2004年度 第24号

警察官ストーカー被害者報道

委員会決定 第24号 – 2004年12月10日 放送局:名古屋テレビ

見解:問題なし
警察官からストーカー行為の被害を受けた女性が、警察に被害届を出した際に名古屋テレビからインタビュー取材を受けたが、意に反してニュース等において顔を出して放送され、肖像権やプライバシーの権利侵害を受けたと訴えた事案。

2004年12月10日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第24号

申立人
愛知県在住の女性
被申立人
名古屋テレビ
苦情の対象となった番組
名古屋テレビ放送制作の番組
放送日時
2004年 3月 9日 17時台『スーパーJチャンネル』、22時台『ニュースステーション』
3月10日 5時台『朝いち!やじうま』、7時台『やじうまプラス』

申立てに至る経緯

放送内容
警察官にストーカー行為を受けたとする愛知県在住の女性が、傷害、暴行の被害届を出したというニュース。女性の、警察官に対する憤りのインタビューを含む。
この放送に対して、申立人は、「名古屋テレビ放送(以下「名古屋テレビ」または「被申立人」という)のインタビューに応じた際、顔出しの放送はしないとの約束がなされていたにもかかわらず顔出しで放送されたため、世間から興味本位で見られるなど、肖像権を侵害されたのをはじめ、プライバシーなど人権を侵された」として、放送後名古屋テレビに抗議し、謝罪を求めた。
これに対し、名古屋テレビは、「取材の際、顔出しで放送することの了承を得ており、申立人の勇気ある告発の意志を尊重して顔出し放送に踏み切ったものであり、訴えは心外」と主張した。
放送直後に、申立人からBRCに対し苦情が寄せられたが、名古屋テレビが話し合いによる解決の意向を示し、断続的に話し合いが行われた。しかし、双方の事実認識に大きな隔たりがあり、6月、申立人から「申立書」が提出され、その後の話し合いも不調に終わったことから、BRCでは話し合いによる解決が困難と判断し、8月の委員会で審理入りを決定した。審理入り決定後、申立人から手直しした「申立書(改訂版)」が提出された。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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【委員会決定を受けての名古屋テレビの対応】

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2004年度 第23号

国会・不規則発言編集問題

委員会決定 第23号 – 2004年6月4日 放送局:テレビ朝日

勧告:人権侵害
2003年9月のテレビ朝日の情報トーク番組『ビートたけしのTVタックル』で、自民党の衆議院議員が予算委員会でヤジを飛ばしている映像が使われ、同議員が「全く関係ない映像を切り貼り編集した捏造で、名誉を毀損された」などと訴えた事案。テレビ朝日は別番組で同議員に意見表明の機会を提供し、当該番組内でもお詫びをしたが、同議員は救済措置を求めて申し立てた。

2004年6月4日 委員会決定

申立人
藤井孝男
被申立人
テレビ朝日
苦情の対象となった番組
テレビ朝日 「ビートたけしのTVタックル」
放送日時
2003年9月15日(月)午後9時から9時54分まで

申立てに至る経緯

株式会社テレビ朝日(以下「テレビ朝日」又は「被申立人」という)は、2003年9月15日(月)午後9時から9時54分まで、「ビートたけしのTVタックル」第627回「あれから1年…日本の決断」を放送した。
テレビ朝日は、同番組中の「自民党総裁選と北朝鮮問題」において、自民党総裁選挙に立候補した4人の候補者がこれまで北朝鮮問題へどのように対応してきたかについての発言を紹介する放送をしたが、自由民主党所属の衆議院議員であって同党総裁選挙に立候補している申立人(以下「藤井議員」又は、「申立人」という)については、同年9月9日の候補者所信発表演説会の北朝鮮に関する発言の紹介に引き続き、1997年2月3日の衆議院予算委員会において西村真悟議員(当時新進党)が「横田めぐみという一人の13歳の少女が拉致されたというむごい事件に関して」との質問を開始した直後に藤井議員が「発言に気を付けろ」、「しっかり責任をもって発言しろよ」との不規則発言をしたと視聴者に認識される放送(以下「本件番組部分」という)をした。
藤井議員は、上記不規則発言は、全く関係のない映像を切り貼り編集した「やらせ」映像であり、藤井議員が北朝鮮に対する拉致問題では極めて消極的な態度をとっているとの印象を一般視聴者に与えるものであり、藤井議員の名誉を著しく毀損するとともに、総裁選挙(2003年9月8日告示、同月20日開票)の悪質な選挙妨害であるとして、テレビ朝日に対し厳重抗議した。
テレビ朝日は、同年9月19日放送の「ニュースステーション」において他の総裁候補者と共に出演した藤井議員に特別に意見表明の機会を提供し、藤井議員は、「全くの事実無根であり、捏造といっていい」との発言をした。さらに、テレビ朝日は、同年10月6日の「ビートたけしのTVタックル」で「二つの場面が拉致問題に関する一連の議論であるとの認識で、直接繋げる編集を行ったため、藤井議員が横田めぐみさん拉致問題に対して不規則発言を行ったかのような誤った印象を視聴者に与える結果となったことについて心よりお詫び申し上げる」旨のお詫び放送をした。
その後テレビ朝日と藤井議員あるいは自民党との間で数回にわたり本件に関する話し合いないし電話連絡がもたれたが、同年12月11日藤井議員からテレビ朝日を相手方として当委員会に対し、本件申立てがなされた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

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2004年8月11日 【委員会決定を受けてのテレビ朝日の対応】

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2004年度 第22号

中学校教諭・懲戒処分修正裁決報道

委員会決定 第22号 – 2004年5月14日 放送局:北海道文化放送

勧告:人権侵害(少数意見付記)
北海道文化放送は2003年10月の『スーパーニュース』で教育界におけるセクハラ急増問題を取り上げた。この中で、問題教師として取り上げられた中学教諭が「人事委員会が刑罰法規に触れる行為でない等の理由で教育委員会の懲戒処分を軽減したにもかかわらず、放送はこの修正採決を曲解してセクハラ教師と印象付け、名誉を傷つけ教壇復帰を妨げようとした」と訴えた事案。

2004年5月14日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第22号

申立人
北海道在住中学校教諭
被申立人
北海道文化放送放送
苦情の対象となった番組
北海道文化放送(UHB)<スーパーニュース>内「今日の特集」
放送日時
2003年10月14日午後5時50分

申立てに至る経緯

特集の内容
「生徒にキスを迫った教師の信じられない行為に親も激怒・・・処分は妥当?
スクールセクハラの驚くべき実態」(新聞テレビ欄タイトル)

申立人は、「5回にわたって自校の女子生徒の頬にキスをしたほか、同生徒と二人だけでドライブや食事に行き、また自宅の鍵を渡して生徒を自宅に招くなど、教育公務員としての節度を著しく逸脱した」として、北海道教育委員会から2002年4月12日付で懲戒免職処分に付された。
この処分に対して、申立人は、北海道人事委員会に対して懲戒権の濫用があるとして、処分の取消ないし修正を求める不服申立てを行った。
この申立てに対し、北海道人事委員会は、2003年7月10日、申立ての一部を認め、「申立人の行為は、教育公務員としてふさわしくない非違行為に該当するが、いわゆるセクシュアル・ハラスメントと評価されるものでなく、刑罰法規に触れるものではない」として、「処分は重きに失し、処分者の裁量権を逸脱した違法がある」(要旨)との理由で、停職6か月の処分に修正する裁決を下した。
これに対して北海道教育委員会は、同年9月18日、再審を請求したが、同年12月17日、再審事由に当たらないとして却下した。
以上の事実経過の中で、北海道教育委員会の再審請求後、その却下決定がなされるまでの間である10月14日に行われたのが本件放送であり、申立人は、本件放送内容が申立人の名誉を毀損し、申立人の職場復帰を妨げるものであるとして、10月17日以降12月22日まで、申立人代理人を通じ苦情を申し入れ、再三にわたり交渉の機会を持ったが、了解に達せず、2004年1月7日、当委員会に対して本申立てを行うに至ったものである。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

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2004年6月21日 【委員会決定を受けての北海道文化放送の対応】

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