第106回 – 2005年11月
「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案のヒアリング・審理
「喫茶店廃業報道」事案委員会決定後の放送対応等…など
「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案のヒアリング・審理
本事案は、〈消える高齢者の財産〉というタイトルのドキュメンタリーの中で”孤独老人相手の新商売”(ただうなずくだけで2時間1万円)として紹介された東京在住の男性が、この放送(2005年6月14日・テレビ東京)により名誉を毀損されたと苦情を申し立てたもので、これまで双方から提出された申立書や答弁書等をもとに2回にわたり審理が行なわれてきた。
今回のヒアリングは双方の意見、主張を直接質すために行なわれたもので、申立人に対しては約1時間、また被申立人のテレビ東京に対しては、引き続き約50分にわたって進められた。 双方に対するヒアリングでの質疑とも、「番組の前半で取り上げた悪徳ビジネスのケースに影響されて申立人の新ビジネスもあざとい事業との印象を視聴者に与えたかどうか」「1万円の受け渡しの場面の実相はどうだったのか」などが焦点となった。
ヒアリングの後審理を行い、「委員会決定」の草案をまとめる起草委員を決め、12月中旬に起草委員会を開き、次回委員会では起草委員の草案を基に詰めた議論を行なうことになった。
「喫茶店廃業報道」事案委員会決定後の放送対応等
10月18日に「委員会決定」を通知・公表した「喫茶店廃業報道」事案について、当日の放送対応や翌日の関連新聞記事について事務局から報告があった。
この席で、当該局の毎日放送が「委員会決定」の内容を伝えた当日の二本のニュースと後日の検証番組の放送VTRを視聴した。委員からは「検証番組は丁寧に作られている」との声が出た。
事務局では、当該局から提出される改善対応策を待って年明けにも本事案のブックレットを作成する予定。
審理要請「プライバシー侵害の訴え」斡旋解決
苦情の概要は、「居酒屋を今も営む85才の義母の半生を描いて<世のお年寄りに勇気を与える>という趣旨を説明され、それに賛同して家族はドキュメンタリー番組の取材をOKしたのに、放送では本人の奮闘だけでなく、自分たち子供夫婦や孫たちの他人には知られたくない事実も描かれた」というもので、8月家族の一人から放送人権委員会に訴えがあった。
申立人は、「謝罪と再放送中止の確約」を求めるとともに、「自分たちが映っているテープの引渡し」を強く要求していたが、放送人権委員会事務局では「報道機関として、放送局が取材テープを局外に出すことはない」と説明し、テープ引渡しにこだわらずに話し合いを続けるよう勧めた。
その結果、局側も誠実に対応し、再放送や番組販売等を行なわないこと、10月末に当該番組の中で「事実関係において一部誤解を生じさせる表現があった」とする旨の字幕スーパーを放送することで双方が合意し、事案は和解・解決した。
本件は、今年度初めての斡旋解決事案。
苦情対応状況[10月]
2005年10月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。
◆人権関連の苦情(23件)
- 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・7件
- 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・16件
その他 「意見交換会(東北)」について
11月29日(火)に仙台で開催される放送人権委員会委員との意見交換会について、事務局から当日のスケジュールなどについて相談、ならびに委員会参加者が最終的に18局30数人となることが報告された。最後に、次回12月20日の委員会は、午後4時から開くことを決め、閉会した。
以上