2012年10月4日

日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関する意見を通知公表

放送倫理検証委員会は2012年10月4日、日本テレビの番組『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関する意見を当該放送局に通知し、公表した。
この番組では、週刊誌などで話題となっている女性タレントと占い師の同居騒動を取り上げた。そして、新聞や番組内で、このタレントと同居していた占い師が出演するかのように告知しながら、実際に登場したのは別の占い師だった。
意見では、この番組が、ラテ欄での告知と、番組中のナレーションやサイドスーパーなどにおいて不適正な言葉を多用し、過剰な演出によって視聴者を欺くなど、放送倫理に反したものであると指摘した。

≪委員会決定はこちら≫

2012年10月3日

委員長談話 フジテレビ「『めざましテレビ』ココ調・無料サービスの落とし穴」について

放送倫理検証委員会
委員長 川端和治

放送倫理検証委員会(以下単に「委員会」という)は、2012年6月6日にフジテレビが「『めざましテレビ』で放送した「ココ調・無料サービスの落とし穴」について、放送倫理違反があると認めながら審議の対象とはしないと決定した。この事案は、「隠し撮り(録音)」という取材手法が問題になったものであるうえ、事実の歪曲や過剰な演出も認められたことから、委員会がそのように決定した理由を明らかにする必要があるであろう。よってここに、「隠し撮り(録音)」という取材手法に対する委員会の姿勢と、審議の対象についての委員会の基準を説明しておきたい。
pdf委員長談話全文PDFはこちら

1. 事案の概要

この番組は、様々な無料サービスを利用して失敗した経験について街頭アンケートを実施し、苦情の多かったものを実際に体験して紹介するというものだった。このうち「プレゼント付きアンケートでDMや勧誘電話がきた」という項目については、番組スタッフが、アンケートで名前のあがった化粧品会社のWEBサイトに身分を隠して無料サンプルを申し込んだところ、会社からかかってきた電話のやりとりが終わるまで36分もかかってしまったという様子が放送された。また「カットモデルでイメージ通りにならなかった」という項目では、モデルになることを志願した女子大生に隠しマイクを仕込んでカットの際のやりとりを送信させ、鏡に映るカットの経過も携帯のカメラで撮影してメールで送らせた。そして、それをカーテンで窓を目隠しした取材車の中から実況放送しているかのように演出して放送した。
しかしながら、化粧品会社からの電話が延々と続いたのは、化粧品会社が執拗にセールスしたからではなく、全く逆に、ディレクターの指示をうけた番組のレポーターが様々な質問を続けて会話を引っ張ったからであった。放送の際はこの化粧品会社の名前は伏せられオペレーターの音声はボイスチェンジされていたが、自社のオペレーターのやりとりが「隠し撮り(録音)」され、しかもあたかも執拗な営業がなされたかのように放送された事に気づいた当該化粧品会社から、放送当日フジテレビに厳重な抗議がなされた。
フジテレビは直ちに調査をして、抗議された内容は事実であることを確認した。またこの調査の際、同じ番組内の美容室でのやりとりも「隠し撮り(録音)」されており、しかも実況放送というのは演出で、いわゆる「後付け実況」であったことも判明した。
フジテレビは、放送の1週間後の6月13日に「ココ調」コーナーで、電話のやりとりが36分になったのは番組側が会話の時間を延ばすために質問を続けたためであったこと、執拗な勧誘の電話が長く続いたという事実と違う情報を伝えてしまったこと、化粧品会社の担当者の心を傷つけ不快な思いをさせたことをわびる放送をした。そして翌日に化粧品会社の本社を訪れ謝罪をした。

2. 放送倫理違反の存在と委員会の判断

「隠し撮り(録音)」が原則として許されないことは、放送局各局がそれぞれ社内基準として共通して定めている。フジテレビも報道局『「報道人ハンドブック」2007』に、「(6)隠し撮りや隠しマイクによる取材は、その目的を明示した場合に目的が達成できないことが明らかで、他に有力な取材手段がなく、取材内容に重大性と緊急性があり、その取材目的が社会的に正当と認められる場合などに許される。原則としては、安易に隠し撮りや隠しマイクによる取材はすべきではありません。しかし例外として『身分を隠しての取材』のケースと同様に、認められる場合があります。この場合も、部長やデスクの了解が必要です。」と規定している。
取材活動は、必然的に取材相手のテリトリーに入り込む行為であり、その成果は放送により広く公表されるのであるから、身分と目的を明らかにし、相手の承諾を得て行われることが原則である。「隠し撮り(録音)」による取材は、それが安易に行われると、場合によっては、肖像権やプライバシーの侵害になったり、名誉毀損になったり、その方法によっては、刑罰規定に触れる結果にもなりかねないという危うさを秘めている。このような取材方法が広汎且つ安易に行われた場合の国民生活への侵襲度は高く、いつどんな行為を放送にさらされるかも分からない社会というのは、誰にとっても耐えがたい社会となろう。民放連の報道指針が、「2報道姿勢」の(1)で「取材対象者に対し、常に誠実な姿勢を保つ。取材・報道に当たって人を欺く手法や不公正な手法は用いない」とし、「3人権の尊重」の(1)で「名誉、プライバシー、肖像権を尊重する」、(4)で「取材対象となった人の痛み、苦悩に心を配る」としていることからも、「隠し撮り(録音)」が原則として許されない取材方法であることは明らかだと言わなければならない。
しかし、フジテレビの「報道人ハンドブック」2007にも明らかにされているように、この原則には例外が認められなければならない。そうでなければ、隠された権力悪を暴くというような報道は不可能になり、放送倫理基本綱領に高らかにうたわれた「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」という使命も達成できなくなるであろう。「隠し撮り(録音)」という方法が、価値のある取材手段となりうることは、たとえば、2012年9月現在進行中のアメリカ大統領選挙候補者の資金集めパーティでの演説の隠し撮り映像が広く報じられることにより、選挙の結果を左右しかねない事実が暴露されたという事態が生じていることからも明らかである。取材者が原則禁止という規定により萎縮して、どうしても必要なときに「隠し撮り(録音)」をためらってしまうようなことがあってはならないのである。
問題は、この原則禁止と例外としての許容のバランスをどう適切に保つかである。そのためには、なぜ「隠し撮り(録音)」が原則として禁止されているかを十分に理解した上で、判断がなされなければならない。今回の事案では、判断責任者となった担当プロデューサーが、自分が行った過去の「隠し撮り(録音)」の事例から今回も許容範囲であると安易に考えたのであるが、他の番組関係者は「部長やデスクの了解が必要です」という形式的な基準の充足がなされたというだけで満足してしまい、「取材内容に重大性と緊急性があり、その取材目的が社会的に正当と認められる場合」という実質要件の充足については、誰も真剣に考えずに不適切な「隠し撮り(録音)」を許容するという結果を招いてしまった。
その意味で、この事案については放送倫理の違反があると言わなければならない。また36分の電話となった理由の歪曲や、実況中継と見せかけた過剰な演出についても、放送倫理違反がある。
しかし委員会は、この事案についてそのような放送倫理違反を審議案件として追及し、意見を公表することは適切ではないだろうと考えた。その理由は、何よりも、この事案について「隠し撮り(録音)」という取材方法が不適切であったと断罪することは、その結論だけのひとり歩きにより、例外的手法によってでも隠された真実を暴くという意欲を持った放送人の足かせとして機能してしまうのではないかと、委員会が恐れたことにある。
また、このような不適切な取材方法の直接の被害者となった化粧品会社と美容室が、フジテレビの謝罪を受け入れ宥恕している一方、「プレゼント付きアンケートでDMや勧誘電話がきた」とか「カットモデルでイメージどおりにならなかった」という社会的事実は、この番組の街頭インタビューでもあきらかにされているように確かに存在しているので、この放送によって視聴者が誤解して被害や不利益をうけたという事実もない。またこの番組は報道番組ではなく、娯楽の要素も盛り込まれている情報バラエティー番組として制作されている。これらの事実を総合すれば、この事案は、「隠し撮り(録音)」という例外的な取材方法が不適切に用いられ、また事実の歪曲も認められるものの、その被害は現時点では既に回復されている一方、審議の対象とした場合の萎縮効果が懸念されることから、TBSテレビ『情報7daysニュースキャスター「二重行政の現場」』についての委員長談話で示した「小さな問題についての誤り」同様、放送局側の自主的・自律的な是正が適切になされていれば、審議の対象とすることは適切でないと考える。
そしてフジテレビは、極めて迅速に内部調査をとげ、的確な謝罪放送をしたうえで、抗議した化粧品会社から宥恕されているうえ、自らの調査によって無料カットモデルの件についても問題があったことを摘出し、美容師からも秘密録音についての事後承諾を得ている。しかもそのうえで自主的に再発防止のための方策を考え、実行しているのである。もちろんフジテレビについては、2010年8月8日と9月26日に放送された『Mr.サンデー』で、街頭インタビュー対象者の事前仕込みと、雑誌付録バッグ所有の通行人の人数の水増しをしたという問題事案があり、そのとき、自主的、自律的に徹底した改善策を実行したはずなのに、一年足らずでまた今回の事案を引き起こしたことによって、前回の改善策は有効には機能していないことが示されたという問題もある。しかし、迅速で自発的な対応による被害者の宥恕、問題発生の原因分析と、対応策の立案、そしてそれを制作現場に「自分のこととして考えましょう」というスローガンで浸透させる努力という点で、前述した委員長談話に述べた「当該局の自主的な取り組み」は十分に行われていると評価するべきであろう。
以上の理由から、委員会はこの事案を審議の対象とはしないこととしたのである。

3.研修用資料『めざましテレビ「ココ調」の不適切表現の問題点から学ぶ』の公表について

フジテレビは、委員会への自発的報告を素材に、研修用資料として以下に掲げる文書を作成した。委員会は、この資料をフジテレビの了解を得て公表することにより、他の各局がこれをそれぞれの制作現場における研修の材料として使用することができ、そのことによって放送倫理と番組の質の向上に役立たせることができるのではないかと考えた。そこでフジテレビに交渉したところ、公開用に手を加えた版の提供を受けることができた。
この文書は、この事案で生じた誤りの原因分析についての貴重な資料であるとともに、研修の材料としても、研修対象者に対する「みんなで考えよう」という課題と、考えるヒントが付されていることによって、他局でも広く活用することが可能になっている。是非とも各局で、それぞれがさらに現場で討論し考える素材として活用することにより、より優れた研修資料を作成していただきたい。委員会は、そのような努力が共有されることによって、過ちが繰り返されないための共通の土台が構築されていくのではないかと考えている。
最後に、公表版の作成にご協力いただいたフジテレビに対する謝意を表明させていただく。

以上

pdfフジテレビ『めざましテレビ』「ココ調」の不適切表現の問題点から学ぶ

pdfフジテレビ『Mr.サンデー』の特集企画における不適切表現に関する問題点の検証と再発防止に向けて

第189回 放送と人権等権利に関する委員会

第189回 – 2012年10月

「無許可スナック摘発報道への申立て」事案の審理
「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」事案の審理…など

前回に続き、「無許可スナック摘発報道への申立て」事案の「委員会決定」(決定文)案について検討した。「肺がん治療薬イレッサ報道に対する申立て」事案について審理し、来月の委員会でヒアリングを実施することになった。

議事の詳細

日時
2012年10月16日(火) 午後4時~7時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、田中委員、林委員

「無許可スナック摘発報道への申立て」事案の審理

本事案は、テレビ神奈川が本年4月、神奈川県警による無許可営業のスナック摘発と女性経営者の現行犯逮捕を現場で取材し、4月11日の『tvkNEWS930』で1分強のニュースとして放送したことに対し、この女性と家族から「軽微な罰金刑にもかかわらず、顔のアップ映像や、実名、自宅の住所等まで放送したのはプライバシーの侵害」等と申立てがあったもの。テレビ神奈川は、「通常の実名報道原則に基づいて放送した。申立人の基本的人権についても十分慎重に検討した」等と反論している。

この日の委員会では、前回委員会での議論を踏まえて提出された「委員会決定」(決定文)修正案の検討を行なった。今回は決定文の構成、内容、表現のほか、特に結論部分について各委員が改めて意見を述べた。
委員会が示す結論には「勧告」または「見解」があるが、その判断のグラデーションについては、放送局への聞き取り調査を踏まえて本年5月に修正が行われた結果、「勧告」は「人権侵害」、「放送倫理上重大な問題あり」、また「見解」は「放送倫理上問題あり」、「要望」、「問題なし」、となった。

この日の議論では、本事案が修正後の「判断のグラデーション」を適用する初めての事案となるため、グラデーションの考え方とその適用の仕方についても確認を行い、委員会としての結論を確定した。
この結果、次回委員会までに修正案をさらに吟味し、「委員会決定」最終案として諮ることとなった。

「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」事案の審理

本事案は、フジテレビ『ニュースJAPAN』が昨年10月5日と6日の2回にわたり肺がん治療薬イレッサに関する問題を取り上げた企画「イレッサの真実」に対し、長期取材を受けて番組にも登場した男性から、イレッサの危険性を過小評価し有効性を過剰に強調する偏頗な内容で、客観性や正確性、公正さに欠けた報道により人権を侵害されたと申立てがあったもの。フジテレビは、番組に人権侵害も放送倫理に抵触する部分もないと反論している。
前回委員会では、番組内容が放送倫理に抵触しているとする申立人の主張が、申立人に対する人権侵害とどう関連しているのかを中心に議論が交わされた。
この日の委員会では、前回委員会での議論を踏まえ起草委員間でさらに検討を重ねて整理した論点について、担当委員から説明が行われた。続いて、それに基づいて作成されたヒアリングに向けての論点と質問項目の原案が示され、全員で検討を行った。その結果、いくつかの質問項目を追加することで意見がまとまり、来月の委員会で当事者へのヒアリングを実施することになった。

「国家試験の元試験委員からの申立て」事案の審理

本事案は、TBSが今年2月25日に放送した『報道特集~国家資格の試験めぐり不平等が?疑念招いた一冊の書籍』で、国家資格である社会福祉士の試験委員だった大学教授が、試験委員就任前に執筆しその後も改訂を続けていた著作物が過去問題の解説集に該当する等、試験委員としてふさわしくない行為があったと放送され、名誉と信用を毀損されたと申立てたもの。
申立人は、番組では「疑念を招く」程度の行為を取り上げてあたかも申立人が試験問題を漏洩したかのように視聴者に印象付けるなど個人攻撃が行われたと主張している。これに対してTBSは、「問題漏洩等にはいささかも言及していない。試験委員だった申立人の行為が社会福祉士試験の公平性・公正性に疑念を招いたのではないかと問いかけたものだ」と反論している。
一回目の実質審理となったこの日の委員会では、双方の主張が対立する点や、全体的な番組の構成について資料をもとに事務局が説明した後、各委員が番組を見た感想も含め意見を述べた。
来月の委員会では、当事者へのヒアリングに向け、委員会の提示する論点や質問項目について検討する。

9月の苦情概要

9月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・2件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・・10件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

次回委員会は11月20日(火)に開かれることになった。

以上

第137回 放送と青少年に関する委員会

第137回 – 2012年10月

2番組(『ポケモンスマッシュ!』『今日感テレビ』)について意見交換と審議

中高生モニターについて

前回の委員会で「審議対象」とした2番組と、10月に寄せられた中高生モニター報告等について審議した。また、9月16日から10月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見と、これからの委員会活動等について委員間で討論した。

議事の詳細

日時
2012年10月23日(火) 午後4時30分~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

2番組(『ポケモンスマッシュ!』『今日感テレビ』)について意見交換と審議

(1)テレビ東京『ポケモンスマッシュ!』7月22日放送について番組制作者との意見交換

視聴者からの「“ゴムパッチン”“洗濯バサミ”等による“罰ゲーム”は、人気の子ども番組だけに行うべきではない」という意見を受け、当該番組の制作責任者及び編成責任者と企画意図等について意見交換を行った。

◆テレビ東京意見概要

【企画内容について】
『ポケモンスマッシュ!』は、アニメ、映画、ゲーム、カードゲームなどのポケモンの様々なコンテンツに毎回アレンジを加え、その魅力や情報を面白おかしく伝えるとともに、子どもたちに笑ったり、ドキドキ、ワクワクしてもらったりすることで、元気や希望を与えていきたいというコンセプトで制作しています。今回、ご意見が寄せられた7月22日の放送はカードゲームを題材に取り上げて制作した回で、ちょうど新しいポケモンカードのシリーズが登場しましたので、改めてカードゲームのルールや魅力というものを、分かりやすく、面白おかしく、バラエティー番組として伝えていこうという企画でした。
ポケモンのカードゲームというのは、それぞれ2人が対戦するもので、山札に積んであるカードを引いて、ポケモンを引いたり、エネルギーのカードを引いたりして競います。ポケモンが技を繰り出すためにはエネルギーが必要で、エネルギーのカードをたくさん集めて技を出すのがポイントです。今回、そのカードゲームを実写にするに当たり、タレントさんたちにポケモンに扮してもらい、カードの代わりに“甘辛”のシュークリームを食べて、甘いクリームを食べるとエネルギーが蓄えられ、集めたエネルギーによって技を出して、相手のライフポイントを減らしてゼロにしたほうが勝ちというルールの対戦バトルを設定しました。
【“ゴムパッチン”について】
 ポケモンたちのなかにはドラゴンというタイプのポケモンがいて、そのドラゴンの技にドラゴンストリーム(りゅうのいぶき)があります。口から嵐のようなものをドラゴンが吐き出して、敵にダメージを与えるという技ですが、今回はその技で口からゴムを吐き出すのはどうかと考え、“ゴムパッチン”が登場するわけです。もちろん、子ども向け番組ということは、制作者一同強く意識しておりまして、子どもたちに楽しんでもらいたいというのが、一番大きなコンセプトでありますから、その技を放送したことによって悪影響を与えることがないか、不快な思いをさせたり、いじめや暴力を想起させたり誘発させたりする内容になっていないかということや、子どもたちが簡単に真似できる仕掛けかどうか、真似できる場合には危険性がないかという点についても常に意識を配って考えております。また収録前にはスタッフによるリハーサルで、実際にその技を使って危険性がないかどうかということに関しても、厳重なチェックを行いました。そのうえで、“ゴムパッチン”については危険性は認められず、内容としても“笑い”の表現として許容される範囲内の描写であるとの判断の元、収録・放送に至ったものです。
【テレビ東京の見解】
テレビ東京としては、“ゴムパッチン”をはじめ今回ご指摘いただいた表現が即、放送に不適切とまでは考えておりません。その表現がどのような意味を持ち、どんな印象を与えるのかは、その描かれ方や状況よってまったく変わってきますし、お笑いの演出法として否定されるものではないと思います。「揉めるから止めておこう」と制作者が短絡的に考えてしまうことを危惧します。
ただし今回、子ども番組であることを念頭に、表現にも充分注意のうえ制作したにもかかわらず、制作者の意図とは全く違う印象を持つ視聴者がいらしたことは事実として真摯に受け止めております。番組の説明に不足しているところはなかったか、表現に工夫の余地はなかったのかを検証するとともに、今後「視聴者がどう感じるか」により敏感な番組作りに努めてまいりたいと思います。
なお、2008年に“ゴムパッチン”が青少年委員会で取り上げられたことについて、社内の周知が足りなかったことは事実であり、その点につきましては改善してまいります。ただ、社内での情報共有、周知徹底は強化しており、放送内容の向上に真摯に取り組んでいる弊社の姿勢は是非ご理解いただければと思います。

【青少年委員の主な意見】

  • “ゴムパッチン”は、子ども番組に限らず一般番組でも、視聴者の視点から考えて配慮する必要があるのではないか。実際に子どもたちがこの番組を見て、楽しいとか面白いと思っているのかどうか、見る側の視点から発想することはできないだろうか。
  • いじめがクローズアップされている時期に、「ライフポイント」を削るゲームを人にやらせる、人がやっているということに、“なにかドキッとする”感覚をおぼえた。
  • “ふざけ”とか“遊び”として行うことの中で、される側が恐怖や苦痛を感じる、その構図を“笑い”として放送するのは、子どもには影響があるのではないだろうか。
  • “ゴムパッチン”や“ハリセン”といった古典的なゲームも楽しいが、時代に応じたクリエイティブ力を発揮してほしい。子どもたちに人気のアニメの企画なら、もっと子どもたちを惹き付ける楽しい遊びが生み出せるのではないか。
  • どういう方法で“笑い”をとっていくのか、時代の変化や日本の笑いのレベルをどうするか、ということを考えて、企画を考えていってほしい。

【委員会の考え】

番組の中で“ゴムパッチン”等はポケモンの攻撃技として使われたという制作者側の説明があったが、視聴者には“罰ゲーム”という印象を強く与えるものであったことは否定できない。
2008年に他の放送局の“ゴムパッチン”について委員会審議した事例では、ゴムを徐々に長くするなど“罰ゲーム”の反復がエスカレートしていったことに端を発したものであり、その経緯についての理解を当該放送局の制作者側に求めたい。どこまでが許容範囲かということについて明確な基準を設けることはできないが、“罰ゲーム”は、出演者の安全面に対する配慮だけではなく、それが視聴者にどう受け止められるかということにもっと想像力を働かせる必要がある。とりわけ子ども向けの番組においては、バラエティー番組で広く“罰ゲーム”とされているような装置や道具を安易に使用することにより慎重であることが望まれる。当該番組の制作の過程では、「いじめという印象を与えない」「簡単にマネをされない」「出演者の苦痛を強調しない」といった配慮はなされていたようだが、単なる模倣やいじめの可能性がないというだけではなく、「出演者が痛がる嫌がる様子を見て笑う、面白がる」といった演出手法がバラエティー番組の中で常態化し、そうした「笑いの構図」が一般化することに本委員会は危惧の念を抱いている。
これまでも本委員会は2000年に「バラエティー系番組に対する見解」、2004年に「『子ども向け番組』についての提言」、2007年に「『出演者の心身に加えられる暴力』に関する見解」を表明してきた。今回、番組の制作責任者との意見交換をしたこととあわせ、あらためてすべての放送局に、“ゴムパッチン”などの“罰ゲームのあり方”について自主的な検討を要請したい。

(2)RKB毎日放送『今日感テレビ』8月20日放送分の当該局からの回答

人気アイドルグループの5人の少女が芸能活動を辞めたことを伝えたコーナーで、5人の実名報道を行い、さらに、未確認の”ネット情報”を伝えたことに対する複数の視聴者意見を受けて、前回書面での回答を要請した件につき、当該局から以下の回答がありました。
※回答のお願いに関しては前回9月の議事概要を参照ください。

【RKB毎日放送からの回答】

(1)制作現場でのコミュニケーションのあり方について

  • 経緯と原因について
    ディレクターは放送前日にプロデューサーと打ち合わせし、「スポーツ紙報道の引用でいく」ことを決めましたが、その時点で、出所不明の噂話である“ネット情報”が拡散していることを知り、この情報が放送されてはならないと考えました。そこで出演者からこの件についての問いかけがある場合に備えて、台本上にそのネット情報を「参考まで」として記載し、男女リポーターとの打ち合わせでは、「飲酒・喫煙について問われたときは、『ネットで出てはいるが、噂ですからね』と、否定してください」と指示しました。
     芸能コーナー冒頭の「振り」を担当する男性リポーターはこれを正しく理解していましたが、話題を展開する担当の女性リポーターは正確に理解せず、その結果、放送してはならない情報が放送される結果を招きました。
  • 放送後の対応について
     放送の際、副調整室にいたディレクターは「行きすぎた」と感じましたが、リポーターの発言を止める、あるいは訂正するなどの対処を行いませんでした。またプロデューサーはじめ番組関係者のいずれも、放送中及び放送終了後の問題提起を行いませんでした。
     この問題を社として認識したのは翌21日朝です。問題を指摘する視聴者からのメールと当社の「ご意見フォーム」への書き込みを視聴者広報センターが開き、放送同録を視聴して指摘された点を確認しました。そこで報道制作センター、テレビ編成局と緊急に協議し、当日の『今日感テレビ』の冒頭で、番組キャスターによる謝罪と訂正を行いました。

(2)ネット情報の取り扱いについて

  • “ネット情報”との対峙
    今日、社会のあらゆる分野にインターネットが浸透し、キーワードを検索すれば直ちに候補が提示される“ネット情報”は際立って便利なツールとして、放送の現場でも取材に先立つリサーチなどで広く利用されています。
     しかし、“ネット情報”はすべてが同一の水準というわけではありません。そこに書き込まれた内容は、単なる噂から流言飛語、推測や誤解、誤報あるいは意図的な虚報まで存在します。その一方、自らの身分を明示し、責任ある立場で提示される情報もあり、個人が発信する内部告発など、直ちに信用することはできないにしても、極めて有用な情報につながる“種”も含まれています。したがって“ネット情報”すべてを排除することは難しい問題と考えます。
  • “ネット情報”の分別と検証
    当社が遵守・準用する系列キー局の「報道倫理ガイドライン2011」では、“ネット情報”について「インターネットの情報はまさに玉石混交である。誰が、どういう組織が発信しているのかを充分に把握した上で、鋭い選択眼をもって情報に接することが求められる」とされています。大切なことは、玉石混交の“ネット情報”をどう峻別し取捨選択するかです。それについては報道機関としての取材・検証・報道のプロセスが有効と考えられます。“ネット情報”についてはさまざまなルートから“裏”を取り、それらすべてを照合して事実確認して報道に至る手順を適用します。

(3)未成年者の報道について

  • 一般の未成年者の場合
     メディアの基本的姿勢は、実名報道にあると考えます。その中で少年事件報道は、例外的に匿名報道を適用すべきケースの一つと考えます。当社では遵守・準用している「報道倫理ガイドライン2011」に記載されている、少年法第61条の規定を尊重して、少年事件の容疑者の実名・写真は報道しません。また、今回の芸能報道はいわゆる少年事件ではありませんが、未成年者の「飲酒・喫煙」は法で禁じられている行為であり、今回のように「飲酒・喫煙」を疑わせる内容を放送する場合には、実名・写真は報道しないのが原則です。
  • 過去に芸能人であった未成年者の場合
     芸能人をはじめいわゆる有名人については、一般の人々では許されないプライバシーに関わる報道もある程度許容される、という考えに基づいて、スポーツ紙の芸能面、テレビの芸能コーナーなどは制作されています。有名人でなくなった場合の報道には、慎重な検討が必要であり、未成年者の場合はさらに格段の配慮が必要です。その上で今回のケースを考えれば、「突然グループを脱退した」という第一報については実名・写真は許容されるのではないでしょうか。もちろん時間が経過して高校生、中学生としての生活に戻った時点では、一般の未成年者同様にプライバシーは保護されるべきと考えます。
  • 明らかになった問題点
     今回は、(1)スタッフ間のコミュニケーションに齟齬があり、それによって(2)出所不明の“ネット情報”を放送し、その結果、(3)元芸能人である未成年者に、あたかも法に反する行為があったような印象を視聴者に与え、関係者の皆様を傷つける結果を生じました。また、番組関係者はその場での訂正、ないしその後の問題提起を行なわず、その認識に問題があることが明らかになりました。
  • 再発防止に向けて
     当社ではこれらの問題点を踏まえ、遵守・準用してきた系列キー局の「報道倫理ガイドライン2011」に加えて、当社独自の「RKB番組制作ガイドライン(指針)」を策定するとともに、報道制作センターに所属する番組制作担当6部への指導として、報道機関の有識者を招いた研修会を4回開催し(参加のべ160人)、下記を柱とした啓発を行いました。ガイドライン及び再発防止対策は、今後も継続して周知・徹底を図ってまいります。

(1)制作現場でのコミュニケーションのあり方について
 ●台本には、放送しない情報は原則として付加しない。
 ●放送に使用しない参考情報を共有する際は、「どこまで放送にのせるか」を明確にし、相互に確認する。「あうんの呼吸」は不可とする。
 ●プロデューサー・ディレクター・リポーターを問わず、番組関係者で番組の内容、進行に関する説明や台本などに疑問が生じた場合は、直ちに「どういう意図で、どの内容を、どう展開するのか」確認する。十分に理解しないまま、放送に臨むことは認めない。
(2)ネット情報の取り扱いについて
 ●出所不明の“ネット情報”は、事実確認できない限り放送には使用しない。「~という噂もネット上に流れています」という表現も不可とする。
(3)未成年者の報道について
 ●芸能人も含めて、未成年者に関する情報は特別な配慮を持って取り扱う。放送する内容・範囲は、番組プロデューサーの責任で決定する。
(4)問題発生時の対処について
 ●放送すべきでない情報が出たとき、また放送にふさわしくない表現や発言があったときは、直ちに訂正などの処置をとる。プロデューサー、ディレクターのみならず番組に関わる全員に責任がある事を認識する。

【青少年委員の主な意見】

  • 子どもの権利条約においても、子どものプライバシー・通信・名誉の保護を規定している。したがって、未成年者の飲酒や喫煙といったマイナスになる報道は、たとえ芸能人とはいえ、未成年であることを考慮して慎重になされるべきものと考える。つまり、未成年の芸能人の私生活に関する報道については、「未成年者」という特質を十分配慮して違法か違法でないかを考える以前の問題として謙仰的な態度が求められる。
  • 対象者が数日前まで芸能人であったという繊細な事情があるとはいえ、そもそも「未成年者の人権」ということへの配慮が制作者側に希薄だったのではないか。これは、RKB毎日放送だけの問題というよりは、この事案を契機としてテレビ局全体の問題として“未成年者の人権”について真剣に考えるべきではないだろうか。
  • 裏付けのない“ネット情報”を、あたかも事実であるかのようにテレビで報道することは、今後ますます重要な問題となる。

【委員会の考え】

当該放送局からの回答を得て第137回青少年委員会で審議の結果、(1)局の回答を基本的に了解する。しかし、未成年者の人権については番組制作の中で十分な配慮がなされることをRKB毎日放送に強く要望する。同時に、委員会としては、テレビ番組の中で子どもの人権への配慮がなされることを、すべての放送局の番組についても強い問題意識の下に見守り続けていくつもりである。(2)ネット情報や新聞情報を鵜呑みにしたテレビ報道が増大していることについて、委員会は強い危惧の念を抱いている。この問題について、RKB毎日放送は今後徹底した事実関係の検証と再発を防ぐ取り組みを行い、今後の番組制作に反映されることを求めたい。
 なお、(1)制作段階での情報共有の徹底、(2)確認の取れない“ネット情報”の安易な取り扱いと流用の排除、(3)未成年者の人権の尊重、という問題は今回の『今日感テレビ』だけの問題ではなく、すべての放送局が遵守するべき課題という認識を委員間で確認し、全放送局に強く注意を促したい。

【視聴者からの意見について】

担当委員及び事務局より、今月の視聴者意見の概要等について報告を受けた上で討論し、特段問題視する番組はなかった。

【中高生モニター報告】

10月は「最近一番関心のあるニュースは何ですか。それをどんな番組で視聴していますか。どんな司会者や内容なら見てみたいと思いますか」というテーマに、25人から報告が届いた。
一番関心の高かったニュースは「尖閣諸島や竹島問題」で、10人からリポートが寄せられた。「中国や韓国の良さを伝え、歩み寄るような報道をすることで冷静に領土問題を見つめられる」、「一部のメディアによる情報の偏りを避けるため色々な番組を視聴するように心がけている」という意見に代表されるように、冷静さを持って成り行きを見守っている様子がうかがわれた。
次に「山中教授のノーベル賞受賞」関連のニュースには9人から報告が寄せられた。「iPS細胞に関してほとんど知識はないが、明るいニュースだ」。また『とくダネ!』(フジテレビ)や『おはよう日本』(NHK)では「iPS細胞について分りやすく説明してくれた」という意見も届いている。その後の「虚偽が疑われるiPS細胞を使った治療」のニュースについては、テレビが不適切な報道をした時の対応について「謝罪で終わるのではなく、間違いを犯したことをもっと大々的に自ら報道すべきだ」という意見もあった。
今回最も多く報告が寄せられたのは『報道ステーション』(テレビ朝日)で5人、司会者として希望が一番多かったのは『学べるニュース』(テレビ朝日)の池上彰さんだった。

<自由記述>は、「ラジオはあなたにとってどんな存在ですか。気になる番組を教えてください」と聞いた。ラジオに接する機会はほとんど無いという意見も寄せられたが、一方で一番手軽な情報源としてニュースや音楽情報を得ていたり、災害時のラジオの重要性を認識しているという報もが届いた。

【主な意見】

  • 「夕方見るニュース番組が特に決まっているわけではありませんが、大体、『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日)を見ています。この時間の他のニュース番組と違ってエンタメニュースが少なく、メインキャスターをテレビ局のアナウンサーが担当しているので、この番組を選んでいます。これに関しては大変良いことだと思います。しかし、去年、小宮山厚生労働相(当時)がたばこ税の増税について発言したというニュースで、愛煙家の男性キャスターが意見していたことが、僕は気になりました。世間の意見が分かれる中で、本来ニュースを伝える役であるキャスターが、そのことに偏った意見を述べてもよいのでしょうか。視聴者がニュースにそれぞれ意見を持つことの妨げになってしまうのではないでしょうか。キャスターとコメンテーターの違いをはっきりしないといけないと僕は思いました。」
    (東京・中学2年男子)
  • 「私が最近関心のあるニュースは、やはりいじめについてです。大津での事件を発端に、様々ないじめや教育現場の実態が明らかになりました。しかし以前にもいじめ問題は叫ばれていました。事が大きくなってからメディアが伝えるのでは後の祭りです。その時限りではなく、深く突きつめ風化させないメディアであってほしいです。私はふだん聴いているのは、毎週月曜~木曜17:00~19:45にFM NACK5で放送されている『夕焼けシャトル』です。ピックアップしたニュースを専門家とともに解説しているコーナーはとても分りやすく、あらゆるニュースを深く取り扱っていて、とても充実した内容の番組です。」
    (群馬・高校2年女子)
  • 「私の興味があるのは、iPS細胞関連のニュースで、その中でも森口尚史氏が世界初のiPS細胞を使った治療を行った、という報告が嘘かもしれない、というニュースです。テレビ局は森口氏がiPS細胞を使った治療を行ったと言う報道は裏づけ調査の不十分な不適切なものだった、と謝罪しましたが、今度はしっかりと本当は何が起こっているのか、森口氏の主張していることとハーバード大学の主張の食い違いはどうして起こっているのか、を調べて報道してほしいと思いました。それがテレビの責任だと思います。」
    (札幌・中学3年女子)
  • 「私は最近iPS細胞の研究でノーベル医学生理学賞を受賞した山中教授についてのニュースに興味があります。ちょうど学校の授業でもiPS細胞について学んだところだったので、より関心を持つことができました。しかし、険しい顔をした人が司会をやっているニュースや、真面目な雰囲気の番組でしか扱っていないことが残念です。せっかくiPS細胞の存在を知ってもらえる機会なので、ここは老若男女関係なく知ってもらえるように、明石家さんまさんや、池上彰さん、嵐の櫻井翔さん、くりぃむしちゅーの上田晋也さんなどのメジャーな人気司会者で、かつ、様々な年代の支持を受けている方が司会をすれば、多くの視聴者が見るため、よりiPS細胞を知ってもらえると思います。」
    (神奈川・中学3年女子)
  • 「僕にとって今関心があるのは、日中韓関係の急激な悪化にまつわるニュースです。僕はこのニュースをテレビの報道番組やニュースでも見ていますが、テレビだけでなくインターネットやラジオを通じて手に入れています。歴史的な認識や民族性などの違いが絡み合った、とても複雑な問題だけに、一部のメディアによる情報や見方に偏ってしまうことを避けるためにも、いろいろな番組を視聴するように心がけているつもりです。」
    (東京・高校1年男子)
  • 「私が最近一番興味のあるニュースは“日本と中国の関係性について”です。尖閣諸島の問題により、中国の日本に対する姿勢は明らかに以前とは違ったものになっています。私は、自分たちの国に今起こっていることを分かりやすく解説する番組があるといいと思います。たとえば司会者には中高生に人気のあるアイドルを採用して、解説者にはそのニュースに対応した各方面の専門家の方に協力してもらいます。最後にその日に学んだことをテスト形式にして、本当に理解しているかを確かめます。子どもだけでなく大人も楽しめるような番組だといいと思います。」
    (神奈川・高校2年女子)
  • 「私が一番関心を持っているのは、中国や韓国との領土問題をはじめとする外交についてです。最近、日本の外交問題が多く累積しており、お互いの国でそれぞれの見解を報道していますが、双方の国が互いに自分の主張を繰り返すだけで、歩み寄る努力がされているようには思えません。私は、多国間の報道を比べた上で、その国々の人を交えたり、意見を参考にしたりして、様々な観点からアプローチした番組があればいいなと思います。」
    (福岡・高校2年女子)
  • 「僕の将来の夢は宇宙飛行士になることなので、いつも宇宙に関するニュースに注目しています。特に今一番関心を持っているのは、アメリカのスペースX社の無人宇宙船「ドラゴン」がISSにドッキングしたことや、JAXAの油井宇宙飛行士が2015年にISSに長期滞在することが決定したことなどです。宇宙に関するニュース番組はNHKが一番充実していると思うので、テレビでは主にNHKから情報を得ていますが、より詳しく知りたい時は、新聞やインターネット(JAXAのホームページや、NASAのアプリケーション)も活用しています。」
    (東京・中学2年男子)
  • 「私が今一番関心のあるニュースはシリアの内戦です。きっかけはテレビではなく、英語の授業で読んだ英字新聞でした。その後、ジャーナリストの山本美香さんがシリアのアレッポで射殺されてしまったという悲しい出来事があり、ニュースは朝も夕方もそのことで持ちきりでした。そのニュースはとてもショッキングでしたが、いままであまり目を向けられることがなかった、海外の戦闘地域などで活動するジャーナリストの方々の苦労や勇気ある行動の数々が注目されるようになるいい機会ともなりました。しかし、私はどこかで冷めた気持ちでそのニュースばかりが取り上げられている様子を見ていました。日本のメディアは日本人が亡くなったらそれを重大ニュースにするが、シリアで何万人のシリア人が亡くなろうともそれをさほど大きく取り上げることはありません。それらの情報を一般的な日本人という主観によってのみ切り取るのではやはり偏りがでてしまうと思うので、バランスと報道番組としての役目をもっと考えた番組作りが必要なのではと最近思います。」 
    (東京・高校2年女子)

【委員の所感】

  • 今回のように外交・領土問題や、iPS細胞をテーマとする硬派なニュースの報告が多かったのは、モニターの皆さんの社会問題に対する関心の高さが感じられ嬉しかった。
  • ネットニュースの活用が当たり前になっていることを実感した。ネットリテラシーを身につけないと相当のリスクがあることをしっかり考えてほしい。
  • 領土問題でもバランスが取れて安心できるコメントが多く、さらにメディアに対しても深い掘り下げができているのを感じた。
  • 扇情的な報道にのせられないようにマスコミへの接し方を身につけている報告に感心した。
  • ラジオに言及している報告が多く、ラジオは決して廃れたメディアではないという意見はまさしくその通りで心強く思った。
  • 誤った報道をしてしまった場合、その放送局でなぜそうなったのかしっかり検証してほしいという意見には、全く同感だ。

【今月のキラ★報告】(東京・中学3年女子)

私は夏休みの宿題で新聞スクラップというものをしてから、尖閣諸島、竹島問題などの領土問題に敏感になり、先の見えない両国の話し合いに興味を持つようになりました。それらの情報は、夜の『報道ステーション』や新聞、yahoo!ニュースで得るようにしています。
 確かに尖閣、竹島問題は深刻で、日本にとっては緊迫感を緩められない大切な内容だと思います。また今はそのなかで最も真剣に向き合っていかなければならない時期なのだと思います。今の報道で、私たち中学生は少しずつ国際問題も理解し始めました。けれども、まだまだ小さい子たちの頭にはきっと「中国や韓国は良くない国だ」という印象しか持てないように感じます。
もちろん、正しい事を報道するのが、マスメディアの役目です。だから、不法侵入してくる船や、韓国大統領の急な竹島への上陸などは、きちんと国民に伝えるべきです。しかし、野田首相の発言や、国の動きなどの事実を伝え、それを受けた国民の感情は自由ですが、事実を伝えることと、それにかぶせるように反韓、反中のイメージを国民に植えつけるのは違うと思います。
深刻さ、真剣さを伝えつつも、われわれ日本人ではあるけれども、中国には深い歴史があり、素晴らしい世界遺産などもたくさんあることや、韓国も韓流ブームを日本に巻き起こし、日本に笑顔をもたらせていることなど、2つの国の良さを伝え、戦う姿勢、抗議する姿勢だけを見せるのではなく、歩み寄るような報道をすることで、国民感情も抑えられ、冷静に領土問題を見つめられると思います。
司会者は、誰、とは希望はしませんが、タレントが「深刻ですよねー」とか、うわべだけでこなすというよりは、実際に両国に足を運んだことがあり、良さも悪さも語れる専門家や、同じ俳優や女優などでも、現地の国に詳しい方を厳選して起用していただきたいです。
 また、アニメやドラマなどを利用して、様々な問題を取り上げるのもありだと思います。今人気の漫画を使ったり、ふだんのドラマの中で何気なくニュース性のある要素を取り入れたり、クイズ番組でも、漢字や雑学のクイズに交えて、今の社会情勢を取り入れたり、お笑いのNo1を決める番組などでも、テーマとして「今話題性のある政治的ニュースを取り入れること」などすれば、面白くなると思います。
 私たち子どもはテレビが好きです。そのテレビ好きを各局がどう上手く生かして、知っておくべき日本の今を、心に、頭に深く焼きつくように伝えるか……私自身も楽しみです。

【委員会の推薦理由】

彼女は尖閣諸島や竹島の問題に興味を持ちました。とてもデリケートな問題です。一読して、印象に残ったのは、報道機関は「事実を伝え」つつも、相手国の「良さを伝え、戦う姿勢、抗議する姿勢だけを見せるのではなく、歩み寄るような報道を」という部分です。
 これはとても大事だと思います。こと一国側からの言い分だけですと「相手国憎し」という感情が先立ちがちですが、そこで一歩引いた報道ができるかどうかが、その国の放送文化の成熟(いえ、文化一般の成熟といっていいかもしれません)と関係していると思うのです。「両国に足を運び良さも悪さも語れる専門家」「現地国に詳しい俳優・女優」を起用すべきですとか、様々な提案をしてくれています。報道の現場の人にぜひ読んでもらいたいと思います。

【主な自由記述】

  • 「ラジオは僕にとっては、時計です。平日の朝から夕方まで、KBSラジオがつきっぱなしです。大きな局は違うかもしれませんが、地方局は常連リスナーさんが、パーソナリティーさんに覚えてもらえるので、本当に楽しいです。」
    (京都・中学1年男子)
  • 「僕が毎日聴いている番組は、月曜から金曜まで毎日15分放送しているオーディオドラマ『青春アドベンチャー』(NHKFM)です。オーディオドラマのすごいところは、映像で表現できないことを音で表現できるところです。その声、音をどう受け取るかによって頭の中で出来上がるストーリーが違うので、一つの物語でも聴いている人の数だけストーリーがあるというのが、テレビドラマ、映画と違うところで、これは素敵なことだと思います。」
    (東京・中学3年男子)
  • 「東日本大震災で、停電してテレビが使えない僕たちに様々な情報を提供してくれたのはラジオでした。それから余震が続いた現地で、ラジオは欠かせない存在となりました。今では余震も、回数が少なくなり、ラジオの使用は震災前と変わらなくなりつつありますが、あれから、僕たちにとってラジオとは『いざという時の為に絶対に欠かせないスーパーサブ』となりました。」
    (宮城・中学2年男子)
  • 「私は学校の英語の授業でNHKの『基礎英語』をつかっているので、ラジオは割と身近な存在です。決してラジオは廃れた情報機関ではないと思います。天気予報、鉄道情報などまだまだ欠かせない情報網の1つだと思います。」
    (東京・中学3年女子)
  • 「僕にとってラジオとは、実際の利用という面では少し遠い存在にあります。最近はあまり聴く機会がないけれど、なくなってしまっては悲しいもので、イメージではとても身近にある存在です。」
    (静岡・高校2年男子)

【今後の青少年委員会活動について】

  • 2013年1月22日(火)、青少年委員会を大阪で開催するとともに、在阪準キー5局とNHK大阪放送局の制作担当者との意見交換会を開催することを決めた。
  • そのほか、次回の「調査・研究」チームの立ち上げ等について提案が出され、次回以降の委員会で議論することとした。

第15号

日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関する意見

2012年10月4日 放送局:日本テレビ

週刊誌や芸能ニュースなどで話題になっていた占い師が出演するかのように、新聞の番組欄や番組内スーパーで告知したが、実際に出演したのは別の女性占い師だったという事案。委員会は「出る出ると手を変え品を変えて煽っておいて、最後に何のオチも工夫もないままに、全然ちがう人物を登場させるのは、羊頭狗肉そのものである」「ラテ欄での告知と、番組中のナレーションやサイドスーパーなどにおいて不適切な言葉を多用し、過剰な演出によって視聴者をあざむくなど、放送倫理に反したものであった」などと、指摘した。

2013年1月11日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

標記事案の委員会決定(2012年10月4日)を受けて、当該局の日本テレビは、局としての対応と取り組みの状況をまとめた報告書を、12月27日、当委員会に提出した。
2013年1月11日に開催された委員会において、報告書の内容が検討され了承された。

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目 次

  • 1. 委員会決定の報道
  • 2. 委員会決定内容の周知
  • 3. 番組審議会への報告
  • 4. 社外対応
  • 5. 委員会決定前までの制作局の取組み
  • 6. 委員会決定後の制作局の取組み
  • 7. 再発防止に向けての制作局の取り組み
  • 8. 日本テレビとしての全社的な取り組み
  • 9. 終わりに

委員長談話

委員長談話 フジテレビ「『めざましテレビ』ココ調・無料サービスの落とし穴」について

放送倫理検証委員会
委員長 川端和治

放送倫理検証委員会(以下単に「委員会」という)は、2012年6月6日にフジテレビが「『めざましテレビ』で放送した「ココ調・無料サービスの落とし穴」について、放送倫理違反があると認めながら審議の対象とはしないと決定した。この事案は、「隠し撮り(録音)」という取材手法が問題になったものであるうえ、事実の歪曲や過剰な演出も認められたことから、委員会がそのように決定した理由を明らかにする必要があるであろう。よってここに、「隠し撮り(録音)」という取材手法に対する委員会の姿勢と、審議の対象についての委員会の基準を説明しておきたい。

pdf委員長談話全文PDFはこちら

1. 事案の概要

この番組は、様々な無料サービスを利用して失敗した経験について街頭アンケートを実施し、苦情の多かったものを実際に体験して紹介するというものだった。このうち「プレゼント付きアンケートでDMや勧誘電話がきた」という項目については、番組スタッフが、アンケートで名前のあがった化粧品会社のWEBサイトに身分を隠して無料サンプルを申し込んだところ、会社からかかってきた電話のやりとりが終わるまで36分もかかってしまったという様子が放送された。また「カットモデルでイメージ通りにならなかった」という項目では、モデルになることを志願した女子大生に隠しマイクを仕込んでカットの際のやりとりを送信させ、鏡に映るカットの経過も携帯のカメラで撮影してメールで送らせた。そして、それをカーテンで窓を目隠しした取材車の中から実況放送しているかのように演出して放送した。
しかしながら、化粧品会社からの電話が延々と続いたのは、化粧品会社が執拗にセールスしたからではなく、全く逆に、ディレクターの指示をうけた番組のレポーターが様々な質問を続けて会話を引っ張ったからであった。放送の際はこの化粧品会社の名前は伏せられオペレーターの音声はボイスチェンジされていたが、自社のオペレーターのやりとりが「隠し撮り(録音)」され、しかもあたかも執拗な営業がなされたかのように放送された事に気づいた当該化粧品会社から、放送当日フジテレビに厳重な抗議がなされた。
フジテレビは直ちに調査をして、抗議された内容は事実であることを確認した。またこの調査の際、同じ番組内の美容室でのやりとりも「隠し撮り(録音)」されており、しかも実況放送というのは演出で、いわゆる「後付け実況」であったことも判明した。
フジテレビは、放送の1週間後の6月13日に「ココ調」コーナーで、電話のやりとりが36分になったのは番組側が会話の時間を延ばすために質問を続けたためであったこと、執拗な勧誘の電話が長く続いたという事実と違う情報を伝えてしまったこと、化粧品会社の担当者の心を傷つけ不快な思いをさせたことをわびる放送をした。そして翌日に化粧品会社の本社を訪れ謝罪をした。

2. 放送倫理違反の存在と委員会の判断

「隠し撮り(録音)」が原則として許されないことは、放送局各局がそれぞれ社内基準として共通して定めている。フジテレビも報道局『「報道人ハンドブック」2007』に、「(6)隠し撮りや隠しマイクによる取材は、その目的を明示した場合に目的が達成できないことが明らかで、他に有力な取材手段がなく、取材内容に重大性と緊急性があり、その取材目的が社会的に正当と認められる場合などに許される。原則としては、安易に隠し撮りや隠しマイクによる取材はすべきではありません。しかし例外として『身分を隠しての取材』のケースと同様に、認められる場合があります。この場合も、部長やデスクの了解が必要です。」と規定している。
取材活動は、必然的に取材相手のテリトリーに入り込む行為であり、その成果は放送により広く公表されるのであるから、身分と目的を明らかにし、相手の承諾を得て行われることが原則である。「隠し撮り(録音)」による取材は、それが安易に行われると、場合によっては、肖像権やプライバシーの侵害になったり、名誉毀損になったり、その方法によっては、刑罰規定に触れる結果にもなりかねないという危うさを秘めている。このような取材方法が広汎且つ安易に行われた場合の国民生活への侵襲度は高く、いつどんな行為を放送にさらされるかも分からない社会というのは、誰にとっても耐えがたい社会となろう。民放連の報道指針が、「2報道姿勢」の(1)で「取材対象者に対し、常に誠実な姿勢を保つ。取材・報道に当たって人を欺く手法や不公正な手法は用いない」とし、「3人権の尊重」の(1)で「名誉、プライバシー、肖像権を尊重する」、(4)で「取材対象となった人の痛み、苦悩に心を配る」としていることからも、「隠し撮り(録音)」が原則として許されない取材方法であることは明らかだと言わなければならない。
しかし、フジテレビの「報道人ハンドブック」2007にも明らかにされているように、この原則には例外が認められなければならない。そうでなければ、隠された権力悪を暴くというような報道は不可能になり、放送倫理基本綱領に高らかにうたわれた「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」という使命も達成できなくなるであろう。「隠し撮り(録音)」という方法が、価値のある取材手段となりうることは、たとえば、2012年9月現在進行中のアメリカ大統領選挙候補者の資金集めパーティでの演説の隠し撮り映像が広く報じられることにより、選挙の結果を左右しかねない事実が暴露されたという事態が生じていることからも明らかである。取材者が原則禁止という規定により萎縮して、どうしても必要なときに「隠し撮り(録音)」をためらってしまうようなことがあってはならないのである。
問題は、この原則禁止と例外としての許容のバランスをどう適切に保つかである。そのためには、なぜ「隠し撮り(録音)」が原則として禁止されているかを十分に理解した上で、判断がなされなければならない。今回の事案では、判断責任者となった担当プロデューサーが、自分が行った過去の「隠し撮り(録音)」の事例から今回も許容範囲であると安易に考えたのであるが、他の番組関係者は「部長やデスクの了解が必要です」という形式的な基準の充足がなされたというだけで満足してしまい、「取材内容に重大性と緊急性があり、その取材目的が社会的に正当と認められる場合」という実質要件の充足については、誰も真剣に考えずに不適切な「隠し撮り(録音)」を許容するという結果を招いてしまった。
その意味で、この事案については放送倫理の違反があると言わなければならない。また36分の電話となった理由の歪曲や、実況中継と見せかけた過剰な演出についても、放送倫理違反がある。
しかし委員会は、この事案についてそのような放送倫理違反を審議案件として追及し、意見を公表することは適切ではないだろうと考えた。その理由は、何よりも、この事案について「隠し撮り(録音)」という取材方法が不適切であったと断罪することは、その結論だけのひとり歩きにより、例外的手法によってでも隠された真実を暴くという意欲を持った放送人の足かせとして機能してしまうのではないかと、委員会が恐れたことにある。
また、このような不適切な取材方法の直接の被害者となった化粧品会社と美容室が、フジテレビの謝罪を受け入れ宥恕している一方、「プレゼント付きアンケートでDMや勧誘電話がきた」とか「カットモデルでイメージどおりにならなかった」という社会的事実は、この番組の街頭インタビューでもあきらかにされているように確かに存在しているので、この放送によって視聴者が誤解して被害や不利益をうけたという事実もない。またこの番組は報道番組ではなく、娯楽の要素も盛り込まれている情報バラエティー番組として制作されている。これらの事実を総合すれば、この事案は、「隠し撮り(録音)」という例外的な取材方法が不適切に用いられ、また事実の歪曲も認められるものの、その被害は現時点では既に回復されている一方、審議の対象とした場合の萎縮効果が懸念されることから、TBSテレビ『情報7daysニュースキャスター「二重行政の現場」』についての委員長談話で示した「小さな問題についての誤り」同様、放送局側の自主的・自律的な是正が適切になされていれば、審議の対象とすることは適切でないと考える。
そしてフジテレビは、極めて迅速に内部調査をとげ、的確な謝罪放送をしたうえで、抗議した化粧品会社から宥恕されているうえ、自らの調査によって無料カットモデルの件についても問題があったことを摘出し、美容師からも秘密録音についての事後承諾を得ている。しかもそのうえで自主的に再発防止のための方策を考え、実行しているのである。もちろんフジテレビについては、2010年8月8日と9月26日に放送された『Mr.サンデー』で、街頭インタビュー対象者の事前仕込みと、雑誌付録バッグ所有の通行人の人数の水増しをしたという問題事案があり、そのとき、自主的、自律的に徹底した改善策を実行したはずなのに、一年足らずでまた今回の事案を引き起こしたことによって、前回の改善策は有効には機能していないことが示されたという問題もある。しかし、迅速で自発的な対応による被害者の宥恕、問題発生の原因分析と、対応策の立案、そしてそれを制作現場に「自分のこととして考えましょう」というスローガンで浸透させる努力という点で、前述した委員長談話に述べた「当該局の自主的な取り組み」は十分に行われていると評価するべきであろう。
以上の理由から、委員会はこの事案を審議の対象とはしないこととしたのである。

3.研修用資料『めざましテレビ「ココ調」の不適切表現の問題点から学ぶ』の公表について

フジテレビは、委員会への自発的報告を素材に、研修用資料として以下に掲げる文書を作成した。委員会は、この資料をフジテレビの了解を得て公表することにより、他の各局がこれをそれぞれの制作現場における研修の材料として使用することができ、そのことによって放送倫理と番組の質の向上に役立たせることができるのではないかと考えた。そこでフジテレビに交渉したところ、公開用に手を加えた版の提供を受けることができた。
この文書は、この事案で生じた誤りの原因分析についての貴重な資料であるとともに、研修の材料としても、研修対象者に対する「みんなで考えよう」という課題と、考えるヒントが付されていることによって、他局でも広く活用することが可能になっている。是非とも各局で、それぞれがさらに現場で討論し考える素材として活用することにより、より優れた研修資料を作成していただきたい。委員会は、そのような努力が共有されることによって、過ちが繰り返されないための共通の土台が構築されていくのではないかと考えている。
最後に、公表版の作成にご協力いただいたフジテレビに対する謝意を表明させていただく。

以上

pdfフジテレビ『めざましテレビ』「ココ調」の不適切表現の問題点から学ぶ

pdfフジテレビ『Mr.サンデー』の特集企画における不適切表現に関する問題点の検証と再発防止に向けて

2012年9月に視聴者から寄せられた意見

2012年9月に視聴者から寄せられた意見

「尖閣問題」をめぐる政府の対応や、マスコミの報道に対する厳しい批判意見があった。自民党総裁選について、ワイドショー番組などの出演者による発言が、安倍総裁の首相辞職時の病気を揶揄する表現が多いと批判する声もあった。

2012年9月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は2,726件で、先月と比較して1,024件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール83%、電話15%、FAX1%、手紙ほか1%。 男女別は男性62%、女性36%、不明2%で、世代別では30歳代33%、40歳代30%、20歳代18%、50歳代12%、60歳以上5%、10歳代2%の順となっている。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。9月の通知数は1,673件【33局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、19件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

9月の視聴者意見は2,726件と先月より1,024件増えた。

「尖閣問題」をめぐる政府の対応や、マスコミの報道に対する厳しい批判意見があった。また、自民党総裁選について、ワイドショー番組などの出演者による発言が、安倍総裁の首相辞職時の病気を揶揄する表現が多いと批判する声もあった。

昼間のメロドラマで、子どもも見る時間帯なのに表現が過激すぎるといった意見や、昨年実際に起きた落とし穴生き埋め事件を彷彿とさせるシーンなどに批判が多かった。
お笑いタレントのスギちゃんが、番組収録時に重症を負った件では、無理をさせてしまうプレッシャーが問題だといった制作サイドへの批判が多かった。
ラジオに関しては73件、CMに関する意見は37件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は95件で、前月より25件減少した。
今月は、低俗・モラルに反する意見が18件、次いでいじめ・虐待に関する意見が13件、暴力・殺人・残虐シーンに関する意見が12件と続いた。
バラエティー番組の中で歴史上の著名人を侮辱しているという意見のほか、外国から嫁いできた女性が”セミを食べる”という食文化の違いに関する意見も複数寄せられている。また、バラエティー番組だけでなく、報道・情報系番組における「いじめ」の扱いについても、意見が寄せられている。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 尖閣問題で、漁船1000隻が尖閣諸島へ向かっていると伝えていた。これはあたかも尖閣諸島の政府国有化に対する大規模な抗議活動であるかのように連想させているが、他の報道では禁漁期間明けに見られるいつもの光景に尖閣問題の時期が重なっただけとのこと。伝え方を見ていると、大げさに煽っているように感じた。番組では最終的には冷静に行動するよう求めていたが、背景を説明するとしないでは受ける印象に大きな違いがある。国際紛争に直結しかねない場面において、このような演出方法は好ましくない。
  • ワイドショーの「中国尖閣問題」の取り上げ方に疑問がある。中国における「デモ行進」や日本企業に対する「破壊行為」、日本大使館への過激な「抗議活動」などを延々放送されると、仕返しをしろとけしかけられているような気がする。いくら日本人が冷静で規律正しい民族でも、連日中国人の不条理な行動を見せられれば洗脳されてしまう。ひとつ間違えば戦争になりかねない国際問題を、芸能情報と同列に興味本位で放送するワイドショーは「中国尖閣問題」を取り上げるべきではない。
  • 自民党新総裁に決まった安倍晋三氏について、各局のワイドショーで「お腹が痛くて総理大臣の座を投げ出した」などと否定的な批評をしている。安倍氏は「潰瘍性大腸炎」という難病が原因で辞めたのであって、それを無責任な辞め方と批判することは、同じ難病で苦しむ患者たちをも批判することになる。/li>
  • 電車脱線事故についての報道だが、取材時のモラルの欠如や、事実誤認が多いのが気になる。担架で運ばれる負傷者に無理な取材をしていた。避難用の梯子として使うため外されていた座席を、脱線の衝撃で外れたと誤認していた。運転士を専ら批判し、事故当時の対応等に一切触れない。どれを取っても裏取りが浅く、とても中立的な報道とは思えない。また、国道16号沿いに放送局の車両が路上駐車し、渋滞を引き起こしている。緊急取材の場合の駐車は認められているとはいえ、ただでさえ交通量の多い2車線の道路を平然と塞いで駐車するのは問題がある。
  • 名古屋女児監禁事件について。被疑者が勤めていたアルバイト先から入手した履歴書をモザイク付きで放送していた。そもそも履歴書は個人情報で、報道陣に履歴書を提供した会社は被疑者の住所・氏名・電話番号・学歴などをそのまま開示しており、個人情報保護法に違反しているのではないか。テレビ局も違法とみなされる行為により入手した情報をモザイク付きとはいえ、世間に晒すということは事件報道の域を逸脱しているのではないか。被疑者のプライバシーがある程度制限されても仕方がないという見方はあるかもしれないが、同様の取材行動がより軽微な事件にも適用される、あるいは取材元に強要される恐れがある。
  • 広島女児監禁事件の報道に関連して、アニメやインターネットなどを好きな人間はコミュニケーション能力が不足しており、仮想現実に浸って相手を人間と感じないという趣旨の発言があった。このような発言には根拠がないばかりか、創作物の及ぼす影響については、否定する学説の方が有力だ。アニメを見て罪を犯すのではなく、犯罪者がただアニメを見ていただけではないか。漫画やアニメのファンとして、このような差別発言に非常に傷つく。
  • 食品製造や調理場などでのリポート番組で、従業員は、帽子やマスクなど、衛生に配慮した恰好をしているのに、リポーターは髪の毛そのまま、マスクなしで喋りまくる等、不適切が散見される。視聴者も不愉快だが、完璧な衛生管理を推進している現場も不愉快を感じていることだろう。食品事故をおこせば即営業停止だ。

【番組全般・その他】

  • 湘南のビーチギャル300人に調査「もっとも抱かれたくないのは誰?(1)福沢諭吉(2)新渡戸稲造(3)野口英世」という問いだった。いずれもお札の肖像画を見せて聞いているようで、ギャルたちは「気持ち悪い」「名前が読めない」「脂っぽい」「ほくろが・・・」などと言っていた。スタジオのパネラーが笑っていたが、これはひどい。実在した偉人で、子孫もいるだろう。偉人として教科書に載っていて、尊敬するようにと教えているはずだ。自国出身の偉大な人物を辱める国があるだろうか。
  • スギちゃんが、10メートルの飛び込みをして胸椎骨折で大怪我をしたそうだ。以前から、バラエティー番組で、芸人に危険なことをさせることを不快に思っていたが、今回の事件でますます嫌な気持ちになった。芸人はなんとしても売れたいから、危ないことや嫌なことも頼めばするだろうが、そんなことをさせることは間違っている。いわゆるハラスメントだと思う。スギちゃんが不憫だ。
  • “土下座めし”という企画に憤りを感じた。内容は予約しないと中々手に入らない食べ物を、土下座して購入者から手に入れるというものだが、テレビなら何でも許される、何でも通用すると考えていることが伝わり、またスタジオでのADの態度、「土下座までして取ってきたのに」のような態度が許せない。テレビ局の傲慢さ、何でもできると思い込んでいるスタッフの考えに、怒りを抑えられなかった。
  • わらしべ長者と称して、「わら」から高価な物へと次々交換していく企画だった。まるで、おいはぎだ。最初の若い男の子は、ただの「わら」と1万円以上する時計を交換させられている。強引に奪われたとしか思えない。テレビカメラに撮られている状況であれば、断りにくいのは当然だ。見るに堪えない。意思確認の言葉が「いいじゃん」ではないだろう。
  • 番組にずっと出演していた人気者チンパンジーが、研修生に重傷を負わせたとのニュースを聞いた。長年人間の都合で振り回された挙げ句、本来の姿が出てしまったことで、悪者に見られてしまうチンパンジーが気の毒だ。引退間近だったそうだが、今までの番組内容を見る限り、猛獣であるチンパンジーを軽く見ていたのではないかと思う。そもそもこの番組は、動物をただ可愛いだけのぬいぐるみのような扱いをしていて、不愉快だった。子どもの頃は可愛くても、成長したらクマや猿はどれだけ危険な動物なのかなど、もっと動物本来の姿を伝えていかないと、動物による同じような事故が今後も起こりかねない。
  • 犬の尻尾にリボンをくくりつけたり、鳩を仰向けにして何分ひっくり返ったままでいられるかなど、動物を虐待しているとしか思えなかった。嫌がっている動物たちを面白がって撮影し、「面白いですね~」「可愛いですね~」と言っている。スタジオ内のタレントやナレーターに唖然とした。そのVTR内には「※専門家の許可の下、撮影を行っています」という文字が小さく入っていたが、放送しているテレビ局スタッフは、この映像を見て何とも思わなかったのか。
  • 主人公の友人が、結婚パーティーで海岸に掘った穴に生き埋めになるシーンが不謹慎だ。昨年石川県で同様の事件が起きており、その事件がモチーフとされているようだ。三回忌も済んでいない遺族の感情は全く考えておらず、人権を甚だしく侵害しているドラマだと思う。このドラマの放送中止を求める。
  • これだけ世間でいじめ問題が出ているにもかかわらず、いじめを助長するようなことばかりしている。ある芸能人の家にとんねるずを泊めようという企画だったが、家の中やその家にある物をめちゃくちゃにしたりしている。テレビで何をやってもいいということはおかしい。この番組は後輩芸能人などに高額のものを買わせたり、いじめを生み出すようなことばかりしている。

【ラジオ】

  • リスナーが投稿する川柳のコーナーでのこと。病気を理由に総理大臣を辞任した国会議員が、今回の総裁選に意欲を示していることに懸念する川柳をリスナーが読み上げたところ、司会者がその国会議員をバカにするような発言を繰り返した。「あのときのことを思い出しましたよ」だとか「診断書を提出して立候補してほしい」だとか。この議員の病気は難病に分類されているという報道もあり、あまりにも配慮に欠けた発言だ。

【CM】

  • ゲオのCMです。携帯買取り宣伝で着信音を鳴らしているのがとても不愉快。職業柄、緊急出動がある身なので、あの着信音を聞くと寝ているときでも条件反射で起きてしまうことが頻繁にある。疲れていても起されてしまうし、起きていても音を聞いたら非常に不愉快になる。同じ境遇の方は少なくないかと思いますので着信音だけでも消してもらいたい。
  • テレビでもラジオでも、コマーシャルに子どもの出演が多すぎる。子ども言葉で聞き苦しく不愉快極まりない。子どもが偉そうにしている国は、日本ぐらいだろう。特にラジオは言葉だけで子ども言葉のしゃべり方は聞き苦しく堪えがたい。広告会社にも猛省を促してほしい。これ以上の低下は避けてほしい。

青少年に関する意見

【低俗・モラルに反する意見】

  • 若い女性に対して、「福沢諭吉、新渡戸稲造、野口英世の中で最も抱かれたくないのは誰?」という質問を行うコーナーがあった。偉人を侮辱するような内容で、見ていて不愉快だった。バラエティー番組とはいえ、子ども達も見る時間帯であり、偉人を馬鹿にして笑いを取るような番組内容は即刻改善していただきたい。
  • ここ数年来のアニメ番組の内容はあまりに低俗ではないか。昔なら夕方やゴールデンタイムには子ども向けのアニメがあり、内容も教育的なものや夢のあるものが多かった。しかし、最近はゴールデンタイムからアニメは消え去り、深夜にばかり放送され、その内容といえば下ネタを扱ったものばかり。深夜に放送されているから問題ないように思われるが、録画機があることを思えばそれは何の意味もない。一概に犯罪と低俗アニメを結びつけることはできないが、成人男子が見るような内容を、子どもでも見られるアニメとして垂れ流すことは非常識だ。

【いじめ・虐待に関する意見】

  • 朝の情報番組の中で、海外で起こったいじめの現場を録画した動画を放送していた。このような動画でいじめについて知ってもらい、いじめをなくすために放送したのだと思う。しかし、このような放送を見た子ども達は「自分も」と、さらにいじめが深刻化していくのではないかと感じた。なにより、あのような残虐的な動画を流すことがどうかと思う。
  • 22時過ぎであったが、バラエティー番組の中で、集団で芸人を殴ったり蹴ったりする部分があり、学校などでのいじめにつながる光景で、テレビ的に好ましくないと思われる。本人たちは冗談でやっていても子どもにとっては冗談では済まされず、いじめなどにつながるものと思われる。ここ数年同じことを行っており、放送局に反省の態度がなく、本当に自分たちが放送を行うものとしてのスタンスを分かっているとは思えない。
  • 人間観察と称して、一般人に対して様々な仕掛けを行い、その反応を芸能人たちがあげつらうことで笑いを誘うという趣旨の番組だった。その一例として、飲食店(回転すし)で他人に勘定を押し付けられそうになった場合の反応を見るという場面があったが、詐欺罪が適応されるような反社会行為であるのに、それを楽しむかのような姿勢は疑問である。さらに、気が弱いために、勘定を押し付けられても泣き寝入りした一般人がいたが、それを嘲笑の対象として扱っており、いじめ問題が重大な社会問題となっている昨今、子ども達への影響が心配だ。

【暴力・殺人・残虐シーン関する意見】

  • 外国人の主婦からの依頼で、彼女が子どものころ故郷で食べていたセミを食べるというものがあった。あらかじめ用意されたセミを調理して食べることを想像していたが、実際は生きたセミを公園で捕まえ、その場で食べるというものであった。そのやり方があまりに残酷である。捕まえたセミの羽を引きちぎり、火で炙り、身をほじくり食べるというのだ。その様子を見ただけでも気分が悪くなった。外国の食文化を否定するつもりはないが、それを知らない人々に向けてこうした食べ方を突然見せるのはいかがなものか。

【食べ物に関する意見】

  • タレントの一家が「食べ放題を食べ尽くす」という企画に出演していたが、子どもの前で「もとを取るため、高い物を選ぶ」「炊き込みご飯の具材のみを食べるように指示する」「試飲の飲み物を飲みつくす」等、食べ物への感謝、食事をする意味、ものを味わう、ということが欠如していた。見ている子どもへの悪影響が著しい。

【要望・提言】

  • お笑いタレントが収録中に大けがをした。近年のお笑いタレントは、落語や漫才など話術や身振りではなく体を張ることで笑いをとる傾向があるが、一部にタレントに無茶な要求をしたりウソを信じ込ませたりして、怖がったり怯えている場面を皆で笑う番組が増えている。人が嫌がることをしてそれを皆で笑うという構図は、今の子ども達のいじめそのものであり、これらのタレントいじめ番組が子ども達のいじめを助長し、正当化、日常化してしまっているのではないか。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 視聴者意見を読んだ。最近の大人は自分の子どもに対してどのような教育をしているのだろうか。お笑い番組を例にあげて、子どもが真似していじめを助長させているなどの批判があったが、あくまでもお笑い番組はお笑いのひとつだ。子どもに対して、こういうことをしてはいけないと教えてあげることは親の仕事でありメディアの仕事ではない。特にお笑いに関しては、あれは駄目これも駄目などと批判され、結局は番組作りを制限され、身内だけの盛り上げり番組で終わるか、マンネリのクイズ番組になってしまう。

第188回 放送と人権等権利に関する委員会

第188回 – 2012年10月

無許可スナック摘発報道事案の審理
その他

「無許可スナック摘発報道への申立て」事案の「委員会決定」(決定文)案について、時間をかけて検討した。

議事の詳細

日時
2012年10月9日(火) 午後4時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、田中委員、林委員

「無許可スナック摘発報道への申立て」事案のヒアリングと審理

本事案は、テレビ神奈川が本年4月、神奈川県警による無許可営業のスナック摘発と女性経営者の現行犯逮捕を現場で取材し、4月11日の『tvkNEWS930』で1分強のニュースとして放送したことに対し、この女性と家族から「軽微な罰金刑にもかかわらず、顔のアップ映像や、実名、自宅の住所等まで放送したのはプライバシーの侵害」等と申立てがあったもの。テレビ神奈川は、「通常の実名報道原則に基づいて放送した。申立人の基本的人権についても十分慎重に検討した」等と反論している。
この日の委員会では、10月初旬の2回にわたる起草委員会を経て提案された「委員会決定」(決定文)案の検討を行なった。事務局が文章を読み上げるやり方で、決定文全体の構成、内容、表現や結論等について時間をかけて細かく検討した。委員の間では、本件報道の公共性、公益性についても改めて議論が交わされた。
この結果、起草委員が次回委員会までに修正案を作成し、それをもとに再度検討することとなった。

その他

1.広島地区意見交換会事後アンケート調査結果を報告

9月14日に広島市で開かれた、放送人権委員会委員と広島地区のBPO加盟放送事業者との意見交換会の事後アンケート調査結果がまとまり、事務局から報告した。アンケートには52人の出席者の約3分の1から回答があった。
今回は放送現場を担う若手スタッフの参加を促すため、開始を午後7時30分からとしたが、「たいへん参加しやすかった」との声が圧倒的に多かった。
当日の主なテーマとしては、現地で直面している福山市のホテル火災に関連しての実名・匿名問題を取り上げたが、テーマ設定については「よかった」とする声が多かった。ただ、会場での意見交換は活発とまでは至らず今後に課題を残した。また、アンケートでは、顔なし映像が多用され匿名化が強まる現状について「昨今は一般人の間でも肖像権という言葉が飛び交う時代だ。取材時に“顔出し”を説得できないからといって顔出し取材が減ってくると、顔なしが基本になってしまい、自分で自分の首をしめることになる」という意見も寄せられた。

2.次回委員会は10月16日(火)に開かれることになった。

以上

第64回 放送倫理検証委員会

第64回 – 2012年10月

日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』通知・公表について

フジテレビ『めざましテレビ』委員長談話公表について

第64回放送倫理検証委員会は10月12日に開催された。
10月4日に「意見」を通知・公表した日本テレビの『芸能★BANG ザ・ゴールデン』と、10月3日に委員長談話を公表したフジテレビ『めざましテレビ』について意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2012年10月12日(金) 午後5時~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議案
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、重松委員、立花委員、服部委員、水島委員

日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関する意見の通知・公表

日本テレビの『芸能★BANG ザ・ゴールデン』で女性タレントと占い師の同居騒動を取り上げ、新聞の番組欄での告知や番組内のスーパー、ナレーションでこの占い師が出演するかのように表示しながら、実際に出演したのは別の占い師だったという事案。
放送倫理検証委員会は10月4日に当該局に対して委員会決定第15号の意見書を通知し、続いて記者会見をおこなって、これを公表した。事務局から通知・公表ついての報告があり、当日のテレビのニュースや新聞での伝え方をもとに、担当委員を中心に話し合った。

フジテレビ『めざましテレビ』ココ調・無料サービスの落とし穴』についての委員長談話公表

フジテレビの『めざましテレビ』が6月6日に放送した「無料サンプルの落とし穴」企画で、化粧品会社からの電話を意図的に36分間も引き伸ばし、隠し録音を安易に行ったという事案。委員会は2度の討議を経て10月3日に『委員長談話』を公表した。談話では、この事案に放送倫理違反がありながら審議対象としなかったのは、隠し撮り(録音)された被害者への謝罪が受け入れられており、的確な訂正放送や研修など自主・自律による是正策も適切に行われているうえ、隠し撮り(録音)という取材方法が不適切であったとの結論だけのひとり歩きが、真実追究の意欲を持った放送人の足かせとなる恐れがあったからであると説明している。
委員会では、談話の公表の経緯と反響が報告され、また談話の内容についても再確認がされた。
(注:「意見」および「委員長談話」は既にホームページに掲載

以上