2005年10月

『幸せって何だっけ』フジテレビ

『幸せって何だっけ』に関するフジテレビからの回答

○この女性占い師をメインにした番組を制作する意図

○10月7日放送のスペシャル番組で子供を対象にした企画意図

『幸せってなんだっけ・カズカズの宝話』は、徳光和夫さんを司会に、細木数子さんが視聴者からの人生相談に答えたり、レギュラー陣の時事問題への疑問に対する考え方のヒントを出したり、ゲストとのトーク、料理を楽しみ、その人の人となりを引き出すという構成内容になっています。

番組としては、細木数子さんという数多くの人生への相談の経験者にその世事に対する経験を生かしてコメントしてもらい、悩んでいるのは一人だけではなく希望と勇気をもって生きて欲しいというメッセージを伝えたいと思っております。

細木さんは占いの書籍を多く出版されており、またそのいずれもが大ベストセラーとなっていますが番組中では、あくまでも人生経験を生かして助言をしていただくという趣旨になっております。占いは話の入り口に過ぎない、この番組では人生の知恵について一緒に考えたいとはご本人の弁でもあります。

またその話題は新聞やニュースで取り上げられる身近なものが中心ですが、やはりその中心は家族や、親子に対するものが多いのは事実です。それにより親子のあり方を取り上げたものが放送回数のかなりの部分を占めております。

○局に寄せられている視聴者意見は

局には、さまざまな批判以外に、「感動した」「参考になった」など賞賛の意見も数多く寄せられています。

○青少年委員会に寄せられた意見等をどう受け止めているか。またそれについての社内議論はあったのか

視聴者からの意見は、常に賛成と批判の両論あるものと存じます。そのどちらにも真摯に耳を傾けることが大事であり、今後の番組制作においてその賛否ある意味を意識してゆくことに努めたいと考えます。

番組制作者は、日常的に番組内容について議論を重ね、且つ制作管理者とも、その都度さまざまな議論を重ねた上で番組制作に取り組んでおります。

また、社内の「メディア検討小委員会」において、議論を致します。

○占い師の発言は、「占い」を根拠としたものか否か

細木さんには、世事に対する経験を生かしてコメントをしていただくことで希望と勇気をもってもらいたい、という番組の企画意図に基づいてご出演いただいております。

○「テレビ番組以外の場での彼女の活動や収入を、放送局が結果的に支えることになるのは問題ではないか」という意見に対する局の見解

一般的に、弊社の番組出演機会によって、番組を視聴された多くの方々の認知度に影響があるといえますが、その内容について因果関係を客観的にお示しすることは困難であると存じます。

〔2005年11月10日付〕

2005年3月

『とくダネ!』フジテレビ

『とくダネ!』(2月22日放送)に関するフジテレビからの回答

これは、鹿児島県で駅伝の応援帰りの中学生の列に車が突っ込み死傷者が出た事故報道に際し、当該番組が絶句した中学生へのインタビューを放送したことについて、視聴者から「マスコミの配慮が足りない」などの意見が寄せられたのを受け、委員会が当該局に見解を求めていたものです。

その回答は以下のとおりです。

〔フジテレビからの回答〕

【事件・事故の際に、中学生など青少年へのインタビューを行うにあたっての判断基準】

事件・事故の当事者や目撃者が青少年の場合、年齢が低ければ低いほど、PTSDなどの心理的に被る影響が深刻であることには、最大限、配慮しています。それでもなおかつ、その事件・事故が社会に与える影響が重大で、検証報道に当該青少年のインタビューが不可欠な場合に限っては、事件・事故の態様や年齢などを総合して、質問の内容など、インタビューの仕方を慎重に判断することにしています。

高校生以下の場合は、保護者ないし教師の「許可が得られたかどうか」という条件も、判断する際の重要な基準にしています。

今回の取材・編集・放送にあたって留意した点

現場取材にあたったFNN系列のKTS鹿児島テレビの取材記者は、駅伝の応援帰りの中学生の集団に軽乗用車が猛スピードで突っ込むという極めて特異な事故でありながら、運転していた女性が意識不明の重体だったこともあり、現場では原因を特定できませんでした。このため、事故の状況の取材や原因の究明には、居合わせた中学生の話を聞くしかないと判断。その報告を受けたデスクは「保護者ないし教師の許可を得られるなら」という条件をつけて中学生の心理的な動揺に最大限配慮するよう指示し、病院に移動した記者は、けがをした女子生徒に付き添っていた保護者の女性に許可を求めてインタビューしています。

『とくダネ!』では、KTSから、この女子生徒の取材テープを未編集のまま提供してもらいました。2月22日の『とくダネ!』で放送したのは、記者の「怖かった?」という質問に女子生徒がうなずく様子と、それに続いて「今、どんな気持ちですか?」という質問に、少し間があった後、「言えない」と答えている部分(合わせて20秒あまり)です。(視聴者からの意見には『途中からこの女子生徒が泣き始めた』とありましたが、取材記者によりますと、インタビューの前後も含めて泣いたという事実はないとのことですし、放送した映像・音声にも、その事実はありません)

「今、どんな気持ちですか?」の質問に対して答えに窮している部分については、放送する前に、女子生徒の心情に配慮して放送を控えるべきかどうかについて番組のスタッフが協議を重ねましたが、①突然発生した特異な事故の衝撃の大きさを視聴者に伝えるためには必要だ、②保護者の女性に許可を得て、立ち会いのもとで撮影されていることなどから、放送することを決めたものです。

同じ映像を他の番組でも使用しているか

この事故は、特異で重大な事故だったため、この女子生徒のインタビューは、地上波放送では『とくダネ!』放送までに、2月21日夕の『FNNスーパーニュース』、同日深夜の『ニュースJAPAN』、22日早朝の『めざにゅー』、続く『めざましテレビ』でそれぞれ1回ずつ、合わせて4回、放送されています。『とくダネ!』以外のどの番組も、「今、どんな気持ちですか?」以下の部分は放送していませんが、『とくダネ!』では、事故の衝撃度も含めて多角的に検証するために必要なインタビューだと考えて放送しました。

放送後の視聴者意見と、それを受けた社内議論

『とくダネ!』放送直後のスタッフの反省会では、女子生徒のインタビューを番組中のCMの前とCM後の2回放送したことについて、プロデューサーが「やや行き過ぎではないか」と、担当ディレクターに指摘しました。

フジテレビには、『とくダネ!』放送後、「事故に遭った子にインタビューをするなんて良識を疑う」「事故を思い出させてかわいそう」などの批判が、電話で16件、HPに35件、寄せられました。

これらのご批判を受けて、『とくダネ!』のスタッフの間では、「当事者とはいえ、未成年者へのインタビュー取材ならびに放送での取り扱いは、より一層、慎重にすべきだ」という意見とともに、「事件・事故の凄まじい衝撃をも伝えなければならない報道の公益性から、あえて取材・放送をしなければならない場合もある」との意見があり、今後も議論を重ねていくことにしています。

KTSには、『とくダネ!』放送後、事故に遭った中学校のPTA関係者と名乗る人から2件、電話で「子どもへの取材は、今後の心のケアを配慮してほしい」との申し入れがありました。これを受けてKTS報道部は、部内で協議した上で、フジテレビのFNN連絡部に「生徒の映像(現場映像およびインタビューとも)は顔がわからない形で使用する」という使用制限を要請しました。そしてKTS報道部では、この事故の関連取材では、当該中学校の生徒のPTSDに配慮し、直接取材は、これまでにも増して慎重にすることを申し合わせました。

今後、子どもが当事者になるなど、同様のケースが起きた場合に向けての考え

事件・事故の事実関係やその原因を徹底的に究明して報道の使命を果たしていくためには、青少年への最少限の取材が必要不可欠な場合もある、との基本的な認識に変わりはありませんが、今回の視聴者からの指摘・批判を教訓にして、今後の取材・編集・放送にあたっては、より一層、青少年の心のケアに細心の注意を払うよう、スタッフ教育を徹底していきたいと考えております。

回答を基に検討したところ、委員からは、「”保護者の同意”よりも、動揺している被害者にマイクを向けることに視聴者の批判が向けられているのではないか」「インタビューを受ける側の意思によっても違ってくる。中学生であっても積極的に話をしたい生徒もいるだろう」「視聴者としては、事故の当事者である中学生の声を聞きたいと思うのも理解できる」との意見のほか、「中学生に”今の気持ち”を聞くことに、どれほどの意味があるのかを考えて取材しているのか。インタビュー自体が陳腐化しているように思う」「子どもへのインタビューはこれまでもさまざまに議論されているが、”取材現場の対応”と”その映像を使用するか否かの編集”の二つの問題に収斂できると思う」などの意見が出されました。

議論の結果、今回の審議で出された論点を整理した上で、今後、同様のケースが起きた際に改めて議論することを確認しました。

≪注≫ 当該事故報道については、NHKを含む在京TVキー局にも、”中学生へのインタビューを放送していた場合”には質問に対する回答文を要請していました。その結果、テレビ朝日とテレビ東京からは「中学生へのインタビューは行っていない」、日本テレビ、TBS、NHKからは「中学生へのインタビューを放送した」との回答がありました。以下に、放送した3局からの回答の概要を掲載します。

〔2005年4月7日付〕

2005年10月

『カミングダウト』日本テレビ

『カミングダウト』(2月15日放送)に関する日本テレビからの回答

これは、当該番組で未成年タレントが過去の集団窃盗を告白したことを題材に取り上げたことについて、視聴者から「犯罪行為を軽いことのように扱う局の倫理観に大きな疑問を感じる」との意見が多く寄せられたのを受け、委員会が当該局に見解を求めていたものです。

その回答は以下のとおりです。

〔日本テレビからの回答〕

はじめに

本件の最大の問題は、子どもの頃の万引きとは言え、窃盗という犯罪行為を番組の題材として取り上げた点であります。犯罪行為については、これを肯定したり面白いものとして取り扱ったりしないよう注意すべきことは、公共の電波を預かる弊社としては当然のことであり、番組づくりはバラエティーといえども社会通念から外れてはならないことも自明の理であります。
このような点に照らして、今回の放送内容は放送基準の精神にもとるとの誹りを免れないものです。

この題材を取り上げた意図、制作現場スタッフの判断

番組担当者は、企画段階では放送するにあたって大きな問題があるとは認識しておりませんでした。タレント事務所等との打ち合わせでは、事務所側から窃盗という犯罪行為を告白することについて若干の懸念の表明がありましたが、事務所側が積極的にこの題材を扱うことを拒否するまでに至らなかったことなどもあり、この題材をクイズ形式で放送することを決めました。上記に述べましたとおり、根本的な判断ミスです。

放送にあたっての社内議論と、放送上留意した点

通常の番組担当者による打ち合わせ、番組会議、収録前打ち合わせ、収録、下見を経て放送に至りました。

番組収録後の下見の際、このままでは放送上問題があると判断した番組担当者の指示により「万引きは犯罪です。絶対やめましょう」とテロップで表記し、ナレーションを加えるなどの措置がとられました。

どのような社内チェックを経て放送したのか

先述したように、打ち合わせ後の番組会議、収録、下見等で当然行われるべきであった管理職レベルのチェックや審査担当部署への事前照会など、基本的な作業が抜け落ちていたことが事後の調査で判明いたしました。

弊社といたしましては、日頃から番組制作をはじめコンプライアンスの啓発を進めていたところで、今回の事案についてはその徹底を欠いていたと申しあげるほかなく、誠に申し訳なく思っております。

放送後の視聴者意見と、それを受けた社内議論

視聴者センターに入った電話・メール等は、電話:約330件、メール:約1600件です。

主な内容は、「犯罪行為を放送する局の姿勢が理解できない」「お詫びのテロップは免罪符ではない」「若者の犯罪に対する罪悪感の欠如を増進する放送に抗議する」「タレントよりもそれを公言させた番組の責任が重い」「チェック体制以前の問題である」等。

以上の意見・指摘については、さまざまなレベルの会社横断的な会議で紹介し、意見交換するとともに教育研修の題材とさせていただきました。

なお、当該放送の1週間後の放送において、視聴者に対するお詫びを行いました。

また、その同日に開催した番組審議会において、社側より報告し、審議していただきました。

今後の対応策

事案発生後、緊急に「放送人としての倫理確立・再確認」のため、編成局の全プロデューサーを対象に教育研修を実施しました。講師は、編成局、コンプライアンス担当の幹部が務めました。

委員会で検討したところ、委員から、「犯罪を告白したタレントだけでなく、共演者がそれを揶揄するという番組の作り方にも問題を感じた」「”万引きくらいは平気”との風潮がある。企画の段階でやめるべきだった」などの指摘や、「タレントの告白内容は”住居侵入窃盗”だが、番組では”万引き”と言っており、そういう感覚にも驚いた」「人間には醜いところもあるが、それも含めて一人の人間だ、と感じられるような番組づくりはできないのか」との意見が出されました。

その一方で、「極端なことを言って本当か嘘かを当てる番組の構成そのものに危うさを感じるが、委員会が番組企画にまで踏み込んでいいのかという問題もある」「やはり一つひとつのケースに関する議論を積み重ねていくほかない」との考えも述べられました。また、当該タレントが活動を再開したことに関連して、「けじめのつけ方について局として視聴者にどう説明するのか、ルールのようなものを考える必要があるのでは」との意見もありました。

議論の結果、今回出された問題点を念頭に置きつつ、今後の審議を行っていくことを確認しました。

〔2005年4月7日付〕

2005年3月

『月曜エンタぁテイメント~心と体の血液型大診断』テレビ東京

『月曜エンタぁテイメント~心と体の血液型大診断』(2月14日放送)に関するテレビ東京からの回答

これは、2月にテレビ東京で放送された血液型性格診断を扱う3時間のスペシャル番組について、視聴者から「昨年の青少年委員会『要望』にもかかわらず、血液型によって人間を分類しようとする従来どおりの番組と根本的な姿勢は変わらない」との意見が多く寄せられたため、委員会が当該局に見解を求めていたものです。

その回答は以下のとおりです。

〔テレビ東京からの回答〕

昨年12月の青少年委員会『要望』をどう受けとめたのか

2004年12月に青少年委員会から出された『”血液型を扱う番組”に対する要望』について、テレビ東京ではその内容を検討し、「血液型」を扱う番組を制作する際には、『要望』の中で述べられている三つの事項(①血液型によって人の性格が規定されるという見方を助長することのないようにする、②視聴者から寄せられた意見に真摯に対応する、③占い番組や霊能番組など非科学的内容の取り扱いについて青少年への配慮を一段と強める)などに配慮するよう制作セクションに徹底しました。

今回、血液型を放送で取り上げるにあたっての社内議論と局の判断

番組編成を担当する編成局および番組制作にあたる制作局で「血液型を扱う番組」について議論を重ねました。主に「視聴者の番組への期待」と「差別につながりかねないなどの問題点」についてです。

「血液型」はさまざまなメディアでも特集が組まれ、社会現象・社会的な流行の一つと言えるテーマとなっています。テレビメディアの役割の一つが、この社会現象の一側面を切り取って、番組として視聴者に伝えることと考えており、マスメディアの使命の一つであるとも考えています。ただし、視聴者から、青少年委員会や各テレビ局に対して批判的意見が寄せられていることは事実です。このため、番組を制作・放送するにあたっては、さまざまな配慮が必要であるとの考え方に至りました。

放送にあたって留意した点

  • 特定の血液型の人を差別しない……特定の血液型の特徴だけを特別視して、面白おかしく、かつ悪い印象を与えるような伝え方は避ける。
  • 科学的根拠があるように装わない……番組では、スタジオに200人(各血液型50人ずつ)を集め、リアルタイムでアンケートを実施する形式をとりました。「A型の人は○○である」などと、これまで言われてきたことを断定して伝えるのではなく、スタジオの200人のアンケート結果から、血液型に関する傾向を探りました。また、VTRで紹介する各血液型の「行動観察」の結果などについては「個人差があります」などのスーパーテロップを適宜挿入し、注意喚起しました。
  • 子どもたちの出演について配慮する……子どもたちの出演については、青少年委員会からの『要望』の中にも意見がありました。「見世物になっており、また、子どもたちをだますような実験も含まれており社会的に好ましくない」という指摘でした。「非科学的」と言われるテーマを番組で扱う際には、肯定的に取り扱わず、また常に青少年へ与える影響について注意をしてきました。当番組でも子どもたちの出演については親権者の了承を得た上で協力してもらい、取材・構成にあたっては「子どもたちのかわいらしい姿を覗いてみる」という趣旨を強く打ち出しました。さらに番組内で、子どもたちの出演部分が過度なウエートを占めないように放送時間(長さ)についても配慮しました。

放送後の視聴者意見と、それを受けた社内議論

放送後、電話やEメールなどで視聴者から51件(電話46件・Eメール5件)の意見が寄せられました。内容は「血液型」を番組で扱うことに批判的な意見が多く、その主なものは、「血液型によって人間(性格)を分類する番組はやめるべきだ」「血液型番組は差別を助長する」というものでした。

放送後に編成局および制作局で議論し、視聴者からの意見を真摯に受けとめるとともに、表現に関して事前に決めた留意点について、一定の配慮を行い放送したことを確認しました。今後、「血液型」を番組で扱うかどうかは、再度、社内での協議を深める必要があるとの認識です。

以上が回答ですが、青少年委員会から出された『要望』を2005年1月12日開催の放送番組審議会で報告しました。委員からは、「(血液型が性格を)決定しないという証拠もない、あるいは決定するとの証拠もないので、(血液型に対して)言ってはいけないというのもおかしな話ではないか」「こういう番組の制作については、よほどの注意を払ってのぞんでほしい」などの意見がありました。

委員会で検討したところ、委員からは、昨年の『要望』にもかかわらず、同じようなテーマの番組が放送されたことについて、「青少年委員会の存在意義にも関わる問題だ」など、厳しい意見が多く出されました。また、”科学的根拠があるように装わない”よう留意したとの局の回答について、「非常に中途半端な姿勢で番組が作られていると感じた。こうしたテーマを取り上げることにどれだけの意義があるか、作り手は意識すべき」「科学的根拠を装わないと言いつつ、スタジオでのアンケート結果を出すのは、ずるいと感じた。素人が見れば根拠があるように思う場合もある」などの指摘があったほか、「”社会現象の一側面を切り取って番組にするのがテレビメディアの役割”と回答にあるが、そうした流行を作り出しているのはメディアであり、責任転嫁ではないか」との意見も出されました。

さらに、「要望を出す前の番組と比べると、特定の血液型を差別化する観点は弱まっているが、番組づくりとしては安易だ」「委員会の要望と局からの回答が噛みあっていないと感じる。委員会も、制作者と接点を持つなど、もう少し投げかけ方を考えないといけないのでは」「この問題について、委員会としてどこまで踏みこみ、機能していけるのか難しい」「要望の趣旨は議論を喚起すること。いろいろな変化球を投げ続けていくことが必要」など、今後に向けた意見も述べられました。

議論の結果、今回のような血液型性格診断だけではなく、”ステレオタイプ的な見方の助長”という課題について、今後とも必要に応じて協議することを確認しました。

〔2005年4月5日付〕

2005年10月

『愛のエプロン 2005秋SP』テレビ朝日

『『愛のエプロン 2005秋SP』(10月5日放送)に関するテレビ朝日からの回答

『愛のエプロン』は、著名人に料理の腕前を披露していただく番組で、今回はスペシャル番組としてチーム対抗戦を企画しました。そこで、料理がプロ級の細木数子氏にその技を見せていただこうと、番組へのご出演をお願いしました。

しかし、チームリーダーを務めた細木氏は自らの役割に熱心のあまり、視聴者の皆様からご指摘いただいたような行動をとってしまったものと思われます。弊社にも視聴者の皆様から同趣旨のご意見が寄せられております。

なお、細木氏の発言は3時間の番組中、ほとんどが料理バラエティ番組における細木氏の料理に関する発言であり、基本的には占いに基づくものではなかったと考えております。占いをもとに発言したのは「料理占い」というコーナーのみで、その内容も細木氏の占い理論に沿って、どんな料理を食べたら運気が上がるかなどを出演したタレントに告げるというものでした。これらは公序良俗に反するものではないと判断しております。

また、細木氏の活動や収入を結果的に放送局が支えているとのご指摘ですが、タレントや文化人の方々の番組出演がご当人の収入などに一定の影響を与えているのは事実であり、今回のケースのみが特例とは考えておりません。

私どもは視聴者の皆様に不快の念を与えぬよう配慮したつもりでしたが、視聴者の皆様がご指摘の印象を抱かれたことは残念で、誠に遺憾に存じます。番組としましてはこうしたご意見ご批判等を真摯に受け止め、今後とも細心の注意を払いながら番組制作に臨む所存ですので、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

以上について委員会で検討したところ、委員からは主に次のような意見が出されました。

  • 局側の制作意図が”占いではなく人生相談の番組”であるとしても、見る側は”占い師”の発言として受け止めるのではないか。”単なる人生相談”というのは、詭弁と感じる。
  • 番組内で占い師の書籍等の宣伝をしなくても、テレビ出演することで結果的に影響力が大きくなることへの配慮は、やはり必要ではないか。
  • 占い師の”言いたいことを言っている”という物言いが、かえって視聴者に受けている面もあるのではないか。ただ、強引な発言や差別的と思える発言もあり、局には慎重な事前チェックが求められる。
  • 占い師としてのキャリアを背景に、一部の人を不安にさせるような発言も見受けられるが、やはり一定の配慮が必要ではないか。
  • 『愛のエプロン』は、誰が出演するにせよ、(食べ物の扱いなど)企画自体を考え直した方がいいのではないかとも感じる。

審議の結果、”メディアが持つ影響力を踏まえるとともに、占い師の明らかな差別的発言や問題と思われる発言については、編集の段階できちんとチェックすべきだ”との認識で一致しました。

〔2005年11月10日付〕

2005年10月

『ズバリ言うわよ!』TBS

『ズバリ言うわよ!』に関するTBSからの回答

○細木数子さんをメインにした番組を企画する意図

『ズバリ言うわよ!』は、心照学研究家であり、易学や算命学などにも精通した細木氏の30年に及ぶ勉強会(悩み相談)の経験を生かし、スタジオに芸能人を呼び人生相談に乗るという形を軸に、悩める女性たちに問題解決のためのひとつの選択肢を提案するために企画された番組です。

○どのような視聴者意見が寄せられていて、それをどう受け止め、社内議論はしているか

寄せられている御意見を大きく分けると、「細木先生に悩みを聞いて欲しい」「親や大人が子供に言えないことをしっかり言ってくれる」といったものがある一方で、「発言が独断的」「女性蔑視の発言が目立つ」など賛否両論に分かれています。

番組としては、視聴者の皆様方からいただいた御意見を真摯に受け止め、検討し、番組主旨が一方的にならないよう細木氏自身の発言以外にも演出面も含めて毎回、編成、審査等社内関係セクションとも協議を行い、慎重に番組制作を行っております。

○細木数子さんの発言は「占い」を根拠にしたものか

この番組は細木氏が日本各地で開いてきた勉強会(悩み相談)の経験がベースになっており、細木氏による「占い」ではなく、その勉強会で培った「人生観」が発言、番組主旨の根拠になっております。したがって、「占い」により番組を構成、進行しているものではございません。

○「テレビ番組以外での細木氏の活動や収入を放送局が結果的に支えることになる」との意見に対する見解

番組の中で細木氏の書籍や勉強会の宣伝をしたことはございませんし、氏の番組以外での活動や収入を積極的に支えているという認識もございません。その一方で、一般的に番組に出演するタレントがそれにより、間接的に収入が増えるということは度々あることだと思われます。

○9月27日放送のスペシャル番組で高校生を対象にした企画意図

当該スペシャル番組は女子高校生、男子高校生たちがスタジオに集い、それぞれが抱える様々な悩みを訴え、それに対し細木氏の「人生観」に基づいた「助言、提案」が示され、問題解決の手助けをするために企画されたものです。高校生の年齢であれば、他人の助言などから自らの問題解決への糸口を探し出せると判断しております。

○番組審議会について

この番組については今月21日開催予定の㈱東京放送の番組審議会で審議の対象にする予定です。

〔2005年11月9日付〕

2005年10月

『爆笑問題のバク天!』TBS

『爆笑問題のバク天!』に関するTBSからの回答

○『爆笑問題のバク天!』にレイザーラモンHGを出演させる意図について

当該番組は従来の発想を越えて、様々な新しい「笑い」を追及することを主旨とした番組で、10代を中心に若者層に支持を頂いている番組です。

レイザーラモンHG氏については、吉本興業所属のタレントで、吉本新喜劇にも出演するなど関西地方である程度の知名度があり、その芸風が非常に斬新であると話題を呼んでいたことから上記番組の主旨に合致したタレントであると考

え出演していただくことになりました。

○どのような視聴者からの意見が寄せられているか

「子供と絡むのはよくないのではないか」「放送する時間帯がふさわしくないのではないか」「食事の時間に放送するのは不適当ではないか」といったご批判を頂戴しております。

○意見をどう受け止め、社内議論はあったのか

ご批判の声があるのは承知しておりますし、社内の審査部門からの指摘もありました。その点も踏まえ、出演の際には、レイザーラモンHG氏の持ちネタを吟味して、中でも直接的な表現をするような下品なネタに関しては排除した上で

番組で扱っております。また、腰を振る動作に関しては、あくまで彼の芸風であり、そのこと自体が、淫靡さや不健康なイメージに結びつくとは判断していないため、そのまま出演を依頼しています。さらに、レイザーラモンHG氏自身

は「HG」の意味を「ハードな」「芸風」の略であると言っており、番組の主旨と彼の芸風を合わせて「ハードなものに挑戦する」というコンセプトで、「世直し」「人助け」「巨大企業に挑む」などのコーナーを設けております。上記

のようなご批判がある一方で、レイザーラモンHG氏はTBSを含め他局においてもゴールデンタイムを中心に多数出演していて、お茶の間の人気者として定着しつつあることも事実であると認識しています。

○子供が多く見ている時間帯への配慮は

既述のように、直接的な表現をとる下品なネタについては排除することに加え、当初、子供たちに料理を教えるコーナーなども放送していましたが、視聴者の方々からのご意見も踏まえ、直接子供たちと接するという構成は中止しました

○今後に向けての考え

今後は、レイザーラモンHG氏に限らず、これまで以上のネタの吟味を重ねながら、当該番組の「従来の発想を超えた笑いを提供する」とのコンセプトに則り、新しいタレントの発掘に努め、質の高いバラエティ番組を制作していく考え

です。

○番組審議会について

この番組について㈱東京放送の番組審議会で取り上げる予定は今のところありません。

以上について委員会で検討したところ、委員からは主に次のような意見が出されました。

  • “淫靡さや性のストレートな表現には結びついていない”などの回答は、社会一般の常識とかけ離れている気がする。局の上層部がこれらの番組をどう考えているのか知りたい。
  • 回答の中に”(同タレントが)人気が出てきているから”という趣旨のくだりがあったが、人気が出ているから認める、ということでいいのだろうか。
  • 同タレントが子どもと接する構成を中止したり(TBS)、性をストレートに表現するパフォーマンスを控えるよう指導していること(日本テレビ)などは、一定の配慮の表れと言えるのではないか。

審議の結果、”同タレントのパフォーマンスは、子どもは意味もわからずに喜ぶかもしれないが、人気が出れば何をしてもいいというものではない。局なりに一定の配慮はしているようだが、テレビはお茶の間メディアであることを踏

まえ、今後とも一層の配慮を求めたい”との認識で一致しました。

〔2005年11月9日付〕

2005年10月

『ラジかる!!』日本テレビ

『ラジかる!!』に関する日本テレビからの回答

○同タレントを当番組に出演させた意図

この番組は夕方に家庭で視聴している主に若年女性層及び男女学生に訴求することを意図して企画したものです。リサーチの結果、ここ1年で大阪の劇場で若者たちに絶大な人気を得るようになった本人に出演交渉し実現に至りました。

○日本テレビに対する視聴者からの意見

スタートの10月から11月上旬までに電話とメールで総数30件余りのご意見を頂いています。主な内容は、

  • レイザーラモンは下品で卑猥だ。子どもが見ている時間帯で教育上良くない。
  • 夕方の番組には不向き。子どもも見ている時間帯なのでもっと気を付けて下さい。
  • この時間に出るのはおかしい。あのような言動は犯罪にならないのか。
  • レイザーラモンHGが気持ち悪い。
  • HGの下品さは主婦には不快以外の何ものでもないです。もう日本テレビは見ないつもりです。本当に腹立たしい番組です。作っている人の良識を疑います。

などです。

社内では視聴者からのご意見を制作現場に伝えると共に、各種会議で紹介し、意見交換しております。

○子供たちが多く見ている時間帯に放送していることへの配慮

「ハードゲイ」というキャラクターについて、本人に同性愛者への差別意識はなく、現状同性愛者からの批判的なご意見は皆無です。番組では常々「性をストレートに表現するパフォーマンスは控えるように」と演出・指導しており、本

人もいわゆる下ネタは使用せず、奇抜なファッションとパフォーマンスで視聴者を楽しませるパフォーマーに徹しております。また自身も、一線を踏み越えると視聴者の支持を失うことを知悉しており、当番組としては許容しうるパフォ

ーマンスを行っていると考えています。

○今後に向けての考え

今後一層青少年への影響を配慮した演出を行う予定です。

〔2005年11月10日付〕〕