じる。
  • 電話をしている芸人の髪を不意にバリカンで刈ったり、芸人宅に強引に宿泊した上に12万円の寿司を奢らせたり、無茶苦茶だ。挙句にタンスの引き出しを勝手に開け、コレクション品を持ち出して落書きしたり、寝室に業務用の炭火焼器具を勝手に持ち込んで焼き肉をしたりとやり放題だった。さらに、蛇を居間に放したり、奥様と一緒に布団に寝たり、トイレの壁にペンキで落書きをしたり・・・これはいたずらにしてもあまりにも度を越していて不愉快だ。「いじめ」の助長にも繋がる。このような番組は一刻も早く打ち切ってほしい。
  • 司会者のタレントが女性タレントに対し「クルクルパー」と暴言を吐いたり、出演しているのに「黙れ」「来るな」と命じたりしていた。女性タレントが泣き出してしまうと、司会者は「頭がおかしいだろ」と周囲に同意を求めていたが、まるで公開いじめを見させられているようで、不快極まりなかった。また、司会者は女性タレントの口に無理やりキャベツを押し込んでいたが、バラエティー番組といえど、明らかにやり過ぎであり、”楽しい番組”というよりは”いじめ”のように映った。また、別のタレントに対して「×××でビンタしてやろうか」と言った。伏字の部分は、男性性器である。公共の放送でこのような発言を流して良いのか?放送倫理上、問題ではないのか。司会者の酷い態度は見ていて不快である。
  • 少し前、ある有名女優の逮捕で、連日同じ内容の情報を時間が許す限り放送していた。マスコミはどんな問題を私たちの生活に落としていったか分かるか。小学1年生の息子が砂糖を見るだけで「覚せい剤」と口にするようになった。なにも知らない子どもが、テレビを通じて覚せい剤という存在を知り興味を持つこと、これこそが本当に怖い。私たちの日常に及ぼす影響をもっと敏感にとらえて放送してほしい。
  • 「女性っぽい男性を男らしい男性に変身させる」という企画があった。暴走族の特攻服をイメージさせるような、いわゆる「不良っぽい」「ガラの悪い」服装をしている人々を紹介し、女性っぽい男性をこれらの服装に変身させていた。だが、こんな「不良」を持ち上げるような放送をすべきではない。小学生や中学生がこの番組を見たら、このファッションを通して「不良」に憧れるかも知れないと思った。
  • タイトルに「衝撃映像」などと付けた番組が多く、障害を持った人を見世物のように扱っている。ネット上の動画サイトに対抗するかのように、テレビ番組がどんどんエスカレートしている。個人が自由にアップし見ることができる動画サイトは、「見る見ない」を自分で判断できるが、番組は一方的に流れてくる。特に番組宣伝は、食事中も子どもが見ている時間も見境なしに放送される。特別な障害を持った人を見世物のように扱うのは人権的に問題があるし、子どもが見たら映像が目に焼きついてパニック障害の原因になるかもしれない。

【性的表現について】

  • 民放で深夜に放送されているアニメは、どれも卑猥で性表現が過激である。実写では不可能な性描写やセリフを平気で放送している。深夜だから子どもが見ていないとは限らない。テレビで放送するアニメとして相応しくない。
  • 最近は青年、学生など自室にテレビがあるのが当たり前になり、深夜番組を見ている子も多い。深夜番組は少なからずアダルト関連を含む番組が多く、露出の多いタレント、アダルトを連想させる発言など、視聴者からすれば青少年に悪影響を及ぼしかねない番組が多いのが事実だ。「深夜だから子どもは見ていないだろう」という考えの甘さが伺える。深夜番組について考えるべきだ。

【いじめに関する意見】

  • 司会者のタレントの、相手に対する接し方を見ていると「いじめ」のような感じを受け腹ただしくなった。あの接し方は、子どもが学校でいじめをしているようで、テレビを見ている子どもが真似をするのではないかと思う。

【表現・演出に関する意見】

  • バラエティー番組で、いかにも自然の森のような所でニホンシカの赤ちゃんや真っ白な子うさぎを見つけていたが、自然界の動物が人間に簡単に近づくわけがない。これはヤラセではないのか。見ている子どもが、自然界の動物も簡単に飼育できると勘違いするだろう。きちんと「出演している動物は飼育されているものです」等の断りを入れるべきだ。

【危険行為に関する意見】

  • ゴムパッチンを放送するのはやめたほうがいい。子どもが悪ふざけで真似をした場合、失明などの大怪我をする危険がある。他のコーナーは科学や文化に興味が持てるように扱っているので、この番組自体は大変良いと思っているだけに残念だ。
  • 芸人が浜辺でかまどを作り中華鍋に油を入れて加熱し、2mほど離れた場所から食材を投げ入れていた。食材が鍋に入るとしぶきが上がり、かまどの火が油に引火し、辺り一面が火の海となった。小学5年生の子どもが「面白いなあ」と言ったので「そんなことするなよ」と忠告はしたが、例えばキャンプ等で親の目から離れた時に試したりしたら大変なことになるだろう。子どもが真似をしたくなるような内容は放送するべきではない。

【殺人シーンに関する意見】

  • 午後8時からサスペンスドラマを放送するのは視聴者への配慮に欠けていると思う。午後8時から9時台は食事をしている人も多く、食事中に人が殺される場面を見ると気分が悪くなる人もいる。また、子どもがまだ起きている時間なので、子どもが殺人の場面を見てしまう危険性もあり、教育上にもよくないし怖い思いをさせることにもなる。

【言葉に関する意見】

  • タレントの乱暴で下品な言葉遣いが非常に不愉快だった。先輩タレントに対しても横柄でタメ口をきき、私は小学校6年生の孫と見ていたが、孫が口調を真似しないかハラハラした。こんな無礼なタレントがテレビに出ていると、子どもに悪影響を与えることになる。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 幼い少女が殺人を犯すアニメが放送され、それを「自粛すべきだ」という意見があった。そもそも深夜に放送されるアニメ番組というのは青少年を対象としていない。故に「自粛すべきだ」とする意見は横暴ではないか。
  • 薬物関連の報道が「しつこい」という意見があるが、そうは思わない。「たった一度の薬物で、全てを失うことになる」ということを報道することは大事だ。薬物が手に入りやすい時代だからこそ、これらの話題を連日取り上げ、しつこくやることで、薬物の恐ろしさを教えることになる。夏休みにワイドショーでやったことは決して間違っていないと思う。

【CMに関する意見】

  • 最近、パチンコのCMが非常に多い。大人の娯楽としてパチンコが存在するのは構わないが、テレビで宣伝することには反対だ。そうしたCMは画像が美しく凝っている上に、流れるメロディーも覚えやすく、子どもたちが無意識のうちに口ずさむほどである。それらのCMでパチンコに対する抵抗感を子どものうちからなくし、将来のパチンコ愛好家予備軍を育てる作戦なのかとさえ思ってしまう。

【マナーに関する意見】

  • 芸能人が食べ物を食べる時の行儀が悪く、見ていて不愉快だ。大口で食べ物を頬張る程度であればともかく、開いた口の中の咀嚼しかけの食べ物をアップで映すのは公共の電波に乗せる内容として不適切だと思う。この番組は、食事の時間帯の放送であり、また子どももよく見る。食事中の視聴者が食欲をなくしたり、子どもが良くない食べ方を真似してしまうのではないかと思う。テレビでは、マナーのある食べ方をしてほしい。

第155回 放送と人権等権利に関する委員会

第155回 – 2009年11月

「拉致被害者家族からの訴え」事案の審理

「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の審理 ……など

「拉致被害者家族からの訴え」事案の審理が行われ、来月の委員会で当事者へのヒアリングを実施することが決まった。「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の実質審理が始まった。このほか、「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案で勧告を受けたTBSから「委員会決定に対する対応と取り組み」が提出され、事務局から報告した。

議事の詳細

日時
2009 年 11月17日(火) 午後4時~7時45分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、小山委員、坂井委員、武田委員、山田委員

「拉致被害者家族からの訴え」事案の審理

この事案は2009年4月24日深夜と5月29日深夜のテレビ朝日『朝まで生テレビ!』において、番組司会者・田原総一朗氏の発言に重大な人権侵害と放送倫理違反があったとして、拉致被害者の家族で組織する「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」から申立てがあったもの。田原氏は4月24日放送の上記番組で横田めぐみさんと有本恵子さんの名前を挙げ、「生きていないことは外務省も分かっている」などと発言した。
この日の委員会では先月に続き、 (1)田原氏の発言内容についてどう判断するか、(2)放送局側の対応と責任についてはどう考えるか、の2点を中心に各委員が意見を述べ、突っ込んだやり取りを交わした。この結果、来月の委員会で申立人、被申立人の双方に対するヒアリングを実施し、それぞれの主張について詳しく尋ねた上でさらに議論を深めることとなった。

「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の審理

この事案は本年7月17日のフジテレビ『FNNスーパーニュース』の放送内容をめぐって、宮城県の温泉旅館の女将が申し立てたもの。前回10月の委員会で審理入りが決まり、今月から審理を開始した。
放送は不況下での旅館の女将さんたちの奮闘ぶりを紹介したが、申立人は売り上げが伸びない旅館という負のイメージを視聴者に与え、温泉街も暗いシーンばかりが編集されるなど事実に反する内容だったとして、謝罪などを求めている。これに対してフジテレビは「当番組はニュース・報道番組であり、取材に基く事実を伝えたものです」と主張している。
委員会では、事務局が双方から提出された書面をもとにまとめた論点を説明した後、番組の趣旨と放送内容をめぐって意見を出し合った。
次回の委員会も審理を続ける。

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案でTBSから対応報告書

本事案で重大な放送倫理違反があったとして今年8月7日に勧告を受けたTBSは、「委員会決定」後の対応と取り組みをまとめ、通知から3か月後の11月6日に委員会に提出した。事務局からその内容について報告し了承された。

(TBSの報告内容は、ホームページの「放送人権委員会委員会決定第40号」にある「当該局の対応」の項をご参照下さい。)

「委員会決定」の通知・公表についての報告

(1) 「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案

10月30日に行われた上記事案の「委員会決定」の通知・公表について、事務局から、その概要とTBSをはじめとしたテレビの放送対応及び新聞記事の資料を配布し、報告を行った。またTBSが『みのもんたの朝ズバッ!』(当該番組)で決定内容の報告とお詫びを放送した同録DVDを視聴した。

(2) 「派遣法・登録型導入報道」事案

11月9日に行われた上記事案の通知・公表について、事務局から、その概要を次のとおり報告し、これを受けたテレビ各局の放送内容及び新聞記事をまとめた資料を配付した。

通知の席で今回の決定について申立人は、「派遣切りなど現状の雇用不安については、1985年の派遣法成立には何も問題がなかった。今日の事態を招くことになったのは、その後の99年の原則自由化、2004年の製造業への解禁などによる。自分たちの主張を認められなかったのは残念だ」と述べた。
これに対し堀野委員長は、「公の立場にある人への判断であり、本人にとってはきついものになったとは思う。しかし、決定についての批判・論争は大いにやって然るべきだと思う」と語り、委員会決定は決して一方的なものでなく、意見交換することが大切だとの考えを示した。

またこの決定を受け、当該番組のテレビ朝日・朝日放送の『サンデープロジェクト』は、11月15日の番組の最後の部分で、これについて約2分間伝えたが、委員会ではこの同録DVDを視聴した。

10 月の苦情概要

10 月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・ 5件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・ 77件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 事務局より下記のとおり報告し了承された。
    九州・沖縄地区のBPO加盟各社を対象に12月2日福岡で開かれる「放送人権委員会委員との意見交換会」への出席者が32社・86名となった。当日は放送人権委員会の活動と役割について堀野委員長が基調スピーチを行うほか、取材・放送に係わる人権や放送倫理上の問題について、各局報道・制作現場関係者と放送人権委員との間で討議を行う。
  • 次回委員会は12 月15 日(火)に開かれることになった。

以上

第32回 放送倫理検証委員会

第32回 – 2009年11月

最近のバラエティー番組に関する問題点

視聴者からの問い合わせにウソの説明をした民放局のバラエティー番組 …など

第32回放送倫理検証委員会は11月13日に開催され、民放連に対して11月17日に通知・公表を予定しているバラエティー番組の決定文案について詰めの意見調整を行った。
続いて、10月に放送された民放局のバラエティー番組で、当該局が視聴者からの問い合わせに対して、事実とは異なる説明をしていたことが判明した問題について議論した。その結果、当該局に事実関係についての質問書を出し、その回答をもとに改めて討議することにした。
事務局からは、BPO事例研究会の開催について説明があった。

議事の詳細

日時
2009年11月13日(金) 午後5時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、上滝委員長代行、小町谷委員長代行、石井委員、市川委員、里中委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

最近のバラエティー番組に関する問題点

最近のバラエティー番組に関する放送倫理上の問題点について、決定文案の詰めの作業として5回目の審議を行った。制作現場に届くことに配慮して、新たにカットを追加することや表現の手直しなど、若干の修正を行うことを決定した。
また、委員会の「意見」を実効あるものにするために、今後、民放連などとともに、シンポジウムの開催やブックレットの発行などを計画することとした。(11月17日に発表した意見書はこちらPDF)

視聴者からの問い合わせにウソの説明をした民放局のバラエティー番組

10月に放送された民放局のバラエティー番組で、町工場を経営するお笑いタレントAの父親が仕事で使用している研磨機に、別のお笑いタレントがAの運転免許証をかけて、一部を削ってしまうシーンが放送された。このシーンについて、視聴者から問い合わせがあった場合に、免許証は本物であるのに、美術品(小道具)であると回答するように指示が出され、実際にそのような対応がなされたことが当該局の説明文で判明した。討議の結果、当該局に対してどのような経過を経て、そうした対応になったかの事実関係を質問し、その回答を待って改めて討議することにした。

その他

連絡事項

事務局から、11月26日に全国の放送局を対象に「第1回BPO事例研究会」を開催し、2つのテーマのうち、「取材における事実確認のあり方」について小町谷委員長代行が報告することの紹介があった。

以上