第81回 放送倫理検証委員会

第81回–2014年4月

「全聾で被爆2世の作曲家」と称していた佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題を討議。次回も討議を継続。

第81回放送倫理検証委員会は4月11日に開催された。
冒頭、BPO規約25条に従い、川端委員長が、任期を終えて退任した水島委員長代行の後任に是枝委員を指名した。
4月1日に通知・公表を行ったフジテレビの『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」に関する意見について、記者会見での質疑や当日の報道などが報告され、若干の意見交換を行った。
委員会が1月に通知・公表した「2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見」に対して、当該2局から提出された対応報告書を了承し、公表することにした。
"全聾で被爆2世の作曲家"と称していた佐村河内守氏の作品が、別人のものだったことが発覚した問題について、NHKおよび在京民放キー局から新たに提出された6本の番組を視聴したうえで討議を継続した。その結果、この6本の番組の取材・制作過程についても当該局に詳しい報告を求め、次回委員会でさらに討議することになった。

議事の詳細

日時
2014年4月11日(金)午後5時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、斎藤委員、渋谷委員、
藤田委員(新任)、升味委員、森委員

1.フジテレビの『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」に関する意見を通知・公表

フジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて 2時間スペシャル』(2013年10月20日放送)に出演していたラジコンカーの操作者が、「対決内容を偽造して編集したものが放送された」と告発したことから問題が発覚し、当該局はその事実を認めて、番組を打ち切った事案。同じように不適切な演出上の問題があったと当該局が認めた2011年10月16日と2012年10月21日放送の『ほこ×たて スペシャル』とともに審議が続けられていた。
4月1日、委員会は当該局に対して、委員会決定第20号の意見を通知し、続いて公表の記者会見を行った。当日夜のテレビニュースなどを視聴したあと、委員長や担当委員から記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。

2.「2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見」への対応報告書を了承

1月8日に委員会が通知・公表した「2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見」(委員会決定第17号)に対する対応報告書が、関西テレビとテレビ熊本から4月初旬までに委員会に提出された。
関西テレビの報告書では、再発防止に向けて「選挙報道の原則の周知徹底」や「チェック体制の見直し」などの取り組みを継続すること、意見書の趣旨を周知するために放送倫理セミナーなどを開催したことなどが報告された。
またテレビ熊本の報告書では、「全社的な意識改革」や「チェック体制の強化」のための具体的な対策をさらに推進していくこと、BPO研修会を開催して意見書の趣旨の周知徹底に努めていること、今年4月から放送部の分離移管という組織改正を実施したことなどが報告された。
委員会は、両局の対応報告書を了承し、公表することにした。

3.「全聾で被爆2世の作曲家」と称していた佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題の放送責任などについて討議

全聾で被爆2世の作曲家と称していた佐村河内守氏の作品が、別人のものだったことが発覚したことから、同氏をドキュメンタリーなどで紹介した番組の放送責任などについて、討議を継続した。
NHKおよび在京民放キー局からは、これまでに、佐村河内氏を扱った7本の番組の映像が提供され、このうちの1本については放送に至る経緯をまとめた報告書も提出されている。
各委員は事前に、これらの番組と、NHKが3月16日に自局の情報番組内で放送したこの問題に関する調査報告(約7分半)を視聴したうえで討議に臨み、委員会として、どんなことを、どんな形で言うことができるのか、あるいはできないのかについて意見を交換した。
その結果、長期間全聾の作曲家を演じ続け、虚偽の自伝まで出版していた事案なので、裏付け取材を適正に行えば嘘を見抜けたとして放送倫理違反を指摘するのは適切でないかもしれないが、一連の放送が佐村河内氏の創り上げた「物語」を相互に補強し増幅させてしまったため、それを信じて放送に協力した人々の心に傷を残す結果になったことについて、委員会として何らかの形で考えを示すべきである、という点で意見が一致した。
そこで、残る6本の番組についても、取材から放送に至る過程を中心に、各局に詳しい報告書の提出を求め、次回の委員会でさらに討議を続けることになった。

[委員の主な意見]

  • 放送局が異なっているにもかかわらず、演出や編集内容は非常に似通っているものが多かった。なぜ、ここまで似たような内容のものになったのだろうか。各局の独自取材は、どこまで行われたのだろうか。

  • 結果として番組が、巨大な音楽・出版ビジネスの構造に組み込まれ、加担した感は否めない。言い換えれば、放送が佐村河内氏の創り上げた「物語」を増幅させてしまったと言えるのではないか。

  • 美談に利用された子どもたちのことについて、これまでに提出された各局の報告の中にはほとんど言及がないが、どのように考えているのだろうか。きちんとした反省が必要ではないだろうか。

  • 委員会に付与された権限の範囲内での調査では、詳細な真実を明らかにするには限界があるのではないか。別の視点で何が言えるのかを議論するためにも、残る6本の番組の取材から放送に至る過程の報告書を求めたい。

以上

第208回放送と人権等権利に関する委員会

第208回 – 2014年4月

審理要請案件:児童養護施設関連ドラマ
匿名インタビュー、モザイク処理の在り方…など

児童養護施設関連ドラマに対する申立書を審理要請案件として委員会に諮り、審理要件を満たしているかどうかなどを引き続き検討した。匿名インタビューやモザイク処理について、「委員長談話」案を検討した。

議事の詳細

日時
2014年4月15日(火)午後4時~6時55分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、
小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.審理要請案件:児童養護施設関連ドラマ

児童養護施設を舞台にした連続ドラマに対する申立書を審理要請案件として委員会に諮り、委員会運営規則に照らして審理対象とする要件を満たしているかどうかなどを改めて詳細に検討した。次回委員会で、審理入りするかどうか結論を出す予定。

2.「匿名インタビュー、モザイク処理の在り方」について

報道・情報番組における匿名インタビューやモザイク処理について、「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案と「宗教団体会員からの申立て」事案の両委員会決定を踏まえて「委員長談話」を公表することを決定し、委員長から出された原案や修正案について各委員が意見を述べた。
次回委員会で議論を継続する。

3.その他

  • 2014年度事業計画のうち、意見交換会の日程等について事務局から説明した。また、年度内に刊行予定の『判断ガイド2014』についても事務局から概要を説明した。

  • 次回委員会は5月20日に開かれる。

以上

2014年3月に視聴者から寄せられた意見

2014年3月に視聴者から寄せられた意見

画期的な発見と大騒ぎしたSTAP細胞について、一転非難するメディアの姿勢が無責任、との批難の意見。ソチのパラリンピックの放送時間が少なすぎる、せめて日本人選手が出場する競技ぐらい中継してほしい、との意見など。

2014年3月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,177件で、先月と比較して366件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール72%、電話24%、FAX2%、手紙ほか2%。
男女別は男性71%、女性25%、不明4%で、世代別では30歳代27%、40歳代25%、20歳代16%、50歳代18%、60歳以上10%、10歳代4%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。3月の通知数は496件【49局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、18件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

東日本大震災からまる3年がたつが、そうした節目のときは番組として取り上げるが、ふだんあまり報道しないのは如何なものかといった、疑問の声が寄せられた。
画期的な発見と大騒ぎされたSTAP細胞だが、疑惑が持ち上がると、一転非難するメディアの無責任な姿勢と科学報道の在り方に、批判的な意見が寄せられた。
ソチのパラリンピックに関して、オリンピックに比べて格段に放送が少ないことは、身体障害者に対する差別そのものだといった声が寄せられた。
情報番組のインターネット上の真偽の定かではない画像の使用に対して、制作体制を疑問視する声が寄せられた。
ラジオに関する意見は46件、CMについては48件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は114件で、前月より69件減少した。
これは、2013年の年末に放送されたバラエティー番組について、青少年委員会が審議を行うとしたことに対する意見が減少したことなどが理由となっている。
今月は「性的表現に関する意見」が16件、次いで「いじめ・虐待に関する意見」が15件、「BPOに関する意見」が10件と続いた。
「性的表現に関する意見」では、21時台のドラマにおける、非道徳的な性的関係を肯定するかのようなセリフについて意見が寄せられているほか、今後、放送が予定されている、ライトノベルを原作としたアニメについて、その内容や放送時間への配慮を求める意見があった。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • まもなく東日本大震災が発生した3月11日を迎える。NHK・民放を問わず、3月11日前後の週などでニュースの枠拡大や震災特番を放送するだろうが、また視聴率主義のお涙頂戴的な内容になると思う。津波の場面が出てくる可能性もある。津波の映像は見たくない方が沢山いるので配慮していただきたい。

  • 「東日本大震災」からまもなく3年、今朝のニュースで、復興が遅々として進まない現状が紹介され、暗い話題ばかりがクローズアップされた。私は「阪神淡路大震災」を経験したが、3年経った頃はもっと前向きだった。被災状況が違っても、明るい話題があるはずだ。暗い話題ばかりを放送しても、被災者は元気にならない。涙だけの追悼番組はやめてほしい。

  • 各局とも改めて「震災」を取り上げる番組が、ここ数日増えている。しかし、どの番組を見ても「除染の現状と被曝の実態」について、正面から触れていない。「放射能汚染をどのように捉えるか」が復興のキーワードになるはずだ。視聴者へ真実を伝えて頂きたい。

  • 震災イベントのコンサートを見た。コンサート終了まで放送すると思っていたら、「続きはBS放送でご覧下さい」となった。地上波しか見られない被災地の人々は不快な気持ちになったはずだ。最後まで地上波で放送してほしかった。また、3月11日が近づくにつれ駆け込みで震災を取り上げる番組が多かったが、被災地を忘れないための放送をし続けてほしい。

  • 東日本大震災から3年が過ぎた。被災地の現状は節目になると、ここぞとばかりテレビで報道されるが、それ以外ではほとんど報道されない。被災者の生活は安定してきたものの、被災地の復旧に関してはほとんど進んでいない地域が多々ある状態なのに、日常的にテレビでは報道をしなくなった。目にする機会がなければ関心が薄れていくことは自然なことだ。テレビは、毎日、報道して被災地の現状を知らせることが必要ではないだろうか。また、福島第一原発の報道も少なくなっている。知りたいことは現状だ。福島第一原発には、経験豊富な作業員はほとんど残っていないそうだ。過酷な労働環境に耐えかねて辞めたり、年間被曝線量が上限に達したためだ。現在の作業員の多くは失業者やホームレスなどで、2次災害の発生が懸念される。これらについても報道はほとんどない。もっと、本質的な番組作りをしてほしい。

  • 新しい万能細胞「STAP細胞」に関して理化学研究所の女性研究者の論文取り下げが話題となっている。ところが、検証もせず大々的に報道したマスコミには責任は無いのか。マスコミに持ち上げられて、突き落とされるのでは、可哀相だ。その前の週は、謝罪会見を行った全ろう疑惑のにせ作曲家をマスコミが叩いていた。次は彼女が標的なのだろうか。「iPS細胞」で虚偽発表を行った人物の例など、今までにもマスコミ自身が多角的な取材や十分な検証を行わず、その後にバッシングを行ったことがあったが、自重してほしい。

  • 全ろうのにせ作曲家の件やビットコインの件で特集を組んだ番組で、トラブルが続出している。真偽が確かでないものを、煽るような形で特集番組を組むのは本当に問題だ。詐欺の片棒を担ぐようなことを放送がしていては、被害が拡大する。

  • 代作騒動の全ろうのにせ作曲家をもてはやしたテレビ局の罪は大きい。長時間の密着取材で、その人物に違和感を覚えなかったことが不思議だ。スタッフの目は節穴なのか。「盗作」「全ろう詐欺」などを糾弾する前に、自分たちが真摯に反省し、真実を放送するべきだ。

  • 中立な立場での報道が義務付けされているにもかかわらず、放送内容に偏りが著しかった。元議員が「割合から言うと○○氏を支持した世代は20~30代の若い世代、私たちのような70~80代からの支持は少ない」と言っていた。自らは健全で若者は不健全であるかのような印象操作だ。立候補者を非難するならまだ理解出来るが、投票権を持つ若い世代の国民を公共の電波で非難することは問題ではないか。

  • "サービスエリア内で夜行バスがトラックに衝突した事故"を取り上げていた。事故に遭った運転手へのインタビューの後ろで、キャスターが「この人○○さんに似ていますね」と言う"小さな声"が流れた。事故の被害者へ失礼ではないか。聞こえないと思ったのかもしれないが、本番中に言うことでもない。発言には十分気をつけるべきだ。

  • 「気象予報士逮捕」を伝えていた。この中で「放送局の社長が『遺憾です』と述べた」というナレーションに合わせて(社長が)頭を下げる映像が流れ、画面左上に「映像、去年11月」と出た。これは、今回の気象予報士の事件とは全く関係のない映像だ。"度を越えた作り物"という感じがして、不快感を覚えた。

  • 報道番組やニュースで、コメンテーターや解説者が、アンネフランク本切り裂き事件について「日本の右傾化」や「ヘイトスピーチ」といったキーワードを使って、そういった傾向が事件の背景にあると無責任な発言をしていた。捜査当局でもないのに、どこにそんな証拠があるというのか。憶測をばらまくことは、日本をおとしめようとする勢力に協力しているようなものだ。留意してほしい。

  • 通り魔事件の報道で、犯人と被害者のやりとりを、逐一声優を使って演じていたが、そんなことをする必要があるのか。報道は正確、簡潔、迅速であるべきだ。事件が起きて、犯人も捕まっていないというのに、ドラマまがいの恐怖心や嫌悪感を煽る演出は不適切だ。

  • 通り魔事件の報道をしていたが、車内カメラがとらえた犯人と被害者がもみあっている映像と、タクシー運転手の話が放送された。運転手の目撃談はさておき、もみあっている映像は、入手したとしても流すべきでない。巻きこまれた人が殺されている瞬間だ。血の流れた地面の映像ですら不愉快なのに、人が殺されている瞬間を放送する神経が分からない。ありのままを伝えるという大義名分なのか。そうだとしたら、勘違いも甚だしい。

  • ニュースやワイドショーは、容疑者の学生時代の卒業文集を取り上げる傾向が多いようだが、それが本当に必要なのか。容疑者がある程度の年齢に達しているのならば、昔とは考え方も変わっているだろうし、卒業文集の文章が今の人格や考え方を説明できるとは思えない。また、容疑者が学生であったとしても、卒業文集を本心から書いているという保証はない。人物像の説明として報じることは適切でない。

  • 福島の甲状腺ガンについて放送していたが、事故当初の放射線量が訂正もないままテロップ付きで放送されていた。福島は県民を始め、行政も一丸となって復興に心血を注ぐ3年間だったが、このような誤った情報を精査することなくイタズラに放送されてしまっては、全てが水の泡だ。放送内容は震災と原発事故で苦しんでいる福島県民にさらに追い打ちをかける、メディアの暴力である。

  • 特集「わが子が甲状腺がんに…原発事故との関係は」はすばらしい内容だった。まだ遠慮して正確に暴いていないところがあることは残念だったが、これからどんどん暴いてもらえればと思う。また放射能によるガン化については遺伝子マーカーをいわゆる放射線指紋として用いることで、自然に発症した癌と放射能汚染に起因する癌を区別することが可能となっていることを報道してもらいたい。今回はとにかくすばらしかった。

  • 天気予報に加えて花粉飛散状況予報を放送しているが、大気汚染状況として黄砂やPM2.5の飛散予報も伝えてほしい。PM2.5については刻々と変化しているので、天気予報に併せて情報を流してほしい。大げさと思うかもしれないが、命や健康に関わることだ。

【番組全般・その他】

  • パラリンピックの放送時間があまりに少なすぎる。オリンピックは各局アナウンサーやタレントを滞在させてまで取材、放送していたのに、パラリンピックではそれが全くといっていいほど無い。なぜ差をつけなければならないのか。せめて、日本人が出る競技ぐらいは中継してほしい。パラリンピックこそ本当の五輪の姿なのだと思う。メダルを獲れなくても、一生懸命な姿を見ているだけで感動するのに、残念でならない。

  • 最後にプレゼントがあるのだが、応募する場合、ツイッターでフォローしている人限定となっている。ツイッターをしないと応募出来ないのである。一種の差別であり、公平性に欠く。子どもの場合はトラブルもあるし、高齢者ではツイッターへの登録方法も分からない。この応募要項は、問題がある。

  • 日本に来た外国人の旅行に同行する番組だが、多種多様な目的で日本に来ていることが分かり、面白い。日本にいると分からない事柄が多いことに、あらためて気付き感心している。嫌がっている人に無理強いすることだけは絶対やめてほしいが、このような良質の番組は今後も続けてほしい。

  • バッグの上手な使い方や今年の流行の紹介ということで楽しみにしていたのだが、VTRで紹介している間、ずっと画面上にワイプが出ていて、しかも出演者が反応する声が流れており、せっかくの解説が聞きとりにくかった。仕方なく番組の公式サイトで内容をおさらいしたが、もっと見やすい番組を作ってほしい。

  • 葬儀費用のことを取り上げていたが、その内容に違和感と不快感を覚えた。人の死に対する尊厳が全く感じられず、まるで品物を買うかのような表現が多々あった。不透明な業界に切り込む姿勢は評価できるが、葬儀は、お金がなくても生前故人にゆかりがあった方々に最期のお別れをしていただく場である。穏やかに送ってあげたいと思うのが遺族だ。それなのに、人の死に関わる儀式を商品のように扱うことは、人の死を軽んじる風潮を誘っているかのように思えた。

  • 「東北復興への思いを乗せてSLが走り抜きます」という触れ込みの企画で、確かにところどころ中継が行われた。しかし実際にSLで牽引したのは最初と最後だけで、途中の区間は電気機関車で牽引していた。番組を仔細に見ると、SLの走る区間を表示しているが、触れ込みが過剰で、最初から最後までSLが牽引すると見ている人は思ってしまう。詐欺とまでは言わないが、楽しみにしていた被災地の人達や子供たちを逆に落胆させるような企画、番組構成には問題がある。

  • 女性の芸人が極寒の北欧地域に行き、雪の中、薄着で、氷の張った湖の中に入るという内容だった。氷の張った湖の中にからだを入れるということは、危険そのものだ。日本から行って「根性」「芸人魂」という、そんな言葉で追い詰めてさせて良いことではない。女性は子を産む性だ。このような内容を放送することで、女性の体に対する思いやりや気遣いがなくなるように思えて仕方ない。

  • 洋画を放送していた。各局が追悼式を生中継する中、14時46分から1分間の黙祷では、衝撃的なシーンが流れた。「てめぇなんか、ぶっ殺してやる!」という台詞だ。震災から3年経って、誰もが悲劇的なことを思い出したくないというのに、残虐的な映画をこの時間に放送することはいかがなものか。日にちと時間を考えたうえで放送してほしい。

  • 高校の吹奏楽部がコンクールで日本一になるまでを密着取材した一連の放送内容は素晴らしかった。青春時代の全てを吹奏楽に費し、真摯に部活に打ち込む生徒の姿や、厳しくも暖かい先生の指導は、「やればできる」ことを視聴者に適切に伝え、感動を呼ぶものだった。特定の生徒ばかりを追っていた点など構成上の工夫を要する場面はあるものの、青春時代を過ごす学生や生徒の頑張りを伝える特集は今後も続けてほしい。

  • 最近、差別を助長するようなネタで番組作りをしているものが多い。例えば、「○○の格付け」と称して年収等でランク付けしたり、「ママカースト」を話題にしたりしている。一昔前は「負け犬」という言葉もあった。今、いじめによる子どもの自殺が増えている。社会全体が差別を助長していては問題である。

  • インターネットの依存についての特集で、少年がパソコンに向かって叫びキーボードを叩き壊すという大変ショッキングな映像が流された。ここで使われた少年の映像は、何年も前からインターネット上で公開されているもので、映像に映る少年自身も演技であるということを明かしているらしい。演技で人を楽しませようとしたジョーク映像であるにもかかわらず、それを現実にインターネット依存になり発狂してしまった人間のように見せかける構成は、視聴者に誤解を与えるものだ。いずれにしても怪しいネット上の映像は使用するべきではない。

  • 地上波のゴールデンタイムに、芸能人の私生活やスキャンダルなどふざけた内容のバラエティーが増えて、テレビが楽しめなくなった。そのような内容は視聴者にとって興味はなく、不愉快だ。20代~40代の人や子持ちの主婦がテレビ離れをしている原因はテレビ局にある。

  • お笑い芸人にドッキリを仕掛けるという企画だった。スタジオ全員が仕掛け人になり、内緒で打ち合わせもしていた。そして収録の開始時間をわざと違えて伝え、収録開始に遅れさせた。また、格闘家たちが喧嘩をしている場面もあった。それを見て芸人はあまりにも驚き、呆然としていた。そんな状態の芸人に罰として、皆がギャグを披露するようにしつこく要求していた。これではドッキリではなく度を超えたいじめだ。一緒に見ていた子どもが「かわいそう」と言っていた。

  • 特集コーナーで、探偵業者が車で対象者の女性を待ち伏せし、携帯電話を無くしたように装い、女性の携帯番号を調べ、本人の同意なしに、依頼人にその情報を渡すという一連の過程が、一部映像を含め流れていた。アシスタントの女性が「これは探偵なのでストーカーとは違う」と発言し、共演者も反対することなく、そのまま番組が進行し、終了した。ストーカーや個人情報流出が社会問題になっているのに、非常識さ・無責任さを改めて感じた。影響力の大きさを自覚していないのではないのか。

【ラジオ】

  • DJが、リスナーに電話をかけるコーナーで、高校生のリスナーに対しての質問の仕方や対応が、上から目線的な感じに聞こえ、良い印象ではなかった。いくら年下だからといっても、丁寧な対応をするべきだ。また、他の企業のコマーシャルを読み上げる際に、毎回棒読みだ。もう少し考えてもらいたい。

  • 最近、東日本大震災の経験から、ラジオ各局で防災に関する番組や情報が目立っている。防災意識を高めることは決して悪くはないが、あまりにも東南海地震(南海トラフ等)の可能性を煽る報道が多い。自然災害に関する情報は大切かも知れないが、ラジオを聴く聴取者をいたずらに煽ることは如何なものか。

【CM】

  • 携帯アプリのCMだが、小中学校の携帯電話持ち込みが原則禁止されている地域がほとんどなのに、このCMは中学生が学校の教室でプレイしている。真似する子どもが出てきて、教育的にも宜しくないのではないのか。

  • このCMの表現は、気分が悪くなる。意味は考えればわかるが、表現がストレートではなく、消費税が5%から8%になることを、音楽で煽るのは、如何なものか。

青少年に関する意見

【性的表現に関する意見】

  • 午後9時台のドラマを中学生の娘と一緒に見た。「セフレ」という言葉が飛び交い、キスシーンはもちろんのことベッドシーンなども多く、目のやり場に困ってしまった。これほどまでの性描写が必要なのか。アイドルグループの一員が主演ということで、中高生も多く見ていると思われる。安心して子ども達に見せることができる内容にしていただきたい。

  • 温泉のシーンで、何回も女性のきわどい裸が出た。休みで、子どもも見ているのに不快であった。時間を考えて放送してほしい。

【いじめ・虐待に関する意見】

  • 出演者が、妻であるお笑いタレントについて、「小さい頃にいじめられていたことがあり、そのことは大人になった今でも心の傷になっている。仕返しとして、いじめられた相手の家に、自分のつばをつけた食べ物を持って行ったことがある」と話していた。子ども達にも人気があるお笑いタレントであり、影響力もあるだろう。公共の電波で"大人になって復讐する"等ということは、話すべきことではない。子ども達にいじめの復讐をすることを勧めているように感じた。

  • 女性お笑いタレントコンビのコントにおいて、太っている相方のことを「ブタ」と呼ぶなど、容姿をバカにするネタがあった。子ども達も見るお笑い番組だからこそ、他人の容姿を中傷するようなネタは放送するべきではない。いじめが大きな社会問題となっている昨今、テレビ番組が子ども達に与える影響力の大きさを認識するべきだ。

  • お笑いタレントを「どっきり」という名目において集団でだまし、恫喝するような内容の番組があった。「どっきり」ということにすれば何をやってもいいのか。これを面白いものだと見せることは、子どもなどのいじめを明らかに助長させる。子ども達が一人をだまし、最後に「どっきりでした」と言えば何をやってもいいということになる。

【BPOに関する意見】

  • 少数意見は尊重すべきだが、それを鵜呑みにするから年々規制がキツくなりどんどんテレビが面白くなくなる。

  • 子どもが主役になった話題のドラマについて、審議入りしないことになったようだが、スポンサーの対応を含め、世の中を混乱させた番組だった。審議入りをしないということは、BPOが局側の意向を汲んだことになり、存在意味がなくなる。

【風俗・モラルに関する意見】

  • 毎度整形手術の特集を行う番組がある。視聴者に整形の礼賛や推奨をしており、不快である。テレビはとても影響力が強いメディアであり、その影響力を使って整形手術の宣伝をするなど、とんでもない。不謹慎で不道徳な番組である。整形マニアの気味悪いタレントを出演させることも止めてほしい。夜7時は子どもがテレビを見る時間帯である。子どもに悪影響だし、不道徳である。

【表現・演出に関する意見】

  • 子どもの糖尿病について、大人の生活習慣病と同じことが原因であるかのように決めつけたり、子どもの糖尿病患者が増えている原因として「子どもでも太っている子が増えているから」等の発言をする医師がいた。糖尿病の発症は原因不明な部分もあり、小さな子どもが発症する場合も非常に多い。闘病中の子ども達に対して、全く配慮のない内容であった。

【言葉に関する意見】

  • 出演者がもう一方の出演者に向かって「てめえ殺すぞ」と暴言を吐いた。近頃は安易な動機から殺人事件が起きている。タレントの軽はずみな発言は青少年に悪影響を与える。

2014年4月1日

フジテレビ『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」に関する意見の通知・公表

上記の委員会決定の通知は、4月1日午後2時30分から、千代田放送会館7階のBPO第一会議室で行われた。委員会から川端和治委員長、水島久光委員長代行、香山リカ委員、森まゆみ委員の4人が出席し、当該局のフジテレビからは常務取締役編成制作局長ら4人が出席した。
まず川端委員長が「高く評価されていた番組だけに残念だった。編集で張り合わせて『ない対決を、ある』ことにしなければ、すぐれた番組として生き残れたのではないか」と述べたあと、「問題の直接のきっかけはひとりのディレクターの誤った判断だったかもしれないが、それを許した体制があったことを深く心にとどめてほしい」と指摘した。
これに対してフジテレビからは「意見書に書かれたことを深く受け止める。この番組の視聴者との約束は『真剣勝負』であったので、それを破ったのだから番組の打ち切りを決断した。今後は、社長直轄の再発防止委員会の場で、あらゆるジャンルの番組について視聴者との約束をチェックしていく」と述べた。
このあと、午後3時30分から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には25社50人が出席し、テレビカメラ6台が入った。
初めに川端委員長が意見書の概要を紹介した。重大な放送倫理違反とした委員会の判断について、川端委員長は「ない対決を、ある」としたことや制作体制の組織的な問題などを指摘したうえで、「制作スタッフの間や、制作スタッフと出演者の間に、番組の基本コンセプトの合意がなかったと思われるのが問題だ」と述べた。
水島委員長代行は「出演者や視聴者との微妙なバランスが崩れて、番組への信頼が一気に失われてしまったことを、制作スタッフの皆さんは理解してほしい」と述べた。香山委員は「視聴者が事実を知った時のショックを原点として、この事案を考えた。裏切られた、楽しみにしていたのに、という視聴者の思いを、この意見書につなげた」と述べた。また、森委員は「家族が好きで見ていた番組だった。編集技術によっていまや何でもできてしまうようだが、制作者は誘惑に負けず、愚直に番組を作り続けてほしい」と述べた。

記者とのおもな質疑応答は以下のとおりである。

  • Q:なかった対決を編集で作ったこの放送は、「審議」ではなく「審理」事案とするのがふさわしいのではないか?
    A:「審理」は、虚偽の疑いのある放送によって視聴者に著しく誤解を与えたことが前提となるが、バラエティー番組は虚構を承知のうえで楽しむものであり、報道番組のように事実と違うから直ちに虚偽放送と言うことは適当ではない。ラジコン側とスナイパー側の対決であるという全体の構造は崩れていない。(川端委員長)
    Q:審議の対象となった「スナイパー」「鷹」「猿」以外にも、フジテレビは問題のある演出があったと、明らかにしていたはずだが?
    A:フジテレビが報告してきた他の放送回もチェックしたが、委員会として見逃すことができないような大きな問題があるとは思われなかった。(川端委員長)
    Q:そもそもこのディレクターの動機は何だったと、委員会は考えているのか?
    A:出演者を大事にする気持ちから、全員を出演させたいとディレクターが考えていたことと、すでにボート部分の収録を終えて、すべてを撮り直す日程的な余裕がなかったことではないかと思う。(水島委員長代行)
    ボートが3連勝しラジコン側が勝利した、という当初の結末を変えてはならないとディレクターが判断していたこともあると思う。(香山委員)

第156回 放送と青少年に関する委員会

第156回–2014年3月16日

『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』を審議「委員会の考え」を公表

子どもが主役になった話題のドラマについて。最終回まで視聴の上討論し、「審議対象とせず」。判断した経緯、今回の論点などについて、「委員長コメント」を公表

第156回青少年委員会を、3月16日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回、審議の対象となったのは1事案で、審議の経緯と「委員会の考え」を公表して審議を終えることにしました。討論の対象になったのは1案件で審議入りしないことにしました。その他、2月16日から3月10日までに寄せられた視聴者意見を中心に話し合いました。また、3月の中高生モニター報告、来年度の中高生モニター32人の承認、6月開催予定の地方での意見交換会の現状報告、中部日本放送とmmbiへの講師派遣の報告などが行われました。
なお、委員会に先立ち、18人の中高生モニターと7人の委員全員が参加した「中高生モニター会議」をNHKで開催しました。
次回は4月22日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年3月16日(日) 午後4時20分~午後6時45分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

【審議事案】

  • 2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)の、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"について、日本テレビからの回答書や意見交換を基に、審議を行い、「委員会の考え」をまとめ審議を終了することにしました。その後、「委員会の考え」が承認されましたので、以下に経緯を含めて公表します。

<青少年委員会からの質問>

2014年2月12日

青少年委員会から日本テレビへの質問

    1. 下半身を露出するなどの3つの場面(肛門に粉を入れ顔に吹きかける、股間でロケット花火を受け止める、赤ちゃん姿の男性のおむつを交換する)の演出意図についてお聞かせください。

    2. 上記の演出について制作者の間でどのような議論が行われたのか、また、出演者(特に女性)に対する配慮はどのようになされていたのかについてお聞かせください。

    3. 老若男女の幅広い視聴者が見る大晦日の22時から23時台の時間帯に上記場面を放送するに至った経緯についてお聞かせください。

    4. 上記の演出について現場や社内でどこまで情報が共有されていたかについてお教えください。その際、考査部門の判断はどうであったかについてもお聞かせください。

    5. 放送の公共性についての貴社の考えをお聞かせください。なお、青少年委員会では2013年10月22日に以下のような「委員会の考え」を公表しておりますが、これについてのお考えもお聞かせください。

      ≪視聴者目線と電波が公共財であることを忘れると、テレビへの信頼は薄れていきます。お笑いも例外ではありません。テレビをもっと魅力的なメディアにしていくために、また多くの視聴者が心地よく笑えるために、バラエティー番組も<人間の尊厳><公共の善>を意識して作られるべきでしょう。≫

<日本テレビからの回答>  2014年2月20日 PDFファイル pdf

<意見交換の概要>  2014年3月6日 PDFファイル pdf

<委員会の考え>

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2014年4月4日

日本テレビ放送網『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』に関する
「委員会の考え」

放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会

BPO青少年委員会は、多くの視聴者意見が寄せられた日本テレビ放送網(以下、日本テレビ)『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(2013年12月31日放送)について、日本テレビに番組の制作意図などの報告書の提出を求めるとともに、制作およびコンプライアンス担当者を招いて意見交換を行いました。日本テレビにはまず、貴重な時間を割き、率直に意見を交換して対応していただいたことに感謝申し上げます。
今後各放送局にも考えていただきたい論点が含まれることから、審議の結果、下記のとおり「委員会の考え」を公表することとしました。

■日本テレビとの意見交換を受けての、BPO青少年委員会の考え方

日本テレビは1989年より、レギュラー番組として『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』の放送を開始し、お笑いの限界に挑戦するユニークな企画を次々と編み出して多くの視聴者に支持されてきました。『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』は2006年に始まったそのスペシャル版で、8回目となる今回は2013年12月31日18時30分から24時30分の6時間にわたり放送されました。
その一部のシーンに対して、表現の過激さや卑わいであることへの不快感や嫌悪感、また、子どもが真似をするのではないかと危惧する視聴者意見がBPOに多数寄せられました。とくに(1)「芸人が肛門に粉を注入してパンツを脱ぎ、別の芸人の顔面におならとともに噴きつける」、(2)「ふんどし姿の芸人の股間に向けてロケット花火を噴射する」、(3)「産着姿の中年男性のおむつ交換(局部のみ映像処理)」の3つのシーンへの意見が多くありました。
日本テレビの回答では、(1)と(3)のシーンは「過去も放送」したことがあり、また、(2)のロケット花火については「安全性を高める改良を施した」上での演出であり、「『マネをしないでください』とスーパーを計2回入れた」こと、制作担当者からはいずれも「不快だった人もいるかもしれないが」「笑ってもらえると腹をくくって制作した」との説明がありました。
以上を踏まえて、青少年委員会が何を問題と考えたのか、以下に2つの論点を挙げます。

まず第1に、「表現上の配慮」です。
バラエティー番組は時に放送の限界に挑戦し、新たな笑いの文化を生み、視聴者の心を解放し活力を与えるという大きな働きがあります。それは同時に視聴者の喜怒哀楽や感受性を直接刺激し、日常生活の価値志向にも影響を与えることを意味します。このため作り手は常に社会の動きにアンテナを張りめぐらせ、視聴者の動向をも見据える必要があります。つまり、表現の内容が視聴者に与える影響は時代の価値観や社会のあり方に規定されると考えられ、過去に放送したから今回もよいという考え方は放送の一般原則となるわけではないことになります。
とくに、(1)「顔面におならとともに肛門から粉を吹き付けるシーン」と(3)「中年男性のおむつ交換のシーン」に対しては、視聴者から「えげつない内容で放送するに値しない」「不快極まりなくチャンネルを替えた」などの意見が多数届きました。それまで楽しんで見ていたのに、その特定の場面によって視聴を打ち切り、番組を不愉快と受け止めた視聴者がほかにも多くいたことが予測される意見でした。日本テレビからは、(1)については「芸人の持ちネタであり、粉を吹き付けられる側もレギュラーの芸人を起用」、(3)については「ベテラン制作スタッフのキャラクターで恒例の企画」と、いずれもプロフェッショナルの芸で、すべて演出の範囲内との説明がありました。しかし視聴者がここで問題にしたのは出演者がプロか否か、演出かどうかということではなく、行為の下品さや卑わいさ、人間に対する否定的な扱いへの違和感であり、バラエティー番組のボーダーラインを超えているという不快感だったと考えます。
青少年委員会は2007年10月23日に「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を公表し、そのなかで中高生モニターが「出演者をいたぶる暴力シーンや人間に対する否定的な扱い」に対して不快感を表明しています。中高生の認識は多くの一般視聴者の認識と通ずるものと考えてよく、今回は直接的な暴力とはいえないものの、逃げないよう頭を押さえ付けられた状態で顔に肛門から粉を吹き付けられたり、中年男性がおむつ交換されたりする行為を素直に笑い飛ばすことができない視聴者が多数いたことに留意していただきたいと思います。
また、(2)「芸人の股間にロケット花火を噴射するシーン」については、安全性を充分に配慮した上で真似をしないようスーパーで注意喚起したということ、その配慮は多としたいと思いますが、子どもの視聴者を想定すると、視聴者意見のなかにあった「子どもはなんでも真似をする可能性があり、真似をしないでくださいとあれば余計に真似したくなるもの」という声は無視できないものと考えます。安全への配慮がないまま真似する子どもが出てくる可能性は否定できないのです。当委員会が発表した「バラエティー系番組に対する見解」(2000年11月29日)にあるように、青少年はテレビに多大な影響を受け、放送されたものを社会的に肯定されたものと考えて行動の基準とする傾向があります。安全性に配慮するのは当然のこととして、視聴者、とくに青少年がどう見るかという点には細やかに想像力を働かせていただきたいと考えます。
(3)「赤ちゃんに扮した中年男性出演者のおむつ交換のシーン」についてはもう一点、おむつ交換を行っている同じ部屋に看護師役の女性出演者がいたことについて、とくに女性の視聴者から「あってはならない光景だ」「(局部を画面処理で)隠していればいいというわけではない」などの意見が寄せられました。これに対しては制作担当者から、この女性は「出演料をお支払いしているプロフェッショナルの出演者」で、女性も内容を了解した上での出演であるとの回答がありました。しかし、双方了解の上であったとしても、視聴者は女性が下半身を顕わにした男性の前に立たされて目線をはずさざるをえない状態に置かれている構図と捉え、セクハラまがいの演出と受け取っている事実があることを真摯に受け止めていただきたいと思います。番組が男性目線で制作されており、女性の視聴者がどのように見るかという配慮と想像力が十分でなかったのではないかと考えます。

第2に、「放送基準と放送の公共性」についてです。
青少年委員会は、現代の日本でバラエティー番組がもつ意味の大きさ、その重要性についてはよく理解しているつもりです。日々笑いを提供し続けることの苦労についても十分想像できますし、新たな笑いの創出のために快や不快、上品下品の境目で仕事をするということも分かっているつもりです。「下ネタ」も時と場合によっては見る者を開放的にし、豊かな笑いをもたらすでしょう。社会を風刺する毒のある表現が、視聴者の憂さ晴らしになることもあると思います。こうした番組づくりのために民放連の放送基準等を杓子定規にあてはめるつもりはありません。それは本来「なんでもあり」のバラエティー番組の萎縮につながりかねません。
とはいえ、いつでもどこでも誰もが無料で視聴できる公共の地上波放送と、入場料が必要な映画や舞台、CS放送などの有料チャンネルとではメディアの特性が異なり、表現上の制約にも違いがあるということについては、制作側としてけじめをつけていていただきたいということは改めて願わざるを得ません。社会のグローバル化が進む中、幼児からお年寄り、外国人まで多様な視聴者が見る公共性の高い地上波放送においては、課金システムのメディア以上の配慮が必要であることはいうまでもありません。もちろんそのような制約があるからこそ、ギリギリの境界線上のせめぎあいの中で新しい笑いも生まれるのでしょうし、また視聴者からの批判や反発が新たな企画を生む原動力となることもあるとは思います。
しかし、上記の3つのシーンに関しては、視聴者からの意見の届き方から見ても、また私どもが視聴し審議した結果からも、少なからぬ視聴者がおもしろいと感じることができなかったことは事実といわざるを得ません。「おもしろければなんでもいいというのは傲慢」「ネタ切れならやめればいい」といった厳しい意見も届いています。バラエティー番組づくりが、過去のネタの自己模倣やセクハラまがいの演出で笑いをとらざるをえなくなっている方向に向かっているのではないかという危惧も抱かされます。批判し落胆を表明した視聴者には、番組が放送時間の最後に発信した「笑顔でいたい 笑って生きたい」(替え歌) "今年も笑いが溢れる一年になりますように…"(スーパー)という重要なメッセージが残念ながら届かなかったのです。
日本テレビからは繰り返し、「個別のシーンではなく番組の全体を見て判断してほしい」との要望がありました。本件の担当委員は事前に全体を視聴した上で意見交換に臨んでおります。しかし、青少年委員会は番組全体のメッセージが正しければ個別のシーンに逸脱があってもその評価が緩和されるわけではないと考えます。また、民放連放送基準は放送局が自主的に定めた番組づくりの基準なのですから、常にそこに立ち返って番組を制作していただきたいとお願いしているものです。委員会から基準に照らして問題であるとの指摘があれば、日頃からこうした基準を大事にして番組をつくってほしいという促しのためと、ご理解いただきたいと思います。ちなみに青少年委員会は独自に番組全体の評価は行いませんし、行うことができるとも考えておりません。あくまでも視聴者の意見をきっかけに判断をすることが仕事だと考えています。
つまり、番組全体のメッセージがいかに優れたものであったとしても、細部において社会通念を逸脱したものがあれば、表現の自由を最大限に考慮した上で、その是非を問うことが必要だと考えているということです。逆にいえば、個々のシーンに配慮が足りなかったがゆえに番組全体のメッセージが視聴者に理解されないようなことを無くすべく、視聴者と放送局の間に立って放送局と議論を重ね、番組の向上を目指すことが青少年委員会の務めと思っています。

青少年委員会は、青少年に番組が与える影響をできるだけポジティブなものとするために、局側が気づかない視点を提示したり、安易に番組を作成したため結果として逆の効果を生んでいる等の問題を指摘したりして、それを克服するための方策を探ってもらうこと、青少年たちがよい番組として認知しているものや理由を伝え参考にしてもらうこと等、結果として青少年によい影響を与え得る番組の制作、番組向上への気運を高めることを大事なミッションとしています。そのため、番組内容、制作過程等について局側と率直な意見交換をすることが重要な手法となると考えています。
すぐに意見の一致が得られるわけではないということは承知しています。しかし、意見交換を行うことは決して無駄ではなく双方への理解を深める貴重な機会となるはずです。今後もよりよい番組作りのために各放送局と意見交換を行い、ともに考え続けることができればと願っております。

以上

【討論案件】

  • 子どもが主人公のドラマについて、全委員が最終回まで視聴した上で引き続き討論しました。委員からは「子どもがどれだけ傷つきトラウマを感じるかなど、社会的な影響をどこまで考え、リサーチしたのだろうか」「フィクションといえども弱者への一定の配慮や取材による丁寧さや慎重さが必要だ」などの意見もありましたが、「フィクションドラマだという前提で、あだ名についてもドラマの演出として必要なので使ったのだろう」「審議に入ると、社会に問題を投げかけるようなドラマが作られなくなることを危惧する」などの意見があり、審議入りしないことにしました。ただし、討論の結果、この案件について以下のような「委員長コメント」を公表することにしました。

<委員長コメント>

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2014年4月8日

"子どもが主人公のドラマ"に関する
「委員長コメント」

 放送と青少年に関する委員会・委員長 汐見 稔幸

I.審議対象とするかの考え方

テレビ番組の中でもドラマについて、青少年委員会が評価することには種々の難しさが伴う。とくにフィクションドラマの場合、作家と放送局側が主題を選び、その内容を効果的なストーリーに仕立てていくドラマツルギーの手法の選択の判断は、表現の自由としてもっぱら制作側に与えられている。その手法の斬新な創造にこそドラマの生命があり、作品の評価はその手法にも及ばねばならないからである。
もちろん、ドラマの中で青少年のメンタルヘルスが明らかに阻害される場面があったり、年齢にふさわしくない性的行為の場面や登場人物の人権が明らかに損なわれる暴力的・差別的な場面が、ストーリーの展開上必ずしも必要ないと思われるのにある場合には、たとえフィクションであったとしても青少年委員会として問題とし、放送局側と自由に意見交換して納得のいく説明を求めることは行う。その上で、必要ならば視聴者や関係者に対する配慮を放送局側に求めることもあるだろう。しかし、フィクションの場合、例えば差別用語を使用する場面があったとしても、ストーリー展開上、その場面が必要であるということはありうる。登場人物に差別的な呼称を使用するような場合や不必要に暴力的な扱いをするような場合もそうで、ドラマの効果上あってよい(あったほうがよい)場合と、ドラマであっても必要があるとは思えない場合があり、そこに公共の放送であること、放送時間帯などの問題が付け加わる。それらを含めて、いい悪いの境目をどう引くかということは、実際には微妙であり慎重さが要求される。
私たちとしては、青少年の視聴を念頭に、それ以外の手法でも十分ドラマとしてのリアリティ、アクチュアリティが保ちうるのに、あえて問題となるような展開に仕立てたときに、審議対象として取り上げるというのが基本スタンスになる。

II.何が"論点"となったのか

番組への視聴者の関心度を高めようとしたためと思うが、今回のドラマでは、とくに1話目、2話目で、登場人物の非人格的なあだ名呼称と施設長の差別的・暴力的な発言と行為が気になる点であった。これらは、子どもの人格を無視し、想像力を欠いたと思われるものが多く、施設で実際に生活している子どもが視聴した場合に心の傷が深まったり再発しないかということが懸念された。
青少年委員会で討論する中で、制作側としては、こうした設定もその後のドラマ展開の中で生きてくるという発想で行ったのかもしれないが、たとえそうだとしても、このあだ名呼称と施設長の差別的・暴力的な発言は当事者をあまりに無視しているという点で問題となりうるという意見があった。
しかし同時に、こうした世界が実際にあり、恵まれない条件でも必死に生きている子どもたちがいるということをこのドラマで初めて詳しく知ったという意見もあり、その後の展開を見た上で委員会として判断することになった。
私個人としては、主人公の子どものあだ名が実在の施設の固有名詞に近いものになっていて、フィクションであるにもかかわらずこの部分だけがフィクションを超えている可能性があり、事前にこの施設にあだ名呼称を使用することについての相談をすべきであったのではないかという点、そして、児童養護施設のあり方を改善してきた施設関係者の最近の努力を逆なでするような施設長の発言と態度に不快感を抱く関係者は多いだろうと想像できたのではないかという点が論点だと感じた。そして、今回のように現代社会の事象に対して問題提起する番組内容の場合、その引き起こす社会的波紋に対する事前の配慮は、通常にも増して行う必要があったのではないかと考えた。
しかしその後、番組の展開は当初のような批判を浴びるトーンから少しずつ変わっていき、好意的な感想が増えるような内容になっていった。実際にBPOに寄せられる批判的意見は大きく減じ、共感的意見も寄せられるようになっていった。

III.放送局と視聴者に求められるもの

今回のドラマはこのように、当初視聴者から厳しい批判を受ける問題点をいくつか抱えていたが、その後、あだ名呼称など当初浮かび出ながら解決されない問題を残したものの、全体としては次第に視聴者に受容される内容になっていったといえる。差別され親の愛に囲まれて育てられるという当然の機会と権利を奪われた子どもたちの生き様の問題に焦点を当てたことの意義も、視聴者から認められたと思う。
そうした総合評価の上にたって、青少年委員会はこの番組を審議対象としないという選択をした。ただし、II.で述べた論点は、このドラマを最後まで見ても、ドラマの効果上必要性のある設定であったが故に解決されたと認めたわけでないということも述べておかねばならない。このドラマによって、心の傷を深めたり再発した可能性のある子どもがいるということが示されている以上、そのことを問題にした視聴者と関係者に対して、放送局側は、番組が終わった段階で、あらためて誠意ある態度を示すことが求められていると思う。そのことを示すために、異例ではあるが、今回のドラマを審議対象にはしないが、コメントを委員長名で出すことにした。その含意を汲み取ってほしいと思う。
あわせてコメントしておきたいことは、今回の番組をめぐって多くの視聴者が、番組が始まる以前から積極的に発言したため、途中から提供スポンサーにも影響を及ぼしたという点である。これは異例のことであった。
私たちは番組の内容をめぐって、番組を作る側が表現の自由を持っているように、視聴する側が自由に意見を言うことは視聴者の権利と考えている。しかし、視聴者からの批判が、提供スポンサーにまで影響を及ぼすということが安易に行われると、番組制作自体が次第に成り立たなくなっていく可能性が生じる。批判は大いに歓迎したいが、それが放送局と視聴者双方の表現の自由を制限する方向に向かわないようにすることが、今回のことが社会に投げかけた教訓といえよう。

以上

中高生モニター報告

■中高生モニター報告 概要

3月の中高生モニターは、「この1年間の感想」というテーマで書いてもらいました。今回は21人から報告がありました。たくさんのモニターが、毎月リポートを書くことで、テレビ番組をより深く考えながら見ることができたし、自分の世界も広がってとても有意義な1年だった、機会があればまた参加したい、と書いています。また、これからも革新的でますます面白いテレビ番組ができることを期待している、という声も多く寄せられました。
「見てみたいテレビ番組の企画」を書いた経験が1年の中でも特に強く印象に残った、制作者の苦労がわかった、と書いたモニターもいました。
震災関連の番組をとぎれず制作し、現在の被災地の実態を報道し続けてほしいと書いた宮城県のモニターや、地方テレビ局の作った面白いドラマを例に挙げてローカル色の強い番組を応援したいという意見も寄せられました。

■中高生モニターと委員の主な意見

●【委員の感想】中高生モニターの重要性をしっかりと理解し、自分の見方を持っているモニターが多い。来年度もリポートを読むのが楽しみだ。

  • (島根・中学3年男子)たまにニュース番組でBPO関連のことを耳にするのですが、BPOはテレビ番組への影響力が強いことを知り、モニターになることは責任があることだなと思いました。
  • (秋田・中学2年女子)自分の意見や感想が、実際の番組づくりに活かされているのはとても嬉しいことなので、中高生モニターをやって良かったと思います。

●【委員の感想】メディアリテラシーの功罪を論じたり、情報の受け取り方の重要性を述べたり、今回の報告は、とても清々しい気持ちで読め、メディアの存在意義に関して高い意識を持っていてくれて嬉しく思った。

  • (北海道 高1年男子)批判的に番組を見聞きするメディアリテラシーは大切です。しかし、それが過剰になって番組づくりをおさえつけるようになってしまうと、テレビ・ラジオが成長しなくなってしまいます。長い目で見ると「適度」というのが大切なのかなと思います。
  • (埼玉・高1年女子)多くの人に影響を及ぼすテレビ番組、特に報道番組について情報の伝え方はもちろん、情報の受け取り方も私たち青少年が考えていくべきだと思いました。
  • ●【委員の感想】1年間モニターを務めてみて、テレビの見方が変化した、あるいは自分以外の人たちの意見を読んで、多様な考え方があることに気づいたなど、中高生の成長にとって大きな意味のある制度になっていると思った。

    • (愛知・高校2年女子)モニターになってテレビの見方が少し変わった気がします。今まではただ何となく画面を眺めていましたが、この1年はテレビの内容について家族や友達と話し合う機会が増えて、メディアの便利な点、気をつけなければいけない点が見つかりました。
    • (神奈川・中学3年女子)この1年間で、同じ番組を見ていても人それぞれ感じ方が違うのだと改めて思いました。他のモニターの意見が自分の考えと真逆だったこともあり、とても驚きました。こんなにも考え方が違うのだとわかったので、これから物事を考えるときに活かしていきたいです。

    ●【委員の感想】 モニターたちのメディアリテラシーが明らかに高くなっているのがよくわかった。この方法は、学校の授業でも使えるのではと思った。テレビ番組に対する評価の目も曇りなくまっすぐな基準を持っている。

    • (神奈川・中学1年男子)どの番組でも似たような顔ぶれだとテレビを消すことが多々ありました。2014年は新しいスターが生まれるようなアイディアあふれる番組がたくさん出てきたらいいなと思います。
    • (神奈川・中学3年女子)私がこのモニターに応募した理由はテレビが好きだからでなく、今のテレビ番組のほとんどがつまらないと感じていて、どうしてつまらないのか、伝えられたらいいなと思ったからです。この1年で、その目的を自分なりに達成できました。

    ●【委員の感想】地方発の番組への応援の意見や、自分も参加できる番組に対する報告が印象に残った。

    • (佐賀・高校1年女子)わが家は『めんたいぴりり』(テレビ西日本)ブームでした。福岡のテレビ局の十周年記念ドラマでしたが、本当にはまりました。地方でもやれるんだぞ!という制作者の心意気を感じました。
    • (岐阜・高校2年女子)『テラスハウス』(フジテレビ/東海テレビ放送)は、一度普通に放送を見て、それから副音声も加えてもう一度見、さらにTwitterやYou Tubeで、もっと楽しんでいます。放送中にオンエア鑑賞中のテラスハウスのメンバーのつぶやきをTwitterで見ることができたり、未公開シーンをYou Tubeで見ることができたりするのが、今までにない番組の作り方だと思います。

    ●【委員の感想】多くのモニターが、今テレビに求められているものを的確に表現していることにも感心した。

    • (愛媛・中学1年女子)『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ/南海放送)は、欠かさず見ていました。家族で見て、楽しめて、飽きることなく、下品でなく、夢中にさせてくれる数少ない番組です。
    • (新潟・中学3年男子)テレビ番組はこのごろ類似番組が多すぎたり、コンセプトがしっかりしておらず、半年後には全く違う内容になっていたりするので、出演者に頼らない、オリジナリティーのある企画の番組が増えてほしいです。

    ●【委員の感想】リポートを教育の機会と捉えるのではなく、中高生には感じたことを自信を持って、感性のおもむくままに書いてほしい。

    • (宮城・中学2年男子)普段はリポートを書く習慣がないので、文章力がついたような気がします。

    その他

    • 3月4日に中部日本放送で加藤副委員長が講師として、3月11日にmmbiで小田桐委員が講師として、それぞれ参加した「意見交換会」の報告がありました。
    • 2014年度の中高生モニター32人が承認されました。
    • 6月6日に沖縄で意見交換会を開くことが報告されました。

    中高生モニター会議

    3月16日(日)午前11時半から午後3時半まで、NHK放送センター本館4階474会議室で、「2013年度中高生モニター会議」を開催しました。出席者は中高生モニター18人(中学生9、高校生9)と7人の青少年委員全員、そして今回はNHK制作局青少年・教育番組部マネージング・プロデューサー 滝沢 昌弘氏にも参加してもらいました。
    滝沢氏は『中学生日記』『Rの法則』など様々な青少年番組の企画開発にかかわってきた経験があり、今は『Let’s天才てれびくん』の監修をされています。番組を企画する上での苦労や、時代に即した或いは先取りした番組開発をする上での視点の置き方、番組の組み立て方など、具体的な番組制作について話をしてもらいました。その後、委員とモニターは、『Let’s天才てれびくん』のスタジオや、ニュースセンターを案内してもらいました。
    後半はモニターが4つのグループに分かれ、委員と一緒に、「こんな青少年向け番組が見てみたい、作りたい」というテーマに沿って、番組企画をまとめ、発表しました。"中高生のリアルな姿"を見ることができる番組というコンセプトで、もしも今の中高生が縄文時代にタイムスリップしたら?という番組企画を立てたグループや、"中高生が参加するチャレンジ系の旅番組"というテーマで、『伊能忠敬くん』という、Twitterと連動する形で参加者を募り、視聴者からお題をもらって旅の目標を設定する内容の番組企画を発表するグループもありました。発表の後、滝沢氏に専門の立場からそれぞれの企画を講評してもらいました。この会議の模様は、後日、冊子としてまとめることにしています。

    第20号

    フジテレビ『ほこ×たて』「ラジコンカー対決」 に関する意見

    2014年4月1日 放送局:フジテレビ

    フジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて 2時間スペシャル』(2013年10月20日放送)で、出演者のラジコンカー操縦者が放送後、「対決内容が編集で偽造された」と指摘し、社内調査の結果、視聴者の期待と信頼を裏切ったとして、番組が打ち切られた事案。
    委員会は、「ない対決を、ある」としたことや制作体制の組織的な問題などを指摘して、「番組の制作過程が適正であったとは言い難く、重大な放送倫理違反があった」とする意見を公表した。
    また、出演者が演出上の問題点を指摘し、委員会があわせて審議の対象とした2011年と2012年の2回の放送については、当事者間で議論をつくし、できればその結果を公表してもらいたいと要望した。

    2014年4月1日 決定の通知と公表の記者会見

    通知は、4月1日午後2時30分から千代田放送会館7階のBPO第一会議室で行われた。
    また、午後3時30分から同ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。会見には25社50人が出席し、テレビカメラ6台が入った。
    詳細はこちら。

    2014年7月11日【委員会決定を受けてのフジテレビの対応】

    標記事案の委員会決定(2014年4月1日)を受けて、当該のフジテレビは、対応と取り組み状況をまとめた報告書を当委員会に提出した。
    7月11日に開催された委員会において、報告書の内容が検討され、了承された。

    フジテレビの対応

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    目 次

    • 1.委員会決定直後の放送対応に関して
    • 2.番組審議会への報告に関して
    • 3.再発防止に向けた取り組みについて
    • 4.「鷹対決」「猿対決」に関する議論について
    • 5.まとめ