2014年4月4日

『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』

2014年4月4日 放送局:日本テレビ

2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)の、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"について、日本テレビからの回答書や意見交換を基に、審議を行い、「委員会の考え」をまとめ審議を終了することにしました。以下に経緯を含めて公表します。

<委員会の考え>

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2014年4月4日

日本テレビ放送網『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』に関する
「委員会の考え」

放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会

BPO青少年委員会は、多くの視聴者意見が寄せられた日本テレビ放送網(以下、日本テレビ)『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(2013年12月31日放送)について、日本テレビに番組の制作意図などの報告書の提出を求めるとともに、制作およびコンプライアンス担当者を招いて意見交換を行いました。日本テレビにはまず、貴重な時間を割き、率直に意見を交換して対応していただいたことに感謝申し上げます。
今後各放送局にも考えていただきたい論点が含まれることから、審議の結果、下記のとおり「委員会の考え」を公表することとしました。

■日本テレビとの意見交換を受けての、BPO青少年委員会の考え方

日本テレビは1989年より、レギュラー番組として『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』の放送を開始し、お笑いの限界に挑戦するユニークな企画を次々と編み出して多くの視聴者に支持されてきました。『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』は2006年に始まったそのスペシャル版で、8回目となる今回は2013年12月31日18時30分から24時30分の6時間にわたり放送されました。
その一部のシーンに対して、表現の過激さや卑わいであることへの不快感や嫌悪感、また、子どもが真似をするのではないかと危惧する視聴者意見がBPOに多数寄せられました。とくに(1)「芸人が肛門に粉を注入してパンツを脱ぎ、別の芸人の顔面におならとともに噴きつける」、(2)「ふんどし姿の芸人の股間に向けてロケット花火を噴射する」、(3)「産着姿の中年男性のおむつ交換(局部のみ映像処理)」の3つのシーンへの意見が多くありました。
日本テレビの回答では、(1)と(3)のシーンは「過去も放送」したことがあり、また、(2)のロケット花火については「安全性を高める改良を施した」上での演出であり、「『マネをしないでください』とスーパーを計2回入れた」こと、制作担当者からはいずれも「不快だった人もいるかもしれないが」「笑ってもらえると腹をくくって制作した」との説明がありました。
以上を踏まえて、青少年委員会が何を問題と考えたのか、以下に2つの論点を挙げます。

まず第1に、「表現上の配慮」です。
バラエティー番組は時に放送の限界に挑戦し、新たな笑いの文化を生み、視聴者の心を解放し活力を与えるという大きな働きがあります。それは同時に視聴者の喜怒哀楽や感受性を直接刺激し、日常生活の価値志向にも影響を与えることを意味します。このため作り手は常に社会の動きにアンテナを張りめぐらせ、視聴者の動向をも見据える必要があります。つまり、表現の内容が視聴者に与える影響は時代の価値観や社会のあり方に規定されると考えられ、過去に放送したから今回もよいという考え方は放送の一般原則となるわけではないことになります。
とくに、(1)「顔面におならとともに肛門から粉を吹き付けるシーン」と(3)「中年男性のおむつ交換のシーン」に対しては、視聴者から「えげつない内容で放送するに値しない」「不快極まりなくチャンネルを替えた」などの意見が多数届きました。それまで楽しんで見ていたのに、その特定の場面によって視聴を打ち切り、番組を不愉快と受け止めた視聴者がほかにも多くいたことが予測される意見でした。日本テレビからは、(1)については「芸人の持ちネタであり、粉を吹き付けられる側もレギュラーの芸人を起用」、(3)については「ベテラン制作スタッフのキャラクターで恒例の企画」と、いずれもプロフェッショナルの芸で、すべて演出の範囲内との説明がありました。しかし視聴者がここで問題にしたのは出演者がプロか否か、演出かどうかということではなく、行為の下品さや卑わいさ、人間に対する否定的な扱いへの違和感であり、バラエティー番組のボーダーラインを超えているという不快感だったと考えます。
青少年委員会は2007年10月23日に「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を公表し、そのなかで中高生モニターが「出演者をいたぶる暴力シーンや人間に対する否定的な扱い」に対して不快感を表明しています。中高生の認識は多くの一般視聴者の認識と通ずるものと考えてよく、今回は直接的な暴力とはいえないものの、逃げないよう頭を押さえ付けられた状態で顔に肛門から粉を吹き付けられたり、中年男性がおむつ交換されたりする行為を素直に笑い飛ばすことができない視聴者が多数いたことに留意していただきたいと思います。
また、(2)「芸人の股間にロケット花火を噴射するシーン」については、安全性を充分に配慮した上で真似をしないようスーパーで注意喚起したということ、その配慮は多としたいと思いますが、子どもの視聴者を想定すると、視聴者意見のなかにあった「子どもはなんでも真似をする可能性があり、真似をしないでくださいとあれば余計に真似したくなるもの」という声は無視できないものと考えます。安全への配慮がないまま真似する子どもが出てくる可能性は否定できないのです。当委員会が発表した「バラエティー系番組に対する見解」(2000年11月29日)にあるように、青少年はテレビに多大な影響を受け、放送されたものを社会的に肯定されたものと考えて行動の基準とする傾向があります。安全性に配慮するのは当然のこととして、視聴者、とくに青少年がどう見るかという点には細やかに想像力を働かせていただきたいと考えます。
(3)「赤ちゃんに扮した中年男性出演者のおむつ交換のシーン」についてはもう一点、おむつ交換を行っている同じ部屋に看護師役の女性出演者がいたことについて、とくに女性の視聴者から「あってはならない光景だ」「(局部を画面処理で)隠していればいいというわけではない」などの意見が寄せられました。これに対しては制作担当者から、この女性は「出演料をお支払いしているプロフェッショナルの出演者」で、女性も内容を了解した上での出演であるとの回答がありました。しかし、双方了解の上であったとしても、視聴者は女性が下半身を顕わにした男性の前に立たされて目線をはずさざるをえない状態に置かれている構図と捉え、セクハラまがいの演出と受け取っている事実があることを真摯に受け止めていただきたいと思います。番組が男性目線で制作されており、女性の視聴者がどのように見るかという配慮と想像力が十分でなかったのではないかと考えます。

第2に、「放送基準と放送の公共性」についてです。
青少年委員会は、現代の日本でバラエティー番組がもつ意味の大きさ、その重要性についてはよく理解しているつもりです。日々笑いを提供し続けることの苦労についても十分想像できますし、新たな笑いの創出のために快や不快、上品下品の境目で仕事をするということも分かっているつもりです。「下ネタ」も時と場合によっては見る者を開放的にし、豊かな笑いをもたらすでしょう。社会を風刺する毒のある表現が、視聴者の憂さ晴らしになることもあると思います。こうした番組づくりのために民放連の放送基準等を杓子定規にあてはめるつもりはありません。それは本来「なんでもあり」のバラエティー番組の萎縮につながりかねません。
とはいえ、いつでもどこでも誰もが無料で視聴できる公共の地上波放送と、入場料が必要な映画や舞台、CS放送などの有料チャンネルとではメディアの特性が異なり、表現上の制約にも違いがあるということについては、制作側としてけじめをつけていていただきたいということは改めて願わざるを得ません。社会のグローバル化が進む中、幼児からお年寄り、外国人まで多様な視聴者が見る公共性の高い地上波放送においては、課金システムのメディア以上の配慮が必要であることはいうまでもありません。もちろんそのような制約があるからこそ、ギリギリの境界線上のせめぎあいの中で新しい笑いも生まれるのでしょうし、また視聴者からの批判や反発が新たな企画を生む原動力となることもあるとは思います。
しかし、上記の3つのシーンに関しては、視聴者からの意見の届き方から見ても、また私どもが視聴し審議した結果からも、少なからぬ視聴者がおもしろいと感じることができなかったことは事実といわざるを得ません。「おもしろければなんでもいいというのは傲慢」「ネタ切れならやめればいい」といった厳しい意見も届いています。バラエティー番組づくりが、過去のネタの自己模倣やセクハラまがいの演出で笑いをとらざるをえなくなっている方向に向かっているのではないかという危惧も抱かされます。批判し落胆を表明した視聴者には、番組が放送時間の最後に発信した「笑顔でいたい 笑って生きたい」(替え歌) "今年も笑いが溢れる一年になりますように…"(スーパー)という重要なメッセージが残念ながら届かなかったのです。
日本テレビからは繰り返し、「個別のシーンではなく番組の全体を見て判断してほしい」との要望がありました。本件の担当委員は事前に全体を視聴した上で意見交換に臨んでおります。しかし、青少年委員会は番組全体のメッセージが正しければ個別のシーンに逸脱があってもその評価が緩和されるわけではないと考えます。また、民放連放送基準は放送局が自主的に定めた番組づくりの基準なのですから、常にそこに立ち返って番組を制作していただきたいとお願いしているものです。委員会から基準に照らして問題であるとの指摘があれば、日頃からこうした基準を大事にして番組をつくってほしいという促しのためと、ご理解いただきたいと思います。ちなみに青少年委員会は独自に番組全体の評価は行いませんし、行うことができるとも考えておりません。あくまでも視聴者の意見をきっかけに判断をすることが仕事だと考えています。
つまり、番組全体のメッセージがいかに優れたものであったとしても、細部において社会通念を逸脱したものがあれば、表現の自由を最大限に考慮した上で、その是非を問うことが必要だと考えているということです。逆にいえば、個々のシーンに配慮が足りなかったがゆえに番組全体のメッセージが視聴者に理解されないようなことを無くすべく、視聴者と放送局の間に立って放送局と議論を重ね、番組の向上を目指すことが青少年委員会の務めと思っています。

青少年委員会は、青少年に番組が与える影響をできるだけポジティブなものとするために、局側が気づかない視点を提示したり、安易に番組を作成したため結果として逆の効果を生んでいる等の問題を指摘したりして、それを克服するための方策を探ってもらうこと、青少年たちがよい番組として認知しているものや理由を伝え参考にしてもらうこと等、結果として青少年によい影響を与え得る番組の制作、番組向上への気運を高めることを大事なミッションとしています。そのため、番組内容、制作過程等について局側と率直な意見交換をすることが重要な手法となると考えています。
すぐに意見の一致が得られるわけではないということは承知しています。しかし、意見交換を行うことは決して無駄ではなく双方への理解を深める貴重な機会となるはずです。今後もよりよい番組作りのために各放送局と意見交換を行い、ともに考え続けることができればと願っております。

以上

<青少年委員会からの質問>

2014年2月12日

青少年委員会から日本テレビへの質問

    1. 下半身を露出するなどの3つの場面(肛門に粉を入れ顔に吹きかける、股間でロケット花火を受け止める、赤ちゃん姿の男性のおむつを交換する)の演出意図についてお聞かせください。

    2. 上記の演出について制作者の間でどのような議論が行われたのか、また、出演者(特に女性)に対する配慮はどのようになされていたのかについてお聞かせください。

    3. 老若男女の幅広い視聴者が見る大晦日の22時から23時台の時間帯に上記場面を放送するに至った経緯についてお聞かせください。

    4. 上記の演出について現場や社内でどこまで情報が共有されていたかについてお教えください。その際、考査部門の判断はどうであったかについてもお聞かせください。

    5. 放送の公共性についての貴社の考えをお聞かせください。なお、青少年委員会では2013年10月22日に以下のような「委員会の考え」を公表しておりますが、これについてのお考えもお聞かせください。
      ≪視聴者目線と電波が公共財であることを忘れると、テレビへの信頼は薄れていきます。お笑いも例外ではありません。テレビをもっと魅力的なメディアにしていくために、また多くの視聴者が心地よく笑えるために、バラエティー番組も<人間の尊厳><公共の善>を意識して作られるべきでしょう。≫

<日本テレビからの回答>  2014年2月20日 PDFファイルpdf

<意見交換の概要>  2014年3月6日 PDFファイルpdf

2014年3月10日

『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』

2014年3月10日 放送局:東京MXテレビ・サンテレビ

1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)について、1月28日開催の第153回委員会で審議入りを決めました。2月14日付で両局に回答要請を行い、両局から2月24日付で提出された回答書を基に、2月25日開催の第154回委員会で審議した結果、「委員会の考え」を公表することで審議を終了することにしました。3月6日開催の第155回委員会で「委員会の考え」が承認されましたので、当該2局に「委員会の考え」を送付するとともに、以下のとおり経緯を公表します。

2014年3月10日「委員会の考え」

2014年3月10日

【委員会の考え】

当該放送局からの回答を得て、第154回青少年委員会で審議した結果、サンテレビは26時から、東京MXテレビは25時30分からと、それぞれ放送時間を変更したことも踏まえて、放送局側とのさらなる意見交換の場は設けずに、文書による回答に基づいて、「委員会の考え」を以下に提示することにしました。

東京メトロポリタンテレビジョン(以下、「東京MXテレビ」)とサンテレビジョン(以下、「サンテレビ」)で、毎週土曜日22時30分から放送していたアニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』は、青少年の性愛が主たるテーマになっており、児童および青少年の視聴に適さない刺激の強い性的表現が複数含まれ、それが番組の特徴になっています。
東京MXテレビの回答では、『民放連・放送基準審議会「青少年と放送」問題への対応について』(1999年6月17日)を参考に、22時台の放送に至ったとの回答がありますが、同『対応』においては、"17時~21時に放送する番組については、児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分、配慮する"としていますが、その前提として、"放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する"(民放連・放送基準第18条)を順守徹底することが求められています。
これは、各時間帯に応じて段階的に児童および青少年の視聴に十分な配慮が必要であることを意味し、21時を過ぎれば、児童および青少年の視聴に配慮する必要がなくなるわけではないことを十分に認識していただきたいと思います。
東京MXテレビ、サンテレビとも、多数の視聴者意見を受けて第5話以降の放送時間を変更したということは、事前に視聴者の意見を予想できなかったか、予想しながらも敢えて放送したとも考えられますが、いずれにしても、放送開始の段階では、視聴者の反応を十分に予想し、配慮した上での決定とは言い難かったのではないでしょうか。程度の差はあるにせよ、児童および青少年の視聴に対する配慮は時間帯を超えて常に必要であることに留意してほしいと思います。
東京MXテレビは、考査をしながら、そこでの意見が十分に反映されないまま放送に至った危険性が読み取れ、考査の過程が形骸化し、十全に機能していないのではないかと危惧しています。
サンテレビは、他局の考査セクションがチェックしているという点に安易に依拠し、局独自の考査を十分しないまま放送したもので、放送局としての放送責任を改めて考え直してほしいと思います。各放送局が、独自の放送責任を負っている点を深く自覚していただきたいのです。
いわゆる製作委員会方式においては、番組制作にあたり、放送局が全く関与しないか、関与が限定的なものとなっていることもあるようですが、最終的な番組編成や放送時間の決定は放送局に委ねられているのであり、その放送責任は免れません。したがって、放送にあたっては、自社制作番組と同様の丁寧なチェックが求められることを指摘したいと思います。
なお、青少年委員会は、児童および青少年の視聴に十分配慮する時間帯について、今後研究すべき課題であると認識していることを、BPO加盟の全放送局にお伝えしておきます。

以上

青少年委員会から東京MXテレビ、サンテレビへの質問

2014年2月14日

    1. 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。
    2. 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。
    3. 2.で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどの点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。
    4. 放送時間を問題にする意見は社内で出なかったのか否かについてお答えください。
    5. 4.で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。
    6. 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。
    7. 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。
    8. 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

    (サンテレビへの質問は、7.第5話以降は26時から放送されていますが~に変更)

東京MXテレビの回答

2014年2月24日

質問状に対するご回答

  • Q1 営業・編成・考査各部門を含め、どのようなプロセスで放送を決定したのかご説明ください。

  • A1 2013年7月23日に第1回目の考査を致しました。その後、9月25日に第2話の絵コンテ、10月30日に第1話アフレコ用動画と台本、12月24日に第1話のDVD、12月26日第2話のDVD、1月7日に第2話の修正版のDVDとそれぞれ考査依頼が来ており、最終的な考査の結果、放送可能と判断しました。編成部としましては、若干浅い時間ではあるものの、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、放送時間が午後10時台と、午後9時を過ぎていることから、放送を決定いたしました。

  • Q2 放送を決定する際に、貴局内で性的表現について問題があるとの指摘があったか否かについてお答えください。

  • A2 上記第1話の考査依頼の際に、異論もあり性的描写を抑えることを考査部門より営業担当を通じて制作者側へ伝えていました。また、第2話に関しても、一部の性的描写シーンについて再考・是正するよう伝えていました。

  • Q3 2で指摘があったと回答された場合は、どのような立場の人からどのような点にどのような意見が出されたのかお聞かせください。また、その意見に対する貴局としての最終的なご判断をお聞かせください。

  • A3 編成局編成部の考査担当者が、第1話、第2話の絵コンテ、アフレコ用の動画のそれぞれの段階において、種々異論はありましたが、協議の上、過激な性的描写に再考・是正することなどの意見を出しています。当社としての最終判断は、「作品のテーマに沿って必要な範囲であり、アニメ固有の表現の域内である」と考え、放送時間も考慮したうえで放送可能と判断を致しました。

  • Q4 放送時間を問題にする意見は出なかったのか否かについてお答えください。

  • A4 放送時間移動についての強い意見はありませんでした。

  • Q5 4で問題にする意見があったと回答された場合、貴局として最終的に22時台の放送を決定された理由をお聞かせください。

  • A5 当社では、『日本民間放送連盟放送基準審議会(1999年6月17日)「青少年と放送」問題への対応について』を参考に、22時台の放送に至りました。

  • Q6 特にアニメは、青少年がアクセスしやすいジャンルだと考えられます。まだ多くの青少年が起きて視聴する可能性の高い時間帯に、刺激的な性的描写を含んだアニメ番組を放送することについて、貴局としてどのようにお考えかお聞かせください。

  • A6 22時台という時間帯に関し、多くの青少年が視聴しているという事実に対する認識に不足があった点は否めず、特にアニメというジャンルでのアクセスが容易に行われるという観点から、より青少年に対し配慮を行うべき時間帯であったと反省しております。

  • Q7 第5話以降は25時30分から放送されておりますが、放送時間を変更した理由をお聞かせください。

  • A7 第1話並びに第2話放送後からBPOへ苦情のメールが寄せられていることが判明し、当該番組を放送する時間帯としてはふさわしくないという判断に至り、すみやかに放送時間変更を決定致しました。

  • Q8 貴局は本番組の制作には関与されていないようですが、放送責任についてどのように考えるのか、お聞かせください。

  • A8 当社が制作に関与したか否かを問わず、当社で放送する番組の放送責任は当社にあると考えております。特に、22時台は、生活習慣の変化から多くの青少年が視聴可能であり、チャンネル選択権を当該青少年が持っていることも多いという事実に対する認識が甘かったと考えております。当該番組を視聴し、嫌悪を感じた視聴者の皆様には深くお詫びを申し上げます。

以上

サンテレビの回答

2014年2月24日

<サンテレビ回答>

(1)について
当該番組の放送枠は、在京局との同時同枠編成によるレギュラー・アニメ番組枠として展開したいという、代理店からの要請により、当社東京支社営業部を窓口に、持ち込み番組という形で昨年の10月編成時に設定しました。
昨年10月21日、東京支社営業部は、本社編成部に他の枠を含めた1~3月クールのアニメ番組の予定表を出し、当該番組の「タイトル」を示しました。この時点では、放送枠としては昨年4月から、当該枠と同様に2局同枠編成している土曜日22:00~22:30での放送予定でした。分かっていたのはタイトルのみで、内容及びこの時間帯の放送で問題ないのかなどの点は、東京支社営業部も把握していませんでした。
11月22日、東京支社営業部より当該番組を土曜日22:30~23:00の放送枠に変更したいとの要請がありました。この時点で、編成担当者は当該アニメの公式ページを確認し、放送時間からみて内容に問題があるのではと思い、考査担当者にも相談の上、東京支社営業部の担当者に番組内容の確認を急ぐよう促しました。編成局長からも東京支社営業部長に注意喚起し、代理店との交渉状況についても問い合せました。東京支社営業部は、在京局から「考査チェックしている」との回答をもらっており、問題ないとの判断でした。
12月に入り、東京支社営業部長より編成局長に再度、在京局が引き続き当該番組を考査している旨の連絡があり、1月4日から毎週土曜日22:30~23:00の時間枠で放送することとしました。当社としての考査確認作業が必要という認識はありましたが、昨年4月期からの22時台の2局同枠編成による展開の経緯もあり、それ以上の論議にはなりませんでした。
12月25日(水)に当該番組の第1話が、26日(木)に第2話の放送素材が搬入され、それぞれ翌日に放送運営センター(放送素材スタンバイ部門)担当者がプレビューしました。しかし、その際、当該番組の放送時間帯の認識が薄く、性的表現の含まれたシーンに関する指摘は行わず、年末年始の休日をはさんだこともありそのまま1月4日(土)の放送に至りました。
アニメ番組においては通常、幹事局が代表して考査チェックするケースと、個別に考査依頼があり絵コンテやコメント台本、サンプルDVDなどが搬入されるケースがあります。今回の在京局は幹事局ではありませんが、「考査している」との情報に寄りかかり、考査材料の提出要求や問題点の指摘を怠ったことも、結果的に視聴者の厳しい意見をいただく事態を招くこととなった一因と考えています。

(2)について
問題ありとの指摘はありました。

(3)について
プロセスの中にありますように、編成担当者、考査担当者が事前に当該アニメの公式ページや原作本の紹介ページなどを閲覧し、過激な性的描写が危惧されることを営業担当者に伝えました。編成局長は東京支社営業部長および営業事業局長に指摘し、テレビアニメ化した際の表現内容について確認するとともに、放送時間に配慮した内容で対応するように依頼しました。以降の判断は、プロセスで記載したとおりです。

(4)について
放送時間を問題視する意見はありました。

(5)について
内容に対する懸念と同様の経緯です。

(6)について
民放連放送基準第3章の「児童および青少年への配慮」は、アニメにおいてはより留意する必要があるものと考えます。当然のことながら、低年齢層が視聴可能な時間に、刺激的な性的描写が含まれるアニメの編成は控えるべきものであると考えます。

(7)について
前述のとおり、当該アニメはその放送時間に適さないものだったと判断し、2月放送分から深夜帯(26時台)に移行しました。また、放送開始後、当社や貴委員会に寄せられた視聴者からの厳しい意見を踏まえ、代理店を通じて深夜といえども内容に配慮するよう申し入れました。

(8)について
制作に関与してないとはいえ、4週にわたり放送時間帯に相応しくない性的描写を含むアニメを放送してしまった責任は重く受け止めております。事前に問題意識を持ちながら自局での考査チェックを行わず、視聴者ならびに貴委員会からのご指摘を受ける事態を招いたことを深く反省しております。
番組づくりの手法が多様化する中で、放送局として判断、責任は今まで以上に厳格であるべきと考えます。今回のご指摘を受けて、社内の番組チェック体制を見直すとともに、アニメ番組の持ち込み基準を早急に策定します。
放送基準ならびに放送倫理を念頭に、特に低年齢層の視聴に十分に配慮した健全な編成
を心がけていく所存です。

以上

2013年10月22日

フジテレビ「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」

2013年8月3日 放送局:フジテレビ

2013年8月放送のフジテレビ『27時間テレビ』のコーナーで、男性タレントが、女性アイドルグループメンバーに、両足を持って振り回すプロレス技をかけた後、頭を踏んだり蹴ったりした。
「バラエティーの度を越している」「暴力行為であり不快」などの視聴者意見が多数あり、委員会は番組を視聴した上で討論、委員からは「制作者の意図や意見を聞いてみたい」などの声もあり、審議入りを決めた。
委員会は、意見交換など3回にわたる審議の後(※審議の経過参照)、2013年10月22日「委員会の考え」を公表し、審議を終えた。

2013年10月22日「委員会の考え」

2013年10月22日

フジテレビ「生爆烈お父さん 27時間テレビスペシャル!!」に関する
委 員 会 の 考 え

放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会

BPO青少年委員会は、多くの視聴者意見が寄せられたフジテレビ『FNS27時間テレビ女子力全開2013』の「生爆烈お父さん 27時間テレビスペシャル!!」コーナー(2013年8月3日放送)について、フジテレビへ番組の制作意図などの報告書の提出を求めるとともに、番組制作者などを招いて意見交換を行い、さらに追加質問しました。
まずフジテレビには、真摯に対応をしていただいたことに感謝します。これらを受けて審議を行いましたが、下記の「委員会の考え」を公表することになりました。
これは、今後各放送局にも考えていただきたいと委員会が願っている諸点です。

*    *    *    *    *

論点は、以下の3点です。

第1に「出演者の身体に加えられる暴力や危険行為について」です。
フジテレビは「安全面に十分配慮している」「出演者同士が役割を理解している」と説明しましたが、視聴者から、人の頭を踏みつけるシーンや顔に向け足を上げるシーン、顔をいじるシーンなどに対して、多くのクレームがBPOに届きました。
フジテレビは、「爆烈お父さんはドキュメンタリーではありません。お茶の間プロレスコントです」と説明していますが、ある行為の意味は、その文脈・シチュエーションによって変わっていきます。プロレスというスポーツでは相手の顔を踏む行為は技の一種ですし、漫才師がボケとツッコミの役割の中で頭を叩くのはお決まり芸です。
ところが視聴者の多くは、今回のジャイアントスイング前後のシーンに、これが当然でおもしろいと感じる文脈を見つけられませんでした。多くの人が違和感を持ち、「不快だった」「危険すぎる」といったクレームを寄せました。爆烈お父さん、女性芸人、女性アイドルグループの三つ巴の面白さになっていないと受け止めたのです。しかも人間の顔を足で踏むことは人間の尊厳に関わる行為で、さらに不快感を増大させたと思われます。
視聴者の多くは「人間の尊厳に背くような行為をあえてして、それで笑いを取るという形でしかバラエティー番組を作ることができなくなっているのか」という落胆とさげすみのような感情を抱いたことに、局は想像力を働かせてほしいと願います。
青少年委員会は2007年10月に「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を公表していますが、この中には、中高生モニターが「出演者をいたぶる暴力シーンや人間に対する否定的な扱い」に対して不快感を表明していることが述べられています。中高生のこの認識が、多くの一般視聴者の認識と考えてよいのではないでしょうか。

第2に「女性アイドルや女性芸人に対する性的な際どい演出について」です。
フジテレビは「でん部の露出は女性芸人の持ち芸であり、笑いの表現方法としてバラエティー的に許容範囲であると認識していました」としています。ジャイアントスイングをされている間に宣伝したいビデオや楽曲が流れるとなれば、女性芸人も女性アイドルも、身体を張って挑むことは容易に予測できます。
しかしここでも、女性芸人のお尻が丸見えになる、女性アイドルがパンツも露わに寝転んだり爆烈お父さんに股を開閉されたりするシーンがお茶の間で家族みんなが視聴する時間に流されれば、不快に感じる視聴者もいるだろうことに思いが至っていなかったのではないかと考えます。
放送局が自主的に定めた民放連放送基準には、「性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する」(73条)、「全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する」(78条)、「出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する」(79条)といった条文がありますが、これに抵触するものではないかという認識が欠けていたのではないでしょうか。
お色気ネタが笑いのジャンルの一つであることは間違いありません。そこには快・不快、上品・下品の微妙な境界線が存在しますが、番組が男性の視点で作られていて、制作者に女性や子ども視聴者の視点が欠けていることが、今回のような視聴者とのミスマッチを生じさせたとも考えられます。生放送の特性の一つは、視聴者と出演者が同じ空気を共有出来ることです。それがなぜ視聴者に大きな違和感を残してしまったのか。制作者はこの点をもう一度深く考えてほしいと思います。

第3に「地上波の公共性に対する認識について」です。
フジテレビは、委員会の追加質問に対する回答の中で、「様々な年齢性別、多様な生活習慣と趣味嗜好を持つ全ての視聴者の方々に番組をお届けするのが地上波放送」であると強調しています。しかし、委員会に寄せられた視聴者意見をみる限り、放送時に視聴者が食事中かもしれない、老若男女が集まり家族団らんの中で視聴しているかもしれない、あるいは、このコーナーの内容や演出手法は不快感を与えていないだろうかなどと、さまざまな想像力を具体的に働かせながら制作したものとは残念ながら考えられませんでした。
地上波の公共性は、番組を作る側が最も重視しなければならない視点と考えています。このことはすでに本委員会が強調してきたことですので繰り返しませんが、視聴者には赤ちゃんから高齢者、外国人など様々な価値観を持っている人がいるということを前提に、可能な限り多くの人々が納得のいく番組を作るということ、そして番組の内容が何に笑い、何に悲しみ、何に喜び、何に怒るかという国民の教養の形成に与り、多大な貢献をしているという自覚を持つことの大切さだけはもう一度強調しておきます。

フジテレビは2010年、「私たちのフジテレビバラエティ宣言」を公表しました。そこには、「愛がなければテレビじゃない! 安心できなきゃテレビじゃない! やっぱり楽しくなければテレビじゃない!」とあります。これについて、フジテレビからは、「視聴者に愛され、安心して見ていただけるおもしろい番組」を目指すという決意が込められた宣言であるとの説明がありました。しかし、今回は、上記の3点を鑑みても、視聴者に対する想像力が十分でなかったといわざるをえません。
視聴者目線と電波が公共財であることを忘れると、テレビへの信頼は薄れていきます。お笑いも例外ではありません。テレビをもっと魅力的なメディアにしていくために、また多くの視聴者が心地よく笑えるために、バラエティー番組も「人間の尊厳」「公共の善」を意識して作られるべきでしょう。
参考のために申し添えますと、2009年11月17日に、BPO放送倫理検証委員会が「最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見」を公表しています。その中で"バラエティーが「嫌われる」5つの瞬間"が挙げられています。下ネタ、イジメや差別、内輪話や仲間内のバカ騒ぎ、制作の手の内がバレバレのもの、生きることの基本を粗末に扱うこと―― の5つです。制作に当たっては、これらのことも常に心のどこかで意識していただきたいと願います。

以上

 


 

審議の経過

第148回青少年委員会(9月3日)で審議入りすることを、決定。
青少年委員会は、フジテレビに対し9月24日に意見交換を行いたい旨を伝え、以下の5点について、青少年の視聴に関する留意点を中心に報告をお願いした。

  • 番組の制作意図について
  • 放送時間帯への配慮について
  • 危険行為に対する認識について
  • 女性タレントや女性芸人へのきわどい演出について
  • フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」(2010年)を意識した番組作りがなされているかどうかについて

フジテレビの報告

『FNS27時間テレビ』の「爆烈お父さん」に関する報告書

フジテレビジョン

(1) 番組の制作意図について

  • 『FNS27時間テレビ』の「爆烈お父さん」は、『めちゃ×2イケてるッ!』の制作チームが演出のすべてを担当しました。

    1. まずは『27時間テレビ』のパーソナリティである女性芸人を輝かせたい

    2. そのためには女性芸人と対極の国民的アイドルAKB48と向き合わせる

    3. 両者が対峙する場として「爆烈お父さん」が最適と考えて、今回は「爆烈お父さん」を制作・放送することになりました。

  • 爆烈お父さん」とは、極楽とんぼ加藤浩次氏演じる一家のお父さんが本来あるべき父親像、つまり、怖いけれども尊敬できる絶対的存在として一家の主導権をにぎる物語で、理不尽な説教や乱暴な振る舞いも今の威厳を失くした父親像とのギャップとして面白がる"コント"です。
    具体的には、ゲストがお父さんの逆鱗にふれてジャイアントスイングで回されるシーンが見所の"お茶の間プロレスコント"で、回されている間ゲストが宣伝したいVTRや曲が流れます。
    今回は、『27時間テレビのパーソナリティとして各コーナーの見所VTRを流したい女性芸人』と『アイドルとして新曲を流したいAKB48』の対比になっていました。

  • 今回我々は、放送中のサイドテロップ『爆烈お父さんvs女芸人vs AKB48』のとおり三つ巴の対決を目指しました。

    • 『AKB48』は国民的アイドルであるはずなのに、お父さんや女性芸人相手に生放送で必死に体をはって頑張る

    • 『女性芸人』はアイドルに「見せ場」(ジャイアントスイング)を横取りされて、お父さんやAKB48相手に必死で挽回しようとする

    • 『お父さん』は女性芸人vs AKB48の触媒としてAKB48を贔屓し続ける

当然のことながら、我々はAKB48と女性芸人に対して危険な行為や性的にきわどい行為をしたかったわけでは一切ありません。

(2) 放送時間帯への配慮について

  • 『めちゃイケ』は毎週土曜日夜8時からゴールデン帯で放送している番組ですので、イジメ問題をはじめとする青少年への影響は常に意識して制作しています。また、「爆烈お父さん」は番組スタート時(1996年)から続く長寿コーナーで、演出スタイルが当時から変わっていないことも含めて、『27時間テレビ』における放送時間帯に関しては特に問題視していませんでした。
    今回視聴者からたくさんの苦情をいただいたことで、『27時間テレビ』は普段の『めちゃイケ』ファン以外の方、お笑いファン以外の方も見る番組であることをより深く認識する必要があったと改めて感じました。

(3) 危険行為に対する認識について

  • 「爆烈お父さん」は前述の通り、バラエティ番組の"コント"です。
    ドキュメンタリーではありません。
    テレビタレントの加藤氏は、設定として「爆烈お父さん」という乱暴なキャラクターを演じています。
    もちろんゲストも、設定として「爆烈お父さん」にジャイアントスイングをされたり転かされたり蹴られたりする役を理解し、受け入れます。
    つまり、出演者全員が互いに信頼しながら、プロフェッショナルとしてカメラの前で"お茶の間プロレスコント"を繰り広げるのです。
    しかも、加藤浩次氏は『どの程度にとどめておけば相手は怪我をしないか』を十分に理解しており、我々スタッフも信頼しております。
    実際、問題視されている"渡辺麻友さんの顔を蹴ったとされるシーン"も、加藤氏は自分の足を一旦彼女の顔に付けてから押し出すようにすることで、相手が怪我をしないようにしています。

  • 放送当日は、入念なリハーサルやセットの養生など安全対策を万全にした上で本番に臨んでおり、「爆烈お父さん」は我々の想定を越えた危険なことが起こるコーナーだとは思っておりませんでした。
    しかし、想定した演出から逸れていく可能性がある生放送で、『一見暴力的に見えるキャラクターで笑いを作る』という決して簡単ではない演出方法を採用したことは、今思えばリスキーだったのかもしれません。
    また、「"お茶の間プロレスコント"とはいえ、モラル的に女性に対してする行為ではない」というご指摘に関しては、我々はもっと慎重に演出する必要があったのかもしれません。
    以上"生放送における演出"に関しては、今後の番組作りの課題として十分に検討していきたいと思います。

(4) 女性タレントや女性芸人へのきわどい演出について

  • 我々は、AKB48や女性芸人を使って性的にきわどい表現をすることを 極力排除しようとしました。
    例えば、AKB48メンバーが当日着けていたアンダースコートは、事前に事務所と相談して決めた衣装です。
    一方、森三中大島さんのでん部の露出に関しても、あくまで女性芸人である彼女達の持ち芸であり、笑いの表現方法としてバラエティ的に許容範囲であると認識していました。

(5) フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」(2010年)を意識した番組作りになっていたかについて

  • 『愛がなければテレビじゃない!安心できなきゃテレビじゃない!やっぱり楽しくなければテレビじゃない!』の『愛』と『楽しく』は、バラエティ宣言通り達成できたと考えております。視聴者の皆さんに愛される番組をつくるために、番組を愛し、出演者を愛する気持ちは十分にありました。楽しくなければテレビじゃないという熱い信念を持って生放送に臨みました。
    しかし、『安心』に関しては、十分に配慮したつもりであった我々制作陣と視聴者との間に大きな溝があったと認識しております。今回、我々の番組をご覧になった視聴者から数多くの苦情があったことは事実であり、スタッフ一同真摯に受け止める所存です。
    これを機に、『安心』という意味で制作陣と視聴者との溝をいかにして埋めていくか十分に議論して、今後の番組作りに活かしていきたいと思っております。

[意見交換概要] 第149回青少年委員会(9月24日)

〔Q:青少年委員 A:フジテレビ〕

論点1.コーナーの企画意図について

Q.コーナーの企画意図を説明してください。
A.ゲストの女性芸人とAKB48の魅力を引き出す目的で、「爆烈お父さん」を企画・制作しました。また、女子限定のゲストがジャイアントスイングで回されている間に宣伝したい曲やVTRが流れるなど、基本的にはタレントさんのプロモーションを兼ねたコント、つまり、ドキュメンタリーではなく「プロレスコント」として作っています。

論点2.放送時間帯への配慮について

Q.民放連の放送基準で定める「17時~21時までは児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分配慮する」への配慮はありましたか。
A.レギュラー枠の放送でも、青少年に見てもらいたいと思っているので、そのことは充分意識をして制作しています。今回の特番に関しても、通常の番組と同じスタンスで作れば大丈夫だという意識はありました。今回の特番では、ふだん『めちゃイケ』を見ていない方たちもかなり見ていたのだと後から気づかされました。
Q.『めちゃイケ』ファン以外の視聴者についてどうお考えですか。『めちゃイケ』ファンなら理解してくれたのに、と思っていませんか。
A.番組は、見終わったあとの感想「読後感」が大切だと思っています。全ての視聴者に楽しんでもらうために色々工夫しています。ただ、どういう線引きをしつつ表現したら表現者としての思いが『めちゃイケ』ファン以外の視聴者にも伝わるのかを、検討していますが、現状では答えは出ていません。

論点3.危険行為に対する認識について

Q.これまでこのコーナーで予定外のハプニングとか出演者の怪我につながるようなことは無かったのですか。
A.今まではありませんでした。全部の角を怪我をしないように細工したりして、我々があのお茶の間のセットで怪我を防止できることは100%やっています。
Q.子どもがジャイアントスイングを真似することについてどう思いますか。子どもは周りを怪我をしないように細工することはしないですよね。
A.真似をする子どもはいるかもしれませんが、かといって「危険なのでまねしないで下さい」とテロップを入れれば済む問題とも思っていません。そこは表現の仕方の問題で、我々がつかみきれていないところです。
Q.「お茶の間プロレスコント」という表現を使っていますが、単にプロレスごっこにしか見えないのですが。
A.お決まりの流れがあるので、「プロレスコント」だと思っています。
Q.2007年10月に青少年委員会は「出演者の心身に加えられる暴力に関する見解」を出し、その中で暴力シーンは「人間に対する否定的な扱い」であると不快感を示していますが、頭や顔を踏んだり蹴ったりする行為は、人間の尊厳にかかわる基本的なことだと思います。スタッフの皆さんにその辺の認識が乏しいのかなと思い、危惧を感じます。大事なのは人間の尊厳を守った中で笑いを作っていくことだと思います。
A.例えば、漫才でボケた芸人の頭を相方がはたく行為も人間の尊厳を冒すことになるのでしょうか?どの線からは人の尊厳を冒していることになるのかをお聞きかせください。
Q.漫才で頭をはたくことは、今や文化的な伝統として定着していると思います。線引きで、これはOK、これはダメとなればテレビは作れなくなるのではないですか。そうではなく、人間を大切にすることだと思います。そしてそれを常に考えてゆくことだと思います。
A.やっぱり顔を踏む行為が線を越えているという印象ですか?
Q.そうですね。人間をいたずらにもてあそぶような映像が横行すると、子ども達の深層に忍び込んで、人間観、価値観の形成において、問題になってくると思います。
A.複数の女性アイドルに同じことをしているのですが、映像から受ける印象はそれぞれ異なりますか?
Q.同じです。どの場合も厳しく問われるべきだと思います。
Q.過去に、頭を蹴ることはやっていたのですか。
A.定番ではないが、やっていました。
Q.クレームはありましたか。
A.ありました。
Q.そのクレームについて局ではどういう受け止めをしていましたか。
A.数が少なかったこともあり、コーナーの内容を変えるまでには至っていません。
Q.数が少ないことを軽視するのは問題があると思います。一つのクレームでも本質をつくことがあります。皆さんがちゃんとチェックしていてOKと思われたこと自体に、一般の人の感覚と放送局の人の感覚がかなりずれてきているのではと危惧します。
A.数が少ないからそれを重要視しないという考えでは決してありません。

論点4.きわどい演出について

Q.女性タレントがお尻を出した時に、その場に子役がいたのですが、そのようなシチュエーションについて内部で議論は無かったのですか。
A.あれは女性芸人の持ちネタの一つで、想定内の出来事です。ただ、キワドイ部分で楽しみたいという意識はありませんでした。
Q."見ていて不快"という視聴者意見が多かったのですが、それは性的なイメージを喚起したり、男性がやって女性がやられるという男女の位置関係などに関係していると思うのです。公共性の高い地上波の生放送で、"これ以上やってはいけない"という現場スタッフ、出演者との申し合わせや基準はあったのですか。
A.性的な表現を強調して視聴者を楽しませようという意識は全くありませんでした。エロくならない工夫をしています。でん部を出す行為に関しては、それを隠したり注意する周りの芸人達の面白さを引き出そうとしました。また、女性芸人の性(サガ)的なところを面白がろうとしていました。
Q.お尻を出すことに関して、この時間帯は子どもが見ている時間帯であることを注意していなかったのですか。
A.特にしていませんでした。というのもスタッフも私も、この場面のでん部の露出に関して性的な表現だとは全く思っていなかったからです。
Q.家族で見ている時などに、見る側が戸惑ったり不快に感じたりするということは考えなかったのですか。
A.笑いが勝つと思っていました。ただ、不快だと思った視聴者がたくさんいたことは、反省すべきことだと思っています。
Q.女性アイドルの足の開閉はエロティックだと感じましたが、あれはハプニングだったのですか。
A.はい、現場のノリでやったことです。我々は正面から撮らないようにしたのですが、そう受け取る方がいたことに関しては率直に受け止める気持ちです。

論点5.フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」について

Q.フジテレビの「バラエティ宣言」に"愛がなければテレビじゃない"とありますが、これは人間すべてに対する「愛」があると思うのです。この「バラエティ宣言」の中身をみんなで議論して作っていただければ、いい番組が出来るのになと思います。ぜひ、いいバラエティーを作ってください。
A.我々が、かつてバラエティーとして許容していたものが、今は通用しなくなってきていることを感じます。我々は世の中にどこまでアジャストしていけばいいのか、どこまで清廉潔白さを追求しなければならないのか、特にバラエティーに関しては常識とのギャップを笑いの表現として使うことが多いので、毎回自問自答しながらやっています。

この後、委員会で審議した結果、フジテレビに対し、次の2点について追加質問した。
(1) 放送、特に地上波放送の公共性についてどうお考えでしょうか
(2) 貴社の番組のチェック体制について、あらためてお伺いいたします

フジテレビからの再報告

『FNS27時間テレビ』の「爆烈お父さん」に関する追加質問へのご回答

フジテレビジョン

(1)地上放送の公共性について
フジテレビは、その行動宣言において「高い公共性への使命感と放送倫理に対する社会的責任を強く認識し、社会からの共感や信頼を得ることが重要と考えている」とうたっております。様々な年齢性別、多様な生活習慣と趣味嗜好を持つ全ての視聴者の方々に番組をお届けするのが地上波放送であり、番組の種別に関わらず常に公共性を意識した番組制作を心掛けています。
今回『FNS27時間テレビ』においても、地上波の公共性と社会的責任への意識を強く持ちながら制作にあたりましたが、「爆烈お父さん」に関して我々が伝えたかったことと多くの視聴者の方々の受け止め方との間に乖離が生じてしまったことは事実です。
我々はこの結果を真摯に受け止め、改めて地上波放送の公共性の重要度を認識し、今後の番組制作に活かしていく所存です。

(2)番組制作におけるチェック体制について
フジテレビでは民放連放送基準を順守して各番組の企画制作にあたっており、バラエティ制作部では更に以下のチェック体制で放送番組内容の事前確認を行っています。
日頃より番組内容に関する問題事例が発生する度に、プロデューサー会議等で具体的な問題点の検証・情報共有を行い、各制作現場へ浸透を図っています。その上で、制作の過程で表現内容に疑問が生じた場合、番組プロデューサーはバラエティ制作部の上長や編成部の担当者に確認し、更に法律的な問題は法務室、コンプライアンス的な問題は考査・放送倫理部、権利問題は著作権契約部に個別に相談・確認しています。
また、放送の数日前、荒編集または白完(スーパーテロップやナレーションを入れる前のテープ)の段階でバラエティ制作部の部長・担当部長がそれぞれの担当番組の番組プレビューを行っています。ここで行き過ぎた表現がないか実際の映像をチェックし、問題があった場合は再度編集を行います。この荒編集・白完段階でのチェック作業は編成部の担当者も並行して行っており、バラエティ制作部内のチェックと共に二重に確認する体制をとっております。
最終的な放送用完成テープ(所謂完パケテープ)につきましては、MA戻し(整音した音声を完成テープに戻す作業)にプロデューサーが立ち会うなどの形で、最終チェックを行い、放送前に配布される完成テープのDVDコピーを、バラエティ制作部の上長が適宜内容確認する体制を取っております。

20130504

局名「タイトル挿入」

201%年%月%日 放送局:%%%%%%%%

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201%年%月%日「委員会の考え」

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審議の経過

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???の報告

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委員会からの再質問

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???の再報告

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