第326回

第326回 – 2024年4月

審理要請案件「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」…など

議事の詳細

日時
2024年4月16日(火) 午後4時 ~ 午後6時半
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.2024年度新任委員あいさつ

2024年度の新任委員として、大谷奈緒子・東洋大学教授と松尾剛行弁護士がそれぞれ就任の挨拶をした。

2.委員長代行指名

曽我部委員長が、退任した二関辰郎委員長代行に代わり、新たに廣田智子委員を委員長代行に指名した。

3.審理要請案件「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26日と27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
双方による交渉が不調に終わり、今回委員会で審理入りするか否かを検討した。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

4.最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

5.運営規則改正について

前回3月の委員会で決議された運営規則改正案の内容を事務局からあらためて説明し、5月の理事会で諮られることを再確認した。

以上

第194回

第194回–2024年4月

TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見への対応報告を了承

第194回放送倫理検証委員会は、4月12日に千代田放送会館で開催された。
委員会が2024年1月11日に通知・公表したTBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
ローカルワイド番組でホームレス男性を取材した特集コーナーについて当該放送局から提出された報告書を基に議論した。
3月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見が報告された。

議事の詳細

日時
2024年4月12日(金)午後5時~午後6時35分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見への対応報告を了承

1月11日に通知公表したTBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見(委員会決定第45号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の公表後、TBSテレビ報道局の全員にBPO意見の全文を周知し、報道の基本倫理の再確認と再発防止に向けた職場での議論を求めたとあり、問題の発覚後、編集主幹と所管するセンター長が各出稿部と6つの報道番組とを個別に回って再発防止ミーティングを開催し、計7回約180人と意見交換を行ったことが記されてある。
そして、新たな教育研修として、報道番組と情報番組でニュースを扱うディレクターとアシスタントディレクター向けの、制作会社のスタッフまで広く対象にした「報道基礎講座」を計8回のべ600人を対象に開催し、新年度以降も、新たに配属されたスタッフに同様の取り組みを実施することや、中堅記者やデスクについては取材や出稿を指揮する立場で必要なことは何かを学ぶ研修を充実させていくと述べられている。
また、今年夏をめどに、調査報道など問題提起型の独自取材に取り組む部署を、取材や危機管理態勢を一層強化する形で新設する予定だとしている。
その上で、現行の「TBS報道倫理ガイドライン」の「情報源の明示と秘匿」の項目を改訂し、取材源の秘匿が必要な取材に際しては、撮影開始前に取材協力者と面会して取材目的や放送のリスクなどを丁寧に説明し信頼関係を構築することや、取材対象者の置かれた立場などについて詳しく情報を収集し、どのような措置を講ずれば取材源の秘匿を守りぬくことができるのか、局側の責任で慎重に判断すると共に、場合によっては取材や放送の断念もいとわないこと、放送後に周辺でどのような反応があったのか、取材対象者に聞き取りを継続的に行い、取材対象者が苦しい立場に追い込まれることのないよう留意することとしている。
これを受けて委員からは、改定された「TBS報道倫理ガイドライン」は具体性に富んでおり充実した内容だといった意見や、改革していこうという熱量が感じられ、オープンでフランクな意見交換がなされているという雰囲気が伝わってくるといった意見、研修が拡充され制作会社のスタッフも対象とされている点や、調査報道ユニットを再編して、今後も社会に問題提起する報道を一層進めていくと結ばれている点など、今回意見書で伝えようとしたことをきちんと受け止めた内容だといった意見が出され、報告を了承して公表することにした。
TBSテレビの対応報告は、こちら(PDFファイル)

2. ローカルワイド番組内の特集コーナーについて議論

ローカルワイド番組の特集コーナーで、公園で暮らすホームレス男性を取り上げたところ、ホームレス支援団体などから「男性のプライバシー権や名誉権を侵害している。ホームレスの人々への暴力を助長する」などの抗議があったと当該放送局から報告があり、委員会で議論した。映像には、公園で男性が放尿するシーンや大量のスーツケースを並べている映像を使用。当該放送局は「男性にモザイクをかける配慮をし、プライバシーや名誉権の侵害にあたらない」としているが、委員からは「ホームレスの社会的問題を取り上げるのに放尿シーンが必要だったのか」「モザイクをかけたとしても、公園には男性以外にホームレスがいないようであり特定されるはずだ」「プライバシーへの理解、SNSへの影響に対する配慮がない」「社会的弱者やマイノリティの人々への配慮が足りないという放送基準の問題はあるのではないか」「取材に応じないから勝手に放送していいのか。もっと丁寧なアクセスが必要」とする意見が出た。一方、「どのシーンを使うかは放送局に判断の余地はある」「排除が全面に出された番組とは一線を画し、インクルージョンの視点は維持されているのではないか」などとする放送の自由への配慮に触れた意見も出て、議論を終えた。

3. 3月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

3月に寄せられた視聴者・聴取者の意見総数は1,768件(前月2,308件)で、意見数は減少している。芸能事務所における性加害問題や特定のお笑いタレント関連の意見が落ち着いてきたのが主な要因。一方で増えているのが米・ドジャーズの大谷翔平選手に関する意見で、“過熱報道”への批判や通訳の違法賭博疑惑に関連して、大谷選手を擁護する声が目立ったことなどが事務局から報告され、議論した。

以上

2024年4月16日

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理入り決定

 BPO放送人権委員会は、4月16日の第326回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

 申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26日と27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
 9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
 申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
 被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
 双方による交渉が不調に終わり、今回委員会で審理入りするか否かを検討した。

 4月16日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

第266回

第266回-2024年3月26日

中高生モニター会議の開催… など

2024年3月26日、第266回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
当日は中高生モニター18人によるTBSテレビオンライン見学会と中高生モニター会議に引き続いて通常の委員会が開催されました。
委員会では、2月後半から3月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
3月の中高生モニターリポートのテーマは「この1年間で最も印象に残った番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターリポートについて議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年3月26日(火) 午後4時00分~午後7時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
中高生モニター会議(オンライン) 詳細はこちら
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

2月後半から3月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
バラエティー番組でゲームに負けた罰として、司会の男性芸人の指を瞬間接着剤で接着させて番組を進行させたことに視聴者から「身体に危険な行為で、悪質ないじめのように感じた」などの意見がありました。
担当委員は「周囲の出演者が笑うことで(子どもに)模倣される可能性が高くなるし、使用目的外の使い方なので、商品の注意書きを無視した印象がある」と報告しました。
ある委員は「子どもが模倣する可能性はある。番組を仕切る司会者がやられたことだとしても、それでよいということではない。(委員会として)繰り返しメッセージを出していくことに尽きるだろう」と述べました。
平日昼の情報バラエティー番組の中継コーナーで、赤ちゃんに餅を背負わせる神事を模した「背負い肉」という企画を放送。視聴者から「1歳の赤ちゃんが泣き続け、背負わされた牛肉の重みで仰向けに倒れる場面もあった。ひどい企画だ」などの批判的な意見が寄せられました。
担当委員は「伝統的な神事では、子どもの健康や成長を願うという文脈があって(赤ちゃんが泣き出しても)許されるのだろうが、この場合は本人ではなく、大人の母親が『お肉がほしい』という文脈なので、批判されたのだろう」と指摘しました。
一方、別の委員は「私は虐待とは思えなかった。本人は(中継が始まった周囲の様子に)びっくりして、しかも重いので泣き叫んでしまったが、終わった後に母親が抱きしめていて、(親子の)関係性が悪いようには見えなかった。おそらくリハーサルではうまくできたのだろうが、(番組が)あまりに幼い子を選んでしまったのが失敗だったのだろうと思う」と述べました。
この2番組を含め、これ以上の議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

現モニターが最後となる3月のテーマは「この1年間で最も印象に残った番組について」で、27人のモニターからあわせて25番組への報告が寄せられました。
複数のモニターが挙げたのは『2023ワールドベースボールクラシック 決勝』(テレビ朝日)と『金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」』(TBSテレビ)の2番組で、そのほかにも多岐にわたるジャンルの番組に関する報告が集まりました。また「自由記述」では、1年間のモニター活動で感じた“これからの放送に求めること”に関する記述が目立ちました。
「青少年へのおすすめ番組」では『アイ・アム・冒険少年 3時間スペシャル』(TBSテレビ)に9人から、『発進!ミライクリエイター「第8弾~AIはここまで来てるぞスペシャル~」』(テレビ朝日)と『日曜ビッグバラエティ「密着!JR24時」』(テレビ東京)にそれぞれ3人から、『生中継!第96回アカデミー賞授賞式』(WOWOW)に2人から報告がありました。

◆モニター報告より◆

【この1年で最も印象に残った番組について】

  • 『金曜ロードショー「かがみの孤城」』(日本テレビ)
    いろいろな理由で学校に行くことができない子は身近にも多くいるけれど、理由や心情などは詳しく知らないので、知ることができて良かったです。小説をアニメ化したり映画化したりすると、一部がカットされることが多く情報量が減るので、そのようなことはなくしてほしいです。(中学1年・女子・千葉)
  • 『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)
    3月10日の放送では、ゲストの森永卓郎さんが今の経済のことを教えてくれてとても勉強になったし、今の時期は高校受験の志望校を決めなくてはいけないので、どんな会社があるのかがたくさん分かって参考になりました。(中学1年・女子・島根)
  • 『ワイドナショー』(フジテレビ)
    1月14日の放送では、週刊誌が報じた有名お笑いタレントの性的スキャンダルについて触れていた。時代が違えば今のような状況にならなかったと思うし、また最初は“単なるスキャンダル”と軽く見られていたものの時間の経過とともに対応が変わっていった点も興味深かった。時代とともに世論は変わることを痛感した騒動だった。出演者のコメントで印象に残ったのは「結局この件で一番利益を得るのは週刊誌であり、被害を訴えている女性も、有名お笑いタレントも大きなダメージを受けるだけだ」という趣旨のもの。芸能スキャンダルは何のためにあるんだろう。そしてこの番組を見ている私もこのスキャンダルに加担しているのではないか。ウクライナの戦争や地球規模の大きな環境変化といったさし迫った課題があるのに対し、芸能スキャンダルは何の役に立つのだろう。ただ私自身もこのような文章を書くくらい興味を持っているということも、まぎれもない事実だと思った。(中学1年・女子・福岡)
  • 『女王の教室 第6話』(日本テレビ・2005年制作)
    とても学びのある作品だった。現代でこのドラマと同じようなことが起こったら、教育委員会が会見を開いて謝罪したり保護者に頭を下げたりして、世間は学校や教育委員会の事を叩くだろう。そう考えると昔の環境に憧れる。今の方がもちろん安全だとは思うが、少し過保護すぎる気もする。どちらが良いか悪いかはさておき、教育制度が移り変わっていると実感した。(中学2年・男子・埼玉)
  • 『NHKスペシャル「アナウンサーたちの戦争」』(NHK総合)
    毎年8月になると太平洋戦争関連の番組が放送されるが、日本がどのように海外侵略を進めたのか、またどのように軍部の政権が成立したのかについて注目した番組はほぼない。私たち世代は、戦争は“武力による衝突”といういわば表層だけの存在だと認識しがちなので、この番組のように戦争を新しい視点から描いている番組は非常に重要だと思う。(中学2年・男子・東京)
  • 『あなたはこの衝撃に耐えられる?ワールドドキドキビデオ』(日本テレビ)
    この番組が大好きで、放送されるときは必ず見る。世界の衝撃動画やおもしろ動画を、いかにリアクションせずに見ることができるかに挑戦する番組だが、動画がとても面白く楽しい気分になる。衝撃動画は“間一髪で難を逃れた”ものが多くて安心して見ることができるし、自分も出演者と同じチャレンジをする楽しみ方もできる。もっと放送頻度を増やしてほしい。(中学2年・女子・愛知)
  • 『いちばんすきな花』(フジテレビ)
    プロデューサーの村瀬健さんが手がけたドラマ『silent』がとても好きだったのでこのドラマも視聴していた。映像がとても綺麗で儚い印象だったが、それがストーリーととてもマッチしていた。また主人公4人の境遇や言動は、自分が学校などで体験したことがあるものが多くてとても共感した。主題歌を担当した藤井風さんが最終回のラストシーンに出演する演出も、そのシーンを放送当日に撮影したこともとても驚いた。村瀬さんがこの仕事が好きだからこそこんな素晴らしいシーンが生まれたのだと思い感動した。(中学2年・女子・東京)
  • 『ラヴィット!』(TBSテレビ)
    夏休みや冬休みの朝に番組を見て、それまでひまだった朝がとても楽しくなった。オープニングが一時間にもなっているのに、飽きずに楽しく見ることができるのはすごい。でももう少し本編が長くなってほしいなと思う。(中学2年・女子・栃木)
  • 『厨房のありす』(日本テレビ)
    私はずっと優秀な姉と比べられるのが嫌だったので、自閉症だからといろいろな人から色眼鏡で見られ傷つきながら生きてきた主人公の女の子にとても共感した。このドラマはただのハートフルストーリーではなく、主人公の過去をめぐるミステリー要素や、初めての恋愛要素など、ワクワクドキドキする展開も多くあったところが大きな魅力だと思った。(中学2年・女子・福井)
  • 『有吉弘行の故郷に帰らせていただきます。~地元でもっと驚いちゃったよ~』(中国放送)
    今年で3回目の放送ですが、毎回違う場所に行っているので飽きずに見ることができて毎年の楽しみになっています。広島にゆかりのある人だけが出演するし、有名になって忙しくなった人が毎年広島に帰ってきて番組に出演してくれるのは嬉しいです。(中学3年・男子・広島)
  • 『テレビ朝日ドラマプレミアム 友情 ~平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』~』(テレビ朝日)
    BPOの「テレビ局が薦める青少年へのおすすめ番組」でこの番組を知りましたが、それぞれ道は違えども強い目標を持っている二人が、お互いに理解し尊敬し合う姿に心を動かされました。分野が違う二人がなぜ親友なのか、どんな一年だったのか、番組名からもドラマに興味がわきました。本人のインタビューで当時の感情や考えていたことを聞いてみたかったです。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『VIVANT』(TBSテレビ)
    劇中に伏線がたくさんあって理解しやすく、とても面白くて毎週日曜日が楽しみだった。豪華な出演者とモンゴルでの撮影がよりリアルさを出していたと思う。また最終的に問題は解決していなくて、ドラマの続編がありそうだと感じた。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『裸のアスリートⅡ「髙橋藍」』(BS-TBS)
    この一年はスポーツ番組をよく見ていました。アスリートというと雲の上の存在のように感じる人も多いと思いますが、ドキュメンタリーで生活の一部分を見ると身近に感じられ「応援しよう!」という気持ちになります。この番組で出会ったたくさんのアスリートの活躍を祈っています。(中学3年・女子・滋賀)
  • 『100カメ「ミュージカル 帝国劇場でSPY×FAMILY」』(NHK総合)
    ミュージカルの裏側を知ることができてとても興味深かった。「評判がいい」と言われるのは、それを裏から支える人がいてこそだと感じた。またミュージカルには子どもが出演していたが、子どものために大人がかけ回る姿はかっこいいと思った。(中学3年・女子・広島)
  • 『★SAPPORO新春スポーツスペシャル 第100回東京箱根間往復大学駅伝競走』(日本テレビ)
    監督や仲間のために選手たちが力を振り絞って走る様子が印象的で、監督の声かけや走り終わった選手のコメントを聞いて、選手について興味が湧きました。ちょうど受験期間で復路は塾の冬期講習中でしたが、頑張っている選手に元気をもらいました。(中学3年・女子・福岡)
  • 『NHKスペシャル「世界に響く歌 日韓POPS新時代」』(NHK総合)
    日韓のポップスがいかにして世界で快進撃を続けているか多角的な視点から描いていて、なぜ世界を熱狂させるのか、どこまで飛躍するのかについて学ぶことができた。NHKスペシャルらしい多くの学びを得ることができた。(高校1年・男子・群馬)
  • 『King&Princeる。』(日本テレビ)
    始まった頃から面白くてずっと見ていて「English Cooking」「どっちが海人でSHOW!」の企画が好きです。出演者同士の思いやりのある会話に感動するし、お互いへのツッコミも面白くて、私が一番好きな番組です!後継番組の『キントレ』(日本テレビ)も、劇団ひとりさんと永瀬廉さんの会話がとても面白く、大好きな企画も復活すると知って楽しみにしています!(高校1年・女子・京都)
  • 『金曜ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」』(TBSテレビ)
    人間が生きていくうえで必要な「サバイバル知識」「人と協力することの大切さ」「普段の日常の大切さ」を学ぶことができ、とても勉強になった。またこのドラマには「他にはない独創性」がある。“タイムスリップする”という世界観をテレビドラマで初めて見たし、未来の地球が“隕石が落ちて人類が滅亡した世界”という設定も自分の想像と大きく違っていて興味を引いた。“新しい”ということはすごいパワーを持っている。これからも見たことなのいような新しい世界観のドラマがたくさん見られたらいいなと思う。(高校1年・女子・北海道)
  • 『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』(TBSテレビ)
    オーディション番組の最終回で、動画配信サービス「Lemino」で前話まで一緒に見ていた友だちと通話しながら番組を見て、とても盛り上がりました。また最終回がテレビ放送だったので、今まで見ていなかった別の友だちも番組を見ていて嬉しかったです。最近あまりオーディション番組を見ない気がしますが、毎週の楽しみになるので、またあったら嬉しいです。(高校1年・女子・茨城)
  • 『2023ワールドベースボールクラシック 決勝』(テレビ朝日)
    • 試合後も各放送局が様々な番組で取り上げていて、特に9回大谷翔平選手がマイク・トラウト選手を空振り三振にとるシーンは何十回とみてきたので印象深い。侍ジャパンの活躍は他のスポーツの日本勢にも刺激を与え盛り上げたと思う。(高校2年・男子・山形)
    • 阪神の優勝よりWBCの印象が強烈で、WBCはリアルタイムですべて見ました。もうこれ以上のスポーツ番組はないのではないかと思えるくらい、毎試合興奮して応援していました。(高校3年・女子・京都)
  • 『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)
    これまで全シリーズ全話を見てきましたが、シリーズが変わるにつれて内容がグレードアップされ非常に面白かったです。ゴールデンタイムということであえて放送に配慮している部分を公開することにより、より安心して見ることができるうえに笑いもとれ、今の時代ならではのやり方だなと思いました。(高校2年・男子・山形)
  • 『金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」』(TBSテレビ)
    • 最近のテレビ業界やコンプラ意識について世間をうまく風刺している素晴らしい作品だと思いました。あまりに窮屈なコンプラ意識に主人公の小川(阿部サダヲ)が違和感をもつという流れは、その多くに思わず共感しました。特に第8話で、不倫したアナウンサーが世論や誹謗中傷によって辞職に追い込まれそうになる流れはさすがに同情しました。不倫はだめだし職業としてのイメージは大事ですが、なぜ世間は自分とは全く無関係な人の人生を左右したがるのだろうと思いました。(高校3年・男子・神奈川)
    • これまで阪神淡路大震災の起きた日すら知らず関心がなかったが、ドラマ内で出演者が震災で亡くなるエピソードを見て関心を持つようになった。(高校2年・女子・東京)
  • 『それSnow Manにやらせて下さいSP』(TBSテレビ)
    2月23日の放送は「ダンスノ完コピレボリューション」第3弾。学校の授業で創作ダンスを行っていたので、腕の使い方によってしなやかに見えたりあるいはキレのあるダンスに見えたりと、授業内でも取り入れることのできそうな発見ができた。また待機している間の出演者のトークでも、全員が話せるように振るなどしてそれぞれの面白さが伝わる会話だったので、話し合いの場だけでなく日常会話でも今後の参考にしたいなと思った。(高校2年・女子・東京)
  • 『ザ!世界仰天ニュース~福知山線脱線事故はなぜ起こったのか~』(日本テレビ)
    私は2006年生まれだが、そのたった1年前にこんな凄まじい事故が起こっていたことを知らなかった。JR線は毎日通学で利用しているが、身近な会社がこのような事故を起こしていたことが衝撃だった。事故当時の社員の厳しい管理教育体制や、事故当日の様子のCGやニュース映像はとてもインパクトがあった。重大な事故を何年かに一度改めて放送で取り上げることは、同じことを繰り返さないためにも、また事故を経て会社がどう変化しているのかを知るためにも、とても意義のあるものだと思った。(高校2年・女子・愛知)
  • 『ゴールデンラヴィット!』(TBSテレビ)
    番組開始当初から『ラヴィット!』が大好きで、どれも似たり寄ったりでつまらなかった年末に、地上波で面白い放送を見ることができました。“お笑い”だけでなくサンボマスターの歌にも感動しました。またイス取りゲームの時には大勢のスタッフの動きがそのまま映されていて、番組をつくるすべての人の努力を見ることができて感激しました。(高校3年・女子・北海道)

【自由記述】

  • “テレビ離れ”と近年よく言われていますが、テレビという大きなメディアだからこそできる企画や特集(例えば「鉄道密着」など)をどんどん放送してほしいです。コンプライアンスが厳しくなって自由なテレビ制作が難しいのかもしれませんが、なにか一つ“とがった”番組を見てみたいです!(中学3年・男子・神奈川)
  • 最近は「多様性」や「性」についての番組が増えていると感じています。例えば月経に関することなど、今までタブー視されていた話題も取り上げられてきて良い流れだと思います。影響力のあるテレビやラジオで放送することは重要だし、これからも期待しています。また視聴率が低くさまざまなことを言われている番組がありますが、人それぞれ好みがある中で全員に向けた番組を作ることは難しいと感じています。動画配信サービスとも互いに住み分けをして共存できたらいいなと思いました。「どうしたらよくなるのか」「なぜそうなのか」など、さまざまなことを常に考えた一年でした。(高校1年・男子・群馬)
  • 朝の情報番組を毎日見ているが、ここ数年で「Z世代の流行」を取り上げる企画が増えたように感じる。しかし朝はニュースを一切見ない友だちも少なくないし、Z世代である高校生・大学生はその情報をSNSでもっと早く得ている。番組に対して親近感は感じるが、Z世代にとって需要はないのではないか。好きなアイドルが出る番組は絶対に見る!という人も多いので、アイドルに関する話題の方がZ世代を強く惹きつけると思う。(高校2年・女子・愛知)
  • いま一番好きなお笑い芸人は爆笑問題です。今の時代にそぐわないかもしれないけれど、番組の流れを破壊しそうなヒヤヒヤするお笑いが爆笑問題だけになっている気がするからです。もちろん見ていて不快な番組は世間的にいいものではありませんが、そうやって番組の幅を狭めていけばテレビ番組は単調になって、スリルを求める若者はテレビからより離れていきます。万人受けするものなんて多くはつまらないと思います。最近の番組は「懐かしの○○」ばっかりですが、この流れは止まらないのでしょうか。自分は悲しくてしょうがありません。(高校3年・男子・神奈川)
  • 旧大手芸能事務所の問題を受けて、どの放送局も番組編成が変わり、視聴者が求める楽しさがどんどん失われている気がします。スポンサーの顔色をうかがうだけでなく、本当に人気のある番組は続けていくための努力をするべきではないでしょうか。まずは特番からでも復活させるべきです。(高校3年・女子・北海道)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『高校生のじかん』(九州朝日放送)
    よく知っている近隣の高校がクローズアップされていて、本当に地元密着の番組だと感じました。高校生の活躍は素晴らしく、例えばニュースで取り上げられたならばもっと堅苦しい内容に仕上がっていたと思うけれど、サブ司会は現役高校生で終始ほのぼのとしたゆるい感じにまとまっていました。番組のスタイルが違うだけで伝わり方が変化するので面白いです。(中学1年・女子・福岡)
  • 『女性の明日が楽になる!あしたのラク子さん』(朝日放送テレビ)
    女性の体は複雑で自分でもわからないことが多いけれど、大切な体だからこそ、正しいのか分からないインターネットの情報よりテレビの情報のほうが安心できます。映像があると想像しながら見ることができるし、ホームページの情報も便利だと思いました。(中学3年・女子・滋賀)
  • 『生中継!第96回アカデミー賞授賞式』(WOWOW)
    映画が受賞した時に、他の人たちもみんなで拍手してお祝いしている様子がとてもいいなと思った。世界では紛争が起こったりしているけれど、ここでは世界の一体感がみえて世界平和ってこういうことかと思った。(高校1年・女子・北海道)

◆委員のコメント◆

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『アイ・アム・冒険少年 3時間スペシャル』(TBSテレビ)に多くのモニターから報告があったが、サバイバル知識を有名タレントが披露する番組は、例えば災害時の困難を乗り越えるノウハウを学習できる機会になると実感した。
  • 1年間を通して多くのモニターがBPOウェブサイトに掲載された全国の『青少年へのおすすめ番組』のリストを見て、番組ホームページや見逃し配信サービスなども活用しながら、住んでいる地域とは別の地域の番組を視聴し意見を寄せてくれた。それぞれの地域を知る機会にもなったと思う。

【自由記述について】

  • 高校3年生のモニターの報告に「テレビ番組などで『視聴者から頂いた意見等を…』というフレーズを聞くが、どうやってテレビ局に番組への意見を伝えるのかが分からなかったし『わざわざ電話などでテレビ局に意見をいう人はクレーマーだろう』としか思っていなかった。しかし中高生モニター制度に参加して、視聴者からの意見の“聞き方”が分かった気がする。さまざまな意見がBPOを通じてテレビ局などに伝えられていることもわかった」とあった。視聴者の意見はネガティブなものだけではないし、放送局やBPOがそういった多くの意見をどう収集しているのかを、より多くの人に分かりやすく伝える仕組みを構築できると良いだろうと思う。

【その他】

  • 複数のモニターが「今の時代」というキーワードを報告に盛り込んでいたが、“今の時代のテレビ観”は中高生モニターの間でも全然違うと感じた。普段の生活の中でどのような情報に触れているかによってテレビ観は変わるので、今の若い人のテレビ観には相当振れ幅があるのだろうと感じた。

委員の退任について

緑川由香副委員長が3月末で任期満了となり、退任することになりました。3期9年務められました。

今後の予定について

次回は4月23日に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。

以上

2024年3月26日

2023年度「中高生モニター会議」

◆TBSテレビオンライン見学会概要◆

BPO中高生モニター18人がTBSテレビオンライン見学会に参加しました。TBSからの生放送スタイルで、スタジオのセットや水素中継車の説明があり、報道局、コンテンツ制作局の仕事や、番組がどのように作られているかについて学びました。

①スタジオ見学と報道局の仕事について

TBSの赤荻歩アナウンサーが、「ラヴィット!」や全国に向けてのニュース番組を放送するNスタジオに参加者を(オンラインで)案内し、セットの裏側やサブ(副調整室)の説明、画像を切り取るクロマキーの実演などを披露してくれました。

次にニュースを担当するTBS報道局員2名から報道局の仕事についての説明がありました。能登半島地震を体験した福井県の中高生モニターとのやりとりでは、その時の様子を語ってもらう場面があり、「(テレビがみんな)報道特番に切り替わったことが嬉しかった」との感想がありました。これに対して報道局員の2人からは「一番大切なのはニュースへの信頼です」「地震などの情報をきちんと正確に早く伝えていく役割をこれからもテレビが果たしていかれるように頑張りたい」との返答がありました。

②水素中継車について

新人のTBS南後杏子アナウンサーがTBS放送センター駐車場から、SDGs活動に貢献する世界初の水素で動く放送中継車「HR-ZERO」を車内の隅々まで紹介してくれました。

この中継車は水素ガスを燃料にしており、燃料電池との化学反応により生み出された電気を使って、車自体と放送機器の両方を動かしているため、排気ガスはゼロであること。また、駅伝中継で活躍するこの中継車は、①走っているランナーにやさしい②低騒音・低振動でとても静か③青色の車体がランナーのいやしになる。そして、水素燃料満タンで走行可能距離は380kmであることなどの説明がありました。

③バラエティー番組作りの舞台裏について

再び赤荻歩アナウンサーがTBSテレビで多くの人気バラエティー番組を手掛ける現役のプロデューサー2人と座談会形式で中高生モニターにバラエティー番組作りの舞台裏について説明があった後、質疑応答の時間がありました。

(中高生モニターからの主な質問とその回答)

Q.「レギュラー番組はどれくらいの準備期間をかけて作られるのですか?」
A.「情報番組は1~2か月掛けて作っているものが多いです」

Q.「ドラマは放送開始のどれくらい前から準備しているのですか?」
A.「早いと1年以上前から作業をして撮り始めているものもあります」
     「海外ロケの大型ドラマは2~3年前から準備します」

Q.「グルメ紹介のバラエティー番組で訪れる地域はどうやって決めますか?」
A.「季節的に視聴者が行きたくなるような場所を放送時期に合わせて逆算して決めます」

Q.「番組の企画はどういうきっかけで思いつくのですか?」
     「面白い番組を作るコツを教えてください」
A.「好きな事や興味のあることを自分の中にストックして(寝かせて)いくと”発酵”して、
        ある時にアイデアとして立ちあがるのではないかと思っています。自分が面白いと思った
        ことを素直に感じることが大事だと思います」
     「自分で見たいやりたい行きたいことを頭をひねって考えて実現させます」

反対にTBS側から「どういうタレントさんを番組で起用しやすいと思うか?」と聞かれた中高生モニターは「自分が見ている番組はお笑い芸人さんが出演していることが多く、お笑い芸人さんが起用しやすいのではないか思っています」と返答しました。

最後に赤荻アナウンサーから「皆さんの想像を超える多くの人たちがたった数秒のために、そして一つの番組のために日々全力でこだわっております。どうしたら難しいニュースを少しでも分かりやすくお伝えできるか、どうしたらワクワク楽しんでもらえるか日々考えております。みなさん、是非ともテレビをたくさん楽しんでいただきたいと思います。これからもテレビをよろしくお願いします」と締めくくりました。

活発な質疑応答があり、あっという間に1時間のオンライン見学会は終了しました。この日の見学会は、参加した中高生モニターたちがテレビ局のプロの仕事に触れる貴重な機会となったと同時に、1年間のモニター活動の最後を飾る素敵な思い出になったことだと思います。

◆中高生モニター会議(意見交換会)概要◆

3月26日にオンラインで中高生モニター会議を開催しました。中高生モニターと委員が交流を深め、この1年間のモニター活動を振り返る意義のある会となりました。会議には全国の中高生モニター18人と、青少年委員会からは榊原洋一委員長以下、8人の委員全員が出席しました。

各自の自己紹介のあと、この1年間をBPOモニターとして活動した中高生からの質問を中心に委員との意見交換がありました。

まず、中高生モニターから「この1年間にさまざまなニュースや報道がありましたが、その中でもいちばん印象的だったものは何ですか」との質問があり、山縣委員から「戦争でいろいろなものを奪われていくウクライナの子どもたちの映像です。これを世界がどう支援していくのか、またその映像を見て間接的に心を痛めている世界の子どもたちへの影響や今後について考え続けたいと思います」と、また髙橋委員からは「私は東日本大震災を仙台で経験しているので、1月に起きた能登のような地震がいつどこで起きるかわからないと強く感じていて、あらためて報道の在り方を考えたところでした」との回答がありました。

また「委員の皆さんが興味を持って見ている番組、好きな番組は何ですか」との質問に対して、吉永委員から「ドラマが面白いと思います。ドラマは昔と比べて撮り方もテーマも変わってきています。毎クール、ドラマの初回放送を全部録画して見ます。2話目まで見るのは半分くらいです。どのドラマが最後まで残るのかなと楽しんでいます。今クールのドラマでは、昭和世代としてあの時代は何だったのだろうという思いも含めて『不適切にもほどがある!』が一番面白いです」との返答が、佐々木委員からは「妻と元気に幸せに暮らせるような番組を録画して一緒に見ながら、コメントが入った時にはそこでいったん止めて喧嘩せずに番組を見ています。それから外国のスパイが日本の状況を知りたいときに真っ先に見るのは昼のバラエティー番組だということを聞いたことがあり、私は毎週、『ひるおび』を録画して全部見ています。若者の考え方もわかるし、今流行っていることもわかるし、とても役に立っています」との回答がありました。この質問をしたモニターからは「世代の違うみなさんの違った視点を知ることができて、とても興味深かったです」との感想がありました。

「委員の皆さんが最近、テレビやラジオを視聴して感じているマスメディアの課題は何だと思いますか?」との質問に、沢井委員は「私は子供向け番組を作っていますが、伝えたい真実にどれだけ正直になれるかだと思います。今起きているマスメディアの問題は、ウソついちゃいましたとか、大げさに言ってしまいました、ということがたくさん起きています。視聴者に嘘だと見透かされやすいテレビというメディアでは、正直に誠実に報道する、真実を見せていくことが大事だと思います」との回答が、また飯田委員からは「今月のモニターレポートに、“視聴者の意見が放送局に届くというのはクレーマーのイメージしかなかったが、モニターをやってみて、それとは違うあり方に気づくことができた一方で、SNSのつぶやきも視聴者の意見ではないのか”、“そのほうが圧倒的に多くて、モニターの意見はすごく少ないというのはどう考えればよいのか”と書いていた方がいました。たしかに、ネットの声をどう評価するか、どう受け止めるかがマスメディアの課題のひとつとして非常に大きいと思います。放送局が大事なニュースだと思っていてもネットではほとんど話題にならなかったり、その逆の場合もあったりします。何をニュースとして取り上げるかの判断基準はSNSの出現によってずいぶん揺らいできていると思います。BPOにも多数、SNSで #BPO案件 として拡散された意見が送られてきます。BPOのあり方も、こうした変化をしっかりフィードバックしながら考えていかねばならないと考えています」との回答があり、質問したモニターからは「第一人者の意見には重みがあるなと感じました」との感想がありました。

続いて「テレビ・ラジオで伝えるニュースと、ネット・週刊誌で伝えるニュースはどう違うのか?」との質問には、BPO事務局から「ネットのニュースは一般的にテレビ局や新聞社が取材したニュースをネット向けにわかりやすく並べ直しているケースが多いと思います。自分でネットのニュースとテレビのニュースを見比べてみてください」との説明がありました。

最後に「テレビと週刊誌は棲み分けをしているのでしょうか?」との質問には吉永委員が「結果的に棲み分けになっている面はあるのかもしれませんね。テレビや新聞ではできないことを週刊誌でやっている。テレビや新聞と週刊誌を合わせて見ることで、表と裏で何が起きているのかがわかると思います。信憑性ということで言うと、ネットや週刊誌はテレビや新聞よりも緩いというか自由というか、許されてしまう幅があるのかなと思います」との説明があり、榊原委員長からは「テレビや新聞の記事にはたくさんの人の手が入っています。それに対してSNSは個人でも自由に書けます。たくさんの人の手が入ることで、良くも悪くも全体的に平準化しますが、比較的安定化するのではないかと個人的に思います。メディア・リテラシーがきっちりしていれば、報道する側が好きなことを言っても聞く側で取捨選択できます。最終的には一人ひとりが判断していくことだと思います」と述べて質疑応答が終わりました。

会議の最後に、榊原委員長と緑川副委員長から以下の一言がありました。

(榊原委員長)
これからの長い人生、間口を広くしてたくさんの情報を取り入れ、生きていっていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

(緑川副委員長)
本日は長時間にわたってモニター会議に参加していただき、お疲れさまでした。私たちもいろいろと勉強になり刺激を受けて、大変良い時間が持てたことに感謝しています。BPOはテレビとラジオに対する第三者機関として活動しています。みなさんはこれから大人になっていきますが、その時にどういう社会になっていくのかは重要なことです。憲法では表現の自由が保障されています。これは私たちがどういう社会を作っていくかについて、みんなで意見を出し合って考えていくために重要な権利として保障されているものです。テレビやラジオは、社会について考えたり、自分の意見をまとめるときに、今、社会がどうなっているのかを伝えてくれる役割を果たすものです。そういう意味でテレビやラジオは私たちが社会について考えていくために必要な情報を得るための大切な基盤であり、信頼できる情報源のひとつです。テレビ離れと言われていますが、ネットやSNSだけでなく、テレビや新聞など様々なチャンネルから、自分に興味がないと思えるようなものでも見てみることを心にとどめて、これからもたくさんテレビを見ていただきたいと思います。

以上

2024年1月31日

福岡・大分の放送局と意見交換

放送人権委員会の「福岡・大分意見交換会」が2024年1月31日に福岡市で開催された。2県の合同開催となったのは、2020年3月に大分市で開催予定だった意見交換会が直前に大分県内でコロナ患者が確認され急遽中止となり、今回の福岡開催に併せて大分の各局にも参加を呼び掛けたためである。福岡での開催は8年ぶりで、委員会から曽我部真裕委員長をはじめ9人の委員全員に加え、大日向雅美理事長と渡辺昌己専務理事が参加した。出席したラジオ、テレビ局は福岡が9局、大分が5局で計14局、人数は45人にのぼり、3時間を超える意見交換が行われた。

●大日向理事長「ジャニーズ問題、なぜ、理事長見解を出したのか」

会議の冒頭あいさつに立ったBPOの大日向理事長はジャニーズ問題に触れて「黒子役である理事長、事務局がなぜ見解を出したか。それは、この問題が、一芸能事務所や放送界だけの問題ではなく日本の社会・文化をどういう方向に持っていくかの試金石だと思ったからだ」とした上で「放送局とBPOが忌憚のない意見交換を行って、新しい日本社会の文化の向上に寄与していきたい」と語った。

●曽我部委員長「BPOは、放送局の規制機関ではない」

続いてあいさつした曽我部委員長は「ネットの存在感が大きくなっても、公共の電波を預かる放送局は特別の使命を持っている。偽情報のあふれる中で、信頼性のある情報を届ける使命だ」と述べました。さらに「こうした使命を果たすために重要なのは、放送局の意識や努力だ。BPOは放送局の規制機関ではない。放送局の自主自律的な努力をサポートする組織だと認識している」と語った。

意見交換会は三部構成で行われた。
第一部は委員会決定第78号「ペットサロン経営者からの申立て」を取り上げ、論点を「直接取材」に絞って議論を進めた。第二部は「コロナ禍の取材、共有と教訓」、第三部は「災害報道と人権」をテーマに意見交換を行った。

<第一部 第78号「ペットサロン経営者からの申立て」>

「直接取材なしでもOA可能なケース」だったのか?

第78号「ペットサロン経営者からの申立て」に関して

申立ての対象は、日本テレビが2021年1月28日に放送した情報番組『スッキリ』で、同月12日に北九州市内のペットサロンでシェパード犬がシャンプーを受けた後に死亡した件を取り上げ、「愛犬急死“押さえつけシャンプー”ペットサロン従業員ら証言」「愛犬急死 経営者“虐待”シャンプー?」などと、サイドスーパーを出しながら放送した。これに対してペットサロンの経営者である申立人が、「字幕付きの放送をしたことで、申立人が預かっていた犬を虐待死させたかのように印象付け、事実に反する放送をすることで申立人の名誉を侵害した」として申立てを行った。

この決定の最大のポイントは「当事者への直接取材」である。日本テレビ『スッキリ』は関係者の証言を軸にペットサロン経営者を追及したが、経営者本人への直接取材はなされないままであった。決定文では「放送倫理上の問題があるとまではいえない」と結論付けたが「直接取材の重要性をあらためて認識」するよう要望が加えられた。
決定文には、直接取材が免除されうる例外ケースについての記述があり(下記カッコ内参照)、事前のアンケートではこの部分の読み取り方に多くの質問が寄せられていた。
本編VTRの短縮版(日本テレビ作成)の上映に続いて、決定文の起草を担当した野村委員が解説を行った。野村委員は「申立人への直接取材がないまま放送したことの是非に絞って議論したい」とした上で以下のように解説した。

<野村委員>

●例外が許されないとは言えない

前提として、真実性・相当性の議論の中でどのような取材をしていたのかが直接取材の要否に関わってくる。日本テレビが行った取材を踏まえると、決定では「放送で示された各事実があると日本テレビが信じたことについて、少なくとも相当の理由があった」という表現で、結論としては名誉権の侵害を否定した。
そして、放送倫理上の問題「重大な問題点を指摘する放送内容でありながら、申立人への直接取材をせずに放送に至ったことに問題はないのか」という論点が今日の本題となる。
この点について本決定では、総論として「取材・放送に当たっては、対象となる人物に番組意図を明らかにしてその弁明を聞くことが原則であるが、例外が許されないものとは言えない」としている。そのうえで、例外についてこう記している。

<人権委員会決定第78号16P11行目~>
例えば、真摯な申入れをしたが接触できない、応じてもらえない場合、適切な代替措置が講じられた場合(当事者が当該対象事実について公表したプレスリリース等の掲載や、その他の方法による本人主張・反論の十分な紹介)、緊急性がある場合、本人に対する取材が実現せずとも確度の高い取材ができている場合などは、これら内容を含めた諸事情を総合考慮して、本人取材を不要とする余地があると解される

●例外ケースの記述は限定列挙ではない

このように要素をいくつか挙げた上で、限定した列挙ではないことを示す「など」を付けた。これら以外にも考慮すべき事情がある場合もあるだろう。そして「総合考慮」としているので、列挙したうちのどれかを一つを満たせば良いという意味ではないし、逆に全てを満たさなければいけないという意味でもない。

●取材の経緯が重要になる

担当ディレクターは1月26日にSNS投稿を見て事案を把握し、その日のうちに飼い主を取材し、飼い主が聴き取った学生2名の音声テープを入手した。翌27日にペットサロン店長を取材し、さらに申立人本人への取材も専門学校へ申し入れたが、不在で連絡が取れないという回答を受けたので、折返しの連絡を依頼した。しかし、放送までに折返しの連絡はなく、別途、27日の午後に、申立人の携帯電話にも2回電話したが出なかった。そうした中、27日深夜から28日未明にかけて、専門学校のホームページに謝罪コメントが掲載された。日本テレビは以上の状況のもと、申立人が「取材を拒否した」と判断し、また、ホームページの謝罪コメントを放送することで、申立人への直接取材はしなくても放送に問題はないと判断した。26日にSNSを見てから28日の朝に放送と、ごく短期間のうちに放送に至った事案で、決定では申立人が取材に応じる意思がないと客観的に判断できる状況には至っていなかったと整理した。

●5つの判断要素で「総合考慮」

①民事紛争の対立当事者である飼い主の言い分がベース
②直接取材の申し入れ+本人に2度電話をかけた
③ペットサロン店長、従業員、学生2名に取材済+音声データ。詳細で迫真的な告白を含む確度の高い取材
④謝罪コメントの全文紹介には一定の意義あり。ただし、直接取材を全面的に代替とまでは評価できず
⑤「『しつけ』のための事故死」との申立人の主張も紹介
これらの事情を総合考慮すると、本件において申立人に対する直接取材が実現しなかったことをもって放送倫理上の問題があるとまでは言えない、というのが委員会決定となった。そのうえで、本事案が、直接取材を実現すべくもう一歩の努力がなされることが望ましい事案であったことを踏まえて、委員会は日本テレビに対し、対象者に対する直接取材の重要性を改めて認識して今後の番組制作に当たることを要望するとした。

少数意見「本件は例外に該当しない」

続いて少数意見を書いた3人の委員を代表して二関委員長代行が概要を説明した。

<二関委員長代行>

●どんな人物に描いたかも判断要素

少数意見は「本件は放送倫理上の問題がある」と考えた。
本人取材(=直接取材)の原則に対して例外があるという枠組み自体には反対していないが、「本件はその例外に該当しない」というのが少数意見の立場だ。例外に該当するかを考える際には、<本人をどのように描いたか>という点も考慮すべきだ。こんなに悪い人物だという内容で社会的評価を下げる程度が強いほどそれに応じて本人取材の要請は強くなる。ペットがぐったりして本来心配すべきような場面で「やっと諦めたか。観念したか」と申立人が言ったと番組は伝えている。スタジオシーンでは「こういったペットサロンが世に存在してはいけないんだ」、「事故じゃなくて事件でしょ」とする指摘があった。さらに刑法犯たる動物愛護法の適用可能性にも触れている。ペットのしつけに関する申立人の信念についても公正に紹介しているとは言えない。19分間にわたって申立人を一方的に批判する番組になっている。

●従業員は「虚偽供述の動機」を有していた可能性も

対立当事者間の争いを報じる際には、双方から話を聞くというのがBPOの以前からの判断だ。今回のように、本人取材を省略したうえで、もう片方からの取材結果に確度があると言ってしまって良いか?現場にいた従業員は、犬が死んだのは自分たちのせいではないと言いたい動機、「虚偽供述の動機」を有していた可能性もある。
さらに情報源の問題を指摘しておきたい。複数の取材をしているが、飼い主側、あるいはその紹介の従業員ルートでたどった人だけが取材対象であり、一つの情報源から派生した取材先だけとなっている。

●HPに「事実と異なるコメント拡散」 なぜそこを取材しないのか

ホームページの謝罪コメントは取材に対応して出したものではなく、申立人によると、たまたまその日に弁護士と相談したタイミングで載せただけという。さらにコメントの内容に「事実と異なる内容が一部のSNSで拡散されて(いる)」という言い回しもあって、申立人に事実関係で異なる言い分があることが分かる。そのコメントを見たら、いかなる言い分かを具体的に取材するのが基本ではないか。

<質問>例外項目の記述をどう理解すれば?

続いて参加者からの質問を受け付けた。

<参加者>
直接取材がマストと分かっていても、本人に接触できないケースで放送するか悩む場合もある。そうした時の指標になるかもしれないという意味で、<代替措置><緊急性><確度の高い取材>と、いくつか例外ケースを例示してもらって非常に参考になった。直接取材が免じられる例外項目を記述した意図は?

●明確な例外基準を示したのではない。判断の要素を示した

<曽我部委員長>
あくまで事案に即した判断になる。本決定文の書きぶりも、判断要素について「例えば」と付いている。事前の質問でも「ここに挙がっている要素のどれかがあればOKなのか?」という質問もあったが、そうではない。明確な基準を示したというよりは、今回の事案と関わるような判断の要素を示して、それを総合的に判断したのが今回の決定だ。

●1件1件について、向き合って、考えるしかない

<野村委員>
皆さんに「ここをこうすれば大丈夫です」と言えると安心すると思うが、やはりそれはできない。1件1件について一生懸命考えるしかない。直接取材が実現していない段階で放送する場合には、そのハードルに向き合って、これを乗り越えられるケースであると必ず判断してから放送しないと、こうした申立て事案となってしまう。

●「これさえあれば大丈夫」と思ってはいけない

<二関委員長代行>
多数意見は、「どのようなケースが例外か」に一切触れないと手がかりがないので、「例えば」と例外項目をいくつか挙げたのだと思う。ただし、それが独り歩きして「これさえあれば大丈夫」と思ってはいけない。例外にあたるかどうかの考え方として「自分が似たようなことをされたらどうか?」を考えることが大事。テレビ業界に長くいると放送される側の気持ちから乖離してしまうことがあるのではないか。

<質問>HP全文紹介は直接取材に相当しないのか?

例外ケースの「代替措置」で、HP紹介について質問が出た。

<参加者>
他局に先行される前に放送したいとなったときに、公式のホームページの文言を全文出すということで直接取材に代えることはできないのか?

●番組内容に対応しない、一方通行のコメントだった

<野村委員>
もしも、番組内容に対応して、公式ホームページで取材対象者の考えが全面的に表現されていれば、直接取材に代替しうる場合もあるかもしれない。しかし、本件の放送番組は、①申立人が犬を虐待死させたとの内容に加え、②犬のしつけに関する申立人の日頃からの考え・ポリシーに対する批判に当たる内容も含んでいるところ、ホームページに出たコメントは、①の虐待死と言われた部分に対する申立人のコメントが一方通行で載っているだけであって、②の部分には対応していない。そのため、番組全体に対する申立人のコメントとしては十分ではなく、直接取材に代えることはできないという考え方だ。

●取材意図を明らかにしていない

<二関委員長代行>
取材意図を明らかにしたうえで取材するのが原則だ。ウェブに出ているコメントは、そういったプロセスなしに出ているものなので、直接取材に代わるものではない。

<第二部 コロナ禍取材の問題点 共有と教訓>

コロナ禍、各局の苦悩

第二部は「コロナ禍の取材、共有と教訓」と題して、様々な制約を課されたコロナ禍での取材の問題点を共有して将来につなげようという視点で議論された。前半部分は、アンケートで各局が答えた内容を司会が読み上げ、回答局が説明するスタイルで進んだ。

▲「夜討ち朝駆け自粛で新人記者育成に苦慮」

<参加者>
器用な若手記者はオンライン等の新しい取材ツールを利用していた。夜回り取材を最初の段階で教えてあげられなかったことがどう影響していくのか?将来どういう記者に育っているのか見ていく必要がある。

▲「代表取材」「素材共有」が一気に進んだ

<参加者>
会見等の取材現場が密にならないように安全配慮する必要に迫られ、さらに取材相手からも「代表取材でお願いします」というケースが増えた。各局が同じ取材をするところは代表カメラとなり、5類に下がった現在も、競う必要がない取材は同じ映像で構わないと割り切っている。他局と違いを出したいところに力を入れるという流れだ。

この報告を受けて、曽我部委員長と鈴木委員長代行が次のようにコメントした。

●これからのキーワードは「競争と協調」

<曽我部委員長>
代表取材等が増えたのは直接的にはコロナがきっかけだが、社会の変化や生活様式の変化といった大きなトレンドがコロナ禍で一気に動いたという印象を受けている。夜討ち朝駆けなど「これが取材の王道」とずっと続けてきたが、コロナ禍はそれを立ち止まって考え直すきっかけとなったとも捉えられる。
総務省など放送関係の会議で出てくるキーワードに「競争領域と協調領域」というものがある。何でも競争するのではなく、協力できるところは協力して、それによって余裕が出た部分を独自の取材に充てるというメリハリが今後大事になってくる。

●状況が大変でも、一番大事なところは掴める

<鈴木委員長代行>
「ここは(他局と)違いを出さなきゃ」と皆さんが思われるところがあるはずなので、そこに力を入れていけば、人出不足など大変な状況の中でも、一番大事なところをちゃんと掴んでいける。

ラジオ局の苦悩も報告された。

▲「65歳以上と妊婦はスタジオ入り禁止」もラジオ出演者は高齢者多くて・・
▲ミュージシャン関係者のスタジオ入りも規制したが「大物」は例外となって・・

<参加者>
ラジオはテレビと比べてスタジオが小さく密になりやすいのでいろいろな制限を行った。レギュラーの65歳以上の方もリモート出演にしたり、マイクを引っ張って別室出演にしたりした。アイドルグループが来ればスタジオ入りは代表1人だけ、お付きの人もプロモーター1人だけと制限していたが、映画のキャンペーンで主役の方が来た時には、マネージャー、映画会社の方、スタイリスト等々がぞろぞろ入られて制止できなかった。

リモート取材については「効率的だ」と評価する意見が多かったが、以下のような「現場重視」の声もあった。

▲リモート取材は効率的だが、感染対策を安易な盾にせず、現場に足を運び続ける
▲現場に足を運ぶことが真実性の見極めになる

<参加者>
直接足を運んで、その人がいる生活環境に触れることで得られる情報もある。フェイク画像等があふれる中で、真実性を見極めるためには現場に足を運ぶことは大事な要素だ。

後半は、コロナ禍当時に参加者が疑問に思ったことを報告し委員が意見を述べる形で進行した。

「同調圧力」…我々はちゃんと「ノー」と言えるのだろうか?

<参加者>
マスクにしてもワクチンにしても、科学的に何かしら解明ができている訳ではないが、最大公約数的に打った方がいいであろうと我々も報道してきた。「ワクチンを打ちたくない」という方もいたが、打っていないといろんなところに支障が出てくる。政府が言ったことを国民に伝えていくところの怖さ。戦前にあれだけ「報道機関は右に倣え」だったと言われているのに、このあと我々はちゃんと「ノー」と言えるのだろうか? 他が何と言おうと「これはこうだ」と言えるのか一抹の不安を感じた。

<松田委員>
皆さんはどこでそういう同調圧力を感じたのか知りたい。視聴者の側はテレビを見て「ああ、こんなことが求められているんだ」と感じる。皆さんは、一体どこでそういう雰囲気を察知して何を番組に落とし込んだのか?

<参加者>
私が迷ったのは「コロナが落ち着いた後でもマスクを着けてリポートさせるべきなのか?」という点。状況としてはそんなに密集しておらず、他者との距離も保てている。普通ならマスクは不要と判断するところだが、SNSでクレームが付いたらどう転がっていくか分からないので、まだ形にすらなっていない視聴者感情に判断を左右されたことが多々あった。

●少数意見も紹介して同調圧力を助長しない心掛けを

<曽我部委員長>
日本社会に同調圧力があること自体は、放送局にはどうしようもできないと思う。私が思うのは、1つは「放送局が同調圧力を助長していないか?」ということ。SNSで見つけた一部の意見を番組で取り上げることで本当に火がついてしまうようなことがあった。もう1つは「少数意見をきちんと伝えていく必要がある」ということ。ワクチンについても、打たない自由もあると、しっかり伝えていく。マスクについても、安全な場面では必ずしも着用しなくてもいいんじゃないかと。そういう意見を誰かに言わせることを意識的にやらないといけないと思う。放送法4条では「意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」とある。ワクチンも意見が分かれているテーマなので、少数意見もしっかり伝えていく。そういう形で同調圧力を助長しないことを放送局として心掛けていく問題だ。
SNS上の意見は非常に偏っていることがいろんな調査で明らかになっている。まず、そのことを認識することが大事だ。SNSで言われていることは一部の声に過ぎない。
放送局としては、SNSで指摘されたからといって忖度するのでなく、筋を通していくべきで、必要に応じて説明していけばサイレントマジョリティーは納得する。一時的には炎上しても基本的には理解してもらえる。

●少数派の偏った意見、メディアが扱うことで広がっていく

<松田委員>
メディアの皆さんはSNSをよく見ていると思うが、例えば40代、50代では半数以下しか利用していないし、多くは書き込まない。SNSに日常的によく書き込む人はすごく少数派だ。それをメディアが取り上げることで拡散していく。ツイッター改めXなどはいろんな素材や情報が転がっていて使いやすい部分があるとは思うが、偏っている。少数の人が書いたものをどういう形で扱うのか、メディアの皆さんが扱うことで広げてしまうことに関心を持ってほしい。

感染者のプライバシー、あそこまで報じる必要があったのか?

<参加者>
感染し始めた頃は、県や保健所が感染者の行動履歴を詳しく発表して、我々もその発表に基づいて放送していた。今となって考えれば、果たしてそこまで感染者のプライバシーを放送する必要があったのだろうか?

●この経験を風化させてはいけない

<曽我部委員長>
これは難しい問題だ。初期の頃はコロナがどんな病気か分からず恐怖感も強かったので、当時としてベストな報道がいかなるものかを考えるのが非常に難しかった。今からすれば、ちょっとやり過ぎだったんだろうと思うが、当時はやむを得ない部分もあったかもしれない。ただ、この経験は今後に活かしていくことが非常に大事なので、次に感染症が問題になった時には今回の反省も踏まえて考えていくことになる。メディアの方々はそれぞれ経験値を得たと思うので、風化させることなく、きちんと総括して次の機会の糧にしてほしい。

<事務局からの報告>

第三部に先立って、BPOに寄せられる苦情・意見を踏まえて植村統括調査役が参加局に注意喚起した。

●取材時の「映り込み」に注意

<植村統括調査役>
申立ての前段階としてBPOの人権相談に苦情が寄せられることがあるが、この1年半で3件ほど「映り込み」について苦情が来た。
▲「クマの出没で子どもたちが集団登下校」というニュースで自分の子どもの顔が映った
▲「新学期に登校してきた児童」という映像に自分の子供の服装が映った。特定できる
▲取材対象者の移動の様子を撮影したら、背後を自転車で通り過ぎる女性が映り込んだ。
3件とも共通しているのは「夫からのDVで居場所を知られたくない」というものだ。デジタル化が進んで画像の精度が上がったことに加えて、民生用の小型カメラでも撮影できるので、撮影していること自体分からないケースも増えている。今後もこうしたケースは十二分にあり得るので注意してほしい。

<第三部 災害報道と人権>

このテーマは2023年7月の九州北部豪雨で各局が災害特番を放送したことから設定したものだったが、2024年は元日に能登半島地震が発生し、意見交換会開催の1月31日まで連日災害報道が続くことになってしまった。
災害報道という緊急性に紛れて気付かずに人権を侵害しているケースはないか、災害を報じる当事者として疑問に思うことはないかという角度から議論を進めた。

犠牲者氏名、なぜ非公表なのか?

まず、災害犠牲者名の非公表問題が取り上げられ、4人の委員がいずれも「公表すべき」という立場から意見を述べた。

<参加者>
犠牲者もそうだが、(九州北部豪雨の際に)大分県は安否不明者の氏名を「救助活動等に資する場合のみ公表する」とした。「救助活動に資する、とは何を指すのか?」というやりとりをしたが平行線のままだった。広く氏名が分かっていれば一般の方からの通報にもつながると思うのだが。

●見たことのないおばけを怖がっている

<水野委員>
個人的には、災害であれ事件であれ名前を知りたい。京アニ事件での実名・匿名問題をゼミで議論すると、学生の8~9割は「遺族が望むなら」と匿名を支持する。しかし、「なぜそう思うのか?」と問い詰めていくと、あまり根拠がない。実名を公表することで実態以上に甚大なダメージを受けると過剰に恐れている節がある。見たことがないからこそ余計におばけを怖がるようなものだ。報道機関の方には、実名の意味・意義を踏まえて行政と対峙してほしい。

●民主主義の基本情報。踏ん張らなきゃいけないところだ

<廣田委員>
京アニの話が出たので、事件報道についてであるが、弁護士会の中で、犯罪被害者の支援をしている委員会からは「実名にする意味がない」という厳しい意見がある。実名が出た後の二次被害がひどい、特にインターネットでいろいろ書かれると消すことが難しいという。報道機関の方々には、なぜ実名にするのかをきちんと説明してほしい。内部では議論しているだろうが外に伝わってこない。
報道の現場の方々と話し、いろいろ考え、私の考えは変わっていった。私の個人的考えだが、今は、原則実名だ。ネットが発達して真偽不明の情報が出回るときに、訓練を受けた報道機関がきちんと裏を取って5W1Hを固有名詞を入れて報じて記録することは非常に重要になってきている。「面倒だからやめておこう」「実名を言わなければ言わないで済んでしまう」とやっていったら、後で何が何か分からなくなって事件の検証もできなくなる。5W1Hを正確に報じて記録したものは、民主主義の基本情報だ。踏ん張らなきゃいけないところだ。

●防災の手掛かりとなる情報は共有されるべき

<野村委員>
東日本大震災後、3年間、弁護士として石巻市役所に赴任・常勤して復興事業に従事した。その経験から思うのは、犠牲者の情報は家族がコントロールするものだ、では済まないということだ。家族と一緒に亡くなったのか独りで亡くなったのか、津波の時にどういう避難行動を取っていたのか、といったことは将来の防災につながる話だ。個人にモザイクをかけると具体的な考察がぼやけてしまう。手掛かりになる情報は共有されるべきだ。石川県は家族の了解を公表の条件にしているが、全員の承諾は得られないので一部だけの公表になってしまう。そうなると全体像を掴むという意味では中途半端になって、逆に意味がなくなってしまう。個人的意見としては、実名の公表可否を家族の意思に委ねることはよろしくないと考えている。

●公権力が情報をコントロールしてはいけない

<國森委員>
国とか自治体とか警察とか、そういった公権力が情報をコントロールしてはいけないと思っている。メディアが情報を全部引き出した上で、それをどこまで報道するかをメディア自らが、指針・信念・説明責任を持って判断していかないととても危険な社会になる。遺族はメディアスクラムを含めた取材そのものによる被害、その後のネットパッシングなどによる被害の恐れがあるが、そうした被害を食い止める努力をメディアがすることで当局あるいは社会に対して「ここまでやっているので情報を出して」と言えるようになれば良いと思う。

「土砂災害特別警戒区域」、どう伝えれば?

<参加者>
土砂災害が起きた地域が「土砂災害特別警戒区域」だったケースが多い。視聴者から「そういう区域に住んでいるからダメなんだ」という反応が来るし、災害の専門家もマイクを外すと「本当はここに人が住んじゃダメなんだ」と言う。大雨や台風の場合は被害が予測されるので早期避難を呼びかける事前報道に力を入れているが、犠牲となった方に非難の声がいかないように伝え方に非常に神経を使う。

●悩むことが大切。それは視聴者に伝わる

<斉藤委員>
報道する方たちは本当に悩まれると思う。この問題には正解はないと思う。
同じ言葉で伝えても、AIのニュースでは伝わらないが、リポーター本人が「どう伝えるべきなのか」と悩みながら語った場合、その思いは視聴者に伝わるのではないだろうか。伝える人間が、どう伝えるか悩んでいること自体がすごく大事なことだと思う。テレビは「どういう思いで伝えようとしているのか」ということも伝えてくれる。

●リスクあることを、地域の住民も社会も共有しないといけない

<國森委員>
とても難しい問題だ。東日本大震災の津波でも、どこまで津波が来たのかを皆が強く意識しないといけないし、メディアも伝えていかなければならない。それも踏まえて「ここにはリスクがある」ということは、住んでいる人も含めて社会で共有していかなくてはならないと思う。

●背景にも触れると伝わり方も違うのではないか

<廣田委員>
ずっと昔から住んでいて後から警戒区域の概念ができて指定されたのと、危険だと分かって住み始めたのでは違うのではないか。法律上は、分かって行くと非があるとされることもある。昔から住んでいる場合だったら、背景も踏まえて伝えると伝わり方も違うのでは。「古くからある集落で」というような一言があれば住民への非難の声は出ないのではないか。

●自己責任論、バッシングが起こらない伝え方を

<曽我部委員長>
法律的には警戒区域指定の前か後かで変わるが報道はフェーズが違うと思う。全国の土砂災害警戒特別区域に住んでいる人に危険性を伝える意味で、そういう地域で大きな被害が出ていることを伝えることは非常に重要だ。被害を伝えることに躊躇する必要はないが、他方で実際に住んでいる個々人と結び付けて報道すると自己責任論が出てバッシングにもなりうる。結局は伝え方の問題で先ほど紹介してくれたように住民に配慮しながら伝える方法は大変適切だ。

被災者映像 発災直後は使用可能でも時間経過すればどうなのか?

<参加者>
メディア取材に対する被災者の心情は、発災直後と時間が経過してからでは大きく変わる可能性がある。発災直後に取材に応じてもらった映像を時間が経ってから使う場合はかなり留意が必要なのではないか。

●「肖像権ガイドライン」が参考になる

<曽我部委員長>
以前大阪の朝日放送(ABC)から、阪神大震災のアーカイブをネット上で公開したいという相談を受けた。肖像権問題を含めどういう考え方で臨んでいいのか基準が分からない、ということだったので「デジタルアーカイブ学会」の「肖像権ガイドライン」が参考になるだろうと思い紹介した。
肖像の使用権が許されるかどうかは通常は総合判断で決めるが、このガイドラインでは<被撮影者の社会的地位><被撮影者の活動内容><撮影の場所><撮影の対応>といった要素を点数化する。例えば、公人・政治家であれば許容される方向に働くし、一般人であれば許容されない方向に働く。活動内容も、歴史的な公式行事なら許容の方向で、プライベートな行事なら逆になる。点数を全部足し合わせて、何点ならいけるいけないというガイドラインを作成された。ABCはそれで判断して公開に至った。今後、災害に限らず時間が経った映像を利用する際には参考になるだろう。ABCのサイトは「阪神淡路大震災 激震の記録1995」で検索すればすぐ出てくる。「肖像権ガイドライン」は政府の知財本部などでも資料で出てくるくらいに広まった。参考になると思う。

以上

2024年3月に視聴者から寄せられた意見

2024年3月に視聴者から寄せられた意見

“二刀流”メジャーリーガーの一挙手一投足に注目が集まり、結婚や元通訳の賭博をめぐる報道に多くの意見が寄せられました。

3月にBPOに寄せられた意見数は1,768 件で先月から 540 件減少しました。
意見のアクセス方法は、 ウェブ 87.6% 電話 11.4% 郵便・FAX計 1.0%
男女別(任意回答)は、男性 56.2% 女性 26.1% で、世代別では40歳代 24.2% 50歳代 20.1% 30歳代 23.0% 20歳代 11.5% 60歳代 10.4% 70歳以上 3.7% 10歳代 0.7%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各局に送付、3月の送付件数は669件、47事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から16件を選び、会員社すべてに送りました。。

意見概要

番組全般にわたる意見

“二刀流”メジャーリーガーの活躍と、結婚、元通訳の賭博問題などを報道する各社番組に対して多くの意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は37件、CMについては20件でした。

青少年に関する意見

3月中に青少年委員会に寄せられた意見は72件で、前月から31件減少しました。
今月は「表現・演出」が29件と最も多く、次いで「要望・提言」が26件、「言葉」が5件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • “二刀流”メジャーリーガーの活躍は素晴らしいし、多くの人が関心を持っていることも分かる。しかし、どのチャンネルでも繰り返し時間を割いて報道しているのを見ると、それ以外の伝えるべきニュースが報道されていないのではないかと心配になってくる。

  • “二刀流”メジャーリーガーの元通訳の賭博問題について、情報番組の司会やコメンテーターが、確かな情報が少ないのに憶測による発言を続けていて、無責任ではないかと思った。

  • 元通訳の親の自宅に取材に行きインタビューを試みたのは行き過ぎた取材ではないかと感じた。

  • ニュースなどで、「政府関係者」や「〇〇党関係者」などというクレジットでコメントが紹介される。本当にそのような発言があったかのどうか、フェイクかもしれないのに真偽を検証する手段が無い。匿名性を守る必要があるのも分かるが、こうした表現方法には検討の余地があるのではないだろうか。

  • ニュースの冒頭でアナウンサーが「今起きていることをすべてお伝えします」と言っていた。それは無理だろう。報道番組で誇張はよくないと感じた。

  • 犯罪の悪質さや重大性にかかわらず、容疑者が画像付き、実名で報道されることに違和感がある。政治家の汚職や大企業の不正、殺人など重大な事件ではそれも妥当だと考えるが、執行猶予や罰金刑が確実視されるケースまで、画像付き実名で報道する必要があるのだろうか。いわゆるデジタルタトゥーを消せない時代の報道のあり方を議論すべきかと思う。

  • 放火事件や窃盗事件、器物損壊事件などの報道で、防犯カメラ映像がよく使われるが、必ずモザイクがかけられていることにいら立ちを覚える。

  • 大物お笑いタレントの性加害疑惑をめぐり、ネット等には週刊誌記事の内容に疑問を投げかける証言が出ているにもかかわらず、テレビの情報番組などでの扱い方が小さいと感じる。

  • 「日本人のガザ地域への関心は薄れている」と、あるコメンテーターが話していたが、それは日本のニュース番組での報道が少ないからではないか。

  • 情報番組のコメンテーターは自分の専門外のことについては発言を慎重にした方がいいと思う。テレビでの発言は、「~だとしたら、」というような仮定を付け加えたとしても、どうしても断定的に聞こえるし、確かな事実として受け止められてしまうこともあるだろう。SNS等で個人の見解を発信するのとは重みが違うということを認識してほしい。

【バラエティー・ドラマ】

  • 薬剤師の業務や責任を軽視して、笑いのネタにしている場面を見た。編集で当該場面をカットしなかった放送局にも責任があると感じる。

  • 牛乳の早飲み競争を装って、チューブをつなぎ途切れることなく牛乳や水を飲ませるドッキリ。吐き出す場面が汚らしく不快だし、食品・飲料を粗末に扱うことに抵抗を感じないのか。制作者の良識を疑う。

  • 激辛チャレンジや大食い競争の参加者を見ていると、さまざまな事情により望まないのに参加させられているのではないかと心配になってくる。パワハラのように見えて素直に笑えない。

  • 2週にわたって同じ内容を放送したバラエティー。申し訳程度に数か所の変更を加えて、“間違い探し”してほしいと呼びかけていたが、毎週番組の視聴を楽しみにしている視聴者を軽く見ているのではないかと腹が立った。

  • 紫式部の人生を描いた歴史ドラマ。登場人物のほとんどが同じ姓なので見ていて混乱する。登場する場面ごとに名前のスーパーを入れていただけないものか。

【その他全般】

  • 午後の国会中継だが、国会の審議が終わらないうちに、あとの番組(ニュースなど)に切り替わってしまい、少数政党の質疑が放送されないことがある。深夜に再放送があるというが起きているのは大変だし、何とかならないものだろうか。

  • 旅番組グルメ番組などで上半身裸の男性の入浴シーンが放送される。気にしすぎだという声があるかもしれないが、番組制作者はジェンダー問題に対して敏感であってほしいと思う。

  • NHKでは手話通訳を付けているニュースをよく見るが民放ではまだまだ少ない。少しずつ拡充してほしいと思う。

  • 放送局が視聴者意見をどのように受け止めて活用しているか、もう少し見えるようになるといいと思う。番組や放送がよりよくなるようにと意見を送っているので、放送局側からフィードバックする機会が少しでも増えればいいと思う。

  • CMの入れ方について。昔はだいたい15分に1回くらいで節度があった。今は番組をチラッと見せたらまたCM。番組を切り刻みすぎだと感じる。なんとかならないものだろうか。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 情報バラエティー番組の中継コーナーで「背負い餅」を模した「背負い肉」という赤ちゃん企画があった。番組では赤ちゃんが泣き続け、背負った牛肉の重さで仰向けに倒れる場面もあった。児童虐待にしか見えず、危険で不適切な放送だった。

  • バラエティー番組の「昭和の常識・令和の非常識」というコーナーで、昭和時代の団地の浴室によく装備された「バランス釜」を特集。令和の若者の視点で「古いし今は見ない」「(浴槽が小さくて)風呂に入る意味がない」と音声が流れた。今でも住まいで使用している人がいるのに、ばかにされたような気分で最悪だった。

【「要望・提言」】

  • 車を運転中、路線バスを使った旅番組の撮影に遭遇した。田舎の狭い道を何列にもなって歩いている。車で横を走り抜けようとすると、急に飛び出したり、マイクの付いた長い棒が飛び出たりする。ロケの際には社会的なモラルを守った行動をしてほしい。

【「言葉」に関する意見】

  • 午前の情報バラエティー番組で、若い女性タレントが居酒屋で、酎ハイなどを続けて3杯飲むシーンがあった。朝の番組で流す映像としてはいかがなものか。20歳未満の者の飲酒を誘発したり、アルコール依存症の人などを刺激したりする内容だと思う。

【「食べ物」に関する意見】

  • バラエティー番組のグルメコーナーに出演するタレントたちの食べ方が下手で汚い。そばやうどんをきちんとすすれないし、逆にすすってはいけないパスタをすする人がいる。子どもが模倣するので、出演者にはテーブルマナーを教え込んでほしい。