第212回 放送と青少年に関する委員会

第212回-2019年3月26日

視聴者からの意見について…など

2019年3月26日、第212回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず2月16日から3月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
情報バラエティー番組で、青少年向けと見せかけ、暴力表現、性的内容が含まれているネット上の動画の問題を取り上げたことに対し、「動画映像を無加工のまま流すのは、子どもが見る時間帯の番組としては配慮がない」などの意見が寄せられました。これに対し、委員からは、「番組が取り上げた動画は、過激でなくマイルドな内容で配慮ができていた」「視聴者に注意喚起を促すという視点があった」などの意見が出されました。
3月の中高生モニターのリポートのテーマは「1年間で最も印象に残った番組について」でした。29人から報告がありました。
多くのモニターが、学校を舞台に教師が生徒を人質にするという内容の連続ドラマを挙げました。この番組ついては、「『お前の言葉ひとつで簡単に命を奪えるってことを忘れるな』というセリフでは、ネット中心の社会でぐっと抑えて考えを一回転させて新しい考えを導き出すことが大切ということがよくわかった」「毎回教師が送る熱いメッセージ、謎が深まる展開など視聴者を飽きさせず、次回が待ち遠しいと思わせる工夫があり、脚本がうまいと思った」などの意見が寄せられました。また、大みそか恒例の長時間音楽番組について、「歌の素晴らしさを改めて感じ、何度も泣いてしまった。これまでのこの番組で一番好きで、とてもよい年越しになった」、紀行バラエティー番組で、幻の陶器の再現を目指す陶芸家を追った回について、「この番組の面白さは、取材するディレクターの執念深さにあると思う。雑に取材するのではなく、ギリギリまで良いものを撮ってやろうという心が見える。これからも、その精神を忘れないで続けてほしい」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は4月23日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2019年3月26日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

ネット上の動画「エルサゲート」(著名なキャラクターを登場させ、青少年向けの動画を装っているが、そのほとんどに暴力や性的内容等が含まれている)を取り扱った情報バラエティー番組に対して、「動画映像を無加工のまま流すのは、子どもが見る時間帯の番組としては無配慮・無神経だ」といった意見が寄せられました。これに対し委員からは「番組が例として取り上げた動画は、過激ではなくマイルドな内容で配慮ができていたと思う」「視聴者に注意喚起を促すという視点があった」「ネット動画をテレビで放送する場合は、十分な配慮が必要だろう」との意見が出されました。
学校を舞台に教師がクラスの生徒を人質にする内容の連続ドラマについて、「校内犯罪や銃乱射をあおる内容だと思う。犯罪の温床にならないようにしてほしい」「教師が生徒たちを洗脳しているようにしか見えない」との意見が寄せられました。これに対して委員からは、「指摘の意見のような印象はなく、大きな仕掛けで社会的なテーマを扱ったドラマで心に響いた」「中高生モニターにおいても、子どもたちはテーマを理解し、称賛している意見が多い」との意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした3月のテーマは、「1年間で最も印象に残った番組について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で29人から報告がありました。
「1年間で最も印象に残った番組について」では、複数のモニターが報告した番組は2つあり、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ)を8人、『第69回紅白歌合戦』(NHK総合)を4人が取り上げています。
またラジオ番組を取り上げたモニターが2人いました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)と『R-1ぐらんぷり2019』(関西テレビ)を3人のモニターが取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【1年間で最も印象に残った番組について】

    • 『嵐の緊急会見』を取り上げたモニターが、彼らの言葉の選び方や伝え方がよかったことを評価し、「しっかり言葉を選んでいる感じがして、テレビにはこれが必要だと感じた」と書いているが、放送では伝えるための努力が常にされているということを意識してもらえたのではないかと思う。

    • 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ)についていくつもの報告が届き「毎回とても楽しみだった」「今の社会についての忠告がされていてとても心に響いた」などの感想が寄せられている。制作者がこのドラマを通して、一番メッセージを伝えたかったであろう青少年には、きちんと届いているのだな、と感じる。

    • 『クレイジージャーニー』(TBSテレビ)で、取材ディレクターの執念をキャッチしたモニターが、制作者の意気にも触れ「これからもその精神を忘れずに続けていってほしい」と励ましの言葉を寄せてくれている。

    • モニター活動を通じて視聴することになった夏の戦争関連番組などで「目を背けたくなるような事実もあったが、きちんと向き合うべきだと改めて思った」と述べたリポートがあった。当然のことではあるが、番組制作者たちも、「目を背けたくなるような事実であっても、目を向けさせる努力や工夫がもう少しできるのではないか」という心意気で挑んでほしい。

◆モニターからの報告◆

  • 【1年間で最も印象に残った番組について】

    • 『嵐の緊急会見』想定外の報告に驚いたのもあるが、嵐のメンバーの伝え方に感心した。変にピリピリもせず、視聴者にきちんと気持ちが伝わるのはすごいと思った。テレビでは視聴者と出演者が面と向かっているわけではないので気持ちが正確に伝わらないことが多々あるが、彼らはしっかり言葉を選んでいる感じがして、テレビにはこれが必要だ!と感じた。(東京・中学2年・女子)

    • 『アルコ&ピース D.C.GARAGE』(TBSラジオ)この番組が企画をやるときはリスナーもパーソナリティーも、時にはゲストもひとつの何かに向かって1時間走りきるような感じがします。ひとつの何かに向かう1時間のために、何人が起きていて同じ時間を共有できているのかと考えると、とてもわくわくしたし、様々な人たちとつながっている感じが強くてうれしかったです。リスナーの顔はもちろん見えないし、声も聞こえないけど、番組を通して、すぐそこにいて、同じ時間を過ごしているかのような楽しい雰囲気でした。この1年間でいちばん「ラジオっていいな」と強く思った瞬間です。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(読売テレビ/日本テレビ)「お前の言葉ひとつで簡単に命を奪えるってことを忘れるな!」というセリフでは、このネット中心の社会で、いったん気持ちをぐっと抑えて考えを一回転させ新しい考えを導き出すことが大切だとよくわかりました。先生の言葉から学ぶことがたくさんありました。(大阪・中学3年・女子)

    • 『クレイジージャーニー』(琉球放送/TBSテレビ)この番組ディレクターは本当に執念があると思う。この番組の面白さは、その執念深さにあると思う。雑に取材するのではなく、ギリギリまで良いものを撮ってやろうという心が見える。これからもその精神を忘れないで続けていってほしい。(沖縄・高校1年・男子)

    • 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(読売テレビ/日本テレビ)毎回、教師が送る熱いメッセージ、謎が深まる展開、そして生徒を自殺に追い込んだ真犯人の正体などなど、視聴者を飽きさせず「次回が待ち遠しい」と思わせる工夫が多々あり、脚本がうまいと思った。10代からの支持が厚かったと思う。若い人たちのテレビ離れがよく指摘されるが、工夫次第でたくさんの可能性が残されているような気がする。匿名性を利用し、実際には会ったこともない見ず知らずの人に言葉の暴力を浴びせて精神的に追い詰める現代のネット社会が抱える危うさを動画配信によって全ユーザーに訴えかけるシーンは、テレビの前の視聴者に問いかけているような演出で心に響いた。(兵庫・高校1年・男子)

    • 夏の戦争関連番組などでは、目を背けたくなるような事実もありましたが、きちんと向き合うべきだと改めて感じました。(東京・高校2年・女子)

    • 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(長崎国際テレビ/日本テレビ)ネットの中の間違った情報を信じて自分が不幸を被るならまだしも、それで人を傷つけたりなんてことあってはならないと思います。けれども大体の生徒は気にかけず自分の好きなように発言しています。僕もそうでした。しかし、テレビというメディアでとても多くの人たちにちょっと違う立場からその愚かさを伝えることで、普段ネットでたたくことを楽しんでる人たちに響いたのかなって思いました。まさに現代が必要としていたドラマだったのかなという感じがしました。(長崎・高校2年・男子)

    • 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ)こんなに考えさせられたドラマは初めてだと強く感じました。全10話、多くの視聴者が悩み、気付き、心揺さぶられたと思います。特に最終話は、現代の私たち若者の姿を映し出していると思いました。ドラマの中で主人公がSNSユーザーに向けた言葉は、まるでドラマの視聴者に向けた言葉のように受け取れました。特に印象に残ったのは「言葉は時として凶器になる。右に倣って吐いた何気ない一言が相手を深く傷つけるかもしれない。他人に同調するより、他人をけなすより、まず自分を律し磨き作っていくことが大切なのではないか」という言葉です。今の時代、匿名で、直接話をしたこともない誰かの心をSNSというツールでえぐることさえできてしまう。その行動は人を死に追いやることもある。自分はどうだろうかと考えることができました。SNS全盛のこの時代に放送されてよかったと思える作品でした。(山梨・高校2年・女子)

    • 『第69回紅白歌合戦』(NHK総合)歌の素晴らしさを改めて感じ、何度も泣いてしまいました。これまでの『紅白』の中で一番好きで、とてもよい年越しになりました。また今年の『紅白』も楽しみです。(東京・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • 芸能人の不祥事によってドラマなどが放送できなくなるという事態が増えていますが、そのようなとき、どうすればよいのかを報道を見ながら考えていました。確かに作品に罪はないし、共演者やスタッフの努力が無駄になってしまうと思うと心が痛みます。でもそのような問題の前に表舞台に立つ者として日頃の行いには気を付けてほしいです。(東京・高校3年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『R-1ぐらんぷり2019』(東海テレビ/関西テレビ)笑うはずのところで客席から悲鳴が上がるのはうるさいと感じたし、拍手が多すぎるのは不自然でした。ネタは面白いのに、会場の雰囲気のせいで面白さが半減している気がしました。芸人の真剣さがもっと伝わる会場でいいのではないかと思います。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『世界一受けたい授業』(日本テレビ)毎回、興味深い授業が放送されます。今回は、春の季節にありがちな体のトラブルやその改善法を説明していました。思わずテレビの前で実践してしまいました。(東京・高校2年・女子)

調査研究について

担当の中橋委員より、次期調査研究の方向性について提案があり、テーマは「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みに対する調査研究」に決まりました。

今後の予定について

  • 5月21日(火)に開催される、高知県の放送局と青少年委員会委員との意見交換会について、事務局より概要が説明されました。

以上

第211回 放送と青少年に関する委員会

第211回-2019年2月26日

視聴者からの意見について…など

2019年2月26日、第211回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
報道番組や情報番組において、高校教師による生徒への暴行動画が前後のやり取りも含めて流されたことについて、「暴力の加害者を擁護し、被害にあった生徒を叩くことはあってはならない」「これが今どきの高校生だという誤解を与える。"最近の若者は…"という思いしか伝わらず、少しやり過ぎだ」という意見が寄せられました。これに対し委員からは、「ネット上の動画の取り扱い、特に子どもや生徒が登場する場合は、課題があると思う」などの意見が出されました。
2月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たニュース・報道番組について」でした。29人から報告がありました。
モニターからは、「報道番組を見て思うのは、取り上げ方によって見るほうの考え方が左右されることの怖さです。ある高校で先生が生徒に暴力をふるった事件があったが、一連の流れの一部を流すと、見る側は先生が悪いと取る。その後、全容が流されたが、ここから本当に良いか悪いか議論できると思う」、夜のニュース情報番組について「野田市の少女虐待事件について、司会者やコメンテーターが、自分なりの推測をしていて疑問に思った。『推測』ではあるものの『事実』と捉えられるニュアンスの発言もあったので間違った認識をしてしまう可能性があると思った」、夜のニュース番組ついて「出演者の"内輪ノリ"もなく、あくまで『ニュースを伝える』ことに重点を置いている姿勢が伝わってきた。池江選手の白血病のニュースでは、本人の立場に寄り添い、温かく見守っているような印象を受けた」、1週間のニュースをランキングで紹介する番組について「ニュース番組はあまり意識して見るジャンルではないが、今、社会で何が起きているかちゃんと知るべきだと思った。この番組は短時間で1週間のニュースをだいたい知ることができるし、今さら聞けないニュースの用語もわかりやすく解説してくれるため、毎週見る習慣をつけようと思った」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は3月26日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2019年2月26日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

報道番組や情報番組において、高校教師による生徒への暴行動画が前後のやり取りも含めて放送されたことについて、「番組の出演者が、生徒側が挑発したと決めつける発言をした。事実確認が取れていない時点で生徒が悪いと決めつけるのは不適切だ」「暴力の加害者を擁護し、被害にあった生徒を叩くことはあってはならない」「これが今どきの高校生だという誤解を与える。"最近の若者は…"という思いしか伝わらず、少しやり過ぎだ」などといった意見が寄せられました。これに対し委員からは、「ネット上の動画の取り扱い、特に子どもや生徒が登場する場合は、課題があると思う」との意見が出されました。
情報番組において、高校生が自らの救急車による搬送場面をソーシャルメディア(SNS)に投稿していたというニュースについて、「緊急性の高い救急車内でこの行為はいかがなものかと批判的に取り上げているが、SNSで当事者の高校生が特定され、プライバシーがさらされてしまっている。番組がきっかけになったのではないか。本人の責任ではあるが、一人の青年の人生に何らかの影響を与えたかもしれず、SNSの扱いについて放送局は慎重になるべきだ」との意見が寄せられました。これに対し委員からは、「放送では個人が特定されないよう映像的な配慮はなされているが、テレビに出てしまうことによる影響の大きさを放送局側も意識するべきだ」との意見が出されました。
学校が舞台のバラエティー番組において、出演者が鉛筆の芯の原料は鉛と発言したことに対して、「鉛筆の芯は黒鉛で鉛を使うことはあり得ない。子どもも見る番組なのに作りがお粗末すぎる」との意見が寄せられました。これに対して委員からは、「正しくない知識を子どもたちに刷り込むのは良くない」「間違ったことを放送した場合は、訂正するべきではないか」との意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした2月のテーマは、「最近見たニュース・報道番組について」でした。また、「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で29人から報告がありました。
「最近見たニュース・報道番組について」では、全部で17番組について報告がありました。複数のモニターが取り上げた番組は6番組で、『news zero』(日本テレビ)と『報道ステーション』(テレビ朝日)を4人、『NHKニュース7』(NHK総合)と『めざましテレビ』(フジテレビ)を3人、『news every.』(日本テレビ)と『Mr.サンデー』(フジテレビ)をそれぞれ2人が取り上げていました。
また、「自由記述」を含め複数の報告が寄せられたトピックスがいくつかあり、アイドルグループの活動休止のニュースについては最多の4人から報告がありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』(日本テレビ)を5人のモニターが取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • ある情報番組で「占いのおもしろコーナーがあるので小学生に受けがいい。でも中学校だともっとニュースの多い番組を見ると思う」という報告があったが、子どもなりに、年齢による発達段階に応じて必要な情報があるということを指摘していて面白いと思った。

    • 中高生にとってテレビは、報道であれ、ドキュメンタリーであれ、楽しくて面白くてわかりやすいといことが評価の基準になっているようだと感じた。もちろん中高生なので、社会的なことに対する理解がまだ少ないのかなと思う半面、自分自身を振り返ると全く真逆で、報道番組は、世の中で起きている問題や暗いことも教えてくれるというところに意味があると思っていた。しかし、今の中高生にとっては、報道さえも「楽しい」ということがキーワードになっているのかもしれない。報道番組って今、何なんだろうということを考えながら読んでいた。

    • 全体についての印象だが、これまでは報道の公正・中立を求めるような意見が割とあったが、今回はそのような意見が見られず、時事問題ではない芸能的なニュースについての報告が多いように感じた。去年までとちょっと趣向が変わったと思いながら全体を見ていた。

    • もしかすると去年まではいろいろと批判的な報道などもあったが、今年はそのような伝え方が減ったという面があるのかもしれない。ある事象を淡々と伝えることはあっても、社会的・政治的に争点になっている問題について報じるニュースは、より神経質に、公平に、偏向をなくす方向に向かっているのかもしれない。

  • 【自由記述について】

    • ラジオで聴いたニュースが、テレビよりも詳しく解説され、細かい情報があって、いつも以上に興味を持ったという報告があった。ある意味、テレビは映像を伴うので映像に頼ってしまう部分があり、説明をはしょってしまう側面がある。しかし、説明をするということは、恐らくそのニュースの本質を報じる側がつかむわけで、映像に頼らない分、ラジオのほうが人の興味をひく説明になっているのかもしれず、これはテレビも考えないといけない課題かもしれない。

    • 今、テレビの演出として多いパネルショーについて指摘をしたモニターがいた。事件の概要などを説明する際に、わかりやすい演出ではあるが、人の顔写真をまるで記号のようにペタペタとあっちに貼ったり、こっちに貼ったりすることは「人をものとして扱っているようで嫌な気持ちになった」という感想だった。たしかに、わかりやすいということを主眼にしていくと、何気なく行ってしまう演出ではあるが、それはやはり少し無神経なのかもしれないというようなことを、この指摘を受けて考えた。

    • 「事件が不起訴になったとき、逮捕時に比べてあまり報道されないことが気になりました」という感想があった。逮捕されたということで社会的信用が落ちており、不起訴であるならば名誉を回復すべきではないか、という指摘だが、これも一つの問題提起だと感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • 『news every.』(日本テレビ)水泳の池江選手が白血病になったニュースについてです。これからの活躍を期待されている選手が「白血病」という病気になったことで「白血病」について関心が高まり、骨髄ドナー登録者が増加したり、白血病経験者の心のこもったコメントが公開され、影響の大きさに驚いた。(東京・中学2年・男子)

    • 『めざましテレビ』(フジテレビ)占いなどの面白いコーナーがあるので小学生には受けがいいと思った。中学生になると社会科などで時事問題があるのでもっとニュースの多い番組を見るようになるのかな、と思った。(新潟・中学2年・男子)

    • 『報道ステーション』(テレビ朝日)報道番組を見ていて思うのは、取り上げ方によって視聴者側の考え方が大きく左右されることの怖さです。ある高校で、教師が生徒に暴力をふるった事件がありました。一連の流れの一部分を放送すると視聴者は「教師が悪い」と受け取ります。私も最初はそう思いました。でもすぐに全容が報道されました。そこで教師が手をあげた理由もわかり、ここから初めて本当に良いか悪いかの議論ができます。その後、明石市長の暴言・パワハラ発言問題が出ました。しかし、問題部分の続きの市長の発言はほとんど報道されていない気がします。私は、その続きの部分こそ市長が本当に言いたかったことではないかと考え、あらためてニュースは全容を報道してほしいと思いました。(大阪・中学3年・女子)

    • 『Mr.サンデー』(フジテレビ)野田市の少女が虐待死した事件について連日報道されていますが、この番組では司会者やコメンテーターが自分なりの推測をしていて疑問に思いました。「推測」なのに「事実」ととらえられるようなニュアンスの発言もあったので、視聴者に間違えた認識をさせてしまう可能性があると思った。(東京・中学3年・女子)

    • 『NHKニュース7』(NHK総合)ニュースの伝え方で気づいたことは、厚生労働省の統計不正問題を伝える時の背景に、天気の薄暗い日の東京の街並みを空から映した映像が流れて、なんだか「暗黒の東京」のようなイメージが感じられたり、アメリカの大統領選挙の話題の中では、トランプ大統領の意見や考えが赤い文字や赤く縁取りされた書体の字幕で示されていたのが、印象的で面白いと思いました。ニュース番組を作っている人たちは、映像や字幕のデザインも、とても工夫しているのだと感じました。(福岡・中学3年・女子)

    • 『報道ステーション』(テレビ朝日)出演者の「内輪ノリ」のようなものもなく、あくまで「ニュースを伝える」ということに重点を置いているという姿勢が伝わってきた。水泳の池江選手の「白血病」について取り上げていたが、本人の立場に寄り添い、温かく見守ってあげているような印象を受けた。(兵庫・高校1年・男子)

    • 『報道特集』(TBSテレビ)私は、毎朝新聞を見ている。見るのは、興味がある経済欄と地方欄。私たちは、何か情報を得ようとするとき、本を読んだり、インターネットで調べたりする。これは、多くの情報を得られることにはつながるが、この情報収集は自分の常識、経験の範囲でしか行うことができない。何か、調べるときには必ず、「何かに役にたつはずだ」という意識が入っているからである。しかし、このようなやり方では知識の総量は増やせたとしても、知識の多様性・幅は増やせないと思う。そこで、意味をなすのが、ニュース番組だと思う。ニュース番組を見ていれば、興味がない情報も否が応でも強制的に入ってくる。そのような環境は意外と大事だと思う。現代では、このような興味のない情報が入ってくる機会はますます減っている。特にインターネットの世界ではソーシャルネットワークやリコメンド機能が発達し、個人に流れてくる情報がますます偏るようになっている。自分自身にあった情報を効率よく手に入れることができる。たしかに、それはとても便利だ。しかし、それは同時に問題でもあると思う。そればかりに頼りすぎてしまうと知識の幅や多様性がますます失われていくからだ。そして知識を広げようにも、そのことを知らないということを、知らないため、広げられない。そういう意味で、これからもニュース番組を見続けようと思った。そして、そのためにニュース番組のより一層の情報の普遍化、信頼性の向上に期待したい。(福井・高校1年・女子)

    • 『週刊まるわかりニュース』(NHK総合)ニュース番組はあまり意識して見るようなジャンルではないが、今、社会で何が起きているのかということをちゃんと知るべきだと思った。この番組なら30分という短時間で1週間のニュースをおおよそ知ることができるし、いまさら聞けないと思うようなニュースの用語などもわかりやすく解説してくれるので毎週見る習慣をつけたいと思った。(東京・高校2年・女子)

  • 【自由記述】

    • ラジオでニュースを聴いていて、テレビより詳しく解説されていたり細かい情報があったりして、いつも以上に興味がわきました。このように細かい情報のニュースは災害の時にラジオが大事だと言われる所以だと思いました。(岐阜・中学2年・女子)

    • 情報番組の虐待のニュースで、人の顔写真をまるで記号のようにフリップに貼ったりしていた。人をモノとして扱っているようで嫌な気持ちになった。(福岡・中学2年・男子)

    • 事件が不起訴になった時、逮捕された時に比べ、あまり報道されないことが気になりました。逮捕された、という報道がされることによって、その人の社会的信用は地に落ちてしまいます。いくら無罪と推定されていても、人は有罪だという目で見てしまうのです。そして、不起訴となったとしても、大きく報道されず、新聞の片隅に小さく掲載されるだけです。せめて逮捕時と同じくらいで、不起訴になったことを報道すべきだと思います。そうすることによって、少しでも社会復帰しやすい環境にすべきだと思います。(福井・高校1年・女子)

    • 朝の情報番組で衝撃映像を流すコーナーがあり、その時にとても緊迫感のあるBGMが流れるので、毎朝その音にビビッています。夕方のバラエティーなどならいいけど、朝からはやめてほしいと思います。(東京。高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』(日本テレビ)40年間も続いている番組なので私もよく見ています。一般の方々が協力して良いものを作り上げようとする姿勢に毎回驚くとともに、とても楽しく見ています。(東京・高校2年・女子)

    • 『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』(日本テレビ)今年も様々なアイデア作品が見られて面白かったです。来年はどんな作品が見られるのだろうと楽しみになる番組です。(山梨・高校2年・女子)

調査研究について

次期調査研究について、担当の中橋委員より、3月の委員会に今後の調査の方針を提案したい旨、報告がありました。

今後の予定について

  • 2月23日(土)昨年に引き続いて東京で開催された「学校の先生方との意見交換会」について、出席した委員から感想が述べられ、総括しました。また、2019年度の意見交換会について、事務局より説明がありました。

以上

第210回 放送と青少年に関する委員会

第210回-2019年1月22日

視聴者からの意見について…など

2019年1月22日、第210回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、6人の委員が出席しました。(1人の委員は所用のため欠席)
委員会では、まず12月1日から1月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
教師がクラスの生徒を人質にし、刺殺するシーンのある連続ドラマについて、「学園が舞台なので中高生も見る。悪影響が心配だ」「生徒をナイフで刺し殺すなど内容が過激だ」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「刺殺シーンに関しては映像的な配慮はなされていた」「ドラマとして出来栄えは良いので、次回以降を見守りたい」などの意見が出されました。
12月の中高生モニターのリポートのテーマは「年末年始に見た番組について」でした。31人から報告がありました。
モニターからは、大みそか恒例の音楽番組について「過去の映像から始まり、今までの時代を彩ってきた歌の数々に"平成最後"ということをしみじみと感じた。最も印象に残ったのは、最後のサザンオールスターズのステージだった。松任谷由実さんが一緒に歌っていた時に、この光景がどれだけ貴重なものかを実感した。歌の力は本当にあるんだなと感じた。毎年視聴者を飽きさせないための番組作りは大変だと思うが、次の放送も楽しみにしたい」「今年は今まで見た中で一番楽しめました。私は、ほとんどが知っている歌手や歌で飽きることがありませんが、お年寄りの方はどのように思うのか気になっていました。しかし、今年はどの世代も知っている歌手が多く出演していると感じ、年の瀬に相応しい家族全員が楽しめる内容だったと思います」、大みそかの長時間バラエティー番組について「年々、面白さの凄味が増しているように思う。その理由は、パターン化されたシチュエーションをさらに面白くできる芸人たちのクオリティだと思う。出演者は、長年一緒にやってきただけあって、その連携や笑いの連鎖の作り方は見事だ」、五代目三遊亭圓楽さんの生涯を描いたスペシャルドラマについて「圓楽さんのどんなに周りから妬まれようとひねくれることもなく、自分の思う落語を貫き通す姿、これは現代の人たちに不足している力だと思います。笑いで革命を起こすんだという発言に私はとても共感しました。笑いを取ることは簡単なことではなくリスクも伴うので、非常に頭を使わないと本当の笑いは取れない。その意味で芸人さんや名司会者など笑いを取れる方々を私は尊敬します」、などの意見が寄せらせました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は2月26日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2019年1月22日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

教師がクラスの生徒たちを監禁し、刺殺するシーンのある連続ドラマの初回放送について「学園が舞台で中高生も見ると思う。悪影響が心配だ」「生徒を暴行の上、殺害するのは、やり過ぎだ」「生徒をナイフで刺し殺すなどあまりに内容が過激だ」などといった意見が寄せられました。これに対し委員からは「シチュエーションとしては問題があるかもしれないが、刺殺シーンに関しては映像的な配慮はなされていた」「ドラマとしての出来栄えは良いので、次回以降も見て判断するべきだ」との意見が出されました。
バラエティー番組で、罰ゲームとしてお笑い芸人を遊園地内に設置した檻に閉じ込め、その姿を一般公開した企画について「子どもが似たような遊びを始めた場合、いじめにつながる」「視聴していた未成年者を思うと健全な倫理観を育めるとは思えない」といった意見が寄せられました。これに対し委員からは、「バラエティー番組としての許容範囲を著しく逸脱しているとは思えない」「遊園地に見物人が殺到することにまで想像力が至らなかった点については、番組担当者は反省するべきだ」との意見が出ました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした1月のテーマは、「年末年始に見た番組について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で31人から報告がありました。
「年末年始に見た番組について」では、ひとりで2つの番組を報告したモニターが2人おり、全部で19番組について報告がありました。今回、複数のモニターが取り上げた番組は4番組で、『第69回紅白歌合戦』(NHK総合)9人、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!年越しSP!絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!』(日本テレビ)5人、『古館トーキングヒストリー』(テレビ朝日)と『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(フジテレビ)にそれぞれ2人から報告がありました。
「自由記述」では、あるバラエティー番組が呼びかけたイベントが混乱をきたし中止になった騒動について意見を述べたモニターが2人いました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『関口宏の東京フレンドパーク 元日SP』(TBSテレビ)を3人、『ポツンと一軒家』(朝日放送)と『祝!50周年イヤー突入 サザエさんお正月スペシャル』(フジテレビ)を2人のモニターが取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【年末年始に見た番組について】

    • 年末年始の番組は「定番」が多く、お決まりの番組であるからかモニターたちの報告もなんとなく安定していてわかりやすくリポートされているという印象がある。

    • 『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!年越しSP!絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!』(日本テレビ)複数のモニターが、毎年放送が待ちきれないなどの表現で番組への期待感を表しているので、若い人たちにとっては大きな存在なのだろうと思う。しかし一方で視聴していてたまに嫌な気持ちになるとも言っている。つまり罰ゲームが痛々しいということらしいのだが、そこも含めてこの番組が面白いということなのだろう。

    • 『第69回紅白歌合戦』(NHK総合)大みそかの過ごし方の定番として見ている家庭が今もあるということがわかる。今回の「30年を振り返る特別感」をモニターたちも評価しているようだ。

    • ラジオの番組で「新しいパーソナリティーを発掘する」というコンセプトが気になって聴取したという報告があった。このようなキャッチーなコンセプトがあれば中学生をラジオがひきつけたりすることがあるのだと思い興味深い。

    • 今回のテーマでモニターたちの報告を読んで、多くの人が共通のものを見るということの意味を感じた。マンネリ化しているかもしれないが、みんなが見るということで一体感のようなものを持てることに意味がある。大勢の人が共感し合えるコンテンツがあるということは、それだけで価値のあることなのだと思う。

  • 【自由記述について】

    • 「番組制作スタッフの姿が番組内で映ることがよくあるが、裏方の人は表に出ずに番組を作る方がかっこいいと思う。作る人は作るプロに徹し、出演する人は演じるプロに徹している番組の方が、観ていて気持ちがいい」という意見があった。かつて80年代のテレビ論では、スタッフをテレビに出したことが新鮮だった。テレビは完璧なパッケージを見せるのではなく、進行形の過程を見せることがテレビだ、という風潮もあったが、時代は一回転して、それは古臭いというふうになってしまっている。

    • インターネットとテレビの共存について「インターネットコンテンツとの連携によりテレビはもっと面白くできる」という意見に感心した。

◆モニターからの報告◆

  • 【年末年始に見た番組について】

    • 『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!年越しSP!絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!』(テレビ新潟・日本テレビ)大みそかには毎年必ず「ガキ使」を見ます。毎年笑わせてくれるので、飽きることなく大みそかを幸せに過ごすことができています。ですが、やっぱり痛々しいです。たまに嫌な気分になることもあります。(新潟・中学1年・女子)

    • 『第69回紅白歌合戦』(NHK総合)毎年、リアタイ(リアルタイム視聴)しています。もちろん家族と一緒にです。この番組はどの年代の人も楽しめるようなところが多く、工夫されているなと感じました。また、NHKと言えば何となくお堅いイメージを持ってしまいますが、いくつかの歌の間にあるコーナーはとても面白く、しかも家族みんなで笑えたりする、教育的にも全然問題のない笑いがある良い番組だと思います。年末になると「紅白派」と「ガキ使派」に分かれますが、私はいつも「紅白派」です。紅白を見ないと年が越せないような、そんな大事な番組です。(東京・中学2年・女子)

    • 『三四郎のオールナイトニッポン 2019新春初笑いSP』(ニッポン放送)新しいパーソナリティーを発掘するというコンセプトが気になり聴きました。街から中継をするコーナーでは、生放送らしくドタバタしていて面白かったです。亥年とかけた中継企画だと言っているのに、思ったよりも関係ない、そんな深夜のゆるさが楽しかったです。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!年越しSP!絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!』(長崎国際テレビ・日本テレビ)今回も初めから終わりまでたっぷり笑って年を越すことができる内容だった。罰ゲームは少々痛々しいところもあるが、爽快感がある。タイキックでは新たな取り組みもあり、ドキドキしながら見ることができて一視聴者というよりはその世界の中に入れたように感じた。このように面白い企画が多い番組だが、毎年私が見ないコーナーがある。芸人同士のけんかのコーナーだが、この企画は体を張ることが多く、食べ物を粗末に扱ったりもしていて下品だと思う。大みそかなので中高生だけでなく小学生も夜更かしをして見ている人が多いと思う。もちろんこのコーナーを望んでいる人もいるだろうから、せめてもう少し遅い時間に放送してほしいと思う。(長崎・中学3年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!年越しSP!絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!』(日本テレビ)年々面白さの凄味が増しているように思う。正直、パッとしない特番が続く中でこれだけの存在感を発揮する理由を考えた。まずはパターン化されたシチュエーションをさらに面白くできる演者のクオリティ。長年一緒にやってきただけあって、その連携や笑いの連鎖の作り出しは見ものだ。もう一つはギリギリの笑いを活かしたダウンタウンスタイルの魅力だろう。笑いに特化した番組構成はさすがの一言で、この番組に勝てるものはないと感じた。(東京・中学3年・男子)

    • 『ETV特集 移住 50年目の乗船名簿』(NHK Eテレ)政府に主導されるがままブラジルに移住し、労働力を雇う金、日本に帰る金もないなかで、強い覚悟をもとに、森を切り開き、家族が増えてゆき、人生がだんだんと広がっていくその姿が心に迫りました。一方で成功することなく家族も知り合いもいない異郷の地で亡くなった人もいることに心打たれました。ただただ苦難と苦闘の日々を描くだけでなく人生の悲しみと喜びと様々な感情や人間模様を感じとれる番組の構成は素晴らしく感じた。また日本人ブラジル移住の話は以前から聞いていたがその後の生活の様子や人生を聞いたことは無く、一般の関心よりも先行したテーマを取り上げているこの番組(テーマ)は、もっと多くの人に見てもらえる時間帯や、NHKスペシャルなどで放送するべきだったのではないかと残念に感じた。(神奈川・中学3年・男子)

    • 『あけましてねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)4時間も生で見たとは思えないほど、あっという間に時間が過ぎた。今までの放送の総集編に併せ、出演者のその後や人形劇の裏側など、普段の放送だけでは知れないことも見られて、とても面白かった。特に印象に残ったことは、「LGBTのカップル」の放送回を見て、「自分はLGBTだったんだ。」と気づいた人達が、番組にお便りを送ってきたことだ。今の社会は、LGBTの人達に対して多少寛容にはなったが、一昔前の時代はそれを断固として認めようとはしなかった。差別した。そんな中、きっと誰かが勇気を出して声をあげたのだろう(誰かは知らないが)。その甲斐もあり、現在ではLGBTを認める方向へと世界が流れている。(ごく一部の保守的な人間は未だに「生産性がない」とか、「この人たちばかりになったら、国が潰れてしまう」などの思いやりのない言葉を投げ捨てているが)お便りを送ってきた人は、今回の放送を見てどれだけ勇気付けられただろうか。私たちがLGBTの人達のためにできることはなんだろう。そんなことも考えさせられた。また、視聴者からの意見では、良い意見(肯定的な意見)だけでなく、悪い意見(否定的な意見)も番組内で取り上げて、改善していく姿勢を示していたのはすごい。勇気がある。NHK深夜の看板番組になるのも時間の問題だ。(愛知・高校1年・男子)

    • お正月は家族みんなが集り、のんびりと過ごすことができる貴重な時間です。その時間を楽しく彩ってくれるテレビ。今は、趣味が細分化してきて、自分にあったものを見ようとすると、Youtubeやネット番組を見ることが多いです。しかし、家族そろって見るものとして、テレビ番組はやはり必要だな、と今回改めて感じました。年代、性別関係なくみんなが見て楽しむことができるものはとても貴重です。家族団欒の中心的役割をこれからも果たしてくれることを期待します。(福井・高校1年・女子)

    • 『第69回紅白歌合戦』(NHK総合)今回は、伝統と最先端を見たような気がしました。出演者の圧巻の歌声に、テレビにくぎ付けになりました。お年寄りから若者まで楽しめる番組ができていることに感心しました。やはりCMがないためにストレスなく見ることができるのは、NHKの強みだと感じました。(福岡・高校2年・女子)

    • 『第69回紅白歌合戦』(NHK総合)今回は平成最後の紅白ということもあってか、今までで一番盛大でかつ歌の力を感じた。オープニングは平成の紅白を振り返る「タイムトリップ」から始まる。もっとも印象に残ったのは、サザンオールスターズのステージだった。桑田佳祐さんと松任谷由実さんが一緒に歌っていたときに、一緒に見ていた母と叔母が「すごい!」と言っており、この光景がどれほど貴重なものなのかを実感した。今、日本で人気の歌はもちろん、日本の音楽シーンを引っ張ってきた曲たちの素晴らしさを改めて強く感じた。歌の力は本当にあると思えた。毎年、視聴者を飽きさせないための番組作りはとても大変なのだろうと思えた。次回の放送も楽しみにしていようと思った。(東京・高校2年・女子)

    • 『BS笑点ドラマスペシャル 五代目三遊亭圓楽』(BS日テレ)番組内で描かれていた圓楽さんのどんなに周りから妬まれようともひねくれることもなく、たんたんと自分の思う落語を貫き通す姿(これは私を含めて現代の一般人には不足している力だと思います)、圓楽さんを演じた方が言っていた「これからの日本に必要なのは笑いなのだ」という台詞など印象に残るものが多々ありましたが、私は笑いで革命を起こすんだというこの趣旨の発言に激しく共感しました。私は「笑い」の持つ意味は大きいと思います。人間の社会においては不可欠です。しかし、笑いを取るということはそんなに簡単なことではなくリスクも伴うので、非常に頭を使わないと本当の意味での笑いは取れません。そのような意味で芸人さんたちや名司会者さんたちや落語家さんたちをはじめとする笑いの取れる方々を私は尊敬します。人によってそのような仕事をくだらないなどといってみくだす方がいますが、そのような方々を中心として今一度笑いの持つ偉大な意味について考えていただきたいと思います。(埼玉・高校2年・男子)

    • 『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(北海道文化放送・フジテレビ)今話題の吉沢亮さんが出ていたこともあり、吉沢さんが好きなクラスメイトも見ていました。題名や内容より、好きな俳優が出ているからと見始める人は結構多いと思うし、見始めると「意外と面白いかも」という場合もあります。いわゆる食わず嫌いのような「見ず嫌い」のような傾向が若い人にはあるかもしれません。今回のドラマのように人気の俳優を起用し、宣伝すれば番組を見てくれる人も増えると思いました。(北海道・高校2年・女子)

    • 『第69回紅白歌合戦』(NHK総合)毎年、見ています。今回は、今まで見た中で一番楽しめました。豪華な出演者の皆さんにも驚きました。私は本当に飽きることがありませんでしたが、お年寄りがどのように思ったか気になりました。しかし今回は、どの世代の人も知っている歌手の方が多く出演されていると感じ、年の瀬にふさわしく家族全員が楽しめる内容だったと思います。(東京・高校3年・女子)

    • 独特なキャラを持つ滝沢カレンが、知ってそうで知らないことや間違った常識を専門家と1対1で学んでいく、それをバイきんぐ小峠、おぎやはぎ矢作らがスタジオでツッコミながら見るという内容。結論から言うとめちゃくちゃ面白かった!特に、具志堅用高さんからボクシングを学ぶパートでのやり取りは、具志堅さんの天然さも相まって一人で大笑いしてしまった…。こういった1対1で話を聞く形には、極端な言い方をすれば聞き手が見ている自分より頭が良いと話についていけなくなる、というデメリットがあると思っている(その分、学をつければ面白いと思えることも増えていくんだろうな)。そのデメリットが、滝沢カレンさんの分かったふりをしないで分からないことはその場で聞き返す、素直に話すキャラクターのおかげで、ほとんど消えていたように思えた。見ている人が分からないことは滝沢さんが先に突っ込んで聞いてくれるので安心して見ていられる。見ている側としては、置いていかれないというのはとても重要な要素の一つだと思った。また、お勉強バラエティーと名乗っているだけあって、笑いながらもいままで知らなかったことを意外と多く知ることができたのも良かった。また見たいと感じる番組でとても面白かった!(東京・高校3年・男子)

  • 【自由記述】

    • レーダー照射問題で韓国が公開した反論映像は、BGMを入れたり文字が出たりしてなんだか怪しく見えた。だから、ニュースで事実を伝えるときは、加工をしないほうがよいと思う。(福岡・中学2年・男子)

    • 最近、番組制作スタッフの姿が番組内で映ることがよくありますが、私は、裏方の人は表に出ずに番組を作る方がかっこいいと思います。番組を作る人は作るプロに徹し、出演する人は演じるプロに徹している番組の方が、観ていて気持ちがいいです。(福岡・中学3年・女子)

    • 平日午後の情報番組ではいつも、出演者がひとつの話題について何日にも渡り自分の想像で議論しています。時間の無駄だし、事実かどうかもわからないただのおしゃべりをわざわざ放送して何が楽しいのだろうと思います。その場にいるだれも事実を知らないのに長々と話す意味がわかりません。度が過ぎていると不愉快になることもあります。(宮崎・高校1年・女子)

    • 近年、インターネット・スマホの普及によりテレビ離れが進んでいると言われているが、私はそうではないと思う。むしろ共存の道を歩んでいると思う。例えば番組とSNSを連携させてより楽しめるようにしている番組もある。インターネットコンテンツとの連携を図ることで、テレビはもっと面白くできるのではないかと、私は思う。(沖縄・高校1年・男子)

    • 今YouTubeのliveを見ていたら、テレビに関する話が出てきたので紹介する。やはり最近は、テレビを見ない人が多いらしい。テレビではなくYouTubeを見る理由としては、前に戻って見られるから、らしい。(シークバーがあるから)テレビでは、面白かったところや聞き逃したところを巻き戻せない。その点は確かに私も不便さを感じたことはある。しかしそれによって、一瞬一瞬を聞き逃さないようにしようとして、より充実した娯楽になるのではないか。一長一短である。(愛知・高校1年・男子)

    • バラエティー番組の企画で遊園地に大勢の人が押しかけてしまった騒ぎについてですが、その放送を私も見ていて、まさかそのような事態になるとは思わず驚きました。テレビの影響の大きさに驚かされました。(東京・高校3年・女子)

    • この前、NHKで放送していた新春TV放談を見た。去年も見た気がする。テレビにかかわるさまざまな人が去年のテレビ業界はどうだったか、これからどうなるかを話し合うといった内容。テレビが好きな身としては、いろいろな番組の話が出てくるし内容のある議論も見ることができてとても面白かった。特に、ネットに比べてテレビはソフト(番組)を作ることは長けているがハードとして不便(見たい時に見られない、ワンタッチで早戻りできない、など)なので、それをネットに持ってくればもう一回爆発が起こせる、という意見があった。本当にそうだと思う。互いの良さを生かしながら、より良く面白く、より大勢の人がテレビに関心を持つようになればいいなと思った。(東京・高校3年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『祝!50周年イヤー突入 サザエさんお正月スペシャル』(フジテレビ)ほのぼのとした家族の日常になごみました。その一方で、番組全体を通し内容が平らで大きな面白さがないようにも感じました。(東京・中学2年・女子)

調査研究について

次期調査研究について、中橋雄委員が担当することに決まりました。

今後の予定について

  • 2月23日(土)東京で開催される第2回「学校の先生方との意見交換」について、進行案などについて検討しました。

以上

第209回 放送と青少年に関する委員会

第209回-2018年12月17日

視聴者からの意見について…など

2018年12月17日、第209回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず11月16日から11月30日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
中学生と教師の純愛をテーマとした連続ドラマについて、先月に引き続いて「教師と中学生の恋愛は合法なのか。違法なら違法行為を助長すると思う」「中学生と教師の恋愛観を正しいと思わせている。理解力の低い未成年が見たら、それが正しいと感じるのではないか」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「子どもが真似をするのではないか、実際の女性教師はこんなことしないという意見は、ドラマはメディアで作られたフィクションであることをどう認知するかの問題ではないだろうか」などの意見が出されました。
12月の中高生モニターのリポートのテーマは「指定するドキュメンタリー番組について」で、課題番組は今年度の日本民間放送連盟賞テレビ教養番組部門最優秀作品『拉致と言えなくて~寺越さん母子の55年~』(テレビ金沢制作)でした。28人から報告がありました。モニターからは、「拉致問題は、私にとってはずっと昔のことで全く知らないことであっても、今、知るべき問題だと思いました。拉致と言えないのはもどかしくもあるけれど、家族あってのことだと感じました。どれだけ月日がたっても、どこにいても家族の絆は強いと気づかされました」、「今回のドキュメンタリー番組の場合、家族である寺越友枝さんのみに密着していたため、彼女に寄り添った内容になっている。そして視聴者が彼女に共感するような構成で作られている。ドキュメンタリー番組を見るときは、自分自身が偏った視点で物事を見ていないか、考えるとともに、単なるニュースとは別物という認識で見る必要があると思った」、「拉致被害を含め国の問題がなかなか解決しない原因の一つに我々一般人の無関心さがあると考えます。私たち全員が『知った』段階で自分たちの問題としてとらえ、考えることができたら拉致のような悲しい事態を少しでも減らせるのではないかと思います」、「私は寺越武志さんの気持ちを深く考えました。子どもの頃に全く知らない国に連れてこられ、一生ここで暮らすかもしれない恐怖。そこから生きていこうとする武志さんは本当に素晴らしいと思いました」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は1月22日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年12月17日(火) 午後4時30分~午後6時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

男子中学生と女性教師の純愛がストーリーのドラマについて、今月も複数の意見が寄せられました。「中学生と教師の恋愛観を正しいと思わせている。理解力の低い未成年が見たら、それが正しいと感じてしまう」「同世代の子どもを持つ親からすれば男子中学生はママ活、女性教師は未成年淫行を思い起こさせても不思議ではない」「教師と中学生の恋愛は合法なのか。違法なら違法行為を助長すると思う」などの内容です。
これに対し委員からは「子どもが真似をするのではないか、実際の女性教師はこんなことしないという意見は、ドラマはメディアで作られたフィクションであるということをどう認知するかの問題ではないだろうか」「犯罪というのだったら、テレビドラマの中ではどんどん人を殺している。それは別にけしからんと言わないが、なぜこのドラマに関しては問題視されるのか不思議だ」などの意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした12月のテーマは、「指定するドキュメンタリー番組について」です。課題の番組は、2018年度民放連賞テレビ教養部門最優秀受賞作品『拉致と言えなくて~寺越さん母子の55年~』(テレビ金沢制作)でした。この番組は、中学生の時に能登半島沖で失踪した寺越武志さんと母・友枝さんの55年に及ぶ苦悩の日々を題材にしたドキュメンタリーで、数奇な運命に翻弄されてきた親子の軌跡と今を20年にわたって取材したものです。
全部で28人から報告がありました。
「指定するドキュメンタリー番組ついて」では、「新聞やニュース、本などで拉致問題に関する情報を得ようとすると難しいものが多く抵抗がある。しかしドキュメンタリーの場合は、自分が体験するように視聴でき抵抗なく番組を見ることができた」や「再現ドラマやイラストではなく実際の映像から被害者の気持ちが伝わってくる」などドキュメンタリーが持つ力を感じたという報告や、「ニュースではあまり取り上げられていないことでも、解決すべき、そして私たちが知るべき社会問題はまだまだある」という気づき、また「すぐにチャンネルを変えられてしまう深夜枠やゴールデン枠よりも視聴スタイルが習慣化されている朝の番組などでこのような現状を伝えてくれないだろうか。一人でも多くの人が問題の存在を知り、興味を向けることが解決の一歩になるのだから」という意見などが寄せられています。
また「自由記述」には、先日最終回を迎えたドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ)について「性別世代関係なく楽しめるので学校でも先生や生徒の間で話題になっている」、「学生ってこんなに楽しいの!?とびっくりしてしまうほど面白い」、「先生と生徒の恋愛(『中学聖日記』/TBSテレビ)や、ツッパリが出る番組(『今日から俺は!!』/日本テレビ)があってもいいのではないか。視聴者が楽しめるドラマのための必要な要素だと思う。あくまでもドラマの上での話と多くの人が理解している」など3人のモニターが好意的に受け止め、触れています。「青少年へのおすすめ番組」では『M-1グランプリ2018』(朝日放送)に8人が感想を寄せており、中高生の人気と関心の高さが伺えます。

◆委員の感想◆

  • 【指定するドキュメンタリー番組について】

    • 今回はリポートの文字量から見ても、それぞれの子たちが、番組をよく見て感じたことが多かったのかな、と思う。それだけよくできた番組で、メッセージがしっかりと伝わったということなのではないかと感じた。

    • ある意味、生まれてそれほど時間もたっていない10代の子どもたちが、歴史的な思いや経緯を知るというところに、ドキュメンタリー番組の価値を感じてくれているのだとわかった。

    • 自由記述やおすすめ番組の欄で、『M-1グランプリ2018』(朝日放送)や『今日から俺は!!』(日本テレビ)について複数から好意的な意見があった一方で、課題としたドキュメンタリー番組に対しては「重い感じ」とか、「メッセージ性があって影響を受けてしまうのではないか」という意見があった。このことから、彼らにとって、テレビを視聴するということの意味がどちらかというと娯楽、あるいはストレス解消や気晴らしなのだな、と感じる。ドキュメンタリー番組は重くて疲れるという感覚で見ているんだなという感じがあった。

  • 【自由記述について】

    • 『今日から俺は!!』(日本テレビ)についての記述がいくつかあったが、やはりドラマはこうでなくてはいけないな、と思わせてくれる作品だったのかもしれない。つまり、日常の閉塞感から離れさせてくれるだけの力がドラマにはあるということ。ドラマのパワーを感じる。

◆モニターからの報告◆

  • 【指定するドキュメンタリー番組について】

    • 今回の番組を見て思ったのですが、若い人はあまりドキュメンタリー番組を見ないけれど、このような良い番組があるのにもったいないと思いました。(東京・中学2年・女子)

    • 「拉致ってなんだろう?」少し幼い頃、ニュースを見ながらよく思っていました。この番組を見て考えたことが2つあります。ひとつめは他人事と考えてはいけないということです。同じ経験を僕はしていないからニュースとして見るけど、実際、人権に関わることであり、他人であってもよく考える必要があります。ふたつめは、せっかく家族と再会できたのに、日本に帰国できないということです。北朝鮮の代表として帰国し、日本語ではなく朝鮮語を話さないといけない。拉致されたとは言えない。本当にかわいそうです。(兵庫・中学2年・男子)

    • 私にとっては、ずっと昔のことで全く知らないことであっても、今、知るべき問題だと思いました。暗い話題は、本人も世間も忘れてしまいたいのだろうけれど、それでは今後につながりません。私たち若者が学ぶべきことは「拉致された」という事実だけでなく、その周りの人たちの気持ちでもあると思います。「拉致とはいえない」ことは、もどかしくもあるけれど、家族あってのことだと感じました。それはどれだけ月日が経っても、どこにいても、家族の絆は強いのだと気づかされました。拉致は良いことではないし、今も問題として残っているのに、私はあまり触れてこなかったことを後悔しています。知ることにより、問題を風化させないことはできます。関係者の高齢化が進んでいると聞いて、拉致問題も戦争と同じように伝えていくことが、若者やメディアの役割だと思いました。(岐阜・中学2年・女子)

    • この番組を見て、胸が痛くなりました。寺越さんは息子さんからの「無事」を知らせる手紙が届くまでどんな気持ちでいたのか、息子さんはなぜ北朝鮮から離れようとしないのか、などをよく考えさせられる内容でした。(宮城・中学2年・女子)

    • 番組を見た後、心が沈んで苦しい気持ちが離れませんでした。北朝鮮による拉致被害は、テレビで見たり、親から話を聞いてどのようなものか少しは知っていました。でも、今回の番組は、表にあまり出ない、でも、とても深刻な問題でした。寺越さん親子は、普通の生活を壊され、国という壁に邪魔されて、本音も話せず、両方の心のつかえが取れないまま。こういうパターンの拉致もあることを、もっと多くの日本の人に知ってもらいたいと思います。(大阪・中学3年・女子)

    • 拉致問題でイメージしていたのは、横田さんのような消息不明になっている人たちだったが、今回の寺越さんのように実際に生きていることがわかっていて、何度も会っているケースは初めて知りました。生存がわかっていないよりも良いことのように感じてしまうが、会えているのに日本に戻せない苦しみはとても大きく感じた。息子の武志さんは、日本より北朝鮮に住んでいる年数がはるかに長くなっているが、日本に帰りたいという気持ちを少なからず心の中に持っていると思う。お母さんが生きているうちに日本で暮らせる日が来てほしいと思いました。(東京・中学3年・女子)

    • 番組を視聴して、「拉致問題」に対する自分の見方や考え方が少し変わった。今までは問題解決のために被害者の家族が声を上げ、政府らと協力して日本に連れ戻すことができれば「解決」だと思っていた。しかし、必ずしもそうは言えない。番組で取り上げられていた被害者には、北朝鮮にも家族がいた。「拉致だ」と認定されれば、息子の生活はどうなるのか。北朝鮮で暮らす息子の幸せを守りたい。そんな母親の心情も描かれていて、自分なりに考えさせられるきっかけとなった。被害者の人生も、その家族の人生も、本来とは全く違うものにしてしまう「拉致問題」。これは人間の努力でなくせるものだとも思う。多くの悲しみを生むような過ちが二度と起こらないで欲しい。(兵庫・高校1年・男子)

    • ニュースや新聞の中で、「拉致」というワードにはよく触れます。しかし、拉致された方がどんな暮らしをしているのか、日本や朝鮮が拉致問題にどのように対処しているのか、ということはほとんど知りませんでした。新聞やニュース、本などで拉致問題に関する情報を得ようとすると、難しいものが多く、抵抗があります。しかしドキュメンタリー形式の場合、自分が体験するように番組を見ることができるので、内容がすんなりと入ってきます。そのため、ほとんど抵抗なく番組を見ることができました。その点でドキュメンタリー番組は、多くの人に難しい事柄を伝え、興味、関心を抱いてもらうことができるのではないか、と思いました。また、今回のドキュメンタリー番組の場合、拉致被害者の家族である寺越友枝さんのみに密着していたため、彼女に寄り添った内容になっています。そして視聴者が彼女に共感するような構成で作られています。だからこそ、考えるきっかけや自分の意見が生まれやすいというメリットがあります。しかし、そのような構成であることにより、視聴者は意見を誘導されてしまいます。また、拉致という問題も多面的にとらえることが難しくなります。だからこそ、ドキュメンタリー番組を見るときは、自分自身が偏った視点で物事を見ていないか、ということを考えるとともに、ドキュメンタリー番組の弊害を認識したうえで、単なるニュースとは別ものという認識で見る必要があると思いました。(福井・高校1年・女子)

    • 私は拉致被害を含め国の問題がなかなか解決しない原因の一つに我々一般人の無関心さがあると考えます。知った段階で自分のこととしてとらえず、他者は他者としてとらえてしまえば問題を解決することは極めて難しいはずです。まして我々は主権を持っているはずなのに結局国家に主権をほとんど譲渡しているようにもみえます。考えて行動する権利があるわけですからそれに対して関心を示さないというのはますます考えものです。逆に私たち全員が「知った」段階で自分たちの問題としてとらえ、考えることができたら拉致のような悲しい事態を少しでも減らせるのではないかと思います。日本からみて一番近い国のはずなのにこのような関係になってしまっていることが、私も非常に残念です…。一人一人が正しく「知る」ことによって少しでも状況が改善されることを願ってやみません。(埼玉・高校2年・男子)

    • 現在も続く日朝関係の問題。国同士の問題という大きい規模で、国民一人一人には直接影響がないにも関わらず、子どもながらに北朝鮮に拉致されてしまった方がたくさんいらっしゃることは、一言では言い表せないほどつらいものがありました。突然、消えてしまった息子からの手紙から始まった「拉致問題」。寺越さんから見て、生き別れた子どもと再会できたことは、嬉しくもあり、日本というふるさとに簡単に帰ってくることができない、一緒に暮らすこともできないという状況は受け入れがたいものだと思います。私は武志さんの気持ちを深く考えました。子どもの頃に全く知らない国に連れ去られ、一生そこで暮さねばならない恐怖。そこから生きていこうとする武志さんは本当に素晴らしいと思いました。世界情勢が目まぐるしく変化する中、私たちは一人一人が人権を持つことを改めて考え、見つめなおすべきだと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 拉致のドキュメンタリー番組を見たのは初めてでした。ニュースでも話題になっているのは知っていましたが、大きな問題だとは思っていませんでした。再現ドラマやイラスト、文字ではなく、実際に撮影された映像、そして被害者の気持ちが、私たちにも伝わってくるような番組だったと思います。ニュースでは見ることができない本音や、他人に考えてほしいことを取り上げるのがドキュメンタリー番組だと思います。たくさんの若い世代の人たちに見てもらうべきだと思いました。(北海道・高校2年・女子)

    • ニュース番組での特集やドキュメンタリー番組を見ると、いつも自分がいかに日本の社会問題の現状を知らないかを痛感する。今回見た番組も強烈にそう思ったドキュメンタリー番組だった。武志さんが帰国し、日本人として日本で生活を送る日は果たしてくるのだろうか、と途方に暮れた。さらに武志さんの母親・友枝さんもかなり厳しい境遇の中を生きていると思った。息子ともう一度日本で普通の生活を送りたいという一心で拉致されてからの人生を過ごしてきたのだろうと思う。「拉致と言えなくて」というタイトルの意味を理解した時に「拉致問題はなんて複雑で厳しい問題なのだろう」と気づかされた。事件が起きた当時の映像や、長年、寺越さん親子を取材してきた岡本記者の取材映像、岡本記者自身の言葉からも、拉致問題は今も続いていて、早く解決しなければならない社会問題だという思いが強く伝わってきた。最近はあまりニュースで取り上げられていないことでも、解決すべき、そして私たちが知るべき社会問題はまだまだ多いと思う。私もこれからもドキュメンタリー番組を見続けていこうと思った。(東京・高校2年・女子)

    • 事前情報はゼロだが、やや重そうなタイトルに少しビビる。見終わっても、感想がすぐに出てこない。この番組を見て、拉致問題について自分はほとんど知らなかったんだと思い知らされた。なんとなく問題があることは知っていて、最近は何人か被害者が帰ってきているので、解決に進んでいるんだとばかり思っていた。でも実際は、多くの人が苦しみ戦いながら先の見えない中で、必死にこの問題に立ち向かっているんだと初めて知った。武志さん失踪当時の映像・写真から、かなり前からある問題だったんだと感じた。1963年と数字で表されるよりも、映像・写真のほうが直感的にわかる。8月の戦争関連の番組をリポートした時と似たような意見になってしまうが、自分のようにこの問題をよく知らない人もたくさんいるはずだ。すぐにチャンネルを変えられる深夜枠やゴールデン枠よりも、見ることが習慣化されている朝の番組などで、このような現状を伝えてくれないだろうか。10分弱のコーナーで一週間だけでもいい。一人でも多くの人が知り、その問題に興味を向けることが、問題解決の一歩になるのだから。(東京・高校3年・男子)

  • 【自由記述】

    • 『今日から俺は!!』(テレビ新潟/日本テレビ)性別世代関係なく楽しめるので学校でも先生や生徒の間で話題になっています。(新潟・中学1年・女子)

    • VTR中心の番組で、スタジオでのトークがほぼ宣伝なのは、見ていてよい気持ちになりません。番組を面白くするためのゲストなのか、宣伝をするための番組なのか分からなくなります。それに「宣伝なしのゲスト」ということをわざわざアピールする必要はないと思うし、しないで欲しいです。(岐阜・中学2年・女子)

    • 先月のあるモニターの意見で「他局の番組の疑惑を話題にして視聴率を稼ごうとするのは見ている側もよい気持ちはしない」とありました。私も同感です。このような問題があったからこそ、1つの局を責めるのではなく、一度すべてのメディアが自身のことを見つめる機会も必要だと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 先月のモニターの意見を読んで先生と生徒の恋愛やツッパリがでる番組があってもいいのではないかと思った。他のモニターの方が述べていたように新鮮さを感じたり、俳優の演技が面白かったり、視聴者が楽しめるドラマのために必要な要素だと思う。あくまでもドラマの上での話と多くの人が理解していると思うので、そこまで厳しく批判するほどでもないのではないかと思った。(東京・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『M-1グランプリ2018』(名古屋テレビ/朝日放送)毎年、楽しみにしています。ただただ笑えるのは、やっぱり漫才だと思うし、ほんの数時間でスターが生まれるのはこの番組ならではだと思います。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『M-1グランプリ2018』(九州朝日放送/朝日放送)優勝者の発表の仕方をもっとハラハラするようにしてほしかった。出演者も視聴者もそう考えただろう。(福岡・中学2年・男子)

    • 『家事ヤロウ!!!スペシャル』(テレビ朝日)初めて見る番組。たくさんの芸能人の家にカメラを置いてそれをまとめて見ていくというのは、今までにありそうでなかった形で面白かった。通常は深夜放送ということで、時間が合えば見てみようと思えるスペシャルだった。(東京・高校3年・男子)

調査研究について

2017年度調査報告書「青少年のテレビ・ラジオに対する行動・意識の関連要因に関する横断的検討―『青少年のメディア利用に関する調査』―」は、間もなく完成し、BPOのウェブサイトに掲載予定であることが報告されました。

今後の予定について

  • 2019年2月23日(土)東京で開催される第2回「学校の先生方との意見交換」について、テーマ案を検討しました。

以上

第208回 放送と青少年に関する委員会

第208回-2018年11月27日

視聴者からの意見について…など

2018年11月27日、第208回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、5人の委員が出席しました。(2人の委員は所用により欠席)
委員会では、まず10月16日から11月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
中学生と教師の純愛をテーマとした連続ドラマについて、先月に続いて「教師と生徒の恋愛は道徳的に問題がある。同世代の子どもを持つ身としては不愉快だ」「大人の女性と未成年、それも中学生男子がキスするようなドラマを放送してよいのか。淫行を奨励しているようなものではないか」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「一方的に教師が未成熟な子どもを騙したり脅したりして性的な興味の対象として扱っているわけではない。条例違反などに関しては法務チェックを受けた上でつくっているのではないか」などの意見が出されました。
11月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たドラマについて」で、31人から報告がありました。モニターからは、中学生と教師の純愛をテーマにしたドラマについて「よくある恋愛ドラマとは違い、先生と生徒の恋愛なので、くっついてはいけない間柄という点からハラハラして見ている。主人公の俳優の表情やしぐさの演技が上手だと感心した」、ネットメディアの虚偽ニュースをテーマにしたドラマについて「複数のことがストーリーの展開とともに結びつき、真相が明らかになっていく構成が、緊張感があり、面白かった。メディアから発信される情報をうのみにするのではなく、目の前の情報が誤り(フェイク)でないか受け取る側もしっかり意識しなければならないと感じた」、ツッパリの高校生たちが織り成す学園ドラマについて「80年代をテーマにしていて私たち10代には新鮮で面白い。今のドラマに珍しく大量の流血シーンに驚いた。このドラマの暴力シーンはありだと思うが、コンプライアンスが厳しい世の中で良い悪いの基準がわからないな、と思った」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は12月17日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年11月27日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員

視聴者からの意見について

男子中学生と女性教師の純愛がストーリーのドラマについて、先月に引き続き「教師と生徒の恋愛は道徳的に問題がある。同年代の子どもを持つ身としては不愉快」「青少年に悪影響しかないストーリーをなぜわざわざドラマにするのか」「男子生徒が女性教師に抱きついたり、キスしたりと現実にあったら犯罪だ」などとの意見が寄せられました。
これに対し委員からは「淫行に関する条例は自治体毎に定めているが、一般的に、青少年に対する性行為等一般を対象とするのではなく、青少年を誘惑し、威迫し、または困惑させるなどの青少年の未成熟に乗じた不当な手段を用いての性交等や青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象としか扱っていないような性交等を対象としていると考えられている。このドラマの制作者側はそこの要件を検討した上で、ストーリーを作っているのではないか」「一方的に教師が未成熟な子どもを騙したり脅したりして性的な興味の対象として扱うというストーリーではない。条例違反などに関しては法務チェックを受けた上でつくっているのではないか」との意見が出されました。
この件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした11月のテーマは、「最近見たドラマについて」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で31人から報告がありました。
「最近見たドラマについて」では、ひとりで2つの番組を報告したモニターがおり、全部で32番組について報告がありました。
複数のモニターが取り上げたドラマあり、『今日から俺は!!』(日本テレビ)を6人、『中学聖日記』(TBSテレビ)を5人、『フェイクニュース』(NHK総合)を3人、『ドロ刑-警視庁捜査三課-』(日本テレビ)、『獣になれない私たち』(日本テレビ)、『SUITS/スーツ』(フジテレビ)、『僕らは奇跡でできている』(関西テレビ)にそれぞれ2人ずつから報告がありました。
『中学聖日記』や『今日から俺は!!』などは、これまでに批判的な視聴者意見が寄せられることもありましたが、「よくある恋愛ドラマとは違い先生と生徒の恋愛なのでハラハラドキドキしてみている。周りの友達もたくさん見ているので、次の日はその話で盛り上がる」「中学生ならではのもどかしさや、反抗期の親への思い、友人関係など同世代が共感できる内容で心情描写が上手でおもしろい」「批判も多いようだが、このドラマを見ているとどんなに完璧に見えてもそれぞれ問題を抱えながら懸命に生きているという当たり前のことに気付かされる」(『中学聖日記』)や「俳優たちは脚本にとらわれない自由な演技をしている」「難しいことを考えずに、見ているだけで面白い」(『今日から俺は!!』)など、モニターからの意見はどれも好意的で、10代ならではの感性と視点で視聴されている様子がうかがえます。
「自由記述」などで、BPOが報告書を求めたことが報じられた『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ)について、7人のモニターが意見を述べています。「今回のことを問題だとは思わないが、視聴者の信頼を失うことのない番組作りをしてほしい」という番組への意見や「今回の疑惑を何度も取り上げている放送局があり違和感を抱いた。他局の疑惑を話題にして視聴率を稼ぐのは見ている側もいい気持ちはしない」という話題の報じ方への批判的な感想などがありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ウワサの保護者会』(NHK Eテレ)を3人、『くりぃむしちゅーの!THE レジェンド』(日本テレビ)と『UTAGE!』(TBSテレビ)を2人のモニターが取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『今日から俺は!!』(日本テレビ)についての感想が多かった。最近の若い子たちはヤンキーっぽいものが好きだという研究結果を見たが、あそこまで過激に表現すれば、子どもたちもギャグとして受け止め楽しんでいるのだとわかった。

    • 『今日から俺は!!』(日本テレビ)「俳優たちは脚本にとらわれない自由な演技をしている」と評価しているモニターがいる。完璧に作りこまれたドラマよりも自由に作られていることに新しさを感じているのかもしれない。

    • 『中学聖日記』(TBSテレビ)「よくある恋愛ドラマとは違い先生と生徒の恋愛なのでハラハラドキドキしてみている。周りの友達もたくさん見ているので、次の日はその話で盛り上がる」との報告があった。テレビを見て、次の日学校で盛り上がるような光景は最近なくなっていると言われていたが、こういうことが今でもあるということを、制作者の側にも伝えたい。

    • 『中学聖日記』(TBSテレビ)「中学生ならではのもどかしさや、反抗期の親の思い、友人関係など」同世代ということで共感できるようなところがあるのかなと思った。やはり大人の見方と違うのかなと感じた。

    • 『僕らは奇跡でできている』(関西テレビ)は、わりと大人向きのドラマだと思っていたが、10代の彼らも、意図をよく読み取って見ていることがわかる。中学生にも支持されているところがおもしろい。

    • 『獣になれない私たち』(日本テレビ)は、中学生には難しいドラマだと勝手に思っていたが、これをおもしろいと感じ、かなり深く読み取れるというのは、今の中学生の子たちのメディアリテラシーの高さがうかがえると思う。

    • 今月は録画視聴をしたという報告が多かった。やはりドラマをしっかり見ようと思うときには録画をして視聴するのだと感じた。反対に言うとリアルタイムでの視聴は、親と一緒に見るなどの特徴があるのかなとも思った。

  • 【自由記述について】

    • 「バラエティー番組などでCMに入る前に、意外な展開が!?と言っているけど、CM後そんなに大したことはないことが多い」という、いわゆるあおりについての意見がある。同様の意見はたびたびあるが、私もこのあおりは何とかしてほしいと思っている。あおりを楽しみにして、結局裏切られると、「今度はだまされないぞ」と視聴者は思ってしまいかえって逆効果なのではないだろうか。

    • 「LGBTがドラマなどで描かれることが多くなり、多様な性を認める社会の実現にむけてテレビが役割をしっかり果たしている」という意見があった。最近は、中学高校でも、学校教育の中で性的少数者を扱うことが多いらしく、性の多様性への着目は、今の中高生の視点だと言えるのかもしれない。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『今日から俺は!!』(テレビ新潟/日本テレビ)ギャグ要素が強いドラマなので、難しく考えることもなく、ただ見ているだけで笑ってしまいます。(新潟・中学1年・女子)

    • 『僕らは奇跡でできている』(新潟総合テレビ/関西テレビ)主人公が人とは違う考えで、違うことを思っている。現代人は自分の好きなことだけをして生きていけないと思っているが、主人公のような生き方もできるんだと気づかせてくれるとてもよいドラマだと思う。(新潟・中学2年・男子)

    • 『僕らは奇跡でできている』(テレビ長崎/関西テレビ)家族で楽しめるドラマです。この番組をきっかけに自分の興味を深めようとする人が増えていくのではないかと思います。(長崎・中学3年・女子)

    • 『中学聖日記』(TBSテレビ)よくある恋愛ドラマとは違い先生と生徒の恋愛なのでハラハラドキドキしてみています。周りの友達もたくさん見ているので、次の日はその話で盛り上がります。主人公を演じる岡田くんの表情やしぐさの演技が上手だなと感心します。(東京・中学3年・女子)

    • 『今日から俺は!!』(日本テレビ)監督は福田雄一さんで、始まる前から面白い予感はありましたが、案の定、面白いです。腹を抱えて笑いました。俳優たちは脚本にとらわれない自由な演技をしています。これからも"福田組"から目が離せない。(東京・中学3年・男子)

    • 『中学聖日記』(TBSテレビ)男子中学生の中学生ならではのもどかしさや、反抗期の親への思い、友人関係など、同世代の私からも共感できるような内容であり、心情描写が上手でおもしろいと感じていた。さらに印象的だったのはLGBTの人物が登場してくること。ドラマ内では主人公の婚約者の上司役であるが、大企業の立場ある人間との設定でLGBTの人物が登場してくることは、多様な性を容認する社会の実現のために、テレビが良い役割をしていると感じた。(神奈川・中学3年・男子)

    • 『中学聖日記』(TBSテレビ)教師と生徒の許されない恋の物語で、とても興味を惹かれました。世の中の人は、こういう恋や不倫を、自分には関係ないと思って、報道された人たちを傷つける言葉をSNSにのせたりもしますが、本当に他人事だろうかと思わされます。そして、無関係な人たちが介入するのはおかしいと思います。「このような恋愛を肯定しているからそう考える」わけではないですが、よく思っています。(宮崎・高校1年・女子)

    • 『フェイクニュース』(NHK総合)複数のことがストーリーの展開とともに次第に結びつき、真相が明らかになっていくという構成が、緊張感もあり、面白かった。メディアから発信される情報を鵜呑みにするのではなく、正しい情報とは何か、目の前の情報が誤りではないか、受け取る側の私たちもしっかり意識しなくてはならないと感じる。(兵庫・高校1年・男子)

    • 『中学聖日記』(TBSテレビ)センセーショナルな内容で、SNSなどでは批判も多いですが、私は毎回楽しみにして見ています。このドラマを見ていると、どんなに完璧に見えても、大人も子どももいろんな問題をそれぞれ抱えながら懸命に生きているのだという当たり前のことに気づかされます。周りの素晴らしい尊敬できる人を見ていると、自分の嫌なところばかりに目が行ってしまいますが、そのようなところも受け入れて、頑張ろう、そう思えるような活力を与えてくれます。また、登場人物のそのような懸命な葛藤、一生懸命さが愛おしいとも思えます。(福井・高校1年・女子)

    • 『今日から俺は!!』(日本テレビ)1980年代をテーマにしていて、私たち10代には新鮮で面白いです。母とみていて話題になったのは暴力シーンについてです。今のドラマには珍しい大量の流血に驚きました。私はこのドラマの流血シーンはありだと思うのですが、コンプライアンスが厳しい世の中で良い悪いの基準がわからないなと思いました。(東京・高校3年・女子)

    • 『ドロ刑-警視庁捜査三課-』(日本テレビ)特別理解するのが難しいシーンや暴力的なシーンもなく、土曜日の夜にゆっくり見るには適したドラマだなと思った。終わって歯磨いて11時半に寝たくなる感じのドラマ。そして最後にはしっかり感動のオチがあり、絶妙なタイミングでエンディング曲が流れて終わる。このまとめ方がうまいのなんの…。ホームランを打つわけでもなく三球三振するわけでもなく、しっかりと一塁打を打ち続けるもはや職人芸のような土曜10時枠の安定感。(東京・高校3年・男子)

  • 【自由記述】

    • バラエティー番組などで、CMに入る前に「意外な展開が!?」とか言ってるけど、CM後、たいしたことはないってことが多いです。(兵庫・中学2年・男子)

    • 民放では、芸能人だけでなく、テレビ局のアナウンサーやキャスターまでもが、番組の中でお互いのことを「ちゃん」付けで呼んでいるのを時々目にします。母から「あれは放送業界の習慣だ」と聞きましたが、視聴者から見ると、アナウンサーやキャスターが幼稚に見えてみっともなく、不快です。(福岡・中学3年・女子)

    • 最近はLGBTなどがドラマなどで描かれることが多くなったような気がする。いわゆるおねえと呼ばれるトランスジェンダーの人がバラエティーに出ることは多かったが、レズやゲイ、バイセクシャルについてもテレビで取り上げられることは、多様な性を認める社会の実現のための印象的なことのひとつに感じ、テレビが持つ役割をしっかりと果たしているように思えた。(神奈川・中学3年・男子)

    • 『世界の果てまでイッテQ』の祭り企画のやらせ疑惑が報道されたことについて、ある放送局が何度も取り上げていて疑問を抱きました。他局の疑惑を話題にして視聴率を稼ぐのは見ている側もいい気持ちはしないです。(山梨・高校2年・女子)

    • 今話題の『世界の果てまでイッテQ』の問題について、私は別に良いと思ってしまいました。番組では、お祭り自体よりも、タレントがどれだけ面白く頑張るかがクローズアップされていたので、私は今回の問題もあまり気にしていません。

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『スポーツ ザ・チーム 勝ち負けの向こう側』(BS11)相撲部の女性主将という異色な女子大生の、部の存続や大会へのチャレンジ精神に勇気をもらった。この相撲部を応援したくなった。この気持ちをもっと誰かと共有したい。(福岡・中学2年・男子)

    • 『ウワサの保護者会 発達障害かも…どうすれば?』(NHK Eテレ)私の通っていた中学には、発達障害の人たちのクラスがあったので、他の人たちよりは発達障害について考えているほうだと思っていたが、その考えはまだまだ浅かったと痛感した。この番組を見て、クラスメートが自分自身で「吃音」をカミングアウトしていたことを思い出した。これからは多様性の時代。障害が「個性」ととらえられるのはいつになるのだろうか。(愛知・高校1年・男子)

    • 『ウワサの保護者会』(NHK Eテレ)子どもの教育や発達に興味があるので見ています。この番組の良いところは、ただ延々と専門家の話を聞くだけではなく、様々な子どもの実際の様子を放送し、それに対して尾木ママと保護者が話し合うという、子どもに寄り添った番組だと思います。(北海道・高校2年・女子)

調査研究について

11月、京都市で開催された日本子ども学会で、菅原ますみ委員が、2017年度『青少年のメディア利用に関する調査』についてポスター発表したことが報告されました。また、菅原委員が作成した報告書について委員会として最終確認をしました。

今後の予定について

  • 11月19日、盛岡市で開催された岩手地区の放送局との意見交換会について、当日地元局で放送されたニュースを視聴した上、参加委員から感想が出され、総括しました。

以上

第207回 放送と青少年に関する委員会

第207回-2018年10月23日

視聴者からの意見について…など

2018年10月23日、第207回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず9月16日から10月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
モンスターを退治するために冒険するというストーリーの深夜のアニメ番組で、少女がモンスターの集団に襲われるシーンについて「女性に対する性的暴力の描写があり非常に不愉快だ。青少年に悪影響を与える」「女性蔑視の内容を公共の電波で流すのは青少年の教育上いかがなものか」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「性的暴行や残忍な行為を想像させるようなシーンはあったが、表現上の配慮はなされていた」「深夜の時間帯ということを考えると許容範囲だと思う」などの意見が出されました。また、中学生と教師の純愛をテーマとした連続ドラマについて「多感な子どもたちや若く未熟な教師に悪い影響を与える」「フィクションとはいえ、スキャンダラスかつ現実に起きてはならない不愉快な内容だ」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「演出や表現は抑制的かつ慎重な配慮がなされており、直ちに青少年に悪影響を与えるとは言えない」「テーマがいけないとなるとテレビの表現自体を抑制してしまう」などの意見が出されました。
10月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近聴いたラジオ番組ついて」で、28人から報告がありました。モニターからは、朝の番組について「朝起きて、好きな曲が流れてきたらテンションも上がります。地域のニュース、天気、電車の遅れなどタイムリーに流れてくるため便利です。母の年代に流行した曲が流れると家族で歌えます」、音楽中心の番組について「まったりした進行、落ち着く声量は、良い意味でBGMだと感じた。このような番組は今のテレビにはあり得ないし、とても貴重だと思う。愛される理由がわかった気がする」、夜の番組について「ラジオはテレビと違い、耳からしか情報が取り入れられないので、その分想像力がかき立てられる。寝る前に聞いてリラックスすることもできる。ラジオはその時間その時間で放送するジャンルやテーマを変えているように感じる。その点では、テレビより聴取者の目的を明確に、しかも正確にとらえていると感じた」、また、北海道胆振東部地震のラジオ情報について「地震発生直後だったので、アナウンサーも何が起きたのかよくわからないまましゃべっている感じだった。停電が2日間続き、テレビで情報を入手できなかったので、ずっとラジオをつけていました。被災してラジオを聞いて思ったことは、もっと自分の地区の情報について知りたいということです」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は11月27日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年10月23日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

モンスター退治のために冒険するストーリーの深夜アニメ番組で少女がモンスターに襲われるシーンについて、「女性に対する性的暴行の描写があり非常に不愉快。青少年に悪影響を与えるのは確実だ」「女性が強姦されるような描写が存在する。青少年の教育上いかがなものか」「女性キャラが残忍に暴行される描写がある。非人道行為を面白おかしく描くアニメは青少年に暴行を肯定的に思わせてしまう」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは「性的暴行や残忍な行為を想像させるようなシーンは確かにあったが、直接的な表現はしていない。表現上の配慮はなされていた」「深夜の時間帯ということを考えると許容範囲だと思う」との意見が出されました。
男子中学生と女性教師の純愛がテーマのドラマについて、「多感な子ども達や若く未熟な教師にどれだけ悪い影響があるか計り知れない」「中学生をもって教師との恋愛を描くことは言語道断だ」などとの意見が寄せられました。
これに対し委員からは「演出や表現は抑制的かつ慎重な配慮がなされており、直ちに青少年に悪影響を与えるとは言えない」「テーマがいけないとなるとテレビの表現自体を抑制してしまう」「連続ドラマで、始まったばかりなので今後の推移も見守るべき」との意見が出されました。
昼のバラエティー番組でゲストの男性芸人が、女性出演者を突き飛ばしたり、段ボール箱を投げつけたことに対して、「暴力的で女性蔑視である。子どもが真似をするのではないか」「暴力的な演出が不快。教育上問題があると感じた」などとの意見が寄せられました。
これに対し委員からは「上品な演出とは言えない」「こういった行為はこの男性芸人の芸風で、共演者も分かったうえでやっている。特に女性だけをターゲットにしているわけではない」「芸風とは言え危ない感じがした」との意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした10月のテーマは、「最近聴いたラジオ番組について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で28人から報告がありました。
「最近聴いたラジオ番組」では、ひとりで2つの番組を報告したモニターがおり、全部で29番組について報告がありました。また、リアルタイム聴取かタイムフリーのアプリを利用したかについてもたずねましたが、リアルタイム14人、アプリ利用15人という結果でした。それぞれパーソナリティーは異なりますが、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)を6人のモニターが取り上げています。それ以外の番組では『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)を報告したモニターが3人いました。そのほかのモニターが選んだ番組は全て異なっていました。
「自由記述」では、物語の終盤で東日本大震災を取り上げたドラマのストーリーに違和感を覚えたという東北在住のモニターが、地元紙の切り抜きを添えて意見を述べています。
また先月あるモニターが自由記述で報告した「事件報道の際、被害者の写真としてプリクラが使われることに違和感がある」という意見に「とても共感した」との感想を寄せたモニターもいました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ウケる!偉人伝』(日本テレビ)を4人、『あいつ今何してる?』(テレビ朝日)と『極鬼ザ・チェイスタグ』(NHK総合)を3人、『Nコン2018』(NHK Eテレ)を2人のモニターが取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】

    • スマートフォンなどのアプリで聴取しているモニターも多く、ラジオの聴かれ方が変わってきているのだなと思った。

    • ラジオ文化に関する評価を分析的にしてくれているモニターのリポートが興味深かった。

    • 「ラジオで聴いた曲を友達や家族と歌ったりする」ということを書いてくれたモニターがいたが、人と人とをつなぐ役割をラジオが果たしているということを中学生のモニターが感じているのだと思った。

    • 「ラジオは勉強しながらでも集中を途切れさせることなく聴くことができるので、もっと多くの中高生に聴いてほしい」と報告しているモニターが、「中高生が対象のラジオ番組が少ないと感じるのでもっと中高生向けの番組があればうれしい」と希望していることは、制作者に伝わればいいと思う。

    • 『NHKマイあさラジオ』(NHKラジオ第1)を登校前の30分リアルタイムで聴き、「朝の忙しい時間に、ニュースや社会問題の解説や天気予報などがコンパクトに盛り込まれていて飽きなかった。これから毎朝、聴き続けたい」と書いてくれたモニターがいたが、おそらく朝の時間にテレビがついているのと、ラジオが流れているのとでは、何かはっきりとした違いがあったのかな?と感じた。

    • 複数のモニターがラジオを聴取した感想として「スピードがゆっくりしていてリラックスできた」と述べているが、テレビのテンポの速さに対してラジオの場合は「ゆっくり」「リラックス」「パーソナル」というあたりに中高生は、メディアとしての意味を感じていることがわかり興味深い。

  • 【自由記述について】

    • 連続テレビ小説『半分、青い』の物語の展開について、宮城県のモニターが新聞の切り抜きを添えて意見を述べてくれている。ヒロインの親友が震災で亡くなるというストーリーに違和感を覚えていたが、震災で娘を亡くした女性の新聞投稿を読んでその内容にとても感動し共感したという報告だった。わざわざ新聞の切り抜きを添えてリポートしてくれるぐらい感じるところがあったのだろうと思う。震災の当事者であるがゆえに、受け手の立場によって物語の受け止め方・とらえ方に違いがあるということは、ぜひ制作者に伝えたい。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】
    • 『Morning Gate-FM PORT-』(リアルタイム聴取/新潟県民エフエム放送)朝、学校に送ってもらう車の中で聴きました。天気予報や渋滞情報など今知りたい情報ばかりでよかったです。音楽も元気が出るような曲が多く明るい気分になりました。テレビとは違って耳だけで伝わる工夫があるのだと感じました。ラジオは防災用だというイメージでしたが、元気で明るい声のアナウンサーで落ち着いて行動することができたり、嫌なことがあっても元気になったり勇気を与えたりできる仕事だと思いました。(新潟・中学1年・女子)

    • ラジオの聴きはじめは映像がなくてわかりにくかったが、聴いているうちに想像で補えるようになり、ラジオにはラジオの良さがあり、テレビに劣るわけではないと思った。聴きながら他のことをできることが、ラジオの良さだと思った。(新潟・中学2年・男子)

    • 『アルコ&ピース D.C.GARAGE』(リアルタイム聴取/TBSラジオ)自由にしゃべっている感じがして聴いている私も現実世界から解放される気がしました。自由さのない番組が多い中で、コーナーを飛ばしたり、ゾウとタラしか友達がいないとか、脳が沸騰するほどの低音が出せるとか、ウソを平然と話せるのは、この番組の魅力です。アルコ&ピースの世界観が誰にも邪魔されず、番組全体が1本のコントのようになっているのは他にはなく珍しいので面白いです。良い意味でくだらなくて、無意識のうちに笑っていました。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『三四郎のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)ひとつの話から話題が枝分かれしていくのは、テレビでは味わえないラジオの味だと感じます。ラジオだと芸能人との親近感やリスナーとの一体感があるので「お決まりの○○」というのができがちだと思います。でもこの番組は、そこに一言添えてくれるので、約束事がどういうことかすぐに分かり、聴きやすいです。トーク中心になっていて、選曲は流行のものが多く、曲数も少なめなのはAMの良さが出ていて好きです。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『on-air with TACTY IN THE MORNING』(リアルタイム聴取/FM802)私は朝、ラジオを聴くことが多いです。テレビは見入ってしまうので、時間がない朝は聞き流すことのできるラジオがいいからです。朝、起きてきて好きな曲が流れてきたらテンションも上がります。地域のニュース、天気、電車の遅延などの情報もタイムリーに流れてくるので便利です。平日はこの番組で最新の音楽を聴いているので、学校で友達と一緒に歌ったり、母の年代の流行歌が流れると家族で歌うこともできます。「きょうから試験です。寝不足だけど頑張ります」というようなメッセージがDJに読まれると、自分もがんばろう、と元気をもらえます。(大阪・中学3年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(リアルタイム聴取/エフエム東京)この番組は学校や進路の悩みや趣味のことを知ることができ、また逆電話やウェブの掲示板をパーソナリティーである校長や副校長が読み上げてくれるなど、リスナーと番組との距離が近く感じてとても良い番組だと思います。ラジオは勉強をしながらでも集中を途切れさせることなく聴けるので、もっと多くの中高生に聴いてもらいたいと思います。中高生対象のラジオ番組が少ないので、もっとあったらいいなと思います。(東京・中学3年・女子)

    • <J-WAVEの番組全般について>(タイムフリー聴取/J-WAVE )J-WAVEは昔から家でBGM代わりに流れていた記憶がある。J-WAVEには様々な企画があるが、そのほとんどが音楽に関する企画だ。曲紹介や新人アーティストの紹介などだ。まったりとした進行、落ち着く声量は良い意味でやはりBGMだと改めて感じた。このような番組は、まず今のテレビではありえないし、ラジオの中でもとても貴重だと思う。ラジオの良さが全面に出ており、愛される理由がわかった気がする。(東京・中学3年・男子)

    • 『ゴールデンアワー』(リアルタイム聴取・エフエム沖縄)いろいろ忙しくなりしばらく聴けていなかった番組。久々に聴いたが、この番組は何も考えずに聴けるので楽でいいと思った。地元の人に寄り添いながらも、観光客の方々にも親しみをもってもらえるような番組なんだと感じた。実際、今回の放送では、沖縄を観光で訪れているリスナーの方がメッセージを投稿していた。この方は、沖縄に観光で来る前からこのラジオの番組を聴いていて、何度かメッセージも送っていたらしい。こうやって観光客の方々が沖縄のローカルラジオ番組を聴いてくれるのは自分としてもうれしいことだ。他のリスナーの方々のメッセージの中に、新しい発見があったり、部活中のあるあるだったりといろいろな刺激があった。こうやって見ず知らずの人の話を楽しく共有できるのはローカルラジオのいいところだと思う。(沖縄・高校1年・男子)

    • 『NHKマイあさラジオ』(リアルタイム聴取/NHKラジオ第1)登校時間の関係で朝の30分間くらいしか放送を聴くことができないのだが、そんな忙しい朝にぴったりの番組だと思う。ニュースを伝えたり、専門家をよんで社会問題について議論したり、その日の天気予報を行ったりするなど様々なコーナーがあるのだが、それら全てがわかりやすく、短く的確にまとめられているので通学前・通勤前の人々にも聴きやすいラジオだと思う。(兵庫・高校1年・男子)

    • 『オールナイトニッポン MUSIC10』(タイムフリー聴取/ニッポン放送)ラジオはテレビと違い、耳からしか情報を取り入れられないので、その分想像力が掻き立てられる。また視覚情報によって眠りが浅くなることもないので、眠る前に聴いてリラックスすることもできる。ラジオは時間帯によって放送するジャンルやテーマを変えているように感じる。その点で言えば、テレビよりもリスナーの目的を明確に、しかも正確にとらえていると感じた。最近ラジオを聴く時間があまりなく、ラジオと疎遠になっていたのだが、いま改めて聴いてみると、とても癒され、リラックスでき、面白い。ラジオを聴くことが再び私の夜の習慣となりそうだ。(愛知・高校1年・男子)

    • <北海道胆振東部地震に関連した情報について>地震が起きる前夜、私は10時ごろ就寝しましたが、午前3時頃、激しい揺れで目が覚めました。震度は5強でした。起きて電気を点けようと思っても暗いままでした。母はすぐ懐中電灯とラジオを持ってきて、家族みんなでラジオに耳を傾けました。地震発生直後だったので、アナウンサーも何が起きているのかよくわからないまましゃべっているような感じでした。自分の家だけが停電しているのではないか?町の中心部はどうなっているのか?など、いろいろな疑問が解消されました。停電は2日間続き、テレビで情報を入手できなかったので、ずっとラジオをつけていました。今回、被災しラジオを聴いていて思ったことは、もっと自分の暮らす地区についての情報が欲しいということでした。どのお店が開いていて、どこが避難所になっているのかなど、もっと地域を取り上げた番組があればいいと思いました。(北海道・高校2年・女子)

    • 『山下達郎のサンデー・ソングブック』(タイムフリーで聴取・エフエム東京)10月で26周年を迎え、27年目になる長寿番組。曲とその間のリスナーのハガキ紹介、それに応える山下達郎さんのトークのバランスが絶妙で、リスナーにそっと寄り添うような程よい距離感が保たれていると感じた。山下さんの言葉には26年間続いているからこその安定感があった。オンエアされた洋楽やオールディーズの曲は高校生の私が知らないものばかりだったが、新鮮に感じもっと聴いてみようとYouTubeで音源を調べるきっかけとなった。(音質はラジオの方が格段に良かった)また、リスナーのハガキに対して鋭く突っ込んだり毒づいたりする山下さんの一言が面白く、私が抱いていたイメージと異なっていて意外だったと同時に、このトークもリスナーを惹きつける要素のひとつなのだろうと思った。ラジオは音で伝えるメディアなので作業をしながら聴きやすいが、この番組は特にリスナーとの距離感からそのメリットを最大限に生かしているものだと思った。(東京・高校2年・女子)

    • 『菅田将暉のオールナイトニッポン』(タイムフリー聴取/ニッポン放送)私はラジオを聴く機会は今までほとんどなく、若者のテレビ離れ以前にラジオ離れは多いのではないかと思いました。また久しぶりにラジオを聴いてみてラジオは何かしながら聴くことができるので、いいなと思いました。菅田将暉さんはSNSではあまりプライベートなことはつぶやかないのでこの番組は普段の話やプライベートな話を聴くことができる唯一の場なのでファンとしてはとても面白かったです。久しぶりにラジオを聴いて楽しかったので、テレビや動画ばかりではなくラジオもたまには聴こうと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(タイムフリー聴取/エフエム東京)以前のモニターリポートでこの番組が取り上げられていたので気になって聴取してみました。私はほとんどラジオを聴かず、この番組の存在も知りませんでした。中高生向けのラジオ番組があることも知らなかったので驚きました。一番記憶に残ったのは「掲示板逆電」のコーナーです。リスナーからの重い内容の相談を、パーソナリティーのふたりがまっすぐ受け止め、相談に乗っていることに驚きました。ラジオの温かさを感じました。電話を通じて相談でき、リスナーと出演者が直接つながれることがラジオの強みであり、その強みを最大限に生かした番組だと思いました。何かに悩む中高生に対して元気を与える番組だと感じました。また聴いてみようと思います。(東京・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • NHKの連続テレビ小説『半分、青い』で、ヒロインの親友が東日本大震災で亡くなりました。「ここまでしなくても」と思いました。地元の新聞の投稿欄にも、そう感じた方の声が掲載されていました。当時31歳だった娘を震災で亡くしたというその方は、震災から10日目に遺体と対面され大きな悲しみと衝撃に直面されたそうです。「たとえドラマであっても、また、悲しみが増すのです」と書かれたその記事が、すごく心に響きました。せめてドラマではハッピーエンドで終わってほしかったと思いました。(宮城・中学2年・女子)

    • 以前、台風で風が強く、あまりにもうるさくて眠れなかった夜、ラジオを聴いてなんとか眠ることができた。ラジオは私にとって大切なものだと、改めて感じた瞬間だった。(東京・高校2年・女子)

    • 先月のモニターリポートの「事件報道の被害者写真にプリクラが使われることへの違和感の意見」にとても共感しました。もう大人なのに学生時代の卒業アルバムなどの写真が使われることも同様に疑問です。(東京・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ライオンのグータッチ』(フジテレビ)小学生などの子どもが頑張る姿にスポットを当てる番組だが、やはり子どもたちの真剣なまなざしには目を見張るものがある。(東京・中学3年・男子)

    • 『極鬼ザ・チェイスタグ』(NHK総合)チェイスタグのルールもわかりやすく、各界のスポーツ選手・体力自慢が集まり1番を決めるというシステムもシンプルでとても面白かった。今後も続いていき、人気が出てくるようであれば、フィールドをボクシングなどのように360°観客で囲うようにしても面白いと思った。(東京・高校3年・男子)

調査研究について

2017度に実施した「青少年のメディア利用に関する調査」の報告書が担当の菅原委員より提出され、各委員が、精査したうえ、次回委員会で最終的な確認を行うことになりました。

今後の予定について

  • 10月2日、熊本市にて開催された熊本地区の放送局との意見交換会について、当日地元局で放送されたニュースを視聴したうえ、総括しました。11月19日、盛岡市にて開催される岩手地区の放送局との意見交換会について最終的な確認を行いました。また、東京で開催される第2回「学校の先生方との意見交換」について、開催日を2019年2月23日(土)に決定しました。

以上

第206回 放送と青少年に関する委員会

第206回-2018年9月25日

視聴者からの意見について…など

2018年9月25日、第206回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず7月16日から9月15日までの2か月間に寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
情報バラエティー番組で、女子体操のパワハラ・暴力問題を伝える際、未成年の女子選手がコーチから平手打ちを受ける映像を放送したことについて、「この選手は未成年にもかかわらず顔にモザイク処理されていない。人権侵害だ」「繰り返し殴打のシーンが流れ、子どもに良くない」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「この女子選手は未成年だが、会見を開き、有名な選手だ。この映像だけモザイクをかけても意味がないのではないか」「報道機関は不法な行為を報道する際、当事者の了解を取らないこともある。それを報道してはいけないとなると何も報道できなくなるのではないか」などの意見が出されました。
8月の中高生モニターのリポートのテーマは「戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」で、29人から報告がありました。モニターからは、女性アナウンサーが祖父が戦死したフィリピンを訪ねるドキュメンタリー番組について「戦争経験者のインタビューは生々しく印象に残ったので、1人でも多くの方に戦争の厳しさを語ってもらってほしい。亡くなった人数や場所をデータ化していたので映像を具体的に想像しやすかった」、戦争中アメリカ軍に接収された兵士からの手紙を家族に届けるドキュメンタリー番組について「兄からの手紙を受け取る場面では妹の『戦争はもう嫌だね』という言葉に感動し、涙が出た。シンプルな言葉だけれど、その言葉で番組が終わるのは、納得のいく終わり方だった」などの意見が寄せられました。また、9月のテーマは「夏休みに見たスペシャル番組について」で、28人から報告がありました。モニターからは、芸能人の学生時代の友人の今を調べるバラエティー番組について「学校で職場体験も近いので、こういう人はこういう仕事に就くなど、これからのことについて考えやすくなった。クラスメイトの中に将来すごいことをしている人がいるかもしれないと思うと、将来が楽しみになった」、全国の高校生がクイズで競うバラエティー番組について「知識だけでなく柔軟な発想が求められるものが多く、見ごたえがあった。なぜひきつけられるか考えてみたが、視聴者が高校生を応援することにより感情移入が生まれるからではないか。それが作れる制作陣の努力、発想がすごいと思った」などの意見が寄せられました。委員会では、それらの意見について議論しました。
次回は10月23日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年9月25日(火) 午後4時30分~午後7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

情報バラエティー番組で、女子体操のパワハラ・暴力問題を取り上げた際、未成年の女子体操選手がコーチに平手打ちを受ける映像を放送したことについて、「コーチが女子選手を叩いている場面を何度も流している。不快になるし子どもの教育上も良くない」「未成年の女子選手が叩かれている映像がボカシもなく流されるのは、同じ年齢の子を持つ親としては見ていられなかった」「女子選手本人の同意もなく、このような衝撃的映像を顔が分かる状態で放送するのは人権侵害ではないか」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは「女子選手は未成年だが、会見を開き、オリンピック選手でもあり有名人だ。それまでも顔を出していることからこの映像だけモザイクをかけても意味がないのではないか」「報道機関が不法な行為を報道するときは当事者に了解を得ず報道することはこれまでもある。むしろそれを報道してはいけないとなると何も報道できなくなる」「繰り返し放送されると不快になるというのは、人の感じ方によって違うのでは」「何度も繰り返し放送されたのは、報道の必要性があったとはいえ、相当だったのかは疑問もある」「単純に年齢だけで線引きできないこともあるのではないか。未成年者とはいいながら経験を積み、自分の意見を言っている人には別の基準を使う必要もあるのではないかと思う」との意見が出されました。
スタジオに招いた多くの小・中学生の疑問に答える情報バラエティー番組について、「一般の小学生を装って発言していたのは事務所に所属する子役ではないか」「番組として台本があり、このように話せと指示があったのか」との意見が寄せられました。
これに対し委員からは「バラエティー番組では出演している子どもの中に劇団員がいたとしても問題ないのではないか」「本人の意見として言っているならば問題はないだろう」との意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要はない、となりました。

中高生モニター報告について

今月は、8月と9月のモニター報告について話し合われました。
34人の中高生モニターにお願いした8月のテーマは、「戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で29人から報告がありました。「戦争関連番組」では、ドキュメンタリーに13人、ドラマに9人、ニュース内の企画と情報番組にそれぞれ3人、『全国戦没者追悼式』(中継)に1人から報告がありました。NHKが放送した戦争に関するドキュメンタリー『NHKスペシャル』と『ETV特集』を10人が、ドラマでは『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)を5人、『この世界の片隅に』(TBSテレビ)を4人が取り上げています。
なかでも『夕凪の街 桜の国2018』について書いた5人のうち3人のモニターが、登場人物が言った「自分の将来は自分で決めるってすごく贅沢なこと」というセリフが心に響いたと記しています。
「戦争経験者が高齢化する中、若者が関心を持つ必要があるが、終戦の日に放送される戦争関連の番組が思ったより少なくてびっくりした」や「毎年夏になると放送される戦争の番組が今年は少ないように感じました。戦後70年を過ぎ、被爆者も高齢になっている今こそ、この先どうしていくべきか考える必要があるにもかかわらず番組が少なくなっていることへ疑問を抱きました」など風化を憂う声や、「リポートを書くにあたりどんな終戦関連番組があるのか番組表で調べた。見逃しただけかもしれないが、民放ゴールデンの枠で戦争関連番組はほとんどなかった。(戦争の苦しみを)風化させない、繰り返さないという共通認識がある中で、戦争についてニュース番組で取り上げる程度、でいいはずがない。テレビ・ラジオという媒体はインターネットとは違い、ほしい情報以外も入ってくるという利点がある。そこで伝えなければどこで戦争の過ちを伝えられるのだろう。視聴率が重視される民放でも、伝えていく役割をやめないでほしい、そう思った」など放送メディアの力を信じ激励するメッセージが寄せられています。「青少年へのおすすめ番組」では、『VS嵐』(フジテレビ)を4人、『100分de名著 for ティーンズ』(NHK Eテレ)を3人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】
    • 『NHKスペシャル 広島 残された問い~被ばく二世たちの戦後』(NHK総合)について、番組を見ることで中高生も被害者と同じような疑似体験ができるんだなというふうに思った。「戦争のことは余り知らない中高生などが多いと思うので、中高生が多く見るバラエティー番組などで戦争について触れるとより多くの人が戦争について知ることができると思います」と書かれているが、真面目なことは真面目、バラエティーはバラエティーと分けるのではなく、みんなが見ている番組の中に「戦争」を取り上げる枠があってもいいんじゃないかという意見は新鮮だなというふうに思った。

    • 『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)を複数が取り上げているが、「自分の将来を自分で決めるってすごく贅沢なこと」というセリフに今の自分のことを重ね合わせながら考えたと書いている。このセリフが、自分が今将来を何かに奪われるとか、突然命や夢を奪われることなく生きていかれる幸せということを、子どもたちに深く考えさせたのかなという感想を持った。

    • 『学徒出陣~大学生はなぜ死んだ?~』(TBSテレビ)「時代の空気に妥協したという当時特攻隊だった方のお話がとても印象に残りました」という感想がとてもセンスがいい。そして「私たちの生きる現代社会の空気が戦争に包まれたら、SNSを通じ当時よりもさらに空気に妥協しなければならないかもしれません。」とも書いてくれているが、このSNS時代の空気を高校1年生でとらえていると言うといことに感心した。

    • 「夏に戦争の番組は減ってきている」ということを何人かが危惧している。戦争体験者がほとんどいなくなるという時代になったとき、テレビがこの問題についてどういう視点を出していくか?ということはたしかに大きな問題なのではないかと思う。

    • 戦争関連の番組の本数が減っているのではないか、との意見が多かったが、たとえマンネリと言われても放送局が毎年夏に戦争の番組を作る意義はあると思う。中高生になりはじめてそのような番組を視聴する子どもたちもおり、その中高生はどんどん入れ替わり、番組を見てそれぞれがそれなりの反応をし感動している。新しいものをつくり出そうという意欲と同時に、やはり同じテーマであっても、戦争というものの悲惨さを伝えていくということに、意味があると感じる。視聴率ということ以外の教育的な意味は大きいと思う。

◆モニターからの報告◆

  • 【戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】
    • 『NHKスペシャル 広島 残された問い~被ばく二世たちの戦後』(NHK総合)とても苦しくつらい思い出なので、被爆者はあまり被爆当時のことを語りたくないそうです。語らなければ、戦争の怖さを知る人はいなくなり、また戦争が起きてしまいます。そして私たちも積極的に知ろうとしなければいけないと思いました。戦争を知らない中高生はまだ多いと思うので、中高生が多く見るバラエティー番組や音楽番組などで戦争について触れると、より多くの人が戦争について知ることができると思います。(東京・中学2年・女子)

    • 『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)(10代の姪の風子が広島の墓地に行ったとき)周りのお墓には8月6日が命日の人がたくさん眠っていた。「8月6日に夢も命も何もかも断ち切られた人があんなにたくさん…。自分の将来は自分で決めるってすごい贅沢なこと」という風子の言葉が一番心に残った。(宮城・中学2年・女子)

    • 『NHKスペシャル 祖父が見た戦場~ルソン島の戦い20万人の最期~』(NHK総合)戦争経験者のインタビューはやっぱり生々しく印象に残ったので、ひとりでも多くの方に戦争について語っておいてもらいたいです。番組では、戦争のイメージや亡くなった場所・人数をデータ化していたので映像を具体的に想像しやすかったです。(大阪・中学3年・女子)

    • 『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)「自分の将来は自分で決めるってすごい贅沢なこと」「8月6日に夢も命も何もかも断ち切られた人があんなにたくさん」というセリフが心に残った。「被爆した人はかわいそう」という感想とは違った切り口で原爆や爆死した人たちのことをとらえているのが、今が平和であることをより際立たせていたと思う(長崎・中学3年・女子)

    • 戦争を経験した人が高齢化していく中、若者が関心を持つ必要があると思いますが、終戦の日に放送される戦争関連番組が少なくてびっくりしました。戦争に関しての番組を放送すれば、ひとりでも多くの若者に触れてもらう機会が増えると思います。

    • 『NHKスペシャル 届かなかった手紙~時を越えた郵便配達~』(NHK総合)この番組を観て、まず思ったのは、「とても悲しい」ということです。せっかく書いた手紙が、家族や友に届けられず、家族や友はそれが読めなかったこと、書いた人の伝えたかった思いは伝わらなかったこと、聞きたかった思いが聞けなかったこと、さらには、伝えられずに亡くなった人があまりにもたくさんいたことです。戦争は、街や家が破壊されたり人が殺されたりして、物や命が失われるだけでなく、人の心や気持ちも奪われたり失われたりするのだと実感し、とても悲しくなりました。私たちは、毎日のように、少し離れた場所にいる家族や友達に一瞬でメッセージをやりとりできます。この番組の中で紹介された手紙も、私たちが家族と日々やりとりする何気無いメッセージと言葉の上ではあまり変わらないのですが、戦争中ということや、伝わらなかったという結果から見た時、そんな何気無い家族とのメッセージのやりとりがとても重い・・・貴重なものなのだと思わされました。番組の作りとしては、戦争中の実際の悲惨な映像が多いのは少し怖かったけれど、遺体が映る前にそのような映像が流れるという字幕が入ったのは、気遣いがあるなと思いました。届かなかった手紙を書いた人や受け取るはずだった人の本人の写真がたくさん出てきたり、今もお元気な遺族の方々の様子が映ったりしたのは、とても「実際の出来事なのだな」と感じられて、説得力がありました。(福岡・中学3年・女子)

    • 『学徒出陣~大学生はなぜ死んだ?』(宮崎放送/TBSテレビ)「時代の空気に妥協した」という当時特攻隊だった方のお話しが印象に残りました。私たちの生きる現代の空気が戦争に包まれたら、SNSを通じ当時よりもさらに"空気に妥協"しなければならないかもしれません。私は身の回りの人が兵隊になることを想像できません。しかし、戦争が今後2度と行われないわけではないと思います。必ずいつか、本当に忘れ去られたときに始まると思います。しかし、始めてはいけません。後世に伝えていく必要があると思いました。(宮崎・高校1年・女子)

    • 『NHKスペシャル 広島 残された問い~被ばく二世たちの戦後』(NHK総合)原爆はただ人殺しのために広島と長崎に落とされたわけではなく、この番組で特集された広島では、ある意味人殺しよりも恐ろしい目的があったことを知り驚いた。日本を利用した大規模な人体実験がアメリカにより行われたという事実があり、それによって今も苦しんでいる人たちがいる。私たち被爆者ではないものは、その事実を知らず、戦争は終わったものだと思い込んでいる。しかし、被爆者・被爆2世の方々にとっては、まだ戦争は終わっていないのではないかと思う。いつ自分に放射線による病が襲ってくるか分からない恐怖、周囲からのいわれなき差別、そのような生きづらさがあると被爆2世の方々は語っていた。この問題を番組を見て初めて知ったし、次の世代に語り継がなくてはならないとも思った。(沖縄・高校1年・男子)

    • 『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)登場人物が言った「自分の将来は自分で決めるってすごい贅沢なことなんだ」という言葉が心に響く。罪もないのに戦争のせいで夢も命も断ち切られてしまった人々はたくさんいる。それを知っているからこそ、僕は自分の人生を大切にしなければいけない。(兵庫・高校1年・男子)

    • 『NHKスペシャル 駅の子の闘い~語り始めた戦争孤児~』(NHK総合)最近子どもの貧困問題に関心があり、それと戦争孤児の問題が重なり興味がわき録画で視聴しました。戦争に関しては、教科書で習っている程度しか知らず、今まで戦争ということ自体をあまり身近に感じ、深く考えたことがありませんでした。しかし、この番組を見ることで身近に感じられ、戦争に対する考えを深めることができました。「駅の子」という存在をこの番組で見て、初めて知りとても衝撃を受けました。一番印象的だったのは親を戦争で亡くした男性の話です。親を亡くしたため親戚を頼ったところ、今までは優しくしてくれていた親戚に「なぜ、お前は生まれてきたのだ」と強くあたられたそうです。人を極限状況下に追い込む戦争は人の優しさをも奪ってしまうのだ、と間接的な戦争の恐ろしさを感じました。その方は今でもその経験に苦しんでいるそうです。今は普通に暮らしていても、戦争体験の苦しみを抱えている人がいることを改めて感じました。戦後70年以上たった今でも、戦争の苦しみは続いている、戦争は行われている時だけではなくその後も苦しみを生む。こんな戦争を二度とは繰り返したくはない、そのためにこれからを生きる私たちがこの苦しみを知ろうとしなければいけない、と強く思いました。またその人がおしゃっていた「みんな飢えていたが、一番ほしかったのは食べ物でも着るものでもなく‘ぬくもり’だった」という言葉から人間が最も必要とするものはぬくもりで、人は一人では生きていけない、という人間の本質に気づかされました。これは、現代の子どもの貧困の問題ともつながると思いました。いくら貧しくても、虐待を受けていたとしても、周りの人間のぬくもりがあればきっと希望を持って生きていけるのではないかと思います。戦後は貧しさゆえに優しさが持てなかった。しかし、今は戦後よりは、はるかに豊かになっています。だからこそ、もっと一人一人が本当は優しさを持つことができるのではないか、持つべきだと思いました。(福井・高校1年・女子)

    • 毎年夏になると戦争の番組が放送されますが、今年は少ないように感じました。戦後70年を過ぎ、被爆者の方も高齢になっている今こそお話をたくさん聞き、この先どうしていくべきかを考える必要があるにも関わらず番組がだんだん少なくなっていることへ疑問を抱きました。(東京・高校2年・女子)

    • 『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)戦争関連番組というと放送時間が長く最後まで見続けられないのではないかと何となく敬遠してしまっていたが、戦争を語る世代が少なくなっている現代において、若い世代が戦争のことを知ることができる貴重な機会だと思った。今後、このような番組を見続け、戦争のことを忘れないでいたいと思う。(東京・高校2年・女子)

    • 『NHKスペシャル 届かなかった手紙~時を越えた郵便配達~』(NHK総合)
      兄が兵士だった幸子さんが届かなかった兄からの手紙を受け取る場面で言った「戦争はもう嫌だね」という言葉に涙が出ました。シンプルな言葉だけど、誰もが思っていることであり、その言葉で番組を終わらせるのはとても納得できました。(山梨・高校2年・女子)

    • 『ETV特集 隠されたトラウマ~精神障害兵士8000人の記録~』(NHK Eテレ)レポートを書くにあたってまず最初に、どんな戦争関連番組がやっているのか番組表を見て調べた。終戦の日の近くだったので8月15日あたりの1週間。だが、戦争関連の番組は見つからなかった。さっと見ただけなのでもしかしたら見逃していただけかもしれないが、調べた限り民放ゴールデンの枠で戦争関連の番組はほとんどなかった。後にも書くが、これはやはり少し問題があると思う。番組表ではうまく見つからなかったので、Twitterで戦争関連の番組を調べた。すると、まったく知らない人だったが、『これは見なければ』とつぶやいていたのでこの番組で書こうと決めた。日中戦争~太平洋戦争時代、千葉県・国府台陸軍病院で治療・研究されていた戦争神経症の記録を読み解く番組。戦地で受けた強いストレスで心が蝕まれた人たちが苦しむ様子など、戦争神経症を通して戦争の恐ろしさが伝わってくる番組だった。終戦から73年経った現在でも戦争神経症に悩まされている人は6名存在するとも言っていた。一通り学校やテレビなどで戦争については知っていたつもりだったが、この一連の話はまったく知らなかった。おそらくほとんどの人が、ましてや中高生では知っている人を探すほうが難しいように思える。
      歴史は繰り返さないために学ぶ。それを怠ったら、また同じことが起こる。中盤、番組内でご家族の方がこうおっしゃっていた。「今の若い世代にこの苦しみを味合わせるわけにはいかない」。この言葉にすべてが詰まっていると思う。風化させない、同じことを繰り返さないという共通認識がある中で、こういった番組をNHKしか流さない、あるいはニュース番組で取り上げる程度、でいいはずがない。テレビ・ラジオという媒体はインターネットとは違い、ほしい情報以外も多く入ってくるという利点がある。そこで伝えなければどこで戦争の過ちを伝えられるのだろう。視聴率が重視される民放でも、伝えていく役割をやめないでほしい、そう思った。(東京・高校3年・男子)

  • 【自由記述】

    • 出演者同士がスタジオで会話する場面などで、ごちゃごちゃしすぎてみんなが何を言っているのかテレビのこちら側には分からなかった。内側で終わらせないで視聴者にも伝えてほしい。(東京・中学2年・女子)

    • 今回、戦争関連の番組をリポートするにあたり番組をチェックしてみると、2015~2016年の頃に比べて今年放送された番組の数は半分以下で、風化させないためにもこのような状況は残念に思える。(神奈川・中学3年・男子)

    • NHKだけでなく民放の番組で、ゴールデンタイムに戦争関連の番組を増やしてほしいです。「重い」と思う人がいるかもしれませんが、私たち日本人は向き合っていかなければならないことだと思うので、10代にも分かりやすいような戦争関連の番組があると良いかなと思います。(東京・高校2年・女子)

9月のテーマは、「夏休みに見たスペシャル番組について」でした。全部で28人から報告がありました。
「夏休みに見たスペシャル番組」では、バラエティー番組に13人、ドラマ・映画とクイズ番組にそれぞれ3人、教養番組に2人、音楽番組に1人、チャリティー番組『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)に6人から報告がありました。『24時間テレビ』については、「自由記述」でも3人のモニターが取り上げています。『24時間テレビ』以外の番組を報告したモニターが選択した番組は全て異なり、全部で22の番組についてのリポートが寄せられました。「自由記述」では、ドラマ「透明なゆりかご」(NHK総合)について感想を述べたモニターが2人いました。他にも「(若い人が殺害された事件を報道する際に)必ずと言っていいほどプリクラの写真が使われる。そのような写真はすごく顔が加工されているので出さないほうがいいと思う」と最近の事件報道への違和感も寄せられています。

◆委員の感想◆

  • 【夏休みに見たスペシャル番組について】
    • ある旅番組で旅人役の芸人が、「タクシードライバーに紹介されたお店が和菓子店だったときは全然興味がなさそうに、おまんじゅうを一口でほおばったり、お店の人に失礼じゃないかというふうに感じられたりするような演出があった。嫌な気分になってしまいます」というふうに書いたモニターがいた。恐らくこれは出演者及び制作者としては、視聴者を楽しませようと思ってあえて演出し、わざと演技したのだろうが、それがうまくいかなかったのではないかと思う。こうした意見を制作者に伝えていくことも必要だろう。

    • 「番組の前置きが長すぎて途中から見る気がなくなり飽きてしまった」というような率直な意見があった。引き延ばすタイプの演出だったのだろうと思うが、番組自体はいいテーマを取り扱っているのに、前置きが長いという演出が逆効果と受け取られていることを、逆効果になることあるということを制作者に伝えてあげられるといいのかなと思った。

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)への違和感を述べた報告があった。「障害者が健常者と同じようなことをして感動を誘っているということに対してやっぱりすごく何か違うのではないか。障害者を健常者と同じことをさせて感動するのではなくて、健常者のほうが障害者に近づく視点をもって現状を検証したらどうか」と指摘している。この番組は、障害者が頑張る姿イコール感動という図式が定着しており、それに対して最近は批判めいた反応が多いように思う。

  • 【自由記述】について
    • 「最近若い人が殺されるニュースがよく流れていますが、その人の写真に必ずと言っていいほどプリクラの写真が使われる。そのような写真はすごく顔が加工されているので出さないほうがいいと思う」という意見があったが、私もいつも気になっていた

◆モニターからの報告◆

  • 【夏休みに見たスペシャル番組について】
    • 『劇団ひとりの新潟ウラ自慢TV 30市町村出たとこ勝負!"あみだくじ"まかせの旅』(新潟テレビ21)3人の芸人が新潟県内30市町村に行って新潟ウラ自慢を紹介する番組です。自分の住んでいる町の知らないお店が登場するかも?と楽しみに見ていました。タクシードライバーに紹介されたお店が和菓子屋だったときは、全然興味なさそうにしてまんじゅうを一口でほおばったりしてお店の人に失礼だと思いました。嫌な気分になってしまいます。(新潟・中学1年・男子)

    • 『あいつ今何してる?』(テレビ朝日)芸能人の学生時代の友人の今を調査する番組です。10数年ぶりに知る友人の近況に出演した芸能人はとても感動していました。学校で職場体験も近いので、これからのことについて考えやすくなりました。今のクラスメイトの中に将来すごいことをしている人がいるかもしれないと思うとワクワクして将来が楽しみになりました。(東京・中学2年・女子)

    • 『世界ナゼそこに?日本人~知られざる波乱万丈伝~』(テレビ東京)番組の初めに「この人は日本人なら誰もが知っているアレをやっている」と視聴者に疑問を抱かせる演出があった。しかし、30分経ってもその答えは明かされず、そのキーワードばかりが繰り返された。前置きが長すぎてなかなか答えが明かされないと、せっかく興味があっても途中から見る気がなくなって飽きてしまった。内容は面白いのにもったいないと思った。(東京・中学2年・女子)

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)今年はこの番組に違和感を覚えました。それは「障害者の取り上げ方」です。障害者に健常者と同じことをさせて感動を誘っているように感じます。障害者で感動を集めるのではなく、違う番組のあり方を考えるときが来ているのではないかと思う。例えば、街中で障害者が過ごしにくい場所をその人の目線に合わせて考えるなど、障害者が健常者に合わせるのではなく、健常者が障害者に寄り添うことが大切だと思う。(東京・中学3年・女子)

    • 『ほんとにあった怖い話 夏の特別編2018』(テレビ宮崎/フジテレビ)私の友達にはホラーが苦手な人がいて、CMなどで怖いシーンを放送すると必然的に見ることになってしまって不快になると思うので、CMでの怖いシーンは好ましくないと思います。(宮崎・高校1年・女子)

    • 『有吉の夏休み2018 密着120時間inハワイ』(福井テレビ/フジテレビ)この感想を書くためスペシャル番組を探していたところ、この番組を番組表で見つけ、夏休み、ハワイというワードに惹かれて録画をしました。私は基本的にどんなジャンルの番組であっても何かをしながら見るというよりは、テレビを見ることに集中して一言一句逃さず見るという見方をしています。だから、見よう!と意気込んで番組を見ることになり、視聴のハードルが高くなっています。しかし、この番組はボーっとしながらテレビへの意識が半分、他への意識が半分くらいに気軽に見られる番組だということを感じました。きっとこの番組内に漂っているのんびりとした雰囲気によるものだと思います。そののんびりとした雰囲気の一番の要因は3時間という番組の長さに対してネタを詰め込みすぎていないというところにあるのだと思います。イッテQなどのように短い時間に多くのネタを詰め込む番組が今まで良いと思っていました。しかし、今回この番組を見ていて、飽きず見られるのであればこのようなゆとりをもった構成の番組も良いなと思いました。私にとって、このような見方をできる番組は少ないので、次回の放送もぜひみてみたいと思いました。(福井・高校1年・女子)

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ/長崎国際テレビ)この番組は常に賛否が上がっていて色々あるかもしれないけれど、頑張っている人をみると涙が出てしまうし、募金によって助かる命もあると思うと、自分はこの番組が好きです。ただ、障害者の挑戦企画ばかりではなく、健常者が障害の模擬体験をし困難を改善するために社会は何をすべきか考えてみることも、これからは必要なのではないかと思います。(長崎・高校2年・女子)

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)私にとって『24時間テレビ』は夏の風物詩で、これが放送されると夏の終わりを感じます。今年も障害のある方がチャレンジする姿に勇気をもらい心が温まりました。しかし、みやぞんさんのトライアスロン企画には心が痛みました。スイムは湖に浮かぶブイを往復し、バイクはトラックを回るものであり、チャリティーマラソンは沿道の声援を受けながら人々と関わることが重要だと思うので、人々との触れ合うことのないスイムとバイクはどうなのだろうと疑問に思いました。(東京・高校3年・女子)

    • 『ライオンスペシャル 第38回全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ)選んだ理由はこれといってなし。スペシャル感が強かったから高校生クイズに決めた。メインの出演者はもちろん同年代の高校生。何歳も年の離れた大人よりは、自分も自然な感情が抱きやすいが、他の番組と変わらず俯瞰で見ようと思った。今年は過去最近の特徴だった海外で行うスタイルとは変わり、「地頭力」を競うとのこと。たしかに、解答者が並んで、一斉に問題に答えるといったオーソドックスなクイズは1回戦だけだった。それ以降は、知識だけでなく柔軟な発想が求められるものが多く、とても見ごたえがあったと思う。気が付けば家族全員で見ていて、なぜひきつけられるのか考えてみた。すると、解答者が体を動かす系のクイズはどうしても視聴者がおいて行かれがちである(それを実際に体験することができないから)。だが、視聴者が高校生を応援することにより感情移入が生まれて、そこについていくことができるのではないか、と考えた。あるいは、応援でなくてもなにをするんだろうという強い興味があれば同じ効果が生まれるのではないかと。いずれにせよ、それが作れる制作陣の努力、発想がすごいと思った。(東京・高校3年・男子)

  • 【自由記述】について
    • (若い人が殺害された事件を報道する際に)必ずと言っていいほどプリクラの写真が使われる。そのような写真は加工されて顔が変わっているので出さないほうがいいと思います。(大阪・中学3年・女子)

    • 『透明なゆりかご』(NHK総合)というドラマがとてもいいです。医療ドラマは感動する部分だけを取り上げているものが多いけれど、産婦人科を舞台にしたこのドラマは、様々な問題を取り上げ、とても現実的で考えさせられ、今までこんなドラマはなかったと思いました。(東京・中学3年・女子)

    • 『透明なゆりかご』(NHK総合)を時々母と一緒に見る。先日は、見終わった後、母と最近の子育ての環境について話をした。近年、『コウノドリ』をはじめ医療で周りの環境を丁寧に描き、「出産は幸せだけれど、その奇跡の裏にはたくさんのことがある」ということが分かるドラマが増えている気がした。(東京・高校2年・女子)

  • ◇中高生モニター会議について◇

    • 7月28日にフジテレビにて開催された中高生モニター会議について、参加委員が感想を述べ合い、総括しました。

今後の予定について

  • 10月2日、熊本市で開催される熊本地区の放送局との意見交換会の内容について最終的な確認しました。また、11月19日、盛岡市で開催される岩手地区の放送局との意見交換会のテーマ等を確認しました。

以上

第205回 放送と青少年に関する委員会

第205回-2018年7月24日

視聴者からの意見について…など

2018年7月24日、第205回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず6月16日から7月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
報道番組で、大阪北部地震のニュースを伝える際、亡くなった小学生の同級生のインタビューを放送したことについて、「子どもに対する配慮に欠ける」「気持ちの整理がついていない子どもに追い討ちをかける取材は言語道断である」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「災害報道での子どもへの取材としては問題なかったと思う。しかし、視聴者の中には、このような意見を持つ人がいることを取材者も意識してほしい」などの意見が出されました。
7月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たバラエティーについて」で、27人から報告がありました。モニターからは、アイドルグループがゲームで対決するバラエティー番組について「家族で集まって見ていて楽しいのは良い。チームを決めて応援し、スポーツ観戦をしているような感じだ」、演芸のバラエティー番組について「亡くなった歌丸師匠の特集であったが、大喜利をして、悲しむだけでなく、笑えたことがうれしかった。若者にもわかる言葉で古典落語をすると若い層にもっと見てもらえると思う」などの意見が寄せられました。また、「自由記述」では、「好きだったドラマが、視聴率が悪くて途中で打ち切りになってしまった。ネットなどでは盛り上がっていたので、残念だった。視聴率だけではなく、ほかの指標も参考にしてほしい」などの意見も寄せられ、それらの意見について議論しました。
8月は休会とし、次回は9月25日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年7月24日(火) 午後4時30分~午後7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

報道番組で大阪北部地震のニュースを伝える際に、地震で亡くなった小学生の友達のインタビューを放送したことについて、「気持ちの整理がついていない子どもに追い打ちをかけるような取材は言語道断だ」「教師が子どもたちの心のケアに取り組んでいるときに無配慮なインタビューをすることに倫理観を疑う」「同級生を亡くしたばかりの被害児童の心情をおもんぱかってインタビューするべきだ」との意見が寄せられました。これに対し委員からは「災害報道での子どもへの取材方法としては問題はないだろう。しかし、視聴者の中にはこのような感想を持つ人もいるということを取材者は意識してほしい」「見た人がどのような気持ちになるのか、報道する側は意識する必要があるのかもしれない」との意見が出されました。
夜のアニメ番組において残忍な殺人鬼に少女が追われるシーンについて、「残酷な殺人をするアニメで子どもに見せたくない」「中高生がこのアニメを視聴して影響を受ける」との意見が寄せられました。これに対し委員からは「これは放送時間帯的に大人を対象としたアニメ番組だと思う」「コミックをアニメーション化し放送する際には、様々課題もあるだろう」との意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした7月のテーマは、「最近見たバラエティーについて」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で27人から報告がありました。
「バラエティーについて」では、ひとりで2番組について報告してくれたモニターもおり、全部で25番組についてのリポートが寄せられました。複数のモニターが取り上げた番組は2つあり、『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ)に3人から、『VS嵐』(フジテレビ)に2人から報告がありました。
「自由記述」では、オウム真理教についての一連の報道に対し3人が、西日本豪雨についての災害報道に関して2人が関心を持ち、意見を寄せています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『関口宏の東京フレンドパーク2018 7月ドラマ大集合SP!!』(TBSテレビ)を5人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たバラエティーついて】
    • 今月は、全体的にしっかりと具体的なところまで踏み込んで書かれているリポートが多かったと感じられ、やはり子どもたちはバラエティーが好きで、よく見ているのだということが伝わってきた。

    • ある番組で「たくさんの出演者が一度に発言するので、よく聞きとることができない。そこにさらにMCの大御所芸人が入ってきて騒ぐので余計にわからなかった」という意見があったが、みんなでワイワイと楽しくやりたいという放送局の思惑が、中学生にとっては裏目にでることがあることを制作者は知っておくといいのではないか、と思った。

    • 『LIFE!人生に捧げるコント』(NHK総合)について、「誰かを傷つけず共感でき笑えるコントになっている」ところを評価するリポートがあったが、これはつまりよくあるバラエティー番組では、笑いを取るために乱暴したり、誰かを傷つけたり、笑いものにすることで笑いを取りに行く風潮があるなかで、そういうことが一切ないところが良さとして挙げられていることは、良いことなのではないかと思う。

    • 『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)で「クイズの答えがわかるまでコマーシャルが入らないので、テンポよく見られることがこの番組の魅力だ」と分析した報告があった。これはNHKの強みだとは思うが、逆に言うと、民放では常に"CMまたぎ"で引っ張るという演出に対する批判も込めてあるのかな、という感じがする。

    • 『VS嵐』(フジテレビ)を「7年前から、いつも家族揃って見ている。この番組のおかげで家族が一緒に盛り上がることができる」という感想があったが、もしかすると近年はバラエティーの制作において、"みんなで見る"という視点がかなりなくなってきてしまい、割と刺激性の高いものが増えていることの裏返しなのではないか、と思った。やはり、"みんなで見る"ことができる番組があれば、「家族一緒に見よう」というような流れもまた生まれるのではないだろうかという気がする。

    • 今回のリポートを読んでいると番組のセレクトも多岐に渡っており、「バラエティー」の定義とはなかなか難しいなと、感じた。だた、今の子どもたちはバラエティー番組を入口に、多くのことを学んでいくのではないかとも思う。多くの子どもたちにとって、世の中のいろいろな出来事を知る入口なのかもしれない。もしかすると将来の大人の視聴者をテレビにつなぎとめておくときに、バラエティーというコンテンツは結構大きな役割を果たしているのかな、という印象を持った。

  • 【自由記述】について

    • 「サッカーW杯の中継で、試合後のインタビューが的を射ていない上に、疲労のたまっている選手に難しい質問を投げかけるのはどうかと思う」という意見があったが、本当に同感だ。インタビュアーの聞く力は、やはり大変重要なので、その力は磨いていただきたいと感じる。

    • 「出演者たちが視聴者には聞こえないように、芸能人だけがわかる話をしていることがあるが、何を言っているのかわからなくて気分がよくない」という感想は、ぜひ制作者に伝えたい。私も番組を視聴していて感じることがあるが、内輪では楽しいかもしれないが見ているほうは全く楽しくもなく、これを公共の電波に乗せる意味がどこにあるのだろうと、常々思っていた。

    • 「大雨による災害時の報道のために、ヘリコプターや取材者の多さが、救助の妨げになっているのではないかと心配になる」という指摘があった。これは、結構大切な指摘だと思う。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たバラエティーについて】
    • 『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)MCの岡村隆史さんが、5歳のチコちゃんに叱られているときのリアクションが面白くてくせになります。答えが出るまでCMが入らないので、テンポよく見られるのがこの番組の魅力だと思います。(新潟・中学1年・女子)

    • 『VS嵐』(フジテレビ)一番思ったことは、家族で集まって見ていて楽しい番組は良いということです。私の家族はどちらチームを応援するか決めて、スポーツ観戦をしているように見ています。7年前からこの番組を見ていますが、7年たった今も、家族と一緒にテレビを見る時間を作ってくれるというのは、このように一緒に盛り上がることのできる番組のおかげだと思います。(東京・中学2年・女子)

    • 『イッテンモノ』(名古屋テレビ/テレビ朝日)知識人と芸人がトークバトルをする回でした。「興味深い」と「笑える」の2つの意味で面白かったです。同じテーマでトークをしても、分野や人によって全く違う面白さだったので、「おもしろい」はひとつじゃないと思いました。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『ホンマでっか!?TV』(仙台放送/フジテレビ)お悩み相談をしたゲストに対し、たくさんの専門家たちがしゃべるのですが、ひとりひとりの声が混ざって聞こえにくかったです。そこにMCのさんまさんの声も混ざって、よりうるさいです。(宮城・中学2年・女子)

    • 『笑点』(福岡放送/日本テレビ)7月2日に亡くなった歌丸師匠に向けた「歌丸師匠 ありがとうSP」だった。前半は歌丸師匠の昔の様子をプレイバックしたり、笑点メンバーとの裏話が聞けたりと僕たち若者も楽しかった。後半はいつもの大喜利をして、悲しむだけでなく笑えたことが長年この番組を見ている私にとっては、とてもうれしかった。(福岡・中学2年・男子)

    • 『JUNKバナナマンのバナナムーンGOLD』(TBSラジオ)何も決まっていない自由な形で進行していくにも関わらず、まるで準備をしていたような完成度の高い笑いがあった。さらにバナナマンの2人には、リスナーからのメールから"無限の笑い"を生み出していく面白さがある。近年、企画でガチガチに固めたバラエティーが多い中、このように0から作り出していくお笑いはとても貴重であると感じました。(東京・中学3年・男子)

    • 『直撃!シンソウ坂上』(テレビ宮崎/フジテレビ)私たちの年代は、オウム真理教が行ったことや、その根源となるものをあまり知りません。だからこのように再現VTRで詳しく説明してくれる番組は必要だと思います。「オウム真理教」や「戦争」など、若者が実際にあまり知らなくて、絶対に起こしてはならないことについての番組で、若者向けのものがあると良いと思います。(宮崎・高校1年・女子)

    • 『ぴったんこカン・カン』(琉球放送・TBSテレビ)スペシャルで2時間番組が続き、内容は面白かったのだが少し長く感じた。後半の名家部のコーナーは、正直あまり歴史に興味はないのであまり面白くなかった。しかし、『西郷どん』(NHK総合)を見ていることもあり見応えはあった。バラエティーというより歴史番組を見ているようで、見たいものと微妙にズレている感じはした。(沖縄・高校1年・男子)

    • 『月曜から夜ふかし』(札幌テレビ・日本テレビ)ほかの番組では、番宣のために同じような芸能人が出演したりしますが、この番組はそういうことがほぼないので、毎週見ていて全く飽きません。全国を回って方言の特集をしたり、高齢の方にインタビューをしたりと身近なことに焦点を当てて、面白く伝えるのはとても良いと思いました。(北海道・高校2年・女子)

    • 『LIFE!人生に捧げるコント』(NHK総合)家族全員が大好きなバラエティーである。「人生」をテーマに、生きていくうえでのおかしさを笑いに取り込み、誰かを傷つけることなく、かつ共感でき、クスリと笑えるコントのスタイルは、全シリーズ一貫している。(東京・高校2年・女子)

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)日曜日の夜に家族で笑ってみることができ、明日からまた頑張ると、元気を与えてくれる番組のひとつです。ハードな撮影をこなし良い素材を生み出す芸人さん、それをより良く面白く編集するディレクターさんの関係が素敵だなと思いました。このような信頼関係で番組は作られていると知り、ますますこの番組を、テレビを好きになりました。(東京・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • 大雨による災害時のヘリコプターや取材者の多さで、救助の邪魔にならないかと心配になりました。もちろんテレビで状況を伝えることは大事だと思いますが、ほどほどにしておいたほうがいいと思いました。(新潟・中学1年・女子)

    • 最近、バラエティーで体を張りすぎている企画が多いと思うので、もう少し考えたほうがいいと思う。(新潟・中学2年・男子)

    • 6月のモニター報告に『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)について書かれており、私もその意見に共感しました。中高生向けのラジオって、これ以外にないし、勉強しながらでも聴くことができるラジオっていいなと思っています。(東京・中学3年・女子)

    • サッカーのロシアW杯で、試合後のインタビューが的を射ていないうえ、疲労のたまっている選手に酷な難しい質問を投げかけるのはどうかと思う。(東京・中学3年・男子)

    • 最近「オウム真理教」関連のニュースをよく見る。そしてそれに関する過去の事件について解説している番組もよく見る。私は当時生まれていなかったので、詳しいことはわからないが、この報道の多さはこの事件がどれほど世間の人々にとって衝撃的だったかということがわかる。オウム真理教が起こした一連の事件が、こうして今でも私たちに伝えられているということは、この事件がそれほど最悪だったということでもあると思う。(沖縄・高校1年・男子)

    • 私の大好きなドラマがあったのですが、その番組は視聴率悪くて途中で打ち切りになってしまいました。ネットなどでは、盛り上がっていたと思うのですが、打ち切りはとても残念でした。視聴率だけではなく、他の指標も参考にしてほしいと思います。また、別の番組で、芸能人が視聴者には聞こえないように芸能人だけが分かる話をしていて、何を言っているか分からなかったし、あまり気分がよくありませんでした。(福井・高校1年・女子

    • 最近は、TVerなどテレビで番組を見られない時や家族と見たい番組が違う時などに便利なスマホで見る番組が増えている気がします。それが現代の形でもあるけれど、ひとつのテレビを家族で囲んで見るということにテレビの楽しさがあることを忘れないでいきたいと感じました。(山梨・高校2年・女子)

    • 今はテレビよりもネットが流行を作る時代だと思う。ドラマなどもSNSによって広まり流行していると思う。でもそれは流行の指標がネットでの反響だからなのだ。テレビがネットを追いかけるような流れになっていることが少し悲しい。このような状況だからこそ、テレビの役割が問われると思う。(東京・高校3年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】について

    • 『関口宏の東京フレンドパーク2018 7月ドラマ大集合SP!!』(TBSテレビ)幼稚園の時に毎週やっていた番組で大好きだったので、レギュラー番組ではなくなった今でも見ることができとてもうれしいです。(東京・中学3年・女子)

    • 『関口宏の東京フレンドパーク2018 7月ドラマ大集合SP!!』(TBSテレビ)以前、レギュラー番組でやっていたものをスペシャルで見られるのはとてもよかったです。(山梨・高校2年・女子)

◇中高生モニター会議について◇

  • 7月28日に開催する中高生モニター会議について、会の流れや議論するテーマを確認しました。

今後の予定について

  • 10月2日、熊本市にて開催する意見交換会のテーマ案について確認しました。また、11月19日、盛岡市にて岩手地区の放送局との意見交換会を開催することを確認しました。

以上

第204回 放送と青少年に関する委員会

第204回-2018年6月26日

視聴者からの意見について…など

2018年6月26日、第204回青少年委員会を午後4時30分からBPO会議室で開催し、6人の委員が出席しました。(1人は所用のため欠席)
委員会ではまず、5月16日から6月15日までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
バラエティー番組で、芸人を街頭から連れ去り、倉庫に閉じ込めて、携帯電話で身代わりになる仲間の芸人を次々に呼び出していくというドッキリ企画に関して、「子どもが真似をして人間関係にひびが入る」「助けに来てくれた仲間を裏切るのは青少年に悪影響だ」などの視聴者意見が寄せられたことについて、委員からは、「これはドキュメントバラエティーという最近のバラエティーの一つの傾向であり、極限状況にタレントを追い込んで、その時の素のリアクションを見ることを狙いにしたものであろう」「心理的に追い込んでいくギャグもバラエティーにはありかと思う」などの意見が出されました。
6月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たドラマについて」で、33人から報告がありました。モニターからは、医療をテーマにした連続ドラマについて「このドラマに出てくるプライドの高い人たちのライバル意識によって起こる問題は、医者だけでなく政治家や大学のスポーツ部の監督などに実際に起きている問題と同じだと思った」、朝の連続ドラマについて「自分と同じ年代の主人公で、とても親近感がわいてきて、ついつい感情移入してしまう。同年代が主人公の番組が少ないのでとてもうれしい」、また、男性同士の恋愛を描いた連続ドラマについて「男性同士のラブストーリーをコメディー風に描いているのが、すごくいいなと思った。ドラマのシーンのように、同性同士の結婚を偏見なく笑顔で祝うことができるようになってほしい」などの意見が寄せられ、それについて議論しました。
次回は7月24日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年6月26日(火) 午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

バラエティー番組において、芸人を倉庫に閉じ込め、脱出するには身代わりになる芸人を携帯電話で呼び出し、自分に代わって倉庫内に閉じ込めなければならないドッキリ企画について、「助けに来てくれた仲間を裏切るのは青少年に悪影響だ」「子どもが真似をして人間関係にひびが入る」「番組を見た小中学生が真似をしてゲーム化するのではないか心配だ」との意見が寄せられました。これに対して委員からは「このようなタレントを心理的に追い込む笑いもバラエティー番組にはありかと思う」などの意見が出されました。
また大学アメリカンフットボールの危険タックル問題で、反則プレーを行った学生の記者会見に関し、「学生に対しての質問がひどすぎる」「代理人弁護士が顔をアップで撮り続けないでほしいと言っているのに未来ある学生に配慮していない」などの意見が寄せられました。これに対し委員からは「20歳の方が自分で記者会見をするといった判断は、やっぱり尊重すべきではないかと思う」「非常に難しく微妙な問題だが、各局の対応がまずかったとまでは言えないと思う」などの意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。
また中学生の「誘拐」をテーマにしたドラマについて、放送前にもかかわらず様々な意見が寄せられました。これに対して委員からは、「放送を見てからでないと判断できない」「事前抑制的な対応については慎重であるべき」などの意見が出されました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした6月のテーマは、「最近見たドラマについて」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で33人から報告がありました。
「ドラマについて」では、複数のモニターが意見を寄せたドラマが10番組あり、『日曜劇場ブラックペアン』(TBSテレビ)と『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ)にはそれぞれ4人、『連続テレビ小説 半分、青い。』(NHK総合)、『土曜ナイトドラマ おっさんずラブ』(テレビ朝日)にそれぞれ3人から報告がありました。「自由記述」では、番組が正時ではなく、数分前倒しで始まることに対して疑問を呈し、「正時にスタートして欲しい」と意見を述べたモニターが2人いました。またよく聴くラジオ番組(『SCHOOL OF LOCK!』/エフエム東京)について、番組から元気をもらい「ここにも自分の居場所があると思うことができる」との思いを伝えるモニターもいました。「18歳成人」の民法改正の動きに則し「〈大人になるための知恵〉を得られる番組を作ってほしい。法律で決められたからといって〈大人〉にされても、準備ができていないと困る」という4年後に成人を迎えることになる14歳ならではの意見もありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『R-1ぐらんぷり優勝者特番 濱田祐太郎のした事ないこと!』(関西テレビ)を4人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • BGMの演出効果にまで言及しているリポートがいくつかあった。最近の子どもたちは、音楽の感性が鋭くて、ドラマをある意味、緻密に見ているということがわかった。

    • 『シグナル』(関西テレビ)を見て、「間違ったことがまかり通る現実の中で正しいことを追い求める姿に、本来社会がどうあるべきなのか再確認させられた」という感想があった。ドラマを見てここまで考えてくれたこと、感じた思いを自分の考えとして表現してくれていることを、とてもよいと思う。

    • 「(日本のドラマ界は)人気のあるタレントを主人公にキャスティングすればヒットするという安直な方向に向かっているのではないか?」「日本のドラマはDVD販売などの二次利用を狙わず低コストで制作するから面白い作品ができない」との指摘など、ドラマ制作の背景に言及した意見があった。

    • 普段は性差別やジェンダーについてSNSで知ることが多いというモニターが、『おっさんずラブ』(テレビ朝日)を視聴し「テレビメディアとSNSをうまく利用して今の社会を知ることができればいい」と感想を述べていた。ドラマを見ることにより、ドラマには描かれていない実際のマイノリティーの問題に自分でアクセスし、ドラマの奥の現実にアプローチしてくれたのだとするならば、ドラマの意義が発揮されていたのだろうと思う。

  • 【自由記述】について

    • 5歳の女の子が虐待で亡くなった事件のニュースを見て「今の日本の児童保護のずさんな実態を知った」との報告があった。社会問題に関心を寄せるきっかけにテレビがなっていることがわかる。

    • 「全世代がジェネレーションギャップを感じることなく見られるようなドラマやバラエティーが少なくなってきたように感じます」と感想を述べているモニターがいた。実際のところどうなのかはわからないが、中高生はそのように感じているのかもしれない。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たドラマについて】
    • 『シグナル』(新潟総合テレビ/関西テレビ)このドラマは、現在と過去それぞれの時代を生きる2人の刑事がトランシーバーを通じて未解決事件に挑むミステリーです。事件解決に協力してほしい気持ちとこれ以上関わり続けると殺されてしまうという不安な気持ちのせめぎあいがとても切なかったです。また全体的に画面が暗かったり、BGMがどきどきするような曲だったりしたので、とてもどきどきして面白かったです。(新潟・中学1年・男子)

    • 『スペシャルドラマ検事・悪玉』(テレビ朝日)この話は、タレント政治家を狙った無差別事件を発端とし、宗教、カルト事件などかなりシリアスな内容でした。ミステリー好きでないと「見てみよう」とは思いづらいですが、見始めると引き込まれるスタートは良いと思いました。音楽がジャズ風でかっこよかったです。(東京・中学2年・女子)

    • 『コンフィデンスマンJP』(関西テレビ/フジテレビ)このドラマは、良くない行いをしている人からお金をだまし取るというドラマです。父に紹介されてみたところ思わず爆笑してしまいました。ぼくは主演の長澤まさみが演じるダー子が好きです。いつも明るくて「え?いつからだましてたの?」と思うことがたびたびあります。(兵庫・中学2年・男子)

    • 『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』(NHK総合)スクールロイヤーという聞きなれない立場の弁護士の話。舞台が中学校ということに興味を持ち見始めた。校則に従い、生まれつきの茶髪を黒髪に染めていた男子生徒の話では、大人たちの対応に矛盾と怒りを感じた。終盤のいじめによる自殺未遂の女子生徒と主人公が向き合う場面は、いじめている人いじめられている人、みんなに見てほしいと思う。弱い立場の人が強くふるまう人に対して意見を言うのは難しいことだが、法律がひとつの心の武器になることがわかった。(福岡・中学2年・男子)

    • 『ブラックペアン』(RKB毎日放送/TBSテレビ)このドラマは、理事長の座を巡って2人の権力ある医者が毎回対決し、ワクワクします。彼らは人の命を救う医者なのに、学会の理事長になるために論文を書いたり手術を成功させたりして、なんだか自分の手柄のために仕事をしているように見えます。今回も西崎教授が、自分が手術でミスをしたことで評判を下げることがないようにミスを隠したり部下のせいにしたりしようとしました。このドラマの中では、手術はもはや患者のためではなく医者のためにされているように思えます。私は、このドラマに出てくるプライドの高い人達のライバル意識によって起こる問題は、医者だけでなく政治家や大学のスポーツ部の監督などに実際に起きている問題と同じことだなぁと、このドラマを通してしみじみ思いました。(福岡・中学3年・女子)

    • 『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』(NHK総合)30分の全6回、計3時間のテンポの良い話で見やすかった。自分が学生という立場なので、親近感を持つことも多かった。また自分も少し理屈っぽくて法律が好きなので、法律で間違いを正すというこの話がとても良いと思った。あまり不幸になる人のいないエンディングだった。(沖縄・高校1年・男子)

    • 『シグナル』(関西テレビ)僕はこのドラマを初回から最終回まで全話視聴したが、はじめは、‘無線機で現在と過去がつながる’というありえない設定の物語だということであまり観る気が起こらなかった。しかし初回からストーリーに引き込まれ、このドラマの面白さに気づいた。ストーリー全体を通して、二人の刑事の正義感の強さが描かれていた。たとえ周囲に反対されても、たとえ立ち向かう敵がどんなに大きくても、自分の信念を貫き、間違ったことがまかり通る現実の中で正しいことを追い求める姿に、本来社会がどうあるべきなのか、再確認させられた。‘絶望するような過去があっても、望みを捨てなければ、これから続く未来には希望がある’という強いメッセージが伝わってきた。社会の中で悲しい過去は消えないが、未来に希望をもちたい。(兵庫・高校1年・男子)

    • 『半分、青い。』(NHK総合)「半分、青い」は4月から始まって以来、毎日欠かさず見ている大好きなドラマです。いつも録画をして一日の終わりに見ているのですが、主題歌を聞くと、今日も一日頑張った、明日も頑張ろうと思えます。毎日の楽しみ、そして勉強の息抜きとなっています。この物語は、私と同じ年代の主人公で、見ていてとても親近感がわいてきて、ついつい感情移住してしまいます。同年代が主人公の番組は少ないのでとてもうれしいです。主人公は片耳が聞こえません。しかし、そのことを半分、青いとらえる主人公が大好きです。私にはないポジティブさを持っていて、いつも勇気と元気をもらっています。また、ドラマでは、主人公と仲間たちとの絆や家族愛、自分の意志を強く持つことの大切さが描かれていて、毎回いろいろ考えさせられます。そして、最近特に感動したのが、主人公の漫画の先生である秋風先生の言葉「心を動かされることから逃げるな、そこには真実がある。半端に生きるな」です。漫画家志望の主人公に対する言葉ですが、私にも響きました。全力で、高校生活を送って、後悔しないように、今しか感じられないことを感じ、全力で楽しまなければいけないな、と改めて思いました。時々、私は何に向かって歩いているのか、と迷うこともあります。そんな中で、大きな夢を持つ主人公は、あこがれの存在であり、がむしゃらに、そしてひたむきに頑張る姿を見て、テレビの前で応援しています。また、その姿から自分も頑張らなければいけないと思ったり、勇気をもらったりしています。自分のなりたいものに向かって頑張ることの楽しさをドラマを通して、感じることができ、素敵だな、私も早く見つけたいな、と思いました。(福井・高校1年・女子)

    • 『おっさんずラブ』(北海道テレビ/テレビ朝日)母と一緒に楽しく拝見させていただきました。男女間の恋愛だけでなく、現代に浸透しつつある同性愛を描くドラマ、とても新鮮でよいと思いました。(北海道・高校2年・女子)

    • 『ドラマ25 宮本から君へ』(テレビ東京)この番組は金曜日の深夜に放送されているため、学校のことをあまり考えなくてもよく、1週間終わった達成感や疲労感に寄り添ってくれる内容なのでついついリアルタイムで見たくなってしまう構成になっていると感じた。初めの数話を見たときは、主人公の不器用さや思うようにうまくいかない現実を見ることが苦しく、辛かった。しかし、いつか自分が社会に出たときにこのような世界で生きるかもしれないと気付いたときから、しっかり物語を見続けようと思うようになった。そして、初めは自らのこだわりが仕事でも恋愛でも通用しないことがもどかしくて、落ち込み激しく怒り、叫んでいた主人公が、徐々に自分にできることを模索し、懸命に働くことで自立した社会人になっていく姿に引き込まれ、私もがんばろうと思うようになっていった。この番組は中高生をターゲットにしたものではないかもしれないし、高校生の私には理解しきれていない内容もあるかもしれないが、胸が熱くなるこのドラマに高校2年生のこの時期に出会えてよかったと思うとともに、主人公と同じくらいの年齢になったとき、またもう一度見直したいと思っている。(東京・高校2年・女子)

    • 『崖っぷちホテル!』(日本テレビ)人気のあるタレントやアイドルならある程度ファンを獲得できるということを考慮してキャスティングをされているなら、日本のドラマ界はあまりいい傾向にないのではないかと感じた。日本のドラマはDVD販売などの二次利用を狙わず低コストで制作するから面白いものが少なくヒット作が増えないなどの見方もある。ぼくは、お金がないなら1週間に3本も4本もドラマを作る必要がないとさえ感じる。(東京・高校2年・男子)

    • 『おっさんずラブ』(テレビ朝日)男性同士の恋愛ものというコンセプトが世間にどのように受け入れられるのか興味がありました。初回からあまり期待せずに見始めましたが、回を重ねるごとにどんどん面白くなり、違和感なく楽しめました。男女のラブストーリーのようにキュンキュンするシーンがあり、ドキドキしながら見ていました。今まで男女のラブストーリーしかなかったところに、男性同士の恋愛をコメディータッチに描いているのですごくいいなと思いました。性差別やジェンダーなどに関する問題も多くある現代で、性的少数者にとって何かプラスになったのではないかな、と思います。私自身も今まであまり詳しく知ろうと思ったことがなかったので、このようなドラマでコメディーチックに描かれてはいるけれど、多くの人がこのような人たちの存在に気付くことができたのではないかと思いました。このドラマのシーンのように、同性愛者の結婚を偏見なく笑顔で祝うことができる日本になってほしいです。(東京・高校2年・女子)

  • 【自由記述】

    • 部活が忙しくてあまりテレビを見られていませんが、最近はまっている番組は『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)です。この番組を見るといろいろなことがわかって面白いです。また年齢関係なくみられるので、家族で一緒に楽しめるのがいいです。(新潟・中学1年・女子)

    • 2022年4月から、18歳で成人となる改正民法が可決された。私はちょうど2022年に18歳になる。テレビの報道番組は、もっと小中高生に向けた「大人になるために知恵」を得られる内容で作ってほしい。法律で決まったからといって「大人」にされても準備ができていないと困る。(福岡・中学2年・男子)

    • 民放に多いのですが、番組が10時ちょうどからではなく、9時56分などから始まるのはどうしてなのかな?と思っています。ちょうどに始まるほうが、時間がわかりやすくてうれしいです。(福岡・中学3年・女子)

    • 5歳の女の子が虐待を受けて死亡したという事件報道を見て、今の日本の児童保護のずさんな実態を知った。この女の子は過去に2度児童相談所に保護されていたらしいが救えなかった。以前にも似たようなニュースを見たことがある。これらはきっと氷山の一角で、もっと多くの子どもたちが亡くなっていると思う。この事件を改善のきっかけにしていってほしいと思う。(沖縄・高校1年・男子)

    • 56・57分スタートという番組が多く、何時スタートか覚えづらいです。00分スタートにしてほしいです。また、ニュース番組で取り上げるニュースが、身近なものが多すぎる気がします。身近な情報も必要ですが、海外の大きなニュースももっと知りたいなと思います。(福井・高校1年・女子)

    • 全世代がジェネレーションギャップを感じることなく見られるドラマやバラエティーが今は少なくなってきているように感じます。(東京・高校2年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)を聴くことが多くなり、出演者がリスナーと向き合ってまっすぐ言葉をかけていて、胸がグッと来で、私もがんばろうと思える。ここにも居場所があると思える。(東京・高校2年・女子)

    • インターネットで好きな情報が得られる世の中で、テレビで何を報道するかが重要だと思った。夕方の報道番組を見ているとき、ザッピングしていると各局同じ話題が取り上げられていることが多いと感じる。(東京・高校3年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】について

    • 『R-1ぐらんぷり優勝者特番 濱田祐太郎のした事ないこと!』(関西テレビ)目が見えないことをネガティブにとらえるのではなく武器として漫談をしているところに感動しました。一般的には障害者だからこのネタは笑えないという方もいらっしゃると思います。しかし、他は全て私たちと同じであって、私たちよりも自分のことをわかっています。「芸人として笑ってほしい」という言葉がとても響きました。(東京・高校2年・女子)

今後の予定について

  • 10月2日、熊本市にて意見交換会(熊本地区)を開会することを確認しました

以上

第203回 放送と青少年に関する委員会

第203回-2018年5月22日

視聴者からの意見について…など

2018年5月22日、第203回青少年委員会を午後4時30分からBPO会議室で開催しました。今委員会から、新委員として、ノンフィクションライターの吉永みち子氏が加わり、7人の委員全員が出席しました。
委員会ではまず、委員長の指名により、副委員長として、緑川由香委員(弁護士)が選任されました。
次に、4月16日から5月15日までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
バラエティー番組で、下着泥棒を追跡する企画に関して「なぜ警察を呼ばないのか」「子どもは謝ったら済むと思ってしまう」などの視聴者意見が寄せられたことについて、委員からは、「当事者の意向や取材源の秘匿の問題もあり、警察を呼ばなければならない義務はないであろう」などの意見が出されました。
5月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たニュース・報道番組の感想」で、31人から報告がありました。モニターからは、「加計問題など話題のニュースをたくさん報道しているけれど、どういうことなのか、根本的なところから分かりやすく解説してほしい」、「10代向けの番組を作り、そのMCを10代がやれば、報道番組を見る人が増えるのではないか」、また、ニュースの特集番組について「一つの問題について様々な視点から語られていて、そこから派生して次の特集に移る点が番組の流れを円滑にしていた」などの意見が寄せられ、それについて議論しました。
次回は6月26日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年5月22日(火) 午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

朝のアニメ番組で、善人の登場人物が残忍に殺され、悪人の退治シーンはコメディー的に終わっている描き方について、「勧善懲悪の視点から子どもに悪影響があるのでは」「残酷な殺人シーンが流れ、子どもを交えて見る時間帯なのに配慮がない」との意見が寄せられました。これに対し、委員からは「特に青少年委員会で検討すべきというまでの内容ではないだろう」との意見が出されました。
バラエティー番組において、コインランドリーに張り込み、下着泥棒を特定して捕まえ、被害者が加害者と示談で解決したことについて、「警察を呼ばずに解決したのはおかしい。子どもが見て『謝って済むの?』と言っている」との意見が寄せられました。これに対し、委員からは「当事者の意向や、取材源秘匿の問題もあり警察を呼ばねばならないとはいえないだろう」「被害者が被害届を出さずに、民事での解決を選ぶこともありうる」などの意見が出されました。
またバラエティー番組で、口にクラッカーをくわえて破裂させる罰ゲームについて、「クラッカーは子どもが簡単に買えるので真似したら危険だ」との意見が寄せられました。これに対し、委員からは、「子どもたちが簡単に入手できるようなもので罰ゲームなどをする際には十分に安全性に配慮してほしい」などの意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要はない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした5月のテーマは、「最近見たニュース・報道番組について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で31人から報告がありました。
「ニュース・報道の感想」では、『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)と『報道特集』(TBSテレビ)にそれぞれ3人、『news every.』『NEWS ZERO』(日本テレビ)、『報道ステーション』(テレビ朝日)『バイキング』(フジテレビ)にそれぞれ2人から報告がありました。ローカル放送局が制作する番組を取り上げたモニターも、4人いました。番組はそれぞれ異なりますが、8人のモニターが、アイドルグループのメンバーが書類送検された事件を伝える報道について言及しています。
「自由記述」では、映像の編集による印象操作についての気づきや、「普段、自宅のテレビでニュースが流れていても受け流していることが多い」というモニターの「中高生自身も時事を知ろうとする意識を持つ必要がある」との意見がありました。また今回リポートするためにニュース番組を探していて「中高生向けの報道番組が少ないと思った」や「中高生には難しい用語には注釈をつけて」「中高生独自の目線で取材した番組があればきっとおもしろい」など「中高生向けの報道番組を作ってほしい」という意見を述べたモニターが4人いました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『シグナル 長期未解決事件捜査班』(関西テレビ)を7人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】
    • 今月のテーマ「ニュース・報道番組」は全体的に中高生にはなじみが薄そうだということが見て取れるリポートが多かったように思う。

    • NHKの朝のニュースを録画してリポートを書いている子をはじめ、ほとんどの子が録画視聴だった。モニターたちは、リポートを書くために録画したのだと思うが、普段から「ニュース・報道番組」はあまり見ていないのかもしれない。

    • 普段あまり見る機会のないニュースをおそらく初めて見なくてはいけない、という感じだったのではないか。

    • 『報道特集』(TBSテレビ)の「IRについて」の企画を見て、「競馬やパチンコ、競艇などは公に認められていて、カジノはなぜだめなのか」と疑問を持ったとの報告があったが、このような若者の素朴な疑問が、番組の企画にとっての「別角度の視点」に成り得るかもしれない。

    • 「報道番組は難しいので、10代向けの番組を作ってほしい」や「難しい言葉には易しい解説をつけてほしい」「もう少し色を付けるなど見やすい工夫をしてほしい」などの意見が複数あった。自分たちにとって見やすくわかりやすい報道を求めていることがわかる。

    • 「自分たちにわかりやすいニュースを作ってほしい」という意見もわかるが、しかしその一方で、「わからないことがあるなら自分で調べてみようよ」と言いたい気持ちもある。メディアがすべてお膳立てしていると、不思議に思うことを調べようとする知的好奇心が刺激される機会までも減ってしまうのではないかという懸念がある。

    • 報告を読んで思うことは、彼らの中で「報道番組」と「情報番組」の区別や境目がわからなくなってきているのではないかということ。今は、夕方のニュース番組のなかでグルメ企画が放送され、その延長線上で北朝鮮問題が取り上げられたりしている。また情報バラエティー番組がトランプ大統領を扱ったりもする。そんな現在のメディアの状況を彼らがどのように感じているのかが、とても興味深かった。

    • 中高生は「ニュース・報道番組」をあまり見ていないのだろうが、ニュース番組に対する印象というのは、この時代に形成されているのではないかと思う。将来の市民になっていく中高生たちが「難しい」「つまらない」という印象で感じているとするならば、彼らが親しみを感じられる仕組みなどを今後考えていかなくてはならないのではないか。
      『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ)について、「落語や漫談など中高生はあまり見る機会のないジャンルが取り入れられていてよかった。見る前は堅苦しい芸はこの時間に合わないのではないか、と思っていたが、立川志らくさんや神田松之丞さんなど、いざ見てみると今までにない笑いの取り方がとても面白かった」と評価する報告があった。普段、コントや漫才が中心の演芸番組の中で、落語や講談、漫談が紹介されていたことが、中高生にとって非常に新鮮に映ったようだ。若い世代も、このような演芸に誘導できるという意味で、制作者にとっても新たな可能性が感じられるのではないだろうか。

  • 【自由記述】について
    • 「ラジオの良さは、(テレビの)バラエティー番組のように「形式」がなく無限大に広がるトークのみで構成されている空間だから」というラジオの魅力を語るリポートがあった。ラジオ番組制作者のみなさんへのエールになると思う。

    • 「トランプ大統領が来日した時の鯉の餌やり映像で、雑な餌やりだと思ってみていたら安倍総理の真似をしただけだった。編集でイメージ操作をすることは簡単なのだと思った」という報告があったが、テレビの裏側を自分なりに考えてくれたのだと思う。

    • 話題のニュースなどについて、「根本的なところからわかりやすく解説してほしい」という意見があった。確かに、たとえば加計問題にしても本当に何が問題なのか、という根本から取り上げて説明している番組は、実はあまりないのではないか、と私自身も感じている。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】
    • 『バイキング』(新潟総合テレビ/フジテレビ)瀬戸内海の島で家の屋根裏に隠れていた犯人が海を泳いで本州に渡り捕まった話を面白おかしくしていたが、被害にあった人たちは笑えないだろうと思った。またアイドルグループのメンバーが書類送検された事件で被害者がそっとしておいてほしいと言っているのに毎日テレビで取り上げているのはひどいと思う。(新潟・中学1年・女子)

    • 『news every.』(日本テレビ)この番組は堅いニュースだけでなくおすすめの料理店や話題のスイーツなど、様々な観点から知りたい情報を幅広く紹介してくれるところが特徴です。またこの番組に限らず、それが悪いわけではないのですが、平日の夕方のニュース番組は食べ物ネタが多いと思いました。(東京・中学2年・女子)

    • 『ワイドナショー』(フジテレビ)面白くて比較的見やすいと思います。二ュースほど堅くなく笑える部分もあるので本当に見やすいと思います。ニュースは話し合う部分が放送されてないので、出演者がどう思っているのかはわかりませんがワイドナショーは出演者が気軽に話し合っているし高校生なども出演してるので若い人の意見も聞けます。芸人さん、俳優さん、ア―ティストなどの様々な立場からの意見も聞けるのでとてもいいと思います。(栃木・中学2年・男子)

    • 『バイキング』(仙台放送/フジテレビ)1週間に起きたニュースをわかりやすくまとめてあって見やすくてよいと思いました。しかしニュース内で書類送検されたアイドルグループメンバーについて、話し合いのほとんどの時間を使っていました。このニュースにその価値はあるのか?と思いました。(宮城・中学2年・女子)

    • 『報道特集』(TBSテレビ)ひとつの問題に対して様々な視点から語られており、そこから違和感なく派生して次の特集に移る点が番組の流れを円滑にしていると思います。(東京・中学3年・男子)

    • 『とくダネ!』(フジテレビ)強制わいせつで書類送検されたアイドルグループメンバーの過去の出演の際の言動をまとめて紹介していたが、悪印象を与えるものばかりであり、極端な報道を残念に感じた。このような報道では起訴されていないにも関わらず罪人というイメージを受けてしまう。番組には、今回のような芸能や政治に関する事柄でも、様々な角度の意見、事実を伝え論点を明らかにして視聴者に考えをゆだねてほしい。(神奈川・中学3年・男子)

    • 『中日新聞テレビ日曜夕刊』(東海テレビ)「中日新聞テレビ日曜夕刊」という名前から、私はローカルニュースが多いのだろうと想像していたが、実際は全国的・世界的なニュースが大部分を占め、ローカルニュースは番組最後の数分間であった。少し残念であった半面、全国・世界的なニュースは中心となるテレビ局一局で担当し、残りのローカルニュース等は地方各局で担当するという仕組みはとても完成されていると感じた。また、すべてのニュース番組に共通するのだが、ある一つの大きな事件が起こるとそれを子細に報道するという形式をとっている報道番組がほとんどで、「ほかのニュースも知りたいのに…」と、私自身飽きてしまうことがあった。視聴者のニーズはどのように番組に反映されているか知りたい。(愛知・高校1年・男子)

    • 『報道特集』(TBSテレビ)始まって30分ほどしてから見始めたのですが、テレビ画面右上に取材テーマが表示されており、途中からでも何についての話をしているのかをすぐ理解し、見ることができました。この日は「IRについて」取り上げていました。もともとIRについて知識はほとんどありませんでしたが、一つのテーマに対し、長い時間深いところまで掘り下げて放送されていたので理解を深め、見ることができました。しかし初めて聞く言葉も注釈なしで飛び交っていたので、説明がほしかったです。ひとつの事実に対して、中立の立場で、反対・賛成両方の立場の意見を報道していて、見ていて自分の意見を持つことができ、カジノについて考えるきっかけになりました。しかし、競馬やパチンコ、競艇などは公に認められていて、カジノはなぜだめなのか、ということに疑問を抱きました。(福井・高校1年・女子)

    • 『ファクトリサーチTV』(テレビ朝日)フェイクニュースというところにスポットライトを当てるというのがおもしろい視点だと感じました。一般的にあまりテレビでは取り上げられない話題ですが今回の放送を拝見して我々も漠然と報道を見ているだけでなくそれが本当なのかと考えることは非常に重要だと感じました。ネットやテレビには多くの情報がとびかっています。現在情報のはやさに関しては、正直テレビはネットにかなわないと思います。だからこそテレビには正確な情報を伝えるという点で勝負していただきたいと考えている次第です。(埼玉・高校2年・男子)

    • 『どさんこワイド179』(札幌テレビ)毎日放送されているニュース番組です。番組名になっている「179」は、現在北海道にある市町村の数らしいです。市町村合併などが行われると併せて番組名も変更されます。道内のニュースはもちろん、全国ニュースや「奥様ここでもう1品」などの楽しいコーナーもあり、普段あまりニュースを見ない人も楽しんで見ることができる番組だと思います。(北海道・高校2年・女子)

    • 『報道特集』(TBSテレビ)最近見入った企画は「塀の中の中学校」だ。80歳の受刑者が刑務所内の分校に入学し卒業を目指すというものだ。まず刑務所内で教育を受ける仕組みがあるということを知らなかった。その中で、60年刑務所で過ごしてきた受刑者が、中学を卒業すべく勉強しているということは完全に私の知らなかった世界だった。特集では刑務所内の様子や授業風景がかなり詳しく撮影されていた。また番組スタッフと80歳の受刑者との会話を中心に構成されており、ただ事実を映すだけでなく受刑者の思いも描かれていたため、わかりやすかった。会話の様子からスタッフが長い時間をかけて受刑者とコミュニケーションをとり、丁寧に取材・編集をしたのだろうと思った。社会問題となっている事柄を、取材・インタビューを通じてさらに奥へ深く掘り下げている、他のニュース番組とは異なるタイプの番組である。見るたびにまだまだ知らないことだらけだということに気づかされ、ハッとさせられる番組である。(東京・高校2年・女子)

    • 『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)トップニュースとして、北朝鮮とアメリカの首脳会談決定のニュースで始まった。その後、コマーシャルを挟みながら、最新のニュース、天気予報と移り変わり、30分ごろから新潟市女児殺害事件のニュースへ。まず、スタジオに黒服の男のイラストが複数配置されているところから始まり、スポットに照らされナレーションとともにVTRに移る。現場近くの昼間の公園に取材に行き、警戒からか人気のない公園をリポートしている様子だったが、これがかなり印象的だった。つぎに、黒い服の不審者の目撃情報を集めていた。8件ほど集まったと放送しており、一人ひとりイラストを書いてもらっていた。ここで、それが冒頭のイラストの演出なのかと合点がいく。何度も目撃されている、また被害者のランドセルから複数の指紋が見つかっているという点を強調することで、まったく手がかりがないわけではないということを伝えたいのかなと感じた。皇室ゆかりのホテルの大改修があるという特集を10分程度放送し、母の日テストを紹介して、やわらかい雰囲気で番組は終わった。重い空気のまま終わらせないこともお茶の間への配慮かなとも思うが、殺人事件の報道をなあなあなままで終わらせることこそ一番いけないわけで、難しいなと思った。(東京・高校3年・男子)

  • 【自由記述】
    • トランプ大統領が来日した時の鯉の餌やり映像で、雑な餌やりだと思ってみていたら安倍総理の真似をしただけだった。編集でイメージ操作をすることは簡単なのだと思った。(新潟・中学1年・男子)

    • 最近のニュースはとても難しく子どもが見てつまらないニュースがたくさんあります。もう少し色を加えるなど見やすい工夫をしてほしいです。(宮城・中学2年・女子)

    • 最近の報道は外交関係のニュースが多いと感じました。北朝鮮の非核化や日中関係、日韓関係など近隣諸国との関係が問題としてあがっていました。中には中学生には難しい用語もあったので、テロップなどでの簡単な解説が入るといいと思いました。(長崎・中学3年・女子)

    • 最近、ラジオにドハマリしています。ラジオの良さはテレビのバラエティー番組のように「形式」がなく無限大に広がるトークのみで構成されている空間です。(東京・中学3年・男子)

    • 今回、課題のためにニュース番組を探していて思ったのは、中高生向けの報道番組が少ないということです。高校生になると、現代社会のテストで時事問題が出るため、自分自身で新聞を見るなり、テレビを見るなりして情報を集めねばなりません。私は新聞から情報収集していますが、正直言ってあまり興味がわきません。ですから中高生に向けた時事ニュースを、気軽に興味を持って見られる番組が欲しいです。中高生がリポーターとなり、中高生独自の目線で取材した番組があったら、きっと面白いと思います。(福井・高校1年・女子)

    • 最近の報道番組は少し難しい表現が使われている気がします。大人が発信するのではなく、10代向けの番組を作り、その番組のMCを10代がやれば、報道番組を見る人たちが増えるのではないかと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 今回のテーマ「ニュース・報道番組」で、普段家のテレビがついていることは多いものの、実際は見ていなかったり受け流していることに気付いた。中高生自身も時事を知ろうとする意識を持つ必要がある。(東京・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】
    • 『シグナル』(テレビ宮崎・関西テレビ)2人の刑事が時を越えて事件の真相をあばき、解決しようとする姿が、ドラマというより映画のように映し出されているところがとてもよかったです。セリフの内容にも重みがあって、心に響きました。(宮崎・高校1年・女子)

    • 『シグナル』(東海テレビ/関西テレビ)各場面の背景で流れる音楽も視聴者の感情を高めるのに一役買っている気がする。今後ドラマなどを視聴するときは、内容だけではなく、その周りを囲んでいる様々な要素に焦点を当てて見ていきたい。(愛知・高校1年・男子)

    • 『シグナル』(フジテレビ/関西テレビ)初回からドラマの世界に引き込まれ、この先どうなるのか…とドキドキハラハラさせられました。時間軸を理解するのが少し難しいけれど、最終回までとても楽しみです。(東京・高校2年・女子)

以上

第202回 放送と青少年に関する委員会

第202回-2018年4月24日

視聴者からの意見について…など

2018年4月24日、第202回青少年委員会を午後4時30分からBPO会議室で開催、5人の委員が出席しました。(1人は所用のため欠席)
委員会ではまず、委員長の互選を行い、榊原洋一委員(お茶の水女子大学名誉教授・小児科医)が、委員長に選任されました。
次に、3月16日から4月15日までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
深夜のアニメ番組で、いじめや虐待のシーンに関して「リアルで真似されやすい」「過激すぎる」などの視聴者意見が寄せられたことについて、委員からは、「これらのシーンはストーリー展開上、必要なものであろう」などの意見が出されました。
4月の中高生モニターのリポートのテーマは「新年度に放送されたスペシャル番組の感想」で、33人から報告がありました。モニターからは、がんをテーマにしたスペシャルドラマについて「普段見る連ドラよりも内容が濃く、映画を見た気分になり、楽しかった」、また、ニュースを解説するスペシャル番組について「今日起きたアメリカのシリア攻撃をすぐに解説してくれてわかりやすかった」などの意見が寄せられ、それについて議論しました。
次回は5月22日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年4月24日(火) 午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、緑川由香委員

視聴者からの意見について

深夜のアニメ番組で、いじめや虐待のシーンについて「いじめの内容がリアルで、真似されやすい」「いじめや暴力表現が過激だ」などの意見が寄せられました。これに対し、委員からは、「アニメの初回であり、いじめや虐待の場面は、ストーリー展開上必要なものであろう。流血のシーンもあるが、著しくグロテスクな描き方ではない」「いじめ、虐待を肯定、推奨するような表現ではない」などの意見が出されました。
この件については、これ以上、話し合う必要はない、となりました。

中高生モニター報告について

2018年度も、全国34人の中高生にモニターを依頼しました。
4月のテーマは「新年度に放送されたスペシャル番組の感想」とし、年度初めの番組改編期に放送された様々なスペシャル番組(いわゆる特番)の中から、自由に選んだ番組を視聴し、報告してもらいました。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。33人から報告がありました。
「青少年へのおすすめ番組」に挙げられていたドラマ特別企画「がん消滅の罠~完全寛解の謎~」(TBSテレビ)をリポートの題材にしたモニターが5人おり、「おすすめ番組」と合わせて11人がこのドラマについての感想を寄せています。「主人公と仲間たちとの絆や家族愛、自分の信念を強く持つことの大切さなどが描かれており、中学生ながらにも考えさせられる場面が多くあった」など、10代ならではの感性と視点で視聴している様子がうかがえます。
「自由記述」では、ラジオについて「若いリスナーが少なくて悲しい。若い人が聴かなければ、どんどん年配向けの番組が増える」という危機感や、「もっと子ども向けのニュース番組があればニュースに興味を持つ子どもが増えると思う」などの意見がありました。

◆委員の感想◆

  • 【新年度に放送されたスペシャル番組の感想】について

    • 『バカリズムのそこスルーする?』(フジテレビ)という番組について、「スルーされたことに目を向けるというコンセプトがとても面白い」と感想を寄せたモニターがいる。そのモニターが「世の中の小さなことをテレビ番組で取り上げることはあまりないので、このような番組はとても興味がわく」と述べていて、中高生が番組に求めている期待が垣間見える感想だろう。

    • 『2018春DASHでイッテQ!行列のできるしゃべくり日テレ系人気番組NO.1決定戦』(日本テレビ)の企画について、「すっぱいものを無表情で食べるというコーナーを食事時ではなく夜10時ごろに放送していたのはよかった」との感想が寄せられたが、おそらく制作者が行ったであろう視聴者への配慮を、中学生が評価しているということが興味深かった。制作者の配慮は、中高生にもきちんと届いているということがわかる報告だった。

    • 『FNS番組対抗オールスター春の祭典 目利き王決定戦』(フジテレビ)について、「自分が参加できる企画がたくさんあって、考えたりするのがとっても楽しかった」との報告があった。クイズ番組とは、基本的にそのような楽しみ方をするものだとは思うが、中高生にとっては、やはりそういう番組が求められているのだと理解した。

    • 『がん消滅の罠~完全寛解の謎~』(TBSテレビ)は、今回大勢のモニターが取り上げているが、「仲間たちとのきずなや家族愛、自分の信念を強く持つことの大切さなどが描かれている」との感想にもあったように、中高生なりに考えながら視聴し、このドラマから得られることがあったということだと思う。また「カメラワークなどがよくて映像ならではのドキドキワクワクがうまく伝わってきた」というふうにも評価する声もあり、制作者のこだわりや質の高さは、中高生にもしっかりと届いているということを制作者にはぜひお伝えしたい。

    • 『西郷どんスペシャル 鈴木亮平×渡辺謙の120日』(NHK総合)を見て「本当に面白いドラマを作るには、番組を作るスタッフの努力と、役者さん達の役に対する心構えが大切なのだなと感じた」との報告が寄せられた。やはり作り手や出演者が熱意にあふれ、丁寧に作られた番組というのは、若者の心に響いているということを実感する。作り手が丁寧につくった番組を、また丁寧に見てくれている中学生がいるということは、制作者にとっても励みになるだろうと感じる。

    • 『又吉直樹のヘウレーカ!』(NHK Eテレ)に「植物のオオバコについて研究を行う中学生が登場し、説明をしており同世代の活躍にすごいという思いと、刺激を受けた」と書いたモニターがいたが、等身大の同世代が番組に出演し、ある種の活躍を見せるということは、中高生の心をひきつけるものなのだと思う。また同じモニターが「子どもにとっておもしろい内容だったが、放送時間が夜10~11時とやや遅いのが残念」と述べているが、確かに、このような番組は、子どもたちがリアルタイムで見られるような時間帯に放送されるといいのではないかと思う。

    • 『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ)について、「落語や漫談など中高生はあまり見る機会のないジャンルが取り入れられていてよかった。見る前は堅苦しい芸はこの時間に合わないのではないか、と思っていたが、立川志らくさんや神田松之丞さんなど、いざ見てみると今までにない笑いの取り方がとても面白かった」と評価する報告があった。普段、コントや漫才が中心の演芸番組の中で、落語や講談、漫談が紹介されていたことが、中高生にとって非常に新鮮に映ったようだ。若い世代も、このような演芸に誘導できるという意味で、制作者にとっても新たな可能性が感じられるのではないだろうか。

  • 【自由記述】について

    • 「バラエティー番組で、番宣のために出演している人が最近とても多い」という意見がいくつかあった。今はどこのテレビ局もそういう形で番組が構成されているが、そのようなお約束事のような演出はやはり中高生にとってもあまり感じが良いものではないようだ。

    • 「大笑いできる番組が減っている」という意見について、バラエティー番組はたくさんいろいろあるのに、理屈抜きで大笑いして楽しかったといえる番組が減っているという印象をモニターが持っているということが、気になっている。

    • CMまたぎの演出について、「CM前後で同じ映像を見せることは(視聴者の)テンションが下がってしまう印象が強く、CMへのイメージを悪くする」という指摘があったが、なかなか鋭い視点だと思う。

    • 「最近のメディアは同じことばかり取り上げている」という意見と「ピョンチャンオリンピックの時、どこの放送局も同じような質問をそれぞれ別々にしていて、選手が気の毒になった」という感想が、別のモニターから寄せられた。確かに、放送局や番組ごとに掘り下げ方やアプローチの仕方に工夫を凝らし、個性を発揮して、「どこも同じ」などと言わせないよう頑張っていただきたい。

    • 「ワイドショーなどテレビの放送で、不倫や浮気の話題を大々的に扱わないで欲しい。ネットニュースで十分だ」という意見があったが、中高生としてみればやはりそう感じるのかな、と思った。

  • 【青少年へのおすすめ番組】について

    • 『みんなの甲子園』(毎日放送)を視聴し、とてもいい番組だと思ったが「僕の友だちの多くはこの番組を知らなかったので、もっと宣伝していろいろな人に見てもらえたらうれしい」という意見は、ぜひ制作者に伝えたい。

    • 『発見!タカトシランド』(北海道文化放送)について「自分の住んでいる地域が取り上げられるとうれしいし、地域の活性化にもつながると思う」という感想が寄せられているが、こういう番組はローカル放送の利点だと思う。ローカル性というものが、いかに視聴者と作り手をつなげて、楽しいものであるかという、ローカル放送の力と可能性が感じられる。

◆モニターからの報告◆

  • 【新年度に放送されたスペシャル番組の感想】について

    • 『がん消滅の罠~完全寛解の謎~』(TBSテレビ)3時間のドラマは、普段見ている連ドラに比べて内容が濃く、映画を見たような気分になりました。いろいろなところに伏線が散りばめられ、最後にどんどん謎が解けていくミステリー特有の感じなどが本当に面白かったです。(東京・中学2年・女子)

    • 『バカリズムのそこスルーする?』(東海テレビ/フジテレビ)スルーされることに目を向けるというコンセプトが面白かったです。世の中の小さなことをテレビ番組で取り上げることはあまりないので、このような番組はとても興味がわきます。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『2018春DASHでイッテQ!行列のできるしゃべくり日テレ系人気番組NO.1決定戦』(宮城テレビ/日本テレビ)コーナー内でいろいろな対決をしていましたが、「すっぱいものを無表情で食べる」という場面があり、そのコーナーを食事時ではなく夜の10時ごろに放送するという配慮は、とてもいいと思いました。(宮城・中学2年・女子)

    • 『ENGEIグランドスラム』(テレビ西日本/フジテレビ)4時間10分の長い番組だったが、演芸を3部構成にし、合間に歌謡ショーなどがはさまれていてまるで芸人たちの文化祭のようで飽きなかった。(福岡・中学2年・男子)

    • 『FNS番組対抗オールスター春の祭典 目利き王決定戦』(関西テレビ/フジテレビ)自分が参加できる企画がたくさんあって、いろいろ考えたりすることができとても楽しかったです。いろいろな種類のクイズがあり、見ていて飽きなかったです。(大阪・中学2年・女子)

    • 『がん消滅の罠~完全寛解の謎~』(長崎放送/TBSテレビ)主人公と仲間たちとの絆や家族愛、自分の信念を強く持つことの大切さなどが描かれており、中学生ながらにも考えさせられる場面が多くあった。カメラワークなどがよくて小説だけでは伝わってこないであろう映像ならではのドキドキワクワクがうまく伝わってきた。(長崎・中学3年・女子)

    • 『西郷どんスペシャル 鈴木亮平×渡辺謙の120日』(NHK総合)本当に面白いドラマを作るには、番組を作るスタッフの努力と、役者さん達の役に対する心構えが大切なのだなと感じました。今後、「西郷どん」を見る際には「西郷どんスペシャル」で紹介された役者さんの演技の工夫と役作りにも注目して見ていこうと思い、ますますドラマの続きを観るのが楽しみになりました。(福岡・中学3年・女子)

    • 『又吉直樹のヘウレーカ!』(NHK Eテレ)植物のオオバコについて研究を行う中学生が登場し、説明をしており同世代の活躍にすごいという思いと、刺激を受けた。残念だったのは放送時間。子どもにとっておもしろい内容だったが、放送時間が夜10~11時では、やや遅いのではないだろうか。(神奈川・中学3年・男子)

    • 『がん消滅の罠~完全寛解の謎~』(琉球放送/TBSテレビ)医療ドラマというよりは人間ドラマという感じがした。主人公の友人や恩師など様々な人物が登場し、彼らが繰り広げるドラマに常にハラハラさせられた。もちろん医療ドラマとしても面白かった。専門用語が出てくるのだが、それらがテロップできちんと説明されており、よりわかりやすかった。3DCGを使った解説などで、言葉では伝わりにくい場面も理解することができた。3時間近い長いドラマだったが、見ていてとてもよい時間を過ごすことができた。(沖縄・高校1年・男子)

    • 『オールスター感謝祭』(CBCテレビ/TBSテレビ)例年と変わらない「生放送」「ミニ企画」などやはり安定して面白かった。ドタバタ感は生放送でしか味わえないし、ミニ企画の種類が豊富なので、長時間に渡り飽きずに見られた。(愛知・高校1年・男子)

    • 『FNS番組対抗オールスター春の祭典 目利き王決定戦』(フジテレビ)4月から始まるドラマやバラエティー番組の出演者がチームで対戦する番組は、節目の時期にしか見られないので、楽しみにしていました。たくさんの企画があり、私自身もクイズに参加したくなるような作りでした。いろいろなクイズがありすぎたので、もう少しひとつひとつの企画を丁寧に詳しくやっていただきたいなと思いました。(東京・高校1年・女子)

    • 『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)番組前半は日本の風習などを池上さんが解説し、後半は生放送でアメリカのシリア攻撃について解説する内容だった。その日に起きたアメリカのシリア攻撃を解説してくれて、すごくわかりやすかった。アメリカではこのニュースが夜に発表されたので、反応が未だ出ていないという解説があったが、このタイムリーな話題は生放送でしかわからない内容だったのでよかった。(東京・高校2年・男子)

    • 『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ)この番組はネタを披露する芸人のバランスがよい。勢いのある若手から賞レースで活躍する芸人、さらにはネタを披露することが滅多にないベテラン芸人など幅広く実力のある芸人が出演し、全体を通して安定していた。また落語や漫談など中高生はあまり見る機会のないジャンルが取り入れられていてよかった。見る前は堅苦しい芸はこの時間に合わないのではないか、と思っていたが、立川志らくさんや神田松之丞さんなど、いざ見てみると今までにない笑いの取り方がとても面白かった。落語や漫談をこれからも見てみようと思った。気になった点は、観客の笑い声が不自然に感じられたことだ。近年お笑い番組は減少しているが、この番組は今後もずっと見ていたい。(東京・高校2年・女子)

    • 『さんまの東大方程式』(フジテレビ)この春、高校2年になり大学受験を身近に感じるようになりました。周囲には東大を目指す友人もいます。個性豊かな東大生の学生生活や、受験勉強について楽しく知ることができることは受験勉強の励みになります。ただ「東大」という肩書だけで「天才」などと評価することが多くあります。もちろん東大合格は狭き門ですが、東大生だからといって天才、スーパー大学生などと言わないで欲しいです。(東京・高校2年・女子)

    • 『旅する落語』(フジテレビ)今まで一度も落語を見たことがありませんでした。街を歩いてネタを探すという企画は大変難しそうだけど、出演者のふたりが作り出した落語はとても面白く、親子で楽しく見ることができました。落語だけでは伝わらない笑いも、ネタ探しのVTRのおかげで一層面白く、テレビならではの企画だと思いました。(東京・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • バラエティー番組などで、番宣で出演する人が最近とても多いと思います。(東京・中学2年・女子)

    • テレビで大笑いできる番組が減っている気がします。(新潟・中学2年・男子)

    • ラジオが大好きです。でも、若いリスナーが少なくて悲しいです。若い人が聴かなければ、年配向けの番組がどんどん増えていくと思います。正直、嫌です。(岐阜・中学2年・女子)

    • テレビなどで「続きはCMの後」などの引き伸ばしや、CM前後で同じ映像を繰り返すことは、視聴者のテンションを下げてしまう印象が強い。CMへのイメージを悪くしてしまう気がする。(神奈川・中学3年・男子)

    • 最近のメディアは同じことばかり取り上げていると思う。夕方のニュース、ワイドショーなどはどの局も同じ内容を毎日放送しているように感じる。見ていて面白くない。(沖縄・高校1年・男子)

    • ピョンチャンオリンピックでそれぞれの放送局が試合終了直後から選手へのインタビューを個別に行っていて、選手たちが大変そうだと思いました。また、どの局も質問内容が変わらないような気がしたので、どこか1局が代表で取材し、それをそれぞれの局で放送すればいいのではないかと思いました。(福井・高校1年・女子)

    • もっと子ども向けのニュース番組があれば、ニュースに興味を持つ子どもが増えると思います。(東京・高校1年・男子)

    • ニュースやワイドショーであまり不倫・浮気の話題を大々的にやらないで欲しい。ネットニュースなどで十分です。(東京・高校2年・女子)

    • 今年の3月で終了したいくつかの番組は、今終わるべきだったのかな、と疑問に思います。視聴率だけがすべてではないと思います。テレビ離れもそこから始まっていく部分もあるのではないかと思います。(山梨・高校2年・女子)

    • 報道系の番組で、テレビやラジオで取り上げられるのと取り上げられないのでは、世間の関心度などが大きく変わってくると思います。ネットニュースや新聞等もありますが、それでも主要な情報源であることに変わりはないので、すべてにおいて公平性を保つ、デマを流さない、わかりやすく伝えるなどのことを強く意識してこれからも伝えていってほしいと思っています。(東京・高校3年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】について

    • 『みんなの甲子園』(毎日放送)夏には『熱闘甲子園』があるのに、春の選抜にはないのか、と残念に思っていたところ、この番組を見つけてうれしかったです。ぼくは野球をしているので、球児たちが甲子園で躍動する姿を見てもっと野球を楽しみたいと思います。ただ、ぼくの友達はこの番組を知らなかったので、もう少し番組を宣伝していろいろな人に見てもらえたらいいと思います。(兵庫・中学2年・男子)

    • 『又吉直樹のヘウレーカ!』(NHK Eテレ)又吉さんの文学的な言葉づかいには、いちいち感動してしまう。オオバコ少年と又吉さんの会話には、とても興味をひかれた。語りが吉村崇さんで、意外と真面目な人柄が見えて面白い。暮らしにひそむ不思議の細かいところまでわかって楽しい。とても気に入っている。(福岡・中学2年・男子)

    • 『発見!タカトシランド』(北海道文化放送)よく家族で見ています。自分の住んでいる地域が取り上げられると嬉しいですし、地域の活性化にもつながると思います。今後もこのような番組が増えるといいと思います。(北海道・高校2年・女子)

以上