第34号

NHK国際放送『Inside Lens』「レンタル家族」企画に関する意見

2020年3月31日 放送局:NHK

2018年11月に放送されたNHK国際放送のドキュメンタリー番組『Inside Lens』で、仮の家族や恋人などをレンタルするサービスを描いた番組「HAPPIER THAN REAL」について、NHKは2019年5月29日、利用客として出演した男性ら3人がサービスを提供する会社のスタッフだったと発表した。委員会は9月、利用客が会社関係者でないこと等の確認が適切に行われるべきであったところ、十分な確認をしなかった可能性がうかがわれるため、放送に至るまでの経緯や原因を検証する必要があるとして審議入りを決め、議論を続けてきた。
委員会は、放送倫理基本綱領の「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」、NHK「放送ガイドライン」の「NHKのニュースや番組は正確でなければならない」との規定に照らすと、出演者が本物の利用客ではなかった点、また、出演者が会社関係者だったのにその関係を明らかにしていなかった点において、放送の内容は正確ではなく、したがって、NHKが適正な考査を行わなかったことを含め、本件番組を放送したことについて、放送倫理違反があったと判断した。

2020年3月31日 第34号委員会決定

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目 次

2020年3月31日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2020年3月31日午後1時30分からBPO第1会議室で行われ、午後2時30分から都市センターホテル会議室で公表の記者会見が行われた。記者会見には、19社30人が出席した。
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2020年7月10日【委員会決定に対するNHKの対応と取り組み】

委員会決定 第34号に対して、当該のNHKから対応と取り組み状況をまとめた報告書が2020年7月1日付で提出され、委員会はこれを了承した。

NHKの対応

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目 次

  • 1. 委員会決定についての放送対応
  • 2. 委員会決定の放送現場への周知
  • 3. 経営委員会・国際放送番組審議会への報告
  • 4.「Inside Lens」制作関係者などの受け止めや意識の変化
  • 5. 再発防止の取り組み
  • 6. おわりに

第33号

TBSテレビ 『消えた天才』映像早回しに関する意見

2020年2月13日 放送局:TBSテレビ

TBSテレビのドキュメントバラエティー番組『消えた天才』について、当該放送局から委員会に対し、2019年8月11日の放送で、野球のリトルリーグ全国大会で全打者三振の完全試合を達成した投手の試合映像を早回しして球速が速く見えるよう加工を行い、別の放送回(2018年1月3日および11月4日)でも、卓球とフィギュアスケート、サッカーの3件の映像について早回し加工を行っていたと報告があった。2019年9月の委員会で、スポーツ番組の根幹である実際の試合映像を加工したことは放送倫理上問題がある可能性があり、番組制作の経緯やどのようにチェックが行われたのかなどを検証する必要があるとして審議入りし、議論を重ねてきた。
委員会は、「実際の映像」と言いながら、またはそう受け取れる状況で、映像の加工が繰り返された本件放送について、1993年に「NHK・民放 番組倫理委員会」が出した提言「放送番組の倫理の向上について」の「1 放送人としての心構え (2)事実に基づいた取材・制作を行う」や、日本民間放送連盟の放送基準「(32)ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、公正でなければならない」に抵触するため放送倫理違反があったと判断した。

2020年2月13日 第33号委員会決定

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目 次

  • I はじめにpdf

  • II 審議の対象とした番組pdf

    • 1 卓球コーナー
    • 2 フィギュアスケート・コーナー
    • 3 サッカー・コーナー
    • 4 リトルリーグ・コーナー
  • III 委員会の調査pdf

    • 1 異例の“昇格”をした番組
    • 2 一連の早回し加工
      • (1) 卓球のラリー
      • (2) フィギュアスケートのスピン
      • (3) サッカーのドリブル
    • 3 新しい体制へ移行
    • 4 新体制下でも行われた早回し
    • 5 発覚の経緯と公表
  • IV 本件放送の背景と問題点pdf

    • 1 整っていなかった制作体制
    • 2 スピードを変える加工
    • 3 技術革新と心理的ハードルの低下
    • 4 チェックの仕組みの限界
  • V 委員会の判断pdf

  • VI おわりにpdf

2020年2月13日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2020年2月13日午後1時30分からBPO第1会議室で行われ、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。記者会見には、25社39人が出席した。
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2020年7月10日【委員会決定に対するTBSテレビの対応と取り組み】

委員会決定 第33号に対して、TBSテレビから対応と取り組みをまとめた報告書が2020年7月2日付で提出され、委員会はこれを了承した。

TBSテレビの対応

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目 次

  • 1.委員会決定についての報道
  • 2.委員会決定の社内周知
  • 3.BPO委員を招いて研修会を実施
  • 4.番組審議会への報告
  • 5.「放送と人権」特別委員会での議論
  • 6.再発防止への取り組み
  • 7.総括

第32号

関西テレビ 『胸いっぱいサミット!』
収録番組での韓国をめぐる発言に関する意見

2020年1月24日 放送局:関西テレビ

関西テレビが2019年4月6日と5月18日に放送した情報バラエティー番組『胸いっぱいサミット!』の中で、コメンテーターとして出演した作家が、韓国人の気質について「手首切るブスみたいなもんなんですよ」と発言した。この発言について委員会は、人種や性別などによって取り扱いを差別しないなどとしている日本民間放送連盟(民放連)放送基準に照らし、収録番組であるにもかかわらず適切な編集が行われずに放送されたうえ、放送後にお詫びに至った経緯について詳しく検証する必要があるとして審議を続けてきた。
委員会が行ったヒアリングの中で、制作陣からは 刺激的な表現で「ギリギリのラインを攻める」ことが視聴者から期待されているという趣旨の声が複数聞かれた。これについて委員会は、「ギリギリのラインを攻める」ことの意味とその危うさに対して制作陣の意識は不十分であったと言わざるを得ず、「ギリギリのラインを攻める」番組を放送倫理の観点から客観的にジャッジすることができる体制とはいえなかったのでないかと分析した。そのうえで、民放連放送基準「(5)人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別しない」「(10)人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」や、当該放送局の放送倫理規範である「番組制作ガイドライン」の中の「すべての人は人種、皮膚の色、言語、宗教、などによって差別を受けることは許されることではありません」という規定などに照らして、審議の対象とした2回の放送はいずれも放送倫理に違反するものだったと判断した。

2020年1月24日 第32号委員会決定

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目 次

  • I はじめにpdf

  • II 審議の対象とした番組pdf

    • 1 4月6日放送回~戦犯ステッカー条例案をめぐる発言
    • 2 5月18日放送回~韓国国会議長の祝電問題をめぐる発言
  • III 本件各放送の制作過程pdf

    • 1 『胸いっぱいサミット!』の制作体制
    • 2 4月6日放送回の企画、収録に至るまで
    • 3 編集過程で何があったか
    • 4 5月18日放送回の制作・編集過程
  • IV 局の事後対応の経過pdf

    • 1 2回目の放送後からお詫びに至るまでの経緯
    • 2 番組審議会、オンブズ・カンテレ委員会の対応
      • (1)番組審議会の意見の内容と推移
      • (2)オンブズ・カンテレ委員会の提言
  • V 委員会の検証と分析pdf

    • 1 X氏の発言が編集でカットされなかった原因、背景
      • (1)「ギリギリのラインを攻める」ことの危うさが露呈した
      • (2)考査担当者の意見が尊重される制作環境だったか
  • VI 委員会の判断pdf

  • VII おわりにpdf

2020年1月24日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2020年1月24日午後1時30分からBPO第1会議室で行われ、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。記者会見には、22社43人が出席した。
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2020年5月15日【委員会決定に対する関西テレビの対応と取り組み】

委員会決定 第32号に対して、関西テレビから対応と取り組みをまとめた報告書が2020年4月24日付で提出され、委員会はこれを了承した。

関西テレビの対応

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目 次

  • 1.委員会決定についての放送と社外通知
  • 2.委員会決定の社内通知について
  • 3.オンブズ・カンテレ委員会への報告について
  • 4.番組審議会への報告について
  • 5.再発防止、放送倫理意識向上への取り組みについて
  • 6.終わりに

第31号

読売テレビ 『かんさい情報ネットten.』
「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」に関する意見

2019年12月10日 放送局:読売テレビ

読売テレビが2019年5月10日に放送した夕方のニュース・情報番組『かんさい情報ネットten.』のコーナー企画の中で、取材協力者に対して性別を執拗に確認する内容を放送した。ロケのVTR終了後、スタジオで見ていたレギュラー出演の男性コメンテーターから厳しい叱責があったが、特にほかの出演者からの反応はなく当該コーナーの放送は終わった。6月の委員会で、当該放送局の事後の自主・自律の迅速な対応は評価できるものの、なぜこの内容が放送されるに至ったかの経緯等を解明する必要があるとして審議入りし、議論を続けてきた。
委員会は、本件放送には、民放連放送基準の「(3)個人情報の取り扱いには十分注意し、プライバシーを侵すような取り扱いはしない」に反し、「適正な言葉と映像を用いると同時に、品位ある表現を心掛ける」よう求める放送倫理基本綱領および「人権の尊重」と「報道における表現は、節度と品位をもって行われなければならない」と求める民放連の報道指針に反する放送倫理違反があったと判断した。

2019年12月10日 第31号委員会決定

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目 次

  • I はじめにpdf

  • II 審議の対象とした番組pdf

  • III 委員会の検証pdf

    • 1 報道局制作のニュース・情報番組『かんさい情報ネットten.』

    • 2 『ten.』の制作体制~2つのテイスト・2つの手法

    • 3 第2部の企画コーナー「迷ってナンボ!」

    • 4 「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」の企画から放送まで

      • (1) 企画・ロケ~撮影3時間の短期決戦
      • (2) 編集~分業とチェック体制
      • (3) 放送~凍りついたスタジオと司令塔の不在
    • 5 放送後の迅速な対応と検証・再発防止策の徹底

  • IV 委員会の考察pdf

    • 1 なぜ、ロケの時点で問題を感じなかったのか

    • 2 なぜ、編集の過程で問題が指摘されなかったのか

      • (1) 編集作業が細分され分業が進み、意見交換し違和感を共有する場がない
      • (2) 複数の目によるチェック体制が崩壊していた
    • 3 なぜ、多くのスタッフが問題を感じなかったのか

  • V 委員会の判断pdf

  • VI おわりに~10年目の「痛恨」pdf

2019年12月10日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2019年12月10日午後1時30分からBPO第1会議室で行われ、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。
詳細はこちら。

2020年3月13日【委員会決定を受けての読売テレビの対応】

標記事案の委員会決定(2019年12月10日)を受けて、当該の読売テレビは、対応と取り組み状況をまとめた報告書を当委員会に提出した。
3月13日に開催された委員会において、報告書の内容が検討され、了承された。

読売テレビの対応

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目 次

  • 1.委員会決定についての報道
  • 2.委員会決定の社内周知について
  • 3.番組審議会への報告について
  • 4.再発防止にかかる取り組みについて
  • 5.BPO委員を招いての勉強会について
  • 6.ヒアリング対象者の意識の変化について
  • 7.全社的な意識の変化について
  • 8.終わりに

第30号

長野放送
『働き方改革から始まる未来』に関する意見

2019年10月7日 放送局:長野放送

長野放送が2019年3月21日にローカル放送した持ち込み番組『働き方改革から始まる未来』については、2019年5月の委員会で、番組で取り上げられている特定企業の事業紹介が広告放送と誤解されかねない内容になっているのではないか、考査が適正だったか検証する必要があるとして審議入りし、議論を続けてきた。
委員会は、長野放送が、民放連放送基準の「(92)広告放送はコマーシャルによって、広告放送であることを明らかにしなければならない」や、民放連が策定した「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」の「視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう、特に留意すべき事項」に照らした適正な考査を行わず、本件番組を放送したことについて、放送倫理違反があったと判断した。

2019年10月7日 第30号委員会決定

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目 次

2019年10月7日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2019年10月7日午後1時30分からBPO第1会議室で行われ、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。記者会見には、43社80人が出席した。
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2020年1月10日【委員会決定に対する長野放送の対応と取り組み】

委員会決定 第30号に対して、長野放送から対応と取り組みをまとめた報告書が2019年12月26日付で提出され、委員会はこれを了承した。

長野放送の対応

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目 次

  • 1. はじめに
  • 2. 視聴者に対する委員会決定のお知らせ
  • 3. 「役員・社員に対する放送倫理・番組基準の徹底と意識改革」に関する取り組み
  • 4. 「考査態勢の再構築」に関する取り組み
  • 5. 「持ち込み番組を含む外部制作番組の取り扱い要領の明文化」に関する取り組み
  • 6. 「制作会社に対する番組基準・放送倫理をめぐる情報共有」に関する取り組み
  • 7. 当社番組審議会での審議や報告
  • 8. おわりに

第29号

日本テレビ
『謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!』
2つの「祭り企画」に関する意見

2019年7月5日 放送局:日本テレビ

日本テレビの『謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!』で、2017年2月に放送された「タイ・カリフラワー祭り」と2018年5月に放送された「ラオス・橋祭り」にでっち上げの疑いがあると週刊誌が報じ、委員会は、この2つの「祭り企画」を対象に審議を続けてきた。
委員会は(1)「祭り」は番組のために用意されたものであったが、制作スタッフはその過程を把握していなかった(2)視聴者の「了解」の範囲を見誤り、地元に根差した「祭り」への体当たり挑戦だとナレーションで思わせた(3)挑戦の舞台である「祭り」そのものへの関心が希薄化したため安易なナレーションを生んだ、と分析した。そして、制作過程の重要な部分を制作者側が把握していなかった点でその過程が適正に保たれておらず、現地にもともとある祭りに出演者が参加しているように視聴者を誘導した点で、多くの視聴者が番組に求める約束に反したものだったと言われても仕方がないとして、2つの「祭り企画」には、程度は重いとは言えないものの放送倫理違反があったと言わざるを得ないと判断した。
そのうえで、世の中の権威や無意味な制約を笑いとばし、差別や偏見のばかばかしさを暴き、新たな驚きや笑いを視聴者に届けるしなやかさや気概を持ち続けてほしいとバラエティー制作者に呼びかけた。

2019年7月5日 第29号委員会決定

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目 次

  • I はじめにpdf
  • II 審議の対象とした番組pdf
    • 1 「ラオス・橋祭り」
    • 2 「タイ・カリフラワー祭り」
  • III 本件放送の制作過程と問題が指摘されたあとの日本テレビの対応pdf
    • 1 『イッテQ!』の制作体制
    • 2 「祭り企画」について
    • 3 「ラオス・橋祭り」の制作過程
    • 4 「タイ・カリフラワー祭り」の制作過程
    • 5 問題が指摘されたあとの日本テレビの対応
    • 6 その他の「祭り企画」109回の調査報告の検討
  • IV 委員会の検証pdf
    • 1 「祭り」は番組のために用意されたものであったが、制作スタッフはその過程を把握していなかった
    • 2 視聴者の「了解」の範囲を見誤り、ナレーションによって地元に根差した「祭り」への体当たり挑戦と思わせた
    • 3 挑戦の舞台である「祭り」そのものへの関心が希薄化し、安易なナレーションを生んだ
  • V 委員会の判断pdf
  • VI おわりにpdf

2019年7月5日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2019年7月5日午後1時30分からBPO第1会議室で行われ、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。記者会見には、30社62人が出席した。
詳細はこちら。

2019年10月11日【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

標記事案の委員会決定(2019年7月5日)を受けて、当該の日本テレビは、対応と取り組み状況をまとめた報告書を当委員会に提出した。
10月11日に開催された委員会において、報告書の内容が検討され、了承された。

日本テレビの対応

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目 次

  • 1、委員会決定についての報道
  • 2、情報・制作局の取り組み
  • 3、BPO委員を招いて研修会を実施
  • 4、決定内容の社内周知について
  • 5、番組審議会への報告
  • 6、イッテQ 再発防止への取り組み
  • 7、総括