第110回 放送と人権等権利に関する委員会

第110回 – 2006年3月

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理

審理要請案件「歌のルーツを探る番組で人権侵害の訴え」の扱いについて協議…など

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理

本事案は、東京都在住の男性が「2005年6月及び7月に関西テレビで放送されたバラエティー番組『たかじん胸いっぱい』で、当時妻だったタレントの発言によって名誉・プライバシー権の侵害を受けた」と申し立てていたもの。

委員会では、申立人、被申立人双方を個別に招いて直接事情を聞くヒアリングを行い、申立人本人も出席した。あわせて1時間45分にわたって行なわれたヒアリングの後、本件事案について詰めの審理を行い、起草委員会がまとめた委員会決定の草案について意見を交わした。

この中で、「トークバラエテイー番組における名誉毀損」や「当時妻だったタレントの発言」などについて検討し、一部加筆修正を行った。

その結果、「委員会決定」をまとめた上で、3月28日に申立人、被申立人双方に通知し、その後記者会見を開いて「委員会決定」を公表することを申し合わせた。

審理要請案件「歌のルーツを探る番組で人権侵害の訴え」の扱いについて協議

本年2月、福岡県大牟田市在住の男性から「05年10月放送の番組で、与論島出身者が侮辱され、名誉を著しく毀損された」という趣旨の申立書が送られてきた。問題のシーンでは、ある歌謡曲のルーツに関して1965年ごろ撮影の資料映像が使われたが、男性は「左右に並ぶ豚小屋に<与論長屋>の字幕がスーパーされていた。これは、『当時大牟田に住んでいた与論島出身者は豚小屋に住んでいた』と公言するものであり、与論出身者を侮辱し名誉を毀損するものである」と主張していた。

委員会では、申立書及び当該局の対応状況を慎重に検討したうえで、本件番組のビデオテープを視聴したところ、「当該放送からは、申立人及びその直接の関係人の名誉が毀損されたと解せる部分は見出せない」ということで委員全員の意見が一致し、委員長名で<審理対象外>の回答書を男性に送付することを決めた。

苦情対応状況[2月]

2006年2月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(14件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・5件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・9件

その他

3月末をもって退任される飽戸弘委員長、渡邊眞次委員より退任の挨拶があった。またBPO村井専務理事は、放送人権委員会発足以来9年間にわたり委員を勤められた両氏に対し、「放送人権委員会の基礎をしっかりと築いていただいた」と、感謝の気持ちを述べた。

最後に、事務局からBPOの年次報告会が、3月23日(木)午後1時半から開かれることが報告された。そして、次回委員会は三宅弘氏(弁護士)、武田徹氏(ジャーナリスト、東京大学先端技術研究センター特任教授)を委員に迎え、新体制で4月18日(火) 午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上