2024年1月11日

TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は1月11日午後2時からBPOで行われた。委員会からは小町谷委員長、西土委員、高田委員長代行の3人が出席。TBSテレビからは報道局担当取締役ら4人が出席した。委員からは、内部告発者に寄りかかった安易な取材が行われていたこと、内部告発者が使わないでほしいと頼んだ映像を放送してしまったこと、編集作業の場に担当ディレクター以外の第三者がおらず放送前のプレビューも有効に機能していなかったこと、経験が浅くチームで唯一番組制作会社の所属だった担当ディレクターには細やかな指示や気遣いが必要だったのではないか、といった指摘があった。これを受けてTBSテレビの報道局担当取締役から「今回の事態は痛恨の失敗だと真摯に受け止めている。再発防止策を精査し更にアップデートして取り組んでいきたい。今後、強く正確な調査報道をしていくことで失われた視聴者の信頼を取り戻したい」という発言があった。

その後、午後3時から記者会見を開き委員会決定を公表した。会見には30社から47人が参加した。はじめに小町谷委員長が意見書のポイントを説明した。その中で、内部告発者の保護は放送局の責任において行われるべきもので、十分な時間をとって内部告発者の置かれた状況を把握し、身元がばれないよう対策を講じなければならないが、今回の場合、内部告発者の同意に依存して映像の見た目を優先した形で取材が進められており、内部告発者に寄りかかった安易な取材姿勢だったと考えていると述べた。次に、内部告発者が使用を控えてほしいと頼んだ映像を、約束を失念して放送してしまっており、情報源の秘匿を第一に考えていれば起こりえない失策を犯していたと指摘した。さらに、取材を担当したディレクターがひとりで映像編集を行ったため、事前の映像チェックが十分ではなく、放送前の最後の砦としてのプレビューも十分機能していなかったことを問題視した。最後に、担当ディレクターが報道での取材経験がほとんどなく、また、チームで唯一番組制作会社所属のメンバーだったことについて、引け目を感じなくて済むように細やかな指示や気遣いをしていれば、今回のような、結果にこだわり焦るあまり配慮を欠くような事態を避けることができたのではないかと述べた。

続いて西土委員が「内部告発者の言質に寄りかかる取材は、放送局の責任の所在を曖昧にする点で大きな問題をはらんでいる」と指摘した。そして「場合によっては、放送局が内部告発者に責任を転嫁するようなことになりかねない。この点において、今回の放送は、放送全般に対する国民の信頼を危うくする危険性があったのではないか」と述べた。高田委員長代行は「内部告発しようと思っていた人たちに、二の足を踏ませてしまったのではないかという点で、放送局にとって痛恨の失敗だった。不正や不祥事が噴出している今ほど調査報道が必要とされている時代はない。当該局のみならず放送業界全体で、今回の失敗から教訓を得てより素晴らしい報道を続けてもらいたい」と述べた。

このあとの質疑応答では、「内部告発者の身元がばれたことを問題としたのではなく、身元がばれたと強く疑われる状況を招いたことを問題視しているのか」という質問が出た。これに対して「公共の電波に乗せて伝える以上、身元がばれてしまった極めて高い可能性が生じた時点で、放送倫理上の問題が生じると考える」と答えた。「当該番組を放送した後、内部告発者から身元がばれそうだと連絡があった際、担当ディレクターの様子はどうだったのか」という質問に対しては、「担当ディレクターは、放送後も内部告発者とはコンタクトが取れていたので、とんでもないことが起きてしまったという程の重要性を感じていなかったようだ」と答えた。

以上

第191回

第191回–2024年1月

TBSテレビ『news23』委員会決定の通知・公表について報告

第191回放送倫理検証委員会は、1月12日に千代田放送会館で開催された。
委員会が1月11日に公表した、委員会決定第45号TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見について、担当委員から当日の様子などが報告された。
12月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見が報告された。
関西地区ラジオ局との意見交換会開催の進捗状況が報告された。

議事の詳細

日時
2024年1月12日(金)午後5時~午後6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見の通知・公表について報告

TBSテレビは、2023年1月『news23』の中の「調査報道23時」において、農業協同組合(JA)で、共済営業の過大なノルマ達成の為に、職員やその家族が不必要な契約を結ぶいわゆる“自爆営業”が横行していると、顔をぼかし声を変えた職員の証言をベースに報じた。放送後BPOに、この職員と会ったことがあるという視聴者から、放送を見て取材に応じているのが誰であるかをすぐ特定できたという声が寄せられた。委員会は、取材源の秘匿という報道の原則が損なわれた疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして、同年8月に審議入りを決めた。
委員会で関係者へのヒアリングや資料の精査を進めた結果、以下の点が明らかになった。まず、本放送の取材は、内部告発者の同意に依存して映像の見た目を優先した形で進められており、内部告発者の状況や真意をくみ取った取材とは言い難く、情報源の秘匿すなわち内部告発者とは十分な時間を取って信頼関係を築き、彼らが置かれた状況を正確に把握したうえで、身元が特定されないための対策を講じるという本来放送局が負うべき責任を軽んじた対応であったことが判明した。また、内部告発者が使用を控えてほしいと頼んだ映像を、約束を失念して放送してしまっており、情報源の秘匿を第一に考えていれば起こりえない失策を犯していたことも分かった。更に、取材を担当したディレクターがひとりで映像編集も行ったため、事前の映像チェックが十分ではなく、最後の砦としてのプレビューが機能していなかったことも明らかになった。
委員会はこれらの点などが問題であると指摘し、取材源の秘匿が厳守できていなかったとして、本放送は日本民間放送連盟報道指針の「2 報道姿勢」の(4)「情報の提供者を保護するなどの目的で情報源を秘匿しなければならない場合、これを貫くことは放送人の基本的倫理である」に反するものであり、放送倫理違反があったと判断した。2024年1月11日、委員会は当該放送局に委員会決定を通知し、引き続き記者会見を開いて意見書を公表した。
この日の委員会では、委員会決定を伝えたTBSテレビ『news23』の録画を視聴し、委員長と担当委員が通知・公表時の様子について報告した。
通知と公表の概要は、こちら

2. 12月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

12月に寄せられた視聴者・聴取者意見は1834件で通常ベースの数値となった。そのうち、性加害問題のあった芸能事務所に所属していたアイドルグループが出演した音楽番組での扱いについて批判が集中したことなどが事務局から報告された。

3. 関西地区ラジオ局との意見交換会の開催について

「関西地区ラジオ局意見交換会」に関して、事務局から事前アンケートの集計結果が報告され、当日の進行などについて話し合われた。

以上

第323回

第323回 – 2024年1月

委員会における審理の進め方について…など

議事の詳細

日時
2024年1月16日(火) 午後4時 ~ 午後6時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室 (千代田放送会館7階)
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、二関委員長代行、國森委員、斉藤委員、
野村委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.意見交換会について

委員会に先立って行われたオンライン意見交換会について、全国の放送局110社から約230人が参加したことなどが報告され、委員から感想が述べられた。

2.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況を報告した。

3.委員会における審理の進め方について

放送人権委員会の審理の進め方について、改善すべき点がないか議論した。

4.その他

昨年12月に出された日本弁護士連合会の犯罪被害者等に関する意見書および日本民間放送連盟の「人権に関する基本姿勢」等を事務局から紹介し意見交換した。

以上

第45号

TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見

2024年1月11日 放送局:TBSテレビ

TBSテレビは、2023年1月『news23』の中の「調査報道23時」において、農業協同組合(JA)で、共済営業の過大なノルマ達成の為に、職員やその家族が不必要な契約を結ぶいわゆる“自爆営業”が横行していると、顔をぼかし声を変えた職員の証言をベースに報じた。放送後BPOに、この職員と会ったことがあるという視聴者から、放送を見て取材に応じているのが誰であるかをすぐ特定できたという声が寄せられた。委員会は、取材源の秘匿という報道の原則が損なわれた疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして、同年8月に審議入りを決めた。
委員会で関係者へのヒアリングや資料の精査を進めた結果、以下の点が明らかになった。まず、本放送の取材は、内部告発者の同意に依存して映像の見た目を優先した形で進められており、内部告発者の状況や真意をくみ取った取材とは言い難く、情報源の秘匿という本来放送局が負うべき責任を軽んじた対応であったことが判明した。また、内部告発者が使用を控えてほしいと頼んだ映像を、約束を失念して放送してしまっており、情報源の秘匿を第一に考えていれば起こりえない失策を犯していたことも分かった。更に、取材を担当したディレクターがひとりで映像編集も行ったため、事前の映像チェックが十分ではなく、最後の砦としてのプレビューが機能していなかったことも明らかになった。
委員会は、これらの点などを問題点として認定し、取材源の秘匿が厳守できていなかったとして、本放送は、日本民間放送連盟報道指針の「2 報道姿勢」の(4)に反するものであり、放送倫理違反があったと判断した。

2024年1月11日 第45号委員会決定

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目 次

2024年1月11日 決定の通知と公表

通知は、2024年1月11日午後2時から、BPO第1会議室で行われ、
午後3時から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。
記者会見には30社47人が出席した。詳細はこちら。




2023年12月に視聴者から寄せられた意見

2023年12月に視聴者から寄せられた意見

音楽番組で特定の出演者だけ紹介時間が短く残念、政党支持率が拮抗している2党のうち1党しか表示しないのは公平ではない、などの意見が寄せられました。

2023年12月にBPOに寄せられた意見数は1,834 件で先月から 668 件減少しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 90.2% 電話 8.7% 郵便・FAX計 1.1%
男女別(任意回答)は、男性32.6% 女性23.8 % で、世代別では 50歳代 26% 
40歳代 25% 30歳代 21% 20歳代 10% 60歳代 10% 70歳以上 3% 10歳代 2%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、12月の送付件数は824件、50事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から13件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

音楽番組で特定の出演者だけ紹介時間が短くがっかりした、政党支持率の表で拮抗している2党のうち1党しか表示しないのは公平ではない、などの意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は31件、CMについては12件でした。

青少年に関する意見

12月中に青少年委員会に寄せられた意見は74件で、前月から28件減少しました。
今月は「表現・演出」が32件と最も多く、次いで「要望・提言」が30件、「報道・情報」が4件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • アニメ制作に生成AIを活用する企業をニュースで紹介していたが、画像を無断で使用されたイラストレーターたちの訴訟など、生成AIの負の側面をまったく報じなかったのは不適切ではないか。

  • テレビの放送内容がネット上にデジタルタトゥーとして残ってしまう時代。誤報は訂正しても取り返しがつかない。また、微罪の容疑者の顔写真や実名を報道すると、社会的に受ける罰はかつてより大きいと思うし、逮捕後に不起訴となり匿名報道に切り替わっても検索したら以前報道された内容がすぐに出てくる。報道の仕方を考えるべきではないか。

  • ニュースで政党支持率を伝えていたが、一覧表に示されたのは「国民民主党 2.1%」までで「れいわ新選組 2.0%」は省略されていた。ウェブサイトでは各政党の支持率が掲載されている。テレビで省略するのは不公平ではないのか。

【教養・バラエティー】

  • タレントが大量の「激辛」料理の完食にチャレンジする企画。辛みの取り過ぎは消化器官にダメージを与えるリスクがあることを説明すべきではないか。

  • DIYのコーナーで、高速で刃物が動く切断工具をタレントが保護メガネなしで扱っていた。ケガをしたらどうするのか。出演者の安全対策が徹底されないのは不安。

  • 「がん治療の新しい選択肢」という特集で、水素治療、温熱療法、抗がん剤の低用量使用といった内容が、標準治療ではない旨の説明もないまま紹介されていた。わらにもすがる思いの患者もいる。この番組を見て標準治療へのアクセスを失ったりしないか心配だ。

  • アメ横特集で飲食店などが店の前の歩道部分にまでテーブルを出して営業していた。違法ではないのだろうか。報道機関でもあるテレビがそうした店にランキングをつけて好意的に紹介することに疑問を覚える。

  • 原始人のような衣装で町を歩いている一般の人にインタビュー取材。その人物は問いかけには一切応じず無言で去って行った。本人の了承を得ているようには見えなかったが放送していいのか。

  • 「100万円払えば人気バラエティー番組に出演できる」と無名のタレントをだます企画。番組中で「この企画は注意喚起になる」という趣旨のコメントがあったが、(人の弱みにつけ込む)模倣犯を誘発しかねず危険だと思う。

  • お年寄りを解答者にしたクイズ番組で彼らの意味不明な解答を笑いにしている。同じ世代として見るに堪えない。

  • 生活情報番組の年末大掃除特集で「達人」が水回りの掃除方法を説明していたが、ある洗剤の効果を実演で見せた直後、番組自体がその商品の通販番組に切り替わった。情報番組として見ていたのにだまされたと感じた。

  • 近く公開される米大手アニメ制作会社の新作の日本語版で主役の声を担当するタレントが、アメリカのスタジオを訪問し取材。随所で新作の内容や音楽が紹介されるなど、広告としての目的・機能が強いと感じた。公共放送としてよくないと思う。

  • ある男性アイドルグループが音楽番組に「出演」すると予告があったが、実際の放送は1分足らずだった上、前半部分には司会者たちのトークがかぶっていた。ほかの出演者たちのパフォーマンスはきちんと放送されていたのに意味が分からない。楽しみにしていたのに裏切られたと感じた。

  • 番組名に「国民1万人が投票」とあるが、「アンケート調査」はいつ、どのような方法でしたのか、番組内や番組サイトでは説明がない。「人気」と紹介された各商品の得票数なども不明。本当に「1万人が投票」したのか。

  • 「文明が開けていない」という意味を持つ「未開」という言葉を番組名に使っていて、番組で取り上げる国や土地が野蛮であるかのような印象を受ける。世界中の人たちへの敬意が伝わるような言葉選びをしてほしい。

  • 番組のクリスマスプレゼントの応募方法が「各プレゼントに割り当てられた番号に電話をかける」「当選者には後日スタッフから連絡」というものだった。私には聴覚障がいがあり、電話以外の応募方法を探したが見当たらなかった。障害者差別解消法の趣旨を尊重してほしい。

  • 過去の放送回について「誤った内容を特定の研究者の見解として放送してしまった」という「お詫び」があったが、放送された内容は研究者の見解とはまったく異なっている。「誤った理解」がどのような経緯で発生したのか、なぜそのまま放送に至ってしまったのかを説明してほしい。

【ラジオ】

  • 「軽自動車の購入を考えてみたい」という投稿に対してパーソナリティが「(燃料が)軽油なのでおサイフに優しい」とコメントしていた。ガソリンエンジンの車に軽油を入れると正常に動かなくなる。危険。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、出演者が男性芸人の遺影のような写真を使ってネタを出しながら歌を歌っていた。かつて問題になった「葬式ごっこ」を連想させるもので不快。子どもが見たら真似しかねないだろう。

  • 勝ち抜きの漫才番組で、あるコンビが頭髪が薄かったりなくなったりしたことを貶めるようなネタで笑いを取っていた。生まれつきや本人の体質上仕方のないことで笑いを取るのをよしとするのは道徳上、非常に問題がある。

【「要望・提言」】

  • 長時間の音楽番組に若手アイドルグループが出演すると事前告知されていたが、番組内では1分程度の枠で本人たちが映ったのは30秒程度。番組がアーティストと音楽を大切にしていないことに驚いた。これでは子どもたちのテレビ離れは止められないだろう。

  • バラエティー番組で「愛する母校の自慢集め」との企画。いくつかの学校の生徒が自転車通学時にノーヘルだった。2023年4月から自転車乗車時にはヘルメット着用が努力義務になった。番組のロケ収録が4月以降なら、生徒たちに着用を促すべきだったと思う。

【「報道・情報」に関する意見】

  • トーク・バラエティー番組で、ある歌劇団の団員が自殺した問題をめぐる団員ヒアリングについて、出演者が「(対象者が)60人以上いて誰もうそをつかないわけがない。私ならうそをつく」と発言したが、いかがなものか。影響力のある出演者が言うことでも、テレビで放送していいわけではない。

2023年12月19日

ドイツのテレビ自主規制機関FSFと交流

放送人権委員会は12月19日に開催された第322回委員会のなかでドイツの放送番組自主規制機関であるFSFとのオンライン交流を行った。
交流は、曽我部委員長とFSFミカット所長の間であいさつを交わして始まった。そしてまずミカット所長がFSFについて、ドイツの法律が定めるテレビ番組の青少年保護のための自主規制機関で番組内容によって放送時間を定めたランク付けを行っている。ドイツの民間放送37社が会員となって出資して運営されていることなどを説明した。FSFでは、全国から放送と利害関係のない教師や科学者、ジャーナリストら100人を委員として選び、一年間のうち4週間ほどベルリンに招いて1番組3から5人で審査を行っている。最近の課題として「リポーティング・プリビレッジ」(報道の権利)を挙げ、ニュース番組において“報道の自由”に基づいて放送されるコンテンツと青少年保護の在り方について議論が活発化していることを紹介した。これは世界各地の戦争や紛争における衝撃的なシーンが報道される機会が急増していることが背景にあるという。このほかFSFがランク付けの補助的作業にAI技術の導入を試みていることを紹介した。
これを受けて曽我部委員長が委員会を代表する形で、まずドイツがとる時間帯ごとの年齢別規制について録画機やインターネットの普及による変化はないかということや、日本でも議論のある性的表現の有害性に関するドイツの議論や、過激な政治的発言の扱いをどうしているかなどについて質問した。
これに対してミカット所長は「録画やネットへの対応はできない。しかし放送は、法律によって時間的規制を守る義務がある。録画等については親の責任ということになるだろう」と応じた。また性表現については「性的な表現だけで判断するわけではなく、暴力や賞賛といった要素が加わることで有害になることに注意している。ただ詳細な性描写は、理解できない幼い子供達には害になる」とドイツ国内の議論を紹介した。そして過激な政治的言動については「分類項目ではなく禁止事項としてリストアップされている」として、旧ナチスドイツのハーケンクロイツ(鉤十字)の例を紹介した。それによると鉤十字を放送で扱うことは基本的に禁じられているが、当時の歴史を振り返るといった文脈での使用は認められる。しかしそのプロパガンダを流布することは禁じられていると説明した。そして「過激な政治的発言について系統的に分類するならば“人権”ということになるのだろう」と応じた。
委員からは、FSFが試みる番組判定に関するAI補助の導入について具体的な内容を質問したのに対してミカット所長は「まずはシーンごとにタグ付けし、それぞれのリスクを判定、委員の意見を加味することを想定しているが、AIには問題シーンが出てくる文脈まで判断することはできないので、そこは人間が判断することになる」と述べ、AI導入はまだ試みの段階であることを強調した。
一方、人権委側からも活動内容を説明し、例として「リアリティー番組出演者遺族からの申立て」に対する委員会決定の概略を紹介した。これに対してFSF側からは「この番組を知っていた。委員会決定にも注目した」としたうえで、委員会決定について「表現の自由と出演者保護、どのようにバランスをはかったのか」と質問した。これに対して曽我部委員長は視聴者からは批判があるが「人権侵害は認定しない一方で放送倫理上の問題ありという決定にバランスの考慮が表れている」と応じた。

BPOとFSFとの交流は2021年には大日向理事長、2022年には青少年委員会と行い、今回の人権委との交流で3回目となった。青少年保護のための番組のランク付けを行うFSFとBPO人権委員会とでは目的も制度も違うため議論がかみ合うか心配もあったが、委員からは「直接話を聞けたことはよかった。放送事情も違い工夫がいるが、具体的な事案を通じて理解を深められると思う」という声が聞かれた。またFSF側からも「事案をめぐる議論は具体性があり、双方の考え方の違いも理解できて大変興味深かった」とのメールが届いた。
今回の交流、放送番組をめぐる問題意識や委員の姿勢など同じように取り組んでいることや、各国でも問題が起きているリアリティー番組について、BPOの委員会決定にも世界の目が注がれていることを知る機会となるなど、実りのある交流となったといえる。

第263回

第263回-2023年12月18日

中高生モニターからのリポートについて… など

2023年12月18日、第263回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました(うち1名はオンライン参加)。
委員会では、11月後半から12月前半までの約1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
12月の中高生モニターリポートのテーマは「最近見たドラマについて②」でした。
BPO理事長見解の公表について事務局から説明があり、最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2023年12月18日(月) 午後4時00分~午後5時30分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
BPO理事長見解の公表について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

11月後半から12月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
平日朝の子ども向けバラエティー番組の司会者である男性芸人が、番組出演者で出演当時中学生だった十代の女性タレントと今年に入って結婚前提の交際をスタートし、結婚したことをめぐって「番組が男性芸人と未成年少女との出会いの場になっているのではないか」などの視聴者意見が寄せられました。担当委員は「その後結婚していて、『児童虐待だ』などの指摘は当たらないが、近年の状況を鑑みれば、テレビ局は未成年の出演者についてはこれまで以上の注意が必要になってくるだろう」と述べました。
4時間近くにおよんだ音楽番組で、性加害問題が起きた芸能事務所から別の事務所に移籍した若手音楽グループの出演時間がきわめて短時間だったことについて、テレビ局側の元の事務所に対する忖度ではないかなどの視聴者意見がありました。担当委員は「きちんと出演させていないと感じたのはわかるが、青少年にどのような影響があるかという視点では、この場で議論する案件ではないと考える」と説明しました。
このほかに議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

12月のテーマは「最近見たドラマについて②」で、モニターからは合わせて14番組への報告がありました。複数のモニターが挙げたのは『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)、『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ)、『フェルマーの料理』(TBSテレビ)、『下剋上球児』(TBSテレビ)、『おいしい給食』(テレビ神奈川、サンテレビ他)でした。
「青少年へのおすすめ番組」では、『謎解き!伝説のミステリー』(テレビ朝日)に6人から、『密着26年!大家族石田さんチに新たな命が誕生!~人生は続くよ、どこまでもSP~』(日本テレビ)と『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)、『BS世界のドキュメンタリー「あの日アメリカで何が 映像記録・ケネディ暗殺60年」』(NHK BS1)にそれぞれ2人から報告がありました。

◆モニター報告より◆

【最近見たドラマについて②】

  • 『ゆりあ先生の赤い糸「これまでの1~7話 特別ダイジェスト」』(テレビ朝日)
    登場人物にそれぞれ大切な人がいるからこそ意見の違いが生まれているので、恋って難しいと学びました。誰かに向ける優しさのせいで大切な人が傷ついてしまうことは身近にもあって、複雑だと思いました。特別ダイジェストだけでも興味を持てて「最終話を見たい!」と思えたので、このような特集をもっと放送してほしいです。(中学1年・女子・千葉)
  • 『おいしい給食 Season3』(テレビ神奈川、サンテレビ他)
    • Season1からずっと見ています。給食が大好きな甘利田先生(市原隼人)がさらに暴走していて“給食愛”がより伝わってきます。牛乳ビンやアルミホイルなど、飛ばしたあとに最後に拾うシーンなどがあると、ちょっとかわいいしいいなと思いました。最近では甘利田先生の真似をして給食をアレンジして食べています。今まで給食を減らしていたけれど、できるだけ残さないようにするようになりました。(中学1年・女子・島根)
    • 私たちの世代にも残る“給食”文化をもとに話が作られていて、とてもおもしろく見やすいです。家族で見ていると親から「昔はこんな感じだった!!」と言われ、世代による違いも知ることができて家族で見るのにぴったりだと思いました。全国的に放送してほしいです!(中学3年・男子・神奈川)
  • 『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ)
    このドラマは1回で話が完結するので途中参加でも見やすく、キャラクターが個性的なので非常にテンポよく見ることができる。パラリーガルという言葉は聞き慣れなかったのですぐに検索した。若い女性弁護士(平手友梨奈)を“おじさん”のパラリーガル(ムロツヨシ)が献身的に支えるという構図でそのギャップが心地よいし、“おじさん”側の振り回されっぷりもよい。年齢差のある二人が、恋愛感情でも友情でも家族愛でもなく、仕事のパートナーとして強い信頼で結ばれている関係はすごいと思う。(中学1年・女子・福岡)
  • 『トリリオンゲーム』(TBSテレビ)
    ビジネスに対するさまざまな考え方や用語・知識が詰まっている作品で非常に面白いと思いました。「どのような方法で他人に協力させるのか」「人の本質をどう見抜くのか」というノウハウも番組に詰まっています。一方で、専門的なビジネス用語が多く含まれていて分からない場合があるので、専門用語は番組内に注釈があるとなお良いと思いました。(中学2年・男子・埼玉)
  • 『憲法はまだか』(NHK総合・1996年制作)
    私たち中学生高校生は、近代史を実感的に捉えることができる機会がほとんどないため、このドラマを見て、歴史の裏側や人々の葛藤や思惑、実は戦後すぐは「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重」に賛同する人が決して多くなかったことなど、日本の政治の転換期について深く学びなおすことができた。(中学2年・男子・東京)
  • 『大河ドラマ「どうする家康」』(NHK総合)
    主演の松本潤さんはアイドルとしての姿しか知らなかったので、演技が上手で迫力があり驚いた。セットや衣装が細かく作られていて江戸時代の雰囲気が分かりやすかったが、全体的に画面が暗くて見づらく感じた。(中学2年・女子・愛知)
  • 『フェルマーの料理』(TBSテレビ)
    • 主人公の朝倉海(志尊淳)の過去が描かれていたが、現在と過去のシーンを行ったり来たりしていたため、“いま”がいつなのか少しわかりにくかった。また「目標があるうちは成長し続けられるが、その目標がなくなると人は孤独になる」というセリフにすごく共感した。(中学2年・女子・東京)
    • 主人公の北田岳(高橋文哉)の、料理に数学を応用する力がすごくて尊敬しています。それだけ日常に活かせたら楽しいだろうなと思って、私も勉強を頑張ろうと思いました。(中学3年・女子・福岡)
  • 『下剋上球児』(TBSテレビ)
    • 弱小だった学校が強くなっていく中での高校生たちの心情の変化がたくさん見られておもしろかったです。(中学2年・女子・栃木)
    • 途中で実写映像がアニメーションに変わる部分があるが、重要なシーンがきたなということが分かるし、選手たちの熱い心や試合会場の迫力が伝わってきて、とても良い効果をもたらしていると思った。(高校1年・女子・北海道)
  • 『コタツがない家』(日本テレビ)
    深堀家の人たち(小池栄子、吉岡秀隆、作間龍斗、小林薫)はみんな自己中心的なようで、ちゃんと家族のことを考えている言葉の優しさが感じられます。よく5~6話で飽きてしまい途中から見なくなってしまう私でも、このドラマは飽きずに見られました。感動するし笑えるし、恋愛ものでなくても視聴者に“愛”を届けられるこのドラマはとてもおもしろいと思います。(中学3年・女子・滋賀)
  • 『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ)
    なぜ税金を払わなければならないのか、納められた税金はどうなるのかがよく分かった。出演者に芸人やアーティストがいることで「この人にこんな一面があったんだ!」と話題にもなるので、これからも多種多様な人に出演してほしい。主演(菊池風磨、山田杏奈)のアドリブが多くて面白く“税”という堅苦しい内容でも気軽に視聴できたので、このようなお仕事ドラマが増えてほしい。(中学3年・女子・広島)
  • 『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)
    • ほかにない独特なストーリーに引き込まれます。最後に予想できない展開が待っていて、途中で飽きてスマホを見ることもありません。笑いもあり学びもあり、毎回もっと見たいと思わせてくれます。(高校1年・男子・群馬)
    • シリーズ1から見ていて毎週この時間が楽しみでした。これまでは深夜帯の放送で大人向けの話や内容で難しかったですが、いまは笑いの要素が含まれるようになり見やすくなりました。視聴する対象者をしぼった内容にすると今後見やすくなると思います。(高校2年・男子・山形)
    • 家政夫ミタゾノ(松岡昌宏)が家庭内に堂々と入り込み、外からは見えないことを知ることができるのが、このドラマの魅力の一つです。鋭い洞察力で相手のちょっとした仕草からウラを読み取る能力があるなど、現実ではあり得ないドラマ上の設定がおもしろく、飽きることなく見てしまいます。(高校3年・女子・京都)
  • 『今日からヒットマン』(テレビ朝日)
    “殺し屋になる”という設定が気になって見始めました。ただのサラリーマンだったはずの稲葉十吉(相葉雅紀)が、強いはずの敵をたくさん銃で倒していくのがとても気持ちよいです。(高校1年・女子・茨城)
  • 『いちばんすきな花』(フジテレビ)
    他人に気をつかいがちなおとなしい人たちのストーリーなので、いままで山場らしい山場はありませんでしたが、徐々に仲良くなっていく4人を見るととても癒されます。毎週楽しく家族で見ていますが、妹はこのドラマを見ると気分が下がってしまいます。妹は学校に友達がいないのが悩みで、主人公たち(多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠)に自分を重ねて悲しい気持ちになるそうです。(高校2年・男子・山形)
  • 『パリピ孔明』(フジテレビ)
    小中学生の頃に三国志にハマっていた時期があったので「あの孔明がなんてことだ!」と思いながら見ました。ここまで面白くスカッとするドラマは初めてだったので、本当に見応えがありました。それに出演者の上白石萌歌さんの歌声がとてもすてきだと思いました。ドラマ『義母と娘のブルース』(TBSテレビ・2018年制作)に出演していた上白石さんの自然体な演技がとても好きだったので、またみることができて嬉しかったです。最近はマンガ原作のドラマが多く、今年だけでも80作以上が実写化作品であることが分かって驚きました。実写化は日本の一大文化なのだと気づかされました。(高校3年・男子・神奈川)

【自由記述】

  • 『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日)主演の菅野美穂さんは、『イグアナの娘』(テレビ朝日・1996年制作)で高校生だからこそできる演技を見たことがあったので、大人になった凛々しい姿とのギャップととても情熱のある演技に「さすが名女優」と魅了されました。(中学1年・女子・千葉)
  • わたしの毎朝の定番番組『めざましテレビ』(フジテレビ)のメインキャスターの井上清華アナウンサーが急遽番組をお休みした。『めざましテレビ』の“顔”という責任も大事だが、体を壊してしまっては意味がない。無理のないずっと続けられる仕事量でこれからも頑張ってほしいと思う。(中学1年・女子・福岡)
  • 年末が近づくにつれ、特別番組やドラマの再放送、続編等のスペシャルドラマが多く放送されるのがすごく楽しみだ。また関連作品がサブスクなどで配信されているため、冬休みにはそれも合わせてより楽しんで作品を見ることができると思う。(中学2年・女子・東京)
  • 情報番組などで「ふるさと納税」について取り上げているのを見ますが、返礼品のことなどが多く、肝心な仕組みについて取り上げられているのを見たことがありません。“税金が控除されていろいろなものがもらえるものだ”ということだけではなく仕組みや問題点についてもっと取り上げて、ふるさと納税の意味についてもっと考えさせるような放送が必要だと思います。(高校1年・男子・群馬)
  • 最近のドラマはマンガなどを原作とした作品が多いように思う。それはそれで面白いけれど、テレビオリジナルのドラマも見てみたい。(中学3年・女子・広島)
  • 今回視聴した番組内で、歴史人物のお墓を見た出演者のコメントが「すごい!」という一言だけだった。お墓がどのような感じなのかを、テレビで見ている私たちにもわかるような具体的なコメントが欲しいなと思った。食リポは具体的に味をコメントしているイメージがあるため、建築物などに対するコメントの際ももう少し具体的にコメントしてほしいと思った。(高校1年・女子・北海道)
  • インターネットなどの動画や配信は、私も友だちも切り抜き動画で知ってハマることが多いです。権利の問題などで難しいとは思いますが、テレビやラジオに“切り抜きOK”な回があったら、そこから新しい番組を知ることができるのでいいと思います。(高校1年・女子・茨城)
  • 『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に旧大手芸能事務所のタレントが一組も出場しないことについては放送局の考えも理解できるが、なぜ個々のドラマ出演などは減らないのだろうか。グループの活動はダメで個々ならOKという感じに見えて、メディア業界もあいまいなところがあると思った。
  • 年末年始にかけて特番が増えてきますが、若者や高齢者など、それぞれバランスよく視聴できるように工夫してほしいです。また他局の番組でもやっているようなことをくり返し放送しないように内容も見直してほしいです。(高校2年・男子・山形)
  • 自分が受験生ということもあり、この時期(10月~12月期)にモチベーションの上がる“受験ドラマ”があると良いと思った。(高校3年・女子・北海道)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『謎解き!伝説のミステリー「徳川家の謎が分かる12の寺社仏閣SP」』(テレビ朝日)
    • 謎を1つ解明するごとに、最終問題のヒントが一文字ずつ明かされていく演出は、答えが気になって最後まで見たいと思えた。(中学2年・女子・東京)
    • 歴史に興味がない人にもわかりやすいように、多様なジャンルの出演者、明るいイラストアニメなどがあって面白かった。(高校3年・女子・北海道)
    • 学校の教科書には事実が簡潔に書かれているだけだが、この番組ではなぜその事実が起こったのかや、その時の人々の心情など、実際の歴史の資料を分析しなければわからないような情報まで学ぶことができた。このような日本史に関する番組をもっと放送してほしい。(高校1年・女子・北海道)
  • 『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)
    宇治の特産品を使って駅弁を一から作ろうという企画で、生産農家・弁当屋・特産品の宣伝、駅弁の知識、地域の歴史文化をいっぺんに学べる有意義な時間でした。(高校3年・男子・神奈川)
  • 『ティーンズビデオ2023~第70回NHK杯全国高校放送コンテスト~』(NHK Eテレ)
    同級生が全国大会に出場していたので見ました。普段どんな活動をしているのか知りませんでしたが、とてもおもしろく、言葉で表現する放送部の良さを知りました。(高校2年・男子・山形)
  • 『BS世界のドキュメンタリー「あの日アメリカで何が 映像記録・ケネディ暗殺60年」』(NHK BS1)
    ドキュメンタリーになっていたので、臨場感があった。これからも学校の授業であまり学ばないような放送をしてほしい。(中学3年・女子・広島)
  • 『パネルクイズ アタック25 Next』(BSJapanext)
    解答者が全員一般人であるところが新鮮でよいと思った。出題されるクイズのジャンルがバラバラで、クイズが得意な人にとっては楽しめるものの、私はそうではないので難しく感じた。(中学2年・女子・愛知)

◆委員のコメント◆

【最近見たドラマについて】

  • 『コタツがない家』(日本テレビ)を視聴したモニターから「世の中にはいろんな家庭があるのだなと思った」と報告があったが、子どもは自分の身近にあるものしか見ていないので、ドラマを視聴していろんな家庭を知ることは多様性を感じ取るという意味で良いことだと思う。
  • 『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)を視聴した高校1年生の報告の中に「途中で飽きてスマートフォンを見ることもありません」とあったが、例えば大学の講義の感想でも「〇〇先生の授業は飽きて途中でスマートフォンを見ることがない」といった書き方をするなど、この世代に共通する独特の考え方のようだ。飽きさせないのは重要で、「役に立つ」という要素が飽きないで番組を見る一つの理由になるようだ。
  • 『大河ドラマ「どうする家康」』(NHK総合)には感動的なストーリーといった“情動”の要素がある一方で、“認知”的な歴史の知識といったコンテンツも含まれている。いまの中高生たちは「楽しくないと覚えない」という側面があるので、「面白いけれど見終わったときに勉強しちゃった」といった情動と認知が一緒になった番組が増えると、ドラマに限らずさまざまなジャンルを視聴していくのだろうと思う。
  • 最近は税金や税務署をテーマにしたドラマが増えるなど“お仕事ドラマ”の幅が広がり、中高生にとってはインターン制度のような形になっていると感じる。実社会ではありえない設定もあるだろうが、職業に関する情報は正確にしてほしい。

【自由記述について】

  • 『TVerで学ぶ!最強の時間割』(TVer)を視聴した中学2年生から「Z世代に向けて産婦人科医が生理痛について詳しくトークしていて、私自身も悩んでいる話題があったのでとても役に立った。テレビでは見かけない番組内容だったが、こういう番組も地上波で放送したほうが良いと思った」と報告があった。こういった情報は教育現場でも詳しく出てこない場合もあるので、こういった番組が地上波でもあるととても便利だと思う。
  • 「最近では政治などでさまざまなニュースが取り上げられていてとても勉強になる一方で、どうしても偏った報道がたまにみうけられる。テレビの中立的な報道がより広がると、メディアに触れる私たちもより安心できるのではないか」という意見があった。具体的な記述はないが、たとえば最近の政治の裏金問題などを追及し討議する番組を「偏っている」と感じてしまうのかもしれない。具体的にどのような部分を「偏っている」と感じるのか気になるところだ。

BPO理事長見解の公表について

芸能事務所の創業者(故人)による性加害問題をめぐってBPOは12月4日に理事長見解を公表しました。
これについて事務局から、見解公表は9月26日開催の第260回青少年委員会での議論などが発端になったこと、公表の理由は放送界とBPOがこれまで以上にしっかりと連携していく必要があると考えたこと、そしてこの見解公表で終わりではなく、今後さまざまな形で放送界との議論の場を設けていくことなどが説明されました。

今後の予定について

次回は1月23日(火)に定例委員会を開催します。 

以上