第197回

第197回–2024年7月

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』が審議入り

第197回放送倫理検証委員会は、7月12日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』で放送した人気漫画・アニメの商品に関する不正競争防止法違反容疑事件の密着取材の中で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表・謝罪した。委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求めて協議した結果、放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
6月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年7月12日(金)午後5時~午後6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、愛知県警が強制捜査をした人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品に関する不正競争防止法違反の被疑事案を取り上げた。2024年の5月になってテレビ東京は記者会見などで、この放送で「4人が逮捕された」ことは伝えたが、うち「3人が不起訴になった」ことは伝えなかったことを認めた。また放送に登場した会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送したが、番組側はこの事実を確認しておらず、会社側から「そういう事実はない」と指摘されたことも認めている。委員会は、テレビ東京から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したが、複数の問題点があるのではないかという意見が出された。そして放送倫理違反の疑いがあり、取材・編集の各段階について検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後、番組関係者らからヒアリング等を行う。なおこの番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 6月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

6月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、東京都知事選の放送をめぐって「特定の候補者の当選を目的とした放送があった」、「小池氏vs蓮舫氏」の対決に注目した報道については「あたかも二人しか立候補していないような放送ではないか」といった意見や、日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』をめぐる日本テレビの報告書について「故人の原作者に罪をなすりつけているようだ」といった意見に加えて、「インターネットの方にこそ多大な前科がある」とするSNSの問題点を指摘する意見があったことを事務局から報告。またクイズ番組で特定の商品に関する取り上げ方をめぐって「番組か広告かわかりづらい」といった視聴者意見についても報告した。

以上

第329回

第329回 – 2024年7月

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2024年7月16日(火)午後4時~午後6時半
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26・27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
今回の委員会では、起草準備委員会作成の論点と、ヒアリング時の申立人・被申立人への質問項目について議論した。今回の議論を踏まえた修正点等を起草委員が整理し、次回委員会で確定させる。

2.「警察密着番組に対する申立て」審理

申立ての対象となったのは、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』で、人気漫画・アニメのキャラクターを連想させる商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、警察の捜査の模様や2021年7月28日に執行された会社役員ら4人の逮捕場面などを放送した。
これに対し、番組で取り上げられた会社役員らは、番組の放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になっているにもかかわらず、その事実に言及せず、また「人気キャラクターに便乗して荒稼ぎ」「被害者面」「逆ギレ」といった過度なナレーションやテロップを付けて放送するなど、4人の名誉を著しく傷つけたなどとして申立てを行った。さらに、捜査員同士の会話や会議の様子は事後に撮影されたものであるのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組内で構成されており、視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱しているなどと主張している。
被申立人のテレビ東京は、不適切な放送内容が複数あったとして、お詫び放送やウェブサイトにお詫び文を掲載したほか、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を行った。さらに再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとしている。
申立人側は、お詫び放送等の対応に一定の評価をしているものの、警察署内での事後撮影をめぐる見解の相違やテレビ東京が番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、双方の交渉は不調に終わり、6月の委員会で審理入りすることが決まった。
今回の委員会では、被申立人であるテレビ東京から提出された答弁書の概要・ポイント等を担当調査役が説明し、委員からの質問等に対応した。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況等について説明した。

4. その他

事務局から来年1、2月を念頭に意見交換会の準備を進めていることを報告した。

以上

2024年7月12日

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』が審議入り

テレビ東京は2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、愛知県警が強制捜査した人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」の関連商品に関する不正競争防止法違反の疑いがある事案を取り上げた。2024年の5月になってテレビ東京は記者会見などで、この放送で「4人が逮捕された」ことは伝えたが、うち「3人が不起訴になった」ことは伝えなかったと認めている。また放送に登場した会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送したが、番組側はこの事実を確認しておらず、会社側から「そういう事実はない」と指摘されたことも認めている。委員会は、テレビ東京から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したが、複数の問題点があるのではないかという意見が出された。放送倫理違反の疑いがあり、取材・編集の各段階について検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後、番組関係者らからヒアリング等を行う。なおこの番組はBPO放送人権委員会でも審理入りが決まっている。

2024年6月に視聴者から寄せられた意見

2024年6月に視聴者から寄せられた意見

東京都知事選に関する報道に対してさまざまな意見が寄せられました。

2024年6月にBPOに寄せられた意見数は1,844件で、先月から166件増加しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 84.8% 電話 14.2% 郵便・FAX計 1.0%
男女別は、男性 59.7% 女性 23.2% 無回答 17.1%で、世代別では10代 1.2% 20代 8.6% 30代 20.0% 40代 21.5% 50代 22.4% 60代 14.9% 70歳以上 3.6%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。6月の個別送付先は38局で、意見総数は592件でした。放送全般に対する意見は180件で、その中から12件を選び、会員社すべてに送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

6月20日告示7月7日投開票の東京都知事選に関する報道に対して、候補の紹介のあり方や出演者のコメントなどを含めてさまざまな意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は29件、CMについては12件でした。

青少年に関する意見

6月中に青少年委員会に寄せられた意見は75件で、前月から15件増加しました。
今月は「要望・提言」が26件と最も多く、次いで「報道・情報」が18件、「表現・演出」が15件と続きました。

意見抜粋

番組全般

  • 選挙報道にあたっては、投票率を上げるために「選挙に行きましょう」「投票しましょう」という呼びかけをしてもよいのではないか。低投票率を嘆いて批判するだけでは改善しない。投票を促すようメディアが積極的に呼びかけてほしい。

  • 都知事選報道。特定の2人の一騎打ちの構図に仕立てた報道が多いように感じる。全員をまんべんなく紹介することは難しいかもしれないが、もう少し工夫ができないものだろうか。

  • 都知事選、ほとんどの番組は50人を超える候補者のうち特定の4人の紹介にとどまり、他の候補には触れていないと思う。ネットを見ればいいと言われるかもしれないが、テレビなどでももっと情報を提供してもよいのではないか。

  • スタジオの出演者が特定の候補者について何らかのコメントをする際には、公平性やバランスに配慮するなどの慎重さが求められるのではないかと感じた。

  • 殺害された高校生の顔写真を何度も繰り返し使用するのはなぜだろうか。加害者側よりも使用の頻度が高いと感じる。死者の名誉は守らなくてもよいのか疑問に感じるし、残された家族の気持ちを思うといたたまれない。

  • 分布を緑色と赤色で分ける図が使われていたが、色覚異常を持つ自分にとっては分かりにくい画面だった。図表などを画面で使う際には、通常の人とは色の見え方が違う人に対する配慮をしていただきたい。

  • 人気ドラマの再放送の一場面で、出演者だった元アイドルグループ5人の顔写真が黒塗りされていた。ひどい。メンバーを傷つけるだけでなく、他の出演者や関係者に対して失礼だと思う。いまだに忖度が続いているのか。

  • 原作者が死亡したドラマについて、当該放送局と出版社の調査結果が公表されたが、改めて第三者機関が検証を行う必要があると感じた。

  • 毎年恒例の大型チャリティー番組の放送決定が発表されたが、昨年明るみになった不祥事についてのお詫びを、番組出演者であるアナウンサーにさせたことについて、局は本当に反省しているのだろうかと違和感を覚えた。

  • インターネットで視聴者や聴取者と交流をすることが可能になった。放送は一方的に情報を伝達する媒体だが、オンライン上でコミュニティーをつくり、交流する場を設けて視聴者・聴取者との連携を図ると面白いと思う。間接的に制作に参加できることで番組に対する熱意や愛情、信頼関係が生まれるだろう。ビジネスとしても成立するのではないか。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • バラエティー番組のドッキリ企画で、放尿を模した行為をするのは非常に不快だった。子どもが模倣していじめをする可能性がある。いじめを助長するような放送はやめてほしい。

  • 報道番組の企画で入浴を特集し、小学生の男の子の尻に薄いぼかしを入れて放送した。女の子にやったら大騒ぎだが、男児相手なら問題なしとするのは男性軽視であり、「男なら見られてよい」との間違った認識を社会に広めてしまう。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 報道番組で、高齢者による交通事故で友だちがはねられるのを見た6歳女児にインタビューした。心のケアが必要な相手に事故の様子を尋ねるのは酷ではないか。トラウマになるのではないかと思う。

  • 報道情報番組で、公立高校に男女別学がある埼玉県で共学化の議論があることを特集。男子校への偏見が強く、番組では女子校の共学化には触れない。男女別学、共学双方のメリット、デメリットを議論しないので、別学が悪者にされた印象だ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、出演者の先輩芸人が後輩芸人に強く揶揄(やゆ)されたことに立腹して、後輩の髪の毛をつかんで引き倒した。後輩芸人が暴力を受ける様子はとてもかわいそうで不快だった。

【「言葉」に関する意見】

  • 「やばい」(の語源)は江戸時代の犯罪者の隠語だ。いまではだれもがどこでも使うが、かつては時代劇で極悪人が使うイメージがあって、普通の人が使う言葉ではなかった。テレビではせめて、CMやアナウンサーのコメントで連発するのは控えてほしい。

【「食べ物」に関する意見】

  • バラエティー番組で、トレーニング中の俳優や芸人の背中に熱々のおでんを置くドッキリがあった。やけどを負わせる気か。食べ物を粗末にして笑いを取ろうとするのはいかがなものか。

第269回

第269回-2024年6月25日

視聴者からの意見について…など

2024年6月25日、第269回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ、8人の委員全員が出席しました。
5月後半から6月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
6月の中高生モニター報告のテーマは「最近見たドラマについて」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年6月25日(火)午後4時00分~午後7時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、
佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

視聴者からの意見について

5月後半から6月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
別々のバラエティー番組に、出演者が「鼻フック」で約600キロの軽トラックを引っ張る企画と水をたたえた透明のバケツのなかで息止めの我慢比べをする企画があり、視聴者からそれぞれに批判的な意見が寄せられました。担当委員は「いずれの企画についても(視聴者が)不快感や嫌悪感を抱いたようだ。危険性を懸念する声が多かったが、(特殊な器具を使わないと子どもが)簡単には模倣できるものではないし、危険性についても(制作側が)きちんと計算しているように見受けられた」と報告しました。
夜の報道番組で、高齢者が運転する車に横断歩道ではねられた小学生と相前後して渡っていた6歳女児に、母親付き添いのうえで事故の状況をインタビューし放送したことに、「事故を間近で目撃した女児に話を聞くのは酷ではないか。トラウマになると思う」などの視聴者意見が寄せられました。担当委員は「インタビューの質問に一定の配慮はうかがえたが、事故を目撃した直後だと考えると、『記憶の想起』という懸念は避けられないと思う」と指摘しました。
ある委員は「この女児の発言があって、車が来ていることに気づいた子とそうでない子がいたことがわかった。保護者は『(横断歩道の信号が)青でも、車が突っ込んでくることがあるからね』と注意できるようになる。最低限の報道する意義は保たれていると思った」と述べました。また、「メディアスクラムにならないよう、現場の取材者たちが配慮したとみられる点はよかったと思う」との意見も出されました。
しかし、別の委員は「(事故捜査の必要から)警察が子どもを聴取することがある。(報道機関が子どもに直接取材しないで)警察が事故の経緯を発表すれば十分ではないだろうか」と述べました。この点について委員のひとりは「報道のための一次情報はすごく大事だ。警察を介して二次情報になって出てくるものは『加工』されている場合がある。一次情報の取材と、子どもの保護、とくにトラウマを防ぐこととのバランスを考えるのが大事なのだろうと思う」としました。
このほかには大きな議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

6月のテーマは「最近見たドラマについて」で、28人から合わせて20番組の報告がありました。視聴方法はリアルタイム6人、録画12人、見逃し配信8人、回答なしが2人でした。
「青少年へのおすすめ番組」では『テレビ朝日開局65周年記念 夜の巷を徘徊する 2時間特別編』(テレビ朝日)を最も多い8人が取り上げたほか、『ヴィランの言い分』(NHK Eテレ)、『一流料理人さん!休日食べる激うまメシ教えてください』(テレビ東京)、『ライオンのミライ☆モンスター』(フジテレビ)、『ももいろインフラ―Z』(TOKYO MX)に複数のモニターから感想が届いています。

◆モニター報告より◆

【最近見たドラマについて】

  • 『連続テレビ小説「虎に翼」』(NHK総合)
    主人公の猪爪寅子(伊藤沙莉)は生理(月のもの)が重く、それにより寝込むという描写があった。今まであまり触れられてこなかった話題なので驚いたが、共感でき嬉しくもあった。また声優を積極的に起用していてとても良いと思った。演技が上手で声も聞き取りやすく、感心するばかりである。(高校2年・女子・青森)

  • 『大河ドラマ「光る君へ」』(NHK総合)
    今回はCGの演出が特によかった。例えば二条の館が燃えているシーンでは、死ぬためにたたずむ藤原定子(高畑充希)のすぐ近くに炎があるような演出で、逃げるよう説得する清少納言(ファーストサマーウイカ)との会話に緊迫感を持たせ、さらに視聴者に臨場感を与えていた。また「枕草子」を読み上げたときは“春はあけぼの~”の場面では桜を、“夏は夜~”の場面では蛍の光を再現して情緒あふれるシーンを演出し、華やかな平安の都を描く『光る君へ』のテーマと一致しているように感じた。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『むこう岸』(NHK総合)
    「ヤングケアラー」という言葉は聞いたことがあるが、詳しくは知らなかったので勉強になった。人生は少しの気づきで変わることが分かった。ドラマの中で、ヤングケアラーは今どのくらいの割合でいるのかが知りたかった。(中学2年・女子・鳥取)

  • 『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)
    初回から見ていて短編小説も読んでいます。小説にある不気味さが映像でイメージ通りに演じられていて、制作者が多くの情熱を費やしているんだろうなと思っています。原作者や視聴者が納得できるドラマ作りの工程の難しさや問題点を考えると、時間とお金のバランスが大切なんだろうと家族で話しました。(中学2年・女子・東京)

  • 『正直不動産2』(NHK総合)
    主役だけでなく多くの脇役にもフォーカスを当てており、人それぞれの想いが分かりやすかったです。Z世代の十影健人(板垣瑞生)が正直営業やカスタマーファーストの影響を受け、徐々にお客様に寄り添い成長していく姿にとても感動しました。(高校2年・男子・山口)

  • 『アンチヒーロー』(TBSテレビ)
    • 元々法律に興味がありましたが、我々視聴者側に語りかける番組宣伝動画をYouTube上で見て「ドラマを見てみたい」という興味がわきました。明墨弁護士(長谷川博己)が検察側の不正を暴き、被告人の冤罪を証明していくのは痛快でおもしろかったです。(高校2年・男子・神奈川)
    • 野村萬斎の語りの演技は狂気を感じるものだった。また最後の結末により現実味を持たせるためか、最後の35分がノンストップだった構成はとても良かった。これによりスリルを感じることができた。暗い照明や言葉から怖さを感じる構成になっていた。(高校2年・女子・東京)
  • 『不適切にもほどがある!』(TBSテレビ)
    令和の時代のおかしな点に“昭和のおじさん”だからこそ気付ける、という点が「なるほど」と思えて新鮮でした。私たちが昭和の常識をおかしいと思うように、昭和からタイムスリップした人は令和の常識をおかしいと思う、と私自身考えたことがなかったので、ドラマを通して考えさせられました。深刻な話をしていてもいきなりミュージカルのように歌い出すので、笑いながら軽い気持ちで見ることができるのが良かったです。(中学3年・女子・神奈川)

  • 『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ)
    • 宣伝を見てもあまりそそられなかったのですが、見てみるととてもいいドラマだと気づきました。銀行関係のドラマは若者にとって魅力的でないことが多いので、PRの工夫が必要だと感じました。インサイダー取引が行われていたのですが、経済に興味のない人は専門用語で立ち止まってしまうと思います。専門用語を簡単で一般的な言葉に変えると、より多くの人がストーリーを理解して楽しめるのではないかと思います。(高校3年・女子・奈良)
    • 2015年版(主演・杏)と2024年版(主演・今田美桜)の各1話を見比べました。個人的に気になったのは花咲舞の人物紹介のところで、今作では先輩にミスを注意されたときに「お言葉を返すようですが」というセリフで言い返していたので、わがままで変な正義感を持っている人物のようになってしまってモヤっとしました。一方でとてもいいなと感動したのは、前作で花咲に寄り添う相馬健を演じていた上川隆也が、今作に叔父役でカムバックしたところです。前作で花咲の父役を演じた後に他界された大杉漣への細かい配慮だと思いました。昔からのファンを大切にしているドラマだと思いました。(高校3年・女子・熊本)
  • 『セクシー田中さん』(日本テレビ)
    リアルタイムで視聴していました。ストーリーが分かりやすく結末もはっきりとしていたので、面白く視聴しました。作品の展開の変更については、後から調べると確かに変わっている部分はあったと思いました。テレビ局側は視聴率が取れないと商売として成り立たないのは知っていますが、やはりストーリーについてのすり合わせをしっかりしないと今回のような悲惨な事態になってしまうと思います。しっかり意見共有をして制作してほしいです。(中学3年・男子・千葉)

  • 『特捜9 season7』(テレビ朝日)
    一話完結式なので、もし見られなかった回があっても次の回を見るのに支障がないところが気に入っています。最近の社会問題をテーマにした回ではいろいろなことが学べて考えさせられることが多い反面、間違った知識を取り上げたり誇張した表現をしたりしてしまうと、誤った認識や偏見が広まり、傷つく人が出てしまうのではないかと思いました。(高校1年・女子・愛知)

  • 『Destiny』(テレビ朝日)
    大学時代から35歳の大人までを演じる役者がすばらしいと思いました。最初は「この人が犯人だ」と確信していましたが、物語を進めていくうちにいろいろ考察することができ、多面的な見方をすることができました。ラブサスペンスドラマはこのようなところが見どころの1つだと改めて実感しました。(高校1年・女子・岐阜)

  • 『イップス』(フジテレビ)
    • 篠原涼子とバカリズムのテンポのはやい掛け合いが面白くて、一時間があっという間に過ぎてしまった。トリックの内容が割としっかりしていて、自分が化学で習った簡単な知識だけで理解できる点も面白いと思う。(高校3年・男子・埼玉)
    • 『古畑任三郎』(フジテレビ・1994年~)のように犯人や犯行の様子がはじめに描かれているので、刑事側が犯人にたどりつくまでの過程を見ることができ、通常のミステリードラマとひと味違って面白いです。また一話完結で犯人役に豪華俳優陣が出るので、どんなゲストが出るのか毎週楽しみです。いつもミステリー作家の黒羽ミコ(篠原涼子)が犯人にたどりついてしまうところが特に面白いです。(高校3年・女子・栃木)
  • 『ブルーモーメント』(フジテレビ)
    気象にとても関心があるので、知っている用語が作中に出てくると気持ちが高ぶった。また用語解説もあったので自分の解釈が合っているのか確かめられ、とても勉強になった。こういった専門的なドラマはもっと増えてほしい。(中学2年・女子・埼玉)

  • 『大奥』(フジテレビ)
    見はじめた理由は「歴史が好きだから」と「キャストの中に応援している人がいたから」でしたが、クライマックスに近づくにつれてどんどん面白くなりました。良かったポイントは「登場人物の繊細な心情や人物同士の距離感の変化」で、登場人物にたくさん共感しました。また衣装と装飾の美しさも際立っており、スタッフのこだわりを感じました。(中学3年・女子・長崎)

  • 『君が心をくれたから』(フジテレビ)
    主人公(永野芽郁)とその愛する男性(山田裕貴)の2人が自分の力を信じ、互いに支えあうことをあきらめない姿に元気をもらえた。また撮影場所が長崎で行ったことがある場所だったので、「これほど綺麗に撮れるのか!!」と撮影技術にも感心してしまった。(高校1年・男子・長崎)

  • 『おいハンサム!!2』(東海テレビ)
    ストーリー展開が全体的にゆったりとしていて私たちの日常に近く、ドラマでトラブルが起こると身近に感じられてより没頭してしまいました。お父さん(吉田鋼太郎)の愛のこもった説教は、毎回すべての人に響く言葉だったと思います。一つ残念な点として、シーズン1の方がストーリーは面白かったと思います。シーズン1では、三姉妹それぞれが複雑な恋愛事情や人間関係を抱えていましたが、シーズン2では環境保護などのSDGsにまつわる話題が含まれていました。SDGsはとても大切なトピックではありますが、私としては、姉妹の周りで起きる人間関係のもつれや、恋に悩みながらも家族の愛を受けて生き方を模索する姉妹の姿に魅力を感じていたので、ドラマにまで環境保護を推奨するメッセージを込めないでほしいと思いました。(中学3年・女子・東京)

  • 『アンメット ある脳外科医の日記』(関西テレビ放送)
    ドラマを見るのが初めてだったので60分見るのは大変でした。声が出ない演技やいら立ちをぶつける俳優の演技にはすごく引き込まれました。また手術が決まるシーンの音楽には緊迫感があって、これから手術が始まるんだと予告するような音楽でした。心に残る音楽はドラマには必要だと思いました。(中学1年・男子・山梨)

【自由記述】

  • 恋愛以外の高校生の学校生活を描いたドラマが見たい。(高校1年・男子・兵庫)

  • 最近のドラマは“記憶喪失する”話が多いと感じるので、昔のようにもっと感動したり笑ったりできるようなドラマを是非作ってほしいです。オリジナルの新しい物語が見たいです。(高校1年・女子・岐阜)

  • ドラマは内容に応じて放送時間帯が決まっているのだと思うが、たまに「夜9時に放送してよいのか」「小学生も起きているのでは」と感じることがある。(高校2年・女子・東京)

  • ドラマは連続するものが多いので人気タレントが出演すると多額の費用がかかる。人材育成も踏まえて新しいタレントを多く起用するのも良いと思う。(高校1年・男子・長崎)

  • ニュース番組に、季節の話題などを各地方の方言で伝えるコーナーがあったら地域性が出て良いと思う。(中学2年・女子・鳥取)

  • 最近のテレビ番組は表現を規制する動きが多すぎると思います。エンタメの表現を規制しすぎてしまうと更にテレビ離れが進んでしまうので、テレビの表現の自由を保護し尊重する動きが進んでほしいと切に思います。(中学3年・女子・東京)

  • 最近はTVerなどの見逃し配信やNetflixなどの有料配信アプリを使って番組を見ることが多く、前日に放送された番組を学校で話題にすることがなくなってきたと感じます。おすすめ番組を紹介したとしても「このアプリで見ることができるから見てほしい」となり、来週を楽しみにするという場面がなくなっています。リアルタイム視聴で一度見てしまえば終わりというより、「何度も見返したい」という気持ちから録画や見逃し配信を選択する人が増加しているのではないかと思います。(高校2年・女子・愛媛)

  • 水原一平氏の報道について。水原氏は確かに犯罪に手を染めたかもしれません。しかし彼にも人権があるはずで、プライベートな部分までメディアに取り上げられてしまうのはかわいそうだと思います。(高校2年・男子・神奈川)

  • 私の好きなバンドが、リリースした楽曲「コロンブス」のMVは文化的な背景に問題があったとして、それを削除しました。帰国子女の友達に聞いて、コロンブスは奴隷商人だったこと、またそれによってアメリカのコロンブス・デーが薄れてきていることを知りました。日本ではアメリカ大陸を発見した偉大な人と習っていたので、世界についてもっと学ばなければいけないと思いました。(高校3年・女子・奈良)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『テレビ朝日開局65周年記念 夜の巷を徘徊する 2時間特別編』(テレビ朝日)
    • ロケ感のない自然な感じに驚きました。話や場所がどんどん進まない感じが、独特で良いなと思いました。他にはないような番組だと思いました。(中学1年・女子・神奈川)
    • マツコ・デラックスが夜の宮島を観光していました。観光紹介は日中の映像が多いので景色が新鮮でした。突然お店やテレビ局を訪問していて、驚いたり興奮したりする人の反応が楽しいです。(中学2年・女子・秋田)
    • 普通の番組ではカットされてしまいそうな旅の中の小さな出来事も生かされていて、そういった編集されすぎていない感じが見ていて疲れず、落ち着いた気持ちで楽しむことができました。(中学3年・女子・東京)
  • 『ライオンのミライ☆モンスター』(フジテレビ)
    • 陸上1500mで、競技歴1年半でU-20世界選手権6位になったミライモンスターの澤田結弥さんを、田中希美選手と並べて「ミライモンスターとモンスター」と伝えていて、番組名も取り込んで上手だと思った。足の速さを分析していて、股関節の可動域が広く歩幅が大きいことが理由らしいので、自分も速く走りたい時には意識したい。(高校3年・男子・東京)
    • 出演者の経歴から実際のレースのシーンまで見られるのがいいと思います。序盤で分かりやすく端的に紹介するのは、視聴者を惹きつけ飽きさせない工夫だと思います。また同一分野の選手を連続して放送するところも、視聴者を離さない魅力だと思います。(高校3年・女子・熊本)
  • 『一流料理人さん!休日食べる激うまメシ教えてください』(テレビ東京)
    僕は番組の途中にCMが入るのが大嫌いなのでテレビはだいたい録画で見ますが、この番組は最初に本編が固まっていて一気に見られるところがいいと思いました。ずっと食事だけでは飽きてしまうので、チョコレートプラネットのトークなどをもっと増やすと飽きずに面白く見られると思います。(中学2年・男子・東京)

  • 『ABCドキュメンタリースペシャル 子どもが欲しい ~#精子提供 私たちの選択~』(朝日放送テレビ)
    自分の精子を提供するのはいけないことだと思いました。また、脅されて強制的に取られる可能性もあると思うので、気をつけたいです。(中学1年・男子・山形)

  • 『ももいろインフラ―Z』(TOKYO MX)
    • 渋谷の地下の貯水施設は実際目にしないし、こういう情報番組でしか知ることができなかったので良かったです。区行政がどういう仕事をしているのか考えもしなかったし知らなかったが、池袋駅利用者を取り込む豊島区の都市計画なども仕事だと知り、面白く感じました。(中学3年・男子・東京)
    • 渋谷に行ったことはありませんが、坂と谷の図面がとても分かりやすかったです。東京のインフラの紹介が中心ですが、47都道府県のインフラを紹介してくれると嬉しいです。(中学1年・男子・山梨)
  • 『第7回NAGASAKIブラス&マーチングフェスティバル』(長崎放送)
    主に中学生・高校生による演奏で、楽しんで見ることができた。上空から見た人の配置などが分かり、実物を見るのとはまた違った楽しみ方をすることができた。(高校1年・男子・長崎)

  • 『KICK OFF! KAGOSHIMA』(鹿児島放送)
    浅野哲也さんが鹿児島ユナイテッドFCの監督に8年ぶりに就任して、J2残留のため意識改革から始めていた。監督が代わるだけで選手たちの意識や練習が変わるので、監督の存在感と影響の大きさを感じた。試合で得点を取れずに終わっても選手たちが向上心を高く持ち続けていてカッコよかった。(中学1年・女子・鹿児島)

◆委員のコメント◆

【最近見たドラマについて】

  • 『連続テレビ小説「虎に翼」』(NHK総合)を視聴した高校2年生から「オープニングタイトルを番組のエンディングあたりに放送した回があり面白く感じた」という報告があった。いま学習の世界では、ある授業の構成が分かりやすいからといっていつも同じように教えると飽きられてしまうという理由から、意外な流れを持ってくるといった“ランダム性”が重視されている。番組制作でもマンネリ化を防ぐためにさまざまな変化球を投げると視聴者に刺さるのだなと思った。

  • 不動産営業や気象関連の仕事を扱うドラマの報告があったが、中学生の「職業体験」の授業などで関わる機会も多くないだろうから、ドラマのテーマとして興味深かっただろう。例えば実際の不動産営業の業務にはドロドロとしたシリアスな場面も多くあるが、ドラマでは笑いも含めた人間ドラマとして描かれていて、明るい気持ちで学ぶことができたのだと思う。このようなテーマの取り上げ方として、ドラマはとても面白いと思う。


【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『ももいろインフラ―Z』を視聴した中学3年生の報告に「渋谷の地下の貯水施設について知ることができてよかった」とあったが、社会インフラやテクニカルなことに興味があるのだと感じた。以前、青少年委員会の調査研究で地方の放送局にヒアリングをした際にも、中高生を対象にした放送局見学では、中継車など放送インフラに関する説明は人気だという声が多くあった。こういった分野に関心のある中高生は多いのだろうと思う。

今後の予定について

次回は7月23日に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。また8月1日に中高生モニターのうち高校生のモニターたちに都内に集まってもらい、委員との意見交換会(高校生モニター会議)を開催することになりました。

以上