第86回 放送と人権等権利に関する委員会

第86回 – 2004年3月

「中学校教諭・懲戒処分修正裁決報道」

「国会・不規則発言編集問題」審理…など

「中学校教諭・懲戒処分修正裁決報道」

委員長が起草委員を指名し、ヒアリングに入る。

◆申立人側ヒアリング:出席者 申立人、および申立人代理人

まず、申立人が「事実と全く違うセクハラ教師を印象付けるために生贄的な構成にして貶めた放送であり、憤りを感じている」と述べ、ヒアリングに入った。

委員からの主な質問は以下のとおり。

  • 申立人側の主張が全く取り上げられなかった理由として局側は、申立人代理人が匿名を希望したので出さないほうが良いと思ったと言っているが、何故匿名を希望したのか。
  • 番組のどの部分が名誉毀損なのか
  • この番組で申立人が誰か判ってしまったか
  • 現在は復職しているのか
  • 停職6か月の裁決についてどう思っているか。
  • 教壇復帰が実現していないのは、この放送があったからか。等々。

最後に申立人代理人から「何故14日の放送の直前になって、10月10日に申立人に取材を申し込み、13日になって代理人弁護士に電話取材がきたのかについて、局からはいまだに説明が無い。説明責任を果たして欲しいと思う」との意見陳述があった。

◆被申立人側ヒアリング:出席者 北海道文化放送 報道局長、報道部長

冒頭、UHBが「事実経過で誤った点、申立人側の主張を最初の放送で十分伝えられなかった事などに対し、非常に残念に思う。しかし10月14日の放送は名誉毀損、人権・プライバシーを侵したとは思っていない。道教委、人事委にUHBが文書で働きかけをせよという要求は絶対のめない」と述べ、ヒアリングに入った。

委員からの主な質問は次のとおり。

  • ワイセツ教師をなくそうというキャンペーンの素材としてこの件を取り上げたことに問題があったのではないか。
  • 申立人側の主張が、取材には応じているが、全然放送されなかった。誤解と混乱があったからとのことだが、申立人側の主張を入れると番組が成り立たなくなったのか。
  • 制作日数はどのくらいか
  • 人事委の裁決を批判し、教育委員会の決定を支持するのが正しいという視点で作ったのか
  • 頬にキスはセクハラにも刑罰法規にも抵触しないなど人事委員会の裁決内容を報道したか。
  • コーナータイトルや最初の事例映像、それにキスというコメントなどでセクハラ的行為をしているという印象を視聴者に与えるとは考えなかったか。
  • 教育委員会の処分から人事委員会の裁決までの期間を間違えて放送したが、訂正が遅れた理由は何か。

ヒアリング終了後委員長から各委員に「ヒアリングの結果を踏まえて最終的なご意見を伺いたい」との要請があり、それぞれが意見を述べた。

以上の審理を踏まえ、起草委員に論点を整理してまとめて貰うことになった。

「国会・不規則発言編集問題」審理

最初に当該番組の問題個所と、テレビ朝日のお詫びのビデオを視聴したあと、事務局から論点整理の説明があった。

「編集」について、申立人は意図的捏造だと主張、テレビ朝日はあくまで思い違いによる誤りであった、オリジナルテープではなくダイジェスト保存版を基に編集したのが原因だと主張。

「謝罪」について、テレビ朝日はニュースステーションで藤井議員に反論の場を提供したのをはじめとして何度も丁寧にお詫びしており、さらに社内処分もしたと主張、一方申立人は「一方的な謝罪は納得出来ない」としている。

以上の説明の後審理を行った。そして起草委員を選出し4月の委員会でもう一度議論を行い、5月にヒアリングを行う予定とした。

苦情対応(2月)

◆人権関連の苦情〔19件〕

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名や連絡先 番組名などが明らかなもの)・・・8件
  • 人権一般の苦情 (人権関連だが、関係人・当事者ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・11件

◆その他、放送人権委員会への問い合わせなど・・・0件

事務局から業務報告会に提出する報告書内容の説明があり、続いて個別苦情の対応が報告された。

  • 幼稚園児インタビューに対する苦情
    前回委員会で検討した結論「もう少し話し合いの余地があるのではないか」との内容を双方に伝えた。しかし局側から「すでに誠意を持って交渉に当り、その結果謝罪文を受理してもらったと受け止めている」との返事が来た。申立人側からもその後動きが無いので見守ることにする。
  • ストーカー事件被害者のインタビューを顔出しで放送されたとの苦情
    愛知の女性からの苦情。警察官のストーカー行為の被害者が取材された際に「顔を出さないで下さい」とお願いしたにもかかわらず、顔出しで放送された。局側は「そのように聞いていない」としており話が食い違っている。両者の話し合いが行われたがまだ結論は出ていない。

以上につき放送人権委員会として「斡旋」としたいと事務局が提案、委員会はこれを了承した。

理事会報告

事務局から2回行われた理事会の内容が報告された。 2月の理事会では、藤井議員の案件を含む自民党からの2件の審理申立てについてのBPOの回答書をまとめ、理事長名で自民党幹事長宛てに出した。その後自民党からの動きは無い。

3月の理事会では、16年度のBPOの事業計画と予算、BPO規約と3委員会の運営規則の改訂、それに青少年委員会の委員の交代が議題だった。放送人権委員会の運営規則では、議決方法の改正が認められ4月1日から実施となった。しかし、他の提案部分についてはもう少し議論をしてということで継続審議となった。

その他

事務局内の異動について紹介があり、挨拶があった。また事務局から業務報告会の予定、当委員会の来年度の開催日はこれまで通り第三火曜日であること、青少年委員会が19日「子供向け番組に対する提言」を発表し会見するという予定が報告された。6時45分閉会。

以上