第256回-2023年4月
視聴者からの意見について… など
2023年4 月25日、第256回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
まず、3月後半から4月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見では、朝の情報番組の中継企画と、バラエティー番組の幼稚園児を対象にしたドッキリ企画について議論されました。その結果、後者は引き続き次回の委員会で「討論」を進めていくことになりました。
4月の中高生モニターリポートのテーマは、「最近見たバラエティー番組について」でした。
最後に今後の予定について話し合いました。
視聴者からの意見について
3月後半から4月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
朝の情報番組の動物園からの中継企画で、男性芸人がフンボルトペンギンに餌をやる際、ペンギンのいる池にわざと複数回落ちたことに対して、視聴者から「番組の司会者は芸人をあおり、スタジオの出演者は笑っていた。ペンギンがけがをしたらどうするつもりなのか」などの意見が寄せられました。担当委員から「番組スタッフと動物園側相互の打合せ不足があったようだ。園側の抗議を受けて番組内で謝罪したし、テレビ局の社長も会見で謝罪した」として、局側が適切に事後対応したという見方が示され、「討論」には至りませんでした。
また、バラエティー番組で、実在の幼稚園で6歳女児と5歳男児をそれぞれ鬼役にしたかくれんぼをした際、隠れた園児が見ず知らずの子ども(子役)に入れ替わり、鬼役の子どもを困惑させるというドッキリ企画に対して、多くの視聴者から「仕掛けられた子どもの表情はとても見ていられなかった。心に傷をつけてしまったかもしれない」などの意見が寄せられました。ある委員は「(鬼役の)子どもは当惑しているようだったし、(その場から離れるために)『お茶を飲んでくる』と言ったのは不安を覚えたからであろう。幼稚園が自分たちの園児が心理的に不安になる経験をさせるようなことを許可したのだろうか」と述べ、別の委員は「鬼役以外の友達の園児も、先生の指示で子役に交代したのだから、演出上とはいえ(鬼役の子を)だますことを強制されたわけだ。この子たちも非常に痛々しく思う」と指摘しました。議論の結果、番組制作者が園児の保護者や幼稚園から番組協力の許諾を得た経緯などについて、引き続き「討論」を進めることになりました。
中高生モニター報告について
今年度の新しい中高生モニターは30人(中学生16人・高校生14人)です。
4月最初のテーマは「最近見たバラエティー番組について①」で、全員から合計26番組への報告が寄せられました。複数のモニターが取り上げたのは『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)、『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBSテレビ)、『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)です。
視聴方法はリアルタイムと録画がそれぞれ11人で、そのほかは見逃し配信などを利用していました。
モニターには毎月のテーマのほか、放送に関する「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の感想をお願いしています。「自由記述」では「YouTubeよりテレビ派なのでテレビにしかない良さを発信してほしい」、「ラジオの聴き方や面白さをもっとメディア側が発信してほしい」などの声が寄せられています。「青少年へのおすすめ番組」では『解体キングダム』(NHK総合)、『ヴィランの言い分』(NHK Eテレ)、『推しといつまでも』(毎日放送)、『ポケットモンスター』(テレビ東京)、『私小説-発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由-』(テレビ朝日)に複数のモニターが感想を寄せています。
◆モニター報告より◆
【最近見たバラエティー番組について】
- 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)
- 毎週、日朗曜日のこの時間が一番楽しいです。出演者が体当たりで本気で笑いを起こすのはイッテQ!しかできないので、いつも元気をもらいます。(アメリカでの)出川哲朗のはじめてのおつかいは、英語でコミュニケーションする楽しさや必死に伝えようとする姿から、正しい文法でなくても相手に伝わるという勇気を与えてくれるすばらしい企画です。(高校2年・男子・山形)
- 英語の正確性よりもコミュニケーションをしたい!という気持ちが重要だと分かったし、知らない建物や土地、単語が分かって面白いだけでなく勉強や新たな知識になった。2週に分けてもっとたくさんのスポットを紹介したり、実際に現地のお店で買い物やホテルのチェックインなどにチャレンジしたりするところを放送したら、もっと見たい知りたいと思います。(高校3年・女子・北海道)
- 『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)
非常に面白い企画だったが、食べきれなかった物は最終的に捨てられている可能性もあり少し配慮に欠けているのではないかと思った。また、面白い反面で、芸人さんがつらそうでかわいそうだった。(中学3年・男子・神奈川)
- 『週刊さんまとマツコ』(TBSテレビ)
毎日のようにテレビで見かけるこの2人のコラボが面白くないはずがなく、常に笑いの絶えない素晴らしい番組だと思いました。ただ個人的には、相手に「お前どうせ〇〇やろ!笑」という決めつけのツッコミをしているのを見ると、この2人に言われたら間違っていても否定できないよね、と思ってしまいます。これからも見続けたいと思います。(高校3年・男子・神奈川)
- 『キョコロヒー』(テレビ朝日)
2人がマイペースでトークをしているのがいい意味で話したいことを話している感じがして、台本通りに進むバラエティー番組とは違ってとても面白いと思った。(高校1年・男子・群馬)
- 『ミセススクールクエスト』(テレビ朝日)
有名人が学校に行くのはとても良いことだと思います。企画からしてターゲットは若者のように思えたので、夜中に放送せずに若者が起きている時間に放送すればいいのになと思います。(中学3年・男子・広島)
- 『グッと!地球便』(読売テレビ)
この番組に対する第一印象は共感と驚きだ。僕にとって(新しいビジネスに挑戦する)女性が話すことは現実味があり、まるで自分の進むべき道を示されているように感じた。これは決断や選択など物事の岐路に立つたくさんの人々も同じように感じられると思う。(中学1年・男子・東京)
- 『有吉の壁』(日本テレビ)
コントの間の時間がないため笑いが途切れることなく楽しむことができました。Twitterなどで話題となっている人を呼んだりするコーナーを作ったら若者の視聴率は上がると思います。北海道などあまりロケを行ったことがない場所でもロケをした方が盛り上がると思います。その地域の一般人も参加してお笑い芸人とコンビを組む新しいコーナーを作ってもいいと思います。生放送でやる回を設け、有吉さんがやっている判定を視聴者がdボタンで投票できる企画を行ったりするのもいいと思います。(高校1年・女子・北海道)
- 『ジョブチューン』(TBSテレビ)
この番組のいい点はお店の宣伝効果があることで、一つ一つの商品に対する努力や工夫していることを説明していて私もとてもお寿司が食べたくなった。また大人の努力を見ることができる。大人が一生懸命に考え、仕入れ、商品化して提供していることを知ることができ、その努力がすごく伝わってきた。一方、好んでその商品を食べていた人もいるかもしれないので不合格を出されるのはあまりいい気持ちがしないのではないかと思った。(中学2年・女子・東京)
- 『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)
さまざまなトピックについて詳しく説明してくれるので、知っているつもりになっていたことや今まであまり気にしていなかった問題について考えさせられます。また池上さんとのやり取りを見ている中で、私自身も自分なりの解釈や考えを持つことが出来ました。(高校2年・女子・東京)
- 『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』(テレビ朝日)
芸人は一見ただ笑わせているように見えるが、さまざまなことを裏でしっかりと考えているのだと感じられる。芸人だけでなく、事務所や番組などお笑いに関すること全般を取り上げるのが良いと思う。あまり取り上げられることのない人やテレビの裏方で活躍する人を取り上げるなど、広くバランスよく取材することも意識する必要があると思う。(高校1年・女子・北海道)
- 『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)
スタッフさんのツッコミが視聴者の気持ちを代弁していていつも面白いです。ただスタッフさんが手伝っていることには少し疑問があり、それだと1対1でもないような気がするので、2~3人で参加してその人たちだけでやったほうが実力のサバイバル感が出ると思います。(中学3年・女子・福岡)
- 『巷のアカンをやっつけろ! かまいたちのやりおる学』(NHK総合)
行動経済学に基づいて人の行動を変える方法を分かりやすく伝えていていいと思った。また普段の生活にも活用できる方法だったので、とてもためになった。難しい言葉にもイラストと短く簡単な説明があったのでテンポよく番組を視聴することができた。(中学3年・女子・広島)
- 『バナナサンド』(TBSテレビ)
「あたまおしりゲーム」はお題として最初の文字と終わりの文字が指定され、これに合う言葉の文字数が得点となるルールです。答えは一つではなく、家族で見ていても父母を交えて参加できるので家族で競争しています。このゲームは高校などにロケに出て学生を交えてプレイすると、より盛り上がるのではないかと思いました。(高校3年・女子・京都)
- 『king&Princeる。』(日本テレビ)
King&Princeのみなさんの個性を生かした企画が面白く、毎週違うジャンルの企画をしていて勉強にもなります。若い世代だけでなくいろんな世代の方に面白いと思ってもらえる工夫があるという点で、とても素敵な番組だと思います。(中学2年・女子・愛知)
- 『川島明の芸能界㊙通信簿』(フジテレビ)
いろいろな芸能人に通信簿をつけるというあまりない番組だったので、とても新鮮で楽しかったです。視聴者や周りの芸能人の視点を取り入れたものも見てみたいなと思いました。(中学2年・女子・栃木)
- 『オオカミ少年』(TBSテレビ)
昭和や平成など過去のテレビの映像を見られる機会はほとんどないので、ほかにはあまりない面白い番組でした。最近の番組では、体張る系のロケでは芸能人の安全がしっかり確保され罰ゲームも危険なものが少なくなっていて、昔に比べて誰もが安心して見られる番組へ変化しているのだなと思いました。(高校1年・女子・茨城)
- 『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBSテレビ)
- 学校に潜入してサプライズドッキリを仕掛けるという内容だった。特に心に残っているのはターゲットの生徒と目黒蓮のトークの場面だ。その生徒はアルバイト先で耳の不自由なお客さんに出会ったそうだ。そのとき目黒さんが出演していたドラマ「silent」をきっかけに手話を習いたいと思ったそうだ。ドラマやテレビのチカラは偉大だなと思った。(中学3年・女子・山梨)
- 目黒蓮さんが女子生徒と手話をしているシーンがとてもいいなと思った。誰もが手話をできるような世の中になればいいという話をしていて、そうなると本当にいいなと思った。(高校2年・女子・東京)
- 『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)
- 家族みんなで笑いながら見ることができた。少し行き過ぎたドッキリもあったが、大体はとても面白かった。ジップラインから落下するドッキリはちょっと危ないし大丈夫?かわいそうと思った。(中学2年・女子・福井)
- 全体的に面白く、週末にこの番組を見ると疲れが飛びます。スタジオにいる芸能人をもう少し映してもいいと思う。一般人の家庭を参加させても良いと思う。今流行っている東京リベンジャーズとのコラボで視聴者が増えると思う。(高校3年・男子・千葉)
- 『冒険少年 超脱出島SP』(TBSテレビ)
この番組を家族全員で見ているのですが、母が「今度キャンプでも行ってみたいね~」と言っており、家族で楽しくコミュニケーションがとれる良い番組だと思います。(高校2年・男子・山形)
- 『オールスター感謝祭』(TBSテレビ)
この番組の面白いところは出題されるクイズが幅広く、スピーディーに進行されるため、見ていて飽きないところだ。頭の良さを試す知識問題ではなく、答えを聞いて驚くようなひっかけ問題や、問題を見るだけで笑えるような芸人さんの面白い個性をうまく使った問題など、ほかのクイズ番組にはないエンターテインメント性にあふれている。家族でこんなに会話が生まれて盛り上がる番組はほかにはあまりないので、次の放送は半年後だがとても楽しみにしている。(高校2年・女子・愛知)
- 『天才てれびくん』(NHK Eテレ)
新型コロナウイルス流行期間から作風が変わってしまい、面白くない作りになってきてしまいました。感染防止対策が緩和されてきた今、「天才てれびくん」の面白さも取り戻していってほしいと願うばかりです。(中学2年・男子・埼玉)
- 『プレバト』(毎日放送)
笑いを交えて子どもにも分かるように俳句の楽しさや技法を伝えています。とくに講師の夏井いつき先生のコメントが秀逸で、評価の分かれ目など私にも理解できる的確な表現なので、俳句の奥深さについていつも気づかされます。(中学1年・女子・福岡)
- 『太田上田』(中京テレビ)
意外な2人のコンビですが、いつものバラエティー番組とは違う一面を見ることができ、5~10分程度の長さなので一本の漫才を見ているように感じ、YouTubeにも多くの動画があるため続けて見ていられる。土日のお昼などに総集編のような放送があるともっと見る人が多くなるのではないかと思います。(中学3年・男子・神奈川)
【自由記述】
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朝ドラで少し歴史的な場面も入れてほしいです。子役が上手なので、もう1週間くらい出る場面を増やしてほしいです。アニメ番組をもう少し早い時間にやってほしいです。(中学1年・女子・千葉)
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友だちとの会話でテレビやラジオの話題が出ることが少ない。YouTubeなど好きなものを調べればいつでも見られるツールが増えたことも理由の一つだと思う。でもそれだと新しいものに出会えない。改めて考えるとテレビやラジオの面白さを感じた。(中学3年・女子・滋賀)
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ラジオの聴き方や面白さをもっとメディア側が発信してほしい。興味をひくことができれば一気に若者のラジオ人口を増やせると思うので、もっと宣伝の工夫をしてほしいと思う。(高校2年・女子・愛知)
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普段、テレビよりもラジオをよく聴く。友達のほとんどはラジオをつまらないメディアだと思っているようだ。聴取者と番組の結びつき、曲との出会いなど、ラジオの魅力を皆に知ってほしい。(中学2年・男子・東京)
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春休みにお仕事体験ができる施設に行きました。ラジオ局やテレビ局にも挑戦しました。ラジオとテレビは伝える手段は違うけれど、どちらもたくさんの役割の人で成り立っていて、見ている人・聴いている人に笑顔を伝えたいという想いは同じだと思いました。どちらも必要不可欠だなと思いました。(中学3年・女子・山梨)
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北朝鮮がミサイルを発射し、テレビでJアラートが流れたときに日本語でしか内容が書かれていないし、音声も日本語しかなかったので、英語でも書かれていた方がいいと思いました。(高校1年・女子・北海道)
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私はYouTubeよりテレビ派なので、テレビにしかない良さをこれからも発信してほしいです。実際にテレビ番組を撮影している現場を見学してみたいです。(高校1年・女子・京都)
【青少年へのおすすめ番組】
- 『解体キングダム』(NHK総合)
- 取りこわされる建物にはすべて物語があるのかなと思いました。ふだん見られないところや建物の取りこわしを身近にみられてよかったと思います。(中学1年・女子・島根)
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解体する作業をしているのは年配の方が多く、意外でした。高いところの狭い足場で作業していて尊敬します。私たちの知らないところで電気を流してくれている人がいると知って、大切に使いたいと思いました。(中学2年・女子・東京)
- 「ヴィランの言い分」(NHK Eテレ)
人が不快に感じている部分が「ヴィラン側」から見ると実はいいこともあったり自然のためになっていたりして、人間と同じようなことをしている一面が分かり終始驚きを隠せなかった。人と接していくうえで大切な、双方の意見をきちんと聞く、見た目で判断しないなどのことも改めて大切だと学んだ。(高校2年・女子・東京)
- 『私小説-発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由-』(テレビ朝日)
伊佐山ジンは発達障がいを抱え生きづらさを感じている。そんな中でも寄り添い続ける妻の優美がいて、その日常の中で恋愛小説家として小説を書く姿がとても温かくて幸せな気持ちになった。「ありがとう」「どういたしまして」というやりとりがとても印象的で、素敵な夫婦だなと思った。(中学3年・女子・山梨)
◆委員のコメント◆
【最近見たバラエティー番組について】
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「キョコロヒー」のマイペースなトークが、台本どおりのバラエティー番組と違って面白いという感想があった。深夜の時間帯は、どの番組もラジオっぽい作りになっているが、このモニターがラジオも好きだと書いていたので納得した。
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芸人のネタそのものでなく、どのように今のスタイルになったかを分析する番組を評価する感想があった。テレビに愛着がある若い人は、そうした舞台裏に関心のある人がとても多い印象があり、最近は舞台裏を見せる番組も多く制作されている。あまり取り上げられない人も取材してほしいという意見も書かれていて、作り込まれた舞台裏では飽き足らず、さらに裏が知りたいという強い関心が読み取れる。
【自由記述について】
今後の予定について
次回は5月23日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します
以上