2024年9月13日

毎日放送ローカルバラエティー番組『ゼニガメ』が審議入り

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送した。奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり業者が現金で買い取る様子を紹介したが、実際は業者が事前に用意した物であることが明らかになり、事実と異なる放送があったことを翌7月18日に公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも、同じ業者が土地や建物を遺族とおぼしき人物から現金で買い取る様子を放送していたが、実際はロケ以前に業者が買い取っていたこと、遺族として登場した人物も買取業者が事前に依頼していたことなどが判明した。毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論した結果、放送倫理上の問題があったのかどうかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。

2024年7月12日

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』が審議入り

テレビ東京は2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、愛知県警が強制捜査した人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」の関連商品に関する不正競争防止法違反の疑いがある事案を取り上げた。2024年の5月になってテレビ東京は記者会見などで、この放送で「4人が逮捕された」ことは伝えたが、うち「3人が不起訴になった」ことは伝えなかったと認めている。また放送に登場した会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送したが、番組側はこの事実を確認しておらず、会社側から「そういう事実はない」と指摘されたことも認めている。委員会は、テレビ東京から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したが、複数の問題点があるのではないかという意見が出された。放送倫理違反の疑いがあり、取材・編集の各段階について検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後、番組関係者らからヒアリング等を行う。なおこの番組はBPO放送人権委員会でも審理入りが決まっている。

2023年8月4日

TBSテレビ『news23』が審議入り

TBSテレビは1月12日、報道番組『news 23』の調査報道23時のコーナーにおいて、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、ノルマ達成の為に職員やその家族が不必要な契約を結ぶ、いわゆる“自爆営業”が横行していると報じた。その中で、A地方のJAに勤める男性が、顔をぼかし声も変えてインタビューを受け、ノルマ達成のために1歳と5歳の子供に必要のない共済をかけていると語った。このインタビューには顔をぼかし声も変えた別のJAの職員も同席していた。また、JAのBに勤める男性は、顔をぼかし声も変えて、上司から給与やボーナスが支払えなくなるといわれ職員や農協の為にノルマを無くせないと述べた。
放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、A地方のJAに勤める男性は職場で身元がばれて居づらくなり、退職に追い込まれたとの週刊誌報道があった。また、取材を受けた職員とは3回程度会話をしたことがあるという人から「放送を見て誰であるかを私ですら特定できた。彼は農協の問題を告発し多くの職員の声を代弁してくれた。退職になりとても残念だ。テレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢を問題にしてもらいたい」といった声がBPOへ寄せられた。
委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDを求めそれらを踏まえて協議した。その結果、報道の取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2023年6月9日

NHK『ニュースウオッチ9』が審議入り

NHKは5月15日の『ニュースウオッチ9』のエンディングで「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常」と題する1分5秒のVTRを放送した。
VTRには、ワクチン被害者の遺族の会から遺族3人が出演。「遺族の人たちの声を届けていきたい」「風化させることはしたくない」などと語ったが、3人がワクチン接種後に亡くなった人の遺族だとの説明は無く、テロップで「夫を亡くした」「母を亡くした」という紹介にとどまった。このため視聴者には、新型コロナウイルス感染により亡くなったかのような印象を与える放送となった。
NHKは遺族の会から抗議を受け、16日の同番組で「新型コロナに感染して亡くなったと受け取られるように伝えてしまった。適切ではありませんでした」と謝罪した。
委員会は、NHKから提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議を行った。その結果、企画、取材、編集の各段階で不明な点が多く報告書は納得できる内容ではなく、放送倫理違反の疑いがあることから、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該番組の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2022年2月10日

NHK BS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』審議入り

NHKは2021年12月26日に放送したBS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』後編の字幕の一部に不確かな内容があったとして、2022年1月9日、番組と局のホームページで公表し謝罪した。
番組は、東京五輪の公式記録映画監督である河瀨直美さんと映画製作チームに密着取材したもの。男性を取材した場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕を付けて伝えた。
放送後、視聴者から字幕の内容が事実であるかの問い合わせが相次ぎ、NHKが男性に確認したところ、実際に五輪反対デモに参加していた事実を確認できず、字幕の内容が不確かだったことがわかったという。
1月の委員会では、NHKから提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論を行い、深刻な事案である可能性があるとして討議入りを決めた。その上で当該局に対し事実関係について質問を行うとともに、改めて詳細な報告書の提出を求め、議論を継続することにした。
今回の委員会では、委員会からの質問に対する回答書、NHKが設置した「BS1スペシャル」報道に関する調査チームがとりまとめた調査報告書が提出され、それらを踏まえて議論を行った。同報告書では、字幕の内容は誤りであったとされている。議論の結果、取材、編集、考査、調査の各段階で問題があるのではないかといった厳しい意見が相次ぎ、放送倫理違反の疑いがあることから、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該番組の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2021年11月12日

テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』が審議入り

放送倫理検証委員会は11月12日、テレビ朝日の『大下容子ワイド!スクランブル』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、同番組内の視聴者からの質問に答えるコーナーで、今年3月からおよそ半年間にわたり、番組スタッフが用意した質問を視聴者からの質問であるかのように放送していた。
テレビ朝日は10月21日、番組や番組ホームページで概要を公表するとともに、謝罪を行った。
同局によると、放送した質問のうちおよそ2割にあたる104問が番組側で作成されていたほか、視聴者から受け付けた実際の質問の中には、質問者の居住地域や年代などが架空の属性で紹介されていたものもあった。
委員会は、テレビ朝日から報告書と番組DVDの提出を受けて協議を行った。その結果、深刻な事案であり、質問の内容等によっては世論誘導にもつながりかねないなどの意見が出され、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2021年4月9日

アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』が審議入り

日本テレビは3月12日、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した後、コーナーに出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、視聴者からアイヌ民族を犬とかけるのは不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で謝罪するとともに局および番組ホームページにお詫びを掲載した。また、翌週月曜日15日には、番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDを求め、それらを踏まえて協議した結果、放送に至る経緯等を解明する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2020年8月7日

データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について審議入り

放送倫理検証委員会は8月7日、データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について、審議入りすることを決めた。

フジテレビと産経新聞は、6月19日、2019年5月から今年5月までの14回にわたり合同で行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったため、調査結果と関連する合計18回の放送及び記事をすべて取り消し、世論調査は確実な調査方法が確認できるまで休止すると発表した。

フジテレビの報告書によれば、調査を委託した会社の再委託先の会社の社員が、全サンプルの約17%に当たる約2,500サンプルについて、実際には電話をしていないにもかかわらず、架電済サンプルの属性と回答内容の一部を変えて架空データを作成しデータを作成していたとしている。

7月の委員会では、「社会の意見分布を知る一番の手掛かりは世論調査だ。不正な世論調査結果に基づいて18回ものニュースが放送されたことは、その時々の世論に影響を及ぼした可能性を否定できない」「世論調査は国民にとって重要な判断材料であり、不正の有無についてチェックされることなく放送されていたことは深刻な問題だ」「放送、新聞が行うすべての世論調査の信頼性を揺るがす由々しき事態だ」などの厳しい意見が相次ぎ、「民放連放送基準『(32)ニュースは事実に基づいて報道し公正でなければならない』に抵触する疑いがあるのではないか」との意見も出された。

委員会は、フジテレビに報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、局からの再発防止策についての追加報告を待ち、併せて管理体制、納品されたデータのチェック方法などについてさらに報告を求める必要があるとして、討議を継続。フジテレビから追加報告書が提出されたため、その報告書について意見交換した結果、放送倫理違反の疑いがあり、報道内容からして放送倫理違反の程度は軽いとは言えないとして審議入りを決めた。

委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2020年5月15日

フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』審議入り

放送倫理検証委員会は5月15日、フジテレビの『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、フジテレビが2017年12月31日から2020年3月7日にかけて放送したクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』。フジテレビは4月3日、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラを番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」として、番組ホームページ上で事実関係を公表するとともにお詫びを行った。
番組は、1人の「チャレンジャー」が、99人の壁の解答者に阻まれながら全問正解を目指すクイズ番組で、合計5問に正解すると賞金100万円を獲得できるというもの。「チャレンジャー」はあらかじめ自分の得意なジャンルのクイズを指定できる特権を与えられる。
出場者全員が専門ジャンルの知識を持っているというのがこのクイズ番組の見どころだが、逆にそうした専門性の高い100人もの出場者をオーディションで選ぶことや、番組で使用するクイズの作成、解答の裏どり作業は、当初から相当の労力を要したという。
委員会は、フジテレビに報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議した。委員からは「意欲的な番組であるが、もともと無理があったのではないか」「同局の番組に対して委員会が2014年4月に出した意見書(検証委員会決定20号)において指摘した背景や問題点との類似が窺われる。なぜ教訓が生かされなかったのか、再発防止策が生かされていたのか解明する必要がある」などの意見が出され、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年12月13日

琉球朝日放送『島に"セブン-イレブン"がやって来た』・北日本放送『人生100年時代を楽しもう!』審議入り

放送倫理検証委員会は12月13日、琉球朝日放送の『島に"セブン-イレブン"がやって来た~沖縄進出の軌跡と挑戦~』と北日本放送の『人生100年時代を楽しもう! 自分に合った資産形成を考える』について、審議入りすることを決めた。
前者は、9月21日に沖縄県内で放送された55分の単発番組で、コンビニエンスストアのセブン-イレブンが沖縄に初めての店舗を開店させる日に合わせて、コンビニ側や県内の受け止め方などを紹介している。また後者は10月13日に富山県内で放送された15分の単発番組で、高齢化社会になり自分に合った資金形成が必要だとして、投資信託相談を手がける株式会社の様子を描いている。いずれも、視聴者から「放送なのか広告なのか曖昧だ」という意見が寄せられ、委員会ではそれぞれの番組制作の経緯を知る必要があるとして、報告書と同録DVDの提出を求め討議した。その結果、委員から、「番組ではなくCMではないか」「民放連の放送基準に反しているのではないか」などの意見が出されたほか、やはり放送と広告との関係をめぐって10月に意見書を公表した委員会決定第30号の審議の経過や結果について、番組制作の過程でどのように反映させたのか聞く必要があるとして、この2つの番組を審議の対象として検証することを決めた。
審議入りについて神田安積委員長は、「広告放送と誤解されかねない番組だという疑いがあり、ともに自社制作の番組で、テーマが共通しているので1件2番組として審議していきます」と述べた。委員会は今後、2つの番組の制作に携わった関係者などからヒアリングをして審議を進める。

2019年11月8日

テレビ朝日『スーパーJチャンネル』審議入り

放送倫理検証委員会は11月8日の第143回委員会で、テレビ朝日の『スーパーJチャンネル』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、テレビ朝日が2019年3月15日、夕方のニュース番組『スーパーJチャンネル』で放送した「業務用スーパーの意外な利用法」という企画で、この企画に登場したスーパーの買い物客4人は、取材ディレクターの知人だったとして、テレビ朝日は記者会見を開き謝罪した。
当該企画は、業務用の食品などを扱うスーパーマーケットを紹介し、買い物客が業務用の商品を購入する事情など、それぞれの生活の様子を描いている。制作はテレビ朝日の関連会社に業務委託されており、取材したのは別のプロダクションから、この関連会社に派遣されていたディレクターで、一人でカメラも回しロケ取材を行っていたという。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、テレビ朝日に報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、審議入りを決めた。
神田安積委員長は、「取材対象者が担当ディレクターの知り合いであったということで放送倫理違反の疑いがあり審議入りした」と話している。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年11月8日

TBSテレビ『クレイジージャーニー』審議入り

放送倫理検証委員会は11月8日の第143回委員会で、TBSテレビの『クレイジージャーニー』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、TBSテレビが2019年8月14日に放送したバラエティー番組『クレイジージャーニー』。TBSテレビは、海外に生息する珍しい動物を捕獲する企画を放送した際、番組スタッフが事前に準備した動物を、その場で発見して捕獲したかのように見せる不適切な演出を行っていたと発表した。
専門家が「爬虫類ハンター」としてメキシコを訪れ、珍しい爬虫類を発見・捕獲するという企画で、放送後に外部からの指摘を受けて社内調査したところ、紹介した動物6種類のうち4種類が、事前に現地の協力者に依頼して捕獲し、生息地付近に放すなどしたものを使って撮影していたことが分かったという。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、TBSテレビに報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議を継続し、審議入りを決めた。
神田安積委員長は、「報告書や番組の映像を見る限り放送倫理違反の疑いがあり、審議入りした」と話している。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年9月13日

TBSテレビ『消えた天才』審議入り

放送倫理検証委員会は9月13日の第141回委員会で、TBSテレビの『消えた天才』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、TBSテレビが8月11日に放送した番組『消えた天才』2時間半スペシャル内「リトルリーグ全国大会で全打者三振の完全試合を達成した当時12歳の少年」の企画で、少年の試合映像を放送した際、映像を早回しすることで実際の投球よりも球速が速く見える加工を行っていた。
加工が行われたのは、放送した投球シーン全31球のうち7球で、投手がボールをリリースした瞬間からキャッチャーミットに収まるまでの約0.5秒間について、映像のスピードを実際よりも20パーセントから50パーセント程度速くしていた。
TBSテレビは、「アスリートの凄さを実際の映像で表現するという番組の根幹をなす部分を加工することは、番組としては絶対にあってはならない手法だと考えております」として9月5日、ホームページで「 取材に協力してくださったご本人及び関係者の方々、そして番組をご覧いただいた視聴者の皆様に深くお詫びいたします」と謝罪した。そのうえで、今回の事案を重く受け止め、調査が完了するまで「消えた天才」の放送を休止すると発表した。
また過去の放送で、同様の加工が行われていなかったかどうか調査を行った結果、8月11日放送分の他に3件あったことが確認されたとして、ホームページで内容を公表した。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、TBSテレビに対して報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、審議入りを決めた。
神田安積委員長は、「TBSテレビからお詫びも出ているし、映像を早回し加工して複数回、放送したという報告を受けている。そういった点が放送倫理違反にあたる可能性があるということで、審議入りした」とコメントしている。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年9月13日

北海道放送『今日ドキッ!』審議入り

放送倫理検証委員会は9月13日の第141回委員会で、北海道放送『今日ドキッ!』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは北海道放送のローカルワイド番組『今日ドキッ!』で、参議院選挙公示前日の7月3日、比例代表に立候補を予定していた特定の政治家が選挙に備える様子を紹介した。視聴者から、この一人以外の他の比例代表の候補者に触れておらず公平性への配慮に欠けるという批判的な意見がBPOに寄せられたため、委員会は北海道放送に報告書と同録DVDの提出を求めて討議した。その結果、参議院比例代表選挙に関してこれまで放送倫理検証委員会が出した複数の意見書が指摘した問題点にまったく配慮していないといった批判が相次ぎ、審議入りすることを決めた。
神田安積委員長は、「公示の前日に、ある特定の候補について放送したことが問題になります」とコメントしている。
委員会は、今後、当該放送局の社員などからヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年9月13日

NHK国際放送番組『Inside Lens』(インサイド・レンズ)審議入り

放送倫理検証委員会は9月13日の第141回委員会で、NHK国際放送『NHKワールドJAPAN』の番組で、レンタル家族について放送した「Inside Lens」(インサイド・レンズ)について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、NHKが2018年11月19日、国際放送『NHKワールドJAPAN』で放送したドキュメンタリー番組「Inside Lens」の中の『HAPPIER THAN REAL』。レンタル家族について放送した番組の出演者について、事実と異なる内容を伝えていたことがNHKの調査で分かった。
この番組では、家族や友人などのレンタルサービスを行う会社を、実際に利用客にサービスを提供する様子などを交えて紹介した。しかし、利用客として紹介した男女3人は、実際には客でなく、レンタルサービス会社が用意したスタッフだった。
NHKは、5月29日、判明した事実を公表するとともに、「事実と異なる内容を伝えたことは極めて遺憾であり、視聴者の皆さまにお詫びします」と謝罪。そのうえで、国際放送で訂正とお詫びをした。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、NHKに対して報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、審議入りを決めた。
神田安積委員長は、「レンタル家族の放送で、その利用者が映像の中に出てくるわけですが、その利用者が会社の関係者だった。そういったことが放送倫理に触れるのではないか。さらに利害関係者かどうか確認が必要なのに、その確認が十分にされていなかったという問題があるので、討議・審議入りした」とコメントしている。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年7月12日

関西テレビの情報バラエティー番組『胸いっぱいサミット!』審議入り

放送倫理検証委員会は7月12日の第139回委員会で、関西テレビの『胸いっぱいサミット!』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、関西テレビが4月6日と5月18日に放送した情報バラエティー番組『胸いっぱいサミット!』で、コメンテーターの作家が、韓国人の気質について、「手首切るブスみたいなもんなんですよ」と発言。民族差別や女性蔑視をあおる人権的配慮を欠いた放送であるとの批判的な意見がBPOに寄せられた。番組は生放送ではなく収録されたもので、編集でカットされなかったことについても批判が相次いだ。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、当該放送局に対して報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、審議入りを決めた。
神田安積委員長は、民放連の放送基準が、人種や性別などによって取り扱いを差別しないとしていることを挙げ、「当該放送局がスタジオ収録を経て編集・放送、そしてお詫びに至った経緯について詳しく検証する必要がある」と話している。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年6月14日

読売テレビの報道番組『かんさい情報ネットten.』審議入り

放送倫理検証委員会は6月14日の第138回委員会で、読売テレビの『かんさい情報ネットten.』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、読売テレビが5月10日、夕方のニュース番組『かんさい情報ネットten.』で放送した企画コーナーの「迷ってナンボ!」で、一般男性の性別を執拗に確認するシーンが流れた。
番組は、お笑い芸人が大阪市内にある飲食店の店員の「性別が分からない常連客がいる」という声を取り上げ、芸人が常連客の男性に性別を確認。男性に名前や住所、恋人の有無を聞くなどしたうえで保険証の性別欄を撮影したり、胸を触ったりして、「男性」と確認できたと結論づけた。コーナーが終了しスタジオの映像に切り替わった際、番組のコメンテーターが「許しがたい人権感覚の欠如だ」などと批判。局には視聴者から多数の批判の意見が寄せられた。
読売テレビは、この男性に謝罪するとともに、番組ホームページで謝罪。番組でアナウンサーや解説デスク、報道局長が出演して人権的配慮に欠けた不適切な放送であったと謝罪したうえで、「迷ってナンボ!」のコーナーは当面の間、放送を休止すると発表した。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、当該放送局に対して報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、審議入りを決めた。
神田安積委員長は審議入りについて、「事後の対応は自主・自律的に一定程度きちんと行われていたが、多様な性のあり方が社会で共有されている中で、放送局側の意識と視聴者の意識の差、その大きな違いを否定できない。なぜ放送に至ったのか、チェックできなかったのか、放送倫理に照らしてどう評価できるか、しっかり審議すべきだと判断した」と話している。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年5月10日

長野放送『働き方改革から始まる未来』審議入り

放送倫理検証委員会は5月10日、長野放送の『働き方改革から始まる未来』について、審議入りすることを決めた。
審議の対象となるのは、3月21日に長野県内で放送された30分番組の『働き方改革から始まる未来』で、放送は長野県内の社会保険労務士法人の働き方改革をめぐる取り組みを紹介している。委員会では、視聴者から寄せられた「放送なのか広告なのか曖昧だ」という意見を受けて、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、当該放送局に対して報告書と同録DVDの提出を求め討議した。その結果、委員から、「番組ではなくCMではないか、民放連の放送基準に反しているのではないか」などの意見が出され、『働き方改革から始まる未来』を審議の対象として検証することを決めた。
審議入りについて神田安積委員長は、「広告放送とコマーシャルの区別ができているのかどうか、視聴者に広告放送と誤解を招くような演出になっていないか総合的に判断する必要がある」と述べた。委員会は今後、長野放送の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年1月11日

日本テレビの「謎とき冒険バラエティー『世界の果てまでイッテQ!』」審議入り

放送倫理検証委員会は1月11日の第133回委員会で、日本テレビの「謎とき冒険バラエティー『世界の果てまでイッテQ!』」について、審議入りすることを決めた。
審議の対象となるのは、「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」というコーナー企画で、2018年5月20日に「ラオスでの祭り」として放送された「橋祭り」と、2017年2月12日に「タイでの祭り」として放送された「カリフラワー祭り」の二つの企画。
この企画内容について、でっち上げの疑いがあると一部週刊誌が報じるなど一連の報道を受けて、日本テレビは自社のホームページで、「祭り企画をめぐり、みなさまに疑念を抱かせ、ご心配をおかけする事態に至ったことについて深くお詫び申し上げます」と謝罪したうえで当面、「祭り企画」は中止にした。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、当該放送局に対して報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議。さらに、二つの「祭り企画」以外にも確認したい放送内容があり、考え方を重ねて聞きたい点があるとして追加の報告書を求めて討議を継続した。その結果、『世界の果てまでイッテQ!』の二つの「祭り企画」を審議の対象として審議入りすることを決めた。
審議入りについて升味佐江子委員長代行は、「どういう制作過程を経て番組ができたのか、番組制作者から直接、話を聞きたい。番組に放送倫理上の問題があったのかどうか、事実を確認したい」と述べた。委員会は今後、日本テレビの関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2017年10月13日

フジテレビの『とくダネ!』審議入り

放送倫理検証委員会は10月13日の第119回委員会で、フジテレビの『とくダネ!』について当該放送局に追加の報告書を求めたうえで討議し、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、7月27日の医師法違反事件関連企画で、容疑者としてまったく別人の映像をインタビューを含めて放送したことと、8月28日の放送で、確認できていないにもかかわらず京都府議会議員が妻とのトラブルで「書類送検された」などと放送したことのあわせて2件。いずれも翌日の放送で謝罪・訂正したが、川端和治委員長は審議入りした理由について、「刑事事件の容疑者と処分内容という事実として最も慎重に扱わなければならない情報で、間違いが2件続いたことは大きな問題だ」と述べた。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2017年4月14日

TBSテレビの『白熱ライブ ビビット』審議入り

放送倫理検証委員会は4月14日の第114回委員会で、TBSテレビの情報番組『白熱ライブ ビビット』について当該放送局に追加の報告書の提出を求めた上で討議し、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、TBSテレビが2017年1月31日に『白熱ライブ ビビット』で放送したホームレスに関する企画で、多摩川の河川敷で生活している男性について「犬17匹飼うホームレス直撃」として紹介した。これに対し放送後、河川敷で暮らす人たちへの偏見や差別を助長するという指摘があり、TBSテレビは3月3日、「不適切な表現ならびに不適切な取材方法が用いられていたことが判明した」として、番組内で謝罪放送を行うと同時に、番組ホームページ上にその経緯を掲載した。
審議入りの理由について川端和治委員長は、「TBSテレビの放送後の対応は評価できるが、放送倫理違反という問題について言えば、ホームレスの男性に対する明らかな偏見と名誉毀損的な表現があって、看過できない」と述べた。
委員会は今後、TBSテレビの関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2017年2月10日

東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の『ニュース女子』審議入り

放送倫理検証委員会は2月10日の第112回委員会で、TOKYO MXの『ニュース女子』について当該放送局に報告書の提出を求めた上で討議し、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、TOKYO MXが2017年1月2日、『ニュース女子』で放送した沖縄の基地建設反対運動についての特集。この中で、「マスコミが報道しない真実」と題して沖縄の高江ヘリパッドの建設反対運動などを取り上げ、現地リポートとスタジオトークで放送した。
放送直後から「沖縄に対する誤解や偏見をあおる」「番組が報じた事実関係が間違っている」など多数の意見がBPOに寄せられた。
審議入りの理由について川端和治委員長は、「どれだけきちんとした裏付け取材が行われたかが問題になる。ただ、持ち込み番組ということなので、放送局の考査の段階で、考査がきちんとできたのか、できなかったのかを、まずチェックしないといけない」と述べた。
委員会は今後、TOKYO MXの関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2016年10月14日

参院選・都知事選の選挙報道のあり方全般について審議入り

放送倫理検証委員会は10月14日の第108回委員会で、2016年7月10日に行われた参議院議員選挙と同7月31日に行われた東京都知事選挙の二つの選挙報道について討議し、個別の番組を審議の対象とするのではなく、選挙報道のあり方全般について審議入りすることを決めた。

参院選と都知事選について放送局から何件かの事案の報告が寄せられたことや、都知事選で特定の3候補に報道が集中したのは不公平ではないか、との視聴者意見が数多く寄せられたことなどから、選挙報道全般のあり方について議論。「選挙報道が萎縮しているのではないか」といった指摘がなされている現状をふまえ、委員会として選挙報道における公平・公正の意味について考え方を示すべきではないか、などとの意見も出され、委員会で議論を重ねてきた。

審議入りの理由について、川端和治委員長は「選挙報道のあり方についていろいろな議論があり、視聴者からもいろいろな意見が寄せられている状況で、委員会の考え方を示すのは意味があるだろう」と述べた。

委員会は今後、テレビの選挙報道のあり方全般について審議し、二つの選挙で見られた例をふまえつつ、選挙報道が実質的な公平・公正に資するような、あるいは視聴者の投票行動の選択に役立つものになるように放送局に考えてほしいことを「意見」としてまとめることにしている。

2016年7月8日

TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』審議入り

放送倫理検証委員会は7月8日の第106回委員会で、TBSテレビのバラエティー番組『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』について、審議入りを決めた。

対象となったのは、TBSテレビが6月19日に放送した同番組。さまざまなジャンルの達人たちが番組独自に設定した珍種目で競い合い、スタジオのゲストが勝敗を予想するバラエティー番組で、この日は、4つの珍種目の一つ「双子見極めダービー」の回答者として実際は最後まで競技に参加した出演者を、途中で脱落したことにして映像を加工して放送した。TBSテレビは、7月5日、「行き過ぎた編集があった」などとして、番組ホームページに「お詫び」を掲載した。
審議入りの理由について、川端和治委員長は「出演者の了解を得ずに勝手に映像を加工したのは問題だ。その背景には分業化など制作体制の問題があるだろう」と述べた。
委員会は今後、TBSテレビや制作会社などの関係者からヒアリングを行い、審議を進める。

2016年6月1日

「放送倫理検証委員会 運営規則」の一部改正を6月1日付で施行

放送倫理検証委員会で、昨年から検討を重ねていた「放送倫理検証委員会 運営規則」の一部改正が、5月31日に開催されたBPO理事会で承認され、翌6月1日付で施行された。
改正の内容は、委員会運営の現状に適合させるために、審議や審理に入る前にその適否を議論する「討論」という手続きと、審議の際にも行っている「ヒアリング」を運営規則に明文化したもので、今年4月の放送倫理検証委員会で改正案が議決されていた。(改正後の運営規則はこちら)
なお、この改正に伴い、BPOと加盟各社の間で取り交わしている「放送倫理検証委員会に関する合意書」も、一部改訂された。

2015年5月8日

NHK総合の『クローズアップ現代』審議入り

放送倫理検証委員会は5月8日の第93回委員会で、NHK総合の『クローズアップ現代 追跡"出家詐欺"~狙われる宗教法人~』と、この番組の基になった関西ローカルの『かんさい熱視線 追跡"出家詐欺"~狙われる宗教法人~』の2番組について、審議入りを決めた。
審議入りの理由について、川端和治委員長は「放送倫理違反があるのは間違いないと思われる。委員会として言うべきことがあり、意見を言うことに意味がある」と述べた。
委員会は今後、担当記者やディレクターなど関係者のヒアリングを行ったうえで、「意見」を公表することにしている。
2014年5月14日に放送された『クローズアップ現代』は、寺で出家の儀式「得度」を受けると戸籍の下の名前を法名に変更できることを悪用して別人を装い、金融機関から融資をだまし取るケースが広がっていると紹介した。
番組では、宗教関係者や行政の担当者が対応に苦慮していることや、実際に「ブローカー」と「多重債務者」が相談している隠し撮りの現場などが紹介されたが、その「ブローカー」と「多重債務者」の相談シーンは「やらせ取材」だったと、今年3月、週刊誌が告発した。
NHKの調査委員会は4月28日、報告書を公表し「事実のねつ造につながるいわゆる『やらせ』はないと判断したが、一方で、放送ガイドラインを逸脱する『過剰な演出』や『視聴者に誤解を与える編集』が行われていた」として、担当記者ら15人の懲戒処分を決定した。

2014年10月10日

「テレビ朝日『報道ステーション』の川内原発報道」審議入り決定

放送倫理検証委員会は10月10日の第86回委員会で、テレビ朝日の『報道ステーション』が9月10日、九州電力川内原発の安全審査をめぐり事実と異なる報道をした問題について、審議入りを決めた。
審議入りの理由について、川端和治委員長は「2日後のお詫び放送など、事後の対応は迅速で的確だったが、国民の関心事でもあり小さな事案とは言えない」と述べた。またテレビ朝日がニュース制作の分業態勢がうまくいかなかったと説明しているのを踏まえ、「分業態勢は各局共通であり、問題点を指摘することに意味がある。放送局が同じ過ちを繰り返さないようにアドバイスできないかと考えている」と述べた。

2014年7月11日

「"全聾の作曲家" 佐村河内守氏を取り上げた7番組」審理入り決定

放送倫理検証委員会は7月11日の第84回委員会で、"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として発表していたことが発覚した問題について、5局の7番組を対象に審理入りを決めた。
審理入りの理由について、川端和治委員長は「虚偽の疑いのある番組が放送されたことにより、視聴者に著しい誤解を与えたのは明らか。問題の発覚後、放送局は誤解を解くという十分な対応をしていないのではないか。各局がそろって間違えたのは重大で、障がい者や被災者が虚偽の放送に巻き込まれ傷ついたことは放置できない」と述べた。

審理の対象となった7番組と放送日は、以下のとおり(放送順)である。

  • (1)TBSテレビ『NEWS23』「音をなくした作曲家 その"闇"と"旋律"」(2008年9月15日)

  • (2)テレビ新広島『いま、ヒロシマが聴こえる・・・』(2009年8月6日)
      <フジテレビを含む系列局の多くが時間を変更して放送>

  • (3)テレビ朝日『ワイド!スクランブル』「被爆二世・全聾の天才作曲家」(2010年8月11日)

  • (4)NHK総合『情報LIVE ただイマ!』「奇跡の作曲家」(2012年11月9日)

  • (5)NHK総合『NHKスペシャル』「魂の旋律~音を失った作曲家~」(2013年3月31日)

  • (6)TBSテレビ『中居正広の金曜日のスマたちへ』「音を失った作曲家 佐村河内守の音楽人生とは」(2013年4月26日)

  • (7)日本テレビ『news every.』「被災地への鎮魂 作曲家・佐村河内守」(2013年6月13日)

2013年12月13日

「"真剣勝負" 対決内容を編集で偽造」審議入り決定

フジテレビ『ほこ×たて 2時間スペシャル』

放送倫理検証委員会は12月13日の第77回委員会で、フジテレビ『ほこ×たて 2時間スペシャル』〈2013年10月20日放送〉の審議入りを決めた。

「どんな物でも捕えるスナイパーVS絶対捕えられないラジコン」のコーナーについて、出演者から、収録の順番や、対戦の運営に不適切な演出があったとの指摘があり、局の社内調査でも「(指摘は)大筋において事実であり、不適切な演出があった」ことが確認された。局は「真剣勝負を標榜している番組の継続は不可能と判断」、「ほこ×たて」のレギュラー放送の打ち切りを決定した。
審議入りの理由について、川端委員長は「視聴者も真剣勝負を前提に番組を見ていたはずで、その信頼を崩すようなことをしていたのは問題である。」と語っている。審議の対象には、上記番組のほか、2011年10月16日放送と、2012年10月21日放送の『ほこ×たて 2時間スペシャル』も含まれている。
委員会は、今後、番組関係者などからヒアリングを行い、審議する。

2013年10月11日

「他局のワイヤレスマイクの取材音声を、無断受信して使用」審議入り決定

鹿児島テレビ『ゆうテレ』『チャンネル8』

放送倫理検証委員会は10月11日(金)の第75回委員会で、鹿児島テレビ『ゆうテレ』『チャンネル8』の審議入りを決めた。

対象となった番組は、鹿児島テレビが2013年6月19日と8月7日に放送した夕方の情報系番組『ゆうテレ』と、それを再編集して6月29日に放送した、ミニ番組『チャンネル8』。番組では、高校の『男子新体操部』を紹介した際、生徒を指導する監督の声を放送したが、これは、他局が監督につけたワイヤレスマイクの音声を無断で受信し、使用したものだった。
委員会では、無線通信を傍受して使用することを禁じた電波法59条に違反する取材が行われたことを重視、当該局へのヒアリングを行うことになった。

2013年9月13日

参院選関連2事案と「弁護士紹介の被害者は"関係者"」事案、
計3事案が審議入り

放送倫理検証委員会は9月13日の第74回委員会で、下記3事案の審議入りを決めた。

(1) 関西テレビ『スーパーニュースアンカー』

関西テレビが2013年6月10日午後6時台に放送した夕方のローカルニュースで、7月の参院選から解禁されるインターネットでの選挙運動について取り上げた企画を約11分にわたって放送。この中で、候補者サイドの取り組みの例として、自民党から比例代表選挙に立候補を予定していた太田房江元大阪府知事を約2分間、インタビューを交えて紹介した事案。参院選の公示予定日まですでに1ヶ月足らずとなっていた。放送後、同社報道局内でも疑問の声があがり、1週間後の同番組内でお詫び放送を行った。

(2) テレビ熊本『百識王』

テレビ熊本が2013年7月21日、参院選投票日当日の午前9時30分から10時まで放送したバラエティー番組に、自民党から参院選比例代表選挙に立候補していた渡邉美樹氏が約2分間VTR出演していた事案。これはフジテレビが関東エリアで2013年4月16日に放送したものを番組購入し放送したもので、関東エリアの放送時点では渡邉氏は立候補表明をしていなかった。テレビ熊本は放送前のチェックで気付かず、他局からの指摘により発覚した。

(3) 日本テレビ『スッキリ!!』

日本テレビの朝の情報番組の中で、2012年2月と6月に放送されたインターネット詐欺の企画で、被害者として詐欺の手口や被害の実態を語った2名の人物が、同じ番組に出演した弁護士の事務所職員であったことが明らかになった事案。2回の企画はそれぞれ別のディレクターが担当していたが、弁護士の紹介だったため信用して十分な裏づけ取材などをしていなかった。インタビューは弁護士の担当した実例をもとにした詳細な内容だったため、番組のほかのスタッフも気付かなかったという。今年7月に発覚後、弁護士は虚偽の事実を認め謝罪、日本テレビも7月19日の同番組で詳細なお詫び放送を行った。

2013年4月12日

「"内部告発者"モザイク映像は別人」審議入り決定

関西テレビ「スーパーニュースアンカー」

放送倫理検証委員会は4月12日の第70回委員会で、関西テレビ「スーパーニュースアンカー」の審議入りを決めた。

対象となった番組は、関西テレビが2012年11月30日午後6時台に放送した夕方のローカルニュースで、「大阪市職員 兼業の実態」を特集し、兼業を禁じた地方公務員法に違反して、夜間に新幹線工事現場で働く市職員がいることを、内部告発をもとに伝えた。その際、内部告発者のインタビューを、モザイク映像の後姿とボイスチェンジした音声で放送したが、映像は告発者本人ではなく撮影スタッフを映したものだった。告発者本人が、一切の撮影を拒んだためだという。
放送終了後、撮影スタッフからの報告により、社内では問題が表面化したが、「この不適切な手法は内部告発者を保護するためであり、告発者本人の音声を伝えたニュースの内容に虚偽はなかった」などとして、13年3月13日に新聞報道されるまで、視聴者への説明やお詫びは行われずじまいだった。
委員会は、不適切な撮影から放送まで10日以上もあったのに、チェック機能が働かず放送に至ってしまった原因や背景はどこにあるのか。また、放送後に問題が表面化した後、社内では議論が重ねられながら、なぜ速やかに視聴者への説明等をしなかったのかなどについて、次回以降で審議する。

2012年10月4日

日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関する意見を通知公表

放送倫理検証委員会は2012年10月4日、日本テレビの番組『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関する意見を当該放送局に通知し、公表した。
この番組では、週刊誌などで話題となっている女性タレントと占い師の同居騒動を取り上げた。そして、新聞や番組内で、このタレントと同居していた占い師が出演するかのように告知しながら、実際に登場したのは別の占い師だった。
意見では、この番組が、ラテ欄での告知と、番組中のナレーションやサイドスーパーなどにおいて不適正な言葉を多用し、過剰な演出によって視聴者を欺くなど、放送倫理に反したものであると指摘した。

≪委員会決定はこちら≫

2012年10月3日

委員長談話 フジテレビ「『めざましテレビ』ココ調・無料サービスの落とし穴」について

放送倫理検証委員会
委員長 川端和治

放送倫理検証委員会(以下単に「委員会」という)は、2012年6月6日にフジテレビが「『めざましテレビ』で放送した「ココ調・無料サービスの落とし穴」について、放送倫理違反があると認めながら審議の対象とはしないと決定した。この事案は、「隠し撮り(録音)」という取材手法が問題になったものであるうえ、事実の歪曲や過剰な演出も認められたことから、委員会がそのように決定した理由を明らかにする必要があるであろう。よってここに、「隠し撮り(録音)」という取材手法に対する委員会の姿勢と、審議の対象についての委員会の基準を説明しておきたい。
pdf委員長談話全文PDFはこちら

1. 事案の概要

この番組は、様々な無料サービスを利用して失敗した経験について街頭アンケートを実施し、苦情の多かったものを実際に体験して紹介するというものだった。このうち「プレゼント付きアンケートでDMや勧誘電話がきた」という項目については、番組スタッフが、アンケートで名前のあがった化粧品会社のWEBサイトに身分を隠して無料サンプルを申し込んだところ、会社からかかってきた電話のやりとりが終わるまで36分もかかってしまったという様子が放送された。また「カットモデルでイメージ通りにならなかった」という項目では、モデルになることを志願した女子大生に隠しマイクを仕込んでカットの際のやりとりを送信させ、鏡に映るカットの経過も携帯のカメラで撮影してメールで送らせた。そして、それをカーテンで窓を目隠しした取材車の中から実況放送しているかのように演出して放送した。
しかしながら、化粧品会社からの電話が延々と続いたのは、化粧品会社が執拗にセールスしたからではなく、全く逆に、ディレクターの指示をうけた番組のレポーターが様々な質問を続けて会話を引っ張ったからであった。放送の際はこの化粧品会社の名前は伏せられオペレーターの音声はボイスチェンジされていたが、自社のオペレーターのやりとりが「隠し撮り(録音)」され、しかもあたかも執拗な営業がなされたかのように放送された事に気づいた当該化粧品会社から、放送当日フジテレビに厳重な抗議がなされた。
フジテレビは直ちに調査をして、抗議された内容は事実であることを確認した。またこの調査の際、同じ番組内の美容室でのやりとりも「隠し撮り(録音)」されており、しかも実況放送というのは演出で、いわゆる「後付け実況」であったことも判明した。
フジテレビは、放送の1週間後の6月13日に「ココ調」コーナーで、電話のやりとりが36分になったのは番組側が会話の時間を延ばすために質問を続けたためであったこと、執拗な勧誘の電話が長く続いたという事実と違う情報を伝えてしまったこと、化粧品会社の担当者の心を傷つけ不快な思いをさせたことをわびる放送をした。そして翌日に化粧品会社の本社を訪れ謝罪をした。

2. 放送倫理違反の存在と委員会の判断

「隠し撮り(録音)」が原則として許されないことは、放送局各局がそれぞれ社内基準として共通して定めている。フジテレビも報道局『「報道人ハンドブック」2007』に、「(6)隠し撮りや隠しマイクによる取材は、その目的を明示した場合に目的が達成できないことが明らかで、他に有力な取材手段がなく、取材内容に重大性と緊急性があり、その取材目的が社会的に正当と認められる場合などに許される。原則としては、安易に隠し撮りや隠しマイクによる取材はすべきではありません。しかし例外として『身分を隠しての取材』のケースと同様に、認められる場合があります。この場合も、部長やデスクの了解が必要です。」と規定している。
取材活動は、必然的に取材相手のテリトリーに入り込む行為であり、その成果は放送により広く公表されるのであるから、身分と目的を明らかにし、相手の承諾を得て行われることが原則である。「隠し撮り(録音)」による取材は、それが安易に行われると、場合によっては、肖像権やプライバシーの侵害になったり、名誉毀損になったり、その方法によっては、刑罰規定に触れる結果にもなりかねないという危うさを秘めている。このような取材方法が広汎且つ安易に行われた場合の国民生活への侵襲度は高く、いつどんな行為を放送にさらされるかも分からない社会というのは、誰にとっても耐えがたい社会となろう。民放連の報道指針が、「2報道姿勢」の(1)で「取材対象者に対し、常に誠実な姿勢を保つ。取材・報道に当たって人を欺く手法や不公正な手法は用いない」とし、「3人権の尊重」の(1)で「名誉、プライバシー、肖像権を尊重する」、(4)で「取材対象となった人の痛み、苦悩に心を配る」としていることからも、「隠し撮り(録音)」が原則として許されない取材方法であることは明らかだと言わなければならない。
しかし、フジテレビの「報道人ハンドブック」2007にも明らかにされているように、この原則には例外が認められなければならない。そうでなければ、隠された権力悪を暴くというような報道は不可能になり、放送倫理基本綱領に高らかにうたわれた「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」という使命も達成できなくなるであろう。「隠し撮り(録音)」という方法が、価値のある取材手段となりうることは、たとえば、2012年9月現在進行中のアメリカ大統領選挙候補者の資金集めパーティでの演説の隠し撮り映像が広く報じられることにより、選挙の結果を左右しかねない事実が暴露されたという事態が生じていることからも明らかである。取材者が原則禁止という規定により萎縮して、どうしても必要なときに「隠し撮り(録音)」をためらってしまうようなことがあってはならないのである。
問題は、この原則禁止と例外としての許容のバランスをどう適切に保つかである。そのためには、なぜ「隠し撮り(録音)」が原則として禁止されているかを十分に理解した上で、判断がなされなければならない。今回の事案では、判断責任者となった担当プロデューサーが、自分が行った過去の「隠し撮り(録音)」の事例から今回も許容範囲であると安易に考えたのであるが、他の番組関係者は「部長やデスクの了解が必要です」という形式的な基準の充足がなされたというだけで満足してしまい、「取材内容に重大性と緊急性があり、その取材目的が社会的に正当と認められる場合」という実質要件の充足については、誰も真剣に考えずに不適切な「隠し撮り(録音)」を許容するという結果を招いてしまった。
その意味で、この事案については放送倫理の違反があると言わなければならない。また36分の電話となった理由の歪曲や、実況中継と見せかけた過剰な演出についても、放送倫理違反がある。
しかし委員会は、この事案についてそのような放送倫理違反を審議案件として追及し、意見を公表することは適切ではないだろうと考えた。その理由は、何よりも、この事案について「隠し撮り(録音)」という取材方法が不適切であったと断罪することは、その結論だけのひとり歩きにより、例外的手法によってでも隠された真実を暴くという意欲を持った放送人の足かせとして機能してしまうのではないかと、委員会が恐れたことにある。
また、このような不適切な取材方法の直接の被害者となった化粧品会社と美容室が、フジテレビの謝罪を受け入れ宥恕している一方、「プレゼント付きアンケートでDMや勧誘電話がきた」とか「カットモデルでイメージどおりにならなかった」という社会的事実は、この番組の街頭インタビューでもあきらかにされているように確かに存在しているので、この放送によって視聴者が誤解して被害や不利益をうけたという事実もない。またこの番組は報道番組ではなく、娯楽の要素も盛り込まれている情報バラエティー番組として制作されている。これらの事実を総合すれば、この事案は、「隠し撮り(録音)」という例外的な取材方法が不適切に用いられ、また事実の歪曲も認められるものの、その被害は現時点では既に回復されている一方、審議の対象とした場合の萎縮効果が懸念されることから、TBSテレビ『情報7daysニュースキャスター「二重行政の現場」』についての委員長談話で示した「小さな問題についての誤り」同様、放送局側の自主的・自律的な是正が適切になされていれば、審議の対象とすることは適切でないと考える。
そしてフジテレビは、極めて迅速に内部調査をとげ、的確な謝罪放送をしたうえで、抗議した化粧品会社から宥恕されているうえ、自らの調査によって無料カットモデルの件についても問題があったことを摘出し、美容師からも秘密録音についての事後承諾を得ている。しかもそのうえで自主的に再発防止のための方策を考え、実行しているのである。もちろんフジテレビについては、2010年8月8日と9月26日に放送された『Mr.サンデー』で、街頭インタビュー対象者の事前仕込みと、雑誌付録バッグ所有の通行人の人数の水増しをしたという問題事案があり、そのとき、自主的、自律的に徹底した改善策を実行したはずなのに、一年足らずでまた今回の事案を引き起こしたことによって、前回の改善策は有効には機能していないことが示されたという問題もある。しかし、迅速で自発的な対応による被害者の宥恕、問題発生の原因分析と、対応策の立案、そしてそれを制作現場に「自分のこととして考えましょう」というスローガンで浸透させる努力という点で、前述した委員長談話に述べた「当該局の自主的な取り組み」は十分に行われていると評価するべきであろう。
以上の理由から、委員会はこの事案を審議の対象とはしないこととしたのである。

3.研修用資料『めざましテレビ「ココ調」の不適切表現の問題点から学ぶ』の公表について

フジテレビは、委員会への自発的報告を素材に、研修用資料として以下に掲げる文書を作成した。委員会は、この資料をフジテレビの了解を得て公表することにより、他の各局がこれをそれぞれの制作現場における研修の材料として使用することができ、そのことによって放送倫理と番組の質の向上に役立たせることができるのではないかと考えた。そこでフジテレビに交渉したところ、公開用に手を加えた版の提供を受けることができた。
この文書は、この事案で生じた誤りの原因分析についての貴重な資料であるとともに、研修の材料としても、研修対象者に対する「みんなで考えよう」という課題と、考えるヒントが付されていることによって、他局でも広く活用することが可能になっている。是非とも各局で、それぞれがさらに現場で討論し考える素材として活用することにより、より優れた研修資料を作成していただきたい。委員会は、そのような努力が共有されることによって、過ちが繰り返されないための共通の土台が構築されていくのではないかと考えている。
最後に、公表版の作成にご協力いただいたフジテレビに対する謝意を表明させていただく。

以上

pdfフジテレビ『めざましテレビ』「ココ調」の不適切表現の問題点から学ぶ

pdfフジテレビ『Mr.サンデー』の特集企画における不適切表現に関する問題点の検証と再発防止に向けて

2012年7月17日

日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』審議入り決定

放送倫理検証委員会は7月13日の第62回委員会で、上記番組の審議入りを決定した。
対象となった番組は、芸能記者などが出演して芸能情報をバラエティー手法で伝える日本テレビの深夜レギュラー番組『芸能BANG+!』が、5月4日のゴールデンタイムに2時間スペシャルとして放送された、『緊急放送!芸能★BANG占い・離婚・・・渦中のアノ人が記者軍団と激突SP』で、週刊誌などで話題になっている女性タレントと占い師の同居騒動にまつわる話を大きく取り上げた。
新聞の番組欄で、「今夜遂にスタジオへ・・・オセロ中島騒動の占い師が謎の同居生活全貌激白」と告知し番組内ではオープニングから45分以上にわたって同様のスーパー、ナレーションなどを繰り返し、女性タレントと同居していた占い師が出演するかのように放送したが、実際に出演したのはこの占い師と一緒に住んだことのある別の占い師の女性で、放送後、当該局に対して多数の抗議が届いたほか、BPOにも視聴者からの多くの意見が寄せられた。
委員会は、当該局からの報告をもとに討議を行った結果、視聴者の信頼という放送倫理の根本を裏切る放送ではないかとして審議入りを決定し、次回の委員会から審議する。

放送倫理検証委員会の「審議」とは?

委員会は放送倫理上問題があると考えた番組について、取材・制作のあり方や番組内容について、審議をします。委員会は、放送事業者および関係者に対し、番組についての関連資料を求めることができます。審議の結果、委員会は、放送倫理上問題があったかどうかなどを意見としてまとめ、当該局に通知し、公表します。

* 審議については、同委員会「運営規則 第4条」をご覧ください。

2012年7月31日

日本テレビ『news every.』の「飲み水の安全性」報道に関する意見

放送倫理検証委員会は2012年7月31日、日本テレビ『news every.』 「食と放射能 飲み水の安全性」に関する意見を、当該局に通知し、公表した。この番組では、利用者が急増している「宅配の水」の利用者と紹介した人が、実はその宅配水メーカーの親族であった。

意見では、故意ではなかったとはいえ、事実確認を怠った結果として宅配水メーカーに関係ある人に好意的な評価を語らせ、放送に求められる客観性、公平性等の放送倫理に違反したと指摘した。

≪委員会決定はこちら≫