第243回放送と人権等権利に関する委員会

第243回 – 2017年1月

STAP細胞報道事案の審理、事件報道に対する地方公務員からの申立て事案の審理、都知事関連報道事案の審理、浜名湖切断遺体事件報道事案の審理…など

STAP細胞報道事案の「委員会決定」を最終承認した。また事件報道に対する地方公務員からの申立て事案の「委員会決定」修正案を議論し、都知事関連報道事案、浜名湖切断遺体事件報道事案を審理した。

議事の詳細

日時
2017年1月17日(火)午後4時~8時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

坂井委員長、奥委員長代行、市川委員長代行、紙谷委員、城戸委員、
白波瀬委員、曽我部委員、中島委員、二関委員

1.「STAP細胞報道に対する申立て」事案の審理

対象となったのは、NHKが2014年7月27日に『NHKスペシャル』で放送した特集「調査報告 STAP細胞 不正の深層」。番組では英科学誌「ネイチャー」に掲載された小保方晴子氏らによるSTAP細胞に関する論文を検証した。
この放送に対し小保方氏は人権侵害等を訴える申立書を委員会に提出、その中で「何らの客観的証拠もないままに、申立人が理研(理化学研究所)内の若山(照彦)研究室にあったES細胞を『盗み』、それを混入させた細胞を用いて実験を行っていたと断定的なイメージの下で作られたもので、極めて大きな人権侵害があった」などとして、NHKに公式謝罪や検証作業の公表、再発防止体制づくりを求めた。
これに対しNHKは答弁書で、「今回の番組は、世界的な関心を集めていた『STAP細胞はあるのか』という疑問に対し、2000ページ近くにおよぶ資料や100人を超える研究者、関係者の取材に基づき、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したものであって、申立人の人権を不当に侵害するようなものではない」などと主張した。
今回の委員会では、前回委員会での議論を踏まえた「委員会決定」最終案が提出され、一部の字句を修正のうえ了承された。その結果、2月に「委員会決定」の通知・公表を行う運びとなった。

2.「事件報道に対する地方公務員からの申立て」(テレビ熊本)事案の審理

3.「事件報道に対する地方公務員からの申立て」(熊本県民テレビ) 事案の審理

対象となったのはテレビ熊本と熊本県民テレビが2015年11月19日にそれぞれニュースで扱った地方公務員による準強制わいせつ容疑での逮捕に関する放送。申立人は、放送は事実と異なる内容であり、初期報道における「極悪人のような報道内容」などにより深刻な人権侵害を受けたとして、謝罪文の提出など放送局の対応を求めているもの。
今回の委員会では、まず、第3回起草委員会において修正された決定文案について起草委員より説明があり、その後、各委員から意見を聞いた。今回も警察広報担当者の情報の扱いを巡る議論を中心に意見が交わされ、決定文の表現について調整が図られた。そのうえで、放送倫理上の問題について、本件放送が、初期報道という制約がある中で、適切な取材と表現によってなされたかどうかとの観点から各委員の意見が示された。委員会は、こうした議論を受け第4回起草委員会を開くことを決め、決定文案の修正を行い、次回委員会でさらに議論を深める方針を確認した。

4.「都知事関連報道に対する申立て」事案の審理

対象となった番組は、フジテレビが2016年5月22日(日)に放送した情報番組『Mr.サンデー』。番組では、舛添要一東京都知事(当時)の政治資金流用疑惑に関連して、舛添氏の政治団体から夫人の雅美氏が代表取締役を務める会社(舛添政治経済研究所)に事務所家賃が支払われていた問題を取り上げ、早朝に取材クルーを舛添氏の自宅を兼ねた事務所前に派遣し、雅美氏が「いくらなんでも失礼です」と発言した模様等を放送した。
申立書によると、未成年の長男と長女は、1メートル位の至近距離からの執拗な撮影行為によって衝撃を受け、これがトラウマになって家を出て登校するたびに恐怖を感じ、また雅美氏はこうした撮影行為に抗議して「いくらなんでも失礼です」と発言したのに、家賃に対する質問に答えたかのように都合よく編集して放送され視聴者を欺くものだったとしている。雅美氏と2人の子供は人権侵害を訴え、番組内での謝罪などをフジテレビに求めている。
これに対してフジテレビは委員会に提出した答弁書において、長男と長女を取材・撮影する意図は全くなく執拗な撮影行為など一切行っておらず、放送した雅美氏の発言は、ディレクターが家賃について質問した以降のやり取りを恣意性を排除するためにノーカットで使用したとしている。さらに雅美氏は政治資金の使い道について説明責任がある当事者で、雅美氏を取材することは公共性・公益性が極めて高いとしている。
今月の委員会では、本件事案の論点とヒアリングの質問項目を確認し、先行している事案の審理の状況をふまえヒアリングを実施することを決めた。

5.「浜名湖切断遺体事件報道に対する申立て」事案の審理

対象となった番組は、テレビ静岡が2016年7月14日に放送したニュース番組(全国ネット及びローカル)で、静岡県浜松市の浜名湖周辺で切断された遺体が発見された事件で「捜査本部が関係先の捜索を進めて、複数の車を押収し、事件との関連を調べている」等と放送した。
この放送に対し、同県在住の男性は同月16日テレビ静岡に電話し、自分は事件とは関係ないのに同社記者が勝手に私有地に入って撮影し、犯人であるかのように全国ネットで報道をした等と抗議した。
同氏はその後テレビ静岡と話し合いを続けたが不調に終わり、9月18日付で申立書を委員会に提出。同事件の捜査において、「実際には全く関係ないにもかかわらず、『浜名湖切断遺体 関係先を捜索 複数の車押収』と断定したテロップをつけ、記者が『捜査本部は遺体の状況から殺人事件と断定して捜査を進めています』と殺人事件に関わったかのように伝えながら、許可なく私の自宅前である私道で撮影した、捜査員が自宅に入る姿や、窓や干してあったプライバシーである布団一式を放送し、名誉や信頼を傷つけられた」として、放送法9条に基づく訂正放送、謝罪およびネット上に出ている画像の削除を求めた。
また申立人は、この日県警捜査員が同氏自宅を訪れたのは、申立人とは関係のない窃盗事件の証拠物である車を押収するためであり、「私の自宅である建物内は一切捜索されていない」と主張、そのうえで、「このニュースの映像だけを見れば、家宅捜索された印象を受け、いかにもこの家の主が犯人ではないかという印象を視聴者に与えてしまう。私は今回の件で仕事を辞めざるをえなくなった」と訴えている。
この申立てに対しテレビ静岡は11月2日、「経緯と見解」書面を委員会に提出し、「本件放送が『真実でない』ことを放送したものであるという申立人の主張には理由がなく、訂正放送の請求には応じかねる」と述べた。この中で、「当社取材陣は、信頼できる取材源より、浜名湖死体損壊・遺棄事件に関連して捜査の動きがある旨の情報を得て取材活動を行ったものであり、当日の取材の際にも取材陣は捜査員の応対から当日の捜索が浜名湖事件との関連でなされたものであることの確証を得たほか、さらに複数の取材源にも確認しており、この捜索が浜名湖事件に関連したものとしてなされたことは事実」であり、「本件放送は、その事件との関連で捜査がなされた場所という意味で本件住宅を『関係先』と指称しているもの。また本件放送では、申立人の氏名に言及するなど一切しておらず、『申立人が浜名湖の件の被疑者、若しくは事件にかかわった者』との放送は一切していない」と反論した。
さらに、「捜査機関の行為は手続き上も押収だけでなく『捜索』も行われたことは明らか。すなわち、捜査員が本件住宅内で確認を行い、本件住宅の駐車場で軽自動車を現認して差し押さえたことから、本件住宅で捜索活動が行われたことは間違いなく、したがって、『関係先とみられる住宅などを捜索』との報道は事実であり、虚偽ではあり得ない」と主張した。
12月の委員会後、被申立人から「再答弁書」が提出され、所定の書面が出揃った。今回の委員会では、事務局がこれまでの双方の主張を取りまとめた資料を基に説明、論点を整理するため起草委員が集まって協議することとなった。

6.その他

  • 委員会が1月31日に広島で開催する予定の中国・四国地区意見交換会の議題、進行案等を説明し、了承された。
  • 2月23日に開かれる第13回BPO事例研究会の概要を事務局が説明した。
  • 次回委員会は2月21日に開かれる。

以上

第111回 放送倫理検証委員会

第111回–2017年1月

参院選と都知事選の選挙報道全般について審議 2月上旬にも意見書の通知と公表の記者会見
ASKA氏逮捕報道でのタクシー車載映像使用などについて討議など

昨年の参議院議員選挙と東京都知事選挙について放送局からの報告や視聴者からの意見が寄せられたことから、選挙報道の公平・公正についての委員会の考え方を示すのは意味があるとして、委員会は、二つの選挙に関する放送の具体例を踏まえながら、選挙報道全般のあり方について審議を継続している。委員会に担当委員から意見書の修正案が提出され、意見交換が行われた結果、大筋で合意が得られたため、一部手直しをしたうえで2月上旬にも放送局の代表への通知と公表の記者会見をすることになった。
昨年11月末のASKA氏逮捕報道の際に、在京民放局がタクシー車載映像を使用したことなどについて視聴者意見が多数寄せられたことなどから、当該各局から報告を求めて意見交換を行った。最終的には、各局の報道内容について公益性も認められないわけではないし、既にASKA氏が釈放されていて「法的手段を進めている」と公表していることなどから、委員からの厳しい意見も議事概要に公開して注意喚起することで、審議の対象とはしないことを決めた。
IBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅』で、乳酸菌(ヨーグルト)の「ステルスマーケティング」が行われたのではないか、という疑惑が報じられた。委員会は当該局の報告書をもとに意見交換をした結果、さらなる確認や検討が必要だとして、討議を継続することを決めた。
委員会発足10周年記念のシンポジウムが、3月22日(水)に開催されることが担当委員から報告され了承された。

議事の詳細

日時
2017年1月13日(金) 午後5時00分~8時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. 参議院議員選挙と東京都知事選挙の選挙報道について審議

委員会は、昨年行われた参議院議員選挙と東京都知事選挙について、視聴者からさまざまな意見が寄せられる中で、「選挙報道が萎縮しているのではないか」といった指摘がなされている現状も考えると、具体的な放送を踏まえながら選挙報道の公平・公正についての考え方を示すのは意味があるとして、選挙報道全般のあり方について審議を継続している。
今回の委員会では、前回出された意見書の原案に対する各委員からの意見をもとに、担当委員から意見書の修正案が出され、これに対して委員から「公選法や放送法が選挙報道に何を求めているのかをわかりやすく解説して、実際に取材し番組を制作する人たちに理解してもらう必要がある」「意見書で述べている内容が、法律のどの条項に根拠があるのか、すぐに判るようにすることは意味がある」など、委員会の考えをより的確に伝えるための表現についても意見が交わされた。
その結果、大筋で了解が得られたため、表現の細部等について手直しをしたうえで、2月上旬にも、放送局の代表に通知するととともに、公表の記者会見をすることになった。

2. ASKA氏逮捕報道でのタクシー車載映像使用などについて討議

昨年11月末のASKA氏逮捕報道に関連して、在京民放局が逮捕直前にASKA氏が乗車したタクシーの車載映像を使用したことなどについて、BPOにも「過剰報道ではないか」「プライバシー侵害だ」などの視聴者意見が多数寄せられた。これを受けて、当該各局から、映像使用の実績、取材の経緯、放送の際の判断理由などについて、報告書が提出された。タクシー車載映像を使用したのは、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、フジテレビの4局で、各局とも放送にあたっての判断理由としては、「相当程度公的な存在といえるASKA氏の逮捕直前の様子や言動を伝えることは重要で、公益性・公共性が高いと判断した」などとしている。この他、逮捕前のASKA氏に情報番組のキャスターらが直接電話をかけて、逮捕報道への反応などをインタビューした音声が読売テレビと日本テレビで放送された件については、当該2局は、「本人が容疑を否定する重要な証言と判断して放送した」としている。また、読売テレビの11月28日放送の『ミヤネ屋』では、「ASKA氏逮捕へ」のニュースを伝える中で、芸能レポーターがASKA氏から提供されていた未公開曲の音声を約1分間放送したが、これについて当該局は、「著作権の問題はあるものの、ASKA氏の音楽活動の紹介として報道的にも意味があると判断した」としている。
委員会では、さまざまな観点からの意見交換がおこなわれ、テレビ局に対して厳しい意見も出された。しかし最終的には、問題点はあるものの、各局の報道内容について公益性も否定できない以上、一概に放送倫理違反を問うことは難しいし、ASKA氏が既に釈放されていて、本人のブログ上で「法的手段を進めている」と公表していることなどを勘案して、主な意見を記載して注意喚起をすることで、この事案の討議は終了することになった。

【委員の主な意見】

  • 単純に考えれば、プライバシー侵害や通信の秘密への配慮不足などが問題になると思うが、個人の権利の問題はこの委員会の本来の対象ではないと思うので難しい。
  • いくら公益性・公共性といわれても、実際の番組を見てみると、面白いものが手に入ったから放送している印象がぬぐえなかった。
  • タクシー車内の映像だが、あの程度の内容で公益性・公共性があるという主張には違和感を持った。ただ、今回はこの問題で大きな議論が起きたことを放送局に理解してもらうことでいいと思う。
  • たまたま手に入った車載映像を各局がそろって使用し、タクシー会社からやめてくれと言われるとすぐやめるということに、一言で言えば「安易だ」と感じた。
  • タクシー車内というプライベートな空間の映像の使用について若干疑問は残るが、報道の公共性との兼ね合いからいうと放送倫理違反とまではいえないのではないか。
  • 集中豪雨的な報道はどうかとも思ったが、タクシー車載映像や電話インタビューの使用の是非を論じると、警察発表以外の独自取材を制限してしまうことにもつながりかねない。ASKA氏が法的手段を取ると表明しているのなら、それを見守るほうが良いのではないか。

3. 番組内での乳酸菌(ヨーグルト)の「ステルスマーケティング疑惑」が報じられたIBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅』を討議

IBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅~外国人の健康法教えちゃいます!?』(2015年9月21日放送)で、専門家の説明を交えて、ある乳酸菌を摂取していると免疫力を高める効果がある、という内容の放送をしたが、一部週刊誌で、これが「広告」であることを隠して宣伝する「ステルスマーケティング」ではないかと指摘された。
この番組については、2015年11月の岩手放送の番組審議会で議論され、議事録によると、出席した局の幹部から「乳酸菌の扱いについては有料のタイアップである」という説明があった。しかし、2016年12月、岩手放送は、ホームページで番組審議会での説明に一部事実誤認があり、この番組がタイアップで制作されたものでないと訂正した。
当該局から提出された報告書によると、「この放送に関して、乳酸菌の商品を製造販売する企業から金銭が支払われことはなく、乳酸菌は健康情報の一つとして取り上げた。番組審議会では、委員からの厳しい質問に対して、局の出席者は思い込みによる誤った説明をしてしまった」ということであった。
委員会の議論では、「当該局はステルスマーケティングを否定しているが、乳酸菌の説明のくだりは唐突で番組の一部のように見えなかった」「番組審議会を軽視しているのではないか」などの厳しい意見が相次いだ。しかし、「この番組に対する番組審議会委員の対応は、素晴らしかった。今後、番組審議会の動きを見届けてみたい」との意見もあり、放送局の自主・自律の観点から、当該局の番組審議会や民放連の動きも見守りたいとして、次回の委員会で討議を継続することになった。

4. 委員会発足10周年記念シンポジウムについて

検討を続けてきた委員会発足10周年にちなんだ記念のシンポジウムについて、担当委員から、出席者や内容が固まり、開催日が3月22日(水)に決定したことが報告され、了承された。

以上

2016年11月29日

フジテレビ系列の北海道・東北6局との意見交換会

放送人権委員会は2016年11月29日、仙台市内でフジテレビ系列の北海道・東北6局との意見交換会を開催した。放送局からは報道・制作担当者を中心に29人が参加、委員会からは坂井眞委員長、市川正司委員長代行、紙谷雅子委員の3人が出席した。放送人権委員会の系列別意見交換会は2015年2月に高松市内で日本テレビ系列の四国4局を対象に開催したのが初めてで、2回目は2015年11月に金沢市内でTBSテレビ系列の北信越4局を対象に行い、今回が3回目となる。今回は、前半は「最近の委員会決定について」、後半は「各局の関心事について」を各々テーマに、3時間20分にわたって意見を交換した。概要は以下のとおりである。

◆ 「最近の委員会決定について」

初めに、「出家詐欺報道に対する申立て」に関する委員会決定を坂井委員長が説明した。坂井委員長は「NHKは必要な裏付け取材を欠いたまま、本件映像で申立人を『出家詐欺のブローカー』として断定的に放送した。そこは非常に取材として甘い。また、ナレーションの問題がとても大きい。本件映像のナレーションは、『活動拠点』にたどりついたと言っているが、これは明確な虚偽。あそこはB氏が用意したところで、A氏の活動拠点でも何でもない。全体として実際の申立人と異なる虚構を視聴者に伝えた。『放送倫理基本綱領』には『報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない』と記してある。放送倫理上重大な問題があったと言わざるを得ない。匿名にすれば、いい加減にしてもいいということではない。先ほど、三宅委員長のときに出した委員長談話、『顔なしインタビュー等についての要望』の話をしたが、テレビにおける安易な匿名化がもたらす問題性として、本件映像では、匿名化を行ったことによって、ナレーションについての真実性の吟味がおろそかになった可能性がうかがえる」と解説した。
参加者からは、「B氏との関係性で、今まで嘘をつかれたことがないという話があった。その業界に精通していて、長年の付き合いの中で信頼関係が生まれていれば信用してしまい、紹介された方と面識がなくても信用してしまうという話が分かってしまう自分がいる。もちろん、あってはならないことだが。改めて、その辺は気をつけなければならないと思った」などとの発言があった。これに対し坂井委員長は、「これまでは大丈夫だったかもしれないが、B氏がA氏にはコンタクトするなと言ったときに、職業的に危ないのではないかと思わなければ駄目だと思う。裏取りをさせてくれないというのは怖くはないか、というシンプルな話だ。アンテナを張っていないと、こういうことが起きるのではないか。記者のほうも、虚偽を含んだ、世間でヤラセと言われてしまうような事実と違うことをやってしまったのは、自分に対するチェック機能が衰えていたからではないか。気づくチャンスはあったはずだ」との意見を述べた。
次に、「ストーカー事件再現ドラマへの申立て」に関する委員会決定について市川委員長代行が、「匿名化していることと、現実の事件を題材としていることは別の問題であり、当事者の映像と再現映像が交互に放送されるなどしていることから、視聴者は、『イメージ』と表示された部分も含め、本件放送全体が、登場人物の関係、行為等の基本的な事実関係において現実の事件を再現したものであると受け止めると考えた。次に、委員会は、申立人の職場の関係者などにとって登場人物が申立人と同定可能であると考えた。フジテレビは、現実の事件とは異なる放送だという認識のもとで現実の事件と異なる内容を盛り込んでいたので、名誉毀損が成立してしまうという形になった」と解説した。
続いて、「ストーカー事件映像に対する申立て」に関する委員会決定について市川委員長代行は、「申立人がつきまとい行為をしたという基本的な事実関係においては間違いがないということで名誉毀損にはならないという認定をした。ただし、放送倫理上問題ありとした。放送後に申立人とA氏がフジテレビに抗議の電話をしたが、フジテレビは、『被害者』の保護を理由に、誰を対象にした番組であるともいえないと突っぱねてしまった。事件が関係者の中で、誰が当事者かということが分かってしまった後でも、フジテレビはこういう対応を続けてしまったところに非常に問題がある。最後に、真実性にも影響することとして、取材の甘さについて、多くの委員から指摘があった。これはストーカー事件と言っているが、実際は職場の同僚同士の処遇を巡る軋轢、紛争だ。そうであれば、やはり反対取材をすべきだった。加害者に接触しにくい場合もあり得ると思うが、今回は刑事事件で立件され、捜査も入っていた。そういう状態で相手方に取材をしない理由は見当たらない。以上が本件での教訓ということになると思う」と解説した。
次に、「ストーカー事件再現ドラマへの申立て」に関する委員会決定について紙谷委員が補足意見を説明した。紙谷委員は、「ジェンダーの問題があるのではないか。若くてかわいい女の子を、年配の意地悪なオバサンがいじめている。現実には、社内のどろどろした人間関係にまつわる争いを背景に、パートさんを正社員が、テレビ局、テレビ番組を使って貶めようとしたように、わたしたちには見えた。乗せられてしまった。番組制作現場は男性が多く、男性から見た論理に疑問を持つのは難しいかもしれない。でも現実の人間は、そう簡単にステレオタイプに当てはまるようにはなっていない。皆さんの仕事は『人間を描く』ことだと思う。報道であっても、バラエティーであっても、ドラマであっても、最終的には『人間を描く』ことだと思う。先入観に囚われないで、事実をしっかり見てほしいというのが補足意見のメッセージだ」と解説した。
参加者から、「抗議に対して、フジテレビがプライバシー保護を理由に具体的な回答をしないことから、苦情に真摯に向き合わなかったという判断をされた。これはこれで非常に分かるが、もう一つ、取材源の秘匿という問題があると思うが」との発言があった。これに対し市川委員長代行から、「取材源の秘匿を否定するつもりは全くない。この事案は、申立人に対して、あなたがモデルかどうかもお答えできないし、そうである以上、あなたからのお話は何も聞く立場にないという答え方をした。取材源を、説明の過程の中で言わないという選択はあり得る。ただ、それは実際に申立人と向き合って話をしていく中で初めて生じる選択だ。本件は、そこにすら行かなかった」という意見が出された。
また、参加者から、「今回の番組、仮にリアルなインタビューや尾行の映像が全くなくて、登場人物のシチュエーションも完全にフィクション化して、骨格だけ残す形で、すべて再現ドラマで構成した場合、これはありということになるのか。それとも、やはり名誉毀損、プライバシー侵害になる可能性もあるのか。その辺の線引き、どう考えればいいのか」という発言があった。これに対し市川委員長代行から、「実写映像が出てくれば必ず駄目だということにはならない。きちんと場面を切り替えるとか、設定を切り替えるとか、工夫をすることによって、生かせる実在の映像というのはあり得ると思う」という意見が出され、坂井委員長からは、「シンプルにアドバイスしたい。事実を下敷きにするから再現ドラマというが、再現するときに事実から離れてほしい。あくまでドラマであって実在の人とは関係ない、というのだから、それはできると思う。番組では『食品メーカーの工場』となっているが、現実も、扱っている品目は違うが、食品メーカーだ。それを、例えば自動車工場にするとか、いろいろやりようはあると思う。現実との関係を断ち切っていけば、再現ドラマという手法は取れるのではないか」との発言があった。

◆ 「各局の関心事について」

参加者に事前にアンケートしたところ、「SNSとの向き合い方」、「匿名化と人権・プライバシーの問題」に関心が集中したため、この2点について意見を交換した。
参加者から、「ある番組で、子どもの貧困特集に登場した女子高生が、ネット上で『貧困女子高生ではない』と炎上したケースがあったが、記者がどこまで責任を負うべきなのか」との発言があった。これに対し市川委員長代行から、「未成年であり、少年の健全な育成という観点から一定の配慮をしなければならない。匿名化とかボカシとかという意味での配慮が必要な場面はある。それは一つの問題意識として持つべきだ。ただ、拡散する可能性があるから控えろという話にはしないほうが良いと思う。抑制する方向に動くのは、できるだけ避けていただきたい」との意見が出された。
また、参加者から、「雑踏の画面にボカシが入るケースが非常に多くなっている。不必要なことをやっていると思う。なぜかバラエティーでその傾向が強い。委員の皆さんはどう感じているか」との発言があった。これに対し紙谷委員は、「私の感覚から言えば、町中、雑踏というのはある程度撮られても仕方がない状況であり、ボカシを入れるのは、むしろどうしてなのかと思う。もう少し言えば、町中には防犯のためという監視カメラがたくさんあり、人の顔を写しているが、映像がどう管理されているのか、よく分からない。それにもかかわらず、写されるのは困ると考えている人々のプライバシーの感覚は、実態の伴わない期待の肥大ではないのか」と発言した。市川委員長代行は、「テレビの画像で、ある意味では一過性の画像としてそこに映り込んでしまうことまでも保護しなければいけないのかと言われると、私は正直言って違和感がある。隠すということであれば、隠す理由は何なのか。誰の利益のために隠すのかを吟味することが必要だと思う。取材対象者に隠してくれと言われたときには、必要ないと思えば、真実性を担保するためにも顔を出してインタビューさせてくださいと、取材する側が説得していくことが基本的なあり方だと思う」と発言した。

今回の意見交換会終了後、参加者からは以下のような感想が寄せられた。

  • 実際の案件について議論を進めることができたので分かりやすかった。報道だけに限らず、情報番組・バラエティーにも関わる部分で、どのセクションの人にとっても有意義なテーマだったと思う。「恋愛感情なし」ストーカーも罰せられることは重大なメッセージであり、より多角的な観点で制作しなければならないと感じた。日頃の取材活動や番組制作で疑問に感じたことに答えていただき、今後の取材活動の指針になった。

  • 事例に加えて、今、現場での疑問や悩ましいことについて意見交換し共有できたことが良かった。現場部門の若手もいたので、取材・編集等でのより具体的な事例について話せる機会があれば、なお良かったと思う。(SNSの扱い等は議題になっていたが)

  • テーマ数が多かったかもしれない。一つひとつの解説・質疑応答の時間を考えると、テーマ一つと自由討議でも良かったと思う。6社集っての意見交換なので、各社十分に意見を述べ合う余裕があったほうが良かったのではないか。

  • これまではBPOと聞くと、やや身構えてしまう部分があったが、今回、話を聞いて、我々放送局の味方であると感じた。特に放送法の部分の委員長の話は心強く感じた。再現ドラマは「事実を再現するもの」だが、「事実と離れてつくる」ことに相当気をつけなければならないと感じた。また機会があったら委員の皆さまのお話しを聞き、今後の番組制作に活用していきたいと思う。

以上

2016年12月に視聴者から寄せられた意見

2016年12月に視聴者から寄せられた意見

覚せい剤使用の疑いで逮捕された歌手への取材のあり方や、番組で使われたタクシー内映像、本人に無断で公開された未発表曲など、過剰な報道に対する批判。お笑い芸人が起こした当て逃げ事故や、俳優が薬物使用疑惑で引退したニュースを報じた情報番組への意見など。

2016年12月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,620件で、先月と比較して63件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール78%、電話20%、FAX1%、手紙ほか1%。
男女別は男性60%、女性39%、不明1%で、世代別では30歳代32%、40歳代28%、50歳代19%、20歳代13%、60歳以上6%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。12月の通知数は835件【39局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、19件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

覚せい剤使用の疑いで歌手が逮捕されたが、自宅周辺や遠方に住む家族への取材のあり方、また、番組で使われたタクシー内映像や、本人に無断で公開された未発表曲や通話内容など、過剰な報道に対する批判が多く寄せられた。そのほか、お笑い芸人が起こした当て逃げ事故や、俳優が薬物使用疑惑で引退したニュースを報じた情報番組への意見が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は30件、CMについては24件あった。

青少年に関する意見

12月中に青少年委員会に寄せられた意見は110件で、前月から9件減少した。
今月は「表現・演出」が33件と最も多く、次に「性的表現」が18件、「委員会に関する意見」が14件、「言葉に関する意見」が12件と続いた。
「表現・演出」では、いわゆる"ドッキリ番組"への意見が目立った。「性的表現」ではバラエティー番組で、マネキンがしているブラジャーを素早く外す競技を行ったことについて多くの意見が寄せられた。「言葉」では、お笑いタレントが他のお笑いタレントに向かって「死ね」などと言ったことについて複数の意見があった。
また、委員会が12月21日に「TBSテレビ『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』に関する委員会の考え」を公表したことを受け、多数の意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 覚せい剤使用の疑いで逮捕された歌手の報道について、被疑者の人権が守られているのか疑問だ。自宅に大勢で押しかけ勝手にガレージの中に入り、外車のエンブレムを折り曲げ、タクシー車内の映像を公開し、さらに入手した未発表の楽曲を勝手に流す。ここまで来ると、犯罪者の報道なら何をしてもいいのかという印象を受ける。複数の局が取材しているため、歯止めが効かない状況だ。

  • 覚せい剤使用の疑いで逮捕された歌手のタクシー内映像が放送された。これ自体、問題ではないかと考えていたところへ、タクシー会社が謝罪したというニュースが流された。当然のことと思ったが釈然としない。映像を流出させたタクシー会社よりも、電波に乗せた放送局の罪の方が大きくないだろうか。それなのに放送局が謝罪したというニュースは聞こえてこない。映像を要求したと思われるテレビ局も正式に謝罪すべきだ。タクシー会社に不適切なことをさせ、自分たちはその映像を利用して収益源とし、さらに謝罪なし。あまりにひどくないだろうか。

  • 覚せい剤使用の疑いで逮捕された歌手の件は、報道の自由とは言え、やり過ぎだ。福岡の実家まで押しかけた高齢の父親へのインタビューは、あまりにも心無いもので、事件取材の域を超えている。家族がどれだけ辛い思いをしているか、それをもネタにして晒すことに大きな矛盾を感じる。

  • 覚せい剤使用の疑いで逮捕されていた歌手が、不起訴処分となり釈放された。逮捕される直前から大きく報道してきたが、特に逮捕後は、有罪と決めつけてコメントしているような印象を受けた。不起訴となったのだから、当然これまでの放送を検証し説明するのかと思っていたが、見ていた範囲では謝罪の言葉もなく、まだ疑っているかのような報道に思えた。今回は有名人だから、不起訴も大きく報じられたが、一般人であれば不起訴はニュースにもならず、当初の報道だけで犯罪者のイメージを持たれてしまう。マスコミ関係者は、報道によって誰かの人生を奪うこともあると自覚し、常に自制的に報道に携わるべきだと思う。

  • お笑い芸人が当て逃げ事故を起こした件で、テレビではすべて「さん付け」で伝えていた。一方、歌手の覚せい剤使用容疑の報道では、逮捕される数時間前から「容疑者」と連呼していた。この違いは何か。芸人が大きい事務所だから遠慮しているのか。歌手が個人事務所だから叩いているのか。この理不尽さは納得できない。

  • 私は、飲酒運転をして電柱にぶつかり、その後すぐに警察に出頭した。一晩留置場に入った翌朝、この事故が報道されたことを知った。職業、住所、氏名とともに事故現場の写真がテレビで放送されたようだ。飲酒運転をした私が悪いのだが、被害者も出ていない、いわゆる自損事故なのに、氏名まで公表する必要があるのか。ニュースで放送されたことで、新しく決まりそうな仕事がだめになってしまった。私が悪いことは重々承知しているが、人の不幸を食いものにするような報道はしないでほしい。

  • 日本人はうるさくなりすぎだ。映画やドラマも規制ばかり。日本人特有の規律正しさや真面目さばかりを守ることで、結局、自分たちの首をしめている。地上波の映画放送にしても、新作公開に合わせた前作ものばかり何回も見せられる。映画やドラマは、いいことも悪いことも含め、その時代や歴史を映し出すものなのに、どうしてそれをあれこれ規制して、剥ぎ取りながら見せるのか。これでは歴史も勉強できないし、想像力や感動も生まれない。映画監督のメッセージも伝わらない。今の子どもたちに想像力がないのは、剥ぎ取られたものしか見ることができないからだ。

【番組全般・その他】

  • 日曜のニュース番組で、高校生が高性能ゴムパチンコを使い、バスに向かって玉を放ち、窓ガラスを壊した事件を伝えていた。その際、わざわざ同じ道具を使ってベニア板に穴をあける再現実験を行い「危険ですから真似をしないように」と注意していた。このような危険性のある再現実験は果たして必要であろうか。道具をどのように持ち、どのように玉を飛ばすのかを知らしめるだけの実験である。危険性のある道具の使い方を紹介する必要はない。

  • 昼の情報番組で、薬物使用疑惑の元俳優について伝えている。彼は、逮捕されたわけでも容疑者でもなく、芸能界を引退してすでに一般人だ。犯罪者のごとく扱うことは人権侵害以外の何ものでもない。コメンテーターの推測に過ぎないのに決めつけるような発言、自身の物差しだけではかる非難の言葉などは、反論する機会もない人に向けた一方的な暴力だ。すでに事務所も辞めていることから、クレームがないことを良いことに、このような放送をしているのだと思うが、誰が止めるのか。誰が彼を守れるのか疑問だ。

  • 朝の情報番組で、薬物使用疑惑の元俳優について伝えている。告発者と言われている人物を出演させ、真偽不明な意見を報じ、倫理観に疑問を覚えた。プライバシー暴露などを予告するような人物による、一方的な報道であり、信憑性が疑われるにもかかわらず、犯罪行為があったかのように印象付ける恣意性を感じた。影響力のあるテレビで、偏った報道を流すことの責任を考えてほしい。逮捕されてからで十分だ。被疑者になる前から印象操作をすることが、芸能人、一般人を問わず、相手にとってどれだけダメージであるか、よく考えてほしい。

  • 新語・流行語大賞が発表された。その中に「保育園落ちた日本死ね」があった。子どもと一緒に見ていて「日本死ね」とアナウンサーが言ったのを聞いた時は仰天した。子どもに聞かせていい言葉とは到底思えない。放送上「日本死ね」という言葉は極めて不適切だ。流行語大賞は、民間企業が企画するもので、選出過程も透明性に欠け、独断で選んでいるものに思える。公共倫理に対する責任は、テレビなどメディア側が格段に重い。話題性のある企画でも、不適切な言葉が含まれていたら放送すべきではない。

  • 新語・流行語に選ばれた「保育園落ちた日本死ね」について、出演者が、こぞって「下品だ」「不穏な言葉だ」などと酷評している。下品なこの言葉が選ばれたのは、日本社会の矛盾を鋭く突いて、多くの人の記憶に焼きついたからだ。無難な言葉ではみんなの心に残りはしなかった。実際に保育園探しで苦労している人たちの共感も大きかったはずだ。出演者の芸能人たちは、世の中の事情に疎いので、勝手な批判をしているだけではないか。

  • 朝のワイド番組に出演している男女のアナウンサーが、不倫関係にあると週刊誌が報じている。彼らは出演を控えているが、番組ではそのことについて説明が一切ない。タレントや議員の不倫については連日しつこいほど報じているのに、身内の不祥事には一言も触れない。これでは甘すぎる。

  • 夜のニュース番組で、豊島区が消滅危機にあるとのことで、存続に向けて日々奮闘する女性の特集があった。これ自体は良かった。しかし、その後意見を述べた女性のMCが「消滅して何が悪いのか、合併すればいいだけのことではないか」と主張するに至っては、完全に困惑した。特集にはメッセージがあるはずだ。私にはそれが「豊島区の歴史、文化、伝統を守るためには区としての存続が不可欠だ」とのメッセージだと受け取り共感した。しかし、このMCには全く伝わらなかったようで、特集自体を否定するかのような発言をした。番組MCが否定するような内容なら、番組として否定したも同然である。何のための特集なのか?視聴者に失礼だ。

  • フランスでのフィギュアスケート中継での、男子シングルのアメリカ代表選手への扱いに抗議する。彼は、自身のセクシュアリティを公表し、LGBTへの偏見をなくすための活動にも熱心なアスリートだが、放送では彼のコメントを「オネエ言葉」のように吹き替えていた。これは偏見を助長しかねないものだ。

  • 今回のフィギュアスケート中継は、これまでのような大げさな選手紹介や行き過ぎた楽屋裏の撮影、そして、同じ映像の繰り返しが減った点が非常に良かった。いろいろな選手の演技を見ることができたし、競技会らしい爽やかな番組構成になっていた。また、演技中に画面端に、ジャンプやスピンなどの要素についての技術点の加算が、リアルタイムで表示されていたことも視聴者に分かりやすかった。来年以降もこういった改善は続けてほしい。

  • 日曜の長寿番組が好きでずっと見ている。司会者がベテランから若手に代わってから、面白いのだが、にぎやかすぎると感じる時がある。どこが笑いのポイントか分かりにくいことも多い。以前のように、メリハリのある笑いを届けてほしい。

  • 年末にお年寄りが大勢出ていた番組は、もらい泣き、笑い泣き両方で涙が止まらなかった。一番もらい泣きをしたのは「過去の自分へのビデオレター」。人生の先輩方の、若かりし頃の人生の一部分を垣間見ることができて、どのビデオにも感動した。今回出演したご長寿の皆様のように、元気に明るく、日々のありがたみをかみしめるような素敵な大人、お年寄りになりたいと心から思った。

【ラジオ】

  • 「番組からの電話に出て、合い言葉を言えればプレゼントする」企画がある。その際に「非通知着信拒否の設定を解除しろ」と繰り返し放送している。電話による詐欺事件が頻発している現在、非通知着信拒否は対策として有効であると思うが、何故それを解除させようとするのか。電話番号を知られると面倒だと思っているのかもしれないが、発信専用の回線を1本引けば済む話だ。詐欺防止の啓発コマーシャルを流しているのだから気を遣っても良いのではないか。

  • インターネットで勝手に記事を引用し、問題化する事象が発生している。自ら取材せず、いい加減にコピー情報を発信することが原因と考えられる。新聞や雑誌、Webニュースから引用する際、許可や契約が必要と思われるが、ラジオでは取材しないパクリ記事使用が横行。無法地帯となっている。きちんと対処しなければ、近いうちに大きな問題が必ず起こる。

【CM】

  • ラジオの「振り込め詐欺」啓発CMは、息子役の3人(1人は本当の息子)が、それぞれ「もしもしお母さん俺だけど」と言い、本当の息子を当てる内容なのだが、息子の声を当てられなかったお母さんが、笑いながら話している。多くの被害が出ている犯罪の啓発ならば、もっとシリアスにするべきではないか。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 芸能人にいたずらして笑いをとる、いわゆる"ドッキリ番組"で、いたずらの内容を小学生に考えさせていた。近年、このような"いたずら"を真似した動画をインターネットやSNS上に拡散するいじめもある。視聴していて、とても心苦しかった。このような企画はやめてほしい。

  • ラジオ番組で、学生のリスナーに生電話をつなぎ、先生のモノマネをさせるという企画があった。学校名は明かされないものの、担当科目などを言っているリスナーもいた。多感な年ごろのリスナーが聴取している番組で、人の特徴を笑うような企画をすべきではない。

【「性的表現」に関する意見】

  • 子どもも見ている時間帯のバラエティー番組で、マネキンがしているブラジャーを1分間でいくつ外すことができるかというゲームをしていた。もう少し時間帯に配慮してほしい。

  • 日曜日の朝に放送された番組を小学生の子どもと視聴していたのだが、「セックス」という単語が多用され、とても気まずかった。普段は前後の番組を含めて教養的な内容なので、余計に憤りを覚えた。

【「言葉」に関する意見】

  • お笑いタレントがチームに分かれて行うクイズ番組で、他のチームに対して「死ね」などの暴言を何度も吐いていた。あまりにも度が過ぎる。本人は顔見知りに冗談で言っているつもりかもしれないが、居酒屋で言うのとテレビで言うのは違う。多くの子どもが見ているような番組で使う言葉ではない。そのような言葉でいじめられている子どももいるのだ。

【「危険行為」に関する意見】

  • 運動が苦手なタレントに様々な運動をさせる企画で、プールに飛び込むシーンがあった。プールは一般的な深さであり、一歩間違えると頸椎を損傷しかねないような飛び込み方だった。真似をしないようにとの表示はあったが、子どもは真似してしまうものだ。安全管理を徹底してほしい。

第187回 放送と青少年に関する委員会

第187回–2016年12月19日

『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』について審議「委員会の考え」公表をもって審議を終了…など

2016年12月19日に第187回青少年委員会を、7人の委員全員が出席しBPO第1会議室で開催しました。まず『オール芸人お笑い謝肉祭’16秋』(TBSテレビ)について審議し「委員会の考え」をまとめました。また、11月16日から11月30日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。そのほか、12月の中高生モニター報告、今後の予定について話し合いました。
次回は1月24日に「意見交換会・勉強会」と定例委員会を開催します

議事の詳細

日時
2016年12月19日(月) 午後4時30分~午後7時40分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見稔幸委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、緑川由香委員

『オール芸人お笑い謝肉祭 ’16秋』について審議

TBSテレビ『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』に対する「委員会の考え」について、起草委員の原案を基に審議し一部修正を加えた上で承認し、公表をもって審議を終了することにしました。以下経緯を含めて公表します。【詳細はこちら】

視聴者からの意見について

●「年末恒例の歌合戦でグループの出場者を視聴者が選ぶ企画」、「人気男性グループのメンバーに対するトレーニング方法が危険だ」、「深夜アニメで男子児童の性器の描写があった」などの視聴者意見について話し合いましたが、現段階ではいずれもこれ以上話し合う必要はないとなりました。

中高生モニター報告について

32人の中高生モニターにお願いした12月のテーマは、日本民間放送連盟特別表彰部門【青少年向け番組】最優秀番組『ど~んと鹿児島 ~ぼくの、メリット~』(南日本放送制作)を視聴しての感想でした。また「1年間を振り返って、一番印象に残った番組を教えてください」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で25人から報告がありました。
課題番組は、中学時代に不登校になった少年がトカラ列島の悪石島に移住し、島の人たちとの交流を通して自分の居場所を見出し、新たな一歩を踏み出そうとするまでの1年半を記録したドキュメンタリーです。「同年代の主人公に自分自身を重ね合わせ考えた」意見や、「主人公の少年の変化に勇気づけられた」という感想など、中高生ならではの視点に立った報告が寄せられました。また「この番組が、地方でしか見られないのはもったいない」「全国の人たちにも見てほしい」という意見も複数ありました。
「1年間で一番印象に残った番組」では、報道、情報、ドキュメンタリーからドラマ、バラエティー、アニメまで、幅広い番組が挙げられました。一本の番組との出会いをきっかけに「自分の生き方を見つめなおした」という意見や、今年相次いだ「芸能人のスキャンダル報道」への疑問など、率直な声が寄せられています。

◆委員の感想◆

  • 【『ど~んと鹿児島 ~ぼくの、メリット~』について】

    • 同世代ではあるが、"不登校"という自分とは違う状況にある主人公を追った番組で「これまで知らなかったことに気づかされた」などの感想が寄せられているのを見ると、ドキュメンタリーの良さを実感する。

    • 「主人公の少年が"自分がいてもいなくても変わらない"と言う気持ちが分かる気がした」「"自分は必要とされているのかな"と私も時々思う」という感想を読むと、子どもたちが自分の「居場所」だけではなく「存在意義」も求めているのだということが分かる。

    • 「若者の自立の難しさ」と「小さなコミュニティーが持つ人間回復力」が分かりやすく提示された番組だった。

    • 分かりやすいドキュメンタリーという性質の番組ではなく、ある意味非常に「難しい番組」だったと思う。モニターの子どもたちが、自分なりに「番組の意味や意図を読み取ろう」と必死だったことが、リポートの文面から感じられる。

    • 主人公の少年が「ダメ人間だと思われる環境から、1人の人間として認められる環境に変わったことで居場所を得ることができた」と書いていたリポートがあったが、実は「ダメだとされてしまう人に居場所がないこと」が、問題なんだけどなぁ、と思ったりする。

    • 「主人公の少年は島の濃密な人間関係によって救われた」ということは、ほとんどのモニターが書いている。しかし、島民にとっても少年は「貴重な若者」であり依存もされている。少年と島の関係は相互関係だという視点はあまりなかった。

  • 【1年間を振り返って、一番印象に残った番組について】

    • 「芸能人のスキャンダル報道が目につく1年だった。芸能人スキャンダルに関し、一線を越えたような報道が氾濫している気がした。報道の姿勢を見直すべきではないかと思う1年だった」との指摘は、鋭さに感心する。

    • 「熊本地震の報道番組」を挙げ、「(被害の映像を)見るのはとてもつらい時があるが、被災地を身近に感じ、危機感を感じるきっかけになった」という震災報道の意義を認めていることが分かる意見があった。

    • 「広島に来たアメリカ人が戦争について新しい価値観を発見していく番組」を視聴し、「互いを知ることは怖いことで、避けているから戦争状態に陥る。よい関係を築くには互いを知ることが大切」という外国語教師が語った言葉が印象に残ったというモニターの「戦後75年、同じ過ちを犯さないためにも『知る』ことが重要なのだと番組を通じて学んだ」という報告に力強さを感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【『ど~んと鹿児島 ~ぼくの、メリット~』を視聴しての感想】

    • 番組冒頭のお姉ちゃんの言葉が厳しすぎる。不登校になりたくてなったわけじゃないだろうから。だけど、弟たちもかわいそう。島に行くことで弟たちの将来の選択肢も狭くしてしまっていると思う。不登校になっている人たちが、この番組を見て自分だけじゃないんだと勇気づけられる内容だったと思う。この番組の家族は私の家族とは全く違います。私の両親は、将来の選択肢を広げるため、いつでも選べるように、あきらめなくてもいいように学びなさいと言います。航希君にも自分の道を見つけてほしいです。(長崎・中学1年・女子)

    • 航希君はなぜこの密着取材を受けたのだろう。2年にもわたって取材を受け続けるのはやはり相当の覚悟があったからではないかと思った。離島に移りだんだん周りの人と接するうちに自分から話を始めたり表情も明るくなっていった。自分の存在が認められ、頼りにされるのが嬉しいように感じられた。航希君はきっと変わりたかったからこの取材を受けたのだと思う。きっとこのままではいけないとどこかで思っていたのかもしれないが、そのきっかけが分からず、この取材を受けることにより何かが変わるのかもと期待と覚悟をもっていたのではないか。不登校という状況から抜け出すのは大変だけれど、航希君を見て、本人の意志と周りのサポートがあれば変わることができるのだと実感できたし、勇気がもらえた。(宮城・中学1年・男子)

    • 私の周りには、航希さんと同じように不登校になってしまった人が何人かいます。私は、その人に時々「そろそろ学校行きんちゃい」と声をかけていましたが、今考えたら、それはただその人を追い詰めていただけだったのかもしれません。今まで"通信制の学校に通っている"とか"不登校"と聞くと、家にずっといるようなマイナスなイメージしかなかったけど、テレビで見た航希さんの姿はとてもいきいきしていて楽しそうで、イメージが少し変わりました。(岡山・中学2年・女子)

    • 島に移住して新たなスタートを切るということは素晴らしい決断だと思いました。タイトルに「メリット」とありましたが、この番組を視聴してメリットが有るからどうとか、無いからどうとか関係ないということが伝わってきました。僕の学校にも不登校の子がいるのですが、ぜひとも見せてあげたいです。自分も学校に行きたくないなと思う時があります。もっと自分を認めてほしいと思ったこともあります。そういったことをもう一度考えさせられました。(北海道・中学2年・男子)

    • 地域の人々が、(主人公の少年に)自然に接しているところを見ていると、最近ニュースになっている、「福島からの避難者の子供に対して、名前に菌とつけて呼ぶ」先生よりずっといい先生だと思います。また、長距離マラソンをする場面では、何か感じるものがありました。普段、僕は、こういう番組は見ないのですがこの番組を視聴してから、新聞の番組表を見て、良さそうなものは見ています。(埼玉・中学2年・男子)

    • 私の学校にもしばらく学校に来ていない友達がいる。私は自分が不登校な訳ではないからその友達の気持ちが分からずその子が学校に来た時に「どうして来ないの?」など心無い言葉をかけてしまった。しかし、この番組の中でも言っていたように「学校に来て」と言われることがプレッシャーだと感じる人もいる。同年代でも考え方には違いもあるし十人十色だというのを感じた。タイトルである「ぼくの、メリット」は、まるで自分に問いかけられているように感じた。(東京・中学3年・女子)

    • よくテレビ番組で不登校になった学生の特集などを見るが、今までは正直不登校になる理由がよく分からなかった。しかし、この主人公が自分がいてもいなくても変わらないから、といったことが少し分かる気がした。私は、自分の知識を向上させて、友達関係をつくるためにそれなりに楽しんで学校に行っているわけだが、そこに自分は必要とされているのかなと時々思う。将来アスリートになるような才能を持っていて努力もしている人は、そこにその人が存在する意味が有ると思うが、特に何の才能も無い私みたいな人は何のために生きているのだろうと疑問に思う時がある。でも、いろんな経験を積むうちに自分はこれに興味を持っていて、これをやることが自分の価値なんだ!!と、思える物に出会えたらいいなと思う。そういう意味では、さまざまな経験ができて、時間もたっぷりある今の環境を大切にしたいと思う。(千葉・中学3年・女子)

    • なぜこの番組が最優秀番組になっているのかよく分かりませんでした。引きこもりで不登校の男の子が成長していく姿は見ていてとてもすごいと思いました。ですが、毎日ゲームばかりをしている子に密着しようと思った理由が分かりませんでした。携帯をいじってばかりなのによく母親は携帯を取り上げなかったなぁと思いました。他の兄弟を置いてまで別の島に引っ越す理由はあったのかなと思ってしまいました。通信の高校で勉強をしていると言っていましたが、勉強はやりたくなかったらやらなくてもいいんじゃないかと僕は思います。島に引っ越してきたのだったら農業や漁業など、今までできなかったことにチャレンジしてみるのも有りだと思いました。勉強は大切ですが、勉強だけが全てじゃない。学校にも行きたくなかったら行かなくていいと思います。学校に行くことだけしか選択肢がないのもおかしいと思います。(愛知・中学3年・男子)

    • 航希君のお母さんが言っていたように、ダメ人間と思われてしまう環境から、一人の人間として認められる環境へと変わったことで、自分の居場所を得ることが出来たのだと思います。自分の存在はどこにあるのか、この年代ではとても悩むと思います。そんな中で不登校という道を選んでしまうという選択は簡単なのかもしれません。ただ、航希君のようにまた違った自分の居場所を見つけることは大切だし、何かを変えるきっかけになるはずです。私自身もそんな自分の居場所を見つけたいとこの番組を見て思いました。(高知・高校1年・女子)

    • 僕は中学生の頃のクラスメイトを思い出しました。僕の友達も中学1年の夏に学校に来なくなって、そのまま卒業まで学校には来ませんでした。本当の原因は本人しか分からないのかもしれません。けれど、この番組の中の航希君を通して、不登校は誰よりも本人が自分のことを駄目だと感じていて、辛い思いをしながら、なんとかしたいともがいているのかもしれないなと感じるようになりました。この番組は、父と母も見ました。航希君の新生活の様子と明るくなっていく表情を見て泣いていました。この番組を見た人の中で、不登校や自殺を踏みとどまってくれる人がいるかもしれないねと言っていました。(福岡・高校1年・男子)

    • 客観的な視点から見ると、とても共感を集めやすいテーマだったかなと思う。航希君が中学校の時に不登校になってしまった原因は、自分が学校に行くメリットが分からなくなってしまったから。自分の存在意義を島で模索する。いじめや不登校になった人間が、島に行って、島の人々の温かさに触れ、徐々に良い方向へと変わっていくドラマや小説はよくある話だが、実際に島にはそのようなパワーがあるらしい。やはり都会に住む身としては、島というものは何か違う世界のもののように感じてしまう。島の人と都会に住む人とでは、もはや人種が違うのかもしれないとまで思ってしまう。しかし世界全体でみると、日本自体が島国なのであって、外国人が日本に来て、日本人の親切さに驚くように、自らが意識していなくても、我々日本人は他の国の人々よりも穏やかで寛容なのだろう。そしてその理由の一つは日本が島国だからなのかもしれない。(東京・高校2年・男子)

    • 航希君が、人との関わりが苦手だという問題を抱えて、悪石島に引っ越して徐々に変わっていく姿がとても印象的でした。最初の頃は、島の人との関わりからも逃げていましたが、島の人たちに心を開いていき島の一員としてすっかり溶け込んでいたように思います。航希君にも「悪石島」という以前は見つからなかった「居場所」が見つかったのだと思います。そして、その「居場所」の中で航希君が求められているからこそ心を開いていけるし、自分自身の価値を見出せたのだと思います。悪石島では、島民みんなで助けあい、島民みんなで育てようという精神が伝わってきました。このような文化を大切にしていけばよりよい社会になると思いました。私も、あいさつからでも積極的にして地域の方々と交流していきたいです。(山口・高校2年・男子)

    • 航希君の学校に行くメリットが無いという考えが理解できませんでした。勉強や友達のことなどそれぞれみんな悩みは有ると思うので、逃げているように感じました。私と同じ年のようですが、あまりにも人生に興味が無さそうでもったいない感じがします。(大分・高校3年・女子)

  • 【1年間を振り返って、一番印象に残った番組について】

    • 私が一番印象に残った番組は『NHKスペシャル未解決事件File.05 ロッキード事件第一部』(NHK総合)です。今夏ブームになっていた田中角栄氏に関する本を読んだのをきっかけに、この事件にも興味を持っていました。番組は再現ドラマを使い、臨場感にあふれる内容でとても引き込まれました。事件の詳細を知らない私でも分かりやすく、詳細まで丁寧に作られていました。多くの実際の証言や資料を基にしていて、これまでわからなかったことや、あまり知られていなかった真実なども知ることができ、とても核心に近づいているように感じられました。今、その当時の日本の政治の深い闇にスポットをあてる事件を扱うことで、そこから得られる教訓を改めて今の世の中に知らしめる意図もあるのかもしれないとも感じました。(宮城・中学1年・男子)

    • 『奇跡のレッスン』(NHK BS1)自分とだいたい同じくらいの世代の人たちが、それぞれの目標や夢に向かって努力している姿がとてもかっこいいと思います。同世代なので共感できる部分も多く、私の大好きな番組のひとつです。(岡山・中学2年・女子)

    • 『アメリカの大統領選挙』1年を通して選挙活動が行われてきて、選挙が始まるまでは、絶対にヒラリー氏になると思っていたので正直とても驚いた。トランプ次期大統領は過激な発言を繰り返していたが、最近は柔らかくなってきているので、今後の政策がとても気になる。(千葉・中学3年・女子)

    • 僕は『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ/東海テレビ)という番組で放送されていた天野貴元さんという方が今でも忘れられません。ドキュメンタリー番組をここまでしっかりと見たのは初めてでした。そして衝撃的でした。番組の最後にはお亡くなりになるからです。今でもとても心に残っています。今生きていることについてとても考えさせられました。毎日をだらだらと生きている自分が恥ずかしくなります。もっとしっかりと生きなければと思わされます。ここまで強く心に残っている番組はこれ以上ないというくらいとても印象の強い番組でした。(愛知・中学3年・男子)

    • やはり『オリンピック』。これは、頂上決戦であり、真剣勝負であり、幸運の女神の軍配がどのように下されるのかが、楽しみでした。残り数秒で、決着するという今まで私が味わったことがないような、キリキリするようなハラハラ感が・・・たまりません。そこが、人類皆、平和の祭典として、惹きつけられることになるように感じました。また、4年後は、東京開催であり、楽しみが増えました。(東京・中学3年・男子)

    • 一つの番組ではありませんが、今年は芸能人のスキャンダルの報道が目に付く1年だと感じました。そこで印象に残ったのがテレビ番組での扱いです。あまりにもヒートアップしすぎて越えてはいけない一線を越えたような報道が氾濫しているような気がしてなりませんでした。こんなにも1人の人を集中攻撃し、プライベートをさらけ出すことが楽しいのか。とても疑問に思いました。今、テレビ番組が行っている、芸能人のスキャンダルに関する報道はいじめではないのか。報道の姿勢を見直すべきなのではないかと思う1年でした。(兵庫・中学3年・男子)

    • 4月に起こった『熊本地震の報道番組』です。倒壊している建物や土砂崩れの様子を見るのはとてもつらい時があります。ただ、あのような報道番組を見ることで自分が同じような環境に置かれたらどうするべきか考えることが出来ます。実際にはなかなか行くことが出来ない被災地を身近に感じ、危機感を感じるきっかけにもなりました。(高知・高校1年・女子)

    • 『JR博多駅前道路の大規模な陥没事故に関する報道番組』でした。ほぼ毎日利用している博多駅の周辺が、報道の人たちの取材で騒ぎになっているのを近くで見て、それが連日テレビやラジオでも伝えられているのが不思議であり、怖くもありました。熊本の被災地はもっと長い期間、報道の取材が来ていたんだろうなと思いました。(福岡・高校1年・男子)

    • 『フェイス フロム・アメリカ ~彼らがヒロシマで見つけたもの~』(NHK広島)、広島に来たアメリカ人が戦争について新しい価値観を発見していく番組です。この中で特に印象に残ったのは、広島で働く外国語教師が語った言葉です。お互いに「知る」ことは、怖いことでそれを避けているから戦争状態に陥る。お互いに良い関係を築くにはお互いについて「知る」ことが大切であるという内容でした。太平洋戦争が始まってもう75年の時が流れました。これから同じ過ちを犯さないためにも「知る」ことが重要なのだとこの番組を通して学びました。(山口・高校2年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 『プロフェッショナル 仕事の流儀 10代VSプロフェッショナル 弟子入りスペシャル』(NHK総合)過去にこの番組に出演したプロフェッショナルに、悩める10代の若者が弟子入りするという内容。仕事とは何か、仕事には何が求められるのか。シンプルなことから意外なことまで再認識させられる、10代にとっては学ぶことの多い番組だと思う。スタジオでVTRを見た東出昌大さんの「大人になるって、挫折も苦しいことも有るけど、意外と楽しいことなんだ」というメッセージが、この番組が伝えたいことをまさしく言い表しているようで、印象的だった。(京都・高校1年・男子)

    • 『ザ・プレミアム シリーズ 知られざる古代文明』(NHK BSプレミアム)今まで、古代文明といえば歴史の教科書の最初のほうでしか見たことがなくさほど興味もありませんでした。しかし、太陽が昇ってくる位置にピラミッドを建てるなど、私たちには考えられないような古代の人々の知恵や工夫にとても驚きました。また、謎の多い古代文明を最新の技術で解明していこうという取り組みも紹介され、現代の技術が古代の歴史を繋げて様々な謎の解明に繋がっていることを知りました。この番組を通して、今まで知らなかった神秘的で魅力的な古代文明の姿に興味を持ったので自分でもさらに調べていきたいと思いました。(山口・高校2年・男子)

今後の予定について

  • 来年1月24日午後2時から4時まで開催予定の在京テレビ局との意見交換会・勉強会について、テーマは「放送における障害者~当事者の視点から見た現状~」とすることなど進捗状況の説明が担当の中橋委員と事務局からありました。