2012年2月に視聴者から寄せられた意見

2012年2月に視聴者から寄せられた意見

番組の収録中に若手お笑い芸人が事故で大怪我をしたことについて、番組制作体制や、テレビ局の安全管理の意識のなさを批判する意見が多かった。出演している犬が声帯除去手術を受けていたことで、動物愛護の精神に反しているとの声もあった。

2012年2月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,093件で、1月と比較して250件減少した。
意見のアクセス方法の割合はメール68%、電話27%、FAX2%、手紙ほか3%。性別は男性72%、女性23%、不明5%。年代は30歳代33%、40歳代25%、20歳代16%、50歳代14%、60歳以上7%、10歳代5%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。2月の通知数は387件【35局】であった。

このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、21件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

2月の視聴者意見は1,093件と先月より250件減り、今年度でもっとも少ない意見数だった。
報道関連やドラマなどへの意見は先月より減り、バラエティー番組への意見が目立った。
番組の収録中に若手お笑い芸人が事故で大怪我をしたことについて、番組制作体制や、テレビ局の安全管理の意識のなさを批判する意見が多かった。出演している犬が声帯除去手術を受けていたことで、動物愛護の精神に反しているとの声もあった。大家族の日常を追った他局の番組をパロディー化したバラエティー番組に対しては、「皮肉や嘲り」は、笑えない。制作者の驕りを感じるといった厳しい批判意見があった。
放送上の問題では、CMの音量、スタジオ出演者のワイプの無意味さなどに意見が多かった。
ラジオに関しては、深夜放送に限らずパーソナリティーの発言が少し性的に過激すぎるのではなどの意見があり、全部で25件。CMに関する意見は31件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は110件で、前月より80件ほど減少した。
今月は、低俗・モラルに反するとの意見が35件、次いでCMに関する意見が20件、視聴者意見への反論・同意が10件と続いた。
低俗・モラルに反するとの意見については、主にバラエティー番組に対し「子どもに悪影響を与える」「子どもが見る時間帯に不適切だ」などの批判意見が寄せられた。CMに関する意見については、オンラインゲームのCMでの表現に対し「子どもがまねをする恐れがあり危険だ」などの意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • NHK松山放送局が、誤報テロップを流した。ニュース「おはようえひめ」の中で、「窃盗の疑い、愛媛大学教授を逮捕」と誤った字幕を流した。同番組内と正午のニュースの最後に、アナウンサーが「全く架空の内容で、字幕のような事実はありません。おわびします」などと謝罪した。放送中の操作ミスで、テスト用に作っていた字幕の一つが流れたという。放送界は「ぴーかんテレビ」の反省はないのか。「セシウムさん」は、作らなければ済んだこと。NHKも架空の大学名にしておけばよかったことだと思う。
  • 報道等におけるミスには、毎回残念な思いを抱く。テレビを見ていると、毎日のように人名テロップや写真等で誤りがあり、後にそれを訂正しお詫びをするということを見かける。こういった初歩的なミスは、放送前に確認すれば防げることだ。こういった小さなミスでも、それが日常的に繰り返されていることは問題だ。訂正すればよいとか、これが当たり前といったような悪い習慣にならないよう、最終確認を行ってほしい。より良い番組作り、情報発信につながることを願う。
  • 被災地のガレキ処理が進まないのは、他の地方自治体が協力する姿勢がないからだと報道していた。しかしこの問題は、原発事故による放射性物質がガレキに含まれているか、含まれていないかを調査した資料を政府が隠蔽せずに国民に公表して、誰もが本心から安心できるようにすればいいことではないか。
  • 田中防衛相に対する質問を、「まるでクイズだ」と批判している番組が多い。自公政権時代には当時の首相を、漢字が読めないと批判していた。防衛に関する事を聞いて、クイズをしているとマスコミが批判することには違和感がある。批判するなら、漢字テストの時の報道を再度放送してマスコミが謝罪してからにしてほしい。この問題でわかるように、報道に主観が入りすぎて偏向報道が多い。マスコミは政治を批判する前に自己批判しないといけない。
  • 光市母子殺害事件で、元少年の死刑が確定した。この判決を受けて、放送局は一斉に「死刑判決が出たことで、更正の機会がなくなった」として、元少年の実名を報道した。「死刑だから、更正の必要がないから」と、少年法の理念を無視して実名報道してもいいのだろうか。違和感が残った。報道する側の理屈はよくわからないが、最後まで匿名にすべきではなかったか。
  • 女性芸能人が霊能者と称する人物に洗脳されているとする報道について、ゲストが霊能者をペテン師呼ばわりして批判しておきながら、自分達は風水師にコメントを求めた挙句に「この鏡を外に出すことはおかしい」などと、風水師の発言を当然の前提として解説している。もはや漫画だ。風水師のご託宣をありがたがって番組で扱うメディアが、霊能者を批判する資格があるのか。五十歩百歩ではないか。さらには、運び出されたソファについて家具屋まで引っ張り出して解説していたが、家具がいくらしたかなど大きなお世話だ。間取りまでフリップで解説していたが、ここまで芸能人のプライバシーを公開することにどんな意味があるのだろうか。
  • 私は生活保護を受けている。報道で生活保護を取り上げる場合、「不正受給」や受給者の「怠慢」ばかりを指摘し、就労者の一方的な目線で受給者を批判している。障害を抱えて働けない受給者も多く、好んで生活保護を受けているわけではない。高齢者と同じように生活保護受給者も弱者です。正確に公平に報道してください。

【番組全般・その他】

  • 番組収録中に、お笑い芸人が腰の骨を折る大けがを負った。この放送局のバラエティー番組は事故が多い。しかも、事故や怪我をするのはいつも若手芸人。この先一生、車椅子生活だと思うと、若手芸人に対しての補償はどうなっているのか気になる。番組制作責任者の安全管理意識はどうなっているのか。番組司会の大物芸人の責任はどうなのか。結局、いつものように若手芸人の泣き寝入りで終わるのか。そのうち死人が出るだろう。
  • 出演している犬が声帯除去手術を受けていたそうだ。飼い主の自由ではあるが、去勢手術と違い犬にとって何のメリットもない。このような手術は動物虐待と紙一重だ。もし、テレビ局が強制したとすれば問題だ。仮に強制しなかったとしても、番組に都合が良いからという理由で声帯を除去している犬を選んだという事実に変わりはない。本来であれば吠えることのないようにしっかり躾された犬を起用すべきだった。人間の都合や欲望の為に体の一部を切り取られた犬を起用することは、倫理観の欠如であり、公共性の高いテレビという点から考えてもおかしい。
  • 生きたブリをビニールプールに放し、芸人たちが素手で捕まえて、3秒間キスできたら商品をGETという内容だった。魚を抱きかかえたり、尻尾を持ってわざとこけてみたりと、魚が弱ってしまう行為を延々と2ゲーム続けた結果、2ゲーム目には白い腹を見せ、死んで動かないブリもいた。見ていて腹が立った。食べるために絞めるときは一瞬のうちに急所を突くのだが、あの内容は逆に人間を海の中に放り込むのと同じぐらいブリに苦痛を与えたと思う。
  • 他局の大家族番組をパロディー化し、「夫婦喧嘩の解決は男女関係」「2階の窓から突き落とす」「最後にはお金を貰うストーリー」まで、誇張した番組には悪意が感じられた。家族が必死で生きようとする努力を、バラエティーだからといって茶化すのは許されることではない。今後あの家族はどうなるのか。世間の笑いの材料にされる子ども達の立場はどうなるのか。台詞の引用・家族構成・色紙の文字・服の文字・背中にビッグダディーの文字。個人をピンポイントで特定できる内容。明らかに人権侵害・名誉毀損だ。番組制作者はなにか勘違いしているのではないか。何かを表現しようというものが、弱いものいじめをしてどうする。
  • 震災から1年が経とうとしているのに、まだ現地は大変な状態だと新聞などを見て感じる。それなのにテレビは、高級で美味しいものを食べる、芸能人の裕福な姿を見る、など無駄遣い的な番組を垂れ流している。違和感を覚える。同じ日本にいながら、福島をはじめ震災のあった地域が「外国」なみの遠さに感じる。テレビや新聞に期待したい部分もあるのだが。
  • 番組終盤で紹介したメニューを「詳細は番組の最後に紹介します」というアナウンスでCMになり、CM終了後「最後のメニューの詳細はホームページで」というような流れで番組は終了した。ホームページへ誘導したいことは分かるが、「紹介します」とアナウンスした以上は、テレビで紹介すべきではないか。このような作り方はCMを見せたいだけの詐欺的行為だ。こういった手法は倫理的に問題とならないのか
  • スタジオの芸人の顔を画面隅に表示する「ワイプ」は、散々いらないと言われているのに、なぜテレビ局は表示をやめないのか。「ワイプは興ざめする」とわかっていてなぜ表示するのだろうか。「みんなテレビを見なくなった」などと馬鹿なことを言う前に、このような視聴者を興ざめさせるようなことをやめるべきだ。

【ラジオ】

  • 歯のホワイトニングに関するラジオショッピングをよく聴く。「販売している商品で歯についたヤニが取れて云々~」という内容があるが、歯のホワイトニングとは、生まれつき色が黄ばんでいたりする場合に歯の色を白く変えることだ。汚れを取るものではない。それならば歯科医院で歯石を取ったりすればきれいになる。それをあたかも歯科医院でやったら何万円もかかると堂々と言っていることには開いた口がふさがらない。
  • 放送中に「キンタマ」発言が数回あった。パーソナリティーの女性も連呼していた。公共の電波でつかう言葉ではない。二度と言わないでいただきたい。他にも「セックスは気持ちいい」との発言があり、昼間の番組で連呼するとは恐れいった。
  • パーソナリティーが「オナニー」と発言した。不適切だ。また、女の子を育てるゲームソフトについて「女の子にいやらしい言葉を教えておくと、とんでもない時にとんでもないことを言い出す」と笑っていた。いい年をしていやらしい。お爺さんが何を口走っているのだ。これでは単なる”エロオヤジ”ではないか。中学生ではないのだから、欲望のままに口を開くな。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • 突拍子もない行動をする兄弟を怖いもの知らずとして笑いを取る内容のバラエティーだが、きちんとしつけがされず、責任も知らず、好き勝手し放題な子どもを肯定しているようにしか思えない。親は何をしているのか。同じ年代の子どもも見るだろう時間帯に放送されているが、真似したりするとどうなるのか。放送局は考慮しなくてはいけないと思う。
  • 最近色々な番組で子役をもてはやしすぎる。しかもバラエティー番組等では、一緒に子役が出ているにもかかわらず芸人達が平然と下ネタを連発している。子役とて子どもであることに変わりはない。その場の状況に相応しい番組作りをするようBPOで指導するべきだ。
  • バラエティー番組でゲームコーナー終了後、出演者が物を乱暴に投げつけていた。一緒に見ていた子どもは驚き30分泣き続けていた。夕飯時の楽しい時間のはずが台無しになった。子どもを持つ親として、教育上よくないことだと思った。

【性的表現に関する意見】

  • 深夜に放送されているアニメで、偶然見ていたところ不謹慎極まりない性的な描写が繰り返し放送され、とても驚いた。誰でも見られる地上波でこのようなシーンを放送していいのか。とても気分が悪くなった。深夜に表現が過激な番組が多く放送されていることは知っていたが、こんな過激なシーンを許しているのか。放送局は倫理観やモラルに欠けている。
  • いつも家族で楽しく見ているバラエティー番組だが、昨夜の放送はとても家族で見ていられるものではなかった。外国人女性のほとんど裸体のような姿や下半身のアップは子どもと見られない。放送時間は丁度夕食時でもあるので、以前のような日本の良さを紹介していくような内容に戻ることを望んでいる。

【いじめに関する意見】

  • バラエティー番組で、ベテラン芸人が若手芸人に熱い液体をかけ、そのリアクションを笑う場面が数回あった。子どもの世界に置き換えるといじめにつながりかねない。こういう行動を子どもが真似し、それを「おもしろいからいい」と思うようになると残念だ。人を傷つけてそのリアクションを楽しむことは、子どもの教育上よくない。芸人が本当の笑いを求めるなら、誰も傷つけずに心から笑える笑いを伝えてほしい。

【危険行為に関する意見】

  • 子どもに人気の朝のアニメを小学生の娘と見た。番組冒頭、主人公の女の子が見通しの悪い曲がり角を走って飛び出すというシーンがあった。いつも子どもに道路上では突然飛び出したりしないよう教えている身としては、ハッとするシーンだった。特に小さい子どもは番組内容に影響を受けやすいので、このようなシーンは好ましくない。
  • 屋外で昆虫を探すコーナーで、出演者の帽子に虫メガネで陽の光をあて、焦がすという悪ふざけをしていた。被害者が虫メガネの方を見上げた時に、顔にも光の焦点が一瞬あたっていた。これは悪ふざけで済む問題ではない。もし目に焦点が合ったら、失明する危険な行為だ。子ども番組だからこそ、放送してはいけない場面だ。

【報道に関する意見】

  • 女児の死体遺棄事件のニュースは子どもには見せたくない。我が家には6歳の子どもがいるが、ワイドショーやニュースで「母親が子どもを殺した」と怖がっている。この事件をセンセーショナルに取り上げることは子どもに悪影響だ。事実だけを静かに報道してほしい。

【非科学的な事柄に関する意見】

  • 動物と話せるという外国人が出演しているバラエティー番組。あらゆる動物との会話を放送しているが、いったい何を根拠に真実として放送しているのか。週末のゴールデンタイムということもあり子どもが見ている。小さい子は疑いもなく信じてしまうなど、教育上も問題である。

【虐待に関する意見】

  • 小学生の子役に対し、「消えてほしい」などと批判する内容のランキングが放送された。子どもに対し暴言を吐くことは、大人に対し同様の暴言を吐くことと比べ、はるかに大きな悪影響を及ぼしかねない。このような内容を放送することは公然の児童虐待ではないか。

【言葉に関する意見】

  • 最近、バラエティーやドラマで、良い意味で使う言葉の頭に「くそ」を使うことが多い。聞くに堪えない。本来「くそ」は悪い意味で用いられるものだ。若者の誤った言葉遣いを正すことができるような番組作りを放送局はするべきではないのか。

【視聴者意見への反論・同意】

  • ここ最近の視聴者意見を見ると、番組に少しでも過激なシーンがあると「子どもに有害」とする短絡的な批判が多い。しかし、番組の評価は全体を通しての内容や作り手の意図も考えて行うべきだ。子どもも番組の一部のみに注目しているわけではないはずだ。番組構成上、過激なシーンが必要な場合もあるし、そうしたシーンがあっても、全体を通して命や友情の大切さなどを伝えてくれる番組はある。一部を切り取っての批判は不適切だ。

【CMに関する意見】

  • パチンコのCMが多すぎる。子どもが必要以上に興味を持ち、教育によくない。深夜帯を中心にする、もしくは回数を減らす等の考慮をしていただきたい。
  • 携帯ゲームのCMで、モンスターを電子レンジに入れる内容は不適切だ。小さな子どもが真似をして、子犬やハムスターを電子レンジに入れそうで恐ろしい。

第131回 放送と青少年に関する委員会

第131回 – 2012年3月

視聴者意見について

中高生モニターについて

第131回青少年委員会は3月18日に開催され、2月16日から3月11日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、3月に寄せられた中高生モニター報告等について審議した。

議事の詳細

日時
2012年3月18日(日) 午後4時~5時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

担当委員及び事務局より今月の視聴者意見の概要等の報告を受け、審議対象に該当する番組はなかった。

中高生モニターについて

3月のモニター報告は、中高生モニターを体験した1年間の感想や放送界への率直な意見を求め、26人からリポートが届いた。寄せられたリポートは、「他の人のリポートを読んで、テレビ視聴の参考になった」「自分の企画書が放送局の方に読んでもらって励みになった」といった意見の一方、「不快な番組とリポートしてもあまり変化がない」「3・11以降、放送局が真実を伝えているのか疑問を感じた」など放送界への注文も寄せられた。

【主な意見】

  • 「1年前のあの日。テスト期間中だった私は午前授業だった弟と2人で家にいました。両親不在のまま夕食を食べ、5~6時間かけて母が翌朝徒歩で帰宅。そんな中、父の帰宅とともにモニター採用の通知。この1年は、東日本大震災でテレビのあり方についてよく考えた1年でした。とてもショッキングな映像でしたが、なぜか目が離せませんでした。なぜ目が離せなかったのか、それは言葉でした。被災者の方々の悲痛な叫びの声、リポーターの人々の必死に伝えようとするけどあまりにも悲惨で見つからない言葉。言葉は時に人を救いますが、時に人を傷つけます。それも身をもって感じられることができました」。(東京・中学2年女子)
  • 「中高生モニターは今しかできない貴重な体験です。私は文章を書くのが苦手で、モニターも母親に勧められてしぶしぶ応募しました。始まると毎月異なるテーマが出題されて皆さんの意見が届くにつれてだんだん楽しくなってくるのでびっくりしました。他の方の意見を読んでいるとたった数年しか違わないのに、どうしてこんなに上手な文章が書けるのか?と感心もしました」。(大阪・中学1年女子)
  • 「これまではただ単に”ぼーっと”テレビを見ているだけでしたが、企画書を実際に作ってみて、みんなに見てもらえるような番組の企画を立てるのはとても難しいことだと実感しました。実際に放送局では子どもから大人までの誰もが楽しめる番組を作っているのだということに気づき、みんなが番組を楽しめる番組を企画する大変さがよく理解できました」。(岐阜・中学2年男子)
  • 「モニターになってからは、以前とテレビの見方が変わりました。ふだん何気なく見ていたニュースでも、A局とB局だったらこっちの方のニュースの方が良かったなと、いつの間にか比較して見ていたり、ドキュメンタリーに興味を持って見たりと、見るものも変わりました」。(岡山・中学2年女子)
  • 「時間がない中でなんとなく見ているテレビのうち、バラエティー番組で多かったCMを途中にはさんで過剰に期待感をあおるようなことがとても不満でした。テレビを作る側の都合としか思えないような演出は、何かの役に立っているのか疑問です。またドラマなどで、子ども世代を対象にしているのに遅い時間にやっているものは、もう少し時間を早めた方がたくさんの人に見てもらえるのではないかと思いました」。(東京・中学1年男子)
  • 「私はこの一年間モニターを経験して、今まで何気なく見ていた番組(物事)を注意して見るようになりました。そして、『複眼』が少し使えるようになったと思います。今のテレビは、あまり人々のニーズに応えられていないのではないかとリポートを通して思いました。せっかくパソコンや通信機器が発達しているのだから、それらを利用してよりよい番組を作成してほしいと感じました」。(神奈川・中学2年女子)
  • 「BPOモニターをやって良かった事を書きます。今の放送局は必要な事を報道する割には世間に目をもっていない事。大きいニュースばかり取り上げて、肝心な、大事な、伝えなければいけないはずの小さなニュースをほったらかしにしていると私は思います。特に、東日本大震災が来てからそうでした。大きいニュースは、どこのテレビ局のチャンネルを見ても同じニュースばかり。小さな事でも、このような現状が起きているんだ!そう、視聴者に伝えるのが放送局の役目なんだからこそ、もっと小さなニュースでも取り上げてほしかったです」。(北海道・中学2年男子)
  • 「1年間モニターとして今までよりテレビを注意深く見ていたら『本当に見たいと思えるテレビ番組、見たいと思って見るテレビ番組は少ない』ということに気がつきました。面白くて私たちが見たいと思っている番組は、内容が濃くて独自性のある番組だと思います。内容が薄い番組は単発にとどめておくべきだと思います。それがいかに難しいことかは、私も番組の企画をしたので分かります。いけないのは、つまらない番組をそのままにしておくことです。私は、つまらない番組はどんどんリニューアルしたり、やめたりして変えてゆくことが大切だと思います。また、暇つぶしになんとなく見ている人の視聴率などあまりあてにせず、視聴者の意見をしっかりと聞いて番組を制作することが大切だと思いました」。(神奈川・高校1年女子)
  • 「モニターを担当してきて思ったこと。私たちが物心ついたときにはテレビやラジオ、携帯にインターネットがあり、徹底的に管理された情報があった。意識せずともそれらの情報端末を使いこなし、空気を吸うように与えられた情報を受け取り、上辺だけを見ては薄っぺらな怒りや悲しみ、同情、喜び、批判を感じ、自分の大した意見もないままに他者へと吐き出すように発信をする。繰り返されるこの行為が社会への無関心、自らの不安を煽っているのだ。結局のところ、私たちは発信者の意図というフィルターを通された情報しか目にしてこなかった。その噛み砕かれ、形の変わり、伝えたいことを大きく見出しにし、都合のいいように塗られた情報を何も考えずに受け取ってきた。東日本大震災という全く予想しなかったことが起き、フィルターを通す余裕がなくなってくるとどうだ、何がどうなっているのかが分からない、この学者はなにを言っているのか、要領を得ない。何も考えずとも噛み砕かれた易しい情報ばかりを享受してきた私たちはいつの間にか情報を取捨選択することを忘れ、真に理解することを知らず知らずのうちに放棄してしまっていたのだ。自分の興味にあっているような安易な情報に踊らされた若者たちは『なんだ、この議員は消費税を上げないんだ。いいじゃん』『この芸能人が選挙出るの?面白い』「AKB48の選挙の方が興味ある』などという考えしか持たなくなっている。これは深刻な問題である。本当に世の中で起きていることを理解しているのは国民のほんの一握りだと思う。だが、今の状況にしてしまったのは何を隠そうマスコミ自身である。うつつを抜かした空気に合わせていつの間にか視聴率ばかりを狙ったような報道があとを絶たない。切り口を変えれば悪もまた正義であり、正義もまた悪なのだと言わんばかりに、『やれ消費税を上げたら困る』『原発は今すぐに中止だ』など偏った意見を切り取っただけの報道が目立つ。東日本大震災の復興における情報の力はめざましいものがあった。それは確かである。人と人とのつながりが世界をも動かすようになったのだ。それほどの力を持つマスコミが日本を正しい方向に導いていけるのだということを私は信じている。情報は人に娯楽を与えるためにあるのではない。情報の意義とは、ものごとを正しく知るため、そしてそれを自ら考え、理解し芯の通った意見を持つための手段なのだ。そう私は感じている」。(千葉・高校2年男子)

【委員の所感】

  • 中学1年から高校2年という幅広い年代のみんなのリポートを、1年間読んだり理解したりすることから、文章力が伸びたり考え方が深まったりしていることがよく分かった。
  • 今の中高生たちは、テレビやラジオ、携帯電話・インターネットなどさまざまな情報入手のツールが生まれたときから手に入る状況にあり、果たして何が重要な情報なのか、何が真実なのかということへの疑問を持っているリポートには考えさせられるものがあった。
  • 中高生が本当に見たい番組は限られていて、ながら視聴しているケースが大半ではないか。つまらない番組が多ければ視聴者が離れてしまい放送局の経営は大丈夫?という意見にまったく同感。放送局は視聴者の意見をきちんと受け止めて番組を作ることが大切ではないか。
  • 1年間の成長の姿に感激した。モニターの皆さんが書いた文章を誰かに読んでもらえる、企画書をテレビ局の制作現場の人に講評してもらえるということが励みになったという意見が多いことが目についた。その結果、家族や友人ともテレビを見て話し合うきっかけになったというリポートにも感心させられた。
  • 他のモニターの声が届くことによって刺激を受けている様子がよくうかがわれた。同年代でありながら、違う視点でものを見ている意見や感想と接することで、自分とは違う人がいるということを自覚できるよいチャンスだったということがよく読みとれた。
  • 1年間のモニター体験で成長する度合いが大人より大きいことがよく分かった。文章力のアップはもとより、毎月テーマを出されることから見る視点を各自が作り出そうとしていることがなかなかのものだという印象だった。

* 「中高生モニター会議」の開催について

3月18日(日)正午から午後3時30分まで千代田放送会館7Fの会議室で、「2011年度中高生モニター会議」を開催した。出席者は中高生モニター20人(中学生16、高校生4)と7人の青少年委員全員で、「バラエティー系番組グループ」「報道・情報系番組グループ」「ドラマ・アニメ番組グループ」の3つのグループに分かれ、各自が考えてきたアイデアを出し合って話し合い、「私たちの作りたいテレビ」の企画書を作成して発表・討議した。
この会議の模様は、後日、冊子として発行する。

第181回 放送と人権等権利に関する委員会

第181回 – 2012年3月

委員会に対する放送局からの要望~放送倫理上の判断について

2月の苦情概要 ……など

在京・在阪放送局への聞き取り調査を受け、「放送倫理上の問題に関する判断」について議論を続行した。

議事の詳細

日時
2012年3月13日(火) 午後4時~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

委員会に対する放送局からの要望~放送倫理上の判断について

在京・在阪放送局への聞き取り調査を受け、「放送倫理上の問題に関する判断」について議論を続行した。
今月の委員会では、放送倫理上の問題について、放送倫理基本綱領等の自主的規範を事実認定や判断の拠り所とすることについて改めて意見を交わした。
委員からは「基本綱領や民放連の放送基準、NHKの国内番組基準等、放送局が自らの手で定めた自主規範に拠ることで作り手にも理解を得られやすいのではないか」とする一方、「基本綱領や番組基準等が放送倫理のすべてではない。広く社会通念に照らしての判断もあり得るので、委員会として、判断の枠組みについてはフリーハンドで広くしておくべきだ」という意見も出された。
また、人権侵害と放送倫理違反の関係、両者の軽重については「一般的には人権侵害は違法だから重く感じられるだろう。しかし名誉毀損としては大した嘘はついていないが事実を捏造して報道した場合、申立人からすればあってはならないことだ。どちらが1番、2番と順位付けすることはむずかしく、そう簡単ではない」「名誉毀損の成否では公共性、公益性の観点から番組の意義や目的等も勘案されるが、放送倫理についてはどうか。例え社会的に意義のある番組であっても間違ったことで心を痛める人が生じたなら、やはりその間違いは許されない。いい番組だからということにはならない」等の意見が出た。
これらの意見を踏まえ堀野委員長は、「倫理の海があるとすれば人権侵害はその中を倫理と重なり合って動いている。だから、まず放送倫理上の問題から取り上げ最高度に重いものは一番上に置く。判断のグラデーションをどう表現するかという問題はあるが、重さの軽重はやはりある。その上で人権侵害とは放送倫理と別次元の法規範に照らした判断であり、両者が重なり合う場合は、放送倫理上問題があると言いつつ、その問題は名誉毀損にも該当しかねないという判断を示し、そのことを決定の中できちんと表現すれば整理できるのではないか」と述べた。
この日の議論を通じ、放送倫理上の判断のグラデーションについては、事案ごとに性質が異なるところから、今後、よりシンプルにする方向で大筋の合意を見た。放送局から問題提起のある「放送倫理違反」と「放送倫理上問題あり」という判断を具体的にどう見直すか等、詳しくは新年度の委員会の課題として持ち越されることになった。

2月の苦情概要

2月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・1件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・14件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 堀野紀委員長、樺山委員長代行、武田委員の3委員は今月をもって任期満了となり、退任することになった。堀野委員長は委員長代行時代を含め3期9年、樺山代行は1期3年、武田委員は2期6年をそれぞれ務めた。
  • 次回委員会は4月17日(火)に開かれることになった。

以上

第58回 放送倫理検証委員会

第58回 – 2012年3月

NHK松山放送局『おはようえひめ』不適切テロップの送出

第58回放送倫理検証委員会は3月9日に開催された。
NHK松山放送局の県域番組「おはようえひめ」で2月16日、ニュースと関係のない不適切な架空字幕が放送された件について討議を行った。字幕作成の練習で使ったものが削除されずに電子台本に残っていたための事故であったが、NHKの経緯報告では、技術的仕組みや担当者の業務範囲などについて分からない点があるため継続討議となった。

議事の詳細

日時
2012年 3月9日(金) 午後5時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

NHK松山放送局『おはようえひめ』不適切テロップの送出

2月16日、NHK松山放送局の朝のニュース番組「おはようえひめ」で、「窃盗の疑い 愛媛大学教授逮捕」という架空の字幕が2秒間放送され、その訂正とお詫びが翌日朝までに3度放送された事案。
NHKから提出された経緯報告によれば、深夜に放送用の装置を使って新人訓練を行った際に作成した字幕が、消去されずに送出されたもの。
訓練は、タイトルのほか、漢字を誤記しやすい容疑者の氏名など架空の字幕を5枚作成、送出用の電子台本に登録したのち消去をかけたが、そのうちの1枚が消去されずに残ったことが原因という。この字幕は放送直前のチェックでは発見できず、また放送中にも緊急に外す措置をとったがうまくいかなかったという。
不適切な架空字幕については、東海テレビ『ぴーかんテレビ』問題をうけて昨年9月に検証委員会から「提言」を全加盟社に発信し再発防止を呼びかけていた。それにもかかわらず発生した事故であることから、字幕の作成理由や、事故に至った原因等について、経緯報告書に基づいて議論した。その結果、原因や事後対応になお分かりにくい点があるのでNHKに再度説明を求めて、次回の委員会で判断することになった。

【委員の主な意見】

  • 最初の訂正では「ニュースと全く関係がない字幕が表示されました」 としか言わなかった。これでは名前を出された大学は事実かどうか不安になる。
  • 字幕習熟訓練のルール、デスクとスタッフの業務範囲が分からない
  • あれだけピーカンテレビで問題になったのに、もう少し事実関係を明らかにしてほしい。 提言が活かされていない。
  • この人たちは真面目に取り組み、ふざけていたわけではないようだが、消去を忘れたのは問題だ。
  • やはり研修に不備がある。どのように再発防止につなげるか。
  • 番組前にチェックした際に発見できなかった字幕が、なぜ本番で表示されたのか。
  • 人は必ず過ちを犯すから、システムはそれを前提に組み立てて運用する必要がある。誰かが間違ったときにも実害が生じない仕組みを考え、また誤りを迅速に回復する訓練をしておかなければいけない。

以上