第134回 放送と青少年に関する委員会

第134回 – 2012年6月

視聴者からの意見について

中高生モニターについて

第134回青少年委員会は6月26日に開催され、5月16日から6月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見と、6月に寄せられた中高生モニター報告について審議したほか、今年度の委員会活動等について委員間で討議した。

議事の詳細

日時
2012年6月26日(火) 午後4時30分~8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員、(欠席)川端委員

視聴者意見について

担当委員および事務局より今月の視聴者意見の概要等の報告を受けた結果、審議対象とするべき番組はなかった。ただし、人気子役をナビゲーターに起用している映画番組について「大人向けの内容の映画もあるのに、10歳の子役に映画の内容を説明させるのは問題」という視聴者意見を受けて委員間で意見を交わし、子役を起用している番組の現状について調査し、次回以降の委員会で議論を重ねることとした。

中高生モニターについて

5月から7月までは、「ドラマ・アニメ番組」について報告してもらっている。6月は、最近見た「ドラマ・アニメ番組」の中から、面白そうと思って見たものの「期待はずれだった番組」「面白くなかった番組」を選び、何が良くなかったのか、どこがつまらなかったのかを報告してもらい、33人からリポートが届いた。「そもそも興味のないアニメやドラマは最初から見ない」という意見や、「視聴率が悪いからといって途中で打ち切りになるのは許せない」といった意見が特徴的だった。
具体的には、ドラマ・アニメそれぞれ9番組に対する報告が届いた。その中でドラマ『三毛猫ホームズの推理』(日本テレビ系列)には、「原作と違う」、「話がマンネリ化」、「意外性と人間ドラマがない」など、8人から意見が寄せられた。その他複数意見があったのは、ドラマでは『平清盛』(NHK)、『クレオパトラな女たち』(日本テレビ系列)、『鍵のかかった部屋』(フジテレビ系列)、『パパドル』(TBS系列)、『ATARU』(TBS系列)、アニメでは『宇宙兄弟』(日本テレビ系列)だった。

【主な意見】

  • NHK『平清盛』を、歴史好きの僕としては見ておこうと、家族全員で最初から見はじめたけれども、4回位で、あまりにもわがままで、乱暴すぎる清盛を見るのが嫌になり、もっと歴史を動かす所を見たいと思い見るのをやめました。そうしたら、家族の皆も”これが現実の嫌な所、汚い所だと思うけど、見ていられないね”と、チャンネルを変えるようになりました。中学生にも理解できる内容にしてほしいです」(静岡・中学2年男子)
  • 「僕は何年か前から、NHKの連続テレビ小説を登校前に見ています。この4月から『梅ちゃん先生』になっても見ています。ただ、主人公の梅子が、おっとりしすぎているのと、ドラマの中で笑ってしまうところが少ないと思います。梅ちゃん先生は、頑張っているかもしれないけど、なんだか順調すぎる感じで、もっと挫折してもいいのかなと思います。なんか印象が薄いです。朝ドラは、大阪と東京で、交互で制作しているけど、僕は大阪制作の方が、面白いと思います。<疑問>男性の主人公は、なぜいないのでしょうか?」(京都・中学1年男子)
  • 「私が最近見てつまらなかったと感じたのは『三毛猫ホームズの推理』(日本テレビ)です。私は推理小説が好きで、それがドラマ化されるということで期待していました。しかし、回が進むにつれて、段々と話の展開がマンネリ化してきて、先が読めてしまうという感じでした。また、このドラマは有名な小説が原作です。私も思うのですが、友だちに聞いてもドラマ用に少しリメイクされしすぎで、原作と違うのが残念です。私の考えとしては、このドラマにもう少し原作にそった細やかな演出や雰囲気を出せば、ぐっと面白くなるのではないかと思いました。日本では、年々ドラマの視聴率が低下する傾向にありますが、それにも負けないような面白い作品を作ってもらいたいと思います」(東京・中学1年女子)
  • 「私が期待はずれだった番組は、『名探偵コナン』(日本テレビ系)です。毎週欠かさず見ていて、学校が終わった後の楽しみです。しかし、時々一つの事件に対して4~5週間かけて放送していることがあります。その度に”作者のネタが尽きたのかなぁ”と思います。しかも番組の30分中のほとんどが”先週と一緒やん”といった内容で、面白くありません」(大阪・高校1年女子)
  • 「僕が最近見た期待はずれだったドラマは、去年の秋から冬に放映された『南極大陸』でした。第1話は2時間の放送で、次回からの放送を期待させるような内容で、ストーリーの方向性はよく、TBSがいかに力を入れているのかが分かりました。主演を除くほかの俳優陣の演技力は素晴らしく、とても良かったと思います。気になったのは木村拓哉です。昭和時代の南極での物語であるのにもかかわらず他のキャラクターとは違い、髪の毛が整いすぎていたり、言葉遣いや格好が現代風であったりして、設定にそぐわないものでした。ほかのドラマで見たのと変わらない演技で、期待外れでした。また、クライマックスで南極に取り残された犬たちとの再会の場面で、犬たちが簡単に近寄ってくることはないように思います。震災後、被災地に取り残された犬たちの人間離れを見ているからです。このドラマで描かれたお話は、高倉健主演の映画を見たことのある人も多く、結末は有名です。結末の分かっているドラマを面白くつくるのは大変かもしれませんが、一番大事なのは出演者のセリフ、格好、演技力なので、そこを徹底してもらえればと思います」(東京・中学3年男子)
  • 「僕がこれまで生きてきて、”面白そうと思って見たが、面白くなかった…”という経験はありません。多分そのような結果に陥ってしまったのは、次のような事のためではないかと考えられます。その人の”番組を見分ける目”がない。正当ではない宣伝(過剰な宣伝など)。発端・クライマックスがない。アニメの場合、風景・表情の描写にリアリティーがない。BGMと番組の内容がマッチしていない。番組というものを放送する上で、どれ一つ欠けてもならないと思います」(福島・中学3年男子)
  • 「私はもともとアイドルが好きなので、どれだけ裏側を見られるだろう、どんな風に話が進むのだろうとわくわくして『パパドル』(TBS)の放送を待っていましたが、実際の放送を見てがっかりしました。まず、ドラマの展開が本当の芸能界よりも甘いのではないかと思いました。売り出し中のアイドルグループのセンターが電撃結婚なんて、そんなにやんわりと処分を受けるだけで済むはずがありません。グループの宣伝の為のドラマなんだなという印象を受けました。特定のファンしか興味を持てないと思います。本当の芸能界のことなんて私には分かりませんが、中途半端に真実と嘘の脚色が混ざっていて、完成度はいまひとつだったと思います」(福岡・高校2年女子)
  • 「僕はドラマを見るのをやめるとしたら、やはりどこかで見たことがあるようなものや、インパクトの少ないものは見るのをやめてしまうと思います。どこかで見たようなものをわざわざもう1度見たいとは僕は思いません。また、これは何かのパクリじゃないかと思い始めると、そのことが気になってしまい、見ていてストレスに思うことがあります。今回『ATARU』(TBS)を何回か見ましたが、僕は『SPEC』のパクリに見えて仕方なかったです。関係があるのは知っていても気になってしかたありませんでした。また、いつも同じパターンの繰り返しのものは続けて見たいとは思いません。あと、僕はサウンドトラックが地味なドラマなどはつまらないと思います。次回予告も、次も見たくなるように、次の回の一部をうまく見せ、見たときの驚きもとっておく。予告は短いけど大切なドラマやアニメの一部だと思います」(静岡・高校2年男子)
  • 「私が最近見て”期待はずれ”だった番組はTOKYOMXで放送している『アクセル・ワールド』というアニメです。私がこの番組の良くないと思うところは、専門用語がとても多く、”分かりづらい”ことです。原作のライトノベルを読めば多少は分かりますが、話の転換・進みぐあいが速く、”原作を読んでいる前提”のようになっています。また、専門用語には”カタカナ”が多く、長いためとても覚えづらいです。私は、この作品にもう少し説明を加えたらいいと思います。ストーリーはとても面白いので、もったいない気がします」(東京・中学2年女子)
  • 「私が最近見て面白くなかった番組は、幼稚園の頃から見ていた『プリキュア』だ。初代の『ふたりはプリキュア』よりも人数が多くなっている、いろいろ可愛いアクセサリーが増え、キャラクターも増えている。また変身シーンはバージョンアップしている。昔のほうが覚えやすかった。そのほかに、いつも見ていて疑問に思うことがある。プリキュアたちが変身している間に、敵は倒そうと思うことはないのか、というか、今なら倒せると思って倒すという行動をすればいいのにと思ってしまう。戦隊ものでも”へーんしん”とか言っている間に倒せば、敵の勝ちで終わってしまえばいいのではないかと思う」(神奈川・中学1年女子)
  • 「私が最近見て期待外れだった番組は『黄昏乙女×アムネジア』(TOKYOMX)です。学園内でおきる怪奇現象を解き明かすというストーリーにひかれ、アニメの1話を見ましたが、見ている途中でなんとなく展開が予想できてしまって、途中で見るのをやめてしまいました。アニメでもドラマのような話のものが多いので、アニメだけにしかできない、アニメならではのBGMや声優さんたちの表現力などをもっと主張してほしいなと思いました」(神奈川・高校2年女子)
  • 「僕は『クレオパトラな女たち』(日本テレビ)を見た。番組の視聴率が低下していたため8話で打ち切りになる、と言う情報を得ていたが、最終回での急激な話の展開にはまったくついて行くことができなかった。見終わった後に心残りがすごくあり、その展開・内容にとてもがっかりした。いくら視聴率が上がらなくても、見ているほうは毎回楽しみだから視聴しているのだと思う。なぜ打ち切りでがっかりしている視聴者を、もっとがっかりさせるのか。数少ない視聴者を捨てる感じでいいのか。もっと上手い話の運び方はなかったのか。さまざまな疑問が残る最終回だった。僕は視聴者が0%でない限り、見ている側をがっかりさせない、楽しませる事こそがテレビ局の使命だと思う」(宮城・中学2年男子)

【委員の所感】

  • 期待はずれだった番組の感想を書くのは難しいようだと、あらためて思った。
  • メディアの多様化のため、今の中高生たちはテレビにあまり期待していないのではないか。面白くなかったらすぐ見るのをやめるというテレビの視聴習慣が分かるような気がする。
  • 原作があったり、ジャニーズ系の出演者を集めたりするなど、やすきに流れている番組が多い、今のテレビの状況をよく見ている。
  • 途中で打ち切られたドラマがあるが、「視聴率が0%でない限り、見ている側をがっかりさせない、楽しませることこそがテレビ局の使命」という意見はよく理解できる。
  • 原作のある作品で、小説とテレビというメディアの違いを指摘しているのは素晴らしい。
  • 専門的なディテールをよく見ていて、観察力が優れているリポートには感心させられた。

「今月のキラ★報告」 北海道・中学3年女子

面白くない、というよりも期待はずれだった番組について書きます。それは『三毛猫ホームズの推理』です。
私は赤川次郎さんの本が好きで、よく読みます。ですから、三毛猫ホームズシリーズをドラマ化すると聞いて、とても期待していました。しかし、見てみると何か足りない気がして、何となく見るのをやめてしまいました。今回、モニターのテーマが発表されて、あらためて見てみましたが、やはり何か足りない気がしました。
上手く言えないのですが、足りないものは意外性と人間ドラマだと思います。正確に言えば、赤川次郎独特の意外性と人間ドラマです。普通のドラマとしての意外性とユーモアはありますが、赤川次郎独特のものがないから期待はずれだったんだと思います。
あらためて私が見たのは8回目と9回目です。ここから先はネタバレしてしまいますが、ドラマでは怪しい人がたくさんいて、一番怪しい人がいて、その人は犯人じゃないのかな…?と思ったところで、やっぱりその人が犯人だった、という流れでした。でも、小説だったら怪しい人がたくさんいて、一番怪しい人がいて、でもその人は犯人ではなく、本当に意外な、1ページ目にある登場人物表の後ろから3番目ぐらいの人物が犯人だったはずです。
赤川次郎の魅力の一つは、その唐突に見える犯人と、よく読み返すと発見する伏線です。その犯人の唐突さがドラマではいささか薄い気がします。
次に、人間ドラマです。これも赤川次郎の特徴です。ドロドロとした、数奇な運命によって、キャラクターの人間性が試されるような人間関係が展開されます。ミステリーというよりは明るくした横溝正史みたいなサスペンスものっぽい感じです。赤川次郎の作品の魅力の一つはそのドロドロとした関係の中で、キャラクターが性格の良さ、強さによって状況を打開、もしくは受け止めるので、読後感がものすごく良いところです。ドラマでは、ただのミステリーになっている気がします。
あと、赤川次郎の作品にはどうしようもない小悪党がでてきます。その愚かさとそいつに振り下ろされる笑える天罰、そういう特徴もないのは残念です。
つまり、ドラマでは赤川次郎の小説の独特な世界観が表現しきれていません。それが『三毛猫ホームズの推理』を私が期待はずれだと思った理由です。あと、個人的で感情的な意見ですが、ミステリードラマは週をまたぐべきではないと思います。

【委員会の推薦理由】

赤川次郎の小説をよく読みこんで特徴を捉えた上で、原作にはあるにもかかわらずテレビドラマに欠けている点を的確に表現している点が評価されました。

2012年5月に視聴者から寄せられた意見

2012年5月に視聴者から寄せられた意見

バラエティー番組で、「あの占い師がついに登場」と過剰に煽っておきながら、最後まで視聴者が期待していた人物は出てこず、別の占い師がでてきたことに視聴者から「詐欺だ」と、批判が集中した。情報番組では、若手俳優の二股騒動をめぐって、「バッシングが過ぎる」「大騒ぎしすぎだ」などの批判が寄せられた。

2012年5月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,775件で、先月と比較して345件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール75%、電話22%、FAX2%、手紙ほか1%。 男女別は男性74%、女性23%、不明3%で、世代別では30歳代33%、40歳代28%、20歳代17%、50歳代13%、60歳以上6%、10歳代3% の順となっている。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。5月の通知数は839件【41局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、34件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

5月の視聴者意見は1,775件と先月より345件増えた。
バラエティー番組で、「あの占い師がついに登場」と過剰に煽っておきながら、最後まで視聴者が期待していた人物は出てこず、別の占い師がでてきたことに視聴者から「詐欺だ」と、批判が集中した。このほか「CM明けすぐ」などの引っ張り手法や、不必要に視聴者をじらしたりする番組制作のありかたに苦情が多かった。
また、最近増えている画面上のワイプの多用にも否定的な意見が多かった。
情報番組では、若手俳優の二股騒動をめぐって、「バッシングが過ぎる」「大騒ぎしすぎだ」などの批判が寄せられた。
お笑い芸人の母親の生活保護費をめぐる”不正受給”騒動では、賛否さまざまな意見が寄せられたが、お笑い芸人を一方的に擁護し、すぐ復帰させる番組やテレビ局の姿勢に、「倫理観を疑う」という厳しい批判意見があった。
ラジオに関しては22件。CMに関する意見は67件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は124件で、前月より36件減少した。
今月は、表現・演出に関する意見が31件、次いで低俗・モラルに反する意見が17件、視聴者意見への反論・同意が11件、同じく要望・提言が11件と続いた。
表現・演出に関する意見では、ホラー映画のCM・宣伝の扱いについて配慮を求める意見もあった。
深夜アニメに関して、内容に配慮を求める意見とともに、戦争や暴力の恐ろしさをきちんと伝えているものもある、との意見も寄せられた。
また、編成に関する意見として、子ども向け番組をもっと放送してほしい、との要望も寄せられている。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 数千万円の年収がありながら母親を扶養せず、生活保護を受給させていたことが問題となり、お笑い芸人が謝罪会見を行った。番組では、今回のケースが厳密には不正受給にあたらないとして、「お金を返す必要はない」「問題を追及したほうが悪い」という内容だった。公序良俗に反し、「貰えるものは貰っとけ」と、ふざけた発言をした芸人を擁護する番組は問題だ。
  • 母親が生活保護不正受給の疑惑を受けているお笑い芸人が生放送に出ていた。とても不快だ。謝罪会見は開いたが、不正受給についての疑惑は一切晴れておらず、犯罪者といっても過言ではない。出演させるテレビ局の神経が信じられない。何の疑問も持たないようなテレビ業界は異常だ。
  • 芸人達が口をそろえて「彼は人柄が良くて優しい。ちょっとした勘違いで、故意ではない」というコメントを流していた。こんな仲間内の擁護コメントばかり流すのはおかしい。生活保護は本当に困った人を救うための制度で、数千万円の所得がある人の家族を養うものではない。仲間だからという理由で会社ぐるみ、芸能人ぐるみで不正受給擁護の発言をしていることはモラルがなさすぎる。
  • テレビに出ている人は何をやってもあっさり許される。世の中はそんなに甘くないはずだ。みんな必死に働いて生活して、税金を払っている。その税金をお笑い芸人の親・姉・叔母たちの生活保護につかわれてきた。自分たちは豪邸マンションに住み、この正月にはビジネスクラスでハワイ旅行までしているという事実。ここ5年間の返還など、何のペナルティーにもなっていない。二度とテレビに出演させないでほしい。
  • テレビで、「一緒に生活していない子どもはどんなに収入があっても、扶養を必ずしなければならないということではない。お笑い芸人の母親には受給資格があった」といった説明をしていたが、福祉の現場で働いている者として納得できない。生活保護受給をいたずらに推奨するような説明であると感じた。この説明では世帯を分離し1世帯一人の単位になれば、現在の日本では誰でも生活保護が受給できる条件が整うことになる。このような説明は誤った認識を広めることにつながる。
  • 私は病気でやむなく生活保護を受けているが、月に10万円程度の支給がやっとの苦しい生活をしている。働ける身体であればすぐにでも働きたいが、それができないから仕方なく生活保護を受けている。お笑い芸人のようなケースが報道されることで、今後生活保護者への風当たりは益々強くなる。テレビの影響力の大きさを認識してもらいたい。
  • 小沢一郎氏に無罪判決が下った。昨年1月、石川元秘書と建設元社長の現金の受け渡しがCGで再現され、小沢氏の不正献金を裏付ける証拠としてテレビで放送された。しかし、小沢氏に「無罪判決」が出たということは、この証言は否定されたわけだ。他の報道番組でも同じ再現CGを使い、放送局をあげて小沢氏への不正献金を訴えていた。多くの不明な点はもちろんあるが、少なくともあの再現CGは誤りだったわけだ。放送局はなぜ間違ったか、説明し謝罪すべきだ。
  • 関越道でのバス事故について。テレビ局は、「激安運賃の裏側で安全性が軽視されていたのではないか」と報道している。それはもちろん正しい。しかし、この事故が起こる以前には、どこのテレビ局も激安ツアーの報道をしていた。一般に、価格破壊の裏側には、何らかのしわ寄せがあるわけだから、激安等の報道をする際には、そうした点にも視聴者の注意を喚起すべきである。テレビ局による激安価格報道は、消費者を刺激する広告の役割をはたしている。その点について反省すべきではないか。
  • 茨城県筑波市で発生した竜巻について各局こぞって被害状況を報道しているが、事が終わってから偉そうに解説しても何の役にも立たない。当日、竜巻注意報が出ていたようだが、その時点で竜巻発生の徴候の見きわめ方と、防御方法を具体的に知らせて注意を促すことが重要ではないか。視聴者からの映像や、被害の状況から、竜巻であることは明白なのに、報道機関は「竜巻と思われる突風」や「竜巻らしいもの」などと言っている。はっきり「竜巻」と表現すべきだ。
  • 民放のニュースは、取り上げる内容、話題の掘り下げ方もワイドショーと同じだ。ニュースとバラエティーの線引きはできないのか。ニュース番組で自局の番宣をしている。取材に関しても答えを誘導するような質問しかなく、偏った考え方や見方を助長している。事件の遺族への取材に関してはやりすぎと取れるものが多い。すぐに「表現の自由だ」という話になりそうだが、テレビ局は本当におかしい。
  • きちんとしたニュース番組ではなく、情報番組の中でニュースを挿し込んで放送するような場合、ニュースを読むナレーションの後ろに流れる音がとても不快だ。”ズン、ズン”や”チャカ、チャカ”といったリズム音のみの場合でも、メロディーがある場合でも、いずれにしても耳障りだ。

【番組全般・その他】

  • 新聞のテレビ欄や番組宣伝で「あの女性タレント騒動の占い師が出演」と紹介していた。番組内でも何度もアピールしていた。騒動になった占い師がついにテレビ出演するのかと思って真剣に見ていたら、出演したのはその占い師と以前同居していたことのある女性だった。女性は現在占い師をしているとのことで、テレビ局としては「あの占い師」だから嘘ではないと主張するかもしれないが、「あの占い師」では、誰が見ても明らかに女性タレントと同居していた占い師と考える。以前からテレビ局の手法に怒りを覚えていたが、今回はあまりにもひどい。
  • 番組放送中、ずっとテロップで「あの女性占い師スタジオへ」と流れていたのに、最後まで出ずに終わった。視聴者が一番知りたいネタを、番組中ところどころでちらつかせ最後まで引っ張るということはあるが、結局出ないというのは、あまりにもひどい。テレビ局のモラルの低さに唖然とした。何かあれば謝ればいいと、いつまでも視聴者を馬鹿にするからテレビ離れが起きているのだ。
  • CM前とCM明けで同じ内容を反芻するという手法は、15年ほど前からよく見られるようになった。「しつこい」「視聴者をバカにしている」などという声も多い。同じVTRを何度も繰り返すという手法は、まるで制作側の手抜きのように見える。最近のテレビ番組は、煽るだけ煽り、次週に持ち越しということが多い。視聴者をなめているとしか思えない。
  • 一番盛り上がる場面でCMを挟むような、視聴者を苛立たせる行為が多い。以前は番組コーナーのちょうどいい区切りでCMを挟んでいた。視聴者をCM後までひっぱるような番組作りはやめてほしい。「答えはCMのあと」や、そんな場面でCMを見てもそのCMが腹立たしいだけで、宣伝効果はない。なぜこんな変なことが、テレビの標準になってしまったのか。視聴者を馬鹿にした今のテレビは見ていて気分が悪い。
  • 日本人のマジシャンが外国人マジシャンのネタをばらすという企画だった。マジシャンはネタがあることを前提として商売している。そのマジックの最中に「バラし人マジシャン」と称する人物が「チョット中を見せろ!」と飛びかかってネタをばらそうとすることは、マナー違反もいいところだ。マジックのネタをばらすことは死活問題である。エンタテインメントとしてマジックをやっているのであり、心霊商法のように欺業で詐取をしている悪徳業者でもあるまい。他のマジシャンのネタをばらして、さも「いんちき」であるなどとする番組作りには呆れた。
  • 二股愛は許されないことだが、当事者同士が納得するように解決すればいいのではないか。必要以上にメディアが叩くような報道をし、誰に向けたのかわからない公開謝罪をさせている。メディアによるリンチのようだ。文化人気取りのタレント、落ち目のタレントまでもがここぞとばかりにコメントし、演技が下手だの生い立ちがどうだなど、関係ないことばかり喋っている。もっと他に報道すべきことがあるのではないか。
  • タレントのプライベートやスキャンダルを、暴露したり白状させたりする番組が、あちこちで見られる。ある番組では、タレントの所持金を暴露させるなど、ひどいものであった。”芸のない芸人”がごまんといるが、プライベートの切り売りはやめて、きちんと芸を売ってほしい。放送局も情けない。
  • 画面下に、複数のタレントの顔が帯状のワイプで出ていた。テロップを読もうとしても、タレントの顔が邪魔になって読めない。左右や上下に2人位のワイプは我慢するが、帯状に9人のワイプは気分が悪くなるのでやめてほしい。放送局に抗議したら「局の勝手だ」と言われた。
  • 情報番組やバラエティー番組を見ていると、観客の「おおー」や「エー」などの声が入っている。観客がいたとしても、大勢の人が同じ場所で同じような声を揃えてあげるわけがない。たいして驚く内容でもないのに、後付けで声を足している。「ここは驚く場所」とテレビ局に無理矢理押し付けられているようで、腹が立つ。
  • 歯に矯正装置が装着されているにもかかわらず、わざわざメガネをはずさせて頬を平手打ちする場面があった。歯列矯正を行っている人は、歯が歯槽骨中を移動しているため、骨の支えを失っており、装置や針金で固定している状態だ。口の周りに強い打撲を受けると、内側の唇や頬が切れることがあるし、歯根にダメージを受けることもある。歯科医としては、配慮のない放送にあきれている。笑いながらあのような場面が流されるのを見て、黙って見過ごせない。
  • やたら食べるだけの番組が多い。気になるのが、女性のタレントやアイドル、女性芸人たちが、「うまい」という男言葉を使っていることだ。一般人にまで飛び火して、最近の女性は「おいしい」と言わずに「うまい」と平気で言っている。品のかけらもない。テレビでみんなが言うからそれがいいことだと勘違いしている。女性の言葉を使ってほしい。

【ラジオ】

  • 昼間の放送なのに男性器の俗称を軽々しく口にして、下品極まりない。私もいわゆる下ネタは嫌いではないが、こんな下品な放送が続いているとは信じられない。女子アナや女性リポーターに夜の生活のことをしつこく聞くことも日常茶飯だ。聴取率が1位とのことで、あぐらをかいているのではないか。開始当初はこんなことはなかった。この下品さにはガッカリする。

【CM】

  • CMの音量が大きすぎる。CMになると音量が急激に上がり、耳が痛い。CMの音量は放送する番組と同程度の音量にしてほしい。いくらCMを見てほしいとはいえ、限度がある。
  • OLを馬鹿にしている。あんな派手な制服などないし、上司に「頑張ってほしいの」と言う馬鹿な女性社員はいない。男性社員の缶コーヒーを回し飲みするなんて不衛生なことは会社でもありえない。
  • 殺虫剤のCMで、蚊の音をリアルに流している。私は蚊の音を聞くと全身がかゆくなる体質なので、テレビから不意に聞こえ大変困っている。聞くたびにじんましんのような症状になり不快だ。本物の蚊なら仕方ないとしても、テレビCMのせいで、こうなることは心外だ。

青少年に関する意見

【表現・演出に関する意見】

  • 怖い映画の宣伝を流されると子どもが泣き出してしまい、悪影響だ。全ての年代の方々が安心して見ることができる宣伝を流してほしい。宣伝が流れることにビクビクし、テレビが見られなくなってしまう。
  • 芸人の実家にアポなしで御飯を食べにいくという企画があった。親に御飯を作らせておきながら、「人の家で食べるのは嫌い」などとひどい言葉を芸人の親に言っていた。また別の日の放送も、芸人の親に「あっちの親の料理の方が美味しかった」と言っていて、芸人の親は悲しそうな顔をしていた。子どもが見る番組でありながら、他人の親を罵倒することは見ていて不愉快だ。

【低俗・モラルに反する意見】

人気の深夜アニメらしいが、強姦・絞殺と見るに堪えない。こういった”倫理以前”の描写を誰でも受信できる地上波で放送することは許されるべきではない。アニメは子どもも見るものだし、大人が全てチェックできるものではない。

【視聴者意見への反論・同意】

深夜アニメの暴力的シーンを批判する意見があったが、私は子どもに悪影響を与えるとは思わない。アニメの中には戦争を題材にしたものも多く、その中には死体や暴力的なシーンがどうしても出てくる。しかし、そのような表現を避けてばかりでは、戦争の恐ろしさやむなしさは伝わってこない。戦争物のアニメにはそういったことを訴えかけるようなものが多く、ただ単に子どもに暴力を教えているわけではない。

【要望・提言】

  • 日本テレビ『THE!鉄腕!DASH!!』は批判の対象となるいじめや悪ふざけなどがほぼ皆無の状態であり、一部の企画を除いて番宣絡みのゲストも少ない。そして、実生活でも役立ちそうな企画を数多く取り上げているなど、自然体的な印象がある。全部をそうしろとは言わないが、この番組のような感じのバラエティーが増えれば、批判も最小限に抑えられるのではないか。
  • 普段は健康や美容の情報を扱うことが多い番組のようだが、今回のスペシャルでは芸能人の浮気事情を取り上げていた。この番組の前に子ども向けアニメ番組が放送されているのだが、その放送終了直後にこの番組の番宣が流れ、その中に下品な発言があった。見せたくなければチャンネルを変えろという意見もあるが、アニメの直後に流れてしまっては回避の仕様がない。番組内容が放送時間に適しているかということと、番宣を流す時間をよく考えてほしい。

【編成に関する意見】

  • 最近の子どもたちは、かわいそうだ。民放での子ども向け番組が少ない。関東では民放での朝の子ども向け番組はテレビ東京だけ。でも、他の地方ではEテレだけで、他は全てニュース。もし、自分が今の時代の子どもだったら、間違いなく朝はテレビを見なくなる。それどころか、大人向けの番組ばかりで見たい番組がない。テレビは目先の視聴率競争ばかり。各局で、子ども向け番組の放送をしてほしい。

第184回 放送と人権等権利に関する委員会

第184回 – 2012年6月

「ストローアート作家からの申立て」事案の審理

審理要請案件~審理入り決定 ……など

「ストローアート作家からの申立て」事案の実質審理が始まった。宮城県南三陸町の津波被災遺族から申立てがあった審理要請案件について審議し、審理入りが決まった。来月から実質審理に入る。

議事の詳細

日時
2012年6月19日(火) 午後4時~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、田中委員、林委員、山田委員

「ストローアート作家からの申立て」事案の審理

審理しているのは、フジテレビが本年1月9日(祝)の『情報プレゼンター とくダネ!』で放送した企画『ブーム発掘!エピソード・ゼロ(2) 身近なモノが…知られざる街の芸術家編』。番組に登場したストローアートの作家が「過剰で誤った演出とキャスターコメントにより、独自の工夫と創作で育ててきたストローアートと私に対する間違ったイメージを視聴者に与え、私の活動と人権を侵害した」として謝罪などを求めているもの。フジテレビは「申立人に不快な思いをさせたことは真摯に反省し申し訳ないと考えている」として、放送でのお詫び案を示しメールで交渉を重ねてきたが、決着しなかった。
前回委員会での審理入り決定後に双方から書面や参考資料の提出を受け、それらをもとに実質的な審理に入った。局側には番組の編集権があるが、演出や構成を事前に出演者にどこまで説明すべきか、ストローアートの組作品をばらし飲み物に挿して客の反応を撮影した演出や「趣味の域」というキャスター発言を人権や放送倫理との関係においてどのように評価するか、などをめぐって意見を交わした。
次回、7月の委員会では、申立人とフジテレビの双方にヒアリングを行い、さらに審理を進めることになった。

審理要請案件~審理入り決定

宮城県南三陸町の津波被災遺族から申し立てられた審理要請案件について審議し、審理入りが決まった。
対象となった番組は、NHKが本年3月10日に放送した『NHKスペシャル「もっと高いところへ~高台移転 南三陸町の苦闘~」』。昨年3月11日の東日本大震災の際、町の防災対策庁舎屋上に避難した人たちのうち42人が津波の犠牲となった宮城県南三陸町の事例を取り上げ、屋上での様子を撮った写真、町長や住民へのインタビュー取材等を交え、当時を振り返るとともに、町の高台移転の現状と難しさ、今後の課題について伝えた。
この放送に対し、番組で使われた屋上での写真に顔と姿が写っていた職員の遺族から「肉親の最期の姿を見て大きな衝撃と苦痛を受けた、亡くなる直前の写真であれば全遺族の了解を得るか、得られなければモザイクをかける等の配慮が当然ではないか」として、NHKに謝罪等を求め申立てがあったもの。
申立てに対しNHKは、「遺族に対しては、事前の説明も含め可能なかぎり配慮したうえで放送した。映像を加工することは、なぜ数人だけ隠すのかと視聴者の疑念を招く。また少なからぬ遺族が肉親の最期の姿に誇りを持っており、特段の事情のない限り最期の姿を加工することは失礼にあたると考えた」等と局側の見解で述べている。
委員会は、双方から提出された書面、番組同録DVD、及び関連資料をもとに審議した結果、委員会運営規則第5条の規定に照らし本件申立ては審理の要件を充たしているとして審理入りが決まった。しかし、申立人2人のうち1人については、番組で使われた写真に肉親の姿と顔は写っていないことから直接、申立人としての適格性があるとはいえないとして審理の対象外とした。
委員会は、双方からさらに書面・資料等の提出を求め、来月から実質審理に入る。

5月の苦情概要

5月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・4件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・18件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 9月14日に広島市で、広島地区のBPO加盟放送事業者を対象に、放送人権委員と放送局現場スタッフとの意見交換会を行うことになった。事務局より報告し了承された。
  • 次回委員会は7月17日(火)に開かれることになった。

以上

第61回 放送倫理検証委員会

第61回 – 2012年6月

“不適切な取材対象者”が繰り返された日本テレビの報道番組『news every.』

新聞の番組欄や番組内テロップなどで、話題の「占い師」が出演するかのように表示し、実際には別の「占い師」が出演した日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン ……など

第61回放送倫理検証委員会は6月8日に開催された。「宅配の水」利用客として登場した女性が、宅配水メーカーの経営者の親族だったことが判明した日本テレビの『news every.』について、まず審議が行われた。担当委員から、担当ディレクターを含む11人に対して実施したヒアリングの内容が報告され、1年余り前の「ペットビジネス」事案と類似した過ちが繰り返された原因や背景について意見交換が行われた。その結果、論点がほぼ整理できたため、次回の委員会で意見書をまとめることになった。また、日本テレビのバラエティー番組『緊急放送!芸能★BANG ザ・ゴールデン』で、新聞の番組欄や番組内テロップに、芸能ニュースで 話題となっている「占い師」が出演するかのように表示したにもかかわらず、実際には別の「占い師」が出演したために、多数の苦情が寄せられた問題について、委員会としてどう取り扱うべきかの討議がおこなわれた。

議事の詳細

日時
2012年6月8日(金) 午後5時~9時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、是枝委員、重松委員、立花委員、服部委員、水島委員

“不適切な取材対象者”が繰り返された日本テレビの報道番組『news every.』

『news every.』は4月25日放送の特集企画で、福島第一原発の事故の影響で懸念されている水道水の安全性の問題を検証した際、最近「宅配の水」として利用者が急増しているボトルドウォーターについても取り上げた。この中で、利用者として紹介され、子どものためにも宅配の水のほうを選ぶとコメントした女性が、一般の利用客ではなく、宅配水メーカーの親族(会長の三女で社長の妹)だったことが判明し、委員会が前回審議入りを決めた事案。
2011年1月8日に放送された『news every.サタデー』で、ペットサロンやペット保険を取り上げた際にも、一般利用客として紹介した2人の女性が、運営会社の従業員だったことが発覚した。委員会は、事実を正確に伝えておらず、また、公正性が損なわれている点で放送倫理の違反があるという意見書を公表し、当該局も再発防止策を策定実施したにもかかわらず、なぜ類似の過ちが繰り返されたのかが、論議の焦点になった。
「ペットビジネス」事案を担当した2人の委員が今回も担当者に指名され、この企画の取材・制作にあたった2人のディレクターをはじめ、内容をチェックしたプロデューサーや、宅配水メーカーの関係者から聞き取りをした報道局幹部など、あわせて11人からヒアリングを実施した。
ヒアリングは、「ペットビジネス」事案を教訓に、取材対象企業の関係者をユーザーとして扱わないことや対象企業に安易にユーザーの紹介を依頼しないと定めた当該局の「企業・ユーザー取材ガイドライン」がどこまで浸透・機能していたのか、編集・制作段階での局内のチェックはどのように行われたのか、などを中心に進められ、それをもとに問題点を整理した意見書素案が委員会に提出された。
意見交換の結果、今事案の論点はほぼ整理できたため、次回の委員会で意見書をまとめ、7月いっぱいを目途に通知・公表することになった。

新聞の番組欄や番組内テロップなどで、話題の「占い師」が出演するかのように表示し、実際には別の「占い師」が出演した日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』

芸能記者などが出演して芸能情報をバラエティー手法で伝える日本テレビの深夜レギュラー番組『芸能BANG+!』が、5月4日のゴールデンタイムに『緊急放送!芸能★BANG占い・離婚・・・渦中のアノ人が記者軍団と激突SP』のタイトルで2時間スペシャルとして放送され、週刊誌などで話題になっている女性タレントと占い師の同居騒動にまつわる話を大きく取り上げた。
新聞の番組欄で、「今夜遂にスタジオへ・・・オセロ中島騒動の占い師が謎の同居生活全貌激白」と告知した。さらに番組内ではオープニングから45分以上にわたって同様のスーパー、ナレーションなどを繰り返し、女性タレントと同居していた占い師が出演するかのように放送した。
しかし、実際に出演したのはこの占い師と一緒に住んだことのある別の占い師の女性だった。放送後、当該局に対して多数の抗議が届いたほか、BPOにも視聴者からの多くの意見が寄せられた。
委員会は、当該局からの報告をもとに討議を行ったが、虚偽の事実を告知して視聴者を誤解させたという意味で審理案件ではないかという意見から、騙されるということも含めてバラエティーのカテゴリーの中に含まれるという意見まで、幅広い意見が出て議論が長時間交わされた。今回の委員会では結論に至らず、次回の委員会で更に討議を続けることになった。

【委員の主な意見】

  • 新聞の番組欄でも番組中のテロップでも嘘をついている。結果的にではなく、意図的に嘘をついている。これは時間泥棒ではないか。
  • こうしたバラエティーの場合、これもギャグの範疇という事案はなくはない、しかしこの放送の場合はどう考えてもそうはみられない。
  • 作り手のモラルの問題である。視聴者に対する目線が、視聴者を低く見て馬鹿にしているのではないだろうか。
  • 全体として占い師に騙されてはいけないという啓蒙番組のようにとれなくもない。最後の占い師の部分もそれなりに面白い。
  • 騙されることも含めてバラエティーというカテゴリーに含まれる。視聴者との間で、騙し騙されるという関係自体がバラエティーという番組の一つのスタイルである。
  • 騙し騙されるという関係については、制作者と視聴者が了解しあってなければならないはずだが、この番組ではそれがない。
  • この番組は、オセロ中島騒動の占い師という現実の情報をとりあげている。そう考えると情報番組という側面がある。とすれば視聴者に嘘をついて引っ張るようなことをしてはいけないというしかない。
  • 視聴者は、この番組を見るときに、芸能ニュースを見ようとしたから怒ったのではないか。騒動についての情報を占い師本人から知りたいと思って見たから、期待が裏切られたということになった。
  • 裏番組の制作者は、この番組を許せないと思う。裏番組の制作者にとってこの番組は公正ではない。

以上