第319回

第319回 – 2023年9月

意見交換について…など

議事の詳細

日時
2023年9月19日(火) 午後4時 ~ 午後5時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」第1会議室(オンライン開催)
議題
出席者
曽我部委員長、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、野村委員、丹羽委員、松田委員、水野委員

1.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

2.意見交換会について

来年1月に予定されている意見交換会の概要を事務局から報告した。

3.その他

本人の申し出により今月末に退任することになった丹羽委員から挨拶があった。

以上

第187回

第187回–2023年9月

NHK『ニュースウオッチ9』について審議

第187回放送倫理検証委員会は、9月8日に千代田放送会館で開催された。
ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪し、6月の委員会で審議入りしたNHKの『ニュースウオッチ9』について、今回の委員会では、担当委員からヒアリングの内容と意見書の原案についての報告があり、次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の修正案を作成することになった。
1月12日放送のTBSテレビの報道番組『news23』において、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、職員やその家族が不必要な契約を結ぶ”自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、内部告発した職員が退職に追い込まれたとの週刊誌報道やテレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢が問題だという視聴者の声がBPOへ寄せられ、委員会は、取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要があるとして8月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から当該放送局の関係者にヒアリングした結果が報告された。今後は意見書の原案の作成を進める。
統一地方選挙を前に公認立候補予定者が出演したラジオ大阪の番組『大阪を前へ!』等について、政治的な公平性の観点から問題はないか等を判断するために7月の委員会で討議入りし、今回の委員会には当該放送局から番組審議会の議事録等が提出され議論したが、さらに討議を継続することとした。
証言の一部を誤解して放送した報道情報番組について、当該放送局から提出された報告書を基に議論した。
8月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2023年9月8日(金)午後5時~午後8時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、
大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

NHKの『ニュースウオッチ9』(5月15日放送)は、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族を、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をし、放送倫理違反の疑いがあるとして6月の委員会で審議入りとなった。
今回の委員会では、担当委員から当該番組の関係者に対して実施したヒアリングの内容と意見書の原案についての報告があった。委員から組織的な問題をより照射する方向性の意見などが出され、次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の修正案を作成することになった。

2.TBSテレビ『news23』について審議

TBSテレビは1月12日、報道番組『news 23』の調査報道23時のコーナーにおいて、農業協同組合(JA)で職員が共済営業の過大なノルマを課され、ノルマ達成の為に職員やその家族が不必要な契約を結ぶ、いわゆる“自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、A地方のJAに勤める男性は職場で身元がばれて居づらくなり、退職に追い込まれたとの週刊誌報道があった。また、取材を受けた職員とは3回程度会話をしたことがあるという人から「放送を見て誰であるかを私ですら特定できた。彼は農協の問題を告発し多くの職員の声を代弁してくれた。退職になりとても残念だ。テレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢を問題にしてもらいたい」といった声がBPOへ寄せられた。委員会は、報道の取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして8月の委員会で審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員から当該放送局の関係者にヒアリングした結果が報告された。委員からは「内部告発者を取材する際は高いレベルの取材源の秘匿が求められる。今回は最終的にそれが徹底できなかった。なぜ徹底できなかったのかについて意見書では説明を尽くすべきだ」「今回BPOが一石を投じたことによって、調査報道に対する取り組み方を抜本的に改めようとか、調査報道の取材にもっと力を入れようとか、いい方向へ進んでいくのであれば、本事案を問題化したことが放送業界にとってプラスになると思う」といった意見が出た。これらを踏まえて今後は担当委員が意見書の原案の作成を進める。

3.ラジオ大阪『大阪を前へ!』等について討議

大阪放送(ラジオ大阪)の番組『大阪を前へ!』、『兵庫を前へ!』は、統一地方選挙前半(3月31日告示、4月9日投票)の約2カ月前の2023年1月12日~29日までの間に計15回(15分番組×13回、30分番組×2回)放送された。ゲストは各回とも同じ政党の公認立候補予定者だった。
7月の委員会で、政治的な公平性に抵触しているのではないか等の観点から討議入りした。今回の委員会には、当該放送局が8月に臨時開催した番組審議会の議事録と現状報告等が提出され議論した結果、今後の対応等をまとめた報告書の提出を待つこととし、引き続き討議を継続することにした。

4.証言の一部を誤解して放送した報道情報番組について議論

報道情報番組で販売店の元店長の証言をVTRで放送した後に、関係先の企業から事実と異なる点を指摘され、テレビ局が後日お詫びした。当該放送局から委員会に提出された報告書によると、改めて調査した結果、証言の一部を番組側が誤解していたことが判明し、また事前に関係先に対する確認取材を行っていなかったことも分かった。関係先へは当該放送局の幹部が説明とお詫びに行き、理解を得られたという。委員会では、相手先にとっての不利益な情報を放送するにあたり、報道の基本である裏付けや確認取材を怠ったことは、にわかに信じがたい事である等の非常に厳しい意見が出た一方で、事実関係を速やかに解明し関係先へも対応していることから、現時点では委員会が調査をする必要性までは認められないとし、議事概要で取り上げるにとどめ、議論を終えた。

5.8月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

8月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、芸能事務所創業者による性加害問題について、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の記者会見と、当該事務所が設置した外部の専門家による「再発防止特別チーム」の調査結果公表があり、さまざまな意見が多数寄せられたこと、その中にはBPOに対応を求めるも意見が含まれていることなどについて事務局から報告があり、BPOの審議には、規約・委員会規則による制約があることなどの議論を行った。

以上

2023年8月に視聴者から寄せられた意見

2023年8月に視聴者から寄せられた意見

芸能事務所創業者による性加害問題について、外部の専門家による調査結果の公表などがあり、さまざまな意見が多数寄せられました。

2023年8月にBPOに寄せられた意見は 2,115件で、先月から 508件増加しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 86% 電話 13% 郵便・FAX 1%
男女別(任意回答)は、男性33% 女性28 % で、世代別では 40歳代 26% 50歳代 24% 
30歳代 21% 60歳以上 15% 20歳代 11% 10歳代 1%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、8月の送付件数は1,109件、61事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から20件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

芸能事務所創業者による性加害問題について、国連ビジネスと人権の作業部会の記者会見と、当該事務所の「外部の専門家による再発防止特別チーム」の調査結果公表があり、さまざまな意見が多数寄せられました。8月の意見のうち3分の1以上がこの問題に関するものでした。ラジオに関する意見は43件、CMについては24件でした。

青少年に関する意見

8月中に青少年委員会に寄せられた意見は124件で、前月から6件増加しました。
今月は「表現・演出」と「要望・提言」が44件ずつと最も多く、「報道・情報」が10件、「性的表現」と「言葉」が7件ずつと続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 芸能事務所の再発防止特別チームが指摘した、“マスメディアの沈黙”について、当該事務所の所属タレントを起用して番組を制作するなど関係の深かったメディアは、“忖度”の有無などを検証し結果を公表してほしい。

  • 芸能事務所の性加害問題で、国連ビジネスと人権の作業部会の会見の後、メディア各社の報道やSNSの投稿が再び増えた。創業者や事務所に対する批判にとどまらず、現在事務所に所属するタレントを好奇の目で見るような投稿が存在するという。所属タレントが精神的に追いつめられないか心配だ。

  • 国連作業部会の会見後、性加害問題「当事者の会」が、テレビやネットメディアなどの報道関係者と“慰労会”を行い、その費用は報道側が負担したと、「当事者の会」幹部がSNSに投稿し、その後削除した。削除された投稿の内容が事実であるとすれば、報道内容が偏ったものになりはしないかと心配。

  • 強い風雨の中、記者がヘルメットを被っただけの姿で路上に立ち、「安全を確保してお届けしています」などと中継しているが、映像を見る限り“安全を確保している”というのは無理があるように感じる。

  • 高校野球夏の甲子園大会。決勝に進出した2校のうち1校だけをクローズアップする情報番組などが目立った。取り上げ方をすべて平等にしろというわけではないが、マスコミがこぞって一方だけを応援しているようで違和感を覚えた。

【バラエティー・教養】

  • 毎年恒例のチャリティー番組のマラソン企画。今年は特に暑さが厳しく、猛暑日や熱帯夜が続いたので、出演者やスタッフの健康が心配になった。

  • 収録中にミスをしたスタッフの頭髪を丸刈りにして謝罪させるという設定のバラエティー番組の企画。実際に丸刈りにされたスタッフ役の出演者たちは、丸刈りになることを了承した若手芸人やエキストラだと断りを入れていたが、なかには番組の要望を断りにくい立場の人もいるのではないかと気になった。笑えなかった。

  • 男性タレントの服が溶けて裸になる、ズボンを下ろして下着を見せるなどのドッキリは不適切。男性が相手ならば仕掛けていいということではない。男女を問わず、こうしたドッキリ企画はありえないと思う。

  • バラエティー番組や情報番組で、頻繁に使われている、「え~」という人工的な相づちの音声が耳ざわりだ。使い古された演出を漫然と繰り返す番組制作者が、テレビ離れを促していると思う。

  • ここ数年バラエティー番組が面白くなくなったと感じる。コンプライアンスなどを意識しすぎて個々の出演者が委縮してしまい、自由な発言や表現が出来なくなっているのではないか。もっと面白い笑いを期待したい。テレビ局に自由な番組作りを望みたい。

【その他】

  • 東京では21時00分まで番組が続いているのに、地方によっては途中の20時54分で終わってしまうことがある。楽しみにしていた番組を最後まですべて見たいので、何とか改善してほしい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、(細いベルト状のラインの上でバランスを楽しむスポーツ)スラックラインの女子高校生にスカートをはかせて競技させた。太ももやお尻が見えそうでとてもかわいそうだった。女性へのセクハラになると思う。

  • バラエティー番組の「えっちな野菜を取りたい」という企画。畑から二股や三つまたに育った大根やニンジンを引き抜いては人間に見立てて女性の下着をはかせたり、性行為のポーズをさせたりした。深夜の放送でも夏休み期間では子どもの目に簡単に触れてしまうし、そもそもテレビで放送すべきではない。

【「要望・提言」】

  • 毎年恒例のチャリティー番組に、創業者による性加害が明らかになった芸能事務所所属のアイドルグループがメインパーソナリティーとして起用されるという。海外にも知れ渡ったこの問題の当事者の名前を冠する事務所のタレントを多数出演させることは、その性加害を日本社会が認めていると思われるだろう。

  • 路線バスを利用した旅番組で、出演者が道路の左側を歩くシーンが放送された。学校では歩行者は右側通行と教えられた。道路交通法でも(歩道や路側帯のない車道では)歩行者は右側通行となっている。子どもも見る番組なので、出演者には右側通行を徹底してほしい。

【「性的表現」に関する意見】

  • 情報番組で伝統行事「赤ちゃんの土俵入り」を紹介。このなかで、男児の性器を映像処理せずに大きく映した。SNSに放送画像が投稿された場合、削除依頼ができず、画像が残り続けてしまうおそれがある。

【「言葉」に関する意見】

  • 字幕放送で、謝礼や謝罪の言葉「すみません」がしばしば「すいません」と表示される。子どもが間違えて覚えてしまうので、字幕作成の担当者は正しい表記を徹底してほしい。