休会

休会 – 2010年8月

休会

8月の委員会は例年通り休会したが、中高生モニターについて持ち回りで審議した。8月に寄せられた視聴者意見については9月委員会で審議する。中高生モニター報告の概要は下記のとおり。

中学生モニターについて

8月~11月は「報道・情報・ドキュメンタリー番組」がテーマだが、8月は担当委員からの提案で、NHKの土曜ドラマ『チェイス~国税査察官』(全6回)を見てレポートを書いてもらった。この作品はドラマという形式をとっているが、「報道」「情報」「ドキュメンタリー」の要素が多く含まれており、現代の国際化社会の一断面を中高生たちがどう視聴し、どう感じたか、率直な意見を求め29人から報告が届いた。

【主なモニター意見】

まず、多くのモニターが書いてきたのは「国税査察官」や「タックスヘイブン(租税回避地)」という言葉を初めて聞いたということだった。また、”難しいドラマかな?”という印象を持ったようである。しかし、第1回を見終わっての感想では、「早く次の回が見たい!!」と思った中高生も多かった。
高校1年女子の感想。「国税査察官という仕事を私は初めて知りました。ドラマの前半は査察官のドキュメンタリーのようでした。査察官は正義感・責任感が強く家族にも業務内容は守秘しなければならないこと、査察官の業務にも領域があること、脱税者の心理や挙動までも読み取る冷静さが必要であること…とにかく大変な業務であることを知ることができました」「1回分見終わる度に、『早く次が見たい!!』と毎回思う作品でした。仕事と家族の事件の関係が少しずつ明らかになっていく様子に、とてもワクワクしました。”脱税”“復讐”といったものがテーマになったこの作品は、『人間って、こんなに恐かったっけ?』といった”人間の裏の一面”の世界に引きずり込まれていくような作品だと思いました。ストーリー展開や役者さんの演技が素晴らしかったからだと思います」「”お金”というものは、やはり魅力的なものです。生きていく上では、必要不可欠なものだと思います。多く持っていれば、裕福な暮らしができ不自由のない生活を送れるという考えはきっと誰しも少しは持っているのではないかと思います。それ故なのか、お金に関係した事件も頻繁に起こっています。この作品を見て、”お金”が人類に及ぼす影響は計り知れないほどだということを改めて実感させられました」。
一方、中学生のモニターからは「難しい」という反響も何件か寄せられた。
「私は、国税査察官や脱税については正直言ってよく分かりませんでした。なので、このドラマを見ていても『この人ヒドイ!』とか、『詐欺師だとしてもかわいそう』とか、そういうことしか考えられませんでした。もともとの知識がない人がこのドラマを見ると、最後までそうなってしまう気がします。ドラマ形式というところまではいいのですが、内容が大人向けということもあって、私たち中学生はあまり知らない言葉もサラサラ出て、集中して見ることができませんでした」「第1話はインパクトがあり、第2話も何となく理解できましたが、その後の話は何かピンときませんでした。描写も内容も大人っぽいという印象を受けました。国税査察官の生きがいをクローズアップするのはいいのですが、もう少し悪質な会社との戦いや査察官の一日など、庶民に法人の脱税の悪質性について分かりやすく伝えてくれるものが見たかったなと思いました。見る前は、そのようなものを想像していました」。

【委員の所感】

  • 日ごろあまり馴染みのないマルサ(国税査察官)と脱税に知恵を絞る経営コンサルタントの国境を越えた攻防劇。中高生モニターには難解なドラマだったと思うが、この作品が言わんとするメッセージを読み取ろう、自分たちの生活に引き付けて考えようという姿勢がよくうかがえた。
  • もともと中高生向けの番組ではなかったので、モニターの評価が分かれるのは当然だと思う。ただ日常生活とかけ離れた事柄に関しては、フィクションにすぎない内容を現実と混同してしまう危険性の高いことを、リポートを読んで再認識した。
  • ほとんどの高校生が、ドラマの趣旨、ねらいを理解し、各自それぞれ自分の今までの人生に重ねあわせたり、新しい視点を獲得したりして感想文を書いていた。感想文に正解、不正解はなく、各自が、自分のなかの”何か(「世界観」「金銭感覚」「人間の正と悪」「欲望」「愛憎」など)”とドラマを結びつけて何かを生み出してくれればいいと考える。

「今月のキラ★報告」(山口・高校1年女子)

脱税者を暴く査察官の複線を張り巡らせた複雑なストーリーでした。何度もハラハラして、1巻見ただけでぐったりするくらい精神的にも深いメッセージ性を投げかけてくるドラマでした。
国税査察官という仕事を私は初めて知りました。ドラマの前半は査察官のドキュメンタリーのようでした。査察官は正義感・責任感が強く家族にも業務内容は守秘しなければならないこと、8階の業務に領域があること、脱税者の心理や挙動までも読み取る冷静さが必要であること…とにかく大変な業務であることを知ることができました。特に脱税者が自宅プールの底に資産を隠していたのを発見する場面は圧巻でした。
報道・情報という面から考えると、ドラマ全体にテレビ・ビデオ・パソコンの映像と音声が使われており、すべてがストーリーの鍵を握っていました。春馬と村雲が対峙するもともとのきっかけとなった飛行機事故の映像を、繰り返し娘がパソコンで見ている場面は悲痛感をかき立てます。残された春馬に復讐の念を抱かせるほどの強烈なものでもあります。
また、後半で歌織が偶然見つけた1本のビデオ、村雲がお化けを見たと言った意味を知り得たこの報道番組、考えてみれば、この番組で死んだはずの母の姿を見なければ村雲はこれ程までに狂った人生を送らなかったかも知れません。
報道・情報番組というものは見る人によっては感じ方・受け取り方も千差万別であり、ほんの数秒の映像やキャスターの言葉一つで、人間の人生までも変えてしまうのかと震撼しました。
このドラマは単に脱税者・脱税コンサルタントと査察官の”チェイス(追跡)”というだけでなく、過去の正と誤、人間と人間の関係までも”チェイス”し続けた、追う者と追われる者の心理戦が斬新でとても良かったと思います。一生忘れないドラマになると思います。

【委員会の推薦理由】

日ごろ馴染みのない国税査察官と脱税に知恵を絞るコンサルタントとの国境を越えた攻防のドラマは、もともと中高生には難解なテーマで、モニターの評価が分かれるのは当然だと思います。その中で、ドラマの趣旨やねらいをよく理解して、視聴して感じたことを自らの言葉で分かりやすくまとめて分析している点を高く評価しました。

【『チェイス』プロデューサーからのお便り】

土曜ドラマ「チェイス」は、国際化する脱税をテーマにした国税査察官と脱税者たちの攻防とその裏の復讐に絡んだ人間ドラマのストーリーです。難しいテーマ・内容にも関わらず熱心に視聴してくれた中高生の方が何人もいたことが印象的でした。
中学生の意見としては「世の中の脱税を取り締まる査察官という職業があること」、「脱税が国際的に行われつつあること」を初めて知った、という情報としての驚きと、「お金を巡るドラマを見て、税金をきちんと納めようと思った」など、道徳的な部分に関心を持った意見が何人か寄せられていたのが印象的でした。
一方高校生になると脱税ということの意味もより理解しているため、ドラマとして純粋に面白く感じたり、のめり込んでみてくれたりした、という意見が多く寄せられていました。
社会性や道徳性に目覚めつつあるこの世代の方々が、税に関心を持たれたりお金というものの存在について考えていただけた、という意味でこの世代の方々により多くみていただけるよう今後意識していきたいと思います。ちなみに2名ほど男子中学生が国税査察官という仕事に興味を持ち、将来の選択肢の一つとしてとらえてくれていたのも印象的でした。

7月のモニター報告のテーマ「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」企画に対して、
在京局の制作現場の方から届いたコメント。

企画1.『進め!歴男☆歴女』  (山口・高校1年女子)

司会者:歴史好きな武田鉄矢さん、稲垣吾郎さんほか/出演者:歴女の美甘子さん、高島礼子さん、浅野ゆうこさん、歴男のビビる大木さん、時代劇俳優の高橋英樹さん、歴史漫画家の尼子騒兵衛さんほか。
【番組の内容】
日本史は小学生から大学受験まで皆が必要な知識・教養です。とはいってもなかなか興味が持てない私は歴史が苦手…。また歴史は変わらないと思われがちですが、実は祖父母・両親のころの教科書と現代の教科書では歴史研究の結果かなり変わってきているようです。
歴史は苦手だという視聴者でも分かりやすく楽しめるように、短編アニメーション(忍たま乱太郎の尼子騒兵衛さんの画が馴染み易くていいと思います)を加え、縄文時代から始めて昭和まで各時代を1~3回ずつに分けて構成。ゲストの方は色々な世代の方を迎え、歴男チームと歴女チームに分かれて最後に勝ち負けを競います。どっちが本物?など写真を使った簡単な○×クイズや、歴史教授の教えるマル秘歴史裏話、各地のお城や城下町の紹介、ゲストによるその時代のファッションショーや住居・食事体験など、視聴者も「へえ~、そうだったのか!」と楽しく学ぶことが出来る構成がいいと思います。日本をもっともっと好きになれるような素敵な番組ができたらいいなと思います。

【日本テレビ バラエティ局『行列のできる法律相談所』『世界の果てまでイッテQ!』担当のチーフプロデューサーの感想】
歴史というのは、テレビ番組でも使い尽くされたジャンルではあります。しかも、年配層が好む番組とされてきました。それを、「歴男」「歴女」というイマのフレームでくくった瞬間に、なにかみずみずしい企画に見えてくるではないですか。日本人が基本的に好むものと、ブームがうまく取り入れられているところが番組として魅力的だと思いました。
しかし、「歴女」というとオタクの香りがプンプンして、逆に年配層が拒絶する可能性があります。それを高島礼子や浅野ゆうこを「歴女」のキャスト案に挙げてバランスをとっているところがまたニクイです。タイトルもベタで素敵。企画者はこのバランスを知っていて万人に受けそうな企画書に落とし込んだのだとしたら、テレビというものをわかっている人なんだなと思いました。逆に、素直に自分のやりたい番組として書いたのだとしたら、それはそれですごい才能だと思います。

企画2. 『RRPG リアルロールプレーイングゲーム』 (京都・中学1年男子 )

出演者:プレイヤーは芸能人5~8人で、今回は山手線でプレイするように設定します。/司会者:未定、東京駅の駅長室でプレイヤーの様子を見る。
【番組の内容】
東京駅から始めて、それぞれアイテムを探して山手線に乗る。それぞれ番組専用のケータイ、山手線フリーパス、山手線マップをもらう。次に、28ある駅の中で、もらったケータイに出た3つの謎を解いてアイテムの駅に行ってアイテムを1つずつゲットする。1人ずつ出される謎解きは異なり、全員が違う駅へと向かう。3つのアイテムを集めて、東京駅に1番に戻った人の勝ち!尚、アイテムは駅の内部に必ずあるので、根気よく探すべし。
※ルール:解いた謎解きは返信して答えること。どうしても謎が分からない場合、東京駅に戻りヒントを聞ける(1回だけ)。改札口を出てはいけない。リタイアする場合だけ改札口を抜ける。
PS:山手線に限らず、東京ディズニーリゾートや、USJ、市街地も舞台にしたら面白いと思います。ディズニー、USJならアトラクション、市街地ではお店を探すようにすれば、と思います。

【TBS 『 関口宏の東京フレンドパークII 』 担当プロデューサーの感想】
ふだん、なじみのある場所を自分なりの巨大なアミューズメントパークに仕立て上げる…。「子どものころっていつもこんなことを考えながら遊んでいたな」と思い出しました。子どものころに持っていた柔軟な発想をフル活用できれば、面白い番組になりそうな気がします。ただ、ゲーム番組の難しさは、プレイヤーが感じている楽しさを、どれだけテレビを見ている人たちに伝えられるかということだと思います。見ている人にも共感できるルールや仕組みをいかに上手に設定できるかがポイントになると思います。

企画3.『時の人を追って』 (東京・高校2年男子)

司会:マツコデラックスと森永卓郎/出演者:経済アナリスト数人と、毎回ゲストを招いて進行していく。
【番組の内容】
昔流行っていた芸能人が、今売れなくなってどんな生活を送っているのかを紹介したうえで、どんな節約をしているのか、それでどのくらい浮くのかなどを紹介し、さらにこういう節約、お得な情報もあるということを紹介していく番組。
現在、TBSで放送されている『がっちりアカデミー』は、子どもには難しすぎてつまらないと思うので、自分が考えたこの企画は子どもでも楽しめる番組にしていきたい。子どもが楽しめ、大人も参考になる番組にすること、見た人が友人にその参考になる内容を伝えることでその友人も視聴し始め、どんどん視聴者が増えていき、視聴者にはお得な情報で”得”ができ、放送会社側では視聴率がとれるという両者が得をする番組です。しかし、ネタがなくなってきたら番組を続けることはしない。

【フジテレビ 編成制作局『ごきげんよう』担当ディレクターの感想】
バラエティーの企画で何よりも重要なことは、その企画が「オンリーワン」であること。つまり「他では見たことがない企画」ということです。この「時の人を追って」は、売れなくなってしまった芸能人を追跡するという「他で見たことのある企画」に、その方の節約生活からお得な経済情報を学ぶという面白いアイデアを足して見事にオンリーワンにしています。そしてバラエティーの企画でもう一つ重要なことは、その企画が「シンプル」であるということ。わずか2行で番組全体をイメージさせてくれる彼の企画・構成力、お見事です。

企画4.『笑魂(わらたま)』 (大阪・中学2年女子)

司会者:東野幸治さん、山口智充さん、アシスタントは女子アナウンサー/出演者:若手芸人3組(毎回変わる)
【番組の内容】
視聴者からお題をハガキで募集しておき、その場で誰かが応募ハガキの中から1枚選び、そのお題で即席のコントや漫才など(制限時間5~6分)を3組が披露する。
出演する若手芸人には別番組の収録ということで放送局に来てもらい、到着した時にスタッフにスタジオに放り込まれる。→ドッキリとネタ番組が合体したような感じにする。ネタの打ち合わせをしている様子も放送する。
スタジオにはお客さんを100名入れておき、出演芸人の登場(司会者とのトークも含む)からネタ終了までずっとスイッチを持っておいてもらって、その時点で面白いと思う芸人に投票してもらう。いつ誰に投票・変更してもいいことにして、誰に何票入っているかは常に全員が見ることが出来るようにする。
ネタ終了時に投票をストップして、その日のチャンピオンを決める。チャンピオンになった芸人は、次回の出演者3組を決める権利がもらえる。ただし、絶対に事前に分からないようにする。お題に選ばれたハガキを書いた人には、チャンピオンの私物をサイン入りでプレゼント!

【テレビ朝日 『ロンドンハーツ』『アメトーーク!』担当のプロデューサーの感想】
企画を読ませていただいて率直に思ったことは「理想と現実の違い」ということです。自分も企画を考えたり、詰めていく時に大切にしていることです。どうしても企画というのは、頭で考えるので、現実との差がどうしても生まれてしまいます。なので、その過程で「実際にやったらどうなるんだろう?」と、より具体的にシミュレーションしなければ、実際にやってもうまく行きませんし、演じる出演者にとってもやり難い企画になってしまいます。そして、考える上でもう1つ大切にしているは、「その企画はどうなれば成功なのだろう?」ということです。それを踏まえて、以下のポイントを読んでください。
【ポイント(1) 芸人が即興でネタをやらされて、本当に面白いか?】
芸人さんたちのネタは、じっくりと計算されているからこそ面白いんだと思います。どうやっても、急に設定を渡された即興ネタが、本来のネタを超えることは無いです。僕がシミュレーションするに、笑いが生まれるとしても「すべり笑い」「かみ合わない笑い」「ハプニング」がメインになると思います。もちろん、それはそれで笑えますが、みんながそうでは、番組として意味がないし、ただダラダラしたものを見せられても、視聴者の方も飽きるはずです。
【ポイント(2) 何のために一般審査員はネタ合わせを見る必要があるのか?】
一般の方が裏側を見たいという気持ちはわかります。ただし、やはりそこはシークレットにしてあげたいですし、見られていると分かれば、芸人さんたちは真剣に打合せをせず、観客を意識するあまり、その部分でも笑いを取りに行こうとふざけるでしょう。それはそれで、一時的には笑えても、肝心の「ネタを作る」という作業が疎かになり、結局つまらないネタになってしまいます。
さらに、ネタを作る作業を見ているため、実際にネタを披露する時に、完全に「ネタバレ」になっています。
※以上のことから、理想と現実の難しさが解っていただけたと思います。
【改善案 どうしても「ドッキリ即興ネタ番組」のスタイルをやるなら?】
まず、ネタ合わせは控え室でやってもらい、カメラが入るとしても、放送ではネタバレしないように一部しか流さず、スタジオにいる観客には全く見せません。そして、カメラは無人で撮影し、芸人が少しでも集中できる環境を作り、ネタの完成度を高めてもらいます。
そして、芸人さんたちは普段のコンビでなく、即興コンビにします。本来のネタを超えるものが期待できないので、「組み合わせの新鮮さ」で企画に面白さを加えると同時に、「うまく行かなくても大丈夫」という、芸人さんへの保険をかけてあげることで、ノビノビと演じさせてあげられます。
実はこれ、TBSのゴールデンタイムで時々放送されてきた「ドリームマッチ(10組くらいのコンビがパートナーをシャッフルして、ネタをやる特番)」のスタイルなんです!(ネタ作りを撮影するカメラは無人ではないですが。)面白い番組って、色んな部分が計算されてますよね(笑)。
最後になりますが、この企画を考えた方は、とてもお笑い番組が好きで観ていただいているというのが伝わってきました。そういう若い方が一人でも居てもらえるということ、とても嬉しいです。そして、司会に東野幸治さんってところ、お笑いセンス抜群です!

企画5.『柳田理科雄の空想科学研究所~アニメを大真面目に考えてみました~』
(香川・中学2年男子)

司会者:くりぃむしちゅー、もしくはタカ&トシ、もしくは今田耕司/出演者:ゲストはお笑い芸人など。
【番組の内容】
『世界一受けたい授業』の講師として柳田さんが実際出演されたこともあるのですが、同じような感じで、司会者がいて、アドバイザーの先生として柳田さんが検証し、アニメと現実を比較して、ゲストのリアクションを交えるという構成です。その検証したシーンを再現ドラマにしたり、ゲストに寸劇を演じてもらったりします。また、内容にもよりますが検証を行う前にゲストには、○×の札を挙げて現実にありうるかなどを予想してもらいます。
検証内容は、視聴者から寄せられたアニメや漫画、映画、ドラマの中で当然のようにスルーしているけど、実はおかしい、ヘンテコなところや疑問を検証する事がメインですが、柳田さんの著書の中からのお勧め検証エピソードで番組の最後を締めくくるようにしたいです。僕は小学生の時から空想科学読本の大ファンです。あまりに面白いので、周りのみんなに紹介するとみんな面白いと大絶賛でした。空想科学読本と柳田理科雄さんは、米村でんじろうさんや池上彰さんぐらいのブームになること間違いないと思います。

【テレビ東京 制作局『やりすぎコージー』担当ディレクターからの感想】
まず前提として、企画を書いている人の熱が、この企画に伝わっているところが素敵だと思います。面白い番組を作るにはその番組の制作に携わる人間が、熱を持って番組作りをすることが大切だと思いますので。
あと企画に関してですが、アニメや特撮とかを見ていて「それは無理だろ!」と思うことは僕自身も多々ありました。なので、そこに目をつけてイジルのは面白いなと思います。そんな「無理だろ!」を検証&実験して「やっぱり無理じゃん!」って笑うのも、「現実でもできるんだ!」って感心するのもアリだと思います。またその過激だったり突拍子もない場面の検証&実験を、芸人さんやその道にプロの方にカラダをはってやってもらったら…。
でもこの企画って、ある局でちょっと前にやってたっけ?だとしたら、企画の発想力は現場の僕らと同レベルです。素敵です。将来、お待ちしてます。

企画6.『Speeeed☆Staaaage』 (埼玉・高校1年女子)

【番組の内容】
イントロクイズの番組はたまにやっていますが、アーティストが自分自身の曲のイントロクイズに挑戦している光景はあまり見ないので、新鮮な番組になるのではないかと思います。
現在の音楽番組では、その時期に発表された曲しか取り上げられない場合が多いですが、イントロクイズは短い時間でたくさんの曲を紹介することができます。視聴者には、出演しているアーティストに関する知識はあまりないけれど、「なんか好き」だからそのアーティストの番組をチェックするという人も少なくはありません。この番組では、イントロクイズを通してそのアーティストがそれ以前に発売した曲をたくさん聴くことができるので、視聴者はよりアーティストに興味を持つことができると思います。
しかし、ただイントロクイズをやるだけでは面白さと白熱に欠けると思うので、歌を披露するステージをかけて、2組が対決するというのがいいと思います。この番組には、アーティストが歌を披露するためのステージを、豪華なステージとあまりお金のかかっていないステージの2種類用意します。そして、勝ったアーティストが豪華なステージで歌を披露する権利を得る、というルールです。
正答数では勝負がつかない場合は、答えが出るまでの時間の短さを競います。MCには、鋭いコメント力を持っていて、注目度も高い嵐の二宮和也さんを起用してみたら面白いと思います。もう一人、千原ジュニアさんのような発言力のある芸人さんが一緒だと、なお面白くなると思います。

【テレビ東京 制作局ディレクターからの感想】
「アーティストが自分自身の曲のイントロクイズに挑戦する」という発想が新鮮でした。「ありそうでなかった」”切り口”が番組の企画作りには求められると思います。現在「音楽番組」の”新しい形”が模索されている時代だと思いますが、何にも縛られない高校生だからこその自由な発想が表れていたと思います。また、ステージをかけた2組の対戦形式など更なる展開を考えていることもポイントが高いです。

2010年7月に視聴者から寄せられた意見

2010年7月に視聴者から寄せられた意見

大相撲名古屋場所のテレビ中継中止の是非をめぐり、賛否両論多くの意見が寄せられた。その後も角界をめぐる暴力団がらみの不祥事が報道されるたびに、厳しい批判が相次いだ。参院選挙は民主党が大敗したが、選挙に関する意見では、情報番組のキャスターやコメンテーターの見解が強く前に出すぎていて、世論を誘導しているとの批判があった。

7月にEメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,526件で、6月と同数であった。意見のアクセス方法の割合は、Eメール63%、電話33%、FAX2%、手紙ほか2%。
男女別では男性73%、女性23%、不明4%。
世代別では30歳代32%、40歳代25%、20歳代18%、50歳代11%、60歳以上10%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。7月の通知数は742件(46局)であった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、42件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

7月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 人権に関する審理・斡旋の要請・・・・・・・ 0件
    (個人又は直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

7月の視聴者意見は1,526件と、先月と同数であった。
大相撲名古屋場所のテレビ中継中止の是非をめぐり、賛否両論多くの意見が寄せられた。相撲中継の中止、ダイジェスト版による放送ということになったが、その後も角界をめぐる暴力団がらみの不祥事が報道されるたびに、視聴者から厳しい批判が相次いだ。
参院選挙は民主党が大敗し、衆参ねじれ国会となった。選挙に関する意見では、情報番組のキャスターや評論家、コメンテーターの見解が強く前に出すぎていて、世論を誘導しているとの批判や、候補者の取り上げ方も一部公平性に欠けるものがあるなどの指摘があった。政治報道については、内閣支持率など世論調査を頻繁に報道することへの疑問も出された。
バラエティー番組では、長時間にわたって続けられたスペシャル番組で、炎天下倒れるまでタレントを走らせていたなどの批判や、回転する椅子に座らせた芸人を倒れるまで執拗にいじめたなどの意見が寄せられた。ドラマでは、子どもを殺すなど残虐なシーンが多すぎるとの意見があった。
来年7月の完全地上デジタル放送に向けて地デジ化テストが行われ、アナログ放送がレターボックスでの放送に移行したが、受像機をまだ買い替えていない人や、受信環境が整っていない人などから、視聴者への配慮が欠けているなどの苦情が寄せられた。
番組出演者に関する意見は、「不適切な発言」の検索で34件、「不適格な出演者」で48件あった。ラジオについての意見は40件、CMについては54件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は123件で、前月と同数だった。
今月も、バラエティー番組を中心に低俗・モラルに反するとの意見が37件と最も多く寄せられた。次いで、ドラマ番組での子どもの殺害シーンなどに対して「残虐だ」「見るに堪えない」などの批判意見が集中的に寄せられた(25件)。また、特定のジャンルに限らず、「性的表現」に関する意見も幅広く寄せられた(13件)。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • NHKは「大相撲名古屋場所の生中継はやめるが、録画のダイジェストを放送する」と発表した。しかし、相撲放送中の客席に暴力団組員がいてテレビで放送された問題は、何の対処方法も検討されていない。これでは再び、同じようなことが起きる可能性があり、放送が暴力団に悪用されることを放置しているとしか思えない。当面、大相撲番組は中止して、有効な対処方法を検討するように指導していただきたい。
  • 暴力団がかかわる、野球賭博に汚染された大相撲の中継をやめるべきです。NHKは国民の受信料でなりたっているのですから、当然国民の大多数の意見を尊重すべきです。
  • 生中継中止を残念に思っています。いまだに放送中止が納得できません。野球賭博に関係のない力士の方が多いのに、力士たちが気の毒です。今のダイジェスト放送では、大相撲の醍醐味は伝わりません。
  • 本当に悪いのは賭博を設定した暴力団の存在だろう。そこにメスを入れないマスコミの弱腰こそが問われているのではないか。本当の悪に目をつぶり真っ正直に生きてきた力士ばかりに焦点を当てることはどうなのか。厳然として存在する暴力団の存在をどうとらえるのか。社会の必要悪とのとらえ方は否定しなければならない。
  • 参院選挙の「開票速報」を見た。速報の臨場感を出すために、注目選挙区や注目候補の「当確」が出ると、全国の開票速報の途中にもかかわらず、万歳などのVTRを入れてくる。VTR後に開票の続きを放送すればいいが、注目候補の速報になったりしてめちゃくちゃだ。また、出口調査を過信し「当確」を早く出し過ぎている。早く「当確」が出ても下位で当選した人もいた。
  • 参院選挙で民主党が大敗したが、これは菅総理の消費税発言を大きく取り上げ、世論調査の支持率低下など、民主党に不利な報道をしたからだ。選挙期間中は有権者への影響を考慮し、世論を誘導するような報道はすべきではない。また、選挙特番にアイドルやお笑いタレントを出演させ、バラエティー番組のような扱いをしている放送局もあった。政治に対する真面目な取り組み方が感じられない。 内閣および政党支持率の世論調査の回数を減らしてほしい。国民は世論調査に影響される。世論が支持しているから、または世論が支持していないからと影響されているように思う。特に内閣支持率は支持率が低下し始めると雪崩のように下がる。これはマスメディアの悪影響ではないか。
  • 民放の情報番組を見ていると、政治に関する情報は国民主体ではなく、テレビ局本位の批判報道のようで苦々しく思う。重箱の隅をつつくような番組が多い。国会で何が審議され何が決まったかより、誰が失言したか、誰々が悪いとか、野党よりひどいことを政府に質問している。政治評論家と称して出演している中には、我々一般国民より幼稚な解説をしている者もいる。我々に何を伝えたいのかさっぱり分からない。
  • メディアが競って政権や政党の支持率を発表しているが、何の目的で行っているのか。ワイドショーのネタ探しとしか思えない。ある局の朝からの生番組などは、司会者がヘラヘラ薄笑いを浮かべ、ゲスト議員を小ばかにしたような内容を放送している。「報道の自由」とは、内容がどうあれ、自由に放送出来るということなのか。メディアの考えを押し付けられるのは、余計なお世話だ。
  • 大韓航空機爆破事件の元死刑囚キム・ヒョンヒが来日したことを放送していた。移動中、ヘリで追いかけ、その様子を細部に至るまで伝えていた。移動先の敷地の建物の見取り図までフリップを使って説明していたが、行き過ぎではないか。警察が厳戒態勢を敷いて警備している中、ここまで詳細に放送してしまっては警察の努力が水の泡だ。拉致問題や国の外交問題にもかかわる内容を芸能ネタと同様に扱ってはならない。
  • 福岡の民放各局は、大雨・水害・交通情報などをテロップで流していますが、CMになるとテロップが消えてしまいます。番組が始まると、また最初からの情報が流れ、最後の情報にはなかなかたどりつきません。CMが終わるまで我慢していても、さっき見た情報からまた始められるとイライラします。3月のチリ地震の津波警報のように、CM中もずっと情報を流し続けてほしい。福岡県民にとっては津波以上に大雨情報は即時性を要するのです。
  • 韓国俳優の自殺についてです。現地の配信に委ねずに、各テレビ局は独自取材のために韓国まで出向いたのだろうか。マスコミの対応が理解できない。結果として、マスコミに乗せられた一部の日本のファンまでも現地に出向き、情けなかった。そっとしておいてあげることが、人間としての道理ではなかろうか。

【番組全般・その他】

  • 出演者に危険なゲームばかりさせていて、怪我人が出るのではないかとハラハラした。後半の、椅子を執拗に回すシーンは不快以外の何ものでもなかった。いい大人が公開いじめをするさまを放送していた。顔面蒼白の出演者に「死後硬直」とスーパーを載せるとは制作者の神経を疑う。番組の制作者の中に誰一人として疑問を持つ人間がいなかったのかと呆れて物も言えない。悪質にも程がある。不快極まりない。
  • ダウンタウンの浜田に「止めて!」と訴えても、執拗にイスを回され、顔色が青くなった様をまわりの同じ芸人やスタッフが笑っていることが不快きわまりなかった。舞鶴で手足を縛られ重りをつけられた状態で海に蹴り落とされ亡くなった少年の事件がすぐに頭に浮かびました。ゲームでも何でもありません。番組をやめてほしいです。
  • 問題だらけの番組でした。熱中症などによる脱水症状で倒れてしまった人がいる中で、三輪車レースをやり続けたことは問題です。テレビという影響力の強いメディアが熱中症でも頑張る姿を放送することで、熱中症への認識が甘くなります。また、タレントが駅伝で熱中症になりました。しかし、それでも企画を続け、タレントに200mですが走らせました。命にかかわることなのに、認識が甘いと思います。
  • テレビを見てこんなに不快になったのは初めてです。いくら作り話とはいえ、子供がいたぶられながら殺されるシーンはあまりにもひどい。身が震えるほどに不快で、犯人にではなく制作者に強い怒りを感じました。いくら話題を作り視聴率をとりたいからといって、やっていい限度を超えています。あのシーンは必ず模倣犯を生みます。テレビはどうなってしまうのだろうと不快で情けなく、ただただ涙が出ました。
  • アナログテレビで見ているが、今日から突然、画面が小さくなった。今までは上下に黒い帯が入って横長の画面だったが、今日からはそれに加え左右にも黒い帯が入った。小さなテレビなのでさらに一回り小さくなり非常に見づらい。総務省に電話をすると「地デジ対応テレビの購入を促すためにテレビ局と協力して、わざと小さい画面表示にしている」と言われた。テレビを買えない貧乏人に対する嫌がらせだ。
  • 1年後に地デジへ完全移行することは、十分に理解している。しかし、各家庭に経済的な事情があるため、地デジ化していないだけである。これは、国を挙げてのアナログ弱者いじめではないか。バラエティー番組がいじめにつながると言って規制ばかりしているが、こちらの方がよっぽど問題だ。
  • 最近のテレビ番組は略語が多過ぎて理解できないことがよくある。例えば情報番組で「デパチカ」という言葉が出ていたが、「何のことだろう」とあれこれ考えているうちに分からないまま番組が終わってしまった。後で孫に聞いて知ったのだが、「デパートの地下売り場」の略称だという。若い子同士の会話で使うならともかく、そうしたおかしな造語をテレビ番組で堂々と使うのはやめていただきたい。
  • スポーツ新聞や週刊誌の記事を題材にした放送が多い。放送するからには内容についてはしっかり責任をとってほしい。テレビを通して聞いたニュースは確かな報道のような勘違いを起こしやすい。スポーツ新聞や週刊誌はいい加減な報道をするものと思っていましたし、面白おかしければよいと考えていました。テレビで流れると、思わず信じてしまいそうになります。真実かどうか確認してから報道する義務があると考えます。
  • 最近、YouTubeやニコニコ動画等で閲覧できる映像を利用し、ナレーションや字幕などとともに芸人や役者の顔窓やコメントを利用している番組が多い。各局で放送しているので、同じ内容を何度も見たりする。YouTubeなど動画サイトや動画製作、投稿者にきちんと許可をとっているのだろうか。以前知人が投稿した動画がテレビで放送されたので、知人に連絡すると本人が驚いていたので権利の所在など確認を怠っていると思われる。個人の権利はどうでもよいのだろうか。
  • 投稿動画だけで構成されたスペシャル番組が多い。どの局もこぞって放送しているが、金がないのか、それとも番組を自分たちで作ろうという気がないのだろうか。インターネット上にあるものだから、視聴者の中にも見たことのある人は大勢いるだろう。なぜ素人の投稿動画だけを使って番組を構成するのか。海外の素人の動画や動物の動画をスタジオにいるタレントが笑って見ているだけだ。手を抜いているとしか思えない。

【ラジオ】

  • 民放連のラジオCMで、子供が「温暖化すると砂漠の中を通学することになるかも」と言っていた。いくらなんでも、人為的要因の温暖化で、砂漠の中を通学することになるとは思えないし、そんな意見をどの研究者からも聞いたことがない。間違った考えを世に流布するものだ。

【CM】

  • 今月は選挙があったが、「ソフトバンク」の白戸次郎が選挙に出馬するCMが気になった。放送の法律がどういう仕組みかはわからないが、選挙期間中にかかわらず、そんな嘘話を放送して大丈夫なのだろうか?

【BPOへの意見】

  • ラジオでBPOの告知を聞いたが、「××していないよね?」という言い方は、いじめをしている人が言うような言い回しで、聞いていて不愉快になる。今後、告知を作るときには「××していませんか?」にしてはどうか。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • 司会者が出演者に「こいつ脳死だ」などと言っていたが大変不快に感じた。あってはならない発言だ。実際に脳死の方々にも失礼であり、テレビ番組で人に言って良い言葉とは到底思えない。番組を見ていた子どもが真似したりでもしたら問題ではないか。
  • ゲストのお笑い芸人が出版した絵本や色紙などを出演者らが蹴飛ばしたり踏み付けたりした。何故そんなことをしたのかは分らないが、理由はどうであれ大切な作品を傷めたり汚したりするとはひどい。芸能人がそのような行為をしていては子どもの手本にならない。
  • お笑い芸人が地方に行き、女子高生をスカウトし、男性誌でグラビアデビューさせるという企画があるが、いかがなものか。街中で声をかけ、親の承諾を得るために家を訪ねるという内容だが、承諾する親が多いことにも驚く。危険なこの時勢、犯罪や事件に発展するということも考えないといけない。安易に承諾する親の気も知れないが、こういうコーナーは必要ないと思う。
  • 子ども番組でのお笑い芸人の歌が小学生にはふさわしくない。この歌は「女子だって、気に入らない男子がいたら我慢しないでパンチをしてよい」という内容だ。暴力を肯定する歌は放送してほしくない。

【暴力・殺人シーンに関する意見】

  • 子どもを惨殺した犯人に主人公が復讐するというドラマだが、残酷なシーンが多く見るに堪えない。恐怖でおしっこを漏らしてしまった子どもを犯人が面白がるシーンは明らかに常軌を逸しており、ドラマとしても一線を越えている。21時台だと子どもも見る可能性が十分にある時間帯だ。痛ましすぎて気分が悪くなり途中で見ることをやめてしまった。

【いじめに関する意見】

  • 女性芸人に痴漢行為をする男性芸人を笑って許す場面や、いすに座って何回転もさせられ顔色が悪くなっている芸人を司会者がどなりつけて無理やり再度いすに座らせ回転させる場面は、力の強い者による弱い者いじめ以外の何ものでもなくセクハラ・パワハラでもある。人が嫌がったり、苦しむ様子を見て笑いをとろうとする番組作りは最低だ。
  • 芸人が後輩の頭をバリカンで勝手に剃るという行為をしていたが、立場を利用してのいじめに繋がる場面で不快に感じた。一般社会では絶対許されない行為ではないか。その後も、ゲストの家で裸になりゲストの妻と布団に入る、生きた魚をテーブルや床で跳ねさせるなど、自分の家にこのようなことが起きたらと思うとゾッとする場面ばかりで、良識がないのかと思わせる内容だった。子どもの成長に有害だと感じる。

【性的表現に関する意見】

  • “新番組”ということで子どもと楽しみにしていた。ところが、番組が始まってすぐに子どもの殺害シーンや過激な性描写があり驚いた。21時台の番組は子どもを含めた家族で見る時間帯でもある。キスシーンくらいならともかく、露骨な性描写まで放送するのは行き過ぎではないか。映画であればR指定などで見るかどうかの判断も可能だが、テレビでは内容が確かめられないまま子どもでも見る可能性がある。配慮が必要だ。
  • 小中学生が帰宅する時間帯の夕方の情報バラエティー番組で、性の記事や話題を特集するのはいかがなものか。ゲストコメンテーターまで自身の性的な体験談などを語る始末だ。いき過ぎた内容を一刻も早く改善すべきではないか。
  • 深夜のバラエティー番組だが、深夜とはいえ子どもが見るかもしれない。パジャマを脱がしあい、その下に着ている水着姿になり、その様子を股間や胸などに迫って映す行為は不適切すぎる。そもそも水着姿ばかり映す番組がなぜ成り立つのか。なぜやめさせないのか。もう少しモラルをもって番組を管理してもらえないか。

【危険行為に関する意見】

  • クイズ番組で、限界に挑戦させようと狭い部屋の天井を徐々に下げて圧迫したり、密封された中に水を放水して首まで水につからせたり、水の中に答えを取りに潜らせたり、どう考えてもやりすぎではないか?水の圧力の恐ろしさがわかっているのだろうか?制作者が過激な番組を作らなくてはいけないように追い詰められている感じを受ける。事故などが起きないうちに再考を求める。

【動物に関する意見】

  • 狼犬に人を噛み殺させるというきわめて悪質なドラマだ。国内でも土佐犬など大型犬に噛まれて大怪我をしたり亡くなる人が出ている。動物を凶器に使うなど最低である。こういった番組は子どもたちの健全な育成に大きな影響がある。愛犬家から見ていても許せない番組だ。

【推奨番組に関する意見】

  • 差別されがちなサブカルチャーやネット文化をちゃんと評価し上手く扱った良い番組で、なかなか面白かった。マニアックな内容や独特な表現で正直わからないところもあったが、そこもまた良いところなのだろう。放送局には、サブカルチャーを学術的に評価したり、言論・表現の自由や内心の自由の意味や意義をどう考えるか、科学的・論理的に扱った番組を作ってほしい。

【残虐シーンに関する意見】

  • 子どもが見る時間帯のアニメであるにもかかわらず、戦闘で血が飛び散るシーンがある。少し見て気分が悪くなった。このアニメには配慮がなく、殺すことが格好良いように表現されていて問題だ。深夜夕方を問わずこういった残虐アニメが増えている気がする。売り上げや視聴率を求めることは仕方ないが、最低限のルールを作らないとモラルが崩壊する。

【CMに関する意見】

  • 使用無料を全面に出しているゲームの広告だが、有料部分をわかりやすくして無料部分と合わせて広告しないと詐欺に値すると思う。また、「盗む」というキーワードでゲームのツールを盗むことに引っ掛け、人の”彼”を盗む行為を演出している。道徳的に悪影響を与えることは必至である。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 「人を馬鹿にしたり、下品なことを言う番組」について、テレビからこれらを取り除くことで世の中が良くなるのだろうか。テレビの環境浄化で良い子が育つのなら学校は不要だ。また、BPOはテレビの警察でもなければ、視聴者の不満や愚痴の捌け口でもない。その点を履き違えている意見が多すぎる。
  • 最近のBPOの視聴者意見は言葉の表現や方言、それにバラエティーへの批判が多すぎる。「方言を直せ、分かりづらい」などの言葉の批判は方言への差別に値する。また、バラエティー番組は笑えて人生を楽しくするものだ。「殺すぞ」などの言葉については制限してもいいと思うが、細かい表現にいちいちつっかかっていたら自由に発言できなくなる。今の放送は取り除かなくてもいいものまで取り除いていると思う。
  • ドラマでの暴力・殺人シーンについて「子どもに悪影響」との意見に賛成だ。映画にはR指定などがあり、過激な暴力や性表現などを扱った作品では子どもは入場できないが、テレビはどの年齢でも見ることができてしまう。親子で話し合うことも重要だが、すべて視聴者に任せることは危険だと思う。

第164回 放送と人権等権利に関する委員会

第164回 – 2010年8月

「機能訓練士からの訴え」事案の審理

「大学病院教授からの訴え」事案の審理 ……など

「機能訓練士からの訴え」事案の「委員会決定」案について審理し、大筋で了承した。先月の委員会で審理入りが決まった「大学病院教授からの訴え」事案の実質審理が始まった。「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の「委員会決定」の通知・公表について、事務局より報告した。

議事の詳細

日時
2010年 8 月17 日(火) 午後3時 ~6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「機能訓練士からの訴え」事案の審理

本事案は、2009年4月11日にTBSテレビが『報道特集NEXT』で放送した「車イスの少女が入学できない訳」に対し、少女に幼い頃から機能訓練を行っている機能訓練士が肖像権の侵害等を申立てたもの。
今月の委員会では、8月4日の起草委員会を経て提出された「委員会決定」案について審理した。
時間をかけて詳細に検討した結果、決定案は大筋で了承され、起草委員による一部修正作業を経て、持ち回り委員会で検討のうえ最終了承される見通しとなった。

「大学病院教授からの訴え」事案の審理

この事案は、テレビ朝日・朝日放送が2010年2月28日に放送した『サンデープロジェクト』の特集コーナー「隠蔽体質を変える~大学病院医師の孤独な闘い~」について、大学病院教授から、不当なインタビュー取材をされたことや放送の内容が偏向していたとして申立てがあったもの。
委員会は今月から実質審理に入り、教授へのインタビューや番組のコメント等の適切さ、公平・公正性等について議論が交わされた。本事案は番組内容が医療や裁判の専門的な分野に関わっていることから、担当の委員を決めてポイントを整理し、来月さらに本格的な審理を進めていくことになった。
申立人は、「自宅前でのいきなりインタビューは著しい人権侵害であり、内容も一方的な偏向報道である。放送後に自分に対する誹謗中傷の電話やFAXが寄せられ人権を侵害された」として、局側に謝罪と再発防止策の提示を求めている。
これに対してテレビ朝日・朝日放送は、「番組は医療過誤裁判の背景にある医療界の問題を浮かび上がらそうとして企画されたものである」とし、番組内で取り上げられた教授について、「批判への受忍限度を超えるものではない」と謝罪や防止策の提示を否定している。

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の通知・公表の報告

8月5日に行われた本事案の「委員会決定」の通知・公表の概要、および通知・公表を受けての各局の放送対応や新聞等での反響をまとめた資料を事務局より配付し、報告した。あわせて、テレビ朝日の当該番組『報道ステーション』が決定内容を報じた当日夜の番組同録DVDを視聴した。
(決定内容の詳細は「委員会決定」の項、決定第44号をご参照ください。)
通知・公表の概要は以下のとおりである。
通知は、堀野委員長と起草委員を務めた三宅委員長代行、山田委員が出席して、午後1時30分からBPO会議室で、申立人と被申立人が同席する形で行われた。
堀野委員長は先ず、「放送内容に名誉毀損や敬愛追慕の情の侵害という法的な権利侵害があったとは認められない、しかし、取材、放送のあり方に放送倫理上の問題があった」と述べ、「委員会決定」に沿ってポイントを説明した。決定には山田委員ら2人による「意見」が付けられており、山田委員はその趣旨を説明した。
通知の後、申立人とテレビ朝日から個別に意見や感想を聞いた。
申立人は「事件が起きてから警察への対応などで忙しく、悲しんでいる暇もなかったが、放送を見て、これが倫理的に人間的に正しいのかと感じて怒りがおさまらなかった。倫理面で問題があったという判断をいただけて本当に良かったと思っている」と述べた。
テレビ朝日の報道担当者は「決定は真摯に受け止めたい。この場を借りて、申立人と関係者に対し改めてお詫びしたい。ただ、遺族へのアプローチ、取材は非常に難しい側面があることもご理解いただきたい。これから改めて、犯罪被害者、その遺族の取材にもっと真摯に向き合わなければいけないと思っている」などと述べた。
公表の記者会見は、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで行い、21社48人の出席があった。
まず堀野委員長が決定の概要を伝えた。
続いて、三宅委員長代行は「決定文の『放送倫理上の問題』において、『犯罪被害者報道に関する報道指針等』という1項目を立てた。『事件・事故・災害の被害者、家族、関係者に節度をもった姿勢で接する』という民放連の報道指針と、犯罪被害者等基本法が求めている『事件の被害者等の名誉または生活の平穏を害することのないよう、十分配慮すること』という努力義務、この視点が放送倫理上問題ありという判断の根拠になっていることを補足しておきたい」と述べた。
山田委員は「意見」について説明し、「1つは被害者遺族の思いと実際の報道にズレがある。放送内容におおよそ間違いはないが、細かい部分で違いがある。もう少し丁寧な取材や報道ができたのではないか。2つ目は、取材段階では張り紙等を見て被害者遺族に対する配慮の姿勢を示しながら、放送では悪者イメージを一方的に作っている。この取材と報道とのギャップを認めざるを得ない。今回の事例をもとに被害者の取材、報道のあり方をさらに検討していただきたい」と述べた。
このあと記者から質問を受けた。
「遺族は、近所の噂、悪口に対する弁明の機会を奪われたと思ったのではないか」という質問が出た。
堀野委員長は「取材で得た内容は、被害者側の積み重ねてきた行動をいくつも具体的に述べている。それに対する被害者遺族側からの弁明は一切聞かれていない。明らかに不公平だったと言わざるを得ない。必ず遺族を取材せよ、と言っているのではない。この事件で、こういう取材の内容を、こういう番組に使うという念頭であれば、当然被害者遺族に対する接触は試みるべきだったろうと、私どもはそう判断した」と答えた。
本件申立ての期間制限に関する質問が出た。
委員長は「『広島県知事選裏金疑惑報道』事案の審理において、放送内容が動画と音声を伴ってネット上で継続して流れている場合には、放送された日から3か月以内に局に申し立てられた苦情を取り扱うとした運営規則は少々きつすぎるのではないか、柔軟に対処しようということで、動画・音声による配信が終わってから3か月以内というような形に初めて解釈し直した。本件の場合も、局に申立てがあった7月時点まで動画・音声を伴って流れていたので、3か月要件は満たしていると判断して審理入りした」と説明した。
「そもそも境界問題の企画の頭に、なぜこの事件を持ってこなければならなかったのか、テレビ朝日には尋ねたのか」という質問があった。
委員長は「広い意味での境界に関するトラブルだから、別に不自然には感じなかったということだった。私どもは、境界線そのものに関する争いでないのに、なぜこの事件を持ってくる必要があったのかと、しかも、その持ってき方が不公平だと。ただ、この点に正面から踏み込むことは番組の作り方に介入することになり、編集の自由の範囲内ということで倫理上の問題は問わなかった」と答えた。

7月の苦情概要

7月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・・0件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・・45件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判

その他

次回委員会は9 月21 日(火)に開かれることになった。

以上