第192回 放送と人権等権利に関する委員会

第192回 – 2012年12月

国家試験事案のヒアリングと審理
審理要請案件:「大阪市長選関連報道への申立て」~審理入り決定…など

「国家試験の元試験委員からの申立て」事案のヒアリングとヒアリング後の審理が行われ、「委員会決定」の作成に当たる起草委員会が発足した。大阪市長選挙関連報道をめぐる申立てについて審理入りが決まった。

議事の詳細

日時
2012年12月18日(火) 午後3時~8時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、田中委員、林委員、山田委員

「国家試験の元試験委員からの申立て」事案のヒアリングと審理

本事案はTBSテレビが今年2月25日に放送した報道特集「国家資格の試験めぐり不平等が?疑念招いた1冊の書籍」で、国家資格である社会福祉士の試験委員会副委員長を務めた大学教授が、過去問題の解説集を出版するなど、国家試験の公平・公正性に疑念を招く行為があったと放送され、名誉と信用を毀損されたと申し立てたもの。
この日の委員会では申立人、被申立人から個別にヒアリングを行い、詳しく事情を聞いた。
申立人側は申立人ら2人が出席した。
申立人は問題とされた著作について、「国家試験の過去問題のなかに社会福祉士が求められている法的な知識や見方が凝縮されていると考え、取り上げた。一般の受験対策本とは質、量ともに違う」とあらためて著作が問題視されたことに反論した。また著作で取り上げた問題と似た問題が翌年に国家試験で出題されたとされるなど、あたかも申立人が試験問題を漏えいしたかのような印象を与える番組の作りになっており、さらに顔写真を繰り返し使用するなど申立人への個人攻撃が行われたと主張した。
一方、被申立人側のTBSテレビは番組担当者ら4人が出席し、「申立人が『この程度のこと』で問題にされたという認識であることに驚いた。我々は申立人の行為が国家試験の根幹にかかわる公平・公正性に疑念を招くものだったと考えており、本当に『この程度』のことだったのかどうか委員会で判断してもらいたい」と述べた。さらに申立人が著作で取り上げた問題と似た問題が翌年の国家試験に出題された等としたことについて、一般の受験生からは、申立人が自ら教える大学の学生にヒントを出したという受け取り方をされかねないことを問題視したのであり、放送では、申立人が問題を漏えいしたのではないかという印象を与えることのないよう細心の注意を払ったと強調した。
ヒアリング後も審理を行い、申立人に試験委員としてふさわしくない行為があったかどうかや、番組が必要以上に申立人への個人攻撃になっていなかったかどうかなどについて議論した。また試験委員会の副委員長という立場がどこまで公人として批判を甘受すべきかなどについても意見が交わされた。
この結果、「委員会決定」の作成に当たる起草委員会を年明けに開き、来月の委員会では起草委員会から決定案の提出を受けてさらに議論を続けることになった。

審理要請案件:「大阪市長選関連報道への申立て」審理入り決定

上記申立てについて審理入りが決まった。
対象となった番組は、朝日放送が本年2月6日に放送した『ABCニュース』(午前11時台)。2011年11月の大阪市長選挙において、市交通局の労働組合が友人・知人紹介カードの回収リストを作成し、その中で「現職の平松市長の支援に協力しなければ不利益があると職員を脅すよう」指示していた疑いが独自取材で明らかになったと報道した。大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれた内部告発に基づくスクープ報道だったが、約1か月後、市当局の調査により、この回収リストが内部告発者自身による捏造だったことが判明した。
この報道に対し、団体としての大阪交通労組と組合員が連名で申し立てた。申立書において申立人は、「報道は組合が当該リストに関与していた疑いを不当に強調し、組合の社会的信用と名誉を大きく傷つけた。申立人組合員らも悪辣で反社会的な存在とされ、人格否定の罵詈雑言を受けた」等とし、朝日放送にどのような裏付け取材をしたのかを問うとともに謝罪と訂正放送を求めている。
これに対し朝日放送は局の見解で、「当該回収リストは、大阪市政への調査権を持つ大阪維新の会の市議が、職員証による身元確認を経た内部告発者から入手したものだ。このリストの存在そのものが、国民の知る権利に応える高いニュース性を持つと判断し報道した。弊社同様、多くの報道機関が当日中に報じている。弊社はその後、リストが内部告発者による捏造だったと判明したこと等についても順次、報道している」等と反論している。
委員会では、双方から提出された文書と資料、及び番組同録DVD等をもとに検討した結果、本件団体からの申立ては委員会運営規則第5条1.(6)(※条文は下線部分をクリック)に該当し、要件を充たしているとして審理入りすることを決めた。
また、組合員個人からの申立てについても団体としての申立てを審理する一環で審理の対象に含めることとなった。
次回委員会以降、実質審理を行う。

「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」事案の審理

本事案は、フジテレビ『ニュースJAPAN』が昨年10月5日と6日の2回にわたり肺がん治療薬イレッサに関する問題を取り上げた企画「イレッサの真実」に対し、長期取材を受けて番組にも登場した男性から、イレッサの危険性を過小評価し有効性を過剰に強調する偏頗な内容で、客観性や正確性、公正さに欠けた報道により人権を侵害されたと申立てがあったもの。フジテレビは、番組に人権侵害も放送倫理に抵触する部分もないと反論している。
この日の委員会では、12月6日に開かれた起草委員会を経て提出された「委員会決定」案をもとに審理が行われた。起草委員がポイントについて説明した後、各委員が意見を述べ、委員会が示す結論の方向性を中心に議論した。この結果、1月上旬に第2回起草委員会を開いて第2次案を作成し、次回委員会ではこれをもとに審理を重ねることになった。

その他

  1. 衆議院議員選挙の実施に伴い延期された放送人権委員会委員と東北地区BPO加盟放送事業者との意見交換会が、2013年2月20日に盛岡で開かれることが決まった。

  2. 次回委員会は2013年1月15日(火)に開かれることとなった。

以上

2012年12月19日

審理要請案件「大阪市長選関連報道への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は12月18日の第192回委員会で、上記申立てについて審理入りを決めた。

対象となった番組は、朝日放送が本年2月6日に放送した『ABCニュース』(午前11時台)。2011年11月の大阪市長選挙において、市交通局の労働組合が友人・知人紹介カードの回収リストを作成し、その中で「現職の平松市長の支援に協力しなければ不利益があると職員を脅すよう」指示していた疑いが独自取材で明らかになったと報道した。大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれた内部告発に基づくスクープ報道だったが、約1か月後、市当局の調査により、この回収リストが内部告発者自身による捏造だったことが判明した。
この報道に対し、団体としての大阪交通労組と組合員が連名で申し立てた。申立書において申立人は、「報道は組合が当該リストに関与していた疑いを不当に強調し、組合の社会的信用と名誉を大きく傷つけた。申立人組合員らも悪辣で反社会的な存在とされ、人格否定の罵詈雑言を受けた」等とし、朝日放送にどのような裏付け取材をしたのかを問うとともに謝罪と訂正放送を求めている。
これに対し朝日放送は、「当該回収リストは、大阪市政への調査権を持つ大阪維新の会の市議が、職員証による身元確認を経た内部告発者から入手したものだ。このリストの存在そのものが、国民の知る権利に応える高いニュース性を持つと判断し報道した。弊社同様、多くの報道機関が当日中に報じている。弊社はその後、リストが内部告発者による捏造だったと判明したこと等についても順次、報道している」等と反論している。
委員会では、双方から提出された文書と資料、及び番組同録DVD等をもとに検討した結果、本件団体からの申立ては委員会運営規則第5条1.(6)に該当し、要件を充たしているとして審理入りすることを決めた。
また、組合員個人からの申立てについても団体としての申立てを審理する一環で審理の対象に含めることとなった。

次回委員会以降、実質審理を行う。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2012年12月18日

東海テレビ『幸せの時間』を審議対象に

青少年委員会は12月17日開催の第139回委員会で、上記番組を審議の対象とすることを決定、放送終了後の2013年1月に臨時の委員会を開催し、当該局の制作責任者等を招いて当該番組について意見交換を行うことを決定した。
11月5日~12月28日まで39回放送の昼の連続ドラマ『幸せの時間』については、放送直後から「性的描写が過激である」「子どもが見る可能性もある」との視聴者意見が多数寄せられ、第138回委員会から継続して討論してきたが、今回の委員会で、民放連の定める放送基準に準拠して当該局が定めた番組基準などに照らし、審議対象にすることがふさわしいとの結論に達し、1月に臨時の委員会を開催して当該局の番組企画意図・制作方法・考査基準等について意見交換を行うことになった。

第139回 放送と青少年に関する委員会

第139回 – 2012年12月

東海テレビ『幸せの時間』について討論、審議対象に

第139回青少年委員会は12月17日に開催され、11月16日から12月11日までに寄せられた視聴者意見について討論するとともに、12月に寄せられた中高生モニター報告等について審議した。また、2013年1月22日に大阪で開催するNHKを含む在阪準キーテレビ6局との意見交換会の詳細と、3月17日に開催する2012年度中高生モニター会議の進行案について担当委員と事務局から説明し了承された。

議事の詳細

日時
2012年12月17日(月) 午後4時30分~6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

【東海テレビ『幸せの時間』審議対象に】

11月5日~12月28日まで放送の東海テレビ昼の連続ドラマ『幸せの時間』については、放送直後から「性的描写が過激である」「子どもが見る可能性もある」との視聴者意見が多数寄せられ、第138回委員会から継続して討論してきたが、今回の委員会で、民放連の定める放送基準に準拠して当該局が定めた番組基準などに照らし、審議対象にすることがふさわしいとの結論に達し、1月に臨時の委員会を開催して当該局の番組企画意図・制作方法・審査基準等について意見交換を行うことになった。

【その他の視聴者意見について】

担当委員および事務局よりその他の視聴者意見の概要等の報告を受けたうえで討論し、審議対象とするべき番組はなかった。

【中高生モニター報告】

12月から2月までは「バラエティー・クイズ・音楽」番組のジャンルを取り上げ、12月は「好きな番組、面白い番組」についての報告が29人から届いた。
バラエティー番組は18番組について意見が寄せられ、そのうち『アメトーーク』(テレビ朝日)と『嵐にしやがれ』(日本テレビ)にそれぞれ2人から意見が寄せられた以外は、別々の番組に対する意見だった。まさにバラエティーに富んだ報告になっていた。
「悪ふざけではなく頭をフル回転させて笑いをとる『笑点』(日本テレビ)こそ本当のお笑いだ」、「最近のゴールデンに放映される痛みで笑いをとるような番組ではない『ワラッタメ天国』(フジテレビ)が純粋で面白い」など、最近のバラエティーについて冷静に見ている意見があった。
また『金曜日のスマたちへ』(TBSテレビ)など、出演者の魅力が大きいので好きだという報告もあった。『水曜どうでしょう』(北海道テレビ放送)のように、10年以上前に制作された番組を再放送で見て「面白かった」と報告してきた例もあった。
音楽番組ではラジオを含め5番組について報告があり、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に好感が持てるという報告が4人からあった。
クイズは4番組が取り上げられ「ご長寿クイズ番組『アタック25』(朝日放送)はアナウンサーに好感をおぼえる、出てみるのが夢だ」という意見があった。
<自由記述>は、最近の放送について思うことを自由に書いてもらった。ドラマやニュースに対する意見とともに、「地震で津波警報が出たときのNHKのアナウンサーの対応が良かった」という報告があった。

【主な意見】

  • 「僕が『いきなり!黄金伝説』(テレビ朝日系)を視聴し始めたきっかけは、ほかのバラエティーにはない奇想天外な企画が魅力的で面白いというのが理由です。様々なタレントさんが節約生活をおくる"1ヵ月1万円生活"や、よゐこの濱口優さんで有名な"0円無人島生活"、全国を周って美味しいグルメをランク付けして紹介する企画など、この番組にしかない企画が沢山あります。僕はこれらの多様で魅力的かつ視聴者の心をくすぶる企画があることにより、多くの視聴者の共感を生んでいるのではないかと思います。バラエティーに必要とされるのは"視聴者の心を刺激するドキドキ感を与えること"ではないでしょうか。そのことを見ている僕らに与えてくれる番組が増えてほしいと思います。」(宮城・中学2年男子)

  • 「僕の一番好きなバラエティーは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の特別番組『笑ってはいけないシリーズ』(日本テレビ)だ。毎年、大晦日に年越し放送されていて、僕は『紅白歌合戦』(NHK)よりも、こちらを楽しみにしている。僕はダウンタウン(特に松本人志さん)のコントが大好きなのだが、"どこが面白いか分らない"という人も多い。その理由を考えていて思い出したことが一つある。佐藤武光さんというプロの映画監督が、"本当に面白い映画は、お金のかかった大作ではなく小さな映画館で上映されているものだったりする。それは、作り手がやりたいように作れる映画には、個性的であくの強い面白さがある"と言っていた。このことは、バラエティーやお笑いにも当てはまると思った。ダウンタウンの笑いは恐らく、万人受けをねらったのもではなく、自分たちのセンスで自由に作っているように見える。だから、毒があって面白いと同時に好き嫌いもはっきり分かれるのだと思う。」(東京・中学2年男子)

  • 「僕が好きな番組は『笑点』(日本テレビ系)です。理由は、今どこのテレビ局でも放送している、芸能人のスキャンダルや、格付けや、悪ふざけで笑いを取るのではなくて、大喜利などで、頭をフル回転させて笑いを考えて、司会者の師匠の機嫌や、うけ具合で座布団が増えたり、減ったりするのが本当のお笑いの様に感じたからです。」(静岡・中学1年男子)

  • 「最近好きな番組、面白い番組は無いように感じます。これまでは、終わってしまった『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ)や『マジカル頭脳パワー!!』(日本テレビ)など自分が出演者の方々と一緒になってクイズに挑戦しているような感覚にさせてくれる番組が多かったと思いますが、最近の番組は見ている側の私たちが蚊帳の外のような感じがして仕方がありません。司会者も、さんまさんたけしさん、タモリさんといった方々が不動の地位を保持していましたが、なんとなくその方々も年とともにパワーがなくなってきたように感じますし、面白味が無くなってきていると思います。"テレビだけが娯楽ではなくなってきた"と私は感じています。」(神奈川・中学1年女子)

  • 「私はNHK教育の『Rの法則』(月~木曜・18時55分~)を毎回録画して視聴している。この番組は、中高生に関連した、効率的な学習法や生活全般の情報など中高生を交えて紹介するトークバラエティーで、内容やコーナーは多種多様であり、見どころが多く詰まった番組である。毎回違った内容が楽しめて、かつそれら全てが中高生にとって興味深く役に立つ内容なので、非常に身近に感じつつ実用的なものである。そこが大きな魅力である。勉強だけでなく、恋愛や音楽といった内容も取り入れているので、ぜひ多くの中高生にこの番組を楽しく見てもらい、自分と同世代の学生はいま何を考えてどんなことをしているのかなど興味を持ってもらいたい。」(東京・高校2年男子)

  • 「僕の好きな番組はBS朝日で放送中の『水曜どうでしょう Classic』(北海道テレビ放送)です。この番組は10年以上前に収録され、放送されたものの再放送なのですが、おもしろいです。出演者の大泉洋さんはこの当時は北海道のタレントさんでしたが、今では全国でも有名な俳優さんになっています。そんな人がこの番組ではムチャばかりさせられています。この番組では、一つの企画を何週かにかけて放送します。毎週続きが楽しみです。『水曜どうでしょう』は毎週放送していくのは難しくなったということで、番組は終了しています。ただ何年かに1度は新しい企画が放送されます。ぜひ続けていってほしいです。有名になった大泉洋さんですが、今後もディレクターに言われるがまま、ムチャをしてほしいです。」(京都・中学1年男子)

  • 「僕は『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)が好きです。なぜなら、数ある音楽番組の中でも生放送でアーティストが歌うという番組は、年末の『FNS歌謡祭』(フジテレビ)などの大型番組を除いてほとんどこの番組しかないからです。また、歌う前のアーティストと司会のタモリさんや竹内由恵アナウンサーとのトークも見ることができ、ファンだけでなく少し興味を持っているという人にも、そのアーティストがどのような人なのか深く関心を持ってもらえると思います。」(大分・中学3年男子)

  • 「私のお気に入りの音楽番組はNHKFM『きらクラ!』(日曜・14時~)です。『きらクラ!』の"きら"は、お気楽の"きら"ということで、クラシックって難しいなと感じている方でも、気楽に楽しんで聴ける放送だと思います。司会はタレントふかわりょうさんと、チェリスト遠藤真理さんです。この放送は曲を聴き、お2人の会話を聴くというだけではなく、リスナーから投稿もできるので番組に参加できる楽しみもあります。曲の冒頭部分のほんの少しを聴いて曲名を当てるコーナーもあり、老若男女クラシックマニアもビギナーも、楽しみいっぱいの2時間です。」(福島・中学2年女子)

  • 「ご長寿クイズ番組『アタック25』(朝日放送)が一番好きです。この番組はクイズ番組という名のスポーツだと思います。クイズに答えるだけでなくオセロの頭脳も兼ね備えなければならず、まさに体育会系です。一番好きな理由は司会者と出題者の方です。故児玉清さんの素人回答者に対するさらりとした叱咤激励が見ていて好感が持てました。浦川泰幸アナウンサーがその後を見事に引き継いでおられて違和感なく見続けられます。加藤明子アナウンサーの声も透き通っていて、聞きやすく好感が持てます。この番組に死ぬまでに一度でも出てみることが夢です。」(大阪・高校1年女子)

【委員の主な意見】

  • 番組の作り手のことをよく理解しているなという報告があった。テレビを上手く活用して生活している中高生がいることに感心した。

  • 重なった番組の報告が少なかったのは、今の中高生が翌日クラスみんなで話題にするようなテレビ番組が少なくなってしまったのかも知れないと思った。

  • リポートを読んで、今の中高生は健全な笑いを求めているのに対し、今のバラエティーは違う方向を向いているのではないかと感じた。

  • 「見ている側が蚊帳の外」や「テレビだけが娯楽ではなくなってきた」というのは鋭い指摘で、ぜひテレビ局の人に知ってほしいと思った。

  • ラジオでクラシック音楽を楽しむという今の中高生の多彩さが頼もしいと思った。

  • 音楽番組で生のアーティストの演奏に感動しているのが新鮮だった。

【今月のキラ★報告】(東京・中学3年男子)

最近のバラエティーはあまり面白くないと思ってしまいます。同じ芸人、特にベテランの芸人が独占しているように感じます。もちろん、ベテランの芸人は面白いし、そうだからこそ芸能界に長くいられるのかもしれません。ここで僕が思うのは、ベテランと若手の差です。若手の人が一生懸命考えた芸で笑いを取れず(滑って)、周りから冷たい目線を浴びます。一方でベテランの人がちょっとしたことを言うと周りは大爆笑します。けれども、両者がやっていることで質が高く、面白いのは若手の方だと思うことが多くあります。最近『アメトーーク』(テレビ朝日)という番組で、5組の「もっとテレビに出たい芸人」が出演していました。僕は、チャンスがなくて注目されていないけれど面白い芸人や、若くて優秀な芸人がスポットライトを浴びることができる番組が欲しいと思います。
そこで、最近見て面白い番組が『ワラッタメ天国』(フジテレビ)です。日曜日の24時40分~25時10分に放映されるいわゆる深夜番組ですが、最近のゴールデンに放映されるような、痛みで笑いを取るような番組よりもずっと純粋で面白い番組です。そして、普段あまりテレビで見かけない芸人たちが必死に頑張っている姿に惹かれました。番組の趣旨は、"笑えて、しかもタメになる!"です。毎回、若手の芸人たちが、小中学校で勉強する科目の中から一つ具体的なテーマを決めて猛勉強し、その知識をネタに取り込んで"研究作品"として90秒という制限時間の中で演じるというもの。判定はどれだけ笑えたのかを"ワラ点"で、どれだけタメになったのかというのを"タメ点"で審査します。
ベテランの芸人がテレビを独占しているからといって、排除しようというのではありません。しかしこの番組のように、若手で面白い芸人が今後テレビで活躍できるきっかけになるような番組があると良いと思います。

【委員会の推薦理由】

「本質を突いている」「根本的な問題提起だ」。彼の報告に対して、複数の委員からそんな声が上がりました。最近のバラエティーがあまり面白くないと感じるのはなぜか、その理由をベテランと若手という既存のヒエラルキーに依存し、力の強い者が弱い者を叩いて笑いをとる構造がもたらすものだと指摘しているのです。「同じ芸をしたり、同じことを言ったりしても、人や雰囲気で必ずベテランの方が面白くなってしまう」。最初から負け戦を闘うことを余儀なくされている若手芸人を応援したい彼は、「痛みで笑いを取るような番組よりもずっと純粋で面白い番組」として、日曜深夜という高視聴率があまり期待できない時間に放送されている新番組に注目しています。必死に勉強して挑戦する。そんな若手芸人の姿に魅力を感じている中学生がいることをぜひとも現場の方々に知ってほしいと思います。

【自由記述】

  • 最近、テレビ番組の中で特に面白くないと思うのはドラマです。もっと、話題になるほどのインパクトを持った作品が見たいです。(東京・中学1年女子)

  • のチャンネルでも、ほぼ同じニュースを同じ順番でやっているのが気になります。もう少し、ニュースの時間をずらしたり、ここだけしかやっていないというような特別なニュース、小さなニュースを知りたいと思います。(滋賀・中学1年男子)

  • 12月7日に地震が起こったとき、NHKが中国語で避難指示を出したり、津波警報が出たときに、アナウンサーが強く「避難してください」と指示を出していて、東日本大震災から教訓を学び、生かそうとしている姿勢を見て、安心した。(北海道・中学3年女子)

  • 最近の傾向として、共演者いじりが度を過ぎている場合があると思う。(福岡・高校2年女子)

  • 最近の放送について思うことは、テレビが一番のメディアではなくなってきているのかな?ということです。テレビというメディアでしかできない面白いことを、よりやっていってほしいと思います。(静岡・高校2年男子)

  • 番組がいいところに来ると「続きはCMの後で・・・」というのが多すぎます。本当に見たい番組であれば、間にいくらCMが入ったとしても、必ず見るので、そういう番組の作り方はやめてほしいと思います。(神奈川・中学2年男子)

【意見交換会(大阪)について】

2013年1月22日に大阪で開催するNHKを含む在阪準キーテレビ6局との意見交換会の詳細について、担当委員と事務局から説明し了承された。

【中高生モニター会議について】

3月17日に開催する2012年度中高生モニター会議の進行案について、事務局から説明した。

第66回 放送倫理検証委員会

第66回 – 2012年12月

iPS細胞心筋移植手術実施との誤報について、2回目の討議

第66回放送倫理検証委員会は12月14日に開催された。
研究者の虚偽発表であることが明らかになったiPS細胞心筋移植手術実施のニュース報道について、2回目の討議を行った。
移植手術が実施されたことを前提に、朝から夜のニュースまで大きく扱った日本テレビに対して真実と判断した根拠は何だったのかに重点を置いた報告書を求めて議論した結果、審議の対象とはしないことになった。

議事の詳細

日時
2012年12月14日(金) 午後5時~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
■iPS細胞心筋移植手術実施との誤報について

出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、是枝委員、服部委員、水島委員

■iPS細胞心筋移植手術実施との誤報について、2回目の討議

一部新聞が10月11日、一面トップで報じたiPS細胞心筋移植手術実施の記事は、ふたつの民放局がニュースとして伝え、民放各局のほとんどの情報番組でも、この新聞記事を紹介する形で放送した。その後、このニュースは誤報とわかった。
これらの放送について、前回の委員会では、民放各局の情報番組は基本的には新聞記事を紹介するという枠を出ていないこと、また、短いストレートニュースで伝えたテレビ朝日は研究者が移植を行なったと国際会議で公表したという事実のみの紹介であったことから、いずれも誤報とは言えないとして、前回で議論を終えた。
一方、日本テレビは移植手術が実施されたことを前提として、iPS細胞の作成方法や手術実施の経緯、患者のその後の状態などを、朝から夜のニュースまで詳しく伝えた。そのため日本テレビに対しては、真実と判断した根拠を中心にした報告書を求め、提出された詳細な報告書をもとに2回目の討議を行なった。
報告書には新聞記事をきっかけにした取材の開始から、ニューヨーク支局の動き、本社報道局のデスク、記者、ディレクターらの裏付け取材の内容・経緯が時間を追って具体的に示されていた。
討議の結果、本人以外からの裏付けが取れない状況で、真実であるかのようなニュースを放送してしまったことは問題ではあるが、全国紙の一面トップ記事を時間的制約がある中で後追いするために、担当者たちは精一杯の取材をしていること。疑問を持つべき情報も断片的にはつかんでいたが、放送を踏みとどまるのは難しかっただろうと思われること。誤報に至った経緯の詳細な検証を踏まえて、責任体制の明確化、科学・医療等の専門分野についての専門家見解取材の確認、この誤報についての研修、外部専門家ネットワークの構築、専門記者の育成努力などの対応を自主的にとっていることなどから、審議の対象とはしないことを決めた。

【委員のおもな意見】

  • ニューヨーク取材では、全国紙一面トップの報道、国際会議での展示、本人取材など道具立てが十分揃っている。iPS細胞の専門家でない記者が「これは嘘だろう」と判断するのは、この段階では無理ではないか。また放送前にこれだけのお膳立てが出来ていると、東京でも現場がブレーキをかけるのは難しいのではないか。
  • いくら本人から詳しく情報をとっても、それは裏取りにはならないということを忘れて、伝聞という形を取らずに、真実として放送してしまったところはやはり問題がある。
  • 普通の事象と違って、このニュースは科学的分野なので、記者が簡単に裏取りができるのかどうか疑問だと思う。こうした特殊性の上に舞台がニューヨークだったということもミスの要因だと思う。
  • 全国紙の一面トップということに大きく影響されている。捜査機関が思い込んで、それに反する情報はみんな軽視してしまい、評価を誤るというのは冤罪事件で共通している。思い込みがいかに恐ろしいかということである。
  • このニュース以前から、この研究者のいろいろな記事が新聞に掲載されていた。ところがその時点では誰も問題視していない。そのことも変だと思う。
  • 記者の科学情報に対するリテラシーの問題がある。この発表が演壇上の口頭発表でなくポスター展示という、通常内容審査のない簡易な形式の発表だったことの意味が解っていなかった。山中教授の方法とは全く違う方法でiPS細胞を作って心筋に注入したという発表だが、その方法でiPS細胞を作ったこと自体が、もし真実なら本当に画期的なのだから、それが展示発表のレベルでしか行われていないことに疑いを持つべきだろう。また、全く新しい方法で作ったiPS細胞を、動物実験も経ずにいきなり臨床で使うということに疑問を持たなかったのかということもある。
  • このニュースは専門家の中にも可能性としてあり得ると思った人もいたようだ。そういう意味ではこうしたニュースは特に慎重な報道が必要なのだと思う。
  • 心臓の再生医療の専門家などが懐疑的であることを知りながら、放送に十分反映されなかったことが問題。
  • 誤報原因の詳細な検証をしていることは評価できる。それを踏まえて、一応の再発防止策もとられている。

以上

第191回 放送と人権等権利に関する委員会

第191回 – 2012年12月

無許可スナック摘発報道事案の通知・公表の報告
審理要請案件:「大津いじめ事件報道に対する申立て」~審理入り決定…など

11月27日に行われた「無許可スナック摘発報道への申立て」事案にかかる「委員会決定」の通知・公表について、事務局から報告した。審理要請案件「大津いじめ事件報道に対する申立て」について、審理入りが決まった。

議事の詳細

日時
2012年12月4日(火) 午後4時~6時55分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、田中委員、林委員、山田委員

「無許可スナック摘発報道への申立て」事案の通知・公表の報告

11月27日に行われた本事案にかかる「委員会決定」の通知・公表について、事務局がまとめた資料をもとに報告した。また、当該局であるテレビ神奈川が決定について報じた当日の番組同録DVDを視聴した。
これに先立ち、通知は27日午後1時30分から千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。三宅委員長、起草主査の奥委員長代行、起草委員の小山委員の3人が出席し、申立人は女性経営者と家族の2人、被申立人は取締役報道局長ら4人が同席して行われた。
三宅委員長は決定文のポイントを読み上げる形で委員会の判断を通知し、「本放送によるプライバシー等に関する明確な権利侵害は認められないものの、放送倫理上重大な問題があった」として、人権への配慮を徹底するようテレビ神奈川に勧告した。
委員長はこの中で「事案が風営法違反の中でも悪質性の比較的軽微な『無許可営業』(罰金50万円の略式命令)であることからすれば、本件放送は、繰り返し女性経営者の映像を流した結果、この女性に対する過剰な制裁的・懲罰的効果が生じ、本人とその家族に精神的苦痛を与えた」と述べた。また、「同社のサイトにテレビニュ―スがそのまま掲載され、同社運営のfacebook等を通じ長期間閲覧可能な状態で放置されていた点、サイトの管理に問題があった」と指摘し、適切な管理を求めた。
通知を受けて申立人は「本当にありがとうございました。納得しています」と感想を述べた。
被申立人は「決定を真摯に受け止め、報道現場に持ち帰りたい。今後の報道活動の重要な分岐点になるかもしれないと思います」と述べた。
その後、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで記者会見を行い、決定内容を公表した。記者会見には23社49人が取材に訪れ、テレビカメラ6台が入った。
初めに三宅委員長が決定の主要部分を紹介し、続いて奥代行と小山委員がそれぞれの「補足意見」について述べ、さらに委員長から林委員の書いた「意見」について説明した。また、本年5月に修正された「委員会の判断のグラデーション」を適用した初の事案となったことから、決定と合わせて「委員長談話」を出したが、これについても説明が行われた。
記者との質疑応答では、「勧告・放送倫理上重大な問題あり」となった理由について質問が出た。
三宅委員長は「無許可営業という比較的軽微な犯罪からすれば、申立人の映像が繰り返し使用され、また周囲をぼかした結果、逆に本人が強調されるなど申立人への過剰な制裁的・懲罰的効果が生じた。結果として申立人と家族が大きなダメージを受け、お子さんが学校に行けない状態になっている。放送界が事件報道について積み上げてきた議論を踏まえた形跡がないし、地域メディアとしての影響力についても自覚すべきだった。もう一つサイト上の問題もあり、それと合わせて『勧告・重大な問題あり』という判断になった」等と答えた。
「勧告」と「見解」の線引きとなる基準についての質問には、奥委員長代行が「一定の基準があるということではなく、具体的な個別事案の中でどう判断していくかが重要だ。報道現場でもその都度、節度や品性を持った感覚で判断していくしかないと思う。今回は映像の使い方がちょっと酷過ぎるというケースだった」と答えた。
ネット上に流れる動画について委員会の審理の対象としているのかという質問には、三宅委員長が「2008年12月の第38号決定『広島県知事選裏金疑惑報道』事案で取り上げ、放送と同一の動画・音声を伴うものの配信については、放送と同一とみなすという判断をしている。かつ今回は、テレビ神奈川のホームページだけでなく、同社の運営するfacebook、twitterからアクセスできる状態が続いていた。サイト管理上の手落ちの指摘は委員会の守備範囲として判断した」と答えた。ただ、「付言」としたことで、放送そのものとは違うというニュアンスを込めたと述べた

審理要請案件:「大津いじめ事件報道に対する申立て」 審理入り決定

上記申立てについて審理入りが決まった。
番組は、フジテレビが本年7月5日と6日に放送した『スーパーニュース』。大津市の中学生いじめ事件で自殺した中学生の両親が、加害者とされる少年とその両親、及び大津市を相手に起こした損害賠償請求訴訟に触れ、2回目の口頭弁論を前に原告側準備書面の内容について報道した。その際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理のされていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画がインターネット上に流出する事態となった。放送翌日、フジテレビは流出の事実を把握し、同日夕方の上記番組において「人権上の配慮に欠けた映像を使用した」とお詫びした。そして番組担当者らが少年と母親の代理人弁護士を訪ね、書面をもとに事実経過を説明するとともに謝罪した。しかし弁護士は世間の大きな注目を集める裁判の原告側準備書面であることや口頭弁論前の放送であったこと等を理由に、システムへの入力ミスから起きたとの説明には納得できず謝罪は受け入れられないと答えた。
その後、少年と母親を申立人とし放送によるプライバシーの侵害を訴える申立書が委員会に提出された。申立書提出後も双方の間でやり取りが交わされたが話し合いはまとまらず、11月9日、申立人は改めて委員会での審理に委ねたいと文書で要請した。これを受けてフジテレビは局の見解をまとめた書面と番組同録DVD等を提出した。
この日の委員会では、双方から提出された文書、資料、番組同録DVD等をもとに審理入りするかどうかについて検討した。この結果、本件申立ては委員会運営規則第5条((苦情の取り扱い基準)に照らし、審理の要件を満たしているとして審理入りすることを決めた。次回委員会より実質審理に入る。
放送によるプライバシーの侵害という申立人の主張に対して、フジテレビは局の見解書面で、「人権への配慮に欠けた映像使用だった」としつつも、「氏名が放送された時間は極めて短時間であり、且つ、通常の方法では判読は不可能で、少年は特定されず、本件各放送はプライバシーの侵害には該当しない」と主張している。
また、放送を録画した画像がネット上に流出したことで少年の実名が広まり誹謗中傷を加速させたという申立人の主張に対しては、「当社と全く関係のない第三者の行為の結果については、当該第三者が責任を負うべきと考える」としている。

「国家試験の元試験委員からの申立て」事案の審理

本事案は、TBSが今年2月25日に放送した『報道特集~国家資格の試験めぐり不平等が?疑念招いた一冊の書籍』で、国家資格である社会福祉士の試験委員だった大学教授において、試験委員就任前に執筆しその後も改訂を続けていた著作物が過去問題の解説集に該当する等、試験委員としてふさわしくない行為があったと放送され、名誉と信用を毀損されたと申立てたもの。
この日の委員会では、前回の委員会で検討した本事案の論点とヒアリングにおける質問項目について確認を行った。
次回委員会で申立人、被申立人の双方に対するヒアリングを行う。

その他

次回の委員会は12月18日(火)に開かれることとなった。

以上

2012年7月18日

「無許可スナック摘発報道への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は7月17日の第185回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組はテレビ神奈川の『 tvk NEWS 930 』で、神奈川県警が無許可営業のスナックを風営法違反で摘発した現場を取材し、本年4月11日に報道した。この報道に対し、スナックの女性経営者からプライバシーの侵害等を訴える申立書が提出された。
申立人は「軽微な罰金刑にもかかわらず、映像では私の顔をアップし、実名と年齢、店と自宅の住所まで放送したのは個人のプライバシーを公開し過ぎるものだ。また、放送から1か月もの間、ネット上で動画が再生できる環境にあったことも問題だ」とし、テレビ神奈川に謝罪放送等を求めている。
これに対しテレビ神奈川は、局の見解で「報道される側の基本的人権の尊重についても十分慎重に検討したが、警察発表事件の実名報道原則等に基づき、当人の顔のボカシは入れずに放送した。ネット上の動画ファイルについても放置はしていない」等と主張している。
委員会は、委員会運営規則第5条の規定に照らし、本件申立ては要件を充たしているとして審理に入ることを決めた。来月から実質審理を行う。

放送人権委員会の審理入りとは?

委員会は、「放送によって人権を侵害された」等と申し立てられた苦情が、審理要件(※)を充たしていると判断した時、「審理入り」します。
「審理入り」が、ただちに、申立ての対象となった番組に問題があるという判断を意味するものではありません。

(※審理入りに必要な要件については委員会運営規則第5条をご覧ください。)

2012年11月に視聴者から寄せられた意見

2012年11月に視聴者から寄せられた意見

選挙報道に関するものが増えた。ワイドショーなど情報系番組についての偏向批判や、キャスター、出演者の発言に関する意見が多数。信用金庫の立てこもり事件では、現場からの中継報道に、人質の安全への配慮が足りないとの批判も。昼の連続ドラマで過激な性的シーンが多いとして、放送時間を配慮するべきだとの声もあった。

2012年11月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,596件で、先月と比較して303件減った。
意見のアクセス方法の割合は、メール70%、電話26%、FAX2%、手紙ほか2%。
男女別は男性62%、女性34%、不明4%で、世代別では40歳代31%、30歳代27%、20歳代13%、50歳代18%、60歳以上10%、10歳代1%の順になっている。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。11月の通知数は779件【30局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、22件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

11月の視聴者意見は1,596件と先月より303件減った。
総選挙に向けて走り出した。視聴者からの意見も、選挙報道に関するものが増えた。ワイドショーなど情報系番組についての偏向批判や、キャスター、出演者の発言に関するものが多い。文字の間違いの多さや、放送事故などへの対応のまずさを指摘する声もあった。
信用金庫の立てこもり事件では、現場からの中継報道に、人質の安全への配慮が足りないとの批判があった。
バラエティー番組では、食べ物を粗末にすることや出演者の食べ方が汚いなどの批判が多かった。ドラマでは、昼の連続ドラマで過激な性的シーンが多いとして、放送時間を配慮するべきだとの声もあった。
ラジオに関しては30件、CMに関する意見は33件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は106件で、前月より10件減少した。
今月は、性的表現に関する意見が33件、次いで表現・演出に関する意見が12件、いじめ・虐待に関する意見が11件と続いた。
バラエティーの演出に関して、罰ゲームの内容や、いわゆる"いじり""ふざけ"などの行為および言葉について"いじめを想起させる"との意見のほか、番組内での飲酒に関する意見があった。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • ワイドショーなど情報番組での偏向が激しい。番組中、○○党も駄目だが△△党も駄目と断定するものがあまりにも多い。素直に聞いている人は影響を受けるだろう。誘導し決めつけることは一種の洗脳ではないか。「今のような状況になったのは有権者のせい」とも言っていた。正論だが、それをマスコミが言う資格はない。正しい選択をするためには、できる限り多角的な情報が必要だが、マスコミは恣意的で偏った情報しか流さない。

  • 各局とも「ニュース番組」と位置づけながら"ワイドショー化"している番組が多すぎる。しかも、公平であるべきキャスターが個人的な意見を押し通そうとする姿には疑問を感じる。「ニュース番組」として、公平・公正であるべきだ。

  • 情報番組にコメンテーターとして出演する人物に、芸能人や芸人を多用し、政治などについて意見を言わせる意味がわからない。テレビ局の意向に沿ったことしか言わない芸能人の意見を、まるで"世論"であるかのように放送している。いつも反対意見の人はおらず、公平な放送とは思えない。せめて、専門的知識のある人を出すべきだ。

  • 田中文科相の大学認可のニュースについて、どの局も大臣の個人的資質のみにスポットを当てている。あまりにも低レベルで、公平性を欠く。そもそも、大臣の認可前に事務レベルで進め、巨額の投資が終わった後にお飾りの大臣が判子を押すだけというシステムに問題があるのではないか。この点をどの局も触れていない。テレビ局もお上の意向をくんで偏向していると国民に思われても仕方がない。

  • 豊川市の信金立てこもり事件の現場を中継していたが、銀行裏だと思われる場所に待機している警察(映像が鮮明でないので断定しかねるがSATのようだった)を望遠で撮影していた。これはやってはいけないことではないか。犯人が情報収集をしていないとでも思っているのだろうか。人質の命を軽視し、犯人逮捕を妨害しているとしか思えない。リスクを考えたら許されない行為だ。

  • 情報番組において、氏名や数値の間違い、誤字脱字が目立つように思う。後日に訂正とお詫びをしているが、放送前に原稿やテロップを精査するシステムが甘いのではないか。氏名を間違えるなどもってのほかだ。些細なことであっても、放送に携わる者にとって、恥ずべきことだ。その感覚が尼崎変死事件の写真の件など、大きな誤報に繋がるのではないか。スピードや話題性よりも、正確さを大切にしてほしい。

  • 朝のワイドショーだが、時刻を"赤"で表示しているテレビ局が増えた。白のテレビ局は少数だ。この番組ではやたらと"赤文字"を使っていて見づらい。そもそもテロップや文字表示は目の不自由な人の為にあるものだという認識を持っているが、最近は色が派手になっている。なぜ"赤"を使っているのか聞きたくてテレビ局に電話をしたが、答えてもらえなかった。

  • 台湾電力が少数民族の住む孤島に原発由来の低レベル廃棄物の保管場を作ったことについて伝えていた。日本の研究者の調査で、ずさんな保管状態が明らかになり、万一漏れればそれは潮流に乗って日本にも流れてくる恐れがあることもわかり興味深かった。原発で儲ける人たちだけが、「原発は安全ですよ」と言っているように思う。メディアは今後ともこのような現実を伝え、原発を使い続けていくべきなのかどうか視聴者に問題提起してもらいたい。

【番組全般・その他】

  • 1ヵ月を1万円で生活する企画で、女性タレントが5日間で逃げ出した。東日本大震災の被災地では今も大勢の人が不自由な生活を強いられている。昨年の台風で被災し、いまだに避難所生活をしている人もいる。そういった人々に娯楽を提供する使命を負っているテレビ番組が、電気・ガス・水道完備のマンションでの生活を5日間で逃げ出すという茶番を放送する。逃げ出した女性タレントは社会人としての自覚がない。仕事ができることへの感謝が微塵も感じられない。このタレントを起用したテレビ局にも非があると思う。

  • 俗に昼ドラと言われるドラマは人間関係がドロドロしているイメージがあるが、このドラマは初回から人間関係の描写よりも露骨な性行為の描写が多く、見ていてとても不愉快になった。俳優の演技が良くてもそのようなシーンばかりが印象に残ってしまう。深夜番組ならともかく昼なので子どもも見ることもあるので、ドラマの中止、もしくは内容を見直す必要があるのではないか。

  • 「番組内容が過激すぎる」と一部の視聴者から抗議が来て、内容を変更したという記事を見た。しかし、そんなに騒ぐような内容でもないので、このまま制作者の意図通りに放送していただけるようお願いしたい。抗議にいちいち対応していたら表現の自由が損なわれ、まともな番組作りが出来なくなる。見る、見ないは視聴者の判断に委ねるべきだ。

  • 巨額横領事件を起こした公社職員の元チリ人妻を取り上げていた。彼女は無罪になったのではなく、罪に問えるだけの証拠や、二国間での法的整備がなされていなかっただけである。事実が明らかになるや直ちに帰国するなど、初めからこの種の犯罪を起こすことを意図していた悪質性がある。犯罪によって得た金銭で母国に豪邸を建設するなどして、マスコミの注目を浴びた。盗っ人猛々しいにも程がある。世間の注目を集めているからといって、面白おかしく取り上げるテレビ局の感覚が非常識である。

  • 「お見合い」の企画がある。地方の農家では嫁不足が深刻で、農家では結婚相手を探すにも一苦労である。「地元だと嫁になってくれる人との出会いがない」というセリフをよく聞く。嫁さがしは知人の姉妹が相手ではお互いに遠慮があるのか、違う町の出身の女性を望むことが多い。農家の1人娘も婿探しは大変だ。この番組がきっかけとなり結婚できた男性も既に数人いる。番組に出る男性の両親や兄弟などの結婚に期待する思いは視聴者にも伝わってくる。最近は都会の男女の「婚活」も話題になっているが、他の局も率先してこういった企画を行い、地方の農家の嫁不足(婿不足)の解消に一役買ってほしい。

  • お笑い芸人が刺し身の船盛を無理やり食べ尽くすという企画だった。震災の傷痕も未だ癒えず、また、現下の経済情勢の中、生活保護受給世帯も増え続けているというのに、こんな低レベルな番組を放送できる神経が理解できない。常識的な感覚が麻痺しているとしか思えない。このような低俗な番組のスポンサーになっている企業の倫理観も疑われる。

  • 食べ物を粗末にするパフォーマンスが嫌だった。男気じゃんけんもいじめに繋がりかねない。買った物をすぐにゴミに出したということも気になった。トラの剥製も、ただ殺され捨てられたということになる。食べられないという人もいるのに、大量の食品を買ってただゴミにしているかと思うと心苦しい。お金を払っていれば何でもいいというものではない。「こんなもんいらねー」など、それを作っている人に対しての批判的な言葉も不快だった。

【ラジオ】

  • キャスターとゲストの会話の中で、「やばい」の言葉が多くて、聞くに堪えない。「馬鹿笑い」も不愉快だ。最近のテレビ・ラジオ放送等マスコミで使われる言葉の汚さが、世の中の乱れやイジメに通じるものがあるのではないかと危機感を抱いている。

  • 食べ物や飲み物を紹介する際、口に含んだままアナウンスすることが多いが、耳障りだ。食べ物を口に入れたまま話さないことは、世界のマナーだ。ラジオなので何とかおいしさを表現したいのだろうが、聞きたくない。

CM

  • 最近、R15指定の映画の宣伝を目にするが、過激な内容が多い。未成年への視聴を制限する映画なら、テレビでCMを流すことは疑問に思う。子どもがその映画を見ないように注意喚起するなら、保護者が分かるように、R15の意味を画面上で伝えてほしい。

  • ドロリッチのCMは、おかしい。若い女の子がヒップパングのショーツをはいて、トップスはおへそが見えるくらいのチビTに胸の谷間が見えるような穴を開けていやらしい。若い男性にはいいかもしれないが、女性から見ると不愉快だ。制作側は、インパクトを狙ったとかいって、罪の意識が皆無だ。いつ見ても不愉快だ。

青少年に関する意見

【性的表現に関する意見】

  • タイトルからほのぼのとした心温まるドラマであろうと思っていたら、とんでもない内容だった。大人のドロドロとした性描写ばかりで、とても正視できなかった。何故こんなドラマを昼間から放送するのか。テレビにおける「表現の自由」は大切だが、この番組はそれ以前の問題だ。昼間なので、偶然青少年が目にする可能性もある。

  • 裸体の描写こそ露骨にならないよう配慮されていたが、このドラマの破廉恥な性描写の連続はアダルトビデオと大差なく、公共の電波に載せて発信して良い内容ではない。不快感とともに青少年への影響を危惧せざるを得ない。性行為のような秘め事は、ストーリーや演出の工夫によって慎重に扱っていただきたい。

  • 18歳未満の女性の出演者が男性出演者の前で性的な感情を刺激させるように衣服を脱いだり、男性出演者に尻を触らせるなど、このドラマは児童ポルノ法に触法するのではないだろうか。

【表現・演出に関する意見】

  • バラエティー番組等の罰ゲームで、熱いものを食べさせたり、冷水の中に落とすなど、人の嫌がることをさせるのはやめてほしい。また、その様子を見て笑う人の気が知れない。こうした番組の影響で、いじめを見ても痛みを感じず笑っているような子どもが育つのではないかと心配だ。

【いじめ・虐待に関する意見】

  • バラエティー番組の中で、お酢を無理やり飲ませたり、作ってきたクッキーを投げて壊したり、顔をテープでぐるぐる巻きにし、バリカンで髪を刈るという行為を平然とやっていた。司会の2人はそれを見て笑うだけだった。いじめを助長する内容で、子ども達の間で模倣されかねない。

  • 女性アナウンサーがバラエティー番組の中で、男性出演者を拳で殴ったり、熱した耳あてを相手の頭部や顔につけ、笑いを取ろうとしていた。こうした行為は、子どもへの虐待を連想させる。また、アナウンサーはそのような事件をニュースで伝えるはずであり、冗談でもしていいわけはない。

【言葉に関する意見】

  • 番組内で発言をいじられたタレントが「殺すよ~」と叫ぶシーンが何度かみられた。子どもも見ている時間に不適切ではないか。笑いながらとはいえ、人の命を軽く見ている感じがした。テレビ局側も、わざわざ字幕までつけて強調していることに疑問を覚える。

【喫煙・飲酒に関する意見】

  • 出演者に酒を飲ませる番組が多い。いくら芸能人とはいえ、仕事中に飲酒とはいかがなものか。子どもに「芸能人は仕事していてもお酒を飲めるのに、何で普通の人はダメなの?」と聞かれた。ゴールデンタイムのバラエティー番組は子どもも見ているので、番組内での飲酒は禁止してほしい。

【報道・情報に関する意見】

  • 有名スポーツ選手の裁判について、連日、法廷内でのやり取りを非常に具体的に紹介している。性犯罪ということで、どうしても興味本位の伝え方になりがちだが、この番組は特に面白半分の表現に終始している。昼間からこのようなものを放送されては、中学生の娘がたまたま見てしまうことも考えられ、とても心配だ。

2012年7月18日

『南三陸町津波被災遺族からの申立て』

本事案は、NHKが本年3月10日に放送した『NHKスペシャル「もっと高いところへ~高台移転 南三陸町の苦闘~」』について、津波の犠牲となった町の職員の遺族から、「放送に使われた写真で肉親の最期の姿を見て、大きな衝撃を受けた。写真を使うのであれば写っている全遺族の了承を取り、使用に際してはモザイクをかける等の配慮が必要ではないか」として、NHKに謝罪等を求めて申立てがあり、先月の委員会で審理入りが決定した。

その後、申立人とNHKとの間で話し合いが行われ、これを受け申立人から申立てを取り下げたいとする書面が、実質審理前の7月5日付で委員会に提出された。
7月17日の第185回委員会において申立ての取り下げを了承し、本事案の実質審理には入らないことを決めた。

放送人権委員会の審理入りとは?

委員会は、「放送によって人権を侵害された」等と申し立てられた苦情が、審理要件(※)を充たしていると判断した時、「審理入り」します。
「審理入り」が、ただちに、申立ての対象となった番組に問題があるという判断を意味するものではありません。

(※審理入りに必要な要件については委員会運営規則第5条をご覧ください。)

2012年12月5日

「大津いじめ事件報道に対する申立て」審理入り決定

BPOの放送人権委員会は、12月4日に開かれた第191回委員会において上記申立てについて審理入りすることを決めた。

番組は、フジテレビが本年7月5日と6日に放送した『スーパーニュース』。大津市の中学生いじめ事件で自殺した中学生の両親が、加害者とされる少年とその両親、及び大津市を相手に起こした損害賠償訴訟に触れ、2回目の口頭弁論を前に原告側準備書面の内容について報道した。その際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理のされていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画がインターネット上に流出する事態となった。放送翌日、フジテレビは流出の事実を把握し、同日夕方の上記番組において「人権上の配慮に欠けた映像を使用した」とお詫びした。そして番組担当者らが少年と母親の代理人弁護士を訪ね、書面をもとに事実経過を説明するとともに謝罪した。しかし弁護士は世間の大きな注目を集める裁判の原告側準備書面であることや口頭弁論前の放送であったこと等を理由に、システムへの入力ミスから起きたとの説明には納得できず謝罪は受け入れられないと答えた。
その後、少年と母親を申立人とし放送によるプライバシーの侵害を訴える申立書が委員会に提出された。
申立人の主張に対してフジテレビは局の見解書面で、「人権への配慮に欠けた映像使用だった」としつつも、「氏名が放送された時間は極めて短時間であり、且つ、通常の方法では判読は不可能で、少年は特定されず、本件各放送はプライバシーの侵害には該当しない」と主張している。また、放送を録画した画像がネット上に流出したことで少年の実名が広まり誹謗中傷を加速させたという申立人の主張に対しては、「当社と全く関係のない第三者の行為の結果については、当該第三者が責任を負うべきと考える」としている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理の要件を満たしているとして審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。