第255回 放送と青少年に関する委員会

第255回-2023年3月

中高生モニター会議の開催… など

2023年3月28日、第255回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。当日は中高生モニターによるテレビ朝日オンライン館内見学会と中高生モニター会議に引き続いて通常の委員会が開催されました。
委員会では、2月後半から3月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見については、バラエティー番組に関して報告されました。3月の中高生モニターリポートのテーマは「1年間で最も印象に残った番組について」でした。委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。最後に来年度の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2023年3月28日(火) 午後4時00分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
中高生モニター会議 詳細はこちら
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

2月後半から3月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
バラエティー番組で、一人暮らしの男性芸人の部屋に妖怪に扮した女性が潜んでいて、芸人が帰宅すると手にした壺から砂をまくドッキリを放送したところ、「部屋に砂をまくのはやりすぎ。企画というより弱い者いじめだ」などの意見が寄せられました。担当委員は「少しも面白くないし、やりすぎだと思うが、委員全員で視聴して議論するものでもない」と述べ、議論の結果、「討論」に進むことはありませんでした。
別のバラエティー番組で、男性芸人を四つんばいにさせてズボンを下ろし、臀部を露出させたことについて視聴者から、「『無理やりズボンを脱がす』のは、警察に相談または通報すべき19のいじめ事例として文科省より2月に通達されている」と指摘されました。担当委員は「委員会としても今後は19のいじめ事例を念頭に置きながら判断していかなければならないだろう」という意見を示したほかは大きな議論はなく「討論」に進むことはありませんでした。

中高生モニター報告について

現モニター最後となる3月のテーマは「1年間で最も印象に残った番組について」で、20人から合わせて17(テレビ15、ラジオ2)番組への報告がありました。
複数のモニターが挙げたのは3番組で、『M-1グランプリ2022』(朝日放送テレビ)には「一生懸命ものごとに立ち向かっている姿は見る人に勇気を与える」などの感想が寄せられました。また『バリューの真実』(NHK Eテレ)に「高校生の疑問にまっすぐ向き合っているところに好感がもてる」、『silent』(フジテレビ)には「見るたびに感情が揺さぶられる番組だった」といった声が届きました。
「自由記述」では、「テレビの強みは同じ空間を共有して感想を言い合えるところで、人と自分の価値観の違いに気づくきっかけにもなる」など、1年間のモニター活動で感じたことの記述が目立ちました。

◆モニター報告より◆

【1年間で最も印象に残った番組について】

  • 『バリューの真実』(NHK Eテレ)
    • この番組の面白いところは、さまざまな角度から徹底的に現役高校生たちの悩みを解決するところです。1回の放送の内容がとても濃く、高校生の疑問にまっすぐ向き合っているところに好感がもてます。大人からすると些細なことに感じられても高校生にとってはとても切実な悩みであることもあります。そんな悩みに真摯に向き合ってくれる温かさと、「自分たち高校生と同じ目線で考えて悩んでくれている」という安心感や優しさがあるように思います。(高校2年・女子・東京)
    • ドラマ(「たいせつを探して」)を見て、改めて「人生は一度で儚いもの」なんだなと思いました。そして1分1秒を大切にして、これからも家族を大切に過ごしていきたいと思いました。(高校3年・女子・神奈川)
  • 新美の巨人たち 『「不思議の国のアリス」×篠原ともえ』(テレビ東京)

    私は英語で原作を読んで古い英語の美しさを感じていたが、この番組はアートという視点からだったので、新たな角度で興味深かった。実際に日本を代表する木版作家の方がアリスの挿し絵を再現していた。このような紹介のしかたは、やはりテレビしかできないような気がする。(中学1年・女子・千葉)

  • 『世界ふれあい街歩き』(NHK総合)

    2019年の再放送としてキーウ(キエフ)の街並みを紹介していた。ロシアによる軍事侵攻が起こる前の平和な街を見ていて胸が苦しくなった。とくに博物館の前で「過去を学ばない者に未来はない」と語る男性がいた。過去を見つめてこれからの未来に生かそうとする姿に感動した。また教会で平和を祈る女性が「世界中の人々が仲良くできますように」と語っていた。番組の最後に現在のウクライナの姿、人々を紹介していた。私たち視聴者がこれを見て、自然とウクライナのことを考えて祈らずにはいられない、考えさせられる放送だった。(中学2年・女子・鹿児島)

  • 『musicる TV』(テレビ朝日)

    有名な人ではなく駆け出しの人や、これから伸びそうな人を紹介してくれるため、毎回新しい音楽と出会えてとても好きな番組になりました。もっとも良いと思うのは、“一般人で音楽の紹介をしている人を招いて意見やおすすめの曲を教えてもらえること”です。あくまでファンという位置づけの人が紹介してくれる曲から「エモい」や「良い」といった印象を受けやすいです。(中学2年・女子・東京)

  • 『マイケル・サンデルの白熱教室2023』(NHK Eテレ)

    「同性婚を認めるか」という問題を国の垣根を超えて話し合う内容で、とても斬新さを感じました。各国のトップの意見ではなく大学生の意見であることにとても興味が湧きました。印象に残ったのが、アメリカの学生の「そもそも結婚を法制度化するのはどうなのか」という意見です。もちろん人や国によって価値観や考え方は違うのですが、国に関係なく打ち解けて話し合っていて、国どうしの関係の良し悪しなどは別の問題なのだと強く思いました。とても深く考えさせられる議論でした。(中学1年・男子・山形)

  • 『エルピス -希望、あるいは災い-』(関西テレビ)

    このドラマが社会に訴えたいであろうと思われる主張を、現実社会とリンクさせる中で強く感じた。社会批判の要素があるドラマを制作したテレビ局と制作陣の勇敢さに感心したとともに、一歩やり方を間違えれば厳しい結果もあったであろうところをうまくバランスを取ったのだろうなと思った。(高校1年・男子・愛知)

  • 『it!!』(ベイエフエム)

    一番の魅力は「ほっと一息」つけることだと思う。常にメッセージテーマがフリーなのも相まって、リスナーからのメールで番組が進んでいく。「明日、卒業式です」といったメールにDJが優しく言葉を返すのが、聴いていて心地が良い。「3時になったらラジオでお茶会」という企画もあり、肩の力を抜いて楽しめる。(高校1年・男子・東京)

  • 『silent』(フジテレビ)
    • 毎週見るたびに切なくなったり感動したり、本当に感情が揺さぶられる番組だったと思います。手話にあまり興味を持ったことがなかったのですが、番組を見て興味が湧きました。自分も障がい者の方と線をひいていた感じがします。(中学2年・女子・山口)
    • 学校で感想を言い合うだけでなく、先生も授業の冒頭に感想を言っていてとても楽しかったことを覚えています。耳が聞こえない人の生活の中での工夫や苦悩を知ることができ、人としてもひとつ成長できたように思いました。(高校2年・男子・福岡)
  • 『ラジオ・チャリティー・ミュージックソン』(ニッポン放送)

    こうした活動を知ることで障がいのある人たちに自分は何ができるかを考え、積極的に行動するという自信も生まれた。番組を通して視覚障がい者の感覚の違いに気づき、ラジオを聴かなければ知ることができないことがたくさんあった。ラジオの音声でしか伝えられない特徴を生かしていると思った。(中学2年・女子・東京)

  • 『鎌倉殿の13人』(NHK総合)

    大河ドラマは難しい印象が強かったのですが、序盤のほうはコミカルなシーンも多く、現代語のようなしゃべりかたで進んでいたので見やすいなと思いました。ずっとシリアスなわけではなく、何百年も前に生きていた人ではあるけれど、どこか現代の人間にも通じるような部分があってすごく面白かったです。(中学3年・女子・群馬)

  • 『第73回紅白歌合戦』(NHK総合)

    これを見ないと私の1年は終わらない、それくらいアツい気持ちで見ている番組です。さまざまな要素で構成されているのがとても魅力的で、そんな世界観を堪能できるのは紅白ならではだと思います。欲を言えば番組全体のテンポが早い気がするのと、演奏する曲がかなり短くカットされているので、もう少し番組や1曲の時間が長くても良いのではないかなと思います。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『M-1グランプリ2022』(朝日放送テレビ)
    • 去年の王者やM-1の物語があり、漫才師たちがどれだけ努力してきたか、すごく思いが伝わってきました。今年の出場者は本当に面白い方たちばかりで、ずっと笑っていられました。ネタのことばの使い方だったりリズムの使い方だったりと、去年にはない新たな漫才を見ることができました。(中学2年・女子・山口)
    • 1年間で一番、テレビがあって良かったと思いました。一生懸命にものごとに立ち向かっている姿は見る人に勇気を与えます。審査員の方の点数は後からついてくるものだと思うので、全組に優勝をあげたい気持ちです。(高校2年・女子・千葉)
    • それぞれの漫才師さんたちが1年間磨いた漫才をぶつけ合う様子は涙なしでは見られませんでした。審査員の方の席順やメンバーも変わったため、とても新鮮でした。ほかの賞レースよりもSNSの活用がうまく、それも視聴率につながっているのではないかと思いました。(中学3年・女子・千葉)
  • 『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)

    現実にもいるような普通の女性が主人公で、存在感のあるキャラクターで印象に残っています。最終回にかけて伏線が回収されていくところが見ていてスッキリしました。最新話の考察をしたりドラマで出てくる平成の流行り物について家族で話したりする時間が楽しかったです。(高校2年・女子・岩手)

  • 『クレイジージャーニー』(TBSテレビ)

    放送が深夜から早い時間に移動して、以前のように過激な内容の放送をすることはなくなるのかな、と思っていたのですが、初回からコカインやギャングなど、攻めた内容の旅が変わらず放送されていて嬉しかったです。(高校2年・女子・広島)

【自由記述】

  • 1年間リポートを書いて改めてテレビ番組の重要性や与える影響の大きさについて感じる部分がありました。SNSが主流になってテレビ番組を見る機会が少なくなっていましたが、テレビ番組は家族や友達と感動や悲しみなど感情を共有できる大切な時間だと気づきました。同時にSNSよりも様々な年代のたくさんの人が見ていて、放送された一言によって物事の印象が変わり、多くの人に大きな影響を与えることも色々な番組を見て強く思いました。(高校2年・女子・岩手)

  • 1年間リポーターをやって家族とテレビを見てコミュニケーションをとる機会が増えたように感じます。今は動画サイトや見逃し配信アプリが発達し、テレビではなくスマートフォン1台で、一人で十分動画が楽しめる時代になりましたが、家族皆でテレビを観る時間をこれからも大切にしていこうと思います。(高校2年・女子・広島)

  • テレビの在り方や番組について、何度も深く考えた貴重な時間でした。最近はテレビ番組もネットの配信で見ることができ、大抵のことがスマホ1台で完結してしまいます。テレビにはスマホのような万能さはありません。しかしテレビの強みは、その場にいる人全員で同じものを見て、同じ空間を共有して感想を言い合えるところだと思います。それが「同じものを見ても、こんなに感想が違う」「人それぞれ、こんなに捉え方が違う」と、人と自分の価値観の違いに気づくきっかけにもなるのではないでしょうか。(高校2年・女子・東京)

  • ネット動画やネットテレビが発達してテレビの在り方が議論されていますが、各メディアの特性を生かしたコンテンツが求められるのではないかと思います。ラジオは、速報性やメッセージによる双方向性を生かした番組、音楽に特化した番組が作られています。テレビも、コンプライアンスを守ることや情報の信ぴょう性など、自分で選んで見るネットとは違い、多様な考え方に触れることができるところなどを生かした番組を作ることが求められていると思います。(中学1年・男子・山形)

  • 最近のテレビは探求型だなと思います。視聴者に疑問を与え、考えさせて答えを教えるという流れの番組が多いです。視聴者も探求しながら番組を見ることで、人間の思考力は高く、よりよいものになるのではないかと思いました。(中学2年・男子・山形)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『ニンチド調査ショー』(テレビ朝日)
    • 今では信じられない昔の常識に驚くことが多かった。TVerを使って見たが、VTRのほとんどが「権利の都合上・・」だったので、今度はリアルタイムでも見られたらいいと思う。(中学1年・千葉・女子)
    • ジェネレーションギャップを分かりあえないという解釈で終わらせるのではなく、クイズ形式でお互いの世代を知っていこうと歩み寄る雰囲気で、楽しく見ることができました。お互いを受け入れ尊重するという姿勢が感じられ、良いなと思いました。(高校2年・女子・岩手)
  • 『超無敵クラス』(日本テレビ)

    高校生目線で面白く、視聴しやすい番組でした。自分と同じくらいの年齢の人が頑張っているのを見るのはとてもいい刺激になるので、ほかの番組でもいろんな活動をしている学生を紹介してほしいと思います。「若者が抱いた疑問を自ら解決する」という感じが出ると、より魅力が生まれるかもしれません。(高校1年・男子・滋賀)

  • 『NHKスペシャル テレビとはあついものなり-TV創世記-』(NHK総合)

    今や当たり前のようにあるテレビが、始まった当時は番組を一つ作るにもトラブルがたくさんあり、本当に多くの人の努力の上に成り立っているものだったということがよく分かりました。(高校2年・女子・広島)

◆委員のコメント◆

【1年間で最も印象に残った番組について】

  • 同性婚をテーマに異なる国の学生が話し合う番組について「深く考えさせられたと」いう意見があった。今の若い人たちは多様性とか、国籍や性差を超えてということに、とてもアンテナが高いのだなと思った。

  • 戦禍前のキーウ(キエフ)の街並みを紹介した番組から戦争の悲惨さを痛感したという報告があった。戦争反対を取り上げた番組ではないが、過去の美しい街並みの映像が戦争のむごさというものを深く印象づけたのだと思う。

  • 視覚障がい者の社会参加を支援するラジオチャリティー番組を聴いて、障がいのある人に接するときに「積極的に行動する自信が生まれた」という感想があった。ラジオ放送を聴いて自分に何ができるかを考えたということで、番組が若い人たちに与えた影響は大きかったのだろうと思う。

  • M-1グランプリを挙げたモニターが複数いた。それぞれリアルタイムで見ていて、若者にとってはワールドカップやWBC以上に生中継で見ないわけにはいかない番組の一つなのだろうと思った。

【自由記述について】

  • 「テレビの強みは感動を共有できるところだ」とか「ネットと違い多様な考え方に触れることができる」といった声が多く寄せられた。モニターは‟テレビ離れ”と言われる世代だが、それぞれ自分のなかでテレビの意味をしっかりつかんでいる。単に視聴時間が短いことをもって‟テレビ離れ”と言っていいのか、考える必要があるように思う。

  • 若い人たちは動画配信やSNSと放送番組をちゃんと使い分けているようだ。視聴率では高齢者がよく見ている結果だとしても、『紅白歌合戦』を熱く語る若者もいる。制作者はこうした意見もしっかり受け止めて分析する必要があるのではないだろうか。

今後の予定について

次回は、4月25日(火)に定例委員会を開催します。

以上

第254回 放送と青少年に関する委員会

第254回-2023年2月

視聴者からの意見について…など

2023年2月28日、第254回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
まず、1月後半から2月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見については、クイズ・バラエティー番組や、子ども向け特撮ドラマに関して報告されました。
2月の中高生モニターリポートのテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」でした。
最後に次回3月28日(火)の定例委員会冒頭で開くオンラインによる「中高生モニター会議」など今後の予定について話し合いました。

議事の詳細

日時
2023年2月28日(火) 午後4時30分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
2023年度の委員会開催日程などについて
中高生モニター会議の開催を含む今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

1月後半から2月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
クイズ・バラエティー番組で、急降下させた小型機の機内でインコが飛べるかどうかの実験をしたところ、「命を軽く見ているし、小動物には何をしてもよいと子どもに思わせてしまう」などの視聴者意見がありました。委員からは「『動物を扱うときには注意しよう』と確認する必要はあるが、このシーンが即虐待に当たるというのは難しいのではないか」等の意見が出されました。議論の結果、「討論」に進むことはありませんでした。
子ども向け特撮ドラマで悪役が、歩道橋の上で母親から乳母車を奪い、階段上から投げ落とすシーンがあり、その乳母車が異空間に吸い込まれ、その後の安否がわからないまま、放送が終了したことに対し、「不安を覚えた子どもの感情を救わないまま終わったのは問題だ」などの意見が寄せられました。担当委員は「一般的には、悪い行為があれば正義の味方が最後は解決してくれるという展開が期待されるが、この回はそれがない。解決されないということで、子どもが不安に思うのは当然あるだろう」と指摘しました。別の委員は「このシリーズでは、悪役もめったに死なない。問題のシーンで赤ちゃんが死ぬかもとハラハラする視聴者は、子どもを含めていないはずだという前提で制作されているのだろう」と述べ、また、「時代の変化の中で、アニメなど子ども向けの番組の演出や背景が変化してきていることをどう考えるか一般的に議論することは大切だと思うが、今回のこの番組を個別に取り上げる必要はないだろう」という見方も示され、「討論」には至りませんでした。

中高生モニター報告について

2月のテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想(民放連賞特別表彰部門最優秀番組など)」で、24人のモニターから報告がありました。課題とした番組は、2022年民間放送連盟賞[テレビエンターテインメント]最優秀『やったぜ!じいちゃん』(CBCテレビ)です。
生まれつきの脳性マヒで身体が不自由な愛知県の舟橋一男さん(74歳)を取り上げた番組です。印刷業を営みながら生き生きと暮らす舟橋さんの思いや家族とのかかわりを、CBCテレビが50年前に撮影した映像を交えて伝えています。
モニターからは「50年前も今も変わらずに明るく生きる姿にパワーをもらった」、「家族や周りの人が支えてくれるからこそ自分が生きていられることに改めて感謝した」「無意識のうちに偏見を持っていないか、ちゃんと自分を見つめ直さないといけない」などの感想が寄せられました。
「自由記述」では、「久しぶりにドキュメンタリーを見たが、人の温かさに触れられるいいものだと実感した」、「テレビ番組には間やゆったりとしたテンポがあってこその良さもあるので何でも倍速にして見てはもったいない」などの感想や意見が届いています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『TV70年!蔵出し映像まつり』(NHK総合)に4人から、『東大王2Hスペシャル』(TBSテレビ)に3人から、感想が寄せられました。

◆モニター報告より◆

【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

  • 一男さんはたとえできることが周りの人と違っても、(妻の)瑞枝さんへの信頼のもと自分なりの生き方で胸を張って日々を過ごしているのが伝わってきました。一男さんと支えている周囲の方との間には上下関係というものはなく、お互いに一緒の幸せを共有しているのは素敵だなと思いました。瑞枝さんが一男さんの言葉を聞き取っている様子を最初から最後までカットせず見せていて、私も徐々に一男さんの表情、口の動き、手の動き、目の力の入り方などをじっと見るようになりました。人とコミュニケーションをするということは、こういうことなのだと実感しました。今は昔に比べて障がいのある方に対する理解が進みつつあるとはいえ、表に出ない形で偏見や差別の目があるというのは私も感じます。障がいのある方からそうしたことへの意見を聞くことはあまりないため、テレビを通してでも知ることができたのは良かったと思います。(高校1年・男子・兵庫)

  • 障がいがあっても大丈夫な世の中、何でもできる世の中にしようとしていることに心を打たれた。(50年前の)旅行の様子を見ていると、周りの人たちが必ずしも優しく受け入れてくれるわけではないんだな、と考えさせられた。当時の映像はモザイク処理がされていないので、周りの人たちがどう思っているのかがよくわかった。(中学2年・女子・山形)

  • 心に刺さるシーンは多々あったが、その中でも「人間は年をとったら必ず不自由になる」と一男さんが言っていたのが印象に残った。このドキュメンタリーは、不思議と「かわいそう」と思わない番組だった。それは、パソコンを通して自らの思いを綴ったり、車いすではあっても積極的に外出したりする一男さんのパワフルな姿が映し出されていたからだと思う。不自由ななかでもいきいきと過ごしている一男さん、末永く人生を楽しんでほしいと心から願える番組だった。
    (高校1年・男子・東京)

  • 50年前に放送された番組では、障がい者の方々の旅行に対する周りの人の目線が今ではありえないくらい生々しく、ありのままに放送されていることに驚いた。昨今の出来事として神奈川県相模原市の「津久井やまゆり園」事件で被害者の多くの方の実名が公表されないということも取り上げていた。それは今もなお残る偏見、差別、また私たちがふだん実感しない社会の中に埋め込まれている不都合による面もあると思う。私たちと同じように考え、働き、そして人生を楽しむ尊厳ある人間の一人であるということを決して忘れてはならないと感じた。(高校1年・男子・愛知)

  • 私たちは障がい者とひとくくりにして見てしまうけれど、家族からすれば障がいがあることも普通のことで、娘や孫たちも自然に受け入れ、家族にとって笑顔の可愛らしいただのおじいちゃんなんだなと、自分が先入観を持って見ていたことを反省しました。50年前の景色は障がい者の人にとってもっと生活することが大変そうだと映像を見て感じました。その中で強い意志を持って生きているおじいちゃんの「不自由になっても楽しく生きられる社会にしていきたいと思っています」という言葉が心に残りました。(高校2年・女子・岩手)

  • (舟橋さんが)50年前の映像を見るシーンではとても笑顔が多く、悲しみで感動するのではなく笑いで感動することができたシーンだと思いました。今までこのようなドキュメンタリー番組はあまり見たことがなかったので新鮮でしたが、とても見やすく、障がい者の方に対するイメージもかなり変わった番組でした。(中学2年・女子・山形)

  • この番組からは「障がいを描く」という枠組みにとらわれないおおらかさと温かさも感じました。特に印象的だったのは、一男さんが瑞枝さんと桜が咲く公園に散歩に行く場面です。瑞枝さんが「昔は障がい者用のトイレがなかった」と言っていて思わずはっとしました。この番組は、あくまで舟橋一男さんという方にフォーカスし、「脳性マヒのある障がい者」とくくらないところに好感がもてます。様々な形の番組を通して障がいに対する正しい見方と理解が広まっていくといいと思います。(高校2年・女子・東京)

  • (重い障がいのある人は)常に介護を必要として施設に入っていたりずっと家にいたりしていると思っていました。その認識は間違っていて改めるべきだと感じました。障がいのある人への世の中の考え方を変えるには、学校の授業で用いたりテレビなどのメディアで話題にしたりして、どのような病気なのか、その人はどのようなことがつらいのか、嬉しいのかなどの知識を持つべきだと思います。今回はじめて民放連賞の存在を知りました。もっと宣伝したり再放送をしたりして、いいテレビ番組を多くの人に知ってほしいと思いました。(高校2年・男子・福岡)

  • 家族や身の周りの人々が支えてくれているからこそ、自分が生きていられることに改めて感謝した。「人の温かさ」「人の支え」の大切さがよく伝わった。私は今、何不自由なく暮らしているが、実は多くの人に支えられ、いつも守られながら生きていることに気づいた。一男さんのように、周りの人たちへの感謝を忘れずに毎日を過ごしたいと思った。瑞枝さんたちのように、大切な人を支え、誰でも対等に、同じように接することができる温かい人になりたいと心から思った。(中学2年・女子・鹿児島)

  • 50年前に放送された番組を見た一男さんは「優しい目線、厳しく残忍な目線、立ち去る人の姿を風景の一部として捉えていることに今回、はじめて気づきました。今はぼかしをかけるため他者の目を見ることができず残念です」と個人史に書かれていました。その話を聞いたときに、その方のすべての気持ちや苦しさは理解できなくとも、「知る」という行為が一番大切だということに気づきました。番組を視聴した後に『ワンダー 君は太陽』という映画を観ました。そこで重なったのは瑞枝さんでした。お互いにとってなくてはならない存在であるのが画面上から伝わって来ました。守り、理解してくれる人がいるからこそ私たちは生きていけるのだと実感しました。 今回、ドキュメンタリー番組と映画を通して本当のメディアの使い方はこれなのでないかと思いました。“自分が普通”という考え方ではなく世の中には様々な人が生きていることを発信して伝えていくことが、テレビやエンタメが力を入れなければならないことなのです。(高校2年・女子・千葉)

  • 「津久井やまゆり園」事件のことや優生思想の話は聞いていてとてもつらく、なぜそういった考え方が残っているのか疑問に思ったと同時に、無意識のうちに偏見を持っていないかちゃんと自分を見つめなおさないといけないなと気が引き締まりました。50年前の番組映像を見て「障がい者を見る目」に着目されたことが驚きでもありましたが、今よりも厳しい目線が多かった時代に楽しく過ごす姿や、それを見ている家族もすごく楽しそうで、障がいの有無に関係なく楽しい時間を過ごすことはできるし、それを誰かが隔てることはないのだと感じました。私も一瞬一瞬を楽しんで家族、とくに祖父母との時間をもっと大切にしたいなと思いました。(中学3年・女子・群馬)

  • 障がいというものを知らずに生きる私たちの視線は障がいのある方々にとってはつらいことであって、他人が決めた普通というしばりにしばられないで生きることのできる社会に少しでも近づくことを願っています。この番組を見て、私も含めたくさんの人のこれからの自分の人生を生きる活力になったと思うし、前向きに考えることができました。人間には、一人ひとり自由があり、人権があり、くくりなどなく、みんなが自分の生き方をすること、戦争などはなんの意味もなく誰かが悲しむ。一男さんの生き方がそんなことを訴えているのかと思いました。想像以上に考えさせられることが多く、自分自身の生きる活力にもなりました。(中学3年・男子・北海道)

  • メインテーマでもある(50年前に制作された)当時のドキュメンタリーを(舟橋さんと)見るというイベントが、テレビ取材だからこそ実現したことなのかなと思いました。50年前の(舟橋さんに注がれる)つめたい視線と、逆に今の温かく支えている家族の様子が対照的で学びにもなりました。(中学3年・女子・千葉)

  • 本人からでる言葉を中心に展開されていて生々しさというか、カメラを感じずに見ることができるドキュメンタリーの良さを感じました。全体として自然だったからこそ、孫への質問に制作の介入を感じてしまって残念でした。50年というところで取材の理由はわかるのですが、加賀の旅行は非常に短く、最後の野球観戦が最もタイトルに沿ってはいるものの、文脈が不自然だしあまりにも短かすぎるかなと。(高校1年・男子・埼玉)

  • 50年前の映像も出てきて、(障がい者に対する)扱いや周りの健常者の視線を(今と)比較することができました。番組のなかで舟橋さんが「今では周りの人々の顔がプライバシー保護の観点からぼかされているが、見えていた頃は良い資料だった」と言っていて、いろいろな視点から物事を見ることの大切さを感じました。もう少し孫とのかかわりの映像があったら、もっとタイトルを表現している感じで良くなっていたと思います。(中学1年・女子・千葉)

  • 50年前の番組(の映像)に衝撃を受けた。今では想像できないほど赤裸々に障がい者をとりまく社会を撮影していて、50年後である今、あの映像とどれだけ変わったものがあるだろうと、少し苦しくなった。50年前も今も変わらずに明るく生きる舟橋さんの姿にはパワーをもらった。舟橋さんのように常に問いかける姿勢を忘れずに自身も問い続けていきたいなと感じた。(高校2年・女子・埼玉)

  • 一男さんがいつも笑って生活しているのは、これまで社会を変えようとしっかりと自分の意見を持ち、逃げずに行動してきたからだと感じました。しかし、自分には(50年前の映像にあった)一男さんたちのもとから立ち去る人々のような気持ちがどこかにあったような気がして、このように全力で生き抜いている人がいることを知り、とても情けない気持ちになりました。これからは、障がい者の方に敬意を持ち、優生思想などの問題に自分ができることがないか考えてみようと思います。(中学1年・男子・山形)

  • 一男さんの行動力や努力はすさまじいものだと実感しました。また、私の偏見である障がい者だからできないという考えを、障がい者だからこそできることがあるという考え方に変わりました。昔の番組の映像を見て(一男さんが)言っていた「周りの目が厳しいときもあれば優しいときもある」という趣旨のことは確かにそうだと思います。そこは今も昔も変わっていないように思いました。すぐには難しいとは思いますが、そうした人たちをより尊重できる人が増えていけばよいと思いました。(中学2年・女子・東京)

  • (障がい者に対する)自分の今までの考えは本当にただの偏見であったと思い知らされました。また、このご夫妻の強さに感動しました。一男さんの苦労は計り知れないですが、妻の瑞枝さんの苦労も大変なものだったと思います。二人で散歩をするシーンで、世の中はまだまだ障がい者の人に厳しいところがあるのだと気づかされました。(高校2年・女子・広島)

【自由記述】

  • 久しぶりにドキュメンタリーを見ましたが、人の温かさに触れられるいいものだと実感しました。(高校2年・女子・広島)

  • 私のクラスではニッポン放送のオールナイトニッポン55周年企画の話題で盛り上がっている。ラジオはテレビより影響力が小さいかもしれないが、個々の熱量は大きいメディアだと感じる。(高校1年・男子・愛知)

  • 若者は本当にテレビ離れなのか、という新聞記事を読んだ。確かに同年代の友だちもリアルタイムで見ている子は少ないが、TVerなどのアプリやサブスクなどを使っていたりする。テレビ離れというのは物理的なものではないかと感じる。(中学1年・女子・千葉)

  • 最近のテレビやラジオ番組は、「これだけで○○」とか「たったこの○○」など端的にまとめようとする。このまま端的にまとまった世界になれば、人間は思考というものをやめてしまうのではないかと思います。(中学2年・男子・山形)

  • テレビの放送に関することではないが、最近テレビ番組を1.5倍速や2倍速で見る人が増えていると聞いた。テレビ番組には、間やゆったりとしたテンポがあってこその良さもあるため、何でも倍速にしてはもったいない気がする。(中学2年・女子・鹿児島)

  • バラエティー番組の討論中に誰かが話そうとすると仕掛け人がそれをさえぎって話し始めるというドッキリのようなものを見かけた。正直、体を張ったりするものよりも嫌な気分になった。誰かが本気で嫌に思うドッキリはやめたほうがいいと思う。(中学2年・女子・山形)

  • 最近は「人を傷つけない」番組が多いと思います。例えばドッキリなどではなくチャレンジゲームだったり、ゲームで負けても罰ゲームなどがなくなっているように思います。一方トーク番組などで司会者の方が、特定の人が言ったことを全否定するような場面があり、少し不快に感じました。(中学1年・男子・山形)

  • BPOホームページの「青少年へのおすすめ番組」には、かなり似たラインナップの番組が紹介されているようにも感じました。番組内容にプラスして「どのような点が青少年におすすめなのか」も紹介されていると、より興味をもってもらいやすいのではないかと思います。(高校2年・女子・東京)

  • 「青少年へのおすすめ番組」の欄にも関係するのですが、地方(局制作)番組を関東地方で放送することや配信することはできないのでしょうか。テーマや取り上げる内容が気になるものがあるのに見られないのは悔しい限りです。(高校2年・女子・千葉)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『TV70年!蔵出し映像まつり』(NHK総合)
    • 歴史の教科書で見る志賀直哉や松本清張といった偉人が出演していて驚きました。テレビは偉大なことを成し遂げた人たちのことばを話し方込みで記録できるツールとしてこれからも活躍してほしいです。(高校2年・男子・福岡)
    • 私が生まれていない頃の貴重な映像が残っていて、その時代を生きていた両親と話が盛り上がって楽しく見ることができました。こういう番組を定期的にやって欲しいと思いました。昔、花嫁、花婿探しの番組があり、募集している人の電話番号をテレビで載せていたことが今の時代では考えられずすごいなと思いました。社会の変化とともにテレビが変化していく様子を見ることができて面白かったです。(高校2年・女子・岩手)

  • 『東大王2Hスペシャル』(TBSテレビ)
    クイズのほかにもちょっとした観光地紹介があり面白かったです。一対一の早押しバトルが再開されて東大王のすごさがまたわかりました。(中学2年・女子・東京)

◆委員のコメント◆

【指定するドキュメンタリー番組を見た感想について】

  • 全体的にダイバーシティやインクルージョン(多様性や個々人の尊重など)といった教育をしっかり受けている世代だという印象を持った。障がい者に対する知識としてはきちんと持っているところに、改めて映像で見せつけられた感想なのだろうと思う。

  • 障がい者の視点に立ってみると自分が気づいていない差別があるのではないか、「普通」とは何かと自身に問いかけている感想があった。無意識のうちに偏見をもっていないかという深い洞察をしたことが伝わってきた。

  • 舟橋さんと周りの人たちとの関係について「上下関係はなく一緒の幸せを共有していて素敵だ」と書いたくれたモニターがいた。番組のメッセージが伝わっているのだろうと思った。

  • 障がい者に対する周囲の目というのは昔も今も変わっていないのではないかという感想があった。制作者のメッセージをおさえた感想だと思った。

  • かつては、障がい者に対する周りの視線がそのまま放送されていたが、いまは、その部分は直接は表現されていない。昔は差別的なことがあったが、いまはそれがないと思いこまないことも大事だと思う。

  • この番組を見て、「すばらしい」「素敵だ」と思う裏には、教育によって、偏見を持たないようにすることを学んできたこともあるのではないだろうかと思う。
    表に出せば非難されるから表には出さないが、いまも偏見はある。そのことに気づかないままにされているような気もして、自分自身とても考えさせられる番組だった。

  • 障がい者を取り上げた番組などへの感想は、とかく昔は大変だったが今は良くなったというものになりがちだ。今から10年後に同じような放送をしたら、10年前は大変だったと言われるように社会が大きく(よりよく)変わってほしい。

【自由記述について】

  • 複数のモニターが、トーク番組などの中で他人の意見を否定したり話をさえぎったりする場面を見たとして、目に見えないいじめのようで不快だという指摘をしていて気になった。

2023年度の委員会開催日程などについて

2023年度の委員会開催日程や中高生モニターの月別テーマなどを確認しました。

中高生モニター会議を含む今後の予定について

次回は、3月28日(火)に定例委員会を開催します。
当日は、中高生モニターを対象とする在京テレビ局の「オンライン館内見学会」と「中高生モニター会議」を開催する予定です。

以上

第253回 放送と青少年に関する委員会

第253回-2023年1月

視聴者からの意見について…など

2023年1月24日、第253回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会ではまず、2022年12月後半から1月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について報告がありました。なかには、連続アニメ番組の終盤のシーンについて、「主人公の乗った戦闘ロボットの巨大な手で敵の人間を押しつぶす描写があり、不適切と考える」「小学生の子どもと見ていたが、あまりにショッキングなシーンに言葉を失った」などがありました。
1月の中高生モニターリポートのテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」でした。モニターからは大晦日の大型音楽特番について、「例年に比べ若者向けの曲が増えたように感じました。私や妹はそれがとても嬉しかったのですが、その一方で父や母は知らない曲ばかりになっていると少し残念そうでした」などの意見が寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。また岡山・高松地区の放送局との意見交換会などの今後の予定について話し合いました。

議事の詳細

日時
2023年1月24日(火)午後4時30分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
岡山・高松地区の放送局との意見交換会について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

12月後半から1月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
連続アニメ番組の終盤のシーンについて、視聴者から「主人公の乗った戦闘ロボットの巨大な手で敵の人間を押しつぶす描写があり、その際に鮮血が広がり、つぶされた人間から分離した腕がヒロインに当たった。常軌を逸した不適切な描写と考える」「小学生の子どもと見ていたが、あまりにショッキングなシーンに自分も子どもも唖然とするばかりで言葉を失った」「放送時や予告時に残虐な映像に関する告知がなかった。この時間(日曜午後5時から)の放送としては、非常に不適切な映像表現だと考える」などの意見が寄せられました。
担当委員は、「分離した腕が宙を舞うところでは鮮血の色を暗い色に変えているが、日曜の5時に家族で見るシーンではないだろう」との見方を示し、別の委員は「このシリーズは、わりあいほのぼのとした展開だったが、急に残虐なシーンが出てきたので、視聴者がびっくりしたところが大きいのではないか」と指摘しました。「小さい子どもは怖いかもしれない。ただ、つぶされた人間自体は描かず、飛び散る血を暗い色にしているなど、一定程度配慮された表現になっている」との意見も出されました。
また、特別支援学級向けの学校放送番組で、マスクを上手につけられない子どもを怪人のキャラクターにたとえて、主人公がマスクのつけ方を丁寧に教える展開に対して、「マスクをしない=悪、であるかのような間違った印象を子どもに植え付けるような番組だ」や「事情があってマスクができない子どもへのいじめを助長する内容」などの批判の声が多くあったことについて担当委員から、「マスクに慣れていない小さい子どもに、どうしたら少しずつ慣れさせていくかがテーマなので、基本的に問題はない。『無理しないでください』という趣旨のテロップもあり、十分な配慮があった」との報告がありました。
その他に、大きな議論はなくこの1ヵ月の視聴者意見の中で「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

1月のテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」で、25人から合計18番組(テレビ16・ラジオ2)への報告がありました。複数のモニターが取り上げていたのは2番組で、『第73回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に8人が、『逃走中~大みそかSPお台場大決戦!~』(フジテレビ)に2人が感想を寄せています。
「自由記述」では、「テレビの良いところには家族とゆっくり過ごせる空間自体を作ってくれることもあると再認識しました」など、年末年始に家族と一緒にテレビを見たというモニターからの声が多く届きました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『クイズ!丸をつけるだけ』(NHK総合)に5人が、『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)と『もうひとつの千と千尋の神隠し~舞台化、200日の記録~』(NHK BSプレミアム)にそれぞれ3人が感想を寄せています。

◆モニター報告より◆

【年末年始に見たスペシャル番組について】

  • 『ゴールデンラヴィット!』(TBSテレビ)
    終始爆笑しながら早送りやスキップをすることなく見続けられました。コント番組や漫才番組は苦手でめったに見ないのですが、この番組のように純粋な笑いを届けてくれる番組は好きです。過去の放送の面白かったところを切り取ってランキングにしていたので、全体を通して「面白い」が凝縮されていたと思います。ただ、毎日『ラヴィット!』を見てはいないので、芸人の方がおそらくいつものノリでボケていることを理解しにくいシーンがありました。それぞれの芸人の方の性格などをあらかじめ知っておくとより楽しめると思うので、番組の冒頭に出演者の紹介や番組の内容を軽く説明していただけると嬉しいです。
    (高校1年・男子・兵庫)

  • 『二宮ん家』(フジテレビ)
    ランキング上位3名の名前を出し、その情報だけで何のランキングなのかを当てるというゲームがあり、少しずつ答えに近づいていくところが面白かった。また、視聴者も一緒に考えられるので楽しかった。二宮さんと他の方との掛け合いもよく、何度も笑顔になれた。ゲームもランキングもテンポよく進んでいくので飽きずに見ることができたと思う。出演者の方々がリラックスした状態で参加していて、とても自然体だった。(高校1年・女子・栃木)

  • 『COOL JAPAN新春スペシャル2023 世界が驚いた これぞニッポンのNEWS』(NHK BS1)
    “在日外国人”が驚いたニュースなので日本人にはない考え方で物ごとを捉えたりしていて、同じ日本のニュースでもこんなにも(受け止め方が)違うのかなと驚いた。普段の番組では日本語でしゃべっているところには英語字幕がついているが、今回のスペシャルな新春版ではついていなかったのでつけるべきだと思った。字幕により英語を学んでいる視聴者もナチュラルな言い回しなどを学ぶことができるし、外国人の視聴者も理解することができる。(中学1年・女子・千葉)

  • 『芸能人格付けチェック!2023お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)
    いつも出演者のコメントや心境をナレーションが面白く盛り上げていて、見ていてとても楽しいと思いました。また、音楽のチェックなどでは、視聴者も一緒に考えることができ、サイトからの参加もできて、とても飽きさせない工夫がされていると感じました。合奏の曲をクラシックだけでなくポップスのようなみんなが知っている曲にすると、さらに違いを比べやすくなると思います。(中学1年・男子・山形)

  • 『笑アセろ正月SP☆100秒後にジュニア&小峠を笑わせろ!☆チョコプラ』(TBSテレビ)
    この番組は即興ショートコントと大喜利、小噺の3つのコーナーに分かれているのだが、特にコントが面白く感じた。「架空のスターになる」というお題を聞いてから100秒以内に衣装を選び、審査員の前に移動してコントをするというものだった。KOC(キングオブコント)などの普段のコントでは見られない、即興であるがゆえのコント上の設定の粗さから生まれる笑いがとても新鮮で面白く、それにコメントする千原ジュニアもうまく芸人たちの良さを引き出していて面白かった。(高校1年・男子・愛知)

  • 『逃走中~大みそかSPお台場大決戦!~』(フジテレビ)
    • 様々なジャンルの芸能人がお金をかけた極限状態でいるので、素が出ていて普通のバラエティーよりも面白いです。別のスタジオからたまに中継で芸能人たちがツッコミを入れるのも新しくて良かったです。(中学2年・女子・東京)
    • 番組と連動したTwitter企画やdボタンを押すと出演者のデータを確認できるシステムがあり、とても工夫されていて面白かったです。最終的に一番果敢にミッションに取り組んでいた方が逃走に成功していて視聴者側としてもスカッとしました。しかし参加者が多い分、ほかの方を気遣わない発言をされている方もいて不快でした。そして何より他局の番組のパロディが目立ちました。(中学3年・女子・千葉)

  • 『第48回 ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』(ニッポン放送)
    3年連続パーソナリティを務めているSixTONES を目当てに毎年聴いています。このようなチャリティ・キャンペーンをアイドルなどがやるということは、若者を中心に幅広く影響があると思います。「生朗読」や「演奏」は、盲導犬や聴こえない世界、見えない世界、全盲の方とのコラボなど目が不自由な方の存在を実感するとともに、生放送を生かしたメールなどは実際につながっているようなとても素晴らしい番組だと思います。(高校3年・女子・茨城)

  • 『第73回 NHK紅白歌合戦』(NHK総合)
    • 今年は若者を意識してかK-POPやアニメソング、TikTokなどで流行した曲が多く見られた気がする。曲と曲の間の企画が面白く、ずっと見ていられた。個人的には、K-POPの曲は日本語ではなく元の韓国語の歌詞のほうが良いと思う。ファンもそっちのほうが見る気になると思う。(中学2年・女子・山形)
    • 出場歌手の方々の年代にあまり偏りが少なかったように思います。アーティストの曲順も、比較的色々な世代がずっと見ていることができる形に収まっていたように感じました。ただ、もう少し曲の余韻にひたる時間があってもよかったのではないかと感じました。曲が終わってすぐに次の企画の説明やVTRが入ってしまうと、せっかくのパフォーマンスへの感動が薄れてしまうように思います。また、男性歌手を白組、女性歌手を紅組に分けて行われることに少し違和感を覚えています。個人的には、例えば、歌手の方の性別に関係なく、その年その年でランダムに紅組、白組を分けるなど、「紅白歌合戦」の醍醐味は残す形で、柔軟に対応していってもよいのではないかと感じました。(高校2年・女子・東京)

    • 若手のアイドルやアーティストが多く豪華で、若い世代の私は大いに楽しく視聴した。その反面、昔から親しまれている歌手の出場者や時間が少なかったように感じた。若い世代に多く視聴してもらうために工夫をしていることは分かるが、年配の世代の方や長くこの番組を見続けている人たちはもの足りなく感じることがあるかもしれないと思った。大みそかの日本を楽しませ、和やかな気持ちにさせてくれるこの番組は、ぜひとも私たち若い世代が年を重ねても続いていてほしいと思う。(中学2年・女子・鹿児島)

    • 例年に比べ流行のK-POPやアニメ映画の歌など若者向けの曲が増えたように感じました。私や妹はそれがとても嬉しかったのですが、その一方で父や母は知らない曲ばかりになっていると少し残念そうでした。紅白歌合戦は幅広い年代の人に見られている番組だと思うので、若者向けばかりの曲にしてしまうと番組を楽しめない人も多く出てくるのではないかと思いました。この番組に対して、ジェンダー問題のことを考えて紅組と白組に分けるのをやめようという意見をよく聞くのですが、紅組白組のどちらが勝つかも楽しみにしながら観ているので、組分けはやめないでほしいと思っています。(高校2年・女子・広島)

  • 『やっぱそれ、よくないと思う。』(テレビ朝日)
    普段あまりYouTubeを積極的に見るほうではなく、こういったストリーマーが投稿している動画はほとんど見ることがない。この作品で描かれた動画企画も現実世界の企画と同じで迷惑だと思われるところと紙一重だと感じた。ただ彼らなりに追い詰められた末の企画だったということが描かれていて、現実世界のストリーマーもそうだったのかもしれないなと思った。もちろん、だからといって何でもしていいかといわれたらそういうわけでもないし、難しいラインだなと感じた。(中学3年・女子・群馬)

  • 『第31回 埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』(テレビ埼玉)
    ネット上で話題になっていたので見たが、普段とは違う埼玉の市長や知事らが歌を熱唱する姿はとても面白い。ギャップ萌えというか、シュールな光景を見ることができた番組だった。ただ、世代的に仕方ないが、歌う曲がどうしても若者が知らない曲が多く、少々つまらないところがあったのが気になった。来年出演する首長や社長さんは、もう少し幅広い世代が楽しめるような曲を練習して臨んでいただければ、もっと面白くなるかもしれない。(高校1年・男子・東京)

  • 『クイズ☆正解は一年後』(TBSテレビ)
    「インスタ指名手配犯」という企画がありました。ある一般女性が番組公式Instagramアカウントに1年間定期的に投稿し、投稿写真をヒントに女性の居場所を特定して“逮捕”した時期の早さを競う企画なのですが、思わず「これはスゴい!!」と声が出ました。バラエティー的に面白いのはもちろんですが、一方でSNS時代の怖さも感じました。今回、指名手配犯となった方は番組スタッフと話し合いながら投稿していたと思いますが、SNSで身元が特定できてしまうということに改めて気を引き締めていきたいと思いました。この番組のように視聴者参加型で楽しめる、ドキドキしたりワクワクしたり、感情の揺れ動きを感じられる番組は現在少ないなと思いました。ゴールデンタイムの『クイズ☆正解は一年後』もぜひ見てみたいです。(高校2年・女子・千葉)

  • 『あたらしいテレビ2023』(NHK総合)
    NHK以外の放送局の職員の方を招いたり、コンテンツについての話までされていたりと、自由なところにNHKを感じました。HPに番組内で言及されていなかったお勧めのコンテンツも載っていて、放送以外でも楽しむことができました。その一方で軸が少しぶれていたようにも感じます。テレビ放送以外の配信などにも言及していましたし、インタビューではその方の職業や生活に焦点を当てていて、テレビの定義がテレビ放送ではなくてデバイスなのかなと思ってしまいました。配信コンテンツ等に触れるだけでなく、そこからテレビ放送への関連がもっと強くあるとよいのかなと思いました。(高校1年・男子・埼玉)

  • 『終わらない歌を歌おう 2022-2023』(エフエム東京)
    今回のパーソナリティのお二人のときに『SCHOOL OF LOCK!』をよく聴いていたので、久々にお二人のトークが聴けてとても楽しかったです。リスナーの方々と電話で話しながらの進行でしたが、そのトークも含めて『SCHOOL OF LOCK!』を普段聴いていない方にも面白い話だったと思います。(高校1年・男子・滋賀)

  • 『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送テレビ)
    今年もコロナの影響で親戚同士集まることはできなかったが、家族でこの番組を見て「世の中には様々な人がいるね」と話し、2023年を生きていく元気をもらうことができました。様々な人の様々な問題を解決しているこの番組は、多くの人に元気を与えていると思います。これからも、笑いあり、涙ありの番組を続けてほしいです。(中学2年・男子・山形)

【自由記述】

  • 普段長い時間座ってテレビを見ることが少ないので、お正月に家族や親戚とゆっくりしながらテレビを眺めているのはある意味新鮮な体験でした。そして、テレビの良いところには家族とゆっくり過ごせるような空間自体を作ってくれていることもあると再認識しました。最近はライフスタイルも変わり、放送の届け方もより個人にフォーカスを当てられていますが、「人とシェアできるコンテンツ」というテレビの強みも忘れないでいただきたいなと思います。昨年はたくさんの楽しいコンテンツを作っていただきありがとうございました。今年も良い放送をしていただけることを期待しています。(高校1年・男子・兵庫)

  • 最近、番組の放送中にSNS上で感想をつぶやく方を非常に多く見かけます。今は、家族とテレビを見ながら感想を話したり、一人でじっとテレビを見たりするのではなく、「自分の想いを色んな人に伝えたい」「色んな人と共感し合いながらテレビを見たい」という方が多いのかなと思いました。年末に放送された『SASUKE』でも、放送中につぶやかれたTwitterでの感想が画面に表示されるなど、SNSを使った番組の楽しみ方が増えているように思います。手元でSNSをチェックしていなくても色んな方のつぶやきを見ることができ、「ひとりで見ているわけではない」「今、この瞬間同じように笑ったり驚いたりしながらこの番組をみていらっしゃる方がたくさんいるのだな」と感じることができ、とてもよかったです。SNSを活用した番組がもっと増えても良いのかなと感じました。(高校2年・女子・東京)

  • 年末に再放送のドラマの一気見と題して、初回から最終話まで一気に放送されることが多い。今はオンラインの動画サービスがあるため見たいものを見たい時に見ることができる。(ドラマの一気見放送は)そうしたサービスを使うことを促しているように感じる。一気見を行っている局が多いため見たいものがなく、よりテレビ離れを加速させているようだ。(中学1年・女子・千葉)

  • 最近、夜7時頃からの番組でスペシャルが多く、11時頃までやっている番組もあるため、遅くまでテレビを見られない自分のような人は最後まで番組を見られないことがあります。もう少し細かく番組を分けて、区切りをつけることで見やすくなると思います。(中学1年・男子・山形)

  • 最近『カズレーザーと学ぶ。』(日本テレビ)を毎週見ています。教養系の番組は途中でクイズが入ってきて集中して番組を見ることが出来ずいつも飽きてしまうことが多かったのですが、MCのカズレーザーさんと専門家が講義のような形で対話している姿があまり見ない形で珍しく、面白いと思いました。他の出演者の方は視聴者の素朴な疑問を代弁してくれているような感じがあり、視聴者のことも置いていかない番組だと思いました。SNSでは自然と自分の興味のある情報ばかり受け取ってしまいがちですが、自分が今まで知らなかった事、気に留めていなかった事を知ることも面白いなと、この番組を見て改めて気づきました。(高校2年・女子・岩手)

  • 年末年始は特番が増え、お笑い番組も増えるので、お笑いが好きな私にとってはとてもうれしい時期です。毎年大みそかにやっていた『笑ってはいけない』という番組が好きだったので、なくなってしまったのが残念です。いつかまた復活してほしいです。(高校2年・女子・広島)

  • チャリティ歌謡祭で、司会者の方が出演者に「ブラウン管の皆さんに一言」と問うシーンがあった。これが「テレビを見ているみなさんへ」という意味とは思わず(家族に教えてもらった)、世代を感じる体験だった。(高校1年・男子・東京)

  • 冬休み明け、クラスの子との間で話題に上がったのは、やはり年末年始のテレビ番組の話でした。年末の風物詩、紅白歌合戦は全員と言っていいほど多くの人が見ているため話題に上がりやすかったです。また、「年明けのときには何を見ていたか」ということも話しましたが、ジャニーズカウントダウンを見ている人が多いように感じました。年末年始は、番組のスペシャルなどが多いため、私の大好きな時期です。(高校2年・女子・千葉)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『もうひとつの千と千尋の神隠し〜舞台化、200日の記録〜』(NHK BSプレミアム)
    ジブリの作品を舞台化するということで難しい部分が多くあったと思いますが、「アニメだから」と怠らずに、人の手で舞台を作り上げていった貴重な流れを拝見することができ、本当にありがたいです。裏側を描く番組が、私にはとても勉強になるため、毎回力が入ります。(高校2年・女子・千葉)

  • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)
    久しぶりに見た『ちびまる子ちゃん』はとても面白かった!私が生まれる前から30年以上も続いている長寿番組は今の時代なかなかないので貴重だと改めて感じられた。(高校3年・女子・神奈川)

  • 『プロフェッショナル仕事の流儀 YOSHIKIスペシャル』(NHK総合)
    • 最も印象的だったのは「必ず、努力すると努力したぶんだけ良くなる」という言葉でした。YOSHIKIさんが紡ぎ出す音楽は、持って生まれた才能だけで創り上げられるものではなく、たゆまぬ努力で創り出されたものだったのだと改めて気がつきました。番組の構成からも「生きることをあきらめないことの大切さ」を感じました。構成、語り、全てを含めて、本当に素敵な番組でした。(高校2年・女子・東京)
    • YOSHIKIさんの音楽に対する思いやこれまでの苦悩、孤独さを知ることができました。本物のYOSHIKIとは何かを多忙な生活を送っている中で探していました。密着するうえで、番組スタッフと出演者の信頼関係が大切だと感じました。(高校2年・男子・福岡)

  • 『超無敵クラス』(日本テレビ)
    「国内留学」というものを初めて知った。自分と同じ高校生が親元を離れて暮らす、ということをしていて驚いた。また、国内留学生が留学先として選ぶ久米島は自然が豊かでとても優しい人が多かった印象だ。意外と知らない高校生のことや日本のことを知ることができ、とても勉強になった。同じ高校生としてよい刺激をもらった。(高校1年・女子・栃木)

  • 『クイズ!丸をつけるだけ』(NHK総合)
    • 答え方は丸をつけるだけだから小学生の弟、幼稚園児の妹も解くことが出来て家族と楽しむことができました。こんな番組が増えるといいなと思います。(中学2年・男子・山形)
    • シンプルな内容で、誰でも楽しめると思いました。また、丸をつけるだけなのに、しっかりクイズの中身が濃く、とてもすっきりする問題が多かったので、レギュラー化してほしいと思います。(中学1年・男子・山形)

  • 楽しく学ぶ!世界動画ニュースSP』(テレビ朝日)
    • 役者の演技ではなく、一般人の普段の何気ない日常から国や世代の特徴を捉えているのが良いと思いました。動画に出てくる人の素のリアクションを通して学びを得られる構成になっていて、ただ動画を観賞するのではなくそこから自分の学びにつなげられたと思います。同系統の番組に見られるようにSNSの動画を紹介してスタジオのゲストが「可愛いですね〜」「すごいですね〜」だけのコメントで終わるのではなく、この番組のようにしっかりとしたコンセプトを持っていると“テレビのコンテンツ”としてうまく変換できているなと感じます。(高校1年・男子・兵庫)
    • 出演者に芸人やアイドルだけでなくメディアの有識者を呼んでいて、新しい視点で解説しているので面白かったです。SNSから動画を引っ張ってきて載せる動画まとめ系番組が最近はいろいろな局で多く放送されていますが、この番組は世界各国のCM、ドッキリなどの動画も紹介し、そこからお国柄やその国の社会問題も読み解いていて、動画をただ見て驚いたり感動したりするだけではない自然に考えさせられる面白さがあって毎週見てみたいと思いました。(高校2年・女子・岩手)

◆委員のコメント◆

【年末年始に見たスペシャル番組について】

  • 『紅白歌合戦』について、K-POPやアニメソングが多くて楽しめたという感想があった。動画配信サービスでも若者に人気の曲が入っていると言われていたので、制作者の狙いというのは若い人たちに届いているのだなと思った。K-POPファンとしては韓国語で歌ったらいいのに、という意見にはなるほどと思った。

  • 紅白については一方で、中学生のモニターが、若者の歌が多くて高齢者の歌が少ないのではないかと書いていて、その配慮がありがたいというか、こういう気持ちになる若い人もいるのだなと面白く読ませてもらった。

  • 男女を紅白に分けて行うことについて違和感を覚えるという声はこの頃よく聞く。モニターが一例として、性別とは関係なく、その年その年で運動会のようにランダムに分けてもいいのではと提案してくれていたのが興味深かった。一方で、やはり紅白に分けたほうがいいという意見もあり、いろいろな見方があるようだ。

【自由記述について】

  • 年末は再放送のドラマが一気見と題して放送されることが多く、オンラインサービスの利用を促しているようだというモニターの声があったが、この指摘はかなり鋭いと思った。確かに動画配信サービスのCMもたくさん流れるので、そのように感じるのだろう。テレビ離れを加速させるともあったが、おそらくこのような編成をしているのは諸刃の剣だと言いたいのだろう。長時間であっても見る人は見る一方、チャンネル選択の視野に入らない人も出てしまうので、それでいいのかという疑問ではないかと思った。

  • 「人とシェアできるコンテンツというテレビの強みを忘れないで」という声があった。テレビは人と空間をシェアできるコンテンツだという、とてもいい感想だと思う。

  • 『カズレーザーと学ぶ。』という番組について、素朴な疑問を取り上げてくれるのがいいという感想があった。中高生モニター報告では、こうした知的好奇心をくすぐるような番組を評価する声が結構多い印象がある。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『ちびまる子ちゃん』を見たモニターから、自分が生まれる前から続いている長寿番組は貴重だという声があった。我々のように昭和から見てきた『サザエさん』だと若い人には少し行き過ぎてしまうのかもしれないが、『ちびまる子ちゃん』からは何となくつながった郷愁のようなものを感じ取っているのかもしれない。

意見交換会について

2月9日に開催予定の岡山・高松地区の放送局との意見交換会について、当日のスケジュールや話し合うテーマなどを確認しました。

今後の予定について

次回は、2月28日(火)に定例委員会を開催します。

以上

第252回 放送と青少年に関する委員会

第252回-2022年12月

ドイツの自主規制機関FSFとオンラインで国際交流…など

2022年12月19日、第252回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。うち1人はオンラインによる出席でした。
定例の委員会に先立って、青少年委員会とドイツの放送番組に関する自主規制機関FSFとのオンライン交流会が開かれ、それぞれの青少年保護への取り組みが紹介され、意見交換しました。
11月後半から12月前半までの1か月の間に寄せられた視聴者意見には、バラエティー番組のドッキリ企画で男性芸人に本人にだけ聞こえる合図の音を聞かせて池に背広のまま5回も飛び込ませたことについて「本人が憔悴するまで追い詰める内容はいじめそのものであり、非常に不愉快極まりない」などがありました。
12月の中高生モニターリポートのテーマは「最近見たニュース・報道・情報番組について」でした。モニターからは朝の情報番組を取り上げた報告が多く、いくつかの番組の伝え方について比較した報告が複数寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。また2月に開催予定の岡山・高松地区の放送局との意見交換会について、事務局から経過報告がありました。

議事の詳細

日時
2022年12月19日(月)午後4時30分~午後7時30分
場所
千代田放送会館会議室
議題
ドイツの放送番組に関する自主規制機関FSFとのオンライン交流会
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
意見交換会について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、吉永みち子委員
オンライン出席:山縣文治委員

ドイツの放送番組に関する自主規制機関FSFとのオンライン交流会

青少年委員会とドイツの放送番組に関する自主規制機関FSFとの交流会が約1時間40分、現地とオンラインで結んで行われ、それぞれの青少年保護への取り組みが紹介され、意見交換しました。
交流会はBPO大日向理事長の「お互いに直面する課題や経験について現場レベルで交流し、ともに目指す放送の自主自律に役立つことを期待します」というメッセージとともに和やかにに始まりました。
まず、榊原委員長が青少年委員会の役割と「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解について英語でプレゼンテーションを行いました。FSFから見解の発表について質問があり、榊原委員長と緑川副委員長は「見解の発表のみならず、制作者らに委員会の考えを理解してもらうため、意見交換の場を作った」と紹介し、「私たちの考えは制作現場にも伝わり、番組作りにも反映され始めているように感じる」と回答しました。
FSFからはドイツの放送で青少年保護の課題となっている犯罪記録ドラマ「True Crime」への取り組みが紹介されました。衝撃的なシーンが多く、子どもたちには刺激が強い内容で、FSFではこれをどのようにレーティングに反映するべきか検討しており、実際に12~15歳の子どもたちの意見を聞く調査を実施したとの報告がありました。榊原委員長からの「調査結果をどのように生かすのか」との質問に対し、FSFは「検証を行うための要素を洗い出すためにも、True Crimeドラマがどのような害を及ぼしうるのか学ばなければならない」と答えました。また、緑川副委員長からの「放送を規制してもネットで視聴できてしまうのではないか」との質問には、「ネットコンテンツに対する自主規制もあって、今のところネットの方が抑制的だ」との回答がありました。別室で議論を聞いていた委員からは「BPOの中高生モニターには18歳の人までいる。番組を視聴できる世代にも意見を聞くとよいのではないか」といった調査検討の進め方に対する意見も出るなど交流会らしい内容が続きました。
最後に榊原委員長が「実りの多い交流でした。是非また行いたい」と述べると、FSFのミカット所長も「大変興味深い内容でした。ぜひ続けましょう」と応じて時間となりました。

視聴者からの意見について

11月後半から12月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
バラエティー番組のドッキリ企画でにせの刑事ドラマの撮影現場を設けて大御所俳優と共演した男性ピン芸人に本人にだけ聞こえる合図の音を聞かせて、背広のまま池に5回も飛び込むNGを出させたことについて「本人が大御所俳優に恐縮して憔悴するまで追い詰める内容はいじめそのものであり、非常に不愉快極まりない」「子どもが見ている時間帯の番組なので、いじめを助長するのではないか」などの意見が寄せられました。担当委員から「本当のドッキリに見える子どもがいるかもしれないが、大人の目から見ると出演者はみんな(ドッキリの演出だと)わかっているように作られている感じがする。大御所俳優も最後には『さっきは怒って悪かったね』とフォローをしていた」として、全体としてみるとこれ以上の検討を要するとは考えないとの報告がありました。
報道番組の女性リポーターがマンホール内爆発事故の現場近くにある保育園で退園してきた子どもに対し母親の前で短いインタビューをしたことが「不適切だ」と視聴者意見で指摘された点について、担当委員は「迎えの母親にインタビューの承諾を得ており、子どもへの質問にも相当性があった」として「とくに問題にはならない」との見方を示しました。
また、バラエティー番組全般に対して、「番組の中で『いじめ』ではなく、『いじる』という言葉が使われるようになった。しかし、『いじる』と言いながら、いじめているように見える場合がある。こうした言葉の言い換えは子どもたちに悪影響がある」という視聴者意見がありました。担当委員は「たしかに、いじめと『いじる』の言葉の境界が曖昧になり、鈍感になっていくおそれがあるように思う」として、「テレビ制作者は言葉の使い方にしっかりとアンテナを張って敏感であることが大切だと思う」と指摘しました。
その他に、大きな議論はなく「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

12月のテーマは「最近見たニュース・報道・情報番組について」で、合わせて17番組(テレビ16・ラジオ1)への報告がありました。朝の情報番組を取り上げたモニターが多く、いくつかの番組の伝え方を比較した報告も複数寄せられました。
このうち、『めざましテレビ』(フジテレビ)には「番組で知ったエンタメのことを学校などで話題にする」という感想が、『報道ステーション』(テレビ朝日)には「ひとつひとつのニュースを深く掘り下げていてとてもわかりやすい」といった感想が寄せられていました。
「自由記述」では、「何も知らないとテレビの内容をそのまま事実だと思ってしまうので、自分でもファクトチェックをすることが大切だ」、「ネット配信の番組を見ることが多くなったが、テレビは家族とコミュニケーションをとる良い機会になる」などの声が寄せられています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『BS1スペシャル 脱北ユーチューバー』(NHK BS1)に3人が、『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)、『サザエさん』(フジテレビ)にそれぞれ2人が感想を寄せています。

◆モニター報告より◆

【最近見たニュース・報道・情報番組について】

  • 『めざましテレビ』(フジテレビ)
    • 毎朝見ている番組です。毎日の国内・海外のニュースも見ていますが、エンタメのニュースや最新のトレンド特集、人気俳優の出演などが多く、どちらかというとこちらをメインに見ることも多いです。周りでこの番組を見ている人が多く、番組で知ったエンタメのことを学校などで話題にすることもよくあります。朝から暗いニュースばかりでニュース番組を見るのもつらいこともあるので、エンタメ要素が強く少しでも明るいニュースを見られるのはとても嬉しいです。この番組のMCやアナウンサーは笑顔も多く、朝から元気をもらえるように思えます。(高校2年・女子・広島)
    • 朝はおもにこの番組を見ていて、とても良いニュース番組だと思う。6時半頃、7時頃の最新のニュースコーナーについては見出しを見ただけで内容が推測しやすく、「もっと詳しく知りたい」と思わせるような工夫をしているなと思った。報道以外にも「めざましじゃんけん」や「占い」、グルメや化粧品の紹介など、視聴者が楽しんで見られるようなコーナーを多く設けていると思う。(中学2年・女子・鹿児島)
  • 『news every.』(日本テレビ)
    • この番組では、その日のニュースがスライドで図やイラストなどを用いながら詳しく紹介されています。毎日番組の全部を見ているわけではなく、「気になるミダシ」や「今日コレ」などのコーナーごとに視聴しています。Twitterを使うことが多くなり、テレビでニュースをチェックすることが以前よりも少なくなりました。あえて報道番組を視聴しているのは、幅広いジャンルのニュースを知ることができるというメリットに加えて、アナウンサーやコメンテーターの掛け合いや人間味のあるコメントを聞くことができるからです。とくに私が『news every.』を選んで視聴しているのは、番組の分かりやすさや扱うニュースジャンルの広さに加えて、メインキャスターの藤井貴彦アナウンサーの存在も大きいです。(高校2年・女子・東京)
    • コロナの感染者数などが以前より報道されなくなったと思います。感染者が増えているのも事実なので報道するべきところは今後もきちんと報道してほしいですが、明るいニュースも積極的に報道してほしいなと思いました。地方の伝統的なものを紹介するコーナーがあり、意識的に調べなければ知ることができないようなものを紹介していて面白かったです。今はいつでも知りたいことを調べられますが、自分が関心を持って見ていないジャンルのものは知りにくくなったなと感じていたので、こうしてテレビで知ることができる機会があるのはいいなと思いました。(中学3年・女子・群馬)
  • 『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)
    毎週コメンテーターが変わる番組は、取材内容や企画の趣旨に沿ってキャスティングされることが多いので、より専門性の高い内容になっていると思う。ファスト映画を取り上げた回では、司会の三谷幸喜さんが映画監督をしているということもあり面白い見解を聞くことができた。(中学3年・女子・千葉)

  • 『おはよう日本』(NHK総合)
    小学生の頃から毎朝ごはんを食べながら見ている。小学生では7時台、中学生では6時台、高校生になってからは5時台と、見る時間が生活に合わせて早まっていることに気がついた。以前見ていたコーナーは、今は全く見る機会がないし、高校生になったばかりのときは「こんなコーナーあったかな?」と思うことがあった。それは制作側がその時間帯に起きて見ている人が多い世代に向けて番組を構成しているということだ、というのを実感するきっかけだった。(高校2年・女子・埼玉)

  • 『newsイット!』(フジテレビ)
    • 祖父といつも見ているのでこの番組にした。意外と色々な種類のニュースを扱っているし、分かりやすいまとめ方で放送されていたと思う。見ているだけでは分からないこともあり、せっかくスタジオに専門家がいるのであれば、TwitterやLINE、インスタグラムなどを活用して直接質問できるようにしたほうがいいと思った。誹謗中傷されているサッカー選手がいるというニュースは、ニュースとして出す必要があるか気になった。(中学2年・女子・山形)
    • 水泳教室の送迎バスの車内に男子児童が取り残されたニュースで、GPSを活用することで命を落とさず児童を守ることができると示してくれたと思います。悲しいニュースが多い中で、悲しいニュースがあったという事実だけを報道するのではなく、そのような悲しいニュースが二度と起こらないようにするための対策方法などを多く報道するほうが大切なのではないかと考えます。「そんなことがあったのか」「悲しいな」と思うのではなく、ニュースを見て「自分たちもこうしよう」「自分の仕事場で提案してみよう」と考えられるようなニュースが増えることを願います。(高校3年・女子・茨城)
  • 『ゴゴスマ』(CBCテレビ)
    朝と夜とのニュースの取り扱い、番組の進め方の違いに気づくことが出来ました。①~見出しの力~取り上げるニュースがコロコロと変化する情報番組では見出しは必須です。画面右上を見るだけでどのようなニュースを取り上げているのか理解することができます。情報番組は同じニュースを扱っていてもテロップ、字幕の使い方で大きく印象が異なります。ニュースを日常的に見ていたら、学校の新聞を書く時などに大いに活用できると思いました。 ②~昼は朝よりもVTRが少なめ?~各ニュースを10 分程でまとめていますが、朝よりもVTRが少ない気がします。朝の情報番組はVTRで番組が進んでいるような気がしますが、昼の番組はどちらかというとコメンテーターの話の流れで進んでいるように思いました。速報が入りやすいため放送内容を変更しやすいようVTRを少なめにしているのかなと思いました。ニュースの内容だけでなく、取り上げ方や仕組みを考えられたため、またこうして番組 を視聴したいと思いました。(高校2年・女子・千葉)

  • 『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)
    全体的にわかりやすくニュースが紹介されていていました。専門的な用語も丁寧に説明されていて面白かったです。ただ、表題となっているニュース(アリババ創業者に関するもの)について、経済において重要な人物であっても住居を報道するほどの価値があるようには感じませんでした。モザイクをかけてまで家の周辺を撮影する必要はあるのかなと思いました。(高校1年・男子・埼玉)

  • 『ZIP!』(日本テレビ)
    サッカーワールドカップのシーズンで、日本の選手のすごさや日本の強さがサッカーのルールを知らない私でも理解できるくらい分かりやすく解説されていて、今大会のサッカー観戦をさらに楽しむことができました。一方でその話題ばかりで日常のニュースが少なく、その内容があまり深く掘り下げられなかったことが気になりました。4年に一回の特別な時期で注目度が高かったからこそ長い時間を使って取り上げられたと思いますが、朝の忙しい支度時間の合間にニュースを見ている私は、前日に起きた出来事や注目されている事をある程度詳しく知りたかったです。(高校2年・女子・岩手)

  • 『THE TIME,』(TBSテレビ)、『おはよう朝日です』(朝日放送テレビ)、『ZIP!』(日本テレビ)、『めざましテレビ』(フジテレビ)
    『THE TIME,』は、特に6時台は次々と項目が切り替わり、短い時間でたくさんの情報を得られます。ニュースの取り上げ方は、出来事を端的に分かりやすく伝えていると感じました。内容に応じてナレーションの抑揚が強くつけられていたり、テロップがバラエティー番組並みに凝られていたりと、頭がよく働いていない状態でも視聴者に情報が入りやすいようにしている工夫がみられ、朝に見るニュースとしては良い取り組みだなと思いました。『おはよう朝日です』は、テレビの向こう側でニュースを話題に出演者同士で会話しているような印象を受けました。全体を通して口調が柔らかく、緩く、楽しく、ゆったりと情報を伝えているなと感じ、ニュースを身近な視点で考えられるような工夫がされていると思いました。『ZIP!』は、ニュース・報道・情報番組というよりほぼバラエティー番組で、ところどころフラッシュニュースが入っている印象を受けました。6時半台のニュースの解説的なコーナーでは、新聞の活字をベースにそのニュースが日常生活にどう影響するのかをたっぷり時間をかけて伝えていて、しっかりとテレビの前に座って目と耳を傾けて理解しようとすればたくさんの情報を得られると思いました。『めざましテレビ』はVTR中心の構成で淡々と情報を伝えているという印象を受けました。この4つの番組のなかでは画面やナレーションが最も分かりやすく、それぞれの情報の中で何が重要なのかがしっかり分かるようになっていると思いました。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『報道ステーション』(テレビ朝日)
    2~3項目のニュースと特集という、報道するトピックとしては少なめでした。しかし、一つ一つのニュースを深く掘り下げていてとてもわかりやすかったです。特に羽生善治九段のインタビューでは、将棋界とAIの関わり方の歴史のようなものにもふれていて、単に個人のインタビューではなく将棋界まで話を広げていて面白かったです。政府が防衛費を増税によって増額しようとしている内容に関して、どうして防衛費を増やす必要があるのか知りたかったです。(高校2年・男子・福岡)

  • 『石塚元章 ニュースマン!!』(CBCラジオ)
    ラジオでニュース番組を聴くことはあまりなかったが、この番組では意外とわかりやすくニュースを理解することができ、このような形態の番組もとても面白いなと感じた。この番組のパーソナリティーの石塚さんをたまにお昼の情報番組で見るが、そこで見せる顔とは少し違うよりおちゃめな一面も聴くことができて驚いた。また途中のコーナーの内容も教養系ではあるものの、硬すぎず柔らかすぎずといったちょうどいい塩梅で上手に作っているなと感じた。AMラジオで朝番組ということもあってか放送内容がかなり高齢者向けに作られているように感じ、若者からは聴かれづらいのではと感じた。このような楽しみながらニュースに接することができる番組が増えるといいと思った。(高校1年・男子・愛知)

  • 『サンデーステーション』(テレビ朝日)
    日曜夜9時からの放送となっているが、日曜日はもともとニュース番組が少ないということも相まって、家族で夜のバラエティーを見てからその日の出来事をさっと一時間で振り返るという流れができるよい番組だと思う。今回は物価高で苦労する学校給食現場などが特集されていた。これもそうだが、せっかく家族で集まって見ることができる時間のため、食卓で話題に上るようなテーマを増やしてもよいのではと思う。(高校1年・男子・東京)

  • 『スッキリ』(日本テレビ)
    番組が終わってしまうと聞いて、とても残念に思いました。これからの3カ月間で見たい『スッキリ』として、ニュースを今まで通り深く濃く取り上げてほしいです。『スッキリ』の良いところはニュースの質だと思います。番組の終わりになるとエンタメ系のコーナーが多くなるのではないかと思うのですが、最後までニュースコーナーできちんと深く議論し視聴者に届けてほしいです。2つ目は、今までの司会のアナウンサーやコメンテーターに出演していただきたいです。(中学2年・女子・東京)

  • 『Nスタ』(TBSテレビ)
    番組が始まってすぐにニュースを紹介していて、気になる情報をたっぷりと報道していると感じました。また、CM明けからすぐにニュースに入っているところも、続けて見やすい工夫がなされていると思いました。さらに、全体の半分以上が明るいニュースであることも強みではないかと思います。一方で、ニュースを表示するときなどに使われる細かい演出(動き)が多く、シンプルにしたほうが見やすいと感じました。また、VTR受けのスタジオや専門家の解説がもっとあると共感しやすいと思います。(中学1年・男子・山形)

【自由記述】

  • 最近テレビを見る機会が減り、代わりにネットで配信されている番組を見ることが多くなりました。このレポートのためにテレビを見ると、やはりネットの番組にはないテレビの魅力を感じることができた気がします。テレビをつけていると、家族とコミュニケーションをとる良い機会になるなと思いました。(高校2年・女子・広島)

  • 偏向報道についてSNSでも様々な議論が飛び交っているが、何も知らないとテレビの内容をそのまま事実だと思ってしまうので、自分でもファクトチェックをすることが大切だと思った。(中学3年・女子・千葉)

  • 近年いじめなどの問題が深刻になって、バラエティー番組などのコメントが非常につまらない。確かにひどいコメントはどうかと思うが、人を傷つけないコメントをしようとして思ってもいないコメントをするのではうそをついたことになってしまう。こんな偽りだらけの世界になってもいいものか、と思った。(中学2年・男子・山形)

  • テレビで放送されたものがYouTubeで見られることで、現代の情報入手の簡単さを改めて認識しました。昔放映されたものもテレビ各局が公式に配信していているため調べものも便利で、テレビ離れが進んでいると言われる若者がテレビに関心を持つきっかけになると思います。(中学1年・女子・千葉)

  • バラエティー番組の企画は面白いのに、罰ゲームの内容がひどいと思ってしまった。けがをした人もいるので、まずは出演者を気遣うことが大切だと思った。(中学2年・女子・山形)

  • 小学生のときに見た『ピカイア!』というNHKEテレのアニメのおかげで古生代の生物に興味を持つようになり、高校生になって学校の勉強に役立って助かっています。あまり話したことのなかった同級生ともそのアニメを見ていた共通点のおかげで話がはずみました。小さいころに見たテレビ番組が与える影響は大きいと思うし、子どもの興味を自然に惹きつけ、プラスで学びになる番組がこれからも放送されると良いなと思いました。(高校2年・女子・岩手)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)
    芸人の方が持ち前の芸を披露しながら楽しく過ごしている姿といかだ作りなどの場面で必死になっている姿のギャップが魅力的だなと思いました。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『BS1スペシャル 脱北ユーチューバー』(NHK BS1)
    • 一人一人が自分の出身国の自由を求め、偏見をなくしてほしいという思いのもと活動しているのがわかった。YouTubeという自分の考えを世界に発信できる機関を利用し、脱北者の自由を訴える人々の存在に驚き、関心をもった。(中学2年・女子・鹿児島)
    • 個人のドキュメンタリーとしての側面が強く、敷居が低くて楽しく見ることができました。ユーチューバーというポップな存在から脱北者を描いているのがとても新鮮で興味深かったです。(高校1年・男子・埼玉)

◆委員のコメント◆

【最近見たニュース・報道・情報番組について】

  • Twitterを使うようになってテレビでニュースをチェックすることが少なくなったという声があった。SNSのお知らせからニュースに飛ぶということはあり、確かにそうだなと改めて思った。ただモニターはSNSで早く情報を得ることができる一方で、ジャンルが偏ってしまうとも書いていて、そうしたメリットとデメリットをきちんと考えているのだなと思った。

  • テレビをつけていると家族とコミュニケーションをとるよい機会になるという感想があったが、やはりネットは一人で見てしまうことが多く、家でテレビがついていると家族と話すことができるという利点もあるのかなと思った。

  • ニュースというと今は主にストレートニュースのことを指すようで、ニュース番組はほとんどが情報番組という位置付けになり、報道と情報が一体化しているように思う。また、報道する視点やトーンというものが、放送局や番組によって以前よりはっきりしてきたように感じている。

意見交換会について

2月9日(木)開催予定の岡山・高松地区の放送局との意見交換会について、当日話し合うテーマを再度、検討しました。

今後の予定について

次回は1月24日(火)に定例委員会を開催します。

以上

第251回 放送と青少年に関する委員会

第251回-2022年11月

中高生モニターからのリポートについて…など

2022年11月22日、第251回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。うち2人はオンラインによる出席でした。
10月後半から11月前半までの1か月の間に寄せられた視聴者意見には、子ども向け特撮ドラマについて「警察の留置場で主人公がけんかするなど、こんなにひどい正義のヒーローは見たことない」「ラーメンを手づかみで食べるなど、食べ物を粗末に扱う行為がある」などがありました。
11月の中高生モニターリポートのテーマは、「最近聴いたラジオ番組について」でした。
深夜の人気長寿番組について多くの報告があり、「親近感が持てて、とても聴きやすかった」などの好意的な意見がありました。
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。
また岡山・高松地区の放送局との意見交換会や中高生モニター会議の開催について、事務局から報告がありました。
最後に今後の予定について話し合いました。

議事の詳細

日時
2022年11月22日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
岡山・高松地区の放送局との意見交換会について
中高生モニター会議の開催について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員
オンライン出席:沢井佳子委員、髙橋聡美委員

視聴者からの意見について

10月後半から11月前半までの1か月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
子ども向け特撮ドラマに対して視聴者から、「警察の留置場で主人公がけんかするなど、こんなひどい正義のヒーローは見たことない」「ピーナッツは誤嚥の危険性があるのに、飛ばして口でキャッチするゲームのシーンがある」「ラーメンを手づかみで食べるなど、食べ物を粗末に扱う行為がある」などの意見が寄せられました。
担当委員から、「けんかは留置場での言い争いで、ピーナッツを飛ばすのも、よくある遊びのひとつだと思う。手づかみでラーメンを食べたのは、人格を乗っ取られた状態での行為を表わしたもので、表現や演出の範囲内だろう」として「いずれも問題ない」と報告がありました。
バラエティー番組のドッキリ企画で、男性芸人を背後から動けないようにして、彼の股間にドッジボールを投げて当てたことに視聴者から、「体の大事なところに故意に球を当てて笑いをとるのはいかがなものか。笑えれば暴力が許されるのか」などの意見がありました。担当委員は「見ていて気持ちのよい映像ではないが、いままでもあった演出なのでは」との見方を示しました。
また、深夜帯のアニメで残虐なシーンや性的なシーンが見られることに視聴者から意見が寄せられたことについて別の委員から、「制作者側が放送時間帯を遅くしており、(子どもや青少年が視聴しにくいよう)それなりの配慮をしているといえるのではないか」、「テレビ局は時間帯に配慮し、つぎの段階として、家庭ではルールを作って子どもにテレビ視聴させるという方向を進めてもらうのがよい」という意見が出されました。
その他に、大きな議論はなく「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

11月のテーマは「最近聴いたラジオ番組について」で、全部で15番組への報告がありました。このうち複数のモニターが取り上げたのはいずれもニッポン放送の番組で、『オールナイトニッポン』と『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』にそれぞれ3人が、『オールナイトニッポン0』に2人が感想を寄せています。聴き方はリアルタイムが5人で、そのほかはタイムフリーアプリなどを利用していました。
「自由記述」では、普段あまりラジオを聴かないというモニターから「テレビにはない良さを発見した」「親近感があり新鮮だった」などの声が多く寄せられました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)を6人が、『ニンチド調査ショー』(テレビ朝日)と『太田光のつぶやき英語』(NHK Eテレ)をそれぞれ3人が取り上げています。

◆モニター報告より◆

【最近聴いたラジオ番組について】

  • 『世界の快適音楽セレクション』(NHK FM)
    両親がラジオ好きなので家や車の中でよくラジオは流れているけれど、自分では全くと言っていいほど聴かないのですすめられた番組を聴いてみた。流れてきたのはどれも聴いたことのなかった曲で、J-POPからジャズ、民族系の音楽とジャンルも幅広く、とても面白かった。今はスマホが普及して音楽ストリーミングサービスで音楽を楽しむことができる。でも、それでは新たなジャンルの音楽と出会ったり、普段聴かない音楽を聴いて改めて自分の“好き”を再確認したりする機会はとても少なくなってしまうのかなと思った。音楽ストリーミングサービスが当たり前な今だからこそ、ラジオはとても新鮮に思えるし面白いものだと思った。きっと同年代の人たちも同じように感じる人は少なくないと思ったので、学校の友達にもラジオについて話してみようと思った。(高校2年・女子・埼玉)

  • 『ヒコロヒーのオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)
    この番組の良かった点として第一に挙げられるのは、ヒコロヒーさんのしゃべり方の良さだと思いました。彼女の声質はとても低く落ち着いていて、しゃべりのテンポは少し早めの小気味よい速さで、聴いていてとても落ち着く良いしゃべりだなと思いました。近年ラジオは人気が少し復調してきたと聞いたことがありますが、依然、私の周りでは日常的に聴いている人は少なく、地元のラジオ局の名前を知らないという人もいます。深夜ラジオはよく怖いという印象を聞くこともあります。より若手の芸人さんなどを起用して若者のリスナーが増えるといいと思います。(高校1年・男子・愛知)

  • 『朝井リョウと加藤千恵のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)
    胃腸の弱い朝井さんと純粋キャラの加藤さん。6年前の放送が蘇るようなスタートに、復活ラジオの面白さを感じた。人として分かると共感してしまうような、クリエイターだからこそ話せる話ばかりで面白かった。人間くさい飾らない部分が2人のトークには詰まっていた。(高校3年・男子・千葉)

  • 『ミルクボーイの火曜日やないか!』(ABCラジオ)
    パーソナリティとリスナーの距離がかなり近い印象を最初に受けました。普段、動画ばかりを見ているのですが、ラジオはラジオなりの魅力があると思いました。ミルクボーイがリスナーからのコメントを拾い、そこからいろんなお話を展開する構成でした。そこでの話の広げ方が本当にリスナーとミルクボーイが会話をしているようなやりとりで、とても親近感が湧きました。ミルクボーイをテレビとネットでしか見たことがなく、漫才をしたり他の芸人の方とトークをしたりしているイメージしかなかったので、ある意味“ミルクボーイ”とは別の、“駒場さんと内海さんの人間味”を感じられたと思います。久しぶりに人の作ったコンテンツで親近感を覚える不思議な感覚になったので、今後もradikoなどでラジオを聴いていきたいと思います。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『クリエイターズ・スタジオ with ボカコレ』(エフエム山形)
    普段からよく聴いている番組なのですが、月曜から木曜まで個性豊かなパーソナリティで、飽きずにとても楽しめる番組だと思います。ボーカロイドを重視しているのですが、あまりボカロ曲を聴かない自分にもとても聴きやすく、工夫されていると思います。流す曲はボカロ中心なのですが、ボカロに関係のないコーナーも多く、どの世代でも聴きやすいです。(中学1年・男子・山形)

  • 『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)
    テレビにはないラジオの良さを発見することができました。映像がない分、人の声に注目し、感情やその場の雰囲気を注意深く読み取ることができる。リスナーからのメッセージについてのトークが多く、親近感を得ることができる。そして、テレビであまり取り上げられないマイナーな情報もニュースもいいとこ取りで聴くことができることです。(中学1年・千葉・女子)

  • 『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)
    • オードリーの2人のトーク力のすごさを改めて感じる番組だと思います。2時間あるのですが、2人のトークは毎週ひたすら聴いていても全く飽きないです。深夜ラジオ独特の、深夜だからこそ笑えるというようなテンションが色濃く出ていてとても好きです。他の曜日のオールナイトニッポンもよく聴くのですが、パーソナリティによってコーナーやお便りの感じも全く違い、どの曜日の番組もとても楽しみにしています。(高校2年・女子・広島)
    • オードリーの2人がひたすら話していて面白かったです。普段、ボケ役が春日さんでツッコミ役が若林さんなのですが、ラジオでは役割が逆になっているところが新鮮で面白いです。テレビでは話さないようなマネージャーの話だったり最近の趣味や家族の話だったりと、プライベートな話を聴くことができてよかったです。(高校2年・男子・福岡)
  • 『星野源のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)
    あまりラジオを聴く習慣がなくて家にもラジオがなく、今はアプリ等でスマホで聴くことはできますが、なかなか聴くタイミングがありませんでした。いざ聴いてみると、むしろテレビよりも近い距離感でびっくりしました。他愛のない話やおすすめ映画の話を聴いたりと、どこか友達のような感覚でとても聴きやすかったです。今回は選んで聴きましたが、流したままにして聴いてみるのも楽しそうだなと思いました。またラジオを聴いてみたいです。(中学3年・女子・群馬)

  • 『クリープパイプ 尾崎世界観 声にしがみついて』(エフエム山形)
    レポートを書くにあたって初めて聴いたのですが、番組の雰囲気がゆるく、トークが面白かったのでこれからも聴こうと思います。放送時間が30分と短めで聴きやすかったです。「芸能人だとこういうところで困る」というエピソードでは、意外なところで支障が出ていることに驚きました。(中学2年・山形・女子)

  • 『宮下草薙の15分』(文化放送)
    ラジオをしっかり聴くのは初めてだったので少し抵抗感がありましたが、いざ聴いてみると音声だけというのは想像をするのでテレビとは違う楽しみ方ができました。宮下さんと草薙さんの会話に間がないので飽きもこなかったです。(中学2年・女子・東京)

  • 『中学生の基礎英語 レベル2』(NHKラジオ第2、NHK FM)
    この番組はいくつものコーナーに分けて確実に表現をマスターできるように構成されていると思う。1日15分ずつという短くても充実した時間で英語を学べるのでとてもよい。出演者の方の発音もすごく聞き取りやすく、1日ごとに変わるストーリーは設定が細かくて場面の情景や雰囲気までがしっかりと読み取れる。楽しみながら確実に英語表現を習得できる効率的なこの番組をこれからも聴き続けたいと思う。(中学2年・鹿児島・女子)

  • 『JET STREAM』(エフエム東京)
    福山さんの語りや選曲が深夜にぴったりだと思いました。「作家が描く世界への旅」というエッセイを福山さんが朗読し、その内容に関係する音楽を流すコーナーがあるのですが、個人的には朗読ではなく番組オリジナルの語り(その土地を旅する内容)のほうがタイムリーな上に「旅している」イメージが強く湧くような気がします。例えば、世界各地の絶景を収めた写真集や旅行記を、文字と写真ではなく声と音楽で表現している、そんな番組になってほしいと思います。(高校1年・男子・滋賀)

  • 『yamaman presents MUSIC SaLaD』(ベイエフエム)
    2年半ほど聴き続けているが、リスナーの世代が幅広い番組だと思う。昼12時から1時間という聴きやすさからか、メッセージテーマがいつもフリーだからなのか、祝日になると10代からのメールがたくさん寄せられる。「ひとことメッセージ」のようなDJとリスナーを近づける内容が、さまざまな世代に愛される理由だと思った。(高校1年・男子・東京)

  • 『HiHiJetsのラジオだじぇっつ!』(InterFM897)
    グループの平均年齢が20歳と普段話す機会がない年代のため、自分の世界観が広がることが番組の魅力です。語彙力豊かなメンバーが、言葉にできない想いを代わりに言葉にしてくれるため、一人でイライラするよりも効果的なストレス発散方法です。ペアが変わると同じコーナーでも雰囲気や流れている空気感が変化します。価値観や面白いと感じるポイントが自分と同じ人を探すのも楽しみです。ジャニーズ内の曲に限らずメンバーが好きな曲が流れるところも魅力です。このコーナーで紹介されて大好きな曲になったものも数多くあります。この番組は私だけでなく母も楽しく聴いています。年代、性別関係なく、これから伝説になるHiHi Jetsの初冠ラジオ番組が多くの人に届くことを願います。(高校2年・女子・千葉)

  • 『飯田浩司のOK! CoZy up!』(ニッポン放送)
    ラジオに関してはあまり頻繁に聴く訳ではないが、このラジオ番組は父親の影響もあり、少なくない頻度で聴いている。印象としては、ラジオならではで、比較的制約のない中、出演者が気軽に意見を話している。一方その弊害として番組内で偏った意見が多くなりやすくなっている印象も受ける。この番組もゲストは保守色が強いコメンテーターがほとんどである。そうなると当然番組内で扱われる話題にも偏りが生まれる訳であり、そこがラジオの欠点なのかもしれないと考える。(高校3年・男子・東京)

  • 『鈴木愛理のEasy To Smile』(エフエム岩手)
    モデルとして活躍している姿、歌って踊っているアーティストとしての姿が印象的な方でした。ラジオでしゃべっている姿は想像ができなくて、こんなに明るくてポジティブな方なんだなと驚いたし、女友達と話しているような感覚になりました。いつもラジオの最後にする深呼吸の時間と「たくさん笑えますように」というおまじないのような言葉が、笑っている姿が素敵な彼女を表しているようで好きな部分です。(高校2年・女子・岩手)

  • 『SixTONESのオールナイトニッポン サタデースペシャル』(ニッポン放送)
    • 音声しか聞こえないラジオで「シガーボックス」にチャレンジするという企画は前代未聞でしたが、後日インスタグラムのストーリーで実際に「シガーボックス」にチャレンジしていた1回目の挑戦の姿を見ることができたので、映像がないと伝わらない部分も解決されていたように思います。様々なSNSを活用しながら楽しめるという面では、今回の企画はとても面白かったです。私はSixTONESの音楽やメンバーの皆さんの唯一無二の関係性に魅了されたファンでもあるので、SixTONESの音楽もメンバーの皆さんの軽やかな会話も楽しむことができるラジオをこれからも楽しみにしています。リアルタイムで聴くことがラジオ番組の醍醐味であることはもちろんですが、アーカイブで聴いても楽しめる番組という作り方も、新たな、ひとつのラジオの形として良いのではないかと思いました。(高校2年・女子・東京)
    • シングル発売とかけた企画が意外と共感できた。話の内容の濃さとスピード感が聴く人を飽きさせないのだと思った。くだけている感じが深夜ラジオという感じで、聴いていてとても楽しい気持ちになった。近況を話してくれるので、メンバーが近くにいるように感じた。(中学2年・女子・山形)

【自由記述】

  • 聴いてみてラジオの良さを改めて認識することができました。映像がないので作業の片手間に聴くことができたり生放送の番組が多かったりと、テレビにはない良さを持っているなと思いました。(高校2年・女子・広島)

  • ラジオ初心者のためお門違いかもしれないのですが、完全にラジオ(放送)の様子が見えないのは少し寂しいので、YouTubeやニコニコ動画などでその様子を見せてほしいなと思いました。(中学2年・女子・東京)

  • 最近の番組はドッキリや罰ゲームなどの内容が少なく、全体的にマイルドな企画が増えていると感じます。ただ、それでテレビの面白さが失われてしまうと意味がないので、新しい楽しさがあればいいいと思います。(中学1年・男子・山形)

  • 拷問や残虐な殺人、尺の長い暴力シーンがある場合は、視聴者が事前に「視聴しない判断」ができるようにするべきだと思います。放送前にテロップをいれたり、番組の概要を紹介する文章の中に注意喚起の文言を入れたりする配慮があるとより安心して視聴することができるのではないでしょうか。(高校2年・女子・東京)

  • ハロウィーンの報道の中で、記者が顔などの外見のみで「外国人」と断定しているような様子が見受けられました。日本での多民族への排他性や人種差別を問題視する報道をするのであれば、こうした表現は分断を起こすのみで不適切だと思います。(高校1年・男子・埼玉)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)
    学校の教科書に載っていることや習ったことを身の回りに生かせるようになっていて、とても良い番組だと思いました。(中学1年・男子・岩手)

  • 『ニンチド調査ショー』(テレビ朝日)
    • 知らなかった昭和や平成の常識を知ることができて、とても勉強になりました。昔の常識や今昔比べなどが多かったので、もっと専門的なランキングや調査もしてほしいです。(中学1年・男子・山形)
    • 最近見た中で最も夢中になった番組です。普段、周りの大人に理解してもらえないことや、自分が周りの大人を理解できずにもやもやしていることを楽しくデータで紹介していて、ギスギスしがちな世代間ギャップを理解するきっかけになりそうだと思いました。(高校1年・男子・兵庫)
    • 家族で一緒に楽しむことができました。母の若い頃の話やエピソードを聞くきっかけにもなりました。今は「Z世代」などと若者だけを括って取り上げることが多いですが、両親が生きてきた時代がどんな時代だったのかを知り、今の時代とのギャップがどれほど大きいのかを知ること、家族でこの番組を視聴して世代間のギャップを少しでも埋めることは、これからいろいろな世代と触れ合うことになる10代の学生にとってとても大切だと思います。(高校2年・女子・東京)
  • 太田光のつぶやき英語』(NHK Eテレ)
    この番組の強みは、私たちのような中高生が国際的な時事問題を太田光さんのコミカルな会話や番組中の洗練されたBGM、SNSを多用した分かりやすい解説によって肩肘張らずに学べる点にあると思います。気になった点としては、番組中に説明される英単語に専門的なものも多く、中高生が英語を学ぶ上ではレベルが高すぎるものがあるのではと思った点です。(高校1年・男子・愛知)

  • 『ボクらの時代』(フジテレビ)
    映画の原作者と出演している俳優がしっかり話しているのがすごく新鮮でした。私がよく見るような座談会などの番組は大体進行の方がいますが、この番組にはいないので、ある程度テーマはありますが自由に話されている感じも新鮮で面白かったです。(中学3年・女子・群馬)

  • 『チコちゃんに叱られる!』(NHK 総合)
    身近にあるものの意外な秘密に驚かされています。知らなかったものの意外な正体やなぜそうなのかという理由が分かるのはもちろん、VTRやゲストの会話がとても面白くてよい番組なので、ご長寿番組になればいいなと思います。(中学2年・女子・山形)

◆委員のコメント◆

【最近聴いたラジオ番組について】

  • ラジオの放送中の様子を動画で見てみたいという感想があったが、この世代の人たちはやはり映像を見たい世代なのかなという印象を持った。

  • ラジオは身近に感じられるというモニターが多いが、パーソナリティとリスナーとの間の相互的なメッセージのやりとりが、そうした親近感を生むのだろうと思う。

  • 若い世代の人たちは、動画サイトの切り抜きやSNSをセットで見ながらといような、私たちが考えている音声トークだけのラジオとは違った楽しみ方をしているのだろうと思った。

  • ジャニーズファンのリスナーは、ラジオで彼らの話を聴くことでより親近感を覚えているようで、テレビで見るのとは違う距離感を楽しんでいるのだろう。

  • ラジオ番組への感想を尋ねると、パーソナリティへの共感や感想、テレビと比較した媒体の評価になりがちなところがある。パーソナリティが身近に感じられるだけに、その背景にある番組の構成や番組がどう作られているかを想像しにくいのかもしれないと思った。

  • ストリーミングサービスだと好きなものしかお薦めされないという意見があったが、最近は大学生もそうしたテーマを研究する人が多く、同じような気づきをモニターが持っているのは興味深い。ラジオ番組の制作者は、まさしくこうした気づきを若い人に持ってもらいたいのだと思う。各ラジオ放送局は学校への出前授業などに力を入れており、必ずしもラジオが身近でない若者にどうやって気づきを持ってもらうかが、ラジオの大きな課題だと思う。

  • 親からすすめられた番組を聴いたというモニターが目立つが、親の影響はかなり大きいと感じた。ラジオほどではないがテレビにもその傾向はあり、テレビの将来をも予見しているのかもしれないと思った。

【自由記述について】

  • ニュースについて、外見だけで外国人と断定するのはどうかという意見があったが、確かに一見しただけで外国人などと言ってしまうこともあり、自分の反省を込めて考えさせられる指摘だった。

岡山・高松地区の放送局との意見交換会について

岡山・高松地区の放送局との意見交換会について、当日話し合うテーマの候補について検討しました。

中高生モニター会議について

中高生モニター会議を今年度内にオンラインで開催することが事務局から報告されました。

今後の予定について

次回は、12月19日(月)に定例委員会を開催します。

以上

第250回 放送と青少年に関する委員会

第250回-2022年10月

視聴者からの意見について…など

2022年10月25日、第250回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
9月前半から10月中旬までの1か月半の間に寄せられた視聴者意見には、男性アイドルグループのメンバーが主役のサスペンスドラマについて、「内容がグロテスクで子どもには見せたくない」「残酷なシーンを想像させ、見ていて不愉快だ」などがありました。
中高生モニターリポートは9月と10月の2か月分を扱いました。
9月のテーマは「今年4月から9月までで最も印象に残った番組について」で、記者が主役の報道バラエティー番組に「ニュースの取材をする記者に焦点を当てた新しい形のバラエティーだと思いました」などの報告がありました。
10月のテーマは「最近見たドラマについて」で、音のない世界で再会した男女が織りなす切なくも温かいラブストーリーのドラマを6人の中高生モニターが取り上げ、「メッセージ性のあるドラマだ」「“音”へのこだわりが感じられた」などの感想が寄せられました
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。
また岡山・高松地区の放送局との意見交換会開催予定について、事務局から経過報告がありました。
最後に今後の予定について話し合いました。

議事の詳細

日時
2022年10月25日(火)午後4時30分~午後6時45分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
岡山・高松地区の放送局との意見交換会について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

9月前半から10月中旬までの1か月半の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
男性アイドルグループのメンバーが主役のサスペンスドラマに対して視聴者から、「内容がグロテスクで子どもには見せたくない。気分の悪くなるドラマだ」「残酷なシーンを想像させるところが多くあり、見ていて不愉快だし、犯罪を誘発や挑発させるドラマのように思う」などの厳しい意見が寄せられました。
これについて担当委員から「初回放送の開始直後に、下着姿の女性が椅子にくくりつけられて脅かされ、拷問の恐怖におののく場面が1分ぐらい続いた。猟奇殺人がテーマなので、演出家からすると猟奇性とか怪奇性を出すための手法ということだと思う。カメラワークやライトの使い方も同様で、恐ろしさを誇示するような効果をもたらしている」と報告がありました。
別の委員からは「これを嫌だと思う人がたくさんいるが、好きな人もいるわけで、いろいろな受け止め方があってもいいのではないかなという気がする」という意見や、「拷問のシーンの表現は恐怖感を掻き立てる間接的な手法によっており、また、猟奇的な殺人を肯定的に描いているのではなく、そのシーンに関わっていく主人公の心の動きや苦しさなどの原因のひとつとしての位置づけとなっていることなどを考えると、ただちに問題性を指摘するところまではいかないのではないかと思う」という意見が出されました。
また、別の連続ドラマについて視聴者から、「17歳の男性俳優が成人女優との性行為を思わせるシーンを撮影されている。未成年である17歳には不適切な内容ではないか」「児童ポルノに該当するのではないか、未成年に対する性加害ではないかなど非常に不安になる」などの意見が出されたことについて、担当委員から「強烈な性行為が行われているということはなく、布団の中で2人がいろいろな会話をやりとりしていた場面だった」という報告がありました。
バラエティー番組のドッキリ企画で、CMビデオ撮影中の男性アイドルグループのメンバーに水に溶ける衣装を着せ、頭上から大量の水を落として全裸にしたことに対して、視聴者から「公衆の面前で全裸にさせられるのは人間の尊厳を損なうものだ」「子どもの教育の面やこの男性へのセクハラの面でとても許される行為とは思えず不快だった」などの意見がありました。
担当委員からは「下品なことは間違いない」としながらも、本人はドッキリ企画として承知し了解をした上での反応だと考えられるので、「とくに強く意見すべきものではない」との意見がありました。
その他に、大きな議論はなく「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

10月の委員会では、9月と10月の2カ月分のモニター報告について話し合いました。
9月のテーマは「今年4月から9月までで最も印象に残った番組について」で、モニターからはジャンルも様々なすべて異なる合計20番組(テレビ19・ラジオ1)の報告がありました。
『有働由美子とフカボリ記者』(日本テレビ)に「ニュースの取材をする記者に焦点を当てた新しい形のバラエティーだと思いました。」、『美輪明宏 愛のモヤモヤ相談室』(NHK Eテレ)に「この番組を視聴すると『悩んでいるのは自分だけではない。精一杯生きている人がいるのなら、強く生きよう』と自分の心に炎がともります。」、『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)に「私と同じくらいの年齢のリスナーばかりで、悩みの内容はどれもこれも『あ、すごく分かる』と共感できる。」など、印象に残った理由についての報告がありました。
「自由記述」では、「事件を伝えるニュースで、衝撃的なシーンばかりが強調されていて疑問を感じる」という意見が複数寄せられました。

◆モニター報告(9月分)より◆

  • 【今年4月から9月までで最も印象に残った番組について】

    • 『はなしちゃお!~性と生の学問~』(NHK Eテレ)
      性的な内容をまじめに取り上げているのが衝撃的でした。テレビで扱うのはタブーのように感じていたので新鮮でした。ラジオでは積極的に取り上げられているテーマなので、こうした番組を通してラジオとテレビの表現の不自由さの差が埋まっていけばいいなと思います。内容も学問として面白いものでした。(高校1年・男子・埼玉)

    • 『有働由美子とフカボリ記者』(日本テレビ)
      ニュースの取材をする「記者」に焦点を当てた新しい形のバラエティーだと思いました。現地で取材をしていてわかったこと、気づいたこと、感じ取ったことなど取材のプロだからこそ発見できることもありました。なぜ今までこのような番組が少なかったのだろうと思うほど内容が非常に興味深く、普段のニュースでは腑に落ちなかった「なぜ?どうして?」という部分がより詳しく理解できました。(高校2年・女子・岩手)

    • 『日曜劇場「オールドルーキー」』(TBSテレビ)
      これまでスポーツ選手が引退したあとのことなど全く考えたことがありませんでした。このドラマを見て、すべての人の人生がうまくいってるわけではないのだなと痛感しました。なりたい仕事がたくさんあって絞り込むことができませんが、今無理に決めずゆっくり考えていいのだと、将来のことを考えるきっかけにもなりました。(中学2年・男子・山形)

    • 『美輪明宏 愛のモヤモヤ相談室』(NHK Eテレ)
      日々のモヤモヤに寄り添ってくれる番組として視聴しています。美輪さんは相談者のお話に耳を傾け、思いを受け取ったうえで愛のあることばをおっしゃっていました。テレビの前の私までホッと腑に落ちた感覚になりました。この番組を視聴すると「悩んでいるのは自分だけではない。精一杯生きている人がいるのなら、強く生きよう」と自分の心に炎がともります。(高校2年・女子・千葉)

    • 『24時間テレビ45 ~愛は地球を救う~』(日本テレビ)
      24時間テレビの良いところは、番組で取り上げる話題の中に災害・戦争・病気などといった重いものが含まれていても、その中にエンターテインメント要素を入れることで見やすくし、より多くの人に情報を届けようとしているところです。扱われている内容が同じでも、ふだん放送されている報道番組やドキュメンタリー番組は見ようと思わないと見ないため、視聴者が最初に抱く「見たい」という気持ちをエンターテインメント要素の方に向けているのはとても良いなと思います。(高校1年・男子・兵庫)

    • 『日曜劇場「マイファミリー」』(TBSテレビ)
      ドラマ全体を通してさまざまな「ファミリー」を感じました。家族はもちろん、友人、自分の会社などすべてに絆や思い入れがあって大切にしていくべきであり、それらに愛情を持てるようになりたいと思いました。役者のみなさんの細かい表情や映像の美しさもすばらしく、夢中で見てしまいました。(高校2年・男子・福岡)

    • 『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)
      最もほこるべき点は、幅広い立場の人々が意見を表明できる点であると思う。出演者の幅が広い欠点としては、議論の土台となる部分に意見の食い違いがあって堂々巡りになることや、議論というより口げんかの延長線上のような事態が挙げられると思う。しかし、このような幅広い意見の人々がいないと左右の立場を超えて取り組まないといけない問題を考えることができないので必要だと思う。ただ、もう少しストレスなく見られるようにならないものかと思う。(高校1年・男子・愛知)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)
      私と同じくらいの年齢のリスナーばかりで、悩みの内容はどれもこれも「あ、すごく分かる」と共感できる。日頃のちょっとしたモヤモヤに対処する方法を教えてくれるので、とてもありがたい番組だと思う。豪華なゲストの方々がよく出演するので、毎日どんな話が聞けるかわくわくしながら聴いている。(中学2年・女子・山形)

    • 『週刊フジテレビ批評』(フジテレビ)
      自分が見ているドラマについて専門家の感想や意見が聞けるのがとても面白く、勉強にもなっています。自分とは別の視点からの意見が聞けたときは、より発見があります。もう少し出演者の年代の幅を広げると、もっと面白くなるのではないかと思います。自分と同世代の学生などはどう感じているのか、いま出ている方々と若い世代との対談を聞いてみたいです。(中学2年・女子・東京)

    • 『世界一受けたい授業』(日本テレビ)
      さまざまなジャンルを取り上げて講義してくれるので、たくさんの情報が得られてためになる。大切なポイントをクイズ形式にして楽しむ要素を加えたり、イラストを用いたりしてわかりやすく説明していて良いと思った。日本における貧困問題やヤングケアラーの実態など、今起きているさまざまな問題を新しく知ることができた。(中学2年・女子・鹿児島)

    • 『土曜プレミアム・まっちゃんねる「IPPON女子グランプリ」』(フジテレビ)
      女性出演者だけということもあって男性回答者には答えられないお題ばかりだったが、ふだん見ることができない雰囲気で面白かった。しかし、審査員のコメントには「女性らしい」という文言が多く、違和感があった。“女性”を強調されると、女性の中では大喜利が得意だけど男性にはかなわない、という印象を持ってしまう。(中学3年・女子・千葉)

    • 『ブリティッシュ・ベイクオフ』(NHK Eテレ)
      いちばんの魅力はコンテストに挑戦するアマチュアベイカーの方が非常に多彩であることだと思います。人種、年代、バックグラウンド、職業などが全員バラバラで見ていてとても面白いです。アクシデントが起こった際に審査員が挑戦者に手を差し伸べる場面もあり、審査員のジャッジを楽しむだけではない温かな雰囲気も魅力だと思います。挑戦者が焼いていたマカロンがくっついてしまったとき、司会の方が「きっと味は文句なしよ」と軽やかに話していたシーンは、とても記憶に残っています。(高校2年・女子・東京)

  • 【自由記述】

    • 最近、事件のニュースで物々しい犯行の映像が流されることが多いと思います。私より年下の子はかなり怖さを感じるのではないかと思う映像もあり、少し配慮されるようになってほしいと思います。(中学3年・女子・群馬)

    • 渋谷で母娘が刺されてけがをした事件の報道で、ニュースの概要を知りたいのに衝撃的なシーンばかりが強調されることには疑問を感じ、被害者の母娘にも配慮がされていないように思います。「モザイクをかけて音声を加工したから流しても大丈夫」ではなく、「モザイクをかけて音声を加工してまで流さなければならない映像なのか」を考えていただきたいです。(高校2年・女子・東京)

    • 最近のテレビ番組はSNSで”いいね”が多かった動物の動画を集めた番組やカラオケ番組など、一般の人を頼る企画が多いように感じる。「視聴者参加型」ではなく「視聴者に頼りきり」なのは問題だと思う。(中学3年・女子・千葉)

    • 最近テレビで「これはSDGsに関連する」という話が多く出てきます。SDGsを意識することはいいことだと思いますが、何もかもSDGsに関連させていてはTVやラジオが面白くありません。何もかもSDGsに当てはめるのはいかがなものかと思います。(中学2年・男子・山形)

    • 最近、妹とテレビのリモコンを奪いあうケンカがなくなったことに気づきました。見逃し配信アプリでリアルタイム配信が始まってスマホがテレビと同じ役割を果たすようになり、家族それぞれが見たい番組をスマホでみるようになりました。アプリで見たほうがCMなどの広告もテレビより短く、倍速視聴もできるので私たちの世代のニーズに合っているのかもしれません。(高校2年・女子・岩手)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『歴史デリバリー』(NHK Eテレ)
      ・歴史上の資料をもとに考えながら見ることができるので、楽しみながら勉強できます。クラスメイトにもすすめたところ「面白かった」という感想をもらいました。(中学1年・女子・千葉)
      ・コントも混ぜて歴史が紹介されるので覚えやすくて良かった。授業で前に習ったところだったが、なぜそうなったのかがよく分からなかったので、この番組だと楽しく学べて良いと思った。(中学2年・女子・山形)

    • 『ザ・ドキュメント「もやい 福島に吹く風」』(関西テレビ)
      福島での原発事故を自分や仲間の「表現」によって伝承している人を取り上げていました。自分たちの表現が社会にどんな影響を与えるのか、どんな変化を起こすのかを深く考えて行動している人がいる中で、私たちもその思いを受け取りにいく必要性を感じました。(高校1年・男子・兵庫)

    • 『知ってる!!知らない!? 愛知おやつ100菓』(テレビ愛知)
      このような地元への大量の取材の蓄積をもとに作られる番組は、ユーチューバーの動画や世界同時の動画配信サービスでは実現しえないと思うので、テレビ局にはその強みを生かした番組作りを大切にしてほしいなと思いました。(高校1年・男子・愛知)

    • 『THE 無人島 未知の離島で〇〇見つけました!』(テレビ東京)
      その島で実際に生活していた人がいたというリアルさを画面越しに目撃できて面白かったです。とくに歴史的な発見は、教科書に載っていた出来事をより生々しく「実際にあった出来事」として感じるきっかけになりました。ひとつの島の紹介が終わるごとに文字で「まとめ」が表示されたところも、とても分かりやすかったです。(高校2年・女子・東京)

    • 『アイ・アム・冒険少年 2時間スペシャル』(TBSテレビ)
      芸人さんたちが楽しみながら一生懸命汗を流して汚れを落とし、落としづらい汚れには四苦八苦しながらも工夫を凝らして最後まであきらめずきれいにしている姿がかっこよかったです。終始、掃除はかっこよくやりがいがあることだと思わせてくれる番組だったと思います(高校2年・女子・岩手)

◆委員のコメント◆

  • 【今年4月から9月までで最も印象に残った番組について】

    • 性をテーマにしたNHK Eテレの番組を挙げたモニターは自由記述で「民放には性に開放的なイメージがありません」と書いていた。テレビで性を扱うことについて比較的おとなは、民放がとても配慮してNHKは攻めているという印象を持つが、今は若い人たちも同様な捉え方をするのだなと新鮮な驚きがあった。

    • 何もかもSDGsに当てはめるのはいかがなものかという意見があったが、なるほどと思う指摘だった。

    • 女性出演者だけで行われた大喜利で、審査員から「女性らしい」というコメントが多く違和感があったという指摘があった。まさに今のジェンダーの問題に関心をもって疑問を示した意見だと思う。

  • 【自由記述について】

    • 渋谷で母親と娘が少女に刺された事件の報道について意見があった。モニターは、モザイクをかけて音声を加工してまで流さなければならない映像だったのだろうかと、社会にも自分にも問いかけていて、しっかり考えてくれていることが印象に残った。

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 地元のお菓子を90分間で100個紹介する番組について、テレビの強みを生かした番組だと評価する感想があった。確かにあまりYouTubeにはないタイプの番組で、このようなすみ分けは重要だし、テレビに愛着がある若い人たちはそうした点を意識して評価しているのだろう。

10月のテーマは「最近見たドラマについて」で、モニターからは合わせて11番組の報告がありました。
このうち6人が取り上げた『silent』(フジテレビ)には「メッセージ性のあるドラマだ」「“音”へのこだわりが感じられた」などの感想が寄せられました。  
そのほか、複数のモニターが『連続テレビ小説「舞いあがれ!」』(NHK総合)と『監察医 朝顔 2022スペシャル』(フジテレビ)を挙げています。
「自由記述」では、「ふだんドラマを見ないが、ドラマのよさを再認識した」という声が複数寄せられました。
「青少年へのおすすめ番組」の『ゲームゲノム』(NHK総合)には、複数のモニターから「ゲームに対する見方が変わった」といった感想が届いています。

◆モニター報告(10月分)より◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『日曜劇場「アトムの童」』(TBSテレビ)
      ゲームに焦点を当てているのが新鮮だと思いました。親しみやすいテーマと、大企業と中小企業の技術とプライドという対比が極めてシンプルで、全体を通して分かりやすかったです。身近なテーマだからこそ、作品内のゲームや製品が物語の展開や設定のリアリティーを左右してしまうと思うので、今後の流れが気になります。(高校1年・男子・埼玉)

    • 『監察医 朝顔 2022スペシャル』(フジテレビ)
      ・数ある医療系のドラマでも監察医というのが珍しく、「こんな職業もあるんだ!」と、今まで全然知らなかった職業のことを知るきっかけにもなりました。亡くなった方の想いや家族の愛が丁寧に描かれていて、とても優しい気持ちになれるドラマでした。(高校2年・女子・広島)
      ・温かい涙がこぼれるような素敵なドラマでした。コミカルなシーンとシリアスなシーンのバランスが良く、子ども目線で描かれるからこそ現れるリアリティーや認知症患者の家族が抱える葛藤、痛みが感じられました。解剖のシーンも臓器や血液などが生々しく映されず、視聴しやすかったです。ヒューマンドラマ、ホームドラマの側面も強く、法医学教室や刑事の面々もコミカルなキャラクターが多いので安心して楽しむことができました。(高校2年・女子・東京)

    • 『よるおびドラマ「差出人は、誰ですか?」』(TBSテレビ)
      第一話の15分だけの放送でこんなにもハラハラドキドキさせられたのは驚きでした。主人公を演じている女優はオーディションで選ばれた方で、とても学生のようでナチュラルで尊敬します。一目見た瞬間からとりこになりました。(中学1年・女子・千葉)

    • 『silent』(フジテレビ)
      ・すごく「音」へのこだわりが感じられ、聞こえないということがより一層重く感じました。音楽の使い方や演出が映画のようで、一話見ただけで満足感がありました。当事者にならないかぎり全部理解することはできないだろうけど、エンタメとして楽しめるだけではなく、ドラマを通して何か自分にとってプラスの学びがある作品になるとうれしいです。(中学3年・女子・群馬)
      ・とても感動したというのが率直な感想です。最も印象的だったのは、手話教室の講師が「人が良さそうですもんね」と言われたことに対して「(略)やさしい、思いやりがある、絶対いい人なんだろうなって勝手に思い込むんですよ」と発言したことです。障がい者をかわいそうと思うのも健常者の勝手なことで、同じ一個人として接する必要性を改めて感じました。(高校2年・男子・福岡)
      ・この物語は音がテーマで、重要なポイントになっているのだと思いました。有線イヤホンを片方ずつ分け合ってスピッツ(の曲)を聴くなど、主人公たちの高校生活が今の高校生とは少し違うので憧れました。登場人物の苦悩、葛藤がたくさん描かれていて全体的に重く暗い雰囲気のある演出・内容なので、登場人物が少しでも希望を持てる明るい終わり方になるといいなと思いました。手話教室の先生のシーンのように、障がい者や、関わる人への偏見についても伝えていて、ただのラブストーリーではなくメッセージ性もあるドラマだと思いました。(高校2年・女子・岩手)

    • 『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』(NHK 総合)
      星新一の作品が好きで小学生の時から読んでいたのですが、映像で見てみると現実の残酷さや人間の愚かさなどが鮮明に映し出されていて面白かったです。
      誰も見ていないところで何かをしたら、たとえそれが良いことであれ誰も知らないのですから皮肉なものだなと思いました。(中学2年・女子・山形)

    • 『親愛なる僕へ殺意を込めて』(フジテレビ)
      登場人物同士の関係性が気になるドラマでした。緊迫感のある音楽やホラーの要素が入っているからこそ、早く次が見たくなります。ナレーションがたくさん入っているので細かい状況が分かり、ドラマの中に入ったような感じで視聴できました。(中学2年・女子・山形)

  • 【自由記述】

    • めったにドラマを見ることはありませんが、このリポートをきっかけにドラマを見ました。ドラマには続きを早く見たくなってしまうほど自分にハマるものがあるのだと初めて気づきました。自分の中に新しいエンターテインメントができたぐらいの感動を覚えています。(高校1年・男子・兵庫)

    • 最近ドラマを全然見ておらず、久しぶりにドラマを見ました。本や漫画では感じられない登場人物の表情、感情を感じることができ、改めてドラマの良さを感じることが出来ました。(高校2年・女子・広島)

    • 何となく(NHKの)朝ドラに出てくる主人公が女性であることが多い気がする。男性が主人公の作品が少ないので、もう少し増やしてほしいと思う。(中学2年・女子・鹿児島)

    • 視聴率を基準に番組を評価する風潮が早く変わってほしいです。私を含めて周りの多くの人がリアルタイムでテレビを見ていなくても、見逃し配信やリアルタイム配信で見たりしています。見逃し配信はたまたま見ている人が含まれる視聴率とは違い、意識してその番組を見るので、そうした見逃し配信も加味して評価されてほしいです。(中学3年・女子・群馬)

    • ドラマを見ていて制作している裏側がとても気になります。メイキングや放送直前番組で撮影の裏側などが流れることがありますが、裏側がピックアップされているものはないと思います。放送できる範囲で構いませんが、どのようにドラマが完成していくのか(原作、脚本の決定から撮影の日程、ロケ場所の確保など)を知りたいです。(高校2年・女子・千葉)

    • NHK Eテレには英語番組が多く、見ていてとても楽しいです。特に、日本人に足りていないナチュラルな英語のフレーズが紹介されている『太田光のつぶやき英語』や『キソ英語を学んでみたら世界とつながった。』などの番組がお気に入りです。このような番組がもっと増えてほしいです。(中学1年・女子・千葉)

    • 埼玉県の美味しいうどんを紹介する情報番組のコーナーで、お店のうどんをキャンピングカーで食べ、撮影するという方法がとられていました。ありそうだけどこれまでになかった新しい方法で良いなと思いました。(高校2年・女子・岩手)

    • 最近はドラマが似たジャンルのものばかり放送されているように感じます。話の展開が一気にひっくり返るような、意外性のあるドラマを見てみたいです。(中学2年・女子・山形)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ゲームゲノム』(NHK総合)
      ・この番組を見て、ゲームもすばらしい文化のひとつであることがよく分かりました。今回取り上げられたゲームだけをみても、その内容から受け取ってほしい願いや制作者が伝えたいメッセージがあることを知り、ゲームの世界は深いなと感じました。ゲームに対する見方が変わりました。(高校1年・男子・兵庫)
      ・ゲームをすることは教育的によくないと言われることがありますが逆で、人間について考えるきっかけとなったり、人生の糧になったりするものもあると思いました。(高校2年・男子・福岡)

    • 『60秒で学べるNews』(テレビ東京)
      普段のニュースだと分からない出来事を専門家が60秒で専門家が説明し、議論する形でまた60秒で説明していくという流れが、とてもスピーディーでありながら、簡潔で分かりやすいです。(中学2年・女子・東京)

    • 『理想的本箱 君だけのブックガイド』(NHK Eテレ)
      あらすじからもう一歩内容に踏み込んで紹介されていますが、ネタバレになり過ぎることもなく「読んでみたい」と思わせる絶妙なあんばいでした。視聴者の好みにもよると思いますが、個人的には出演者の方が話されたことばの中でキーワードになるところをテロップで文字に起こしても良いのかなと思いました。(高校2年・女子・東京)

    • 『こどもスマイルテレビ~こども記者編~』(TOKYO MX)
      小学生が浄水場やダムを取材してVTRにまとめていたが、撮影・編集・ナレーションまで子どもたちがやっていてすごいと思った。また、うらやましくも思った。東京の水はもちろん、テレビ番組がどう作られているかを体感できるよい経験だと思う。(高校1年・男子・東京)

    • 『サスティな!』(フジテレビ)
      SDGsについて紹介するバラエティーというのは新鮮な感じがしました。内容も面白く、ふだんの生活に新しい視点を取り入れさせてくれるものでしたが、「SDGsってとっつきにくそう」という印象をどう払拭(ふっしょく)するか難しいところだと思います。(高校1年・男子・滋賀)

◆委員のコメント◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『silent』(フジテレビ)への感想が多かったが、ストーリーそのものへの感動とともに、実生活の中で障害がある人のことを理解したいという気持ちが相まって、とても興味深く見られているのではないかと思った。

    • 視聴率を基準に評価する風潮に疑問を呈する意見があった。確かに、今放送中の人気ドラマが何百万回もオンデマンドで再生されていることを考えると、視聴率が示すリアルタイムの視聴と(実際の見られ方は)違うのだろうと思う。

  • 【自由記述について】

    • 番組制作の裏側が知りたいという声があった。最近の若い人たちは制作者への関心や制作の裏側を知りたいというニーズがとても強いと感じる。映画監督が映画の公開後に撮影日記を出版して情報公開をするように、そうしたニーズにネットなどで応えることがテレビの魅力を高め、テレビに関心を持つ若年層を増やすことにつながるのではないか。

    • NHK Eテレで放送される英語番組が楽しいので増えてほしいという声があった。英語が得意ではないお笑い芸人が少しずつうまくなっていくようなところが視聴者には共感できるのだろうと思う。

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 最近の話題について専門家がスピーディーに解説する番組に「分かりやすい」という感想があった。別のモニターも朝ドラの一週間のまとめ放送を評価していたが、やはり最近の若い人たちは長い番組より短いものが見やすいのだろうと思った。

意見交換会について

岡山・高松地区の放送局との意見交換会について事務局から、来年(2023年)2月9日(木)に岡山市内の会場で開催する予定であることが報告されました。

今後の予定について

次回は、11月22日(火)に定例委員会を開催します。

以上

第249回 放送と青少年に関する委員会

第249回-2022年9月

視聴者からの意見について…など

2022年9月13日、第249回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、榊原委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました(うち2人はオンラインによる出席)。
7月後半から8月末までの1カ月半の間に寄せられた視聴者意見には、1歳8カ月の幼児に初めて「おつかい」を体験させた番組について、「1歳や2歳の子をひとりで出歩かせるべきではない」「出演する子どもには(年齢の下限に)制限を設けてほしい」などがありました。
8月の中高生モニターリポートのテーマは「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。、モニターからは戦争関連番組の視聴により、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、戦争への恐怖と平和の尊さを再認識したなどの意見が寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。
また事務局から、民放連の「放送基準」の改正(2023年4月施行予定)について説明がありました。
最後に今後の予定について話し合いました。
次回は、10月25日(火)に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2022年9月13日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
千代田放送会館会議室(オンライン併用)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
民放連「放送基準」の改正について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

7月後半から8月末までに寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
幼児が初めて「おつかい」を体験する様子を紹介するバラエティー番組で「(最年少)記録更新」と題し、母親らが見守る中、1歳8カ月の男児に、少し離れた隣家に回覧板、また別の家には菓子を届けさせたことについて、視聴者から「1歳や2歳の子をひとりで出歩かせるべきでない。真似をして子どもに行かせる親御さんがいると思う」「出演する子どもには(年齢の下限に)制限を設けてほしい」などの意見が寄せられました。
委員からは「1回だけでなく何度も行かせたことが、視聴者には不評だったかもしれない」「最年少記録という視聴者を煽るようなタイトルもどうかなと思われる」との意見があり、一方で別の委員からは「幼児の周辺で大人のスタッフが見守っていることが分かるように放送されており、安全に配慮していることを視聴者に見せる演出になっていた」と評価する声もありました。
別のバラエティー番組のコーナー企画で、浴槽内に電流を流すサービスを提供している香川県の銭湯に男性アイドルグループのメンバーらを入れ、電流を流したところ、視聴者から「電気を流されて痛がる様子が、いじめに見える」「子どもが見ていて、番組の真似をする可能性が高いので、とても笑えない」などの意見がありました。
委員からは「電気ビリビリ風呂は、通常の浴場で使われているものなので倫理的には問題ないと思ったが、繰り返し笑いを取ろうとしているところが、視聴者には不快だったのだろう」との意見がありました。
また、心霊現象などの体験談をドラマ化して構成したバラエティー番組のスタジオパートに子どもたちを出演させたことに、視聴者から「発育過程の子どもにオカルト現象を現実のものとして信用させるのは控えるべきだ」との指摘がありました。
委員からは「出演した子どもはみな、実績のある子役たちで、怖がっている顔も演技であるのは明らかだ」として問題にはならない旨の考えが示されました。
その他に、大きな議論はなく「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

8月のテーマは「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」で、モニターからは合わせて15の番組について報告がありました。
このうち『僕たちは戦争を知らない~1945年を生きた子どもたち~』(テレビ朝日)を6人が取り上げ、「戦争体験者の話は実感を持って聞くことができた」「人を恐ろしい方向に変えてしまう戦争は二度とやってはいけないと強く思った」といった感想が寄せられました。
そのほかの番組にも「被爆者の高齢化が進んでいるので次は私たちが伝えていく番だと思う」「私たち若い世代ができることを考える良い機会になった」などの声が届きました。
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、番組を通して平和のありがたさを改めて感じたというモニターが多く、「当たり前のように過ごしている今の生活が当たり前ではないと実感した」「”戦争は遠い過去の話ではない”という制作者のメッセージが伝わってきた」などの感想が寄せられています。

◆モニター報告より◆

  • 【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリー)について】

    • 『僕たちは戦争を知らない~1945年を生きた子どもたち~』(テレビ朝日)
      ・番組を見終わって戦争の恐ろしさ、悲しさを感じた。戦禍を生き抜く大変さを知ったと同時に、今がどれだけ幸せかを知った。戦禍の人々は自分のことしか考えられなくなり、人が変わってしまったという。人を恐ろしい方向に変えてしまう戦争は二度とやってはいけないと強く思った。もう誰もつらい思いをしないよう、戦争の記憶を若い世代に伝え続けることが大切だと思う。(高校1年・女子・栃木)
      ・戦争体験者の家族や生活といった背景をじっくりと伝えていたので実感を持って話を聞くことができました。一番心に残ったのは「戦争が人の心を変えた」という戦争体験者の声です。戦争体験者を悲しく見るだけではなく、たくましく生きてきたことを伝えていたのも良かったです。(高校1年・男子・兵庫)
      ・普段当たり前のように過ごしている生活は当たり前ではないし、飲める水があること、食べるものがあること、安心して過ごせる場所があることは本当に幸せなことだし、日々感謝して生きていかなければならないと思った。当時何があって人々がどんな思いだったのか、貴重な当事者の言葉を大切にし、感謝しながら次の世界に語り継ぐことが私たちのすべきことだし使命だと思う。(高校3年・女子・茨城)

    • 『特集ドラマ「アイドル」』(NHK総合)
      ・真っ先に思い浮かんだのが現在も続いているロシアによるウクライナ侵攻のことです。このドラマを見て、戦争をしてもいいことは本当に一つもないと思いました。自分の国でも同じようなことが起きてたくさんの人が犠牲になった過去があるからこそ、世界に戦争の恐ろしさを伝えていくことが大事だと思いました。(高校2年・女子・岩手)
      ・戦時中にアイドルが存在したことにすごく驚きました。いつの時代にも娯楽は求められていたのだと知り、親近感を持って見ることができました。前線へ向かわなければならない人たちの恐怖や葛藤は計り知れません。改めて戦争は繰り返してはいけないし、戦場に向かう選択肢しかなかった人たちのことや被害を忘れてはいけないと思いました。(中学3年・女子・群馬)

    • 『NNNドキュメント’22 「侵略リピート」』(日本テレビ)
      中国戦線に関する話では、戦争時には人が死んでもすぐに忘れてしまったりする特殊な心理について述べられ、当時の非人道的な行いが起こされた心理環境がいかに異常だったかが分かりました。番組の途中で、ロシアによるウクライナ侵攻の映像などが流れ、「戦争は遠い過去の話ではない」という制作者のメッセージが伝わってきました。(高校1年・男子・愛知)

    • 『イサム・ノグチ 幻の原爆慰霊碑』(NHK BS1)
      日本とアメリカとの板挟みになったイサム・ノグチに焦点を当てることで、当時の在米日本人の扱い、戦後の日本でのアメリカ人の扱いなどの問題を取り上げていたのが斬新で面白かった。戦争イコール悲惨で命を奪うものという単一的な価値観ではなく、付随する課題を報じるものが増えれば、ほかの番組も面白くなるのかなと思った。(高校1年・男子・埼玉)

    • 『NNNドキュメント’22「禎子さんの折り鶴~千羽になったら願いが叶うんよ」』(日本テレビ)
      被爆者の高齢化が進んでいるということは、次は私たちが伝えていく番だと思います。唯一の被爆国に住んでいるからこそ「二度と戦争はしてはならない」ということをしっかりと心に留めておきたいと思いました。(中学2年・女子・山口)

    • 『仲間由紀恵・黒島結菜 沖縄戦“記憶”の旅路』(NHK総合)
      “沖縄戦”の実状や奪われた日常を改めて見て「他人事ではない」と思いました。遺骨や遺品が見つからない人が多く、人々の記憶だけでなく戦争の爪痕もなくなってきていることを知り、また戦争が起きるのではないかという不安を感じました。(中学1年・男子・山形)

    • 『長崎原爆の日 被爆から77年のリアル』(NHK総合)
      今、ウクライナ情勢で核の脅威を目の当たりにすることが多い。被爆者の平均年齢が84歳であることを知り、とても驚いた。刻々と近づく「被爆者なき時代」のため、私たち若い世代ができることを考える良い機会になった。私たちには、被爆者の強い思いを継ぐ役割が任せられているのだと考えさせられた。(中学2年・女子・鹿児島)

    • 『セイコグラム ~転生したら戦時中の中学生だった件~』(NHK総合)
      スマホの画面のような見せ方のドラマで、とても新しい形だと思いました。インスタグラムという若者に身近なツールとテレビを掛け合わせる方法は、戦争関連のように、見るのを少しためらってしまうようなテーマの番組をより見やすくするのではないかと思いました。(中学2年・女子・東京)

  • 【自由記述】

    • 今年は終戦関連の番組が少なかったように思います。これまで学校で習うような表面的な部分しか知らなかったので、番組を通して当時の人々の暮らしを知ることができて良かったです。(中学3年・女子・群馬)

    • 去年に引き続き通常の報道番組の中で戦争関連の特集を組んでいる放送局が多く、そのぶん多くの人に情報が伝わったと思います。戦争の話題のように視聴者が深く考えて行動に移してこそ意味をなす報道は、一度に時間をかけることも大切だと思います。現状では、多くの人に情報を届けることと、しっかりした中身の濃い情報を伝えることのバランスが取れていないように感じます。(高校1年・男子・兵庫)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ニュー試』(NHK Eテレ)
      各国の先進的な取り組みを知ることができ、大学進学を目指す身としてとても勉強になった。番組内で模試を考える時間が十分にあって自分でも考えることができ、とても面白かった。(高校1年・男子・愛知)

    • 『Zボイス 私たちの声を聞いて 18歳 夏 参院選』(NHK BS1)
      政治がどこか遠くで行われているイメージを持っていましたが、政治家の判断によって私も日常生活の中で影響を受けてきた一人なのだと思いました。そのことをしっかり受け止めて行動している同世代の方々を見て、私も将来を担っていく社会の一員として政治に関心を持とうと思いました。(高校2年・女子・岩手)

    • 『チョコプラのぶらり溶接の旅』(テレビ東京)
      再利用が注目されている中で、廃材を使って人のために物を作るという取り組みはとても良いと思います。チョコプラの時々面白いやり取りに楽しませてもらえる番組でした。(中学2年・女子・山口)

◆委員のコメント◆

  • 【終戦関連番組の感想について】

    • 被爆者の平均年齢が高いことを知って驚いたという感想があったが、そのぐらい戦争のリアリティーがないのだろうかと思った。とはいえ、被爆者の思いを伝える役割は自分たちにあると考えたということで、番組からいろいろなことを深く受け取ってくれたのだと思う。ほかにも、これからは私たちが伝えていく番だというとてもいいメッセージが届いていて、感受性豊かに受け止めたモニターが多かったようだ。

    • ウクライナ情勢が連日のように報道される一方で、戦争を実感する機会が少なくなっているという感想を複数のモニターが述べていて考えさせられた。

    • SNSやタイムスリップを取り入れるなど、各番組がどうやって戦争に対するリアリティーを若い人たちに持ってもらうかに知恵を絞っていることが、モニターの報告からよく分かった。

    • 戦争体験者の証言を制作者が意味づけたりあらかじめ文脈を作ったりせず、あくまで個人の生活史に終始して伝えるのが今のドキュメンタリーらしい作りで、時間をかけて人物を丸ごと紹介するところにモニターも好感を持っているようだ。

    • 若い人たちは生々しい戦争の描写などを避ける傾向があるようで、出演しているタレントたちと一緒に理解を進めていくといった、アプローチの仕方の工夫が必要なのだろうと思った。

  • 【自由記述について】

    • 温かいご飯を食べられたりお風呂に入ったりできるなど、当たり前のことが実は当たり前ではないということを書いてくれたモニターが多かった。やはりウクライナで現実に戦争が起き、難民が大変な思いをしていることが報じられていることが、想像をよりリアルにしているのだろうと思った。

    • バラエティー番組について意見を寄せてくれたモニターが複数いた。ウェブサイトに公開している6月の意見交換会の報告も読んでもらい、BPOの役割などを知ってもらえればと思う。

    • 衝撃映像が流れる前に、安心してご覧くださいというテロップが表示されたので安心して見られたという声があり、興味深い感想だった。

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 生き物の不思議な姿や行動に着目した番組『へんてこ生物アカデミー』(NHK総合)で、大学生が新しい生態を発見したことが印象的だったと書いてくれた高校生のモニターが、大学の研究費の少なさなど日本の現状についてさまざまな問題提起をしていて感心させられた。

民放連「放送基準」改正について

2023年4月施行の民放連「放送基準」の改正について、事務局から概要報告がありました。

今後の予定について

地方局との意見交換会開催の日程調整について、事務局から進捗状況の説明がありました。

以上

第248回 放送と青少年に関する委員会

第248回-2022年7月

視聴者からの意見について…など

2022年7月26日、第248回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催しました。
欠席の榊原洋一委員長をのぞく7人の委員が出席し、進行は緑川副委員長が代行しました。
6月後半から7月前半に寄せられた視聴者意見には、安倍元首相銃撃直後の緊急ニュースの中で、高校生とみられる女性2人の顔出しでのインタビューで目撃情報を繰り返し放送したことについて、配慮が必要だったのではないか、などの意見がありました。
7月の中高生モニターリポートのテーマは「最近見たドラマについて」で、様々なジャンルのドラマに対する興味深い意見が寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。
最後に今後の予定について話し合い、8月の委員会は休会となりました。
次回は、9月27日(火)に定例委員会を開催します。(※その後、9月13日(火)に変更になりました。)

議事の詳細

日時
2022年7月26日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、
髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

6月後半から7月前半に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
安倍元首相が銃撃された直後の緊急ニュースの中で、高校生とみられる女性2人の目撃情報についてのインタビューを顔出しで約1時間30分の間に計5回繰り返し放送したことに対して、「インタビューするのはよいが、(高校の)制服と顔は隠すべきではないか」「プライバシー保護のため、口元だけのアップやモザイク処理で顔を隠してあげてほしかった」「PTSDは遅れて発症します。目撃直後にマイクを向けるのは二次加害です」などの意見が寄せられました。
委員からは「とても正確に答えていて、この目撃情報によって何が起こったのか、だいぶ分かった」「本人や保護者の承諾を得るなどの配慮は必要だと考えるが、このインタビューに報道する価値があったことは間違いない。繰り返しの問題も評価は難しいが、事件の重大性や速報性を考えると、局の判断としてはやむを得なかっただろう」との意見がありました。
また、バラエティー番組の中の幼児向け番組を模したコーナーで、子どもたちの前でヤクザの風体をした男女の芸人が、番組スタッフ役の芸人に暴行する真似を見せ、高金利を表すことばを織り込んだ唄を披露したことに対し、「(出演者の)子どもの前で、暴力を振るったり借金の唄を歌ったりするのはいけないと思う」「その場にいた子どもたちが怖がっています。教育上、問題がある」などの意見が寄せられました。
委員からは「あそこに子どもを呼ぶ必要があったのか。大人(の芸人)に子どもの格好をさせてもよかったのではないか」「(劇団所属の子どもを使うという)舞台裏の事情はどうあれ、親の目からみればあまり良い演出とは思えない」などの意見が出されました。
同じバラエティー番組の別のコーナーで、揚げた細い棒状のパスタを、口を開けた芸人の喉に差し入れて、うまく飲み込むのを競わせていたことに対し、「(子どもが真似しないよう)注意の文言を入れても、常識的に考えて、やっていいネタではないと思います」という意見が寄せられました。
委員からは、「パスタを飲み込ませるのは危ないと思う」「危険な行為で、(それを見た)子どもが、許されることだと思ってしまう可能性がある」との意見がありました。
その他特に議論はなく「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

7月のテーマは「最近見たドラマについて」でした。モニターからはさまざまなジャンルのドラマ、計22(テレビ21・ラジオ1)番組について報告がありました。
番組への感想では『ラジエーションハウス』(フジテレビ)に「これまで描かれていなかった職種に焦点をあてた斬新な医療ドラマだった」、『過保護のカホコ』(日本テレビ)に「世の中には計り知れない家族の形があると実感した」といった感想が寄せられました。
複数のモニターが取り上げた番組は、『鎌倉殿の13人』(NHK総合)、『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』(NHK BSプレミアム)、『ナンバMG5』(フジテレビ)でした。
「自由記述」では、安倍元首相が銃撃された事件の報道について多くの意見が寄せられました。

◆モニター報告より◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『未来への10カウント』(テレビ朝日)
      部員一人一人が問題や悩みを抱えながらも精一杯生き抜く姿にとても感動しました。番組の中にあった「最初からあきらめてんじゃねえよ。自分で勝手に限界を作るな」というセリフは受験生の自分にとって、とても胸を打たれるものがありました。改めて一生懸命やることの大切さ、素晴らしさを教えてもらったドラマです。(高校3年・女子・茨城)

    • 『FMシアター』(NHK‐FM)
      ラジオドラマを聴くのは2回目だが、なかなか新鮮だった。テレビとは違い、出演者の息づかいや話すことば一つ一つの迫力が耳から伝わってきた。コロナ禍で浮かび上がった人間模様にスポットをあてた内容だったが、話に引き込まれる構成だった。ただ、途中から聴いた人や話の整理のためにナレーションを加えてほしいと思った。(高校1年・男子・東京)

    • 『ファイトソング』(TBSテレビ)
      登場する一人一人の人物像が愛おしく、個性豊かな中でバランスが取れているので見ていて居心地がよく、大好きでした。最終話では、番組のタイトルとオープニングで流れる曲に、ドラマのストーリーとのつながりがあってとても感動しました。(中学2年・女子・東京)

    • 『初恋の悪魔』(日本テレビ)
      科学捜査などの職業を主人公とするドラマはあったが、この番組は総務課職員たちを主人公にするなど斬新な発想が多くてとても面白かった。模型を作るシーンやイラストなどの演出も現実味があって良かった。(高校1・男子・埼玉)

    • 『メンタル強め美女白川さん』(テレビ東京)
      もともと原作のファンですが、主人公の名言はそのままで、その人間味が原作よりもリアルに映し出されていました。現実はこんなに単純で優しいものではないなと感じられる部分もありましたが、このドラマが描くようなもっと温かい言葉があふれる社会になるといいのにと思いました。終始すごく穏やかで幸せな気持ちで見られるドラマで、毎週の楽しみでした。(高2・女子・岩手)

    • 『過保護のカホコ』(日本テレビ)
      小学校6年生のときも視聴していましたが、見直すと感じることも見る部分も少し変化した気がします。以前は主人公の衣装や部屋の雑貨類までまねしていましたが、今は少し違うところに惹かれます。ドラマの中だけの話ではなく、世の中には計り知れない家族の形があるのだと実感しました。生まれてきた環境や家族のことで悩み苦しんでいる人がいると思うと、私にも何かできることがあるのではないかと考えるきっかけになりました。(高2・女子・千葉)

    • 『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)
      見ていてとても爽快で面白いです。最後には関係が悪くなっていた家族を仲直りさせるなど、感動できる部分もあっていいです。ドラマの途中には普段使えるような家事の知識を教えてくれる時間があり、内容が面白いだけでなく見ていてためになりました。また、続編を映画化ではなく舞台化するのも新しくて面白い取り組みだなと思いました。(高2・女子・広島)

    • 『再雇用警察官4』(テレビ東京)
      全体的にドキドキするシーンと見入ってしまうシーン、何も感情が湧いてこないシーンが周期的に構成されていてとても面白かったです。ストーリーの進め方が刑事ドラマでありがちな「真犯人は誰だ?」的なものではなく、出てきた人全員がつながっている点に爽快感を覚えました。終盤にかけて登場人物の感情がはっきりしていくのも印象的でした。(高1・男子・兵庫)

    • 『ラジエーションハウス』(フジテレビ)
      従来の医療ドラマで描かれることがなかった職種に焦点があてられたドラマで、斬新だった。放射線技師の職務内容だけでなく、病院内でのポジションや医師との関係性が興味深い。ふだんあまりフィーチャーされることがない職業について知ることができ、月9ドラマにふさわしいテーマだったと思う。(高3・女子・東京)

    • 『鎌倉殿の13人』(NHK総合)
      戦や勢力争い、後継者争いなど話が入り組んでいる場面でも理解しやすい。時々コメディー要素もあって飽きずに見ることができる。出演者は多いが、一人一人に個性があって役名を覚えることができた。このドラマのおかげで鎌倉時代についてだけだが詳しくなり、北条義時についても詳しく知ることができた。(高1・女子・栃木)

    • 『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』(NHK BSプレミアム)
      原作の本を持っていたのでドラマと比べてみたところ、登場人物のセリフや展開の多くが原作そのままで、作品へのリスペクトが感じられました。視聴者の人気投票で作品をドラマ化したりレギュラー化やアニメ化をしたりして、この企画がもっと発展してほしいです。(高校1年・男子・滋賀)

    • 『ナンバMG5』(フジテレビ)
      予告を見たときは「今の時代にヤンキーのドラマやって大丈夫なの?」とか「怖そうだな」などと思っていたが、いざ見てみると私が知っている昔のワルなヤンキーとは違い、とても明るく家族みんな仲がいい楽しそうなヤンキー一家で安心した。演技の面では、特攻服に金髪のヤンキー役と普通の高校生学ラン黒髪役を口調も含めてしっかり演じ分けていてすごいと思った。(高校3年・女子・神奈川)

    • 『私のエレガンス』(BSテレビ東京)
      ファッションアイテムの歴史やオシャレについての知識だけでなく、自己肯定感も引き上げてくれるような素敵なドラマでした。この半年ほど暗いニュースがテレビで流れることが多く、温かい気持ちになるほっこりしたドラマがもう少しゴールデンの時間帯に増えても良いように感じました。2時間の単発のドラマだと比較的視聴しやすいので、そういったものがもっと増えてもいいのかなと思います。(高2・女子・東京)

  • 【自由記述】

    • 番組やVTRに出てくる出演者の名前を紹介するテロップについて、ジェンダーレスなこの時代に、男性は青、女性はピンクというように色を分けるのはどうかと思いました。(中学2年・女子・東京)

    • 安倍元首相が銃撃された事件のニュースで、撃たれた瞬間の映像を何度も流したり、血を流して倒れている画像をずっと出したりするのはどうなのかと思いました。また、銃の作成方法をわざわざ解説することで模倣犯が出てきたらどうするのだろうと思いました。(高校2年・女子・広島)

    • 安倍元首相が銃撃された事件のニュースで、「銃声が鳴ります」などと視聴者が不快に感じないよう配慮していてすばらしいと思いました。(高校2年・男子・福岡)

    • 安倍元首相が銃撃された事件で、SNS上で出回っていた銃撃の瞬間の映像をテレビでも流していたことに疑問を感じた。コメンテーターが「ネットから離れることも自己防衛につながる」と言っていたが、こういう方が増えてほしいと思った。(中学3年・女子・千葉)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『笑わない数学』(NHK総合)
      素数の面白さ、不思議さを知ることができた。手計算で素数を見つけなければならなかったと思うとオイラーやガウスのすごさが分かる。私たちがふだん使っている数学の裏側を知ることは楽しい。同時に昔の数学者への感謝の気持ちも浮かんでくる。(高校1年・女子・栃木)

◆委員のコメント◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • モニターが大好きだというドラマについて「アクションはかっこよくて好きだが、血や傷口をあまり映さないほうが安心して見られる」という感想があった。今の若い人たちはテレビに刺激を求めるというより、安心して見たいというのが一つの思いなのだろうかと感じた。

    • モニターによって評価はやや分かれたが、いわゆるヤンキードラマを複数が取り上げていて根強い人気を感じた。バブル時代の話やノスタルジックな部分も描かれ、2000年代がピークだったコンテンツだが、一周回って今の若い人たちに新鮮に映っているのではないか。

  • 【自由記述について】

    • テロップの名前が男女で色分けされていることへの意見があった。視聴者意見にも性差別的な表現や女性蔑視に対する批判はあるが、中学生が少し違う角度からこのような違和感を指摘することに感心した。こうした見方はこれから若い人たちのふつうの感覚になっていくのだろうし、制作者にも知ってもらいたい。

    • 安倍元首相の銃撃事件の報道で、銃声音が流れることを事前に告知したことを評価する声があった。ドラマでは暴力シーンなどを演出の一部として楽しむ一方、ショッキングな報道に対して警戒する感性があるようで、こうした点は丁寧に考えていく必要があるのだろうと思った。

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 数学の奥深さを伝える番組に多くのモニターから感想が寄せられ、「大学教授ではなく芸人さんが解説するので身構えずリラックスして見られた」というコメントがあった。このようなジャンルでも説明上手な芸人さんが重要な役割を果たしているのだなと感じた。

今後の予定について

地方局との意見交換会開催の日程調整について、事務局から進捗状況の説明がありました。
また、8月の青少年委員会は休会になることを確認しました。次回は、9月27日(火)に定例委員会を開催します。(※その後、9月13日(火)に変更になりました。)

以上

第247回 放送と青少年に関する委員会

第247回-2022年6月

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解についての意見交換会を開催…など

6月28日、青少年委員会が4月に公表した「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解について、加盟各社との意見交換会をオンライン併用で開催しました。
意見交換会終了後に第247回青少年委員会を開き、8人の委員全員が出席しました。
視聴者からの意見(5月後半から6月前半)では、マナー講師が番組スタッフにテーブルマナーを厳しく指導する内容のバラエティー番組や、新型コロナのワクチン接種を連想させる設定の子ども向け特撮ドラマなどに多くの視聴者意見が寄せられました。
中高生モニターの6月のテーマは「最近見たバラエティー番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターからの報告について議論しました。
次回は、7月26日(火)に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2022年6月28日(火)午後4時00分~午後7時00分
場所
千代田放送会館ホール
議題
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解についての意見交換会
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解についての意見交換会

2022年6月28日、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解をテーマに、青少年委員会とBPO加盟各社との意見交換会を開催しました。バラエティー番組の制作が多い在京・在阪の放送局およびNHKには千代田放送会館に来場いただき、全国の加盟社にはオンラインで配信しました。
委員会からは委員全員が出席し、各委員の紹介のあと、今回の『見解』の趣旨や、見解を出すに至った経緯などを榊原委員長が説明しました。
そして、事前に各局から受けた質問に委員がそれぞれの考えを述べたのに続き、会場の参加者と直接質疑応答を行い、およそ1時間半にわたって意見交換をしました。 
青少年委員会の基本的な立場や考え方についても、あらためて理解を深めてもらう機会になりました。

視聴者からの意見について

5月後半から6月前半に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
女性マナー講師がスパルタ式にテーブルマナーを番組スタッフに指導したクイズ形式のバラエティー番組の内容に対し、「弱いものに対する高圧的な態度は不快だ」といった意見が寄せられました。
委員からは「同じ文脈の中で『今度はよくできました』とほめてもいるので問題はない」との意見がありました。
子ども向けの人気特撮ヒーロードラマで新型コロナワクチン接種の危険性を揶揄したような内容に対し、「現在の(政府の)ワクチン政策に反対する考えや、ワクチンに対する恐怖を子どもに植え付ける」などの意見が寄せられました。
妻の機嫌を損ねないような気配りを語り合うトーク番組で、脳科学者の「みなさん(夫)は寄生虫」という発言に対し、「夫への侮辱・差別だ」「妻の要求は全て正しく、夫に対してのモラハラ・パワハラは笑いごととして看過されるべきと勘違いする危険性がある」などの意見が寄せられました。
歌のうまいタレントに音を外さずにカラオケを歌いきったら100万円ブレゼントという企画で、MCのお笑い芸人が挑戦者に暴言を浴びせ続ける内容に対して、「いじめを助長する」「暴言をヒートアップさせ、大変不快だ」との意見がありました。
速く走れない小学生にお笑いタレントが長期ロケで秘訣を伝授するというニセ密着番組のフィナーレで、頑張った小学生に走り寄るタレントを落とし穴に落とすドッキリの内容に対して、「人の善意を弄び過ぎ」「小学生をだます側に起用するのは不快だ」との意見が寄せられました。
委員からは、「子どもにだます役割を負わせるという点では非常に後味の悪い番組」「子役の子たちならば許容範囲ではないか」との意見が出されました。
その他は特に議論もなく「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

6月のテーマは「最近見たバラエティー番組について」で、モニターからは合わせて24番組への報告がありました。
このうちトークやクイズを中心とした番組には「自分自身を見つめ直すきっかけになっている」「人間力を高めることができる」などの感想が届きました。
「自由記述」では、ウクライナ情勢についてもっと放送してほしいという声などが寄せられています。

◆モニター報告より◆

  • 【最近見たバラエティー番組について】

    • 『人間観察バラエティモニタリング』(TBSテレビ)
      一般人をターゲットにしているため、「一般的な考え方」「一般的な行範囲」などが共感できて楽しく、家族全員が夕食を食べながら感情移入する良い機会になると思う。個性豊かなレギュラーのみなさんが、感想や意見を面白おかしく次々とテンポよく述べていく様子は見ていて飽きない。ときには考えさせられることもあり、いろいろな面で自分と重ねて考える機会になる良い番組だ。(中学2年・女子・鹿児島)

    • 『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ)
      笑えるような話から、あまり考えてこなかったけど案外深い話までさまざまなジャンルの話を聞くことができます。ドッキリ企画やクイズ番組など、企画があらかじめ用意されているバラエティー番組ももちろん面白いですが、誰が話すかを決める酒瓶ルーレットと円卓だけで笑いを起こさせるというのは、やはり芸人さんの腕だなと毎回感じています。このようなトークバラエティーは今のテレビにあまりないように感じます。この番組は「唯一無二だから見たくなる」そんな力があるのではないでしょうか?番組で気になったトークテーマは、友達や家族にも話して意見を聞くようにして2段階で楽しんでいます。 (お酒を飲まない高校生も視聴していることを伝えたい)(高校2・女子・千葉)

    • 『しゃべくり007』(日本テレビ)
      この番組ではドッキリを含むロケなどはほとんど行われず、しゃべくりメンバーのみなさんとゲストの方の純粋なトークや即興コントなどで僕たち視聴者を笑わせてくれます。痛みを伴っているかもしれない行動は、ときおり行われるジャングルパニックと呼ばれるものがありますが、あれはお互いの信頼のもとで成り立っているように思うので、視聴者としてまったく不快な気持ちにはなりません。(高校3年・男子・東京)

    • 『THE グレートアンサー』(毎日放送)
      冒頭の「テレビ画面にかじりついて必死に問題を解く必要はありません!」というセリフに衝撃を受けました。問題を解いている方々の思考法を見ているだけで、気がつくと賢くなったような気持ちになりました。どの問題も観察力や、目の前のことだけでなく周りに気配りができているかをみるもので、真のトップは勉強だけではないのだなあと思いました。次はぜひゴールデン帯で放送していただきたいです。ただのクイズ番組ではなく、人間力を高めることができるのも良いポイントだと思いました。(中学3年・女子・千葉)

    • 『キョコロヒー』(テレビ朝日)
      この番組のように出演者が毎回あまり変わらないトークバラエティーは、コーナーも含めてあまり代わり映えがないように思えるかもしれません。しかし、そのぶん毎回安定した面白さがあり、視聴者としても安心感があるなと思います。たくさんの方が出ている番組もいいのですが、この番組のようにゆるく、リラックスして見られる番組に出会えて本当にうれしく思います。(中学2年・女子・東京)

    • 『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)
      キー局や在阪局にできないような、いい意味でのB級感や手づくり感が出ていてとてもいいなと思いました。ほかの地方局が制作した番組もキー局とはまったく違う味を出しているので、もっとローカル番組を見たい!と思い、地方局間でもっと柔軟に番組を融通しあったりできたらいいのにと思いました。(高校1年・男子・愛知)

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)
      お祭りに芸人さんが参加する企画では一緒にその土地の情報をPRしていて、街を知るきっかけになっていいと思いました。祭りの定義などを改めながら企画のノリなどをそのまま残していて、昔から見ていたひとも楽しめると思います。(中学1年・男子・山形)

    • 『マツコの知らない世界』(TBSテレビ)
      「自衛隊メシ」についての特集番組は何度も見たことがありますが、この番組のように陸・海・空それぞれから給養員の方をゲストに呼ぶという企画は見たことがありませんでした。3人の料理隊員の方が一堂に会することで、それぞれの特色が明確に分かり、とても面白かったです。空自の料理についてお話してくださった方が「日本一元気な、ご飯をいっぱい食べてくれる人にご飯を作りたい」という理由で給養員になったという言葉にはとても感動しました。「やりがい」をいちばん大切にして仕事を選ぶという姿勢を、将来進む道や仕事を決めるときに思い出したいです。(高校2年・女子・東京)

    • 『有吉ぃぃeeeee!』(テレビ東京)
      毎回気になったゲームを取り上げてくれ家族と楽しく見ています。「負けた人に罰ゲーム」などということがないのでいつも安心して見られます。食についても毎回紹介してくれるのでご飯を食べている時の会話がとても面白いです。(中学2年・女子・山形)

    • 『100カメ』(NHK)
      大河ドラマの制作現場に密着していた。戦いのシーンは主役の武将を見ることが多いですが、エキストラや動物の撮影と演出にもこだわっていて、ときには別撮りの映像を使うことで映像の効率とクオリティを上げていることが分かりました。作品を見るだけでは知ることができない裏方の努力が見られる部分もこの番組の醍醐味です。(高校3年・男子・千葉)

    • 『むっちゃリサーチ!関西リアルコスパ』(毎日放送)
      商品の値段だけではなくほかの要素も加えた“コスパ”から紹介しているところに独自性が出ていて面白かったです。番組内のコーナーを明確に分けていたことで情報が錯そうせず、変に間延びしている感覚がなくて見やすかったです。すでにある商品データだけを使って計算するのではなく、番組が独自に実験しているのも面白かったです。ランキングが絡む番組の多くは、順位の結果がコーナーの終盤に発表されると思いますが、それが見ていてストレスが溜まる原因になっているのではないかと考えます。もしランキングの結果をコーナーの初めのほうで発表した場合、今までのようなランキングの結果がいつ発表されるかを注意し続ける見方から、ランキングの結果を知ってリラックスしたうえで商品の詳細な情報に耳を傾けられるような見方に変わるのではないかと思います。(高校1年・男子・兵庫)

  • 【自由記述】

    • ここ2、3年の動物系バラエティー番組のほとんどがインターネットで話題になった短い動画を引用しているのが気になる。コロナウイルスの流行初期はそのような形式の番組が増えたことにも違和感を覚えなかったが、規制緩和が進むいま、このようなジャンルの番組はもとの形に戻っていく必要があると考える。動物の面白い動画や人気の動画はスマートフォン等で手軽に閲覧でき、テレビという媒体を通すメリットがないからである。テレビ局の強味を生かし、高価な資料映像の放送や一般人の立ち入りのできない場所の取材などを行なってほしい。(高校3年・女子・東京)

    • 最近あまりウクライナのことが言われなくなりましたが、今どういう状況なのかを知りたいです。(中学2年・女子・山口)

    • ロシアのウクライナ侵攻から3か月以上経っていますが、最近はこれについてのニュースが少ないように感じます。テレビで見ないと、政治関連のニュースはあまり情報が入ってこないので、定期的に報道していただきたいです。(中学2年・女子・山形)

    • 最近、情報番組等で出演者がコメントする際、批判がないようにと慎重に言葉を選び、誰でも思うようなコメントは多いです。同じような意見ばかりだと、人は同じような考えになってしまいます。このようではメディアとしての意義が失われてしまいます。より多くの意見を多くの人に知ってもらうのがメディアなのではないか、と家族と話をしました。(中学2年・男子・山形)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ロッチと子羊』(NHK Eテレ)
      面白くて30分一気に見終わりました。登場した哲学者の著書や解説書などの紹介があると、興味を持った人がより学びやすくなるのではと思います。(高校1年・男子・滋賀)

    • 『激レア動物タイムズ』(テレビ東京)
      このような動物を扱う番組はいろいろあると思うが、空港探知犬など社会において動物が重要な役割をはたしていると気づかされた。こうした番組は、動物の殺処分などへの意識を啓発するという意味でも価値があると思う。(高校3年・男子・東京)

◆委員のコメント◆

  • 【バラエティー番組の感想について】

    • トーク番組での話題について地方在住の観点から感想があった。テレビは依然、とくに青少年にとって世界とつながる重要な窓口になっていて、自分の住んでいる地域の価値について考え直す契機にもなっているのだなと思った。

    • 人気が高まっているeスポーツやゲーム番組の青少年の見方がうかがえた。一時期は地上波から消えたゲーム番組だが、ネットのゲーム実況動画との差別化を図りながら、いまのテレビバラエティーらしい仕上がりになっているという印象を受けた。

    • ランキングの結果を初めのほうで発表してもいいのではという意見があった。「ランキングはCMの後で」という考えで固まっている制作者が“そうかもね”と思うような、そもそも的な感想だった。

    • 「世界の果てまでイッテQ!」についての感想は、番組の新しい模索が若い視聴者に受け入れられているのだなと思えるコメントだった。祭り企画を立て直した番組制作者の皆さんに、個人的には敬意を表したいと思う。

  • 【自由記述について】

    • 海外の衝撃映像を紹介する番組について、家族の中でも好みが分かれるという感想があった。とても鋭い分析で、動画投稿サイトにあるものをテレビにも求めるのか、それともネットにはないものをテレビに求めるかの違いなのかと思う。

    • ネットで話題になった動画を引用する手法に対し、それでいいのかという意見があった一方、いま流行っているいわゆるバズりものの特集を評価する声もあり、とても対照的な受け止めだと思った。

今後の予定について

地方局との意見交換会について、次回以降に対象地域と日程を具体的に詰めていくことになりました。

以上

第246回 放送と青少年に関する委員会

第246回-2022年5月

視聴者からの意見について…など

2022年5月24日、第246回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、8人の委員全員が出席しました。
4月後半から5月前半に寄せられた視聴者意見には、美容整形手術をテーマにしたバラエティー番組に元AV女優が出演したことに対し、「ゴールデンタイムの出演はいかがなものか」「家族で見ていられない」などの意見が寄せられました。また、恐怖体験を語るトーク番組で、お笑い芸人がエレベーターに乗った時に先に待っていた女性が一緒に乗って来ず、自分を警戒していたことが不服でもう一度戻って反応を見ようとしたら、既に姿がなく恐怖でゾっとしたというオチの話をしたという内容に対し、「性被害を自衛する女性を批難する言動」「人権意識が希薄だ」という意見が寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
5月の中高生モニターリポートのテーマは「最近見たニュース・報道・情報番組について」でした。モニターからは知床の観光船沈没事故の報道で、「被害者家族への取材に気配りが感じられた」という受け止めの一方、「運航会社を批判的にとらえるインタビューばかりだった」「亡くなった人の手紙を公開する必要はないのではないか」などの意見が寄せられました。
委員会ではこれらのモニターからの意見について議論しました。
最後に次期調査研究のテーマ選定や、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解についての意見交換会、および地方局との意見交換会など、今後の予定について話し合いました。
次回は、6月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2022年5月24日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニターについて
自殺報道のガイドラインについて
調査研究について
地方局との意見交換会について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

4月後半から5月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
美容整形手術をテーマにしたバラエティー番組に元AV女優が出演したことに対し、「ゴールデンタイムの出演はいかがなものか」「家族で見ていられない」などの意見が寄せられました。委員からは「以前から同様の批判的意見が寄せられることがあるが、出演自体が青少年に与える影響はあまり感じられない」「番組の内容自体に特に問題はないと思われる」といった意見が出されました。
恐怖体験を語るトーク番組で、お笑い芸人がエレベーターに乗った時に先に待っていた女性が一緒に乗って来ず、自分を警戒していたことが不服でもう一度戻って反応を見ようとしたら、既に姿がなく恐怖でゾっとしたというオチの話をしたという内容に対し、「性被害を自衛する女性を批難する言動」「人権意識が希薄だ」という意見が寄せられました。委員からは「心霊体験もどきの話を意図したもので、話を盛り上げるための状況説明の範囲だろう」という意見が出されました。
何百年も続く旧家に嫁ぐ庶民の女性の苦闘を描くドラマで、子どもが溺れていても一族の人間が誰も助けず傍観する薄情な様子や、主人公をサウナに閉じ込める危険な行為の描写に対して、「人命を粗末にしている」「いじめを助長する」などの意見が寄せられました。委員からは「フィクションとしての設定であり、特に問題はないと思われる」との意見が出されました。
特撮ヒーロー番組で、敵に操られて悪に染まった人間を主人公が見殺しにし「悪い奴は死んで当然だ」という発言をしたことに対し、「あまりに残酷」「改心させて欲しかった」などの意見が寄せられました。委員からは「勧善懲悪ストーリーの範囲内で、そこまでの影響はないだろう」との意見が出されました。
高級料理を皆で食べその料金を予測し一番外れた者が全額を負担するという番組で、一人の出演者が連勝し続けている状況下で他の出演者が「負けろ」「空気を読め」などの嫌がらせをしたことに対し、「ズルではなく実力で勝ち続ける人を貶めるようなやり方は、いじめにしか見えない」「学校や会社でのいじめに繋がる」との意見が寄せられました。委員からは「弱い者への集団的行為と捉えられるものではない」「強い者に対するやっかみレベルの演出と思われる」との意見が出されました。
童謡の歌詞を替え歌にしてお笑芸人に仕掛けるドッキリ企画に対し、「子どもが真似をする」「冷蔵庫に人が入るのは危険」などの意見が寄せられました。委員からは「同様の番組について前回も議論しており、このような視聴者意見が来ていることを確認してほしい」「今回は一人に連続して全部を仕掛ける内容にはなっておらず、全体として討論に進むという程度には至っていないと思われる」との意見が出されました。
今回の委員会の議論から、「討論」に進んだものはありませんでした。

中高生モニターについて

5月のテーマは「最近見たニュース・報道・情報番組について」でした。朝や夕方の情報番組を取り上げたモニターが多く、いくつかの番組を比較した報告もありました。
一番感想が多かった知床の観光船沈没事故の報道では「被害者家族への取材に気配りが感じられた」という受け止めの一方、「運航会社を批判的にとらえるインタビューばかりだった」「亡くなった人の手紙を公開する必要はないのではないか」などの声がありました。
山梨県の不明女児や芸能人の自殺に関する報道については「もっと家族などに配慮すべきではないか」という感想が複数寄せられました。
「自由記述」では、ウクライナ情勢の報道や生放送中の地震対応などについて要望・感想がありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、バラエティー番組の『LIFE!春~君の声に捧げるコント~』(NHK)に8人から感想が寄せられ、とくに「大人たちに言いたいこと」をお題にした”子ども川柳”に「共感できた」という声が挙がっていました。そのほか『香川照之の昆虫すごいぜ』(NHK Eテレ)、『世界くらべてみたらSP』(TBSテレビ)にそれぞれ3人から、『半分だけで考えてみた!』(NHK BS)に2人から感想がありました。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道・情報番組について】

    • 観光船の沈没事故をはじめ不明女児や芸能人の死去に関する報道で、家族にお気持ちを聞くシーンが多かったように思う。観光船事故の報道で、被害者の手紙を公開したことに疑問の声があったが、事故と関係ないようなプライベートな話を報じる傾向はあるので、何が必要で何が必要でない情報か、私たちが得るべき情報は何かということを一緒に考えたい。

    • 観光船事故の報道で「運航会社が悪者のようなインタビューばかりだった」という声があった。ただ、こうした事故があったときどういう会社かを知るためには周りにインタビューをするし、それを放送すると結果的に悪者のようになってしまうことがある。それを抑えようとすると公式な発表があるまで報じられなくなってしまい、その辺の兼ね合いについても考えてもらえればと思う。

    • SDGsの話に関心を持っている中学生モニターがかなりいたことは喜ばしい。報道や学校教育などの効果だと思う。

    • ローカル番組を取り上げてローカル性の良さに触れている報告が複数あった。ローカル放送局の大切さも意識して見てくれているのはよいことだと感じた。

  • 【自由記述について】

    • 報道番組のキャスターについて「コメントが的確で、スポーツニュースのときに楽しそうでいい」などと評価する声があった。キャスターに対しても、そうした人間性が見えたようなときに親しみを感じたりするのだろう。

    • 「昔よりバラエティー番組の幅が狭くなった」という記述があった。少し深読みかもしれないが、もっと自由にやっていいのではないかというような感想と受け止めた。

    • バラエティー番組のパターンが似てきていて幅が狭くなった、という印象を持っているのかもしれない。

    • 中高生がテレビのバラエティーに求めるのは、今のお笑いの第7世代と呼ばれる若手に象徴されるように、コンビ仲がいいとか優しい笑いのようなものではないか。若手芸人の皆さんや若い制作者の方々は、そのあたりの感触もよく分かっているのではないかと思う。

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 『LIFE! 春~君の声に捧げるコント~』(NHK)に多くの感想が届けられた。NHKの「君の声が聴きたい」キャンペーンの一環だったが、とかく重いテーマになりがちなところをうまくコントにつなげ、子どもたちの今のリアリティを吸い上げたのではないか。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道・情報番組について】

    • 『news every.』(日本テレビ)、『ゴゴスマ』(CBCテレビ)知床観光船沈没のニュースに関しては、報道陣の方々の多くは、被害者家族の方々にマイクを向けることに十分気を配っていらっしゃるように感じます。一方で、山梨県道志村の不明女児の報道に関しては、少し違和感を覚えています。行方不明の女の子の母親に対して、捜査が進展するたびに報道陣の方々からのマイクやカメラが向き、連日母親のコメントが報道されている印象です。いちばん辛い状況におかれているはずのご家族に対しては、極力配慮をするべきだと思います。(高校2年・女子・東京)

    • 『ZIP!』(日本テレビ)、『情報7DAYSニュースキャスター』(TBSテレビ)亡くなった被害者の方のプロポーズの内容が書かれた手紙の公開はしなくてよいと強く思いました。相手の方のためだけに書かれたものを亡くなったからといって公開することはプライバシーの侵害です。「もし、自分が」と思うと「あなたたちに伝えたかったことじゃない!」と思ってしまうなと思いました。「他の番組では放送しないことを放送して見てもらおう!」ではなく、「どの報道番組よりも相手に寄り添う番組にしよう!」という心がけで番組が制作されたら「見てみたいな」となると思います。(高校2年・女子・千葉)

    • 『Live News イット!』(フジテレビ)北海道の観光船が事故を起こしたというニュースの取り上げ方が気になりました。当初、事故を起こした会社を批判的にとらえる、会社を悪者にするようなインタビューばかり放送されていて「もし、これが別の原因で起こってしまった事故だったら番組はどうやって責任をとるつもりだろうか」と疑問を持つとともに怖くなりました。「取材部ネタプレ」のコーナーはとても面白いなと感じています。普段、現場で取材をしている記者たちがイチオシのネタをプレゼンしていて、記者だからこその詳しい情報が分かるし、毎回惹かれる見出しと内容なのでどの記事もとても気になります。選ばれなかった記事も見てみたいなと思いました。(高校2年・女子・岩手)

    • 『めざまし8』(フジテレビ)上島竜兵さんが亡くなられた時のニュースを見ました。ネットでも問題視されていましたが、死因を報道する、本人の自宅前からの中継、近隣の方へのインタビューなど、やり過ぎた報道が行われていたように思います。今回の報道の仕方は、上島さんへの配慮と同時に、視聴者への配慮も足りなかったのではないかと思います。(高校2年・女子・広島)

    • 『news23』(TBSテレビ)今回の放送は、局のSDGsウィーク中であったこともあり、その話題を冒頭にもってきていたのは印象づけられて良いと思いました。SDGsのように長期的な取り組みを継続して報道する姿勢は素敵だなと思います。番組中盤の「調査報道23時」では、映画界の性暴力被害について、被害者のそのままの声を時間をかけて伝えたり、具体的な被害の内容や現場の取り組みについても伝えたりしていて内容が深く入ってきました。(高校1年・男子・兵庫)

    • 『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)平日朝に放送している『ZIP!』は朝の情報番組ということもあり、短い時間でたくさんのことを伝えているのですが、バンキシャ!は日曜日にゆっくり深掘りできる内容なので落ち着いてみることができる。時間帯や曜日ごとに取り上げ方が違うことに、制作をしている方々の工夫を感じた。(中学3年・女子・千葉)

  • 【自由記述】

    • 知床遊覧船の沈没事故についてのニュースの中で、事故当日に交際相手の女性にプロポーズをする予定だった男性が書いた手紙が公開されていて驚きました。この事故を実感を持って伝えるには有効な報道の仕方でしょうし、遺族に公開の許可をとっていれば問題ないというメディアの考え方もわかります。ただ問題は、ニュースの受取り手が「亡くなられた男性に対するプライバシーの侵害だ」「メディアには道徳が欠けているのではないか」などと感じていること自体です。そうなってしまうとメディアが伝えたかったニュースの核の部分が入らなくなってしまいます。”多くの人に見られる番組”だけにとらわれないようにお願いします。(高校1年・男子・兵庫)

    • 芸能人の方が亡くなるニュースが次々と入ってきました。詳しいことはよく分からないのですが、この報道をするたび同時に「こころの相談窓口」の電話番号なども画面に映されますが、なんとなくその部分の説明が形式的な「社会的な義務だからやってます」という雰囲気がして気になっています。(高校1年・男子・滋賀)

    • ロシアとウクライナの情勢について、在日のロシア人が日本人に誹謗中傷を受けていることに違和感をもっています。これは、マスコミの報道の仕方に問題があると思います。そこで報道するとき「ロシア」と使わずに「ロシア軍」や「プーチン大統領」など、ロシア国民には侵攻に関与したり支持したりしていない人が多いことをしっかり示してほしいです。(高校2年・男子・福岡)

    • 通販番組は一社だけの収入になってしまいます。この状態が激しくなってしまうと、お金のある企業だけがどんどんメディアを侵食し、その企業の作りたい未来しか作れません。テレビ・ラジオという選択の余地が限られているものの中で、そのようなことをやっても大丈夫なのか?と家族と話しました。地方になればなるほど選択ができなくなって真実がぼやけてしまいます。通販番組のあり方についてもう一度考えてほしいです。(中学2年・男子・山形)

    • 最近、日本では地震がとても多くなり、生放送の番組を見ていて、そのアナウンサーの対応がとてもすごいなと思います。どの番組のどのアナウンサーも瞬時に言葉を選び、その言葉は私たちの不安を和らげてくれるような気がします。地震が起こるとすぐに生放送をやっている番組に切り替えます。生放送、アナウンサー、とてもすごいし大切だと思います。(中学2年・女子・東京)

    • 昔と比べてバラエティー番組の幅が狭くなったと感じます。興味を持ったお笑い番組の多くも深夜にやっていて少し残念です。SNS時代である今だからこそ、少し奇抜、クセのある番組を放送しても良いのではないでしょうか。(中学2年・女子・山形)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『LIFE!春~君の声に捧げるコント~』(NHK)川柳のコーナーでは、同じ世代の人たちの声だったので、とても共感しました。家族に対する思春期特有の悩みがある人は、一緒にこの番組を見たら「ここをもう少しこうしてほしい」などと、素直に話せるようになるのではないでしょうか。(中学2年・女子・山形)

    • 『世界くらべてみたらSP』(TBSテレビ)SDGsやガーナのゴミ問題など、世界や地球環境について考えることができた。ゴミを使ったアート作品は、売ったお金を現地で活用していて、あまり世界で活躍する日本人をみる機会がなかったので知ることができてよかった。(中学2年・女子・山形)

自殺報道のガイドラインについて

中高生モニターからの意見等を受けて、自殺報道についての議論となりました。
人気お笑い芸人の訃報を伝える情報番組で、自殺の手段を伝え自宅前からの中継に街頭インタビューを交えて動機を推測するなど、直接的な表現を使った報道に対して、「WHOの自殺報道ガイドラインを認識しているのか」「厚労省が注意喚起したのは明らかに特定番組だ」との意見がありました。
2020年にも芸能人の自殺報道が問題になり厚労省の注意喚起が出され、民放連でもWHOの自殺報道ガイドラインと共に自主・自律的に対処する呼び掛けがあったことが事務局より報告されました。
委員からは、「行政の介入には反対だが、直接的な表現を使った報道には問題があると思う」「自殺報道に限らず、行政機関から注意喚起があったという事態を踏まえ、報道の自由を守るという視点から考えていただきたい」「相談窓口の紹介さえすればアリバイ的に大丈夫というマニュアル化に陥っているのでは」「知床の観光船事故のプロポーズ全文もそうだが、エモーショナル過ぎないか」などの意見も出されました。

調査研究について

次期調査研究担当委員から、青少年がバラエティー番組から得られる満足をテーマとする研究の提案があり、年次変化を見る調査方法などについてのプレゼンが行われ、それについて意見交換しました。
次回以降に継続して議論を行い、調査研究のロードマップを検討することになりました。

地方局との意見交換会について

新型コロナウイルス禍により開催が延期されていた青少年委員会と地方局との意見交換会を、感染状況を考慮し感染防止に配慮しつつ、年度内に再開する方向で準備を進めることになりました。

今後の予定について

本年4月15日に公表した「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解をテーマにした在京・在阪各局の番組制作担当者を招いての意見交換会を開催する予定です。

以上

第245回 放送と青少年に関する委員会

第245回-2022年4月

視聴者からの意見について…など

2022年4月26日、第245回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、8人の委員全員が出席しました。
3月後半から4月前半に寄せられた視聴者意見には、4月スタートの深夜トーク番組のパイロット版が3月に生放送され、グラビア美女へのセクハラや過激で下品な性的表現、容姿をアフリカ民族への侮蔑的表現を使って揶揄した発言などがあったことに対し、「女性蔑視も甚だしい、非常に不快だ」「時代に沿ったコンプライアンスを学び直してと欲しい」といった意見などが寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
4月の中高生モニターリポートのテーマは「これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について」でした。モニターからは、第二の人生を歩む姿を描いたドキュメンタリーについて、「平和で生き生きとした暮らしぶりを見ていると、とても心が和みます」などの意見が寄せられました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
最後に今後の予定について話し合いました。
次回は、5月24日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2022年4月26日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニターについて
今後の予定について
その他
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

3月後半から4月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
4月スタートの深夜トーク番組のパイロット版が3月に生放送され、グラビア美女へのセクハラや過激で下品な性的表現、容姿をアフリカ民族への侮蔑的表現を使って揶揄した発言などがあったことに対し、「女性蔑視も甚だしい、非常に不快だ」「時代に沿ったコンプライアンスを学び直してと欲しい」といった意見が寄せられました。
委員からは、「“アイヌ蔑視発言”とも関連するが、放送倫理上の問題と思われる」との意見が出たうえで、「確かに下品の極みだが、テレビ局は後日ホームページで謝罪し、さらに社長会見でも謝罪している」「番組のレギュラー化に際して生放送は取りやめ、チェック体制の強化を表明している」などの意見が出され、局として自主・自律的な対応を取っていることから議論はこれで終了することにしました。
男性アイドルグループの一人が他メンバーにドッキリを企画するが、最後に企画者本人に対して、他メンバーに敢行したドッキリ・ネタ全てを一気に連続で仕掛けられる”ドッキリ返し”を番組スタッフからされるという内容に対し、「拷問、集団リンチだ」「いじめの様な酷い内容を周りが笑っていることが怖い」という意見が寄せられました。
委員からは、「一つ一つの内容はそれほど危険・残忍とは思えないが、最後に一人に対して総掛かりで有無を言わせず仕掛ける様は、仲間内の“いじり”を越えて、そのしつこさは”いじめ”を想起させる」「芸人ならある程度了解済みということは理解できるかもしれないが、仕掛けられるのがアイドルだと小さい子どもにはそうは見えないのでは」「簡単に出来そうな仕掛けだからこそ、安易に模倣される恐れがあるのでは」などの意見が出されました。これについては、委員会が4月に「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について「見解」を出したことも踏まえ、これ以上の「討論」には進まないこととしました。
今回の委員会の議論から、「討論」に進んだものはありませんでした。

中高生モニターについて

2022年度の新しい中高生モニターは30人です。4月のテーマは「これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の欄も設けました。全員から報告がありました。
「これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について」では、テレビが25番組、すべて違う番組が寄せられました。ドキュメンタリー、ドラマ、バラエティーなどジャンルはさまざまで、何年も前に見た番組を取り上げたモニターも複数いました。ラジオは4番組で、2人が同じ番組を挙げていました。
「自由記述」では、ウクライナ報道について「どの言葉がうそで、どの映像が正しいのか分からず困惑している」などの声がありました。新年度になり「ご長寿番組が次々に終了して残念」といった感想もありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『バリューの真実』(NHK Eテレ)と『東大王SP』(TBSテレビ)にそれぞれ4人から感想が寄せられました。

◆委員の感想◆

  • 【これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について】
    • ドキュメンタリーでもドラマでも、生き方や社会の現実を反映した番組が印象に残っているように感じる。小学校低学年の頃に見た番組を挙げたモニターも複数いた。テレビやラジオの番組が、一部の若者にこれだけ影響を与えているということを制作者に伝え、心に残るいい番組を作ってほしいと思う。

    • テレビやラジオに関心がある若者は、脚本家やディレクター、放送作家といった裏方の制作者への関心も強いと感じる。かつてバラエティーにあったような裏方も表に出て笑いを取るというやり方とは違う形で、制作者の存在を魅力的に伝えることも、これからの放送の価値を高めていくうえで重要なのではないか。

    • シニアが第二の人生を歩む姿を描く番組を挙げたモニターは、年代を問わず視聴者の心を和ませ、ポジティブな生き方を参考にできる、という感想を寄せてくれた。自分も常々、家族そろって見られる番組とはどんな特徴なのかと考えているので参考になる意見だった。

    • 東京にある店の特集は自分たち県民にはほぼ無関係なので全国の人に役立つ情報がほしい、というモニターの声があった。情報はどうしても東京に偏ってしまうところがあり、地方の人たちはどんな思いでこういう番組を見ているのだろうかと気になっていたところがあり、その辺のバランスも必要なのかと思う。

  • 【自由記述について】
    • ウクライナ報道について、戦闘や遺体の映像を流すときは、多くの人が安心して見られるよう(注意書きを表示するなどの)配慮が欲しい、という声があった。戦争の悲惨さを伝えるときは「安心できないもの」ということが伝わらないと意味がない気がするが、今は戦争を扱ったドキュメンタリー番組でも残虐なシーンが問題になったりする。それで報道と言えるのだろうかというところもあり、非常に難しい問題だと感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について】
    • 『シリーズ江戸川乱歩短編集』(NHK)このシリーズの面白いところは、回によって演出家が変わるところです。「江戸川乱歩という一人の作家の短編を4人の演出家が30分の映像にする」。この試み自体がとてもユニークだし、どの回も演出家の個性が出ているので「明智小五郎」という人物の新しい顔を見ることができて楽しいです。ワクワクします。(高校2年・女子・埼玉)  

    • 『ねほりんぱほりん「児童相談所職員」』(NHK Eテレ)普段は報道されることのない立場の方、しかも児童虐待をいちばん近くで見てきた方が児童虐待について語るこのような番組は、「児童虐待防止」を訴えるうえで、とても重要だと思いました。この番組の面白い点は、人形劇で展開していくところだと思います。「児童相談所職員」の回は、特に重い話が多い回だったのですが、随所にくすっと笑えるようなシーンが挟まっていて、自分の気持ちをリセットしながら見ることができました。(高校1年・女子・東京)

    • 『掟上今日子の備忘録』(日本テレビ)小学2年生の時にたまたま見たドラマで、掟上今日子の総白髪で眠ってしまうと記憶がリセットされてしまうというキャッチ―な設定に心ひかれたことをよく覚えています。どんな難事件も一日で解決するため、とてもスピーディーで、凝ったトリックが見ていてとても楽しかったです。いかに一日が大切なのか、記憶に残るような一日を過ごせていることはとても幸せなことなのだと幼いながらに思いました。(中学3年・女子・群馬)

    • 『カルテット』(TBSテレビ)夜10時という当時は遅い時間に、大人の世界を垣間見たような感覚だった。コメディタッチで楽しみやすい部分もありながら、登場人物が抱える秘密や関係性など、それまでは見たことのないようなストーリーで、俳優がエンディングを歌っているなどすごく新鮮だった。(高校1年・男子・埼玉)

    • 『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ)私はこのドラマの影響を受けてプログラマーみたいな、人のために役立つものを作れる人になりたいと思い、現在高校3年生ですが、志望大学の工学部に入学できるよう毎日勉強しています。小学生の時に見始めてから今まで、考え方などずっと影響されています。1話~最終話まで30回以上見ていますし、今でも勉強するときはサウンドトラックを聴きながらやっています。(高校3年・女子・茨城) 

    • 『人生の楽園』(テレビ朝日) 平和で生き生きとした暮らしぶりを見ていると、とても心が和みます。毎週違った家庭の様子を取り上げることで、たくさんの人々から、自分の参考になるような生き方、考え方が得られます。年代を問わず視聴者の心を和ませ、ポジティブな生き方を参考にできる、とても良い番組だと思います。(中学2年・女子・鹿児島)

    • 『二つの祖国』(テレビ東京)2019年3月に特別企画のドラマとして放送されていました。そのなかで、ジャパニーズ・インターンメントと呼ばれる第二次世界大戦下での日系人の強制収容を描いたシーンがありました。私はアメリカに留学していた経験があるのですが、アメリカでは、ひとつの人権侵害が行われた事件としてこれを歴史で学びます。番組を視聴して、改めて戦争の残酷さを感じたとともに、戦争を日系アメリカ人という新しい立場から考え直すことができ、自分の視野が広がったと感じます。現在行われている戦争でも、置かれている立場が似ている人がいるのではと思い、痛ましくも感じます。(高校3年・男子・東京)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)いじめや貧困、障がいなど、社会的に前向きに掘り下げないような内容に優しく寄りそって一緒に考えているところが長所だと感じました。もう少し聴きやすいように放送時間を早めてほしいです。自分のようにスマホを持っていないリスナーも多いと思うので、固定電話でも参加できるイベントをつくってほしいです。(中学1年・男子・山形)

    • 『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)
      いつもと違う6人全員集合の回でしたが、誰かが話しているときは耳を傾ける、一気に沢山の人が話さず、1人が話し、面白い場面ではみんなで笑い合えるのが、バランスがよくとても聴きやすかったです。聴くだけでなく、メールで参加しやすい参加型のラジオで、読むスピードもちょうど良く、ラジオに若い世代を取り入れるには最適だったと思います。(中学2年・女子・山形)

  • 【自由記述】
    • 私が小学生だった頃よりも番組の入れ替わりが激しくなり、中には1年で終わる番組もあらわれるようになってとても悲しかったです。SNSなどで流行が秒単位で変わる時代だからこそ、テレビ番組は流行を最速でキャッチするより、少し古くてもそこが味になるような世代を超えて愛される存在でいてほしいと私は思います。(高校2年・女子・岩手) 

    • テレビからスマホ時代になっている今、似たような企画を行う番組が増えたように感じます。コロナ禍であるため制限されることもあり、番組制作が今まで以上に大変だと感じておりますが、そんな世の中だからこそ、明るく笑顔になるような番組を待っています。(高校2年・女子・千葉)

  • 【青少年へのおすすめ番組】
    • 『バリューの真実』(NHK Eテレ)MCを務めるSixTONESが高校生の目線に立って質問に答え、説明をしているので、まるで学校の先輩に教わっているかのような親近感が湧きました。「価値観のズレ」に焦点を当てているので、保護者とのコミュニケーションが少なくなっている方や、あまり保護者と話さないという方は、保護者と一緒に視聴するのも良いのではないかと思いました。この番組を一緒に見ることで「私も実はこんな悩みがある」「こんなコンプレックスがある」と話しやすくなるのではないでしょうか。(高校1年・女子・東京)

    • 『東大王SP』(TBSテレビ)この番組は知識も必要ですが、ひらめき問題も豊富なので小さい子どもも大人も一緒に楽しめるところが良いと思います。あまり悪いところはないのですが、しいて言えば出題から答案までの時間が長すぎることだと思います。(中学2年・女子・東京)

以上