第84回 放送と人権等権利に関する委員会

第084回 – 2004年1月

「国会・不規則発言編集問題」

「人事委員会教諭修正処分報道」審理開始を決定…など

「国会・不規則発言編集問題」

12月の委員会で審理対象事案として受理したものの、当該局側に「話し合いを継続したい意向」が強くあったため、様子を見ることにしていた本事案について、当該局から「先月以降の交渉経緯」が提出された。内容は次の通り。

「局の面会要請に自民党側はなかなか応えなかったが、1月14日に局側と党幹部が面会した。しかし、党側からはっきりした回答や意向は示されなかった」

これを受けて協議した結果、双方に話し合い継続の可能性があるかないか意思確認を行い、その結果次第では2月の委員会で審理入りを決めることになった。

「人事委員会教諭修正処分報道」審理開始を決定

北海道の教育公務員が、代理人の弁護士を通じて申立ててきた事案について、審理事案とするかどうか検討した。まず、事務局が事案の概要を報告。その内容は、以下の通り。

当時15歳の女生徒の頬にキスをしたほか、二人でドライブや食事に行き、合鍵も渡して自宅に生徒を招くなどしたとして、懲戒免職処分を受けた元中学校教諭が、人事委員会に処分が重過ぎると不服を申立て、人事委員会は「教育公務員としてふさわしくない行為だが、事情を調べてみるといわゆるセクハラではなく、処分も重すぎる」として停職6か月に修正する裁決を下した。これに対して教育委員会は再審を請求した。

この件を03年10月北海道文化放送がローカルニュースの特集で取り上げた。新聞のテレビ欄は「生徒にキスを迫った教師の信じられない行為に親も激怒。処分は妥当か。スクールセクハラの驚くべき実態」となっていた。 番組を見た申立人は「人事委員会の裁決はおかしいという論調であり、私的制裁を加える放送である。事実関係も間違っており、申立人の主張が全く取り上げられていない。名誉を毀損され、職場復帰を妨害された」として取り消し放送と、取り消したことを人事委員会、教育委員会に文書で告知するよう要求した。

これに対して北海道文化放送は「教育委員会が再審申立てをするのは極めて異例なことで、ニュース価値があると判断した。決してこの処分を不当なものとして放送したのではない。申立人の主張を出さなかったのは、代理人弁護士に取材した際『放送で自分の名前を出さないで欲しい』という極めて稀な申し入れがあったためである。本件放送によって傷つかれたとするなら大変遺憾なことで、話し合いで解決を図りたい。また再審請求に対して結論が出た段階で修正放送するという考えを伝えた。そして12月17日再審請求が却下された時のニュースでは、明らかな間違いの訂正と、申立人側の主張などを十分反映した放送をしており、ほとんどが修正出来たと考える。しかし、放送局が教育委員会、人事委員会に放送に影響されないようにと求める文書を送れという要求はのめない」と主張している。

以上の概要報告の後、当該局から提出された放送ビデオを視聴し、この事案を審理するかどうか検討した。その結果、話し合いはすでに決裂しており本事案を審理することを決定した。

これにより、本事案は、2月の委員会から本格的な審理に入ることになった。

規約・運営規則について

事務局から「昨年7月BPOになって以来懸案となっている規約・運営規則等の見直しについて、検討し来年度から新しい運営規則にして行きたい」との説明があった。これを受けて委員会では問題提起されている「政治的公正・公平」といったテーマが放送人権委員会として裁定できる問題なのかという点も含め、運営規則の見直しについて議論した。来月の委員会でも引き続き検討を続けることになった。

12月の苦情対応概要

BPOに寄せられた12月の苦情のうち人権関連は次のとおり。

◆人権関連の苦情〔20件〕

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名や連絡先 番組名などが明らかなもの)・・・13件
  • 人権一般の苦情 (人権関連だが、関係人・当事者ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・7件

◆その他、放送人権委員会への問い合わせなど・・・0件

この中で以下の苦情への対応を事務局が報告した。

  • ニュース番組で、「家族の脱北を放送されたため、残る家族の脱北に失敗した」との苦情
  • 情報番組で、「自分は欠陥住宅とは判断していない」との苦情
  • 教養番組で、「成績表などがテレビで放送され、息子が不登校になった」との苦情
  • バラエティー番組で「・ゴミ屋敷・を取り上げたコーナー」への苦情

以上の報告、について委員会は了承した。

その他

事務局から今後の予定として、BPOの理事会、評議員会や年次報告会などの日程や内容が報告され、議事を終了した。

以上