第80回 放送倫理検証委員会

第80回–2014年3月

対決内容が編集で偽造されたフジテレビの『ほこ×たて2時間スペシャル』について審議、4月1日に委員会決定の通知・公表へ

「全聾で被爆2世の作曲家」とされている佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題ついて討議。放送実績のある在京局5局に、新たな映像提供を求め、次回も討議を継続

第80回放送倫理検証委員会は3月14日に開催された。
3月5日に通知・公表を行った日本テレビの『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に関する意見について、記者会見での質疑や当日の報道などが報告され、若干の意見交換を行った。
「対決内容が編集で偽造された」と出演者が告発し、番組が打ち切られた、フジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて』(2013年10月20日放送ほか2本)について、前回委員会での議論を反映させた意見書修正案が担当委員から提出された。意見交換の結果、委員会としての意見の集約がほぼ図られたとして、4月1日の通知と公表を目指すことになった。
"全聾で被爆2世の作曲家"とされている佐村河内守氏の作品が、別人のものだったことが発覚した問題について、NHKおよび在京民放キー局から提出された佐村河内氏を扱った番組のデータと、2013年3月に放送されたNHKスペシャルを視聴した意見をもとに討議を継続した。その結果、さらに6本の番組について当該局に映像の提供を求め、それを視聴したうえで次回に討議することになった。

議事の詳細

日時
2014年3月14日(金)午後5時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題

出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、水島委員長代行、香山委員、是枝委員、斎藤委員、渋谷委員、升味委員

1.日本テレビの『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に関する意見を通知・公表

日本テレビの朝の情報番組『スッキリ!!』で、インターネット詐欺の被害者として出演した男女2人が実は被害者ではなく、同じ番組に出演したネット詐欺専門の弁護士から紹介された当時の所属法律事務所の職員だったことが判明し、裏付け取材が不十分だったのではないかと審議した事案(2012年の2月29日と6月1日放送)。
3月5日、当該局に対して、委員会決定第19号の意見を通知し、続いて公表の記者会見を行った。当日夜のテレビニュースや翌日の当該番組の報道などを視聴したあと、委員長や担当委員から記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。

2.対決内容が編集で偽造されたフジテレビの『ほこ×たて 2時間スペシャル』についての審議

フジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて 2時間スペシャル』(10月20日放送)に出演していたラジコンカーの操作者が、「対決内容を偽造して編集したものが放送された」と告発したことから問題が発覚し、当該局はその事実を認めて、番組を打ち切った事案。
同じように不適切な演出問題があったと当該局が認めた2011年10月16日と2012年10月21日放送の『ほこ×たて スペシャル』についても審議の対象とすることになり、前回の委員会では、関係者に対するヒアリングなどをもとにした意見書の原案が議論された。
今回の審議では、前回の議論を踏まえた意見書の修正案が担当委員から示され、委員会の判断として、何をどのように指摘するのかなどをめぐって踏み込んだ議論が交わされた。その結果、意見の集約がほぼ図られたとして、4月1日に当該局への通知と公表の記者会見を行うことになった。

3.「全聾で被爆2世の作曲家」とされている佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題の放送責任などについて討議

全聾で被爆2世の作曲家とされている佐村河内守氏の作品が、別人のものだったことが発覚したことから、同氏をドキュメンタリーなどで紹介した番組の放送責任などについて、討議を継続した。
NHKおよび在京民放キー局からは、佐村河内氏を扱った23本の番組のデータが提出され、NHKからは、NHKスペシャル『魂の旋律~音を失った作曲家』(2013年3月31日放送)の映像と、放送に至る経緯をまとめた報告書が、あわせて提出された。
NHKスペシャルについての議論の過程で、さらにいくつかの番組についても内容を見たうえで議論を進めるべきだということで意見が一致したので、放送実績のないテレビ東京を除く在京各局に対して、佐村河内氏を扱った6本の番組の映像提供を新たに求めることになった。
その内訳は、TBSテレビが2本、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビが1本ずつで、委員会は次回も討議を続ける。

以上

第207回 放送と人権等権利に関する委員会

第207回 – 2014年3月

児童養護施設関連ドラマ
匿名インタビュー、モザイク処理の在り方…など

児童養護施設関連ドラマに対する申立書について、審理要件を満たしているかどうかなどを引き続き検討した。匿名インタビューやモザイク処理の在り方について、調査データの分析をもとに議論した。

議事の詳細

日時
2014年3月18日(火)午後4時~6時45分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、
曽我部委員、林委員 (欠席:小山委員、田中委員)

1.児童養護施設関連ドラマ

児童養護施設を舞台にした連続ドラマに対する申立書について、放送終了を受けて、委員会運営規則に照らして審理事案とする要件を満たしているかどうかなどを引き続き検討した。申立人の意向や局側との話し合いの状況を確認のうえ、次回委員会で改めて申立書の取り扱いを検討する。

2.「匿名インタビュー、モザイク処理の在り方」について

報道・情報番組における匿名インタビューやモザイク処理について、担当委員が事務局の調査データを詳細に分析して報告、各委員が意見を述べた。次回委員会で議論を継続する。

3.その他

  • 「宗教団体会員からの申立て」事案の委員会決定について当該局のテレビ東京で3月10日に研修会が開かれ、その概要を事務局が報告した。研修会には三宅弘委員長と起草担当の市川正司委員、田中里沙委員が出席、同社報道局・制作局・編成局等の社員・スタッフら92人が約3時間にわたって委員会決定の説明を受けて意見を交わした。

  • 1月30日に開催した鹿児島県内加盟放送局との意見交換会について、その模様を伝える地元局ニュース番組の同録DVDが追加で送られてきたため、それを視聴しながら事務局が改めて報告した。

  • 2014年度のBPOと事務局の体制について、事務局から報告があった。

  • 次回委員会は4月15日に開かれる。

以上

2014年3月10日

『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』

2014年3月10日 放送局:東京MXテレビ・サンテレビ

1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)について、1月28日開催の第153回委員会で審議入りを決めました。2月14日付で両局に回答要請を行い、両局から2月24日付で提出された回答書を基に、2月25日開催の第154回委員会で審議した結果、「委員会の考え」を公表することで審議を終了することにしました。3月6日開催の第155回委員会で「委員会の考え」が承認されましたので、当該2局に「委員会の考え」を送付するとともに、以下のとおり経緯を公表します。

2014年3月10日「委員会の考え」

2014年3月10日

【委員会の考え】

当該放送局からの回答を得て、第154回青少年委員会で審議した結果、サンテレビは26時から、東京MXテレビは25時30分からと、それぞれ放送時間を変更したことも踏まえて、放送局側とのさらなる意見交換の場は設けずに、文書による回答に基づいて、「委員会の考え」を以下に提示することにしました。

東京メトロポリタンテレビジョン(以下、「東京MXテレビ」)とサンテレビジョン(以下、「サンテレビ」)で、毎週土曜日22時30分から放送していたアニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』は、青少年の性愛が主たるテーマになっており、児童および青少年の視聴に適さない刺激の強い性的表現が複数含まれ、それが番組の特徴になっています。
東京MXテレビの回答では、『民放連・放送基準審議会「青少年と放送」問題への対応について』(1999年6月17日)を参考に、22時台の放送に至ったとの回答がありますが、同『対応』においては、"17時~21時に放送する番組については、児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分、配慮する"としていますが、その前提として、"放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する"(民放連・放送基準第18条)を順守徹底することが求められています。
これは、各時間帯に応じて段階的に児童および青少年の視聴に十分な配慮が必要であることを意味し、21時を過ぎれば、児童および青少年の視聴に配慮する必要がなくなるわけではないことを十分に認識していただきたいと思います。
東京MXテレビ、サンテレビとも、多数の視聴者意見を受けて第5話以降の放送時間を変更したということは、事前に視聴者の意見を予想できなかったか、予想しながらも敢えて放送したとも考えられますが、いずれにしても、放送開始の段階では、視聴者の反応を十分に予想し、配慮した上での決定とは言い難かったのではないでしょうか。程度の差はあるにせよ、児童および青少年の視聴に対する配慮は時間帯を超えて常に必要であることに留意してほしいと思います。
東京MXテレビは、考査をしながら、そこでの意見が十分に反映されないまま放送に至った危険性が読み取れ、考査の過程が形骸化し、十全に機能していないのではないかと危惧しています。
サンテレビは、他局の考査セクションがチェックしているという点に安易に依拠し、局独自の考査を十分しないまま放送したもので、放送局としての放送責任を改めて考え直してほしいと思います。各放送局が、独自の放送責任を負っている点を深く自覚していただきたいのです。
いわゆる製作委員会方式においては、番組制作にあたり、放送局が全く関与しないか、関与が限定的なものとなっていることもあるようですが、最終的な番組編成や放送時間の決定は放送局に委ねられているのであり、その放送責任は免れません。したがって、放送にあたっては、自社制作番組と同様の丁寧なチェックが求められることを指摘したいと思います。
なお、青少年委員会は、児童および青少年の視聴に十分配慮する時間帯について、今後研究すべき課題であると認識していることを、BPO加盟の全放送局にお伝えしておきます。

以上

青少年委員会から東京MXテレビ、サンテレビへの質問

2014年2月14日

    1. 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。
    2. 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。
    3. 2.で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどの点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。
    4. 放送時間を問題にする意見は社内で出なかったのか否かについてお答えください。
    5. 4.で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。
    6. 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。
    7. 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。
    8. 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

    (サンテレビへの質問は、7.第5話以降は26時から放送されていますが~に変更)

東京MXテレビの回答

2014年2月24日

質問状に対するご回答

  • Q1 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。

  • A1 2013年7月23日に第1回目の考査を致しました。その後、9月25日に第2話の絵コンテ、10月30日に第1話アフレコ用動画と台本、12月24日に第1話のDVD、12月26日第2話のDVD、1月7日に第2話の修正版のDVDとそれぞれ考査依頼が来ており、最終的な考査の結果、放送可能と判断しました。編成部としましては、若干浅い時間ではあるものの、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、放送時間が午後10時台と、午後9時を過ぎていることから、放送を決定いたしました。

  • Q2 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。

  • A2 上記第1話の考査依頼の際に、異論もあり性的描写を抑えることを考査部門より営業担当を通じて制作者側へ伝えていました。また、第2話に関しても、一部の性的描写シーンについて再考・是正するよう伝えていました。

  • Q3 2で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどのような点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。

  • A3 編成局編成部の考査担当者が、第1話、第2話の絵コンテ、アフレコ用の動画のそれぞれの段階において、種々異論はありましたが、協議の上、過激な性的描写に再考・是正することなどの意見を出しています。当社としての最終判断は、「作品のテーマに沿って必要な範囲であり、アニメ固有の表現の域内である」と考え、放送時間も考慮したうえで放送可能と判断を致しました。

  • Q4 放送時間を問題にする意見は出なかったのか否かについてお答えください。

  • A4 放送時間移動についての強い意見はありませんでした。

  • Q5 4で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。

  • A5 当社では、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、22時台の放送に至りました。

  • Q6 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。

  • A6 22時台という時間帯に関し、多くの青少年が視聴しているという事実に対する認識に不足があった点は否めず、特にアニメというジャンルでのアクセスが容易に行われるという観点から、より青少年に対し配慮を行うべき時間帯であったと反省しております。

  • Q7 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。

  • A7 第1話並びに第2話放送後からBPOへ苦情のメールが寄せられていることが判明し、当該番組を放送する時間帯としてはふさわしくないという判断に至り、すみやかに放送時間変更を決定致しました。

  • Q8 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

  • A8 当社が制作に関与したか否かを問わず、当社で放送する番組の放送責任は当社にあると考えております。特に、22時台は、生活習慣の変化から多くの青少年が視聴可能であり、チャンネル選択権を当該青少年が持っていることも多いという事実に対する認識が甘かったと考えております。当該番組を視聴し、嫌悪を感じた視聴者の皆様には深くお詫びを申し上げます。

以上

サンテレビの回答

2014年2月24日

<サンテレビ回答>

(1)について
当該番組の放送枠は、在京局との同時同枠編成によるレギュラー・アニメ番組枠として展開したいという、代理店からの要請により、当社東京支社営業部を窓口に、持ち込み番組という形で昨年の10月編成時に設定しました。
昨年10月21日、東京支社営業部は、本社編成部に他の枠を含めた1~3月クールのアニメ番組の予定表を出し、当該番組の「タイトル」を示しました。この時点では、放送枠としては昨年4月から、当該枠と同様に2局同枠編成している土曜日22:00~22:30での放送予定でした。分かっていたのはタイトルのみで、内容及びこの時間帯の放送で問題ないのかなどの点は、東京支社営業部も把握していませんでした。
11月22日、東京支社営業部より当該番組を土曜日22:30~23:00の放送枠に変更したいとの要請がありました。この時点で、編成担当者は当該アニメの公式ページを確認し、放送時間からみて内容に問題があるのではと思い、考査担当者にも相談の上、東京支社営業部の担当者に番組内容の確認を急ぐよう促しました。編成局長からも東京支社営業部長に注意喚起し、代理店との交渉状況についても問い合せました。東京支社営業部は、在京局から「考査チェックしている」との回答をもらっており、問題ないとの判断でした。
12月に入り、東京支社営業部長より編成局長に再度、在京局が引き続き当該番組を考査している旨の連絡があり、1月4日から毎週土曜日22:30~23:00の時間枠で放送することとしました。当社としての考査確認作業が必要という認識はありましたが、昨年4月期からの22時台の2局同枠編成による展開の経緯もあり、それ以上の論議にはなりませんでした。
12月25日(水)に当該番組の第1話が、26日(木)に第2話の放送素材が搬入され、それぞれ翌日に放送運営センター(放送素材スタンバイ部門)担当者がプレビューしました。しかし、その際、当該番組の放送時間帯の認識が薄く、性的表現の含まれたシーンに関する指摘は行わず、年末年始の休日をはさんだこともありそのまま1月4日(土)の放送に至りました。
アニメ番組においては通常、幹事局が代表して考査チェックするケースと、個別に考査依頼があり絵コンテやコメント台本、サンプルDVDなどが搬入されるケースがあります。今回の在京局は幹事局ではありませんが、「考査している」との情報に寄りかかり、考査材料の提出要求や問題点の指摘を怠ったことも、結果的に視聴者の厳しい意見をいただく事態を招くこととなった一因と考えています。

(2)について
問題ありとの指摘はありました。

(3)について
プロセスの中にありますように、編成担当者、考査担当者が事前に当該アニメの公式ページや原作本の紹介ページなどを閲覧し、過激な性的描写が危惧されることを営業担当者に伝えました。編成局長は東京支社営業部長および営業事業局長に指摘し、テレビアニメ化した際の表現内容について確認するとともに、放送時間に配慮した内容で対応するように依頼しました。以降の判断は、プロセスで記載したとおりです。

(4)について
放送時間を問題視する意見はありました。

(5)について
内容に対する懸念と同様の経緯です。

(6)について
民放連放送基準第3章の「児童および青少年への配慮」は、アニメにおいてはより留意する必要があるものと考えます。当然のことながら、低年齢層が視聴可能な時間に、刺激的な性的描写が含まれるアニメの編成は控えるべきものであると考えます。

(7)について
前述のとおり、当該アニメはその放送時間に適さないものだったと判断し、2月放送分から深夜帯(26時台)に移行しました。また、放送開始後、当社や貴委員会に寄せられた視聴者からの厳しい意見を踏まえ、代理店を通じて深夜といえども内容に配慮するよう申し入れました。

(8)について
制作に関与してないとはいえ、4週にわたり放送時間帯に相応しくない性的描写を含むアニメを放送してしまった責任は重く受け止めております。事前に問題意識を持ちながら自局での考査チェックを行わず、視聴者ならびに貴委員会からのご指摘を受ける事態を招いたことを深く反省しております。
番組づくりの手法が多様化する中で、放送局として判断、責任は今まで以上に厳格であるべきと考えます。今回のご指摘を受けて、社内の番組チェック体制を見直すとともに、アニメ番組の持ち込み基準を早急に策定します。
放送基準ならびに放送倫理を念頭に、特に低年齢層の視聴に十分に配慮した健全な編成
を心がけていく所存です。

以上

第155回 放送と青少年に関する委員会

第155回–2014年3月6日

『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』について日本テレビと意見交換

アニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京メトロポリタンテレビ、サンテレビ)を審議し、「委員会の考え」公表

第155回青少年委員会(臨時)を3月6日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回は、審議入りしている事案について当該局との意見交換と、前回委員会で審議した事案の「委員会の考え」について検討し承認しました。
次回は3月16日に定例委員会と中高生モニター会議を開催します。

議事の詳細

日時
2014年3月6日(木) 午後4時30分~午後8時50分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

【審議事案】

■日本テレビ制作関係者などと意見交換

  • 2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)の、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"について、第153回委員会で審議入り事案とし審議を続けてきました。青少年委員会は2月12日付で日本テレビに回答要請を行い、日本テレビから2月20日付で提出された回答書を基に日本テレビ制作関係者などと意見交換を行いました。概要等については、後日報告します。

■『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』について審議

  • 1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)に対し、2月14日付で両局に回答要請を行い、両局から2月24日付で提出された回答書を基に、2月25日開催の前回委員会で審議した結果、「委員会の考え」を公表することで審議を終了することにしました。今回の委員会で「委員会の考え」が承認されましたので、当該2局に「委員会の考え」を送付するとともに、以下のとおり経緯を公表します。

青少年委員会から東京MXテレビ、サンテレビへの質問

2014年2月14日

    1. 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。
    2. 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。
    3. 2.で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどの点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。
    4. 放送時間を問題にする意見は社内で出なかったのか否かについてお答えください。
    5. 4.で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。
    6. 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。
    7. 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。
    8. 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

(サンテレビへの質問は、7.第5話以降は26時から放送されていますが~に変更)

東京MXテレビの回答

2014年2月24日

質問状に対するご回答

  • Q1 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。

  • A1 2013年7月23日に第1回目の考査を致しました。その後、9月25日に第2話の絵コンテ、10月30日に第1話アフレコ用動画と台本、12月24日に第1話のDVD、12月26日第2話のDVD、1月7日に第2話の修正版のDVDとそれぞれ考査依頼が来ており、最終的な考査の結果、放送可能と判断しました。編成部としましては、若干浅い時間ではあるものの、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、放送時間が午後10時台と、午後9時を過ぎていることから、放送を決定いたしました。

  • Q2 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。

  • A2 上記第1話の考査依頼の際に、異論もあり性的描写を抑えることを考査部門より営業担当を通じて制作者側へ伝えていました。また、第2話に関しても、一部の性的描写シーンについて再考・是正するよう伝えていました。

  • Q3 2で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどのような点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。

  • A3 編成局編成部の考査担当者が、第1話、第2話の絵コンテ、アフレコ用の動画のそれぞれの段階において、種々異論はありましたが、協議の上、過激な性的描写に再考・是正することなどの意見を出しています。当社としての最終判断は、「作品のテーマに沿って必要な範囲であり、アニメ固有の表現の域内である」と考え、放送時間も考慮したうえで放送可能と判断を致しました。

  • Q4 放送時間を問題にする意見は出なかったのか否かについてお答えください。

  • A4 放送時間移動についての強い意見はありませんでした。

  • Q5 4で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。

  • A5 当社では、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、22時台の放送に至りました。

  • Q6 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。

  • A6 22時台という時間帯に関し、多くの青少年が視聴しているという事実に対する認識に不足があった点は否めず、特にアニメというジャンルでのアクセスが容易に行われるという観点から、より青少年に対し配慮を行うべき時間帯であったと反省しております。

  • Q7 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。

  • A7 第1話並びに第2話放送後からBPOへ苦情のメールが寄せられていることが判明し、当該番組を放送する時間帯としてはふさわしくないという判断に至り、すみやかに放送時間変更を決定致しました。

  • Q8 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

  • A8 当社が制作に関与したか否かを問わず、当社で放送する番組の放送責任は当社にあると考えております。特に、22時台は、生活習慣の変化から多くの青少年が視聴可能であり、チャンネル選択権を当該青少年が持っていることも多いという事実に対する認識が甘かったと考えております。当該番組を視聴し、嫌悪を感じた視聴者の皆様には深くお詫びを申し上げます。

以上

サンテレビの回答

2014年2月24日

<サンテレビ回答>

(1)について
当該番組の放送枠は、在京局との同時同枠編成によるレギュラー・アニメ番組枠として展開したいという、代理店からの要請により、当社東京支社営業部を窓口に、持ち込み番組という形で昨年の10月編成時に設定しました。
昨年10月21日、東京支社営業部は、本社編成部に他の枠を含めた1~3月クールのアニメ番組の予定表を出し、当該番組の「タイトル」を示しました。この時点では、放送枠としては昨年4月から、当該枠と同様に2局同枠編成している土曜日22:00~22:30での放送予定でした。分かっていたのはタイトルのみで、内容及びこの時間帯の放送で問題ないのかなどの点は、東京支社営業部も把握していませんでした。
11月22日、東京支社営業部より当該番組を土曜日22:30~23:00の放送枠に変更したいとの要請がありました。この時点で、編成担当者は当該アニメの公式ページを確認し、放送時間からみて内容に問題があるのではと思い、考査担当者にも相談の上、東京支社営業部の担当者に番組内容の確認を急ぐよう促しました。編成局長からも東京支社営業部長に注意喚起し、代理店との交渉状況についても問い合せました。東京支社営業部は、在京局から「考査チェックしている」との回答をもらっており、問題ないとの判断でした。
12月に入り、東京支社営業部長より編成局長に再度、在京局が引き続き当該番組を考査している旨の連絡があり、1月4日から毎週土曜日22:30~23:00の時間枠で放送することとしました。当社としての考査確認作業が必要という認識はありましたが、昨年4月期からの22時台の2局同枠編成による展開の経緯もあり、それ以上の論議にはなりませんでした。
12月25日(水)に当該番組の第1話が、26日(木)に第2話の放送素材が搬入され、それぞれ翌日に放送運営センター(放送素材スタンバイ部門)担当者がプレビューしました。しかし、その際、当該番組の放送時間帯の認識が薄く、性的表現の含まれたシーンに関する指摘は行わず、年末年始の休日をはさんだこともありそのまま1月4日(土)の放送に至りました。
アニメ番組においては通常、幹事局が代表して考査チェックするケースと、個別に考査依頼があり絵コンテやコメント台本、サンプルDVDなどが搬入されるケースがあります。今回の在京局は幹事局ではありませんが、「考査している」との情報に寄りかかり、考査材料の提出要求や問題点の指摘を怠ったことも、結果的に視聴者の厳しい意見をいただく事態を招くこととなった一因と考えています。

(2)について
問題ありとの指摘はありました。

(3)について
プロセスの中にありますように、編成担当者、考査担当者が事前に当該アニメの公式ページや原作本の紹介ページなどを閲覧し、過激な性的描写が危惧されることを営業担当者に伝えました。編成局長は東京支社営業部長および営業事業局長に指摘し、テレビアニメ化した際の表現内容について確認するとともに、放送時間に配慮した内容で対応するように依頼しました。以降の判断は、プロセスで記載したとおりです。

(4)について
放送時間を問題視する意見はありました。

(5)について
内容に対する懸念と同様の経緯です。

(6)について
民放連放送基準第3章の「児童および青少年への配慮」は、アニメにおいてはより留意する必要があるものと考えます。当然のことながら、低年齢層が視聴可能な時間に、刺激的な性的描写が含まれるアニメの編成は控えるべきものであると考えます。

(7)について
前述のとおり、当該アニメはその放送時間に適さないものだったと判断し、2月放送分から深夜帯(26時台)に移行しました。また、放送開始後、当社や貴委員会に寄せられた視聴者からの厳しい意見を踏まえ、代理店を通じて深夜といえども内容に配慮するよう申し入れました。

(8)について
制作に関与してないとはいえ、4週にわたり放送時間帯に相応しくない性的描写を含むアニメを放送してしまった責任は重く受け止めております。事前に問題意識を持ちながら自局での考査チェックを行わず、視聴者ならびに貴委員会からのご指摘を受ける事態を招いたことを深く反省しております。
番組づくりの手法が多様化する中で、放送局として判断、責任は今まで以上に厳格であるべきと考えます。今回のご指摘を受けて、社内の番組チェック体制を見直すとともに、アニメ番組の持ち込み基準を早急に策定します。
放送基準ならびに放送倫理を念頭に、特に低年齢層の視聴に十分に配慮した健全な編成
を心がけていく所存です。

以上

委員会の考え

2014年3月10日

【委員会の考え】

当該放送局からの回答を得て、第154回青少年委員会で審議した結果、サンテレビは26時から、東京MXテレビは25時30分からと、それぞれ放送時間を変更したことも踏まえて、放送局側とのさらなる意見交換の場は設けずに、文書による回答に基づいて、「委員会の考え」を以下に提示することにしました。

東京メトロポリタンテレビジョン(以下、「東京MXテレビ」)とサンテレビジョン(以下、「サンテレビ」)で、毎週土曜日22時30分から放送していたアニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』は、青少年の性愛が主たるテーマになっており、児童および青少年の視聴に適さない刺激の強い性的表現が複数含まれ、それが番組の特徴になっています。
東京MXテレビの回答では、『民放連・放送基準審議会「青少年と放送」問題への対応について』(1999年6月17日)を参考に、22時台の放送に至ったとの回答がありますが、同『対応』においては、"17時~21時に放送する番組については、児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分、配慮する"としていますが、その前提として、"放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する"(民放連・放送基準第18条)を順守徹底することが求められています。
これは、各時間帯に応じて段階的に児童および青少年の視聴に十分な配慮が必要であることを意味し、21時を過ぎれば、児童および青少年の視聴に配慮する必要がなくなるわけではないことを十分に認識していただきたいと思います。
東京MXテレビ、サンテレビとも、多数の視聴者意見を受けて第5話以降の放送時間を変更したということは、事前に視聴者の意見を予想できなかったか、予想しながらも敢えて放送したとも考えられますが、いずれにしても、放送開始の段階では、視聴者の反応を十分に予想し、配慮した上での決定とは言い難かったのではないでしょうか。程度の差はあるにせよ、児童および青少年の視聴に対する配慮は時間帯を超えて常に必要であることに留意してほしいと思います。
東京MXテレビは、考査をしながら、そこでの意見が十分に反映されないまま放送に至った危険性が読み取れ、考査の過程が形骸化し、十全に機能していないのではないかと危惧しています。
サンテレビは、他局の考査セクションがチェックしているという点に安易に依拠し、局独自の考査を十分しないまま放送したもので、放送局としての放送責任を改めて考え直してほしいと思います。各放送局が、独自の放送責任を負っている点を深く自覚していただきたいのです。
いわゆる製作委員会方式においては、番組制作にあたり、放送局が全く関与しないか、関与が限定的なものとなっていることもあるようですが、最終的な番組編成や放送時間の決定は放送局に委ねられているのであり、その放送責任は免れません。したがって、放送にあたっては、自社制作番組と同様の丁寧なチェックが求められることを指摘したいと思います。
なお、青少年委員会は、児童および青少年の視聴に十分配慮する時間帯について、今後研究すべき課題であると認識していることを、BPO加盟の全放送局にお伝えしておきます。

以上

第154回 放送と青少年に関する委員会

第154回–2014年2月

『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』
日本テレビ2013年12月31日放送
局からの回答書を基に審議

アニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』
東京メトロポリタンテレビ、サンテレビ
局からの回答書を基に審議

第154回青少年委員会を2月25日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回、審議の対象となったのは2事案で、そのうち1事案については、「委員会の考え」を公表して審議を終えることにしました。討論の対象になったのは2案件でした。その他、1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に話し合いました。また、2月の中高生モニター報告、3月開催予定の中高生モニター会議、調査研究、来年度の活動計画、名古屋テレビ放送へ講師派遣の報告、などについて話し合いました。
青少年委員会では「討論」という委員の自由な議論の場を設け、該当番組やテーマが「審議」の対象になるかどうかを判断しています。「討論」の対象になった番組やテーマが、すべて問題があると判断されるわけではありません。
次回は3月6日に臨時の委員会を、3月16日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年2月25日(火) 午後4時30分~午後7時50分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

【審議事案】

  • 2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)の、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"について、青少年委員会が2月12日付で日本テレビに回答要請を行い、日本テレビからの2月20日付で提出された回答書を基に審議を行いました。
    委員の主な意見は、以下のとおりです。

    • 日本テレビの回答は、質問に対して充分な回答となっていない。もう少し具体的な"骨格の部分"を聞いてみたい。

    • 意見交換は、放送局に"お白洲"と受け取られているのではないか。自由な議論の場として考えたい。

    • BPOの役割は、今後の放送に役立てるため事例を積み上げることにある。概要を公表する意見交換は必要だ。

    審議の結果、日本テレビに番組制作関係者らとの意見交換への出席を依頼し、さらに審議を深めて行くことにしました。

  • 1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)に対し、2月14日付で両局に回答要請を行い、両局からの2月24日付の回答書を基に、審議を行いました。この番組は、放送局が参加しない製作委員会による制作で、両放送局とも、第5話からは午前1時以降の深夜帯に放送時間を変更しています。
    委員の主な意見は、以下のとおりです。

    • 時間帯の認識が甘い放送局があるが、説明の内容は理解できたので、これ以上の意見交換は必要ないと思う。

    • 番組の内容に問題はあるが、両放送局とも第5話から放送時間を深夜に変更するなど自主的な対応をとったことを踏まえ、回答をもって了としてもよいのではないか。

    • もう少し詳しい回答がほしかった。時間帯をずらせば良いという問題ではない。

    • 放送局が参加しない製作委員会方式の番組の取り扱いについては、今後も丁寧なチェックが必要だと思う。

    審議の結果、これまでの回答書などを基に「委員会の考え」を公表することにより、審議を終了することにしました。

【討論案件】

  • 子どもが主人公のドラマについて、前回の委員会に引き続き討論しました。青少年委員会では、今後のドラマの展開も含めてさらに注視しながら、引き続き討論を続けて行くことにしました。

  • 「実在する施設をモデルにした建物内で少女に水着姿で客の接待をするシーンがあった。あまりに実態とかけ離れた描写に愕然とした」などの視聴者意見があった、地方都市を舞台にしたアニメ番組について、全委員が番組を視聴した上で討論しました。「あのシーンを見て不愉快と思った地元市民はいるだろう」という意見もありましたが、「このアニメを見て励まされたという中高生モニターもいた」「程度問題だが、アニメやドラマのストーリーにあまり過敏すぎるのは如何なものか」などの意見があり、審議入りしないことにしました。

中高生モニター報告

2月の中高生モニター報告は、「この1ヶ月程の間に見た番組(バラエティー・クイズ・音楽)について」というテーマで書いてもらいました。
今回は22人から報告がありました。長い間続いている人気のバラエティー・クイズ番組を支持する意見が多数寄せられました。『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ)、『世界ふしぎ発見』(TBSテレビ)、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ)などの番組です。音楽番組に関しても、『SONGS』(NHK)や『ミュージックステーション』(テレビ朝日)、『ベストヒットUSA』(BS朝日)など、長寿番組を毎週楽しみにしているという意見が寄せられました。
自由記述欄は、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。
今回はラジオに関しての意見が6件ありました。また、話題になっている番組、『明日、ママがいない』(日本テレビ)に関しても、「視聴者に非難されるとわかっていながら、話題となることをねらって放送したのではないか」「児童養護施設をテーマにして問題をなげかけること自体は悪くないが、ショッキングなせりふは問題だ」「是非最後までしっかり放送してほしい」など、多様な意見が寄せられました。中高生ならではの意見としては、テレビの存在意義に関してインターネットやその他のメディアとの比較で、いろいろな視点からの考えが寄せられました。BPOの活動に関して、「最近BPO関連のニュースが多い。テレビの在り方について考える時間が増えるとともに、しっかりした規制があると示すことで、テレビがより良いものになると思う」と書いたモニターもいました。

◆中高生モニターと委員の主な意見

●【委員の感想】今回は自由記述欄の記載に興味をひかれるものが多かった。天気予報やニュースに関して、テレビよりインターネットなどのメディアの方が早く情報が手に入る、速報性を求める情報にテレビが対応できなくなっている、と記述しているのが印象に残った。また、友達との話題は、テレビ番組ではなく、ニコニコ動画やYou Tubeに投稿された動画の話題の方が多い、とも書いている。

  • (千葉・中学2年男子)雪の情報などは、テレビよりもTwitterやLINEの方が早くて正確で、だとするとテレビを見ている必要性がなくなってくると思います。

  • (島根・中学3年男子)天気・交通・全国のニュースなどインターネットの方が早くて、深く詳しいことまで知ることができ効率が良いと思います。時代の流れがテレビからインターネットへ移る移行期へ入ったかなと感じました。

  • (神奈川・中学3年男子)以前の友達との話題は、テレビ番組についてのものが多かったですが、最近の自分の周りの会話はYou Tubeやニコニコ動画などのインターネット動画共有サービスに投稿された動画の話題や、Twitter、LINEなどのSNS、パズル&ドラゴンズなどのスマートフォン対応ゲームの話題が中心になっているような気がします。

●【委員の感想】大人がテレビに対して過剰に反応し過ぎているのでは、と疑問を投げかける一方、制作サイドも、番組に対する意見を尊重しつつも受け入れるかどうかよく考えるべきと、大変いい意見を書いたモニターがいた。

  • (島根・高校2年男子)最近、大人が暴力表現やいじめシーンについて「子どもに悪影響があるからやめろ!」などと世論に訴えるなど、過剰に反応し過ぎているように思います。制作サイドは、番組に関する多様な意見を尊重しつつも、その意見を本当に受け入れるべきか否か、様々な世代の立場に立って考える必要があると思います。

●【委員の感想】自由記述欄がとても面白かった。番組内容を規制し過ぎる弊害を書いたものもあった。

  • (愛知・中学3年女子)過激で良くない番組作りを推奨するわけではありませんが、制作側がもっと自由にのびのびと番組作りができる環境が整ってくると、テレビ番組はもっと面白くなると思います。

  • (島根県・高校2年男子)過激なシーンには、良い面、悪い面の両方があります。そうであるにもかかわらず、あたかも悪い面しかないように主張し、その結果、過激なシーンが制限されることは、逆に子ども達の心の豊かさをなくしてしまうことにもつながるのではないでしょうか。

●【委員の感想】一つの番組批判を集中してやるのはいじめではないか、という意見もあった。

  • (宮城・中学2年男子)何かが悪いとなると、寄ってたかってみんなで非難し合うのは、いじめと同じだと思います。

●【委員の感想】外国の局制作の番組も人気があるようだ。英語が話せればどんなに良いだろう、と書いたモニターもいて、やはり、時代が変わってきているという感じがした。

  • (東京・中学3年女子)iPhoneの「RadiON」というアプリで「KKEA」(ハワイ、ホノルルのラジオ局)というラジオを、毎日時間があれば聞いています。日本のラジオも好きですが、アメリカなどのラジオが一番好きです。

  • (福岡・高校1年女子)『グラミー賞授賞式&ノミネーションコンサート』(WOWOW)を録画して家族でじっくり見ました。日本の歌番組でここまで考えさせてくれる番組は無い気がします。私は英語がすらすらと聞き取れないので本当にはがゆかったです。受賞者の英語を生で感じ取れたらどんなにいいだろう、と心からじれったく思いました。

●【委員の感想】バラエティー番組の企画力をしっかり見ている、という気がした。様々な番組の魅力をきちんと指摘している意見がたくさんあった。

  • (鳥取・中学2年男子)僕が最近はまっているテレビ番組は、『テラスハウス』(フジテレビ/山陰中央テレビ)です。今までの番組とは一風変わった番組で、そのアイディアは素晴らしいと思います。青春まっただ中の中高生には人気が高く、見ていて胸がときめきます。アイディアでテレビの未来は大きく変わると思います。

  • (千葉・中学2年男子)『世界ふしぎ発見!』(TBSテレビ)この番組の良さは、その国に行ってみたくなるということに尽きると思います。制作担当の人達が面白いネタを探しているのが伝わってきて、ついついその国の魅力にハマっていきます。

●【委員の感想】長く続いている番組の意義をしっかり受け止め理解している。人気のある最近始まった番組も含め、細かい分析をしながら、よく番組を見ているな、と思った。

  • (島根・中学3年男子)『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ/日本海テレビ)この番組は制作スタッフがすごく頑張っておられると思います。日曜日の20時枠でマンネリ化せず、つまらないと思った回がないからです。

  • (新潟・中学3年男子)『月曜から夜ふかし』(日本テレビ/テレビ新潟)一見未完成であったり、支離滅裂な内容のVTRに出演者が突っ込みを入れるなどして、トークが広がり、そのトークがあることによってVTRが完成するのです。この双方がうまくマッチしているため、この番組が面白くなっています。

今年度の青少年委員会活動について

  • 3月16日に開催予定の中高生モニター会議の詳細と、来年度の中高生モニター募集が終了し、これから選考に入るとの報告がありました。

  • 来年度実施予定の調査研究について、2月8日、9日に仙台で予備調査を行った報告がありました。

その他

  • 2月14日に汐見委員長と最相委員が参加し開催された、名古屋テレビ放送での「意見交換会」についての報告がありました。

  • 3月4日に中部日本放送で加藤副委員長が講師として、3月11日にmmbiで小田桐委員が講師として、それぞれ参加する「意見交換会」が予定されています。

2014年1月

鹿児島県で、初めての意見交換会を開催

BPO・放送人権委員会は1月30日(木)、鹿児島県では初めてとなる意見交換会を開催した。昨年度の広島県に続いての県単位での開催であったが、在鹿児島6局から52名が参加した。委員会側からは三宅弘委員長、奥武則委員長代行、小山剛委員が出席、最近の「委員会決定」を議題に、人権や放送倫理について意見を交わした。午後7時30分からの開始であったが、予定の午後9時を大幅に越えて、9時30分頃まで熱心な議論が行われた。
主な内容は以下のとおりです。

◆三宅委員長 冒頭の基調報告◆

私も今年8年目の委員を務めさせていただいておりますが、ちょうど委員になった頃は個人情報保護法ができて、個人名の取材は非常に難しくなったという頃で、もともとは情報公開法の制定にずっと意欲的に取り組んできたのですが、情報公開とプライバシーの保護という観点から、高度情報通信社会における個人情報の保護というところも自分なりに政府の委員会等で意見を言うような立場になっておりました。
ちょうど今、出たので申しますと、人権擁護法案と個人情報保護法と、それから青少年条例、この三つのトリプルで表現の自由が侵される危機的状況にあるというような時代状況がずっとありました。BPOが自主自律の組織として、監督権限の行使を受けることなく、放送の倫理のあり方、それから私どもの委員会では特に名誉・プライバシーと表現の自由の調整を行うということで、様々な申し立てを踏まえて、判断を行っているということです。
特に、放送倫理検証委員会ができたちょうどその頃に、私どもの委員会でも放送倫理の中で、公平性とか公正性というものをどういうふうに扱うのか、というところまで判断の範囲を広げるということが、ちょうど2007年、委員になって途中にそういうことがありました。まあ、それ以外の放送倫理について判断ガイドの中で、放送倫理というものを具体的にどう判断するのかということについて、NHKと民放連の放送、報道の指針とか、それから放送倫理基本綱領よりいくつかの範疇をかかげるようにして、今までの決定の中から、いくつかの倫理のあり方というものを、この委員会として考えております。それが、また、きめ細かい放送倫理の判断をしなければいけない事案が出ておりまして、今日取り上げる事案もそのようなものが多々あります。
今日はそういう踏み込んだところのお話しをさせていただきたいと思います。
特に昨年の暮れに秘密保護法が制定され、あの法律は中央省庁のものにとどまらず、特定有害活動とか、テロリズムの関係ではどうしてもああいう法律が欲しいということで、非常に熱心だったということがあります。
ですから、法律によって、特定秘密と指定されたものは、当局にも秘密があるということになりますので、取材をされる時にそういうものに触れうるということになると、個人情報保護法に輪をかけて非常に取材がしにくくなるというようなこともあると思います。自主的、自律的な私どもとともに、そういう権力的介入を受けないような働きかけというものもお考えいただく、きっかけにしていただければと思います。
簡単ですが、冒頭の基調のご挨拶とさせていただきます。

◆決定50号「大津いじめ事件報道に対する申立て」について◆

フジテレビの当該ニュースの同録DVDを視聴したあと、起草担当の委員が決定のポイント等の説明を行い、意見交換に入った。

奥委員長代行:決定文は、皆さんのお手元にあると思います。これを読んでいただければもちろんわかるのですけれども、読んでない方は、いまのDVDをご覧になっても、一体このニュースのどこが問題なのというふうに思われたのではないでしょうか。委員会は結論的には、本件放送は人権への適切な配慮を欠き放送倫理上問題があるという見解を出しました。
ポイントは大きく言って二つあると思います。一つはテレビの映像です。いじめの加害者とされた少年の名前が実名で入っているんですね。それにモザイクや黒塗りをしないで放送している。それがインターネットに流れて、だんだん広まっていった。
もう一つはテレビ局の責任を、人権上の問題、あるいは放送倫理上の問題としてどういうふうに問えるかということです。
このニュースを普通の視聴形態で見ている限り名前は判読できません。全然わからない。結局、委員会の判断としては、テレビの映像それ自体を通常の視聴形態で見ていたら、名前を判読できない。判読できない以上、この少年に対する人権侵害、あるいはプライバシーの問題というのは生じないというふうに、まず入り口では判断したわけですね。
それを録画して静止画として切り取ったものがインターネットに流れたわけですね。それについてどう考えたらいいのかという問題があります。これが非常に難しい判断を迫られた問題だと思います。テレビの画像を録画して、それを静止画にしてインターネットに流すということは今、技術的にはごく簡単なことですね。私でもできます。できますが、それは著作権法上について言えば、違法な行為です。ですけれども、今、テレビのデジタル化、録画機器の性能の高度化、インターネットの普及状況といった、いろいろな問題を考えると、こういうことを全然頭に入れないでニュースを放送するということについて言うと、人権上、適切な配慮を欠いたのではないか、そこにやはり放送倫理上の問題を指摘せざるを得ないという結論に至ったわけですね。

ミスであることは明らかで、現場で誰が悪かったのかとか、そういう問題はもちろん局の中で究明する必要があると思います。しかし、結論的に我々が考えたのは、個々の誰がどうしたこうしたというよりも、要するに放送局全体の人権感覚と言いますか、いじめ事件ということで非常に全国的にも大きな問題になり、訴訟にもなっていて、少年法の問題というのもあるわけです。極めてセンシティブな問題ですから、個人名とか、個人情報とか、そういうものよりさらに一層気をつけなければいけない。にもかかわらず、こういう形で出てしまったというのは、放送現場全体において、人権感覚が希薄だった。しっかり考えていなかったのではないかと、そういうふうに指摘して、結論的に人権上の適切な配慮を欠いて、放送倫理上問題ありますよと、そういう見解に達したということです。
補足的に少し言っておきますと、謝罪放送をしたわけですね。人権上、配慮に欠いたものがありましたという内容です。その謝罪放送をしたことによって、いわば個人名がインターネット上でどんどん拡散する契機になった、バッシングが過熱したと、申立人は主張しております。その辺についてどう考えるか。謝罪放送のあり方という問題も、実は少し論点としてはあるんですけども、それについては、自分のところのニュースで人権上の問題が発生したということがわかった時点で、やはり速やかにお詫び放送をするというのは、放送局としては適切なあり方で、問題はなかったというふうに委員会は考えました。

◆参加者からの主な発言◆

□いかに意識を高めるか

自分たちがニュースを日々作っていく中でもいろいろ複雑になっていくと、やはりどうしてもそこにミスが発生する可能性はどんどん高くなってくる。一人の人間がやっているならまだしっかりコントロールできるのかもしれませんが、テレビの仕事は複数の人間が携わるので、できるだけシンプルに素材を一つにしていく。問題のあるものは途中でカットするか、もう使わない、使えないようにすることが必要じゃないかなと思います。
あとは、スタッフの意識というか、結局、記者だけではなくカメラマン、編集マン、もしかしたら、そのアシスタントまで例えば気付けば止まったかもしれないという場合もあるので、いかにしてその辺りの意識を高めていくかが、私たちの課題だと思います。これはもう日々呼びかけていくしかないのかなと思っています。BPOで出していただいているこのような資料等をできるだけみんなの目に触れるところに置いたり、会議等で説明をして共有するように今、務めているところです。

□裁判資料への感覚の薄れ

裁判資料への感覚が、普段取材する中で薄れているなというのは確かにあって、特に、先ほどのような自殺、特に少年の問題の時に、映像が作りにくいニュースの時に、何をその映像の中に入れ込むか。安易にその書面の接写とかに走ってしまうこともあり得るかなと個人的には思ったんですね。本当にこのカットが必要なのかというところもスタッフ間で共有しつつ、考えながら編集を進めていかないといけないと思いました。

奥委員長代行:我々が考えている今回の事案の最大のポイントは、要するにテレビがデジタル化し、録画機能が高度化して、なおかつインターネットの利用が広がっているという状況の中で、テレビのニュースを作る側がどれだけ注意しなければいけないのかという、その点なんですね。
決定文の中ではこういう状況だからこそ、作る側には一層研ぎ澄まされた人権感覚が必要ですよ、と指摘しました。なんか、研ぎ澄まされた人権感覚なんていう言葉を使うとすごく堅苦しいんですけども、想像力の働かせ方の問題だというふうに私は思っているんです。そういうことが明らかになった事案だと。ここがこの事案の最大のポイントだろうと私は思っています。
それから、スタッフの意識の問題とか、いろんな人が関わるから、やっぱりどうしても難しくなってしまうという話がありました。当該局には個人情報などが含まれる素材については取材担当者が注意を喚起するようになっていたそうです。局内では「イエロー」と呼んでいたとのことですが、この事案では入口の問題として担当者が「イエロー」とするのを失念したということがありました。しかし、問題はそういう個人の失念ということではなく、それをみんなが最後まで気がつかないで放送しちゃったというところにあるんであって、そこにさっき言った、新しい形の想像力を発揮した人権感覚を持ってほしいというのがこの決定の趣旨ですね。

◆参加者からの主な質問◆

□どこまで責任があるか

自局のサイトに事件等を上げた時には3日間で消そうという基準は持っているんですけど、ただ、それをネットに張り付けられた時にはいつまで経っても残ってしまう。テレビ局のニュースがずっとそういう形でネットに残った場合に、どこまで責任を問われるものなのか。

三宅委員長:このケースでも、複製権の侵害と言うことで、著作権法の問題を、どこまで責任を負うのかということで、第三者がコピーをとってネットに出したというところ以上は違法行為ですから、違法行為に加担したという責任までは問われないだろうということは、我々、判断しました。ただ、そういうふうに流れていく映像ですから、中学校のところはマスキングでどこの中学かわかりません。それから、中学の校庭辺りの映像は、かなりぼかしが入っているので、どこかわからない。あの辺はかなりきっちり丁寧にぼかしを入れているので、放送のレベルでの匿名性、ぼかし方は非常に良くできていると思う。
しかも、通常の見方でどこにあったかわからない。だから、映像のモザイクがかかった素材と元の素材の管理というところの問題ですけど、取材としてはできる限り正確な取材をちゃんとやってほしいというのが倫理上の問題であります。マスキングのかけ方とか、ぼかしの仕方というのはかなり思い切って徹底していただかないと、それがどんどん流れていくことになるので、複製権の侵害までは責任を負いませんよと言っても、それがどんどん行くと、訴える立場としてはやっぱり訴えたい立場になってきますから、訴訟に載せられる余地はやっぱりあると思います。取材は正確に、それからぼかしは思い切ってやらないと、特に少年事件ですので、元のデータと、モザイク処理をきっちりやったデータと、少なくともこの2本がはっきり区別して管理されて、それがうまく管理上、誰が見てもわかるような形にしていくというのが、本件から学ぶ大事なところじゃないかなという気がしています。

◆決定51号「大阪市長選関連報道への申立て」について◆

朝日放送の当該ニュースの同録DVDを視聴したあと、委員長と起草担当の委員がポイントを説明した。

三宅委員長:私からは概要の説明ということにします。まず冒頭では、職員を脅すように指示していた疑い、しかも脅迫か、ということで、疑いとしてはあるのですが、全体の論調がですね、紹介カードの回収リストに今後不利益になることを本人に伝えるとの指示が書き込まれていましたと。
それから一番我々がこれを取り上げないといけない、大阪交通労組って大きい組合ですけども、個々人の組合員に対する名誉棄損とか侮辱ということもありうるということで、団体としての申立も受けたのは、やくざと言っていいくらいの団体だと思っていますという、この「やくざと言っていい」ここが、我々が取り上げる一番のきっかけになった部分です。
それから裏付けをしたらですね、リストには交通局職員の3割にあたる1867人が並び、管理職もいます、非組合員のコード番号も記されている。このあたりは一応裏付け取材をすれば、こういうのが入っているんだから組合員のデータじゃないでしょという話が出て来る。
取り上げること自体に問題があるじゃないかと局側からは言われましたけれども、この点については、私どもも大きな団体のものを取り上げなかったこともありますけれども、今回は取り上げて、そういう決め打ちの報道にならないように、疑いであれば疑いとして表現するということと、裏付け取材を、できる限り努力をする。そこがうまくできてればもう少し違った放送内容になったのではないかというところが、ここで検討すべき内容だと考えております。

小山委員:これは非常に単純な事案です。画面でおわかりのように、二つのカードというか、二つの紙が出て来てきます。最初に出て来た平松市長の顔写真が写ったこの知人紹介カード、これは本物で、これについてはもうすでに過去に報道されているということです。今回はその知人紹介カードの回収リストというものが新たに明らかになったということで、その回収リストというのはボカシが入っていましたけど、職員番号と氏名が並んで、その下に強迫的な文言があるという。これが独自の取材で見つかったということです。しかし、これが完全なねつ造だということがあとで発覚したということです。
あの放送を見た人はどういう印象を持つかですけども、回収リストについては、これは本物だという前提で報道していたと思うんですね。その上で、実は内部告発者があの回収リストをねつ造した人だったんですけども、その内部告発者の「やくざと言っていいくらいの団体」とか、あるいは大阪市議の「恫喝」といった発言を重ねた番組になっています。
では、紹介カードの回収リストを、なんで本物だと信じてしまったのか、要するに内部告発者の言ったことを信じてしまったのかですが、これまでも当該局はこの内部告発者からの情報を報道していましたが、それがすべて真実だった。ですから今回も真実だろうと思い込んでしまった。
それからもう一つ、市議会議員が動いていることについて過度の信頼を置いてしまったのではないかと思います。この決定文に「市政調査権」と書いてありますが、これは局側が答弁書で出してきた言葉です。ただ今回の「市政調査権」はなんの意味もない、いわゆる百条委員会とはまったく関係のない、市議会議員個人の調査にすぎません。それを、ある程度権威がある情報源だとしてのっかってしまったようです。
結局、労組のほうに取材に行ったのかということですが、取材の努力はしたけども、取材は間に合わなかったということです。具体的にはニュースの直前に記者が組合事務所を訪ねたけれども、そのときは組合側の担当者が不在で対応していただけなかった。放送後、改めて委員長に取材を申し込んで、夕方のニュースでは報道していると。最大限取材努力をしたと言っていますけども、結局、委員会を納得させるものではなかったということです。
最後に1点だけ。この後も、当該局は回収リストについて続報を行っています。それで、リストがねつ造だとわかったのが3月下旬でして、3月26日に、これがねつ造だったという報道をしているんですが、大阪市はこのリストがねつ造だったと発表しましたという、単に淡々と事実を述べているだけで、先ほどの2月6日の報道を例えば引用して、それを訂正するわけでもないし、当時者に対して、謝罪するわけでもない。そのような内容でした。

◆参加者からの主な発言◆

□裏付け取材について

やっぱり労働組合に間違いなくその裏付けと言いますか、コメントを求めて、それから出すのが基本的なこと。もしうちでも気をつけなきゃいけないというのは、こういった疑惑の段階で、「やくざと言ってもいいくらいの団体だと思っています」といったコメントを使う部分ですね。どうしても我々は、インタビューで引き出したコメントの中で見出しになると言いますか、センセーショナルなコメントを選びがちですから、まだあくまでも疑惑の段階でこういった強い表現をあえて使う必要があるのか。その辺が、こういったインタビューでのコメントを選ぶ中で犯してしまいがちだと感じました。

小山委員:要するに100パーセント裏がとれない限りは報道するなと言っているわけではなくて、報道のやり方というところもあるんですね。相手方が否定している以上は、相手方の否定についてそれなりに配慮した構成あるいは言葉遣いの番組にすることもあり得ると思います。ご覧いただいた番組についても、結局取材ができなかったら一切報道しちゃいけないというわけではなくて、あの報道はないでしょというところが非常に強いですね。
それからもう1つ、あの回収リストについての情報は他の在阪局もつかんではいたみたいですけれど、局によっては事前に労組に取材に行って、これはうちは全然関係ないと否定されて、それで一旦、ボツにしたところもある。他の局でもこれはちょっと踏み切れない、で、逆にあのようなテレビが出てしまったので、あっ、やられたと思った局もあったようです。ですから、「回収リスト」情報はあの局だけが独占的に入手したわけではなくて、あの局だけが食いついてしまったと。それはやはりこの内部告発者とのそれまでの関係などもあったし、よく言えばあのテーマについて一生懸命やってきたので、逆に食いついてしまったのかなというところのようです。

三宅委員長:この決定文の結論の2段落目に「いかに報道することが重要であるとしても、裏付け取材の必要性、その他の放送倫理上の要請を軽視してよいことにはならない」とありますが、その次の「また、疑惑を報道するのであれば、取材努力を尽くした上で、あくまでも疑惑の段階であることが明確になるようにすべきである」と。したがって、内部告発報道とか目撃証人報道についても事実が確定的でないとしたら、疑惑の段階だということがはっきりするようにというシグナルですね。スクープというのと、もう事実がそれで固まったかのように走っちゃったところの問題があるので、疑惑は疑惑としてこういう疑惑がありますってことを淡々と述べ、裏付けが仮にとれなくても、おそらく報道はしたと思いますが、もうちょっと違う報道の仕方があったのではないかと思います。

◆モザイク映像や匿名インタビューについて◆

三宅委員長:今、私どもで、顔なしインタビューについてどういうふうに考えるかということを委員会の中でも議論しております。まだ確定的ではありませんが、いろいろ調査すると、各局で原則顔ありインタビュー取材をするようにということで、例外として顔なしインタビューすることができる場合についてはかなり検討されて、その基準がよくできているっていうことがだいぶわかってきました。ただ実際の運用として、それができているかどうかっていうところの問題。それから海外の通信社の基準を見ると、例外として顔なしインタビューするにあたっては理由を付記するようにという指導もされています。この辺は日本ではまだそこまで徹底しているような基準にはなってないような感じがあります。
先ほど言いましたように事実の正確性とか客観性とかですね、真実に迫る努力、放送倫理上ですね、そういう基準を示しているんですが、そういう観点からすると原則として顔ありインタビューというのが本来なされるべきです。しかし実際は安易に顔なしインタビューがなされているのではないかということで、私どもとしても今ですね、調査をしてもらおうという段階であります。
知る権利に奉仕する取材、報道の自由という観点からは、取材においてはやっぱり原則、顔ありインタビューをしていただきたいというのが私どもの立場でございます。ただ実際にはですね、先ほどの大津いじめ事案にあったように、放送時に、特にデジタル化した時代の放送を無断で二次利用するという現状においては、例外的な顔なしインタビューを放送する要件がきっちり確立され、運用される必要があるだろうと考えております。特に名誉、プライバシーの保護のためにはぼかしとかモザイク処理は十分に行う必要があります。
先ほどの話にもつながりますが、取材源の秘匿は絶対必要だということもあります。それから客観性や真実性の担保の努力という点ではできる限り顔ありインタビューを原則とする。ただし放送の段階ではぼかしの処理をしないといけないというケースも出て来ると思います。今日、先ほど見ていただいた大津いじめの事件報道で、瞬間的に名前が出たところは問題になりましたけども、それ以外のぼかしの仕方はかなりきっちりできていたんじゃないかなということで、それとの比較の観点からも、放送倫理上、問題があるんじゃないかということを考えた次第です。
いずれいろんな研究会で、また取り上げることにはなるかと思いますけども、そのあたり、撮影をする、取材をする、その時点の問題と、放送するときの処理の仕方というところを少し分けて考える必要が出て来ているのではないかということを思っています。まだ委員会では審議、検討している段階ですので、ある程度まとまったところで委員長談話のような形で出したいなとは思っています。特に現場で、ぼかしをしなきゃいけないんじゃないかってことで、取材の時点で、安易に妥協しないような取材をしていただきたいとの希望を持っています。

◆各局の現状◆

  • 平成23年にハンドブックを作り、その中でモザイクあるいは顔なしのインタビュー等について、一応規定しております。取材・放送については、実名報道が原則というところを明記しまして、モザイク・ぼかし等については例外措置であると謳っております。安易に使うことは避けましょうと呼びかけをしております。
    最近の傾向として、一般の方も実際の放送を見て、インタビューで顔が出ないケースが多いと思われてか、取材対象者のほうが顔を出さなければ取材、インタビューに応じるというケースが増えているように見受けられます。難しいのが共同取材、共同インタビューみたいに事件現場等で、どうしても1社がもう顔なしでいいですというふうに応じてしまうと、それに従わざるを得ないというケースもあると思います。そのあたりはある程度、各社さん、たぶん方向性は一緒だとは思うんですが、足並みがそろえばいいなと思っています。

  • 自社でそうした規定は作っておりません。系列キー局で作っている放送ハンドブック、記者ハンドブック、また民放連から配られる倫理手帳とか、そういったものを基準にしながらケースバイケースで対応しているところです。
    弊社も基本的には顔出しインタビューの方向ということで指示していますが、最近、事件・事故、火災等の現場等で、一般の方の意識として、インタビューっていうのは顔出さずに受けられるものみたいな、あるいは顔出しを非常に嫌がるという、昔と比べて取材がしにくい。現場から、なんで顔出して撮ってこないんだと言ったときに、本当にもうなかなか承諾してくれる人が少ないですよと、安易に走っているつもりはありませんと言われます。実際、現場でなかなか撮れるのが少なくなっていると記者から聞きます。

  • 独自のマニュアルはありません。キー局のガイドラインを参考にしながら、その事案ごとに対応を協議しているというのが実態です。やはり実名報道、顔がちゃんとあって、きちんと誰が証言をしているか、インタビューをしているかがわかるような形で撮るのがベストだと、普段から現場の記者には伝えています。モザイクが多いと視聴者から不信感を持たれかねないので、非常にモザイク報道が増えていることに対して危惧を覚えています。

◆三宅委員長から締め括りのあいさつ◆

長時間意見交換ができて、大変私どもも有意義な時間を過ごせたと思っております。最近の例、冒頭少しコメントさせていただきましたが、放送倫理の問題として、非常に難しい判断を迫られる、なおかつ新しいそのメディアが置かれている状況、二次的被害と放送される側からいえばそういう形ですし、こちらとしては意図していない被害をあたえかねないという状況もあります。
最近は、ニュースが一旦放送されると、各局のホームページ上で何度も見られるような状況にもなっておりますので、一回性の放送ではないという状況を自ら局側も作っている様子が伺えます。新しい時代状況に応じて、放送倫理のあり方をきめ細かく考えていく時期にきているのではないかなと思っています。
ただ、最後のモザイク処理の関係でいいますと、見ていると、やはり顔なしインタビューが多いです。真実に迫る正確な報道という点で取材される人との信頼関係を構築していただいて、正確に顔あり報道をしていただきたい。単に放送だけにとどまらず、個人情報保護法とか、秘密保護法とか、非常にメディアを取り巻く状況、表現の自由を取り巻く状況が厳しくなっている折に、安易な状況に流されると放送自体が匿名化社会に拍車をかけるということにもなりかねません。その辺に、私どもも気をつけながら、皆さんとともにできる限りいい放送するように心掛ける、そういう私どもの立場というものも考えながら議論をしていきたいと思っております。
今後ともまたこういう機会をできるかぎり作って頂いて、いい放送になり、且つ権力からの介入を受けないで、自律して放送業界がやっていけることを目指していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。本日はどうもご苦労さまでした。

以上

2014年2月に視聴者から寄せられた意見

2014年2月に視聴者から寄せられた意見

STAP細胞について、女性研究者のプライバシーの報道が多いとの批判意見。五輪より大雪情報を、という意見の一方で、大雪情報が関東圏中心であるとの批判意見あり。また、"全ろう"作曲家のゴーストライター発覚に、報道した放送局が気付かなかったのかなどの疑問の声。

2014年2月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,543件で、先月と比較して766件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール71%、電話26%、FAX1%、手紙ほか2%。
男女別は男性72%、女性26%、不明2%で、世代別では30歳代27%、40歳代25%、20歳代19%、50歳代16%、60歳以上9%、10歳代4%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。2月の通知数は708件【53局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、18件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

STAP細胞という発見を若い女性研究者が発表したが、肝心の研究内容ではなく、プライバシーばかり紹介する報道姿勢に疑問が寄せられた。
東京都知事選挙が投開票されたが、選挙中の番組の司会者の進行について疑問を呈する意見などが寄せられた。
記録的な大雪が日本列島の週末を2週に渡って直撃したが、首都圏ばかり重点的に取り上げる報道姿勢に対して、地方をないがしろにするものだとといった批判や、オリンピックばかり放送しないで、もっと大雪に関する情報を流してほしかったといった切実な声が寄せられた。
ソチオリンピックの報道に関しては、メダル獲得ばかりに力点を置く放送に対して、オリンピック精神に反するといった非難や、特定の選手ばかりにスポットを当てるのは如何なものかといった声が寄せられた。
全ろうの作曲家の欺瞞が発覚したが、今まで彼を持ち上げてきた番組に対して、検証番組を作るべきだといった反省を促す意見が多数寄せられた。
ラジオに関する意見は49件、CMについては52件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は368件で、前月より185件大きく減少した。これは、先月多く寄せられた「児童養護施設(グループホーム)を舞台にしたドラマ」への意見が落ち着いたことなどが理由となっている。
今月は、「委員会に関する意見」が48件、「表現・演出に関する意見」が25件、次いで「性的表現に関する意見」が23件、「要望・提言」が17件と続いた。
「委員会に関する意見」では、前述の「児童養護施設(グループホーム)を舞台にしたドラマ」への意見のほか、委員会が年末のバラエティー番組とアニメ番組の2件の審議入りを決めたことに対し、賛否両論の意見が多く寄せられている。
そのほか、"字幕放送・手話放送"について紹介・説明した番組を評価する意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • STAP細胞研究の女性研究者に対する報道だが、研究内容よりも個人のプライバシーに関するものが多すぎる。過去の読書感想文を紹介したり、サークルの話や、個人の過去や趣味の話ばかりだ。海外メディアはしっかりと研究内容とその重要性を伝えているのに、日本のメディアは低俗すぎる。

  • STAP細胞の作製に成功し、世界から注目を集める理化学研究所の女性研究者が、過熱するマスコミの取材攻勢により研究活動に支障が出ているとする文書を、所属する研究ユニットの公式サイトに掲載した。業績には関係のない情報は控えめにして、もっと本質的な番組作りをしてほしい。

  • 都知事選がテーマで、主要候補者に司会者が一人一人に意見を聞くという内容だったが、特定の候補者にだけ都政と関係あることを多く聞き、他の候補者には、都政に対する姿勢や具体策あまり聞かず、国政に関する質問をしていた。司会者の進行の仕方が相手によって変わる、公平性を欠いた内容だった。都知事選の候補者を呼んだのだから、もっと都政に関する質問をしてほしかった。

  • 大雪に関するニュースの中で、渋谷駅前からの中継リポートがあったが、その際、翌日に投開票の都知事選挙の候補者と思われる街頭演説が付近で行われており、演説の声がリポーターの声に交じって聞こえた。ビラを配る選挙運動員の姿も画面に映っていた。選挙期間中は、もっと慎重に取材するべきではないのか。

  • テレビの政治的偏向は大問題です。リベラル色が強く、同じ思想の人が同じことを言う報道番組も多く、洗脳のように感じる。例えば、選挙結果に関して、制度なのに「これが民意だ」と言う時と「細かい分析すると民意ではない」と言う時がある。また「民意だから政府はいうことを聞け」と「少数意見を無視するな」も使い分ける。国会でもリベラルの政治家の意見は、さも正義のような報道をするが、保守政治家の発言は黙殺するか、批判する。「公平」を守ることを強く望む。

  • 全国放送の番組で東京の雪のニュースを長時間扱うべきではない。雪国の人たちや、雪が降っていない地方の人たちにはどうみえるだろうか。そんな時間があるならば、他のニュースを放送していただきたい。年に数回は降るだろうから、特別なことでもない。ローカルの話題は、ローカルニュースでのみやっていただきたい。東京中心の報道をほかの地方の人々はうんざりしていることに気づくべきだ。

  • 関東の雪が大変であることは理解できるが、関東圏ばかりの雪の情報を長時間放送しないでほしい。北陸から北海道などでは、過去に例を見ない降雪量を観測して、今夜の雪でどうなるか分からず、不安に過ごしている方はたくさんいるはずなのに、全くと言っていいほど扱っていない。そして首都圏の交通情報を画面の上にスクロールで出すことはやめてほしい。関東在住の方には重要かもしれないが、それ以外の地域に住む人には全く関係のない話である。新宿駅前での街頭インタビューも悪意を感じる。地方には積雪により鉄道路線がストップし、交通手段がない方もいるのに、どうしてあんなにわざとらしくインタビューするのか理解できない。報じることも自由だが、全国ネットの番組である以上、公平性に欠ける報道姿勢はやめていただきたい。

  • 今回の大雪の影響で、私たちの車は17号線を高崎に向かう途中で立ち往生をした。ワンセグやカーラジオで情報を得ようとしたが、オリンピックの放送のみで十分な情報が得られなかった。前方の状況を早めに知ることが出来ていればUターンができ、被害は少なくて済んだ。止まった場所がコンビニに近かったことと、大人だけのグル―プであったため一昼夜の立ち往生に耐えられた。オリンピックも大事だろうが、今回の大雪の情報はもっと流すべきであった。

  • 「ソチオリンピック」がまだ始まってもいないのに、テレビ全局が浮足立った放送の仕方で、腹が立つ。著名な有力選手について、日本出発からソチ到着までの様子を大きく取り上げていた。このような取り上げ方は選手に対してプレッシャーを与える。もっと自粛するべきだ。「ソチオリンピック」が始まるまでは通常の放送をしてほしい

  • 冬季オリンピックが開催される中、10代の若い選手が活躍して、視聴者としても嬉しい限りである。そんな中、テレビ局は「メダル、メダル」と連呼しているように見える。なんだかメダル獲得が視聴率アップにつながるのではないかと妄想しているのではないのか。

  • オリンピック報道の過熱がひどすぎる。朝から地上波の全チャンネルでオリンピックしかやっていないのは異常である。もう少し時間をずらすとか、やりようがないのか。スポーツに全く興味のない人には大変苦痛である。編成をもう少し考えてもらいたい。また、選手の過去のプライベートなどを取材することもあるが、見ていて不愉快である。

  • ソチオリンピックのフィギュアスケートの女子選手の報道が過熱しており、その他の競技選手の報道がおざなりになっていた。メダリストが誕生しているにもかかわらず、彼女の特集ばかりで、その他に関しては半分の時間も放送していなかった。たしかに彼女のフリーの演技はみんなに感動を与えたが、他の競技の結果も仔細に知りたい。もっと客観的に、かつ公平に報道してほしい。

  • 札幌女児誘拐監禁事件において、不自然に少女漫画を強調していた。当時、容疑者が所持していたものの一つだけを繰り返し取り上げていた。明らかにオタクをおとしめようとする悪質な印象操作である。

  • ニュース速報や緊急放送はその時に必要な情報で、録画再生には不要な情報だ。地デジになったのだから、放送のオリジナル画面に速報文字などが録画映像に混入しないようにしてほしい。オリジナル画面信号の前後にニュース速報など付加情報の信号を付け、録画ではこの信号帯を取り込むか、排除するか選択できるようにすれば良い。最近のテレビでは、速報が出る部分にタイトルや天気など色々な情報が入っており、情報を受け取る側の取捨選択ができるようにしてほしい。

  • "現代のベートーベン"と称されていた男性の「代作騒動」と、フィギュアスケートの選手を結びつけた報道はやめてほしい。選手は、ショートプログラムに疑惑の曲を使用しているが、振付師が提案した数曲の中から、滑りやすさなどを重視して選んだだけだ。作曲者が誰かは選手には関係ない。オリンピック前に動揺させるような報道はやめてほしい。

  • 全ろうの作曲家のゴーストライターが記者会見を行った。長年にわたって問題の人物に代わりに作曲を行っていたという。全ろうもウソだとも言われている。各放送局は様々な番組を制作したが、本当にだまされていたのか。不思議でならない。日本の報道機関は音楽に対する知識も取材力もないのか。

  • 私は"全盲"ではないが、かなり見ることに不自由をしており、視覚障害者2級の認定を受けている。今回の問題で、ゴーストライターが「自分は彼の耳が聞こえないという認識はなかった」と発言したことを受けて、色々な番組で"専門家"を語る人間が「障害者申請は本人の申請によるものだから、実際に聞こえないかどうかわからない」などと発言している。確かにその通りかもしれないが、私のように"見えない(あるいは聞こえない)"という障害で、実際に苦しんでいる人間もいる。障害者申請に対する不信が生まれる放送の仕方はやめて頂きたい。

  • 予算を若年失業者や就職活動に失敗した人たちを救済するための機関にも利用することを報じていたが、そういう方たちの蔑称、差別的表現である「ニート」という言葉が使用されていた。まったくひどい表現だ。貧困や格差をまったく無視したうえ、そういう人たちを見下しているように思えた。

  • ニュース番組でカメラマンや記者がフラッシュを焚いて撮影していることが不快だ。まぶしくて仕方がない。中には会場に「フラッシュ撮影は御遠慮願います」という貼り紙がされているにもかかわらず、堂々とフラッシュ撮影しているカメラマンもいる。そもそも公共の場でフラッシュを焚いて撮影すること自体マナー違反ではないのか。

【番組全般・その他】

  • ソチ五輪に関する話題で、野良犬を退治する内容だった。ロシアでは避妊という制度がないので野良犬が多く、五輪の会場周りで対策を講じていた。毒入りの餌をまき殺害しているようだが、毒を飲んで足腰が立たず震えが出て「ヒクヒク」している犬をぼかしもしないで、鮮明に放送していた。ロシアがどのような対策をしているかが伝われば良いのではないか。このような状態の犬を写し、放送する必要性はまったくない。

  • オリンピック関連報道で「メダル確実」など、「メダル」ありきでの報道及びメダル取れなかった時のメディアのバッシングが不愉快だ。「確実」の根拠はどこにあるのか。過去の成績からすれば取れるかも知れないが、当日のことなど誰も分らない。選手だって精一杯プレーしている。ミスもある。メダルを目指していても獲得できないこともある。オリンピックは出ることに意義があるのではなかったのではないのか。メダルにこだわった報道をなくしていただきたい。

  • ソチ五輪のニュースで、ジャンプやモーグル、スケートの転倒シーンで「珍シーン」とのテロップが出ていた。特にモーグルでは頭を打っており、大変危険な状態だった。幸いその後ゴールはしたが、「珍シーン」とは何事だ。素人のおもしろハプニングビデオと勘違いしているのか。全力でプレーしている選手に対して余りにも失礼だ。

  • この番組は、毎回、楽しみにしており、秘境の国々の家族が日本の家族との交流を深めながら、それぞれの夢を実現する。子供が何度もカルチャーショックを受けるが、1週間という短い時間の流れの中で、日本の文化と自分の国の文化を分かち合い、それぞれの大切さを受け入れる気持ちが垣間見られ、印象的だった。日本では、ヘイトスピーチが問題となっているが、他国の人間との交流が大切ではないのか。これからも、交流をテーマにした国際的な番組をやってもらいたい。

  • 「あの人は今」のコーナーで、昔の男性歌手を取りあげていた。コーナー冒頭で「人気歌手から居酒屋の皿洗いに転落」とテロップが出た。皿洗いのどこが悪いのか。職業差別も甚だしい。かつて芸能人だった人間が、普通の社会で働くことを"転落"という言葉で表現すること自体も問題だ。過去の栄光があっても、地道に、真面目に働いていることを応援するべきではないのか。

  • 喫煙をしているだけで犯罪者だと述べているというセリフがとても不愉快だ。喫煙自体は法令で禁止されているものではなく、モラルやマナーといった題材で扱われるべきである。非喫煙者が一方的に喫煙者を犯罪者と決めつけ、喫煙者を迫害するように先導する内容は人権侵害ではないのか。

  • バラエティー番組での街頭インタビューで、東北の方言を絵文字や記号を用いて「&%、$#~だべ」などと表記することは不適切ではないのか。ただでさえ東北の方言は何を言っているのかよくわからないのに、このような表記をされると余計に訳が分からなくなる。

  • 高齢の女性がスーパーで万引きをした。万引きGメンが事務所に女性を連れて行き、問いただした。その後、女性を部屋に残して2人は出ていった。その部屋には隠しカメラが設置されていた。そして1人になった女性が盗んだものを靴下に隠したところを撮影した。戻って来たGメンが、女性をまた問いただすのだが、まるで"ショー"のようになっていた。また、警察でもないのに女性を仔細に取り調べるような行為は行き過ぎだ。

  • 職場のゆとり世代ランキングという企画を行っていたが、同じ世代として激しい憤りを感じる。ゆとり世代の中でも非常識な行動をとるマイノリティーな人間を取り上げ、さもそれがゆとり世代の常識であるかのように構成していた。同じ世代を生きる者として、あのようなおかしな行動をする人たちを見たことも、他者からそのような人の話を聞いたこともない。このようなネガティブな事象ばかりでゆとり世代が取り上げられることで、番組視聴者が「この世代は皆こういう思考なのか。だからゆとり世代はダメだ」というステレオタイプな批判をする人たちが増えることを危惧する。常識的な行動ができる人間ももちろんいる。むしろそちらの方が大多数である。しかしそのようなフォローは一切なく、ただただゆとり世代に対して非常識のレッテルを貼り付けるだけの内容であった。

  • 名古屋問題という内容だったが、名古屋出身の元スケート女子選手がVTRを見て「なんか悪いイメージばかりですね」というほど、偏った編集になっていた。専門家まで出てきて「排他的な結婚をした結果、名古屋はブスしかいない」と結論づけていた。その土地出身の者として不快に思った。名古屋めしも批判的な意見だけ取り上げ、「どうしてこんなに人気無いの」とコメントしていた。名古屋への観光業界、名古屋めし産業界にも悪影響を及ぼすのではないのか。一方的な見方だけを取り上げて、その土地への偏見を植えつけてしまう番組作りはいかがなものか。

  • 番組が用意した人物が助けを求め、一般人が協力する姿を撮影し放送することは、一般人の親切を悪用しているだけだ。また、何故か東京を基準とし、大阪を嘲笑の対象として取り上げている。長時間収録し、編集すれば、いくらでも印象操作が出来る。また、大阪で過ごしたことのある司会のお笑い芸人は、明らかに話を誇張している。この番組だけではないが、東京を基準とし、地方(特に大阪)を嘲笑する下品で低俗な番組や芸能人が多い。

  • 「別人が作曲していた全ろうの人物」について取り上げていた。「東京オリンピック招致にも影の存在はあった」「ケネディー大統領もゴーストライターを使っていた」など、映像を使って紹介していた。今回の問題と"スピーチアドバイザー"とでは全く別次元のものである。いっしょくたに紹介するようなことではない。"影の存在"ということを言いたかったのかもしれないが、問題のすり替えも甚だしい。

  • 田舎暮らし芸能人という企画で、しきりに県の奥地などと紹介されて不愉快に思った。紹介された芸能人のように牧場で馬を飼育する人など稀だ。また電気や水道などのインフラすら装備されていないかのような放送のされ方に憤りを覚えた。マキストーブなどの道具を使用していることも、一部の好事家だけだろう。田舎であることに違いはないが、それでもそれを強調する番組の演出の仕方に疑問を抱いた。このような番組はその自治体やそこに暮らす人々に何の配慮もしないのか。番組の構成上の演出もあるだろうが、興味本位でこのような番組を作る前に、どうかその「田舎」に暮らしている人がいることを忘れないでほしい。

  • 「流行っているから」という理由で不愉快な発言や言葉を平気で放送する風潮に怒りを感じる。特に「美味しい」を「やばい」「ヤバッ」で表現することは料理の作り手に対して失礼であり、そもそも「やばい」という言葉の成り立ちから、表立って使ってはならない。一部の若者が意味も分からず使い始めたのだろうが、それをとがめるどころか番組内で煽るような使い方をしていることは問題だ。2020年の五輪に向けて外国語を話せる子どもを育成しようとしているようだが、まずは正しい日本語からだ。

  • 最近はバラエティー番組などでの出演者による暴力的な行為や不適切な発言などが非難されるが、この番組はいじめや差別につながるような表現や演出がほとんどなく、大変良い番組だと思う。先週は日本製の様々な物が外国で大切に使われていることを紹介していたが、日本の技術の精度の高さを改めて実感されられるものだった。

  • 一般人に迷惑をかけ、それで笑いを取ろうとする番組が増え、不快だ。タレントが故意に我がままを言ったり、旅行に来た外国人に執拗に迫り、不快にさせて怒らせるなど、ひどい演出が増えている。各局へ苦情を入れても、改善するどころかエスカレートするだけで嫌になる。一般人を巻き込むことで視聴者との距離を縮めたいのかも知れないが、留意してほしい。

  • バラエティー番組で、わざとらしく「わー」や「えーっ」という観客の声が入ることがあるが、観客の声に気持ちがこもっていない。番組スタッフが観客にそういう芝居をやるように指示しているのではないのか。面白くもないような場面では声を入れないでほしい。

【ラジオ】

  • ADを逃走者に仕立て上げ、捕まえたリスナーは賞金をもらえる企画だった。どんな手口で捕まえても良いとはいえ、祝日の街中は混雑する上に、繁華街で行われたら危険だ。通行人に迷惑がかかることを考慮しないのか。現金がらみのおふざけ行為は即刻中止すべきだ。

  • 時事問題についてフリートークをしていた。男性アナがある大臣のものまねをした際、女性アナが「唇の曲がり具合がよく似ていますね」と発言し、笑っていた。アナウンサーともあろうものが、他人の身体的な特徴をからかうとは何たることか。母が身体障害者なので笑うどころではなかった。発言には十分気をつけるべきだ。

  • リスナーに募ったテーマを、パーソナリティーが日本道路交通情報センターの職員にも訊き、毎度、職員が困惑している。道路交通情報とは無関係な、私的な質問は、迷惑行為だと思わないのか。

【CM】

  • 子どもがよく見る時間帯に、CMが放送されるが、キスシーンがあるので困る。CMなので突然始まるし、終わるまで家族は無言になる。CMにキスシーンは必要なのか。年配者や子どもが見ていることを意識して制作してもらいたい。

  • 「お金が大好き~」と歌っているCMがある。3歳の息子がすぐ真似していた。CMだと知っている人から見れば「真似をしている」で済むが、何も知らない人が見ると、親が教えているのではないか、とんでもない教育しているのではないかと、思われてしまう。あまりにもストレートすぎる表現にいら立つ。

青少年に関する意見

【委員会に関する意見】

  • 審議入りしたアニメ番組は、放送している両局とも放送時間を深夜に枠移動した。元の時間帯の差し替え番組放送時、番組ホームページ、各局ホームページにも説明があり、両局が意見を十分認知し自主的に対応したことは評価できるのではないか。

  • 性的表現が過激なアニメ番組が審議入りしたと聞いて、部分的に賛成、総合的に反対している。中高生が視聴可能な時間帯に性表現のあるアニメを放送したことは、咎められても仕方のないことだが、中高生には十分判断できる内容だと思う。そして、審議の結果によっては、深夜の時間帯でも放送が禁止、抑制、自主規制され、メディアが本来求めていくべき重要な表現の自由が無くなってしまうのではないかと危惧している。放送が権力によって統制される可能性があることも認識していただきたい。

  • 年末のバラエティー番組の審議入りについて、ある程度の規制が倫理上必要なことは分かるし、もっともだと思う。しかし、あまり窮屈に縛らないでもらいたい。バラエティーというひとつのカテゴリーの中にもいろんな笑いがあって、幅広い視聴者のニーズに応えている。笑いが一辺倒だと、6時間近くも視聴者に笑いを届けることができない。もちろん、快く思わない人もいるかと思う。それと同じくらい求めている人もいることを、頭に入れて審議を行っていただけないだろうか。

  • 年末のバラエティー番組について、審議に入っていただいたことは大変有難い。紅白を見ていたにもかかわらず、中学生の息子が見たいというのでチャンネルを替えたが、お尻の穴から白い粉を出し顔で受けることはテレビで放送するには全くふさわしくない内容であり、見ていて不愉快になった。全体的に風俗を連想させる下品な罰ゲームもあり、健全な中高校生にいじめを誘発させるような、悪影響を与えるものだと思った。

  • 年末のバラエティー番組が審議入りしたことについて、「今までにも同じようなことをしてきていたのに、どうしていまさら」という人もいるが、時代の変化に合わせて人々の考え方や価値観は変化する。企業であっても人々の動向に合わせてサービスを新しく企画したり、逆になくしたりする。そういった意味でも「今までは許されていた」ということは、今回審議入りした内容を正当化する理由にはならない。そもそも股間にロケットを当てたり、局部をさらすことのどこが面白いのか理解できないし、本人たちが面白いと思い込んで勝手に盛り上がっているだけではないか。

  • やり過ぎてしまうシーン多々あるが、それも引っくるめてバラエティーだと思う。芸人たちは視聴者のために自分の身や羞恥心を犠牲にしてお笑いを追求し、日夜努力して視聴者を一番に楽しませることをモットーにやっているので、問題にすることはおかしい。いろんな配慮もしていると思う。あれこれ言っていたらテレビがつまらなくなり、逆に視聴者がテレビから離れしまう。暖かい目で見守る努力をしていただきたい。

【表現・演出に関する意見】

  • 実在の地方都市を舞台にしたアニメ番組の中で、中高生の少女が温泉施設の宴会場で、コンパニオンのように水着姿でビールの提供をしたりセクハラを受ける場面があった。更にエンディングのクレジットで実在の温泉施設が掲載されており、この都市では1店舗しか該当せず、そのうえ外観や内装が一致している。アニメとはいえ、実在する店があたかもこのような営業を行っているような印象を与えるのは、問題はないのだろうか。

【要望・提言】

  • ドラマに対して、内容変更や謝罪の要求は明らかにやりすぎだ。抗議が多かったことは確かだろうが、それ以上に楽しみにしていた視聴者がいることを忘れていないか。「施設出身の子どもや養子縁組を受けた子どもが学校でからかわれて問題になっている」という記事を読んだが、からかわれた子どもは気の毒で、抗議する気持ちも分かるが、悪いのはからかった子どもであって決してドラマではない。ドラマに抗議することは責任転嫁だ。このドラマを駄目と言ったら、その他の多くのドラマやバラエティー、アニメも駄目になってしまうような気がする。抗議者以外にも視聴者がいることを忘れないでほしい。

  • 放送局の活動を紹介する番組で、字幕放送、手話放送について特集していた。制作の裏側や実際に使っている人達を見て、とてもためになり、また驚きもあった。このような内容をもっと放送すれば、人々に広く知れ渡り、障がい者について理解できると思う。また、字幕放送、手話放送の番組を、もっと広げてほしい。そうすれば、何を言っているかがよく分かり、また、これが手話、字幕だということを子ども達にも分かってもらえると思う。

【差別・偏見に関する意見】

  • このドラマは悪意を持って作られたのではないだろうが、決して善意ではない。何も知識の無い立場からすると、確かに、施設の生活はこんなにすさんでいるのか、だからこんなに不幸な育てられ方でひどい言葉遣いになるのかと勘違いさせられる。番組もあえて暗く希望の無い作りになっている。施設などから苦情があって当然だ。施設の子どもや演じている子役が可哀想でならない。偏見や差別を助長するものだ。

【性的表現に関する意見】

  • 祝日なので子どもがテレビを見ていたところ、情報番組の中で、不倫の具体的な内容を書いた視聴者投稿を読み上げていたので、すぐにテレビを消した。休日の昼間に放送すべき内容とは到底思えず、制作者の品性、常識を疑う。大勢の人間が目にする時間帯に、堂々と放送して平気な内容ではない。放送したいのなら、深夜12時過ぎにずらしてもらいたい。

  • バラエティー番組で、女性芸人の裸に人体模型のような絵を書くというコーナーが見るに堪えなかった。小学生も見ている。卑猥な感じもするし、写し方などもこの時間帯にはふさわしくない。深夜ならまだしも、笑いを通り越し、節度がない。

  • このラジオ番組は、いつもは中高生の悩み相談などをよくやっているが、昨晩の放送は内容がきわどく、非常に不愉快になった。いろんな世代の人が聴くだろうし、小学生なども聴いているはずだ。「どんな性生活をしているか」といった内容などは話すべきではない。

2014年3月5日

日本テレビ『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に
関する意見の通知・公表

委員会決定第19号の通知は、3月5日午後1時から千代田放送会館7階のBPO第一会議室で行われた。委員会から川端和治委員長、小町谷育子委員長代行の2人が出席し、日本テレビからは取締役専務執行役員ら3人が出席した。
まず川端委員長が「『放送倫理違反があるとまでは言えない』という結論になったが、問題がなかったと言っているわけではないことに注目してほしい」と指摘したうえで、「実質的にまったく裏取りをしないで放送してしまったという点では、放送倫理違反を認めるのが適当ではないかという意見もあった。インターネット詐欺を専門とする弁護士が紹介・同席しての取材であり、取材者に客観的な証拠の確認まで厳密に求めるのは無理があるのでは、ということでこのような結論になったが、もう少しきちんと調べてほしかったという思いはある」と述べた。
小町谷委員長代行は「今回の決定を刑事裁判に例えるなら、結果だけ見ると無罪判決のようだが、無罪にもいろいろあり今回の事案は相当グレーの色が濃いものだと思う。1回だけでなく2回も真実でない放送がされたことにも、ぜひ留意していただきたい」と述べた。
これに対して日本テレビ側は「意見書のご指摘を真摯に受け止める。この意見書を持ち帰り、今後の番組作りに最大限の努力をしていきたい」と述べた。

この後、午後1時45分から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定文を公表した。会見には17社37人が出席し、テレビカメラ6台が入った。
初めに川端委員長が、『スッキリ!!』の2回の放送について「放送倫理違反とまでは言えない」と結論付けた意見の概要を紹介した。今回の事案は、インターネット詐欺被害を専門に扱っている弁護士が「被害者」を紹介し、しかも取材に立ち会っていたことをどう見るかについて審議を重ねてきたと説明したうえで、「被害者と、彼らが語る被害内容の真実性について、弁護士の保証があると見ることができ、それを信じたのも相応の合理的な理由があると考えた。また、インターネット詐欺という新しい問題に取り組んだ意欲を評価し、それを委縮させてはいけないことも考慮した」と述べた。
続いて小町谷代行が「裏付け取材が問題になった事案は今回が6件目なのだが、そのうち4件が日本テレビのものだった。日本テレビがこうした類似事案を再発させないよう取り組んでいくのを、今後も見守りたい」と述べた。
記者との質疑応答のうち、主なものは以下のとおりである。

Q:放送倫理違反とまでは言えないという判断が下されたのは、今回が初めてか?
A:これまでも第1号事案と第9号事案では、部分的に「放送倫理違反は認められない」としているが、審議の対象とした番組全体について放送倫理違反を認めなかったのは、今回が初めてのケースとなる。(小町谷代行)
Q:「放送倫理違反とまでは言えない」という意見にしては、結論の部分の記述が厳しいように感じるのだが?
A:現実に委員会の中では、放送倫理違反を指摘する意見と放送倫理違反とまでは言えないという2つの意見があり、客観的な裏付け取材をほとんど実質的にしていなかったことも指摘することになった。結論は「放送倫理違反とまでは言えない」だが、バンキシャなどの苦い経験がありながら、日本テレビではその教訓が生かされていると言えないので、厳しめの意見も入っている。(川端委員長)
Q:この弁護士が、ニセの被害者を紹介した理由をどう考えるのか?
A:われわれのヒアリングの対象は放送関係者が原則で、この事案で弁護士本人の聴き取りをしなければならない特別の理由もないので、動機について聞いていない。インターネット詐欺の被害回復はきわめて新しい分野で、たくさんの被害者が相談に来るのが前提条件になる。この弁護士はおそらく、テレビで専門家として紹介されることに大きな魅力を感じ、協力しようということになったのではないか。(川端委員長)

第19号

日本テレビ『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に
関する意見

2014年3月5日 放送局:日本テレビ

日本テレビは、朝の情報番組『スッキリ!!』で2012年2月29日と6月1日の2回、インターネット詐欺の特集を放送したが、ネット詐欺専門の弁護士から被害者として紹介され出演した男女2人が、実は被害者ではなく弁護士の当時の所属事務所の職員だったことが判明し、裏付け取材が不十分だったとして審議入りした事案。
委員会は、日本テレビが十分な裏付け取材を行わず「ニセ被害者」の証言を放送し視聴者の信頼を損なったと指摘したが、一方、放送時点において「ニセ被害者」が実際の被害者であると信じるに足る相応の理由や根拠は存在したとして、「放送倫理違反とまでは言えない」と判断した。そのうえで、今回の事例を踏まえ放送界全体で共有してほしい事柄として、「専門家」に対する過度の依存を考えなおしてほしい、など3点の問題提起を行った。

2014年3月5日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、3月5日午後1時から千代田放送会館7階のBPO第一会議室で行われた。
また、午後1時45分から同ホールで記者会見を開き、決定文を公表した。会見には17社37人が出席し、テレビカメラ6台が入った。
詳細はこちら。

2014年6月13日【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

標記事案の委員会決定(2014年3月5日)を受けて、当該の日本テレビは、対応と取り組み状況をまとめた報告書を当委員会に提出した。
6月13日に開催された委員会において、報告書の内容が検討され、了承された。

日本テレビの対応

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目 次

  • 1.委員会決定の報道
  • 2.委員会決定の周知
  • 3.番組審議会への報告
  • 4.委員会決定前の取り組み
  • 5.委員会決定後の取り組み
  • 6.終わりに