第220回 放送と青少年に関する委員会

第220回-2019年12月

視聴者からの意見について…など

2019年12月16日、第220回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、バラエティー番組で、お笑い芸人が女性アイドルグループをプロデュースする企画について、「未成年の女性を食い物にしたような内容で非常に不快になった」「芸人がセクハラやパワハラを行い、それをエンターテインメントとして放送していることに嫌悪感を覚えた」などの意見が寄せられた件について全委員が番組を視聴し、「討論」しました。その結果、連続企画であり、今後の放送も見守る必要があるとして、「討論」を継続することになりました。
12月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たニュース・報道番組について」でした。19人から報告がありました。
モニターからは、夜のニュース番組について、「(アフガニスタンでの中村哲医師殺害事件について)報道番組というのは、良い波も悪い波も広げる小石のようなものだと私は考えています。ふと見た番組から名前ほどしか知らなかった人の行動のきっかけや考え方を知る機会となり、どこか感化される。感化されてほしいとさえ思えるような番組が生まれることもあれば、その一方で誰かを傷つけたりすることもある、両刃の剣であるということを視聴者である私たちはもちろんのこと、制作者の方々も理解してほしいと思います」、同じく夜のニュース番組について、「報道番組は多くの人が見て、私のように今の社会で何が起こっているかを知ることのできる大切な情報源だと思います。制作者もそれを理解したうえで、だからこそ公正に、事実を放送してほしいなと思います。報道の自由について公民の授業で学びましたが、自由とはいえ、やるべきこととやってはいけないことをきちんと線引きしてほしいです。…16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんのトークショーの様子が報道されていましたが、私たちと同世代の少女の活動が遠く離れた日本の報道番組で放送されるのは凄いなと思います。環境問題のアイコンが10代の少女、というのは個人的にすごく衝撃を受けました」、さらに自由記述で、「最近のニュースを見ていて疑問に思うことは、ニュースで扱うものとそうでないものの違いは何なのか?ということです。『それ、全国ニュースでいうこと?』と思うものがあって、そんなことで名前も顔もニュースで流したら、この後の生活どうするのかなとか、がんばって大学入っただろうに、きっと就職できないだろうなとか、心配になることがあります。他に大きな事件がないとか、面白いからとかの理由なのだろうな、とは思いますが、そこまで重い罪でもないのになぁ、と思ってしまいます。…悪いことをするのはもちろんダメなことですが、反省して罪を償った後はもう一度やり直せる社会であってほしいですし、家族の生活も考えてほしいと思います」、などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は1月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2019年12月16日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

世代間のギャップを楽しむゴールデンタイムのクイズ番組において、街で出会った女性の職業を当てる問題の正解が、男性との食事等に付き合い金銭を受け取る"パパ活"だったことに対して、「性被害の温床になり得る行為を若者の常識、職業と紹介するのは問題だ」「放送時間帯的に子どもが見ている。このような企画が放送されるのは倫理的に問題がある」「小学生、中学生などの未成年も出演しているのに、パパ活は職業と放送してしまったのは不適切だ」などとの意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「『パパ活』が入り口となって性犯罪というものが起きている可能性があるので、あっけらかんと問題にするのはいかがなものかという気もするが、クイズとしてギリギリかと思う」「あたかも社会的に認知された職業のように扱うのは、知らない子どもがそれを見たときに何か悪い影響を与えるのではないか」「職業とは何かという難しい問題もある。判断力のない子どもたちが、これは一種の職業なんだと思い込むと、影響があるかもしれない」「こんな珍しい人がいるんだ、という形で紹介しているのか、楽して稼げることがあるよと推奨するように描いているのかで、かなり違ってくると思う」といった意見が出されました。この件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

次に、一人の男性お笑い芸人が女性アイドルグループのプロデュースをするというバラエティー番組の企画において、お笑い芸人が選ぶ側の立場を利用して、選ばれる側の若い女性に好き放題振る舞うような演出に対して、「世の中を知らない若い女の子が見れば、権力がある人には媚を売らないといけないと思うだろう」「未成年の女性を食い物にしたような内容で不快になった」「女性がバカにされているよう。子どもたちや若者の本当に頑張りたい子が見ていてつらいのではないか」などとの意見が寄せられた件について「討論」が行われました。
委員からは、「子どもにどんな嫌なことをされても、アイドルとしてデビューするのには、これぐらいのことは我慢しなくちゃいけないと教えているような気がした」「お笑いの世界の話と、アイドルをつくるというリアルな話が一緒になっている。こちらはお笑いの世界で笑っているかもしれないが、そこにいる女の子たちは必死でやっているという構図がある」「ドラマや芝居ではなく、リアリティーショーとして、あたかも本当にあるかのような企画として放送している。これを子どもたちが見たときに、どういう印象を受けるのだろうか」「作り物だとしても、それがわかった上でも、描かれているコンテンツがいかにも不愉快。この時代にこういうコンテンツをお笑いとして出すということには、センスの問題として不快に思う人がたくさんいたから、批判的な意見が多数寄せられたのだろう」などといった批判的な意見が出ました。
また一方で、「視聴者に不快なものを出していいのかという問題はあるが、作り物の世界のこととしてであれば、容認される表現なのではと思う」「番組を見て嫌な感じがしたというのは、セクハラ・パワハラを推奨しているわけではなくて、逆に"これはだめなことだよ"というメッセージとして言っているのだと思う」などといった意見も出ました。
この件に関しては、連続企画であり、今後の放送を見守る必要があるとして「討論」を継続することになりました。

中高生モニター報告について

今月は12月のモニター報告について話し合われました。
34人の中高生モニターにお願いした12月のテーマは、「最近見たニュース・報道番組について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で19人から報告がありました。
「最近見たニュース・報道番組について」では、全部で13番組について報告がありました。複数のモニターが取り上げた番組は2番組あり、『報道ステーション』(テレビ朝日)を3人が、『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)を2人が取り上げていました。また、気になったニュースについて番組を特定せずに記述したモニターが2名いました。
「自由記述」を含め複数の報告が寄せられたトピックは2項目で、沢尻エリカ被告の違法薬物の問題とアフガニスタンで殺害された医師の中村哲さんの事件について、それぞれ3人が報告しています。
「青少年へのおすすめ番組」については、『100分de名著「ドストエフスキー・カラマーゾフの兄弟」』(NHK・Eテレ)を3人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • 『Nスタ』(TBSテレビ)でノーベル賞を受賞した吉野彰さんの話題が取り上げられ、そこで説明を聞いたことによって初めてリチウムイオン電池が何に役に立つかわかったというモニターがいた。彼女の報告の中には、「紅葉がきれいな場所を取材していて、心が温かくなりました」という記述もあった。この例からも分かるように、ニュース・報道番組には、単に出来事を知らせるだけでなく、知識や教養を深めたり感動を与えたりするという役割もある。今回、そのことがちゃんとモニターに伝わっていたと感じた。

    • NHKのお昼のニュースを挙げたモニターが、夏休みにはニュースの始まりと同時に昼ご飯を食べるというような生活だったそうで、「その時のご飯の味を思い出しました」と書いていた。ニュースが生活の一部になっているというのが興味深い。

    • 「ニュースで取り上げている内容と現実に乖離があるのではないか。SNSの投稿と照らし合わせると放送の内容を100%信じるのは難しい」という記述があったが、それならSNSの投稿も本当に正しいのかどうか疑ってかからなければいけない。報道をどう信じるか、ここには大きな課題があると思う。

    • 中高生モニターの中には、新聞は自分から読もうとしません、テレビはつけっぱなしで受動的にしか見ていません、という人たちがいる。この辺が最近の青少年の一つのあり方としてあるようなので、これからの日本人が情報やニュースをどのように共有していくのか、懸念もある。

  • 【自由記述について】

    • ニュースになるものとならないものの違いは何か、選択の基準がよく分からないことがあるというモニターがいた。「それ、全国ニュースで言うこと?」と疑問になるような時には、ニュースになった人のその後の生活が心配になるそうだ。悪いことをしたり問題を起こしたりしたら、当然、ニュースになっても仕方がないが、もしより大きなニュースがあれば取り上げられていなかったかもしれないと考えるのだという。現代では、一旦、顔や名前がニュースに出てしまうと、ずっと残ってしまったりSNSで拡散されてしまったりするので、確かに、かつてよりも取り上げられた場合の影響は大きい。その点、放送局も考えていくべき問題だと思った。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • 『報道ステーション』(テレビ朝日)アフガニスタンで亡くなった中村哲さんについて、私は名前を耳にしたことがあるくらいだったので、どういった人なのかをはっきり知りませんでしたが、それを知るきっかけが追悼の意を示す報道であることがとても残念です。報道番組というのは、良い波も悪い波も広げる小石のようなものだと私は考えています。今回のようにふと見た番組が名前しか知らなかった人の行動のきっかけや考えを知る機会となり、どこか感化される、感化されていてほしいとさえ思えるような番組が生まれることもあれば、その一方で、誰かを傷つけたりすることもある、両刃の剣であるということを視聴者である私たちはもちろんのこと、制作者の方々にも視聴者の身として理解してほしいと強く思います。(福岡・中学2年・女子)

    • 『報道ステーション』(テレビ朝日)報道番組は多くの人が見て、私のように今の社会で何が起こっているか知ることのできる大切な情報源だと思います。制作者側もそこを理解したうえで、だからこそ公正に、事実を報道してほしいなと思います。報道の自由について公民の授業で学びましたが、自由とはいえ、やるべきこととやってはいけないことをきちんと線引きしてほしいです。
      16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんのトークショーの様子が報道されていましたが、私たちと同世代の少女の活動が遠く離れた日本の報道番組で放送されている、というのは凄いなと思います。環境問題のアイコンが10代の少女、というのは個人的にすごく衝撃を受けました。私は環境問題や政治、世界の情勢について正直、わからないこともあれば、世論やジャーナリスト、政治家の方々の主張のうちどれが正しいのか、間違っているのか分かりません。ですが、分からないなりにでも国内、国外の今を知ることはとても大切なことだと思っています。これからも報道番組を通じて自分の知識を増やせていけたらと思います。(福岡・中学3年・女子)

    • 『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)土曜日、就寝前に家族で見ているこのニュース番組は、"ニュースワードランキング"というネットでのサーチ数によるランキング形式で1週間のニュースをまとめて確認できるので分かりやすい、かつ、世間の注目度合いまで一目でわかるため、毎週興味深く視聴しています。安住アナウンサーとビートたけしさんの会話が時にかみ合っていなかったり、アナウンサーがたけしさんの発言をカバーしたりしている空気感もとても好きです。(東京・高校1年・女子)

    • 『グッド!モーニング』(テレビ朝日)最近のニュースはクイズコーナーがあったり、コラボ企画があったりして非常に面白いと思う。この番組で好きなのは、林先生の「ことば検定」です。この企画は朝から豆知識を知れて勉強になります。ほかに「お天気検定」と「ニュース検定」も結構勉強になります。(千葉・中学1年・男子)

    • 『おはよう日本』(NHK 総合)視聴者に寄り添った内容が多く、例えば天気予報の時に今日の天気や気温にあわせた服のコーディネートについて気象予報士の人が説明してくれる場合があるのですが、これを聞いてから、ぼくは着る服を決めています。また、最近この番組を見て心に残っていることとして、2週間連日、コーナーとして放送されていた首都直下地震の対策について考えたコーナーです。このコーナーは、地震が起きた場合、大きな被害が起きるであろう地域の住民が行っている対策を紹介したり、専門家が地震が起きた時の対策を説明してくれたり、すごく、ぼく自身、地震について考えさせられたコーナーでした。(東京・中学2年・男子)

    • 『Nスタ』(TBSテレビ)ノーベル賞を受賞した吉野彰さんが開発した「リチウムイオン電池」の活用法を紹介した内容でした。「リチウムイオン電池」がいまいち何に役立つのか分かっていませんでしたが、これからの「電気自動車」に役立っていくことが分かりました。紅葉がきれいな場所も取材していて、とても心が温かくなりました。(北海道・中学2年・女子)

    • 『ニュース』(NHK 総合)普段テレビでニュースを見ないのでお昼のニュースを録画して見ました。昔から変わらないオープニングです。小学校時代の夏休みはこの番組が始まると同時に昼ご飯を食べていたので久しぶりにオープニングを見て昼ご飯の味を思い出しました(笑)。私は普段ニュースを新聞とネットニュースで情報を得ています。だからこれからテレビのニュースを見る習慣をつけてテレビ・新聞・ネットの3つの媒体でのニュースの報道の違いを比べられるようにしたいです。(鳥取・中学3年・女子)

    • 『体感 首都直下地震ウィーク』(NHK 総合)番組内のドラマ「パラレル東京」は、緊迫感溢れる映像で、目を疑うほどほどリアルだった。その沢山の衝撃的な被害は、単なるドラマの世界ではなく、現実に起こる。そう考えると、臨場感と危機感が増した。また、ドラマ内で、災害情報を報道するうえで、Twitter等からの確実な証拠が無く、デマかもしれない情報を、流すべきか悩んでいたシーンがあった。真実であったら、テレビの力で多くの人に注意喚起が出来、救えるかもしれない。しかし証拠が無い。デマであったら、混乱の中に混乱を招いてしまう。報道の難しさを垣間見た。同時に鵜呑みにすることの恐ろしさも伝わった。ドラマ後の起こりうる被害とその対策についての話と、画面下に表示された豆知識の様な対策のための一言はとても勉強になった。しかし、どんな危険性があって、何を気を付けたらよいのか、番組で述べられた対策がまとめて表示されたらもっと良かった。(東京・高校1年・女子)

    • 『めざましテレビ』(フジテレビ)日本や世界で起きている事件や出来事を知ることは、普段の会話や小論文対策にも役に立つと思うので毎日欠かさず見るようにしています。最近は、芸能人の薬物使用に関するニュースばかりですが、私が今一番関心を持っているニュースは高齢者ドライバーによる事故です。私の祖母や祖父も高齢ですがまだ車を運転しています。その理由の一つに、公共交通機関が発達していないことがあると思います。私が住んでいる石川県や、その他の地方はバスや電車の本数が少なかったり、料金が高かったりするので車は生活に欠かすことができません。自分の運転技術を過信している方も多いと思います。こうした事故を減らすためにも地方の交通機関の整備はもっと進むべきだと思います。めざましテレビはニュースのチェックもできるし、「イマドキ」というコーナーでは最新のグルメやファッションも紹介され、お天気キャスターの衣装が転機に合わせたコーディネートになっているので参考になります。(石川・高校2年・女子)

    • 私が気になったニュースは沢尻エリカさんの薬物所持についてです。私の好きな海外のミュージシャンは「自分が生きていくことや幸せにいつも頭を悩ませていた」と言っていました。そういう、心の安心できるものがない時に、それを忘れようとドラッグを使っていくのではないかと思いました。そう考えると自分の幸せや安心できることを見つけられるとドラッグを使うことはあまりなくなるのではないかと考えることができます。私が大好きなミュージシャンは去年の4月に亡くなりました。沢尻さんはこの事件でドラッグを使わず、自分で幸せを見つけられるようになってほしいです。(兵庫・中学3年・女子)

    • 中村哲さんが亡くなってしまったことは非常に残念で悲しいです。しかし、ここでただ悲しむだけで終わるのではなく、中村さんがやっていたことをアフガニスタンの人々が続けていけるよう支援をしたり、支援やボランティアが難しくても限りある資源をより有効に使うよう意識することも重要だと改めて感じました。(奈良・高校3年・男子)

    • 私がいつも注目するのは、「放送されている内容が本当に全てなのか?」という点だ。私がそう思い始めたきっかけは、SNSで見かけた香港に住む日本の方が目の前の現状について生々しく書き綴っている投稿があまりにも衝撃的だったからだ。その内容を要約すると、「日本の報道は何一つ正しい現実を伝えていない。デモでケガをした学生を病院で待ち伏せる警官や大量の不審死を"異常無し"で片づける政府。最早ここは戦地だ」というものだった。今回見たニュースでも政府が「厳しく対処するとけん制」とあったが、それが本当ならば上に挙げた投稿や学生に銃を向ける警官の写真はウソなのだろうか。放送の内容を100%信じるのは難しい、というのが私の今の考えである。(佐賀・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • 最近のニュースを見ていて疑問に思うことは、ニュースで扱うものとそうでないものの違いは何なのか?ということです。「それ、全国ニュースでいうこと?」と思うものがあって、そんなことで名前も顔もニュースで流したら、この後の生活どうするのかな?とか、がんばって大学入っただろうに、きっと就職できないだろうな。とか、この人にも私と同じくらいの子どもがいるんだろうな。子どもはきっと学校行けないだろうな。とか、心配になることがあります。他に大きな事件が無いとか、面白いからとかの理由なのだろうな とは思いますが、そこまで重い罪でもないのになぁと思ってしまいます。悪いことをするのはもちろんダメなことですが、反省して罪を償った後はもう一度やり直せる社会であって欲しいですし、家族の生活も考えて欲しいと思います。(神奈川・高校1年・女子)

    • 朝~昼の時間帯などである街歩きロケはほとんどが東京都内の区で行われているような気がします。人口が関東地方に集中しているのでこのような番組構成になってもおかしくありません。だけど、これは私のような地方の人にとってはどこか夢の世界のように感じてしまいます。1か月に2、3本ぐらいでいいので地方ロケのコーナーがあったら面白いかなと思います。地方の人は番組を身近に感じることができるし、都心の人はお昼に非日常を感じリラックスできると思います。しかし、テレビ局側からみると地方のロケはお金と時間が都心のロケよりもかかり負担になると思います。だから私はこういう時こそキー局と地方局が役割分担をして協力すればいいと思います。(鳥取・中学3年・女子)

    • 学校の国語の授業で"新聞やニュースから表現の自由を感じる"ということを学びました。実際、1つのニュースに対し様々な言い回しがされていて日本語は面白いなと感じたし、外国語にそのままのニュアンスで訳するのは難しいので言語は奥が深いなと思いました。(神奈川・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『100分de名著「ドストエフスキー・カラマーゾフの兄弟」』(NHK・Eテレ)人間関係が複雑ながら中学生の私でも理解ができるような図を作ったり、アニメーションや朗読などでわかりやすく説明していておもしろかったです。4週連続の放送ですが、次の回も見たくなりました。(北海道・中学2年・女子)

    • 『100分de名著「ドストエフスキー・カラマーゾフの兄弟」』(NHK・Eテレ)「カラマーゾフの兄弟」は世界史で今勉強している19世紀のロシアが舞台となっていたので興味が出ました。冬休みに読んでみようと思います。(神奈川・高校1年・女子)

    • 『ストロングポイント』(BS日本)パラアスリート3人の女子がお菓子を頬張りながらワイワイ楽しそうに話している姿を見ていて私も楽しい気分になった。障害のある人たちもない人たちも考え方がそこまで違うことはないと分かれて良かった。(愛知・中学2年・女子)

    • 『世界!ニッポン行きたい人応援団』(テレビ東京)この番組を観るといつもこんなに日本のことを好きでいてくれることを嬉しく思います。そして、私自身も知らない日本の勉強になります。今回は卵焼きが好きな女性が印象に残りました。アニメを見て卵焼きが気になるとは、日本のアニメが外国の方々にすごい影響を与えているんだなと改めて思いました。日本人でも知らないこともあるので、日本を学ぶ機会になっていいと思いました。(神奈川・高校1年・女子)

以上

第276回放送と人権等権利に関する委員会

第276回 – 2019年12月

「訴訟報道に関する元市議からの申立て」事案のヒアリングと審理…など

議事の詳細

日時
2019年12月17日(火)午後3時~8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「訴訟報道に関する元市議からの申立て」事案のヒアリングと審理

本件は、テレビ埼玉が2019年4月11日に放送した『News545』の中で伝えた損害賠償訴訟のニュースを巡り、元市議から申立てがあったもの。その中で元市議は、「自分が起こした裁判であるのに、自分がセクハラで訴えられたかのようなニュースのタイトル」と、「議員辞職が第三者委員会のセクハラ認定のあとであるかのような表現」によって名誉が傷つけられ、また「次の市議会議員選挙に立候補予定」であると伝えたことは選挙妨害であると主張している。これに対しテレビ埼玉は、ニュースの中では「元市議が被害を訴えた職員を相手取った裁判」と正確に表現しており、全体をみれば誤解を招くような内容ではなく、名誉毀損や選挙妨害には当たらず、放送倫理上問題となるものではないと反論している。またテレビ埼玉は、申立人との交渉のなかで「言葉の順番が違うことだけを見れば、誤解を招きかねない懸念が残る」ことは事実であるとして、当該放送日の夜のニュースで言葉を修正した放送を行い、また市議会選挙直後の4月22日の『News545』の中でお詫びと訂正を行っている。
今委員会では、申立人と被申立人双方に個別にヒアリングを行った。申立人は、当該ニュース番組の放送中に3回テレビ埼玉に電話し、「議員辞職は第三者委員会の認定の前である」と間違いを正すように求めたにもかわわらず訂正されなかった。「違う時間で訂正しても同じ人が見ているとは限らない」と訴えた。一方、被申立人であるテレビ埼玉は、ニュース全体を見れば誤解を与えるようなものでないことは明らかであると説明した。
ヒアリングに続いて本件の審理を行い、担当委員が論点を踏まえて決定文の起草に入ることを決めた。

2.「宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て」事案の審理

テレビ東京は2018年5月16日午後のニュース番組『ゆうがたサテライト』で、「教祖を失う可能性に揺らぐ教団の実態」としてオウム真理教の後継団体であるアレフを特集した。アレフ札幌道場前での申立人と取材記者とのやり取りを紹介した際、申立人の顔にボカシをかけたが、音声の一部は加工されないまま放送された。
アレフ会員である申立人は、肖像権とプライバシーの侵害を訴え、テレビ東京に対し謝罪と映像の消去などを求めて、BPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対しテレビ東京は、「アレフは団体規制法に基づく観察処分の対象であり、報道には公益性がある」と主張。プライバシー保護については「必要かつ十分な配慮を行った」とした上で、音声の一部が加工されないまま放送された点について「編集作業上のミスで反省している。放送後速やかに社内ルールを見直し、再発防止に努めている」としている。
今委員会では、前回委員会の議論を反映した委員会決定文の修正案が担当委員から提出され、意見交換を行った。今回の議論を基にさらに決定文の修正を行い、次回委員会で引き続き審理することになった。

3.「オウム事件死刑執行特番に対する申立て」事案の審理

フジテレビが去年7月、オウム真理教の松本智津夫死刑囚らの死刑執行を報じた特別番組について、松本元死刑囚の三女である松本麗華氏が、死刑執行をショーのように扱った放送であり、父親の死が利用され遺族として名誉感情を傷つけられたなどと申し立てた。
フジテレビは、速報情報を扱う生放送の制約の中で、複数の死刑囚の執行情報を分かりやすく伝えたもので、放送内容には必要性、相当性があるなどと反論している。
今委員会までに双方から必要な書面が提出され、それぞれの主張をもとに検討すべきポイントについて意見交換を行った。担当委員が次回委員会までに論点等を整理することになった。

4. 審理要請案件

・「覚せい剤押収報道に対する申立て」審理入りせず
X放送局は、今年6月、ローカルニュースの中で、覚せい剤押収事件について押収現場での記者リポートや付近住民のインタビューなどをニュースとして放送した。インタビューは、人物が分からないようにカーテン越しに撮影された映像で音声だけが伝えられた。この放送に対して、その家族から、放送は現場と自宅の場所を「特定するに十分な情報であり、家族の肉声は、現場を監視し警察に通報した者のように聞こえた」と訴えるとともに、「インタビューは、麻薬の運び出しと関係のない会話を一部切り取って放送した」と指摘した。そのうえで、「麻薬関連の報道は、暴力団も絡み、住民の安全に配慮するべきところを、私たち家族を危険にさらし、地域社会に誠実に暮らす家族の名誉を傷つけた」として、放送した経緯の説明と謝罪を求めて8月4日付で委員会に対して申立書を提出した。
この申立てについて委員会は、まず、人権侵害の有無及びそれに係る放送倫理上の問題を検討する必要がある事案と判断した。しかし、審理にはインタビューの経緯や内容を家族に直接聞くことが不可欠であるところ、申立人は家族の病気を理由にそれが困難であるとして、その了承を得ることができなかった。このため委員会は、十分な判断材料が得られないことがあらかじめ明らかな以上、本申立てを審理対象にすることはできないと判断した。ただし、この決定に至った委員会の判断と議論について、申立人だけでなく被申立人に対して詳しく説明することにした。

・「一時金申請に関する取材・報道に関する申立て」審理入りを決定
札幌テレビ(STV)は、今年4月26日の『どさんこワイド179』内のニュースで、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金支給等に関する法律」に基づいて一時金の申請を行った男性について報道した。番組では、北海道における初めての申請であるとして、男性が家で申請書類を記入する様子やインタビューのほか、北海道庁での申請手続きなどについて放送した。
これに対して、この男性は、記者が申請のための請求書を取り寄せ、必要な書類の準備を指示したうえ、「明日、申請に行きましょう」などと説明し、「一時金申請を希望していなかった申立人に対して、申請するよう働きかけた」と主張して、申立書を提出した。記者の働きかけにより「不本意な申請をすることになり、これを広く報道され、申立人の名誉を毀損された」などとして、放送内容の訂正と謝罪を求めた。
一方、札幌テレビは、記者との信頼関係があったからこそ取材が可能となったとして、「検証の結果、報道の内容は公正で、取材手続きも適正である」と反論している。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

5. その他

  • 運営規則に関する議論
    社会におけるBPOの認知度が上がっている。ことし6月にBPOが行った調査でも70%となった。そうした中で、委員会に対する申立ての提出件数も増えている。しかし、その内容が複雑になり委員会本来の目的とずれたものも散見されるようになっている。こうした状況を受け、委員会では、運営規則にある「苦情の取り扱い基準」の整備の必要性が指摘され、委員の間で意見が交わされた。

以上

第144回 放送倫理検証委員会

第144回–2019年12月

関西テレビ『胸いっぱいサミット!』委員会決定を通知公表へ

第144回放送倫理検証委員会は12月13日に開催され、12月10日に当該放送局への通知と公表の記者会見を行った読売テレビ『かんさい情報ネットten.』「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」に関する意見について、出席した委員長と担当委員から当日の様子が報告された。
出演者の不適切な差別的発言を放送し審議中の関西テレビの『胸いっぱいサミット!』について、担当委員から意見書の再修正案が示された。意見交換の結果、大筋で合意が得られたため、1月に当該放送局への通知と公表の記者会見を行うこととなった。
参議院比例代表選挙に立候補を予定していた特定の候補者を公示前日に紹介する内容を放送し審議中の北海道放送の『今日ドキッ!』について、担当委員から意見書の原案が提出され意見交換を行った。
仮の家族や恋人などをレンタルするサービスを描いた番組で、利用客が会社関係者でないことの確認が適切に行われなかったことなどについて検証する必要があるとして審議中のNHK国際放送のドキュメンタリー番組『Inside Lens』について、担当委員から意見書の原案が示された。
少年野球のピッチャーの投球などスポーツ映像の早回し加工が行われ審議中のTBSテレビの『消えた天才』について、担当委員から意見書の原案が示され、意見交換を行った。
海外に生息する珍しい動物を捕獲する企画で不適切な演出を行ったとして審議入りしたTBSテレビのバラエティー番組『クレイジージャーニー』について、番組制作関係者らに対するヒアリングが行われ、その概要が報告された。
スーパーの買い物客に密着する企画で、登場した主要な客4人がディレクターの知人だったことが明らかとなり放送に至った経緯を解明する必要があるとして審議中のテレビ朝日の報道番組『スーパーJチャンネル』について、番組制作関係者に対するヒアリングが行われ、その概要が報告された。
琉球朝日放送が9月に放送した『島に"セブン-イレブン"がやって来た』と北日本放送が10月に放送した『人生100年時代を楽しもう!』という2つのローカル単発番組について討議を行い、日本民間放送連盟放送基準(以下「民放連放送基準」という)等に照らし、それぞれの番組で取り上げている特定企業の事業の紹介が広告放送であると誤解されかねない内容になっており、放送倫理違反の疑いが大きいのではないかといった意見が多く、また、同じテーマで意見書を公表した委員会決定第30号の審議の経過や結果を両放送局がどのように受け止めていたのかなどについて検証が必要であるとして、テーマが共通していることに鑑み2番組を1件としたうえで、審議入りすることを決めた。
トランスジェンダーの方について不適切な放送を行ったという新聞記事が載ったテレビ山口のローカル情報番組『週刊ちぐまや家族』について、当該放送局に報告書と同録DVDの提出を求めて討議した。その結果、委員の中から厳しい意見が出されるなど、放送倫理に照らして問題がある放送であるところ、当該放送局の報告書に記載されている取材対象者本人の心情などへの配慮等も含め、総合的に判断して、当該局に注意喚起を促す厳しい意見が出たことを議事録に掲載することとした上で、今回で討議を終え、審議の対象とはしないこととした。

議事の詳細

日時
2019年12月13日(金)午後3時~午後8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

神田委員長、鈴木委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、高田委員、長嶋委員、中野委員、西土委員、藤田委員、巻委員

1. 読売テレビ『かんさい情報ネットten.』「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」に関する意見を通知・公表

読売テレビ『かんさい情報ネットten.』「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」に関する意見(委員会決定第31号)について、当該放送局に対する通知と公表の記者会見が12月10日に行われた。
読売テレビは、5月10日夕方のニュース・情報番組『かんさい情報ネットten.』のコーナー企画の中で、取材協力者に対して性別を執拗に確認する内容を放送した。ロケのVTR終了後、スタジオで見ていたレギュラー出演の男性コメンテーターから厳しい叱責があったが、特に他の出演者からの反応はなく当該コーナーの放送は終わった。6月の委員会において、当該放送局の事後の自主・自律の迅速な対応は評価できるものの、なぜこの内容が放送されるに至ったかの経緯等を解明する必要があるとして審議入りし、議論を続けてきた。
委員会は、本件放送には、民放連放送基準の「(3)個人情報の取り扱いには十分注意し、プライバシーを侵すような取り扱いはしない」に反し、「適正な言葉と映像を用いると同時に、品位ある表現を心掛ける」よう求める放送倫理基本綱領および「人権の尊重」と「報道における表現は、節度と品位をもって行われなければならない」と求める民放連の報道指針に反する放送倫理違反があったと判断した。
今回の委員会では、委員会決定を伝えた読売テレビのニュースを視聴し、委員長や担当委員から、会見での質疑応答などが報告された。

2. 出演者の不適切な差別的発言を放送した関西テレビ『胸いっぱいサミット!』の審議 1月に通知・公表へ

関西テレビが4月6日と5月18日に放送した情報バラエティー番組『胸いっぱいサミット!』の中で、コメンテーターとして出演した作家が、韓国人の気質について「手首切るブスみたいなもんなんですよ」と発言した。この発言について、当該放送局は、4月の放送前に制作や考査の責任者らが検討し、「国の外交姿勢を擬人化したもので、民族・人種への言及ではない」と判断して放送したとしていたが、6月に、視聴者への配慮が足りず心情を傷つける可能性のある表現で、そのまま放送した判断は誤りだったと謝罪した。
委員会は7月、人種や性別などによって取り扱いを差別しないなどとしている民放連の放送基準に照らし、収録番組であるにもかかわらず適切な編集が行われずに放送されたうえ、放送後にお詫びに至った経緯について詳しく検証する必要があるとして審議に入った。
今回は、前回までの議論を受けて担当委員から出された意見書の再修正案について意見交換が行われ、大筋で了解が得られたため、表現などについて一部手直しの上、次回の委員会で最終確認し、1月に当該放送局へ通知して公表の記者会見を行うことになった。

3. 参議院比例代表選挙に立候補を予定していた特定の政治家に取材し、公示前日に放送した北海道放送のローカルワイド番組『今日ドキッ!』について審議

北海道放送が参議院選挙公示前日の7月3日、夕方のローカルワイド番組『今日ドキッ!』で、比例代表に立候補を予定していた特定の政治家に密着取材した様子を放送した。9月の委員会において、その他の比例代表の候補者や政党にはまったく言及しておらず、参議院比例代表選挙には制度上北海道という区切りを入れる余地がないので、北海道関係者だけを取り上げて放送することは、道内の有権者を当該候補者に誘導する効果を否定できないことからすれば、本番組の内容は他の候補者との間で公平・公正性を害し、放送倫理違反となる可能性があり、放送に至った経緯等について検証する必要があるとして審議入りした。
今回の委員会では、担当委員から意見書の原案が提出され意見交換が行われた。次回委員会には、今回の議論を受けた意見書の修正案が示される予定である。

4. "レンタル家族"サービスの利用客として登場した人物がサービスを提供する会社のスタッフだったNHK国際放送『Inside Lens』について審議

2018年11月に放送されたNHK国際放送のドキュメンタリー番組『Inside Lens』で、家族や恋人などのレンタルサービスを描いた企画「HAPPIER THAN REAL」について、NHKは5月29日、利用客として出演した男性ら3人がサービスを提供する会社のスタッフだったと発表した。番組の制作担当者は利用客の属性や依頼の経緯などを再三にわたり確認しようとしたが、見抜くことができず、結果的に事実と異なる内容を放送することになったという。
委員会は9月、利用客が会社関係者でないことの確認が適切に行われなかったことなどについて、制作担当者から直接話を聞くなど、放送に至るまでの経緯を検証する必要があるとして審議入りを決めた。
この日の委員会では、担当委員から意見書の原案が示され、それを基に議論した。次回委員会には、意見書の修正案が示される予定である。

5. 少年野球のピッチャーの投球などスポーツの映像を早回し加工したTBSテレビのドキュメントバラエティー番組『消えた天才』について審議

TBSテレビのドキュメントバラエティー番組『消えた天才』について、当該放送局から委員会に対し、8月11日の放送で、リトルリーグ全国大会で全打者三振の完全試合を達成した投手の試合映像を早回しして球速が速く見えるよう加工を行い、別の放送回でも、卓球とフィギュアスケート、サッカーの3件の映像について早回し加工を行っていたことが社内調査で判明したと報告があった。9月の委員会で、スポーツ番組の根幹である実際の試合映像を加工したことは放送倫理上問題がある可能性があり、番組制作の経緯やどのようにチェックが行われたのかなどを検証する必要があるとして審議入りが決まった。
今回の委員会では、番組関係者へのヒアリングが11月半ばに完了したことが報告され、担当委員が意見書の原案を示し、これを基に意見交換を行い、次回の委員会に向け修正案を準備することになった。

6. 生き物捕獲バラエティー番組で動物を事前に用意していたTBSテレビの『クレイジージャーニー』について審議

TBSテレビは2019年8月14日に放送したバラエティー番組『クレイジージャーニー』で、海外に生息する珍しい動物を捕獲する企画を放送した際、番組スタッフが事前に準備した動物を、あたかもその場で発見して捕獲したかのように見せる不適切な演出を行ったと発表した。
前回の委員会では、当該放送局から提出された報告書や同録DVD、新たに提出されたメキシコの現地協力者などへの調査結果をまとめた追加報告書などを基に討議を行った。その結果、民放連放送基準に抵触している疑いがあり、制作過程を検証してこの内容が放送されるに至った経緯を解明する必要があるとして審議入りした。
12月初め、番組制作関係者らに対するヒアリングが行われ、その概要が担当委員から報告された。

7. スーパーで偶然出会ったように放送した買い物客4人が取材ディレクターの知人だったテレビ朝日の『スーパーJチャンネル』について審議

テレビ朝日は2019年3月15日、ニュース番組『スーパーJチャンネル』で、スーパーの買い物客に密着する企画を放送したが、この企画に登場した主要な客4人が、取材ディレクターの知人だったとして、記者会見を開き謝罪した。前回の委員会では、当該放送局から提出された同録DVDや報告書を基に意見交換が行われ、その結果、放送倫理違反の疑いがあり放送に至った経緯を詳しく検証する必要があるとして審議入りした。
12月初め、番組制作関係者に対するヒアリングが行われ、その概要が担当委員から報告された。

8. 放送か広告か曖昧だと指摘された琉球朝日放送と北日本放送のローカル単発番組について審議入り

琉球朝日放送は9月21日に『島に"セブン-イレブン"がやってきた~沖縄進出の軌跡と挑戦~』という55分のローカル単発番組を放送した。この番組を見た視聴者から「放送なのか広告なのか曖昧だ」という趣旨の意見がBPOに寄せられたため、委員会はDVDと報告書の提出を求めて視聴した。番組は、あるコンビニエンスストアが沖縄に初めて出店する様子を描いたもので、開店の準備の様子や地元の反応に加え、独自の食品について紹介したあとで、スタジオで司会者が試食し、味を称賛している。番組は、このコンビニエンスストアを経営する企業の提供だった。
また北日本放送は10月13日、『人生100年時代を楽しもう! 自分に合った資産形成を考える』という15分のローカル単発番組を放送した。視聴者からの同じ趣旨の意見を受けて委員会が確認したところ、高齢化時代の資産形成に触れながら、番組の多くの時間を使って富山市に本社がある投資信託相談を手がける会社の事業を紹介していた。番組の直前にはこの会社が開くセミナーのCMも放送された。
委員会はいずれの番組についても討議を行い、民放連放送基準の広告の取り扱い規定(第92条、第93条)や2017年に民放連が出した「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」などに照らすと、それぞれの番組で取り上げている事業の紹介が広告放送であると誤解されかねない内容になっており、放送倫理違反の疑いが大きいのではないか、また、前者は番組内で試食して味を褒め、また後者も番組の直前にセミナーのCMが放送されて、視聴者にとっては広告か番組か識別できないのではないかなど、放送に至った経緯について検証が必要だという意見が相次いだ。また、別の放送局の番組に対して委員会が10月に出した意見書の審議の過程や結果が、それぞれの番組の制作過程にどのように反映されたのか詳しく聞く必要があるとして、テーマが共通しているこの2番組を1件とし、審議入りすることを決めた。今後は、琉球朝日放送と北日本放送の社員らに対するヒアリングなどを行って、審議を進める。

9. トランスジェンダーの方への配慮を欠いた放送だという新聞記事が載ったテレビ山口のローカル情報番組『週刊ちぐまや家族』を討議

テレビ山口が11月9日に放送した『週刊ちぐまや家族』について、トランスジェンダーの方への配慮を欠いた放送だという記事が新聞に載った。このため委員会は、当該放送局に報告書と同録DVDの提出を求めて討議した。
番組は、毎週土曜日の午前中に放送される58分のローカル情報番組。山口県内の各地域のさまざまな話題を紹介するコーナーで、1分30秒の間、駐車場で車の下に入ってオイル交換をしている人を紹介した。この際、リポーターが、視聴者にオイル交換をしている人が女性であることを示唆しながら、CMを挟んだあと、別のインタビューを受けた本人をよく知る男性の発言を受けて、画面には「珍 女性のような男性」と表示した。
放送後、本人が不本意なテロップ等とSNSでテレビ山口に抗議した。テレビ山口は、新聞報道の後、自社のホームページに「不適切な放送をしてしまいました」とお詫びを載せ、本人に会って謝罪した。またLGBT問題に詳しい弁護士などに委員になってもらい、社内に再発防止策を取りまとめる番組検証委員会を設けたという。
12月の放送倫理検証委員会では、第31号事案を踏まえると、取材の執拗さ等において相違があることは否めず、その点について一定程度考慮する必要があるとしても、本人に対する配慮を著しく欠いた取材、放送内容である、本人が受けたダメージは計り知れないほど大きいといった厳しい意見が相次いだ。他方で、当該放送局の報告書に記載された本人の心情などへの配慮が必要である、新聞報道後であるという誹りは免れないものの、当該放送局が一定の自主的・自律的な取り組みを行っていることは考慮する必要があるなど、さまざまな意見が出された。
以上の点を慎重に議論、検討した結果、委員会としては、放送倫理に照らして問題がある放送であるが、本人の心情などへの配慮も含め、総合的に判断して、当該局に対して注意喚起を促す厳しい意見が出たことを議事録に掲載したうえで、今回で討議を終えることとし、審議入りしないことを決めた。

  • 委員会決定第31号事案を踏まえると、取材の執拗さにおいて相違があることは否めず、その点について一定程度考慮する必要があるとしても、本人のプライバシーに対する配慮を著しく欠いた取材、放送内容であり、放送倫理に照らして問題があると言わざるを得ない。

  • 本人が受けたダメージは計り知れないほど大きく、その点では審議入りも考えられる。

  • 本件において、担当ディレクターが、審議中である第31号事案のことを意識していなかったということは極めて遺憾である。

  • 放送倫理上問題がある放送であるとしても、報告書に記載されているご本人の心情への配慮が必要である。

  • 新聞報道後であるという誹りは免れないものの、自主的・自律的な取り組みを行っていることについては一定の評価をしてもよいのではないか。

以上

2019年12月17日

「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、12月17日に開催した第276回委員会で上記申立てについて審理入りを決定した。

札幌テレビ(STV)は、今年4月26日の『どさんこワイド179』内のニュースで、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金支給等に関する法律」に基づいて一時金の申請を行った男性について報道した。

放送は、北海道における初めての申請であるとして、男性が家で申請書類を記入する様子や「裁判を続けていきたいけど、区切りを一つ一つやっていきたい」と話すインタビューのほか、タクシーで北海道庁に到着する映像などを放送し、ナレーションで男性が担当部署で職員と面談して申請手続きを行ったことなどを説明した。

これに対してこの男性はBPO放送人権委員会に申立書を提出し、その中で、記者が申請のための請求書を取り寄せ、必要な書類の準備を指示したうえ、「明日、申請に行きましょう」などと説明し、タクシーも手配したと指摘した。そのうえで、「一時金申請を希望していなかった申立人に対して、申請するよう働きかけた」と主張し、その結果、「不本意な申請をすることになり、これを広く報道され、申立人の名誉を毀損するとともに、法律専門家の援助を得る機会を与えない不利益を与えた」として、放送内容の訂正と謝罪を求めた。

一方、札幌テレビは、記者は申立人を1年以上にわたって取材を続け、申立人と良好な関係を築いてきたとして、「その信頼関係があったからこそ一時金申請の取材が可能となった。検証の結果、報道の内容は公正で、取材手続きも適正である」と反論している。

17日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2019年12月13日

琉球朝日放送『島に"セブン-イレブン"がやって来た』・北日本放送『人生100年時代を楽しもう!』審議入り

放送倫理検証委員会は12月13日、琉球朝日放送の『島に"セブン-イレブン"がやって来た~沖縄進出の軌跡と挑戦~』と北日本放送の『人生100年時代を楽しもう! 自分に合った資産形成を考える』について、審議入りすることを決めた。
前者は、9月21日に沖縄県内で放送された55分の単発番組で、コンビニエンスストアのセブン-イレブンが沖縄に初めての店舗を開店させる日に合わせて、コンビニ側や県内の受け止め方などを紹介している。また後者は10月13日に富山県内で放送された15分の単発番組で、高齢化社会になり自分に合った資金形成が必要だとして、投資信託相談を手がける株式会社の様子を描いている。いずれも、視聴者から「放送なのか広告なのか曖昧だ」という意見が寄せられ、委員会ではそれぞれの番組制作の経緯を知る必要があるとして、報告書と同録DVDの提出を求め討議した。その結果、委員から、「番組ではなくCMではないか」「民放連の放送基準に反しているのではないか」などの意見が出されたほか、やはり放送と広告との関係をめぐって10月に意見書を公表した委員会決定第30号の審議の経過や結果について、番組制作の過程でどのように反映させたのか聞く必要があるとして、この2つの番組を審議の対象として検証することを決めた。
審議入りについて神田安積委員長は、「広告放送と誤解されかねない番組だという疑いがあり、ともに自社制作の番組で、テーマが共通しているので1件2番組として審議していきます」と述べた。委員会は今後、2つの番組の制作に携わった関係者などからヒアリングをして審議を進める。

2019年11月21日

富山地区テレビ・ラジオ各局と意見交換会開催

放送倫理検証委員会と富山県のテレビ・ラジオ局5社との意見交換会が、2019年11月21日、富山市内で開かれた。放送局出席者は5社24人、委員会からは鈴木嘉一委員長代行、岸本葉子委員、中野剛委員の3人が出席した。放送倫理検証委員会が富山で意見交換会を開くのは初めて。

意見交換会は2部構成で行われ、1部では放送倫理検証委員会が今年度に公表した2つの意見書を取り上げた。まず7月に公表した委員会決定第29号「日本テレビ『謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!』2つの祭り企画に関する意見」について、中野委員が、「バラエティーなのだから笑いをつかむ場面を仕込むことはあるだろうが、仕込むからにはその過程を把握しておいてほしい」と、海外ロケであっても現地コーディネーターがどのような準備をしているか、制作者が理解して演出を施すことが必要だと話した。岸本委員は、意見書に書いた制作者と視聴者との了解について、「長寿番組であればあるほど、『マニュアルは日々腐る』と考えて、視聴者との了解の範囲を常に探ってほしい。今回は、仕込んだ祭りであるのに『年に一度の祭り』と紹介するなど、番組作りがルーティン化する中で制作者が怠慢になっていたのではないか」と指摘した。参加者からは「バラエティー番組の演出はどこまで許されるのか」という質問があり、鈴木委員長代行は「その基準を作るのはBPOではなく、制作者であるみなさんです」と答えた。

続いて10月に公表した委員会決定第30号「長野放送『働き方改革から始まる未来』に関する意見」にテーマを移した。まず鈴木委員長代行が、視聴者からBPOに寄せられた1通のメールがきっかけで審議を始め意見書につながったもので、放送倫理検証委員会が広告と番組のあり方について取り上げたのは初めて、また持ち込み番組の考査については2件目だと、意見書の特徴を説明した。その上で「広告収入で成り立つ民放では、番組と広告が分かれているから視聴者の信頼につながっているのであり、この区別がはっきりしないと信頼を揺るがしかねない」と意見書に込めた思いを述べた。参加者からは、経営に直結する問題で、どうすればよかったのかといった質問が相次ぎ、鈴木委員長代行は2017年に日本民間放送連盟が出した「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」に触れながら、「この留意事項に書かれている『特定の企業・団体などから番組制作上、特別な協力を受けた場合には、その旨を番組内で明らかにしているか』という点を忘れないでほしい」と答えた。

続く2部は、参加各社が日頃直面している課題などについて意見を交わした。この中では事件や事故の報道で、関係者の氏名を実名で放送するか匿名にするかで迷った例や、教員の不祥事の際、学校名を出さないでほしいと言われた例などが紹介された。委員会側は、実名報道を原則にしながら、個々の事例に適した放送を各社が判断して放送することが大切だと指摘した。また情報番組の中で過疎地域を「人よりイノシシの方が多い村」と表現することの是非について問われたのに対して、中野委員は、視聴者意見も大切にしながら、第三者的視点で表現が適切か否かチェックすることが必要だと答えた。岸本委員は、1つのシーンを切り取って判断することは適当ではなく、番組全体としての視点が差別的でないか、また画面に表示される文字がビジュアル的におどろおどろしくないかなど、総合的に考えるべきだと述べた。

さらに参加各局から、働き方改革の中で若手の育成に工夫している例などが紹介された。意見交換会を通して中野委員は「きょうはこちらの意見を伝えられ、またみなさんの実情も聞けて良かった。テレビ・ラジオでしかできない放送があるので、ぜひ若手を育てて、心揺さぶられる番組を作ってほしい」と、また岸本委員は「放送倫理上どこまでが許されてどこからがダメなのかという『線』をみなさんが求めているのであれば、それは違う。きょうはこちらからの投げかけが多かったが、委員会が出す意見書を良く読んで、みなさんでぜひ工夫してほしい」と呼びかけた。鈴木委員長代行は「各社がこれまで放送した番組のライブラリーは『宝の山』なので、そうした優れた番組を若手に見せて育成してほしい」と締めくくった。

最後に、参加局を代表して北日本放送の水野清常務取締役が「重いテーマだったが、放送への信頼は視聴者との約束があって初めて成り立つと再認識できた。若手社員から『マニュアル』はありますかと聞かれることが多いが、やり方を自分で工夫することが大切で、それが放送の自由を守ることにつながると教えていきたい」と述べ、3時間を超える会議を終えた。

終了後、参加者から寄せられた感想の一部を以下に紹介する。

  • 今回の意見交換会で印象に残ったのは「了解」という言葉だった。視聴者と「了解」したと思っている件が、放送局側の勝手な「了解」になっていないか、チェック体制を整えておかなければならないと思った。

  • 放送と広告の関係という民放の課題を、各社も悩んでいると感じた。正直に視聴者と向き合い、「了解」事項を確認しながら制作していくことの大切さを実感した。

  • 各社が抱える課題についての議論では、どこまでが良くて、どこからが違反なのかについて、明確な基準や線引き、マニュアルは無く、それぞれの事案によって判断されるということが分かった。局側からすると判断基準が欲しくなるが、そんな単純なものではないと理解できた。

  • 放送局みずからが番組向上のために自主的な取り組みを行うことが重要で、BPOはその意見を聞く第三者機関だということが改めて理解できた。やはり基本は、局の自主・自律で、常にメディアとして感性と理性を研ぎ澄ませていく必要があると感じた。

以上

2019年10月24日

福岡・佐賀地区テレビ・ラジオ各局と意見交換会開催

放送倫理検証委員会と福岡・佐賀地区テレビ・ラジオ各局との意見交換会が、2019年10月24日、福岡市で開催された。NHKと民放をあわせ放送局から80人が参加し、委員会からは神田安積委員長、高田昌幸委員、藤田真文委員の3人が出席した。
前半は、最近の委員会決定のうち、日本テレビ「謎解き冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!2つの祭り企画に関する意見」および長野放送「働き方改革から始まる未来に関する意見」についての説明と質疑応答、後半は今年7月に福岡県内で起きた殺人事件の報道を主な議題として意見交換を行った。

まず「謎解き冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!2つの祭り企画に関する意見」について、神田委員長は「視聴者との間で互いに了解している約束に反したことが放送倫理違反であると判断した」と述べ、「この『約束』は現地のコーディネーターが主導したものであって、放送局はその点についての確認が不十分だった。このため『程度は重いとは言えないものの放送倫理違反があったと言わざるを得ない』との表現になった」と背景を説明した。藤田委員は「『民放連放送基準』には、ニュースについて『事実に基づいて報道する』という基準がある。これはニュースだけでなく、情報を伝える番組の責務だ。わかりやすく伝える必要はあるが、最低限の事実は曲げてはいけないということであり、その点が放送基準に違反していると判断した」と指摘した。神田委員長は「放送倫理違反が生じた原因を追究し、確認することが再発防止につながる。自局のこととして受け止め、自主・自律的な対応ができるよう意見書を生かしてもらいたい」と述べた。

次に「働き方改革から始まる未来に関する意見」について、神田委員長より、委員会がこの番組を「広告と誤解される番組」と認定した理由についての説明があった。委員長は「持ち込み番組における考査が不十分であり、民放連の『番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項』が検討されなかったことなどの問題点が調査で浮かび上がった」と指摘した。その上で「放送基準の解釈や運用はBPOが決めるのではなく、また、意見書が出たからといって萎縮する必要はなく、むしろ『留意事項』を十分に検討し、自主的自律的に、広告と誤解されることがないよう番組を作っていただきたい」と強調した。
高田委員は「番組と広告の境目がどこにあるかということは、それぞれの番組をみて判断するしかない。公共性や視聴者にとって有益な情報となっているかという公益性に基づき、留意事項を参照して作られるべきだ」と述べた。
これに対し参加者からは「テレビの中でも営業に携わる人たちが、常々、放送法や放送基準、関連する規則などを強く意識しているかは疑問だ。考査担当者としては、それらに定められていることを守っていかないと最終的には政府に介入されることになるといっても、どこまで浸透するかは疑問だ。ただ現実は現実として、規則との折り合いをつけてぎりぎりの選択をせざるを得ない」との苦悩が表明された。これに対し神田委員長は「放送基準は抽象的であり、その解釈には幅があるが、放送事業者が自主・自律的に判断しているのであれば、私たちはできる限り尊重したい。今回の番組では、自主・自律的な判断に基づく考査がなされていなかった。番組が広告放送と誤解されることがあれば、自社だけではなく、民放全体の信頼にかかわると考えて向き合っていただきたい」と述べた。また高田委員は「制作と営業それぞれの担当者間で、本当にこれでよいのかという議論がきわめて重要だ。視聴者の信頼に応える番組を作るための社内議論ができにくいと感じるなら、議論を誘発するような仕組みを作ることが必要だ」と述べ、担当者だけでなく組織としての対応を促した。一方参加者からは「留意事項の3点以外にも注意すべき点はあるか」との質問があったが、神田委員長は「民放連が特に例示している3点はあくまで例示にとどまり、その他の点も含め、総合的に判断されるものである。他にどのような点に注意すべきかという点については、留意事項に特に例示されていない以上、当委員会が明示することは控えるべきであり、当該放送局にて自主・自律的に検討されることが望ましい」と述べた。

後半では、7月に福岡県内で起きた女性殺害事件に関する意見交換が行われた。まず放送局側から、事件の進展や被害者遺族の意向などによって、実名を匿名に切り替えたり、容疑内容の詳細な描写を控えたりするなど、時期や社によって異なった報道が行われたことが報告された。これに対し高田委員は「被害者にも加害者にも人権がある。実名・匿名は個々のケースで判断するしかないが、実名で報道することのみが原則なのではなく、実名を警察に出させて把握し、実名で取材することが原則だ。実名の報道にのみ価値があるわけではない。実名で何を伝えるのか、事件を通じて何を伝えるかが最も重要だ」と述べた。神田委員長は「実名も顔写真も、誤報でない限り、事実を報道するという点で放送倫理には抵触しないが、その場合であっても視聴者や社会に対し、報道をするに至ったプロセスや配慮などについて説明する責任が求められる時代になっている。責任を果たすために重要なのはそれぞれの社の自主・自律的な判断の過程だ。その過程なくして実名や顔写真の報道がなされなくなれば、報道機関に対する批判はなくなるかもしれないが社会の信頼も失われる」と述べた。参加者からは「実名・匿名では毎日悩んでいる。人権に配慮している間にネットには実名が出る。答えはなく個々に判断するしかない」という戸惑いや、「昔と違い、原則実名ということに社会の厳しい視線が注がれ、メディアスクラムも問題になる。世の中の変化にメディアが合わせることが必要かもしれない。若い記者たちに実名・匿名の意味を伝える一方、長年続いてきたメディアの考え方を変えていく柔軟性も必要だ」など、社会の受け止め方の変化やノウハウの継承についての悩みの声が聞かれた。

最後に、福岡放送の五島建次取締役報道局長が「同じ仕事に携わっていても日頃なかなか議論の機会がない各局や委員の意見を聞くことができ、心強く思った。現場は常に悩みながら放送に取り組んでいるが、今日の議論を踏まえ、明日からもさらにがんばっていきたい」と述べ、意見交換会を終了した。

終了後、参加者から寄せられた感想の一部を以下に紹介する。

(議題について)

  • 全国的にも注目される事例を知ることができて有意義だった。委員から問題点への意見や提言、放送局へのエールなども聞くことができ、BPOが身近になった。

  • 放送と企業広告の線引き、具体的方法論について学べたことは大きな収穫だった。

  • 委員会決定までの背景や理由などが詳しく聞けたことにより、BPOの問題意識がわかり今後の参考になった。取り上げた番組の内容が事前にわかっていれば、より理解が深まったと思う。

  • 事件報道は各社が共通に悩みを抱えているテーマだったのでよかった。一方で、BPOの視点からリスクに陥りがちなテーマ(SNSなど)も幅広く議論してもよかったのではないか。

  • 放送倫理について、自分自身が考える超えてはいけないラインとBPOが持つラインに大きな違いがないことを再認識できた。今後番組を作る上で及び腰ではなく、もっと攻めた面白い企画を作りたいという思いを抱けるようになった。

  • (BPOは)放送局の自主自立を尊重する姿勢であると感じた。委員から直に話を聞けたので、委員会決定の行間を埋めることができたように思う。ただ実際の業務に関しては、委員会決定だけでは、営業への対応が難しい部分は残ると思った。

  • 福岡では各局が一堂に会して意見交換する機会があまりないため、貴重な機会となった。現在の日本のメディアは横の連携が弱く、これまで政府などからの圧力があった際に連帯して対応してこなかった。今後BPOが放送局どうしをつなぐ役割をできるならば、今後の日本のメディア環境にとって非常に意味があると思う。

  • BPOは、私たちからすると、できればかかわることのないほうが健全だとのイメージが強いが、実際話してみると思ったより緊張関係はなく、こちらの事情も理解していることがわかり、こうした機会を今後も設けてほしいと思った。

  • (BPOが)第三者機関としての役割ということであれば、変化していく視聴者の「テレビをどう見ているのか」という感覚値を、もっと各局と共有してほしい。

  • テレビ・ラジオの多くのメディア関係者が参加していたので、各社が発言する時間を確保し、もっとさまざまな意見を聞きたかった。

  • 放送現場と日常的に意見交換する場をもっと増やしてもらいたい。

以上

第31号

読売テレビ 『かんさい情報ネットten.』
「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」に関する意見

2019年12月10日 放送局:読売テレビ

読売テレビが2019年5月10日に放送した夕方のニュース・情報番組『かんさい情報ネットten.』のコーナー企画の中で、取材協力者に対して性別を執拗に確認する内容を放送した。ロケのVTR終了後、スタジオで見ていたレギュラー出演の男性コメンテーターから厳しい叱責があったが、特にほかの出演者からの反応はなく当該コーナーの放送は終わった。6月の委員会で、当該放送局の事後の自主・自律の迅速な対応は評価できるものの、なぜこの内容が放送されるに至ったかの経緯等を解明する必要があるとして審議入りし、議論を続けてきた。
委員会は、本件放送には、民放連放送基準の「(3)個人情報の取り扱いには十分注意し、プライバシーを侵すような取り扱いはしない」に反し、「適正な言葉と映像を用いると同時に、品位ある表現を心掛ける」よう求める放送倫理基本綱領および「人権の尊重」と「報道における表現は、節度と品位をもって行われなければならない」と求める民放連の報道指針に反する放送倫理違反があったと判断した。

2019年12月10日 第31号委員会決定

全文はこちら(PDF)pdf

目 次

  • I はじめにpdf

  • II 審議の対象とした番組pdf

  • III 委員会の検証pdf

    • 1 報道局制作のニュース・情報番組『かんさい情報ネットten.』

    • 2 『ten.』の制作体制~2つのテイスト・2つの手法

    • 3 第2部の企画コーナー「迷ってナンボ!」

    • 4 「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」の企画から放送まで

      • (1) 企画・ロケ~撮影3時間の短期決戦
      • (2) 編集~分業とチェック体制
      • (3) 放送~凍りついたスタジオと司令塔の不在
    • 5 放送後の迅速な対応と検証・再発防止策の徹底

  • IV 委員会の考察pdf

    • 1 なぜ、ロケの時点で問題を感じなかったのか

    • 2 なぜ、編集の過程で問題が指摘されなかったのか

      • (1) 編集作業が細分され分業が進み、意見交換し違和感を共有する場がない
      • (2) 複数の目によるチェック体制が崩壊していた
    • 3 なぜ、多くのスタッフが問題を感じなかったのか

  • V 委員会の判断pdf

  • VI おわりに~10年目の「痛恨」pdf

2019年12月10日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2019年12月10日午後1時30分からBPO第1会議室で行われ、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。
詳細はこちら。

2020年3月13日【委員会決定を受けての読売テレビの対応】

標記事案の委員会決定(2019年12月10日)を受けて、当該の読売テレビは、対応と取り組み状況をまとめた報告書を当委員会に提出した。
3月13日に開催された委員会において、報告書の内容が検討され、了承された。

読売テレビの対応

全文pdf

目 次

  • 1.委員会決定についての報道
  • 2.委員会決定の社内周知について
  • 3.番組審議会への報告について
  • 4.再発防止にかかる取り組みについて
  • 5.BPO委員を招いての勉強会について
  • 6.ヒアリング対象者の意識の変化について
  • 7.全社的な意識の変化について
  • 8.終わりに

第219回 放送と青少年に関する委員会

第219回-2019年11月

視聴者からの意見について…など

2019年11月26日、第219回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず10月16日から11月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
バラエティー番組で、お笑い芸人が女性アイドルグループをプロデュースする企画について、「未成年の女性を食い物にしたような内容で非常に不快になった」「芸人がセクハラやパワハラを行い、それをエンターテインメントとして放送していることに嫌悪感を覚えた」などの意見が寄せられました。これについて委員からは、「放送時間、タレントの芸風、出演している女性たちが18歳以上ということを考えるとバラエティーとしてぎりぎり、いいのかとも思えるが、いかにも後味が悪かった」「パワハラ、セクハラにあたるストーリーをもし肯定的に描いているとすれば、見ている子どもに対してよい影響は与えないだろう」などの意見が出され、次回の委員会で全委員が番組を視聴し、「討論」することになりました。
11月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たドラマについて」でした。25人から報告がありました。
モニターからは、フリーランスの女性天才外科医の活躍を描いた連続ドラマについて、「ここまで長くシリーズになっているとマンネリ化しそうな気もしますが、シリーズが変わるごとに少しずつ、もしくは大幅に変化していく力関係、何ともクセの強い登場人物たちが良いスパイスになっていて、不思議と『はいはいもういいよ』とならないのがすごいと思います」、意識が戻らぬまま眠り続ける主人公と仲間たちとの過去を描いたドラマについて、「私は、この回のドラマを見て人それぞれ色んなことを考えているのだろうと思いました。いつもは調子乗りの人でも心で抱えている問題があることもあるということです。…私はこれを見て、どんな人でも悩んでいることがあるかもしれないと思えるようになったし、友達のこともより大切にしようと思いました」、一人の刑事が巨悪に反乱を起こすというストーリーの刑事ドラマについて、「今の日本の社会に、本物の正義は何か、守るものは何か、などといったことを訴えようとしているのかな?とは思いますが、少し暴力的なシーンが多い気がしています。暴力がかっこよく描かれているようなシーンもあるように感じるので、以前私たち世代にヒットしたドラマが放送されたこの時間帯に放送するならもう少し少なくても…と思います」、死後に自分の死の手続きをする場所を描いたドラマについて、「見ていると必然的に"死"と自分の生き方について思いめぐらすようになる。それと同時に死者の思いにやるせなさを感じ、苦しくもなる。しかし、『しね』という言葉を簡単に発したり、人を傷つけ、ポイントを稼ぐようなゲームが溢れていたりするなど、若干"死"が軽んじられている今、このドラマを薦めたい」、婚約を破棄された主人公が心の傷をいやすため大人のバイオリン教室に通うというドラマについて、「今までドラマを見てこなかったのは、よくある刑事ドラマや恋愛ドラマのストーリーに関心が持てなかったことが大きいと思う。このドラマのように趣味の世界を紹介するような、それだけでなくしっかりとした人間ドラマになっている話が増えれば、もっとドラマを見たいと思うようになるのではないか」、などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は12月16日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2019年11月26日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

一人の男性お笑い芸人が女性アイドルグループのオーディションをプロデュースするというバラエティー番組の企画において、お笑い芸人が立場を利用して、選ばれる側の若い女性に好き放題振る舞うような演出に対して、「世の中を知らない若い女の子が見れば、権力がある人には媚を売らないといけないと思うだろう」「未成年の女性を食い物にしたような内容で不快になった」「女性がバカにされているよう。子どもたちや若者の本当に頑張りたい子が見ていてつらいのではないか」などとの意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「放送時間とこの男性芸人の芸風であるということ、女の子たちが18歳以上でアイドル志望であることが前提になっていることを考えると、バラエティーとしてぎりぎりなのかというところもあるが、映しているものはパワハラの構造そのものだ」「出ている女性が番組の趣旨に理解があった上でやっているとすれば、出演者との関係で問題にならないことになるかもしれない。見る側としては、あえて気持ち悪い方向に演出をしているのだとすると、気分がその限界を超えたならば見なければいいということなのかと思う」「優越的地位を利用したパワハラ、体に触れるなどのセクハラのストーリーを肯定的に描いているとすれば、台本があってやっていたとしても、これを見ている子どもに対していい影響は与えないだろう」「視聴者の意見の中に、中学生の息子が喜んで見ていて、それを母親が心配しているというのがあった。こういうものを笑いながら肯定してしまうのは気持ちがいいものではない」などの意見が出されました。
この件に関しては、次回委員会で全委員が番組を視聴し、「討論」することになりました。

前回委員会での「討論」の結果を受け、榊原委員長より、次のような「委員長コメント」が出されました。

2019年12月9日

「実社会では性的な嫌がらせに該当するような企画に子どもを参加させる番組」
に関する委員長コメント

放送と青少年に関する委員会
委員長 榊原 洋一

画像メディアのコンテンツが、子どもの言動や心理に及ぼす影響についての多くの研究によって、幼少の子どもが登場人物(やキャラクター)の行動の模倣をすることが明らかになっている。特に子どもにとって憧憬の対象であるタレントやキャラクターの言動は、模倣の対象となる可能性が高くなる。これまでにも、有名タレントや漫画のキャラクターの動作や言葉が子どもたちの間で流行したことがあった。

日本民間放送連盟の放送基準にも、こうした青少年の特性をふまえ「児童向け番組は、健全な社会通念に基づき、児童の品性を損なうような言葉や表現は避けなければならない」と規定されている(第三章(16))。

過日人気タレントをモチーフにした、逆立ちをした裸の着ぐるみが、臀部を子どもに向けて、謎掛けをし、正解できないと罰として「おなら」と称する臭いのあるガスを肛門に見立てた穴から吹きかける、という番組が放送された。お尻のキャラクターが子どもたちの間で人気を博しているという背景もあり、周りで見ている子どもたちの多くは、着ぐるみと解答する子どもとの掛け合いを笑いながら見ているように見えた。ただ、この番組の収録は小学校で教員の許可のもとに、教師や同級生の見守る中で行われており、子どもの行動が強い同調圧力のもとにあったことを忘れてはならない。

現実社会でこのような行動が行われれば、明らかにセクシャル・ハラスメントに当たる内容である。

お笑い芸人やタレント等による社会的な規範にとらわれない演技は、堅苦しい現実を吹き飛ばす力があり、放送文化の一つとして容認されることかもしれない。しかし、過日放送された番組内容は、出演の子どもや視聴した子どもが日常生活の中で模倣し、社会的に拡散定着していくおそれがあるだけでなく、子どもたちが成人した後にも、実社会の中で例えば宴会芸などとして再生されていく可能性がある。またたとえ再生されなくても、実社会で同様の行為を見た場合に、それを容認してしまう行動につながるおそれがある。

さらに付け加えれば、放送された成人男性の股間や臀部が近づいているという映像を、セクシャル・ハラスメントの被害者が視聴すれば、心的外傷後ストレス障害(PTSD)等を悪化させたり、惹起したりする可能性も無視できない。

Me Too運動のように、日本だけでなく世界全体でセクシャル・ハラスメントを重く捉え、学校や職場でその抑止へ向けての努力がなされていることを鑑みると、この番組の内容はそうした努力に逆行するもののように思える。

このような演技に子どもを参加させた番組関係者は、現代社会の規範に関する感受性が欠けていたと思わざるをえない。

今後番組制作者は、番組制作に当たって、前述の放送基準に沿うよう留意していただきたい。

以上

中高生モニター報告について

今月は11月のモニター報告について話し合われました。
34人の中高生モニターにお願いした11月のテーマは、「最近見たドラマについて」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で25人から報告がありました。
「最近見たドラマについて」では、複数のモニターが感想を寄せた番組は5番組ありました。『同期のサクラ』(日本テレビ)を4人が、『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日)を3人が、『ニッポンノワール』(日本テレビ)、『俺の話は長い』(日本テレビ)、『モトカレマニア』(フジテレビ)をそれぞれ2人ずつが取り上げています。それ以外のモニターは別々の番組について書いてくれたので、今回感想が寄せられた番組は全部で16にも上りました。
「自由記述」では、ラグビーのワールドカップが終了したことを受け、「感動した。今後もラグビーの取材を続けてほしい」という放送局への要望や「来年のオリンピック関連の放送も楽しみ」という期待の声がありました。一方で、「今のテレビ番組は似通ったものが多くあると感じる。もっと多種多様なものを作っていくべき」という意見もありました。他には、芸能人の違法薬物所持・逮捕のニュースについて記述したモニターが3人いました。
「青少年へのおすすめ番組」については、『先生、、、どこにいるんですか?』(テレビ東京)を3人が、『ハートネットTV「シリーズ 発達障害アバター大集合」』(NHK Eテレ)と『BS1スペシャル「新大久保"多国籍会議"ニッポンの未来が見える町」』(NHK・BS1)をそれぞれ2人が取り上げていました。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 最近のニュースがドラマに取り入れられていることに注目したり、登場人物の心の動きに着目したリ、モニターたちはそれぞれの方法でドラマを楽しみ、考察を深めていると感じた。

    • 『おいしい給食』(東京メトロポリタンテレビジョン)のように中学生が多く出演している番組について、「より話に入り込んで見ることができた」と書いたモニターがいた。少子化で子どもが主人公になる話がだんだん少なくなるかもしれない中で、子どもにとっては同じくらいの年齢の出演者がたくさん出ていると親しみを感じ、嬉しいのだなと思った。

    • 日本テレビの日曜夜の時間帯、『3年A組』から『あなたの番です』、今の『ニッポンノワール』に続くこのラインを、若い人たちはすごく見ていると思った。これらは「参加型」というか、ネットでも物語をみんなで想像をしたりして楽しめるところがうけているようだ。見ている人が、ドラマ以外の時間でも謎解きを楽しむというところが今までのドラマとは全く異なり、新鮮だったということなのだろう。

    • 『ドラマホリック!死役所』(テレビ東京)について、「死は突然やって来る。"後で"とか"そのうち"とか、これまで考えていたことの恐ろしさを感じた。もしも死という壁が人を阻めば、"後で"や"そのうち"はない。このドラマを見て、自分がどのように生きていくのか、ということを考えるようになった」という感想が寄せられていた。このドラマは、突然死や殺人、交通事故に遭ったりして自分の死がなかなか受けとめられない人たちが、一生懸命、死んだ理由や周りの人たちの状況を考えて死を受け入れ、生まれ変わるための門に行けるかどうか、というようなストーリーになっている。私自身も「なかなかおもしろい着目点のドラマだな」というふうに思って見ている。

  • 【自由記述】

    • 中高生の間でもラグビーへの関心は高かった。ただ、中にはバレーボールファンもいて、「男子バレーの活躍もほかに類を見ないものだったのに、どの番組もラグビーばっかり取り上げていて、いつも同じだった」という感想もあった。ぜひ、テレビ局に伝えたいと思った。

    • 友だちに「〇〇という番組見た?」と聞いたら、「あれはCMばかりだから見ない」と言われたというモニターがいた。モニター自身も、CM前後で繰り返し映像が多く肝心のストーリーがなかなか進まない番組にイライラした経験を思い出し、「せっかく面白い番組なのに、そのような原因で視聴者が離れていってしまうのは残念」と考えたという。確かに引っ張り過ぎるところはある。興味深い意見だった。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『同期のサクラ』(日本テレビ)1話が1年という進み方が新鮮でいいと思いました。また、なぜ今のサクラが病院で意識がないのか、観るたびに気になります。サクラ(高畑充希さん)の役も独特で、走り方やお辞儀の仕方、納得いかないときの表情など、真似てみたくなります。今現在のシーンから回想シーンになるという始まり方やだんだんみんなが仲間になっていく…みたいなありがちな部分に対し、希望の部署に行けなかったり子会社に飛ばされたりと予想以上に思い通りにいかない部分もあっていいなと思います。個人的に気になるのは、すみれさん(相武紗季さん)の衣装がおばさんすぎることです。最初はOLファッションだったのに、急に私のおばあちゃんの家の地域のおばさんみたいに変わってしまいました。調べてみたら、サクラの10歳年上という設定のようです。1話では32歳か33歳、6話では38歳か39歳、2019年のシーンでは42歳か43歳。42歳なんて若いのに、60~70代みたいな恰好で、ちょっと残念だなぁ…と思いました。(神奈川・高校1年・女子)

    • 『同期のサクラ』(日本テレビ)真っ直ぐに自分の夢を追いかけて努力し、仲間想いでどんな事にも全力で取り組む北野サクラの姿に毎週感動しています。私は今受験生なので、彼女を見習って頑張っています。(奈良・高校3年・男子)

    • 『同期のサクラ』(日本テレビ)私はこのドラマを見て、人はそれぞれ色んなことを考えているのだろうなと思いました。どういうことかというと、いつもは調子乗りの人でも心に抱えている問題があることもある、ということです。私はこれを見て、どんな人でも悩んでいることがあるかもしれないと思えるようになったし、友だちのこともより大切にしようと思いました。(兵庫・中学3年・女子)

    • 『ドクターX ~外科医・大門未知子』(テレビ朝日)ここまで長い期間続いているとマンネリ化しそうな気もしますが、シリーズが変わるごとに少しずつ、もしくは大幅に変化していく力関係や経済事象、何ともまあクセの強い登場人物たちが良いスパイスになっていて、不思議と「はいはい、もういいよ」とならないのですごいと思います。今回からはAIの「アイ」も登場し、本当にこんな風になる日が近いんだなと思うと少し怖いですが、そのAIとの戦いというか、何というか…。「"AI"が"AI"が、ってバカのひとつ覚えみたい」「もっと自分の頭で考えたら?」というようなAIに頼りすぎるほかの医者たちに警告する言葉が私たちにも向けられているようで深く刺さります。今回のシリーズは特に"言葉"に重きが置かれているような気がします。(福岡・中学2年・女子)

    • 『ドクターX ~外科医・大門未知子』(テレビ朝日)手術中のシーンでどこをどうしているのかを図で表してくれるので視聴者みんなが一目でわかります。また、その年話題になったことが話の中に出てくるのも面白いです。私が見た今回の話は新人ナースがやみ営業をするというものでした。実際にあったことをドラマで扱うのは悪くないと考えています。私たちは世の中であったことを忘れてはいけないと思います。(愛知・中学2年・女子)

    • 『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ)『3年A組』と話が繋がっていて、そういう工夫は視聴者としてとても嬉しいです。(大分・高校2年・男子)

    • 『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ)私自身、『3年A組』はハマって見ていたのでこのドラマの中に関係したことが出てきたり、見つけたりしながら見られて楽しいです。ですが、『3年A組』を見ていない視聴者には分かりにくいところがあるのではないかとも思いました。また、「今の日本の社会に、本物の正義は何か、守るものは何か、などといったことを訴えようとしているのかな?」とは思いますが、少し暴力的なシーンが多い気がしています。暴力がかっこよく描かれているようなシーンもあるように感じるので、『3年A組』で私たち世代にヒットしたこの時間帯に放送するのならもう少し少なくても…とは思います。今回も『3年A組』『あなたの番です』に続いてまた、考察というものがSNS上で盛り上がっているので、共有しながら見ている感じがして個人的には好きです。ドラマのストーリーをSNS上で考察しあい、ドラマが放送される前後や放送されていない時間でも盛り上がるというのは新しいブームだと感じます。(福岡・中学3年・女子)

    • 『俺の話は長い』(日本テレビ)このドラマは『サザエさん』のように1時間ある放送時間のうち、30分の話を2本放送しており、この試みだと長時間拘束されるのが嫌だという理由でテレビを倦厭する人にとっても手軽に見ることができ、良いと思いました。日常で起こるちょっとしたことを描いていますが、その中で家族の繋がりというものを感じさせられ、見終わった後に心が温まるようなドラマだと思いました。(愛媛・高校2年・女子)

    • 『モトカレマニア』(フジテレビ)もともと好きなアーティストが主題歌を務めているため視聴し始めました。恋愛に悩む主人公の心情がコミカルに描かれており、全体的にもテンポ良く進むドラマで週1の楽しみになっています。(神奈川・高校1年・女子)

    • 『シャーロック』(フジテレビ)最近ニュースになったことなども出てきて飽きずに見られました。例えば「地面師事件」についての回では、どのような事件なのか気になっていたのですごく面白かったです。主人公がバイオリンを弾くことなど、原作の「シャーロックホームズ」シリーズで読んでいるともっとドラマが楽しめるところも原作の良さを生かしていていいと思いました。(東京・中学1年・女子)

    • 『おいしい給食』(東京メトロポリタンテレビジョン)「給食」をテーマとしたドラマは初めて見ました。家族と一緒に見ていたのですが、「昔はこうだった」とか「今はどうなの?」など話が弾みました。また、多くの中学生が出演しているので、話に入りこんだように見ることができました。(北海道・中学2年・女子)

    • 『連続テレビ小説 スカーレット』(NHK総合)前作の『なつぞら』に比べて少し進むテンポが速いです。最初の1か月はついていくことが難しかったですが今は慣れました。速いテンポの中でも登場人物の心情がうまく表現されていて今後の展開が楽しみです。(鳥取・中学3年・女子)

    • 『ドラマホリック!死役所』(テレビ東京)ドラマに登場する死者は死後に死役所へ辿り着き、そこで初めて自分の死を自覚する。彼らの姿をみて、「後で」や「そのうち」の考えの恐ろしさを感じた。もしも"死"という壁が行く手を阻めば、「後で」や「そのうち」は永遠に来ず、取り返しのつかないことになり得るのだ。このドラマを見始めてから、自分はどのように生きていくのか考え続けている。見ていると必然的に"死"と自分の生き方について思い巡らすようになる。それと同時に死者の思いにやるせなさを感じ、苦しくもなる。しかし、「しね」という言葉を簡単に発したり、ひとを傷つけ、ポイントを稼ぐようなゲームが溢れていたりするなど、若干"死"が軽んじられている今、このドラマを薦めたい。(東京・高校1年・女子)

    • 『G線上のあなたと私』(TBSテレビ)普段は殆どドラマを見ないので、久しぶりに継続して見ているドラマである。なぜこのドラマを見ているかというと、個人的に主人公たちと境遇が似ているためである。私はちょうど今年から音楽教室に通い始めていて、主人公達が習っているバイオリンではないものの、親近感を覚えた。今までドラマを見てこなかったのは、よくある刑事ドラマや恋愛ドラマのストーリーに関心が持てなかったことが大きいと思う。よって、このドラマのように趣味の世界を紹介するような、それだけでなくしっかりとした人間ドラマになっている話が増えれば、もっとドラマを見たいと思うようになるのではないかと考える。(東京・高校1年・男子)

    • 『相棒 season18』(テレビ朝日)テレビの中でも特にドラマを見るのが好きで、毎クールいろいろなドラマを見るのでどのドラマについて書くか迷いましたが、小さい時からずっと見ていて大好きな『相棒』について書くことにします。小さい時は、見ていて難しいと感じる内容も多かったですが、最近はそう感じることも少なくなりましたし、21時からという放送時間も、遅すぎず見やすいですし、2クールあるので長く楽しめるところが好きです。2クールのドラマは、『あなたの番です』を視聴していました。サスペンスものなので2クールあるとストーリーが深くなって、見ていると目が離せなくなってしまうくらい楽しいです。なので、これからもっと2クールのドラマが増えたらいいなと思いました。(石川・高校2年・女子)

  • 【自由記述】

    • ラグビーW杯が終わってしまったけれど、今回増えたファンが減らないように、テレビなどで積極的にラグビーのことを取り上げてほしいです。(東京・中学1年・女子)

    • 私が今回ラグビーを見ようと思った大きな理由は宣伝がすごかったからです。ラグビーW杯の宣伝は大会が始まる1年前から始まっていました。関連するCMもそのころから流れていました。当時、私はラグビーW杯のことはほとんど知りませんでしたがCMなどでたくさん見るうちに「すごい大会なのだな」と自然と思うようになり試合を見てみようと思いました。宣伝というものはすごい影響があるのだと改めて実感しました。他のスポーツでも大きな大会があるときは1年前から宣伝をすればもっと視聴率が上がるのではないかなと思いました。来年の東京オリンピックがそれぞれの局でどのような宣伝をしてくるのか楽しみです。(鳥取・中学3年・女子)

    • 芸能人の方が逮捕されると過去のドラマや映画がすべて地上波で放送されなくなったり、切り替えられたり、差し替えられてしまうのはなぜですか?確かに違法薬物や暴力…逮捕されるようなことをいろんな人に顔が知られている芸能人がするのはいけないことだとは思いますが、ただ出演しているというだけであって作品には何の罪もないと思います。逮捕や送検されてから、その人の出演した映像を地上波で流さないことなどより、もっとできることはあると思います。若い世代に薬物や暴力、犯罪などはいけないことだと伝えられる機会なのではないのでしょうか?(福岡・中学3年・女子)

    • 桜を見る会問題のニュースが芸能人の逮捕というニュースで少し薄まってしまったのではないか、またモリカケ問題の時と同じように曖昧で終わってしまうのかという不安を抱えざるを得ない。(東京・高校1年・女子)

    • 先日友だちに、「○○見た?」と聞いたところ、「あれ、CMばっかだから見ない」と言われてしまいました。TV好きな私はCMも大好きなので、CMが多いから番組を観ないとまでは思いませんが、確かにCMになる前の「この後どうなる??」みたいな映像や、CM明けの「これまでは…」みたいな紹介映像などで、肝心のストーリーはなかなか進まなくて、イライラした覚えはあります。せっかくの面白い番組なのに、そんな原因で視聴者が離れて行ってしまうのは残念だなと思います。(神奈川・高校1年・女子)

    • 台風の際、テレビ局によっては外国人向けの英語サイトを特設しており、来年に向けて他局も導入すると、外国人観光客もより安心してサイトと併用しながらテレビを見ることができるだろうなと思いました。(東京・高校1年・女子)

    • 来年のオリンピックに向けて、外国人向けのローカル番組やニュース番組の字幕の言語を増やすなど、観光客がたとえ日本語をわからなくても楽しめるテレビ番組がもっと増えるといいなと思います。(東京・高校1年・女子)

    • 合成麻薬を所持していたとして芸能人の容疑者が逮捕された。テレビなどのニュースでは、逮捕前日の夜の容疑者の様子を捉えた映像が放映されている。逮捕後に取材をしたりするのは当然のことだと思うが、逮捕する前から様子を撮影していたのは 何か順序がおかしいと思う。そろそろ逮捕されると知っていて撮影していたとすると、どこかから情報を貰って動いていたことになると思う。(東京・高校1年・男子)

    • テレビはどうなっていくべきかということですが、現在のテレビ番組の中に は似通ったものが多くあると感じます。もっと多種多様な番組を作っていくべきだと思います。(愛媛・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『先生、、、どこにいるんですか?』(テレビ東京)私にはまだ「この先生が自分にとっての一番の恩人だ」と言えるような先生がいません。まだ学生であり、先生がいるのが当たり前だからなのかもしれません。だから、先生との関わりがある時間を大切にしていこうと思いました。(群馬・高校1年・女子)

    • 『BS1スペシャル 「新大久保"多国籍会議"ニッポンの未来が見える町」』(NHK BS1)新大久保には韓国を中心にアジア各国のお店が立ち並んでいます。文化の違いなどですれ違うこともあり、勝手に「〇〇通り」など名前をつけたり、古くからの日本のお店が少なくなってきたり問題もたくさんあります。が、そこで、様々な国の人と話し合って交流することは未来の日本にはとても大切なことだと思いました。(兵庫・中学1年・女子)

    • 『メイドインジャパン!』(TBSテレビ)番組を見るといつも思うのですが、日本の技術はすごいと思います。日本の技術のすごさを知れるし、外国の家族の感動の話もあるのでおすすめです。(千葉・中学1年・男子)

    • 『ハートネットTV「シリーズ 発達障害アバター大集合」』(NHK Eテレ)1人1人に合うコミュニケーションの形を模索していて、良いと思いました。最先端の技術を上手く取り入れ、可能性を広げている姿を見て感動を覚えました。私もコミュニケーションは面と向かって行うのが至上という旧時代的な考えは捨てて、柔軟な思考で物事に対応していきたいと思います。(石川・高校2年・男子)

    • 『くりぃむしちゅーの!THE レジェンド2019第10弾』(日本テレビ)今話題沸騰中のラグビー選手特集でした。正直私は大のバレーボールファンであり、男子バレーの活躍も他に類を見ないものだったのに、どの番組もラグビーばかりでいつも悲しくなってしまいます…。(佐賀・高校3年・女子)

以上

2019年11月に視聴者から寄せられた意見

2019年11月に視聴者から寄せられた意見

東京オリンピックのマラソン・競歩競技が、札幌で開催されることが決まったが、それを報じた情報系番組への意見、覚せい剤使用や合成麻薬所持の容疑で逮捕された芸能人を取り上げた番組への意見など。

2019年11月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,944件で、先月と比較して594件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール83%、電話15%、FAX 1%、郵便 1%。
男女別は男性54%、女性45%、不明1%で、世代別では30歳代24%、40歳代24%、20歳代22%、50歳代17%、60歳以上9%、10歳代4%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。11月の通知数は延べ1,180件【41局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、22件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

東京オリンピックのマラソン・競歩競技が、札幌で開催されることが決まったが、それを報じた情報系番組への意見が多く寄せられた。また、覚せい剤使用や合成麻薬所持の容疑で逮捕された芸能人を取り上げた番組への意見も多く寄せられた。
ラジオに関する意見は31件、CMについては20件あった。

青少年に関する意見

11月中に青少年委員会に寄せられた意見は150件で、前月から61件増加した。
今月は「表現・演出」が76件、「報道・情報」が13件、「差別・偏見」が12件、「暴力・殺人・残虐」が11件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 東京オリンピックのマラソン・競歩競技の札幌開催について。東京キー局の放送は、東京と比べて札幌はいかに良くないか、悪いところを探して説明。選手ファーストでも何でもなく、東京ファースト。このような放送を見て、北海道、特に札幌に住む子ども達はどう感じるのだろうか。公平な立場に立って物事を伝えてほしいし、個人的な感情や偏った情報を流すべきではないと思う。全国放送は影響力がある。その点をきちんと考えた番組作りが必要ではないか。

  • 覚せい剤取締法違反でタレントが逮捕された。5度目の逮捕らしい。しかしながら、マスコミの報道は彼に対してあまりに優しい。芸能人と、それ以外の人たちとの報道の仕方が違いすぎる。特に、民放各局の取り上げ方には、何か意図があるのではないかとさえ思えてならない。なぜ、芸能界だけ復帰のチャンスが何度も与えられるのか。覚せい剤で逮捕された場合、一般社会なら二度と復帰できないのに。

  • 人気女優が麻薬所持容疑で逮捕されたニュースが流れているが、これにより、国内外の政治に関する報道が圧迫されないよう願いたい。現在、日米貿易交渉など、非常に重要でデリケートな案件が多数議論されている。ただでさえ、まともに取り上げられないこれらの事案が、さらに報道されなくなることを懸念している。

【番組全般・その他】

  • 夜のニュースで、デモで混乱する香港情勢を報じた後、「ベルリンの壁崩壊30年」の特集企画を放送。国内で何も起きていないなら問題ないが、現職総理が花見会の名目で、地元支援者や著名人、芸能人、友人などを招き、多額の税金で供応していたという重要な事案を、なぜニュースにしないのか疑問に思う。

  • 夜の番組で、新潟で起きた女性刺殺事件を取り上げていた。現場を通りかかったタクシーのドライブレコーダーの映像が流れたが、それには、犯人の姿と被害者女性の悲鳴がはっきりと記録されていた。おそらくその悲鳴は、まさに事件が起こった瞬間に女性が発したものであり、映像こそなかったが、犯行の様子を生々しく想像させるに十分な迫力を持っていた。「事件の詳細を的確に伝えるために」とアナウンサーが述べていたが、被害者、遺族への配慮が感じられない。これをテレビで流すことが正しい放送といえるのだろうか。

  • 大手メーカーの現役社員を取り上げた番組を見た。上司の不正行為を内部通報したところ、左遷されてしまったという内容。再現ドラマがとても分かりやすく、司会者やゲストコメンテーターの発言にも好感が持てた。理不尽な社会の出来事に泣き寝入りする人が多い時代、励まされた視聴者も多いと思う。今後も社会問題解決のために良い番組を作ってもらいたい。

  • 最近、色々な番組にAD(アシスタントディレクター)が出演しているが、言葉遣いを間違えている。お願いする立場なのに、友達のように話している。「そうなんすね」「どうやって知り合ったんすか」「そういうことっすね」「面白いすっね」など、初めて会った人たちに対して、こんな話し方ばかり。なれなれしい。ADさん、失礼ですよ。

  • テレビのバラエティー番組をあまり規制しないでほしい。やらせでも多少下品でも、楽しければいいと思っている。映画が良い例だ。昔みたいに腹を抱えて笑える番組がなくなってしまった。笑わないことは健康を損なうことにもつながる。健康被害を訴えれば勝てるのだろうか。見たくない人の意見を尊重して、見たい人の意見を尊重しないのは不公平だと思う。見たくないなら見なければいいが、見たい人は見ることができない。子ども達に悪い影響を与えるという人もいるだろうが、いじめの悪質さは昔に比べどうなのだろう。影響があるとしたら、それはテレビ以外の媒体に原因があると思う。せめてバラエティー番組だけは、倫理という枠の中から外してもらいたい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • お笑い芸人が全権を握って女性アイドルのオーディションを取り仕切るバラエティー番組での芸人の振る舞いは、立場を利用したセクハラ、パワハラで子どもに見せられない内容たった。女性の中には未成年者も含まれ、アイドルになるという夢のため、セクハラを我慢しなければならない状況に陥っていた。

  • クイズ番組で女性の職業を当てる問題が出され、正解がSNS等で知り合った男性と食事やデートに付き合い金銭を受け取る"パパ活"だった。子どもが見る時間帯に、さも高収入の新しい職業であるかのような紹介方法は、青少年に誤解を与えかねず不適切。性犯罪に巻き込まれる恐れもある。

【「報道・情報」】

  • 大阪小6女児行方不明事件で、女児が栃木県で見つかったことの報道で女児の顔写真を出す必要はないのではないか。本人の今後のことを考慮すべきだ。

【「要望・提言」】

  • ホラー映画『IT/イット"それ"が見えたら、終わり』を見た。最近のテレビは規制が多くつまらない中、大変刺激的だった。テレビ離れが進むが、これがテレビ本来の姿でなければならないと感じた。これからも表現の自由を活かして刺激的な番組や面白い番組を放送してほしい。