第207回 放送と人権等権利に関する委員会

第207回 – 2014年3月

児童養護施設関連ドラマ
匿名インタビュー、モザイク処理の在り方…など

児童養護施設関連ドラマに対する申立書について、審理要件を満たしているかどうかなどを引き続き検討した。匿名インタビューやモザイク処理の在り方について、調査データの分析をもとに議論した。

議事の詳細

日時
2014年3月18日(火)午後4時~6時45分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、
曽我部委員、林委員 (欠席:小山委員、田中委員)

1.児童養護施設関連ドラマ

児童養護施設を舞台にした連続ドラマに対する申立書について、放送終了を受けて、委員会運営規則に照らして審理事案とする要件を満たしているかどうかなどを引き続き検討した。申立人の意向や局側との話し合いの状況を確認のうえ、次回委員会で改めて申立書の取り扱いを検討する。

2.「匿名インタビュー、モザイク処理の在り方」について

報道・情報番組における匿名インタビューやモザイク処理について、担当委員が事務局の調査データを詳細に分析して報告、各委員が意見を述べた。次回委員会で議論を継続する。

3.その他

  • 「宗教団体会員からの申立て」事案の委員会決定について当該局のテレビ東京で3月10日に研修会が開かれ、その概要を事務局が報告した。研修会には三宅弘委員長と起草担当の市川正司委員、田中里沙委員が出席、同社報道局・制作局・編成局等の社員・スタッフら92人が約3時間にわたって委員会決定の説明を受けて意見を交わした。

  • 1月30日に開催した鹿児島県内加盟放送局との意見交換会について、その模様を伝える地元局ニュース番組の同録DVDが追加で送られてきたため、それを視聴しながら事務局が改めて報告した。

  • 2014年度のBPOと事務局の体制について、事務局から報告があった。

  • 次回委員会は4月15日に開かれる。

以上

第206回 放送と人権等権利に関する委員会

第206回 – 2014年2月

大阪市長選関連報道事案の対応報告
児童養護施設関連ドラマ…など

「大阪市長選関連報道への申立て」事案で、朝日放送から提出された対応報告を改めて検討した。児童養護施設関連ドラマに対する申立書について、審理事案とする要件を満たしているかどうかなどを検討した。

議事の詳細

日時
2014年2月18日(火)午後4時~7時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、
小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.「大阪市長選関連報道への申立て」対応報告について

本事案で、「勧告」として「放送倫理上重大な問題あり」の決定を受けた朝日放送から提出された報告「放送人権委員会決定後の取り組みについて」(2013年12月24日付)を、前回の委員会に引き続いて検討した。
その結果、朝日放送が決定の通知を受けて発表した「広報コメント」の内容やその後の取り組み等に関する考えを委員会の「意見」として取りまとめ、民放連の「放送倫理・番組向上機構への対応に関する申し合わせ」(2003年6月19日付)に基いて、これを付して報告を公表することになった。(局の報告と委員会の意見はこちらから

2.児童養護施設関連ドラマ

児童養護施設を舞台にしたドラマに対する申立書について、委員会運営規則に照らして審理事案とする要件を満たしているかどうかなどを検討した。放送人権委員会としては、本ドラマについて審議入りするかどうか討論を続けていく青少年委員会の動きを見守りつつ、次回委員会で引き続き申立書の内容を検討する。

3.「匿名インタビュー、モザイク処理の在り方」

報道・情報番組における匿名インタビューやモザイク処理について、事務局が調査結果を報告し、それを踏まえて各委員が意見を述べた。調査結果をさらに分析し、次回委員会で議論を継続することになった。

4.その他

  • 1月21日に行われた「宗教団体会員からの申立て」事案の通知・公表について、「委員会決定」の内容を伝える当該局テレビ東京のニュース番組の同録DVDを視聴した。

  • 1月30日に開催した鹿児島県内加盟放送局との意見交換会について、その模様を伝える地元局のニュース番組の同録DVDを視聴しながら事務局が報告した。

  • 次回委員会は3月18日に開かれる。

以上

第205回 放送と人権等権利に関する委員会

第205回 – 2014年1月

宗教団体会員事案の通知・公表の報告
大阪市長選関連報道事案の対応報告書…など

「宗教団体会員からの申立て」事案の通知・公表の概要を事務局が報告した。「大阪市長選関連報道への申立て」事案で、朝日放送から提出された対応報告書について検討した。

議事の詳細

日時
2014年1月21日(火)午後4時~6時35分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、
小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.「宗教団体会員からの申立て」事案の通知・公表の報告

委員会に先立ってこの日行われた本事案に関する「委員会決定」の通知・公表の概要を事務局が口頭で報告した。【詳細はこちら

2.「大阪市長選関連報道への申立て」事案の対応報告書

本事案で「勧告」として「放送倫理上重大な問題あり」の決定を受けた朝日放送から、対応と取り組みをまとめた報告書(2013年12月24日付)が委員会に提出された。
報告内容について意見が出され、次回委員会でさらに検討のうえ対応を決めることになった。

3.「匿名インタビュー、モザイク処理の在り方」

報道・情報番組における匿名インタビューやモザイク処理について、事務局がまとめた各局のルールやガイドラインに関する資料(海外放送局を含む)を説明し、それもとに各委員が意見を述べた。事務局がさらに調査し、次回委員会で議論を継続することになった。

4.その他

次回委員会は2月18日に開かれる。

以上

第204回 放送と人権等権利に関する委員会

第204回 – 2013年12月

宗教団体会員事案の審理…など

「宗教団体会員からの申立て」事案について審理し、「委員会決定」修正案を了承し、本事案に関する「委員会決定」の通知・公表を2014年1月に行うことになった。

議事の詳細

日時
2013年12月17日(火)午後4時~6時45分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、
曽我部委員、田中委員、林委員

1.「宗教団体会員からの申立て」事案の審理

テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組『あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~』で、在家信者として紹介された男性が、公道で隠し撮影された容姿・姿態が放送されたほか、カウンセリングにおける会話や両親に宛てた手紙の内容が公にされるなどプライバシーを侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てたもの。
テレビ東京は、「公安調査庁の観察処分の対象となっている団体の実態を明らかにするには、私たちのとった取材手法以外に方法はなかった。編集に際しては、男性の映像や音声、写真には加工を施すなど人権の保護に配慮して放送し、問題はないと判断している」等と、反論している。
この日の委員会では、第4回起草委員会での検討を経た「委員会決定」案が示され、審理の結果、一部の文言を修正のうえ最終的に了承された。
「委員会決定」の通知・公表は2014年1月に行うことを決めた。

2.その他

  • 「大阪市長選関連報道への申立て」事案の委員会決定について当該局の朝日放送で11月26日に研修会が開かれ、その概要を事務局が報告した。三宅弘委員長と起草担当の曽我部真裕委員が出席し、報道局社員ら46人が2時間余にわたって決定内容の説明を受けて意見を交わした。

  • 次回委員会は2014年1月21日に開かれる。

以上

第203回 放送と人権等権利に関する委員会

第203回 – 2013年11月

フジテレビの対応報告書
宗教団体会員事案の審理・・・など

「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案で、フジテレビから提出された対応報告書を了承した。「宗教団体会員からの申立て」事案について審理し、「委員会決定」案をさらに検討した。

議事の詳細

日時
2013年11月19日(火)午後4時~6時25分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、
曽我部委員、田中委員、林委員

1.「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の対応報告書

2013年8月9日に通知・公表された「委員会決定第50号」に対し、フジテレビより局としての対応と取り組みをまとめた報告書が11月5日付で提出された。この日の委員会で報告書の内容が検討され、了承された。

2.「宗教団体会員からの申立て」事案の審理

テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組「あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~」で、番組で紹介された男性が、公道で盗撮された容姿・姿態が放送されたほか、カウンセリングにおける会話や両親に宛てた手紙の内容が公にされるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てたもの。
この日の委員会では、前回委員会と前週開かれた第3回起草委員会での議論を反映した「委員会決定」案について検討した。本件放送で申立人が特定されるかどうか、プライバシー侵害と番組の公共性・公益性との関係などについて各委員が意見を述べ、委員会決定の方向性を煮詰めた。
次回委員会でさらに審理を進める。

3.その他

  • 次回委員会は12月17日に開かれる。
  • 県単位の意見交換会を2014年1月30日に鹿児島で開催する。

以上

第202回 放送と人権等権利に関する委員会

第202回 – 2013年10月

大阪市長選関連報道事案の通知・公表の報告
宗教団体会員事案の審理・・・など

10月1日に行われた「大阪市長選関連報道への申立て」事案に関する「委員会決定」の通知・公表について、事務局から報告した。「宗教団体会員からの申立て」事案について審理し、「委員会決定」案をさらに検討した。

議事の詳細

日時
2013年10月15日(火)午後4時~6時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.「大阪市長選関連報道への申立て」事案の通知・公表

10月1日に行われた本事案の「委員会決定」の通知・公表について、事務局が概要を報告した。当該局の朝日放送から放送対応の報告があり、決定を伝えるニュース番組の同録DVDを視聴した。決定は「本決定の主旨を放送する」ように求めているが、委員から「裏付け取材がなかったという重要な指摘を、他社は伝えているのに当事者として何ら触れず、自社のコメントを延々述べている」「いい放送を出したが、表現方法だけ問題だったとすり替えている」「決定の主旨は分かっていると思うが、なぜこういう放送がされたのか」などの発言があった。
朝日放送からは改善策を含めた取り組み状況が3か月以内に報告されることになっており、委員会は今回の放送対応を踏まえて報告の内容を検討することになった。【詳細はこちら

2.「宗教団体会員からの申立て」事案の審理

テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組『あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~』で、番組で紹介された男性が、公道で盗撮された容姿・姿態が放送されたほか、カウンセリングにおける会話や両親に宛てた手紙の内容が公にされるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てたもの。
この日の委員会では前回委員会の議論を反映した新たな「委員会決定」案について、プライバシーの侵害と公共性・公益性との関連、放送倫理上の問題としてどうとらえるか、などについて議論を深めた。
次回委員会で、さらに審理を進める。

3.その他

次回委員会は11月19日に開かれる。

以上

第201回 放送と人権等権利に関する委員会

第201回 – 2013年9月

宗教団体会員事案の審理
大阪市長選関連報道事案の審理…など

「宗教団体会員からの申立て」事案について審理し、「委員会決定」案を検討した。「大阪市長選関連報道への申立て」事案の「委員会決定」修正案を了承し、本事案に関する「委員会決定」の通知・公表を10月1日に行うことになった。

議事の詳細

日時
2013年9月17日(火)午後4時~8時05分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.「宗教団体会員からの申立て」事案の審理

テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組『あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~』で、番組で紹介された男性が、公道で盗撮された容姿・姿態が放送されたほか、カウンセリングにおける会話や両親に宛てた手紙の内容が公にされるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てたもの。
この日の委員会では、双方から提出された書面や前回委員会でのヒアリングの結果をもとに担当委員が起草した「委員会決定」案が提出され、各委員が意見を述べた。本件放送による「プライバシーの侵害」はあったか、具体的な被害はあったか、公共性・公益性をどう考えるか、放送倫理上の問題はあったかなどについて意見交換した。
次回委員会で、さらに審理を進める。

2.「大阪市長選関連報道への申立て」事案の審理

朝日放送が2012年2月の『ABCニュース』(午前11時台)で放送した「大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で『現職市長の支援に協力しなければ、不利益がある』と、職員を脅すように指示していた疑いが独自の取材で明らかになりました」というリードで始まるニュースについて、交通労組と組合員が事実と異なる報道によって名誉や信用を毀損されたとして謝罪等を求めて申し立てた事案。独自にリストを入手した朝日放送の「スクープ」報道だったが、その後リストは内部告発者によるねつ造だったことが分かった。朝日放送は「疑惑が出たこと自体視聴者に知らせるべきニュースであり、弊社を含むすべての報道機関が第一報として報道している。労組が関与していなかったことは続報で明らかにしている」等と主張している。
委員会では、第3回起草委員会での検討を経た「委員会決定」の修正案が示され、審理の結果、一部の文言を修正のうえ最終的に了承した。「委員会決定」の通知・公表は
10月1日(火)に行うことを決めた。

3.その他

次回委員会は10月15日(火)に開かれることとなった。

以上

第200回 放送と人権等権利に関する委員会

第200回 – 2013年8月

宗教団体会員事案のヒアリングと審理
大津いじめ事件報道事案の通知・公表の報告・・・など

「宗教団体会員からの申立て」事案のヒアリングが行われ、申立人、被申立人から詳しく事情を聞いた。8月9日に行われた「大津いじめ事件報道への申立て」事案に関する「委員会決定」の通知・公表について、事務局から報告した。

議事の詳細

日時
2013年8月20日(火)午後3時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、曽我部委員、田中委員、林委員(大石委員、小山委員は欠席)

1.「宗教団体会員からの申立て」事案のヒアリングと審理

テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組「あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~」において、番組で紹介された男性が、公道で盗撮された容姿・姿態が放送されるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てた事案。
この日の委員会では、申立人、被申立人双方からそれぞれヒアリングを行った。
この中で申立人は、「個人情報を無断で放送したこと、とりわけ両親あての直筆の手紙やカウンセリングの隠し撮りを無断で放送したことは私のプライバシーを完全に踏みにじるものであり、重大な人権侵害だ」と主張した。学生時代のサークルの仲間と一緒に写っている写真が使われことについても、人権侵害であると訴えた。また、被申立人がアレフへの団体規制法などを理由に今回の放送の公共性・公益性を主張していることについては、「アレフの団体活動と私、個人の私生活は全く別物」などと反論した。
被申立人は報道責任者や番組担当者ら4人が出席し、「ビデオテープを編集する際にもプライバシーが侵されることがないか、ボカシを入れるなど映像の加工も加えながら個人が特定されないよう最大限の配慮をした」と強調。また「(写真を使ったのは)ごく普通の学生生活を送る普通の若者が入信していくということを表現したいと考えた。今この日本の中で何が起きているか、この事実を報道することに非常に社会的意義があって、公益性があると考えこの番組を制作した」などと、放送に至る経緯や目的を説明した。
ヒアリング後も審理を行い、担当委員が「委員会決定」文の起草作業に入ることになった。
その上で、次回委員会でさらに審理を進める。

2.「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の通知・公表の報告

8月9日に行われた本事案に関する「委員会決定」の通知・公表について、事務局がまとめた資料をもとに報告した。また、当該局であるフジテレビが決定について報じた当日の番組同録DVDを視聴した。 【詳細はこちら

3.「大阪市長選関連報道への申立て」事案の審理

朝日放送が2012年2月の『ABCニュース』(午前11時台)において、「大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で『現職市長の支援に協力しなければ、不利益がある』と、職員を脅すように指示していた疑いが独自の取材で明らかになりました」とのリードで伝えたニュースについて、交通労組と組合員が事実と異なる報道によって名誉や信用を毀損されたとして謝罪等を求めて申し立てた事案。内部告発者から大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれたリストに基づく「スクープ」報道だったが、その後リストは内部告発者によるねつ造だったことが分かった。朝日放送は「疑惑が出たこと自体視聴者に知らせるべきニュースであり、弊社を含むすべての報道機関が第一報として報道している。労組が関与していなかったことは続報で明らかにしている」等と主張している。
委員会では、第2回起草委員会での検討を経た「委員会決定」の修正案が示され、担当委員の説明をもとに審理した。結論の方向を確認しつつ記述等を議論したが、引き続き次回の委員会で審理することになった。

4.その他

次回委員会は9月17日(火)に開かれることとなった。

以上

第199回 放送と人権等権利に関する委員会

第199回 – 2013年7月

大津いじめ事件報道事案の審理
大阪市長選関連報道事案の審理…など

「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の「委員会決定」案を了承し、本事案の決定に関する通知・公表を8月9日(金)に行うことになった。「大阪市長選関連報道への申立て」事案の審理を行い、「委員会決定」案について検討した。

議事の詳細

日時
2013年7月16日(火)午後4時~8時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の審理

フジテレビが2012年7月5日と6日の『スーパーニュース』において、大津市でいじめを受けて自殺したとして中学生の両親が起こした民事訴訟の口頭弁論を前に、原告側準備書面としてその内容を報道した。この中で加害者として民事訴訟を起こされている少年の実名部分にモザイク処理の施されていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画像がインターネット上に流出したとして、少年と母親が放送によるプライバシーの侵害を訴え、申し立てた事案。
この日の委員会では、「委員会決定」の修正案を検討した。事務局が本文を読み上げながら内容を確認し、一部文章、字句の追加・修正を行うことで、最終的に決定案を了承した。
これにより、本事案の「委員会決定」に関する通知と公表が8月9日(金)に行われることになった。

2.「大阪市長選関連報道への申立て」事案の審理

朝日放送が2012年2月の『ABCニュース』(午前11時台)において、「大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で現職市長の支援に協力しなければ、不利益があると職員を脅すように指示していた疑いが、独自の取材で明らかになりました」との前説で伝えたニュースについて、交通労組と組合員が事実と異なる報道によって名誉や信用を毀損されたとして謝罪等を求めて申し立てた事案。内部告発者から大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれたリストに基づくスクープ報道だったが、その後リストは内部告発者によるねつ造だったことが分かった。朝日放送は「疑惑が出たこと自体視聴者に知らせるべきニュースであり、弊社を含むすべての報道機関が第一報として報道している。労組が関与していなかったことは続報で明らかにしている」等と主張している。
今月の委員会では、前回委員会でのヒアリングとその後の起草委員会をふまえて「委員会決定」案が示され、委員会の判断と結論に向けて話し合った。本件放送やねつ造の事実を伝えた続報と申立人の社会的評価の関係等について議論を行い、起草委員会で再度決定案を検討して次回の委員会に諮ることになった。

3.「宗教団体会員からの申立て」事案の審理

テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組「あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~」において、番組で紹介された男性が、個人情報を公表されたうえ、何の断りもなく公道で盗撮された容姿・姿態が放送されるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てた事案。
この日の委員会では、起草担当委員から論点およびヒアリングに向けた質問項目案が提示され、各委員の了承を得た。
次回委員会では申立人・被申立人から直接ヒアリングを行う。

4.その他

次回委員会は8月20日(火)に開かれることとなった。

以上

第198回 放送と人権等権利に関する委員会

第198回 – 2013年6月

大阪市長選関連報道事案のヒアリングと審理
大津いじめ事件報道事案の審理…など

「大阪市長選関連報道への申立て」事案のヒアリングが行われ、申立人、被申立人から詳しく事情を聞いた。「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の審理を行い、「委員会決定」案について検討した。

議事の詳細

日時
2013年6月18日(火)午後3時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、曽我部委員、田中委員(林委員は欠席)

1.「大阪市長選関連報道への申立て」事案のヒアリングと審理

本事案は、朝日放送が2012年2月の『ABCニュース』(午前11時台)において、「大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で現職市長の支援に協力しなければ、不利益があると職員を脅すように指示していた疑いが、独自の取材で明らかになりました」との前説で伝えたニュースについて、交通労組と組合員が事実と異なる報道によって名誉や信用を毀損されたとして謝罪等を求めて申し立てたもの。内部告発者から大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれたリストに基づくスクープ報道だったが、その後リストは内部告発者によるねつ造だったことが分かった。
今月の委員会ではヒアリングを行い、申立人側は労組役員と組合員、被申立人の朝日放送は報道責任者ら3人が出席し、個別に話を聞いた。
労組側は「組織の社会的信用を貶められ、組合員個人の名誉が傷つけられ、実質的にも精神的にも大きな損害を被った。朝日放送の報道の3日前に、ある局がリストが本物かどうか取材に来たが、労組が作成したものでない旨伝えると、報道しなかった。朝日放送はリストをねつ造した内部告発者の情報を盲信し、私たちに一切確認することなくスクープとしてねつ造者のインタビューを放送し、『やくざといってもいいくらいの団体』と表現した。報道の役割、影響力を理解せず、報道される関係者へのフェアネスを考えない杜撰な報道をしたと言わざるをえない」等述べた。
朝日放送は「リストが真実と決め付けていなかったが、選挙の公平、公正に関わる重要な問題であり、疑惑が明らかになった段階で報道するのが責務と考える。報道は市議がリストを入手し本物かどうか市の幹部に問い質した動きを伝えたもので、真実である。労組への取材努力はしたが、時間的に間に合わず、午後改めて委員長を取材して夕方のニュースで伝えた。『やくざ』の発言は、あくまで内部告発者が証言した印象の比喩的表現を引用して使った。経緯を逐一取材報道し最終的にリストがねつ造だったこともきちんと報道しているので、訂正、謝罪の必要はないと考える」等述べた。
ヒアリング後審理を続行し、担当委員が決定文の起草作業に入ることになった。

2.「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の審理

本事案は、フジテレビが2012年7月5日と6日の『スーパーニュース』において、大津市でいじめを受けて自殺した中学生の両親が起した民事訴訟の口頭弁論を前に、原告側準備書面の内容を報道した際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理の施されていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画像がインターネット上に流出したとして、少年と母親が放送によるプライバシーの侵害を訴え、申し立てたもの。
この日の委員会では、「委員会決定」案の検討に入った。決定文のポイントについて起草委員が説明した後、各委員が意見を述べた。次回委員会でさらに審理を重ねることになった。

3.「宗教団体会員からの申立て」事案の審理

本事案は、テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組「あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~」において、番組で紹介された男性が、個人情報を公表されたうえ、何の断りもなく公道で盗撮された容姿・姿態が放送されるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てたもの。
申立人から「答弁書」に対する「反論書」が、被申立人から「反論書」に対する「再答弁書」が提出され、双方の書面が出そろった。
この日の委員会では、事務局が双方の主張を整理して説明、それを受けて主な論点について議論を交わした。次回委員会では論点の整理とヒアリングに向けた質問項目の検討をすることとなった。

4.その他

次回委員会は7月16日(火)に開かれることとなった。

以上

第197回 放送と人権等権利に関する委員会

第197回 – 2013年5月

大津いじめ事件報道事案のヒアリングと審理
大阪市長選関連報道事案の審理・・・など。

「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案のヒアリングが行われ、申立人、被申立人から詳しく事情を聞いた。「大阪市長選関連報道への申立て」事案の審理を行い、ヒアリングに向けて論点と質問事項について検討した。

議事の詳細

日時
2013年5月21日(火)午後3時~7時5分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案のヒアリングと審理

本事案は、フジテレビが2012年7月5日と6日の『スーパーニュース』において、大津市でいじめを受けて自殺した中学生の両親が起した民事訴訟の口頭弁論を前に、原告側準備書面の内容を報道した際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理の施されていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画像がインターネット上に流出したとして、少年と母親が放送によるプライバシーの侵害を訴え、申し立てたもの。
この日の委員会では、申立人、被申立人から個別にヒアリングを行い、詳しく事情を聞いた。
ヒアリング後も審理が行われた。

2.「大阪市長選関連報道への申立て」事案の審理

本事案は、朝日放送が2012年2月の『ABCニュース』(午前11時台)において、「大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で現職市長の支援に協力しなければ、不利益があると職員を脅すように指示していた疑いが、独自の取材で明らかになりました」との前説で伝えたニュースについて、交通労組と組合員が名誉や信用を毀損されたとして謝罪等を求めて申し立てたもの。大阪維新の会の市議会議員に内部告発者から持ち込まれたリストに基づくスクープ報道だったが、その後リストは内部告発者自身によるねつ造だったことが分かった。
朝日放送は「疑惑が出たこと自体視聴者に知らせるべきニュースであり、弊社を含むすべての報道機関が第一報として報道している。労組が関与していなかったことは続報で明らかにしている」等と主張している。
今月の委員会では、ヒアリングに向けて担当委員が作成した論点と質問事項について検討した。その結果、若干の修正をしたうえで次回6月の委員会で申立人と朝日放送にヒアリングを実施することを決めた。

3.「宗教団体会員からの申立て」事案の審理

本事案は、テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組「あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~」において、番組で紹介された男性が、個人情報を公表されたうえ、何の断りもなく公道で盗撮された容姿・姿態が放送されるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てたもの。
この日の委員会では、これまでに提出された文書を基に事務局から双方の主張の概要を説明した。本格的な議論は書面がすべて出そろう次回以降に行うこととなった。

4.その他

 1.放送人権委員会委員と関西地区BPO加盟放送事業者との意見交換会が、10月29日に開かれることが決まった。
 2.次回委員会は6月18日(火)に開かれることとなった。

以上

第196回 放送と人権等権利に関する委員会

第196回 – 2013年4月

「イレッサ報道」事案と「国家試験」事案に関する「委員会決定」の通知・公表の報告
審理要請案件「宗教団体会員からの申立て」審理入り決定…など。

3月末に相次いで行われた「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」事案と「国家試験の元試験委員からの申立て」事案に関する「委員会決定」の通知・公表について、それぞれ事務局から報告した。審理要請案件「宗教団体会員からの申立て」について、審理入りが決まった。

議事の詳細

日時
2013年4月16日(火)午後3時~5時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」事案の通知・公表の報告

3月28日に行われた本事案に関する「委員会決定」の通知・公表について、事務局がまとめた資料をもとに報告した。また、当該局であるフジテレビが決定について報じた当日の番組同録DVDを視聴した。
これに先立ち、通知は3月28日午後1時から千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。三宅委員長、起草委員の山田委員、市川委員、田中委員、少数意見を執筆した林委員の5人が出席し、申立人側は申立人本人と代理人弁護士3人、被申立人は報道局専任局次長ら4人が同席した。
三宅委員長が決定文の要所、要所を読み上げる形で委員会の判断を示し、「本件放送には、法的な意味での名誉毀損・人格権侵害はなかったとともに放送倫理上問題があるとまではいえない」との結論に至ったと述べた。しかしながら、申立人を含む番組中の登場人物の対比のさせ方やコメントの使い方などについて、視聴者の誤解を招きかねない点があるなど放送の一部に配慮不足があったと認められること、また、申立人である取材対象者の思いを軽視して長年の信頼関係を喪失したことにつき、「十分に反省し、事前の取材・企画意図の説明や番組の構成・表現等の問題について再度検討を加え、今後の番組作りに生かすことを強く要望する」と述べた。また、本決定には、この多数意見と結論を異にし、「放送倫理上問題がある」とする2名の委員の少数意見も付記されていることを伝えた。
続いて申立人は、「国が認めた薬である以上、効く人がいるのは当たり前だ。にもかかわらず、これだけ多くの人々が亡くなっている。これをどのように改革していくかということが重要だと思い、私は申立てを行った」と述べた。被申立人は、「指摘された点を真摯に受け止め、よりよい報道ができるよう努力していきたい」と述べた。
その後、改めて個別に感想などを聞いた。申立人側は、代理人が「少数意見も付けていただいたので、これを今後の活動に活かしていきたい」と述べた。また、被申立人側は、「まだ十分に読み込んでいないが、指摘された点は、今後、ニュース報道の中で意識していきたい。また、読み込んだ上で意見があれば申し上げたい」と述べた。
この後、午後2時から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には17社39人が出席し、テレビカメラ6台が入った。初めに三宅委員長が決定の主要部分を紹介し、続いて起草に携わった委員が一言ずつ述べた。市川委員は判断のポイントとなった2点について説明した。1点目の申立人の娘と番組に登場した肺がん患者を、前提条件を詳しく説明しないまま対立的に描いた点については、視聴者に誤解を与える可能性はあるが、限られた時間内という条件等を考えると放送倫理上問題があるとまではいえないと判断したこと、2点目の申立人と局との関係については、多数意見は放送倫理上問題はないと判断したが要望は付けたことを述べた。山田委員は、委員会はあくまでも放送された番組から判断するのでこのような結論になっているが、放送に至る過程において報道機関にとって重要な被取材者との信頼関係の喪失という事態を招いたことを重く受け止めて欲しい旨述べた。田中委員は、「申立人が最も大事にしている主張があまり重視されていない点が残念だった。お互いに議論して理解し合い、確認し合う作業が必要だ」と述べた。続いて少数意見を執筆した林委員が、「放送倫理上問題あり」と、多数意見とは異なる結論を下した理由を説明した。林委員は、「判断の理由は多数意見とほとんど同じであるが、結論が異なったのは、放送倫理の定義の仕方が異なるからだろう。問題提起の意味もあって、『取材対象者への誠実さ』『取材対象者との了解志向性の有無』『コメントの使い方、および放送全体の文脈から生まれるその印象の妥当性』の3点から放送倫理を定義し、結論を出した」と述べた。
記者との質疑では2、3の質問が出た。「放送倫理上問題があるとまではいえない」という表現と「放送倫理上問題がない」という表現が混在していることについての質問には、三宅委員長が「微妙にニュアンスが違うので表現を変えた。我々の悩みの表れとも言える」と答えた。また、要望に至る経緯が難しくてわかりにくいとの声に対しては、三宅委員長が「そもそも事案が複雑で、映像なしで理解するのは難しい。『取材対象者に対し、常に誠実な姿勢を保つ』ということをどう考えるかによって、多数意見と少数意見は分かれた。多数意見は『編集の自由』ということを考えると、放送倫理上問題があるとはストレートには言いにくいと判断した」と答えた。起草主査を務めた山田委員がそれを補足して、決定文の構成に沿って判断のポイントと結論を説明した。最後に「被取材者との信頼関係の喪失」と表現された事態についての具体的な説明を求める質問があり、山田委員が回答して、会見は終了した。

2.「国家試験の元試験委員からの申立て」事案の通知・公表の報告

3月29日に行われた本事案に関する「委員会決定」と通知・公表について、事務局がまとめた資料をもとに報告した。また、当該局であるTBSテレビが決定について報じた当日の番組同録DVDを視聴した。
通知は3月29日午後2時からBPO会議室で行われ、三宅委員長、坂井委員長代行、林委員が出席し、申立人とその代理人、被申立人のTBSテレビからは番組プロデューサーら3人が同席して行われた。
決定は「見解」として、名誉毀損・信用毀損には当たらず放送倫理上の問題があったとはいえないと判断したが、表現内容等について再検討し今後の番組作りに生かすよう要望した。なお、本決定には放送倫理上問題があったとする少数意見が付記された。
三宅委員長が、決定文をポイントに沿って読み上げ、少数意見についても説明した。決定を受けた申立人は「私としては、BPOの判断を信頼して申し立てたので、判断は率直に受け止めたい」と述べた。TBS側は「少数意見についてはしっかり精査させていただきたい」と述べた。
このあと、申立人、TBS側と個別に意見交換を行った。
TBS側に対して坂井委員長代行は「今回の試験委員の方はこの問題では公人だろうが、高級官僚や政治家のように権力を持った方ではないことも考慮すべきだったと思う。権力者を相手にしたときは、かなりきっちり事実関係を押さえた上でみんなが納得できるように批判したほうが、批判が力を持つし反撃を受ける隙がなくなるだろうと個人的には思う。そういう主旨で少数意見を書いたことをご理解いただきたい」と述べた。
また、林委員は「申立人の映像をスローモーションをかけて使ったりしている点は、多数意見で放送倫理上問題なしとはしましたが、視聴者としては非常に気になったところで、必要のないような映像の使い方は検討していただきたい」と述べた。
その後午後3時からBPOに近い都市センターの会議室で記者会見を行い、「委員会決定」を公表した。18社が取材した。
三宅委員長が決定文を説明、坂井委員長代行が少数意見を説明した。
記者から「多数意見が結論なのに、少数意見が強調されている感じがする」という質問がでた。三宅委員長は「多数意見と少数意見で対立する点はあるが、問題点の把握というレベルではほぼ同じである。ただし、最後のところで公人であれば一般人よりも受忍する幅が広いだろうと判断し、放送倫理上問題ありとまではいかないだろうというのが多数意見である。そのポイントは何かといえば、申立人は国家試験の試験委員であり試験委員会副委員長という立場で、一般私人とはかなり違うという点で判断の違いが出てきたと思う。ただし、番組の作りからすると、少数意見でかなり強調されている点については、多数意見でもやはり全般的に要望しておかなければいけないという判断、認識はあった。公人に関する放送だから倫理違反にはならなかったが、一般私人の放送であった場合は、かなり状況が変わったというニュアンスもあるので、こういう意見は考慮して欲しいということを多数意見の中に書いた」と述べた。
三宅委員長はさらに質問に答え「我々が扱う放送倫理の問題は非常に微妙である。名誉毀損にはならない場合も放送倫理を委員会は考えるが、その放送倫理のとらえ方が微妙なケースが多く、このケースは本当に微妙なケースだったと思う。今回はもうひとつ公人というファクターがあり、公人だと甘受しなければならない範囲がどこまでかという問題がある。非常に微妙で悩ましい案件だったので、多数意見と少数意見に分かれたと思う」と述べた。
坂井委員長代行は、委員長の発言を補足するとして「少数意見は、試験問題の漏えいなどの事実の摘示があったとは認められないから名誉毀損は成立しないが、視聴者にそういう事実が放送されたとの印象を与える部分が存在すると判断した。事実摘示があったとまではいえないが、それに近い印象を与えたことは、放送倫理基本綱領や日本民間放送連盟の放送基準に照らすと、放送倫理上問題だと判断した。公人の職務に関する報道という点では少数意見も同じだが、やっぱり限度を超えてはダメです。事実摘示とほぼスレスレのことをやって誤った印象を与えたということで、放送倫理上問題があったという結論になった」と述べた。

3.大津いじめ事件報道への申立て事案の審理

本事案は、フジテレビが2012年7月5日と6日の『スーパーニュース』において、大津市でいじめを受けて自殺した中学生の両親が起した民事訴訟の口頭弁論を前に、原告側準備書面の内容を報道した際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理の施されていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画像がインターネット上に流出したとして、少年と母親が放送によるプライバシーの侵害を訴え、局に謝罪等を求めて申し立てたもの。この日の委員会では、双方の主張を確認し、起草委員がまとめた本事案の論点について各委員が意見を述べるなど議論を深めた。次回も審理を続行する。

4.大阪市長選関連報道への申立て事案の審理

本事案は、朝日放送が2012年2月6日の『ABCニュース』(午前11時台)において、「大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で現職市長の支援に協力しなければ、不利益があると職員を脅すよう指示していた疑いが独自取材で明らかになりました」との前説で伝えたニュースについて、交通労組と組合員が名誉や信用を毀損されたとして謝罪等を求めて申し立てたもの。内部告発者から入手したというリストをもとにしたスクープ報道だったが、その後リストは内部告発者自身がねつ造したことが分かった。
朝日放送は「疑惑が出たこと自体視聴者に知らせるべきニュースであり、弊社を含むすべての報道機関が第一報として報道している。労組が関与していなかったことは続報で明らかにしている」等と主張している。
今月の委員会では双方から提出された書面等をもとに、放送内容に名誉毀損が認められるかどうか、裏付け取材は十分だったのかどうか議論した。また、朝日放送がその後の一連の報道において、リストがねつ造で労組の関与がなかったと報じていることを、本件申立てとの関係でどう判断するかについても意見を交わした。
次回委員会も審理を続ける。

5.審理要請案件「宗教団体会員からの申立て」~審理入り決定

放送人権委員会は4月16日の第196回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組はテレビ東京が2012年12月30日に放送した『あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~』。番組は、オウム真理教の後継団体アレフが「麻原回帰」を鮮明にし、新たな信者獲得に動く中、なぜ多くの若者が入信するのかを主なテーマに、元最高幹部のインタビューや現役信者や家族らを取材した映像等を中心に放送した。
この放送に対し、番組で紹介された男性が、個人情報を公開されたうえ、「何の断りもなく、公道で盗撮された私の容貌・姿態を放送され、自宅アパートの所在・外観を特定可能なかたちで放送され、容易に判別可能な顔写真数枚を放送された」等と抗議する文書をテレビ東京に送ったうえで、20日以上回答がなかったため、プライパシーの侵害を訴える申立書を委員会に提出した。また男性はテレビ東京に対し、番組を制作、放送したことについて、非を認めて直接謝罪し、番組を二度と放送しないと誓約するよう求めた。
これに対しテレビ東京は、「番組はオウム真理教の後継団体アレフの現状を伝えることなどを目的とした公益にかなうもので、取材も両親などから承諾を得てすすめている」として、申立人の求めには応じかねると回答。このため男性は、「当事者間の解決は極めて困難だと思われる」として最終的に委員会の審理に委ねる文書を提出した。
テレビ東京はその後委員会に提出した「見解」書面で、「公安調査庁の観察処分の対象となっている団体の実態を明らかにするには、私たちのとった取材手法以外に方法はなかった。編集に際しては、男性の映像や音声、写真には加工を施すなど人権の保護に配慮して放送し、問題はないと判断している」等と、反論している。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

6.その他

次回委員会は5月21日(火)に開かれることとなった。

以上